ZENSHIN 2000/06/05(No1959 p06)

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週刊『前進』(1959号1面1)

 天皇制復活暴言の開き直り絶対に許すな

 森内閣は直ちに退陣せよ

 介護保険制度廃止の大運動を

 ファシスト石原追及し打倒へ

 日共の屈服粉砕し長谷川当選かちとれ

 福祉と介護をとりもどせ

縄現地行動隊と沖縄労組交流センターに結集する労働者たちが、「サミット翼賛」−岸本名護市長リコール中断という逆流=四月反動をものともせず不屈に闘い抜いたことが、沖縄階級情勢の五月転換とも言える反転攻勢を切り開いた。米軍基地とサミットを巨万の大衆的闘いで包囲し、粉砕する情勢が一気に煮詰まってきた。反戦共同行動委員会は、沖縄−本土の階級的連帯とは何か、本土人民としての沖縄への階級的責務とは何かを学び、自らの闘いへの確信を強固なものにした。さらに五・二八全国総決起闘争を闘い、六月衆議院選挙決戦と七月沖縄サミット粉砕決戦へ大進撃しよう。今こそ、全国から杉並に総結集し、長谷川英憲氏の勝利のため総決起しよう。森とファシスト石原を打ち倒そう。

 第1章 父石原慎太郎と一体の伸晃は絶対ノーだ

 日帝・森自公政権は、小渕政権以上のウルトラ反動政権であることがいよいよ鮮明になった。
 アジア人民・在日アジア人民に対する排外主義を扇動し、自衛隊の治安出動を強行するファシスト石原都知事の四・九暴言に続き、今度は、首相・森自身が、「日本は天皇を中心とした神の国」「天照大神や神武天皇を教育現場で教えよ」という決定的暴言を吐いた。さらに、石原都知事は、アジア人民・在日アジア人民の怒りを逆なでするかのように、石原お抱えの右翼暴力団・日本青年社を使って中国領・釣魚台に「神社」を「建立」させ、五月二十日には台湾総統就任式に出席した。そして、「台湾統一を言う江沢民はヒトラーだ」「中国は分裂国家になることは間違いない」と、またしても、中国への戦争挑発を行った。
 森と石原の暴言が繰り返されているのはなぜか。新安保ガイドライン体制によって戦争のできる国家に大転換するために、自衛隊の帝国主義軍隊への飛躍や天皇制教育を本気で追求しているからである。森は歴代首相として初めて、所信表明演説で有事立法に言及した。九・三首都防災訓練とは、首都から内乱勢力(とその萌芽)をせん滅・一掃する自衛隊の治安出動演習である。石原による中国への戦争挑発は、これと一体の大反革命である。
 小渕がサミット沖縄開催を決断した目的もそこにあった。石原も、ファシスト的中国政策を推進する上で、サミット会場は沖縄の方が意味があると判断した。だから、「東京から日本を変える」と「都知事外交」を売り物にしている石原が、小渕・野中の「地方開催」説に異論をはさむことさえしなかった。実際、石原は、「周辺事態に台湾が含まれるのはあたり前」「そのために沖縄の米軍は控えている」「新ガイドラインに自治体が協力するのは当然。羽田空港でも何でも全部米軍に提供する」と言っているのだ。
 石原は、そのために沖縄を徹底的に踏み台にすることを、日帝以上に追求している。むしろ、日帝がやりたくてもできないことを見越して、その突破口を開こうとしているのだ。
 六・二五衆院選は森・自公政権へのノーの審判を下す闘いである。天皇制国家復活発言を開き直る森を徹底追及し、森内閣を即刻退陣に追い込もう。ファシスト石原を森と串刺しで打倒しよう。日本がいつか来た道へ踏み出すのか、それとも「闘うアジア人民、闘う沖縄人民と連帯し、日帝の朝鮮・中国−アジア侵略戦争を内乱へ!」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日本帝国主義打倒!」 へと突き進むのかをかけた、真に歴史的な政治決戦が到来したのだ。
 その最大の焦点は、東京八区=杉並でのファシスト石原陣営対長谷川氏および闘う人民の激突である。
 石原慎太郎の息子で自民党公認の伸晃は、単なる「二世議員」ではない。父親と一体の正真正銘のファシスト政治家だ。石原伸晃は介護保険突破議員連盟代表として、父親以上に介護と福祉切り捨てに奔走した反人民的政治家である。
 伸晃は、父親が掲げる「東京から日本を変える」「スピードのある政治」「強い意志」を衆議院選挙のスローガンとして表明した。日帝の政治・経済・社会の閉塞状況に不満と怒りを高める労働者人民を、抽象的スローガンでペテン的に吸引しながら、福祉切り捨てと戦争政治を国政で展開している。政治の手法やキャッチフレーズまで、石原慎太郎の選挙そのものである。伸晃との対決は、百パーセント慎太郎との決戦なのだ。衆院選最大の決戦場は東京八区である。

 第1節 闘う国会議員が絶対に必要

 森・自公政権とファシスト石原都知事の戦争政治と福祉切り捨て、労働者階級圧殺攻撃に、今こそ総反撃しよう。「伸晃倒せ! 長谷川勝利!」を合い言葉に、杉並から労働者階級人民のための新しい政治のうねりをつくりだそう。
 杉並の有権者の八割は、既成党派に愛想をつかしている。石原や森発言をめぐって政治情勢は大きく揺れている。自公体制を粉砕し、自民党を政権の座から引きずり下ろすことも可能な情勢だ。平時における労働者階級人民の最大の政治行動である選挙戦に、これらの人びとが決起すること、それに長谷川氏を押し立てた闘う杉並区民と革共同の闘いが結びつくならば、森を首相辞任に追い込み、伸晃を引きずり下ろすことはまったく可能だ。
 森・自公政権とファシスト石原批判の政治宣伝を徹底的にやりきろう。ファシスト石原との街頭をめぐる激突に勝利し、「森=石原を倒せ! 長谷川勝利!」の旋風をつくり出そう。
 介護保険問題での区民・住民の決起をつくりだし、労組・労働者階級本隊の闘いに発展させよう。「介護と福祉は権利だ」の運動は高齢者、家族、労働者の自主的な決起を大きく生みだしつつある。大衆の決意、意欲、行動が広範な団結をつくりだし、社会を変えていく力の輝きをはっきり示している。介護と福祉を要求する住民の運動の爆発的成功を支持して闘おう。
 今こそ革命的議員を先頭に長谷川支持の集票活動を猛然とかつ細大漏らさずやりきることである。六・二五投票日までの残り四週間、全党・全人民の総力を振り絞って衆議院選挙杉並決戦に総決起しよう!

 第2章 沖縄圧殺の戦争会議7月サミット粉砕へ

 沖縄サミットは帝国主義の戦争会議である。日米帝のアジア侵略戦争への跳躍台、日帝の戦争国家化への決定的なターニングポイントであり、沖縄の闘いを国家暴力で解体・圧殺しようとするものである。日帝と
稲嶺・沖縄県知事が唱える「沖縄サミットで世界に平和を発信」とは、真っ赤なウソだ。沖縄サミットは、日米帝が朝鮮・中国−アジアへの侵略戦争を競い合う、帝国主義強盗どもの対立と抗争の場である。「平和の発信」をするのに、二万六千人の機動隊、巡視船艇百隻に、護衛艦隊まで出動させる必要がどこにあるのか!
 防衛庁は、五月十四日、イージス艦「ちょうかい」など八隻の護衛艦隊をサミット期間中の沖縄海域に派遣することを公表した。「サミット警備」を口実に自衛隊法にもない「海上警備行動」を発動するというのである。これはまた、中台情勢の緊迫、天皇制右翼・日本青年社による釣魚台への「神社建立」をめぐって緊張する釣魚台情勢に対する日帝の「砲艦外交」そのものである。
 沖縄サミットが戦争会議であり沖縄圧殺にほかならないことは、サミット時の日米首脳会談で、新ガイドラインの「調整メカニズム」を正式に立ち上げることを世界に宣言することからも明らかだ。大失敗に終わった森のサミット前G7歴訪の裏で、森は、自らの唯一の「得点」として、新ガイドライン体制の発動(「調整メカニズム」の立ち上げ)と名護新基地建設=SACO貫徹を対米公約してきたのだ。
 石原の四・九暴言と九・三自衛隊の治安出動演習は、これと完全に一体のものだ。
 米帝クリントン政権の沖縄サミットと米軍基地問題に対する態度は、終始一貫している。
 「普天間問題と沖縄基地問題のすべてが解決されていなければ、沖縄に行きたくない」(昨年六月)
 「沖縄サミットは、日米同盟関係の戦略的意義を示す良い機会」(本年二月)
 「沖縄県民が米軍基地を受け入れていることに謝意を表明するために沖縄に行く」(本年四月)
 これらの発言が示すように、米帝クリントン政権と米軍部は、稲嶺や岸本の「十五年使用期限」「軍民共用空港」という条件を歯牙(しが)にもかけていない。沖縄に居座ることを公言しているのだ。
 6面につづく

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週刊『前進』(1959号1面2)

 森=石原の戦争政治変えよう

 駅頭での長谷川英憲氏の訴え

 衆院選決戦はいよいよ本番。長谷川英憲氏は連日、地域と街頭で大車輪の闘いを展開している。五月二十二日の街頭演説を紹介します。(編集局)
 先日、森首相が「日本は天皇中心の神の国だ。そのことを、皆さんに承知していただく」というとんでもない発言をしました。そして、発言を撤回も謝罪もせず、国民にこれを押しつけようとしている。
 この発言によって、森内閣は支持率がどんどん下がっています。民衆は、こんな森さんの戦前とまったく同じ考え方を許してはならないと思っているんです。
 森首相は、この発言だけでなく、所信表明演説で、有事立法をやるといっています。ガイドライン体制で日本を戦争ができる国にする、そう言っていますから、「神の国」発言も、ただ単に時代錯誤の発言だと、笑ってすまされない。
 ガイドライン関連法、盗聴法、そして国会に憲法調査会がつくられ、改憲が声高に叫ばれるという小渕内閣を引き継いで、森首相は自分の手で戦争体制を進めると言っている。沖縄に新しい基地をつくりサミットをやろうとしている。だからこそ、森首相は自分の本音として、「神の国」という発言をしたのです。

 第1節 中国侵略暴言

 この森・自公政権の戦争政治、戦争ができる国づくりの先兵となっているのが石原東京都知事です。石原知事は、どのように日本を変えようとしているのか。
 先日、石原知事は台湾に行きました。台湾の新しい総統の就任式に出席したんですが、ここで「中国が台湾を統一するというようなことをやれば指導者はヒトラーだ」と暴言を吐きました。中国と台湾の問題は、中国と台湾の民衆自身が決める問題で、石原知事が介入することではないはずです。それなのに、石原知事は、中国という他の国を、二つにも三つにも分裂させよ、そのために自分は力を尽くすと言いました。これは新たな侵略戦争の宣言そのものです。
 森首相の「日本は天皇が中心の神の国」だという考え方と結んで、再び、「日本は天皇をいただく唯一の国だから、どこの国を従えてもいいんだ」と中国に侵略しようということです。
 今、石原知事は憲法九条を変えろと言っています。そして自衛隊がもっともっと国軍として振る舞うようにならなければならないと、九月三日に陸海空四千人の自衛隊を使ってこの東京で防災訓練、治安訓練をやると言っています。
 「災害の時に、三国人、外国人は騒擾(そうじょう)事件を起こす。そういう外国人を軍隊で制圧するのだ」と、一方的に、根も葉もない、デマ宣伝を行って、自衛隊が闊歩(かっぽ)するような東京に変えてしまおうとしています。これが石原知事の言う「東京を変える」の中身です。
 戸塚ヨットスクールという、とんでもない塾がありました。スパルタ教育で子どもたちが五人くらい殺された。そして裁判で有罪になりました。石原知事は、そのヨットスクールの戸塚という人の後援会長を今もやっている。子どもたちに対する教育は、あの戸塚ヨットスクールを模範にしろと言うんです。息子の石原伸晃さんもそのように考えているのでしょう。それでは子どもたちの未来は暗やみです。

 第2節 少年事件の原因

 最近、少年たちの事件が連続しています。根本的な原因はどこにあるのでしょうか。それは社会が行きづまり、高齢者の福祉が切り捨てられ、親たちがリストラで首を切られ、高校を出ても就職できないという状況の中で、少年たちに明るい未来がなくなっているからです。学校では管理教育で締め付けられ、受験競争で追い立てられています。
 子どもたちを受験勉強に追いたてるのではなく、むしろ、すべての子どもたちが高校に入学でき、大学にも入れる、そういう中で力を引きだすことが、必要なのではないでしょうか。
 住民や労働者や女性や「障害者」、お年寄り、あるいは少年や子どもたち、そういう庶民の中に、職場や地域の中に団結を取り戻さなくてはなりません。
 本当に働く人たちが自信を持って、団結して、立ち上がって行くことのできる時代をもたらしてこそ、子どもたちも希望を持てるようになるのではないでしょうか。
 長谷川英憲は、子どもたちの教育も、本当に子どもたちが未来を明るく展望できるような、そういう教育に変えなければならないと考えています。

 第3節 住民運動始まる

 そういう道をこの杉並から切り開いていこうという、新しい住民の運動が始まりました。お年寄りが中心になって、介護や福祉の権利を守り、切り捨てられる介護や福祉を取り戻していこう、「介護・福祉を要求する杉並の住民の会」という運動が五月の初めに出発しました。六月三日には結成大会ということで千人の集会が計画されています。
 介護保険の制度が四月から実施されて、お年寄りの介護や福祉が、これまでよりも大幅に切り下げられています。九州ではおばあさんがもうこれ以上家族には迷惑をかけられないと自殺するという痛ましい事件が起こりました。介護保険はこのようにお年寄りを死に追いやるような本当にひどい制度です。
 まったくお年寄りに冷たい、福祉切り捨ての介護保険の制度、これをやめさせて、自分たちの力で福祉や介護を取り戻そう。
 この運動で、あるお年寄りは「老年よ、大志を抱け」と言っていました。そして、いのちのネットワークを、この杉並の三十六町ある街の隅々に張りめぐらして、自殺をするようなお年寄りが一人も出ないように、がんばっていこう、そういう運動です。
 今の野党の議席が一つ二つ伸びても、庶民の力を信じ、そこにしっかり立たない政党では、政治を変えることはできません。その証拠がこの四年間です。
 長谷川英憲は、労働者や、中高校生の皆さん、市民の皆さんの力と結んで、自民党と公明党の、森と石原の、戦争に向かう政治を根本から変える大きなうねりをつくりだします。

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週刊『前進』(1959号1面3)

 戦後最大の政治決戦に勝利するカンパを

 すべての『前進』読者のみなさん。同志、支持者、友人のみなさん。
 革共同は、六月衆院選必勝と七月沖縄サミット粉砕の闘いに、党の総力をあげて決起しています。この戦後最大の政治決戦・階級決戦に、日本労働者階級と革共同の命運をかけ、一切の力を投入し、勝利に向かって突撃しています。
 この革共同の不退転の決意と今年の夏期一時金カンパの革命的意義を了解されて、昨年を倍する力強いカンパを寄せてくださるよう熱烈に訴えます。
 長谷川英憲氏(東京八区=杉並区)の必勝をめざす衆院選決戦は、投票日(六月二十五日)まであと四週間に迫りました。長谷川氏は「平和・くらし・福祉・教育・いのち」の選挙綱領を掲げ、森・自公政権とファシスト石原の連携による福祉切り捨て、戦争国家化の大攻撃と、真っ向から闘いぬいています。長谷川氏の主張に、広範な労働者人民の共感と支持が日ごとに高まっています。杉並の地から介護保険廃止の自主的な住民大運動がまき起こっていることが、それをはっきりと示しています。
 介護保険は、危機に陥った帝国主義の労働者人民に対する残酷な犠牲転嫁と福祉切り捨ての攻撃であり、人民が生きぬくためには帝国主義を打倒する以外にない時代の到来を示しています。
 問題の核心は、帝国主義の危機を革命に転化する真の労働者階級の党が必要だということです。長谷川氏こそ、こうした時代になくてはならない人民の革命的護民官として、労働者階級を代表し国会の壇上に立つべき人です。
 長谷川氏当選への「最後の関門」を突破するために、革共同は死力をつくして決起します。
 最後の関門とは、襲いかかる全反動を打ち破って長谷川氏支持の流れを爆発的奔流に高める宣伝・扇動と介護保険闘争の圧倒的強化であり、それを支える党的物質力の大飛躍です。
 新たな決戦資金が求められていることを率直に訴えます。すべての心あるみなさんが絶大なカンパを集中されるよう願ってやみません。
 さらに革共同は、帝国主義の戦争会議=七月沖縄サミットを、闘うアジア人民、沖縄人民との連帯に誓って、必ず粉砕することを宣言します。
 沖縄サミットこそ、沖縄を日米帝国主義の朝鮮・中国−アジア侵略戦争の最前線出撃拠点として永久的に強化しようとするガイドライン貫徹=沖縄圧殺の一大攻撃であり、断じて許すことはできません。未曽有の戒厳体制を打ち破り、七月沖縄に大挙して決起しようではありませんか。
 この歴史的大決戦に一人でも多くの人民、学生・青年労働者の決起をかちとるために、全国のみなさんの熱烈なカンパを繰り返し訴えます。
 衆院選決戦と沖縄サミット決戦に勝利し、国鉄決戦−八月ヒロシマ・ナガサキ闘争−九・三首都治安出動演習粉砕闘争へ攻めのぼり、十一月労働者集会の爆発的大成功を必ずかちとる決意です。
 すべての同志、支持者、友人、知人のみなさんが、今夏一時金カンパの倍増達成に奮起されるよう心から訴えます。

