●北海道11闘争団
国労潰しの『4党合意』をはねのけてILO勧告を活かした全面勝利解決を求めるアピール
私たちは、一九八七年二月一六日に何の理由も示される事なくJR不採用となり、再就職業務とは名ばかりの国鉄清算事業団雇用対策支所で『自学自習』の三年間を強要され、一九九〇年四月に『働く意志なし』のレッテルを貼られ解雇されました。直ちに、国労中央本部の指導に基づき『解雇撤回・JR復帰を求める国労闘争団』を結成し、全国三六闘争団は労働委員会救済命令を武器に『生活と闘い』を闘争団自らが確立し闘い続けて来ました。
国労は、第五六回定期全国大会で「採用差別事件を突破口にJRの不当労働行為の根絶を求める」方針を確立し、同時に「採用差別事件は国労潰しの集大成としての攻撃であるだけに、国労総体の闘いよって解決を図る」ことも確認しました。
一昨年五月二八日の東京地裁の政治的不当判決直後、藤井運輸大臣の「今後、話し合い解決を目指すうえで国労が対応すべき具体的条件」として『改革法承認』を含む四条件が示され、さらに自民・社民・さきがけ三党政策責任者会議において自民党は「和解交渉の前提」として三条件を社民党を通じて国労に突き付けて来ました。
これらの条件を受けて国労本部は、第六三回定期全国大会で『改革法承認』を含む補強方針五項目を提案し継続議論となりましたが、昨年三月一八日の第六四回臨時全国大会で中央本部の『政治解決のメドが立った』という判断に基づき『改革法承認』の決定を行いました。
私たち闘争団は、この一三年間に及ぶ労働委員会闘争や裁判闘争を通して不当労働行為と首切りを免罪する改革法を問題にし、その矛盾と不当性を明らかにしながら闘って来ました。闘争団員一人ひとりに痛み苦しみが身に染み込んでいる改革法は認めることは出来ないとの思いは、現時点においても強く残っております。
しかし、第六三回定期全国大会以降の国労の機関運営は、方針に関わる重要な決定事項が事前討論のないままに変更また実施され、結果だけが不可解な形で組合員に知らされるという異常な事態が続いていました。
特に、第六四回臨時全国大会での『改革法承認』決定以降は、政党間協議など政治折衝を中心に『政労使交渉』設置を求め、焦るがために権力側提示を拒否するすることなく「JRの法的責任の有無はともかく人道上の問題での解決」という不当労働行為を不問にする態度に終始してきました。
今回の中央執行委員会の「四党合意」受け入れは、JR採用差別事件の当事者である闘争団の考え方や意志が反映されない中での決定であり、組織に対する不信や闘いへの不安を助長させています。
さらに『JRに法的責任がないこと』を大会決定し、速やかに訴訟を取り下げることを認めるということは、闘争団が『JRの不当労働行為責任を追及し現職復帰』を求めて来た闘いの根拠を放棄するものであり、まさに白紙委任と武装解除によって全面屈服を自らが認めることになります。同時に、要求の法的根拠を失い交渉では『職場復帰や未払い金等の解決金、さらには年金回復の社会制度』などの要求を前進させるどころか、解決水準が限りなく引き下げられることは火を見るよりよりも明らかです。
また、中央本部は解決交渉の在り方として「政府責任による政労使交渉」設置を求めて来ましたが、今回は「政党間合意で進める」と、政府判断がされていない中で行政が動くこと自体に限界があることは明らかです。
私たち闘争団は、中央本部が主張する『高度な政治判断を信用しろ』と言われても、二度までも首切りを強行し人権までも奪った政府・政党を信用することは出来ません。
よって、闘争団が求める要求が具体的に示されていない状況で『JRに法的責任がないことを認める』ことのみの臨時全国大会は認められないし、直ちに『四党合意』受け入れを撤回することを強く求めます。
最後に、ILO勧告に至る経過や背景で『採用差別事件の解決は一労働事件を越えた国家全体の国際評価に関わる重要案件である』と言われるように、まさに日本の国際的評価や国際関係全般に与える影響が大きいことを、ILOに提訴した国労自身がしっかりと認識する必要かあります。
国鉄闘争は、多くの労働者・労働組合の闘いと位置付けて取り組み、物心両面にわたる支援により政治の場でも『解決しなけばならない課題』として定着するまで到達しました。さらには、ITFなど国際的な労働運動も支援を表明し、単に国労だけの問題ではないところまで世論が高まっている中で、政府・JRへの全面屈服を受け入れることは支援に対する背信行為です。
この一三年間に及ぶ闘争団の苦闘やJR職場で差別に耐え人間の尊厳を求めた組合員の闘いを無にすることは、国労運動の将来に禍根を残すことになるだけに、この間の『ラストチャンス』論などに惑わされる事なく、気持ちを一つにして焦る事なくILO勧告を最大限に活かし全面解決を勝ち取るまで全力で闘い続けます。
二〇〇〇年六月
稚内闘争団 音威子府闘争団 名寄闘争団 紋別闘争団 北見闘争団 美幌闘争団 帯広闘争団 旭川闘争団 深川闘争団 留萌闘争団 函館闘争団
●帯広闘争団
国労中央本部 執行委員長 高橋義則 様
各 執 行 委 員 様
合意意内容は、国労の全面降伏であり、納得できません
5月30日、「1047人の不採用問題をはじめとしたJR労使問題の解決のため」与党3党と社民党との話し合いが行われ、それを受けて「限りない勇気と希望につながるものと確信する」等の国労声明が発表されました。
しかし、「JR不採用問題の打開について」の合意内容は、「人道的観点から」「国労がJRに法的責任がないことを認める」ことを「国労全国大会(臨時)において決定」し、それを受けて、(1)人道的観点から雇用の確保を要請。(2)社民党から国労に対し、国鉄改革関連の訴訟について国労全国大会で決定後、取り下げる。(3)与党と社民党の間で和解金の額、支払い等について検討を行う。となっています。
この13年間、JR採用差別に対して「不当労働行為の責任はJRにあり!」と闘い統けてきた国労・国労闘争団員・家族にとって、信じられない発表です。
私たち国労帯広闘争団・家族は昨日、緊急全体会議を開催して、以下の考え方を集約しました。
@この合意内容は、国労に全面降伏を強要するもので、交渉の力による「納得いく解決」の水準とは、ならない。
Aこれまでに至る経緯からも組合民主主義をないがしろにしたものである。
B不当労働行為の責任、解雇の責任は、どこが取るのか明らにすべきである。
C「JRに法的責任がないこと」を臨時全国大会で決定する、組合方針に介入する、それこそ不当労働行為である。
D「訴訟取り下げ」では、タンポの放棄であり完全に武装解除となる。
E国労の将来展望の名のもとに、闘争団の切り捨てになるのでないか?
F国鉄方式の「解雇の自由」に反対し、全労働者の問題として支援・連帯してきた全国の仲間や地域の仲間の思いに応えるべきである。
私たちは、13年前、「国労という労働組合に所属」していることをもって希望したJR会社への採用を拒否され、その是正を求めてきました。
北海道地方労働委員会の場で、元国鉄管理者が「どんなに業務に精通していても、国労組合員ということで低い点数にした」「国労を抜けると、仕事ができなくても点数を付け直した」「国労組合員を排除した」と証言したように、露骨な組合差別が行われました。当時国会の場で橋本運輸大臣は、「組合所属による差別があってはならない」と当然のごとく答弁していますが、この守って当たり前のことが守られなかったことは明らかになっています。
民主国家にあっては、個人の考え方をもって差別したり、特定の団体に加盟していることを理由にした差別があってはならないことです。この是正を求める期間に、全国で19名の仲間が解決を見ることなく他界しています。夫や父を、息子を亡くした家族の無念は晴れていません。名誉回復と差別の是正を墓前に報告できる日を私たちとともに待ち望んできました。
この合意内容では、だれが13年前の不当労働行為の責任を取るのでしょうか?
昨年11月に出されたILO勧告(中間)は、「当該労働者の公正な補償と満足のいく解決に早急に到達するよう、JRと申立組合間の交渉を政府が積極的に奨励するよう」と日本政府に求めています。
私たちが求めてきたJR採用差別の是正が国際的に認められているのです。政府も国際貢献を口にしており、そうであるなら国際的に出されたILO勧告に沿った解決を求めていくのが常道ではないでしょうか。
私たちは一日も早い解決を望んでいます。
しかし、どんな解決でもいいとは思っていません。未成年者の凶悪な犯罪が社会的に問題になっていますが、正しいことは正しいこととして実行すること、間違ったことは間違いとして是正させることが大切なのではないでしょうか?
