ZENSHIN 2003/08/11(No2113 p10)

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週刊『前進』(2113号7面1)

プロレタリア世界革命の大道開こう
階級的労働運動の防衛と創造へ 〈新潮流〉の飛躍的前進かちとれ
 高原 洋三

 はじめに

 21世紀、早くも帝国主義世界戦争とプロレタリア世界革命が現実化する時代が到来している。それは帝国主義の歴史的危機が深化し国際階級闘争が新たに高揚する、未曽有(みぞう)の階級決戦期への世界史的突入である。イラク侵略戦争によって開始された世界戦争をめぐる攻防と、一大資本攻勢との攻防、この双方における階級決戦は白熱的に激化する。ついに革命的情勢が急速に接近し、そこに端緒的に突入しているのである。
 この階級決戦情勢に対して、革共同は「歴史的存在としての革共同」として、91年5月テーゼ以来の、さらには01年第6回大会で打ち固めた全成果と全蓄積をかけて<新たな指導方針>を提起する。
 そして革共同は、この<新たな指導方針>のもとで、今こそ階級的労働運動の防衛と創造を爆発的にかちとり、プロレタリア世界革命を実現するために総決起することを宣言する。
 帝国主義の戦争と抑圧・搾取を打ち破り、労働者階級が生産と社会の<主人>となり、社会主義(共産主義)を実現する以外に人類史的な活路はない。プロレタリア革命を党の意識的・計画的な闘いに媒介された労働者階級自身の事業として絶対に実現しようではないか。
 レーニン主義の新たな型の「社会主義と戦争」を創成し実践する立場から、「全世界の労働者階級と被抑圧民族は団結し、帝国主義の侵略戦争を国際的内乱に転化しよう」の旗を掲げ、帝国主義のあらゆる反動と大逆流をプロレタリア革命への巨大なうねりへと転ずる歴史的大攻勢に打って出ようではないか。
 今こそ、すべての同志は激しい危機感と革命的情熱をたぎらせ、真の革命的実践者として団結し、自己変革と飛躍をかちとろう。

 第1章 03年前半期は戦後史上最大の革命的な激動情勢が到来

(一)3・20イラク侵略戦争をもって、帝国主義が侵略戦争から世界戦争へと向かう時代が、絶対に引き返すことのできないプロセスとして始まった。1938年のドイツのオーストリア、チェコへの侵略に比すべき世界史的大きさに慄然(りつぜん)としなければならない。しかも情勢は加速度的に激動している。
 さらにイラク侵略戦争は、戦後初めて帝国主義間の本格的な分裂を引き起こすとともに、戦争の結果、EU、NATOなどをめぐり帝国主義の心臓部での非和解的対立をさらに激烈化させている。それは帝国主義の基本矛盾の爆発であり、世界経済の恐慌・大不況化と分裂・ブロック化と一体のものである。
 またこの世界戦争の実際の開始と一体のものとして、資本攻勢、政治反動、治安弾圧攻撃という階級戦争が世界的に進展している。
(二)だが、このようなイラク侵略戦争自体、本質的に始まったばかりである。米(英日)帝国主義の軍事占領支配=再植民地化は、侵略戦争が第1段階から第2段階へ移行したということなのである。軍事占領に反対する民族解放をかけたゲリラ戦争と、それへの反革命的掃討戦こそが、帝国主義の侵略戦争の本格的展開過程そのものなのである。
 日本帝国主義は、イラク特措法をもってこのイラクにゲリラ戦絶滅の侵略軍として自衛隊を公然と派兵し、米軍主導の多国籍軍の一翼を担おうとしている。まさに日帝にとって「15年戦争」の開始に比すべき事態である。
 米帝ブッシュの世界戦争計画は、イラクを第一歩として、激化・拡大・加速されている。パレスチナ、イラン、さらに北朝鮮(→中国)への侵略戦争は不可避である。
(三)米帝の世界戦争計画のもとで、北朝鮮侵略戦争は何かの契機でいつでも始まる情勢に突入している。北朝鮮侵略戦争が始まったらどうなるのか。1950年の朝鮮戦争を見よ。革命党の存在を許さないものすごい治安弾圧体制となり、階級情勢は完全に一変するのだ。北朝鮮侵略戦争の切迫という戦慄すべき情勢に革命党として準備しなければならない。そのためには、日本階級闘争において自国帝国主義打倒を貫く困難をのりこえ、排外主義を打ち破り、強力な警察国家である日帝と闘い、日本階級闘争の限界を打破するために、まさに引き抜こうとしても引き抜けない、労働者階級に本当に根を張る闘いを待ったなしに開始することである。党は、労働者階級とともに闘い続けていくことがあれば、この攻防を革命的に突き抜けることができる。その階級的確信を打ち固めなければならない。

 世界戦争情勢は党派闘争を激烈化させる

(四)こうした世界戦争への突入情勢に対して、03年1〜3月には、全世界で2千万人を超す労働者人民の国際的反戦行動が空前の規模で爆発した。これは01年9・11情勢を画期として始まった闘うイスラム諸国人民との連帯を赤々と貫く国際階級闘争の新たな高揚であり、また国際的な労働運動・労働組合運動が中心となった確固とした階級的な決起なのである。この闘いは、けっしてエピソードには終わらない。まさにこれから全世界でうしおのように巻き起こる激しいダイナミックな情勢の序曲である。
 03年前半の日本でのイラク反戦・有事立法粉砕闘争はどうだったか。
 民主党―連合の有事法制や労働法制改悪での許しがたい裏切りは、戦後階級闘争において最大級の歴史的事態である。55年体制は最後的に崩壊した。戦後国会は死滅し、翼賛国会へと塗り変えられ、労働者階級を絶望と無力感にいざない、断崖絶壁の危機に追い込んだ。6・6有事3法成立に至る大反動への起死回生の反撃が3・27〜30動労千葉の90時間ストライキであり、陸・海・空・港湾労組20団体の5・23明治公園、6・10日比谷野音の闘いであった。労働者の団結と怒りを示したこれらの階級的反撃は、イラク反戦、有事法制の攻防がこれからであり、労働運動の防衛の中から革命的決起のうねりは必ず始まることを示した。
(五)革命的情勢下での独特の閉塞(へいそく)情勢を打破する革命的兆候は、いたるところで明らかになっている。それは労働運動での既成労組指導部の岩盤のような制動と抑圧が崩壊し、政治的党派的分岐と大流動、党派闘争の激化としてドラスチックに現れている。
 ひとつは、3・20イラク開戦をめぐる統一戦線の分岐である。それは、イラク反戦を有事立法反対の自国帝国主義との対決へと発展させ、労働組合が中軸となった統一戦線と結合することによって真の階級的高揚を実現していくか否かをめぐる、根本的な路線的・運動的な分岐と対立である。
 今ひとつは、日共スターリン主義中央への不信と反乱の噴出によって、全労連内に大流動情勢が生まれていることである。日本共産党は11月党大会で綱領の大改定を行う。その綱領改定案は、プロレタリア革命を放棄し、「労働者階級の党」であることを完全に否定し、資本主義・帝国主義体制を防衛する側に回ったことを宣言した歴史的転向綱領である。労働運動に関する項目を抹殺し、資本主義に「ルール」をつくれと言うのだ。これに対して、非常に多くの日本共産党員が労働戦線を中心に党中央への怒りをたぎらせながら、真の労働者階級の党を追い求め始めているのだ。
 さらに、民主党―連合の裏切りがついに歴史的分水嶺(ぶんすいれい)を越えたことが、日本労働運動に巨大な地殻変動を引き起こしていることである。今秋の連合大会では、帝国主義的労働運動をさらに決定的に純化しようとしている。この動向は、逆に連合の組織的激減状態を促進させ、その分裂・流動・瓦解(がかい)を加速させ、連合内からの巨万の階級的決起を可能にするものなのだ。
 また国鉄決戦をめぐる激動情勢として、カクマル中央派とJR総連派の分裂に続いて、JR総連内部で松崎派と嶋田派のおぞましい対立・抗争が激化し、ファシスト労働運動の崩壊がついに開始されたことである。それは権力・JR資本とJR総連カクマルの結託体制が最後的な崩壊過程に入ったことを示している。腐敗を極め、カルト集団化する黒田・カクマル中央派とともに、松崎・カクマルJR総連派を打倒し、JR総連傘下の労働者、とりわけ「平成採」の青年労働者を階級的労働運動のもとに獲得しともに闘うチャンスが到来したのである。
 この階級的大流動情勢の中で特筆すべきことは、ひとつは、百万人署名運動があらゆる反動を打ち破って果たした歴史的役割である。連合、日共・全労連、カクマルのあらゆる反動的妨害を、その広範な粘り強い大衆的広がりの力でのりこえたことである。そして、イラク反戦と有事立法反対を運動的に結合させ、20労組のようなより広範な統一戦線を内在的に推進したのである。その運動の土台に労働組合の広大な結集を据え、今日の労働運動の大流動情勢を促進したのだ。この運動のかけがえのない理念と意義をあらためて支持し確認して、新たな発展をつくり出さなければならない。
 今ひとつは、3〜4月のイラク反戦闘争での学生戦線の闘いであり、そこでの大衆運動の新しいうねりを組織する闘いである。それは学生戦線こそが、労働運動と表裏一体をなして、3全総路線のラセン的回帰の闘いとして発展する可能性を示すものである。

 第2章 <新たな指導方針>を確立しそれを全面的に実践しよう

 (1)労働運動の実践・実行を

 革共同は、この戦後最大の階級的激動期への突入に対して、5月テーゼ―6回大会の地平を踏まえ、マルクス主義に立脚しプロレタリアートの階級的組織化をとおして実現する<新たな指導方針>を強力に打ち立てなければならない。
 5月テーゼ以降、革共同は必死に闘ってきた。とりわけ6回大会は、革共同が革命的激動期において前進していくために絶対に避けて通ることができない歴史的関門であった。革共同が、結成以来四十数年の全成果・全蓄積を確認・総括し、中央指導部体制を選出・確立し、反帝国主義・反スターリン主義世界革命のプロレタリア党として徹底的に自己確立することは、21世紀の革命的激動期に飛躍と前進をもって躍り込むためには必須不可欠の闘いであった。
 とりわけ、黒田カクマルにその反革命哲学もろとも死滅を宣告したことは、革共同の前進と飛躍にとっての絶対的拠点をかちとったと言えるのだ。
 5月テーゼ―6回大会路線の地平とその苦闘的前進は、今日の革命的激動期にこそ真に対応するものでなければならない。党の血と汗の結晶を土台とし出発点として、21世紀の革命的激動期に対応した<新たな指導方針>を打ち立てるのである。革命的情勢の急速な接近がもたらす敵の攻撃の集中砲火が、党と階級を絶滅に追い込みかねない絶体絶命の主体的危機を、党の革命的自己変革によって突破しようではないか。
 <新たな指導方針>とは何か。第一に、今こそ労働運動・労働組合運動を本当に実践・実行し、労働者細胞建設に絶対的に勝利していくことである。労働者階級に深く、広く根を張ることを本当にやりとげることなのである。それは学生戦線の圧倒的強化と表裏一体である。
 第二に、これを実現するため、階級闘争の烈火の試練の中で非合法・非公然体制を堅持・発展させ、公然・非公然の一体的指導体制の変革と飛躍を画然としてかちとり、創成していくことである。
 今こそ全党が、新たな指導方針のもと、プロレタリア自己解放闘争を本質的実体的根幹に据えた反スターリン主義・革命的共産主義運動の偉大な発展をかけて労働者階級の中に入らなければならない。地区党を基軸に地区党建設と産別委員会建設を統一し、5月テーゼ―19全総―6回大会の方針の字義どおりの実行、さらに言えば<3全総路線へのラセン的回帰>をかちとらなければならない。

