ZENSHIN 2000/07/03(No1963 p06)

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週刊『前進』(1963号1面1)

 自公粉砕、長谷川勝利へ決起

 石原伸晃打倒! 介護保険廃止・反戦平和の大旋風

 7・1国労臨大包囲する総結集で執行部総退陣・四党合意粉砕せよ

 沖縄サミット決戦爆発へ進撃を

 南北朝鮮首脳会談を重大な契機として、アジアと世界の激動は一層深まっている。帝国主義の戦後世界体制は最後的崩壊の過程に突入した。この中で、米・日帝国主義は朝鮮・中国―アジア侵略戦争への動きを加速度的に強めている。七月沖縄サミットはそのための重大なステップになろうとしている。革共同は杉並区民、全国の闘う労働者人民とともにこの激動情勢と真っ向から切り結び、“自公政権打倒・ファシスト石原伸晃打倒、介護保険廃止”を中心に掲げ、戦後最大の政治決戦としての六月衆院選決戦を、全党総蜂起の闘いとして全力で打ち抜いた。この地平を引き継ぎ、自公の戦争政治と全面対決し、二〇〇〇年決戦の勝利をめざしてさらに進撃しよう。七・一国労臨大決戦に総決起しよう。臨大を包囲する大結集で、執行部総退陣・「四党合意」粉砕を絶対にかちとれ。さらに七月沖縄に全国から総結集し、名護市部瀬名(ぶせな)のサミット会場に進撃する戦闘的大デモで、沖縄サミットを粉砕しよう。

 第1章 最大の政治決戦を全党全人民が闘う

 衆院選真っただ中の六月二十日、警察庁・警視庁は東京、神奈川、九州などの前進社本社・支社を始め全国の約五十カ所に一斉不当捜索を強行した。東京本社では五時間に及ぶ長時間の捜索を行い、一人の同志をデッチあげ不当逮捕した。これは衆院選決戦への明らかな選挙妨害であり、またサミット粉砕決戦への予防反革命の大弾圧である。断じて許すことはできない。
 だが、この弾圧は、日帝権力がどれほどわが革共同の進撃に危機感を燃やしているか、どれほどわれわれの闘いが敵権力に打撃を与えているかを、逆に証明してみせたのである。
 革共同と杉並区民、全国の闘う労働者人民は、東京八区(杉並区)で長谷川英憲候補を押し立て、日帝・森自公政権、そのファシスト的先兵=石原都知事・伸晃父子と真っ向から対決し、戦争・大失業と福祉切り捨ての攻撃を打ち破るために全力で総決起した。その中で、自公政治ノーと介護保険廃止を求める杉並区民の感動的な自主的運動の創造と発展を切り開いた。
 民主党、日本共産党など既成野党が労働者人民の声と要求を抑え込み、階級闘争の圧殺に手を貸し、議会内的にもまったく無力化している中で、六月衆院選決戦は、〈労働者人民の自己解放的決起で社会を変え、時代の流れを変える〉〈人民の団結した運動こそ反動政治を打ち破る力〉という階級的真実を、政治内容としても、運動の形態としても強烈に押し出し、実践して闘い抜いたのである。これこそ二十一世紀にプロレタリア解放闘争の勝利を開く、新しい大衆的直接行動の始まりである。
 衆院選闘争で一層明らかになったことは、帝国主義に屈服する野党では、まったく闘えないということだ。民主党は改憲・有事立法、福祉切り捨ての急先ぽうだ。日本共産党は、衆院選の過程で裏切り者としての正体を一層あらわにした。「有事には自衛隊で対応する」という自衛隊容認・侵略戦争支持方針、「消費税五%オーケー」の大衆収奪容認方針など、なりふり構わぬ大転向と変質は、日帝との階級的激突を恐れて全面的に屈服し、加担していく姿を浮き彫りにした。日共は、自己の反革命的党派利害のためには一夜にして労働者人民の切実な要求と闘いを平然と裏切り、踏みにじっていく反人民的な党派であることをあからさまにしたのだ。
 衆院選決戦はこうした野党の変質・大転向と真っ向から対決しつつ、われわれのみが自民党のファシスト石原伸晃と全面対決し、長谷川候補の必勝をかけて圧倒的に闘いぬいたのだ。
 自公政治粉砕、介護保険廃止を訴えて衆院選決戦を全力で闘った力をもって、さらに日帝と全面対決する二〇〇〇年決戦の勝利のために猛然と決起しよう。
 日帝の絶望的・体制的な危機の深まりの中で、日帝は新ガイドライン体制のもとで、戦争国家化の攻撃を強めている。この間の一連の石原発言、森発言が突き出したものは、民主党や日共が言うような、単なる知事や首相としての「個人的資質」の問題ではない。
 それは、日米争闘戦の激化の中で、絶望的な危機と体制的行き詰まりにのたうつ日帝支配階級が、戦後体制の右側からの転覆・破壊を狙ってかけてきた攻撃そのものであり、その凶暴性と暗黒性のもとに労働者人民を屈服させようとする大反革命である。
 森や石原は野党の屈服を見透かすように、発言を批判されても完全に開き直り、より一層反動的な発言を繰り返している。森は六月二十一日に遊説先の大分県で講演し、「大学の入学時期を九月にして、入学前に自衛隊で訓練するのもいいかもしれない。教育改革国民会議に検討課題として申し上げている」と発言した。森は徴兵制復活を公然と提唱しているのだ。反動的「教育改革」や有事立法・改憲攻撃をとおして、日本を戦争のできる国家にしようとしているのだ。
 石原都知事の「三国人」「自衛隊の治安出動」「中国を分裂させよ」などの発言、森の「天皇を中心とする神の国」発言などが示しているように、日帝は今日、第一に朝鮮・中国―アジア侵略戦争のための軍事力強化、戦争体制づくり、第二に天皇制ボナパルティズム権力の復活の攻撃、第三に排外主義の扇動、第四に九・三首都自衛隊治安出動演習に見られる階級闘争圧殺の大反革命の攻撃を激しくかけてきている。
 石原が計画している九・三自衛隊首都治安出動演習は、新ガイドライン体制下で朝鮮・中国侵略戦争を強行するための国内戦争訓練である。パラシュート降下訓練や渡河訓練、銀座の制圧訓練まで計画している。
 まさに朝鮮・中国侵略戦争突入と同時に東京に戒厳令を敷き、自衛隊が主体となって都職員や民間人を戦争協力に動員し、在日朝鮮人・中国人を「敵国人」「潜在的ゲリラ勢力」としてせん滅し、反戦運動を闘う勢力を徹底弾圧する、そのための首都制圧演習を「防災訓練」と称して強行しようとしているのだ。
 さらに自衛隊は、次期中期防(二〇〇一〜〇五年度)で陸上自衛隊に対ゲリラ戦の特殊部隊を創設することや、治安出動時の武器使用基準を見直す方針を固めた。また治安出動に関する警察との現行協定(一九五四年締結)を改定し、自衛隊を主力とし、警察をその補完と位置づける新たな協定を年内に結ぼうとしている(六月十八日付沖縄タイムス)。こうして侵略戦争突入のための戦争国家体制づくりの攻撃が急ピッチで進行しているのだ。
 衆院選決戦への総決起の歴史的地平を引き継ぎ、闘うアジア人民と連帯し、この日帝の戦争体制づくりの攻撃を粉砕するために闘おう。九・三自衛隊首都治安出動演習粉砕へ、都労連労働者、反戦自衛官とともに決起しよう。

 第2章 南北朝鮮首脳会談とアジアの大激動

 国内・国際情勢は激しく揺れ動いており、この激動的情勢への革命的対応として二〇〇〇年決戦を全力で闘わなければならない。
 とりわけ六・一三|一五南北朝鮮首脳会談とそれをめぐる激しい動きは重大である。
 今回の南北首脳会談は、これまで何度も繰り返されてきたペテン的な「南北会談」とは画然と異なる決定的情勢の到来である。事態は、北朝鮮スターリン主義者や韓国・金大中大統領の思惑を超えて、確実に南北分断体制そのものを根底から揺り動かすものへと突き進み、帝国主義の戦後世界支配体制の最後的崩壊に転化するものである。
 (1)南北首脳会談は、在日朝鮮人も含めて「統一」をめぐる大きな反響と熱気を朝鮮人民の中に生み出した。冷戦終結と南北統一へ大きく前進したというキャンペーンが南北両政府からなされている。
 だが、この南北会談自体は、韓国・金大中政権、北朝鮮・金正日体制の双方の体制延命のための、分断体制の維持のための協商会議であり、けっして南北統一のためのものではない。朝鮮人民の統一の闘いの勝利は、けっしてこの南北会談の延長線上にあるのではなく、南の強権的反人民的な金大中体制の打倒と、北朝鮮スターリン主義・金正日体制の打倒をとおした南北分断体制打破・革命的統一の闘い以外にはあり得ない。南朝鮮と北朝鮮の「緩やかな連合」などというのも幻想でしかない。決定的に重要な問題は、階級闘争を指導する党の問題であり、これに連帯する日本階級闘争の爆発である。
 (2)だがこの会談は、朝鮮人民の統一要求への裏切りと大反動であると同時に、しかし、南北支配層の思惑をはるかに超える朝鮮人民の自己解放闘争のエネルギーを噴出させる引き金となった。今後、南北の政権が「合意の実践」の名のもとに裏切りを重ねるたびに、朝鮮人民の怒りが爆発していくことは避けられなくなった。これは、分断体制をテコとして成り立ってきた南北朝鮮をたちまちのうちに体制的危機にたたき込むものである。
 (3)今回の一連の動きを規定しているものは、何よりも北朝鮮スターリン主義の、どん詰まりの体制的危機の中での新たな対外政策への踏み切りである。
 金正日政権は、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)の計画の一定の行き詰まりの中で、南を窓口にした経済政策・財政政策を進めようとしている。これによって体制の危機を突破しようと狙っている。
 だが、いったん「開放」政策をとれば、韓国を窓口にして、およそこれまでとは比べものにならないスケールで帝国主義資本が大量に流れ込み、人民の生活と意識に影響を与えないわけにはいかない。これまで抑えつけられてきた人民のエネルギーが、触発されて噴出していくきっかけになり、体制的危機と混乱を引き起こすことになる。
6面につづく

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週刊『前進』(1963号1面2)

 2000年決戦の勝利へ旧来倍するカンパを

 『前進』読者の皆さん。闘う仲間・友人の皆さん。
 革共同は、労働者人民の代表として長谷川英憲候補を押し立てて、戦後最大の政治決戦である衆院選決戦を闘いぬいてきました。今次衆院選決戦は、自公政治ノーと「くらし・いのち・福祉・平和・教育」の課題を掲げ、介護保険闘争に取り組み、まったく新しい大衆運動、労働者人民とその家族の自主的・自発的決起を生み出しました。
 杉並を先頭に始まった住民の決起、労働者の決起に示されるとおり、人民の怒りは衆院選決戦をとおして爆発を開始しました。革共同は、今次衆院選決戦で切り開かれた労働者人民の巨大な支持と期待を全身で受け止め、日本革命の実現に向けて一層の前進をきりひらいていく決意です。そのためにも、例年を倍する夏期一時金カンパをぜひ、革共同のもとに寄せて下さい。
 日本帝国主義は八方ふさがりの危機に直面しています。そして、そこからの脱出をかけて戦争国家化とアジア再侵略戦争の道にのめりこみ、凶暴な攻撃を人民にしかけてきています。その最大の攻撃が今次衆院選の強行であり、七月沖縄サミットです。衆院選と七月沖縄サミット攻撃は、「これまでどおり」にはやれなくなった日帝が、対米関係を始めとする対外政策、階級関係から社会のあり方、人民の意識にいたるまでの戦後的なものをすべて転覆しようとする攻撃の軸に位置しています。
 同時に衆院選とサミット決戦は、日帝に全面屈服する既成野党の無力化と裏切りの中で、「これまでどおり」にはとても生きていけなくなった労働者階級人民が直接日帝と激突し、荒々しい階級闘争、全人民的な新たな決起が始まる場となっています。日帝はすでにその歴史的命脈が尽き果て、内部から朽ち始めているのです。
 二〇〇〇年の階級激突の最大の政治決戦である衆院選闘争において、人民の怒りの爆発が始まりました。人民の決起と党の決起が結合し、二〇〇〇年決戦のより一層の爆発は間違いありません。
 わが革共同は、この人民の新たな決起と結合し、五月テーゼの全面的実現へ、さらに巨大な一歩を踏み出しました。そして今、衆院選決戦への総決起から息もつかせず七・一国労臨大決戦、七月沖縄サミット決戦、九・三自衛隊治安出動演習粉砕闘争、十一月労働者集会の大結集運動へ、連続的に闘い抜きます。
 すべての皆さん。衆院選決戦を闘いぬいた地平に立って、あらためて訴えます。さらに二〇〇〇年決戦の七|十一月の激闘を闘い、勝利するために、旧来を倍する圧倒的な一時金カンパを心からお願いします。

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週刊『前進』(1963号2面1)

 「四党合意」粉砕が国鉄闘争の勝利の道だ

 動労千葉から国労と全労働者へ

 1047名闘争の最大の決戦に際し 中野委員長に聞く

 国労は原則に返って闘うとき

 臨大で敵の攻撃を打ち砕こう

 国労中央が「四党合意」を受け入れ、「JRに法的責任なし」を認めるための臨時全国大会を七月一日に強行しようとしている。会場(社会文化会館)を制圧・包囲する国労組合員と労働者人民の大結集で、「四党合意」の機関決定を粉砕し、執行部総退陣をかちとらなければならない。臨大を前に、動労千葉の中野洋委員長に、千四十七名問題の当事者としての見解と訴えを聞いた。(編集局)

 第1章 分割民営化以来の闘いの全否定は絶対ゆるされない

 ――まず、七・一国労臨大に向けての動労千葉としての見解と態度はどういうことでしょうか。
 中野 五月末に、千四十七名の解雇撤回闘争に対する与党三党プラス社民党による「四党合意案」が国労に提起され、国労中央執行委員会は直ちにそれを受諾し、七月一日に臨時大会を招集することを決定し、それを指令として発出した。千四十七名闘争を中心とする国鉄闘争が最大の決戦場裏に突入したと言える。
 「四党合意」は、「和解案」という形をとっているけれど、そうではなくて、国労に対して「JRに法的責任がないことを認める」ことを強要し、しかも、それを臨時全国大会で決定しろ、そうすれば与党サイドでJR各社に国労のエリア本部などとの話し合いに入るよう要請するという中身であり、国鉄労働組合の屈服・変質・転向を強要するところに特徴がある。
 国労や動労千葉の闘い、それを支援する多くの産別の労働者たちの闘いを雲散霧消させ、解体するところに最大の狙いがある。
 その背景には、破局的な危機として進行している資本主義体制の危機がある。その打開策として、九九年のガイドライン関連法成立をとおして日本を戦争を遂行する国家へと転換し、戦後的なあり方を一切合切つぶし、すべての問題を戦争という力をもって決着をつける、こういう体制に転換した中で、この問題が出てきている。

