ZENSHIN 2004/05/03(No2148 p10)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

第2148号(春季特別号10ページ)の目次
 
1面の画像
(1面)
自衛隊即時撤兵・有事法案阻止を
革共同のメーデーアピール
すべての労働者は5・21明治公園へ
侵略戦争・改憲と年金改悪に突き進む小泉を打倒しよう
記事を読む  
ワールド・アクション 500人が渋谷をデモ “小泉に本気の怒りを”(4月17日) 記事を読む  
(2面)
結成25周年−新たな飛躍へ 動労千葉04春闘スト決起の勝利の教訓
動労千葉3役に聞く
3波の貫徹でJR体制に風穴
現場からの闘いで活性化 小泉−奥田に一矢報いる
記事を読む  
(3面)
JR総連は軍事輸送に協力
“法律通れば反対できない” 松崎が講演で全面屈服を誓う
記事を読む  
年金改悪絶対阻止へ(下) 階級支配の破綻があらわに
労働運動の階級的再生こそ社会保障解体阻む最大の力
記事を読む  
国労5・27臨大闘争弾圧公判理日程 記事を読む  
(4面)
『前進』の拡大目標を決定し組織的に討議し実践しよう
機関紙を武器に本格的党建設へ
記事を読む  
学生運動の最前線から 新入生諸君、ともに闘おう(3) 富山大学
寮自治会のもとに団結し新樹寮の廃寮はね返そう(マルクス主義学生同盟中核派・富山大学支部)
記事を読む  
日誌'04 4月13日〜20日
9条で自衛権行使明記狙う サマワで“自衛隊帰れ”デモ
記事を読む  
(5面)
5・15沖縄現地闘争に結集を
普天間基地即時閉鎖=撤去 名護基地建設阻止へ闘おう
新たな「沖縄売り渡し」許すな 銘苅淳一
記事を読む  
韓国総選挙 民主労働党が10議席 ついに階級的政党が国会に(4月15日) 記事を読む  
“ボーリング調査をやめろ” 名護 命を守る会、施設局を撃退(4月19〜21日) 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
イラクでの拘束解放にあたって思うこと 東京 小野正春
仲間裏切らない信義動労千葉から学んだ 千葉 宮崎進一
日・韓・米の国際連帯実現との報に感動 関東 宮田淳一
記事を読む  
設立35周年盛大に集い 救援連絡センター軸に “戦時弾圧と闘う”(4月17日) 記事を読む  
“無実の星野さんとり戻そう” 東京連絡会が3周年集会
沖縄闘争の意義鮮明に(投稿/東京K・M)(4月18日)
記事を読む  
4・11六ヶ所 再処理工場稼働阻止へ
反核燃に1200人(投稿/青森S・K)(4月11日)
記事を読む  
海難救援隊員派兵に抗議 4・14新潟(投稿/新潟M・H)(4月14日) 記事を読む  
“虐殺許すな” 米領事館抗議 4・15福岡(投稿/福岡K・M)(4月15日) 記事を読む  
新刊紹介 『コミューン6月号』 反弾圧の労働運動 記事を読む  
公判日程 記事を読む  
(7面)
5・21有事法案粉砕・改憲阻止へ
イラク侵略戦争の継続・激化・拡大と北朝鮮侵略戦争体制作りの攻撃
有事7法案・3協定条約案の全面批判
記事を読む  
(9面)
米英日帝は軍事占領やめろ
イラク人民の要求は自衛隊撤兵 小泉打倒こそ国際連帯の道だ
記事を読む  
(10面)
労働者と被抑圧民族の団結で帝国主義打倒を イラク戦争で始まった21世紀の世界再分割戦 帝国主義論でとらえる現代世界 秋月丈志 記事を読む  

週刊『前進』(2148号1面1)(2004/05/03)

 革共同のメーデーアピール

 自衛隊即時撤兵・有事法案阻止を

 すべての労働者は5・21明治公園へ

 侵略戦争・改憲と年金改悪に突き進む小泉を打倒しよう

 帝国主義がかつてない激動と侵略戦争−世界戦争の過程に突入した中で、労働者階級は第75回メーデーを迎えようとしている。今回のメーデーは、まさに戦時下のメーデーとなった。メーデーは本来、労働者が国際的に連帯し、資本や国家権力の暴虐と立ち向かう闘いの日だ。今こそ階級的労働運動を再生させ、労働者階級の力によって小泉政権を打倒しよう。有事関連法案をなんとしても粉砕しよう。陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかける「守ろう!平和といのち5・21大集会」に大結集しよう。

 第1章 闘うイラク人民と連帯し帝国主義の占領と闘おう

 イラク侵略戦争・軍事占領に突き進んだアメリカ帝国主義は、イラク人民の民族解放・革命戦争、全人民的蜂起に直面して完全に泥沼的危機に陥っている。
 これに追いつめられた米帝は、4月上旬以降ファルージャで800人を超える人民を虐殺した。昨年3月20日の開戦以来、すでに数万人ものイラク人民が米英軍によって殺された。労働者階級のきょうだいが日々、命を奪い去られている。しかも、イラクに自衛隊を派兵した日本帝国主義・小泉政権が、米英帝のイラク人民大虐殺の加担者となっているのだ。
 同時に米帝の中東支配を支えるイスラエルは、ハマスのヤシン師暗殺に続き、ランティシ氏暗殺の暴挙に手を染めた。これらの暴虐は、イラク・パレスチナ・ムスリム人民の帝国主義に対する底深い憤怒と激烈な反撃を生み出している。
 体制的に破産した帝国主義は、一方で凶暴きわまる侵略戦争を強行し、他方で労働者の生活を破壊し尽くすことで延命しようとたくらんでいる。労働者階級は、今や歴史的命脈が尽きた帝国主義を自らの力で打ち倒さなければならない。
 3・20イラク反戦国際共同行動への全世界1000万人の決起は、労働者階級の新たな闘いの時代の始まりとなった。労働者階級は本来、国際的な階級でありプロレタリア世界革命の主体であることが、階級闘争の現実の中で鮮明になったのだ。スターリン主義によって裏切られ、蹂躙(じゅうりん)されてきたプロレタリア世界革命を実現すべき時が再び来たのである。
 日本の労働者階級は、イラクでの日本人拘束事件によって、全占領軍の撤退・自衛隊の撤退を求めるイラク人民の血叫びを身に迫る形で突きつけられた。「テロには屈しない。自衛隊は撤退させない」と言い張る小泉に対し、この間、日本の労働者階級は自衛隊撤退を求めて連日決起した。
 3人を拘束した武装闘争勢力は、その解放に際し「日本の人びとが自衛隊撤退を求めてデモをした。人質の家族の気持ちにも共感した。従って、日本の首相の無責任な発言にもかかわらず、3人の解放を決めた」とするメッセージを出した。日本の労働者階級の闘いが、イラク人民の心をとらえたのだ。
 イラク人民にこたえる道は、小泉政権を打倒し、自衛隊のイラク撤退を必ず実現することだ。侵略戦争に突入した帝国主義国家は、労働者人民の命を平然と踏みにじる。今回の拘束事件はそれを示した。小泉は拘束されていた人びとに反動的な非難を投げつけているが、それは、自衛隊は絶対に撤退させず、米英とともにイラク人民虐殺を続けるという意思表示だ。何が「人道復興支援」だ! 
 小泉政権が、泥沼化するイラク軍事占領に米英帝とともに深々とのめり込んでいる限り、01年9・11反米ゲリラ戦のような事態がいつ日本で起きてもおかしくはない。スペインの労働者階級は、自国で起きたムスリム人民のゲリラ戦闘を前に、イラク派兵を強行したアスナール政権を拒否し打倒することでこたえた。この闘いに続き、小泉政権打倒・自衛隊撤退の闘いを貫こうではないか。

 ACSA改定は重大な攻撃

 日帝・小泉政権は、有事関連7法案とACSA(日米物品役務相互提供協定)改定案など3条約・協定承認案の今国会成立に全力を挙げている。
 ACSA改定案、米軍行動円滑化法案、自衛隊法改定案、交通・通信利用法案は全面的な米軍支援法案だ。とりわけACSA改定案は、@武力攻撃事態とその予測事態に際して自衛隊が米軍に弾薬を含む物品・役務を提供するとし、Aさらに「国際貢献」活動と称する侵略戦争で米軍に物品・役務を提供できるようにするものだ。これは、世界のあらゆる地域で米軍と自衛隊が共同作戦を展開するということであり、事実上の集団的自衛権の行使、日米安保体制の一大エスカレーションだ。この法案の成立を許せば、北朝鮮(中国)侵略戦争をさらに切迫させるだけでなく、それは直ちにイラク人民に向けて発動される。こんなことは断じて許せない。
 米軍行動円滑化法案や交通・通信利用法案は、日帝が米帝とともに北朝鮮侵略戦争に突入することを具体的に想定し、米軍が日本を最前線基地として無制限に使用できるようにするものだ。国民保護法案も、北朝鮮(中国)侵略戦争に向けて国民総動員を狙う決定的な攻撃だ。
 これらは、将来ありうるかもしれない「他国の侵略」に備えるなどというものでは断じてない。日米の支配階級は、朝鮮半島への侵略戦争に突入することを決断しているのだ。
 すでに日帝は新しい「15年戦争」の過程に入っている。だからこそ小泉政権は、憲法9条の破棄・集団的自衛権の行使を核心とする憲法改悪を05年にも強行しようと本格的に動き出したのだ。自民党憲法調査会は改憲案の概要をまとめ、自衛隊の海上幕僚長は憲法違反の集団的自衛権行使を公然と要求した。ただならない事態である。
 陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかける5・21大集会を労働者階級の総反撃の場にしよう。

 第2章 反転攻勢を切り開いた動労千葉春闘ストライキ

 3・20イラク反戦国際共同行動には、全世界で1000万人の労働者人民が決起した。日本でも、日比谷公園6万人を始め全国で120万人が立ち上がった。この行動の中軸を担ったのは労働者階級だ。日本の労働運動は、3・20で反転攻勢を開始した。
 有事法反対の先頭で闘ってきた陸・海・空・港湾労組20団体を結集軸に、労働者階級は連合や全労連というナショナルセンターの枠を越え、勝利のための大統一行動を求めて大きな動きを始めている。日教組や自治労の単組や、全逓の支部などが組織決定で3・20に参加したことには決定的な意味がある。02年「5・16連合見解」で「有事立法は必要」と表明し、労働者の反戦決起を抑え込もうとした連合中央の統制力は、急速に失われている。総評解散−連合結成以来の反動期は、今まさに覆されようとしているのだ。
 3・20大決起のうねりを根底で生みだしたのは、動労千葉の春闘ストライキだった。動労千葉は2月、定年を間近に控えた組合員への強制配転攻撃に対し、長期闘争も辞さず、一大反撃をたたきつけた。さらに、3・13ダイヤ改定での無謀な運転時間の短縮や、総武快速線のレール破断に象徴される安全の危機に対し、48時間のストを貫徹して247本の電車を運休に追い込んだ。この闘いはJR体制を揺さぶり、全日本の労働者を限りなく激励した。
 今日、全産業で安全の危機が進行し、労災が多発している。反合・運転保安確立を掲げた動労千葉のストライキは、労働者の普遍的な利害を体現した闘いだ。資本と闘わなければ、労働者の命は守れない。
 さらに3月29日、動労千葉は大幅賃上げとJR貨物の新賃金制度導入阻止を掲げて第3波のストに立った。今春闘で日本経団連は「ベースダウン」を公然と叫び、定昇解体に踏み込んだ。まさにその時、動労千葉はストライキの号砲を上げた。動労千葉のように労働組合の原則を貫いて闘いぬけば、敵の危機と矛盾を突いて勝利できるのだ。

 教育労働者の決起に続こう

 階級情勢は確実に変化している。東京都知事・ファシスト石原による「日の丸・君が代」強制に対し、処分の恫喝に屈せず、都高教組合員など約300人が拒否を貫いた。その背後には全国数千人の教育労働者の闘いがある。これを促したのは、教育基本法改悪−改憲への激しい怒りと危機感であり、3・20の大高揚が生んだ勝利への確信だ。
 さらに、春闘後半戦では民間中小でストライキを含む闘いが果敢に闘われた。私鉄総連の相模鉄道労組や関東バス労組、千葉海浜交通労組などでは、分社化・賃下げ・首切り再雇用の攻撃に、ストでの反撃がたたきつけられた。中小の粘り強い闘いは、金属大手のベアゼロ・定昇解体という逆境の中で、昨春闘を上回る賃上げをかちとっている。
 総評解体以来、闘う労働運動の中心軸をなしてきた国鉄闘争は、4月13日、国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団の3者共闘のもとに日比谷公会堂に3500人を結集して、1047名闘争の新たなスタートを切った。このように階級闘争は確実に地殻変動を始めたのである。

 第3章 団結こそ労働者の武器だ 闘う労働運動の復権を!

 労働者階級が本当に勝利するためには、JR総連のファシスト労働運動や、帝国主義の手先と化した連合中央ら御用幹部を打ち倒さなければならない。
 小泉政権は、有事立法にも改憲にも賛成した連合指導部の総屈服につけ込み、労働者の生活・権利・生存を奪う一大攻撃を強めている。今国会は、戦争法案と並んで、治安弾圧法案、生活破壊法案が立て続けに出されている。小泉政権は、日本経団連・奥田路線と一体化して、年金制度改悪を強行しつつある。労働者からの収奪を強め、年金を削減し、退職した労働者の生活は保障しないというのである。連合中央や民主党は、小泉と対立しているように見えながら、その実、年金解体の推進者だ。
 労働者の賃金を半減させると言い放ち、終身雇用制を解体して不安定雇用を強い、権利も社会保障も奪い去る資本の攻撃に、もうこれ以上、我慢はできない。今こそ腹の底からの怒りを解き放とう。
 今春闘で日本経団連は、春闘終焉(しゅうえん)論を強調し、「企業の存続、競争力強化の方策を討議し、検討する『春討』『春季労使協議』へと変えていく」とうそぶいた。
 さらに、闘う労働運動・労働組合への刑事弾圧、共謀罪の新設や司法改革、労働組合法の改悪は、国家暴力で労働者の団結を打ち砕こうとするものだ。
 連合指導部は、ベアゼロ・定昇解体、成果主義賃金導入などの資本の攻撃をことごとく受け入れ、敵の攻撃に内部から呼応し、労働者の団結を職場のレベルから解体する裏切り者だ。その最先兵となっているのがJR総連カクマルだ。
 こうした時代の中でこそ階級的団結を取り戻そう。労働者階級は、いかなる抑圧や暴虐にさらされようと、絶えず団結を築き上げて資本と闘ってきた。労働力を売るほかに生きるすべのない労働者にとって、自らの生存と権利、尊厳を守りぬく最も確かなより所は、団結して資本と闘うことにほかならない。
 国鉄1047名闘争は、労働者の階級的団結をめぐる攻防の最先端に位置している。この闘いを軸として、闘う労働運動の復権をかちとろう。

