SANRIZUKA 2012/01/16(No839 p02)
|
週刊『三里塚』(S839号1面1)(2012/01/16)
鈴木謙太郎さん急逝の悲しみ乗り越え、遺志ひきつぎ
2012年市東さん農地決戦に勝利するぞ!
反原発、反TPP、野田打倒へ大激突の年、三里塚が先頭に
1・8団結旗開き 新年デモで決戦突入宣言
2012年の三里塚闘争は、事務局員であった鈴木謙太郎さんの急逝を乗り越えて闘うデモから始まった。
1月8日、労農学が東峰十字路北側開拓組合道路に結集し「市東さんの農地取り上げ阻止、原発・TPP絶対反対」を真っ向から掲げた。参加者は、勝利半ばに逝った謙太郎さんを悼む黙祷を行い、動労千葉・繁沢敬一副委員長と葉山岳夫弁護士のあいさつを受けデモに立ち上がった。デモの先頭は市東孝雄さんだ。デモ隊は東峰十字路を横断し例年通り、東峰神社でシメ縄付けを行った。その頭上すぐ真上を飛ぶ航空機の騒音やジェット風が激しく襲いかかった。萩原進事務局次長はマイクを握り、「騒音による生活破壊は許せない。空港によって謙太郎は殺された」と弾劾し、「NAAは東峰神社の立ち木の伐採を要請してきている。一人でもいる限り東峰神社は撤去できない」と東峰神社を守りぬくことで滑走路延長を阻むことができる、と表明した。北原鉱治事務局長が宣伝カーから「12年は昨年をこえる闘いをやろう」ととあいさつし、デモを再開した。
旗開きは、午後1時より成田市内のレストランで行われた。参加者は、160名でこれまでの最大規模だ。開会あいさつで萩原富夫さんは「鈴木謙太郎さんは57歳でした。私たち反対同盟は心の底からこみ上げる悲しみを抑えることが出来ません。しかしわれわれは謙太郎さんの遺志を引き継いで、今年一年新たな気持ちで謙太郎さんの分も断固として闘っていきます」と悲しみをこらえ支援を呼びかけた。
12年反対同盟闘争宣言(別掲)を伊藤信晴さんが読み上げた後、北原事務局長が反対同盟を代表して「12年は三里塚の決着を付ける年」とあいさつをした(別掲)。
乾杯の音頭は市東孝雄さん。市東さんは「謙太郎の死を受け入れるのは時間がかかる。しかし自分たちも前に進まないといけない。謙太郎の悲しみや無念さを心に留め置き、また謙太郎と共に今年皆さんと一緒に闘いを大爆発させていきたい。どうか昨年以上に力を貸して下さい」と力一杯音頭を取った。
会食と歓談が盛り上がり、萩原進事務局次長が各テーブルにお酒をついで回った。学生のテーブルでは、持っていた一升瓶がたちまちになくなり萩原さん自ら受け付けに駆け込み新たな酒瓶の封を開け注ぎ直した。今年の旗開きは、首都圏の学生が大挙参加し若い力が全体を牽引した。
来賓あいさつは動労千葉、顧問弁護団、群馬・市東さんの農地を守る会の青柳晃玄さん、市東さんの農地取り上げに反対する会、闘う農民、動労水戸、ス労自主、全学連、婦民全国協、都革新の長谷川英憲さん、「星野さん全国再審連絡会議」の星野暁子さん、革共同・鎌田雅志同志が決意を表明した。
(写真 新たな決意を固める反対同盟 乾杯の音頭の前に鈴木さんの死を悼む言葉を述べる市東孝雄さん【1月8日 成田市内レストラン】)
固い労農同盟誓う 動労千葉など先頭にして
動労千葉・田中康宏委員長は「TPPで労働者と農民が手を結ぶことが本当に問われている。動労千葉は昨年11月から今日まで長期にわたる指名ストライキを続ける中で新年を迎えた。労働運動の再建、復権の道は非正規職問題に階級的労働運動が立ち向かえることを現実の闘争で示す以外ない。10年間外注化を止めてきた闘いの地平で、この攻撃に1月から4月全力を尽くし立ち向かいます」と決意を述べた。
反対同盟とともに闘う農民は「謙太郎さんがTPPにも反対していたように、今年は全国の農民がTPPによって壊滅するかどうかの重要な局面だ。そういう意味で謙太郎さんの意志と決意を受け継いでともにしっかりと闘いぬいていきたい」と全国農民の決起に向けた闘いを強い決意で進めることをアピールした。
