ZENSHIN 2003/02/10(No2088
p08)
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週刊『前進』(2088号1面1)
2月イラク開戦阻止せよ
国際連帯行動−2・23首都決起へ
イラク反戦・有事立法粉砕へ学生運動の歴史的大爆発を
革共同中央学生組織委員会
英語の横断幕を広げ、米議会の横を抜けネイビーヤードへデモ行進する全学連派遣団(1月18日)
02年末から03年冒頭、学生戦線でも画期的な闘いがかちとられている。12月イージス艦派兵阻止の横須賀闘争は、全学連の実力デモに千人を超える労働者市民が合流し、階級情勢を一変する闘いとなった。全学連が先頭で闘った時、労働者階級が大合流するという階級闘争の推進構造が開示された。全学連はこのような闘いの中でこそ大きく発展していくのだ。さらに、1・18〜19ワシントン行動への全学連代表団の派遣は、日本の学生運動、反戦闘争、革命運動に貢献する画期的な闘いだ。代表団は、50万人デモに合流し、また青年学生によるホワイトハウス突入闘争の先頭に立った。多くの活動家と交流し、12月横須賀闘争や動労千葉労働運動などの日本の闘いの歴史と地平を宣伝し、圧倒的に注目された。同時にアメリカの反戦闘争に多くのことを学んだ。具体的な連帯と結合をとおして学生運動の新たな段階が始まっているのだ。03年は、革命的な激動期の到来の中で、間違いなく学生運動が大躍進する年である。
(1)米帝を直撃する国際的大反戦闘争
03年前半決戦は歴史を分かつような大決戦になった。
1・18〜19ワシントン50万人デモを始めとする世界38カ国にわたる国際的な反戦闘争の大高揚の力が、1月開戦を阻止した。米帝は、戦争を発動する前に、足下の労働者階級によって包囲され直撃されるというベトナム戦争時以上の危機にたたき込まれているのだ。
しかし米帝ブッシュは戦争を絶対やめようとしない。なぜなら、米帝の歴史的な没落と戦後世界体制の全面的な崩壊の危機があまりに深刻だからである。
「米国は連合国を率いて武装解除する」(ブッシュ1・28一般教書演説)と米帝は宣戦布告を行った。1月27日の国連査察団報告でも大量破壊兵器開発の「決定的証拠」は見つからないことを認めながら、しかしイラクの査察への協力が「不十分」だから安保理決議1441違反だと強弁している。そして、兵力をすでに10数万人も集中し、米単独も辞さず2〜3月に開戦しようとしている。
北朝鮮に対しても、対イラク攻撃と連動しながら、対北朝鮮包囲網を形成しつつ、国連決議から経済封鎖に突き進むタイミングを計っている。
だが、このようなデタラメな戦争の発動は、米帝にとって、一層絶望的なものになるだろう。それは、いよいよ、全世界の労働者階級・被抑圧民族の怒りの火に油を注ぐ。革命的情勢への移行をますます促進する。
こうした中に日帝が全面的な参戦に画歴史的に踏み出そうとしているのだ。イージス艦派兵からイラク復興支援法や有事立法を強行しようとしている。
しかし、そのような絶望的な飛躍は日帝の危機を激成し、アジア人民、在日朝鮮人民と日本の労働者階級の大規模な決起を引き出さずにはおかない。
まさに歴史の大きな分水嶺をこの03年前半戦は越えようとしているのだ。
ANSWERなどが再度呼びかけている2・15ニューヨークを頂点とする2・13〜21国際反戦連帯行動が決定的な闘争になった。これと連帯して、日本の労働者人民は、2・15〜16全国統一行動、2・23反戦共同行動委員会全国総決起闘争に大結集を実現しよう。さらに、反基地闘争を全国で猛然と爆発させよう。
2〜3月イラク開戦を労働者人民の行動で阻止するのだ。いま労働者人民の闘いが帝国主義の戦争発動を押し返しているのは紛れもない事実だ。帝国主義は自国の労働者人民が真っ向から戦争反対に立ち上がることを何よりも恐れている。すべての労働者人民が、可能な限りの最大限の方法で反戦闘争に立つ時だ。
同時にイラク復興支援法と有事立法の成立を阻止する国会闘争に猛然と決起しよう。有事立法決戦はいよいよ後のない決戦だ。百万人署名を達成し、20労組の闘いと連帯し、数万、数十万の労働者階級の国会包囲を実現しよう。そのためにも反戦共同行動委の闘いが重要である。南北朝鮮人民・在日朝鮮人民と固く連帯し北朝鮮侵略戦争を阻止しよう。
その土台をなすのが、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕闘争と03春闘の勝利であり、動労千葉労働運動の前進である。
この真っただ中で杉並区議選において3候補の絶対当選をかちとろう。
学生戦線はこの闘いのすべての先頭に立とう。そしてこの大激動の中で新歓を大成功させよう。
戦後革命以来あるいはロシア革命以来の世界史的な大決戦が到来している。
米帝ブッシュの凶暴な戦争政策の展開は、帝国主義の断末魔のあがきであり、延命し過ぎた帝国主義の最期の姿だ。
(2)世界史的な決戦期が到来している
米帝が、ブッシュ・ドクトリンのもとで開始した世界戦争計画−イラク・北朝鮮侵略戦争はこれまでのいかなる戦争とも質を異にする戦争である。
それは、本質的には、戦後の帝国主義世界体制の基軸をなしてきた米帝が、スーパーパワーとしての軍事力を武器にして、積極的に戦後世界体制を破壊し、暴力的に再編するという世界戦争計画を確立し、その発動に踏み出したものである。そして実体的には、残存スターリン主義である中国の体制的転覆を軸心にしつつ「テロ根絶」を押し出し、中東新植民地主義体制の暴力的再編と再植民地化を狙い、他帝国主義の戦争的粉砕をも射程に入れ、先制核攻撃や主権国家の転覆を公然と狙った凶暴な侵略戦争である。
戦後の帝国主義世界体制の基軸をなしてきた米帝が、積極的に戦後世界体制の破壊と再編に踏み出したことの意味は重大である。戦後の帝国主義世界体制の再建は、スターリン主義の裏切りに助けられつつも、米帝の圧倒的で絶対的な力量なくしてありえなかった。70年代を境とする戦後世界体制の動揺から崩壊への転落過程においても、米帝がスターリン主義の裏切りをえじきにしながら、激しい戦争政策を発動していくことで戦後世界体制を護持しようとしてきた。しかし、90年代的に進行した戦後世界体制の崩壊の全面的な進行――ソ連スターリン主義の崩壊、アメリカ経済のバブルの崩壊、新植民地主義支配の破綻(はたん)――という事態は、米帝が、もはや戦後世界体制を支えられないことを突き出した。
9・11反米ゲリラ戦争は、イスラム諸国人民が特殊的極限的な形態で、そのことを劇的な形で指し示したのである。
したがって、戦後の帝国主義世界体制の基軸をなしてきた米帝が、積極的に戦後世界体制の破壊と再編に踏み出したというその凶暴性は、米帝の歴史的な没落と戦後世界体制の全面的な崩壊という危機の深刻さに規定された、選択の余地のない絶望的な凶暴化なのだ。
そしてそれは人類を破滅に導く世界戦争過程への突入である。すべての帝国主義諸国が没落・解体か、侵略国家への飛躍かの選択をつきつけられ、帝国主義間の対立・矛盾はますます激化の一途をたどる。帝国主義とスターリン主義による戦後世界体制が全面的に崩壊し、ついに帝国主義の基本矛盾がスターリン主義の歴史的破産をも抱え込んで大爆発を開始したのである。
だが米帝の凶暴性は強さではない。延命に次ぐ延命を重ねてきた帝国主義というあり方はもはや最末期に達しており、帝国主義的生産関係の下においては、その巨大な生産力はもはや巨大な破壊力となって世界恐慌と世界戦争を引き起こす以外になくなっている。それは、資本主義から社会主義への革命的移行が現実的な日程に上り始めたということだ。
そして米帝の凶暴性は、その断末魔のあがきであるばかりでなく、戦後世界体制を根底で規定してきたところの労働者階級人民の闘いの世界史的うねりを、全面的に解き放つ役割を果たしている。 9・11は米帝の世界戦争計画に対する国際的な内乱の開始であった。そして、9・11は、全世界の階級闘争を一挙に新たな段階へと突入させた。同時に、恐慌・失業・戦争の時代の到来の中で労働者階級の決起が様々な形で爆発している。今や全世界の労働者階級の決起が、侵略戦争と資本攻勢という一個二重の攻撃に対決して大規模に始まったのだ。
(3)イラク・北朝鮮侵略戦争と有事立法攻撃を粉砕せよ
@「証拠を査察官が発見できないからといって何もないということにはならない」「大量破壊兵器の破棄を証明する義務は査察官ではなくイラク側にある」。つまり°おまえが無実であることを自分で証明できなければおまえは有罪だ″という論理。米帝はこんなデタラメな論理を押し通して意のままにイラクへの先制攻撃をしかけようとしているのだ。
戦争の階級的本質
米帝はかりにも主権国家であるフセイン政権の転覆を公言してはばからない。イラク人民の民族自決を否定して、軍事力でフセイン政権を打倒し、軍事占領し、イラク人民を軍事的植民地主義的に支配しようとしているのだ。
そしてそのために、開戦初日から連日400発の巡航ミサイルを撃ち込むと言い(国防総省)、核兵器の使用も否定していない(カード補佐官)。そして「400万人が死亡」する(NGO・MEDACTの試算)、すなわち、イラクの人口約2千万人の5人に1人、45年沖縄戦、50年朝鮮戦争の規模の大虐殺を強行しようとしているのだ。
米帝は何でこんなに凶暴なのか。
9・11は戦後の米帝の中東新植民地主義支配がついに全面的な破綻にたたき込まれていることを突き出した。追い詰められた米帝は、イランを始め反米国家を壊滅させ、パレスチナ解放闘争を絶滅し、アラブ諸国全体の破壊し、中東新植民地主義体制を暴力的に再編しようとして、イラク侵略戦争にのめり込んでいるのだ。しかしそれはベトナム戦争以上の泥沼化が必至である。
それは同時に米帝の中東石油支配の危機である。そのことをめぐって帝国主義間の再分割戦になっている。それは米帝にとって世界支配の危機である。だから中東第2の埋蔵量を有するイラクの石油を米系メジャーが手に取り戻して、中東と世界の石油支配を狙っているのだ。
さらに米帝経済がバブル崩壊を決定的契機に恐慌に突入しつつあることの深刻さだ。それは過剰資本・過剰生産力の膨大さから29年恐慌をはるかに上回る大恐慌になる。そして、スターリン主義の歴史的破産の問題と複合しながら、帝国主義間の分裂とブロック化、帝国主義間の死闘的争闘戦を一挙に激化させる。このことを米帝は強烈に自覚して、先制的に世界を再分割するための戦争に踏み出したのである。しかしイラク侵略戦争への突入は大恐慌を最後的に大爆発させる。
Aさらに米帝は、北朝鮮に対しても、核問題を口実に金正日政権を転覆しようとしている。北朝鮮スターリン主義の瀬戸際外交、核開発の動きは人民の立場から絶対許されないが、米・日帝国主義が核問題で北朝鮮が「脅威」としているのはデッチあげである。北朝鮮は「核開発の権利がある」と主張したに過ぎない。
事態は、米帝というスーパーパワーが体制的危機にあえぐ残存スターリン主義の小国を抹殺しようとしているのだ。イラク侵略戦争の切迫、「悪の枢軸」論やブッシュ・ドクトリン、12月重油供給停止、対北朝鮮包囲網が北朝鮮を激しく追い詰めているのだ。
また、対イラク政策とは違って、対北朝鮮政策については、米帝が結局、外交的手段でコントロールするのではないかという見方も誤りだ。米帝の北朝鮮侵略戦争が、中国スターリン主義の体制的転覆と対日帝争闘戦を措定した世界戦争計画の強行そのものであるということをはっきりさせる必要があるのだ。
米帝にとって、中国スターリン主義の内的危機の爆発は、米帝の世界支配と帝国主義世界体制の大破綻となる。29年型世界大恐慌の切迫と帝国主義間争闘戦の果てしない激化の中で、その破綻点が、帝国主義間の世界再分割戦の火点となっている。米帝は、アジア勢力圏化の決定的戦場として対中国のヘゲモニーを握りしめない限り、必ず日帝の介入を引き起こすと見ている。また、この中国の危機が爆発した時、必ず人民の民族解放・革命戦争の新たな大爆発に転化する。
こうして米帝は、中国スターリン主義の危機の爆発に対して文字どおりの世界大戦級の戦争を発動することをもって、新植民地主義支配、帝国主義間関係、対日帝関係、戦後世界体制総体を破壊的に再編していこうとしているのである。
日帝が全面的参戦へ
@「日本は、アメリカ、イギリスに次ぐ第三の敵国だ」(ラマダン副大統領)―これはイラクの支配階級の言葉だが、しかし、その背後には、全イスラム諸国人民の怒りがある。このことを日本の労働者人民は痛烈に自覚して闘わなければならない。イラク侵略戦争に日本帝国主義が全面的に参戦していく事態は、日本階級闘争の歴史的な一大対決の時が到来したということにほかならないのだ。
昨年12月16日の日米安保協議委員会(2+2)において、イラク参戦や対北朝鮮政策、MDへの参加、沖縄政策など、日米安保同盟政策の全面にわたって、96年の日米安保再定義のレベルからの画然たる飛躍、世界戦争計画への完全な密着と日米共同作戦への決定的な踏み切りという重大な決断が行われている。これは日帝の絶望的な飛躍である。
こうして日帝は、米帝と独・仏帝との矛盾が激化する中で、「新たな決議なしでも武力行使は国際法的に十分根拠がある」(外務省幹部)と、米帝のイラク攻撃を突出して全面的に支持し参戦していくのだ。また、イージス艦派兵は、米軍と自衛隊が完全に一体化してイラク爆撃を実行する画歴史的な攻撃である。
さらにこうした中で、「米軍などの長期駐留が予想され、PKOの枠組みには収まらない(ケース)」(政府関係者)というイラク復興支援法は重大である。米軍がバグダッドに侵攻し、破壊と虐殺を強行した上に、軍事占領して民族解放闘争の圧殺に全力を挙げ、侵略戦争が泥沼化していく過程に、自衛隊も占領軍としてイラクに上陸し、民族解放闘争の圧殺に手を染めようというのだ。そして石油を始めとして利権のぶん取り合いに参画しようというのだ。
Aさらに日帝は、9・17日朝首脳会談以降、拉致問題や核開発問題、「脱北者」問題、「スパイ工作」問題などを異様にあおりたて、北朝鮮との貿易・送金停止や「万景峰号」の入港停止、朝鮮総連への弾圧などを策動している。日帝はある面で米帝以上に北朝鮮に対する戦争的対決姿勢を強めている。
どうしてなのか。そこには、日帝が、米帝の対北朝鮮政策の基調に沿いつつ、しかも日帝自身の戦争として北朝鮮侵略戦争をやろうとしていることがある。
そしてその背景には、恐慌の本格化、とりわけ日米争闘戦における日帝の完全な敗勢、没落帝国主義化がある。そして、日帝はこの危機に対する絶望的なあがきとして、一方で賃金引き下げや不安定雇用化、社会保障制度解体といった労働者の生活と生存を脅かす全面的な資本攻勢を強行するとともに、他方で、結局「東アジア自由経済圏の形成」(1・1奥田ビジョン)という破局の道に突き進むことを打ち出し、そのために侵略国家への飛躍を強行しているのだ。
Bこうした中で、日帝は、有事立法の成立に全力を挙げているのだ。
「北朝鮮が東京を灰燼(かいじん)に帰すと宣言し、ミサイル発射を準備した場合、武力攻撃の着手だ〔したがって、自衛権を発動して北朝鮮を攻撃することができる〕」(石破防衛庁長官)
だが北朝鮮に「東京を灰燼に帰す」ような能力も意志もない。北朝鮮は米日帝による軍事重圧、対北朝鮮包囲網で未曽有(みぞう)の体制的危機にある。それを巨大な「脅威」であるかのようにデッチあげ、そのわずかの動きをも、「武力攻撃の着手」だと決めつけ、日帝の側から先制攻撃をやろうとしているのだ。
これが有事立法の本質だ。すなわち、米帝ブッシュの世界戦争計画、とりわけそれがイラクから北朝鮮・中国へと突き進む中で、日帝が米帝と密着して北朝鮮・中国侵略戦争に突入していくための法案である。具体的な北朝鮮・中国侵略戦争のためにこそ有事立法がある。この暴露を軸に、それを戦争国家化、暗黒政治体制化の暴露と正しく結合して一大闘争にしていくのだ。修正案は原案と基本的に同じであり、むしろ改悪である。
また、沖縄米軍基地をめぐっても、96年の安保再定義とSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)のレベルではない、米帝の世界戦争計画のもとでの再編・強化の攻撃がかけられている。
全世界の労働者階級・被抑圧民族がブッシュ・ドクトリンと対決している中で、このブッシュ・ドクトリンを支えているのがほかならぬ日帝・小泉の全面支持の表明であり、実体的には沖縄を始めとする巨大な在日米軍基地なのだ。
日本の闘いの重要性
韓国、フィリピンの闘いと並んで、日本の米軍基地撤去の闘い、安保粉砕の闘いがブッシュ・ドクトリンを粉砕する決定的な環をなす。だから、世界の労働者階級・被抑圧民族から日本の闘いに熱い期待が寄せられているのだ。現に、12月横須賀闘争の爆発をも通して、米軍兵士の内部に決定的な動揺が広がっている。この間の街宣で、米兵とその家族が多数署名に応じ、その中で米第7艦隊旗艦ブルーリッジや米第7艦隊空母キティホークの乗組員である米兵たちが、口々に「何のための攻撃だか分からない」「乗組員の3分の1は反対している」と語っている。戦艦ポチョムキンの反乱のようなことが目の前に迫っているのだ。
闘うイスラム諸国人民、アジア人民と連帯して、沖縄闘争を先頭に米軍基地撤去、安保粉砕の闘いを大爆発させよう。
(4)大学の独立行政法人化阻止しよう
寮闘争を先頭に大学の独立行政法人化阻止の闘いを反戦闘争と両輪的に闘おう。とりわけ、全国の自治寮をめぐる攻防に新たな地平を切り開き、独立行政法人化阻止闘争の展望を切り開こう。
第一に、03年こそが決戦である。大学の独立行政法人化の動きは、現在、文科省官僚と国大協執行部が密室で法案作成を進めており、04年通常国会への法案提出を狙っている。重要なことは、各大学で、04年法人化の開始を前提に準備作業が強行されていることだ。21世紀COEプログラムの始動と一体となり、「競争原理」「国際競争力」をキーワードに国公立大学と私立大学を巻き込んだ激しい再編が始まっている。そしてそれが学生自治への攻撃や自治寮つぶしの攻撃となってかけられているのだ。
第二に、独立行政法人化阻止闘争は、小泉・構造改革との闘いである。戦後的な大学制度を解体し、一握りの大学を対米争闘戦の戦士として使えるエリート養成機関とし、それ以外の大学はスクラップにしてしまおうとしている。それは大多数の労働者を低賃金・不安定雇用にたたき込むことの対極で、一握りのエリートを養成するものだ。同世代の青年学生がさらに激しく分断され、試験・単位・資格をめぐってさらに徹底的に競争させられるのだ。学生もまたすさまじい資本攻勢の中で生きていけないのだ。帝国主義はもはや最末期であり、とりわけ日帝は没落帝国主義化の危機から脱出できない。今こそ学生は労働者階級とともに闘いに立ち上がるべきなのだ。
第三に、これは侵略戦争への全面参戦を開始した日帝が、学生自治、反戦闘争を根絶しようとする攻撃、治安弾圧との攻防であり、反戦闘争と一体である。独立行政法人化阻止闘争の爆発は学生の権利・自治を拡大し、反戦闘争の土台を圧倒的に押し広げるのである。
(5)大衆闘争高揚の中での変革と前進
革命的情勢への移行の開始は、学生の政治的活性化と行動への決起の開始でもある。それはさまざまな形ですでに大きく始まっている。03年の学生戦線の闘いは、これらを丸ごと決起させることだ。
行動方針をめぐる全学生大衆を相手にした白熱的な討論の切り合いが重要である。クラス討論を始めとする大衆的集団的な討論である。そのことを通して扇動が練り上げられ、丸ごと決起ということが手繰り寄せられていくのだ。この切り合いの中で、党の側も学生大衆の側も絶えず変革をかちとりながら前進し、党と学生の関係がどんどん変革されていく。
まず行動方針を提起し、真っ向から決起を迫り、大衆的討議を始めることだ。
さらに、われわれは、学生の意見や感覚を大胆に取り入れ、意見や感覚の違いを積極的に評価しながら、ともに行動していく中で、獲得していくことだ。この点で、アクト会議が重要である。ここで学生の意見を引き出し、行動方針や組織化の戦術、扇動の方針、スローガンなどが試され、練り上げられていくのだ。
さらに、学生大衆との討論は、彼らに対しても変革を迫るものである。学生が即自的にぶつけてくる意見に対し、階級闘争の原則、階級的な見方を、運動の前進、行動方針に即して、学生の決起を信頼し、ねばり強く討論することである。
これは格好よくいかない。跳ね返されても跳ね返されてもへこたれないで繰り返し突撃する根性、泥臭さが必要である。それは、共産主義者としての強さ、確信である。一つは、革命的な時代認識と歴史的な決戦性への確信である。二つには、われわれが学生共産主義者として、労働者階級の階級的前進のために闘っているのだという自覚である。三つには、『ドイツ・イデオロギー』を武器に、時代を動かす新鮮な価値観としてマルクス主義をつかむことである。