 国際連帯を強化し闘おう

 労働者階級の団結とは、本来、国際的なものである。メーデーは1886年5月1日、8時間労働制を要求して立ち上がった数十万のアメリカの労働者の闘いと、これに対して襲いかかった凶悪なデッチあげ弾圧に由来する闘いの日だ。第2インターナショナルは創立大会で、8時間労働制確立に向けたアメリカ労働者の闘いを支持し、5月1日を労働者の闘いの記念日とすることを決定した。労働者は、国際的に団結して闘わなければ勝利することはできない。
 韓国の労働者階級は、盧武鉉(ノムヒョン)弾劾政局と総選挙をめぐる激動の中で、民主労働党10人を国会に送り込む勝利を手にした。イラクの労働者階級は生存をかけて労働運動に続々と立ち上がっている。これと連帯して闘おう。
 昨年11月9日、全日建運輸連帯関西地区生コン支部と全国金属機械港合同、動労千葉の3組合が呼びかけた労働者総決起集会には、韓国の民主労総ソウル地域本部とアメリカのILWU(国際港湾倉庫労組)が合流した。真に闘う者同士の国際的連帯が打ち立てられたのだ。これが、3・20の巨大な総決起を根底において押し開いた。
 こうした闘いを引き継ぎ、戦争と資本攻勢が吹き荒れるこの時代を、階級的=国際的団結を打ち固めて闘おう。帝国主義を打倒し、労働者階級が真に社会の主人となる社会、戦争も失業もなく、搾取も抑圧もない社会をつくろう。
 5・21明治公園に労働者は大結集しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号1面2)(2004/05/03)

 ワールド・アクション 500人が渋谷をデモ

 “小泉に本気の怒りを”

 「STOP WAR!WORLD ACTION」が主催する渋谷ピース・ウォークが4月17日、500人の参加でかちとられた。日本人の拘束と解放のニュースが駆けめぐる中、今こそ小泉政権を打倒し自衛隊の即時撤退と有事法制阻止をかちとろう、と人びとに熱く呼びかけた。
 冒頭、司会を務めた都内の青年労働者と女子学生が、ファルージャ大虐殺に加担する日帝・小泉を弾劾し、集会妨害と弾圧のために群がる私服警察に怒りの抗議をたたきつけた。
 この間、首相官邸前では連日1千人を超える人びとが深夜まで、あるいは徹夜して自衛隊の即時撤兵の声を上げた。その場から合流した青年が次々とマイクを握った。
 埼玉の青年は「私は自衛隊派遣に賛成だったが、人質事件をめぐる日本政府の心ない対応を見て政府や自衛隊への不信感を持った」と発言。ボランティアの青年は「本当の支援活動をする人たちが、自衛隊派兵で危険にさらされている」と小泉政権を弾劾した。前日座り込んだ青年は日米安保を弾劾した。カナダ人の男性は「小泉政権を倒そう」と日本人民に呼びかけた。
 司会の女子学生が有事7法案の廃案を求めるアピールを行った。また、集会前にJR渋谷駅で行ったアンケートで、自衛隊の即時撤兵への賛成が186人、反対は50人だったと報告した。スタッフの女性労働者は「3月20日の闘いを引き継ぎ、ナショナルセンターの枠を越えた闘いを実現しよう」と、5・1メーデー決起と5・21の10万人結集を呼びかけた。
 女性労働者が「私たちの本気の怒りで、人びとを戦争反対で団結させよう」と呼びかけて、元気にデモに出発した。
 「イラクの人と手をつなごう。本当の敵は小泉だ」「射撃訓練と米兵輸送の自衛隊は撤退しろ!」「治安弾圧を許さないぞ!」――怒りのシュプレヒコールが街中に響き渡った。「3人は何も悪くない。米軍に加担している政府こそ謝れ」「小泉は人質・家族、国民に謝罪し、自衛隊を即時撤収しろ」などのメッセージボードが注目を集めた。
 拘束された人びとを「非国民」扱いし自衛隊の侵略派兵を居直る小泉政権に、参加者の怒りがたたきつけられた。これに共感した若者、労働者がどんどん合流した。この4月に教育労働者になった青年は「日本人が解放されたから解決というのではなく、自衛隊派兵の是非をみんなで考えていかなくてはと思った」と飛び入りした理由を語った。
 デモ後、元自衛官が「過労死を強制された元自衛官の叔父のためにも闘う」と決意表明。最後に、デモの先頭に立った女性労働者が「自衛隊を撤兵させイラクやパレスチナの人びとを解放する闘いは、私たちに巻き付いた鎖を引きちぎる闘い」と発言し、5・21の大結集を重ねて訴えた。
 また同日、大阪では百万人署名運動の呼びかけで「引き戻そう自衛隊・つぶせ有事法4・17行動」が闘われた。(詳報次号)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号2面1)(2004/05/03)

 結成25周年−新たな飛躍へ 動労千葉04春闘スト決起の勝利の教訓

 動労千葉3役に聞く

 3波の貫徹でJR体制に風穴

 現場からの闘いで活性化 小泉−奥田に一矢報いる

 国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は、1979年3月30日に動労本部から分離・独立して現在の組合を結成して以来、25周年を迎えた。その04春闘において、3波のストライキを打ち抜いて、JR資本とJR総連の結託体制に風穴を開ける画期的な勝利をかちとった。2月10日の指名スト―長期非協力闘争突入から50日間にわたる闘いは、動労千葉の歴史に新たな一ページを記し、さらなる団結と飛躍に向けての出発点を築くものになった。3・20国際反戦共同行動の大成功や、04春闘での連合指導部の裏切りを突き破る中小労組などのスト決起、大量処分の恫喝に屈せず闘い抜かれた都立高校などの卒業式・入学式における教育労働者の「君が代」不起立闘争、そして4・13国鉄闘争支援大集会の3500人の結集など、日本労働運動の地殻変動が始まっている。これら今春の闘いに動労千葉のストライキが大きなインパクトを与えたことは疑いない。この闘いを指導した動労千葉本部執行部三役にお話をうかがい、04春闘ストの画期的な闘いを振り返った。そこには、労働組合とは本来どうあるべきかという普遍的なテーマがある。ともに、動労千葉労働運動から学ぶべき教訓を考えてみたい。(本紙・大沢 康)

 団結の力を発揮した50日間の闘争

 まず、04春闘の3波のストライキを闘い抜いた感想と総括を三役に聞いた。
 田中康宏委員長は、「第2波ストの時、DC会館に結集した組合員に、中間総括的に『組合員みんなの表情が明るく、いい闘争になったと確信を持った』と訴えました。それが一番感じたことです。それは、直面している問題に対する的確な闘争になったということですね。組合員が、今度の闘争は状況を打開したという実感を持てた。核心は、執行部が状況をどう見て、どう提起するか、どう腹構えを持つかということです。その重要性を私自身があらためて感じた。それに組合員が本当によくこたえて、総決起してくれました」と、全体を総括する。
 君塚正治副委員長は、「闘いが終わったという気はしない。私の担当する貨物では、今後、新人事・賃金制度が入ってこようとしているから、一安心とも言えない。しかし今年は、目の前の職場の闘いが中心だったから、『目に見えて何かが動いたね』と、組合員が活性化した。職場から闘いを起こしたので、組合員が一番活躍して頑張ったし、元気がよかった。これをステップに、継続して闘いたいという気持ちです」と、今後の決意を語る。
 繁沢敬一副委員長は、「去年12月の習志野電車区廃止阻止闘争を含めると、4カ月の闘争になる。本当に組合員が一生懸命やってくれました。今度の闘争では、予科生(運転士資格を持っていて運転士に発令されていない)の運転士登用を掲げましたが、私の職場にも予科生がいます。『どうなっているんだ』と聞いてきたし、幕張電車区の構内運転士への登用についても聞いてくる。2月にHさんの強制配転問題で予科生のことをクローズアップして、組合員は本当に自分たちの闘いだと思った。それが2波、3波の闘争にもつながった。執行部としてはけっこう大変だったけど、いい闘争だったと思っています」と振り返る。
 中村栄一書記長は、「われわれの闘いが敵に風穴を開けたけれど、まだそこから敵のはらわたを引きずり出しているわけじゃない。これを本当に大きな動きにしなければいけない。現場に即した闘いだったから、安全問題など、現場組合員が他労組にも声をかけやすい課題だった。千葉運転区支部は第2波ストの時に久しぶりに庁舎前でスト破りの糾弾行動をやって、元気が出た。これからさらに、Hさんを返す、そして強制配転されている仲間を原職に戻すまで闘い続けます」と話している。
 田中委員長は専従(被解雇者)だが、副委員長2人と書記長は現職だ。君塚副委員長はJR貨物の主任運転士で新小岩支部所属。繁沢副委員長はJR東日本の車両技術係(検修)で京葉支部所属。中村書記長はJR東日本の運転士で千葉運転区支部所属だ。
 01年に中野洋前委員長から田中委員長の体制に代わり、現在2期目だ。毎年の春闘ストを闘ってきたが、今度の春闘はその真価を問う闘いだったと言えるだろう。話を聞きながら感じたのは、委員長を支える現職役員の存在の重要さだ。
 その三役―執行部が的確な方針を提起し、現場組合員が一体となって闘うことによって素晴らしい闘いになったのだ。

 階級的力関係を変える闘い

 04春闘の方針を討議したのが、1月25〜26日に開催された全支部活動者研修会だった(機関誌『動労千葉24』に収録)。田中委員長は、ここでの意思統一が重要だったと振り返る。
 「『3・20国際反戦闘争と結合させて、階級的力関係を変えよう』『小泉―奥田に一矢を報いる』という訴えが組合員の気持ちをつかんだ。また、JR体制の矛盾は特に安全問題に集中している。これを焦点に闘えば事態が動くという確信を持った。労働者への攻撃が嵐のように吹き荒れているけれど、敵の側には絶対に矛盾がある。『ここが勝負だ』と腹を決めたから、決断できた。この時には、3月13日のダイヤ『改正』を焦点としてストライキを構える方針で、2月闘争は前提じゃなかった。でも、そこで各支部三役が意思統一したから、ただちに闘いに踏み切れました」

 第1波長期非協力闘争突入の決断

 3波のストの経過を追って見ていこう。
 50日間闘争の始まりは、2月10日の指名スト―長期非協力闘争突入であった。

 不当配転撤回求め指名スト

 田中委員長は、「第1波闘争の決断が、50日間全体を決めた」と断言する。
 その契機となったのが2月2日、JR東日本千葉支社が千葉運転区所属の58歳のH運転士に強行した幕張電車区木更津支区への配転の事前通知だった。木更津支区で1月に欠員が生じたためだが、木更津には予科生のAさんがいる。動労千葉は予科生の登用により欠員を補充するよう求めた。だが当局は、定年間際のHさんを強制配転し、当局自身が「55歳以上を配転の対象としない」と言ってきたことも踏み破ったのだ。動労千葉は、Hさんの「許せない。組合に体を預ける」という決意を受けて、配転日とされた2月10日からHさんを指名ストに入れるとともに、全本線運転士を始めとする組合員を対象に所定以外の勤務、時間外労働、休日労働などを拒否する非協力闘争に突入した。
 「ここで決断したのは、12月闘争でJR体制が揺らいでいるという感触をつかんでいたからです。12月15日に習志野電車区が廃止されたが、動労千葉の組合員だけが希望どおりの異動になった。この過程で、駅から検修職場に戻すという話も、当局との間で交渉になっていた。事態が動いているぞ、と感じていた」と田中委員長は語る。
 「新体制として初めての無期限闘争です。一歩間違えば『泥沼』だけど、無鉄砲に突っ込んだわけじゃない。やはりこの間の蓄積があった。特に00年にシニア制度の締結を拒否したことです。動労千葉組合員だけ再雇用されないから、当時は退職になる組合員と『じゃあどうするんだ』と、けっこうきつい議論になった。一方で3年間、ストを闘って外注化を阻止してきた結果、シニア制度で退職者を外注会社に雇用して業務をやらせようとしていた当局の攻撃がとん挫した。焦点になっていた幕張支部では力関係を変えて、職場の支配権を組合の側が握ったわけです。また、この2〜3年で3分の1が退職になるという要員不足の現実がある。ここで闘えば、幕張への要員補充、つまり駅などへの強制配転者の原職復帰の可能性もある」

 敵側の矛盾を的確に突いた

 三役がみな強調するのは、「JR体制の矛盾を的確に突いた」ということだ。@JR資本とJR総連カクマルの結託体制の矛盾、A要員問題の矛盾、B安全問題の矛盾、の三つの矛盾だ。
 君塚副委員長は、「動労千葉がずっと闘ってきたから矛盾が噴き出したのであって、闘わなかったら矛盾は絶対に出てこなかった」と言う。
 だから、この機をとらえて、Hさんの配転の撤回、予科生の士職登用、駅などへの強制配転者の原職復帰などの懸案要求の解決を迫って闘争に突入したのだ。
 繁沢副委員長が「今までは、強制配転でも、通知が出れば行っていた。それを初めて指名ストに入れて、実際に行かないという形にした」と語るように、戦術的には激しいものだ。「それが結果的によかった。組合員も本気だなと思ったんじゃないかな」
 中村書記長は、「運転士が所定以外の勤務に乗らないということは、例えば列車ダイヤが乱れた時に『別の列車に乗ってくれ』と言われてもハンドルを持たないということ。山猫スト的な意味もある」と言う。
 また、総武快速線の錦糸町から東京駅の地下ルートに入る際の保安装置がATS―Pに切り替わるのが2月29日に迫っていた。当局はそのための訓練を運転士に時間外でやらせる予定だったが、動労千葉が時間外労働を拒否したため、予備勤務者(病欠などが出た時に乗務するために待機)に業務指示でやらせようとした。動労千葉はこれも拒否して指名ストに入れた。
 中村書記長は、「うちの組合員が2月29日以降、錦糸町から先を運転しない場合、処分が出る。俺は当然、首も覚悟しなければいけないと判断していた。千葉転支部の年配者は『おまえ、こんな闘争に入ったら、倒しどころがないじゃないか』と心配してくれた。だけど、みんな怒りと迫力を持ってガーッと行った」と語る。また、「中野前委員長がよく言う『現場の組合員に依拠して闘う』ことの本当の意味が問われた。指導部は指令を出すけど、実際に闘うのは現場の組合員ですから。組合員は、指導部がどうしゃべるか、どういう顔をしているか、みんな見ている。他労組も当局も見ているから、日々が闘いだということをすごく意識した」と、指導部の意識性を強調する。
 執行部は、千葉支社が「Aさん(予科生)を運転士に登用する。配転者を検修職場に戻す」などの「収拾案」を提示したため、2月22日の定期委員会で画期的成果を確認し、25日の24時をもって闘争集約の指令を出した。分割・民営化攻撃以来、初めて具体的な成果を獲得して闘争を集約するという、かつてない闘いとなった。
 「迷ったら一歩前進して闘いに踏み込む。いつ終わるのか分からない闘いになる。それは覚悟の上で、Hさんを守る。これが一番組合員にアピールするところだった。厳しい闘いになることを分かっていても、組合員はついてくる。JR発足以来17年間、何も得るものがなくても仲間を裏切らずにみんな頑張ってきたことが、今回、こういう結果に出たんです」と君塚副委員長は、その意義を語っている。
 中村書記長も、「17年間、動労千葉は闘い続けることでボディブローを打ち続けてきた。それがじわじわ効いていることが、今回示されたんです。いつかストレートパンチで倒してやらなきゃいけない」と新たな決意を語る。
 田中委員長は、「労働者が団結した時の力を示した闘争になった。新しい執行体制で、本格的な闘争をやりきりました」と、第1波闘争を総括している。

