ZENSHIN 2007/04/30(No2293 p10)
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週刊『前進』(2293号1面1)(2007/04/30 )
3・18集会―統一地方選の地平から革命勝利の時代へ
職場・大学から5・9国会闘争に立ち 改憲投票法案を絶対阻止しよう
階級的労働運動路線の実践
統一地方選決戦は、杉並区・北島邦彦候補、相模原市・西村あやこ候補を始め、闘う候補の全員当選という感動的な大勝利をかちとった。
これは、「党の革命」と階級的労働運動路線での勝利だ。革共同と労働者階級の団結でかちとった勝利だ。とりわけ、青年労働者と学生を先頭に「労働運動の力で革命をやろう」というスローガンの下に闘いとられた3・18闘争の地平が切り開いた、偉大な勝利だ。
選挙戦では、候補者を先頭に「世界は革命情勢」「労働運動の力で革命をやろう」「資本主義は終わった。労働者が権力を握ろう」「労働者階級の団結した闘いで、自治体労働者の大量首切り民営化を粉砕しよう」と、真っ向から訴えた。革命の訴えは、労働者階級の切実な要求と結びつき、圧倒的な共感を得た。
今こそ、3・18闘争の地平に確信をもち、職場と大学で、階級的労働運動路線を実践しよう。これが、11月労働者集会1万人結集への道であり、世界革命への道だ。
安倍は『美しい国へ』の中で、「貧しい労働者が増えれば、怨嗟(えんさ)の声は日増しに大きくなり、やがてそれは国家にむかう。社会の不安定化は暴動を誘発し、革命にまで発展することもありうる」と言っている。そうだ! 3・18闘争をもって、安倍が恐怖する革命を真っ向から掲げて闘う青年労働者と学生が登場したのだ。
職場や大学で一歩も引かずに闘っている青年労働者と学生の闘いに続こう。職場闘争や組合権力をめぐる闘いで、どんな壁や困難にぶつかり孤立しても、党派闘争を貫き絶対に引かない闘いをやろう。革命的情勢の接近に確信をもち闘おう。
3・18闘争を闘った青年労働者や学生は、職場や大学で進攻的に闘いぬいている。法政大では、当局が、入学式に全新入生を集めて、「過激派の活動家がいるサークルには絶対入るな」と恫喝(どうかつ)し文書まで配布した。しかしこんな手口は、革命を真っ向から訴え新歓闘争を闘う学生にはまったく無力だ。むしろこの攻防は、全法大生に「戦争か革命か」を鋭く問い、逆に決起のバネとなっている。
ある新入生は、「大学のやり方はおかしい。18歳にもなれば、『入るな』と言われてうのみにする年齢ではない。自分の目で確かめ判断した」と闘いに合流している。革命の訴えは新入生の怒りと結合し、『共産党宣言』や『前進』の学習会が次々と生まれている。
3・18闘争の地平は、4月の職場闘争、選挙闘争、新歓闘争において、画期的な勝利を生み出している。3・18闘争の地平に確信をもって、5―6月決戦に突入しよう!
希望は世界革命にこそある
労働者階級が今、直面しているのは絶望の時代などではない。労働者階級が闘えば、世界革命に勝利する時代なのだ。
基軸帝国主義・米帝の没落を先頭に、帝国主義は体制的危機を爆発させている。米帝はイラク侵略戦争に敗北した。ブッシュが「イラク新戦略」で約3万人の米兵を増派し、バグダッド再占領に突き進んでいるが、早くも破産に直面している。4月12日には、バグダッド中枢の米軍管理区域グリーンゾーン(米大使館や政府庁舎などがあり、複数の検問所もあるイラクで最も警備が厳重な場所)の中にあるイラク国民議会ビルで、爆破戦闘が炸裂(さくれつ)した。米帝・米軍には、イラクで安全な場所などどこにもない。
しかし米帝は、帝国主義である限り、どんなに破産的で破滅的であろうと、イラクから撤退することはできない。それは中東石油利権の放棄であり、世界帝国としての米帝の破産を突き出し、ドル暴落を招き、中東での民族解放・革命戦争の一斉蜂起を呼び起こす。
だから、どんなに破産的ではあっても、イラク侵略戦争を継続・激化させ、さらに危機を深め、全世界で革命的情勢をますます促進してゆく。イラク侵略戦争を止めるためには米帝打倒と世界革命しかないのである。
米帝経済の破産も一層深まっている。2〜3月の世界同時株暴落は、米帝経済が崩壊寸前であることを示した。いつドル暴落と世界恐慌が起きてもおかしくないのだ。
米帝の没落は、帝国主義間争闘戦を激化させ、侵略戦争の拡大と世界戦争への攻撃、階級絶滅の攻撃を激化させている。これは最末期の帝国主義の姿だ。だがこの攻撃自身が、革命的情勢を全世界で生み出している。
今や現実に世界革命が問題になっている。「希望は、戦争」ではなく「希望は、革命」なのだ。昨年、11・5労働者集会を闘いとった日米韓の闘う労働組合が、世界革命の主軸に登場している。階級的労働運動路線こそ、世界革命に向けた万国共通の闘う路線だ。
万国のプロレタリアートは世界革命勝利へ闘おう!
5月の連休明けが大決戦だ
5―6月、安倍政権の改憲攻撃に対して、あらゆる職場・大学・地域で「労働運動の力で革命をやろう」と訴え、闘い抜こう。改憲投票法案粉砕・教育4法改悪案粉砕の闘いに決起しよう。
とりわけ改憲投票法案は連休明けが大決戦だ。与党は5月中旬にも参院で採決を強行し、成立させようとしている。自治体労働者、教育労働者を最先頭として、非常の決意で全国の職場から国会闘争に総決起しよう。
日米首脳会談で安倍は、自衛隊イラク派兵の継続や集団的自衛権の見直しに着手することを表明し、米帝と一体となってイラク侵略戦争―朝鮮侵略戦争に突き進んでいる。安倍は訪米に続き、空自の出撃拠点・クウェートなど中東5カ国を訪問し、イラク侵略戦争の継続へ檄(げき)をとばし、連休明けにはイラク特措法の2年延長を決定しようとしている。
重大なことは、安倍が集団的自衛権の行使に踏み切ろうとしていることだ。安倍は米帝と一体で朝鮮侵略戦争をやろうとしているのである。
米帝は、戦争発動への時間をかせぎ、金正日体制の崩壊を6者協議によってコントロールしつつ、朝鮮侵略戦争体制を構築しようとしている。そして今秋までに、日米共同の朝鮮侵略戦争作戦計画を完成させようとしている。これに対応して、安倍政権による軍事的突出が進んでいる。
@PAC3の入間基地配備など弾道ミサイル防衛体制の構築。A5月1日の日米安全保障協議委員会(2+2)で、軍事情報一般保全協定(GSOMIA)の締結を確認。B集団的自衛権行使容認に向けて有識者会議を発足。C日本版NSC(国家安全保障会議)の閣議決定。Dオスプレイの沖縄配備策動。E米軍再編推進法案の衆院通過。Fイラク特措法の2年間延長策動、海自のインド洋派兵の半年間延長。G新基地建設のための辺野古海域調査の強行などなど。これらはどれ一つとっても反革命クーデターに等しい攻撃だ。
そして安倍は、「改憲を参院選の争点にする」と宣言し、改憲投票法案の参院での強行成立へと連休明けから突進しようとしているのである。
しかし日帝は、一方で1000兆円以上の借金をかかえ、アジア勢力圏も形成できず、アジアと世界の人民から戦争責任を追及されている。また何よりも日本の労働者階級の組織と闘いをまったく解体できていない。まさに日帝は、帝国主義の「最弱の環」なのだ。
改憲は反革命クーデターであり、革命的情勢を一気に引き寄せる。すべては労働者階級の団結と決起によって決まるのだ。
だからこそ安倍政権は改憲攻撃の核心として、労働組合解体に全力をあげている。自治労・日教組などの4大産別を始めとした労組を解体しなければ、改憲攻撃は絶対に貫徹できないのだ。
改憲投票法案について自民党議員は「護憲の自治労や日教組の組合員に自由に運動させるような修正は容認できない」と、自治労や日教組への恐怖をあらわにしている。自治労100万、日教組30万組合員が、闘わない指導部を打倒しゼネストに決起すれば、改憲攻撃は粉砕できるのだ。
改憲推進勢力に転落した連合本部、自治労・日教組本部を打倒し、4大産別の労働者を先頭に、改憲投票法案粉砕に総決起しよう。それが改憲阻止決戦勝利の道だ。
青年・学生を先頭に5月へ
この5―6月、3・18集会と統一地方選勝利の地平を発展させ、青年労働者と学生を先頭に、本気で革命を準備する闘いに突入しよう。
「労働者階級の団結した闘いで帝国主義を打倒し、労働者階級が社会の主人公になろう」という訴えが、青年労働者と学生の心をつかんでいる。競争と分断の中で生きてきた学生は、「自分たちが社会の主人公だ。自分たちが職場を動かしている。資本家なんかいらない」という動労千葉の闘いに感動し、革命の現実性を感じている。革命こそが青年労働者と学生の要求だ。実践方針だ。
職場や大学で、資本や当局と非和解で闘って革命を始めよう。資本や大学当局への怒りを闘う団結に高めよう。人間扱いされない現実への根底的な怒りを、今こそ爆発させよう。革命運動の中で、人間としての誇りを取り戻そう。体制内労働運動との決別・打倒を組織して、自分自身が労働組合の指導部になろう。一人ひとりが断固、革命家として登場しよう。
青年労働者・学生を先頭にして、この5・9、16改憲投票法案粉砕国会闘争へ総決起しよう。5・15沖縄闘争に決起しよう。
機関誌『前進』を青年労働者と学生の中に持ち込もう。マルクス主義青年労働者同盟とマルクス主義学生同盟の圧倒的な建設に向け闘おう。
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週刊『前進』(2293号1面2)(2007/04/30 )
北島氏(杉並)、西村氏(相模原)が勝利
4・22地方選 闘う候補が全国で当選
4月22日投票の統一地方選挙後半戦で、闘う候補が全国で奮闘し全員当選の勝利をかちとった。
東京・杉並区議選(定数48)では、「都政を革新する会」事務局長の北島邦彦候補が2568票で初当選した。
神奈川・相模原市議選(相模原選挙区定数46)では、「相模原革新市政をひらく会」代表で婦人民主クラブ全国協議会代表の西村あやこ候補が3508票で4選勝利をかちとった。
大阪府の高槻市議選(定数36)では、小西弘泰候補が3393票で3選を果たした。また八尾市議選(定数32)で、末光道正候補が2914票を獲得、初当選した。
さらに千葉県の勝浦市議選(定数18)で、動労千葉の組織内候補で元副委員長の水野正美氏が693票で堂々4選を果たした。 (2面に詳報)
戦争・改憲・民営化と対決
今回の統一地方選は、9条改憲を公然と主張しイラク侵略戦争−朝鮮・中国侵略戦争に突き進む極右・安倍政権と真っ向から対決する選挙戦として闘いぬかれた。また、労働者階級を一層の賃金奴隷の状態にたたき込む民営化・労組破壊、賃下げ・リストラ攻撃を粉砕し、労働者階級の団結を打ち固める選挙戦として打ち抜かれた。
闘う候補者たちは、労働者階級こそがこの行き詰まった社会を革命する最大の主体であることを訴え、団結して闘えば必ず勝利できることをアピールし、共同の闘いを熱烈に呼びかけた。この熱意と気迫と路線的訴えが地元の労働者階級人民の日帝に対する怒りと結びつき、決起をつくり出し、共同の階級的勝利としてかちとられたのだ。
連合や全労連など既成労働運動指導部は、労働者の怒りの決起を抑えつける反動的役割を果たしている。今こそこうした体制内労働運動を打倒し、革命の実現を希求する労働者階級の荒々しい、嵐のような決起を実現する時だ。
激動する内外情勢は、選挙戦の勝利ゆえに一層の飛躍を党と労働者階級に迫っている。この勝利をステップとして、直ちに労働者階級の圧倒的な組織化に打って出よう。新たな革命勝利の時代を切り開こう。
改憲投票法案と教育4法改悪案を絶対阻止するため、5〜6月国会闘争に全力で決起しよう。
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週刊『前進』(2293号1面3)(2007/04/30 )
百万人署名運動がよびかけ
5・19全国集会
「止めよう戦争への道!百万人署名運動」の主催で、5月19日(土)午後1時30分から「今こそ改憲阻止へ!5・19全国集会」が開かれる。会場は国会近く、三宅坂交差点の社会文化会館大ホール(東京都千代田区永田町1−8−1)。
集会では、梅田正己さん(出版社「高文研」代表)の講演「朝鮮有事と9条改憲」ほかが予定されている。集会参加費は500円。
集会後、国会周辺をデモ行進する。
政府・与党は連休後、改憲投票法案の早期成立を狙い強引に突き進もうとしている。全国で大きな運動を巻き起こそう。
百万人署名運動は9条改憲阻止へ、「あらゆる人々の参加を求め、地域から運動を起こしていきたいと思います」と、全国の労働者人民に5・19全国集会への大結集を呼びかけている。
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週刊『前進』(2293号1面4)(2007/04/30 )
4・27反戦共同 国会闘争120人決起
連休前最後の国会となった4月27日、改憲投票法案阻止へ国会前には120人が駆けつけ怒りをたたきつけた(写真)。
反戦共同行動委員会主催の集会で、「憲法と人権の日弁連をめざす会」の鈴木達夫弁護士が「連休後、いつでも採決に入る状況だ。闘争体制を直ちにつくり、迎え撃とう」と檄(げき)を発した。動労千葉の後藤俊哉執行委員は、舌鋒鋭く「自治労・日教組・全逓などのトップは毎日国会前に来い!」とアピールした。
反戦共同行動委は5月9日(水)、16日(水)と国会行動に立ち、採決時には緊急闘争を組む。
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週刊『前進』(2293号1面5)(2007/04/30 )
法政大 不当逮捕に怒りを爆発させ500人集会
4月27日、集会圧殺のために法大当局−警視庁公安部が結託して法大生2人をデッチあげ逮捕。法大生は怒りを爆発させ500人が正門前に結集し、“独裁者=平林総長打倒!”を掲げて集会と総長室包囲デモを打ち抜いた
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週刊『前進』(2293号1面6)(2007/04/30 )
おことわり
本紙は、本号を春季特別号(10n)として発行し、5月7日付号は休刊します。次号は5月14日に発行します。
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週刊『前進』(2293号2面1)(2007/04/30 )
統一地方選 労働者の決起で全員当選
4月22日に投票が行われた統一地方選挙で、戦争、民営化、福祉切り捨てと闘う候補者が奮闘し全員が当選をかちとった。労働者が先頭で闘い、この勝利を支えた。
杉並 丸ごと民営化粉砕へ “革命の訴えが心つかんだ”