 (2)3全総へのラセン的回帰

 “3全総−3回大会路線”とは、70年安保・沖縄闘争などの政治闘争を営々と貫徹し、カクマルとの熾烈(しれつ)な党派闘争に勝ち抜いて今日に至っている歴史的・動的な路線である。また、今日的には3大決戦をトータルに闘い抜く中で新たに創造していく路線である。われわれは、まさに3全総がつくり出した空間で闘っているのである。
 3全総路線が重要なのは、地区党建設をしっかりと土台におき、労働戦線での拠点づくり、産別拠点づくりを組織的に進める闘いとしてあったことである。黒田カクマルは、この地区党建設とさらには選挙闘争に敵対し、分裂・逃亡した。
 実践的には、3全総的闘いは、地区党建設においても産別拠点づくりにおいても、中央指導部を先頭として闘われた、労働者階級に密着した地をはうような現実の格闘であった。革共同は、この3全総路線へのラセン的回帰である<新たな指導方針>を、中央指導部の命がけの自己変革の闘いを先頭に、今こそ革命的に実現しなければならない。
 以上の<新たな指導方針>にとって、新生マル青労同の建設こそ、まさに基軸的闘いである。それは、青年労働者の積極性、主体性、進攻性、階級的自己解放性を青年同盟としての青年同盟に組織していく闘いである。その基本任務である労働組合運動にどしどし入り込むという実践を、地区党の本格的な拠点経営の設定、そこでの組合運動への参入・拡大方針の確立と結合して闘っていくことである。さらにマルクス主義の学習は、マル青労同建設の絶対的土台である。
 これらマル青労同建設の課題は、まさに革共同の労働運動の実践にとっての基礎的作業である。マル青労同建設にこそ革共同の存亡がかかっているのである。
 またこれらの闘い全体の推進にとって、機関紙活動の飛躍・拡大が決定的な環となる。

 (3)3大決戦の総括深めよう

 この<新たな指導方針>を徹底推進する実践的組織的体制づくりを断固推進しよう! そのためにも前半戦での3大決戦の総括を深めなければならない。
 第一の問題。今日の内外の大情勢・階級情勢の重大性と、断崖絶壁に立たされた党の存亡がかかっているという問題をしっかり見据えることである。世界戦争に至る帝国主義の侵略戦争が実際に開始され、革命的情勢が急接近している中で、われわれに残された時間はない。今のままでよいのか。この絶対的な情勢に対し、相対的な対応でよいわけがない。まさにプロレタリア革命勝利の絶対的な立場で立ち向かわなければならない。
 しかし、われわれはこうした情勢だからこそ、マルクス主義の立場からオーソドックスに労働者を獲得することに勝負をかけなければならない。階級の中に飛び込み、革命的情勢を本当に白熱的な革命そのものに結実させなければならない。革命党は、この激動的情勢の中だからこそ、労働者階級の中に深く広く根を張り、白熱的な階級闘争の先頭に立っていく以外に生きていくことはできないのだ。
 革命的激動期は、本質的には待ちに待った絶好の情勢、決定的チャンスが到来したということである。このチャンスをつかみ、わがものとすることを逸し、立ち遅れたりするならば、歴史は革共同をエピソードにもならぬ存在として、もくずのように無慈悲に葬り去るであろう。革命をめざす党にとっての危機と決定的な試練にたじろいで後ずさりしたら、その党はたちまちに腐敗し、堕落し、結局は反革命にさえ転落する。どんな革命党でも、「第2インターの崩壊」的な日和見主義と排外主義に転落する危険をはらんでいるのだ。
 真に革命党へと自己形成していくためには、決定的瞬間に、労働者階級自己解放の思想としてのマルクス主義に全身をゆだねて、真っ向からその実践をやりとげることが必要なのだ。党はその活動の中心基軸に、真正面の最重要の課題に、労働者階級の闘いの中に飛び込み、その先頭に立って実際に具体的に闘い抜くことを徹底的に据えきる。今こそ、この激動期に5月テーゼを断固実行するということなのである。
 第二の問題。今日の階級情勢は、革共同に、@イラク反戦・北朝鮮侵略戦争阻止、有事立法粉砕の政治決戦、A動労千葉―国鉄決戦を先頭とする労働運動決戦、Bそして統一地方選挙として闘われた革命的議会主義の決戦という3大決戦を統一的・全体的に闘い抜くことを要求している。この3大決戦は、並列的なものでもなければ、三つの算術総和でもなく、単なる力の配分でもない。労働者階級の決起を根底に据え、それをなしとげていくための3大決戦なのである。労働者階級を主体的中心に据えきる考え方に立って、労働組合運動決戦の遂行と労働者細胞の建設を圧倒的な軸にして、情勢を分析し、方針を出し、3大決戦を闘い抜かなければならないのだ。
 3大決戦の総括の決定的なメルクマールは、3・27〜30の動労千葉ストライキである。今日の階級情勢、特に1〜3月の春闘、イラク反戦闘争の中では、3大決戦の階級的構造をしっかりと打ち立て、動労千葉ストライキをその基軸に据え、それを包み、押し上げるものとして全闘争を組み上げ、3大決戦論をそうした内実を持つものとしてつくり上げ、闘い抜くことが求められたのである。
 第三の問題。われわれは確かに03年前半の3大決戦をそれぞれの領域で血みどろになって闘っている。何よりも動労千葉ストライキが打ち抜かれ、その地平が統一地方選挙での4月決戦への全力決起を可能にした。また、イラク反戦・有事立法粉砕闘争においても、学生戦線を先頭に大衆運動の画期的地平を切り開き、20労組の闘いと結合して闘い抜いた。杉並区議選―統一地方選でも、「偉大な成果」を実現している。
 しかし、革命党としての革共同が激動期において革命をめざして闘いを推進しているという絶対値的基準に照らして見た時、これらの結果は、どうしてもこのままでは歴史の試練に耐えきれるものではなく、圧倒的に不十分であることを厳格に総括しなければならない。
 決定的なことは、革共同の歴史的闘いの精華とも言うべき動労千葉のストライキに立ち上がった労働者が、3・29集会の現実の中に、党と闘う人民の熱烈な連帯を十分に実感し、体感しえていないということである。だが労働者は、労働者党を必要とし、その党が先頭で闘っている姿を希求してやまないのだ。ここに階級政党としての存亡の危機を全身で感得しなければならないのである。
 今ひとつは、03年前半の3大決戦の闘いが、到来した激動期にかちとるべき党としての蜂起戦として見た時、さらに<勝利>という基準に厳格に照らして見た時、その一つひとつは、まだある意味で問題にならないレベルでしかないということである。またプロレタリア革命を実現するための真にマルクス主義を貫きうる党のあり方、組織性が決定的に問われているのである。言い換えれば、レーニンのいわゆる革命的情勢に対応する三つの義務を本当に実行することが迫られているのである。

 (4)選挙闘争の「偉大な成果」

 階級的激動情勢のもと、革命党の命を燃やし続ける中で、統一地方選挙は闘われた。杉並では結柴誠一氏、新城節子氏、(北島邦彦氏は惜しくも次々点で落選)、相模原では西村綾子氏、大阪・高槻では小西弘泰氏、森田充二氏が見事当選した。また動労千葉候補として勝浦では水野正美氏が当選した。
 重大な革命的挑戦が闘い抜かれ、偉大な成果を生んだ。このことをしっかりと確認したい。
 選挙に全身全霊をもって投入することは、政治決戦、労働運動決戦を闘っている現実への革命的誇りなしにありえない。つまり選挙は、そもそも3大決戦の一環として闘われなければならないものとしてあった。これからの北朝鮮侵略戦争情勢において、労働者階級に根を張ることと議員を持っていることは死活的であり、真の革命的議会主義を確立することが求められている。
 選挙闘争は何も独特の論理・法則が支配しているのではない。まったくオーソドックスな大衆運動、政治闘争なのである。だから本来的なプロレタリア党の実践をオーソドックスにやりとげ、3大決戦を労働運動の実践を土台にしてトータルに貫徹する中でこそ、選挙決戦も勝ち抜くことができるということである。
 この3大決戦の総括の視点から、今次統一地方選挙、特に杉並選挙闘争の総括をやりとげ、次の巨大な挑戦を開始しなければならない。
 特に今回の闘いでわれわれは、あくまでも3勝0敗か0勝3敗かという、激動情勢でのオールオアナッシングの蜂起的決起を決断した。それは、日本共産党と遜色(そんしょく)のない政党、3人の幹事長会派に飛躍し、都議選勝利への決定的橋頭保を築くという巨大な挑戦であり、今日の階級情勢に対応する党の絶対的な飛躍を求めるものであった。
 そのために、激動期型選挙における演説革命・宣伝革命が、苦闘の中で貫徹された。大衆運動においては宣伝・扇動が命である。宣伝・扇動によって大衆の意識が決定的に流動化する。「反戦と介護」を掲げ、帝国主義との根底的対決を貫き、その空間から住民・労働者の自己解放的決起がかちとられるという宣伝・扇動戦が原則的かつ柔軟に、かつ爆発的に貫徹された。この転換的でオーソドックスな展開が、困難と危機を突破し、最後は全党の力と決起を引き出して、今回の結果となったのだ。この力が、戦闘的住民の感動的な自主的決起を可能とした。
 またこの宣伝・扇動戦のオーソドックスな貫徹は、従来のオルグ団選挙から名簿型選挙への転換の中で、西部地区委員会と東京都委員会の地区党建設に結合しての党建設的闘いの端緒的前進を可能としたのである。
 このような闘いを展開した前提には、党は本当にすばらしい力を持っていること(しかも労働者党としてのそれ)への確信がある。
 だからこそ、このような闘い方で3人勝利はまったく可能であった。勝てる条件があったにもかかわらず果たせなかったことは、かちとった到達物の巨大さから規定するならば、ごまかしがきかない、あいまいにできない問題を突き出している。そこでは、「偉大な成果」を切り開いたにもかかわらず、党の本来的な根源的力を百パーセント出し切れなかった、そういう指導を貫徹できなかった中央指導部の決定的な不十分性が突きつけられているのだ。ここに3大決戦全体と一体をなす総括の環がある。
 より核心的には、労働者階級自己解放のマルクス主義的実践、労働運動の推進と労働者細胞建設を圧倒的な基軸とする3大決戦の貫徹をとおして、党の力は本当に百パーセント発揮することができるということなのである。
 新たな指導方針の推進にとって求められるのは、このような指導原理を貫く中央指導部を先頭とした全党の総決起と強烈な革命的自己変革であり、真の細胞性の確立である。

