週刊『前進』(1962号1面1)
ファシスト石原伸晃の正体を暴き打倒せよ
政治変える一票を長谷川へ
〈福祉と反戦平和〉を掲げ住民運動と労働運動の力で自公の戦争政治阻め
7・1国労臨大包囲する巨万の結集を
衆院選・東京八区をめぐる決戦は、最後の一週間の激戦局面を迎えた。六月二十五日の投票日に向かって、残された時間の一切をただ一点、ファシスト石原伸晃(自民党)を絶対に打倒し、労働者人民の闘いを裏切る民主党や日本共産党を弾劾し、長谷川ひでのり候補の当選を全力でもぎとる闘いに集中しよう。「天皇を中心とした神の国」発言に怒り、介護保険の廃止を求め、「いのちの叫びを国会へ!」と立ち上がった多くの杉並区民とともに、戦争と福祉切り捨てと大増税に突き進む自公政治を、この杉並から決定的に変える突破口を開くのだ。衆院選決戦と並んで、今や最大最高の決戦に突入した国鉄決戦に絶対勝利しよう。七・一国労臨時大会での闘争団切り捨て・国労解体策動を阻止し、「四党合意」粉砕、執行部総退陣、国労の階級的再生へ闘おう。
第1章 残る一週間決戦で当選への大旋風を
六月十三日、総選挙が公示され、東京八区(杉並)では四人が立候補した。革新無所属として出馬した長谷川ひでのり候補と、現職で自民党の石原伸晃、民主党の片山光代、日本共産党の山崎和子の各候補である。二十五日の投票日へ、すべては、残されたこの最後の一週間をどう闘いぬくかにかかっている。
この選挙はまさに歴史を変え、二十一世紀の未来を決める選挙だ。日帝の体制的危機、階級支配の危機が戦後かつてない政治危機となって噴き出し、他方で労働者階級人民の積もりに積もった怒りが激しく出口を求めてうずまいている。東京八区こそ、その全階級情勢を最も鋭く体現している選挙区だ。
ここで現職の自民党議員であり、父親の都知事・石原とともに自らもファシストである石原伸晃の政策を暴き、絶対に打倒しよう。森・自公政権とファシスト政治家に断固とした民衆の審判を下すのだ。民主党や日本共産党などの屈服し変質した既成野党を弾劾しのりこえ、現状の革命的変革を求める労働者人民の巨大な政治的決起がついに始まったことを、長谷川候補の当選で全国、全社会に鮮烈に告げ知らせよう。
森の「天皇を中心とした神の国」発言、「日本の安全と国体を守れ」発言に、多くの人びとが戦争政治の危険な動きを感じ、怒りを燃やしている。すでに「いのちの一票を介護保険絶対反対の候補へ」「いのちの叫びを国政へ」という、介護と福祉を要求して闘う住民の新たな大運動が杉並全区で始まっている。いま必要なのは、この政治を民衆の手に取り戻す闘いだ。
既存の政党や政治家に依拠していては、日本の政治は何ひとつ変わらない。労働者人民のいのちとくらしを踏みにじり今や絶望的に腐敗し行き詰まった帝国主義日本の国家・社会の現状を変える道は、ただひとつだ。労働者人民自身の自主的決起に基づくまったく新たな政治の流れを、今こそ生み出すことだ。その先頭で人民大衆とともに闘う議員の登場へ、長谷川氏を当選させることだ。
このことに圧倒的な確信をもち、すべての杉並区民に一人残らず訴え、その草の根からの総力決起を引き出して闘おう。東京八区で絶対に情勢の大激変をつくりだそうではないか。
内外情勢の激動は、戦後世界の枠組みの一層の崩壊と、新たな革命的情勢の始まりを示している。六月十三日開始された南北朝鮮首脳会談は、これまでとは画然と異なる決定的情勢の到来である。この事態が、北朝鮮スターリン主義者や韓国・金大中政権の思惑をも超えて、朝鮮半島の南北分断体制打破=革命的統一へ向けた全朝鮮人民の自己解放を求める根底的な決起を解き放ち、南北分断体制の大動揺と、帝国主義とスターリン主義による東アジアの戦後支配体制の最後的崩壊に転化していくことは確実だ。
それは、朝鮮・中国−アジア支配をめぐる日米争闘戦を圧倒的に激化させるものとなる。北朝鮮のみならず中国スターリン主義の体制崩壊の巨大な危機をつくりだす。そして日米両帝国主義による朝鮮・中国侵略戦争策動を一層促進し、アジアをすさまじい激動にたたき込むものとなる。
日帝支配階級はこの中で、有事立法・改憲への衝動を強め、今回の衆院選と七月沖縄サミット、国労解体攻撃、九・三自衛隊治安出動演習などの反革命的突破にその全体重をかけて臨んでいる。とりわけ今回の衆院選突破に、背水の陣で臨んできている。
ここで森と自民党を敗北に追い込むならば、昨年ガイドライン国会以来の攻撃を大逆転させる突破口が切り開かれる。だが既成政党にその力はない。民主党も日本共産党も、労働者人民の存在と闘いを選挙の時だけ利用するものとして見くだし、政権与党に加わるために政策的にも人民を裏切って、限りない転向と変質を深めているからだ。
衆院選に先立つ六月十一日の沖縄県議選の結果は、これら既存の野党が、森・自公政権の大反動政治に対してもはや何ひとつ立ち向かえなくなっていることを示している。だがここでも、基地絶対反対の候補は全員当選を果たしたことが示すように、沖縄人民の闘いは不退転なのである。沖縄を始めとして全情勢は、日帝と労働者人民との非和解的な真っ向からの激突に向かって、急速に動き出しているのである。
求められているのは新たな運動、新たな政治家だ。政治と社会の真の主人公としての、労働者人民の荒々しい大衆的闘いの発展だ。杉並の勝利こそ、その決定的バネとなる。「いのちの叫びを国会へ!」「労働者住民が主人公の新しい政治を起こそう」「自公にノー」――杉並住民運動の中から発せられたこの切実な叫びをもって、歴史的な勝利を切り開こう。
第2章 伸晃は福祉解体と戦争挑発の急先鋒
この決戦は何よりも第一に、自民党の公認候補でありファシスト石原都知事と一体の現職・石原伸晃を、全人民の怒りで打倒し引きずり降ろす闘いだ。
石原伸晃は今日、「政策新人類」を売り物に、旧来の自民党政治家とは一線を画すようなイメージづくりを狙って、森・自公政権への人民の批判をすりぬけようと必死になっている。だが石原伸晃こそ、小渕・自自公政権や森政権の露骨な大資本救済と戦争準備の政治、人民のいのちとくらしを奪う政治の中心を担い、その先頭に立ってきたファシスト的な人物である。
実際にも石原伸晃は、大銀行救済のために七十兆円もの国家財政を湯水のように注ぎ込んだ金融再生法の立案者の一人だ。また自民党財政部会の当時の会長として、消費税五%への引き上げを強行した張本人だ。一部の銀行・大企業への大盤振る舞いや高額所得者への優遇政策によって、今日の財政危機の最大の原因をつくりだし、しかもその犠牲を労働者人民に徹底的にしわ寄せしてきた元凶だ。
この石原伸晃が、今回の選挙戦で正面に掲げているのは「介護や福祉はぜいたくだ。我慢しろ」というキャンペーンだ。国が福祉に責任をもつ時代は終わった、これからは個人と地域の自助努力でやれ、と言い、介護保険をその突破口と位置づけ、戦後社会保障制度の全面解体を叫んでいるのが石原伸晃である。
6面につづく〜1面からつづく
巨額の財政赤字を生んだ自らの責任には一切口をつぐみ、その責任をすべて人民の側に押しつけ、今や高齢者や働く民衆のぎりぎりの生きる権利すら奪う政治を平然と展開しようとしているのだ。
さらに石原伸晃は、「石原知事とともに東京から日本を変える」と言い放ち、九・三自衛隊治安出動演習計画にみられる石原都知事のファシスト的なクーデター策動と戦争挑発への突進を全面賛美し、ともに動くと宣言している。雑誌『文芸春秋』九九年一月号の対談では、父親と一体となって北朝鮮へのトマホーク・ミサイルによる先制攻撃さえ主張しているのだ。
また石原父子は、小林よしのりなどの極右ファシスト勢力と一体である。ここに石原伸晃のファシスト的正体がある。ファシストを憎み改憲と戦争への道を阻もうと願うすべての人びとにこのことを暴露し、石原打倒へともに闘おう。
第1節 民主党や日共では絶対ダメ
しかし第二に、この石原を打倒することは、民主党や日本共産党にはできない。長谷川ひでのり候補こそ唯一、それを達成でき、政治を変革できるのだ。
民主党の片山候補は、介護保険の推進を公言し、自民党以上の福祉切り捨てと課税最低限の引き下げなど大衆増税の路線を掲げている。とりわけ片山候補は自民党や厚生省と一体となり、「介護保険で家族介護の矛盾が社会的に解決される」などと介護保険美化のとんでもないデマゴギーをふりまいている。
事実はまったく逆に、介護保険の実施によって多くの高齢者が死に追いやられようとしているだけでなく、一切の矛盾が家族、特に女性に一層極限的にしわ寄せされるのだ。民主党・片山がこの現実を無視抹殺するのは、高い利用料を支払うことをなんの苦にも感じない高額所得者の視点でしかものを見ていないからである。実際に民主党は、同党が基盤としようとしている「中間所得層」とは「年収一千万円ぐらいの層」(鳩山代表)だと言い放った。このことが示すように、民主党とは本質的に、労働者人民の日々のくらしの困窮とは無縁なブルジョア政党でしかない。
日本共産党は、日本人民の二十一世紀の未来を決するこの重大な総選挙決戦において、森・自公政権ともファシスト石原とも本気の対決をまったく構えようとはしていない。それどころか、介護保険で反対派から賛成派へと百八十度転換したように、今や安保も自衛隊の出兵も天皇制も、消費税五%も容認すると、次々と屈服と転向、変質を重ねている。まさに、とどまるところを知らない変節、労働者人民への大裏切りだ。
共産党は法案審理過程では介護保険に反対していたのであり、介護保険がどれほど反人民的で高齢者殺しの非人間的制度であるかを百も承知だ。その正体が次々と暴かれ、現に高齢者が自殺に追い込まれている今になって、賛成派に寝返ったのだ。人民の要求に対するこれほどの敵対、破壊行為があるだろうか。
消費税問題でも共産党は、「財政危機」を理由にこれまで公約としてきた「消費税率の三%への引き下げ」を取り下げると公然と言い出した。さらに、有事の際には「自衛隊を使っても構わない」(不破)と、安保ガイドラインのもとでの自衛隊の参戦、侵略出兵をも認めると言い放った。労働者階級とともに戦争と増税に反対して闘う立場を投げ捨て、政権与党の一角に加わりたい一心で、民主党や自由党(これらは札付きの改憲政党、ブルジョアジーの政党だ!)にすり寄る道を選択=転向したのである。
このような民主党や共産党に、労働者人民の「いのちの一票」を投ずることは絶対にできない。自民党・石原ともども打倒して、戦争と労働者圧殺と福祉切り捨ての政治に真正面から対決し、労働者人民のいのちの要求を貫く住民運動の断固たる発展をかちとろう。
その先頭で闘う新しい政治家、長谷川候補の当選をなんとしてもかちとるために、残る一週間を蜂起的に決起し、力の限り闘うことを訴えたい。
第3章 転向の国労中央を総退陣に追い込め
日帝政府・自民党は、衆院選の突破にその死活をかけると同時に、国労解体攻撃に一切の反革命の成否をかけて、いよいよ全力でのりだしている。七・一国労臨時全国大会をめぐる決戦は、完全に国労の生死を分かつ大決戦となった。
この臨時大会でこともあろうに、「JRに法的責任なし」を国労が認め、闘争団とその家族を始めとした三万国労組合員の十三年間の血と汗の闘いとその誇りを全面的に投げ捨てることなど、天地が裂けても絶対に粉砕しなければならない。
「JRに法的責任なし」とは、十三年間の闘いはまったく間違っていた、と自ら宣言せよということではないか。五・二八反動判決を批判し否定したILO勧告をもむざむざ投げ捨て、「分割・民営化は正しく首切りは正当であった」と認めよということではないか。およそ労働運動の歴史で、これほどの屈辱、無残な全面降伏があるか。
そもそも、「JRに法的責任なし」を認めれば、その瞬間からJR資本には、「紛争解決」「補償」に応じる責任は一切なくなる。雇用や解決金支払いに応じる必要は一切ないし、「交渉」のテーブルにつく義務もなくなるということだ。今や完全に転向し敵陣営に階級移行した国労中央本部の宮坂、上村らはそのことを百も承知で、闘争団を切り捨て、全闘争の幕を引き国労を解体するための、最大の裏切りに全力を挙げて突き進んでいる。
この全面降伏は実際には、労働組合が自ら「首切りは当然」と公言して、日帝権力・資本の攻撃、国労解体−総評解体の先兵となったあのJR総連=カクマルと同じ道を行くことだ。不当労働行為と必死に闘い続けてきたJR本体の仲間をも裏切り、政府・資本とJR総連=カクマルの前にはいつくばって、今後は一切さからわないと誓約することだ。
危機に立つ日帝は恐慌と戦争・大失業の時代のまっただ中で、これを機にあらゆる闘う労働組合と労働運動の根絶・一掃に踏み切るために、絶望的な賭けとして、今回の攻撃に踏み込んだのだ。その背後には、JR総連=カクマルに依拠したJR支配の決定的な破綻(はたん)と、連合支配の深刻な危機がある。この重大情勢の中で国労中央本部が国労の自己解体への引き金を引くことは、国鉄労働者のみならず、全労働組合と六千万労働者階級に対する万死に値する大裏切りだ。絶対に許さず、粉砕するために総決起しよう。
七・一臨大を、闘争団と家族、国労三万組合員、全国鉄労働者と、国鉄闘争を支援しともに闘ってきたあらゆる労働者を結集した大衆的総蜂起の場としよう。修善寺大会をも超える数千数万の大衆的力で社会文化会館を包囲し、宮坂、上村らを打倒し、「四党合意」を完全粉砕して、闘う新執行部の樹立をかちとろう。この決戦に国労の階級的再生と労働運動の新たな飛躍をかけて闘おう。
衆院選決戦と国鉄決戦の勝利を絶対にかちとり、七月沖縄サミット決戦の空前の大爆発へ進撃しよう。七・二暫定滑走路粉砕の三里塚現地闘争に決起しよう。七・九関西新空港反対集会の成功をかちとろう。
最後に、これらすべての決戦の成否をかけて、夏期一時金カンパ決戦への総力決起を熱烈に訴えたい。戦後最大の政治決戦の到来に際して、例年を倍する圧倒的なカンパを一日も早く集中し、勝利への不動の財政的基盤をつくりだそう。
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週刊『前進』(1962号1面2)
長谷川ひでのり候補、力強く出陣
高円寺駅頭で第一声”いのちの叫びを国会へ” 第1節 「自公政治に断を下そう」
衆院選が公示された六月十三日午前九時半、長谷川ひでのり候補は高円寺駅南口で第一声を上げた。長谷川候補の街頭演説会には、雨にもかかわらず後援会を始めとした多くの区民・支持者が集まった。長谷川候補がマイクを握ると、大きな拍手と歓声が上がった。長谷川候補は、今回の総選挙で福祉や介護を切り捨てて戦争に突き進む自民党・公明党の政治に断を下そうと呼びかけ、「いのちの一票を長谷川に」と熱烈に訴えた。(長谷川候補の演説と応援演説を2面に掲載)
三里塚からは反対同盟の北原鉱治事務局長を先頭に、三浦五郎本部役員、郡司とめ婦人行動隊長、市東孝雄さん、鈴木謙太郎さんが応援に駆けつけ、北原さんが応援演説を行った。北富士忍草母の会の天野美恵事務局長や部落解放同盟全国連合会荒本支部の阪口克己書記長、動労水戸の国分勝之委員長も長谷川候補への支持を訴え、熱弁を振るった。
長谷川候補の演説に足を止めて聞き入る区民や、大きく手を振って声援を送る区民の姿も目立った。
森・自公政権への怒りはますます高まっている。今回の総選挙で、有権者は自分たちの未来を託せる候補は誰かと、真剣な政治選択を行おうとしている。長谷川候補の訴えは、こうした有権者の心を確実にとらえつつある。住民自身の主体的な運動で介護保険を廃止に追い込み、民衆の手に政治を取り戻そうと呼びかける長谷川候補の実践と主張は、既成の政党・政治家とはまったく異なる新たな政治と政治家像をつくりだしている。戦争とリストラと福祉切り捨てを強行する森・自公政権を倒せるのは、民主党や日本共産党ではなく、長谷川候補ただひとりだ。
長谷川候補の第一声は、そうした勢いと力強さをはっきりと印象づけた。
第2節 多くの区民が手を振り応援
高円寺駅前での街頭演説に先立って、高円寺南の選挙事務所前で出陣式が行われた。事務所には、朝から多くの区民・支持者が集まった。午前九時過ぎ、立候補の届けを済ませた長谷川候補の宣伝カーが事務所前に到着。朝から事務所に詰めかけていた区民・支持者は、長谷川必勝の決意を込めて出陣式に打って出た。