実践的には、扇動の変革をさらに進める。扇動の問題はわれわれの闘いのあり方の問題である。丸ごと決起の実現をめざし、行動方針で迫り、全学生大衆を対象にした切り合いで勝負しているかどうかということが扇動を規定する。
03年は『前進』を武器にマル学同中核派を爆発的に拡大しよう。
革命的激動の到来の中で、わが学生戦線が画期的な闘いを切り開いているのとは対極で、カクマルJACはまさに陥没的な危機にある。今こそカクマルを圧倒し、全大学に中核旗を打ち立てよう。
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週刊『前進』(2088号2面1)
『政治解決路線』脱却し本部打倒へ総決起を
2・15国労中央委闘争へ
2月15日の国労第173回拡大中央委員会闘争は、03年国鉄闘争の勝利の態勢を築く重大な闘いとなる。4党合意破綻(はたん)以後、初めての中央委であり、ここで高嶋―寺内執行部を徹底追及し、打倒しなければならない。
高嶋―寺内らは、「ILO勧告に基づく公正な解決」を叫んでいる。だが勧告は、国鉄分割・民営化時に「反組合的差別行為はなかった」として、4党合意の受け入れを求めたものだ。4党合意が破綻した以上、それは何の展望もない。だが高嶋らは、反動革同がふりまくILO勧告による新たな「政治解決路線」の幻影にすがり、責任追及をかわし、執行部に居座ろうとしている。それは国労を「政治解決路線」の地獄に一層深く引きずり込むものだ。断じて許してはならない。
そして、4党合意破産の責任を、闘う闘争団に転嫁し、査問委員会を継続して除名処分を策している。
一方、昨年11月の定期大会で打ち出した「ストライキ基金の取り崩し」方針のもと、エリア本部などを握るチャレンジや反動革同が国労の財産ぶんどり、国労解体=JR連合合流路線を突っ走っている。
彼らチャレンジや反動革同、酒田一派ら裏切り者をのさばらせていては、国労の危機は深まるばかりだ。一刻も早く裏切り者を打倒し、たたき出そう。
反対派の混迷状況の克服を
そのために切実に求められていることは、闘争団を始めとする4党合意反対派が、現執行部打倒―新執行部樹立へ決意も新たに総決起することである。
今日、4党合意反対派は、4党合意粉砕の勝利的地平を切り開きながら、勝利の路線を確立できていない。「36闘争団の団結」の名による鉄建公団訴訟取り下げの策動は打ち破られたが、4党合意とは別の「政治解決」への幻想から脱却し切れていないという混迷状況にある。ある意味で、これが最大の危機である。
1047名闘争は、解雇撤回・JR復帰をかちとる闘いである以上、JR資本と徹底的に闘わなければならない。だが、国労は一貫してJR資本との闘いを抑えてきた。その根源は「政治解決=和解路線」にある。それは自民党や関係省庁に対する「お願い」路線であり、譲歩を迫られるだけだった。そのことを徹底的に総括し、協会派や革同による「政治解決=和解路線」を根底から克服しなければならない。
そして、闘争団がJR本体の決起を熱烈に呼びかけ、その闘いと一体となり、1047名闘争をJR資本との攻防を軸に闘わなければならない。
国労は86年の修善寺大会において現場の力で国労の旗を守った。しかし、89年の臨時大会で決めた「全面解決要求」は、採用差別問題と「労使関係正常化」「202億損賠訴訟」などを一括して和解解決する方針だった。90年3月の和解策動は、動労千葉の前倒しストに続いて国労もストに突入する中で破産した。ここで清算事業団を解雇された1047名の解雇撤回闘争が始まる。
だが、その後も中労委をめぐる和解策動が続き、94年の村山政権の時に、権力は202億訴訟を取り下げることで一気に闘争終結を狙ったが、これもJRとカクマルの抵抗でつぶれた。
そうした中で、国労は「政労使交渉」を求め、96年にJR各社への「8・30申し入れ」で「国鉄改革法に基づいて推移している現状を承認」し、「JR各社の発展に寄与する」ことを表明。98年5・28反動判決以降は「政治解決」にのめり込み、宮坂「補強5項目」路線、99年3・18臨大での「国鉄改革法承認」から00年5・30の4党合意へと一気に突き進む。
今日の反対派も8・30路線に賛成し、改革法承認にも「苦渋の選択」と称して賛成したのだ。今こそ、そのことを根底から総括し、勝利の路線を確立しよう。
JR労資結託体制と闘おう
今、その決定的チャンスが訪れている。JR資本とカクマルの結託体制が崩壊し始め、JR総連カクマルの内部で松崎グループと新潟グループの分裂が始まった。JR資本とカクマルは、分割・民営化以来、闘争団とJR本体の組合員に苦難を強いてきた最悪の元凶である。このJR労資結託体制と徹底的に闘い、粉砕するチャンスなのだ。
この時にこそ、権力・資本と闘う労働組合の原則に立ち返り、闘争団とJR本体組合員の新たな団結をつくり出そう。5・27臨大闘争弾圧を粉砕する闘いは、権力に組合員を売り渡すまでに至った国労本部などの「政治解決路線」を粉砕する闘いでもある。2・3初公判−2・13第2回公判に続き、国労中央委闘争に総決起しよう。
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週刊『前進』(2088号2面2)
国労弾圧 “大法廷使用せよ”
許さない会が申し入れ
国労5・27臨大闘争弾圧との闘いはいよいよ公判闘争に突入する。その前哨戦はすでに開始されている。
東京地裁は昨年12月27日、保釈請求を不当にも却下した。被告たちはいまだに接見禁止を付され、家族とも面会できない状態を強いられている。
さらに、東京地裁は大法廷を用いての開廷を拒んでいる。被告の家族を始め、友人、国労組合員、支援者ら140人を超える人びとが傍聴を求めている。にもかかわらず、地裁はかたくなに大法廷の使用を認めていないのだ。
「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」は、1月15日と24日の2度にわたって、東京地裁所長に対し、大法廷を使用するよう申し入れた。公判が始まる前から被告に予断を抱き、「警備上の理由」と称して公開裁判の原則すら踏みにじる東京地裁を許さず、無罪戦取へ全力で闘おう。
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週刊『前進』(2088号2面3)
幻想を断ち攻勢へ
鉄建公団訴訟報告集会
1月27日午前、東京地裁で鉄建公団訴訟の第4回口頭弁論が開かれ、150人が集まった。北見闘争団の仁部敏雄さんが、国鉄清算事業団による「就職あっせん」の実態を暴露する陳述を行い、月10万円程度の賃金で再就職することを強要された仲間が、苦悩の中で自殺を強いられたことを語気強く弾劾した。
午後6時半から、シニアワーク東京で「攻め込むぞ! 鉄建訴訟に最高裁署名/1・27報告・総決起集会」が開かれた。鉄建公団訴訟原告団長の酒井直昭さんが「闘争団と本部の団結のために訴訟を取り下げろという声もあるが、この訴訟は主戦場。取り下げはありえない」と明言。国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長は「4党合意は破綻した。国労本部は総辞職すべき。本部に解決能力はない。共闘会議が中心となり解決にあたる決意を」と訴えた。
佐藤昭夫鉄建公団訴訟弁護団長が「再生される幻想を打ち破ろう」と問題提起し、4党合意崩壊後も「人道的解決」「ILO勧告に基づく公正な補償」「言葉だけの統一と団結」という三つの幻想は克服されていないと指摘。闘う主体の側こそが幻想を断ちきり、自らの要求と力に基づいて闘うべきだと力説した。
国鉄闘争共闘会議の内田泰博事務局長が、最高裁への要請署名などの行動方針を提起した。
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週刊『前進』(2088号2面4)
日本経団連「経労委報告」 終身雇用制解体を許すな〈1〉
春闘解体=「春討」宣言 国家・企業防衛主義を労組に強要
03春闘は、歴史的な階級決戦である。日帝総資本―日本経団連は「経営労働政策委員会報告」において歴史的な賃下げ・終身雇用制解体攻撃を打ち出した。それは、日本帝国主義の生き残りをかけ、労働者の生活と権利を奪う全面攻撃の宣言である。その攻撃の中身をシリーズで暴露し、03春闘への総決起を訴える。
「途上国なみの賃金水準」提唱
日本経団連の経労委報告は、賃下げ・定昇解体、首切り―終身雇用制解体・不安定雇用化、社会保障制度の解体など、労働者の生活と生存にかかわるすべての領域で全面的な攻撃を宣言している。「聖域なき構造改革」の一層の徹底を資本の立場から政府に要求しているのだ。
その上で、経労委報告の核心は、労働組合に対して、“要求し闘う労働組合”から“企業・国家のために何をなすべきかを経営者とともに考える労働組合”に変質することを要求していることである。
経労委報告は、「これからの労使関係」の項で次のように言う。
「労組が賃上げ要求を掲げ、実力行使を背景に社会的横断化を意図して『闘う』という『春闘』は終焉(しゅうえん)した」
「これからは、闘う『春闘』ではなく、討議し検討する『春討』としての色彩が強まる」
だが労働組合とは本来、労働者が切実な要求を掲げて団結し、ストライキ=実力行使を背景に闘う存在である。生産手段を握り利潤を追い求める資本は、常に労働者階級をぎりぎり生存できるか否かというところまで追いやって、搾取しようとする。これに対抗するための、生産手段を奪われた労働者の唯一の武器が団結の力である。経労委報告は、実力行使はおろか、賃上げ要求をするなと言っているのだ。これは労働組合であることをやめろという要求に等しい。
では、日帝資本は「春討」と称して、何を「討議」しろというのか。それは、資本と国家の危機についての認識を共有し、資本と国家が生き残るために労働者が徹底して犠牲になることを、労働組合が積極的に受け入れることである。それは連合に新たな「産業報国会」になれという要求である。
今春闘では「ベースアップは論外」であり、話し合うのは「定期昇給の凍結・見直し」だ、「賃金を下げる選択も迫られる」としている。しかも報告の原案では、「中国など途上国の追い上げが激しい産業では、賃金も同水準まで下落する圧力が強い」(中国の製造業の賃金水準は日本の30分の1だ!)とまで言い切っていた。このような暴論を持ち出さなければならないほど、日帝資本の危機が深まっているということだ。
「競争力低下」と資本の悲鳴
経労委報告は、冒頭から「構造改革の遅れは、端的に、わが国の国際競争力の低下に示され……国際競争力の劣化は国の存続に関わる深刻な事態」などと言っている。「国際競争」とは帝国主義間争闘戦のことだ。その競争に敗れ、このままでは国家がつぶれると悲鳴を上げているのだ。そうして企業と国家の存続のために、構造改革を断行せよ、規制改革を徹底せよと叫んでいる。
それは、単純でむき出しの資本の論理である。要するに、労働者の賃金や社会保障の企業負担が高すぎるから「高コスト構造」になり、日本の国際競争力が低下したのだ、だから、「日本経済を防衛」するために「総額人件費」を下げ、低賃金の不安定雇用にする、社会保障制度は解体し、年金支給は最低限に切り下げる一方、消費税率は16%にする(1・1「奥田ビジョン」)ということだ。
こうして労働者に犠牲転嫁し、労働者保護的な労働法制も改悪し「自己責任」で生きろと強要する一方、企業には減税をして保護してくれというごう慢な要求を政府に対して行っているのだ。このような資本の悪らつな要求に沿って小泉の「構造改革」が強行されている。まさに小泉政権は、いや日本の国家そのものが資本家どもの利益を守るための国家なのである。
露骨な新「大東亜共栄圏」構想
だが、経労委報告は、「デフレスパイラル突入の瀬戸際」「縮小均衡に陥る危険性」と自認する日本経済の危機を打開する道は何も示せない。労働者に未来を提示できないのだ。
その中で日本経団連が帝国主義としての本質をむき出しにして打ち出したのが、新たな「大東亜共栄圏」構想である。経労委報告では「アジア諸国などとの間に、適切な分業体制の構築、市場の開拓・拡大という新たな共存関係を築いていくことがきわめて重要」としている。それを「奥田ビジョン」では、「東アジア自由経済圏構想」として露骨に打ち出した。そこでは「東アジアの連携を強化し、グローバル競争に挑む」「人口21億人という巨大で急速に成長する単一市場が実現する」ことを提唱している。
それは、ひとたびは破産したアジア侵略の道であり、アメリカを始め諸帝国主義との激突に勝ちぬくことなしには実現できない。日帝は、米帝のイラク侵略戦争から北朝鮮・中国侵略戦争まで共同的・競合的に参戦しようとしている。小泉が12月16日にイージス艦を派兵し、同日の日米安全保障協議会(2+2)で米帝への全面協力を表明したのは、そうした帝国主義としての踏み切りである。
「奥田ビジョン」はまた、「政治と経済は、『活力と魅力溢(あふ)れる日本』を実現する車の両輪である。日本経団連は、政治と緊張関係を保ちながら、21世紀の国際制度間競争に勝利する日本をつくる」と豪語している。
奥田らは、国益主義を全面化させ、むき出しの帝国主義的政治―戦争を小泉政権に要求しているのだ。
労働者の反乱は必ず起こる
そして日帝は、以上のような資本攻勢と戦争の一体的攻撃を、連合を先兵に強行しようとしている。経労委報告は言う。
「すでに連合も、『経営環境がきびしいなかで企業の雇用維持・確保努力には困難があり、雇用に関するコスト軽減が重要である』との認識に立って、『……経営基盤の強化に協力し……労働条件の弾力化にも対応する』との姿勢を表明している」「労働法制の見直しを合意した」と。
これは12・4「雇用問題に関する政労使合意」のことだ。資本攻勢においては連合と完全に一致したというのだ。それを受けて、12月17日に経労委報告を発表し、1月1日には「奥田ビジョン」を打ち出し、16日には連合会長・笹森が初めて自民党大会に出席し、あいさつした(3面参照)。その行き着く先は、連合が資本攻勢にも戦争にも協力する文字通りの「産業報国会」になるということだ。
だが、ここまで連合を先兵化したことは、逆に日帝の労働者支配の破綻(はたん)点に必ず転化する。
日帝資本は「倒産や雇用情勢の悪化にともなう社会的不安」(経労委報告・奥田の序文)、すなわち労働者階級の反乱におびえている。労働運動を徹底的に解体する攻撃を仕掛けながら、なおも「社会の安定帯たる役割を担う労使」という言葉を強調している。
賃下げと不安定雇用化に同意さえした連合指導部がいつまでも労働者の「代表」でいられるのか。労働者階級の首切り・賃下げ・生活破壊への怒りは満ちみちている。連合の内外で反戦の闘いがまき起こりつつある。連合などの裏切り者の制動をのりこえて、団結し闘う労働組合が存在することを示せば、それが労働者の巨大な反乱に結びつく情勢が訪れているのだ。
経労委報告と徹底対決する03春闘を、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕を軸に、イラク反戦・有事立法阻止闘争と結合して闘おう。
次号からは、経労委報告の終身雇用制解体攻撃の具体的内容を見ていく。
(大沢 康)
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週刊『前進』(2088号2面5)
自治労「新綱領」採択を阻み公務員制度改革うち砕こう
革共同自治体労働者委員会
1・1アピールを全面実践し1年間決戦へ
革共同自治体労働者委員会は、マルクス主義青年労働者同盟の再建とともに、新たな出発を宣言する。9・11情勢下で、階級闘争の激しい動きの中で、自治体労働運動が歴史的転換点を迎えていることを厳しく認識し、委員会は組織建設を軸に「1年間決戦」としてこれに臨む決意を打ち固めた。
1・1政治局アピールは、@革命的共産主義運動は労働者階級の自己解放闘争であり、実体的にも本質的にもこれを根底にすえて実践されなければならないこと、A中央指導部を先頭にした綱領的・路線的一致と実践が死活的であり、B労働者階級の自己解放闘争を基軸にすえて細胞建設を変革的に実現していくこと――を提起している。
そのためには、@5月テーゼ―6回大会路線を全力で闘い、Aプロレタリア自己解放闘争の中に7・7路線を正しく位置づけ、B「反弾圧労働運動」と「動労千葉労働運動」を戦闘的労働運動の発展軸として、C21世紀の現実に則して「新しい型の『社会主義と戦争』の内容」を創成し、Dもって社・共にとって代わる労働者党建設を総括軸に細胞性を確立していくこと――を課題としている。02年に現れた「党の立ち遅れ」を克服し、革命的情勢の急速な接近の中で必死に党の変革を重ね、なんとしても階級全体を獲得できる力ある革命党として躍り出なくてはならない。
アメリカのイラク侵略戦争が切迫する中で、1・18―19イラク反戦行動が全世界で闘いぬかれた。2月115日にも国際的行動が呼びかけられている。イギリスでは、サッチャーにより集中攻撃を受けた公務員労働者が闘いの中心となっている。彼らのスローガンは、「国家戦争に反対! 階級平和にも反対!」である。世界の労働者階級は、戦争と恐慌と大失業に対して「平和とパン」「戦争と賃下げを止めろ!」「ストライキで街頭へ!」を掲げて立ち上がり始めたのである。
他方で、小泉内閣は通常国会で、有事関連3法案を一挙に通そうとしている。有事法案とは、イラク侵略戦争に続き、北朝鮮侵略戦争に米帝とともに日帝が共同・競合して全面的に参戦していくための戦争法案である。これは実質上の集団的自衛権の行使にあたり、改憲そのものである。すでに昨年12月には、対米支援と称してイージス艦をアラビア海に派遣した。
これに対し連合は「5・16見解」をもって「有事法制は必要」論を唱え、社民党・平和フォーラムは「人間の安全保障」なる帝国主義翼賛のスローガンを掲げている。自治労中央は連合見解をとりまとめるために最悪の立ち回りを演じた。連合中央―自治労中央を打倒し、有事3法案を廃案にする闘いは、日本の労働者階級の国際的連帯をかけた責務である。闘う自治体労働者は昨年、陸・海・空・港湾労組20団体の闘いに合流しつつ、8月定期大会で自治労中央と対決し、「有事法案を廃案に!」を鮮明に決起した。この闘いを発展させ、連合見解を覆し、なんとしても有事立法を阻止しよう。
人勧依存路線をのりこえて春闘に合流を
こうした中で日帝資本は日本経団連の経営労働政策委員会報告で「賃上げは論外。賃下げ、定期昇給の見直し」「『春闘』は終焉した。これからは『春討』だ」と、激しい攻勢をかけている。日本経団連の奥田会長は、その報告の原案では「発展途上国並みの賃金」と言い放ち、「奥田ビジョン」では高齢化がピークを迎えるとされる「2025年問題」を喧伝(けんでん)し、消費税率を16%に引き上げると発表した。
これに対して連合は「政労使合意」を路線化し、03春闘は賃下げを容認するのみならず、雇用の総不安定化に同意するなど、産業報国会へと転げ落ちている。
他方、小泉政権は資本の意を受けて、首切りの自由を資本に与えようと反動法案(労基法、派遣法、職安法、年金・雇用保険法などの改悪)を今期国会に上程しようとしている。
こうした春闘解体攻撃に対して、われわれは「生活防衛・反戦・反弾圧」を掲げて春闘を再構築していく。国労5・27臨大闘争弾圧粉砕、1047名闘争支援陣形防衛、国労本部打倒―国労再生の闘いは、戦争下における労働組合弾圧を粉砕する、帝国主義と対決する労働運動の真価が問われる全産別の正面課題である。そのカギは、今春闘において「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の呼びかけにこたえ、職場で「許さない会」を組織化することである。国鉄闘争支援陣形の最大産別である自治労にこそ拡大しよう。
02秋闘では、戦後初めて公務員賃金が下がった。闘わざる「人勧完全実施」路線は、ここに完全に破綻したのである。
これに対して、高知や新潟などストライキでの対決を辞さずに闘う地本・単組が生まれ始めている。その結果、賃下げを押し返すことができなかったとしても、もはや闘う以外にないという機運が満ちている。
そもそも人事院は、官民較差是正・不利益不遡及(そきゅう)の原則からすれば、勧告する必要はまったくなかった。自治労中央の「人事院味方」論を一掃しよう。団結と実力闘争こそが勝利のカギだ。公務員の賃下げは春闘での民間の賃下げに拍車をかける。公務員労働者は、かつて公労協が民間の春闘を牽引(けんいん)したように、官民一体となった春闘をつくり出さなければならない。労使直接交渉による全国一律・統一賃上げ要求を掲げて春闘に大合流しよう。
労働基本権の奪還へ公務員ゼネストを!
