ZENSHIN 2000/06/12(No1960 p08)

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週刊『前進』(1960号1面1)

 国労7・1臨大で執行部総退陣を

 国労と国鉄闘争をめぐる情勢は、危急存亡のときを迎えている。国労中央は五月三十一日に開いた全国代表者会議で、「JRに法的責任がないことを認める」機関決定をするための臨時全国大会を七月一日に開催することを決めた。五月三十日の与党三党・社民党の「JR不採用問題の打開について」の合意を受けて、闘争団を切り捨て「ゼロ回答」を丸のみし、国鉄闘争の反動的決着を図り、国労の十三年間のすべてを権力とJR資本に売り渡す全面降伏である。断じて許せない。
 われわれは、満腔(まんこう)の怒りをもって弾劾する。国労中央の宮坂・上村らは、クーデターともいうべき手段で、自己保身と延命のために国労運動史上最悪の大裏切りにのめり込んだ。それは、日帝国家権力が千四十七人問題の反動的決着によって国労を解体する攻撃への全面降伏である。同時に、国労中央自らが闘争団を切り捨て国労を内側から変質させ、解体する道を突き進もうとしているのだ。だが、この嵐のような大反動に対して、不屈の闘争団を先頭とする国労組合員の猛反撃がまき起こっている。闘争団からは直ちに中央執行委員会決定の撤回を求める「抗議文」が発せられた。JR職場からも怒りの声が殺到している。三十日の「報告集会」では、宮坂・上村らに弾劾の嵐がたたきつけられた。
 日帝権力の攻撃と国労中央の大裏切りは、十三年余の積もりに積もった怒りの火に油を注ぎ、必ずや第二の修善寺大会(「大胆な妥協」を粉砕し、新執行部を樹立した八六年十月の臨時大会)に転化するだろう。この最大最高の決戦の中で、国労の階級的再生を実現するのだ。与党・社民党合意を粉砕し、七・一臨大での「JRに法的責任なし」の決定を阻止するために、闘争団とJR本体の組合員の総決起をかちとろう。四週間を全力で闘うことを訴える。(4面に緊急アピール

 革共同の6月アピール

 長谷川英憲候補を国会へ

 介護保険制度は直ちに廃止しよう

 「福祉は贅沢」叫ぶ石原伸晃打倒を

 民主党と日共は介護破壊の先兵

 第1章 戦争と天皇制度復活の森=石原を打倒せよ

 衆院が解散し、六月二十五日の投票日まであと三週間となった。全党、そしてすべての闘う労働者人民は、一切をあげて衆院選・東京八区(杉並区)における長谷川英憲候補の勝利=当選、自民党・石原伸晃打倒の闘いに総決起しよう。
 五・一三〜一五沖縄大行動は、沖縄の闘いの流れを大きく切り開いた。七月沖縄サミット粉砕の展望は鮮明となった。  
 さらに反戦共同行動委の五・二八全国総決起闘争が、沖縄闘争と連帯する本土における本格的なサミット粉砕闘争としてかちとられるとともに、全参加者が総選挙闘争の勝利へ全力決起を誓い合った。三大決戦を一体的に推進する闘いは確実に実を結んでいる。確信をもって衆院選勝利へ総蜂起しよう。
 天皇制(天皇制ボナパルティズム国家)の復活を唱える森発言とその開き直りによって情勢は一変している。絶対勝利をめざして総決起を訴える。
 衆院選決戦は戦後最大の政治決戦である。日本の労働者階級人民の将来を決する闘いである。また、全世界人民の注目が集まっており、その結果は世界的影響力を持つ。とりわけ都知事・ファシスト石原慎太郎の息子・石原伸晃を打倒して長谷川英憲候補の当選をめざす東京八区の選挙戦は、日本階級闘争の命運を決める決戦となった。革共同にとっても党史上最大の決戦である。
 森の開き直り記者会見を受けて、自民党の山崎拓は「天皇中心に決まっている」と言い放った。亀井静香は「『神の国』をかけて選挙をやろう」とうそぶいている。野中は「森発言を争点にする野党を許せない。景気回復と沖縄サミット成功を争点にする」と檄(げき)を飛ばしている。この反動的一大挑戦に対して、誰が「ノー」をたたきつけるのか。民主党、日本共産党にその構えはあるのか。否、否、百万回も否である。これと対決できるのはわれわれのみであり、労働者人民の進むべき道を示し、その先頭に立つ人は長谷川候補ただ一人である。
 革共同は今、勝利の可能性を有してここに存在している。当選=勝利をかちとり、労働者人民の行く手を明々と照らし出すのだ。日本革命運動、革命的共産主義運動の全蓄積、英知、能力、精神、根性を解き放つときだ。
 森の「日本は天皇中心の神の国」発言と、その「陳謝」「釈明」という形をとった撤回拒否は、選挙情勢を一変させた。これは森政権の反動的本質をストレートに表現したものである。日帝の政治危機―統治能力の喪失のあまりのすさまじさゆえに、今やその反動的かつ絶望的な突破の衝動が噴き出しているのだ。
 四月冒頭から日本の政治情勢は激しい流動の中に突入した。それは明白に政治危機の様相を示している。日本の階級的支配構造そのものがぐらりと揺れ、続いてさらに大きく揺れるという展開に突入している。
 小渕首相が死に、森政権がデッチあげられたその瞬間に、森発言が飛び出した。現職の総理大臣自らが、その全反動の核心として「日本の国がまさに天皇を中心とする神の国であるぞということを、国民のみなさんにしっかりと承知していただく」と真っ向から押し出し、それをあくまで撤回せず、居直っている。さらに、教育勅語を肯定する発言を同時に行っている。これはけっして一過性の失言ではなく、実体的に法制化されつつある攻撃の本質を公然と明らかにしたものだ。事態はあまりにも重大である。
 「首相の資格に欠ける」などという民主党、日本共産党、社民党など野党の追及は、“あまりにも露骨すぎる下手なやり方をするな”と言っているにすぎない。こんな野党だから今日の反動的衝動の噴出にまったく対決できないのだ。
 森暴言は第一に、昨年の新ガイドライン法制定による戦争国家への転換を区切りとした、沖縄・名護への新基地建設攻撃―沖縄サミット、盗聴法などの組対三法制定、国民総背番号制度導入の住基法改悪、「日の丸・君が代」法制定、石原による三軍統合の九・三治安出動演習などの大攻撃のかなめに位置している。
 第二にこれは、都知事・石原の数々のファシスト的扇動が日帝内部に存在するあらゆる反動的要素を解き放ち、旧青嵐会として石原と同じ反動的本質をもつ森がそれに呼応したものとしてある。
 はっきりさせなければならないことは石原発言、森発言の現実的意味の大きさである。その点で、闘いの方向を曇らせる最も反動的な役割を果たしているのが日本共産党である。日本共産党は石原発言に対しても森発言に対しても、「時代錯誤」だと言っている。森発言、石原発言は、時代錯誤などではまったくない。日帝支配階級が唯一の現実的政策選択として、このファシストを押し出して突撃してきているのである。一人は現職の総理大臣であり、もう一人は現職の東京都知事なのだ。
 われわれは何よりも、森が発言を撤回しないと言って公然と挑戦してきていることを重視しなければならない。今次衆院選はこれを認めるのか否かをかけた選挙になったのだ。森政権=自公(保)体制が今次総選挙で「巨大与党」として支持されたならば、日帝・森は、七月沖縄サミットをもテコにして朝鮮・中国−アジアへの侵略戦争遂行が可能な天皇制国家化をどしどし進めると宣言しているのである。これを過小評価したり、この本質を隠ぺいしたりする一切の策動を粉砕しなければならない。
 情勢は超重大で、戦後史上でも最大最高の政治決戦となった。今次衆院選で自公体制に審判を下し、長谷川候補の必勝=当選を絶対にかちとろうではないか。

 第1節 日帝の絶望的な危機

 日帝の危機の深刻さの中で、今次衆院選は歴史を分岐する大決戦である。
 森発言の根底にあるものは、日本帝国主義の戦後体制が完全に体制的危機に陥っているという厳然たる事実である。帝国主義とスターリン主義の世界体制の崩壊、帝国主義間争闘戦の激化、大恐慌のさらなる激化必至の情勢、中国情勢、中台情勢、朝鮮情勢における根本的な危機の中で、日本帝国主義は新ガイドライン反革命を突破口に朝鮮・中国―アジアと世界への新たな侵略戦争の道にのめり込みつつある。七月沖縄サミットをその強行突破の場としている。
 また、資本のリストラ攻撃の中で、大失業と賃下げをめぐる直接的な階級対立もますます激化している。さらに帝国主義の腐敗・矛盾があらゆる面で噴き出し、青少年、子どもたちが地獄の現実の中にたたき込まれ、うめき声が聞こえてくるといった状況である。帝国主義がイデオロギー的危機に陥り、のたうちまわっているのである。
 このような現実の中で日帝支配階級自身が政治的・イデオロギー的混乱に落ち込み、統治能力を失い、絶望的危機にのたうちまわっているのだ。
 こうした状況の中で、死の苦悶(くもん)にあえぐ帝国主義支配階級は、絶望的な帝国主義的排外主義、愛国主義、国家主義、国粋主義、非合理主義、神秘主義などに出口を求めていくしかない。また、そうした中では天皇制とそのイデオロギーがどんなにボロボロで腐り果てたものでも、わらをもつかむようなものとしてとりあげられていくのである。
 帝国主義の侵略戦争、それは一部の資本家の利益のためのものだ。しかし、それを担わされるのは労働者人民である。普通の労働者が、おぞましい殺りくの銃をとるのは、非合理的な「天皇=神」といったもの、また帝国主義的民族主義、排外主義に組織されたときである。
 野中・旧小渕派と森政権は、衆院選を「小渕の弔い」「景気回復と沖縄サミット」キャンペーンでなんとか労働者人民をたぶらかそうとしている。だが、日帝の政治危機の深刻さと、その反動的突破の恐るべき本質と破綻(はたん)性は、そんなものでごまかせるものではない。
 今回の森発言とそれを受け入れる公明党・創価学会の態度に示される自公体制に対する労働者人民の階級的警戒心や不信は、自民党・公明党の支持基盤をも圧倒的にぐらつかせている。この階級情勢の激変に確信をもって突き進もう。

 第2章 大胆な反ファシストの統一戦線で勝利へ

 同時にまた、この日帝の体制的危機・政治的危機の絶望性ゆえに、他方でそれは危機のファシスト的突破への人民の幻想をも発生させており、これとの対決で勝ちぬくことが勝利の分岐点になる。そして、ここに今次衆院選の決戦性があるのである。
 したがって、われわれは何よりも党の総蜂起的決起を促すとともに、森・自公体制とファシスト石原の連携した反人民的攻撃への危機感をアピールし、衆院選への人民的・階級的決起を猛然と訴え、広範な人びとの東京八区の選挙への決起を心から呼びかけるものである。
 同時に、反ファシストの柔軟で大胆な統一戦線を形成し、なんとしても勝利を開くことを訴えるものである。
 衆院選は、ファシスト石原=自民・自公、片山=民主党、山崎=共産党との党派闘争的な大激突である。この三者と長谷川候補との決戦である。勝敗は、ここで決するのである。
 (1)石原伸晃こそは、森首相や父親である石原慎太郎都知事とともに「天皇を中心とした神の国」思想を実際に企図し実行しようとしている先兵である。外に向かっての戦争挑発に加え、内に向かっての「弱者」切り捨てを、福祉は「贅沢(ぜいたく)だ。我慢すべきだ」と公然とあおりたてるファシストであり、労働者人民の闘いで絶対に落選させ惨敗させるべき自公議員の筆頭格である。
 石原伸晃は介護保険問題突破議連代表として福祉切り捨ての強行突破の先頭に立ち、政府自民党税制大綱の主筆として一律外形標準課税で中小企業と零細事業者を切り捨てる大増税の先頭に立っている。さらに森や石原都知事の天皇制思想の体現者・実行者として「教育改革」の先頭に立ち、子どもたちと若者から生きる権利と自由をとりあげ、学校を暴力と体罰と道徳教育が支配し、家庭を家父長的権威主義と虐待が支配する戦前型教育の復活をめざしている。
 また、森の五月二十六日の開き直り記者会見を唯一賛美したのは公明党・神崎だ。小沢や鳩山のペテン的「批判」はまったく噴飯ものだが、神崎の「実質的撤回に等しい」なる談話はいったい何か。自民党の野中すら「国民の理解を十分得られたとは考えていない」と言わざるを得ない中で、公明党・神崎は森を全面的に擁護したのである。
 (2)民主党=片山は「自公絶対ノー」か。まったく否だ。それどころか、自ら「民主党こそ保守本流」と公言し、有事立法・憲法改悪を自公と競い合い、リストラ・福祉切り捨てを「競争原理・市場原理」を掲げて率先推進し、大衆課税の課税最低限を引き下げる大増税を首唱している政党だ。民主党は、自公に代わって改憲・保守の首座につきたいだけだ。
8面につづく 

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週刊『前進』(1960号1面2)

 衆院選決戦の必勝へ熱烈なカンパを

 『前進』読者の皆さん、闘う仲間・友人の皆さん、労働者人民の皆さん! 総選挙が火ぶたを切り、ついに戦後最大の政治決戦の本番中の本番に突入しました。長谷川英憲候補の勝利の一点にかけて、夏期一時金カンパを心から訴えます。
 「天皇を中心とする神の国」暴言を開き直る森自公政権、排外主義デマで朝鮮人・中国人虐殺を扇動するファシスト石原都知事を、階級的・人間的怒りで打ち倒せ!
 この歴史的な政治決戦は、改憲と反福祉の民主党や、屈服と大転向の日本共産党では絶対に勝利できないことを、民衆は階級的に感じとっています。自公への深い怒りと既成野党への鋭い不信の中で、「支持政党なし」の八割の層が、今激しく動き出しています。
 総選挙決戦の最大の焦点=東京八区では、〈石原伸晃
 長谷川英憲〉の対決構造をつくりだしつつ激戦が闘われています。“介護保険廃止! 福祉と介護を取り戻せ”の住民の自主的運動の旋風が巻き起こり、六月三日には杉並公会堂を埋める結成大会に至りました。
 「老年の大志」を核とするこの運動は、まったく新しい型の闘いを切り開いています。また、労働運動の闘う新潮流を軸に、労組の統一戦線的候補として長谷川氏を推し立てる取り組みも始まっています。
 この新しい自己解放的な大衆運動と、真の労働者人民の政党を求める胎動にこそ、総選挙の勝利と二十一世紀への展望が宿っています。革共同はもてる総力を振り絞って、この新たなうねりと心をひとつにして、先頭に立って闘いぬきます。全国全人民の熱い志を資金カンパにこめて、ここに集中して、なんとしても勝利しよう!
 今次一時金カンパは、総選挙決戦を突破口に七月沖縄サミット粉砕―沖縄現地への大結集と大デモ、八月ヒロシマ・ナガサキ、九・三首都治安出動演習粉砕から十一月労働者集会へ――二〇〇〇年決戦の後半戦、六〜十一月の激闘を闘いぬくためのものです。
 森内閣は総選挙のりきりに政権の命運をかけ、有事立法・改憲に突進しようとしています。しかしそれは、大恐慌への突入と、日帝の深刻な体制的危機に規定されて、焦りに満ちたものであり、なんら勝算があるものではありません。賃下げ・大失業と福祉切り捨て、治安弾圧、沖縄圧殺と戦争政治――その非人間性と超反動性はだれにも明らかです。
 二十世紀の最後の年に日帝が振りかざすものは、歴史的に大破綻したファシズムと戦争という「いつか来た道」でしかないこと、ここに「延命し過ぎた」帝国主義の死の苦悶が刻印されています。
 二〇〇〇年決戦こそは労働者階級と革命的共産主義運動が、人民とその子どもたちの未来、二十一世紀を押し開く闘いです。偉大な決戦に、旧来を倍する資金カンパを是非お願いします。

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週刊『前進』(1960号2面1)

 サミット決戦と衆院選勝利へ熱気 5・28芝公園

 ゛全国の力で長谷川さん当選を″

 反戦共同行動委 1650人が6−11月決戦へ出陣

 東京・芝公園で五月二十八日、反戦共同行動委員会の主催で「沖縄サミット粉砕! 森自公政権−石原都知事打倒! 五・二八全国総決起集会」が開催された。森や石原の暴言に鋭く示される超反動的戦争政治の大攻撃に怒りを燃やす闘う労働者、学生、部落大衆など千六百五十人が全国から結集した。六月二十五日投票の衆院選で東京八区・杉並の長谷川英憲さんの当選を全国の闘う労働者人民の総力でかちとること、沖縄現地に数百人の派遣団を登場させ、七月沖縄サミットをズタズタに粉砕する戦闘的な大デモンストレーションを爆発させることなど、六カ月決戦に突入することを全員で確認、二〇〇〇年決戦貫徹へ、さらなる決意を固めた。

 第1章 ゛森=石原を倒せ゛の檄

 六月二十五日の衆議院選挙の投票日まで残り一カ月、七月沖縄サミットへも残り二カ月を切った。戦後日本階級闘争史を画する激動の政治決戦・階級決戦への出陣式と言える決意あふれる集会となった。
 主催者を代表して関西反戦共同行動委員会代表の入江史郎さんが「私たちが何をすべきか、はっきりしている。沖縄サミット粉砕、森・自公政権打倒だ。労働者・学生・市民の決起で必ずできる。同時に、六月の衆院選での長谷川英憲さんの当選にかかっている」と開会を宣言した。
 続いて作家の宮崎学さんが「きょうの集会には『石原やめろネットワーク』の宮崎として参加した。皆さんの闘いを見て、心強い気持ちです。『石原やめろネットワーク』は、石原慎太郎に公開質問状をたたきつけ、六月九日に大久保公園に集まり、東京都庁まで公開質問状の回答を求めてデモをします。たくさんの人の参加を」と呼びかけた。
 ウチナーフォークの草分けの一人で、「沖縄一坪反戦地主会浦添ブロック」の事務局長、「那覇軍港移設に反対する浦添市民の会」の幹事として活躍しているマヨナカシンヤさんの歌とトークが行われた。「沖縄サミットいらない」と歌った替え歌や「アカバナー」などを歌った。歌の合間には、「沖縄はいま、サミットに揺れている。政党も労組も一言も反対と言わない。これではまずい。沖縄の怒りはこんなんじゃない。私たちは五月十五日、反サミットを明確にして、集会とデモをやった。第二弾、第三弾をともにやろう。沖縄で待ってるぞー」と熱烈に呼びかけた。
 そして司会から宜保幸男さんと知花昌一さんのメッセージの紹介があった。
 沖縄行動団を代表して沖縄労組交流センターの労働者が、「九五年の少女暴行事件、ヘリ基地にノーを突きつけた名護市民投票の原点を守りぬくことが最も大切だ。サミットの会場である名護市の万国津梁館に向けて断固とした現地デモ、万国津梁館を包囲する闘いが、その大切な原点を守る闘いだ。七月二十日の嘉手納基地包囲の闘いを、二万五千人の全国の労働者人民とともに闘い、基地への怒りをたたきつけ、嘉手納基地を包囲し、解体していく闘いをやる。沖縄もいまの局面をのりこえて闘う」とアピールした。

 第1節 沖縄キャラバン参加を訴え

 「とめよう戦争への道!百万人署名運動」事務局次長の小田原紀雄さんは「百万人署名運動は、反基地運動をもう一度大きくつくり直そうということで、全国にキャラバン隊を派遣する。そのときに一人百字くらいの反戦宣言を書いてもらい、全国で集めて、キャラバンの終着点を七月二十日の沖縄にし、キャラバンの報告集会で百万語のメッセージを公に発表したいと思っています。百万人署名運動も、名護に登場して、サミットに肉薄する闘いを皆さんとともに闘います」と沖縄百万語メッセージ運動への参加を呼びかけた。
 在日台湾人元日本兵の林歳徳さんが発言に立ち、熱烈に呼びかけた。「十九歳の時『神国』日本の『聖戦』=侵略戦争・南京大虐殺に立ち会った。揚子江で数珠つなぎの中国人の死体を見た。石原はそれはウソだと言っている。石原は日本の植民地人であった台湾人・朝鮮人を『第三国人』と差別し、殺そうとしている。侵略魔天皇制日本帝国の森首相は、『日本は天皇中心の神の国』と発言した。私は、『神国日本』の歴史を強制的に教えられ、その『聖戦』の中身を南京大虐殺で見てきた。天皇制日本帝国の悪夢がよみがえってきた。帝国主義を倒すまで、皆さんと一緒に闘う。闘う日本人の代表の長谷川英憲さんを当選させよう」

 第2章 9・3演習粉砕へ決意

 三里塚芝山連合空港反対同盟は、現地で早朝の暫定滑走路粉砕の集会とデモを闘い、その足で、北原鉱治事務局長を先頭に、市東孝雄さん、三浦五郎さん、郡司とめさん、小林なつさんが集会に駆けつけた。
 北原さんが代表して「三里塚は反戦の砦として、三十五年間闘いぬいてきました。そして日本の将来を三里塚が変えていこうという政治闘争へと発展してきています。三里塚は反戦の砦としてこれからも闘い続ける。三里塚現地で七月二日、全国集会を開催する。今だからこそ、三里塚に結集することを心から訴えます」と、力強く三里塚闘争勝利の展望を語った。
 北富士忍草母の会事務局長の天野美恵さんは「私たちは五十数年間闘ってきた。『ゲリラになれ、阿修羅になれ、鎌をもて』。これが私たちの合言葉だった。今こそこの北富士のスローガンをやるときです。杉並から長谷川さんが立候補しています。長谷川さんを絶対勝たせてほしい。十一月北富士で、米軍の演習があります。ゲリラになって闘う。若い人にはまだ負けない」と訴えた。
 関西新空港反対を闘う住民を代表して東灘区住民の会の山本善偉さんが「日米安保新ガイドライン、『日の丸・君が代』法制化など、日本が戦争のできる国になっていく中で、石原や森の暴言が出てくる。若い諸君、頑張ってください。国会に長谷川さんをぜひ送りたい」と語った。
 反戦自衛官の小多基実夫さんは九月三日の自衛隊三軍の治安出動演習粉砕を訴えた。「九・三は『ビッグレスキュー・首都東京を救え』と銘打って行われる。人民を救えではない。石原は首都を何から守ると言うのか? 石原は在日朝鮮人・外国人は犯罪者である、警察では対処できないから自衛隊が鎮圧しろと言っている。自衛隊の鎮圧とは、せん滅・虐殺だ。『犯罪者、外国人を摘発しろ、せん滅しろ』。これが出動要請する都知事の口から具体的な任務として公言された。自衛隊の銃口の前に立ちふさがってでも、阻止しなければならない」