ですから私たちは、組合差別があったことを認めて、その責任を取って欲しいと訴えているのです。私たちが何か特別に無理なことを言っているでしょうか? この合意は、その事実と責任を曖昧にしているものとしか言えません。
国労本部執行部の皆さん、どうか私たち国労闘争団員・家族の意を汲んだ「納得いく解決」の交渉をされますよう要請します。
なお、与党3党と社民党の幹事長などに、「不当労働行為の責任はどこにあるのでしょうか?」という書面を送って、闘争団・家族の思いを伝えていることを申し添えておきます。
2000年6月1日
国労帯広闘争団 団長
馬渕 茂
家族会会長 高橋 美枝子
●北見闘争団
2000年6月13日
国労中央本部執行委員会殿
国労北見清算事業団分会 執行委員長 前北富雄
闘争団ブロック会議を受けて、4党合意受け入れの撤回を求める意見書
6月10日の闘争団ブロック会議で、中央本部よりJR採用差別事件の当事者である闘争団に対して、初めて正式に『4党合意に至る経過と内容』等について報告を受けました。 会議では、多数の闘争団員から、疑問の発言がありました。要約すると以下の3点について発言が集中したと思います。
1点目は、政府の責任での解決の道筋について。
99年3月13日の臨時全国大会は、中央本部の「政治の責任での解決のメドがついた。臨時大会後に政府・JRが動く」とし『改革法承認』を決定し、国労は『政・労・使交渉』設置を求めてきました。しかし、その後の政治的折衝で『ブリッジ方式(政・労と政・使)で進める』と変わり、今回は『政党間合意に基づき進める』というように後退しています。政府が判断していない現状で、政党の指示で行政が動くとは思えないことからも『政党間合意』で要求実現はできないと思います。
2点目は、法的根拠を放棄して原状回復が可能なのかということです。
合意文書第2項の『法的責任がないことを認める』ことは、要求の法的根拠を失う訳でであり、職場復帰や未払い賃金等の解決金・さらには年金回復の社会制度などの要求を前進させるどころか、限りなく切り下げられることは明らかです。さらに、政府も法的根拠がない予算措置を組めるものではないはずです。
3点目は、国労要求はなくなったのかという点について。
正式な報告では『国労要求』を関係省庁に提出したという事実はなく、中央本部は基本的には『採用数・金銭的保証・労使正常化』を求めるとしていますが、解決交渉に突入しているというならば、当事者に現時点での国労の態度を示すべきです。何の腹もなく、政党間で出された内容で了解とはならないと思います。
以上、ブロック会議で出された闘争団の不安に対する疑問には答えてもらえず、臨時大会では「人数と金額を報告できるようにし、解決交渉が始まっていることを形で示せるようにしたい」といっていましたが、私たち闘争団は『高度な政治判断を信用しろ』といわれても2度も首切りを強行した政府・政党を信用できません。
よって、何の具体的な担保もないままに『JRに法的責任がないことを認める』ことのみの臨時大会の開催は認められないし、直ちに『4党合意受け入れ』を撤回することを、強く求めます。
●紋別闘争団(その1)
国労中央本部執行委員長高橋義則殿
抗議文
本日の朝日新聞朝刊で、昨日の中央執行委員会の決定内容を知り、採用差別事件の当事者として落胆するとともに非常な怒りを覚えます。新聞によれば社民党と現与党、国労の間でいわゆる「運輸省4項目」を国労が飲み込んだ上で与党がJRに「解決交渉への参加を要請する」こととなっています。この内容にほぼ間違いないと思いますが、このような解決のありかたは明らかに誤りだと考えます。
交渉に入る前に切り札を手放すなど正気とは思えません。この内容で交渉に入るならば地元JR復帰はほとんどゼロ回答に等しいものしかないことはだれにでもわかることです。また、復帰できない者の扱いも解雇撤回とは程遠いものにしかなりません。本部は何を焦っているのか理解に苦しみます。交渉の開始や出口の見通しに何ら担保がない中で一方的に国労が譲歩することは、まさしく全面降伏以外のなにものでもありません。今回の中執の判断は私たち闘争団が13年間闘ってきたその根拠をすべて捨て去るものです。「JRに法的責任がない」ことを認めてどうやってJRに戻れるのでしょうか。同時にこのことはJR内で差別に苦しみながら職場で働く国労の仲間を裏切るものです。この内容で仮に「解決」したとしても組織に残るのはダメージのみであり、国労がこれからも信頼に足りる労働組合として存続する道にはなりえません。国労の自己崩壊作用が起こることは簡単に予想できることです。
そして何よりも私たちは当事者の闘争団にこうした決定が経過の説明がこれまで行なわれず、闘争団員の意向を聞くことなく決められたことに大きな危惧を感じます。
私たちは今回の中央執行委員会が今回の決定を取り消し、闘いを再構築することを強く求めます。
2000年5月30日
国労紋別闘争団 団長 清野
隆
●紋別闘争団(その2)
2000年6月14日
国鉄労働組合中央本部執行委員長 高橋義則 殿
国鉄労働組合紋別清算事業団分会(闘争団)執行委員長(団長)
清野 隆
4党合意の受け入れ撤回を求める意見書
国鉄闘争解決にむけての毎日の奮闘ご苦労様です。私たちは去る6月10日、札幌における本部オルグを受け、ただちに13日闘争団の集会を開催して、内容の報告と討論を行ないました。その結果、私たちとしては以下のような意見で本部に改めて受け入れの撤回を求めることにしました。闘争団員全員の一致した気持ちですので、受けとめていただき受け入れの撤回と臨大の中止を要請します。
(1)「JRの法的責任なし」「裁判の取り下げ」という国労にとって決定的な武器を手放すことは採用差別の当事者として全く受け入れがたいものです。しかし、それが解決交渉の最終場面で、解決水準が確定した段階でなら検討の余地がありえます。ところが本部オルグの中では、やはり我々が心配したように「臨大までに解決交渉の開始が公になるよう努力する」に留まっています。そしてその根拠は「政党のトップの判断」としか説明がありません。私達はこの13年間、政府や政党が様々な約束をしたことが守られないことをこの身で体験してきました。これまでの経過からするならば、この手の「口頭確認」などを破ることなど何とも思わないのが自民党政治家の常であることは嫌と言うほど私たちの身にしみ込んでいます。国労が一方的に譲歩を強いられれるこの4党合意は、結局国労の権利放棄だけを食い逃げされる危険が大きすぎます。中執決定を取り消し、臨時全国大会を定期大会として日程を変更して開催すべきであります。
(2)本部は採用差別事件の解決にあたっては「当事者の意見を聞く」と一貫して私たちに説明をしてきました。しかし、今回は事前に全く知らされなかったばかりか、先日のオルグでも「意見を聞いて反対が圧倒的ならば取り下げるのか」との質問に対しては、「理解してもらうよう努力する」の一点張りであり、意見は聞いても取り入れないとの姿勢に終始しています。こうした姿勢のままでは今後、解決交渉が始まったとしてもその過程で本部を信頼することができません。また今回の受け入れを決めるまでの本部の取り扱いそのものが不信感を呼んでいます。本部は衆知を集めて一つ一つ合意を得て進めるよう改めていただきたいと思います。
(3)札幌での書記長の説明では現在解決交渉が実質的に始まっているように受け取れます。そうだとするならば、交渉に向かう本部としての「要求」のありかたが当事者の私たちに全く説明がないことを疑問に思います。すでに「基本要求」の段階から具体的な要求の段階に進んでいるとするならば、その要求の内容が当事者である私たちに知らされることなしに交渉を進めることは、信義に背き当事者不在の交渉になってしまいます。このような交渉のあり方は改められるべきであります。
今回の一連の経過では、本部は社民党を通じた政治的解決において、「政治折衝」のみを重視し、大衆行動を中心とした闘いで相手を追い込むことが決定的に不足をしてきたように思います。
闘いの原点に戻り、秋にILOの本勧告を勝ち取り、腰を落ち着け相手を追い込んで行く闘いを組み直していただき、私たちも本部の元で全力を尽くすつもりであることを最後に申し上げます。
●旭川闘争団
2000年6月3日
国鉄労働組合 中央執行委員長 高橋 義則様
国労旭川闘争団 団長 内田泰博
団員・家族一同
「JR不採用問題の打開についての合意」についての意見書
