ZENSHIN 2003/08/11(No2113
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週刊『前進』(2113号1面1)
労働者の団結で帝国主義打倒を
戦争・資本攻勢と闘う世界の労働運動
国際連帯開いた72時間スト 動労千葉に連帯し全産別へ
革共同と、闘う労働者人民は、今年前半戦を全力で闘いぬいてきた。米・英帝国主義の3・20イラク侵略戦争開始に対して国際階級闘争は、2月の全世界2000万人決起を頂点に、「国際的内乱」の開始とも言える巨大な高揚をたたきつけた。世界戦争と全世界的な内乱が激突する「社会主義と戦争」の時代に、われわれは生きかつ闘っている。動労千葉の代表がアメリカを訪問し、アメリカの労働運動と交流したことで、日本の労働運動は国際階級闘争への本格的合流を開始した。動労千葉を先頭に、全世界の労働者階級の総決起の一環として今秋、自衛隊のイラク侵略派兵と一大資本攻勢に対決する日本の労働者階級の総決起を絶対に実現しよう。
第1章 日米の闘う労働者たちが感動的合流
サンフランシスコ労働者評議会の3つの決議(別掲記事参照)を頂点とする動労千葉とアメリカ労働者階級の奥深い団結の形成から何を学ぶべきか。
第一に、両者の間に、闘う労働者同士の「旧友と出会った」とも言うべき、深い共感・連帯感が自然にあふれ出したことだ。
ILWU(国際港湾倉庫労働組合)はローカル10を先頭に、30年代に御用組合からの分離独立をかちとり、34年には州兵の虐殺攻撃にもめげず、サンフランシスコ一体をゼネスト状態にし、そのただ中で資本から、今日まで続く有利な労働協約をかちとり、アメリカでもっとも戦闘的な労働組合の一つとして団結し闘ってきた。
イラク開戦後の4月7日にはオークランド港で軍事物資輸送阻止闘争に決起し、権力の逮捕攻撃をのりこえて闘いぬいている。
動労千葉は、労働運動の裏切り者=動労カクマルからの分離独立をかちとり、多くの被解雇者を出しながら国鉄分割・民営化に反対してストライキで闘いぬいた。そして、国労5・27臨大闘争弾圧にもめげず、国鉄闘争陣形の一翼として団結を固めて闘っている。
3・20イラク開戦には、72時間ストを打ちぬき、動労千葉ここにありの闘いを全世界に示してきた。
「外への侵略戦争と内への階級戦争」に反対して闘う動労千葉と、「The War At Home & The War Abroad(国内戦争と対外戦争)」反対を掲げ闘うILWUローカル10、まさに国境を越えた単一の階級としての熱い団結が形成されたのだ。
第二に、両者の団結は、全世界2000万人決起と一体だということだ。
80年代からのレーガン・サッチャー・中曽根による新自由主義の攻撃は、闘う労組つぶしを突破口に、労働者階級の不安定雇用化、賃金大幅切り下げ攻撃として全世界で吹き荒れた。さらに「構造調整」という名の収奪がアフリカ、中南米、アジアで強行された。
91年のソ連崩壊以降、帝国主義間の争闘戦激化と世界大恐慌の圧力のもとで帝国主義国での資本攻勢は苛烈きわまるものとなった。
今や帝国主義は、労働者階級を「食わせることができない」までに危機を深めている。世界戦争に突き進むアメリカ帝国主義の末期的な凶暴性への真に根源的な怒りの爆発として、9・11反米ゲリラ戦争があり、それをも引き金として全世界2000万人の労働者人民の総決起があった。
この決起の中軸を担った潮流は、イラク開戦にともなう戦時下の治安弾圧、転向攻撃をはね返し、侵略戦争の先兵と化した社民やスターリン主義との激しい党派闘争を展開しつつ、被抑圧民族との連帯を掲げて反戦闘争を闘いぬいている。
この国際的内乱の始まりとも言うべき情勢は、世界革命の展望を示している。
第2章 地球1周2千万人反戦デモの画期性
今秋、日本で労働者階級の決起を基軸に巨大な反戦政治闘争を実現していくためには、2月の全世界2000万人決起の根源性・根底性を真につかみ取ることが絶対に必要だ。
中でも重要なのは、参戦国アメリカとイギリス、そして韓国での労働者階級の闘いである。しかもその中心に闘う労働組合が存在していることがポイントだ。
アメリカのデモ
基軸帝国主義国であり、最大の戦争国家であるアメリカ帝国主義の足下で巨大な労働者階級の反戦決起、内乱の萌芽(ほうが)とも言える闘いが始まっている。このことの意味はいくら強調しても、し過ぎることはない。
1月18日のワシントンDCでの50万人決起を頂点に全米で500万人の労働者人民がイラク反戦闘争に決起した。この闘いには全学連の派遣団が合流し、今日の国際連帯闘争の突破口を切り開いた。
ベトナム反戦闘争をも上回る全米史上空前の決起のスローガンは、戦争と人種主義(民族差別)反対、資本攻勢反対だった。その中軸には、ANSWERなどの反戦団体とともに、SEIU(全米サービス従業員組合)やシカゴ教組、AFSCME(全米州都市職員連盟)などが座っていた。そしてこれらの戦闘的な労組はUSLAW(全米反戦労組連合)を結成して闘っている。また西海岸ではILWUローカル10が中心になってサンフランシスコでの20万人決起を実現した。
これらの労組は、アメリカのナショナルセンターAFL−CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)のスウィニー執行部が、3・20イラク開戦直後、「アメリカの兵士を守れ」と侵略戦争翼賛に一夜にして転向したことを批判し、戦争反対を貫いている。
81年のレーガンによるPATCO(航空管制官組合)つぶしに始まる労働運動圧殺攻撃と、それに屈服した労働組合の「大譲歩」によってアメリカの労働者階級は一大資本攻勢にさらされてきた。多くの労組は戦闘性を解体され、工場閉鎖と首切り・レイオフが吹き荒れた。労働者階級は不安定雇用にたたき込まれ、賃金は60年代の水準まで低下したといわれる。
しかも、社会保障は解体され、労働者の3分の1は医療保険に入れない。ダブルジョブと言って二つの仕事を掛け持ちしてかろうじて食っていける水準にまで貧富の差が拡大している。
さらに、国防総省やホワイトハウスまで民営化し、85万人の労働者の解雇を狙う攻撃がかけられている。
これらの資本攻勢に対して、95年のAFL−CIOの転換から始まったアメリカの労働者階級の根源的な決起として今回のデモはあるのだ。
戦争国家アメリカでは、治安弾圧との闘いは死活的である。ブッシュ政権は、イラク戦争切迫の昨年10月、ILWUにストライキ禁止法であるタフト・ハートレー法を24年ぶりに発動し、闘う労組破壊を狙った。
01年9・11後、アメリカでは令状なしで多くのムスリム人民が逮捕・拘束されている。さらに9・11直後の10月に制定されたパトリオットアクト(愛国者法)は、「テロ防止」を口実に反政府活動一般を取り締まる大反動立法だ。その上、パトリオットアクト2と呼ばれるまったく新たな弾圧立法が策動されている。それは反政府活動への支援行為までも処罰し、一切の市民権をも取り上げて国外追放にするというものだ。
イギリスの労組
全世界2000万人決起の中心はイギリスだ。2月15日のロンドン200万人デモの衝撃は、イギリス階級闘争を根底から塗り替え、ブレア労働党政権を危機にたたき込んでいる。
この200万人デモは、主催者の予想50万をはるかに上回る文字どおり労働者人民の怒りの爆発だった。集会場のハイドパークに押し寄せる人波は、夕方まで絶えることがなかった。
英国ムスリム連盟とともにこの日の闘いの中心を担ったSWC(戦争阻止連合)には10の労働組合が加入している。主なものをあげると、FBU(消防士組合)、RMT(鉄道・海運・交通労組)、ASLEF(鉄道・機関士組合)、UNISON(公務員労組)、PCS(公共・サービス労組)、TGWU(運輸一般労組)、CWU(情報通信労組)などである。これらは日本で言えば、国労、動労、自治労、全電通などに相当する大単産だ。
79年のサッチャー登場以来、イギリスにおいて全世界でもっとも徹底的に新自由主義による資本攻勢が吹き荒れた。それに対して労働組合の側はニューレイバーという、労働運動の裏切り者を内部に生み出し、それに労組の執行部を奪われた結果闘えず、この資本攻勢を許してきた。
イギリスの資本攻勢は徹底している。日本と同様に国鉄は分割・民営化されたが、レールを保有する会社と列車を走らせる会社が別になっており、しかも旅客会社などが数十もあって安全・運転保安が崩壊し、重大事故が多発する事態になっている。いまや「鉄道再国有化」が闘いのスローガンになっているほどだ。
また、昨年から今年にかけてFBUの消防士が40%もの大幅賃上げ要求を掲げて8日間ストを含む数波のストを闘ったが、その背後に、イギリスの公務員の賃金が最低賃金水準にまで切り下げられているという現実がある。さらにスコットランドの北部には自治体破壊によって廃墟と化した町がいくつも存在する。
サッチャーから始まり、ブレア労働党政権に引き継がれた一大資本攻勢で、労働者階級は生きていけないところにきていた。これへのやむにやまれない反撃が開始されたのだ。
2月の200万人デモの衝撃は、巨大労組で左翼諸党派がニューレイバー派を打倒して執行権を奪取したり、ブレア政権に反旗をひるがえす事態を次々に生み出している。ブレア政権は風前の灯火だ。80年代以降の歴史的反動がついに打ち破られつつある。
フランス、イタリア、スペイン、ギリシャなどヨーロッパ各地で年金制度や雇用制度改悪反対のゼネストが闘われ、ドイツでも大労組IGメタルが時短などを要求し、長期ストを闘った。
韓国でのスト
韓国の労働者階級の闘いは、今日の世界で最高・最強力と言ってもいい闘いを切り開いている。民主労総は、新植民地主義体制下の、しかも南北分断のもとで、苛烈な弾圧と不屈に闘いぬく中で成長してきた。
今年前半期、民主労総は盧武鉉(ノムヒョン)新政権との総力闘争に立ち上がり、偉大な勝利をかちとった。1〜3月、焼身決起したペダルホ組合員の遺志を次いで闘い勝利した斗山(トゥサン)重工業闘争、2月大邱(テグ)地下鉄惨事に対して運転士2人乗務制を要求して立ち上がり、鉄道民営化撤回合意をかちとった4月全国鉄道労組の闘い、さらに5月には全国運送荷役労組貨物連帯が釜山港など主要港の物流をストップさせる巨大なストを爆発させた。
同時に民主労総は、イラク反戦を全世界に呼びかけ、韓国軍のイラク派兵阻止闘争を実力で闘った。それは、在韓米軍による女子中学生れき殺事件をもって爆発した反基地・反米闘争、さらに米日帝の北朝鮮侵略戦争を許さない闘いと完全にリンクしたものだ。
97年アジア通貨危機の爆発以降IMF管理体制下に入った韓国では、「構造改革」の名で整理解雇制・派遣勤労法が強行導入され、公企業民営化攻撃などの大失業攻撃が襲いかかった。この結果、韓国1300万労働者の実に56%の760万人が非正規職労働者となっている。韓国の労働運動の正面課題に非正規職労働者の組織化、権利獲得の闘いが据えられている。
ストライキの嵐(あらし)に追い詰められた盧武鉉政権は、弾圧を一挙にエスカレートさせ、鉄道労組を始め闘う労働者人民に凶暴に襲いかかっている。正念場を迎えた韓国労働運動との連帯が求められている。
第3章 国労弾圧絶対粉砕と百万反戦決起を
以上を見れば、動労千葉の闘いが、なぜ全世界の闘う労働運動の中で圧倒的に評価されるのかがよく分かる。日本の労働者階級が直面している課題は、全世界の労働者階級が直面している課題とまったく同じだ。しかも動労千葉はストライキで闘っているのである。
有事立法・イラク派兵法を頂点とする侵略戦争参戦攻撃と、「奥田ビジョン」を頂点とした一大資本攻勢が日本の労働者階級にかけられている。しかも日帝の絶望的で凶暴な攻撃が、民主党・連合の屈服と大裏切りに支えられて推し進められるという許し難い現実がある。
にもかかわらず、国鉄闘争支援陣形と、陸・海・空・港湾労組20団体を始めとした闘う労働組合の存在によって、敵の攻撃は破綻(はたん)している。そこから、闘う労働運動つぶしを狙った国労5・27臨大闘争弾圧や解同全国連寝屋川弾圧、東北大・全金本山闘争弾圧と共謀罪新設攻撃などの戦時下の治安弾圧が激化しているのだ。
闘いの方向は鮮明だ。全世界の労働者階級の一大決起と自らを重ね合わせて、労働者階級の根底からの決起を組織することである。
国鉄分割・民営化に反対し、営々として闘いぬいてきた国鉄1047名闘争の世界史的意義は今や鮮明である。全世界の労働者階級のさきがけをなすものとして、誇りをもってチャレンジと反動革同を吹き飛ばして国鉄決戦勝利に突き進もう。チャレンジが手本にしたヨーロッパ型社民は今や歴史のくずかごにたたき込まれる運命だ。
国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕する闘いは、世界史的意義のある闘いだ。「許さない会」を今こそ大きく発展させよう。
百万人民の反戦決起を全力でつくり出そう。
外への侵略戦争と内への階級戦争に対する怒りに燃えて、労働者の闘う団結を全産別でつくり出し、日本の労働者階級の11月総決起を実現しよう。
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週刊『前進』(2113号1面2)
動労千葉代表が訪米 西海岸 闘う労働組合と交流
7月9日〜15日、動労千葉の川崎昌浩執行委員がアメリカ西海岸でも最強の組合と言われているILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10(第10支部)などの労働組合の招請でサンフランシスコを1週間にわたって訪問した。『日刊動労千葉』のアメリカ派遣報告によると、以下のような感動的な交流が行われた。
ILWUはサンフランシスコに、港湾労働者を組織しているローカル10と、港湾職員を組織しているローカル34の2つの支部がある。今回の訪問は、動労千葉の3月27日からのイラク反戦を掲げた72時間ストに感動したローカル10の労働者たちから、毎年行っているレイバーフェスタというイベントに来てほしいという招請があり、それに動労千葉がこたえたものだ。
12日には、ローカル10主催の集会に参加した。ローカル10書記長のクレランス・トーマスさんが「ILWUはイラク戦争と占領に反対している。闘いをこれからも続けなければならない」と決意を表明した。
ローカル10は、4月7日サンフランシスコ湾内のサンフランシスコの対岸にあるオークランド港でイラクへの軍事物資輸送阻止を掲げてピケット闘争に決起した。これに対して警察権力は、ゴム弾などを発射して弾圧、ジャック・ヘイマン・ローカル10業務部長などを逮捕した。
この弾圧への動労千葉の弾劾声明への感謝も述べられ、「旧友との出会い」にも似た感動的な交流の場となった。
13日にはレイバーフェスタのイベントに参加。動労千葉から、ヒロシマの原爆を題材にした栗原貞子さんの詩「生ましめんかな」の紹介が行われた。参加者の多くは涙ながらに聞き入った。感動した参加者から、「非常にすばらしい」「これはほんとうの話なのか」などの感想が寄せられた。