 反合・運転保安確立は闘いの原点

 3月12〜14日の第2波ストは、安全問題を最大の焦点として、13日のダイ改で総武緩行線(各駅停車)の千葉〜御茶ノ水間で6分40秒もの運転時間短縮が行われることなどに反対して決行された。88年12月の東中野駅での列車追突事故など、時間短縮による運転保安の崩壊は、動労千葉組合員にとっては、まさに自らの命のかかった課題だ。
 中村書記長は、「『闘いなくして安全なし』と言うけど、俺たち運転士は『闘わなければ殺される』って、みんな実感している」と危機感をあらわにする。
 特に、千葉支社管内で今年に入って、レールが折れる事態が相次いだ。1月6日には総武快速線の津田沼〜幕張間でレールが破断し、2aものすき間ができているのが発見された。
 「その朝の1番目に走った貨物列車を、うちの組合員が運転していた。その次に快速の1番列車を運転していたのが俺だった。その次の列車も組合員。レールなんて、そう簡単に折れるものじゃない。俺たちは列車の先頭でハンドル握っているわけで、このままでは大変だと実感した」と言うのは中村書記長だ。
 「3月に荒川鉄橋でレールがずれていた時も、うちの組合員が新小岩駅で止められた。東金線のレールのつなぎ板のボルトが4本取れているのを見つけたのもうちの組合員です。そういうレールの上を走らされていることに怒りがある」

 安全破壊するJR結託体制

 昨年のJR中央線の大規模輸送混乱などで、12月に国土交通省がJR東日本にJRでは初めての「事業改善命令」を出した。安全の危機は、国交省が規制緩和を進めてきた結果だが、JR東の現実は容認できないものだ。これをJR総連カクマルは「どす黒い攻撃の刃(やいば)」「政治的意図をもったJR東日本労使への攻撃」(東労組『緑の風』)と言いなしている。「責任追及から原因究明へ」と言ってJRの安全破壊の元凶となってきたのがJR総連カクマルである。
 安全の危機は検修職場でも実感している。繁沢副委員長は、「京葉電車区には今度、基地の統廃合で、東京の豊田電車区から電車を持ってきたけれど、あまり手入れがされていない。千葉の方がちゃんと仕事をしている」と言う。中村書記長は、「うちの組合員が多い幕張電車区では、『時間がかかっても、見ないと危ない』と、ちゃんと検査する。うちの組合員がいないところだと、当局は『見なくていい』と、どんどん要員を削減する。安全の切り捨てだよね」と応じる。
 貨物職場でも同様だ。君塚副委員長は、「貨物列車は旅客と同じレールを走っている。通勤時間帯を避けて、夜間を走ることが多い。線路にタイヤが置いてあったりすると、だいたい貨物列車がぶつかる。旅客で新設した信号機を貨物に教えないこともある」と言う。さらに「反合・運転保安闘争は、動労千葉結成当時からの闘いの基本です。組合員は安全問題では怒りをもって、すぐ闘いに入る。当局とも言い合う。駅長だろうが指令だろうが『おかしいことはおかしい』と。それがうちの強いところだし、原点だから、一番元気の出る闘争だった。反合・運転保安闘争はこれで終わりではない。合理化のツケがこれからどんどん出てくる」と訴える。
 動労千葉は、レール破断への対策や運転時間短縮の撤回などを求め、ギリギリまで交渉を続けた。その過程で千葉支社が、「マスコミに気をつけろ。特に写真は公表するな。『折れた』とか『折損』という言葉を使わず、『ヒビ』に統一しろ」という内部文書を出していたことが発覚した。このことを追及すると、当局は開き直ったが、スト戦術の拡大を突き付け、ついに当局が動労千葉に謝罪してきたという。
 「問題は保線です。保線にはうちの組合員はいないから、動労千葉を無視しても物事が進むはず。だけど今回は、結果として動労千葉には謝罪し、保線に組合員がいる国労には当局は開き直った。当局と組合との力関係は、団結して闘うことで築けるものです」と、田中委員長は指摘する。
 中村書記長は、「安全問題は、乗客にもかかわることだから、動労千葉が安全問題でストをやったことをマスコミも取り上げた。2波も所期の目的を達成した」と総括する。

 貨物の新賃金制度を阻止

 今春闘では、3月17日に金属大手が軒並みベアゼロ回答を出し、JR東日本も翌18日に3年連続のベアゼロを強行した。JR東労組は「労使協力して一層の効率化に取り組む」という議事録確認を結んで、即時妥結した。動労千葉は再回答を求めて交渉を続けた。
 焦点は29日回答のJR貨物だった。その日に、動労千葉は貨物の地上勤務者を始めとする正午からの半日ストを闘った。夕方に貨物会社はベアゼロ回答を強行したが、4月からの新賃金制度導入は断念した。動労千葉は、3波のストの勝利を意気高く総括した。
 君塚副委員長が訴える。
 「貨物は5年連続ベアゼロです。分割・民営化の矛盾が集中しているのが貨物で、無理やり経営している状況です。8年連続赤字が続き、当局も『赤字だからベアゼロ』と言っていたのに、01〜02年度は2年連続黒字、03年度も黒字になる予定だけど、ベアを実施しない。『闘ってもベアは取れないよ』という組合員をどうやって決起させるのか、そこが一番の課題でした。貨物は、同じ条件なら、年収で旅客と150〜160万円以上は違う。だけど、闘いがあれば合理化に手を着けられないんですよ。団結力を示して、『俺たちに攻撃をかけたら、絶対にかみつくぞ』という闘いなんです。だから旧千葉管内では、動労千葉の組合員だけは配転がない。今後ともトータルな闘いを春闘の時期に続けていきたい」
 中村書記長は、「当初は『貨物は赤字だから』みたいに思っていたけど、東日本も3年連続最高収益を上げていてもベアゼロなんだから、闘わなければ東も賃金制度が変えられる。特に『平成採』の青年労働者は、もう賃金が上がらないということだから、怒りは強い」と言う。
 田中委員長は、「『赤字だからベアゼロ』というレベルじゃないことは、組合員も分かっている。これは敵の攻撃です。資本が黒字なら賃金が上がるなら、トヨタなんか、ばく大な給料が出ている」と語る。
 また、君塚副委員長は、「われわれは生活ベースで『これだけ必要だからよこせ。経営者にはそれだけ支払う責任がある』と言うべきです。『取れないのが分かっていて、どうして要求するのか』と言う組合員もいるが、『それが労働者として当然の権利だ』と組合員に教えなくちゃダメなんです。『世間相場が1000円だから、1000円よこせ』では、労働者じゃない」と、3万8000円の大幅賃上げを要求し続けることの重要性を指摘する。

 3・20の地殻変動情勢とかみ合う

 動労千葉の春闘ストは、冒頭に確認したように、3・20国際反戦闘争に心棒を入れる闘いだった。それは、昨年11・9日韓米国際連帯集会の地平を発展させる闘いでもあった。
 田中委員長は、「うちの組合員の中には『ほかの組合は何もやらないじゃないか』という思いがずっとある。そういう中で『3・20の10万人結集へ動労千葉のストでインパクトを与えよう』という提起は、リアリティーを持ってとらえられた。ここで大統一戦線を実現しようという思いが、陸・海・空・港湾労組20団体などとも完全に一致した。本当に歴史的な日になりました」と総括する。
 中村書記長は、「実際にイラクに自衛隊が派兵されている。その中で、国際連帯が現実化した。労働者が団結して闘わなければ戦争は止められない。連合や全労連が統制をかけているのに、そこで反乱が起きている。連合、全労連にも闘う仲間をつくる可能性を示した。ここで小泉―奥田に一矢報いるだけじゃなくて、ひっくり返さなきゃダメだね」と訴える。
 君塚副委員長は、3・20日比谷小音楽堂の集会に参加して、「隣にJR総連がいたけど、全然、元気がない。拍子抜けしちゃった」と感想を語る。動労千葉の意気上がる隊列とJR総連の惨状は、対照的だった。ここでも04春闘勝利の地平を確認できる。
 さらに、3・20の高揚の中で、労働運動の新しいうねりが始まった。特に、都立高校などの卒業式で数百人の教育労働者が処分恫喝をはね返し「君が代」斉唱に不起立で闘ったことは、「動労千葉にとって最大の援軍だ」ととらえている。
 中村書記長は、「あれには空気入る。石原に攻撃され、日教組はもうダメじゃないかと思っていたから。うちが『処分するぞ』と言われてストに立つのと一緒だからね」。田中委員長は、「例えば都高教本部が、『日の丸・君が代』闘争で教育基本法改悪をぶっつぶすという方針を立てて指令を出したら、すごい闘いになる。組合本部が『職務命令に従え』と指示する中で、あれだけ闘ったわけでしょう。労働者が持っている力を感じました。動労千葉の訴えが情勢とかみ合って、多くの労働者の気持ちをつかみ始めているんじゃないか」と語る。

 国鉄闘争勝利の展望を示す

 動労千葉の04春闘ストはまた、1047名闘争勝利の展望を指し示した。
 中村書記長は、「動労千葉が国鉄分割・民営化に反対し続け、分割・民営化は貫徹していないわけです。国労が残り、全動労が残り、われわれが残って1047名闘争を闘っていることは、敵の最大の弱点を突いている」と言う。そして「3争議団が一緒に闘おうと、われわれは何年も前から呼びかけている。今、3争議団が並ぶ状況がつくられているのに、いまだに『動労千葉排除』と言う人たちがいる。国労が1047名闘争を闘えないような組合になるなら、もう『解体的再生』しかないと思う。5・27臨大闘争弾圧で仲間を警察に売るような組合は、『許さない会』運動で再生するしかない」と怒りを込める。
 国労に対する動労千葉の批判は厳しい。繁沢副委員長も、「組合員を警察に売るようでは、もう国労という名前を残してもダメだと思う。動労千葉が国労組合員も東労組組合員も全部取りたい気持ちです。『動労千葉のように闘おう』と言うより、『動労千葉と一緒にやろう』と、動労千葉の闘いを広げていきたい」と訴える。
 田中委員長は、「僕らは労働運動の新しい地殻変動が始まり、チャンスだと見ている。JR総連カクマルもガタガタで、チャンスです。だから必死にJR資本と闘って情勢をこじ開けようとしている。国労組合員も、執行部が必死になって闘いを訴えれば怒りをもって立ち上がる労働者です。国労はその力を無駄にしている。1047名闘争について『年金だけは取りたい』なんて話ばかりしている。結局、政治解決路線ではダメです」と断言する。
 君塚副委員長は、「『迷ったら原点に返ろう』と思うわけです。国家が不当労働行為をやって首を切ったわけだから、まずそれを撤回させ、名誉回復をする。国労の名のもとに首を切られたんだから、国労が責任を持って面倒を見る。動労千葉組合員は動労千葉が責任を持つ。そして一致団結して闘えば、1047名闘争は全国の闘いの結集軸になれます」と訴える。
 「結局、資本主義社会だから、資本と労働者階級は対立する。労働組合は、資本に対して労働法も活用して団結して闘うためにある。だから、『動労千葉のように』と言わなくても、他人の足を引っ張らず、労働者らしく誇りを持って闘ってほしい。『動労千葉はすごい』と言われるけど、労働組合の原点の闘いをやっているだけなんです」
 それは、国鉄労働者だけでなく、全労働者への呼びかけだ。

 『俺たちは鉄路に生きる』の発展へ

 動労千葉は、04春闘の勝利の地平の上に、組織拡大に向けての新たな挑戦を開始した。中村書記長が決意を込めて語る。

 組織拡大こそ最大の課題だ

 「やり残した最大の課題は『平成採』の獲得です。東労組は青年部もガタガタしているし、可能性はあります。よく前委員長が言いますが、『動労千葉に来るのは党派的選択を伴うものだ』ということです。労働者としてどう生きるのかを問い、仲間として一緒に闘っていこうと訴えることです。書記長に就いた時点から、動労千葉が職場の主導権を握りたいと思っていますから」
 繁沢副委員長は、「動労千葉のあらゆる課題を解決する一番の力が組織拡大です。そこで、予科生の登用や原職復帰も実現できる」
 君塚副委員長は、「正しいことを正しくやっていれば人が集まるわけではない。それにプラスアルファが必要です。それを見つけて、頑張っていきたい」
 田中委員長は、「動労千葉の闘いが本当の意味で労働運動全体の起爆剤になるのは、組織拡大を実現できた時です。委員長として一番求められているのは、そのために本当に組合員の総決起体制をつくることだと思っています。25周年の課題もそこに集約されます」と闘志を燃やす。
 結成25周年を迎えた思いを聞いてみた。
 君塚副委員長は、「最初は、25年もつとは思わなかった。いろんな闘いがあったけど、やっぱり情勢を的確に分析し、『闘いありき』ではなく、現場生産点の視点で方針を出しているから、25年間もったのだと思う。だから、うちの組合員は元気だし、分割・民営化の大きな荒波も越えられた。仲間を裏切るような、労働者として最低のことは絶対にしない。そう考えれば難しいことじゃなかったのかな」と振り返る。
 昨年夏に出版された中野前委員長の『俺たちは鉄路に生きる2』は、現執行部の実践の導きの書となっている。
 繁沢副委員長は、「中野前委員長がやってきたことを自分に置き換えてやれるかとなると、けっこう読むのが大変なんです。でも、労働組合の一番大切なことは、労働者が団結することです。労働者は闘いで勝ったり負けたりするけど、結局は団結を維持することだと思う。そういう観点で読んでいます」と語る。
 「自分がまだ動労千葉に加入していない時期のことも書いてありますから、参考になる」と言う中村書記長は、分割・民営化後、90年1月に国労から動労千葉に加入した。「今また読み返しています。闘争をやっていて、悩んだら読み返す。忙しさにかまけて、労働者として原点に返り、原則的に闘うことを忘れているんじゃないか。それに気づくために読みます。特別な闘いじゃなくて、原則的に仲間を守って、情勢を判断し正しい方針のもとに闘ってきた集大成がこの中にある。だから、壁に突き当たった時に読む。『動労千葉24』で布施前副委員長が言うように『とにかく読め』、何回も読むことです。あの本にもあるように、左に行って残っているのが『奇跡』なんだから、さらに組織拡大する『奇跡』を起こそうと思います。絶対に次世代を取ろうってことですね」
 中村書記長が一番印象に残っているのは、「青年部のヘルメット問題」だと言う。77年に、動労本部が白ヘルに青いテープをまいたカクマルのヘルメットを千葉地本青年部に強制した。当時の中野書記長が、「これはわれわれを排除して、再登録にかけようと考えているな。挑発には乗らない」ということで、そのヘルメットをかぶれと指示した時のことだ。「青年部が涙を流して『いやだ』と言っているのを、指導する側はやらせなければいけない。困難なことでも意地でもやらせる。あそこは、うなったところだね」
 田中委員長が決意を込めて語る。
 「委員長の立場で読んで思うのは、あの本に貫かれているのは、徹底的に目的意識的に闘いをつくっていることです。闘いを決断したら、組合員を勇気づけて決起させて情勢を切り開く。その連続です。私も労働組合の指導部として今度の50日間闘争の過程で一番問われたことです。理屈では分かっても、実際に当局との関係など毎日新しい事態が起きる。その中で決断して闘いを貫くことの大変さをつくづく感じます。85年、分割・民営化に反対してストライキに立つことを決断した時の話で、こういう言葉がありました。『こいつらと生死をともにしよう。僕が本当に自分の全存在をかけて、命がけで闘いの先頭に立てば、必ずついてきてくれる』。それを本当に確信を持って言えるようにならなければいけない。動労千葉の組合員はスト方針を出せば決起するけれど、それに甘んじちゃいけない」
 25年の闘いを引き継いで、『俺たちは鉄路に生きる3』に向けた新たな闘いが04春闘で本格的に始まったのである。

