ZENSHIN 2003/02/17(No2089 p06)

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第2089号の目次
 
1面の画像
(1面)
石油のための虐殺戦争反対  2・16横須賀−2・23日比谷野音大デモへ
石波発言「燃料注入なら先制攻撃可能」徹底弾劾し有事立法絶対阻止へ総決起を
2・15国労中央委決戦に立とう
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国労弾圧初公判 被告が堂々と意見陳述
労働運動再生へ闘いの火ぶた  2・13第2回公判に大結集を(2月3日)
記事を読む  
(2面)
反弾圧陣形を広げ2・15国労中央委へ
権力に依存して延命図る本部執行部を打倒しよう
政治解決=国労解体路線粉砕を
記事を読む  
“政治弾圧の追認許さず”
公判闘争報告集会
無罪戦取へ大きな確信(2月3日)
記事を読む  
団結を固め春闘へ
動労水戸が大会と旗開き(1月26日)
記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2003  1月16日〜28日
連合笹森会長が自民党大会出席
記事を読む  
(3面)
日本経団連「経労委報告」路線
終身雇用制解体を許すな〈2〉
「雇用形態の多様化」
大多数の労働者を不安定雇用化
記事を読む  
青年・学生の組織化へ
反戦共同
全国活動者会議で討論(2月2日)
記事を読む  
イラク反戦・有事法制阻止へ
2・14明治公園で大集会
記事を読む  
“もんじゅ設置許可は無効”
名古屋高裁が住民勝利判決
今こそ廃炉に、核燃サイクル白紙撤回へ(1月27日)
記事を読む  
支援費制度に怒り爆発
“自立生活が成り立たない”
「障害者」が厚労省を包囲(1月14日〜24日)
記事を読む  
海員組合がイラク攻撃と有事立法に反対する声明(1月8日) 記事を読む  
NLP広島誘致絶対阻止 記事を読む  
(4面)
オーバーラン事故弾劾!  暫定滑走路は直ちに閉鎖を
3・30三里塚全国集会へ
成田をイラク・北朝鮮侵略戦争の軍事基地にするな 斉田 猛
記事を読む  
難民排除の入管法改悪許すな
侵略戦争への突入に備え戦時入管体制の構築急ぐ
記事を読む  
日誌'03 1月29日〜2月4日
米英首脳が「数週間内攻撃」  広島沖にNLP移転を策動
記事を読む  
(5面)
松尾純一全学連副委員長の訪米レポート
アメリカ労働者と連帯して学んだ
〈反戦〉と資本攻勢への怒りが一体
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改憲阻止決戦シリーズ今、問い直す侵略と戦争の歴史 第4部
日帝の中国侵略戦争(6)
9・18柳条湖事件  「満蒙生命線」論で侵略を拡大
記事を読む  
(6面)
富山再審実現への展望と課題
高裁は証拠開示を命令せよ 富山保信
記事を読む  
君の解放への熱意継ぐ 全国被爆者青年同盟 記事を読む  
紹介 共産主義者135号 開戦阻止への熱い論考
●杉並区議選方針 東京西部地区委員会
●星野奪還へ向けアピール 川野論文
記事を読む  
『前進』ホームページ メールから 記事を読む  
公判日程
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週刊『前進』(2089号1面1)

 石油のための虐殺戦争反対

 2・16横須賀−2・23日比谷野音大デモへ

 石波発言「燃料注入なら先制攻撃可能」徹底弾劾し有事立法絶対阻止へ総決起を

 2・15国労中央委決戦に立とう

 5日、米国務長官パウエルは国連安保理事会で演説し、「イラクの査察妨害、兵器隠しの証拠」なるものを提出し、「イラクは武装解除していない。重大な国連決議違反を行っている」と決めつけた。パウエルは、どんなに探しても「大量破壊兵器」が見つからないのは「イラクが隠しているからだ」と開き直り、「査察はいくら長期間やっても無駄だ」と言って、2月中下旬〜3月上旬にも武力攻撃に踏み切ろうとしている。今こそ「石油のための虐殺戦争反対!」と声を大にして叫び、体を張ってイラク開戦阻止に立ち上がろう。日本で、全世界で反戦闘争を巻き起こし、帝国主義を根底から揺るがす大闘争を爆発させよう。

 第1章 2・14明治公園大集会 文化人・20労組などが呼びかけ

 91年湾岸戦争以降、90年代をとおしてイラクは米帝による空爆と破壊、経済制裁でライフラインを破壊され工業生産力をそがれてきた。さらに、繰り返し国連の査察を受けてきた。「大量破壊兵器をイラクが隠し持っている」という米帝の主張はまったくのデッチあげであり、口実だ。このことは、元国連査察官スコット・リッター氏らの証言によっても完全に明らかだ。にもかかわらず、米帝はイラクの石油資源の略奪のために、なりふり構わず開戦を強行しようとしている。
 米帝はイギリス軍4万を加え、18万〜25万人の兵力でイラク攻撃を開始しようとしている。最初の48時間で、湾岸戦争時の10倍に当たる3千発の精密誘導爆弾・ミサイルを撃ち込み、地上軍を侵攻させて、フセイン政権を短期間で打倒すると公言している。
 独立国家を、このようなデッチあげの一方的なへ理屈で攻撃し、政権を暴力的に転覆するなどということが許されていいのか! 米軍が攻撃を始めた途端に数万、数十万人ものイラクの兵士と人民が、無数の子どもたちや高齢者が虐殺されるのだ。
 こんな帝国主義の暴虐がまかりとおっていいのか! 断じて否だ! イラクの人民は「人類に挑戦するようなアメリカに、私たちはけっして屈服しない」と叫んで必死の抵抗闘争に立ち上がっている。
 開戦前の闘いが決定的に重要だ。欧州、アメリカで大規模な2・15国際反戦行動が計画され、ANSWERは13〜21日の国際反戦連帯行動を呼びかけている。この闘いの一環として、全国で2月開戦阻止の闘いに立ち上がろう。

 第2章 大量破壊兵器を口実に石油強奪狙う米帝

 これは一体、なんのための戦争なのか。戦争の真の原因は、イラクの「大量破壊兵器」なのではない。それは、まったくの口実だ。アメリカ帝国主義は、埋蔵量世界第2位のイラクの石油資源を略奪し、再分割・再支配するために、侵略戦争を強行しようとしているのだ。「米主導によるフセイン政権転覆は、ロシア、フランス、その他の国とイラクとの石油取引を断ち切り、アメリカの石油会社の幸運を開くだろう」とワシントン・ポスト(昨年9月15日付)は報じているではないか。
 石油は帝国主義の世界支配にとって最重要の戦略的物資である。イラクの石油資源をめぐってフランスやロシア、さらに中国も加わって、すさまじい略奪戦、争闘戦が展開され、米帝は軍事力でイラク石油を略奪、再支配しようとしているのである。中東石油に圧倒的に依存する日帝もまた、イラク―中東の石油利権の確保のために必死に参戦しようとしている。まさに石油の再分割・再支配のための人民大虐殺が、この戦争の本質なのだ。
 米帝が抱える矛盾と危機は大変なものだ。世界支配の危機と、国内階級支配の破綻(はたん)が同時的・一体的に進行している。一昨年の9・11反米ゲリラ戦は米帝の崩壊と打倒の引き金を引いたのだ。
 だからこそ、米帝は、今持っている軍事的・経済的・政治的優位性をむき出しに行使して侵略戦争を強行し、石油支配、中東支配の拠点を侵略し占領しようとしているのだ。
 米帝は果てしない世界戦争計画の泥沼にのめり込んでいる。「イラクの次は北朝鮮」と狙いを定めて、「核開発」問題などを口実に北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)侵略戦争の策動を強めている。
 国防長官ラムズフェルドは5日、「北朝鮮はすでに1〜2発の核爆弾を持っている。さらに短期間に6〜8発を製造するおそれがある」と議会でデッチあげ証言を行った。そして、「極東地域でのアメリカ軍の備えを固める」「抑止と防衛の力を北朝鮮に示す」と述べ、極東に展開する米軍事力の増強方針を表明した。
 また国務副長官アーミテージは、「イラク・極東での2正面作戦を可能とする」ための兵力増強を検討していると述べた。B1、B52爆撃機24機のグアム島配備、空母機動部隊の極東展開、韓国・日本の米空軍の増強を狙っている。
 イラク攻撃と連動した北朝鮮侵略戦争の策動を絶対に許さず、粉砕しよう!

 第3章 北朝鮮へ先制攻撃を加えるための有事法

 日帝・小泉は、世界戦争と大恐慌の時代、帝国主義間争闘戦の激化の中で、米帝ブッシュの世界戦争戦略、イラク・北朝鮮侵略戦争に全面協力し、積極的に参戦しようとしている。
 パウエルが国連安保理で発言するや、小泉は直ちに国会で「イラクの疑惑は一層深まった」と言い放った。そして、「アメリカの同盟国として責任ある対応をしていく」と言い、国連決議なしに米帝が攻撃に踏み切る場合にも全面協力する立場をはっきりさせた。
 すでに日帝は12月にイージス艦を派兵し、イラク侵略戦争参戦に踏み切った。イラク空爆作戦には沖縄の米空軍部隊も参加する。「日本は米英に次ぐ3番目の敵国だ」とイラクの副大統領から糾弾されようとも、日帝は参戦の道を突っ走っている。
 このイラク開戦情勢のもとで、日帝は有事立法の成立を全力で狙っている。小泉は施政方針演説で「今国会での成立を期す」と明言し、国会会期を延長してでも、また強行採決をしてでも成立させる反動的決意を述べている。
 1月24日衆院予算委で防衛庁長官・石破は、「北朝鮮がミサイルに燃料を注入し始めたら、日本は北朝鮮のミサイル基地を攻撃できる」と公言した。
 これこそ有事立法の本質である。有事立法の「武力攻撃事態」「武力攻撃予測事態」規定とは、日帝が北朝鮮・中国への先制攻撃、侵略戦争に突入していくものであり、そのための国家総動員体制づくりである。石破は、北朝鮮の基地を先制攻撃することは「自衛の範囲」だとも述べた。帝国主義者は、歴史的にいつでも、このような「自衛」の口実をもって侵略戦争に突入していったではないか。
 さらに自民党は、「武器輸出制限を緩和して国際競争力のある軍事産業を育成する」「9条を改憲して自衛隊を軍隊と位置づけ、PKOや米軍事行動に積極的に参加する」などの提言をまとめた(5日、党国防部会)。今や日帝の対イラク参戦、北朝鮮侵略戦争突入へ、戦後史が大転換しつつあるのだ。
 イラク反戦闘争の爆発のまっただ中で、有事立法阻止決戦の大闘争化をかちとろう。署名運動、学習会、集会・デモを繰り広げよう。陸・海・空・港湾労組20団体を始めとする労働者階級の統一戦線を巨大に、広範に発展させ、有事立法を絶対に阻止しよう。
 今、全世界の労働者階級人民は、9・11の衝撃のもとで、侵略戦争に反対する闘いと、一大資本攻勢と対決する闘いとを一個二重の闘いとして決起しつつある。帝国主義打倒を核心に据えた国際的内乱の炎が、全世界に燃え広がっている。この闘いをとことん推し進めよう。
 2・14明治公園集会(3面参照)に総結集しよう。さらに2・16横須賀闘争(反戦共同行動委主催)に決起しよう。米軍兵士、自衛隊兵士に「出兵拒否」を呼びかけよう。そして全国から2・23首都に総結集し、「イラク開戦絶対阻止」の怒りのデモにうって出よう。東京の街をイラク反戦一色で塗りつぶせ。

 第4章 国労臨大弾圧粉砕し03春闘爆発かちとれ

 さらに、生活破壊・戦争動員・治安弾圧と闘う03春闘の爆発をかちとろう。
 春闘を前にして日本経団連が打ち出した「経労委報告」や「奥田ビジョン」は、春闘の破壊、労働運動解体をとおして、労働者階級に対する搾取・収奪を極限的に強めようとする攻撃である。アメリカ型の企業経営をモデルとし、それに転換することで、大恐慌時代にも莫大な利益をあげようとしている。
 そもそもアメリカでは極端な所得格差が進行し(上位1%の資産が下位95%の人民の資産を合わせたものに等しい)、4千万人以上が医療保険にも入れず、貧困にあえいでいる(国連および政府統計)。激しいリストラ=雇用破壊と賃下げ攻撃の中で、アメリカの労働者階級は「闘わなければ生きられない」と、反転攻勢に立ち上がっている。
 日帝ブルジョアジーがめざしている奥田ビジョンなどは、大失業の圧力で労働者階級の賃金を半減させ、奴隷的労働による搾取を強化し、労働者階級を絶対的貧困にたたき込む攻撃だ。日帝は、搾取の激しさを米帝や他帝国主義と競うことによってしか、延命することができないのだ。それが「国際競争力」の正体だ。
 電機大手8社の昨年10―12月期の決算を見よ。前年同期と比べて売上高は横ばいなのに、全社が「業績改善」した。日立は1000億円の赤字から13億円の黒字に劇的に転換した。この大部分は「リストラ・賃下げ、部品の調達コスト下げ」によって搾り出したものである。要するに、これまで賃金として労働者に回していた分から、新たに1000億円以上を奪い取ったということだ。
 このように日帝・資本家階級は、世界大恐慌―大不況のもとで、利潤の低下にあえぎ、労働者階級に対する搾取・収奪を極限まで強めることで生き延びていこうとしている。
 連合中央は、労働者の敵だ。日帝・資本の先兵だ。連合・笹森らの言うことに従っていたら、どんどん搾取が強められ、首を切られ、賃金は半減し、挙げ句の果てには侵略戦争に動員されてしまうのだ。
 ベア要求放棄、有事立法賛成の連合中央を弾劾・打倒し、03春闘の戦闘的爆発をかちとろう。
 国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の運動を全国・全産別に押し広げよう。この運動は、春闘破壊と対決し、国鉄1047名闘争の勝利と、労働運動の戦闘的再生をかちとるきわめて重要な運動だ。そして、春闘攻防や資本との日常的対決を、動労千葉の闘いに学び、指針として闘いぬこう。

 第5章 統一地方選の勝利へ全党全人民の決起を

 4月統一地方選は、イラク開戦と有事立法攻撃、大失業、大増税、福祉破壊と対決し、労働者・住民の生活と権利の防衛をかけた最大の決戦である。〈反戦と介護〉を2本柱に労働者と住民の中に分け入り、オルグし、自己解放的な大衆決起をともにつくりだそう。選挙戦になんとしても勝利し、社・共に代わる、闘う労働者党への前進をかちとろう。
 杉並3候補を始めとする闘う候補の全員当選のために、この2〜3月、全党・全人民の根底的決起を実現しよう。

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週刊『前進』(2089号1面2)

 国労弾圧初公判 被告が堂々と意見陳述

 労働運動再生へ闘いの火ぶた

 2・13第2回公判に大結集を

 「真実をねじ曲げて私たちの正当な組合活動に介入し、不当な弾圧を行ってきた国家権力・警察を徹底的に弾劾します」。闘争団員の被告の力強い声が法廷に響いた。
 2月3日、東京地裁で開かれた国労5・27臨大闘争弾圧の第1回公判は、労働運動の根底的再生に向けて、歴史的な一歩を踏み出す場となった。(2面に関連記事)
 開廷後、裁判長が人定質問をした。職業を尋ねられた闘争団員の被告は、「国鉄分割・民営化で不採用となり争っている」ときっぱりと返答した。「要するに定職はないということか」と聞き返す裁判長に、被告は「物販活動は定職だ」とすかさず反論、強権的に審理を進めようとしていた裁判長の気勢をそいだ。
 検察官に起訴状朗読を促す裁判長を制し、弁護団が大法廷の使用を求める意見を述べた。続いて被告も発言。「九州や関西から多くの人が身銭を切って来ているのに、法廷に入れないのはどういうことか」「それが公正な裁判か」
 弁護団は、被告を威圧する重戒護体制を改めるよう要求した。被告も「無実を主張し立証する立場で裁判に臨んでいる私たちが逃亡したり暴行を振るうわけがない。この戒護がどうして必要なのか」と弾劾した。
 検察官が起訴状を読み上げた。これに対して、弁護団が鋭い求釈明を繰り出した。返答に窮した検察官は「立証段階で明らかにする」と居直った。
 休廷をはさんで、3人の被告が意見陳述に立った。
 法廷には、組合員を権力に売り渡した国労東京地本の役員4人が潜り込んでいた。最初に意見陳述に立った九州闘争団の被告は、怒りを抑えて「傍聴に本部役員も見えているようなので、しっかり意見を述べたい」と皮肉を込めて切り出した。反動役員は身をすくめた。弾圧に屈せず正義の闘いを貫く者と、権力の手先に成り下がった裏切り者との鮮明な対比が浮き彫りになった。