その中で、いよいよ政府は公務員制度改革に踏み込んでくる。公務員制度改革基本法と国家公務員法(地方公務員法は準拠)が今通常国会に提出される。
ILO(国際労働機関)は、この法案に対して厳しい勧告を採択し政府に通告したが、政府は「純粋に国内問題なので再考しない」と無視した。ILO勧告は帝国主義間争闘戦の中で出されたという性格をもつが、ひとつの武器として使い切るかどうかである。労働基本権はそれを必要とする者が実力で奪還するものだ。ILO勧告に依存するのではなく、今こそ公務員ゼネストを呼びかけよう。
政府・与党内にも、職階制の廃止に伴う能力等級制人事や給与法をいまだに起案できていないという不一致と混迷がある。連合(官公部門)の「4原則・2要件」や自治労の「対案」は条件をつけて屈服する敗北の路線だ。今こそ組織の命運をかけて公務員制度改革と対決しよう。
市町村合併は有事法制下の地方自治解体
3月には、地方制度調査会が最終報告を出す中で、市町村合併と財政委譲問題が焦点となる。呼応して政府は6月に、国庫補助金制度、税源移譲、地方交付税の「三位一体改革」方針の工程表を出す。すでに西尾私案が提示されたが、地方分権と言いながら財源は移譲しない、一定規模以下の市町村を解消する、応じない自治体は事務権限と組織の制限で編入合併を強制するという反動的な内容だ。
日米安保新ガイドラインと地方分権一括法案が表裏一体であったように、市町村合併は有事関連3法案と一体の戦争体制づくりに本質がある。それは、いずれは道州制など軍管区と直結した体制に自治体を組み込んでいくものとなる。同時に、市町村合併をとおして国の義務を放棄し、民間資本の食い物にし、低賃金と行革リストラと人員削減を強行する大資本攻勢であり、自治体労働運動解体攻撃であることを見逃してはならない。それは、まさに国鉄分割・民営化型の地方切り捨て攻撃なのだ。
有事法賛成の中央本部倒し自治労再生へ
自治労中央本部は、使途不明金39億円のうち20億が回収不能という中で、責任を放棄して逃げきろうとしている。これを追認することは、自治労の崩壊につながる。現に、全競労との統合にもかかわらず、組合員がついに100万人を割り込んだ。組織脱退が始まっているのだ。自治労中央の責任を徹底的に追及することこそ自治労再生の道だ。腐敗し切った本部は打倒されなければならない。
こうした情勢のもとで、自治労中央は新綱領「21世紀宣言」を8月定期大会で採択しようとしている。ソ連崩壊後の世界を冷戦の終焉とグローバリズムの時代ととらえ、「新しい社会民主主義」の理念を採択するという。西欧社民の道を一周遅れで進もうというものだ。しかし考えてもみよ!「第三の道」を標榜(ひょうぼう)したイギリス労働党のブレアが今日ブッシュのイラク侵略戦争の最大の同伴者となり下がり、公務員ゼネストつぶしに奔走しているではないか。ドイツ社民党のシュレーダー、フランス社民のジョスパンしかり。彼らの反労働者的立ち回りを許すわけにはいかない。
すでに西欧社民の道=新綱領「21世紀宣言」は破綻しているのだ。歴史的に葬り去る任務が自治労組合員にはある。
4月の統一自治体選挙はそれ自身が巨大な政治決戦だ。連合はついに自民党候補推薦に踏み切るまでに翼賛化した。革共同の推薦する全候補を当選させよう。
激動のただ中で不抜のプロレタリア革命党を建設しよう! 自治体労働者委員会はその先頭に立つ。
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週刊『前進』(2088号3面1)
産業報国会と化す連合打倒を
「日本経済を救え」と叫び政府自民党を公然と支持
イラク侵略戦争、世界大恐慌情勢に追いつめられた日本帝国主義は戦後労働者支配の転換へ一大階級決戦に打って出てきた。1月1日に日本経団連が発表した「奥田ビジョン」と、12月17日の「経労委報告」が、その凶暴な中身だ。「奥田ビジョン」の“国を守れ”という恫喝に震え上がった連合会長・笹森は、自民党大会に出席し、自民党支持を誓った。連合指導部は日本経団連、自民党との癒着を深め、“日本経済を救え”と叫んで「産業報国会」への決定的踏み切りを行っている。連合の裏切りこそ、日本経団連の攻撃を引き出した元凶だ。連合中央打倒、闘う労働運動の復権へ、03春闘を徹底的に闘い、イラク反戦闘争の爆発へ総決起しよう。
笹森、自民党大会に出席
連合の裏切りは、明確に一線を越えた。それを最も象徴する事態は、笹森が1月16日の自民党大会に出席したことである。
笹森は、連合会長として歴史上初めて自民党大会に出席した。これは特筆しなければならない決定的な事態である。「連合だから」と見逃すことはできない。笹森は自民党大会での発言の中で、「組織内でいろいろ議論もあったが、しかし……雇用政策を訴えようと参上した」などと述べて、連合内ですら出席反対論が噴出し、それをあえて押し切って出席したことを隠そうともしなかった。きわめて自覚的な裏切りを行ったということだ。
それだけではない。笹森は、「雇用を守るため、建前を横において、いつでもどこでもだれとでも話をするし、やれることは何でもやる」などと言って、「建前」=労働組合としての最低限の原則すらかなぐり捨てて、ブルジョア政党と野合しようというのだ。ここには、ひとまずは支配階級とは区別された存在としての労働組合という、最低限の階級性すらひとかけらもない。階級移行の完成形態そのものであり、世界戦争と世界大恐慌の切迫の中で、今までのあり方が破産した帝国主義的労働運動が、日帝・支配階級との癒着・合同を決定的に深めた醜悪な姿そのものだ。
しかも笹森は、「構造改革について、その必要性は理解する」などと発言して小泉構造改革を全面的に支持し、12月4日と26日の二つの「政労使合意」にあるように終身雇用制解体=労働者階級全体の不安定雇用化攻撃を率先して実行しようというのだ。許せない。
こんな笹森が言う「雇用を守る」とは何を意味するのか。それは、80年代のアメリカやイギリスの資本攻勢のような不安定雇用で低賃金の状況、すなわち「ダブルジョブ」「トリプルジョブ」(二つや三つのパートの仕事をかけ持ちすること)で、かろうじて生きていける状況に日本の労働者階級総体をたたき込み、最後には侵略戦争に動員することなのだ。
笹森は、2月上旬には、自民党五役とも会談するという。笹森の自民党への屈服はとどまるところを知らない。連合の自民党との癒着は、経労委報告の「春闘終焉(しゅうえん)論」が意味する、労組が闘うことそのものの一掃(階級闘争の否定)を連合が政治分野でも実行するということだ。
この屈服は、けっして一時的なものではない。昨年秋の中央委員会での「民主党を機軸にした政党支持を見直し、雇用や労働政策によって 政党や政治家支持の間口を広げる」という、民主党支持から自民党支持への転換が背後にある。現に連合は、今後の選挙で“自民党議員を5人から10人推薦する可能性がある”とまで言われ始めている。
この連合の自民党支持への転換と屈服を規定したものこそ、日帝・小泉の12・16イージス艦派兵=イラク侵略戦争への参戦という衝撃的事態を受けて打ち出された「奥田ビジョン」である。「奥田ビジョン」は、「『公』(おおやけ)を担う価値観を持て」と、労働者階級に“国を守れ”と絶叫し、「東アジア経済圏」(大東亜共栄圏のことだ)の建設を唱えている。この奥田の恫喝に屈服して笹森は自民党大会に出席し、自民党支持を誓ったのだ。
これらの事態が意味するものは、連合が完全な愛国主義を掲げ、戦争国家化攻撃の先兵になるということだ。連合は6月に予定されている政治方針の見直しを待たず、近い将来、有事立法全面賛成へと転換することは不可避である。
今や連合は文字通り新たな「産業報国会」に転落した。労働者階級の敵=連合指導部を怒りの炎で焼き尽くし、打倒せよ。
奥田と同じ立場に転落
連合の自民党支持への転落の背後にあるのが、「がけっぷちの日本経済を救え」(電機連合・大福書記長発言)という完全な日帝危機救済論であり、そのためには賃金闘争も何もかもなりふりかまわず放棄し、資本の手先になりきるという労働組合の否定、完全な階級移行である。
この日帝危機救済論は、笹森も小泉構造改革支持として本質的には述べているが、より徹底して露骨にこの立場を表明しているのが、IMF・JC(金属労協)の幹部たちである。
前電機連合委員長でJC議長の鈴木は、12月17日の日本経団連との会談で「いかにして日本の製造業の国際競争力を高めるか、傘下の産別組合でも悩んでいる」などと、憶面もなく経営の立場と完全に一体化した発言を行っている。経労委報告が「わが国の国際競争力の低下」を強調して、“だからこそ資本攻勢をのめ”と主張しているのとまったく同一の立場だ。
しかも、鈴木は1月15日の自動車総連の中央委員会で、「電力やNTTに代表される低生産性分野で生産性を上回る賃上げをしてきたことが日本の春闘の構造問題であり、そのことが製造業の国際競争力を弱めてきた」などと発言した。これは、経労委報告の「わが国の非国際競争産業の生産性の低さ、コストの高さが、国際競争産業の競争力を低下させている」という主張とまったくうり二つではないか。
だからこそ鈴木は、経労委報告が「高コスト構造の是正」を強調していることを、「この問題に言及している点に限れば率直に評価したい」などと文字通り全面的に賛美したのだ。
さらに鈴木は、「低生産性分野のヒト・モノ・カネを高い生産性分野に移動させることで日本全体の経済力を高めようという、小泉構造改革をJCは支持している」と述べ、ここでも経労委報告の実践的帰結である終身雇用制解体=労働者階級全体の不安定雇用化と「アジア並みの低賃金」化攻撃を全面的に認め、「小泉構造改革」を全面賛美しているのだ。
このように鈴木は軍需産業でもある製造業ブルジョアジーの立場と自己を完全に同一化し、日帝危機の救済者として登場しようとしている。鈴木発言はトヨタ会長でもある日本経団連会長・奥田の発言とどこが違うのか。これはもはや完全な「産業報国会」そのものである。経労委報告のあまりにも凶暴な内容は、この連合の屈服と先兵化を前提条件として初めて成立しているのだ。
連合が労組としての「建前」も最後的に全面的にかなぐり捨てて、むき出しの資本の先兵として登場するということは連合の破産を意味している。このようなあり方を労働者階級がいつまでも許しておくはずがない。それをよく知るからこそ、日帝は国労5・27臨大闘争弾圧に打って出てきているのだ。
だが、JR総連の分裂、国労に対する4党合意の破綻(はたん)、連合内での20労組的決起の始まりと、いたるところで日帝の労働者支配は破綻を開始し、労働者階級の反乱・決起が始まりつつある。さらには、日本階級闘争がアメリカ・ヨーロッパ・韓国の壮大なイラク反戦闘争、国際階級闘争の内乱的発展との合流を開始しつつあるではないか。
03春闘は、文字通り「生活破壊・戦争動員・治安弾圧と闘う03春闘」として階級闘争の焦点に押し上げられている。今こそ、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の広範な陣形をつくり出そう。連合中央を打倒して、闘う労働運動の再生をかちとり、イラク反戦闘争の爆発へ突き進もう。
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週刊『前進』(2088号3面2)
ベア要求放棄を弾劾
電機連合中央委にビラ
1月23〜24日に横浜市のパシフィコ横浜で開催された電機連合第89回中央委員会の初日、労組交流センターの電機労働者が、参加する中央委員と傍聴者に対して電機連合中央の03春闘ベア要求放棄を弾劾するビラまきを貫徹した。
入り口で堂々と電機連合の裏切りを断罪するビラがまかれているにもかかわらず、電機連合中央は何の対応もできなかった。結集してくる組合員は、次々にビラを受け取る。初めて見る戦闘的なビラにびっくりする若者や、原則的な春闘を訴える内容に思わずニンマリする中年の組合員など反応はさまざまだ。中小の労組と見られる労働者は全員といっていいほどビラを受け取った。
電機連合中央は、昨春闘ではベアゼロ妥結の直後に賃下げや定昇凍結を「02年度緊急労務対策」という名前で認めるという大裏切りを行った。これがトヨタのベアゼロとともに日本の全労働者階級のベアゼロ・賃下げの流れを加速した。その裏切りを開き直り、電機連合は昨年大会で「職種別賃金」を打ち出し、連合内でも、最も積極的な賃下げ、春闘破壊の先兵として登場している。
だが、相次ぐリストラ・首切り攻撃、4年連続の賃下げと生活破壊、極限的な労働強化に、電機労働者の不安と怒りは文字通り頂点に達している。この怒りのぶつけ先を求める電機労働者に交流センターのビラは熱烈に連帯と闘いを呼びかけるものとなり、大きな波紋を起こした。
年功賃金制度解体の先兵に
今回の中央委員会で電機連合は、ベア統一要求を放棄するだけでなく、賃金要求における「標準労働者」の規定から学歴と勤続年数をはずした。これは、年功賃金制度と生活給という考え方の解体であり、終身雇用制解体攻撃そのものだ。しかも、経労委報告と同様、社会保障解体と消費税率10%を提案した。大福書記長は「がけっぷちの日本経済を救う観点」で交渉をしろと叫んでいる。電機連合中央は労働者の敵だ。
03春闘を「生活破壊・戦争動員・治安弾圧と闘う03春闘」として闘い、電機連合中央を打倒しよう。
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週刊『前進』(2088号3面3)
中四国と九州で革共同集会
中四国 革命的情勢論で武装 新社屋を出撃拠点とし
1月26日、広島県社会福祉会館で革共同中四国政治集会が行われ、235人の労働者人民の結集をもって大成功をかちとった。
司会の開会宣言に続いて、昨年末に帰らぬ人となった全国被爆者青年同盟委員長の友野幽同志を追悼し、全員で黙とうを捧げた。全国からのメッセージが紹介された後、連帯のあいさつで、新たに被青同委員長代行を決意した中島健氏が、友野同志の遺志を引き継いで闘う烈々たる決意を述べた。
また反戦被爆者の会の下田礼子さんは、前進社中国支社の新社屋建設への祝辞を述べ、「なんとしても通常国会での有事立法成立と教育基本法改悪を阻止しましょう」と訴えた。
さらに部落解放同盟全国連合会の金平通雄共闘部長が、全国連第12回大会に向けてのアピールを発し、続いて広島「障害者」解放委員会から「イラク・北朝鮮侵略戦争を絶対に許さない」という鮮烈な決意が語られた。
国鉄西日本動力車労働組合の労働者はナッパ服で登壇し、「国鉄決戦の勝利なくして日本の労働運動の未来はない。国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕し、春闘ストに決起する」と訴えた。
特別アピールに立った富山再審闘争を闘う富山保信同志は、昨年末の爆取デッチあげ3同志の保釈奪還の勝利を高らかに宣言し、「星野同志の再審無罪をかちとり、富山再審闘争に勝利しよう。革命的情勢への突入の真っただ中でこそ、反弾圧闘争の大飛躍をかちとろう」と提起した。
革共同を代表して河井一正同志が、「国際連帯貫き、イラク・北朝鮮侵略戦争阻止=有事立法粉砕・教育基本法改悪阻止決戦に立とう」と題して基調報告を行った。
「9・11以降、階級情勢は一変した。われわれが直面しているのは50年、100年に一度来るか来ないかの情勢だ。戦争への突入、さらに資本攻勢の極限的激化が革命的情勢を引き起こす。われわれの世界認識と綱領、思想・理論、政治路線と方針の正しさを心から確信し、世界史的大激動・大流動の恐るべき速さに立ち向かい、必要な自己変革を断行し、革命的に対応することが求められている。革共同の闘いの実態がどうかという狭い視点からではなく、世界と日本のプロレタリアート人民の闘いがどこまで来ているのかという視点から階級情勢をとらえよう。革命的情勢への移行期という決定的な情勢を迎えた今こそ、レーニンが提起した革命党の三つの義務を全面的に貫徹し、階級のど真ん中で勝負しよう」と提起した。
そして、1・1アピールで提起された二つのメインスローガンと三つのサブスローガンを圧倒的に確認し、03年決戦の具体的方針を鮮明に提起した。さらに、「青年労働者の獲得に、革命運動の成否をかけて決起しよう。新社屋を戦略的出撃拠点として、強大なレーニン主義的革命党を建設しよう」と熱烈に訴えた。
集会が最高潮に達する中、マルクス主義青年労働者同盟の再建=創成を担う青年労働者が次々と発言に立った。「『共産党宣言』の学習会を積み重ね、決意も新たにこの場に結集しました。皆さんもマル青労同に加盟しましょう」「階級情勢に衝撃を与えるような、まったく新しい青年運動と組織を創成しよう」と訴え、会場全体が割れんばかりの拍手に包まれた。
最後に、マルクス主義学生同盟中核派、日本原現闘本部、革共同中国四国地方委員会から、03年決戦勝利に向けた力強い決意表明が行われ、圧倒的な熱気の中で集会を閉じた。
九州 イラク開戦阻止誓う 全学連特別報告に拍手
1月26日、福岡市民会館国際会議室で革共同九州政治集会が開かれた。02年をともに闘い、世界と日本の闘いの爆発に新しい時代の胎動を感じとった人びとが結集した。
会場には国労5・27臨大闘争弾圧と獄中で不屈に闘う2人の国労闘争団員の顔写真を染め抜いた弾圧粉砕ののぼり旗、演壇には深紅の革共同旗が飾られた。
集会は連帯のあいさつから始まった。反戦共同行動・福岡の代表は、「21世紀の早い時期の革命は現実性を帯びてきた。今年は全世界の闘いを超える闘いをやりたい」と訴えた。部落解放同盟全国連合会の代表は、反戦闘争への決起と全国連5万人組織建設の決意を明らかにし、国労弾圧粉砕の闘いを支持・連帯する全国連の立場を鮮明にした。破防法団体規制に反対する連絡会議の代表は、「国際的組織犯罪条約の批准で闘争の圧殺が狙われている。すべての弾圧に反対して闘おう」と呼びかけた。婦人民主クラブ全国協議会福岡支部は、「戦争は命を懸けても阻むべし。国際婦人デーは3・16女性の集会とデモで闘う」と訴えた。福岡県労組交流センターは、全産別・職場での労働者の獲得への決意を明らかにした。
特別報告が、全学連アメリカ派遣団の一員として闘った九州大学学友会の学生から行われた。1月18〜19日のワシントンでのアメリカの労働者・学生と合流した闘いは、全参加者の感動を呼び起こし、大きな拍手が起こった。闘う諸団体のメッセージが紹介された後、国労5・27臨大闘争弾圧と闘う獄中同志からのメッセージが読み上げられ、2・3初公判への総決起と早期奪還を固く誓った。
熱気があふれる中、革共同を代表して岩村透同志が「イラク、北朝鮮侵略−世界戦争と対決し、ムスリム、朝鮮をはじめとした全世界人民の怒りの決起と連帯し、プロレタリア世界革命に進撃しよう!」と題して基調を提起した。
岩村同志は第一に、イラク侵略戦争と資本攻勢に対決して立ち上がったムスリム人民と労働者階級の闘いは、プロレタリア世界革命の胎動と革命的情勢への移行の始まりを示すことを明らかにした。第二に、29年型世界大恐慌と米帝(国際帝国主義)のイラク侵略戦争開戦は第3次世界大戦過程への突入であり、帝国主義の終わりの始まりであることを、米帝の歴史的没落を鋭く暴いて突き出した。
第三に、絶望的危機にあえぐ日本帝国主義打倒を訴えた。20労組の決起は、戦争と恐慌のもとで労働者は連合、全労連の内側から必ず決起することを示した。広範なプロレタリアートの反戦決起は不可避である。他方、激化する資本攻勢は労働組合への治安弾圧として襲いかかっている。この最先端に国労弾圧がある。弾圧粉砕を資本攻勢との闘いの最先端に据えて闘おうと訴えた。
第四に、社共に代わる革命的労働者党の建設の展望を提起した。世界大恐慌−世界戦争情勢のもと、労働者人民の闘いは帝国主義権力との内乱的闘いとして自然発生的にも激発する。これをプロレタリア革命に転化するために革命的前衛党が必要だ。それは02年の闘いに決起したすべての人びとの事業である。革共同を歴史の負託にこたえる党へ育て、日本革命−世界革命を成し遂げようと訴えた。
第五に、イラク反戦、有事立法反対、教育基本法改悪反対、03春闘−国労弾圧粉砕、統一地方選挙の勝利を柱に全戦線で総反撃に打って出ようと訴えた。参加者は熱い拍手で確認した。
全国連5万人組織建設に責任をとりきるという部落解放戦線の同志、友野幽全国被爆者青年同盟委員長の遺志を引き継ぐ被爆者青年同盟の同志が鮮明な決意を表明した。国鉄、教育、自治体、民間の労働者同志が、基調報告の全面的実現へ闘おうと訴えた。
若い労働者のマルクス主義青年労働者同盟への結集を訴える労働者同志、マルクス主義学生同盟中核派と革共同九州地方委員会の決意表明を最後に、高揚感に満ちて集会を終えた。
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週刊『前進』(2088号3面4)
1・26泉佐野 関空の軍事空港化反対!