 第1節 闘う労働運動の壊滅が狙い

 労働運動的に言えば、八九年の連合の結成――八七年国鉄分割・民営化、総評解散、そして連合結成と推移している――という形で戦後的な闘う労働運動を終焉(しゅうえん)させようとした。それでも階級的な闘いをたたきつぶすことに成功していない。その軸に国鉄労働運動があり、中心は国労であった。その国労が国労として存在してきた最大の根拠は、千四十七名闘争だ。その千四十七名闘争を解体し、国労を組織的にも解体し尽くすことで、日本の闘う労働運動を壊滅しようということに最大の狙いがあると思う。
 もう一つ、国鉄・JR労働運動から言えば、いわゆる「完全民営化」問題が眼前にある。「完全民営化」とは、JR法を改定して株を完全に放出するということは形式的なことだ。本質は、もともと国鉄分割・民営化が国鉄労働運動の解体に狙いがあったから、千四十七名闘争や国労・動労千葉が存在していては完全民営化にはなり得ない。なんとしてもここで千四十七名闘争を押しつぶすと、いささかのあいまいさもなく国労に迫ったわけだね。
 だから、国労の問題であるのみならず、動労千葉や全動労だとか千四十七名闘争の当該だけでもなくて、連合路線の支配のもとで大変な攻撃を受けている日本の多くの労働者たちの闘いの芽を徹底的につぶしてしまおうということだ。このことを見極めて、この大変な攻撃に打ち勝つためにも、「四党合意」を完膚なきまでに粉砕することを、あらゆる手段を使ってやりとげなければいけない。動労千葉としては、そういう立場だ。
 動労千葉は分割・民営化時に二波のストライキを敢行して二十八名の解雇者を出し、そして十二名が採用差別され清算事業団に送られたけれど、唯一分割・民営化攻撃にストライキをもって対決した労働組合である。そのことを基礎にして今日の団結を維持している労働組合だから、その闘いを全否定されることは断じて許さない。
 われわれとしてはこの「四党合意」をきっぱり拒否して不当労働行為弾劾、解雇撤回・JR復帰の闘いを推し進めていくという決意を新たにしたところだ。

 第2章 首切りを容認する勢力を国労からたたき出すべき

 ――「四党合意」は、動労千葉にとっても大変な問題だと。
 中野 そう。国労がどういう方針を決めるかは、それは勝手だと言うわけにはいかない。動労千葉の千四十七名闘争も大変な影響を受けるわけだから。
 ただ、そういうレベルだけでなくて、動労千葉は千四十七名闘争に勝つためにも、多くの仲間たちとともに闘う労働運動をもう一回つくり上げなければならないということと一体の闘いとしてやってきたわけで、そうした営々たる地道な努力がつぶされることを容認するわけにはいかない。だから、国労闘争団を始めとする闘う仲間たちと可能な限り連帯して、この大陰謀をたたきつぶすことに全力を挙げなければいけない。
 この間、われわれが国鉄決戦と言ってきた闘いは、要するに、支配階級の側の狙いと意図を国労内部において体現する勢力、チャレンジグループや革同の上村グループとの熾烈(しれつ)な闘いをとおして、支配階級の側の攻撃と対抗するという形で推移してきた。それが大詰めを迎えて、むき出しになってきた。
 千四十七名の解雇あるいは分割・民営化の過程で二十万に近い労働者がなんらかの形で職場を去るとか、二百名の労働者が自ら命を絶つという大変な攻撃に対して、千四十七名闘争はそれをすべて双肩に担った闘いだ。だからこれを裏切るということは、この十数年の闘いを全部解体してしまうということであって、そんなことを一部の幹部がやる権利はまったくない。
 いわば首切りを容認する勢力と、首切りは断じて認めないという勢力との激突なんだね。確かに労働組合は、思想信条の違う労働者が集まっている大衆組織である。しかし、今度の「JRに法的責任なし」を認めるということは、イデオロギーの違い、考え方の違いということではない。首切りを認めるか認めないかは労働組合にとって天と地ほどの開きがある。臨大をめぐる情勢は、本質的に国労内における「分裂」をも前提として進んでいると見なければいけない。
 したがって、首切りを容認し、自らの保身のためにそういうことをやる一部のグループを国鉄労働組合からたたき出さなければいけない。このことが、事態に決着をつける唯一の方針だと思う。
 国鉄労働組合の名のもとに首切りを容認するという勢力の存在を許しておいて、国鉄労働組合の前進、組織的・路線的前進はまったく成り立たないことをはっきりさせるべきだ。
 ――闘争団をめぐっても激しい攻防になっているようですね。
 中野 「JRに法的責任なし」を認めるグループは、チャレンジグループと革同上村派の連中だ。闘争団の中でも、もっぱら本部の判断を支持して突出しているのは、革同の上村派系の連中だけだというよね。
 「JRに法的責任なし」を認めて、JRに哀れみを請うて、ひざを屈して、それで哀願するというあり方は、結論ははっきりしているわけ。涙金ぐらいで闘争団の闘いは終焉を迎えるわけだ。
 聞くところによると、本部方針に賛成している連中は、闘争をやめてもなんらかの形で生きていく、食っていく術(すべ)がある。共産党公認で市会議員選挙に出るとかね。つまり、早いところ闘争団をやめたいということじゃないのか。そういう術がない、闘争団の中で闘う以外に生きていくこともできない圧倒的に多くの労働者は、こんなものを認められるはずがない。だから闘争団の三分の二以上が反対しているのは当然のことだ。
 賛成している連中は、表向きは「ラストチャンス」と言うけれど、根本的には彼らの敗北主義だと思う。「このまま闘っても永遠に解決しない」とか、その前提として、「国家権力に立ち向かって闘っても勝てるはずがない」と。それは民同や日共・革同の根本的なものの考え方だ。ある種の合法左翼だから、五・二八判決に大変なダメージを受けたことがさらに拍車をかけた。しかしそれは根本的に誤っている。
 ――そういう敗北主義ではなく、勝利の展望を示すことが求められていると。
 中野 そう。重要なのは、今、困っているのはどっちか、危機に直面しているのはどっちかということだ。けっして国労や闘争団ではなく、敵の側なんだ。
 先ほど言ったように、「完全民営化」を達成するためには、千四十七名闘争と国労の存在をこの世から抹殺する以外にない。彼らの方がせっぱ詰まった状況にあるわけだ。一方、国労や闘争団は失うべき物を全部失って、あとは本気になって団結を強化し、連合内外の多くの労働組合や労働者に連帯を広げていけば、おのずと闘いの展望は見えてくる。「ここでラストチャンスを逃したら、十年、二十年先は真っ暗だ」と、こんな言い方は、ためにする批判であり、局面はそんな状況ではまったくない。

 第1節 JR・カクマル結託が崩壊へ

 動労千葉のサイドから見ると、今までになく有利な情勢が到来している。確かに五・二八反動判決が出たけれど、これに対してILOですらおかしいと、国労の申立を支持する中間勧告を出しているし、何よりも分割・民営化体制、JRとJR総連=カクマルの結託体制が音を立てて崩壊する中で、何一つ不利な状況はない。敵の側がガタガタ揺れ動いている。われわれ労働者の側が、毅然(きぜん)たる態度で着実に闘いの輪を広げていけば、情勢はもっともっと良くなると僕は見ている。
 敵は確かに国家権力だから強大だけれど、それをあまりにも誇大視して、労働者の団結によって生み出される闘いの可能性をまったく信じようとしないし、確信を持とうとしない。ここに、国労中央本部が「JRに法的責任なし」を認めるところまで来ている最大の根拠があると思う。
 これは、国労がJR連合やJR総連と同じ立場に立つということなんだ。そうなれば当然、「じゃあ、お前らの十三年間やってきたことは何なんだ」という話になるわけで、これは非常に深刻なことだと思う。
 ――JR総連は、この機をとらえ、国労解体に全力を挙げると言っている。
 中野 JR東労組のカクマルはこの間、JR総連とカクマルの対立劇のビラばかり出していた。それが「四党合意」が出てから、「国労は屈服した。国労に未来はない。今こそ国労と決別し東労組に結集せよ」というビラを出している。
 JRとJR総連の結託体制のタガがはずれたわけだから、そこに介入してJR総連の解体を推し進めることが可能なんだけど、逆にこんなことばかりやっているから、国労の中に動揺が生まれちゃう。そのこと一つとってみても、「四党合意」受け入れは犯罪的だ。
 国労の旗を守って頑張ってきた、千四十七名のみならず国労二万数千人の組合員にとってみれば、自分たちが生きてきた、闘ってきた基本的なところを自ら葬り去ることになりかねない。国労が国労として存在することを自己否定するということに等しいわけだ。
 そういうことを、国労の問題だからと手をこまねいて傍観するわけにはいかない。この修羅場をくぐり抜けて、国労を本当に真っ当な労働組合にするためには、この臨時大会で中央本部が提案してくる「JRに法的責任なし」を粉砕し、修善寺大会をのりこえるような巨大な前進をかちとることが絶対に必要だし、そのことはまったく可能だと僕は思っている。

 第3章 「JRに法的責任なし」の粉砕こそ解決水準を上げる

 ――そのために、国労組合員に訴えたいことは。

 第1節 闘争団は国労運動の精華だ

 中野 動労千葉の側から見ていて、闘争団は戦後国鉄労働運動の精華だ。あれほどの差別・選別を受けながら、国労中央からなんら方針が出ないにもかかわらず、三万に近い労働者が団結して頑張っている。ここに依拠して、この力を本気になって発揮させた時に初めて国労の要求、千四十七名の解雇撤回・地元JR復帰に向けて前進できる。
 労働運動、労働組合の要求は、基本的に力関係で決まるという原則がある。だけど、今の国労の指導部は、力を発揮して本気で敵と渡り合ったことが一回もない。だから、こういう屈辱的なことになる。「解決水準」がゼロに近くなるのは当たり前のことだ。
 だから、七月一日に「JRに法的責任なし」という方針を粉砕することは、実は国労が初めて敵に力を示すことになる。チャレンジや革同上村派を打倒することは、要するに「四党合意」という形で襲いかかっている支配階級の攻撃に打ち勝つことになるわけだ。
 そこで初めて国労の団結が誇示されて、初めて千四十七名の解決水準が上がる条件が出てくる。力関係で決まるわけだから。
 しかも、国労には、そういう力がある。何よりも闘争団がこの十年余り頑強に闘っている。国鉄闘争、国労を支援している労働者は、全産別、全国各地に百万人はいるのではないか。この力を太い幹にすることは可能だ。「四党合意」を粉砕して、そういう闘いに着手すれば、解決の情勢をつくることはまったく可能であると思っている。
 今こそ、労働組合の要求は力関係によって決まるという、誰もが否定し得ない原則に返って、国労の力を発揮するためにどうしたらいいか、本気になって考えて闘えばいい。
 「四党合意」を拒否すると、事態が九六年八・三〇申し入れ以前に戻ることになるわけで、国労内には、このことに対する恐怖感がある。だけど、この間の過程は国労が屈服する過程だった。つまり、解決水準をどんどん下げている過程なんだ。だから、七・一で「四党合意」を粉砕することが、唯一の勝利の道であることを確信してほしい。
 問題は、国労内の中間派の諸君たちも根本的な違いはあまりないことだ。「入り口」と「出口」の違いぐらいで。「出口」の段階で、つまり解決した段階で「法的責任なし」を認めるのならいいけど、「入り口」で認めるのは問題なんだという言い方だ。「改革法承認」の時は「解決のメドが立った」から認めてもいいんだと。そこに彼らの弱点があった。それで結局、国労中央本部が「法的責任なし」を認めるところまで行っちゃうわけだから、これはもう「入り口」か「出口」かという問題ではない。
 ただ、みんな千四十七名問題の決着というのは、これから国労が国労として存在できるかどうかという組織問題と一体なんだという認識を持っている。そうであるなら、ここで国労が再生するためには、労働組合らしく職場に基礎を置いて労働者の団結を強化し、そしてそれを横に広げていく、このことをうまずたゆまず続けていくことにしか、勝利の展望はない。この原点を絶対に今こそ打ち立てなければいけない。この出発点が七月一日の臨時大会で「四党合意」を吹き飛ばすことである。
 そうすれば千四十七名闘争の解決も、おのずと自分たちの主導権で闘いを進めることができる。労働組合が権力と闘うには、自分たちのヘゲモニーで闘わなければならない。ところが、この過程は、敵に全部ヘゲモニーを握られているわけだよ。労働組合が政府・自民党と交渉すること自体が悪いわけではない。どんどんやればいい。だけど今やっていることは、戦後史上最も下手くそだよね。
 つまり、「JRに法的責任なし」と認めることは、国鉄改革法で労働者が首を切られて、職場を去り、そういうことを容認するということだから、法律で決められたら労働組合は一切の闘いを放棄しなければならないということになるわけだね。法律でどう決まろうが、労働者は自らの首切りに反対して闘うというのは放棄できないわけだ。
 最高裁から労働委員会から全部負けても、それでもうまずたゆまず闘いを継続した結果、いや応なしに会社が和解にのりださざるを得なくなるという例はいくらでもある。裁判や労働委員会で負けようが、これで勝利の道はないということはない。敵が困った時に初めて解決の機運が出てくるわけだ。何度も言うけど、困っているのは敵なんだ。
 国鉄闘争が崩れないで連綿と闘いが継続されているわけでしょ。だいたい闘ううちに少数になるものだけれど、千四十七名は残っている。こういうことは戦後初めてなんだ。これを大事しなかったら、いったいどこで闘うというんだよ。
 臨大で「四党合意」が決まらなかったら、国労サイドが追い込まれるわけじゃなくて、敵が困るんだ、敵が。表向き政府・自民党は「じゃあ俺たちはもう知らないよ」と言うかも知れないけれど、じゃあ本当にもう知らないで済むのか。厳然として千四十七名闘争は続くわけだから。
 だから、チャレンジや革同上村派の諸君は、階級闘争ということが全然わかっていないよね。本人たちが階級闘争を早くやめたいと思っても、階級闘争は厳然と続くわけだから。そういう考え方を否定したいやつは否定すればいいけれど、厳然として事実として闘いは存在するわけだ。
 だから、敵の側は、こういう屈服した連中をのりこえて闘いが進むことを一番恐れているんだ。それを七・一臨大を起点にしてやるということだよ。

 第4章 当該組合として支援勢力の力を結集し反対を貫く

 ――動労千葉として、国労臨大に向けて、どのように闘いますか。すでに国労本部に申し入れもしているそうですが。
 中野 動労千葉としても、今回の事態は最大の正念場だと思っている。千四十七名のうち九百六十六名が国労に所属しているわけだから、率先して闘いの先陣を切るならば何の異議を差しはさむものではないけれど、こと闘いを裏切るということに関しては黙過できない。今回の「四党合意」に対して明確に反対であり、これは「解決案」などという代物ではないし、わわわれに屈服を強要しているものだ。それに対して動労千葉として国労中央本部に釈明を要求したわけだ。これは当然の権利だと思う。国労といえども、動労千葉に所属する九名の組合員の生殺与奪の権はないわけだから。それに対して、なしのつぶてで答えようともしない。
 ということで、動労千葉の態度を明らかにして、国鉄闘争を支援している多くの労働組合や知識人・弁護士の人たちに対して「四党合意」に反対する署名を要請している。その署名を集約して国労の高橋中央執行委員長に対して提出すると明記して、今、署名運動を展開している。
 当然のことながら、臨大で激しい討論になると思うけれど、国鉄闘争を支援してきた多くの労働組合や人士の人たちの考えも斟酌(しんしゃく)して結論を出すことは当然なわけだから、その運動を進めている。当該組合として当然の権利だと思う。
 今度の七月一日がなぜ定期全国大会ではなくて、臨時全国大会なのか。臨時全国大会ということは代議員をそのままにして、昨年度の代議員のままやるから、チャレンジと上村革同一派はそれが有利だという判断でしょう。だけど、国労内の学校政治は崩れ、間違いなく流動化している。だから、これに反対している勢力が本気になって臨大で勝負を決する、「四党合意」という形で来た敵の攻撃を粉砕する激しい意志と貫徹力をもってすれば大会で多数を占めることは可能だし、そのためにあらゆる力を集中すべきだと思う。
 支援勢力にも「四党合意」に賛成する人はほとんどいない。それと国鉄闘争を支援している文化人も、今日の激しい情勢の中で節を曲げない人が多いわけで、「当該の国労が決めることだからしょうがないんだ」と考えている人たちは少数派で、圧倒的多数は、今度の国労の動向に危惧をもっている。この声を一点に集めることに成功すれば臨大で勝つことはまったく可能だと僕は考えている。
 そのために全力を挙げたいと思うし、国労内外の全国の労働者の総決起を訴えたい。

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週刊『前進』(1963号2面2)