4月23日午後1時半過ぎ、北島邦彦候補の荻窪事務所は、選管の開票速報で北島2500票が発表されると歓喜にわきかえった。大きな拍手が上がり、詰めかけた支援者が北島候補と喜びの握手を交わした。さらに午後2時過ぎの発表でほぼ全体的な結果が明らかになり当選が確実になると、用意されたくす玉が割られ、Vサインをあげて記念撮影をし、喜びにわき返った。
その後、北島当選の報を聞いた区民が続々と事務所に詰めかけた。お赤飯を炊いてくる人、お寿司やケーキを持ってくる人、仕事中の労働者も事務所に入り北島候補に喜びの言葉を贈って握手を交わした。西部ユニオンの若い労働者を始め、労働者が次々と事務所を訪れて喜びをいっぱいに表し、この選挙が労働者を中心に闘われた選挙だったことが示された。
北島候補は、今回の勝利について次のように語った。
「今回の選挙戦ほどみんなが一致団結して戦った選挙戦はなかったと思います。戦争と民営化に向かう中で、それに対決し、革命をめざす党として私たちが力を発揮した結果として今回の選挙戦があったと思います。この1年間の闘いは、なんでわれわれがこの党に結集しているのかが問いなおされた1年間だった。
人間は信念を持って、仲間を信頼して闘えば必ずことを成し遂げられることを実感しました。一つだけ例を挙げると連日朝夕ビラをまいて街宣をやっていたんですけど、いつもビラを受け取ってくれる人たちに握手を求めてぜひ入れてくださいと頼むと、名前も知らない労働者が『必ず入れます、4年半見てきましたからね』と言うわけです。われわれの革命的な訴えが倦(う)まず弛(たゆ)まず続けられることで、必ず労働者階級の心をつかむことができる、労働者が革命的に立ち上がることに結実していくと思います。
勝負はこれから。杉並の自治体労働者とともに”丸ごと民営化”を必ずストライキで粉砕する。そのような労働者とともに歩み闘っていきたい」
北島さんは早速翌朝から荻窪駅頭に立った。
(写真 「北島勝利」が確定し、くす玉が割られた【4月23日 杉並】)
相模原 “今闘えるのは西村” 街宣で労働者と感動的合流
「西村あやこ当確!」
4月22日深夜、選挙事務所が勝利に沸き返った。「当選おめでとう!」の乾杯。
ほおを紅潮させた西村あやこさんは、「今度の選挙は、本当にみんなが一つになって団結してその力で勝ったのだと思っています」とともに闘った労働者、市民に感謝した後、「相模原の中に新しい時代を開く力が生まれました。この3508票にこたえて、大威張りで議会に乗り込みます」と宣言した。
告示日の15日、西村さんが40年間住んでいる団地で第一声を上げて選挙戦は始まった。団地に住む高齢者は、「今はもう戦時中。ドスンドスンとすごい音で戦争が始まっている。この情勢と闘えるのは西村あやこしかいない」と檄(げき)を飛ばした。
それから1週間、「労働者民衆に社会を変える力がある」「戦争のための基地強化を許しません」と精力的に訴え続けた西村さん。早朝の駅頭に立って都心に通勤する労働者を送り出し、昼間は改悪教基法と職場で闘う教育労働者、市業務の民間委託反対に取り組む自治体労働者、安全のための「3人乗務」を死守する清掃労働者、さらに民間職場を訪れるなど、労働者たちと熱い合流をかちとった。
夕街宣も感動的な出会いの連続だった。小田急相模大野駅では、東宝争議を闘った沖縄出身の男性が西村さんの演説を聞いて奮起し、その場で街頭宣伝に参加した。「黙ってはいられない。俺もなんかやらなくちゃ」と続々と人が集まった。
「このままでは子どもたちに未来はない。パンフの内容に賛成します」と教育労働者。高齢の女性は「労働者民衆の力で戦争をとめよう」と書かれたビラを見て、「労働組合が活発だったころはこういうのが普通だったのよ」と労働運動の経験を話した。「障害児」の母親は、「自立支援法撤廃と言っていいんですね」と晴々と語った。
西村候補の存在と闘いが、地域の労働者、労働者家族の自信と誇りを呼び起こし、行動につながっていった。まさに「相模原に新しい力が生まれた!」。
選挙勝利から一夜明けた23日の月曜日、16年間立ち続けた小田急相模原駅前に西村市議の姿があった。「当選ありがとうございました。労働者とともに行動する議員として闘います。一緒に改憲を阻止し、社会を変えましょう」と疲れも見せず訴えた。
(写真 西村あやこさんと支持者が勝利の乾杯【4月23日未明 相模原】)
高槻 小西市議が3選勝利 反戦と福祉の闘いに支持
大阪府の高槻市議会議員選挙で小西弘泰候補は3393票を獲得し当選した。小西候補は「憲法改悪反対! 介護保険制度反対!」で、3度目の議席をかちとった。
小西候補は高槻市の民営化攻撃を許さず、戦争に反対し、医療と福祉を守り抜く強い決意で闘った。とりわけ「新高齢者医療制度反対」を訴えた。反戦議員としての闘いと、地域医療に貢献してきた40年間の実績が圧倒的に支持された。
今回の選挙では、高槻医療・福祉労働組合が中心となって選対本部が形成され、地区の労働者が全力で勝利のために闘いぬいた。「核兵器廃絶」を訴え続けてきた長崎の伊藤一長市長が選挙戦の最中に反革命テロルで虐殺されるという情勢の中でかちとられた革命的議員の重大な勝利だ。
また選挙戦の勝利は、小泉―安倍政権のもとで格差社会がますます進行する状況を打破する突破口である。
選挙勝利後、直ちに小西議員は国民投票法案粉砕の4・24全関西緊急行動に参加し、先頭で闘った。関西の反戦議員ネットは今回の選挙で八尾市、門真市、守口市で議席を増やし、力強く発展している。
(写真は、15日の告示日に第一声を上げる小西候補)
八尾 末光候補が初当選 家賃値上げ反対を訴え 労組が先頭で立つ
「すえみつ候補、当選」が発表されると、選挙事務所に一斉に大きな拍手と歓声が起こりました。この歓声に包まれて登場したすえみつ道正候補(八尾北医療センター院長)は、「この勝利は、八尾北の民営化攻撃をはね返した同じ力でもぎとったみんなの勝利です。みなさんとともに地域医療を守り、部落差別をなくしていく闘いの新たな出発点をかちとったものです」と勝利宣言。2914票を獲得、解同本部派の現職議員に400票近い差をつけた、堂々の当選です。
選挙戦では、改良住宅の家賃値上げ反対を訴えて闘いました。「8年前に住民の闘いを裏切り、応能応益家賃制度を導入したのが村出身の議員。高い家賃のために若者が村から追い出され、このままでは高齢化が進み、村の共同性が破壊されます。家賃値上げを撤回させるために新しい村の代表が絶対に必要です」と訴え、村中に”すえみつ支持”を生み出しました。部落解放同盟全国連合会西郡支部が名実ともに主流派となり、新たな住宅闘争の展望を大きく開いていくものです。
もう一つの訴えは、医療制度の大改悪との闘いです。「33年間地域医療をやってきましたが、診察室に閉じこもっていては、患者さんの命も地域医療も守れないと考えて立候補しました。一緒に行動していきましょう」の訴えは、多くの市民の共感と支持を得ました。
選挙戦は、八尾北医療センター労働組合、全国連西郡支部、八尾北命と健康を守る会、そして地域住民が選対本部のもとに団結し、ビラの印刷から配布、集票から、ウグイスまで担いました。「石のように堅い一票が欲しいんです」と言って知り合いを回る人、入院して医療改悪を実体験した人が「囲む会」を組織するなど、新しい運動の輪が広がりました。
選挙戦の先頭にはいつも八尾北労組が立っていました。休暇を取り、あるいは仕事が終わってから選挙活動の先頭に立つ組合員一人ひとりの姿の中に、地域に根ざして住民とともに部落解放闘争を担う労働者階級のあり方を強く感じました。
選挙戦のクライマックスは、20日の高砂団地と21日の西郡団地での練り歩きです。高砂団地の練り歩きは、住民のはつらつとした決起となり、「すえみつ」の声は団地を揺り動かしました。選挙戦最終日の西郡での練り歩きは圧巻でした。歩くにつれて参加者がどんどんふくれていき、マイクと参加者による
「家賃値上げ反対は」
「すえみつ!」
「医療制度改悪と闘う」
「すえみつ!」
の声が響きわたりました。団地の窓から身を乗り出し手を振る人、ペンライトを振る人、団地中が「すえみつ」の声で埋め尽くされました。
共産党は、「同和予算をやめさせよう」とデマで同じ地盤の候補を通そうとしましたが、市民の怒りで落選しました。
選挙勝利をテコに新たな闘いが始まりました。
(大阪東部労働組合交流センター/佐々木浩)
(写真 選挙運動最終日の練り歩きで「すえみつ」コールが西郡団地全体を揺るがした【4月21日】)
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週刊『前進』(2293号2面2)(2007/04/30 )
動労千葉 尼崎事故2周年で集会
反合・運転保安強化を誓う
動労千葉は4月25日、千葉市文化センターで「尼崎事故2周年、反合・運転保安確立、民営化・規制緩和と闘う労働者集会」を開催し、190人が集まった。
107人もの乗客・乗員の命を奪った尼崎事故は、民営化攻撃の本質を暴くとともに、労働組合が資本に屈服してその暴走を許すならば、いかなる事態を招くのかを鋭く突き出した。集会参加者は「闘いなくして安全なし」を徹底して貫き、反合・運転保安闘争をさらに強めていくことをあらためて誓いあった。
あいさつに立った田中康宏委員長は、事故が発生した9時19分に本線に乗務している全組合員が汽笛吹鳴行動に取り組んだことを報告した。そして「安全問題を労働組合の闘いの問題として徹底的に考える、どんな困難があろうとも資本と非和解的に闘い抜く、このことなしに安全を確保する道はない――この立場に立ちきったのが動労千葉の反合・運転保安闘争路線だ」と述べ、この路線のもとに組合員が団結して闘いぬいてきたことが、この数年間の大きな勝利の核心だと訴えた。
続いて勝浦市議選に勝利した水野正美さんが大きな拍手で迎えられ「4年間、みなさんと固くスクラムを組んで闘う」と決意を表明した。
全逓(JPU)の青年労働者、東京の自治体労働者が民営化攻撃に対する職場からの闘いを報告。東京教組の教育労働者は、今春「日の丸・君が代」不起立闘争の前進を報告し、教育4法改悪阻止の国会闘争への決起を呼びかけた。
基調報告に立った長田敏之書記長は「規制緩和、民営化の攻撃は資本主義の本質だ」と喝破し、「労働者が団結して闘わなければ安全は絶対に守れない。館山運転区・木更津支区廃止反対闘争も、組合員の一糸乱れぬ団結こそ勝利の核心だ。動労千葉の闘いは、いよいよ情勢とかみ合ってきている」と確信に満ちて提起した。
4・25集会は、尼崎事故への怒りを新たにするとともに、動労千葉がこの間切り開いてきた地平の総括をとおして、さし迫る大民営化攻撃と闘って勝利する道筋を示す重要な集会となった。
(写真 田中委員長のあいさつに組合員が熱い共感の拍手。左手前は4選を果たした水野市議【4月25日 千葉】)
勝浦 水野さん堂々4選 “団結でかちとった勝利”
動労千葉元副委員長の水野正美さんが、勝浦市議選で堂々の4選を果たした。「日刊動労千葉」6459号から報告を転載します。(編集局)
◇
「やった! 上位当選だ!」。水野選挙事務所に弾んだ声が響いた。結果発表をじりじりと待っていた組合員、OB、支持者らは24人中8位(693票)という結果に笑顔で歓声を上げた。
今回勝浦市議選は、議員定数削減で22名が18名に減らされ、その中で新人が8人立つという大激戦の中での選挙闘争だった。選挙期間中も激しい票の食い合いがあり、その結果、突出して票を獲得した候補者は一人もいない。誰が落ちてもおかしくない状況だった。「水野トップ当選論」が意図的に吹聴され水野票も相当食われる状況の中で、前回を上回る票数、順位をかちとった。
この勝利は、なによりも組合員の文字どおりの総決起が生み出した。定年退職者が毎年出ているなかで、4年前をはるかに上回る数で組合員が水野必勝のために勝浦へかけつけた。その力は、昨年から連続的に闘われてきた運転保安闘争、幕張構内事故反処分闘争、そして館山運転区―木更津支区廃止絶対反対の闘いの勝利が生み出した団結の力だ。選挙準備期間としては実質2カ月もない状況のなかで、ぎりぎりの闘いを全組合員、そして家族、OB、支持者が一体となって切迫した危機感をもって闘いぬいたことによる勝利だ。
今回の闘いで、困難を可能に変え、展望を切りひらく団結の力を誰もが確信した。
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水野市議の当選御礼の声
今回の選挙闘争の特徴は、かつてない激しい選挙戦の中で、昨年から闘い続けられてきた館山運転区―木更津支区廃止攻撃に対する絶対反対の闘いに勝利し、そして4月の勝浦市議選闘争を連続闘争として闘いぬいた組合員の決起をぬきに語ることはできません。そしてこれに導かれてOB、地域の支持者、そして家族も含めた一体感のなかで闘われた結果として今回の勝利がありました。選挙戦としては出遅れた感もありますが、すばらしい勝利をかちとることができました。本当にこれまでにない勝利であり、私自身としても高く評価することができると確信しています。組合員のみなさんには、心から感謝申し上げるとともに、今後も動労千葉の一員として全力で闘いぬく決意です。
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週刊『前進』(2293号2面3)(2007/04/30 )
教育労働者が緊急集会
“沖縄戦歪曲許すな”
「教科書検定」に闘う決意
4月17日、北谷町の北谷ニライセンターで「沖縄戦の歴史歪曲を許さない教職員・OB緊急集会」が高教組、沖教組、民主教育を進める沖縄県民会議の主催で開かれた(写真)。文科省の高校教科書検定で、沖縄戦「集団自決」の記述から「日本軍の強制」が削除されたことを受けての緊急集会。会場ぎっしりの400人の参加で、怒りと危機感と闘いへの意志がみなぎっていた。
主催者あいさつで高教組の松田寛委員長は「沖縄では体験者がいるから沖縄戦の実相が伝えられるが、書き換えられた教科書が全国に出回ったとき、『日本軍の足手まといにならぬよう住民が自ら命を絶った』とされる。史実そのものを否定する教科書を使うことに沖縄から反対しよう。あらためてこのスローガンを前面に押し出し闘おう」と、演壇に張られた”教え子を再び戦場に送るな”の大横断幕を指した。
元座間味村村長で、中等学校生徒のとき慶留間島の「集団自決」の現場にいて生き残った與儀九英さんが実相を語った。「1945年3月26日に米軍が慶留間島に上陸したが、それ以前に全村民100人ぐらいは分教場の校庭に集められ、『敵上陸のあかつきは全員玉砕せよ』と日本軍の隊長訓示があり、住民は天皇からの玉砕命令だと胸に刻んだ。米軍の上陸・支配が始まると小学校の優等生が『お母さん、日本国民でしょ。自決しよう、玉砕しよう』と言う。皇民化教育と群集心理が働き人口100人の島であっという間に53人が自決した。なぜ生き残ったか後悔し、死んだ人がうらやましかった。慶留間島では直接に軍の隊長が訓示したがこれは異例で、戦前は軍の命令は役場をとおし村長、兵事主任、区長をとおして命令される。村長以下役場職員は軍の統帥権の召し使い。これを理解しないと、沖縄戦の〈軍命〉は理解できない」