 動労千葉04春闘の経過

 ■全支部活動者研修会
○1月25〜26日 小泉―奥田路線と対決して04春闘にストライキで総決起する方針を確認
 ■春闘第1波闘争――2・10〜25 長期非協力闘争
 ・Hさんに対する配転の事前通知撤回
 ・予科生の運転士登用、強制配転者の原職復帰
 ・検修職場への要員補充、業務外注化計画の撤回
○2月2日 Hさんに強制配転の事前通知(10日発令)
○9日 緊急総決起集会/千葉支社抗議行動
○10日 無期限の指名スト―非協力闘争突入
 ATS―Pの訓練や休日勤務の業務命令をめぐって直ちに指名スト拡大。指名ストは24日まで24人
○22日 第50回定期委員会
○25日 画期的な成果を確認し、24時をもって闘いの集約を指令
■春闘第2波闘争――3・12〜14 反合・運転保安スト(247本の運休)
 ・総武緩行線の運転時間短縮反対
 ・メンテナンス外注化反対
 ・レール破断への抜本的な安全対策の実施
 ・安全に関する規制緩和反対・運転法規の遵守
○3月6日 04春闘勝利!首都圏討論集会(動労千葉主催、すみだリバーサイドホール)
○7日〜 1週間決戦方針。連日のビラまき街宣、職場での組織拡大オルグ
○11日 JR千葉支社当局が線路破断の隠ぺい文書について謝罪/記者会見(特に線路破断問題は毎日新聞で大きく報道される)
○12日 スト突入/スト総決起集会
○13日 各拠点ごとにスト総決起行動
 西船橋駅に配転されていたYさんが幕張電車区に復帰。木更津の予科生Aさんも運転士発令に向けた運転適性検査始まる
 ■3・20国際反戦行動
 100人の組合員が日比谷公園に結集
 ■春闘第3波闘争――3・29スト
 ・ベアゼロ回答打破、貨物賃金制度改悪阻止
 ・年金、団結権防衛
○18日 東日本がベアゼロ回答(東労組が妥結)
○23日 再回答要求に東日本が拒否回答
○29日 正午を期してスト突入(貨物地上勤務者、東日本検修職場)
 スト総決起集会。ベアゼロ回答を弾劾するとともに、04春闘の勝利を高らかに総括。貨物はベアゼロ回答を強行。4月からの新賃金制度導入は断念

 動労千葉25年の闘いの軌跡

1979年 3月 動労千葉地本臨時大会で動労本部からの分離・独立を決定。国鉄千葉動力車労働組合の結成大会
    4月 動労本部の「オルグ」=武装襲撃との闘い
1981年 3月 成田空港へのジェット燃料貨車輸送阻止のストライキ。4人が公労法解雇
1985年 11月 国鉄分割・民営化に反対し第1波ストライキ。20人が公労法解雇
1986年 2月 第2波ストライキ。8人が公労法解雇
    4月 映画『俺たちは鉄路に生きる』(宮島義勇監督)が完成。以後、全国で上映運動
    5月 物資販売活動を本格開始
1987年 4月 JR体制下の闘いに突入。12人が清算事業団送りに
1988年 5月 駅売店への強制配転者を対象に長期波状ストライキ
1989年 12月 東中野事故1カ年糾弾・運転保安を掲げJR発足後初めて乗務員のストライキ
1990年 3月 84時間ストライキ
    4月 清算事業団から1047人(うち動労千葉9人)が整理解雇
1995年 11月 勝浦運転区廃止に反対し72時間スト
1996年 6月 恒常的スト体制の確立
1997年 3月 公労法解雇28人全員の解雇撤回かちとる
1998年 11月 関西生コン、港合同、動労千葉の3組合呼びかけで全国労働者総決起集会。以後、毎年11月に集会
2000年 9月 「シニア協定」締結を拒否し、地労委に申し立て
2001年 10月 第30回定期大会で田中委員長―中村書記長の新体制を確立
2002年 10月 1047名闘争の「団結まつり」で動労千葉、国労、全動労の3争議団が演壇に並ぶ
2003年 3月 イラク開戦直後に90時間ストに立ち、「03春闘勝利! 全国労働者集会」を開催
    11月 3労組呼びかけの全国労働者総決起集会に、韓国とアメリカの闘う労組が合流

中野洋前委員長著
『俺たちは鉄路に生きる2』から
◆体制内労働運動か階級的労働運動か
 「『敵は盤石じゃない。敵の攻撃の中には絶対に矛盾がある。労働者のチャンスなんだ』ととらえるということは、簡単なことではなかったかもしれない。しかし、このことをもうちょっと突っ込んで考えると、体制内労働運動か、階級的労働運動かという問題があるということです」(165n)
◆「闘えば必ず分裂する神話」を打ち砕く
 「戦後の労働運動の歴史の中で、『右の側から』の組織拡大はいくらでもありますが、『左の側から』の組織拡大を実現することができた労働組合というのは、いまだかつて存在しないんです。動労千葉はそれにも今、挑戦中です。JR総連を解体して、平成採の青年労働者を一気に組織してやろうという組織拡大闘争です」(167n)
◆職場闘争と反合・運転保安闘争
 「職場闘争とは、敵の弱点・矛盾をつき、味方の団結を強化・拡大する闘いである」
 「僕らは運転職場ですから、運転職場で当局の最大の弱点は、安全ということなんですよ。つまり安全に列車を走らせるということは、何にも増して優先されなくちゃいけない。これは逆に弱点なわけです。敵のやってくることで安全を無視することがいっぱいある。これを逆手にとってやったのが、反合理化・運転保安闘争です」(57〜58n)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号3面1)(2004/05/03)

 JR総連は軍事輸送に協力

 “法律通れば反対できない” 松崎が講演で全面屈服を誓う

 動労千葉の3波のストライキを先頭とした04春闘と3・20国際反戦共同行動の高揚は、労働運動の地殻変動を推し進め、日帝資本―小泉=奥田体制との階級的な力関係を転換する情勢を切り開いている。この激動情勢は、JR総連カクマルを一層の危機にたたき込んでいる。
 JR東日本とJR東労組カクマルの結託体制が崩壊する危機に陥り、松崎派と嶋田派の対立・分裂が決定的な段階に入った中で、2月10日のJR東労組中央委員会では、一転して「総団結」を誓ったという。
 だが、それは、松崎らがJRの利権に巣くい、ファシスト的悪行を繰り返したことが暴かれ、いよいよ国家権力とJR資本から完全に切り捨てられることに恐怖し、権力・資本への一層の屈服を誓ったものにほかならない。
 そのことを隠しようもなく明らかにしたのが、『JR東労組セミナー81』に掲載された1月の松崎明(JR東労組前顧問)の講演だ。それは、有事立法・改憲攻撃に全面屈服し、軍事輸送協力を誓うという、断じて許せないものだ。
 この講演で松崎は、有事立法に関して、次のような言辞を吐いた。
 「『法律が通ったあと、ストライキはできません。われわれは法律ができる前にそうさせないために最大の努力をするんです』……だから憲法違反の法律でも法治国家においては法律なんですよ」
 「われわれは極端な話し、貨物の仲間たちが『武器輸送反対』と言ってストライキができますか。あるいはわれわれが、北海道に列車で兵員を送るのは反対と言ってストライキができますか。それは『憲法はそんなことを認めていない、だから断固たたかう』という強い意志を持つことはとても大事ですけれども、でも労働組合としてその法律を犯して兵員輸送、ストライキをかけてストップさせるということはできないのではないですか」
 JR総連は、99年の「周辺事態法」成立後の連合大会で「自衛隊法101条によって軍事輸送を担わされることになった」と表明し、連合の「新政治方針」に対する「対案」で、自衛隊と「独立国家の自衛権」を承認することを宣言した。さらに昨年6月に成立した「武力攻撃事態対処法」などの有事関連法に基づき、交通・運輸などの事業者が業務従事命令の対象となった(JRは自衛隊法ですでに協力が義務づけられている)ことで、戦争動員の攻撃が強まっている。
 JR総連は、すでにJR貨物による軍事物資輸送に協力し、自衛隊の輸送訓練などを行っているのだ。しかも、「自衛権」の承認は、憲法改悪を積極的に推進するということなのだ。
 さらに、今国会で成立が狙われている有事関連7法案とACSA(日米物品役務相互提供協定)改定案などで、弾薬を始めとする物品・役務を米軍に無制限に保障しようとしている。この中でJRは決定的な位置を持っている。
 松崎はこの時に、あらためて“法律を犯して反対できない”と表明することで、有事立法・改憲攻撃の先兵となることを誓ったのである。
 陸・海・空・港湾労組20団体などは「有事法制を完成させない、発動させない、協力しない」という「三ない運動」を提起し、有事法制反対運動の先頭に立って奮闘している。この闘いを破壊する権力の先兵の役割を担っているのがJR総連だ。JR総連の「9条連」などは実は改憲推進運動なのだ。
 このように、なりふり構わず権力に屈服・投降して延命を図る松崎・JR総連を今こそ解体・打倒しよう。その決定的なチャンスが訪れたのだ。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号3面2)(2004/05/03)

 年金改悪絶対阻止へ(下)

 階級支配の破綻があらわに

 労働運動の階級的再生こそ社会保障解体阻む最大の力

 戦後階級関係の破壊を狙う

 「外への侵略戦争」は、必ず「内への階級戦争」を引き起こさずにおかない。日帝・小泉政権はイラク派兵を強行し、北朝鮮敵視の排外主義を扇動しつつ、ACSA改定案と有事関連法案の今国会成立を狙い、米帝の侵略戦争にどこまでも共同・競合する道を歩んでいる。内に向けては大資本攻勢と階級闘争の圧殺、団結破壊の攻撃に出ている。
 だが、すでに全世界で労働者階級の反転攻勢は始まっている。その中で、年金・社会保障問題はひとつの激突点をなしている。年金闘争が国際的な課題となっていることは、年金が賃金や労働時間をめぐる攻防と同じように、階級関係の根幹をなすことがらであることを示している。
 年金は働けなくなった労働者の命綱だ。それさえ支給できない帝国主義。老後は自己責任と言い放つ年金改悪。この攻撃は、帝国主義が未曽有(みぞう)の体制的危機に陥っていることの現れである。労働者人民の生存をかけた渾身(こんしん)の怒りに依拠し、資本と闘う労働運動の力で年金改悪を粉砕しよう。
 04年の年金改悪は、二十数年先までの年金削減・保険料増を決める大改悪だ。さらに今次改悪の先には、公的年金の企業負担をゼロにし、国庫負担(一般財源からの投入)をなくして、消費税の大増税によって(別勘定の)「ミニマム(最小限度)年金」を導入するという抜本改悪がたくらまれている。
 公的年金解体・社会保障解体の攻撃は、戦後的階級関係の一掃を狙うものだ。今次年金改悪は、日帝の帝国主義としての延命をかけた戦争下の大資本攻勢である。それは、体制的危機に陥った日帝の救済策を「国民的合意」として押し出し、全人民に犠牲を強要しようと策す、階級的団結破壊の攻撃なのである。

 改悪促進する電機連合提言

 03年の「奥田ビジョン」や04年版経労委報告、民主党の年金改悪案に先だち、02年7月、それらを先取りした「電機連合社会保障政策提言」が出されている。連合が唱える「21世紀社会保障ビジョン」や民主党の「年金改革案」は、これをベースにしたものだ。
 連合中央の屈服と裏切りの最先端を走る電機連合の「社会保障政策提言」の内容を暴露することをとおして、年金闘争が階級的労働運動を再生させる闘いとしての位置を持つことを明らかにしたい。
 電機連合の社会保障政策提言は、戦時下の大資本攻勢、社会保障解体にどこまでも屈服するという意志表明である。
 提言は第一に、「@社会・経済の成熟化、A人口減少と少子高齢化社会の到来、B非典型労働者の増加」の三つを公的年金改悪の理由に挙げている。Bではパートや派遣労働者の比率が全雇用者の35%以上になると予想している。
 許しがたいのは、10年先まで非正規雇用の増大を認め、その積極推進を唱えていることだ。しかも、「会社員(正社員)ではない企業のアウトサイダー層」という表現で、非正規雇用労働者を組織すべき仲間ではなく「外側の人」と見なしている。使用者責任の回避は資本の常套(じょうとう)手段である。それを労組が容認したのだ。労働協約の適用外に置かれた労働者の増加を労組が自ら認めることは、労働組合運動の自殺に等しい。
 提言は第二に、@社会保険未加入企業の増大とA無年金者と無保険者の増大の結果、「企業社会がセーフティネットを担う時代は終わった」と結論づける。
 提言は、労働者を襲っているこれらの現実を積極的に容認し、“企業が生き残るためには社会保障の企業負担には応じられない”という資本の暴論に「労組」の名で呼応しているのだ。労働者が歴史的にかちとってきた権利を投げ捨てる大裏切りである。
 提言は第三に、被雇用者のリスクの受け皿としての「福祉国家の再構築」を主張する。それは、“自己責任には限度があり、リスクの受け皿は社会保障だが、そのための企業負担は認めない”というものだ。「福祉国家の再構築」などと言うが、実は“企業の責任は利益を上げることにあり、社会保障は国の責任”“年寄りの面倒まで企業にみさせる制度には反対”“社会保険の保険料は本来、被雇用者が自己負担すべき”という日本経団連・奥田の論理に屈しているのだ。
 提言は第四に、「年金目的消費税」による新基礎年金の創設を唱えている。消費税率を12〜16%に引き上げてその財源に充てる、基礎年金の財源の3分の1を国庫が負担している現在の制度を廃止し、年金への一般財源からの支出はゼロにすると言うのである。
 これは大衆収奪の決定的な強化である。自衛隊のイラク派兵下でこうした主張を掲げることは、社会保障の解体と戦争財政・戦争国家化を促進するものだ。
 提言は第五に、退職一時金制度と企業年金制度で年金を確保し、「勤労者の老後生活保障を労使自治領域でまっとうするのが労働組合だ」と言う。ここでは、企業年金がない中小零細企業の労働者や自営業者、農民などの老後保障は始めから排除されている。
 しかも、「労使自治領域」などという表現で、労資関係から階級性を抜き去っている。だが退職金や企業年金は後払いの賃金、賃金の積み立て金だ。それはもともと、労働運動の力によってしか守ることはできないものだ。資本への屈服をあらかじめ表明しておいて、どうして退職金や企業年金が確保できるのか。
 連合の中でも突出した裏切りの先兵である電機連合は、このように02年の段階で社会保障制度の本格的な解体に向けての提言を出していたのである。
 この電機連合の提言こそが、民主党による年金改悪案の源泉なのだ。民主党は現在、年金改悪案の国会審議を拒否しているが、それは小泉政権と年金改悪・社会保障解体案を競い合うものでしかない。
 今回の年金改悪案と、これに「絶対反対」を唱える日本経団連・奥田の「年金抜本改革」要求、民主党の年金改革案、「年金は将来一元化すべき」という小泉発言などは、相互に対立しながらも、その階級的本質はすべて同じだ。
 にもかかわらず、年金問題を俎上(そじょう)に乗せた途端に、支配階級内部における対立が噴き出したのだ。年金問題は階級関係にとってそれほど大きな位置を占めている。

 生存権を奪う帝国主義倒せ

 年金改悪を阻む道は、階級的労働運動を再生させ、小泉政権打倒へと徹底的に闘うことにある。
 労働者人民の生存にかかわる年金・社会保障の解体に手をつけた小泉政権の攻撃は、資本主義・帝国主義がすでに歴史的命脈が尽きたことを示している。労働者人民を生かしていくことができなくなった帝国主義は、労働者階級の闘いで打倒しなければならない。
 年金問題は、連合の屈服や国会内攻防の次元を吹き飛ばすような労働者人民の根底的怒りに火をつけずにはおかない。
 米英日帝のイラク侵略戦争・軍事占領に対する全世界的な反戦闘争は、日韓米労働者の固い連帯を核として、今春3・20国際反戦共同行動を焦点にさらに大きな闘いへと発展した。こうした階級的激動の土台には、戦闘的に再生されつつある労働運動・労働組合運動の力がある。ドイツ、フランス、イタリアなどEU諸国で、年金改悪反対の数十万人規模の集会やゼネストが闘われている。年金闘争は階級関係の根幹にかかわる課題であり、資本と闘う労働運動の課題だ。
 退職高齢者や農民・自営業者を始め、すべての労働者人民の生存権をかけて闘おう。団結を固め、階級的労働運動の力で年金改悪を粉砕しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号3面3)(2004/05/03)