 第1節 滝口事務局長が基調を提起

 反戦共同行動委員会事務局長の滝口誠さんが基調報告を行った。「侵略戦争への道か、それとも労働者人民の未来を切り開くのか、その歴史的岐路が、この六月から九月までの四カ月の闘いにかかっている。七月沖縄サミット決戦を現地総結集闘争で大爆発させよう。六月総選挙で長谷川英憲さんの当選をかちとり、翼賛国会に風穴をあけ、森・自公政権打倒、石原都知事打倒に攻め上ろう」と提起した。
 六月二十五日の総選挙に向けて全力で闘っている長谷川英憲さんが満場の拍手と声援の中、登壇し、熱烈に総選挙勝利の決意を語った。(発言要旨別掲)
 続いて労働者の決意表明が行われた。広島から広教組の労働者と反戦被爆者の会の大槻泰生さんが登壇、大槻さんは「戦争に協力し、天皇を賛美した結果、原爆を受けました。あの時にきょうのような集会をやっていればと思っています。二度と原爆の惨禍を繰り返さないために、長谷川さんを国会に送り、森政権を打倒しよう」と訴えた。
 広教組の労働者は「日本労働者階級人民は二度と侵略の銃は取らない、この決意を闘うアジア人民に示そう。被爆五十五周年八・六ヒロシマへ全国の皆さんが総決起することを訴えます」と、八・六ヒロシマへの決起を呼びかけた。
 戦争動員と対決し闘う自治体労働者は「二度と侵略戦争の先兵にはならない、戦争国家づくりを許さない、この立場からビッグレスキューという防災訓練に名をかりた軍事演習を絶対に阻止したい。九・三を全人民の闘いにしていきたい」と九月三日の治安出動演習粉砕の決意を語った。
 乾坤一擲(けんこんいってき)の大決戦の渦中の国鉄労働者からは「闘争団を断固として守りぬき、チャレンジや革同の無条件降伏の国労解体のすべての策動を打ち破るために全力をあげる。私たちは臨時大会の策動を絶対に打ち破り、闘争団絶対防衛派として、闘争団を先頭に万余の労働者の怒りの先頭で必ず第二の修善寺大会を実現することを宣言します」と断固たる決意表明を行った。
 部落解放同盟全国連合会共闘部長の金平通雄さんは「極悪高木裁判長が下した七・八狭山再審棄却一周年糾弾の狭山中央闘争を闘います。石川一雄さんと固く連帯し、異議審闘争に勝利すべく、ともに闘って下さい」と狭山異議審闘争への決起を呼びかけた。
 全学連の大山尚行委員長が力強く最先頭で闘う決意を述べた。「すさまじい政治の激動と反動の嵐の中で全国の学生が怒りをもって闘い始めている。全学連は七月沖縄サミット粉砕へ全国学生の大派遣団を組織して、沖縄サミットの粉砕決戦を闘い抜きます。森打倒と石原打倒の衆院選決戦に勝利しよう。アジア人民、沖縄人民との連帯をかけて、長谷川英憲さんの勝利をかちとろう」
 反戦共同行動委員会代表の中野洋さんが、六月衆院選決戦から十一月労働者集会までの激動の六カ月を、もてる力をふりしぼって闘おうとまとめを提起、「二〇〇〇年の闘いの一切の成果として、十一月労働者集会を五千人結集闘争として実現しよう。戦後の階級闘争、反戦闘争のすべてを結集して闘わなければならない。少数精鋭ではだめだ。多数の大衆を決起させること、このことにすべてをかけて闘おう。十一月まで全力疾走しよう」と訴えた。
 東京反戦共同行動委員会代表の三角忠さんの行動提起の後、都民の注目の中、全学連を先頭に日比谷公園まで戦闘的デモをした。

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週刊『前進』(1960号2面2)

 ゛私はぜったい勝つ″

 長谷川英憲さん鮮明な決意

 森発言以後、選挙民の政治的な選択の度合いがどんどん進んでいくのを肌で感じます。これまで八割くらいの態度を決めていないという人たちがいましたが、そういう人が森発言に怒りを爆発させ、どの政党を選ぶのか、どの候補者を選ぶのか、態度決定をどんどん進めているということが、街頭の様子などでも非常によくわかります。
 街頭演説をしていて、長谷川が何を言うのか、どういう政治主張をするのか、真剣にみんな聞いてくれます。電車の中で私のビラを隅々まで読んで、カバンの中にしまう人も出ていると聞いています。本当に正念場が来たと強く感じながら、毎日闘っています。
 投票まで一カ月を切りました。自民党の石原伸晃候補、そして民主党、共産党の二人の候補を打倒して、この杉並・東京八区で、なんとしても当選をかちとるために全力を尽くします。
 勝利をかちとるためには、この政治情勢の中に切り込んで、私たちの政治主張を鮮明にして闘っていくことだと思います。
 森の「神の国」発言は、時代錯誤でもなければ、首相の資質にかかわるだけの発言ではありません。彼らも帝国主義の危機の中で、必死になって、労働者階級人民に攻撃を仕掛けてきているわけです。絶対にこれを認めず、自公政権打倒、そしてファシスト石原東京都知事とその息子の石原伸晃候補を打倒する。そのことを鮮明に出したい。
 石原伸晃候補は、テレビに出て、森首相の発言は撤回すべきだと言っています。しかし、石原伸晃氏自身が神道政治連盟国会議員懇談会の二百数十人の自民党の中の一員です。そういう意味では、まったく森首相と考え方は根本的に同じだし、森首相をはるかに上回る、ファシスト石原知事とまったく同じ極右的な候補者です。彼は非常にぬえ的にふるまっていますが、この本性をはっきりさせて、杉並区民の審判を問わなければならない。
 介護保険廃止の闘いが、杉並でいよいよ大きな大衆運動になりつつあります。
 「奪われようとしている介護や福祉を自分たちの手で取り戻していこう。老年よ大志を抱け。命のネットワークを杉並の隅々に」を合言葉に、高齢者は立ち上がりました。
 今の政治を根本からひっくり返す大衆運動を巻き起こしていくときだと思うんです。その先駆けが杉並で始まったと言っていいと思います。自分たちの権利を団結して守り、奪い返していくような運動こそ、人民が本当の意味で政治の主人公になっていく道なのではないでしょうか。
 この介護と福祉を要求する住民の会は、五月四日に四百三十人の集会で発足いたしました。そして六月三日、杉並公会堂で一千人の人を集めて結成大会をやろうという意気込みでとり組まれています。
 JR東労組というファシスト労組が、民主党の片山候補の労組選対の事務局長をやって、長谷川を落とそうと暗躍をしています。しかし私は、絶対に勝つ。この衆院選決戦が新しい時代を切り開く政治決戦だということの意味はここにあると思うんです。このことを最後に訴えて私の発言に代えます。

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週刊『前進』(1960号2面3)

 資本攻勢&労働日誌

 5月18日〜30日

 ●連合がILO署名を確認

 ●会社分割2法が可決・成立

 ●国労中央、ゼロ回答に屈服

 日経連奥田が危機感表明

●18日 連合が中央執行委員会で、ITF(国際運輸労連)から賛同を求められていた「国労問題ILO勧告に関する共同の呼びかけ」に署名することを確認した。JR総連が反対を表明したが、他組織からは異論は出なかった。
◇日経連の奥田会長は定時総会であいさつし、主要220社平均で1.97%となった今春闘結果について「賃上げが低いから春季労使交渉は不要などとは考えない」と、労組を屈服させる場としての春闘の意義を強調した。(別掲参照)
●17日 シャープは今年度から一般社員2万7000人を対象に、成果主義の新賃金制度を導入すると発表。個人評価によって昇給額の差が最大3倍になると同時に、部門間業績を賞与に反映させる制度。
◇労働省の発表によると、1999年の従業員5人以上の企業の残業時間は前年度比0.4%増と3年ぶりに増加に転じた。特に製造業は6.1%増と増加ぶりが目立つ。
●18日 仕事のストレスで心の病になったり自殺した人の労災申請が99年度は155件と前年度の3倍になったことが労働省の調べで明らかに。
●22日 日立製作所は、確定拠出型年金(日本版401k)を、解禁直後に導入する方針を明らかに。
◇王子製紙は、業界再編に対応するために、今後3年間でグループ人員を1900人削減することを柱とする中期計画をまとめた。
●23日 景気の回復が続く韓国では企業の賃上げが大幅になる見通しとなってきた。また、韓国統計庁が発表した4月の雇用動向によると、失業率が前月比で0.1ポイント低い4.0%で、失業者も90万人に減少したことが明らかになった。
●24日 会社分割制度を創設する商法改悪(会社分割法)と会社分割時の雇用承継ルールを定めた労働契約承継法が参院本会議で与党3党、民主、自由などの賛成により可決、成立した。
◇造船重機の石川島播磨重工業、川崎重工業、三井造船の3社は、商船を中心とする造船事業で包括提携を結ぶ検討に入ったことが明らかになった。
●26日 政府は公務員、私立学校教職員、農林漁業団体職員が加入している公的年金(共済)制度について、財政安定に向け統合策の検討を始めた。
●30日 与党・社民党がJR不採用問題について、「JRに法的責任なし」を国労が臨大で認めることを条件にした事実上の「ゼロ回答」の「解決策」を正式合意した。これを了承し、7月1日臨時大会を決めた国労中央に闘争団などから撤回を求める抗議文が相次いで出されている。
◇総務庁が発表した4月の完全失業率は、4.8%と7カ月ぶりに低下した。しかし中高年の失業率は一段と悪化し、世帯主の失業者は98万人と過去最多を記録した。
 日経連定時総会での奥田発言
■労組屈服の場としての春闘論
 賃上げが低いから春季労使交渉は不要という意見は視野の狭い考え方。春季労使交渉は、労使間のさまざまな課題や懸案事項を議論し、解決していく場として、今後とも非常に重要。
■闘う労働組合への敵意
 実力行使して要求をかちとろうという労組や労働運動に対しては、毅然たる態度で臨まなければならない。
 戦後、日経連は階級的・闘争的な労働運動と対決し、労使協調路線への転換を進めてきた。
■労働運動の世界的高揚に危機感
 最近、経済に関する重要な国際会議などの際に、各国の労働団体の抗議行動が目立つが、わが国の労使関係の安定を脅かす危険性をはらむもの。

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週刊『前進』(1960号3面1)

 アジア再侵略と天皇制復活

 「神の国」発言居直る森倒せ

 日共は「資質」問題に切り縮め改憲の民主党では森と闘えぬ

 森喜朗首相は五月二十六日に釈明記者会見を行い、「日本は天皇を中心とする神の国」発言を完全に居直り、「間違ったことを申し上げているとは思っておりません」と発言の撤回を拒否した。奇弁やペテンを繰り返しながら「日本は天皇を中心とした神の国」であると主張し続け、改憲や教育勅語を「バックボーン」とした教育基本法の改悪を行うという態度を貫いたのである。森の「神の国」発言は、石原の四・九暴言と一体のものであり、日帝の朝鮮・中国−アジア侵略戦争への動き、天皇制国家の復活と戦争国家化への大攻撃である。日本共産党や民主党が言う単なる「首相の資質」の問題では断じてないのだ。

 第1章 石原暴言と完全に連携戦争国家化狙った攻撃

 森は、記者会見で「天皇を中心とする」という部分と「神の国である」という部分に分けて説明するペテンを使ったが、「天皇が神である」ということについては一度も直接的に否定しなかった。「私の真意は、天皇が神であるということではありません」などと言いながら、「間違ったことは申し上げていない」と開き直りとおしたのである。
 森は、天皇とは「象徴天皇、国民統合の象徴である」という言い方で「象徴天皇であるから、日本の中心にある」として、「天皇が中心である」と押し通した。さらに「神の国」ということについても、「山や川や海などの自然の中に、人間を超えるものを見るという考え方があった」ことを理由に、日本は「神の国」であると押し通した。森はこの中で象徴天皇制に反対できない記者の弱みを突きながら、「日本は天皇を中心とした神の国である」と居直ったのだ。
 森はさらに、教育基本法改悪問題について、記者の質問にはなかったにもかかわらず、二度にわたって教育勅語を持ち出した。教育基本法を変えるにあたり、「かつての、戦前から、戦後から、そういう日本の国の教育の一つのバックボーンになっていたものを、改めて、よくそのことも踏まえて議論したらいいのではないでしょうか」と、教育勅語に基づき教育基本法を改定しろと主張した。
 改憲についても、「私は改憲論者だとは実は思っておりません」などと言いながら、実際には改憲を主張した。「改正論もあるし、創憲論もありますし、見直し論、いろいろある」「憲法をやっぱり見直したり、憲法を正しく考えていきたい」「いい憲法をみんなで考えていくというそういう国会の今回のこの(憲法)調査会ができたことを私は大変喜んでいる」と改憲を主張したのである。
 森の「天皇中心の神の国」発言は、民主党や日共が言うように絶対に時代錯誤などではなく、日帝が絶望的な体制的危機の中で、戦争国家化と侵略戦争に、今現に突き進みつつあることの現れである。
 今、戦後世界体制は音を立てて崩壊しようとしている。ソ連スターリン主義が崩壊し、帝国主義の基本矛盾が全面的に爆発する時代が到来した。帝国主義世界経済の統一性は崩壊し、分裂・抗争、ブロック化と大恐慌の時代に突入している。その中で、帝国主義によって収奪され抑圧されてきた新植民地主義体制諸国で、反帝国主義・民族解放の決起が激発する情勢が訪れている。
 この情勢の中で、帝国主義間矛盾が軍事的緊張を含んだ形で激化し、その最大のものとして日米争闘戦が激しく進んでいる。それが朝鮮・中国―アジア侵略戦争を歴史的に切迫させている中で、日帝の政治的・経済的・体制的危機が激しく進行しているのである。
 日帝は、帝国主義として生き残り、争闘戦に勝ち抜くために、戦争のできる帝国主義として登場する以外にないところに立たされている。そのために日帝は、新ガイドライン体制の構築を進めるとともに、それがいかにボロボロで腐りきったものであったとしても、天皇制・天皇制イデオロギーにすがりつき、それに訴えて戦争国家体制への大転換を強行しようとしているのだ。
 森は、「日本は天皇中心の神の国」であるとして、アジア諸国への侵略戦争を「聖戦」として押し出し、労働者人民に「命は神=天皇からいただいたものである」として天皇のための死を強制しようとしているのである。天皇制イデオロギーを前面に押し出しながら、戦後的なあり方を根本から転換しようとしているのだ。

 第1節 少年事件の根底に体制危機

 森は、少年事件の続発に対して「命の大切さ」を説くものとしてこの発言を行ったかのように釈明したが、それは完全にウソである。「天皇=神」を教育の場で強制すること自身が、労働者民衆に死を強制するものなのだ。天皇制・天皇制イデオロギーのもとで幾千万のアジア人民や沖縄人民、日本人民が殺されていったのだ。
 そもそも、今日の少年事件の続発は、資本主義・帝国主義が完全に行きづまり、少年に対して何の未来展望も示すことができず、少年は疎外され、労働者民衆に犠牲が強制されている中で起こっていることなのである。少年たちは、学校での能力主義・差別選別教育と管理教育によって切り捨てられ、抑圧され、主体性を抹殺されてきた。自分の親たちも首切り・リストラで極度の生活不安にさらされており、自分たち自身もまた就職できない資本主義の末期状態の中で、少年たちが現在の社会に明るい展望を見いだしえなくなっていることに、問題の核心がある。
 だからこそ、帝国主義打倒・プロレタリア世界革命の展望で少年たちを獲得することが求められているのである。
 帝国主義の絶望的危機の中で、日帝・森政権は、日帝の体制的危機と労働者民衆の怒りの爆発を、天皇制・天皇制イデオロギーで排外主義的に組織し、朝鮮・中国―アジア侵略戦争へと転化しようとしている。森発言を、時代錯誤や「資質」の問題などに歪曲し、切り縮めてはならないのだ。
 労働者民衆の怒りの闘いで、森を絶対に引きずり下ろさなければならない。
石原父子は戦争挑発と福祉切り捨ての急先鋒

 第2章 石原父子は戦争挑発と福祉切り捨ての急先鋒

 この森と完全に連携して戦争国家体制構築、朝鮮・中国―アジア侵略戦争への突進を策動しているのが都知事・ファシスト石原だ。
 石原の「三国人」という差別暴言は、民衆を排外主義的に組織し、九・三治安出動演習を強行することで自衛隊を国軍として首都のど真ん中に登場させ、戦争国家体制を構築しようとするものだ。石原は、「北朝鮮壊滅」「中国を分裂させる」などと言い放ち、「ガイドラインに一番協力している首長は自分だ」「羽田でも何でも貸す」と公言しつつ、中国と朝鮮への侵略戦争を挑発している。
 息子の石原伸晃は、「父とともに東京から日本を変える」と、戦争国家体制構築の先兵となっている。伸晃は外形標準課税を自民党の最先頭で推進し、赤字の中小企業・商店からも税金を搾り取ろうとたくらんでいる。介護保険突破議員連盟の世話人として、介護保険を強行した張本人でもある。「福祉はぜい沢だ」「何から何まで国が面倒を見ることはできない」「我慢すべきところは我慢しろ」などと公言し、「自己責任原則に基づく自助努力が必要」と福祉切り捨ての急先鋒になっているのだ。
 福祉切り捨てと大増税、侵略と戦争への道を阻むために、衆院選で石原伸晃をたたき落とさなければならない。
大衆運動圧殺する日共勝利開くのは長谷川氏

 第3章 大衆運動圧殺する日共勝利開くのは長谷川氏

 こうした情勢の中で、衆院選で民主党や日本共産党が議席を増やしてもまったくだめだ。労働者民衆にはなんの利益にもならない。
 民主党は、党首の鳩山が公然と有事立法と改憲を主張している政党だ。憲法で戦力の保持を明確にし、戦争ができるようにしろと要求している政党なのだ。いったい、森を批判する資格などあるのか。
 民主党の最大の支持基盤である連合も、昨年の新政治方針で、日帝が生き延びる道はアジア侵略だと公然と主張し、改憲を完全に容認した。
 民主党は、その選挙政策で介護保険制度の強力な推進を唱えている。福祉・介護の切り捨てを自民党以上に主張している反人民的政党だ。また労働者の雇用についても「労働移動を促進」と称して首切り・リストラを積極的に進めようとしている。「パートタイマーやフリーター、人材派遣事業の拡大」を叫び、雇用形態をより不安定化させ、日帝経済危機の犠牲を労働者に転嫁して、資本の生き残りを図ることを主張している政党だ。
 戦争のできる帝国主義への飛躍のために、「財政再建」「財政基盤の確立」を最優先し、福祉を切り捨て、大増税を強行し、一切の犠牲を労働者民衆に押し付けようとしているのだ。
 JR総連=カクマルが連合労組選対事務局長を握る東京八区における民主党候補の片山も、課税最低限の引き下げを唱えている。収入が少なく、現在非課税となっている人からも税金を搾り取れということだ。戦争財源の確保のために、とことん労働者民衆から収奪しようというのである。
 この民主党と連立政権を組もうと画策している日本共産党は、労働者民衆の味方では断じてない。
 日本共産党は、周辺事態法=戦争法と本気で闘わず、「日の丸・君が代」の法制化を要求し、石原を賛美している。日本共産党への支持は、日帝の侵略と戦争の道を掃き清めるものである。彼らは、自分たちが議席を伸ばし政権に入れば一切の問題が解決するかのようなデマを振りまいている。それは、労働者民衆の大衆的決起、大衆運動など無価値だと言っているのと同じだ。今や共産党は、介護や福祉を要求して立ち上がった高齢者を始めとする労働者民衆の闘いを抑圧し解体し、介護保険を「国民的大事業」と絶賛して推進する最先兵なのである。
 森・石原の戦争国家体制構築、朝鮮・中国―アジア侵略戦争政策と闘えるのは長谷川英憲氏だけだ。

 第1節 闘う国会議員が今こそ必要

 杉並では、介護と福祉を要求し、介護保険の廃止を求める住民の運動が大衆的にまき起こっている。この闘いを支え、ともに運動の発展を切り開いてきた長谷川英憲氏の闘いこそ、森・自公政権をうち破る真の力を持っている。
 労働者・住民の下からの大衆運動、いのちの要求と結びついているからこそ、たった一人でも森・自公政権を震撼(しんかん)させ、追いつめることができるのだ。今求められているのは、民主党や日本共産党ではなく、長谷川英憲氏のような政治家だ。労働者民衆の立場に立ち、労働者民衆の運動と結びついて闘う政治家なのだ。
 介護保険廃止の住民運動を大爆発させ、長谷川英憲氏を国会に送ろう。

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週刊『前進』(1960号3面2)