高嶋伸欣氏と崎浜秀俊氏の発言に続き、スキンヘッドの若い教育労働者が「社会科を中心に平和教育をしている。生徒からも『先生、教科書問題というのがあるんだよねー』と言ってくる。沖縄戦の実相を伝えるだけでなく、なぜこの時期に教科書が書き換えられるのかを生徒に伝えたい」と元気あふれる決意表明。高教組書記長から「検定資料を公開せよ、議会から撤回の声をあげよう、6・23の慰霊の日までに県民大会をやろう」などの方針が提起され、「売られたけんかは買おう! 国を相手に不足はない。民衆の力を示そう」と檄を飛ばした。参加者の気持ちが一丸となり、沖教組委員長の閉会あいさつに続き団結ガンバローで集会を閉じた。
辺野古の新基地建設と闘うおばあたちの食事会では、みな我先に自分の戦争体験としてこの問題を語った。「手りゅう弾を民間人がなぜ持っていたか。軍が配る以外ありえない」「手りゅう弾は2個配られた。1個は敵用、1個は自分用にと」
そして集会に参加したおばあは「先生方が頑張っているのが分かり、来てよかった」と語った。
(投稿/佐和田由子)
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週刊『前進』(2293号3面1)(2007/04/30 )
教育労働者は国会闘争へ
改憲投票法案阻止・教育4法改悪粉砕
不起立闘争の地平ひきつぎ
教育労働者は、3〜4月の「日の丸・君が代」不起立闘争の勝利と、杉並・相模原を先頭にした統一地方選での全国の大勝利を受け、安倍・御手洗による戦争国家化と改憲のための改憲投票法案を絶対に許さない闘いに総力で決起しよう。改憲投票法案の最大の問題点は、自治労・日教組の組合員の団結を破壊し、改憲反対運動を圧殺する点にある。昨年末に成立した改悪教育基本法の具体化を狙う教育関連4法案改悪策動も、まさに日教組の解体に最大の焦点がある。全国の闘う教育労働者は、不起立闘争勝利の地平を引き継ぎ、団結強化を軸に職場からの抵抗闘争をつくり出そう。改憲投票法案と教育関連4法案改悪阻止の5月国会闘争に立ち上がろう。
さらに拡大した不起立闘争
改悪教基法下の初の闘いとなった07年の卒入学式闘争は、力強く不屈に闘いぬかれた。被処分者の多くが式場外に排除される中で、昨年を超える41人の教育労働者が処分を辞さない不起立・不服従に立ち上がった。その3分の2は初めての決起である。職場では、校長への激しい追及や職務命令返上が闘われ、職員会議で非組が発言し不起立する、「日の丸・君が代」論議をきっかけに青年労働者が組合加入するなど、まったく新たな状況が生まれている。
都教委は、「いかなる処分もしてはならない」という9・21東京地裁判決を無視し、戒告→減給→停職という累積加重処分を続け、被処分者の嘱託採用も拒否し続けている。根津公子さんに対する前例のない停職6カ月処分を始め、3人への停職処分こそ、都教委の無法と非道さの象徴だ。向こう1年間、「君が代」解雇を絶対に許さない闘いが問われている。
「日の丸・君が代」問題は、都知事選の重大な争点ともなった。不起立闘争は10・23通達を石原の最大の弱点と化しているのだ。
3年間の不起立闘争がもぎりとった9・21予防訴訟勝利判決、これに大打撃を受けた安倍政権が「日の丸・君が代」闘争圧殺を支えるものとして強行した教育基本法の改悪、都立高校卒業式直前に出されたピアノ伴奏拒否裁判の最高裁の政治的反動判決という激しい攻めぎあいに勝ちぬいて、不起立闘争は、階級的労働運動再生へ今ひとつ新しい地平を切り開いている。この力で、通常国会の改憲投票法・教育4法改悪阻止を闘おう。
刑事弾圧の復活狙う修正案
参院段階の攻防を迎えた改憲投票法成立阻止に総力で決起しよう。
改憲投票法案は、9条改憲で戦争のできる国家へと反革命的飛躍を行おうとしている安倍・御手洗の改憲攻撃そのものである。労働運動の力で絶対に粉砕しなければならない。
この改憲投票法案は、公務員・教員に対する運動規制や組織的多数人買収及び利害誘導罪で反対運動を圧殺し、マスコミの大々的な翼賛キャンペーンのもとで改憲をクーデター的に強行する攻撃だ。これとの闘いは、公務員労働運動の存亡をかけた課題だ。
与党修正案は、公務員・教員の地位を利用した反対運動の禁止規定(103条)を残しており、違反は行政処分の対象となる。「教育者は、学校の児童、生徒、学生に対する教育上の地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力又は便益を利用して国民投票運動をすることはできない」(同条2項)と規定し、憲法教育も処分の対象とすることを狙っている。
重大なのは、修正案が刑事罰復活への布石を盛り込んだことだ。国民投票運動は、公務員の政治活動を禁止する国公法・地公法の適用を除外するというのが昨年末の自公民3党合意だった。ところが、自民党内から「自治労や日教組に改憲反対で自由に活動させるわけにはいかない」「このままでは、改憲阻止法案になる」などという意見が噴出し、法案に除外規定は盛り込まれず、かえって付則11条で「国公法・地公法の規定に検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」とされた。
もともと自民党は、地方公務員や公立学校教員の「政治的行為」に対して国家公務員なみの罰則規定を盛り込む地公法・教特法改悪を策動していた。付則は「憲法改正に関する賛否の勧誘その他意見の表明が制限されることとならないよう」とするが、船田元・衆院特別委員会理事は「機関紙やビラを作成し組織的に配る行為が純粋な意見表明といえるかどうか検討」すると言っている。
改悪教基法具体化への攻撃
安倍は、改憲投票法と並んで、「安倍カラー」法案最優先で終盤国会に臨んできている。教育4法案は、首相直属の教育再生会議に3カ月で報告を出させ、中教審にはわずか1カ月で答申を出させた上で、衆院は特別委員会を設置してゴリ押しする暴走ぶりだ。
教員免許法・教育公務員特例法の改悪は、10年毎の免許更新制を導入し、研修後も指導が改善しない指導力不足教員を免職し免状も剥奪(はくだつ)する。教員身分は、10年の有期雇用、否、1年で首となりかねない不安定雇用となるのだ。更新の認定基準は、政令で定めるとしているが、改悪教基法・学校教育法の教育目標に照らせば、「君が代」斉唱の率先垂範ができない教員、生徒に強制できない教員が「不適格教員」「指導力不足教員」とされる。
学校教育法の改悪案は、「規範意識」「国を愛する態度」を義務教育の目標として掲げる(21条)。従来の小学校の教育目標(現行18条)は、各教科に対応した内容だったが、改悪教基法2条の教育の目標の内容をここに盛り込んだ結果、小学校・中学校の教育目標の半分は道徳の徳目の修得だということになっている。
「文科大臣が定める教科に関する事項」の「教科」を「教育課程」と変えている(33条)ことも重大だ。道徳や特活の内容、各教科内容の配列まで文科大臣の権限とされれば、学習指導要領の法的拘束力が一段と強化される。
高校の教育目的に「進路に応じて」という文言を盛り込み(50条)、「義務教育としての普通教育」(21条)と「高等な普通教育」を区別している。初等・中等・高等の3段階の普通教育は理念としても否定され、職業教育と進学教育に二分された複線型体系へと再編しようとしている。また、小学校の設置基準にしか法的根拠がない学校評価制度を法定し(42・43条)、学力テストを軸とした学校間競争を進めようとしている。
さらに、校長、教頭、教諭に加え、副校長、主幹教諭、指導教諭という職を置き(37条)、管理職を強化して上意下達のピラミッド型体制をつくろうとしている。校長の主幹への校務に関わる命令権も明示されている。
地方教育行政法の改悪は、地方の教育行政と教育委員に改悪教基法への忠誠を求めるとともに、国が教育委員会に対して強制力を持つ「指示」や「是正要求」をできるようにする。端的に言って教組の非協力闘争によっていじめ調査や学力テストが実施できない状況を違法状態とみなして介入し弾圧する狙いである。
自民党は、社会保険庁に続いて「あきれた教育現場の実態」なる北教組攻撃のパンフをばらまいている。4法一体となって一切の照準は、教育労働者の職場支配権を一掃し、日教組を解体することに置かれている。
安倍の教育再生攻撃粉砕を
民主党が「対案」として提出した教育関連3法案は、修士学位を普通免状の条件とする、10年毎に100時間(政府案は30時間)の講習修了を義務付ける免許更新制、指導力不足教員の研修と教職からの排除の強調など、政府・与党と教員攻撃を競い合う内容だ。とくに「新地方教育行政法案」は、教育委員会を廃止して教育行政を首長直轄とし、これを事後的に評価する「教育監査委員会」も議会与党の統制下におくという行政権力による教育の独裁支配だ。教育4法闘争を完全に放棄し、こんな民主党の選挙支援に組合員を駆り出す日教組本部を断じて許すな。
教育4法改悪を待たずに、4・24全国一斉学力テストをもって改悪教基法体制との激突が教育現場で始まっている。日教組・全教本部の闘争放棄の中で、職場の非協力・抵抗闘争が闘われ、差し止め訴訟など保護者・生徒の決起も始まった。
安倍「教育再生」攻撃は、戦争、民営化、労組破壊攻撃そのものだ。争闘戦を担う一握りのエリートの養成にだけ金をかけ、将来のワーキングプアには愛国心と規範意識をたたき込み、ヒラ教員は賃下げし、不安定雇用にするという攻撃だ。
改悪教基法への教育労働者の総反乱を切り開こう。この闘いは、戦争なしに生き延びられない帝国主義、労働者を食わせられない資本主義を打倒していく闘いの一環だ。教育労働者の階級的怒りを徹底して発揚し爆発させよう。体制内労働運動と決別し新たな教育労働運動をつくりだそう。
改悪教基法を具体化しようとするすべての攻撃に対して、団結強化に総括軸を置いて、職場討議と抵抗闘争をつくりだそう。とりわけ、職場の青年労働者の獲得に全力をあげよう。分会権力を基礎に、単組権力を奪取し、動労千葉とともに闘う新潮流づくりを進め、闘う日教組再生を大きく前進させよう。闘う教育労働者は5月国会闘争に全力で決起しよう。
(革共同教育労働者委員会)
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週刊『前進』(2293号3面2)(2007/04/30 )
4・24大阪 400人が怒りのデモ
“改憲投票法案粉砕” 緊急闘争に立つ
大阪市内で、「戦争と憲法改悪のための国民投票法反対4・24緊急行動」が400人を超えるデモで大高揚した。
これは、3月28日の国民投票法案大阪公聴会闘争の直後から、60年安保を闘った人を含めて20人の呼びかけ人および、関西合同労働組合、全日建運輸連帯労組(連帯ユニオン)関西地区生コン支部、高槻医療・福祉労働組合、部落解放同盟全国連合会など4団体の呼びかけで「4・24緊急行動実行委員会」を形成し、戦争と改憲のための国民投票法絶対阻止の闘いを準備してきたものだ。
4月24日、会場の扇町公園には定刻の午後6時半前から多くの闘う労働者、学生、市民が駆けつけ、集会は全学連の原田幸一郎書記長の司会で始まった。
冒頭、呼びかけ人・団体からのアピールが行われ、先日の統一地方選で国家権力のデッチあげ政治資金規正法違反弾圧と闘いながらトップ当選をかちとった戸田ひさよし門真市議、反戦・福祉議員ネットの山下けいき茨木市議、統一地方選で3選をかちとった反戦・福祉議員ネットの小西弘泰高槻市議、連帯ユニオン関西地区生コン支部、関西合同労組が発言した。
戸田市議は、長崎市長暗殺という右翼暴力による白色テロを弾劾し、「今、支配階級・右翼は長崎市長暗殺事件のようなことをあたかも普通の出来事であるかのように取り扱っているが、このような風潮を認めてはならない。われわれ労働者人民がつくりだすべきは、『革命無罪、革命行動の権利と実践』の考えを労働者人民の気風にしていくことである」と熱く訴えた。
次に関生支部が、「4次にわたる関生支部弾圧は、けっして関生支部だけに対してかけられたものではなく、闘う労働運動全体への弾圧であると考えてこの弾圧と対決して闘い抜いている。この弾圧を打ち破るために闘う労働運動をつくり上げよう、そして何よりも戦争する国のための憲法改悪阻止へ断固たる決意で闘おう」と熱烈にアピールした。
関西合同労組は、2月の日本管検工業分会への弾圧をはねのけ、日本を侵略戦争国家にするための憲法改悪を粉砕する闘いの先頭に立って闘うと固い決意を表明した。
その後、実行委員会に参加した団体からのアピールに移り、「労働者の団結で改憲を阻止しよう!5・3集会実行委員会」、「辺野古に基地を絶対作らせない大阪行動」、「みんなでとめよう教育改悪!全関西の集い実行委員会」が発言、次に集会に参加した在日朝鮮人の仲間が、朝鮮総連への日帝国家権力の排外主義的な政治的デッチあげ弾圧を粉砕するためにともに闘おうと、連帯のアピールを行った。
婦人民主クラブ全国協議会の自治体労働者の発言の後、百万人署名運動兵庫県連絡会の梶原義行さんからの国会情勢・闘争報告、名古屋公聴会弾劾闘争の報告を受け、まとめを実行委員会呼びかけ人で三里塚闘争勝利全関西実行委代表の永井満さんが行った。
午後7時半に集会を終了し、直ちに梅田までのデモに出発した。隊列は高槻医療・福祉労組、関西合同労組、百万人署名運動など2百数十人と、連帯ユニオン関西地区生コン支部200人の合計4百数十人の隊列で、梅田までの堂々たるデモ行進を貫徹した。デモへの注目も高く、大阪の労働者人民に戦争と憲法改悪のための国民投票法粉砕を強く訴えた。
デモ終了後、参加者は百万人署名運動・関西連絡会の呼びかけで、約40人が国民投票法反対の街頭宣伝を午後8時半まで貫徹した。
(投稿/関西ST)
(写真 安倍政権による改憲投票法案の参院での採決切迫への怒りと危機感に燃えて全関西の労働者、学生、市民が緊急闘争に決起【4月24日 大阪】)
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週刊『前進』(2293号3面3)(2007/04/30 )
不起立闘争に確信
都教委包囲ネットが集会
5〜6月国会闘争の方針
4月22日、東京・飯田橋で都教委包囲・首都圏ネットが主催して、春の卒入学式闘争の総括と、教育3法改悪阻止・国民投票法案阻止に向けた集会が開かれた。闘う教育労働者を中心に120人が結集した。
初めに被処分者の会事務局長の近藤徹さんが今春の「日の丸・君が代」不起立闘争を総括した。近藤さんは03年10・23都教委通達に抗し、今春の卒入学式で昨年(38人)を超える41人が不起立して処分の対象となったことを報告した。また04年以来、処分取り消しを求め、人事委闘争を闘う教育労働者はのべ856人に達すると報告し、「闘いは職場で支持されている。確信をもって前進しよう」と訴えた。