杉並区内の福祉労働者と、都政を革新する会後援会事務局長が、それぞれに長谷川候補の必勝を期して闘おうと訴えた。
長谷川候補は、「地元の高円寺の皆さんに見守られ、区議、都議と活動してきましたが、今回は初めての国政への挑戦です。なんとしても勝利して地元の期待にこたえたい」と述べ、「介護保険は廃止、いのちの叫びを国会へという声にこたえ、全力で闘います」と決意を表明した。
長谷川候補の登場は、公示日から街頭を熱くわき立たせている。
この日の夕方、長谷川候補はまず阿佐ケ谷駅南口で街頭演説を行った。午後五時半、長谷川候補が演説を始めると、多くの区民が足を止めて長谷川候補の訴えに耳を傾けた。次々と長谷川候補に駆け寄り、固い握手を交わす高齢者や女性、労働者。手を振って通り過ぎる若者たち。
後援会の会員や、新城節子杉並区議、三角忠三一書房労組委員長が応援演説を行った。
第3節 沖縄からも「長谷川支持」
午後七時からの荻窪駅北口での街頭演説には、遠く沖縄から元沖縄県高教組委員長の宜保幸男さんが駆けつけた。宜保さんは、「沖縄では米軍基地が県民のいのちとくらしを侵害している。私たちの基地撤去を求める闘いに、長谷川さんを先頭に杉並の人びとの連帯と協力をいただいた。私たちは米軍基地の移設・新設を許さないために闘います。日本全体の平和のためにも、長谷川さんを国会に送り、米軍基地をなくす大波を杉並からつくって下さい」と訴えた。
さらに、結柴誠一杉並区議やスタンダード・ヴァキューム石油自主労組の代表が、応援演説を行った。
長谷川候補を支援する多くの労働者もこの場に駆けつけ、駅前を行き交う区民に、長谷川候補の政策を訴えるビラを配布した。
杉並では、衆院選決戦勝利に向けて、長谷川候補を先頭に熱い闘いが街頭で、地域で連日繰り広げられている。介護と福祉を求める住民の闘いも、「いのちの叫びを国会へ」を合言葉にして、ますます力強く発展しつつある。二十五日の投票日まで、勝利のために全力を傾けて闘い抜こう。
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週刊『前進』(1962号1面3)
革命党と革命運動の飛躍かけたカンパを
戦後史上かつてない政治決戦、今次衆院選の投票日が目前に迫っています。私たちは、この衆院選に長谷川ひでのり候補を押し立て、革命党と革命運動そのものの飛躍をかけて闘っています。
帝国主義国・日本の国会は本当に腐りきっています。労働者階級を真に代表する議員が一人もいないという状況は、首相・森や都知事・石原などの排外主義、国家主義丸だしの暴言・扇動に対して、なんの抵抗すらできない「野党」の現実にも示されています。多くの労働者人民が地団駄を踏む思いでいます。
「これまでのすべての野党が駄目なのは労働者人民の要求を大衆闘争、大衆的運動として組織しないこと」(革共同の六月アピール)であり、実際に組織できませんでした。なぜなら、資本家階級の党である自民党や民主党はもちろん、スターリン主義の日本共産党も労働者階級を敵視し、支配・抑圧の対象としてしかとらえられないからです。この点では、カクマルの人民蔑視の盗聴や白色襲撃がその最たるものです。
石原に象徴されるファシストが本格的に登場している今、二十数年におよぶ対ファシスト・カクマルとの闘いで培われてきた非合法・非公然の闘いがどれほど豊かなものをもたらしたかを、階級的、大衆的に実証するのもこれからです。
マルクスやレーニンがそうであったように、私たちは階級としての労働者の決起を確信し、だからこそ階級に根ざした本物の革命党をめざしてきました。そして今、ついに私たちの本領を発揮すべき時が来ました。
昨年夏以来、私たちは杉並区(東京八区)を先頭とした闘いで多くの得難い教訓をつかみ取ってきました。何よりも、民衆の自主的で主体的な決起がどれほど感動的で、力あるものなのかを確信してきました。この大衆的決起と結びつく本物の革命党が登場した時、反帝国主義・反スターリン主義世界革命の一環としての日本革命に必ず勝利することができます。
「今までの政治は完全に行きづまっている。大衆を利用する政治は行きづまった。大衆が自ら立ち上がって政治に参加する時が来た」(同前)。私たちはこの闘いの先頭に立っています。そして必ず勝利をもぎり取る決意です。
革共同を真の革命党に飛躍させる決意をこめて、今次一時金カンパを例年にない規模と額でお願いしたいのです。
今次衆院選はまさに歴史的な闘いです。杉並区(東京八区)に在住する人はぜひ長谷川候補への一票をお願いします。自らが投票するだけでなく、友人・知人を組織して闘いを広めて下さい。
杉並区在住の方々も含めて全国の心ある人びとの一時金カンパへの協力をお願いします。
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週刊『前進』(1962号2面1)
福祉切り捨てと大増税(高額保険料を強制徴収)の介護保険廃止へ
森・自公政権に断を下そう
「いのちの一票」を長谷川に
長谷川候補高円寺駅頭での訴え
六月十三日に衆院選が公示され、いよいよ衆院選決戦は終盤戦に突入した。森・自公政権打倒、ファシスト石原打倒をかけ、東京八区(杉並区)における長谷川英憲候補の当選をなんとしてもかちとらなければならない。連日杉並区内をかけまわる長谷川候補には、区民のかつてない熱い共感と支持が寄せられている。最後の最後まで全力決起をかちとろう。長谷川候補は十三日午前、立候補届け出の直後に高円寺駅南口で第一声をあげた。長谷川候補および応援に駆けつけた区民・支持者の演説を紹介します。(編集局)
第1章 今、国政を変えるチャンスがきた!
高円寺駅頭をご通行中の区民のみなさん。お集まりの支持者のみなさん。
いよいよ今日から衆議院選挙が始まりました。二十世紀最後の総選挙です。国政を変える非常に大きなチャンスがめぐってまいりました。多くのみなさんが、自民党・公明党の政治を変えなければならないとお思いになっていると思います。長谷川ひでのりは、総選挙への挑戦にあたって、自民党・公明党の政治にみなさんの一票で断を下していただきたい、そしてこの長谷川をみなさんの候補として押し上げていただきたい、このことをまず第一にお願い申しあげます。
すべての有権者のみなさんが、子どもたちの未来や、福祉やくらしがめちゃくちゃにされているこの現実に対して、怒りをどうやって表そうかと考えていると思います。長谷川ひでのりは、この杉並で、自民党の石原さん、共産党の山崎さん、民主党の片山さんという、既成の政党には夢も希望も託せないということで、革新無所属で全力で闘いぬく決意です。みなさんのお力を、みなさんの「いのちの一票」を、是非長谷川ひでのりにお寄せいただきたいと思います。
今度の選挙戦ではなんと言っても、介護や福祉、年金、医療、社会保障の問題が大きな争点です。国がその責任を投げ出して、みなさんの肩にずしんと重く負担がのしかかっている、このことをどうしても許すことができません。
四月から始まった介護保険制度は、日本の社会保障のあり方を根本から覆す、絶対に許せない制度です。介護保険制度で、たくさんのお年寄りや「障害者」、その家族が困っています。東京・稲城市では、介護保険制度によって今まで入っていた老人施設からたたき出されるということで、みずから命を絶ったお年寄りも出てしまいました。介護保険制度は、本当に人のいのちを奪う制度です。みなさんはこういう制度を、このまま許しておいていいと思いますか。
介護保険制度を廃止して、お年寄りが「生きていてよかった」と言える介護や福祉を実現するために、長谷川ひでのりは全力を尽くして闘います。
第2章 住民の運動と結び介護・福祉とり戻す
是非みなさんに聞いていただきたい、この杉並から始まった大きな運動があります。「介護と福祉を要求する杉並住民の会」の運動です。介護保険に反対し、人間らしい介護を取り戻そうという、本当に大きな住民運動が始まったんです。六月三日、杉並公会堂に八百六十人もの住民が集まって、「杉並の隅々にいのちのネットワークをつくろう」「介護を切り捨てられて泣くお年寄りが一人も出ないようにしよう」と、住民の会の結成大会が行われました。この杉並が誇るかつての原水爆禁止署名運動に続く、日本全国に、あるいは世界に誇ることのできる運動が今始まったと実感しています。
杉並から「老年よ大志を抱け」と始まった住民の会の運動と呼応して、全国でも同じような運動を始めているところがあります。
私は、そういう大きな住民の運動と結んで、介護保険制度を廃止し、必要な介護を必要な人たちの手に取り戻すという「いのちの叫び」を国会に送り届けるために、全力をあげて闘います。庶民の力は一人ひとりは小さいかもしれないけれど、力をあわせれば、必ず悪政を阻んで、介護や福祉を権利として取り戻すことができると思います。
杉並では毎月一度、住民の会のみなさんが、杉並区長に対して「生きていくための最低の権利をなぜ保障してくれないのか」「国や自治体はこれを保障する責任があるんだ」と言って交渉を行い、具体的な要求を次々と実現しています。
第1節 既成政党ではもうダメです
私が「自民党や民主党、共産党ではなく、この長谷川にみなさんのいのちの一票をください。そして一緒に政治を変えましょう」と言い切れるのは、こういう住民のみなさんの力と結びあっているからです。既成政党は、残念ながらこのように闘ってくれません。
例えば共産党の人たちは、介護保険の制度が国会で審議されていたときは反対しました。この介護保険がいかにひどい制度かということをよく知っているんです。しかし介護保険の法律が通ってしまったら、今では不破さんは、「介護保険は国民的な大事業だ」と言って、自民党と一緒に推進しています。
お年寄りが「介護保険制度をやめてくれ」と言い、自分の命を縮めるような事態が起こっているのに、なぜ共産党は介護保険に賛成し、推進するのでしょうか。国会では少数で負けたかもしれないけれど、庶民の力、働く人たちの力と一緒になってひっくり返そうと、なぜそう頑張ってくれないのでしょうか。本当に私は、共産党や民主党、そういう野党の人たちに対しても、腹が立つのです。
長谷川ひでのりは、今度の総選挙で、みなさんの中に秘められている力を、杉並住民の会のみなさんのように発揮していただきたいと思っています。福祉や介護の切り捨てに対して、人間らしい介護を保障しろと要求して闘います。
さらに平和の問題、子どもたちの教育の問題、本当に今、私たちのまわりにはもう怒りに耐えないことがさまざまあります。そういう政治の根本を変えるためにも、みなさんの力と結んで闘う政治家を是非国会に出していただきたい。既成の政党ではもうダメです。
第3章 沖縄の闘いに応え改憲・戦争を阻む
五年前に沖縄で米兵による少女暴行事件が起きて、沖縄の人たちが「米軍の基地を撤去せよ」「こんな基地はもうまっぴらだ」と立ち上がりました。
沖縄の前県知事の大田昌秀さんが、長谷川ひでのりを推薦してくださいました。他の既成政党の候補者を推薦するのではなくて、どの政党にも属さず、ただ庶民や働くみなさんの力だけを信じて闘うという長谷川に、大田さんは期待を託してくれました。
沖縄の人たちの平和を守りたい、子どもたちの未来を守りたい、そういう願いを、長谷川ひでのりは全身で受け止めて闘います。
あの原水爆禁止署名運動を起こしたこの杉並のみなさんの心意気を今発揮して、みなさんと一緒に、大きな住民運動をまき起こして政治を変えて、平和を守っていきます。
私は、憲法を変えようという動きに真っ正面から立ちはだかって、憲法改悪反対のために闘います。
森首相のあの「神の国」発言は本当に許せません。森さんは、単に時代錯誤であんなことを言ったのではありません。自民党・公明党の政権は、有事立法を制定し、教育基本法を変え、憲法を改悪しようとしています。森首相は「教育勅語がいい」とまで言っています。
こういう政治を根本から変える力も、住民の会のみなさんのような民衆の力の中にあります。こういう力がもっともっと大きくなれば、戦争の道を阻んで平和を守ることはできるし、今のような政治を根本から変えることができます。長谷川ひでのりは固くそう確信をもっています。
衆議院選挙の開始の今日、総選挙で、杉並のみなさんの「いのちの一票」「いのちの叫び」を国会に必ず貫くことをお約束して、この選挙戦を闘いぬいていく決意です。
どうぞ最後まで、みなさんの力強いご支援を心からお願いいたしまして、出陣のあいさつといたします。頑張りましょう。
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週刊『前進』(1962号2面2)
”21世紀開く代表を”
後援会・支持者の応援演説
●都革新後援会Aさん
後援会はこぞって長谷川さんを応援する態勢に入っております。また杉並には、住民の会という力強い住民の集まりができました。これを背景に、与党・野党すべてをなぎ倒して、私たちの代表を国会へ送り込みたい。「出たい人間」よりも「出したい人間」を送り込もうと、長谷川さんを応援しております。
長谷川さんを二十世紀の終わりに国会へ送り出し、二十一世紀を切り開く代表を私たちがもつということは何よりだと思います。よろしくお願いします。
●都革新後援会Bさん
長谷川さんはこの杉並で四十年以上闘ってきた実績があります。一方の石原伸晃は、落下傘としてたまたま杉並におりてきたという決定的な違いがあります。
長谷川さんを国会に送り込み、今の国政を徹底的に変える必要があります。長谷川さんを先頭に二十一世紀の国政を変えましょう。
争点は、自公保連立政権を認めるのか否か、ということです。そして福祉を切り捨て、老人を見殺しにする介護保険制度を認めるのか否か、ということです。この二つを明快な対立点として、徹底的に闘います。
●杉並で働く労働者Cさん
今、私たち労働者は、非常に大変な生活になっています。賃下げ、リストラ、そして国家的なリストラ行為がまかり通っています。しかし労働者のために闘う政治家は長谷川さんだけです。ですから私たちは、是非とも長谷川さんに勝っていただきたいんです。
石原や森と真っ向から対決する候補も、長谷川さんだけです。
私は福祉労働者ですが、介護保険によって福祉労働者は大変なことになっています。福祉労働者の労働条件の維持・向上は、福祉の維持・向上の必要条件です。介護保険と真っ向から闘う長谷川さんの必勝を祈ります。
●三里塚芝山連合空港反対同盟事務局長/北原鉱治さん
長谷川さんは終始一貫、生涯をかけて、日本の未来のために闘ってきました。国会には、国民を裏切って延命をはかっている政党しかいません。既成政党に幻想を持つのはもうやめましょう。真実を貫く長谷川候補を国会に送りだして、長谷川さんを先頭に日本の未来をつくりましょう。
●北富士忍草母の会事務局長/天野美恵さん
私の住む富士山のふもとにある杉並区立富士学園には、毎年杉並の四年生の子どもが来ます。しかしすぐそばに演習場があって、子どもが遊ぶことができない。長谷川さんは、演習場をなくして子どもの遊園地にしようと訴えてこられました。どうか長谷川さんを国会に送り出して、思う存分使ってください。
●部落解放同盟全国連合会荒本支部書記長/阪口克己さん
四月から実施された介護保険は、老人を暮らせない状況に追い込み、果てにはいのちを奪う悪法です。弱い者や貧しい者、「障害者」や老人のことをまったく考えない政治を許すことはできません。
森首相は「天皇を中心とした神の国」と言って開き直り、さらに「国体を護持する」と発言し、戦争に向かおうとしています。こんな政治は許せません。長谷川さんを国会に送り出して悪政を変えましょう。
●動労水戸委員長/国分勝之さん
大不況と大失業の中で、私たち労働者が本当に頼れる政党があるでしょうか。ここ数年、労働法も次々と改悪されています。このような状況に国会で断を下してくれるのは、長谷川さんしかいません。
長谷川さんが他の議員と違うのは、私たち労働者や住民とともに闘うところです。労働者のみなさん。長谷川さんを日本の労働者の代表として国会に送り出そうではありませんか。