国労弾圧反対など決議3本
14日には、サンフランシスコの7万人の労働者を組織する全米最強のサンフランシスコ労働者評議会に参加。その場で、@動労千葉支援、A国鉄1047名闘争支援、B国労5・27臨大闘争での8人の逮捕弾劾の決議が上げられた。
討論では、「日本の鉄道労働者の行動を強く支持する。アメリカで起きていることと同じだ」などという賛成意見が次々に表明され、参加者全員が総立ちになって、「ソリダリティー(団結)」のかけ声が上がり、決議が確認された。
今回の訪問は、日米の労働者階級の国際連帯の本格的な形成に向かって大きな一歩を記した。
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週刊『前進』(2113号2面1)
7・27大阪 労働者党建設へ決意 関西革共同集会に465人
東大阪市議選の必勝誓う
7月27日、関西における革共同政治集会が、大阪市の浪速区民センターに465人を結集して熱烈にかちとられた。集会は、01年9・11対米ゲリラ戦、ならびに3・20イラク侵略戦争開戦を転機とする世界戦争過程突入と世界大恐慌情勢の激化の中で、革命的情勢が急速に成熟しつつあり、自衛隊イラク派兵という戦後史を一変する日帝の攻撃が切迫している情勢に対して、革共同を真の労働者革命党として登場させることを全参加者の共通の決意としてうち固めた。そして何よりも、9月東大阪市議選における阪口克己氏の必勝のために全党と、闘う人民の総力決起を熱烈に誓い合った。革共同は、革命的労働者党として部落解放同盟全国連合会と労働者階級の階級的共同闘争の飛躍を実現し、瀬川博委員長の後継者として阪口氏の東大阪市議選勝利に向け総力決起することを宣言した。
集会冒頭、司会が集会の獲得目標を簡潔に提起し、直ちに闘う戦線の連帯と決意の表明が行われた。「障害者」解放を闘う戦線、女性解放組織委員会、全国沖縄青年委員会、入管闘争を闘う戦線が発言した。
三里塚芝山連合空港反対同盟、北富士忍草母の会、獄中同志からのメッセージが紹介された。
治安弾圧粉砕へアピール
次に治安弾圧攻撃粉砕のアピールに移り、まず昨年末16年を超える長期獄中闘争を闘いぬき勝利の出獄を果たした十亀弘史同志が、迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧粉砕の訴えを行った。続いて国労5・27臨大闘争弾圧粉砕のアピールを家族会が、解同全国連寝屋川支部弾圧粉砕の訴えを部落青年戦闘同志会の代表が行った。そして7・15全国金属機械港合同労働組合・サンコー分会弾圧を粉砕した勝利の報告が、港合同とサンコー分会の代表から行われた。
次に全学連の同志が反戦政治闘争決起のアピールを行い、さらに大資本攻勢と闘う労働戦線の決意を、国鉄、全逓、自治労、教労、合同労組で闘う同志が鮮明に提起した。
圧巻は東大阪市議会議員選挙必勝の訴えだ。国賀祥司泉佐野市議、小西弘泰高槻市議、森田充二高槻市議の革命的議員団、さらに部落解放同盟全国連合会中央本部・中田潔書記長が、燃えるような熱情を込めて東大阪市議選必勝を訴えた。
そして、立候補予定者の全国連荒本支部書記長・阪口克己さんが自らの渾身(こんしん)の決起の決意を明らかにし、全党へ総力決起をアピールした。全参加者の決意はいやが上にも高まった。
全学連の若い同志がカンパアピールを行った。
高原同志が熱い基調報告
革共同政治局の高原洋三同志が、「プロレタリア世界革命の大道開く階級的労働運動の防衛と創造へ」と題する基調報告に立った。
まず、高原同志は、時代認識の重要性を訴え、「21世紀、帝国主義世界戦争とプロレタリア世界革命が現実化する時代が到来している。それは、帝国主義の歴史的危機の深化と国際階級闘争の新たな高揚の、未曽有(みぞう)の階級決戦期への世界史的突入である」と提起した。
そして、「この階級決戦情勢に対して、革共同は『歴史的存在としての革共同』として、91年5月テーゼ以来の、さらに01年第6回大会でうち固めた全成果と全蓄積をかけて<新たな指導方針>をもって、今こそ階級的労働運動の防衛と創造をかちとり、プロレタリア世界革命を実現するために総決起することを宣言する」と、革共同の使命と決意を鮮明に述べた。
その上で高原同志は、「帝国主義の戦争と抑圧・搾取に対して、労働者階級が生産と社会の主人となり、社会主義(共産主義)を実現する以外には人類史的な活路はない」、「プロレタリア革命を党の意識的・計画的な闘いに媒介された労働者階級自身の自己解放闘争として絶対に実現しようではないか」と呼びかけた。
さらに、「レーニン主義の新たな型の『社会主義と戦争』の創造の立場で、『全世界の労働者階級と被抑圧民族は団結し、帝国主義戦争を内乱に転化しよう』の旗を掲げ、帝国主義のあらゆる反動と大逆流をプロレタリア革命への巨大なうねりに転ずる歴史的大攻勢にうって出よう」と呼びかけ、「今こそ階級的激動期において、すべての同志は激しい危機感と革命的情熱をたぎらせ、真の革命的実践者として団結し、自己変革と飛躍をかちとろう」と訴えた。
高原同志は、<プロレタリア世界革命の達成とそのために必要な党の飛躍という絶対的基準>で党の闘いを総括する立場から03年前半戦を総括した。そして、03年後半戦〜04年における党の革命的飛躍の方針を「イラクへの自衛隊の大規模派兵の策動を阻止せよ」「階級的労働運動の防衛と創造をかけて、闘う労働者とともに11月労働者集会をかちとろう」「革命的議会主義の発展をかちとろう」「プロレタリア革命に勝利する党と細胞の建設」などとして全面的に提起した。
そして、その具体的実践方針として、今秋自衛隊イラク派兵阻止闘争の大爆発、9月東大阪市議選勝利、11月労働者集会の圧倒的勝利を戦取することと、労働者階級の中に広く深く根を張った革命的労働者党を建設し、敵日帝・国家権力を打倒する党へ飛躍することを訴えた。
熱気と戦闘性あふれる集会
この基調報告を受けて、関西地方委員会の代表が、「帝国主義戦争を内乱に転化する闘い」を自らの手で実現する決意を表明。日帝・国家権力の戦時型治安弾圧を粉砕し、階級的労働運動の防衛と創造という歴史的使命を果たすために、国労5・27臨大闘争弾圧被告の奪還、東大阪市議選絶対勝利をかちとる決意を鮮明にし、全党全人民の総力決起を呼びかけた。
続いて、部落青年戦闘同志会、学生戦線、労働戦線の代表が力のこもった決意表明を行った。戦闘同志会は、狭山第2次再審の特別抗告審における棄却攻撃の切迫に対して、狭山差別裁判徹底糾弾の再審闘争に総力決起すること、そして東大阪市議選必勝のために総力決起することを訴えた。
最後に司会が、「今こそ帝国主義世界戦争と世界革命の切迫情勢の中で、革共同の真の革命党への飛躍が問われている。このことをがっちりと確認し、この絶好の革命的情勢を革命に転化し、自らの手でプロレタリア革命に勝利するために総力決起をかちとろう」と集会を締めくくった。
かつてない熱気と戦闘性の高まりの中で、7・27革共同政治集会は圧倒的成功をおさめた。
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週刊『前進』(2113号2面2)
全国連婦人部 “婦人が飛躍の柱に” 奈良で活気ある12回大会
7月20―21日、部落解放同盟全国連合会の婦人部第12回大会が奈良市で開かれ、「5万人組織建設の半分を担う婦人の新たな飛躍に挑戦する」2003年度の闘いの方針を決定した。全国連の各県連・支部の婦人、全国労組交流センター女性部、婦人民主クラブ全国協議会など共闘の女性ら、195人が参加し、活発に討議した。
第1日冒頭、全国連婦人部の木藤シズ子副部長が、戦争、増税、差別の強化に全国連婦人部は負けないと力強い開会宣言を行った。次に北浦寿恵子婦人部長が主催者あいさつ、「狭山闘争40年の今年、石川一雄さんとともに差別糾弾闘争として闘い、再審・無罪をかちとろう。5月の大阪・寝屋川支部への弾圧は有事立法下の部落解放運動つぶし。団結を固め、4人を取り戻そう。介護・福祉・医療、教育、住宅問題に詳しい婦人は要求闘争、組織建設の主体になろう。9月東大阪市議選・阪口選挙の勝利を」と、四つの課題・方針を提起した。
大会実行委員長を務める地元奈良の婦人は、水平社の戦争協力の歴史や本部派の屈服をのりこえ、全国連は「母は解放のためたたかわん」の歌のように闘おうと発言した。
来賓の西村綾子相模原市議会議員・婦人民主クラブ全国協代表、新城節子杉並区議会議員、全国労組交流センター女性部長が全国連婦人部の闘いに学び連帯して闘うと述べた。
議事の初めに特別企画として、荒本支部が東大阪市議選で新人・阪口克己書記長の勝利へ全力で闘う決意を語った。狭山企画では、石川一雄さんとの連帯、今夏の最高裁特別抗告棄却阻止が訴えられた。
次に特別報告が二つ行われた。奈良・西之阪支部は、今春小学校卒業式の「日の丸・君が代」問題で親子、支部を挙げて校長らを追及した闘いを寸劇にして演じた。寝屋川支部はデッチあげ弾圧との闘いを報告、「中で頑張っている4人を一日も早く取り戻し、住宅闘争など支部建設を闘う」と決意表明した。
この後、中央本部の中田潔書記長が「全国連の組織建設と婦人の役割」について講演し、「家庭や村の実情に精通している婦人は、要求闘争、組織建設の中心的存在だ。しかし婦人は、部落差別の激化の中で矛盾が集中し、困難な状況に置かれている。婦人が自由に闘えるように村の総団結をつくりだそう」と述べた。
カンパアピールの後、北富士忍草母の会、三里塚芝山連合空港反対同盟のメッセージが紹介された。
2002年度活動報告を岩崎喜子事務局員が提起、「村の実情をつかみ直し、婦人が3大闘争の先頭に立ってきた。医療・介護・福祉の保障の闘い、学力促進学級の運動で新たな地平を切り開いた。主流派になるためには婦人部建設が決定的だ」と総括した。
2003年度運動方針案を小林あや子事務局長が提案。東大阪市議選必勝、狭山闘争、寝屋川弾圧粉砕の闘いの強化を確認した。要求闘争として、住宅家賃値上げ問題、介護・医療・福祉問題、仕事保障・労働問題、教育問題を取り上げた。共同闘争では反戦闘争への決起、国鉄闘争への連帯を提起した。最後に婦人が主体となって組織建設を進めようと訴えた。
夕食後、全国婦人交流会が開かれた。翌21日は、午前、教育・保育、医療・介護・福祉、住宅の三つの分科会が行われた。全国連の婦人と共闘の女性労働者とが積極的に意見を述べ合い、闘いの方向を探った。
その後、全体集会が再開。中田書記長のまとめ、議案の一括採択を受け、北浦婦人部長(4選)が新役員を代表して、「寝屋川弾圧に勝つために荒本に学んで団結を強化しよう。そのためにも9月阪口選挙に勝利しよう」とあいさつした。
「法」期限切れを打ち破って前進した1年間の闘いに確信をもち、婦人が諸闘争と組織建設の中心を担う熱い決意を固めた大会となった。
全国連婦人部の闘いに学び、連帯し、狭山特別抗告審闘争勝利、部落解放・日帝打倒へともに闘おう。
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週刊『前進』(2113号2面3)
7・21福岡 イラク派兵許すな 13回目の集会とデモ
7月21日夕、福岡市天神・警固公園で「アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会」が主催し、自衛隊イラク派兵法案の参院成立を阻止し、自衛隊のイラクへの大規模派兵を許さない集会とデモが行われた。
この大統一戦線によるイラク反戦・有事立法阻止の集会とデモは今回で13回目だ。
集会では実行委員会の代表が、「米英軍の軍事占領と植民地化に反対し反占領闘争が闘われているイラクに、小泉は自衛隊を派兵しようとしている。イラク新法を絶対に成立させてはならない。廃案は可能だ。イラク人民と連帯する闘いを。北朝鮮への野望を許すな」と呼びかけた。
各団体からの発言で有事立法粉砕実行委員会・福岡、住基ネットを考える福岡市民の会、沖縄と結ぶ市民行動・福岡が発言した。
集会終了後、天神一周のデモ行進に出発した。集会場にも、デモ行進の途中でも、新たな参加者が飛び込んでくる。自衛隊のイラク派兵阻止闘争の爆発は不可避であり、この闘いの力が有事法制を打ち砕く闘いに発展していく確信をつかんだ闘いとなった。
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週刊『前進』(2113号2面4)
際連帯の一大結集軸 ヒロシマ大行動へ
今夏、8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争は、世界の労働者階級が連帯する国際反戦闘争として大きく飛躍しようとしている。
8・6には、韓国から代表が参加し、韓国・大邱市で「8・6行事」が同時開催される。また中国の南京からも代表が参加する。そして米のANSWER連合は、8月5日から8月9日までの広島・長崎反戦反核闘争にフルに参加する。
核兵器(原発も含む)は、帝国主義が作り出した究極の無差別大量殺戮(さつりく)兵器である。そして、被爆(曝)を強制されるのは世界の労働者階級人民だ。「核と人類は共存できない。核を廃絶せよ」とは、世界の労働者階級の要求なのだ。
7月中旬の動労千葉の訪米による日米労働者階級の国際連帯行動の歴史的前進に続き、ヒロシマ・ナガサキを国際反戦反核闘争の一大結集軸に押し上げよう。広島・長崎現地に全国から総結集しよう。
8・6−8・9反戦反核闘争日程
主催 8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
8月5日(火)
ヒロシマ反戦反核の集い
午後5時開場 アステールプラザ(広島市中区加古町4−17)
◎特別講演「朝鮮民主主義人民共和国には原爆は作れない」
小出裕章さん(京都大学・原子炉実験所)
◎ヒバクシャは訴える「ビキニ被曝と日本の核政策」
大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)
◎米の反戦団体・ANSWER代表からの発言
8月6日(水)
小泉首相出席弾劾! 祈念式典糾弾デモ
午前7時 広島市中区・東千田公園
核廃絶・被爆者解放・小泉来広糾弾集会
午前9時30分 アステールプラザ
8・6ヒロシマ大行動参加(要項別掲)
8月7日(木)
陸のフィールドワーク〜佐世保基地 午後2時 長崎県佐世保市
8月8日(金)
海のフィールドワーク〜軍艦島(端島)ツアー 午前10時30分 長崎市
長崎・中心地デモ 午後3時 長崎市・中央公園
被爆58周年8・8長崎反戦集会
午後5時 長崎県勤労福祉会館大ホール
8月9日(土)
爆心地・長崎市内デモ 午前10時・天主公園
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被爆58周年
再び戦争をくり返すな!
