ZENSHIN 2003/05/05(No2100
p10)
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第2100号(春季特別号第2部)
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(7〜10面)
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春季特別号第2部
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週刊『前進』(2100号1面1)
革共同のメーデーアピール
全世界の労働者階級と被抑圧民族の団結で 侵略と虐殺の帝国主義打倒を
軍事占領・再植民地化反対! イラク侵略戦争の継続を許さずシリア・北朝鮮への拡大阻止せよ
第74回メーデーにあたり、革命的共産主義者同盟は、すべての労働者のみなさんに熱烈な連帯のアピールを送る。侵略戦争と世界戦争に向かって突き進む帝国主義を、全世界の労働者階級と被抑圧民族人民の連帯闘争によって打倒することを心から訴える。日本の労働者階級は、この5月、有事立法阻止、労働法制改悪阻止の一大階級決戦の時を迎えている。戦後最大の政治闘争を爆発させよう。動労千葉の春闘ストライキに続き、階級的労働運動を復権し、日本帝国主義打倒へ総決起しよう。
第1章 全世界の反戦闘争と連帯し帝国主義侵略者を打倒せよ
アメリカ、イギリス帝国主義とそれを全面支持する日本帝国主義によってイラク侵略戦争が展開され、人民大虐殺の上にバグダッドとイラク全土が占領された。米帝ブッシュはさらにシリアや北朝鮮に侵略を拡大しようとしている。フセイン政権が倒され、戦争が終結し、後は戦後復興の問題であるかのように宣伝されている。
だが、この戦争は終わっていない。毎日、米英占領軍によってイラクの人民が虐殺され、イラク人民の民族的尊厳、人間的誇りが踏みにじられている。そして、イラクの人民は「占領反対! 米英軍は出ていけ!」と怒りを爆発させている。
そもそも、この戦争はいったい何なのか。世界の唯一の超大国と言われるアメリカ帝国主義が中心になって、圧倒的な国力差・軍事力差のあるイラクに対して、大量破壊兵器の問題を口実にして襲いかかった、一方的な侵略戦争、虐殺戦争である。
3・20開戦によって世界史は大転換した。帝国主義の侵略戦争、帝国主義間戦争か、それを全世界労働者と被抑圧民族の力で打倒するかの時代に入った。
「アメリカがイラクを解放する」などというのはとんでもない虚構である。米帝はイラクを軍事占領し、植民地支配し、石油を強奪し、中東全体を軍事的に制圧しようとしている。イラク人民はこの侵略者、虐殺者に対して猛然と闘っている。この戦争をとおして米帝に対する怒りは倍加されており、米帝は泥沼の戦争にのめり込んだ。闘うイラク人民、ムスリム人民と全世界労働者人民の団結した力で、帝国主義の侵略軍をイラク、中東からたたき出そう。
労働者の団結の日メーデー
メーデーは、労働者の団結の日、闘いの日である。今から117年前の1886年、全米の労働者が5月1日に「8時間労働制」を要求してストライキに立ち上がった。4日後の5月4日、スト参加者と武装警官隊が衝突したシカゴの「ヘイマーケット事件」で8人がフレームアップ(デッチあげ)で逮捕され、4人が絞首刑となった。
この事件を記憶にとどめようと、第2インターナショナルが5月1日を国際的な労働者の連帯の日とした。これがメーデーの起源だ。まさにメーデーは国家権力・資本家階級と血を流して闘い、かちとった闘いの日だ。
メーデーの誕生の際に、労働者国際主義、革命的階級闘争、労働者自己解放の思想が赤々と輝いていた。資本家階級・国家権力と労働者階級とは、非和解的対立関係にあること、労働者は階級的団結を強めることによってしか自らの解放をかちとることができないことが、そこにははっきりと刻印されている。
その後、第1次世界大戦に協力した第2インター、ロシア革命で切り開かれたプロレタリア世界革命を裏切ったスターリン主義によって、階級的労働運動は押しつぶされ、メーデーの歴史はゆがめられてきた。
だが今、世界戦争と大恐慌の時代に入り、メーデーの原点に立ち返り、荒々しい階級的労働運動を復権する時が到来した。
「労働者は祖国をもたない」(マルクス、エンゲルス『共産党宣言』)。国際主義的な存在である。今、「愛国心」や「国益」が政府や資本家からあおられているのは、資本主義が危機に陥っているからだ。一握りの資本家階級の利益が危うくなって、戦争に労働者を駆り立てようとしているからだ。侵略と大虐殺によってしか延命できない帝国主義、労働者に犠牲を押しつけることによってしかやっていけない帝国主義は、今や労働者の力で打倒されなければならない。労働者階級にこそその力がある。
労働者階級の国際的連帯と団結、帝国主義国における労働者階級の決起と被抑圧民族人民の決起が結合して、帝国主義と真っ向から対決し打倒し、プロレタリア世界革命を達成する時代がやってきた。長い間抑え込まれてきた怒りを爆発させる時が来た。
第2章 動労千葉4日間ストに続き労働組合の闘いの復権を
有事3法案粉砕国会闘争へ
小泉政権は米英のイラク侵略戦争に対して、「北朝鮮のことがあるから支持する」と言った。しかし、これはブッシュが「イラクの次は北朝鮮」と名指しして、イラクでやったと同じことを朝鮮半島でもやろうとしていることに、日本が全面的に協力し、参戦することを表明するものだ。
確かに北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の金正日政権の核開発政策や日本人拉致事件は、反人民的であり、許せない。だが、これを口実に米日帝国主義が、朝鮮人民虐殺の侵略戦争を仕掛けることは絶対に許されることではない。
この米帝の北朝鮮侵略戦争計画に、日本政府も共同し競合して参戦しようとしている。武力攻撃事態法など有事3法案は、北朝鮮・中国侵略戦争のための法律であり、労働者を戦争動員しようとするものである。
二度と戦争の加害者にも被害者にもならないと反対の闘いに立ち上がっている陸・海・空・港湾労組20団体の闘いに続こう。
また、報道・言論規制の個人情報保護法案、「愛国心」を押し出す教育基本法改悪を阻止しよう。戦争と反動、搾取と抑圧の日帝・小泉政権を打倒しよう。
今こそ労働者の大決起を
この1〜4月の国際労働者階級人民の経験はきわめて重大なものがある。
2月15日に、イラク侵略戦争に反対する世界の労働者人民が地球を覆い尽くして同時に、一斉に立ち上がった。アメリカでもイギリスでも、その闘いの先頭に労働組合が立っている。過酷な資本攻勢との闘いと戦争反対とを結合して、自国のブルジョアジー、支配階級と立ち向かっている。アメリカの反戦団体ANSWER(戦争を止め人種差別をなくすために今すぐ行動を)連合は、全世界の労働者に向かって、帝国主義の侵略戦争に対する国際連帯行動を呼び掛けている。南朝鮮・韓国の労働者は、戦争と資本攻勢に対して果敢に立ち向かい、大きな勝利をかちとっている。
全世界の労働者階級の先進的な闘いに学び、100万人、1000万人の決起を日本で実現しよう。その先頭に立つのは労働者だ。労働者が階級として団結の力を発揮し、戦争によってしか延命できない帝国主義・小泉政権の前に立ちはだからなければならない。
今春闘で、動労千葉(国鉄千葉動力車労働組合)は3月27日から30日までの4日間のストライキを敢行した。スト参加者は延べ540人、運休本数は591本に上った。全組合員の団結の力でかちとったストであり、03春闘の頂点に立つ闘いである。このストはJR貨物とJR東日本のベアゼロ回答を拒否し、再回答を求めて闘われた。同時に、3・20イラク開戦に対する労働者の反撃として闘われた。動労千葉のストライキは、米英などの労働者に伝わり、大きな激励を与えている。日帝・資本のすさまじい攻撃に対して、労働者が闘う団結を固めて闘えば必ず勝利するという方向性を示している。
そして3月29日には代々木公園で動労千葉が主催し、倒産・リストラ、組織破壊攻撃と闘いぬいている全日建運輸連帯労組関西生コン支部、全国金属機械労組港合同が協賛して春闘総決起闘争が闘われた。この労働運動の新潮流の闘いの中に展望がある。
国鉄労働運動に対する国労闘争団員、国労組合員ら8人の不当逮捕・起訴の国労5・27臨時大会闘争弾圧を許さず、全員を奪い返そう。国労、全動労、動労千葉の1047名闘争の勝利をかちとろう。
第3章 有事立法粉砕、労働法制改悪阻止の一大階級決戦に立て
今こそ、労働者階級の渾身(こんしん)の一大階級決戦が求められている。
賃下げ、リストラ、権利剥奪(はくだつ)の攻撃が強まり、搾取・収奪は極限的に強化されている。失業率は5%以上の高水準が続いている。労働者はもはや闘わなくては生きていけない。今年の春闘では、ベアゼロはあたりまえ、定昇見直しの攻撃さえもが吹き荒れた。
労働法制(労働基準法、職業安定法、労働者派遣法)の改悪案が国会に提出されている。これらは、戦後労働法制が「労働者を保護する」法制であったのを根本的に転換し、「首切り自由、終身雇用制解体、不安定雇用化、団結権破壊」の法制に変えてしまおうという、断じて許せない攻撃である。
それ以外にも、今年4月から、年金改悪、医療保険の改悪など、労働者の生活を根本から脅かす攻撃が発動されている。
「奉仕」を叫ぶ奥田ビジョン
今年1月1日に出された日本経団連新ビジョン(奥田ビジョン)は、日本の帝国主義が生き残るために、一切の犠牲を労働者階級人民に押しつける方向を露骨に表明している。「改革」と称して、消費税率の16%への引き上げや、年金・医療などの給付の徹底した削減、社会保障制度解体を提唱している。そして、労働者に対して「公」=国家や資本への「奉仕」=奴隷的屈服を迫っている。
奥田ビジョンは、労働者に対して、「国民意識の改革」を要求し、階級意識の絶滅を目指すものである。労働運動に、国益に従属するものとなれ、戦前のような産業報国会になれと要求するものだ。労働組合を戦争翼賛勢力に変えてしまおうとするものである。
さらに、奥田ビジョンは、結論として「東アジア自由経済圏の形成」を掲げ、新たな「大東亜共栄圏」を打ち出し、欧米帝国主義と対抗して、戦争をしてでも日本帝国主義のアジア勢力圏、経済ブロックをつくろうとしている。イラク侵略戦争をめぐって今、世界の諸大国が二つの陣営に分裂して激突している。「東アジア自由経済圏」構想は第2次大戦でたどった道を再び繰り返すものであり、絶対に許せない。
これらの攻撃に対して、連合指導部、全労連指導部は、資本の階級性解体の攻撃に協力・加担している。
今こそ社民党、日本共産党に代わる闘う労働者の新しい政党を登場させなければならない。
ファシスト・カクマル倒せ
また全労働者が警戒すべきなのが「カクマル」というファシスト集団である。カクマルは、「左翼」の仮面を被りながら、警察と一体となって闘う人民に襲いかかる反革命勢力である。その上、彼らは1980年代の中曽根の臨調・行革攻撃の際に、これに全面屈服し、国鉄分割・民営化攻撃に率先協力して、国鉄労働者の大量首切りを推進した裏切り者である。中曽根は後に「国労が崩壊すれば総評も崩壊するということを明確に意識して(分割・民営化を)やった」と自慢している。その中曽根の最大の先兵になったのがカクマル黒田寛一・松崎明であったのだ。
今日カクマルは、黒田・中央派と、松崎に率いられたJR総連カクマルに分裂した。片や黒田崇拝のカルト集団、片や松崎主導の利権集団であり、両者ともに労働者の敵である。彼らを断じて許さず、ファシスト労働運動を粉砕しよう。
革共同とともに世界革命へ
革共同は何をめざすか。革共同規約前文は次のように高らかにうたっている(第六回大会報告決定集・上)。
「共産主義社会の実現こそは、労働者階級自己解放のたたかいの最後の到達点である。言うまでもなく、この階級的解放は同時にあらゆる人間の抑圧・差別からの解放、すなわち普遍的・全面的解放として実現される。この共産主義社会の実現こそ、革命的共産主義者同盟の究極の目的である。この目的の実現のため、同盟は反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命をめざしてたたかう」
「同盟は、スターリン主義者によるマルクス主義・レーニン主義の歪曲をうち破り、マルクス、エンゲルス、レーニン、トロツキーの革命的マルクス主義の伝統を受けつぎ、さらに創造的に発展させる努力を不断になしとげ、理論闘争における前進をきりひらいていく。
同盟は、革命的大衆行動、労働組合運動、革命的議会主義のたたかいの前進のためにたたかうとともに、とりわけ不断に労働運動・労働組合運動の先頭にたち、その階級的発展のためにたたかい、労働者民主主義創造のたたかいを現在的にきりひらいていく。
世界大恐慌と第三次世界大戦が歴史的に切迫する情勢のなかで、万国のプロレタリアと被抑圧民族は、反帝国主義・反スターリン主義世界革命の旗のもとに団結しよう。社民党・日本共産党に代わる真の労働者党を建設し、日本革命の勝利にむかって前進しよう」
こうした綱領的立場の革共同とともに闘おう。革共同に結集して闘おう。
革共同の機関紙、闘う労働者の新聞『前進』を読もう。
2003年5月1日
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週刊『前進』(2100号1面2)
3候補元気に出陣
4月20日、統一地方選後半戦が告示になり、東京・杉並を始め神奈川・相模原など全国の闘う候補が「イラク侵略戦争反対・軍事占領許すな」「介護と福祉を守ろう」と訴えて選挙戦に突入した。各候補の出陣式では多くの支持者が集まって熱い声援を送った。
都政を革新する会の北島邦彦候補は区議選初挑戦の勝利へ、新城せつこ候補は2期8年の議員活動の自信にあふれ3期目の必勝へ、けしば誠一候補は3人当選で新しい党を登場させる決意に燃えて第一声を上げた。相模原では西村あやこ候補が「基地の街から反戦の街へ」と訴え、力強い選挙戦に入った。
米英日帝がイラク侵略、軍事占領を続け、日帝・小泉は有事法制成立を図り、北朝鮮侵略戦争を強行しようとしている。この中で、反戦を貫き、介護・福祉を守る新しい党への期待が高まっている。(記事3面)
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週刊『前進』(2100号2面1)
死すべきは労働者ではなく日帝だ 「奥田ビジョン」を徹底批判する
労組に「産業報告会」化を迫り「東アジア自由経済圏」を提唱
有事立法・労働法制改悪阻止を