 国労5・27臨大闘争弾圧公判理日程

 第22回 4月27日(火)/第23回 5月18日(火)
 第24回 6月9日(水)/第25回 6月29日(火)
 *いずれも午後1時15分から、東京地裁

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号4面1)(2004/05/03)

 『前進』の拡大目標を決定し組織的に討議し実践しよう

 機関紙を武器に本格的党建設へ

 3月に機関紙担当者会議が開かれた。ここで確認された方針は、すでにK地方委員会で実践されてきたものであり、K地方委は3月にかつてない拡大を実現した。3・20闘争(日比谷公園6万人結集)の報道号の販売活動をあらかじめ計画し、その実践をとおして、年間の拡大量に匹敵する拡大を3月の1カ月間で実現したのである。この先進的な取り組みは、機関紙拡大闘争の現実的可能性、勝利性を全党に指し示している。K地方委の決起に続く全党の決起を、心から訴える。

 戦時下の階級闘争と機関紙活動の死活性

 3月の機関紙担当者会議は、かつてなく重大な情勢のもとで開かれた。03年3・20イラク侵略戦争開戦から1年、ついに日帝は12・9閣議決定をもって自衛隊のイラク派兵を強行し、参戦した。
 この情勢は逆に、革命の立場から見るならば、革命のチャンスの到来だということである。戦争によってしか生き延びられなくなっている帝国主義をついに何十年ぶりに打倒できる情勢が到来したのである。
 いかにして革命は実現されるのか、そのために必要な党建設と党活動とは何かを今こそ明らかにしなければならない。
 レーニンの『社会主義と戦争』では、戦争に突入する帝国主義においては、革命主体の存在と関係なく革命的情勢が到来すると言っている。そして革命的情勢は、主体的努力とその能力の発揮によって革命そのものの爆発となるのである。革命的情勢が爆発していく時に、たとえ小さくとも前衛党がその闘いの方向と集約点をはっきりさせて指導し、登場していくことが決定的なのである。
 革命的情勢が革命に転化していくその瞬間は、労働者階級に党派選択を強烈に迫ることが重要である。この瞬間をつかみ、革命党が勝利の方針と確信にあふれた勢力としてしっかりと登場しうるかどうかが、一切を決するのである。それによって1917年ロシア「2月革命」は「10月革命」になったのである。
 どういう党派性か。立ち上がった労働者には力があり、労働者が革命を実現すると確信すること、これが党派性である。その環は機関紙である。
 われわれは04〜05年の巨大な階級決戦に突入した臨場感に立って、機関紙活動の全面的な確立を成し遂げなくてはならない。
 激動期には革命党の機関紙が集団的組織者としての威力を発揮し、労働者人民、青年、学生を組織し、大闘争を実現していく。大衆自身が『前進』を求めている。
 激動期だからこそ拡大できるのだという確信と、大胆な計画をもって立ち上がろう。

 労働組合権力を獲得しよう

 3・20闘争が大きな勝利として闘われた中で、同時に突きつけられた課題は、わが革共同が、労働組合運動の中に確固たる指導権、主導権を確立するという課題である。
 イラク派兵情勢、戦時下でわれわれ以外のあらゆる「左翼」勢力が翼賛化し、混迷し凋落(ちょうらく)している。その中で団結を固め、隊列を守り、勢力を拡大しているものは誰かが、3・20闘争ではっきりした。
 〈外への侵略戦争、内への階級戦争>攻撃が吹き荒れる中で、動労千葉型の労働運動が唯一の有効な闘いの指針である。この階級的労働運動が国際的にも普遍性をもっていることが明白になり、国際連帯は大きく結実した。この闘いに自信をもち、連合、全労連を問わずあらゆる労組に広めるべき時である。
 その指針は〈新指導路線>である。プロレタリア階級の獲得とそのための労働組合運動の推進と労働者細胞の組織化である。
 時代の転換点には、新たな時代を牽引(けんいん)すべき党派と機関紙が登場しなければならない。労働運動を実践することと職場に革命党の機関紙を広める活動は一体である。この闘いを基軸的な活動として実践し、拠点職場・拠点細胞を建設しよう。

 03年後期拡大闘争の総括の核心は何か

 『前進』は、01年の革共同第6回大会から3年間、基本的に増勢を堅持している。だが拡大率は小さく、ある種の停滞として厳しく見るべきである。組織によるばらつきも大きい。この現実をどう見るべきか。
 世界史的激動の到来は、機関紙拡大の圧倒的な条件である。それは、はっきりと存在している。だから、党勢拡大の停滞の原因は、基本的には主体の側にあることをはっきりさせよう。
 変革の方向は何か。全党員の決起をつくり出すことが核心である。
 全党員が決起すればすぐに倍になる。10部以上も受け持っていて、配布も限界という常任メンバーが1部増やすということではなく、全党員がそれぞれ1部拡大できた時に、機関紙は爆発的に拡大する。それは党の革命であり、党活動の抜本的変革である。
 機関紙を軸にした党活動を確立することに尽きるのである。そのためにあえて言えば、『前進』への価値観の転換が求められている。『前進』は、党員と労働者人民の階級的武装にとって最良の武器である。日本帝国主義打倒、労働者国際主義の立場に立った宣伝・扇動が必要なのである。帝国主義の侵略戦争を階級的に暴き、帝国主義打倒のみが戦争と資本攻勢を阻止することを明らかにすることである。
 わが機関紙『前進』は、〈外への侵略戦争>と〈内への階級戦争>攻撃を分析している唯一の政治機関紙である。労働運動についても、『前進』が一番良く分かる。闘いに決起した労働者がその闘いの歴史的階級的意義を自覚できるのも『前進』を読んでこそである。3・20闘争の全体像とその意義を、『前進』なしにどうして伝えることができようか。
 この『前進』を十分に活用できていないのである。『前進』を全党員が、かけがえのないものとして「愛している」かどうか、である。全紙面を読了しているだろうか。読了していればこれを推薦しないはずがない。人にすすめずにはおれない熱望の現れとして拡大運動があり、そうなればすごい威力をもつだろう。
 今期の重要な特徴として、新生マル青労同が威力を発揮しはじめている。
 これこそ党勢拡大の核心であり、機関紙拡大と結合した新生マル青労同建設の、全党をあげた推進が党の未来のカギを握っている。この点での指導部の意識的な努力が重要である。
 いま一つの大きな特徴は、いくつかの組織で労働者同志による拡大が開始されたことである。それは前期から一定始まっていたが、今期にかなり拡大した。拡大数における労働戦線の割合が画然と増えている。この面を一層推進し、本格的に確立しきることが核心である。
 昨年の11月労働者集会へ向けた新指導路線の実践、産別委員会建設の闘いの成果は大きかった。自治労大会決戦への取り組みと『前進』拡大が際だった成果となった。こうしたあり方を全産別に拡大しよう。
 同時に04―05年は学生運動も大爆発の時を迎える。学生戦線で機関紙の爆発的拡大を闘いとり、その力で学生の大隊列を登場させよう。

 〈会議・機関紙・財政〉の「3原則」を貫こう

 党中央で重要な討議が闘いとられた。党勢倍増の闘いは「科学である」ということである(財政獲得も同じ)。つまり、強力な確認や精神主義ではどうにもならないということである。
 だから、地方委員会として、またその構成各地区党(県党)として、
 @まず党の現状を正確に叙述する(つかむ)。
 Aその中でメリハリをつけて、どこでどう拡大するかを討議し決定する。
 Bこれを定性的表現としてだけではなく、きちんと数量化して、目標数字を決める。
 Cこれがどのように実践されたかを常に評価し総括しつつ、さらに闘う。
 ――ということである。
 大切な点は、やはりBに至るまで、組織としても、党員一人ひとりとしてもきちんと決めることである。
 この方針の実現に重要なことは、「党生活の三原則」をけっしてあいまいにしないことである。「党生活の三原則」は、結局その人のイスト性と党員性の表現であり、唯物論的な実証である。
 党員の基本的な生活・あり方は、党の組織三原則の実行である。会議に参加し、機関紙を読み、拡大し、財政的拠出をもって党機関紙および基本機関を支えることが、党員の前提であり、かつ条件である。党は共産主義者の政治的結集体であるが、共産主義者というのは全人格をかけた存在ということである。したがって党を生死の場とするということにほかならない。財政闘争を含む党の三原則の貫徹のくり返しこそ、共産主義者を共産主義者として再生産するものなのである。
 この三原則のどれひとつを欠いても党は党として成り立たない。党の細胞生活は、本質的には命がけの政治的・組織的討論の白熱的展開をとおして、つねに三原則が貫かれることによってこそ、正常に革命的に成就するのである。
 3全総期の地区党や創成期のマル学同においては、このことは常にトコトン討論し実行した。黒田カクマルは、革共同のこの闘いを誹謗(ひぼう)し罵倒(ばとう)しつつ、結局逃亡した。
 機関紙誌を読み拡大することは、党員性の決定的メルクマールである。機関紙誌の内容はその時の最高の党的表現である。どんな時
でも、そうなのである。本気で革命をするつもりの党員にとっては、学ぶべきことに満ちているはずであり、必死で売る気になるものである。
 いまひとつ重要な点は、マルクス主義の学習の組織化である。これは組織の責任者が先頭になって自ら学習し、そして学習会を組織することから始まる。職場にマルクス主義の学習会を網の目のように組織しよう。機関紙拡大と『前進』フラクションの組織化、マルクス主義の学習会は常に一体的に進むのが現実的であり、相互促進的なものである。この闘いを意識的に推進しよう。

 K地方委員会の先進的闘いから学ぼう

 今回の機関紙活動方針は、K地方委の実践を全党の方針として普遍化したものである。すなわち、机上の空論ではなく、生きた指導をとおした実践方針の確立なのである。
 それは、3全総下の機関紙活動を、先制的内戦戦略のPT、PU段階、さらに90年代の闘いの勝利の地平の上に復活したとも言えるのである。
 別の言い方をすれば、この提起は、新指導路線の実践の必死の格闘の中で到達した最も現在的な、最も核心的な回答である。
 それは、今、全党が必死に格闘している課題と完全に重なっている。問われていることは、党と党員の真に革命的な活動の再確立だということである。
 全党が、K地方委の実践から深く真剣に学ぶことを切に要望する。K地方委はこの3年間、常に機関紙拡大の先頭にあった。3年間の合計で、全地方委員会の中で一けた違いのダントツのトップであり、そしてついに今回の機関紙担当者会議をまたぐ3月の1カ月間で1年間分ぐらいの拡大を成し遂げたのである。
 3・20闘争の組織化を機関紙をフルに活用して行い、3・20闘争の報道号を宣伝紙として大量に配布、郵送し、配布先に各県委員会が集中的にオルグを行って、定期購読の拡大に成功した。これが、今回確立した方針の現実の威力である。
 このK地方委員会の取り組みの勝利は、全党に拡大闘争の勝利の圧倒的な現実性、可能性を示している。
 やはり数値目標を鮮明に決定し、実践することが核心中の核心である。

 意識性・計画性と組織討論こそ拡大の力だ

 K地方委の各県委員会報告は、意識的・計画的取り組みの勝利性を示しており、方針が常に実践的で具体的であることが共通の特徴である。
 「拠点産別での、現場同志の闘いを成功させる討論に力点をおき、重視すること」
 「労働者細胞建設とは、職場での『前進』読者の拡大が絶対的ベースであることは例外なしに認めている。『前進』の拡大が革命的大衆行動の爆発をつくりだす。要は、論として一致した上で、具体的な実践である。具体論として、誰が、いつ、誰に拡大を提起するかの計画と実践。そこは指導部とメンバーの呼吸と意思一致→細胞性なしにいかない」 
 このように拡大の核心が意識性・計画性にあることを突き出している。
 また、○○学生細胞は、「○○寮の廃寮反対闘争を、この間の支部の全力をあげて闘い抜いている結果として、寮内で機関紙が伸びている。ただそれも漠然と構えている間は伸びなくて、オルグの計画をがっちり決めたときに伸びた」
 このように拡大闘争の成功例は皆同じ核心点を報告している。

 宣伝紙の活用とバラ売りを

 バラ売りは重要である。バラ売りは、拡大闘争の重要なバロメーターである。まずバラ売りから始まって、定購に発展していくのは、ごく一般的なコースである。また、バラでも買ってくれるということは、オルグ対象者にとっての一つの重要な飛躍であり、また、売る側の党員にとってもバラ売りをかちとることは、それ自体が非常に重要な主体的決起、共産主義者としての自己形成の闘いである。

 街頭販売を不屈にやろう

 今期6カ月間で『前進』街頭宣伝は毎週の恒常街宣を中心に229回行われ、640人が参加し、600部を販売し、4人の定期購読者を獲得した。
 職場と並んで街頭は攻防の火点である。党の見解を直接大衆に訴え、『前進』販売を継続していること自体に意義がある。街頭宣伝の継続は党の力量・気力・構えを示し、労働組合にも影響を与える。労働者細胞建設のテコともなる。
 街宣現場で直ちに定期購読者になり、党に結集して今では読者を拡大している同志もいる。街宣をしている姿を見て勇気づけられ、定期購読した読者もいる。
 たしかに『前進』街宣は苦闘に満ちた闘いである。権力や右翼、反動分子と対決しぬいて毎週の行動を貫く不屈さと根性が問われる。しかし「3人拘束」時のように情勢が動き、党の見解が求められる時、『前進』は10部、20部と求められるのである。
 この間、国会前で10部、荻窪駅前で11部、新小岩駅前で15部と、かつてない反響である。国会前でも若者が、購入した『前進』を広げて真剣に読んでいたのである。
 今や多くの労働者人民が『前進』との出会いを圧倒的に求めているのである。この声にこたえなければならないのだ。『前進』街宣は全党の例外ない義務であることを断固として確認しよう。同じ場所、同じ時刻の恒常的な『前進』街宣が最良である。さらに現地闘争で、あらゆる集会で『前進』販売をやりぬこう。
 最後にすばらしい機関紙活動を展開するK地方委の一同志の報告を紹介する。
 「バラで買う人は数人いる。定購化していくカギは少なくとも2週間に1回は会いに行くこと。これを2カ月やって、定購オルグしていく。
 反戦署名街宣を週1〜2回やっている。その中で、一定程度話し込めた人、労組活動家等々に『前進』をバラ売りしている。その後、連絡を取り、感想を聞く、定購依頼している。この間、学生で1部増となった。バラ売りしている人が3人いる。このオルグを進める。街宣はいろいろな人に出会える場であり、今後も追求する」

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号4面2)(2004/05/03)

 学生運動の最前線から 新入生諸君、ともに闘おう(3)

 富山大学

 寮自治会のもとに団結し新樹寮の廃寮はね返そう

 自衛隊撤退を!