 第3章 資本攻勢の激化に労働者の階級的な大反乱は不可避だ

 (1)日帝の体制的危機のりきりをかけた資本攻勢の歴史的転換

 国鉄分割・民営化と95年日経連特別報告

 日帝ブルジョアジーの資本攻勢は嵐のようにますます激しく吹き荒れている。連合の裏切りに支えられて、一方的に労働者階級に襲いかかっている。ここには絶望しかないのか。否である。そもそも、この一大資本攻勢の根底にあるものは日帝の危機である。この危機をのりきるため、あくなきリストラを強行し、労働者階級を街頭に放り出し、その生活を破壊し、失業、不安定雇用化、労働強化、賃下げ、労働者の分断支配、労組的・階級的団結の破壊の限りをつくして資本の延命を図ろうとしているのだ。
 まず20世紀から21世紀にかけての資本攻勢を素描しよう。80年代以降の日帝の資本攻勢には、大きく二つの歴史的転換点をなす攻撃がある。
 ひとつは、80年代に中曽根のもとで強行された国鉄分割・民営化攻撃である。これは国鉄を6分割(プラス貨物)して民営化するが、その際、現行企業を解体する新会社設立方式をとり、旧国鉄の労働者を事実上いったん解雇した上で、新規採用方式で差別・選別採用を行い、20万人もの労働者を実質的に首切りにするという攻撃であり、戦後の労資関係も労働法規も無視した反革命であった。
 今ひとつ、バブル崩壊後、90年代の長期不況にあえぎ、激化する国際争闘戦の重圧を受けて日帝ブルジョアジーが出してきたのが、95年の日経連「新時代の『日本的経営』」プロジェクト報告である。これは終身雇用制を解体し、大多数の一般的労働者は短期雇用とするというものであった。これは労働市場を圧倒的に流動化し、必要な時は労働者を吸引し、不必要になれば自由に解雇し、その過程で圧倒的な賃金引き下げを可能にしようとするものであった。
 この日経連プロジェクト報告をもひとつの契機に、90年代後半から02年にかけて民間主要産業部門を総なめにして、まさに洪水的な大リストラ攻勢が展開された。業務の外部委託(アウトソーシング)、分社化、子会社化の大々的な進行、大規模な希望退職、正社員の出向・転籍の強行、さらにJRのシニア制度を典型として、定年後のいったん解雇・短期雇用での再採用・大幅な賃下げという攻撃が全産業の労働者に襲いかかった。
 21世紀に入るや、いわゆる官公部門の中心部分をなしていたNTT、郵政、自治体、教育などの部門において、かつての国鉄分割・民営化と同じ、いやそれをも超える大リストラ攻撃がドラスチックにかけられ、激突が開始されている。
 とりわけNTTの02年5月1日の11万人大合理化・リストラは恐るべきものである。またJRでは第2の分割・民営化と言うべき大リストラが、日経連95年プロジェクト報告そのものの形態をとりつつ進行している。だが重要なのは、今後、NTT型として全産別に適用されようとしているNTTの大リストラ攻撃にしても、確かにその攻撃は国鉄以上であるが、反乱の芽がわずかでもあれば、敵の攻撃は行きづまるということだ。
 中小・零細は、労働者階級の隊列の膨大な部分を形成している。大企業でのリストラ攻勢はさらに幾重にも加重されて中小企業部門で階級矛盾を激化させ、大量の首切り、賃金の大幅な引き下げ、倒産攻撃が吹き荒れている。
 重要なのは、大企業におけるリストラは、これまでの基幹産業労働者を中小・零細企業の労働者と合流させ、基幹産業自体が短期・臨時雇用、派遣労働、委託業務労働者といった非正規・不安定雇用の労働者を大量に抱え込むに至っていることである。この激烈な攻撃に対して、逆に労働組合の団結に組織し、地域合同労組として、あるいは産別的に大企業の組合と結合させていく闘いは、いよいよこれから大決戦となのである。

 03年奥田ビジョンと賃下げ、労基法改悪

 03年においては、さらに奥田ビジョンと03春闘の攻撃、そして労働法制改悪攻撃として、資本攻勢が激化している。
 日本経団連は、03春闘を経団連と日経連の一体化後第1年目の春闘攻防として構えた。だが日帝ブルジョアジーは、恐慌と長期大不況のもとで国際争闘戦の激化、日帝経済の根幹そのものの動揺と崩壊に直面し、階級的危機感に震えている。そこから03年経営労働政策委員会報告と奥田ビジョンで、総額人件費のさらなる削り込み、雇用形態の今一段の多様化(=不安定雇用化)、企業の社会保障負担の回避を打ち出した。奥田ビジョンが消費税の大幅アップを打ち出したのは、まさにこのゆえだ。消費税という強制しやすい間接税を使って大増税を図り、社会保障制度をどこまでも圧縮する。搾取と収奪を強めることが狙いなのだ。
 この奥田ビジョンは恐るべき攻撃だが、日帝ブルジョアジーの「勝ち組」のトヨタ式弱肉強食の価値観を押しつけている点で、決定的矛盾がある。ほとんど大多数の資本と労働者の関係と実体をまったく無視したものなのである。この危機的突出は、本質的に必ず破綻(はたん)する。
 日帝ブルジョアジー(日本経団連)は03春闘において、労働組合に失業の恐怖で重圧を加え、帝国主義的労働運動にはまり込んだ連合指導部などを取り込み、組合側に「ベアなし春闘」を宣言させた。しかも日本経団連は、「ベアなし」だけでは問題にならないと、賃金体系(制度)における定昇制の廃止または圧縮、賃金の大幅切り下げを基本的な攻撃軸に据える大攻撃へと踏み込んだのだ。
 ここで重要なことは、定昇廃止は資本がやろうと思えばすぐできるものではなく、大企業で3分の1も貫徹できず、賃金における年功部分は依然として3〜4割を占めているということだ。そもそも終身雇用制と年功序列賃金体系の解体の攻撃は、全産業でけっして同じように進行していない。もともと、各種の産業ごとに現実の労働形態や態様には特殊性があり、経験ある熟練労働者の存在やそうした労働体系を簡単には解体できない。また、労働者の住宅や教育などの費用を百パーセント無視した賃金などは、労働力の再生産費としてある賃金の本質から言っても無理なのだ。
 ここで導き出されるのは、賃金闘争はまだまだ圧倒的に闘えるということだ。賃闘を闘えるということは、労働運動において春闘はさらに大決戦として続くということなのだ。
 03年、奥田ビジョンと小泉構造改革の柱としての労働法制改悪が強行された。特に労働基準法の改悪は、戦後労働運動にとって憲法的存在であった労基法の根底的転覆、全面的変質を狙う攻撃である。それは100年を超える国際労働運動、さらに戦後革命などの血としかばねの上にかちとった労働者の歴史的獲得物を転覆しようという大攻撃である。
 労基法は労働者の権利保護というベクトルを持つものだが、今回の改悪で資本の「解雇権」が導入された。その瞬間に権利保護法としての性格は百八十度ひっくり返り、資本にとっての制約は取り払われるのだ。だが、一連の労働法制改悪で攻防の決着が着いたわけでは断じてない。闘いは職場の団結と力関係をめぐる攻防に入ったのだ。

 自己解放的決起へのマルクス主義的確信

 以上の巨大な構造的大変動とも言うべき資本攻勢の全体像から言えるのは、労働者の闘いが百パーセント平定されつくしたなどということはけっしてありえないということだ。
 たとえ灰塵(かいじん)に帰しても灰塵の中から力があふれてくる。いくらでも矛盾はあり、労働者の決起の火の手は必ず上がる。そもそも資本の労働者支配に安定はなく、労働者階級の自己解放闘争に「立ち遅れ」はないと言えるのだ。なぜなら労働者の資本との関係は、日常不断に非和解的であるからだ。革命的労働者党を求める階級の叫びも絶えることはない。労働者階級の反転攻勢の歴史的余地はあり余るほどあるのだ。
 今ひとつは、もはや現実には資本が労働者階級の労働と生活をそれなりに保障することもできなくなったということである。資本は労働者を食わすことができなくなったのだ。資本主義の命脈は尽きようとしている。そして資本は、労働者の反逆を根底的に恐れているのである。党が労働者階級に全身をゆだねるならば絶対に間に合うのだ。このマルクス主義的確信に立ちきらなければならない。
 さらに、だからこそ、連合―民主党の裏切りを絶対に許すことはできないということである。03春闘での資本攻勢の転換は、連合の全面的屈服と変質が前提となっているのだ。だがこの支配の構造こそ矛盾であり弱点であり、すでにいたるところで崩れている。連合ダラ幹指導部を打倒する闘いを強め、あらゆるルート・方法・経路をとおして既成労働組合の内外から新しい戦闘的・階級的労働組合運動をつくり出す時なのだ。
 今日の資本攻勢は、国鉄問題として始まり、国鉄問題へと帰着・集約されている。その意味で国鉄分割・民営化反対闘争、動労千葉、国労の闘いがいかに普遍的な全階級的課題であるかはあまりにも明白なのだ。
 また、この間、動労千葉―国鉄戦線の闘いと、中小企業での闘いを果敢に展開している関西生コンと港合同の闘いが、3労組共闘として結合し発展していることはきわめて重要であり、貴重であり、この闘いに学び、生かすことが死活的になっている。
 さらに、このような資本攻勢は、日帝の危機と破局の現れであるがゆえに、ついにそれは国家権力による労働運動・労働組合へのむき出しの解体・絶滅攻撃にまでに至っている。これに対して、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の大運動こそ、あらゆる階級的反撃の推進軸となり、資本攻勢との闘いのひとつの歴史的決着点をなす闘いなのである。

 (2)動労千葉の03春闘ストに続き国鉄決戦−国労大会の勝利へ

 このような中で動労千葉・動労総連合は、03春闘を「生活防衛、反合・運転保安、反弾圧・国鉄闘争勝利、反戦・国際連帯の春闘」として位置づけ、@第2の分割・民営化粉砕、A1047名闘争勝利、Bイラク侵略戦争阻止・有事立法反対、C組織拡大――を課題に掲げて闘った。具体的には、3万8000円の大幅賃上げなどの「新賃金・反合・運転保安・労働条件改善」に関する諸項目をJR資本に要求して闘った。
 今日の階級情勢、特に3・20イラク開戦情勢の中で、こうした階級的原則的要求を掲げて延べ4日間、90時間のストライキが打ち抜かれたことの偉大さは、あまりにも鮮明なのだ。この諸要求やそのもとでの団結は、日帝権力・資本の攻撃や既成指導部のもとで苦しんでいるすべての労働者にとっては、心から一致できる根本的要求であり、何よりも階級的団結の源泉となる。企業防衛主義―祖国防衛主義に屈している立場からは打ち出せないスローガンであり、帝国主義と対決する立場にしっかりと立ち、団結を力とすることによってのみ可能となるものだ。今、革共同は闘う労働者と一体となって、この動労千葉・動労総連合が開始した闘いを、国鉄戦線を始め全産業の労働者の中に積極的に持ち込むために全力を挙げなければならない。

