ZENSHIN 2000/04/10(No1952 p08)

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週刊『前進』(1952号1面1)

 革共同の4月アピール

 沖縄サミット粉砕決戦へ

 帝国主義の戦争会議許すな

 福祉切り捨て・大増税の強行弾劾

 介護保険廃止へ全国運動を

 内外情勢の激動は、二〇〇〇年が世界史の転換点となることをあらためてつきだしている。米帝経済のバブル崩壊の切迫と世界大恐慌情勢の深まり、中国・台湾情勢の大激動への突入は、アジア危機・世界危機を一層激化させ、米帝・日帝の朝鮮・中国侵略戦争への動きを激しく加速させている。今やその全矛盾を恐慌と戦争として爆発させる以外にない帝国主義を、労働者人民の決起によって打倒することこそが求められている。とりわけ最も深刻な体制的危機にあえぎ、それゆえに戦争と大失業と社会保障解体に向けて凶暴に突進し始めている日帝・小渕政権を、その最先兵=ファシスト石原もろとも打ち倒すことは決定的に重要だ。一〜三月の闘いはその突破口を開いた。この地平に立って、今こそ沖縄サミット粉砕の歴史的大決戦へ突き進もう。介護保険制度廃止の全国運動を巻き起こし、衆院選決戦の勝利へ進撃しよう。動労千葉のスト決起を先頭に、カクマル=JR総連を粉砕し、労働戦線での前進を切り開こう。

 第1章 悪政の強行で混乱と人民の反乱は必至だ

 四月一日、小渕政権はついに介護保険制度の実施強行に踏み切った。これに対して、即日、東京・杉並で、長谷川英憲氏を先頭とした区民と、闘う労働者人民の介護保険絶対反対を訴える断固とした怒りの杉並行動がたたきつけられた。
 今や、四・一を突破口に、四・一からいよいよせきを切って爆発してくる高齢者とその家族の怒り、全人民の介護保険への怒りを総結集し、全国的な一大運動を巻き起こしていく時が来た。ストップ介護保険・杉並十万人署名運動のもとへは、「絶対に中止しかない。実施が強行されたからといって、いったんこの制度を認めればどんどんひどくなる。最後までがんばって」という声が続々と寄せられている。訴えを聞いて「勇気がわいてきた。真の闘いはこれからだ」という声、「杉並だけでなく東京全体の、全国の運動にすべきだ」という声がわき起こっている。まったくそのとおりだ。
 介護保険制度とは、労働者人民の基本的な権利であり、いのちの要求である介護と福祉を根本的に否定・解体し、高齢者から生きる希望を奪うものだ。福祉・介護に関する国と政府の責任を完全に放棄し、「介護は金で買え」として介護をビジネス化し、資本の恥知らずな金もうけの手段とするものだ。しかも保険料の強制徴収は実質的な大増税である。
 こんな反人民的で、かつ非人間的な制度を一ミリたりとも認めることはできない。問題となっているのは、高齢者とその家族の生き死ににかかわることだ。人が人として生きる権利、基本的人権、人間の尊厳そのものを否定し破壊するような制度は人民の総反乱によって真っ向から粉砕しつくさなくてはならない。これを強行する小渕・自自公政権は断固として打ち倒さなければならないのだ。
 四・一は、まさにその闘いの本格的な始まりである。すでに日帝・厚生省、小渕政権自身が四月実施の強行がもたらす人民の怒りの大爆発におびえて戦々恐々としているではないか。さらには、公的福祉が打ち切られる一方で、制度のあまりのでたらめさゆえに、施設や体制の絶対的な不足やケアプラン(介護サービス計画)作成の大幅な遅れが至るところで発生している。にもかかわらず、強引な見切り発車によって現場は大混乱に突入してしまっている。
 三月二十八日付の朝日新聞の世論調査では、介護保険制度の導入で「老後は安心」と思う人は男性で一四%、女性ではわずか九%。実に七七%の人が不安を表明した。また介護保険で家族の負担が「軽くなる」と思う人は一七%、逆に「重くなる」と答えた人は二七%にのぼった。
 実際にこの四月から、介護が必要として申請したのに「自立」と判定されて拒否された人(全申請者の六%にのぼる)が有無を言わさずこれまで受けていた介護サービスを暴力的に打ち切られる。利用料の一割自己負担の強制に対して、とても払えないとして最初から申請をあきらめた人もたくさんいる。さらに、要介護認定は受けたが実際の介護を受けるために必要なこれまでの数倍、十数倍もの金がとうてい負担できない人を含めると、実に百万人をはるかに超える高齢者が、生きる手段を奪われるのだ。
 他方では、四十歳以上のすべての人民からの保険料の強制徴収が始まり、滞納者への制裁措置が新たに導入された。介護保険に伴う国民健康保険法の改悪で、滞納すれば健康保険証を取り上げられて医療も受けられなくなることが行政からすでに通告されている。六十五歳以上の第一号被保険者については半年間猶予・その後一年は半額という「激変緩和」措置がとられたが、それが過ぎれば少ない年金からも無慈悲に天引きされる。
 「介護保険制度の強行実施を直ちにとりやめよ。介護保険は廃止せよ」。このことをを今こそ政府・厚生省にたたきつけ、絶対反対の闘いを展開しよう。「一切の自己負担をなくし、介護は全額公費負担で」「必要な人に必要な介護を! 十分な介護体制の確立を」――これこそが人民の絶対にゆずれない要求だ。財政危機などは福祉を打ち切る何の理由にもならない。大銀行には何十兆円もの金を使っている。その何分の一かの、労働者人民のいのちを守るためのぎりぎりの金が、なぜ支出できないのだ! 福祉は国家の当然の義務ではないか。
 日本共産党は、「介護保険は国民的な大事業です」と公言し、「当面一年間は保険料の徴収を凍結し、その間の介護サービス基盤整備の達成状況を見定めて、制度の本格的な発足に踏み出すかどうかの判断を行う」という提案をしている。だが介護保険の反人民的な正体はすでにあまりにも明白だ。なぜ今、この四月からの強行実施に正面から反対しないのか。「一年やってみて」問題があったら再検討などというのはインチキだ。
 日共は介護保険に賛成し、その推進派に完全になり下がっていながら、「人民の味方」をペテン的に装うためにいくつかの改良要求をもてあそんでいるにすぎない。裏切りと敵対に走る日共を許さず打倒し、のりこえて闘いを進めよう。
 さらに、介護保険推進の最先兵として登場している自治労本部、連合、民主党は断じて許せない。自治労は介護ヘルパーの労働者を新たに組織した「東京ケアユニオン」の結成集会で、介護保険の全面賛美を行い、こともあろうに労働者にその手先となることを要求した。労働者に対し「介護する相手への優しさと思いやりなど捨てよ。プロに徹して効率を上げ、業績アップすれば低賃金からの脱出の道も開ける」などと言い放っている。これが労働組合のやることか!
 こんなことを許したら、高齢者も、介護労働者も、ともに資本の利益の犠牲にされて本当に殺されてしまう。全国の闘う労働者は今こそ総決起し、自治労・連合のこの犯罪的なあり方と徹底対決し、介護保険と闘う労働者の決起をつくりだすために奮闘しなければならない。これは新潮流形成の闘いの決定的な一環だ。
 はっきりしていることは、もはや帝国主義の政治経済体制があらゆる面で腐り切っているということである。世界はすでに一九三〇年代的な大恐慌とブロック化―戦争の時代に本格的に入り始めている。小渕政権はこの中で、日帝の大資本・資本家階級の露骨な救済と延命のために、再び朝鮮・中国・アジアへの凶暴な侵略戦争にのりだすために、労働者人民に一切の矛盾と犠牲を集中しようと猛然と襲いかかってきているのだ。
 三月二十八日には年金給付の大幅削減を狙った年金法の改悪が強行された。介護保険を突破口に、戦後社会保障制度の全面解体の攻撃が次々と始まり、他方で戦後かつてない賃金の大幅引き下げと大量首切りの嵐が吹き荒れている。さらに日帝の側からは、「消費税率一〇%」が公然と叫ばれ始めている。
 まさしく、人民は生きるためには決然と立って闘う以外ない。戦争にあくまで反対し、大増税や大衆収奪を許さず、人民の生活と権利を守り抜き、命脈の尽きた帝国主義を打倒して働く者が真に主人公となれる国家、社会をつくりだすために、渾身(こんしん)の力で闘う時代に入ったということだ。そのために固く団結し、力を合わせて行動に出よう。杉並を先頭に、介護保険制度廃止へ百万人、いな数百万人の全国的大運動を今こそ立ち上げる時だ。屈服と変質を深める既成政党をのりこえて、人民の草の根からの本当に力ある、創意にあふれた現状変革の大運動をつくりだそう。
 そしてその先頭に立つ長谷川英憲氏を、労働者人民の真の代表として必ずや国会に送り込もう。四・一はその歴史的出発点だ。闘いはこれからである。

 第2章 全国から総結集して沖縄現地で大デモを

 今や、日帝・小渕政権の危機は加速度的に深まっている。自自公を柱とした国会の総翼賛的体制とその暴走に対する労働者人民の怒りが満ちあふれている。小渕は衆院選での敗北を恐れ、解散権を行使したくてもできないありさまだ。
 こうした中で、日帝は、現下の政治危機ののりきりと衆院選の突破のためにも、七月沖縄サミットの成功に一切をかけている。闘う沖縄人民を先頭に、これと連帯した全国全人民のサミット粉砕の総決起、全国政治闘争としての大爆発をつくりだすことは、今や二〇〇〇年の階級決戦全体の成否がかかった待ったなしの絶対的課題となっている。
 サミットとは何か。今日その強大な力によって世界の人民を支配し、搾取し収奪している帝国主義強盗どもが、その勢力圏の確保と拡張をめぐって互いに激しく争いつつ、世界に対して新たな侵略と戦争を準備し発動していくための会議である。それがほかでもない、世界最大の軍事基地の島・沖縄で、基地と戦争に反対する人民の声を真っ向から踏みにじって強行されようとしているのだ。
 これを断じて許してはならない! 九九年のガイドライン反対闘争を全力で闘いぬいたすべての人民は、昨年をも倍する決意と力とをもって、沖縄現地への総力結集と全世界にとどろく戦闘的な一大デモをかちとり、沖縄サミットを実力で粉砕する大闘争の爆発のために、直ちに、死力を尽くして立ち上がらなければならない。
 今日の情勢は、アメリカ経済のバブル崩壊を口火とする一九二九年型世界大恐慌の全面的爆発と世界経済の統一性の最後的崩壊とブロック化に向かって突き進んでいる。昨年のケルン・サミット後の米帝を始めとした国際帝国主義によるユーゴスラビア侵略戦争は、帝国主義が再び軍事力を公然と振りかざして世界市場の再分割戦を展開し、そこにロシアや残存スターリン主義・中国などをもまきこんで、新たな世界戦争に突き進む歴史的情勢に入ったことを示した。そして今、台湾国民党支配の崩壊に始まる中国・台湾情勢の大激動過程への突入は、アジアをこの世界危機の最大の発火点へと押し上げたのである。
 8面につづく〜1面からつづく
 米帝と日帝は今や、中国スターリン主義の体制的危機と「中国大乱」情勢の切迫をみすえて、中国大陸を含むアジア全域の再支配と勢力圏化をかけた日米争闘戦と、そのための朝鮮・中国侵略戦争への突入に向かって激しく動き出している。新ガイドラインは、まさにこのために締結された日米帝の共同作戦協定だ。
 ここにおいて、沖縄基地のもつ戦略的重要性はますます決定的となっている。普天間基地の県内移設=名護への新基地建設は、米帝にとっては、バルカン半島へのコソボの巨大新基地建設と並ぶ、アジア全域からロシアの一部や中東・インド洋をもにらんだ一大軍事拠点の建設にほかならない。日帝は、米帝との対立を深める中で日米安保のもつ矛盾と犠牲の一切をますます沖縄に差別的に集中し、沖縄人民の基地撤去の要求を何がなんでも圧殺しようと、あらゆる卑劣な手段を総動員して襲いかかっている。
 七月サミットの強行が、朝鮮・中国・アジア人民に対する侵略と虐殺のための帝国主義者のむきだしの戦争会議となるのは明白だ。また日帝・小渕政権にとっては、このサミットが、戦争国家への大転換と有事立法・改憲への反革命的突撃を果たす突破口として、さらには現在進行する政治支配の重大な危機と破綻(はたん)をのりきる最大のテコとして位置づけられている。その一切が、名護現地を始めとした沖縄人民への重圧と、沖縄闘争圧殺の策動として強まっている。
 日本共産党は、二月十六日声明を発して、サミットは「世界の首脳に沖縄を心おきなくみせる機会になる」とサミット歓迎の立場を明確にした。サミットの戦争会議としての本質を否定し公然たる推進派として登場することで、サミットをテコに沖縄闘争の圧殺をたくらむ日帝への全面屈服、協力を宣言したのである。この裏切りを許すことはできない。日本の労働者人民は、闘うアジア人民との連帯をかけて、今こそ七・二一サミット厳戒体制を粉砕し、巨大な歴史的闘争をたたきつけなければならない。とりわけ本土の人民は、日帝の沖縄差別・抑圧の攻撃に真っ向から反対し、同時にそれが自分自身への階級的攻撃そのものでもあることを鮮明に自覚し、闘う沖縄人民とともに総決起しよう。
 全学連は、すでにサミット粉砕の戦闘宣言を発し、三・二五―二六の小渕訪沖に対して最先頭で怒りのデモに立ち上がった。三・二六三里塚闘争(記事2面)は、暫定滑走路着工阻止の闘いの不屈の前進を切り開くと同時に、沖縄現地への熱い連帯を込めた全国の闘う人民によるサミット粉砕への出撃宣言の場となった。この決起をひきつぎ、四―五月から七月へ闘いを巻き起こそう。
 このサミット決戦の前進は同時に、危機に立つ小渕・自自公政権とそのファシスト先兵・石原都政を打倒する闘いの前進と一体であり、衆院選決戦勝利への水路を切り開く闘いでもある。とくにファシスト石原との対決は、今日の情勢の中でますます重要となっている。
 石原は日帝の危機のファシスト的打開を叫び、かつての侵略戦争を「アジア解放のための聖戦」と賛美しその今日的再現を叫ぶファシストだ。その石原が首都の権力を握って中央政治を左右する力を持とうとしていることは、オーストリアでナチスを賛美する極右連立政権が登場したのに匹敵する重大事態だ。日本の労働者階級は、ついに一九三〇年代的なファシズムとの本格的対決の時代を迎えたことに、身の引きしめ、真っ向から戦闘的に対決していこう。
 前進社出版部から刊行された野口正敏著『倒せ、ファシスト石原』は、その決定的武器だ。大いに学習し広めよう。

 第3章 動労千葉ストに続け闘う新潮流の拡大へ

 介護保険粉砕の闘い、沖縄サミット決戦への突入と連動してこの四月、決定的な白熱的攻防に突入しているのが、春闘と労働戦線をめぐる闘いである。
 「国際競争力」の確保のために不採算部門の切り捨て=大量首切りと「総額人件費の抑制」を至上命令とする日帝資本の一大資本攻勢のもとで、三月十五日の金属回答を始め軒並みベアゼロ、大幅賃下げの攻撃が吹き荒れている。連合はこれを丸飲みし、首切り・リストラにも積極的に加坦している。だが中小私鉄などでは激しいストライキや争議の波が起き、階級対立はますます激化し、大単産をも下から揺るがす情勢だ。
 こうした中で三月二十三日、動労千葉は、貨物のゼロ回答打破と年金改悪に伴う定年延長要求を掲げて断固とした春闘第一波ストライキを敢行した。続いて二十八日には第二波ストに立ち、さらに第三波へと連続的に闘いぬいている。
 このストは、連合による春闘解体の流れに抗して闘う労働者の階級的団結と総決起の先頭に立つことで、戦闘的労働組合の総結集による新潮流運動の大きな前進を切り開く闘いである。同時に、何よりもJR東労組=カクマルがJR東資本と締結した「シニア協定」の大裏切りを弾劾し、第二の分割・民営化攻撃を粉砕してJR総連打倒、国鉄決戦の勝利へと突き進む新たな戦闘宣言だ。
 今日、日帝の社会保障制度解体―年金制度の改悪に伴う労働者の定年延長・雇用延長が大問題となっている中で、JR東労組が三月一日にJR東資本と締結した「シニア協定」なるものは、資本の攻撃の最先端で労働者を裏切る犯罪的な代物だ。そこでは、定年延長も雇用延長も完全に拒否した上で、関連会社の採用試験を受ける機会を形だけ与えて「再雇用の機会の提供」と称している。試験の結果、採用されなくてもJRは一切責任をとらない。また再雇用されても賃金はそれまでの三分の一以下に切り下げられるという実にでたらめなものである。
 しかもそれは、JR東が進めようとしている業務の全般におよぶ外注化=大合理化攻撃と一体だ。すなわち、この業務委託=外注化に労組が率先協力することを協定の中に盛り込み、協定を締結しない組合に所属する者には「再雇用のあっせん」はしないと宣言してきている。
 JR東労組=カクマルは、この「シニア協定」を「第二の雇用安定協約」と叫び立て、「六十歳以上の雇用を確保できるのはJR東労組だけだ。国労や動労千葉にいたら雇用の保障はないぞ」と大騒ぎして回っている。これはまさしくカクマル松崎とJR東資本の結託による第二の分割・民営化攻撃だ。さらには日帝が現在策動している会社分割・転籍に伴う解雇の自由化と労組破壊の攻撃を先取りするものだ。国鉄労働者への新たな大量首切りと国労・動労千葉への解体攻撃であり、絶対に粉砕しなければならない。
 JR総連とカクマルがこの間演じている自作自演の「対立劇」も、その背景にはこの反労働者的な大裏切りの強行があるのだ。カクマル=JR総連が分割・民営化以上の大攻撃に踏み切ったからこそ、そしてJR総連におけるカクマル過疎支配の危機に直面しているからこそ、彼らは自作自演の「対立劇」を必死でやらざるをえないのだ。だがそのあがき自身が「カクマル=JR総連」を決定的に証明するものとなり、JR体制の危機と破綻を一層拡大していくものとなるのである。「シニア協定」に激しい怒りをたたきつけ、ファシスト労働運動の打倒へ向かって攻めのぼろう。
 この国鉄決戦を先頭に、全逓、教労、都労連をめぐる決戦をさらに推し進めよう。職場闘争と団結の強化を重視し、全産別で闘いの着実な前進を切り開こう。
 さらに、「日の丸・君が代」をめぐる闘いの全人民的、戦闘的な大高揚をひきつぎ、日帝・小渕の「教育改革」、教育基本法改悪攻撃粉砕へ進撃しよう。この攻撃は有事立法・改憲攻撃と完全に一体であり、またファシスト石原との今後の重大な対決点だ。重視して闘おう。
 三里塚迂回道路着工阻止の四月緊急闘争に決起しよう。軒先工事を許さず、反対同盟を守り抜く闘いを貫こう。
 北富士闘争との連帯を強めよう。
 日帝は「第二次出入国管理基本計画」で、アジア人労働者・外国人労働者の強制徴用を狙い、同時に在日朝鮮・中国・アジア人民への治安管理と退去強制の攻撃を一層強めようとしている。これと対決して入管闘争の前進をかちとろう。
 七・二一体制下での日帝権力による弾圧の強化を許さず、すべての長期獄中同志を必ず奪還するために闘おう。
 三・一二革共同集会の成功と感動をひきつぎ、機関紙拡大闘争を軸に党建設の飛躍的前進へ決意も新たに突き進もう。

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週刊『前進』(1952号1面2)

 小渕訪沖阻止に決起

 羽田と名護、全学連を先頭に

 沖縄サミット粉砕を宣言

 第1節 東京・羽田 全学連がデモ

 三月二十五日午前、東京・大田区の西蒲田公園で反戦共同行動委員会の主催で「小渕訪沖阻止羽田現地闘争」が闘われた。
 全国から駆けつけた全学連を始め百二十人が結集、沖縄現地での闘いと固く連帯し、七月沖縄サミット粉砕・名護新基地建設阻止に向かって、四カ月間の決戦を闘い抜いていくことを高らかに宣言した。
 サミット決戦爆発に恐怖する権力は、全国八十カ所の一斉家宅捜索を行い、名護現地で全学連行動隊の先頭で闘っていた法政大学経営学部自治会委員長らを不当逮捕する暴挙に出た。
 結集した闘争参加者はこの弾圧にますます怒りを燃え上がらせ、七・二一厳戒体制を粉砕し、必ずや沖縄・名護現地に巨万のデモ隊列を登場させ、サミットを粉砕する決意を固めた。
 まず結柴誠一杉並区議が「沖縄現地に総結集し、サミット粉砕に立ち上がろう」とあいさつした。
 続いて大山尚之全学連委員長が基調報告に立った。「きょうの小渕訪沖阻止闘争を、沖縄サミット粉砕決戦の始まりとして、全世界の労働者人民に届く闘いにしよう。名護現地の闘いと一体となってサミット決戦をこじあけよう。求められているのは、既成政党をうち破って闘いを牽引(けんいん)する闘う指導部の登場だ。労働者階級の中に飛び込み、心をとらえた時、階級決戦の歴史的大爆発を切り開くことが必ずできる。ただちに決戦へ突入しよう」と呼びかけた。
 沖縄青年委員会の新城峯子委員長は「辺野古のオジー、オバーは、戦争をくい止めるため人柱になってでもと言って闘っている。小渕はこの沖縄の切実な思いを踏みにじろうとしている。闘うのは人間として当たり前。沖縄出身者も断固サミット粉砕に決起する」と熱烈にアピールした。
 法政大学の学生は「(自分も)名護現地に行ったが、賛成している人はいない。日帝のやり方は卑劣、打倒しなくてはならない」と闘う決意を表明し、東北大の学生は「サミット粉砕決戦は沖縄人民、アジア人民、世界人民との連帯をかけた闘いだ」と訴えた。
 大阪市大の学生は「不当逮捕はサミット粉砕を闘うものへの弾圧だ」と弾劾、本土で大闘争をつくりだそうと呼びかけた。広島大学の学生は「広島の卒業式では感動的な決起が開始された」と「日の丸・君が代」闘争の報告と決意を語った。
 集会後、デモに出発。デモ隊を先導する宣伝カーの「サミット粉砕・名護新基地建設阻止」の声に、商店や工場から次々と人がデモを見に出てきた。「がんばって」と声をかけてきたり、ビラを受け取って熱心に読んでいるのがいたる所でみられた。市民の圧倒的な注目と共感の中、沖縄サミット粉砕の第一波として戦闘的デモが貫徹された。