続いて不起立者が前に並び、次々と思いを語った。あくまで不起立を貫いていることを理由として不当な停職処分を受けた根津公子さん(停職6カ月)、河原井純子さん(同3カ月)、渡辺厚子さん(同1カ月)には、ひときわ大きな連帯の拍手が送られた。
根津さんは、「賛成か反対か、中間はない。『気持ちは反対だよ』と言っても座らなければ押し流される。戦争に向かって子どもたちが『少国民』にされていくことを恐ろしいほど感じる。私への免職処分をうち破る道は、大勢の人が不起立することです」と全体に呼びかけた。河原井さん、渡辺さんも、支援・連帯の輪が広がっていることを紹介した。
会場から発言した東京教組の労働者は、職員会議での不起立宣言に若い仲間がこたえて決起したことを紹介し、「職場で真剣に訴えれば必ず反応はある。根津さんを免職処分にさせないため団結して闘おう」と訴えた。
教員免許の更新制など教育3法改悪案の国会提出が切迫している。成立阻止に向かって、見城赳樹さんが法案の問題点を批判した。また3月13日に行った文部科学省交渉の報告が行われた。日教組本部が、教育3法改悪・国民投票法案と対決する方針をまったく出していないことが鋭く批判された。
さらに杉並区の教育労働者は、山田区長・区教委の組合事務所閉鎖=組合つぶしの攻撃と闘っていることを報告した。特別報告として、不当な免職処分および3悪都議と徹底対決して闘う増田都子さん、分限免職攻撃をはね返し勝利した千葉の教育労働者が力強く闘いの報告を行った。
また、参院段階で国民投票法案を絶対に廃案にするために、弁護士が公務員・教育者の反対運動禁止条項を中心に法案批判を提起した。
最後に、司会者が当面の行動方針として、▽被処分者の支援、▽文科省交渉、▽国民投票法案阻止へ参院憲法調査特別委議員への抗議、▽教育3法改悪阻止、▽毎週木曜日夕6時からの国会前集会、▽「改悪教育基本法の具体化を許さない5・27全国集会」(京都)−−を提起した。
強まる改憲・戦争への流れ、そのための教育の国家統制、日教組破壊と対決する意義ある集会だった。
(N)
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週刊『前進』(2293号3面4)(2007/04/30 )
4・27日米首脳会談を弾劾する
日米枢軸で世界戦争狙う
安倍は4月26日に首相就任以来初めて訪米し、27日に米大統領ブッシュと日米首脳会談を行う。
日帝・安倍は、対北朝鮮政策や軍隊慰安婦問題などでこの間生じている日米間のあつれきを落着させ、米帝ブッシュと「強い日米同盟」「世界の中の日米同盟」をうたいあげ、日米枢軸を強化し、改憲と朝鮮侵略戦争への攻撃を一気に激化しようと狙っている。
第一に首脳会談では、まずイラク侵略戦争で絶望的危機に陥り、追い詰められているブッシュ政権に、日帝として最大限の支持と援助を行おうとしている。米軍再編推進法案とイラク特措法延長の策動はその具体的な攻撃だ。
安倍は訪米に続き、イラク侵略戦争に参戦している航空自衛隊の出撃拠点のあるクウェートなど中東5カ国を訪問する。「中東地域の安定は国益に合致」と公言するこの中東歴訪は、米帝と一体化したイラク戦争継続の宣言であり、石油資源略奪の侵略外交である。
第二に、安倍はブッシュに対して集団的自衛権行使の見直し作業への着手を表明すると同時に、ミサイル防衛システム配備の前倒しをも要請しようとしている。
安倍は4月23日、政府が設置する集団的自衛権行使などを研究する有識者会議について、「時代が変わっていく中で(憲法を)どう解釈すべきか議論してもらいたい」と述べた。そして具体的に、集団的自衛権行使に関する個別事例を4類型にまとめ、行使容認へ議論を加速させようとしている。
日帝・安倍は、解釈改憲を極限的に拡大し、9条改憲を待たずに集団的自衛権行使に道を開き、米帝と一体化して朝鮮侵略戦争を発動しようと躍起となっている。それが安倍政権の最重要政策の一つなのだ。
安倍がミサイル防衛システムの配備を急ぐのも、朝鮮侵略戦争発動の野望と完全に一対である。
第三に、この間、久間防衛相や麻生外相の対米批判発言でずれ込み、5月1日に1年ぶりに開かれる日米安全保障協議会(2プラス2)を再び軌道に乗せることだ。そのために安倍は、昨年5月の日米安保協での共同発表文とロードマップの確実な実行を「手土産」にしようとしている。
実際、日帝は米軍再編推進法案を4月13日に衆院通過させ、統一地方選終了後の24日には辺野古での新基地建設の事前調査作業に着手した。4月11日には麻生外相が米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの沖縄配備受け入れを発言した。また4月6日には、日本版NSC(国家安全保障会議)法案を国会に提出している。
第四に、日米が軍事機密保全と称して軍事情報一般保全協定(GSOMIA)の締結を基本合意しようとしていることだ。そしてこれは重罰規定を含む治安弾圧法である「秘密保護法」の制定へと連動していく攻撃である。
総じて、今回の日米首脳会談は「アーミテージ報告・改訂版」(07年2月)に沿いつつ、日米枢軸を強化し、9条改憲と朝鮮・中国侵略戦争―世界戦争に向けてのきわめて反動的な会談となる。これを徹底弾劾し、改憲投票法案阻止・安倍政権打倒へ闘う時だ。
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週刊『前進』(2293号3面5)(2007/04/30 )
伊藤長崎市長銃撃事件の衝撃
右翼テロの元凶は安倍だ
4月17日、現職の伊藤一長(いっちょう)長崎市長が市長選の運動中に銃撃され、死亡するという衝撃的な事件が起きた。
事件の背景・動機として、過去の事故のトラブルとか、市発注の公共工事から外された恨みとかが言われている。しかし問題の根底にあるのは、単なる非政治的な要因や私怨(しえん)などでないことは明らかだ。
昨年の8月15日には、前首相・小泉の靖国参拝を批判した加藤紘一元自民党幹事長の実家・事務所が、右翼によって放火される事件が起きた。今回の事態も明白に、こうした暴力団系を含む右翼テロの流れの中にある。すなわち事件の背景には、日帝・小泉―安倍と続いてきた戦争・改憲・民営化(労組破壊)の攻撃や、「つくる会」教科書採択と教育基本法改悪に象徴される国家主義・愛国主義・復古主義の極右的な政治潮流の激化があるのだ。
伊藤市長は95年、「天皇に戦争責任はある」という発言で右翼に銃撃された本島等元市長の5選を阻み、自民党候補として市長になった。しかしその後は、「核廃絶」「核兵器と人類は共存できない」などと発言し続け、9・11反米ゲリラ戦以降の米帝の政策についても「一連の独断的な行動を断じて許すことはできない」と公然と批判してきた。
こうした発言や政治スタンスは、日米枢軸の強化や日帝の核武装をも狙う小泉―安倍の戦争政治とは、矛盾し対立する。特にA級戦犯・岸信介を祖父に持つ安倍は、「戦後レジームからの脱却」や「美しい国へ」を叫び、改憲と「教育改革」を最大の政策課題とする極右政治家だ。憲法9条をいただく戦後体制を転覆することを使命とする人物だ。
事件への安倍の最初のコメントは、「当局に厳正な捜査と真相究明を望む」であり、怒りや弾劾のかけらもなかった。事件と安倍周辺の「接点」すら取りざたされている。要するに、帝国主義の最末期の体制的危機のもとで、日帝・小泉や安倍=御手洗の改憲攻撃、戦争政治の激化こそが、昨年の加藤宅放火事件に続く今回の右翼的テロを生んだのだ。
戦前も侵略戦争への突進と国家総力戦体制構築への過程で、2・26事件を頂点に右翼と軍部のテロやクーデターが連続した。今日、帝国主義の危機の爆発、朝鮮侵略戦争突入前夜情勢が煮詰まり、戦争・改憲攻撃と並行した言論統制、労働運動弾圧、治安攻撃が強まっている。こうした中で、安倍や都知事・ファシスト石原などは右翼テロを容認し、むしろけし掛けてさえきた。
時代は戦争か革命か、クーデターか革命かを問うている。それは一方で右翼テロを現実化させる。この情勢と対決して勝利することができるのは、労働者階級の団結と「労働運動の力で革命を」の闘いのみである。
改憲阻止決戦は、日帝打倒の革命の展望を現実にたぐり寄せる闘いだ。4・17銃撃テロ事件への回答は、労働者階級の安倍打倒・改憲阻止決戦への総決起である。
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週刊『前進』(2293号4面1)(2007/04/30 )
労働者階級こそ社会の真の主人公だ
『共産党宣言』を武器に革命を
マルクス主義学生同盟・中核派 鹿野二郎
はじめに
「労働運動の力で革命をやろう」。3月18日にこの革命宣言が全世界に発せられてから、全国の職場・キャンパスで多くの仲間が真っ向から「革命」を訴え、闘いを開始しています。
支配階級の危機は深まっています。ブッシュはイラク侵略戦争の泥沼にのめり込み、安倍は改憲投票法の制定―改憲から朝鮮侵略戦争へと突進しています。日本共産党が主張する「資本主義の枠内での改良」など、およそ問題にもなりません。労働者・学生にとって「革命」こそが最も心に響くスローガンです。体制内勢力をぶっ飛ばし、青年労働者・学生が先頭に立って巨大な革命勢力をつくろう。
その武器が『共産党宣言』です。労働者は社会の主人公――この真実をマルクスだけが明らかにしました。不正義に怒るすべての労働者・学生に『共産党宣言』を持ち込み、新たな同志を獲得しようではありませんか。
『共産党宣言』の初版本が発行されてから来年で160年。あらゆる階級闘争の戦場で、闘う労働者人民の手には必ず『共産党宣言』がありました。数億数十億の労働者人民が『共産党宣言』に未来への希望を見いだし、戦争と搾取、差別と抑圧からの解放をかけて闘い抜いてきました。
昨年の11・5労働者集会で動労千葉は次のように訴えました。「労働者階級こそ、歴史をつくり、社会を変革する主体であると真っ向から宣言しなければなりません」。ここにはマルクス主義の思想が貫かれています。
問題は、『共産党宣言』をどう理解するのかではなく、『共産党宣言』を武器にしてどうやって団結を拡大し、敵に勝利するのかという実践です。
若きマルクスとエンゲルスが怒りを込めて告発した資本主義は、私たちが生きる160年後の現代世界にしぶとく生き延びているのです。目の前の現実に怒り、これをひっくり返すために闘う中で『共産党宣言』は初めて自分の血となり肉となります。帝国主義の理不尽な現実に対して多くの人びとが憤りを感じ、その解決の方向を見いだそうとしています。『共産党宣言』で労働者を獲得していく展望は圧倒的にあるのです。
三つのテーマで『共産党宣言』の核心について一緒に考えたいと思います。使用テキストは『新訳・共産党宣言』(現代文化研究所)です。
(写真 1848年のフランスの2月革命。革命軍と政府軍の市街戦)
労働者とはどんな存在か 「資本主義の墓堀り人」
第一のテーマは、労働者階級とはどのような存在なのかということです。『共産党宣言』は何よりも、資本主義を転覆する革命の担い手が労働者階級であることを明らかにし、プロレタリア革命を全世界に宣言したことに画期性があるのです。
(1)真に革命的な階級
「今日、ブルジョアジーに対立しているすべての階級のなかで、プロレタリアートだけが真に革命的な階級である」(25〜26n)
資本主義社会において、社会を経済的・政治的に支配しているのは資本家階級ですが、社会的生産に不可欠な労働を担っているのは無所有の労働者です。この階級支配を転覆し、未来社会を運営する能力を持つのは、この労働者階級だけです。
農民や学生などもまた、この労働者階級の力に依拠し、ともに闘うことで自らを縛る支配の鎖から解き放つことができます。その意味で労働者階級は「真に革命的な階級」なのです。
ブルジョアジーは、封建社会にとって代わった市民社会の中であたかも自由や平等が理性的に実現されるかのように幻想をあおりますが、資本家階級による労働者階級の搾取、新たな階級対立を登場させたにすぎません。この社会の過酷な現実は、エンゲルスが『イギリスにおける労働者階級の状態』で暴露して以来、今日の「格差社会」(実は階級社会の現実そのもの)までなんら変わりません。
(2)武器をとる人びと
「ブルジョアジーは、自分に死をもたらす武器をつくりだしただけではない。その武器をとる人びとをもつくりだした。すなわち、近代の労働者、プロレタリアである」(19n)
ブルジョアジーは、一方で世界市場と巨大な生産力をつくり出しつつ、他方で組織された膨大な労働者群を生み出します。中国や韓国を見て下さい。国際資本がどんどん入り込む一方で、韓国民主労総のような階級的労働運動が生まれ、中国の労働者の抗日ストライキのような闘いが起こっています。
資本主義の生産力の発展が過剰資本と恐慌を生み出し、資本家を打倒する大量の労働者も登場させるのです。
だからこそマルクスは、労働者を同情の対象ではなく、「(資本主義打倒のために)武器をとる人びと」「墓掘り人」と最も誇り高く規定しました。
(3)資本主義の仕組み
「近代の労働者階級は、労働(仕事)があるかぎりで生きることができ、その労働が資本を増殖するかぎりで労働にありつける。自分を切り売りしなければならない労働者とは、他の販売品目と同じ一商品であり、したがって同様に競争のあらゆる変転と市場のあらゆる動揺にさらされる」(19n)
資本主義の最大の特徴は、人間の労働する能力である「労働力」が商品として売買されることです。このような社会は資本主義以前にはありません。
資本家はこの労働力を買い、労働による生産をとおして価値を増殖します。労働者の労働の「対価」が賃金なのではありません。賃金とは労働力の価格なのです。だから、商品の価格がその生産費に等しいように、賃金もまた、労働者が生きていくのにギリギリのライン(労働力の再生産費)まで引き下げられていきます。残りはすべて「剰余価値(不払い労働)」として資本家の懐に入っていきます。これが資本主義のカラクリです。
大企業が空前の好況を謳歌(おうか)する一方で労働者の賃金が10年近く低下し続けている事実に示されているように、資本家は、賃金(=人件費)を最低限にまで圧縮することをとおしてより多くの利潤を獲得するのです。これが資本の原理です。資本家は労働者の肉を食らって生き延びている。ここに絶対的な階級対立の根拠があるのです。
確かに労働者一人ひとりは「自由」です。嫌な職場であればいつでも辞めることができます。しかし結局は、別の資本に労働力を商品として売ることによってしか生きていけません。つまり、一つの階級として資本家に隷属し、死ぬまで競争させられ、搾取される。これこそが労働者が「賃金奴隷」と言われるゆえんです。