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週刊『前進』(1959号2面1)

 森=石原を打ち倒し福祉解体・大失業・戦争への道阻め

 石原の排外主義煽動許さず9・3治安出動演習粉砕へ

 森の「神の国」暴言徹底追撃を

 森喜朗首相の「日本は天皇を中心とした神の国」発言に労働者人民の怒りが高まっている。だが日帝は、世論調査での森・自公政権の不支持が急拡大する中で焦りを深めながら、背水の陣で総選挙に突き進み、一挙に沖縄サミット強行と戦争体制構築、新安保ガイドラインによる朝鮮・中国侵略戦争に突き進もうとしている。まさに日帝・ファシスト勢力との決戦的な対決を迎えている。その最大の激突点となっているのが東京八区(杉並区)での衆院選決戦にほかならない。森発言と石原発言を徹底弾劾し、日帝のガイドライン体制=戦争国家体制構築を粉砕するために、長谷川英憲氏を押し立てた東京八区での衆院選決戦に絶対に勝利しよう。

 第1章 天皇制国家の復活で戦争体制構築狙う森

 森首相は、「天皇中心の神の国」発言に対する労働者人民の怒りの高まりに追いつめられながら、「釈明の記者会見」を五月二十六日に行うと発表し、取り繕いを画策しつつ、それでもなお発言はあくまで撤回しようとはしていない。このことの中にはっきりと示されているが、森発言は単に口が滑ったというようなものではなく、日帝がやろうとしていることを言ったものであり、何がなんでもそれを押し貫こうとしているということである。
 では、日帝が総選挙を前に支持率が急落し、不支持が急拡大してもなおかつ貫こうとしているものは何なのか。それはまさに戦後世界体制の崩壊と世界恐慌過程への突入の中で、日帝が帝国主義として生き延び、日米争闘戦を始めとした帝国主義間争闘戦にうち勝つために、何がなんでも戦争国家体制を構築し、戦争のできる帝国主義へと飛躍しようとしているということなのだ。
 そのために、天皇制・天皇制イデオロギーを前面に押し立て、改憲や教育基本法改悪をもって戦争国家体制への大転換を行おうとしているのである。
 日帝が、侵略戦争、帝国主義戦争に突き進むには、改憲や自衛隊軍事力の強化だけでなく、労働者人民を戦争へと駆り立てることが必要であり、周辺事態法(新ガイドライン関連法)による労働者人民の戦争動員を強権的に貫徹することが必要なのである。そのために「天皇は神だ」「日本は神の国だ」と天皇制・天皇制イデオロギーを前面に押し立て、戦後民主主義的意識、戦後民主主義的な社会のあり方を全面的に解体しようとしているのである。国旗・国歌法の制定と学校現場での「日の丸・君が代」の強制は、天皇制イデオロギーと国家主義を強制していこうとするものなのである。
 これこそまさにかつてのアジア侵略戦争から第二次大戦の敗北へと至った破滅への道にほかならない。何千万人というアジア人民を虐殺し、何百万人もの日本人民も死を強制されたのだ。
 森首相は所信表明演説で歴代首相として初めて有事立法の制定を宣言した。有事立法・改憲をもって戦後憲法体制を根本から転換させようとしているのである。森のこの間の発言の中に、その反動性と戦争に向かう有事立法・改憲政権としての性格がはっきりと示されている。
 森は三月二十日石川県での講演で「沖縄出身の歌手は天皇即位十周年式典で君が代を歌えなかった」(沖縄では君が代を学校で教わっていない」「何でも政府に反対、国に反対する」と沖縄への差別意識をむき出しにして、沖縄に一層犠牲を強制することを主張した張本人だ。沖縄サミットを強行し、まさに沖縄人民の闘いを圧殺して、米日帝の朝鮮・中国侵略戦争の出撃拠点としての沖縄基地を一層強化しようとしているのだ。
 森は小渕以上の超反動であり、まさに侵略と戦争に向けた突撃内閣として登場してきたのである。そのためにこそ沖縄サミット前の総選挙を強行しようとしているのだ。森発言を徹底弾劾し、森・自公政権を労働者人民の怒りの決起で打倒しよう。

 第2章 石原が台湾でまたも中国に対し戦争挑発

 この森と一体となり侵略と戦争の道を突き進もうとしているのがファシスト都知事・石原慎太郎である。とりわけ石原の自衛隊式典での「三国人」暴言と九・三自衛隊治安出動演習を絶対に許してはならない。
 石原は五月二十日、台湾の新総統の就任式に出席し、同行記者団との会見の中で反中国の暴言を繰り返した。「江沢民が台湾を併合するために戦争始めたら彼は中国のヒトラーだ」「必ず中国は分裂国家になる。共産主義独裁政権が中国でも崩壊することを熱願している」と暴言を吐いた。
 隣国の国家元首に対して「ヒトラー」と罵倒し、露骨な侮蔑を行ったのだ。これは戦争挑発以外のなにものでもない。石原は「北鮮(ママ)が何かやったら一撃で壊滅だ」と発言したが、これも都知事の立場を使いながら朝鮮・中国侵略戦争を画策する戦争挑発以外のなにものでもない。そもそも台湾総統就任式への出席自身が、中・台関係を緊張させ、戦争的緊張をあおることによって中国侵略の策動を推進する狙いのために行われたのである。
 石原の「三国人」発言は、朝鮮・中国侵略戦争に突進していくために、朝鮮人・中国人大虐殺を凶行するために意図的に行われたのである。石原は「三国人」という差別暴言について撤回したわけでも謝罪したわけでもない。居直り続けてさらに排外主義的なアジア人民への襲撃を扇動するデマ宣伝を繰り返しているのである。
 石原は、「不法入国した外国人が騒じょうを起こす」と繰り返しデマ宣伝しているが、そんなことはありえない。石原がやろうとしていることは、デマを繰り返し、実際に自衛隊や警察を使って朝鮮人・中国人を襲撃することによって関東大震災の大虐殺を再現し、一挙に国内を排外主義の嵐で席巻しようということなのである。
 石原と森は完全に一体なのだ。戦争国家体制を構築し、朝鮮・中国侵略戦争に突進しようという策動を展開しているのである。梶山が「朝鮮半島から難民が流入し、在日朝鮮人と結びついて内乱を起こす」と発言したように、日帝の側は在日朝鮮人・中国人を内乱勢力として敵視し、排外主義的襲撃を狙っているのである。
 森自身が九二年に早稲田大学で行った講演で「横浜・寿署(そんな警察署はない)管内には千五百人の韓国人がいる。彼らはベトナム戦争に従軍したことがあり、銃の使い方を心得ているので何かあったら大きな騒じょう・暴動を起こしかねない」と発言しているのだ。日帝ブルジョアジーは、日帝の朝鮮・中国侵略戦争の結果として膨大に存在する在日朝鮮人・中国人をたえず内乱勢力として敵視し、治安弾圧と追放の対象としてきたのである。

 第1節 福祉を無慈悲に削る石原

 石原の思想は差別主義、排外主義に貫かれている。朝鮮人・中国人、アジア人民に対する民族差別を始めとして、「障害者」に対しても府中療育センターへの視察で「こういう人たちに人格はあるのか」「安楽死につながる」と発言したように「障害者」差別・抹殺の思想の持ち主なのだ。
 そうした中で東京都予算の福祉関連予算を大幅に削り、二〇〇六年度には現在より七百八十八億円も削減しようとしているのである。その一切の矛盾が高齢者や「障害者」を始めとした労働者人民に襲いかかろうとしているのだ。

 第3章 自衛隊三軍を動員し首都制圧を策す石原

 石原発言の狙いは、九・三の自衛隊治安出動訓練を強行することにある。九・一の防災訓練とは別にこの九・三演習が行われること、石原自身が「それ(大地震)から派生するもっと大きな非常に悪しき事件を想定する」と発言しているように、この演習は治安出動演習そのものである。
 九・三自衛隊治安出動演習は、実にすさまじい自衛隊による首都制圧訓練そのものである。自衛隊は陸海空三自衛隊四千人が参加、車両八百台、航空機五十機、輸送艦など艦船数隻が出動し、都心部を含む十カ所で大演習を展開する。訓練に参加する機関は、自衛隊を始めとして警視庁、海上保安庁、東京消防庁など百機関に及ぶ。総理が緊急災害対策本部長として訓練に参加するのを始め、国がこの訓練を全面的に支援する。
 演習の内容は、陸海空路を使った自衛隊の部隊進出訓練を始め、パラシュート降下による偵察活動訓練、自衛隊機による物資投下訓練、道路障害物除去訓練、一斉放水訓練、渡河訓練、仮堤防の築造訓練、キャンプ設営・夜営訓練、物資輸送訓練、航空機の運航統制訓練などが自衛隊を中心にしながら、各機関が協力する形で行われるのである。
 演習は、統合幕僚会議が防衛庁の新庁舎(市谷)の新中央指揮システムを使って三自衛隊を統合運用し、都庁の災害対策本部と首相官邸の危機管理センターを結んで指揮する。実に大規模な治安出動演習である。
 演習会場は東京の下町が五カ所で、立川も含めて在日朝鮮人・中国人が多く居住する地域が中心になっている。しかも関東大震災で朝鮮人・中国人大虐殺が行われ、今なおその遺骨が眠る地域のすぐ近くにさえ会場が設定されている。「災害救助」というのは演習を強行するための隠れみのにすぎず、まさに大災害が起こったら、自衛隊を投入して朝鮮人・中国人を大虐殺しようという恐るべき訓練が強行されるのである。
 東京の都心部に四千人の陸海空三自衛隊が展開し、大々的に行動を展開するこの訓練は、自衛隊・軍隊による首都制圧状況をつくり出そうとするものである。これに労働者人民を全面屈服させ、戦争国家体制へと一挙に転換しようと狙っているのである。
 これを許すのか否かは労働者人民の未来をかけた決戦となっている。今や好むと好まざるとにかかわらず、ファシストとの重大な決戦情勢に突入している。森首相やファシスト石原による戦争国家体制構築、朝鮮・中国―アジア侵略戦争への参戦を阻止するために全力で決起しよう。

 第1節 石原に屈服する日本共産党

 こうした石原や森の攻撃に対して日本共産党が全面屈服していることを弾劾しなければならない。
 日共は、石原の外形標準課税を積極的に支持し、首都移転反対で石原と共闘している有り様だ。四・九石原暴言に対しても一切責任を追及しようとせず、九・三自衛隊治安出動演習に対しても完全に容認している。
 日共は、民主党との連立による政権政党の一角になることを狙ってあらゆる面で裏切りを重ねている。不破発言による安保・自衛隊の容認に始まり、国旗・国歌法の要求で「日の丸・君が代」闘争を完全に裏切り、介護・福祉問題においても不破委員長が「国民的大事業」と介護保険を賛美するにいたった。
 こうした日共の裏切りと屈服の根底にファシストとの対決に対する恐怖があることをはっきりとさせなければならない。石原のような凶暴で凶悪なファシスト勢力との対決を恐れ、民主党との連立という形で保守反動勢力と連携することによって生き延びようとしているのである。日本共産党ではファシスト石原や森・自公政権の侵略と戦争の攻撃とは闘えないのである。
 長谷川英憲氏を押し立てた東京八区における衆院選は、日帝・森政権とファシスト石原の沖縄サミットや九・三自衛隊治安出動演習による戦争国家化、朝鮮・中国侵略戦争への攻撃と対決する決定的な闘いとなっている。
 全国の闘う人民の総決起で長谷川英憲氏の当選をかちとろう。

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週刊『前進』(1959号2面2)

 森と石原を擁護する公明党

 介護保険ではなんと「年寄りを甘やかすな」が学会幹部の立場

 公明党=創価学会に激震が走っている。四・九石原都知事暴言への公明党の対応、そして五・一五森首相の「日本は天皇を中心とする神の国」発言への公明党の対応、さらに公明党の介護保険推進への疑問が噴出し始めたからである。自公路線は日帝・自民党の侵略戦争と戦争国家化と暗黒政治に際限なく公明党=創価学会を一体化させる路線である。自公路線は創価学会員を含めて人民にとって最悪の道である。総選挙決戦で自公路線粉砕の先頭に立つ長谷川英憲氏の当選をかちとることが、人民の最大の勝利になる。

 第1章 宗教弾圧の歴史忘れたか

 公明党は小渕が急病になり、森政権が発足すると、これを全力で支える態度を表明した。ところが、森は政権に就いて一カ月ほどの五月十五日に「日本は天皇を中心とする神の国」という超重大発言を行った。
 この森発言に大衝撃を受けた公明党は、あわてて「何とかして下さいよ」と自民党に頼み込んだが、森はペテン的な居直りに終始し、撤回を拒否している。
 森は、戦前の天皇制国家と侵略戦争、暗黒政治のすべてを肯定する人物だ。
 日本の労働者階級人民は海外への侵略戦争、国内での暗黒政治に苦しめられてきた。アジア人民は日帝の侵略戦争と植民地支配の悲惨で過酷な最大限の犠牲をこうむった。その侵略戦争と暗黒政治の頂点に立つものが「日本は天皇を中心とする神の国」に象徴される天皇制であり、天皇制イデオロギーの強制であった。
 戦前の天皇制国家の圧政・暗黒政治の象徴として治安維持法があった。治安維持法によって一九二〇年代後半から三〇年代にかけて共産主義者や労働組合、農民運動への弾圧があった。階級的な組織や運動が壊滅されると、治安維持法の矛先は知識人へ、さらには宗教弾圧へとエスカレートしていった。
 国家神道は国家の祭祀(さいし)であるから宗教ではないというデタラメな理屈で、国家神道を崇拝することは国民の義務であるとした(「日本は天皇を中心とする神の国」であることを天皇行事・学校行事・神社礼拝などあらゆる所で人民に強要した)。仏教その他の宗教は国家神道に従う限りで存続を許された。
 創価学会の前身である創価教育学会の牧口会長らは、一九四三年、天照大神を祭っている伊勢神宮の神札の受領を拒否したことを治安維持法違反と決めつけられ逮捕された。治安維持法七条は「国体を否定し又は神宮若しくは皇室の尊厳を冒涜(ぼうとく)すべき事項を流布……を目的として結社を組織した」者を処罰すると規定していた。政府は学校や家庭、職場に神棚を設置し、伊勢神宮の神札を祭って拝むことを強制していた。
 この弾圧で牧口は獄死し、創価教育学会は壊滅させられたのである。
 「天皇を中心とする神の国」とは、戦前、宗教上の口実を設けて創価教育学会を壊滅させた「国」であった。それを今日に復活させると森は公言したのだ。
 これは戦前の宗教弾圧を居直り、再び宗教弾圧を繰り返すと宣言したに等しい。なぜこれを公明党が認められるのか。
 戦後、創価学会は国立戒壇路線(日蓮正宗を国会の議決を得て国家宗教にする)をとり、政治進出した。そして創価学会の政党=公明党をつくった。九〇年代からは、細川政権の一角に加わるところにまで来た。この時、公明党は野党であった自民党から「政教分離」問題で徹底的に追及された。
 自民党が社民・さきがけと連立して村山政権をつくり羽田政権が打倒されると、小沢は公明党をまきこんで新進党の結成に走った。野党に回った新進党(公明党)は、オウム真理教を口実とする宗教法人法改悪問題で、政権にもどった自民党からさらに追及された。
 こうした経験から公明党は、自民党と同盟関係を結んで宗教政党であることの戦略的弱点を守り、さらには権力への道を開くという路線をとった。これが自公路線である。昨年春、公明党=創価学会は内部の多くの反対を押し切って新ガイドライン関連法、盗聴法、住民基本台帳法改悪に賛成し、さらには「日の丸・君が代」法にまで賛成した。そして今、石原暴言、森暴言を擁護し、介護保険を推進するまでになった。
 こうした自公路線が人民の激しい怒りを買ったのも当然である。党利党略だけが見え見えで、人民に敵対し、超反動法案を「巨大与党」の数で強引に押し切る。人民はこれに怒りをつのらせていた。そこに公明党の森発言擁護である。
 自公によって侵略・戦争・暗黒の道を進むことは絶対許さない。自公連立政権打倒はまさに全人民の声になっている。
 石原暴言についての公明党の態度も森発言の時と同じだった。言うまでもなく石原暴言の具体的狙いは、九月三日に東京都で自衛隊三軍を総動員した治安出動演習を行うことである。そのために、「不法入国した三国人が災害時に大きな騒じょうを起こす」などという、朝鮮人・中国人への差別語を公然と使ったデマ宣伝を繰り返し、帝国主義的排外主義をあおった。
 これは一九二三年の関東大震災で朝鮮人六千人、中国人六百人以上を大虐殺した時と同じ「流言飛語」を都知事の名で大々的に流し、実際の襲撃を扇動しているのだ。
 しかし、公明党は、四月十四日の石原の謝罪にもならない見解を「謝罪と受け止め」た。そして巻き起こる石原弾劾の幕引きを図ったのだ。石原と妥協することで石原支持を表明したのだ。
 石原が次々に繰り出す福祉切り捨ての攻撃にもまったく反対せず、追認しているだけである。自公路線は結局のところ、最悪のファシスト政治家・石原をも積極支持するところにまで行き着いた。このまま進めば公明党=創価学会は日帝・自民党の戦争国家化攻撃の最悪の先兵の役割を果たすことになる。