 今、イラクで全人民的な民族解放・革命戦争が激しく燃え上がっている。6月末の政権移譲を前に、かいらい政権デッチあげが破産する危機に追いつめられた米帝ブッシュは、米軍2万人の増派を表明し、イラク全土で大虐殺戦争に打って出ている。ファルージャだけで10日間で800人が虐殺された。文字どおりのジェノサイドだ。
 この大虐殺を支えているのが自衛隊だ。小泉の言う「自衛隊派遣は人道復興支援のため」というのは、大うそだ。自衛隊は武装米兵の輸送任務に携わり、米英軍とともにイラク軍事占領の一角を占めているのだ。イラク人民は日本の労働者階級に、自衛隊イラク撤退の大行動を呼びかけている。イラク人民の血叫びにこたえて、今すぐ自衛隊をイラクから撤兵させよう!
 小泉は「自衛隊をイラクに派遣しなかったら、日米同盟が壊れる」と人民を恫喝している。しかし、日米同盟は日米の労働者階級同士の同盟ではない。日米の一握りの資本家階級の強盗同盟だ。日本の支配階級は、日米同盟をテコに自衛隊を世界中に派兵して、帝国主義としての利権確保を狙っているのだ。
 日米同盟は、イラクからさらに全中東、北朝鮮−中国への戦争を呼び寄せ、世界を破滅させる道だ。日本、アメリカ、アジアの労働者民衆が連帯して、共通の敵である日本とアメリカの帝国主義を打倒することに、人類の展望がある。
 有事7法案、3条約・協定改定案は、米帝のイラク・中東−全世界での侵略戦争に日帝が共同=競合して深々と参戦するためのものだ。とりわけ日帝は、北朝鮮侵略戦争に独自の利害をもって全面的に参戦し、東アジア勢力圏化の道へ突き進もうとしている。何が「国民保護」だ。労働者民衆は有事法制によって、こうした帝国主義ブルジョアジーの利害のための戦争に動員され、犠牲や死傷を強いられるのだ。

 学生自治守ろう

 自衛隊イラク派兵・有事立法と一体の攻撃として、全国の国立大に「法人化」攻撃がかけられている。富山大学でも、今年度からの法人化、さらには05年度の3大学再編統合を見越し、学生自治団体への解体攻撃がかけられている。
 新樹寮では01年度から、「老朽化」を口実にした大学当局による寮の大幅改修の計画が一方的に立ち上げられてきた。塩澤和章副学長(工学部教授)と渡辺評議員(教育学部教授)を中心とする一部大学当局は、「改修」を前提にして蛍光灯などの消耗品、水道料、暖房用重油代など寮経費の全面的な寮生負担について、03年度からの大幅アップを打ち出した。
 これは寮の大幅改修−実質的な学寮廃止に道を開くものだった。この攻撃に対して新樹寮生は寮自治会のもとに一致団結して、寮生との合意をまったく無視した値上げを全面拒否し、水道料の未払いに突入した。
 大学当局が夏休み以降の給水停止を恫喝する中で、逆に水道局と水道局の労働組合である富山全水道に働きかけ、富大当局の不当性を訴えた。さらに法務局への水道料の供託を行い、法的手段によって給水停止の恫喝に反撃した。
 この中で当局は一方的値上げと給水停止という非人道的攻撃を社会的に弾劾され、給水停止を断念せざるをえなくなった。(消耗品の補充停止は今も継続中)
 この攻防の中で、新樹寮への攻撃が国立大法人化と再編統合に向けた学生自治つぶしであることが、完全に鮮明になった。追いつめられた一部大学当局は暴走し、「このまま値上げを認めないなら、東北大学と同じように寮生一人ひとりに対する個人請求、保証人督促、訴訟をやる」「新樹寮への入寮募集停止を行う」とまで言及した。
 さらに塩澤副学長は昨年12月、「耐震度調査を行って、『新樹寮の耐震性は基準以下である』という結果が出たら入寮募集停止にする」「たとえ寮生が調査を拒否しても、机上の計算で耐震基準を満たしていないという結果が出る」とめちゃくちゃな理屈を持ち出して、あくまで新樹寮の廃寮を強行しようとした。
 しかし、寮生は寮自治会のもとに団結して当局の恫喝を跳ね返し、キャンパスでの暴露・宣伝、生活委の教官への説得行動など原則的な闘いを展開し、逆に当局側を追いつめていった。この闘いは、寮生間の徹底的な討論関係に基づく新樹寮の団結力を一切のよりどころとして闘われた。
 ところが、なんと副学長は学生生活委員会の議事録をも改竄(かいざん)して、勝手に生活委で上記のことを「決定」したことにしたのである。副学長など一部富大当局が進める「募停」攻撃の強行や議事録改竄に、生活委の教官からも多くの反対の声が上がった。そしてついに塩澤副学長は寮経費の一方的な値上げと「募停」攻撃を断念せざるをえなくなった。
 また文化系サークルに対しては、老朽化したサークルボックスの建て替えを口実に、サークル部室の24時間使用・学生自主管理を解体する攻撃がかけられている。サークル員は文化サークル連合のもとに結束して、団交要求を軸として原則を曲げずに闘っている。この攻撃が逆にサークル員の団結を固めている。
 さらに2月24日の学生生活委員会で、学生課は「学生自治会が掲示しているビラや立て看の内容に『イラク戦争反対』『国立大法人化反対』などの政治的内容が含まれている。このような掲示や看板は容認できない」と提案した。学生課のあまりの横暴に、生活委の教官からも多数の反対の声が上がり、いったんこの提案はうやむやになった。学生が自治活動の中で、また教員が研究や教育の中で、戦争に反対できない大学に変えられようとしている。
 全国の学生諸君! 新入生諸君! 大学を学生の手に取り戻し、自衛隊撤兵・有事法粉砕の大運動を巻き起こそう。中核派とともに世界を根底的に変革しよう。(マルクス主義学生同盟中核派・富山大学支部)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号4面3)(2004/05/03)

日誌'04 4月13日〜20日

 9条で自衛権行使明記狙う

 サマワで“自衛隊帰れ”デモ

●イラク補給を米軍一時停止 米国防総省は、イラク駐留米軍の補給活動を一時停止する方針を固めた。補給路の安全確保が困難と判断した模様。再開に手間取れば一部地域からの撤退を迫られる可能性もある。(13日)
●日本人2人拘束 バグダッド西方で取材していた日本人のフリージャーナリストら2人が武装グループに拉致された。3日後の17日に解放された。(14日)
●大規模テロ、米軍出動要請も 衆院有事法制特別委員会で川口外相は、航空機テロなどの大規模テロが発生した場合の在日米軍への出動要請について「日米安全保障条約などで本来予定されていなくても、わが国の要請や同意に基づき、駐留目的を損なわない活動はありうる」と述べ、要請は可能との認識を示した。(14日)
●サマワで反自衛隊デモ 陸上自衛隊が展開するイラク南部サマワで学生ら300人が米英の占領統治に反対し、駐留オランダ軍や自衛隊のサマワ撤退を要求するデモを行った。(14日)
●米、西岸入植地存続を容認 ブッシュ米大統領が、訪米したイスラエルのシャロン首相と会談し、ヨルダン川西岸の自治区内にある入植地について最終的にイスラエル側が維持し続けることを米大統領として容認する考えを示した。(14日)
●日本人3人解放 イラクで武装グループに拘束されていた日本人3人がバグダッド市内で解放された。(15日)
●米軍2万人、駐留延長 ラムズフェルド米国防長官は、イラク駐留米軍約2万人の任期を当初の1年間からさらに90日間延長し、当面約13万5千人態勢を維持すると発表した。(15日)
●イラク暫定政権、国連が任命  
 米政府は、6月末の主権移譲後のイラク暫定政権づくりにあたり、米政府が人選した現在のイラク統治評議会は解散し、政権の主要な顔ぶれについては国連があらためて任命するという国連側提案の受け入れを表明した。(16日)
●ハマス指導者また暗殺 パレスチナ自治区ガザ市中心部で、ハマス最高指導者のランティシ氏が乗った車をイスラエル軍の武装ヘリがミサイル攻撃し、ランティシ氏と側近、運転手の3人が死亡した。イスラエル政府はランティシ氏を狙った暗殺作戦だと認めた。(17日)
●スペイン、イラク早期撤退を表明 スペインのサパテロ首相は、内閣発足を受けた演説で「スペイン軍をイラクからできるだけ早期に、安全な形で撤退させるよう国防相に命じた」と述べ、6月30日の撤退期限を待たずに撤退させる方針を表明した。(18日)
●自民憲法調査会、自衛権行使を明記 自民党憲法調査会は、憲法9条改正案の概要を固めた。自衛権の行使、軍隊保持を明文化するとともに、「国際貢献」に軍隊を活用できることを打ち出している。また9条改正に伴い、別の条項で「国を守る義務」の規定を新たに設ける。(19日)
●辺野古ボーリング調査延期 那覇防衛施設局は、名護市辺野古沖で予定していた米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴うボーリング調査と海象調査について、初日の作業を中止した。住民がカヌーで作業を阻止しようと、調査船が出港する辺野古漁港内で待機していた中での決定。同漁港内の作業場設置も中断した。(19日)
●衆院憲法調査会長「国会に改憲委設置を」 
 衆院憲法調査会の中山会長は、来年5月に同調査会の最終報告を提出した後、ただちに憲法改正案を策定するための「憲法改正特別委員会」を国会に設置したいとの考えを表明した。現在の調査会は国会への議案提出権がない。(20日)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号5面1)(2004/05/03)

 5・15沖縄現地闘争に結集を

 普天間基地即時閉鎖=撤去 名護基地建設阻止へ闘おう

 新たな「沖縄売り渡し」許すな

 銘苅淳一

 04年の沖縄5・15闘争は、名護現地攻防がついに火を噴き始めた中で闘われる。名護市辺野古の地元と固く連帯・結合して、防衛施設庁の無謀な工事着工を完全に粉砕しよう。普天間基地即時閉鎖・全面撤去、宮古下地島空港の軍事基地化反対、5・16普天間基地包囲大行動に決起し、沖縄闘争の新たな戦略的発展の扉(とびら)を開こう。そして、本土=沖縄を貫くイラク反戦闘争と有事関連法案粉砕の政治決戦情勢をこじ開けよう。日帝・自衛隊は米帝とともに北朝鮮侵略戦争に突入しようとしている。これに大反撃をたたきつけよう。

 イラク侵略戦争に直結する基地沖縄

 名護新基地建設のための辺野古海上のボーリング調査は事実上の基地建設着工である。辺野古の命を守る会を先頭に激しい実力闘争が闘われている。まさに、今年の沖縄5・15闘争をめぐる情勢は、大きな世界史的スケールで動いている。そのことをしっかりと確認して、真の階級的戦略的反転攻勢をつくり出していく観点で闘うことが大事である。
 第一に、重要なのはイラク情勢の展開である。
 米帝ブッシュは、イラクの泥沼的情勢をなんとか打開しようとあがいている。しかし、ブッシュが画策している国連主導の枠組みでイラク人民への「主権移譲」を実現するというペテン的シナリオが軌道に乗ることはあり得ない。
 スペイン軍の撤兵によって、日帝・自衛隊の存在と役割がイラク情勢全体の焦点となっている。日帝・小泉は絶対に撤退しないと開き直っている。それどころか、米英軍とともに自衛隊を戦闘に参加させるという大エスカレーションをも狙っている。自民党内では(民主党の一部でも)、改憲なしでも、国連安保理の新しい議決さえあれば多国籍軍参加は可能だと論議されているのである。
 第二に、このイラク情勢と沖縄が、文字どおり直結していることを確認したい。米帝は、今年2月に沖縄海兵隊3000人をイラクに投入した。現在は、それでも間に合わないために追加部隊を送ろうとしている。沖縄は、まさにイラクへの最前線となっている。
 イラク人民は、直接的には、自衛隊の撤退を求めて日本人を人質にとった。彼らは、日本(日帝)がイラクでの米帝・米軍の軍事占領と虐殺行為を支えていることそのものを弾劾している。イラク侵略戦争における日帝の米帝への加担は、日米安保(軍事同盟)を土台に、米軍の軍事行動を日帝が全面的にサポートする形で、まず第一義的に展開されている。
 その最も鋭い表現として、海兵隊のファルージャにおける無差別虐殺行為があったのである。イラクの武装勢力(サラヤ・ムジャヒディン)がまず訴えていたことは、“ファルージャ虐殺をやめろ”ということだ。これをわれわれは重く受け止めなければならないのである。今回(5・16)の包囲行動の対象である普天間基地も、着工されようとしている名護新基地も、この海兵隊の基地、全世界で唯一のアメリカ海兵隊の海外基地なのだ。
 第三に、日帝・小泉は、有事関連7法案と3条約・協定の批准を今国会に提出しているが、これは、すでに自衛隊がイラクにいることを前提として、自衛隊が米軍とともに全面的な戦争行為に入ることができるような法的仕掛けをつくるものとして提出されている。
 有事7法案の提出に先立ち、小泉政権は米帝と2月27日にACSA改定を行った。それは一言で言って自衛隊が「国際貢献」を名目に全世界どこでも出撃し、米軍との本格的軍事協力を行うという確認である。
 有事法案そのものがイラク情勢と直結させられているが、それは、同時に日本有事(日本を守る)と称して、日帝が米帝とともに、北朝鮮侵略戦争に突入するための法案である。小泉政権は、米帝が北朝鮮侵略戦争に動いた時、全面的に日米共同で侵略戦争に突入していくための体制と法整備をどんなに強引であっても一気にやると決断し、この法案を提出してきたのである。当然であるが、沖縄基地はその中で要(かなめ)の役割を果たす。

 SACO路線の破綻と新たな攻撃

 第四に、この中で沖縄基地をめぐる動きが大変動している。
 米帝ブッシュ政権は、米軍の世界的規模での再編計画(トランスフォーメーション)を打ち出している。その目的は、一般的には「ハイテク化に基づいた効率的な戦力展開」であるが、それは、きわめて具体的な戦争計画と一体である。米帝は、戦略的にはイラク・中東から北朝鮮・中国までの世界的展開に全面的に対応できる機動的体制をとろうとしている。その場合、北東アジアのハブ(中枢拠点)の中のキーストーンとして沖縄を位置づけている。
 米帝は、在韓米軍の移動や第1軍団司令部の座間への移転計画にみられるように、イラク侵略戦争を戦いながらいつでも北朝鮮侵略戦争に突入できる体制を急速に整備しつつある。それは、同時に対中国の戦争体制の確立としても行われているのである。しかも重要なのは、直ちに臨戦体制がとれるような再編を強行しようとしていることだ。
 普天間移設・名護新基地建設に関して、昨年段階から米帝がとっている態度はそのことをはっきり示している。米帝は、名護基地の建設が早くても10年以上先になること、さまざまな使用上の制約がつけられていること、また市街地にある普天間基地は、実際には全面戦争には使いづらいものであることなどから、今、直ちに全面的に使える基地を要求しているのである。下地島空港に対する要求はまさにそのためである。
 また米帝は、名護をあきらめるという形で、実際には要求をエスカレートさせている。重要なのは、米帝も日帝も、名護基地建設自体を放棄したわけではないことだ。米帝は直ちに使える代替基地を要求しており、日帝は日米共同使用の形をもとって(本土の沖縄化の側面をもつ)この要求にこたえようとしている。いま進行していることは、日米安保が日本有事とか、極東条項などという条約上の規定を超越したところでの全面的エスカレーションなのだ。

