COMMUNE 2000/09/01(No298 p48)

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 ●特集/9・3自衛隊治安出動演習弾劾

 第2章 周辺事態を想定し激変する自衛隊の軍事演習

 昨年(99年)5月24日、新ガイドライン(日米防衛協力指針)関連法が国会で成立した。これは戦後を画する歴史的事件であった。憲法9条の「戦争放棄」を核心とする戦後憲法の内実が大きく打ち破られた瞬間であった。周辺事態において、自衛隊は認定された海外諸地域(朝鮮・中国、アジア太平洋及び世界全域も含む)に対する米軍との共同作戦=侵略戦争を展開できることになった。自衛隊の本格的な海外派兵が可能となった。

 新ガイドラインと関連法

 ガイドライン改定は96年4月17日の日米安保共同宣言に始まった。5月13日、当時の橋本首相が「緊急事態対応策」の策定を指示し、5月16日から日本政府の作業部会がスタートした。
 97年6月8日、ガイドライン見直し中間報告が出され、同年9月23日、ガイドライン最終報告が発表された。この最終報告に40項目の対米支援項目が書かれていた。
 日帝は改定された新ガイドラインを実施するための関連法制定作業に出てきた。
 捜索・救難、臨検、後方支援のための周辺事態法と有事ACSAの締結、在外日本人救出のための自衛隊法改悪の攻撃があった。難民対策として入管法・外登法の改悪が行われた。
 機雷掃海、情報提供の日米作戦は直接戦場に踏み込む戦闘行動であり明らかに憲法9条に違反するにも係わらず、現行法で可能であるとして、周辺事態法に盛り込まれなかった。
 では、5・24以後、今年の7月までどのようなことが行われてきたのか。
 詳しくは36−37頁の「新ガイドライン成立後の自衛隊動向」を見てほしい。これらの訓練の根幹になっているのは、2月16日に行われた自衛隊と米軍が朝鮮半島有事の「周辺有事」を想定した初の日米共同図上演習である。個々の演習はこの図上演習の部分である。そこでまず、この図上演習の内容・狙いを明らかにしていきたい。

 第1節 周辺事態における初の図上演習

 今年2月16日、自衛隊と米軍が朝鮮半島有事の「周辺有事」を想定した初の日米共同図上演習を強行した。日本側が統合幕僚会議、陸・海・空各幕僚監部など約5000人、米側が太平洋軍司令部(ハワイ)、在日米軍司令部(東京・横田基地)など約1350人が参加し、コンピューター・シミュレーションや地図上で作戦を展開した。

 図上演習のシナリオ

 読売新聞(99年11月22日)で発表された図上演習の内容は以下の通りである。(図上演習ABCDEの区分は編集部)。
 演習は、北朝鮮が38度線を越えて南朝鮮・韓国に侵攻、弾道ミサイルが公海に向けて発射されたり、怪電波が飛び交う状況から、日本政府は周辺事態と判断する。(図上演習A)
 米軍が反撃に転じる中、海上自衛隊艦艇は米軍支援のため、戦闘が行われていない日本海海域などで補給や輸送、医療などの後方地域支援を行う。遭難した米軍兵士などの捜索救助活動も実施する。日米物品役務相互提供協定(ACSA)の改悪で周辺事態でも可能になった米軍に対する物品、役務の提供も各地で行われる。(図上演習B)
 韓国にいる日本人などを救出するための輸送も実施。航空自衛隊の輸送機に続き、自衛隊法改悪で輸送手段として認められた海自の輸送艦や護衛艦も向かう。(図上演習C)
 一方、国内では大量の難民が漁船やボートなどで日本海沿岸に押し寄せると想定。その中に紛れ込んだ武装ゲリラが全国各地で、原子力発電所や空港、浄水場を占拠、警察隊と銃撃戦を展開する。首相は「警察力では対処できない」と判断するが、武装ゲリラの正体が確認できないため、防衛出動ではなく、治安出動を命じ、陸上自衛隊は制限された武器を使って掃討作戦を実施する。(図上演習D)
 その後、弾道ミサイルが国内に着弾するようになり、首相は「外部からの組織的な武力攻撃」と判断して、自衛隊に防衛出動を命じる、というもの。(図上演習E)
 図上演習では、こうした想定に基づいて日米がそれぞれどの部隊からどれくらいの規模の人員を出動させるか、装備をどうするかなどの作戦を図上で立案、対処が適切かどうか検証する。
 この図上演習は米韓の作戦計画「5027」と一体のものである。