 「合意」承認許せぬ

 闘争団の家族が訴え

 「四党合意」に対して、闘争団と家族の怒りが高まっている。その中で、北海道闘争団の家族が相次いで上京し、集会や職場を回り、「四党合意」撤回を訴えている。六月二十日、国労新橋支部のJR東日本本社前宣伝行動での四人の家族の発言を紹介する。この訴えにこたえよう。(編集局)
▼闘争団家族Aさん
 四党で、分割・民営の際に不当労働行為はなかった、国労が裁判を全部取り下げれば和解に応じてもいいと、とんでもないことを言い出しました。間違いなく、十四年前に不当労働行為があったんです。だから、絶対に許すことはできません。国労本部が当事者を抜きにして執行部で決めたことも、家族は許すことはできません。
 政府の思うとおりに国労がこの案をのんだなら、民主主義も何もあったものではありません。七月一日に臨時大会を開いて、このことをのめばJRに戻してあげるということですけれども、中身は何も保証されていません。四党の合意は撤回し、臨時大会も撤回して、私たちの声を、労働者の民主主義の声を国労は聞くべきだと思います。本部は総辞職して、私たちが権力にけっして屈しないで頑張っていかなければ、もっともっと悪い日本になる。
 臨時大会に入る前に、国労は私たち闘争団の、私たち当事者の声を聞いてから決めて下さい。
▼闘争団家族Bさん
 五月三十日に新聞に載った解決案を見て本当に怒りを覚えました。今まで十四年、我慢して苦しい思いをして生活をしてきた私たちを無視した解決案でした。
 昨年、私の母もガンで亡くなりました。「あなたたちが間違ったことをしているわけではないので、最後まで頑張りなさいよ」という言葉が思い出されます。母の思いを胸に、今解決案をなくし、もっと当事者の納得のいく解決案を要求し、頑張っていきたい。
▼闘争団家族Cさん
 十三年を無駄にしないために、私は闘争団の納得のいく解決しかありえないと思っています。政府は「これがラストチャンスだ」と言いながら、私たちに屈服を迫るように脅しをかけていますが、闘争団は、私たち家族も子どもも、まだまだ闘えます。私たちには何より十三年間、歯を食いしばって闘い続けてきたという自信があります。そして夫が正しかったという誇りがあります。その気持ちで、もう一度闘う国労の旗のもとに結集して、精一杯頑張っていきたい。
▼闘争団家族Dさん
 政府は、国労が国鉄改革法を認めることで、解決に向け努力すると約束しました。しかし、国鉄改革法を認めた後も、約束を守るどころか、私たちの思いとまったく別な方向へと進み、私たちの前に大きなハードルを突き付け攻撃し続けることは絶対に許せません。
 「国労がJRに法的責任がないことを認める」ことが前提条件とする解決案などは、私たちは到底認めることはできません。私たちは中途半端な、あいまいな解決のためにこの長い年月を過ごしきたわけではありません。国鉄の分割・民営化によって解雇された、すべての組合員の解雇撤回、そして夫たちが地元JRに復帰し、元の生活を取り戻すまで、私たちに解決はありません。

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週刊『前進』(1963号3面1)

 自公政治にノー! 介護保険は廃止を

 長谷川候補 大車輪の訴え

 住民運動と結び支持拡大

 政治変える新しい力を示す

 長谷川ひでのり候補を押し立てた東京八区(杉並区)の衆院選決戦は、区民の熱い支持と共感を集めながら、全力で闘い抜かれてきた。森・自公政権ノー、介護保険廃止、「いのちの叫びを国会へ」と訴える長谷川候補の政策は、多くの区民の心をとらえた。介護保険廃止と福祉の要求を戦略的課題として位置づけて闘うという革共同の方針の正しさと全党の蜂起が、介護と福祉を要求する住民の自主的決起と結びつき、日本階級闘争における歴史的な地平を切り開いているのである。
 長谷川候補を押し立てた衆院選決戦は、杉並区内の各地で熱気の渦を巻き起こしつつ展開された。
 街頭宣伝では、支持者が駆け寄って長谷川候補と固く握手する光景があちこちで見られた。「いつも応援していますから」「絶対に勝ってください」という声とともに、「今度は長谷川さんに入れますよ」という声も圧倒的に寄せられた。介護と福祉を民衆の力で取り戻そうと訴える長谷川候補の演説の前で、介護保険廃止十万人署名に応じる区民も続々と現れた。
 町内を歩いて支持を訴えると、商店の人たちが次々と握手をして「頑張ってください」と激励の言葉を寄せた。スピーカーの音を聞きつけた人が二階の窓から手を振って声援を送った。買い物途中の女性も、次々に長谷川候補と握手を交わした。宣伝カーには、道行く人びとが大きく手を振ってこたえた。
 長谷川候補のビラを受け取る区民の表情には、誰に入れようかと真剣に考えている様子がはっきりと表れていた。自公政治に対する怒りは、きわめて大きなものなのだ。

 第1章 沖縄からの熱い応援演説

 長谷川候補の応援には、全国各地から多くの闘う人びとが駆けつけた。沖縄から駆けつけた元沖縄高教組委員長の宜保幸男さんは、連日街頭での訴えに立った。「前県知事の大田昌秀さんを始め、私たち沖縄の多くの有志が今回の衆議院選挙で長谷川ひでのりさんの当選を願っています。沖縄の米軍基地をなくすために、国会の中に新しい流れをつくる政治家が必要です。ぜひ長谷川ひでのりをよろしくお願いします」
 作家の宮崎学さんも応援に駆けつけ、企業倒産件数が大きく増加していることを示して、これが自民党・石原伸晃候補の行ってきた大企業救済のための政治の結果であることを明らかにし、石原候補の反動性を暴いて、長谷川候補を国会に送ろうと呼びかけた。
 被災地・神戸から応援に駆けつけた被災地雇用と生活要求者組合の長谷川正夫代表は、「被災地の労働者は月五万、十万の収入で生活している。これでどうやって介護保険の保険料を払えるのか。震災直後から被災地を支援してきた長谷川さんをぜひ国会に送りだしてください」と訴えた。三里塚反対同盟の北原鉱治事務局長や北富士忍草母の会の天野美恵事務局長、三一書房労組委員長の三角忠さんらが次々と応援演説に駆けつけた。国賀祥司泉佐野市議や西村綾子相模原市議も、連日の街頭宣伝を行った。都政を革新する会の結柴誠一、新城節子両杉並区議は、地域をくまなく回って長谷川支持を訴えた。
 介護と福祉を要求する杉並住民の会の人びとも長谷川候補の勝利に向けて全力をあげた。住民の会は、介護と福祉を取り戻すための運動に、最初から住民と力を合わせて取り組んできた長谷川候補の推薦を結成大会で決定した。各地域の街頭宣伝には、多くの住民の会の人たちが駆けつけ、「いのちの一票を介護保険反対の候補へ」と訴えるビラをまき、マイクを握って長谷川支持を訴えた。

 第2章 石原伸晃と全面的に対決

 長谷川候補は街頭演説で、「この三年八カ月の国の政治は何もいいことはなかった。国は介護や福祉・社会保障を大幅に切り捨ててきた。教育の問題も、十七歳の少年の事件が起きており、本当に胸が痛みます。さらに労働者は、給料は上がらず、その上首切り・リストラでどんどん職場を追い出されている。中小商店の皆さんも不況の中で営業も暮らしも本当に厳しい状態です」「この自民党政治を根本から変える大きなチャンスがやってきました。長谷川ひでのりは政治の流れを根本から変えます」と力強く訴えた。
 長谷川候補の大衆的で力強い選挙戦の展開は、自民党・ファシスト石原伸晃を打倒できるのは民主党や日本共産党ではなく長谷川候補しかいないことを誰にもわかる形で鮮明に突き出した。宣伝戦の圧倒的な前進が切り開かれた。長谷川候補の宣伝はぐいぐいと有権者・区民を獲得していった。

 第3章 選挙戦の先頭に住民自身が

 今回の衆院選決戦の特徴は、介護と福祉を要求する杉並住民の会の運動に示される住民の主体的決起と結合しつつ党の蜂起がかちとられ、それによって住民自身の闘いとして長谷川候補への支持が爆発的に拡大したことである。労働者住民と丸ごと結びつく革命党の政治、宣伝・扇動戦が展開され、こうした情勢が切り開かれたのだ。
 労働者住民の意識と要求を科学的に把握し、それに的確に切り結びながら、労働者住民の総体を獲得する生き生きとした宣伝・扇動を展開した。街頭宣伝での一言一言の訴えが、一枚一枚のビラが、労働者住民の心を揺り動かし、巨大な規模で獲得して、その決起を生み出したのだ。
 長谷川候補のビラを地域に配布して支持を訴える高齢者を始め、街頭で次々と介護保険廃止署名に応じる人、自分の知り合いにあてて公選はがきを書いてくれる人。その一つひとつが、労働者民衆の「自公政治ノー」の感動的な決起としてかちとられたのである。
 こうした巨大な自主的住民決起を実現したことの核心には、党が介護と福祉の問題を革命の戦略的課題として据え、衆院選決戦の中心課題に押し上げたことがある。労働者民衆の生活と暮らしの現実にしっかりと切り結びながら、日帝・自民党支配への根底からの怒りを引き出す形で闘いを提起し、宣伝・扇動を展開したことによって、選挙決戦でのかつてない地平を切り開いたのである。
 衆院選決戦が切り開いた歴史的で圧倒的な地平を引き継ぎ、自公の戦争政治打倒へ、七・一国労臨大をめぐる国鉄決戦の勝利、沖縄サミット粉砕決戦の大爆発へと突き進もう。

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週刊『前進』(1963号3面2)

 〈投稿〉

 介護保険に怒りぶつける

 杉並住民の会が厚生省行動

 六月十六日、介護と福祉を要求する杉並住民の会は、都政を革新する会の結柴誠一杉並区議とともに、厚生省との交渉を行った。住民の会の会員六十人が、杉並からマイクロバス二台で厚生省に詰めかけた。私も、住民の会とともにこの交渉に参加した。
 この間、杉並住民の会は杉並区との交渉を重ねてきた。しかし区は、介護保険制度の根幹に触れる要求については、常に「法律で決められた全国一律の制度だからできない」と、それを拒み続けてきた。こうした行政への積もりに積もった怒りを、厚生省に直接ぶつける日がついに来たのだ。
 午後一時四十分、住民の会のマイクロバスが厚生省前に到着すると、「介護保険は廃止に」「いのちの叫びを国政に」と書かれたたすきやはちまきを身につけた住民の会の高齢者が、横断幕を持って横一列に並んだ。住民の会の副代表が、「私たちの生の声を申し入れよう。われわれの要求を実現するため交渉しましょう」と交渉に臨む決意を語った。会員の一人は「いけないことはいけないとはっきり言おう」と訴えた。
 交渉団が拍手に送られて厚生省に入った。
 交渉に先立ち、介護保険の廃止を求める署名九千四百筆分を提出した。厚生省の役人の前に署名簿の山が積み上げられた。続いて、住民の会の副代表が要望書を読み上げ、コンピューターによる介護認定の廃止などを内容とする具体的な要求項目を突きつけた。
 これに対して厚生省は、「コンピューターによる一次判定は全国一律の判定を確保するためのもの」「一次判定だけで認定するわけではない。特記事項の記載内容で実態は反映される」と居直った。
 だが、現実にはコンピューター判定で次々と必要な介護が切り捨てられている。杉並に住むAさんは、脊椎(せきつい)損傷による下半身まひで二十四時間の介護を必要とするが、二度にわたる認定申請の結果はいずれも「要介護3」だった。特記事項をいくら書き連ねても、きわめて低い認定しか出ないのだ。
 参加した住民から、「人間の体はコンピューターで判断できるはずがない。わずかな時間の訪問調査でどうして実態が分かるのか」と、怒りの声が上がった。
 さらに、支給限度額廃止の要求に対して、厚生省は「自立支援という制度の趣旨に基づいて支給限度額は今までの水準よりかなり高めに設定をしている」「好きなだけサービスを使えるようにはできない。サービスを使う人と使わない人とのバランスのために自己負担をしていただく」「本当に負担ができない方は、生活保護を受けていただくしかない」と言い放った。
 「それは制度の欠陥だ」「生活保護を受けろと簡単に言うが、どんなに収入が少なくても持ち家があれば生活保護は受けられないではないか」という声がすかさず上がった。
 特に許せないのは、「支給限度額は高めに設定している」という言い方だ。それでは、介護保険で介護を切り捨てられた人びとは、今までは必要以上の介護を受けていたということか。
 低所得者に対する保険料の減免要求や、保険料を払えない人への制裁措置の撤廃要求に対しても、厚生省は「所得に応じて五段階の保険料を設定しているので低所得者への配慮はされている」「払えるのに払わない人がサービスを受けるのは不公平」などと回答した。あまりに現実を無視した役人の発言に、交渉団の怒りは高まった。
 交渉団は、今回提出した要求は命がかかった切実な要求であることを強調して交渉を終えた。

 第1節 役人の思いどおりにはさせない

 厚生省前で座り込みを続けていた住民と交渉団が合流し、総括集会を行った。交渉に参加した住民は、それぞれに「厚生省からはかみ合った回答をもらっていない」「何度でも厚生省に交渉に来よう」「役人は現実が分かっていない」「介護保険反対の議員を国会に送ろう」と発言した。最後に住民の会の副代表が「私たちが押しかけなければ役人の思いどおりにやられてしまう。私たちの思いを社会に向けて発言する人を国会に出そう」と訴えた。
 今回の交渉で、住民の会はさらに大きな自信と確信をつかんでいる。介護保険廃止へ、さらに大きな運動をつくり出そう。
(投稿 杉並・野沢義清)

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週刊『前進』(1963号3面3)

 介護切り捨て許さぬ

 杉並区議会 結柴議員が区を追及

 六月十三日、杉並区議会第二回定例会が開催され、都政を革新する会の結柴誠一区議が、介護保険問題を中心に質問をした(写真)。総選挙の公示と重なったこの日、介護と福祉を要求する杉並住民の会の高齢者を先頭に多くの区民が傍聴に詰めかけた。私も傍聴したので、その報告をしたい。
 結柴区議は、質問の冒頭に森首相の「天皇を中心とした神の国」暴言、石原都知事の四・九差別暴言=排外主義扇動を弾劾し、これに対する山田宏杉並区長の見解を問いただした。
 介護保険問題では、住民の会の切実な要求に対して区が「介護保険の制度はこれまでの行政の措置制度に代わって制定された新たな考えと仕組みに基づく制度です。したがって、必ずしもこれまでの福祉サービスの水準を保障する性格を持つものではありません」などと回答していることへの鋭い追及を行った。
 住民の会会員のAさんは、脊髄(せきずい)損傷による下半身まひで二十四時間介護を必要とする状態にある。これまでは、家族に支えられつつ、区の高齢者福祉施策と自費負担での介護サービスを併用して、自宅で生活を送ってきた。
 ところが、このAさんに出された介護認定の結果が「要介護3」だった。これでは、下半身が完全にまひしているAさんにとって絶対に必要な排便介護も、週三回から二回に減らさなければならない。これまでどおりの介護を維持しようとすれば、月に四十万円以上の自己負担を強いられる。Aさんは、この認定結果に納得できず、認定の再申請を行ったが、その結論は再び「要介護3」だった。Aさんは、三度目の認定審査に臨もうとしている。
 結柴区議は、「自宅で自立して生活したいというAさんの要求はぜいたくなものなのか、正当なものなのか、区の認識を明らかにせよ」「今までのサービス水準が保障されない人がいるとしたら、その人たちの生活はどうなっているのか。区長はそれにどう対応するのか」と語気鋭く迫った。
 さらに、コンピューターによる介護認定の廃止を求め、「区として独自の判定基準を作り、利用限度額を超える自己負担分の軽減措置をとるつもりがあるのか」と質問した。
 また、低所得者への保険料徴収の免除や、保険料を払えない人への制裁措置をやめるよう求めた。
 杉並区社会福祉協議会の高齢者在宅サービスセンターに勤務する労働者の労働条件が大幅に低下している問題についても追及した。そして、「人間らしい介護を保障するため、介護保険は直ちに廃止すべきであると訴える」と述べて質問を締めくくった。

