ZENSHIN 2006/08/14(No2258
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週刊『前進』(2258号1面1)(2006/08/14)
青年労働者・学生先頭に感動と熱気
東西で革共同集会が歴史的成功
東京集会 改憲阻止・11月決起へ方針
天田書記長 決意こめ基調報告
三里塚・北富士と固く連帯し夏秋の決戦へ!
改憲阻止・戦争と民営化攻撃粉砕へ、全参加者が拳を上げる【7月30日 東京・豊島公会堂】)
7月30日、東京と大阪で革共同政治集会が大成功のうちにかちとられた。東京の革共同集会は豊島公会堂で開かれ880人が参加した。「党の革命」が生み出す自己解放的な躍動感にあふれ、革命に勝利する労働者党建設をかちとろうという熱気がみなぎる感動的な集会になった。とりわけ青年労働者と全学連の力強い登場は反スターリン主義・革命的共産主義運動の爆発的前進を確信させた。集会では、06年前半の激闘に次ぐ激闘の総括を深めるとともに、革命的情勢の急速な接近の中で11月1万人総決起を闘いとる大方針をうち立てた。広島・長崎反戦反核闘争から8・15靖国闘争、8・24〜25自治労大会決戦に決起しよう。臨時国会は冒頭から教育基本法改悪、共謀罪新設をめぐる全面激突になる。改憲阻止決戦の成否をかけ、今夏―今秋の闘いに突入しよう。闘う労働者・学生は革共同に結集しよう!(関西集会の記事は2面)
(写真 報告する天田書記長)
革命に勝利する労働者党へ
東京集会では天田三紀夫書記長が「改憲阻止!戦争と民営化攻撃粉砕へ 11月1万人決起を実現しよう」と題して基調報告を行った。
天田書記長は、今年前半を振り返り「党の革命と、動労千葉と教育労働者を先頭とする闘いが巨大な前進を切り開いている。法政大弾圧への猛反撃から学生運動が革命を領導する勢力として登場している。共謀罪、米軍再編、三里塚をめぐる激しい決戦を闘っている」と述べた上で、総括の深化のために四点を提起した。
「第一に、労働運動の実践こそが日本革命を切り開く。その前進のためにさらに自己変革しよう。第二に、職場闘争の意義。動労千葉は、職場闘争の営々たる積み重ねの中で幕張構内事故に対する処分策動を打ち返している。職場生産点での闘いをさらに強めよう。第三に、労働者細胞建設こそ職場闘争を保障する基礎だ。第四に、革共同は職場闘争、細胞建設の豊かな経験をすでに動労千葉労働運動として持っている。動労千葉労働運動を拡大すれば日本革命、世界革命に必ず勝利できる」と語った。
そして、世界危機の世界戦争過程への突入、革命的情勢への急接近を確認した上で、「日帝は06年、画然と改憲攻撃に突入した。しかし中曽根から小泉にいたる攻撃は完全に破産している。城内平和なき侵略戦争突入の破綻(はたん)性は明らかだ。激しい怒りが渦巻き6千万労働者階級が政治の前面に躍り出ようとしている。4大産別をめぐる攻防に勝利し、9条改憲阻止署名運動の爆発的前進をかちとり、11月労働者1万人決起を必ず実現しよう」と今秋決戦の任務と展望を提起した。その上で、実践的結論として、@全党一丸となった青年労働者・学生獲得、A星野奪還大運動への総決起、B11月労働者1万人決起と党勢2倍化、C「党の革命」の前進と革命に勝利する労働者党建設の4点をあげた。最後に「本日参加した青年労働者、学生の皆さんは革共同にぜひ結集してほしい。未来は青年のものだ」と呼びかけ、会場全体から大きな拍手が巻き起こった。
動労千葉労働運動広げよう
集会は06年前半の激闘をつづるビデオ上映で始まった。
開会宣言の後、三里塚反対同盟が連帯のあいさつをした。北原鉱治さんは「三里塚勝利なくして日本の未来はない」と訴え、鈴木幸司さんは「あと40年でも50年でも闘う!」と戦闘宣言。市東孝雄さんは「敵は耕作権問題で攻めてきているが、私はここで生きると決意しているから何でもない。10・8集会に大結集を」と訴えた。萩原進さんは「敵は三里塚では改憲後のようなやり方に出ている。土地収用法が失効したら民法や農地法で土地強奪しようとしている。8月11日千葉県農業会議闘争に決起を」と檄(げき)を飛ばした。
北富士からは忍草母の会事務局長の天野美恵さんが「11月には105_実弾演習に加え小銃訓練もやる。朝鮮での戦争にむけた演習だ。9月集会と11月演習阻止闘争に総決起を」と訴えた。
闘う部落解放戦線の仲間が、開始された狭山第3次再審闘争の絶対勝利と、北朝鮮への侵略戦争情勢下で強まる差別主義・排外主義と死活をかけて闘うと宣言した。
3月24日に出獄した倉持嘉之同志が、74年1・24カクマルせん滅戦闘以降16年の指名手配、90年武蔵野爆取弾圧から16年の獄中闘争を経て、32年ぶりに革共同集会に参加し出獄あいさつ。「星野同志始め内外の同志の闘いに支えられ勝利した。共同の勝利だ」と意気高く発言した。
中央労働者組織委員会の同志が11月労働者1万人決起へ特別報告を行った。「二つ、三つと仕事をしても食えない、病気になったら死ぬしかない、高齢者や『障害者』は早く死ねといわんばかりの攻撃が激化している。6千万労働者階級、とりわけ4大産別の組織労働者が、自らの力を自覚して行動を開始したら日本革命の展望は圧倒的に切り開かれる。労働者階級は必ず勝利できると言い切れるのは革共同だけ。それは、われわれが動労千葉と共に闘い抜いてきたからだ。階級の生死をかけた歴史的闘いとして今秋決戦をぶち抜こう」と熱く訴えた。
次に4大産別の労働者同志が決意表明した。
国鉄労働者は「新指導路線の実践とは、動労千葉労働運動を自らが実践すること。国労再生とはわれわれが国労の権力を握ることだ。その鍵は5・27臨大闘争弾圧との闘いにある」と語った。
全逓労働者は「郵政民営化は職場の闘いが火を噴いた瞬間に破産する。労働者の怒りが出口を求めて渦巻いている。一切は労働者の獲得、青年労働者の組織化にかかっている。一切の責任を取りきって闘う」と述べた。
自治体労働者は「自治体労働者こそ改憲阻止の先頭に立つ。国民保護計画のもとへの労働者の動員に対しては、業務命令拒否を含め全国闘争化する。そして骨太方針Yを職場からの闘いで粉砕する」と宣言。
教育労働者は「直ちに改憲決戦に突入しよう、そのすべてを11月1万人結集に結びつけて闘おう。その最大の突破口は教育基本法改悪阻止闘争だ。職場で闘うわれわれこそ日教組だ」と訴えた。
星野同志の奪還へ大運動を
さらに3人の同志が特別アピールを行った。
マルクス主義学生同盟法政大支部は「学生運動は法大を先頭に60年、70年を超える闘いに入った。当局・警察の学生運動壊滅攻撃は、逆に学生運動の爆発に火を付けた。1千人決起の次は退学処分粉砕まで無期限ストで闘う」と力強く発言し圧倒的拍手を浴びた。
入管戦線の同志は「北朝鮮のミサイル発射を契機に強まる在日朝鮮人への排外主義襲撃を許さない闘いを。8・15小泉靖国参拝を許さず、11月集会には多くの外国人労働者の結集を」と訴えた。
革共同救対部の同志が「ついに星野さんと友人の面会を実現し、暑中見舞いハガキも続々と届いている」と報告。この日届いた星野同志のアピールを紹介し「あらゆる職場に星野救う会を。11・25星野奪還大集会を成功させよう」と訴えた。
クライマックスは若い2同志の決意表明だ。
マルクス主義青年労働者同盟の北川修委員長は「2回大会以降、マル青労同の労働運動をつくり出す闘いに入った。闘う労働運動をつくるということは腐った執行部を打倒することだ。その時解き放たれる労働者のエネルギーは計り知れない。職場闘争や組合権力奪取の闘いを実際に始めることだ」と語った。
織田陽介全学連委員長は、法大決戦を共に担った仲間に壇上から革命運動への参加を呼びかける形で「侵略戦争をやる政権は倒して当然なんだ。学生の生活や権利、命さえ革命によってしか守れないなら全学連は断固として革命を掲げて闘う。どの大学でも学生は立ち上がることを法大生から学んだ。学生ゼネストに突き進む」と宣言。2人の力強い決意に会場の熱気は最高潮となった。
ここから11月へ一丸となって突き進もう。
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週刊『前進』(2258号1面2)(2006/08/14)
市東さんの農地守れ
8・11千葉県農業会議闘争へ
三里塚反対同盟から8・11千葉県農業会議包囲闘争が呼びかけられた。全力で結集し市東さんの農地を守り抜こう。
◇ ◇
闘う仲間のみなさん。
NAA(成田空港会社)が提出していた、反対同盟・市東孝雄さんの耕作地に対する「農地法に基づく耕作権解約許可申請」に対して、成田市農業委員会は7月24日、まともな審理もせず、事実上の「許可相当」と判断し、決定権者である千葉県知事および農業会議への送付を強行しました。同会議は、8月11日にもこの案件を機械的に通過させ、知事決定に持ち込もうとしています。
市東孝雄さんの耕作地は、「大正」期に祖父の代から開墾し約90年間も耕作を続けてきた農地であり、耕作権は誰も奪うことはできません。NAAは、暫定滑走路の北延伸でジャンボを飛ばすには、「へ」の字誘導路を直線化させなければならず、そのために強制的な「耕作権解除」を狙ってきています。
このデタラメな農地強奪、農民殺しとしか言いようのない「耕作権解除」攻撃を満腔(まんこう)の怒りをもって弾劾し、8・11農業会議を重包囲しようではありませんか。多くの皆さんの結集を訴えます。
2006年8月1日
三里塚芝山連合空港反対同盟
◇ ◇
●8・11現地闘争
8月11日(金)午前9時
集合場所・よし川公園
(千葉駅から500b)集会とデモ、県農業会議傍聴と県庁前での街宣行動
主催 三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『前進』(2258号1面3)(2006/08/14)
レバノン侵略戦争やめよ
イスラエル軍を米帝が全面支援 国際的な大反撃に立とう
米帝ブッシュに全面支援されたイスラエルによるレバノン侵略戦争は、いよいよ凶暴化しエスカレートしている。イスラエル軍は停戦をあくまで拒否し、8月2日にはレバノン中部・南部50カ所の空爆を強行、6千人の地上部隊を投入し戦線を拡大している。
ヒズボラ壊滅と人民大虐殺を狙った暴挙を徹底弾劾し、国際的な大反撃をたたきつけなければならない。
7月30日、イスラエル軍はレバノン南部カナで市民が避難する建物を空爆、子ども37人を含む57人を虐殺した。全世界で激しい怒りがわき起こる中、イスラエルは「ヒズボラがこの建物からミサイルを発射した」と主張して虐殺を居直ったが、完全なウソであることが明らかになっている。
「48時間の空爆停止」そのものが完全なまやかしだ。この間もレバノン中部の街バールベックに戦線を拡大し、病院までも空爆しているのだ。
毒ガスや白リン弾使い人民虐殺
イスラエルによるカナの大虐殺に対し、全世界で怒りが爆発している。とりわけレバノンのベイルートでは5千人の民衆が国連施設に押し掛け、入り口を壊し、建物内部の事務所を打ち壊し、米帝、イスラエルの先兵となっていることに激しい怒りをたたきつけた。
(写真 イスラエル軍の白リン弾で焼かれ黒くなった少女の遺体を運ぶレノヾノンの医療関係者【7月17日 レバノン南部シドン】)
カナはちょうど10年前の96年4月18日にもイスラエルが国連施設を砲撃し、避難していた106人を虐殺した町だ。このときもイスラエルは「ヒズボラが国連施設に入ったからだ」と主張したが完全なウソだった。
イスラエルは、大量無差別殺戮(さつりく)兵器を使用し、目的意識的に人民を大虐殺している。劣化ウラン弾のバンカーバスターを使って中東全域にウランをまき散らし、白リン弾による無差別虐殺や、クラスター爆弾の市街地投下すら行っている。
イスラエルが毒ガス兵器を使っていることも、レバノンで病院の院長をしているベルギー人医師バチール・チャム氏が告発している。彼はブリュッセルで記者会見し、8人の遺体について、砲弾などによる負傷はなく焼かれた跡もないのに、皮膚が靴のように黒くなっていたことを明らかにし、イスラエルの毒ガス使用を糾弾した。レバノン人民の死者はすでに750人を超えている。
だが、イスラエルの侵略戦争は早くも危機と泥沼化を深めている。イスラエル軍は29日、レバノン南部のヒズボラの重要拠点、ビントジュベイル村に展開していた大部分の部隊を撤退させた。ヒズボラによるゲリラ戦争で大打撃を受け、撤退と体制立て直しを余儀なくされたのだ。
第2章 中東支配の危機突破ねらう米帝
今回のレバノン侵略戦争は、米帝の中東支配の危機を巻き返すための、米帝とイスラエルが一体となった戦争拡大である。そもそも米帝は、レバノンを米帝・イスラエルの支配下に置くことを狙っていた。だからブッシュは、当初からイスラエルのレバノン侵略を「テロとの戦いの一環」と宣言し、停戦の訴えを拒否、「ヒズボラを解体しシリアとイランのヒズボラへの支援をやめさせなければならない」と主張した。それだけでなく、レバノン沖に配備した米軍艦船や衛星の情報などを使い、イスラエル軍を全面支援している。
米帝が次にやろうとしているのはイラン、北朝鮮への侵略戦争である。だがこうした侵略戦争に展望があるわけではまったくない。レバノン人民、中東人民の怒りは極限的に高まっており、民族解放戦争の激化は不可避だ。
レバノンで、パレスチナで、イラクで、アフガニスタンで、民族解放のため命をかけて闘う人民と連帯し、レバノン侵略戦争阻止に決起しよう。米帝・イスラエルを支持する日帝と小泉政権を弾劾し、9条改憲阻止の大運動を爆発させよう。
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週刊『前進』(2258号1面4)(2006/08/14)
おことわり
本紙は、本号を夏季特別号(10n)として8月14日付で発行し、8月21日付号は休刊とします。8月28日付号から通常どおり発行します。
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週刊『前進』(2258号2面1)(2006/08/14)
テポドン2は基地真上で爆発
「敵基地攻撃」論は大策略
北朝鮮が7月5日に発射した長距離ミサイル「テポドン2号」について、新たな事実が明らかになった(7月30日各紙朝刊)。
日本政府は当初、ロシア近海が着弾地点と発表した。しかし実は、発射直後に爆発して墜落していたことが分かった。米・日の偵察衛星の映像には、発射基地周辺に散乱する「テポドン2号」の破片が写っているという。爆発は北朝鮮領空だったのであり、しかもほぼ真下に落下していたのだ。破片の一部は、基地から数`〜数十`の北朝鮮沿岸部の海上に落ちたとも言われる。
「日米のイージス艦のレーダーがミサイルの航跡をとらえられないほど、飛行高度が低く、飛行距離も短かったことが判明した」(読売新聞7・30付)という。にもかかわらず当初、「新潟県沖北北西約350`付近の海域に着弾」と発表された。ミサイルの航跡がとらえられなかったのに、どこからこの距離数が出てきたのか。「間違った」のではない。完全に意図的な、最初から仕組まれたデマだった。しかも、わざわざ「新潟県沖」とすることで、”ミサイルが日本に飛んでくるかもしれない”と「北朝鮮脅威」論をあおったのだ。