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週刊『前進』(1962号2面3)
民主党や日本共産党ではなく
長谷川こそが国政を変える
森・自公政権と、ファシスト石原伸晃を打倒し、政治を変えるのは、民主党や日本共産党ではなく、長谷川英憲候補である。民主党や日本共産党は労働者民衆をあざむき、労働者民衆に一層の犠牲を強制しようとしていることを徹底的に明らかにしなければならない。長谷川候補だけが唯一労働者民衆の利益を代表し、労働者民衆とともに闘う、まったく新しい政治家なのだ。
第1節 ゛改憲と福祉破壊゛の民主党
民主党は改憲と福祉切り捨て、そして大増税の党である。もともと反動的な保守政党であり、自民党以上に改憲と福祉切り捨てを唱える政党なのである。
民主党は六月六日に総選挙公約「一一〇の提案」を発表した。その中心的な柱が所得税の課税最低限の引き下げ、法人事業税の外形標準課税化、消費税の目的税化など一連の増税策である。どれもが低所得者からの収奪を強めるものだ。
課税最低限の引き下げは、これまで税金を取られていなかった低所得者からも所得税を取り立てようとするもので、低所得者層の税負担が一層重くなる。民主党が言うように扶養控除や配偶者控除を全廃して課税最低限を引き下げると、現在三百六十八万円の課税最低限が百九十万円に下がるのだ。とんでもない大増税である。
民主党内で「税負担を軽くしようとしている『中間所得者』とはいったいどのあたりを想定しているんですか」と質問され、鳩山代表は「年収一千万円ぐらいだ」と答えている。要するに、年収一千万円以上の人には減税になるが、それ以下の人、もっと低所得の人には大増税になるということである。よくも「税負担を軽くする」などと言えたものだ。
法人事業税の外形標準課税化は、赤字の法人からも税金を取り立てようとするもので、赤字の中小事業者にとってはつぶれろというに等しい政策である。外形標準課税は、石原伸晃を中心とする自民党税制調査会が導入を進めようとしてきたもので、石原都知事が銀行への課税として先行的に強行した税制である。
民主党は福祉切り捨てでも自民党以上に急先鋒(せんぽう)である。民主党の片山光代候補は、「家庭の主婦がその大半を担ってきた家族介護が、社会的に解決されていく」と介護保険制度を賛美しているが、これはまったく大ウソだ。四月から介護保険が実施されたことによって介護保険の利用料が払えないためにこれまで受けていたサービスを削らざるをえず、介護を受けていた本人の状態が一層重くなっただけでなく、介護していた家族の負担が増え、肉体的にも精神的にも極限状態に追いつめられているのが現実なのだ。
片山候補は「『痛みを伴っても、今やらなくてはならない課題』に取り組みます」と言っているが、高齢者やその家族を死に追いやるような「痛み」を平然と強制しようというのか。
そもそも片山候補自身、日本新党出身で税理士であり、もともと保守反動である。けっして労働者の味方ではない。労働者民衆の痛みをまったく理解しない人物である。
民主党は鳩山代表を先頭に公然と改憲を叫び、「憲法九条はまず『陸海空その他の戦力は保持する』と一番目の項目として明記すべきだ」と公然と主張している。有事立法についても政府の有事立法研究よりも一層反動的な緊急事態法制案を打ち出している。
日帝が新安保ガイドラインによって米帝の朝鮮・中国―アジア侵略戦争に公然と参戦し、さらにはアジア勢力圏化への侵略戦争に突進しようとしているときにその先頭に立とうとしているのが民主党なのだ。
第2節 変節し野党性捨てた共産党
日本共産党は、転向と変質・変節を繰り返し、労働者人民を完全に裏切っている。とりわけこの間、民主党を中心とした野党連合政権に入りたいために次々と転向を繰り返してきた。
日共委員長・不破は、朝日新聞のインタビューで、当面は自衛隊を存続させ、「有事の際には自衛隊を使ってもかまわない」と表明した。“有事の際に自衛隊を使う”とはいったいどういうことか。自衛隊を使って戦争をするということなのだ。帝国主義の戦争、帝国主義の侵略戦争にここまであからさまにもろてをあげて賛成することを宣言したのである。絶対に許せない大裏切りである。
不破はさらに、「(自衛隊を)廃止しても大丈夫だとみんなが思うには、相当の体験がいる。台湾海峡や朝鮮半島問題が解決され、アジアに平和秩序が築かれる中で世論は変わる」と述べている。これは単に自衛隊の永続的な存続を認めただけではない。「相当の体験……」以下が意味するものは、自衛隊が朝鮮・中国侵略戦争に参戦し、日帝がアジア勢力圏化を自衛隊軍事力を使って進めることだ。ファシスト石原が「中国を分裂させよ」と主張した中で、「東アジアの秩序を維持するに必要な軍事力を」と主張したこととどこが違うというのか。
日共は介護保険をめぐっても大裏切りを行った。法案の審議過程では反対しておきながら、四月十一日の代表質問で不破が、なんと「介護保険は国民的な大事業」「せっかくできた介護保険」と賛美し、介護保険推進に一変したのだ。
しかも断じて許せないのは、日共は介護保険が高齢者殺しの政策であることを百も承知していながら、そしてこの問題を議席拡大のための宣伝材料に使ってきておきながら、いよいよ大衆的な怒りが爆発しようとしているときにこれを完全に裏切り、闘いを圧殺する側に回ったことである。大衆的決起に敵対するところに日共の犯罪的・反人民的本質が鮮明に示されているのだ。
消費税についても、六月五日の不破発言で、消費税率の三%への引き下げ要求を撤回し、消費税五%を容認することを表明した。不破は衆院選の街頭演説では消費税五%を容認したことはおくびにも出さず、自公保が選挙後に消費税を増税する計画だが選挙で増税隠しをするのは問題だ、などと言ってごまかしている。
日共の裏切りは今や極限まで来ている。民主党中心の政権に入るため、次々と転向と変質を重ねている。介護保険廃止を始めとした労働者人民の要求や怒りの決起には、それを抑圧し、破壊するスターリン主義反革命、それが日共なのだ。
長谷川候補は、住民の要求、運動と固く結び、その先頭で闘う政治家である。長谷川候補こそこれまでの政治を根本から変え、労働者民衆の新しい時代を切り開く政治家である。長谷川勝利へ全力を!
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週刊『前進』(1962号2面4)
誰でもできる選挙活動
■親戚・知人・友人に支持を訴えよう
■労組・職場の仲間に声をかけよう
東京八区(杉並区)の衆議院選挙決戦は、六月二十五日投票に向けあと一週間の激戦に突入しています。長谷川候補必勝へ全国の同志、支持者、読者のみなさんの総決起を訴えます。
●演説会にかけつけよう
他党派とのしのぎを削る闘いにおいて、街頭での訴えは、長谷川候補の勢いを示すものとなります。毎日の駅頭演説会にかけつけて下さい。各地域での個人演説会にかけつけて下さい。
●杉並区内在住者に支持の訴えを
●電話をかけよう
●公選はがきを書こう
杉並区の友人、知人、親戚に働きかけて下さい。その名簿を選対本部に集中して下さい。同窓会名簿、職場の名簿など、もう一度確認して下さい。つながりのある人からの働きかけは非常に有効です。
職場の仲間にも話して下さい。選挙区に居住する人でなくても、その友人、知人に杉並区の人はいます。長谷川候補が勝利することの重要性を訴えて、その人に声をかけてもらって下さい。
電話での選挙運動、支持要請は、投票日前日まで無制限にできます。知っている人からの直接の電話は、特に力になり、確実に支持に結びつくものです。
そして、その人たちに公選はがきを必ず送りましょう。選対本部に必要な枚数を申し込み、宛て名と差出人の名前を書き、もう一度、必ず選対本部に戻して下さい。公選はがきは、選対がまとめて差し出したものだけが有効です。
●まわりの人たちに積極的に声をかけよう
労働組合の会議や職場の集まり、サークルや趣味のグループの集まりで長谷川支持を訴えて下さい。可能なら、候補者や選対部員を紹介して直接訴えさせて下さい。電車の中でも買い物の途中でも顔見知りの人に会ったら、どんどん声をかけて下さい。また、たまたま別の用事で訪問した相手に投票を訴えることは、「個々面接」として公選法で認められています。
これから投票日までの闘いに一切がかかっています。やれることはなんでもやり、必ず勝利しよう。
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週刊『前進』(1962号3面1)
福祉切り捨てと大増税の介護保険廃止へ
”福祉はぜいたく。我慢せよ”
”北朝鮮にミサイル攻撃を”
ファシスト石原伸晃うち倒せ
総選挙決戦は終盤戦の白熱的攻防過程に突入した。この選挙は、森・自公政権とファシスト石原都政に審判を下す戦後最大の政治決戦だ。その一切は、東京八区(杉並)でのファシスト石原伸晃の打倒と長谷川英憲候補の当選にかかっている。それは、自公と石原都政の反動政治を根底から覆し、わき上がるような大衆決起の時代を必ず切り開く。森・自公政権や石原都政と真正面から対決し、それを打倒する力を持っているのは、民主党や日本共産党ではなく、長谷川候補だけである。なぜなら、長谷川候補だけが労働者人民の主体的で自己解放的な決起と固く結びついている新しい政治家だからだ。今こそ介護保険闘争を全面的に解き放ち、選挙戦における勝利へと転化する時である。自民党の候補であり、ファシスト石原都知事とも完全に一体の石原伸晃をたたき落とそう。
第1節 伸晃は森自民党と自公体制の候補者
第一に、言うまでもなく石原伸晃は自民党員であり、自民党の公認候補である。伸晃がいかにファシスト的なペテンとパフォーマンスを駆使しようとも、東京八区において自公を代表するのは伸晃だ。伸晃を支持することは、森首相および自公連立政権を信任するのと同じだ。森・自公政権を拒否することは、石原伸晃を打倒することである。
「日本は天皇を中心とする神の国」という極反動暴言を居直り続ける森首相は、六月三日の自民党奈良県連の演説会で「国体護持」を公言した。国体とは、戦前の天皇中心の国家体制を意味する言葉である。森と自民党は天皇制ボナパルティズム国家の復活を絶叫し始めたのだ。
さらに森は、公示後の第一声で「心の教育を大切にする」などと言い、この間繰り返し唱えてきた「教育勅語の復活」にさらに激しく突き進もうとしている。
もはや、総選挙で自民党=自公を大敗に追い込む以外に、労働者人民の未来がないことは明白だ。
森の「天皇中心の神の国」発言や「国体を守れ」という発言は、民主党や日本共産党が言うような単なる時代錯誤では断じてない。日帝の経済的・政治的・体制的危機の中で支配階級が絶望的な混迷に陥り、統治能力も喪失する中で、天皇制復活とアジア再侵略に突進する以外になくなったということである。
この森を総裁とするのが自民党であり、石原伸晃はその自民党の候補者だ。伸晃は「政策新人類」などというイメージで従来の自民党政治家との違いを押し出そうと腐心しているが、現に伸晃が自民党員であるという事実に変わりはない。
伸晃を支持することは、ガイドライン関連法などの戦争法を次々と強行し、大増税と社会保障制度の解体、国家的リストラ法を推し進めてきた自公体制に引き続き政治をゆだねることを意味する。実際、伸晃は自民党議員としてそのすべてに賛成し推進してきた。
石原伸晃をたたき落とすことこそが、森・自公政権を打ち倒す闘いなのだ。
第2節 父親・石原慎太郎と一体の反動政治家
第二に、伸晃の政治姿勢の基本は、「福祉はぜいたく」と叫んでそれを徹底的に切り捨てることにある。
自民党の介護保険突破議員連盟世話人として、介護保険を最先頭で推進してきたのが伸晃だ。今日、膨大な高齢者が介護を打ち切られ、生きる希望を奪われている。自ら命を絶つところに追い込まれた人さえいる。他方、四十歳以上の全員が高額保険料を徴収され、大増税を強いられている。伸晃は、こうした事態を生み出した張本人だ。
彼は、選挙向けのリーフレットで、「年金・医療・介護がいま曲がり角を迎えています。何から何まで国が面倒を見れば現役世代の負担は莫大(ばくだい)です。国は必要最小限をまかない、残りは個人と地域の協力で」と言っている。
ここには、高齢者など介護を必要とする人びとへのあからさまな蔑視(べっし)が示されている。伸晃は、介護や福祉は国の「施しもの」なのだから、いつでも取り上げて構わないという感覚の持ち主だ。「国は必要最小限をまかない」などと言うが、その「必要最小限」とは、介護が必要な高齢者が「もう生きていけない」と自ら命を絶たなければならないようなレベルのものなのだ。国は何もしなくていい、個人と地域でやれ、というのが伸晃の主張だ。
また彼は、「現役世代の負担は莫大」などと、若い世代を反福祉のイデオロギーに取り込もうとするファシスト的デマゴギーに訴えている。だが、伸晃が実際にしてきたことは、若い世代をも含めた労働者人民総体への大増税と首切り・リストラの強行、社会保障の解体だった。
伸晃は、自民党財政部会長として消費税五%へのアップの最先頭に立った。自民党税調の一員として、外形標準課税の全産業への導入を推し進めている。彼はまた、年金改悪をも自分の手柄として自慢し、「豊かな老後は自助努力で」などとうそぶいている。「雇用の流動化は避けられない」と唱えて産業再生法を強行し、今また「日本版401k」の導入を率先して提唱しているのも伸晃だ。
伸晃は「現在の政府は、五十万円の月収で、毎月百万円使っているようなもの。バラマキ政治は、自分たちの子どものツケでぜいたくをしているだけ。我慢すべきところは我慢し、財政赤字を解消します」などと言う。財政危機の責任が福祉にあるかのように言いなして、その全面的な切り捨てを唱えているのだ。
だが、自民党が財政危機を生み出すほどに福祉政策を拡大したことなど一度もない。赤字の根本的な原因は、資本主義・帝国主義の危機の中で、日帝が銀行やゼネコン救済のために野放図な財政支出を行ってきたことにある。
伸晃は、一昨年の金融国会の時、衆院金融再生特別委員会の理事として銀行への六十兆円、七十兆円もの公的資金を投入する政策を最先頭で推進した。彼は、「野党との交渉を通じて死守しなければならなかったのは(銀行への)資本注入の一点だった」などと得意げに語っている。赤字放漫財政の責任は伸晃にある。
銀行や大資本には湯水のように金をばらまくが、福祉のためには一銭も使わない。これが「政策新人類」と称する伸晃の政策であり、選挙公約だ。労働者や中小企業者の生活がどうなろうと、大企業とほんの一握りの大資本家が生き延びればいいということだ。
第3節 伸晃支持は戦争と福祉切り捨ての道
第三に、伸晃は「親父と一緒に東京から日本を変える」などというスローガンを掲げている。伸晃は、父親の石原慎太郎と完全に一体のファシストなのだ。
石原都知事は、首都・東京を四千四百人の自衛隊で制圧する九・三自衛隊治安出動演習を強行し、自衛隊の「国軍」としての登場を狙っている。石原都知事が「三国人」暴言を居直り続け、朝鮮人、中国人を始めとした外国人への排外主義をけたたましくあおっているのは、九・三自衛隊治安出動演習によって、実際に排外主義襲撃=大虐殺を強行する体制を構築しようとしているからである。まさに朝鮮・中国−アジア侵略戦争への反革命的突破口を開こうとする大攻撃だ。
伸晃は、父親とともにこの大反動を先頭で強行しようとしている。
伸晃は、『文芸春秋』九九年一月号の「逆襲せよ、日本!」と題する父親との対談で、「衛星を六個打ち上げればいいんですよ。これで北朝鮮を監視して、相手が撃ってこようとしたら、空中給油機を連れた戦闘機がトマホーク・ミサイルで先制攻撃出来るようにしておく」と言い放っている。伸晃は、「中国を分裂させよ」とか「北朝鮮壊滅」を叫ぶ父親と完全に一体の戦争挑発者だ。彼は、自公体制の内部にとどまりつつ、父親と呼応して自公の反動政治をファシスト的に牽引(けんいん)しようとしているのだ。伸晃への支持は、戦争と福祉切り捨てに直結している!