 第2節 沖縄・名護 唯一迎え撃つ

 小渕を迎え撃つ現地沖縄では、二十五日午後二時から名護市役所前広場で「ヘリ基地押しつけのための小渕来沖弾劾! 名護緊急行動」の集会を開き、四十人の労働者・学生・市民が参加して戦闘的に闘いぬいた。日共など既成革新勢力が小渕来沖に抗議の声ひとつあげず、サミットに屈服を深める中で、沖縄労組交流センターと全学連を始めとする勢力のみが唯一、真っ向から小渕来沖に反対して決起した。
 正午に沖縄入りした小渕は、午後四時過ぎ、サミット会場視察のために名護市に入ろうとしていた。
 これを迎え撃つため午後二時から決起集会を開催。沖縄労組交流センターの代表が基調報告を行った。
 第一に、森喜朗自民党幹事長の「沖縄では君が代を学校で教わっていない」「教職員組合も新聞も共産党が支配して、何でも政府に反対、国に反対する」という沖縄差別・抑圧の暴言に対し「小渕来沖と日本政府の沖縄政策の狙いを示すものだ。沖縄は再び本土の盾となれ、犠牲となれということだ。絶対許さない」と怒りをたたきつけた。
 第二に、沖縄サミットの本質は帝国主義が沖縄基地の戦略的重要性を確認し、新たな基地を沖縄に押しつけ朝鮮・中国侵略戦争にうって出るための会議であることを暴露し、徹底粉砕を訴えた。これと真正面から対決せず日共のように「サミットで沖縄から平和の意思の発信を」などということは、帝国主義への完全な屈服であり、これでは沖縄の基地はなくせない。そして、「ユーゴ人民を爆撃した帝国主義強盗どもをどうして歓迎できようか。サミットに反対する闘いこそ、世界の人民と連帯する道だ」と決起を訴えた。
 第三に、基地受け入れを表明した岸本名護市長リコールの闘いを断固進めることを呼びかけた。「この間、名護市民に十万枚のビラを配り、数千人と対話する運動を進めてはっきりしたことは、名護市民のほとんどが普天間基地の名護移設=新基地建設に基本的に反対ということ、基地建設は絶対に不可能であり、これに圧倒的な確信をもって闘っていこう」とアピールした。
 基調報告に先立ち来賓のあいさつが行われた。宮城盛光北中城村議、沖縄反戦地主、沖縄民衆会議の代表、本土から参加した西村綾子相模原市議、国賀祥司泉佐野市議らが、小渕の来沖を弾劾し、サミットをテコとしたヘリ基地建設に反対して、名護市民とともに今後も闘っていく決意を述べた。
 最後に労組交流センターと全学連沖縄現地行動隊の代表が、警察の三・二二弾圧(県内八カ所不当捜索と全学連の学生一人の不当逮捕)を徹底弾劾し、断固闘う決意を表明した。
 集会後、直ちに市内デモにうって出た。沿道で名護市民が注目する中、名護十字路を通りヒンプンガジュマルまで一・三`を「小渕来沖弾劾、サミット粉砕、ヘリ基地建設絶対阻止」を訴えて力強くデモした。

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週刊『前進』(1952号2面1)

 東峰・天神峰決戦を宣告

 3・26三里塚集会

 暫定滑走路粉砕に決起

 県道迂回道路阻止 4月緊急闘争を訴え

 三月二十六日、三里塚芝山連合空港反対同盟が主催して、「成田空港暫定滑走路粉砕! 県道迂回道路着工阻止! 三・二六全国総決起集会」が開かれ、敷地内デモが行われた。全国から千五百五十人が結集し、終始戦闘的に闘い抜かれた。反対同盟は、二年間の東峰・天神峰決戦突入を宣言。四月迂回(うかい)道路のフェンス工事着工への緊急阻止闘争、七・二現地総決起集会への決起を呼びかけた。また、米軍普天間基地の名護移設阻止と七月沖縄サミット粉砕決戦へ、闘う沖縄闘争との連帯を強化することを訴えた。

 第1節 7・21体制を打ち破り結集

 すでに警察権力は七・二一弾圧体制(沖縄サミット厳戒体制)に入っている。この日はいつにも増して厳しい検問態勢を敷いた。だが、闘う労働者人民はものともせず集会場の市東孝雄さんの畑に結集した。
 正午、集会は反対同盟の鈴木謙太郎さんの司会で始まった。敷地内・天神峰の市東孝雄さんが「東峰四月闘争を宣言する集会、沖縄と連帯する反戦集会、そして労農連帯集会としてかちとろう」と開会を宣言。
 基調報告には北原鉱治事務局長が立った。まず「二〇〇〇年平行滑走路完成計画を粉砕したように、暫定滑走路建設を実力闘争で粉砕する」と明言し、「成田空港を侵略基地、出撃基地にすることが敵の狙い。沖縄と一体になって闘おう」「日本が戦争への道を進んでいる今こそ、まず三里塚に勝とう。そして、全国の基地闘争に勝利しよう」と呼びかけた。
 基調報告を受け、動労千葉の田中康宏書記長が特別報告を行い、「三里塚闘争三十四年間の闘いは前人未到の輝かしい地平。高まる労働者の怒り、人民の怒りと結合して、大きな勝利を切り開こう」と労農連帯を誓った。続けて「春闘のあり方、社会のあり方、労働組合のあり方を問う闘う春闘として、三・二三春闘第一波ストライキを打ち抜いた」と報告。「三・二八第二波ストに立つ。重大な危機に立つJR総連=カクマルの裏切りを許さず、国鉄闘争に勝利する」と決意を明らかにした。
 次に、反対同盟が沖縄との連帯を掲げて闘う決意を込めて集会に招いた読谷村の闘う農民・知花盛康さんが登壇した。「三里塚の人びとと一緒に、体を張って基地をなくしていこう。目的は一つ。戦争への道をとめること。みんなで立ち上がろう」と会場全体に訴えかけた。(発言要旨別掲)
 動労千葉、沖縄の発言にこたえて、反対同盟から萩原進事務局次長が東峰・天神峰決戦を宣言。「四月小見川県道迂回道路阻止緊急闘争への総決起を訴える。絶対に勝利できます。四月から火の手を上げ、全国に広げ、二〇〇〇年を勝利の年にしよう。反対同盟は断固闘う」とアピールした。
 反対同盟の決意表明には鈴木幸司本部役員と郡司とめ婦人行動隊長が立った。鈴木さんは「東峰・天神峰と一心同体で芝山も闘う。本集会を新しい勝利の第一歩に」と訴え、郡司さんは「三里塚は闘う、沖縄を支えます。権力が軒先工事をしようと闘い抜きます」と決意を表明した。
 さらに小林なつ婦人行動隊副隊長が集会参加者にカンパを要請。ここで司会を婦人行動隊の宮本麻子さんが引き継いだ。
 顧問弁護団を代表して、葉山岳夫弁護士が「反対同盟の実力闘争と一体で、暫定滑走路工事計画取り消しの裁判闘争を闘い抜く」と連帯のあいさつを行った。

 第2節 衆院選決戦の勝利呼びかけ

 集会は住民団体の決意表明へと進んだ。最初に、関西新空港反対闘争を闘う山本善偉東灘区住民の会代表が「関西新空港は二期着工。神戸空港も着工した。新ガイドラインと結びついた動きだ。神戸を軍事基地の街にするな、の闘いを巻き起こす。全国に三里塚をつくろう」と訴えた。
 北富士忍草母の会の天野
美恵事務局長は「闘うときは今をおいてない。サミット阻止のために沖縄に行きます。十一月北富士での米軍演習阻止に決起します。衆院選で長谷川英憲さんの当選を、どんなことがあってもかちとろう」と熱烈に呼びかけた。
 部落解放同盟全国連からは北浦裕樹久青年対策部長が、「狭山異議審闘争は春から夏が勝負。狭山百万人署名運動を進めよう。沖縄サミットを粉砕し、衆院選・長谷川当選のために立ち上がる」と決意を語った。
 次々と衆院選決戦勝利が訴えられる中、都政を革新する会の長谷川英憲代表が登壇。「二〇〇〇年の三里塚、沖縄の闘い、春闘−労働者の闘いに連帯して杉並で衆院選を闘う。小渕・自自公体制への人民の怒りのマグマが噴出しようとしている。大地をたたき割って人民の怒りを爆発させ勝利する。四月一日を介護保険制度廃止の出発の日にしよう」と熱い決意を明らかにした。
 婦人民主クラブ全国協議会からは丹治孝子さんが、「反対同盟の烈々たる闘争宣言に身が震える。介護保険制度は、増税と社会保障制度解体の突破口にほかならない。国家権力の腐敗の中でも、最高の腐敗は侵略戦争。敵は一つです。まずは暫定滑走路建設を粉砕しよう」とアピールした。
 佐世保の海を守る会の松本栄二さんは「佐世保の米軍基地は今まで経験したことがないほど強化されている。戦争の直前まできている。沖縄サミットは戦争サミット。死を恐れずに闘おう」と決起を促した。
 反戦共同行動委員会を代表して三角忠さんが発言に立ち、「三里塚から戦争への道を阻もう。名護新基地建設と闘う沖縄人民と連帯し、全国で反基地・反安保の闘いに立とう。動労千葉のストライキの闘いをすべての職場、地域でわがものとしよう。介護保険絶対反対・長谷川当選へ、労働者の総決起をかちとろう」と訴えた。
 さらに、闘う「障害者」代表、福岡築港日雇い労働組合、山谷・新宿・釜が崎労働者実行委員会などから発言が続いた。

 第3節 サミット決戦へ出撃

 共闘団体の決意表明に移った。全学連中央執行委員会を代表して大山尚行委員長が決意を表明し、鮮明な闘争方針を提起した。
 大山委員長は、「全学連は四月決戦に総力を挙げて決起し、暫定滑走路建設粉砕−成田空港廃港に向けて闘う。侵略戦争のための空港建設の激しい攻撃に対しては、激しく闘う時だ」と宣言し、「三里塚で暫定滑走路建設を粉砕し、新安保ガイドラインをがたがたに揺さぶり、日本帝国主義を打倒しよう。この闘いは沖縄サミット粉砕の闘いと一体の闘いだ。全学連は沖縄人民の怒りの先頭に立つ」と宣言した。
 そして、「すでに帝国主義は命脈が尽きている。世界革命をかちとる時代だ。台頭するファシズムと全面的に対決して勝利しよう。沖縄サミットに賛成し沖縄圧殺の先兵に転落した日本共産党スターリン主義を打倒しよう。今こそ反帝国主義・反スターリン主義の闘いが求められている」と革命的時代精神をもって立ち上がろうと提起。最後に「それは、ファシスト・カクマルを打倒する歴史的決着の時が到来したことを意味する。全学連は対カクマル戦の先頭に立つ」と締めくくった。
 集会宣言を伊藤信晴事務局員が読み上げ、閉会宣言を木内秀次事務局員が行った。木内さんの音頭で、ガンバローを三唱し、反対同盟を先頭に敷地内デモに打って出た。
 デモ隊は長蛇の隊列をつくって集会場を出発した。先頭には反対同盟旗が翻った。赤旗を林立させた全国労組交流センターの長いデモ隊、白ヘルメットの全学連のデモ隊は、闘志あふれるシュプレヒコールをあげて行進した。「四月県道迂回道路着工を阻止するぞ! 暫定滑走路建設を実力で阻止するぞ!」のかけ声は、機動隊の弾圧を完全に粉砕して、東峰から天神峰を完全に制圧した。
 デモを貫徹した労働者、学生は「迂回道路着工緊急闘争には必ず駆けつけよう」「沖縄サミットを粉砕しよう」と誓い合った。

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週刊『前進』(1952号2面2)

 反対同盟の発言

 第1節 基調報告

 沖縄と連帯し三里塚勝利を 北原鉱治さん

 反対同盟は平行滑走路建設計画を見事に粉砕しました。追い詰められたのは政府・空港公団です。国際的信用と国家的威信をかけて暫定滑走路計画を打ち出しました。この短縮滑走路ではジャンボ機はけっして飛べません。
 昨年十二月三日の暫定滑走路工事着工をもって、反対同盟はこれを粉砕する二年間にわたる決戦に突入しました。臨戦態勢の中にあります。実力闘争で必ず勝利します。二〇〇〇年計画を粉砕したように、必ず粉砕します。
 成田空港を何に使おうとしているのですか。アジアへの侵略拠点、出撃基地としてです。朝鮮有事には、成田に五十万人の米軍兵士が空輸されてきます。自衛隊が先頭で参戦していきます。日本は再び戦争に向かって動いています。
 有事立法や改憲の攻撃を人民の力で粉砕しよう。沖縄と連帯し、一体となり、自分の闘いとして沖縄闘争を闘おう。そのためにも、まず三里塚で勝とう。

 第2節 東峰決戦宣言

 屈服か闘うかの二者択一だ 萩原 進さん
 反対同盟は、四月小見川県道迂回道路着工阻止に立つ。東峰・天神峰決戦の第一弾だ。緊急闘争への総決起を訴える。
 暫定案の真の目的は、住民を追い出すこと。軒先工事で生活と営農を奪う。それでも出ていかないなら、頭上にジェット機を飛ばすぞと脅す。工事用フェンスで道路、家、畑を囲い、工事の振動で圧力をかける。道路を奪っていく。悪逆非道の暫定案を許せない。
 これに屈服したのが脱落派だ。屈服か、断固闘うかの二者択一です。反対同盟は断固闘う。
 必ず勝利できます。七八年開港も暫定開港。平行滑走路ができずに、暫定滑走路。追い込まれているのは政府・公団だ。反対同盟が持つたくさんの用地内物件とこの集会の熱気。負けるわけがない。四月、火の手を上げ全国に拡大しよう。

 第3節 開会宣言

 いかなる攻撃にも負けない 市東孝雄さん
 政府・公団は昨年十二月三日に暫定滑走路の着工を強行しました。私の畑の間近で掘削工事を強行しています。このような攻撃に負ける反対同盟ではありません。臨戦態勢を構築し、集会デモを打ち抜き、農作業に精を出して頑張っています。
 本集会は、東峰地区での四月工事強行に対し闘争宣言を発し、臨戦態勢に入る決起集会です。沖縄との連帯を深め、北富士、関西、日本原とともに基地と演習に反対する反戦集会です。また動労千葉を始めとする闘う労働組合との労農連帯集会です。三・二六総決起集会の開会をここに宣言いたします。

 第4節 決意表明

 東峰・天神峰と一心同体で 鈴木幸司さん
 成田用水は空港関連事業として八五年に始まった。三里塚闘争の一環として闘い十五年。用水推進派は、「この地で農業を続けるのに用水が必要」と言った。だが、かれらは次々と集団移転している。用水反対闘争が正しい闘いだということを示している。
 三里塚闘争は、権力への憤りの中で、人をつくり、土をつくる。反対同盟は何年でも闘い続ける。東峰・天神峰と一心同体となり、芝山も闘う。
 故戸村一作委員長が言ったように「心を一つにして闘えば、必ず勝つ」。本日の闘いを新しい勝利への第一歩としてかちとろう。

 第5節 決意表明

 沖縄の闘いにはせ参じ闘う 郡司とめさん
 三十四年目を迎えた三里塚。忘れもしませんけれども、空港ができるといって千人を超える反対同盟が結成されました。それから三十四年間闘ってきました。その間にはいろいろなことがありました。
 最初は反対だった芝山町長も賛成に回った。町長リコール投票もうやむやにされました。それから一年、一年と闘いを重ねて、今日まできました。三里塚の闘いの歴史は、裏切りの歴史でもあります。
 今度は、沖縄の闘いに決起し、沖縄にはせ参じたいと思います。これからも、三里塚は支え合って闘い抜きます。権力が軒先までこようと闘い抜きます。ともに闘いましょう。

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週刊『前進』(1952号2面3)

 解同全国連

 再審実現へ高裁行動

 狭山百万人署名が威力

 三月二十七日、部落解放同盟全国連合会と解放共闘の東京高裁要請行動は、早朝の街頭宣伝から始まった。東京高裁前で「狭山差別裁判糾弾! 石川一雄さんは無実だ!」「東京高裁・高橋裁判長は事実調べ・再審を行え」と青年がハンドマイクで訴え、ビラがどんどん手渡された。
 午前中、弁護士会館で決起集会が開かれた。基調報告に立った小森勝重狭山闘争本部事務局長は、冒頭「第九回大会で“糾弾の全国連”を宣言した。差別糾弾闘争の頂点に位置する狭山闘争の勝利へ、あらゆる反動を打ち破って要請行動を闘おう」と提起した。
 そして異議審闘争の現局面について「三月三日に弁護団が、新たに着任した麻生検事と折衝した。積み上げれば三bあるという証拠の開示について、麻生検事は、前任検事と弁護団の約束をほごにして『証拠開示をするつもりはない』と返答。これは早期に異議審を終わらせるという意思表示だ。三月末には弁護団が補充書を提出する。春から夏が最大の山場であり、その第一歩が本日の要請行動だ」と訴えた。
 そして、@東京高裁要請行動と狭山百万人署名運動を両輪として闘い、A五・二三に百人規模の要請行動を闘う、B七・八第二次再審棄却一周年には狭山中央闘争を闘う、C狭山パンフの学習会を展開しよう、と四点の方針を提起した。
 最後に小森さんは、「この場に長野の中学生が、全校で集めた狭山百万人署名を持って参加している」と紹介。拍手の中、三人の中学生が立った。不安を打ち破ってクラスでやり遂げた部落民宣言と狭山署名の呼びかけが、全校八百人の中学で七百人を超える署名に結実したのだ。大きな感動が広がった。
 正午、宣伝カー、荊冠旗を先頭に霞が関デモに出発した。「あ、狭山だ」と道行く人びとが注目した。
 午後一時、要請行動開始だ。鉄さくが閉じられた正門の内側を裁判所職員が総出で警備、この厳戒ぶりこそ裁判所の不正義を示すものだ。怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
 二十人ずつ二グループに分かれての要請行動は、四時少し前まで続けられた。狭山百万人署名、全国連第九回大会決議文、各地から持ち寄った要請文を裁判所に突きつけるとともに、昨年七月の再審棄却以降強められた要請行動への不当な制限をはね返す闘いが、ねばり強く打ち抜かれた。
 二月の要請行動でトイレの場所を聞いた青年に警備職員があごで指図したという事態について、訟廷管理官が「不適切な行為についておわびします」と謝罪、また裁判所職員が公安刑事とメモのやり取りをした件は、事実確認をしていないと逃げたが「あってはならない」との判断を示さざるを得なかった。
 要請行動の後、小森さんは「終わってみれば三時間。百万人署名がうなりを生じて進むならば、絶対に異議審で勝利できる。次回五・二三要請行動で勝利を確定しよう」と提起した。
 要請行動と並行して裁判所前で街頭宣伝行動が行われ、多くの人たちから狭山署名・カンパが寄せられた。狭山百万人署名運動の威力が示された。

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週刊『前進』(1952号2面4)

 関実が公開講座

 ”成田空港廃港へ”

 三里塚総結集を決意

 三里塚決戦勝利関西実行委員会が、三月十三日大阪で反対同盟顧問弁護団の一瀬敬一郎弁護士を招き、第八回三里塚公開講座を開催した。六十人が参加し、大成功した。関実は永井満代表、山本善偉世話人、森田恒一世話人、国賀祥司事務局次長を先頭に参加し、熱気あふれる公開講座になった。(写真)
 主催者を代表して、永井満さんが「反対同盟を支える顧問弁護団の闘いは重大である。最新の現地調査の報告もあると思う。積極的な参加をお願いしたい」と主催者あいさつ。
 続いて、一瀬敬一郎弁護士がレジュメ、闘争年表、現地調査写真、地図、新聞切り抜きなどを駆使、一時間余の講演を行った。
 「現地は臨戦態勢に入っている。三里塚闘争に全力で立ち上がってほしい」と訴え、「破産必至の暫定滑走路とその狙い」と題して五点を提起した。
 @一九八五年十・二〇闘争が翌年十月の着工を実質的に粉砕した、また、九八年の東峰部落の反対表明が重要であったと指摘。A暫定計画は三千七百b滑走路建設にあることを暴露。B暫定計画の狙いは暴力的な住民のたたき出し(土地強奪)の攻撃にあることを実証した。十三bのフェンスをつくり、小見川県道の付け替え用道路を着工し、生活道路を寸断して集落を破壊し、生活不可能にしようとする攻撃であると弾劾。C市東孝雄さんの新たな決起が、政府・運輸省、空港公団に打撃を与えていると述べた。
 D「反対同盟の土地が工事を阻んでいる、現地立ち入り調査で『一坪用地に絶対に手をつけさせないぞ』と突き付け、工事の現況を監視し全国に伝えていく。三〜四月攻防が転回点になる。三・二六が重要」「成田空港を廃港に追い込むために関西からも総結集してほしい」と締めくくった。
 質疑の最初に永井代表から「航空法上の問題点は何か」と質問。
 一瀬弁護士は「国際民間航空条約に照らして問題がある」と着陸帯の問題などを指摘した。
 また、森田さん、松原さんを始めとして、何人もから質問があり、積極的な討議が行われた。
 最後に、山本善偉世話人が、「仲間に呼びかけて三・二六三里塚に総結集しよう。沖縄と連帯して二十世紀最後の二〇〇〇年決戦を大きな勝利の年にしよう」と訴えた。
 公開講座をとおして、関実は新たな三里塚決戦に総決起することを誓った。

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週刊『前進』(1952号3面1)

 日経連賃下げ攻撃に屈服した連合春闘の超低額妥結弾劾!