8・6ヒロシマ大行動
8月6日(水)正午
広島県立総合体育館・小アリーナ(広島市中区基町4の1)
◆被爆者の訴え
石田明さん(「7・5ヒバクシャの集い」発起人)
大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)
詩の朗読 栗原貞子さん(詩人)
◆世界の反戦運動との連帯
韓国・中国からの訴え
アメリカ−ANSWER連合
◆有事法制を拒否する労働者
村中哲也さん(航空労組連絡会副議長)
◆沖縄からの訴え
◆広島の決意
教育基本法改悪とたたかう教育労働者
湯浅一郎さん(ピースリンク広島・呉・岩国世話人)
栗原君子さん(元参議院議員)
ヒロシマから世界へ〜若者のヒロシマアピール
デモ行進(午後3時出発〜5時平和公園解)
主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会
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週刊『前進』(2113号2面5)
資本攻勢&労働日誌 2003 7月10日〜29日
連合が改憲促す「憲法の論点」 医療の派遣解禁を答申/違法残業で武富士を送検
●減額調整措置に訴訟提起 自治労北海道本部傘下の4単組が、昨年の自治体公務員の賃金改定にかかわる減額調整措置を違法として札幌地裁に訴えた。(10日)
●総合規制改革会議が答申 総合規制改革会議が「規制改革推進のためのアクションプラン・12の重点検討事項に関する答申」を決定。派遣労働の医療分野への拡大や職業紹介事業の民間への開放などを盛り込んだ。(11日)
●住宅ローン返済困難者が急増 住宅金融公庫でローンの返済期間延長・減額措置を受けた人は昨年度2万5570人で、前年度より77%増えたことが明らかに。(16日)
●私鉄総連大会、組織統合問題で激論 私鉄総連は17日まで大会を開き、交通運輸4産別の統合問題につき「05年に組織統一」「私鉄総連の解散の是非は来年の大会で決める」との方針を決定したが、反対意見が続出した。(16日)
●週5日制獲得 韓国金属労連が経営者団体との交渉で週5日労働制を獲得。時短に伴う労働条件切り下げを許さなかった。(16日)
●連合、改憲推進へ踏み切り 連合は中央執行委員会で「憲法の論点について」(中間報告)を示し、自衛隊、日米安保、新ガイドライン、テロ対策特措法、有事法制に関する連合見解などを再確認。「政治方針」については「基本的な考え方は変更する必要がない」とした。(17日)=別掲参照 連合ニュース記事
●雇用保険給付引き下げへ 厚労省は、雇用保険給付の基本手当の日額などを8月から0.8%引き下げると発表した。(18日)
●ベア中止・ダウンが6割超 人事院の03年職種別民間給与実態調査によると、ベア中止やベースダウンを実施した事業所は63.4%、定期昇給停止は11.2%に。(22日)
●最賃目安を据え置き 中央最低賃金審議会は、03年度の地域別最低賃金を2年連続で据え置くよう厚労相に答申。(24日)
●自殺者、5年連続で3万人超 昨年の全国の自殺者数は3万2140人で、5年連続して3万人を超えたと警察庁が発表。(24日)
●全労連、年金・増税・最賃に重点 全労連は評議員会を25日まで開いた。熊谷議長は、労基法改悪について「解雇自由の明文化を押し返した」と総括。運動方針では、年金改悪、増税、最低賃金を重視するとした。(24日)
●未払い残業代35億円 消費者金融大手「武富士」で、違法残業による未払い賃金が約35億円にも達していたことが分かった。29日には、大阪労働局が労基法違反で同社取締役らを書類送検。(27日)
●完全失業率5.3% 総務省が発表した労働力調査結果によると、6月の完全失業率は前月比0.1ポイント低下し5.3%となった。男性の失業率は5.7%と0.1ポイント悪化した。6月の有効求人倍率は前月と同じ0.61倍だった。(29日)
連合の「憲法の論点」中間報告
連合が中央執行委員会で示した「憲法の論点」(中間報告)は、労働関係法、新しい人権・権利、行政と国会、司法制度と裁判所、地方自治、安全保障の6点について、賛否両論を併記した。
国連平和維持活動(PKO)に関しては、「@平和憲法の順守、A集団的自衛権の不行使、B国連中心主義を原則に非軍事・非武装の立場から行うとする3原則を再確認すべき」との意見と、「状況の変化に応じて見直すべき」との意見を併記。集団的自衛権に関しても、積極的推進論と消極論の併記となった。
連合は、国会に憲法調査会が置かれたことを機に「国の基本政策検討作業委員会」を設置し、「憲法の論点」について検討してきた。今後、三役会で集中論議し、結論を出すとしている。
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週刊『前進』(2113号3面1)
8月自治労大会へ訴える
労働組合の原則投げ捨てる「21世紀宣言」=新綱領阻止を
革共同自治体労働者委員会
自治労は、8月26〜28日に横浜で開催する第74回定期大会で綱領を転換し、「自治労21世紀宣言」=新綱領を決定しようとしている。綱領は労働組合にとっては憲法である。綱領によって組合は団結し、一致し、行動する。この綱領の転換は「自治労の改憲」そのものだ。自治労が結成以来の「階級的労働運動」の路線を投げ捨て、労働組合であることをやめるに等しいものだ。「戦争か革命か」の時代の日本労働運動の階級的再生をかけて、闘う自治労組合員は大会での新綱領の採択を絶対阻止しよう。
「階級的使命」削除を許してよいのか
自治労は1954年の松江大会で「綱領3原則」を決定し、さらに7年間の大衆的討論の中から1966年の新潟大会で3原則をより具体化した「自治労綱領」を決定した。(別掲のシリーズ参照)
それは「自治体労働者の階級的使命に徹し」、生活の向上と労働条件の改善、日本の平和と世界の恒久平和のために闘うことを宣言したものである。特に重要なことは、自治体労働者が戦後、「『天皇の官吏』の状態から脱却し……みずからの労働者性を自覚して、多くの自治体において労働組合を結成していった」という自治労結成に至る原点を確認していることだ。労働者としての階級性を自覚し、「独占資本とその政府による勤労国民の搾取と収奪、抑圧に反対し」「帝国主義的な海外進出、侵略と戦争に反対し、すべての国の労働者階級のたたかい、民族自決のたたかいと連帯し、労働者の生活向上、権利拡大のためにたたかう」ことを基本方向として確認しているのである。
限界があるとはいえ、当時120万人を擁する日本最大の産別組合が、「社会主義の実現」を標榜(ひょうぼう)し、「階級的労働運動」の綱領を掲げたことは、総評労働運動において大いに意義があった。
しかし直後から綱領を変えようとする勢力が台頭する。この流れは、総評の解散=連合の結成、ベルリンの壁の崩壊とスターリン主義の歴史的崩壊に始まる90年代をとおして加速した。
そして「新綱領委員会」と、学者たちによる「21世紀戦略研究会」を発足させた。その報告書『公共サービスと労働組合の21世紀戦略』と『グローバル化と自治体政府の時代、市民と自治労が創る21世紀の公共性』を基礎にして、ついに01年の旭川大会で「自治労の21世紀宣言」という新綱領を提案するに至るのだ。
そして、大衆討論をしないまま一気に02年山口大会で採択に持ち込もうとした直前に自治労の不祥事が発覚し、自治労本部が倒壊して、1年間たなざらしにされた。それを再びこの03年横浜大会で強行突破しようとしている。この新綱領の採択を許すのかどうか――ここに、今後の自治労の行方がかかっている。
労使「パートナー」路線を推進
なぜ綱領転換か。自治労は“基本綱領は総評時代の遺物であり、もはや歴史的文書にすぎないから、時代にマッチした綱領に転換する”と言う。目的は一つ、現綱領の「自治体労働者の階級的使命」を削除し、ここに表された階級的労働運動、社会主義をめざす労働運動を放棄し、マルクス主義を放逐するためである。
(1)新綱領は資本との対決を放棄し、労働運動からの逃亡をめざしている。根底には“賃労働と資本の敵対関係で現代社会をとらえることはできない。労働運動が社会全体の利益を体現する時代は終わった。雇用の多様化により労働運動の質的転換が求められている”という考えがある。
まさに歴史的な転向文書だ。現場で血を流して闘われている民営化や民間委託化、臨職・パート化、人員削減とは対決せずに容認した上で、「自治労を新たな民間を含む公務公共サービス産別に変える」というのだ。次には「自治労」の名称変更が問題になる。新綱領こそ、新たな「産業報国会」運動への転落、日経連「新時代の『日本的経営』」路線、奥田ビジョン路線そのものだ。
(2)新綱領は、これだけの大転換にもかかわらず、現綱領の総括が一言半句もない。「断絶的飛躍」と言って、これまでの自治労運動の経過と蓄積を清算して(断絶)、まったく異なったスタンスに転換せよ(飛躍)、ということだ。
その根底にあるのは、自治労中央が今の時代を認識できないということである。“東西冷戦構造は終焉(しゅうえん)し、もはや社会主義はめざすべき社会ではなくなった。世界はグローバリゼーションの時代へと入った”と、現代が帝国主義の時代であることを完全に否定する。その結果選んだ道は、イギリス帝国主義ブレアの「第3の道」政権、ドイツ帝国主義シュレーダーの「自由・公正・連帯」綱領(ベルリン綱領)、イタリアの「オリーブの木」中道左派連合の模倣なのである。
この観点から90年代の日本の社民勢力を総括し、90年代を“いたずらに時間を空費した失われた10年だった、今や階級的な鎧(よろい)を捨てよ”と言う。
しかしヨーロッパ社民とは、「祖国防衛」の名で戦争に協力した重い過去を背負った存在である。そしてブレアは、米帝ブッシュとともにイラク侵略戦争を凶行するところまで転落したのだ。これが帝国主義社民の本性なのだ。
(3)新綱領は、労使のパートナーシップ路線を鮮明にさせた。
まず「労使の協働で有効な政府を確立する」と言う。「労使協働政府」というのは、要するに政権政党になるということだ。村山富市元首相は、自治労大分県本部委員長を経由して社会党代議士になった。首相当時も現役の自治労特別執行委員だった。自治労は政権政党のもとでの権力組合のうまみを知りつくしているのだ。しかし村山政権こそが、安保と自衛隊を容認して、社会党を解体したのだ。つまり新綱領は、労使協働して総翼賛政府をつくろうと主張しているのだ。
また「労使協議制度を確立する」と言うが、自治体労働者に地方行政への決定権はまったくない。決定権のない労使協議とは「闘うな」ということだ。現に新綱領には「闘う」という言葉は一回も出てこない。闘わないから「闘う」という言葉は必要ないのだ。
国家権力機関の一部としての「自治体職員」が、労働者階級の一員の「自治体労働者」として団結して闘ってきた。新綱領はこの現綱領の階級的団結を解体しようとしているのだ。
(4)8月自治労大会では、この綱領的転換を、民主党系主流派の不祥事による総辞職によって権力が転がり込んだ社民党系反主流派の竹花副委員長、君島書記長などを駆使して、反対派県本を籠絡(ろうらく)して突破しようとしている。反対派を取り込んで綱領転換を実現し、挙国一致体制をつくる、これは村山政権をして社会党に安保・防衛政策を転換させた手法そのものである。
自治労大会での新綱領の採択を阻止しよう!
「論憲」=改憲勢力に大転向
(1)「連合の中から連合の右傾化を阻止する」と大見えをきって連合に加盟した自治労は、「今や連合と重要政策での乖離(かいり)が埋まった」と豪語している。なんのことはない。安保・自衛隊問題などで自治労が連合「日本の進路」「政治方針」にすり寄っただけである。
いやそれ以上に、今や自治労は積極的役割を果たしている。「21世紀臨調」(新しい日本をつくる国民会議)や、連合三役直属の「国の基本問題検討作業委員会」(委員長は連合事務局長・草野)などで、小泉内閣と一体で有事体制を整備し、改憲への道筋をつくろうとしているのだ。
有事関連3法は民主党と自民党の「修正協議」により成立したが、自治労はこの時、民主党をつうじて有事3法成立に深く加担した。しかし有事になれば戦争協力に駆り出されるのは自治体労働者なのだ。この自治労中央の裏切りをけっして忘れてはならない。
(2)新綱領は、改憲への道も開こうとしている。「(憲法論議で)まず必要なことは市民参加と関与に裏打ちされた民主主義の深化・発展であり、その土壌のうえで……国民的論議をつくりあげることである」と護憲の立場をかなぐり捨て「論憲」=改憲への転換を鮮明にした。現場から批判を受け、中央委員会の後に「日本国憲法の積極的平和主義と国連憲章の理念に基づく」という言葉を補完したが、これこそ連合の昨年5・16見解における「憲法の枠内での有事法制は必要」という言葉とまったく同じペテン的手法である。
(3)安全保障政策は、「東アジアにおける総合的な地域安全保障システムを構築していくことが急務である」と、奥田ビジョンと完全に照応している。
それだけではない。雇用形態多様化から労働組合のあり方に至るまで、新綱領と奥田ビジョンはまったく瓜(うり)ふたつなのだ!