 第1節 区側の答弁に傍聴席の怒り

 これらの質問に対する区側の回答は、全面的な開き直りと言っていいものだった。「介護認定の結果によっては従来のサービスが受けられないこともある」「コンピューター判定は全国一律に同じ基準でやるべきものだから独自の基準は考えていない」「保険料徴収は法令にのっとって行う。法令ですでに低所得者への配慮はされている」という区の答弁に、傍聴席から怒りの声が上がった。
 さらに区は、社福協・高齢者在宅サービスセンターで働く非常勤の労働者に対して、十二%もの賃金削減を行ったと恥ずかしげもなく答弁した。予算措置が介護保険制度を基礎にして削られ、その犠牲が労働者に転嫁されたのだ。
 傍聴者の怒りを背に、結柴区議が再質問に立った。「介護保険はこれまでとは別な仕組みだからサービスの低下は仕方ないとは、Aさんに対してオムツをしたまま垂れ流していろと言うのと同じだ。介護保険は杉並区にとって本当に良い制度なのか」「全国一律の制度という答弁を繰り返しているが、自治体独自の施策で工夫しているところもある。杉並区ではなぜそれができないのか」
 これに対して、区は「介護保険制度を制度として立ち上げることが重要で、現状は問題点の把握に努めている段階」などと居直りを続けた。しかし、議長の制止にもひるまずたびたび傍聴席から上げられる怒りの声に押されて、「Aさんの問題については、福祉施策全体の中でできる限りの方策を考えたい」と答弁せざるをえなかった。
 傍聴を終えた住民の会の会員が、口々に「区が制度は法律で決まっているというのなら、みんなで厚生省に押しかけよう」「やはり国会に介護保険に反対する議員を送ることが重要だ」「あきらめず、何度でも区の窓口で要求を繰り返そう」と語っていたのが印象的だった。結柴議員の質問は、介護保険廃止に向けた住民の闘いに大きなはずみを与えた。
 なお、結柴区議はこの日の質問で、介護保険問題のほか、雇用年限制度で非常勤職員を使い捨てにし、民間委託を進める山田区長の「行財政改革」の反労働者性や、区が提案した大型店条例が真に住民の環境を守るものとなっていないことなどを厳しく追及した。(投稿 杉並・間宮徹)

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週刊『前進』(1963号3面4)

 資本攻勢&労働日誌

 5月31日〜6月18日

 連合が「ハローワーク事業」

 ●鉄鋼も業績連動型一時金

 ●非正規労働者が25%超に

 ●コムスン解雇に労組結成

●5月31日 労働省は、男女雇用機会均等対策の基本法新案をまとめ、女性少年審議会に諮問した。
●6月2日 今春の卒・入学式で「君が代」を斉唱した公立校が急増、斉唱率全国平均は、小・中・高校それぞれ9割を超えたとの文部省調査が明らかになった。
●3日 ソニーのインドネシアの生産拠点が1カ月以上にわたって機能停止の状態に陥っている。同社が立ち作業を導入しようとしたのに対して、労働組合が反発し3日間のストライキを行い、それ以後も職場放棄が続いている。
◇米労働省発表のアメリカの5月の失業率は、4.1%と前月比0.2ポイント上昇した。
●5日、6日 2日間にわたり鉄鋼労連が春闘総括集会。大手回答に対し、中堅・中小の業種別組合からは不満の声が上がった。荻野委員長は、電機連合の業績連動型一時金に触れ、川崎製鉄や新日鉄で導入の可能性があると発言。
●7日 森首相は首相直属の「IT(情報技術)戦略会議」と「産業新生会議」を設ける。産業新生会議は小渕前首相が設けた産業競争力会議を衣替えする。
◇中央労働委員会は、郵政・林野・印刷・造幣の国営4企業の賃金を平均で369円(0.12%)引き上げるとの仲裁裁定を出した。これによって国営企業の賃上げは事実上決着した。率・額ともに昨年の半分以下にとどまった。
●8日 連合は、中央執行委員会で「連合ハローワーク事業」および「ハローワーク基金」の構想について確認した。リストラ・解雇と闘わず、労組が再就職あっせんをしようというもの。
◇確定拠出型年金(日本版401k)の導入を先送りする企業が相次いでいるとの日経新聞記事。同法案が衆院解散で廃案になり、2001年1月の施行が微妙になったため。
●9日 花王は、日本企業としては初めて全社員を対象にEVA(経済付加価値)連動型一時金を導入。
●13日、14日 2日間にわたり連合が東京で政策制度討論集会。雇用保険法改悪をめぐり、電機連合が「なぜ給付削減に同意したのか」と連合の対応を批判した。
◇勤労者全体に占めるパート、嘱託、派遣社員や契約社員など正規労働者以外の比率が26%と、全体の4分の1を超えたことが今年2月実施の総務庁の労働力特別調査で明らかになった(グラフ参照)。4月28日発表の速報をもとに日経新聞が集計。
●14日 在宅介護サービス大手のコムスンが全国サービス拠点1208カ所のうち、477拠点を統廃合し、今月末までに全社員の約4割にあたる1600人のヘルパーらを希望退職や解雇で削減する方針。
●17日 日経新聞が主要企業250社について退職給付債務を調査したところ、支払いに備えて積み立ててある資産が必要額に対して約10兆円不足していることが明らかに。上場企業全体の積み立て不足は20兆円はあると見られる。
◇大幅な人員整理を打ち出したコムスンの社員の一部が労働組合(全国一般埼京ユニオン・コムスン分会)の結成を同社に通告し、団体交渉を申し入れた。
●18日 金属労協(IMF・JC)の次期議長に日産労連出身の草野が内定した。

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週刊『前進』(1963号4面1)

 7・8狭山中央闘争に立とう

 狭山再審棄却一ヵ年糾弾! 異議審闘争の勝利かちとれ

 差別の洪水うち砕く糾弾闘争を

 全国部落青年戦闘同志会

 「七・八を忘れるな」||全党の同志諸君! そして、すべての闘う部落大衆、労働者のみなさん。一年前、東京高裁・高木裁判長が狭山の再審を棄却したこの日をわれわれは決して忘れてはならない。日帝と部落民、日帝と労働者階級人民は絶対に非和解である。日帝を打倒しなければ部落民は永遠に虫ケラ扱いなのだ。この七・八に対する復讐とは差別裁判を即刻取り消させ、石川さんの完全無罪の宣告をかちとることであり、差別犯罪に手を染めてきた高木を始めとするすべての国家権力の下手人どもに対する断固たる糾弾と報復を貫徹することである。「やつらに死刑を」||それ以外にいかなる決着もない。部落解放同盟全国連合会(全国連)はこの一年間、棄却に対する即座の緊急弾劾闘争にはじまって、日帝の狭山根絶攻撃と死力をつくして闘いぬき、狭山新パンフを学習し、狭山百万人署名運動を全力で推進し、異議審闘争への不屈の決起を切り開いてきた。そして、三月の九回大会において「全国で差別糾弾闘争の嵐のような爆発をかちとれ」と大号令を発し、糾弾闘争の一切の制約をとりはらった。われわれは全国連の闘いの先頭で東京高裁・高橋裁判長による異議申し立ての早期却下策動を粉砕し、今年の七・八闘争をもって異議審闘争の新たな段階への突入を宣言する。

 第1章 ▼▽▽▽ 新たな差別犯罪=高木決定粉砕せよ

 七・八棄却とは何か。
 第一に、日帝国家権力中枢による新たな極悪の部落差別犯罪そのものである。
 一九九九年七月八日、東京高裁・高木は卑劣にも革共同と全国連が瀬川選挙闘争に全力決起している最中を狙って棄却を強行した。われわれはその時の全身の血が逆流するような怒りを片時も忘れることはできない。三十六年間にもわたって差別裁判を繰り返し、石川さんと三百万部落民をなぶりものにし、耐えがたい苦痛を強制しながら、いままた再び高木は石川さんに殺人犯の烙印を押したのだ。それは三百万部落民すべてに対する烙印だ。
 高木が担当して五年、第二次再審開始以来実に十三年間、ただの一度の事実審理も、石川さんの本人尋問も行わずに高木は請求を棄却した。全国連ののべ数十波におよぶ毎月の要請行動、数百通の要請文、百数十時間に及ぶ命がけの糾弾のすべてを高木は平然と踏みにじったのだ。
 「事実調べを行わないのは部落差別だ!」「部落差別をなくすという立場を明らかにせよ!」「部落差別によって石川さんは脅迫状を書くことはできなかった。部落差別の現実を知っているのか!」「万年筆は警察のデッチあげだ。カモイの模型を受け取って見解を明らかにせよ!」||この怒りの糾弾に書記官たちは「現在の部落問題についてはわからない」「同和問題の研修は受けたことがない。同和対策審議会答申も初めて知った」と開き直り、揚げ句の果てに「部落民の方が広い家に住んでいる。部落差別はなくなった」とまったく許しがたい差別発言を行った。しかも、追いつめられた高木は部落差別については「答えることはできない」と一貫して居直ってきた。高木はこの一事をもってしても打倒されなければならない。
 しかも、高木は棄却決定文で何と言っているか。脅迫状と石川さんの筆跡がまったく違うことを突きつけられた高木は「脅迫状は犯人が自由な意思表示として書いたものであるが上申書は捜査官の求めにより書いたものであり、書き手の心理状態に影響されている」として、「筆跡が違っても」石川さんが犯人であることは間違いない、などと言いなしている。
 しかし、筆跡問題こそ警察が一九六三年五月二十三日、石川さんを「恐喝未遂」でデッチあげ逮捕する唯一の「根拠」だったのだ。高木は「筆跡が違う」ことを認めることによって、狭山事件が出発点から百パーセント警察のデッチあげであったことを自認したのだ。警察庁と埼玉県警は狭山市内の二つの部落の「部落の青年百二十人」を対象にして、「筆跡が似ていると思われるもの二十数人、アリバイが立証しにくいもの二十七人、血液型がB型のもの十数人」をリストアップしてデッチあげ計画を立てたのだ。それはまさに「無実の部落民を犯人に仕立て上げていく権力犯罪」そのものだった。
 実際、石川さんの取り調べ主任官だった清水利一は狭山事件の八年前にも、同じ埼玉の熊谷市でおきた女子工員強姦殺害事件において無実の部落青年を「一年前のパン代五十円を払わなかった」ことをもって別件逮捕し、取調べ過程で「柔道を教えてやる」と道場に連れ出し、何度も床に投げつけて、「自白」に追い込み、「熊谷二重逮捕」事件をひきおこした札付きのデッチあげの常習犯だったのだ。しかし、この清水は部落民を犯人にデッチあげた「功績」によって、石川さんが起訴された後、岩槻署長に「栄転」しているのだ。断じて許せない! 
 高木は司法権力の名においてこのデッチ上げ犯罪のすべてを全面的に居直ったのだ。部落民には無実の証拠がどんなにあっても、すべて無視され、逆に有罪の根拠とされるのだ。こんな理不尽なことがあるか!
 小名木証言にしてもそうだ。「自白」にもとづく犯行現場とされる「四本杉」のすぐそばで農作業をしていた小名木さんは、「事件当時から本当にそこで犯行があったのであろうかと疑問に思ってきました」「もしそこで被害者が悲鳴を上げたのならば私は聞いた筈ですがそのような悲鳴は聞いておりません」「検察官に対する供述調書のなかに百b離れたところで(私が)声を聞いた旨が書いてあるとのことですが、私はそれは言わなかったと思います。むこう(=検察)で書いたのだと思います。また女の悲鳴のようだとは言っておりません」と弁護士に証言している。
 ところが高木は、この小名木証言は「事件後十八年、二十二年の歳月を経てから、求めにより、当時を思い起こして供述しているものであり、捜査官に対する供述に比して、より正確であるとは認めがたい」「小名木供述はむしろ自白を補強する一面があるものとさえ認められる」と百八十度事実を転倒させて描きあげ、有罪の証拠であると強弁している。
 だが問題は記憶が「古いか新しいか」にあるのではない。小名木さんは「悲鳴を聞いたという事実はない」「当時も現在も犯行があったとは考えられない」「検察調書は検察が勝手に書いたものだ」と自分の供述が権力によってねじまげられ、石川さんのデッチあげに使われていることに怒り、人間としての良心にかけて権力を弾劾しているのだ。高木はそのことを百も承知しながら「自白を補強する」ものだと言いなしているのだ! ふざけるな!
 高木はこうしたデッチあげの全体を知り尽くしているがゆえに、何が何でも権力犯罪を護持するために、小名木さんの証人尋問を行わず、証言の真意を百八十度ねじまげて、石川さんに殺人犯の宣告を再度行ったのだ!
 だが一九六三年の狭山事件発生以来、この日帝のやり方は、一貫している。国家意志として、部落民を犯人にデッチあげることを決定し、部落に集中捜査を行い、石川さんを死刑にするために、警察はカバンや万年筆などの「証拠」を捏造(ねつぞう)し、「十年で出してやると」とウソをつき、連日連夜、拷問を加え、「お前でなければ兄を逮捕する」と脅し、家族愛につけこんで石川さんの「自白」を引き出し、犯人に仕立て上げていった。
 そして、検察はその権力犯罪を百も承知しながら、石川さんは「家が貧しかったために家庭的愛情に育まれず、遵法精神が希薄」となり、「常識を超えた悪魔の犯行」を行ったと断じ、一審内田は「鬼畜の所業」と最大級の差別的悪罵をなげつけて死刑判決を下し、二審寺尾は無期判決、そして第一次再審請求を棄却し、十三年に及ぶ第二次再審請求も、いままた高木がシロをクロと言いくるめて棄却したのだ! 何が「常識を超えた悪魔」だ。それは権力自身のことだ!
 こんな死刑の論告はデッチあげをおこなったすべての警察、検察、裁判官どもに対してこそ宣告してやらねばならない。
 石川さんは部落民であるというただそれだけの理由で日帝権力によって人間としての一切の権利を奪われ、人間としての尊厳も命も蹂躙(じゅうりん)され続けてきたのだ。そればかりではない。日帝はこの差別裁判を護持し続けることによって、「石川=部落民=殺人犯」として、部落差別を国家ぐるみで今も扇動し続けているのだ。
 狭山事件と狭山差別裁判は「差別的予断と偏見」にもとづく単なる「冤罪」でも「誤判」でもない。日帝が国家権力の総力をあげ、国家のイケニエとして無実の部落民を殺人犯に仕立て上げ、死刑にし、闇から闇に葬り去ろうとしたまさに「天人ともに許されない悪逆非道な」(石川アピール)目的意識的で計画的な権力犯罪なのだ。
 実際、石川さんが二審の冒頭で「オレはやっていない」という叫びをあげなかったら死刑が確定し、殺されていた。看守は一審死刑判決のときに何と石川さんに「数を数えていればよい」などとうそぶいていた! はらわたが煮えくりかえる。「やつらに死刑を」という全国連の糾弾の叫びは言い過ぎでもなんでもない。
 部落差別によって成り立つ国家、部落民を虫ケラのように蹂躙し、苦しめつづける社会はただちに打倒されなければならない。これ以上、日帝が部落差別を扇動し、差別犯罪を繰り返すことをもはや絶対に許してはならないのだ。