 第2章 福祉切り捨ての先兵に転落

 杉並区では、介護保険に対する公明党の驚くべき反人民的な姿があらわとなっている。
 区内のある都営団地で、都政を革新する会の話を聞いた人が創価学会幹部に「介護保険は福祉切り捨てではないのか」と質問した。ところが幹部は次のように答えたというのだ。
 「介護保険は年寄りを甘やかしてきたものを是正したに過ぎない」「都革新は廃止なんてできもしないウソを言っている。事実に基づいて行動すべきだ」と。
 これまでの高齢者福祉が「老人を甘やかしてきた」と。とんでもない暴言である。これまでの高齢者福祉はとても十分とは言えない。もっともっと充実させることが求められているのだ。
 介護保険はそれを充実させるのではなく、高齢者福祉を切り捨てたのだ。「是正」ではなく、国や自治体が義務として高齢者福祉に責任を持つことをやめたのである。
 公明党は「介護保険にはいろいろと問題はある。問題はあるが改良していける」と介護保険推進の態度をとってきた。しかし、介護保険制度への労働者人民の怒りが高まり、杉並区では長谷川氏を先頭に、「福祉切り捨て・大増税の介護保険」という訴えが進み、介護保険廃止、介護と福祉を取り戻そうとする住民の運動が広がっている。
 介護保険とは、欠陥があるとかないとかいう次元のものではなく、福祉を切り捨てるという明確な目的をもって生まれてきた「福祉切り捨て制度」であることが鮮明になってきた。
 国の高齢者福祉への財政負担を減らし、人民に保険料という形で負担を増やす。しかし保険料を支払う人のうち一割しか介護は受けられず、九割の人は掛け捨てになる。また、介護を受けようと思っても誰でも受けられるわけではない。要介護認定という関門をくぐりぬけなければならない。さらに介護保険が受けられるようになっても一割の自己負担があり、さらに一定の額を超えるとそれは全額自己負担になる。
 その一割自己負担に耐えられず、あるいは高額自己負担ができないために介護を受けることをあきらめたり、要介護認定の申請さえしない高齢者がたくさん生まれている。
 さらに決定的なことは、介護サービスが民間事業者に任されたことである。これまでの福祉事業は国や自治体の仕事であった。営利事業ではなく福祉事業であった。国や自治体が福祉として、介護が必要になり、しかも負担が困難な高齢者に福祉サービスを提供するものであった。
 介護保険では、介護サービスは民間に任された営利事業になった。お金がなく、介護に援助が必要な人が切り捨てられる制度である。これまでの高齢者福祉が十分だったというわけではない。しかし、お金がなくても介護が必要になったら受けられたのだ。
 こうした介護保険の現実が暴かれ、杉並区では創価学会員にも介護保険の本質が知れ渡ってきた。
 創価学会=公明党はこの福祉切り捨て・大増税の介護保険の本質を知りながら、「問題はあるが徐々によくしていける」と創価学会員をだまして「福祉の公明党」の看板だけは維持しようとしていたのだ。
 自公連立路線は今やまったく破産している。この背後には日帝の戦後史を画する危機がある。森発言も石原発言もそうした日帝危機を極右から、反動的に、戦争国家化攻撃を強めつつ突破しようとするものだ。
 衆院選決戦で、民主党や日本共産党への幻想を打ち砕き、東京八区で長谷川氏の当選をかちとることがこの情勢を人民の側から戦闘的に打開する最大の勝利になる。森=石原を打倒し、石原伸晃を打倒しよう。
 〔益子孝史〕

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週刊『前進』(1959号3面1)

 森=石原を打ち倒し福祉解体・大失業・戦争への道阻め

 日本共産党は転向し政権願望

 介護保険制度でも積極的推進派

 資本主義容認する「日本改革」提案

 総選挙に向かって日本共産党が「日本改革論」のミニパンフレットを大量に配り、反革命的宣伝を展開している。「日本改革論」とは、あくまでも「資本主義の枠内での民主的改革」論であり、日帝危機救済策の提言にほかならない。ブルジョアジーに屈服と大転向のあかしを示し、野党連合政権に加わろうとするものだ。他方では「日本改革論」をもって、資本主義=帝国主義の打倒をめざす労働者階級の闘いを圧殺し、労働者階級を敗北と侵略戦争の道に引きずり込もうとしている。歴史的大転向を深め、政権願望を募らせる日共、介護保険制度を賛美・推進し、沖縄サミットに協力する日共を打倒し、衆院東京八区で長谷川英憲氏の当選をかちとろう。

 第1章 首切りを容認解雇のルールづくりを提案

 日本共産党は現在、資本主義の枠内で「私たちはこんな日本をめざしています」という政策宣伝ミニパンフレット(以下「パンフレット」と略称)を大々的に配っている。

 第1節 ゛あくまで資本主義の枠内で゛

 このパンフレットによると、日本共産党がめざしている日本とは、日米安保体制のもとで「民主的に改革された資本主義」だといえる。日共は、帝国主義が世界大恐慌の過程にあり、侵略戦争―世界再分割戦を始めており、戦争阻止と帝国主義の打倒が現実の問題となっている時、ことさらに「資本主義の枠内での改革」を強調し、資本主義の延命策をあれこれと提案しているのである。
 これは資本主義=帝国主義への労働者の怒り、労働者の帝国主義打倒の闘いを資本主義の改良の枠内に閉じ込め、労働者階級解放の道を閉ざす反革命策動だ。
 そもそも今回の総選挙の最重要課題は、かつてない危機のなかで侵略戦争参戦と天皇制国家づくりに突き進もうとあがいている超反動・森自公政権を打倒することである。
 ところがパンフレットには森政権への批判がまったくない。それどころか、予算を組み替え、欧米のような政策を採用すれば日本は資本主義の枠内でももっとましな国になり、延命できると言っている。ブルジョアジーに受け入れられる対案を提示し、すり寄っているのである。
 パンフレットは、@経済の改革として、a「社会保障と国民のくらしを予算の主役に」、b「国民を大切にする世間なみのルールをもった国に」、A外交・安保の改革として、a「大目標は、安保条約をなくすことです」、b「それ以前にも一歩一歩、国民のみなさんとともに平和の道をすすみます」、B憲法・社会として、「憲法をまもって、政治・社会のゆがみをただします」――と三つの分野での政策を提案している。最後に、C政権について、a「いちばんの目標は民主連合政府です」、b「その前にも一歩でも二歩でもよい政府をつくるために野党の共同に力をつくします」と言っている。
 まず、@「経済の改革」では、(1)公共事業(五十兆円)を減らし、社会保障(二十兆円)に回す予算をふやす、(2)働く人の権利をまもるルールをつくる――ことを挙げている。
 日共は「公共事業」をやり玉に挙げ、予算の組み替えで危機が突破できるかのように言っているが、日本資本主義はそんなことではどうにもならないほどの危機に陥っているのだ。
 日共はまた、小渕政権による金融資本救済のための七十兆円の公的資金投入、今年度予算の防衛費の約五兆円をまったく問題にしていない。かつての日共のスローガンは「防衛費を削って社会保障費に」だった。それがいつのまにか、防衛費は日帝の自衛権行使、国家主権防衛のために、金融資本救済は恐慌脱出、日帝経済再生のために、それぞれ「道理」のある予算支出となった。
 さらにパンフレットは、ブルジョアジーの言葉を引用して、不況からの脱出のために賃金を引き上げ、個人消費を増やすことを提案している。日共は、労働者人民の要求と生活を資本主義の経済発展に従属させようとしているのだ。「景気回復のための賃上げ」論は、逆立ちした議論だ。
 日共は、解雇規制法、サービス残業禁止、労働時間短縮など「世間なみのルールをつくり、雇用を拡大し、日本経済を上向かせる」としている。資本攻勢と闘おうとしている労働者に向かって、法律を制定すれば問題は解決するから闘うなと命じているのだ。
 日共の言う「世間」とは欧米帝国主義のことだ。日共は、欧米帝国主義のように解雇のルールを作り、そのもとで企業が合法的に首を切り、リストラ・合理化を進めることはよいことだと言っているのだ。
 だが、「ルールある資本主義」であるはずのヨーロッパ諸国では、二十年来、一〇%前後の高失業率が続いている。欧州諸国の労働組合は、首切り・リストラ、賃下げ、合理化などの資本攻勢に対してしばしば大規模なストライキで反撃している。資本攻勢、労働条件の悪化に対して労働者は闘わざるをえない。
 不破は「どこの資本主義国でも、雇用危機のときは、労働時間の短縮にとりくむ」(五月十五日)などと言う。
 しかし、ブルジョアジーの側からの労働時間の短縮やワークシェアリングの提案は、賃金削減のために行われるものでしかない。
 日共は、資本攻勢に対する労働者の闘いをなんら呼びかけない。この間日帝が強行してきた労働基準法改悪を始めとする一連の労働法制改悪や産業再生法、民事再生法、会社分割法、雇用保険法改悪、年金改悪などをまったく弾劾しない。
 日共は、いまや明白に資本の手先となり、資本の救済策を提案している。資本攻勢と対決する労働者階級の闘いを資本救済の法律制定運動にねじ曲げ、解体しようと策しているのだ。

 第2章 「国民的事業」と介護保険を賛美する不破

 総選挙の最大の焦点である介護保険問題について何と言っているか。このパンフレットをよく探さないと見つからない。
 @の「経済の改革」でわずかに五行足らず四十四字で、「介護保険が始まりました。『利用料が払えない』『特養ホームが足りない』…、問題が山積みです」と述べているだけである。介護保険は既成事実として承認されている。つまり、介護保険は総選挙の争点にしないということだ。
 しかし、四月からの介護保険の実施は、それが福祉を奪い、高齢者、「障害者」の命さえ奪うものであることをはっきりさせた。介護をカネで買う制度のもとでは、金持ちしか必要な介護を受けられない。これは、貧乏人は早く死ねということだ。介護保険は、戦後的社会保障制度を全面的に解体しようとする日帝の攻撃の決定的な突破口だ。
 介護保険は廃止せよ! 介護は全額公費負担で行え! 介護を必要としているすべての人に必要なだけ介護を!――これは一歩も譲ることのできない人民の命の要求である。目下の労働者人民の最大課題である。東京・杉並を始め全国で、介護保険の中止・廃止を求める運動が巻き起こりつつある。
 ところが、不破日共委員長は四月十一日の衆院本会議代表質問で、「老後をささえるしっかりした制度の一つとなるように……(政府には)改善の真剣な努力をつくす義務がある」「国民的事業にふさわしい財源を国が確保すべきだ」と述べ、介護保険を全面的に賛美し、それを推進する立場を表明したのだ。
 しかし、介護保険は改善して完成させるべき制度なのか。介護保険のもとで、必要な介護を奪われた高齢者はどうしたら生きていけるのか。高額の保険料・利用料を負担できず、かえって介護の負担が増大した家族の疲れは限界を超えている。介護に携わる労働者も、最悪の労働条件のもとで極限的に酷使され、職場をやめざるをえなくなっているではないか。
 こうした現実を直視すれば、一刻も早く介護保険を廃止すべきだという結論に達するはずだ。
 日共は、介護保険に対してわきあがる労働者人民の苦情や怒りを知っているから、介護保険の基盤(施設、人材)整備への資金増加、利用料・保険料負担の軽減などを要求している。だがこれは口先だけだ。
 日共が推進している「介護保険の緊急改善をもとめる請願」署名は、@利用料の三%への引き下げA十月からの高齢者からの保険料徴収の見直し――の二つを要求項目としている。
 だが、どうして介護保険廃止という主張を掲げないのか。当面する最小限の要求だとしても、どうして利用料と保険料の徴収をやめろ、全額公費負担にせよ、と要求しないのか。
 日共はまた、介護保険制度を改善していけば、近い将来りっぱな制度が完成するかのような幻想をあおっている。ドイツの介護保険制度が五年を経過した現在、総破綻(はたん)し、現在見直しに入っているという現状を知っていながら、それをあえてバラ色に描き直して宣伝している。
 日共は、介護のビジネス化、社会保障制度解体の突破口という介護保険の根本問題についてもけっして触れない。
 このように、日共の介護保険に対する批判の主張と行動はすべてペテンとまやかし、インチキだ。高齢者自身とその家族、すなわち労働者階級の問題として介護保険を問題にしているわけではないのだ。左翼のふりをして労働者人民をだまし、選挙で日共に投票させるための策略を弄(ろう)しているにすぎないのだ。
 介護保険廃止を真っ向から掲げて、介護と福祉を奪い返す住民運動の大高揚をつくり出すことこそが、今必要なのである。

 第3章 沖縄サミットへの協力表明で闘いを圧殺

 パンフレットの「三つの提案」のA「外交・安保の改革」の項では、「大目標は、安保条約をなくすこと」としつつ「それ以前にも平和の道をすすむ」としている。「大目標は安保条約をなくすこと」というのは、「当面は安保廃棄の現実性も意図もない。安保維持でいく」ということのごまかし的表現である。
 今日、外交・安保の最大の問題は、帝国主義の戦争会議・沖縄サミットだ。また日帝が新ガイドライン法を制定し、侵略戦争のできる国家体制づくりを進めていることだ。労働者人民の課題は、沖縄サミット粉砕の大決戦をたたきつけることであり、一切の戦争協力・戦争動員を拒否して闘うことである。
 ところが日共は、「それ以前にも(安保のもとでも)平和の道をすすむ」などとぬけぬけと言っている。沖縄で名護市長リコール運動や名護新基地建設反対闘争で決定的な裏切りを働き、沖縄サミットへの協力を表明している。日共はまさに戦争翼賛勢力だ。
 Bの「憲法・社会」の項では、「憲法をまもって、政治・社会のゆがみをただす」と言っている。
 日共は、憲法改悪に反対であるかのように装っているが、実際には、憲法調査会設置法案の討論と採決に積極的に参加し、今国会で憲法調査会が始まると改憲論議に積極的に加わり、憲法改悪の策動に協力しているのである。森首相が所信表明演説で有事立法制定を宣言したことについての批判はまったくない。
 また、パンフレットで四・九石原暴言と九・三自衛隊三軍演習について一言も触れられていないことも重大だ。石原問題は単に都政の問題ではなく、戦争国家化に向けての一大反革命であり、森政権の反動化を促しているものでもある。日共はこれと対決しないことで、石原反革命に屈服しているのだ。

 第1節 反動小渕への恥ずべき追悼

 さらに、日共の日帝・森自公政権への屈服と裏切りの姿を最も鮮明に表したのが、前首相・小渕恵三の死に際しての不破の談話だ。
 「入院の第一報をきいたときから、早い回復を願ってきましたが、残念な結果になりました。……首相在任中の突然の発病で、さぞや無念の思いがあったろうと推察し、同じ国政の場に立つものとして、哀惜の念を禁じえないものがあります」(『赤旗』五月十五日付)
 この小渕への哀悼談話は、自自公翼賛政治体制を作り、戦争法案をことごとく通した超反動小渕政権への全面賛美に等しい。小渕政権は、新ガイドラインのもとでかつてない大反動攻勢を仕掛けたが、労働者人民との激しい攻防の中で疲れ果て、病気・退場を余儀なくされたのだ。労働者階級人民にとって、小渕は怒りと打倒の対象ではあっても哀悼の対象ではない。日共は腐敗を極めるブルジョア政治家どもの味方であり、労働者階級人民の敵だ。
 このことは、Cの政権論においても表れている。
 「いちばんの目標は民主連合政府です」というのは、当面その展望がないことの裏返しの表現である。現実性があるとすれば「野党連合政権」であり、それに向かって「野党の共同」つまり民主党との協力を進めるとしている。そのために「安保廃棄の凍結」方針が打ち出された。
 日共は「共産主義」「安保廃棄」「反天皇制」を取り下げろというブルジョアジーの要求に「資本主義の枠内での民主的改革(資本主義を守ります)」「安保廃棄の凍結(安保に協力します)」「国旗・国歌の法制化提案(法制化されたら『日の丸・君が代』を認めます)」をもってこたえたのだ。これらが「日本改革論」としてまとめられた。
 日共がすり寄っている民主党は、自民党以上に反動的な政党だ。代表の鳩山由紀夫は公然と憲法第九条の改悪――「戦力保持」を主張している。上原康助らは「緊急事態法制案」をまとめ、自衛隊の任務・権限を広げようとしている。何よりも民主党は介護保険制度導入、四月完全実施を強硬に主張した党派だ。
 現在不破は「選挙戦で野党連合政権を目標にする条件はない」とも言っているが、同時に「その条件が生まれたら、よりましな政権の協議にも参加する用意がある」と民主党に秋波を送っている。
 日共の主張は徹頭徹尾インチキ、ペテン、まやかしだ。日共スターリン主義を打倒せよ。日共の宣伝の虚妄(きょもう)を暴き、日共を圧倒する宣伝戦を展開し、人民大衆に分け入り、社・共に代わる真の労働者階級人民の代表、長谷川英憲氏を国会に送り込もう。

