SANRIZUKA 2013/04/01(No868 p02)
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週刊『三里塚』(S868号1面1)(2013/04/01)
3・24集会 1370が現地に大結集
市東さんと心を一つにして 農地強奪判決阻止へ
(写真 集会には1370人の労農学市民が全国から集まり、市東さんの農地を守る闘いを誓った【3月24日 成田市天神峰】)
3・24三里塚全国総決起集会は、成田市天神峰の市東孝雄さんの畑に全国から1370人の労農学市民を集めて大成功した。1月の団結旗開きから不眠不休で取り組んできた3・24大結集運動が成功した瞬間だった。日帝・国交省、NAA、千葉地裁・多見谷寿郎裁判長に与えた打撃は大きい。同集会は特に福島・沖縄・そして6千万労働者との連帯を強調するとともに、戦争と改憲にむけ、野放図な攻撃を強める安倍政権に反撃する集会として打ち抜かれた。”市東さんの農地を死守せよ”と叫んだ決意を今春〜夏の農地強奪判決粉砕へさらに研ぎ澄まそう。
3・24三里塚全国総決起集会は、反対同盟市東孝雄さんの天神峰の畑において開催された。1370人の結集は、春から夏にかけての市東さん決戦へむけて大きなステップとなる成果だった。
集会では、東京の反原発集会において反対同盟のタブロイド判を受け取った高校生、ブログで知って参加した栄町の町民、市東さんパンフレットを見て結集した周辺住民等、初めての参加者が多数にのぼった。反対同盟が用意したチャーターバスは予定人員をはるかに超え、満載で会場に登場し喝采を浴びた。この結集は、年末からの総力を挙げた宣伝戦の積み上げの成果だ。
動労千葉は、家族も含めて組織動員でバスで結集し、演壇前に陣取った。労組旗やノボリがはためく中、開会後も次々と参加者が増え、会場は人であふれた。
反対同盟全員が鉢巻きを締めて登壇。司会は伊藤信晴さん。最初に開会あいさつを森田恒一さんが行った。森田さんは国策裁判のカラクリを弾劾し、「答えは一つ、実力阻止です」と訴え、歩けなくても両手につえをついて実力阻止の先頭に立つ覚悟だ、と気迫の開会宣言をした。
主催者あいさつでは、北原鉱治事務局長が全国からの結集に感激し「風が冷たいが中は燃えている。勝利の展望は見えた」と決起を訴えた(別掲)。続いて、基調報告を萩原進事務局次長が市東さん決戦の階級的意義を全面的に展開した。萩原さんは「反対同盟としてはこの集会に賭けているという熱意だけは汲んで頂きたい」と述べ、三里塚結集がすべての闘いを大きく保障していく礎になると訴え、基調(別掲)を提起した。全参加者は、この提起に応えるべく「異議なし」の声を上げた。
トラクターデモ展開
満場の拍手の中、市東孝雄さんと反対同盟顧問弁護団が登壇した。市東孝雄さんは、空港会社のデタラメに怒りを抑えきれず「皆さんも本当に抗議してほしい」と強く訴えた(別掲)。そして父の遺志を受け継ぎ空港廃港まで闘い続ける決意を揺るぎなく語った。
市東さんの固い決意を受けた反対同盟顧問弁護団からのあいさつは熱の入ったものだった。代表の葉山岳夫弁護士は別掲のように市東さんの農地取り上げの重大性を強調した。特別報告では、動労千葉(別掲)・動労水戸、関西新空反対住民、福島から、沖縄から連帯の挨拶を受けた。動労千葉・田中康宏委員長に続き動労水戸・石井真一委員長は、春闘勝利・検修外注化阻止、3・1ダイヤ改正に対する3波のストを報告し、翌日からの被曝車両検修阻止ストの決意を表明した。福島から農民の大内孝さんと椎名千恵子さんがそれぞれ(別掲)発言した。
沖縄市東さんの農地を守る会の発言後、壇上に反対同盟員が登壇し、司会の「私たちは、三里塚・沖縄・福島の連帯で世の中を変えていきます」の音頭で福島・沖縄の発言者とともに手を結び上げ、会場は拍手に沸いた。
司会を宮本麻子さんに交代し、「市東さんの農地取り上げに反対する会」、全国農民会議から共同代表の小川浩さん、北総農民、反対同盟・萩原富夫さんがTPP反対を訴えた。小川さんは「農地法で農地を奪うことは戦後初めてです。TPPは三里塚のような闘いによってしか阻止できない。農民会議は全国6千万労働者と260万農民との連帯をかちとっていきたい」と決意を鮮明にさせた。萩原さんは「TPPは農地を農民から取り上げ大企業に売り渡す新自由主義攻撃そのものです。市東さんの農地取り上げはその最先端にあります。実力で闘う」と宣言した。