 私たちは無実 人生かけ闘う

 闘争団員の被告は、国鉄分割・民営化以来、4党合意以来の攻防を全面的に総括しつつ、次のように語った。「首切り以来16年間、私はただただ『自分は何も悪いことはしていない。国家による不当労働行為を認めさせ、絶対に原職復帰をかちとるぞ』という一念で頑張ってきたのです」「国労本部が5月27日に臨時大会を開いて、闘争団やこれに同調する者の除名処分を決めることを知った時、黙っていることなど絶対にできませんでした。闘いの一切をかけて説得とビラまきに行ったのです」「私は無実です。また他の7名の被告も無実です。私たちが暴行を加えた事実はまったくありません」
 逮捕以来4カ月ぶりに被告と顔を合わせた家族たちは、陳述に胸を打たれ、流れ落ちる涙をぬぐった。
 続いて近畿地本組合員の被告が意見陳述した。彼は不当配属と闘いぬいてきた自己史を語り、不当逮捕を次のように弾劾した。「警視庁公安部は、第70回定期大会の代議員選挙の告示日である10月7日に全国一斉の逮捕を強行してきました。ここに今回の弾圧の狙いが示されています。私はこの全国大会の代議員に立候補しようと決意していましたが、獄中から立候補届を出すことを余儀なくされました」「必ずこの不当きわまりない刑事弾圧を粉砕し、無罪判決をかちとって勝利します」
 もう一人の近畿地本組合員の被告は、鉄産労の組織分裂との闘い、不当配属攻撃との激しい闘いを振り返りながら、「今回不当な弾圧を受け、仲間を権力に売り渡すという国労中央の裏切りに直面しましたが、闘う路線を持ち、仲間を売らないという国労の原則にますます確信を持ち、誇りを持つものです。私は、闘う国鉄労働運動の再生と闘う国労の再生のために、今回の不当な刑事弾圧と人生をかけて闘います」ときっぱりと宣言した。
 被告の意見陳述は裁判官・検察官を圧倒した。正義が誰にあるのかは明らかだ。不屈に闘う被告を支え無罪戦取へ闘おう。2・13第2回公判に結集しよう。

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週刊『前進』(2089号2面1)

 反弾圧陣形を広げ2・15国労中央委へ

 権力に依存して延命図る本部執行部を打倒しよう

 政治解決=国労解体路線粉砕を

 2・15国労第173回拡大中央委員会は、国労の存亡をかけた決戦となった。国労本部は、4党合意破綻(はたん)にもかかわらず、完全に国家権力の懐に飛び込み、機動隊の重包囲下で中央委を開催しようとしている。「ILO勧告に基づく公正な解決」という方針を掲げながら、あくまでも「政治解決路線」にしがみつき、闘争団を切り捨て、国労解体−JR連合への合流に突き進もうとしているのだ。国労5・27臨大闘争弾圧の2・3初公判闘争は、被告の組合員を先頭に大衆的高揚をかちとった。この闘いは、組合員を売り渡した国労本部、東京地本執行部らの不正義を暴く闘いでもある。2・13第2回公判から2・15中央委闘争に攻め上ろう。

 裁判闘争破壊狙う国労本部

 2・15国労中央委は、国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕する闘いと一体の大決戦である。
 国家権力は、5・27臨大闘争弾圧によって国労解体攻撃を押し貫こうとしている。国労本部もまた、この国家権力に依存し、弾圧に加担して延命しようとしている。そのことをはっきりと示したのが、2・3初公判に東京地本の執行部や地本内の専従役員ら20人余が傍聴に現れたことだ。
 国労本部は昨年11月11日に出した「指示」で、「この事件の核心は、中核派の活動家が国労組合員に暴力をふるったという事実にある」と、権力の筋書きどおりの言辞を吐いて、「国鉄労働組合の運動とは無関係」と言い放った。
 「国労とは無関係」と言う裁判にのこのこと現れたのは、明らかに国家権力の指示による。傍聴席を奪い、裁判闘争を破壊するためだ。また、検察側の「証人」は、「被害届」を提出した国労の機関役員らのみだ。彼らはこのことにおののきながらも、権力の側に立って、被告の組合員たちを有罪にしようとしているのだ。断じて許せない。
 だが、これは権力と国労本部・東京地本執行部などの墓穴を掘るものとなる。毎回の公判の場が、国家権力の弾圧の不当性を暴くとともに、裏切り者どもと不屈に闘う国労組合員らのどちらに正義があるのかを大衆的に明らかにする場になるからだ。
 闘う国労組合員は、次回2月13日の公判に総決起し、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の呼びかけにこたえて、賛同人を国労組合員の中に圧倒的に拡大しよう。これが2・15中央委に向けての第一の課題である。

 闘争終結・JR連合合流阻め

 第二の課題は、今次中央委で国労本部、チャレンジ一派、反動革同、酒田一派らによる闘争団切り捨て、国労解体策動と徹底対決し、高嶋−寺内執行部打倒へ総決起することである。
 国労本部は中央委の前日に、「ILO連絡会」主催の集会を開催し、「ILO勧告に基づく公正な解決を求める」なる方針で組合員と支援をあざむきながら、4党合意破綻の責任を隠ぺいし、延命を図ろうとしている(最近では、“社民党ではなく民主党を窓口にしてやる”と言っているらしい)。この方針を主導しているのが反動革同であり、これと結託して推進しているのが酒田一派である。
 その上で彼らが中央委で狙っていることは、闘争団員の除名に向かって、彼らが「中心人物」とみなした闘争団員の権利停止を強行することだ。「政治解決路線」をとる限り、それ以外にないのだ。
 他方で、チャレンジ一派は、昨年11月の定期大会で突如提案され「次期大会まで職場討議に付す」とされた「ストライキ基金の取り崩し」=エリア基金などへの運用の方針に基づいて、国労の財産をぶんどり、国労の単一体の解体―解散、JR連合合流に向かって突き進んでいる。
 こうした中で四国エリア本部のチャレンジは、1月12日の全分会長会議で許しがたい方針を打ち出した。
 それは、「16年前の『感情』を払拭(ふっしょく)し、新しい出発をしていこう」と、国鉄闘争と国労の全面的清算をたくらむものだ。
 @「JR各社の経営基盤・労務施策の上に立って、各エリアごとにJR各社との対応を図る」
 A「組織形態について、『単一体でなければ団結が保てない』とか『連合体にしなければJR各社に対応できない』などの形式論は意味がない。……問題はどのような運動を目指すか」
 B「採用問題は、主要な闘争課題から『支援』の形に切り替え、主要な闘争課題を『JRの労働条件改善』とし、残された闘争団員は、本部直結・直轄組合員とし、600名については組織が責任をもって収拾を図る」
 C「全労協の運動と決別し脱退する」
 D「組織体系・名称変更等の議論を国労全体のものとすべき」
 これらは明らかに、国鉄闘争を終結させ、すべての闘争団員の「収拾」=切り捨てを図るものだ。そして、会社=エリアごとの要求の名のもとに、それぞれの合理化攻撃を全面的に受け入れる、そのために組織体系・名称変更=国労解体を図るというものだ。
 このようなチャレンジの方針を、エリア本部という機関が正式に打ち出したことの重大性を断じて軽視してはならない。
 今や国労は危急存亡の危機にある。自壊過程に入っていると言って過言ではない。この認識を、とりわけ反対派がとことんはっきりさせ、なんとしても国労の旗を守るために立ち上がらなければならない。

 資本・カクマル結託と闘おう

 そのためには、この間、繰り返し訴えてきたように、反対派の中にある「政治解決」の幻想を完全に断ち切り、特に東日本のJR資本・カクマル結託体制との闘いを軸に解雇撤回闘争を闘いぬく路線を確立することが求められている。
 JR資本の攻撃は、メンテナンス合理化に始まり、駅・営業の外注化など、国労組織を壊滅させることをも狙いとしている。「早期退職制度の見直し」で50歳以上を追い出そうとしている。国労東日本エリア本部は、これらをすべてのもうとしている。
 確かに攻撃は厳しいが、敵の側にも矛盾はある。JR東労組カクマルが松崎グループと新潟グループに分裂し、東労組カクマル支配が崩壊過程に入った。
 チャレンジ一派らは、この時に、カクマルより自分たちの方が資本にとって役に立つから、労務政策を転換してくれという路線だ。
 そうではなくて、今こそJR本体と闘争団が一体となってJR資本・カクマル結託体制と徹底的に闘うことを軸に解雇撤回闘争を闘うべきなのだ。その決定的なチャンスが訪れている。
 2・15中央委闘争に総決起し、今こそ国労再生をかちとろう。

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週刊『前進』(2089号2面2)

 “政治弾圧の追認許さず”

 公判闘争報告集会 無罪戦取へ大きな確信

 2月3日午後6時半、シニアワーク東京で「国労5・27臨大闘争弾圧を許すな! 2・3公判闘争報告集会」が開かれた。この日の公判闘争を闘いぬいた被告の家族を始め、国労組合員や支援の労働者などが続々と結集した。その数は250人を超えた。
 会場には、この弾圧をなんとしても粉砕するという熱い思いがみなぎった。集会は参加者の決意をさらに強め、闘いへの確信を深めさせるものだった。
 主催者の「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」を代表して、呼びかけ発起人の宮島尚史弁護士があいさつした。宮島さんは、「3人の被告の意見陳述は見事だった」と公判を傍聴した感想を述べ、「暴力行為等処罰法を徹底的に打ち破って無罪獲得を」と訴えた。
 同じく呼びかけ発起人の山口孝明治大学名誉教授が、この日行われた国鉄闘争に連帯する会の呼びかけ人会議で、「弾圧は国労とは関係ない」と言い放つ寺内国労本部書記長を追及したと報告。「私は国労本部中執を辞めさせたいが、なかなか辞めない。皆さんが頑張らねばならない」と呼びかけた。

 ゛陳述聞き今後も頑張れる゛

 大きな拍手の中、被告の家族が登壇した。法廷で意気高く闘いぬく夫や父親たちの姿を目にした家族たちは皆、弾圧を必ず打ち破ることができるという確信に満ちていた。「3人があれだけすばらしい陳述をした。法廷で心に響く言葉を聞いて、これからも頑張れると感じています」という家族の言葉は、すべての参加者に闘いへの自信と展望を与えた。
 許さない会の呼びかけ発起人で弁護団長の佐藤昭夫さんがあいさつした。佐藤さんは、「この裁判は政治弾圧だ。組合内部の問題になぜ警察が介入するのか。大勢の人が傍聴を希望しているのに、裁判所はそれを締め出して実質的な密室裁判をする。裁判所も予断と偏見を抱いて政治弾圧を追認している。団結権、思想信条の自由、法のもとの平等をことごとく踏みにじる弾圧を許さない」と権力を弾劾した。
 さらに、「弾圧を起こさせたのは国労本部。警察に証拠を提出したのは東京地本の鈴木勉と本部の田中浅雄だ。これは開示証拠ではっきりしている。本部は闘争を投げ捨てたいから4党合意に乗っかった。方針の誤りがはっきりしているのに、なぜ彼らは反省しないのか」と語気を強めた。
 弁護団が紹介され、一瀬敬一郎主任弁護人が、「外部の勢力が国労大会をつぶしに来たという検察の論拠は、事実と証拠で粉砕できる。この裁判は労働運動の正義性が争われる。力を持った正義を実現できれば、無罪をかちとれる」と力強く宣言した。

 春闘の突破口を開く闘いに

 中野洋動労千葉前委員長が問題提起をし、「日本の労働運動の命運を決する歴史的闘いが、今日をもって始まった。今日は、これからのわれわれの闘い方次第では歴史に刻印される日になる」と話を切りだした。
 そして、国鉄闘争が日本の労働者の行く末を決する位置にあることを強調して、「弾圧粉砕と鉄建公団訴訟の二つに国鉄闘争の未来がある。弾圧にひるんだりセクト的に対応するのではなく、権力と本当に対決しようと国労闘争団の仲間に訴えかけることが重要だ」「国鉄闘争はJR復帰を求める闘い。ならばJR資本と闘わなければならない。闘う闘争団の中にもある政治解決路線を徹底的に総括すべき」と力説した。
 また、理不尽な弾圧が吹き荒れる今日の時代をきちんと認識し、戦後的な労働者支配のあり方を根底から覆そうとする敵の攻撃をしっかりと見据え、戦争と生活破壊の攻撃が激しく労働者を襲っている中で、許さない会を拡大して03春闘を全力で闘おうと訴えた。
 続いて、闘う国労組合員が、公判闘争破壊のために裁判所に現れた東京地本一部役員を語気鋭く弾劾した。「『外部勢力の破壊行為だから国労とは関係ない』と言い放っていた役員が、なぜ傍聴に来たのか。権力の指示どおりに動く連中が、どの面(つら)を下げて被告の前に現れたのか。公判闘争に引きずり出されてきた彼らに、徹底的に反撃する」と言い切った。
 東京の闘う労働者が、2−3月の春闘過程で許さない会の各地域組織を必ず立ち上げるという固い決意を表明した。
 許さない会の事務局を代表して、山川博康さんが会の発足以来の経過を報告し、「闘いは始まったばかり。ここから継続して闘っていく。許さない会の賛同人が毎回の公判で増えていく形にしたい」と参加者の奮起を促した。

 200人余が傍聴求め並ぶ

 午前8時20分、国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会の呼びかけにこたえ、東京地裁前に50人の労働者が結集した。被告の即時釈放を訴えるビラが道行く人に手渡される。遠く九州から上京した闘争団被告の家族・友人は、国労本部にほど近い新橋駅駅頭でのビラまき行動に決起した。
 午前10時、許さない会は弁護士会館で公判に向けての集会をもった。本州と九州の2人の闘争団員が「私たちの闘いに対する弾圧だと受け止めている。今の本部は自民党に乗っ取られた敵の手先だ。腐敗した本部は打倒されなければならない」「獄中の仲間は、私たちを排除することに反対して立ち上がった。全国に運動を広げよう」と訴えた。
 被告の家族は、夫や父親の釈放を求めて東京地裁への要請行動に立ち、地裁所長にあてた申入書を手渡した。
 正午から、日比谷公園霞門から東京地裁前を通り日比谷公園に戻る地裁包囲デモが180人で闘われた。弾圧を弾劾し、被告を激励するシュプレヒコールが東京地裁を直撃した。