「国のかたち」変える公務員制度改革
この綱領の転換は、すべての方針と路線に貫かれている。
中央省庁再編、行財政改革、地方分権・規制緩和、市町村合併など、公務員労働者のリストラ・首切りと、戦争動員のための激しい攻撃が始まっている。国家財政が破たん状態にある中で、地方分権一括法で権限が国から地方へ移管を始めているが、財源保証がない。財源委譲がない分権は地方切り捨てである。小泉内閣の「三位一体改革」には、国の借金も地方に委譲するという含意がある。その結果、特に「教育と福祉」が切り捨てられる。
反面で、“この機に市町村合併特例法(合併特例債の発行義務)で時限立法で補助金を増やしますよ”という誘いがある。他方で総合規制改革会議は、株式会社などによる自治体事業の参入を緩和した。これはまさしく自治体の分割・民営化攻撃だ。3300自治体の何割が生き残れるか、市場原理にもとづくサバイバル戦の開始であり、都道府県もやがて合併して道州制に移行するだろう。公務員制度改革とは、これら一切合切を集約した「国のかたちを変える」決着的な攻撃なのである。
しかし戦後地方自治とのはざまで、激しいきしみが生じている。すでに地方自治体では数百人の自殺者を出し、おそらくその数十倍する犠牲者を生み出している。(例えば新潟県本庁では02年だけで8人の在職死亡が報告されている)
こうした中で政府は、労働基本権を制約したまま、能力等級制度による能力・業績主義を導入する方針である。そのために国家公務員法、能力等級法、官民人事交流法などを秋の臨時国会に提出し、人事院の機能を縮小する。目的は終身雇用と年功賃金の解体による団結の破壊である。
これに自治労中央は反対せず、「民主的公務員制度改革を実現しよう」という対案を打ち出して「4原則2条件」を提示した。足元を見た政府はただちに「組合側との合意なき、公務員制度改革大綱に基づく関連法案の閣議決定」に踏み切った。総務省公務員部はただちに地方公務員法改悪を打ち出して、能力等級制度の導入を決定した。自治労中央は、あわてて石原伸晃行革担当大臣に抗議し、笹森連合会長と小泉首相による政労トップ会談を持ったが、決裂した。
労働基本権は闘ってかちとるものである。実力で奪還しないかぎり、政府が労働三権など与えるはずがない。実力闘争なき労働基本権奪還など、絵に描いたもちである。今こそ連合自治労の「対案」路線を許さず、「公務員制度改革粉砕・関連法案阻止」の鮮明な旗を掲げて闘おう。
有事法発動=戦争協力拒否の闘いを
政府は有事3法の成立後ただちに「自衛隊法改定に基づく各法の特例規定の創設などについて」(6・13通知)を全国に送付した。改悪自衛隊法による自衛隊の行動は自治体との協議を必要とせず「通知をもって足りる」と強調し、あらゆる既成法令に優先する特例規定を創設したのである。
同時に自治体労働者には「戦争協力」の業務命令が出される。自衛隊の1000人規模のイラク派兵はその始まりであり、民間チャーター機の動員は確実である。陸・海・空・港湾労組20団体が呼びかけた「有事法制を完成させない。発動させない。従事しない」闘いは、いよいよ実力闘争として貫く以外にない闘いとなるのだ。
連合は有事法制推進と戦争加担で舵(かじ)を切り、10月連合大会をとおして実質改憲へと突き進もうとしている。この時、自治労が綱領を転換することの意味は、単に闘いを放棄するだけではない。積極的に戦争加担するためである。
5月に開かれた自治労中央委員会では、有事法制に賛成した民主党の組織内議員団に対して、「何をしていたのか。自治労の態度をはっきりさせよ」と怒号と非難が相次いだ。動員される組合員には、怒りはあふれているのだ。
われわれに自治労の変節をひっくり返すチャンスはある。20労組とともに闘い、自治体労働者の戦争協力拒否のために奮闘しよう。自衛隊イラク派兵阻止闘争に全力で決起しよう。
自治労の再生かけ大会決戦に立とう
大会では加えて、驚くべき反動方針が提案される。
「自治労不祥事」(自治労中央による組合費の流用や私物化)に対して、疑惑のすべてにふたをして「幕引き」をする。39億円に上る使途不明金のうち、実に20億円が宮川尭なる中曽根康弘のフィクサーに渡ったことまでは渋々認めたが、「回収不可能」という。社会的な非難を回避するために、「お上」に頭を下げて、追及しないという「合意」が成立していることは間違いない。
徹底究明以外に、自治労再生はありえない。大会議案の「借財返済計画の見直し」は絶対認められない。
また、組合民主主義を徹底的に否定して代行主義による運営の密室化を図ろうと、「組織拡大アクション21」を提案する。その内容も、実に驚くべきものだ。
@定期大会を隔年化し、規模を中央委員会程度に縮小する。A中間年大会は04年で終了する。B現業評議会など組織横断的総会を解散し、青年部や女性部をユース部などに再編し、権限を縮小する。C県代表者会議、拡大闘争委員会など準機関会議を切り捨てる。
こうして現場の声、地方の声、青年・女性の声を圧殺した上で、D本部体制を強化し、書記機能を強化する。それは「組織拡大オルグ」を「成果主義」「契約制」「年俸制」「裁量労働制」にするというものだ。これが労働組合のすることか。これを見ても、本部は、感覚的にも労働組合ではなくなっているのだ。
大会は、戦後自治体労働運動を清算して翼賛組合へ突き進むのか、これを阻止するのかをかけた最大の決戦だ。
11月労働者総決起かちとれ
国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いと百万人署名を両軸として、11月へ労働者の総決起をかちとろう。自治労大会もまた、闘う自治体労働運動の新潮流をつくりだすための闘いである。
アメリカや韓国の労働者との国際的連帯を強めよう。マル青労同再建をかちとり、新生自治体労働者委員会を建設しよう。
歴史的転換点にあたって、自治体労働者委員会は「1年間決戦」を闘ってきた。今まさに8月定期大会に向かってその結論が出されようとしている。全力をつくして闘いぬこう。
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週刊『前進』(2113号3面2)
イラク派兵阻止へ革共同にカンパを
すべての読者、支持者、労働者の皆さん。重ねて、絶大なカンパを訴えます。
日帝は有事3法成立に続いて、7月26日未明にイラク特措法を強行成立させました。自衛隊の陸海空3軍1000人の武装部隊をこの11月にも戦場そのもののイラクに派兵しようとしています。日帝は「強盗との戦い」「正当防衛は武力行使ではない」というペテン的論理で、米英のイラク軍事占領の一角を担い、小銃や機関銃だけでなく無反動砲など戦車並みの大型兵器でゲリラ制圧戦争を行おうとしています。戦死した自衛隊員には1億円の補償を行い、これを「英霊」化攻撃のテコとして徹底的に利用しようとしています。
こうなれば日本の社会情勢・階級情勢は一変します。日帝はすでに侵略派兵の「恒久法」が必要だと言い立てています。私たちは今、全面的な日帝の侵略派兵を許すのかどうかの瀬戸際にいます。今秋自衛隊イラク派兵阻止の巨大な反戦闘争を巻き起こしましょう。
こうした戦争への攻撃の一方で、労働者人民に対する一大資本攻勢が襲いかかってきています。雇用、賃金、年金、福祉、税金などあらゆる分野にわたって労働者人民を徹底的に搾取し、切り捨てていく攻撃です。
これらは帝国主義の強さの現れなのか。そうではありません。帝国主義はどうしようもないどん詰まりの危機を迎えており、その中からのあがきとして、外に向かっての侵略戦争と内に向かっての階級制圧の戦争にしゃにむに打って出ているのです。だから帝国主義の侵略戦争に反対することと、一大資本攻勢に対決して闘うことは一体であり、侵略戦争をしなければ生きていけない帝国主義を打倒することが問題となっているのです。
しかし皆さん、日本の現状はどうなっていますか。有事3法が連合・民主党の裏切りによって国会の8割・9割の賛成で通りました。労働基準法改悪も社民党や日本共産党まで賛成して圧倒的多数で通りました。今こそ労働者階級が団結して闘わなくてはならない時に、日本共産党は綱領改定で、「労働者階級」という用語を一掃し、自衛隊と天皇制を完全容認しようとしています。
もはや、戦争に反対し労働者の生活と権利を守ることに真剣に立ち向かう政党は、私たち革命的共産主義者同盟以外になくなったと言っても過言ではありません。全世界2000万人のイラク反戦闘争に示された国際反戦闘争の高まり、そしてイラク人民、アフガニスタン人民の大衆的決起の中からの果敢な反米ゲリラ戦争の継続、これらの闘いと本当に心をひとつにして、日帝の歴史を画する侵略戦争と一大資本攻勢に立ち向かえば勝利できる時代がきました。
労働者階級の持てる力を結集して、巨大な階級決戦の爆発をたぐり寄せましょう。そのために是非とも多額のカンパを寄せられるよう訴えます。
自治労(全日本自治団体労働組合)
都道府県や市町村の自治体労働者を組織する日本最大の労働組合。47年2・1スト中止後に自治労連が結成され、自治労協と自治労連への分裂を経て、54年に両者が統一、自治労となる。同年、総評および官公労に加盟。60年結成の公務員共闘に参加。人事院勧告完全実施、公務員の労働基本権奪還や反戦平和を掲げて闘った。労戦統一問題では、87年大会で総評の官民統一推進方針を支持、89年の連合結成に参加した。日本共産党系単組は、88年に自治労連を結成、89年に自治労から分裂し、全労連に加盟した。現組合員数約100万人。
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週刊『前進』(2113号3面3)
■横浜大会に向けて訴える■ (5)
自治労21世紀宣言 階級的労働運動を全否定
戦争協力と「労使協働」への綱領改定を絶対阻止しよう
有事法賛成=戦争翼賛の道
自治労第74回横浜大会で、本部は「自治労21世紀宣言」を決定し、現在の自治労綱領を「歴史的文書」にして葬ろうとしている。闘う自治体労働者は、全国で綱領改定絶対反対の闘いを巻き起こし、「宣言」の採択を阻止しよう。
「宣言」は、54年発足以来の基本綱領(別掲)と66年の現綱領を否定し、自治労が階級的労働運動の路線を放棄し、「労使協調」路線を明示に決定するものである。連合結成以来あいまいにしてきた路線問題に反動的決着をつけるものだ。
さらに、新たなアジア侵略に向けて、憲法改悪と戦争国家化、労働者の団結破壊と労働組合解体を打ち出した21世紀臨調と「奥田ビジョン」に対して、自治労は「それで行こう」と積極的に手を挙げたのだ。この間の組織討議で「宣言は誰が誰に向けてのものか」との意見があったが、まさに敵階級に向けて「自治労は闘いません」と宣言するものだ。同時に、連合最大産別の自治労が日本の労働運動を「労使協調」に転換させる先頭に立つと「宣言」しているのだ。
しかも、有事法制のもと、北朝鮮侵略戦争と戦争総動員が切迫する中での「路線転換」は、口先で「平和」を語ろうが、戦争翼賛の道である。まさに「第2インター」の道を自治労は歩もうとしている。ひとり自治労の問題ではない。有事法制賛成の5・16連合見解を徹底的に推進するのが「宣言」なのだ。
労働組合運動をやめるのか
「宣言」はたった3ページ。初めに五つの「基本目標」がある(別掲)。ここでは、現綱領の「階級的使命」は捨て去られ、「自由・公正・連帯」という連合のスローガンとともに、「市民と労使の協働」というパートナーシップ論が打ち出されている。階級対立や階級闘争などを「総評時代の遺物」として完全に一掃しようというのだ。
「歴史的経過と到達点」では、「東西冷戦構造が崩壊し、世界はグローバリゼーションの時代へと入った」「全面戦争の危機は遠ざかった」が「地域的な紛争が続発」と現状を認識し、目の前にあるイラク侵略戦争と帝国主義の危機を消し去る。そして、「産業構造の変化と雇用形態の多様化、市場経済のグローバル化は、労働組合に運動の質的転換を迫っている」としている。終身雇用制解体を受け入れ、帝国主義間争闘戦に勝ち抜くために、奥田ビジョンの言う“国家と資本に協力する労組”に変質するということだ。
「21世紀にめざすこと」は、「自治労本部用語」満載だ。「安定的な社会保障制度、生活と労働の調和する新しいライフスタイル」「参加と自己決定の新しい労使関係」「インターネットなどの活用」、最後に「民主主義の多元的な実践で平和・人権確立」と抽象的な言葉を羅列している。ブロック別討論集会でも「分からない」「何が言いたいのか」「読んで疲れる」「元気が出ない」と批判が続出した。
しかし、その主張は現綱領を否定し、労働組合の原則を投げ捨てるという点で鮮明なのだ。現綱領の要旨は「独占資本とその政府の攻撃とたたかい国際連帯で労働者階級の解放をめざす」「自治体労働者は国家の抑圧をはね返し住民自治を創造する担い手であり、国内外の全労働者と団結し、生活向上・権利拡大・合理化反対、地方自治確立、帝国主義的な侵略と戦争に反対するためにたたかう」というものである。
世界の現実を見よ。米帝はアフガニスタン・イラク侵略戦争の泥沼化の中で、イラン・北朝鮮侵略戦争に進もうとしている。戦争と抑圧の帝国主義に対して01年9・11反米ゲリラ戦争がたたきつけられた。帝国主義は政治・経済危機を深め、世界恐慌の現実性におののきながら第3次世界大戦に突き進もうとしている。これに対して、今、労働者階級の新しい闘いが始まっている。イラク反戦闘争は全世界をかけめぐり、「戦争の根源=帝国主義を倒せ」は世界の労働者のスローガンとなっている。世界戦争と世界革命の時代が始まっている。この時代認識をはっきりさせよう。
日本においても、資本攻勢が激化し、社会保障切り捨て・増税と不安定雇用の増大で生活破壊は我慢の限界だ。闘う労働組合・運動には力ずくの弾圧がかけられている。自治体労働運動に対しては、行革リストラ、公務員制度改革で能力給導入、市町村合併=戦後地方自治体制の解体と労働者の団結つぶしの攻撃がかけられている。何より、有事法制のもとで戦争動員が始まっているのだ。
しかし、自治体労働者は全国で反戦闘争に立ち上がっている。陸・海・空・港湾労組20団体に結集し、国鉄闘争を職場・地域で闘い抜いている。これに対して「宣言」は自治労が闘いを投げ捨てるだけではなく、日本の労働運動を戦争協力の総翼賛に導くものだ。
宣言採択阻み反戦の宣言を
「宣言」をめぐるブロック別討論などでは、全国の仲間から批判が集中した。しかし「もっと討論の時間を」では、戦争協力の道を阻むことはできない。本部民主党支持派は、有事法制をめぐり政治方針はぐらぐらだ。不正経理とそのあいまいな乗り切りに職場組合員は本部不信に満ちている。マイナス人勧に対して全国統一闘争で闘わない執行部は即刻退陣だ。社民党支持の反主流派も「戦争と革命の時代」の認識がない。マルクス主義に立脚し帝国主義と対決する階級的な自治体労働運動こそが求められている。
今こそ、自治体労働者は先頭で闘おう。国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを職場・地域に広げ、20労組の闘いに結集しよう。「宣言」の採択を絶対に阻止し、戦争協力拒否を横浜大会で世界に宣言しよう。
(自治体労働者 秋本健一)
■自治労21世紀宣言(案)の基本目標(抜粋)
1.「自由・公正・連帯」の社会の創造。
1.市民と労使の協働で、有効で信頼される政府を確立。
1.市民の生活の質を保障する公共サービスを擁護・充実。
1.参加と自己決定による自立した市民社会、生活と労働の調和する男女平等参画社会を実現。
1.安心・安全・信頼の協力社会を構築、基本的人権の確立・世界平和の創造・地球環境との共生。
■自治労の基本綱領3原則(1954年制定)
一、われわれは、生活の向上と労働条件の改善のため、組織を強化し、一切の反動勢力とたたかう。
一、われわれは、自治体労働者の階級的な使命に徹し、もって地方自治の民主的確立のためにたたかう。
一、われわれは、すべての民主的諸勢力と固く連携し、日本の平和と自由と独立のためにたたかい、もって世界の恒久平和に貢献する。
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週刊『前進』(2113号3面4)
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
第11回 8月27日(水)/第12回 9月17日(水)
第13回 10月6日(月)/第14回 10月27日(月)
第15回 11月21日(金)/第16回 12月16日(火)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁
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週刊『前進』(2113号4面1)
『前進』を労働者階級の中へ
機関紙拡大運動に決起し不抜の労働者細胞建設を
前進経営局
戦争・大恐慌下での革命党の一大挑戦
帝国主義の世界戦争と世界大恐慌の時代の到来の中で、日本階級闘争は重大な試練と飛躍の時を迎えている。わが革共同にとっても、プロレタリア革命党たりうるか否かという正念場である。
自国帝国主義=日帝のイラク侵略戦争、北朝鮮(中国)侵略戦争に加担するのか、それとも日帝を打倒するのか、一大資本攻勢と治安弾圧に屈服するのか打ち破るのか。すべてが問われる歴史的決戦の時が来た。
50年の朝鮮戦争は、在日本朝鮮人連盟と日本共産党を非合法化し、朝鮮戦争容認の総評の結成をもたらした(その後、総評は°ニワトリからアヒル″へと転換)。今日、民主党・連合は有事法制とイラク派兵に賛成する翼賛勢力となった。日本共産党スターリン主義は反革命的転落を深め、自衛隊と天皇制を認め、労働運動・労働組合運動を中心とした階級闘争を否定し、自国の侵略戦争と闘わないことを明らかにした。日帝権力は辻元清美前議員を逮捕し、社民党的存在すら許容しないことをはっきりさせた。階級的労働運動破壊と革共同=革命党破壊の攻撃も決定的に強まっている。
こうした攻撃にどう打ち勝つか。自国帝国主義の侵略戦争への突入を前に屈服・転向した既成勢力に代わり、階級的労働運動を基盤にした革命党建設に成功するならば、帝国主義の危機を内乱=革命に転化することができる。その闘いの軸は機関紙活動である。
1914年8月、第1次世界大戦が勃発(ぼっぱつ)した時、帝国主義戦争に断固として反対したボルシェビキ国会議員団は11月に逮捕され「国家反逆罪」で起訴されシベリア流刑になった。
この時、レーニンは次のように語ることができた。
「約四万の労働者が『プラウダ』を買い、それ以上の労働者が『プラウダ』を読んだ。戦争、牢獄(ろうごく)、シベリア〔流刑〕、懲役が彼らを五倍も、十倍も、たたくがよい。この層をなくすことはできない。この層は生きている。この層は革命的精神と反排外主義にみちみちている。この層だけが、勤労者、被搾取者、被抑圧者の国際主義の宣伝者として、人民大衆のあいだに、大衆の奥ふかいところにはいりこんでいる。この層だけが、全般的崩壊のなかでも、もちこたえた」(レーニン全集21巻「ロシア社会民主労働党議員団の裁判は何を証明したか?」)
ボルシェビキがメンシェビキに打ち勝ち、労働者の中に影響力を拡大する闘いの軸になったのは機関紙『プラウダ』の活動であった。『プラウダ』は4万部発行されたが、解党派メンシェビキ機関紙『ルーチ』は1万6千部であった。プラウダは労働者グループの81%を組織した。
共謀罪新設攻撃を頂点に一挙に強まる治安弾圧をはねのけ、革命をやり遂げる道は、労働者階級に根を張って闘うことである。『プラウダ』に学び、苦闘するすべての労働者人民に『前進』を広め、労働運動の主流の機関紙に育てよう。そして国際連帯の闘いを前進させよう。ここに勝利の道がある。
党の変革と機関紙改革の一体的推進
労働運動・労働組合運動を実践・実行し、労働者細胞の建設に本当に勝利することが求められている。その環は機関紙活動である。機関紙を党活動の中心にすえ、機関紙活動を全党員の日常活動としよう。
われわれは以下の三つの点で重大な飛躍を決意しなければならない。
第一は、革命的情勢が急速に接近している中で、党が労働運動・労働組合運動決戦を実践し、労働者の日常的な死活的攻防の先頭に立ち、労働者階級に根を張った党として自己を確立することである。そのための党の変革である。91年5月テーゼ以来の苦闘を踏まえ、その全面的な実践に踏み込もう。
第二に、第一の実現のためにも紙面のなお一層の改革が絶対的課題である。
『前進』は労働者階級の立場に立って世界と日本の情勢を分析し、反帝・反スターリン主義世界革命の勝利の展望と闘いの方向を示す唯一の新聞である。労働者階級の組織化の決定的な武器である。この新聞をもっと多くの労働者に読まれる労働者新聞、共産主義の新聞として、党派性、イデオロギー性をさらに鮮明にしつつ、とりわけ労働者階級の現実の攻防の武器となる紙面に変革していかなければならない。労働者の心に響く新聞、労働者の思いと怒りを伝える新聞、先進的労働者にとっての「自分たちの機関紙」へと変革しなければならない。そのためには、現場の労働者同志の執筆と投稿による、従来をこえる協力が不可欠であることを心から訴えたい。
第三に、マルクス主義の日常的武装・学習である。これこそ労働者細胞建設と機関紙拡大闘争の強力なエネルギーとなるものである。「マルクス主義基本文献学習シリーズ」を徹底的に学習しよう。
到達地平を確信し飛躍に向け進もう
95年の19全総以来、革共同は安保・沖縄闘争を闘い、JR総連批判・国鉄決戦に取り組み、労働運動を中心に反撃し、闘う統一戦線を発展させてきた。この闘いの中で機関紙活動を中心とした党活動を堅持し、党勢を維持してきたからこそ、すべての勢力の翼賛化、屈服・転向に抗して情勢を支え、反撃の橋頭保を築くことができた。
95年から今日までの組織建設を機関紙活動に即して概括してみたい。
拡大数は、全党的に増勢を堅持した。めざましいとは言えないが増勢を堅持したことの意味は大きい。各組織的にみれば、拡大結果には凹凸がある。どこも例外なく戦争と資本攻勢の嵐(あらし)の中で苦闘しているが、最大拠点の労働者細胞と学生細胞で倍増している。主な拡大組織は以下のとおりである。
@最大拠点のA労働者細胞が2・5倍と最大の拡大を実現した。A関東圏のB県は1・8倍。B首都圏のC地区は1・5倍。CD地方は1・4倍。D総部数が多いE地方は増部数が最大で1・3倍となった。D首都圏の学生戦線は2・0倍と倍増した。学生戦線は全国的にも倍増している。
これらの拡大の要因は具体的であって一概には言えないが、これらの組織は政治闘争、労働運動、統一戦線の形成に成功している。この運動的に切り開いたものを機関紙拡大に結びつけて成功しているということである。
また首都圏のC地区は、産別政策・職場政策を確立し、拠点職場で青年労働者を中心にした『前進』読者会、マルクス主義の学習会を積み重ねてきた。それを職場フラク建設―職場細胞建設へと進め、拠点職場を中心に読者を5割拡大した。現場労働者が主体となり常任と一体となって進めてきた。今後の活動の教訓となる成功例である。
機関紙の役割
これらの前進は、機関紙拡大闘争の年2回の集約を総括点に機関紙活動の確立・再確立を闘いとってきた結果である。
第一に、『前進』を武器に革命を実現するということ、その基軸性をはっきりさせ、新しい型の「社会主義と戦争」の環は機関紙であることを明確にした。この観点から会議での機関紙の取り扱いを変革し、機関紙を中心にした組織活動を進めてきた。
第二に、蜂起から逆規定して主要な工場に労働者細胞を建設すること、そのために読者網をつくりだす闘いを開始してきた。
第三に、実践を基準に、目的意識的な拡大闘争を進めてきた。拡大計画を立て、対象者・担当者・実行日を確定すること、大衆意識が激変する大衆闘争の渦中でこそ拡大することをはっきりさせてきた。
職場で拡大を
われわれは今日、どこを変革し、どこで飛躍しなければならないのだろうか。
それは革共同集会で提起された「新しい指導方針」=労働運動・労働組合運動決戦を実践・実行し、労働者細胞を建設することである。その環は職場の労働者に機関紙『前進』を持ち込むことである。この闘いを労働者同志と常任が一体となって実現すること、ここに飛躍のかぎがある。
労働運動・労働組合運動を実践し、資本との日常的攻防を闘いぬき、労働者の組合的団結を固めることを離れて労働者細胞が建設されることはない。この闘いの先頭に立って全力で闘わなければならない。しかし、その闘いをしていれば自然に労働者細胞が建設されるということではない。労働者をマルクス主義で武装し、階級的自覚を促し、党に結集する独自の闘いなしに、労働者細胞はけっして建設できない。労働運動を闘うことと、労働者をマルクス主義で武装することは別個のことではない。それは一体である。
全労連内部には、労働者階級の立場に立って闘うことを否定した日本共産党スターリン主義への怒りが渦巻いている。社民党の解党的な危機は、連合内の旧総評系組合・活動家を中心とする平和フォーラムの崩壊に直結する。JR総連は松崎派、嶋田グループ、平成採グループに大きく3分解している。国鉄労働運動・総評解体の反革命先兵=JR総連カクマルの危機を突き破り、国鉄労働者と大合流する重大情勢が開かれている。既成労働運動指導部から離反した組織労働者、さらには膨大な未組織労働者が数十万、数百万という規模で流動化している。
これらのすべての労働者に『前進』を持ち込み、獲得しようということだ。
労働組合活動家にとってその党派(学校)の機関紙を読むことは常識であり前提である。こうした労組活動家を丸ごと獲得する絶好機が到来したのである。
党派性鮮明に
拠点職場の労働者同志は自己の党派性を鮮明にし、職場に『前進』を広げ、労働者細胞を建設しなければならない。5月テーゼ以来の実践が実を結ぶかどうかがここにかかっている。
もちろんこうしたことは具体的であって党としての判断と組織戦術に従って行わなければならない。また労働組合の原則、統一戦線の原則を踏まえ、それを守って闘わなければならない。さらに職場の同志、獲得対象の労働者を権力・資本・反動的労組幹部から守るために配慮しなければならない。そのために誰が・誰に・いつ・どのように働きかけるのかについて検討し、細心の注意を払い、創意工夫し、労働者の同志と常任が一体で行わなければならない。
しかし職場で労働者細胞を建設しようとする場合、対象者に自分が何者であり、何を目指して闘っているかをはっきり提起しなければならない。革共同の機関紙『前進』を読み、労働者細胞をともに建設しようと呼びかけなければならない。こうした積極的な働きかけは自己の正体を明らかにすることである。そこには確かに緊張と飛躍がある。だが、ともに闘ってきた労働者を信頼しよう。「革命党はまさに革命的であるということによって闘う人民をひきつけ、闘う人民はまさに闘うことをとおして党を求めるということが現代の真理だからである」(『清水丈夫選集第5巻』206n)
動労千葉に体現される戦闘的・大衆的労働組合運動は、資本との日常的攻防を闘いぬくとともに、マルクス主義で武装し労働者の階級性・戦闘性を組織し、団結することによって担われている。『前進』を広め、こうした労働組合、労働者細胞を無数に作り出すことに挑戦しよう。
今春の新たな前進を教訓化し闘おう
労働戦線で
労働者細胞の建設に向けて機関紙拡大闘争が熱烈に開始されている。
拡大対象者と担当者を決定し、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕闘争の賛同会員づくりの過程で読者を2人獲得した組織がある。また、ある組織では20代の自治体の青年労働者がマル青労同への加盟を決意し、同時に『前進』定購者となった。獄中闘争を闘う党に本気さを確信したからだ。こうした革命的青年が生まれている。また、不当処分撤回闘争をともに闘った仲間を読者に獲得した例がある。こうした闘いを強めよう。
学生戦線で
学生戦線は今春、機関紙活動のかつてない前進を切り開いている。首都圏の学生戦線からは以下の報告が寄せられている。
「新しい型の『社会主義と戦争』の創成」の環は機関紙であるという内容を、<戦時下−革命的情勢の到来下での革命党の任務>の問題としてはっきりさせた。こうした議論をとおして、目が回るように多忙な大衆闘争の展開の中で、機関紙活動をゴリッとすえることに成功した。この議論を踏まえ、実践的には3月末から4月にかけて、リストの全面的更新−担当者の確定を全支部で行った。これが大きな勝利をもたらした。その結果として、戦略的に重要な対象に拡大できた。さらに、本紙2103号経営局論文で紹介したSWP(Socialist Workers’ Party)の実践をめぐる議論は、われわれの拡大闘争のあり方をガラッと転換するために重要だった。これまでの拡大闘争は、「売れそうな人に売る」というあり方をどうしても脱しきれていない面があった。<リストを作り→オルグ計画で絞り込み→満を持して拡大オルグに踏み込む!>というイメージである。
そうではなく、あらゆる学生を対象として、「どんどん」「じゃんじゃん」「気軽に」『前進』を持ち込むことを徹底した。すぐに買わない場合でも、積極的に宣伝紙を活用して渡していく。そうすることで、あらゆる部室に『前進』が日常的に氾濫(はんらん)しているような状況を作っていこうという考え方に転換した。
こうした中で、実際にばら売りが増え、見本紙の手渡しの数も増え、また更新したリスト数が大幅に増えた。
以上のような学生戦線の考え方の転換は、全党にとっても重要な視点である。
街頭宣伝戦
昨年、首都圏で『前進』の恒常的な街頭宣伝を開始し、今は全組織に広がっている。街頭販売は、党として街頭に公然と登場し、党の宣伝を行い、労働者大衆と結びつく場である。この場を右翼、反革命どもに明け渡してはならない。
今日街頭は、イラクへの侵略派兵の問題や、北朝鮮への排外主義キャンペーンをめぐる侵略翼賛勢力との制圧戦・宣伝戦の戦場である。この闘いから身を避けたところで反戦闘争も党建設もありえない。われわれが真正面から闘えば必ず勝利できる。この勝利の経験は党にとっても大衆にとっても非常に大きい。
街宣の素晴らしさは、労働者、農民、学生、主婦、市民、在日外国人などあらゆる大衆に直接訴えることにある。大衆闘争の発展と機関紙拡大闘争が一体的・同時的に進む新たな局面を引き寄せているのである。
街頭で『前進』を買い、定購者になった人、活動家になった人、同志になった人がいる。街頭で出会う度に購入する「街頭定購者」もいる。現在の階級情勢、街頭情勢を踏まえ、この情勢を変革するために粘り強く街宣を継続しよう。
『前進』街宣によって、『前進』が誰に求められているか、『前進』がどのように思われているかを知ることができる。街宣は地区党建設に必ず結びつく。
『前進』街宣は主要には職業革命家の任務であるが、労働者党員も可能な限り参加することが重要だ。この活動を日常活動として定着させていこう。
ホームページ
『前進』ホームページは開設以来3年をこえアクセス数は3年目で52万余となった。今春ホームページ読者の多数が『前進』定購を申し込んできた。ホームページが党建設にとって重要な媒体であることが明らかになった。主体的に闘いを担おうとする人は運動的・組織的なつながりを求め、『前進』そのものを読むことを求めてきたのだ。
外国に住む日本人が『前進』ホームページをその国の言葉に翻訳して広めていたという感動的な事実を、イラク反戦闘争の過程で知った。ホームページは全世界に開かれている。
革共同は、反帝・反スターリン主義世界革命綱領、国鉄労働運動、反弾圧闘争と獄中闘争、マルクス主義の復権、非合法・非公然の党などの点において世界に誇るべきものを持っている。党としての実践を基礎にして『前進』が国際性、革命性、労働者性を研ぎ澄ましていく時、ホームページを媒介にして世界革命の党へと前進することができる。01年「9・11」以後、全世界の帝国主義国の労働者と被抑圧民族人民が一つになって闘う段階に入ったのである。
今秋の飛躍を
日本階級闘争の危機を革命的に突破するために、労働運動に熱烈にとりくみ、労働運動の主流派を目指して闘い、労働者細胞を建設する闘いに全力で突入しよう。その武器は『前進』である。この闘いを直ちに開始しよう。目前に迫った03年前期集約の8月1カ月間を総力で闘いぬこう。
問われているのは労働者人民の階級的魂と自己の革命精神への確信であり、実践の量と激しさである。『前進』を組織活動の環に闘えば、われわれは運動的・組織的・財政的課題の一切を解決することができる。
勝利のために、全世界を獲得するために闘おう。
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週刊『前進』(2113号4面2)
“保安処分病棟建設阻止を” 7・20東京 阻止共闘が集会・デモ
7月10日の保安処分新法国会制定を弾劾して20日、「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議主催による「医療観察法反対・保安処分病棟建設阻止集会」が東京・港区勤労福祉会館で午後1時半より85人が参加して開かれた。集会後参加者は厚生労働省弾劾に立ち、日比谷公園までの3`のデモを貫徹した。
集会は、まず司会の「病者」が「法は強行されたものの闘いはまだまだこれからだ」と檄を発し、開会を宣言した。