カンパアピールは鈴木加代子さん。「私は父ちゃんの分までがんばります」と支援を訴えた。 全日建関西生コン支部のメッセージが朗読された後、婦人民主クラブ全国協・三浦正子代表の「絶対反対の闘いに女性は立つ」、星野暁子さんの「全証拠開示させ、星野再審をかちとろう」などの共闘団体からの挨拶を受け、支援団体の冒頭に全学連・斎藤郁真委員長が「全学連は、ことあらば農地死守の行動に立ち上がる。農民の誇り、生き方に希望がある」と決意を表明した。
闘争宣言を野平聰一さん、スローガン採択・ガンバロー三唱を太郎良陽一さんが行いデモに出発。デモは、宮本麻子さんボイスの反対同盟宣伝カーを先頭に、赤の「反対同盟」と緑の「農民会議」のノボリを翻した4台のトラクターが続いた。トラクターは市東さんを先頭に、続いて萩原富夫さん、野平さん、萩原進さんが運転した。デモの大隊列は、用地内にトラクターのエンジン音とシュプレヒコールを響かせる中、第3誘導路建設を弾劾しながら天神峰南台の市東さん畑まで戦闘的デモを貫徹した。
(写真 集会終了後、市東孝雄さんはじめ4台のトラクターがデモの先頭に立ち、天神峰南台の畑まで、敷地内を横断する行進を行った【3月24日 成田市天神峰】)
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週刊『三里塚』(S868号1面2)(2013/04/01)
反対同盟などの発言
空港廃港まで闘う 天神峰・市東孝雄さん
空港会社が最終準備書面で「仮執行を要求する」と言ってきました。私はもう怒りに堪えかねています。本当に、正義は何処にあるのか。私の畑は代々100年近く、耕し続けてきた。本来であれば、農地法で守られなければならない農地なんですよ。農地法を悪用して取る、そういうようなやり方は絶対に許さない。空港を造るのであれば何をしても良い、そういう傲慢(ごうまん)なやり方は絶対に認めない。原発と共に、安倍内閣によるTPPは農業をつぶす。私は、この裁判は「耕す者に権利あり」の裁判だと信じています。私は何が何でも天神峰で、これからも農家を続けていきます。親父の遺志でもあります。空港廃港まで闘い続けます。
労働者と連帯求め 基調報告・萩原進さん
自分たちは12月から3月の過程で、市東さんの裁判、市東さんの農地を取り上げる裁判に対して皆さんに訴え、そして現地攻防的にも全力で闘いを展開してきした。その結果、われわれの思った通りに闘いぬいた。裁判所を包囲し、そして人間の鎖も打ち込み、裁判官を法廷内に追い詰め、まさに空港建設そのものの骨格を揺るがす闘いとして展開してきた。本日の集会の基調報告の第一点は、この27日の最終弁論において千葉を揺るがす闘いを展開しようということです。
第二点は格安航空を導入し、ショッピングセンター化した副業に利益を頼らざるをえないような空港に対して、何が公共性なのか、国益なのか、はっきりと空港はNOであるということを胸を張って訴えていくということです。
第三点は、安倍の極右の政策に対する闘いを、三里塚闘争が指し示そうということです。われわれが農地法を死守していく闘いは、労働者の労働法あるいは教育基本法の改悪を阻止する闘いと同じなんですよ。われわれは全国の農民の最先頭に立ってこのことを訴え、労働者階級との連帯を求めていく。
未来のため闘おう 主催者挨拶・北原鉱治さん
今日は、多くの結集を見て心強く思っている。勝利の展望は見えてきている。50年たっても、成田空港は未完の空港です。なぜか。そこには生きる権利の闘いがあるからです。労働者と農民と固く団結して、そして未来のために、われわれは命ある限り闘い抜く。一人ひとりが立ち上がって闘う以外に、道はない。それが三里塚闘争です。「世の中が変わる」、「時代が変わる」、それまで闘い抜く。それが生きた命の持っている人々の誇りでなければならない!