2期阻止へ現地闘争 “実力闘争こそ勝利の道”
1月26日、泉佐野りんくう公園で、大阪湾岸住民4団体と関西反戦共同行動委員会主催の「関空2期事業阻止・軍事空港化反対! アメリカのイラク攻撃阻止! 関西新空港反対現地集会」が140人の労働者市民を結集して行われた。中心には、40人の泉州住民が陣取った。
淡路町空港反対同盟の安藤眞一事務局長の司会で集会は始まった。安藤さんは「1月18日〜19日、全世界で闘われた巨万のイラク反戦のうねりの中で今日の集会もある」と開会を宣言。
主催者あいさつに立った森田恒一泉州住民の会代表は、便数減少で2期の根拠がなくなったことを暴き、「利子補給してまで第2空港をつくるのは、有事の軍事空港、北朝鮮侵略戦争のため。アメリカのインチキを見破って、イラクへの戦争を止めよう。2期空港に反対しよう」と訴えた。
続いて、山本善偉東灘区住民の会代表があいさつに立った。山本さんは神戸空港撤去を求める闘いを報告し、「戦争を止めるのは、人民の立ち上がり。そのために三里塚を闘ってきた」と発言した。
三里塚空港反対同盟、動労千葉、西村綾子相模原市議からのメッセージ紹介の後、泉州住民の会事務局長である国賀祥司泉佐野市議が基調報告に立った。
国賀さんは、第一に、昨年の便数は11万回前後に落ち込んでいること、関空会社が2021年まで2期完成を18年も先延ばしすることを検討していること、経営破綻、地盤沈下の深刻化など関空の破綻状態を暴き、来年度2期予算925億円と90億円もの利子補給を30年間も続けようとする巨額の税金投入を弾劾し、関空2期の即時中止を訴えた。第二に、1月18〜19日の全世界1千万人とも言えるイラク反戦闘争に触れ、「世界中の人びとと連帯して2月開戦を阻止しよう」と、2・11〜2・23反戦集会への結集を呼びかけた。
明石住民の会のカンパアピールの後、参加各団体の決意表明が行われた。
関西労組交流センターの教育労働者は、「世界人民の闘いで帝国主義の方がグラグラになっている。教育基本法改悪も、イラク反戦と結びつけば必ず止められる」と発言。
地元泉州住民の会から2人が決意表明に立った。それぞれ「16年前、日本の戦争国家化に反対して泉州住民の会結成を決断した町谷さんの遺志を受けつぎ、空港廃港にまい進して闘おう。体を張った実力闘争こそ勝利の道」「全国の国民が戦争と有事立法に反対している。関空がどれだけ泉佐野市民を苦しめているか。住民の会は全力で闘う」と決意表明を行った。
東灘区住民の会の白石さんは、「一握りの石油資本がもうかる戦争は絶対させてはならない。戦争する国づくりのための関空2期、神戸空港に反対する」と発言した。
部落解放同盟全国連の青年は、「日本でも何十万の集会ができる人民の立ち上がりをつくろう。狭山を闘い、最高裁で事実調べをかちとる。3月全国連大会への結集を」と訴えた。
婦人民主クラブ全国協は「世界の人びとと戦争反対で結びつこう。3・8国際婦人デー集会に参加を」と呼びかけた。
最後に全学連の学生が、1・18〜19アメリカ反戦行動参加の報告を行った。学生集会での「排外主義襲撃反対」「お前らの企業のための戦争はいやだ」「アメリカの体制を変えろ」などのスローガンを紹介。「アメリカ人民の闘いはブッシュのイラク攻撃と激突し、アメリカの体制そのものを揺るがす闘いを展開している。一つの敵に、世界の人びとと結びついて闘おう」と感動をこめて熱気あふれる報告を行った。
集会決議を採択し、デモに出発。デモ隊は寒さを吹き飛ばす勢いで、泉佐野市民と合流した。泉佐野駅前で淡路町空港反対同盟の永井満代表が、「思いっきり関空2期阻止、イラク反戦のシュプレヒコールを上げた。世界の人びとと結びつく闘いができた」と、まとめを提起した。
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週刊『前進』(2088号4面1)
〈反戦と介護〉を両輪とした闘いで住民と共に行動する区議団実現を
4月介護保険料値上げを許すな
保険料の減免実現へ
4月統一地方選挙まであと3カ月を切った。米帝は2月中下旬にもイラク侵略戦争に突入しようとしており、日帝・小泉はこれに全面的に参戦しようとしている。イラク反戦と介護問題を真っ向から訴え、超反動小泉政権を打倒するために、杉並、相模原、高槻、東大阪などの選挙を今年前半の最大の決戦としてなんとしても勝利しよう。とりわけ杉並区議選は、北島邦彦、新城せつこ、けしば誠一の3候補を絶対に区議会に送り出し、都政を革新する会が区議会における会派として登場し、労働者・住民のための政治を力強く貫いていくための決定的な闘いだ。これはまったく新たな挑戦であり、革命的議会主義の真価が問われる。杉並では「介護と福祉を要求する杉並住民の会」の介護保険廃止の闘いがねばり強く闘われてきた。それと同時にイラク侵略戦争反対の運動も大きく広がっている。こうした区民の決起と結びつきながら、イラク反戦と介護を両輪に巨大な大衆決起を巻き起こし、3候補の当選をかちとろう。
全国平均で15%の介護保険料値上げ
介護保険制度は実施3年目を迎えようとしているが、ますます高齢者から介護を奪うものであることが明らかになっている。
今年4月は介護保険の3年目の見直しの年に当たっており、坂口厚生労働相は1月20日、介護保険サービス事業者に支払われる介護報酬の改定案を社会保障審議会介護給付費分科会に諮問し、23日に同審議会が原案どおり答申した。全体の平均改定額はマイナス2・3%(在宅0・1%増、施設4・0%減)だが、ケアプラン作成を17・1%引き上げている。
全体的には訪問介護の介護報酬を引き上げて施設の介護報酬を引き下げようとしており、その狙いは介護分野に進出した資本をもうけさせることにある。だからこれによって、現在明らかになっている介護保険の矛盾が解消するどころか、ますます拡大していく。
何よりも利用料が払えないために介護保険の利用を抑制せざるをえない人にとって、報酬の引き上げはますます介護保険が使えなくなることを意味している。また、今年4月には高齢者の介護保険料が引き上げられる。全国平均で15%の引き上げで、3割以上上がる自治体が30%ほどになる見通しだ。最高額は月額が7654円にもなる。
このままでは介護保険料がさらに上がるため、自治体に施設利用の抑制を図ろうとする動きが出ている。これに対して、厚労省の中村老健局長は、「高齢化に伴って介護ニーズは増す。そこを支えるコストを惜しんではいけないのではないか」と発言した。
これほどふざけた言い草はない。政府が憲法で規定された福祉に対する責任を放棄し、介護を民間資本の利益追求の対象としたことによって起こっていることではないか。本来、介護の費用は全額国庫負担でまかなうべきなのだ。
介護保険によって今どんな現実が引き起こされているのか。ごく一部の高収入の人は介護が受けやすくなった一方で、低所得の人は利用料の自己負担が大変で実際には介護が受けられなくなり、あるいは利用を抑制せざるをえなくなっている。しかも保険料の自己負担で生活そのものが困難になって生きていけない状態を強制されている人が膨大に存在している。
さらに、在宅での介護は状態が重いので無理だとか、ホームヘルパーは利用料が高くて負担に耐えられないので施設に入ろうと思っても、施設が足りなくて入れないという現状なのだ。医療費値上げや増税などさまざまな負担増の中で、すでに高齢者は病気になっても医療を受けることを抑制しており、介護保険の利用もさらに手控えられていく。
介護報酬を引き上げれば利用料も上がるという仕組みの中では、低所得の人はますます介護を受けられなくなる。今回の改定で短時間の訪問看護の介護報酬を引き上げ、基準以上の訪問介護について引き下げたことは、短時間だけでもということで介護保険を利用してなんとかやってきた人たちから、短時間の利用すらも奪うことを意味している。したがって、今回の介護報酬改定は高齢者からさらに介護を奪う大改悪であり、許しがたいことだ。
心中、孤独死、事故 悲惨な事件が続発
もっと悲惨で残酷な現実は、介護保険で介護が奪われたことによって、孤独死や心中、介護殺人などが相次いでいることである。
最近の報道から一例をとってみよう。栃木県宇都宮市のAさん(47)は、父親(76)が寝たきりで、父親を介護していた母親が亡くなったために勤めていた会社を辞めて市内の飲食店に勤め始めた。
父親は昨年1月から介護保険を使い、週1回のデイサービスと週3回のホームヘルパーを利用していたが、Aさんは肉体的に全然楽にならなかった。
Aさんは、5月ごろには食事がのどを通らなくなり、ほおもこけた。夜もまったく眠れず、頭には介護のことが浮かぶ状態だった。父親は5月末ごろからことあるごとに「死にたい」ともらすようになり、6月11日、Aさんが帰宅すると父親がはって来た玄関で倒れていた。12日深夜、父親が「楽になりたい、死にたい」と言い、Aさんは、父親を殺して自分も死のうとしたが死にきれず、「承諾殺人」に問われている。
このほかにも心中や孤独死、介護殺人などの事件が各地で相次いでいる。
介護保険によって現場の労働が強化され、深刻な事故も発生している。昨年8月、宮城県の介護老人保健施設で74歳の女性が入浴介護サービス中におぼれ、死亡する事故が起こった。パート職員の女性が、他の入所者の服を脱がせていたすきに、リフトを使って入浴中だった女性が転落して浴槽でおぼれ、肺に水が入って肺炎で死亡した。労働者に強制された過酷な現実が、高齢者に犠牲を強いる結果となっているのだ。
介護保険は、日帝の福祉・社会保障の全面切り捨て政策の突破口として強行された。日帝は、大銀行や大企業の救済にはばく大な資金を投入する一方で、財政赤字を口実に福祉を切り捨て、社会保障を解体しようとしているのだ。国の責任で行うべき介護を、民間資本を導入した保険制度の枠組みにすることで、わずかな年金しかない人からも保険料を天引きし、無年金の高齢者からもむしり取ってまかなおうとしている。まさに高齢者に死ねという政策だ。
介護保険を突破口に、医療制度改悪や「障害者」に対する支援費制度の導入、年金制度改悪など全面的な社会保障解体の攻撃が襲いかかっている。昨年10月には高齢者の医療費が引き上げられたばかりだ。この4月には健康保険の本人の医療費自己負担が2割から3割に引き上げられる。その一方で年金支給額の引き下げが決定された。
この4月に強行される「障害者」に対する支援費制度は、介助制度の措置制度から契約制度への転換であり、国が福祉の責任を放棄し、「障害者」の生きる権利を奪うものである。
全国ネットの団結の力で廃止へ闘う
介護保険に対する高齢者の怒りはいよいよ高まっており、全国で高齢者の決起が広がっている。
杉並では介護保険実施を前に住民の広範な反対運動が巻き起こり、実施後の2000年6月3日、介護と福祉を要求する杉並住民の会が結成された。その後何度も杉並区との交渉を行ってきた。また高槻の健診介護要求者組合、東大阪の国保と健康を守る会・介護要求部会、荒本地区介護と福祉を要求する会などとともに、厚生労働省との交渉を行い、介護保険の廃止と公費負担による介護の保障、保険料、利用料の減免などを要求してきた。そして01年12月9日、介護保険に異議あり全国ネットワークを結成し、昨年12月15日に第2回総会を開いた。
杉並住民の会は昨年12月11日、杉並区との交渉をもった。この中で杉並区の保険料の使い残しが16億円もあることを突きとめた。そして4月の介護保険見直しによる保険料の引き上げを行わないように強く要求し、低く抑えることを約束させた。
介護保険に異議あり、全国ネットワークは、「高齢者はこの社会のかけがえのない存在であり、胸を張って堂々と生きる権利がある」と宣言し、「必要な人に必要な介護を」の要求を掲げ、介護保険の廃止と、そこに向けて保険料値上げ反対と保険料・利用料の減免措置の実施の要求を掲げて闘いぬいている。この団結と闘いが、高齢者に限りない勇気を与え、闘う力を拡大している。全国ネットのねばり強い闘いが厚労省を追いつめており、もっともっと広範な高齢者が決起すれば、介護保険を必ず廃止させることができる。
そのためにも杉並を始め相模原、高槻、東大阪での統一地方選になんとしても勝利しよう。
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週刊『前進』(2088号4面2)
杉並 3候補必勝へ固い決意
区民の声反映させ 北島邦彦氏
私は区議選では新人であり、区民の皆さんにまずは顔を覚えてもらうため、JR荻窪駅で毎日朝と夕方に街宣に立つことを始めて1年半がたちました。街宣でまくビラを毎週1枚ずつ自分でつくり、ワイヤレスのヘッドマイクで訴えながら自分でまいています。
あいさつ回りや懇談会でつかんだ区民の声を反映させることで、ビラの内容も豊かになりました。今後は、支持者の所に友人や知人が集まるような形での懇談会を何カ所もやりぬきたいと思っています。
私が訴えていることは、一つはイラク戦争反対です。特に、戦争の切迫の中で国際的な民衆の反戦運動のうねりが各国政府を追いつめていることです。民衆の行動で戦争を止めることができると訴えている。介護保険問題では、住民の会の闘いで具体的な成果が勝ちとられつつあることを訴えている。住民が団結して行動し、行政の壁を破る動きが始まっていることです。さらに、住民を無視して教育・福祉などの行政サービスを放棄する山田区政と対決して生活を守りぬこうと訴えています。
戦争と大失業の問題は区民にも切実な問題となっています。リストラや生活苦をめぐる相談が急増しています。商店街では「消費税値上げ阻止を言ってください。このままでは店がつぶれる」という声を何度も聞きました。
今回の区議選に勝利するために今までの都革新のあり方を大転換して闘う決意です。
杉並から反戦の波 新城せつこ氏
4月は、私は3期目の挑戦です。この1年半、50人の海千山千の議員を相手に頑張ってきました。レジ袋税、住基ネット、介護保険、教育委員会の問題など山田区長のもとで矢継ぎ早に悪政が出てきて緊張の連続でしたが、「闘う新城の存在は本当に重要だ」との声もいただいています。
地域を回れば、高齢者や「障害者」や働く皆さんの切実な血を吐くような叫びが寄せられます。
一昨年の9月11日、どうしてあの人たちがあのように闘わざるをえなかったのか。イラク反戦に世界で多くの人たちが立ち上がっています。私は何よりもイラク反戦を闘う世界の人びとと手を携えて生きていけるような日本のあり方を実現したいんです。
私は女性の一人として、そして沖縄出身者として、これを大きな力にしていきたいと思っています。皆さんが沖縄に寄せる思いは戦争反対、これが一番なんです。今の時代だからこそ沖縄の心を呼びかけていきたいと思っています。
今、アメリカのイラク攻撃が迫る中で、「人間の盾」になろうと、沖縄から、本土からも、多くの人たちがイラクにかけつけています。街頭に立つと「私たちも何かやりたい」「がんばって」という若い人たちの声が寄せられます。
こうした皆さんの心とひとつになって、何よりもこの杉並で3人当選を実現し、「ともに頑張ろう」と世界に発信していきたいと思っています。
住民が区政を決定 けしば誠一氏
年明けに参加したある商店会で、「山田区長と相談して緊急融資制度を決めます」と発言した自民党議員に対して、「それはすぐに借りられるのか」との質問が出た。「これから法案を作って……」と歯切れの悪い返答に、「じゃあもしその借り入れ制度が決まらなかったら議員やめますね」と厳しい声が出た。居並ぶ人たちは「選挙の前だけいいこと言って、そんなことだから世の中ダメになったんだ」「帰ってくれ!」という声があがりました。本当に皆さんたちのくらしが大変なところに来ていることを、痛切に感じました。
労働者も今やいつ首切りにあうか、会社がいつ倒産するかわかりません。あるいは解雇ルールをつくろうという攻撃まで準備されています。
今、反戦闘争の中心を担う労働者の運動が新たな胎動を始めている。選挙戦もイラク反戦、03春闘と重なり合って闘う中で、勝利をつかみたいと思います。
都政を革新する会は、本当に住民と一緒に行動ができ、住民の皆さんの思いを実現できる政党を、この杉並で立ち上げていきたい。これは大変な闘いですが、3人で挑戦します。
杉並区議会は3人になると議員団になります。会派として議会運営に発言権を得ることができる。これまで既成政党同士のなれあいで進められてきた議会運営をオープンにし、皆さんにお知らせできる。そうして住民自身が区政の決定権を握ることができるようになります。そのためにもなんとしても4月選挙に勝たなければなりません。勝利をもぎりとりましょう。
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週刊『前進』(2088号4面3)
応援します
一緒に汗流す議員として 81歳 Oさん
僕は北島に会って、年は若いがしっかりしている、はっきりとまっすぐな人間だと気に入った。
山田区長のやり方には私は絶対に反対だ。ぶっ倒してやりたい。世の中の貧乏人を助けないのが自民党の政治。僕も貧しい人間の一人だが、曲がったことは大きらいだ。
住民の会になって介護保険は反対だといろんな人に話に行けるようになった。団結することはみんなで闘うことだ。
なんとか北島を一人前の男にしてやりたい。それで僕も一緒に成長したいと思っている。一緒に知恵を出し合って、一緒に汗を流す議員になってもらいたい。
2期で自信も実力も充実へ 区内在勤 Yさん
新城さんは沖縄で生まれて育った女性です。私も沖縄ですが、米軍基地からイラクに海兵隊が出て行く、これを見逃してはならないと思います。戦争は絶対反対という沖縄の心、平和の思いを伝えたい。真っ正面からものごとの本質をとらえるせつこさんにはそれができるんです。
いつもはとても物腰はやわらかいのですが、理不尽なことに出合うと、容赦しません。議会の傍聴もしましたが、山田区長への質問も鋭い。2期やって自信も実力も充実しています。区民の思いを実現する議員として頼もしい限りです。3期目も絶対に当選させたい。
体張って闘う反戦政治家 37歳 Mさん
2期目の95年の選挙の時から応援しています。こんな時代だからこそ、杉並からイラク戦争反対の声をあげる議員が必要です。けしばさんは、ベトナム反戦から一貫して闘ってきたと聞いています。反戦政治家が彼の原点です。だからこそ節を曲げずに労働者や民衆とともに体を張って闘ってきたんです。根性もあるし、責任感もある。頼もしい政治家です。
一方で子どもたちの学校給食や教科書問題、介護保険や医療保険についても、一人ひとりのくらしを守る議員として奮闘しています。私はけしば議員が必要だと確信して応援しています。
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週刊『前進』(2088号4面4)
コミューン 3月号
イラク参戦阻止を
「日帝自衛隊のイラク参戦阻止」を特集した。
第1章は、昨年の海上自衛隊のイージス艦派遣を中心とする日帝のイラク参戦を弾劾した。この政治過程における自衛隊制服組の露骨な政治介入を暴露した。さらにPKO法を自衛隊の本来的任務に格上げする攻撃、統合幕僚会議の設置、交戦規則の策定など自衛隊の本格的な侵略軍隊にする攻撃を批判した。
第2章は、日帝・小泉が民主党を修正協議に引きずり込もうとしている有事立法・修正案を批判した。特に武力攻撃予測事態の反動的意味を明らかにした。さらに有事立法の核心をなす、人民の権利を奪う「国民保護法制」について、昨年11月に出された「国民保護法制の輪郭」を取り上げ批判した。資料として武力攻撃事態法案・修正案、「国民保護法制の輪郭」を載せている。
イラク現地報告は、昨年12月、「イラク国際市民調査団」に参加してイラクを訪問した学生の報告。恒常的爆撃や劣化ウラン弾による被害など、イラク侵略戦争の実態をえぐりだしている。筆者自ら撮影した写真は、イラク人民の苦しみと怒りが見る人に突きささるような迫力をもっている。
翻訳資料は「ブッシュ・ドクトリン」。攻撃していない国への先制攻撃を主張し、ユニラテラリズム(一方的外交、単独決定主義)をあからさまに押し出したもの。解説では、リークされた秘密報告部分について補足した。
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週刊『前進』(2088号5面1)
〈反戦と介護〉を両輪とした闘いで住民と共に行動する区議団実現を