仕組まれたデマだったことを示すもう一つの”証拠”がある。当初発表された着弾地点は基地から640`も離れていた。実際のミサイル爆発地点との距離差は600`以上もある。ちなみに韓国の南北が約500`である。かりに正確に発表しようとしていれば、これほどの距離差が出てくるはずがない。政府はあらかじめデマを振りまく決断をしていたのだ。
日本政府はミサイル問題で北朝鮮への経済制裁を発動した。経済制裁は実質的に宣戦布告に等しい。さらに政府は、北朝鮮への武力行使を含む国連安保理決議を押し通そうとした。中国・ロシアの反対でひとまずこれはできなかった。しかし、日本帝国主義が第2次大戦後初めて、率先して北朝鮮への侵略戦争を仕掛けようとした事実は重い。これらすべてが”ミサイルが日本に向かって撃たれた”かのような情報操作をもとにやられているのだ。
しかも日本政府は、北朝鮮ミサイルの脅威をあおって「敵基地攻撃能力」論を主張しはじめた。安倍官房長官、額賀防衛庁長官、麻生外相などが一斉に、「ミサイルに対しては敵基地を攻撃する能力を保持しなければならない」と公言した。「敵基地攻撃能力」とは、巡航ミサイル、空母、戦略爆撃機などを指す。「専守防衛」を軸に作られてきた自衛隊の戦力を、攻撃型に大転換させようとするものだ。しかも、単に能力=戦力を変えるだけでなく、実際の戦争戦略をも攻撃型に転換させるものだ。結局のところ「敵基地攻撃能力」論とは、先制攻撃をも良しとする恐るべき策略なのである。
ミサイルをめぐるデマで「北朝鮮脅威論」をデッチあげ、先制攻撃までやっていいとする。これはアメリカ帝国主義と同じではないか。米帝はイラクに侵略戦争を仕掛けるため、「イラクの大量破壊兵器」という大ウソをついた。日帝もこれと同じやり方に国家として踏み切ったのだ。
かつての日帝の侵略戦争もすべて、意図的に事件をデッチあげてやられてきた。日帝は再びそうした帝国主義的侵略にのめりこみはじめたのだ。今回の北朝鮮ミサイル問題で、戦争を仕掛けているのは米・日帝国主義であることがあらためて鮮明になった。
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週刊『前進』(2258号2面2)(2006/08/14)
日本経団連など夏季セミナー
“改革揺り戻し反対”叫ぶ
日本経団連、経済同友会、日本商工会議所の経済3団体の夏季セミナーが、7月27〜28日の経団連東富士夏季フォーラムを始めとして相次いで開かれた。これは日帝ブルジョアジー(資本家階級)の反労働者的な資本攻勢への”理論武装”の”夏季合宿”であると同時に、ポスト小泉政権に対する政策要求の場でもあった。
夏季セミナーの全体としての第一の特徴は、小泉政権の外交政策の破産への批判が続出した一方で、「小泉改革を後退させるな」の大合唱となったことだ。それは経済同友会の北城代表幹事(日本IBM会長)が「改革路線に揺り戻しの気配が見えるのは極めて遺憾。ポスト小泉政権は改革に強いリーダーシップを」と叫んだことに象徴される。戦争と民営化(労組破壊)の小泉=奥田路線を継続・強化せよ、それが総資本の要求なのだ。
日本経団連会長の御手洗(キヤノン会長)は、フォーラム後の記者会見で「小泉首相は大統領制に近い形で構造改革を進めた。次期政権には積み残した課題を実効あるものに、スピード感を持ってやってほしい」と注文した。大銀行・大企業=金融独占ブルジョアジーの利益と延命を最優先し、労働者の窮乏化と社会格差を激化させた小泉改革を称賛し、さらにスピードをあげよと求めたのだ。
第二の特徴は、経済同友会と日本商工会議所が「増税なき財政再建」を掲げ、「価格転嫁が難しい」という理由で消費税増税に消極的な反面で、「歳出削減」をさらに徹底せよと要求したことだ。特に商工会議所会頭の山口は「公務員人件費はさらに切り込める」と主張した。
これが示すように彼らは公務員人件費、社会保障費、地方交付税交付金などの一層の削減を求めている。政府とブルジョアジー自身の責任である財政危機を、労働者階級人民に転嫁することなど断じて許されない。
第三の特徴は、逆に日本経団連が「少子高齢化」などに対応するためには「新しい財源」が必要と、消費税増税を提唱していることだ。経団連は18%の消費税率を唱えた前会長の奥田以来、消費税の大増税路線で一貫している。
しかも他方では「企業の国際競争力の維持」を口実に、法人税率はもっと下げろと言っているのである。
小泉政権の5年間が示したように、格差社会が急速に進行し、労働者は食べることも困難になっている。帝国主義は体制として破産している。この帝国主義を倒さなければ労働者はもはや生きていけない。ポスト小泉政権の「構造改革」−「骨太方針Y」との対決、4大産別決戦と改憲阻止決戦の前進が死活的課題だ。
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週刊『前進』(2258号2面3)(2006/08/14)
革共同関西政治集会 「党の革命」の貫徹誓う
11月総決起へ進撃を開始
7月30日、尼崎市労働福祉会館において開催された革共同政治集会には、360人の闘う労働者・学生・市民が参加した。労働者党員が先頭に立って勝ちとった「党の革命」の意義を鮮明にさせ、改憲阻止決戦から11月1万人決起に向かう総決起の場として、会場全体に高揚感あふれる歴史的集会となった。
新指導路線を豊かに実践し
司会の女性労働者同志が「私たち労働者党員は『党の革命』に決起しました。11月労働者1万人決起を勝ちとり、革共同を労働者階級に信頼される党へと変革しましょう」と力強く開会宣言を行った。
獄中の星野文昭同志からのメッセージが紹介されたあと、小山明同志が基調報告を行った。まず小山同志は「党の革命」について、「党中央の重大な責任をはっきりさせた上でのことですが、革共同が権力と闘えない党になりつつあった。労働者党員の決起が、断崖絶壁の淵でその危機から革共同を救った」と労働者党員の決起の意義をのべた。
続いて今年前半の闘いを総括し、「改憲決戦とは戦時下の階級闘争への突入である。だからこそ4大産別をはじめとしたあらゆる産別・職場で職場闘争に突っ込み、労働組合をつくり、職場の支配権を資本から奪い取る闘いに挑戦し、11月労働者1万人決起から労働運動・労働組合の戦闘的再生を実現しよう」と提起した。
最後に「党中央が狭山闘争、荒本闘争そして部落解放同盟全国連合会の闘いを発展させる革命的部落解放運動の理論と実践を確立するために闘う」と部落解放闘争への決意をのべた。
(写真 夏秋の闘いへ熱気あふれる集会を勝ちとりインターナショナルを斉唱する参加者【7月30日 尼崎】)
労働者同志から熱烈な決意
基調報告に続いて国鉄戦線の労働者同志が、関西地方委員会を代表して決意をのべた。彼は「70年闘争を闘いぬいた党は、20年の内戦を生き抜き、91年5月テーゼで労働運動路線を採択し、19全総を経て本格的な労働者党建設を宣言した01年第6回大会をかちとってきた。その具体的実践が『新指導路線』である。『党の革命』は、この党の歴史全体が生み出したものであり、新指導路線によってプロレタリア革命を本格的に準備しようとする労働者が、これを阻む旧い党のあり方を吹っ飛ばした」と確信を込めて提起した。
さらに「われわれは『労働組合運動の革命論的意義』を明確にしてきたが、『党の革命』によって、その内容を定着化させ、党と労働者階級、労働運動、労働組合運動の関係が上下関係ではなく、『きょうだい』的絆(きずな)を深めることだとつかんできた。そうしてこそ、革共同が労働者階級の党として本格的に登場することができる」と述べた。
そして「一切の実践的結論は、この夏秋に改憲阻止闘争を切り開き、11月労働者全国1万人・関西2千人決起を実現することだ。日帝の危機とその攻撃の激しさが、労働者階級の行動力を高めている。党があずかり知らないところで労働者や労働組合の決起が始まっている。だからこそ、動労千葉の労働運動が果たす役割が決定的だ。動労千葉は尼崎事故に凝縮して示されたJR体制を根底から転覆する反合・運転保安闘争を実践してきた。これは労働者、労働組合が職場支配権を打ち立てる闘いだ。これに世界の労働運動が連帯し、呼応し、高めあっている現実をみるとき、日本と世界を転覆するプロレタリア世界革命の萌芽を実感できる」と今日の階級情勢の核心を提起した。
そして最後に「『党の革命』は私たちに革命の原点とみずみずしい感性をよみがえらせた。11月1万人決起は歴史的な挑戦だ。関西地方委員会はうって一丸となって、母なる階級の大海原に飛び込み、新指導路線で一緒に汗を流して、階級情勢を一変させる闘いを作り出す」と確信に満ちた決意を明らかにし、参加者全員が圧倒的な拍手でこれに応えた。
拍手の鳴りやまぬ中、マルクス主義青年労働者同盟、マルクス主義学生同盟中核派、全国部落青年戦闘同志会の同志たちが登壇し、次々と発言した。
”革命の事業は青年のもの”
マル青労同の同志は「『党の革命』の推進はマル青労同1千人建設で計られなければならない。革命の事業は青年労働者のものだ」と高らかに宣言した。
マル学同の同志は「マル青労同とスクラムを組んで、地区党と固く団結して全国大学で改憲阻止のゼネストを爆発させる」と決意表明した。そして全国部落青年戦闘同志会の同志は「労働者同志の決起を断固支持し、単一の党のもとに結束し『党の革命』を断固推進する。いまほど戦闘的革命的な部落解放運動が求められている時はない。総反撃・総反乱の時だ」と烈々たる檄(げき)を発した。続いて「障害者」解放戦線の同志から発言を受け前半を終了した。
後半の冒頭、今年5月の泉佐野市議会選挙の勝利報告を受け、来年統一地方選をたたかう同志から立候補の決意表明が行われた。続いて阪神大震災被災地現地闘争本部の同志が登壇し、被災地11年の闘いを総括し、「今こそ労働運動の一大勢力をわれわれの手でつくりだそう」と訴えた。
労働戦線からは国鉄・全逓・教労・自治労・医療福祉・国公労連の労働者同志が次々と闘いの報告と決意を述べた。
最後に女性解放闘争を闘う同志からの発言を受け、参加者全員で「インターナショナル」を斉唱して圧倒的な高揚の中で集会を締めくくった。
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週刊『前進』(2258号2面4)(2006/08/14)
“動労千葉に学び闘う”
支援する会が定期総会
7月29日、動労千葉を支援する会はDC会館で2006年度定期総会を開催した。動労千葉が幕張車両センター構内事故への不当処分策動と総力で対決している中で開かれた総会は、その緊張感を反映し、例年にも増して闘う意欲と熱意にあふれたものとなった。
(写真 動労干葉との連帯を誓い、組合歌を歌って団結を固めた【7月29日 DC会館】)
支援する会はこの間、動労千葉の安全運転闘争に対する支援行動や、JRの安全問題を追及する駅頭ビラまきなど、具体的な連帯行動を積み重ねてきた。その実践の上に、今回の総会では、@動労千葉の反合・運転保安闘争や基地統廃合攻撃との闘いへの支援・連帯、A支援する会の会員拡大と動労千葉スト支援基金運動の拡大、B物販闘争の強化、C1047名解雇撤回闘争の支援−−などの方針を確立した。また、動労千葉に学び職場から闘う労働運動をつくり出すため、@動労千葉との職場・地域での交流会、A『俺たちは鉄路に生きる2』の学習会、B労働者学習センターへの参加、などについても確認した。
「動労千葉からの提起」として発言した田中康宏委員長は、「11月労働者集会に何としても1万人を集めよう」と呼びかけ、「1万人の団結は改憲阻止の力を確実に持つ」と強調した。そして「労働者の怒りはマグマのように渦巻いている。それがまだ爆発していないのは、労働組合幹部が腐っているからだ。ならば職場から労働組合を変えよう」「動労千葉の労働学校に来た青年労働者は、1週間もするとわれわれをのりこえて運動を始める。今はそういう時代。1万人結集は必ず実現できる」と訴えた。
さらに、動労千葉の団結がどのようにつくられてきたのかについて、次のように提起した。「国鉄分割・民営化の時、民同労働運動はなすすべもなく破産した。動労千葉には『首を切られても闘おう』という団結があったからストライキで闘えた。この団結は反合・運転保安闘争によってつくり出された。われわれがつくろうとしている団結は、どんな弾圧があっても闘おうという団結だ」「闘いの中で組合員から『もう勘弁して』という声が出てくるのは当たり前だ。だが労働者は無限の可能性を持っている。それを圧倒的に信頼して、『泣き言を言うな』と言い続けてきた。その中で本物の団結をつくってきた」
労働運動の実践にとって教訓に満ちた提起を受けて、参加者は11月労働者1万人決起へ、一層の奮闘を誓いあった。
ス労自主の入江史郎委員長が連帯のあいさつをし、動労千葉争議団の中村俊六郎さんが解雇撤回への決意を述べた。
支援する会の運動方針を山本弘行事務局長が提案し、討論では医療や自治体の青年労働者、教育労働者、全学連の織田陽介委員長らがはつらつと意見を述べた。方針は満場の拍手で採択された。
引き続き行われた懇親会では、「ヨッシー&ジュゴンの家」のライブが会場の熱気を高め、高揚の中で各会員の発言が続いた。交流を深めた参加者は、夏〜秋決戦に躍り出る決意を固めた。
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週刊『前進』(2258号2面5)(2006/08/14)
国労弾圧裁判 次回から弁護側立証に
「被害者」証人を最後まで追及
検察側を破産に追い込む
国労5・27臨大闘争弾圧裁判(東京地裁刑事第10部)は、7月26日の第61回公判で検察側の立証を終え、次回から弁護側立証に入る。
この弾圧は、鉄建公団訴訟に立った闘争団員への統制処分の手続きが決定された02年5月27日の国労臨時大会に際し、本部方針に抗議してビラまき・説得活動に立った国労組合員らが「暴力行為」をデッチあげられ、不当に起訴されたものだ。国労本部は組合員を国家権力に差し出した。
公判の冒頭、富田益行被告が意見を述べ、翌日からの国労大会に触れて「国労本部の方針は闘争団への統制処分と本件弾圧についての総括を拒否している。鉄建公団訴訟原告団をまたも非難し始めた国労本部は、組合員の手で打倒すべきだ」と言い切った。
弁護団は、「被害者」として出廷した黒執(くろとり)光久証人(事件当時、国労長野地本中南信支部・松本運輸区分会組織部長)への徹底した反対尋問を貫いた。
第7回公判以来、計11人の検察側証人を追及しぬいた被告・弁護団の闘いは、検察側立証を破産に追い込んでいる。
『前進』提示命令めぐって大激突
黒執証人への尋問が終わると、青柳勤裁判長は検察側が証拠請求している『前進』の証拠採否を検討するため、提示命令を出すと言い始めた。
検察側は冒頭陳述で、「中核派は……国労共闘を通じ……JR不採用問題に介入するようになり……国労中央執行委員会の『4党合意』受入れの方針に反対する闘争団の一部を取り込み、国労全国大会会場内で演壇を占拠するなどの議事妨害をしたり……大会参加者が大会会場へ移動するのを妨害したりするなどして国労全国大会に対する妨害活動を行っていた」と述べている。こんなでたらめな主張を、検察側は『前進』を用いて「立証」しようというのだ。