私たち旭川闘争団と家族は13年間もの長い間「解雇撤回・地元JR復帰」を勝ち取るべく。厳しい条件のなか、まさに人生をかけて闘ってきた。
この度、与党3党・社民党と国労本部との間で「解決案」が合意されたが、昨年、運輸省から出された「話し合い解決に向けた4条件」そのものであり、到底受け入れる事の出来ない内容である。
(中略)
改めて、国労組織の団結堅持と闘う決意を明確にすると共に、以下の点について本部に強く求めるものである。
記
1、昨年の臨時大会以降の交渉経過を明確にし、機関会議を開催する上で、現場組合員に分かり易い正常な機関運営を図ること。
2、与党合意で「政府・JRに責任なし」は、国鉄闘争の根幹である不当労働行為の闘いからも合致せず、拒否する態度を明確にすること。
3、闘争解決は、あくまで政府責任による「全面一括解決」を求めるものであり、エリア毎の解決交渉は認められない。
4、交渉状況に伴い、現場闘争団組合員・家族の生の声を聞くべく、本部オルグは各闘争団に入り、意見交換・意思統一を図ること。
●音威子府(おといねっぷ)闘争団(その1)
2000年6月3日
国労中央執行委員会 殿
国労音威子府闘争団 団長 鈴木 孝
中央執行委員会での「与党・社民党合意」了承の撤回を求める意見書
5月29日の中央執行委員会で、与党3党と社民党がまとめた『JR労使紛争問題の解決打開に向けた解決案』の受け入れを決定し、翌30日には与党3党と社民党間の紛争打開に向けた合意がされました。
私たち音威子府闘争団組合員・家族は、今回示された「解決案」は不当労働行為を不問にし、国労に白紙委任を迫るものであり、到底認められるものではなく、中央執行委員会決定の撤回と政府・JRの責任を明確にさせた解決の取り組みの強化を強く求めます。
『解決案』では、「人道的観点から与党・社民党が解決の努力をする」「国労がJRに法的責任がないことを臨時大会で決定する」ことが前提条件となっており、分割・民営化の過程で行われた不当労働行為の責任を自ら免罪するものとなっています。
さらに「与党はJR各社に対して雇用確保を要請する」としていますが、何らその保証も担保もない中で「社民党は国労に訴訟の取り下げを求める」とし、まさに国労に白紙委任と武装解除によって全面屈服を迫るものとなっています。
中央執行委員会は、今回の受け入れ決定を撤回し、組合民主主義に基づいた議論を徹底し、当事者である闘争団の意志を尊重した決定を行うべきです。
音威子府闘争団は、不当判決以降の政府・JR会社の全面屈服を求める攻撃をILO勧告を最大限に活かし、国労自らが決めた全面解決要求実現に向けて粘り強く組織の力を強め闘い抜く決意を表明し、「解決案」に対して強く抗議し撤回を求めます。
以上
●音威子府闘争団(その2)
国労中央本部執行委員会殿
国労音威子府闘争団 団長 鈴木 孝
闘争団ブロック会議を受けて四党合意受け入れの撤回を求める意見書
6月10日の闘争団ブロック会議で、中央本部よりJR採用差別事件の当事者である闘争団に対して、初めて正式に『4党合意に至る経過と内容』等について報告を受けました。
会議では音威子府から、3点の疑問について発言しました。
一つ目は、政府の責任での解決の道筋について。
99年3月18日の臨時全国大会は、中央本部の「政治の責任での解決のメドがついた。臨時大会後に政府・JRが動く」とし『改革法承認』を決定し、国労は『政労使交渉』設置を求めてきました。しかし、その後の政治的折衝で『ブリッジ方式(政労と政使)で進める』と変わり、今回は『政党合意に基づき進める』というように後退しています。政府が判断していない現状で、政党の指示で行政が動くとはおもえないことからも『政党間合意』で要求実現は出来ない。
二つ目は、法的根拠を放棄して原状回復が可能なのか。
合意文書第二項の『法的責任がないことを認める』ことは、要求の法的根拠を失う訳であり、職場復帰や未払い金等の解決金・さらに年金回復の社会制度などの要求を前進させるどころか、限りなく切り下げられることは明らかです。さらに、政府も法的根拠がない予算措置を組めるものではない。
三つ目は、国労要求はなくなったのか。
正式な報告では『国労要求』を関係省庁に提出したという事実はなく、中央本部は基本的には『採用数・金銭的補償・労使正常化』を求めるとしているが、解決交渉に突入しているというならば当事者に現時点での国労の態度を示すべきです。何の案もなく政党間で出された内容で了解とはならない、
など、全体会議に伴う闘争団の不安に対する疑問には答えてもらえず、臨時大会では『人数と金額を報告できるようにし、解決交渉が始まっていることを形で示せるようにしたい』と言うが、私達闘争団は『高度な政治判断を信用しろ』と言われても二度も首切りを強行した政府・政党を信用できません。
よって、何の具体的な担保もないままに『JRの法的責任がないことを認める』ことのみの臨時全国大会は認められないし、直ちに『四党合意受け入れ』を撤回することを、強く求めます。
●留萌闘争団
2000年6月14日
国鉄労働組合 中央執行委員会 殿
国鉄労働組合留萌闘争団 団長 田辺 和憲
4党合意案撤回・臨時大会中止を求める意見書
5月30日、与党3党と社民党が合意した解決に向けた合意案を、中央執行委員会が受け入れを表明したことに強い怒りを感じている。
当該の闘争団員・家族そして組合員が全く知らないところで、民主的な手続きもなく国鉄闘争の命運をかける重大な事柄であるにも拘わらず、組織の混乱と共闘や支援者の不安を助長する背信行為である。
また、合意案の内容は「国労が、JRに法的責任がないことを臨時大会で決定する」ことを前提とし、さらに「国鉄改革法関連の訴訟を取り下げる」ことは国労の方針転換であり全面屈服路線である。
6月10日、闘争団ブロック会議では本部から解決枠の具体的な提起がされるのではないかと、複雑な気持ちで参加してきた団員・家族も参加後「何の担保もない中であの合意案は何なのか」「臨時大会のみで解決策も出ないオルグであった」「13年の闘いは何だったのか」等、本部不信が一層助長された。
一日も早い解決を望みながら闘いの半ばにして亡くなった大日向厚志氏・佐橋忠雄氏もうかばれないし両氏の家族も落胆している。
この間、労働委員会闘争を積み上げ「JRに不当労働行為の責任あり」の救済命令を勝ち取り、不当労働行為の事実は消えることはなく、5・28不当判決にも屈しないで国家的不当労働行為と懸命に闘い、昨年はILO中間勧告を勝ち取り、大きな力が国労支援に集中している状況が生まれてきている時期に、何故、本部が合意案を受け入れたのか疑問を抱かずにはいられない。
合意案を受け入れたことは、14年間の闘いの蓄積を自ら放棄し国労の歴史・運動に大きな汚点を残すだけである。
留萌闘争団としては「一日も早い解決」を求めながらも「納得した解決」を勝ち取るため「解雇撤回・JR復帰」「全面解決要求」を掲げ大衆闘争を中心に政府・JRを追い込み、同時にILO勧告を求める闘いの再構築が必要であると考えている。
具体的な解決案や担保がない中での「JRに法的責任がない」ことだけを認める臨時全国大会の開催を認めることは出来ないと同時に、全面屈服させる4党合意案を国労の総意として撤回させることを強く求める。
●美幌闘争団(その1)
2000年5月31日
国鉄労働組合中央本部 中央執行委員会 殿
国労旭川地本美幌闘争団事業団分会 執行委員長 高 橋 修
要望意見書
昨日からマスコミなどで与党合意についての報道があり、私たち闘争団として強い怒りと憤りを感じています。いわゆる「人道的観点からの枠組」で不当労働行為問題をも解決し、与党合意をとる事で「JRに責任が無い」と国労臨時大会で決定するとなっていますが、私たち闘争団や家族そして共闘の仲間も、この間本部が提起した「政府に解決の決断を求める闘い」を全力で取り組み、昨年11月にはILOの中間勧告がだされた事により政府・自民党も解決に向けての動きを拒否出来ない状態にまで追い込んで来ました。私たち分会としても、今現在が解決に向けた13年間にも及ぶ「分割・民営化の闘い」の答えが出される時期だと認識し、だからこそ「JR不採用問題」に対する答えでは不当労働行為責任を明らかにしなければ、この10年間家族をも巻き込み、子供たちの将来にも影響する、まさに人生を賭けた「闘いの答え」として、そしてJR職場で差別を受けながらも組合員が必死に守り続けてきた国労組織の未来を賭けての壮絶な闘いでもあります。与党合意『解決案』には組合員・家族の願い、支え続けてきた労働者の思い、その重みが何一つ活かされていません。