「自らの労働力を商品として売る」ことは、賃金低下にとどまらず、私たちから人間としての誇りを奪い、労働者を「会社の命令には逆らえない」と卑屈にさせます。だから労働運動をやる、団結して階級闘争を闘うことは、人間性を取り戻していく自己解放の過程そのものなのです。
(4)その存在とともに始まる
「工業の発展とともに……プロレタリアートはよりいっそう密集した巨大な集団となり……個々の労働者と個々のブルジョアのあいだの衝突は、ますます二つの階級のあいだの衝突という性格をおびる。労働者は、ブルジョアにたいする同盟を結成し、賃金要求のために結集するようになる。労働者は、みずから恒常的な組織をつくり、反抗の場合にそなえて備蓄をおこなうようになる」(23n)
資本主義の歴史とは、資本家に対する労働者の反逆の歴史です。ぜひ『イギリスにおける労働者階級の状態』やマルクスの『資本論』第1部第8章「労働日」を読んでみて下さい。労働者はその出発点から、生きるために、そして人間としての誇りを取り戻すために闘ってきました。
資本主義の発展は、不可避に労働者階級の中に階級意識と団結を生み出します。近代の機械制大工業の生産工程に組み込まれた労働者の中から階級的な考え方が生まれます。「ブルジョアに対する同盟」であり「恒常的な組織」である労働組合の組織化、さらにはストライキ闘争も始まります。労働者は闘いの勝利と敗北の経験をとおして学び、自らの力への確信を深めていきます。
(5)団結の拡大こそ労働者の前進
「労働者は、ときどき勝利することがある。しかし、その勝利は一時的なものにすぎない。労働者の闘争のほんとうの成果は、直接の成功にあるのではなくて、労働者の団結がますます広がっていくことにあるのだ」(23n)
資本主義社会では資本家が一切の権力と暴力を独占している以上、労働者が必死に闘っても連戦連勝というわけにはいきません。
しかし、マルクスとエンゲルスは、一つひとつの勝敗を総括軸にはしていません。その闘いをとおして労働者の階級的団結が拡大したか、労働者の階級意識が研ぎ澄まされたか、つまり「この資本主義社会を倒さないかぎり自分たちの究極的な勝利はない」という真理を学んだかどうかに重きを置いているのです。
労働者は、闘う中で自分の革命的能力に気づき、社会の真の主人公であるという自信を深めていくのです。動労千葉前委員長の中野洋さんは次のように語っています。
「動労千葉は闘いを積み重ねて、路線的に勝ってきた……ひとつも要求は前進しないかもしれないけど、労働者の団結はどんどん強まっていく。労働者の敵意、憎悪がますます高まって、階級意識も強まる。それが組合的な労働者の団結を強固にしていく」(『甦る労働組合』83〜84n)
(6)ブルジョア革命との違い
「プロレタリアは、自分自身のこれまでの獲得様式、そして同時にすべてのこれまでの獲得様式を廃止することによってのみ、社会的生産諸力を奪取することができる」(27n)
マルクスのプロレタリア革命論が力強く提起されています。ブルジョア革命とは、封建制社会の中で経済的力を蓄えたブルジョアジーが自分の階級の利害を貫くために社会をつくり変えたものにすぎませんでした。
しかし、プロレタリア革命はまったく違います。資本主義社会の中では何も所有しない労働者は、「賃労働と資本」の関係を爆砕しない限り、永遠に奴隷のままです。ブルジョア革命がブルジョアジーの現状の自然成長的な肯定だったとすれば、プロレタリア革命は自らの賃金奴隷としての現状の断固とした意識的な否定です。だからこそプロレタリア革命はどこまでも徹底的なのです。
(7)奴隷を食わせることのできない奴隷主
「かれらは自分たちの奴隷にたいして、奴隷制の内部で奴隷としての生存を保障することができない……社会はブルジョアジーのもとでは、これ以上生きていくことはできない。ブルジョアジーの存在は、もはや社会とはあいいれない」(29n)
この糾弾が重要です。労働者を食わせられない資本家なんて、そもそも支配者としても失格だ! 労働者が主人となって社会を運営するから資本家はさっさと歴史の舞台から退場しろ! 労働者だけで明日から十分に世の中は動かせるんだ、ということです。
(8)プロレタリアートの勝利
「ブルジョアジーはなによりも、自分たち自身の墓掘り人を生みだす。ブルジョアジーの没落とプロレタリアートの勝利は、いずれも不可避である」(29n)
大工業の発展は、一つに恐慌、二つに貧困、そして三つに労働者階級の団結を生み出します。次の社会の主人公としての力を持っているのは労働者階級のみです。労働者がいなければ、電車の一本も動かせなければ、テレビ一台もできないのです。賃労働制という土台を粉砕することができるのは労働者階級だけであり、まさに「(資本主義の)墓掘り人」です。
歴史をどのように見るか 階級闘争の歴史と革命
第二のテーマは、歴史をどう見るかです。マルクスはこれまでの歴史は階級闘争の歴史だと言い切り、ブルジョアジーの没落とプロレタリアートの勝利=革命の必然性を宣言しています。
(1)プロレタリア革命の思想
「近代のブルジョア社会は、封建社会の没落の結果生まれてきたが、階級対立を廃止したわけではなかった。それはただ、新しい階級を、抑圧の新しい条件を、闘争の新しい形態を、古いものとおきかえたにすぎない」(8n)
「これまでのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である」――これがマルクス主義の歴史観の一つの核心です。プロレタリアートが革命をやって権力を握り、階級と階級支配を廃絶するんだという戦闘宣言です。
歴史の主体的原動力は支配階級の「政治」にあるのではなく、被支配階級の闘いの中にあります。資本主義社会では、プロレタリアートの動向こそが一切を決していきます。プロレタリアートは、階級社会にピリオドをうち、人類の「前史」から「本史」への扉を開く階級なのです。
(2)ブルジョアジーの歴史的役割
「ブルジョアジーは、歴史上きわめて革命的な役割を演じた」(12n)
「ブルジョアジーは、わずか一〇〇年たらずの階級支配のなかで、これまでのすべての時代を全部合わせたよりも、はるかに大量で、はるかに巨大な生産諸力をつくりあげた」(16n)
ブルジョアジーは封建制社会の内部から登場し、次第に力を蓄え、身分制度の制約(職業選択の制限、居住の制限など)を食い破って、ついに自らの政治的支配をかちとりました。その典型が1789年のフランス革命でした。そしてその政治権力をフルに行使して、社会的生産力を飛躍的に増大させていきます。
しかし、ブルジョアジーが「革命的」であったのはそこまででした。封建的抑圧を粉砕し、生産力の発展の中から膨大な労働者を生み出し、共産主義社会の前提を準備した時点で彼らの歴史的使命は終わり、後は没落・腐敗するのみとなったのです。
(3)弁証法で歴史をとらえる
「封建的な所有諸関係は、すでにそれまでに発達してきていた生産諸力と、もはや対応しきれなくなった。封建的な所有諸関係は生産を促進するのではなくて、阻害するにいたった。発展の結果、それは束縛に変わってしまったのだ。封建的な所有諸関係は、粉砕されるべくして粉砕された」(17n)
同様に、ブルジョアジーの胎内にその否定物たるプロレタリアートが生み出され、その力によって資本主義の矛盾そのものがのりこえられる、それが革命の弁証法です。すべての事物と同じく、歴史も常に運動し、ダイナミックに前進していきます。
(4)ブルジョア社会の矛盾
「われわれの目の前で、同じような運動が進行している。ブルジョア的な生産諸関係と交通諸関係、ブルジョア的な所有諸関係、つまりこの巨大な生産手段と交通手段を魔法のように呼びだした近代ブルジョア社会は、自分で地の底から呼びだした魔物をもはや制御できなくなった魔法使いに似ている」(17n)
生産力の発展が恐慌や戦争を引き起こす。ものをつくればつくるほど貧困が拡大する。こんな社会はかつてありませんでした。恐慌や戦争こそ、まさにマルクスが例えた「制御できなくなった魔物」です。こんな連中にこれ以上世界を任せておくことはできない!
マルクスは生産力と生産関係の矛盾と衝突を歴史発展の原動力としており、そこでの「墓掘り人」としての労働者階級の革命的役割を積極的に押し出しています。これは、スターリン主義が唱えたエセ「史的唯物論」、資本主義的生産力を目いっぱい発展させれば社会法則が働いて自動的に資本主義社会が崩壊して共産主義社会に移るというような客観主義とはまったく無縁です。労働者階級は自分の力で旧社会を打倒して新社会の主人となっていくのです。
共産主義の原理とは何か 「私有財産制度の廃止」
第三のテーマは、共産主義とは何かです。
(1)共産主義者の理論的命題
「共産主義者の理論的命題は、現におこなわれている階級闘争、つまりわれわれの目の前で展開されている歴史的な運動のほんとうの諸関係を一般的に表現したものであるにすぎない」(33n)
共産主義者の党は、プロレタリアートの階級闘争に内在化し、階級の党としてその利害はプロレタリアートと完全に同一です。
共産主義の理論とは、現実の階級闘争そのものの中にあります。マルクス・エンゲルスは、当時のイギリスを中心としたヨーロッパのプロレタリア運動に肉薄し、その真の諸関係をつかみとり、一般的に表現したのです。
(2)共産主義者の当面の目的
「共産主義者は、実践的には、あらゆる国ぐにの労働者党のなかでもっとも断固としており、つねに運動を推進していく部分である。また理論的には、プロレタリア運動の諸条件、進行過程、一般的結果を見通している点で全プロレタリアートに先んじている」(32n)
共産主義者は実践的には、労働運動を始めあらゆる階級闘争の牽引(けんいん)車になります。そして理論的にもプロレタリアートの先駆けとなります。総じて、すべての局面において共産主義者は「つねに運動全体の利益を代表する」のです。その「利益」とは、私有財産(資本)の廃絶、および労働者の階級的解放をとおした全人民の解放を意味します。
そして共産主義者は、「階級へのプロレタリアートの形成」つまり、階級意識と階級的団結の形成のために最大の力を注がなければなりません。労働者は生きるために、そして人間としての誇りを取り戻すために、あらゆる水路から闘いに立ち上がります。マルクスはそこに無限の信頼を抱き、資本と闘い、権力を握らない限り、自らの解放はないんだという意識とそのための団結、闘いを労働者の中に広範につくっていくことを「階級への形成」と表現しているのです。
(3)私有財産の廃止
「共産主義の特徴は、所有一般を廃止することではなくて、ブルジョア的所有を廃止することである……共産主義者は自分たちの理論を、私有財産(私的所有)の廃止という一語に総括することができる」(33n)
生産手段の資本家的独占、労働力の商品化、そして剰余価値の取得(搾取)を廃止する、すなわち私有財産制度の廃止こそが共産主義革命であるとの定義です。
これは資本主義制度への核心的批判でもあります。最も典型的なブルジョア革命であったフランス革命は、所有権を「消滅することのない自然権」「神聖で不可侵の権利」と規定しました。これは封建勢力に対する新興ブルジョアジーの権利の擁護であり、かつまたプロレタリアートからの搾取の正当化でした。
ブルジョアジーはどんな「妥協」をしようともこの私有財産制だけは守り抜こうとします。だから労働者と資本家は非和解なのです。逆にプロレタリアートは、私有財産制(と賃労働)を廃絶しない限り、自らを縛る鎖を断ち切れません。
「選挙で国会の多数を占めれば社会主義に移行できる」「資本主義にルールを守らせれば民主社会ができる」というイデオロギーを振りまく勢力がいます。しかし、労働者と資本家は激しい対立を経ながら暴力的に「決着」をつけない限り、絶対に矛盾が解決しないことは明らかです。マルクスはそういう意味を込めて、プロレタリア革命における必要不可欠な方策として「所有権とブルジョア的な生産諸関係にたいする専制的侵害」(46n)を提起しているのです。
圧倒的多数者である労働者階級が社会の主人となれば、資本主義的搾取と階級対立を廃絶し、生産手段の社会有(共同有)のもとで意識的・計画的生産を行います。社会的生産が一部の人間の私的欲望(利潤)の追求のために行われているあり方の廃止です。
(4)賃労働と資本の関係の廃止
「われわれが廃止しようとするのは、資本を増殖させるためにのみ労働者が生き、支配階級の利益が必要とするかぎりにおいてのみ労働者が生きていける、というこの取得の惨めな性格である」(35〜36n)
過去の労働によって生み出された資本のもとで現在の商品生産が行われます。資本は「社会的な力」です。しかし、資本主義社会では、過去の労働の蓄積である資本が労働者を搾取し、労働者はモノ扱いされ、機械に支配される。それに比べ、共産主義社会では、現在の生きた労働が未来への発展の土台となっていきます。
(5)生産様式とイデオロギー
「一つの時代の支配的思想は、つねに支配階級の思想でしかなかった」「社会全体に革命をもたらす思想があるといわれる。それは、古い社会の内部に新しい社会の要素が形成されたこと、古い思想の解体は古い生活諸関係の解体に歩調をあわせるということをいっているにすぎない」(44n)
社会の上部構造(宗教、道徳、哲学、政治、法律など)は、下部構造(経済関係)に規定されます。
資本主義社会におけるイデオロギーとは、資本家が自らの支配を正当化するためのものでしかありません。
たとえば歴史です。ブルジョア革命を賛美し、資本主義社会は永遠なりとするところで流れは止まってしまいます。もしくは法律です。封建勢力が宗教によって自らの支配を正当化していたように、ブルジョアジーもまた「法の支配」の名のもとに労働者階級の闘いを弾圧し、体制の枠内に押し込めておこうとします。
しかし、「共産主義革命の進展のなかで伝来の思想ともっとも根底的に決裂すること」ができるのです。
(6)革命の進化、国家の死滅
マルクスは、プロレタリア革命におけるブルジョアジーからの生産手段の収奪という問題を絶対にあいまいにしません。プロレタリアートは革命的に武装し、生産様式の全体を覆します。
そして、「階級の区別が消滅し、すべての生産が結合した諸個人の手に集中され」、計画的共同的生産が始まります。そのことによって、支配階級が他の階級を暴力的に抑圧するための装置であった国家も、その存在意義を失います(国家の死滅)。労働者階級が自らを解放し、階級社会そのものを廃絶することで、「一人ひとりの自由な発展が、すべての人びとの自由な発展の条件となるような協力体が登場する」(48n)。ここから人類の本当の歴史が始まります。労働者自身が歴史を前進させていく時代の到来です。
(7)鉄鎖以外に失うものはない
「共産主義者は、自分たちの見解と意図を隠すことを軽蔑(けいべつ)する。共産主義者は、自分たちの目的が、これまでのいっさいの社会秩序の暴力的転覆によってしか達成されえないことを、公然と宣言する。支配階級よ、共産主義革命のまえに震えあがるがよい! プロレタリアは、この革命において鉄鎖以外に失うものは何もない。プロレタリアが獲得すべきは全世界である。万国のプロレタリア、団結せよ!」(72n)