大沢 康
日本経団連は、今年1月1日、『活力と魅力溢(あふ)れる日本をめざして』と題する新ビジョン(奥田ビジョン)の概要を発表し、2月1日付で全文を出版した。03春闘に向けて出した「経営労働政策委員会報告」と一体のものであり、経済・政治にわたる政策プランを全面的に提起したものだ。資本家団体の文書としては戦後史に例のない超反動的なものである。それは、このままでは日本帝国主義が「崩壊していく」という資本家階級の危機感をむき出しにして、社会保障制度の解体、消費税率16%への引き上げなど労働者人民から徹底的に搾取・収奪する諸政策を打ち出し、国家・社会の大改造を狙うものだ。その戦略目標は、日本帝国主義の生き残りをかけて「東アジア自由経済圏」を形成し、帝国主義間争闘戦に勝ち抜くことにある。日帝・小泉政権によるイラク侵略戦争参戦や有事立法成立策動も、こうした資本家階級の階級意志が背景にある。そのひとつの核心は、戦後の労働者支配政策を全面的に転換し、終身雇用制を解体することだ。そのために労働組合の変質=新たな産業報国会化を迫っているのだ。本稿では奥田ビジョンの全内容にできる限り論及しつつ、特に労働者階級が、03春闘を引き継いで、有事立法阻止闘争と労働法制改悪などの資本攻勢に対する闘いをひとつの階級決戦として一体的に推し進める観点から、その暴露・批判を試みたい。
「日本崩壊の危機」を叫んで消費税率16%の大収奪策す
奥田ビジョンは、冒頭の奥田会長による序文で、自ら参加した経済戦略会議の「樋口レポート」に「数多くの改革提案が盛り込まれたが、依然としてその多くは、店晒(たなざら)しにされたままである」と、「改革」がまったく貫徹されていないことへのいらだちをあらわにしている。
「はじめに」では、90年代のバブル崩壊以降がこれまで「失われた10年」と言われてきたが、実は日本が経済大国となった80年代以降が「失われた20年」なのだと言う。そして「現在の日本は、『失われた20年』と『高齢化が進む20年』のほぼ中間地点にある」として、「長期にわたる経済の低迷や社会秩序の乱れ」を嘆き、「日本の現状に有効な対策がとられなければ、その先に待っているのは『崩壊していく日本』である」との絶望的危機感を表明している。
第1章「新たな実りを手にできる経済を実現する」以降でその危機突破の方策を示しているが、結論的に言えば、それは労働者から徹底的に搾り取り、労働者の生活を根底から破壊し、資本を救済し、資本の収益を増大させるということがすべてである。
これまで「企業は長期雇用のもと従業員の生活の安定をはかり、国は社会保障を国民の隅隅にまでいきわたらせ」てきたが、「このような日本のシステムは、少子化・高齢化の進展、グローバル競争の加速といった構造的な変化に迅速に対応するには適していない」から、これを転換するというのだ。すなわち、「長期雇用」=終身雇用制とそれを前提にした社会保障制度を全面的に解体するということである。
「そのための羅針盤として、私たちは2025年度を見据えた経済・財政・社会保障の『グランドデザイン』を提示する」として、「官主導型から民主導型へと転換させる……新しい成長の姿」を示すと言う。
それは年金や医療などの社会保障給付を徹底的に抑制することを前提に、消費税率を18%にすれば、2%近いGDP成長率が実現されるなどというシミュレーションである。社会保障給付の抑制を徹底しなければ消費税率は28%になるという、とんでもないケースも示している。
ここで現在の社会保障給付を維持できない理由として「少子化・高齢化」による就業者数の減少を挙げ、あたかも自然現象であるかのように言っているが、とんでもないことだ。実際に首切り・リストラで失業者を増大させ、就業者数を減らしているのは資本家どもではないか。しかも、さらに失業が増えるのはやむを得ないと奥田らは公言している。「少子化」も、日帝の根底的危機の中で進行していることだ。
要するに、戦後の労働者支配政策が完全に行きづまり、もはや労働者とその家族を食わせていくことができなくなったということなのだ。社会保障制度をめぐるこうした議論のインチキさを、まず怒りを込めて弾劾しなければならない。
その上で、これらの攻撃を「日本型成長モデル」と称し、これを「他国に先駆けて確立」すると言っていることは重大である。例えば、日本経団連に統合される以前の日経連は、「アメリカ型でもヨーロッパ型でもない第三の道」というような言い方をしていたが、そのようなあいまいさはなく、明確に「日本型」と言い切った。これはビジョンの結論的主張である「東アジア自由経済圏」につながっていく、帝国主義間争闘戦に勝ち抜くむき出しの意志を示しているのだ。
また、就業者数の減少を「女性や高齢者、外国人などの就労によって補う」として、特に「女性などの就業を妨げている制度的・社会的障壁の除去と国民の意識改革を進める」と言う。これは、資本にとっての「障壁」となる労働者保護法制の一大改悪を行うということだ。そのために戦後的な階級意識や階級関係を解体し、戦後労働者支配を抜本的に転換するということである。このような攻撃として、有事立法と労働法制改悪は一体をなす攻撃なのだ。
ビジョンは続けて、「税制の再構築」や「社会保障制度改革」の具体策を提起している。
税制の再構築では、まず04年度から毎年1%ずつ消費税率を引き上げ、14年度から16%に据え置くことを提言。また、各種控除制度の廃止(配偶者特別控除など)、課税最低限の引き下げなど、労働者の生活を根本的に破壊する徹底した大衆収奪を唱え、他方で法人税率の引き下げ、累進税率の緩和、金融課税の低率化、固定資産税の減免、企業の政治献金への税負担の軽減を叫んでいる。
労働者人民から徹底的に収奪しながら、資本=ブルジョアジーの税金を引き下げ救済せよということだ。
社会保障制度改革では、給付水準を徹底的に引き下げることを主張している。負担については、特に労働者の社会保険料については「本来、個人が全額負担するところを事業主が肩代わりするもの」であるから「全額本人が負担する方法に改める」とまで言っている。
ここには社会保障制度の考え方の根本的な反動的転換がある。退職後の生活や医療・介護などは本来は「個人の自立」「自助努力」でやるべきもので、資本が負担するのはもってのほかであり、個人が全額負担するべきだということだ。そして、資本の言う「最低限必要な給付」は消費税による大衆負担でまかなえというのだ。
そうして得られる「経済成長」の果実は、その実現の可能性はともかくとして、丸ごと資本の利益になるということではないか。
対外経済侵略に活路を求め
次に、どうやって経済成長を実現するのかということだが、ビジョンは「連結経営的発想により、日本の付加価値創造をとらえ直す」として、次のように言う。
「日本企業の対外直接投資から生じる収益、特許料などの技術料収入を日本国内の経済活動の環(わ)に戻し、先進的な技術革新に結びつけていくことが必要である」
つまり、日帝危機の打開を、一方では社会保障制度の解体など国内における「階級戦争」に、他方では対外直接投資による経済的な「対外侵略」に求めようとしていることだ。
そのために、中国に対する「脅威論」をテコにしようとしている。中国の製造業が躍進し、ハイテク分野でも「日本の山はいずれ中国の山の裏に隠れてしまう」として、そうならないために競争力を強化せよ、特に技術革新を促進せよ、と言うのだ。
ビジョンは、これを「MADE°BY″JAPAN」戦略と称している。これまでは「MADE°IN″JAPAN」という言葉で、日本国内でつくる製品を指していたが、「21世紀の競争力はグローバルな活動を通じて高まっていく。このため、国境という概念を積極的に打ち消し、オープンな環境のなかで日本企業の活力を高めることが大切」と言う。
つまり、日本企業が高い技術力をもって世界中に展開し、そこから収益を得ることで競争力を高めるということだ。
それは一方で「製造業の空洞化への懸念」を生じる。だが「グローバルな活動によってしか日本企業の国際競争力は高まらない」「空洞化の懸念に圧(お)されて、海外投資を制限すれば、生産性と技術力が高く、本来生き残れる企業を窮地に追い込みかねない」として、経済侵略以外に日帝が生き残る道はないと絶叫しているのである。この「MADE°BY″JAPAN」戦略は決定的に重要だ。後で見る第3章の「東アジア自由経済圏構想」に至る戦略的内容として打ち出されているからだ。
また、技術革新には膨大なコストがかかるが、そのための法人税率引き下げを要求している。総額人件費削減攻撃も激化する。さらに、生産拠点の海外移転によって国内の雇用が失われても、それで資本が生き残ればいいということだ。
第1章では、さらに「産学連携」や「環境立国」戦略、「都市・居住環境の改善」などが強調されている。20世紀において資本が徹底的な環境破壊を強行してきたことを居直り、「環境ビジネス」が大きな利潤を生み出す有望市場であるとして、特に、奥田が会長を務めるトヨタ資本の利害(燃料電池など)がむき出しになっている。また、都市開発は、ゼネコン救済の意図が見え見えである。
労働者意識と団結を解体し 低賃金・不安定雇用化を狙う
第2章「個人の力を活かす社会を実現する」は、階級支配の転換を図るためのイデオロギー攻撃として展開されている。特に「個人の多様性」の名のもとに労働者意識や団結の解体に焦点をあて、「公」=国家や資本への奴隷的屈従を迫っているのだ。
ここでは四つのキーワードが提起されている。
(1)「個人の多様な価値観、多様性を力にする」
「多様な価値観」とは、経営労働政策委員会報告の表題にもなっている言葉だが、資本攻勢を推進するスローガンである。
「労働市場においては、これまで一般的とされてきた、一つの仕事、一つの企業で能力を高めていく働き方を選ぶ者ばかりではなく、職業能力を高め、外部労働市場においてもっとも自身の職業能力が発揮される職場や仕事を選ぶ者もふえてくるであろう」と、終身雇用制の解体をまず挙げている。
あたかも、それが労働者の要求であるかのように言うのは、まったく許しがたい。そして、次のような言葉を連ねているのだ。
「(企業は)それぞれの個人の意欲・能力にマッチする仕事を提供することで、必ずしも高い賃金を提示しなくても優秀な人材は確保できる。また、自己実現に結びつき、自身の成長にも資する仕事を与えられているのであれば、それは仮に労働時間が長くなっても、賃金が高くなくても、むしろ本人は好ましく思うであろう」
これは、資本にとってなんと都合の良い労働者像だろうか。今日の賃下げ、首切り・不安定雇用化攻撃や、首切り自由化、有期雇用拡大、裁量労働制拡大などの労働法制改悪攻撃は、このように労働者意識の解体を迫り、生活も権利も投げ捨てて働くことを強要するものなのだ。
さらに、「多様な個人」という言葉は、労働組合の団結を徹底して否定するために持ち出されている。
「多様な個人の意志を尊重した企業活動を進める上では、労働組合などとの集団的な関係だけでは不十分である」
「充足感を味わえる企業を実現するためには、労働組合も変革を迫られる。今日、組合員の組合活動への参画意識が低下しており、労働組合運動が内部から自壊する危機に瀕(ひん)しているといっても過言ではない。労働組合は、経営側の幅広い提案を受け、多様化する職場の意見を集約し、それをもとに労使の話し合いによって決定し、実行に移していくという本来の役割に徹するべきである」
このような労働組合に対する攻撃は、連合指導部などの屈服と転向を見透かしてのものであるが、核心は、労働組合が賃上げや反合理化などの要求を掲げ、団結して闘うことの全面否定にある。そして、労働組合は企業・国家に協力する新たな「産業報国会」に変質しろということなのだ。
さらに、企業の不正会計・腐敗や安全を問題にし、「コーポレート・ガバナンス」(企業統治)論を持ち出している。これは、そうした問題の責任を「企業の構成員一人ひとり」、すなわち労働者にも押しつけるものである。これも新たな労働者支配の攻撃だ。
(2)「『公』を担うという価値観が理解され評価される」
これまでは国が「公」の領域を担ってきたが、これからは個人が公を担うべきということだ。例えば、司法制度改革は「国民の司法参加の推進」を挙げているが、その狙いは、労働者人民に「国益」への奉仕を迫ることにある。
また、ビジョンが唱える州制(中央政府と5〜10の州政府、300自治体)は、中央政府の権限を外交、安保・防衛などに限定し、内政は州、自治体に移管するというものだ。戦争国家化攻撃であり、「奉仕精神に溢れた個人が積極的に自治体の政策決定に携わる」「自治体の議員は無報酬で職務を遂行するようなかたちに改めていくべき」などと、自治体の大リストラを狙うものである。
(3)「『精神的な豊かさ』を求める」
「精神的な豊かさ」とは、明らかに「物質的豊かさ」に対置された言葉だ。「個人の意志を尊重した新しい生き方の選択」などと称しているが、「重要なことは、結果の平等を求めないことである」と言っている。つまり、個人がどのような生き方をしようとも、その結果どんなに貧しかろうとも、それはすべて「自己責任」であるということだ。それを「精神的な豊かさ」だと言い放っている。
そして「個人の能力や個性に合った教育」と称して、教育への競争原理の導入や資本の参入をうたい、「公を担う心を培う」などと、教育基本法改悪を資本の立場から要求している。
さらに「働き方を選べる」として、「企業の正社員としての道は、今後、選択肢のひとつにすぎなくなる」と言い放っている。
「職業紹介サービスの機能充実に加え、長期雇用が有利となる退職金への課税制度や企業年金制度の見直し、労働基準法や労働者派遣法の見直しなどを通じた労働市場の多様化をはかる」「企業においても、有期雇用や業務委託型など多様な雇用契約を拡大させる」などと労働法制改悪を叫んでいる。戦後の労働者保護法制から首切り自由、不安定雇用化推進、団結破壊の労働法制への転換を狙っているのだ。
重大なことに、「『最期の迎え方』も選べる」として「安楽死」「尊厳死」を法制化すべきと言っている。「障害者」抹殺の差別主義、侵略イデオロギーに行き着く優生思想を扇動しているのだ。
(4)「多様性を受け入れる――外国人も活躍できる環境の整備」
外国人労働者の受け入れは、日帝の今後の労働力政策の重要な柱となろうとしている。低賃金・不安定雇用労働者として、外国人労働者を活用しようというのだ。また、それをもテコに労働者全体の低賃金化と不安定雇用化を図ろうとしている。それは、国内階級支配の強化と結びついて、入管法改悪=入管体制の強化をとおして外国人労働者に対する治安弾圧を決定的に強めるものになる。
米欧に対抗してブロック化 第2次大戦でたどった道だ