 沖縄に新たな犠牲を強制

 その場合、重大なことは、それが沖縄基地の軽減や負担縮小ではまったくないこと、海兵隊の世界的展開の拠点であり続けることも含めて、沖縄基地は日米軍事同盟の要として強化・半永久化されようとしているということだ。
 沖縄基地は、96年の日米安保の再定義と97年新ガイドラインの締結のもとで、県内移設方式による強化を押しつけられてきた。普天間基地返還の代替として名護に新基地を建設することがその中心的柱であった。それが、95年の少女暴行事件への人民の怒りの爆発に対する日米政府の回答であった。
 このSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意による県内移設攻撃は、金と国家暴力でごり押しされたが、今日までほとんど進んでいない。稲嶺県政を受け皿にして沖縄サミットが強行され、既成左翼がこれに完全に屈服し、沖縄の闘いはある意味で混迷に入った。このことを条件として、日帝・小泉のもとで「沖縄に対する同情や関心」は消え去り、72年沖縄「返還」から30年目の02年も、沖縄問題は完全に解決したかのように沖縄圧殺情勢(完全な無関心状態)が現出した。だが実は問題は何一つ解決などしていない。
 名護は少しも「前進」しなかったし、「沖縄のマグマ」に恐怖する稲嶺は、日米地位協定の抜本改定や名護基地の15年使用後の返還を掲げて人民に一定のポーズをとらざるを得なかった。こうした中で、9・11情勢とアフガニスタン、そしてイラク情勢が進展し、業を煮やした米帝は、ついに名護基地にこだわってはいられないという方針を打ち出してきたのである。
 日帝は、米帝から不満を突きつけられ、沖縄政策の破綻(はたん)に直面している。日帝は、95年の沖縄の怒りに直面した時、ただただ県内移設の強要しか策がなかった。それが行き詰まり、SACO路線そのものが完全に破綻した。
 なぜ破綻したのか。この攻撃が沖縄人民にとって到底受け入れられるものではないからだ。しかし、日帝はこのことを認めようとはしない。あくまでも開き直って、名護基地建設を強行しようとしている。米帝の下地島空港に対する要求などに積極的に応じる動きを示しながら、なおかつ名護基地建設を強行しようとしている。
 それはなぜか。名護基地建設政策の破綻は、県内移設路線の破綻であり、日帝にとって72年「返還」以来の沖縄政策の歴史的総破綻となるからだ。だからこそ、いま日帝は開き直って、無謀な工事着工に踏み込んできているのである。下地島も軍事基地化するが、名護基地も米帝のために建設し続けるというのだ!
 これは、日帝による新たな「沖縄の売り渡し」である。復帰から32年、日帝が沖縄に約束したことはすべて反古(ほご)にしてきた。「基地のない平和な沖縄」などは百年待っても実現されない。普天間基地の返還というペテン的な約束ですらも、約束から8年たっても動く気配もない。実際には、日帝は新たな基地の提供、新たな犠牲の集中をたくらんでいる。このままでは21世紀の百年間も、沖縄は米帝と日帝の軍事基地であり続けることを意味するのだ。
 したがって、伊波洋一宜野湾市長を先頭に、今ここで「直ちに基地を閉鎖せよ。機能をとめろ。そして全面返還せよ」という闘いが巻き起こりつつあるのは、歴史的な新たな闘いの始まりとしての意味をもっている。これ自体が、名護基地建設攻撃完全粉砕の闘いでもあるのだ。
 普天間基地包囲の行動を圧倒的に成功させよう。名護の実力闘争を断固として闘いぬこう。それらを、イラク撤兵、有事関連7法・ACSA改定粉砕、日米帝の共同の侵略戦争に突進する小泉打倒の闘いとして爆発させよう。

 労働者の階級的な決起が展望を開く

 72年「返還」から32年目の沖縄の現実として、もうひとつ本質的に重要なことは、長年にわたる「基地との共生」政策の強要の中で沖縄の経済が、人民が生きていけないような現実の中に入りつつある問題だ。
 その典型として沖縄のバス問題がある。琉球バスの全員解雇攻撃、那覇交通の身売り(経営譲渡)攻撃の基礎にあるのは日帝の沖縄政策の歴史的破綻である。
 すでに90年代の半ばころには、沖縄のバス(大手4社)はすべて経営破綻状態に陥っていた。その後数年間にわたる経営統合や再建話がすべて不成立となったために、今こうした攻撃がしかけられてきている。沖縄では市民的な交通手段の基本はバスだ。そのバスの全面的な破綻という事態は、基地との共存で植民地的な状態を押しつけられてきた経済が、あらゆる意味で成り立たなくなったことの表現である。
 日帝・政府は、復帰後、沖縄経済の復興のための計画を約10年ごとに3回にわたって提出してきた。しかし、それらは本質的にはすべて基地のための振興策にすぎなかった。また現実的には、海洋博のための公共工事のようなものを繰り返してきただけであり、それらは経済発展の基盤をますます破壊し弱体化してきただけである。それが、行き着くところまで行き着いたのである。
 小泉改革の中での沖縄に対する締め付け(沖縄への援助政策の打ち切り、いわゆる三位一体の改革の一律の強行など)もあって、沖縄は上から下まで食えなくなりかねない事態となっている。それは、高失業率を常態化させ、本土への新たな移民時代を現出させている。それは、本土社会における新たな沖縄差別を大量に生み出しつつある。
 重要なことは、そうであればあるほど、労働者は自己の階級的権利を断固として擁護し闘わなければならないということだ。日帝の政策的破綻や経営破綻のしわ寄せを労働者に押しつけることなどどうして許せるか。復帰過程の全軍労や教育労働者の闘いのように、全矛盾が集中している労働者が階級的に決起する時、全人民的な支援と島ぐるみの闘いの陣形が形成されるのである。
 復帰から30年余、日帝の歴史的な沖縄差別はとてつもない深刻な事態を生み出している。われわれは、72年復帰から30余年という期間が、明治政府による琉球処分から日清・日露の侵略戦争に至る期間とほぼ同じ長さであることに注目したい。この30年間の日帝の沖縄政策は、「琉球処分」後の30年間に比べても、さらに過酷に沖縄を踏みにじってきた。沖縄を同一国民として組み込みながら差別的に圧殺してきたのである。
 今、帝国主義の世界的な体制的危機の中で、日帝が体制的に動揺し極限的な階級的矛盾を爆発させようとしている時、沖縄問題という日帝に固有の解決不能の矛盾が抑えようもなく爆発しようとしている。沖縄問題は、日帝にとって、近代の国民国家の形成期以来の解決できない問題である。
 日帝の沖縄差別は、独特の民族的差別としての性格を持った差別として、沖縄人民に襲いかかってきたし、これからますますそうなる。72年「返還」以来の30年の歴史は、そのことを完全に突き出した。この矛盾が、日帝の本格的な戦争への突入下でもっと鋭くなり、激しく爆発してくる。
 日本の労働者階級人民は、沖縄闘争を日帝打倒・プロレタリア革命の戦略的課題の中に包摂していかなければならない。沖縄の自決的決定権をはっきりさせつつ、米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒の戦略的スローガンを掲げて闘おう。

 3・20闘争の地平の発展を

 04年の5・15闘争を、新たな戦略的反転攻勢の構えを持って闘いぬこう。04年3・20闘争の地平は、われわれに力強い展望を与えている。3・20日比谷公園の6万人集会の歴史的成果は、沖縄闘争との正しい結合としてひとつの発展方向が提起されていると言える。沖縄における3・20闘争は、従来の沖縄的統一戦線の枠を越えるものとして、新しいものを切り開いた。その中に示された萌芽的なものをさらに全面的に発展させよう。労働者階級の階級的ヘゲモニーを大胆に発展させることが問われている。
 5・15沖縄行動に沖縄と全国から結集する労働者人民に、3・20闘争の地平を大胆に持ち込み、それをさらに発展させる日本階級闘争の新たな局面を押し開かなければならない。5・15から20労組が呼びかける5・21明治公園大集会への流れを大胆に切り開こう。
 とりわけ、全国の青年労働者に5・15沖縄現地闘争への結集を大胆に働きかけよう。
 最後に、あらためて名護新基地建設の完全粉砕のために、ボーリング調査工事実力阻止闘争への決起を訴える。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号5面2)(2004/05/03)

 韓国総選挙 民主労働党が10議席

 ついに階級的政党が国会に

 4月15日に投開票された韓国の第17代総選挙で、全国民主労働組合総連盟、全国農民会総連盟が推薦する民主労働党が10議席を獲得、一挙に第3党に躍り出る大勝利をかちとった。
 投票率が60・6%となる中、民主労働党は得票率13・0%、277万3769票を獲得した。小選挙区で慶尚南道昌原(チャンウォン)区の権永吉(クォンヨンギル)民主労働党代表と蔚山(ウルサン)北区のチョスンス氏の2人が当選を果たし、比例区では8人が当選した。九老(クロ)工業団地で組合を結成、激しい弾圧を受けながら民主労組運動を指導してきたシムサンジョン氏、YH貿易労組出身のチェスンヨン氏などの女性候補を始め、前民主労総委員長の段炳浩(タンビョンホ)氏など歴戦の闘士が並ぶ。さらにカンギガプ全農副議長ら農民男女2人も当選した。
 この勝利は、盧武鉉(ノムヒョン)大統領弾劾訴追政局に揺らぐ中で、韓国軍のイラク撤兵と非正規職差別撤廃、民生・社会保障獲得などを主要な公約に掲げた民主労働党を、多くの労働者、農民、都市貧民が自らの代表として選択した結果なのだ。民主労総組合員が、FTA(自由貿易協定)に決死反対している全農傘下の農民たちが、かちとった歴史的な勝利だ。ついに階級的政党が国会に進出したのである。
 4月16日、勝利の記者会見に臨んだ権永吉代表は、イラク情勢を踏まえ、派兵強行を阻止するとともに、「国会議員が持つあらゆる特権廃止を率先垂範する」「(ウリ党を含め)保守政策一色である国会を労働者・農民・庶民中心の政策国会に変える」と宣言した。
 さらに具体的政策として「当面、働き口を守る・つくる問題、非正規職差別をなくす問題、派兵撤回を要求していく」「民主労総とは定例協議会を持ってきたが、これからも労働者の声を全面的に集めて国会に反映していく」と語った。
 韓国国会は6月初旬に開会される。4・15総選挙の勝利は、民主労総を始めとする韓国の労働者人民の新たな歴史を切り開こうとしている。この闘いに呼応、連帯し、昨年11・9で開いた日韓米労働者の国際連帯を発展させ、〈侵略と抑圧〉の帝国主義を打倒するために闘おう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号5面3)(2004/05/03)

 “ボーリング調査をやめろ”

 名護 命を守る会、施設局を撃退


命を守る会など120人が座り込んで調査阻止 (4月19 辺野古)

 4月19日、那覇防衛施設局は名護市辺野古沖の海上基地建設(普天間基地代替施設)のためのボーリング調査に出てきた。調査といっても事実上の着工だ。
 この日の調査を阻止しようと、まだ暗い午前5時前から命を守る会を先頭に反対派の市民・労働者が辺野古漁港に集まり、海を背にして「ボーリング調査を中止せよ」の横断幕を広げて座り込みに入った。
 午前5時半、辺野古漁港に車が入ってきた。防衛施設局、工事関係車両が数十台も続いている。作業員が漁港の敷地(名護市所有)に陸上作業拠点のための柵を作り始めた。
 命を守る会はハンドマイクで「何をしているのかわかっているのか! やめなさい!」「帰れ!」と抗議し、激しい攻防となった。
 「ここを守るのはわったー(私)の仕事だ」と、80代の辺野古のおばあ、おじいも座り込んだ。激しい気迫だ。沖合には海上で調査船を阻止しようと構えるカヌーが7艇。地上と海上での4時間にわたる闘いが続いた。
 住民の怒りに圧倒された施設局は7時19分、「安全が確保できないので、本日の海上での作業は中止する」と発表、しかし、柵の作業は続けるという。追及の闘いは9時すぎまで続き、ついに港内での作業も中止に追い込んだ。
 施設局、業者の引き揚げを確認し、集まった120人で意気高く総括集会。命を守る会の金城祐治代表は、「絶対不利な状況でも止めなければなりません。皆さんのお力をお借りしたい」と訴えた。沖縄ジュゴン監視団の東恩納琢磨さんは「この闘いは継続こそが勝利だ」と決意を込めた。参加者は、20日以降も監視・阻止行動を続けようと確認し合った。
 しかし午前11時、いったん引き揚げた防衛施設局の職員ら50人が再度、作業を強行しようと戻ってきた。だましうちだ。「何をしに戻ってきたんだ!」と怒りが爆発、激しいもみあいとなった。攻防1時間、地元の怒りの前に施設局は退散せざるをえなかった。
 20、21日も午前5時前から命を守る会を先頭に50人以上が座り込みを続け、防衛施設局・工事業者の立ち入り・ボーリング調査を阻止した。防衛施設局は工事車両を近くまで結集させながら、この闘いの前に工事に着手できていない。体力も緊張感もぎりぎりの攻防が続いている。
 名護新基地を造らせてはならない。ジュゴンの海を守ろう。辺野古現地闘争に駆けつけ、ボーリング調査を阻止しよう!

 防衛施設庁に抗議 反戦共同行動

 4月19日正午すぎ、反戦共同行動委員会は、名護新基地建設のための辺野古沖ボーリング調査の中止を求め、東京・市ケ谷の防衛施設庁抗議行動に立った。辺野古では早朝からボーリング調査を阻んで闘っているとの報告に奮い立って防衛施設庁に向かった。
 すると警察隊が行く手を妨害、「正当な請願権の行使だ。なんで警察が妨害するの!」「住民の皆さん! 警察が請願権を妨害しています!」と、マンションから見守る住民や通行人に訴えた。道行く男性の声援もあり、警官隊を押し返して防衛施設庁に至った。
 そこには防衛施設庁の事務官が待っていた。「約束はない」とウソを言って妨害した警察をあらためて追及し、防衛施設庁長官あての申し入れ行動に入った。
 まず全国沖縄青年委員会の新城峯子委員長、都政を革新する会・新城節子杉並区議、さらに反戦共同行動委員会の文書を大山尚行全学連委員長がマイクで読み上げた。大勢で参加の「ヨッシーとジュゴンの家」の高齢者が、若い事務官に「論語読みの論語知らずということを知っているか。再び戦争は許さない」と一喝する場面も。事務官はうなだれて聞くのみだった。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号6面1)(2004/05/03)

団結ひろば 投稿コーナー

 イラクでの拘束解放にあたって思うこと 東京 小野正春

 ファルージャで武装グループに拘束された今井紀明さん、高遠菜穂子さん、郡山総一郎さんの3人が4月15日解放された。ついでアブグレーブで拘束された安田純平さんと渡辺修孝さんの2人も4月17日解放された。
 私はイラク開戦を前後して3回イラクに行った。安田純平さんは昨年3月、「人間の盾」としてバグダッドのドーラ浄水場で私と一緒に寝泊まりした仲間だ。彼がNHKテレビの取材に応じて話していることが真実だと思う。目隠しされて4カ所移動し、50人くらいと接したが、指導者は元警察官だと言っていた。みんな屈強な男たちで昼は農民、夜は武装集団で地元の自衛組織だろうと見当をつけている。
 今回の事態が米軍のファルージャ攻撃に起因していることは明白だ。彼らは自分たちの村を必死になって防衛し、スパイに対する警戒をやっていたのだ。「2人が民間人で米軍協力者でないことがわかったため解放する」と言っているのは、非常に冷静な対応だと言えよう。
 小泉首相は、現地にとどまりたいという彼らの発言を、「これだけ政府や多くの人たちが救出に努力しているのに、自覚というものがないのか」と声を荒らげて非難している。マスコミは「自己責任」論で家族を脅迫している。本人たちには強制的に「事情聴取」を行い、自由に発言することを妨害している。家族に会うことを拒否して、「テロリストの脅しに屈してはならない」と見殺しを表明した小泉首相が「救出に全力をあげた。難しい交渉だった」と言っている。
 しかし、救出に全力を挙げ、実際に解放にこぎつけてくれたイスラム宗教者委員会のアルクベイシ師は「日本政府からの要請はまったくなかった」と述べている。他の外国の多数の人質救出をも苦労して行っているのに、日本政府は彼らに要請もしなければ、感謝の言葉も述べていない。
 5人と家族への攻撃を許さず、自衛隊即時撤兵へ、さらに闘いを強めよう。