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週刊『前進』(1959号3面2)

 福祉を切り捨て大増税

 介護保険は廃止せよ (5)

 介護がビジネス

 コムスン社長は投機師 介護内容が一層劣悪化

 介護保険は、介護を民間の営利業者に投げ渡す制度だ。福祉は根底的に解体され、介護は金もうけの手段に変えられてしまう。

 第1節  福祉とは無縁

 今日すでに「介護ビジネス」という言葉が臆面(おくめん)もなくまかり通っている。介護保険の実施強行を「ビジネスチャンス」として、これまで介護や福祉とはまったく関係のなかった企業が、介護分野に群がり始めているのである。
 その典型が、業界最大手と言われるコムスンだ。一年前には数十カ所の営業所を持っていただけの同社が、この一年で全国に千カ所以上の拠点を持ち、一万人以上のヘルパーを抱え、商業新聞に大広告を打つ企業へと急膨張した。これに伴い、昨年七月に公開されたコムスンの親会社、グッドウィル・グループの株式(額面五万円)は、十月には七千四百九十九万円にまで跳ね上がった。他の介護関連企業が「介護保険で決められた介護報酬は安すぎる」などの理由で訪問介護事業の拡大を手控えている中で、コムスンは今後も毎年千カ所ずつ拠点を増やしていく方針だ。
 コムスン社長の折口雅博は、バブル期に人気を集めたディスコ「ジュリアナ東京」の経営者だった人物だ。介護の中身などはどうでもよく、株式公開によって膨大な利益を上げることだけを「介護ビジネス」参入の目的とする投機師だ。
 こうした企業が、まともな介護を行えるはずがない。折口は、コムスンの在宅介護サービスシステムを「人には何時に寝て、何時頃排泄(はいせつ)するというパターンがある。排泄したちょっと後ぐらいに来てオムツを換える。それをうまくコンピューターでスケジューリングして回っていく」と説明している。介護を受ける人に対して、まるで機械のように決まった時間に排泄せよ、と言い放っているのである。介護の極限的なマニュアル化だ。
 ここでは、介護を受ける人の人間的尊厳はまるっきり否定されている。要介護者の状態は日々変化する。こんなやり方では突発的な事故にも対応できない。それはまた、介護労働者の労働をも、きわめて非人間的で、徹底的に疎外されたものへと変質させてしまう。
 本来、介護は介護を受ける側とする側との信頼関係の上にしか成り立たない。要介護者一人ひとりには、その人の人生史に根ざす個性があり、同じような「障害」を持つ人であっても、必要とされる介護のあり方はそれぞれに異なる。一人ひとりの要求に沿う介護でなければ、介護とは言えない。介護とは、損なわれた身体機能を介護者が機械的に代替することでは断じてない。介護をとおした心の通い合い、人間的ふれ合いも、要介護者が生きがいを持って生活を営み、生きる意欲を新たにしていくために欠かせないものだ。
 被介護者の切実な要求に向き合いながら、介護労働者が闘いの中でつくりあげてきた本来の介護のあり方を、介護ビジネスは根底から破壊してしまう。
 厚生省や介護保険推進派は、「民間企業の参入と市場の競争で介護サービスの質が向上する」などと言ってきた。だが、介護保険は、恐るべき高齢者虐待を生み出しかねない金もうけと金融投機の詐欺師たちに、介護事業の門戸を開け放ってしまったのだ。

 第2節  労働者を分断

 介護のビジネス化は、介護労働者の低賃金化、不安定雇用化をますます推し進める。これまでも、厚生省はヘルパーは賃金の安い不安定雇用労働者で確保するという方針を貫いてきた。これが一層あからさまな形で進展するのである。
 介護保険のもとで、公務員ヘルパーの仕事は取り上げられ、これまで市町村の委託を受けてきた社会福祉法人や民間企業では、ヘルパーの解雇、常勤ヘルパーのパート化・登録型ヘルパー化が強行されている。市町村からの委託費は打ち切られ、介護報酬だけで事業を運営しなければならず、大手企業との競争も激化する。そうした矛盾が、労働者に押し付けられているのである。
 東京都内のある民間介護業者は、ヘルパーの給与を二割削減し、休日手当や夜間手当、交通費の支給まで廃止した。東京都町田市のデイサービスセンターは、労働者のボーナスを半減した。社会福祉協議会に雇用されているヘルパー数百人の首切り方針を打ち出した自治体もある。
 介護保険制度では、介護報酬算定のための「単位」にならないものは、すべて切り捨てられていく。
 こうした中で、介護労働者には、細切れの介護を短時間で数多くこなすことが要求される。要介護者の話し相手となり、心を通わせ、その人の要求を的確に把握しようと努めることは「金にならない」として抑圧される。ヘルパー同士が互いの経験を交流させながら、要介護者一人ひとりの介護方針を検討する会議の時間さえ、無駄なものとして削り取られる。
 ここに貫かれているのは介護労働者のチームワークの否定であり、団結の解体だ。たとえば、登録型ヘルパーの場合、多くが介護を必要とする高齢者宅に直行し、事務所に寄らずに自宅に帰って次の仕事を待つという労働形態となっている。まったく孤立した労働を強いられているのだ。
 介護労働者が時間に追われ、疲労を蓄積させ、団結をも破壊された状態で、介護サービスの内容がよくなるはずはない。介護労働者が、自らの闘いで労働条件を奪い返すことこそ、人間らしい介護を取り戻すための基礎的な条件だ。
 介護保険の廃止を求める高齢者を先頭とした住民の闘いと結びつき、介護労働者は団結と闘いを取り戻すために立ち上がろう。

 第3節  介護は権利だ

 今日、許しがたいことに「介護保険では、死なない程度に重度のまま、長生きしてもらうと施設はもうかる」ということがあからさまに語られている。リハビリも自立支援も行わず、寝たきりにしておく方が金になるというのである。
 これが介護保険の生み出した現実だ。すべてが金に換算され、介護を必要とする高齢者はどこまでも食い物にされるのだ。これは、介護・福祉に対する国家の責任を根本的に放棄し、一切を「介護ビジネス」に投げ出した介護保険制度の必然的な結果だ。
 今、福祉の現場では「介護保険で福祉はズタズタだ」「大手の業者が金持ちの顧客を独占して、お金がなくて本当に介護が必要な人は切り捨てられている」という怒りの声が各所で上がっている。
 介護は労働者人民の生きる権利である。介護を必要とする人びとの切実な要求と、介護労働者を先頭とする闘いこそが、介護を労働者人民の権利として国家に保障させてきたのである。
 介護保険は、こうした力関係を一挙に転覆しようとする制度だ。介護保険廃止の闘いは、まさに全労働者階級人民の共通の課題だ。
 (穂積敦志)

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週刊『前進』(1959号3面3)

 (写真)

介護保険の廃止を求める杉並区民の闘いは力強い歩みを始めている。高齢者を先頭に、生きるための切実な要求を掲げて杉並区との交渉が重ねられ、介護保険に怒る区民同士のつながりを各地域で生み出しながら、運動はさらに広がっている。写真は5月4日に杉並勤労福祉会館で開かれた「とりもどそう! 人間らしい介護と福祉 杉並住民のつどい」

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週刊『前進』(1959号3面4)

 介護保険に思う

 〈投稿詩〉

 A大学 M

 介護保険を強行する森・自公政権のもとで、高齢者を社会から排除する攻撃がますます強まっている。今年、大学に入学した若い読者から、こうした社会のあり方への憤りを新鮮な感性でつづった詩が寄せられたので紹介します。(編集局)
 叫 び
長生きって何ですか。
生きてるって何ですか。
「寝たきりの老人が言った、
世話をしている孫に言った、
長生きしてごめんね、と」
長生きって何ですか、そんなに苦しいことですか。
長生きって何ですか、涙がまんすることですか。
長生きって何ですか、死ぬのを待つだけの時間ですか。
生きてるというそれだけで、謝らなければなりませんか。
ゆっくりと歩く老人は、
道路において邪魔ですか。
世話の必要な老人は、
社会においてゴミですか。
生きてるって何ですか、悲しむってことですか。
生きてるって何ですか……、
長生き願っては、いけませんか……。

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週刊『前進』(1959号4面1)

 7・2三里塚現地集会

 団結街道破壊策動粉砕し敷地内農家を守りぬこう

 朝鮮侵略戦争の出撃基地化阻止を

 江波 敏之

 日帝支配体制の危機突破をかけて六月総選挙から七月沖縄サミット、有事立法・改憲に突き進む森・自公政権が一層の危機にあえいでいる。小沢自由党の政権離脱、長期大不況と財政危機、株価下落と日米争闘戦激化、森自身の反動発言に対する労働者階級人民の怒りの包囲の中で、六月総選挙は二〇〇〇年階級攻防の最大の焦点となった。長谷川英憲氏の必勝に向けて総決起しよう。支配体制の危機の深まりは、沖縄サミットによる治安弾圧と、革命的左翼の拠点である三里塚闘争の解体攻撃を不可避に激化させる。成田暫定案をめぐる攻防は、いよいよ本格的な決戦に入った。三里塚暫定案粉砕の闘いは、有事立法・改憲攻撃阻止と一体の階級攻防であり、朝鮮侵略参戦のための全土出撃基地化を阻止する闘いとして、二〇〇〇年決戦の重要な構成要素をなしている。三里塚闘争こそ朝鮮侵略参戦阻止に具体的展望をもつ闘いだ。本稿では三里塚現地攻防を総括し、七・二現地闘争に向けた当面の闘争方針を明らかにする。

 第1章 軒先工事での農家追い出し攻撃と闘う第二段階に突入

 三里塚闘争の現在の到達地平について明らかにしたい。
 第一に、三里塚闘争は昨年五月暫定案発表以後の闘いによって、ついに平行滑走路の当初計画(二千五百b)を粉砕した。暫定滑走路の着工で闘争を解体し、地権者農民をたたき出して当初計画を押し通そうとした日帝・運輸省、公団のもくろみは完全に崩れさったのである。
 昨年五月の暫定案の公表には二つの側面があった。ひとつは九六年十二月に閣議決定を経て運輸省が打ち出した「二〇〇〇年度内平行滑走路完成」の断念である。ふたつめは「滑走路工事再開」と「民家上空四十bのジェット飛行」の脅迫で反対闘争を解体しようとする攻撃的側面である。
 反対同盟はその後半年間にわたってこの切り崩し攻撃と対決し、脱落派・堀越昭平(東峰区民)の条件派への転落をともなった昨年十二・三天神峰着工による闘争解体攻撃を、臨戦体制をかためて迎え撃ち闘争陣形を守りぬいた。
 東峰地区における四・一七着工は、堀越の裏切りの上に、初めて地区の生活区域に踏み込んで工事を強行することで、地区全体に揺さぶりをかけ切り崩す攻撃の最終段階であった。
 だが、すでにこうした事態そのものが運輸省と脱落派「話し合い」路線の破綻(はたん)であり、暫定案のあまりの凶悪さと相乗して対立構造が非和解的に激化し、二千五百b当初計画はついに最終的な破産が確定したのである。反対同盟の「空港絶対反対」「一切の話し合い拒否」「実力闘争」の不動の闘争原則が切り開いた偉大な勝利だ。

 第1節 成田空港失速と空洞化進行

 第二に、暫定短縮滑走路は文字どおり、追い詰められたあげくの暫定的な計画にすぎず、破綻に満ちたものである。「屈服しないなら住めなくするぞ」という国家意志の暴力性と軒先工事、騒音で地権者農家を切り崩すことを最大の狙いとしてうちだしたものである。だから、施設機能的には合理性を度外視した計画である。
 成田空港を発着する航空機の九五%はジャンボ機などの大型機であり、暫定滑走路(二千百八十b)では離発着できない。残る五%の中型機以下の航空機も、燃料の搭載量の大きな長距離便は運航できない。結局、中型機以下の機種を使った国内線と短距離国際線に限定され、これは全体の三%に満たない。空港公団はその認可申請で「年間六万五千回の離発着」だとうちだしたが、実際は年間一万回足らずなのである。
 航空会社は成田空港使用料の高さから採算割れを懸念し、将来の大型機への機種変更の可能性をにらんで、暫定滑走路枠への移動は否定的だ。暫定滑走路が暫定ではなく恒久化することが確定的となった今、その破綻性はますます深刻さを増している。「千葉県がいかに反対しようと」(運輸省当局)七月から運航開始となる羽田空港国際線の深夜早朝発着枠に希望が殺到している。現時点で、成田暫定滑走路に乗り入れを希望しているのはベトナム航空一社だけなのである。
 二千百八十b短縮滑走路のままで固定化することは、「アジアのゲートウェー」を標榜(ひょうぼう)した成田の陥落を意味する。暫定案を打ち出したことで、成田空港の失速と空洞化がさらに進行しているのだ。

 第2節 暫定案で政府地上げ屋転落

 しかし第三に、運輸省・公団は、平行滑走路が完成せず暫定案も使い物にならないにもかかわらず、あくまで暫定滑走路建設を強行せざるを得ない。いまや工事は空港づくりという本来の目的を失い、住民追い出しを自己目的化するものになったと言ってよいのである。反対同盟が怒りを込めて弾劾する「政府の地上げ屋転落」である。その暴挙の実態を、怒りを込めて暴露し粉砕しなければならない。

 第3節 団結街道破壊とジェット噴射の一大攻撃

 東峰地区では、高さ三bの鉄板フェンスが民家と畑、生活道路と農道、神社、墓地、開拓道路などをことごとく囲った。まるで強制収容所のような閉塞(へいそく)状況をつくりだしている。進入灯予定地ではすでに、ブルドーザーがうなりをあげて軒先工事を強行し部落を威圧している。
 五月下旬から小見川県道トンネル化を口実とした迂回(うかい)道路の工事に入った。これは本来つくる必要のない道だが、公団は「生活道路」と称して民家の庭先をかすめて建設を強行するのである。露骨な営農破壊・生活破壊の追い出し工事である。
 四・一七東峰着工現場で激しく抗議し「絶対に出ていかない」と語気を強めた地権者農民について、公団幹部は「目の前で実際に工事が始まり、現実を直視したことから、あのような行動となったのだろう」とうそぶいた(五月二十日付産経新聞が報道)。“どうだ思い知ったか”と言わんばかりの憎むべき公団の暴言だ。公団には「ぎりぎりのところまで工事を進め、反対農家にお見せすることでご理解いただく(出てもらう)」(松井公団総裁=八九年三月当時)という住民敵視、農民殺しの思想が貫かれているのである。絶対に許すことができない。
 天神峰地区では、昨年十二月三日の着工以降、市東孝雄さん宅から百b足らずに位置する誘導路部分で小見川県道のトンネル化が急ピッチで行われている。
 これに続いて団結街道の破壊が策動されている。小見川県道から国道五一号に抜ける団結街道は天神峰の生活道路であり、市東孝雄さんが畑に通う農道だ。天神峰現闘本部と、反対同盟員が所有する二カ所の一坪共有地への道である。
 権力・公団は団結街道を封鎖し廃道化しようとしている。トラクターを通れなくさせ、大渋滞の現県道へと大きく迂回させて農作業を妨害しようとしている。
 さらに市東さん宅をジェット噴射の直撃で追い出そうとたくらんでいる。空港公団は、航空機を牽引(けんいん)によらず自力走行させることにしているが、これはジェット噴射の大騒音をまきちらす。公団は東峰地区では「ジェットブラスト対策の塀(へい)」を設置することで「対策」と称しているが、誘導路に最も近い天神峰の市東さん宅には、ジェット噴射を直接ぶつけるのである。「民家上空四十bのジェット飛行」とともに非人間的、殺人的な追放攻撃である。
 暫定案攻撃との闘いは、昨年五月以降の切り崩し攻撃を粉砕して、軒先工事による農家追い出し攻撃と闘う第二段階に突入した。この国家権力の農民圧殺攻撃は、反戦・反権力決起を象徴する三里塚闘争解体攻撃であり、有事立法・戦時土地徴発の先取り攻撃である。革共同は反対同盟との血盟をかけて、あらゆる手段をもってこの攻撃を粉砕する決意である。