さらに主催者が、法案阻止の50波にも及ぶ国会闘争や厚労省・法務省交渉を始め連続的闘いを「病者」の仲間を先頭に実現してきたと報告した。また保安処分新法をめぐる情勢では、裁判所命令に基づく無期限拘禁を可能とさせる収容先の病棟建設が、さしあたっては東京小平市の国立武蔵病院や佐賀県の国立肥前療養所などで想定されていること、また法務省が独自に刑務所と少年院を統合して「矯正医療センター」という名の特別施設を東西2カ所(東京と大阪)に構想している事実、これは「処遇困難者対策」と称した特別な精神医療を施そうとする内容であり、警戒が必要と呼びかけられた。
続いて基調が「病者」から提起された。医療観察法は精神医療に裁判官権限を持ち込んでますます治安の道具と化す代物であり、「再犯のおそれ」や「同様の行為を繰り返すことなく」などの要件で予防拘禁を強め、憲法を破壊し戦争国家を準備するものであること、また国家が上から押しつける「社会復帰」や「治療のため」という言辞は「病者」が望むものではなく、「病者=異端」排除の強制・矯正医療の強要でしかないと指弾した。
質疑の後、各地報告と決意に移った。練馬の「病者」は国会傍聴闘争で3度もの不当拘束を打ち破って闘いぬいたと決意を語り、また東京下町患者会は補助金抜きで地域とのつながりを育て患者会運動を積み重ねてきている実践を報告した。
関西からは保安処分学習会運動をとおして仲間を広め「病者」が数多く先頭に立ってきた経緯と病棟建設阻止への固い決意が語られた。精神科医も2人が発言、1981年保安処分推進のための意見交換会を壇上占拠で粉砕した思い出を語り、また今でも不足する精神科医の現実がありながら保安処分病棟に「厚い配置」を試みようとするが、まったく医療とは呼べない代物であり対象者を拡大する収容施設になると警鐘を乱打した。
群馬の奥深山さんと共に闘う会は、獄中「精神病」発病後の保釈・公判停止=療養中における免訴要求運動を紹介し、医療観察法制定と軌を一にした保安処分推進派の山上鑑定を新たに押し立てた裁判所の再収監策動との闘いへの支援を訴えた。全都実の労働者は共謀罪を始め司法改悪・労働法制改悪阻止と一体で闘うと決意を語り、また産業指定医と連携し「精神病」を理由に分限免職に追い込んだ教育行政と闘う教育労働者も登壇しアピールした。
医療観察法反対を貫き、「病者」、医療労働者、闘う精神科医との結びつきをさらに強め保安処分病棟建設絶対阻止を闘おう。
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週刊『前進』(2113号4面3)
読者からの手紙
人権侵害と権力腐敗報道を 都内在住・男性 T
都内の書店で時々『前進』を買っています。
2111号に載った「°戦争協力拒否する″―神奈川交運労働者が集会」と「許せぬ°再発予測で収容″―医療観察法で学習会」の記事はとても良かったと思います。
改正刑法案以来、保安処分の問題は現実のものとなっています。時々報道される「精神病者」による「犯罪」をめぐっては「精神病者」を非難することが多いわけですが、記事にもありましたように、そのような重大犯罪は実際にはそんなに多くはありません。たまに起きた少年犯罪、「精神病者」犯罪をクローズアップさせ、それを利用しているのがマスコミと国家権力だと思います。
われわれは、それに利用されるのではなく、冷静に受け止めるべきだと思います。保安処分を受け入れるべきではありません。
『前進』には、政官財の腐敗や警察の人権侵害などをもっと取り上げて欲しいと思います。
「国民」という言葉使い反省 中島寛之
2109号5面、高田隆志さんの日本共産党綱領改定案批判を読んで思い出すことがあったのでお便りします。それは「国民」という言葉が在日の人たちにどんな思いを抱かせるかについてです。
今から1年以上前、S市の繁華街で私は有事立法反対の署名を集めていました。私の前におしゃれな若いカップルが立ち止まり、男性が私の話を聞き始めました。共感するような感じで聞いてくれるので、有事立法の中身の話を始めました。そして武力攻撃事態法案・第8条(国民の協力)の危険性を説明し、あなたの問題でもあるよというために「私もあなたも国民でしょう」と言ってしまったのです。そのとたん男性の感じはがらりと変わり、ぷいと怒って行ってしまいました。弁解しようと追いすがったのですが、冷たい顔をして一切話を聞いてくれませんでした。私は2人は在日朝鮮人ではなかったか、と思っています。有事立法反対の主張に共感して話を聞き始めたのに、私が自分たちの存在を排除したことにあんなに怒ったのではないかと思うのです。
高田さんの論文で「国民」とは「労働者の国際性への敵対であり、日本国民以外を排除するものである」と書かれていましたが、そのことを身をもって知らされた体験でした。「国民」という言葉には問題があると、頭ではわかっていたつもりでした。でも実際の署名運動では、在日の人たちをともに闘う仲間としてよく考えていなかったから、こういう失敗をしたのだと思っています。
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週刊『前進』(2113号4面4)
7月23日〜29日
イラク派兵新法を強行採決 情報本部を防衛長官直轄に
●小泉「どこが戦闘地域か分かるわけない」 小泉首相は、民主党の菅代表との党首討論で、自衛隊のイラク派兵地域について「どこが非戦闘地域で、どこが戦闘地域なのか、いま私に聞かれたって分かるわけがない」と述べた。(23日)
●情報本部、防衛庁長官直轄に 防衛庁は、自民党防衛政策検討小委員会の場で、同庁設置法を改定し、現在統合幕僚会議のもとにある情報本部を、防衛庁長官直轄の組織とする方針で検討を進めていることを明らかにした。情報本部は97年に陸海空各自衛隊にあった情報部門を統合して設置した。(23日)
●民主、自由が9月合併 民主党の菅代表と自由党の小沢党首が会談し、9月末までに合併することで基本合意し、合意文書に署名した。民主党の党名や菅代表を中心とする執行部体制、党の政策は維持し、事実上、民主党が自由党を吸収合併する形。(23日)
●自民が改憲要綱案まとめる 自民党憲法調査会の憲法改正プロジェクトチームが、安全保障分野の改憲要綱案をまとめた。自衛隊の存在を「自衛軍を保持する」と明記し、集団的自衛権の行使を明文化したほか、憲法9条の戦争放棄の文言は削除した。(24日)
●リベリア沖に軍展開を指示 ブッシュ米大統領が、ラムズフェルド国防長官に対し、適切な数の米兵をリベリア沖に展開するよう指示した。(25日)
●イラク派兵法が成立 自衛隊をイラクに派兵する「イラク復興支援特別措置法」が参院外交防衛委員会で強行採決されたあと、参院本会議で自民、公明、保守新の与党3党の賛成多数で可決・成立した。民主、自由、共産、社民の野党4党は反対した。(26日)
●フィリピンで反乱兵士がホテル占拠 フィリピン・マニラ首都圏のマカティ市で、武装したフィリピン国軍兵士約300人が、アロヨ大統領の退陣などを要求してホテルを占拠。兵士側は夜に占拠を解くことに同意し、退去した。(27日)
●通常国会が閉幕 第156通常国会が閉幕した。今国会は1月20日に召集され、会期を40日間延長。190日間の会期で、有事関連3法や個人情報保護法、イラク派兵法などが成立した。11月1日で期限が切れるテロ対策特措法の2年延長の改定案や人権擁護法案などは継続審議に。(28日)
●海外派兵恒久法準備室を設置へ 福田官房長官が記者会見で、自衛隊を海外に派兵するための恒久法制定について「法律の趣旨や基本的な考えをこれから議論していく。けっして急いではないが、国会が終わるので検討、議論はそろそろ始めてみようかと思う」と述べ、通常国会終了後から作業を始める考えを示した。法制定のための準備室は8月にも内閣官房に設ける方向。国連安保理の決議がない場合でも、多国籍軍の後方支援を認める方針という。(28日)
●死者50人に イラク駐留米軍によると、バグダッド中心部での米兵への攻撃で米兵1人が死亡。5月1日のブッシュ大統領の戦闘終結宣言以降、攻撃で死亡した米兵が50人に達した。(28日)
●辺野古ボーリング手続き不問に 米軍普天間飛行場代替施設の建設問題で、名護市辺野古沖のボーリング調査を進める那覇防衛施設局が、岩礁破砕に必要な「漁業調整規則」で定める知事許可を沖縄県に照会した際、農林水産部が「日米安保の公益性を考慮し、(県知事の)許可手続きは必要ない」と回答していたことが明らかになった。(28日)
●ゴラン高原派兵を延長 政府は国連平和維持活動(PKO)として、中東・ゴラン高原でイスラエル、シリア両国の停戦を監視する国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)に参加している自衛隊の派兵期間を、来年3月末まで延長することを決めた。(29日)
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週刊『前進』(2113号5面1)
11月自衛隊イラク派兵阻止へ 侵略の歴史くり返すな
自衛隊のイラク派兵法が7月26日未明、参院本会議で採決が強行され、与党3党の賛成多数で可決・成立させられた。11月中旬にも陸海空自衛隊1000人の大規模なイラク派兵が行われようとしている。イラク派兵法の制定を徹底弾劾し、今秋の派兵阻止へ全力で闘おう。
虐殺の銃口をイラクの民衆に向けるのか
日本の自衛隊をイラク侵略戦争の戦場に送ってはならない。戦後58年目の2003年秋、日本の兵士が侵略の銃を握り再び戦地へ送られ、他国の人民を殺し、そして自らも命を落とすという重大な歴史の岐路、いや新たな侵略戦争の歴史の開始そのものに、日本の労働者人民は直面しているのだ。
「侵略戦争の歴史を二度と繰り返すな」――日本労働者階級人民にとって原点とも言える厳粛な階級的誓いをいまこそ貫かねばならない。自衛隊のイラク派兵は、正真正銘の侵略戦争への参戦である。日帝がかつての中国侵略戦争のような侵略戦争の歴史を再び開始することを意味するのだ。
かつて日帝は、「満州国」デッチあげ(31年)以来、中国への全面的な侵略戦争の道をひた走り、41年の米帝への宣戦布告(真珠湾攻撃)後は、東南アジア・西太平洋全域に戦争を拡大した。かくて日本の軍隊=皇軍は45年の敗戦までに、アジア全域に筆舌に尽くせぬ侵略の爪痕(つめあと)を残し、2000万人以上のアジア人民を虐殺した。そして日本の労働者人民も戦場での戦死・餓死・病死、空襲や沖縄戦、原爆によって300万人以上が命を落としたのである。この侵略と戦争の歴史を繰り返してはならない。
3・20開戦は、米英帝国主義が、イラクという主権国家のフセイン政権を軍事力によって転覆し、軍事占領し、イラクを再植民地化して国有の石油部門を民営化して、米石油会社が支配するという典型的な帝国主義の強盗戦争の開始だ。
イラクでは3月20日の開戦以来、民間人だけでも1万人近くが米英軍によって虐殺されている(報道などで判明した範囲)。ユニセフの発表では不発弾の爆発で1000人以上の子どもが死傷している。米兵の死は世界中で報道されるが、その陰では、毎日その何倍ものイラク人民が米英軍=占領軍によって殺されているのだ。
しかも劣化ウラン弾の大量使用による放射能の影響で5〜10年後には想像を絶する人数のイラク人民(特に子ども)がガンや白血病で虐殺されていくのは不可避である。アウシュビッツや南京大虐殺、ヒロシマ・ナガサキに並ぶような歴史的犯罪がわれわれの生きる2003年の現代世界で現実に起きているのだ。
イラクの人民は、米英帝国主義による民族自決権の圧殺と石油強奪に対して、命がけのゲリラ戦闘に決起しているのだ。百パーセント不正義の帝国主義の侵略戦争によって、イラク人民はいまこの瞬間も、家族を奪われ、生活を破壊され、人間の尊厳を侵害され続けているのだ。米英占領軍に対する闘いは、生きるためのやむにやまれぬ決起であり、人間的、民族的、階級的な誇りと解放をかけた、まったく正当で、正義の闘いなのである。
小泉首相は、闘うイラク人民を「野盗や強盗のたぐい」と悪罵を投げつけるが、事実はまったく逆である。自衛隊は、侵略軍=帝国主義強盗の軍隊としてイラクに送られるのだ。そしてイラク人民に侵略の銃を向け、闘うイラク人民を虐殺するのだ。強盗は小泉であり、日帝であり、自衛隊なのだ。「復興支援」など真っ赤なウソである。帝国主義の言う「復興支援」とはビジネスの話であり、石油、水、運輸、携帯電話、港湾、病院などあらゆる利権に企業が群がり、収奪と搾取の限りを尽くすのだ。
一方で小泉首相らのなんたる無責任さか。小泉は自衛隊の派兵地域について「どこが非戦闘地域で、どこが戦闘地域なのか、いま私に聞かれたって分かるわけがない」(7月23日)と開き直り、参院本会議での採決(7月26日未明)には出席さえしなかった。
小泉は自衛隊の最高指揮監督者として「殺されることも、殺すこともある」と宣言し、自衛隊を戦地に送ってイラク人民を虐殺し、自衛官に戦死を強制しようとしているのだ。イラク人民と自衛官の血の犠牲の上に日帝が存在していくことなど絶対に許せない。
イラク人民と連帯し占領軍を撤退させよ
米英帝のイラク侵略戦争は完全に長期化・泥沼化している。それどころか米英軍は、イラク軍事占領を維持できず破綻する過程に入っている。ベトナム戦争のように帝国主義の側が撤退=敗北するという事態さえ予想させる状態である。
イラク駐留米軍によると、7月28日のバグダッド中心部での米兵に対する攻撃で米兵1人が死亡し、5月1日のブッシュ米大統領の戦闘終結宣言以降、米軍への攻撃で死亡した米兵は50人に達した。すでに7月18日の時点で、米兵の戦死者は91年の湾岸戦争の総計147人を超えている。
「われわれはまだ戦争状態にある」(マイヤーズ米統合参謀本部議長)、「古典的なゲリラ型の軍事作戦」(アビゼイド米中央軍司令官)と自認するように、米英軍に対するゲリラ戦闘はイラク全土で激増し、最近では1日平均2人の兵士がせん滅されている。米軍は「フセイン政権の残党や外国の戦闘員による攻撃」と強弁しているが、それは違う。事実を歪曲している。これはイラク人民自身のやむにやまれぬ怒りの爆発なのだ。
米英軍は、武器狩りの家宅捜索や検問などで、イラク人民を逮捕したり、発砲して殺している。またフセイン大統領の拘束作戦と称して、民家や車両などを襲撃して多数の人民を殺傷している。戦前の日本の軍隊=皇軍が中国大陸で行った「三光作戦(殺し尽くし、焼き尽くし、奪い尽くす)」やベトナム戦争での「ソンミ村の住民虐殺事件」(68年)のような住民の無差別虐殺に米軍は手を染めているのだ。
米軍のイラク侵略戦争の戦費はすでに約5兆6000億円に上り、占領経費も当初見通しの約2倍に拡大し、毎日約150億円が費やされ、戦費は膨らみ続けている。今年度の米政府の財政赤字は史上最悪の約53兆7000億円。経常赤字も70兆円に迫る勢いだ。ドル暴落と大恐慌の本格的な引き金がいつ引かれてもおかしくない状態なのだ。
開戦前にブッシュやブレア英首相が戦争の理由とした「フセイン政権のウラン購入計画」や「イラク軍は45分以内に生物・化学兵器を実戦配備できる」という報告はまったくの偽造だった。偽造証拠でフセイン政権の脅威を宣伝し、侵略戦争を始めたのだ。そして何万人ものイラク軍民を虐殺したのだ。これは歴史に残る凶悪な戦争犯罪だ。
米英軍の兵士たちは、何の正義性も感じられないままイラク全土に送り込まれている。イラク人民の憎しみと敵意に包囲され、自分がいつどこで襲われるかわからない状況に直面している。米軍兵士の多くは、市民権(国籍)や大学入学資格、奨学金などを得るために志願した貧しい労働者(の子弟)や黒人、ラテン系の青年たちだ。
彼らは、この戦争に根本的な疑問を感じ、動揺している。占領軍の士気は著しく下がっている。イラクに駐留する兵士たちの間では「ラムズフェルド国防長官の辞任を求める」「人びとを助けたいと思っていたが、もうどうでもいい」など、軍上層部に対する批判が公然と行われている。
米国内では、ANSWER(戦争と民族差別に反対する連合)などが粘り強い反戦運動を闘い、この秋10・25に国際反戦デモを呼びかけている。ILWU(国際港湾倉庫労組)などを先頭に米労働運動は、米軍輸送やイラク植民地化を担う軍需産業との直接対決に立ち上がっている。帝国主義の資本攻勢と侵略戦争に対する米労働者階級の闘いが始まっている。イギリスでも戦争阻止連合が9・27に国際統一行動を呼びかけている。