 権力の手先に無言の怒り

 デモを終え、地裁の傍聴券配布所に駆けつけた人びとは、そこで断じて許せない光景に出くわした。組合員を権力に売り渡した国労東京地本の阿部、鈴木勉、東日本エリアの山根ら二十数人が、すでにそこに並んでいるではないか!
 反弾圧闘争のうなりを上げた発展におびえる反動派は、警察にそそのかされて公判闘争破壊のために現れたのだ。権力は、弾圧を押し貫くために、反動革同やチャレンジを深々とその懐に引き込んだ。彼らは、権力の手先としての正体を白日のもとにさらけ出した。
 集まった人びとは、怒りに燃えて彼らをにらんだ。裁判所職員があわてて割り込み、彼らを防衛した。
 傍聴希望者は202人に膨れ上がった。にもかかわらず地裁は大法廷の使用をかたくなに認めない。傍聴席はわずか38。午後1時、集まった人びとは入廷する家族を拍手で送り出した。
 公判の成り行きを気にかける人びとは、傍聴から締め出されてもその場を立ち去り難く、公判廷のある4階の廊下に向かった。傍聴者控え室から廊下にかけて120人以上の人が抗議の意志を込めて座り込んだ。無言の怒りにおされ、裁判所も手出しができない。
 傍聴者控え室にも東京地本の反動派が潜り込んでいた。闘う国労組合員が「組合員を売るのは労働組合のすることなのか」と、こみ上げる怒りを抑えつつ懇々と説得した。彼らは、いたたまれずにうなだれた。
 公判が休廷に入った。法廷から出てきた弁護団が裁判の進行状況を報告した。廊下いっぱいに広がった人びとの意識が、一点に集中する。静かでありながら異様な熱気だ。
 公判が終了にさしかかると、集まった人びとは静かに退去した。地裁の入り口に陣取って、東京拘置所に押送される被告たちへの激励行動を貫いた。
 その後、傍聴を終えた被告家族や仲間たちと地裁前で合流し、東京地裁を揺るがしたこの日の闘いの大きな勝利をかみしめあった。

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週刊『前進』(2089号2面3)

 団結を固め春闘へ

 動労水戸が大会と旗開き

 1月26日、動労水戸は茨城県水戸市内で第20回定期大会と2003団結旗開き(写真)を開催した。組合員や家族、来賓、共闘関係者など50人が集まった。
 午前10時半からの定期大会では、国分勝之委員長があいさつに立ち、「情勢は大きな転換点を迎えている。今年はイラク・北朝鮮侵略戦争前夜の中での大会だ。昨年、JR東日本は初めてベアゼロを強行した。労働者が食っていけない攻撃がどんどん来ている。それなりの会社に勤めていればなんとかなるという時代ではない。JRなら大丈夫ということは全然ない。03年はこれまでと画然と違った攻撃が来る」と訴えた。
 そして、「JR総連カクマルが分裂過程に入り、今までの体制が崩れようとしている。国鉄闘争は4党合意が破産し、1047名闘争の新たな陣形が広がっている。一方、国労の仲間への弾圧が襲いかかっている。この中で、動労水戸は労働者は必ず立ち上がると信頼し、身をもって決起する。昨年、動労水戸はストに入り、8割の組合員を東京集会に動員した。それは他労組にはできない偉大なことだ。03年も総力で闘い、労働者の旗を示したい」と方針を提起した。
 運動方針案では、執行部と組合員とのしっかりした意思統一をかちとり、全組合員が一丸となって春闘に立つこと、その中で組織拡大をかちとることが強調された。討議では、組合員の団結をいかに強化するかをめぐって、真剣な議論が交わされた。運動方針を採択し、国分委員長−木村郁夫書記長を中心とする役員体制を確立した。
 大会終了後、団結旗開きが行われた。三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長や、茨城県内の労働組合・共闘団体があいさつし、闘いのきずなを深めあった。

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週刊『前進』(2089号2面4)

 資本攻勢&労働日誌 2003

 1月16日〜28日

 連合笹森会長が自民党大会出席

 ホンダが定昇一部廃止で労使合意/電機連合「職種別賃金」移行へ

笹森連合会長が自民党大会に出席 ナショナルセンターのトップが自民党大会に出席するのは初めて。(16日)=前号3面参照
連合、日本経団連との初の懇談会に参加 日本経団連側は、「将来的には賃金も国際水準に見直すべき」と発言した。(16日)
JC中央討論集会/造船、電機が経労委報告を評価 IMF・JC(金属労協)の03闘争中央討論集会で、経労委報告について、造船重機労連の内藤書記長は、「経済や社会を扱った部分にはうなずけるところがたくさんある」、電機連合の大福書記長は、「春闘改革につながる」などと述べ、評価した。(16日)
最悪の60.3%/高校生の就職内定率 厚労省の発表では、今春卒業予定で就職希望の高校生の就職内定率は昨年11月末現在で60.3%(前年同期比3.1ポイント減)と低迷、過去最悪となっている。沖縄(25.2%)が全国最低。(16日)
倒産件数、戦後2位 帝国データバンクの02年の全国企業倒産集計(負債1千万円以上)によると、倒産件数は1万9458件で、戦後2番目となった。(20日)
三菱重工労組、ベア要求せず 三菱重工労働組合は03年春闘でベア要求放棄の方針を組合員に提示した。(22日)
米西海岸労資交渉妥結 ILWU(国際港湾倉庫労組)と経営側の労資交渉で、労組は労資の代表がまとめた新6カ年労働協約案について信認投票を行い多数決で承認した。(22日)=ILWUの報道ページへ
マツダ労連、統一ベア初の見送り 全国マツダ労連は、今春闘のベースアップ統一要求の見送りを決めた。(23日)
電機連合、職種別賃金体系の導入へ 電機連合は23、24日、中央委員会を開催。他業種に先駆けて「職種別賃金」への移行を進める。本年度は第一歩として学歴と勤続年数を除外し「30歳技術職」「35歳技能職」の二つのモデルで春闘交渉に臨むことを決めた。ベアも2年連続で見送る。(23日)
島根県職労が4年半ぶり時限ストライキ 島根県職労は、澄田知事からの3年間、3〜5%の給料カット案についての労使交渉が決裂したのを受け、1時間の時限ストを決行した。(24日)
住友電工、定昇1年凍結 住友電気工業労資が今年4月の定昇を見送り、賃金の1年間据え置きで合意したことが明らかに。(24日)●ホンダ、定昇一部廃止 ホンダが定期昇給制度を一部廃止したことが明らかに。すでに労資合意し、昨年10月分から新制度に移行している。(25日)
ベア要求、ホンダ・三菱自も断念 本田技研労働組合と三菱自動車工業労働組合はベア要求の断念方針を職場に提示。(27日)
笹森連合会長、関経協で「労使共生」発言 連合の笹森会長は関西経営者協会が大阪市内で開いたセミナーで講演し、「今後労使は共生する必要がある」などと講演した。(28日)=要旨別掲
産業再生機構法案を閣議決定 政府は「産業再生機構」の設置法案と、産業再生法改正案を閣議決定した。(28日)=法案等参考資料
英消防士組合が48時間スト 英国消防士組合(FBU)は、本年2度目となるストに突入、48時間ストを打ち抜いた。(28日)=FBUのスト報道FBUの主張

 笹森の関経協講演(要旨)

 「今後は労働時間、均等待遇、税制・社会保障の三点を総合的に見直す」
 「経済危機と失業率の悪化がすすむ現在は、労使が一致して生き続けるべき共生の時代」
 「『労働を中心とする福祉型社会』と『男女共同参画社会』をめざし、ナショナルセンターは体制変革のための社会運動を担わねばならない」

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週刊『前進』(2089号3面1)

 日本経団連「経労委報告」路線

 終身雇用制解体を許すな〈2〉

 「雇用形態の多様化」 大多数の労働者を不安定雇用化

 時間給で昇給も年金もなし

 03春闘を前に、日帝資本は終身雇用制を軸として形成されてきた戦後の労資関係を全面的に解体し、大多数の労働者を低賃金の不安定雇用にたたき込むことを宣言した。
 日本経団連の「経営労働政策委員会報告」は、「雇用形態の多様化」を呼号して、「短時間就労、在宅勤務、有期雇用等々、多様な働き方を工夫し、適切に組み合わせることによって、景気変動にも柔軟に対処し、過剰な雇用を抱え込むリスクを回避し」「多様な事業・生産体制のもとで(分社化、アウトソーシング、事業の海外展開、組織構造の変革など)、多様な雇用形態の適切な組み合わせ(パート、派遣など)」を図れと叫んでいる。また、日本経団連が1月1日に打ち出した「活力と魅力溢(あふ)れる日本をめざして」(「奥田ビジョン」)は、「画一的な雇用システムは、価値観の多様化などから、もはや今日の時代に合わなくなってきている。企業の正社員としての道は、今後、選択肢のひとつにすぎなくなるであろう」とまで言い放っている。
 大多数の労働者を、いつでも首を切ることのできる無権利の存在に落とし込めようというのである。
 それは、95年に日経連が打ち出した「新時代の『日本的経営』」路線を本格的に実現しようとするものだ。そこで日経連は、労働者を「長期蓄積能力活用型グループ」「高度専門能力活用型グループ」「雇用柔軟型グループ」の3類型に分けるというプランを描いていた(下表参照)。終身雇用制と月給制が適用されるのは「長期蓄積能力活用型グループ」とされる一部の基幹社員のみ、その他の労働者は有期契約で、圧倒的多数の労働者は時間給で昇給もなく、退職金も年金もない「雇用柔軟型グループ」に落とし込めるというのがその基本構想だ。
 03春闘を前にして、資本はついにその全面貫徹へと踏み込んだのだ。

 4分の1以上が非正規雇用

 今日すでに、不安定雇用化の攻撃は激しく労働者階級を襲っている。厚生労働省のパートタイム労働者総合実態調査によれば、01年には非正規雇用労働者の全労働者に占める割合は26・1%(1118万人)になり、95年の前回調査から8・3ポイント(320万人)も上昇した。全労働者の4分の1以上が、きわめて不安定な雇用形態のもとに置かれているのだ。特に、女性の場合は45・7%が非正規雇用だ。
 01年の派遣労働者数は175万人で、前年に比べて26・1%増加した。正社員の派遣労働者への置き換えは、すさまじい勢いで進行している。派遣労働者の7割は3カ月未満の派遣契約を強いられ、賃金も平均年収は239・5万円だ。これではとうてい生活できない。それは、派遣やパート、アルバイトのほかに就職先がない状態にたたき込まれている青年労働者にとっては、将来展望がまったく描けないということだ。怒りは、噴出口を求めている。
 今こそ団結と権利を奪還し、階級的に闘う労働運動をつくりだそう。
 資本は、ほとんどすべての労働者をこうした状況に突き落とそうとしている。経労委報告は、「総額人件費の削減」を唱え、「企業の総人件費=賃金(水準)×雇用(数)×労働時間」という算式を掲げて、労働者の大多数を時間給の不安定雇用にすることを前提に賃金政策を論じている。
 日本経団連が資本攻勢の手本とするアメリカでは、「ダブル・ジョブ」「トリプル・ジョブ」と言われ、労働者が二つ三つのパート労働をかけ持ちしなければ生活できない状況に追い込まれている。日帝資本は「国際競争力の回復」を絶叫しつつ、これと同様の攻撃を貫徹しようと、凶暴なきばをむいたのである。
 こうした攻撃は、大企業においても企業再編・アウトソーシング(外注化)を軸とした首切り−賃下げ・再雇用の攻撃として激しく進んでいる。その典型がNTTの11万人首切りの攻撃だ。JRでも、駅業務など鉄道本来業務への派遣労働者の導入が始まっている。さらに、公社化を前にした郵政職場や、自治体においても、業務の外注化や短時間職員などの有期・不安定雇用労働者への置き換えが激しく進んでいる。
 日帝資本は、連合の裏切りをテコとして、こうした国鉄分割・民営化型の攻撃を全社会をのみこむ勢いで押し貫こうとしているのだ。全力で反撃しよう。

 連合の裏切りが攻撃を促進

 連合は、資本によるこうした攻撃に完全に同意を与え、その先兵となった。
 昨年12月16日に連合と日本経団連、政府が結んだ「多様な働き方とワークシェアリングに関する政労使合意」は、「従来の雇用慣行や制度の検討・見直しに取り組み、様々な雇用・就労形態を多様に組み合わせた雇用システムを整備」すると言い切っている。
 春闘を前に、連合は「就労形態の多様化」と称する労働者の全面的な不安定雇用化を、資本と権力の前に誓ったのだ。
 だがそれは、連合の崩壊に必ずつながる。雇用も生活も根底的にたたき壊されようとしている労働者が、いつまでも連合に従っていることなどありえない。この連合を労働者支配のより所とせざるをえないことに日帝の決定的弱点がある。
 今日、全世界で巻き起こるイラク反戦闘争の根底には、80年代以来の資本攻勢に対する労働者階級の巨大な怒りがある。日本においても、生きる権利さえ奪い去る攻撃に対して、労働者が怒りをたぎらせて立ち上がる情勢が訪れている。不安定雇用化の攻撃を断じて許さず、03春闘勝利へ闘い抜こう。

 (長沢典久)

経労委報告の雇用形態の考え方(日経連「新時代の『日本経営』)
雇用形態
対象
賃金
賞与
退職金・年金
昇進・昇格
福祉施策
長期蓄積能力活用型グループ 期間の定めのない雇用契約 管理職、総合職、技術部門の基幹職 月例給か年俸制、
職能給、昇格制度
定率+
業績スライド
ポイント制 役職昇進、職能資格昇格 生涯総合施策
高度専門能力活用型グループ 有期雇用契約 専門部門(企画、営業、研究開発など) 年俸制、業績給、
昇格なし
成果配分 なし 業績評価 生涯援護施策
雇用柔軟型グループ 有期雇用契約 一般職、技能部門、販売部門 時間給制、職務給、
昇格なし
定率 なし 上位職務への転換 生涯援護施策

 

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週刊『前進』(2089号3面2)

 青年・学生の組織化へ

 反戦共同 全国活動者会議で討論

 反戦共同行動委員会の全国活動者会議が2月2日、横浜市内で開かれた。全国から約70人が結集。反戦共同行動委の大胆な変革と飛躍を実現し、イラク開戦阻止と有事法案粉砕へ全力で闘うことが確認された。
 まず全学連の松尾純一副委員長が全学連の訪米報告を行い、1月18日のワシントン50万人集会の背景には、その10倍以上の米労働者階級の決起があると力説した。
 事務局が議案を提起。米国のような反戦闘争の大衆的爆発をつくりだすために反戦共同行動委が責任を取る勢力になろう、反戦共同行動委に青年や学生を組織するための組織方針・戦術を徹底的に議論し実践しよう、などと提起した。
 これを受けた討論で、東京反戦共同行動委の結柴誠一事務局長は、宣伝・扇動の改革を強調し、イラクへの戦争が“石油のための虐殺戦争”であることを暴露しようと訴えた。
 東京労組交流センターは、反戦共同行動委の発展の軸に交流センターが座るという決意を述べ、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」への労組の組織化を訴えた。また神奈川からは、12月の横須賀闘争以後、高校生など多くの若者が有事立法反対署名に応じていることが報告された。
 最後に中野洋代表が討論をまとめた。「反戦共同行動委員会結成時の原点に戻ろう。情勢は反戦共同行動委の変革を求めている。問題の核心は数だ。本気で増やすために奮闘しよう。統一戦線を推進し、巨万の大衆が国会を包囲する闘いをつくりだそう」

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週刊『前進』(2089号3面3)

 イラク反戦・有事法制阻止へ

 2・14明治公園で大集会

 2月14日午後6時半から東京・明治公園で、イラク反戦・有事法制阻止の集会が開かれる。現在までのところ以下のような内容が明らかになっている。
 集会名称は「平和を願う日本の良心を、今世界に 2・14大集会 NO WAR ON IRAQ STOP有事法制」で、井上ひさし、なだいなだ、池辺晋一郎、ジェームス三木、小山内美江子、山田洋次、木下順二氏ら14人(2月5日現在)の文化人が呼びかけている。これにこたえて陸・海・空・港湾労組20団体が参加を決定し、連合、全労連、全労協などの労働団体に取り組みを要請した。99年以来様々な闘いを担ってきた宗教団体、市民団体、反戦団体にも参加の動きが広がっている。
 イラクへの攻撃が切迫し、日帝・小泉政権が有事法制の成立を公言するなかで、さまざまな団体や個人がこの集会に参加しようとしている。昨年の4・19から12・1の流れを引き継ぎ、03年の闘いの高揚へ向けた集会として位置づけられている。集会後、都内のデモ行進が行われる。