一瀬敬一郎主任弁護人が立ち上がり、「提示命令の必要はない。検察側の冒頭陳述はそもそも立証不可能。証拠物が裁判所の手に渡れば、裁判所に予断を抱かせることになる」と反論した。佐藤昭夫弁護団長や大口昭彦弁護人も裁判長を弾劾して詰め寄った。だが裁判長は、合議の後に不当にも提示命令を出した。
検察側が袋詰めにした『前進』を裁判長の机の上に並べ出すと、一瀬弁護人がすかさずそれを手に取り、「紙面全部を提示する必要はない。ゲリラの記事と国鉄問題の記事は別だ。関連部分に限定すべきだ」と声を強めた。これに押された裁判長は、再度の合議の後、証拠申請された『前進』を検察側に突き返し、関連部分のみをコピーして提出するよう命じた。
『前進』は、国鉄闘争の勝利と階級的労働運動の発展のために、労働者階級に闘いの方針を真っ向から提起してきた。被告を有罪に陥れるためにその『前進』を用いることなど断じて許せない。
この攻防を引き継ぎ弁護側立証は展開される。
この日の公判を闘いぬいた被告団は、弁護団とともに翌日の国労大会に駆けつけ、国労本部打倒を訴えて大会攻防の先頭に立った。岐路に立つ国鉄闘争に分け入り、国労再生の武器としてこの弾圧との闘いを強めよう。
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週刊『前進』(2258号2面6)(2006/08/14)
7・14〜7・28
労働組合実態調査 半数が成果主義を容認
経団連が夏季セミナー/公務員制度改革で初会合
●05年労働組合活動実態調査 厚労省が05年労働組合活動実態調査結果を発表。(14日)=要旨別掲
●情報労連大会で憲法問題を議論 NTT労組などでつくる情報労連が大会を開催。森嶋委員長は、国民投票法案と憲法改正問題について「国民主権、平和主義、基本的人権の三原則は変えてはならない」と発言した。(19日)
●中小企業の今春賃上げ最終集計 日本経団連は中小企業の06年春闘の妥結結果の最終集計を発表。平均妥結額は3901円で、賃上げ率は1.54%。昨年を額で158円、率で0.07ポイント上回った。(20日)
●労働契約法制などの審議に意見 規制改革・民間開放推進会議が「労働契約法制及び労働時間法制の在り方に関する意見」を発表。企業にとって「一律規制」「コスト増」は認められないと反発。自律的労働時間制度も「労働者の個別同意は不要」と主張。(21日)
●松下労組が解散決定 松下電器産業労働組合は定期大会を開き、8月1日付で解散し、事業分野ごとに独立した労組の連合体に移行することを決議。(21日)
●連合とAFL−CIOが協議 連合と米国のAFL−CIOが3年ぶりに定期協議。来日したのはスウィーニー会長ら8人。全米自動車労組(UAW)のゲッテルフィンガー会長と全米機械工・宇宙労組(IAM)のブッフェンバーガー会長も同行。(25日)
●最賃0.5%引き上げを答申 中央最低賃金審議会は06年度の地域別最賃を現行水準から1時間当たり2−4円引き上げを答申。引き上げは2年連続。(26日)
●全労連が新人事 全労連が28日まで定期大会。熊谷議長に代わり議長に坂内三夫事務局長(日本医労連)、事務局長に小田川義和国公労連書記長を選出。(26日)
●経団連夏季フォーラム開幕 日本経団連は夏季フォーラムを28日まで開催。御手洗会長はフォーラム終了後の記者会見で、谷垣財務相の消費税率10%への引き上げ発言を評価した。(27日)
●公務員制度改革の専門調査会が初会合 政府の行政改革推進本部の「公務、公務員及び労使関係に関する専門調査会」が設置され、初会合が開かれた。(27日)
●国労が大会 国労は28日まで大会を開き、JR不採用問題で鉄道運輸機構への「新たな訴訟」を行うとしたが、訴訟内容や提訴のタイミングは、中央執行委員会一任とされた。(27日)
●6月の完全失業率、前月比0.2ポイント悪化 総務省統計局が公表した労働力調査の結果では、6月の完全失業率は4.2%で、前月と比べ0.2ポイント悪化した。厚労省が発表した一般職業紹介状況によると、6月の有効求人倍率は1.08倍で前月を0.01ポイント上回った。(28日)
05年労働組合活動実態調査結果(概要)
・調査対象 民間企業で組合員数100人以上の労働組合。
・企業再編
全体の約4割が過去3年間に企業の再編を経験。約9割の労組が再編に関与。
・非正規労働者
多くの労組は非正規労働者の導入を「やむを得ない」と考えている一方、その労働条件改善などに取り組んでいる労組は少数。
・能力・成果主義賃金
過去3年間に賃金・退職給付制度の改定があったと回答したのは約6割。改定にはほとんどの労組が関与している。
賃金制度の能力主義化について「当然の方向であり積極的に評価」「評価方法が妥当であれば、納得」が合計55.9%、成果主義化は合計48.4%が肯定した。
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週刊『前進』(2258号3面1)(2006/08/14)
8月自治労大会決戦へ
戦争・改憲・民営化と闘う方針確立しよう
革共同自治体労働者委員会
世界は戦争と革命の激動の渦中にある。イスラエルは米帝の支持のもとに連日の空爆と地上戦でレバノン・パレスチナ人民を虐殺している。日帝は、米帝とともに北朝鮮・中国に対して戦争を挑発し、米軍再編を進め、国民保護計画を作り戦争動員訓練を実施している。愛国心をあおり、憲法9条を改悪しようとしている。「骨太方針2006」で14・3兆円の歳出削減を打ち出し、1千兆円を超す国・地方の借金を人民に返済させようとしている。もはや革命が必要だ。11月、自治体・国鉄・全逓・教労の4大産別労働者が先頭に立ち、全国の労働者の怒りの総決起を実現しよう。自治労大会(8月24〜25日、さいたま市)をその出発点にしよう。
国民保護計画粉砕し戦争動員拒否を
自治労第78回定期大会は、自治労の存亡をかけた歴史的な情勢のもとで開かれる。戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃を100万自治労組合員と全労働者の闘いで跳ね返そう。現場労働者の怒りで本部方針を粉砕し、改憲阻止の全国大闘争方針を打ち立てよう。大会で自治労の改憲勢力への転落を阻止し、連合の改憲・戦争協力路線を打ち砕こう。秋の臨時国会では、国会前に駆けつけ、教育基本法改悪案、共謀罪法案、憲法改正国民投票法案など反動諸法案を廃案に追い込もう。
(写真 官民比較方法・給与制度の見直しに反対する公務員労働者【8月1日 日比谷野音】)
北朝鮮スターリン主義のミサイル発射実験に際して連合は7月5日、「北朝鮮によるミサイル発射に対する談話」を発表し、政府に対し「経済制裁をはじめ毅然(きぜん)とした措置を速やかに講じること」を求めた。侵略戦争につながる「毅然とした措置」を求める労働組合など、もはや労働組合とは言えない。ここに至って連合−自治労本部の「安全・安心・信頼の社会を」のスローガンは労働者を戦争に動員していくものとなった。闘う南北朝鮮人民と連帯し、国際反戦闘争に立ち上がることこそが労働組合―労働者階級のとるべき態度だ。
本部方針の断罪すべき点は第一に、新憲法制定のための「憲法改正国民投票法案」に反対していないことだ。本部は「拙速な『国民投票法案』には反対」と言い、国民投票法成立阻止のために自治労あげて闘うことを放棄している。自民党新憲法草案は現行憲法9条2項の「戦力不保持」「交戦権の否認」を捨て去り、「自衛軍の保持」を明記している。また「国民が国家を縛る」現憲法の原理を「国家が国民を縛る」ものに転換する。改憲ではなく新憲法制定=クーデターだ。そのために国民投票法で公務員労働者や教育労働者の改憲反対運動を禁圧し、180日の短期間で投票を強行しようとしているのだ。「拙速」であろうとなかろうと国民投票法案に絶対反対し、廃案にしなければならない。
さらに「平和基本法」について、昨年の鹿児島大会で沖縄県本部を始め多くの組合員が「『最小限防御力』とは戦力だ」「自衛隊の存在と海外派兵を法的に認めるものだ」と反対したにもかかわらず、今大会議案は「引き続き検討を進めます」としている。改憲に等しい平和基本法の制定方針を維持している。
また「国民保護計画」について、「住民の安全や権利が侵害されないよう点検」「国民保護協議会に、労働者や社会的弱者など幅広いメンバー構成とするよう申し入れ」と提起している。自治労本部の「点検・参加」方針は、自治体労働者の戦争総動員体制づくりへの積極的協力方針だ。断固阻止しよう。
大会で改憲阻止・反戦反基地闘争の闘う方針を断固確立しよう。〈自治体労働者の戦争協力拒否宣言〉を発し、国民保護計画による戦争動員を拒否しよう。
首切り・賃下げと労働強化を許すな
本部方針の断罪すべき点は第二に、「行政改革推進法」「公共サービス改革法」(市場化テスト法)に「質の高い公共サービス」実現方針を対置していることだ。
民営化の本質は、労働者の生活破綻(はたん)や安全崩壊などおかまいなし、資本の利益こそすべてだ、ということだ。労働者の団結を壊し、労組を解体し、大量に首を切り、安全や公共業務を切り捨てる。本部方針には組合員の大量首切りへの怒りも危機感も闘う決意もまったくない。あるのは「私たちも努力するので攻撃の手を緩めて」という屈服姿勢のみだ。
現場では何が起きているか。仕事は増える、人は減る。ストレスは増える、会話は減る。心身を痛め、職場を休み、現職死亡や自ら命を絶つ仲間も増えている。また多くの臨時・非常勤や公社・外郭団体の仲間がいる。極限的な労働条件切り下げ攻撃のもとで働き、闘っている。
自治体労働者は、福祉・医療切り捨て、増税など生活破壊に心底怒り、困っている人びとと日々接している。ところが本部は、現場労働者に、戦争と生活破壊の政府と闘うのではなく、「もっとサービスを」「仕事の質を高めよ」と言い、そうすれば仕事も賃金も住民の生活も守られると言う。うそをつけ! 現場の労働者はそんな方針には絶対だまされない。
「セーフティネット」もそうだ。労働者を苦しめ、生活を奪っておいて、「こぼれた者を網ですくう」ことを政府にお願いする。ふざけるな! 実際に社会を動かしている労働者が生活できないのは、資本主義が反労働者的で非人間的で根本的に間違っているからだ。こんな社会を一刻も早く変えよう!
政府・当局・資本と闘って生きる権利をかちとろう。労働組合は皆が団結して自らの力で仲間を守り抜くための組織だ。
指定管理者制度との闘いにおいて、労働者の権利を堂々と掲げ、組合員の団結を固めて原則的に闘っている職場では、民営化を阻み、賃下げや首切りを撤回させている。「労働者が職場で安心して働けてこそ、労働者住民の生活を守れる」という訴えは、地域の仲間の圧倒的な共感を呼んでいる。一人の首切りも許さず、民営化絶対反対を掲げて闘う方針を確立しよう。
新賃金政策反対
人事院勧告の民間準拠基準の見直しも、給与制度の見直しも、国と地方自治体の財政破綻の全矛盾を公務員労働者に押しつけ、賃金を引き下げるための政府側の攻撃だ。
しかし自治労本部を先頭とする公務労協指導部は、この攻撃に初めから屈服している。本部は、「官民比較方法の拙速な見直しは行わないこと」を政府にお願いする路線であり、給与制度の見直しは「較差の配分、手当のあり方等については十分交渉・協議、合意すること」とし、「じっくり話し合って合意すれば認める」と言ってきた。
賃金闘争の原則は、経済闘争が資本家と労働者の非和解的対立・敵対に基づくぎりぎりの攻防戦であることを踏まえ、直接の目的や勝ち負けを超えて労働者階級の利害を貫き、階級的団結を強化し、労働組合への求心力をつくりだすために闘うことだ。その立場から生活給として大幅一律賃上げを要求して闘うのだ。本部は、この原則を投げ捨て、わたり廃止、定給・地域給導入をほとんど何の抵抗もせずに受け入れている。さらに給料表そのものの見直し攻撃がかけられている。本部は、大会の第3号議案「自治労第二次賃金政策」で「能力主義賃金」「職種別賃金」を容認し、行政職と現業職の給料表を切断しようとしている。絶対に認められない。
大幅一律賃上げを要求し、ストライキを構えて闘う方針を確立しよう。
民主党支持一本化方針を撤回せよ
本部方針の断罪すべき点は第三に、来年の参議院選挙比例代表区での民主党候補支持一本化の「政治闘争」方針だ。労働者は民主党など絶対に支持できない。
民主党は改憲勢力であり、民営化の急先鋒(せんぽう)だ。5月26日、自治労中央委員会で本部が民主党支持をごり押しする中、民主党は行政改革推進法と公共サービス改革法に賛成した。民主党の国民投票法案は政府案とほとんど同じだ。教育基本法改悪案は、政府案にもない「日本を愛する心」を明記している。教育労働者の「日の丸・君が代」拒否闘争を「摘発・告発」するのは民主党議員だ。
民主党代表の小沢は、日本は「普通の国」になるべきだと主張する。「普通の国」とは戦争のできる国家ということだ。「政権交代」を掲げて自民党と何を競うのか? 日本帝国主義の危機をどちらがよく塗り隠すか、労働者の反乱をどちらがよく抑えるか、ということだけだ。
連合や自治労本部は、この支配階級内「2大政党」の一方と限りなく一体化し、労働者支配の役割を買って出ている。そして「安全保障基本法」(連合本部)「平和基本法」(自治労本部)と言って、小沢の9条改憲、「平和安全保障基本法」「自衛隊とは別組織の国連待機軍」構想を支持している。
「政権交代」論、民主党支持こそ自治労の改憲勢力化である。本部の民主党支持方針を撤回させよう。自治労を政府・資本と闘う真の労働者の団結体へ再生させよう。
動労千葉に学び
動労千葉は、国鉄分割・民営化に反対し、組合員の団結を打ち固めストライキに決起し、「闘って勝って前進する」方針を貫いてきた。06春闘で反合理化・運転保安闘争を打ち抜き、幕張事故での処分を阻止している。動労千葉に学ぼう。
自治体職場は「闘いの課題」だらけであり、仲間の怒りが満ちている。「どうせ勝てない」「一歩引いて」では、労働者の団結を根こそぎ解体しようとする敵の攻撃に勝てるわけがない。職場の仲間を徹底的に信頼し、日々の闘いで団結を固め、前に進もう。
青年労働者獲得
青年労働者に闘う戦列への結集をマル青労同の同志とともに大胆に呼びかけよう。職場でパソコンに一日中向き合い、連日の残業で心身ともに疲れている青年労働者も多い。臨時・非正規の労働者にも若い仲間が増えている。労働組合運動の持つ力、仲間と語り合える素晴らしさ、社会を変える運動の豊かな可能性を彼らと共有しよう。いつの時代も未来を切り開くのは若者だ。労働組合運動に彼らの無限の力を引き入れ、社会を変える力を取り戻そう。闘う青年部運動の再生のために全力をあげよう。
人民を飢えさせ、戦(いくさ)に明け暮れる支配者にもはや支配者の資格はない。労働者階級自身の力で資本家階級による支配を終わらせよう。自治体労働者は労働者階級の一員として固く団結し、労働者階級自己解放の闘いの先頭に立とう。8月自治労大会でその火の手を上げよう!