 福祉を切り捨て大増税

 介護保険は廃止せよ (6)

 他政党への批判

 「福祉はぜい沢だから我慢せよ」と叫ぶ伸晃

 介護保険は大増税であると同時に、高齢者のいのちを奪う制度である。今年二月、東京・稲城市の老人保健施設に入所していた七十二歳の男性が、「介護保険が始まると施設を出なければならない」と思い悩み、自ら命を絶っていた事実が明らかになった(五月二十六日付東京新聞)。三月にも、鹿児島県で九十代の女性が「介護保険が始まるとサービスの回数が減り、家族に迷惑がかかる」として、自殺に追い込まれている。介護保険は絶対に廃止させなければならない。

 第1節  日共は推進派

 このような現実を生み出した責任は介護保険を強行した自公政権にある。と同時に、この攻撃に屈服し、自ら介護保険を推進してきた連合や民主党、日本共産党などの野党にもある。
 石原伸晃は、自民党の介護保険突破議員連盟世話人として、福祉解体の最先頭に立ってきた人物だ。伸晃は、選挙向けリーフレットで福祉や介護について「何から何まで国が面倒をみれば、現役世代の負担は莫大(ばくだい)です。国は必要最小限をまかない、残りは個人と地域の協力で」「甘い考えをしないで現実を直視」「贅沢(ぜいたく)をしているだけ」「我慢すべきところは我慢し」などと平然と言っている。
 父親の石原慎太郎が、都の福祉予算を無慈悲に削り取っているのと同じように、国ももっと徹底的に福祉切り捨てをやるべきだと露骨に主張しているのだ。
 こうした石原伸晃らの反動的突出を許しているのが日本共産党の裏切りだ。
 彼らは、介護保険が労働者人民に何をもたらすかを十分にわかっていながら、それを阻止する闘いを放棄した。今や日共は、高齢者を先頭とした介護保険反対の闘いを全力で抑圧する先兵の役割を果たしている。
 四月十一日の衆院本会議代表質問で、不破日共委員長は「多くの期待と希望をになって、せっかく実施にいたった介護保険制度」「国政にたずさわるものには、これが……老後をささえるしっかりした制度の一つとなるように、……改善の真剣な努力をつくす義務がある」「国民的な事業」などと言い放った。自公政権と一体となって、介護保険を賛美し、推進する立場を表明したのである。
 介護保険に対する労働者人民の怒りが高まる中で、彼らは今、@低所得者について利用料を三%に引き下げる、A十月からの保険料徴収の再検討、を掲げて「緊急署名運動」なるものを急きょ開始した。だがそれは、労働者人民の怒りをなだめ、日共のもとに囲い込むことだけを目的としたペテンにすぎない。
 そもそも、この「要求」自体、利用料の「軽減」と保険料徴収の「再検討」でしかない。徴収そのものには賛成なのだ。さらに、「緊急署名」などと言いながら、介護を必要とする人びとにとってきわめて切迫した要求である介護認定制度の廃止や利用限度額の撤廃は、問題にもしない。日共は、介護保険制度の根幹にはなんら抵触しない範囲で「要求」を出して、「左翼」のポーズをとりたいだけなのだ。
 彼らのスローガンはなんと「介護保険制度の充実を」というものだ。“介護保険制度は本来はよい制度”“少し手直しが必要なだけ”というのが日共の基本的な立場である。介護保険を定着させ、完成させるために全力をあげますと、支配階級にアピールしているのだ。
 今や日共は、「保険料を徴収されれば介護保険を利用しようという意識も生まれる」などと平然と言い始めている。これは「契約だから介護サービスを気兼ねなく利用できる」という厚生省や介護保険推進派の論理とまったく同じだ。
 だが、実際には高額の利用料の重圧で、高齢者の介護サービスを「利用しようとする意識」さえ押しつぶされているのが現実ではないか。介護保険で、これまでどおりの介護を受けられなくなった高齢者は膨大にいる。日共がその事実を知らないはずがない。
 政府は、福祉・介護に対する財政支出を大幅に削減し、介護に対する国家の責任を放棄して、介護を民間営利業者に投げ渡すために、保険ならざる介護保険制度をひねり出した。介護保険を貫くこの反動的なもくろみを、日共は根底において容認している。
 日帝・厚生省は、介護保険を「社会福祉基礎構造改革」の突破口に位置づけ、年金や医療保険制度を始め、一切の社会福祉制度の改悪へと突き進もうとしている。ところが日共は、これと対決する立場も方針もあらかじめ投げ捨てているのである。彼らには、権利としての介護と福祉を守り抜く立場は一切ない。
 こんな日共に、労働者人民のいのちの要求を託せないことは明白だ。

 第2節  民主は反福祉

 民主党は介護保険強行の急先鋒である。民主党前代表の菅直人は、厚相として介護保険を構想段階から推進してきた人物だ。
 介護保険の強行実施を前に、小渕政権が人民の怒りを恐れて、六十五歳以上の第一号被保険者の保険料徴収「凍結」などの措置を打ち出した時も、民主党は「バラマキ福祉反対」などと唱えて、当初案どおりの実施を要求した。「人民の怒りに動揺するな」と小渕政権を反動的に突き上げたのである。
 今日、民主党代表の鳩山由起夫は、「国民に犠牲を求める政策を公約できるのが責任政党」などと言いなし、自公以上の突出性で福祉解体を押し貫こうとしている。介護保険が高齢者のいのちを奪いつつある時に、民主党は「多少の混乱は乗り越えられる」などと居直り、「家族介護から社会的介護へ」だの「お仕着せ福祉から自ら選び選択する権利を持つ福祉へ」だのという空叫びを続けている。だが、そんなデマゴギーは介護保険実施後の現実によって粉砕されている。
 民主党は、自民党以上に福祉の解体を綱領的立場とする政党だ。民主党の「政権政策の基本理念」には、「依存心を増長し、個人の尊厳と自立した人格の破壊に通じる福祉国家至上主義にはくみしない」などとあからさまに書かれている。かつて日帝が福祉を最優先課題としたことなど一度もない。だが、民主党は福祉に対するわずかな財政支出さえ「福祉国家至上主義」などと罵倒(ばとう)するのである。
 この民主党が、労働者人民の支持すべき政党ではないこともまた、明らかだ。

 第3節  福祉の長谷川

 今、杉並を先頭に全国で、介護保険の廃止を求める闘いが大きく広がっている。これをさらに発展させ、要求を真に実現するためには、介護保険絶対反対を掲げて闘う議員を国会に送り出すことが必要だ。東京八区(杉並)の長谷川英憲氏こそ、それを実現できる労働者人民の真の代表である。自民党・石原伸晃や共産党、民主党をたたき落とし、衆院選決戦に絶対勝利しよう。 (穂積敦志)
 〔おわり〕

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週刊『前進』(1960号3面3)

 会社分割2法を弾劾する

 成立に積極的加担した連合と民主党に断を

 五月二十四日、参院本会議で会社分割のための商法改悪と、労働契約承継法が成立した。これは、金融再生法、産業再生法、民事再生法などの一連の企業再編法制を完成させ、首切り・リストラをさらに徹底的に推し進める一大攻撃だ。会社分割二法の成立を徹底的に弾劾する。

 第1章 階級的団結の破壊狙う攻撃

 今日、勧銀、興銀、富士銀の統合を始めとする巨大金融資本の再編・統合への動きが進む一方、大資本はバブル期に設立した数多くの赤字子会社を次々と閉鎖・清算しつつある。ますます深刻化する経済危機と帝国主義間争闘戦の激化の中で、資本は合併や分社化、営業譲渡、企業閉鎖をめまぐるしく繰り返しながら、不採算部門を切り捨て、労働者を解雇して生き残ろうとあがいている。
 今春闘で資本は、「総額人件費削減」を唱え、戦後かつてない賃金切り下げと春闘解体、社会保障制度解体の攻撃に踏み切った。
 会社分割二法の成立は、この攻撃に一層の拍車をかけるものである。資本は、企業再編をとおして首切りと賃下げを強行し、労働者を一層激しい競争にたたき込み、これまでの企業のあり方をもつくりかえながら、戦後的な労資関係総体の転覆へと突き進んでいる。その核心にあるものこそ、企業組織の解体・再編をもテコとした労働者の団結破壊である。国鉄分割・民営化型の攻撃が、全産業でさらに激しく貫徹されようとしているのだ。
 今、日帝は会社分割法制を強行突破する一方で、国労中央を屈服させ、国労を解体するために全力をあげている。国鉄闘争を根絶して初めて、一連の企業再編法制に反動的な魂が入るからである。だが、そこには日帝が労働者の団結をいかに恐れているかが、はっきりと示されている。
 国労解体攻撃を粉砕し、JR総連を打倒して、国鉄闘争を先頭に一大資本攻勢に反撃しなければならない。会社分割二法の職場への貫徹を許さず、階級的団結を固めて闘い抜こう。

 第2章 ペテン的修正で成立を促進

 この法律の本質は、“労働者は分割会社への転籍を拒否できない”としたことにある。転籍拒否権をはく奪し、分社化攻撃への労働者の反撃をあらかじめ封殺しようと狙っているのだ。
 ここに貫かれているのは、労働組合の存在を徹底して無視し、その解体を強行するという日帝の方針である。労組を交渉の相手とさえ認めず、その団結の基盤である職場を丸ごと解体していくということだ。労働者階級にとって、こんな法律は絶対認められない。
 会社分割二法の成立に道を開いたのは、連合と民主党の裏切りだ。
 小渕のダウンと森政権の絶望的混迷、衆院解散の切迫という情勢の中で、会社分割二法案を廃案に追い込める可能性は十分に開けていた。ところが民主党と連合は、「廃案になっては三行統合を始めとする企業再編が進まない」というブルジョアジーの恫喝に屈し、法案成立に積極的に手を貸した。彼らは、衆院段階では自公政権との修正協議に明け暮れた。そして、衆院で法案修正と付帯決議が行われたことを口実に、参院段階では議会内での交渉さえ一切放棄したのである。
 だが、自公保三党と民主党、自由党が共同提案した修正案なるものは、法律の内容を何ひとつ変えるものではない。
 労働契約承継法案の修正点は、「分割にあたり労働者の理解と協力を得るよう努めるものとする」という一文が加えられたことだけだ。商法改悪案の修正も、会社分割に先立つ労働者との「事前協議」(同意は必要ない!)が定められたこと、分割会社に引き継がれる権利義務の中に雇用契約が明示されたこと、の二点にすぎない。しかも自公は、商法改悪案の修正に際して、連合が求めた「労組との事前協議」という表現をかたくなに拒否し、連合型の労組さえ認めないという姿勢を示したのだ。
 こんな修正で、どうして「労働者保護法制整備の手がかりを得た」(連合の談話)などと言えるのか。
 衆院付帯決議も、労働者の権利を守るものではまったくない。付帯決議の内容は、「合併・営業譲渡をはじめ企業組織の再編に伴う労働者の保護に関する諸問題については、学識経験者を中心とする検討の場を設け、速やかに結論を得た後、立法上の措置を含めてその対応のあり方について十分に検討を深めること」などというものだ。
 これは、「営業譲渡の場合は全員の転籍を企業に義務づけるべきだ」などとする連合の主張を自公政権が全面的に拒否し、民主党もその立場で一致したことを示している。
 実際、この付帯決議について労働省は、「今でも労働者保護は十分すぎる」「営業譲渡で全員転籍を認めれば、企業は過剰な人員を抱え込みかねない」などと言っている。要するに、「学識経験者を中心とする検討の場」で、「新たな立法の必要性はない」という結論を出せば、それで終わりということなのだ。
 また、付帯決議には「解雇をめぐる個別の紛争が生じた場合においてその迅速な解決を促進するための制度の整備を図る」という一文が入っている。これは、労働委員会制度解体のために日経連、連合、労働省が一体となって進めている「個別労使紛争処理制度」に道を開くものである。
 民主党は、これらの修正がなされたことを理由に、議員立法として国会提出していた「企業組織の再編における労働者の保護に関する法律案」を早々に取り下げた。
 そもそも、階級的団結を自ら破壊し労働者の闘いを抑圧しながら、「労働者保護法の制定を」などと唱えてきた連合の方針自体が許しがたい裏切りだったのだ。連合と民主党は、その「労働者保護法の制定」要求さえ、中途で投げ出したのである。
 今こそ、連合による労働者支配を粉砕せよ。国鉄闘争に絶対勝利し、階級的労働運動の新潮流の一層の発展をかちとろう。

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週刊『前進』(1960号4面1)

 闘争団切り捨ての「与党・社民合意」粉砕を

 「JRに法的責任なし」=「ゼロ回答」認める機関決定を絶対に阻止せよ

 7・1臨大 国労3万の総決起かちとれ

 第1章 敵の大攻撃に全面降伏して国労を売り渡す宮坂・上村ら

 七・一国労臨大での「JRの法的責任なし」を認める機関決定を阻止するために、五月三十日の与党三党・社民党合意文書「JR不採用問題の打開について」(全文別掲)を徹底的に弾劾しなければならない。
 これは、前日の二十九日に、社民党が国労中央に提示し、宮坂書記長や上村副委員長らが高橋委員長の反対を押し切って、国労中央執行委員会の名をもって了承したものである。これを受けて、三十日に与党三党と社民党が国会内で会談し、正式に合意した。
 そして、三十一日に各エリア本部の委員長・書記長、全国の地方本部の代表、北海道・九州の各地区本部代表からなる全国代表者会議において、反対意見が噴出する中で七・一臨大の決定を強行したのだ。
 この五・三〇合意は、まさに国労の無条件全面降伏を迫る、断じて許しがたい内容である。日帝国家権力は、社民党を先兵にして国労解体攻撃に決定的に踏み込んだのだ。これを了承した国労中央は、まさに白旗を掲げて敵国家権力に投降したのである。

 第1節 即日、撤回求め抗議文上がる

 この五・三〇合意の中身が三十日の朝刊で報じられると、直ちに闘争団から次のような抗議文が国労中央に寄せられた。
 「この内容で交渉に入るならば地元JR復帰はほとんどゼロ回答に等しいものしかない」
 「国鉄闘争の『解決案』撤回! 国労中央執行委員会の『全面屈服』路線に強く抗議し、撤回を求めます」
 まさに、五・三〇合意は、「ゼロ回答」であり「全面屈服」以外の何ものでもない。
 まず合意の1で言うように、「人道的観点から」の「解決のため努力する」、その「枠組み」を確認したというにすぎない。
 続く2の部分に、五・三〇合意の最大の問題点がある。それは「JRに法的責任がないことを認める」ことを「国労全国大会(臨時)において決定する」ことが一切の前提条件になっていることだ。
 そして3で、この「国労の全国大会における決定を受けて」、「雇用」「訴訟取り下げ」「和解金」の三項目について「実施する」というのである。
 その「手順」なるものは、(1)「雇用」について、与党がJR各社に国労の各エリア本部との話し合いを要請し、(2)社民党から国労に訴訟取り下げを求め、(3)「和解金」については、与党と社民党が、その「位置づけ」などを検討する――というものだ。
 また、最後に4で、与党と社民党が「協力」することを確認している。
 以上の五・三〇合意の核心は、国労が「JRに法的責任がない」ことを臨時全国大会で決定することであり、断じて許されないということである。
 「JRに法的責任がない」とは何を意味するのかはあまりにも明らかである。それは五・二八反動判決にひれ伏すことをあらためて強要し、ILO勧告を完全に葬り去り、不当労働行為の責任を一切問わないということだ。国家的不当労働行為を全面的に容認するということなのだ。
 この十三年余の闘争団を先頭とする国労組合員の苦闘、生活と生きざまのすべてを踏みにじるものだ。この一点で五・三〇合意は拒否されなければならない。
 しかも、「雇用」や「和解金」について、何の具体案も示されていないばかりか、この臨大決定がなければ、何も前に進めないというものなのだ。
 だが、「JRに法的責任がない」ことを認めれば、政府もJRも、「雇用」と「和解金」について何も出す必要がないのだ。「雇用」については、JRに話し合いを要請しても、責任がないとなればJRは応ずる義務もない。「和解金」も、その前提として訴訟も取り下げるのだから、昨年六月の「運輸省メモ」で言われていた「裁判上の金銭和解」も成立しない。要するに、「JRに法的責任なし」を核心とする五・三〇合意は、「運輸省メモ」以下の事実上の「ゼロ回答」なのだ。
 しかもこれは、千四十七人問題の反動的決着をつけるだけではない。日帝は、昨年の三・一八臨大での「改革法承認」にもかかわらず、国労の闘いをつぶすことはできなかった。だから、あらためて「JRに法的責任なし」のハードルを設け、ここを越えさせることで、国労が一切闘わない組合に変質することを狙っているのだ。過去の首切り責任を問わないだけではなく、現在と未来の不当労働行為とも闘わない、全面転向を求めているのだ。そして、一挙に国労を解体しようということなのだ。

 第2章 闘争団守れ! JR職場から抗議・弾劾の嵐まき起こそう

 こんなものは天地がひっくり返っても断じて認められない。この五・三〇合意を断固撤回させ、七・一臨大での「JRに法的責任なし」の決定を絶対に阻止しなければならない。闘争団と国労三万全体の存亡をかけ、未来を切り開くために総決起すべき時なのだ。
 このような攻撃に日帝国家権力が踏み込んできたのは、断じて彼らの強さではない。
 敵は十三年余の闘争団を先頭とする国労の闘いに追いつめられている。さらに、大失業時代の一大資本攻勢に対して国鉄闘争が反撃の軸となって発展することを恐れている。だから、宮坂・チャレンジ一派を使って国労を内側から解体することに全力を挙げてきたが、これを貫徹することができなかった。
 さらに、JR総連=カクマルを先兵にして国労を解体することにも失敗した。
 そして今、日帝は、JR資本とJR総連=カクマルの結託体制の転換に踏み込み、JR東の大塚新体制を発足させ、国家権力と資本による直接の国労解体攻撃に踏み込んできたのだ。
 だが、それは何か成算があってのことではない。
 日帝・森自公政権は、発足直後からすさまじい危機に陥っている。六月二十五日の総選挙に向けて森政権の支持率は急落し、政権そのものが吹き飛びかねない情勢にある。総選挙で社民党が消滅に向かうだけでなく、自民党もガタガタになるような情勢だ。敵にはまったく余裕がない。ここから絶望的なかけに打って出てきたのが、五・三〇合意なのだ。
 したがって、何よりも敵権力が恐れる国労組合員の総反乱をたたきつけ、闘争団を守りぬき、国労の階級的再生をかちとるならば、この凶暴な攻撃を打ち破って勝利の展望を切り開くことができるのだ。
 ところが国労中央は、敵権力に全面降伏し、闘争団と国労三万を敵に売り渡そうというのだ。現執行部は昨年三・一八臨大での「改革法承認」強行、今年一・二八中央委での「年度末解決」路線など裏切りに次ぐ裏切りを重ねつつも破産し、「自社協議」によるILO総会前の決着も行きづまり、追いつめられた。
 こうして、自己保身と延命のために、国労運動史上最悪の、日本労働運動に対する最悪の大裏切りに踏み込んだのだ。
 こうした裏切りが明らかになる中で、国労中央は、許しがたいウソとペテンで居直っている。
 「JR労使紛争の早期解決をめざす国鉄闘争報告五・三〇総決起集会」で、宮坂書記長が、この間の動向を報告した。
 宮坂は、五・三〇合意で「JRの法的責任なし」を臨大で決定することが「解決の枠組み」なるものの前提であることが明々白々であるのに、それはマスコミ報道の誤りであるかのように言いなした。そして、五・三〇合意を確認した会談が「本会談」であるとして、それを受けて「直ちにJRへの採用、和解金の論議に入っていく」などと、まったくのウソを言っているのだ。その上で、再び「本会談」があると言うのだが、いったい誰とどのような「本会談」を行うというのか。総選挙で自民党が大敗し、社民党が消滅して、どのような「本会談」が成り立つのか。
 こんな大ウソをもって、翌日の全国代表者会議で臨大決定を強行したのだ。なんと卑劣なことか。
 さらに、特に断罪しなければならないのは、革同上村一派の大裏切りである。

 第1節 革同上村一派の反動許すな

 上村副委員長は「解決の道は自社協議しかない。伊藤(社民党)副党首が引退すればチャンスを失う」と、宮坂・チャレンジ一派以上に露骨に「総選挙前決着」を主張し、反動的決着策動を暴いて闘う組合員を「妨害者」呼ばわりした。スターリン主義的反動そのものだ。さらに、「五月二十九日に野中自民党幹事長と社民党との昼食会が開かれる」というデマ情報を流した(実際には、野中は中国を訪問した)。臨大がこのようなデマとウソによって強行されることをどうして認めることができるか。
 七・一臨大に向かって、文字どおりの国労三万の総決起に向かって闘おう。
 第一に、「撤回」を訴えて決起している闘争団を防衛しぬこう。六月十日には、国労本部三役らが北海道・九州・本州の三ブロックの闘争団会議にのり込んで「状況報告」を行う。ここで闘争団を先頭とする怒りをたたきつけよう。
 第二に、JR職場からの総決起をつくり出そう。全国の分会・支部・地本から抗議・弾劾を集中しよう。
 第三に、七・一臨大を本部執行部総退陣の場としてかちとろう。臨大会場を埋め尽くし、“第二の修善寺大会”にしよう。