まさにこの宣言が07年3月18日に日比谷野外音楽堂から全世界に発せられました。
おわりに
最後に三つのことを訴えます。
一つに、マルクスは革命的実践家であったということです。マルクスは『共産党宣言』に先立つ2年半前、『フォイエルバッハについてのテーゼ』で「哲学者たちは世界をさまざまに解釈してきたにすぎない。だが大切なのは、世界を変革することである」と宣言しました。以来、労働者階級の現実とは無縁に講釈をたれる小ブルインテリ的あり方を軽蔑し、1848年革命から第1インターナショナルの創設、パリコミューンにいたるまでプロレタリア革命運動の最先頭で組織家・扇動家として闘い抜きました。このマルクスの革命的パトスに私たちも肉薄しよう。
二つに、現実の階級闘争には『共産党宣言』の生きた現実があります。労働者階級がマルクス主義を体現しています。動労千葉や全金本山の闘い、民主労総やILWUを見て下さい。そこにマルクス主義があり、社会の主人公としての労働者の誇り高い姿があり、共産主義のリアリズムが輝いているではありませんか。
三つに、すべての職場・キャンパス・地域に網の目のように『共産党宣言』の学習会を組織しよう、自力で学習会を運営し、マルクスと格闘しようということです。マルクス主義は「理解する」ものではなく、仲間と団結を深め、同志を獲得し、敵階級を打倒していく思想的武器です。あらゆる職場に労働者細胞を建設し、労働組合権力の奪取をとおして階級的労働運動潮流を形成すること、改憲阻止300万学生ゼネストに向けた決戦体制をつくることが急務です。
真っ向から「革命」を訴えて団結を拡大できる情勢です。プロレタリア革命で全世界を獲得しようではありませんか。
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週刊『前進』(2293号5面1)(2007/04/30 )
名古屋公聴会を150人が包囲
“改憲投票法案を廃案に”
委員を乗せたバス立ち往生
4月24日、改憲投票法案の名古屋公聴会に対して怒りの弾劾行動が取り組まれました。
正午前、参院憲法調査特別委員会の委員や公述人の乗るバスを待ち受けて、会場のKKR名古屋ホテル周辺は「公聴会やめろ!」「憲法変えるな!」という150人の怒りの声に包まれました。バスが裏口からこっそり入ったとの知らせに、ホテル前を埋めた抗議団は「質問に答えないで採決するな!」「教員や公務員の口をふさぎ、少数の賛成で9条を変えるな!」のシュプレヒコールを浴びせました。
要請行動を行った団体は、とめよう戦争への道!愛知連絡会、自衛隊イラク派兵差し止め訴訟の会、国民保護法制を考える会、とめよう戦争への道!百万人署名運動・関西連絡会、同三重連絡会、九条の会などです。名古屋三菱・朝鮮挺身隊訴訟原告は改憲を狙う安倍政権を鋭く批判しました。
帰りのバスに委員が乗って出てくると、「戦争国家へ一直線/改憲手続法を廃案に」「民主党は審議に加担するな!」というプラカードや、英字やハングルで「コジマルボテソ、ケホンハジマラ(民衆をだまして改憲するな)」などと書かれたプラカードが取り囲みました。「誰も納得していない! 廃案にしろ!」のコールに包まれてバスは立ち往生しました。
4時から名古屋弁護士会館で公聴会報告会が行われました。公述人で日弁連憲法委員会事務局次長(大阪弁護士会)の笠松健一さんから報告がありました。
「政党推薦でしか意見が表明できない。これでは広く意見を聞いたことにならない」「憲法とは何なのか。今回のような国家権力の横暴にしばりをかけるのが憲法だ」
法案に対する真っ向からの批判に答えず、関谷委員長があいまいな態度で審議を打ち切ったことは許されません。
名古屋公聴会では4人の公述人のうち、3人ははっきりと「最低投票率の規定が必要」と言っています。「肉親の沖縄戦の体験から憲法9条を変えやすくすることには慎重であるべき」という意見もありました。
「この声を国会に、全国に広げよう」という司会の提起を受け、「国民投票法案の廃案を求める声明」を参加者全体で採択し、ただちに国会に送りました。
決戦は5月です。札幌、福岡公聴会から全国の怒りを国会へ! 安倍もろとも、改憲=戦争国家への道を打ち砕こう!
(投稿/愛知・城山吠)
(写真 公聴会の会場に向かって怒りのシュプレヒコール【4月24日 名古屋】)
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週刊『前進』(2293号5面2)(2007/04/30 )
市東孝雄氏耕作権裁判
土地特定はデタラメ
不当な訴訟指揮に猛抗議
4月23日、千葉地裁で三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの耕作権裁判の第2回口頭弁論が開かれた。
葉山岳夫弁護士が裁判長交代にあたっての意見陳述を行った。空港公団とそれを引き継いだ成田空港会社(NAA)が市東さんの耕作地を旧地主から88年に買収しながらそれをひた隠しにし、取得年月日を「03年」と偽って耕作権解除を申請し千葉県知事・堂本の許可をだまし取ったこと、その申請からはずれた耕作地を「不法耕作」と強弁して奪い取ろうとしていることなどを全面的に暴いた。そして、NAA側の提出した図面が公図とはなはだしく食い違っていることへの求釈明を行った。
ところが菅原崇裁判長は、「位置の特定は書面上されているから、訴状に対する認否を先にやれ」と反対同盟側に執拗(しつよう)に求めてきた。要するに土地の特定がデタラメなことへの追及を先延ばしにして、反対同盟側の手の内を早く見せろ、というわけだ。市東さんはNAA側を指差し「あんたらが勝手につくった図面じゃないか!」と鋭く弾劾し、傍聴席からも抗議の声が上がった。弁護団は、不当な訴訟指揮を跳ね返し粘り強く闘いぬいた。
裁判終了後、弁護士会館で記者会見と報告会が開かれた。この日開始された「東峰の森」の伐採工事への弾劾声明を読み上げ、弁護団と反対同盟は「裁判長はNAAの利害を代弁している」と強く批判し、農地取り上げを許さない固い意志を表した。
市東孝雄さんは「なんと言っても、耕作しているのは私。絶対に譲らず闘う」と簡潔にして不動の決意を述べ、ひときわ大きな拍手を受けた。
さらに関西実行委の永井満さんを始め、傍聴に駆けつけた人が連帯の決意を表明した。最後に鈴木謙太郎さんが「全国の農業者に訴えを広げ、農地を守る陣形を強化しよう」と方針提起した。
次回弁論は6月18日。早期結審の策動を許さず傍聴に駆けつけよう。
(写真 市東孝雄さんは報告会で「耕作しているのは私。土地は絶対に譲らない」と宣言【4月23日 千葉】)
「東峰の森」の伐採着手弾劾
4月23日、NAAはついに「東峰の森」伐採工事に着手した。暫定滑走路北延伸に伴い、大型機が走行する新たな誘導路を建設するために、地元農民の生活と営農にとってなくてはならない森の木を次々と切り始めたのだ。元々の空港敷地を大きくはみ出し、未買収地を避けていびつに曲がった新誘導路によって、東峰部落は分断され農業が破壊されようとしている。
政府はこれまで「強制手段の放棄」を約束し、NAA社長の黒野は暫定滑走路開港を「謝罪」しつつ「森は残す」と何度も文書で確約してきた。これら一切を踏みにじっての暴挙である。
国策と企業利益のために農業をつぶせ、農民は犠牲になれ、とする日帝の「新農政」の象徴的な姿がここにある。
反対同盟は即座に声明を発表し、「政府・NAAの犯罪を許さない。三里塚で起きている恐るべき人権侵害を白日のもとに暴き、殺人的な環境破壊を日々生み出している暫定滑走路の閉鎖を闘いとる決意である」と弾劾している。農地強奪・農民追い出しの伐採工事を粉砕しよう! 現地に駆けつけよう。
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週刊『前進』(2293号5面3)(2007/04/30 )
“星野さんを母親の元へ”
東京高検に再度申し立て
4月26日、星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議が、星野文昭さんの刑の執行停止を求める2回目の申し立てを行った。
まず昼休みに、霞が関の裁判所前で宣伝活動を行った。すっかりおなじみになった「星野のぼり」を立て、ビラを手渡す。星野暁子さんらが次々マイクで訴えた。隣では、航空連の労働者もアピールを行っていた。
その後、再審弁護団の弁護士と合流して、東京高等検察庁に対する申立書・上申書提出行動を行った。東京高検検務第2課の係長は、弁護士から「執行停止申立書」を受け取った後、1階ロビーで参加者の訴えを受けた。家族の星野暁子さん、身柄引受人として青柳晃玄さんが、「母・美智恵は重病で、とても星野文昭に会いに行けない。文昭の刑の執行を一時停止して、お母さんのお見舞いに行かせて欲しい」と訴えた。ともに提出された上申書は1247通、1月以来の総数は3520通に達した。
この日、杉並、三多摩、東京なんぶ、東京東部、群馬など、首都圏から駆けつけた13人が参加した。同じ時間に、徳島刑務所に対しても「外泊許可」を求める行動が行われた。
(写真 刑の執行停止の申し立てに先立ち、東京高裁の前でビラまき。中央が星野暁子さん【4月26日】)
星野さん奪還へ闘いぬこう
1月23日に行われた第1回目の執行停止の申し立てに対して、東京高検はわずか3日後に「これを行わない」と決定した。東京高裁に申し立てた異議も棄却され、3月14日には最高裁が特別抗告を棄却した。
星野美智恵さんの病状は改善していない。逆に衰弱が進行し、いつ危険な状態に入るかわからない日々が続いている。美智恵さんは4月6日、病院で90歳の誕生日を迎えたが、「文昭に会うまでは」と頑張り続けている。このお母さんに何としても文昭さんを会わせたい、文昭さんを北海道に行かせたいと、全国の支援者が闘っている。
星野文昭さんの獄中闘争は32年。1971年、沖縄返還協定の批准に反対して渋谷闘争を闘った星野さんに、日帝・国家権力は憎しみを集中した。未成年を含むデモ参加者にウソの供述を強制し、それだけを「証拠」として無期懲役を言い渡したのである。星野さんは、即時・無条件に釈放されて当然なのだ。
帝国主義の最末期の危機は深まり、労働者階級の革命的な総決起の情勢が近づいている。まさにその中でこそ、星野さんの奪還の展望が切り開かれようとしている。
刑の執行停止をかちとり、再審無罪、即時釈放へ総力あげ決起しよう。
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週刊『前進』(2293号5面4)(2007/04/30 )
辺野古で海上攻防
那覇防衛施設局 「現況調査」を強行
名護新基地建設阻止の辺野古での座り込みが1101日目となった4月24日、那覇防衛施設局が事前調査に踏み込んだ。絶対に許せない!
日帝にとっては、4・26〜27安倍訪米―日米首脳会談と4・30日米防衛相会談―5・1日米安全保障協議委員会(2プラス2)を前に、昨年5月の在日米軍再編の最終合意の強行実施に打って出るしかなかったのだ。
24日午前8時、那覇防衛施設局の作業船11隻が辺野古漁港より出航。海上行動隊も阻止船2隻とカヌーで抗議に出た。
午前9時過ぎ、作業船18隻による作業が始まった。海上保安庁も大型巡視船、小型巡視船各2隻、ゴムボートなどを繰り出し、抗議行動に立ちはだかった。高圧的に「警告」を行い、ゴムボート12隻で海上行動隊のカヌーを制止・捕縛するという暴挙に出た。
そのもとで6ポイントでの作業が強行されたが、うち2ポイントは海上行動隊が阻止。11時過ぎには風雨が強まり、大雨・洪水・雷注意報発令。しかし施設局はなおダイバーを潜らせて作業を続行。海上行動隊は危険と判断して撤退。午後1時過ぎには完全なしけとなり、いかに安全無視の作業船といえど猛威を振るう自然の前に撤退せざるを得なかった。
地元辺野古の「命を守る会」を先頭とする座り込みと海上阻止行動によって、辺野古沖合案は断念に追い込まれた。にもかかわらず日帝・防衛施設庁は、キャンプ・シュワブ沿岸案を浮上させ、名護市長を抱き込みV字形滑走路案へ計画を変更させて新基地建設をごり押ししようとしている。
今回の海域作業について那覇防衛施設局は、「事前調査前に、潜水士が海底のサンゴなどの状況を黙視で確認する作業で、県の同意は必要ない」と強弁し、現況調査に必要な海域使用(公共用財産使用協議)に対する沖縄県の同意がないまま調査に踏み切った。この事態を前に同日夕、沖縄県は海域使用への同意書を交付したのである。
翌25日にも作業が続行される中、久間防衛相は仲井真弘多知事と島袋吉和名護市長を東京・防衛省に呼びつけ、県や名護市が修正を求めているV字形滑走路についても、「最良のものだ」とはねつけた。
どこまで沖縄人民を愚弄(ぐろう)するのか!イラクの戦場と直結する米軍基地強化への怒りは、辺野古で海上阻止戦開始の報道とともに全沖縄を揺さぶっている。
辺野古海上攻防から5・15沖縄闘争へ、全国から現地に結集しよう。
(写真 海上での激突を報じる沖縄タイムス4・24付夕刊)
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週刊『前進』(2293号5面5)(2007/04/30 )
辺野古からの報告
沖縄をだますのか
「オスプレイ隠し」に怒り
96年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告草案で、日米両政府が垂直離着陸機MV22オスプレイを辺野古への新基地建設後に配備する(2014〜16年)ことで合意したことが公文書に記されていたことが明らかになった。
このことを明らかにするよう迫った米帝に対し、沖縄人民の怒りと反対運動の爆発を恐れた日帝側が文書からの削除を強く求めたというのだ。辺野古へのオスプレイ配備の狙いは、前々からことあるごとに米軍側から表明されていた。その度に日本政府は「オスプレイ配備については米国側と確認されていない」と大ウソを並べ沖縄をペテンにかけてきたのだ。
「沖縄返還協定の密約の現代版か!」「基地をつくるまでは沖縄をだましておこうということか! どこまで沖縄を愚弄(ぐろう)するのか」という怒りが全県を包んでいる。
(写真 米軍が辺野古新基地に配備しようとしているMV22オスプレイ。主翼の両端に大型のプロペラを付けたエンジンを装備し、エンジンの角度を変えることで垂直離着陸が可能。米海兵隊は9月からイラクに配備すると発表した。これが最初の実戦配備になる)
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辺野古新基地に配備がもくろまれるオスプレイとはどんな軍用機か?