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三里塚は労農の誇り 動労千葉・田中康宏さん
三里塚は日本のすべての労働者・農民の闘いの砦であり、日本の労働者と農民の誇りです。だから市東さんの土地に手をかけるならこの国の政府、支配階級、安倍だとか下らない連中の支配が崩壊する時だ、ということを示さなければならない。
怒りの声は労働者も農民も社会の隅々まで沸騰点に達している。その時に三里塚闘争がこのように存在している。この時に闘う労働組合を復権させるという僕らの努力があります。これを結合したときに歴史は動き始めます。動労千葉は、社会を造り、歴史を動かすことを目指して1047名解雇撤回・外注化阻止、民営化・非正規職化粉砕を全力で闘う。
市東さんになりきり 顧問弁護団・葉山岳夫さん
裁判長が反動判決で、市東さんの命である農地を奪うものなら、この強制執行は殺人攻撃だ。差し迫った不正な侵害に対してこれと闘うことは当然の権利。われわれ一人ひとりが市東さんになりきって闘おう。
三里塚が闘いの原点 福島被災農民・大内孝さん
原発に頼らない社会を造るには私たちの中にある内なる課題を克服することです。今改めて71年の駒井野砦の闘いが自分では自信となっています。反原発の福島の闘いでも反対同盟の闘いがどれほど後押しになっているか、支えになっているかということです。私 も全力で闘います。
闘いでつながろう 福島市・椎名千恵子さん
3・11福島に「平日だから」、「寒いから」という理由で何人も福島に立てなかった人がいる。「それはないだろう」との確信に全国・全世界から共感を寄せていただき成功があった。今日は、3・11を闘いぬいた福島の代表としてここに立っている。沖縄―三里塚―福島は、具体的な闘いの中でつながって行く。
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週刊『三里塚』(S868号1面3)(2013/04/01)
3・24闘争宣言
三里塚芝山連合空港反対同盟
本集会は、千葉地裁・多見谷裁判長による市東孝雄さんへの農地強奪判決粉砕を断固として粉砕することを宣言する。何よりも裁判そのもので勝利することを誓う。「農地を奪うことは私の命を奪うこと」と、必死に闘う市東さんと心を一つにし本日をもって市東さんの農地を守る非常臨戦態勢に突入する。反動判決粉砕へ、3・27最終弁論闘争を地裁包囲の大闘争として闘いとろう。
三代・100年、心血を注いで耕してきた市東さんの農地を守りぬく闘いこそ、安倍内閣のTPP推進による農業切り捨てに対して真っ向から闘う最先端の闘いだ。農民をはじめすべての人びとの生きる権利を守る闘いだ。我々は、三里塚47年の闘いのすべてをかけてこの決戦に立ち上がる。全国農民会議に集まる農民とともに最先頭で決起する。
3・11をもって始まった変革のうねりは、安倍政権による大反動との激突となった。安倍政権は「原発ゼロ」を求める数百、数千万の人民の声を踏みにじって原発再稼働を強行しようとしている。財界と原子力ムラの利益を代弁する超反動政権を打倒せよ。我々は、「原発と人間は共存できない」という福島県民の叫びに応えて、全原発廃炉までともに闘う。
沖縄では、オスプレイの配備につづいて辺野古への基地移転攻撃が強まっている。本土での闘いを貫かなければ、成田空港にオスプレイが飛来することすらありうる。島ぐるみで闘う140万沖縄県民と連帯して、全基地撤去までともに闘おう。
新自由主義によるJRの全面外注化にストライキで闘う動労千葉・動労水戸を先頭に、6000万労働者の決起が巻き起こっている。労農連帯のこそ安倍政権と対決し、社会を変える力である。
福島―沖縄―三里塚をひとつのものとして闘い、労働者、農民、学生、市民運動などあらゆる階層と幅広く共闘し、農地死守・実力闘争、空港廃港の旗高く闘うことこそ勝利の道である。危機ゆえに攻撃をつよめる安倍内閣の打倒に向かって総決起しよう。
我々はただちに闘いに立ち上がる。3・27最終弁論闘争を2・18地裁包囲を上回る大闘争とし、もって反動判決を必ずや粉砕する。
三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『三里塚』(S868号1面4)(2013/04/01)
労農学の団結固め反撃が始まった!