●5・30与党・社民党合意文書−−− JR不採用問題の打開について

1.いわゆるJR不採用問題について、人道的観点から、自由民主党、公明党、保守党及び社会民主党は、以下の枠組みで、本問題のすみやかな解決のため努力することを確認する。
2.国労が、JRに法的責任がないことを認める。
 国労全国大会(臨時)において決定する。
3.国労の全国大会における決定を受けて、「雇用」「訴訟取り下げ」「和解金」の3項目について、以下の手順で実施する。
 (1) 与党からJR各社に対し、国労の各エリア本部等との話し合いを開始し、人道的観点から国労組合員の雇用の場の確保等を検討してほしい旨の要請を行う。
 (2) 社民党から国労に対し、少なくともJR発足時における国鉄改革関連の訴訟について、2.の機関決定後速やかに取り下げるよう求める。
 (3) 与党と社民党の間で、和解金の位置づけ、額、支払手法等について検討を行う。
4.与党及び社民党は、上記方針に基づき、本問題の解決に向け、お互いに協力していくものとする。

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週刊『前進』(1960号4面2)

 全逓・高見闘争の勝利へ

 現場労働者の力で最高裁闘争の勝利と職場復帰を

 兵庫・芦屋郵便局 高見元博さんの戦闘宣言

 「精神障害者」差別によって分限免職にされた兵庫・芦屋郵便局の高見元博さんに対して、三月二十二日、大阪高裁は神戸地裁の「処分取り消し」判決を覆す反動判決を下した。高見さんはただちに最高裁に上告するとともに、職場復帰に向けて不屈に闘い抜くことを宣言している。これにこたえ、高見闘争の勝利と郵政民営化阻止、連合全逓中央打倒へ、七月全逓大会に向けて闘おう。以下、高見さんの「戦闘宣言」を抜粋して紹介します。(編集局)

 第1章 大阪高裁吉川の差別判決許せぬ

 私は一九九一年に、「精神病者」であることは郵政職員として不適格である、向いていないという、差別主義まるだしの理由で首をきられました。一九九九年二月二十五日、神戸地裁で、「精神病者」の人権擁護の立場からこの首切りは取り消さねばならないという、当然といえば当然の判決をかちとりました。
 三月二十二日、私たちは誰しもが勝利を確信して大阪高裁判決を迎えました。事実調べも一切なく、神戸地裁判決が覆るいかなる理由もなかったからです。
 しかし、大阪高裁吉川は処分を追認するためだけの反動差別判決を下しました。いわく「精神病者」に障害者雇用促進法は適用されない。能率のわるい「障害者」の首を切るのは当然であると。しかも一切の事実調べをしていないのに、事実認定を逆転するという不当でたらめきわまることをしているのです。
 大阪高裁吉川判決の特徴は、神戸地裁判決で勝利したまさにそのポイントについて一言も触れることができないということです。
 神戸地裁判決は、主治医以外の医者への受診命令が、「精神病者」にとって強制入院の恐れがあったことを認定し、受診命令拒否に正当な理由があるとしたのです。高裁吉川が逆転判決を書くというなら、この点がまちがっていると書かないといけないはずです。ところが一言の言及もないのです。強制入院の恐れはないとは書いてないわけです。それでいて受診命令拒否に正当な理由がないと言う。はっきり言って神戸地裁判決を覆すことができなかったということです。
 結論は首切りを容認しなければならないということだけがあり、理由がつけられてないという判決です。なんの説得力もなく、ただ首切りは正しいとだけ書かれているのです。論理性も何も一切なく、「精神病者」を排除しなければならないから差別するということなのです。
 当局は、「『障害者』の人権擁護、福祉の増進という義務は郵政省にはない」と言って控訴したわけですが、大阪高裁吉川の言いたいことはまさにそこにあるのです。

 第2章 「障害者」の権利否定する民営化

 これはどういうことか。まさに、これが郵政民営化ということです。
 資本の利益と利潤追求こそすべてで、「公務能率」に至上の価値があるというものです。資本の利潤追求の妨げになる「障害者」を雇用する義務は企業になく、障害者雇用促進法や憲法よりも利潤追求のほうが価値があるというものです。憲法に定められた平等権も労働する権利も、「障害者」には適用されないというのです。「障害者」の生存権、平等権、労働する権利を定めた憲法よりも、弱肉強食の資本の原理が優先するということです。
 労働者の地域社会、職場で「障害者」とともに生きるというあたりまえの感覚があります。憲法はそういう労働者のあたりまえの感覚を法的に表現したものです。この労働者のあたりまえの感覚を破壊することこそ郵政民営化ということです。
 大阪高裁判決は、そういう郵政民営化の妨げになる神戸地裁判決を消し去りたいという一点から書かれています。だから重要な論点をすべて書かずに、差別を丸出しにしたものになっているのです。

 第3章 総マル生分子化が公社化の狙い

 私たちはこんな判決にまけるものではありません。闘いの陣形は一つとして傷ついてはいません。怒りはいや増しに高まっています。労働者も、「障害者」も生きるがためには闘わなければなりません。マル生分子のような非人間的な生き方をしたくないというだけのことでも闘わなければなりません。
 全逓中央は、ニューユニオン構想と称して、全郵政に屈服しろと迫っています。二つの組合の合体とは、全郵政に対して全逓が屈服するということですが、全逓中央は自分たちだけでなくすべての組合員に屈服を要求してくるでしょう。かつての国鉄分割・民営化のときの動労=JR総連の役割を果たそうとしているのが全逓中央です。闘う者をすべて職場から排除し、マル生分子だけを残すということです。残りたければマル生になれと言うのが全逓中央です。
 しかし、職場労働者の人間的に生きたいというあたりまえの感覚がある以上その攻撃は必ず失敗します。国鉄分割・民営化によっても国労、動労千葉を破壊することはできませんでした。かえって永続的闘争をJRは抱え込んでいます。

 第4章 闘えば郵政公社化は阻止できる

 私は闘いをやめません。闘って職場に戻るまで闘い抜きます。職場労働者のあたりまえの人間としての感覚がある限り必ず勝利すると確信しています。職場労働者の力で職場に戻るという運動を展開していきたい。現場の力関係を変えるということに力を注いでいきたい。今はちょっと当局のほうが押しているように見えます。しかし、それは追い詰められた凶暴性ということに過ぎません。
 郵政の公社化=民営化攻撃とは、すなわち全逓組合員の総マル生分子化ということを狙ったものです。全郵政に屈服を強要し、大合理化、マル生地獄に職場をたたきこむということ、それに全逓組合員をして積極的に協力しろというのが郵政公社化=民営化です。このJRと同じ、柳の下のドジョウを狙った攻撃が勝つという可能性は一切ありません。十六万全逓労働者全部を総マル生分子化することは不可能です。郵政民営化阻止の、全逓中央打倒、全逓大改革路線の勝利のはっきりした展望がそこにあります。
 高見闘争の勝利は、郵政大合理化、公社化=民営化攻撃と闘う現場労働者の怒りの決起と結びついたとき初めて可能になるでしょう。その条件は職場に満ち満ちています。郵政公社化=民営化の矛盾の噴出と、全逓中央打倒=全逓大改革の闘いの現実性こそが勝利の展望です。現場と結びつき、職場から真の労働運動を創(つく)りあげていきたいと思います。
 そのことをもって高見闘争の勝利の展望をなんとしても切り開くことを決意します。高裁吉川差別判決に対して、ただちに最高裁に上告しました。全逓労働者と「障害者」の総決起を組織し、最高裁を揺るがす大闘争を展開したいと思います。私たちはあらゆる敗北主義とは無縁です。すべての仲間の皆さん。ともに闘いましょう。

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週刊『前進』(1960号4面3)

 全金本山夏期物販アピール

 完全勝利へ2割アップを

 すべての闘う仲間のみなさん。全金本山闘争の完全勝利、「二名の解雇撤回・全員の原職奪還」へ、夏季物資販売・カンパの二割アップに総決起しよう。
 五月十日、仙台地裁での和解協議の場で、会社側は「満五十四歳以下の就労、満五十七歳以上の退職」などの就労条件を提案してきた。まったくふざけた「提案」だ。違法なロックアウトで労働者を職場から排除してきたのは会社であり、即刻無条件で職場に戻すことはあたりまえだ。年齢制限など問題にもならない。
 しかし、重要なことは「会社がつぶれるか、組合がつぶれるかまでやる」と豪語してきた本山資本の「暴力労政」がついに崩れ、和解のテーブルに引きずり出されてきたことだ。本山資本はもはやガタガタになっている。
 五月十四日の全国総決起集会で、全金本山労組の長谷委員長は、「二〇〇〇年は決戦中の決戦、ユーザー闘争、富士銀行闘争などで外堀は埋められ、資本をくぎづけにしている。全力疾走で闘おう」と檄(げき)を発した。本山資本の悪あがきを許さず、争議責任の全面謝罪を始め完全勝利をかちとるために、二〇〇〇年後半戦はさらに闘争を強化しなければならない。
 その原動力はいうまでもなく闘争財政である。三十二人の組合員のうち二人が解雇され、二十九人がロックアウトで職場から排除されている全金本山労組にとって、闘争財政は物資販売とカンパにかかっている。
 全金本山闘争の勝利は、日本労働運動の総反撃の起爆力となることは間違いない。全金本山闘争こそ、三十年にわたって「一人の首切りも許さない」という労働組合の魂を守り、発展させてきた戦後労働運動の金字塔である。
 新労組結成二十周年の報告集会が、三月五日の仙台集会を始め、東京、千葉、神奈川、新潟で開かれた。
 全金本山新労組結成は、「体制擁護か階級解放への道か」(結成趣意書)をかけて、「道なきところを踏み歩き道をつくりつつ」(同)という決死の決断であった。総評・全金本部はこの決起に心底恐怖し、一切の支援を行わないどころか、当時の社会党機関紙『社会新報』に「本山の物販を取り組むな」という通告がくり返し掲載された。
 この大反動と対決し、全国の闘う仲間が本山物販に取り組んできた。労働者の闘いを体制内の「物取り主義」へと歪めてきた総評・民同の制動を突破し、連合結成以降は労働組合を帝国主義の支配の道具へと変質させてしまう攻撃をうち破る闘いとして、全金本山闘争は闘われてきたのだ。
 そしてこの三十年にわたる闘いの中で、「一人の首切りも許さない」は、国鉄闘争を始め闘う労組の合言葉となっているのだ。
 労働者は職場から追われ、自分が積み立ててきた年金や雇用保険までむしり取られる。高卒者の就職率は八八・二%と過去最低、青年労働者は就職の場も与えられない。まさに労働者の怒りは沸点に達している。二〇〇〇年春闘では、JAM、JMIU、全自交など中小民間でストライキが闘われ、生きるための必死の攻防に入っている。それぞれの闘いはまだ孤立しているが、それが闘う労組のネットワークとなったときに労働者の未来を切り開く力になるのだ。
 労働者のための労働組合をつくっていく。仲間を信じ闘って団結をつくり出す、そんなあたりまえのことをあたりまえに闘う労働運動を復権させていく時だ。誰にも分かる、あたりまえの労働組合の原則こそ「一人の首切りも許さない」である。全金本山闘争に学び、「職場に団結、地域に共闘を」つくり出そう。
 今こそ、この全金本山闘争をすべての職場、地域に持ち込み、物販に取り組み、支援を組織していくことで、「一人の首切りも許さない」労働運動をつくりだしていこう。
    ◇販売品目◇  (円)
 1 花火・レジャーデラックス 2,500
 2 花火・マジカルセット   1,500
 3 夕張メロンピュアゼリー  3,000
 4 もりおか冷麺       1,400
 5 稲庭そうめん       2,000
 6 札幌ラーメン       1,000
 7 讃岐うどん        1,000
 8 博多ラーメン       1,000
 9 信州五割そば       1,300
10 稲庭うどん        2,800
11 梅ぼし          2,800
12 ヨーロピアンコーヒー    670
13 手づくりカレー      1,000
14 りんごジュース      1,100
15 チーズ           870
16 即席みそ汁        1,200
17 マカダミアナッツ      950
18 果肉入りこんにゃくグミ   800
19 スティックアイスゼリー  1,000
20 胡麻昆布         1,000
21 玉ねぎスープ       1,400
22 味付さより        1,000
23 いかチーズサンド      900
24 はと麦茶          650
25 梅エキス         1,500
26 釜出し一番石けん     1,100
27 となりのトトロバスタオル 2,300
28 牛たんの干し肉      1,000
29 スモークドチキン     1,300
30 ウーロン茶         500
31 焼のり           400
32 チーズかつお        900
33 梅にんにく        1,400
34 野菜たまごスープ     1,100
35 ドラエもん風鈴       880
注文先 全金本山労働組合
TEL 022(274)0843 FAX 022(233)5971

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週刊『前進』(1960号5面1)

 自衛隊を軍隊と明記『非常事態』規定新設「国の安全」で自由制限

 読売改憲第2次試案粉砕せよ

 五月三日、読売新聞社は「憲法改正第二次試案」を提言するとうたい、三十二面ある紙面の八面分を使って、改憲キャンペーンを大々的に行った。その狙いは、日本帝国主義が新安保ガイドラインを発動して、朝鮮・中国−アジア侵略戦争を強行し、そのもとに有無を言わせず労働者階級人民を総動員するという一点にある。それは、四・九石原「三国人」発言や森の「天皇を中心とする神の国」発言と完全にひとつのものである。読売改憲第二次試案こそ、新安保ガイドライン遂行のための有事立法・改憲攻撃の決定的一環である。衆院選決戦と沖縄サミット決戦に勝利し、有事立法阻止・改憲策動粉砕闘争を歴史的大闘争として爆発させるために闘おう。

 第1章 ガイドライン発動想定した改憲策動

 読売改憲第二次試案が狙っているものは何か。
 第一に、日帝が帝国主義国家として新安保ガイドライン発動を具体的に想定して、それを合法化するための現行憲法の全面的破棄=新ガイドライン憲法制定の策動だということである。
 読売新聞は、一九九四年十一月三日に改憲試案を提示している。それもまた改憲というよりは、現行憲法の全面的破棄=新憲法の制定というべきものであった。具体的には、@憲法第九条の全面的破棄を基軸中の基軸として、A基本的人権や国民主権といった考え方を百八十度転覆して、国家中心、国家優先という国家主義を前面に押し出し、B議会制民主主義体制、議院内閣制といった統治形態を大統領的首相制に転換すべきだとし、C天皇の国家元首化を公然と打ち出した。
 さらに、D地方自治体の自治権を完全に否定し、国家への従属を強制するものだった。また、E財政単年度主義と赤字国債発行の制限を取り払うことも狙われた。そして、F改憲手続きの簡易化を提唱し、どしどし改憲すべき、と扇動した。(詳しくは、革共同一九全総第四報告−『共産主義者』一〇七号所収を参照)
 読売改憲第二次試案は、以上の内容を持つ九四年改憲試案提示後の内外情勢の変化を踏まえて、九四年改憲試案を改訂・補強する目的だというのである。その「改訂・補強」にこそ、改憲第二次試案の具体的狙いが込められているのだ。
 「改訂・補強」しなければならなくなった「内外情勢の変化」とは何か。それは、九七年アジア通貨危機に始まる二九年型世界大恐慌過程への突入、世界経済の長期大不況への転落、そこで深まる世界経済のブロック化と生き残りをかけた帝国主義間争闘戦の激化とその軍事化の始まりという情勢の進展である。その中で、日帝は帝国主義としての生き残りをかけて、アジア侵略とアジア勢力圏化を果たすために、帝国主義的軍事力を行使し、帝国主義的侵略戦争を遂行できる国家への反動的飛躍をかけた攻撃を繰り出してきたのである。
 日帝は、唯一の延命の道を、新安保ガイドライン体制の構築をもって侵略戦争に主体的に参戦することに定めたのである。ガイドライン関連法強行成立を突破口とした反動諸立法の連続的強行から、有事立法・改憲攻撃へと本格的に踏み出したのである。日帝にとって、戦後的な階級関係の具体的表現である現行憲法を全面的に破棄し、新安保ガイドラインを遂行できる憲法が必要になっているのである。
 そうした意味で、読売改憲第二次試案は、現行憲法全面破棄=新ガイドライン憲法制定の策動と言っていいのである。新安保ガイドラインは、@自衛隊が帝国主義の軍隊として、朝鮮・中国・アジア・世界へ侵略出兵を強行することであり、A沖縄を始め日本全土を侵略戦争の出撃・兵站(へいたん)・補給・訓練の基地とすることであり、Bこの侵略戦争に自治体といわず民間といわず労働者人民を総動員するものである。日帝・支配階級にとっては、この新安保ガイドライン発動を遂行するために、現行憲法の全面的破棄=ガイドライン遂行憲法ともいうべきものの制定が必要になっているということである。これが、九四年改憲試案を「改訂・補強」する反革命的な支配階級の階級的意図である。
 こうした点で、なりふり構わず新安保ガイドライン発動=朝鮮・中国−アジア侵略戦争への参戦とその国家体制の構築を唱えるファシスト石原の排外主義扇動や森の天皇制国家復活の強要と通底しているのだ。

 第2章 憲法9条の破棄と無制限の海外出兵

 第二に、日帝が新安保ガイドライン発動のために、現行憲法第九条を破棄し、自衛隊の帝国主義軍隊としての公然とした認知と、海外出兵の無制限の展開を可能とすることを正面突破的に狙うものである。
 九四年試案では、現行憲法第九条〈戦争放棄・戦力不保持・交戦権の否認〉を破棄し、試案第一一条〈自衛のための組織〉で、「日本国は、自らの平和と独立を守り、その安全を保つため、自衛のための組織を持つことができる」とすべきだとした。第二次試案一二条では、この〈自衛のための組織〉を、公然と〈自衛のための軍隊〉とするように提唱している。
 政府が現行憲法の制約を受けて、国会答弁で幾度となく「自衛隊は軍隊ではない」などと繰り返してきた現実を完全に転覆せよと主張しているのだ。帝国主義間争闘戦が激しく展開され、それが軍事化しつつある現実の中で、帝国主義的軍事力を武器に国際政治での発言力を確保することこそ日帝の延命の道だとしているのである。それを「国際的には自衛隊は軍隊として取り扱われてきた」のであるから、「自衛隊は軍隊である」ことを認めよと迫っているのである。
 日帝自身が侵略戦争を具体的に想定し、そこに踏み込む決断をしたからこそ、自衛隊を軍隊として認知せよと労働者人民に強制するものであり、同時に自衛隊兵士に向かって「いよいよ戦争に出撃するのだ。戦争のできるほんものの軍隊になれ」と檄(げき)を飛ばすものである。これが新安保ガイドライン反革命の帰結でなくて何であろうか。
 さらに、自衛隊が無制限に海外に出兵することを可能とするために、九四年試案では、一三条に「日本国は……平和の維持及び促進並びに人道的支援の活動に、自衛のための組織の一部を提供することができる」とした規定を設けた。
 第二次試案はこれを踏襲しているだけではない。この条文でも、〈自衛のための組織〉を〈自衛のための軍隊〉とするように提唱している。これが「日本国の軍隊」が、「平和維持のために」という口実で侵略戦争に踏み出すことを全面的に合法化するものでなくて何なのか。
 このように、読売改憲第二次試案が、現行憲法第九条の〈戦争の放棄〉を破棄し、〈戦力不保持〉を〈軍隊の保持〉に転換し、〈交戦権の否認〉を廃棄しようとするものであることは明らかだ。これは、二〇〇〇年一月に衆参両院に設置された憲法調査会での改憲策動が、現行憲法第九条の破棄に焦点を当てているのと軌を一にするものである。
 衆院憲法調査会では、現行憲法制定過程が「アメリカによる押しつけ」「(第二次世界大戦での)戦勝国が敗戦国日本に押しつけたもの」であることを押し出し、「敗戦国として強制された制約」から脱却することこそ、日帝が生き残る道であると扇動している。調査会の憲法制定過程における締めくくり討論では、実に約四十人の発言者のうち約三十人が改憲が必要と主張するに至っている。
 新安保ガイドラインによる日帝の侵略戦争参戦の決断が、憲法第九条破棄を必要としているのだ。日帝支配階級がこれをあおり、これと競い合うように民主党・鳩山が改憲を唱えている。日本共産党スターリン主義もまた、こうした日帝の侵略戦争への再突入、暗黒支配復活のための改憲策動の場である憲法調査会の設置を受け入れただけではなく、これに参加し、改憲の扇動を許しているのである。日共は、日帝の改憲策動の共犯者に成り下がっている。
 こうした現状を根底から打破するために、九九年ガイドライン決戦−二〇〇〇年決戦に立ち上がった労働者人民は今こそ改憲策動粉砕に総決起しなければならない。