日本共産党はイラク反戦の側に立つ政党ではない
「国連の枠内の解決」論の犯罪性
今度の統一地方選挙は、戦争か平和か、イラク開戦と日帝の参戦を阻止するにはどうしたらいいか、が大きな争点だ。戦争になったら、暮らしもいのちも破壊される。人びとが爆撃のもとで殺されていくのに、それと無関係に私たちの生活はない。だから、都政を革新する会の3候補は、選挙のスローガンとして、イラク・北朝鮮侵略戦争反対、有事立法反対を掲げて闘っている。戦争になったら、さまざまな権利は制限され、戦争のために物資を供出したり、労役を提供することが義務付けられることになる。北朝鮮侵略戦争のための有事法制が今度の通常国会で成立させられようとしている。だから、戦争か平和かは今日最も身近な切実な生活上の最大問題だ。ところが、日本共産党は、選挙の争点からこのイラク侵略戦争問題を追放しているのだ。
91年湾岸戦争を支持 「イラクのクウェート侵略を制裁する戦争」
日本共産党は、「あらゆる戦争に反対」してきた政党か。いや、けっしてそうではない。実際に戦争が始まると、戦争に賛成し、協力してきた歴史をもっている。その一番最近の現れが12年前の1991年1月の米軍を始め多国籍軍によるイラク・中東侵略戦争、いわゆる湾岸戦争だった。
当時、マスコミはよってたかって、「イラクの侵略」を非難し、全世界がこの侵略を懲らしめるために一丸となって頑張っているという図を描こうとした。しかし、そのような宣伝のもとに行われた湾岸戦争は、実は残虐な人民虐殺戦争だった。それは帝国主義による被抑圧民族に対する帝国主義侵略戦争そのものだった。石油資源と勢力圏をめぐる米帝の侵略戦争だったということである。
ハイテク最新鋭兵器による1カ月半にわたる空爆で朝鮮侵略戦争の1年半分、ベトナム侵略戦争の半年分の量の爆弾が投下された。
しかも、その爆弾は「劣化ウラン弾」を大量に使った、新たな型の核兵器であり、その放射能被害は、今日に至るもイラク人民、イラクの子どもたちに甚大な影響を残し、多くの悲劇を生んでいるのである。
ところが、当時、日本共産党は、「湾岸戦争は帝国主義戦争、侵略戦争ではない」ということを公然と叫び、真っ向から帝国主義侵略戦争を支持した。
「国連決議がしめした目的がまちがっていなかったこと(中心目的にイラクのクウェートからの撤退の実現を掲げた戦争)をも加味して考えるなら、この戦争が国連の戦争でないにしても、それに近いもの、不正義を制裁する性格を帯びたものとしてうけとめられたとしても、不思議ではなかった」(91年3月)
これは、「国連の戦争だから正しかった」「国連のお墨付きを得れば戦争をやってよい」と言っているのである。だが、国連は帝国主義の世界支配の道具であり、戦争遂行機関だ。「国連の戦争は正しい」というのは、米帝と国際帝国主義が中東支配の危機を、軍事力の発動によって(イラク人民の大量虐殺によって)なりふり構わずのりきろうとすることへの全面屈服を意味しているのだ。
また、日本共産党が「国連の戦争なら正しい」という場合、それは当然にも日本も協力すべきだという議論につながってくる。日帝軍隊・自衛隊の海外派兵、侵略出兵が、「国連への協力」「国際貢献」の名で90年代を通して強化・拡大していくが、日本共産党には本質的にこれに対抗する論理がなくなってきている。
91年湾岸戦争がどのような性格、本質をもっていたのかは、その後次々と具体的にあばかれてきた。米軍の空爆、地上軍の攻撃で、イラクの兵士や子どもたち、住民が、どれほど大きな被害を受けたか、劣化ウラン弾の被害がどれほど非人間的なものか、などなど。ところが、日本共産党は、今日にいたるも自分たちが湾岸戦争を支持したことを反省せず、開き直っているのだ。
許せぬ国連決議賛美 「国連査察」への支持はイラク攻撃加担だ
日本共産党は、昨年11月、イラクに対する査察を決定した国連安保理決議が上がったことに全面賛成し、イラクに対して「大量破壊兵器の査察を無条件で受け入れよ」という態度表明を行った。そしてそれこそが「アメリカの一方的な攻撃ではなく、国連による平和的解決の道」であるかのように宣伝して回った。
だが、国連という形での査察自体が、米帝のイラク攻撃の準備であり、口実づくりであり、開戦の第一歩である。日本共産党は戦争のお先棒を担いでいる。
最近の『赤旗』の見出しを見ていくと、国連や各国政府が、アメリカの一方的な先制攻撃を牽制(けんせい)していることを高く評価し、ここに希望を見いだせるというキャンペーンになっている(数字は『赤旗』掲載の日付)。
「仏独『戦争回避へ共同』/イラク問題、両国首脳が表明」(1・23)
「イラク攻撃避ける努力を/国連安保理常任理事国が表明/日本平和委員会の大使館要請に」(1・25)
「イラク戦争/周辺6国反対で一致/外相会議共同宣言、査察完全履行求める」(1・25)
「°イラク戦争急ぐな″米英で広がる/米民主党議員122人°査察継続を″/英大衆紙は反対署名呼びかけ」(1・26)
「国連の枠内で解決を/インドとイランが共同宣言」(1・27)
これらの米帝に対する「対立」は、独仏の帝国主義の石油利権などをめぐる米帝との政府間の矛盾・対立であり、またアラブの反動政府と米帝との利害対立である。民主党の「反対」も、人民の闘いの強まりに押されての動揺である。
問題は、米帝が世界戦争計画を推し進め、「悪の枢軸」論をもってイラク攻撃に踏み切ろうと構えていること、これとの対決こそが最大の問題なのだ。
ところが、日本共産党は、国連や各国政府の米帝を牽制する動きにのみ心を動かされ、1・18、19のような国際反戦闘争の盛り上がりを、あくまでも「各国政府を動かし、米政権を包囲」(1・23)するものとして副次的に利用するだけなのである。まったく本末転倒である。
全世界人民の国際連帯行動こそが、帝国主義者の戦争をストップする力だ。人民が立ち上った時に歴史は動かすことができる。労働者人民は自らを解放する力を持っている――この真実を日本共産党は否定しているのだ。
代わりに、「日本共産党、光る野党外交」と、自分たちの「外交努力」の「成果」を押し出し、自慢している。
「日本共産党は(国際法と国連憲章に基づき国際社会の共同の努力で解決することを)9・11同時テロの直後から主張し、書簡を出して各国政府に訴えてきました。イラク問題でも中国、ベトナム首脳との会談、中東・湾岸諸国や南アジアへの代表団派遣など、各国政府との間で国際的道理と正義に基づく平和的解決で一致しました。国際社会はその方向に向かって動き出しています」(1・23)
日本共産党の視野にあるのは、アメリカ以外の各国政府と国連幹部だけだ。人民の闘いはせいぜいその各国政府の立場を補強する材料に使われているだけなのだ。
もう一つ、肝心な問題は、日本政府がイラク侵略戦争に積極賛成し、イージス艦派兵をもって公然と参戦したことだ。これにどういう態度をとるのか。
筆坂秀世政策委員長は、「日本は憲法9条をもっている国であり、(イラク攻撃反対を)日本政府が真っ先にいうべきだ」と言っている(NHK日曜討論、1月26日)。
一見もっともらしく聞こえる。だがしかしだ。日本政府は「真っ先にイラク攻撃反対をいう」態度など最初からない。それどころか、真っ先にイージス艦を派兵して、米帝ブッシュとともにイラク侵略戦争に突入しようとしているのだ。小泉政権は「憲法9条を変える」ことに全力を挙げている、そして通常国会で有事立法を成立させようと躍起になっているのだ。このことに反対して闘わないで、日本政府に「イラク攻撃に反対を真っ先に言うべきだ」と「進言」することは、日本政府の参戦を覆い隠し、擁護するものにしかならない。
米帝のイラク攻撃に絶対反対すること、自国政府=日帝のイラク参戦と有事立法に反対すること、このことがすべての人びとに問われている。日本共産党はこの肝心のことをあいまいにしているのだ。反戦闘争の代表として、体を張って闘う候補者を議会に送ろう。
日本共産党、ここが問題
@91年湾岸戦争の時は、「不正義を制裁する戦争」と言って米帝を支持した。
A今度は「イラクの大量破壊兵器」を取り締まるためにと、国連による査察を支持。
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週刊『前進』(2088号5面2)
「劣化ウラン弾」の惨禍
イラクの子どもたちを再び殺してはならない
杉並では今、イラク侵略戦争開戦阻止の住民の運動がわき起こっている。
米帝ブッシュ政権のイラク侵略戦争を開戦前になんとしても止めようと、若者から高齢者まで広範な人びとが決起している。写真展でイラクの子どもたちの現状を伝える小集会などに多くの人びとが参加し、91年湾岸戦争での米軍の劣化ウラン弾使用が子どもたちを始めとして深刻な被害を及ぼしていることを写真をとおして生々しく知ることによって、米帝の侵略戦争に怒りが沸き上がっている。
そして同時に、この上さらに何百万人ものイラク人民を虐殺する侵略戦争が強行されようとしていることに対して、なんとしてもこの戦争を阻止しようという決起が開始されている。
91年湾岸戦争で、バスラ周辺だけで300d、イラク全土で800dものウラン238が使用された。その放射線量は、なんと広島型原爆の1万7千倍から3万6千倍にあたる。
劣化ウラン弾は「劣化」と付いているが、使われている物質はウラン238そのものである。原爆や原発燃料を製造する時に、天然ウランからウラン235やウラン234を分離して取り出す。ウラン235を抽出した残りのウラン238が「劣化ウラン」と呼ばれている。放射性物質そのものであり、半減期(放射能が半分になる期間)は実に45億年である。またウランは重金属としての毒性も重大な問題としてある。
米軍はウラン235濃縮の後に残された使い道のなかった放射性廃棄物であるウラン238を、比重が大きく、固いという性質を利用して対戦車砲弾などの貫通体として利用し始めた。比重は、鉄の2・5倍、鉛の1・7倍である。この比重の重さによって高速で衝突した際に強い貫通力を持ち、頑丈な戦車の装甲も貫通する。その際に高熱を発して燃焼し、中にいる兵士を焼き殺す。この時ウラン238は微粒子となって拡散する。米軍はこれを兵器として開発し、湾岸戦争で大量に使用したのだ。少なくとも戦車からの砲弾が1万発、戦闘機からの砲弾が94万発以上使われた。
イラクにおける劣化ウラン弾の放射線被害は時がたつにつれて一層拡大している。それも急激に増えてきている。たとえばバスラ市内の病院で死亡したがん患者は、88年は34人、10年後の98年は428人、01年は631人に達している。また、バスラ地域における子どもの悪性腫瘍(しゅよう)発生率は90年と比較して97年が120%の増加であったのに対し、99年には242%に増加している。
放射線による健康障害は年が若いほど受けやすく、そのために白血病やガンなどの病気が子どもたちにより多く出ている。さらに、人体の中では造血器官と生殖器官が最も放射線による影響を受けやすく、そのために親の体に直接放射線被害が現れていなくても生殖器官に影響を受けていることも多いのだ。生まれてきた子どもに先天性障害が現れるケースが増えている。
実際すでにイラクにおいては先天性の障害を持って生まれる子どもが異常に多くなっている。イラクの医師ジョワード・アル・アリさんは、「湾岸戦争の3年後から今まで、着実にガンの発生率は増え、増加率は10倍、死亡率は19倍までになっている。年齢も老人から若者まで。生まれた時から障害を持つ赤ちゃんも戦前の3倍になっている」と話している。
劣化ウラン弾は、衝突の際に発火してウラン238が微粒子となって環境にまき散らされる。まき散らされたウラン微粒子は、直接呼吸などによって体内に入り込むだけでなく、食物連鎖の中に入り込み、人間が摂取することが考えられる。放射性物質が体内に取り入れられた場合、排せつされる以外に取り除く方法はなく、体内に蓄積されている間、長期にわたって被曝(ひばく)が続く。たとえ直ちに身体的な影響が現れるほどの被曝ではなくても、長期間に被曝することによって一定の段階で体に異状が現れるということもある。
国連の経済制裁によってイラクでは医薬品がまったく不足しており、病気になっても薬がないために治療をうち切らざるをえないような現実が強制されている。こうした中で毎月4千人もの子どもたちが死んでいるのだ。
イラクの子どもたちがなぜ殺されなければならないのか。米帝は、再びこのイラクの人びとの頭上に爆弾の雨を降らせ、何百万人もの人びとを虐殺しようとしているのだ。石油を強奪するためにイラク人民を大虐殺する米帝の侵略戦争を絶対に許してはならない。
1・18、19国際反戦闘争の爆発に続く労働者人民の2月総決起でイラク侵略戦争を開戦前に止めよう。
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週刊『前進』(2088号5面3)
保安処分新法 参院成立阻止へ
阻止共闘が座り込み
1月21日、「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議(阻止共闘)は、保安処分新法である「心神喪失等医療観察法案」の今通常国会成立を阻止すべく、「病者」先頭に30人で参院前で座り込み、ビラまきと集会、国会議員オルグ行動を闘いぬいた。
「精神医療を治安の道具にするな!」「予防拘禁と強制医療を許さないぞ!」「衆院採決弾劾! 法案成立を阻止するぞ!」とシュプレヒコールが国会にたたきつけられた。有事立法制定に踏み込む戦争内閣の「病者」抹殺、治安弾圧、福祉解体、司法反動の攻撃をともに徹底弾劾しようと戦闘宣言が発せられた。
すでに「医療観察法案」は昨年12月臨時国会で、保安施設収容や強制通院決定の要件である「再犯のおそれ」の文言を提案者自らが直前に修正し、小手先の言い換えで衆院採決が強行された。しかし衆院本会議では「病者」を先頭に傍聴団5人の仲間の徹底糾弾がたたきつけられ、1時間半に及ぶ闘いで不当拘束を打ち破るなど大衆的な抗議行動が連日闘われた(写真は12月11日の座り込み)。まさに「ボロボロの法案」として参院送付を強制し、翼賛国会をも突き破る大衆的実力決起が闘われたのだ。
参加者は皆まだまだこれからだという自信に満ちている。そして参院攻防への固い決意に奮い立っている。議員オルグの報告では、2月下旬か3月冒頭にも審議入りという情報が飛び交う。また厚労省の示す来年度予算には保安処分病棟への建て替え費を含む37億円が「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療体制の整備及び必要な人材の養成費」として、まだ法案も成立してない段階で計上され予算審議される。坂口厚労相は昨年より一貫して早期成立論を振りまき「施行までの準備があるからできるだけ早く成立させたい」と主張してきた強行論者だ。
またすでに保安処分病棟建設の候補名もあがってきている。東京の国立武蔵、都立松沢、群馬、大阪府立中宮、九州国立肥前、福岡県立太宰府など8カ所がそれだ。どれも全個室、30床あたりの保安病棟という。さらに全国10カ所ほどの地裁には司法精神審判所と称した保安処分言い渡し機関の併設も想定される。被害者を利用し動員した国家的制裁が司法反動を強めながら始まっている。
日帝は戦争と大失業攻撃のもと「病者」「障害者」を日々大量に生み出しながら、個人へ責任を転嫁し共同性の破壊で労働者人民の分断を強めてきている。保安処分強行による戦時「障害者」の安楽死、ガス室抹殺を絶対に繰り返してはならない。反戦闘争とともに闘おう。
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●集会案内
STOP THE 医療観察法案!3・8渋谷デモ
3月8日(土)正午渋谷駅前街宣/午後1時半宮下公園集会/2時半デモ出発
主催 「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議
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週刊『前進』(2088号5面4)
第4部 日帝の中国侵略戦争(5)
北伐と山東出兵
労働運動圧殺に日帝軍隊出動
共産党が誕生
1920年3月、前年7月に出された第1次カラハン宣言が中国に届いた。これは、「無併合、無賠償」を唱えたソビエト政府が、帝政ロシアが中国から奪った利権を無償で返還し、秘密条約を一切破棄することを宣言したものだった。中国人民はこれを熱烈に歓迎し、階級と民族の解放をめざす共産主義に急速に接近する。この中で21年7月には中国共産党が上海で誕生した。
21〜22年のワシントン会議で「中国に関する9カ国条約」が取り決められたが、それは「中国の主権尊重、領土保全」を掲げながら、その実、帝国主義各国への機会均等、門戸開放など、新たな中国侵略の展開を意味したものだった。
同時にそれは、山東省の旧ドイツ権益の返還など米英などとの帝国主義間争闘戦の中で、日帝の中国での「特殊権益」に大打撃を与えるものでもあった。
23年は中国がロシアと結んだ遼東半島租借条約(1898年)の期間満了の年にあたり、ロシア権益を引き継いだ日本から旅順、大連の租借地が返還されるべき年だった。しかし21カ条要求で租借権の99カ年延長をしていた日帝は、返還を拒否。これに対し「旅順と大連を回収せよ」と北京、天津、上海などで反日ボイコット運動が燃え広がった。これはのべ30万人がストに参加するという高揚期を迎えていた労働運動とも連動した。
口火を切ったのは香港海員ストだった。共産党に指導された中華海員工会は、大幅賃上げを要求して1月12日スト突入。イギリス当局の組合閉鎖、戒厳令、軍隊の武力弾圧(死者6人、負傷者数百人)にも屈せず、連帯ストに入った運輸労働者を含めて3万人が56日間を闘って勝利した。
23年2月、北京と漢口を結ぶ京漢鉄道労働者の京漢鉄路総工会結成大会に対して、直隷派軍閥がこれを禁止し、44人殺害の血の弾圧を行った。(2・7惨案)
「国共合作」
すでにスターリン主義的に変質しつつあったコミンテルンの指導により、孫文の国民党と中国共産党の民主連合戦線が結成され、24年1月に広州で中国国民党第1回全国大会が開催された(第1次国共合作)。大会では「連ソ・容共・労農扶助」(ソ連と連携し共産主義を受け入れ、労働者・農民を援助する)の3大政策が決定され、民族・民権・民生の三民主義(新三民主義)が宣言された。
弾圧の中から再び立ち上がった労働者人民は、25年5月に広州で第2回労働大会をかちとり、全国総工会の設立を決めた。大会には農民、兵士も参加し、「軍閥と国際帝国主義を打倒する革命、労苦の大衆を解放する革命は、労農兵の一致団結によってのみ成功する」という労農兵連合決議を採択した。
25年3月、孫文が北京で59歳の生涯を閉じた2カ月後には中国全土に「帝国主義打倒!」の声がとどろいた。5・30運動が爆発したのだ。
突破口となったのは、上海の日帝資本・内外綿工場(労働者1万5千人)だった。2月に始まったストライキは内外綿工場から他の工場へ波及し、3万人の大争議に発展した。日帝は旅順から駆逐艦2隻を派遣して威圧するとともに張作霖に軍隊の出動を要請し、流血の弾圧を加えた。
激怒した上海の学生たちは労働者支援と犠牲者救済を訴えて街頭宣伝に飛び出し、5月30日には約2千人の学生が「租界回収」「逮捕学生釈放」を叫んでデモ行進を行った。一挙に闘いは各地に広がった。成立したばかりの上海総工会は6月1日ゼネストを呼びかけ、学生、中小商人とともに13万人がゼネストに入った。英日米伊4軍の陸戦隊が上陸し、鎮圧に乗り出した。さらに広東省と香港が連携した省港ストは25万人、15カ月間におよび、英帝に大打撃を与えた。
5・30運動は広範な民族統一戦線を形成した闘いとなったが、帝国主義軍隊と対峙した主力部隊は労働者階級だった。
蒋介石の北伐
国民党政府は、26年7月「帝国主義と売国軍閥を打倒して人民の統一政府の建設」を目的に北伐戦争を開始した。国民革命軍総司令には蒋介石が就任した。10万の革命軍は、行く先々で民衆の歓迎を受けた。
革命軍は10月には武漢三鎮(武昌、漢口、漢陽)に入城した。27年1月には、漢口と九江のイギリス租界を実力で奪い返した。
上海では、周恩来に指導された労働者が3月21日にゼネストと武装蜂起に立ち上がった。30時間の市街戦の末、軍閥軍を一掃して全市を制圧、上海臨時特別市政府を樹立した。