かつてベトナム戦争の深刻化の中で、ベトナム人民は多数の犠牲者を出しながらも不屈に民族解放戦争を継続した。そして世界中でベトナム反戦運動が高揚し、米国内では主要都市や大学キャンパスで反戦デモが行われ、学生や市民は軍隊と衝突した。下級兵士の黒人の戦死者が続出し、黒人の怒りは爆発。公民権運動が高揚した。そして軍事費の激増と国際収支の赤字幅の増加、ドル信認の揺らぎ(68年にはドルの金への交換を事実上停止)――内外の矛盾の爆発の中で、ついに米帝はベトナムからの完全撤退に追い込まれた。
米帝にとっては悪夢のようなベトナム敗戦だが、すでに「イラク戦争のベトナム化」がブッシュ政権内部からさえ出始めている。ブッシュ・ドクトリンに基づく侵略戦争の野放図な展開と拡大は、けっして米帝の危機と矛盾を解決するものではなく、より深刻な矛盾を招き、国際的内乱を激化させるだけだ。米英軍のイラク軍事占領は、軍事的にも、財政的にも、道義的にも、動揺・破産の危機に直面している。闘うイラク人民の怒りとゲリラ戦に直面する帝国主義軍隊の動揺をさらに拡大し、イラクから占領軍を撤退させる帝国主義国の反戦闘争の爆発をかちとろう。軍事占領の負担に耐えられない米帝は他国の軍隊に肩代わりをさせようとしているが、うまくいっていない。自衛隊のイラク派兵阻止は、米英占領軍の撤退の闘いでもある。
労働者の反戦決起と国際連帯の大前進を
この夏秋、8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争への決起を突破口に、自衛隊のイラク派兵を阻止する最大限の闘いを実現しよう。闘うイラク人民や、米欧で労組を中軸に大衆的規模でねばり強く闘われている反戦運動に連帯して、日本の労働者階級人民の歴史的な反戦闘争への決起を組織しよう。
有事立法阻止の闘いを牽引(けんいん)してきた陸海空港湾労組20団体は、新たに「有事法制を完成させない、発動させない、協力しない」という運動を開始している。20労組の闘いは、連合や全労連などのナショナルセンターの枠を超え、労組、労働者の反戦運動の結集軸となっている。自衛隊のイラク派兵は、民間の航空会社、海運会社、港湾関係、軍需メーカーなど、あらゆる業種の労働者が関係する。「戦争の加害者になることも被害者になることも拒否する」という20労組の闘いは決定的に重大だ。これに連帯し、全国の労組・労働者の結集を呼びかけよう。
3・20のイラク侵略戦争の開戦という情勢下で動労千葉は3月27〜30日、「イラク戦争反対」「有事立法の制定阻止」などを掲げて600本の列車を止めるストライキを闘った。動労千葉の闘いに世界的な注目と評価、共感と連帯が集まっている。また動労千葉は6月28日に「鉄道を戦争のために使わせるわけにはいかない。われわれは戦争の加担者になることを拒否する。労働者の団結した闘いこそが戦争を止める力だ」との「戦争協力拒否宣言」を発し闘っている。
民主党や連合は裏切り、総屈服し、国会議員の9割が有事法制に賛成するという恐るべき状況がある。日本共産党は、新綱領案に自衛隊容認を明記し、レーニンの帝国主義論を捨て去り、帝国主義を打倒しなくても侵略戦争や世界戦争がない現代世界が可能であると主張している。現実に米英帝が古典的ともいえる侵略戦争を行い、日帝の参戦が問題になる情勢下で、百パーセント帝国主義に屈服した綱領だ。全国の党員や全労連傘下の労働者から疑問や反対を追及されているが、日共は何も答えず開き直っている。
確かに、今日の日本の階級情勢は、既成の政党や労組のナショナルセンターが裏切り・屈服して反戦運動を組織しない危機的な状況だ。しかし一方で、陸海空港湾20労組というナショナルセンターの枠を超えた反戦運動の統一戦線が大きな展望を持って存在している。動労千葉は、80年代の国鉄分割・民営化の大攻撃と闘い抜き、いまも闘い続け、イラク侵略戦争に反対して600本の列車を止めている。3労組陣形が闘いの展望を示している。日本の労働者が闘う結集軸と展望は圧倒的にあるのだ。
3月以来のイラク反戦やイラク派兵法阻止の闘いは、青年労働者の決起が特徴的だ。これまで日共の影響下で苦闘してきた青年労働者やまったくの未組織の青年労働者が、その枠を超えて、ワールドアクションを闘い、連日のイラク反戦デモや国会闘争に決起している。学生の新たな決起も始まっている。青年労働者・学生の決起は圧倒的に展望があるのだ。全力で組織しよう。
侵略戦争の戦場に行くことに直面する自衛官とその家族は動揺し、苦悩している。アフガニスタン侵略戦争の米軍支援でインド洋へ2年近くの派兵が続き、東ティモール派兵など過酷な海外派兵が連続している。その中で「機関の修理に不正」という内部投書で護衛艦のインド洋行きが中止になるなどサボタージュ事件や自殺も相次いでいる。「侵略の銃を握るな」「上官の命令を拒否しよう」と訴えよう。全国で反戦・反軍闘争、基地闘争に取り組もう。自衛官の反戦決起が可能となるような反戦運動をつくりだそう。
11月自衛隊イラク大規模派兵阻止の闘いを、一大資本攻勢との対決と一体の闘いとして据えきり、労働者階級の統一戦線を発展させ、11月労働者総決起、百万人民の反戦決起を全力でつくり反撃しよう。
イラク派兵を体を張って阻止する全学連の登場を実現しよう。
海外派兵の恒久法制定を許すな。国民保護法制・米軍支援法制の制定を阻止しよう。「完成させない、発動させない、協力しない」の有事立法反対闘争を継続・発展させよう。
〔片瀬 涼〕
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週刊『前進』(2113号5面2)
イラク派兵法 参院強行採決を弾劾 国会前で深夜−未明の闘い
イラク派兵法が7月26日未明、参院本会議で採決が強行され、与党3党の賛成多数で可決・成立した。国会前には青年労働者や学生、戦争体験者などが連日通い、深夜に及ぶ抗議闘争を展開して、精一杯声の限りに「自衛隊を戦地に送るな」と叫び続けた。
会期末が迫る前々日の24日から衆参両院では、法案阻止へ問責決議案や内閣不信任案が提出されたが、25日夜の外交防衛委員会は、与党の動議提出で審議が打ち切られ強行採決が行われた。この日本の自衛隊を侵略戦争に参戦させる暴挙に対し、土砂降りの雨にもかかわらず、国会は最後の瞬間まで「採決許すな」の怒りの声に包囲された。
「君たちは歴史に残る戦争犯罪者になるのか。この声が聞こえるか」とマイクを握って国会議員を弾劾する労働者、「昼間はできなかった」と夜更けに署名に応じる国会職員、制服警官でさえ「俺も制服を脱いだら言いたいこともある」と言う始末だ。世論調査も反対が過半数を超えている。「国会は人民の声を聞け」のシュプレヒコールが議事堂に鳴り響いた。与党3党の連中には一片の正義性もない。国会は激しい抗議闘争だけでなく、静かな反対にも包まれている――そんな雰囲気だ。
しかし小泉首相は「どこが戦闘地域か分かるわけない」と開き直り、参院本会議には出席さえしなかった。ヘラヘラ笑う与党議員。百人近くの人が未明の採決時まで抗議を続ける中、26日午前1時40分、ついに採決が行われた。
弾劾のシュプレヒコールの中、傍聴した青年労働者が戻ってきて「こんなくだらない国会は許せない。私たちの手で派兵を止めよう」と憤りを隠さず叫んだ。「本気で派兵阻止の運動をつくろう」との呼応する声があがった。
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週刊『前進』(2113号5面3)
(6)
深まる米帝危機
帝国主義の基本矛盾が爆発 国際連帯と世界革命今こそ
世界戦争の時代が始まる
「自らの信条と、無比の軍事力と経済力に支えられた米国は、自国の安全を確保し、同時に世界中に自由の大義を広めるのだ――まずバグダッドで、そしてバグダッドを踏み越えた彼方へ」(ウィリアム・クリストル共著『ネオコンの真実−イラク戦争から世界制覇へ』)
米帝ブッシュはイラク侵略戦争をもって世界戦争路線を本格的に発動し始めた。戦後世界体制の崩壊と世界大恐慌過程への突入の中で、米帝は01年9・11が突きつけた世界支配−階級支配の危機を逆手にとって、民族解放闘争の圧殺を狙う侵略戦争に突入した。
米帝はこの「対テロ戦争」を、「テロ支援国家」(=反米国家)を転覆し世界を新たな米帝体制のもとに再編する戦争として開始した。米帝はこの戦争で市場・資源・勢力圏の争奪戦を制し、他帝国主義をたたきつぶすことで延命しようとしているのだ。
世界支配体制=ドル体制をもってしか米帝経済が成り立たない以上、たとえ勝算があろうとなかろうと米帝は世界戦争へと現状破壊的に突っ込むしかなかった。この意味でブッシュの戦争はアメリカ帝国主義そのものの戦争である。
「東アジア戦略報告」(ナイ・レポート、95年)を書き、クリントン政権の軍事政策を担ったジョゼフ・S・ナイは、ブッシュ政権の単独行動主義を批判している。しかしその内容は米帝の圧倒的な軍事力を行使することに賛成した上で、そうした戦争を成功させるためにも「アメリカのソフトパワーと多国間協議に気を配る必要がある」というものにすぎない。ナイは「ブッシュ政権は数年ではなく、数カ月単位で核を入手するかもしれない朝鮮半島の独裁者に直面している。これは、イラク以上に、新安全保障戦略の基準が明確に当てはまる事例だろう。北朝鮮が、新戦略をいかに実施するかについての本当のテストケースになるかもしれない」(論座8月号)と、北朝鮮侵略戦争に極めて積極的である。
米民主党は、大統領選をにらんで、イラクの大量破壊兵器に関する情報操作疑惑でブッシュ政権批判を強めているが、それは北朝鮮侵略戦争こそ真っ先にやるべき戦争だという提言を含んでいるのだ。
米帝の必然的な世界戦争への突入がブッシュの世界戦争路線としてすでに明確な姿をとっていること、それがブッシュ・ドクトリンとして戦略的にもイデオロギー的にも鮮明に打ち出されたことは決定的である。国際プロレタリアートと被抑圧民族人民はこのブッシュの世界戦争路線と対決することが求められている。
だが民主党の軍事・外交担当者も、イラクや北朝鮮への侵略戦争では一致している。これは帝国主義の基本矛盾の爆発としての世界戦争の始まりということであり、個別の政策レベルの問題ではないのだ。帝国主義を打倒する以外に第3次世界大戦への道を阻止することはできないのである。
国際帝国主義の歴史的分裂
実際、イラク侵略戦争は、世界戦争か世界革命かを問う巨大な情勢を生み出している。
イラク戦争は、米帝とドイツ、フランス帝国主義との修復不可能な対立と亀裂を生みだし、帝国主義の二大陣営間の激突を本質とする世界戦争へと向かう情勢を加速させた。米帝が実際の戦争で他帝国主義を粉砕するやり方に訴えたことで、他帝国主義は独自の帝国主義的軍事力と侵略戦争を行う能力を持つ必要に迫られ、帝国主義の新たな争闘と同盟の政策を激化させている。
PNACの理事長であるウィリアム・クリストルが編集長を務めるウィークリー・スタンダード誌は「アメリカの屈服を望んでいるのはテロリストだけではない。古い欧州も彼らなりのやり方でアメリカを攻撃している」「古い欧州による破壊工作はWTO(世界貿易機関)の嫌がらせからNATO(北大西洋条約機構)の乗っ取り、国連安保理の敵対的利用にまで及んだ」とドイツ、フランスを攻撃した。「フランスはもはや同盟国ではない」(リチャード・パール)と叫び、ブッシュはフランスで行われたエビアン・サミットからも中途退席した。米帝は新しくEUに加盟するポーランドなどの東欧諸国をイラク侵略戦争で抱き込んで、EUの分裂と弱体化を狙っている。
これに対し独、仏帝は、NATOとは別に独自の指揮本部を設けた「欧州安全防衛連合」を創設することを発表し、「米欧同盟はレッド・ラインを超えた」と報じられた。独、仏帝はさらに、アメリカに対抗する独自の衛星利用測位システム(GPS)「ガリレオ」計画の着手を決定した。
「第2のベトナム」化は不可避
何よりも、米帝の危機と歴史的没落が激しく進行している。米帝はフセイン政権の打倒後、イラク人民の民族解放・革命戦争の爆発に追いつめられ、「第2のベトナム」化の危機に直面している。
ブッシュの5・1「戦闘終結宣言」以降も、米軍はイラク人民を無差別襲撃し、無法な家宅捜索や検問を行って、何千人もの人民を虐殺し拘束している。民間人の死者は6076〜7787人に膨れあがっている(イラク・ボディーカウント)。これに対し、イラク人民は連日反米デモをたたきつけ、1日数十件のゲリラ戦争に決起している。米帝はイラク人民の闘いを「古典的なゲリラ戦争」(新司令官アビゼイド)と認めざるをえなくなった。イラク駐留米兵の士気が低下し、「ラムズフェルド国防長官は辞任しろ」と公然と要求するほどになった。イラク戦費は9月末までの分でさえ予想の2倍となり、財政赤字が4550億jに急拡大している。
さらにイラク人民の民族解放・革命戦争の爆発が、国際反戦闘争の爆発を再度呼び起こし、米英日帝国主義を追いつめている。イギリスの戦争阻止連合やアメリカのANSWER連合が今秋の国際反戦一斉行動を呼びかけている。日本でも民主党、日本共産党などの裏切りと敵対を突き破る新たな闘いが始まっている。
米帝の「対テロ戦争」を推進軸とした世界戦争への突進は、帝国主義打倒へ向かう国際的内乱の時代を生み出している。闘うイラク・中東人民、闘う朝鮮人民と連帯して、自国帝国主義=日帝のイラク侵略派兵、米日帝の北朝鮮侵略戦争を阻止する闘いの爆発をかちとろう。 (おわり)
(早乙女優)
〈シリーズ目次〉
@3・20イラク開戦
A01年9月QDR
Bブッシュ・ドクトリン
Cネオコンの正体
D北朝鮮侵略戦争
E深まる米帝危機
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週刊『前進』(2113号6面1)
自衛官は出兵を拒否せよ イラクの人びとを殺す戦場に行く命令を拒否する権利ある
反戦兵士 小多基実夫さんインタビュー
自衛隊のイラク派兵が今秋にも強行されようとしている。侵略派兵を絶対に阻止するために反戦兵士の小多基実夫さんに語ってもらった。(編集局)
有事3法成立で状況が一変
――イラク新法が強行採決されて、この秋にも陸上自衛隊がイラクに派兵されようとしています。
派兵される最大の中心部隊は陸自ですが、自衛官の中での動揺は激しい。下級や中堅の自衛官だけでなく、幹部ですら危険で責任がとれないと言っている。
52年前、警察予備隊から自衛隊が始まったわけですが、自衛隊の歴史の中でも大きな転換です。PKOなどで海外に派兵されていますが、本格的に戦場に行くのは初めてです。地上軍を戦場に送るわけで、必然的に戦死者が出ます。死ぬ、殺すということになれば全社会的に疑問や批判が起き、国論二分的状況になるでしょう。
自衛隊はこれまで戦争をしない、殺さない軍隊としてあったわけですが、それが一変するわけです。自衛官の中には国家主義的な人もたくさんいますが、アメリカ軍のように戦争モードではない。本当に戦える確信はないのです。
自衛隊がイラクに行ってイラクの人びとを大虐殺した、あるいは殺されたという事態になった時に、本当に自衛隊が持つのかという恐怖が、政府にもある。自衛隊が崩壊するという事態だってあり得る。逆に、反戦運動は剣が峰に立たされる。なぜなら政府は反戦運動をほうってはおけないということで必ず襲いかかってくると思う。
――有事法制との関係についてはどうですか。
6月6日に有事3法が成立しました。63年の三矢作戦研究以来ずっと追求してきたものをついに強行したわけです。三矢作戦は朝鮮戦争を想定した計画で、有事法制も一番想定しているのは朝鮮侵略戦争です。今回のイラク派兵は、有事3法が通った上での派兵ですから、これまでとはまったく違います。
どこが決定的に違うか。朝鮮侵略戦争では日本全国が直接の出撃基地になるということです。今回のイラク戦争やアフガニスタンへの戦争、91年湾岸戦争で湾岸諸国やヨーロッパ諸国が果たした役割を日本がすべて担うということです。自衛隊だけでなく国家機関、地方公共団体、民間までフル動員になる。有事法制によって国家あげての戦争になるわけです。
それは自衛官が皆感じています。これまでPKOでは、箔(はく)がつくとか昇進に有利だということで希望者が出てきていました。ところが今回は全然違う。希望者は全然いない。聞かれれば、「行けと言われれば行くしかない」と言うけど、実際は行きたくないわけです。
反戦運動への攻撃が強まる
今年の3月段階で市ケ谷の防衛庁に弾圧専門部隊の情報保全隊がつくられました。それから今回の自衛隊法改正の前の02年に自衛隊法改正が行われていて、96条の二として防衛秘密という項目が新設されています。これに対する罰則は5年以下の懲役になっています。また、共謀、教唆、扇動も規定されていて3年以下の懲役です。また、共謀したものが自首した時は刑を軽減し、または免除するとなっていることです。これはスパイ攻撃です。