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週刊『前進』(2258号3面2)(2006/08/14)
国労大会 総翼賛体制形成を阻止
“委員長あいさつは労使共同宣言”
本部打倒の訴えが分岐生む
7月27、28日、静岡県伊東市で開かれた国労第74回定期全国大会は、国労の生死を分かつ決戦として闘われた。この大会で国労本部は、一切の異論を「JR不採用問題の政治解決に対する妨害」と決めつけ、全組合員を「政治解決」路線のもとにねじ伏せようとした。これは、国労総体を国家権力とJR資本に屈従させ、改憲勢力に転落させるということだ。
(写真 本部打倒を訴え大会会場のホテル前で参加者にビラを渡した【7月27日 静岡県伊東市】)
国労共闘は、国労本部打倒を真っ向から訴えて2日間の大会決戦を闘いぬいた。それが、闘争団を先頭とする闘う国労組合員の心を揺り動かし、総翼賛体制をぎりぎりのところで阻んだのだ。
大会冒頭の佐藤勝雄委員長のあいさつは、ひたすら権力と資本への屈服を誓うものだった。彼は7月14日の国土交通省への申し入れにあたり、「4党合意に際し国労として受け止めることができず、関係者にご迷惑をお掛けしたことをおわびする。委員長就任以来、4党合意関係者に直接お会いしておわび申し上げ心を平らにして頂いた」と述べたことを得意げに披瀝(ひれき)した。
何という言いぐさだ!4党合意は、国鉄闘争を国労自身の手で絞め殺させる攻撃だった。統制処分に屈せず貫かれた鉄建公団訴訟こそが、4党合意を打ち破ったのだ。それを「おわびする」とは、鉄建公団訴訟そのものを否定する暴言だ。
7月14日の国交省への申し入れは、国労・建交労・中央共闘・国鉄闘争共闘会議の4団体によって行われた。大会議案には、動労千葉を排除した4団体の申し入れで「JR不採用事件は解決に向けた『新たな局面』に入った」「解決を迫る態勢が出来上がった」と書かれている。だが、権力にへつらっての「政治解決」は、国鉄闘争を自滅に導くものでしかない。
佐藤委員長は「究極の安全」などのJR東日本の用語をことさら使って資本にこび、事故弾劾の闘いも放棄した。彼は「小異を捨てて大同につけ」と叫び立てたが、闘いの武器も誇りも捨てて権力と資本にすがる本部のもとに、どうして「団結」などできるのか。
ところが大会2日目、本部の招きに応じてあいさつした国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長は、「7月14日の申し入れで1047名問題は解決に踏み出した」「年内解決が共闘会議の方針」と述べて「政治解決」に唱和した。これは、裏切りを深め孤立する国労本部の延命に手を貸すものだ。
こうした動きの中で、反対派代議員は修正動議も提出せず、1日目の議事は本部へのヤジも出ない沈滞が支配した。
このままでは国労は死に追いやられてしまう。その危機感に駆り立てられて、国労共闘は大会2日目、「和解路線は奴隷の道!」「佐藤委員長あいさつは最悪の労使共同宣言だ!」と題したビラを配布した。これらによって国労組合員の階級的魂は呼び覚まされた。
反対派代議員は「地位確認の訴訟を行え」と論陣を張った。鉄建公団訴訟原告団への敵意もむき出しに「株主総会や6・16集会での原告団の傍若無人な行動を許すな」などと叫ぶ反動革同やチャレンジ一派に、傍聴席から激しいヤジが浴びせられた。こうして分岐はあらわになり、総屈服は打ち破られた。
闘争幕引きの臨大も画策
決定された運動方針は、(鉄道運輸機構を相手にした)「新たな訴訟に関しては……時効を見据えて提訴を行う」となっている。だが、訴訟内容や提訴時期は「中央執行委員会一任」とされた。権力と資本に絡め取られた国労本部が訴訟をネグレクトすることも十分にありうる。
吉田進書記長は集約答弁で、「臨時中央委員会、臨時全国大会も視野に入れて合意形成を図る」と発言した。闘争終結だけを目的とした臨大の開催さえ狙っているのだ。チャレンジ一派からは「不採用問題解決のためにスト基金を取り崩せ」という発言まで飛び出した。国労を改憲勢力に転落させる「政治解決」路線の本性が暴かれる中、本部は今後ますます追いつめられていく。
国労5・27臨大闘争弾圧に手を染めた国労本部を倒さなければ、国鉄闘争の勝利はない。動労千葉のように職場からJR体制と対決して、1047名の解雇撤回を実現しよう。
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週刊『前進』(2258号3面3)(2006/08/14)
自治体労働者は改憲・民営化と闘う
(4)現業絶滅攻撃との対決
団結破壊狙い任用替え
組合員信頼し反撃に立とう
組合つぶし
今、自治体の現業職場において“現業絶滅”と言うに等しい攻撃が吹き荒れている。現業合理化攻撃は、80年代の中曽根「臨調・行革」攻撃のもとで開始され、小泉構造改革攻撃の中で拍車がかかった。全国の自治体でこの攻撃との闘いが日々展開されている。
独立行政法人、指定管理者制度などを使った民営化、人事院勧告の賃金引き下げや地域給の導入、市町村合併などに加え、現業職の行政職への任用替えが大きな問題となっている(任用とは採用・転職・昇格・降格をさす)。こうして総人件費の削減と組合破壊を進めようとしているのである。とりわけ自治体労働運動の中で最も戦闘的な現業労働運動をつぶすことで自治体労働運動全体をつぶそうとしているのである。
地方自治体の現業労働者には行政職にない団体交渉権(協約締結権)がある(国家公務員現業にはない)。現業労働者は政府権力機構の中で団体交渉を行い、協約を締結する闘いを行うことによって労働者の権利を守り団結を固めてきた。また、選挙運動も行政職に比して幅広くできる。日々住民と接している現業労働者の選挙運動での影響力は大きい。また、基地反対闘争や憲法改悪反対などを先頭で闘う存在でもある。この現業労働者を一掃したいと政府・当局は考えている。
地方自治体で働く労働者は、現業と非現業(行政職)の正規職員に分けられる。そのほかに多くの臨時、非常勤、パートなどの非正規の職員がいる。それぞれ採用する場合、地方公務員法の各条項に従って採用される。現業の職種は清掃、ヘルパー、学校用務、学校給食、保育園用務、保育園調理、自動車運転、土木などさまざまである。組合への組織化も現業職種だけで一つの単組をつくっている場合と現業と非現業が一つの単組をつくっている場合がある。
任用替えには、現業職員個人を任用替えする攻撃と職場や職域・職種全体を一括して任用替えする攻撃とがある。
(写真 激しい民営化攻撃と闘う東京の清掃労働者【05年11月14日 都議会前】)
職場奪われ
当局は委託や民営化、新規採用ゼロなどの攻撃で職場が無くなる不安をあおり、行政職への任用試験を受けさせ、現業職場の団結を破壊しようとしている。あるいは職場や職域・職種全体を丸ごと任用替えの対象とした場合、任用替えしたくない現業職員や任用試験に合格しない現業職員が生まれている。職の廃止による分限免職をちらつかせているのだ。任用試験に合格し任用替えしても、慣れない仕事や人間関係、現業差別の中で自殺や退職に追い込まれた労働者も多い。
東京23区の場合、介護保険制度の導入により、介護ヘルパーの職場が奪われて他の職場で働いている現業労働者に対し、「特例転職」という形の任用替えが行われている。都立病院でも統廃合の中で任用替えが起こっている。
大阪では生活保護費が事業費を上回るという財政危機の中で、生活保護受給者を減らすために「仕事をしろ」と「指導する」ケースワーカーを増員する計画が作られ、現業から98名が任用替えされている。
高知県では現業全廃の攻撃として県職現業の任用替えが96年から発生している。しかも任用試験を受けられる年齢を40歳以下として若者を現業から排除し、組合消滅を狙っている。
20年で半減
自治労が1983年から開始した組織基本調査(3年ごと)によると86年の現業組合員は約30万人。03年では16万人を割っている。06年秋に最新の調査結果が出るが、この間の民間委託、指定管理者制度などにより、15万人以下になるであろう(自治労連などの組合員数は含まない)。さらに各自治体の首長は今後5年間で4・6%の職員削減の目標を達成するために、この5月成立した市場化テスト法を適用して真っ先に現業を減らそうとしている。市場化テストはすべての窓口業務が対象であり、非現業も対象となる。
現場の力で
全国の現業職場の中には、現場で議論を行い、研究し、現場の力で当局と渡り合い、現業絶滅攻撃を跳ね返しているところもある。しかし、現業組合員数の減少を見れば明らかなとおり、苦闘している。
その最大の原因は自治労中央にある。彼らは小泉政権の民営化攻撃に反対して組合員が必ず決起すると確信できず、あらかじめ屈服している。組合員に依拠して自らの力で闘うのではなく、小沢民主党への政権交代で労働者の未来が切り開かれるかのような幻想をふりまいている。来年の統一地方選挙と7月参議院選挙闘争で自治労を民主党支持で固めようと躍起になっている。そのために参院選では自治労組織内候補に非常勤出身の女性を押し立てている。
民主党は改憲勢力であり、民営化と公務員制度改革の先兵だ。民主党の教育基本法改悪案は、政府案も盛り込めなかった「日本を愛する心」を明記している。民主党議員は教育労働者の「日の丸・君が代」拒否闘争に対して摘発・告発の先頭に立っている。小沢はかねてから9条改憲と軍隊の海外出兵を主張している。民主党議員は「休憩・休息時間の適正化」について国会質問に立ち、休憩時間を削れと要求している。こんな民主党など絶対支持できない。
8月24〜25日の自治労大会はまさにこことの勝負である。
(森川 葵)
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週刊『前進』(2258号4面1)(2006/08/14)
8・15小泉靖国参拝を阻止し 教育基本法改悪粉砕の決戦へ
全国から靖国デモに立とう
マル学同中核派の闘争宣言
全国の学友諸君。8月15日、巨万の民衆包囲で小泉の靖国神社参拝を粉砕しよう。靖国思想とは、日本帝国主義の侵略イデオロギーだ。今まさに日帝が北朝鮮侵略戦争に突入しようとしている情勢の中で、靖国思想と対決し、徹底的に批判し、木っ端微塵(みじん)に粉砕することが、改憲阻止の闘いにとって決定的なのだ。それは、闘うアジア人民との連帯闘争でもある。教育労働者の戦争協力拒否の「日の丸・君が代」不起立闘争や動労千葉の反合理化・運転保安闘争、共謀罪新設や教育基本法改悪を阻止した今春国会闘争など、労働者階級の闘いのうねりが高まっている。未来を担う学生・青年労働者の闘いこそが情勢を決する。
(写真 昨年8月15日の靖国参拝弾劾の闘い。韓国から民主労総のメンバーも合流した)
「靖国」問題は戦争の問題だ
小泉は今まさに靖国神社参拝をも突破口に、本気で北朝鮮侵略戦争をやろうとしている。靖国参拝とは、まさしく硝煙のにおいたちこめる現実の戦争の問題なのだ。
イラク侵略戦争にのめり込む自衛隊を見よ。小泉は参戦国の首相として靖国神社に戦勝祈願に行くのだ。北朝鮮ミサイル発射を絶好の餌食として、軍事制裁(先制攻撃)の欲求が噴き出す現実を見よ。「戦争放棄」の9条を投げ捨てる自民党の新憲法草案を見よ。小泉は、これから膨大な「戦死者」が出ることを想定しているからこそ、「過去の英霊」をたたえ、現代の学生・青年労働者に向かって、”国家のために命を捨てよ”とあおっているのだ。
靖国神社参拝とは、歴史認識という次元をこえて、アジア人民・ムスリム人民への日本帝国主義の公然たる宣戦布告である。絶対に阻止しよう。
靖国神社がまき散らす腐りきった侵略美化イデオロギーを怒りを込めて粉砕することが必要だ。
靖国神社とは何か? それは戦死者を追悼するのではなく、「天皇のために命をささげた英霊=神」として顕彰するものだ。日本帝国主義の市場獲得戦だったアジア侵略戦争、太平洋戦争を「日本の独立をしっかりと守り、平和な国として、まわりのアジアの国々と共に栄えていくためには、戦わなければならなかったのです」(靖国神社ホームページ)と恥知らずに居直ることをどうして許せるか。
アメリカ帝国主義(およびイスラエル)がイラク、パレスチナ、レバノンへと侵略戦争を拡大する中で、日本帝国主義はこれに食らいつき、北朝鮮侵略戦争のヘゲモニーをとろうと必死になっている。だからこそ9条改憲を頂点とした日帝の戦争国家化政策に靖国思想で魂を吹き込もうとしているのだ。いくら戦争法をつくり、軍備を増強しても、帝国主義戦争にとって最大の核心は、国民精神総動員の問題だ。
しかし、この点において日本帝国主義は「お国のために命をささげる若者」を大量につくり出せていない。そればかりか、凄惨(せいさん)な帝国主義戦争を引き起こした「八紘一宇」「大東亜共栄圏」など、大破産したイデオロギーをまたもや持ち出すことしかできない。これは日帝にとって最大の弱点だ。学生・青年労働者は、天皇のためではなく、革命のために未来をかけよう。
今日、靖国問題をめぐる支配階級の大分裂は、日帝打倒の大チャンスが到来していることを告げ知らせている。
昭和天皇ヒロヒトのいわゆる「発言メモ」公表をも契機に、小泉の靖国参拝やA級戦犯合祀問題をめぐってブルジョア支配階級の中での分裂が深まっている。
ヒロヒトこそが最大の戦犯
しかし、はっきりさせなければならないのは、ヒロヒトこそアジア人民2千万人を虐殺し、日本の労働者人民300万人を死に追いやった最大の戦争犯罪人であることだ。それをA級戦犯の問題に切り縮め、自らの戦争責任は回避しようというのだ。この卑劣な居直りを許すな。
一方で戦争動員のための靖国思想を必要としながら、他方でそれがただちに戦争責任問題(および天皇問題)としてはね返ってくる。この点において、靖国問題は、日帝にとっての決定的な破綻(はたん)点をなしている。絶対に解決することはできない。
プロレタリア革命の勝利と戦犯天皇の処刑によってアジア侵略を革命的に総括できなかった戦後革命敗北の教訓に学び、今こそわれわれ自身の手で決着をつける時だ。それはつまり、侵略戦争によってしか生きていけない帝国主義体制そのものを打倒することだ。
靖国闘争を突破口に、小泉・安倍打倒、改憲阻止の今夏今秋決戦に攻め上ろう。
通常国会において、小泉は国民投票法案、教育基本法改悪、共謀罪新設法案、防衛庁「省」昇格法案という改憲に直結する4法案を成立させられなかった。労働者や学生の決起が衆院で圧倒的な議席を持つ与党の強行採決策動を粉砕したのだ。
しかし、ブルジョア支配階級は、小泉の靖国参拝を突破口に、新たに安倍晋三を押し立て、一気に改憲に突き進もうとしている。今秋の臨時国会での反動諸法案の成立を許すのか、それとも改憲阻止の巨万人民決起をつくりだすのか。その帰趨(きすう)は靖国闘争の爆発にかかっている。
安倍は、国連での北朝鮮決議問題で最も好戦的に突出した、小泉以上の右翼反動政治家だ。安倍はそれを「国連決議は私と麻生外相の『ダブルA』で原則を決め、初めて国連安保理の主役になった」(自民党東京ブロック大会)と、日帝の極悪の立ち回りは自分のおかげと自慢している。そもそも安倍は戦犯・岸信介(A級戦犯容疑で逮捕・元首相)の孫である。「自分は岸のDNAを受け継いでいる」「次の首相、次の次の首相も靖国に行ってほしい」などとうそぶく安倍を、小泉もろとも打倒しよう!
