SANRIZUKA 2013/02/25(No866 p02)
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週刊『三里塚』(S866号1面1)(2013/02/25)
2・18 300人のデモで裁判所を圧倒
市東さん証言で裁判長に迫る 現地に立ち国の理不尽見よ
3・24大結集へ奮闘を
全国の力を三里塚現地へ
2月18日、市東孝雄さんの農地裁判において、市東さん本人の証言が行われ、、民事第3部・多見谷寿郎裁判長を追いつめた。並行して、地裁包囲行動に決起した300人の労農学は早朝からのさまざまな行動を展開した。特にトラクターデモは、千葉市民に強いインパクトを与えるとともに、裁判長による反動判決策動にクサビを打ち込んだ。同時にこの闘いは、3・24全国集会成功への号砲となり、三里塚闘争の新たな地平を切り開いた。安倍内閣による戦争と改憲の政治が労働者人民の利益と権利を侵害し始めているこの時、三里塚・動労千葉を先頭とした労働者・農民の闘いが、真っ向から対決する奔流を作り出したのだ。3・24全国集会へ。
2月18日、千葉地裁民事第3部(多見谷寿郎裁判長)で、三里塚反対同盟・市東孝雄さんの農地裁判(行政訴訟と農地法裁判を併合)が開かれ、市東さん本人への尋問が行われた。労働者・農民・学生・市民300人が全国から結集し、市東さんの本人証言と連帯する一日行動を闘いぬいた。
午前10時、千葉市中央公園。司会の萩原富夫さんの号令で総決起集会が始まった。最初に北原鉱治事務局長が発言に立ち、「今日は市東さんが闘いの正義をかけて証言する。祖父の代から耕されてきた農地が裁判によって奪われることを許してはならない」と奮起を促した。さらに反対同盟顧問弁護団の葉山岳夫弁護士、動労千葉の田中康宏委員長が決意を表した。関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会、市東さんの農地を守る沖縄の会の発言を受け、高らかにシュプレヒコールを上げた。
この日は、三里塚現地から運び込んだ3台のトラクターが力強いエンジン音を響かせて、デモを先導、千葉市中心部を行進するトラクターデモには、道行く人々の注目が集まり、アピール効果満点だった。それぞれの車両には反対同盟と全国農民会議ののぼりがくくりつけられた。
千葉駅近く、京成千葉中央駅前など、文字通り千葉市の繁華街を席巻したデモに市民、労働者、学生、高校生などが熱い視線を送った。
デモは千葉地裁正面を通り、裁判所東側の吾妻公園で解散。次は人間の鎖による文字通りの地裁包囲だ。参加者は雨をものともせず、反対同盟・木内敦子さんの音頭で、農地収奪攻撃への怒りで手をつなぎあって裁判所を取り囲みシュプレヒコール。「反対同盟の歌」を大合唱して三里塚闘争史上初のヒューマンチェーンを成功させた。
(写真 トラクターを先頭にした300人のデモが千葉市中心部を席巻し、千葉地裁を追いつめた【2月18日】)
トラクターデモ登場
中心部を席巻、大きな注目
午後1時30分いよいよ開廷。まず、昨年5月に撮影された市東さんの畑と農作業のビデオが再生され、“農業に生きる市東孝雄”の等身大の姿が浮かび上がった。
NAAが代替地に土を運べばいいと迫っていることについて、市東さんは「微生物の働きと一体の土を、よそへ持っていけば同じように野菜ができるというのは素人の暴論だ」と断言した。天神峰と南台の畑は市東さんの耕す農地の約6割。そして天神峰の農機具置き場、出荷場、育苗ハウス――。市東さんは冒頭、「これらすべてを私から取るということは、農民として死ねということだ」と弾劾した。
父・東市さんが1999年1月に亡くなると、その年の暮れに孝雄さんは天神峰に戻り農業を継いだ。「おやじがやってきたことを尊敬していた。遺言状を見せられ、そこに『空港公団に農地や賃借権を絶対に渡すな』と書いてあった。おやじが守ってきたものを長男の私が守るのは当然と考え、気持ちを固めた」ときっぱり。
さらに「祖父の時から90年以上つくってきた土地を空港のために取られることなど認めない。私はあそこで死ぬまで農業を続ける」と強い覚悟を表した。03年12月に突如、市東さんは耕作地の底地の登記が空港公団(NAAの前身)に移ったことを新聞の報道で知らされたことを憤った。さらに「小作人に無断で農地を売り払うことなどありえない。これだけで農地法違反であり、売買は無効だ」と語気を強めた。そして公団が転用目的で土地を取得しておきながら、15年にもわたってそれを「放置」していたことが農地法違反であることについても、市東さんは厳しく指摘した。