3・24三里塚全国総決起集会は、成田市天神峰の市東孝雄さんの畑に、1370人の労農学市民を結集して大成功した。
第1に1370人という大きな結集の力をもって、千葉地裁・多見谷寿郎裁判長の農地強奪判決策動に対する強烈な打撃を与えた。
この数は、2000年以降の3月集会としては最大の動員となった。それを反対同盟は宣言し、実現したところに勝利の大きな意義がある。1月団結旗開き以来、3・24集会の成功ために、反対同盟と支援は不眠不休の取り組みを行ってきた。 カラー刷りパンフレット、タブロイド判のカラー刷りビラ。どれも三里塚闘争史上初めてだ。印刷枚数も従来より一けた多い数を全国津々浦々に持ち込んだ。成田駅からの大型チャーターバスの運行も1980年代以来だ。2・4千葉地裁包囲、2・18千葉地裁包囲闘争でも新たな試みを次々と展開した。市中心部でのトラクターデモは、これも三里塚闘争史上初めて。人間の鎖、リレートークなどもかつて例がない。”市東さんの農地取り上げは何が何でも阻止する”との反対同盟・支援が一体となった執念の取り組みが、3・24大結集の勝利をもたらした。
市東孝雄さんは「空港のためであれば何をやってもいい、というNAAの姿勢を絶対に許さない!」と明言し、萩原進事務局次長は、非常臨戦態勢を呼びかけた。さらに動労千葉の田中康宏委員長は「国家権力が市東さんの畑に手をかけるようなことがあったなら、支配が崩壊するような力を示そう」と訴えた。これこそ、参加者全員の気持ちだった。
第2に、三里塚を軸にした福島、沖縄との連帯の地平を明らかに一段階高めたことだ。福島農民の大内孝さんは「原発に頼らない社会を作るために内なる課題を克服しよう。1971年駒井野砦の闘いは自分の原点だ」と語り、椎名千恵子さんは「きれい事ではダメ。一つ一つ局面で答えを出すことが大事。だから私は残って、3・27最終弁論闘争に参加します」と訴えた。辺野古新基地と闘う沖縄からも三里塚との一層の連帯が強調された。
そして、第3に前記、田中委員長の発言に示されているように労農連帯の歴史的な前進をかちとった。JR外注化阻止の決戦第2ラウンドのストライキの中から結集した動労千葉。被曝車両検修の強制にストライキで闘うと訴えた動労水戸の石井真一委員長。3・24集会は1977年ジェット闘争以来の労農連帯の前進を示した。
そして第4に、集会全体が安倍政権の戦争・改憲政治と真っ向から対決する闘いとして位置づけられ、闘い抜かれた。TPP参加の表明に対して、各発言者が口々に弾劾し、闘いへの決起を呼びかけた。三里塚現闘が前段集会で強調した。「3・24集会は終わりではなく始まりだ!」。3・27千葉地裁包囲の最終弁論闘争から農地強奪判決そのものを絶対に許さない闘い、そして1971年代執行阻止決戦以来の激闘へ。
3・24集会の大成功を跳躍台に市東さんの農地死守決戦の大爆発へ、さらに一層奮闘しよう。
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週刊『三里塚』(S868号1面5)(2013/04/01)
団結街道
3月17日付の日本経済新聞が格安航空会社(LCC)にとって、成田空港がいかに使い勝手の悪い空港であるかを報道している▼昨年7〜8月にジェットスター・ジャパンおよびエアアジア・ジャパンの2つのLCCが成田に就航した。両社とも最初は利用率が85%(7月)、84%(8月)と好調だったが、11月にはそれぞれ65%、50%と顧客が激減、社長が首になった。その誤算の一つが成田の離発着時間制限だった▼この制限のため、LCC2社の欠航率は大手航空会社に比べて高い。ジェットスターの場合は就航から最近までの欠航率が2・8%。JALの国内線欠航率1・4%の2倍だ。「頼むから間に合ってくれ」――沖縄―成田など深夜最終便の度にしばしば悲鳴が上がるという。間に合わなければ羽田行き▼一方、関西空港は24時間運用。利用率や欠航率で成田に差をつける。さらに「遅延や欠航を減らすため成田の依存度を下げる」と両社とも中部国際空港への進出を決めた▼LCCに逃げられたら成田の地盤沈下は決定的。だから住民の激しい反対を押し切って、飛行制限の緩和に走ろうとしている。制限緩和に空港の延命がかかっている。だがもう一つの壁、高い着陸料が控えている。韓国・仁川空港の3倍、イギリス・ヒースロー空港の9倍! 欠陥空港・成田が出生時の矛盾から解放される日は永遠に来ない。
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週刊『三里塚』(S868号1面6)(2013/04/01)
闘いの言葉
空港のためであれば何をやっても許される、という空港会社のごう慢な姿勢とやり方に対して勝利するまで、徹底的に闘いたい。
3月24日 反対同盟・市東孝雄さん
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週刊『三里塚』(S868号1面7)(2013/04/01)