 第2章 日帝の戦争国家化の攻撃を三里塚を拠点にうち破ろう

 成田平行滑走路を暫定案に追い込んだこと、短縮暫定案を固定化させ二千五百b当初計画案を最後的な破産状態にたたき込んだことの今日的階級的意義はじつに巨大である。
 そもそも今回の平行滑走路建設攻撃は九六年四・一七日米安保共同宣言を出発点としている。九四年、北朝鮮の「核疑惑」を契機に在日米軍が有事の成田軍事転用を要求し、この共同宣言策定過程で成田空港を五十万米兵の受け入れ基地とすることで合意した。米軍の朝鮮侵略戦争作戦計画は、成田空港を独占的排他的な管理下に置くことを前提に立案されている。
 日帝は朝鮮侵略戦争の切迫と、アジア勢力圏化をめぐる日米争闘戦の極限的進行、そこにおける航空政策の破綻的現実につき動かされて、「二〇〇〇年度内平行滑走路完成」をうちだした。(同年十二月)
 三里塚ではその侵略参戦体制づくりが次々に崩れているのである。「二○○○年度内平行滑走路完成」の断念、その反動的突破をかけた暫定案発表による切り崩し攻撃の破産、これがもたらした二千五百b当初計画の最後的な破産状況||これらの闘争的前進は、暫定案による北側八百b延長部分と南側四百b(すでに整備済み)を加えた三千七百b軍用滑走路計画の粉砕に直結する。三里塚のこの勝利は朝鮮侵略参戦阻止の現実的展望を与え、朝鮮侵略戦争のための全土基地化攻撃を粉砕する橋頭保となっているのである。
 昨年五・二四新安保ガイドライン法の強行以降、日帝の反動攻勢は一気に具体化し、日帝は政治、経済、社会体制を侵略参戦体制に組み替える攻撃に全面的に踏み切っている。階級支配の全面的な転換を図り、資本攻勢と一体のもとに社会保障制度切り捨て、歴史を一変させる諸反動への屈服を迫り、有事立法・改憲へと突進している。
 都知事・石原の「三国人」発言や森首相の「日本は天皇を中心とする神の国」発言は、侵略戦争国家に向かう反革命的な大攻撃である。
 この反動攻勢の最先端で、切迫する朝鮮侵略戦争のための出撃基地、兵站(へいたん)拠点をめぐり沖縄サミット粉砕決戦と三里塚暫定滑走路粉砕決戦が闘われている。三里塚闘争はこの階級解体攻撃、全土基地化のための拠点整備と先端的に対決し、うち破っているのである。
 さらに、平行滑走路の当初計画を粉砕したことは、アジア勢力圏化のための日帝航空政策に決定的打撃を強制した。
 このことを象徴的につきだしたのが三月二十一日に運輸省が行った、羽田空港の夜間早朝の国際チャーター便導入のための検討委員会の設置である。これまでのタブーを破って羽田国際化の全面解禁へと動き出したのである。これと一体で首都圏第三空港構想が具体化している。
 成田平行滑走路の破綻は、日帝の運輸航空政策に二十年以上の立ち遅れを強制してきた。これが日帝のアジア勢力圏化に致命的打撃となってきた。日米争闘戦においても日帝の弱点として攻撃され続けてきた。二○○二年の日米の航空運輸の全面自由化(オープンスカイ政策)を控え、これがついに限界を迎えたのである。
 三里塚闘争の階級的意義と勝利性を確認し、三里塚を拠点に日帝の朝鮮・中国|アジア侵略を阻止しよう。

 第3章 6月衆院選−沖縄サミット粉砕決戦の勝利と一体で!

 新安保ガイドラインのもとで成田空港が兵站出撃基地となることが明らかになった今、「空港との共生」論は戦争協力の道である。暫定短縮滑走路の固定化(平行滑走路の破産)はまた、シンポ・円卓会議がもたらした「空港との共生」論、脱落派「話し合い」路線の破綻でもある。シンポ・円卓会議を主導した脱落派の裏切り分子は、なによりも天神峰と東峰の現実を凝視すべきである。国家権力は空港完成を至上命令とし、農民を虫けらのように扱う強制代執行同然の暴力で追い出し攻撃をしかけている。この惨状を前に、石毛博道(元脱落派事務局長)は、暫定案に反対意志を表明した「実験村グループ」に対して、「共生」にたちかえり空港建設に協力すべきだなどといらだち、わめいている。転向者の末路である。
 他方、「実験村グループ」もまた、空港公団が芝山鉄道のルートにぶつけて、脱落派に建物の撤去を求めていた木の根の「ペンション」問題で空港公団・成田市と取り引きし移設した。空港反対闘争つぶしを狙う芝山鉄道への協力者に転落したのである。同グループのイデオロギー的敗北を象徴するものである。脱落派イデオロギーを粉砕しさらに前進しよう。
 最後に闘争方針を明らかにしたい。
 第一に、六月総選挙、沖縄サミット粉砕決戦に総決起し、三里塚闘争をそれと一体のものとして、侵略参戦阻止の階級決戦として闘いぬこう。三里塚闘争にはこれを担う階級的意義がある。勝利の展望がある。労働者階級人民の最大最強の拠点三里塚から戦争国家化を粉砕するのである。
 第二に、反対同盟は七月二日に東峰で現地総決起集会を開催することを決定し結集を呼びかけている。空港公団は五〜六月にも小見川県道付け替え道路の建設(誘導路下のトンネル工事)を終結させ、七月をめどに滑走路と誘導路自体の建設工事に入る。ここが一つの決戦場である。この闘いに向けて反対同盟は、臨戦体制のもとで五〜六月敷地内デモに決起することを決定している(五・二八、六・一一)。暫定計画と軒先工事を粉砕するのは労働者人民の力である。不屈に闘う三里塚反対同盟にこたえ七・二現地集会に総決起しよう。
 第三に、むこう二年間にわたる三里塚決戦の最重要課題は、敷地内農民の営農と生活の防衛である。追い出しのため違法・不当な破壊攻撃に対抗し、あらゆる手段で粉砕することだ。そのために闘争陣形の圧倒的発展と現闘組織の強化をかちとることである。
 五〜六月現地攻防に勝利し、七・二現地総決起集会へ、反革命カクマルの三里塚闘争破壊策動を粉砕して前進しよう。

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週刊『前進』(1959号4面2)

 石川さん不当逮捕37ヵ年糾弾

 異議審勝利へ高裁糾弾

 解同全国連を先頭に立つ

 無実の石川一雄さん不当逮捕三十七カ年を糾弾し異議審闘争の勝利をめざす、五・二三狭山高裁要請行動が部落解放同盟全国連合会と部落解放共闘会議に結集する百人の参加で闘いぬかれた。朝からの霞が関、裁判所一帯でのビラまき行動、午前中の決起集会、昼休みの霞が関デモ、午後一時からの高裁要請行動と、終日戦闘的に闘いぬいた。
 午前中、東京高裁隣りの弁護士会館で決起集会を開いた。全国連の小森勝重狭山闘争本部事務局長が基調報告を行い、その中で「昨年の新ガイドライン法成立と、七・八の高裁・高木俊夫の再審棄却決定が引き金になって、部落差別が洪水のように起きている。異議審闘争に絶対勝利し、差別の洪水を打ち破ろう」「狭山新百万人署名運動は、高裁・権力をぐいぐいと追いつめている。三月の要請行動では長野の中学生の学校中を巻き込んだ闘いが高裁を追いつめた。今日は茨城県連婦人部を先頭に闘おう」と呼びかけた。
 さらに、「東電女子社員殺害事件」で四月に無罪判決が出たネパール人の男性に対して高裁・高木裁判長が、地裁・高裁の決定を覆して前代未聞の職権による勾留決定を出したこと、高橋省吾裁判長が弁護団の異議申立を棄却したことを弾劾した。まるで一審無罪判決などなかったかのように無視し、ネパール人男性を「犯人」扱いし、露骨な民族差別と偏見によって違法不当な勾留決定をした高木と高橋を弾劾した。高橋の決定は異議審への攻撃である。さらに、森首相やファシスト石原都知事の相次ぐ民族差別、沖縄差別発言、部落差別攻撃の激化は、日帝の侵略戦争と差別の攻撃そのものであり、これと全面対決して衆院選での長谷川さんの当選、沖縄サミット粉砕、狭山異議審闘争勝利へ全力で決起することを訴えた。
 これを受けて、東日本と関西の部落解放共闘会議、解同全国連の各ブロック代表が闘う決意を表明した。大阪・荒本支部の青年部は、この間、狭山新百万人署名をもって解同本部派の影響下にある部落を訪れ、そこで部落大衆との対話・交流をつくりだしてきたこと、その中で荒本の青年自身が自己変革をかちとってきたことを報告し、“学習と行動で青年は変わる。この力で異議審闘争に必ず勝利する”と強い確信と決意を述べた。
 昼休みデモの後、午後一時から要請行動が行われた。日帝権力・高裁は全国連の糾弾闘争の爆発を恐れ、正門前に機動隊のバスを多数配置し、裁判所構内には五十人以上の職員が構える大弾圧体制を敷いた。要請団は正門前で権力・裁判所を弾劾する怒りのシュプレヒコールをあげ、代表四十人が堂々と構内に入った。そして、制限時間三十分まで、また人数は二十人以内などという糾弾闘争つぶしの「四条件」を実質的に粉砕し、二グループで二時間半以上にわたって高裁を糾弾した。この中で不当な警備と、三月の要請行動で代表団に対してあごで指示するというような差別的対応を行った裁判所の責任を問い、直ちにやめるよう追及した。そして、部落差別むき出しで石川さんの第二次再審請求を棄却した高木差別決定を直ちに取り消し、事実調べ、証拠開示を行い、再審を開始せよと強く要求した。
 この中で、昨年九月から狭山パンフの学習会を積み重ね、それをバネにして署名活動に取り組んできた茨城県連婦人部の訴えが権力・裁判所を圧倒し大打撃を与えた。
 解同本部派は、日帝・国家権力の部落差別犯罪を徹底糾弾するという狭山闘争の核心を意図的に消し去り、「冤罪(えんざい)救援」「人権救済」「公正な裁判」を裁判所にお願いするという運動に、狭山闘争をねじ曲げている。そのために差別糾弾ではなく「警察・検察・裁判官に対する人権教育の必要性」(五・二三の本部派「集会決議」)を説き、日帝に対する融和主義的な屈服を深めている。
 解同全国連と解放共闘はこの解同本部派の屈服を弾劾し、ちょうどこの日、日比谷野音で行われた本部派の集会に参加した部落大衆に対しても熱烈なアピールを発して、闘いを打ちぬいたのである。
 七・七高裁要請行動−七・八再審棄却一周年弾劾の狭山連続闘争に決起しよう。

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週刊『前進』(1959号4面3)

 2000年日誌 阻もう! 戦争への動き

 5月17日〜23日

 ゛象のオリ″強制使用を申請

 石原がまた「中国分裂」暴言

●参院憲法調査会 参院憲法調査会が開かれ、石毛直道国立民族学博物館館長、暉峻淑子埼玉大名誉教授を参考人として呼び、意見聴取と質疑。(17日)
●ラプコンの返還は三年後
 米軍嘉手納基地が行っている那覇空港などの進入管制業務(嘉手納ラプコン)を日本に返還する問題で、衆院安全保障委員会で運輸省の岩村敬航空局長が、日本側が業務を開始するまでに施設整備や訓練期間が必要なことから、返還は約三年後になるとの見通しを示した。(17日)
●サミット警備戦術会議開かれる サミットに向け警察庁や沖縄県警、全国の管区警察局の幹部らが那覇市内で「現地全体戦術会議」を開き、全体の警備のあり方や本島内を四つの地域に分けた各方面ごとの警備計画を確認した。(18日)
●与党共通公約まとまる
 自民、公明、保守の与党三党の次期衆院選の共通公約がまとめられた。キャッチフレーズは五つの不安(平和・福祉・教育・経済・治安)の解消。伝統文化の活性化、沖縄サミットの成功とアジア地域の振興、世界平和への貢献などを公約にした。(19日)
●強制使用で首相に認定申請 那覇防衛施設局が、米軍用地の強制使用手続きを定めた「駐留軍用地特措法」に基づき、来年三月末日で使用期限が切れる読谷村の楚辺通信所(通称・象のオリ)と浦添市牧港補給地区の一部土地について、森首相に対し、土地の継続使用認定申請。(19日)
●北部訓練場を国立公園に
 政府は、米軍北部訓練場の返還地について二〇〇二年以降をめどに国立公園として指定する方針を明らかにした。(19日)
●十区の会のハワイ渡航団が報告会 基地建設の反対をハワイで訴えた二見以北十区の会のメンバーが「ハワイ渡航団報告会」を開いた。(19日)
●ジュゴン保護を否定 政府は名護市辺野古周辺海域で回遊が確認されているジュゴンの保護について「生息状況の十分な知見が得られず、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種への指定は困難で、生息地等保護区指定もできない」との見解を示した。(19日)
●「江沢民はヒトラー」と石原 台湾の陳水扁総統の就任式に出席した石原東京都知事が式典後、記者団に対し、「ドイツ人がつくるドイツやオーストリアを強引に束ねたのはヒトラー。仮に江沢民(中国国家主席)が戦争の引き金を引いて台湾を合併したら中国のヒトラーだ」「そのうち必ず中国は分裂国家になる。アジア東洋の平和のために、共産主義独裁政権が崩壊することを熱願する」などと暴言。(20日)
●「天皇が中心」当たり前と亀井 自民党の亀井静香政調会長がNHKの報道番組で、森首相の「神の国」発言について「憲法一条で、天皇は日本の象徴とされている。象徴が中心であるのは当たり前の話だ」「撤回の必要は毛頭ない。責任は森さんにあるというよりも、マスコミが真意を国民に正確に伝える努力をしなくてはならない」などと述べた。(21日)
●陸自ヘリ半数が緊急欠陥点検 エンジン部分に欠陥の疑いがあり、運輸省から改善通報を受けたものと同系列のエンジンを搭載したヘリコプターが、陸上自衛隊内に計二百三十六機も配備されていることが、陸上幕僚監部の調べでわかった。(21日)
●森内閣「不支持」激増
 森内閣の支持率などに関する全国世論調査で、「不支持」が激増していることがわかった。毎日新聞の世論調査では森内閣を「支持しない」と答えた人が五四パーセント、「支持する」が二〇パーセントだった。読売新聞の調査では、支持率が二九・九パーセント、不支持率は五四・六パーセントだった。(22日)
●日韓防衛会談 瓦力防衛庁長官が趙成台(チョ・ソンテ)韓国国防相と会談、@統合幕僚会議議長と韓国の合同参謀本部議長の相互訪問の定期化、A両国の制服組らの留学生の交流拡大など防衛交流を強化することを合意した。また瓦は有事立法について「自衛隊が円滑に防衛行動を行うためであり、他国に脅威を与える性格のものではないし、憲法の範囲内で行われるものだ」と述べた。(22日)
●「防衛庁の省への格上げは必要」と瓦 瓦防衛庁長官が視察先で、「先進国で国防組織をエージェンシー(庁)と言っている組織はない。ミニストリー(省)を持たない国はない。世論、国会の議論がいるが、(庁から省への格上げは)必要」と述べた。(22日)
●自民選挙公約に国民憲法制定 自民党がまとめた衆院選の公約案に「国民のための憲法」制定を目指す改憲論の立場を明示することが明らかに。(22日)
●沖縄米軍が畑で射撃訓練
 米軍北部訓練場に隣接する東村のサトウキビ畑で五十人以上の米兵がライフル銃を使った射撃訓練を強行した。基地外での訓練は返還以降六回目。(23日)

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週刊『前進』(1959号5面1)