続いて国民革命軍は南京に入城した。ここで起きた欧米人6人殺害事件を口実に英米軍艦が長江から市内を砲撃し、中国人2千人が虐殺される事態となった。
嵐のように広がる労働者・農民の闘いに恐怖し、民族ブルジョアジーや地主たちと結びついた蒋介石は、この南京砲撃をきっかけに共産党と絶縁を決意、4月12日にクーデターを決行した。上海で3日間にわたる労働者大虐殺を繰り広げ、抗議する20万人デモに機銃掃射を浴びせた。上海は血の海となった。
ここに至って、武漢政府は蒋介石の党籍をはく奪し逮捕状を出したが、蒋介石は南京政府樹立を宣言。スターリンの指導を受けた中国共産党は国共合作の維持を選択するが、武漢政府は反共に転じた。7月、第1次国共合作は崩壊した。
「居留民保護」
27年5月に日帝・田中義一内閣は、山東省での権益防衛をかけて第1次山東出兵(〜7月)を決定し、大連の関東軍から約2千人の兵力を青島に派遣した(この時は交戦せずに撤兵)。
28年4月に蒋介石の北伐が再開されると田中内閣は「居留民の保護」を口実に第2次山東出兵を宣言し、省都・済南に進撃した。
5月3日、日本軍と済南に入城した北伐軍が衝突し、大規模な市街戦となった。これに対して日本軍は増派を重ね、1万の大軍を山東省に集結させた後、総攻撃を仕掛け、11日には済南城を占領した。中国側死傷者は5千人におよんだ。
さらに関東軍は6月4日、北京から東三省に逃げ込もうとした奉天軍閥の張作霖を特別列車ごと爆破、東三省での関東軍の支配を貫き全東北部を占領しようと図った。
(室田順子)
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週刊『前進』(2088号6面1)
よく来た!ゼンガクレン
歓迎の握手攻め 国際連帯の新時代切り開く
実力デモがブッシュ直撃
ホワイトハウス前 松尾副委員長がアピール
1月18、19日に米国の首都ワシントンDCで行われたイラク反戦50万人の大デモに全学連が歴史的な合流を果たし、国際連帯の新時代を開いた(前号既報)。本号では、全学連訪米団の活躍と交流を続報するとともに、米帝国主義の世界戦争政策と闘うアメリカの労働者・学生の反戦闘争の一端を報告したい。(本紙・水野慶太)
戦争と人種差別反対
50万人デモの翌19日、「戦争と人種差別に反対する若者&学生の行動」に全学連の訪米団が参加、ホワイトハウスへの実力闘争をともに闘った。「イラクへの戦争反対」「ペンタゴンを武装解除しろ」「戦争と人種差別(レイシズム)粉砕」などのスローガンを掲げた実力デモだ。
(写真左 ホワイトハウスに向け千人の学生がデモ−拡大写真)
この行動には、コロンビア大学、ジョージタウン大学、サンフランシスコ市立大学など全米から千人を超える学生が参加した。コロラドから来たという若者は「大学や地域での人種差別反対運動や青年労組活動家など地元の数百人の代表として今日は25人で来た」と話した。アイオワから来たという学生も10人の代表で来たと話した。地元から高校生もかなり参加した。
司法省の前で集会を始めたが、30分もすると参加者の数は次第に増え始め、数百人から最後は千人以上に膨れ上がった。この場でフィリピンのバヤン(新民族主義者同盟)の女性が「米軍は世界中に展開して何をやっているのか」と米軍基地や米軍犯罪の問題を指摘して厳しく弾劾した。
「軍事費ではなく住宅や福祉、教育や仕事に」というスローガンもあった。米国では労働者の3分の1が医療保険に入れず、救急車(有料!)を呼ぶこともできない。住宅や教育問題も同様だ。福祉や教育などの問題は米労働者階級人民にとって死活的なテーマだ。米帝の対外侵略戦争は、同時に国内の労働者階級人民の生活を著しく脅かす。米反戦運動は人民の生死をかけた決起なのである。
(写真右 「経済制裁で1日に5000人のイラクの人びとが死んでいる」「戦争は私たちを安全にしない」と書かれたボードを持ってデモに参加【1月19日 ワシントンDC】−拡大写真)
ホワイトハウスに向けデモに出発した。トラックの荷台に乗った3〜4人の学生がデモを先導する。ゆっくり走るトラックの上から激しいアジテーションとシュプレヒコールが続く。これだとデモ隊全体との一体感が強く、デモ隊や周りの雰囲気を計算に入れてアジテーションをするのでとてもエキサイティングだ。また日本のようにデモの4列規制がないので道路いっぱいにデモの隊列が広がる。
とても解放感がある。デモに参加した学生たちには自分たちの力で戦争を止めることができる確信があるのだろう。自分たちには社会を変革する権利があるという確信からくる明るさかもしれない。集会での発言やちょっとした会話からそれがうかがえる。
ホワイトハウスに近付くに従い騒然とした雰囲気になっていく。警官隊が行く手を阻もうとする。「道路は誰のものだ」「われわれのものだ」。警官隊と対峙して弾劾のシュプレヒコールが続いた。デモ隊が動き始めたと思うと一斉に走り始めた。ホワイトハウス前の公園に次々突入していく。警官隊があわてて襲いかかる。13人が不当逮捕された。(追加写真)激しい抗議を続けながら公園前の交差点を解放区にして集会が始まった。道路に反戦落書きをしたり、歌ったり踊ったりのパフォーマンスもある。
デモはさらに続き、別の交差点を解放区にして再度集会が行われた。デモと集会がくり返し行われる感じだ。各大学の発言が行われ、全学連からも3人の学生が発言した。松尾純一副委員長が世界の人民と連帯して帝国主義の侵略戦争を阻止しようと訴えた。続いて沖縄の学生に発言して欲しいとの声にこたえ沖縄の学生が発言した。
(写真左 全学連松尾副委員長の発言に注目が集まった【1月19日 ワシントンDC】−拡大写真)
全学連と米国の学生との間で密度の濃い交流が行われた。全学連の問いかけに対し、ある大学生は「われわれは戦争だけに反対しているわけではない。人種差別の問題、教育の問題――根は一緒だ」と語った。多くの学生が人種差別を非常に大きな問題として認識している。ある大学では当局がFBI(連邦捜査局)に協力し留学生の名簿を渡したりしているという。別の学生は「自分の国が他国を抑圧していて、自分たちの権利だけが保障されることはありえない」と語った。
また、ある高校生は参加した理由を「私たちは何も知らされていない」「どの国にも爆弾を落としてはいけない。普段から友達と話し合っている」と話した。
沖縄と横須賀を訴え
19日のホワイトハウス実力デモに先立つ18日の夕刻、「戦争と人種差別に反対する若者&学生の行動」のためのミーティングが近くの教会で行われ、全学連も参加した。
(写真右 写真を手に昨年12月のイージス艦派兵阻止の横須賀闘争を報告【1月18日 ワシントンDC】−拡大写真)
ミーティングの雰囲気はユニークだ。ステージには椅子やテーブルなど並べないでステージに直接、各大学の代表者が横一列に座り順番に話していく。人数が多くても形式張らずに自由に討論できる雰囲気だ。自己主張が強いという印象があるが、他人の話も本当に真剣に聞いている。
大学の枠を越えて大きな反戦運動のネットワークをつくろうと議論が白熱する中で、日本から全学連が来たと紹介された。松尾副委員長がまず発言した。松尾副委員長は、日米反戦運動の連帯でイラク侵略戦争を阻止しようと訴え、小泉政権のイラク侵略戦争の参戦策動を暴露、昨年12月の横須賀イージス艦阻止闘争の報告をした。全学連が5人の逮捕者を出しながらも実力で闘いぬいたことに感動が広がった。
ここで松尾副委員長はヘルメットを手に、日本の学生の闘争スタイルを紹介した。横須賀闘争の写真を示しながらヘルをかぶって話した。「日本の警察には暴力しかない。なぜなら彼らにはほかに何もない。戦争を止めることはわれわれの権利だ」。ここでひときわ大きな拍手が上がった。自由や正義、平和は自分たちの力で闘ってかちとるもの、人民は力を持っている、という信念をみんなが持っているようだ。
続いて沖縄大学の学生が発言した。「沖縄を知っていますか?」「イエス」。沖縄には在日米軍基地の75%が集中し、沖縄本島の2割を基地が占領していることを話すと、みな驚きを隠せない表情に。さらに名護新基地建設の問題を訴え、沖縄がイラクや北朝鮮への出撃基地になることを阻むために沖縄人民は闘うと切々と語った。集会終了後、彼は握手と質問攻めに遭った。沖縄の学生が、闘う米国の学生たちに直接訴えたのはとても重要だった。基地闘争に関心が高く、多くの質問が出た。
全行程をとおして全学連は歓迎され、共感を集めた。これは全学連が昨年12月に横須賀闘争を打ち抜いたことが大きい。体を張った闘いの勝利が大きな共感と連帯を生んだのだ。
* * *
2月15日のニューヨーク、16日のサンフランシスコでの大デモンストレーションを頂点に2月13〜21日の反戦週間が呼びかけられている。これにこたえ全国で国際連帯の反戦闘争に決起しよう。集会・デモ・基地闘争・署名・街宣などあらゆる行動に立とう。
切迫するイラク開戦阻止へ、歴史的に切り開かれた国際連帯をさらに推し進め、国際反戦闘争の空前の大爆発をかちとろう。2・23全国総決起集会(東京・日比谷野外音楽堂)に総結集しよう。
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週刊『前進』(2088号6面2)
“人民の力で阻め” 全世界で反戦闘争
1・18〜19米軍基地突入も
1月18・19日の両日、「湾岸戦争」12周年の巨大なイラク反戦闘争が、アメリカを始めとして全世界30数カ国で行われた。
アメリカでは、ワシントンとサンフランシスコで、それぞれ50万人、20万人の大集会・デモが行われたほか、オレゴン州のポートランドでも2万人が反戦デモを行った。
カナダでもモントリオール2万5千人、トロント2万人を始めとして、30都市で10万人以上の労働者人民が街頭行動に決起した。
フランスではパリで2万人、マルセイユで1万人、イタリアではフロレンスで5千人、ローマで4千人、ドイツではローストックで5千人、ハイデルベルグで2千人のイラク反戦デモが行われた。19日にも、ベルギーのブリュッセルで1万人、スペインのマドリッドで3万人の反戦デモが行われた。
こうした全人民的集会、デモのほかに、実際にイラク侵略戦争を阻止しようとする実力闘争もさまざまな形で爆発している。
オランダ南東部にあるボルケル米空軍基地では、数百人のデモ隊のうち約100人の「民間査察員」が米軍の大量破壊兵器実力査察行動に決起した。全員が基地周辺を取り囲む金網を数カ所で切断して突入し、ほとんど全員が逮捕された。
イギリスでは1月18日に、ロンドン郊外のノースウッドの英軍司令部に対し、デモ隊が軍事機密に関する法律を公然と無視して、基地内部の撮影行動を行った。さらに1月26日には、イラク爆撃を行うB52爆撃機が駐留することになるフェアフォードの米空軍基地に対して、数十人のデモ隊がフェンスを乗り越えて突入した(写真)。これも全員逮捕を覚悟した闘いであった。
このほか、アイルランド、イタリア、スペインで米軍基地に対する闘いが行われている。スコットランドでは鉄道労働者が、中東向け軍需物資の輸送阻止の闘いに立ち上がった。
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週刊『前進』(2088号6面3)
もと捜査官が体験に基づきブッシュのデマに反論
スッコト・リッター『イラク戦争』
昨年9・28ロンドンの40万人反戦デモに売店を出したブックマークス(書店)の売り上げは3000ポンド(約57万円)で、もっとも売れた本は以下の3冊だと紹介しています。
・スコット・リッターの『イラク戦争』
・今や古典であるチョムスキーの『9・11』
・ウィリアム・ブラムの『ならずもの国家』
筆頭にあげられた『イラク戦争』が日本でも翻訳され出版された。筆者のスコット・リッターはアメリカ人元国連大量破壊兵器査察官で、2000年大統領選挙ではブッシュ陣営を応援した共和党員です。この人が「イラク攻撃はすべきでない」とブッシュ政権の暴走に警鐘を鳴らしているのです。
リッターは1991年から98年までUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の一員としてイラクで活動していた人だから、査察では世界で最も詳しい人の一人です。
「イラクにおける大量破壊兵器の能力は90〜95パーセントまで、検証可能な形で廃棄されました。それは事実です。われわれが頭に入れておかなければいけないのは、残りの5〜10パーセントがかならずしも脅威になるわけではないということです」と、リッターは述べています。
イラクが、査察に対しうそをつき、隠そうとしたことは明らかですが、国連の禁止条項に触れたからといって、大量破壊兵器を保有していると決めつけることはできないし、つくろうとしてもできないことをリッターは確信をもって述べています。そして上司だったリチャード・バトラー(オーストラリア人外交官)や、「フセインの爆弾製造係」だったと吹聴している亡命イラク人ハディル・ハムザの、さもさものせりふはすべて粉砕できると公開討論を望んでいるのです。
チェイニー米副大統領は「イラクは2年以内に核爆弾を製造できる」と明言していますが、その根拠としているのはバトラーとハムザの二人からの引用だけで、彼が特別な情報を持っている訳ではありません。ウラン濃縮の遠心分離施設からは高熱以外にガンマ線等の各種放射線が出ますから検知可能で、これをイラクがごまかすことなど絶対にできないと彼は断言しています。
化学兵器はサリンとタブンを所持していたが焼却処分したこと、たとえ隠していても5年もたてば変質し、ただのヘドロになること、VXについては製造を否定していたが、証拠を突きつけて製造装置200ケースを発見・廃棄したこと、VXは成分にほんの少しでも異物が混じり込むと、不要なタンパク質が形成されて数カ月以内に分解して役に立たなくなると指摘しています。
生物兵器については炭疽菌とボツリヌス菌をイラクは液体で大量に持っていたが発見・廃棄したこと、たとえ一部隠し持っていたとしても3年たてば発芽し意味がなくなるので心配ないと言っています。天然痘やエボラ熱はいろいろいわれたが、皆無だったと査察結果を発表しています。
国連査察団が大統領官邸を査察したとき、生物学チームは「こんなところに生物兵器などあるはずがないし、検査の結果シロと出てイラクの得点になってはおもしろくないから」と査察を拒否したのをリチャード・バトラーが支持したのに、生物兵器は「ブラックホール」だとか「一部空白だ」と触れ回っているのは許せないとリッターは抗議しています。
戦争の引き金を引く口実にしているデマをうち砕く力が、この本にはあります。
(中山八郎)
(合同出版 1200円+税)
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週刊『前進』(2088号6面4)
戦争やめよ大使館抗議
1・19全学連など
1月19日、東北地方の学生、みやぎ労組交流センター、全学連関西ブロックの学生は、全国総決起闘争に先立ってアメリカ大使館闘争に立ちあがりました。(写真)
「ブッシュを許すな!世界の闘いと連帯して私たち日本の労働者・学生も直接怒りをたたきつけよう」と決意を固めて米大使館前に登場、直ちに横断幕を広げ、ゼッケンを思いっきり高く掲げて抗議行動を始めました。
「イラク侵略戦争絶対阻止!」「ブッシュドクトリン粉砕!」――怒りの声が響き渡ります。さらに、各団体がアメリカ大使館への申し入れ行動に立ち、次々に申入書を読み上げました。
労働者・学生は、侵略戦争の先兵としての本性をあらわにした警察権力の弾圧に怒りを燃やして行動を貫徹し、日比谷野音の全国総決起闘争に合流しました。(東北大・T)
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週刊『前進』(2088号6面5)
日誌’03
1月22日〜28日
もんじゅ設置許可無効判決 ブッシュが一般教書演説
●個人情報保護新法案の全容 昨年臨時国会で廃案となった個人情報保護法案に代わり、政府が新たに通常国会に提出しようとしている法案の全容が明らかになった。規制や罰則の対象から報道機関や著述業者を除外する、など。2月に国会提出が狙われている。(22日)
●横浜米軍用地返還協議へ 米海軍上瀬谷通信施設など在日米軍が使用する横浜市内の4カ所の土地について、日米両政府が返還に向けた本格的な協議を始めることで合意した。(22日)
●那覇軍港移設で協議会 米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の移設問題を話し合う第4回那覇港湾施設移設に関する協議会が防衛施設庁で開かれ、軍港の位置と形状を「逆L字型」にすることで、同庁や県、浦添市など地元と合意した。岸壁の水深を12bとし、空母を始め大型艦船が接岸できる。(23日)
●石破が「先制攻撃可能」 石破防衛庁長官が衆院予算委員会で、他国が日本をミサイル攻撃しようとしている場合の対応に関して「東京を火の海にする、という表明があり、それを実現するために燃料注入を始めたということになれば(武力攻撃の)着手という」と述べ、日本攻撃の意思表明と準備行為があれば基地攻撃は可能だとの認識を示した。川口外相も「ほかに手段がないと認められれば基地をたたくというのは法理的には自衛の範囲で、可能だ」と答弁した。(24日)
●キャンプ・ハンセン一部返還合意 日米両政府が日米合同委員会で、米軍キャンプ・ハンセンの恩納村側の土地の一部10万6千平方bの返還で合意した。(24日)
●韓国で米軍機墜落 韓国北部の京畿道華城市で在韓米軍のU2偵察機が墜落、炎上した。付近には自動車工場や住宅があり、住民3人が巻き添えで負傷した。(26日)
●「米単独でも武力行使権」 パウエル米国務長官が世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で演説、イラクの大量破壊兵器の武装解除のために必要であれば「単独でも武力行使する権利がある」と言明した。(26日)
●イラク査察委が報告 国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長が、イラクの大量破壊兵器査察に関して国連安全保障理事会への報告を行った。(27日)
●もんじゅ設置許可無効の判決 95年12月のナトリウム漏れ事故後、運転を停止している核燃料サイクル開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)をめぐり、住民32人が国を相手に原子炉設置許可処分の無効確認を求めた行政訴訟の控訴審で、名古屋高裁金沢支部が、一審判決を取り消し、許可処分を無効とする判決を言い渡した。(27日)
●普天間新協議会開く 米軍普天間飛行場の代替施設建設協議会の第1回会合が首相官邸で開かれた。代替施設の建設が住民生活や自然環境に影響を与えないよう、政府と沖縄県などで意見調整するのが目的。従来稲嶺県知事が「着工の前提」と言っていた「15年使用期限問題」は、主な議題には含まれなかった。(28日)
●小泉が「来年も靖国参拝」を明言 小泉首相が参院予算委員会で、「私が首相である限り、時期にはこだわらないが、毎年、靖国神社に参拝する気持ちに変わりはない」と述べ、来年も靖国神社を参拝することを明言した。A級戦犯合祀(ごうし)について、「死者に生前の罪まで着せて、死んでも許さないというのは、日本人にはあまりなじまないんじゃないか」と開き直った。(28日)
●ブッシュ一般教書演説 ブッシュ米大統領が、上下両院合同会議で、一般教書演説を行い、イラクに対して「武装解除へ攻撃を辞さない」姿勢を示した。(28日)
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週刊『前進』(2088号7面1)
よく来た!ゼンガクレン
歓迎の握手攻め 国際連帯の新時代切り開く
米議会前で50万人大集会
1月18日の早朝から、米国の首都ワシントンDCの国会議事堂前には、零下5度を下回る身体の芯まで凍るような極寒の中にもかかわらず、続々と人びとが集まってきた。何百台ものバスが次々と到着し、駅からも果てることなく人波が続いている。遠い所ではバスで24時間以上かけて来たという。米国は途方もなく広いので集会結集の大変さも日本の比ではない。ともあれ集会開始の11時前には広場は人、人、人で埋め尽くされ、集会後議会前から郊外へデモをした。