沖縄・市東さんの農地を守る会からのメッセージ読み上げの後、斎藤郁真全学連委員長は「世界は完全に革命情勢に突入した。今こそ本当に三里塚闘争を爆発させ日本革命への道を切り開かなければならない」と三里塚現地行動隊の強化を表明するとともに福島大や京都大の闘いを報告した。革共同の鎌田同志は「私たちが鈴木謙太郎さんの死に報いる道はただ一つ、12年を三里塚闘争の歴史的な勝利の年にすることだ」と、3・25全国闘争の巨大な結集と3・11の福島現地大集会の方針を提起した。
謙太郎さんの意志を受け継ぎ12年、三里塚に総決起する各発言者の訴えに会場が高揚する中、萩原進さんがまとめの提起を行った。萩原さんは「謙太郎の死を語るのに涙が出て言葉にならない。悔しさと無念、怒りにあいさつが難しいけどよろしくお願いします」と目頭を熱くさせながら「12年の三里塚の闘いは、市東さんの農地を守る決戦の年」「農地を武器に現体制に闘いを挑もう」と檄を飛ばした(別掲)。最後に団結ガンバローは「亡くなった謙太郎さんと一緒になって鈴木家を支えよう」「悔しさと無念さを怒りに変えて、一丸となって謙太郎の分も闘おう」と12年の勝利を謙太郎さんの霊に誓うものとなった。
今年の旗開きは、市東さんの農地決戦にむけた強固な意思統一を作りだした。
(写真 140人の労農学が意気高く新年デモを打ち抜いた【1月8日 成田市東峰】)
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号1面2)(2012/01/16)
1・8団結旗開き
日本を変える闘い 事務局長・北原鉱治さん
三里塚は労働者農民の連帯した闘いで成田空港の完成を阻んでいます。これは正義なのです。
原発事故で放射能が全土を覆っています。放射能は土に埋めたら消えるものではありません。これでいいんですか。労働者人民の生命を権力は考えていません。この権力が同時に成田空港の完成を目指しています。大きな過ちを犯しているのです。
私達は47年間、全国の心ある人々と未来を背負う若い労働者学生と共に闘い続けてきました。2012年、前途の見えない日本の政治のあり方を根本から変えていかなければならない。そこに三里塚闘争があるのです。今年は三里塚のひとつの決着を付ける年として考えています。どうか皆さん、全力をかけて三里塚闘争勝利を目指し闘うためにご尽力と共闘を心からお願いします。
国策と全面対決を 事務局次長・萩原進さん
2012年の三里塚の闘いは、市東さんの農地を守る決戦の年である。市東さんの農地を武器に現体制に闘いを挑むことを宣言する。3・11情勢下、三里塚は人民の渦に飛び込み総決起を促す。闘いが堰を切っている今、われわれが世界を動かす時が来た。反対同盟は、その最先頭をわが身でやりぬく。
福島の農民は涙を流しながら「この地で農業を続ける」と闘っている。この農民の存在、福島人民の存在が原発を許さない。根本的な問題は原発を推進してきた国・東電・自治体・学者これらに責任を取らせる立場を取ることだ。福島の人々の苦しみ、沖縄・三里塚、立場は皆同じだ。国策・国益との対決だ。TPPもそうだ。「国策・国益」に対してわれわれは今こそ胸を張って、「空港こそ人民に対する悪」「原発こそ悪」、これを撤去しなければ人民は生きられないことを、対置しよう。
市東さんの農地を守る闘いは勝利的に闘い抜いている。広汎な人にもっと呼びかけてもらいたい。三里塚闘争をもう一つグレードアップしよう。そのためには全国の農民に訴え、全国農民戦線を構築する闘いを明日から始めたい。そのことを約束し、謙太郎の死をのりこえるために力を貸していただきたい。
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号1面3)(2012/01/16)