学生と青年が歴史の原動力
学生・青年青年労働者こそが、もっと大胆に日本階級闘争の表舞台に、歴史の原動力として登場しようではないか。
行動によって現状を変革する――これこそが世界のスタンダードになってきている。フランスの学生と労働者はゼネストと実力デモで初期雇用契約(CPE)を粉砕した。全学連は、6月15日に法政大1千人決起を実現し、7月15日には北朝鮮への経済制裁決議と対決する自己解放的、躍動的なデモで渋谷を闘いと興奮のるつぼにたたき込んだ。いよいよ日本の学生も政治闘争の先頭に立つ時だ。全国学生は全学連の旗の下に結集し、靖国闘争の爆発から今秋改憲阻止300万ゼネストに向けて進撃しよう。
靖国闘争はアジア人民との共同闘争だ。韓国の民主労総も8月15日に靖国参拝阻止に決起する。闘う朝鮮・アジア人民と心から連帯し、全国から東京に駆けつけ、小泉の靖国参拝を粉砕しよう。
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小泉の靖国参拝許すな!/北朝鮮侵略戦争阻止
靖国神社包囲デモ
午前8時集合、9時デモ出発
外濠公園(法政大学正門前)
呼びかけ/反戦共同行動委員会
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8・15労働者・市民のつどい
靖国と改憲/国益と排外に憲法は屈するのか
8月15日(火)正午開場、1時開会なかのZERO・西館小ホール
(JR中野駅南口下車、線路沿い東へ500b)
◎講演 阿満利麿さん(明治学院大学名誉教授・宗教学者)
◎コント 松元ヒロさん
◎特別アピール 韓国・民主労総
主催 戦後50年を問う8・15労働者・市民の集会実行委員会
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週刊『前進』(2258号4面2)(2006/08/14)
靖国神社とは何か 戦争動員のための装置
「国のための死」顕彰
「天皇の軍隊」正当化
柏木 俊秋
明治維新後に建立
靖国神社とは、どういう施設だろうか。
靖国神社がつくられたのは、明治維新のただなかである。薩長倒幕軍(天皇政府軍=官軍)と幕府軍の間の戊辰戦争が函館五稜郭の戦いで決着の付いた1869年(明治2年)、天皇政府は江戸を東京と名づけて新首都とし、皇居に接した九段上に東京招魂社という神社を建立した。この東京招魂社が10年後の1879年に明治天皇の意思で靖国神社と改称され、全国各府県につくられた護国神社の総元締めとなった。
戊辰戦争での官軍勝利の直後に創建されたことが示すように、靖国神社は最初から「国のため、天皇のために忠義をつくして死んだ者」を祀(まつ)るための神社であった。その後これが、帝国主義的侵略戦争に人民を駆り立てる戦争神社・侵略神社となっていく。
靖国神社と他の神社の大きな違いは、祭神の中身と数である。神社というと、「アマテラスオオミカミ」のような『古事記』『日本書紀』の神話の中の神、あるいは特定の天皇・皇族や菅原道真のような歴史上有名な人物を「祭神」とするのが通例だが、靖国神社の場合はそれとはまったく異なり、ごく普通の兵士たちを「国=天皇への忠節」を唯一の基準にして「神」(祭神)に祭り上げている。しかも、今日では総数246万6千人もの戦没者が靖国神社の祭神とされ、その「魂」が「ただ一つの神の座」に一緒に祀られるという独特の形をとっている(これを合祀という)。
さらに、同じ戦没者でも官軍に対して「朝敵」「賊軍」に回った会津藩の兵士や西南戦争で死んだ西郷隆盛や薩摩の兵隊たちは冷酷に排除されている。また、戦死者ではないが吉田松陰や坂本龍馬のような「勤王の志士」も「国事殉難者」の呼び名で祀られている。
これらの事実からも靖国神社が単なる「慰霊」「追悼」や「平和祈念」のためにつくられた施設ではなく、実に政治的で手前勝手で差別的な性格の強い独特の国家主義的イデオロギー装置であることが分かる。
実際に靖国神社が行ってきたことは、個々の死者を戦争の犠牲者として「悼む」ことではなく、「国のための死」を褒めたたえ、奨励し、天皇制賛美と結びつけて「顕彰」することであった。
つまりそれは、「普通の人間(臣民)」でも国=天皇のために命をささげたら「神」になる、靖国神社に祀られれば「英霊」とたたえられ、「名誉の戦死」「誉れの家族」として尊敬され、経済的にも種々の恩恵を受けられる、といった観念を実利がらみで労働者や農民たちに植えつけ、「天皇の軍隊」「天皇の戦争」に次々と駆り立てていくための軍事的装置だったのである。
軍管理の戦争装置
靖国神社という独特の「神社」がつくり出された背景には、明治政府が天皇制国家の正統性を押し出すために案出した「国家神道」というエセ宗教(宗教ならざる宗教=超宗教)がある。
これは、記紀神話(天孫降臨神話)と結びつけて天皇を「現人神(あらひとがみ)」として絶対化し「神道は国民が従わなければならない祭祀・道徳であって宗教ではない」というへ理屈のもとに全国の神社を統合した上、仏教、キリスト教、天理教などの諸宗教を天皇制国家にむりやり従属させる役割を果たした。国家神道の役割は、その後の歴史が示すとおり、天皇制の正統化にとどまらず、何よりも「天皇の戦争」を正当化し推進するイデオロギーとして日本とアジアの人民に巨大な惨害をもたらした。
国家神道を実際に体現した最大の実体が靖国神社である。教育勅語と軍人勅諭と靖国神社がアジア侵略戦争への国民動員の要となったのである。天皇や南朝の忠臣らを祭神とする神社(橿原神宮、平安神宮など)が次々に建てられる一方、全国の約10万社に及ぶ神社が官幣社(伊勢神宮など)・国幣社・府県社・郷社・村社などに格付け・序列化された。靖国神社の場合は、祭神が天皇・皇族や神話上の神々ではない「臣民」のため「別格」の官幣社とされた。その下に府県社としての招魂社を位置づけ、ピラミッド型の支配機構をつくった。招魂社は1939年に護国神社と改称された。靖国神社の地方版である。
戦前の国家神道下の神社はすべて内務省が管轄したが靖国神社だけは陸軍省と海軍省が直接管理した。日清・日露戦争や15年戦争など大量の戦死・戦没者を一手に扱う軍事機関だからである。
この靖国神社の主な行事は、春秋の例大祭と新たな戦没者を合祀する際の臨時大祭である(戦後は、これに夏の「みたままつり」が加わった)。とりわけ臨時大祭の場合は、天皇の臨席のもとに国家的な一大イベントとして開催され、ラジオの生放送を通じて全国民が参加させられた。「名誉の戦死」をとげた戦没者の遺族たちは、この「ハレの日」に特別招待され、各種の恩典を与えられた。こうした国家祭祀・国家儀礼を通じて人民を新たな侵略戦争に動員していく軍事イデオロギー装置として、靖国神社は天皇制国家を支え続けたのである。
戦後も侵略を礼賛
したがって、敗戦後の神道指令で国家神道が廃止された時、靖国神社も当然廃止されてしかるべきだった。だが実際には、天皇制存続の陰に隠れて、1946年の宗教法人令に続く52年の宗教法人法により、新憲法(政教分離)下の単立の宗教法人(東京都知事の認可)に「転身」することで生き延びた。管轄も陸海軍省から厚生省(現厚労省)に移ったが、その中身、特に精神的・イデオロギー的な中身は戦前とほとんど変わらないまま引き継がれている。
宗教法人靖国神社の規則は、「明治天皇の宣らせ給ふた『安国』の聖旨」を絶対の基準に掲げ、「戦没者の命は国=天皇のもの」「だから合祀の決定権は神社にある」という言語道断の立場をとり続けている。これを盾に、韓国・台湾など旧植民地出身者を含む多くの遺族たちの靖国合祀取り下げの訴えや首相の靖国参拝違憲訴訟などを問答無用にはねつけているのだ。
また、靖国訴訟のたびに厚生省―厚労省は「国は関係ない、神社の決めたこと」と言って責任逃れをしているが、最近、56年当時の国=厚生省主導の合祀事務実施の「要綱案」が明るみに出た(7月29日付朝日新聞)。政教分離の現憲法下にあっても、靖国神社と国とは一体の関係にあるのだ。
戦後の靖国神社は、組織力800万と言われた日本遺族会と自民党・右翼勢力をバックに靖国神社国家護持運動や天皇・首相の公式参拝運動を執拗(しつよう)に繰り広げてきた。02年にオープンした神社境内の軍事博物館「新遊就館」は、さながら「新しい歴史教科書をつくる会」イデオロギーの独占的宣伝場である。戦争反対・9条改憲阻止を貫くためには、靖国神社の存在自体を許してはならない。
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週刊『前進』(2258号4面3)(2006/08/14)
平和遺族会全国連絡会代表 西川重則さんに聞く
有事法制下の靖国問題
「A級戦犯靖国合祀/昭和天皇が不快感」――7月20日、日経新聞が報じた天皇発言メモ。翌日の朝日新聞朝刊には「A級戦犯合祀を不快に思うなら、なぜ自分の戦争責任について何も発言しなかったのか」との西川重則さんのコメントが載った。西川さんは本紙のインタビューに、「問われているのは有事体制化の靖国問題、あるいは有事法制下の靖国問題だ」と鋭く指摘した。
◇■
マスコミはよくぞ言ってくれたと昭和天皇を評価し、平和主義者であったかのように論じている。8・15に小泉首相が参拝するのかしないのか、ここだけに問題を収れんするマスコミの姿勢は問題。ここで主権者がしっかりしないと、巨大な権力構造と闘うことが難しくなる。
秋の臨時国会では、春に継続審議となった共謀罪や国民投票法案、教育基本法改悪案、防衛省設置法案が出てくる。私たちはこの悪法を時間もエネルギーも使って、阻止しなければなりません。
99年に新ガイドライン、国旗国歌法が通り、今日の日米軍事同盟、軍事再編まで進んでいますから、有事体制化の靖国問題、有事法制下の靖国問題です。靖国参拝の定着が図られ、「象徴天皇の1日も早いご参拝を」というわけです。小泉首相は8・15靖国参拝を最後の公約と言う。日本遺族会に対する公約です。
私の兄は45年9月15日にビルマで戦病死しました。わずか24歳で虚しい人生を終えたのです。兄の命を奪ったのは昭和天皇の絶対命令です。しかし私たちは、加害の責任のある家族の立場です。
私たちに問われているのは戦争の惨禍を繰り返してはいけないということです。アジアに対する侵略、加害の歴史と向き合い、これを繰り返してはならないとの思いで平和遺族会全国連絡会を結成しました。
首相は靖国参拝は「心の問題だ」と繰り返していますが、では憲法99条は誰に「憲法を尊重し擁護する義務」を課しているのか。国会議員は憲法遵守(じゅんしゅ)義務を負っているのです。国会議員に縛りをかける権利は主権者である私たちにある。これが立憲主義に基づく法の支配です。
◇■
問題は、天皇制・国家神道体制です。マッカーサーと天皇による政治的共存、共生の結果、9条で戦争放棄をうたい、1条で象徴にすぎない天皇は残すとされました。石原知事が「象徴天皇の靖国参拝を」と言っていますが、これこそ戦後をもう一度戦前に戻す運動を進める勢力の目標です。
1945年12月15日にGHQは国と宗教の分離原則を示した「神道指令」を出しました。55年に全国護国神社会が一日も早く20条3項の政教分離を削除することを申し合わせました。彼らには「亡国憲法」と「亡国指令」なのです。69年6月30日に靖国法案が出され、その年の5月3日に岸信介を初代会長とする自主憲法制定国民会議が発足しています。70年には「神道精神を国政の基礎に」を求める神道政治連盟国会議員懇談会ができ、歴代保守内閣を構成してきました。ですから「日本は天皇を中心とする神の国だ」と2000年に森首相が言いましたが、ごく当然なんです。
◇■
私は、記憶の継承教育のひとつとして靖国ガイドを行っています。韓国と日本の高校生が一緒に私のガイドで靖国神社について学び、討論をする機会がありました。そこで歴史認識の深さの違いが浮き彫りになった。植民地支配について日本の高校生が知らない。やはり学びが必要です。新遊就館の何が問題なのか、率直に議論しました。これが平和教育です。若い皆さんにはぜひしっかりと学んで、戦後史を総括していただきたい。
百万人署名運動は小異を残して大同につく運動だと思っています。私はキリスト者としてアメリカのキング牧師の運動に賛同しています。非暴力・平和主義ですが悪法には絶対に従わない。抵抗し、直接行動で闘うのです。神を畏(おそ)れ、人を恐れない。1人でも闘う、ともに闘う。
天皇制右翼は靖国神社に昨年以上に集めると、1年間かけて準備しています。有事体制化の靖国問題としてとらえ、新たな侵略戦争を阻むためにともに闘いましょう。
(聞き手・室田順子)
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◎にしかわしげのりさん
1927年生まれ。平和遺族会全国連絡会代表。とめよう戦争への道!百万人署名運動事務局長。主な著作『天皇の神社靖国』(梨の木舎)、『わたしたちの憲法』(いのちのことば社)、
『「新遊就館」ものがたり』(いのちのことば社)ほか
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週刊『前進』(2258号4面4)(2006/08/14)
7月26日〜8月1日
06年版防衛白書を閣議報告
空自がバグダッド乗り入れ