 国労弾圧を打ち破り動労千葉との連帯を

 今日、国労臨大闘争弾圧粉砕決戦は、国鉄決戦の発展の中で生み出された最先端的な階級攻防として全力を挙げて闘われている。きわめて政治的な治安弾圧に抗して、8人(組合員・支援者)の被告(と家族会の人びと)が10カ月になろうとする超長期の勾留をはねのけて、戦闘的・原則的に公判闘争を闘い抜いている。強力な弁護団のもとでますます敵を追いつめている。弾圧が何の根拠も道理もない、むき出しの労働運動への治安弾圧であることが日々暴かれつつある。
 また02年12月19日に結成された「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」は、18人の画期的かつ強力な発起人体制のもとに設立され、今全力で運動を広げ、深めるための闘いが推進されている。また、これは1047名闘争陣形と両輪をなすものとして発展しつつある。
 国労臨大闘争弾圧粉砕の決戦は、弾圧の不当性を暴露し、糾弾し、8被告の早期の保釈・奪還をかちとるための闘いである。そして、この闘いは大きくは国鉄分割・民営化に真っ向から反対する闘い、闘う国労を再生させる闘いを貫徹するものとしてあるのだ。
 さらに言えば、敵階級にとって、動労千葉、国労がJR総連やJR連合などと真っ向から対峙して存在すること自体が分割・民営化の破産の証明である。だからこそ、国労中央のチャレンジや反動革同、酒田一派などをあやつり、国労を4党合意路線=政治解決・和解路線にのめり込ませ、闘争団切り捨て、国労の解体、JR連合への吸収の道を強制しようとしてきた。この敵階級の狙いに対し、闘う闘争団を先頭に国労組合員が総決起し、ついに粉砕した結果が02年12月の「4党合意破棄」だったのだ。また、これにより敵階級の目的がただただ国労に全面降伏を要求し、解体することだけにあったことが完全に暴露されたのだ。
 このような流れに対して国労臨大闘争弾圧が発動された。したがって、これは闘う国労を再生する運動への白色襲撃であって、一部過激派の問題などというとらえ方は権力の狙いそのままであり、百パーセント間違っている。国労の防衛と強化を願うすべての労働者は、国労臨大闘争弾圧をはね返し、同時に国労臨大闘争弾圧のために敵権力と結託した国労本部、東京地本の極悪指導部を打倒するために総決起しなければならない。
 9月国労大会は、国労の死滅か再生か、最後的とも言うべき決着をかけた決戦になっている。本部、チャレンジ、反動革同は、国労の自己解体の道をひた走っている。闘争団を全面的に切り捨て、国労組織をエリアごとに分解し、連合への吸収へと突き進んでいるのである。勝利の道は、政治解決路線と徹底的に決別し、国労本部を打倒し、闘う国労の旗を死守することである。ここでの闘いの決定的環は何か。それは、闘う闘争団を守り抜く唯一の道が、敵権力・JR資本と闘い抜く国労の再生にあるということだ。率直に言って、この認識が一部反対派に足りないのだ。そこから絶えず政治解決路線に引き込まれるのだ。
 このような闘う国労へと再建・再生することによって、闘う国労の全組合員とそれを支援する全労働者階級の力で闘争団の自力自闘を助け、守り抜くことができる。こうした闘いは不可能か。とんでもない。すでに動労千葉はこうした闘いを長期にわたって闘い抜いている。
 権力・JR資本に対し反リストラ・賃下げ阻止を強力に闘い、「許さない会」や1047名陣形の闘いを圧倒的に拡大すること、闘争団をどこまでも守り巨大な戦線をつくり上げること、一言で言えば動労千葉と連帯して動労千葉のように闘う国労をつくり出すことだ。このことを今こそ真っ向から提起し、階級的な対決軸(路線)を鮮明に形成することが、国鉄闘争勝利の道であり、9月定期大会で反動的勢力を打倒する道である。

 第4章 イラクへの自衛隊の大規模派兵策動を阻止せよ(方針1)

☆米英帝国主義の軍事占領・再植民地政策のもとで継続・激化しているイラク侵略戦争への日帝の本格的参戦=大規模派兵の策動を阻止せよ!
☆イラク特措法〔イラク復興支援特別措置法〕の成立弾劾!
 このスローガンを今夏〜今秋の反戦政治決戦の柱として、全国的に総決起することを宣言する。
 イラク特措法が、民主党など野党の屈服と裏切りによって衆参両院を通過し成立した。イラク特措法の成立を徹底的に弾劾し、イラクへの自衛隊の大規模派兵阻止闘争の巨大な爆発をめざして、11月に向けて反戦政治闘争の発展を切り開かなければならない。
 この法律を使った自衛隊派兵は、米軍主導の事実上の多国籍軍への参加であり、陸海空3軍1000人というかつてなく大規模なものであり、しかもこれがきわめて長期にわたって展開され、日帝が引き返すことのない海外侵略戦争の道についに突入するものだ。決定的に重視しなければならない。
 イラク侵略戦争は継続・激化し、巨万の反戦闘争はこれから本格的に爆発する。軍事占領下で、米帝が日々やっていることは、無差別的な大量のイラク人民の虐殺である。さらに占領・植民地支配、石油強奪などの侵略行為に対して、イラク人民のやむにやまれぬ激しい怒りがゲリラ戦闘となって爆発し、それは圧倒的に拡大している。革共同は、この闘いが民族解放・革命戦争として真に人民革命的に力強く前進することを希求しつつ、日本の地で闘いをもって連帯しなければならない。
 この中で、米帝はますます危機を深めている。イラク侵略戦争は第2段階に至って、ベトナム戦争的に泥沼化し、組織的ゲリラ戦にみまわれ、すでに湾岸戦争を上回る死者を出している。7月13日に発足した「イラク統治評議会」は、米帝がかいらい政権づくりに失敗したことを示している。他方で米英の大量破壊兵器に関する情報操作などのデマが暴かれ、一片の正義性もない戦争であることが露呈し、前線の士気は低下、ブッシュ政権への不満と政治危機が爆発している。
 さらに03年度の米財政赤字は、イラク戦費が加わり天文学的数字になっている(4550億j、約53兆円)。エンロン破産、ワールドコム破産に続き、現在電力大手ミラント、エネルギー大手P&Eが破産申告し、金融システムは危機に突入している。
 この中で、来年の大統領選挙をめぐる攻防は米帝と世界を揺るがす。米帝ブッシュは、重なる危機的情勢のもとで、「悪の枢軸」路線に基づきイランや北朝鮮への侵略戦争策動と、それによる国際・国内の緊張をギリギリまで激化させていくことを、米国内政治情勢のコントロールの武器にしようとしている。これと超大国・米帝の利害を押し貫こうとする帝国主義ブルジョアジーの侵略戦争への策動の力学が絡み合って、事態はドラスチックに進行していくのである。
 そうした情勢のただ中で、帝国主義の残虐無比な戦場そのものであるイラクに日帝が大規模な軍隊派兵を行うのだ。自衛隊によって侵略・殺りくが実際に行われるのである(小泉は「戦って相手を殺す場合もある」とわめいている)。
 米英帝と並んで日帝・自衛隊も最大のターゲットとなる。自衛隊を襲撃する局面が当然発生する。これは日本階級闘争を決定的に新たな段階に突入させる。イラク派兵阻止、イラク派兵即時撤退の大闘争が鋭く厳しく展開される。現代の「社会主義と戦争」の創成として、「連帯し、侵略を内乱へ」を貫く真に本格的な反戦闘争の爆発を渾身(こんしん)の力を込めてかちとらなければならない。

 北朝鮮侵略戦争阻止の反戦闘争を闘おう

 米帝はイラン問題、北朝鮮問題を対日争闘戦を貫徹するものとして押し出している。それは日帝にとって、とてつもない危機なのである。
 特に北朝鮮問題について、すでに米帝は北朝鮮非難の国連安保理議長声明の採択とKEDOの軽水炉建設事業の凍結をごり押ししてきた。7月11日には、北朝鮮が核燃料棒の再処理に踏み切ったという情報を米NBCテレビが報じた。これは明らかに米帝ブッシュのリークであり、北朝鮮が「レッドライン」を踏み越えたとして、瀬戸際まで戦争的に追いつめるものである。これに対して、日帝も万景峰(マンギョンボン)号や拉致事件をテコとする排外主義の大洪水をもって、北朝鮮への経済制裁をはらんだ戦争的重圧を加えている。絶望的にせよ、米帝の北朝鮮侵略戦争に共同=競合的に突っ込んでいくしかないのである。
 03〜04年情勢の基底には、イラン・北朝鮮情勢、とりわけ北朝鮮侵略戦争のギリギリの切迫という現実が横たわっているのである。北朝鮮侵略戦争阻止を常に中心スローガンとして掲げ、さらに排外主義を打ち破り、南北朝鮮人民、在日朝鮮・中国―アジア人民との連帯・共同の闘いをプロレタリア国際主義をかけてかちとらなければならない。
 「政府が国民保護法制に加えて対米支援法制なども一括して来年の通常国会に提出する方針を固めたのは、北朝鮮の核・ミサイルの脅威が強まっているからだ」(読売)として、有事法制による北朝鮮侵略戦争策動はますます加速している。
 まだ有事立法闘争は終わってはいないのである。03年秋の臨時国会での対テロ特措法延長は重大であり、イラク派兵阻止闘争と結合して闘わなければならない。9月総裁選、11月総選挙で小泉が勝利した場合、04年通常国会はとてつもない大攻防となる。特に国民保護法制への批判を先制的に強めなければならない。国民保護法制とは、対北朝鮮侵略戦争を扇動し、そこに人民を政治的・軍事的に動員するためのものだ。
 さらに小泉は、もっと巨大な、憲法第9条破棄に等しい攻撃、PKO5原則さえ踏みにじって多国籍軍への自衛隊参加を可能とする「派兵恒久法」を04年通常国会に提出しようと動いている。
 今秋、全世界的な反戦闘争の新たな爆発は不可避である。ANSWERは、すでに9・25〜28、10・25、イギリス戦争阻止連合は9・27の国際統一行動を呼びかけている。これと連帯した行動に決起しよう。11月は、自衛隊1000人派兵との全面決戦である。8・6ヒロシマ―8・9ナガサキから今夏〜今秋の反戦闘争に総決起し、全力で対決しよう。
反軍闘争を強化しよう
 日帝・自衛隊のイラク派兵、北朝鮮侵略戦争準備、有事3法制定に対し、自衛隊を包囲・解体―獲得する闘いを決定的に強めよう。今、多くの自衛隊兵士が動揺し、苦悩している。われわれは今こそ、自衛隊兵士に侵略戦争の軍務を拒否し、闘うイラク人民、朝鮮人民の民族解放闘争と連帯して、ともに反戦闘争に立ち上がることを熱烈に訴えよう。
教育基本法改悪阻止を
 教育基本法改悪の動きもますます重大化している。公明党の動きにだまされてはならない。与党3党による教育基本法検討会(座長=保利耕輔元文相)が発足した。04年通常国会後半や04年参院選をメドに大きな動きへと転じていく。直ちに闘いを強化していかない限り、1年後の決戦には勝てない! いや、決戦はすでに始まっているのだ。
共謀罪新設―司法改革攻撃粉砕を
 共謀罪新設粉砕の闘いをレーニンの「三つの義務」の貫徹をめぐる激突・対決、非合法・非公然体制の強化の問題として位置づけ、強化しなければならない。三つの義務の貫徹、非合法・非公然体制の強化は、治安弾圧との闘いをとおして階級闘争を飛躍的に強化する中でかちとられる。共謀罪攻撃の核心は、刑法の実質的な全面改悪である。革命運動のみならず労働運動や反戦運動などに無制限に弾圧を拡大し、壊滅させる完全な治安弾圧法である。
 さらに個人情報保護法(メディア規制法)、保安処分新法である心神喪失等医療観察法、人権擁護法案(差別糾弾闘争弾圧法)、死刑廃止を口実にした終身刑導入の攻撃、さらに司法改革の攻撃など、これまでと次元を異にする攻撃と全面的に対決して闘おう。
沖縄・名護新基地建設阻止を
 沖縄闘争、安保・沖縄闘争の戦略的重要性を再確立し、総決起しなければならない。日米帝国主義の侵略戦争の最大拠点である沖縄は、極限的矛盾が集中し歴史的な大闘争の爆発の前夜にある。
 名護新基地建設を阻止する闘いは沖縄闘争の最先端的激突点である。政府・防衛施設庁は「事実上の工事着工」である現地調査に着手し、闘いは完全に新たな段階に突入した。日米軍事同盟との歴史的激突が確実に準備されているのである。これは、沖縄階級闘争の指導部と沖縄労働運動をめぐる流動が不可避となるということである。沖縄においてこそ階級的労働運動の防衛と創造の闘いを戦闘的に貫こう。
三里塚、関空、北富士闘争
 三里塚闘争は、自衛隊のイラク派兵阻止、北朝鮮侵略戦争粉砕、有事体制粉砕の最重要の闘いのひとつとなっている。成田空港は朝鮮有事において米軍の出撃・兵站を支える中心基地となる。暫定滑走路の北側延伸を含む「2500b化」攻撃は、反対同盟と反対闘争を破壊するための攻撃である。東峰神社裁判闘争のカンパ闘争に全力で取り組もう。10・12全国闘争への大結集をかちとろう。関西新空港反対闘争の発展をかちとろう。北富士忍草母の会の渡辺喜美江会長の遺志を引き継ぎ、入会権闘争勝利・北富士演習場撤去の闘いを進めよう。