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週刊『前進』(2089号3面4)

 “もんじゅ設置許可は無効”

 名古屋高裁が住民勝利判決

 今こそ廃炉に、核燃サイクル白紙撤回へ

 1月27日、核燃料サイクル開発機構の高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)をめぐり、地元住民ら32人が国に「原子炉設置許可の無効確認」を求めた行政訴訟の控訴審判決が名古屋高裁金沢支部で出された。川崎和夫裁判長は「ナトリウム漏れや蒸気発生器伝熱管破断、炉心崩壊の事故対策の安全審査に重大な誤りがある」として1審福井地裁判決を取り消し、設置許可を無効とした。
 この住民側完全勝利判決は、01年5月の新潟県刈羽(かりわ)村の柏崎・刈羽原発へのプルサーマル計画受け入れ反対の住民投票の勝利に続く大勝利である。
 この判決の特徴は次の3点にある。
 @「本件安全審査に瑕疵(かし)があり、放射性物質の外部環境への放出の具体的危険性を否定することができず本件許可処分は無効である」と鮮明に判断したこと。
 A「看過しがたい不備があるにもかかわらず、審査機関がその補正を求めた形跡は全く認められず、むしろ本件許可申請書の記述を無批判に受け入れた疑いを払しょくすることができない」と国の安全審査への姿勢を厳しく批判したこと。
 B「この評価の欠落は、炉心崩壊事故という重大事故の評価に直接かかわるものであるから看過しがたいものというべき」と、炉心崩壊という重大事故の可能性まで踏み込んで安全審査をすべきであると厳しく指摘したこと。
 全体をとおして、国の原子力行政よりも住民の安全を優先させる判断に立った画期的な判決である。
 「もんじゅ」をめぐる大小の事故の多発、とりわけ95年12月のナトリウム漏れ火災事故などを客観的に検証すれば当然導き出される結論である。しかし、この客観的な検証をするということが国の原発行政・核政策の厚い壁の前に長い間、押しつぶされてきたのだ。
 今回、この壁をぶち破り勝利判決をもぎり取った力は何か。
 一つは、「もんじゅ」を主軸とした核燃サイクル計画という国策によるしつような攻撃を受けながらも、けっしてひるむことなく「もんじゅ廃炉」を掲げて17年間不屈に闘いぬいてきた地元住民の闘いの圧倒的な正義性である。もう一つは、反核・反原発・反核燃を闘う全国の労働者人民の「核と人類は共存できない」という怒りの決起である。99年9月茨城県東海村でのJCO臨界事故(2人の現場労働者の被ばく死と多数の住民の被ばく)の責任を居直る国と資本に対する怒り、東京電力などの原発損傷隠し・検査偽造に対する怒りのすさまじさだ。
 この労働者人民の力こそが核兵器材料のプルトニウムの生産・抽出を目的とする日帝の核燃料サイクル政策を破産に追い込み、日帝の核武装化攻撃を阻止する力となるのは間違いない。
 高裁の勝利判決を引きつぎ、もんじゅ廃炉、05年六ケ所村再処理工場稼働阻止・核燃白紙撤回に向け全力で闘おう。

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週刊『前進』(2089号3面5)

 支援費制度に怒り爆発

 ”自立生活が成り立たない”

 「障害者」が厚労省を包囲

 4月からの施行強行を目前にして、ついに支援費制度の本質が暴き出された。
 厚労省は突如として、支援費制度に対する自治体への国庫補助金交付に基準を設定し、サービス利用に事実上の制限を設ける方針を打ち出した。その中身は、脳性マヒなどの「全身性障害者」は最高で月に120時間、「知的障害者」などは30時間ないし50時間というものである。これを1月28日の各自治体の担当者を集めた会議で通達しようとしたのだ。厚労省はこれまで各「障害者」団体との交渉の中で「支援費制度に移行しても引き下がりは起こらない」と、4月以降もそれ以前と同じ福祉施策が提供されると明言していた。
 厚労省は昨年10月1日に多くの人びとの反対を無視して利用申請の受け付け開始を強行し、多くの「障害者」が利用申請した今になって利用制限を打ち出すというだまし討ちで強行突破を図ろうとしてきた。
 これでは自立生活そのものが成り立たなくなる。全国の「障害者」から一斉に抗議の声が上がった。1月14日から24日まで連日500人を超える「障害者」が全国から押しかけ、厚労省に抗議をたたきつけた。とりわけ16日には1200人以上の「障害者」が厚労省を完全に包囲するという「障害者」運動始まって以来とも言える歴史的な闘いとなった。この一連の行動を組織したのは、DPI日本会議や日本障害者協議会など、そもそも支援費制度を先頭になって推進してきた団体である。にもかかわらず結集した「障害者」は「厚労省は『障害者』を殺す気か」「支援費制度なんかやめちまえ」などの声をあちこちから上げた。
 この事態に慌てた厚労省は、翌17日からすべての出入口を閉ざして「障害者」をシャットアウトするという暴挙に出た。一方で24日に坂口厚労大臣が急きょ記者会見し、「交付基準設定を撤回するつもりはない。しかし4月以降、障害者のみなさんの生活が大きく変わらないような経過措置を考えたい」と述べた。これを受けて27日、DPIなどの「障害者」団体の幹部と厚労省との話し合いが開かれ、大筋大臣記者会見の内容で妥結した。これら一部幹部は、「障害者」大衆の怒りの激しさの前に支援費制度もろとも自分たち自身がふっとばされかねないことにすくみ上がり、闘いの収拾を図ろうとしたのだ。
 しかし、28日には「知的障害者」や車イスの「障害者」を中心に100人近くが厚労省前で支援費制度の廃止を求めて抗議の声を上げた。また同日DPIなどが日比谷公園で開いた報告集会でも多くの「障害者」から妥結に対する不満の声が上がった。
 さらに支援費制度絶対反対の闘いが拡大する情勢が開かれているのだ。4月まであと2カ月、制度廃止に向け全力を挙げよう!
    (投稿/「視覚
    障害者」H・F)

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週刊『前進』(2089号3面6)

 海員組合がイラク攻撃と有事立法に反対する声明

 陸・海・空・港湾労組20団体の中軸を担い有事法制反対運動に取り組む全日本海員組合中央執行委員会が、1月8日、アメリカのイラク攻撃と有事関連法制に反対する声明を発表した。1月14日には、連合にイラク攻撃反対と有事関連法案に反対の立場を堅持するよう要請した。真っ先に戦争動員の対象となる立場から、危機感を持って訴える海員組合の闘いに学び、ともに闘おう。(編集局)

 イラク情勢と海員組合の対応について(声明)

 イラクに対するアメリカの全面的な武力攻撃の準備が進むにつれ、あくまで平和的な手段による解決を望む国内・国際世論は日増しに大きくなっている。われわれ海を職場とする者にとって、「平和な海」は安全に安心して働くための絶対的条件であって、再びペルシャ湾・中東周辺海域を「戦場の海」に変えるイラク攻撃に強く反対する。
 ペルシャ湾・中東周辺海域は、大型の原油タンカーや液化天然ガス運搬船(LNG船)など、日本の経済・国民の暮らしを支える多数の民間船舶が行き交う重要な海上交通路となっており、多くの日本人船員と、共に働く外国人船員が就労している。アメリカのイラク攻撃が始まれば、安全航海の重大な阻害要因となることは明白であり、乗組員とその家族の心労は想像に難くない。しかも報道では、日本は「米英に次ぐ三番目の敵対国」に位置付けられているという。一旦戦端が開かれれば、中東周辺に限らずマラッカ海峡など東南アジア海域はじめあらゆる海域で、わが国関係船舶が長期にわたってゲリラ的な攻撃対象とされる恐れも極めて大きい。
 政府は、船主の要請や国民の理解があればペルシャ湾内の日本タンカーを護衛するために、海上警備行動の名目で自衛艦の派遣も視野に入れた検討を進めているという。現行憲法上の疑念は当然として、今日、運航コスト切り下げを目的に日本法人所有の外航タンカーの大部分がパナマやリベリア籍へ便宜置籍化され、日本国籍を有するタンカーはLNG船などの一部に限定される外航海運の現状にあって、一体「日本タンカー」とは何を指すのか、甚だ疑問の残るところである。いずれにしろ、海上における戦争のルールを規定している慣習国際法では「敵国軍艦、軍用機の護衛の下で航行する民間船舶は軍事目標とする」ことが明確にされている。われわれは、民間船舶が「軍事目標」とされる一切の行為に反対する。
 イラン・イラク戦争では、日本人船員の乗り組む407隻の民間船舶が被弾し、650人の船員が死傷した。その後の湾岸戦争の際も、乗組員の安全確保を最優先に、懸命にエネルギーロードを維持し職責を果たしてきた。万が一のことがあれば、こうした過去の経験を踏まえ、労使緊密に連携し可能な限りの安全対策を講じ万全を期す。とりわけ、外航組合員の乗る船舶の殆どが外国人船員(非居住特別組合員として登録)との混乗船となっている現状を重視し、船内のチームワークと士気の確保のために労働組合としての責任を果たす。
 なお、アメリカの始める戦争に日本が積極的に加担し、民間船舶と船員の戦時強制動員に道をひらく「有事法制」の制定に引き続き反対し廃案を目指す。
 2003年1月8日
 全日本海員組合
 中央執行委員会
(声明はホームページから転載しました)

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週刊『前進』(2089号3面7)

 NLP広島誘致絶対阻止

 米軍厚木基地(神奈川県)での米空母艦載機による夜間発着訓練(NLP)を広島県沖美町の大黒神島に移転することを、政府が画策していることが1月29日に明らかになった。これは北朝鮮・中国侵略戦争のための新たな米軍基地建設の攻撃そのものである。
 NLPとは、空母艦載機が夜間の着艦を想定し、陸上の飛行場で滑走路を空母の甲板に見立てて離着陸をくり返す訓練だ。空母での離着陸はわずか百数十bの甲板で行う。特に着艦は、甲板上に張られたワイヤーにフックを引っかけて停止するという高度な航空技術を要する。空母を実際の戦争で昼夜を問わず運用するためには絶対に不可欠の訓練である。北朝鮮・中国侵略戦争危機の緊迫化と一体であることは明らかだ。
 その上、NLPはきわめて危険な訓練であり、事故の危険性は高い。周辺への騒音被害も深刻だ。実際、厚木基地の周辺住民による爆音訴訟の第1〜2次で国が相次いで敗北している。
 同島は、岩国基地(山口県)から直線で15`メートルの距離だ。岩国基地は新滑走路を建設中で空母の接岸も可能にする工事も進んでいる。呉(広島県)の基地や弾薬庫とも一体で広島周辺を北朝鮮・中国侵略侵略戦争の出撃拠点化する攻撃だ。
 「厚木基地からの移転」というのはまったくのペテンだ。横須賀基地(神奈川県)が米空母の母港である限り、厚木基地は不可欠である。厚木−横須賀を確保し続ける上に、新たに広島−岩国を空母の準母港として、侵略出撃拠点として確保しようとしているのだ。
 ヒロシマでは広範な怒りと反対の声が広がり、沖美町では直ちに署名運動などの反対運動が始まった。2月3日には同町議会が誘致反対を決議、翌4日に町長が誘致を白紙撤回し、5日には辞職願いを提出した。
 NLPの広島移設攻撃を完全に葬り去れ。イラク・北朝鮮侵略戦争阻止と一体で闘おう。

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週刊『前進』(2089号4面1)

 オーバーラン事故弾劾! 暫定滑走路は直ちに閉鎖を

 3・30三里塚全国集会へ

 成田をイラク・北朝鮮侵略戦争の軍事基地にするな

 斉田 猛

 三里塚は反戦と有事立法阻止の砦

 米帝ブッシュ政権は、2月〜3月の対イラク侵略戦争開戦を決断し、湾岸地域に次々と軍隊を送り込み、最大で25万人を派兵しようとしている。朝鮮半島でも戦争策動が強まっている。
 われわれは03年決戦で、対イラク・北朝鮮侵略戦争阻止、有事立法粉砕を最大の闘いのテーマに設定しつつ、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕、春闘勝利、統一地方選勝利とりわけ杉並での3候補当選へ全力を挙げなければならない。
 03年の三里塚闘争は、成田空港暫定滑走路の閉鎖に向けて大きく前進するのか、政府・空港公団による巻き返し策動を許すのかをかけた決戦となった。政府・空港公団は総裁の黒野匡彦を先頭に、手段を選ばぬやり方をもって三里塚闘争の陣形を切り崩し、暫定滑走路開港との闘いに勝利した地平を破壊する攻撃に出てきている。それは同時に、有事立法強行・対イラク攻撃参戦にむけて反戦の砦(とりで)を破壊し、闘いの最先端を鎮圧し、戦争体制づくりを狙った攻撃だ。そして対イラク・北朝鮮侵略戦争が切迫する中で、成田空港を中軸的な兵站(へいたん)・出撃基地として動員するために露払いを行うものである。
 対イラク・北朝鮮侵略戦争攻撃の中で、「戦争を許さない」「反戦闘争へのエネルギーを解き放つ人民的内乱の拠点」としての三里塚闘争の位置はかつてなく重大である。°戦争か反戦か″の攻防の焦点にせりあがってきているのだ。
 欠陥施設・暫定滑走路を直ちに閉鎖せよ。成田空港の軍事基地化を許すな。三里塚を先頭に有事立法阻止、対イラク・北朝鮮参戦阻止を闘おう。3・30三里塚全国集会に集まろう。