今回のデモは公民権運動の指導者キング牧師の生誕記念日に合わせて、ANSWERが呼びかけた。ワシントンDCには東海岸を中心に50万人が、西海岸のサンフランシスコには20万人(追加写真)が集まった。元司法長官のラムゼー・クラークさん、ジェシー・ジャクソン牧師、俳優のジェシカ・ラングさん、歌手のパティ・スミスさんらも登壇した。
(写真左 米議会前を埋め尽くす50万人−拡大写真)
人種差別との闘い
会場に到着して最初に会ったのがパレスチナ国旗を身にまとった青年だ。声をかけると「おれはパレスチナ人だ。米国内で人種差別と闘っている」。アラブ系やアジア系住民の参加が多いのも最近の米反戦運動の特徴のひとつだ。昨年4月にこの場所で約20万人の結集でパレスチナ連帯の集会が開かれ、大衆的な反戦運動の高揚が始まった。(追加写真)
「イラク戦争は回答ではない」と訴えた自由パレスチナ連合の代表は、聴衆に向かって「われわれ(の闘い)が回答だ」と呼びかけた。韓国真実委員会の代表は、在韓米軍による少女れき殺事件と北朝鮮侵略戦争策動を弾劾し「われわれ朝鮮人民は、戦争を止めるためにイラク人民や世界の人びととともに闘う」と決意を語った。
フィリピンのバヤン(新民族主義者同盟)代表は、ブッシュが対テロ戦争の第2戦線としてフィリピンを位置づけていると弾劾し、「フィリピン、韓国、ビエケス、コロンビアから米軍は出ていけ」と訴えた。
この集会を取材して感じたのは、人種差別(レイシズム)との闘いの重要性だ。米帝の侵略戦争政策は米国内の人種差別の問題と直結している。ブッシュの対テロ戦争は米国内のアラブ系やムスリム住民にも向けられている。令状なしの逮捕や強制送還が行われている。イラク反戦とアラブ系やムスリム住民の生命と生活を守る闘いは死活的に一体なのだと思う。
ベトナム反戦世代
集会には全世代が集まっているが、ベトナム反戦世代と若い世代が圧倒的に目立つ。話を聞いてみると労働組合などの中心メンバーもベトナム反戦世代だと言う。「始まる前に戦争を止めよう」というスローガンはこの世代から出てきているのだろう。
ベトナム戦争で負傷して反戦活動家になったロン・コビックさん(映画「7月4日に生まれて」のモデル)が演壇から呼びかけた。「戦争を止め、この国を変えるために、あなたたちはここに来ている」。反戦を訴えるベトナム退役軍人たちの存在感は大きかった。兵役経験のある人も多く、想像以上に横須賀や沖縄に関心をもっている。
高校生や大学生の姿も多い。集会の準備も大半は若いボランティアが担っている。若者と学生を代表してジョージタウン大学のペータ・リンゼィさんは「石油のための戦争を阻止するために、ここには大勢の若い人が集まっている。飢餓や貧困、搾取が存在する限り世界に平和はない。正義と平和が回復されるまで断固闘う」と決意を示した。
労組が中軸を担う
労働組合も大結集していた。SEIU(全米サービス従業員労組=写真右)のニューヨーク支部がバス20台、シカゴ教組6台など、労組の貸し切りバスが何百台も会場に到着した。
集会中盤の発言は労働者が続いた。ニューヨークの反戦労組連でAFSCME(全米州都市職員連盟)のブレンダ・ストケリーさんが「われわれがここに来たのは戦争を止めるためだ。黙っていてはダメだ。自分たちの職場や地域で訴えよう。世界中の被抑圧民族人民のために米労働者は闘わなければならない」と訴えた。この反戦労組連は全米で結成され、教員、自治体職員、サービス業従業員、通信関係などの労組が中心だ。約200万の労組員を抱えるという。
サンフランシスコなど西海岸でも、ILWU(国際港湾倉庫労組)を先頭に労組が反戦運動の中軸を担っている。
米国の労働運動は80年代にレーガン政権の攻撃で壊滅的な打撃を受けた。しかし今日の資本攻勢と対決し、移民してきたヒスパニック系労働者などを新たに組織し、戦闘的に再生されつつある。米帝ブッシュの世界戦争と対決するアメリカ反戦運動の高揚の背景には、この労働運動、労働組合の再生があるのだ。
全学連に歓迎の渦
全学連は会場の端で旗とヘルメットを出した瞬間から周りを人垣で囲まれ、歓迎の渦に巻き込まれた。笑顔での握手と抱擁が続いた。「ウェルカム ゼンガクレン」。みんなが英語の全学連ビラを奪い取るように手にし、次々と質問を浴びせかける。全学連の学生は、ビラと昨年12月の横須賀闘争の写真を手に日本での闘いを紹介、日米連帯の反戦闘争を訴えた。
(写真左 白ヘルの全学連と真剣なまなざしで討論【1月18日 ワシントンDC】)
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週刊『前進』(2088号7面2)
「大量破壊兵器」「テロ支援」デマで先制攻撃を狙う米帝
2月国際反戦闘争に立とう
1・27査察報告と1・28ブッシュ一般教書演説は、米帝がイラク開戦の最終段階に突入したことを示した。これに対し、世界の労働者人民が「戦争が始まる前に止めよう」とますます巨大な規模で決起している。この2月の闘いが一切だ。1・27報告と1・28ブッシュ演説に怒りを燃やし、イラク開戦阻止へ! 2・13〜21国際反戦連帯行動を成功させ、2・23東京・日比谷野音に大結集しよう。
1・27ブリクス国連査察報告 ゛非協力゛と開戦の口実作り
1月27日、国連安全保障理事会で、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長と、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長が、2カ月間にわたる査察状況を報告した。ブリクスは「イラクの非協力により、大量破壊兵器の疑惑が深まった」と強調し、2月14日にも追加報告を提出すると発表した。
「数量の差」は証拠ではない
昨年11月27日以降、査察団は米英が提供した情報などをもとに大統領府を含め400カ所以上の施設を徹底的に調べた。国連決議1441号に基づく査察はイラクの国家主権をじゅうりんし、フセイン政権を解体する内容となっているが、イラクはフセイン体制を護持する範囲内で可能な限り査察に協力した。しかし、イラクが大量破壊兵器を保持・開発している具体的な証拠はなかった。イラクの大量破壊兵器の脅威などデッチあげなのだ。
イラクのラシド大統領顧問は、「イラクの見方に全然触れず、誇張も多い。米中央情報局(CIA)情報に基づいて調べたのに何も発見されなかった。それなのに、見つからなかった事実に触れていない」と抗議している。ブリクス報告は、あきらかに「『イラクの違反』を主張したい英米の意図をくんだ結果」(アジア経済研究所の酒井啓子主任研究員)なのだ。
ブリクス報告は、以前に保有していたVXガス、炭そ菌などを廃棄した証拠がない、イラク人科学者から核関連文書が見つかったことは、文書を隠匿しようとしたと考えざるをえないなどと指摘した。また、査察の大きな障害として、イラク側が米軍U―2偵察機の使用を拒否したり、科学者との立会人なしの聴取に協力的でないことなどを批判。査察団の前でイラク市民がデモ行進するなどの「いやがらせ」があったとイラクを非難した。すべて戦争を正当化するための言いがかりだ。
米帝は過去にイラクが保有していた大量破壊兵器と、国連によって廃棄が確認された大量破壊兵器の「数量差」をもって、イラクが大量破壊兵器を隠している証拠だと決めつけている。ブリクスもこれと同じインチキな論法を使っている。すべての化学、生物兵器の行方を証明することなど不可能であり、これではイラクは疑惑を晴らしようがない。米軍の爆撃でどれだけの兵器が爆破されたのか、イラクが自主的に廃棄した数量はどれだけか、遺失した分はどれくらいかを立証できないからだ。
軍事的に意味があるレベルで言えば、イラクは大量破壊兵器を持ってはいないし、大量破壊兵器の生産に必要な産業基盤そのものが壊滅状態にある。91〜98年の査察でイラクが持つ大量破壊兵器の90〜95%は確実に廃棄された。たとえ一部が残っていたとしても、化学、生物兵器は3〜5年ほどで無力化している。また査察が途絶えた98年以降に、イラクが多額の資金と高度の技術、大規模な施設を必要とする大量破壊兵器の生産能力を、厳しい経済制裁下で、しかも偵察衛星やCIAの情報網をかいくぐって再建したことなどありえないし、仮にそうした兆候があれば、今回の査察ですぐに判明したはずだ。
VXガスについては、1996年に「研究開発プラントは破壊され、前駆物質は廃棄され、兵器も廃棄され、工場も破壊されている」(『イラク戦争』/元国連査察官スコット・リッターの証言)。イラクの科学者宅で発見された文書は、レーザーを使ってウランを濃縮する技術に関するもので、イラクの産業技術上のレベルでは不可能であると1988年に断念した計画に関するものであり、そのことは国連に報告済みである。核物理学者がこうした文書を所持していることはなんら不思議なことではなく、イラクに核物理学者がいること自体が核開発を狙っている証拠だと騒いでいるにすぎない。
すでに米英軍がイラク総攻撃の前哨戦として爆撃を繰り返している中で、米軍のU−2偵察機がイラク全土を自由に飛び回ることを認めろというのは、事実上米軍のイラク攻撃を支援するに等しいことだ。イラク人科学者を強制尋問し、亡命を奨励することが国連のやることなのか。イラクの主権をはく奪し、イラク攻撃の口実づくりのための査察に抗議し、イラク人民がデモするのは当然だ。こうした理不尽な要求まで完全に飲めば、米帝との戦争に備えるイラク軍民の志気がくじかれ、フセインは指導者としての支持を失うだろう。要するに、ブリクスはフセインが米帝に白旗を掲げて全面降伏しないことが問題だと言っているのだ。
米の大量破壊兵器こそ脅威
何よりも、米帝が「大量破壊兵器」を戦争の口実とすること自体が絶対許せない。当初イラクの自己申告書は、核開発などに直接つながる情報を削除して国連が公表することになっていた。米帝はこれを横取りし、5常任理事国がイラクに大量破壊兵器を与えたことが記載された部分をすべて削除したうえで、非常任理事国に提示するやり方をとった。そうして12000nのうち、なんと8500nを削除してしまった! イラクの責任を問うなら、イラクに大量破壊兵器を与え、イラン・イラク戦争の過程で化学兵器を使用することを容認した米帝の責任はどうなるのか。
ブッシュ政権は包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准や生物兵器禁止条約(BWC)検証のための議定書を拒否して、地下貫通型の戦術核兵器などの大量破壊兵器を開発し、非核保有国に対しても先制核攻撃をすると宣言している。米帝は核拡散禁止条約(NPT)を根拠に、イラク、北朝鮮、イランの核開発を問題にしているが、同条約は他方で核を独占する5カ国に核軍縮の義務を負わせている。米帝は地球を何百回も破滅させられるほどの核兵器を独占的に保有している。その米帝がさらに核開発を進めている現状で、他国に核開発を禁じることに正当性があるのか。
米帝が「無法者政権」(=反米政権)と見なした国の大量破壊兵器を口実に戦争を行うのは、今後米帝が核兵器を使って世界戦争戦略を全面発動していくためだ。ブッシュ政権の世界戦争戦略を粉砕し、米帝(国際帝国主義)を打倒することこそ、人類が「大量破壊兵器の脅威」から自由になる唯一の道なのだ。
米帝にとって、査察はイラクに戦争をしかける口実づくりでしかない。パウエル国務長官は26日、「(国連決議は)査察官が大量破壊兵器を見つけるの(が狙い)ではなくて、イラクに情報提供と武装解除を義務づけたもの。虚偽の申告と査察への非協力自体が問題だ」と、世界経済フォーラム(ダボス会議)で演説した。パウエルは、ブリクス報告を受けて、「イラクが平和的な武装解除を選択するための時間は急速になくなりつつある。米国は主権国家として、同じ考えを持つ国と、武力行使の決断を下す権利がある」と、事実上イラク開戦が不可避となったと主張した。
米帝は2月下旬から3月冒頭の開戦に向けて同盟国との詰めの協議に入った。全世界の人民の闘いだけが、イラク侵略戦争を阻止する力である。ブリクス報告を徹底的に弾劾し、「イラクの大量破壊兵器が脅威」なるデマを粉砕して、イラク開戦を阻止しよう。
1・28ブッシュ一般教書演説 ゛無法者政権゛はブッシュだ
ブッシュ大統領は28日、03年の施政方針を示す一般教書演説を行った。
ブッシュは「今日、テロとの戦いにおいて、米国や世界が直面している最も深刻な危険は、核、化学、生物兵器を求め、所有する無法者政権だ」と主張し、20世紀に「ヒトラーや軍事独裁、共産主義」をうち破ったように、イラク、北朝鮮などを粉砕すると叫んだ。そして「米国の旗は力や利益以上のものを象徴している」「米国は強大であり、崇高な意志を持って力を行使する」と言い、圧倒的な軍事力で世界を新たな米帝的秩序に再編していくことをあきらかにした。
ブッシュは、イラクが国連決議に違反していると断じ、フセイン政権打倒の武力行使の決意を鮮明にした。そして、国連安保理を2月5日に開くことを要請し、その場でイラクの大量破壊兵器保有やテロ組織との関係を示す証拠を提示すると述べた。その際、「この国の針路を他国の決定にゆだねることはしない」「われわれは協議はするが、フセインが武装解除しなければ、米国は連合軍を率いて彼を武装解除する」と強調し、イラクと世界各国に米側の「証拠」を一方的に突きつけ、国連決議がなくてもイラク攻撃を行うことをあきらかにした。
そして、イラクとアルカイダとの結びつきをデッチあげ、「9月11日の19人のハイジャック犯が別の武器も持っていたと想像してほしい」と不安をあおり、将来の脅威に対する先制攻撃が必要だと強弁した。
ブッシュは「テロリストと関係し、潜在的な富を持つ残忍な独裁者が、きわめて重要な地域を支配し、米国を脅かすことを許さない」「経済制裁も国際社会からの孤立も巡航ミサイルによる攻撃もフセインの大量破壊兵器追求を止められなかった」と述べた。
言うまでもなく「潜在的富」とは石油であり、「極めて重要な地域」とは世界の石油埋蔵量の65%が集中する中東地域のことだ。
米帝は91年湾岸戦争後、徹底的な経済制裁を行い、国土の3分の2を飛行禁止区域に設定し、無法な爆撃をくり返してきた。そして91〜98年まで米英の諜報関係者が多数を占めた査察団を送り込んで、イラク・フセイン体制の転覆を試みた。にもかかわらず、フセイン政権は米帝がイラクやパレスチナで行っている不正義を告発する存在として、中東地域での存在感を増しつつある。そしてフランス、ロシアなどがイラクの石油権益と結びついている。ブッシュはこうした現実をもはや容認できないと言っているのだ。
ブッシュは、米軍兵士に対し「戦いの成否は諸君にかかっている」「戦争の技術は変化しても、戦争のリスクと苦しみは変わらない。後に続く葬送の日々の悲しみを知っている」と述べ、米帝の石油権益と世界支配のための戦争で死んでこいと命じた。
北朝鮮に対しては、「核兵器は孤立と経済破たんと困難の継続をもたらすだけだとわからせる」と言い、当面は安保理決議や経済制裁などで締め上げていく方針を示した。
一般教書演説の前半部分では、「所得税減税」と「株式配当課税の撤廃」という金持ち優遇の新経済政策を発表した。また「歳出を抑制する」「公的健康保険制度で問題は解決しない」と述べ、イラク戦費、ミサイル防衛予算など軍事費が大幅に増えた分だけ、社会保障や福祉予算を削減するとした。
02年の米国内総生産(GDP)に対する経常赤字の割合は5%に迫り過去最悪を記録し、財政収支も5年ぶりに赤字に転落した。海外資金の流入が減少し、ドルはじり安傾向を強めている。もはやブッシュ政権は労働者人民に一切の犠牲を集中し、戦争と大軍拡に突っ込むしかなくなっているのだ。
イラク人民の大虐殺許すな
ブッシュが「抑圧されたイラクの人びとを解放する」などと宣伝することほど、許し難いことはない。これは湾岸戦争をはるかに上回るイラク人民の大虐殺戦争なのだ。
米国防総省は対イラク攻撃の初日だけで、湾岸戦争の40日間に発射した総数を上回る3〜4百発の巡航ミサイルを撃ち込むという。さらに500万都市バグダッドを猛爆撃し、地上戦を展開しようとしている。
英国人医師団体「メダクト」は、通常兵器によるイラク攻撃でも最大50万人のイラク人民が虐殺されると指摘した。国連の内部メモには、経済制裁の結果、現在も60%のイラク人民が配給に頼っており、戦争で配給システムがストップすれば、約300万人の母親と幼い子どもたちが飢餓に直面すると書かれている。
なぜ米帝はこうも残虐で理不尽な戦争に訴えるのか。それは、すでに米経済の崩壊−世界大恐慌過程に突入した中で、9・11を契機に米帝の世界支配−階級支配の危機が大爆発し始めたからだ。ブッシュ政権は、アメリカの労働者人民を「反テロ」「民主主義の拡大」なる偽りのイデオロギーで民族解放闘争を圧殺する侵略戦争に動員し、世界支配−国内階級支配を暴力的に貫こうとしている。そして他帝国主義をうち負かし、世界を灰にしてでも米帝だけは延命しようとしているのだ。
しかし、イラク侵略戦争は、米帝の予想をもはるかに超えて泥沼化し国際的内乱に発展する。世界大恐慌も本格的に爆発する。世界大恐慌と世界戦争に突き進む帝国主義を打倒する以外に、労働者階級人民の生きる道はない。
ブッシュは25日、小泉首相と電話で会談し、日米の緊密な連携を確認した。日帝・小泉政権は、米帝のイラク侵略戦争支持へと国際世論を誘導する役を担い、自らも参戦し、イラクの「戦後復興」=植民地主義的な軍事支配に参加しようとしている。
日本人民の責任は重大だ。イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕へ、2・13〜21国際反戦連帯行動に決起し、2・23闘争を大爆発させよう。
〔早乙女優〕
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週刊『前進』(2088号7面3)
民主労総の1・18国際連帯アピール
米国ブッシュ政権は対イラク、対北韓戦争策動を直ちに中止せよ!
1・18〜19の国際反戦闘争に、韓国の民主労総がアピールを発した。全文を紹介します。南北・在日朝鮮人民と連帯し、国際反戦連帯行動を前進させよう。(編集局)
◇ ◇ ◇
韓国労働者民衆の希望・民主労総が、世界平和の実現に向け立ち上がられた、ANSWERを始めとする良心的な米国民と全世界の平和を愛する民衆に熱い連帯のあいさつを送ります。
平和と統一を追い求める韓国の労働者民衆は、超国家的資本、軍産複合体の果てしなき欲望を背に全世界に向かって一方主義的な軍事・政治・経済的侵略と脅しをほしいままにしている米国ブッシュ政権の帝国主義的横暴とごう慢さに非常に怒っています。
米国ブッシュ政権の対アフガニスタン侵略戦争に続く対イラク戦争策動は、中東地域の石油利権を独占するための明白な侵略行為です。9・11テロに対する米国民の怒りを悪用し、より大きな国家的テロ行為である侵略戦争を強行するのは、就任と同時に敵対と緊張を急激に高めてきたブッシュ自身の責任を回避しようとする最悪の行為であり、今日われわれが思い出そうとしている平和の伝道師マーティン・ルーサー・キングを始めとするテロと戦争の犠牲者を二度殺し辱める行為です。ブッシュ政権のイラク戦争策動はただちに中止されなければなりません。
また、ブッシュの「悪の枢軸」発言ならびに核先制攻撃の脅しと北核騒動誘発、重油供給中断、公海上での海賊行為などに始まった最近の韓半島危機の再発も、東北アジア民衆の生存権と自主権、さらには人類社会の安寧を無視し、ただただ自らの政治的後援者である軍産複合体の死活的利害のかかったMD体制構築に血眼になったブッシュ師団の犯罪的陰謀の目標であり結果です。全世界がたたえた6・15共同宣言を契機とした南北韓民衆の平和と統一に向けた貴重な前進を真っ向から阻んできたブッシュ政権の侵略的北核騒動は、ただちに中止されなければなりません。さらには、韓半島の分断と東北アジアの冷戦維持の手段である駐韓米軍の撤収と軍備縮小、東北アジア非核地帯化実現などの内容を盛り込んだ北−米相互不可侵および平和協定の締結に向けた誠実な対話と交渉がただちに開始されなければなりません。
韓国労働者と民衆の民族自主権回復に向けたろうそくデモは、1月18日も続けられるであろうし、平和と差別撤廃を願う世界人の心の中に、けっして消えることのない良心の炎としていっそう広がってゆくものと固く信じます。
平和! 親善! 連帯! 闘争!