 作戦計画「5027」

 作戦計画「5027」の5段階のシナリオは以下のようなものである。
@北朝鮮が戦争挑発した場合、米軍が直ちに朝鮮半島への前方迅速展開作戦に入る
A北朝鮮軍の奇襲をソウル北部で阻止するとともに、圧倒的に優勢な空軍力と巡行ミサイルで北朝鮮本土にじゅうたん爆撃を加える
B米軍の増援部隊が到着するとともに、38度線を突破し、北朝鮮の首都平壌へ進撃する。並行して北朝鮮の沿岸に上陸作戦を展開する
C平壌以北の地域まで占領し、平壌を孤立させて軍事統治を実施する
D北朝鮮政権を転覆し、韓国主導の南北統一を実現する
 この作戦の実施のために、米軍は兵力50万人、航空機1600機、空母5隻を含む艦艇200隻を動員し、朝鮮半島周辺に展開する。
 米帝は朝鮮侵略戦争において、一方的に38度線を越えて北朝鮮軍を粉砕し、北朝鮮人民100万人を虐殺し、最後には北朝鮮を占領し、政権を転覆し、軍事統治をしくことまで想定している。

 「5027」×図上演習

 「5027」とこの図上演習を重ねると次のようになる。
 「5027」の第1段階で日本政府は「周辺事態」を宣言する〔図上演習A〕。ここには書かれていないが、周辺事態の宣言は戦争体制への突入宣言でもある。必要な有事立法が国会に緊急上程されて直ちに実施される。有事立法の内容は、@非常事態宣言(憲法の人権条項停止、現行法の停止)、A戒厳令、B国家総動員法・徴兵令、C国家秘密保護法など。これと一体の形で、破防法や新破防法、組織的犯罪対策法、入管法・外登法などのあらゆる治安弾圧法がエスカレーションして全面適用される。革命党・反戦団体・反政府団体、朝鮮人・中国人団体に対する団体解散や予防検束が行われる。北朝鮮への敵意と憎悪をこめた戦争宣伝と朝鮮人に対する排外主義と排外主義テロのキャンペーンが行われる。権力の弾圧、権力と一体となった右翼・ファシストの反革命が始まる。反戦闘争が激烈に闘いぬかれる。
 周辺事態の宣言と同時に〔図上演習B〕が始まる。日本人救出と称して〔図上演習C〕も始まる。臨検法案が成立していないので計画から除外されているが、直ちに北朝鮮周辺海域で船舶への臨検が始まる。
 「5027」の第2段階で、〔図上演習B〕が全面的に行われる。日本全土が朝鮮侵略戦争の巨大な兵站基地になる。港湾・空港に大量の米軍の艦船や航空機が離発着し、港湾労働者や空港労働者がフル稼働し、道路・鉄道は軍需物資を運ぶコンテナ車で一杯になり、病院は負傷兵で満杯になり、工場は軍需物資の生産・修理でフル稼働する。自治体労働者、医療労働者、通信・運輸、その他の労働者が周辺事態法第9条や自衛隊法などによって総動員される。
 自衛隊は米軍と一体となって作戦行動を展開し、情報提供や上陸作戦に備えた機雷掃海作戦を行う。撃墜された米軍機のパイロットの救助を行う。
 「5027」の第3段階で、〔図上演習B〕はますます全面的に行われる。自衛隊は米軍とともに戦線を拡大し、米軍の北朝鮮への上陸作戦を支援(掃海作戦)する。米軍の北朝鮮侵略が進むとともに大量の難民が日本海沿岸に押し寄せると〔図上演習D〕は想定する。その中に紛れ込んだ武装ゲリラによる原発や空港、そして浄水場への襲撃の「恐れ」を大々的にキャンペーンして、自衛隊が政治経済中枢である首都を始めとして米軍基地や空港、港湾などに治安出動し、掃討作戦と称して人民の戦争協力を強制する。
 次に〔図上演習E〕に移り、弾道ミサイルが国内に着弾するようになると自衛隊は治安出動から防衛出動にエスカレーションする、というものである。