農業・農民を守るべき成田市農業委員会、千葉県農業会議がNAAの手先となり、市東さんと反対同盟の訴えを退け、契約解除申請にお墨付きを与えたことについては「信じられない」と断罪。そして2月8日に判明したばかりの事実を明らかにしつつ、NAAのウソを暴き出した。NAAは「特殊車両の置き場を作るため」と言って天神峰のとなりの取香(とっこう)地区で新たな用地買収交渉を始めたのだ。これは、南台41−8番地のうち、空港敷地からはみ出した土地の問題について「(そこに)GSE(特殊車両)、ULD(コンテナ置き場)を作る計画だった」と説明してきた位置が、実は41−8ではなく取香であったことを自己暴露したのだ。説明は完全にウソだった。NAA代理人の顔は引きつっていた。
第3誘導路建設、殺人的騒音、団結街道の封鎖・廃道化など数々の営農と生活への破壊攻撃に対して、市東さんは徹底的に批判した。
4時間もの証言の最後に市東さんは、人生をかけた決意をたたきつけた。「農地法を悪用して農地を奪うことなど絶対に認めるわけにいかない。私はこの地で生きる権利をかちとる。工業製品輸出のために食糧は輸入すればいい――そんな農業切り捨てを認めない。福島の原発事故、沖縄米軍基地に怒る人がたくさんいる。私はそうした人たちと気持ちは一つだ。動労千葉を先頭とする労働者との労農連帯を貫き、空港廃港まで闘う。裁判長、判決を出す前に天神峰の地に立って、国の理不尽を見てもらいたい!」法廷は熱い感動と大きな拍手に包まれた。
法廷に入れなかった労農学は2時30分から再びのトラクターデモ。3時30分からは裁判所前でリレートーク。ここでは「市東さんの農地取り上げに反対する会」会員のシャンソン歌唱も登場。千葉地裁はまさに占拠された状態になった。
次回期日3月27日(水)では、いよいよ最終弁論が行われる。
午後6時30分には参加者全体が合流し、近くの会場で報告集会が行われた。市東さんが疲れも見せずに「これからもみなさんと弁護団の力を借りて成田空港廃港まで闘います」と笑顔を見せて簡潔にあいさつ。
弁護団全員が発言。最後に萩原進事務局次長がまとめを行った。「今日は千葉の霞が関にあたる場所を“三里塚デー”に変えた。やればできる。反動判決を絶対に出させないために、包囲を二重三重にしよう」と訴え、参加者を奮い立たせた。
(写真 夕刻まで、一日行動を闘いぬいた労農学が裁判報告会で勝利を確認した【2月18日 千葉市】)
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週刊『三里塚』(S866号1面2)(2013/02/25)
3・24全国集会招請状
総力結集し農地死守せよ
三里塚芝山連合空港反対同盟
全国の労働者、農民、闘う仲間のみなさん。市東孝雄さんの農地取り上げとの闘いがいよいよ決戦の時を迎えました。3・11大震災と福島原発爆発から2周年を前にして、安倍内閣は歴史の歯車を逆に回す一大反動を強めています。闘う民衆が連帯し共同して「国策」「国益」の名による逆流に立ち向かうことが今ほど求められている時はありません。反対同盟は3月24日に「国策」=空港建設と対決し身体を張って農地を守る全国総決起集会を開催します。大結集を呼びかけます。
市東さんの農地取り上げ攻撃は耕作地の6割、農業生産手段のすべてに及びます。作業場、農機具置き場、育苗ハウス、野菜の貯蔵所、会合のための離れ(別棟)等をすべて奪い、市東さんに農民としての「死」を強制するものです。
これらを農地と農民の権利を守る農地法の違法適用によって行おうとしています。この攻撃は、かつて例を見ない国家犯罪です。2月18日、市東孝雄さんは怒りに満ちた証言で法廷を圧倒しました。土に生きる農民の権利を満天下に告げる感動的な証言でした。
この不屈の闘いにおいつめられた空港会社は、3・7第3誘導路供用を強行しようとする一方、天神峰・取香(とっこう)地区で新たな空港拡張の策動に入りました。これは市東さんはじめ住民を空港の拡張によってさらに包囲し、圧殺する新たな移転強要攻撃です。東側誘導路の建設(2009年)、滑走路の北延伸(2010年)、横堀地区の誘導路拡張(2011年)そして今回の西側への拡大。まさに東西南北への際限のない空港の拡張を意味します。
さらに、国土交通省とNAAは、住民との約束をホゴにする一方で、成田空港の年間飛行回数の拡大を野放図に展開し、格安航空会社(LCC)の利益のためと称して、深夜・早朝の飛行制限を緩和しようとしています。今ですら短い静かな夜を削り、われわれ住民の健康を犠牲に航空会社の金もうけを優先しようというのです。