 動労千葉に学びストで闘おう

 二〇〇〇年春闘は、三月十五日の金属労協(IMF−JC)の主要四産別への集中回答を皮切りに、ベアゼロから五百円という三年連続史上最低水準で推移している。他方で社会保障制度の解体攻撃が襲いかかっている。断じて許されない現実だ。今春闘の事態が、何よりも日経連の賃下げ攻撃に屈服した連合指導部の大裏切りによってもたらされたことを、徹底的に弾劾しなければならない。また、連合の先を行ってJR総連=カクマルがファシスト的に裏切っている。これに抗し、動労千葉が二波のストライキを打ち抜き、闘いを継続していることは決定的な意義がある。二〇〇〇年春闘はまだ終わっていない。中小の闘いに向けて一層の決起を訴えたい。

 第1節 ベアゼロ続出史上最悪水準

 まず、金属の主要四業種の回答・妥結水準を徹底弾劾しなければならない。
 電機大手は昨年と同額のベア五百円で決着した。金属で昨年は最低水準だった電機のベアが今年はほぼ上限となり、全体を押し下げる犯罪的役割を果たした。
 自動車では、最大手のトヨタ自動車が昨年を百円下回る七千五百円(ベア相当分五百円)で決着。「勝ち組」といわれるトヨタでさえ、日経連会長の奥田のもとで超低額に抑え込まれた。昨年ベアゼロの日産自動車が二万一千人削減の大リストラへの協力の「見返り」でベア五百円となったが、いずれも超低額だ。
 さらに、造船重機は大手六社が軒並みベアゼロで妥結。なかでも日立造船では分社化された主力工場で一〇%もの賃下げが強行され、労組がベア要求を取り下げる事態となった。
 鉄鋼大手五社は、一昨年から複数年協定となり、今回は二年間でベア千円。ただしベア千円を初年度に実施するか二年目に実施するかで分裂回答となった。
 他方でいずれも一時金の格差は一層拡大している。また、電機大手で成果主義賃金、業績連動一時金の導入が広がるなど、年功序列賃金の解体が進んでいる。
 続いて、いわゆる公益産業の回答が出された。ここで重大なのは、NTTと電力でベアゼロが強行されたことだ。NTTは昨年七月に持ち株会社、東西地域会社、長距離会社に四分割されたが、いずれもベアゼロである。NTTドコモやNTTデータなど業績が拡大している企業も含めてグループ主要八社がベアゼロでそろえたのだ。
 さらに私鉄も東急がベアゼロとなったのを始め、軒並み昨年水準を下回った。
 三月二十二日までの連合の集計では、三十五歳個別賃上げでベア七百四十四円(〇・二五%)、平均賃上げ(定昇込み)で六千二百十六円(一・九六%)である。同日の日経連の集計でも六千三百七円(一・九七%)と、初めて二%を割り込んでいる。昨年の二・二一%(労働省調べの主要企業)を下回るのは確実であり、今後の中小の結果を含めて、定昇分すら維持できない、実質賃下げの事態となろうとしているのだ。  
 そもそも日経連は、二〇〇〇年労問研報告で、弱肉強食の資本の論理=「市場原理の徹底」をふりかざし、「総額人件費を引き下げざるをえないことを、労使は客観的に認識すべき」「やむをえず賃金の引き下げに迫られる企業も数多い」と賃下げ、総額人件費削減に踏み込んできた。

 第2節 要求も抵抗も放棄した連合

 これに対し連合は春闘の妥結水準に「きわめて不十分で遺憾」などとする「見解」(三月十七日)を発表した。だが、こうした事態は、日経連の賃下げ攻撃にあらかじめ屈服した連合指導部が自ら春闘を解体した結果にほかならない。
 連合は三月十日に鷲尾会長らが、この時期としては初めて日経連に「適正な賃上げ」を要請したが、自らの屈服の責任を棚に上げて、賃上げを形だけ「お願い」しても後の祭りだ。
 連合は、日経連の労問研報告と「理念は共通だ」「九割くらいが連合の主張と変わりない」と言って完全に容認していたのだ。
 昨年十月の連合大会方針の基調は、「抵抗」も「要求」もやめて「企業、産業、国家のあらゆるレベルでの参加」というものだった。闘いを放棄し、抵抗も要求もやめた労働組合とはいったい何なのか。
 この方針のもとで、連合の春闘要求はわずかベア一%(三千円)、金属労協はさらに引き下げて二千円だった。しかも、三月八日までに八百七十八組合が賃上げ要求を見送ることを決めた。これは昨年の二倍に上るといわれる。
 やはり、問題は、経済危機をふりかざした資本のベアゼロ・賃下げ攻撃を階級的に打ち破って、労働組合が闘って団結を打ち固めるか否かなのだ。経済が不況であろうと好況であろうと、労働組合が闘いを放棄したら賃上げなどかちとれるはずがない。むしろ、不況下で大リストラ攻撃が吹き荒れている時こそ、団結を強め、リストラに反対し、大幅賃上げを求めて闘わなければならないのだ。
 連合は「見解」で「『横並び』を批判していたはずの経営側は、賃上げ抑制に関しては『横並び』を貫こうとして」いると批判しているが、それは泣き言でしかない。NTTグループのベアゼロに示されるように、そもそも賃上げは、いわゆる「支払い能力」があるかないかにかかわらず、労働組合が団結して闘うか闘わないかによって決定的に左右されるのだ。NTT労組が現場労働者の怒りの中で九七%もの高率でスト権を立てながらベアゼロをのんだのは、連合指導部の裏切りを象徴している。

 第3節 資本の最悪の先兵=JR総連

 今春闘のいまひとつの焦点は、年金支給開始年齢の段階的引き上げに伴う「雇用延長」問題である。
 三月二十八日に強行成立した年金制度改悪関連法は、九四年の改悪による二〇〇一年度からの厚生年金の定額部分(国民年金)の支給開始年齢引き上げに加え、報酬比例部分も二〇一三年度から支給開始が遅らされる。さらに賃金スライドの凍結と給付水準の五%カットなどが強行される。年金を生涯受け取れる額は、現在七十歳でも三百万円減、四十歳以下では千数百万円も減らされるのだ。まさに詐欺にも等しい。
 また、国会に現在提出されている雇用保険法改悪案では、保険料率の引き上げと、「自発的離職者」や定年退職者の失業手当の支給日数の短縮などが盛り込まれている。
 こうした中で電機連合の大手組合が、ベア五百円と引き替えで二〇〇一年度からの「雇用延長」で合意に達したが、唯一「定年延長」を行う富士電機の場合でも五十六歳から賃金が一〇―一五%引き下げられ、六十歳以降は賃金がほぼ半減させられるのである。
 鉄鋼では二〇〇三年度からの本格導入をめざすことで決着し、造船重機でも二〇〇三年度から六十二歳までの再雇用で決着した。
 いずれも、いわゆる年金支給開始までの「空白」を埋めると称しているが、六十歳以降の賃金を含めても賃金・年金をトータルすれば大幅削減となる。介護保険導入、年金制度改悪を始めとする社会保障制度解体攻撃、賃下げ攻撃が吹き荒れる中で、労働者階級の退職後を含めた生活破壊が一層推し進められようとしている。連合は、年金制度改悪などに対して闘いらしい闘いを展開することもなく屈服したのだ。
 この中で、関連会社への「再雇用の機会の提供」というJR東日本の「シニア雇用」は、最悪の制度である。これを労資結託でつくったJR東労組=カクマルは、連合の先を行く、資本の最悪の先兵なのだ。

 第4節 裏切りに抗し新たな息吹が

 以上のような現実に対して、動労千葉が三月二十三日、二十八日に断固として二波のストライキに決起した。中小私鉄やバス労組の十六労組が二十四日の始発からストに突入した。
 また、自動車総連傘下のマツダ労組は、三月十日から「サービス残業」を拒否する「非協力宣言」を発し、一時金要求の満額獲得できなかった場合はスト権を確立し、三十年ぶりの全面ストも視野に入れた方針を提起した。ストには至らず満額を獲得したが、連合下での新たな闘いの息吹を示すものである。
 さらに今後、中小労組の春闘が本格化する中で、連合春闘の裏切りに抗する闘いが展開されている。
 もはや労働者は闘う以外に自らの生活も権利も守れない。連合とJR総連の大裏切りを粉砕し、今春闘を引き続き粘り強く闘い抜く中で、労働者・労働組合の団結に基礎を置いて闘う賃金闘争を復権し、社会保障制度改悪に反対する労働運動をつくり出さなければならない。この中で、闘う労働運動の新潮流を発展させよう。

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週刊『前進』(1952号3面2)

 動労千葉

 貨物ゼロ回答弾劾第2波ストに決起

 日貨労は即妥結の裏切り

 動労千葉は三月二十八日、JR貨物会社のベアゼロ回答に対して、貨物職場を拠点とした春闘第二波ストライキに決起した。
 JR貨物会社は前日の二十七日、ベースアップはゼロで定期昇給のみ実施(平均一・八九%、五千九百三十二円)という許しがたい回答を行った。定年延長や五十五歳以上の労働条件改善などの要求にも「年内に提案したい」というゼロ回答だ。だが、なんとJR貨物労組(日貨労)=カクマルは「これ以上の前進はないものと判断し」て、即座に妥結するという大裏切りを行った。
 怒りに燃えた動労千葉は、JR貨物に対して再回答を要求し、断固としてストに突入した。
 始業時からの半日ストに突入した貨物支部の地上勤の労働者を始めとした五十人余りの組合員が、午前十時から千葉市内で開かれた第二波スト総決起集会に集まった。
 君塚正治副委員長が「昨日、JR貨物のベアゼロ回答が出たが、ストライキを闘い、不断の闘いで要求の前進をかちとろう」と訴えて集会が始まり、中野洋委員長があいさつに立った。
 中野委員長は、「貨物のベアゼロは、国鉄時代から通じて初めての事態だ。貨物会社は七期連続赤字だというが、赤字だろうが、生活できる賃金を要求するのは当たり前だ。この事態を日貨労は当然のこととして受け止めている。鉄産労や国労も闘っていない。きょうは唯一の抗議の意志表示としてストを闘っている。一点の火花が全国に火柱を立てる闘いになる。動労千葉は『組織拡大春闘』と位置づけ、日貨労を解体し、貨物の中での労働戦線の再編を旅客の闘いと結合して一体となった闘いを追求する」と、第二波ストの意義を強調した。
 そして、「貨物のベアゼロは、二〇〇〇年春闘全体の状況から来ている。連合の多くの労働組合は闘う前から要求も放棄した。特に情報通信産業の花形といわれるNTTがベアゼロだったことで、赤字ならベアゼロもしょうがないとなった。日本の労働組合全体が資本の代弁組合になっているが、逆境になればなるほど労働者は団結して闘うということを示そう」と檄(げき)を飛ばした。
 田中康宏書記長が基調報告を行い、ベアゼロ回答を弾劾した上で、昨年の春闘前からベアゼロを容認していたJR貨物労組が「定期昇給を維持」したから「成果」だと言っていることを徹底的に批判した。そして、動労千葉・動労総連合は断固として再回答を要求することを明らかにした。
 また、五十五歳以上の労働条件改善も含めた新たな闘いを開始し、貨物の大合理化―全面的な再編攻撃と組織破壊攻撃への臨戦態勢に突入することを宣言。JR東日本の「シニア制度」問題とともに、四月にストを含む第三波闘争に立ち上がる方針を提起した。
 討論では、「シニア制度」問題と貨物の六十歳以降の雇用問題についての質問が出された。中野委員長は、「東日本は再雇用先を紹介するだけ。しかも全面外注化とセットだ。試験も二回だけ受けさせるが、あとは知らないというものだ。最悪の制度で完全に違法だ。年金制度改悪で各企業が雇用延長を出さざるを得ないから、貨物も何らかの提案をしてくるだろう。貨物では東日本のように外注化する業務もない。六十歳を過ぎて運転士をやれというのか。定年延長と同時に、六十五歳まで働ける労働条件をかちとらなければならない」と提起した。
 貨物支部から千葉機関区支部や新小岩支部などの代表が決意表明に立ち、「ゼロ回答に対する怒りが充満している」「貨物会社の経営責任を労働者に押しつけることは絶対に許さない。分割・民営化体制が間違っているということだ。この矛盾を追及して闘う。日貨労解体に向けて頑張りたい」と次々に訴えた。

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週刊『前進』(1952号3面3)

 ”ガマンも限界”

 国労東京貨物本社前行動

 三月二十八日午前、国労東京地本は「ゼロ回答を許すな! 生活改善資金・大幅賃上げ獲得! 貨物本社前行動」を行った。(写真)
 前日夜、JR貨物はベアゼロ回答を行い、JR総連・貨物労組はその場で妥結した。ベアゼロは国鉄分割・民営化以来、JR七社の中でも初めての事態だ。にもかかわらず、国労本部は組合員の要求を抑え、ストライキを放棄している。この行動には、こうした中で怒りと危機感を燃やす東京地本の組合員や上京行動中の闘争団員が結集した。
 国労東京地本の酒田充委員長は、「ILO勧告を妨害するためにジュネーブに行くような非常識なJR総連との癒着を続ける貨物本社とは何なのか」と述べ、貨物協の代表は「ベアゼロとは、定昇さえない五十七歳以上の仲間には何もないということだ」と発言してJR貨物を弾劾した。
 行動の最後に、「ベアゼロ回答糾弾! 再回答せよ」のシュプレヒコールがたたきつけられた。

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週刊『前進』(1952号3面4)

 ストップ介護保険 現場の労働者に聞く 5

 職場では”詐欺だ”の声

 国保滞納もうなぎ登り

 自治体労働者Dさん

 第1節 当初から大反対

 ――自治体労働者から見た介護保険制度について聞かせてください。
 介護保険制度は、法案が出てきた段階からこれは大変な問題だと思っていました。当初から大反対だったんです。
 私は当時、福祉事務所にいましたので、ヘルパーが同じ職場にいましたから、組合でヘルパーの問題を、どうやったらいい仕事ができるのかとずっと取り組んでいたんです。それが介護保険になったら全部ご破算になってしまうということです。福祉を現場でやっている人間でこの法律でいいと思っている人はほとんどいない。明らかに福祉じゃないですから。
 保険制度というのは保険料を払った人が給付を受ける制度であって、今まであった福祉とはまったく違う制度です。福祉は、憲法で保障された、国が面倒を見なければならないものという考え方があり、勝ち取ってきたものというのがありましたから、法律が通ったときは大ショックでした。

 第2節 ヘルパーが重要

 ヘルパーの問題ですけど、東京では公務員ヘルパーとして採用されています。現業労働者ですけど、もともとは正規職員ではなくて正規職員化闘争をやったんです。美濃部都政の時代に勝ち取った。そもそもは主婦の仕事ができれば誰でもできるといわれて採用されたぐらい、昔は脚光を浴びてなかった。困っているお年寄りのところに行って仕事をしてください、家事ができれば誰でもできますよと。
 そこからスタートして、採用の人数は増えないで高齢化でニーズが増えてくる中で、いい仕事をやりながらどうやって自分たちの職場を守っていくかという闘いをずーっとやってきた。
 何で介護保険になったらヘルパーの仕事が大変になるのかというと、自宅から直接現場に行って仕事をしてそのまま帰ってしまう形態というのは仕事として共有化されないんです。これまでは、行く人のところをいくつか持っていて、一定の期間をやったら交替しながらやるんです。仕事を共有し、問題にぶちあたったらみんなで話し合いながら対応ができるわけです。そういう中で新規採用の人が入ってきても、すぐに先輩たちの蓄積を受け入れて、現場に行けるからすごくやりやすいわけです。
 福祉事務所にいればいろんな職の人たちと絶えずコミュニケーションを取りながら仕事をやれる。その人にとって何が足りない、こういうことが必要だというのがすぐに結びついていくわけです。ベッドの貸し出しやった方がいいみたいとか、階段の手すりをつけた方がいいみたいだよとか。変化に対応した仕事がすごくやりやすいわけです。
 ヘルパーは、その人のことを一番良く知っているんです。看護婦さんとか、お医者さんとか、ケースワーカーとかいろんな職種があって、いろんな人が見るんですけど、ヘルパーはトータルにその人を見る仕事なんです。医療的側面だけではなくて社会的背景も見るし、その人の性格とか、いろんな側面から見られる。
 ところがヘルパーの仕事が職としては確立されてなくて一段低く見られている。ヘルパーの仕事がそういう見方をされているのがすごく悔しいですね。
 介護保険でより一層そうなってしまうでしょ。時間単価で、誰でも講習を受けて資格を取ってすぐ仕事ができると。そういう仕事にされるのがすごく悔しい。利用者のところに直行してそのまま帰って、そのヘルパーさんが全部責任を負って頑張るというのは、ヘルパーさんも大変だし、見てもらう側も大変なんです。
 これからヘルパーは東京二十三区でほとんどハンドサービスをしないヘルパーになってしまいます。みんな介護福祉士とかケアマネジャーの資格を取って、コーディネートとかプラン作成とかそういう仕事になってしまうでしょう。
 ヘルパーさんがすごく質を高めてきたというのはハンドサービスがあったからなんです。それをやめたら資格がいくらあってもだめだと思うんです。労働者というのはとにかく同じ仕事をする人間とコミュニケーションをとっている必要が絶対にあるんです。それによっていい労働ができる。そこがわかっていない。
 在宅介護についてはそういうことですよね。

 第3節 国保にも問題が

 ――保険料の徴収という点ではどうですか。
 国保は第二号被保険者、いわゆる社会保険に入ってない人についてとらなければならないんですが、職場ではみんな大反対です。「詐欺だよなー」って。
 一応、国民健康保険はいろいろ問題はあれ、誰でも病気になったときに三割で医療が受けられるというのは、昔の金がなくて医者にかかれなかったというのを考えればまあいいんじゃないの、というところで妥協して督促をやっているわけです。今度の介護保険は欠陥商品ですから。保険料を払って給付受ける人が一割、そんな商品の営業はできないよ。だって「受けられないんだろ」って言われたら、「そうです」と言うしかない。それを払えとは言えない。保険料係は大変な人たちを相手に仕事をやっているんですよ。八割ぐらいは払っていますが、払えない人の状況について毎日接しています。
 国民健康保険はもう時代に追いついてない制度になっています。
 というのは、今リストラの時代で、ある日突然会社を辞めさせられたという場合、その前の年の収入で保険料と住民税がのしかかってくるわけです。若い人がある日突然リストラで蓄えなんてあるわけがない。何十万という保険料と住民税と、国民年金をリストラで失業保険の時にこれを払いなさいとやるわけですよ。
 というわけで国保の加入者もうなぎ登り、滞納者もうなぎ登りで、今は大変な状況になっています。怒鳴られっぱなしです。「払えるわけない」と。
 制度の方を変える必要があると思う。リストラで辞めて失業保険の間は保険料を免除するとか、会社の方で面倒を見て一年間社保でやるとか。
 今度その上で、四十歳以上六十五歳未満の方は国保に上乗せをして介護保険料をいただかなければならない。介護保険で何が大変といってもこっちが一番大変。まず金を払うことの苦情は国保の担当に全部きますから。制度の説明とか、受けられないことの苦情ですとか、お金を払わないということに跳ね返ってくるわけです。これは全部私たちがかぶることになる。
 国の方はあこぎですから第二号被保険者の数は出ますから、もうすでに請求書がきています。うちの自治体は収納率が九割いってないんです。だけど、介護保険の分は百パーセント国にもって行かれる。払ってる本人は国保の分と思って払っても、介護保険の分と一緒になっている用紙で支払ってもらうので、そのうち介護分は百パーセントもって行かれてしまいます。だから国保の収納率はさらに下がります。
 おまけに国保もどんどん値段が高くなっているんです。つい数年前に比べたら倍近くなっています。六、七年前は住民税の一・〇七倍が所得割だったんですけど、今現在一・八七倍になっていて、今年四月からは一・九二倍になるそうです。ほんとに高いです。
 (この項つづく)

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週刊『前進』(1952号3面5)

 資本攻勢&労働日誌

 3月16日〜28日

 NTT、電力がベアゼロ妥結

 ●「過労自殺」で最高裁判決

 ●中小私鉄労組がスト突入

 ●8都県で公務員に賃下げ

●16日 私鉄大手の春闘賃上げで分裂回答。東武、京急、京王、京成、小田急、相鉄の関東6社と名鉄が、過去最低水準で妥結した。東急はベアゼロだった。(表参照)
◇全労協系の春闘再生「全国実行委員会」主催「3・16春闘総決起集会」が東京・九段会館で開かれ2500人が結集した。
◇トヨタ自動車と東芝は、企業年金積み立て不足を一括処理する。
●17日 NTTグループの賃上げがベアゼロで決着した。NTTの春闘ベアゼロは民営化後初めて。
◇東京電力と電力各社の労使は、ベアゼロで妥結した。
◇人勧完全凍結抗議ストへの処分取り消し訴訟の上告審で、最高裁は処分は適法とし、上告を棄却。
◇労働省は、55歳以上の中高齢者や「障害者」らを雇用する企業への助成金の支給基準を緩和する。
◇関西の私鉄大手4社のうち、南海を除く3社の回答額が労組に示された。いずれも過去最低水準。
●18日 アメリカのボーイング社で38日間のストが終結した。
◇ホームヘルパーなど介護の現場で働く人たちの労働組合「東京ケアユニオン」が自治労東京支部の働きかけで結成された。
●18日 東芝は、国内を中心に従業員の15%にあたる約9000人を2002年度までに削減する方針。
●21日 雇用延長で、再雇用制度採用の企業が約4割に達していることが中労委の調査でわかった。
●22日 三菱自動車工業は2年後をめどに乗用車部門を分社化、新会社をダイムラークライスラーグループに組み込む方向。
●23日 動労千葉が史上最低水準の2000年春闘を切り裂く第1波ストに決起した。
●24日 全国の中小の私鉄・バスの労働組合が相次いでストに突入した。
◇長時間労働による過労でうつ病になり自殺した青年の両親が、使用者の大手広告代理店「電通」への損害賠償訴訟で、最高裁は電通の責任を全面的に認定した。
◇労働省は、個別紛争処理システムの整備をめざし、次期通常国会に必要な法案を提出する。
◇法務省は、「第2次出入国管理基本計画」をまとめ告示した。
●25日 新潟鉄工所は、最大15%の賃下げが柱の再建策を発表。
◇住友金属工業が、新日本製鉄と包括的提携に踏み切る方針。
◇製紙2位の日本製紙と4位の大昭和製紙は、共同で持ち株会社を設立して経営を統合する。
●26日 宮城、茨城、埼玉、東京、神奈川、静岡、愛知、福岡の8都県が一般職員の基本給の引き下げを打ち出していることが、朝日新聞の調査でわかった。
●28日 動労千葉はJR貨物会社のベアゼロ回答に対して、春闘第2波ストに決起した。
◇賃上げと長時間乗務問題で、日本航空乗員組合はストに入った。
 表 2000年春闘での金属労協以降の妥結額(カッコ内は昨年実績)
 NTT労組 ベアゼロ定昇のみ6700〜8000円(7800円、1人平均方式定昇込み)
私鉄総連
 東武、京急、京王、京成、小田急、相鉄 4950円(5600円、30歳・勤続12年標準労働者定昇込み)
 東急 ベアゼロ定昇のみ3500円(5600円、同上)
 近鉄 4750円(5600円、同上)
 京阪 3530円(5600円、同上)
電力総連 ベアゼロ定昇のみ4100〜4400円(5200〜5400円、同上)