 第5章 労働組合運動決戦を実践し11月労働者総決起へ(方針2)

 (1)3組合共闘に学び、防衛・発展させ、職場・地域で団結つくれ

 革命的激動期に対応した革共同の<新たな指導方針>は、直ちに労働者階級の大地に深く広く貫徹され、強力に実践されなければならない。当面、一切の実践を11月労働者集会の大結集へと収斂(しゅうれん)させ、そこに上りつめていかなければならない。
 第一に、有事法制下の現在の階級攻防は、国家権力との一大激突が不可避となることをしっかり確認したい。国労臨大闘争弾圧から始まり、港合同、部落解放同盟全国連合会寝屋川支部、全金本山闘争などへの治安弾圧との攻防が、労働運動をめぐる一大階級決戦になっている。この治安弾圧攻防は、有事体制下の労働組合絶滅攻撃との対決であり、国労臨大闘争弾圧での暴処法、司法改革―共謀罪新設攻撃などとの全面的対決である。
 第二に、有事法制の攻撃と職場生産点で対決し、11月労働者集会を何よりもイラク派兵阻止の一大反戦闘争としてかちとろう。有事法制との闘いは、労働組合の団結をもって、職場における戦争協力・戦争動員に抵抗し反乱を組織する闘いへと転換しつつある。20労組は「有事立法を完成させない、発動させない、従わない」を掲げて、戦争協力を拒否する戦闘宣言を発した。動労千葉は、6・28定期委員会で、「労働者の団結した闘いこそ戦争を止める力だ」と「戦争協力拒否宣言」を決議し公表した。
 また、イラクへの自衛隊派兵に対して、職場から派兵阻止の闘いと団結をかちとり、11月労働者集会への大結集を実現することである。この中で、反戦共同行動委員会を、反戦闘争を担う労働者人民の最も強固な大衆的団結体として、今こそ新たに育て発展させよう。
 第三に、11月労働者集会は、労働運動・労働組合運動での24時間・365日の地をはうような実践・実行によってかちとらなければならない。11月労働者集会はスケジュール闘争ではない。まさに職場での闘いと組織化を日常不断にひたむきに貫くことをとおして、その全成果を11月労働者集会へと集約し、結実させなければならない。
 資本は、労働者を搾取し続けなければ生きていくことはできない。同時に労働者は、資本に対して闘い続け団結し続けなければ生きていくことはできない。このマルクス主義の論理を実践することなのである。だからこそ、労働組合運動にとって重要なのは、路線を貫き、原則を守り抜くことである。動労千葉こそ、このような労働運動を実践しているのだ。
 全国労組交流センター運動を、動労千葉に続く労働運動の実践をとおして発展させよう。
 第四に、11月労働者集会の成功をかちとり、関西生コン、港合同、動労千葉の3組合共闘を新潮流運動として絶対に死守し発展させなければならない。3組合共闘こそは、階級的労働運動の防衛と創造にとっての生命線であり、プロレタリア自己解放闘争のかけがえのない礎である。革共同は、血と汗を流し、ともにこの3組合共闘を発展させることができなければ、プロレタリア解放運動とは無縁な存在として歴史のもくずとなるほかない。3組合共闘を防衛・発展させることとは、革共同が3組合から学び、自ら労働運動を職場・地域などで徹底的に実践することなのだ。

 (2)帝国主義の攻撃と不屈に闘う国際労働運動の高揚と連帯を

 国際労働運動の新たな高揚が始まり、11月労働者集会を前にそれが国際的連帯闘争として広がっていることは、階級的労働運動の防衛と創造にとって決定的に重要な情勢である。労働者階級はインターナショナルな存在であり、絶対に不屈なのだ。労働者階級は、世界的に同一の軍勢であり、仮に自国の闘いが困難をきわめても、他国の闘いとの連帯とプロレタリア的血盟によって、闘いをよみがえらせることができるのである。

 動労千葉のアメリカ訪問の画期的な地平

 7月9〜15日、アメリカの西海岸で闘うILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10などから、レイバーフェスタに来てほしいとの要請で、動労千葉の代表がサンフランシスコを訪問した。
 ILWUローカル10は、昨秋、経営側のロックアウトによるタフト・ハートレー法(スト禁止法)の発動と粘り強く闘い抜いた全米で最強の労働組合である。アメリカ労働者階級は、イラク侵略戦争に対して、この西海岸港湾労働者を先頭に不屈の戦闘的な闘いを展開している。
 現在、アメリカでは、ペンタゴン(国防総省)やホワイトハウスの民営化が狙われている。さらに9・11直後に制定された愛国法(パトリオット法)に続き、テロ集団に近いと認定されたら構成員(労働組合であれば組合員)の財産、年金などすべてを没収するというパトリオットU法が上程されようとしている。
 アメリカの労働者は、こうした攻撃と懸命に闘う中から、日本において国鉄分割・民営化に対してストライキで闘い、3・20イラク開戦直後に90時間ストライキを打ち抜いた動労千葉に白羽の矢を立て、国際連帯を呼びかけたのである。
 この訪米は、動労千葉の歴史においても金字塔となった。7月14日のサンフランシスコ労働者評議会では、@動労千葉の支援、A1047名闘争の支援、B国労臨大闘争弾圧粉砕闘争への支援――を決議することが決定された。

 ストが激発する欧州

 ヨーロッパにおいては、フランスで02年秋に民営化阻止闘争が爆発した。電力、ガス、国鉄、エールフランスの労働者が10万人デモ、ストライキに立ち上がった。03年4〜6月には、年金改革に反対する公務員労働者の連日のストライキ、デモが爆発している。
 イギリスにおいては、02年に鉄道ストが激発した。サッチャー時代に強行されたイギリスの国鉄民営化は、極端な効率化と安全投資削減で、大事故が続発し、民営化粉砕・再国有化の要求が高まっている。国鉄民営化は完全に破産したのだ。さらに社会保障解体(医療民営化と年金改悪)との闘いも、鉄鋼、電機など製造業労働組合(アミカスなど)を中心に巻き起こっている。

 韓国の戦闘的な闘い

 国際労働運動の最先端で、戦闘的かつ原則的に、また縦横無尽の柔軟性をもって闘っているのが、南朝鮮・韓国の労働組合であり労働者階級である。
 昨年2月、金大中政権による公営企業の民営化・海外売却攻撃に対決して、全国鉄道労組は、発電労組、ガス労組とともにゼネストに突入した。鉄道労組は11月には韓国労総から民主労総への移行を決め、03年2月10日に傘下の公共連盟に加入した。この直後に、保線労働者7人が列車にひかれ死亡するという事件が起こり、さらに大邱地下鉄で200人の命が奪われる大惨事が起こった。
 これに対して鉄道労組は、「4・20ゼネスト」を打ち出した。この方針に、政府は1人乗務撤回、人員増員と解雇者45人の復職、損害賠償請求・仮差し押さえ取り下げ、既存民営化方針の撤回などの合意を受け入れざるをえなくなった。
 ところが盧武鉉政権は、4・20合意をほごにして、6月27日には鉄道改革関連法案を上程した。鉄道労組は28日に1万人規模のストライキに突入した。盧武鉉政権は警察部隊による圧殺にのりだしたが、旅客7割、貨物9割がストップする大ストとなった。だが30日には、関連法案は強行可決された。鉄道労組は7月1日、いったんストライキを中止したが、「夏闘」を不屈に闘っている。
 また民主労総を始めとする韓国の労働者は、イラク攻撃反対、韓国軍の参戦反対の反戦・平和闘争を、南北分断下の闘いとして初めて闘い、国際的な労働組合の連帯を訴えている。
 新たな国際的連帯の闘いを、11月労働者集会の成功へと発展させよう。