成田空港の「公共性」なるものは、完全に崩壊しました。全国の同志、農民、労働者のみなさん。2・18法廷証言と地裁包囲を出発点にわれわれは新たな闘いに突入しました。閣議決定から47年、半世紀に及ぼうとする三里塚闘争は、価値観の転換を突きつけた3・11と原発攻防、沖縄、そして極反動の安倍政権との闘いのただ中で、すべての民衆、労働運動と連帯し発展する闘いに突入します。反戦・反核・反基地闘争の砦、脈々と受け継がれる民衆闘争の歴史、絶対反対の実力闘争、三里塚が堅持してきた真価が未来に向かって解き放たれる時がきました。
*
三里塚への攻撃は、福島・原発と基地沖縄、TPP(環太平洋経済連携協定)、そして非正規労働者の生きていけない現実・労働組合破壊と一体です。いま怒りは地を覆い、闘いの新たな息吹となって噴き出そうとしています。三里塚の農地死守・実力闘争の意義と役割はきわめて大きく、闘いが人々の共感を限りなく広げるものと確信します。反対同盟とともに車の両輪として闘い続ける動労千葉、動労水戸の組合員。労働組合の真価をかけた国鉄1047名解雇撤回、非正規職撤廃に向かうストライキに連帯して闘おう。
さまざまな階層の人々がいまこそ大胆に連帯し、巨万の力を生み出そう! 反対同盟はなによりも被災地・福島の闘いと連帯します。反原発・反TPPの全国農民会議に闘う農民を糾合しよう。オスプレイの普天間配備を許すな! 沖縄を始めとする反戦・反基地闘争、関西を始めとする住民運動、市民運動と連帯しさらにすそ野を広げよう。あらゆる差別・抑圧を粉砕し、排外主義を打ち破り、韓国やアメリカ、全世界の労働者・農民と連帯して闘おう。
戦争と改憲の政治を進める安倍内閣と対決しよう。市東さんの農地を守る闘いからすべてを切り開く3・24全国集会へ1500人の結集を! 3・7第3誘導路供用開始阻止の現地闘争をうち抜き前進しよう。
2013年2月20日
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週刊『三里塚』(S866号1面3)(2013/02/25)
第3誘導路粉砕!
3・7緊急現地闘争へ
市東孝雄さん宅を空港の中に囲い込むための第3誘導路の供用が3月7日に強行される。左の写真のように完全に空港の中に取り込まれる。反対同盟はこの攻撃に対し、現地緊急行動を呼びかけている(要項別掲)。全力で応えよう。
現在ですら耐え難い東側からの航空機による騒音、振動の上に、今度は西側から、航空機の自走音、振動がふりかかる。この生活破壊を断じて許すな。国土交通省とNAAはこの誘導路建設に200億円もの税金を投入した。暫定滑走路についてはすでに2本の滑走路がある。その上に今回のムダな誘導路建設だ。徹底弾劾して闘おう。3・7から3・24集会へ。
(写真 第3誘導路が供用されると写真のように市東宅は囲まれる)
【闘争要項】
日時 3月7日(木) 午後1時30分
場所 市東さん宅南側開拓組合道路
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週刊『三里塚』(S866号1面4)(2013/02/25)
団結街道
映画『レ・ミゼラブル』は、秀逸のエンターテイメント作品で大ヒットした▼『レ・ミゼラブル』は、1862年にユゴーが書いた有名な小説。「パンを盗んだだけで19年間も監獄に入れられ、その後も警察から追われるジャン・ヴァルジャン」。19世紀前半のフランス社会―ナポレオン第一帝政から王政復古期を経た第二共和政の初期までを背景にしている▼ユゴーはブルジョア人道主義者だが、小説『レ・ミゼラブル』はその理想主義を発揮している。フランス資本主義の発展は激しい貧困と格差をもたらした。これに対してパリの労働者民衆は、大革命の産物とも言うべき英雄主義を発揮し、蜂起する▼これは、1832年の6月事件が題材。このパリ労働者の怒りは、新自由主義の下、「1lが99lを支配する」むき出しの格差社会、資本の下では生きていくことができない若者たちに共感を与えたようだ。映画では、このバリケード戦が当時のパリを再現した映像とともに描写されている▼このシーンは小生の70年代大学時代のバリケードストの思い出と重なる。活動家だけでなく一般学生が、機動隊の学内導入を阻止するためにバケツリレーで机や椅子などの備品を投げ出し、針金に括り付け、瞬く間にバリケードができた。そして機動隊に次々と石を投げ、バリケードを死守する者とともに踏みとどまった。映画の最後に、蜂起した人民が「民衆の歌」を大合唱するところが感動的だ。