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週刊『前進』(1952号4面1)

 米バブル経済支えるネット株の虚実

 赤字経営でも冬季で株高にIT産業が過剰資本を増進

 島崎光晴

 米株価は年初から激しく動揺し始めた。この中で、ハイテク株、特にインターネット株の投機性が浮き彫りになりつつある。ネット企業の多くは赤字覚悟の経営でありながら、なお株高を維持している。そこには、企業利益など二の次という経営原理の大きな変化がある。その仕組みを見るなら、株バブルの崩壊が必至であることも明白となる。むしろ情報通信産業の急成長は、製造業に加えサービス部門での過剰資本を増進させている。二九年恐慌を上回る世界大恐慌の本格的爆発がいよいよ切迫している。

 第1章 利上げで年初から株価動揺ハイテク株だけがなお高騰

 年明け冒頭からナスダック(店頭株市場)は、一日としては最大の下げ幅と最大の上げ幅を示して激しく乱高下した。三十銘柄で構成するダウ平均も、一月には最高値を更新したかと思うと二月二十五日、三月七日には終値で一万ドルを割った。終値での一万ドル割れは昨年四月以来のことだ。
 ダウ相場が前日比で三%以上も上下する日は、昨年は一度もなかった。それが今年はすでに四回も起きている。ナスダックはもっと激しく、今年に入って三%以上の値動きを十三回も記録している。
 この間の株価の動揺は、インフレ圧力が強まり、それに対して金利が引き上げられてきたことによる。FRB(連邦準備制度理事会)は、昨年六月から金融を引き締め始めたが、インフレ圧力は一層強まっている。三月のFRB報告でも、労働需給のひっ迫が続いている。原油価格の値上がりの影響も大きい。
 このため三月には、昨年六月以来五回目の引き締めが実施された。短期市場金利の指標であるフェデラルファンド金利の誘導目標は年六%に、公定歩合は年五・五%に引き上げられた。前者は九五年以来、後者は九一年以来の高い水準である。金利上昇は企業の収益悪化を予想させる。だから当然、株価が揺れ始めた。
 とはいえ、株価が一方的に下がり続けているわけではない。たしかにダウ平均は、昨年三月の一万j台乗せから伸び悩み続け、ついに動揺し始めた。しかしナスダック指数は昨年になんと八五・六%も上昇した。主要な株価指数としては米国史上最大の上昇率だ。しかも、この三月には最高値を更新した。ナスダックの上昇がダウ株価を下支えしてもいる。
 なぜナスダックが上昇しているのか。ナスダック指数の対象である約五千社の四割以上は、昨年一年間で年初より株価を下げている。高騰しているのはハイテク株、特にインターネット企業の株だ。昨年の企業の時価総額上位十五社を見ると、IT(情報技術)関連が八社に上り、前年の三社を大きく上回った。
 一月には株式投資信託への資金流入額が四百億ドル弱に膨らみ、月間としては過去最高となった。これもほとんどがハイテク・ネット関連への投資である。ハイテク株へ投資する株式投資信託は、二月までの一年間で平均一六五%もの利回りを得ている。それほどのもうけになるものだから、上がるから買う、買うから上がるという循環になっている。

 第2章 ストックオプション漬けに企業利益より株高のみ追求

 ところが、このネット株がとんでもない投機的なものなのだ。
 第一に、ネット関連企業の多くがもともと赤字覚悟の経営である。
 たしかにインターネットの基盤となる通信機器、通信用半導体、光ファイバーなどでは黒字の企業が多い。しかし、ネットで受注・販売する消費者向け電子商取引やネットでの企業間電子商取引では、赤字の企業が多い。
 たとえば、ネットで書籍の注文を受けるアマゾン・ドット・コムの昨年十−十二月期の売上高は前期比一六七%も増えたが、赤字額は五〇〇%も拡大した。直接の原因は、注文に素早く対応するために大量の書籍在庫を抱えざるをえなくなっていること。ネットで証券取引をするオンライン証券会社「Eトレード」も、宣伝費が膨大に膨らんで昨年は赤字に転落した。
 “会社設立から間もないので今はまだ赤字”というのではない。実はネット企業の経営そのものが赤字覚悟になっているのだ。「今のインターネットは、いわば『資本主義の慈善』で成り立っている。ネット上で取引される物のほとんどはただ同然で配られるか、赤字覚悟で売られている」(ニューズウィーク一月二十六日号)。にもかかわらず、一層の株高を当て込んで株が買われている。
 第二に、なぜ赤字覚悟の経営なのかというと、ネット企業の最大関心事が企業利益ではなく、ストックオプションという“報酬”にあるからだ。
 ストックオプションとは、将来、あらかじめ決めた安い価格で自社株を買うことができる権利のこと。権利が行使できる時に株価が何十倍何百倍に上がっていると、ばく大な値上がり益を稼げる。経営者はもちろん一般従業員もストックオプションという形で“報酬”や賃金を受け取る。
 ハイテク企業ではオプション制度が広く採用されている。シリコンバレーでは、すでに九七年に「オプション本位制」と呼ばれたほどだ。円換算で年収一億円以上の億万長者は全米で五百万人を超えているが、そのほとんどがストックオプションの恩恵にあずかっていると見られる。
 だから企業の売上高や利益がどうでも、株高であるかぎりぼろもうけできる。もともと資本家は企業の利潤を増やし、そこから利益を得ようとするものである。ところが、株高という条件下でのストックオプションの普及によって、企業利潤に無関係にばく大な収入を得る経営方法がまかりとおるようになったのだ。
 そうすると、何が最大の経営方針になるか。ひたすら株価を上昇させ続けることだけだ。赤字であろうがなんであろうが、株価が上がっているかぎり次々と億万長者になれるのだ。こうして企業利益よりも株高の追求こそが、ネット関連企業の唯一の経営原理になるに至っているのだ。
 一月に世界最大のネットサービス会社AOL(アメリカ・オンライン)が大手メディアのタイム・ワーナーを買収した。直接の狙いは、タイム・ワーナーの持つケーブルテレビ網を利用することにある。しかし隠れた真の狙いは、AOLの株価のつり上げだ。
 「AOLは株価を上げるためなら何でもしてきた。そこまで株価にこだわるのは、経営陣が頭のてっぺんからつま先までストックオプション漬けになっているからだ。ストックオプションこそがAOLの企業文化の原動力であり、高株価こそが買収の源泉なのだ」(同上)
 第三に、赤字であるにもかかわらず、なぜネット企業が存続できているのか。株高によって資金調達ができる構造があるからだ。
 本来なら赤字覚悟の企業に資金が集まるはずがない。ところが、“値上がり期待”だけで新規の株式公開には買いが殺到し、その後も株が買われ続ける。従来はネット株を投機的であるとして忌避してきた年金基金のような機関投資家も、最近はネット株を長く保有しており、それが株高に拍車をかけている。ネット企業にしてみれば、赤字経営であれなんであれ資金がやすやすと手に入るものだから、さらに安易に事業を拡大できる。
 実際、昨年のベンチャーキャピタル投資額は前年の二・五倍の四百八十三億ドルにも上る。うちネット関連企業の割合は、前年の約三分の一から約三分の二に拡大した。さまざまなネット事業を始める企業が続出し、今ではネット販売・サービスの事業者は二百万社を超えたとも言われる。
 以上のような赤字覚悟の経営、ストックオプション第一の経営原理、そして資金調達の構造というすべてが、株高によって成り立っている。これほどの投機はない。たしかに株価が上がり続けているかぎりでは簡単に資金が調達でき、その資金によって赤字覚悟でやり放題に事業が拡張できるし、ストックオプションで大金も手に入る。しかし株価が暴落するなら、資金調達の構造は崩壊し、赤字企業が存続できるはずもなく、ストックオプションの権利書もただの紙くずになってしまう。

 第3章 ニューエコノミー論は幻想投機崩壊時には破壊的力に

 このようにネット株というのは実に投機的なものだが、IT産業についてもっと概括的に考えてみよう。
 第一に、インターネットを始めとするIT産業は、米帝にとって何よりも日欧に対する争闘戦の手段・武器としてある。IT産業は金融分野とも一体であり、軍事分野とも一体である。クリントン政権は、米帝が優位に立っている情報通信−金融−軍事を混然一体にさせながら、日欧への争闘戦を展開してきた。
 第二に、では、米帝などが言うように、“ITで生産性が上昇し、ニューエコノミーになった”と言えるのか。そうではない。
 たしかにITが経済成長に寄与しているのは事実である。二月発表の大統領経済報告では、九五年から四年間のGDPの伸びの二一−三一%がIT関連との試算を出している。また、ITが生産性の伸びを一定もたらしてもいる。三月の日銀レポートは、九〇年代後半の労働生産性の伸びについて、全産業では生産性上昇要因の約八割、製造業ではほぼすべてをITが占めたと推計している。
 ただし、生産性の伸びのほとんどがITによるものであるとは言えても、ITによって従来よりも生産性の伸びが著しくなったとは言えない。米国内では、「政府統計で見ても、ITの恩恵を最も受けてきたはずの非製造業における生産性が、九〇年代後半に至って低下を続けている。IT革命などは結局のところ、ちんぴらにすぎない」という有力な説もある。
 インターネットに限っても、その規模も技術革新性も限られている。
 @消費者向け電子商取引の規模は、九九年にはクリスマス商戦でネット販売が急増したにもかかわらず、年間で消費支出の〇・五%にも及ばなかった。質的に見ても、ネットで売買を契約したとしても、本や車といったモノ自体を流通させる過程は以前となんの変わりもない。一月の米国内ネット販売では、航空券・ホテル・レンタカーの予約のような旅行関係が全体の二割強も占めてトップだ。ひとまず、そうした無形財サービスの配送で変化を生み出しているにとどまる。
 A企業間電子商取引は、九七年では企業間取引額全体のわずか〇・二%にすぎない。最近、米自動車企業や鉄鋼企業が部品調達などでインターネットの利用を計画し始めた。しかし、かりにこれらが実施されたとしても、選択の幅の広がりや効率化がもたらされるかもしれないが、経営や流通のあり方を抜本的に変えるものではない。
 B結局のところ、インターネットは〈情報〉の〈通信〉こそが本質であり、生産体系などを変える性格を持っていない。せいぜい流通や経営の分野で、それも情報面にしか影響を及ぼさない。インターネットなどIT産業の成長は、「産業全体の様相を一新する革新的手段となり、革命的生産力構造をつくりだすというものではなく、いわばサービス分野での技術革新にとどまっている傾向を否めない」(清水丈夫選集第九巻序文)のだ。
 逆に、IT産業の成長とは製造業の停滞の結果であり、「サービス経済化」の深まりであるという面を持つ。先の日銀レポートにあったように、製造業での生産性上昇のほぼすべてがITということは、それ以外の要因、工場設備の更新やコンピューター以外の機械の導入による生産性上昇はなくなっているわけだ。
 米経済は八〇年代〜九〇年代に、製造業で日帝に対する敗勢を強め、それにも助長されて製造業での過剰資本の深刻化にあえいできた。そこで米帝は、「経済安保戦略」をもって日欧への争闘戦を強めつつ、IT産業で経済の刺激と活性化を図ろうとしてきた。その帰結が、情報通信というサービス分野での一層の肥大化だった。結局、製造業の歴史的停滞のもとでの「サービス経済化」を深めることでしか延命できなかったのだ。こうした歴史的経緯を見るなら、IT−インターネットは、帝国主義としての腐朽性という性格を持っている。
 第四に、ITとインターネットは投機の手段となり、現在の歴史上最大の米経済バブルを生み出すに至った。インターネットの商業利用が始まったのは九三年だったが、その時にはバブル的要素を持ってはいなかった。しかし、米帝が九四年に朝鮮侵略戦争の策動などで対日争闘戦を強める中で、九五年にはドル高に転換するという大きな変化が起きた。それ以降、株バブルが本格的に発生し、株バブルが膨らむにつれてITがバブル膨張の最大推進者となってきた。
 実際、ヘッジファンドに見られるようにITは金融取引のあり様を一変させ、投機の手段となった。とともに、先に見たように投機の対象ともなった(『共産主義者』一二三号・秋月丈志「崩壊前夜の米経済バブル」参照)。ここにIT−インターネットの腐朽的性格が最も先鋭に現れている。そして、バブル崩壊時には、このITこそがコントロール不可能な破壊的な作用をもたらすのだ。
 第五に、IT産業−インターネット関連産業の成長は、米帝の過剰資本を増進して、大恐慌の促進要因とならざるをえない。
 株バブルは消費バブルを生み出してきた。高騰した株を担保に借金をして消費を増やす風潮が当たり前になった。だから、昨年の新車販売台数は過去最高の千六百九十五万台となり、小売売上高は八四年以来の高水準になった。五年間にもおよぶ株バブルをへて、今や製造業も米経済全体もバブル的な生産と投資にどっぷりとつかっているのだ。
 バブルが崩壊する時、こうした過大な消費は吹き飛ぶ。それどころか株価暴落で家計部門は大打撃を受け、消費は激減する。そうなると、製造業を始め一挙に過剰資本状態に突っ込まざるをえない。
 さらに、IT産業それ自体も肥大化している。バブルの崩壊は、サービス部門での過剰資本を劇的に暴き出さずにはおかない。IT産業の場合も、一方で市場が限りなく拡大し続けるわけではなく、他方でサービス・ソフトの技術革新が果てしなく続くわけでもない。これは、製造業において、一方で市場が有限であり、他方で生産力水準の無限の向上が実際にはありえず、新規産業が次々と生まれるわけではなく、したがって生産能力が過剰にならざるをえない、というのと同じである。
 製造業に加え、サービス業での過剰資本が総露呈するのは必至である。それは二九年恐慌を上回るような深刻なものとなる。

 第4章 今秋大統領選までに暴落も世界大恐慌の本格化は必至

 米経済のバブル崩壊は避けられない。すでに今年に入って、投機の末期を示す兆候が現れている。
 @今年になって株の投資対象が、ネットからバイオテクノロジーなどへ、ネットでも中小企業の株に移っている。株価急落の不安がつのるなかで、投資先を移し換える傾向が強まっている。
 A投資家が証券会社から資金を借り入れて株式を購入する取引、信用取引が急増している。一月末の信用取引の貸出残高は二千四百億ドル強で、前年比六〇%以上も増加した。貸出残高の時価総額に対する比率は一・五七%で、八七年のブラックマンデー前の水準と同じになった。
 B投資家という点でも、すでに機関投資家はネット関連株から離れる動きも見せており、個人投資家が依然として強気の投資を続けている。特にデイトレーダーの取引割合が増え、相場を動かすまでになった。
 Cさらに株の保有期間が歴史的に短くなっている。投資家が銘柄を変える頻度は、九〇年ころは二年に一回だったが、昨年は八カ月に一回になり、大恐慌直前の一九二〇年代に匹敵する目まぐるしさになった。アマゾンの株式の場合は、平均の保有期間が七日間と実に短くなっている。
 このように株式市場での投資対象、投資資金、投資家、株の保有期間のいずれも投機の末期状態にある。
 他方、昨年の経常赤字は三千億jを超えて過去最高となった。米バブル経済のもう一つの支えであった米への資金流入構造は一段と弱体化していく。米帝クリントン政権は、今秋大統領選までの株価暴落を避けるためにどんな手段でも使うだろう。しかしどうあがいても、バブルそれ自体の矛盾の飽和化はくい止められない。
 ドル暴落と一体となって米株バブルが崩壊する時、二九年を上回る世界大恐慌が本格的に始まる。世界経済のブロック化と相乗しつつ、世界戦争の時代はますます現実となる。革命的時代精神を持って、二○○○年決戦に勇躍して決起しよう。

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週刊『前進』(1952号4面2)

 介護保険実施に反対

 大阪・高槻で市民ら集会

 全国的な運動訴え

 二月二十七日、大阪の高槻市で「こんなんで、ええのか! 介護保険二・二七パネルディスカッション」が開かれました。介護保険制度に危機感を燃やす市民の有志でつくった「介護保険の実施延期を求める高槻市民会議」が呼びかけ、主催しました。三百五十人以上の市民らが参加し、熱心に聞き入り、最後まで席を立つ人が一人もいなかったほどです。
 九州大学助教授の伊藤周平さん、福寿会在宅総合ケアセンター所長の土肥徳秀さん、高槻市議会議員の小西弘泰さんがパネラーで、介護保険があまりにもひどい制度であることがわかりやすく語られ、介護保険制度中止の不可欠性への確信を強めました。
 最初に、主催者を代表して糸谷博光さんがあいさつし、介護保険の実施延期を求める取り組みについて報告しました。
 パネルディスカッションでは、老健ふれあい所長の白川善純さんの司会で、まずパネラーの伊藤さんが、介護保険の問題点を全面的に明らかにしました。
 「介護保険は新しい介護の制度ではない。これまで措置制度や高齢者福祉でサービス提供が行われてきた。今まで全部税金でやってきたその半分を保険料にして新たな国民の負担に押しつけようというもの」だと、介護保険の狙いを鋭く突き出しました。
 また、介護保険の保険料が、低所得の人ほど負担が重くなるとんでもない悪税であること、しかも「三つのハードル」があって、低所得の人は結局介護を受けられない制度であること、「介護の社会化」は後退させられ、保険あって介護なしであるということなどが提起されました。
 特に、高齢者を精神的に虐待するものであり、「自殺や心中が増える」という提起に、絶対にこの制度を廃止させなければとあらためて危機感を強めました。
 土肥さんの提起は、樹形図というやり方を使ったコンピューターソフトによる一次判定が、いろいろなところで状態が重くなるほど要介護度が低くでるという逆転を起こすことをパソコンを使って詳しく、わかりやすく説明しました。しかも土肥さんがこのことを厚生省に指摘したにもかかわらず、厚生省は「ソフトを見直す必要はない」と居直っていることが明らかにされました。この厚生省のかたくなな態度を聞いて、私は厚生省が意図的に逆転をつくっているのではないかという疑念を抱きました。
 小西さんは、「今、医療・福祉が危なくなっており、政治を変えなければ医療・福祉を守れないと思って議員となった」との思いを明らかにした。そして、八十三歳の男性が週二回の訪問介護と週一回の訪問看護を受けてきたが、介護保険の認定審査で自立と認定されて、ショックで入院してしまった事例を紹介し、介護保険が高齢者を追いつめるものであることを具体的に明らかにしました。
 国家が根本的な考え方を、福祉切り捨てに転換したことを、介護保険法や社会福祉諸法の核心部分を引きながら説明しました。最後に「自分たちの命が奪われ、生活が奪われようとしている」「自治体労働者、介護・福祉の労働者、市民が一体となって、怒りを込めて闘いに立ち上がろう」と呼びかけました。
 提起を受けて会場からの発言を受けました。その中で私が衝撃を受けたのは、福祉の現場で働く労働者が「介護保険では命や生活を守っていくことができないと痛切に感じている」「困っている人にランクをつけるなんて情けない仕事。認定制度をなくしてほしい」「認定調査は本当にいや。しんどい。介護保険はめちゃくちゃ間違った制度だ」と悲痛な思いを語ったことです。福祉の現場で頑張ってきた人たちの思いを踏みにじる介護保険にあらためて怒りを感じます。
 地域で医療・福祉をつくろうと力を合わせる住民から発言がありました。
 地域の「障害者」団体の代表が「今の高齢者は、戦後の混乱の中から夜も寝ないで働いてきた。国が面倒を見るのは当たり前だ」「六十五歳になったら『障害者』も介護保険に切り替えられる。『障害者』が福祉からはじかれていく」と介護保険への怒りを表明しました。東大阪市や八尾市で介護を要求し、介護保険制度中止のために闘う住民からも発言がありました。
 それらの発言を受けて、パネラーのまとめで伊藤さんが「介護保険を改革していこうという、こういう大きな運動があることを初めて知った。ぜひ広げてほしい」と期待を表明し、「介護保険制度廃止へ全国的なネットワークを」と呼びかけました。そのために私も何かしなければという思いを強くしました。
 (投稿 K・G)

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週刊『前進』(1952号4面3)

 読者からの手紙

 非公然活動の意識化が重要

 労働者 西三郎  

 職場の友人に『日本の公安警察』(青木理著・講談社現代新書)を借りて読みました。
 著者は歴史の流れに鋭い危機感を持つ現役のジャーナリストです。ぜひ一読されたらよいと思います。
 書評ではないので、本の構成やあらましを述べるのは省略し、国家の治安部隊という非公然部隊とどのように対決するのか? と問題を実践的に立ててみましょう。
 現在の資本主義社会を転覆し、労働者が権力を握る以外、現在の汚辱を粉砕できないと決意した者の団結体が革命党です。それゆえ、革命党は本質的に非公然組織でなければなりません。このことを革命党員がどれだけ意識化しているかが重要です。
 公然活動・大衆闘争の組織化=革命党の公然化と考えるのは、本質的に間違っています。“運動は公然と、組織活動は非公然に”が原則だということを一時も忘れてはなりません。
 だからこそ、非公然組織活動の実態は、党中央の責任部隊が一元的に把握しておけばよいことでしょう。それゆえ、党における中央集権的民主制が確立される必要があります。
 例えば、身近なことで、大衆行動の場における自分の行動と党活動の自分の活動をどれだけ峻別(しゅんべつ)して意識的に行っているでしょうか?
 私たちは、自分の育ってきた現実の社会生活から出発していますから、これらは非常に苦しいことです。
 しかし、国家の非公然部隊の対象は「国家転覆」を目指す非公然部隊=革命党の根絶に目的があることを考えれば考えるほど、革命党は本質的に非公然組織であるということを意識することが重要だと思います。
 国家の治安部隊は、本書でも指摘されているように、種々の組織、手練手管を使い、革命党を根絶するために日夜、目を光らせています。
 敵(国家の治安部隊と反革命カクマル)の出方を見てからというだけでは負けてしまいます。自分(党)を守る積極的=攻撃的なものでなければなりません。自分(党)は、「革命を達成する」までは、ある意味では強大な敵を向こうに回して防衛に次ぐ防衛を続けるしかないでしょう。その防衛が敵に対する最大の攻撃なのです。
 社会の矛盾が深まり、人民が決起せずにはいられない状況は必ず到来すると思います。その時、機を失せず、党の指導のもとに国家の非公然部隊を蹴散らして党が決起できるかどうかが問われるでしょう。
 攻撃が最大の防御であるという故事にならえば、革命党にとっては、防御が最大の攻撃であるという逆説になるのではないだろうかと思った次第です。