 第2章 ▽▼▽▽ 日帝の大反動攻撃と一体の再審棄却

 第二に、この七・八棄却決定は日帝の戦後史を画する大反革命の一つだということである。
 九九年五月のガイドライン関連法の成立こそ、その転換点だった。それを前後する一連の反革命ラッシュともいうべき攻撃||組対法、住基法、国歌・国旗法、団規法の制定、大田沖縄県政の転覆と名護新基地建設とサミット攻撃、五・二八反動判決と国鉄改革法承認の国労解体攻撃、三里塚暫定滑走路建設の着工、ファシスト石原東京都知事の登場と国会の総翼賛化、介護保険制度を始めとした社会保障制度の全面的解体、そして、改憲攻撃と衆議院選挙||この一年半余の日帝の攻撃は戦後的階級関係を文字どおり右から一切合財破壊し、天皇制ボナパルティズム体制をもって、「戦争ができる国家」へと日帝を全面的に改造しようとするものである。
 日帝はまさにこうした攻撃の不可欠の一環として狭山の再審を棄却したのだ。石原が「三国人」発言をもって、激しく排外主義と自衛隊の治安出動、朝鮮人・中国人・アジア人民への襲撃を扇動したように、日帝は狭山の再審棄却をもって部落差別を決定的に扇動し、人民分断支配をあくまで貫徹しようとしたのだ。森の「神の国」「国体護持」発言、「日の丸・君が代」攻撃と狭山の再審棄却は、まさに表裏一体の関係にあるのだ。日帝にとってどんなに天皇制がボロボロで非科学・無知蒙昧(もうまい)なものであろうとそれにすがりつく以外にもはやブルジョア支配のもとに「国民を統合する」いかなる方途もないのだ。
 部落差別攻撃はこの天皇制ボナパルティズム体制の心棒としての天皇を頂点とした新たな身分的序列に反革命的で差別主義的な「魂」を吹き込むものであり、また逆に天皇制攻撃の激化は全社会的規模での差別の洪水を引き起こすのだ。
 狭山闘争を基軸とした部落解放闘争をめぐる攻防は戦後一貫して日帝の階級支配の根幹をめぐる攻防として激しい対決点となってきた。しかし、いよいよ帝国主義の基本矛盾が爆発し、世界恐慌過程に現実的に突入し、侵略戦争が切迫する中で日帝は改めて、体制の存亡をかけて部落差別を国家的に扇動する決断をしたのだ。世羅高校をめぐる宮沢発言、京都地裁の「雲助」判決はそのことを端的に示している。そして、日帝は「皇后」の死に対しても、再び「国民」に服喪を強制し、学校でも弔意を示すように指示している。
 こうした中で「天皇は天皇だからえらい。部落民はどんな有名人でも金持ちでも部落民」などという差別記事がインターネットで洪水のように流布され、就職差別や結婚差別が続発している。学校での差別事件も枚挙にいとまがない||今や一切の社会の差別の留め金がはずされている。京都では小学生殺害事件をめぐって第二の狭山事件がひきおこされかねないような戦慄すべき部落差別の扇動が行われた。狭山事件はまったく過去の問題でもなんでもないのだ。
 もはや我慢できない。この差別の洪水の一切を差別糾弾の嵐に転化しなければならない。
 闘わなかったら差別によって部落民は殺されるのだ。同志諸君! 共産主義者として、人間としてこの現実に腹の底から怒れ! そして、ともに決起せよ!

 第3章 ▽▽▼▽ 本部派の全面転向と糾弾闘争の宣言

 第三に、日帝は七・八棄却攻撃によって本部派を最後的に全面転向にたたきこんだということである。
 本部派はすでに九七年綱領で狭山闘争を追放した。それは「階級闘争史観を自己批判」するということの実践的結論であった。そして、本部派はこの棄却攻撃に対して七月十三日まで抗議集会すら行わず、日帝への恭順を誓い、高橋書記長は「事件から三十年余を経て新証拠を発見するのは難しい」などと全面的な敗北宣言を出したのである。
 以来、本部派は急坂を転落するようにして「部落差別は幻想」「部落民ではなく被差別市民」「現在の社会には差別的意志はない」などという主張をくり返し、十一月の天皇の即位十周年の日には解放会館に日の丸を揚げ、大阪府連は「日の丸・君が代」に関して「愛国心を否定するものではない」と声明を出した。
 日帝は狭山の再審を棄却することによって、本部派の「差別糾弾」という解放運動の思想的運動的組織的な根幹を最後的にへし折ったのだ。一九三〇年代に全国水平社が大和報国運動に転落していく決定的契機こそ、まさに権力の弾圧に恐怖して差別糾弾闘争を放棄した点にあった。部落民の自己解放闘争としての差別糾弾闘争の放棄はそのまま翼賛勢力への転落だったのである。
 第四に、したがって、九九年七・八の再審棄却は一方での解同本部派の最後的転向、他方での日帝の部落解放闘争根絶攻撃と全国連に結集する闘う部落大衆との全面的激突、血みどろの闘いへの突入をもたらしたということである。
 それは棄却直後の警視庁機動隊による戒厳令的大弾圧体制と異議申し立て以降の第五刑事部・高橋裁判長による要請行動圧殺体制と全国連との激突として開始された。高橋は「東京高裁裁判官会議決定」(「要請行動は二十人まで、時間は三十分まで、要請は文書のみ、第五刑事部主任書記官は出席しない」などという要請行動の「四条件」)なるものをふりかざして、要請行動を力づくで押さえ込み、全国連の差別徹底糾弾の怒りを先制的に解体しようとした。
 この四条件を粉砕できるかどうか、ここに異議審闘争と全国連の存亡がかけられた。全国連はこの高橋の卑劣なもくろみを怒りをもって糾弾し、十・三〇中央闘争と十一・一要請行動を頂点とした四カ月間、総力をあげて闘いぬき、四条件を実力で粉砕した。
 この激闘の四カ月は、全国連が本部派にとってかわって狭山闘争に全責任をとる勢力へと飛躍する決定的試練だった。そして、まさにこの試練に勝ち抜いたからこそ全国連は九回大会で「糾弾の全国連」として一切の制約をとりはらって徹底糾弾闘争を闘いぬくことを宣言することができた。日帝権力の再審棄却による糾弾闘争の圧殺攻撃は全国連の不屈の闘いによって完全に打ち破られた。

 第4章 ▽▽▽▼ 高橋体制を打倒し再審貫徹かちとれ

 狭山異議審を担当する東京高裁第五刑事部・高橋は高木と一体である。高木は六月冒頭、一審で無罪となったネパール人に対して職権で拘留を決定し、弁護士の異議申し立てに対して今度は高橋が棄却した。刑事訴訟法も憲法もふみにじるデタラメな決定である。検察は依然として証拠開示を拒否している。弁護団は三月末にすでに補充書を提出しており、高橋はいつでも却下できる体制に入っているのだ。
 すべての闘う仲間のみなさん。いま闘いぬいている異議審闘争こそ高木の棄却決定を粉砕する闘いであり、再審闘争そのものである。第二次再審闘争はいまもって決着はついていないのだ。高木決定粉砕の嵐のような糾弾闘争を爆発させなければならない。
 すでに全国連は青年を先頭に狭山百万人署名運動に取り組んでいる。長野では中学生が単身決起して、全校にアピールし、それを仲間が支え、全校生徒八百人のうち七百人の署名を集め、代表団を要請行動に送り出している。大阪でも青年が府下の本部派支部に次々に突入し、デモをやり、署名を集めるという戦闘的闘いをやりぬいている。愛媛でも一軒からはじまった署名が団地自治会に回覧され、全戸署名に発展している。青年は「狭山はやればやるほど鍛えられる」「高木決定は逆に僕らを強くした」「差別裁判を青年の手でたたきつぶす」と闘志をみなぎらせている。
 高裁・高橋裁判長による異議申し立て却下を許すな。高木決定を撤回せよ。ただちに事実調べを行い、全証拠を開示し、再審を開始せよ。狭山差別裁判徹底糾弾。差別裁判の一切を即刻、取り消し、石川一雄さんに謝罪せよ!
 住宅闘争、介護保険闘争の万余の大衆的発展かちとれ。それは部落民の生存権かけた糾弾闘争だ。狭山再審闘争を基軸にあらゆる水路から三百万部落大衆の陸続たる決起かちとれ。
 すべての同志諸君! 衆院選決戦から息をもつかず、直ちに国鉄決戦、沖縄サミット決戦に立ちあがれ! そして、その不可欠の一環として七・八狭山中央闘争に総決起せよ!

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週刊『前進』(1963号4面2)

 衆院選・サミット決戦への弾圧

 全国一斉家宅捜索と不当逮捕を弾劾する

 六月二十日早朝、日帝国家権力・警視庁は昨年七月三十一日の革命軍による運輸省大阪航空局長宅爆破戦闘を口実に「爆発物取締罰則第一条違反」をデッチあげ、前進社本社に不当捜索の攻撃をしかけてきた。同時に、神奈川支社、九州支社、沖縄文化社、三里塚など全国約五十カ所で一斉に不当捜索を強行した。さらに、前進社本社では、B同志を「電磁的公正証書原本不実記録、同供用」をデッチあげて不当逮捕するという暴挙を行った。
 これらは、六月二十五日の投票日に向け全力決起している衆院選決戦への不当弾圧であり、また七月沖縄サミット決戦の爆発への予防弾圧の攻撃である。だが警察権力は、何の「成果」をあげることもできずに引き揚げざるをえなかった。  
 B同志は不当逮捕を弾劾し、意気軒高と獄中で闘っている。
 この攻撃は、沖縄サミットを前に次々とボロを出し危機を深める森・自公政権が焦りにかられてやみくもに革共同に向かってしかけた攻撃で、何の正当性もない脆弱(ぜいじゃく)なものでしかない。逆に、森・自公政権の侵略戦争体制構築の攻撃に対する人民の怒りをますます促進する効果しかもたない。
 革共同は、この不当捜索・不当逮捕を激しく弾劾し、闘う人民の先頭に立って断固として反撃の闘いを貫徹することを宣言する。革共同の革命的進撃を日帝・国家権力が止めることはけっしてできない。
 闘うアジア人民|国際プロレタリアート人民と連帯し、帝国主義の戦争会議、沖縄サミット粉砕の現地大デモンストレーションを貫徹し、新安保ガイドラインを沖縄基地を拠点に発動しようとする日米帝国主義の策動をうち砕こうではないか。沖縄人民と連帯し、新安保ガイドライン粉砕、名護新基地建設阻止の闘いを爆発させよう。
 今回の攻撃は、直接には、何よりも投票日を数日後に控えて最後の闘いを白熱的に闘っている衆院選決戦を破壊し、長谷川陣営に打撃を与えようとする攻撃であった。また、本年三月に始まった、日帝権力のサミット決戦弾圧体制による革共同と戦闘的人民への予防弾圧攻撃の第六波として加えられたものだ。本当に許しがたい弾圧である。
 衆院選決戦への総決起の闘いから、さらに権力の厳戒態勢を打ち破り、沖縄現地の闘いと結ぶ本土人民|世界人民の壮大な歴史的大決起をつくり出し、沖縄サミット粉砕決戦への進撃をかちとろう。 

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週刊『前進』(1963号4面3)

 2000年日誌 阻もう! 戦争への動き

 6月14日〜19日

 森が天皇制=「君主制」発言

 「在韓米軍の態勢は変えぬ」

●森が「国粋主義者」「君主制」発言 街頭演説の中で森首相は、「小沢(一郎自由党党首)さんもどうするのか。小沢さんはわれわれよりはるかにもっと強い国粋主義者だ」と述べた。また東京都内での街頭演説では、「(共産党の)綱領には『君主制を認めない』と、つまり、『天皇制を認めない』と書いてある」と述べた。(14日)
●南北共同宣言に署名 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問中の金大中・韓国大統領と金正日・労働党総書記が二回目の首脳会談を行い、@統一問題の自主的解決、A連邦制の共通性の認定、B離散家族訪問団の交換、C経済協力や社会、文化などでの協力交流、D早期の当局者対話など、五項目の南北共同宣言に合意し、署名した。宣言は金総書記の「適切な時期のソウル訪問」も付記している。(14日)
●嘉手納ラプコンに日本の管制官派遣 米軍が暫定使用している沖縄島周辺の航空機侵入管制システム(嘉手納ラプコン)の返還について協議していた日米合同委員会は、沖縄サミット終了後に、日本の航空管制官を米軍嘉手納基地に一カ月間、派遣することで合意した。(14日)
●在韓米軍の態勢変えぬと米国防総省 米国防総省のベーコン報道官は、南北朝鮮首脳会談を受けて、在韓米軍について、「金大中・韓国大統領は、例え朝鮮半島が統一されても駐留を続けてほしいと明言している」と述べ、態勢を変えない方針であることを明言した。(15日)
●「刑事罰年齢引き下げを」と森 森首相は街頭演説で、少年法について「十四、十五歳の子どもでも、悪いことをしたら罰せられるということを社会の規範、約束事として、少年たちがしっかり知ることが必要だ」と述べ、刑事罰の対象にならない十四、十五歳でも刑事罰を科せるように改悪するべきとの考えを示した。(16日)
●防衛、警察両庁が対ゲリラで新協定 防衛庁と警察庁が、武装ゲリラの破壊活動に対処する際の役割分担について、警察力で対応できない場合は自衛隊が治安出動して制圧し、警察は主に現地の封鎖、検問など後方で警備に当たるとの方針で基本合意した。このほか、@自衛隊、警察官の連携強化に向け秘匿無線を共通配備する、A原発、空港、港湾などの全国の重要施設警備に関して、地域の実情に応じた連携要領を順次整備することでも一致し、年内に合意に沿った反動的な新協定に調印する見通し。(17日)
●ハンカチで名護市役所包囲(写真) 米軍普天間基地の名護移設に反対する「心に届け女たちの声ネットワーク」など三団体の呼びかけで、「沖縄サミットは戦争会議だ」「ジュゴンが死んじゃう」「命を守れ」などの全国から寄せられた千枚以上のハンカチで、名護市役所の周囲約三百bを包囲。参加者の約百人は、「名護市役所が市民の意思を踏みにじって戦争に加担するのではなく、世界平和の中心となることを願う」とのアピールを採択した。その後、名護市東海岸にある二見以北十区の会の事務所前に移動、ハンカチで彩られた「平和の樹」を゛植樹”した。(18日)
●弔詞文に日共も賛成 参院議院運営委員会が理事会で、皇太后への弔詞文を、共産党を含む全会一致で決定した。日共はこれまで皇族への弔詞文の議決に反対してきた。今回の対応について、志位和夫書記局長は「今の憲法を守る限り天皇制と共存していく立場であり、象徴天皇制も国の機構だ。それを担う方が亡くなられたので、当然弔意を表す意味で賛成した」と語っている。(19日)
●米、北朝鮮制裁を緩和
 米政府は、北朝鮮に対する経済制裁の一部緩和を実施したと発表した。北朝鮮への制裁を緩めたのは、一九五〇−五三年の朝鮮戦争以来初めてで、民生品の輸出入などを解禁。(19日)
●「ならず者国家」から「懸念される国家」へ オルブライト米国務長官は、米政府が北朝鮮やイラン、イラク、リビアなどに使ってきた「ならず者国家」という表現を「懸念される国家」に改めた、と語った。(19日)
●次期哨戒機は国産に 防衛庁は次期防衛力整備計画(二〇〇一−二〇〇五年度)で、海上自衛隊の固定翼哨戒機P3Cの後継機をジェット機とし、国産開発する方針を固めた。哨戒機は主に潜水艦の動きを洋上から監視する航空機で、国産哨戒機の開発・配備は初めて。(19日)

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週刊『前進』(1963号5面1)

 沖縄サミット粉砕の戦闘的大デモを

 主要議題の「紛争予防」とは第二のユーゴ爆撃の強行だ

 サミットはやっぱり戦争会議

 沖縄サミットまで残すところあと一カ月を切った。革共同と労働者人民は総力を挙げて、衆院選決戦を闘い抜いた。息もつかせず国鉄決戦と沖縄サミット粉砕決戦の爆発のために全力を投入しなければならない。七月沖縄サミット決戦こそ、死の苦悶(くもん)にあえぐ帝国主義の凶暴な世界戦争・侵略戦争に道を開くのか、それとも日本の労働者階級人民が、アジア人民と連帯し、沖縄人民と連帯して反帝・反スターリン主義世界革命への道を切り開くのかをかけた世界史的な決戦である。日帝のガイドライン体制=戦争国家体制構築の攻撃を許すのか、粉砕するのかをかけた決戦である。「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」の旗を掲げ、沖縄サミット粉砕の大デモンストレーションを実現しよう。