《三里塚闘争裁判》
●5月13日(月) 第3誘導路裁判
午前10時30分 千葉地裁
●5月21日(火) 天神峰ヤグラ裁判
午前10時30分 千葉地裁
●6月18日(火) 団結街道裁判
午前10時30分 千葉地裁
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週刊『三里塚』(S868号2面1)(2013/04/01)
全学連三里塚現地行動隊日誌 市東農地決戦の先頭に立つ
3・24勝利を牽引
3・24三里塚全国集会は1370人の大結集で打ち抜かれました。
今年の反対同盟旗開きで改めて確認された、市東さんの農地決戦の決戦態勢突入宣言から3・24三里塚全国集会―3・27最終弁論闘争へ向け、全学連三里塚現地行動隊は宣伝・扇動戦の最先頭に立って闘ってきました。
成田駅頭での街宣活動を筆頭に、千葉市内、津田沼、柏などでのビラまき・宣伝活動、反TPPや反原発を訴える首相官邸前の行動、首都圏の様々な集会にビラを持ち込んでの討論など、千葉県内を始めとする様々なところに三里塚闘争を持ち込み、広範な人たちに結集を呼びかけてきました。この中で多くの人と出会い、展望そして課題が鮮明になってきたと思います。
三里塚闘争の位置
この集会に1370人の大結集が勝ちとられた力はどこにあったのか。それは再び登場した自民党・安倍政権下での原発・沖縄米軍基地・TPP・改憲といった「国策」と私たち労働者・農民・学生との対立が鮮明になり、これと47年間闘い続け、屹立(きつりつ)してきた三里塚闘争の位置が急激に高まっているということです。
集会内での椎名千恵子さんの「三里塚の地に立ってこそ福島を守ることができる」という言葉がそれを物語っています。街頭でも多くの人が、時には原発の問題で、時にはTPPの問題でこの「命よりカネ」という国家のあり方に疑問を持ち、署名への協力や集会への参加という形の結合を始めています。
(写真 全学連三里塚現地行動隊は、千葉県下を駆け回ってビラまき街宣を行い、3・24集会の成功を牽引した【写真は3月20日 京成成田駅前】)
職場、街頭、学園に
そして「三里塚闘争ここにあり」と登場し続けるということが、何よりも重要だし説得力を持つ行動だということです。資本家階級と労働者階級の階級対立という真実、闘わなければ生きていけないという現実がはっきりとする一方で、多くの労働者が競争に忙殺され、明日の生活の保障もない中、闘うという発想すら持てない状況に追い込まれています。
彼らが三里塚闘争と出合うかどうか、闘いに目覚めて立ち上がるのが今日になるか明日になるかは、私たちがどれだけ多くの人たちの前に登場し、この闘いを訴えるかにかかっています。
3・24の成功を受け、3・27千葉地裁包囲闘争を貫徹し、市東さんの農地決戦はさらなる発展を勝ちとり、NAA−千葉地裁との力関係を逆転するための闘いに突入しました。47年間闘い続けてきた三里塚は必ず多くの労働者・農民・学生の心に響きます。
すべての学生・青年労働者は職場に、キャンパスに、街頭に三里塚闘争を持ち込もう! 3・24を超える現地への大結集で政府―NAAとの力関係を大転換し、市東さんの農地決戦勝利へ!
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週刊『三里塚』(S868号2面2)(2013/04/01)
成田・芝山による飛行制限緩和受け入れ弾劾
騒音下住民と連帯しよう
3月15日、成田市の小泉一成市長と芝山町の相川勝重町長は、国交省と空港会社(NAA)から要請されていた成田空港の深夜・早朝便の飛行制限緩和について、「深夜便だけ認める」との条件をつけて、容認する方針を決定した。同日、それぞれ議会の全員協議会に提案し、了承された。
しかし、騒音下住民は怒り心頭に発している。成田市では、24日に開かれた「成田空港騒音対策地域連絡協議会」(騒音下住民6地区で作る団体)で批判が噴出した。住民から「早朝便の緩和は認めず、押し返したと言うが、そのうち早朝便も緩和するとなるに決まっている」「われわれの意見は何も反映されていない」「市に見捨てられた気持ちだ」との声が上がった。
出席した小泉市長が「理解を得たとは言い難いが条件を変えるつもりはない」と居直りの説明を行うと批判は頂点に達した。
3月末に開く4者協議会(国交省、NAA、千葉県、周辺9市町村)で決定を強行する構えだ。成田市と芝山町が、住民の反対を押し切ってまで飛行制限の緩和を容認した背後には、「空港とは運命共同体だ」という原発と同じ「空港ムラ」の論理がある。しかし、それこそが「3・11」で崩壊したのではないか。
深夜・早朝便の飛行制限緩和は、3月末から始まるオープンスカイ政策に間に合わせたいという焦りとともに、成田空港にとって死活的な生き残り策となっている。
「成田は着陸料が高く、使い勝手が悪い」と今、LCCから不満が噴出し、その誘致合戦で後退を強いられている。飛行制限緩和では“なりふかまってはいられない”というのが実態だ。まさに空港のアキレス腱だ。