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週刊『前進』(1952号5面1)

 マルクス主義を学ぶ

 「基本文献シリーズ」に取り組んで

 マルクス『ゴータ綱領批判』(その2)

 一九四八号に続き、党学校でマルクス主義の基本文献学習シリーズを学ぶ同志たちのレポートを紹介します。テーマは、マルクスが『ゴータ綱領批判』で展開した共産主義社会論に関するものです。(編集局)
 
 (4) 労働はすべての富と文化の源泉である」はどこが間違っているのか
 課題4 ゴータ綱領草案冒頭の「労働はすべての富と文化の源泉である」で始まる第一パラグラフはどこに問題があるのでしょうか。マルクスの批判内容を述べて下さい。
 ■最初の部分、「労働はすべての富とすべての文化の源泉である」について。マルクスはこの草案の提起に対して、無条件にはそうは言えない、必要な前提を欠いているならば間違いだと言っている。
 人間の労働は、それ自身ひとつの自然力でもある人間労働力と自然素材が結合することによって成り立つ。人間の労働力はそれ自体として発現するというものではない。自然素材(天然または加工されたもの)としてある労働手段や労働対象と結合することによって、労働力は労働として発現できるのである。
 だから、富は人間の労働と自然素材、つまり人間と自然の両方から成り立っているのである。すなわち生産物(=富)は労働の結果として変形された自然素材である。したがって、労働だけがすべての富の源泉なのではない。
 マルクスは「人間が、あらゆる労働手段と労働対象との第一の源泉である自然にたいして、はじめから所有者としてふるまい、この自然を自分に属するものとしてとりあつかう場合にのみ、人間の労働は使用価値の源泉となり、したがって富の源泉ともなる」と言っている。
 資本主義社会においては、ブルジョアジーが生産手段=労働手段と労働対象のすべてを、したがってある意味で全自然を独占的に支配している。他方で、労働者は労働力しか持っていない。労働者が自然と結合して労働するためには自然を独占している支配階級に労働力を売らなければならない。ブルジョアジーは、全自然を支配しているとしても、それを意味あるものにする労働力を持たない(自分では労働しない)ため、それだけでは何も生み出せない。したがって、彼らにとって労働または労働力(商品として買ってきたもの)は神秘的な創造力、あらゆる富と文化の源泉として現れる。このブルジョアジーの発想とこの草案の思想は同根なのだ。
 次に「そして有益な労働は、ただ社会において、また社会をつうじてのみ可能である」について。これは「ただ社会においてのみ、無益で公共に害をもたらすような労働さえも、成り立つ」と言い換えられるほど無内容である。マルクスは「社会」「労働」をこんな一般的な形でとらえるのであれば「ルソーの全部を書き写した方がずっといい」と批判している。
 さらに「労働の全収益は、平等な権利にしたがって、社会の全構成員に属する」についていえば、このように抽象的に「社会」を規定すれば、ブルジョアジーもまた「社会の構成員」であることになるから、「平等な権利にしたがって」「全収益」からの分け前を受け取れるということになる。つまり資本家たちの労働者への搾取を認めることになってしまう。
 確かに個々ばらばらの労働は富も文化も作り出さない。労働は社会的労働として「富と文化」の源泉となってきた。しかしこの「富と文化」は、社会が「階級社会」であるかぎり、他人の労働を搾取する支配階級の富と文化でしかない。これを暴かないところで「平等」などと言っても、それは労働の奴隷化を永遠化するものであり、社会主義とはおよそ無縁である。
 マルクスは、草案の任務は「ついに現在の資本主義社会の中で、このような歴史的災厄を打ち破る能力を労働者に与え、また打ち破らざるをえないようにする物質的その他の諸条件がどのように生み出されてきたかを示す」ことであると言い切っている。(大池孝)
 ■まず第一の文章について、マルクスは、これは必要な前提が欠けるならば間違いだと言っています。
 人間の労働は、ひとつの自然力としての人間の労働力プラス自然素材のかみ合わせとして成立します。人間の労働は自然を相手にした対象的活動です。だから、労働力はその力を自然にかみ合わせることによってのみ発現されます。富は人間の労働力と自然素材によって成り立っています。富とは人間によって加工された自然なのです。したがって労働そのものが富と文化の源泉ではないのです。労働を自然から切り離してとらえるのはナンセンスなのです。
 今日、土地などを含めた自然はブルジョアジーの独占的所有物になっています。したがって労働者階級は自分の肉体以外には何も持っていない、労働能力だけしか持っていないわけです。しかも働きたいと思っても、労働者は資本家たちの許可なしには働けない状態になっているのです。だが他方で、ブルジョアジーが持っていないものは労働力であって、労働者の労働がないと何ものも生み出せません。だから彼らは労働を富と文化の唯一の源泉ととらえるのです。この思想とラサールの考えは同じ根を持っているとマルクスは批判しているのです。
 次に第二の文章について、マルクスはまず、「社会においてのみ有害な労働も可能」と正反対に言い換えてもおかしくないくらいに無内容だと言っています。草案が「社会」「労働」という言葉をまったくあいまいにとらえていることを指摘しているのです。
 草案は「社会」が階級社会でしかないことを表現していないために、「自分で労働していないものは他人の労働によって生活している」ことをまったく表現できていません。これなしにただただ「労働は社会においてのみ可能だから、労働の全収益は、平等な権利にしたがって、社会の全構成員に属する」と言っているために、ブルジョアジーにも「全収益」から取る権利があることになってしまうわけです。これは、ブルジョアジーが「社会」全体の名で労働者から剰余価値を「利潤」と称して取り上げる権利を主張する時の論理と同じです。これでは社会主義を目指す政党の綱領としては問題にならないのです。(松山二郎)
 (5) 共産主義社会の「控除」の問題はどういう意味を持っているのか
 課題5 共産主義社会の「控除」の問題について内容の骨子をまとめ、それがどういう意味を持っているのかを述べて下さい。
 ■綱領草案における「労働収益」の「公正な分配」論には資本主義社会を批判する内容がまったくない。マルクスは、草案の「公正な分配」論がブルジョア的な観念そのものであることを明らかにしている。そして、さらに踏み込んで共産主義社会における「分配」の問題を検討している。
 マルクスは、草案の考え方では個人的消費手段についての分配が意識されているだけだが、共産主義社会ではその分配の前にいくつかの「控除」という問題があることを指摘している。
 すなわち、まず第一に社会的総生産物(「労働収益」を社会的総生産物と考える)から経済上の必要(とりわけ生産、再生産の領域における)として、
 一、生産手段の消耗部分を更新するための補填(ほてん)分
 二、生産の拡張のための追加分
 三、事故や自然災害に備える予備元本、保険元本
――が控除されるとしている。これらはみな、「手持ちの諸手段と諸力」に応じて、またどのような内容と規模で再生産を行うかという社会(労働者=生産者が主人公になった社会)的意思決定に基づいて、生産にかかわる経済上の必要によって一定の質と量の生産物として準備される。もはやそれは資本が決定するとか、抽象的な「公正さ」の概念に基づいて決定されるようなものではない。
 ここからさらに次のものが控除されるとして、
 四、直接には生産に属さない一般管理費
 五、学校や医療設備などさまざまな必要を共同で満たすために充てられる部分
 六、労働能力を持たない者などのための元本
――を挙げる。四は、今日の社会の戦争費用、人民支配のための国家行政費、資本家の搾取部分や資本主義的競争による多大な無駄や浪費の一掃によって、将来の社会では大幅に圧縮される。五は、逆に大幅に増やされ、新社会の発展につれてますます大きくなる。六は今日、福祉と呼ばれるような部分で、やはり社会の発展につれて大きくなる。
 以上の六つが社会的総生産物から控除され、残った部分が個人的消費手段として、「労働に応じて」分配されることになる。しかし、差し引かれた部分も、結局は社会の構成員である労働者=生産者にすべて直接間接に役立つものとして戻ってくる。
 以上のように「控除」の部分を明らかにすることによって「労働の全収益」がそのまま「分配」されるわけではないことがはっきりさせられる。そして「労働の全収益」の「公正な分配」という考え方自体が、個人がどれだけ受け取るかということしか問題にしておらず、資本主義社会において賃金(労働者の「分け前」として現れる)のみを問題にする点から一歩も進んでいないことが突き出されている。
 生産手段が社会的共有に転化した後の社会(共産主義社会)においては労働者=生産者は、資本のもとで自分の個人的消費(賃金)だけを問題にしていたような関係にあるのではなく、社会を運営する主体として、社会的総生産の全体、再生産の全体にかかわり、責任をとることが必要になり、またそれが可能となる。そうした社会関係の転換(賃労働の廃止)という条件の中で、社会の主人公として「控除」の問題を考えることが不可欠な問題となってくる。(佐伯啓子)
 (6) 共産主義社会の「分配」と今日の社会における「分配」との違いは何か
 課題6 共産主義社会における労働に応じた個人的消費手段の分配は、今日の社会の個人的分配とどこが違うのでしょうか。またマルクスが「制約」としているのはどういうことでしょうか。
 ■今日の社会での個人的「分配」は、労働力以外に売るべき商品を持たない労働者にとっては、資本家のもとで一定時間労働することで賃金を受け取る形になっている。労働者は受け取った賃金で資本家から生活手段を買う。労働者が必要労働時間を超えて生産した剰余価値が資本家には利潤、土地所有者には地代、資本所有者には利子という形で「分配」される。つまり、生産は全部労働者が行うのに、労働者にはぎりぎりの生活費しか与えられず、後の分は資本家たちが「山分け」している。これが今日の社会の「分配」である。
 これに対して、生まれ出たばかりの共産主義社会では、個人が社会に与えた労働量が各人への消費手段の分配の基準となる。これこれの労働を給付したという証明書を持って、共同元本の控除を行った上で、行った労働量に応じて消費手段を引き出す。この場合、総労働が社会的に掌握されているので、各生産物の生産にどれだけの労働を配分=配置すればよいかは完全に明らかである。それを基礎に各人が社会に与えた個人的労働量と各人の受け取る消費手段の量の対応関係が形成される。
 これは「商品等価物の交換の場合と同じ原則」であるが、商品交換ではない。個人が社会との間で行う「交換」である。生産手段と生産物は社会的共同所有だから、交換ではなく、社会的総生産物のうちの「自分の分け前を引き出す」という方がむしろ正確だ。したがって内容も形式も価値法則とは全然違う。そして、このような労働に応じた分配を問題にすること自体、労働力の商品化に媒介されていないこと、生産手段の私的所有者がいないこと、すなわち労働者が社会的生産の主人公になっていることによって可能となっているのである。
 しかし、消費手段の分配に関して、受け取る「権利」の基準が問題になっているという「制約」はある。生産者が消費手段を受け取る権利は「彼が給付した労働に比例しており」、したがって受け取る消費手段の量も違う。しかし権利としては、労働の「長さまたは強度」という「等しい尺度で測られる」という点で平等なのであって、その限りでその権利はブルジョア的「平等」の権利の名残をとどめている。だから階級的区別はもはやないが、内容あるいは結果から言えば、不平等を解決してはいない。例えば、肉体的または精神的な力は人によって違う。ある労働者は結婚しているとか、子どもが多いなどの事情もある。
 だが、このような「不平等な権利」は階級の区分から生じるものではない。またそれ自体資本主義的関係の一表現である労働力の質的区別による分配の違いはなくなる。その意味で労働量を基準として分配が行われることは階級関係の廃止の現実的な第一歩なのだ。
 このような平等な尺度のもとでの「不平等」という不都合を避けるためには、権利が問題となる関係そのものを止揚しなければならない。しかし、「権利は、社会の経済的構造とそれによって規定される社会の文化的発展の水準よりも、けっして高くはなれない」。したがって「このような不都合は、……生まれ出たばかりの共産主義社会の第一段階では避けられない」のである。(永野健一)
 (7) 共産主義社会の高度な段階の指標、「必然性の国」と「自由の国」の関連
 課題7 「共産主義社会のより高度な段階」の指標についてと『資本論』第三巻の「必然性の国」と「自由の国」の関連について、述べて下さい。
 ■資本主義から生まれ出たばかりの共産主義は、まだ権利の基準が問題になっているかぎりで、いまだブルジョア的な名残を残している。だが、生まれ出たばかりの共産主義は、協同組合的生産に踏み込むことによって、すでに「分業への従属」「精神労働と肉体労働の対立」を廃止しつつあるのであり、より高次の社会発展の段階を生み出す「力」を内包したものとしてある。
 この中から、もはや労働時間の給付量が個人的消費手段の分配の基準であるような関係が完全に踏み越えられるような段階(「能力に応じて、必要に応じて」)が生み出されてくる。そこでは解放された社会的関係の中で、真の「労働の解放」として、労働がそれ自身「第一の生命欲求」となることがひとつの決定的変化である。
 ところで、共産主義社会では当然にも「本来の物質的生産の領域における自由」が実現されている。それは、労働力の最小の消費によって、物質的生産の領域、自然との物質代謝の領域を共同的に統制すること、しかもそれを「自分たちの人間性に最もふさわしく最も適合した条件のもとで」行うということである。けれども、この物質的生産の領域それ自体は「必然性の国」でしかない。
 マルクスは、この「必然性の国」を基礎としてその上に花開くのが「自由の国」であり、それを可能にする根本条件は「労働日の短縮」であると言っている。労働日の決定的短縮(マルクスは『資本論』では「剰余労働の消滅」についても論じているが、ここでは省略)という物質的な基礎の上に、「諸個人の全面的な発展」に伴って各人の「自由な精神的・社会的活動」における発展が花開くであろうということである。「必然性の国」と「自由の国」の関係は、時間的な発展の関係ではなく、いわば土台と上部構造のような関係である。
 つまり、共産主義はけっして、物質的生産の計画的実現や生産の無政府性の止揚ということに切り縮めて理解されてはならない。共産主義とは、何よりも物資的生産の高い発展の上に人間の活動全体の限りない自由な発展をつくりだそうとするものなのである。マルクスの共産主義=人間解放の核心にはこのことがある。それを示唆しているのが「労働日の短縮」を前提とする「自由の国」論である。(森中俊郎)
 課題8 マルクスは、ラサールの賃金論のどこに問題があると批判していますか。
 ■ラサールの「鉄の賃金法則」は、「平均賃金は、常に一国民において生存の保持と繁殖に通常必要とされる生計費まで引き下げられる」というものだ。これはマルサスの人口論を論拠にしている。労働者の人口は生産力を超えて増えるので、労働者の貧困は労働者の人口の過剰のゆえであり、貧困は自然の法則だというものだ。労働者には子どもを産むのを抑止させるべきだと説教している(マルサスは僧侶)。
 これに対してマルクスは「賃金は、外見どおりの、労働の価値または価格ではなく、労働力の価値または価格の仮装した姿にすぎない」「賃金労働者は、ある時間を資本家のためにただ働きをしなければ、自分自身の生活のために働くことも許されない、つまり生きることも許されない」ということを暴き、「また、資本主義的な生産制度全体の中心問題が、労働日の延長、生産性の発展、あるいは労働力の緊張度の強化などによって、この無償労働を延長することにあるということ。したがって、賃金労働制度というものは、ひとつの奴隷制度であるということ。しかも、この奴隷制度は、労働者への支払いの増減にかかわらず、労働の社会的生産力が発展するにつれてその分だけますます厳しくなる奴隷制度であるということ」をはっきりさせている。
 ラサールにあっては、ブルジョアと同じく賃金を「労働の価格」として見て、賃金を労働の「分け前」と理解しており、社会全体の生産物の中で労働者に分け与えられる量は決まっているという。だから賃金は一定だという。
 しかしマルクスは、賃金の低さだけを問題にするのではなく、問題の核心が労働者は資本家に無償労働を提供する以外に働くことができないこと、賃金制度がこの関係を覆い隠していることを鋭く突き出している。このような資本と賃労働の関係、すなわち階級関係の上に立った生産のあり方をこそ問題の中心に据えるべきなのだ。
 その上でマルクスは、賃金は増減するものであると言っている。賃金の本質は労働力の価格であり、現実には資本の蓄積運動の中で動く。資本は剰余価値の搾取を自己目的として追求するため、労働者が闘わなければ労働力の価値は引き下げられる。また好不況によって上下する。ラサールの考え方は間違っているばかりではなく、労働者の闘いにとって有害だ。
 マルクスは、草案は、人間としての解放を求めて奴隷制廃止に立ち上がった奴隷の隊列の中で、旧式の考えにとらわれた一人の奴隷が、奴隷制がいけないのは奴隷の食費が一定の水準を超えないからだ(もう少し食えるなら奴隷制でもよい)と主張しているようなものだと酷評している。そしてマルクスは、一八六七年に『資本論』が出てから何年もたつのに、ラサールのような立場を党の綱領として認めるとは自分への「暗殺攻撃」に等しいと批判している。(小島静夫)

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週刊『前進』(1952号5面2)

 全国80ヵ所不当捜索弾劾

 沖縄サミット粉砕決戦の突破口として闘いぬかれた三・二六三里塚全国総決起集会の直前、三月二十二、二十三日に全国十三都府県、八十カ所(法大自治会室など全国の学生運動拠点、労組交流センター、闘う労働組合、前進社各支社、個人宅)に一斉家宅捜索が強行された。沖縄闘争を圧殺し、サミット粉砕決戦を事前鎮圧しようとする日帝権力の凶暴な弾圧だ。徹底弾劾し、怒りを倍増させて名護新基地建設阻止・沖縄サミット粉砕へ総力決起することを宣言する。
 特に沖縄では、三・二五小渕訪沖を前にした二十二日、警視庁公安一課が沖縄県警と合同で八カ所の捜索を強行し、名護市で普天間基地の名護移設阻止・岸本市長リコール運動を先頭で闘いぬく全学連現地行動隊のA君を不当逮捕した。
 富山でも二十二日、警視庁と一体となった富山県警が税理士法違反容疑をデッチあげ、富山地裁での「もんじゅ」訴訟判決に駆けつけようとしていたBさんを不当逮捕した。
 九七年七・一四運輸省幹部宅爆破戦闘などを口実として強行された今回の大弾圧こそ、七・二一沖縄サミット厳戒体制の発動そのもの、予防拘禁そのものだ。
 法政大学経営学部自治会委員長であるA君に対する「電磁的公正証書原本不実記録、同供用」デッチあげは、法大学生運動に対する政治弾圧そのものだ。国家権力は、全学連が小渕訪沖阻止闘争を担い、さらに七月沖縄サミット粉砕決戦の主力部隊として登場することを恐れているのだ。
 そして三月二十八日に警視庁は、A君が九八年四月以来、居住している杉並区上高井戸の長谷川荘に対する家宅捜索を強行し、A君の学生証や法政大学診療所の診察券などを不当にも押収した。A君の居住を証明する品々を強奪し、なおも「取り調べ」と称する転向強要を繰り返す警視庁公安一課は断じて許せない。ただちにA君を釈放せよ。
 不当弾圧を粉砕し、四月新入生を迎え入れ、全学連運動の大躍進で沖縄サミット粉砕へ突き進もう。
 Bさんの逮捕も、デッチあげのためのデッチあげであり、地元住民の訴えを全面棄却した「もんじゅ」判決と重なる攻撃である。北陸で反核・反原発闘争を闘う住民運動の圧殺をも狙った予防反革命である。
 不正・腐敗の警察権力に怒りを燃やし、完全黙秘・非転向で闘いぬくA君、Bさんとともに権力の弾圧を完全粉砕し、闘う沖縄人民と連帯して沖縄サミット粉砕・名護新基地建設阻止決戦の爆発をかちとろう。

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週刊『前進』(1952号5面3)

 コミューン5月号

 教育特集の第二弾

 日帝・小渕政権は三月、江崎玲於奈を座長とする教育改革国民会議を発足させ、教育基本法改悪を頂点とする「教育改革」攻撃を全面化してきている。
 第一章では、昨年通常国会における新ガイドライン法と「日の丸・君が代」法の成立以後に激化した教育基本法改悪の動向から、自民党の「教育改革」方針、「教育改革国民会議」設置に関する自自公三党合意、相次ぐ小渕「教育改革」発言などを取り上げ、その反動的意図を批判している。
 第二章では、教育基本法について、「教育勅語」との関係、新憲法成立との一体性、戦後教育の基本理念として確立した「個人の尊厳」と「平和主義」との関係でその意義を明らかにし、条文解説もしている。
 第三章では、中高一貫教育校の創設、通学区域の弾力化など、義務教育段階まで進んだ学校教育の「多様化と複線化」の実態を暴いた。創造的人材、エリート育成を合言葉に、教育における選別化と差別化が激化していることを批判する。
 第四章では、「生きる力」「総合的学習」を盛り込んだ新学習指導要領が、結局のところ道徳教育・国家主義教育の強化に絞り込まれてくることを暴き、批判している。
 翻訳資料は「米二〇〇〇年国防報告」。米帝は、二つの地域で同時に大規模戦争を戦える戦力を保持し、実際に戦い、同時に「将来の世界大国」との戦争を今から準備する戦略を打ち出している。

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週刊『前進』(1952号6面1)

 帝国主義サミットに協力し沖縄闘争を破壊する日共

 2・16「報告と訴え」を断罪する

 日本共産党スターリン主義は、二月十六日、帝国主義強盗どもの戦争会議である沖縄サミットを翼賛する反革命的な二・一六声明「報告と訴え」を発表し、日本帝国主義の戦争政策、沖縄圧殺攻撃に協力することを内外に宣言した。この間の安保容認の裏切り路線の延長であり、飛躍である。サミットに協力するために、決定的局面で沖縄米軍基地建設攻撃との闘いの破壊者として立ち現れ、岸本名護市長リコールの闘いを党の路線として妨害したのである。この二・一六声明の超反動性を怒りを込めて弾劾する。