第3章「東アジアの連携を強化しグローバル競争に挑む」は、日本帝国主義の戦略目標となる重大攻撃である。日帝ブルジョアジーはここでついに「東アジア自由経済圏構想」という名の新たな「大東亜共栄圏構想」を公式に打ち出したのだ。そして、「遅くとも2020年の完成」という具体的目標を立てて、「人口約21億人、GDP約7兆jという巨大でかつ急速な成長が期待される単一市場」をつくるというのだ。これはASEAN10カ国に日本、中国、韓国を加えた13カ国を想定している。
それはアメリカ帝国主義やEUに対抗し、日帝独自の勢力圏=経済ブロックをつくろうとする恐るべき構想である。「グローバル競争」とは市場と勢力圏の分割・再分割をめぐって競争することであり、文字どおりの帝国主義間争闘戦である。
ビジョンは、EUの通貨統合や、アメリカによるNAFTA(北米自由貿易協定)、さらにFTAA(米州自由貿易圏)の05年完成などについて、「こうした動きは、国際競争を勝ち抜くには、もはや一国の力だけでは限界があり、近隣諸国との連携を強化していく必要があるとの考えに基づいている」と述べ、これへの対抗意識=帝国主義間争闘戦の論理をむき出しにしている。
そして、「日本が、東アジア自由経済圏構想を、新しい対東アジア経済外交の基軸に据えていくことを提案」しているのだ。
これは新たな大東亜共栄圏
ビジョンは、東アジアをめぐる米欧帝国主義との争闘戦を激しく意識している。米帝はシンガポールとのFTA(自由貿易協定)締結からASEAN各国との二国間のFTA締結をめざしており、EUもシンガポールとのFTA交渉を進めている。その中で日帝が東アジア自由経済圏をつくらなければ、「日本は、東アジアの市場および生産基地としての魅力の低下という二重の意味で大きなダメージを被り、21世紀に期待される東アジアの発展からなんら果実を得られないという深刻な事態に直面するであろう」と言うのだ。
日帝は、一方では日米安保同盟のもとでイラク侵略戦争に参戦し、有事立法攻撃を推し進めているが、他方では米欧帝に対抗して東アジアのブロック化に突進しようとしているのである。それは日米安保同盟との矛盾もはらんだ激烈な争闘戦になる。
日帝は、敗戦帝国主義から完全に脱却し、侵略帝国主義―戦争国家への飛躍をなし遂げようという野望をむき出しにしている。それはビジョンの次の言葉に明らかだ。
「日本は、第2次世界大戦において大東亜共栄圏の建設を掲げて戦い、東アジアの国々に多大な損害を与えた。そのことへの深い反省と、東アジアがアメリカの安全保障の傘のもとにあるという実態から、これまで東アジアの経済圏構想に強い政治的なリーダーシップを発揮することを避けてきた」
「東アジアにおいても、民族や宗教上の対立、さらには領土問題など、平和を脅かしかねないさまざまな火種がひそんでいる。それゆえ、この構想の実現に日本が建設的な貢献をしていくことは、過去の不幸な歴史を乗り越えていく大きなチャンスでもある」
日帝は、かつてのアジア侵略に対するアジア人民の怒りと、対米戦争での敗戦、戦後の米帝によるアジア支配という現実の中で実現できなかった「大東亜共栄圏」を再び掲げるに至ったのだ。また再び第2次大戦と同じ過程が始まりつつあるのだ。
その中で、「中国との協力が重要」と言っていることも重大である。米帝が「中国の転覆」をも掲げた世界的な戦争政策に打って出ている中で、それと競合・対抗しつつ、北朝鮮・中国侵略戦争へも参戦していくということである。これが今日、日帝を有事立法攻撃へと突き動かしている最大の根拠である。
さらに、この「東アジア自由経済圏構想」は、有事立法攻撃と一体で、国内での「構造改革」=首切り、賃下げ・リストラ攻撃を不可避としている、ということである。
まさに外への侵略戦争と内への階級戦争が、かつてなく激しく推進されようとしているのである。
労働組合解体の攻撃許さず 階級的な労働運動の再生へ
第4章「改革を実現するために」は、以上の資本攻勢と侵略政策を強行するために、政治のあり方や労働組合のあり方にまで踏み込んでいる。
特に「労働組合に対しては、既得権益を擁護する活動の是正を求める」としていることは重大だ。労働者の権益を擁護するとは、生活と権利を守るという労働組合の原点である。これを捨て去れというのだ。
さらに「政治との新たな協力関係を確立する」として、文字どおり資本の利害を代表する政治、むき出しのブルジョア独裁政治への変革を要求しているのだ。
「日本が21世紀の国際制度間競争に勝利することが何よりも必要である」「このため、政治と経済双方が不退転の決意をもって立ち上がらなければならない」
そのために、「総理のリーダーシップが十分に機能する体制を整える」「真の国益に向けて政治を動かし支援する必要がある」として、「企業人のなかから選ばれ、国政で活躍する志と能力を備えた人材を資金面などで支えていくほか、経済界の考えに共鳴し行動する政治家を支援していく」としている。
これらは、首相の独裁的権限のもとで侵略戦争に突入していく国家総動員体制をつくるためでもある。ここに奥田ら日帝資本家階級の反動的踏み切りがある。
最後に、奥田ビジョンの全体をとおして言えることは、むき出しの反革命宣言であると同時に、日本帝国主義・支配階級が従来のようには支配し続けることができなくなったことを表明したものだということだ。
資本家階級の側が、労働者階級を犠牲にしてしか生き延びることができないのなら、労働者階級は、生きるために彼らの打倒へと闘わなければならない。奥田ビジョンと徹底対決し、今こそ階級的労働運動を再生しよう。
全世界の労働者階級、被抑圧民族人民と連帯し、帝国主義の侵略戦争と資本攻勢を粉砕し、帝国主義を打倒するべき時が来たのだ。日本の労働者階級は、世界で最弱の帝国主義に転落しつつある日本帝国主義の打倒へ、国際階級闘争の最先頭に立って闘おう。
03春闘における最大規模のストライキを打ち抜いた動労千葉の闘いに学び、そのすばらしい団結の力を押し広げて闘おう。
5・1メーデーから、イラク侵略戦争粉砕、北朝鮮侵略戦争阻止、有事立法粉砕の反戦闘争と労働法制改悪阻止の闘いを結合し、新たな階級決戦に立とう。
日本経団連 新ビジョンの反動的ポイント
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■第1章……
▽社会保障給付を大幅に削減した上で04年度から消費税率を1%ずつ引き上げて16%にする
▽「MADE゛BY゛JAPAN」戦略で「海外直接投資」=経済侵略を推進
■第2章……
▽「多様な価値観」「多様な働き方」を掲げて賃下げ、労働法制改悪を推進
▽「労働組合も変革が迫られる」と、国家に奉仕する労組への変質を迫る
■第3章……
▽「東アジア自由経済圏」を形成し、「グローバル競争」=帝国主義間争闘戦に勝ち抜く
■第4章……
▽「労組に既得権益擁護の是正求める」
▽「真の国益に向けた政治」を推進
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週刊『前進』(2100号3面1)
“反戦と介護”訴え熱気 杉並区議選 3候補が力強く第一声
“行動する党”に区民の期待
北島候補 反戦の実績で支持を訴え
都政を革新する会の北島邦彦候補は4月20日、立候補の届け出を済ませた後、杉並区天沼の事務所前で元気に出陣式を行った。実方精一都政を革新する会後援会長を始め、介護と福祉を要求する杉並住民の会の会員など支持者があいさつし、「北島さんは本当に頼もしい人。北島さんにはほかの2人と一緒に区政を改革してもらいたい」「信念と行動力があり、柔軟性のある候補です。大いに期待しています」と声援が送られた。北島候補は「私はこの2年間、杉並から区政を変え社会を変えるために一生懸命やってきた」と確信に満ちて決意を語り、支持を訴えた。
続いて北島候補は荻窪駅北口で第一声を上げた。
「今回の選挙の課題は第一に、今なお続くイラクへの侵略戦争、軍事占領に反対して、戦争反対を貫く議員をみなさんと一緒につくっていくことだと思います。もう戦争は終わったということで、戦争反対を言わなくなった候補がたくさんいます。しかし、イラクでは軍事占領が続いています。バグダッドではイラクの人たち1万人がデモを行い、抵抗の闘いに立ちあがっています。『侵略者は直ちに出ていけ』と民族自決の闘いに決起しています。この闘いに連帯していく必要があります。私はこの杉並から戦争反対の運動を起こすために具体的な運動に取り組んできました。
選挙になると福祉の充実と言う候補がたくさんいます。その候補の言う福祉の具体的な内容について尋ねてみてください。重要なのはどのように行動してきたかです。また、戦争に反対しない候補の言う福祉はにせ物です。私は区内の高齢者とともに介護保険制度の大きな問題点について、一緒に考え、一緒に行動して一つひとつ具体的な成果をかちとってきました。27日の投票日にはみなさんの1票をぜひ北島邦彦に投じてください」と訴えた。
北島候補の演説に通りかかった住民が聞き入り、詰めかけた区民が北島候補に駆け寄り、北島候補と固い握手をした。ビラが次々と受け取られ、期待の大きさを示した。
新城候補 3選必勝へ区民とともに
新城せつこ候補の出陣式は、高円寺事務所前で行われた。介護と福祉を要求する杉並住民の会の高田普次夫副代表を始め、多くの支持者が集まった。三里塚芝山連合空港反対同盟の市東孝雄さん、鈴木謙太郎さん、沖縄民権の会の座覇光子さんも応援にかけつけ、必勝へ熱い思いを寄せた。
立候補の届け出手続きが終わると、多くの支持者が見守る中、ただちに事務所前で出陣式。続いてJR高円寺駅南口に登場した。住民の会の高田副代表、反対同盟の鈴木謙太郎さん、ス労自主の入江史郎委員長が応援演説に立ち、新城候補が第一声を上げた。
「小泉政権も石原都政も、そして山田区政も、高齢者や福祉を切り捨て、働く者にあらゆる犠牲を強いようとしています。今回のイラク戦争では、インド洋に派兵した自衛隊のイージス艦が米軍への燃料補給を担い、私たちの税金を湯水のように使いました。
イラクの人たちは今、民族の誇りにかけて『侵略者は出て行け』という闘いに立ち上がっています。全世界の人びとが、石油を奪うために人びとの尊い命を奪う侵略戦争に反対して立ち上がっています。この人びとと手を結び、小泉政権に絶対反対の声を上げて闘っていきましょう。
私は2期8年間、介護保険制度に反対して、高齢者のみなさんとともに、人間らしい介護と福祉を実現しようと行動してきました。高齢者が、雨の日も雪の日も、真夏の暑い日も、厚生労働省や区との交渉を続けてきました。その中でこの4月、介護保険料の600円もの値上げを阻み、60円に抑えさせました。
並みいる候補者が生活や福祉を語ります。しかし大切なのは、どう行動してきたかということです。私はみなさんのくらしと福祉を守るため、みなさんとともに行動し実現します。くらしや福祉を守るのは住民の力です。杉並から数十万、東京から数百万、日本から数千万という荒々しい闘いをつくり出しましょう。そのために27日の投票日、新城せつこにみなさんの一票を寄せてください」
投票日まで1週間、新城候補は区内を駆けまわって3選必勝へ闘っている。
けしば候補 “3人当選で新党めざす”
けしば誠一候補は、浜田山の選挙事務所で出陣式を行った。
午前9時すぎには多くの支持者が集まり、決起集会が持たれた。けしば候補は、「都知事選で石原が308万票を取る事態になっていますが、投票率は44・9%、杉並ではさらに0・2ポイント低い。選択すべき人がいなかったというのが実情です。区議選で、みなさんが選べることができる力として私が登場できたら、勝機ありと確信しています。今回は3人当選を目指して立候補しました。地域のみなさんの力に依拠して、なんとしても勝ちたい」と熱烈な決意を述べた。
月刊小新聞「野火」編集・発行人の桜井善作さんは、「小泉政権打倒のチャンスが来た。けしばさんは、かねてから『戦争と大失業の時代が来る』と言って、福祉と平和を掲げて闘ってきた。倒産・失業、自殺・夜逃げが増えている。足元の暮らしを取り戻す第一歩として1週間全力で闘おう」と、力のこもった発言を行った。地元の女性は、「初めて選挙を手伝いました。どうしても区議会に出ていただきたい。1週間がんばりたい」と決意を述べた。
10時過ぎに宣伝カーが到着すると、けしば候補は事務所の前で支持者を前に、「4期目の挑戦です。イラクでは、米軍の軍事占領下、戦争が続いています。絶対に許せません。最大の福祉切り捨ては戦争です。戦争に税金を湯水のようにつぎ込む政治を許しておいて、福祉を守ることなどできません。小泉政権は有事立法という戦争法案を早期に成立させて、イラクや北朝鮮にも派兵しようとしています。これに絶対反対します。福祉を語りながら、目の前で進む戦争に反対しない政党に、政治をまかせることはできません。反戦と福祉の政党が、今こそ必要です」と、第一声を発した。
この後、けしば候補は西荻窪の選挙事務所がある商店街にあいさつ回りを行い、1週間の選挙戦に元気いっぱい出発した。
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週刊『前進』(2100号3面2)
相模原市議選 “反戦のウエーブを” 西村候補、3選へ大奮闘
4月20日、相模原市議選で3選をめざす西村あやこ候補の出陣式が、地元相模台の選挙事務所で開かれた。あいにくの雨模様だったが、高齢者から母親に連れられた子どもたちまで幅広い支持者が一堂に会し、3選勝利を誓い合った。
さがみはら革新市政をひらく会の吉田義久代表があいさつし、「日本が新しい戦争に突入していくという状況を迎え撃って、新しい風を相模原からつくるという気概でやりぬこう」と檄(げき)を飛ばした。
北富士忍草母の会の天野美恵事務局長も駆けつけ、「戦争反対を貫く議員はほかにいない」と太鼓判を押した。沖縄の桑江テル子さん、桑江常光さんから「種はまいた。真紅の花を咲かせよう」と檄電が届いた。
支持者が次々に激励と決意を語り、婦人民主クラブ全国協議会の丹治孝子相模原支部長が、「戦争で九死に一生を得た私たちは、戦争には絶対妥協なく反対です。前回の票を上積みできるよう皆さんのお力添えを」と訴えた。
宣伝カーが到着すると、さっそく西村候補を先頭に地元商店街の練り歩きに出発。相模台団地の広場で西村候補は第一声を上げた。「戦争反対を貫くことが何より私たちの暮らしと命と権利を守ることです。福祉や雇用の問題も根っこは一つ。国の悪政にノーと言える本当の地方自治をつくりたい。戦争よりも福祉を、戦争よりも教育を、私たちの納得のいく未来を、という声と響き合って、新しいウエーブをつくりましょう。皆さんとご一緒に奮闘します」