 仲間裏切らない信義 動労千葉から学んだ 千葉 宮崎進一

 先日、動労千葉の組合員や様々な労働組合などの労働者と交流する機会がありました。
 そこで、和気あいあいとみんなでしゃべることができました。そしてボクは、「マルクスの文献についても、疑いながら読むべきである」などと、ずい分生意気なことをしゃべっていましたが、そんなボクの話につきあい、討論してくれたので、正直言って、うれしく思っています。ただ、マルクスがどうのこうのというより、動労千葉の懐の深さには、びっくりしてしまいました。
 党派や組合に関係なく、「日の丸」「君が代」に反対した教育労働者を断固支持するといった立場の人の話を聞いていると、仲間を大切にして闘争をやる、といった人間に、正直言って、魅力を感じています。
 昔、孔子が論語の中で、「軍備」と「食料」と「信義」の中で、まずどれかを捨てなければならないのであるなら、まず「軍備」を捨てて、次に捨てなければならなければ「食料」を捨て、「信義」を捨ててはならないと述べていますが、「信義」を捨ててはならないといった意味がようやく分かりました。
 今の世の中、自殺者が多くて、ボク自身も自殺を考えたことがありましたけど、自殺は、食べ物になった命に対して「失礼だ」と思って自殺を思いとどまったので、「信義」より「食料」の方が大切なのでは、と思っていた時期もありました。だけど、動労千葉の人たちとの交流で、仲間を裏切らない、といった信義がどれだけ大切かということ、それがボクの学んだことです。

 日・韓・米の国際連帯実現との報に感動 関東 宮田淳一

 昨年の11・9集会の報には感動しました。日・韓・米の労働者国際連帯が実現したからです。
 十数年前、皆さまの闘いに接した時は「プロレタリア国際主義なんて言っているけど本当に実現されていると言えるのかなぁ」「ただの内輪うけじゃないか…」という疑念を持たざるをえませんでした。ですが今、昨年の11・9日韓米国際連帯によって、昔の疑念は払拭(ふっしょく)されました。
 「インターナショナル」「プロレタリア国際主義」――これこそ日共との相違です。この原点を忘れず闘いぬいて欲しいと思っています。
 第4章政府の対応に怒り人質事件で緊急集会 東京 酒井春香
 4月16日、「日本人人質事件を考える緊急集会」が東京・中野のなかのZEROで開かれた。日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)と月刊誌『DAYS JAPAN』の共催。1000人が集まり、会場に入れずロビーにあふれた。日本政府の対応にじっとしていられないのだ。
 司会の広河隆一さんが、「今回の解放は政府の敗北であり、市民の小さな勝利だ。ジャーナリストが問われている」と問題提起。森住卓、豊田直巳、土井敏邦、古居みずえの各氏がイラクで取材したスライドやビデオを使って報告した。(写真)
 森住さんは「小泉政権は全力で救援運動を押しつぶそうとしている」と怒った。「米軍は『武装勢力を一掃する』というが、イラクでは市民はみんな武装している。市民を一掃するということか」。それがファルージャの現実だ。
 豊田さんは米軍のやり方を具体例をあげて語った。米軍が配る広報紙を2冊くれと2本指を出した17歳の少年は「レジスタンスのVサインだ」と捕まった。
 土井さんがバグダッド大学で撮影したビデオには、「日本は米国に協力している」と語る学生が映っていた。「人質家族の悲痛な叫びに心が痛む。そこから想像して欲しい。ファルージャで900人の家族を失った人びとが泣いている」。
 古居さんは「やられている立場に立ってこそ、爆撃におびえ夜も眠れず震えている子どもたちの姿を知らせることができる」と、取材姿勢をただした。日本の巨大メディアは銃を持ったボディガードを雇って取材している。銃で誰が真実を語るだろうか。
 私たちは今回、自衛隊撤退という課題をイラクの人びとから受け取った。人質と家族への卑劣な攻撃、世論操作を打ち返して闘わなければと思っている。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号6面2)(2004/05/03)

 設立35周年盛大に集い

 救援連絡センター軸に “戦時弾圧と闘う”

 4月17日、東京の文京区民センターで救援連絡センター設立35周年の集いが行われ、160人の参加で大成功した。
 救援連絡センターは、70年安保・沖縄闘争の大高揚の渦中で、69年3月に設立され、1人に対する人権侵害は全人民に対する人権侵害である、弾圧された人の思想・信条を問わず救援する、という二大原則で闘ってきた。この二大原則と、完黙・非転向を弾圧粉砕の基軸にすえた救援センターの発展を願って、多くの人びとが参加した。
 冒頭、代表弁護士の保持清氏と国労5・27臨大闘争弾圧弁護団長の佐藤昭夫氏などのメッセージが紹介され。続いて山中幸男事務局長は、「自衛隊派兵反対のビラをまいただけで逮捕される時代になった。救援センターの意義はますます重要になっている」と決意表明した。
 シンポジウムの司会を小田原紀雄氏が行い、3人の若者が紹介された。
 自衛隊官舎のビラ入れで逮捕・起訴され、今なお獄中に奪われている3人の救援を行っている立川自衛隊監視テント村、反戦落書きで不当にも有罪判決を受けた被告、IMF抗議闘争で公務執行妨害のデッチあげ弾圧を受けた青年である。3人は、イラク派兵状況下での弾圧のエスカレーションを報告し、弾圧に負けずに闘う決意を表明した。
 続いて藤井剛(組対法に反対する全国ネットワーク)、山下幸夫(弁護士)、藤田進(東京外語大学教授)の3氏が発言。それぞれの立場から、日帝・小泉政権が有事関連7法案と3条約・協定改定案および共謀罪の新設や司法改革関連法案を今国会で強行成立を狙い、「戦時下の治安体制」へと一挙に転換させようしていることを弾劾した。
 その後、会場を立食パーティーに変え、山中事務局長の司会で、多くの人たちが次々と発言した。
 最初に三里塚反対同盟北原事務局長と野戦病院の大熊寿年さんらが発言した。
 関西から駆けつけた国労5・27臨大闘争弾圧被告の原田隆司さんが救援活動にお礼を述べ、「国労再生、無罪判決」への決意を表明した。また3月25日に迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判で無罪判決をかちとった板垣宏同志と十亀弘史同志、3月17日に千葉県収用委会長せん滅戦闘デッチあげ裁判で無罪判決をかちとった水嶋秀樹同志が、完黙・非転向の闘いと救援運動の力でデッチあげを粉砕したと報告した。
 さらに、無期懲役と闘う星野文昭同志家族の暁子さん、富山再審棄却を弾劾し異議審闘争に突入した富山保信同志、獄中16年を闘った鎌田雅志・元全学連委員長が発言した。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号6面3)(2004/05/03)

 “無実の星野さんとり戻そう”

 東京連絡会が3周年集会

 沖縄闘争の意義鮮明に

 4月18日、星野文昭さんをとり戻そう! 東京連絡会3周年集会が開かれました。
 集会は「心は化石ではない あなたは一人ではない 星野文昭さんをとり戻そう! 東京連絡会3周年集会」というタイトルで、サブ・タイトルは「30年を越えて−戦争をはばむ思いがひとつになる時」です。これは、沖縄返還協定に関する密約を暴いた元毎日新聞記者・西山太吉さんと、さらには参加者全員と星野さんとの合流を意味しているのでしょう。

 2人の交流を朗読劇で再現

 会場は東京・世田谷区の梅ケ丘BOX。参加者は、会場ぎっしりで90人。入り口の右側が階段状のイス席、その前が座布団を並べたフロア、そして左側が舞台という、いつもとは感じの違う配置で、舞台の左手にはスクリーンが設置されていました。
 司会の発言のあと、いきなり「男T」がしゃべりだし、そのまま朗読劇に入っていきます。星野暁子さん自身と文昭さんに扮(ふん)した俳優のふたりが手紙や面会の様子を再現します。ふたりの触れ合いを見るようで、観客は舞台に引き込まれていき、感動を呼びました。スクリーンに映される写真や音楽も実に効果的でした。
 棄却決定に怒りを燃やす文昭さんのアピールが読み上げられました。
 再審弁護団の岩井信弁護士の講演は、何が再審闘争の争点になっているか、分かりやすく提起されました。裁判所が「後出しジャンケン」のように論点をすり替えるのを許してはいけない、確定判決の証拠構造を確定して裁判所が逃げられないようにし、星野さんの無実を明らかにしていく、と確信に満ちて語られました。

 沖縄「返還」の犯罪性あばく

 休憩の後、ヨッシー&ジュゴンの家が、星野文昭さんをテーマにした「岐路 2003」と名護のおばあたちを歌う「命の海」の2曲を歌ってくれました。
 西山太吉さんは、1972年の沖縄「返還」協定が「密約」などというレベルを超えた偽造であり、沖縄米軍基地の強化と半永久化をもたらす歴史的犯罪であることを鋭く突き出しました。
 さらに、アメリカはあくまで自己の世界戦略に基づいて行動していると強調するとともに、「北朝鮮脅威」論がいかに非現実的なものかを具体的に明らかにしました。怒りを秘め、しだいに熱を帯びてくる西山さんの語り口に、会場全体が引きつけられました。この講演をとおして、星野文昭さんの闘いの意味が鮮明になりました。
 最後に、星野暁子さんといとこの誉夫さん、世話人の桜井善作さんがあいさつに立ちました。
 今年の秋には、星野さんをとり戻す東京集会が計画されています。昨年、徳島で開かれた全国集会を超える大成功をかちとろう。
 (投稿/東京K・M)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号6面4)(2004/05/03)

 4・11六ヶ所 再処理工場稼働阻止へ

 反核燃に1200人

 19年目となる今年の「反核燃の日」闘争に、北海道から沖縄まで全国から約1200人が集まり、再処理工場の06年稼働に向けウラン試験の早期実施と全国の原発からの使用済み核燃料の搬入再開を狙う政府と日本原燃を弾劾した。
 85年4月9日、当時の青森県の北村知事が県議会に機動隊を導入し反対する人びとを暴力的に排除して六ケ所核燃サイクル施設建設の決定を強行した。以来、この日を「怒りの日」として毎年、反核燃闘争が闘われてきた。
 六ケ所村の再処理工場をめぐり、不屈の闘争で建設計画が大幅に遅れているところに、不良施工で大量の漏水が発生。点検調査中にさらに不良工事個所が次々に発見された。安全性をまったく無視した再処理工場に県民から強い怒りがあがり、ウラン試験は大幅延期となり、全国の原発からの使用済み核燃料の搬入も完全にストップしている。
 もんじゅ事故、プルサーマル計画の危機など核燃サイクル計画全体が破産的危機にある中、核武装化を推進する日帝にとって、この再処理工場問題は死活的となっている。
 政府は3月30日に経済産業省の検討会で、日本原燃の「改善策に関する報告書」をろくに検討もせずに了承し、ウラン試験の早急実施と使用済み核燃料の搬入再開の攻撃を開始した。
 今年は11日午前に「2004『4・9反核燃の日』市民集会」が開催され、地元六ケ所村民を始め、杉並、相模原などからも参加があり、政府・日本原燃に強い怒りを示した。「人間の盾」としてイラク現地に行った小野正春さんの話は劣化ウラン弾被害の深刻さとイラク戦争の不正義性をあらためて明らかにした。
 正午から反核実行委員会主催の「第19回『4・9反核燃の日』青森県集会」が開催され、自治労や国労、日教組、私鉄など民間労組を中心として全国各地から多数の労働者が集まった。「自衛隊のイラク撤退と人質救出を求める特別決議」を採択し、青森市内の繁華街に向けてデモを行った。
 (投稿/青森S・K)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号6面5)(2004/05/03)

 海難救援隊員派兵に抗議 4・14新潟

 イラクで日本人拘束事件が起こる中、4月14日早朝に空自新潟海難救援隊1人が交代要員としてイラクに派兵されることが明らかになった。反戦団体、女性団体、宗教者、市議会議員、百万人署名運動、労組交流センターが連名で派兵中止の申し入れを行った。
 新潟空港に隣接する基地内での壮行会に向かって「米軍のファルージャ虐殺を支える自衛隊派遣は中止すべき」と訴えた。市議会議員は「無責任な答弁を繰り返す小泉首相によって派遣される当事者や家族の気持ちを思うと、同じ市民として行って欲しくないと心から願っている」と呼びかけた。元防衛庁幹部で派兵に反対する小池・加茂市長のメッセージも伝えた。
 壮行会を終え、出発する隊員の乗る車に横断幕を広げて訴え、申し入れも行った(写真)。全港湾の労働者がクラクションを鳴らして支持を表明するなど、出勤時の労働者の共感を集めた。(投稿/新潟M・H)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号6面6)(2004/05/03)

 “虐殺許すな” 米領事館抗議 4・15福岡

 4月15日、ファルージャ大虐殺を直ちにやめさせるために、アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会の呼びかけで米領事館に申し入れ行動が行われた。平日昼間の緊急行動に県内外から30人以上が集まった。
 まず領事館向かいの公園でアムネスティ、仏教徒、二つの反基地運動の住民団体に続いて、九州大学学生自治会が「600人以上が無差別虐殺された。第2のジェニンだ。イラク人は大虐殺を糾弾し、それに協力した自衛隊の撤兵を訴えている」と訴えた。警察の妨害をはねのけて領事館前で申し入れ文を読み上げ、手渡した(写真)。また小泉首相、川口外務大臣、石破防衛庁長官に自衛隊の即時撤兵を求める申し入れ文をFAXで送った。
 この日の夜に3人が解放されたが、「毅然(きぜん)とした態度の成果」と居直る小泉政権は許せない。ファルージャ大虐殺を糾弾し、それに手を貸す自衛隊を即時撤兵させよう。小泉政権を打倒しよう。
 (投稿/福岡K・M)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号6面7)(2004/05/03)

新刊紹介 コミューン6月号

 反弾圧の労働運動

 本号の特集は、アメリカ帝国主義の治安弾圧との闘いに徹底的に労働運動の立場から迫り、連帯していくために作られた。全米で最も戦闘的な労組、ILWU(国際港湾倉庫労組)の闘いを軸に、攻防の現実を明らかにしている。
 第1章は、イラク侵略戦争開戦過程でILWUにかけられた資本のロックアウトと国家権力のタフト・ハートレー法発動を中心に、米帝と労働者階級の攻防を検討する。近代法の根本原則をも破壊する愛国者法T、Uの特質を示す。
 第2章では、アメリカと世界の階級闘争の戦闘的な転換点となったシアトルでの反WTO闘争への労組の大決起の意義と、それの基礎になった、港湾封鎖までのぼりつめたILWUのムミア氏釈放運動の組織化についてみていく。
 第3章では、米帝の弾圧に対する闘いを先頭で担っているゼルツァー氏に対するカクマルのデマ宣伝のウソを暴く。同時に、今年の3・20への過程がシオニスト、イスラエル問題というアメリカ階級闘争の弱点をのりこえる道を開いた意義を明らかにする。
 資料は、3月20日の国際統一反戦行動における全世界1000万人決起についての詳細なレポートを掲載した。その後出された闘いの総括を含めて各国の反戦集会、デモの実際の姿を紹介した。写真も多数掲載され、この日の闘いが掛け値なしに全世界1000万人が参加した反戦運動だったことを明らかにしている。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2148号6面8)(2004/05/03)

 公判日程

 ☆迎賓館・横田裁判
  福嶋昌男同志裁判
 5月7日(金)午後1時15分
 *東京地方裁判所

------------------------TOPへ---------------------------