 JR労資結託体制の瓦解の開始と松崎「ニアリーイコール」論の破産

 国鉄闘争の反動的決着を許さずJR総連打倒へ今こそ総決起を

 第1章 カクマルとJR総連の歴史上最大の危機

 二〇〇〇年決戦は最大の攻防に突入した。この中で国鉄決戦においても決定的な情勢が開かれている。その重大な焦点は、日帝国家権力・JR資本と結託して国鉄労働運動破壊の先兵となり、連合の帝国主義的労働運動の先を行くファシスト労働運動として悪行の限りを尽くしてきたJR総連=カクマルの未曽有の危機と、松崎の「(労使は)ニアリーイコール」路線の全面破産である。
 国鉄労働者の首切りの先兵=カクマル松崎を許すな! 盗聴、窃盗、列車妨害のカクマルを許すな! 「日の丸」労働運動、改憲賛成、戦争協力のJR総連弾劾! スト絶滅、ワークシェアリング推進を叫ぶ松崎を許すな! カクマルのデッチあげ「謀略論」デマを許すな! JR総連はカクマルが牛耳るファシスト労働運動だ!――わが革共同を先頭に労働者人民がこのように弾劾してきたこと、そして何よりも国労闘争団、動労千葉を始めとする国鉄労働者が不屈に闘い続けてきたことがJR総連=カクマルを追いつめ、JR労資結託体制の危機とその崩壊の開始という情勢を引き寄せたのである。
 四月に発表されたJR東日本経営陣の新人事において、松田社長が代表権のない会長に退き、大塚副社長が社長に昇格し、住田最高顧問が取締役をはずれて相談役に退くことが確定的となった。住田=松田=松崎体制として労資結託体制を推進してきた住田・松田が退くという、明確な経営体制の転換と再編である。この数年、「松田社長体制を守れ」と松崎を先頭にやってきたこと、二〇〇〇年冒頭以来の自作自演の「対立劇」で「JR総連=カクマル」の大重圧から逃れようと必死になってやってきたこと、今やこれらすべてが破産を迎えたのである。
 「箱根以西」で結託体制が次々と崩壊する中で、なお労資結託体制を維持してきたJR総連の牙城(がじょう)=JR東労組。カクマル副議長・松崎の「直轄領」で、カクマルの最大の「拠点」であるJR東労組。ここでついに労資結託が瓦解(がかい)し始めた。カクマルとJR総連の歴史上で最大の危機である。
 今やJR総連内のカクマル組織、カクマル総体の対立と分裂が拡大すると同時に、JR総連内の非カクマル勢力の全面的な離反が開始された。カクマルは、これを、大塚が「大学卒の幹部候補生=キャリア組を密かにインフォーマルに組織し」たものだとして、「一気にJR東労組破壊の攻撃を仕掛けてくるに違いない」(反革命通信『解放』五月一日付)などと言っている。
 だが、これは、非カクマルの組合員がカクマル過疎支配に対して離反し、総反乱を開始するということである。
 今やJR総連=カクマルを打倒する絶好のチャンスが到来したのだ。

 第1節 日帝の一大資本攻勢と労務政策の転換

 この情勢を規定している最大の要因は、日帝権力・資本による資本攻勢の激化と労働者支配の超反動的転換である。
 日帝資本は、今春闘において賃下げを強行し、年金改悪、介護保険導入で戦後的社会保障を解体し、総額人件費を削減している。さらに国家的大リストラに踏みきっている。これらの攻撃は、戦後的階級支配のままでは貫徹できない。だから連合を使った労働者支配をも転換し、労資協調の御用組合すらたたきつぶすような激しい攻撃に打って出たのだ。NTTや電力のベアゼロ、組合費のチェックオフ禁止策動などがその典型である。
 こうした今春闘の特徴が、JRにおいて最も鋭く典型的に現れている。それはJR東の「シニア協定」とそれをテコとした全面外注化攻撃、JR資本とJR総連=カクマルとの結託体制の転換・再編としてのJR東新人事である。
 日帝にとって、今日の資本攻勢の先駆けとなってきた国鉄分割・民営化の貫徹=「完全民営化」が重要課題になっているが、そのためにJR資本は全面的外注化を推進し、国労と国鉄労働運動を解体しようとしているのだ。
 日帝は、カクマルを使ったJRの労働者支配では国労と国鉄労働運動をたたきつぶすことができなかった。このままでは国鉄分割・民営化の破産を突いて国鉄労働運動が階級的に再生しかねない。だからカクマルとの結託体制を転換し、直接に国家権力と資本の力で国労を解体する攻撃に一気に踏みきってきたのだ。
 JR東労組は、JR東資本と「シニア協定」を締結した。これは、JR総連=カクマルの分割・民営化以降で最大の裏切りであり、資本への全面屈服である。その上で、資本はJR東労組とだけ「覚書」を交わし、それを「JR東労組組合員の雇用だけが確保された」と宣伝して国労解体に向かわせることを許し、国労解体攻撃に打って出てきた。これは全面外注化と一体である。そして、資本は国労にもこれをのませて合理化攻撃と闘えない国労に変質させるとともに、大塚新体制の発足と同時に千四十七人問題にも反動的に決着をつけ、国鉄闘争を解体しようとしているのである。
 日帝は、国鉄分割・民営化―国労・総評解体を強行するためにカクマル松崎と手を組んだ。しかしもはや、いかに資本に屈服し一体化した反革命にしろ、一定のファシスト的独自性、対抗性を保持する、そういう労組も許容できない。つまり日帝は、国労解体とJR東の労資結託体制の転換の両方を、同時に実現しようとしているのだ。
 起きている事態を、このように階級的にとらえるなら、JR総連=カクマルの危機の本質が鮮明になり、また、新たな国鉄労働運動解体攻撃を打ち破って勝利する道筋も明らかなのである。

 第2章 「シニア協定」締結の大裏切り絶対許すな

 JR総連=カクマルとJR資本の結託体制は、何よりもカクマル松崎が国鉄分割・民営化とそれによる国労解体−総評解体という日帝権力の希代の反革命攻撃に協力したことによってのみ成立してきた。だから、日帝・JR資本が労務政策を転換したとたんに、JR総連=カクマルは「走狗(そうく)煮らる」の恐怖にのたうつことになったのだ。
 カクマル松崎は、労資結託体制を「(労使は)ニアリーイコール」だとして、「労使協調」ではなく「労使協力」だと路線化してきた。松崎は七八年の動労の「貨物安定輸送宣言」以来、大裏切りを重ね、国鉄分割・民営化への全面協力に転換し、日帝・中曽根の先兵になった。そしてカクマルからの「転向」宣言までやって自民党に取り入り、JR総連という組合の権力の座についた。こうして、松崎は「ニアリーイコール論」にまで行き着いたのだ。これは、国家権力の先兵としてのJR総連のファシスト的役割を国家権力が認めてくれたから成り立ってきたのである。

 第1節 非カクマル組合員の離反と反乱が始まる

 ところが、日帝の労働者支配の転換、JR東の労務政策の転換で、この「ニアリーイコール論」がまったく成り立たなくなった。黒田=松崎路線は全面的に破綻(はたん)したのだ。この背景には、日帝国家権力がJR総連=カクマルへの規制に本格的に踏みきったことがある。
 実際に、国家権力は九六―九七年ごろからカクマルへのコントロールを強めるためにカクマル組織の全面的解明にのりだした。九八年一月に摘発した「豊玉アジト」からは、この間、カクマルがJR総連防衛のために行ってきた盗聴、窃盗、白色テロの道具や資料が膨大に押収された。ここで「神戸謀略論」ねつ造のために検事調書までも盗み出していたことが発覚した。さらに、その後の一連のアジト摘発などで警察無線の傍受までやっていたことがわかった。
 権力と闘うためにではなく、「謀略論」デマをねつ造するためのファシスト的に歪んだあり方にせよ、カクマルの反革命活動が権力機関にまで向けられたことに対して、K=K(警察=カクマル)連合を権力の側から再修復するために一定の規制に踏み込んだ。そして、この権力によるカクマル組織の再掌握は、カクマルと一体化しているとしてJR総連の解明にまで進んだのである。
 これが「ニアリーイコール論」=労使協力体制の基礎にあったK=K連合に矛盾とあつれきを生じさせたのだ。
 さらに、昨年の新安保ガイドライン法反対闘争、組対法反対闘争などの過程でJR総連=カクマルが全労働者人民から弾劾され、「当たり前の労働組合」という仮面がはがれ落ちたことが重要だ。そもそもガイドライン闘争をやる気のなかったJR総連=カクマルが、闘いの高揚の中ではじき飛ばされ、慌てて介入して破産した。この総括をめぐって小谷、水沢らJR総連幹部が更迭される事態となった。とりわけ六・二四組対法反対集会(日比谷野音)から排除されたことは、JR総連=カクマルの危機を一挙に噴出させた。「盗聴のカクマル弾劾」という声がJR東労組内からも噴き出した。
 こうした中で、JR総連は組織内の「組織破壊分子」の摘発・追及を始めた。これに対して、JR総連内の非カクマル、反カクマル勢力の反発が強まった。とりわけ「平成採」の青年労働者の反乱が本格的に始まったのである。

 第2節 「対立劇」自作自演し「鉄道謀略論」を叫ぶ

 こうして松崎の「ニアリーイコール論」の破産が深まる中で、「JR総連=カクマル」の暴露・弾劾の重圧に抗し、どのように延命するかをめぐってJR総連のカクマル組織内での対立が実際に発生した。さらに、労資結託体制のもとでJR総連内のカクマル組織が資本との癒着を強め、すさまじい腐敗が進行していた。松崎の「ニアリーイコール論」がカクマル組織を腐らせたのである。
 したがって、「カクマルとJR総連の対立」として現れていることは、JR総連のカクマル組織内の対立でもある。
 この間、カクマル『解放』が「JR総連の一部ダラ幹」と呼ぶグループは、「JR総連=カクマル」キャンペーンに対して、「カクマルとの区別だて」に腐心し、非カクマル勢力におもねり「JR総連はカクマルではない」と主張して「組合主義的」にやれば解決すると考えていた。
 それに対して、カクマルは、「謀略論」で組織防衛をはかり、「労働組合と党を二重写しにするのは、組織破壊攻撃だ」という形で、「JR総連=カクマル」キャンペーンに対抗する一方、むしろ、JR総連を「戦闘的労働運動」として露骨に押し出し、JR総連内の反革命組織(ケルン)づくりを進め、JR総連を黒田=松崎路線で、よりファシスト的に純化することを狙ったのだ。
 二〇〇〇年冒頭から、こうした党内対立を「JR総連とカクマルの対立」として押し出してきたのが、この間の自作自演の「対立劇」である。(別表参照)
 カクマルは新年から「謀略論」のビラをまき、JR東労組の旗開き、JR総連中央委員会に押しかけ、松崎講演を転載した『主張』を配布し始めた。一方、JR総連執行委員会が「組織混乱を意図した一連の組織介入」を弾劾し、これに対して『解放』が「『労組への介入』ではない」とするカクマル議長・植田の声明を出した。この植田声明は、「JR総連=カクマル」の重圧から逃れるためにも、党内対立を「カクマルとJR総連の対立」として押し出したものでもある。
 だが、自作自演は、実際の組織内対立を含むものであり、事態は自作自演にとどまらず、より一層のJR総連の危機、カクマルのJR総連過疎支配の決定的危機を引き起こすものになる。
 JR東の新人事が発表されると、JR総連=カクマルの危機は一挙に深まった。「対立」も新たな段階を迎えた。
 カクマル『解放』は「大塚新体制との対決」を叫び、ビラは「粉砕」を叫んでいる。これに対してJR総連・東労組は、「住田=松田=大塚体制の強化」(千葉地本ビラ)、「大塚体制支持」(東京地本FAXニュース)、「会社新体制と強靱(きょうじん)な労使関係を構築し」(東労組機関紙『緑の風』)としている。JR東労組は、これを定期大会にむけてのスローガンだというのだ。
 だが、「住田=松田=大塚体制支持」などというのはまったくの空論である。
 他方、「大塚体制粉砕」などと叫んで全面対決するのか。大塚体制を粉砕して、再び労資結託の体制をつくり出すことができるのか。それも空論である。
 こうした中でカクマルは『進撃』(解放社発行、カクマル交運労働者委員会)というビラを新たに五月二十日付で出した。そこではJR東労組書記長・嶋田の発言を「寝言」などと罵倒し、「企業経営者と労働組合の関係を『ニアリーイコール』というかたちで論じ、組合が経営側と“強靱な一体化”に転落してはならないことを口を酸っぱく論じてきた……会長(松崎のこと)の見解の骨子を、嶋田書記長はまったく理解していない」と批判している。
 「ニアリーイコール論」の破産をめぐって、カクマル組織内で右往左往の大混乱が起こっているのだ。
 だが、カクマルよ。「ニアリーイコール論」とは、「会社の発展のため」が大前提で、「労使は限りなくイコールに近い」ということで松崎が打ち出したのではないのか。「寝言」の論争をする前に、具体的にJR総連がやっていることについてはどうなのだ。「シニア協定」の大裏切りについて、カクマルとして答えてみよ! 連合新政治方針への「対案」はどうなのだ。連合大会で「軍事輸送に協力させられることになった」と言ったことはどうなのだ。これこそ「ニアリーイコール論」の実践そのものではなかったのか。答えてみよ!
 カクマルの「党内闘争」がどうなろうと、カクマルによるJR総連の過疎支配の全面的破綻が始まり、JR総連をめぐる大流動の進行は不可避である。
 だからこそ今、JR総連=カクマルは、より一層反革命化してファシスト的に延命しようとあがいている。
 一つは、「謀略論」である。JR新人事発表直後の列車妨害事件を「鉄道謀略」として大々的に騒ぎ立てている。「謀略が吹き荒れる暗黒の時代」だとして、権力とも資本とも闘ってはならないと、組織固めとより一層の純粋カクマル化、真正ファシスト化に躍起なのだ。
 二つに、一層悪らつな国労解体攻撃である。ILO勧告に追いつめられ、ILO勧告を武器にした国労の闘いを粉砕することに全力を挙げている。
 これと対決して、闘う国鉄労働者は、JR総連=カクマルをファシスト労働運動として徹底的に断罪し、カクマルによるJR総連の反革命的再編、ファシスト組合への純化、JR総連のファシスト的延命策を粉砕し、JR総連組合員をも階級的労働運動の側に獲得する闘いに断固決起しよう。

 第3章 国労解体攻撃粉砕し闘争団を守りぬこう

 われわれは、このようなJR総連=カクマルの危機とJR労資結託体制の破綻をつくり出したことを、革共同の五月テーゼ―一九全総路線の勝利として圧倒的に確認できる。対カクマル戦史上の決定的段階を迎えたのだ。この情勢は、革共同の国鉄決戦への踏み込みがつくり出した情勢である。「『六月の挑戦』(=五月テーゼ)路線とはあえて挑発的にいえば、この国鉄戦線、JR総連をめぐるカクマルとの攻防を軸にして、労働組合運動全体、全産別戦線において、労働組合運動をめぐって、軍事的、政治的、組織的、運動的、政策的にすさまじい攻防戦を展開していくということである」(革共同一九全総報告)。
 二〇〇〇年決戦のただ中で、JR総連解体、カクマル完全打倒の決定的勝利をかちとろう。国鉄決戦のさらなる前進でJR総連=カクマルを追いつめよう。そして日帝の労務政策の転換による国労解体攻撃の新たな強まりに対して、国労中央の闘争団切り捨ての反動的決着の策動を絶対に許さず、闘争団を守りぬき、ILO勧告を生かしきって千四十七人の解雇撤回・地元JR復帰へ、国労の階級的戦闘的再生をかちとって闘いぬこう。そして、JR総連との組織戦を攻勢的に闘い、国労の組織拡大をかちとろう。
 チャレンジ一派のように「シニア協定」締結や「三労組共同声明」なるもので資本に取り入れば、国労がカクマルにとって代わる「受け皿」になれるなどというのは、何のリアリズムもない。それは、国労を連合化し、帝国主義的労働運動に変質させる国労の自己解体の道である。彼らの狙いは「労使正常化」の名のもとに闘争団を切り捨て、資本と闘わない御用組合になることなのだ。
 国労が「シニア協定」=全面外注化を拒否し、闘争団とともにあくまでも国家権力、JR資本、そしてJR総連=カクマルと闘いぬく中に勝利の展望がある。そうすればJR総連を打倒し、連合支配を覆し、日本労働運動の階級的再生を実現する階級的役割を、国労と国鉄闘争支援陣形が果たすことになる。五月十八日、連合が定例執行委員会において、ITF(国際運輸労連)書記長が提案した「国労問題ILO勧告に関する共同の呼びかけ」に、JR総連の反対を退けて賛同を決定したことはきわめて重要な情勢である。解雇された労働者の救済に反対するJR総連の反革命性を一層浮き彫りにするものであり、打倒して、国鉄闘争に勝利する絶好の情勢なのだ。
 さらに、この間の五月テーゼ下の対カクマル戦争の意義を再確認し、全力で闘おう。カクマルは、JR総連防衛のために大衆闘争、労働運動への敵対を一層強め、破壊攻撃を激化させてくる。これと徹底的に対決し、反革命白色襲撃に対する革命的自衛戦争を強化して闘おう。
 衆院選決戦、沖縄サミット粉砕決戦、国鉄決戦の勝利をかちとり、JR総連=カクマル打倒へ進撃しよう。七月の国労大会代議員選で、闘う国鉄労働者の勝利をかちとり、八月国労大会へ闘おう。