 「5027」の第4段階と第5段階では、米軍が北朝鮮を占領し、軍事統治を行う段階になっている。
 このように自衛隊の治安出動とは新ガイドラインが想定する戦争シナリオの一環として計画されている。「外に向かっての朝鮮侵略戦争」と「国内に向かっての階級戦争」の関係である。つまり朝鮮人民を100万人も虐殺する朝鮮侵略戦争を展開することが、国内における朝鮮侵略戦争に反対する勢力への階級戦争を不可避にする。革命党や反戦運動をするあらゆる労働団体や市民団体、そして朝鮮人・中国人団体やアジア人の団体の反戦運動の一切を事前に弾圧し、一掃しようとする。
 そのために、自衛隊の治安出動を「周辺事態」の発動と同時にできるように計画しているのだ。「周辺事態」とは、自衛隊を米軍支援という口実で海外派兵すると同時に、「国内反戦運動」を「敵を利する運動」とみなして自衛隊を国内治安弾圧に直ちに発動できるようにするものである。
 そのために、戦争シナリオは武装ゲリラの襲撃や弾道ミサイル(テポドン)の脅威をあおりたてて朝鮮侵略のための戦争国家体制づくり、有事立法・改憲の早期の実現を図ろうとしている。
 米帝の戦争計画「5027」は北朝鮮側からの反撃を一切許さず、北朝鮮の人民100万人を虐殺して占領してしまうものである。北朝鮮側からは、弾道ミサイルを一発も打たせず、難民に紛れこんで来るという武装ゲリラなるものも一人も国内に上陸させない、最初から最後まで北朝鮮を圧倒しつくす侵略戦争を計画している。それが作戦計画「5027」であり、日米帝の新ガイドライン体制なのである。図上演習はこれを百パーセント実行する訓練なのである。
 ベトナム反戦闘争の再来を恐れ、米帝は絶えず「米軍の中からは死傷者を出さない」をモットーにしてこの間の90年イラク・中東侵略戦争(湾岸戦争)や99年ユーゴスラビア侵略戦争を展開してきた。そのために兵器のハイテク化を推進した。遠く離れた艦船や爆撃機から発射された巡行ミサイルが飛翔して正確に目標を爆撃し、近接した戦闘機からの爆弾も目標を映像化して狙い撃ちした。赤外線暗視装置を駆使した戦車や戦闘ヘリコプターなどのハイテク兵器は、闇の中から極めて精度の高い砲弾や銃弾を発射し、無差別にイラク人民やユーゴスラビア人を虐殺した。
 こうした侵略戦争をやるために、米軍は圧倒的な戦力と巨大な兵站基地を確保しようとしている。そのために日米帝は新ガイドラインを締結し、日帝は米軍と一体の朝鮮侵略戦争を遂行するために新ガイドライン関連法を強行したのだ。

 燃え上がる反戦反基地闘争

 しかし、新ガイドライン関連法が成立しても、侵略戦争反対、新ガイドライン反対の人民の声はますます高まっている。
 なによりも沖縄では名護の新基地建設反対の闘争が高揚している。沖縄の米軍基地撤去を求める闘争はこれからが本番である。三里塚闘争、新関西国際空港反対闘争、北富士闘争、日本原闘争、横須賀、相模原、小松、岩国、呉、佐世保、浜大樹、王城寺原、饗庭野、などの反空港、反基地、反軍事演習などの闘争が闘われている。さらに青森県の六ケ所村での反核燃闘争や敦賀での反原発闘争などが各地で闘われている。
 日帝が侵略戦争に打って出るとき、この侵略戦争に反対し、これを阻止しようとする労働者人民の闘いの存在を解体し尽くすことなしには、戦争の遂行はおぼつかない。米軍基地撤去や自衛隊基地撤去闘争、空港や港湾の軍事使用反対の闘い、軍事輸送協力拒否の闘いなどは、たちまち戦争遂行を立ち往生させてしまうからだ。