98年5月に不当判決が出された以降、解決を急ぐがために国労の機関運営は組合民主主義を逸脱し、方針に関わる重要な決定事項が事前討論も無いままに変更されるなど異常な事態が続いています。同時に、この事は労働組合の団結を揺るがす問題であり放置することは出来ないと考えます。本部は迷う事無く、勧告を尊重しない政府に対し、ILO本勧告を求める姿勢を明らかにすべきです。大衆的に国内外から世論形成を進めることが私たちが求めている解決につながると考えます。私たちとしては、そのために多少の時間がかかる事は当然の事と考えます。
闘争団は昨年6月に全国連絡会が集約した「闘争団要求」を本部に提出しました。「一人一人の譲れない要求」としてまとめたものです。本部はそのことを尊重し、内外の関係箇所に明らかにすべきです。又、組合民主主義を守り組合員・当事者の意見を問い具体的な闘争方針を明確に示すための「大会」を開く決意をして下さい。精一杯闘って得た解決にするためにも早急に機関会議を開催し、闘う体制づくりが必要です。私たち組合員一人一人が悔いを残さない闘いとするために、全国での様々な大衆行動を盛り上げ、精一杯闘うことを約束し、要望意見とさせて頂きます。
●美幌闘争団(その2)
国鉄労働組合 中央本部執行委員会 殿
国労美幌闘争団 団長 高橋 修
闘争団ブロック会議を受けて四党合意受け入れの撤回を求める意見書
去る六月一〇日の闘争団ブロック会議で中央本部より初めて正式に「四党合意に至る経過と内容」等について報告を受けました。
美幌闘争団として、家族を含め発言しましたが発言者の多くが不安・不信を持ち、受け入れに反対する意見・質問をしたにもかかわらず、中央本部からは的を得た答弁が無く、又、具体的な内容もないまま最後には理解をしてもらうように努力するの一点張りだったように思います。
団としても昨日、札幌へ行けなかった団員・家族を集め、内容の報告と討論を行いました。その結果、私達団員・家族は以上のような意見で一致しましたのでこれを受けとめて頂きたく、意見書を提出させていただきます。
1.「JRに法的責任がない」という事を機関決定するという事は、採用差別を受けた当事者として絶対に受け入れがたい事です。この一三年間、政府・JRに不当労働行為の責任をとらせる為に、家族をも巻き込み、どんなに辛く、苦しくとも頑張ってきました。この事を認めるという事は「今までやってきたことは何だったのか」「責任は何処へ行くのか」という事になり、絶対に認められません。又、「法的責任がない事を認める」ことは要求の法的根拠を失うことであり、職場復帰や未払い賃金等の解決金、更に年金回復など社会的な要求を限り無く切り下げられることが明白です。
2.「裁判の取り下げ」についても解決交渉の最終場面「解決水準が確定した段階」でならば検討の余地があると思いますが、何も具体的な中身が出されていない現時点では、絶対認められません。
3.昨年六月に全国連絡会が集約し、本部に提出した「闘争団要求」こそが私たち当事者一人一人の譲れない要求であるにもかかわらず、本部はその重みを認識していないのでは、と考えます。早急に関係する団体・個人に明らかにすべきです。
4.本部は採用差別事件の解決に当たっては当事者の意見を聞くと、一貫して私達に説明をしてきましたが、今回は事前に全く知らされなかったばかりか、ブロック会議では多くの反対の意見があったにもかかわらず意見は聞いても取り入れられず「理解してもらうように努力する」という事では不信感が出てきています。労働組合として真摯に組合民主主義を守り、組合員・当事者の意見、家族の声を受けとめ一つ一つ合意を得て進めるよう改めて頂きたいと考えます。
5.私達、闘争団・家族は「高度な政治判断を信用しろ」と言われても今まで何回も騙され二度も首切りを強行した政府、政党を信用する事は出来ません。何の具体的な担保もないままに「JRに法的責任がない」事だけを認める臨時全国大会は認められません。
闘争方針を明確に示す定期全国大会を開催すべきです。
最後に直ちに「四党合意受け入れ」を撤回し、悔いを残さない闘いとする為に原点に戻り、全力を尽くす事を強く求め、意見書とします。
●深川闘争団
2000年6月15日
国鉄労働組合中央本部 執行委員長 高橋義則 殿
国鉄労働組合 旭川地区本部
深川清算事業団分会 執行委員長 瀬古勝利
『4党合意』の受入撤回を求める意見書
6月30日、国労中央本部執行委員会は、自民党・公明党・保守党と社民党が示した『四党合意案』の受け入れを当該闘争団の意志とは別に決定し、さらに、この不条理な中身にそって『定期大会』を先のばしするという姑息な手段で『臨時大会』を開催し、強引にも『合意案』を強行決定しようとしている。
私達は、『国労潰し』の国家的戦略より『国鉄改革法』という極めて国際常識から外れた悪法により解雇者を始めとして多く犠牲者を出してきた。
この国家的不当労働行為に打ち勝つために私達は、決め合った『労働委員会闘争』を繰り広げ、当然として全国の地方労働委員会からの『完全勝利命令』を勝ち取り、引き続く体制側の攻撃・策謀のなか、紆余曲折はあったものの『全面解決要求』を定期全国大会の総意で決め合い、さらに『解決に向けての国労の考え方』をこれも中央委員会の総意で決め合ってきた。
この組合民主主義が、如何に敵の攻撃が強くても団結力として、影響力として、国民世論を味方にし、支援者の共感により共闘の拡大をはかり、国労が少数でもその影響力・求心力は労働界のみならず大きく広がっていた。
この積み重ねが、昨年11月の『ILO勧告』に結びつき、日本の非常識が国際的にも明らかになると同時に、『不当解雇・地元JR復帰』を訴え続けた国労の主張が、裁判所を含めた国家機関への『早期是正』勧告として、強烈な内容を持って日本政府を始めとする国家機関の国労に対する行為を、明確に断罪した。
しかしながら、今日の中央本部の高橋委員長以外の執行部の挙動は、国労が今日まで多くの犠牲の上に築き上げた『成果』を水泡に帰する挙動であり、敗北主義的裏切りであり、解雇者の切り捨てであり、国鉄闘争の幕引きであり、どんな方便を持っても許すことの出来ないし、国労組合員家族の立場以前にも断じて認めることは出来ない。
今、私達の闘争団事務所には、全国の国労機関や、お金も人も出して支援をいただいている東京清掃などからの『檄電』が引きも切らず、ほとんどの労働者が、本部の最近の挙動に『NO!』の怒りと、国労本部への不信を露にしているのが実態である。
このように、真面目に支援をしてきた労働者まで裏切り、『国家的不当労働行為』貫徹、『国労潰し』貫徹に血道を上げる敵に協力する本部執行部は『総辞職』して責任をとるべきであり、我々全国の大多数の闘争団とJRに働く労働者や家族は、このような指導者には、ついていけず、国労綱領が示す国労本来の当たり前の国労運動を引き続き求めて、更に、団結と連帯を強化して、あくまでもILOが求めている『当事者が納得する解決』に向けて、更に闘いを強化していく。
今の本部の姿勢とILO勧告との関係は、文字通り「豚に真珠」「猫に小判」。この誤りを免れる事は出来ないし、墓穴を掘って止まない中央本部の一部執行委員に強く抗議し、差し当たって、中央執行委員会が『四党合意』受入れを撤回することと、国鉄闘争を否定する屈辱的な『不当労働行為責任を問わない』国労の最高機関決定を行おうとする暴挙を即刻中止するよう求めて、深川清算事業団分会【深川闘争団】の態度表明とする。
●稚内闘争団
2000年6月1日
国鉄労働組合中央執行委員会 執行委員長 高橋義則 殿
国労稚内清算事業団分会 執行委員長 池辺哲司
JR採用差別事件「解決案」に対する意見と要請書
本年5月30日、JR採用差別事件の解決案についての与野党合意と、それに対して国労本部が了承した旨のマスコミ報道がされました。
今回出された解決案は、昨年6月に運輸省から出された4項目を丸呑みにし、国労自らが自滅していく解決案です。特に、国労が「JRに法的責任が無いことを認め、臨時大会で決定する」ことは、闘争団組合員・家族の筆舌に尽くしがたい、国家的不当労働行為に対する13年間の闘いを「無」にすることであり、稚内闘争団としては認められるものではありません。また、訴訟の取り下げに至っては、武装解除・全面屈服と言っても言い過ぎではありません。稚内闘争団として今回の解決案に反対するとともに、本部に対して解決案の撤回を強く求めるものです。