2003年1月18日
大韓民国 ソウル
全国民主労働組合総連盟
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週刊『前進』(2088号8面1)
教育基本法改悪を阻止しよう
「愛国心、奉公精神」を強制し侵略戦争への国民総動員狙う
桐原正彦
有事立法ときびすを接して、教育基本法改悪の動きが急迫している。00年3月の教育改革国民会議の最終報告を受けて、文部科学大臣は01年11月に中央教育審議会に「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方」を諮問し、02年11月に中間報告が出された。以降、中教審は全国4カ所で「一日中教審」を開催し、12月から1月にかけて6回のヒアリングを行って答申のまとめに入っている。最終答申は3月末にも提出され、内閣官房が通常国会に提出予定・検討中の法案の中には「教育基本法改正案」が含まれており、国会提出もありうる情勢となっている。他方で1月26日には、西沢潤一、石井公一郎、高橋史郎ら名うての右翼文化人の呼びかけで「『日本の教育改革』有識者懇談会(民間教育臨調)」が旗揚げし、ファシスト運動を繰り広げつつ、改悪内容をより極右的な方向へと誘導しようとしている。この03年が教育基本法改悪阻止の大決戦の年となった。
「平和」から戦争へ教育目的を大逆転
今なぜ、教育基本法の見直しなのか。このことは、中教審中間報告がきわめて率直に語っている。中教審は、「東西冷戦崩壊後の経済を中心とする世界規模の競争激化」の中での日帝の競争力の衰退と国民意識の現状をなげき、「このままでは我が国が立ち行かなくなるとの危機感を持って、教育の在り方を根本にまでさかのぼって見直す」と宣言している。「国家戦略としての教育改革」を前面に押し出し、「グローバル化」「大競争時代」という「時代の潮流」を踏まえ、「21世紀を切り拓(ひら)くたくましい日本人の育成」をこれからの教育目標としてうち出している。
中間報告の原案の段階では、「グローバル化の影の部分」として「大量破壊兵器の拡散問題」の解決に言及していた。中教審が「新しい時代にふさわしい教育基本法を」という時、「新しい時代」が“新たな戦争の時代”であることが強烈に意識されている。中教審が「国家、社会の形成者」という言葉を繰り返し使いながら、現行教基法の「平和的な」という言葉を消し去っていることに、狙いは端的に示されている。教育基本法改悪攻撃は、日帝の侵略戦争参戦―戦争国家化攻撃の戦略的環なのだ。
「我が国の繁栄の実現を期してたのむべきは、今も教育の力をおいてほかにない」と、世界戦争過程の《国運打開》をかけた攻撃としての教基法改悪の凶暴性を見なければならない。
「日本人育成」論と「国家戦略」化
教基法は、教育勅語を頂点とする戦前の国家主義的教育の反省に立ち、教育の目的を「個人の尊厳」「人格の完成」に置いた。
しかし中教審は、21世紀の教育目標に「たくましい日本人の育成」を掲げて、教基法の理念を「不十分」と非難する。「たくましい日本人の育成」論は民族的少数者や差別・抑圧されている人びとの「個人の尊厳」を踏みにじる。
さらに中教審は、教育の役割を「人格の完成」と「国家有為の国民育成」の二本立てとし、前者を「自己責任で能力開発に励む人間」にすり替えることによって、ともに国家戦略への奉仕を導き出す。「憲法の枠内の見直し」「普遍的理念は尊重」と言いつつ、中教審は、国家と個人の関係を完全に逆転させようとしているのである。
戦前の教育は、「忠孝一致」こそが「国体の精華」であり「教育の淵源(えんげん)」だとする教育勅語に一貫して規定されていた。しかしそれに加え、さらに欧米教育思想の影響を徹底的に一掃するために「日本的教学理念」をうち出したのが36年の「教育刷新評議会答申」である。日帝が中国侵略戦争を全面的に拡大し、国民精神総動員運動が開始された37年、文部省が全国の教師に配布したパンフレット『国体の本義』には、次の言葉がある。「我が国の教育は……自我の実現、人格の完成といふが如(ごと)き、個人の発展のみを目的とするものとは本質を異にする。即ち国家を離れた単なる個人的心意・性能の開発ではなく、我が国の道を体現するところの国民の育成である」。
「日本人育成」を掲げる中教審は、現代の「教育刷新評議会」である。戦後教育改革で「皇国民育成」から「個人の尊厳」「人格の完成」に転換した教育目的は、新たな世界戦争の時代の中で、「日本人育成」に再び逆転され、「国家戦略としての教育」「国家有為の人材育成」論が堂々と主張されるにいたったのだ。
有事立法と一体で教育への統制強化
中教審は、「教育の基本理念」「国・地方公共団体の責務」など四つの領域で見直しの具体的な方向性をうち出している。その眼目は、以下の3点にまとめることができる。
第一に、教育の基本理念に「日本人としてのアイデンティティー」を掲げて、 「伝統・文化の尊重、国を愛する心」「公共の精神、道徳心」を盛り込むことである。愛国心、奉公精神を「国民共通の規範」として法律で強制しようというのである。
有事の戦争動員と権利制限を正当化する政府の憲法解釈に基づけば、ここで言う「公共」には「国家の安全」が含まれることになる。「公共に主体的に参画する意識や態度の涵養(かんよう)」とは、国のために進んで戦う青少年づくりである。愛国心・国防教育によって戦争に駆り出す有事立法と一体の攻撃であり、大失業攻撃で激化している社会矛盾に対処して、愛国主義・国家主義による国民統合を図るものである。
憲法・教育基本法の「国民」規定は、これまでも在日朝鮮・中国―アジア人民を基本的人権の外におき、民族教育の権利を保障するどころか弾圧の対象としてきたが、「日本人の育成」を教育目的に掲げることは、在日アジア人民、アイヌ人民に対する新たな同化攻撃の宣言にほかならない。
第二に、能力主義の徹底によって公教育に公然と差別と格差を持ち込むことである。
中教審は、教基法の「個人の尊厳」「人格の完成」という言葉を「個人の自己実現」と言い換え、「能力の伸長、創造性の涵養」にすりかえている。「自己実現をめざす自立した人間の育成」と「知の世紀をリードする創造性に富んだ人間の育成」とに二分化した教育目標を掲げ、前者は「活力ある社会」に、後者は「国際競争力の向上」に貢献するという。「国民一人一人が向上心を持ち、自己の能力を最大限に伸ばす」として、教育はもはや権利ではなく、国家に対する義務として説かれている。
また学校教育法の改悪で就学年齢の弾力化、小中・中高一貫校設置による複線化、学校選択制など、エリートの早期選別・養成のための「義務教育制度の弾力化」をドシドシ進めようとしている。労働者への不安定雇用化攻撃に対応して、義務教育段階から教育を階層別に複線化するものである。
第三に、国家による教育内容への介入の権限を明記し、教基法に「教育振興基本計画」の根拠規定を盛り込むことで、教育への権力統制を飛躍的に強化することである。
教基法10条は、支配政党や行政権力による「不当な支配」を禁じ、教育行政の責務を教育条件の整備に限定した教基法の最も重要な条文である。
56年の地方教育行政法の制定は、文部省―都道府県教委―市町村教委―学校にいたる強力な権力統制の仕組みをつくり出した。58年以降は、“学習指導要領は官報告示した法規だ”と強弁し、教科書無償制度にかこつけて採択権を現場教師から奪うなど、教育内容の権力統制を強めてきた。
しかし、教育行政が他の行政領域と異なり、命令・監督ではなく「指導助言」という建前をとるのも、10条あってのことである。何よりも10条は、教育労働者が教育の権力支配と闘うよりどころとなってきた。
教基法改悪とともに策定されようとしている「教育振興計画」は、「全国的な学力テスト」「教員の能力実績評価による処遇」「奉仕活動、道徳教育の充実」「国を愛する心をはぐくむ教育の推進」「大学評価と競争的資金の充実」など、教基法に反する施策のオンパレードである。
教基法に「教育振興計画」の策定・実施の根拠規定を盛り込めば、政府が閣議決定するだけで、こうした施策が法的拘束力を持って学校現場に貫徹されることになる。愛国心が法律で教育目的に定められることに加えて、10条が解体されれば、無制限で無制約の権力統制がまかりとおる。
平和教育解体と愛国心教育復活
教基法の条文自体は抽象的・理念的であるが、教基法はすべての教育法令の上位に立つ「教育の憲法」であり、立法政策の指針、法令解釈の基準とされ、その位置は最高裁判例も認めてきたものである。
にもかかわらず、中教審が中間報告で「教基法見直しを受けて学校教育法、社会教育法、生涯学習振興法、学習指導要領などの見直しを行う」としたことは重大である。
教基法に「日本人の育成、愛国心、奉公精神」などが盛り込まれるとどうなるか。学校教育法の教育目標にも「愛国心、奉仕の精神の涵養」が盛り込まれ、学習指導要領では「愛国心の育成」が全教科の目標に掲げられ、社会科だけでなく国語などにも愛国教材が増える。教科目と教育課程の編成は同法の施行規則が規定するが、奉仕活動を教育課程として義務化する動きや道徳の教科化の動きも強まるだろう。学習指導要領に基づく教科書検定基準も一段と愛国主義を強め、教科書会社は競って「つくる会」教科書(=扶桑社版)に追随するだろう。
昨年、福岡市などで社会科の通知表の評価項目に「日本人の自覚」「国を愛する心情」を盛り込み、在日朝鮮人を含む子どもたちを3段階で評価していたことが明らかとなった。愛国心、国家への忠誠心、奉仕活動は、評価の対象となることにより子どもたちに強制されていくことになる。
社会教育法も改悪され、国家・行政が主導して家庭・地域・学校を総ぐるみで動員する「国民精神総動員運動」が始まることになる。
他方、有事立法が成立すれば、学習指導要領に「戦争協力は国民の義務」と盛り込まれ、国防教育が復活する。国民保護法で公立学校が指定公共機関となり、「防災業務計画」の策定と軍事訓練が義務づけられる。
教育基本法から「平和」の2文字が消されれば、平和教育は「偏向教育」として弾圧され、10条の改悪は教育内容への無制限の介入・命令を可能とする。
従来は何の法的根拠ももたなかった「日の丸・君が代」強制は、敬礼・起立・斉唱による国家忠誠の儀式として堂々と位置づけられ、命令による指導の強制は、道徳の国定教材としてすでに配布されている「心のノート」や「つくる会」教科書へと拡大する。
「愛国心・国防教育」が使命と職責となれば、それを拒む教員は懲戒処分にとどまらず「教職不適格」として分限免職の対象となる。
教基法は、前文が示すように憲法と一体の法律であり、教基法と前文の改定の明文改憲の突破口としての政治的意味は大きい。
しかしそれ以上に、われわれは教基法改悪を戦時教育体制への転換を一挙に推し進める攻撃としてリアルにつかむ必要がある。端的に言って、教基法改悪はその瞬間から平和教育と日教組への一斉攻撃を招き、有事立法とも相まって愛国心・国防教育と軍事教練を復活させるのである。
教育労働者弾圧し階級性の解体狙う
日帝は帝国主義国で有数の軍隊を保有し、今、有事立法制定で国民総動員体制を確立しようとしている。しかし侵略戦争を担い、銃後の戦争協力を担うのは、生身の人間である。国のために命を投げ出して戦う青少年教育が不可欠なのだ。
日本の労働者人民は、原水禁運動や60年安保、70年安保・沖縄闘争をつうじて、反戦平和意識をいまだ根強く継承してきている。
しかしわれわれは、天皇制教育やナチス教育が、まさに人間を戦争の道具につくりかえ、しかもきわめて短期間にそれをなし遂げた歴史を知っている。教育労働者への弾圧が戦争への道を掃き清めた歴史を想起しなければならない。
ナチスは権力を奪取するとただちに「非アーリア人」を退職させ、共産党員・社会民主党員を罷免にする「職業的官吏制度法」を制定した。この法律の教員への適用は厳格をきわめ、33年、34年と、年度初めには教育続行が不可能となるほど、教壇を追われた教員が多数にのぼった。
ナチスの教育政策は、意識において「ワイマール世代」とは隔絶した世代として青少年を掌握することに成功した。ヒトラーユーゲントの団員が、ナチスに批判的な自分の親を密告することまで起こった。
日本でも30年代、結成間もない教育労働者組合は、中国侵略戦争下で国定教科書を逆用した反戦教育を展開したが、これに対して、国家権力は治安維持法を振りかざして襲いかかった。33年の「長野教員赤化事件」を頂点に、26年から34年までに「赤化教員」の名で検挙された教師は748人に及んだ。こうして33年を転機に「日本精神に立つ教育」が唱えられ、34年には各県に「国民精神文化講習所」が設置され、教師に国体思想を注入していった。
その中で、とりわけ41年に発足した国民学校に在学した「小国民世代」は、親もたじろぐ軍国少年少女に育成された。広島で原爆に焼かれ、「うちが死ぬのも名誉の戦死じゃ」と、泣く母親をしかりながら死んでいった少女もいたという。
第二次大戦後も、朝鮮戦争前夜の49年7月から8月にかけて、下山・三鷹・松川事件が相次いで発生し、国労などの共産党員が逮捕され、“共産党が首謀者”というキャンペーンの中で国鉄10万人の首切りが強行され、共産党系の活動家の大半が職場を追われた。
続いて9月、文部省は全国教育長会議で「赤い教員の追放」を指示し、「指導力不足教員」「問題教員」の排除という装いで共産党員、戦闘的組合活動家をパージし、その数は全国で1700人にのぼった。
日帝は今、排外主義の扇動による国民意識の急速な改造を狙うとともに、教育労働者の団結体と階級意識の破壊、教師の「血の入れ替え」によって、戦時教育体制への転換を一挙に進めようとしている。
今、教育労働者にかけられている新たな勤評攻撃、「不適格教員」排除制度、自主研修権はく奪と10年経験者研修などの攻撃は、まさに職場団結の破壊、闘う教師の追放、教師の思想改造の攻撃である。特に、東京で始まって全国で制度化されつつある「指導力不足等教員」制度は、組合活動家や平和教育に取り組む教師の追放の武器となっていく。「日の丸・君が代」はその踏み絵となっている。
国労5・27臨大闘争弾圧は、戦時型の労働組合弾圧の始まりであり、闘う教育労働者にとってまさに「明日はわが身」の大攻撃だ。国労臨大闘争弾圧と一体で強まる教職員組合、闘う教育労働者への弾圧と処分を全人民の力でうち砕こう。
戦時教育との闘いを階級決戦課題に
現在、アメリカの公立学校では毎朝、国旗への「忠誠の誓い」、国歌斉唱が強制されている。愛国心教育に力を入れる州が増え、カリフォルニアのある小学校では、「これは正義と悪との闘いであり、正義は必ず勝つ」という大統領演説を引用した教材が配られた。「9・11」以降の未曽有の階級支配、イデオロギー支配の危機の中で、愛国心教育は宗教的で非合理主義的な色彩を強めつつ一層強まっていくだろう。
侵略賛美と軍国美談に貫かれた「つくる会」教科書が登場し、その採択を拡大するために、日帝支配階級が総がかりでうごめいている。中教審は「個人の尊厳」「人格の完成」を否定して新たな“日本的教学理念”をうち出している。すでにここには、再び国体思想を精神的支柱として世界戦争の時代にのりだそうとする支配階級の末期的姿が示されている。
「9・11」を転換点とする世界戦争の時代の中で、「国際競争にかちぬく国家戦略としての教育改革」の論理は、戦時教育へと行き着かざるをえないのだ。
教基法改悪阻止闘争をつくり出していくために、第一に、教育改革攻撃、戦時教育との闘いを階級決戦の課題、全労働者人民の課題にすえることである。
闘う日教組運動の防衛と獲得を
レーニンは「学校が政治の外にたつことができるかのようにいう見解」を「ブルジョア的偽善」と断罪し、ロシア革命は「忠勤をはげむ奴僕と、ものわかりのよい労働者とを資本家に提供することを目的としていた……学校を、ブルジョアジーの階級支配の道具から転じて、この支配を破壊するための、また社会の階級分裂を完全になくすための道具に変えるという事業」を宣言した。
教育闘争とは、「教育の中立性」を標榜(ひょうぼう)しつつ公教育を階級支配と帝国主義戦争の道具とするブルジョアジーとの階級闘争である。
教育の名において「国家のための死」を強制する戦時教育こそ、ブルジョア公教育の究極の姿である。これとの闘いは、自国帝国主義の侵略戦争を内乱に転化する闘いの一環であり、労働者階級の自己解放の事業の一環である。イラク反戦闘争として開始された世界戦争か世界革命かをかけた国際階級闘争の一翼を構成するものである。
第二に、教育労働者の団結と階級性をめぐる攻防こそ、教育闘争の最大の焦点をなす。
政府・文部省の教育政策は、教育労働者を労働者階級から分断して「聖職者」とすることを一貫して追求してきたし、日教組運動は、弾圧と処分をのりこえて闘う中から階級的労働運動として自己を確立してきた。
教育闘争は、教育労働者をめぐる帝国主義と階級的労働運動の獲得戦である。「勤評は戦争への一里塚」を掲げて闘われた勤評闘争が60年安保闘争を切り開いたように、侵略戦争の先兵となることを拒否する教育労働者の自己解放をかけた闘争力は、階級決戦を切り開く力を秘めている。
日教組本部の「文部省とのパートナー路線」の破産の中で、広島両教組を先頭に闘う日教組運動を再生しようとする潮流が生まれている。階級的労働運動を再生する闘い、「帝国主義と対決する労働運動」をつくり出す闘いの一環として、闘う教職員組合の防衛と獲得を進めよう。
そのために、教育労働者の中に国労5・27臨大闘争弾圧との闘いを大きく広げよう。1047名闘争を軸に国鉄闘争と連帯して闘い、教育労働者の力強い団結をつくり出そう。
第三に、「日の丸・君が代」闘争や教科書闘争、高校統廃合反対運動などをめぐって教育労働者、保護者、市民、被差別人民との共同闘争を各地域でつくり出しつつ、教育基本法改悪阻止闘争を中央政治闘争として発展させていこう。その決定的な跳躍台として、意見広告、署名運動を全力で推進しよう。
イラク反戦・有事立法阻止闘争に全力で決起し、教基法改悪を阻止しよう。
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週刊『前進』(2088号8面2)
爆取裁判 出獄3同志、元気に出廷
事実調べ終了、無罪戦取へ
1月21日、東京地裁刑事第11部(木口信之裁判長)で、迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判が行われた。
昨年12月27日に、16年間の超長期勾留を打ち破って出獄した須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志がそろって出廷した。
3同志と弁護人が一緒に、杖をついてゆっくり歩く須賀同志と歩調を合わせながら東京地裁の廊下を歩いてくる。かけつけた大勢の傍聴者から大きな拍手が巻き起こった。3同志は笑顔で手を振ってこたえた。きわめて元気である。
裁判では、3同志の無実を証明する弁護側申請の書証を木口裁判長が全面的に採用した。検察官が「異議」を述べたが、何の理由もない悪あがきであることは明らかで、木口裁判長はその異議を棄却した。
その後、3同志が意見陳述。3同志は「われわれは、長期にわたる闘いを不屈に貫き、ついに保釈をかちとった。労働者人民と感動的に合流した。次は、無罪判決である。絶対にかちとる」と力強く述べた。
15年間闘い続けた裁判は、今回で事実調べがすべて終了した。次回は2月26日午前10時から検察官の論告求刑が行われる。大傍聴団で論告求刑を粉砕し、無罪判決戦取へ闘おう。
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