 ファシスト石原の攻撃

 こうした人民の闘争をつぶすために、石原は4月9日、朝鮮人・中国人に対する「三国人」なる差別暴言を吐き、排外主義煽動を行い、外国人が暴動を起こす可能性があるからという許しがたいデマをもって9・3自衛隊3軍の治安出動演習を打ち出した。石原は全国に先駆けて9月3日に、首都を制圧して戦争シナリオを実施しようとしている。
 自衛隊3軍の治安出動段階とは、事実上の首都戒厳令を意味し、戦争体制そのものであり、あらゆる人民の行動を規制し、無差別に弾圧するものである。そして在日朝鮮人・中国人、アジア人民への排外主義的白色テロルを煽動するものである。その先には、日帝と自衛隊の朝鮮・中国・アジア侵略戦争へ突入がある。絶対粉砕しなければならない。
 新ガイドライン体制の下で、日帝が北朝鮮の武装ゲリラを口実にして自衛隊の治安出動訓練を位置づけていることは鮮明になった。周辺事態において、自衛隊が外に向かっての侵略戦争、内に向かっての階級戦争の反動的先兵に立とうとしている。
 そのために、9・3に石原が首都で自衛隊の治安出動演習をするのである。

 第2節 原発事故想定の自衛隊治安演習

 そして朝鮮半島に対峙する北陸では原子力災害対策を口実とする自衛隊の治安出動訓練が行われた。これは、9・3に並ぶ重大な攻撃であった。

 原子力災害対策特措法

 3月23日には、原子力災害対策特別措置法に基づいて演習が強行された。この演習での自衛隊出動のシナリオ「緊急事態の想定の概要」は、以下のようなものであった。
 午前5時半、原子炉緊急停止。7時過ぎ、炉心冷却装置の運転失敗。そこで午前9時ごろには炉心内の水がなくなる炉心溶融に至るという緊急事態発生が報告された。午前7時30分、首相が「緊急事態宣言」、自衛隊に災害派遣要請を行う。
 9時、国の現地対策本部長が自衛隊機でオフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点)に到着。9時15分、県知事到着。10時に避難の決定、11時50分に放射性物質放出。
 午後1時50分、炉心冷却装置復旧。2時45分には首相が緊急事態宣言の解除を宣言。
 これに対して、原発反対福井県民会議は19班に分かれて監視活動を行った。
 この攻撃は第1に、現地住民・自治体を無視し、住民を被曝死させる国の一元的な強権的治安政策そのものである。
 すでに、東海村臨界事故の際に明らかになったことは、情報が握りつぶされ、住民が中性子線・放射能のもとに放置され、被曝させられたことだ。東海村JCO事故を居直り、事故による被曝(死)より、国益を重視し、戦争国家体制へと突き進み、住民を治安管理するものだ。「緊急事態宣言の解除」において、この姿勢はあまりにも露骨であった。住民には何の情報も知らされなかったのである。

 本格的な実戦訓練

 この攻撃は第2に、有事・戦争国家体制づくりと一体になった原子力施設への自衛隊による本格出動・住民の戦時型動員である。
 3月23日の自衛隊出動の特徴は、陸海空の自衛隊の16兵種が参加した本格的な実戦訓練であった。つまり、緊急有事=戦争を想定して、普通科連隊以外に戦車大隊・施設大隊・通信大隊・後方支援連隊(武器大隊・補給隊・輸送隊・衛生隊)など有事・戦闘に必要なすべての自衛隊部隊が参加した。
 特にその中で、実動部隊として中部方面隊第10師団(陸上自衛隊金沢駐屯地)第14普通科連隊と戦車大隊の計42人が石川県から参加し、大型車両や炊事車など16台で福井県に向かったことは重大だ。また滋賀県今津町の第10戦車大隊なども出動した。
 空自では、航空自衛隊小松基地から救難隊ヘリコプターが参加、上空を旋回してガンマ線測定をした。また、鳥取県美保町航空基地所属の自衛隊機1機が午前7時半に敦賀上空へ飛来し、航行する艦船を監視した。
 海自・舞鶴からも参加したと言われている。自衛隊と赤十字奉仕団は共同の炊きだし、搬送、医療機関の関係者による訓練、放射能除去訓練を行った。
 敦賀現地では、武装ゲリラによる原発破壊を想定し、住民の前に迷彩服で身を固めた自衛隊員が展開した。
 国の関係者は自衛隊のヘリに乗って、前線司令部に相当するオフサイトセンターに自衛隊員とともに到着した。一切が国(自衛隊)の指揮に従って行われた。県・市町村などの自治体をその指揮に従わせることを目的とした治安出動である。
 それが、自衛隊の「ゲリラからの原発防衛」という軍事行動と一体となって、全体の緊張感をつくり出した。自衛隊の輸送トラックが住民(に見立てた自治体職員)の搬送をする。陸海の交通規制を実施する。このことは、この特措法が「原子力災害に対しては、住民や自治体の自由決定を許さず、国が一元的に全面指揮して行う」という強権的軍事的支配(戒厳令)を意味しており、住民がとどまるか移動するかなどの全行動が国・自衛隊に支配された。
 したがって訓練終了においても、「避難をそのまま続けるかどうかなどについて、自治体の長である福井県知事にさえ、゛意見は何一つ求めることもなく”ましてや゛住民の意志はまったく無視”した態度のままで、国(科学技術庁・自衛隊など)が゛法に決められた通り一方的に終了宣言”しセンターを解散した」のであった。この異常な状況は、まさに戒厳令であることを示している。