 大惨事寸前の事故続発する欠陥空港

 1月27日、成田空港暫定滑走路で2度目の事故が起きた。前回の航空機同士の接触事故(昨年12月1日)からわずか2カ月足らずで大惨事寸前のオーバーラン事故である。韓国・仁川発成田行きのエアージャパン機(B767−300)が午後9時49分、暫定滑走路に北側から進入して着陸しようとした時、折からの強い北風と雨で濡れた滑走路のためブレーキが利かず、滑走路南端を70bもオーバーランして草地に突っ込み、誘導路灯を破壊して横向きとなり主翼を傾けて止まった。東峰神社手前わずか50b。同機には乗員・乗客102人が乗っており、あと十数bも暴走すれば、燃料タンクが爆発して百人規模の死傷者を出す大惨事となっていたのだ。
 「短すぎる滑走路」「本来造ってはならない欠陥施設」という反対同盟と人民の警告が現実のものになった。農民が営農し生活している直近の所でこのような危険きわまりない暫定滑走路を使うことは、もはや1日たりとも許されないのだ。国交省・空港公団は、直ちに暫定滑走路を閉鎖せよ!
 首都圏空港政策については、昨年、交通政策審議会航空分科会が、羽田空港について「再拡張事業の完成後、国際定期便の就航を図る」と明記し、羽田の国際化を決めた。具体的には、09年度に羽田のD滑走路を完成させ、国際化し、短距離便を中心に就航させることを正式に打ち出している。これは、国際線のうちアジア便をほとんど羽田発着に移すことを意味する。成田暫定滑走路の存在理由を奪う方針転換である。
 さらに成田空港の民営化にむけた特殊会社への移行も04年度と正式決定した。平行滑走路は不採算路線であるため、営利を目的とした民間会社に移行した場合、暫定路延長のための設備投資は必要ない、というのが国土交通省を含めた空港政策関係者の見解である。これは暫定路の平行滑走路(2500b)延長に時間が区切られたことを意味する。
 こうした絶望的な危機は逆に、焦りにかられた政府・公団の凶暴な攻撃を加速させている。
 空港公団が策動している攻撃の第一は、1・27事故をも契機にした反対農家切り崩し策動の強化である。1月30日黒野は「2500b滑走路の必要性を痛感した」「従来に増して用地売却を反対農家に切実にお願いする」と反対農家切り崩しに全力を挙げることを公言し、昨秋破産した「北側延伸計画」についても「タイミングを見て進めたい」と述べた。
 黒野総裁は公団用地部を先頭とした°切り崩し部隊″にムチを入れ「必要ならば自分が出向いて土下座でも何でもする」と、前任の中村総裁以上に攻撃の前面に立つ意向を公言した。
 また昨秋破綻(はたん)した「北側延伸計画」についても、「脅すためだけに着工する」という攻撃の選択肢も排除していない。暫定滑走路は2年内に延長のメドをつけないと「閉鎖が現実化する」という危機に追いつめられているのだ。そのために、公団は「民営化前に着工する」と明言し、かつてない悲壮感をもって攻撃に出てきている。
 攻撃の第二は、「東峰地区への空港拡張=貨物地区整備構想」の打ち出しである。空港公団は昨年末、東峰地区に空港を20f拡張して新たに「貨物地区」を造る計画を東峰部落に提示、東峰十字路南側に広がる県有林の伐採を打診した。拡張部分には反対同盟の萩原進事務局次長の宅地・農地すべてを始め東峰部落の反対農家すべてが組み入れられる計画だ。
 公団は「東峰地区の未買収地を取得し、暫定滑走路を南側に延長するには、個別交渉では限界がある。東峰部落丸ごと°落とす″以外ない」と決断し、東峰部落全体がスッポリ収まる貨物地区構想をあえて打ち出してきた。
 これは新たな地上げ攻撃である。東峰十字路近くの県有林は広さが8fもある部落の防風林である。開拓以来、苦楽をともにしてきた村人の心のよりどころである。公団はこの県有林を見せしめ的に伐採し、「貨物地区整備のため」と称して、反対農家の軒先までコンクリートで固めて、追い出そうというのだ。頭上40bのジェット機飛行、軒先50bのジェット噴射で屈服させられなかった反対運動に対して、新たな軒先工事、新たな地上げを加えてきているのだ。
 攻撃の第三は、新たな一坪共有地強奪策動である。空港公団は、賠償金と引き換えの一坪共有地強奪をたくらんできた。すなわち昨年12月24日、敷地内木の根・天神峰8カ所の反対同盟一坪共有地に対して「金銭による所有権の取得」を求める裁判を提訴したのだ。
 公団が暫定滑走路の未買収地を法的に取得する手段はすでに失われている。土地収用法は失効し、公団は自ら裁決申請を取り下げた(1993年6月)。このことによって土地収用法による農地強奪は完全に不可能となり、残る手段は任意による買収だけとなった。
 しかし、反対同盟が健在であるかぎり「任意買収」は不可能である。東峰神社、墓地、開拓道路も健在である。
 そこで土地収用法の代用としてくり出してきた農地強奪策動が民法の共有地分割条項をタテにした提訴である。目的は、深刻な国際問題になっている4000b滑走路と第2ターミナルの間の誘導路の渋滞解消である。渋滞解消のための新たな誘導路建設(横風滑走路建設そのものだ)を阻んでいる一坪共有地を土地収用法の代わりに民法を使って強奪しようというのだ。しかし、これはデタラメきわまりない。
 民法の分割請求は金銭トラブルが対象であり、所有権そのものに反対運動としての価値がある一坪共有地の強奪には使えない。それでも手段のなくなった公団・黒野は、「国家権力」の圧力で裁判所を屈服させることができる、と提訴を強行した。
 ちなみに、公団の思惑どおりに進んだとしても、最大の障害になっている天神峰の「へ」の字誘導路が解消するわけではない。北原鉱治事務局長所有の一坪共有地を奪っても現闘本部と市東孝雄さんの畑が「へ」の字を強制しているからだ。提訴自体が無意味だ。
 要するに、黒野が実質的効果の伴わない一坪提訴を強行した目的は、再び°国家権力による脅し″をかけるということだ。反対同盟は全面的に受けて立ち、一大裁判闘争にする決意だ。
 このほか公団は、昨年末に木の根部落の宅地収用や横堀要塞(ようさい)の撤去攻撃を強行し、国家暴力を空港反対農家の目の前で見せつけ恫喝している。
 昨年、反対同盟は暫定滑走路開港攻撃に対して全力で闘い素晴らしい勝利の地平を獲得した。公団は「ジェット機を飛ばせば出て行く」「家の前でジェット噴射を吹き付ければ音を上げる」と公言して強引に開港したが、反対同盟はついにこの攻撃を跳ね返し、逆に暫定滑走路の構造的欠陥を突き出して、公団を危機に追いつめてきた。
 反対同盟は新年旗開きで「今年は断固として暫定滑走路の閉鎖を要求して闘う」と宣言した。追いつめられているのは政府・公団である。03年は、三里塚闘争が公団の闘争破壊攻撃と全力で対決し、暫定滑走路の閉鎖にむけて決定的な勝利をかちとる年である。

 国策を阻止し続け治安政策打ち砕く

 以上の攻撃は、三里塚闘争の勝利の地平を破壊する攻撃であると同時に、最強の反戦闘争の砦である三里塚闘争の破壊攻撃である。
 1月末、自民党の山崎拓幹事長は「自民党単独でも有事立法の採決を行う」と発言し、今の通常国会で有事立法を強行する政府・支配階級の意図をむき出しにしてきた。37年間にわたり、全人民の血と汗によって守り発展させられてきた三里塚闘争は、戦時体制づくりを根底的なところで阻んでいる。それは、千葉県収用委員会が実力で解体されて再建できない状態が、まる14年も続いている現実に集約される。その結果、成田の事業認定(土地収用法)は消滅に追い込まれ、すべての未買収地が強制収用できなくなった。千葉県下のあらゆる公共事業も収用法が適用できない事態が続いている。
 この現実は、国家権力との実力闘争が広範な人民によって階級的に支持されるならば、権力の暴力支配さえ無力化する陣地を確保できることを実証した。
 この闘いの地平が、今まさにわき起こりつつある広範な労働者人民の階級的怒り、反戦の気運と合流することが決定的なのだ。
 もはや日本帝国主義には、労働者人民に犠牲を転嫁する以外にいかなる延命策も残されていない。膨大な労働者人民が闘う以外に生きていけない状況に投げ込まれている。
 37年間の熾烈(しれつ)な権力との攻防に勝ち抜き、いまだ第一級の国策を阻止し続ける三里塚闘争は、国内治安政策の致命的な破綻点なのである。三里塚闘争を破壊することなくして、有事立法強行―戦争体制づくりは不可能なのだ。
 日本の労働運動の戦闘的部分に国労5・27臨大闘争弾圧として戦時型の攻撃が襲いかかっているように、反戦闘争の先端的砦である三里塚闘争破壊が戦争体制づくりのための治安攻撃としてもくろまれている。有事立法強行、対イラク・北朝鮮参戦攻撃を粉砕する決戦として、前述した三里塚闘争への攻撃を全力で打ち破り、03年決戦の前進をかちとろう。

 成田の軍事利用を狙う米軍の新戦略

 イラク侵略戦争開戦の切迫は、日米帝国主義による朝鮮侵略戦争の危機と連動しているが、この結果、成田空港の軍事的動員の必要性がかつてなく強まり、この面からも三里塚闘争破壊の衝動が高まっている。
 米軍が朝鮮・中国侵略戦争へ実際に開戦に踏み切ることができるかどうかの最大のカギは、基地の確保と兵站補給体制の保証だ。これが保証されなければ侵略戦争は空論となる。
 有事法制3法案で最大の問題は、アメリカが日本に要求している出撃基地の安定的確保と兵站・空輸基地の保証および自衛隊の参戦を実現することである。具体的には基地の確保と空港・港湾の無条件使用、鉄道、道路など輸送手段の保証、関連する労働者の戦時徴用だ。
 アメリカ軍は相手の攻撃からの防御のため、出撃・兵站基地を敵のミサイル基地から400マイル(640`メートル)以上離した位置に設定することを原則としている。朝鮮半島の38度線から韓国南端まで400`。ちょうど600`以上離れた日本列島に出撃・兵站基地が設定されることになる。
 日米ガイドライン締結当時から、アメリカが兵站空輸基地として成田空港、新千歳空港、新潟空港などの民間空港の自由使用を要求リストに挙げていたのはこのためである。
 さらに空港・航空基地の要求は現在、湾岸戦争当時と比べてもはるかに切実となっている。アフガニスタン侵略戦争の空爆では、周辺国が米軍に航空基地(空港)を提供できるかどうかが、無差別爆撃の成否を決めた。
 現在のイラク侵略戦争においても、トルコのインシルリック空軍基地を始めとする周辺国の基地を軍事使用できるかどうかが、空爆作戦を左右する決定的問題となっている。
 また兵站空輸基地としての空港・航空基地の比重も湾岸戦争時の比ではない。湾岸戦争では、50万規模の兵器と軍事物資をペルシャ湾岸に展開し開戦にこぎつけるまでに約半年かかったが、これはすでに「古代史となった」(米陸軍)とさえ言われている。
 01年の「4年ごとの防衛見直し(QDR)」でアジア重視が強調されたが、現在米軍が実現しようとしているのは、例えば陸軍では5個師団(約10万人規模)の兵員と装備のすべてを30日以内に世界のどこにでも展開できる体制だ。1個師団(2万人規模)なら5日間で、1個戦闘旅団チーム(1万人規模)ならわずか96時間で展開することがもくろまれている。
 この「大規模・迅速」な兵站・補給体制のポイントが航空輸送で、成田を始めとする日本の大空港は、日米ガイドライン当時よりも一層深々と米軍の兵站・補給体制の計画に組み込まれている。沖縄を始めとする在日米軍基地群の確保と強化である。
 だが、小泉政権に承認させても成田を始めとした民間空港の自由な軍事使用ができるわけではない。三里塚闘争を先頭とした日本の反戦闘争が立ちはだかっているからだ。現在の力関係を破壊・変更せずに米軍の成田、新千歳、新潟空港の使用を強行すれば、日本列島は内乱のるつぼにたたきこまれるだろう。
 現在、南朝鮮・韓国で、米軍装甲車による二人の女子中学生のれき殺事件および1月26日起きた米偵察機のソウル郊外墜落事件を契機にして、米軍基地撤去を求める反米闘争が数十万という戦後最大の規模で爆発していることは象徴的だ。
 同様に、成田空港を包囲する三里塚闘争を破壊せずして米軍の自由使用は不可能であり、朝鮮侵略戦争そのものに踏み切れないという現実があるのだ。
 三里塚闘争の前進が実体的にも朝鮮侵略戦争と対決し、阻止しているのである。03年三里塚闘争をめぐる攻防は、それ自体が有事立法阻止、対イラク・北朝鮮攻撃粉砕の決戦である。

 当面する任務

 全力で03年三里塚闘争に決起しよう。
 第一に、3・30三里塚全国集会に大結集を実現しよう。全人民の結集と共闘の砦三里塚への決意を具体的な結集として表現しよう。
 第二に、黒野を先頭とした反対同盟、空港反対農家切り崩し策動と全力で対決し、粉砕しよう。公団には時間も余裕もない。この攻防に勝利することで暫定滑走路の閉鎖に向けた巨歩がかちとられる。
 第三に、反対同盟の営農を全力で支え防衛しよう。昨秋から今冬、天候の異変で農作業は厳しい状況に置かれている。現闘を先頭に援農闘争を強化しよう。
 第四に、革命軍の革命的武装闘争を連続的に爆発させよう。昨年、革命軍は堂本千葉県知事による収用委員会再建策動に対して4波の戦闘をたたきつけ、大きな打撃を与えた。革命軍は03年、さらに激しい戦闘に決起するであろう。
 暫定滑走路閉鎖、成田の軍事基地化粉砕に向け03年を前進しよう。

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週刊『前進』(2089号4面2)

 難民排除の入管法改悪許すな

 侵略戦争への突入に備え戦時入管体制の構築急ぐ

 今国会では、有事立法成立策動と連動した動きとして入管法(出入国管理及び難民認定法)改悪がもくろまれている。
 1月22日、法務省が自民党に説明した難民認定法に関する改定案の概要によれば、@「60日間ルール」(難民認定申請期間を『入国から60日以内』とする規定)の「6カ月」への延長、A難民認定申請者に暫定的な滞在許可を与えるかどうかを審査し、申請者が仮滞在許可を得た場合、難民認定の最終判断が出るまでの間、強制退去手続きを中断する「仮滞在許可制度」創設などが盛り込まれ、あたかも難民認定制度が改善されるかのように押し出されている。
 国際的非難の的だった「60日ルール」を6カ月に延長するというが、難民認定基準の変更は一切なく、仮滞在許可には@「6カ月ルール」を守っている、A第三国を経由せず直接入国している、B薬物やピッキング盗など違法性の高い犯罪にかかわっていないなどの条件が付く。つまり°日本の国益に合致した外国人を選別して入国・在留を認め、日本にとって好ましくない外国人は入国阻止・退去強制する″という基本方針になんの変更もない。
 昨秋すでに法務省は、生活実態調査を導入して在留期間半ばでも在留資格を取り消し、退去強制ができるようにする入管法改悪案を通常国会に提出すると発表した。24時間、日常的な監視下に在日・滞日外国人を置き、治安管理と退去強制を激化させる攻撃だ。
 「60日ルール」の延長で既成政党を取り込みさえすれば、現在の国会では入管法改悪案は対決法案にさえならない。日帝の攻撃の狙いをはっきりとつかみ、改悪阻止に立ち上がらなければならない。

 「偽装難民排除」

 昨年11月1日、法務大臣の諮問機関、出入国管理政策懇談会が「難民認定制度に関する検討結果(中間報告)」を公表した。
 中間報告の中で示された「難民問題に関する基本的理念と方向性」は、「9月11日発生の米国同時多発テロを端緒として、テロリストの排除が重要な課題」となり、「難民を仮装して入国を企てるテロリストないし犯罪者の入国防止」が重要な責務になったとし、「難民認定手続を在留手段として悪用する者、いわゆる偽装難民を的確かつ早期に我が国から排除するシステムの構築」が求められていると強調している。
 日帝が認定する「真の難民」には「戦争、天災、貧困、飢餓等から逃れて来る人びと」は「『難民』の範疇(はんちゅう)には入らない」。現に日帝は難民認定法と抱き合わせで入管法を成立させた82年から01年までわずか291人しか「難民」と認定していない。
 朝鮮半島有事=戦争に伴って発生する大量難民も、日帝にとっては排除の対象でしかない。むしろ日帝は朝鮮半島から押し寄せる避難民が在日朝鮮人と合流し、戦争反対に立ち上がることを心底恐れ、ここを最大の治安問題として想定しているのである。

 94年に極秘検討

 1月4日付読売新聞は1面トップで「94年の半島危機極秘検討/『北』難民10万上陸容認」との見出しを掲げ、「北朝鮮の核開発疑惑をめぐって、朝鮮半島情勢が現在と同様に一触即発の危機にあった」94年6月、日帝が朝鮮半島から大量の避難民が押し寄せることを想定し、超法規的な特例措置の発動を極秘に検討していたと報道した。
 当時の内閣安全保障室がまとめた「大量避難民対策について(案)」は、北朝鮮がIAEA(国際原子力機関)からの脱退を表明した6月13日付で「朝鮮半島で発生した異常事態」により、少なくとも10万人が日本に避難してくると想定、「超法規的な特例措置」での対処を決めている。
 まず一時的上陸を認めて収容施設に入れた上、入管当局が厳格なスクリーニング(審査)を実施。その場合、「あらゆる段階で北朝鮮の工作員、テロリストの抽出に努め」「工作員だと判明した時点で不法入国者として取り扱う」と、北朝鮮への敵意と排外主義をむき出しにしている。
 さらに「大量または武装難民の発生等」によって海上保安庁や警察で対応できない場合は自衛隊を出動させ、避難民が乗った船舶の臨検・交戦までが想定されていたのだ。