われわれは騒音下住民との一層の連帯を深め、飛行制限緩和を阻むまで闘い抜く決意だ。
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週刊『三里塚』(S868号2面3)(2013/04/01)
3・11反原発福島行動
全国農民会議とともに 市東さんも登壇
「3・11」から2年目の3月11日、福島市の福島県教育会館大ホールにおいて開かれた「3・11反原発福島行動13」に、三里塚現地から反対同盟と三里塚現闘、全学連行動隊、さらに全国農民会議に結集する千葉県農民が参加した。
集会は「3・11を決して忘れない、原発再稼働を絶対に許さない!」と呼びかけられ、開会前から会場は満杯になった。1時30分、伊達市の会田恵さんの開会あいさつで本集会が始まった。主催者あいさつに立った福島市の椎名千恵子さんが「今日の集会への賛同が、全国から団体・個人含めて408、世界からはアメリカ・ドイツ・オーストラリア・韓国・南アフリカから団体・個人含めて430。国際連帯が深まっています」と高らかに報告。会場から歓声と拍手が上がった。
全国からのアピールに移った。脱原発わかやまネットワークの寺井拓也さん、大間原発反対・あさこはうすの小笠原厚子さん、反戦被爆者の会の下田禮子さんが発言、その後、全国農民会議共同代表で本宮市の鈴木光一郎さんの発言に合わせて他の農民たちとともに、市東孝雄さんが壇上に上がり、歓声に応えた。
メッセージ紹介の後、浪江町・希望の牧場代表の吉沢正巳さん、動労水戸平支部の国分勝之さん、福島の学生・高校生たちが登壇し発言した。2時46分、地震発生時に合わせ、黙祷(もくとう)。最後に、ふくしま共同診療所医師の布施幸彦さんと福島診療所建設委員会の川俣町・佐藤幸子さんが発言に立った。デモでは先頭に佐藤さん、椎名さんを始めとした女性・学生たちのかんしょ踊りの隊列。福島県庁前を通り、福島駅前までやりぬいた。
(写真 「3・11反原発福島行動13」には反対同盟からも萩原進さん、市東孝雄さんらが参加した【3月11日 福島市】)
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週刊『三里塚』(S868号2面4)(2013/04/01)
安倍首相の暴挙 TPP参加許すな
3月15日、安倍政権はTPP交渉への参加を正式に表明した。全国各地で農民、消費者団体を中心に反対の行動が闘われている。首相官邸前では3月15日、25日と「ストップTPP行動」が激しく闘われた。
交渉参加問題それ自身でも次々とウソ、デタラメが暴露されている。「聖域なき協定に参加するつもりはない」「農産物などのセンシティブ(微妙)な分野は守り抜く」などの言葉が躍っているが、それを裏切る事実が次々と暴露されている。東京新聞(3月8日付)は、TPP協定発効にむけて先に交渉を行っていた9カ国が、新たに交渉参加の意向を表明したカナダとメキシコに対して、「すでに合意した条文は受け入れ、再交渉の要求もしない」との念書を要求し、それを受け入れて交渉参加を許されたことを暴露した。その念書自体が極秘にされていたという。
安倍政権はこの事実を把握しながら隠していた。仮に9カ国の間で日本に不利な合意ができていても、再交渉など不可能で、これをのむしかないことになる。
そもそも安倍首相が「聖域を守るメドが立った」とした日米首脳の共同声明自身がいんちきだ。安倍首相は、共同声明の中で「TPP交渉参加にあたって、一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ求められるものではない」との文言を入れたことをもって、「聖域なき関税撤廃は前提とされていない」なるウソを導き出し、「国益が守られる道筋ができたからTPP交渉へ参加する」としている。
交渉に参加する前から「聖域なき関税撤廃に合意している国」など現在の交渉国11カ国の中で一つもない。アメリカから何の譲歩を引き出したわけでもないばかりか、逆に「自動車や保険分野では協議」を約束させられたのが、首脳会談の実態だった。
「農産物をはじめとする聖域を守る」交渉の場すら危ういというのがTPP交渉の現実だ。こうしたウソ八百を駆使しながら、日帝の延命を図ろうというのがTPP参加の中身だ。究極の新自由主義攻撃であるTPP粉砕へ今こそ労農学市民が連帯して闘おう。
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週刊『三里塚』(S868号2面5)(2013/04/01)
誘導路供用に反撃
3・7緊急現地闘争を展開
3月7日、三里塚現地で第3誘導路供用開始に対する緊急現地闘争が闘われ、反対同盟と労働者・学生・市民110人が結集した。「市東さんへの人権侵害を許さない。第3誘導路供用に反撃しよう。労働者と農民は連帯して社会を変えるために闘おう」との北原鉱治事務局長の訴えを先頭に動労千葉などが発言。「第3誘導路供用開始粉砕」と大書した横断幕を掲げ、天神峰・南台の市東さんの畑を往復するデモをやりぬいた。