「謙太郎さんの分まで闘う」
1・10告別式 友人・仲間多数が哀悼
反対同盟事務局員で会計担当だった鈴木謙太郎さんが1月7日午前10時9分、心原性脳梗塞(こうそく)により千葉県九十九里町の病院で急逝された。57歳という若さだった。1月9日に通夜、10日に告別式が、鈴木さんの住む芝山町の隣、多古町の葬儀場で営まれ、会場をあふれる弔問客が参列した。
告別式は10日の12時30分に開始。反対同盟、動労千葉、全学連、革命的共産主義者同盟、市東さんの農地取り上げに反対する会、北総農民、そして地元部落の人びとらが参列した。開式直前には「鈴木謙太郎さんを偲んで」と題したスライド映像が流された。謙太郎さんの七五三の祝いの画像から、加代子さんとの結婚式、3人の娘との絆を表す画像の数々。そして市東孝雄さん、伊藤信晴さん、萩原富夫さんとの反対同盟若手座談会の写真、昨年の7月18日、現闘本部破壊攻撃に対して反対同盟が取り組んだ緊急現地闘争で司会をする写真。さらにはジャガイモ掘りの農作業の写真、産直消費者との芋掘り大会の写真などが次々と映し出され、参列者は涙とともにあらためて謙太郎さんの偉業と人柄を偲んだ。
読経がいったん中断され、公私共に深い絆で結ばれた市東孝雄さんが反対同盟を代表して弔辞を読み上げた。「心の底からこみあげる悲しさが、何度も何度も襲ってきます」しかし、「もはや悲しみに沈んでばかりはいられません」「空港絶対反対の勝利をかちとるまで闘いぬきます」。(2面に全文)
初七日、49日の繰り上げ法要も行われ、午後2時前、火葬された遺骨はふるさとである芝山町中郷部落字荻作にある部落の共同墓地へ野辺送りされ、父・幸司さんと同じ墓に葬られた。ちなみに地名の荻作(オギサク)は鈴木家の屋号でもある。
弔辞にあるように「悲しんでばかりはいられない。前に進まなければならない」。そして今年は市東さんの農地決戦だ。謙太郎さんの死をのりこえて、2012年三里塚決戦へ前進しよう。
(写真 葬儀で反対同盟を代表し弔辞を読み上げる市東孝雄さん【1月10日 多古町】)
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号1面4)(2012/01/16)
2012年闘争宣言
3・25全国集会の爆発へ 三里塚芝山連合空港反対同盟
2012年の三里塚は市東さんの農地を守る決戦の年である。それは同時に、3・11以後とみに攻撃を強める政権との激しい闘いの年である。すべての人々に生き方が問われている。闘いが堰を切って世界を動かす時がきた。わが反対同盟はその最先頭に立つ決意を新たにする。
民主党・野田内閣は長期不況と大失業、財政破綻にあえぎ、震災と原発による放射能の拡散に混迷を深めつつ、その一切の矛盾を労働者、農民に押しつけ延命しようとしている。冷温停止の「収束宣言」と原発輸出、TPP(環太平洋経済連携協定)と消費大増税、沖縄・辺野古の環境アセスの強行は、おいつめられ暴走する弱体内閣の姿そのものである。
「国難」を叫び、金正日の死で朝鮮半島の危機をあおり、すべての闘いを封じようとする政府・財界に対して、いまこそ目に物見せてやろうではないか。
3・11の衝撃は競争原理と経済効率優先の価値観を一変させた。そして「国策」「国益」なるものが、およそ人々の利益に反するものであることを鮮明に突き出した。国策=空港建設に対して46年間身体を張って闘い、完成を阻む三里塚の正義を、反対同盟はあらためて確信する。労農連帯の下、広範な人々との統一した闘いをもってすれば、いかに「国策」といえどもうち破ることができるのだ。「市東さんの農地取り上げ反対」を旗印に断固闘うものである。
すべての原発の再稼動を許さず廃棄へ、被災地の人々とともに闘おう! 全国の農民、労働者はTPP絶対反対を掲げ立ち上がろう! 辺野古・高江の新基地建設を阻止しよう!