 (3)4大産別の決戦に決起を

 6月全逓大会において、連合全逓中央は、日帝・小泉、奥田の先兵となり、4・1公社化攻撃―奥田ビジョンの新たな労働者支配、全逓解体攻撃に屈服し、生田(総裁)アクションプラン(人員削減1万7千人)、「人事制度改革」、奥田トヨタの労働者殺しの労務管理導入(極限的な深夜勤)などをすべて受け入れようとした。だが大会では、現場の根底的怒りが爆発し、連合全逓打倒への火柱が打ち立てられた。12・1〜2臨時大会では、名称変更と称して、全逓の自己解体に突き進もうとしている。
 小泉は、郵政民営化を07年に貫徹することを国家戦略に掲げた。攻防はまさにこれからである。誇りある全逓労働者は、全労働者の命運をかけ、現場の闘争力を死守し、政界・財界のチャンピオン、小泉―奥田との全面対決を貫こう。
 8月日教組大会は、教育基本法改悪による日教組運動の解体と戦争推進勢力化=教育報国会への変質を許すのか、階級的再生を実現するのかをかけた決戦だ。教基法改悪を始め教育および教育労働者(運動)への未曽有の攻撃に対する必死の抵抗は、全労働者との連帯を必ず生みだし、団結と戦闘力の復権は不可避なのだ。日教組本部は、パートナー路線のもとで、教基法改悪を容認しようとしている。屈服と裏切りを深める日教組本部を打倒し、日教組の階級的再生をかちとれ。教育労働者は、全労働者との連帯を求め、その先頭で階級的団結を打ち固め、今こそ反戦闘争に総決起しよう。
 8月自治労大会は、新綱領の「自治労21世紀宣言」を採択しようとしている。自治労は、有事体制下において、連合「政治方針」にすり寄り、産業報国会へと決定的に変質しようとしている。階級性の最後の一片すらかなぐり捨て、「労使の協働で有効な政府を確立する」「東アジア地域の安全保障システムを構築する」と、翼賛化と自治体の戦争動員に率先協力しようとしている。さらに公務員制度改革攻撃、三位一体・行政改革、市町村合併などの自治体再編による大リストラ―国家大改造に怒りのかけらもなく、自治労100万の解体を引き寄せているのだ。だが自治体労働者へのこれらの攻撃は、破綻的・矛盾的な攻撃である。自治労では、連合体という実体から、反乱噴出の芽は無数に存在する。自治体労働者は今こそ団結し、戦争協力を拒否しよう。
 民間産別の電機連合大会では、「裁量労働制の拡大」を、労働組合の側から提案するという驚くべき反動方針を打ち出し、新たな産業報国会化を、連合の先頭で突っ走っている。
 NTT労組大会では、なんと「企業年金給付引き下げ」を提案している。
 これらの動向は、10・1〜2連合大会で、連合の帝国主義的労働運動への純化が極点に達することを示している。それは連合の崩壊と同義である。
 11月労働者集会へ実践的組織化のための四つの柱を提起する。
 第一に、動労千葉労働運動の推進とそれをとおした国際連帯闘争を推進しなければならない。動労千葉のように闘おう、と全産別に訴えなければならない。動労千葉労働運動とは、最も原則的な労働運動である。これが国際連帯の闘いを生み出した最深の根拠である。動労千葉労働運動に学び、職場、組合で学習会・フラクションを組織し、丸ごとの総決起をかちとろう。この闘いは、同時に労働組合権力の獲得に挑戦する闘いである。
 第二に、すべての産別において激突情勢に突入している中で、4大産別を始め全産別に「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」を組織することを、11月労働者集会の実践的推進の柱としなければならない。職場、組合・支部・分会決定をかちとることに挑戦し、保釈署名と「許さない会」を組織化することである。
 第三に、百万人民の反戦決起を労働組合運動の広範な取り組みとして発展させ、連合、全労連傘下へ深く広めることである。
 第四に、最大の組織化の環はマル青労同建設である。11月労働者集会へ、青年労働者を大結集させよう。

 (4)東大阪市議選絶対勝利を

 部落解放同盟全国連合会荒本支部は、瀬川博全国連委員長の後継者として、阪口克己荒本支部書記長を擁立して東大阪市議選に初挑戦する。革共同は関西地方委員会を先頭に、阪口氏の必勝に向けて総力を挙げて決起する。今次市議選は、<反戦と介護・福祉>を軸とする革命的大衆行動を、住民の自主的行動としてかちとる闘いとなる。何よりも、全国連の総本山としての荒本支部を防衛・強化し、部落解放運動の拠点として、全国連5万人建設の司令塔として、プロレタリア革命の砦(とりで)として打ち固める闘いである。絶対勝利へ前進しよう。
 革共同の新たな指導方針は、学生戦線の圧倒的強化を不可欠の要素とするものである。学生戦線の圧倒的飛躍をかちとろう。イラク・北朝鮮侵略戦争阻止闘争を学生戦線を先頭に爆発させることである。東北大学有朋寮決戦を全国的闘いとして勝利しよう。今こそマルクス主義学生同盟の強大な建設をかちとろう。高校生戦線で新たな挑戦をかちとろう。
 労働者階級は、有事法制下での排外主義と差別・抑圧の攻撃との闘いを強めなければならない。入管闘争、部落解放闘争、在本土沖縄出身者の闘い、「障害者」解放闘争、被爆者解放闘争、女性解放闘争の前進をかちとろう。

 (5)獄中の仲間を奪還しよう

 戦争と革命の時代は、死刑、無期(終身刑)という形で、革命党・革命家に対する絶滅攻撃が局限化する。この試練に打ち勝たずに勝利した革命は、どこにも存在しない。これらの治安弾圧攻撃を打ち破るには、本質的には、革命党が労働者階級と徹底的に結びつく以外にない。
 獄中で不屈に闘う同志とその家族を防衛し、獄中同志を奪還する闘いに総決起しよう。昨年12・27の爆取弾圧の3同志の奪還に続き、福嶋昌男同志をなんとしても取り戻そう。全国の刑務所に下獄して闘っている同志たちと固く連帯し、防衛しよう。
 権力がいまだに隠し持つ全証拠を開示させ、富山再審闘争に勝利しよう。水嶋同志を奪還し、無罪判決をかちとろう。
 特に、星野文昭同志に対する無期懲役の攻撃を粉砕し、彼を奪還することは、党と階級の歴史的使命である。「星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議」は今年11月、星野同志が収監されている徳島の地で全国集会を開催する。われわれは、この呼びかけにこたえ、徳島集会を成功させるために全力で闘い抜く。
 国労臨大闘争弾圧の8人の保釈をかちとり、裁判闘争に勝利しよう。寝屋川弾圧の仲間を早期に奪還しよう。

 第6章 中央指導部の細胞活動先頭に日本革命勝利の党建設を

(一)革共同は、今日の激動的階級情勢に対応する党のあり方を確立するために、「細胞性ある党活動」ということを提起してきた。これは、内に向かっては共産主義者の政治的・組織的結集体としての内実を獲得するための闘いであり、外に向かっては一個の戦闘的革命組織として統一的行動を個人的=組織的に実現していくことである。これは、別な言い方をすれば、党の方針の組織的形成―その断固たる貫徹(組織的貫徹)―その総括を踏まえた新しい諸条件下での新たな方針の組織的形成―その組織的貫徹という生命的躍動感あるあり方をつくりだしていくことである。この細胞建設論を、今年前半の3大決戦の総括を踏まえ、新たな指導方針のもとで、非公然指導部と公然指導部が一体となり、中央指導部の変革を先頭に実現しなければならない。
(二)新たな指導方針はマルクス主義の実践である。マルクス主義の労働者自己解放性こそ、労働者細胞建設の基礎に絶えず据えなければならない。『国家と革命』を始め「マルクス主義基本文献学習シリーズ」の組織的学習を推進しよう。
(三)新たな指導方針の核心的課題は、機関紙活動の変革である。機関紙の持つ共産主義者の新聞という面と労働者階級の新聞という面は本来的に一体である。党派性は同時に大衆性であり、労働者自己解放性の発露でなければならない。機関紙を全党の力でつくり、拡大しよう。
(四)財政闘争こそ党建設の生命である。財政思想こそが、真のボルシェビキ党建設の環である。地区党建設はこの財政闘争の苦闘の中でかちとられる。
(五)マル青労同再建に革共同の未来がかかっている。マル青労同再建は、全党・全人民の壮大な事業である。労働運動の実践とマルクス主義の学習の二つの方針を戦取しよう。
(六)「革命的情勢の移行期への突入」のもとでの党建設の死活性をきっぱり確認したい。われわれが、プロレタリア革命への執念と、その現実性への確信をもって前進するならば、必ず勝利できるのだ。その執念と確信は、革共同を「社・共に代わる労働者党」として建設する事業へと集中されなければならない。
 革共同に結集して、プロレタリア世界革命に勝利する党を建設しよう。

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週刊『前進』(2113号8面1)

新刊紹介 コミューン 9月号 イラク占領泥沼へ

 第1章は、米帝のイラク占領の破産の実態を明らかにした。ブルジョア報道機関が報道しない米軍の占領支配の非人間的現実と石油支配、再占領化の実態について、生の現地情報を詳細に掲載している諸組織のインターネット情報を収集、整理して掲載した。
 さらに、イラク人民の民族解放闘争が米占領軍をベトナム型の泥沼に引き込み、占領支配を破綻(はたん)させている現実を生々しく暴露した。そして、日帝のイラク派兵阻止闘争への決起を訴えている。
 第2章は、米帝の新たな中東戦略、「ロードマップ」と「中東自由貿易圏」構想の反革命的本質を暴露した。それらの目的がパレスチナ解放闘争解体にあることを明らかにするものこそ、イスラエルが建設している「アパルトヘイトの壁」だ。この問題について徹底的に明らかにした。
 翻訳資料は、米帝の現在の世界政策の立案を主導してきたネオコンの基本的政策を明らかにする「徹底断絶−国土保全の戦略」と、イギリス労働運動の現状を理解するための好資料として「英労組、2委員長に聞く」を掲載した。
 今号より、「ニューズ&レビュー」を「国際労働運動」に改め、世界の労働運動をどんどん紹介していきます。日誌欄も「政治・社会」欄を「政治・軍事月報」と改めました。また、「経済」「国際」欄を「労働月報」と改め、資本攻勢と労働運動の動きを詳しく伝えることにしました。

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週刊『前進』(2113号9面1)

紹介 共産主義者 137号
 階級的労働運動再生へ
 ●国際労働運動の展望と課題 巻頭論文
 ●JR総連の組織分裂に追撃 矢剣論文

 本号を、03年前半の階級闘争を総括し、本格的に労働運動の階級的再生を実現するための絶好の武器として送る。
 情勢の歴史的転換点にあたり、われわれには「階級的労働運動の防衛と発展」にすべてをかけて力強く前進し、労働者に深く広く根を張った党として飛躍することが問われている。巻頭の川武信夫論文は、この立場から国際労働運動と日本労働運動の展望と課題を核心的に展開したスケールの大きな重要論文である。
 まず冒頭で、動労千葉に共感・連帯した米韓二つの戦闘的労組のメッセージをとおして、今日の国際労働運動が到達した地平が確認されている。それは、国鉄闘争の国際的意義を示し、労働者階級の団結した革命的力を力強く伝えている。
 そのことが、前半(第一部)の展開をとおして鮮明になる。昨秋―今春にかけて全世界で空前の高揚を見せたイラク反戦闘争は、労働組合が中心に座った労働者階級の決起としてあったこと、それが同時に資本攻勢との対決、被抑圧民族人民との連帯として闘われたことが、ダイナミックに描き出されている。
 続いて、80―90年代の資本攻勢との闘いが歴史的に総括される。これらから、イラク反戦を機に巻き起こった国際的な労働運動が、レーガン・サッチャー・中曽根以来の資本攻勢に対する労働者階級の歴史的反撃であることが浮き彫りにされている。ここが本論文の核心の一つである。米帝ブッシュの世界戦争戦略に抗して始まったこの全世界的な労働運動のうねりが、国際帝国主義を打倒する革命的内乱に成長・転化できるのか否かが課題となっているのである。
 後半(第二部)では、国際連帯闘争の問題意識を踏まえて、日本労働運動の階級的再生の課題を追究している。そのために、国鉄分割・民営化と総評解体攻撃以降の日帝の大攻撃に真っ向から対決してきた動労千葉の闘いの歴史的意義を全面的に学びとることの重要性を強く訴えている。組合員を主体に据え、団結を一切の基礎に階級的利害を防衛する「あたりまえの労働運動」。そこに貫かれる民同やスターリン主義とはまったく違う労働者自己解放の思想を、紹介されている生きた闘いの言葉からしっかりとわがものとしたい。
 そして、日本階級闘争の今日的攻防が国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の成否に絞り上げられ、それが革命党と労働者階級の命運を握る一大決戦であることを訴えている。労働運動の階級的再生をかちとるために、本論文から全面的に学ぼう。
 米日帝の北朝鮮侵略戦争切迫情勢を根底的に規定するものは米日韓労働者階級の連帯した闘いだ。この観点から、巻頭論文とセットの企画として2本、米韓2大拠点の闘いを紹介した。