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週刊『三里塚』(S866号1面5)(2013/02/25)
2・18一日行動が成功
人間の鎖、リレートーク、サウンドデモ…
(写真 千葉地裁を取り巻いた人間の鎖)
(写真 国労闘争団もリレートークに参加した)
(写真 行進の最後尾をサウンドデモが進み、道行く人の注目を集めた)
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週刊『三里塚』(S866号1面6)(2013/02/25)
闘いの言葉
表土を移動すれば他でも同じ野菜が作れるというのは農業に無知な暴論。土は微生物の働きと一体だから天神峰の畑でなければ安全で美味の野菜は作れない。2月18日 反対同盟・市東孝雄さん
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週刊『三里塚』(S866号1面7)(2013/02/25)
【闘争要項】3・24全国総決起集会
第3誘導路粉砕・市東さんの農地を守ろう! フクシマ連帯・原発再稼働許すな! 沖縄へのオスプレイ配備反対・基地撤去! TPP絶対反対! 軍事空港粉砕・改憲阻止!
3・24全国総決起集会
【日時】3月24日(日) 正午
【会場】成田市天神峰 反対同盟員所有畑
《行き方》京成成田駅から大型チャ−ターバス準備▼タクシーは東峰十字路
まで2千5百円▼車は成田インター→芝山町方向→小見川県道→東峰十字路
第3誘導路が供用されると写真のように市東宅は囲まれる
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週刊『三里塚』(S866号2面1)(2013/02/25)
全学連三里塚現地行動隊日誌
市東農地決戦の先頭に立つ
裁判所包囲したぞ
2月18日に闘われた市東さん農地裁判にむけ、全学連三里塚現地行動隊は様々なところで、この裁判への結集を呼びかけてきました。街頭宣伝は成田駅をはじめ、千葉県下の大学にも毎週行きました。また、官邸前の金曜日集会にもできる限り参加し、宣伝を行いました。農民にとって大きな問題であるということで、2月5日の反TPP官邸前集会(毎月第1火曜日)にも参加したところ、ひときわ注目を浴び、発言を求められるとともに、翌日の農業新聞には行動隊長へのインタビューが載りました。ティーチイン千葉や全学連の学習会などでも闘う仲間たちに2・18裁判への結集を訴えました。
その成果が2・18闘争に表れていたと思います。平日の、しかも雨の降る中、多くの労働者や学生が集まり、初めて集会やデモに参加したというような人もたくさんいました。人間の鎖においても裁判所を包囲することができました。裁判所の外と法廷の両方で労農学の怒りに包囲された多見谷裁判長は、市東さんの「空港廃港まで闘う」という決意や傍聴者からの弾劾の声の前に、千葉県の主張を擁護しきることはできませんでした。反対同盟顧問弁護団の追及から県を擁護しようとした多見谷裁判長の意図を粉砕したと言えます。
街宣を行っていて、空港反対に反対する人がよく言うのは「成田市の経済は空港によって支えられているのだから、空港をなくしたらどうするのか」「労働者の雇用はどうするのか」「もうできちゃったんだから今さら反対してもどうしようもない」ということです。こういった話を聞くにつけ、空港と原発は同じだ、と思います。最初空港の建設計画があった富里(成田の隣町)は篤農家が多かったこともあり、激しい反対運動で空港建設計画はつぶれました。そこで、戦後に開拓が始まったため、当時まだ貧しい農家が多かった成田に空港を持ってきたのです。そして農民の生活苦につけ込んで買収し、部落の団結を壊し、機動隊の暴力や地上げ屋まがいの行為で住民を追い出してきたのです。農民から農地を奪い、空港がなければ働けないようにしておいて、空港を押しつけようとしているのです。市東さんへの追い出しをおこなう成田空港会社の姿は、今の大学の姿にも重なります。公共性の名の下に空港を作り、現実には空港利用者や周辺住民のことなど全く顧みず空港の利潤だけを追求しています。
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また、空港に反対する市東さんの農地を裁判という暴力で奪おうとし、市東さんを追い出すためだけに必要もないのにばく大な費用をかけて第3誘導路を建設しています。さらには国家権力による反対同盟への日常的な監視や嫌がらせ。誰が見ても公共性や正義とは無縁のこんな横暴を成田空港ができるのは、それが国策であり、警察や裁判所、成田市や千葉県が守っているからです。