JR総連とカクマルをめぐる最近の動向
1月8日 カクマルがJR東労組東京地本の旗開き会場に“激励”と称して押しかけ。
1月末 カクマルがJR東労組会長・松崎の講演録を転載した『主張』2月1日付をJR社宅に投げ入れ(以後、3月1日付、3月20日付にも松崎講演転載)。
2月2日 カクマルがJR総連の「目黒さつき会館」に押しかけビラまき。
2月3日 JR総連第22回中央委員会で、カクマルの「組織破壊攻撃」への見解を執行委員会に一任。
2月7日 同執行委員会が「組織混乱を意図した一連の組織介入と不審事に対する見解」で「『主張』なる怪文書は……JR総連への組織介入・組織破壊行為」などとし、カクマルの「妨害」も弾劾。
2月9日 JR東労組第22回中央委員会で、委員からカクマルのビラ配布などに「疑問と危惧の意見、常軌を逸した行動に抗議の声」。
2月7〜9日 JR総連がロンドンのITF本部、ジュネーブのILO本部に押しかけ、ILO勧告に抗議。
2月下旬 『解放』2月28日付にカクマル議長・植田の「『労組への介入』ではない!」という声明。同声明を掲載した『解放』号外などをJR社宅に投げ入れ。
3月1日 JR東資本とJR東労組が「シニア雇用に関する協定」「今後の雇用に関する覚書」を締結。
3月29日 東日本鉄産労、ジェイアールグリーンユニオン、国労東日本本部が「JR東日本の『民主化』を実現する3組合共同声明」。これに対しJR総連が「新『民主化同盟』に対するJR総連の見解」。
4月上旬 『解放』4月17日付に「新『民主化同盟』を打ち砕け!」との声明。『主張』4月10日付でJR総連の幹部を名指しで批判。
4月14日 JR東日本経営陣の新人事がマスコミ報道。
4月20日 JR山手線田端駅近くの線路上にまくら木や石を置く列車妨害事件。この前後、全国で事件が頻発。
4月下旬 『主張』4月25日付を持ってカクマルが社宅を戸別訪問。JR東労組千葉地本が「『主張』の戸別訪問弾劾!」「住田=松田=大塚体制を強化し」というビラ(24日付)。同東京地本が「『大塚体制』……支持をしていく」というFAXニュース(25日付)。『解放』5月1日付で「JR東・大塚新経営陣の新たな労組破壊攻撃を打ち砕け!」と「鉄道謀略論」。
5月1日 同日付のJR東労組機関紙『緑の風』に「会社新体制と強靱な労使関係を構築」とのスローガン。

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週刊『前進』(1959号5面2)

 動労千葉夏季物販に全力を

 1047人解雇撤回させよう

 動労千葉二〇〇〇年夏季物販闘争が五月から始まった。動労千葉は、二〇〇〇年階級決戦の攻防の焦点となっている国鉄闘争勝利のために物販闘争に全力で決起している。
 「物販闘争も十四年目を迎えました。三年過ぎれば厳しいよと言われて十二年間は順調にきましたが、昨年は不況の影響もあって売り上げに陰りが見えました。今夏季物販はそれを突破する試金石だと思っています。初心に返って闘う決意ですのでご協力をお願いします」(四月二十六日、動労千葉・支部物販担当者会議での協販部長の発言)
 この動労千葉の新たな決意にこたえて、動労千葉支援の物販闘争に全力で決起しよう。
 今夏季物販闘争の第一の意義は、大きな山場を迎えている千四十七人の解雇撤回の闘いとして全力で決起することである。
 千四十七人の闘いは、国鉄労働運動の精華であり、日本労働運動の宝である。この不況下で、生活と闘いを統一した家族ぐるみで、一つ一つ困難をのりこえて日本帝国主義と真っ向から対決して闘い抜いている。とりわけ子どもたちを含めた家族ぐるみの闘いは、労働者の心を揺さぶる。この不屈の闘いに数十万、数百万の労働者が感動し、物販、カンパ、署名、支援の行動に立ち上がっている。
 国鉄闘争は、この千四十七人の闘いを先頭に、JR資本とJR総連=カクマルの結託体制による組織破壊攻撃をうち破って闘われているのである。この国鉄労働者の闘いと、それを大きく包む支援陣形こそ、連合支配を下からくい破り、闘う労働運動の前進を切り開いてきたのである。
 日本帝国主義は、この国鉄闘争と、倒産、リストラ、首切りに怒っている広範な労働者が結合することに心底から恐怖し、国労、動労千葉破壊に全力で打って出てきている。
 政府は、国労に対して、千四十七人問題を「解決」したいのなら「国鉄改革法を承認せよ」と国労破壊の攻撃をかけてきている。国労本部はこの敵の攻撃に屈服し、「改革法承認」を昨年三月臨時大会を開催して強行した。
 いま国労本部は、「なんとしても千四十七人問題を解決したい」と千四十七人の切り捨てを策動している。しかし、千四十七人は「納得のいく解決をしたい」と、切り捨て策動に反対して闘っている。この「切り捨てか」「納得のいく解決か」をめぐって、国労を二分する状況に入っているのだ。
 千四十七人の切り捨てを許さず、あらゆる困難をのりこえて闘い抜いている千四十七人をなんとしても守り抜かなければならない。その闘いこそ物販闘争である。国鉄改革法と対決し、原則を守り抜いている動労千葉の物販闘争に立ち上がろう。
 第二の意義は、国鉄闘争を先頭に、闘う労働運動の新しい潮流をつくり出す闘いである。
 千四十七人の闘いを先頭とする国鉄闘争に追い詰められ、ついにJR資本とJR総連=カクマルの労資結託体制は崩壊の危機に入っている。そして、JR総連=カクマルのファシスト支配に対する組合員の不満、怒りが爆発している。今こそ闘う国鉄労働者は、カクマル=JR総連を解体し、組織拡大の闘いに打って出る時がきたのである。動労千葉はその先頭で闘っている。
 この国鉄闘争を先頭に、十一月に向かって、闘う労働運動の新しい潮流の飛躍的前進をかちとろう。
 帝国主義と労働者階級の力関係の反動的転換をかけた二〇〇〇年階級決戦の攻防の真っただ中で、物販闘争が闘い抜かれる。
 今春闘に見られるように「もうこのままでは生きていけない」「もうがまんできない」と壮大な労働者の怒りの決起が始まっている。既成政党の影響力が崩れ、流動化し、新しい結集軸を求めている。
 すべての職場を訪問し、国鉄闘争−物販を訴えよう。交流しよう。討論しよう。新しい潮流運動につなげよう。
  ◇販売品目◇   (円)
 1 根昆布おやつ      400
 2 ゆで落花生       600
 3 ドライフルーツ     500
 4 黄金いかチーズ     750
 5 あさり佃煮       800
 6 濃縮麦茶       1,000
 7 キャロット&
  フルーツジュース   1,500
 8 海のさち佃煮セット  1,500
 9 白菜キムチ       600
10 きざみのり       700
11 梅ドリンクギフト   3,000
12 夕張メロンゼリー   3,000
13 パスタとソースセット 3,000
14 焼のり・5帖箱入り  1,500
15 焼のり・10帖箱入り  3,000
16 静岡茶         600
17 モカブレンド     1,200
18 一口ようかん      900
19 牛乳かりんとう     630
20 ポケットチーズ     700
21 種ぬきプルーン    1,000
22 チーズかまぼこ     950
23 ひじき         600
24 新わかめ       1,000
25 根昆布しょうゆ     600
26 梅にんにく      1,400
27 冷やし中華(生)   1,000
28 島原てのべそうめん  1,300
29 札幌寒干しラーメン  1,000
30 稲庭古来うどん    2,200
31 博多干熟ラーメン   1,000
32 北信濃手折りそば   1,600
33 だしパック      1,200
34 紀州梅干       2,200
35 ビーフカレー20食   3,000
36 ミニシーラー      980
37 イヤホンマイク    1,280
38 読書用ルーペ     1,800
39 ジャンボバスタオル  1,800
40 グンゼソックス    1,000
 申込先 動労千葉協販部 TEL043(227)7833 FAX043(227)8125

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週刊『前進』(1959号6面1)

 「教育勅語の復活」叫ぶ森打倒を

 改憲攻撃の突破口をなす教育基本法改悪阻止せよ

 教育改革国民会議を批判する

 大西 晶

 三月二十七日に発足した教育改革国民会議は、戦後教育理念の解体と教育基本法の改悪を目的とするものである。ファシスト・石原都知事や森の暴言など、日帝中枢から愛国主義と排外主義を扇動する暴言が噴き出している。こうした中で教育基本法改悪−教育改革攻撃をめぐる攻防は、改憲の突破口としての意味を持つ、重大な攻防である。教育改革国民会議を弾劾し、教育基
本法改悪を始めとする教育改革を絶対に阻まなければならない。

 第1章 森の「教育改革」とは天皇制教育=戦争教育の復活だ!

 まず森新政権のもとで、「日本は天皇中心の神の国」なる暴言とともに「教育勅語」復活の策動が噴き出していることを徹底弾劾しなければならない。
 首相就任以来森は、教育勅語復活を何度も公言している。五月八日には、都内で「教育勅語には非常に悪いところもあったが、とてもいいところもあったはずで、全部だめだったというのはよくない」と語った。
 五月九日には「国や家を大切にすることは世界中どこでも変わらない。……それがある日、教育勅語をバッサリ切られた。憲法もGHQの言うとおりにしなければならなかったし、教育勅語も廃止させられた。教育勅語の中には……とても良いところがあった。そのいいところを教育基本法に流せなかった」と言い放った。「押しつけ憲法」論と同じ論理で、教育基本法を憎悪し、教育勅語復活の意図をむき出しにしている。
 森はペテン的に「悪いところもあった」などと言うが、本心は「悪いところがあった」などと考えてもいないことは自明だ。「天皇を中心とする神の国」暴言は、森の本音が教育勅語そのものの全面的な復活にあること、戦前的な天皇制国家の復活・再建をこそ狙っていることを満天下に明らかにしている。
 一八九〇年に発布された「教育勅語」とは、いったい何だったのか。それは「朕思うに我が皇祖皇宗(こうそこうそう)国を肇(はじ)むること宏遠(こうえん)に徳を樹(た)つること深厚なり我が臣民克(よ)く忠に克く孝に億兆心を一にして」に始まり、「一旦緩急あれば義勇公に奉し以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」「斯(こ)の道は実に我が皇祖皇宗の遺訓にして子孫臣民の倶(とも)に遵守すべき所」と続き「明治二十三年十月三十日 御名御璽」で終わる。
 一部分を見ただけでわかるとおり、「現人神」である天皇が「皇国史観」に基づいて「皇国臣民」に示した「道徳律」であり、「天皇のために」生き、死に、アジア人民を虐殺する人間をつくるための「道徳律」であった。このもとで日帝は、台湾・朝鮮の植民地支配と中国−アジア侵略戦争を強行したのだ。
 戦前・戦中の学校の儀式は「御真影」(天皇・皇后の写真)への最敬礼に始まり、校長が教育勅語を「奉読」し、「天皇陛下万歳」「君が代」斉唱で終わった。火事や空襲時は校長は「御真影」「教育勅語謄本」を命がけで守らなければならず、何人もが「殉死」した。教育のすべてが天皇と教育勅語に暴力的に支配されていたのだ。
 それゆえ戦後は、一九四八年六月十九日に、衆議院で「教育勅語等排除に関する決議」、参議院で「教育勅語等の失効確認に関する決議」が決議され、歴史的に葬り去られた。
 「天皇中心の神の国」「教育勅語の復活を」という森の反動的突出は、「回顧主義」「時代遅れ」などと済まされるものではけっしてない。世界大恐慌とブロック化という資本主義・帝国主義の絶望的な危機の深まりの中で、日帝支配階級が、再び天皇制国家・戦争国家へと突き進んでいることを示しているのだ。
 森は「座右の銘は『滅私奉公』」と言ってはばからない。教育勅語の精神にのっとり、日本を文字どおり「天皇中心の神の国」に改造しようとしているのだ。ファシスト・石原都知事もろとも、ただちに権力の座から引きずり下ろさなければならない。

 第2章 「トップランナー養成」唱えエリート教育画策する江崎

 教育改革国民会議座長に就任した江崎玲於奈(ノーベル物理学賞受賞、現芝浦工大学長)が展開している「教育改革論」は、戦後教育の全面的解体の意図に貫かれている。(別掲)
 江崎の教育改革論は第一に、戦後の「平等主義的教育」に終止符を打ち、徹底したエリート育成のための教育に転換させるということである。
 江崎の言う「トップランナー養成のための教育」の対象は、「統計的に二百人に一人(の割合の学力優秀者)をどう引き上げるのか」ということだ。その「二百人に一人」の「能力・才能ある者」を低年齢時から選別して、、飛び級制、習熟度別学級やエリート養成校などで「英才教育」を徹底して推し進めようとしているのだ。
 これは、日帝・資本の労働力政策の転換と一体の攻撃である。「教育の機会均等」に象徴される戦後の教育制度を解体し、日経連労問研報告が打ち出した「不安定雇用労働者」の予備軍に対する教育投資を徹底的に縮小し、初等中等教育は切り下げ、エリートコースを重点的に拡充し、差別化・複線化、早期選別を進めようとしているのだ。
 したがって当然にも、ほんの一部の「エリート候補」以外はどんどん切り捨てていく。江崎の言葉によれば、「二百人中の一人」の教育のために、それ以外の百九十九人を切り捨てるということだ。
 江崎は、いわゆる「不登校」や「学級崩壊」に対しても、「『学級崩壊』をなくしてもトップランナーは生まれない。問題はトップランナー養成だ」と言ってはばからない。「学級崩壊」として現れている問題そのものの解決など考えもしない。「トップランナー」候補生以外の子どもたちは徹底的に差別し排除しようとしているのだ。
 こうした教育への転換とは、教育の領域だけの問題ではなく、ブルジョアジーにとって「能力ある者」は徹底的に優遇され、「能力ない者」は容赦なく切り捨てられるということを、全社会的に当たり前の価値観とするという攻撃だ。
 江崎の教育改革論は第二に、帝国主義間争闘戦に勝ちぬくための教育への転換を強烈に意識している。
 江崎が「欧米のトップランナーを追うセカンドランナーには限界が見えてきた」と言う背景には、アメリカ帝国主義を基軸として成立してきた戦後帝国主義世界体制が根底的な危機に陥っているという時代認識がある。
 米帝の存在を前提としてのみ戦後発展を実現してきた日帝の戦後的存立条件は、今やすでに完全に崩壊している。そして国際帝国主義が自らの存亡をかけて激突する時代には「トップランナーしか生き残れない」、したがって「欧米と互角の立場で、新しいフロンティアにチャレンジを。国際政治、経済やメディアの分野でも、日本の影響力の増大が望まれる」と言うわけだ。
 結局、日帝が欧米の帝国主義に伍して、政治的・経済的・軍事的に登場していくための「飛躍」をなしとげなければならないと提唱しているのだ。そしてその実現のためには「多くの卓越したリーダー格の人材が必要」として、教育の大転換を主張しているのだ。
 江崎の「産業経済の発展は教育にかかっている」「トップランナーをつくらなければ国の繁栄は望めない」という言葉は、そのまま日経連労問研報告が「人材の育成が国際競争力を左右する」と主張しているのと同じだ。帝国主義間争闘戦に勝ちぬくための人材育成、そのための教育改革の推進を、教育改革国民会議のテーマとしているのだ。
 江崎の教育改革論は第三に、教育基本法の改悪だ。
 帝国主義間争闘戦に勝ちぬくためのエリート養成教育への転換は、戦後的な教育理念の全面的な解体と再編なくしてあり得ないことを、江崎自身が強烈に自覚しているのである。

 第1節 教育改革粉砕の大運動を

 教育改革国民会議はこれまでに四回の会合を開いた。四月十四日の第二回会合、二十五日の第三回会合では「戦後教育の総括」を議論し、「子どもの現状」と「戦後教育改革」について計五人から発表を受け、議論してきた。
 五月十一日の第四回会合では、今後の議論の進め方を決めた。全体の共通の審議事項として「教育基本法の見直し」を据えた上で、「人間性」「学校教育」「創造性」の三つの分科会を設置することを決めた。
 分科会の検討内容は、「第一分科会 人間性」が愛国心の高揚、しつけ教育、教育理念の再考と教育基本法見直しなど、「第二分科会 学校教育」が単線的学校制度の見直し、教師評価システム、不適格教員対策など、「第三分科会
創造性」が国際競争力のある大学づくり、飛び級・飛び入学などのエリート育成の教育とされている。
 江崎は今後の議論について、「七月初めまでに四回程度分科会を開催し、その後全体会を開催して、八月頃までには中間報告をまとめる」と言っている。
 事態は急ピッチで進められようとしている。二〇〇〇年決戦を全力で闘いぬく中で、教育労働者と学生を先頭に、教育基本法改悪絶対阻止、教育改革粉砕の闘いをつくりだそう。
  江崎玲於奈の「教育改革」論(抜粋)
●トップランナー養成のための教育
 「日本は今まで、手本を忠実に追いかけるセカンドランナーを作ってきたが、これからはトップランナーを作らなければ国の繁栄は望めない。飛び級も必要だ」
 「能力があっても、今の日本の教育制度では引き上げる方法がない。統計的に200人に1人(の割合の学力優秀者)をどう引き上げるのかも考えなければいけない」
 「不登校、学級崩壊をなくしても日本の教育は良くならない。マイナスの部分をゼロにしてもトップランナーが生まれるかどうか」
●帝国主義間争闘戦に勝ちぬくための教育
 「先端分野の研究競争ではトップランナーがすべてを取得し、銀メダルや銅メダルには価値のない場合が多い。欧米を追うセカンドランナーとしての産業の発展、学術の振興には限度が見えてきた。これに対処するには、欧米と互角の立場で、新しいフロンティアにチャレンジしなければならない。国際政治、経済やメディアの分野でも、日本の影響力の増大が望まれる。これらを実現するためには多くの卓越したリーダー格の人材を必要とする。産業経済の発展は教育にかかっている」
●教育基本法の見直し
 「教育基本法はそれなりの役目は果たしたが、時代とともに教育は変わる。欧米に追いつけ追い越せの時代ではなくなったのだから、時代にあった教育は必要だ」