中東、ヨーロッパ、アメリカで、そして韓国、中国でデモ・ストライキが燎原の火のように広がっている。三里塚は動労千葉を始めとする労働者、関西を始めとする全国の住民運動、市民運動、学生運動と力を合わせて、新たな時代を切り開く決意である。
第3誘導路建設実力阻止! 市東さんの農地を守る幅広い支援運動を! 国策裁判と闘う三里塚裁判闘争に勝利しよう! 3・25全国集会への大結集を訴える。
2012年1月8日
三里塚芝山連合空港反対同盟
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号1面5)(2012/01/16)
ピンスポット “労働者の闘いで社会を変える”
外注化阻止決戦へ
動労千葉旗開き 170人の結集で盛大に
動労千葉の団結旗開きが1月7日、DC会館で開催され170人が集まった(写真)。冒頭、繁沢敬一副委員長が開会を宣言。あいさつに立った田中康宏委員長は、「昨年起きたことは始まりに過ぎない。爆発している労働者の闘いは止められない」「私たちは労働組合復権の闘いを、国鉄闘争にこだわって作りたい。国鉄分割・民営化からすべてが始まった。青年を使い捨て、暴利をむさぼるような社会でいいはずがない」「動労千葉は『外注化・非正規職化は止めることができる』ということを現実の闘いで示したい」と力強く提起した。
来賓あいさつの冒頭、反対同盟の鈴木謙太郎さんの急逝が司会から伝えられ参加者に衝撃が走った。
動労千葉顧問弁護団などのあいさつの後、家族会の会長らと田中康宏委員長が鏡開き。参加者全員が杯を掲げて12年の奮闘を誓い合った。決戦の先頭に立つ動労千葉争議団の中村仁さん、幕張支部の山田護支部長、京葉支部の青年が次々と決意表明すると熱気は最高潮に。
旗開きは、昨年、外注化阻止と組織拡大を軸に大きな前進を切り開いた自信にあふれ、決戦本番の決意みなぎる会となった。
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号1面6)(2012/01/16)
闘いの言葉
われわれは悲しみを乗り越え謙太郎さんの遺志を引き継ぎ、今年1年新たな気持ちで謙太郎さんの分まで断固として闘っていきます。
1月8日 反対同盟・萩原富夫さん
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号1面7)(2012/01/16)
【三里塚闘争裁判】
●1月17日(火)団結街道裁判 午前10時30分 千葉地裁
●1月23日(月)市東さん耕作権裁判 午前10時30分 千葉地裁
●2月7日(火)第3誘導路裁判 午前10時30分 千葉地裁
●2月20日(月)市東さん行訴・農地法裁判 午前10時30分 千葉地裁
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号2面1)(2012/01/16)
TPPの日米事前交渉開始許すな!