 第3章 有事立法制定狙い人民の自由を制限

 第三に、読売改憲第二次試案は現行憲法第九条の破棄と一対のものとして、有事立法の憲法的根拠を確立せよと主張していることである。
 現行憲法は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」した憲法前文と憲法第九条の当然の帰結として、日本の国家が戦争を行うことを想定していない。したがって、当然にも戦争に備えた〈非常事態〉規定が条文に一行もないのである。
 日帝が新安保ガイドラインの発動をもって、侵略戦争に主体的能動的に踏み出すためには、自衛隊と米軍がやりたいように動けなければならない。そのためには有事立法が必要だと日帝支配階級は叫んでいる。
 こうしたことを受けて、第二次試案は、試案八八条に「緊急事態の宣言、指揮監督」の条項を新設せよ、と言うのである。そして、「内閣総理大臣は、緊急事態の宣言を発した場合には、……軍隊のほか、警察、消防等の治安関係機関を一時的に統制し、それぞれの機関の長を直接に指揮監督できる。……国の機関、地方自治体その他の行政機関に、必要な指示及び命令を行うことができる」とする条項を設けよと言う。戦争遂行の権限を首相に一任し、そのもとに国家を挙げて戦争を遂行できるようにしようとしている。
 ここで、昨年五月に成立が強行された周辺事態法を思い起こしてほしい。その第九条で「国以外の者による協力等」を定め、自治体と民間の総動員規定を盛り込んだ。しかし、国会答弁で政府は、条文は「必要な協力を求めることができる」となっており、強制ではないと言い逃れをしてきた。しかし、軍隊にとって、必要な武器・弾薬、燃料、食糧、水など、戦争遂行に絶対に必要不可欠なものが、必要な場所に必要な時刻に調達されていなければ、戦争遂行はおぼつかないのである。そのために軍隊は兵站部門を設け、その任務を果たさせているのである。その軍隊の兵站部隊は、自治体や民間の動員なしに、必要な軍需物資を調達できないのである。
 こうしたことから、戦争指揮権限を首相に一元化して、「命令を行う」ことで戦争遂行を自治体、民間に強制し、労働者を戦争に総動員しようとしているのである。この規定こそ周辺事態法第九条と一対のものにほかならない。
 しかも、現行憲法や九四年試案でも、基本的人権の制限を意図して設けられている「公共の福祉」規定を「国の安全や公の秩序」と明示し、「公共の利益」と書き換えるとしている。
 これは実に重大な転換である。「国の安全」や「公の秩序」を口実にすれば、「移動、居住及び出国の自由」「思想、良心及び宗教の自由」「集会の自由」「結社の自由」などの権利の制限を強制することができるとしているのである。「国の安全」「公の秩序」に反する戦争協力拒否の運動、反戦闘争、労働運動などは一切禁止できるし、その担い手を監獄にぶち込めるとするものである。
 これが読売改憲第二次試案の恐るべき内容だ。新安保ガイドラインを発動して日帝が朝鮮・中国−アジア侵略戦争を強行できる憲法への転換を提唱するものである。今こそ、有事立法阻止・改憲策動粉砕の歴史的大闘争を巻き起こさなくてはならない。
 「戦後システムで時代に適合しないものは憲法と教育基本法」と国会の場で言い放ち、労働者人民に「日本は天皇中心の神の国」であることを認めろと迫る森を首班にいただく自公政権を打倒しよう。
 民主党や日本共産党ではダメだ。長谷川氏の必勝をかけて六月衆院選決戦に総決起しよう。沖縄サミット粉砕決戦をかちとろう。
 〔井場啓史〕

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週刊『前進』(1960号5面2)

 朝鮮南北首脳会談の核心

 体制延命と分断固定化が狙い

 朝鮮侵略戦争の切迫情勢促進

 第1章 南北朝鮮危機の激化と体制延命への策動

 四月十日、南朝鮮・韓国、北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国が「六月十二日から十四日までの三日間に南北首脳会談を行う」と同時発表した。その後数次にわたる予備協議での政治的かけひきの上で、五月十八日には「南北首脳会談実務手続き合意書」が発表され、「歴史的会談の実現」と大きく喧伝(けんでん)されている。
 他方、五月二十四日からはイタリアのローマで米朝協議が再開され、五月末からの予定だった日朝協議は延期になった。
 日米帝国主義間と南北朝鮮のそれぞれのズレときしみの中で、朝鮮情勢―米・日帝の朝鮮侵略戦争の歴史的切迫情勢は新たな激動過程に突入した。これは、世界大恐慌過程の深まりと帝国主義間争闘戦の軍事化の中で、戦後帝国主義のアジア支配のかなめである朝鮮半島情勢の激動化を示しており、台湾総統選における国民党の敗北に始まった中国大乱情勢の煮詰まりと重なりあいつつ、アジア情勢が大きく動くであろうことを告げ知らせている。
 朝鮮半島情勢の激動化の第一は、南朝鮮・韓国、北朝鮮スターリン主義双方の体制的危機の深刻化と、両者それぞれの延命のための策動としての「南北首脳会談」の発表ということだ。
 南北首脳会談とは「平和的統一」の道筋などではけっしてなく、南北の体制的危機のりきりと体制護持のためのものである。それは南北分断体制の固定化のあがきであり、朝鮮人民の南北分断打破・革命的統一(それは南北の体制の打倒のもとでだ)の民族解放・革命戦争の要求に敵対するものだ。韓国総選挙の直前に発表され、金大中与党の追い風にしようとしたことからもそれは明らかだ。しかし金大中と民主党は過半数を制することができず、政治危機は一層深まっている。韓国商業紙のアンケートでも、多くが南北首脳会談に「期待しない」としている。この延命策はある意味で最初から破綻(はたん)していると言えるのだ。
 南朝鮮・韓国の危機は深刻で、出口のないものだ。韓国経済は九九年GDP約一一%上昇などで“経済危機を完全に克服した”と言われている。しかしその実態たるや、「IMF経済体制」として各国帝国主義の全面的介入による南朝鮮・韓国経済を食い物にした投機的展開によるものであり、外貨準備八百億j超もその結果である。
 三月末発表の上場四百八十四社の昨年十二月期決算報告は、過去最高益の十四兆四千六百億ウォンと発表された。しかし、上位三大財閥で七・三兆ウォンを占めており、全体収益の半分近くはIT(情報通信)関連で占められている。しかもここには昨年七月に破綻した五大財閥の一つである大宇の実績は除外されている。
 また都銀十行のうち五行は赤字決算だった。五月二十四日には株価は年初来最安値を更新し、今年の下落率は三六%にものぼった。米ナスダックなどにリンクされており、資金引き揚げが始まればこうなるという一端が示されている。
 この犠牲は労働者人民に集中されている。上位二〇%と下位二〇%の所得格差は五・六倍近くに達している。民主労総を始めとする労働者階級の闘いは、大宇、双竜自動車の海外売却反対のストライキからメーデーでの決起、五・三一ゼネスト突入宣言として非和解的激突に入っている。
 こうした南朝鮮・韓国の危機の深まりと政権危機の突破をかけて、金大中は「三・九ベルリン宣言」で南北会談を呼びかけたのである。「北韓の経済的困難の克服を助ける準備」、「社会間接資本の拡充」と「安定した投資環境」などと言い、「統一より冷戦終結と平和定着」「北側がわれわれの真実を疑わず……」と言い放って、体制維持のための分断固定化と南朝鮮・韓国政府を窓口とする資本投入=「北韓特需」を呼びかけたのであった。
 金大中は三月三十一日にインタビューで「総選挙後、北韓特需があるだろう」と述べ、行き詰まる韓国経済の打開をこの特需にかけたことを示した。合意発表の二日後には最大の経済団体・全経連が「南北経済協力五大原則」を発表し、特需にとびついた。ハンビット銀行は北朝鮮への送金業務を五月二日から開始した。だからこそ分断体制護持を同時に呼びかけたのである。四・一三総選挙の惨憺(さんたん)たる結果は危機をさらに深め、金大中はますます労働者人民に敵対し、南北会談へのめり込んでいる。
 他方、北朝鮮スターリン主義の危機は、食糧危機・エネルギー危機の爆発の中で一層深まっている。
 四月上旬の最高人民会議で報告された九九年決算は、歳入が前年比〇・〇五%増、収支は二年連続の赤字。また九九年の貿易実績では、第一位の中国とは前年比一一・三%ダウン、第二位の日帝との間でも一一・七%ダウンであり、拡大した米帝との貿易の四六%が粉乳の輸入である。食料支援を中心とする対北支援は昨年三億八千万jと、三年連続して三億jを超えている。エネルギーは電力でみると総発電量が百七十億`ワット/時で南朝鮮・韓国の七・九%であり、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)による軽水炉建設の行き詰まりと相まって深刻な危機に直面し続けている。
 北朝鮮にとってこの危機の突破のためには、米帝との米朝交渉などを軸としつつ、金正日強権体制の維持をはかるしかない。対米交渉の有利な展開を狙って、イタリアやオーストリア、フィリピンなどとの国交樹立やARF(ASEAN地域フォーラム)への参加の政策をとっているのだ。その展開の中で最大級の位置をもつものこそ南北首脳会談の受け入れである。北朝鮮スターリン主義体制にとって中国式の「改革・開放」路線は破綻が前提であり、南朝鮮・韓国を窓口に帝国主義資本を受け入れることによって延命をはかる方策しかない。
 このように北朝鮮スターリン主義の首脳会談受け入れは、韓国総選挙の直前だったことからも明らかなように、金大中政権の選挙勝利のためであり、それだけでも南朝鮮・韓国人民の闘いへの敵対である。さらに、民主労総を始めとする労働者階級の闘いに「特需」の対応で冷水をかけるものであり、革命的統一をめざす全朝鮮人民の闘いへの反革命なのである。
 北朝鮮スターリン主義は台湾総統選の国民党の敗北に恐怖し、金大中・民主党の敗北によって南朝鮮・韓国情勢が激動化することを阻止するために、合意を受け入れたのだ。

 第2章 米日帝の対応なぜ侵略戦争は激化するか

 朝鮮情勢の激動化は第二に、南北首脳会談合意は米・日帝国主義による朝鮮侵略戦争の歴史的切迫情勢を激しく促進するものとなる、ということである。これが基本である。
 首脳会談への直接の対応として米帝は、シャーマン国務省顧問をソウルに派遣し、同時に日帝、中国スターリン主義とも協議した。ここで米帝は“北朝鮮のミサイル問題・大量破壊兵器問題を首脳会談の議題にせよ”と恫喝した。また「年次国際テロ報告」において北朝鮮スターリン主義をはじめ七カ国をテロ支援国家に指定した。金倉里(クムチャンリ)への二回目の査察も五月下旬に実施している。北朝鮮スターリン主義がICBM(大陸間弾道ミサイル)を開発するとしてNMD(米国土ミサイル防衛)構想を今夏から配備実施としている。何よりも四月二十一日の「国家安全保障委報告」こそ、対北朝鮮スターリン主義(と中国スターリン主義)への軍事圧力そのものである。
 KEDOによる二〇〇三年軽水炉の完成は完全に暗礁に乗り上げている。五月二十四日からローマで始まった米朝交渉でも、深刻なエネルギー危機にあえぐ北朝鮮側からKEDO問題を突かれて「対立」が激化してきた。
 北朝鮮スターリン主義の対外政策の展開による米帝への揺さぶりの中で、米帝はあくまで自己のコントロールのもとで対北朝鮮政策(究極的には北朝鮮スターリン主義解体による米帝の新植民地主義的な朝鮮半島支配)を進めようとしているのだ。米帝の主導権が少しでも後退すれば他帝国主義、何よりも日帝がアジア勢力圏化を進め、朝鮮情勢の主導権をとろうとするからであり、それは日帝の強大化と米帝の没落、帝国主義間争闘戦の敗北へ向かいかねないからである。南北会談におけるミサイル問題などの議題はずしは、南朝鮮・韓国―北朝鮮スターリン主義にとっての延命策であり、米帝とのズレときしみとなっているのだ。
 四月にようやく再開した日朝交渉が再び延期され、在北朝鮮日本人配偶者の訪日も延期されて、日帝の対北朝鮮政策の窓口は閉ざされようとしている。日帝が対北朝鮮政策の軸としてきた経済支援の凍結も、「北韓特需」で威力が半減した。日韓投資協定締結をテコに南朝鮮・韓国をとおして進めるほかない。米帝以上に日帝は窮地に立たされ、焦りにかられている。
 だから、日帝はますます反動的に突出し、新安保ガイドラインの発動のためにさらに有事立法・改憲へと進むということだ。石原暴言や森「神の国」暴言などを意図的に繰り返し、戦争国家へ突進して、他帝国主義とアジア勢力圏化をめぐる分割―再分割戦的激突へと向かうのだ。この意味で七月沖縄サミットは日帝にとっていよいよ決定的に重要になっている。五月二十九日の森の訪韓で朝鮮情勢へのくいこみに必死なのもそのためだ。日帝は、朝鮮・中国―アジア侵略戦争情勢切迫の最も激しい火付け役となって、その体制的危機に苦悶(くもん)し、のたうっているのだ。
 中国スターリン主義もその改革・開放政策の破綻の中で、さらに台湾総統選の激震の中で、その危機のりきりのためにこの首脳会談情勢に棹(さお)さし、延命の対米カードにしてアジア情勢の危機爆発を促進しようとしている。
1朝鮮・アジアの民族解放闘争の歴史的高揚
 朝鮮情勢の激動化は第三に、したがってアジア新植民地主義体制、残存スターリン主義体制の崩壊局面の一層の深化であり、戦後体制全体の崩壊局面の二〇〇〇年的激動の促進であり、革命的情勢への急速な接近をもたらすものだということである。そしてそれは民族解放闘争―民族解放・革命戦争の歴史的高揚をもたらすものとなっている。
 アジア経済は九七〜九八年情勢からの回復などといわれているが、そうではない。不良債権全体は膨らんでおり、米・日・欧が資本を投入し利益をむさぼっているのである。九七年情勢がインドネシア・スハルト打倒の九八年情勢となったことを第一幕とすれば、今やそれは第二幕的に劇的展開をとげているのだ。台湾総統選の結果はその最たるものである。
 インドネシアは依然としてティモール、アチェ、西パプア(イリアンジャヤ)独立派の決起が続き内戦化の様相を深めている。スリランカでのタミル人独立派との内戦、フィリピン・ミンダナオ島での内戦化とマニラでの爆弾闘争など、九七年危機の中で始まった激動は民族解放闘争の激化として発展している。
 残存スターリン主義をまき込んだアジア新植民地主義体制の崩壊的情勢は世界史を転換させる動力となっており、帝国主義の侵略と闘う民族解放・革命戦争的闘いへと発展しつつある。朝鮮情勢的にはその制動として南北首脳会談があるということであり、台湾情勢と重なって中国大乱情勢を深化させ、いよいよ米日(欧)の争闘戦が、朝鮮・中国―アジア侵略戦争として爆発していく分水嶺(ぶんすいれい)にさしかかったということである。
 ここで注目すべきことは、今年のメーデーの闘争において、南朝鮮・韓国を始め、インド、インドネシアなどで、労働者階級が数万規模で(十万を超えるところもある)決起したことである。民族解放闘争の激化の中で、労働者階級がその中心勢力として、歴史的に力強く登場しているのである。九七〜九八年危機は深化し、革命的激動期に突入したのである。
 国際プロレタリアート人民の連帯の闘いの重要性が一挙に高まっており、反スターリン主義・革命的共産主義の闘いの責任はいよいよ重くなっている。
 朝鮮南北首脳会談は、どのような経過と結果をとろうと、結局は南北分断打破・革命的統一へ向かう全朝鮮人民の闘いの火に油を注ぐものとなる。それは、朝鮮人民による金大中と金正日打倒の闘いとして発展する以外にない。米・日帝国主義はこの首脳会談に反動的介入を策し、この危機を促進しつつ、また朝鮮人民の闘いの圧殺のために朝鮮侵略戦争の歴史的切迫情勢を激化させ、新安保ガイドラインの発動に向けて体制を反人民的にそれぞれ強化していくのである。
 日本の労働者階級人民の階級的任務・責務はいよいよはっきりしてきた。石原と森を一体で打倒すること、きたる衆院選で森・自公政権を打倒することである。さらに帝国主義者どもの強盗会議=七月沖縄サミットを粉砕することである。これらの闘いは、新安保ガイドライン闘争そのものであり、二〇〇〇年階級決戦の環である。労働者階級の階級的決起を促進させ、二〇〇〇年三大決戦を闘い、勝利することこそ、日本労働者階級の国際主義的連帯の闘いである。

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週刊『前進』(1960号6面1)

 全学連沖縄大派遣団に結集を

 帝国主義の戦争会議粉砕へ歴史的大デモたたきつけよ

 全学連のサミット決戦アピール

 はじめに

 「私たちは、県内で初めて五月十五日にサミット反対の集会と那覇・国際通り一・五`のデモンストレーションを展開しました。沖縄の民衆の怒りはこんなものではない。七月二十日、二万六千人以上の民衆で嘉手納基地を包囲する。七月二十一、二十二、二十三日と、真正面からサミット反対を掲げて名護市内や国際通りのデモンストレーションを準備しています。心あるヤマトンチュの皆さん、ともにやろうじゃないか!」
 五・二八全国総決起闘争において沖縄の一坪反戦地主でフォークシンガーのマヨナカシンヤさんは、本土の労働者学生人民にともにサミット反対の闘いに立ち上がってほしいと熱烈に決起を訴えた。すべての学友は、基地と戦争、沖縄差別政策に対するこの沖縄人民の怒りと不屈の闘いにこたえて、七月沖縄現地に駆けつけよう。帝国主義の戦争会議=沖縄サミット粉砕の大デモンストレーションに立ち上がろう。自治会、クラス、寮、サークルで沖縄サミット反対の決議をあげアピールを発し、代表を選出し、沖縄現地大派遣団を組織しよう。全学友・全教職員に派遣カンパを訴え、集めよう。
 日本帝国主義は、サミット翼賛キャンペーンと警察権力の厳戒体制で、百三十万の沖縄県民、五万の名護市民に犠牲と攻撃を集中している。それに対して沖縄人民は現にぎりぎりの闘いに立ち上がっている。沖縄に犠牲と攻撃を集中し、そこに本土の労働者人民を加担させて、沖縄の闘いを圧殺しようというのが日帝のやり方だ。このやり方に加担し沖縄の闘いを見殺しにしてしまったとき、日帝の戦争政策が労働者人民に全面的に襲いかかるのだ。
 これ以上、沖縄に犠牲と攻撃を集中するあり方に加担し続けるのか。それとも、沖縄人民の叫びにこたえ、日帝の卑劣なやり方を打ち破って沖縄に駆けつけるのか。
 「沖縄サミット=戦争会議」という正体を暴き、沖縄サミット粉砕の大デモンストレーションが登場したとき、日本共産党やカクマルの敵対を吹き飛ばし、沖縄全県からわき上がるような「サミット反対! 基地撤去!」の闘いが大爆発することは間違いない。森に、クリントンに、沖縄の地を絶対踏ませるな!
 五月二十九日、南朝鮮・韓国では、「正しい韓日関係をつくる連帯の会」の呼びかけで森首相の訪韓に抗議する糾弾集会が開かれた。ソウル市内の日本大使館前には「森は『天皇の国』に帰れ!」と書かれた横断幕が掲げられ、民主労総や太平洋戦争犠牲者遺族会などが数百人の機動隊による弾圧を打ち破って闘いに決起している。
 日帝の凶暴な朝鮮侵略と侵略戦争攻撃に対する朝鮮人民の怒りの民族的決起が爆発しているのだ。それは、日本の労働者学生人民に対する限りない連帯の呼びかけであり、檄(げき)でもある。日本の労働者学生人民は、森が「日本は天皇を中心とする神の国」発言を居直ったまま「アジアを代表する」などと言って沖縄サミットに向かうことを絶対に許してはならない。闘う朝鮮人民・在日朝鮮人民の命がけの決起に連帯し、階級的にこたえる闘いとして沖縄サミット粉砕の大デモンストレーションに総決起しよう!