商店側を練り歩き、小田急相模原駅前で街頭演説会を行い、続いて小田急相模大野駅へ。「戦争とめよう」「NO WAR」のボードを掲げた宣伝隊に若者たちが手を振り、赤ちゃんを抱いた若い夫婦が「がんばって」と駆け寄った。
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週刊『前進』(2100号3面3)
国労弾圧公判 “団結活動は処罰できぬ” 弾圧手引者隠す検事を追及
4月21日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第5回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で行われた。この日後半から検事側立証に入り、緊迫した攻防が展開された。
また、今回から被告1人に2人の看守が密着する体制が改められ、被告の間の看守は1人ずつに減り、要求どおりに被告全員が弁護団の前に並んだ。冒頭、浅野史生弁護人と九州闘争団員の松崎博己被告が重戒護の撤廃を要求した。さらに西村正治弁護人が、「6カ月を超える長期勾留は許せない」と語気を強め、被告の早期保釈を訴えた。
前回に続き弁護団が冒頭意見を述べた。佐藤昭夫弁護団長が、「被告人らは、自民党の言いなりの、組合民主主義を投げ捨てた大会開催に強く反対し、これに参加しようとする本部派組合員に道義的非難を加え、抗議の意思表示をし、ビラ配布等により、その良心に訴えて大会の中止を求めはした。しかし、『暴行』によりこれを『阻止』しようとしたのではない」「被告人らが示したのは『多衆の威力』ではなく、正義であり労働運動における道義の力である」とし、「正当な団結活動は権利の行使であって処罰できない」と多くの判例を挙げて断言した。
一瀬敬一郎主任弁護人が暴力行為等処罰法の違憲性を全面的に説き明かした。河村健夫弁護人が、鉄建公団訴訟などの闘いが4党合意を崩壊に追い込んだとして、「これは被告人の主張と行動の正当性を証明するものだ」と喝破した。葉山岳夫弁護人が「本件は不当な政治弾圧。被告人全員が無罪」と主張し、弁護団の意見陳述を締めくくった。
休廷後、大口昭彦弁護人が公訴棄却を申し立て、憲法の条項を直接適用して直ちに無罪を宣告するよう要求した。取り調べ段階で刑事が「東京地本には貸しがある。機動隊もただで出しているのではない。今回は貸しを返してもらった」と述べていた事実が暴露されると、検事は苦りきった表情になった。
公訴棄却の申し立てに対し、青柳裁判長は判断を留保した。弁護団が異議をたたきつけたが、裁判長は不当にもそれを棄却した。
検事は、冒頭陳述で「中核派はJR不採用問題に介入し、国労全国大会で演壇を占拠するなどの議事妨害をした」と何の根拠もなく言い立てた。弁護団は、すかさず「7・1臨大での出来事の歴史的評価は定まっている。事実に反する主張は予断排除の原則に基づき削除せよ」と要求した。「こんな主張をどう立証するつもりなのか」との追及に、検事は「立証段階で明らかにする」と放言した。松崎被告が怒りの声を上げた。青柳裁判長はこれにたじろぎながらも、検事に削除を命じることを拒んだ。
さらに弁護団は、「被告人らは大会参加者が大会会場へ移動するのを妨害した」という検事の陳述と、「大会の開催阻止を企て」という起訴状の記載の矛盾を突いた。検事はそれにも答えない。
検事が請求した証拠の中には、国労本部が提出したビデオテープがある。ところが検事は、撮影者の氏名も明かさず、証人にも立てないと答えた。弁護団は「撮影者が鈴木勉であることは調査して分かっている。撮影目的は組合員を警察に売り渡すための証拠をデッチあげることだ。恣意(しい)的に撮影され、編集されているビデオに証拠能力はない」「ビデオの証拠採否には撮影者の証人尋問が不可欠だ」と弾劾した。
だが、青柳裁判長は「検察官が証人申請しないと裁判所としては動きようがない」と、ここでも検事をかばう態度をとった。ビデオテープの証拠採用は、撮影者を尋問した後に採否を決定することが基本的あり方となっている。裁判長の訴訟指揮は誤りだ。
検事は弾圧の手引者をかばおうと必死なのだ。組合員売り渡しのために撮られたビデオと本部派のデタラメな証言で被告を罪に陥れることなど、断じて許せない。弁護団は、理を尽くした意見でこれと徹底的に対決した。
被告の保釈へ闘いの強化を
公判に先立ち、被告家族を先頭に100人で東京地裁包囲デモを闘った。保釈要求署名が裁判所に提出され、その数は総計で2万筆を超えた。傍聴券闘争には120人以上が結集した。
公判後、国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会は弁護士会館で第2回発起人・呼びかけ人会議を開き、逮捕1周年までに被告の保釈をかちとるため、賛同会員の拡大と保釈署名10万筆達成などの方針を決定した。
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週刊『前進』(2100号3面4)
「イラク解放」の虚構暴け “米英占領軍をたたき出せ”
大虐殺と侵略支配に広がる怒り 全土で百万人規模の反米デモ
4月10日のフセイン政権の崩壊をもって、米英日帝国主義のイラク侵略戦争は新たな段階に入った。イラク人民は米帝のイラク軍事占領と植民地支配に抗して、侵略軍・占領軍に対する本格的な闘いを始めている。イラクから帝国主義をたたき出す過程が始まったのだ。米日帝国主義の侵略戦争、世界戦争に怒りを燃やし、イラク・北朝鮮侵略戦争反対、有事立法粉砕の5月決戦に立とう。
91年時の数百倍の劣化ウラン弾
「こんなひどいことをして、これがアメリカの言う自由なのか」。アリ・イスマイル・アバス君(12)は、怒りをたたきつけた。
アリ君は3月30日深夜に自宅が米軍機に爆撃されて、両腕を引きちぎられて大やけどを負った。妊娠5カ月の母など家族や親戚16人が殺された。アリ君の叔父は、「イラクには1万人のアリがいる」と訴えた。
民間人の死者数を集計している非政府組織(NGO)の「イラク・ボディー・カウント」によると、メディアに報道されただけでも開戦から1カ月間で1878〜2325人の民間人が死亡した(4月20日現在)。クラスター爆弾による子どもたちの犠牲がその後も増え続けている。兵士もあわせれば、少なくとも数万人のイラク人民が虐殺された。軍事専門家のウィリアム・アーキン氏は「(ほんとうの犠牲者数がわかれば)われわれはこの戦争が起こした大虐殺にぼう然とするだろう」と語っている。
最も深刻な問題はウラン弾の大量使用だ。米中央軍のブルックス准将は3月26日の記者会見で劣化ウラン弾の使用を認めた。米軍は1カ月間で約2万3千発の精密誘導弾と約750発の巡航ミサイルを撃ち込んだが、これらのミサイルにも大量の劣化ウランが使われている。「イラクが化学兵器を使用する」と米英軍がデマを流し、兵士に防護服を着せたのは、劣化ウランの粒子を吸い込まないためだ。米帝は劣化ウランがもたらす恐るべき被害を知りながら、湾岸戦争時の数百倍と試算される劣化ウランを撃ち込んだのだ。今後イラク人民はガンや白血病などで、直接の爆撃による死者以上に虐殺されていく可能性が高い。
イラク人民は侵略者、虐殺者である帝国主義への怒りと恨みを蓄積している。イラク人民が米英日帝国主義を解放軍として受け入れることなどありえない。
4月9日パレスチナホテル前の広場で、フセインの銅像が引き倒される映像がくり返し流された。バグダッド市民が大挙してくり出し、バグダッド解放を祝ったとマスコミは宣伝したが、やらせ映像だった。実際は、米兵とその手先の連中が米軍の装甲車を使い銅像を引き倒したに過ぎず、それをとりまいた人間もわずか数十人であった。それを報道陣と米兵が見守り、広場の周囲を米エイブラムス戦車が包囲していた。
米軍がバグダッドを制圧した後、あらゆる政府省庁ビル、博物館、病院などが略奪の被害にあった。この略奪にも米軍は関与していた。米軍は石油省のビルだけは厳重に警備し占拠しながら、他方では行政府ビルの警備員を撃ち殺し、何でも好きなものを持ち出せと群衆を扇動したのだ。米帝は自ら無法状態をつくり出し、イラク人民への軍事支配と治安弾圧を正当化しようとしているのだ。
ORHAは米軍の占領統治機関
米帝は戦闘を継続しつつ、米国防総省の復興人道支援室(ORHA)による軍事占領統治とカイライ政権づくりを進めている。米帝はイラクを3地域に分割し軍政を敷こうとしている。そのために総勢20万人の米英軍を再配置し始めた。カタールの米中央軍司令部も近くイラク国内に移転する。
ORHAは米中央軍のフランクス司令官のもとに置かれた米軍の民政部門である。室長は米退役陸軍中将のジェイ・ガーナーが務める。ガーナーは97年退役後、ミサイル防衛関連企業の社長に天下りした。米有力地方紙の『サンフランシスコ・クロニクル』は「イラク全土を破壊するミサイルを製造する防衛企業のトップが、イラクの復興にあたるのは最大の皮肉」と批判した。ガーナーは親イスラエル、反パレスチナの立場でも知られ、今回のイラク入りに際しても、事前にイスラエルを訪問し安全保障問題で協議している。
国防総省は「ORHAはイラク人指導者のアドバイザー」と説明しているが、それは表向きの話だ。ORHAはガーナーのもとに6人の副官(北部、中部、南部の地域担当者3人+分野別担当者3人)と各省庁の担当者を置き、イラク暫定統治機構(IIA)を裏であやつる。米帝が最も重視している石油省担当は、元米国シェル社長のフィル・キャロルが就任すると言われる。イラク人への権力移譲はハリルザド・イラク担当特使が担う。ハリルザドは米石油会社ユノカルの顧問を務めた人物で、「新保守主義」の有力メンバーである。アフガニスタン侵略戦争ではカルザイ政権の擁立に腐心した。
米帝のイラク石油の独占とドル支配のための動きも露骨だ。米帝は国連の対イラク制裁を解除し、現在国連が運用しているイラクの石油収入を米帝が管理できる体制に移そうとしている。経済制裁が解除され、米帝が実質的にイラク原油を管理下に置けば、復興計画は完全に米主導で進む。
米国際開発庁(USAID)はイラク復興事業の中核をなすインフラ整備事業について米総合建設大手のベクテルへの発注を決めた。復興事業の総額は1000億j(12兆円)に達すると言われ、今後の石油開発計画にも深く関わる。そのほとんどを米企業が独占しようとしている。
イラク中央銀行は米軍の爆撃と略奪で破壊され、通貨管理機能を失った。米帝はこれを利用して大量のドル紙幣をイラクに空輸し、ドルを流通させようとしている。通貨面からもイラクを完全に植民地化しようとしているのだ。
これに対し、日帝・小泉政権は外務省などの政府職員4、5人を今月中にもORHAに派遣することを決めた。自衛隊の派遣も狙っている。日帝はイラク軍事占領に積極的に関わり、自衛隊の侵略軍隊化を進めるとともに、「われわれがイラクの石油利権を獲得するには欧米のおこぼれをもらうしか手はない」(若杉和夫・石油鉱業連盟会長)と、何とか利権に食い込もうとあがいている。日帝が直接の侵略者・虐殺者となろうとしているのだ。
“フセインもノー アメリカもノー”
4月15日イラク南部ナシリヤ近郊で、ORHAが主催してIIA設立に向けた第一回会合が開かれた。イスラム教シーア派最大の反フセイン組織であるイラク・イスラム革命最高評議会はボイコットした。ナシリヤでは2万人の抗議デモがたたきつけられた。
あらゆる都市で連日、軍事占領反対のデモが行われている。「フセインも、アメリカもノー」だと、スンニ派とシーア派の人民の連帯も生まれている。15、16日イラク北部のモスルでは、反米デモに米海兵隊が発砲し、17人が死亡、数十人が負傷した。21日にはバグダッドで「米国は新たなサダム」「植民地主義に反対」と叫ぶ1万人デモが行われた。デモ隊は米軍が拘束したシーア派の指導者の釈放を求め、米軍が拠点とするホテルに押し寄せた。
22日カルバラでの伝統行事であるアルバイーンには100万人を超えるシーア派教徒が集まった。「米英の占領に反対し、イスラムは団結せよ」のスローガンが叫ばれ、軍事占領と植民地支配に反対する大きなうねりとなった。
米帝の侵略戦争に対するイラク人民の新たな決起が始まった。イラク侵略戦争に参戦する日帝・小泉政権を弾劾し、闘うイラク人民と連帯して闘おう。
(早乙女 優)
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週刊『前進』(2100号4面1)
「復帰31年」 5・15沖縄闘争に総決起を
有事立法粉砕・名護新基地建設阻止、国際連帯闘争へ
革共同沖縄県委員会
米英日帝のイラク侵略戦争下の沖縄情勢
1972年5・15ペテン的「沖縄返還」から31年、沖縄はいかなる状況のもとにあるのか。そして沖縄闘争の課題は何か。
米英帝のイラク侵略戦争は、危機に立つ帝国主義の本質をむきだしにした超古典的ともいえる侵略戦争そのものである。そこには一片の正義も大義もない。イラク・フセイン政権の崩壊や米英軍による軍事占領など、直接の軍事的・戦争的展開がどう推移しようとも、米帝ブッシュの言う「イラク・中東の『民主化』『安定化』」など絶対にありえない。
大企業・大資本の利益と自国の帝国主義的利益のみを追い求め、ただただ軍事力のみにものを言わせた、人を人とも思わない米帝ブッシュのやり方は、イラク・中東・ムスリム人民に、あらためて帝国主義への消しがたい怒りと憎悪を刻印した。反帝民族解放闘争の永続的・極限的な爆発は不可避であり、米帝はベトナム戦争を倍するような泥沼の戦争に引き込まれることになる。
それだけではない。開戦前、決定的な対立と分裂に立ち至った欧州帝国主義―仏独と米帝との関係は、「戦後処理」すなわちイラク・中東の権益・勢力圏の分割・再分割をかけてより激しいものとなってきている。
一方、米英日帝のイラク侵略戦争に対する史上空前の反戦闘争は、その根底にマルクスの『共産党宣言』が呼びかける「万国の労働者、団結せよ!」という階級的・国際主義的な精神をはらんだものとして発展してきている。何よりもイラク人民自身が戦争の惨禍や米軍占領、民族的・宗教的対立・分裂をのりこえて「フセインもいやだが、アメリカはもっといやだ」「イラクのことはイラク人民自身が決める」「米軍はただちにイラクから出ていけ」と、立ち上がっている。この決起に感動しない労働者人民はいない。
イラク侵略戦争は、あらゆる意味で事の「終わり」ではなく「始まり」である。世界的な規模での「戦争と革命の時代」が到来しつつある。21世紀革命の現実性が具体的な姿をとって現れつつある。それと無関係な人はだれひとりとしていない。