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週刊『前進』(1959号6面2)

 1面からつづく

 米帝のアジア戦略・沖縄基地政策を今日的に示すものは、米国防長官の諮問機関「米二十一世紀国家安全保障委員会」の「中間報告」である。「報告」は、二十一世紀は帝国主義間争闘戦が戦争となって火を噴く時代であることを想定し、「米軍事力への投資」が「国益保持」の最優先課題であることを真っ向から提起した。世界戦略的には、あらゆる口実を設けて世界中に米軍を展開し、米帝の軍事的覇権を絶対的なものにすることこそが、米帝の「繁栄の確保に不可欠」としている。
 「報告」の最大の目的は、中国侵略戦争とそのための朝鮮侵略戦争(と南北朝鮮の米帝的制圧)態勢を構築することにある。米帝は、中国大乱情勢に介入し、巨大な中国大陸の米帝勢力圏化(日帝を排除)を本格的に追求することを二十一世紀国家戦略の基軸に据えたのである。
 この観点から、朝鮮半島の南北分断体制の再編=米帝による朝鮮半島の排他的制圧の戦略的位置づけを鮮明にさせ、在韓米軍は撤退しない、と明言した。「統一朝鮮の核武装阻止」を名目にしているが、真の目的は中国侵略戦争への橋頭保を確保することであり、また、日帝の核武装阻止・軍事大国化阻止である。
 だからこそ「米軍アジア十万人体制は堅持」と言い切っている。米軍の前方展開(沖縄基地、ボンドスチール基地など)が、これまで以上に死活的になる。また新ガイドライン体制の全面発動が、いよいよ差し迫ったものとなるのだ。
 これで何が「基地問題とサミット沖縄開催はリンクしていない」だ! 何が「平和の発信」だ!
 「沖縄では君が代が教えられてない」と沖縄圧殺暴言を居直る森が、サミットを仕切ること、ましてや、「天皇を中心とした神の国」を追求する森が「アジアを代表する」と言うことなど、絶対に許してはならない。
 沖縄サミットについて沖縄県民を対象とする五月中旬のマスコミ世論調査では、世界のマスコミに取り上げてほしいテーマとして沖縄基地問題が圧倒的多数を占めた。特に名護市と沖縄市で、その割合が七〇%を超えている。また嘉手納基地包囲についても、六〇〜七〇%の人びとが「基地縮小を訴える上で良い手段」と回答している。そして、サミットで懸念されることとしてあげているのは、警察による「交通規制」と「過剰警備」が一位と二位である(「過剰警備」については、全県平均が五八%に対し名護市では七八%に達する)。これに続いて「米軍基地の固定化」が三位である。
 これらが示していることは何か。
 第一に、日帝のサミット沖縄開催の意図を県民大衆は、はっきりと見抜いていることである。第二に、九六年県民投票、九七年名護市民投票が示した基地撤去の民意は、微動だにしていないことである。
 沖縄市、名護市で嘉手納基地包囲行動への賛成が七〇%を超えているのは、実に感動的である。

 第1節 サミット決戦に敵対の日共

 だからこそ、日共スターリン主義の二・一六声明は、絶対に許せない。「沖縄の未来は県民自らが決定する」と立ち上がっている沖縄人民の自己解放的な闘いと日共の二・一六声明は、絶対に相入れない。「日の丸・君が代法制化容認」に勝るとも劣らない階級的犯罪である。
 二・一六声明の実践的目的は、岸本名護市長リコール運動の破壊と「サミット翼賛」であった。日共は、厚顔にも「安保と米軍基地に唯一反対する政党」と言いふらしている。では、沖縄サミットになぜ反対しないのか? 稲嶺県政下の県議会でサミット沖縄誘致決議に「反対」しながら裏切ったのはなぜか? 答えてみろ!
 日共は、沖縄・名護の闘いがサミットを直撃することを日帝以上に恐れたのだ。口先では、「岸本リコールの先頭に立っています」などと言いながら、実は、名護の闘いを民主党との「暫定政権構想」の取引材料に利用したのだ。
 沖縄人民は、こうした日共スターリン主義の歴史的な裏切りを弾劾しのりこえ、七月沖縄サミット粉砕の歴史的な闘いを開始した。ガイドライン決戦は、沖縄サミット粉砕決戦と九・三自衛隊治安出動演習阻止決戦として、いよいよ、決定的段階に入った。
 沖縄サミットに翼賛し、ファシスト石原と同調する日共を打倒し、衆院選決戦=サミット決戦の歴史的爆発をかちとれ!
 二〇〇〇年決戦は、衆議院選挙決戦、沖縄サミット決戦、自衛隊治安出動演習阻止決戦、国鉄決戦、八月反戦闘争、そして三里塚決戦から十一月労働者集会の歴史的な大成功へ、決戦に次ぐ決戦である。そして、衆議院選挙が二〇〇〇年決戦の帰すうを決することもはっきりした。
 森・自公政権打倒、石原都知事打倒! 介護と福祉は権利だ! 介護保険廃止へ大旋風を巻き起こし、長谷川英憲氏の当選をかちとるために全国から杉並に総結集せよ。衆議院選挙決戦に必勝しよう。七月沖縄サミット粉砕、九・三首都治安出動演習粉砕決戦の大爆発へ総進撃しよう。

 第3章 闘争団を守りぬいて国鉄決戦の勝利開け

 二〇〇〇年決戦のすべてを集約するものとして十一月労働者集会の大成功をかちとろう。その成否をかけて、最大最高の決戦局面を迎えた国鉄決戦になんとしても勝利しよう。
 宮坂チャレンジ一派や革同上村一派は、衆院選情勢の中でJR東の大塚新体制に降伏し、千四十七人問題の反動的決着に動いている。断じて許さず、不屈の闘争団と連帯し、国労解体攻撃粉砕へ全力で闘おう。JR総連=カクマルの未曽有の危機=黒田・松崎路線の大破綻(はたん)に突入した反革命カクマルを追撃し、JR総連解体=カクマル完全打倒に決起しよう。
 決戦に次ぐ決戦の時こそ、強大な革共同建設のチャンスである。当面する党建設上の環は、何よりも、夏期一時金カンパ決戦に断固決起することである。そして、国家権力の「七・二一体制」=政治警察との闘いに勝利することである。
 すべての闘う労働者人民は、反スターリン主義・革命的共産主義の党、革共同に結集せよ!

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週刊『前進』(1959号6面3)

 橋本控訴審

 臭気選別を追及

 訓練士証言はデタラメ

 犬の臭気選別を使ってデッチあげた橋本裁判の控訴審第五回公判が、五月十二日、大阪高裁で開かれた。前回に続いて犬の訓練士T証人に対する反対尋問が行われ、検察による控訴そのものの不当性を徹底的に暴き出した。
 最初に橋本同志が尋問を行おうとすると、裁判長は露骨にいやな顔をした。控訴審は事後審=法律審という建前で、被告人には出廷の義務もなく、被告から発言の権利を奪っている。しかし、実際に行っていることは事実審理であり、その当事者である被告人の発言を制限することなど許すことができない。
 橋本同志は、裁判長のいやがらせを一蹴し、核心的な質問をT訓練士にたたきつけた。「初めに犬にかがせる臭いと同じ人の臭いが並べてあるのに犬がそれをくわえてこれないのは、その人の臭気が希薄なためであるという説があるが、T訓練士はどう思うか」と問いつめると、T訓練士はか細く「分かりません」と答えざるをえなかった。これまでのT訓練士の主張は、臭気選別によって万人を判別できるというものだが、控訴趣意書では、犬が識別できない程度にきわめて希薄な臭気しか付着しない体質の人がいるという新主張を行っているのである。
 橋本同志はこの矛盾をついた。T訓練士もそれに気付いて、「分かりません」と答えたのだ。しかし、これはこれで控訴趣意書の主張がなんの根拠も持たないことを暴き出すものだ。
 続いて弁護士が、ビデオを使って反対尋問をした。T訓練士の言を左右しての言い逃れをうち砕くためには、ビデオに映し出される事実を突きつけることが一番である。T訓練士が収納行動(右手に持ったピンセットではさんだ臭い付きの布を左手に移す行動)を行えば犬はくわえた臭布を持来し、行わなければくわえた臭布を落とす、という事実が何度も突き出された。
 ここでT訓練士はまたもその場限りの言い逃れを行い、墓穴を掘った。犬がT訓練士の手元までもってきた臭布を受け取らなかった選別について、T訓練士は「これは持来である」と断定したのだ。ところがこの選別は、犬が持来しないことを目的とした選別であり、一審ではT訓練士が頑強に「不持来である」と主張した選別なのだ。
 さらにT訓練士が、三回とも不持来の選別について「犬の行動で同臭性も感じられた」などと言うに至っては、傍聴席から失笑が起こった。この選別は、初めに犬に嗅がせた臭いが現場遺留品であり、並べられた臭いはすべて捜査官のものであるから、T訓練士は捜査官が犯人だと言っているに等しい。
 今回の反対尋問によって検察の控訴そのものの不当性、違法性がいよいよ明らかになった。次回公判も、T証人調べが続行される。

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週刊『前進』(1959号6面4)

 新たな出会い共闘を求めて

 新潟で全金本山集会

 第1節 12労組が賛同連帯の輪広げ

 「全金本山労組は三十年間、会社のあらゆる不当な攻撃に真っ向から対決して闘いぬいてきた。日本の労働運動が右旋回し、時の権力体制に流されている時に、本山労組の闘い、国労の闘いは労働運動の本来のあり方、労働組合の原点を問うている」
 これは、四月二十二日に新潟市で初めて開催された「本山闘争報告交流集会」におけるA労組委員長の連帯のあいさつです。この集会には新潟県内の十二労組が賛同し、四十二人が参加しました。(写真)
 集会は、庄子副委員長の司会で始まり、最初にビデオ『全金本山闘争十九年』が上映され、長谷委員長の主催者あいさつの後、先のA労組など五労組が連帯のあいさつに立ちました。
 「今、すべての労働者が、すべての労働組合の職域を超え、連帯し、大衆闘争を支え合う時です。単に政策を立案し、その法制化を目指して『国会対策』を展開するだけでは不十分」という、連合下で組織的取り組みを開始した産別の委員長の連帯アピールも紹介されました。
 そして、集会は青柳書記長の基調報告、質疑に続いて、最後に長谷委員長を始め三役五人が決意表明を行いました。平均五十六歳の闘士たちが、自分が闘争にかかわった経緯や家族の現況を語り、不屈に闘う決意を語る姿は感動的でした。バイトをやりながら物販オルグに全国を歩いて「ドアの向こう側にどのような人がいるか」と不安と期待を持ちながら労組の門をたたいたそうです。新潟ではここ数年で連合下にある単組が組織決定で物販に取り組むようになったのです。
 「一人の首切りも許さない」という原則を徹底して闘う姿こそが、支援・連帯の輪を広げてきたのです。この苦闘と魂が生み出した原則性とその中で切り開いた物販闘争という長期解雇撤回闘争の経験は、動労千葉、国労闘争団へと引き継がれて発展してきたのではないでしょうか。

 第2節 労働組合運動の先頭に立つ

 本山労組は、集会スローガンの一つに「新たな出会いと共闘を求めて!」を掲げました。これに私たちはどうこたえていくべきでしょうか。
 本山闘争への支援・連帯の闘いを強めることはもちろん、同時に今力強く開始した自らの職場生産点・産別での闘いをより一層強めていくことです。大失業時代の資本攻勢に対して私たち労働者党員は、自己解放性をもって「党としての闘い」をもっともっと展開していくことです。労働組合運動の先頭に立ち、責任をとっていくことです。
 ここがまだ足りないのではないでしょうか。これが本当に力をもつ時に、いまだ私たちと距離をおいている労組・活動家と手を組むことができるようになると思います。この苦闘の中でこそ労働者党は建設されることをあらためて確信しました。 (投稿 S・M)

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週刊『前進』(1959号6面5)

 5・13〜15沖縄闘争に参加して

 第1節 沖縄差別の現実

 東北大1年 田林達弥

 今回の沖縄現地行動で、今の沖縄の基地の現状、沖縄サミットに向けての現地の状況などを見てきました。嘉手納基地を丘の上から見たとき、沖縄差別というのを目の当たりにしました。飛行場を米軍機がひっきりなしに飛び立ち、民家ぎりぎりの低空を飛び回り、民家と道路一本隔てた壁の向こうで米軍機の洗浄液をまき散らしていました。しかも米軍の居住地は見えないようなところにあり、まさに自分たちだけが良ければいいと言わんばかりのひどい状況でした。
 那覇、名護でデモをしていると、通行人に「がんばれ」と励まされ、私たちのよびかけに手を振ってこたえてくれ、あらためて現地の人の意識の高さを見せられ、本土でも多くの人びとに沖縄の現状、沖縄の声に関心を持ってもらうようにしたいと思いました。
 ぜひ一度沖縄の基地を見て、沖縄の人の話を聞いて、今私たちが何をしなければならないのか、考えてほしい。

 第2節 勇気と力を得た

 広島大1年 速水
 初めて沖縄に来て、沖縄人民の熱意、反基地にかけるその熱意に本当に圧倒されました。集会の中でも何度か提起されたとおり、本土人民の連帯が本当に必要なんだということが身をもってわかりました。
 本当に感動的でした。この感動は僕の心に一生残り、活動家としての勇気と力を与え続けることと思います。

 第3節 基地はいらない

 法政大1年 K
 東京から飛行機で三時間。那覇空港に着いていきなり目にしたのが、「サミット歓迎」の横断幕とG8の旗でした。このキャンペーンには驚きましたが、実際に歓迎している人などほとんどいないのではないかと思いました。
 五月十四日午前、森首相来沖阻止集会に参加しました。その日、森首相が沖縄に来るというのです。これまで数多くの沖縄差別暴言を吐いた森首相の来沖を絶対に許すことはできません。集会で、「森首相に二度と沖縄の地を踏ませない!」という沖縄からの発言がありました。僕も、森首相を絶対に沖縄サミットに来れないようにしてやろうと思いました。
 この三日間でわかったことは、やはり沖縄の人たちは皆、基地には反対しているということです。しかし、「サミット歓迎」キャンペーンや振興策などによって、サミット反対を叫べなくされているのです。デモではビラが吸い込まれるように通行人に受け取られていきました。サミットとは戦争会議だと本当に伝わったとき、誰もが反対するし、絶対に粉砕することが可能だと思いました。

 第4節 「5月15日」に

 富山大1年 牧野
 五月十五日は沖縄が本土に復帰した日である。二十八年前に、戦後から続いた米軍による統治からは脱却したが、米軍基地は依然として居座り続けている。現在、経済的な問題が深刻になっている一方で、基地を強化してアジア侵略の拠点にしようとしている。つまりわが日本は欧米と手を組んで、再び戦争を始めようとしているのだ。
 だから現在沖縄で起きている問題は、日本に住む僕たち一人ひとりの問題である。僕は自分の国が戦争を始めて、他国の人びとを殺すことには耐えられない。
 今回沖縄に行ったことで、沖縄の人たちの苦労と努力の一端に触れることができた。本土に住む僕たちも、沖縄の人たちを見習って反戦と平和に向けて努力しなくてはいけない。
 沖縄の問題は環境問題でもある。沖縄の自然はとても豊かで、東洋のガラパゴス諸島と呼ばれている。亜熱帯に位置しているため、多くの生物の北限になっていて、生物学的にもたいへん貴重なのである。このような沖縄に新たな基地を造ろうというのだから、これはもはや人間だけの問題ではないのだ。
 僕は、名護市辺野古の基地建設予定地を見てきた。軍用施設の有刺鉄線と、きれいなサンゴ礁の遠浅の海とが対照的であった。
 二十八年前に沖縄の人たちは、平和憲法のある日本に沖縄が復帰することを願い、これを達成した。しかし、米軍基地はなくならず、今また、過去の過ちへと戻ろうとしている。これを防ぐためには、僕たち一人ひとりが立ち上がらなくてはいけない。今年の五月十五日は、僕にそれを気付かせてくれた。僕にとっては画期的な日であった。

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