 第1章 「平和の発信」は侵略戦争への参戦の論理

 第一に訴えたいことは、「沖縄サミット=平和の発信」の大キャンペーンと対決し、「日帝の朝鮮・中国侵略戦争参戦のための沖縄サミット粉砕!」を掲げて大デモに立ち上がることである。
 森や前首相・小渕が言ってきた「沖縄サミット=平和の発信」論とは、日本帝国主義の対米対抗的なアジア勢力圏化をかけた朝鮮・中国侵略戦争参戦の論理以外の何ものでもない。
 今日、アメリカ帝国主義が「世界の平和と安定」を振りかざし、それに対して日本帝国主義が「平和の発信」を叫んでいる土台には、戦後世界体制の全面的崩壊過程への突入という問題がある。帝国主義・資本主義の「平和」の時代は完全に終わった。世界史は、巨大に蓄積された帝国主義の基本矛盾の全面的爆発、世界経済の大恐慌とブロック化、帝国主義諸国の「統一」「協調」の崩壊、分裂と抗争の激化の時代に突入しているのだ。
 帝国主義によって収奪・抑圧されてきたアジア・アフリカ・中南米の新植民地主義体制諸国は、帝国主義の危機と矛盾の爆発に直撃され、塗炭の苦しみにたたき込まれている。こうした中で帝国主義の世界支配を揺るがす被抑圧民族人民の民族解放闘争が激発している。
 今年三月の台湾総統選挙での国民党支配の崩壊と、六月南北首脳会談による朝鮮南北分断体制の瓦解(がかい)過程の始まりは、アジアにおける戦後世界体制の全面的崩壊過程への突入である。
 重大なことは、まさにこの中国情勢・朝鮮情勢を最大の焦点にして日米帝国主義間争闘戦が激化し急速に軍事化し始めていることだ。アジアの市場・資源・勢力圏の再分割をめぐって日米帝国主義が真っ向からぶつかり合い、軍事力による分捕り合いが朝鮮・中国侵略戦争として、日米新安保ガイドラインの発動として具体的に準備されつつある。日米帝は、「一国社会主義」の根本矛盾にあえぎ崩壊へ向かっている北朝鮮や中国のスターリン主義を「脅威」と決めつけ、「世界の平和と安定」「平和の発信」の名で朝鮮・中国侵略戦争を強行し、朝鮮・中国人民を大虐殺しようとしている。
 アメリカ帝国主義は、米帝を盟主とする世界支配体制の護持を「世界の平和と安定」と称しているにすぎない。その実体は、世界の被抑圧民族人民に対する大虐殺ではないか。昨年三―六月、北大西洋条約機構(NATO)の形式をとってユーゴスラビアを無差別爆撃し、ユーゴスラビア人民を大虐殺し、コソボ自治州の軍事分割占領の中で米軍基地建設を強行している。今年四月には、沖縄・嘉手納基地から出撃した米軍F15戦闘機部隊がイラク南部の町を爆撃し、市民十四人を虐殺した。これが帝国主義の正体だ。
 バブル経済崩壊が切迫する米帝は、もはや世界支配体制の維持を軍事力の発動に依拠する以外に手だてを持たない。米帝の「平和」とは、強大な軍事力を発動し、その力で日本やEUなど他の帝国主義の対米対抗的な動きを組み敷き、中国や北朝鮮などのスターリン主義を封じ込め、被抑圧民族人民の闘いを圧殺し、労働者人民に対する階級支配を貫徹し、米帝的世界支配を護持することだ。米帝は、沖縄サミットを「沖縄米軍基地の戦略的重要性を確認するよい機会」(クリントン)と位置づけ、朝鮮・中国侵略戦争の発動に踏み切ろうとしているのだ。
 これに対して日本帝国主義は、「沖縄サミットで世界に平和を発信する」というスローガンを掲げ、米帝の世界支配に対抗した日帝独自のアジア勢力圏の形成を追求しようとしている。森は「国益を守るために創意をもった能動的外交」「北東アジアを中心とした平和の創造」(四月七日、所信表明演説)と称して、朝鮮・中国侵略戦争に踏み出そうとしているのだ。
 ところが日本共産党は今や「沖縄サミット=平和の発信」論に大賛成し、日帝の対米対抗とアジア侵略・侵略戦争政策の推進者と化している。書記局長・志位は、「アメリカが横暴をほしいままにする戦争と抑圧の国際秩序か、国連憲章にもとづく平和の国際秩序か――二十一世紀にどちらの国際秩序をうちたてるのかが、人類に問われています」「憲法九条は……主権侵害を排除するためにどうしても必要な場合には、緊急の軍事力をもつことを禁止していない」(『前衛』九九年十一月号)などと主張している。
 日共は許しがたいことに、国連を押し立てて米帝的世界支配の打破を叫び、日帝の独自の軍事力を振りかざしたアジア侵略外交の展開という侵略戦争と大破局への道に日本の労働者階級人民を引きずり込もうとしているのである。
 だが問われているのは、絶望的危機にのたうち、全矛盾を恐慌と戦争として爆発させる以外になくなっている国際帝国主義を、国際プロレタリアートが世界革命をもって打倒し、労働者を主人公とする新たな社会の建設に向かって人類史を前進させることだ。
 日帝の「沖縄サミット=平和の発信」論は、労働者人民が求めている真の恒久平和とは絶対に相入れない。闘う朝鮮・中国―アジア人民と連帯し、日本の労働者階級人民の「戦争会議=沖縄サミット粉砕!」の大デモンストレーションをたたきつけ、日帝の朝鮮・中国侵略戦争を阻止する闘いを大爆発させよう。

 第2章 日帝のアジア勢力圏構築への攻撃許すな

 第二に訴えたいことは、日帝のアジア勢力圏化と対決し、アジア侵略と朝鮮・中国侵略戦争のための沖縄サミットを大デモで包囲し、粉砕することである。
 日帝は「アジアの代表として、サミットにアジアの声を反映させる」とアジアの代表面をし、「紛争予防外交」をテーマとして押し出し、「北東アジアの平和創造に能動的役割を果たす」(森)と言っている。日帝は沖縄サミットで対米対抗的にアジア諸国の再植民地化とそのための朝鮮・中国侵略戦争参戦の突破口を開こうとしているのだ。絶対に許すな!

 第1節  日韓投資協定の本質

 五月二十九日、森は沖縄サミットを前に訪韓し、対北朝鮮政策での日韓の連携を確認するとともに、年内にも日韓投資協定を締結することを確認した。この日韓投資協定は、進出した日帝企業の「内国民待遇」「原材料の現地調達義務の廃止」「日本企業専用の工業団地の造成」「税制減免」などを定めている。
 韓国・民主労総は「韓日投資協定が労働者を殺す!」「国家よりも多国籍企業に大きな権力を与える」(民主労総機関紙『労働と世界』五月五日付)、「この協定が締結されれば、韓国政府の対外的・対内的政策手段は完全に奪われ、最低限にとどまっている労働者保護手段すらも意味をなさなくなる。その破壊的効果は想像を絶する」(『労働と世界』九九年四月九日付)と徹底弾劾している。
 さらに日帝は、日韓投資協定に「韓国政府は、労働問題解決のために真摯(しんし)に対応しなければならない」という「真摯条項」を盛り込むよう求めている。日帝は、徹底的な低賃金・無権利の強労働を韓国の労働者人民に強制し、それに対して立ち上がる民主労総を始めとする労働者人民の闘いをたたきつぶすことを韓国政府に要求している。日帝は、アジア人民に対するさらに徹底した搾取・収奪と血の犠牲の上に、帝国主義国家として延命しようとしているのだ。

 第2節  対米対抗的軍事突出

 九七―九八年のアジア経済危機以降、アジア諸国に米欧資本が殺到し、市場と勢力圏をめぐる再分割戦が激しく展開されている。
 この中で日帝は、沖縄サミット議長国として「IT革命」「デジタル・ディバイド(情報格差)」を議題として押し出し、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国、韓国を巻き込んだ情報通信分野での権益確保でなんとか米欧に対抗しようとしている。五月のASEAN+日中韓経済閣僚会議では、電子商取引のルール共通化やネット・インフラ整備「e―ASEAN」を日中韓を含めた「e―ASIA」へ拡大することで合意した。さらにIT関連に強いシンガポールとの自由貿易協定締結も追求している。
 また、「グローバル化の負の側面」を議題として挙げ、国際通貨基金(IMF)を軸にした米帝のアジア侵略に対抗してアジアの円圏化をあくまで追求しようとしている。五月のASEAN+日中韓蔵相会議で外資出資規制の緩和と投資自由化の実現、さらにASEAN諸国間の通貨スワップ(資金融通)協定を日中韓に拡大することで合意した。
 日帝は、沖縄サミットを画期として、対米対抗的なアジア勢力圏形成を支える帝国主義的軍事力の形成・発動に踏み込もうとしている。七月にはASEAN+日中韓の外相会議を開き、外交・安全保障面での協力に乗り出すとしている。自由貿易協定締結を目指すシンガポールとの間で、五月に自衛隊の基地使用の合意を取り付けたことは重大である。
 沖縄サミットでは、警察二万人体制に加え、海上保安庁の船艇百四十隻、海上自衛隊のイージス艦などを訓練目的で沖縄近海に派兵することまで検討されている。サミット戒厳体制はそれ自体、「周辺事態」を想定した日帝独自の大軍事演習なのだ。
 日本共産党は「東アジアは東アジアだけの独自の共同市場、通貨をつくっていくことが必要」(『前衛』九八年四月号、大槻論文)と述べ、“大東亜共栄圏をつくれ!”と叫んでいる。新宮沢構想の行き詰まりに対しても「アメリカ追従をやめ、円・ドルの依存関係を切り離さないからうまくいかない」(『赤旗』五月二十七日付)と述べている。これは、日帝の体制的危機をアジア人民へのより徹底的な搾取・収奪という犠牲によって突破せよということだ。絶対に許すな!

 第3章 名護への新基地建設強行を絶対阻止せよ

 第三に訴えたいことは、朝鮮・中国侵略戦争のための普天間基地県内移設=名護新基地建設を強行するための沖縄サミットを沖縄人民と連帯して粉砕することだ。
 沖縄サミットは、朝鮮・中国をにらむ最新鋭基地を名護市に建設するためのものだ。日米両政府は、老朽化した普天間基地に代え、名護市に新基地を建設しようとした。しかし名護市民は、九七年十二月の市民投票で基地建設反対の鮮明な意思を表明した。これによって日米両政府の狙いが頓挫(とんざ)する。その中で出てきたのが沖縄県名護市でのサミット開催決定という大攻撃だった。
 米軍基地の差別的集中のために全国一の高失業率に苦しむ沖縄でサミットを開催することで、あたかも経済的に潤うかのような幻想をあおり、“沖縄でサミットを開催するのだからありがたく思え。その代わりに普天間基地の名護市への移設(県内移設)を受け入れろ”というものだ。昨年来、政府首脳が何度も沖縄を訪問し、“基地問題でもたもたしてサミットを失敗させるつもりか。政府に恥をかかせる気か”と沖縄県に圧力を加え続けた。そして昨年十一月には、稲嶺沖縄県知事に普天間基地の名護市への移設を表明させ、十二月には岸本名護市長に受け入れ表明を行わせてきたのだ。 
 名護市への建設が狙われている米海兵隊の最新鋭基地は「運用年数四十年、耐用年数二百年」(米国防総省)という、二十三世紀までも沖縄を「基地の島」として強化・固定化しようとする許せないものだ。新基地に配備されようとしている垂直離着陸機MV22オスプレイは、朝鮮半島や台湾へ往復一回の空中給油をすれば直接上陸侵攻作戦を展開できる。

 第1節 「命どぅ宝」の精神

 稲嶺県知事や岸本名護市長が受け入れを表明しようとも、沖縄人民は新基地建設攻撃に対して苦闘しながら必死の抵抗闘争を貫き、立ちふさがってきた。新安保ガイドライン―朝鮮・中国侵略戦争参戦に突き進む政府に対して、沖縄人民は危機感と怒りを爆発させて、「沖縄は被害者にも加害者にもならない」「沖縄から日本を変える」と最先端の闘いに立ち上がり、政府の思惑を阻んできた。沖縄人民の闘いは、本土人民の魂を揺さぶり、韓国反基地闘争などとの国際連帯闘争として発展してきた。だから、これに焦り、いらだった森は、首相就任直前に「沖縄は学校で『君が代』を教えていない。沖縄の教組も新聞も、何でも政府に反対、国に反対する」「本土との一体感を持たねばならない。その意味でもサミットの成功が大事だ」という沖縄差別、沖縄圧殺の暴言を吐いたのだ。
 だが、日帝が天皇制のもとに沖縄を差別・抑圧してきた歴史、沖縄戦の歴史、戦後も沖縄を売り渡し、「基地の島」を強制してきた歴史を考えれば、沖縄で「君が代」を教えず、政府に反対してきたのはあまりにも当然ではないか!
 このような日本帝国主義の沖縄差別政策に対して、沖縄人民が「軍隊は民衆を守らない」「命(ぬち)どぅ宝」を貫いて反対してきたことは、人間としてあまりにも当然ではないか!
 戦争会議=沖縄サミットと「沖縄の心」とは絶対に相入れない。「サミット=戦争会議」ということが暴露され、浸透していったとき、沖縄の地から公然と「サミット反対・粉砕」の決起がわき起こることはまったく確実である。
 沖縄サミットへの翼賛・協力を表明した日本共産党の「二・一六声明」は、まさにこの「サミット=戦争会議」という核心を否定し、日帝の沖縄差別政策の歴史と現実についてまったく語らず、「沖縄の心」を解体しようとするものだ。
 「命どぅ宝」「沖縄の心」に学び、これを日本の全労働者人民の反戦運動の内実とし、日帝の朝鮮・中国侵略戦争参戦を絶対に阻止しよう! 沖縄サミット会場を包囲し、帝国主義の戦争会議=沖縄サミットを粉砕しよう! 

 第4章 長谷川必勝期し衆院選決戦に全力決起を

 第四に訴えたいことは、沖縄サミット決戦に勝利するためにも衆院選決戦に全力で決起することである。
 森・自公政権は、沖縄サミットの成功のためにも、総選挙での勝利を必死に追求している。戦後世界体制の全面的崩壊と米帝の対日争闘戦の激化の中で、日帝の階級支配が根底から揺らいでいる。日帝は、危機突破をかけて戦争国家への国家大改造、侵略戦争発動へと本気で突き進もうとしている。森「神の国」暴言や、石原暴言の狙いはここにこそある。
 民主党や日本共産党を始めとする野党こそ、こうした反動の突出を許し、促進している張本人だ。民主党は改憲政党である。鳩山由紀夫は「苦くても薬になる政策を」と、より激しく労働者人民への犠牲転嫁を主張し、右から日帝危機を突破する政党であることを総選挙の売り物にしている。日本共産党は、「政権にありつく」ためにどこまでも民主党にすり寄り、妥協していっている。安保・自衛隊を肯定し、天皇制を肯定し、国連決議があれば戦争すら支持すると言っている。そして反米愛国主義をどの政党よりも激しく叫び、ファシスト都知事・石原に反対するどころか共鳴し協力するような政党なのだ。日本共産党は労働者人民の決起を革命的に発展させることに反対し、それをねじ曲げ、一切合切を反米主義・愛国主義に組織しようとしている。
 いま必要なことは、森・自公政権、日帝・支配階級の攻撃に対して、本当に対決できるまったく新しい勢力が登場することである。直面している危機の根本的な原因が、延命しすぎた帝国主義そのものにあることを明らかにし、労働者人民や学生の怒りと決起を帝国主義打倒に向かって解き放っていく、労働者階級自身の自己解放の闘いを原理とする新しい政治勢力、その先頭に立つ新しい労働者政党の台頭が求められているのだ。六月総選挙決戦は、全労働者人民の前に、この新しい政治勢力、闘う新たな潮流の台頭を告げ知らせる闘いである。
 森暴言を弾劾し、衆院選決戦で森政権に鉄槌(てっつい)を下せ! ファシスト都知事・石原打倒! 東京八区(杉並)で石原伸晃をたたき落とし、日本共産党と民主党を粉砕し、長谷川英憲さんの当選をかちとろう!
 衆院選決戦の勝利から七・二三里塚現地闘争―七・九関西新空港闘争をかちとり、七月沖縄サミット粉砕の大決戦に突き進もう。

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週刊『前進』(1960号6面2)

 2000年日誌 阻もう! 戦争への動き

 5月24日〜30日

 嘉手納基地に劣化ウラン弾

 米軍戦力の重点がアジアへ

●「有事法制は必要」と防衛白書案 防衛庁が二〇〇〇年版の防衛白書の原案を自民党国防部会に提示した。有事法制について「自衛隊が文民統制の下で適切に対処し、国民の生命・財産を確保するために必要」と強調、「法制が整備されることが望ましい」としていた昨年より踏み込んで表現している。(24日)
●嘉手納に劣化ウラン弾
 米軍第一八航空団のジェームス・スミス司令官が嘉手納弾薬庫地区内に、劣化ウラン弾が保管されていることを明らかにした。一九九五年から一九九六年にかけ、米海兵隊が鳥島射爆場で千五百発以上のウラン弾を使用し問題となった。米軍関係者が劣化ウラン弾の沖縄での保管を認めたのは初めて。(24日)
●衆院憲法調査会 衆院憲法調査会が最高裁の千葉勝美行政局長から戦後の違憲判決について説明を聴取し質疑を行った。(25日)
●「射撃訓練中止せよ」と東村議会が決議 東村高江のサトウキビ畑で米海兵隊が射撃訓練を行った事件で、東村議会が原因の徹底究明などを求める抗議決議と意見書を全会一致で可決し、那覇防衛施設局や米軍に申し入れた。(25日)
●「神の国」発言撤回せず
 森喜朗首相が「日本は天皇を中心とする神の国」などと発言したことについて、首相官邸で釈明記者会見を行った。「十分に意を尽くさない表現によって多くの方に誤解を与えたことを深く反省している」と述べたが、発言の撤回は「間違ったことを申し上げたとは思っていない」と拒絶した。(26日)
●「地位協定上問題なし」と施設局 防衛施設局の西村市郎次長が嘉手納弾薬庫地区内の劣化ウラン弾保管について「(米軍は)基本的には個々の弾薬の所在については公表しないという方針を維持している。発言の事情について問い合わせているが、従来の方針に変更があったとは聞いていない」「適切な管理が期待されるし、そう理解しているので地位協定上は問題ない」と述べた。(26日)
●「2025年のアジア」報告書 米国防総省の国防次官の諮問機関が「二〇二五年のアジア」と題した報告書で、南北朝鮮統一後の在日米軍の撤退、日本の核武装化や米中衝突など懸念されるシナリオを想定、これを防ぐために米軍事戦略を現在の欧州重視からアジア重視に切り替えるよう提言している。(26日)
●海上警備本部6月設置へ
 第一一管区海上保安本部の岡島宣昭本部長が沖縄サミットの警備について、六月下旬に海上警備本部を設置、警備を指揮する司令本部と後方支援を担当する支援本部からなる六―七の部を設置することを明らかにした。(26日)
●復帰後も基地機能維持
 一九六七年十一月の日米首脳会談の二カ月前、佐藤栄作首相が台湾で蒋介石総統と会談し、沖縄の日本復帰が実現しても「米国の極東防衛体制の弱化を招くことは本意ではない」と、沖縄の米軍基地機能を引き続き維持する考えを伝えていたことが公開された外務省の外交文書から明らかになった。(28日)
●沖縄返還での「裏負担」2億j 一九七二年の沖縄返還の日米政府の交渉で、日本政府が返還土地の原状回復補償費四百万jの肩代わり、物品・役務で負担する基地施設改善移転費六千五百万jなどの「秘密枠」をつくるなどの密約をしていたことが米公文書から明らかになった。これによると当時日本側の「裏負担」は約二億jにのぼった。これまで外務省は国会や法廷で密約の存在を否定してきた。(28日)
●「昭和の日」法案廃案へ
 自民党は四月二十九日の「みどりの日」を「昭和の日」に改める祝日法改悪案の今国会成立を断念する方針を固めた。(29日)
●リムパック始まる 日米など七カ国が参加する最大級の海軍演習の環太平洋合同演習が米ハワイ周辺海域を中心に始まった。ガイドライン関連法施行後初の実施。艦船五十隻、航空機二百機、人員約二万二千人が参加する。海上自衛隊は艦船約十隻、航空機十六機、約二千百人が参加。期間は約一カ月。(30日)
●空自海外演習へ 航空自衛隊は米空軍との合同演習「コープ・ノース」に参加するため、F15戦闘機やE2C早期警戒機をグアムに派遣。同演習は日本有事に備えた日米双方の共同作戦能力を高めるのが目的。米軍側は嘉手納基地の第一八航空団所属の空中給油機などを参加させる。(30日)
●米軍運用計画「統合ビジョン2020」 米統合参謀本部が今後二十年間の米軍運用計画「統合ビジョン二〇二〇」を発表した。中国の「敵対的軍事大国」化と日本の「大国」的復活をにらんで、米軍戦力の重点をアジアへ転換する方針をうちだし、攻撃型原潜をアジアに六割配備する、広大なアジア用に航続距離の長い潜水艦・爆撃機・給油機の増強などをうたっている。(30日)

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週刊『前進』(1960号6面3)

 ゛日米演習やめよ″

 富山大自治会 小松基地強化を弾劾

 五月二十一日、富山大学学生自治会は、自衛隊小松基地に対して、五月三十日から五日間グアム島で行われようとしている日米共同演習への緊急抗議闘争に立ち上がった。
 小松基地では、二十一日に演習参加に向けた訓練の完結式、二十二日に瓦防衛庁長官の閲兵、二十三日にはグアムへの出発式がある。富山大学自治会は、自衛隊が侵略演習への参加をとりやめるよう、緊急の抗議と申し入れを行った。
 小松基地渉外室長の山内は、富山大自治会の追及の前に「国内では制約の強い電子戦の演習を海外で米軍とともにより実戦的に訓練・習熟する」と訓練内容を答えざるをえなかった。今回の日米共同演習が新安保ガイドラインの発動としての朝鮮・中国侵略戦争の実戦態勢強化のために行われることが暴かれた。現に朝鮮半島に面する北陸は今やハリネズミのように要塞化されつつある。
 富山大自治会は、小松基地の侵略的強化を許さないことを宣言し、基地内の兵士に侵略戦争への動員を拒否するよう訴えた。最後に小松市を地元とする森首相の「神の国」発言を弾劾し、行動を締めくくった。

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週刊『前進』(1960号7面1)

 日共が政府の宣伝を代弁

 「沖縄を世界に見せる」と不破はサミットに大賛成

 シリーズ最終回 基地撤去の闘いにも敵対

 シリーズ最終回は、沖縄サミットを翼賛する日本共産党を批判する。日本共産党は沖縄サミットの真の対決点がどこにあるかを隠している。日米帝国主義が新安保ガイドラインを発動して、朝鮮・中国−アジア侵略戦争への突入を宣言しようとしていること、それはアジア人民、沖縄人民、そして日本の労働者人民に対する反動的挑戦であることを全人民にけっして訴えない。闘いへの決起を呼びかけない。日共の敵対を粉砕し、世界にとどろく「サミット粉砕!」の大デモンストレーションを実現しよう。

 第1章 沖縄圧殺の戦争会議なぜ反対しないか!