 国際連帯の闘い

 浜田茂夫論文は、米帝ブッシュの世界戦争政策と真っ向から対決する港湾労働者と電機労働者の姿を描き出す。タフト・ハートレー法やパトリオット法による戦時治安弾圧と激烈な攻防を繰り広げながら、反戦闘争と資本攻勢に対する闘いを貫いている姿が伝わってくる。先日動労千葉が訪米し、交流したILWUの闘いから大いに学びたい。
 室田順子論文は、民主労総傘下の三つの闘いを追っている。とりわけ、非正規職の貨物運送労働者たちが°物流大乱″を起こし、労働組合として団結し見事な勝利をかちとった闘いは感動的であり、示唆に富む。プロレタリア自己解放と民族解放を希求して闘い抜く南朝鮮労働者の闘いに学び、連帯しよう。
 反核論文は、新進の執筆者である渕耕太同志の手による力作。米帝の核戦争計画発動と日帝の有事立法制定下で闘われる今夏8・6ヒロシマ―8・9ナガサキ反戦反核闘争へ向けた必読のアピールである。
 「障害者」解放論文は、有事立法制定下で激化する「障害者」差別政策との決戦性を明らかにし、「共生社会」イデオロギーの反動性を全面批判した好論文。

 治安弾圧と対決

 村上進一論文は、吹き荒れる戦時型治安弾圧の根底にある刑事司法改悪の恐るべき本質を平明に暴き出している。共謀罪新設と並ぶ司法改革攻撃と対決する最良の武器である。
 切れ味鋭い党派闘争論文として、矢剣智同志による「JR総連・松崎支配の崩壊」。黒田中央派との分裂に続く松崎派と嶋田派のJR総連組織分裂が、松崎「ニアリー・イコール論」破産の必然的帰結であることをえぐり出し、返す刀でファシスト的延命のために松崎が新たに持ち出した「反グローバリズム労働運動」論を批判し尽くしている。そして、JR総連の破産と分裂の最深の根拠が、動労千葉と闘争団を始めとする不屈の闘いにあることを高らかに宣言している。
 今号を武器に階級的労働運動再生の全面的決戦へ。

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週刊『前進』(2113号10面1)

レーニン『国家と革命』復権の歴史的地平
 労働者はブルジョア国家を完全に粉砕せねばならない
 仲山 良介

 7月に出版されたばかりのマルクス主義基本文献学習シリーズ7『レーニン「国家と革命」』(藤沢明彦・田中弘次共著)は、私たち革命的共産主義者同盟のマルクス主義復権の事業の中でもとりわけ重要な意味を持つ決定的な成果です。本稿では、90年代前半から革共同が展開してきたマルクス主義基本文献学習シリーズの全体を振り返りながら、今回のレーニン『国家と革命』の復権がどのくらい重要な決定的な成果なのかを考えてみます。

 原点からマルクス主義が復権された

 マルクス主義復権のための原典解説シリーズは、現在まで次のような順序で発刊されてきました。
 1、『マルクス「ゴータ綱領批判」』仲山良介著(94年6月)
 2、『マルクス「賃労働と資本」』仲山良介著(95年7月)
 3、『マルクス・エンゲルス「共産党宣言」』川武信夫著(96年12月)
 4、『レーニン「帝国主義論」』島崎光晴著(98年6月)
 5、『マルクス「賃金・価格・利潤」』仲山良介著(99年3月)
 6、『マルクス・エンゲルス「ドイツ・イデオロギー」』森尾誠著(02年6月)
 7、『レーニン「国家と革命」』(03年7月)
 途中、『共産党宣言』や『ドイツ・イデオロギー』については、新訳にも挑戦しました。とりわけ『ドイツ・イデオロギー』は、それ自体が「大事業」でした。『ゴータ綱領批判』や『賃金・価格・利潤』の場合も、また『帝国主義論』の場合も、それがどんな事情のもとで具体的に何を問題にして書かれたのかを可能な限りの資料にあたりながら、徹底的につかみ取ろうとしました。われわれは、そうしたやり方が、現在の実践的立場から、マルクスやエンゲルス、そしてレーニンの理論的実践的な問題意識を完全につかみ取り、今日的に復権することにつながると確信して、この作業を進めました。それは、予想以上に、あるいは予想どおりの困難な作業でした。
 というのは、ソ連スターリン主義の歴史的破産と崩壊の中で、ある意味ではどんな前提をもおかずに、われわれがおかれているこの現実に立ち向かう立場から、マルクスやレーニンと主体的に向き合うことが要求されたからです。すなわち「マルクス主義崩壊の大合唱に対決して、マルクス・エンゲルスおよびレーニンとあらためて主体的に向き合うことなしには遂行できない課題」(「シリーズ刊行にあたって」)への挑戦として、この事業は遂行されてきたのです。
 したがって、それは同時に、現代に生きるわれわれ、現代の労働者階級の中にスターリン主義の破産をのりこえてこの社会・この世界を根底的に覆す力があること、それは歴史的必然であることの全面的なとらえ直しの作業でもありました。
 その意味で、この作業は、「労働者の中へ」と一言で表現される、革共同の91年5月テーゼ以来の闘いの一環であり、それは、死活的な党的組織的実践(革共同の生み直しの闘い)と結合して進んできました。そして、この理論的思想的な深化の闘いが新たな実践的な前進のバネをつくり出し、革共同第6回大会の地平を準備する役割をも果たしました。

 カクマル黒田との闘いに革命的決着

 革共同第6回大会の理論的な柱は何であったか。
 一つは、マルクス主義の原点と革共同の歴史的原点を根源的に再把握し、カクマル黒田との分裂、カクマルとの長期にわたる「内戦」の歴史を完全に総括したことにあります。

 革共同6回大会の理論的柱

 シリーズ6の『ドイツ・イデオロギー』解説の作業は、黒田哲学全面批判と一体の形で進められ、第6回大会の理論的思想的な柱を打ち立てる上で大きな支えとなりました。そして、第6回大会の地平の上に『ドイツ・イデオロギー』解説の作業が成し遂げられたのです。
 マルクスとエンゲルスが「共産主義者=実践的唯物論者」として完全に労働者階級の立場に立ち、ヘーゲル左派の哲学者的空論(観念論)を批判して階級的革命的実践に入っていった原点=現場が、『ドイツ・イデオロギー』には凝縮的に表現されています。
 この原点に立ちきった時、マルクス主義の復権が本当に可能となる。その時、現代に生きる青年労働者や学生が、帝国主義のイデオロギー(現実の支配・抑圧・搾取)と闘って自己が何者であるかを階級的に自覚し、帝国主義打倒の主体として立ち上がっていく道を本当に切り開くことができる。それによって『共産党宣言』の世界観、共産主義論=プロレタリア革命論がその原点的形成の根源からつかみ直され、より力強く今日的に復権されていく。マルクス主義=労働者階級自己解放論という基本点が鮮明となる。――このシリーズ全体が根本においてめざしたのはこのようなことでした。
 なお、『賃労働と資本』および『賃金・価格・利潤』は、この資本主義社会の矛盾を資本による労働の搾取(賃金労働の階級的本質)という根本において解き明かし、労働者階級とは何者であり、何をなすべき存在であるのか、労働者の資本との闘争はどんな歴史的意味をもつ闘争なのかを具体的に解明しています。
 それは、必要な具体例の修正を加えれば完全に今日の現実にも当てはまる。特に『賃金・価格・利潤』は、賃金闘争と労働組合論の「原論」(階級的労働運動の原理論)として、今こそ読み返されなければならないものです。
 JR総連・松崎は、「労働組合は資本主義をトコトン守る」「毒を食らわば皿まで」と言ってカクマル黒田からも決別・逃亡していったのですが、その時、松崎は、マルクスの『賃金・価格・利潤』を公然と罵倒(ばとう)して、資本家と労働者の階級的非和解的関係を理論の上でも否定しました(松崎におけるマルクス主義の最終的否定)。
 ところが、肝心の黒田の賃金論は、労働力商品論においても剰余価値論においてもマルクスとは完全に違ったものです。というより、そもそも理論の体をなしていない。これは、黒田がどこでマルクス主義者になったのかすらもはっきりしないインチキな人格(エセ哲学者)であることと一体の深刻な問題です(シリーズ2「マルクス『賃労働と資本』」解説参照)。
 われわれはこのシリーズをとおして、マルクス主義の原点からの復権に挑戦したのですが、それは同時に、カクマルを完全に地獄に蹴落とし、革共同の前進と労働者階級の現実的勝利の道を切り開く上での勝利の確定でもあったのです。

 現代世界論と『帝国主義論』

 第6回大会のもう一つの理論的な柱は、21世紀冒頭の現在の情勢(主客の情勢)がレーニンの直面した課題をあらためて螺旋(らせん)的にわれわれに突きつけていると全面的に提起したことにあります。この提起は、当然ですが、シリーズ6におけるレーニン『帝国主義論』の全面的再把握の作業を媒介にしてなされました。
 われわれは、宇野理論の「批判的摂取」の意味を明確にしつつ、『資本論』と『帝国主義論』の関係をあらためて明確にし、ソ連崩壊後の現代世界の危機と矛盾を帝国主義(スターリン主義の裏切りに媒介されて延命した現代帝国主義)の歴史的危機として全面的につかみ、この危機がむき出しの帝国主義戦争の形をとって爆発することをはっきりと提起しました。第6回大会におけるわれわれの現代世界論は、このようなしっかりとした理論的根拠の上に再確立されたのです。つまり、われわれは、レーニンをマルクス主義の原点からあらためてつかみきることに成功したのです。

 労働者自己権力を樹立し共産主義へ

 レーニン『国家と革命』の解説は、このような第6回大会におけるレーニン主義の今日的復権の地平の上に、それを国家論=革命論の領域でやり遂げるものとして取り組まれました。
 「帝国主義戦争を内乱へ」「帝国主義の侵略戦争を内乱へ」は、まさに帝国主義国家権力の打倒=プロレタリア革命として貫徹されなければならない。それこそが今現在のわれわれの課題なのだ。このような観点を貫くことによって『国家と革命』の読み直しは初めて可能となりました。
 ソ連崩壊後十年余りで、生きた情勢と完全にかみ合う形でレーニン『国家と革命』の全面的復権ができたこと、ここにマルクス主義基本文献学習シリーズの到達地平が示されていると言えます。とりわけ、シリーズ6の『ドイツ・イデオロギー』解説が『国家と革命』解説に直結していることが重要です。これは、マルクスの原点からレーニンを全面的に復権することができたことを意味します。