 東京入管が移転

 東京入国管理局は港区港南の新庁舎に移転した。羽田空港に隣接する地上12階、地下2階の高層ビルは屋上にヘリポートを備え、8階から11階までが退去強制の外国人800人を収容する施設となっている。さらに茨城県牛久の東日本入管センターに東京入管の収容施設の増設工事が始まるなど、収容施設の増設・拡充が行われている。
 97、99、01年と改悪を繰り返してきた入管法は、まさに今、有事立法と対応し、国民保護法制と対応し、「テロ対策」を優先課題として戦時入管体制へと再編が図られているのだ。
 「闘うムスリムと連帯し、全世界労働者の総決起でイラク侵略戦争を阻止せよ!」「北朝鮮侵略戦争策動と対決し、南北・在日朝鮮人民と連帯しよう」――このスローガンのもと、有事立法粉砕・入管法改悪阻止へ、イラク・北朝鮮反戦闘争の爆発をかちとろう。

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週刊『前進』(2089号4面3)

 日誌'03 1月29日〜2月4日

 米英首脳が「数週間内攻撃」

 広島沖にNLP移転を策動

●NLP移転、広島沖候補 米軍厚木基地(神奈川県)での空母艦載機による夜間発着訓練(NLP)の移転問題で、政府が広島県沖美町の大黒神島を移転候補地として検討していることがわかった。(29日)
●「9カ国が兵力提供」 アーミテージ米国務副長官は、武力行使の際の協力について、20カ国が基地の完全提供、3カ国が部分提供を認めたほか、22カ国が領空通過、9カ国が兵力の提供を認めたと発表した。(30日)
●ミサイル防衛システムの導入を検討 政府は、米国が2004年からアラスカ州に実戦配備するミサイル防衛システムの一部を導入する方向で検討に入った。北朝鮮の弾道ミサイルなどの迎撃を目的としている。導入を検討しているのはイージス艦に搭載する海上配備型迎撃ミサイル(SMD)、陸上から迎撃する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)など。(30日)
●首相施政方針演説 小泉首相が施政方針演説を行った。個人情報保護法案、有事関連法案の今国会での成立や教育基本法の見直しなどを進めると演説した。(31日)
●武力行使「数週内に判断」 ブッシュ米大統領とブレア英首相がイラク問題の対応をめぐって会談。国連安保理決議が求める武装解除にイラク側が応じていないとして、武力行使の判断について「数週間以内」とすることで合意した。ブッシュは、武力行使容認のための新たな安保理決議について、早期採択を条件に認める姿勢を示した。(31日)
●在韓米軍2000人増要請 米CBSテレビによると、米太平洋軍司令部は、ラムズフェルド国防長官に対し、北朝鮮情勢の緊迫化を理由に現在約3万7千人いる在韓米軍を空軍を中心に2千人増強するよう要請した。人員に加え、B52、B1などの長距離爆撃機二十数機を朝鮮半島までの航続が可能なグアムに配備するほか、F15戦闘爆撃機、U2などの偵察機も在日、在韓米軍に追加配備するよう求めるという。4日にアーミテージ米国務副長官が認めた。(1日)
●佐世保に掃海艇専用岸壁 海上自衛隊佐世保基地(長崎県)が進めている倉島地区の再開発計画で、掃海艇などの専用岸壁の新設を検討していることがわかった。再開発計画は、8900d型の輸送艦が接岸できるようにすることを目標としている。(1日)
●空爆48時間、のち地上戦 米国防総省が立案したイラク攻撃の詳細なシナリオをニューヨーク・タイムズ紙が報じた。空爆開始48時間で3千発の精密誘導弾とミサイルでイラク軍を孤立化させて地上軍が侵攻、フセイン政権を電撃的に転覆させるという。(2日)
●嘉手納のF15、イラク空爆参加へ 嘉手納基地から湾岸地域に派遣されているF15戦闘機中隊の現地滞在が予定の3カ月より延長されることが明らかになった。嘉手納のF15は北朝鮮情勢の緊迫で通常の機数に戻すため、米国内の基地から追加配備される見通し。琉球新報が伝えた。(3日)
●米予算教書、軍拡路線を継続 ブッシュ米大統領が、04会計年度の予算教書を発表した。国防費は3991億j(約48兆2400億円)で、伸び率は4・4%。対イラク戦の経費は含んでいない。(3日)
●川口外相、多国籍軍参加を提言 川口外相が、国連安保理決議に基づく多国籍軍への自衛隊の参加や、海外でテロ活動をした団体の活動を規制する包括的なテロ対策法の制定などを盛り込んだ、外交に関する提言をまとめた。5日発売の月刊誌『論座』3月号(朝日新聞社)に掲載される。(4日)
●NLP誘致撤回 広島県沖美町へのNLP移設誘致について、同町議会の全員協議会で誘致反対を決めたことを受け、谷本英一町長が誘致を白紙撤回し、引責辞任することを決めた。(4日)

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週刊『前進』(2089号5面1)

 松尾純一全学連副委員長の訪米レポート

 アメリカ労働者と連帯して学んだ

 〈反戦〉と資本攻勢への怒りが一体

ホワイトハウスへ進撃する青年・学生のデモ隊。後方は米議会(1月19日)−拡大写真

 1月18日〜19日、私たち全学連代表団は全米反戦大集会への合流をかちとった。具体的には、ANSWER主催のワシントンDCでの50万人大集会・デモ、ANSWERに集う青年・学生が主催する屋内集会(18日)と、ホワイトハウスへ向けての集会・デモ(19日)へと合流した。約1週間の訪米ではあったが、アメリカ労働者階級の闘いから学んだものは非常に大きい。全学連は今回の訪米でつかんできたものを教訓化し、今こそ日本でのイラク反戦・有事立法阻止の闘いの爆発をかちとっていく。とりわけ、青年・学生の決起を全力で実現したい。

 階級の力で戦争阻む

 1月18日ワシントンの大行動には50万人、サンフランシスコでは20万人が結集し、集会とデモを行った。そのほかにも全米各都市で統一行動がもたれ、全米で500万の労働者がイラク反戦行動に立ち上がった。中でも青年労働者・学生の占める割合は高く、集会の運営は多くの青年・学生のボランティアによって担われていた。
 多くのアメリカ人民がイラク侵略戦争反対だということを強く感じた。街を歩いても、家の中から反戦のステッカーを張っている家や店が普通に目に入る。デモをしていても、沿道沿いのアパートや家から反戦のたれ幕が出されており、文字どおり街全体で戦争反対の意志を表していた。
デモ先頭のトラックの荷台からデモ中もずっとアジテーションが続く(19日)−拡大写真
 われわれが反戦集会に参加するために日本から来たことを知ったアメリカ人民は、ほぼ全員が「すばらしい、よく来てくれた。ありがとう」と声をかけてくれた。派遣団は、アメリカに到着した時から日本へ帰るまで、少なくないアメリカ人民と接したが、本当にほぼ全員が戦争反対だと口々に語った。けっしてこれは誇張でも何でもない。
 同時にわれわれは、アメリカ人民が労働者階級の力と団結でこそ戦争を止められるのだという確信を強く持っていることを知った。彼らは「戦争を止めるのはわれわれだ。われわれの大きな行動によって戦争を止めることはできる」と口々に語っていた。
 私もまた、50万人の大結集を目の当たりにし、アメリカの反戦大行動は本当にイラク侵略戦争を止めることをめざして、労働者階級の全人民的な決起によってかちとられていることをつかむことができた。そして、日本でも労働者階級の決起で自国帝国主義を打倒することによってこそ、侵略戦争を止めることができるし、そこで勝負していかねばならないとあらためて痛感した。
 アメリカ労働者人民の決起の論理に非常に学ぶべき点があることについて、以下三点述べたい。

 大衆的なスローガン

 ブッシュ・ドクトリンと対決

 一つ目は、アメリカ人民はブッシュ・ドクトリンのもとで開始した世界戦争計画に対して、その階級的本質をつかみ取り、非常に大衆的なスローガンを掲げて対決し闘っている点だ。
 「石油のための戦争反対」「ペンタゴンこそ武装解除せよ」「アメリカ支配を変えよう」などの誰が見てもわかるスローガンを練り上げ、ブッシュ・ドクトリンとの対決を大衆的に闘っている。
 戦争の階級的本質を大衆的に明らかにし、大衆的一致をつくり出しているからこそ、多くのアメリカ人民が「われわれはそのような戦争を必要としていない。われわれの回答は反戦闘争だ」と共通して語り、アメリカ人民は階級として帝国主義世界戦争を拒否し、階級の決起として闘いを展開している。

 

全学連の横断幕を持ってデモするアメリカの労働者(18日 ワシントン)

 国内階級矛盾に対する怒り

 二つ目は、資本攻勢に対して真っ向から立ち上がっている点だ。
 アメリカ人民の資本攻勢に対する怒りはすさまじい。多くの労働者が不安定雇用のもと無権利にさらされ、さらに二つの仕事を持たないと生きていけないという現実を強いられている。物価は上昇しているにもかかわらず賃金は20年前の水準だという。
 医療問題はすさまじく深刻だ。不安定雇用労働者は保険にも加入できない。民間の保険は月に千jもするからそう簡単に加入できない。救急車を呼ぶだけで120〜200jも取られる。一回、医者に行くだけで数百j取られる。1週間程度の入院も保険がなければ1万j近くかかることもあるという。病気ひとつできない現実がある。
 住宅問題も深刻だ。バブル経済の影響により、家賃が高騰している。1ベッドルームを借りるのに1カ月千j前後かかると聞いた。そのため、多くの労働者が一つのアパートを数人で借り、共同生活している。街中でも「部屋をシェアしませんか」という手作りのステッカーを多数見かけた。

「石油のために血を流すな!」「殺さないで!」思い思いのプラカードを持ってデモ行進(18日) −拡大写真

 このような現実が強制されている中で、ブッシュがイラク侵略戦争に600億jもの戦費を投入しようとしていることに、文字どおり「ふざけるな」という労働者の怒りが爆発している。だから、世代を超えて「戦争ではなく雇用に!」
「戦争ではなく住宅に!」
「戦争ではなく福祉に!」というスローガンが掲げられるのだ。
 ある労働者が「私が戦争に反対して闘っているのは、私が生きるため、イラクや北朝鮮の人が生きるためです。私もイラクの人もブッシュは必要ありません」と語ってくれた。まさに、アメリカ人民の自国帝国主義に対する闘いは生きていくための闘いそのものとしてあり、その決起は階級的な決起そのものであるし、被抑圧民族人民との連帯を貫くものとしてある。

 民族排外主義との闘い貫く

 三つ目に、戦争阻止の闘いと一体のものとして民族排外主義との闘いに立ち上がっている点だ。戦争の問題と一体で、民族排外主義との闘いが重要なテーマになっている。
 9・11以降、ムスリム系の人民が拘束されたり、送還されたりという事態が多発している。ブッシュが「対テロ戦争」を言えば言うほど、国内に敵をつくり出す構図になっている。そう簡単には労働者・学生の分断をつくり出せてはいない。職場や学園はさまざまな民族で構成されているが、仲間に対する排外主義攻撃に対して、多くの労働者・学生が闘いに立ち上がっている。
 ある大学では、留学生の名簿をFBIに提出したことに対し、学内闘争が爆発している。労働組合の中でも排外主義との闘いが大きな軸になっている。そして多くの民族が一個の階級としての団結を形成し大行動を闘っているのだ。
 「戦争反対の闘いについて聞かせてほしい」とアメリカ人民に質問をすると、ほぼ例外なく「われわれは戦争とだけ闘っているわけではない。排外主義とも闘っている」との答えが返ってきた。
 民族排外主義攻撃を帝国主義による労働者階級への団結破壊の攻撃としてとらえ、労働者階級の決起によって排外主義攻撃をはね返す闘いを大衆的なものにしている点は非常に重要であり、そのあり方を学ばなければならない。
 以上、三点にわたりアメリカ労働者人民の決起の論理について述べてきたが、これらはすべてアメリカ人民との討論の中でつかんできたことである。
 ブッシュ・ドクトリンとの闘いを軸とし、資本攻勢との闘い、排外主義との闘いを労働者・学生の力で闘いぬいている点が非常に重要だ。そのすべてに貫かれているのが、労働者人民の階級的決起で闘っていることだ。その闘いをつくり出すために、スローガンの一つひとつにもこだわり、一人ひとりのものになるまで練り上げていることは、もっともっと学ばなければならない。組織化についても非常にていねいにこだわり、常にどうしたら人は集まるかを大衆的な場で議論していた。
 そして、アメリカ労働者階級の中で、今回の戦争がアメリカ帝国主義の世界支配のために行われる世界戦争であること、その戦争は自分たち人民の存在とは相入れないものであるということ、その戦争は自分たちの闘いでこそ止めるのだということが大衆的なスローガンになっている。だからこそ、その闘いは自己解放的なものとして展開されているし、500万もの人数が結集しているのである。

 ゛横須賀゛に熱い注目

 今回の派遣でアメリカ労働者階級との連帯の重要性をつかんだ。具体的に多くのアメリカ人民と交流したこと自体が意義のあるものであるし、また日本での闘いをアメリカ人民に知らせることができたのは非常に重要だった。
 多くのアメリカ人民が自国の侵略戦争阻止の闘いに立ち上がっている一方、自分たちとともにイラク侵略戦争を止めるために闘う存在として日本階級闘争に注目している。
50万人集会の前日、ボランティアは数千本のプラカードを作った。全学連も協力した(17日)
 今回の派遣で特に感じたのが、横須賀闘争での勝利が国際連帯の道を切り開いたということである。
 あるアメリカ人活動家は「日本でいろいろな闘いがあることは知っていたが、正直なにをやっているのかがよく見えなかった。横須賀での闘いは非常にわかりやすいし、具体的に戦争を止める闘いだ。学生がデモをして労働者が合流しているのがすばらしい」と語り、横須賀闘争の勝利を圧倒的共感をもって受けとめてくれた。
 イラク侵略戦争を遂行するにあたって、日本は非常に重要な位置を占めている。沖縄を始めとした在日米軍基地がイラク侵略戦争の出撃基地となっていることや、何よりも自衛隊が参戦していることである。アメリカ労働者階級から見ても、日本での闘いは自国での闘いと同様に重要な位置をもっている。
 驚くほど多くのアメリカ人民が、沖縄や日本各地での米軍基地の実態を知っていたし、イージス艦派兵の事実なども知っていた。だからこそ、われわれを囲んで横須賀闘争の話を熱心に聞き、食い入るようにビラを読んでいた。
 世界戦争情勢の中、帝国主義足下の労働者階級がそれぞれ手を結び、自国帝国主義の侵略戦争参戦に対して立ち上がっていくことは決定的だ。今回の派遣で日米両方の労働者がお互いの闘いと存在を知るきっかけをつくることができたのは非常に大きい。

 日本の闘いが決定的

 今、求められていることは日本での闘いの爆発である。日本で労働者階級の階級的決起をどうつくるかに徹底的にこだわることだ。核心は学生運動の爆発であると思う。
 日本でも横須賀闘争の爆発が労働者の合流を生み出した。アメリカでも19日、150人で始まった学生のデモに街頭の労働者が合流し1500人のデモになった。大行動でも学生が重要な位置を占めている。
 数に徹底的にこだわり、学生を一人でも多くいかに組織できるかに徹底的にこだわることが重要だ。そのためにもブッシュ・ドクトリンとの対決をはっきりさせ、扇動を、スローガンを練り上げ、一人でも多くの学生が自分のものにできるようなものをつくり上げることが重要だ。そのようなスローガンを大衆的に練り上げ、それでまとまったとき自己解放的な大結集がかちとれる。
 アメリカの集会やデモが明るいのは、一人ひとりが帝国主義の侵略戦争に対して階級的に怒り、階級的団結によって阻止するのだと確信し、心の底から立ち上がっているからだ。「自分たちで変えることができる」という展望があるからこそ明るいのだ。この自己解放的決起をつくり出すためにはどうすればよいのかということに徹底的にこだわろう。
 学生運動の爆発をかちとる上でも資本攻勢との対決が決定的だ。学生も資本攻勢のまっただ中にいる。試験や単位、資格にしばられ、競争を強制されているのも資本攻勢ゆえである。これらの現実や、労働者が強制されている現実の一つひとつと対決し、労働者・学生の団結で跳ね返していく闘いをつくり出そう。資本攻勢の本質をはっきりさせればさせるほど、学生や労働者人民、被抑圧民族人民の敵は帝国主義だということがはっきりする。
 さらに帝国主義の侵略戦争のための排外主義攻撃を階級的団結で跳ね返していくことが重要だ。排外主義攻撃は、帝国主義が労働者に分断を持ち込み、戦争に突入するために行っている攻撃だ。しかし、労働者・学生が団結して闘った時、絶対に排外主義攻撃を跳ね返すことができる。
 最後に全学連は、学生運動の爆発のために全力で闘う決意である。イラク反戦と有事立法阻止へ、いよいよ決戦の時だ。アメリカの階級闘争に学び、日本での闘いの爆発をわれわれの手で実現しよう。とりわけ派遣団はその先頭で闘うことを決意する!