 第1章 「地域情勢」の討議で勢力圏めぐって激突

 沖縄サミット粉砕決戦の大爆発をかちとるために確認すべき第一の点は、沖縄サミットが帝国主義強盗の頭目どもが世界を分捕り合うための〈戦争会議〉として行われようとしていることである。
 帝国主義は自らが生き延びるために、全世界の人民に犠牲を強要しようとしているのだ。これに対する全世界の人民の怒りの最先頭に立って、「帝国主義強盗どもの戦争会議粉砕!」の階級的怒りをたたきつけなければならないということである。
 言うまでもなく、沖縄サミットは、二九年型世界大恐慌過程が一層激しく進展し、世界経済が分裂化・ブロック化を深めている中で開かれる。それは、帝国主義間の争闘と抗争、勢力圏の奪い合いを不可避に生み出す。国際帝国主義は、他の帝国主義を蹴落とし、打ち倒してでも、生き残ろうと画策している。沖縄サミットでは、七つの帝国主義国家とロシアの頭目が自らの帝国主義的あるいは大ロシア主義的利害をかけて、力に応じた分け前を要求して、激突しようとしているのである。
 それを最もよく示すものは沖縄サミットの主要議題となる「世界の安定」「紛争予防」と「紛争の発生や拡大が危惧される不安定な地域の課題(地域情勢)」だ。五月三十、三十一日の両日に宮崎市で行われた主要八カ国(G8)政務局長会合で協議され、沖縄サミットで取り上げる「地域情勢」が決定された。
 そこでは、@南北首脳会談や北朝鮮の核・ミサイル問題などの朝鮮半島情勢、Aパレスチナ独立問題を含む中東和平情勢、B九八年の核実験以来緊張を高めているインド・パキスタン情勢、C西アフリカ・シエラレオネの内戦などアフリカ地域の問題、D不安定な情勢が続くユーゴスラビア・コソボ自治州と南東欧の安定化の問題、Eインドネシア情勢、Fイラン・イラク情勢、G南米コロンビア情勢、Hキプロス情勢、Iアフガニスタン情勢、の十項目を議題として討議するとされている。(図参照)
 議題として討議するとされた十の地域は、第二次世界大戦後、帝国主義の支配からの解放を求めて民族解放闘争が激しく闘われてきた地域である。また、ソ連崩壊後スターリン主義の支配が崩壊した地域である。これらの地域では、戦前、戦後を問わず、帝国主義による植民地的な搾取と収奪が強行されてきた歴史を持つ。そこからの解放を求める人民の闘いに対しては、帝国主義が残虐な侵略と侵略戦争を繰り返してきた歴史がある。
 それらの地域において発生する「地域紛争」とは、帝国主義の支配と支配権をめぐる帝国主義間の争闘戦が生み出すものにほかならない。また、崩壊したスターリン主義諸国を帝国主義支配のもとに組み入れようとすることから生み出されるのだ。さらに、帝国主義は残存スターリン主義を転覆して、帝国主義の支配のもとに組み込もうとさえしているのである。
 すなわち、沖縄サミットにおいて議題として「地域情勢」を討議するというこは、東アジア、東南アジア、南アジアそして中東、南東欧、アフリカ、南米を、どの帝国主義が勢力圏として支配するのかをめぐって、帝国主義同士(およびロシア)が分捕り合いをするために討議を行うのである。そして、それらの地域で民族的抑圧の支配が転覆されることが「発生」するならば、直ちに帝国主義(およびロシア)は軍事力を行使して、侵略戦争に訴えることを申し合わせようというものなのである。
 とりわけ、アジアにおける日本帝国主義の勢力圏化の策動と軍事的介入への踏み切り、南東欧におけるドイツ帝国主義の勢力圏化の動向と軍事的介入に対してアメリカ帝国主義が世界帝国として自らを護持するために、世界大的な軍事力をためらわず行使して、対日争闘戦、対ドイツ争闘戦を展開する場としようとしているのである。帝国主義は自らの死活をかけて、侵略戦争を行うことを宣言しようとしているのだ。それが沖縄サミットにおける「地域情勢」討議なのだ。

 第2章 ゛朝鮮半島の統一後も在韓米軍は維持する゛

 第二の点は、沖縄サミットにおいて、アメリカ帝国主義がアジアにおける軍事的覇権の確立を押し出し、朝鮮・中国−アジアへの侵略戦争体制を一層強化しようとしていることである。ここで第二のユーゴスラビア爆撃が強行されるということである。
 南北朝鮮首脳会談をめぐる米帝の動きはそれをこのうえなく明らかにした。
 小渕の葬儀のために来日したクリントン米大統領は金大中韓国大統領に対し、南北首脳会談について「米国が関心を持つ問題について包括的に取り上げられると信じている」と述べた。それは、米帝が「在韓米軍撤退は断じてありえない」ことを宣言し、「北朝鮮の核・ミサイル開発問題も首脳会談の議題にせよ」と金大中に迫るものであった。
 これに対して金大中は、「在韓米軍がアジア地域の長期的な安定にとって決定的に重要だ」と答え、さらに韓国の在韓米軍駐留政策に変更がないことをすでに北朝鮮に伝えてあることを明らかにした。
 こうした中で、六月十三日から南北首脳会談が開かれた。金大中と金正日が署名した「共同宣言」では、@南北は統一問題を自主的に解決する、A南北は南側の連合制案と北側の緩やかな連邦制案に共通性があると認め、この方向で統一を志向する、B南北は離散家族の親戚訪問団を交換する、非転向長期囚問題を解決する、C南北は経済協力を通じ、協力と交流を活性化させる、D以上の合意事項を実行に移すため、当局者の対話を開催する、の五項目合意が打ち出された。さらに金正日が「適切な時期に」ソウルを訪問することが付記された。
 この「共同宣言」を受けて、南北朝鮮人民や在日朝鮮人民が、「南北の統一」への歩みが開始されたと歓喜したことはある意味で当然のことである。「南北の統一」「民族の統一」の要求は、一九一〇年の日帝による朝鮮植民地化以来の、帝国主義とスターリン主義による南北分断以来の、そして朝鮮戦争以来の民族的悲願であるからだ。
 「南北統一」「民族統一」の要求を実現する声と闘いの歴史的高揚に向かい始めたのだ。事態の基底では、帝国主義とスターリン主義の支配のくびきを打ち破って、民族的解放に向かってだれも押しとどめることのできない過程が解き放たれたのだ。
 もとより、南北首脳会談を開催した金大中や金正日の狙いは、両者の体制的危機ののりきりであった。彼らは南北統一問題をもてあそび、人民の闘いは徹底的に抑圧し、朝鮮半島情勢の軍事力学の摩擦を強め、戦争的危機を促進している。だが、そうした思惑をはるかに超えて朝鮮人民の民族的解放の要求とエネルギーが解き放たれたのである。この流れは、帝国主義によっても、スターリン主義によっても押しとどめることはできない。
 そうした勢いは、ただちに南朝鮮・韓国において、在韓米軍撤退を求める行動となって爆発している。労働者人民は米軍基地に押しかけ、基地入り口に座り込み、路上に横になって米軍撤退を要求している。そうした闘いは、警察・機動隊との激突にまで発展しているのである。
 こうした事態に米帝は、「南北の緊張緩和はだれもが歓迎するが、半島統一は別問題」と驚愕(きょうがく)している。共同宣言に「自主的統一」が盛り込まれ、金大中が首脳会談で「在韓米軍問題を協議した」と明らかにしたことに対して、ただちに「米国の不快感と憂慮」を伝えるために、オルブライト国務長官を韓国に派遣することを決めたのだ。また、ベーコン米国防総省報道官は「金大中韓国大統領は、たとえ朝鮮半島が統一されても駐留を続けてほしいと明言している」と在韓米軍はどんなことがあっても撤退しないと明言した。
 こうして在韓米軍の展開は、朝鮮半島の分断体制を維持するためのものであること、朝鮮の分断体制打破=革命的統一の闘いを抑圧するためのものであることを自己暴露したのだ。さらに、北朝鮮のスターリン主義体制の転覆に向かって軍事重圧を加え続けるために在韓米軍が必要であり、中国への侵略戦争のための前線基地として必要だと開き直っているのである。
 朝鮮人民の「南北分断体制打破=革命的統一」の要求は在韓米軍駐留と相入れない。朝鮮人民の「南北統一」「在韓米軍撤退」の声の高まりと闘いの発展に対し、米帝はこれを日米新安保ガイドラインがいう「周辺事態」と断定して軍事的介入=侵略戦争に乗り出そうとしているのだ。
 沖縄サミットにおいて、朝鮮半島問題を地域情勢として討議するとはそういうことなのである。在韓米軍と在沖米軍基地を維持することは国際帝国主義のアジア支配にとって不可欠と宣言し、それを朝鮮人民ならびに沖縄人民に押しつけようとしているのである。闘う朝鮮人民と連帯して、これを粉砕することが求められているのである。

 第3章 ゛朝鮮人民の南北統一の闘いは周辺事態゛?!

 第三の点は、日本帝国主義が「アジア唯一の帝国主義」「アジアの盟主」と自ら押し出し、新安保ガイドラインを発動して、朝鮮・中国−アジア侵略戦争への参戦を宣言しようとしていることである。
 自国政府が、世界恐慌と帝国主義間争闘戦の激化の中で危機に陥り、そこからの脱出をかけて、再び侵略戦争に踏み込もうとすることなど断じて許すわけにはいかない。
 米帝は「地域情勢」の中心テーマに朝鮮半島情勢を置き、北朝鮮の「核・ミサイル開発は脅威」と押し出し、侵略戦争体制の強化をサミット宣言としようとしている。それをとおして在韓米軍と在沖米軍基地を維持・強化しようとしているのである。それは、同時に中国への軍事介入=侵略戦争の準備としてもあるのである。米帝はそうすることで、アジアにおける軍事的覇権を確立し、対日争闘戦に打ち勝とうとしているのだ。
 こうした米帝の動きを見据えて、日帝・森政権は、沖縄サミットで「アジアにおける唯一の帝国主義」として自らを押し出そうとしている。日帝独自の朝鮮半島政策、中国政策、アジア政策を掲げ、「アジアの盟主」として登場しようとしているのである。
 日帝も米帝とともに、南北朝鮮首脳会談によって、朝鮮人民の南北分断体制打破=革命的統一へのエネルギーが爆発し始めたことに追い詰められている。「在韓米軍撤退」の要求がストレートに「沖縄米軍撤去」の要求に連動することを何よりも恐れているのである。青木官房長官は記者会見で、南北首脳会談を受けて沖縄米軍基地が削減される可能性はあるのかと質問され、「会談と(沖縄米軍基地削減と)は直接関係ない」と答えたのだ。つまり、朝鮮人民の南北統一要求と在韓米軍、在日米軍は真っ向から敵対するものであることを言明したのである。日帝は帝国主義としてこの在日米軍に沖縄基地を提供し続ける意思を表明したのだ。
 米帝が朝鮮人民の南北統一の声の高まりと闘いの高揚に軍事的に介入しようとしていることはすでに述べた。この点について、ぜひ、昨年のガイドライン関連法案の国会審議を思い起こしてほしい。とりわけ「周辺事態」とは何か、をめぐって政府が提出した、「周辺事態六類型」に日帝の本音が出ている。
 「周辺事態六類型」とは@日本周辺で武力紛争が発生した場合、A武力紛争が差し迫っている場合、B政治体制の混乱で大量の難民が流入する可能性がある場合、Cある国の行動が国連による経済制裁の対象とされた場合、D武力紛争は停止したが秩序の維持・回復が達成されていない場合、E内乱や内戦が発生し、それが国際的に拡大した場合を指すと政府は答弁した。
 この@〜Eこそ、朝鮮人民の南北統一の闘い、金大中政権打倒の労働者階級の闘い、中国・台湾、インドネシアなどにおける労働運動・学生運動の爆発、中国や北朝鮮スターリン主義体制の危機にともなう政治的・社会的混乱−内乱・内戦などを「周辺事態」と決めつけて、米帝とともに軍事介入=侵略戦争に踏み出すとしたのである。
 南北首脳会談の結果は、当事者の思惑をこえて進もうとしている。朝鮮人民は南北分断体制打破=革命的統一に向かって大きく動き出し、それが在韓米軍撤退の闘いとして爆発しようとしている。これを日帝は「周辺事態」だというのである。日帝は米帝ともに、日米新安保ガイドラインを発動して、朝鮮侵略戦争を強行し、朝鮮人民の闘いに襲いかかることを沖縄サミットの場で宣言しようとしているのだ。
 闘う朝鮮人民と連帯して、日米帝の新安保ガイドライン発動宣言を絶対に阻止しなければならない。

 第4章 沖縄人民と連帯して新基地建設阻止せよ

 第四の点は、沖縄サミットの場で日帝が沖縄への米軍基地の差別的押しつけを全世界に宣言し、沖縄人民にこれを強制しようとしていることである。
 在韓米軍や在日米軍は、アジアにおける帝国主義の新植民地主義体制護持のための存在である。帝国主義やそのちょうちん持ちが言うような、「平和のための基地」などでは断じてない。帝国主義の侵略戦争と内乱鎮圧のための基地なのだ。
 それは沖縄米軍基地の歴史が示している。第二次世界大戦末期、本土防衛の捨て石として沖縄戦を強行して沖縄人民に犠牲を強制したところから沖縄の戦後が始まっている。日帝は自らの延命と再建のために沖縄を米帝に売り渡し、沖縄を米軍支配下に置くことを積極的に容認した。米軍は、沖縄人民の住居や農地を強奪して基地を建設した。七二年のペテン的「返還」によっても何一つ変わらなかった。
 日帝政府は、沖縄人民から土地を強奪してつくられた米軍基地をそのままそっくり容認し続けてきたのだ。
 その間、沖縄米軍基地は朝鮮侵略戦争、ベトナム侵略戦争、イラク・中東侵略戦争、ユーゴスラビア侵略戦争などの出撃・兵站(へいたん)基地としてフル稼働させられたのだ。沖縄人民は、沖縄を「基地の島」として強制する米帝、日帝と不屈に闘い続けてきた。今度は、その沖縄人民に、普天間基地「返還」に名を借りて、名護に新基地を押しつけようとしているのだ。
 沖縄人民の不屈の闘いは、稲嶺県知事、岸本名護市長らを使った「沖縄サミットまでの名護新基地建設問題の決着」の攻撃をはね返している。「名護新基地建設問題の決着はサミット後に先送り」に追い込んだ。
 沖縄人民に「戦争と基地の島」「安保と基地の犠牲」を差別的に押しつけてきた歴史を今こそ根底から覆すときがきたのだ。沖縄サミット開催で、沖縄に名護新基地建設を押しつけ、本土と沖縄を分断し、安保と沖縄を分断しようとする日帝・自公政権の狙いを粉々に粉砕しなければならない。
 沖縄サミット粉砕決戦は、朝鮮人民の南北分断体制打破=革命的統一−在韓米軍撤退の闘いと心から連帯する闘いである。朝鮮人民の闘いへの帝国主義の反革命的介入、朝鮮侵略戦争策動を真っ向から粉砕する闘いである。さらに、この日米帝の朝鮮・中国−アジアへの侵略戦争のための軍事基地を沖縄人民に差別的に押しつける攻撃を粉砕する闘いである。
 今こそ、朝鮮人民の帝国主義とスターリン主義の支配からの解放をかけた闘いの魂を真正面から受け止めた沖縄サミット粉砕決戦の爆発が求められている。沖縄人民の米軍基地撤去の営々たる闘いに学び、連帯する闘いが求められている。
 〔井場啓史〕

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週刊『前進』(1963号5面2)