防衛秘密の規定は、外部の働きかけから組織を守るということですね。海外派兵を拒むように働きかける反戦運動を取り締まるためです。自衛官の母親がイラクに行くのをやめろとか、自衛隊を辞めろと言った場合も対象になります。こういう規定が有事立法と抱き合わせでつくられている。相次ぐ治安弾圧法も含めて反戦運動に焦点を当てていることは明白です。
政府・防衛庁や自衛隊サイドでは、イラクへの派兵、侵略戦争をやっていく場合に三つの条件が必要であると言っています。法的な支援、「国民」の支持、武器使用基準の緩和の三つです。逆から言うと街頭宣伝や出兵拒否の申し入れ、出兵反対行動、抗議の呼びかけ、こうした運動をもっともっと広げていくことが有効だということです。
政府は、自衛官と反戦勢力を切り離そうとしています。それは兵舎をさくで囲うだけでは不十分で、社会全体をものが言えない社会にしようということです。したがって防衛秘密条項新設の問題は、戦争体制と自衛隊というだけでなく、反戦運動、労働運動、人権運動にとっての大問題なのです。
自衛隊兵士も家族も労働者
――反戦運動の兵士への 呼びかけについてはどうですか。
この問題で私が訴えたいのは、自衛隊兵士は労働者であり、兵士の家族も労働者であるということです。労働者であり、学生の仲間であるという立場で運動に獲得するという働きかけが必要です。
最初は、北海道の部隊を中心に派兵部隊が編成されようとしていますが、ローテーションで全国から送られることになります。自衛隊も迷彩服を着て占領軍、多国籍軍の一角を占めるわけで、攻撃されることは間違いない。しかも、一番弱くスキがあるということで集中的に攻撃されるかもしれない。逆に多くのイラク人民を虐殺するかもしれない。
実際に小泉は血を流して貢献してこいと言っている。小泉は国会答弁の中でどこが戦闘地域か私に聞かれてもわかるわけがないと言った。危険なところに行かせない、というのがウソだったことを開き直っているわけです。こんな無責任な態度で行かされる自衛官はたまったものではない。反戦運動が、本当に反戦反軍運動として全力でがんばらなければならない。今この自衛隊イラク派兵を止めることが一番重要な闘いではないでしょうか。
また強調したいことは、派兵される前に派兵反対の運動を全力で取り組むと同時に、派兵されて自衛隊がイラクに行ってしまってからも運動は終わりではない、撤兵を迫る運動をつくり出すということです。派兵された自衛官やその家族にとっては、派兵されてから実際に大変な時期が始まるわけです。家族は指折り数えて夫の帰りを待ち、ニュースにかじりつきになる。反戦の大きな声を届けて、彼らが戦争に反対できる力を与えていくことが重要だと思います。そして、派兵を拒否した自衛官を守り、包んでいく大きな力をつけなければなりません。
そして、アメリカのブッシュ政権はイラク戦争開戦の口実にしたイラクの大量破壊兵器のウソがばれて今大変な事態になっている。そうした危機を乗り切るために北朝鮮に対する侵略戦争を開始しないとも限らない。その点を前提に置いて、イラクへの自衛隊派兵反対の運動を全力で取り組まなければならないと思います。
また、日本の中にもイラクや中東の人たちがたくさんいます。南北の朝鮮人民が朝鮮侵略戦争に全力で反対していますし、在日朝鮮人が厳しい中で反対に立ち上がっている。こうした人たちを運動の力で守ることのできる幅広い闘いにし、運動の質を高める必要があると思います。
イラク民衆に銃口向けるな
――自衛官の仲間に特に呼びかけたいことは。
政府はPKOは戦争ではない復興支援だと言ってきた。ところが米中央軍司令官自身が今イラクは戦争が続いていると言っている。このイラクに行かせるということは、政府の契約違反であり、いやだという権利がある。労働者や人民は自衛官がイラクに行かないと拒否したからと言って非難する人は誰もいない。
米軍は、フセイン政権の残党をやっつけると言って多くのイラクの民衆を虐殺している。これを支援するために水や弾薬を運べと言っているのです。自衛官が行ってやるべき仕事ではな
い。イラクの民衆は誰も喜んで迎え入れる人はいない。銃口を突きつけられてうれしいわけがない。人間としてやってはならないことをやらされようとしているのです。ただ命令に従うのではなく、責任を持った行動が必要です。反戦運動の声に耳を傾けてほしい。
自衛官は今決断すべき時です。イラク派兵を拒否し、イラク戦争反対の闘いをともに闘いましょう。
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週刊『前進』(2113号6面2)
(2)
環境アセスメント 当面する闘いの焦点に
技術調査自身が海を大規模破壊
日帝は02年から03年にかけて名護新基地建設の歩を進めてきた。02年7月29日、新基地の建設位置と工法(辺野古沖・リーフ上、埋め立て)の基本計画が代替施設協議会で決定され、防衛施設庁は、本年4月から海に船をくり出すなど「調査」を開始した。稲嶺・沖縄県知事の公約「使用期限を15年に限る(その後返還する)」や岸本・名護市長の「受け入れ7条件」などとの矛盾をより一層鋭角的に激化させながらも、日帝は強引に事を推し進めようとしている。
環境アセスとは
本年2月防衛施設庁は、「普天間飛行場代替施設の建設に係る当面の取組」を出した。それによると、当面「環境影響評価(方法書作成)」「護岸構造検討」「現地技術調査」の三つを行うとし、4月8日から「護岸構造検討」に供するデータ収集のための「現地技術調査」に着手した。防衛施設庁は、具体的な内容と予定については、きわめて大ざっぱであいまいなものしか明らかにしていない。
新基地建設にむけて最も大きな柱をなすのは、「環境影響評価」(環境アセスメント)である。環境アセスメントとは、環境影響評価法(97年6月13日法律第81号)によって事業者・防衛施設庁に義務づけられたものである。
環境影響評価法の第1条「目的」は次のようになっている。
「土地の形状の変更、工作物の新設等の事業を行う事業者がその事業の実施に当たりあらかじめ環境影響評価を行うことが環境の保全上極めて重要である」ので、「環境影響評価について国等の責務を明らかに」し、「規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための手続その他所要の事項を定め、その手続等によって行われた環境影響評価の結果をその事業に係る環境の保全のための措置その他のその事業の内容に関する決定に反映させるための措置をとること」によって「環境の保全について適正な配慮がなされることを確保し」「国民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする」というものである。
そして第2条以下でその手続きと内容を定めている。
環境アセスメントは、国家独占資本主義政策の反人民的、末期的政策および日帝独占資本による利潤追求により、環境破壊、人民の生活破壊が耐え難いものにまで至ってきたことに対し、一つには個々の資本の環境破壊に体制護持の観点から一定の「歯止め」をかける必要が生じてきたこと、今一つは、これに対する人民の怒りを抑え、ガス抜きするために作られたものである。名護新基地建設もこの環境アセスメントが法的に義務づけられる。
環境アセスメント法は、その法文を見れば分かるように、この法律に全面的に依拠して基地建設を禁止、阻止することは不可能である。その事業(ここでは基地建設)が行われることを大前提に「その際環境に十分配慮せよ」と言っているにすぎない。また、環境アセスメントを行うのは、第三者機関でも、ましてや人民でもなく、事業者(防衛施設庁)なのである。
重要な対決点に
にもかかわらず、名護新基地建設に係る環境アセスメントは、当面する闘いの重要な焦点となってくる。
それは第一に、造られようとしている海上基地が、その規模から言って恐ろしく巨大で、すさまじい環境破壊と住民の生活破壊をもたらすことは不可避であり、「配慮」したり「対策」を講じて防げるようなものではないからだ。
仮に防衛施設局が環境影響評価法の目的にいう精神にのっとり、法が定めた手続きを完璧(かんぺき)に行って調査をするならば、「どう対策を講じても破滅的環境破壊は防げない」と結論づけるしかない、そういう関係だ。
第二に、アセスメントの対象となる事業とは、巨大な米軍基地なのであり、その「事業内容」(基地の内実と戦争行動)を米軍が全面的に明らかにすることなどあり得ない話なのだ。そもそもこの法律が新しい巨大軍事基地建設に適用されることが初めてのことなのである。
例えば、使用される米軍機の機種が特定されなければ、騒音の影響評価などできようはずもない。新基地は、ペテン的法律をもってしても隠しようのないほど反人民的なものなのだ。以上のことから、防衛施設局は「法を踏み破り」、いい加減でデタラメなアセスメントをやるしかない。
3年間決戦へ
防衛施設庁は、最初からデタラメなやり方で事を始めている。4月8日から始めた技術調査は、環境アセスメントそのものではなく、護岸構造検討のためのものであると言いながら、そのデータはアセスメントにも使うと、まったくいい加減な主張をしている。
明らかにされている技術調査は、例えば「地質調査」ひとつとってみても、長さ12`メートルの範囲に、高さ20b〜30bの鉄製のやぐらを63カ所も海に打ち込んで調査すると言うのである。これ自身がすさまじい海の破壊を引き起こし、ジュゴンの生存に壊滅的打撃を与えることは明白だ。
環境アセスメントは、まず「方法書」の策定が行われる。どの調査をどのように行うのかの計画書である。それも含め環境アセスメント「終了」まで3年かかると言われている。
すでに述べたように、事態は事実上の工事着工情勢である。その上で、環境アセスメントが進められるこの3年間は、その手続き一つひとつがきわめて重要な攻防となる。
環境アセスメント「終了→工事着工」の年となる06年は、名護市長選挙(2月)と県知事選挙(11月)の行われる年である。名護新基地建設阻止のむこう3年間は、文字どおりの決戦である。
(久場 豊)
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週刊『前進』(2113号6面3)
6・12私文書弾圧 M同志に懲役2年4月
極悪治安判事・中谷によるデッチあげ有罪判決弾劾
7月24日、東京地裁刑事第2部・中谷雄二郎裁判長は、M同志に対して、懲役2年4月(未決算入360日)、執行猶予5年の有罪判決を下した。M同志は無実であり、無罪以外あり得ない。われわれは、憤激をもって極悪の反動判決を弾劾する。
M同志は、01年6月12日に「私文書偽造・同行使」(自動車の登録証明を偽名で入手した)でデッチあげ逮捕され、1年11カ月もの長期不当勾留を強いられた。M同志の保釈が決定したのは、最終弁論が終了し、杉並区議選が終了した本年5月19日であった。
この間、治安判事・中谷ですら、人民の「不当勾留弾劾」の声に保釈許可を決定せざるを得なかったが、検察官はそのつど抗告を繰り返し、東京高裁は2度にわたって保釈許可決定を取り消したのである。まさに、非転向で裁判闘争に取り組む被告には保釈など一切認めないという国家意思であり、帝国主義戦争突入時における戦時司法そのものである。徹底弾劾しなければならない。
21回公判で、都政を革新する会・杉並区議会議員の結柴誠一さんは、「警視庁は、私が石原都政に反対しているがゆえに、選挙妨害を意図して選挙ボランティアのMさんを不当逮捕した」と証言(結柴さんは、一連の選挙妨害に関して東京都を相手に国家賠償請求中)した。警視庁公安部によるM同志への弾圧の狙いが、革命的議会主義に対する反革命であったことが明らかになったのである。
検察官は論告で三里塚ゲリラ戦闘への打撃感を吐露し、中核派による組織犯罪を言いたて、「悪質」だから実刑にせよとわめきたてた。
弁護団の1時間30分の最終弁論とM同志の150nの意見陳述は、裁判の本質が暗黒の戦時型弾圧であることを鮮明に突き出し、国家権力の三里塚闘争破壊策動を完全に粉砕した。
M同志が最先頭で闘う若き革命家であることに恐れをなす敵権力は、実刑を狙ったが破産した。中谷は判決文をぼそぼそと消え入るようにしか読むことができず、傍聴席からの「もっと大きな声で読め」という声に、退廷命令さえ出せずに動揺をあらわにして判決の反動性を自己暴露した。しかし、中谷は弁護団が検察側の「唯一の証拠」と規定した馬路筆跡鑑定の証明力を認定することができなかったにもかかわらず、「組織犯罪」だから悪質であるとして執行猶予では最高の5年を適用したのだ。治安判事として日帝への忠誠ぶりを示そうというのだ。われわれは中谷反動判決をけっして許さない。
帝国主義戦争と差別抑圧のあらしに、労働者階級の総決起でこたえなければならない。完黙・非転向と戦闘的裁判闘争は、暗黒の治安弾圧を粉砕し階級決起を支える心棒である。M同志とともに決起しよう!
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週刊『前進』(2113号6面4)
福嶋裁判 非科学的な筆跡鑑定 馬路証人のデタラメ暴く
7月22日、福嶋昌男同志の迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判の第164回公判が東京地裁刑事第3部(服部悟裁判長)で行われた。前回公判から馬路充英筆跡鑑定人に対する弁護側反対尋問が始まった。馬路は「馬路筆跡科学研究所」を名乗っているが、その鑑定手法は科学とは無縁、独善的でデタラメなものだ。
その非科学性の第一は、自らの「鑑定手法」について、検証を拒否していることである。馬路は「鑑定手法」について、他の鑑定人から学んだり、討論・交流はしないと言う。弁護人が反対尋問を行うと、「私を信用できないのなら、他の鑑定人を依頼すればいい」と開き直る始末だ。
第二に、独自の「筆記要領−筆癖」論である。いわく「各人それぞれに精神的・肉体的好みに合った筆記要領が生じ……筆者特有の運筆、筆癖等が随所に現出しているものである」と。 筆跡があたかも各人各様に相違(筆癖)があると前提化し、その立場から筆癖が一致したとして「同一人によるもの」と断定して結論づけるのである。
第三に、筆跡の「恒常性」と「希少性」という現在の筆跡鑑定で一般的に取り入れられている規定性の縛りを両方とも否定していることである。驚くべき身勝手でデタラメなデッチあげ鑑定を行っているのだ。
公判には、多くの大学生が傍聴した。初傍聴の学生たちは、「公正な裁判とはとても思えない」「いかにもいかがわしい感じがして、およそ信用できない」と口々に感想を述べた。
警視庁科学捜査研究所の小島直樹同様、馬路鑑定を徹底的に粉砕し、福嶋同志の無罪をかちとろう。
新獄舎の実態怒りこめ弾劾 法務省に申し入れ
福嶋同志は3月21日に東京拘置所の新獄舎に移された。新獄舎は運用開始以前から、その非人間性が指摘されていたが、運用開始後3カ月でその問題性がいよいよ明らかになっている。
7月24日、救援連絡センターの呼びかけで、十万人保釈署名運動ほか、諸団体・個人9人で法務省に対する抗議の申し入れ行動が行われた。救援連絡センターが要望書を提出し、在監者40人のアンケート回答の内容を踏まえて、新獄舎の実態を明らかにした。
十万人保釈署名運動からも福嶋さんへの未決勾留11年の不当を糾弾し、これ以上の拘禁の強制を直ちにやめるよう要求した。
在監者は自然とのふれあいがまったく奪われたと共通して告発している。新獄舎では、居房の両側に監視廊下があり、外と隔てる廊下の窓もすりガラス。居房の窓は強化ガラスのはめ殺し窓だ。拘禁状態、密閉感は格段に強まった。在監者は「『保護房』『自殺防止房』と同様だ」と、怒りをこめて訴えている。
また、「屋外運動」とは名ばかりで、獄舎の一角につくられたコンクリート壁と鉄板網に囲まれた中での運動を強制されている。土を踏むことも、外の景色を眺めることも、日の光を浴びることもできない。
11回目の夏をこの新獄舎で不屈に闘う、福嶋同志を全党の力で支えよう。
福嶋同志に暑中見舞いのハガキを送ろう。
[宛先]東京都葛飾区小菅1−35−1A 福嶋昌男様
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週刊『前進』(2113号6面5)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
須賀・十亀・板垣同志裁判
最終弁論
9月1日(月)〜3日(水)
いずれも午前10時
福嶋同志裁判
9月16日(火)午前10時
☆水嶋同志裁判
9月11日(木)午後1時30分
※いずれも東京地裁
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