我々国労は、この13年間の闘いの中で、労働委員会の勝利命令を勝ち取り、昨年11月には国労の主張を全面的に認めたILOの中間報告も勝ち取り、敵を追い込んできました。地域においても、共闘の仲間と共に署名行動や大衆行動を全力で取り組み、ILO勧告に沿った解決を目標に闘いを進めてきました。
しかし、国労の解決案に対する態度は、13年闘ってきた闘争団やJR組合員を裏切るばかりか「国鉄闘争は自分たちの問題」と位置付け、共に闘ってきた共闘の仲間までも裏切る行為です。今回の解決案を認めることは闘争団として、支援の仲間に顔向けできない結果となります。JR採用差別事件の解決に当たっては、こうした支援の仲間の気持ちを尊重し、労働者の団結と大衆行動で敵を追い込んでいく闘いの構築を要請します。
ILOは中間報告の中で、当事者の満足する解決に向けた政府責任を主張しています。今回の解決案は「当事者の闘争団」としては絶対満足できるものではありません。この間、中央本部はILOに対して何を求めてきたのか理解に苦しみます。ILOの本勧告を勝ち取り、大衆行動を強化して解決を勝ち取るどころか、逆にILO勧告を遅らせ、解決を政党間協議に埋没させて、白紙委任にも匹敵する解決を模索していたとは信じられません。これはJR採用差別事件の解決ではなく、闘争団の切り捨てです。国労として解決案を撤回し、ILOの本勧告を勝ち取り、ILO勧告に沿った解決となるよう闘うことを求めます。
また、ILO勧告で指摘されたように、遅れた日本の労働行政は、日本の労働者全体の問題であり、国労が闘いに勝利していくことは、リストラで苦しめられている日本の労働者の権利回復の突破口となることは明白です。だから連合も中央執行委員会の中でJR総連の反対を押し切って、ILO勧告に賛同をしたのだと思います。しかし、国労は今回の解決案で、こうした日本国内の労働者の権利回復の闘いを放棄したばかりか、ILO勧告までも裏切り、日本の労働運動の国際的信頼までも地に落とそうとしています。日本の労働運動の強化のためにも原則的に闘うべきです。
私たち闘争団員は13年の闘いの中で、国家的不当労働行為の謝罪と解雇撤回・JR復帰を求めて闘ってきました。13年以上が経過した今日も、この稚内闘争団の要求は変わっていません。苦しい生活費の中で、勝利を信じ、JRに戻ることを夢見て耐えてきた家族、闘争のために進学を断念した子どもたち、そして闘い半ばで無念のうちにこの世を去った仲間を思うとき、「JRに法的責任なし」とする解決には納得できません。ILO勧告以降の国労を取り巻く情勢は決して悪くはありませんでした。国労の闘う意思と方針を明確にすれば勝利の展望は必ず見える状況だったはずです。私たち闘争団員は、今回の解決案を撤回し、不当労働行為事件の原則的解決(解雇撤回・JR復帰)を勝ち取る闘いを強めることを要請します。
●函館闘争団
2000年5月31日
国鉄労働組合中央本部 執行委員長 高橋義則 殿
国労函館闘争団 団員・家族一同
与党三党と社民党の合意は受け入れられない
本部の受け入れ表明は国労の自己否定の道でしかない
5月30日の新聞各紙は与党三党と社民党の間で、「国労が、JRに法的責任がないことを認め、臨時大会で決定する」「JR発足時における訴訟の取り下げ」などについて合意し、本部も「中央執行委員会で了承した」と報道しました。
私たち函館闘争団は、発表された合意事項「JR不採用問題の打開について」に強い憤りを感じると共に、本部が「中央執行委員会了承」を撤回し、「全面屈服」とも受け取られる合意に至るこれまでの経過について明らかにすることを強く求めます。
本部は昨年3月18日、臨時大会を招集し「解決のメドがついた」として国鉄改革法を承認しました。にもかかわらず、それ以降、政党間協議の内容がまったく見えず、本部は「本部を信頼してほしい」と答えるだけに終始してきました。しかし「本部を信頼してほしい」の結果は、5月29日の合意で明らかになった通り「JRに法的責任がないことを認める」ことを前提として、JRに対して「人道的観点から雇用の場の確保等を検討してほしい旨の要請を行う」という、国労に対しては大会決定を迫り、一方のJRには「検討を要請する」という程度の、国労に一方的に譲歩を迫ることでしかありませんでした。これでは、国労に「全面屈服」を迫った所謂「運輸省文書」の丸呑みであり13年を越えるこれまでの闘いを無にするものと言わざるを得ません。
(中略)
5月29日の与党3党と社民党による「JR不採用問題の打開について」の合意と本部の受け入れ表明は、労働委員会による「救済命令」や「ILO勧告」を自ら投げ捨てるものであり、国労と闘争団のこれまでの闘いの自己否定に他なりません。まさに13年間もの闘いを費やしてきた国労と闘争団を辱めるものでしかありえず、政府・自民党、JR会社の攻撃にひざまずくもの、と言わざるを得ません。
しかも、13年を越える闘いの生死を決するほど重要な解決の「枠組み」の受け入れを当該の声を聞くことなく決めていくことは組合民主主義の見地からも許されないことだと考えます。
私たちは、本部が「JR不採用問題の打開について」の合意を規定方針として強行するのではなく、今一度、各級機関や闘争団、支援の仲間と胸襟を開いて論議する中から、あらためてこの困難な状況を切り開いていく強固な国労組織をつくりあげていくことに全力をあげるべきだと考えます。
函館闘争団は、本部がこの間言い続けてきた「闘ってよかったと思える」解決を目指すためにも、「JR不採用問題の打開について」の合意の受け入れを撤回することを強く求めます。
●仙台闘争団
2000年6月8日
国鉄労鋤組合中央本部 執行委員長 高橋義則 殿
国労仙台闘争団 事務局長 佐藤正則
意見書
JR採用差別事件「解決案」の撤回を求めます。
5月30日、「国労『JRに法的貴任なし』和解交渉へ合意案」とする新聞報道がされました。中身は、「人道的観点から解決のため努力する」「国労がJRに法的責任がないことを認め、臨時全国大会で決定する」というものです。これは、昨年6月に示された、国労に全面屈服をせまる運輸省案そのものです。
JRの法的責任追及の闘いは、13年余にわたる国鉄闘争の柱であり原点です。この責任追及の闘いを放棄することは、これまでの闘いを無にすることであり、マスコミでさえ指摘しているように闘争の原点の自己否定に他なりません。
昨年の3月18日、「解決のメドが立った」として臨時全国大会が開催されました。今に思えば、解決のメドなどどこにもなかつたのですが、200を超す意見書(その大部分が反対意見)に耳を傾けることなく「改革法」は承認されました。しかし、その際本部は「改革法は認めても不当労働行為は認めない。JRの法的責任を求めて闘う」と言っていたと思います。今回の「法的責任なし」の中執決定は、明らかに大会決定違反というほかありません。「一日も早い解決」「政治の場における政府の責任による解決」で取り組んできたとはいえ、敵の要求を丸呑みするような「解決案」を私たちは−切望んではおりません。
私たちは、裁判(国家権力)で負けも、ILOに訴えて不当な首切りは許さない立場で頑張ってきましたし、「国鉄闘争は国労だけの問題ではない」と訴えてきました。そして、そのような立場から連帯する会や支援共闘の多くの仲間たちが10年余にわたり、物心両面において支えてくれました。国鉄方式の首切りが横行し、法整備が進む中、国鉄闘争の真価が問われる重要な時期をむかえています。その矢先、「JRの法的責任なし」として国労が責任追及の闘いを放棄するとなれば共闘の仲間に対する裏切り行為に他なりませんし、労働運動全体におよぼす影響は計り知れないものがあります。そればかりか労働運動史上に汚点を残すことになりかねません。
地区集会においては、「具体的な解決作業は5月30日の四党合意後すでに開始されている。臨時大会開催が解決作業の前提条件ではない」と言われています。しかし、「あまりにもひどい解決内容だったらどうするのか」の問いに対し、「蹴れば国労の責任になる。政治解決はなくなる」と言われています。つまり、どのような解決水準であれ、私たちに拒否する余地は与えられず、無条件で従う以外に道は残されていないのが今回の解決案です。
解決案は、13年もの間、国労を信じ、「解雇撤回・JR復帰」を目指し、歯をくいしばりながら闘い続けてきた闘争団・家族、そして、不当な差別を受けながら共に闘いを進めできた組合員の思いを踏みにじるものであり絶対認めるわけにはいきません。