このあり方は、まさしく今の大学と同じです。今の大学は、社会貢献などと言って原発を推進し、キャンパスの平穏を守るためと言って大学を批判する学生を費用をかけて弾圧し、警察の暴力で排除しています。こんな横暴がまかり通るのも大学が警察や裁判所に守られているからです。
このように三里塚の闘いは、原発の問題や学生のおかれている状況とまったく同じです。だからこそ、現地行動隊は労働者や学生に、これは農民の問題ではなくすべての人の未来を賭けた闘いだと訴えてきました。2・18裁判を終えたばかりですが、闘いはこれからです。今回多くの人が集まったとはいえ、まだ多見谷裁判長を完全に粉砕したわけではありません。この人数を相手に強制執行は無理だ、と思わせる多数の結集が必要です。多見谷裁判長の不当判決を粉砕すべく、3・24集会に結集しましょう。
(写真 2月18日、リレートークに参加する全学連三里塚現地行動隊【千葉地裁前】)
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週刊『三里塚』(S866号2面2)(2013/02/25)
「最後は国家との闘い」
三里塚学習会に参加して
2月17日、全学連中央執行委員会の前に三里塚闘争の学習会を行いました。そのときの討論で出された感想を紹介します。
京都大学 S
僕も1回、援農に行ったことがあって、そのときにやっぱりすごいなと。市東さん一人を追い詰めるためにわざわざ空港で土地を取り囲む、この国家そのものと対立して闘っているという。
どの闘いだって国家との闘いに最終的にはなっていくわけじゃないですか。最終的に国家との直接的な対立というのが生まれて、そこで三里塚の闘いがものすごく生きてくるんじゃないかと思います。だからこそ三里塚の闘いを絶対に負けない、勝利させるっていうのが重要だと思います。農作業いいですよね、飯もうまいし、僕もまた援農に行こうと思っています。
法政大学 H
僕が最初に援農に行ったときに感じた三里塚の現状はすごかったです。滑走路が目の前にあって飛行機が目の前を飛んでいる下で農業を延々とやる。周りには買収されちゃってすごい邸宅建ててる農民がいる。ああいうのを見たときにすごい生々しいなと。一緒に闘おうという農民を分断して、ほかの一般市民を遠ざけようとしたり、そういう分断につぐ分断が一生懸命やられてきた。だけど団結という一点だけで守ってきたというのがすごいなと。人間なんか金とか権力なくてもやろうと思えば結構やれることあるんだなと、ものすごく感じることができるんじゃないのかなと。だから三里塚とか行ったことない学生というのは行ったほうがいいし、僕も法大から連れていける人がいたら連れていきたいと思う。
福島大学
三里塚で起こってきたことは、福島や沖縄と共通点があると思います。原発事故で住む場所を奪われた人や、米軍基地の米兵による犯罪の被害を受けたりしている沖縄の人、仕事だとか農場や住む家を奪われそうになっている三里塚の人たち。国家権力の国策によって普通の暮らしができなくなっているという点で福島−沖縄−三里塚は似たような問題をかかえているとあらためて共感しました。
三里塚における過激派バッシングがあったと思うんですけど、福島でも3・11二周年にして、過激派バッシングが行われていて、あの人は過激派とつきあっているからかかわるなとか、この集会は過激派とかかわっているから行ってはいけないんだとか、そういうネガティブキャンペーンが最近増えている。やはり動あれば反動ありというか、人民が声を上げるということを恐れているからこそ、反動的な行動をする、そういう点でも福島と三里塚は同じなんだと感じました。
一度援農で行かせてもらったことがあるんですけど、農作業している途中何回も飛行機の爆音が聞こえてきて、本来は農村というのは大体静かなところと思っていたんですけど、飛行機の爆音とか飛行機が民家の屋根のすれすれのところを飛んでいくのを見たり経験して、これは本当に異常なことだと感じました。やはり百聞は一見にしかずという言葉のとおり自分の目で体験してみるというのは非常にいいことだと感じました。
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週刊『三里塚』(S866号2面3)(2013/02/25)
飛行時間延長に怒り
成田市長 「厳しい反発、想像以上」
深夜・早朝の飛行時間延長攻撃に対する周辺住民の怒りがさらに拡大している。こうした騒音下住民との連帯を反対同盟は強めている。