 日和見主義的歪曲との対決

 『国家と革命』は、1917年ロシア革命の直前に書かれました。レーニンは、2月革命でツァーリの権力が崩壊した後の情勢を見据え、4月テーゼにおいて、世界革命の一環としてロシア・プロレタリア革命を実現する戦略を打ち出しました。つまり、ブルジョアジーの国家権力を打倒し、労働者階級が直接に自己の権力(プロレタリアートの独裁)を樹立する以外にないし、それは完全に可能だと提起したのです。その中にこそ、帝国主義戦争から(人類が)抜け出す道があり、資本主義を根底的に変革して共産主義に進んでいく現実の道があると提起したのです。
 レーニンは、それを第2インターナショナルによるマルクス主義の日和見主義的歪曲との全面的対決としてやりぬきました。カウツキーを中心とする当時のマルクス主義の「主流」は、ブルジョア国家=ブルジョア民主主義に完全にはいつくばっていました。
 この連中は、プロレタリア革命を形式的に擁護するような立場はとる。しかしそれは、「社会主義=生産手段の社会化」を認めるという限りでのことでしかない。労働者階級がブルジョア国家権力を打倒し自己の権力を打ち立て、そのもとで社会を改造し、階級の廃止と国家の廃止そのものに向かって進むことは否定しました。カウツキーは、議会制民主主義を人類永遠の制度であるかのように描き出し、プロレタリア革命とは労働者政党が議会の中で多数派になり、自分の政府をつくって国家機構を動かすことであるとしました。このような立場から、“労働者にとって国家は必要である。国家なしには社会は成り立たない。国家の廃止とか国家は死滅するという思想は無政府主義だ”と主張したのです。
 このような日和見主義的マルクス主義が、マルクスとエンゲルスの直系のカウツキーによって、マルクス主義そのものとして押し出されていた。これは、第2インターナショナル内部においてマルクス主義を全面的に否定したベルンシュタイン(いわゆる修正主義)に対して、マルクス主義を擁護する形でなされた実際上の全面屈服、あるいは実質的内容における完全な変質でした。
 このようにして、「プロレタリア革命の国家に対する関係」の問題は、公認のマルクス主義の中では、マルクスやエンゲルス自身の考え方とは完全に違ったものになっていたのですが、このことは、19世紀末からの合法マルクス主義の展開(第2インターナショナルの勢力拡大による「成功の幻惑」)によって覆い隠されていました。
 レーニンは、これを第1次世界大戦の渦中、マルクスとエンゲルスの原点から批判しました。帝国主義戦争反対を貫くためには、帝国主義国家=ブルジョア国家そのものとの全面的対決が必要なのだということをつきだしたのです。
 労働者階級は、思想的にも国家に対する幻想や国家崇拝的なものと徹底的に対決しなければならない。国家は、階級対立の非和解性の産物であり、階級支配の機関である。したがって、労働者階級は、ブルジョア国家を粉々に打ち砕かない限り、階級的搾取や階級的抑圧から自己を解放することはできない。レーニンは、この真理をはっきりとつきだしました。
 日和見主義は結局、帝国主義戦争が開始された情勢下では社会排外主義へと転化していく。国益のための戦争は必要だという論理によって、労働者階級を帝国主義戦争に動員し、協力させようとする。他民族の抑圧、労働者階級人民同士の殺し合いをあおる先兵となっていく。
 今現在、連合や民主党、日本共産党や社民党が日帝の有事立法やイラク派兵、北朝鮮侵略戦争策動に対してとっている態度は、これと完全に同じです。これらを打ち破る大党派闘争――レーニンが成し遂げたような――に勝利することが今われわれに問われているのです。

 背教者日本共産党の「最後のあがき」

 日本共産党は、歴史的に破産したスターリン主義者として、延命のための反革命的あがきを繰り広げています。日共の場合は今まさに、自分たちを「科学的社会主義者」と規定しながら、労働者階級を帝国主義国家の利益に合体させるために全力をあげています。その意味では、レーニンのいう社会排外主義の最も意識的な今日的存在形態であるといえます。
 日本共産党が今突き進んでいる道は、「日本帝国主義の最後の番兵」として労働者階級の闘いに反革命的襲撃をしかける道です。その意味で、歴史的に破産し崩壊しつつある存在であるとはいえ、日本共産党のスターリン主義としての反革命的徹底性、反革命的暴力性をあいまいにすることはできません。
 日本共産党は、6月の7中総で、11月末の党大会に向けて綱領の全面的改定案を打ち出しました。それは、不破(議長)が準備し推し進めてきたマルクス主義からの背教の総仕上げというべきものです。
 それは、実践的には、帝国主義国家の危機救済のための連合政権に加えてもらうことを追求したものです。今度の新綱領案では、自ら帝国主義の国益の守護者となること、つまり帝国主義戦争の手先となることを全面的に宣言しています。帝国主義の全面肯定・資本主義の永遠化を理論付けようとしており、どんな意味でも革命を主張しない宣誓を行っています。レーニン的な帝国主義概念を根底から解体し、帝国主義は政策的にそうであったりなかったりするものだという基本的考え方を打ち出しているのです。
 さらに、資本家と労働者の階級的敵対関係の存在を否定し、労働者階級が資本主義と階級社会の墓掘り人であることそのものを否定している。どこからどう読んでも、「よりよい資本主義=ルールのある資本主義」論であり、資本主義の永遠の存続万歳論でしかない。だからこそ、「資本主義の枠内での民主的改革」こそがすべてとしているのです。

 『国革』解体に熱中する不破

 今、日本共産党のことに行数を費やしたのは、彼ら、特に不破の長い間の反革命的努力(67年以来と言っている!)の中心がレーニンの『国家と革命』の否定にあったことを明らかにしたいためです。
 レーニンは『国家と革命』の中で、マルクス自身による「『共産党宣言』の唯一の修正」に触れて、また『フランスにおける内乱』(パリ・コミューンの総括)をとおして、労働者階級は出来合いの国家機構を手に入れてそれを自分のために役立てることはできないこと、革命に立ち上がった労働者階級はブルジョア国家機構そのものを粉々に破壊し、それをプロレタリアートの独裁の具体的形態であるコミューン型国家に置き換えていくということを確認しました。
 ブルジョア国家の粉砕は、民主的共和制=議会制民主主義の国家である場合も変わりない。議会制民主主義はブルジョアジーの独裁のための最も都合のいい統治形態であるにすぎないからです。エンゲルスやマルクスは、ブルジョア議会を超歴史的な形態として美化したことなど一度もないのです。
 ところが不破は、これをレーニン独自の間違った理論であり、マルクスやエンゲルスとは対立するものとして描き出したいのです。不破は、主要にエンゲルスの断片を手がかりにして、エンゲルスが晩年において議会制民主主義をつうじた社会主義への合法的移行を路線化したと主張しています。このような勝手な断定に基づいて、「民主主義革命」(要するにブルジョア連立政権への加入のことでしかない)の段階から社会主義への移行のすべての段階において、国会をとおして表明される「国民の合意の形成が前提である」などとのたまっている(新綱領案の第5章)。
 しかし、エンゲルスの晩年の闘争はどこにポイントがあったのか。レーニン『国家と革命』の第4章は主要にこの問題にあてられています。
 レーニンが核心点をえぐり出しているように、エンゲルスは、ドイツ社民党の幹部たちの合法主義・日和見主義と執拗(しつよう)な闘争を繰り広げました。エンゲルスは、議会制民主主義の延長に社会主義が訪れるかのような主張の欺瞞(ぎまん)性を暴き、「パリ・コミューンを見よ。あれがプロレタリアートの独裁だ」と言って、ドイツ社民党の幹部たちを批判しました。
 エンゲルスは、「人民的代議機関にすべての権力を集中せよ」というスローガンをせめて掲げよと、ドイツの幹部たちに要求しました。この人民的代議機関とはブルジョア議会のことではない。それは、明らかにパリ・コミューン型の代議機関のことを意味するものです。エンゲルスの晩年の主張は、その点で首尾一貫しているのです。
 日本共産党議長の不破は最悪のペテン師だ。レーニンは、カウツキーを「マルクス主義の経文読み」と呼び、「背教者」と断罪しました。不破哲三はもっともっとたちが悪く、破廉恥です。
 日本共産党の足元からの反乱が巻き起こっています。今こそチャンスです。われわれは、不破と日共中央官僚どもの反動的な努力を完全に破産させるために闘わなければならない。

 第5章の読み方について

 なお、第5章の読み方について特に付け加えておきましょう。
 『国家と革命』第5章において、レーニンは、資本主義社会から共産主義社会への革命的過渡期の問題を可能な限り具体的に解明しようとしました。
 レーニンは、プロレタリア権力のもとでの過渡期の社会的経済的改造の任務を実践的に明らかにしようとしたのですが、完全に成功したとは言えません。そこには若干の理論的混乱もあります。だが基本的には、レーニンの追究は、パリ・コミューンの経験、マルクスの『フランスにおける内乱』や『ゴータ綱領批判』をふまえた、きわめて原則的な追究でした。大きな基本線は積極的なものとして生かされるべきものです。
 とりわけ、革命を実現した労働者階級(あるいは実現しようとする労働者階級)の立場からみた時、そのほとんどは積極的肯定的にとらえられるものです。
 われわれは、『国家と革命』第5章を『国家と革命』全体が何をどのように問題にしているのかという観点から積極的につかみ直す必要があるのです。従来の第5章に関する読み方は、そのような視点があまりに弱く、『国家と革命』に対するブルジョア的非難のしり馬に乗ったようなものになりがちでした。われわれは、この点においても、マルクスの原点から、あらためて、過渡期と共産主義社会の関連について全面的に整理しました。
 レーニンの革命的精神をしっかりと引き継ぐことが大事です。それをとおして実践的にレーニンが直面した課題を継承し、やり遂げ、のりこえていくことも可能となるのです。

 『ドイデ』の国家論にプロ独論の萌芽

 レーニンの『国家と革命』をめぐっては、カクマルや日本共産党からブルジョア・イデオローグまでの大統一戦線が形成されています。反革命カクマルは、もともと黒田の「レーニン国家と革命に対する疑問」を党是としてきた。レーニン『国家と革命』の復権はカクマルを完全に打倒し、組織的に解体する上でも決定的な意義をもちます。
 最後に言及しておきたいのは、『ドイツ・イデオロギー』の国家論との関係でレーニンを非難・弾劾する議論がずっとなされてきたということです。この議論は、特に日本の「マルクス主義理論戦線」の中ではいろいろな事情によって一知半解的に盛んに行われてきました。
 われわれは、先に述べたような『ドイツ・イデオロギー』の全面的読み直し作業をとおして、この問題にも革命的な決着をつけることができたと言えます。レーニン風に言えば、『ドイツ・イデオロギー』の国家論の中にこそ、マルクス的な「プロレタリアートの独裁」の思想の萌芽(ほうが)があるのです。
 国家は階級対立の非和解性の産物です。ブルジョア国家は階級支配の機関であって、階級を超越した共同利害のための機関ではない。労働者階級は、ブルジョア国家を完全に粉砕し、自己の権力(プロレタリアートの独裁)を樹立しなければならない。しかもそれは完全に可能です。
 なぜなら、どんなに軍事的威力のある武器を持つ「武装せる特殊な部隊」であっても、それが国家である以上は、労働者階級人民の大行動によって存立不可能の危機にたたき込むことができるからです。その時、武装した労働者階級は、国家権力を打倒し、自己の権力(プロレタリアートの階級的独裁権力)を打ち立てることができるのです。それをとおして労働者階級は、農民・被抑圧民族人民(レーニンのいわゆる勤労被搾取人民)との同盟・共同の関係を形成し、共産主義社会への過渡期における改造を推し進め、国家の完全な死滅に向かって進むことができるのです。
 国家に関する日和見主義は今こそ一掃されるべきです。レーニンの『国家と革命』を大胆に復権しよう。

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