闘うアジア人民との真の連帯をかけて、石原伸晃をたたき落とさなければならない。
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週刊『前進』(1962号3面2)
7・1国労臨大で本部執行部を打倒せよ!
闘争団の怒りを聞け 3ブロック闘争団集会
”「JRに法的責任なし」認めぬ”
全面降伏への道を突き進む国労中央を弾劾する猛然たる決起がまき起こっている。六月十日、本州・北海道・九州の三ブロックの闘争団集会で、国労本部三役と中執に対して圧倒的多数の闘争団員が「四党合意を撤回しろ」「臨大開催は認められない」「本部は総辞任しろ」と激しい怒りをたたきつけた。だが、宮坂・チャレンジ一派と革同上村一派は「JRに法的責任がないことを認める」臨大を何がなんでも強行しようとしている。断じて許されない。彼らは国労三万とは絶対に相入れない裏切り者、国労の破壊者だ。彼らを国労からたたき出せ! 七・一臨大を強行するなら、八六年修善寺大会を超える総決起で会場を制圧し、「四党合意」を葬り去ろう!
第1章 「首切りの合法化」承認する臨大の強行に嵐の大反撃を
国労中央は、六月七日の国労本部電送nO〇五で、「第二二回中央執行委員会で七月一日(土)に第六六回臨時大会を開催することを決定し、“大会では、(1)政党間合意内容の決定と、(2)採用・和解金について解決作業に入り交渉が始まっていることを報告出来るようにする”本部は三役を中心にそのために全力をあげることを確認した」と、臨時全国大会の「指令」を出した。午後一時から五時まで東京・社会文化会館で開催するとしている。
国労中央は、五月三十日の「JR不採用問題の打開について」の「四党合意」直後、「この本会談を受けて直ちにJRへの採用、和解金の論議に入っていく」「皆さんの目に見える形で具体的な提起がされる」(五・三〇国鉄闘争報告集会での宮坂書記長の報告)などと、あたかも臨大までに交渉が行われ、具体的な「解決水準」まで出るかのようなペテンで、臨大の決定をごり押ししてきた。
だが、今回の本部指令によれば、臨大は「政党間合意内容の決定」、すなわち「JRに法的責任がないことを認める」ことを機関決定することである。そして、「採用・和解金」については「解決作業に入り交渉が始まっていることを報告出来るようにする」ということにすぎない。何という恥知らずなペテンか。
だが、「JRに法的責任がないこと」を認めたらその瞬間に、JRへの採用や補償の責任が消える。同時にそれは、闘争団と国労三万の十三年の闘いと生活のすべてを無に帰し、団結と誇りを奪い去り、国労を自己解体させるものだ。「ゼロ回答」以下なのだ。
いったい、労働組合に首切りが正当であり合法であると認めろ、そのための臨時大会を開けなどという不当労働行為、労働運動史上類例のない極悪の政治的支配介入を許すことができるのか。こんなことに屈したら労働組合の死だ。しかも、戦後最大規模の首切りに対して千四十七人の解雇撤回を掲げて十四年に及ぶ大争議を闘ってきた国労に、この首切りが合法だと認めさせようというのだ。
日本労働運動で唯一、自ら首切りを進めた労働組合であるJR総連と同列になるというのか。
そのための臨大強行など絶対に許してはならない。
第2章 闘争団を足蹴にする裏切り者は国労からたたき出せ!
これに対して大半の闘争団の抗議の意見書が本部に上げられている。JR本体の分会などの抗議文が続々と本部に集中されている。そして、六月十日の闘争団ブロック集会では、闘争団と家族の根底的な怒りが直接たたきつけられた。これを受けた意見書も直ちに殺到している。(一部の抜粋を別掲)
北海道には宮坂書記長が本間中執とともにのりこんだ。闘争団員と家族の激しい弾劾の前に宮坂は何度も答弁をやり直したが、最終的な集約ができないまま、再討論を確認した。二十五人の発言のうち、上村派革同の二人のみが「四党合意」に賛成発言をしたが、これにも闘争団員から弾劾が浴びせられた。
九州には高橋委員長と鈴木中執が飛んだ。エリア本部の参加制限をうち破って集まった闘争団員・家族が次々と反対発言を行った。
「四党合意の撤回を要求する。これをのんだ中央執行委員会は総辞職してもらいたい」「不当労働行為を免除するのか。今までの闘いは何だったのか」「バックペイ、退職金、年金などを放棄することにつながる。合意案は撤回すべき。委員長はこの案で本当に納得する解決ができるのか」
また、「JRへの採用、金銭、すべてを明らかにして大会を開催すべき。それができないなら臨大は中止すべき」と、臨大に反対する意見も相次いだ。ある家族は「闘争団の納得のいく解決をしてください」と泣きながら必死に訴えた。
高橋委員長は、「公式に労使交渉がすでに始まっていること、和解金についても見えるような形で進行していることが具体的にわかるようにすべきだ。そういう状況がなければ当然、臨時大会を開くわけにはいかない」と集約せざるをえなかった。
本州では、上村副委員長と新井中執の報告に対して厳しい追及が行われた。
「JRの法的責任の追及は国鉄闘争の原点、十三年の闘いの柱であり、十三年を無にする自己否定ではないか」「中身が出てこないで不当労働行為がなかったと認める大会であればやめてほしい」「私たちの基盤、正当性をなくす。相手から見透かされ、低レベルの解決につながる。納得できるものが出なかったら臨大を開催しないことを明確にすべき」などなど。
第1節 ゛具体案出なくても臨大やる゛
これに対して、新井中執は「採用の数だとかは臨大には出ない」と明言し、「出なくても臨大はやるのか」と詰め寄られると居直って「臨大はね」と、何がなんでも臨大を強行する意志をむき出しにした。
高橋委員長と新井中執の答弁は明らかに食い違っている。だが、宮坂・上村、新井らは闘争団が納得できる解決など出ないことを百も承知で、とにかく「JRに法的責任がない」という無条件全面降伏だけを決定しようとしているのだ。そして、デッチあげでも何でも「解決作業」や「交渉」が始まっていると言いなし、“しかし「四党合意」をのまなければどんな具体的案も出ない。どんな案でものまなければ、それで終わりだ”と組合員を恫喝しようというのだ。
また、裁判の取り下げについて追及された上村副委員長は、採用差別事件とともに八七年四月一日以前の配属差別事件の取り下げを検討すると明言し、それ以降の不当労働行為事件についても取り下げを検討すると言い切った。
もはや、彼ら裏切り者に一日たりとも執行部を任せるわけにはいかない。彼らは、当事者の闘争団がいかに反対しようが臨大を強行し、一刻も早く闘争団を切り捨て、国労を自己解体し、JR連合に合流したいと本気で思っているのだ。
もはや彼ら完全な転向者との妥協の余地は一ミリもない。彼らのもとで奴隷の道を歩むか、それとも彼らを打倒し、国労からたたき出して、闘う新しい執行部を樹立するのか。それ以外の中間的な道は一切ない。
現執行部の打倒をとおして、めざましい国労再生の力がわき起こるのだ。
第3章 臨大会場を制圧する組合員と共闘の総決起をかちとれ
闘争団の誇りと人生をかけた決起に続き、国労三万の一人ひとりの生きざまをかけて立ち上がろう。
闘争団が必死で訴えているように「JRに法的責任がないことを認める」ことは、五・二八反動判決を認め、ILO勧告を投げ捨て、「首切りは正当であった」と認めることである。さらに、配属差別、配転・出向差別、賃金・昇進差別などJRの不当労働行為の一切を認めるということである。まさに国労三万の一人ひとりに突きつけられた問題なのだ。
そしてそれは、国鉄労働者だけの問題ではない。解雇撤回の最大の争議を闘う国労が国家的不当労働行為を合法だとしてしまったら、日本の労働者階級は首切りとどう闘えというのか。総評解体以後、唯一国鉄闘争に自らの未来をかけて支援・連帯してきた労働者・労働組合は明日からどうやって闘えというのか。
今、そうした激しい危機感から、国鉄闘争支援陣形の労働者はわがこととして国労の動向に注目している。絶対に国労中央の裏切りは許せないという声が都労連傘下の労組を始め広範にまき起こっている。これにこたえて断固として立ち上がらなければならない。日本労働運動の未来をかけた決戦なのである。ここで国労が踏んばって闘いぬくなら、日帝権力を追いつめ、日本労働運動の砦(とりで)として国労が発展し、日本労働運動全体を階級的によみがえらせる道を切り開くことができるのだ。ここにこそ勝利の展望がある。
実際に追いつめられているのは国家権力の側なのだ。「四党合意」の背景には、未曽有の危機に陥っている自民党・野中らの、総選挙後をにらんだ社民党取り込みの狙いがあるといわれる。そこまでしなければ政権の維持すらできないほど統治能力を失っている。
さらに、「完全民営化」を前にしたJR資本の危機も深刻である。JR東の新人事でカクマルとの結託体制の転換に踏みきったが、千四十七人問題をかかえたままでは「完全民営化」どころではなくなる。
この時に、権力・資本に全面降伏し、権力・資本を救おうとしているのが宮坂や上村だ。自民党は「まさか四党合意を国労が全部のむとは思わなかった」とうそぶいているという。これを進んでのんだ宮坂や上村ら、そしてぶざまに屈した高橋も、とてつもない大裏切りに踏み込んだのだ。
反対に「四党合意」をきっぱりと拒否し、「JRに法的責任あり!」を高々と掲げて闘ってこそ、闘争団の納得のいく解決もかちとれるのだ。争議の解決水準とは力関係で決まるのだ。
この時に「力関係は非力だ」(宮坂)などと言って全面降伏している連中に何がかちとれるというのか。
今必要なことは、宮坂・上村・新井ら現執行部の責任を徹底追及し、打倒し、国労からたたき出すことである。そのために、さらに嵐のように抗議の意見書を上げ、本部に押しかけ、職場の総決起態勢をつくり出すことだ。
そして七・一臨大会場(社会文化会館)を修善寺大会を超える巨万の組合員と労働者大衆の決起で制圧・包囲し、「四党合意」粉砕、執行部総退陣をかちとり、国労の階級的再生へ巨大な一歩を踏み出そう。
▼北海道A闘争団 本日の朝日新聞朝刊で、昨日の中央執行委員会の決定内容を知り、採用差別事件の当事者として落胆するとともに非常な怒りを覚えます。私たちは中央執行委員会が今回の決定を取り消し、闘いを再構築することを強く求めます。
▼九州B闘争団 絶対に納得出来ません。即刻撤回を求めます。ある家族は「こんな解決は、望まない! 子供に苦労をかけたことがムダになってしまう!」と悔しがっています。「解決案」に対して強く抗議し撤回を求めます。
▼九州C闘争団 闘争団と家族は、この報道の中身を読むうち驚きと落胆で気力を失いかけたほどである。この十三年は何だったのかである。これを呑むと言うことは国鉄闘争の敗北宣言に等しいものと言え「全面屈服」である。
▼北海道D闘争団 合意と本部の受け入れ表明は、労働委員会による「救済命令」や「ILO勧告」を自ら投げ捨てるものであり、国労と闘争団のこれまでの闘いの自己否定に他なりません。まさに十三年間もの闘いを費やしてきた国労と闘争団を辱めるものでしかありえず、政府・自民党、JR会社の攻撃にひざまずくもの、と言わざるを得ません。
▼北海道E闘争団 今回出された解決案は、昨年六月に運輸省から出された四項目を丸呑みにし、国労自らが自滅していく解決案です。訴訟の取り下げに至っては、武装解除・全面屈服と言っても言い過ぎではありません。日本国内の労働者の権利回復の闘いを放棄したばかりか、ILO勧告までも裏切り、日本の労働運動の国際的信頼までも地に落とそうとしています。日本の労働運動の強化のためにも原則的に闘うべきです。
▼九州F闘争団 今、我々は怒りを抑えきれずにはいられない。しかし同時に、その怒りを権力側だけでなく、国労中央執行委員会にも向けざるを得ないことに深い悲しみを覚える。
▼本州G闘争団 「JRの法的責任なし」として国労が責任追及の闘いを放棄するとなれば共闘の仲間に対する裏切り行為に他なりませんし、労働運動全体におよぼす影響は計り知れないものがあります。そればかりか労働運動史上に汚点を残すことになりかねません。解決案は、十三年もの間、国労を信じ、「解雇撤回・JR復帰」を目指し、歯を食いしばりながら闘い続けてきた闘争団・家族、そして、不当な差別を受けながら共に闘いを進めてきた組合員の思いを踏みにじるものであり絶対認めるわけにはいきません。
▼北海道H闘争団 六月十日の闘争団ブロック会議で、中央本部より初めて正式に「四党合意に至る経過と内容」等について報告を受けました。会議では、多数の闘争団員から、疑問の発言がありました。闘争団の不安に対する疑問には答えてもらえず、臨時大会では「人数と金額を報告できるようにし、解決交渉が始まっていることを形で示せるようにしたい」と言っていましたが、私達闘争団は「高度な政治判断を信用しろ」と言われても二度も首切りを強行した政府・政党を信用できません。よって、何の具体的な担保もないままに「JRの法的責任がないことを認める」ことのみの臨時全国大会は認められないし、直ちに「四党合意受け入れ」を撤回することを、強く求めます。
▼本州I闘争団 国労の総団結と、政府・JRを攻める闘いが重要な今日、「包括的解決案の示されない、JRの法的責任なしだけを求める」臨時大会開催は中止すべきであると思います。
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週刊『前進』(1962号4面1)
権力・カクマルの手先と化した白井朗の反革共同策動粉砕せよ
『民主派宣言』を怒りこめ弾劾する
中村堅
第1章 カクマルの白色テロを恐れ無抵抗で屈服
白井朗は、九三年三〜七月に革共同から脱落・逃亡を開始し、九八年四月に金沢における「失火事件」によって卑劣にも権力に投降し、屈服・転向を深め、その後、権力の手先と化して悪質な反革共同策動を行ってきた。
この反党分子が、今年に入って反革命カクマルに捕捉(ほそく)された。白井は、ファシスト・カクマルの白色テロルに恐怖し、まったくなんの抵抗をすることもなく、カクマルの前にはいつくばったのだ。七五年三・一四反革命=本多延嘉書記長虐殺への階級的怒りを投げ捨てて屈服し、日帝権力だけでなく反革命カクマルの革共同破壊工作の手先に転落するに至ったのだ。反党・転向分子白井は、本多延嘉同志の全生涯、全存在を公然と裏切ったのであり、ここに白井の反革命化が決定的な地点にまで進んだのである。
日帝政治危機の激化、森・石原の超反動的な突出に対して、労働者人民の先頭に立って闘っている革共同に敵対する白井の昨年来のこ息な革共同破壊策動は、権力の庇護(ひご)やファシスト・カクマルとの有無あいつうずる関係のもとに行われてきたが、そのことごとくが、この間のわれわれの革命的暴露と闘いによって全労働者人民の前で粉砕されてきた。
その白井が今年四月に、『中核派 民主派宣言−−新左翼運動の再生』(以下『民主派宣言』と略)なる反革命本を出版し、革共同への許すことのできない敵対をさらに一歩進めた。
すでに白井は、昨年七月に、二つの反革共同パンフ(赤パンフ)と同時に、『二〇世紀の民族と革命』(以下『二〇世紀』本と略)を出版している。