 日本共産党スターリン主義は、二月十六日、不破哲三委員長が記者会見を行って「沖縄サミットを前に、各国政府と世界のマスコミへの日本共産党の報告と訴え」を発表した。
 「報告と訴え」で、「サミット開催地として沖縄が選定されたことに特別の関心」を持っている、沖縄を「世界の人びとに知っていただくことがぜひとも必要」と言い、不破は「沖縄でサミットを開催するということは……(日本)政府の意思表示」だと言った。(別掲資料参照)
 ここには、日帝がサミットを沖縄で行うことにかけた、反人民的な階級的意思に対する怒りも危機感もまったくない。
 今シリーズで明らかにしてきたとおり、日帝のサミット沖縄開催の意図は、次のように、とてつもない反人民的なものである。@そもそもサミットとは国際帝国主義が世界の分捕りあいを軍事力をかざして行う反人民的なものである。Aその中で、日帝が「アジアにおける唯一の帝国主義」「アジアの盟主」として登場しようとするアジア人民にとって許しがたいものである。Bそのために日米新安保ガイドライン体制を誇示して、日帝が再び朝鮮・中国−アジアに侵略戦争を行うことのできる帝国主義、戦争国家として「復活」したことを全世界に宣言するものである。
 そしてCその新安保ガイドライン体制は沖縄米軍基地を不可欠のものとしていることを開き直り的に沖縄人民に強制し続けるものである。Dサミット開催を口実に警察の総力を挙げた厳戒体制、海上保安庁、さらに自衛隊までも動員して、沖縄人民の闘いを圧殺しようとするものである。Eそうすることで本土と沖縄を分断して沖縄に戦争と基地の犠牲を再び強制しようとするものである。Fそして沖縄と本土、沖縄闘争と安保闘争を分断して、新安保ガイドライン闘争そのものを解体しようとするものなのである。
 日共スターリン主義は、こうした日帝のサミット沖縄開催の階級的意図に一言も触れず、それに賛成なのか反対なのかを絶対に明言しないのだ。「サミット開催地として沖縄が選定された」と、あたかも傍観者のような顔をしているのだ。日共よ、世界の強盗的分捕りあいのために、被抑圧民族人民を血の海に沈める帝国主義の侵略戦争に賛成なのか、反対なのか。自国政府が再び侵略戦争に突入することに賛成なのか、反対なのか。自国政府の侵略戦争のために沖縄人民に犠牲を差別的に強制することに賛成なのか、反対なのか。はっきり明言せよ。
 日共は、これらの設問に実はすべて賛成しているのである。不破が、サミット沖縄開催は「米軍基地の集中点である沖縄を、世界の首脳部と、世界のマスコミに心おきなく見せるという(日本)政府の意思表示」と言うとき、「日本政府の意思」は、「沖縄を世界の首脳部に見せる」「世界的な基準で見せる」ことだというのである。それは、帝国主義の頭目たちに、「世界的」すなわち「帝国主義的な基準」で沖縄を見せるということだ。日帝の新安保ガイドライン体制の一大拠点として、沖縄を全世界に見せること以外に何も意味しない。
 日共は、自国政府の帝国主義的なサミット沖縄開催の反革命に賛成し、これを推進することを宣言したのだ。弾劾し、打倒しよう。

 第2章 「全部の基地をなくすのは簡単だ」と大ウソ

 日共が、一段と沖縄サミット賛成=新安保ガイドライン体制賛成の立場を鮮明にしたのが、四月十五日に那覇で行った不破演説である。(資料)
 “那覇の軍港だって返すという約束がありながら、二十年以上経ってまだ返ってこない、普天間の基地だって大騒ぎして返還が宣言されたが、いまだにらちがあかない、一つの基地だって返還が難しいのに、基地を全部なくすなんてことが簡単にできるだろうか”ということに対して不破は、「一つの基地をなくそうとすると、アメリカと話し合って、アメリカが『うん』といわないとこれはできないのです。ところが安保条約がなくなってしまえば、基地を置くよりどころがなくなるわけですから、全部なくなります」「一つの基地をなくすのは大変だが、全部の基地をひっくるめてなくすのは、大変手続きが簡単」と発言した。こんな言葉は怒りなしには到底聞けないものだ。
 まず、沖縄戦−沖縄の分離軍事支配−七二年沖縄「返還」政策−米軍用地特措法改悪・再改悪−新安保ガイドラインによる基地の永久化・強化という、戦後一貫した帝国主義の戦争と基地の差別的押しつけに対して、沖縄人民は血のにじむような闘いを繰り広げ、「一つの基地」でもなくなればという思いで、不屈に闘い続けてきたのだ。その闘いの歴史を足げにして、「一つの基地をなくすのは大変」と言い放ったのだ。米軍基地の沖縄への差別的押しつけからの解放をかけて、沖縄人民は大衆的な運動を巻き起こし、大衆行動をつくり出してきたのだ。そこに勝利の道があることは明らかだ。しかし、不破は沖縄人民に大衆的な基地撤去闘争などやめろと説教しているのである。だから日共は、名護新基地建設阻止の市長リコールを中断に追い込んだのである。
 本土の労働者人民こそ沖縄人民の闘いに学び、連帯して闘わなくてはいけないのだ。それを、不破は「全部の基地をなくすのは簡単」などと大ウソをついているのだ。沖縄米軍基地は日米安保体制の戦略的な実体をなすものなのだ。沖縄人民は、米帝・米軍と闘い、日帝の延命・復活のために沖縄米軍基地維持・強化を唯一の沖縄政策としている日帝の安保・沖縄政策と闘い続けてきたのだ。その闘いの勝利は、米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒の全人民的闘いによってかちとることができるのである。
 戦後長い間、沖縄への米軍基地の強制、安保と戦争の犠牲を押しつけてきたことに対する、沖縄人民の闘いを孤立に追いやってきたことへの真の階級的自己批判を抜きに、また、本土における安保・沖縄闘争を日本階級闘争の重大課題として沖縄人民と連帯して、推進することなしに、沖縄米軍基地撤去闘争に責任ある言葉がはけるはずはないのである。
 日共は、連合政権に入れてもらうために、「安保廃棄を破棄」して安保を容認した。それは、沖縄に対する米軍基地の差別的押しつけを容認することだ。さらに、自衛隊を容認し、帝国主義国家の自衛戦争を容認した。それは新安保ガイドライン発動を容認し、沖縄人民、日本労働者人民を侵略戦争に駆り立てることを容認することだ。このスターリン主義の反革命を断じて認めてはならない。

 第3章 安保容認の野党連合政権への参加が結論

 不破は、沖縄サミット賛成、沖縄人民の基地撤去闘争反対を表明した演説の結論として、「一歩でも自民党政治の悪政から抜け出して国民に役立つ政治ができるなら、他の野党と協力して、野党の連合政権をつくる用意があります。……一昨年から明らかにしてきています。……だから今度の総選挙で、その共産党がどれだけ伸びるかということが、実は、これからの日本の政治を変える」と結んだのである。(資料)
 不破は、日共は沖縄サミットに反対せず、日帝の新安保ガイドライン発動にも反対せず、沖縄人民は米軍基地押しつけに基地撤去闘争などやらずに、総選挙で日共に投票することに全力を傾けるべきだと主張しているのである。
 今、日共が民主党を軸とする連合政権に参加したら、日本の政治はどうなるのか。それは不破自身が、ここだけは譲れないとしているのが「日米安全保障条約をより悪くすることはできない」と言っているように、日共が参加する政権は、現にある安保体制を容認する政権となるのである。それは、その安保の「実効性を確保する」ための新安保ガイドライン体制構築=発動を強行する政権である。したがって、その政権は沖縄米軍基地の永久化・強化を沖縄人民に強制する政権となる。
 つまり、日帝が文字通り“死の苦悶”にのたうちまわって、新安保ガイドライン体制構築=発動に向かって、すなわち朝鮮・中国−アジアへの侵略戦争に突入しようとしていることを、ファシスト石原や森・自公政権に代わって日共が行うことを宣言しているに等しいのである。日共は断じて人民の味方ではない。人民の闘いを圧殺して、帝国主義の代弁者として人民を侵略戦争に動員するスターリン主義なのだ。
 このことは、一九三〇年代にスターリン主義が果たした階級的役割を、今、日共が果たそうとするものなのだ。スペインにおける三六年七月の革命で、ファシスト勢力を打倒する労働者階級人民の闘いが爆発する中、スターリン主義はブルジョア政府に参画し、反ファシスト勢力を背後から武装襲撃して、革命を血の海に沈めた。この歴史を繰り返してはならない。日共が連合政権に参加するということは、アジア人民と連帯し、沖縄人民と連帯して闘う労働者人民を背後から襲撃して、ブルジョア政権に参加する道を宣言したことなのだ。
 日共のスターリン主義反革命としての登場を粉砕し、労働者人民の自己解放的決起を推し進め、六月衆院選決戦、七月沖縄サミット粉砕決戦に決起しよう。
〔笠原陽一〕

 ■資料
【沖縄サミットを前に各国政府と世界のマスコミへの日本共産党の報告と訴え】
 沖縄県民はもちろん、私たち日本国民は、サミット開催地として沖縄が選定されたことに特別の関心を持っています。……
 私たちは、二十世紀最後の年のサミットが沖縄で開かれることを機に、沖縄のかかえる基地問題を世界の人びとに知っていただくことがぜひとも必要だと考えました。……
 私たちは、二十一世紀に向けて、この沖縄を、県民と日本国民の「平和」の意思の発信の地にしたいと願っています。
 ……名護市民は、すでに市民投票によって、基地建設反対の意思を確認しています。にもかかわらず、日米国両政府は、なんとしても基地を建設しようとしているのです。ことし七月のサミットは、普天間基地の移設問題が重大な局面を迎えている最中に開催されます。
 日本共産党は、日米安保条約をなくして、基地のない平和な日本をつくることを展望しています。しかし同時に、沖縄県民の苦痛は、安保条約の終了以前にも、緊急に解決しなければなりません。世界各国のみなさんにも、沖縄の現状と要求について、ご理解いただきたいと考えます。
【報告と訴え発表の二・一六不破記者会見】
 沖縄でサミットを開催するということは、日本の米軍基地の集中点である沖縄を、世界の首脳部と、世界のマスコミに心おきなく見せるという(日本)政府の意思表示だ。……沖縄の米軍基地の現状について、世界的な基準でみせる機会になる。……
【四月十五日の那覇市での不破演説】
 “一つの基地だって返還が難しいのに、基地を全部なくすなんてことが簡単にできるだろうか”そういうことをよくいわれます。……安保条約があるもとで一つの基地をなくそうとすると、アメリカと話し合って、アメリカが「うん」といわないとこれはできないのです。ところが安保条約がなくなってしまえば、基地をおくよりどころがなくるわけですから、全部なくなります。……このように一つの基地をなくすのは大変だが、全部の基地をひっくるめてなくすのは、大変手続きが簡単であります。
 (サミットの)機会に、沖縄はこういう異常な状態にあるんだ、それは世界の基準に照らしてひどいものなんだということを、アメリカのクリントン大統領をはじめ、各国の首脳、世界のマスコミにはっきり知らせようじゃないか。……
 私たちは、革新の立場にたった民主連合政府を大きな目標にしていますが、そこにいたる中間であっても、一歩でも自民党政治の悪政から抜け出して国民に役立つ政治ができるなら、他の野党と協力して、野党の連合政権をつくる用意があります。そのときの考え方はこうですということを、私は、一昨年から明らかにしてきています。
 政権のことについて、そこまではっきりものをいっている政党はほかにないのです。だから今度の総選挙で、その共産党がどれだけ伸びるかということが、実は、これからの日本の政治を変える。

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週刊『前進』(1960号7面2)

 5・28三里塚

 敷地内デモで反撃

 ゛軒先工事の暴挙許せぬ″

 五月二十八日、三里塚反対同盟は暫定滑走路工事粉砕の敷地内デモに決起した。昨年十二月に天神峰地区で着工を強行した空港公団は、四月から東峰生活区域に踏み込んで工事用フェンスの設置を強行してきた。五月二十五日の定例記者会見で空港公団総裁・中村はこのフェンス工事の終結を報告するとともに、ただちに小見川県道トンネル化のための迂回(うかい)道路(生活破壊道路)建設を強行することを明らかにした。五・二八デモはこの農民追い出しのための軒先工事に対する実力反撃の闘いとしてうちぬかれた。
 午前八時半、東峰部落の開拓組合道路に総結集した反対同盟員と支援勢力に対して、北原反対同盟事務局長は「フェンスは東峰部落を監獄のようにして追い出そうとするものであり許してはならない。暴挙を目のあたりにして怒りが込み上げる。闘いの力をもってなんとしても粉砕しよう」と決起を呼びかけるとともに、「安保ガイドラインのもとで成田空港は極東における米軍の一大拠点になることがはっきりした。三里塚は沖縄と連帯し闘おう」と訴えた。
 デモは小見川県道から東峰部落内に入り、圧迫感と閉塞状況をつくりだす鉄板フェンスの中で怒りのシュプレヒコールを突き上げ、公団が破壊を策動する天神峰団結街道まで一・五`を戦闘的にうちぬいた。
 三里塚反対同盟は、その後、芝公園の反戦共同行動委員会の集会に合流して沖縄サミット粉砕への決起を明らかにし、七・二三里塚現地総決起集会への決起を呼びかけた。

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週刊『前進』(1960号7面3)

 5・13−15沖縄闘争に参加して

 ●サミット粉砕へ

 九州B大1年 H 
 私は初めて沖縄に行きました。まず初めに目に入ったのは「サミット歓迎」という垂れ幕でした。私は「沖縄の人たちはサミットを歓迎しているのかな?」とさえ思いました。
 しかしそれは違っていました! 老若男女を問わず、道行く人びとが権力の目にひるむことなく、われわれのデモ行進に対して手を振ってくれたのです!
 それは沖縄の人たちが権力によって「サミット成功」を無理強いさせられていることの表れにほかなりません! 嫌なことを嫌と言えない体制をつくって運動を圧殺しようとする日帝のやり方は絶対に許せない!
 日米帝は沖縄を「基地の島」のままにしておくことしか考えておらず、けっして「平和の発進地」などとは考えていないのです! 沖縄をアジア侵略の拠点にしてはいけない! この思いを握り締め、帝国主義強盗どもの戦争会議沖縄サミット粉砕へ突き進んでいこうと思います!

 ●予想以上の反応

 東北大1年 加藤 
 仙台で七十万署名を集める街宣を行ったが、「何でサミットが悪いの?」「何で整理・縮小がだめなの?」という声が多かった。しかし、説明するとわかってもらえるのがうれしかった。そういうこともあって五・一三〜一五沖縄現地闘争に参加したが、予想以上の反応に正直、驚いた。五・二八や衆院選で森政権・石原打倒を掲げて闘っていこうと思う。

 ●「基地の島」認識

 東北C大1年 M 
 私はまだ知識が不十分なまま沖縄に行きました。しかし必要なのは、沖縄に対する正しい認識でした。
 沖縄は本当に、基地の島でした。戦闘機が秒単位で出入りし、住民の生活と戦争が隣合わせで存在していることを実感しました。
 私たち本土の人間の日々の安全が、沖縄の人びとを犠牲にしてきた結果だということ、基地問題は本土の人間の問題であることに気が付きました。“沖縄のことは他人事”と考えることが、沖縄戦で亡くなった多くの人びとにいかに失礼であるか知りました。
 沖縄に行き、闘う大勢の人びとに会い、サミット粉砕が可能であると確信しました。だから本土に帰ってきた今、すべての人びとに事実を伝え、七月のサミットを絶対に粉砕しようと思います。

 ●名護市民と共に

 首都圏D大 F 
 五・一三〜一五闘争の重要な総括点は決戦の大焦点となる名護現地において全学連がサミット粉砕を宣言し、その内容で市民と交流をかちとったことです。
 日帝は名護市民の決起を心底恐れ、サミット反対の声を圧殺しています。しかし沖縄人民は強盗会議を許していないし、沖縄が侵略出撃基地になることも断じて許していません。
 実際に名護市街地の商店、民家にはサミット歓迎の旗や横断幕などは見あたらず、帝国主義に対する怒りと抵抗のように感じました。デモ隊に手を振るおばあさん、立ち止まってじっと私たちを見つめる男性。人民の声は明らかです。
 問われているのは本土の私たちの闘いです。「沖縄の未来は僕たちが決めるんだ!」という沖縄人民の血叫びに学びこたえていくことです。

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週刊『前進』(1960号7面4)

 コミューン 7月号

 石原の暴言を弾劾

 四月九日の陸自第一師団創隊記念式典でのファシスト石原の暴言は、日帝のアジア侵略戦争体制確立攻撃の新段階を画するものだ。
 今特集は、日帝・森政権のファシスト的先兵として、新安保ガイドライン体制確立攻撃を突出的に展開する石原の反革命的戦略を徹底的に粉砕し、石原と森を打倒する立場から、石原暴言の意味するものを全面的に暴露・弾劾した。
 第一章第一節では、石原が「大災害時に『不法入国の三国人、外国人』が必ず騒じょう事件を起こす」というデマを飛ばして、自衛隊の九・三治安出動訓練を計画している、その恐るべき反革命的実態を暴露した。第二節では、石原がいかなるファシスト的意図をもって『三国人』という差別語をあえて使ったのかについて暴露した。第三節では、石原のファシスト的政策を概観するとともに、それと一体のものとして展開されている息子の伸晃の反人民的政策を批判した。
 第二章では、石原発言に対する日本共産党の異様なまでの沈黙の姿勢が何を意味するかを暴露するとともに、反米愛国路線に基づいて日米安保と自衛隊を承認し、帝国主義の戦争会議=沖縄サミットを推進する日共の今日の諸政策が石原のファシスト的政策と酷似しており、石原と同盟して、戦争国家化・福祉破壊を推進するものであることについて暴露した。
 特集末尾には、この間の石原のファシスト的発言録を掲載した。

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週刊『前進』(1960号8面1)

 マルクス主義を学ぶ

 「基本文献シリーズに取り組んで」

 マルクス・エンゲルス『共産党宣言』(その2)

 (7) 「私有財産の廃止」を階級関係の中に据え直す
 課題7 「共産主義の理論は私有財産の廃止の一語に総括できる」ということと「資本への専制的侵害」について説明して下さい。
 ■「私有財産の廃止」は初期の共産主義や社会主義運動でも掲げられていた。しかしそこでは時代的制約もあって、私有財産の本質を物質的生活の社会的生産における階級関係に求めるのではなく、もっぱら「生産物の分配」の結果ととらえることしかできなかった。そのため空想的な「私有財産の廃止=階級間の不平等を解消する社会改造のプラン」を描くことにとどまった。
 マルクスとエンゲルスは「私有財産の廃止」を空想的な社会改造プランから現実の資本主義社会における階級闘争、階級関係の中に据え直したのである。
 共産主義のいう私有財産の廃止とは、所有一般の廃止ではない。それが廃止しようとする私有財産とは、他人の労働を搾取・支配し、社会的生産を独占している力、すなわち資本というブルジョアジーの財産である。資本の廃止とは、生産手段の破壊ではなく、その階級的性格、社会的性格を変えることである。
 この資本という私有財産は、賃労働を搾取し続け、自己増殖するという条件においてしか生きられない。資本は、多数の賃金労働者の共同の労働(社会的生産活動)によってのみ運動できるものでありながら、その運動の規定的目的はより多くの利潤の獲得以外の何ものでもない。つまり生産の現実の担い手たる社会の大多数を占める労働者にとっては、自分たちの労働によって資本は肥え太り、労働者が働けば働くほどますます自分たちを隷属させる力を強めるものである。そして資本にとって利潤が得られない場合には、無慈悲に路頭にほうり出される。
 共産主義のいう私有財産の廃止とは、こうしたブルジョアジーの財産であることによって規定される資本のあり方を廃止すること。つまり生産の社会的力となっている資本を、ブルジョア諸個人の手から社会のすべての成員の共同の財産(所有)に転化し、個人の所有=取得が他人の搾取の上に成り立つというあり方を廃止するのである。
 しかも、「ブルジョア的所有」とは「他人の搾取に基づいて生産物の生産と取得が行われる最後の、もっとも完成された形態」であるから、このブルジョア的所有を廃止することは、賃労働以前にもあった歴史的な一切の他人の労働を搾取する私的所有そのものに終止符を打つということなのである。このことをとおして同時に搾取階級と被搾取階級の階級対立および階級そのものを廃止していく。言い換えれば、資本主義社会こそ階級社会の最後の形態であり、この社会は無階級社会=共産主義社会を登場させる条件をつくり出しているのである。
 ところでこの私有財産の廃止はブルジョアジーの資本に対する「専制的侵害をつうじて行われる以外にない」。この「専制的侵害」とは資本(生産手段)をプロレタリアートが実力で奪い取り、その管理のもとに置くということである。資本を収奪するということは、資本制生産の中でブルジョアジーによって搾取されてきた労働の全成果をプロレタリアートが自分のもとに奪い返すということにほかならない。したがって、この収奪はブルジョアジーの意向には関係なく有無を言わせぬ(=暴力的)性格を持つ。プロレタリア革命の暴力性はここに根本の核心がある。
 ブルジョアジーという階級の存在は私有財産=資本を所有し、これで労働者を搾取していることに根拠がある。ブルジョアジーはこの制度の守護のためにこそブルジョア国家権力を握っている。したがって、プロレタリアートによる資本の収奪は、ブルジョアジーの政治権力としての国家の暴力的打倒を必須の先行要件としているのである。ブルジョアジーはブルジョア的私有財産=資本の防衛のために政治支配を握り、ブルジョア独裁の支配の貫徹として、法律によるだけでなく警察・監獄や軍隊で自らを武装しているのであって、この暴力を打ち砕かない限り、プロレタリアートの勝利はあり得ないからである。
 こうしてブルジョア国家権力を打倒し、新たに国家権力を握ったプロレタリアートがその管制高地を踏まえて、社会的共有への過渡としての国家的所有のもとへ資本の収奪(「専制的侵害」)を行っていくのである。
 (志野 勲)