又、このような組合民主主義を否定するトップダウン方式の組合運営に対して、多くの組合員から組合不信の声が寄せられています。いかに政治解決とはいえ、本部判断は多くの誤りと混乱をもたらしているというほかありません。
「このままではジリ貪状態の組織の維持さえ困難になるといった『現実的』判断があった」とも報道がされていますが、闘いを放棄することがそれに対する正しい回答とは決して思えません。これまでの運動のあり方や闘争態勢の見直しは当然求められるとは思います。しかし、「一人の首切りも許さない」を合い言葉にJRの仲間と共に闘い続けてきたからこそ今日の国労が存在しているのは間違いのない事実です。厳しい情勢ではありますが、闘い続ける以外に組織の強化も拡大も、そして勝利の展望も切り開くことはできないと考えます。
闘ってきてよかったといえる解決、納得できる解決をめざし、団結の強化、闘争態勢の強化に向け、奮闘する決意です。
そのためにも、「JRの法的責任がない」ことを柱とした「解決案」の撤回を強く求めるものです。
尚、具体的な解決内容が提示されれば真摯に討論をしていくことをお伝えいたします。
●東京闘争団(その1)
国鉄労働組合中央執行委員長 高橋義則 殿
国労東京闘争団 団長 新山貞夫
闘争団本州ブロックオルグを受けての本部に対する意見
6月10日、闘争団本州プロックオルグが本部会議室において開催され、本部から上村副委員長、新井中央執行委員のお二人、仙台・東京・静岡・近畿・岡山の本州の各闘争団員と家族、アルバ東京在勤の北海道・九州の闘争団員、関係機関役員など65名が出席しました。
東京闘争団は事前に団として討議し、質問事項を文書にまとめておくなど、限りある時間の中で有効な討論が行なわれるよう準備して参加しました。
それは、本部の腹蔵のない報告、闘争団員・家族からの不安や解決への要求などを率直に出し合い、闘争勝利へむけた意思統一と団結が行なわれるものと期待したからです。
しかし、本部の回答は残念ながら質問の趣旨に沿った明快なものにはならず、家族は発言できないまま、全体として議論の噛み合わない消化不良の感を残すものとなりました。
東京闘争団は、このオルグを受けて団会議を開催しあらためて討議を行ないましたが、「解雇撤回・JR復帰」を基本とした要求を基礎に解決をはかっていく上で、臨時大会を開催して「4党合意の受け入れ」を決定することにどうしても納得することができません。
団の討議の上に立って本部に対し意見書を提出いたします。
1、4党合意文書で、国労が「JRに法的責任がない」ことを臨時全国大会で決定することが前提条件になっており、決定した後に「解決作業」に入るとなっていることについて、本州ブロックオルグで本部からは、4党合意文書は政治的文書である。「解決作業」は併行して進められており、臨時大会に具体的な数字を報告はできないとしても枠組み、進行状況を報告する。文書は出口、入口一括のもの。臨時大会において決定するのはJRに法的責任がないことだけではなく合意文書全部の受け入れである、との回答がありました。
私たちが問題にしているのは「文書の読み方」とか「解決作業が併行進行するのか」といったことではありません。
この14年間、「解雇撤回・JR復帰」を基本要求とし、闘いのスローガンにもして、不当労働行為によって1047名もの労働者をJR不採用・解雇としたその責任を明確にし、謝罪とJR復帰(採用)を求めて苦闘してきました。「JRに法的責任がない」ことを国労の最高意思決定機関である大会において決定するということは、国家的不当労働行為を免罪し、不当労働行為によってJR不採用・解雇となった事実を国労自らが否定し、「解雇撤回・JR復帰」の基本要求を放棄することになります。
要求、方針を自ら否定、放棄して「人道的立場」で闘争団員も職場の組合員もともに納得できる勝利的解決を勝ち取ることはできません。
2、4党合意文書は、まだ、国鉄改革関連訴訟を取り下げるとなっています。
本部は「訴訟は全て国労が提訴しているわけではない。会社が原告となっている事件も多い。」「訴訟の当事者、裁判を起こしているのは中労委であり、国労はあくまでも補助参加人である。」「国労だけが裁判を取り下ろすという問題ではない」などと答えています。
これもまた、ことの本質をはぐらかした答弁です。たしかに裁判所においては中労委や会社が原告となった事件が大半です。しかし、もともと労働委員会へ不当労働行為の認定と救済を訴えたのは全て国労です。
しかも取り下げる国鉄改革関連訴訟がどの事件なのかははっきりしていません。採用差別事件だけではなく配属から配転、脱退強要事件もだとの見解もあります。結局、全ての事件ということになる恐れが充分にあるといわざるを得ません。
私たちが問題にしているのは取り下げの手続きの問題ではなく、国労が大会決定をしてまで訴訟を取り下げると内外に表明することの政治的意味、影響を問題にしているのです。JRの不当とは引き続き闘うといくら力説しても「国労は白旗を掲げた」と誰の目にも写るでしょう。そのような下で、闘争団員も職場の組合員もともに納得できる勝利的解決を勝ち取ることはできません。
3、4党合意文書に、承認する大会が臨時大会とわざわざ規定されています。
どのように大会を開催するかはすぐれて国労の自主的判断によるものであり、4党から文書で規定されるのは筋違いというものです。このことについては本部から答えがありませんでした。
大会はこの4党合意も含めた解決に向けた道筋(方針)について組合員の討議を経て選出された新たな代議員によって行われるべきだと考えます。本部からは時間的な問題があって臨時大会を決めたとの回答でしたが、時間が問題であれば、職場討議をする時間はどうなるのでしょうか。
14年間の闘いの成果に立って解決への道筋をつくろうという重要な事がらです。意思統一の時間が不充分なまま臨時大会を強行しても、本当の団結の上に立って、闘争団員も職場の組合員もともに納得できる勝利的解決を勝ち取ることはできません。
4、本部はILOの勧告そのものは先送りとなった、と報告されましたが、中間勧告においても、日本政府が労働者の権利擁護に尽くしてないとしただけでなく、司法機関についても厳しく指弾しています。これは明らかに5・28判決について批判したものといえます。「JRに法的責任がない」と認めるのは自ら提訴者となって勝ち取った国際的世論を放り出すものです。
6月5日、東京高裁民事9部は本州関係控訴審において強権的ともいえる訴訟指揮をもって突如結審としました。千葉動労最高裁判決とともに国労の4党合意受け入れの動きが大きく作用したものと思われます。私たちは弁論の再開を求め、勝利判決に向けて頑張りたいと考えています。
第50次上京団は、JR東日本本社前や運輸省行動などは行わずに引き上げました。また、株主総会に向けた行動を本部としては取り組まないとブロックオルグで明言されました。解決に向けた重要な時期だからこそ、大衆行動を盛り上げ、政府・JRを社会的に包囲していくことが求められていると考えます。
このように今回の4党合意受け入れは結果として、闘いを縮小し、勝ち取った成果を無にし、「人道的解決」に期待するものになってしまっています。これでは闘争団員も職場の組合員もともに納得できる勝利的解決を勝ち取ることができません。
5、東京闘争団は「解雇撤回・JR復帰」という自らの要求を勝ち取るという観点から検討し、7月1日の臨時大会開催と「4党合意」受け入れに反対します。
以上
●東京闘争団(その2)
国鉄労働組合 中央執行委員長 高橋義則 殿
国鉄労働組合東京地方本部 執行委員長 酒田充 殿
国労東京闘争団 団長 新山貞夫
全面解決にむけ、確実に確保すべき東京闘争団の要求について
連日のご奮闘とご指導に敬意を表します。
東京闘争団は昨年、第64回臨時全国大会において「国鉄改革法」を認め、自民、自由両党に「文書」を提出するという状況の下で、5月26日付で「全面解決に向けた東京闘争団の基本要求について」を提出しました。
この要求書は東京地方本部・酒田委員長名をもって6月11日付で本部に上申いたしました。
それから1年近くが経過しようとしています。東京闘争団は、団の団結、横浜人活事件原告団との団結を強化し、事件をでっち上げて無実の労働者を罪に陥れてまで分割・民営化を強行した者の加害責任を追求し、JR復帰に向けて国労に固く結集しながら、「解雇撤回・JR復帰」をめざして全力で闘ってきました。
神奈川県内JR・私鉄全駅・東京数十駅頭宣伝、JR全駅長交渉やJR東日本本社前行動を成功させるとともに、機関の運動や闘争団上京行動にも積極的に参加し闘ってきました。