1月後半の開催を画策
2012年の年明け早々、TPP(環太平洋経済連携協定)をめぐる闘いが切迫しつつある。 米通商代表部(USTR)は現在、日本のTPP参加について米国内の関係方面から意見を募る作業を進めている。当局関係者によると、13日に意見の募集を締め切り、USTR側は日本側との事前協議を早期に始める意向だ。牛肉や保険など難航する懸案が多く、できるだけ協議時間を確保する狙いとみられる。
その後、日米両国政府による事前協議が今月後半にも本格化する見通しだ。米政府が外国との通商交渉に入るには、90日前までに議会に通知する必要がある。日本が9カ国との事前協議をクリアし、交渉参加が決まるのは早くても6月前後になる。
12月中旬に来日した米通商代表部のカトラー次官補は、早くも強硬姿勢を示した。TPP参加となれば安価な農産物が国内に流入し、農業・農村が大きな打撃を受けるのは必至。被災地・東北の再建の妨げともなる。
カトラー次官補は「参加希望国はすべてを交渉テーブルに乗せねばならない」と、農産物を含む全品目の例外なき関税撤廃の原則を強調した。コメといえども例外は認めないという姿勢が露骨だ。
(写真 FTA反対を唱えてきた反対同盟は2010年11月のAPEC反対集会でいち早くTPP反対声明を発した【11月14日 横浜市】)
労農漁民に犠牲
さらに、自動車輸出拡大に向け日本市場をこじ開ける提案をする考えを表明。日本郵政の保険事業でも、政府を後ろ盾にした優遇措置の撤廃を求めた。
日帝・野田政権は、すべての犠牲を労働者・農民・漁民におしつけつつ、帝国主義の延命を図るTPP交渉協議を強行しようとしている。1月後半から行われようとしているTPPの日米事前協議を許してはならない。TPPは、最末期帝国主義の究極の新自由主義・グローバリズム攻撃であり、労働者階級人民に対する一大階級戦争だ。この日米事前協議での対日要求が日本のTPP交渉参加受け入れ条件であり、これがTPP協定の内容となるのだ。
アメリカの通商(交渉)権限は議会にある。そのため前述のように、少なくとも90日前に連邦議会に交渉開始を通知し、協議を行わなければならない。下院において共和党が多数になった結果、対日強硬策こそがオバマ政権維持のための手段となる。
米帝の対日要求は、日米経済調和対話(2月)の67項目の要求やUSTRの外国貿易障壁報告書(3月)を見れば明らかだ。農業・食品関連では、米国産コメの消費拡大と牛肉市場再開放・残留農薬および農薬の使用緩和と有機農作物や食品添加物の表示緩和を要求し、医療・医薬関係では混合医療や外国資本の病院参入制限の解除と血液製剤の輸入規制緩和などを提案している。特に対等な競争条件ということで、日本郵政グループやNTTなどの政府の優遇策を批判している。
米大資本の圧力
これらの米政府要求の元になっているのが、各種の業界団体とその連合である。最たるものがTPPのための米国ビジネス同盟である。ビジネス同盟の日本のTPP交渉参加に際する要求は、@コメの減反制度および兼業農家への補助金制度の廃止、A物品の関税・非関税障壁の完全撤廃、B医薬品・医療機器市場の自由化、C政府調達市場の開放、D郵貯・簡保の民営化(=株式売却)、Eいったん自由化したものを後退させてはならない方針、その他である。日本農民は、文字通り生きるためには闘わなければならない。
そして、TPPの核心は日米同盟の強化という安保問題そのものだ。特に米帝・オバマ政権の新国防戦略に基づく日帝への屈服・動員要求と一体の帝国主義的争闘戦だ。 今こそ、外注化攻撃にストライキで闘う動労千葉と、「国益」のための農地取り上げに実力闘争を貫く三里塚がTPP反対闘争の先頭に立つ時だ。戦争と増税攻撃に走る日帝・野田政権を打倒しよう。
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号2面2)(2012/01/16)
1・23耕作権裁判へ
私文書偽造徹底追及を