 (8) 「家族−プロレタリアへの無家族状態の強制」と女性への「二重の抑圧」
 課題8 「プロレタリアへの無家族状態の強制」と女性への「二重の抑圧」について述べて下さい。
 ■ブルジョアジーにおいても、プロレタリアートにおいても現実に家族は存在している。しかしブルジョア家族の果たす役割はプロレタリア家族のそれとは違う。ブルジョア家族の役割はブルジョア的私有財産=資本の相続が第一の目的である。ここでは女性は本質的に家族維持の「生産用具」としての位置しか与えられていない。こうしたブルジョア家族を補完するものが、公然たる売買春であり、プロレタリアへの無家族の強制である。
 一方、プロレタリアはどうか。プロレタリアに相続すべき財産はあるだろうか。現代の労働者にはローンで買った家や自動車などがあるかもしれない。しかし、それらは他人の労働を搾取する資本=私有財産の持つ性格とはまったく違って、消費される生活手段である。自分たちの労働力を売って働き続ける以外には、自己自身も家族も生きられない存在であることに変わりはない。その意味ではプロレタリア家族には相続すべき財産はない。
 それどころか大工業の発展の中で進んできたように、より安い労働力を求める資本による女性と子供の労働への動員(後者は後に法的に制限)によって、すべてのプロレタリアートとその家族は労働用具化されてきた。
 プロレタリアの生活は、資本の家族全員に対する搾取の強まりのもとで、労働力の再生産と次世代の労働力の補てんのためのぎりぎりの存在条件に追い込まれ、家族関係は引き裂かれ解体されてきた。今日では資本の都合による単身赴任、夜勤、残業、過労死、失業の多発や、資本のよりよい搾取材料になるための受験戦争などの形で、家族の存立を経済的にも精神的にも破壊する危機が襲っている。
 しかも、とりわけプロレタリア女性は自分自身が資本のもとでより安い労働力としての労働を強制されながら、同時にブルジョア家族観の支配的な資本主義社会では、家庭にあっては労働力の生産=再生産(家庭の維持、出産、育児、介護など)のための家事の役割を主要に担わざるを得ない「二重の抑圧」のもとに置かれている。
 こうしたプロレタリアの無家族状態や女性の「二重の抑圧」という現実の一切の根源は賃労働制度の存在である。賃労働制に基づく資本家によるプロレタリアートの搾取とそれを維持する階級支配がなくなれば、プロレタリアに対する無家族状態の強制もプロレタリア女性への「二重の抑圧」も、また女性を「生産用具」としてしか見ないブルジョア思想に支配されたブルジョア家族(それを典型とする今日の家族観)と女性への差別の極致である売買春もなくなる。こうしてブルジョア社会の打倒と共産主義への前進の中で、新たな両性関係と親子の関係が形成される条件が生まれてくるのである。
 マルクスは、「大工業は家事の彼方にある社会的に組織された生産過程において、女性、若い男女と子どもに決定的な役割を割り当てることによって、家族と両性関係とのより高度な形態のための新しい経済的基礎を作り出す」(『資本論』)と言う。
 むろん資本主義社会の中では女性が社会的生産に就くこと自身は「二重の抑圧」をつくり出すものである。しかし共産主義社会の実現を進める観点に立てば、その物質的基礎の形成という面だけでなく、革命の主体・プロレタリア女性の形成という面でも、資本主義が共産主義の基礎をつくり出していることを見いだすことができるのである。
 (浜野信子)


 (9) 労働者には祖国はない
 課題9 「労働者は祖国を持たない」とはどういうことか。
 ■近代国民(民族)国家はブルジョアジーによって封建制の解体をとおして形成された。たしかに資本それ自体は国籍も国境も持たない世界的存在である。しかし、ブルジョアジーは、一つの国家という枠によって資本にとってできるかぎり広い統一的な国内市場を確保するとともに、自己の特殊利害=階級利害を貫く上で、ブルジョアジーによるプロレタリアートへの階級的搾取関係を強制・維持するため国家による政治的支配、階級支配を確立する必要があった。それを民族国家の形成という形で成し遂げていったのである。
 この近代的民族国家の形成過程は多くの場合、一つの中軸的民族要素を核としてその周囲に一定の類縁性を持つ諸地方や様々の〈民族的要素〉を糾合する形をとって行われた。その過程は民族主義の鼓吹による民族統一の美名とは裏腹に、内外にわたる強権的、差別的、抑圧的な方法で強行された。
 資本はその論理の貫徹として、世界的な規模の生産力と世界市場を条件として発展し、地方的な民族的限界を打ち破って、経済的な相互依存性を世界的に形成してきた。だが資本主義はけっして「諸国民の国家的分離と対立」そのものを止揚することはできない。いかに資本が世界大的な発展を遂げても国家なしには階級支配を貫徹・維持できず、ブルジョア国家は基本的には民族国家の形をとらざるを得ないからである。それを如実に示すのは、その後の歴史の中での資本主義の帝国主義段階への発展における国家間対立の未曽有の激化=帝国主義戦争の爆発の必然性である。
 「労働者は祖国を持たない」という表明は、ブルジョア的国家間の対立=戦争はブルジョア階級の間の利害をめぐるものであり、それに諸国家のプロレタリアート人民を動員して殺し合いをさせるものだという階級的批判であり、これにプロレタリアートは断じて動員されてはならないという意思表明である。
 逆にこの表明は、全世界のプロレタリアートの利害はブルジョア階級のもとで搾取され、これと闘っているという意味で、国境を越え国籍と無関係に同一であり、こうした戦争におけるブルジョア国家の危機に対して、それぞれの国家のブルジョアジーの打倒を目指す連帯し共同した階級的闘いをこそ貫かねばならないということを掲げるものである。
 資本の発展は全世界にプロレタリアートを生み出し増大させる。そのことによって、ブルジョア諸国家は自らが打倒される条件を強めざるを得ない。『宣言』が「団結した行動−少なくとも文明化した諸国の団結した行動」がプロレタリア解放の第一条件と明言しているように、世界革命のもとで初めて諸国民のプロレタリアートの革命的解放が現実化するのであるが、その条件は資本主義が世界的につくり出しているのである。
 したがって「労働者は祖国を持たない」とは、積極的に言えばプロレタリアートの国際主義的な本質とその発展性=世界革命の現実性を確認しているものである。 (水田 光)

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週刊『前進』(1960号8面2)

 排外主義と闘う

 入管闘争の課題 H

 強制連行・強制労働

 在日朝鮮人・中国人 侵略戦争の生き証人

 シリーズをとおして、徹底した外国人差別・抑圧の治安管理体制である入管法・外登法−入管体制の実態に迫ってきた。ここであらためて、日帝の侵略と侵略戦争、植民地支配の中を苦闘しながら生き、さらに日帝の敗戦=解放の後も、理不尽な差別・抑圧を受けながら、生活し闘いぬいてきた在日朝鮮人、在日中国人の歴史的足跡を振り返ってみよう。それは同時に、「国内型植民地支配の継続」といわれる入管法・外登法−入管体制の本質を明らかにすることである。

 第1節 日帝アジア侵略

 日帝のアジア侵略の発端は、一八七四年の「台湾出兵」といえる。これは一八七一年に宮古の年貢運搬船が遭難して漂着した台湾で、乗組員が殺害された事件を口実とした武力侵攻であり、明治政府は七二年に「琉球藩」を設置、琉球が日本領土であるとした上での侵略戦争だった。この結果、日帝は清国から五十万両の賠償金をせしめた上、七九年には「琉球処分」を断行したのである。
 その後、日帝は、朝鮮に対して一八七五年江華島事件をもって開国を迫り、日清戦争後の九五年下関条約で台湾を植民地にした。一九一〇年八月には日本軍がソウルを武装制圧する中で「韓国併合条約」調印を強制したのである。
 朝鮮では早々に「土地調査事業」に着手した。それは実際には、突然日本人がやって来て「ここは私の土地だから出ていけ。さもなければ小作として働け」という土地強奪だった。その結果、食うに困って日本に流れついた朝鮮人が続出した。一九一一年に二千五百人余りだった在日朝鮮人は、二一年には三万人を超え、三一年には三十二万人、三八年の国家総動員法施行後の三九年には九十六万人となった。その後も激増し、敗戦の四五年には実に二百三十六万五千人の朝鮮人が、さらに中国人五万六千人、台湾人三万五千人が日本にいたという統計も残されている。
 一九三一年九・一八柳条湖事件、三二年三月ニセ満州国デッチあげ、三七年七・七盧溝橋事件から十二月南京大虐殺へ、中国侵略戦争の戦線拡大と太平洋戦争突入に伴い、四二年には朝鮮徴用令、四三年には朝鮮徴兵令が実施された。
 朝鮮人労働者は初めは「募集」、次に朝鮮総督府による「官斡旋」から「徴用」となった。しかし実態は、畑で働いている最中に暴力的にトラックに積み込んで狩り出すという強制連行・強制徴用だった。
 三菱などの軍事産業が集中していた広島・長崎への四五年八月の原爆投下による被爆者六十万人のうち、朝鮮人被爆者が広島で五万人(うち死亡三万人)、長崎で二万人(同一万人)にも達した。また日本軍軍隊慰安婦とされた朝鮮人女性は二十万人ともいわれる。
 そして半世紀が過ぎ二十一世紀を目前した今日、過去の戦争責任を認めず、居直る日帝は、ファシスト石原の差別暴言、森の「神の国」暴言を繰り返し、再び朝鮮・中国−アジア人民に襲いかかっている。
 五月三十日、与党単独で強行された「戦争決別宣言」なる国会決議の本質は、七月沖縄サミットを契機に過去の戦争と決別し、新たな朝鮮・中国|アジア侵略戦争に踏み出すことを宣言した侵略戦争宣言だ。絶対に許すことはできない。

 第2節 8・15解放を迎え

 天皇への屈従を強制した皇民化政策、民族のことばを奪い、文化を奪い、そして名前さえも奪った(創氏改名)日帝の植民地支配。一九四五年八月十五日、日帝は無条件降伏し、半世紀にわたるアジア侵略戦争に敗北した。それは日本の労働者人民にとっても解放の喜びの日であったはずだ。
 その八・一五からただちに動き出したのは在日朝鮮人・中国人だった。日本人に先立って軍需工場から赤旗を振り、労働組合を結成したのも朝鮮人、中国人だった。十月十五日、全国組織として在日朝鮮人連盟(朝連)が発足した。同時に「皇民化教育」で奪われた「民族教育を取り戻そう」と自主的民族教育が始まった。
 一方、「祖国に帰ろう」||解放に胸を躍らせて帰国した朝鮮は、三八度線で分断されたまま、四五年十二月の米英ソ三国外相会議合意を経て五年間の朝鮮信託統治が決まった。燃え上がった闘いに凶暴な弾圧が襲いかかった。情勢が揺れ動く中、生活難・住宅難に加え、水害やコレラ発生などが重なり、生きるために日本に戻ってくる朝鮮人が四六年春ころから増えた。

 第3節 排外主義を扇動

 四六年五月に衆議院で証言した出入国管理庁長官の鈴木一は、逆流してくる朝鮮人を「密航者」と規定し、「検挙されていない者が五万人以上いる」と取り締まりを主張した。八月には進歩党の椎熊三郎議員が「終戦まで日本人として生活していた台湾人、朝鮮人らが、終戦と同時にあたかも戦勝国民のごとき態度をして、その特殊なる地位立場を悪用して、わが日本の法規と秩序を無視し、傍若無人の振る舞いを敢えてなしきったことは、実に黙視するあたわざるところである」と、民族排外主義をあおった。
 マスコミも「在日朝鮮人が闇市場に根を張り物資の出回りや物価をかき乱している」(朝日新聞社説)と一斉にキャンペーンした。
 これに朝連は「朝鮮人民への宣戦布告である」と猛然と抗議運動を起こし、同じく在日朝鮮人団体の朝鮮建国促進青年同盟(建青)も「日本民族こそ三十六年間わが祖国において何をなしたかを思い到れば、かかる非難は天に向かって唾を吐くのと同じ」と反論した。この結果、進歩党、自由党は遺憾表明を行い、朝日新聞も朝連の反駁(はんばく)文を掲載した。
 この時の警察統計によれば四七年当時、大阪のヤミ市の業者数は一万五千二百三十二人、業者の国籍別内訳としては日本人七五%、朝鮮人二一%、中国人四%であった。

 第4節 新橋・渋谷事件

 東京では同年六月、新橋駅西口前でヤクザの松田組と露天商の台湾人との紛争、殺傷事件が発生した(新橋事件)。これは七月の渋谷事件へと発展した。「武装警官とヤクザの連合軍が(台湾人が乗った)トラックに向かってピストルを発射……死者五名、重傷者二十三人、その場にいた台湾人全員が逮捕された」(林歳徳著『私の抗日天命』)。逮捕された四十一人の台湾人は全員起訴され、軍事裁判にかけられた。十二月十日の判決では三十九人が有罪で懲役となり、台湾に送還された。
 九月三日付朝日新聞は「第三国人の取り締まり強化」の見出しで国会答弁を報道した。大村内相は、「朝鮮人の密入国」について「場合によっては連合軍の力により艦艇を以て哨戒をして貰うような徹底した組織をたてねば、この取り締まりは十分にできない」とまで言い放ち、さらに「多数の朝鮮人は解放民族としてあやまった優越感を持っており、また戦時中の日本の彼らに対する圧迫に対して仕返しをするというくらいな反抗的な心持ちの者もある」と、許しがたい発言を繰り返した。
 この九月に大阪では、連合軍大阪軍政府が大阪府に発した「密航朝鮮人の取締り指令」に基づき、九月に「居住証明書制度」の条例案が出された。在日朝鮮人はこぞって撤回要求に立ち上がった。  (室田順子)
 〔この項続く〕

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週刊『前進』(1960号8面3)

 1面からつづく

その限りでの「自公との対決」に過ぎない。その政治綱領は、自公となんら変わらない。これが民主党の正体である。
 民主党が、労働者人民の切実な利益を乱暴に蹂躙(じゅうりん)する側の先頭に立っていることは、石原伸晃と並ぶ介護保険制度強行の最強硬派であり、大増税の最強硬派であることをみれば明白だ。民主党が「自公ノー」の流れの受け皿をねらい、マスコミが民主党を持ち上げている中で、東京八区では、民主党が目的としているもの、やっていることが石原伸晃とほとんど変わりのないことを暴露して打倒しよう。
 (3)日本共産党=山崎はどうか。共産党は自公(保)政治が戦前型暗黒政治であることにすくみあがり、自公(保)を倒すために闘うのではなく、自公に意識的に屈服し、自ら翼賛政党の一翼として与党にすり寄って生き延びることを路線的に選択・決断し、そこにすでに踏み切っている転向政党である。だから「安保条約廃棄」を放棄し、「天皇制を正式に承認」し、「国旗・国歌法制定の国民的議論」を提唱し、改憲のための憲法調査会に大手を振って参加し、福祉切り捨ての介護保険制度導入を「国民的大事業」と称賛し積極的に推進するなど、たえず自公に先回りして攻撃に道を開く水先案内人の役割を果たしてきたのだ。
 日本共産党が「自公に反対」というのは、変節を口先でごまかすためであり、むしろ自公打倒の労働者階級人民の闘いの爆発にブレーキをかけ、共産党の力を政権政党に売り込むためだ。何よりも日本共産党は、人民大衆の下からの自主的総決起こそが政治を真に変える力であることに反対し、一切を日本共産党の議席の拡大の道具としているだけのスターリン主義党である。また教育問題では、「子どもの荒れ」「子どものしつけ」「心の教育」ということを強調し、森や石原と一緒になって、子どもたちや若者に「道義」を強制する側に立っている。
 今や一切は、正しい時代認識のもとで労働者住民の進むべき道、今次衆院選でとるべき選択を、全労働者住民の認識・選択として高め、広めきる政治的宣伝―組織戦にかかっている。
 投票行動の主体は、杉並区の四十三万人の有権者大衆を始めとする労働者住民である。全区民の率直な疑問や質問や積極的意見と交通し、共感・一致をかちとることが、新たな組織者と集票運動をつくり出す。各政党・各候補者の主張と行動、長谷川さんの公約と行動を比較して、われわれに不利なものは何一つないし、彼らに有利なものはただの一つもない。
 今や時代は、帝国主義の矛盾の激化の中で、日帝の戦争国家化、有事立法・改憲と現実の侵略戦争へと向かっている。「天皇中心の神の国」発言もここに真の危険性があり、単なる時代錯誤や首相としての適格性の問題などでは断じてないのだ。
 こうした中で森や石原への怒りが、民主党や日本共産党、まして公明党に行くとしたら、それこそ労働者人民の悲劇である。森や石原の大反動を助けている者こそ、彼らなのだから。
 要は革共同の階級性、革命性、人民性を全党・全活動家が確信し、それを全労働者階級人民に向かって熱烈に顔面そう白で、しかも説得力をもって提起しぬくことである。

 第3章 福祉と介護奪い返す住民運動の大発展を

 いま必要なことは、政府・自民党、森政権、日帝権力の反革命的攻撃に対して本当に対決して闘える、まったく新しい考え方、方法、理念をもっている政治勢力がひとつの政党として登場することである。市民、住民、大衆、労働者人民の苦悩と怒りと要求を、大衆自身のわきたつような決起による大衆運動として組織することである。労働者住民の新しい政党をつくる必要があるのだ。
 これまでのすべての野党が駄目なのは労働者人民の要求を大衆闘争、大衆的運動として組織しないことである。
 彼らは選挙の票だけを欲しがって、ほかの時は議会内で取引しているにすぎないのだ。革共同、都革新、長谷川候補の陣営がこれまでのすべての野党と決定的に違う点は、ここである。大衆が立ち上がって要求を主張し、自ら組織し、反動を粉砕すること! 大衆自身の自己解放運動を原理とする政党、その先頭に立つ政党の台頭が必要なのだ。
 都革新と長谷川候補は、介護保険闘争の大衆運動の先頭に立っている。今日、日帝が帝国主義的矛盾から生じた「財政危機」なるものを口実として戦後の人民が営々としてかちとってきた社会保障制度の全面的解体を狙っていること、そしてその突破口を開くために介護保険制度の導入を強行しつつあることに絶対反対で闘っている。この闘争への全住民の決起を心から訴えている。
 介護保険制度の本質は、国が福祉としての介護をやめてしまうということである。介護を「恩恵から権利へ」などと言っているが、国が福祉として介護を保障するのは、恩恵などではまったくない。介護は当然の基本的人権なのだ。汗水流して何十年も働いてきた高齢者はすべて必要な介護を受ける権利があるのだ。それができないと言うなら、その国家はもう国家たりえないということだ。
 すでに杉並では、自主的な大衆の介護保険廃止闘争が始まりつつある。さらに介護と福祉を要求する住民の闘いが開始されている。こういう形で民衆が立ち上がり、政治に対する新たな価値観の転換が行われ、労働者住民の新しい政治内容が形成され、闘いが開始されているのである。日本共産党と対決する価値観、人民自身が闘い要求することで新しい価値観を形成していく運動が開始されているのである。
 新しい政治とは、言行一致である。介護保険廃止闘争は新しい政治を切り開く闘いだ。新しい運動の爆発は必ず新しい党を求める。数千人の住民が沸きたつような政治行動こそ“介護保険は直ちに廃止!”の新しい住民運動なのである。
 核心は、大衆の自主的決起である。大衆運動の掘り起こしこそが時代を変え、流れを変え、歴史の本当の前進を開く。
 〈介護と福祉を要求する住民の会〉に結集して、今こそ介護保険廃止をかちとるために立ち上がろう。
 われわれの介護保険絶対反対・要求闘争の大衆運動的爆発と、衆院選を《介護保険制度への審判の場》とする方針は圧倒的に正しい。六・三「介護と福祉を要求する杉並住民の会」結成大会への大結集と、区内三十六町全町での「要求する会」の発足、連続的な地域懇談会の開催は、介護保険制度廃止・社会保障制度解体阻止への労働者階級人民の歴史的行動の本格的始まりである。ここに長谷川候補の政策と公約とその真摯(しんし)な実行力が、鮮やかな姿、形をとって表されている。
 四けたの杉並区民が大結集し、介護保険廃止闘争の大規模集会をかちとること自体が、衆院選の争点が介護保険であることを決定づけ、石原、片山、山崎の各陣営を決定的に追いつめるのだ。選挙戦情勢は一変する。介護保険絶対反対の候補者である長谷川氏の当選が、介護保険廃止への決定的突破口を開くことを熱烈に訴えて闘おう。
 今までの政治は完全に行きづまっている。大衆を利用する政治は行きづまった。大衆が自ら立ち上がって政治に参加する時が来たのである。

 第1節 激動期に勝利する党

 今次選挙は、公示日が総選挙過程の大衆的始まりとなる通常選挙ではなく、大衆的には解散日が通常の公示日と同じ位置にある。「選択の意志形成」も国会解散をもって始まる。そこに森発言があり、もっと手前から始まったのである。
 つまり大衆的な意志形成過程が、爆発的に前倒しで始まっている以上、前倒し的に全課題・全行動を見直し、「有権者大衆の開始した蜂起」と「党の蜂起」の一致を闘いとることが重要だ。
 ものすごい激動情勢・流動情勢に既成政党の各陣営もたたきこまれ、フタをあけてみるまで、最後までわからない選挙戦に今や突入している。なぜか? 今度の選挙が《自公審判選挙》であり、したがってまた、必然的に《自公と本当に闘うのはだれかをめぐる選挙戦》になっているからである。この根本で、他陣営は選挙戦情勢に翻弄(ほんろう)され、たえず焦り、守勢に立たざるをえない。長谷川陣営だけが攻勢に立ち得るのである。
 衆院選は党の飛躍をかけた大決戦であり、一種の蜂起の論理をもって臨まなければならない。他の一切の闘いの成否も、主体の存否をかけたこの一大蜂起戦の帰すうにかかっているのだ。だから衆院選に勝利することに一切をかけ、惜しみなく力を集中して闘おう。
 衆院選は権力闘争であり、並の選挙ではない。対国家権力の戦争である。七・二一サミット戒厳体制に基づく国家権力の弾圧を打ち破り、七月沖縄サミット粉砕決戦の成否をもかけて、衆院選に勝利しよう。反革命カクマルの一切の敵対を踏みつぶして、力強く進撃しよう。
 夏期一時金カンパ決戦を貫徹し、強力な党建設をかちとるものとして、衆院選蜂起戦を闘いとろう。機関紙・誌活動をしっかりと貫き通そう。機関紙・誌活動と財政活動は党の生命線である。どんな激動の中でも、蜂起戦の渦中でも貫くものである。それが党というものだ。

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