この間、本部が政府、JRとの間でさまざまな「交渉」、「会談」などを行ったと聞いておりますが、具体的な経過や内容の報告が充分にされないまま、時だけが経過し、焦燥と不安とが交錯しているというのが闘争団員の偽らざる心境です。
また、国鉄清算事業団時代に4回行われた追加採用は、北海道、九州に対して行われたにもかかわらず、本州に対しては一度も実施されないなどの差別的施策が取られてきましたが、今もその傾向は残っており、また、しばしば国労内においてさえも本州闘争団が軽視される現状に強い不安と不満が出されています。
また、解決に当たっての本当に闘争団員とその家族、JR職場組合員の14年にわたる苦闘が報われるのか、要求の声が届くのかを真剣に心配しています。
東京闘争団は「解雇撤回・JR復帰」の基本方針にたち、昨年5月26日付(東京地本、昨年6月11日付)文書を基本とした上で、全面解決にむけて確実に確保する要求について、下記の通り集約いたしました。
東京地方本部が要求実現にむけて尽力されるよう強く申し入れます。
記
(1)全面解決にむけ、確実に確保すべき東京闘争団の要求
1、不当労働行為等に対する謝罪。
2、希望者全員を希望するJRに採用すること。
JRに復帰しない者については、国の責任において解決時以降の雇用を確保すること。
3、1987年4月1日から解決時までの間のJR社員として受けとるべきであった賃金(一時金を含む)および損害賠償を含む解決金の支払い。
4、1987年4月1日から解決時までの間の年金など社会保障を通算・継続すること。
(2)闘争団を実質的当事者として解決にあたること。
●静岡闘争団
高橋義則 殿
国労静岡闘争団
野田 紀泰
解決案の出されない臨時大会の開催中止を求める要請書
六月一〇日、国労本部主催、北海道・九州・本部三ブロックで「闘争団オルグ」が行われ、私も本州の闘争団として参加しました。
闘争団が本部から直接報告を受けるのは初めてであり、この間の経過を正しく判断したいと思っていました。
エリア、地方の説明では「JRに法的責任のないことを決めるが、同時に具体的解決案・包括的解決案が臨時大会には提起される」と聞いていました。
職場や地域、弁護団の皆さんとも議論をしました。多くは「国労が全面屈服をする内容だ」「一四年間の闘いは何のためだったのか」との声が出されました。しかし、中には、「採用人員、和解金について具体案が出されるのなら、やむを得ないのではないか」との意見もありました。
本部から出席した上村副委員長、新井執行委員から「具体的解決案・包括的解決案は臨時大会には出されない」との報告があり、「解決作業に入っていることを確認する」だけの臨時大会であるとの話でした。四党合意の一項(人道的観点から解決のため努力)と、二項(国労がJRに法的責任のないことを認める)との間に「解決作業を行うという内容が含まれている」と上村副委員長は報告しました。
私達、解雇された一〇四七人の闘争団は、国鉄の分割・民営化から一四年、闘争団を結成して以降、一〇年間の闘いを続けてきました。多くの皆さんの支援を受け、物資販売や連帯する会の活動を通じ運動を作ってきました。
国鉄の分割・民営化で発足したJR東海は三〇〇〇人近い欠員の中、私一人を採用しませんでした。国労攻撃のあらしが吹きすさぶ中、一九八六年一〇月、国労は修善寺で臨時大会を開き、差別、不当労働行為と闘う、国鉄の分割・民営化反対の旗を明らかにしました。私は、その修善寺大会に年休を申し込み参加しました。しかし当局は、人材活用センターで満足な仕事を与えていないにも関わらず、二日間の年休を許可せず、労働基準法にも抵触する、時期変更の手続きもとらず、処分を強行してきました。当時国労静岡地方本部の多数派をしめていた、旧主流派、鉄産労と国鉄当局の結託した不当な処分でした。
静岡県地方労働委員会、中央労働委員会の中で、「停職処分と不採用が不当労働行為である」とはっきり認定され、JR東海への採用を命じています。
一四年間の闘いは、不当な「冤罪」を晴らす闘いであり、そのためにもJRに不当労働行為の責任をとらせること、このことが最大の唯一といってもいい要求でした。
国労本部が四党合意で国労のこれまでの闘いをゼロにする「JRに法的責任を問わない」内容は絶対に容認できません。上村副委員長の合意案に書いてない「解決作業に入る」という内容をどの文面から読めるのでしょうか。
北海道・九州での「闘争団オルグ」でも多くの闘争団員と家族から四党合意を危惧する声が出されたと聞いています。
七月一日、臨時大会を予定していますが、解決案の示されない大会であるなら、JRに責任なしだけが先行し、決して解決につながりません。本部の意向を受けたあるエリア役員は「ここまできた以上、どのような内容であっても妥結せざるを得ない」と発言したと、六月一〇日、「闘争団オルグ」で実名をあげ、ある闘争団から報告がありました。
国労の総団結と、政府・JRを攻める闘いが重要な今日、「包括的解決案の示されない、JRに責任なしだけを決める」臨時大会開催は中止すべきであると思います。
一九五〇年から六〇年に、総資本対総労働の闘いであった三池・炭労の闘いで、闘争の後退局面に何回かの臨時大会が開かれ、その都度闘いが後退していったという歴史があります。国労は歴史の過ちを繰り返してはなりません。
本部が交渉局面で苦悩したのも、政府・JRを追い込む運動が組織できなかった弱さにあると思います。
本部は指導性を強く発揮し、全国から国鉄闘争の闘いを作り上げ、当面する、六月二八日、JR株主総会や、秋のILO勧告を射程に入れた運動を提起すべきです。
七月一日予定している国労臨時大会開催の中止を要請します。
●博多闘争団
国鉄労働組合 中央執行委員会殿
意 見
書
国労中央執行委員会の与党三党と社民党とのJR不採用問題の打開についての合意を受け入れたことは、国労の全面屈服です。
強く抗議し撤回を求めます。
6月10日、国労本部オルグが博多で高橋委員長、鈴木中闘の参加のもと開催されました。そこで出された意見の大半が「JRに法的責任がない」ことを認めて果たして私達の納得のいく解決ができるのか、という疑問の声があがったことは承知だろうと思います。
家族、闘争団の涙ながらの訴えを忘れてはいないでしょう。
誰もが早い解決を望んでいることは確かなことです。しかし、国労本部は解決を急ぐあまり一度誤ったこと(改革法の承認)を、再び繰り返そうとしているのです。
改革法を認めた、そしてJRに法的責任がないことを認めれば、手も足もとられていよいよ国労が体制側にとりこまれることを危惧するから反対しているのです。
国労本部の行動を見るとき、意見だけいわせて(意見を聞いて十分検討するというが……)臨時大会を開いてJRに法的責任がないことを承認しようとしていると思うし、本部がそれらを承知して本問題の解決のため合意を決定したことはもう犯罪でしょう。
身も心も体制側に足が向いてしまっているのでしょうか?!
高橋委員長は解決案が示されなければ臨時大会(7月1日)を開催する意味はないとも言われました。
改めて「闘ってよかった」と言える運動と組織を尚一層つくりだしていこうではありませんか。
最後に国労本部が与党三党と社民党との合意を受け入れたことに断固抗議し撤回を強く求めます。
2000年6月21日 国鉄労働組合博多闘争団 池田浩輝
●鳥栖闘争団
2000年5月30日
国労中央執行委員会 委員長 高橋義則殿
国労鳥栖地区闘争団 団長 原田 亘
抗議文
国鉄闘争の「解決案」撤回! 国労中央執行委員会の「全面屈伏」路線に強く抗議し、撤回を求める。
本日朝日新聞の一面記事に「JR不採用で解決案」と掲載されていたが中味を見れば、人道的観点から「JRに法的責任なし」を国労臨時大会で認める、を始めとして「5項目」が「社民党、与党三党」のなかで決定したと報じている。それは、13年間不当労働行為の責任を追及してきた闘いの基本を無視し、しかも、「与党からJR各社に対し、国労のエリア本部等との話し合いを開始し、人道的観点から国労組合員の雇用の場の確保などを検討してほしいと要請する」となっている。
これだけ見ても「中味」が何もない、闘いの譲歩に対し何ら担保もない「願望」の羅列である。まさに相手の要求を丸呑みする「全面屈服」以外のなにものでもないと考える。
国労中央執行委員会は、この「解決案」を了解するなど、「大会方針違反」、闘争団、家族の声を無視するもので、絶対に納得出来ません。即刻撤回を求める!