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週刊『三里塚』(S868号2面6)(2013/04/01)
三里塚行動隊に参加して
強制執行実力粉砕を 関西学生 A
私は、4泊5日の日程で三里塚に派遣されました。そこで、感じたことを伝えます。まず、現地闘争拠点に驚きました。熊野寮に最初に入った時と同じ感覚で、しかし、そこは全員同じ目的を持った人の集まりで、統制がとれていて、まさに団結で維持されている拠点、という印象を受けました。
次に現地調査がかなり楽しかったです。紙上でいくら解説されても理解できないものが、現地調査で明確になりました。過去の闘争を巡って行った感じです。
私たち、若い活動家が、三里塚闘争に決起する時もやはり過去の闘争、階級闘争の上にあるので、切り開いた地平の上にこれからの自分たちの闘争があるのだろうと思います。
「47年」の求心力
ところで、新自由主義の時代にあって、大恐慌・大失業・戦争の只中にあって、いやしかし、労働者が「団結しなければ生きていけない」「闘わなければ生きていけない」という情勢を生んでいます。私たちが団結を腹の底から呼びかけたとき、主客が転倒します。資本・国家権力にお願いしておこぼれもらって生きようとする時代は終わっています。
三里塚も同じです。農民も農民同士、労働者、学生、市民と団結しなければ生きていけない情勢です。先ごろ、日帝・安倍政権がTPP交渉参加をブチ上げました。まさにおこぼれのない交渉、資本、国家権力と非和解となり、実力闘争でしか生きていけない情勢です。敵が仕掛けた攻撃が団結するしかない情勢を生んで、私たちが団結を腹の底から呼びかける革命情勢としかとらえられない、血沸き肉躍る情勢です。
こうした中にあって、革共同の労農連帯の実践、すなわち、実力で最後まで連帯・団結し抜いた上に、農民からは絶大な信頼を勝ち得ており、後は私たちの主体的決起あるのみです。
裁判闘争は違憲、違法、不当の限りを尽くしていることは論を待ちません。もはや問題は、例えば強制執行を実力粉砕して、全社会に団結した力を示すこと、それをもって全国の闘いを先導することだと強く感じています。しかし、日帝国家権力は絶対にそれを隠そうとします。先の公示書が良い例です。実力粉砕されるのを恐れて、コソ泥的に権力を発動しました。
最後に、47年間の闘争はやはり絶大な求心力をもっています。団結を47年間維持・発展させていることに私が獲得されています。団結のために実力決起してもよい、逮捕されてもよいと思える団結があります。もう、主客が転倒しています。絶対反対・実力決起の闘いに馳(は)せ参じたいと思います。
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週刊『三里塚』(S868号2面7)(2013/04/01)
三芝百景 三里塚現地日誌 2013
3月6日(水)〜3月26日(火)
●反対同盟は、市東孝雄さんの家を空港の中に囲い込むための第3誘導路を供用する攻撃に対して、緊急の現地闘争を闘って反撃した。(7日=2面に記事)●「3・11反原発福島行動13」に反対同盟から萩原進事務局次長、市東孝雄さんを先頭に多数が参加した。(11日=2面に記事)
●団結街道廃止許可取り消し訴訟が千葉地裁で開かれた。反対同盟は成田市が「廃止は適法」とする根拠としていた「類型論」を打ち砕き、「市道廃止は違法」との主張を前進させた。(12日=写真)
●三里塚支援連絡会議は、京成成田駅前で、3・24集会を訴えるタブロイド判チラシの配布を行った。(13日)
●日本航空系のLCC「ジェットスター・ジャパン」は運航に必要な部品の耐久証明書不備のため、14、15日の計10便を欠航すると発表した。(14日)
●成田市と芝山町は、深夜・早朝便の飛行制限緩和について、「深夜のみ」との条件をつけて容認する方針を議会の全員協議会に提案し了承された。小泉一成成田市長は「空港とは運命共同体」とした。(15日)
●「千葉県三里塚集会」が千葉市DC会館で開かれ、3・24全国集会への結集を確認した。(17日=2面に記事)
●全学連三里塚現地行動隊は、19日津田沼、21日柏、22日千葉地裁前、で3・24集会、3・27地裁最終弁論闘争を訴える街宣を行った。(19〜21日)
●三里塚支援連絡会議は、京成成田駅前で、3・24集会を訴えるタブロイド判チラシをまき、宣伝を行った。(20日)
●3・24全国総決起集会が成田市天神峰の市東孝雄さんの畑で開かれ、1370人を結集して大成功した。(24日=1面に記事)
●騒音下の6地区の住民で作る「成田空港地域騒音対策協議会」に対し、小泉市長が深夜・早朝便の飛行制限緩和で説明会を行った。住民から怒りの声が相次いだ。(24日)