 日本海では爆撃演習

 3・23演習は、地域の住民・自治体を総動員した点で、今までの自衛隊だけの演習とは「まったく次元を異にする実戦演習」である。
 首相が緊急事態を宣言し、官邸内に災害対策本部の長として就き、前線には資源エネルギー庁審議官が現地対策本部長に就いた。住民約600人、自衛隊16機関を先頭に国・県など511機関約1300人、合計1900人以上が動員され、原子力安全委員会など27人が決定に参与した。
 この3・23演習と一体のものとして、同時に、朝鮮侵略戦争を想定した日本海演習=「日本海不審船一周年爆撃演習」が強行された。「実戦さながらの訓練」「次は必ず捕まえる固い決意」と指揮官の決意が述べられたように、射撃・砲撃を行い、応戦する相手を制圧し、前方へ回り込み強行接舷(せつげん)を行い、隊員は相手船に自動小銃で突撃し、負傷者の出る中で乗組員を拘束する。負傷者はヘリコプターでつり上げる。この訓練には約230人が参加した。
 演習は新潟−能登半島沖で行われた。まず自衛隊哨戒機P3Cが「不審船」を発見。巡視船「えちご」(指揮艦)、「かがゆき」(国内最高速巡視船)、「のと」(富山・伏木)、「くらま」(第八管区・舞鶴)など7隻とヘリコプター3機が参加した。
 先の敦賀半島の演習において明らかなように、鳥取−滋賀−京都を含み、敦賀半島・北陸を中心とした23日の「原発ゲリラ」との戦闘、住民への戒厳態勢は、「不審船」との日本海での海上戦闘と一体となったものであった。
 3月23日に実施された全国一斉家宅捜索と沖縄と北陸での不当逮捕は、その点でも23日の実戦演習と完全に一体であった。 
 原子力災害対策特措法は6月施行であるにもかかわらず、3月に先取り的に実施されたこと自体がすでに違法だ。
 新安保ガイドラインを発動した場合、戦闘とともに治安出動し「敵性民間人」(在日朝鮮人・中国人、革命勢力・反戦平和活動家など)を予防的に「収容」することを予定している。石原発言もこの中で必然的・意図的に行われたのだ。
 富山ではAさんが、「もんじゅ」判決公判に出かけようとしていた22日午前5時、逮捕された。大規模な「資金ルート解明」と称するデッチあげ(調書・連行)が行われたことなど、戦争前夜の予防検束を連想させるものである。
 その後、福井県警は敦賀を中心とする嶺南機動隊を4月4日に発足させた。これは「核燃料の輸送、原発警備、密航摘発」を専門任務とする部隊である。
 このように日帝は、朝鮮・中国、アジア侵略戦争に向かって、当面は新ガイドライン体制の確立へ攻撃を全面化させている。その当面の最大の対決点が9・3東京の自衛隊の治安出動演習にある。沖縄サミット決戦を打ち抜き切り開いたすべてを投入して9・3闘争に勝利しよう。
 新ガイドライン下の自衛隊動向(1999-2000)につづく