われわれは、赤パンフはもとより、この『二〇世紀』本が、ただただ革共同を破壊しようという反革命的意図から書かれたものであることを暴露し、「白井朗は、今や反スターリン主義・革命的共産主義を捨て、革共同を捨て、革共同破壊を目的として活動し、入管闘争に真っ向から敵対する者、反革命に転落した」(西山信秀論文、『前進』一九四四号・二月十四日付)と断罪した。『二〇世紀』本で白井は、民族とか「七・七」とか口先で言いながら、在日朝鮮人民に日本国籍を取得することを要求するなどという思想、つまり法務省・坂中英徳の帰化政策と同じ思想の持ち主であることを自己暴露したのである。
白井は、こうした階級的断罪を受けたことに打撃を受けながらも、恥知らずにも開き直り、今度はファシスト・カクマルに協力した革共同破壊攻撃にもう一歩踏み込んできたのである。
第2章 「自己批判書」を否定して通敵行為に走る
われわれが脱落・反党分子の白井を、反革命転向者と規定し、怒りに燃えて階級的に断罪するのはなぜか。どのような白井の言動に根拠をおいているのか。
第一に、白井が自ら書き記した自己批判書(九三年二月)を討議する場から逃亡し、再三の呼びかけにも応じず、完全に組織的に脱落したばかりか、その自己批判書を「妥協」「偽装転向」と後になって言い出したことである。つまり白井は、われわれから見てなお決定的に不十分であっても、自分が到達した自己批判の立場に立ちきるのではなく、それに百八十度反する立場にはっきりと転換したということである。
革命家、共産主義者が組織的討議=実践の全過程および自分自身の自己批判書を後になって全否定することほど、あからさまな階級的転向はないのだ。
第二に、白井が、九八年四月の金沢での「失火事件」によって日帝権力に投降し、卑劣にも屈服・転向したこと、そしてこれをも機に権力の革共同破壊攻撃の手先となったこと、こうして白井は階級的な移行を遂げたということである。
第三に、白井が権力の手先化を自ら実証する行為として行った昨年七月の『二〇世紀』本の出版にあたっての通敵行為の予告がある。この時、なんと白井は「私の著作の刊行に妨害が加えられるならば」「(清水議長の)健康と住居の安全にたいして、パンフ(赤パンフ)の暴露以上のはるかに高いレベルの暴露をおこなう」「(革共同の対カクマル戦での指名手配攻撃との闘いの)責任者の名前の暴露をためらうことなくおこなう」という許しがたい書簡を前進社に送りつけてきたのである。つまり、反革共同の出版物を出すという目的のためには、党の秘密をばらす、権力に革共同を売り渡す、ということを公然と宣言したということだ。
これは、もはや党内闘争とか党派闘争とかという次元をはるかに超えた反階級的行動である。自覚的に権力の側に立って、つまり階級移行して、革命運動を破壊する手先として行動するということ、それが白井の行動原理となったことを誤解の余地のない言葉で自ら明らかにしたのである。
以上の第一、第二、第三の点は、白井がもはや共産主義者どころか左翼でも何でもなく、また体制に対して、日帝権力に対して闘う活動家ですらなく、完全に権力の側に立場を移行させた人物であること、それを白井が自認していることを決定的に示している。
白井の『二〇世紀』本は、このような反階級的立場に立った革共同破壊活動として書かれ、日帝権力への通敵行為を条件として、初めて実現したものなのである。
その上で『民主派宣言』は、その反革命を一歩進め、「革共同・中核派はスターリン主義の党となった」「革共同の変革的再生を」と宣言し、「中核派の万年危機論・万年戦争論」なるものへの非難を行っている。これは、帝国主義の危機−帝国主義の侵略戦争・帝国主義戦争の切迫情勢−革命党の任務、という革共同五月テーゼに真っ向から敵対し、「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」という戦略的路線の解体を要求する、『二〇世紀』本にも増して許しがたい反革命出版物である。
第3章 「黙秘は意味がない」と権力への全面投降
この『民主派宣言』の最大の反革命的核心は、九八年の「失火事件」についての弁明にある。
そこで白井は、われわれが、「山村(白井)の権力への屈服とその先兵への転落が……金沢市における逮捕と全面屈服・無罪放免を結節環にしていることは明白である」(『共産主義者』一二三号)と国家権力への白井の全面屈服を弾劾・批判したのに対し、「私がスパイ・転向者であるという(革共同の)デッチアゲ・デマゴギー」(八三ページ)と書いて、自らの権力に対する恥ずべき屈服を、必死になって正当化し、ごまかそうとしている。ところが、この弁解そのものが、白井の警察権力の取り調べへの屈服、転向の事実を、本人の口から生々しく告白するものになっているばかりか、さらにこれで「弁解」したつもりでいるほど、対権力の意識が解体していること、腐敗が深々と進行していることが、同時に暴露されてしまったのである。
「私は一九九八年四月二七日午前零時半頃、当時宿泊していた金沢市のホテルで失火事件を起こした。著作の原稿執筆で自分が思っていたよりもはるかに疲労し、不注意で失敗を犯した。このため午前二時すぎ頃警察に連行(まだ逮捕ではない)された。失火事件は事実なのですべて取り調べに応じて、一旦その件は終了した。しかし翌二八日正午頃、ホテル宿泊が偽名であったため旅館業法違反で逮捕状を執行された。そして即日検察庁に送致され、勾留の法的手続きがとられた。勾留は執拗にもう一度、二回めの限度ギリギリ一杯までおこなわれ、漸く五月一三日に略式起訴・罰金刑の判決をうけ罰金を支払って釈放された。このかん私は熟考した末に、すでに失火事件についてはすべて取り調べに応じているために、黙秘は意味がないと判断した。なぜなら失火事件についてはすでに争うべきものは何もないからである。釈放をかちとり、原稿を完成することが私の階級的任務であると判断したからである」(八三〜八四ページ)
一体、これが、「政治局員」「一九六九年、非合法生活に入る」(『民主派宣言』著者略歴より)と自ら言う人物が、権力の弾圧について書き記した文章だろうか。弾圧経験者でなくても、権力との闘いを真剣に考える人ならば、とても読むにたえない文書である。この文章には、階級敵であり、打倒すべき国家権力との対峙における命のかかった緊張感がまったくない。
(1)まず「失火事件」とは何か。これ自体が問題だ。白井は、「不注意で失敗を犯した」などとこともなげに言っているが、そんなことですむ問題か。非合法・非公然の革命家であるならば、自分の失策で権力の弾圧を招き権力の手に落ちることは、革命運動全体に対する大打撃であり、非合法・非公然体制を支えてきた党と関係支持者に対する裏切りというべき事柄である。自らの非合法・非公然活動の大敗北として、権力との攻防の関係において深刻に自己批判的に掘り下げ、原因を徹底的に究明することが死活のかかった課題である。
だからこそ、われわれ革共同は、日帝権力との死闘のただ中で、数多くの犠牲を払いながら、勝利と敗北を真剣に総括し、党の全力をあげ、支持者の血のにじむような苦闘、支えによって、基本的に党の骨格をなす非合法・非公然体制を数十年にわたって守り抜き、日帝権力と反革命カクマルに勝利してきたのではなかったのか。
自分の大敗北を、何の痛みもなく、自己批判の立場もなく、恥知らずに「経過報告」のように書いていることの一点をとっても、白井の対権力の闘いにおける思想的解体、組織的無責任性、恥知らずな心情は恐るべきものがある。失火事件の事実が示すものは、逮捕以前にすでに白井の対権力姿勢が完全に崩壊していた、ということである。
ところが白井は、恥知らずにも本書の別の個所で、「私は一九六九年秋……破防法弾圧を受けて非合法生活にはいって以来約二六年間、アジト防衛に失敗したことは一度たりともなかった。公安警察はもちろんカクマルの反革命的な攻撃にたいしても、自分自身を守りぬくことに二六年間成功しつづけた」(二八ページ)などと言っている。だがこれがまったくのウソであり、見栄をはった強がりであることは、以下の白井自己批判書そのものによって明らかである。
「私のアジトの撤退という私自身の防衛上の失敗」「このときに撤退のため莫大(ばくだい)な財政と労力を本社指導部が支出して、私の非・非生活を支えて下さったことを、あまりにも遅くなったが、ここではじめて感謝の意を表すものです」(『共産主義者』一二三号)。
白井は、革共同から逃亡するや、それまでは党の組織的力でかろうじて支えられてきた非合法・非公然の生活防衛の姿勢を自ら解体させていったのである。だから「失火事件」そのものが、白井にとっていつ起こっても不思議ではない事態だったのだ。
白井にとって、そもそも「非・非生活」とは何であったのか、そしてとりわけ革共同から逃亡した以後の「非合法生活」は何だったのか。実は、白井自身の反革命的変質によって、「非合法生活」は革共同から逃げ回る以外に、対権力的には何ら必然性のないものになっていた、ということである。九三年に革共同から逃亡して五年、白井の思想的・人間的崩壊はここまできていたのだ。
(2)次に、「失火事件は事実なのですべて取り調べに応じて、一旦その件は終了した」と言い、そのあとで「熟考した末に、すでに失火事件についてはすべて取り調べに応じているために、黙秘は意味がないと判断した」などと説明している。ここには、二重三重のウソとペテンがある。
まず、「失火事件は……取り調べに応じた」ということは、初めから権力にべらべらと「事実関係」をしゃべったということだ。それは、自分が白井朗であることから始まり、人定事項と事件の事実関係をすべてしゃべったということである。そして「革共同を辞めた」と公言し、露骨に権力に許しを乞うたのである。これは「黙秘」の思想と闘いの恥ずべき放棄である。
黙秘とは、対権力の姿勢、闘いとして、一切取り調べに応じず、口をきかないということである。人定事項などあれこれの項目についてはしゃべったが、一定の項目については「黙秘」した、などということはなんら黙秘ではない。だからわれわれは、単に「黙秘」というのではなく、完全黙秘つまり「完黙」として原則化しているのだ。これは革命運動のイロハとして、弾圧から組織と運動と仲間を守り、自分自身を守るための大原則である。それを公然部門であれ、非公然・非合法部門であれ、党内外の多くの仲間たち、労働者人民大衆が、日帝権力との日常的な闘いの中で命がけで守ってきたのである。まさに、こうした闘いによって現在の革共同は存在し、闘い続けることができているのではないのか。
白井が、「失火事件は事実なのですべて取り調べに応じた」ということは、権力と闘う意志をまったく持たないということを権力に意思表示し、革共同を辞めた人間だから見逃してくれと哀願したということにほかならない。白井は、敵権力の手に落ちるやいなや、「熟考」することもなく、待ってましたとばかり、転向の決定的シグナルを敵に送ったのである。
(3)さらに問題は、白井がすでに「すべて取り調べに応じた」後の時点で、「熟考した末」「黙秘は意味がないと判断した」ということの意味である。
白井は、一体何を「熟考した」のか。これは、次の文章が物語っている。すなわち、「釈放をかちとり、原稿を完成することが私の階級的任務であると判断したからである」と。つまり「黙秘は意味がないと判断した」ということが「釈放」の条件になったということである。そこには、黙秘=完全黙秘の思想と実践を原理=原則的に否定しているという大問題があるのだ。これはもう左翼とも、反体制ともまったく無縁な、転向者の思想である。
「革共同の政治局員」として二十六年間非合法・非公然生活を送ってきた白井が、このように権力に完全に屈服したことによって初めて、「略式起訴・罰金刑」で釈放され、反革共同文書の作成という「階級的任務」の続行を保障されることになったのである。こうして、白井と権力の間に、一定の関係が形成され、白井の権力の手先化の第一歩が記されたのである。これは権力への投降、屈服・転向以外の何ものでもない。
第4章 三・一四反革命への怒り喪失した白井
白井は日帝権力への卑劣な屈服、転向と手先化の中で、革共同憎しの一念にこり固まり、革共同を傷つけ、革共同を解体させるためだったら何でもやる、だれとでも手を結ぶ、という唯一の動機に突き動かされて、反スターリン主義・革命的共産主義運動に根底的に敵対し、その結果おそるべき思想的解体、反革命的変質・腐敗、思想的原点の崩壊を遂げている。
『民主派宣言』では、こうした白井の階級移行が、左翼的アリバイの仮象さえ自ら一切放棄し、もはや理論の痕跡(こんせき)さえとどめないほどの低水準な姿で自己暴露されている。
第一に、対カクマル戦への敵対と否定である。白井は、「内ゲバがあまりにもながく続きすぎて……」「カクマルとの戦争を二〇年にもわたってつづけなければならない必然性があったのか」と、「内ゲバ」などという言い方で、われわれが膨大な血を流して闘い、勝利してきた現代のファシスト・カクマルとの内戦の階級的性格を否定・解体している。破廉恥にも「ゲバを嫌っていた本多書記長」などという歴史を偽造するデマをもって白井自身の臆病さ、卑劣さとすりかえ、三・一四反革命に対する階級的怒りを心の中から一掃し、三・一四復讐戦を放棄しているのである。
白井は「たしかに復讐戦は必要であった。しかしそれを軍事主義的に徹底する方法ではなく……政治宣伝と大衆闘争に力をいれることでカクマルを凌駕(りょうが)し究極的な勝利を獲得する方法を追求するべきであった」などと言っている(『民主派宣言』七三ページ)。
とんでもない言い草である。この一語で白井は階級的断罪の対象である。
先制的内戦戦略の第一段階では政治宣伝も大衆闘争も党建設もすべて軍事の観点をもって、内戦性を貫いて闘ったのであり、それ以外のあり方はなかった。
第二段階にもこの関係、この内戦的性格は貫かれたのであり、対カクマル戦下の対権力戦争という性格もそこには求められたのである。白井の言辞は、カクマルの軍事的勝利を認めようというイデオロギーなのである。
白井は、内戦の第一段階だけでなく、第二段階にも敵対し、「国家権力に軍事的に敗北した事実を正面から認めて、先制的内戦戦略の第二段階(PU)を否定する総括がいま求められている」などと言い、一九七一年以来、内戦の第一〜第二段階を闘いぬき、五月テーゼのもと現在に至る革共同の全歴史への敵対を表明しているのである。
革命党の本格的登場に対する敵階級の内乱・内戦的攻撃としてのK=K連合政策を、われわれは二重対峙・対カクマル戦争として迎え撃った。「だからこそ革共同は、この戦争的プロセスのなかで長期持久的発展の観点にたちきることで、七〇年代から八〇年代の三里塚・国鉄(労働運動)・大学・沖縄・天皇をめぐる戦闘的大衆闘争を根幹において防衛し発展させることができたのだ」(清水選集第三巻序文八四ページ)。
この三十年間における日帝の危機の深刻化、階級闘争の屈折に富んだ動向、その中での革命党の任務の重大性、というレーニン主義的なスタンスを白井は根底から捨て去っているのである。一体、この全過程で、白井は自分がどこにいて、何をしていたと言うのか!