オスプレイは、現在、普天間基地に配備されている老朽化したCH53ヘリに代わる次世代開発機だ。飛行継続距離や物資搭載量などでCH53ヘリを超える。しかし、このオスプレイはとんでもない欠陥機であり、米軍内部で「空飛ぶ棺桶(かんおけ)」と揶揄(やゆ)されている代物だ。開発過程をざっと振り返るだけで、その欠陥ぶりがよく分かる。
▽91年 試作機が墜落。
▽92年 再び墜落事故、乗員7人が死亡。
▽00年 墜落事故が2回発生し、合計23人死亡。米国防総省は一時開発を中止。
▽06年 初の海外飛行でエンジントラブルを起こし緊急着陸。目的地へ到着できず。
▽07年2月 搭載コンピューターの不良で操縦不可能になる可能性が高まる。一時的にオスプレイ全機が飛行中止になる。
軍用機は本来、安全性は二の次とされる。ひたすら戦闘能力の向上が最優先されるため、軍用機は何らかの欠陥性を必ず抱えていると見るのが専門家の常識だ。このオスプレイはその極悪形態と言える。
この欠陥機が米軍弾薬庫や住宅地域上空はもとより沖縄全土に張り巡らされた飛行ルートを飛び回ることになる。名護市民、県民は日夜、「いつ墜落事故が起こるか」とおびえながら暮らすことを余儀なくされる。
しかも垂直離着陸機は通常のヘリとは比較にならないほどの騒音をまき散らす。現在、普天間基地や嘉手納基地では基地使用協定は無視され、深夜2時、3時から早朝6時まで「軍の機能を維持するため」爆音が響き渡り、近隣住民の怒りは頂点に達しつつある。これがオスプレイにとって代わり、新基地に配備された時、まさに名護市は「爆音地獄」となる。だからこそ日帝はオスプレイ配備を隠蔽(いんぺい)してきたのだ。
☆
政府は「地元の意見を尊重する」と言いながら、一方では米軍再編推進法案=「基地出来高払い制」法案の衆院通過を強行し、名護市民を「基地建設に積極的に協力しなければ振興策を打ち切って日干しにするぞ」と脅しつけている。
加えて4月24日には県の同意もないまま、辺野古沖での「事前調査」に打って出た!
新沿岸案で名護市と合意して以降、政府は「県民8割の反対」をなんとかすりぬけるため、滑走路のI、L、V字型案などを次々に打ち上げてきた。しかし、今回の「オスプレイ隠し」ですべての前提が崩壊した。どのように基地が運用されるのか、配備される機種は何か、これらが隠されたままになっている以上、事前調査も環境アセスもまったく実効性が伴わないことは明らかだ。計画はすべて白紙撤回されなければならない。
13日、米海兵隊司令官がオスプレイ10機の9月イラク投入を宣言した。県民を事故や爆音で苦しめるオスプレイは、一度沖縄から飛び立てば中東やアジアの人びとに殺戮(さつりく)と破壊の牙(きば)をむくことになる。絶対に許すわけにはいかない。
(大津五郎)
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週刊『前進』(2293号5面6)(2007/04/30 )
4月19日〜24日
インド洋派兵延長を閣議決定
全国で一斉学力テストを強行
●民主がイラク特措法廃止法案 民主党は、イラクへの自衛隊派遣の根拠となっているイラク復興特措法の廃止法案を衆院に提出した。法案は自衛隊派遣を「直ちに終了させる」と定めている。(19日)
●KC135緊急着陸で滑走路閉鎖 米空軍嘉手納基地で、米軍機4機が相次いで緊急着陸した。同基地所属のKC135空中給油機が主脚タイヤの一部をパンクさせて緊急着陸した。約20分滑走路が閉鎖されたため、着陸予定のF15戦闘機が急きょ普天間基地へ着陸した。(19日)
●海洋基本法が成立 国の海洋政策を一元化するための海洋基本法と、ガス田掘削施設などの周辺への船舶進入を規制する海洋構築物安全水域設定法が参院本会議で社民党を除く与野党の賛成多数で可決、成立した。基本法は、海洋政策全般に関する初の法律で海洋政策担当相を置く。安全水域法は排他的経済水域(EEZ)内の掘削施設などの周囲500bを「安全水域」として、国土交通相の許可のない船舶の進入を禁止する。(20日)
●電力会社、悪質法令違反50事案 電力各社のデータ改ざんや隠蔽(いんぺい)などの不正問題で経済産業省は、北陸電力志賀原発1号機(石川県)の臨界事故や東京電力福島第一原発3号機(福島県)の制御棒脱落など原発11事案を含む計50事案を特に悪質な法令違反と認定した。(20日)
●慰安婦問題、安倍「日本に責任」 安倍首相は訪米を前に米メディアに、日本軍軍隊慰安婦問題について「20世紀は人権が世界各地で侵害された世紀だが、日本にも責任があり、例外ではない。慰安婦として彼女たちが非常に苦しい思いをしたことに責任を感じている」と述べた。(20日)
●参院補選、自・民1勝1敗 与野党が激突した参院福島、沖縄両選挙区の補欠選挙が投開票され、福島は民主党候補が、沖縄は自民、公明両党の推薦候補が、それぞれ初当選した。沖縄県宜野湾市長選は現職の伊波洋一氏が当選した。(22日)
●国会議員39人が靖国参拝 超党派の国会議員でつくる「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の会員39人が、春季例大祭が開かれている東京・九段の靖国神社に参拝した。(23日)
●インド洋派兵を延長 政府は、5月1日で期限切れとなるテロ対策特措法に基づく海上自衛隊のインド洋派兵について、11月1日まで半年間延長する基本計画の変更を閣議決定した。(24日)
●全国で一斉テスト 小学6年と中学3年を対象とした文部科学省の全国学力調査が行われた。原則全員が対象のテストとしては43年ぶり、約3万3千の小・中学校で約233万人。結果は早ければ今夏にも公表される予定。公立では全国調査に反対する犬山市の14校が不参加。(24日)
●辺野古、事前調査に着手 米軍普天間飛行場の移設問題で、那覇防衛施設局は、移設予定地の名護市辺野古崎の周辺海域での調査に着手した。代替施設の建設計画策定に向けた環境影響評価(環境アセスメント)に先立つ事前調査。(24日)
●イラク空自、8割超は多国籍軍運ぶ 安倍首相は衆院本会議で、イラク空輸を行っている航空自衛隊の活動について「(昨年7月の陸自撤収後)150回、46・5dの物資を空輸した。国連空輸が25回」と政府として初めて空輸の中身を明らかにした。全体の8割超にあたる残り125回は米軍を中心とする多国籍軍を空輸したことになる。自衛隊の活動は基本計画で「人道復興支援が中心」と定められ、国連や国際機関の人員・物資の空輸がこれに該当するとされる。(24日)
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週刊『前進』(2293号6面1)(2007/04/30 )
統一地方選を闘って 民営化と闘い労働者的団結 東京 大地耕介
ある85歳のひとり暮らしのおばあちゃん。4年前にイラク侵略戦争反対の署名に応じてくれた人だ。告示後に訪問すると、以前に出した北島への支援をお願いする手紙をしっかり読んでいた。
「わずかな年金も削られ、生きているのが申し訳ない気分にさせられる。今は元気だからどうにかやっているけど病気にもなれない。民営化というのは、働く者を全部こういう気分にさせることなんだね」
聞けばこのおばあちゃん、民間の労働組合で闘ったことがあるとのこと。”労働運動で革命をやろう”というスローガンは彼女の心にダイレクトに響いた。
40代の女性。これまで私が「主婦」としてしか見てこなかった人だ。今回の選挙で民営化との闘いを訴えると、「私も2年前に私立短大でリストラに遭った。少数組合だったから十分な反撃もできないままだった。団結を取り戻すことの重要性をすごく感じる。PTAで親しくなった飲み友だちが立候補するけど、北島さんの当選のためにやれることをやりたい」と言ってくれた。
ちなみにこの女性、昨年の11・5労働者集会のチケットを街頭で買ってくれていたことが判明し、ますます感動!
こんな話がぎっしり詰まった2568票。そこには3・18で切り開いた地平が脈々と息づいている。
1カ月の蜂起戦の中で生み出された党の団結は、本当に創造的な力を発揮した。この力がけしば・新城両候補の敵対を打ち破り、区民の階級的団結をまったく新たにつくり出したことを心から実感できる。
統一地方選を闘って 20代の公務員労働者の署名 東京 原山アキラ
区議選最終日の午後8時から深夜まで、JR中央線の駅頭で、「杉並丸ごと民営化」反対の労組交流センターのビラをまきながら、署名も訴えた。確かに9条改憲反対の署名などと比べると、大衆的には、まだ問題は浸透していない。
しかし、ビラを受け取ってくれた人に話しかけて、「丸ごと民営化」が労働者の首切りであり、住民の生活破壊でもあることを粘り強く訴えると、かなりの人は驚き、怒り、署名に応じてくれた。私が取った署名は十数筆だが、そのうち3人が、明日の投票では民営化絶対反対を訴えて闘う北島候補に入れますと、約束してくれた。
特にうれしかったのは杉並在住で他区の職員だという20代の若い労働者が「それはヤバイですね。おれたちの問題だ」「そうですよ。公務員労働者が闘えば粉砕できるんです」ということで署名してくれたことだ。そして「選挙に行くつもりはなかったが、明日は行って北島に投票します」とも表明してくれた。
民営化反対署名と街頭は「宝の山」でもある。
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やはり評価賃金制度は解体するしかない 非常勤郵政労働者 坂田陽一
「自分が評価者だったらあいつはCランクだ」。ささいなことから同僚に対してそんなことを考えてしまった。郵便局でゆうメイトに導入されている評価賃金はA〜Cのランクで決められている。
つい最近、このスキル評価制度に対し、一つの「勝利」を得た。これまで業務実態に合わない評価項目があって、同じ時間帯の全員がBランク止まりという状況だった。ゆうメイト自身の「苦情相談」や労組の春闘要求で是正を求め、評価項目変更をかちとったのだ。
これで業務に精通すれば誰でもAランクになって昇給となる。既に職場では仲間同士の差をなくそうと仕事を教え合ってきたこともあり、一歩前進と受け止めた。
そんな中で自分が同僚に心の中で張った「Cランク」のレッテル……。たまたまイライラしていたから、とか、口に出していないから良いという問題ではない。仕事の態度に思うことがあれば話し合えば良いし、不慣れなら支え合えば良いことだ。それを、人であり心を持つ仲間に対してレッテルを張り、軽んじて排除しようとしたのではないか。そんな自分がとても悲しく、腹立たしかった。これこそが評価賃金制度の本質ではなかろうか。労働者を分断し、競争をあおり、差別する。公平な評価なら良い、頑張ったら認められて当然――そんな論理は許されない。労働者である仲間にいかなる上下関係もないはずだ。それなのに評価賃金制度が心の中で仲間に「勝ち組」と「負け組」を作り出してしまった。ならば答えは一つしかない。評価賃金制度そのものを改善ではなく解体することだ。
評価賃金導入以来、ゆうメイトや労組からは批判が渦巻いている。自分も、もう一度原点に立ち返って闘いを作り出したい。
不正請求、サービス残業強制のコムスン 医療・福祉労働者 安田 大
先日、コムスンなどの不正請求、不正取得のニュースを見て怒ってます。ただでさえ安い賃金なのに、夜勤明けなのに書類作りなどで午後3時までサービス残業している母親の同僚もいます。かわいい盛りの子どもにもなかなか会えないと言っています。
そのうえ、労働者から集めた介護保険料をだましとるとは、絶対に許せん。こんな職場は僕らが変えます!!