●ミサイル試験で漁船避難 兵庫県の井戸知事が「防衛庁は十分な事前通知をせずに兵庫県沖の日本海でミサイル性能試験を行い、試験海域にいた地元漁船が現場から緊急避難した」として、防衛庁と水産庁に抗議した。25日午後3時55分ごろ、同県香美町の北方約130`の日本海で、香住町漁協所属の漁船が漁具の回収作業中、航空機が低空で旋回した後、数`先の海面に水柱のようなものが上がったという。(26日)
●嘉手納F15離陸爆音、3日連続 米空軍はF15戦闘機などの未明離陸を嘉手納基地で3日連続実施した。午前2時〜5時の時間帯で、町が設置している騒音測定器では、100デシベル(電車通過時の線路脇の音に相当)以上の非常に激しい騒音が記録された。(26〜28日)
●国連施設空爆で声明採択 国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)の関連施設がイスラエル軍に空爆され、停戦監視要員4人が死亡したことを受け、国連安全保障理事会は公式会合を開き、「深い衝撃と悲しみ」の表明とともにイスラエル政府に事件の調査を求める議長声明を全会一致で採択した。(27日)
●米軍HPには「戦闘地域」 民主党の鳩山幹事長が記者会見し、イラクで輸送支援にあたる航空自衛隊について、米空軍の公式ホームページで「戦闘地域へ配備される」と紹介されていたと指摘し、「明らかに憲法に違反する行動が行われようとしている」と批判した。(28日)
●靖国合祀、国主導 戦没者の靖国神社への合祀をめぐり、旧厚生省が1956年の時点で、合祀者は国が決定するなど国主導で合祀事務を実施するとの要綱原案をまとめていたことが、朝日新聞が入手した同省の文書で明らかになった。「厚生省が合祀者を決めて神社に通知する」「合祀事務の体系は(靖国神社が国の管理下にあった)終戦前のものに準じる」と記している。また、「遊就館」の展示品収集にからみ、旧厚生省が61年6月、都道府県に対し、BC級戦犯として死亡した人の遺書や顔写真などを出品するよう遺族へのあっせんを依頼していた。(29日)
●テポドン1・5`内に落下 北朝鮮が7月5日に発射した長距離弾道ミサイル「テポドン2」について、米政府が日本側に、発射台から1・5`以内の地点の上空で爆発し、ほぼ真下に落下したとの見方を伝えていることが分かった。爆発地点は北朝鮮領空とみられる。(29日)
●空爆で子どもら57人死亡 レバノン南部のカナで、市民が避難していた建物をイスラエル軍が空爆し、子ども37人を含む、少なくとも57人が死亡した。12日に一連の戦闘が始まって以来、最悪の犠牲。(30日)
●空自がバグダッドに初の乗り入れ 航空自衛隊は、陸上自衛隊のイラク撤収後の任務拡大で、C130輸送機をクウェートからバグダッドに初めて乗り入れさせ、多国籍軍の人員を輸送した。(31日)
●象のオリ、知花さんに返還 那覇防衛施設局は、反戦地主で沖縄県読谷村議の知花昌一さんが同村の米軍楚辺通信所(象のオリ)内に所有し、強制使用期限が切れる軍用地236平方bを返還、敷地内への入り口の鍵を知花さんに引き渡した。(31日)
●06年版防衛白書 額賀防衛庁長官は閣議で、06年版防衛白書を報告した。北朝鮮で核兵器計画や弾道ミサイルの長射程化が進んでいる可能性を指摘し、ミサイル発射を「事前の警告にもかかわらず強行した極めて憂慮すべき事案」と批判。日米安保体制では在日米軍再編最終合意を受け、ミサイル防衛(MD)などで自衛隊と米軍の一体化を進める方向性を打ち出した。(1日)
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週刊『前進』(2258号5面1)(2006/08/14)
8・15小泉靖国参拝を阻止し 教育基本法改悪粉砕の決戦へ
日教組再生かけ闘う時 (政府改悪案の狙いを暴く)
「教育の憲法」と言われる教育基本法が大改悪されようとしている。共謀罪や改憲のための国民投票法案と並んで、秋の臨時国会の最大の攻防になる。改悪の狙いは、国家(日本帝国主義権力)と資本家階級の延命のために、日教組運動を解体し、子どもたちを戦争に送り出すことだ。「教え子を再び戦場に送るな」をスローガンに闘ってきた日教組は、今こそ総力で闘わなければ、息の根を止められてしまう。それほどの重大情勢だ。教育労働者は先頭で決起しよう。そして全労働者階級の力で、改憲阻止闘争そのものとして、秋の国会闘争に立とう。以下、政府の改悪案の狙いを暴く。
第1のポイント 愛国心での兵隊教育が教員の義務となり、目標達成度が評価対象に
日本は北朝鮮・中国侵略戦争に突き進んでいる。戦争をしなければ生き延びられないほどに帝国主義の危機は深まり、勢力圏争いが激化しているからだ。教基法改悪は、9条改憲攻撃と並ぶ、そうした戦争国家化の重大な攻撃だ。
それは「改悪」というレベルのものではなく、教基法の性格と役割を180度転換させる。これまでの教基法の完全な破棄であり、新たな「戦争教育法」の制定ともいうべきものだ。
それは戦後民主主義的なあり方を完全に一掃し、「国家」主体の教育に転換する攻撃である。
第1条(教育の目的)からは、「個人の価値をたつとび」という文言が削られ、第2条に新設した「教育の目標」の中の一つに薄められ、格下げされた。
そして政府案は、前文に「公共の精神を尊び」とか「伝統を継承し」という文言を新たに加えた。また「我が国の未来を切り拓(ひら)く教育の基本を確立し」とうたった。激化する帝国主義間の競争と戦争への流れの中で、労働者人民を国家間競争に勝ちぬく「資源」と位置づけて、偏狭な教育目標をうたったのだ。
政府案は現行法第2条「教育の方針」を「教育の目標」に変え、5項目の徳目を掲げた。「方針」ではなく、「目標」としたのは、達成度を問題にするためである。この達成度で教育労働者や生徒が評価される。
その「教育の目標」は、現在の学習指導要領「道徳」の徳目を、ほとんどそのままここにもってきている。要するに国家権力に従順な人間を育てるということである。
そこでは、「道徳心を培う」「自主および自律の精神」「公共の精神」などの徳目を掲げている。改憲攻撃と一体の国家主義、弱肉強食、格差社会を肯定し、一層進める「国民道徳」だ。すべての学校、教科で、この目標の達成が押しつけられる。
決定的に重大なのは次の目標である。
「5 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」
「国を愛せ」は、戦前の「忠君愛国」と同じだ。侵略戦争に労働者人民を動員するスローガンである。
全世界を敵に回しても天皇制国家・日本を守れ、お国のために戦え、そのための教育だということであり、第2次大戦前の皇民化教育、「兵隊の教育」(グアム島のジャングルに終戦後も28年間隠れ続け、生還した元日本兵、横井庄一さんの言葉)を復活させることである。
そして逆に、国家の戦争政策に反対する勢力を「非国民」呼ばわりし、反戦の声と運動をたたきつぶす狙いがある。
このような「愛国心」教育が教員の法的義務となり、目標を達成したかどうかで教員が評価されることになる。
第2のポイント 資本家の要求に沿って1割のエリート養成と9割の低賃金労働者に
政府案は、2条「教育の目標」や第5条「義務教育」の項目で「各個人の有する能力を伸ばし」と書き、個人の能力を、持って生まれた生来のものとする考え方を押し出して、差別・選別教育を進めようとしている。
そもそも「能力」とは、資本主義のもとで資本の利潤追求に都合のよい価値観で測られるものでしかないし、そうした「能力」は家庭の経済力で大きくは決まっている。政府案はそれを一層露骨にして推進しようとしている。
現行法で「9年の普通教育」とあるのを、改悪案では削除した。日本の教育制度を従来の単線型から、イギリスや戦前の日本のような複線型に転換させていこうとしている。労働者階級と資本家階級の子弟は別々の学校で教育する、〈階級別の教育制度〉にしようとしているのだ。
三浦朱門(教育課程審議会元会長、作家)は、「労力を、できる者を限りなく伸ばすことに振り分ける。100人に1人でいい、やがて彼らが国を引っぱっていく」「非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいい」(斎藤貴男『機会不平等』)と言っている。政府・資本家の狙いはこれだ。07年から実施されようとしている全国学力テストは、子どもたちの振り分け、エリート教育への国家予算の重点的配分のために使われるだろう。
1995年の日経連プロジェクト報告「新時代の『日本的経営』」は、世界的に激化する競争に日本帝国主義が勝ちぬいていくための経営戦略として、正社員は1割に絞り、あとの9割は低賃金で使い捨て自由の非正規雇用労働者にする戦略を打ち出した。改悪案はこの財界の戦略に沿った差別・選別教育を打ち出してきている。
第3のポイント 最大の狙いは日教組の解体であり、教員統制と聖職者づくりだ
教基法改悪の最大の狙いは、日教組を解体し、労働運動を一掃することにある。そう言って過言ではない。
政府案は、新たに9条に「教員」の項を独立して設けた。そこでは現行法第6条(学校教育)にあった「教員は、全体の奉仕者であって」という規定を削除した。削除の意味は〈教育・教員は人民(全体)に奉仕するのではなくて、国家に奉仕するのだ〉ということである。そして、「自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」とした。
「崇高な使命」という大げさな言い方は、教員を労働者階級から分断し、天皇制国家を支える使命感を持てということである。愛国心の育成は「崇高な使命」であり、研究と修養に励み、職責の遂行に全力を挙げよと強制するものである。教員免許更新制の導入を、これに抵抗する教員を排除する武器にしようとしている。
こうした「崇高な使命」は、「教え子を再び戦場に送るな」と闘われてきた日教組運動を解体することなしには、到底成り立たない。ここから激しい日教組解体攻撃が不可避となる。
現行法10条は、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」と規定しているが、政府案では「国民全体に対し直接に責任を負って行われるべき」の文言を全面的に削除した。代わって「この法律および他の法律の定めるところにより行われるべきものであり」と加えた。
これによって、「不当な支配に服することなく」の意味合いを、権力の不当な教育介入の排除という意味から、まったく逆に、国家の教育政策に対する労働組合などの反対運動・批判を排除・弾圧する根拠規定に変えてしまおうとしている。
(写真 全国の日教組組合員と東京の被処分者が一緒にシュプレヒコール【5月26日 国会前】)
民主党案もろとも粉砕へ
政府案は、ほかにも宗教教育、学校・家庭・地域の相互連携協力、教育振興基本計画の問題など重大な攻撃が多く打ち出されている。徹底粉砕あるのみだ。
ところが日教組本部は日教組解体という攻撃の核心をごまかし、あろうことか民主党の「日本国教育基本法」という、とんでもない改悪推進法案を支持している。これは日教組の自殺行為だ。
だが、日教組本部の屈服を超えて、現場組合員は闘いに立ち上がっている。何よりも東京都の教育労働者を先頭に闘われている「日の丸・君が代」不起立闘争は、教基法改悪に真っ向から立ちはだかる闘いである。この闘いの発展に勝利の道がある。
子どもたちを差別し、分断し、競争させる教基法改悪攻撃に対して、労働者階級は団結して支配階級と闘うことこそが、勝利と人間解放の道であることを、実際の闘いをもって生徒・子どもたちに示そう。夏秋の闘いに総決起しよう。
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週刊『前進』(2258号5面2)(2006/08/14)
教育勅語と愛国心教育
末路は特攻と集団自決
●戦争は教室から始まる
NHKの朝の連続テレビ小説「純情きらり」は戦時中の人びとの生活を描いているが、その中に、主人公の姉が、勤めていた学校の教員の座を追われる場面がある。「源氏物語」を教材に授業をしようとすると、教室の後ろで監視していた校長と文部省の視学官に「この時局に好ましくない」と横やりを入れられる。姉は生徒たちに向かって「どんな世の中になっても自分の心だけは裏切らないで」と訴えて、最後の授業を終える。
(写真 軍事教練は中学校の必須科目だったが、小学生にも教練をさせる学校があらわれ、軍事色を濃くしていった)
戦争に向かって教育が変えられ、子どもたちがつくり変えられていくことが大きな意味をもつことを教えている。第1次世界大戦のドイツ軍の一兵士を描いたレマルクの「西部戦線異状なし」では、「戦争は教室から始まる」という象徴的なシーンがある。
学校教育が子どもたちを戦争に駆り立てる教育として徹底して初めて、戦争は可能になる。日本帝国主義はそのために天皇制教育の徹底を図ったのだ。教育勅語を始め「忠君愛国」思想を子どもたちにたたき込む仕掛けが無数に作られた。
●神話に基づく教育に
教育勅語は1890年に発布され、1945年の太平洋戦争終結まで教育現場を支配した。これは「天皇は神聖にして侵すべからず」とした「大日本帝国憲法」第3条の規定に沿った教育を徹底させる意味をもっていた。教育勅語は法律を超えた「不磨の大典」とされ、それに逆らうことは許されなかった。