国交省とNAAは、2月7日から11日まで、成田市騒音地区での「説明会」なるものを6カ所で行った。その場での住民の意見や反応が明らかになってきた。
飛行制限緩和に賛成する意見はゼロだった。 説明会に参加した男性は「防音工事をうけた家に住んでいるが、今でも朝6時にガーッと飛行機が来て目が覚めてします。今回の提案以前の問題だ」と声を荒げた。
説明会を拒否した下総地区にある成田市西大須賀の主婦は「着陸する航空機が近づくと地震の揺れ始めのような振動があり、轟音がしばらく続く。いまだに慣れない」と語り、さらに「静かな夜に1機でも上を通れば、必ず目が覚める。ここは夏に着陸機が多い。寝苦しい中、着陸が(午前6時から5時に)1時間早まると余計にストレスがたまる」と怒った。
この西大須賀を含む下総地区空港対策委員会は、前記説明会の拒否を決めたが、2月15日夜、成田市内で役員が集まって対応を協議した。堀江昭夫会長によると、20人近い出席者のうち、説明会受け入れに賛成する意見は出なかった。
同地区は「年間離着陸回数30万回容認(10年)もB滑走路北側延伸(09年)も、説明会を受け入れたことが『了承』の既成事実にされた」として、説明会を拒否している。飯田健夫事務局長は「結局はダイヤのない延長だ」と飛行制限の全面撤廃にまで行きかねないことに懸念を表明した。 11日の説明会に出席した小泉一成成田市長も「『生活環境が変わる。冗談じゃない』との声が大半。想像以上に厳しかった」と認めざるを得なかった。
2月18日からは3月上旬までの予定で、芝山町での説明会が始まった。さらに激しい反対の声が上がるのは必至だ。反対同盟は騒音地区住民へのビラまき活動を強め、連携を密にしていく方針だ。
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週刊『三里塚』(S866号2面4)(2013/02/25)
空港拡張計画が発覚
取香地区に 特殊車両基地へ用地買収
2月8日の新聞報道で、成田市取香(とっこう)地区への空港拡張の策動が判明した。取香地区とは市東孝雄さん宅の目と鼻の先。市東さん宅の前の道路を西側に進むとトンネルをくぐる。このトンネルを出た前方および左側全体が取香地区だ。ホテルが建ち民間駐車場が並んでいる。この内「左側部分」を全部空港にしようという許しがたい策動だ。
すでにこの部分で、NAAが土地の買収に動いている。仮にこの取香拡張計画が強行されれば市東さん宅はさらに「厚く」空港の中に取り込まれることになる。
萩原進事務局次長は憤慨して次のように語った。「暫定滑走路側の空港部分では、まず09年に東側に拡張された。東側誘導路だ。さらに10年には北側に拡張された。北延伸の強行だ。南側では11年に横堀地区で誘導路の整備のために空港が拡張された。東、北、南と来て今度の取香拡張は西だ。要するに東西南北勝手に空港をどこまでも拡張するという住民追い出し策で許しがたい」。
拡張予定の場所は、格安航空会社のための「GSE、ULD基地」だという。GSEとは航空機の清掃などのための特殊車両置き場。ULDとは航空貨物用のコンテナ置き場。
ここで別の疑問が沸いてくる。市東さんの農地裁判で、NAAが旧地主から買収した南台41−8の畑で、空港敷地からはみ出した部分があることが明らかになっている。ここは県知事の許可が必要なのに、NAAは許可を取らず買収は無効だ。追及されたNAAは「そこはGSE、ULD基地を計画しているから空港の一部。許可はいらない」と言い逃れを試みた。しかし、今回の取香地区での「GSE、ULD計画」の発覚は、そのNAAの説明がウソだったことを示すものだ。GSE、ULD基地の計画は41−8ではなく取香地区だった。この点でも市東さんと反対同盟は追及を強める方針だ。
(写真 空港拡張計画が発覚した成田市取香地区。市東さん宅のすぐ南側)
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週刊『三里塚』(S866号2面5)(2013/02/25)
2・19第3誘導路裁判
3・7「供用」に反撃
2月19日、千葉地方裁判所民事第3部・多見谷寿郎裁判長の下で、第3誘導路認可取消訴訟の第9回弁論が闘われた。反対同盟は北原鉱治事務局長を先頭に、前日の2・18裁判所包囲闘争の勝利感をみなぎらせて弁論闘争を闘った。