市東孝雄さんの農地攻防、第3誘導路工事攻防など、現地での闘いと同じ死活性を持った三里塚裁判闘争を2012年、いっそうの闘争陣形をもって闘いぬこう。1月17日に団結街道裁判、1月23日に市東さん耕作権裁判、2月7日に第3誘導路裁判、2月20日に市東さんの行政訴訟・農地法裁判が控えている。特に市東さん裁判を重視し、千葉地裁を包囲する傍聴闘争、法廷闘争を強化しよう。
*
1月23日、千葉地裁民事2部・白石史子裁判長の下で、市東孝雄さんの耕作権裁判の弁論が開かれる。前回10月24日の弁論で市東さん側は、空港会社(NAA)が土地明け渡しの根拠としてきた「確認書」「同意書」が偽造された無効な文書であることを、事実経過をもとにして決定的に突きつけた。
1988年、空港公団(のちのNAA)は成田空港2期工事区域における未買収地の強制収用を策動し、その申請手続きにおいて市東孝雄さんの父である市東東市さんなど賃借人の権利を頭から否定し無視する違法とデタラメを繰り返した。そして、市東さんの賃借地を特定する図面を地主の了解もなく勝手に作成し、さらに市東名義の印鑑まで偽造して申請書類を完成させるという、とんでもないことをやっていた。その書類を根拠に市東さんを訴えたのだ。
この偽造の経過を突き出し、弁護団は、藤ア氏との交渉や地籍測量図作成にかかわる一切の記録、報告書などについての文書提出命令を裁判所に求めた。
これに対して白石史子裁判長はNAAをかばい立てすることもできず、「被告の偽造の主張に対しては、原告は証拠に基づいて反論を」と指示した。
1月23日の弁論はNAAの釈明内容に対して、筆跡鑑定による市東さんの署名偽造の追及を含め、二の矢、三の矢を放ち、NAAに回復不能のダメージを与える闘いだ。特に、市東さんの行政訴訟・農地法裁判の法廷に提出されて衝撃を与えた市東東市さんの署名の偽造問題についても、この法廷で明らかにし追及する。
さらに弁護団は、白石史子裁判長に対する「NAA側への文書提出命令」の要求に加えて、今回の弁論でその補充書を提出し、さらに圧力を強める。
三つの市東裁判(法廷は二つ)のうち、2012年最初の弁論として、農地決戦の突破口となる闘いだ。全力で傍聴しよう。千葉地裁を包囲するような結集をかちとろう。(要項1面)
(写真 耕作権裁判でも私文書偽造への追及が続いている【写真は署名の偽造を暴露した筆跡鑑定書の一部】)
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号2面3)(2012/01/16)
1・17団結街道裁判へ
「格安の払い下げ」を糾明
1月月17日、成田市とNAAを相手に反対同盟が提訴している団結街道廃道許可取消訴訟の第6回弁論が闘われる。全力で傍聴闘争に決起しよう。
前回弁論で反対同盟側は「原告適格なし」の暴論に対する反論、「道路の用途廃止については住民の同意が必要である」との主張を行った上で、成田市側が出して来た市道払い下げに関する鑑定書のデタラメを追及した。
成田市が団結街道をNAAに払い下げた値段はわずか坪1万4000円。しかし、鈴木さんの一坪裁判で提出された鑑定書では02年の時点で7万5000円になっている。今回の払い下げ額はわずか5分の1だ。
弁護団は、市と空港会社の癒着を追及した。「不動産鑑定の依頼書があるはずだ。それを提出せよ」と迫った。
さらに、市道の廃道問題について、成田市の内規を質すと、成田市は「ない」と言い張った。弁護団は「では、どういう基準によって廃道にするのか。団結街道はその基準と照らしてどうなのか」と求釈明を行い成田市を追いつめた。
今回の弁論ではこの鑑定問題に対する成田市の釈明を待ってさらに追及する。全力で傍聴闘争に取り組もう。
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号2面4)(2012/01/16)
鈴木謙太郎さんへの弔辞
無念と悲しみ決意に変え勝利かちとるまで闘う!