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週刊『三里塚』(S868号2面8)(2013/04/01)
市東さんの2・18法廷証言(下)
福島・沖縄に応える 頑張ることが連帯の証し
前回につづいて、2月18日に行われた市東孝雄さんの本人尋問を紹介する。
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――農業の本来的な姿を市東さんは、どうお考えでしょうか。
市東 やっぱり無農薬農業だと思います。安全でうそをつかない新鮮な野菜を作ることが、丹精込めて作ったものができたときの喜びがお客さんのほうに伝わるという、そういうのが自分の農業に対しての誇りです。
――2009年には農地法が改悪されて、企業の貸借での農業参入規制が緩和されたというふうな流れは、どうお考えでしょうか。
市東 やっぱり企業が参入するということは、結局企業の場合は、資本の論理に基づいて利潤追求ですから、そこで利益が出なければ即もうやめるということですね。ですから、その後残った農地はどうなるんだと。TPPに参入すると農家はつぶれるでしょうね。何よりも今の米が3分の1か、ひどくは4分の1ぐらいの値段になっちゃうわけですね。それで、結局工業製品を輸出すればいいんだと。だから、逆に外国から輸入野菜を取ってそこで帳尻を合わせるという、そういうことは絶対におかしいことだと思います。
――TPPと同様の国策というふうなことで、原発がありますね。市東さんは、事故後、福島に行かれ、どういった印象を抱かれたでしょうか。
市東 福島に行ったときに、飯舘村の長谷川健一さんという方のお話を聞きました。その方は酪農家なんですけれども、作ったものも全部だめだし、牛もだめだし、残ったのは借金だけ。飯舘村の人たちは、結局泣く泣く休業という形は取ってましたけど、実際には廃業ですよね。ですから、その中でも、結局この原発ができたことを恨むといって、酪農家の仲間の中では自殺した方もいます。
――基地の被害を受けている沖縄にも行かれたというふうなことですけれども、その印象はどうでしたか。
市東 沖縄は、これで連続4回行っています。平らできれいなところは全部基地なんですよね。基地が一番いいところを取っちゃったんで、農業は不適地へ追いやられちゃっているみたいな。だから、あれは本当にびっくりしましたね。
――福島あるいは沖縄の惨状を目の当たりにされているということで、三里塚で農業を営んでいる市東さんは、どういうふうにお考えでしょうか。
市東 ああいうのを見た中で、私は私なりに今以上に農業を続けて頑張っていくんだということが、向こうの福島の人たちとも沖縄の人たちとも一緒になれる、気持ちの共有じゃないですけど、自分が頑張ることによって向こうの闘いに応えるというような形でその後もやっています。
――空港建設自体が間違っていたことが客観的に明らかになっている状況、今までの証言を踏まえて、改めて少しまとめて言っていただけませんか。
市東 90年来作ってきた土地が空港のためだけに取られる、土地収用法が失効しちゃっているのに、それでも、今度は農地法を悪用してまで取るという、そういうことに対して、私は非常に怒りを持っています。ですから、この空港会社のやり方を絶対に認めるわけにはいきません。
――最後に、裁判官に対してどういうことを望みたいか、おっしゃってください。
市東 沖縄基地、福島の原発、それと成田、この三つは、これからも同じ気持ちになって闘っていく。そしてその中で、農民、あるいは動労千葉を先頭とする労農連帯で空港廃港まで闘っていく、そういう決意をしたいと思います。裁判官に是非お願いしたいのは、どうか判決の前に天神峰の地に立っていただきたい。それから判決を是非書いてほしい、そういう気持ちでいます。
取り上げの二つの土地の一つは、農業をするには不可欠な作業場・農機具置き場、それとビニールハウス等がありまして、これがなければ私は農業ができません。ですから、そういうものを取るということは、本当にそこでもう農業をするなと、そういうことに等しいと思います。ですから、そういうことのないように、いつまでもそこで農業ができるような…僕はこれからも死ぬまで天神峰にいると思います。そこまでできるようなことを、裁判長のほうで考えていただきたい。
(終わり)
(写真 農作業に打ち込む市東孝雄さん【2月12日 天神峰南台の畑】)
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週刊『三里塚』(S868号2面9)(2013/04/01)
取香地区への空港拡張阻止!
右側に市東さん宅が見え、その左に第3誘導路。その左側がNAAの策動する取香地区への空港拡張計画。斜線部すべてが空港になる。市東孝雄さん宅は一層厚く空港に囲まれる
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