 サミットの先兵カクマル

 「沖縄問題決着」論粉砕せよ

 ファシスト・カクマルは沖縄サミット粉砕闘争の爆発に恐怖し、敵対を深めている。それを示すものが、反革命通信『解放』六月十二日付号掲載の「永田部厳太」署名の駄文である。永田部は、中核派の沖縄サミット粉砕決戦を粉砕せよとわめいている。とんでもない反革命だ。
 カクマル永田部が突然、中核派のサミット決戦方針粉砕を叫び始めた理由は何か。永田部が駄文の冒頭であげている「理由」は以下のことである。
 第一に、中核派がサミット攻撃を「沖縄基地の永久固定化と、朝鮮・中国―アジア侵略戦争をにらむ新基地建設を狙う決定的な攻撃」ととらえているから。
 第二に、中核派がサミット粉砕決戦を「『日帝による安保と沖縄の分断、本土と沖縄の分断の攻撃』を打ち破る闘いとして、すなわち『日帝の沖縄差別政策と日帝のあり方そのものを問い、その根底的打破と自己解放をかけた必死の闘い』としてたたかう」と言っているから。
 第三に、中核派がサミット決戦を「国際階級闘争の新たな潮流を革命的に再生させる闘い」として位置づけているから。
 なんとカクマル永田部はこのような内容のサミット粉砕闘争は「労働者人民の闘いの対象と方向をあらぬ方にそらせる」ものであるから絶対に許せない、粉砕せよと絶叫しているのだ。ファシスト反革命の正体をむき出しにした反革命的敵対宣言である。
 カクマルは、五・一五沖縄現地闘争に沖縄労組交流センターを先頭とする反戦共同行動委員会が三百人の大隊列で登場し、六千人の労働者と合流したことに大打撃を受けたのだ。この時沖縄カクマルとJR総連カクマルは震え上がって、隅っこの方で小さくなっていた。ここでわが革共同の沖縄サミット粉砕決戦にかけた決意と迫力を突きつけられ、サミット闘争が二十一世紀の全世界的な人民の闘いの爆発の突破口となる勢いを感じ取って、危機感を強めてなりふり構わぬ敵対に出てきたのだ。
 永田部は、とりわけ第三点目の「国際的連帯」論について、次のように言う。
 「『ジュビリー2000』などという団体が(昨年十一月のシアトルWTO閣僚会議や今年四月のワシントンG7会議などで)警官隊との乱闘を繰り広げたという“闘争形態”からのみ、それを“帝国主義に打撃を与える革命的潮流”である、などと全面賛美しているのが中核派なのだ」
 こういう形でカクマルは、帝国主義の搾取・収奪に対し「債務取り消し」などを求めて爆発した労働者人民の闘いそれ自体を罵倒(ばとう)している。それどころか永田部は、「ジュビリー2000をも活用しての米・日両帝国主義権力者どものドス黒い企み」「闘争を内部から変質させるための権力者の狡知・奸計に長けた企み」などと言いなし、例の「権力の謀略」論をもって労働者・被抑圧人民の闘いを「帝国主義の手先」呼ばわりして否定しているのだ。
 シアトルやワシントンで爆発した労働者人民の闘いや、また五月のタイでのアジア開発銀行総会に対するタイ人民の闘いなど、帝国主義の国際会議に対する人民の抗議と怒りの行動が全世界で広がっている。それは、帝国主義との取引を求めるジュビリー指導部などの思惑をはるかに超えて爆発しているのである。その背景には、新植民地主義体制諸国の労働者人民に対する搾取・収奪、飢餓・貧困が耐え難いほどになっている現実がある。またアメリカ国内での闘いには、アフリカ系、アジア系、ラテン系などの米国内の低賃金労働者に対する賃下げ、首切り・不安定雇用化、労働強化への怒りがある。この中で国際連帯の意識と闘いの高まりがあるのだ。
 一言で言えば、帝国主義が危機の中で侵略と国内反動を強め、一切の矛盾を労働者人民に転嫁しようとしていることに対する怒りと闘いが国際会議を標的に爆発しているのである。このことに恐れをなして人民の闘い自体を「帝国主義の陰謀」などと罵倒し否定するカクマルは、帝国主義の手先である。
 ではカクマル自身は、沖縄サミットについて何と言っているのか。
 「“沖縄問題”に最後的に政治的決着をつけ、それを米欧の帝国主義権力者どもにお披露目しアジアの盟主としての政治的威信を取り繕う(ものだ)」
 現実はまったく逆だ。普天間基地の県内移設=名護新基地建設問題のサミット前決着をもくろんだ日帝・小渕―森のもくろみは完全に挫折して、一切をサミット後に持ち越すしかなくなっている。一切はサミット粉砕闘争の爆発が決めるのだ。ましてや、サミットは帝国主義強盗どもの戦争会議なのである。
 またカクマル永田部は、中核派が「二つの連帯戦略と一つの打倒戦略」をもって闘うということに対して「これでは『沖縄人民』とは日本の労働者階級・人民とは区別された存在になってしまう」と言い、これは沖縄=他民族規定だから最大の沖縄差別だ、などとまったくトンチンカンなけちつけをやっている。
 沖縄闘争はそれ自体、本土と沖縄の関係の問題をはらんでいる。本土の労働者人民が沖縄人民との連帯、日帝の沖縄差別粉砕を掲げて決起していくのは当然ではないか。沖縄問題を沖縄問題としてとらえることのできないカクマルの混乱は今や完全に世紀末的となってきている。
 日本共産党以上の日帝のサミット攻撃の先兵=カクマルを粉砕し、沖縄現地に総結集して闘おう。

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週刊『前進』(1963号6面1)

 サミットに異議あり!

 沖縄への基地押しつけ本土の闘いが問われる

 全関西実行委員会代表世話人

 永井満さん

 第1章 許せぬ森の弔辞

 森首相は、小渕前首相の葬儀の席で、「(小渕は)沖縄の問題について、一生懸命だった」「自分が(小渕)の訃報を聞いたのも沖縄だった」「(小渕には)議長としてさい配を振るっていただきたかった」と弔辞を述べています。それを聞いて、非常に腹が立ちました。森が沖縄について語ったところは、怒りなしには聞けませんでした。
 小渕政権のもとで何が進められたのかを思うと、この森の発言を許してはおけません。小渕は、普天間基地返還に名を借りて名護に新基地の建設を強行しようとしたのです。それも沖縄県民、名護市民の「新基地建設絶対反対」の明確な意思を踏みにじって強行しようとした張本人ではありませんか。しかも、沖縄の知事を代えてまで、やろうとしていたのです。
 小渕政権がどうして、それまでして新基地建設を強行しようとしたのかは、小渕政権が強引に成立させた数々の法を見ればわかります。ガイドライン関連法、「日の丸・君が代」法、盗聴法などの法律です。小渕政権は侵略戦争に向かって進み始めたのです。その一環としてサミット沖縄開催を決めたのです。対外的には゛沖縄の米軍基地の重要性”をアピールする。アジアにおける米軍のプレゼンスの意味を、具体的現実をとおして再確認しようとしたのです。

 第2章 米軍基地を誇示

 沖縄サミットにかけた日本政府の狙いは、世界に向かって沖縄米軍基地を誇示し、認識させようとするものです。また同時に、沖縄人民に沖縄米軍基地は「平和の維持」のために必要として、「米軍の基地の島」の現状を認めさせ、押しつけようとしているのです。沖縄の地で戦後ずっと火を噴き続けてきた基地撤去の闘いに対して、「基地は平和のために機能している」と強引に承認させようとするものです。再び、戦争と基地を沖縄に押しつけようとしているのです。
 そうしたことを沖縄サミットで認めさせようとしています。゛基地と共存・共栄”する沖縄に変えていく、沖縄人民の意識を変えていこうとしている。橋本政権が「普天間返還」や「経済振興策」などで、「幻想」を植え付けようとしました。今、日本政府がやろうとしていることは、基地撤去の闘いをたたきつぶすことに狙いを定めているのです。なぜ沖縄に押しつけるのか、心の底から怒りがわいてきます。
 しかし、沖縄人民が営々と燃やし続けてきた闘いの炎は、けっして吹き消されるものではありません。三里塚や北富士がそうであるように、正義を追求していく人たちの闘いは、不正義の力で踏みにじられるものではありません。

 第3章 古波津さんに学び

 むしろ今問われているのは、歴代の政府のやり方を許してきたという意味で、本土のわれわれに責任があるのです。八七年沖縄国体の時に天皇訪沖が問題となりましたが、本土で阻止すれば沖縄にはとうてい行けないのですから。沖縄人民の要求を本当に実現するためには、本土の人民の闘いこそが求められていると思います。本土が沖縄を踏みつけにして、基地をすべて沖縄に押しつけておいて、「平和」を享受してきた本土の人民こそ立ち上がらなければなりません。
 沖縄の人から「あんたらが本土でしっかり闘っていれば、こんなことにはならなかったではないか」という厳しい糾弾と批判を受けました。また、故古波津英興さんから、関実の集会で「沖縄が抜けているじゃないか!」と厳しく言われました。それ以来、沖縄の闘いは、自分がやらなければならない闘いとして深く自覚しました。
 古波津さんは、心の底から闘いを求める人でした。九六年に、沖縄での闘いが高揚し始めたとき、「沖縄だけでなく、日本の夜明けだ」「沖縄から日本を変える夜明けだ」と集会で発言されました。発言を終えた後、炎天下で三線を弾いて、踊られました。自分の゛沖縄の解放”の願いが実現に向かって、ついに始まったのだという喜びにあふれた表情をなさっていたことが非常に印象的です。古波津さんに学び、続いて闘わなければなりません。
 たしかに、敵は人民の闘いを踏みつぶそうと攻撃は激しくなるでしょう。闘いは厳しい局面となっていくことでしょう。しかし、古波津さんが体現なさっていたように、喜びの日は必ず来るんです。それを信じて頑張りましょう。

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週刊『前進』(1963号6面2)

 排外主義と闘う J

 入管闘争の課題

 9・3治安演習阻止

 7・7路線 闘うアジア人民と連帯して

 シリーズの最後に、「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」の戦略的総路線、「七・七路線」の革命的実践として、ファシスト石原打倒、九・三自衛隊治安出動演習阻止へ、日本労働者階級の総決起を訴える。

 第1節 歴史繰り返すな

 「七〇年七・七自己批判」から三十年、その真価を発揮すべき決戦が到来している。九・三はアジア人民虐殺のための治安出動演習であり、石原のクーデターだ。これを許せるか。絶対にノー! 関東大震災の朝鮮人・中国人虐殺を繰り返すのか。絶対にノーだ。闘うアジア人民、とりわけ先進的に闘いぬいている在日アジア人民に学び、連帯し、支援・防衛する闘いが今ほど求められている時はない。中台情勢、朝鮮情勢の大激動化を前に、危機を深める日帝の朝鮮・中国−アジア侵略戦争を阻止する大決戦として闘おう。
 「七・七自己批判」では、いわゆる抑圧国(民族)のプロレタリアート人民の階級性そのものが問われたのである。『清水丈夫選集』第二巻の序文には、「七・七自己批判」でかちとった「闘うアジア人民と連帯し」の豊かな内容が次のように記されている。
 「日本のプロレタリアート人民が朝鮮(中国・アジア)人民のたたかいの歴史と現実を知り、学び、真の敬愛をもって朝鮮人民に接することを求めるようになったとき、そして朝鮮人民と心がかよいあう関係を形成し、日朝間の歴史的諸問題がプロレタリア的に真に解決される展望が開かれたとき、日本のプロレタリアート人民の生まれ変わったような決起がかちとられることは不可避なのだ」
 そして、「連帯そのものが革命の目的だ」として、連帯=国際主義であり、世界革命をともに闘いとることだと提起している。ここに圧倒的な確信をもって闘いぬこうではないか。

 第2節 アジア人民虐殺

 四月九日、都知事ファシスト石原が「三国人」なる差別暴言を操って関東大震災の朝鮮人・中国人虐殺の再現をあおり、アジア人民虐殺の治安出動演習−クーデターをぶち上げた。
 石原はこれを首都圏の治安維持を主任務とする練馬駐屯地の第一師団を前に演説した。これこそ関東大震災時のデマと襲撃の再現を狙ったものであり、しかも東京都知事の発言として物質力をもった襲撃として発動されたものだ。
 朝鮮・中国−アジア人民(在日も含む)の闘いと存在を、ファシスト的心情から憎悪し恐怖している石原は、だから「三国人」という差別語をあえて使ったのだ。その後石原は、「三国人」とは「在日韓国・朝鮮人以外の、不法入国、不法滞在している人を指して言った」と居直っている。だが在日と本国から来た朝鮮人・中国人を、襲撃の際に誰が冷静に判別するというのか。石原は非常事態に乗じてアジア人民を総せん滅すると公言したのだ。これ自体が襲撃そのものだ。
 「ビッグレスキュー2000」と名付けられた九・三演習は、三軍統合演習として自衛隊四千〜五千人を動員、警察庁、消防庁とも連携して実施される。「初動対応訓練」と称して銀座の中央通りを全面的に封鎖、地下通路で有毒ガスが発生したとの想定で、自衛隊の化学防護車が出動する。
 荒川区白髭橋周辺では「パラシュート降下による偵察活動訓練」や「空路等を利用した部隊の進出訓練」が予定されている。在日や外国人労働者などが多数住む荒川や江戸川は、関東大震災時の虐殺現場も集中している。このじゅうりんを絶対に許せない。

 第3節 侵略激化と来日

 「外国人犯罪キャンペーン」として「一斉摘発」が始まっている。五月二十七日、東京入管と新宿署が、歌舞伎町に機動隊を出動させて「緊急街頭浄化作戦」を展開、入管法違反容疑(不法残留など)で百七十七人を「摘発」した。その内訳は、韓国人が最多の百二十七人、次いで中国人二十六人、フィリピン人、タイ人と続いている。
 八〇年代以降、大量のアジア人労働者が来日した。これはなぜなのか。七四−五年恐慌、八六年円高不況などをへて、日帝はアジアへの侵略と勢力圏形成に走る。アジア各国における伝統的産業、農業・漁業が破壊され、安価な労働力として工場に駆り出され、圧倒的多数のプロレタリアートが生み出された。しかし、過酷な労働条件と使い捨て、失業の強制の中、生きるため職を求めて日本への実力渡航が始まる。
 在留資格が得られないため、二週間の観光ビザで来日、働くことは即、資格外活動=法外活動になり、法外滞在となる。3K職場と呼ばれる過酷な職場に法外就労し、労災も医療保険もなく、団結するすべもないところから出発したのだ。
 合法的な存在ではないからこそ、そこに暴力団やヤクザが介在する。蛇頭が暗躍する。そして、渡航のために大金をはたいた結果の借金漬け。パスポートを取り上げられ、「前借金」の吸い上げのために監禁状態での強制売春……。こうしたフィリピン人女性たちが店のママを殺害した新小岩事件など、全国で同様の事件が続出した。やむにやまれぬ怒りの行動だった。
 原因があり結果がある。日帝には、このアジア人労働者に職を保証し、生活を保証する責任がある!
 入管法による在留資格は細分化され、取得困難である上に、がんじがらめの法的規制が強制されている。
 例えば、在留期間の更新、在留資格以外の活動をするには許可が必要、転職や離婚でも在留資格変更が必要……。外登法による一例をあげれば転居したら十四日以内に届け出なければならないなど、うっかり忘れただけでも罰則が加えられる。まさにもてあそばれるように悪循環に陥り、必然的に法外の存在となる。
 日帝の入管法・外登法は、法務大臣の生殺与奪の自由裁量がすべてなのだ。
 この希代の悪法をもって、働きながら日本で生きること=「犯罪者」とされているのは、私たちの隣人であり、私たちがスクラムを組むべき労働者人民なのだ。ただ日本国籍をもたないというだけで、日本の「国益を損なう者」として徹底した排除の対象とされている人びとだ。
 法的に無権利なまま、差別・排外主義が横行する日本社会に放り出された人びとが寄り合い、支え合って生きる地域を、石原は「ゲットー」「スラム」と呼んで迫害しているのだ。