31回目の5・15を迎える今日の沖縄を規定している第一の事柄はこのことである。戦争か革命か、米帝ブッシュ世界戦争戦略の最強の軍事拠点化、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)侵略戦争の沖縄戦場化か、それとも沖縄の労働者人民の内側からの決起による反帝国主義・国際連帯―世界革命の砦(とりで)への転化か、二つに一つ。これがいま沖縄の目の前にある道筋である。
今日の沖縄を規定する第二の事柄は、イラク侵略戦争の推移によって日米帝国主義による北朝鮮侵略戦争策動が急激に高まっていることである。
今次イラク侵略戦争に対する在沖米軍の動向の特徴は、米軍がイラク侵略戦争と同時並行的に北朝鮮に対する軍事的制圧行動に全力を挙げたことである。イラク侵略戦争に全力を挙げるために北朝鮮の動きに「備え」て沖縄基地に「待機させる」水準をはるかに超え、むしろイラク侵略戦争と同時一体的あるいは連続的な北朝鮮侵略戦争を露骨に準備したのだ。
日帝・小泉は米帝のイラク侵略戦争に際し、ブッシュと同じ言葉でイラク・フセインを非難するとともに、北朝鮮の「脅威」をデッチあげ、それを口実に日米安保同盟の重要性を強調しながら、いち早くイラク戦争支持を表明した。これは画歴史的なことである。
日帝は、今次イラク侵略戦争がブッシュ・ドクトリンに基づく世界戦争戦略の発動であり、北朝鮮侵略戦争と直結したものであることを自覚しており、自らが米帝と共同=競合しながら主体的・能動的に北朝鮮侵略戦争を担うことを決断したからこそ、ブッシュの戦争を支持したのである。
日帝・小泉は現在、北朝鮮侵略戦争への日本の参戦の絶対的条件である有事立法の今国会成立に全力を挙げている。
小泉は、イラク戦争開始と同時に「在沖米軍基地をテロ攻撃から守る」と称して、300人の警察機動隊を沖縄に派遣した。小泉は、01年9・11反米ゲリラ戦以降、沖縄への観光客が激減し、沖縄経済が大打撃をこうむったことから沖縄の経済界も含めて反発と批判が起きていることを押し切って、この機動隊派遣を強行した。「テロから米軍基地を守る」とは、沖縄県民を威圧し、その反戦・反基地闘争から米軍基地を防衛することである。このこことを県民全部が認識している。機動隊による基地防衛は有事立法の先取りでもある。
反動を食い破る人民決起の新たな胎動
米帝のイラク侵略戦争に対する国際反戦闘争が爆発的に高揚している。この闘いは、人数や規模の大きさにとどまらない歴史的意義をもっている。
ブッシュ・ドクトリン―世界戦争戦略が9・11を帝国主義の側、反革命の側から位置づけ、それに対応した戦略であるのに対して、今日の史上空前の国際反戦闘争は、世界のプロレタリアート人民の側が9・11を受け止め、こたえようとした闘いである。後者には労働者的階級性が強烈に貫かれているのである。
沖縄においても、イラク反戦闘争は広範な新しい人びとによって連日闘いぬかれている。沖縄戦を体験した人はほとんど例外なく、連日空爆にさらされるイラクの人びとに自分自身を重ね合わせ、憂え、そして日米英帝国主義に怒った。県内自治体の議会のほとんどすべてで「イラク戦争反対」の決議が上がった。それだけではない。中学生、高校生、青年たちによって自主的・主体的・創造的な反戦運動が生み出されていった。日帝・稲嶺体制、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)反動体制を食い破る人民決起の新たな胎動が始まっている。
これが今日の沖縄を規定する第三の事柄である。
9・11による世界史の大転換、米帝ブッシュ・ドクトリンとイラク侵略戦争への踏み込み、北朝鮮侵略戦争策動の激化、こうした世界情勢の急展開に加え、日帝・小泉政権の新たな極反動「日米同盟生命線」論による侵略戦争政策は、沖縄の政治・経済・社会全体を根底から揺さぶっている。
1972年「返還」体制=5・15体制は完全に崩れ去り、その弥縫(びほう)策としての1996年SACO路線も崩壊の瀬戸際に立たされている。まず右の側から米帝ブッシュによって、さらには日帝・小泉によって、沖縄の軍事基地化、侵略戦争拠点化がより一層進められている。日帝・小泉は、稲嶺沖縄県知事や岸本名護市長が「15年使用期限問題」にしがみつくなら、右からぶっつぶすか、さもなくば自らの手でそれを反古(ほご)にするしかないところまで来ている。
那覇防衛施設局が今年4月、名護市辺野古沖への新基地建設のための海底地形測量調査を、新基地推進者でもある岸本名護市政と市議会にさえ事前通知することなく強行し、これに対して岸本と市議会が抗議するという事態が起こった。自民党内、体制側からも繰り返し繰り返し「辺野古沖建設不可能論・嘉手納基地への統合案」が出されてくる。こうした事態は、5・15体制、SACO路線が日帝・稲嶺体制もろとも大崩壊の波に洗われていることを示している。
沖縄人民の側から言うならば、「振興策」という名の飴(あめ)が幻想でしかないことが完全に明らかとなり、もはや自分たちの頭の上にのしかかる差別・抑圧体制、5・15体制、日米安保体制を自らの力で空中に吹き飛ばすしかないという自覚をもち、決起するしかない局面に来ているということなのだ。
沖縄における階級闘争は、1995年の決起に対する日帝の巻き返しと大反動の前に苦しい闘いを余儀なくされてきた。その前に既成左翼は完全にたたき伏せられた。現在の沖縄の闘いは、ある意味では、その既成左翼の屈服と崩壊を自らの力で突破し、新しいものを作り出していく苦闘の過程であり、今も大きくはその中にある。しかし、そこを突破していく闘いが力強く前進し始めている。
その中で沖縄における国際連帯の闘いが大きく広がりを示していることは、きわめて重要である。韓国、フィリピン、プエルトリコ、パレスチナの闘いとの連帯・交流に続いて、今次イラク反戦闘争の中でイラクの人びととの交流が生まれ、アメリカの反戦闘争との連帯・交流が始まった。
日帝の差別・抑圧からの解放をめざす沖縄闘争の「復帰運動」以来の歴史的課題が今こうして突破の環をつかもうとしている。
米日帝の北朝鮮侵略戦争に人民総反乱を
03年5・15を迎える現在の沖縄の情勢の特徴をひとことで言い表すならば、帝国主義間争闘戦における存亡をかけた日帝の有事立法―北朝鮮(中国)侵略戦争の攻撃と、自らの全存在をかけた沖縄人民の怒りの総反乱との激突に向かって、一歩一歩情勢が煮つまりつつあるということだ。
米帝の北朝鮮侵略戦争への突進に対して、日帝は帝国主義としての存亡をかけたむきだしの対応をとっている。日帝は自らの戦争としての北朝鮮侵略戦争への突進を突破口として、日米安保と沖縄を決定的てこに(究極的には米帝との激突もはらむ)アジアのブロック化、植民地化に不可逆的に突進し始めているのである。
そうである以上、沖縄人民がアジア人民、中東・ムスリム人民と無関係に存在し続けられることなどありえない。今次イラク侵略戦争体制の一環として米帝と日帝・警察機動隊が「テロからの基地防衛」と称して戦時治安体制をとっていることは、きわめて重大な問題をわれわれに突きつけているのだ。
9・11とは何か。帝国主義者が恐れ、非難する「テロ」とは何か。それは、抑圧され、虐殺され、生きることさえ奪われ続けてきた全世界の被抑圧民族の極限的な闘いであり、われわれにとって全力で受け止めるべき階級的連帯の対象である。帝国主義足下において政治党派が「テロも反対。報復戦争も反対」と言った途端、その党派は帝国主義の「テロ絶滅戦争」を支持する立場に立っているのだ。
イラク侵略戦争がそうであったように、これからの帝国主義によるあらゆる侵略戦争は「テロとの戦い」「テロの絶滅」をふりかざして行われる。帝国主義によるテロ非難イデオロギー、テロ絶滅攻撃を打ち破ることは、けっして不可能ではない。沖縄の先進的な人びとが切り開きつつある国際連帯の闘いがそれを可能にしている。
沖縄闘争再構築かけ労働運動再生させよ
03年5・15にあたって闘いの方針を確認しよう。
第一に、イラク反戦闘争をますます強力に推し進めることである。
「米軍によるイラク解放」なるデマゴギーを粉砕し、闘うイラクの人民と連帯し、「米軍はただちにイラクから出ていけ!」を全人民の声としよう。
第二に、日帝・小泉の有事立法攻撃を何がなんでも粉砕することである。
有事立法攻撃の狙いは日帝の北朝鮮侵略戦争そのものである。沖縄人民の側から言えば、それは百パーセント「第2の沖縄戦」の中に投げ込まれることを意味する。
われわれは、有事立法粉砕の闘いを@沖縄と朝鮮・中国・アジア人民との連帯をかけ、A沖縄戦の体験を根源とする沖縄人民の(帝国主義)戦争に対する根底的な怒りを解き放つ闘いとして、B既成左翼の屈服と崩壊をのりこえ、沖縄闘争を再構築する闘いとして、C「日米安保同盟生命線」論をふりかざし、有事立法と侵略戦争に日帝の存亡をかける小泉の息の根を止め、内乱にひきずり込む闘いとして、沖縄から決戦勝利の火の手を上げていかなければならない。
第三に、普天間基地の名護移設・辺野古新基地建設を絶対阻止する闘いを、当面する沖縄闘争の最も基軸的な闘いとして全力を傾けなければならない。
SACO路線は全面崩壊の危機にある。闘う辺野古・東海岸住民と連帯し、海底ボーリング調査を粉砕せよ!
第四に、沖縄闘争の最重要基軸として、沖縄労働運動の階級的・戦闘的再生を実現することである。
今次イラク侵略戦争に対する帝国主義各国の反戦闘争は、何十万、何百万という空前の高揚となった。それらに共通していることは、「逆流に抗して」戦闘的・階級的労働運動を堅持してきた労働者たちが主軸を担ったことによって初めて巨万の「市民」の決起が実現されたということだ。
それはけっして逆ではない。「労働運動が前面に出るから市民的広がりができない」のではない。資本や権力の手先となって有事立法や首切り・賃下げの攻撃に次々と屈服し賛成する連合指導部が音頭をとるような運動には、だれも見向きもしないのだ。
復帰運動は、沖縄教職員組合(教育労働者)と全軍労(基地労働者)という階級的柱が立つことによって全人民的な決起となったのである。あの歴史的な闘争を引き継ぎ、のりこえる闘いこそが求められているのだ。
第五に、既成左翼にとって代わる真の労働者党、前衛党を建設することである。「闘うアジア人民・ムスリム人民と連帯し、日米帝国主義の侵略戦争を内乱に転化せよ」「5・15体制粉砕=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「沖縄を侵略の島から国際連帯と世界革命の砦へ」――この勝利の綱領・路線のもと、すべての沖縄人民は革共同に結集し、ともに闘おう!
5・17を軸とする03年5・15闘争に決起しよう。
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週刊『前進』(2100号4面2)
『有事法制は、怖い』−−沖縄戦が語るその実態
「沖縄戦から学べ」と警鐘 大田昌秀著 琉球新報社 1905円+税
体験者として
サブタイトルに「沖縄戦が語るその実態」とあるように、今日国会で審議されている有事立法を、沖縄戦の体験者として絶対に通すわけにはいかないという強い使命感をもって書かれた本である。
本書の冒頭に、大田氏は昨年6月23日「慰霊の日」式典会場での北中城村議・宮城盛光氏の決起を描写している。「献花のために立ち上がった小泉純一郎首相に対し、一人の男性が団扇(うちわ)をかざして立ち上がり、抗議の怒声を上げた。『有事法案絶対反対』『小泉は帰れ!』。戦争で祖母と叔母を亡くしたという彼は、満身の怒りを込めて抗議行動に出たのである。……戦争で癒(いや)すことのできない傷を負った上、自らの意に反し、過重な基地負担を強いられている沖縄の人々のこれが偽りない気持ちである」(以下、引用はいずれも本書より)
この6・23決起に込められた沖縄人民の怒りを共有して、大田氏は有事立法を告発しているのである。
沖縄戦の地獄
元沖縄県知事・現参院議員の大田昌秀氏の原点は、自身が死線をかいくぐって生きぬいた沖縄戦にある。当時19歳で沖縄師範学校在学中に「鉄血勤皇隊」に組織されて沖縄戦に動員された著者は、いくどとなく戦場での極限状況の「地獄」を体験した。飢え、略奪、殺し合いなどあらゆる残虐を体験し、見聞した。
その大田氏が、今の日本が再び「戦争のできる国」そして「戦争をする国」に急転換しているのではないか、という危機感に突き動かされて執筆したのがこの本である。今、「治にあって乱を忘れず」とか「備えあれば憂いなし」などの標語とともに、推し進められている有事立法に対して、「沖縄戦で被った癒しようもない心の傷が、血を噴き出すかのように疼(うず)く」と、反対している。
有事立法が何をもたらすかは沖縄戦の歴史が示している。有事立法の道は沖縄戦の再現の道である。――このことをもう一度ふりかえってほしいと訴えているのである。
大田氏がさまざまの著書の中で繰り返し指摘してきた沖縄戦の教訓は、「軍隊は民衆を守らない」ということである。それこそが沖縄戦の真実であり、実相である。
そうした思いから、「わたしは本書で、そのことを沖縄戦で実際に起こったいくつかの具体的な事例を通して検証し、強い危機感を以(もっ)て有事法制の危険さと怖さについて明らかにしたい」としている。
軍民両立せず
沖縄戦当時、沖縄守備軍の参謀長だった長勇は、「県民の軍作戦の協力の重点は食糧の確保である」と言った上で、「敵が上陸し、戦いが激しくなれば、増産も輸送も完封され、県民の生命は食糧難によって脅かされる。その時、一般県民が餓死するから食糧をくれといったって、軍は、これに応ずるわけにはいかぬ。軍は、戦争に勝つ重大任務の遂行こそが使命であって、県民の生活を救うがために、負けることは許されるべきものではない」と県民を恫喝した。
つまり、戦闘が始まる前から「県民の生活を救うこと」と「軍の作戦の遂行」とは相反する、両立しないことが想定されていたのだ。
「『有事』事態に突入する前の段階から町や村の人々の暮らしは、守備軍将兵に生活用品を供出するために明け暮れるようになった。有事に向けて文字どおりの『滅私奉公』の生活を余儀なくされたわけである」。したがって、実際に米軍が上陸した後は、「一般住民はいかなる意味でも守護の対象ではなく、守備軍と運命を共にする共死の存在でしかなかった」。
また、政府が「自衛隊が有事に超法規的にならずに活動できるようにする」と説明するのに対して、大田氏は、いくら法制を整備しても、超法規的にことが進められるのが戦場だということを強調している。「地上戦のような『有事』事態に、行政がまともに機能するとは到底思えない」。沖縄戦の戦場では、軍による戒厳令的支配が圧倒的で、法的手続きなどは何ひとつなかったのである。
戦後も「有事」