ホワイトハウスに突入し、13人の逮捕者を出した19日の青年・学生の闘い

一斉に走り出したデモ隊
すぐ目の前にホワイトハウスが
ホワイトハウス前の公園にフェンスを乗り越え突入

不当にも13人が逮捕された

 

家族連れも多く参加した。子どもたちも手作りのプラカードを持って参加。プラカードには、キング牧師の言葉「われわれには夢がある」や、「戦争反対!平和と愛を」「銃でなく、キャンディーを」などと書かれている(1月19日 ワシントンDC) 

18日の闘い

パレスチナ国旗を持った青年(ワシントンDC)
サンフランシスコ市役所前は20万のデモ隊で埋まった(1月18日)−拡大写真
「米軍は韓国とフィリピンから出て行け」と書かれた横断幕を掲げ、在米朝鮮人民やフィリピン人民がデモ(ワシントンDC)

 

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週刊『前進』(2089号5面2)

 改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史

改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史 第4部 日帝の中国侵略戦争(6) 9・18柳条湖事件

 「満蒙生命線」論で侵略を拡大

 28年6月の関東軍による張作霖爆殺事件は、その後の日帝の中国全面侵略戦争の前触れであった。
 張作霖は、一代で奉天軍閥を築き上げ、中国東北地方に君臨した。日本軍とは反発と協力を繰り返した。27年、北京に安国軍政府を作り、陸海軍大元帥を称したが、翌年、蒋介石の第2次北伐軍に敗れ、奉天に逃亡を図った。
 北伐軍が張作霖を追撃すれば、中国東北地方に戦火が拡大し、日本の権益が脅かされることになる。日帝はそれまで張作霖を利用し、中国侵略の先兵にしようとしてきたが、ここでは一転して張作霖を殺してそれを北伐軍の仕業に見せ掛けることをたくらんだのである。中国の要人に対するこのやり方の中に、日帝の中国侵略の乱暴きわまる本質が凝縮していた。
 この事件をめぐる「上奏」が天皇の怒りを買い、田中義一内閣は翌年退陣に追い込まれた。だが、天皇は関東軍の謀略に怒ったわけではなく、その知らせが自分のもとに正確に伝わらなかったことに怒ったにすぎない。
 事件の首謀者であった河本(こうもと)大作陸軍大佐の責任はあいまいにされた。行政処分(停職)のみで刑事責任は追及されず、河本はその後満鉄理事に返り咲いた。それは張作霖爆殺が昭和天皇によって追認されたことを意味した。
 張作霖の死後、息子の張学良は蒋介石政権に合流し、南京政府による中国統一事業は終わった。張学良は「満鉄包囲鉄道網」の建設に全力を注ぎ、中国人自身による開発を推進した。それは日本の侵略との衝突を深めた。
 29年、世界大恐慌が始まり、日本も深刻な恐慌に見舞われた。大量の失業者があふれ、米価と生糸の価格の暴落が農民の生活を破壊した。欧米帝国主義はブロック化に走り、日本の輸出は減少した。
 また、一方で中国人民の抗日運動、民族解放闘争は一層高まっていった。北方におけるソ連の存在も、日帝から見れば、中国共産党の運動の前進と一体のものであった。こうした動きに対する恐怖から日帝はますます中国侵略の軍事的な打開にのめり込んでいったのである。
 31年7月、吉林省の万宝山で、朝鮮人農民と中国人農民との間で用水工事をめぐる武力衝突事件が発生した。日本領事館はこの民族対立をあおり排外主義を扇動して、中国侵略を強引に進めるテコにした。

 満鉄爆破が合図

 1931年9月18日の柳条湖事件(日本政府は「満州事変」と称した)は、日帝のニセ「満州国」デッチあげを直接準備するものであり、破局に向かって後戻りのできないいわゆる「15年戦争」の開始であった。世界史的に見ても第2次帝国主義世界戦争の始まりを画するものであった。
 これは、満鉄を関東軍自ら爆破し、それを合図として、侵略戦争を拡大するものであった。現場は奉天郊外の柳条湖という場所だった。°中国兵が満鉄線を爆破し鉄道守備隊を襲撃してきたために「時を移さずこれに応戦し」中国軍の陣地があった北大営を占領した″と報じられた。関東軍は、即日奉天城を攻撃し、翌朝までに奉天を占領した。日本政府は当初「不拡大方針」を出したが、関東軍の行動を結局追認した。関東軍は次々と占領地を拡大した。

 戦果を誇る天皇

 昭和天皇も、32年1月に関東軍に次のような勅語を送り、「自衛の戦争」だとたたえ、支持した。
 「曩(さき)に、満州に於(おい)て事変の勃発(ぼっぱつ)するや、自衛の必要上、関東軍の将兵は、果断神速(しんそく)、寡(か)克(よ)く衆を制し、速(すみやか)に之(これ)を芟討(きんとう=打ちたいらげること)せり。爾来(じらい)艱苦(かんく)を凌(しの)ぎ、祁寒(きかん=厳しい寒さ)に堪え、各地に蜂起せる匪賊(ひぞく)を掃蕩(そうとう)し、克く警備の任を完(まっと)うし、或(あるい)は嫩江(ノンジャン)・斉々哈爾(チチハル)地方に、或は遼西・錦州地方に氷雪を衝(つ)き、勇戦力闘以(もっ)て、其(その)禍根を抜きて、皇軍の威武を中外に宣揚せり。朕(ちん)深く其忠烈を嘉(よみ)す。汝(なんじ)将兵益々(ますます)、堅忍自重以て、東洋平和の基礎を確立し、朕が信倚(しんい=信用し頼っていること)に対(こた)えんことを期せよ」
 これは9・18から4カ月に及んで日帝侵略軍が占領を広げたことを、その地名を挙げてたたえるものである。「各地に蜂起せる匪賊を掃蕩」とは、中国人民の抗日戦争に対する虐殺戦争を敢行したという意味である。しかもそれを「東洋平和の基礎を確立」と賛美している(平和とは「平定し治める」という意味だ)ことからも、天皇がきわめて自覚的に占領拡大に意義付与を行ったことが読み取れる。それは32年3月のニセ「満州国」デッチあげの策動に天皇がゴーサインを与えたに等しいものである。

 「世界最終戦争」

 関東軍作戦主任参謀で「満州事変」の張本人だった石原莞爾(かんじ)は、いずれ日米間の決戦という「世界最終戦争」になることを想定し、そのためにも「満蒙は日本の生命線」であり、その支配を強化することが大事と考えていた。「満蒙」とは、中国東北3省(奉天、吉林、黒竜江)の「満州」と、内モンゴルの熱河省を指していた。
 石原が29年7月に執筆した「国運転回の根本国策たる満蒙問題解決案」には、「満蒙問題の解決は日本が同地方を領有することにより始めて完全達成さるる。対支(中国のこと)外交すなわち対米外交なり。すなわち前記目的(満蒙領有)を達成するためには対米戦争の覚悟を要す」と、記されていた。
 これは石原個人や関東軍単独の考え方ではなく、日帝が帝国主義であるかぎりそれ以外にない選択だった。つまり、日帝はすでに深々と中国大陸への侵略を進め、資源や市場の巨大な権益を握っていた。そこから撤退することは帝国主義として死を意味していた。日帝と中国人民の利害はもはや非和解的に対立していたのである。
 中国東北部をめぐる帝国主義間の対立も一気に激化した。柳条湖事件以後日本軍が占領した地の中には、イギリスが鉄道利権を持っていた錦州があり、そこでは米が強硬に反対する事態となった。
 (高田隆志)

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週刊『前進』(2089号6面1)

 富山再審実現への展望と課題

 高裁は証拠開示を命令せよ

 富山 保信

 革共同の真価を問う獄中同志奪還の闘い

 昨年末、デッチあげ爆発物取締罰則(爆取)弾圧と闘う須賀、十亀、板垣の3同志を奪還した。家族と弁護団、友人、知人、支持者、支援の方々の奮闘と一昨年12・15長期獄中被告奪還集会以来の同志たちの決起が結びついて、ついに未決勾留16年という暴虐をうち破った。
 デッチあげ指名手配弾圧との不屈の対決と勝利、鎌田雅志元全学連委員長の勝利者としての出獄、橋本利昭同志のデッチあげ弾圧粉砕などを引き継ぎ、権力の戦時型弾圧への転換との闘いの陣形構築と勝利に向けて、大きな前進をかちとった。
 出獄3同志が声をそろえて訴えたように「星野同志を奪還しよう」を、今こそ質量ともにその名にふさわしい全人民運動の合言葉にしよう。70年安保・沖縄闘争を闘った者にとって、《星野奪還》は組織への所属の有無や党派の相違をこえて自らの人生と人間の尊厳をかけた共同の課題であり、責務だ。そして、いま日本の戦争国家化と参戦の開始と闘っている者にとって、避けて通れない問題であり、すぐれて今日の問題なのである。何よりも党=革共同の真価を問うていることを確認したい。
 弾圧と不屈に闘う同志、獄中で不屈に闘う同志の奮闘をわがこととし、その奪還と勝利のために寝食を忘れるほどに精魂を傾けて闘う党の真剣さ、必死さを人民が目の当たりにし、理解する時、魂を揺り動かす感動を引き出し、その正義性、革命性、必要性、勝利性への確信を生み出して、広範かつ不抜の支持基盤が形成されるのである。
 3同志の出獄は、あらためて星野同志奪還がわれわれの絶対かつ火急の責務であることを突きつけた。とともに私の再審闘争の帰趨(きすう)が星野再審・奪還の帰趨をも決する位置を占めていることを照らし出した。革共同絶滅宣言であった「(1986年)5・7宣言」とその着手であるデッチあげ爆取弾圧、星野デッチあげ「殺人罪」上告棄却・下獄、富山デッチあげ「殺人罪」上告棄却・下獄攻撃が期を同じくして襲いかかったのはけっして偶然ではない。党と闘いの存亡が、革共同が革共同として自己をまっとうするための根幹が現実的にも本質的にも三位一体で問われたのであり今も問われ続けている。
 たまたま刑期の相違があって私は外にいるが(それでも「懲役10年満期出獄・通算19年半投獄」であるし、爆取3同志は未決で16年投獄なのだ)、星野同志が獄中にあるかぎりわが半身は獄中に残したままである。富山再審の勝利なくして星野再審の勝利はなく、星野再審実現の執念なくして富山再審の実現もありえない。爆取3同志(福嶋同志を含めて4同志)、星野同志と固く心をひとつにして再審勝利をかちとりたい。以下、富山再審闘争の現状と勝利の展望と課題を明らかにし、全力で闘うとともに同志のみなさんの一層の協力をお願いしたい。

 再審請求棄却策動を阻んでいる力は何か

 デッチあげ弾圧が襲いかかってから28年になるので、簡単に経緯を振り返っておきたい。
 75年1月13日早朝、前進社への家宅捜索時に私に対するデッチあげ「殺人罪」逮捕が凶行された。私は無実である。全逓中郵労働者・高橋範行同志虐殺に対する報復であるカクマル山崎洋一完全せん滅(74年10月3日)にまったく関与していない。革共同はただちに記者会見を行い、私の無実を訴えるとともに、デッチあげ弾圧を弾劾した。
 同年2月3日、日帝・国家権力は私の無実を承知で「殺人罪」での起訴を強行した。
 一審の東京地方裁判所は6年余・計61回の審理を経て、81年3月、無罪判決を言い渡した。目撃証言は警察の暗示・誘導によるもので信用できず、無実のアリバイを「高度の立証があった」と認定した。検察側は、控訴期限ギリギリに控訴した。
 二審の東京高裁は、目撃証人を取り調べた警察官を証人採用し、「目撃証人に暗示・誘導はしていない」という証言を根拠に、85年6月26日、「懲役10年」の逆転有罪判決を言い渡し、その場で私を収監した。
 最高裁は87年11月、上告を棄却した。私は大阪刑務所に服役、95年12月19日に満期出獄した。
 94年6月20日、獄中から再審請求。現在、東京高裁第三刑事部に係属中。
 以上が概略である。
 裁判の核心、主要な争点は目撃証言の信用性である。これを巡る攻防において、私と弁護団は圧勝した。一審の無罪判決は、日本の刑事裁判において目撃証言の信用性を唯一・最大の攻防点とする最初の事例における勝利であって、金字塔ともいうべきものだ。実際、二審も当初は裁判官が検察側証人を弾劾してやまなかったほどであり、その裁判官3人をそっくり異動することによって初めて「逆転有罪」の強行は可能だったのである。一審判決と二審判決を比較する時、その説得力の相違はあまりにも歴然としており、一審無罪の管制高地は依然として無視できない力を発揮し続けている。デッチあげ弾圧の破綻(はたん)点を鋭く暴き出して屹立(きつりつ)しているのだ。
 94年6月20日の再審請求から、すでに8年半がたった。その間に次々と裁判官は人事異動で交代し、裁判長だけでも現在の中川武隆裁判長で5人目である。これはいったい何を意味しているのだろうか。
 再審請求の8年半におよぶ放置は、日帝・国家権力の棄却策動を許さず、阻止し続けているということを意味する。もちろん、けっして楽観できるものではなく、油断すれば一瞬に切り捨てられる拮抗状態にある。まやかし「司法改革」の動向が、再審の帰趨に大きくかかわろうとしていることからもわかるように、今われわれが機を逸せず攻勢をかけなければ、いつ何時、敵は蛮勇をふるって反動的開き直りに出るかわからないということである。
 それでは、再審請求棄却策動を阻止している力はどこにあるのだろうか。
 再審請求において提出した請求書および39点にわたる新証拠そして追加提出した鑑定書と弁護団の追及、さらに「無実の富山保信さんの再審無罪をかちとる会」のみなさんの主体的決起と闘いが再審請求棄却という暴挙を阻止している。
 一審において、6証人の警察官取り調べ調書を開示させ、目撃証言の暗示・誘導―変遷過程を暴き出すことに成功したことは、絶大な威力を発揮している。一審無罪判決だけでなく、二審において捜査責任者の「34人分の調書がある。開示されたのは7人分」という証言を引き出したのも、一審で「員面調書(司法警察員面前調書、警察官による取り調べ調書のこと)」の開示をかちとったことによる。日本の刑事裁判が、証拠開示を有名無実化することによって誤判の温床と化している実状をみるならば、端緒とはいえ証拠開示の突破口を切り開いている意義は特筆に値する。この破綻点をつかんで放さず、鋭く追及し続けていること、そしてこれを広範な人民の声とするべくうまずたゆまず訴え続けていることが棄却策動を阻止しているのだ。
 東京高裁に未開示証拠の開示命令を出させることをとおして、再審開始と証拠開示問題への風穴をあけ、閉ざされた再審の門をこじあける展望を切り開こうとしている。今や富山再審闘争は、ひとり富山再審のみならず日本の司法の現実と闘い、まやかし「司法改革」と対決する広範な人民と結びついて闘いの戦線を飛躍的に形成・拡大する好機を迎えている。その展望はひとえに証拠開示の成否にかかっており、攻防の焦点に位置しているのだ。(詳細は近日発行予定のパンフレットを参照)