 第1節 「世界首脳に沖縄を心おきなく見せる」

 二月十六日、日本共産党委員長の不破哲三が国会内で記者会見を行い、党中央委員会と沖縄県委員会連名の「沖縄の米軍基地問題−報告と訴え」なる声明を発表した。正式表題を「沖縄の米軍基地問題を世界に訴えます||沖縄サミットを前に各国政府と世界のマスコミへの日本共産党の報告と訴え」というように、全世界の労働者階級人民、被抑圧民族人民に敵対して、沖縄サミットへの協力を帝国主義支配者に向かって誓約しているのである。
 記者会見で不破は、「沖縄でサミットを開催するということは、日本の米軍基地の集中点である沖縄を、世界の首脳部と、世界のマスコミに心おきなく見せるという(日本)政府の意思表示だ」と指摘し、「世界的にも異常な状況にある沖縄の米軍基地の現状」について「世界的な基準でみせる機会になる」と述べた。また、「サミットの機会に、沖縄県民と日本国民の平和の意志をどういう形で発信するかということが非常に大事だ」と強調した。
 「心おきなく見せる」とは何という言い草か。心おきなくとは、広辞苑によると「気兼ねせずに、遠慮せずに、心配しないで」という意味だ。日共は、クリントンを始め帝国主義首脳どもに向かって気兼ねも遠慮も心配もしないで来て下さいと訴えているのだ。日本帝国主義政府と身も心も一体化し、七・二一サミット厳戒体制に協力する立場からものを言っているのだ。
 しかも、「沖縄から平和の発信を」とは、アジア侵略のための基地建設に対する闘いを放棄した立場から言っている言葉である。小渕が「平和の発信」とぬけぬけと言っていることに追随しているのだ。要するにこれは政府と一体となってサミットを成功させるということの宣言である。
 「報告と訴え」は、日本共産党の国会議員らがサミット参加国、アジア諸国、それ以外の米軍基地のある諸国の計三十六カ国の在日米大使館を訪問し、手渡すと発表された。
 国会での記者会見と同時に沖縄でも会見が行われ、「報告と訴え」を稲嶺知事と親泊那覇市長に届けた。『赤旗』は、比嘉茂政沖縄県出納長が「県民の考えと共通している」と評価した、と得々と報じてその「成果」を自賛している。今、沖縄県当局は全力で帝国主義サミットの成功のために突進している。これと共通の立場なのだ。
 「報告と訴え」では、「沖縄における米軍基地のなりたち」「米軍基地が何をもたらしているか」「人口密集地の基地ゆえに起こる諸問題」「米軍に特権が与えられていることによる諸問題」などが上げられ、結論として「基地のない平和な島を」世界に向けて訴えるという体裁になっている。だが、この全体が「政府の意思表示」を支えるものとして行われているのであり、きわめてペテン的・反動的な内容なのである。
 二・一六「報告と訴え」は、外見上の「基地反対」の装いにもかかわらず、現実に果たす役割は、沖縄サミットに翼賛し、帝国主義の基地強化の攻撃に協力する徹頭徹尾反革命的なものである。このことを徹底的に断罪する。

 第2節 沖縄サミット翼賛宣言した不破会見

 第一に、この「報告と訴え」は沖縄サミットにもろに賛成する立場で貫かれているということである。「サミット参加各国首脳はじめ沖縄に関心を寄せている人びとにあてた」と不破が記者会見で言っているように、帝国主義サミットに手放しで協力する立場からアピールが各国首脳に向けて発信されているのだ。
 日共は、全世界の労働者階級人民に向かって帝国主義に対する国際階級闘争の発展を呼びかけるのではなく、逆に全世界の人民を抑圧し侵略している帝国主義首脳に向けてものを言っているのである。サミット翼賛運動そのものであり、日帝権力の七・二一体制にくみする運動である。
 だが果たしてサミットとは人民にとって歓迎すべきものなのか。とんでもない。昨年六月のケルンサミットが米帝・NATOのユーゴスラビア侵略戦争を全面的に追認したように、サミットは世界を支配する一握りの帝国主義支配者どもの戦争と世界分割のための会議だ。毎回のサミットが、侵略戦争を議題とし、そのための会議として開かれてきた。現に沖縄サミットをもって、朝鮮・中国侵略戦争の侵略・出撃基地として沖縄が強化されようとしているのだ。
 サミットは、人民の利益とはまったく相入れないものだ。こんなサミットに協力することによって、日共は人民の側にではなく、帝国主義支配者の側に立つことを宣言したのだ。
 第二に、日本帝国主義に対する批判がないどころか、自国帝国主義の国益擁護の立場で語っていることである。とりわけ、日帝の歴史的な沖縄政策、琉球処分以来の差別的犠牲の強制についてまったく言及していないことは許されないことである。今日の沖縄米軍基地の問題を考える時、日帝が第二次大戦で「国体護持」のための時間稼ぎとして沖縄を「本土防衛」の盾として無謀な沖縄決戦を強制したこと、この沖縄戦の問題を抜きに語ることは絶対にできない。
 さらに戦後の天皇メッセージ(天皇の戦争責任免責と天皇制維持のために天皇が沖縄の半永久的占領を米帝に申し出たメッセージ)に象徴される日帝の沖縄売り渡しの問題も、まったく日共の関心外にある。また、今日の「基地の島沖縄」という現実が、ペテン的七二年返還政策によって生まれているのだということもまったく触れられない。沖縄に対する犠牲の差別的強制が、ほかならぬ日帝によって行われているということ、これら一切のことを無視抹殺し、日帝を免罪しているのである。
 これは日共が自国政府の許しがたい差別政策に反対する立場ではなく、自国政府に協力する立場に立つことを表明する以外の何ものでもないのだ。

 第3節 日帝の戦争国家化攻撃への全面加担

 第三に、自国政府に協力することは、日米帝国主義間の争闘戦が激化していることを意識し、自国帝国主義の先兵として反米愛国主義の役割を積極的に担うものである。
 そもそも小渕は何のためにサミット開催地を沖縄に決定したのか。それは、日帝が対米対抗的なアジア勢力圏化に踏み切り、そのために、軍事と戦争の領域でも独自に力と意志をもって米帝的世界体制を打破しようという意思表示である。米帝に押しつけられて安保・沖縄政策を受動的にやっているのではなく、日帝の意志と力をもって基地を確保し、沖縄を制圧しているのだということを示そうとしている。すでに安保・自衛隊を承認している日共は、このことを知らないのではなく、知っていて、意識的に日帝の対米対抗性を代弁しているのである。
 日共は、沖縄人民の立場と主張を代弁するかのような装いをとって、実は日本の国家の立場、日本の国益の立場から発言しているのである。つまり、日帝の伝統的な沖縄差別・抑圧の歴史と現実をすべて不問に付し、ただ日帝の対米対抗性のお先棒を担ぐためにのみ、沖縄問題を利用しているだけなのだ。それは沖縄人民の利益とは相入れない立場なのだ。
 第四に、そもそも戦後一貫して沖縄基地がアジア人民に対する侵略と虐殺の基地であり続けてきたことに触れていないことである。沖縄人民は、自分たちが基地の被害にあったことに怒っているだけではない。沖縄が発進基地になり、沖縄基地の爆撃機や戦闘機がアジア人民を虐殺してきたし、さらに虐殺を続けようとしていることに反対して闘っているのである。このような観点の一片もない日共のアピールは、アジア人民とも沖縄人民とも連帯するものではない。逆に米日帝に翼賛するものである。
 驚くべきことにこのアピールは、日米新安保ガイドライン協定および関連法の成立で日本が戦争を行う国になったこと、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)の最終合意によって基地の県内移設が強要されていること、この重大な問題を素通りして沖縄基地問題を「論じ」ている。
 それは、日共の三中総路線(安保容認の大転向路線)をふまえ、それに沿った大反動である。

 第4節 名護市長リコール運動圧殺狙う日共

 第五に、この「報告と訴え」は、日共がサミットに協力する立場から、この攻撃に大衆的実力闘争をもって闘う勢力に対して襲いかかりたたきつぶすという反革命宣言なのだ。そこに核心問題がある。
 日共は何のためにこの時期に、二・一六「報告と訴え」を発したのか。それはサミットに協力する日共がその妨害物になる名護市民の岸本リコールの闘いを圧殺するためである。
 昨年十一月の稲嶺知事による県内移設受け入れ・建設候補地の名護市辺野古沿岸域への決定、それを受けた十二月名護市議会での新基地建設誘致の決議強行採決、そして岸本名護市長の受け入れ表明と続いた建設促進の動きに対して、名護市民の怒りが燃え上がった。圧倒的な多数の名護市民は、「一九九七年十二月の名護新基地建設反対の名護市民投票の結果は今も生きている」と宣言し、この名護市民の総意を踏みにじる岸本市長は名護市民に対する裏切りであるとして、岸本打倒の意志を表明したのだ。
 こうしてヘリ基地反対協が呼びかけたリコールのための受任者募集では、前回市民投票の時を上回る千人に及ぶ市民が立ち上がった。この闘いが燃え上がって、二〜三月にリコール署名に突入すれば、基地建設反対の重大な闘いの爆発となって岸本市長、稲嶺知事、そして何よりも小渕政権を直撃し、基地反対闘争つぶしのために名護にサミット開催地を設定した反動的もくろみはたたきつぶされ、まったく逆のものに転化することになったのだ。
 それは九五年の九・四事件以来の「もうこれ以上基地の犠牲になることを拒否する」という沖縄人民の闘いの原点をよみがえらせ、日本帝国主義の沖縄に対する差別的な犠牲転嫁を粉砕する闘いの新たな突破口を切り開くものとなることは確実であった。
 こういう帝国主義との激突を誰よりも恐れる日共が、きわめて意識的な裏切りを行ったのである。彼らはリコールがきわめて短期の決戦になる(県議会選挙の投票日六月下旬から二カ月前に署名運動はストップなので、一カ月の署名運動期間を確保するには三月下旬がスタートのタイムリミット)ことを利用し、あれこれと難癖を付けてサミット前のリコール運動をやめさせるように全力を挙げたのである。市長候補選びで一致できないようにして、サミット前にリコールをできないようにした張本人は日共だ。日共はリコールなどやっていたらサミットがつぶれると恐れたのだ。
 つまり、この岸本リコール運動を総力で成功させることが沖縄闘争の、そして反戦闘争の最大の課題となっている真っただ中で、二・一六「報告と訴え」が発表されたのである。
 もはや明らかである。「基地のない平和な島を」を空文句にして、岸本リコール運動を解体・圧殺し、沖縄サミットに協力する運動、「政府の意思表示」の担い手として世界の支配階級に訴える運動を起こすということである。沖縄闘争の圧殺者として日共が「平和」の仮面をかぶって登場したのである。
 日本共産党は単なる日和見主義ではない。スターリン主義者として、サミット翼賛、日帝への協力を貫徹するために、それに反対して立ち上がる戦闘的人民の闘いを破壊する勢力なのだ。本質的に武装反革命勢力であるということだ。今、沖縄では一九三〇年代のスペイン内戦のような闘いが展開されているのだ。日共のかつての三里塚闘争への敵対や東大闘争への襲撃のような反革命が今、再び繰り返されているのだ。
 日共の超反動的サミット翼賛運動を粉砕し、本土−沖縄と全世界の人民の総結集をもってサミット粉砕闘争を大爆発させよう。

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週刊『前進』(1952号6面2)

 許せぬ年金改悪の強行

 生涯で1000万以上の給付削減

 給付年齢も65歳に引き上げ

 小渕自自公政権は、三月二十八日の衆院本会議で、労働者人民の反対を押し切って年金改悪関連法を強行成立させた。人民の生活を根底から破壊するこの暴挙を徹底的に弾劾する。

 第1節 社会保障制度解体に反撃を

 介護保険の実施強行とあわせ、年金制度の全面改悪を強行し、今や日帝は戦後社会保障制度の抜本的な解体にのりだした。
 今回の年金改悪の主な内容は、@今年四月から厚生年金の新規受給者への報酬比例部分の支給を五%削減する、A報酬比例部分の支給開始年齢を現行の六十歳から段階的に六十五歳に引き上げる、B厚生年金と国民年金ともに、六十五歳以上の支給額は今年四月から賃金スライド制を凍結する、C六十五歳から六十九歳の在職中の高齢者からも厚生年金の保険料を徴収し、支給額も所得に応じてカットする、などである。
 これは労働者人民の「生活設計」をめちゃくちゃにし、生きていくことのできない現実を強制する大攻撃だ。厚生省の試算でさえ、これによって一世帯あたりの生涯の年金受給総額は実に千万円から千二百万円も減少する。労働者階級にとっては、毎春闘でかちとってきたベアの数十年分、数百年分が一挙に帳消しにされるに等しいものである。
 とりわけ許せないのは、年金支給開始年齢の引き上げだ。すでに九四年の年金改悪で、来年度から基礎年金の支給開始年齢が六十歳から六十五歳に段階的に引き上げられることが決められている。これに続き、報酬比例部分にも同様の措置がとられるのだ。
 今日、資本は六十歳以上への定年延長をかたくなに拒否している。それどころか、リストラ・首切り攻撃を激化させ、労働者への早期退職の強要を一層強めている。こうした中での年金の支給開始年齢引き上げは、定年解雇された労働者や早期退職を強いられた労働者を、賃金も年金もない無収入状態にたたき込むものになる。ここに貫かれている日帝の本音は、“資本にとって「用済み」となった者は年金支給開始前に早く死んでくれ”ということだ。暴虐きわまる帝国主義の正体がむき出しになっているのである。帝国主義を打倒しなければ、人民はもはや生きていくこともできないのだ。
 厚生省は、この改悪の上でさらに、「厚生年金の保険料は五年ごとに二・五%ずつ引き上げ、国民年金の保険料は毎年五百円ずつ引き上げる」などと言っている。給付は大幅に削減し、収奪は徹底的に強めようというのだ。まさに、国家的詐欺そのものではないか。
 また、今回の年金改悪関連法には、基礎年金の国庫負担率を三分の一から二分の一に引き上げることが盛り込まれた。これは、資本の年金保険料負担を軽減するとともに、「財政危機」を口実として消費税率の大幅アップに道を開くことに狙いがある。銀行やゼネコンの救済には国家財政が破産するほどの資金をつぎ込みながら、人民には徹底的に犠牲と負担を強いるという大攻撃である。
 年金改悪関連法は、人民の怒りが噴出する中で昨年末の臨時国会ではいったん継続審議に追い込まれた。だが、民主党、社民党、日本共産党は、今国会では抵抗らしい抵抗もせずに自自公の暴挙に手を貸した。

 第2節 改悪を許した連合の裏切り

 さらに、年金改悪を許した最大の要因は連合の裏切りだ。年金制度のこれほどの大改悪は、本来、労働組合のナショナルセンターがゼネストを打ち抜いてでも絶対阻止すべき課題である。しかし連合は、労働者階級自身の力で闘うことに敵対し、労働者階級の利害を貫く立場も気力もない民主党支持運動に一切を解消させたのだ。そもそも連合は、「信頼できる年金構築」の名のもとに“給付削減と保険料値上げは必要”とする点で、基本的に日帝に屈服している。
 年金支給開始年齢の引き上げを前にした今春闘でも、連合は「雇用春闘」を唱えつつ、資本に対する定年延長要求を始めから放棄した。金属や電機大手などで導入されようとしている「雇用延長」制も、労働者をいったん定年解雇し、低賃金・有期不安定雇用化を強いるものでしかない。
 こうした連合の裏切りの先を行くものがJR総連=カクマルの「シニア協定」締結だ。これは、五十五歳からの大幅賃金ダウンを認め、六十歳以上のJRでの雇用を拒否し、大合理化・全面外注化の推進を叫ぶ断じて許せないものである。
 日帝国家と資本、それに屈した連合のもとで、労働者人民の権利はことごとく奪い取られようとしている。これに対する人民の本格的な反撃を巻き起こさなければならない。
 年金改悪や介護保険の強行実施など、戦後社会保障制度の解体攻撃との闘いを労働運動の重要な課題に据えて闘おう。衆院選決戦勝利、自自公政権とファシスト石原打倒に決起しよう。

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週刊『前進』(1952号6面3)

 迎賓館・横田爆取弾圧

 保釈却下決定弾劾

 4同志奪還へ闘いの強化を

 三月二十七日、東京地裁刑事第一一部大渕敏和裁判長は、須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志の保釈請求を却下する決定を下した。一審十三年という凶暴きわまる長期未決勾留を粉砕し、三同志を獄中から奪還しようと願う労働者階級人民の闘いを踏みにじって強行された暴挙である。断じて許すことはできない。三同志は獄中から激しい怒りの声を発している。
 昨年十一月五日の保釈請求以来、三同志を先頭に徹底的な保釈闘争が闘われ、大渕裁判長を追い詰めてきた。三同志は毎回の裁判で不当な長期勾留を弾劾する意見を闘いとり、弁護人は保釈面接を三回も行った。さらに裁判所への申し入れ行動、正門前での連続的なビラまき、保釈要望はがきを圧倒的に推進した。そして、ついに須賀同志の医療鑑定を都内の病院でかちとり、三月二十一日に鑑定結果が出されたのだ。
 そこでは、須賀同志は「腰椎椎間板ヘルニア」であり「左足広範囲の感覚障害、筋力低下、筋委縮」が認められ、治療が必要であると明確に述べられている。長期勾留が健康を破壊し、東京拘置所の中では治療などまったく不可能であることが明確になったのだ。にもかかわらず、大渕裁判長はこれを完全に無視し、鑑定結果が出るやいなや強引に保釈を却下したのだ。こんな悪らつで理不尽な攻撃があるか!
 三同志と福嶋昌男同志は八六年東京サミットを直撃した迎賓館と米軍横田基地へのロケット弾戦闘でデッチあげ起訴された。以来、三同志は十三年間(獄中通算十四年間)、福嶋同志は八年間の獄中闘争を不屈に闘いぬいている。国家権力は、凶暴な爆取デッチあげ攻撃で革共同破壊、階級闘争の圧殺を狙ったが、四同志は不屈・非転向の闘いでこれを粉砕し、今日、断末魔の危機に突入している日帝の深部で、その階級支配を揺るがす闘いを日々貫いている。保釈却下決定は、沖縄サミット粉砕闘争の圧殺を狙う治安攻撃にほかならない。
 こんな理不尽な国家暴力に断じて屈することはできない。四同志と固く連帯し、保釈奪還闘争をさらに爆発させて、四同志の奪還を絶対にかちとろう。

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週刊『前進』(1952号6面4)

 神藤裁判上告審闘争勝利へ

 検察に迎合した東京高裁逆転有罪判決を粉砕せよ

 八八年九・二一千葉県収用委員会会長せん滅戦闘で「実行犯」としてデッチあげられた神藤猛雄同志の裁判は、現在、最高裁での上告審闘争に突入している。
 九八年七月七日、東京高裁刑事第一二部(松本時夫裁判長)は一審での無罪判決を覆し、神藤同志にデタラメきわまりない逆転有罪判決を下した。それは、三里塚暫定滑走路建設攻撃に道を開くための政治的判決そのものであった。
 神藤同志と弁護団は九九年三月二十五日、高裁判決を徹底弾劾した上告趣意書を、刑訴法学者による「捜査官の伝聞証言は違法」とする意見書とともに最高裁に提出した。

 第1節 警察証言のウソ暴き一審で無罪

 九・二一戦闘は、成田二期工事・強制収用の発動を狙っていた収用委員会を事実上解体した正義の戦闘であった。追いつめられた日帝権力は、中核派なら誰でも構わないと、神藤同志に狙いを定めて報復的なデッチあげ弾圧を行ったのだ。
 これに対して神藤同志と弁護団は、一審で権力のデッチあげをことごとく粉砕し無罪判決をかちとった。
 まず、裏切り者・正井を取り調べた捜査官の高田と根塚による、「正井が神藤同志と水嶋秀樹同志を写真特定した」などとする証言に信用性がないことが徹底的に暴かれた。さらに、捜査官のウソを「補強」するための警視庁科学捜査研究所の小島直樹の筆跡鑑定も、「科学性はなく、小島の思いこみによる鑑定である」ことが暴露された。こうしてかちとられた一審無罪判決で、権力の思惑は粉砕されたのだ。

 第2節 デッチあげ弾圧を追認した二審

 ところが、東京高裁は、控訴審での審理過程をねじ曲げ、弁護団の最終弁論をもすべて無視して、「一審での捜査官の証言は信用できるから被告は有罪」などとしたのである。
 高裁は高田・根塚の一審証言調書だけで事実認定を全面的に覆したのだ。そもそも、取調官が供述者の供述内容を証言すること自体、許されないことである。本件では、調書も何もなく供述者本人も否定していることを、取調官が証言しているのだ。
 高裁は高田・根塚を直接取り調べてはいないし、正井も取り調べていない。にもかかわらず、捜査官の証言調書はそのまま信用できると判断し、正井の証言は「本当のことを言えない裏の事情をくみ取らなければいけない」などとして否定した。被告に有罪を言い渡すために、このような得手勝手な「判断」をしているにすぎないのだ。
 こんなことがまかりとおれば、誰でも簡単にデッチあげられてしまう。高裁の逆転有罪判決は、警視庁の暗黒のデッチあげを追認し、推進するものであり、断じて許せない。
 また、高裁が検察の申請どおりに小島を証人として採用したことも許せない。
 一審では、小島に対して弁護団が具体的に個々の文字の個々の個所について詳しく反対尋問を行った。その結果、小島は誰もが書ける書き方とか、『教育ペン字字体筆順事典』という市販されている本に載っている模範的な書き方を「珍しい書き方」と判断していたことが判明したのだ。小島筆跡鑑定のインチキぶり、非科学性は白日のもとにさらされた。一審判決が「小島筆跡鑑定は科学的とは言えない」と判断したのは当然だったのだ。
 ところが、控訴審で高裁は、小島に対する筆跡鑑定の具体的な事項についての反対尋問を許さないと、弁護団に制限を加えた。そして、判決で「捜査官の伝聞証言を信用できるとした高裁判断に合致しているから小島鑑定には合理性がある」と断定したのだ。こんなものは筆跡鑑定に対するまともな司法判断とはとうてい言えない。
 検察は控訴審で、「捜査官の言っていることが信用できないのか」と高裁に恫喝をかけ、小島の筆跡鑑定についても「警察の鑑定に異議を唱えるのか」と迫った。高裁は検察のこうした姿勢に迎合し、およそまともな審理もせずに結審し、有罪判決を出したのだ。
 警察のデッチあげを、何の証拠もなしに「事実だ」と追認した東京高裁は絶対に認められない。
 最高裁はこの東京高裁の極反動判決を絶対に破棄せよ! 警察、検察、高裁が一体となったデッチあげを断じて許さず、上告審闘争勝利へ闘い抜こう。

 第3節 三里塚闘争勝利をかけて闘おう

 三里塚闘争は、反対同盟の不屈・非妥協の闘いと、それを支える全人民の闘いで日帝の国家プロジェクトを三十四年間も阻止し続けている偉大な闘争だ。それは新ガイドラインのための軍事空港建設を許さず、勝利の展望を全人民に身をもって指し示している。
 こうした三里塚闘争の勝利の地平の一つをなすものとして、九・二一戦闘による収用委解体がある。日帝は九・二一戦闘をなんとしても破壊するために、神藤同志へのデッチあげ弾圧を強行したのである。この攻撃を全面的に粉砕し、反対同盟と固く連帯して三里塚闘争の勝利を切り開こう。

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週刊『前進』(1952号7面1)

 帝国主義強盗どもの戦争会議粉砕へ

 全学連のサミット決戦宣言

 全国から沖縄に総結集し世界にとどろく大デモを

 7・21サミット厳戒体制うち敗れ

 全学連(大山尚行委員長)は三月二十五日、小渕訪沖阻止・羽田現地闘争を闘った後、第一〇一回中央委員会を東京都内で開催した。中央委員会には、一〜三月攻防の激闘を最先頭で担ってきた全国の学生が結集した。白熱的議論をとおして、革命的時代認識を鮮明に打ち立て、全学連の総力をあげて七月沖縄サミット粉砕決戦に突入することを満場一致で高らかに宣言した。以下、全学連中央執行委員会から発せられた決戦アピールを掲載します。(編集局)

 第1章 朝鮮・中国侵略戦争発動の攻撃許すな!