第二に、白井は、「ソ連崩壊をたんに従来の一国社会主義論の視点からのみではなく」「恐怖政治をソ連スターリン主義の体制の本質として捉える」「何と三〇年以上も前の一九六六年革共同第三回大会の一国社会主義論の『正しさ』を自己顕示的に守りぬこうとする」などと言っている。これはスターリン主義打倒を現代革命の綱領的課題から引き下ろし、スターリン主義にかんする革共同の綱領的規定−−「ロシア革命で開始された世界革命への歴史的過渡期の一国社会主義論による歪曲、共産主義運動の反動的歪曲」という核心的な規定を解体し、スターリン主義を、たかだか「反民主主義的体制」ぐらいのものに無害化しようとしているのである。
だから、白井が゛革共同・中核派は、日本共産党と同じスターリン主義の党”゛戦術左翼として、ハードスターリン主義”となったから「革共同・中核派の変革的再生」のためにこの本を書いた、などと仰々しくわめいても、その内実なるものは、たかだか「民主派宣言」なるものにすぎないのである。
第三に、レーニン主義に対する敵対である。白井は、「(中核派は)レーニン主義とスターリン主義の連続性を無視しつづけた」「レーニン主義組織論・国家論の全面的、徹底的な再検討」「レーニン国家論自体の弱点をソ連崩壊後のこんにち、われわれは冷静に究明してマルクス国家論を復権する必要がある」「独裁による社会主義の建設ではなく、プロレタリア民主主義による社会主義社会の建設」、あるいは「ボリシェビキの権力意欲(人間はすぐに威張りたがる動物である)の自己満足」などと言い、日本共産党=不破の文章と見紛うばかりの反レーニン主義をわめきちらしている。
では、レーニン主義組織論に反対する白井の「組織論」とはどのようなものか。「白井自己批判書」について白井は、「私は一度妥協的に自己批判したが、それは誤りであった」「妥協して党組織内に残ろうとして、屈服した」と開き直っている。
なんとこれが、転向分子白井の「組織論」なのである! 自分自身が書き記した自己批判書について、それを「妥協」とか「偽装転向」と弁解し、しかもそれすら破棄してしまうのが白井である。
そこにはプロレタリアート自己解放のための闘い、そのための革命的自己変革、組織活動をとおした主体変革の闘いというものがまったく欠落し、否定されているのである。
こうして見てくると、労働者階級の自己解放論に立つレーニン組織論に白井が反対するのは、むしろ当然のことであろう。
第四に、白井は、「人権の確立だけが歴史の進歩である」「マルクス主義は個人の解放の思想」などと言って、プロレタリアートの階級的自己解放=人間の普遍的解放というマルクス主義そのものの階級性をブルジョア的に解体してしまっているということである。
■結語
われわれは、このような白井の反革命的言動をもはや許してはおけない。われわれの怒りは頂点に達している。二〇〇〇年決戦の巨大な高揚の中で、権力・カクマルの手先として革共同破壊の目的だけで生きている反党転向分子・反革命分子=白井朗の犯罪的所業を全労働者人民の前に徹底的に暴露し、反革命的策動を粉砕し尽くさなければならない。
わが革共同はこのことをきっぱりと宣言する。
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週刊『前進』(1962号4面2)
2000年日誌 阻もう!戦争への動き
6月6日〜13日
有事は「自衛隊使う」と不破
海自が多国籍軍演習参加へ
●十区の会が要請行動
「ヘリ基地いらない二見以北十区の会」のメンバーが名護市役所を訪問し、同市への米軍普天間飛行場の移設を受け入れた岸本建男市長に対し、地元での住民説明会の開催を要請した。(6日)
●多国間演習を積極化と米海軍司令官 米海軍太平洋艦隊司令官のトーマス・ファーゴ大将が記者会見で、五月の米タイ合同軍事演習「コブラゴールド」に東南アジア数カ国がオブザーバー参加したことについて、「将来、東ティモールのような問題が起きた場合にも役立つ」と、今後アジア太平洋地域で多国間演習を積極的に行っていく考えを明らかにした。(6日)
●普天間代替協議機関設置先送り 政府は米軍普天間飛行場代替施設に関する協議機関設置を、サミット以降に先送りすることを決めた。軍民共用を前提とした代替施設の工法、規模について具体的なことが決まっていないことや、沖縄県議選や衆院選を考慮したという。(6日)
●「有事は自衛隊対応」と不破 日本共産党の不破委員長が、日共が将来政権入りした場合、当面は自衛隊を存続させ、有事の際には「自衛隊を使っても構わない」と語り、また天皇が「お言葉」を述べる国会の開会式を欠席してきた日共の方針についても「(日共が加わる)暫定政権の協議事項だ」と述べ、出席を検討する考えを示した。不破は自衛隊の解散についても、「廃止しても大丈夫だとみんなが思うには、相当な体験がいる。台湾海峡や朝鮮半島問題が解決され、アジアに平和秩序が築かれる中で世論は変わる」と述べた。(7日)
●米が北朝鮮制裁解除へ
韓国政府筋は、米国が南北首脳会談後に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する経済制裁の一部解除を実施に移すことで北朝鮮と合意していることを明らかにした。北朝鮮もこれと引き換えに、弾道ミサイル再発射保留についてさらに踏み込んだ立場を表明する。五月末にローマで開かれた米朝高官協議で合意したという。(7日)
●防衛庁が多国籍軍演習参加方針 米ハワイ沖で七カ国が参加するリムパック(環太平洋合同演習)について、リムパックが「地域紛争対応型」にシフトしてきているのを受け、防衛庁は、二年後の次回演習までに、米国との二国間に限定してきた日本の演習を、多国籍演習への直接参加を想定したものに改める方針を固めた。(8日)
●「銃後お願い」と森 森喜朗首相が今度は地元・石川県で、「選挙の時には『銃後のこと』と我々は言ってきた。私は前線で闘っているので、この地は皆さんでお守りいただけますようお願いしたい」と述べた。(10日)
●沖縄県議選が投開票 任期満了に伴う第八回沖縄県議会議員選挙の投票が行われ、即日開票の結果、公明党を加えた与党側が三十議席を獲得し、野党側は十八議席となった。(11日)
●警視庁がサミット警備合同訓練 警視庁が東京都江東区の豊洲警備訓練場で「サミット合同訓練」を行った。訓練にはサミットで同庁から沖縄に派遣される機動隊員らを中心に約千三百人が参加。「人間の鎖」や「ダイイン」などの抗議行動を想定した訓練が行われた。(12日)
●名護に「民間機整備場案」 沖縄県は、米軍普天間飛行場の代替施設問題で、代替施設内に民間航空機整備場の建設を盛り込むことを求める方針を固めた。建設工法、規模、形態などについて、県独自の計画案を策定し、沖縄サミット後に、政府と名護市に提示する考え。(12日)
●公明党沖縄県本部が与党入り表明 公明党沖縄県本部の高良政彦代表、糸洲朝則幹事長らが、県庁で稲嶺恵一沖縄県知事と会い、「県政与党の立場で協力していきたい」と述べ、県政与党入りすることを正式に表明した。(12日)
●浦添議会が劣化ウラン弾流出抗議決議 沖縄浦添市議会が六月定例会を開き、西原町内で見つかった「劣化ウラン弾薬きょうの民間地域流出に関する抗議決議」を全会一致で採択。流出経路の確認、米軍の有害物質や廃棄物質の管理徹底、日米地位協定の改定を求めた。(12日)
●衆院選が公示 第四二回衆院選が公示された。十二日間の選挙戦を経て二十五日に投開票される。衆院の選挙制度が小選挙区比例代表並立制に変わって二回目。定数は小選挙区が三百、比例代表百八十の計四百八十議席。(13日)
●朝鮮南北首脳会談行われる 韓国の金大中大統領が、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌を訪問、金正日・労働党総書記が出迎え、会談を行った。五十五年前に朝鮮半島が南北に分断されて以来初めて。両首脳は、゛民族の和解と協力”を図っていくことなどを合意。首脳間のホットライン設置などについて協議した。(13日)
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週刊『前進』(1962号5面1)
7月沖縄サミット粉砕へ総決起を
全世界の闘う人民と連帯し現地大デモを爆発させよう
革共同沖縄県委員会のアピール
第1章 衆院選決戦に絶対に勝利しサミット粉砕へ進撃しよう
七月沖縄サミット粉砕決戦は、六月二十五日投票の衆院選決戦と一体化し、戦後階級闘争史上かつてない階級決戦となった。
日帝は八方ふさがりの危機に直面し、そこからの唯一の脱出をかけて戦争国家化とアジア侵略戦争へのめり込み、凶暴な攻撃を全人民に仕掛けてきている。七月沖縄サミットと今次衆議院選挙は、こうした「これまでどおり」にはやっていけなくなった日帝が、対米関係を始めとする対外政策、階級関係から社会のあり方、人の意識にいたるまでのすべてを転覆しようとする攻撃の軸に位置しているものである。
同時にサミットと衆議院選挙は、日帝に全面屈服する既成左翼が劇的に変質し崩壊する中で、「これまでどおり」にはとても生きていけなくなった労働者階級人民が直接日帝と激突し、荒々しい階級闘争、全人民的な新たな運動・闘争が準備される場となりつつある。日帝はすでにその歴史的命脈が尽き果て、内部から朽ち始めている。
レーニンの言う革命的情勢の接近が絵にかいたように現実化してきている。
この歴史的な決定的局面に際して、プロレタリアートは資本主義の「医者」としてではなく「墓掘り人」として登場すべきなのだ。現在の彼我の力関係、現実の主体的力量がどうであろうと、われわれの目の前にある歴史的現実は、まぎれもなくそのことをわれわれに要求している。この歴史的要請に全面的、根底的にこたえるものとして、六月衆議院選挙決戦、七月沖縄サミット決戦において、われわれはまさに革共同の真価をかけて闘うのだ。
革共同結党以来のすべてをかけ、この決戦を断固勝ち抜こうではないか。
第2章 日米争闘戦の一層の激化と沖縄圧殺=戦争への大攻撃
衆院選決戦での長谷川必勝と、七月沖縄サミット粉砕決戦の大爆発をかちとるために、今一度七月沖縄サミットの反革命性、反人民性を鮮明にさせておこう。
ユーゴスラビア爆撃−コソボ軍事占領を「人道的介入」「世界正義」とうたった昨年のケルン・サミットに明らかなように、そもそもサミットとは、現代世界を支配し搾取・収奪する米帝を筆頭とする帝国主義国の、帝国主義国による、帝国主義的政治のための会議だ。第一回サミット開催以来の歴史的経過をみれば、サミットこそ帝国主義の反動政治の画期点であり、世界戦争への一里塚であることが歴然としてくる。そしてこれまでのどのサミットよりも、七月沖縄サミットは群を抜いて反動的、反人民的になろうとしている。
米帝のバブル経済の崩壊と世界大恐慌の危機、それと一体のものとして、中国の経済的・政治的危機、台湾・国民党政権の歴史的な崩壊、朝鮮南北会談、フィリピン・インドネシアの危機と人民の反乱など、アジア新植民地主義体制の崩壊と新たな民族解放闘争の爆発はますます日米帝国主義を締め上げ、アジアの支配をめぐる日米対立を一層非和解的にしている。こうしたことが七月沖縄サミットをいよいよ侵略的で反人民的なものにしている。
二〇〇〇年サミットを沖縄で開催するという日帝の決断は、直接的には暗礁に乗り上げたSACO合意(普天間基地の移設)の打開をめざし、名護・沖縄人民の反基地闘争を鎮圧・解体するためであった。
だが、日帝のサミットの沖縄開催の決断の理由はそれだけではなかった。その中には、日帝の対米対抗的・侵略的な均衡破壊的な意志があったのだ。それはいわば「沖縄の米軍基地は日帝の保証によって初めて存在するのだ」ということを押し出し、アジアにおける唯一の帝国主義国=盟主としての日帝の位置を外に向かってアピールしようとするものであった。
これに対して米帝は激甚に反応した。「普天間基地問題が解決しないまま沖縄サミットに行きたくない」「サミットは日米関係(沖縄米軍基地)の戦略的重要性を示すよい機会だ」(クリントン)、「沖縄サミットがあるから神の国発言が出る」などと日帝の意図を打ち砕くような言動をくり返した。「二十一世紀国家安全保障委員会報告」に続き国防総省の諮問機関の「二〇二五年のアジア」は、これまでとは一線を画したすさまじい対日争闘戦、アジア専制支配への米帝の意思を露骨に表している。
「(1)近い将来脅威があるのは欧州ではなくアジア、(2)ロシア、日本などに代わってインドのような重視されていない国が主力になるだろう。インドは米国のパートナーの対象として浮上する、(3)朝鮮半島の統一は……在日米軍の撤退、日本の核武装をもたらす可能性、(4)中国は一貫して米国の競争相手、(5)米国のアジアでの軍事作戦は今のままでは@複雑さ、A作戦範囲の広さ、B米軍基地の不足、C米本土からの距離の遠さ、などからうまくいかない、今の戦力規模から適当でなく、海軍、空軍力に重点をおくべき、(6)将来の危機に備えるなら、米国は今からアジアでのより実体のあるプレゼンスを策定すべき」だと。
七月沖縄サミットはこのように、それ自身が日米帝を始めとする帝国主義の対立・争闘を激化させることをとおして、より侵略的で戦争的軍事的意味合いを濃くしている。そして、それが沖縄基地へのしがみつきと軍事的強化の度合いを強めさせているのである。
さらに核心的なことは、二〇〇〇年サミットを沖縄で開催することそれ自身が、とりわけ中国、北朝鮮に対する軍事行動に等しい戦争性、攻撃性をもっているということである。
そうした中で、二〇〇〇年に入ってからの在沖米軍の演習は異常な激しさを増している。それはこうした政治的意図のもとに意識的に行われている可能性さえうかがわれるほどなのだ。
第3章 名護への新基地建設許さず米軍基地全面撤去へ闘おう
第1節 日帝・森の延命策動に断を!