また、大田氏の強調点はもうひとつ、沖縄がこうむった悲劇は、沖縄戦のみならず、戦後においても米軍政下で、さらには本土復帰後さえも続いているということである。「駐留軍用地特別措置法」によって人権、財産権が奪われていることは、軍事が人間の生活より上位にあるということである。一貫して沖縄は「有事体制下」に置かれ続けているのである。
率直に言って、大田氏は正面から日米安保と日米帝の北朝鮮侵略戦争策動、日米帝国主義と対決していない。イラク侵略戦争の中で米帝は北朝鮮侵略戦争を準備し、日帝は有事立法の強行でこれに対応し、共同的=競合的に参戦しようとしている。日米帝は、北朝鮮(中国)侵略戦争を日米安保と周辺事態法、有事立法の発動として行う。日米安保はあくまで粉砕する以外にないし、帝国主義を打倒しなければ戦争の根本原因を取り除くことはできない。しかし、それらの点を確認するためにも、沖縄戦と有事立法という観点で徹底的に学びとることが求められている。本書からその点で実に多くのことを学ぶことができる。
(高田隆志)
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週刊『前進』(2100号4面3)
20労組など国会闘争 “有事法制 絶対廃案に” 5・23大集会(明治公園)を提起
4月18日の衆議院有事法制特別委員会の審議入りに対して、陸・海・空・港湾労組20団体と宗教者、市民団体などが連日国会闘争を闘っている。22日には、20労組が中心になって200人以上が集まって大きな集会を開いた。
集会は衆議院第2議員会館前で正午に始まり、司会を航空労組連絡会の村中哲也副議長が務めた。開会のあいさつを全日本海員組合が行い、「21世紀、われわれの子どもに禍根を残すような有事法制を何としても廃案に」と訴えた。
その後、憲法と人権の日弁連をめざす会の高山俊吉さんが、「弁護士は絶対に戦争を許さない闘いの先頭に立つことを決意してきた。5月23日は日弁連の定期総会。その前日に全国の弁護士が有事立法阻止の集会を開く。5・23明治公園での大集会に、その力でもって結集します」と力強く決意を表明した。
平和をつくり出す宗教者ネット、市民緊急行動の発言に続いて、全国港湾が、「有事法制、戦争で労働者がどうなるのか、イラク戦争で感じた三つの事実から明らかにしたい」と述べ、「3月20日の最初の攻撃目標は、イラクの港湾ウムカスルだった。そこで港湾労働者が亡くなった。アメリカでは4千人の労働者が戦争協力をさせられている。その10%が死傷したと言われる。ウムカスル港にアメリカの港湾運送会社が進出しようとしている。これに反対したアメリカ・オークランドの港湾労働者のデモに、アメリカの警官は模擬弾を発射して、多くの労働者を傷つけ弾圧した」と、アメリカの港湾労働者の決死的なイラク反戦決起を紹介し、有事立法絶対反対の決意を述べた。
全運輸は、「有事立法は、戦前の国家総動員法にならぶ悪法。絶対にたたきつぶす」と発言した。
川崎市職労港湾支部は、「有事法制は絶対に廃案しかない」と述べ、「全国の港湾でテロ対策と言って、有事対策が進行している。有事法制が朝鮮に向けた侵略攻撃ならば、在日朝鮮人は敵国の人と規定される危険がある。職場では、在日の仲間と学習会を開き、共闘を始めている」と紹介。
全気象は、「第2次大戦では、気象庁の労働者は暗号通信で仕事をした。沖縄戦では塹壕(ざんごう)を転々としながら、最終的には全滅した。気象労働者は絶対に戦争のために仕事はしない」と、有事法制反対の決意を明らかにした。
日航機長組合は、「有事法制では、今までの『協力』から『責務』になっている。機長の権限も無視される。戦争に加担することは、いのちと安全を無視すること。有事法制廃案までがんばる」と発言した。
全国港湾の代表の発声でシュプレヒコールを行った。最後に村中副議長が今後の行動方針を提起した。
5月23日の明治公園での大集会を中心に、20日大阪など全国で大集会を予定しているとし、結集を訴えた。
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週刊『前進』(2100号4面4)
4月16日〜22日
米政府が小型核開発を計画 空自がクラスター爆弾配備
●国連人権委が北朝鮮非難決議を採択 国連人権委員会が、北朝鮮の人権状況を非難し、日本人などの拉致問題の解決を求める決議を賛成28、反対10、棄権14で採択した。欧州連合(EU)が提出、日本や米国が共同提案国になった。人権委員会で北朝鮮非難決議が採択されたのは初めて。(16日)
●空自がクラスター爆弾を配備 イラク侵略戦争で米軍が使用し「第2の対人地雷」などと問題となっているクラスター爆弾(集束爆弾)を航空自衛隊が87〜02年にかけて148億円分を購入、各基地に配備していることが分かった。この間、防衛庁は国会に提出する予算書に明示していなかった。(17日)
●米、北朝鮮に核完全放棄要求へ 米政府は、寧辺の黒鉛炉など北朝鮮の核施設すべての即時解体と高濃縮ウラン計画の完全放棄を迫る方針を固めた。建設中の軽水炉計画も見直す方針。(17日)
●米支援室に要員3人程度派遣 政府は、米国のイラク復興人道支援室(ORHA)に、外務省など政府職員ら3人程度を派遣する方針を固めた。(17日)
●自由党が有事法案の対案提出 自由党が、政府の有事3法案の対案として、安全保障基本法案と非常事態対処基本法案を国会に提出した。(17日)
●「核放棄でも見返りなし」 ラムズフェルド米国防長官が、北朝鮮の核開発問題をめぐる米朝中3カ国の高官協議に絡み、北朝鮮が核開発を放棄しても米国が何らかの見返りを与える用意はないと語った。(17日)
●JCO核燃事業の再開断念 茨城県東海村で臨界事故を起こしたJCOについて、親会社の住友金属鉱山が、核燃料加工事業の再開を断念したと発表した。(18日)
●基盤的防衛力構想見直しへ
防衛庁は、現在の防衛大綱の基本的考え方となっている「基盤的防衛力構想」を抜本的に見直す方針を固めた。従来の「独立国として必要最小限の基盤的な防衛力を保有する」という考え方を転換し、「新たな脅威に対抗する」ことを構想の柱にすえる。(19日)
●米政府、小型核開発を議会に提案 93年以来禁じられている爆発力5`トン以下の核兵器を開発するため、ブッシュ政権が04年度国防予算案に、小型核の研究・開発を禁じた「ファースト・スプラット条項」の廃止を盛り込むよう議会側に提案、開発費用の計上も要請していることが分かった。(19日)
●市民の犠牲1000人以上 イラクの首都バグダッドの主要6病院で、3月20日の開戦から4月10日までの間に爆撃や戦闘に巻き込まれて死亡した民間人の数が約1千人、けが人の数も約6千人となることが明らかになった。行方不明や現場での即死も多いため、全国での民間人の犠牲はさらに多いとみられる。(20日)
●イラク4基地、米軍長期使用 米政府がフセイン政権後のイラク新政権との間で、イラク国内の4基地の長期使用などを含む軍事関係を結ぶことを検討していると、米ニューヨーク・タイムズ紙が報じた(20日)。ラムズフェルドは21日の記者会見で報道を否定。
●経済同友会「9条見直し」提言 経済同友会が「日本国憲法の改正が必要」とする提言をまとめた。9条見直しのほかに前文、国民の権利・義務などを含めた包括的な改正を求める提言は経済団体で初めて。(21日)
●自衛官募集に住基情報 防衛庁が自衛官などの募集に使うため、満18歳を迎える適齢者の情報を住民基本台帳から抽出して提供するよう全国各地の自治体に37年間にわたって要請し、多数の自治体が応じていたことが分かった。一部の自治体は、家庭環境が推測される情報を提供。「健康情報」などプライバシー性の高い「センシティブ情報」を提供していた例もあった。(22日)
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週刊『前進』(2100号5面1)
JR総連カクマル松崎打倒へ今こそ階級的総決起かちとれ
政治党派として死滅する中央派
仲山 良介
米英日帝国主義は、圧倒的な軍事力をもってイラクに襲いかかり、イラクという一つの国家を踏みつぶし、抹殺した。米帝がイラクで始めたことは、中東と湾岸のアラブ・イスラムの諸国家を文字どおりことごとく粉砕し、世界地図を帝国主義的に書き換えるということだ。これこそは、一握りの巨大資本・金融的独占体の利害のために、どんなことでもやり、全世界を戦争の地獄の中に引きずり込んでいく存在である現代の帝国主義が開始した世界再々分割戦である。全世界で闘われた反戦闘争は、米帝のバグダッド軍事占領によって終止符が打たれるようなものではけっしてない。イラク人民の民族解放の闘いもこれから本格的に爆発する。われわれは、今からおよそ百年前、20世紀の冒頭にレーニンが直面した課題と本質的に同じ課題に本格的に挑戦すべき時を迎えている。レーニンの「帝国主義戦争を内乱へ」が、まさに螺旋(らせん)的に現代のわれわれに問いかけられているのだ。この数カ月の間に、全世界の何千万という人民がこのことの一挙的自覚につながるような大行動にくりかえし決起したことは決定的な意味がある。帝国主義を打倒する主体としての労働者階級と被抑圧民族人民が国際的に巨大な隊列を形成して登場しつつあるのだ。反帝・反スターリン主義世界革命を掲げる革共同の存在と役割は、全情勢の成否を決定するものとしていよいよ重大である。この責務をしっかりと引き受けて前進しよう。こうした情勢下で、カクマルとの闘いの意義はますます重要である。
イラク反戦闘争爆発で歴史的な大動揺と破産
カクマル反革命(カクマル中央派)は、この情勢の中で根底から動揺し、破綻(はたん)を深め、党派としての政治的死滅の様相をいよいよ強めている。まずこの点を確認しよう。
カクマルは、米帝が軍事的に世界を支配しようとしている、パックスアメリカーナの時代だとわめいたかとおもうと、次には、ブッシュは政治的に孤立化しているとウルトラに強調する。フセインが全人民の支持を受けてすばらしい抵抗戦を行っているかのように描いたかとおもえば、その次の号では、米帝ブッシュの勝利をおう歌するというように、極端にブレの大きい混乱した主張を行っている。カクマルには、一貫した現代世界の把握とそれにもとづく人民への行動提起、実践的な路線方針の提起は薬にしたくとももはやないのである。
カクマルのイラク反戦闘争論における最大の問題は、侵略戦争に突入した米帝とその最大の支持者としてみずから参戦国となった日帝にたいして、帝国主義国の労働者階級として階級的主体的に立ち向かう立場の完全放棄を表明したということにある。もはや引き返せないものとして帝国主義が世界戦争の過程に突入したという情勢――したがって、革命情勢への急速な移行期でもある――のただ中で、レーニン主義的な革命的祖国敗北主義=自国帝国主義打倒の立場の今日的復権がなによりも重要となっているときに、カクマルは、その完全な敵対者として自覚的に開き直った。これが最大の問題である。
カクマルが、この過程で唯一のセールスポイントとして打ち出したのは、「イスラミック・インター ナショナル」論である。
カクマルの「イスラミック・インター
ナショナル」というのは、要するに、イスラム諸国の権力者と人民がイスラム的論理で反米・嫌米の抵抗をおこなって米帝を困らせて欲しい、現代世界においては、とりわけ「先進国」の階級闘争が死滅しているので、そこにしか救いの道はない、というものである。これは、どう見ても帝国主義国人民としての闘うイスラム人民との階級的連帯論ではない。カクマルの議論にはおよそそういう問題意識の片鱗(へんりん)すらもない。カクマルは、日本の階級闘争の主体として70年の7・7自己批判を共有するどころか、それに完全に敵対してきた存在である。そのかれらに、闘うイスラム人民との連帯論がまじめなものとして提起できるわけがないのである。
もちろんだが、イスラム人民の民族解放・革命戦争の革命的展開のための論理がそこにあるわけでもない。カクマルの議論から伺えるのは、せいぜい、反米ジハードを繰り広げているムスリムたちを、黒田理論によってイスラームの思想的呪縛(じゅばく)から解放することができるはずだというムード的願望だけである。笑わせるなと言いたい。黒田理論のどこに、宗教的イデオロギー的呪縛からの「解放」があるというのか? 黒田自身が、日本主義への回帰を示して転向しはてた存在ではないのか。このような黒田理論で、どうしてイスラム人民を宗教的呪縛から解放できるのか。
カクマルは、ヨーロッパ諸国の反戦闘争が巨大なスケールで高揚していることに対しても、ヨーロッパの権力者の「反米決起」と同じレベルにおいてこれをとらえた。労働者階級人民の決起はせいぜい自国の権力者に反米を強制する圧力としてしかとらえられなかった。カクマルにとっては、労働者階級人民が、帝国主義に対決して巨万のスケールで階級的に決起することなどあってはならないことであり、もしあるとすればそれは階級闘争ではなく反米的民族意識によって説明されるものでしかないのだ。カクマルにとっては、80年代〜90年代は、階級的なものが一切息の根を止められた世界であり、階級闘争が死滅した世界としての「冬の時代」「氷河期」でなければならなかったのだ。そうしたイデオロギーをもってカクマルは、日本階級闘争において、戦後労働運動の右からの解体攻撃の先兵となった。総評解体―国鉄分割・民営化攻撃において日帝国家権力と帝国主義ブルジョアジーのパートナーとなった。この歴史的大裏切りを合理化するためには、そもそも前提として、階級闘争は80年代冒頭には死滅していたという「理論」が必要なのだ。
カクマルは、ヨーロッパ左翼はすでに死滅しているはずだ、したがって巨万の反戦決起や階級的決起が起こるはずはないと言うのである。
カクマルのアメリカ反戦闘争に対する態度も基本的にはこれと同じである。わが全学連のアメリカでの奮闘に大打撃をうけたカクマルは、死の沈黙を続けたのち、アリバイづくりのためにアメリカまで出かけた。だがそこでは、ただ他人の闘争にケチをつけるだけのカクマルの本性はあっという間に見抜かれてしまった。ここでも、あの日本の国鉄分割・民営化攻撃の先兵となったカクマルという認識が、どうにもごまかしようのない敵と味方の境界線として引かれているのだ。カクマルは、アメリカではANSWERに必死ですり寄ったのだが、帰ってくるなり、ANSWERは民主党に幻想をもっているとか、階級的でないなどの、ためにするケチつけに大忙しである。カクマルのアメリカ派遣行動は完全に政治的に破産したのである。生きた国際階級闘争の中では、カクマルの出る幕などないのだ。
黒田「文明の衝突」論はマルクス主義なのか?!