教育勅語は、「朕(ちん)惟(おも)うに我が皇祖皇宗(こうそこうそう)国を肇(はじ)むること宏遠(こうえん)に」(朕〔天皇の一人称〕が考えるに、私の祖先である天照大神ら神々が国を興したことは偉大なことである)と、完全な神話をよりどころにして、天皇制の根拠付けを行い、この日本独自の「国体」に教育の根源があると言っている。
さらに親孝行から国の法律を守ることまで国民が実行すべき徳目が並べられ、「一旦(いったん)緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼(ふよく)すべし」(いったん国が危険な事態に直面したら、一身をなげうって天皇の世を守らなければならない)と説く。そしてこの教育方針は歴代天皇の遺訓であり、普遍的なものであると言っている。
このような荒唐無稽(こうとうむけい)な、そして国を守るために国民は一身を投げ捨てて奉仕せよと命ずる理不尽な勅語が、戦前の日本の教育の大本にあったのだ。
日露戦争の始まった1904年に教科書は国定になり、教育勅語にのっとった教科書が全国一律に天皇制教育を進めた。教育の目的は「忠良なる臣民(天皇のしもべとしての国民)」を育成することにあるとされた。
また、国史(日本史)の教科書は1920年以来、人物中心に改められ、英雄、豪傑、聖人君子を中心に歴史を描くことで、自分たちとは生まれつき違う、歴史を動かす優れた者に従うのだということをたたき込むように編集された。
●“天皇のために死ね”
盧溝橋事件から中国侵略戦争が本格的に拡大した1937年には、「国体の本義」という小冊子が出され、配布された。そこには「忠君なくして愛国はなく、愛国なくして忠君はない」と忠君愛国の一体不可分性が強調された。
「御真影(ごしんえい=天皇・皇后の肖像写真)」、それを安置しておく「奉安殿(ほうあんでん)」への拝礼が強制され、教育勅語の奉読や「君が代」の斉唱が義務づけられた。「御真影」や教育勅語の謄本を火災から守ることが校長の最重要の任務とされた。
戦時下の低学年用「修身」教科書には、「日本 ヨイ国 キヨイ国 世界ニ一ツノ神ノ国/日本 ヨイ国 強イ国 世界ニカガヤクエライ国」という神がかりの大国主義が強調されていた。
こうした教育によって、日本の労働者人民は中国・アジア侵略戦争へと動員された。その果てには「集団自決」があり、身を弾とする特攻作戦があったのだ。
沖縄に対しては、敗戦が明らかであるにもかかわらず沖縄差別の極である捨て石作戦として沖縄戦が構えられ、住民を道連れにした戦争長期化作戦が採られ、膨大な犠牲を強制した。その一方、戦前の沖縄では日本と文化が違うとして徹底した「皇民化教育」が行われ、これが「集団自決」へと住民を追いやった。
また、天皇制教育は、当時植民地支配していた朝鮮や台湾でも強行された。台湾の人民、朝鮮人民の子どもたちに天皇制を植え付ける「皇民化教育」が行われた。
天皇制教育は戦争と直結している。愛国心とは、国のため、天皇のために命を投げ出せということである。今日教育基本法を変えようとする勢力は、このようないったん破産した戦前の天皇制教育、教育勅語のもとでの教育を復活させようとしているのだ。絶対に許すことはできない。
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週刊『前進』(2258号5面3)(2006/08/14)
婦人民主クラブ全国協議会相模原支部長 丹治孝子さんに聞く
「神風」信じた皇国少女
「神の国」の敗戦に衝撃を受けた皇国少女は、「戦争の責任を取れ」と母を責めた。そして今、丹治孝子さんは、「はっきり政権が戦争に舵(かじ)を切った中、ここで踏ん張らないと次は孫にえり首をつかまれる」と“基地の街”相模原の街頭で戦争反対、改憲阻止を訴えている。
◇■
憲法が公布された46年11月3日、2人の兄はまだ戦争に行ったきり。横浜大空襲(45年5月29日)で焼け出された私たちは、まだ雨露をしのぐだけの掘っ建て小屋の生活だった。
新しい憲法は民主主義だと聞いて、「民主主義ってどんな食い物かね」と心待ちにしていた。
母が私たちを集めて言うには、「今度の憲法は国が戦争をすることを禁じている。軍隊も持たない。もう子どもたちを戦争にとられることはない。大事な子がどこで果てたかもわからず親が血の涙を流すことはない。本当によかった」。
もう一つ、母は「新しい憲法で男女は平等だ。これまで女はどんな理不尽でも家に仕え、夫に仕え、自分を殺して生きるしかなかった。女の子3人も産んだのだもの、お前さん方にどう教えるか、つらかったよ。これからは女も生きたいように生きていいんだ」と、母は「戦争に負けてよかった」と繰り返した。
私は当時17歳、まだ皇国少女を引きずっていたけれど、その時の母の気持ちはよくわかった。
◇■
敗戦直後、動揺した私は母親のえりがみをつかんで責めたてた。母は「ふざけんじゃない。男たちに言いな。女なんか選挙権もない、政治に触れてもならん。それを知ってて言ってんのか!」
「白地に赤く〜ああ美しい日本の旗は」と歌うと、母は「自分の国の国旗が一番美しいだなんて、よその国を見下げるもんじゃない」と。「日本は日出(いづ)る国だ」と私が言うと、「日出る国ばかりじゃ困る。日が沈む国はどこにあるんだ、しっかりしておくれ」と母は切り返した。
私はこういう母に育てられながら天皇制を批判するどころか、むしろ母は無学だからわからないんだと反発していた。
七つの時から天皇制教育をたたき込まれた私は天皇陛下は金のうんこをするとまで思っていた。
戦争中に学徒動員で運輸省にいた時、中庭に爆弾が落ちた。その時も私は「神の国だもの神風が吹く。それまでの試練だ。絶対に勝つ」と思っていた。戦地の兄たちへの慰問の手紙には「敵をいっぱいやっつけて下さい。勝つまで私たちも我慢し、頑張ります」と書いて送った。子どもと言えども、りっぱな戦争加担者です。これほどに天皇制教育とは恐ろしい。
学校では先生が言うことが絶対だった。教室には朝鮮人の子どももいたが、教師が何かといじめる。それを見ていて朝鮮人はみんな頭が悪いのだと思った。今から考えれば、親たちと一緒に日本にやってきて日本語の授業についてこれなくても当然だったろうに。
◇■
46年のメーデーでは皇居前に50万人が集まり、「ナンジ人民飢えて死ね」のプラカードが登場した。ラジオではたずね人の時間があり、家族の行方を必死で捜していた。進駐軍による強盗やレイプは日常茶飯事。民衆の怒りはふつふつとわき上がり、戦争責任を追及する声は高まった。この時こそ「一億総ざんげ」を拒否し、天皇の戦争責任を断罪すべき、決定的チャンスだった。
「一億総ざんげ」などとんでもない言葉だましだ。今も小泉は、労働者民衆の骨まで削るような方針を「骨太方針」だと言う。高齢者が飢えて死ぬ時代になった。
相模原では春に市県民税が10倍にも値上げした。示し合わせたわけでもないのに市役所に5日間で850人も抗議に集まった。時代を知るということは結果的には身を守ること。前の戦争でしっかり学んだはずです。
この秋が正念場。小泉のいたちの最後っぺなんか嗅(か)がされてたまるか。介護保険や障害者自立支援法など、弱者が生きられない世の中はひっくり返すしかない。やがてはわが身や貧しい人たちに及んでくるのだから。
(聞き手・室田順子)
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◎たんじたかこさん
1928年生まれ。45年5月の横浜大空襲を体験。戦後、横浜市営交通局勤務。72年米軍戦車車両輸送阻止の相模原闘争、けんぽく生協の立ち上げなど住民運動、反戦運動で活躍。印刷業。
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週刊『前進』(2258号5面4)(2006/08/14)
都教委 都立中の公民教科書採択 またも「つくる会」に
東京都教育委員会は7月27日、都立中高一貫校・白鴎高校付属中学が来春から使う公民教科書に、「新しい歴史教科書をつくる会」がつくった扶桑社版を採択した。昨年の都立中高一貫4中学での「つくる会」歴史教科書採択に続く暴挙を、強く弾劾する。
05年開校の白鴎中では、07年度から3年生が誕生するため、それに合わせて公民教科書を採択した。都内の公立中学で、同社版の公民教科書の使用は初めてである。
委員会では、6人の教育委員のうち、批判を恐れて海外出張で欠席した米長邦雄を除く5人が全員「つくる会」教科書を選び、なんの議論もなく採択が決まった。初めから「つくる会」教科書という結論ありきなのだ。
2001年に「つくる会」の歴史と公民の教科書が登場して以来、恐るべきことに都教委は、「つくる会」教科書以外の教科書を採択したことがない。(表参照)
公民教科書の代表執筆者の八木秀次は、今年2月に「つくる会」会長を解任された人物だ。代表執筆者の解任とは、この教科書が「つくる会」自身の手によって破産を宣告されたということだ。
しかも八木が7月27日に開いた「日本の教育再生を考える夕べ」は、なんと教育委員・米長が発起人になっている。「つくる会」と都教委はここまで一体化している。
「つくる会」公民教科書は、北朝鮮脅威論を絶叫し、「国防の義務」「憲法改正」を公然と提唱するなど、教基法改悪・改憲と一体の内容のものだ。こんな教科書を使用するなど、あらゆる意味で許されない。
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都教委が採択した「つくる会」教科書
01年 都立「障害者」学校の一部 歴史・公民
04年 都立初の中高一貫校・白鴎中学 歴史
05年 都立一貫校4校 歴史
都立「障害者」学校21校 歴史・公民
06年 都立中高一貫校・白鴎中学 公民
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週刊『前進』(2258号6面1)(2006/08/14)
「愛国心」を競い合うマスコミの堕落・腐敗 千葉 漠 有人
ミサイル(テポドン)の発射訓練を、あたかも日本に打ち込まれたかのような、今にも戦争が始まるかのような大騒ぎをして、ヤレ制裁だ!ヤレ懲罰だ!と喚(わめ)き立てる日本政府の姿勢・外交政策は、多くの国・政府から「笑い物」にされています。表だって笑ったり、反対しないでいるのは、「カネ」の力に遠慮しているからに過ぎません!
かと言って楽観はできません。ここ1週間のマスメディアは「北」非難・「北」攻撃の一本槍(やり)です。ある日突然、「北」への「空爆」が開始されても「やむを得ない」「当然だ」という「空気」を「雰囲気」をつくっておく必要がある。少なくとも、日本国民の大多数の賛同がなければ、「北」への侵攻は不可能だから……。
そのための「世論」形成に「マスコミ」が大々的に動員されているというわけだ。
いつの場合もそうだけれど、戦争が始まる前には、必ずマスコミ・メディアの側面援助がある。マスコミは、「愛国心」を競い合い、そのために「危機感」をあおって、そして政府の「ケツ」をたたくのだ! ジャーナリズムの堕落・腐敗だ!
『前進』2255号5面「戦争を仕掛けているのは米日帝だ」は、彼らのカラ騒ぎの実態・裏面を具体的に、正確に暴いています。また6面の「団結ひろば」「北朝鮮制裁に反対する」に載っている諸同志の投稿は、どれもこれも素晴らしく感動的なものでした。このように、敵のペテンを見抜き、正しく情勢をつかんで闘う同志のいることに大いに勇気づけられました。 (7月20日)
ウソで固めた杉並区の「国民保護計画」 群馬 田島俊昭
『前進』2252号で報道された「国民保護計画」に対する杉並区議会での闘いは、改憲や米軍再編に対する決定的な反撃だと思います。
「国民保護計画」は有事体制の一環であり、発動される時は現行法体系すべての頭上に君臨する治安攻撃です。
「計画」では「杉並公会堂に天然痘ウイルステロ」と図示されていますが、天然痘は1977年を最後に世界中のどこにも患者は出ておらず、世界保健機関(WTO)は80年5月8日に「撲滅宣言」を出しました。現在、天然痘ウイルスが存在するのは、映画「バイオハザード」なみのアメリカとロシアのレベル4実験施設だけです。なお政府は「30年近く出現していないから国民に免疫がなくテロに使われる可能性がある」と苦しい言い方です。
北朝鮮の海外展開軍事力は米軍の万分の1以下。燃料注入さえも監視・即攻撃下にあり、現実的にはなんの攻撃力もありません。
「計画」はすべて科学性や客観性のかけらもない、ウソのためにウソを重ねた「区民の戦時動員計画」です。「杉並区民を保護する」という「建前」も全部ウソです。
こうして見ると、山田区長が成人式で特攻隊の話をしたのは「区民を戦争と死に導く政治」という点では首尾一貫性があるのですね。
全国の自治体で「国民保護計画」が今年度中に策定されますが、杉並の「計画」は飛び抜けて悪質です。しかし、「つくる会教科書」に対する闘いもそうでしたが、杉並区民と労組、闘う議員が一体となった闘いこそが、この攻撃を打ち破る道であると思います。
なお、世界で初めて天然痘を生物兵器に使ったのは英軍です。1760年代イギリス植民地下のアメリカ先住民の抵抗闘争に使用しました。
山田区長がそんなに天然痘を心配するなら、今も天然痘ウイルスを持ち、過去に使用実績のある米英軍のイラク戦争に抗議し、世界最悪の生物兵器軍隊である731部隊に無反省な「つくる会」教科書の使用を中止すべきでは?