 全国の闘う学友諸君! すべての闘う労働者人民のみなさん!
 帝国主義強盗どもの戦争会議=沖縄サミットを粉砕せよ! 朝鮮・中国侵略戦争発動を宣言する戦争会議は絶対に認められない! 沖縄サミットをもって沖縄を圧殺し、巨大新基地建設を押しつけ、沖縄を朝鮮・中国侵略戦争の出撃基地としようとすることを許してはならない!
 全学連は、沖縄サミットをもって日帝が侵略戦争国家に飛躍し、アジア勢力圏化と朝鮮・中国侵略戦争参戦に突き進むことを絶対に阻止する! 沖縄サミット粉砕を貫くのか否かに、闘うアジア人民と連帯し、日帝の朝鮮・中国侵略戦争を阻止するのか否かがかかっている。日本の労働者階級人民は、階級的責務にかけ、闘うアジア人民との連帯にかけて決起しなければならない。戦争に反対し、ガイドラインに反対し、沖縄圧殺に反対するすべての労働者人民は、今こそ総決起しなければならない。
 わが全学連を先頭に本土から大挙して駆けつけ、全世界にとどろく大デモンストレーションをたたきつけるのだ! 全世界から沖縄に結集し、沖縄サミットに対して怒りをたたきつけようとしている国際プロレタリアート人民と連帯し、ともに沖縄サミット粉砕の大闘争を爆発させるのだ。わが全学連が真っ向から沖縄サミット粉砕を掲げて登場したとき、沖縄人民の総反乱的決起が爆発するのだ。
 三月二十二日、全国八十カ所への不当捜索、名護現地決戦の先頭で闘う学友の不当逮捕は、わが全学連の怒りと戦闘意志をいよいよかき立てるだけだ。そして三月二十五日、小渕訪沖阻止闘争は、わが全学連を先頭とする革命的左翼のみが唯一、本土−沖縄を貫いて闘い、小渕の眼前に沖縄サミット粉砕の宣言をたたきつけたのだ。決戦の火蓋(ひぶた)は切られている。
 四月教育サミット、五月学生サミット、五月オープンセレモニー・与党三党首沖縄入りを始めとする、すべてのサミット行事を許さない! 五・一三〜一五沖縄現地行動に決起せよ! 五・二八全国総決起集会を沖縄サミット粉砕中央闘争として大爆発させよ! そして七月大決戦へ攻め上れ!

 第2章 名護新基地建設阻止と一体の歴史的闘い

 沖縄サミットは絶対に粉砕あるのみである。沖縄サミットは帝国主義強盗どもの戦争会議である。事実、G8すべてが戦争当事者である。アメリカしかり、EU諸国しかり、ロシアしかり、そして日本しかりである。沖縄サミットは、米帝・日帝を始めとする国際帝国主義が、昨年のユーゴスラビア侵略戦争を上回る世界大戦級の侵略戦争、朝鮮・中国−アジア侵略戦争を、「世界平和」とか「正義と人道」などという美名において宣言する戦争会議にほかならない。世界大恐慌情勢のもとで、帝国主義の頭目どもが集まり、全世界の富をぶんどり合い、人民を搾取し収奪し、侵略と戦争を発動する会議だ。恐慌対策、失業対策、環境問題、新植民地主義体制諸国の累積債務問題、貧富の差、すべての議題をめぐって帝国主義同士がつぶし合いを演じるのだ。
 九八年バーミンガム・サミットを見よ。九九年ケルン・サミットを見よ。スターリン主義の崩壊的危機の激化、アジア経済危機の爆発、新植民地主義支配体制の全面的崩壊、それらを契機とする帝国主義間の矛盾と対立の激化という事態に直面し、米帝がむき出しの戦争政策に傾斜していく中で、サミットの全テーマをめぐって熾烈(しれつ)な争闘戦が展開され、サミットにおいて決裂を繰り返し、そのことが各国間の争闘戦の非和解化と軍事化をさらに加速してきたのだ。
 九八年五月のバーミンガム・サミットでは、アジア経済危機の爆発とインドネシア・スハルト体制の崩壊をめぐって日米帝国主義が激突した。またインドの核実験によって突き破られた米帝の核支配体制・世界戦略に対する争闘戦的対応をめぐって、ロシアをまきこみながら帝国主義間の激しい抗争が繰り広げられた。さらに恐慌対策をめぐって、米帝が日帝に国家財政破綻(はたん)的な景気浮揚策を要求し、それを突きつけられた橋本政権がサミット後の九八年七月、参院選での自民党大敗を受けて退陣に追い込まれた。そしてその危機の中から、小渕・自自公総翼賛体制が生み出され、ガイドライン関連法の強行成立を始め戦後的制約の突破に突進していったのだ。
 九九年六月のケルン・サミットは、まさに、帝国主義強盗による戦争会議の本質をむき出しに示すものであった。米帝−NATOは、ユーゴ侵略戦争・無差別爆撃の展開で、経済的な復興に二十年から五十年もかかるといわれる大破壊を行い、「ミロシェビッチが悪い」「人道的介入だ」などと言いながら六千五百人もの人びとを虐殺し、百数十万人もの人びとを難民として追い立てた。これを「国際社会」の名において正当化し、その後の「コソボ復興」に名を借りた軍事占領の正当化とユーゴ侵略の拡大を決定したのがケルン・サミットだった。
 またケルン・サミットは、ユーゴ侵略戦争をめぐる帝国主義間争闘戦の構図を、さらに決定的な段階に押し上げた。すなわち、NATOの東方拡大戦略を通じて東欧への影響力拡大と勢力圏構築を図る独帝を先頭とした欧州帝と、その欧州帝をあくまでNATOの枠内にとどめたい米帝との争闘戦の激化である。米帝がコソボに建設している巨大軍事基地=ボンドスチール基地こそ、中東・東欧支配と侵略戦争の意思の具体的表現である。
 しかし二〇〇〇年沖縄サミットは、これまでをはるかに上回る世界危機の中で開催される。世界大恐慌への本格的突入とブロック化、中国大乱情勢と朝鮮・中国侵略戦争の切迫、ファシズムの台頭、人民の歴史的決起という情勢である。
 何よりも中国大乱情勢と朝鮮・中国侵略戦争の切迫という危機が、沖縄サミットに向かって激化し、沖縄サミットにおいて決定的に破裂しようとしている。
 三月十八日の台湾総統選における国民党一党支配体制の劇的崩壊−中台関係の激変は、帝国主義世界支配のかなめのひとつをなしてきた中国−台湾の分断国家体制の歴史的崩壊、中国スターリン主義の国家的分裂と大混乱、スターリン主義打倒の人民決起の問題、総じて中国大乱情勢の爆発を突きつけるものである。
 米帝はこの中国大乱情勢に恐怖し、日帝の絶望的な台頭を警戒し、朝鮮・中国侵略戦争の発動と中国スターリン主義の転覆を狙っている。そのために台湾近海に空母を派遣し、沖縄とフィリピンを結んで激しい軍事演習を繰り返し、沖縄サミットに向かって軍事的緊張を極限まであおり立てようとしている。クリントンは二月十八日、サミットの沖縄開催を「日米関係が戦略的見地から重要であることを示すよい機会だ」と述べた。米帝は沖縄サミットをもって、SACO最終報告を貫徹し、名護に巨大新基地建設を強行して、沖縄を出撃基地にして朝鮮・中国侵略戦争を発動しようとしているのだ。
 しかも沖縄サミットは、米帝のバブル経済の崩壊に向かっての決定的な転回点になろうとしている。
 すでに米株価は動揺を繰り返しており、バブル経済の崩壊は時間の問題になっている。そして米帝のバブル経済の崩壊は、世界経済に決定的な打撃を与え、世界大恐慌への本格的な突入の引き金となり、ドルを軸とした戦後の帝国主義世界経済を最後的大崩壊にたたき込む。帝国主義間のすさまじい争闘戦、あるいはブロック化とブロック間のつぶし合いを一挙に激化させるのだ。それは帝国主義が帝国主義である限り避けることができない。沖縄サミットは、帝国主義同士が生き残りをかけて非和解的に激突し決裂し、戦争に突進する画期点になろうとしているのだ。
 このような中で日帝は、沖縄サミットに向かって、いよいよ帝国主義としての存亡の危機、政治体制の危機、階級支配の危機を激化させている。そこから日帝は、もはや選択の余地なく戦争経済にのめり込み、アジア勢力圏化に突き進み、朝鮮・中国侵略戦争への参戦に踏み出していく。
 日帝は、サミット議長国の立場を使って、サミットへ中国を引き込もうと策動した。さらに「サミットに向けてアジアの声を集約する」(小渕)などと称して大々的にアジア外交を展開し、米欧帝国主義を押しのけて日帝こそがアジアを支配できる帝国主義であるとして登場しようとしているのだ。そして「紛争予防外交」「介入に際しての一定のルールづくり」を沖縄サミットの議題とし、それをテコに、新安保ガイドラインの発動に踏み切ろうとしているのだ。
 まさに日帝にとって沖縄サミットは、ガイドライン、有事立法・改憲、教育改革、社会保障制度の解体、賃下げ・大リストラ、そして日帝−沖縄関係の反動的転換という、日帝の国家体制の全面的な改造攻撃、戦後的制約の全面的突破の頂点をなす大攻撃にほかならない。
 しかし日帝が沖縄サミットでやろうとしている飛躍はあまりにも絶望的だ。それは対米帝的にも、またアジア人民や沖縄人民、労働者人民との関係でも、すさまじい矛盾を爆発させざるをえない。沖縄サミットは日帝危機を激成させ、日帝が絶望的に凶暴化し、破局的に朝鮮・中国侵略戦争参戦に踏み切る転回点となろうとしているのだ。

 第1節 沖縄の人民と連帯して本土人民の決起を

 朝鮮・中国侵略戦争に突き進む日帝は、沖縄サミットの巨大な重圧で沖縄を圧殺し、沖縄を朝鮮・中国侵略戦争の出撃基地にする大攻撃に突進している。日帝にとっては沖縄人民の要求や怒りなどは、頭から踏みつぶす対象でしかないのだ。むしろ日帝は、沖縄サミットをテコに、帝国主義のアジア支配のかなめであり世界最大の米軍基地の島である沖縄が、実は日帝の沖縄圧殺政策によって維持されているのだということを帝国主義列強に押し出し、米帝に認めさせようとしているのだ。
 それは、米・日帝国主義の朝鮮・中国侵略戦争重圧、日米安保の矛盾、全重圧をこれまで以上に沖縄に集中するということだ。日帝の沖縄差別政策は極限的に強まる。そしてこの無理が大きければ大きいほど、沖縄人民の怒りの爆発を引き起こさざるを得ない。
 だから日帝は安保と沖縄問題を分断し、沖縄と本土を分断しながら、二万六千人の治安警察軍を先頭とした国家暴力の発動で沖縄人民の抵抗を抑え込み、新基地建設を強行し、日本階級闘争の砦(とりで)である沖縄闘争を解体しようと狙っているのだ。
 名護新基地建設阻止をかけた岸本名護市長リコール運動が直面している苦闘は、まさに、このような米日帝による朝鮮・中国侵略戦争の重圧、沖縄サミットの重圧、日帝の沖縄差別政策の問題である。
 しかし何よりも重大なことは、日本共産党が、沖縄サミットを翼賛し日帝の攻撃に棹(さお)さす形で、スターリン主義の本性をむき出しにして、人民の闘いを圧殺する役割を果たしていることである。沖縄サミットに際しての日共の二・一六「報告と訴え」は、まさに闘う名護市民のリコール運動を圧殺するために出されたものだ。
 しかし、沖縄人民の闘いがこのまま圧殺されることなどけっしてあり得ない。沖縄人民の米軍基地撤去の要求、日帝の沖縄差別政策に対する怒りは、必ず沖縄サミットと激突する怒りとなって大爆発するのだ。
 一切の問題は労働者階級の新たな指導部が、日共の裏切りを突き破って登場できるかどうかにかかっている。「沖縄サミット粉砕!」を真っ向から掲げて闘うことができるかどうかだ。何よりも本土の労働者人民の「沖縄サミット粉砕!」の闘いを爆発させることができるかどうかだ。

 第3章 21世紀へ世界革命の突破口を切り開こう

 沖縄サミット決戦は、国際帝国主義ブルジョアジーと国際プロレタリアートの二大階級の歴史選択をかけた激突である。絶望的危機にのたうち、今やその全矛盾を恐慌と戦争として爆発させる以外になくなっている国際帝国主義と、世界戦争の危機を世界革命に転化し、新たな社会建設に向かって人類史を前進させようとする国際プロレタリアートとが、沖縄を決戦場に、沖縄サミットの強行か粉砕かをめぐって激突するのだ。
 現代帝国主義は、“延命しすぎた帝国主義”として、社会主義の物質的諸条件を膨大につくりだしつつ、腐敗と危機を深め、「死滅しつつある資本主義」として死の苦悶(くもん)にあえいでいる。時代はまさに社会主義革命の前夜である。
 その中で、一見バラバラに見える、世界各国で闘うプロレタリアートと被抑圧民族人民の存在と闘いが、実は、帝国主義世界体制という一個の共通の敵と向き合い、一個の共通の方向に向かって国際的な戦線を形成し、「ファシズムか社会主義か」「世界戦争か世界革命か」という一個の時代認識と決戦論をかけて闘われている。
 だからこそ一九三〇年代国際階級闘争の敗北をのりこえ、反帝国主義・反スターリン主義世界革命の路線と展望を指し示す、労働者階級の指導部の再生が問題となっているのだ。
 沖縄サミット決戦は、二十一世紀の世界革命の突破口を帝国主義の最弱の環=日帝打倒にすえ、沖縄人民の米軍基地撤去の闘いと固く結合し、数万の国際プロレタリアート人民の大結集と連帯して切り開く決戦である。この中から国際階級闘争の新たな潮流を革命的に再生するのだ。
 とりわけ日本プロレタリアートにとって沖縄サミット決戦は、朝鮮・中国侵略戦争参戦とアジア勢力圏化に向かって絶望的な飛躍を開始した日帝と、革命的祖国敗北主義を貫いて真っ向から対決する決戦である。闘う朝鮮・中国−アジア人民、在日アジア人民との生きた連帯の回復をかちとり、プロレタリア国際主義と世界革命の旗をよみがえらせる決戦である。
 そして、日帝による安保と沖縄の分断、本土と沖縄の分断攻撃を打ち破り、沖縄−本土を貫く階級的連帯を徹底的に貫く決戦である。沖縄人民と連帯して、「基地監獄」の現実と安保のもとに差別的にしばり付けられた沖縄の戦後史を根底的に転覆し、沖縄を圧殺することによってしか存立できない日帝を根底的に打倒していく闘いである。
 動労千葉を始めとした階級的労働運動の新たな潮流運動と、名護ヘリ基地建設阻止の闘いを先頭とした沖縄人民の島ぐるみの反乱との合流をかちとろう。またガイドライン体制構築の一環としての戦時入管体制確立の攻撃と対決し、闘うアジア人民・在日アジア人民との連帯を強めよう。「二度と侵略戦争は繰り返さない」という日本プロレタリアートの階級的魂を根底から揺り動かして、自自公体制、石原ファシストに怒る数百万、数千万の人民の怒りを大合流させよう。そうした歴史的大闘争の突破口をここで切り開くのだ。

 第1節 日共のりこえる革命的翼の登場かちとれ

 ここで、わが全学連が何をもってどう行動するのかが問われている。
 一〜三月沖縄現地攻防が示していることは、階級情勢が三〇年代的激突情勢に発展しつつあるということだ。そこには一方で、反動の巨大さ・激しさ、牽引(けんいん)するべき指導勢力の厳しさ、その核心としての日共の制動の問題がある。しかし他方で、リコールが提起されるや受任者が一千人を超す勢いで進んでいる。大衆的怒りと闘いの意思は強烈に存在しているのだ。
 すなわち、日共をのりこえる革命的指導勢力が主導するならば、岸本などをたたき落として、沖縄サミット決戦を革命的に爆発させる可能性が完全にはらまれているのだ。
 日帝は今、危機に突き動かされて、絶望的で凶暴な突進を開始している。しかしそれは、労働者階級の解体・制圧の結果としてあるのではない。労働者階級の戦闘性、階級性は断固として健在である。沖縄サミットと衆院解散・総選挙の強行は、日帝の内外する危機を一層激化させ、階級決戦情勢をとことんまで煮詰めていく。そして労働者階級の生活・生存と未来をかけたぎりぎりの決起、総反乱が本格的に爆発したとき、日帝の攻撃は瓦解(がかい)するのだ。
 求められているのは、既成政党の制動を打ち破って闘いを牽引する闘う指導部の登場だ。われわれ自身が退路を断って燃え上がって決起することである。世界革命の時代の到来への圧倒的確信、革命的な時代認識である。われわれ自身が革命的主体となってぶっ立ち、労働者階級と学生の大流動の中に飛び込み、激しい党派闘争にかちぬき、労働者階級の心をとらえたとき、階級決戦の歴史的大爆発を切り開くことは必ずできる。
 直ちに七月沖縄サミット決戦への戦闘態勢に突入せよ! 三・二二全国一斉不当捜索・学友不当逮捕を許すな! 世界を動かす革命的気概、時代精神をもって四月新歓闘争の大成功をかちとり、キャンパス全体を揺るがして、圧倒的な数の新入生を先頭に五・一三〜一五沖縄現地闘争に総決起せよ! 五・二八沖縄サミット粉砕・中央政治闘争に総決起せよ! 同時に全国大学闘争の爆発を推進せよ! それら一切の力を沖縄サミット粉砕の戦闘的大デモに総集約せよ! 全国学友の数百数千の大隊列を本気で組織し組織しぬいて沖縄現地に総結集せよ!
 六〇年安保闘争や七〇年安保・沖縄決戦をほんのエピソードにしてしまうような闘いを、わが全学連の力で本当に実現してやろう。そう確信を持ちきって突き抜けて闘う活動家が何人いるかで一切の勝負は決まる。歴史そのものを直接自らの手で動かす闘いとしてかちとろう。
 全学連闘争史上でも八五年の三里塚・国鉄蜂起戦や九〇年天皇決戦、九二年PKO派兵実力阻止・小牧現地決戦、九七年九・二三ガイドライン阻止決戦などをはるかに上回る階級的大決戦として爆発させよう。
 ファシスト石原と対決し、衆院選決戦勝利・長谷川氏当選の闘いの先頭に全学連こそ立とう! 介護保険制度廃止をかちとろう!
 連合=JR総連を打倒し階級的労働運動の新たな潮流運動の大前進をかちとる闘いと連帯して闘おう!
 今こそカクマルを全国大学から打倒・一掃しよう!
 この決戦のさなかで隊列を数倍、十数倍に強化し、全学連運動の歴史的大躍進をかちとれ!
 すべての闘う学友は、七月沖縄サミット粉砕決戦に総蜂起せよ!