 広範な人民の包囲と監視の力で勝利を

 弾圧は反帝国主義・反スターリン主義世界革命の達成を戦略綱領とする革共同の思想、理論、実践のすべてを容赦なくふるいにかける。マルクスの金言を故本多延嘉書記長が「勝利にむかっての試練」と要約して愛したとおり、革共同の前進が生み出した「密集した反動」は私たち自身の思想、理論、実践の一層の豊富化、深化、成長、強化によりうち破って進むほかない。その立脚点は労働者階級の自己解放性への信頼であり、われわれの主張は必ず労働者階級・人民大衆を獲得できるという確信である。われわれの主張、革共同の思想、理論、実践の歴史的階級的人間的普遍性と勝利への確信は、あくまでも現実の階級闘争の鉄火をくぐることによって検証され、深められなければならない。裁判は、共産主義者の真骨頂、人生の選択をかけた決断の優越性を発揮する格好の場である。
 支配階級が階級支配を貫くために、いかに既成事実として革共同への絶滅攻撃と階級闘争の根絶攻撃を暴力的に遂行してこようとも、裁判という場に被告としてひき据え、断罪し、統治規範のもとに組み伏せようとする試みを避けるわけにはいかない。したがって、われわれがあくまでも弾圧に屈せず、その不当性、反人民性を弾劾して闘いぬくならば、弾圧は無力と化すのみならず、人民を獲得する絶好の契機となるのだ。
 もともと革命運動は少数派が自己の主張の歴史的階級的人間的普遍性と必然性、勝利性をもって多数を獲得していく闘いであり、被支配階級が支配階級としての能力を培っていく闘いである。裁判は、けっして対等な対決・応酬の場ではなく、あからさまに力関係が反映する。人民の力の存在、広範な人民の包囲と監視を背景にする時、初めて公正という言葉が現実性を持つのだ。われわれが正しく闘う時、初めてこの力関係の転換がもたらされる。一切の虚飾をはぎとったところで、支配階級の欺瞞と暴虐を暴き、弾劾して、現実の根底的変革への決起を人民に呼びかけ、獲得して、力関係の転換をかちとっていくのがわれわれの裁判における闘い方である。
 だから日本帝国主義・支配階級は、帝国主義としての存立・存亡のかかった侵略戦争を遂行できる国家への改造の成否をかけて、まやかし「司法改革」をもって裁判すら裁判として存在しえなくしようとたくらんでいるのである。弾圧や裁判から身をかわそうという取り組み方では一蹴されてしまうのだ。
 富山再審闘争は、弾圧の破綻点を具体的につかんで放さず、非妥協的に闘えば闘うほど人民の共感と支持、連帯と結集を生み出し、かちとって進む闘いであり、「連帯し、侵略を内乱へ」の闘いの根底を守り抜き、広大な基盤を形成する闘いなのである。

 証拠開示求め大署名運動を

 日本帝国主義の国家改造攻撃の凶暴さを直視するならば、再審闘争の展望が、これまでの延長線上にありえないことは明白である。組織的犯罪対策法、団体規制法、有事立法3法案と個人情報保護法案、国際的組織犯罪条約関連法などの治安弾圧立法とまやかし「司法改革」―憲法改悪のもくろみを許すならば、まともな裁判や再審など存在できなくなってしまう。この情勢のもとで闘いの地平を一層押し広げて再審実現をかちとるためには、広範な人民の力を引き出すための飛躍が必要である。
 その展望はある。有事立法攻撃を陸海空港湾20労組を先頭に押し返した昨年の闘い、そしてイラク反戦の闘いの高揚にみられるように、米・日帝の戦争と大失業の攻撃に対する澎湃(ほうはい)たる反撃が始まっている。この決起、この労働者階級・人民大衆と結びつくならば、必ず再審無罪はかちとれる。
 攻防の要は、証拠開示問題である。二審で明らかになった「27人分の未開示調書」の開示が私の無実を証明する供述調書を明るみに出し、再審開始へとつながる。「東京高裁第三刑事部は検察官に証拠開示を命令せよ」を広範な人民の声にすること、この前進の度合いが再審開始を引き寄せるのだ。
 富山再審は革共同の公約である。貫徹の党である革共同の存在理由をかけた闘いとしてやりとげなければならない。あらゆる機会を活用して「東京高裁第三刑事部は検察官に証拠開示を命令せよ」の署名を訴えていただきたい。富山再審を牽引(けんいん)車とし、闘いの両輪として星野再審・奪還への道を切り開くために、全党の同志、すべての心あるみなさんの決起を訴える次第である。

【無実の富山保信さんの再審無罪をかちとる会ホームページ】
http://www4.ocn.ne.jp/~tomiyama/
【Eメール】
tomiyama@io.ocn.ne.jp

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週刊『前進』(2089号6面2)

 君の解放への熱意継ぐ

 全国被爆者青年同盟

 友野幽同志、志半ばに逝ってしまった君の無念を思うと居ても立ってもおられません。
 君との出会いは被爆者青年同盟が結成されて数年後の見真講堂(広島市)で開かれた8・6反戦反核広島集会の場だったと記憶しています。会場いっぱいの全国から集まった労働者市民に、君は火を噴くような演説をやりました。そのすごさに圧倒されて、私たちも激しくアジテートしたことを昨日のことのようになつかしく思い出します。
 東京で高陽病院建設委員会運動の活動を開始してから君とも会う機会が増えましたが、その都度同志たちの身体のことをねぎらってくれた君の優しさを思い起こします。
 1991年、君は居を広島に移して、小西記念館を拠点に活動を開始しました。私たち広島在住の被爆者青年同盟のメンバーは大いに勇気づけられました。
 最初に一緒に闘った課題が、91年湾岸戦争(イラク侵略戦争)で派兵された掃海艇の帰還行事粉砕闘争でした。もちろん、その出港時にも私たちは、抗議船団を出し最大限の闘争を行いましたが、戦後初めての公然たる自衛隊の海外派兵が、被爆地ヒロシマのすぐ横に位置する呉港(海上自衛隊呉総監部)から強行されたことに激しいショックを受けました。
 呉市と海上自衛隊は、米軍の凱旋(がいせん)行進をならって、「日の丸」はためく中での帰還歓迎の提灯行列を計画しました。広島被爆者青年同盟は、結成されたばかりの反戦共同行動委員会の仲間と連日、呉の街頭に立ち、市役所に座り込みました。右翼との激突も始まりました。
 これらのすべての反動にうちかって、私たちは「日の丸」を一本も呉市内に揚げさせないという大勝利をおさめました。原爆詩人の栗原貞子さんが激賞してやまない見事な勝利でした。ヒロシマがヒロシマであるゆえんを強烈に全国に示すことができました。何よりも被爆者・二世が、自分たちの歴史的使命である、侵略戦争の生き証人として、再びアジア侵略を許さない日本人民の闘いの前衛であることをあらためて自覚し直しました。右翼が「殺す」と言おうが、どんな妨害があろうが、自らの被爆に起因する困難や苦悩以上のものがあるはずがありません。
 呉での闘いは右翼との闘いでした。私たちの気迫に圧倒された彼らは、友野同志に向かって差別的な言辞を吐きました。彼の、文字どおりの怒髪天をつく形相を今も鮮明に思い起こします。友野同志の葬儀に際して、初めて同志のお兄様とお会いし、私たちの知らなかった君の生い立ちを知ることができました。
 君のお母さんは、45年に中国から引き揚げてきた過程で、長崎そして広島と入市被爆を受けたのだそうですね。その後に生を受けた君はそのために「水頭症状」になり、3カ月もてば良いと言われながら成長し、子どものころから「火星ちゃん」と呼ばれていたそうですね。
 私たちが被爆二世の名乗りを上げた70年代は、原爆の「遺伝的障害」がかまびすしく言われていたころです。「障害」をもった君としては、自分をさらす相当の覚悟の上であったことは想像に難くありません。君の一生を、君の解放への熱意を今こそ、被爆二世・三世が肝に銘じて、「障害者」解放闘争との連帯を一層強めつつ闘って行くことを誓います。
 友野同志、時代は急速に全人民解放の気運に満ち始めています。同志がいち早く関心を寄せたパレスチナのインティファーダは、9・11を招来し、全世界の被抑圧諸国人民、とりわけムスリム人民の民族解放−独立と自由への闘いが燃えたぎっています。これにこたえて、戦争当事国のアメリカの労働者・学生が「戦争をやる国は倒れろ!」と革命を呼びかけています。1月18日は本当に国際主義的な精神にあふれ数百万人の「インターナショナル」の声がこだましました。
 被爆者と二世・三世が自己解放を実現できる日が現実に到来しようとしています。同志とともに闘います。米日帝国主義のイラク・北朝鮮侵略戦争−世界核戦争、日本帝国主義独自の核武装、有事法制、これらとの対決で勝利するしか私たちの道はありません。同志の死をのりこえて、被爆者青年同盟の旗を押し立てて闘います。これまで以上に私たちを叱咤(しった)激励して下さい。

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週刊『前進』(2089号6面3)

紹介共産主義者 135号

 開戦阻止への熱い論考

 ●杉並区議選方針 東京西部地区委員会

 ●星野奪還へ向けアピール 川野論文

 巻頭論文は、利根山同志の「米帝の世界戦争計画と革命的情勢への移行の開始」。米帝のイラク侵略戦争突入という03年冒頭の世界情勢の危機的性格と、それを踏まえた国際プロレタリアートと被抑圧民族との連帯闘争の進路と歴史任務を全面的に提起した重要論文である。
 前半では、帝国主義の危機、米帝の世界支配の崩壊を根底からえぐり出すことで、イラク侵略戦争の帝国主義的本質とその歴史的意味を明確にした。米帝ブッシュ・ドクトリンの恐るべき凶暴性が米帝の世界支配の破綻の帰結であることを鋭く突き出している。
 ここで貫かれているのは次の視点である。それは、世界戦争危機の爆発がムスリム人民を始めとする被抑圧民族人民とアメリカを始めとする帝国主義国人民の国際的連帯の内乱的闘いを同時に進行させていることである。それこそ革命的情勢への移行の開始であり、世界革命の現実性の端緒そのものである。
 後半では、この立場から日帝・小泉のイラク参戦、北朝鮮情勢に対応した有事法案の国会提出という事態が、日本階級闘争の歴史的な一大対決の時、革命的情勢の到来であることを訴え、03年の闘いの路線と決戦課題を提起している。この勝利のために再度、革命的大衆行動の組織化を中心課題とした革命党の義務を明確にしている。02年の階級攻防の総括の重要性があらためて確認される。

 党建設と選挙

 今ひとつの企画は、4月統一地方選挙の勝利に向けた2本の論文。
 東京西部地区委員会による「杉並区議選―三候補の絶対当選を」は、今次統一地方選決戦に臨む当該地区委員会からの選挙方針の全面的提起である。
 イラク侵略戦争と国際的内乱―革命的情勢への移行に対応した今次統一地方選挙決戦の意義を真っ向から打ち出し、3人立候補の挑戦性と01年都議選敗北の総括に立ち地区党建設と一体で闘うという課題をがっちり確認している。
 革共同の本格的な飛躍にとって革命的議会主義戦術が必須不可欠であり、党建設の全歴史が首都―杉並における一連の選挙闘争と一体であることをあらためて踏まえ、ここに革命的大衆行動、戦闘的労働運動創成と結合した党建設の本道があることを歴史的に突き出している。
 選挙政策では、帝国主義の攻撃と全面的に闘う激動型選挙戦として反戦と介護を二大柱にし、教育と労働運動を加えた4つの重点政策の基本的内容を展開している。その階級性をしっかりつかみ、選挙戦における党派闘争をかちぬこう。
 「戦争国家への突進と社会保障全面改悪」は、今日の資本攻勢と世界戦争情勢下での社会保障解体攻撃の実態を的確に暴いた社会保障問題研究会のレポート。
 介護保険制度の現実と03年4月の改悪の反人民性を的確に暴き、それをモデルとして進められている医療、年金、雇用保険など他の社会保障領域における攻撃にも突っ込んで言及している。労働者階級人民の生存権をかけたこの闘いは、帝国主義の危機をつき、人民大衆の自己解放闘争、帝国主義打倒の巨大な水路をなしていることをあらためて確認できる。
 以上の3論文を武器に大胆に4月選挙決戦を闘い抜き勝利しよう。

 国際連帯論

 友野同志の被爆者解放闘争論文は、米帝ブッシュの世界核戦争戦略のもと、これと連動した日帝の核武装、有事立法攻撃に対する被爆者・被爆二世の帝国主義打倒のメッセージである。核の廃絶を願い、侵略に加担した抑圧民族人民としての存在の歴史的止揚をかけて決起する、被爆者の自己解放闘争の神髄が烈々と展開されている。友野幽同志は昨年12月31日、不慮の事故で急逝し、本稿は同志の遺稿となった。この精神を断固受け継ごう。
 佐久間同志の入管闘争論文は、戦時型入管攻撃として03年国会に提出されようとしている入管法改悪方針を徹底的に弾劾し、新たな段階にある排外主義の嵐に抗して闘う在日朝鮮人民との真の国際連帯をかけた入管闘争の方針提起である。
 相沢同志の部落解放闘争論文は、革命的情勢への急速な接近における部落解放闘争の発展、全国連5万人建設―狭山10万人決起実現のための実践的方針が提起されている。全国連12回大会を前に革共同6回大会路線での再武装と活動の革命的変革を訴えた重要な指導論文である。
 浜田同志の西欧プロレタリアート論文は、アメリカに呼応して西欧でも爆発的に開始された反戦闘争の中心を担う労働者階級の闘いをフランス労働運動の新潮流の闘いを中心に活写。スターリン主義をのりこえる新たな戦闘的労働運動の実態を躍動的に伝える。
 川野同志の「無実の星野文昭同志を取り戻そう」は、星野再審闘争の本格的アピール。昨年末の爆取3同志奪還の勝利は、獄中28年、デッチあげ無期刑と闘う星野同志の再審貫徹が03年の切迫した重要闘争課題であることを突き出した。
 本稿は、11・14安保・沖縄決戦渋谷暴動闘争の正義性、弾圧のデッチあげ性を暴き出し、再審闘争勝利の展望を指し示した。つれあいの暁子さんとの共同闘争で豊かに発展した獄中闘争の意義を感動的に総括し、革共同の誇るべき戦士=星野同志の闘いの全世界人民との連帯性を鮮明にしている。
 国際階級闘争の新時代が始まった。本号で武装し闘おう。

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週刊『前進』(2089号6面4)

『前進』ホームページ メールから 『前進』ホームページ

 メールから

 私は、1月19日に福岡市内で行われたイラク反戦の米領事館デモに参加しました。さまざまな団体・個人が「イラク攻撃反対!」の一点で共同し、なおかつ国際連帯で取り組んだこのデモは、今後の闘いの展望を切り開いたと感じました。
 この闘いには、カクマルが介入を図ろうとしましたが、当日、彼らの姿は見えませんでした。彼らが反戦闘争を破壊するためにだけ存在している集団であることがまたひとつさらけ出されたと実感しました。
 彼らは別のある集会で在日朝鮮人民の闘いに対して差別感丸出しの尊大な「説教」を垂れるビラをまいていました。反戦の闘いの全人民的拡大は、彼らの本性をより明らかにし、追い詰めるものとなるでしょう。
 私は、革共同とは見解をまったく異にしますが、反戦闘争の全人民的な拡大と資本制の廃絶をめざす点では、共感するところがあります。今後に注目しております。
(男性・30歳代)

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週刊『前進』(2089号6面5)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
須賀・十亀・板垣同志裁判
2月26日(水)午前10時
福嶋同志裁判
2月19日(水)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
3月14日(金)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判
3月27日(木)午後1時15分
 ※いずれも東京地裁

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