反対同盟側は前回弁論(昨年10月23日)で、成田空港による騒音が「航空機騒音環境基準」「成田市公害防止条例」に違反している問題を追及し、準備書面6を出した。 すなわち成田市の条例によれば規制基準は朝夕(6〜8時および19時から22時)では55デシベル、昼間(8〜9時)は60デシベル、夜間(22時〜6時)は50デシベルだ。ところが、市東さん宅では、この基準値をはるかに上回る騒音が出されている。最大で100デシベルの騒音が観測されているのだ。これは前回提出した「騒音測定調査」によっても明らかだ。
この上、第3誘導路の供用を開始することになれば、この違法状態がさらに悪化する。この観点から19日の弁論でも、NAA側の「騒音の被害は大したことない」という居直りに反撃の準備書面7を提出し追及した。
弁論終了後の報告会では3・7第3誘導路の供用開始に対して、緊急現地闘争で反撃することが改めて報告され、結集が呼びかけられた。
次回5月13日(月)午前10時30分の弁論に集まろう。
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週刊『三里塚』(S866号2面6)(2013/02/25)
全国農民会議が総会 福島県二本松市
3・11福島から3・24三里塚へ
全国農民会議総会・全国農民交流集会が1月26日〜27日の2日間にわたって福島県二本松市で開かれた。三里塚反対同盟からは市東孝雄さんと萩原進さんが参加した。
26日午後には第1部として全国農民会議第1回総会が開かれ、議案、規約などが承認され、役員体制として福島の鈴木光一郎さんと千葉の小川浩さんが共同代表となることが拍手で確認された。
続いて第2部として農民交流集会が行われた。最初に、福島診療所建設委員会の渡辺馨さんが連帯発言を行い、3・11福島への大結集を呼びかけた。続いて「除染と補償の実態」と題して、福島農民の現状を果樹農民、福島市の農協職員、本宮市で酪農を営む鈴木光一郎さんが報告した。国・行政の無責任な対応と闘いつつ食物の安全を追求している苦悩と苦闘、原発への怒りが率直に語られた。質疑応答の中で萩原進さんが立ち、「福島農民の血の叫びが体に響いた」と、農民同士の連帯した闘いを訴えた。
翌27日は、第3部として総合討論が行われ、最初に市東さんが発言に立ち、農地死守の断固とした決意を述べた。全国からの参加者は次々と、反原発、反TPP、三里塚連帯を自らの課題として闘う決意を表した。最後に萩原さんが@自分の地域で現在を倍する農民会議の会員を獲得しよう、A全県下に農民会議をつくろう、B農民会議の力で市東さんパンフを3千部まききろう、と具体的方針を呼びかけ、全体の拍手で確認された。
(写真 規約、役員を決めて成功した全国農民会議総会【1月26日 福島県二本松市】)
会場からの発言
●鈴木光一郎さん
福島の被曝の状況、現実は大変厳しいものがあります。原発事故はなんら解決していない。除染していないところはいくらでもある。田んぼの隅と真ん中では線量がまるきり違う。3倍、4倍の違いがある。百姓が一生懸命に努力してやっと、コメの放射能が20ベクレルくらいでおさまっている。だが放射能に対する農民の闘いは来年も再来年も続く。日々それと向き合っていることを知ってほしい。
若い酪農家と話になって感動したのは、彼がここから出ていくつもりはまったくない、この福島にとどまって絶対に生きてみせると言ったこと。30年、40年かかってもこの地で農民として生きぬくんだと。この気持ちは、三里塚に通じるものがある。絶対にあきらめないんだと。
今年も3月11日、福島での集会を、去年を上回る熱気と力をもって打ち抜きたいと思います。3月11日には、ぜひ福島に来て下さい。福島は絶対に原発を許さない。このまま再稼働が進められたら、第二の福島事故が必ず来る。絶対に繰り返させません。
●小川浩さん
労働者を生きさせることができない低賃金でこき使い、農民もやはり農民として生きることができない社会は、本当に末期的で社会の体をなしていない。われわれも苦しいが、1%の支配者側もどうしようもなくなっている。
市東さんの農地、取られるか守るか二つに一つの闘い。原発も廃炉にしていく以外にない闘い。福島で農業をやるんだという農民の闘いと、市東さんの闘いと、本当に一つになることが大事。なんとしても闘いぬき、守りぬきましょう。
●市東孝雄さん
三里塚闘争47年目にしていまだ成田空港は完成していません。国策に対する抵抗が完成を阻んでいる。第3誘導路が200億円もかけて造られたが、私の家を空港の中に囲い込み追い出すためのもの。本来農民を守るべき農地法を悪用して土地を取り上げるなど、絶対に許せません。
私の問題と福島の原発の問題、沖縄の基地問題は、根っこは一つだと思う。憤りを感じている人がいっぱいいる。その人たちと気持ちを一つにして闘っていきたい。