日帝・森政権は、まさに絶望と崩壊の縁に追い詰められている。石原の「三国人」発言、森の「神の国」発言などは、こうした日帝の絶望と危機感の中から噴出してきた本音中の本音なのである。こうした状況の中で、何ひとつ国民的な支持や統合の方策を持ち合わせていない森・自公政権の唯一の積極的政策が「七月沖縄サミットの成功」である。
だから、森は事あるごとに「サミットの成功を」「サミット沖縄開催を決定した小渕の遺志をりっぱに成功させる」などとくり返している。まさに「サミットを成功させよう」キャンペーンは、今日の日帝にとっての愛国主義と排外主義、国民的戦争動員の集大成と化している。
すなわち、@沖縄の反戦・反基地の意志と運動、さらには国家に対する反対や抵抗意志そのものを「サミットの物質力」で押しつぶし、封殺し、その上で、A帝国主義の安泰とその世界支配の安定を「平和」と呼ばせ、人民をからめ取り動員するための「七月サミットで沖縄から世界へ平和の発信を」の虚偽のイデオロギーを洪水のごとく宣伝している。Bそして沖縄では、「世界からやってくるテロリスト、過激派の潜入を許さぬために警察と協力する地域体制の強化」「警備の円滑化への協力のためにマイカーと外出自粛」などが強制されている。
また、大量の警察官、海上保安庁、自衛隊が一部米軍との連携によって地域を全面的に制圧する。しかもこれらによる県民の日常的生活の破壊は「テロリストの侵入を防ぐため」「すべてサミット成功のため」との理屈で我慢せよと宣伝している。「サミットを成功させよう」キャンペーンの中には、かつてのアジア侵略や対米戦争を「正義」「アジアの解放」などと言って正当化した論理と思想、あるいは沖縄戦に向かって県民を動員していった構造がそのまま復活しているのだ。
ではこの日帝・森のサミットにかけた狙いは貫徹されているのか。まったく否である。確かに日帝のサミット攻撃は、かつてなく沖縄人民への重圧をもたらしている。既成左翼のすべてが完全にこれに屈服した。だが日帝の全体重をかけた二〇〇〇年サミット沖縄開催のもくろみは、すでになかば破産している。
まず第一に、直接の目的であった名護市民の海上ヘリ基地建設反対の意志を粉砕することをとおしてSACO合意貫徹へ突破口を開こうとした狙いはどうか。
「リコール断念」の逆流をものりこえた名護市東海岸住民を先頭とする必死の闘いによって、「普天間基地問題はすべてサミット後に持ち越し」となった。日米帝双方とも、名護市民、沖縄県民の辺野古・海上ヘリ基地建設反対の絶対的意志の前に、「これ以上普天間基地問題にこだわるとサミットの開催そのものが危うくなる」ところまで追い詰められたということだ。
「新設海上ヘリ基地・十五年使用期限問題」は、サミット沖縄開催をめぐる日米帝国主義の対立の激化をとおし、日帝・稲嶺の思惑をこえた解決不能の問題に転化してしまっている。
第二に、何よりも「サミットを成功させよう」運動は、まったく沖縄県民の心をとらえていない。
稲嶺県政誕生以降、基地だろうがサミットだろうが金になるものには何でも飛びつくような「奴隷根性」「守銭奴的志向」がばっこしてきている。だが「サミットを成功させよう」運動は、そのようなやからだけが、そのような意図で旗を振っているに過ぎず、そのあまりの軽薄さに県民総体からは完全にそっぽを向かれている。
第2節 7・20嘉手納基地大包囲へ
こうした中で第三に、サミットを反戦・反基地の国際連帯の場に転化しようとする運動と県民的意志が、帝国主義の思惑を超えて急速に発展しつつある。
七・二〇嘉手納基地包囲大行動は、主催者の思惑がどうであれ、サミットをもって沖縄人民の意志を圧殺し基地の県内移設・SACO路線を強要しようとする日帝とその手先・稲嶺に対する抵抗と怒りの爆発となることは不可避である。
第四に核心問題として、全学連沖縄派遣隊の宣伝隊を先頭とする革命派と戦闘的労働者人民のサミット粉砕闘争が猛然と闘い抜かれ、県民に浸透しつつあるということである。本年五・一五闘争は七月沖縄サミット粉砕の突破口として画期的な闘争となった。
七月沖縄サミットは、アジア人民、全世界の闘う人民と連帯する反帝国主義、反安保、反戦・反基地の国際的な大デモンストレーションが展開される歴史的画期的な闘争となることは確実である。
第4章 カクマル、日共の敵対粉砕し全国から沖縄現地に結集を
日本階級闘争にとって、二〇〇〇年サミットの開催はすべての政治勢力をふるいにかけ二十一世紀の行方を決する重大な決戦場となった。われわれ以外のすべての政党・党派がサミット攻撃に屈服している。その根拠は何か。そしてこうした中で労働者人民はどう闘っていくべきか。
サミットとは疑問の余地なく、日本帝国主義の沖縄に対する全体重をかけた攻撃である。その攻撃の最も重要な本質は、日本という国家の存在を思い切り押し出し、これに「逆らうのか、屈服するのか」ということを攻撃的に突き付けているところにある。
米軍基地問題、安保・沖縄問題を日帝の側から居直り的に突き出し、「国家への反逆」「国家が滅びても沖縄の要求をし続けるのか」と恫喝を加えているのだ。今や、「反戦平和」「ぬちどぅ宝」という全人民的な願い、要求であっても、それを路線的に貫き続けるためには、革命的共産主義、革命的祖国敗北主義の立場と思想が不可欠である、そういう時代に突入したということがいや応なく突き付けられているのだ。
この一方においては、沖縄の既成左翼の崩壊と変質が急速に始まっている。六月十一日投票の県議選において、革新・野党が「大敗」したことの原因は、そうしたところにあるのだ。
「沖縄の歴史研究家・琉大教授」の肩書きをもつ高良倉吉などが今「アジアにおける沖縄の位置と役割−沖縄イニシアティブのために」などという「積極的な侵略の先兵」論、森の「神の国」に唱和する日本民族主義同化論を提起して物議をかもしているのも、そうした時代への突入という同根から出てきているものである。
われわれがいま肝に銘じなければならないことは、目の前のサミット反革命と命をかけて闘い勝利するものだけが、二十一世紀の沖縄階級闘争、日本階級闘争の主人公となれるということである。なぜならサミット攻撃はある意味で日帝にとって後のない「最後の切り札」であり、また「すべてを出し尽くす攻撃」でもあるからだ。問われているのは安保・沖縄問題、沖縄・日本問題と根底から対決する綱領と路線なのである。
サミット反革命と真っ向から対決し、日帝の戦争国家化と侵略戦争への突入を阻止する力をもった党と力強い労働者階級の登場、これこそ沖縄人民が待ち望んでいるものなのだ。
日本共産党は当初の見せかけの左翼性と「サミット反対」を完全に捨て去り、「沖縄の米軍基地をあますところなく見せる」という、実際には最も悪質なサミット翼賛の役割を果たしている。
まったくこっけいなのがカクマルである。カクマルは、サミットの沖縄開催決定に震え上がり、以来「サミットによる『○○に反対』『△△を許すな』」などと、「注意深く」「用心に用心」を重ねて直接サミット反対、粉砕と表現しないようにサミット翼賛を日帝にアピールしてきた。しかし、サミット反革命と人民との激突情勢の前に、「サミット反対」を言わない自らの反革命的正体を完全に人民に見透かされ、最近では若干手直しをし、他人に聞こえないように「サミット反対」をつぶやき、見えないように「サミット反対」を書いている。
JR総連の組織的危機にのたうつカクマルは「中核派のサミット粉砕決戦」粉砕を掲げて日帝国家権力にすり寄っている。カクマルの敵対を木っ端みじんに粉砕し、サミット決戦の爆発をかちとろう。
すべての労働者人民は、全学連を先頭に沖縄現地に総結集し、帝国主義と闘うアジアを始めとする全世界の人民と連帯して、国際的な大デモンストレーションに立ち上がろう。
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週刊『前進』(1962号5面2)
7・2三里塚現地闘争へ
反対同盟農民の圧殺狙う暫定滑走路工事阻止せよ
第1節 軒先工事の暴挙は許せない
昨年十二月、運輸省・公団は「二〇〇二年五月供用開始」をうたい、暫定滑走路の着工を一方的に強行した。以来、反対同盟・地権者農民を屈服させるための軒先工事が大々的に進められている。農地と家屋周辺をフェンスで覆いつくし、農村環境をズタズタに破壊して、工事を強行するという常軌を逸したやり方だ。
すでに天神峰・東峰地区全体が、非人間的な工事用フェンスで完全に覆われている。そして公団は、暫定滑走路完成後には反対農家の五十メートル脇でジェット機を自走させ、母屋の上空四十メートルにジェット機を飛ばすと公言している。警察権力は反対同盟農民・家族への日常的な検問や尾行、イヤガラセをくり返している。立き退きを迫る露骨な脅しだ。これらを運輸省・公団は「話し合い」とか「共生の努力」と称しているのだ。
一部マスコミはこうした事態を積極的に許容し、地域反動勢力と一体となって「反対農家は共生の努力にこたえるべき」(六月六日付朝日新聞千葉版)と屈服を迫っている。まさに本末転倒である。
日帝・運輸省が凶暴な二期攻撃を再開した背景には、平行滑走路(注)建設の根本的挫折の危機がある。日帝・運輸省は三十五年にわたる成田空港建設の歴史をとおしてついに空港完成の展望を断たれる寸前に追い込まれているのだ。
成田空港建設の最後的破綻(はたん)は、日帝の航空運輸政策に破壊的影響をもたらす。それは日帝のアジア侵略と国内階級支配の最弱の環が崩壊する問題でもある。日帝国家権力と非妥協的に対決し、労農連帯の階級的立場と実力闘争で闘いぬいてきた三里塚闘争の勝利性が、二〇〇〇年決戦の中であらためて決定的な意味を持ってきている。
それゆえ日帝権力は今、三里塚農民の闘いをたたきつぶすために、農家の軒先に滑走路先端部を突き付けるような滑走路を造るという、むきだしの農民殺しを強行しているのだ。
これらの攻撃に対し反対同盟は、「どんな理不尽も゛やった者勝ち”の空港建設は認められない。あくまで廃港をめざし実力で闘う」(北原鉱治事務局長)、「軒先工事が民主主義とは本末転倒。゛戦争の道(軍事空港)”とは共生できない。三里塚は沖縄と結び反戦を貫く」(萩原進事務局次長)と、断固とした闘いを続けている。故市東東市さんの長男孝雄さんも、「父東市の生き方を無駄にしない。仲間の皆さんとともに頑張る」と決意を明らかにしている。
わが革共同は、三里塚闘争の共同の創成者として反対同盟との血盟を果たし、その不屈の闘いを守り抜く決意である。反対同盟が呼びかける「天神峰・東峰二年間決戦」の檄(げき)にこたえ、日帝・運輸省、公団への怒り込めた反撃をたたきつけなければならない。
第2節 危機の日帝に階級的反撃を
日帝支配階級は今、世界史的激動の到来と朝鮮侵略戦争の歴史的切迫情勢のもとで、自民党を中心とした戦後民主主義的支配の全面破綻に直面している。戦後発展を支えた政治・経済体制、軍事、外交、イデオロギー、その他あらゆる政策分野が破綻し、国家延命の明確な道筋を立てられないまま支配階級自身が分裂し、かつてない政治危機を深めている。森・自公政権の動揺と支持率の極端な低下、総選挙での自公体制の危機はその表れだ。
日帝が絶望的な政治危機、体制的危機から延命していく道は、戦争とリストラ・大失業と福祉解体の攻撃である。新ガイドライン体制構築=戦争国家化と朝鮮・中国−アジア侵略戦争の攻撃である。そのためにこそ森は天皇制国家の復活を叫んでいるのだ。森や石原の暴言は、けっして時代錯誤ということではない。
日帝は今、背水の陣で総選挙を突破し、沖縄サミットを強行して、有事法制制定と改憲攻撃に走り出そうとしている。この基本的方向において自公体制も民主、自由も変わりはない。日本共産党スターリン主義は改憲派の急先鋒(せんぽう)である民主党との連立政権入りを公言、そのために安保容認、天皇制容認という全面転向の姿勢を打ち出した。しかし労働者階級人民はこの未曽有の政治危機の中で、歴史的な大流動と決起を開始している。
戦後の日帝の代表的支配政党である自民党の政党支持率が二割台にまで下がり、「支持政党なし」が五割を超える事態は支配階級を震撼(しんかん)させている。「天皇中心の神の国」発言に抗議し、森政権を土台から揺るがしている力は、アジアへの侵略戦争を拒絶する圧倒的な労働者人民の声だ。
日帝権力は、天皇制復活とアジア再侵略戦争への道をむき出しにして上からの階級決戦を挑む以外にないが、これに対して真に階級的な反撃をたたきつけるならば、労働者人民の一大反撃が奔流となって始まることは間違いないのである。
今、沖縄闘争や国鉄闘争、そして三里塚闘争をめぐって開始されている日帝権力と労働者人民との熾烈(しれつ)な攻防は、こうした階級闘争の帰すうを決する階級決戦そのものだ。
労働者人民は今、急速に、闘う以外に生きて行けないギリギリの地点に立たされつつある。階級的に団結し、戦争の道に真っ向から反対し、闘い抜く道筋を示すことが問われている。
総選挙決戦に絶対に勝利し、沖縄、国鉄、三里塚の闘いで問われているのは、労働者人民がどこへ行くべきかという問題だ。
第3節 反対同盟守り2年間決戦へ
二〇〇〇年決戦における三里塚闘争の意義をあらためて確認したい。
三里塚闘争は、日帝の階級支配と治安政策の破綻点であり、また七〇年安保・沖縄決戦の戦闘的資質を今日まで不屈に継承・発展させてきた、労働者人民のかけがえのない闘争拠点だ。
既成左翼指導部を総転向状況に追い込んだ八〇年代反動(国鉄分割・民営化攻撃と三里塚二期攻撃、天皇制攻撃など)に真っ向から立ち向かい、階級的実力闘争の拠点を血みどろになって守りぬいた三里塚闘争の地平が、二〇〇〇年決戦の広範な陣形を支えている。
われわれはこの三里塚闘争を、二〇〇〇年決戦と二十一世紀の大激動にむけて、何があろうと守りぬかなければならない。
三里塚はこの夏、大きな激突点に向かっている。
暫定滑走路建設のタイムテーブルについて、公団は七月上旬から滑走路と誘導路全域の本格造成工事を行い、来年二月から舗装工事に入るとしている。完成は二〇〇一年十一月。その後、飛行テストや各国への通告手続きなどを経て、二〇〇二年五月のサッカーW杯に合わせた供用開始を予告している。これまでの成田空港建設は、さまざまな反対運動から工事の遅れは日常茶飯事だった。今回はその余裕がほとんどないギリギリの工事日程である。
革共同は「二年間決戦」を訴える反対同盟の闘いにこたえ、この過程を平行滑走路建設の最後的破綻に追いこむ闘いとしてやりぬく決意である。
公団は、工事日程の一日の遅れが致命的打撃につながる地点に立たされている。衆院選決戦になんとしても勝利して、七・二現地総決起集会を、労農学人民の総反撃の突破口として闘いとろう。
七・二集会は同時に、沖縄サミット粉砕決戦への出撃集会である。武装を固め、三里塚現地への圧倒的な結集を訴える。
(注)平行滑走路
通称Bラン。成田空港の二本目の滑走路で当初計画は二千五百b。八六年十月に着工したが、強制収用攻撃の挫折(ざせつ)=収用委の崩壊で中断している。
暫定滑走路計画は、平行滑走路予定地の「未買収地を避ける」と称して北側へ八百bずらし、南側を短縮して二千百八十bとしたもの。公団は天神峰・東峰区の用地問題の解決で三千三百メートル滑走路への延長をねらう。
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週刊『前進』(1962号5面3)
反対同盟からの呼びかけ
お知らせ
三里塚芝山連合空港反対同盟
三里塚闘争をともに闘う皆さん。政府・空港公団は七月上旬にも、暫定滑走路と誘導路本体の造成工事に入ることを明らかにしました。現在、天神峰と東峰一帯に工事用フェンスを張り巡らし軒先工事を強行しています。県道沿いのフェンスに「平行滑走路建設中二〇〇二年初夏供用開始」と大書した看板を掲げました。反対同盟は七月二日に東峰地区の空港予定地で決起集会を行い、この攻撃をむかえうつ決意です。
建設中の暫定滑走路を「平行滑走路」としてうちだすのは反対同盟と地権者農家に対するあからさまな挑戦です。「平行滑走路の建設はあくまでも地元住民の合意を得て」というのが、これまでの政府・運輸省の公式表明でした。この公式表明をとりつくろうために、暫定滑走路は地権者の土地を避けて計画し着工したのです。着工したら言葉をひるがえして「平行滑走路」と称するのは住民にたいするだまし討ちです。同時に軒先工事と騒音による生活破壊をもって反対同盟・地権者を追い出す「地上げ屋」行為の公然たる開き直りです。ほころびを塗り隠し、強引におしきろうとする自公政権を象徴する暴挙です。反対同盟は農民殺しを重ねる政府権力に敢然と闘いを挑むものです。
暫定案は三七○○メートル軍用滑走路の建設計画です。同案で北側にずらした部分を加えて延長滑走路とし、朝鮮有事の際に米軍爆撃機が出撃できる軍用滑走路としようとしていることが、政府の開き直りでますますはっきりしました。
昨年の新ガイドライン法制定以後、三里塚暫定案の打ち出しと沖縄名護の基地移設−サミット、「日の丸・君が代」法制定を引き継ぐ石原都知事の「三国人」発言、森首相の「神の国」発言など、ふたたび侵略戦争にむかう動きが激しくなりました。七・二三里塚集会は暫定滑走路を粉砕し、七月沖縄闘争にたちあがる総決起の場です。有事立法・改憲、基地整備を阻止する力を結集したいと思います。皆さんの大結集を訴えます。
二○○○年六月十二日
(連絡先)事務局長・北原鉱治/成田市三里塚115
TEL0476(35)0062
《記》
暫定滑走路建設阻止、農家追い出しの軒先工事粉砕
7・2三里塚現地総決起集会
日時/七月二日(日)正午
会場/成田市東峰(萩原さん宅畑)
主催/三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『前進』(1962号6面1)
北富士演習場撤去、入会地奪還、11月米軍演習阻止へ
忍草農民と血盟うち固め
第1節 国会連続座り込みと損賠勝利の地平