入院し2交替制勤務の過酷さを知った 東京 小松吉雄
このたび数週間の入院を余儀なくされた。入院中は看護師やケアワーカーの人たちには本当にお世話になった。24時間365日、途切れることなく病人の世話をするということは、本当に重労働だと思った。
聞いてみると、夕方5時からの夜勤の場合、翌日朝9時まで16時間のぶっ通しの勤務だという。途中、仮眠は出来るようだが、ナースコールがあれば起きなければならないし、深夜の見回りもある。つくづく過酷な勤務だと思った。
昔は1日3交替だったと思うが、いつのまにか2交替になってしまっていた。これは、入院した病院だけのことかもしれないと思って調べてみたら、一部3交替を残しているところもあるが、大部分は2交替が基本になっているようだ。
新聞に、17時間の2交替制を行っている横浜市立みなと赤十字病院の看護師の、「2交替制は病院にとっては経費削減だが、働く者は長時間労働を強いられる」との声が紹介されていた。労働法制の改悪で2交替制導入が進んだことが分かる。
一方、医労連の全日赤北見支部が、病院側が進めていた看護師への2交替制勤務導入を阻止したという記事もあった。「2交替制勤務は労働強化ばかりか、患者の看護内容の低下、安心・安全を奪うもの」と指摘し、署名や宣伝行動を展開し、勝利したという。
やはり、闘う労働運動の復権が労働者にも患者にも必要だと痛感した。
羽廣被告招き東部で「許さない会」3周年 東京・東部 雨宮哲彦
「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない東京東部の会」結成3周年集会が、7月26日午後9時より亀戸カメリアプラザで開催され、55人の仲間が参加しました。
冒頭「許さない会」作成のビデオを上映し、江戸川区職の労働者の司会あいさつ、基調提起の後、河村健夫弁護士の講演を受けました。
河村弁護士は、午後6時過ぎまでの攻防となった第61回公判の終了後、食事もとらずに駆けつけてくださり、30分にわたって国労5・27臨大闘争弾圧の裁判の全体像についてわかりやすく話をしてくれました。
河村弁護士は「組合員を警察に売る」組合幹部とは何なのか、自分がなぜこの裁判を引き受けたのかを、鉄建公団訴訟とのかかわり、闘争団への共感、戦争反対の強い思いという立場から述べられました。
同じく公判が終了した直後、駆けつけてくれた羽廣憲被告は、改憲阻止闘争の先頭に立てるような国労に再生させるために闘うという強い決意を述べました。きっぱりとした、すがすがしい迫力あるアピールでした。
カンパアピールの後、特別企画として「黒執(くろとり)証人の場合」という一人芝居(法廷劇)が行われました。黒執に扮(ふん)した大学生は傍聴に来たことはない人ですが、組合員を警察に売った黒執になりきって法廷の雰囲気を出していたのには驚きです。
地域の仲間から動労千葉新小岩支部の佐藤正和支部長、教育労働者、青年労働者のアピール・詩の朗読と続きました。
集会終了後、羽廣被告が「とても気持ちのいい集会だった」と述べていたのが印象的です。被告と集会参加者が一体となれた集会でした。
医療観察法施行から1周年で3者協議会 関西 吉村隆生
7月15日、心神喪失等医療観察法施行からちょうど1周年の日、関西で「医療観察法3者協議会」を行いました。3者とは精神科医、弁護士、「精神病者」です。
会合は自己紹介の後、弁護士からの提起があり、その後討論を中心に進みました。「審判で、精神保健福祉法上の入院を前提として医療観察法では強制通院とする決定が増えている」ことが報告されました。
医療観察法では強制通院にして、その強制通院先の病院に精福法にもとづく入院をさせるというやり方です。保安病棟は退院者が極端に少なく、闇(やみ)の中で何が行われているのかわかりません。虐待があるのは明らかです。精福法にもとづく入院で虐待が行われることも「精神病者」なら誰でも知っていることです。
精福法上の入院は、裁判で「無罪」や「執行猶予」になるのとは違うのです。精福法の入院は「有罪」の一形態でしかありません。
東京では「人格障害」とされた人が心神耗弱等を認められたのに対して、強制入院決定が出たそうです。「人格障害」というのはある種の性格に対するラベリングですから、医療の対象ではありません。保安病棟の医者が治療の対象でもない者に来てもらっては困るとして退院請求を書いたという逆転したことが起きているそうです。
また、心神耗弱が認められて起訴されなかったり、無罪か執行猶予になった「知的障害者」が審判に乗せられるケースが多々あるそうです。ひどい場合には強制通院の決定が出ているようです。いうまでもなく「知的障害者」は精神医療の対象ではありません。入院、通院させても医者になすすべはないのです。
国家権力にすれば、心神喪失等を認められてしまったケースを確実に精神病院へ送るために作った法律です。医療に名を借りた制裁が目的なのです。初めから医療上の整合性など無視していて、ともかく保安病棟に送ればよいのです。
法の矛盾点に立つ3者の連携を今後も強めます。
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週刊『前進』(2258号6面2)(2006/08/14)
原子力空母の08年配備阻止
8・12横須賀闘争へ
米空母キティホークの横須賀配備から8年、米軍再編に反対し、原子力空母ジョージ・ワシントンの母港化撤回を求める全国集会が8月12日、横須賀市ヴェルニー公園で開かれる。
北朝鮮と中東における戦争危機が強まる中で、きわめて重要な行動になった。全関東・全国から大結集しよう。
対北朝鮮・中東先制核攻撃の柱
原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀配備は、米陸軍第1軍団新司令部の座間移転、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への新基地建設と並んで、米軍再編の基軸中の基軸をなす攻撃だ。蒲谷(かばや)亮一横須賀市長の母港化容認表明を受け、日本政府は、いよいよ原子力空母の母港化に必要な浚渫(しゅんせつ)工事に手をかけようとしている。
原子力空母は、重油を使う通常型空母に比べて1・8倍の武器弾薬、1・5倍の航空燃料を積載可能だ。しかも原子力潜水艦以外に追いつくことができない速度を持つため、通常動力潜水艦を主に運用する中国に対して圧倒的優位に立つ。
米国防総省は、新QDR(4年ごとの戦力見直し)で、アジア太平洋地域に空母6隻以上、潜水艦の60%以上、長距離爆撃機の配備などを決め、北朝鮮・中国、中東をにらんだ戦争態勢を圧倒的に強めようとしている。
しかも米政府はこの間、核弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と通常弾頭を搭載した巡航ミサイルなどを一体運用し、北朝鮮やイランなどの軍事力をわずか数時間以内に壊滅させる「グローバル・ストライク(地球規模の攻撃力)」構築のために今年末までに態勢を整える方針を明らかにした。イラク侵略戦争の泥沼化、中東支配の全面破綻(はたん)に直面する中で、核戦争への衝動を極限的に強めているのだ。そして原子力空母こそ、この米先制核攻撃戦略の主柱になる。
事故が起これば首都圏は壊滅
原子力空母ジョージ・ワシントンの原子炉は、福井・美浜原発(発電量約20万`h)に相当する規模だ。横須賀母港化は東京湾に最も危険な原発を建設するのと同じだ。
米政府は軍事機密の名のもとに一切を隠蔽(いんぺい)しておきながら「原子力空母は安全」などと繰り返し、日本政府もそのとおり繰り返しているが、冗談ではない。
米原子力空母は何度も何度も重大事故を繰り返している。83年にはエンタープライズが座礁事故。99年にはステニスが座礁し、原子炉の冷却水循環ポンプが故障、原子炉2基が緊急停止した。一つ間違えば原子炉の暴走から炉心溶融(メルトダウン)につながる大惨事寸前の事故だ。79年の米スリーマイル島事故、86年のウクライナ・チェルノブイリ事故などの例をあげるまでもなく、原子炉のメルトダウンという事態になれば首都圏全体が壊滅的な打撃を受けることは明らかだ。
原子力空母の横須賀母港化は絶対阻止する以外にない。自治労・教労を先頭に8・12横須賀闘争の大高揚をかちとろう。
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☆空母横須賀母港化33周年・キティーホーク横須賀母港化8周年抗議・原子力空母配備撤回を求める8・12全国集会
8月12日(土)午後3時開始 3時50分デモ
横須賀ヴェルニ公園(JR横須賀駅・京急汐入駅下車)
主催 原子力空母横須賀母港化を許さない全国連絡会/原子力空母の横須賀母港化を止めよう神奈川実行委員会/三浦半島地区労働組合協議会など4団体
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週刊『前進』(2258号6面3)(2006/08/14)
安藤登志子さんを偲ぶ
終生、北富士闘争や杉並の闘いとともにあった人
都政を革新する会代表 長谷川英憲
さる7月5日に安藤登志子さんが急逝されました。享年89歳。7月9日の「安藤さんとお別れする会」に多くの参加をいただき、お礼申し上げます。
(写真 国会前で闘う安藤登志子さん【6月8日】)
安藤さんは1917年、伊豆湯ケ島の老舗(しにせ)旅館の長女として生まれました。大本教の布教者であった父親は天皇制下の弾圧で何度も逮捕投獄を受けたと聞きました。
また文人学者が逗留(とうりゅう)し、その中には左翼的な学者もいて、その影響を受けた安藤さんは、「自分で働いて独立しなければ、自由に生きられない」と考え、女学校を卒業すると同時に家を飛び出し、1937年、川崎の東京電機無線(後の東芝)に入社。労働運動に飛び込みます。
「労働者になって誇り高い気分がした」(新コスモス連載「すぎなみ人物列伝」)と語っています。ここに安藤さんの人生の原点があります。
労働者階級の一員だ、闘う農民、人民の側に立ってけっして揺るがない、これこそ安藤さんの生涯を貫き通した心棒−赤い糸だったと思います。
安藤さんの人生で最も大きな転機となり、後半生を決めたのは北富士闘争との出会いでした。戦後の激動期、石炭労働運動などを日本共産党として闘い、その後共産党と決別し、闘いを模索していた1968年です。
お別れする会で忍草母の会事務局長の天野美恵さんが、第一の小屋の座り込み現場に安藤さんが訪ねてきた時のことを語ってくれました。「北富士の本を3冊書いてくれた」「北富士の闘いが歴史に残った」と。天野さんの言葉には万感の思いが込められていたと思います。北富士闘争を語る時の安藤さんは一番生き生きとしていたように思います。
安藤さんはまた、沖縄の闘いに深い関心を寄せていました。沖縄民権の会には、故古波津英興さんの時代から今の座覇光子代表まで会員としてかかわり、今年5月に行われた「故古波津英興さんを偲(しの)ぶ会」にも出席していました。沖縄と北富士と本土の基地撤去闘争にかけた安藤さんの思いの深さが偲ばれます。
安藤さんは晩年、地元杉並の運動に力を注いできました。2000年に発足した「介護と福祉を要求する杉並住民の会」の運営委員として街頭宣伝、署名とり、集会、デモ、会議、ほとんど皆勤賞でした。亡くなった要因となった大腿骨骨折は、住民の会の天沼地区懇談会が終わって帰宅途中の事故でした。
「人間として生きる権利は誰にでもある。これを奪うものは許さない」という信念、頑固さ、これは安藤さんの真骨頂です。
これをよく知る住民の会代表の八木ケ谷妙子さんはお別れする会で「安藤さん、楽にしてください」と心からいたわりの言葉を述べました。
いま、北富士闘争や沖縄闘争は米軍再編−新たな日米軍事同盟の攻撃と闘うために力強く前進しようとしています。
運営委員として安藤さんが先頭に立ってきた杉並住民の会は第7回目の総会を成功させ、「戦争ではなく福祉を」の旗を掲げ新たな歩みを開始しました。杉並の選挙などの闘いには、社・共をのりこえる新しい党の登場への熱烈な期待をこめてともに闘ってくれた安藤登志子さん。
私たちは、戦争と改憲の大攻撃への労働者階級の総反撃をもって新たな闘いの時代を切り開き、あなたの志を引き継ぐ決意です。どうか私たちを見守ってください。
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週刊『前進』(2258号6面4)(2006/08/14)
三里塚で出会ったこと
僕は食べてきた。三里塚の美味しすぎる闘い、真理を
〈投稿〉 東京・東部 風 実
三里塚、名前だけは何故か知っていた。
三里塚で今でも闘っている事を知る前までは、なんとなくイメージしていたのは、血みどろの各派の争いによって収拾がつかなくなり、農家は争いに巻き込まれてしまった、という悲劇的な末路だった。
そのイメージが『週刊三里塚』や闘いの中で出会う人々が語っているのとギャップがあることを知り、僕の興味をひきつけた。僕は僕自身の目で確かめ、体験してみたい欲求に駆られた。
それは何故必要だと感じたのかといえば、大木よねさんの闘いの事を聞いて、我慢がならなかったからだろう。大木よねさんの闘い、抵抗、生き方は、人間の根幹に触れた。機動隊の暴力は圧倒的な力で、それに比べればよねばあさんは高齢で、女性。そういう人に暴力を振るう事は誰が見たって許せない、間違った事だ。
(写真 暫定滑走路北延伸阻止を宣言した7・2三里塚現地集会の前後3日間、現地調査と交流会、援農に参加した青年労働者が初めての三里塚を語った【写真は7月1日、市東孝雄さんの畑から暫定滑走路を監視】)
曲がった空港
現地調査では空港と農地のおかしな風景を目の当たりにした。
誘導路はへの字に曲がり、よくこんな滑走路を使っていられると思った。農民の家も農地も滑走路の目の前にあり、騒音や排気ガス、振動もひどい。
一体こんな空港とも呼べないような空港をつくり出したのは誰か? 空港公団であるが、そうさせたのは農民の力であった。計画は破産した。権力は農民たちを消し去り、何事もなかったように完全な形の空港をつくりたい、そのための無意味な北延伸である。現地調査では、攻防の爪(つめ)あと、そこで起こった出来事に触れた。
激しい抵抗闘争、労農連帯、団結破壊そして武装蜂起にいたり、農民と各派の脱落があった。農地をお金にしてしまった。話し合いというのは同盟をつぶすための話し合いであって、敵の意図に乗るだけなんだ。菱田の郷で聞いた。
東峰神社の木々は伐採されていた。管制塔の視界にジャマなためだ。ゴルフ場の木々もそうだ。何もかもが空港のためなら壊していいというへ理屈で通そうとしていた。ごみ処分場のクリーンパークもそうだ。ダイオキシンも滑走路建設のためなら飛散してもいい、という。
労働者と農民
夜、北原さんらおじいちゃんたちから色々な話を聞き、話し合った。戦争に行っていた話。政府は何かしてくれたわけじゃない。お国のために兵隊になったというのに。お国なんて誰のためにあるんだ。農民から土地を奪うため、人間の権利を奪うため、支配者たちだけの私腹のためだけに支配者がつくった共同幻想じゃないか。
無産階級労働者の僕は、農民という農地、生産現場を持つ農民には何やら僻(ひが)みも出てきやしないか、不安だったが、農民が美味(おい)しい食べ物を作ってくれる。農民は農地があるからこそ農民だ。労働者にとっては仲間であり、農地は農民が一生をかけてずっと育てた財産で、代わりのものなんてないんだと思った。
朝はすごいすっきり起きれた。野鳥たちのおしゃべりのせいだ。とても清らかな、楽しそうな声で。どんな楽しい事を話しているのだろう。野鳥たちの楽しい世界があふれていた。
雑草にも性格
援農で、僕は市東さんの畑で草取りとにんじんを取った。土にもさまざまな性格がある。そこで伸びている雑草にもさまざまな性格がある。短い根のやつ、ながーく下に伸びた根、横に伸びて色んな根に絡み付いてるやつ、多様な虫もいた。共存して植物連鎖と生物連鎖を支え、土を浄化していた。除草剤をまかないから、伸びてきてしまう。草取りは地道な作業で、全然進んでいないように思えるのだけれど、休憩時に立ち上がって眺めてみると、ちゃんと緑の部分が減り土の部分が増えていて、達成感がある。外で働くっていいな。空や風の動きが肌で感じれて、のびのび生きてる感覚がある。
こんなに大事にしてる畑、奪われたくないよ。子どもみたいなものって言ってたけど。そうだなー。自然と共存してくのは苦労もあるけど、自然がなくなったら働くことも出来なくなる。
僕は食べてきた、三里塚の美味しすぎる闘い、その歴史と生きる真理を。それは沖縄、イラク、韓国、野宿労働者の小屋につながる地平の生産物だ。大木よねは「おら闘争が一番楽しかった」と言った。今もそれは生きつづけ証明している。偏見は、逃げた人たちと機動隊と公安と、その広報機関になりさがっているマスメディアのつくり出した思い込みだった。
そして、やっぱり、成田空港は今すぐ閉鎖しなきゃいけない。ただ農民の権利と農地を奪うためだけの、安全のない空港だ。ここで負けたら、すべての土地は国家のものとなる布石になるのだ。同じ地平を攻撃するための日本の軍事要塞(ようさい)化につながる。国家権力には立ち向かっても負けるんだと証明する事になる。
そんな事、絶対に嫌だから40年間闘って勝ちとっているから終わってないんだ。これからも見せ付けてやる、僕たちのエネルギー。
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