●萩原進さん
農民の、農村の夜明けがあるかどうかがこの集まりにかかっている。土地も人間の心も国家のものだとする仕組みを押しつけて、何がなんでも押し通すんだというのが今の姿。沖縄でも、福島でも、三里塚でも同じだ。特権階級の支配者のやり方を許していたら、とんでもない世の中になる。
動労千葉をはじめとする労働者階級との労農連帯を追求しながら、今こそ三里塚で一点を突破するような闘いを展開したい。千葉地裁をガタガタにする闘いをやり、市東さんの土地を取り上げるならとんでもないことになるとはっきりさせる。戦後の血のにじむ闘いの中でかちとってきた権利を今、生きるために行使しなければならない。それをやれるのは三里塚であり沖縄、福島だ。あらゆる方法で訴えて実行していこう。
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週刊『三里塚』(S866号2面7)(2013/02/25)
三里塚営農だより
萩原進さん宅
トラクターデモ先頭で
2月18日、市東農地裁判。千葉市中央公園で集会を行い、そこから多見谷裁判長がいる千葉地裁までのトラクターデモをやりました。千葉市内のデモでトラクターを走らせるのは40年ぶりです。
気温5度、小雨降る中、市民の注目を浴びての行進。3台用意したトラクターの先頭に萩原富夫さんが乗り込み宣伝カーのシュプレヒコールに合わせ拳を振り上げます。
冷たい雨に打たれた手が赤みを帯び、怒りで湯気立つように見える拳はそのまま多見谷裁判長にたたきつけられています。
そのトラクターも今では畑や田んぼを耕すだけでなくロータリーを交換する事で様々な作業ができるようになっています。人参、里芋、サツマイモなどの根菜類、さらに器具を変えて1b以上のゴボウまで掘れて、畑ではこれからジャガイモ、里芋の作付けが始まります。
サァ〜テ、千葉市内デモでリフレッシュしたトラクターに乗り、畑を耕しますか!
(写真 デモの先頭でトラクターを運転する萩原富夫さん【2月18日千葉市】)
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週刊『三里塚』(S866号2面8)(2013/02/25)
三芝百景 三里塚現地日誌 2013
2月6日(水)〜2月19日(火)
●三里塚闘争支援連絡会議は、2・18千葉地裁包囲闘争を訴える京成駅前情宣を行った。(6日)
●成田市遠山地区で飛行時間制限緩和についての説明会が行われた。(7日)
●NAAが成田市取香地区で、LCCのための特殊車両基地などを造るために空港を拡張しようと買収工作を行っていることが判明した。(8日)
●反対同盟は、第3誘導路の供用開始が近づいていることに対して、記者会見を行い、NAAのマスコミキャンペーンに反撃する意志を表明した。(8日=写真)
●NAAはマスコミを招待して、第3誘導路の現場を案内した。(8日)
●三里塚闘争支援連絡会議は、京成駅前で2・18千葉地裁包囲闘争への参加を呼びかける情宣活動を行った。(9日)
●三里塚現闘と全学連三里塚現地行動隊は原発なくせ!ちばアクション主催のティーチインに参加した。(11日)
●支援連絡会議は京成成田駅頭でビラまき情宣を行った。(13日)
●成田市下総地区空港対策委員会が「門限」問題で協議を行い、「NAAからの説明会を拒否する」との方針を再確認した。(15日)●三里塚現闘と全学連三里塚現地行動隊は反原発首相官邸前行動に参加した。(15日)
●2・17国鉄集会に三里塚現闘、全学連行動隊が参加した。(17日)
●市東さんの農地裁判が千葉地裁で開かれ、市東さんが証言した。並行して千葉地裁包囲闘争が成功裏に闘われた。(18日=1面に記事)
●第3誘導路認可取消訴訟の弁論が千葉地裁で行なわれた。(19日=2面に記事)
●成田の航空需要の行き詰まりの実態が報道された。年間発着回数は2012年にやっと20万回を超えたのが実態。27万回化だの30万回化と喧伝したが発着枠を埋めることなど絵空事だった。(19日)
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週刊『三里塚』(S866号2面9)(2013/02/25)
《三里塚闘争裁判》
●3月12日(火)団結街道裁判
午前10時30分 千葉地裁
●3月27日(水)市東さん行訴・農地法裁判
午後1時30分 千葉地裁=最終弁論
●5月13日(月)第3誘導路裁判
午前10時30分 千葉地裁
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