カクマルの綱領的路線的な破綻の最大の表現は、米帝のイラク攻撃とそれにたいするイスラム人民の反撃を「文明間の衝突」と規定したことに示されている。
カクマルは、03年『解放』新年号において、「ハンチントンとは違う意味だが、これは文明間の衝突以外の何ものでもない」と言った。たしかに米帝ブッシュは、キリスト教原理主義的に反イスラムをあおり立てている。また、イスラム諸国の人民はジハードの論理で米帝に対抗している現実がある。だがそれによって、この戦争の本質が「キリスト教対イスラムの文明間戦争」となるわけではない。
カクマルが、否定し覆い隠したいのは、この戦争が帝国主義の侵略戦争であるということ、最大の帝国主義である米帝が帝国主義的世界再分割戦(帝国主義間争闘戦)として中東アラブ世界全体を全面的に再制圧しようとしているということである。米帝の戦争衝動を根源で突き動かしているのはけっして宗教的理由ではなく、石油の独占的支配(その再確立)とパレスチナ解放闘争の全面的制圧(イスラエルの国家的延命)、そして「反米テロ」(極限的特殊的な形態での民族解放戦争)を制圧するための米帝の完全なヘゲモニーによる中東新植民地支配体制の全面的な再確立である。重要なことは、米帝がそれを、帝国主義間争闘戦として展開しているということだ。米英とフランス、ドイツ、ロシアとの対立は、まさにこの戦争の根底にあるのが帝国主義的権益の問題であるということをつきだした。したがって、この戦争は、これだけでは完結しないのであり、全面的な世界秩序の暴力的再編(帝国主義世界戦争)にまで突き進んでいくのである。
この文明間の衝突論は、黒田の一貫した主張である。黒田は「ナショナリズムの相互衝突論」を、80年代の冒頭(イラン革命の直後)から展開している。これまでは、それは文明間の衝突論とは違うかのようにごまかしてきたが、実ははじめからそうだったのである。今や、「これを文明間の衝突といわずして何というか」とあえて強調的に確認するようになった。そして、こういう立場に立つことこそが、「黒田によるマルクス主義のルネッサンスだ」と押し出されるようになったのである。カクマルという党派が、ここにきて階級的なものとの完全な決別を遂げてでも黒田の党(黒田カルト)として延命するしかないという歴史的選択をしたということをこれは示している。「文明間の衝突論」の立場に立ったということは、綱領的路線的にひとつの分水嶺(ぶんすいれい)を越えて、階級的な「母斑(ぼはん)」すらも投げ捨てるということを意味するのだ。
松崎問題に言及できない「40周年集会」
カクマル(中央派)は、3月に特別に行った「政治集会」(カクマル結成40周年と称する)において、JR総連松崎との分裂問題にまったく言及することができなかった。
われわれから、カクマル新議長の植田琢磨はどうしたと追及されることにたえきれなくなって、この政治集会で植田が登場してあいさつを行ったのだが、植田はJR総連問題にまったく言及できない。
植田は、自分で世間に向かって宣言した、JR総連打倒という言辞のけじめをどのようにつけるのか。坂入を拉致監禁してインチキな自己批判書を書かせたことによって、JR総連松崎との関係は「解決」したとでもいうのか。JR総連松崎は、カクマルとの関係を回復したのか? カクマルに対する罵倒を自己批判したりひっこめたりしたのか? 松崎がカクマルを権力に告訴したことのけじめはどのようについたのか? 植田は、こうしたことに関して何一つ語れないのである。もちろん、植田だけではない。朝倉も、またピエロ的に登場した森茂も、松崎問題を口にすることもできない。96年の黒田辞任の政治集会で、「カクマルの労働者的本質は松崎その人の存在にある」という発言をして松崎にむかって自己批判させられていた朝倉は、今回は、「40年前の革共同からの逃亡のときの黒田の心境に思いをはせよ」と語るのがやっとであった。
たしかに、カクマル中央派とJR総連カクマル松崎派が、坂入拉致問題から逃れるために、一種の手打ちを行ったのは事実である。01年夏〜02年春頃に、両者は、「告訴取り下げ」と「釈放」で両者それぞれにとっての爆弾の信管を取り去った。松崎は、数億円の金をカクマルに支払い、カクマルは、松崎がカクマル中枢を告訴したことを不問にすることで「合意」したとも言われる。だが、問題は何ひとつ「解決」していない。松崎は、これまで以上に公然とカクマル中央派を罵倒している。カクマルと分裂したJR総連松崎の存在は、それ自体がカクマルの歴史的破産の証明なのである。
それなのに、カクマル政治集会では、松崎に関して一言も言及しないで、あらためて組織現実論の重要性なるものが押し出された。だが実は、その前提としての黒田の哲学的営為(黒田の精神、黒田の悔しさなどなど)を受けとめよというものとしてのみ強調されたのである。それこそは、松崎との分裂によってカクマルが党組織としては本質的に破綻しきっていることの自認である。総じて、カクマルの03年3月の緊急政治集会は、カクマルとは黒田の哲学から生まれた集団であり、それ以外ではありえないということが、ただひたすら内容抜きで確認されただけなのだ。そこで飛び交った言葉のなかで一番重要なのは「創始者黒田」という言葉なのである。イラク反戦闘争でさらけだした歴史的大破産は、カクマルの党派としての政治的死を大きく促進するであろう。
JR総連カクマルが松崎への反発で分裂
JR総連カクマル松崎派は、01年から02年にかけてやっとのことで坂入問題を一段落させたが、それと同時に、JR総連カクマルとしての新たな組織分裂に突入した。具体的には、動労カクマル以来のカクマル本体の中で新潟グループとの全面的な組織分裂に入ったのである。
このプロセスは、02年の前半期に進行し、後半期には社会的に公然たる現実となった。直接の発端は、JR東会社の東京支社業務担当課長として阿部真喜雄という人物が人事発令されたことである(02年2月)。この阿部真喜雄は、95年にJR総連を分裂させようとした陰謀会議(9・15マロードイン大宮会議と呼ばれる)に会社側から加わった人物であった。この人事はJR総連の本部もJR東労組もまた東京地本も基本的には容認していた。松崎ひとりが「阿部真喜雄を許さない」とわめいたが、誰からも無視された。松崎は、自己の存亡をかけて巻き返しに出た。東京地本の石川委員長を辞任させ(02年4月)、これと相打ちで阿部真喜雄の解任を要求したのである。また、松崎自身が、脅しの意味で東労組の顧問を辞任した(02年7月東労組第18回大会)。そして、そのときの慰労会の席で、「組織が半分になることも覚悟し、順法闘争で闘おう」と発言した。こうしたなかで、東労組副委員長の嶋田(次期委員長候補)や東労組組織研修局長阿部克幸らによる松崎批判が行われた。これには、東労組の権力問題が絡んでいた。松崎は、「本部内に松崎派をつくる」と宣言し、嶋田と阿部を役職から解任しようとした(7月)。
松崎は、東京、大宮、横浜、八王子の各地本と本部部会連絡会協議会という組織の顧問に勝手に就任する。9月になって、会社は、松崎に妥協し、阿部真喜雄を業務担当課長から解任(9・1)。松崎は、これをうけて新潟グループの全面的排除に出る。JR総連企画部長(新潟派とされる)の執行権停止。そしてJR東労組の中央執行委員(新潟グループ)の7人が辞表を提出、受理された(02年11・3)。
03年に入って、この松崎忠誠派と新潟グループ(嶋田・阿部一派)の対立はもはや解決不可能の組織横断的抗争として最後までいきつくしかないことが確定的となった。東労組の新潟地本と長野地本は、公式に松崎の独断専制に抵抗を表明している。青年部でも新潟派排除・松崎専制体制支持での意思統一ができないという事態が続いている。千葉地本では、2月の定期委に東労組本部が乗り込み、小林克也千葉地本委員長とののしり合う事態になっている。松崎派は、全体を掌握しきれないのである。
東労組とJR総連中央の人事としては松崎派が権力抗争にひとまず勝利したが、しかし、混乱は収まるのではなく、ますます深刻化している。なぜなら、この分裂抗争の本質は、どっちが会社のための労務支配において役に立つかをめぐる対立であるからだ。松崎一派は、もっぱら会社経営陣が自分たちの方を支持しているということによって組合員を説得しようとしている。しかし会社資本は、(大塚体制といえども)松崎一派を従来のようには頼みにしていないのである。松崎は、したがって、無力と知りつつ、これまでとってきた「伝統的」方法に訴えるしかない。それは、脅しであり泣き落としであり、「労使協調ではない対等な労使協力関係」という理論で、国鉄改革の功労者としての自分の価値を認めろと哀願することである。松崎一派のこのような態度は、組合員大衆を獲得できるものではない。また会社の力をかさに着て労働者を脅す効果もない。カクマルと分裂し、カクマルから切れてまで当局への忠誠を誓った松崎が態度を豹変(ひょうへん)させて脅しに出たとしてもその効果は知れているのだ。この抗争の本質をよく示しているのは両者の間の次のような論争である。
松崎の、「組織が半分になることも覚悟し、順法闘争で闘おう」にたいして、新潟派の阿部や嶋田は、「順法闘争など不可能だ。もしやれば組織は半減ではなく壊滅する」と吐き捨てるように批判した。それにたいして松崎派は、「松崎顧問が本気で順法をやると言ったかのようにゆがめている」と反論したというのだ。つまり、本気でやるとは言っていない、ただ脅しとして言ったまでだ、その真意を理解しないどころかわざとゆがめてしまう新潟派は、実際には松崎その人を排除したがっている、と松崎派は主張する。脅しにすぎない「順法」を本気と言い触らしたことが罪なのだ。「創始者であり、偉大な指導者であり、重鎮である松崎顧問」などという表現の文書が出回っているが、松崎の権威など実はすでにどこにも存在しないのである。
しかもこのJR総連組織内分裂抗争の最中に、権力が東労組の役員を含む松崎派カクマルの幹部ら7人を組合員に対する退職脱退強要などの容疑で逮捕した(02年11・1)。これは、松崎カクマル一派の組合内白色テロ支配の実態を暴き出し、その労働者支配の力をそぐという意味をももっている。だが、権力の動きの意味としてより一層重要なのは、JR東会社の経営に対する松崎の支配介入を粉砕しようとしていることである。
松崎は、02年の9・10の講演(「完全民営化実現! 切り柘いた創始者、大いに語る」)で、大塚社長が自分にわびを入れたと得意げに吹聴した。これは、会社にとってはもちろん、権力にとっても許せないことであった。完全民営化したJR東において、依然としてこのような松崎の支配介入がまかり通っているということ自体が異様なことであり、帝国主義支配階級としては容認できないことなのである。したがって、権力は、大塚体制への恫喝としても権力による介入を行い、松崎という存在の「総括」にのりだしているといえる。この事態は、JR総連松崎がカクマルと分裂してまで、権力および会社資本(JR東会社)とのあらたな癒着関係を形成し、必死で次の延命体制(完全民営化に対応する結託体制)を構築しようとしたが、権力にとってはその選択肢はもはやないということを意味している。松崎の「権威」のすべては権力・会社との結託にその源泉があった。今や、分割・民営化以来の松崎カクマルの労働者支配が根底から崩れはじめたのである。
松崎は、「15年間の総括」といい、「国鉄改革の原点にかえって、労使の対等な協力関係を形成しなおす」「汗と血を流したものが報われるように」などと言っている。松崎が、こうした泣き言を言っている背景には、まさに、帝国主義の歴史的危機が決定的に深まり、帝国主義世界経済の破綻的危機のなかで、「9・11」がたたきつけられ、その中で、米帝を先頭にした世界戦争情勢が爆発しはじめたということがある。つまり、平時では考えられないような階級的な大激突が開始されたのである。それは、革命情勢への移行期と規定すべき大激動の開始を意味する。
JR東会社は15年のプロセスを経て昨年、「完全民営化」したが、しかし、この分割・民営化過程の「血が流れた」階級的攻防の結果、労働組合的(労務政策的)にはいまだに「完全民営化」の名にふさわしい体制は確立されていない。JR総連の単独支配などはとっくに破綻している。それどころか、動労千葉を先頭に、強靱(きょうじん)な階級的な闘いが連綿と継続し、それによって国労本体も闘争団を切りすてて全面屈服することなどできない状態がつくり出されてきたのである。闘う闘争団を軸とする国労の戦闘的労働者は、本部の屈服・裏切りと闘い抜きながら、動労千葉と合流し、ついに、4党合意による政治解決という悪辣(あくらつ)な国鉄闘争圧殺策動を破綻に追い込んだ。国鉄闘争をめぐる攻防をとおして、今や完全に新しい階級的労働運動の発展の突破口が切り開かれつつあるのだ。昨年の5・27国労臨時大会闘争への大弾圧にたいする反撃は、その結集軸となっている。
こうした事態は、JRの「完全民営化達成」のなかで強行されてくる新たなリストラ・大合理化攻撃、有事立法下での戦争動員攻撃にたいしてJR労働者の下からの怒りが階級的に燃え上がる恐怖を権力と会社資本に突き付けている。松崎は、カクマルとは切れましたから今後もよろしくなどと言って必死で自分の存在を売り込もうとしたが、しかし、権力にとっても、また会社資本にとっても松崎のような存在に依存してやっていけるような情勢ではないのである。ここから、松崎を事実上排除して会社との関係を構築しようとする新潟グループが必然的に生まれてきたのである。この連中は、カクマル中央派との分裂決別の延長で松崎その人を完全に棚上げして会社との関係を形成することを夢想した。会社側もこうした流れに乗って動いた。今起きている事態にはこれだけの背景がある。重要なことは、労働者自身の手で、日本労働運動の最悪の裏切り者松崎を階級的に「総括」すること、そして、今こそ真に階級的な労働運動の柱を立てることである。
ファシスト的ペテン
JR総連松崎一派は、「当たり前の労働運動」とか「ヒューマニズムの立場」などといって、労働者をだまそうとしている。ここで、JR総連が、今、「反グローバリズム労働運動」などと言っていることのファシスト的ペテン性について確認しておきたい。
JR総連は、昨年「テロと報復戦争に反対する国際共同アピール」なるものを出した。これは、9・11に根底的な衝撃をうけた松崎が、浅はかな知恵をしぼって、「テロと報復戦争に反対」という態度をうちだすことによって、帝国主義の先兵(侵略戦争の先兵)であることを隠ぺいしつつ、「テロの温床を根絶する活動」にのりだそうとしたものである。
このアピールは、まず(1)として「労働組合員を含む多くの人命を無差別に奪うテロおよびテロへの報復を掲げた戦争に反対する」となっている。まず「テロへの反対」が軸になっているのである。(2)の「テロや戦争によって生命・生活を脅かされ、苦しんでいる人々を支援する」も、「テロや戦争」として、帝国主義とそれに立ち向かうものが同列におかれている。したがって、帝国主義と闘う立場の表明でもなければ、被抑圧民族人民の闘いを支援するというのでもない。
(3)では、「雇用と地域社会と自然を破壊し、貧困と抑圧をもたらし、憎悪と暴力とテロの温床を生む国境を越えた利潤追求活動に反対する」となっている。ここでは、一歩踏み込んだことが言われているが、「憎悪と暴力とテロの温床」が問題とされている。だがこの三つはどれも、被抑圧民族人民の解放闘争に対する帝国主義者の憎悪にみちたレッテル張りと同じ思想だ。これは帝国主義のイデオロギーそのものである。これは、問題の「根源」をえぐり出したものではなく、根源を覆い隠すものなのである。したがって、次の、この温床を生むものとしての「国境を越えた利潤追求活動に反対する」と言う実践的方針も、多国籍企業や巨大資本のグローバルな経済活動に対する階級的反対論のようであるが、実はここには、労働者階級としての階級的な国際的連帯の精神も論理もない。ただ、帝国主義国の金持ち労働組合が、貧困の救済のためのチャリティーをやるという方針が打ち出されているだけだ。これはおぞましい論理である。帝国主義の侵略や搾取、民族抑圧にたいして帝国主義国の労働者として階級的責務の立場で闘うことや、米帝の侵略戦争と虐殺に屈することなく立ち上がっている被抑圧民族人民の闘いに対する労働者としての共感と連帯の精神がかけらもない。要するに、JR総連松崎は、帝国主義との闘い、帝国主義批判から徹頭徹尾逃げ回ることを目的にこのような宣言を発しているのだ。JR総連こそは、帝国主義の先兵であり、もっとも悪質な産業報国会運動の担い手である。(民営化攻撃の先兵であるJR総連がさもさものように「国境を越えた利潤追求の活動に反対」などというこの偽善!)