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週刊『前進』(1952号7面2)

 2000年日誌 阻もう!戦争への動き

 3月22日〜28日

 森幹事長が沖縄差別の暴言

 小渕訪沖、サミット施設視察

●ヘリ基地反対協が受け入れ撤回を申し入れ コーエン米国防長官が普天間飛行場代替施設の十五年間使用期限設定を拒否したことを受けて、ヘリ基地反対協が、使用期限を条件に移設先を決めた沖縄県に対し、移設受け入れを撤回するように申し入れた。(22日)
●森自民党幹事長が沖縄差別暴言 自民党の森喜朗幹事長が二十日の講演で、昨年十一月の「天皇即位十年記念式典」の「君が代」斉唱の時、沖縄出身の歌手が歌ってなかったと非難、沖縄の教育について「君が代を学校で教わっていない」「教組は共産党支配」などと批判、琉球新報、沖縄タイムスの沖縄県内二紙の報道についても「何でも国、政府に反対する」などと述べた。朝日新聞の報道で明らかに。沖縄県内の教育関係者や報道関係者からは「政府の沖縄に対する姿勢の表れ」「沖縄に対する差別意識があるのではないか」などと一斉に怒りの声が上がっている。(22日)
●「軍用機は違う」と河野外相 河野洋平外相が衆院外務委員会で、コーエン米国防長官が嘉手納ラプコン返還の前提として挙げた「米軍の運用上の所要」について「安全性の確保は大前提だが軍用機は民間機と違って、緊急発進などで必ずしもダイヤ通り決まった時間に離発着するということはないかもしれず、こうした必要性が満たされるということが含まれる」と述べた。(22日)
●米が未臨界核実験 米エネルギー省がネバダ州の地下実験場で、米国として十回目の臨界前核実験を実施した。今年二月三日に続く相次ぐ実験に批判が強まっている。(22日)
●参院憲法調査会 参院憲法調査会が西尾幹二・電通大教授、正村公宏・専修大教授を参考人に呼び、意見を聴取、質疑を行った。西尾は憲法改正の具体的なテーマに集団的自衛権の問題などを挙げた。(22日)
●民主党が緊急事態法制案策定へ 民主党が緊急事態法制検討プロジェクトチームの第一回会合を開き、政府の有事法制の対案を五月連休明けをめどにまとめる方針を確認した。(22日)
●衆院憲法調査会 衆院の憲法調査会が、参考人に長谷川正安・名古屋大学名誉教授と高橋正俊・香川大学教授を呼び、憲法制定過程などについて意見を聴いた。(23日)
●初の原発防災訓練 福井県で原発事故を想定した全国初の防災訓練が行われ、陸海空の自衛隊が参加した。(23日)
●放射能事故の対策なし
 政府は、ホワイトビーチに寄港した原潜など米原子力軍艦から放射能事故が発生した場合の日本政府の「災害対策マニュアル」は策定していないことを正式に認めた。(24日)
●「15年は最低線」と稲嶺
 稲嶺沖縄県知事が日本外国特派員協会で講演、普天間代替施設に十五年の使用期限を設定することについて「基地の永久固定化を恐れており、最低の線として十五年間を主張している」と述べた。(24日)
●小渕が訪沖 沖縄サミット関連施設を視察するため、小渕首相が訪沖した。首相に就任後、訪れるのは初めて。地元の政財界と報道各社を訪れ、「沖縄は私の第二の故郷」と語り、沖縄サミットへの協力を要請した。(25日)
●有事法制「与野党に理解求める」 小渕首相が名護市内でのテレビ番組の収録で有事法制について「これから、与野党の理解を得なければならない。勉強だけして法律にしないでおくことは、好ましいことではない」と述べた。(25日)
●「治安出動」自衛隊前面に 防衛庁と警察庁が治安出動の際の自衛隊と警察の役割分担を決めた協定を見直し、目的を事実上、北朝鮮などによる武装ゲリラへの対応に絞った上、その場合はこれまで補完的な位置づけとされてきた自衛隊が前面に出て対処する方針で一致した。七月沖縄サミット後にも、瓦防衛庁長官と保利国家公安委員長が新協定に署名、発効。(25日)
●夜間飛行禁止で日米を訴え 米軍嘉手納基地の航空機による爆音に悩む基地周辺六市町村の住民五千五百四十四人が、日米両政府を相手に夜間・早朝の飛行差し止めと精神的・身体的被害への損害賠償を求める「新嘉手納基地爆音訴訟」を、那覇地裁沖縄支部に起こした。(27日)
●小渕が教育基本法改悪へ意欲 小渕首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」の初会合が開かれ、小渕が教育改革を「内閣の最重要課題」と位置づけ、教育基本法改悪へ強い姿勢を示した。(27日)
●強制収用での所有権取得は有効と政府 政府は旧日本軍が戦時中、強制的に収用し、現在国有地となっている沖縄本島および伊江島の土地について「旧軍の買収を証明する直接的な資料はない」としながらも、「種々の間接的な資料や証言などから旧軍と地主が売買契約を締結し、国が所有権を有効に取得した」とする見解を示した。(28日)

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週刊『前進』(1952号8面1)

 4−5月入管闘争のために

 新安保ガイドラインと連動した「第2次入管基本計画」と対決を

 世界大恐慌の現実化過程が深まり、全世界的激動が始まった。日帝は米帝との争闘戦を激化させ、生き残りをかけて朝鮮・中国侵略戦争へ突進している。こうした中で排外主義・差別主義が扇動され、入管法・外登法−入管体制は、新安保ガイドライン−有事体制下の戦時入管体制へと変貌(へんぼう)しようとしている。闘うアジア人民、在日アジア人民と連帯し、四−五月入管闘争の強化・発展をかちとろう。
 野田利一

 第1章 激化する軍事演習と治安弾圧の強化

 昨年の新ガイドライン=周辺事態法の制定以降、日米共同演習と一体となった自衛隊、海上保安庁、警察権力による海上警備や湾岸警備と称した軍事演習・治安出動訓練が、「不審船」「不法入国」「不法上陸」といった排外主義的キャンペーンとともに激しく展開されている。
 昨年十一月には、陸・海・空三軍の日米共同演習が、朝鮮半島での米韓共同演習(フォール・イーグル)と完全に連動して日米韓の実戦演習として強行された。この演習の一環として日帝は海自・陸自・外務省合同で、自衛隊が朝鮮半島に上陸して「在留日本人を救出」することを想定した「日本人救出訓練」を行った。演習には「日本人に紛れて脱出を図った『第三国人』を排除する」という排外主義そのもののシナリオも盛り込まれた。
 さらに二月には、「周辺事態」として「朝鮮有事」を想定した初の日米共同統合指揮所演習を強行した。この演習では、北朝鮮が韓国に侵入して戦争が始まるというシナリオ(「米韓合同作戦計画5027」だ!)をもとにして、コンピューターシミュレーションや地図上で作戦が展開された。日本国内にも「不審船」が侵入し、工作員が県庁を爆破したり、警察官を射殺したりして、直ちに首相が治安出動を命令、これを受けて自衛隊と警察が施設防衛を行うという想定で行われた。自衛隊は実に二十六年ぶりに治安出動訓練を実施した。
 日帝にとって「朝鮮有事」とは「日本有事」なのであり、日米帝による朝鮮侵略戦争は朝鮮半島からの大量の難民(避難民)の日本への流入を不可避とする。日帝にとって難民とはゲリラ=反日帝的存在であり、大量渡航する難民と在日朝鮮人民が合流し、闘いに決起することを心底から恐怖しているのだ。
 だからこそ、朝鮮有事・日本有事に対応した朝鮮人民−在日朝鮮人民、さらにはすべての在日アジア人民に対する治安弾圧法として、組対法や住民基本台帳法改悪とともに入管法・外登法の改悪を強行したのである。「不法在留罪」の新設、「常時携帯制度」「重罰制度」の堅持の狙いもそのためである。
 われわれは、これに対して入管法・外登法同時改悪攻撃がガイドライン攻撃の一環としてあることを完全に暴き出し、大衆的怒りを組織しながら全力で闘い抜いた。

 第2章 アジア人労働者の強制徴用狙う日帝

 入管体制とは、入管法・外登法を制度的支柱とする差別・抑圧、分断・同化・追放の体制として、在日朝鮮・中国−アジア人民に向けられ、同時に労働者人民を排外主義的・差別主義的に動員することによって形成されている治安弾圧体制である。
 昨年九月、在留特別許可を求めて入管に出頭した二十一人のイラン人家族らに対し、日帝・法務省は法務大臣の自由裁量で選別的にイラン人四家族十六人を許可する一方で、五人を不許可、退去強制処分とした。ここには日帝の変わらぬ基本方針である「外国人は煮て食おうと焼いて食おうと自由」が貫かれている。
 入管体制は新安保ガイドライン体制=有事体制下で戦時的に再編・強化されようとしている。戦時入管体制への再編攻撃の基軸的中心は、入管法・外登法改悪・施行と一体のものとしての「第二次出入国管理基本計画」(三月二十四日発表)である。
 ここで何が言われているのか。まず、「『第一次出入国管理基本計画』では『円滑な外国人の受入れ』と『好ましくない外国人の排除』の両施策を通じて、出入国管理行政は我が国社会の健全な発展と国際協調の進展に貢献すべきものとの考え方に立ち、『円滑な人的交流の促進』や『不法就労外国人問題への対応』を主たる課題」としてきたが、「第二次基本計画」の方向性は第一次と変わることはないと強調されている。
 「第一次基本計画」は九二年五月に策定された。ここでは、九〇年の入管法改悪(「研修生」の在留資格を設けるとともに単純労働力受け入れ拒否・不法就労助長罪を新設)に基づいて、「技能実習制度」が導入された。これは技術研修の名のもとにアジア人労働者に低賃金を強いるものであり、「現代の強制連行」の法制的確立であった。
 日帝・資本は、外国人研修生・実習生が「労働者ではない」ことを理由に賃金を不当に低く抑え、あくどく搾取している。戦前の朝鮮人・中国人強制連行・強制労働の再現にほかならない。いや逆に搾取・収奪はますます強まっており、外国人労働者の賃金ピンハネ事件などが繰り返し引き起こされているのだ。
 「第二次入管基本計画」の第一の狙いは、帝国主義間争闘戦下、日帝が朝鮮・中国−アジア勢力圏化に向けアジア人労働者を強制徴用−強制連行することである。それは必ず軍事徴用に行き着かざるを得ない。
 アジア侵略を狙う日帝は、アジア人民を技術研修させ、「少子・高齢化」対策として労働力不足を補いつつトコトン搾取・収奪することを宣言したのだ。
 昨年十一月の「ASEANプラス日中韓首脳会談」において日帝が示した人材育成と交流のための五億jの「小渕プラン」の提唱や、今年三月の中曽根文相の訪韓時における韓国人留学生の拡大(十年後に理工系留学生を千人にする)の合意は、この「第二次基本計画」と一体となった日帝のアジア侵略へ向けての親日派形成として位置づけられたものである。
 「第二次入管基本計画」の第二の狙いは、入管弾圧の激化・エスカレートである。
 「第二次基本計画」では「我が国社会の国際化と外国人の受入れの円滑化は、あくまで我が国社会の安全と秩序が維持された上で推進されるべき」と「不法滞在者、国際犯罪組織の暗躍、来日外国人の犯罪の深刻化」をあげ、今後の方針として「これまでより一層強力でかつ効果的な取組の在り方」として、「在留資格を有することなく、我が国に事実上在留している外国人についてはこれを厳正に排除し、入管法違反者の減少を図ることを最大の目標」とした。
 具体的には「不法在留罪」の適用、「捜査機関からの紹介に二十四時間リアルタイムで対応する体制を構築」などとしている。
 日帝・法務省は毎年五万人もの退去強制攻撃を強行している。今後さらに強化すると宣言しているのだ。断じて許してはならない。

 第1節 「難民」拒絶が日帝の方針

 入管攻撃のエスカレーションの一つは、難民として在留申請している人びとをその認定(判定)前に退去強制する事件が多発していることである。
 茨城の牛久入管収容所では、昨年十一月に難民認定を求めて「死んでもいいから抗議する」とハンガーストライキに決起したイラン人男性を、一年以上も収容しておいて強制送還した。
 日帝の基本方針は、難民受け入れ拒絶なのである。昨年は二百七人の申請者に対して許可したのはわずかに十六人。日帝は難民認定に関して「六十日要件」を定めている。上陸してから六十日以内に申請せよというのだ。
 しかし考えてもみよ。あらかじめ日本の難民認定制度を知って入国する難民がいったいどれだけいるというのか。日帝・入管当局は、上陸手続きの際に自分は難民であると申し出た人に対して、「ビザと入国目的が違う」(いわゆる虚偽申請)として上陸を拒否している。そして「上陸防止施設」に閉じこめ退去強制にしているのだ。
 二つは、「収容施設の活用と早期送還」(「第二次基本計画」)として新たな収容施設の建設が狙われていることだ。東京入管が移転し、羽田近くの天王洲に八百人収容の施設をつくるといわれている。これは羽田空港の国際化攻撃に対応したものでもある。
 日帝の狙いは、牛久や茨木(大阪)の収容所は長期収容のため、東京入管は短期でどんどん出国=強制送還する、すなわち法外就労者や一時避難民を大量に送還することなのだ。
 三つは、入管収容所の処遇の劣悪化、「しめる」と称する暴行など人権侵害が激化していることだ。男性職員による女性収容者に対する性的嫌がらせも引き起こされている。
 九八年三月、牛久入管収容所に収容されている人びとが連名で当局に抗議の申し入れを行った。まさにやむにやまれぬ決起だ。ところが当局はこのうちの何人かを強制送還したり、他の収容施設に移すなど報復を加えている。
 日帝が狙っているのはかつての「大村収容所」のような弾圧体制の復活だ。「大村収容所」(長崎)は、一九五〇年の朝鮮戦争勃発に伴い、戦争反対、軍事輸送反対に決起した在日朝鮮人や朝鮮半島からの避難民を強制収容するためにつくられたものだ。そこでは徹底的な弾圧が行われ、多くの在日朝鮮人、朝鮮人民が軍事独裁政権下の韓国へ強制送還されてきたのだ。まさに、朝鮮侵略戦争へ向けた大攻撃だ。
 われわれは安保ガイドライン下の入管闘争として退去強制の強化、新たな入管収容所建設・処遇の劣悪化と対決し、闘っていかなくてはならない。

 第3章 地方参政権攻撃と国籍条項との闘い

 地方参政権問題(国籍条項問題)をはっきりさせる上で重要なことは、まず何よりも在日朝鮮人・中国人を始めとする在日外国人の人間的・民主的諸権利の一切が無条件に保証されなければならないということだ。国籍を理由にした差別があってはならない。
 今国会に自由・公明両党共同で提出された「在日外国人の地方参政権法案」は、とんでもない法案である。まず選挙権のみに限り被選挙権を認めていないこと、さらに国政選挙を除いた地方参政権のみとしていることだ。その上で「外国人登録原票の国籍の記載が国名によりされている者に限る」と朝鮮籍を完全に排除しているのだ。これは在日社会に混乱を持ち込み、分断を狙ったものであり、とりわけ朝鮮総連つぶしの攻撃である。
 参政権問題をめぐっては、九〇年に在日朝鮮人十一人が地方参政権を求めて提訴した裁判の最高裁判決が九五年に出された。その判決は、永住権者は「地方参政権は憲法上禁止されていない」と判断。これをもって画期的判決であると一般的には評価されている。しかし最高裁=日帝権力が維持してきた根幹、すなわち憲法の国民主権の原理における国民とは日本国民=日本国籍所有者であり、基本的人権は日本国民のみを対象としているということはなんら変わっていない。
 また、東京都の鄭香均(チョンヒャンギュン)さんの都庁任用差別裁判では、九七年十一月に「管理職昇任試験の門前払いは違憲」との画期的な東京高裁判決をかちとった。
 しかしこの判決も根幹はあくまで「国民主権の限度に反しない程度において昇任・任用を認める」というもの。地方公務員任用における「当然の法理」(一九五三年の内閣法制局見解を指す)が貫かれている。「当然の法理」とは、公権力を行使する職務への就任には日本国籍を必要とするということであり、在日外国人は権力行使にかかわる職務には就かせない、その職に就きたければ日本国籍を取れということだ。
 すなわち日帝は、坂中路線に基づく同化攻撃の一環として、新安保ガイドライン体制下での在日朝鮮人・中国人、アジア人労働者の侵略翼賛化、同化・屈服の攻撃として地方参政権攻撃を加えてきているのだ。ここには差別・抑圧、分断・同化・追放としての入管体制が厳然と貫かれている。「選挙権がほしければ帰化せよ」「永住外国人の地方参政権は亡国の一歩」(桜井よし子)なる発言は日帝の狙いをあけすけに語ったものである。
 今この参政権問題も含めて、国籍(差別)条項との闘いが在日問題の日帝との具体的攻防の最大の火点となっている。公権力の行使を含んだあらゆる権利を求め、すべての国籍条項の完全撤廃を求める闘いは、植民地支配と強制連行の歴史に対する謝罪と賠償の要求であり、戦後の植民地主義的な入管法・外登法−入管体制を粉砕する決定的水路をなす闘いなのである。
 在日外国人は日常的な民族抑圧と差別が激化する中で、日々生きぬきかつ血を流しながら闘いぬいてきた。この中で、一九七〇年の日立就職差別裁判闘争は完全勝利をかちとった歴史的闘争であった。在日はその後、国籍条項撤廃を求めて全力で闘い続けている。
 日本の労働者人民は、ねばり強く闘う当該の人びとに学びながら職場、地域での具体的実践として支援・防衛・連帯の闘いを強化しなくてはならない。地域入管闘争の発展をねばり強く切り開いていこう。

 第4章 国際主義-「連帯し侵略を内乱へ」貫け

 四−五月入管闘争の課題をあらためて確認しよう。
 第一に、入管法・外登法−入管体制との闘いをさらに強め、粉砕することである。外国人登録証常時携帯制度廃止まで闘おう。
 第二に、「第二次出入国管理基本計画」が“現代の強制連行”であることを徹底的に暴露し、強制連行・強制労働を絶対に許さない闘いを強化することだ。
 第三に、外国人労働者支援・防衛・連帯の闘いを強化することだ。特に入管体制の実体としての入管収容所に対する闘いを強めよう。先進的取り組みを行っている人びととともに地域闘争として推進しよう。
 第四に、国籍条項完全撤廃をめぐる闘いを強化することである。
 第五に、戦争責任・戦後補償をめぐる闘いである。法的責任を回避し続けている日帝に対する〈真相究明、公式謝罪、国家賠償、責任者処罰、教科書への歴史的事実の記載、記念事業〉の六つの要求の実現のために、原則的闘いを強めていこう。
 第六に、こうした入管攻撃が、差別主義・排外主義の激しい扇動の中で加えられていることと全力で対決することである。
 この中でファシスト石原との闘いが重要である。都知事・石原は「南京大虐殺はウソだ」「不法に入国した外国人がとんでもないことをする。徹底的に取り締まれ」と排外主義をあおり、一方「北朝鮮を一撃で壊滅せよ」「中国を分裂させよ」と敵意むき出しに、朝鮮・中国侵略戦争の先兵として登場している。断じて許してはならない。
 こうした中で、〈二つの連帯戦略と一つの打倒戦略〉を掲げて、四−五月入管闘争に決起することがきわめて重要になっている。全力で闘おう。そしてこの力で沖縄サミット粉砕決戦に総決起しよう。衆院選決戦での長谷川氏の当選をかちとろう。

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週刊『前進』(1952号8面2)

 国際婦人デー集会に参加して

 ”女たちよ手をつなごう”

 介護保険反対を鮮明に

 三月十九日、飯田橋のシニアワーク東京で開かれた「二〇〇〇年国際婦人デー全国集会 女たちよ! 生きるため平和のために手をつなごう」(主催・婦人民主クラブ全国協議会)に参加しました。
 冒頭、「婦民全国協からの訴え」として、全国協代表で相模原市議の西村綾子さんが発言し、行動方針を提案しました。
 「一つめに、戦争を阻むために力を合わせましょう。沖縄サミット反対、名護新基地建設絶対反対へ、沖縄の人びととともに闘いましょう。
 二つめに、生活と権利を奪うあらゆる攻撃、介護保険絶対反対を闘いましょう。私は三井・三池CO単独裁判元原告の松尾恵虹さん、元兵庫県スモンの会会長の春本幸子さんとともに『介護保険制度に反対し、公的介護・福祉を求める女たちの会』(仮称)結成を呼びかけます。全国の女性に呼びかけ、大きな運動にしましょう。
 三つめに、衆院選です。私たちは、沖縄三区の東門美津子さんと東京八区の長谷川英憲さんを推薦します。当選のため全力を尽くしましょう」
 特別アピールとして、三里塚反対同盟婦人行動隊長の郡司とめさん、北富士忍草母の会事務局長の天野美恵さん、国労闘争団、部落解放同盟全国連婦人部の田中れい子さん、都政を革新する会から杉並区議の新城節子さんが発言しました。
 郡司さんは「戦争反対の力を、三・二六三里塚闘争に結集させて、その力をみんな沖縄に持っていきましょう」、天野さんは「北富士での米軍実弾演習と対決し、サミットの時には私も沖縄に行って闘います」、新城さんは「区議会で共産党議員は『介護保険に賛成です』と明言しました。絶対反対の闘いが必要です。長谷川必勝へともに闘いましょう」と訴えました。
 続いて関西の会員が、みごとな寸劇で介護保険のあくどさを訴え、熱烈なカンパを要請しました。
 集会のメインはパネルディスカッションでした。パネラーは、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の桑江テル子さん、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク副代表の西野瑠美子さん、大阪府高槻市のうえだ下田辺病院看護婦の高野秀子さん、弁護士の宮島尚史さんです。
 桑江さんは「憲法の民主主義と平和主義がスカスカに空洞化されて、戦争前夜そのものです。アメリカ政府は、国内紛争も軍事行動の対象とすると言っています。沖縄サミットに手をこまねいているわけにはいきません。私たちは六月に、国際女性平和サミットを開催します」と訴えました。
 西野さんは、「『日の丸・君が代』強制に抗議し着席した広島県世羅高校の卒業生からのメッセージに、『私たちは自分の意志で座りました。先生たちへの精一杯のありがとうです』とありました。平和を守るのは、大海の一滴たる私たち一人ひとりの行動です。十二月に『慰安婦』問題を裁く女性国際戦犯法廷を開催します。多くの女性の結集を」と訴えました。
 高野さんは「介護保険は今までの福祉制度をすべて解体するものです。人を殺す制度です。しかし反撃は始まっています。三月十三日に高槻で、全国初の『介護保険絶対反対!』のデモを行いました。半分以上が生まれて初めてデモに参加する人でした」と、介護保険制度を断罪しました。
 宮島さんは、「介護保険制度も、労働者に対する攻撃も、資本主義の生き残りのために弱者を抹殺していこうとするもの」と、女性労働者の権利を守り抜くために闘おうと訴えました。
 フロアからもパネラーと呼応した発言が続き、婦民新聞の沖縄読者会のメッセージも紹介されました。
 最後に、「公的介護を求める女たちの会」の初めての行動として翌日の介護保険反対の街頭宣伝が呼びかけられました。
 また集会に先立って、ワークショップが行われていました。三里塚婦人行動隊の落花生やみその販売、北富士忍草母の会の富士山の写真を大きく写した横断幕、沖縄の闘いの写真展示、「日の丸・君が代」反対の全国のビラなど、闘いの広がりを示していて、活気にあふれていました。
 ほとんどの女性団体が介護保険推進派になっている中で、「介護保険絶対反対!」を掲げる女性集会に参加することができて、とっても元気が出ました。
 介護の当事者そのものである女性が、介護保険反対の運動の先頭に立っていくことだと思います。女たちの会の運動を、全国にとどろくような運動に発展させましょう。(飯塚由香)

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