右翼テロに労働者の階級的団結で反撃を 山田 実
長崎市長に対する右翼反革命テロが行われた。多くのマスコミが民主主義に対する挑戦を許すなというコメントを述べている。まったくそのとおりだ。
しかし、こうした右翼テロリズムに対して、断固とした階級的反撃を行うことが決定的だ。杉並を先頭とした統一地方選は、文字どおりそのことを示す第一歩となることは間違いない。自民党とはいえ、反核を掲げてきた市長に対する右翼テロに対して、今こそ我々労働者階級の側の団結の力でこれを粉砕することが決定的だ。
歴史は2・26や5・15のような時代に突入している。何よりも反核署名の発祥の地、杉並はそういう意味でも決定的焦点となっている。右翼テロルには武装自衛し、北島勝利を突破口に全力で闘おう。
9条改憲阻止の会の国会行動が6週目に 東京 佐藤路世
9条改憲阻止の会の国会前行動は6週間目に入りました。安倍政権の9条改憲への突進に戦争の危機を読み取ったさまざまな人びと、とりわけ60年世代が全国から広く参加し、出会いと再会の場になっています。(写真)
大型バスで国会見学に来た中学生と教師が、林立した「9条改憲阻止」の赤黒のぼりを見て、手を振り声をかけるなど、国会前行動には毎日ドラマがあります。
教師と公務員の改憲反対運動を政治活動として禁止し、違反者を行政処分に付す国民投票法は、労組つぶしと大規模レッドパージです。昨秋教育基本法改悪反対で闘った教育労働者をはじめ労働者や学生が国会前に駆けつけ、ともに闘っています。
国民投票法は、最低投票率さえ規定せず、教師・公務員の言論を封じ、団結を破壊し、反対運動をつぶし、改憲派の意見を金に飽かせて大々的に宣伝するものです。
「ゼロから出発するのでなく」と自民党の保岡興治議員(元法相)が参院で法案の趣旨説明で発言したと傍聴の仲間が報告。保岡発言は、2院独立制を定めた憲法の否定であり、国民投票法に伴う国会法一部改悪の先取りです。
60年安保闘争を担った60年世代は「15年戦争」と戦後革命を子どもながら体験した世代ですが、まだ元気です。高度成長期にはバラバラになった60年世代が今また危機感を抱いて集まり、若者との合流を求めています。
階級的労働運動を再生させ、改憲阻止運動を大きくつくり出しましょう。
「85蜂起戦」DVDに驚き友だちに貸す 東京・大学1年 内田勇樹
「ドキュメント85蜂起戦」は非常に迫力がある内容でした。学生運動や安保闘争などは、とても昔のことだと思っていましたが、私の生まれる少し前にあのような出来事が起きていたのを知った時には驚きました。
何百人もの完全武装したヘルメット部隊が機動隊の壁に向かって突撃し、猛然と火炎瓶や石を投げて闘っている姿には非常に衝撃や刺激を受けます。それと同時に、私は今までに成田空港を何度か利用したことがありますが、このような闘いの末に建っているのだと思うと、なんだか複雑な気持ちになります。
そして、私はこのDVDを盛んに友だちに貸すようにしています。一度見せたら非常に好評で、やはり「すごい」という感想が返ってきました。みんな、権力に猛然と闘いを挑んでいる彼らの姿に憧(あこが)れるようになりました。今ごろは、友だちの友だちに渡っていると思います。これからもなるべく多くの友だちや知り合いにこのDVDを見せて広めていきたいと思います。
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週刊『前進』(2293号6面2)(2007/04/30 )
入管闘争の総括と課題
階級的労働運動路線の実践で地区党建設と入管闘争強化へ
革共同入管闘争委員会
3月大行動の歴史的な高揚、統一地方選における杉並、相模原を始めとする全国での勝利は、階級的労働運動路線の実践が本格的に始まったことを告げ知らせた。この勝利をふまえて5〜6月の改憲投票法案粉砕・改憲阻止の闘いに総決起しよう。労働運動を解体し、階級的団結を破壊しようと攻撃を強める日帝・安倍=御手洗は、同時に排外主義を扇動しつつ、新たな外国人労働者導入政策を推し進めている。入管闘争の戦略的意義はますます高まっている。今こそ階級的労働運動路線を実践し、その一環として入管闘争を強化・発展させよう。
06年の闘いを振り返って三つの確認
06年入管闘争を振り返って第一に確認できることは、教育基本法改悪攻撃、改憲攻撃が激しく展開される中で、日帝・安倍による排外主義攻撃、愛国心・愛国主義攻撃が苛烈(かれつ)に加えられたことである。
日帝・安倍政権は、労働者階級の階級性を解体し尽くし、その団結を破壊するために、排外主義=愛国主義を柱として改憲攻撃、教育基本法改悪攻撃を全面化した。そのために拉致問題を使い、北朝鮮のミサイル発射や核実験などを餌食(えじき)にして、排外主義で覆い、在日朝鮮人、朝鮮総連を標的にした最大の入管攻撃を展開した。
危機に陥り、戦争と労組破壊しか生きる道がなくなった日帝は、教育基本法改悪から改憲へと突き進んでいる。また06年は、入管攻撃において画期をなす指紋制度を復活させた上で、在留カード制度を導入する攻撃が始まっている。これに伴い、難民申請制度の悪用と入管法の相次ぐ改悪で、滞日外国人労働者への追放攻撃が、当事者や支援者の人道的要求にもかかわらず、それを無視して加えられた。日帝は「テロリスト進入阻止」の水際作戦として治安攻撃を激化させ、その中心に排外主義を洪水のように展開しているのだ。
第二に確認できることは、こうした入管攻撃、排外主義攻撃、愛国主義攻撃の激化の中で、日本の労働者階級の国際連帯闘争が11月労働者集会運動として歴史的に高揚し、実践的に実を結びつつあることだ。
韓国・民主労総ソウル本部との連帯、アメリカの港湾労働者や航空整備士、運輸労働者の労働組合との連帯は、労働者階級の自己解放闘争が国境を廃絶する闘いであり、連帯すなわち革命であることを余すことなく示した。階級的労働運動路線の実践の中でこれをつかみ取ったことの意義は計り知れない。
アメリカの移民労働者の決起やフランスの移民労働者への攻撃に端を発した闘い、もとよりイラク・パレスチナ・中東のムスリム人民の闘いなど、帝国主義の戦後体制の末期的危機の中で世界の労働者階級と人民が闘いに立ち上がる革命的情勢が到来している。
こうした闘いがあって在日朝鮮人民の闘いも、朝鮮総連に対する激しい弾圧に屈せず国会前に登場した闘いを先頭にして、3月3日の東西1万2千人の決起へと上り詰めた。教育基本法改悪阻止闘争の渦中で戦後革命期以来と言える連帯闘争が実現したのである。
また、滞日外国人労働者の粘り強い人間的要求に基づく闘いも、日帝を窮地に立たせ、追い詰めている。
第三に確認できることは「党の革命」が決定的だったことである。戦線主義的あるいは血債主義的・受けとめ主義的傾向との闘いは、連合戦線党を求める解党主義者を、革共同を労働者階級の党として建設していく闘いからたたき出したのだ。
階級的労働運動路線は、入管闘争を労働者階級の自己解放闘争として新たに打ち立て、それによって被抑圧民族人民との国際連帯を労働者階級の階級的連帯を基軸にして発展させていく道をつかみとったのだ。
日韓労働者の団結で侵略戦争阻もう
世界史は確実に革命的情勢に突入しつつある。
基軸帝国主義であるアメリカ帝国主義の衰退と没落による戦後帝国主義世界体制の根底的な最末期の危機である。米帝はその基本矛盾にあえぎ、そこから脱出できず、いよいよドル暴落の爆発の危機に直面し、矛盾を労働者階級に転嫁するとともに、帝国主義間争闘戦の戦争的展開に出口を求め、世界史を世界戦争へ進めるほかなくなっている。イラク侵略戦争の敗勢的現実と北朝鮮のスターリン主義体制解体のための時間稼ぎである6者協議の行き詰まりは、その現れであり、危機をさらに激成している。
この間の米帝の動向は究極的には中国スターリン主義を解体することを軸にしている。アーミテージ報告にもあるように、米帝は日帝を同盟軍として動員し、朝鮮侵略戦争を敢行して朝鮮半島を支配し、台湾問題と中国の軍事力の強化を標的にして対中戦争を行うことを想定している。
帝国主義間争闘戦の激化の中で、帝国主義の最弱の環である日帝は最大の危機にある。安倍政権はクーデター的な手法で次々と反動立法を成立させ、9条改憲と”戦争のできる国家”の形成に突進している。その最たる攻撃こそ、労働運動解体の攻撃であり、また朝鮮侵略戦争の発動をにらんだ対北朝鮮排外主義攻撃、制裁発動攻撃である。
本年年頭に明らかにされた「朝鮮有事の日米共同作戦計画5055」などをみれば、それは朝鮮半島全体を戦場と化し、北朝鮮・金正日体制を解体し、韓国を新植民地主義的に制圧することをもくろむものである。
米日帝の朝鮮侵略戦争突入切迫情勢は、日米間の矛盾ときしみを伴いつつ激成されている。米帝もイラク侵略戦争の泥沼的展開が深まれば深まるほど朝鮮侵略戦争策動を強めるのであり、日帝も自らの帝国主義的存立のためにこの策動を強めるのだ。米軍再編とその中心である沖縄米軍基地問題は、この朝鮮侵略戦争から中国侵略戦争を見据えた攻撃であり、沖縄の労働者人民の階級的決起は不可避である。
米日帝の朝鮮侵略戦争は、韓国=朝鮮の労働者階級への大攻撃であり、ここに日韓=日朝労働者階級の国際連帯は決定的なものとなっている。
また、韓国の労働者階級の闘いこそ、日米の朝鮮侵略戦争攻撃と対峙し、ノムヒョン政権の労組破壊(非正規職法や労働法改悪)、FTA(自由貿易協定)攻撃とりわけ韓米FTA締結による労働者・農民を丸ごと資本に売り渡す攻撃との闘いである。「国境を廃止する」と宣言した日韓労働者の階級的団結は、朝鮮侵略戦争突入情勢のもとでは必須(ひっす)の闘いなのだ。激しく闘う韓国の労働者階級の存在が情勢を白熱化させている。国際連帯の闘いは、革命的情勢を進展させ、プロレタリア世界革命への展望を開いていく。
11月1万人結集で国際連帯の発展を
07年入管闘争の課題は第一に、階級的労働運動を発展させ、国際連帯をさらに強化していくことである。それはプロレタリア世界革命、日本プロレタリア革命と朝鮮のプロレタリア革命―中国・アジア革命の歴史的で壮大な展望を開いていく。
この闘いはとりもなおさず、労働者階級の職場・生産点における階級的団結を強める闘いの徹底的な実践である。
11月労働者集会運動が示したことは、動労千葉が実践する階級的労働組合運動がアメリカや韓国の戦闘的労働者の心をつかみ、階級的国際連帯を生み出したことだ。
11月労働者集会1万人結集運動は、この闘いを飛躍的に発展させる。この中にこそ、朝鮮・中国を標的にした排外主義攻撃を粉砕する階級的団結を生み出す闘いがある。それは、日帝(米帝)の朝鮮侵略戦争を内乱―革命に転化する闘いの国際的高揚をつくり出す。07年こそ11月労働者集会1万人結集を実現しよう。
07年入管闘争の課題は第二に、日帝の治安攻撃、入管攻撃と闘う在日・滞日外国人と連帯し、支援・防衛する闘いを一層進めていくことである。在日朝鮮人の不屈の決起が万余の政治闘争となったことは、日帝・安倍の心胆を寒からしめるものとなった。この在日人民の決起との連帯を強化するためにも、改憲阻止の国会闘争を軸にした闘いを進めていこう。11月労働者集会運動が韓国人民・在日朝鮮人民との連帯を形成・発展させているのである。
また、治安攻撃の矛先が滞日外国人労働者の在留をめぐって加重され、FTA締結などをてこに安価な労働力として差別的排外主義的に導入されようとしている。それは同時に労働者階級総体への賃金の引き下げ、非正規職化攻撃として襲いかかっている。
同じ労働者として外国人労働者の権利と在留を防衛する闘いが、地域の基軸労組や合同労組などの創意あふれた闘いとして実践されている。階級的労働運動路線の実践が職場・地域での連帯を強化しているのであり、政治闘争における連帯とともに発展させていくことが求められている。教科書闘争や「日の丸・君が代」強制拒否闘争も重要な国際連帯闘争であり、改憲攻撃と闘い、朝鮮侵略戦争を打ち破る階級的団結を形成する闘いだ。
これらの闘いを軸にして入管法のさらなる改悪や外登法の改悪、それらの乱用に基づく追放と弾圧の攻撃から在日・滞日外国人労働者を防衛する闘いを強化していこう。
07年入管闘争の課題は第三に、入管闘争=国際連帯闘争を発展させるためにも、地区党を階級的労働運動路線の実践として断固として建設・強化していくことである。
70年7・7では地域実体の形成が問題となった。われわれは入管闘争の地区実運動を入管法阻止の政治闘争との両輪として発展させていくことを誓ったのだ。地区実運動は地区党建設と不可分であり、地域での闘いの火点・基礎に職場生産点をめぐる攻防がある。3全総―3回大会以来の闘いで地区党建設を推進し、それを7・7の決意として実践しようとした闘いが地区党建設と地区実運動なのである。
二重対峙・対カクマル戦争による一定の困難から入管戦線を独自に形成していったのだが、それは”7・7の誓い”を実践するための決意と実践であり、その後のフェーズ1・フェーズ2の時期を支えた闘いだった。
今日、階級的労働運動路線がうなりを生じて実践され、国際連帯や青年労働者の闘いが新たな情勢を開いている時、労働者党として単一の党を建設する闘いを地区党を軸に行うこと、本来の党建設の基本的あり方の中で入管闘争を発展させていくことが求められている。革共同を国際的な単一の党として建設する闘いは、万国の労働者が結集する党を建設する闘いであり、戦後革命期の意義とともにその限界を突破していく闘いでもある。地域の実体をめぐる攻防は地区党建設の前進なしには実現できない。入管闘争もそこでの闘いがあって実現されていくものなのだ。
階級的労働運動路線を発展させ、地域と職場生産点の闘いを強化し、地区党を不抜の党として建設し、11月労働者集会への1万人結集を実現する闘いに進撃しよう。国際労働者階級の闘いで改憲を阻止し、朝鮮侵略戦争を内乱に転化しよう。
(写真 警視庁公安部の不当捜索に在日朝鮮人500人が直ちに怒りの抗議【4月25日 東京・文京区】)
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週刊『前進』(2293号6面3)(2007/04/30 )
朝鮮総連関連団体への強制捜索弾劾
排外主義許さず反撃しよう
安倍首相の初訪米を翌日に控えた25日午前、警視庁公安部は、北朝鮮による拉致事件を口実に在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関連施設4カ所に対する不当捜索を強行した。またこれに抗議した在日朝鮮人男性1人を「公務執行妨害罪」で不当逮捕した。
この弾圧は、米帝ブッシュから日米首脳会談で北朝鮮の拉致問題に言及するという約束を取り付けた日帝・安倍政権の排外主義的な大弾圧だ。同時に統一地方選直後の、7月参院選をにらんだ改憲攻撃と一体の政治弾圧であり、戦時治安弾圧そのものでもある。徹底弾劾しなければならない。
東京・文京区白山にある在日本朝鮮留学生同盟(留学同)中央本部と朝鮮問題研究所に対する家宅捜索では、警視庁公安部の捜査員数十人とともに機動隊300人を動員し、あらかじめリークして集めたマスコミの眼前で、人権蹂躙(じゅうりん)の強権発動を繰り出して見せさえした。
不当捜索の知らせを聞いた在日朝鮮人が続々と駆けつけ、その数は500人に膨れ上がった。警察・機動隊に対し「日本警察当局の不当な強制捜索に反対する!」とシュプレヒコールで抗議する一方、「日本の市民のみなさん。今回の警察当局の強制捜索は、安倍総理の訪米を前に拉致問題をさらに政治利用しようとする日本当局による朝鮮総連に対する政治的な弾圧です」と訴えた。
日帝・安倍のこの反北朝鮮の排外主義攻撃を、闘う在日朝鮮人とともに徹底弾劾し粉砕しよう。
マスコミ各社は捜査本部が垂れ流す情報をそのまま掲載し、「2児拉致事件/捜索先の在日学生組織/工作員の『供給源』か」(読売新聞)、「拉致2児の父/別の工作組織も運営/総連への協力者管理」(朝日新聞)などと反動キャンペーンを繰り広げている。
そもそも、容疑とされる「拉致事件」は1974年のことであり、「元工作員の女」と仰々しく書き立てられた女性にはすでに公訴時効(7年)が成立している。こんなでたらめな弾圧を見過ごしてはならない。在日朝鮮人に人権はないなどという日帝・安倍政権こそ、労働者人民の敵だ。
今回の排外主義的治安弾圧に怒りを燃やし、闘う在日朝鮮人とともに弾圧粉砕の反撃に立とう。日帝・安倍=御手洗の進める改憲攻撃、改憲投票法案粉砕へ闘おう。
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