忍草(しぼくさ)村入会集団と北富士忍草母の会は、昨年十二月三日から延べ三十四日間にわたる国会前での座り込み闘争に決起した。
連日にわたって、富士山の大カラー写真と北富士演習場撤去を求める横断幕を掲げ、北富士演習場の不法・不当使用を徹底的に弾劾して闘った。
とりわけ、忍草母の会を弾圧し、忍草第二組合にテコ入れして、北富士演習場を維持・強化していくために、第二組合にばらまいている毎年一億三千万円の林雑補償金と称する不正支出を暴露、弾劾するものとして闘いぬかれた。日帝は日米新安保ガイドラインに基づく戦争国家体制づくりのために沖縄、三里塚、北富士、国鉄など、労働者人民の闘争拠点をたたきつぶす攻撃をかけてきている。
一九九八年七月三日、最高裁が「檜丸尾(ひのきまるび)に忍草農民の入会権はないから、檜丸尾の入会小屋は撤去せよ」とする反動判決を下した。これに続き、山梨県、吉田恩賜林組合、第二組合が一体となって檜丸尾の売り渡し契約を同年八月二十八日に締結した。
北富士・梨ケ原の一角に位置する檜丸尾は、一九五五年忍草農民が米軍演習を実力で阻止し、その結果奪い返した忍草農民の入会地である。忍草農民は檜丸尾に赤松を植え、入会小屋を建設し、ここを拠点に北富士演習場撤去、入会地奪還を闘いぬいてきた。この檜丸尾から忍草農民をたたき出し、入会権を抹殺し、北富士闘争を圧殺する攻撃として最高裁反動判決が下されたのである。
今回の座り込みはこの敵の入会権抹殺、北富士闘争つぶしの攻撃をはね返し、政府に対して北富士演習場撤去、入会地奪還を迫る闘いとしてかちとられた。
また、この座り込み闘争は社民党を突き動かし、二月二十二日、社民党国会議員が国会に質問書「北富士演習場地区に係わる林野雑産物損失補償金の支出に関する質問趣意書」を提出した。林雑補償支出の実態はこの間、忍草村入会集団が山梨県演習場対策室などに何度要求しても、県側が一切公開してこなかったものである。なぜなら現在の林雑補償金の実態は、政府、山梨県による北富士演習場の維持・強化、忍草母の会つぶしのための第二組合への違法な支出にほかならないからである。
今回の座り込みは、北富士闘争を国会で問題にせざるをえないところまで闘いぬかれたのである。
さらにこの間、今一つの勝利がかちとられた。
今年三月に甲府地裁は忍草母の会の訴えを認め、吉田恩賜林組合に十万円の損害賠償を命じる判決を下したのだ。
一九九七年七月、日米新安保ガイドラインとSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意によって、在沖米軍による県道一〇四号線越え実弾砲撃演習の北富士をはじめとする本土五カ所への移転が決定され、最初の実弾演習が北富士で強行された。
忍草母の会はこの演習に対し北富士演習場入り口の入会地に演習反対の大看板を設置し、座り込みに入った。その一方で、演習場内にゲリラとなって突入し、半日にわたって演習を阻止するなど、自衛隊、米軍に大打撃を強制した。
この闘いに追い詰められた防衛庁は、許し難いことに吉田恩賜林組合を使って、この大看板を夜陰にまぎれて破壊、撤去するという暴挙に出たのであった。
北富士忍草母の会は、この大看板破壊、撤去、入会権抹殺、北富士闘争圧殺の暴挙を弾劾し、吉田恩賜林組合への損害賠償を求める裁判を闘いぬいてきた。
今回の判決は、母の会のこの正当な訴えを認め、吉田恩賜林組合に十万円の損害賠償の支払いを命じたのである。
忍草農民は、最高裁による反動判決、それと一体となった檜丸尾入会林の売り渡し攻撃を粉砕し、入会小屋を今も守りぬき、さらに新たな決起をかちとっている。甲府地裁での勝利の判決をも武器として、今年十一月の米軍演習阻止闘争に決起しようとしている忍草母の会に連帯し、北富士闘争に決起しよう。
第2節 侵略戦争の最重要演習場に実力対決
北富士演習場は、陸上自衛隊の六つの大演習場の一つである。防衛庁が「北富士演習場は東富士とあわせ、わが国にとってかけがえのない演習場」と言っているように、隣接する東富士演習場と一体のものとして「富士演習場」と呼び、使用している。富士演習場は矢臼別演習場(北海道)に次ぐ面積をもち、首都圏に近接することなどから極めて重要な演習場となっている。
現在は、北富士忍草母の会の闘いによって阻止されているが、静岡・山梨県境越え実弾演習の最大射程が二十`とれるうえ、師団規模(一個師団は約九千人)の大規模な演習や長距離砲の実弾演習ができる数少ない演習場である。またとりわけ、米海兵隊が一九五〇年代末に司令部を富士から沖縄に移した後も、恒常的施設としてキャンプ・フジを設置し、海兵隊が一貫して長距離砲実弾演習を実施してきた本土で唯一の演習場である。
他方、地理的に首都に近いことから、治安維持の観点から重視され、五つの駐屯地と陸上自衛隊富士学校など重要施設と部隊が配置され、一大軍事拠点が形成されている。(下図参照)
実際にも、朝鮮戦争、あるいはベトナム戦争で、富士演習場は、米軍のキャンプ地、実弾演習場として使用され、ここから米軍は朝鮮・ベトナムに出撃していったのである。
許せない歴史的事実として、朝鮮戦争の際には、朝鮮の青年を連行し、北富士演習場の一角に模擬の朝鮮の部落をつくり、米軍だけでなく、韓国軍の訓練も行われた。
さらにベトナム戦争で、米軍は、富士と沖縄を往復し、沖縄では主に小火器、富士では大型火器の訓練を行ってベトナムへ出撃していった。
また新ガイドライン体制において、富士演習場は、沖縄とともにきわめて重要な演習場とされている。
こうした中で、北富士闘争は、忍草農民の入会地である富士山・梨ケ原を、米軍および自衛隊が演習場として取り上げていることに対する忍草農民の必死の入会地奪還の闘いである。
標高千bの高冷地で、富士山の火山灰土や溶岩原で覆われたやせた土地で生活する忍草農民は、古来より富士山麓・梨ケ原入会地を命の山としてきた。梨ケ原を耕し、桑やそばを植え、草を刈り、粗朶(そだ)をとり、木を切って生活してきた。梨ケ原が生活の八割を支えていたのだ。
忍草農民は、梨ケ原を奪い返すために一九五五年、米軍演習実力阻止に決起して以来、一貫して実力闘争を闘いぬいてきた。
忍草母の会はベトナム戦争のさなか、一九六七年七月から三年三カ月にわたって演習場内の着弾地に小屋を建てて座り込み、その間、米軍の実弾射撃を完全にストップさせた。この闘いを始めとして、ゲリラ闘争でたびたび実弾射撃を阻止してきた。
朝鮮侵略戦争を強行する上で、一五五ミリ榴弾(りゅうだん)砲の能力をフルに発揮して大部隊の訓練を実施するには、二十キロの射程がとれる東富士・北富士一体の県境越え実弾演習が不可欠となる。忍草母の会の闘いがこれを阻みつづけているのである。
北富士は、沖縄、三里塚と並んで、全国の先頭に位置する反戦・反基地闘争の拠点である。
第3節 沖縄と連帯し11月演習阻止に立とう
今年十一月には、北富士演習場で、三回目の在沖米軍による実弾砲撃演習が強行されようとしている。
四月末に米国防次官補代理を退任したキャンベルは、激動する中国、朝鮮情勢に対し「ガイドラインを実施に移す作業の継続、さらに、より頻繁でかつより踏み込んだ形の、ハイレベルな戦略対話が必要だ」と発言した(五月四日付朝日新聞)。これは米帝がガイドライン体制の発動に向かって猛然と突き進んでいることを示している。
また、森政権は、所信表明演説で有事立法制定を公言し、ガイドライン体制構築に向かって攻撃を開始している。昨年の新安保ガイドライン関連法の成立以降初めての十一月米軍実弾演習を粉砕する闘いは、切迫する新安保ガイドラインの発動を阻止し、戦争国家体制を粉砕する闘いである。
北富士忍草母の会はすでに米軍実弾演習粉砕の闘いを宣言し、全国の労働者人民に檄を発している。この母の会の檄にこたえ、新基地建設阻止、沖縄サミット粉砕を掲げて決起している沖縄人民と連帯し、闘うアジア人民と連帯し、十一月米軍実弾演習を何としても阻止しよう。
日本帝国主義は、新安保ガイドライン体制発動に際し、公務員・民間を問わず、大量の労働者の戦争動員を狙っている。闘う労働運動の新しい潮流を強化して反撃するとともに、北富士、沖縄、三里塚など反戦闘争の最前線にはせ参じて闘うことこそが侵略戦争を阻止する道である。すべての労働者に北富士闘争への決起を強く訴える。
衆院選決戦、沖縄サミット粉砕決戦に猛然と決起するとともに、忍草農民との血盟をさらにうち固め、十一月在沖米軍北富士演習を粉砕し、檜丸尾入会林を守り抜き、北富士闘争勝利を絶対にかちとろう。
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週刊『前進』(1962号6面2)
サミットに異議あり! 2
私も戦争会議だと思う基地を包囲し体張って
北富士忍草母の会事務局長 天野美恵さん
第1節 現地に行き闘う
私も沖縄現地に行って、沖縄サミット粉砕を闘おうと思っている。
名護に新基地をつくるために、沖縄でサミットをやるというやり方は、本当に許せない。また沖縄にあの沖縄戦を強制することになるわけでしょう。
今年も十一月には北富士に米軍が演習に来るし、沖縄と北富士は切っても切れない関係です。
戦後、沖縄から米軍が北富士へ来て、演習をやって、また沖縄へ帰る。それからベトナムへ行くということをやっていた。「平和な富士を取り戻せ、米軍を追い出そう」と、今日まで闘い続けてきた。
サミットを絶対に粉砕しないといけない。大勢の力、団結の力で粉砕しないといけない。二度と沖縄を戦場にしてはならない。沖縄だけの問題ではない。私たちの問題だと思うの。沖縄の基地を全部包囲して、体を張って粉砕しなければならない。何か目に見える闘いをしないとダメ。
第2節 命かけ座り込み
北富士を見なさい。今までゲリラで演習を止めてきた。「私たちの入会地をなぜ撃つのか。平和な富士の山を撃つな」これが一番の原点。なぜ忍草母の会が強いのか。それは入会権を持っているから。米軍や自衛隊や警察が入会地を荒らしているのを、私たちは大手を振って座り込みをしてきた。座り込みは誰でもできる。この座り込みで何十年も演習を止めてきた。
だから沖縄に行っても、基地座り込みでも何でもやりますよ。私たちも、三里塚の反対同盟もやりますよ。これまで命かけて闘ってきたんだから、全国から行く人や、特に若い人たちは、体を張って闘うという決意で基地を包囲して闘わないといけない。
私はサミットは戦争会議だと本当に思うよ。政府は「沖縄から平和を発信する」なんて言っているけど、冗談じゃないよ。沖縄でサミットをやるというのは、朝鮮や中国で戦争をやるということだと思う。
名護では、私のような年寄りが座り込みをしていると聞いている。名護に行ったら、北富士のことを話したいと思っているの。今まで何十年も座り込みをして闘ってきた経験を話したいと思うの。
第3節 ゛お金は一時゛
もし、名護に新基地がつくられることにでもなれば、広大な生活圏を取られちゃうんでしょう。私たちと同じだよ。海を取られて、基地にするという、忍草は山というだけで同じだよ。私は名護の年寄りの気持ちが痛いほどわかるよ。
だから、サミットはなんとしてもつぶしたい。政府はお金をばらまいて黙らそうとする。北富士もそうだった。でも「お金は一時、土は万年」という昔からの言葉がある。土や海があれば、一生、子や孫の代もやっていける。今お金を取れば、すぐなくなっちゃう。名護の人に言いたいのは、絶対に金に負けてはいけないということ。私たちはイヤというほど、その思いをしている。でも、金で闘いはつぶせない。北富士や三里塚が証明している。私はそれを名護の人に言いたい。だからどうしても名護に行きたいと思っている。
クリントン大統領が来られないような闘いをやらないといけない。クリントンは「沖縄の基地問題が解決しないなら、沖縄には行かない」なんて言ってるけど、六〇年安保闘争の時、たくさんの人が国会に集まって、アイゼンハワー大統領が来られなかったような闘いをやらないと。
北富士は、十一月の米軍の演習も実力で粉砕する。
沖縄の人が平和を求めているのに、また新しい基地をつくるなんて許せない。絶対にサミットは粉砕しましょう。
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週刊『前進』(1962号6面3)
福嶋裁判
安田の偽証暴く
「飛距離計算」の大ウソ
五月三十日、東京地方裁判所で無実の福嶋昌男同志に対する爆取デッチあげ弾圧の第一〇八回公判が行われた。ここで検察側証人による「岩手借家押収メモ」の内容分析を口実として「福嶋同志が砲弾の飛距離計算を行った」とする検察官の主張が、何の根拠もない、まったくのデッチあげであることが暴かれた。
検察官は、岩手借家から不当押収したというメモ類の中に、一九八六年迎賓館と米軍横田基地へのロケット弾戦闘のための事前実験とされる「MS実験(砲弾の発射実験)」に関するメモや、その実験に基づいて新型砲弾の飛距離計算を行ったメモが存在したとでたらめを言い、福嶋同志がそれらの計算を行って、両戦闘の発射地点の選定に寄与した、とデッチあげている。
警視庁公安機動捜査隊の安田敏夫は、「岩手押収メモを分析した結果、本件砲弾の飛距離計算を行っているメモがあった」というデッチあげを証言していた。
今回の裁判では、この安田に対する弁護側の反対尋問を徹底的に闘った。弁護人は、メモ一点一点について、その内容を厳しく質(ただ)し、安田証言のウソを指摘し弾劾した。
その結果、安田は「計算に使った式は間違っている」「正しく解法した式はありません」「結果は間違いだが、発想はよい」などとしどろもどろとなり、弁明に終始せざるを得なかった。
こうして安田は、検察官の質問に答えて証言した「滞空時間から初速を算出し、飛距離計算を行った」「飛距離三倍化計画を立案し、実現した」などのデッチあげ証言のことごとくを事実上撤回したのだ。
事実は明らかだ。権力は、革命軍の八六年四・一五、五・四ロケット弾戦闘の爆発に恐怖し、震えあがって、「五・七宣言体制」を発動し、その重要な一環として本件両事件のデッチあげを計画した。両戦闘となんら関係ないメモ、さらには両戦闘の砲弾の飛距離計算などとは到底言えないメモを、「計画、準備」としての「飛距離計算メモ」であると意図的に「解釈」しデッチあげたのだ。この安田の偽証は、まさに罪万死に値するものだ。安田よ、自らのこの階級的犯罪行為の重大性に震撼(しんかん)するがいい。
このような検察側立証の決定的破綻を前にして、刑事第三部の服部悟裁判長は、あろうことか証人に助け船を出し、「細かい点は色々あるようだが、全体としての感想はどうか」などと、゛これまでの反対尋問など抹殺する”と宣言するに等しい、許し難い質問を行った。
こんな感想や印象、しかもデッチあげの下手人である公安刑事の主観的意見をもって立証にすりかえようとする裁判長の反動的やり口を絶対に許してはならない。
この勝利の地平を確認し、さらに無罪をかちとるまで闘い抜こう。次回六月二十日の公判より、メモ類の「筆跡鑑定」を行った警視庁科学捜査研究所の小島直樹に対する反対尋問が行われる。メモの筆跡を福嶋同志のものとデッチあげる小島証言の粉砕へ、さらに闘おう。
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週刊『前進』(1962号6面4)
橋本控訴審
T訓練士を追撃
検察控訴の不当性明白
橋本同志に対する犬の臭気選別を使ったデッチあげ事件の控訴審第六回公判が五月三十一日、大阪高裁で開かれた。裁判所は今回、検察と弁護側双方に、現在行われている犬の訓練士T証人の尋問が終わったところで弁論を出すように要求してきた。これは、検察控訴趣意書が根拠としたT訓練士の原審批判が、この間の尋問で完全に破産してきた中で、裁判所が公判の建て直しをはかるために持ち出してきたものである。
T訓練士に対する反対尋問は今回で三回目になるが、前回に引き続いて核心的な反対尋問が行われた。本件の犬の臭気選別の根本的問題点は、@濃度コントラストによる選別、A犬に対する指図・誘導、B外部臭による選別、の三点である。今回の公判では、濃度コントラスト論に対する検察の批判がまったく理由がないことが暴き出された。
濃度コントラストによる選別が起こっていないのかどうかの最も重要な問題の一つは、その使役犬に対して、そういう訓練を行ったのかどうかということである。しかし、この点についてのT訓練士の説明は、まったく説明になっていない。T訓練士は原審では、「(自分の著作にあるように)マルコやペッツオに対してそういう訓練を行った」と証言している。
ところが、他の刑事事件での法廷証言では「そういう訓練を行ったことはない」と証言している。さらに本控訴審での検察主尋問では、「濃度差の訓練は行ったが、『対照臭布』と『誘惑臭布』の濃度の付け方が逆である」という証言をしている。そして、T訓練士が言う根拠とは「『誘惑臭布』の方は他の選別にも使用していて犬の唾液がついているから濃度が濃い」というもので、意味不明である。
次に、検察が濃度コントラスト論に対する反対証拠としてあげている選別のビデオが上映されて、追及が行われた。この選別は、検察が、犬が「対照臭布」を一つだけ嗅いでそれを持来しているので、濃度コントラストによる選別は起きていない証拠であると言っている選別である。
ところが、なんと犬はその「対照臭布」をくわえる前に二つも「誘惑臭布」を嗅いでいるではないか。犬ははっきりと嗅ぐ動作を行っているのだ。検察と打ち合わせしていたらしいT訓練士は頑として「いや、他の臭布は嗅いでいない」と言い張った。しかし、ビデオを突きつけられ、ついに「鼻をつけている」ことを認めざるをえなくなったが、「鼻をつけてはいるが、犬は呼吸をしており、吐く息の時は嗅いでいない」などと開き直る始末である。
T訓練士に対する尋問もいよいよ終盤になってきた。裁判所による証拠調べ継続策動を断じて許さず、直ちに検察控訴を棄却せよと弾劾していかなければならない。
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