 第4章 「戦時徴用」狙う

 日帝は、このアジア人労働者と、歴史的存在としての在日朝鮮人・中国人との分断を図り、年間五万人(最大時七万人余)もの退去強制をもって締め出してきた。しかし国内の労働力不足を補う必要に迫られた日帝は、それまでの研修生受け入れから九三年には技能実習制度を創設、「現代の強制連行」といえる劣悪な労働条件のもと、安価な使い捨て労働力の確保へと向かった。
 五月二十九日発売の『ニューズウィーク』で石原は、「日本での生活に慣れた労働者には、基準を設けた上で優先的に在留する権利を認めるべきだ」「深刻な労働力不足に対処するため日本は外国人労働者受け入れに新しい政策をとるべきだ」「外国人が日本に溶け込んで仕事をしたり、結婚して定住する必要がある」と発言した。マスコミはこれを「不法滞在者に知事理解」などと報道したが、これこそ日帝の国益に沿った労働力移入政策の推進にほかならない。
 三月に発表された「第二次入管基本計画」がそうであるように、新ガイドライン発動を想定し、「戦時動員」「戦時徴用」の道として外国人労働者の移入が想定され、実施されようとしているのである。
 すべての労働者階級の力を解き放って、闘うアジア人民とともにファシスト石原打倒を絶対にやり遂げなければならない。
 「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」の戦略的総路線、「七・七路線」の全成果をかけて闘う時だ。連合・全労連を始めとする指導部の屈服をのりこえ、労働者人民の階級性を解き放つ闘いとして九・三首都決戦に総力で立ち上がろう。
 労働者階級の国際主義的連帯と解放の未来をかちとろう。
 (室田順子)
 〔おわり〕

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週刊『前進』(1963号6面3)

 6・9法大

 新崎さん招き講演会

 ゛嘉手納基地包囲を″

 六月九日、法政大学において、沖縄大学教授の新崎盛暉さんを招いた「沖縄米軍基地とサミットに異議あり! 六・九講演集会」(集会実行委員会主催)が開かれた。(写真)
 まず「沖縄サミットと基地の再編・統合・強化」をテーマに、新崎さんの講演が行われた。新崎さんは、「主要国と自認している国々が勝手に集まって、世界の政治や経済を自分たちの利益にそって組み立てたり、取り仕切ったりしようとする」サミットがなぜ沖縄で開催されようとしているのかについて触れた。それは第一に「沖縄は日米安保の軍事的拠点であり、その矛先は中国や北朝鮮に向けられている。中国や北朝鮮に対して日本が敵対的姿勢を示すためにこの場所を選んだ」ものであること、第二に、「サミットの裏側には基地が張りついている」のであり、沖縄サミットが基地を沖縄に強制するための方策であることをわかりやすく解説した。
 また普天間基地名護移設について、市民投票で表された住民の拒否の意思を無視して、県知事や名護市長によって「受け入れ」が表明され、住民の意思が無視されていることを指摘し、どんな基地をつくるのかさえも明らかにできないというかたちで推進派の内部矛盾が現れていること、「十五年期限の軍民共用空港論」が名護市民自身から否定されていることなどを話した。そして、宙に浮いた状態の普天間名護移設を推進するために「サミット歓迎」があおられていることを指摘した。
 新崎さんは、「軍事力によって世界の秩序を維持する」サミットの論理が経済格差を拡大するものであることを批判し、「追求すべきは平等になること。軍事力や基地に反対し、基地の役割を弱めていく方向へと民衆の力を結集しなければならない」と提起した。
 そして、「私たちは七月二十日に嘉手納基地を包囲し、基地反対の意志表示を組織しようとしている。それだけが問題ではなく、広がりのある問題として理解されなければならない。基地に対する意志表示をさせないために、二万人の警察官が配備されている。その中で私たちの意志表示をきちんとしていく必要がある」と訴えた。
 講演の後、質疑応答が行われ、質問に答えた新崎さんは「沖縄の基地問題は、沖縄だけの問題ではない」ことを強調した。続いて、七月沖縄派遣団に参加することを決意した学生が発言した。法大の一年生は、「沖縄サミットが『平和の発信』というのはまったくのでたらめです。政府の『平和』は戦争であり、民衆の平和とは根本的に反します。誰も戦争を好まないのに、今も戦争が繰り返されている。沖縄サミットは戦争会議。本土の僕たちが無関心では許されないと思う。今声をあげなければ戦争は繰り返されてしまう。『しまった』と気づく前に立ち上がらなければならない。沖縄の人びととともに闘います。ともに沖縄に行こう」とアピールした。
 わが法大生は、沖縄サミット粉砕の先頭で闘う。「沖縄の基地闘争は沖縄のみの問題ではない。全国の人びとが取り組まなければならないテーマだ」という新崎さんの提起を真剣に受け止め、法大からの大派遣団をもって七月沖縄現地闘争を闘いぬく。
 (投稿 法大 H・K)

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週刊『前進』(1963号6面4)

 読者からの手紙

 長谷川当選へ悔いなく闘う 杉並区 T・S

  杉並から衆議院選挙に向かって、東京八区から、ぜひ長谷川さんを当選させたいと思っている一人です。
 世界は南北朝鮮首脳会談というギリギリのところで朝鮮人民が熱気に満ち、果たして本当の統一がかちとれるか否かという中で、選挙戦が闘われようとしています。正義はどこにあるのか、なぜ選挙に勝つ必要があるのか、人間とはどのように生かされるのかを問いかけるものだと思います。
 いわば一人ひとりの選挙民と私たちががっぷり四つに組み、必ず勝利させようという全人生をかける闘いでもあると思っています。
 支持者の方たちから「死に票にしてくれるな。長谷川さんを勝たせるためなら何でもするよ」という声を聞くたびに、七五年の本多さんに対する虐殺という中でかちとってきた、そして継続し積み重ねてきた歴史の重さを、今こそ爆発させる時だ、それぞれの犠牲を絶対に無駄にしてはならない、すべての反革命、まやかしの政治、何よりも沖縄県民の巨大な力に対して真っ向からNOを言うきわめて人間的な闘いから学びとった力をいかしていくことが今回の衆院選の勝利につながっていく核心です。
 どんなに大変でも、人を大切にする、その心が相手に伝えられれば、一票につながっていきます。長谷川さんとともに、最後まで、悔いを残さない闘いをやりたいと思い、便りを送らせていただきました。

 僕らが闘えば社会は変わる 高校3年 柘植一馬

   最近、「少年事件」が頻繁に報道されている。
 僕には事件を起こしてしまった彼らの気持ちが良く分かる。自分の言いたいこと、悩んでいることを誰かに聞いてもらいたい、でも誰にも話せない、話せる人・場所がない。そんな気持ちが積もりに積もると、ついには自分で歯止めがかけられなくなってしまう。だから、何らかの形で自分の存在を示そうとする。
 大人たちには、こういった気持ちが分からない。むしろ、分かろうとしない大人もいる。
 「目立ちたいから殺したなんて、尋常ではない」「教育勅語の復活を」「テレビゲームが原因」などという森首相の一連の発言は、まさに僕たちの年代の考え、気持ち、悩みなどを全く理解していない証拠だと思う。
 森首相だけではない。こういった事件が起きても、僕の学校の教師は「みんなは、あんなことをしてはダメだよ」と、この程度のことしか言わない。教師はもっと僕たちのことに関心を持つべきだし、もっと親身になって僕たちのことを考えるべきだと思う。
 もし、大人が彼ら(僕ら)のことを少しでも理解できたなら、そして、彼ら(僕ら)を取り囲む社会環境、一部の勝手な大人たちが創り上げてきたこの社会がもっと良かったら、それに、もし、彼らが革命運動にその身を投じていたら、あのような事件は決して起きてはいなかったと思う。
 だから、この社会を何とかして変えなくてはいけない。こんな時代だからこそもっと若者が頑張らなくてはいけないし、若い僕たちが頑張れば、きっとこの社会を変えることができる。
 今こそ若者、特に高校生(十七、八歳の高校生以外の人ももちろん含む)は立ち上がらなくてはいけない!
 全国の高校生諸君、ともに日本革命・世界革命に向かって総決起しよう!

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週刊『前進』(1963号6面5)

 1面からつづく

 そして、北朝鮮スターリン主義体制の崩壊の危機は中国スターリン主義体制の瓦解へと連動していく。
 (4)また、南北首脳会談は、米日(欧)帝国主義の朝鮮(侵略戦争)政策とのズレを明確に生み出した。このまま帝国主義のコントロールがきかない形で南北の交渉が進むことは、帝国主義にとってはとうてい認められないことである。米日帝は今回の南北首脳会談について、ひとまず「歓迎する」とのアピールを出したが、これは今後この南北朝鮮の動きにどう介入していくのかが、帝国主義のアジア支配全体のかぎを握る問題として鋭く突きつけられているからである。
 特に日帝は、七月沖縄サミットの議題として朝鮮問題を取り上げることを表明し、帝国主義的介入の意図を露骨にした。
 この間、朝鮮南北分断体制を自己の戦争国家化の排外主義的テコとして活用してきた日帝は、新安保ガイドライン体制と安保=沖縄政策を激しく揺さぶられている。そして、結局新ガイドライン体制のもとでの朝鮮侵略戦争体制の強化で対応しようとしているのだ。
 (5)また、朝鮮危機を対日・対中国政策のテコとしてきたアメリカ帝国主義は、自己のコントロールをはずれた形での情勢の展開に警戒と介入を強めている。米帝は「北朝鮮の核、ミサイル問題は未解決であり、NMD(米本土ミサイル防衛)は必要」「在韓米軍撤退は時期尚早」と直ちに表明し、オルブライト国務長官が二十二日から韓国と中国を訪問した。
 この間公表された米国防総省の報告書「二〇二五年のアジア」や、米統合参謀本部の「統合ビジョン二〇二〇」は、米軍戦力の重点を欧州からアジアに転換する方向を明確に打ち出した。まさに米帝は、北朝鮮と中国の体制的転覆を戦略的中心にすえて、朝鮮・中国侵略戦争と対日争闘戦の勝利のための政策展開を、朝鮮情勢の激動化に一層危機感を募らせて強化しようとしているのだ。
 以上のように、南北首脳会談を契機とする南北分断体制の流動化は、アジアを大激動にたたき込み、アジア勢力圏化をめぐる日米の帝国主義間争闘戦を一層激化させ、日米帝の朝鮮・中国侵略戦争の策動を決定的に強めるものである。
 日本労働者人民が、闘う朝鮮人民と連帯する道は、日帝の新ガイドライン戦争国家体制づくりと対決し、沖縄サミット粉砕、名護新基地建設絶対阻止の闘いの大爆発をかちとることである。韓国では、三万七千人の在韓米軍の撤退を求めて労働者・学生がデモを闘いソウル近郊の米軍基地・演習場で機動隊と衝突している(十七日、十九日)。在韓米軍の事故と米軍犯罪の続発に、朝鮮人民の怒りは頂点に達しているのだ。
 この闘いと連帯し、〈二つの連帯戦略、一つの打倒戦略〉の前進をかけて、二〇〇〇年決戦にさらに総決起していこう。

 第3章 沖縄サミット=戦争会議を粉砕せよ!

 朝鮮情勢の激動化の中で沖縄サミット粉砕決戦はいよいよ決定的となった。
 沖縄サミットは帝国主義強盗どもの朝鮮・中国−アジア侵略戦争と、世界の勢力圏分割のための戦争会議である。それは朝鮮や中東、アフリカ、南東欧などを「不安定な地域」とし、そこでの「紛争予防」を主要議題に取り上げるとしていることにも明らかである。帝国主義は第二、第三のユーゴスラビア爆撃を強行しようとしているのだ。
 クリントンは、サミットの際に糸満市の摩文仁(まぶに)の丘の平和祈念公園を訪れ、「世界平和へのメッセージ」を発し、「沖縄県民が米軍駐留を受け入れ、世界平和に貢献していることに謝意を表明する」などとヌケヌケと言っている。冗談ではない。沖縄から出撃した米軍がどれほど多くの朝鮮人民、ベトナム人民、中東人民を虐殺してきたことか。そして、沖縄の人民に苦難を強いてきたことか。
 帝国主義者がいう「平和」とは、まさに「戦争」のことなのだ。こんな連中が沖縄に乗り込んできて、「平和」を口にする欺瞞(ぎまん)、ペテンを断じて許すことはできない。
 同時に沖縄サミットは、沖縄人民の闘いを力で圧殺する攻撃である。今、沖縄では、市民生活の隅々にまで警察の監視と干渉が強まっている。「対ゲリラ」の名目で、海と陸で警察や海上保安庁による治安訓練が繰り返され、また墓が暴かれたり、人権侵害が頻発している。日帝は力ずくで沖縄人民に国策への協力を強制し、基地撤去闘争、名護新基地建設阻止闘争の圧殺を狙っているのだ。
 全国から沖縄に総結集し、日帝とクリントンら帝国主義首脳どもに怒りの戦闘的大デモをたたきつけよう。サミット粉砕決戦の爆発をかちとり、その力で米海兵隊の名護ヘリ基地建設絶対阻止へ突き進もう。

 第1節 介護保険廃止へ全国運動を

 さらに、戦争体制づくりと一体の福祉切り捨て攻撃と対決し、介護保険を廃止させ、福祉と介護を取り戻す運動を大発展させよう。
 施行後わずか三カ月で介護保険制度の反人民性が一挙に噴出している。在宅介護サービス大手のコムスンは「もうからない」というふざけた理由で全国四百七十七カ所の事業所閉鎖と、社員千四百人の首切りを強行した。一方、自己負担分の膨大化に耐えられずサービス受給をあきらめる高齢者、特養ホームからの追い出しに脅える高齢者、ヘルパー打ち切りによる家族介護の負担増で困り果てる家庭が続出している。「老老介護」の疲れから八十七歳の母親を六十五歳の息子が殺害するという事件が引き起こされた。
 まさに、金のない、生きていくのが精一杯の低所得の労働者家庭は、税金と保険料だけはむしり取られながら、営利事業化された福祉と介護を受けられず、病気になっても医者にかかれないという、むちゃくちゃな状況を強制されている。
 杉並から始まった住民運動をさらに発展させ、全国へ広げ、介護保険を必ず廃止へ追い込もう。労働者階級全体、労働運動全体の大テーマに高めて闘おう。

 第4章 「JRに法的責任なし」絶対粉砕を

 さらに七・一国労臨大決戦(東京・社会文化会館)に総決起しよう。臨大を包囲する大結集で「JRに法的責任なし」の四党合意を粉砕し、現執行部の総退陣、闘う新執行部の確立を絶対にかちとるのだ。
 国労中央は完全に転向した。敵階級に魂を売り渡した裏切り者たちをそのままにしていたら、国労の未来も、労働者の未来もない。
 国家による不当な大量首切り、組合差別の攻撃に断じて屈せず、仲間を守り、闘ってきた千四十七人の労働者の闘いは、戦争と大失業の時代に労働者階級が進むべき闘いの道を先進的に切り開いてきたのである。この闘いを守り、ともに勝利のために闘う中にこそ労働者の未来があるのだ。
 闘争団と国労三万の十三年間の闘いを踏みにじる暴挙を絶対に許すな。七・一臨大に修善寺大会を超える総決起をかちとろう。

 第1節 カクマル=JR総連打倒せよ

 今こそ新潮流運動の一大飛躍の時が来ている。二十一世紀の階級的な労働運動の大展望をかけて、七・一臨大決戦に勝利しよう。その力をもって、労資結託体制の危機にあえぐファシスト労働組合、JR総連=カクマル打倒に突き進もう。
 沖縄サミット決戦への総決起の場として、暫定滑走路建設阻止の七・二三里塚現地闘争、関空二期事業阻止・軍事使用絶対反対の七・九関西新空港反対闘争を闘おう。
 一切の勝利をかけて、夏期一時金カンパ決戦、機関紙拡大闘争に決起しよう。

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