JR総連は、具体的には金に物をいわせて、「子ども平和基金」なるものをつくり、いろいろなNGOに資金援助をおこなって「テロの温床を根絶する活動」を行っている。これをもって、JR総連は、ヒューマニズムを根源とし、平和と自然保護のための、そして人の心から憎悪をとりのぞくための反グローバリズムの労働運動をやっていると宣伝しようとしているのである。これは、とんでもなくねじ曲がった反階級的反労働者的なイデオロギー、帝国主義のイデオロギーである。これこそは、最後は、帝国主義国の平和のためには侵略戦争が必要であるとするようなインチキヒューマニズムにほかならない。「テロの温床を根絶する」ため(米帝のイラク侵略戦争はまさにそういう理屈で行われた)という帝国主義の侵略戦争論にひとたまりもなく動員されていく論理なのである。JR総連の「平和憲法を世界に」や有事立法反対の論理は、米帝と日帝の朝鮮侵略戦争と闘う論理ではない。これは労働者の階級的意識を混濁させ最後は戦争に動員していくための論理なのだ。今こそ、JR総連松崎に階級的怒りを爆発させよう。
日本労働運動を松崎カクマルによる壟断(ろうだん)から解き放つべき時がきた。日本の階級闘争が国際的な連帯の一つの軸を形成していくための決定的なカギはそこにあるのである。
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週刊『前進』(2100号6面1)
東北大学 有朋寮の廃寮を許すな 戦争のための自治寮つぶしを全国の人民の力ではね返そう
東北大生から訴えます
東北大学当局による「新寮なき廃寮」決定に反対し、今年4月から実力居住の闘いを開始している東北大学有朋(ゆうほう)寮の闘いの報告を、全国のみなさんに送ります。
3月市民集会の成功で「在寮期限」に大反撃
大学当局が一方的に設定した3月末の「在寮期限」を目前に控えた3月21日、仙台市内で「有朋寮を守ろう! 市民集会」が開催されました。この集会は、有朋寮廃寮問題が東北大学のみの問題ではなく、大学のあり方や教育のあり方を問う問題であることを全社会的に訴えようと企画されました。有朋寮と仙台市議会議員、国会議員の方などとの共同呼びかけで開催され、寮生・学生に加えて、有朋寮OB、議員、地元教育関係者ら130人が集まって、大成功しました。
集会の冒頭、前日に開始されたイラク爆撃に抗議しようと提起され、保坂展人衆議院議員が「教育改革」問題について、豊島耕一佐賀大学教授が「独立行政法人化」問題について講演しました。有朋寮廃寮攻撃が、大学自治・学生自治を破壊することによって大学を(ひいては教育総体を)国家権力のもとに組み伏せていく攻撃の一環であることが確認されました。OBからは「世代を超えて支援の枠を広げよう」と提案され、「無期停学」処分の当該であるF君と有朋寮生代表が決意を表明しました。
学内では学生・教職員と、学外では市民と固くスクラムを組むことによって必ず廃寮攻撃を粉砕できると、非常に力づけられました。「有朋寮の『新寮なき廃寮』に反対するアピール」の賛同者は240人を突破しました。
当局の寮封鎖を撃退しライフライン守る
有朋寮生が4月以降も居住を続けることに焦った大学当局は、突如3月28日に「有朋寮の封鎖」と「寮内立ち入り調査」を通告してきました。寮の建物をフェンスで囲い、個人の居室を洗いざらい調べ上げ、4月冒頭にも寮生を実力でたたき出そうとするものです。
しかも、不当性を追及された学寮専門委員会委員長・高田経済学部教授は、逆上して「お前ら(寮生)に人権などない!」と大暴言を吐いたのです。これこそ法も道理もない東北大学当局の本性を示すものです。
28日当日は、寮の敷地入り口にテーブルを置いて話し合いの場を設定し、何のための「封鎖」「立ち入り調査」なのかを全市民の前で明らかにするよう大学当局に求めました。しかし高田教授は、数十人の教授・職員が違法なビデオ・写真撮影を行う中、「管理者だから寮内に入れろ」と繰り返すのみで、何の根拠も示すことができません。さらに農学部教授・西森は、支援者の体が自分に触れるやいなや地面にもんどり打って転がり、「倒された! 頭から血が出た!」などとわめき立てて、警察に弾圧を要請するありさまです。
結局大学当局は、寮生に何の合理的説明もできないまま、30分ほどで逃げ帰りました。このことはマスコミでも大きく報道され、東北大学当局のデタラメ性があらためて社会的に突き出されました。有朋寮生はこの勝利を手に、意気高く4月決戦に突入しました。
そして4月、東北大学当局は、ついにライフライン(電気・ガス・水道)を停止することによって、実力で寮生を追い出す攻撃に手を染めました。ライフラインストップは東京大学駒場寮や山形大学学寮でも強行され、社会的に大きな批判を浴びたものです。これまで寮生との討論を拒否し続けてきた大学当局は、このような非人道的な攻撃に行き着いたのです。
4月5日、大学当局から「人が住んでいない」とウソの情報を伝えられたガス業者が有朋寮のガスを停止しました。しかし、寮生の抗議で直ちにガスは復旧し、ガス業者は「人が住んでいる間はガスは停止しない」と確約した上に、「頑張って」と寮生を激励してくれました。
問題があるなら話し合いで解決すべきことであって、一方的なストップはできない、このガス業者の判断はまったく当然です。
この事実を全学的に宣伝したことによって、大学当局は大打撃を受けました。4月末現在、有朋寮のライフラインは健在です。
4月9日の開講以降、私たちは全学に「廃寮反対・停学処分反対署名」を持ち込みました。この廃寮反対署名は、すでに3月末で3000筆(学内2200筆)を突破し、「廃寮決定は全学の総意」という大学当局のふりまくペテンを打ち破る大きな力を発揮してきました。大学当局は今に至るも、この署名運動の前進を見据えられず、「署名が集まっても有朋寮の老朽化は改善されない」(学生協ニュース)などとけち付けをするくらいです。
私たちはこの4月、あらためて新入生を中心に署名を訴えました。前期入学試験時に48時間ハンガーストライキを貫徹したこともあって、新入生にも有朋寮問題は広く知られています。そして、一方的な決定によって数百人の学生から入寮の権利を奪った大学当局への怒りや憤りも広範にあります。授業前のクラス入りや昼休みに多くの新入生が署名に応じ、開講から10日たらずで早くも署名は300筆を突破しました。
大衆運動の広がりこそが、大学当局を追いつめる最大の力であることを確信し、すべてのクラス、サークル、寮、研究室に署名を持ち込んで訴えています。
寮生への「無期停学」処分継続を許しません
4月16日、理学部教授会が開催されました。これは2月18日に02年度有朋寮生F君に下された「無期停学」処分の是非を問う大きな意味を持つものでした。
F君は有朋寮の廃寮決定に反対して昨年4月に有朋寮に入寮しました。そして有朋寮に居住を続けることで、大学当局の「入寮募集停止」措置の不当性を訴え続けました。それは寮生が入退寮選考権を持つ東北大学ではまったく当然の行為です。しかし、この勇気ある決起を恐れた大学当局は、彼から授業を受ける権利を奪い去ったのです。
寮に住むだけで「無期停学」というこの暴挙に、社会的にも大きな反対の声があがりました。3月26日には、全国から集まった申し入れ署名を弁護士とともに大学当局に提出しました。しかし大学当局は、この署名を無視し続けています。
処分反対の声が高まり、動揺した理学部長はついに「停学処分を撤回したい」とF君に通告してきました。処分で人間を屈服させることができないことを悟った、当然の判断です。ところが理学部教授会の反動教授ら(文科省や学長の手先)は猛反発し、なんと教授会の議題にすることそのものを妨害しました。なんと汚いやり方でしょうか!
教授会当日は、F君を始め多くの学生・寮生が会場前で処分撤回を求めたにもかかわらず、理学部教授会は「無期停学」処分継続を決定しました。「大学の決定」に反したものは片っ端から排除していくという暴挙は、絶対に許せません。しかも退学処分まで検討しているといいます。
しかし理学部教授会、東北大学当局は自ら首を絞めたようなものです。「無期停学」に反対する声は学内外に広く浸透しています。教官の間にも動揺と分岐が広がっています。「無期停学」処分に加担した者はすべて、近く全学生・全市民の前で謝罪させられることになるでしょう。
大衆運動の力で、自治寮を守り抜きます
闘いは、4月以降「不法居住」と呼ばれる中で新たなスタートを切りました。大学当局は、日帝・文科省の手先としての反動的で暴力的な本性をあらわにしています。敵の狙いはただ一つ、自治寮である有朋寮をたたきつぶすことです。
有朋寮はこれまで50年間、戦争と差別に反対し、学生の生活と権利を守る自治寮として大きな位置を占めてきました。日本帝国主義がイラク侵略戦争に加担し、有事立法の成立と北朝鮮侵略戦争に突き進んでいる今だからこそ、闘う学生の砦(とりで)である有朋寮(そして全国の学生寮、自治会、サークル)をつぶそうとしているのです。
しかし、私たちは勝利を確信しています。廃寮阻止闘争の広がりこそ私たちの最大の武器です。4月決戦に勝ちぬき、ライフラインを死守し、「無期停学」処分を粉砕し、「法的措置」策動を阻止する決意です。
全国の労働者・学生・市民のみなさん、私たち有朋寮生に力を貸してください! ともに闘いましょう!
(投稿/東北大 U)
※激励先/仙台市太白区鹿野2―19―5 東北大学有朋寮(インターネットで「有朋寮」と検索)
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週刊『前進』(2100号6面2)
不当逮捕・起訴を弾劾 九州大学自治会が声明
3月26日、4月15、16日の連続的なデッチあげ弾圧に対する九州大学学生自治会の弾劾声明を紹介します。(編集局)
◆ ◆ ◆
反戦運動・労働運動つぶしを狙った、福岡県警による九大自治会への不当逮捕・不当起訴に対する弾劾声明
九州大学学生自治会
(一)去る3月26日に自治会の仲間3名を「暴力行為等処罰に関する法律違反」で逮捕した福岡県警は、4月15日さらに九大生・S君を逮捕し、16日には先に逮捕した3名のうちM君を起訴しました。これら一連の逮捕・起訴は、反戦運動・労働運動つぶしを狙ったまったく不当な政治弾圧であり、私たちはこれを絶対に許すことができません!
(二)罪だとされている事実は、警察によれば「平成13年10月22日、講義棟の廊下ですれ違った歴史系サークルの代表を取り囲み、『右翼は帰れ』と叫びながら胸や肩で突いた」というものです。この「歴史系サークル」というのは九大とはまったく関係のない生長の家という右翼組織で、「その代表」なる人物は以前にも「暴力事件」をでっち上げて、学生を警察に売り渡したことのある人物です。そうした人物がキャンパスをうろついていることに抗議したこと、その際せいぜい胸や肩が触れた程度のことが、「多衆の威力」をもってする「暴力行為」であり、「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」の罪にあたるというのです!
(三)こんな事件にもならないようなことで、どうして逮捕・起訴されなければならないのでしょうか! しかも一年半も前のことで、どうしていまごろ逮捕・起訴されなければならないのでしょうか! 「暴力行為」などというのは完全な言いがかりであり、逮捕・起訴の口実に他なりません。(中略)
(四)逮捕された仲間の完全黙秘の闘いと広範な労働者・市民の弾劾の声によって、ウソの自白で「暴力事件」をでっち上げようとする警察の狙いは、ほとんど破産に追い込むことができました。「多衆の威力」を問題にし3名を逮捕しておきながら2名を釈放せざるを得なかったという事実は、何よりそのことを物語っています。しかし追いつめられた警察は、あらたにS君を不当逮捕しM君の起訴を強行して、あくまで「暴力事件」をでっち上げようとしてきています。(中略)絶対に許すことができません。
(五)みなさん! 今回の弾圧はひとり自治会だけにではなく、すべての労働者・市民にかけられたものです。しかし今回の弾圧はそのあまりの理不尽さゆえに、闘いさえすれば必ずやうち破ることができるものです。私たちとともに闘い、警察のあがきを許さず、弾圧を最後的にうち破っていきましょう! 弾圧の狙いが反戦運動つぶしにあるのであれば、何より反戦運動の爆発をもってこたえていきましょう!(中略)
彼らを激励するためのメッセージを寄せて下さい! また保釈金や裁判費用のための、絶大なるカンパを寄せて下さい! 裁判を傍聴し、それを広く世間に知らせ、無実の仲間を犯罪者に仕立てあげようとする検事と裁判官を逆に裁いてやりましょう!
私たちは反戦運動と労働運動の未来をかけて、全力で闘い抜きます。ともに闘いましょう!
(激励・カンパ送り先/福岡市中央区六本松4―2―1 九州大学学生自治会)
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週刊『前進』(2100号6面3)
山口大 新入生迎え講演会 イラク反戦の熱気
4月18日、山口大学で行われた「STOP・THE・WAR講演会」に、新入生を始め40人が参加しました(写真)。東京外語大学の藤田進教授が「イラク戦争で一体誰が犠牲になっているのか」と題して、この戦争の本質をいかに見抜くか、と語りました。7年間パレスチナで保健活動を行った藤屋リカさんが、自らの経験をとおして「パレスチナの子どもたちに笑顔と平和を」と訴えました。
山口大学の教員が歴史に基づきアメリカ論を講演し、署名活動を進める学生が「開戦とバグダッド占領という中で、『もう戦争は終わったじゃないか』という声にショックを受けた。戦争は殺された人びとがいるかぎり終わらないし、戦争反対の行動を続けなければいけないと思っています」と発言、「WORLD ACTIONに参加しよう」と呼びかけました。
山口大学ではイラク写真展も行われ、「イラク戦争と有事法制反対」の署名に約10日間で800人もの学生が署名しています。
(投稿/瀬原真一)
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週刊『前進』(2100号6面4)
4・8那覇 ANSWERと交流 戦争の島から国際連帯を
4月8日、ANSWERのナンシー・ミッチェルさんらを迎えて、「ANSWER&沖縄 交流のつどい」を那覇市県庁前広場で開催し、国際通りのピースウォークを行いました。この集会は、「とめよう戦争への道・百万人署名運動 沖縄の会」が呼びかけ、県内の平和・市民団体で実行委員会を結成し、平和市民連絡会の協賛を得て行ったものです。
まず最初に、学生・青年のライブが行われました。沖縄大学のバンドの学生の「戦争反対の思いを込めた」迫力のある演奏に、下校中の多くの小中高校生が注目していました。
トークラリーは「沖縄の会」代表の桑江テル子さんの司会で行われました。実行委員会を代表して読谷村議の知花昌一さんがあいさつを行い、ANSWERのナンシーさんからの「イラク戦争は石油を略奪するための戦争。イラクを解放するためではなく、アメリカの植民地にするものだ。アメリカの植民地支配のもとで不屈に抵抗を続けてきた沖縄の闘いとともに、国際連帯の力でブッシュを打倒しよう」との訴えに、大きな拍手がありました。
名護の「命を守る会」の代表の金城祐治さんからメッセージが寄せられ、この日から強行された防衛施設局による環境アセスに向けた事前調査を弾劾し、名護新基地建設を阻止しようと呼びかけられました。
さらに実行委員会構成団体からのあいさつ、またこの集会の協賛団体である平和市民連絡会を代表して、当山栄事務局長代行があいさつしました。
ライブとトークラリー中も、多くの人たちがメッセージボードに自分の思いを書いていました。小学生の女の子2人組は「子どもをころすな」。専門学校の女子学生は自分の書いたメッセージボードを手に、ピースウォークが出発するまでずっと道行く市民に参加を訴え続けました。
そして国際通りを派手派手にピースウォーク。沿道の注目は最高で、横断歩道を渡った女性2人組がそのまま最前列に合流したり、ちょっと恥ずかしそうにボードで顔を隠しながらも最後まで参加した女子高校生たちや、飛び跳ねながら「NO WAR」と叫び続ける男子中学生のグループ。お店の店員さんも歩道に出てきて一緒にこぶしを振り上げて「戦争反対!」。100人以上の参加で国際通りを牧志公園まで約1時間かけて歩きました。(写真)
今、イラク人民の「米軍はイラクから出ていけ!」という闘いが激しく開始されています。「イラクの次は北朝鮮」という情勢と有事立法攻撃の中で、沖縄の名護新基地建設阻止の闘いがいよいよ正念場を迎えています。「基地の島」「戦争の島」を「国際連帯の島」へ。沖縄闘争の新しい発展に向けた今回の取り組みで、闘うイスラム諸国人民と全世界の労働者階級人民の闘いが沖縄闘争と一体であることをあらためて実感しました。
(投稿/沖縄 M)
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週刊『前進』(2100号6面5)
コミューン 6月号 虐殺と破壊の戦争
今月号は米英日帝国主義によるイラク侵略戦争開戦からフセイン政権の崩壊に至る過程の虐殺と破壊の戦争の実態と、世界のイラク反戦運動の現状について特集した。
第1章では、精密誘導弾や巡航ミサイル、クラスター爆弾、デイジーカッター、劣化ウラン弾などを大量投入してイラク軍民数万人を虐殺したイラク侵略戦争の残虐な実態を暴露した。またこの章では米帝の「復興計画」の帝国主義的本質と、米英帝のイラク侵略戦争に全面的に協力しながら、北朝鮮侵略戦争に向けての体制確立を狙う日帝・小泉政権の反革命的策動についても暴露している。
第2章では、開戦後のイラク反戦闘争の新局面について分析している。とりわけ、残虐なイラク侵略戦争に反対する運動の爆発的な形成過程で、中東・アジアなどのイスラム諸国における反帝国主義の闘いの新たな地平が切り開かれていることについて明らかにしている。
討議資料は、個人情報保護法の修正案と野党対案についての解説と資料を掲載した。
資料はイラク侵略戦争の反革命的目的を明らかにしたブッシュ開戦演説と小泉の支持表明を掲載。
翻訳資料は、対イラク開戦の過程で米帝との決定的対立に踏み切ったドイツ帝国主義の今後の方向を示す、シュレーダー首相の政府声明の翻訳と解説を掲載した。
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週刊『前進』(2100号6面6)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋同志裁判
5月12日(月)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
5月14日(水)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判
5月14日(水)午後1時15分
※いずれも東京地裁
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