我々闘争団は、この13年間厳しい生活と闘いの中で「解雇撤回、地元JR復帰」を目指して家族と共に闘い抜いてきました。ある家族は「こんな解決は望まない! 子供に苦労をかけたことがムダになってしまう!」と怒りの声を発しています。
国労の厳しい組織・財政状況にあるのも理解できますが、団員・家族厳しくとも粘り強く団結し「解雇撤回・JR復帰」まで闘い抜くことを決意する。
JRに法的責任がないことを柱にした「解決案」に強く抗議し撤回を求める。
●筑豊闘争団
五・二九自社解決案を撤回し、全面解決要求実現に総団結・総決起をはかるための意見書
国労つぶしの不当労働行為によるJR不採用から十四年、私達闘争団員・家族は、厳しい生活にも屈せず、「解雇撤回・地元JR復帰、すべての不当労働行為根絶」を目標に闘い続けてきた。
この間、東京地裁の不当な反動判決は出されはしたが、労働委員会命令はしっかりと生き続け、地方自治体の意見書やILO勧告に見られるように我々の闘いは着実に前進している。
こうした中、去る二十九日に与党三党と社民党で「国労は法的責任がないことを認め、臨時大会で決定する」「JR発足時における国鉄改革関連の訴訟について取り下げる」ことを条件に再雇用などを検討する、といった解決案をまとめ、これを国労が中央執行委員会で了承したことが新聞であきらかとなった。
闘争団と家族は、この報道の中身を読むうち驚きと落胆で気力を失いかけたほどである。この十三年はなんだったのかである。
私達は、この間の全国大会、中央委員会決定、並びに各機関会議での報告に照らし合わせても、今回の中央執行委員会の了承について認めがたいものである。
その一点は、今回の確認が二百二億の和解時と同じく、一切の下部討議もなく進められ、水面下のやりとりのもと本部一任で行われたことである。しかも、二百二億和解当時の本部説明では、「あくまでも特例のものであり、一〇四七名問題は当事者抜きにはできない」とされていた。また、その後の機関会議の中でも、重要な段階においては、解決委員会をはじめ、当事者との意思統一を十分やっていくことがことさら強調されてきた。しかし今日、私達闘争団員そして組合員には一切内容を伏せたまま、本部の独断でこのような重要な問題が決定されたということである。
私達は、本部のこのような組合民主主義を破壊するような行為を絶対に許すことはできない。
第二に、本部の今回の解決案受け入れが、今日までの闘争団の求めていたものではないという事である。本部はこれまで「闘争団の納得のいく解決を」と訴え、@JR復帰A金銭保障B労使関係の正常化を目標に闘いを進めてきた。
さらに、昨年の運輸省四条件は「国労闘争の根幹を覆すもので認められない。無条件で交渉を求める」と報告されてきた。これを呑むということは国鉄闘争の敗北宣言に等しいものと言え「全面降伏」である。まさに国労が使用者の首切りを容認し、日本の労働委員会制度を放棄したものと言わざるを得ない。
本部は、「政治の責任で政治解決をはかり、長期闘争に終止符を打つチャンスを逃すべきではない」と新聞で考えが報道されている。しかしこの解決案からは、本部の言う「政治の責任で」とは「政府主導で」のことであり、「長期闘争に終止符を打つチャンスとは」、「闘争団の納得のいく解決」ではなく、「闘争を終結させる」ことに他ならない。
それでも本部として、「納得いく解決」にむけて勝算があるとするならば、闘争団が納得する「全員採用、全額保障」を指し示し、明確に解決の道筋を示すべきである。
第三に、すでに臨時大会を七月に開催という報道もされている。さらに六月十日には、本部オルグが計画されている模様である。しかし闘争団からしてみれば、大事なこの時期、本部の動きが大変危惧される。十三年の闘いを無駄にしないためにも、あせりは禁物であり、スケジュール的に物事を処理することなく、十分な組織の意思統一を強く求めるものである。
本部オルグも一方的な経過説明に終わることなく、少なくとも事前に本部の考え方、経過説明を文書で討議資料として示し、闘争団・家族が納得いく提起と、しっかりとした意志統一ができる討議の場を保障することを強く求めるものである。
さらに、闘争団を第一と考えるならば、早期に全国闘争団代表者会議を開き、本部三役が腹を割って議論すべきである。こういった組合民主主義の保障なしに、この問題を強行的に集結を図ろうとするならば、組織の混乱を拡大するばかりでなく、国労組織そのものの崩壊につながるものである。
第四に、五月二十九日の中央執行委員会では、意見の対立があったとされるが、具体的な対立点を明らかにし、事実出された意見を討議の材料として同時に文書でもって提起されることが求めるものである。
以上、中央本部は、今回の中央執行委員会での確認が、いかに私達闘争団員・家族、そしてJR組合員の意思を無視した機関運営によって行われたものであるかを厳しく受けとめ、今後の討論による意思統一において、執行委員会決定が再考されることも念頭に置きながら、本部が正常な機関運営と、目的を見失わない真の要求実現に向けた総団結・総決起が図られるよう奮闘されることを強く求めるものである。
二〇〇〇年五月三十一日
国労中央本部 執行委員長 高橋 義則 様
国労筑豊闘争団 団長 土村
学
団員・家族一同
●熊本闘争団
2000年5月31日
国鉄労働組合中央本部執行委員長 高橋義則 殿
国労熊本闘争団 団長 平嶋慶二
抗 議 文
5・29中央執行委員会の「解決案」受け入れに抗議し、撤回することを求めます。
本日、新聞報道によると「JR不採用に法的責任なし」と題して中央執行委員会が「JRに法的責任がない、臨時大会で決定する」とした「解決案」の受け入れを決めたとなっています。
このことは、あまりにも無防備な「全面屈服」路線「闘いの放棄」であると言わざるを得ません。
今、ILO勧告を受け、またITFの呼びかけに賛同する組合(連合含む)の支援共闘の拡大がされている最中、なんという裏切り的な独断的判断でしょうか。
私たち闘争団はこのような「解決案」を勝ち取るために13年間も闘ってきたのではありません。
即刻、撤回を求めます。
私たちは今日まで、政府・JRに対する「責任追及」の闘いとして解雇撤回闘争を闘ってきました。「敵の責任を不問にした」解決がどのようなものになるのか、火を見るより明らかです。
そして、日本の労働運動に大きな影響と汚点を残す「解決案」受け入れに対し、強く抗議し、撤回を求めます。
●鹿児島地方闘争団
国鉄労働組合中央本部 執行委員長 高橋 義則 殿
中央執行委員会の「解決案」受け入れに対する抗議
国労中央執行委員会は、5月30日に与党三党と社民党が合意した解決に向けた枠組みについて受け入れることを表明した。
しかしこれまで、解決の条件が明らかになった時は、解決委員会や各級機関会議、そして、当事者である闘争団員の意見を反映し、判断するということを確認してきたが、今回の国労中央執行委員会の受け入れ表明は、これらの民主的な手続きを無視した組織と組合員への背信行為である。しかもその合意内容は、「国労が、JRに法的責任がないことを認め、大会で決定すること」「国鉄改革法関連の訴訟を取り下げること」が条件となっていることをみれば明らかなように「自民党四項目」の無条件受け入れであり、国労が追求してきた国家的不当労働行為を国労自らが不問にするという全面屈服・方針転換であることは間違いない。まさに、我々が以前から指摘してきたように、政府・自民党が、「改革法承認」の次に「自民党四項目」を国労に受け入れさせ、無条件降伏させた上で、人道上の解決で事態を収拾させていくということに国労が自ら乗ったということである。
今、我々は怒りを抑えきれずにはいられない。しかし同時に、その怒りが権力側だけでなく、国労中央執行委員会にも向けざるを得ないことに深い悲しみを覚える。
我々は、修善寺大会で、国鉄の「分割・民営化」攻撃が、国労の解体を通して、平和と民主主義、労働者の権利と雇用を守る総評・日本の労働運動を解体することであると位置づけ、「闘いなくして勝利はない」と闘うことを決意しあってから10数年闘い続けてきた。この間、100人を超える仲間が自殺に追いやられ、JR発足以降も、闘争団員(19人が死亡)・家族・組合員は多くの犠牲を払いながらも耐え抜き、勝利をめざし闘い抜いてきた。そしてこの闘いに、国鉄闘争を「自らの闘い」と位置づけ支援し続けた共闘の仲間も加わり闘いは大きく前進し、労働委員会命令・議会決議・ILO中間報告などを勝ち取ってきたのである。
しかし、今回の国労の態度は、闘いによって勝ち取った労働委員会命令やILO勧告さえも否定し、ITFを中心とした国際的な連帯にも背を向ける裏切り行為であり、国労の歴史的意義を汚すものである。
今まさに日本の政治は、新ガイドラインの成立から、組織的犯罪対策法、住民基本台帳改正法、「日の丸・君が代」の法制化、労基法の改悪、国鉄方式を全産業で全面展開する商法改正などを成立させ、さらに、憲法調査会の発足や森総理の「神の国」発言などに象徴されるされるように、あらゆる分野で日本の平和と民主主義、労働者の権利破壊を進めている。今こそ、国鉄闘争の意義が問われている時はない。そのためにも「改革法承認」の撤回と「自民党四項目」を拒否し、全面解決要求を政府・自民党に突きつけることこそが闘争団員・家族・組合員・共闘が納得する闘いの方針である。と同時に、今が解決に向けた正念場であるとするならば、国労本部は、現段階での情勢を嘘偽りなく闘争団・家族・組合員に明らかにし、全体の論議を通した意思統一をすることが求められている。
鹿児島地方闘争団は、6月7日、全体集会を開催し、全面解決を目指すためにも、「解決案」受け入れを認めることはできないことを確認した。よって、国労中央執行委員会に抗議し、「解決案」の撤回を求める。
2000年6月7日
鹿児島地方闘争団 団長 山内 勇
鹿児島班闘争団
団長 垂脇 道男
川内班闘争団 団長 藤崎 久
姶良・伊佐班闘争団 団長 岩崎 松男
志布志班闘争団 団長 鶴巣 繁啓
宮崎班闘争団 団長 松村 秀利
都城班闘争団 団長 新原 俊弘
●姶良(あいら)伊佐闘争団
質 問 状
国労中央執行委員会 各位 殿
今月29日に行なった政党間協議の合意は、これまでの国労運動にとっても、今後の方針にとっても大変重要な問題を含んでいます。
そこで、いくつかの質問をいたしますので、ぜひご回答願います。無論回答するかしないかは、あなたの判断におまかせいたします。
質問1 これまで国労は、「解雇撤回、JR復帰」を旗印に闘ってきたが、今回の合意は、解雇は正当であって、もしJRに戻れても新規採用ということになる。これは明白な路線転換だが、このような重要な問題を中央執行委員会の判断でしたことは、規約違反ではないか。
質問2 この合意に至るシナリオは、エリアや特定の地区本部に事前に根回しがされていたが、このようなセクト的、非民主的な行為についてどう思うか。
質問3 この合意に至るまで、かなりの部分で高橋委員長を外して交渉が進められてきたのは事実か。
質問4 マスコミの非公式情報によると、解決金は一人平均80万程度で、JR新規採用は20〜30人と聞いているがどうか、もし違うとすればその根拠を示せ。
※最初にお断りしたように、回答するかしないかは自由ですが、こうした経過については、あらゆる機会を通じて明らかにします。
回答期限は、6月7日までとします。
2000年6月1日
国労姶良伊佐闘争団 団長 岩崎松男
|