謙太郎さん。あなたは、あまりにも突然、私たちの前からいなくなってしまいました。ほんとうに、今も信じることができません。見据えようとすれば、あまりにも寂しく、心の底からこみ上げる悲しさが、何度も何度も襲ってきます。
いや、ほかならぬあなた自身が、その死を信じることができないのではないでしょうか。無念だろうと思います。悔しいだろうと思います。残された加代子さん、娘さんたち、いとさん……、その悲しみはいかばかりかと思われてなりません。
あなたの突然の死は、私たちの世代の中心として、これから先頭に立って、ますます頑張っていこうとしていた矢先の出来事でした。穏やかな中にも心に秘めた強い思いは、空港絶対反対・農地死守の闘いとして貫かれてきました。多くの人たちが妥協し社会の波に流されていく中で、あなたは一本の筋目を通して生きてきました。空港反対闘争の切り崩しをねらった成田用水の時にも、父・幸司さんとともに敷地内で頑張る者との信義を守り、ゆるぎない姿勢を示しました。これは反対同盟の宝であると、心の底から思います。
あなたの農業への思いは、農民切り捨ての国策への怒りとなり、FTAからTPPに対する反対の意思を、ここ何年かの全国集会のつど、壇上から強く訴えてきました。そして、3・11の大震災と福島第一原発の大爆発。ここに始まる福島の棄民への怒り……。「国策」というものの虚偽と欺瞞が突き出されたことで、反対同盟は、筋を通したあなたの生き方の正しさをさらに確信しました。
「2012年は農地取り上げとの決戦だ」と、暮れの挨拶で、あなたは話しています。敷地内のことを誰よりも心配してくれていたと思います。
集会や裁判報告会などでは、いつも司会で大切な役割を果たしてくれました。どっしりとして揺ぎなく、人をなごませる司会ぶりは、鋭い攻防の中で、私たちに勇気を与えてくれました。
完全無農薬の有機野菜作りには、精魂こめて取り組んでいました。天候に大きく左右されてもくじけることなく、次を考えて作付けを進めていました。他の人ならあきらめてしまうような被害を受けても、大地の育む生命力を見つめ根気強く育てていました。本当に心から農業に愛着を持っていました。
また、誰からも信頼される人柄で、反対同盟事務局として会計を任されていました。
面倒見の良さとみんなをまとめる力で、消防団を始めPTAでも地域でもさまざまな役職を引き受けていたと聞いています。
あなたは、全国の仲間と親睦を深める野球大会でも、エースで4番、同盟チームの大黒柱でした。左腕から繰り出す速球にみんなきりきり舞いだったことなど、いろんな思い出が走馬灯のようによみがえります。
カラオケがうまいことでも知られていましたが、昨年末の忘年会では由美ちゃんに負けてしまいましたよね。今日の遺影のように、物静かな中にも、どっしりとした存在感のあるあなたの屈託のない笑顔は決して忘れません。
あなたたち夫婦はいつも一緒で、娘さんたちとの仲の良さは傍目にもうらやましいほどでした。これほど仲の良い家族は、めったにないと思います。家族にとって、かけがえのないあなたを失った悲しみは、はかり知れないものがあると思いますが、私たちはみんなで家族を支えられるよう、頑張りたいと思います。
もはや、悲しみに沈んでばかりではいられません。あなたの分まで力を合わせ、前を向いて進みます。志なかばにして急逝した無念と悲しみを決意にかえて、私たちは空港絶対反対の勝利をかちとるまで闘いぬきます。これがあなたの遺志にこたえる道だと思います。
謙太郎さん。どうか見守っていてください。安らかにお眠りください。
2012年1月10日
三里塚芝山連合空港反対同盟
天神峰・市東孝雄
(写真 祭壇に掲げられた鈴木謙太郎さんの写真)
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号2面5)(2012/01/16)
国際連帯は今、世界を揺るがす
スト、暴動が激発
中国労働者が連続の決起
2012年1月1日、中国河南省安陽市で3万人の暴動が発生した。安陽市の駅前に集まった労働者・住民たちは、中国の国歌である「義勇軍行進曲」を歌い人民公園までデモに出た。武装警官がこれを阻止しようとしたが、群集は「私たちを打つなら打て!」と叫び、徹底的に抗議した。
事件の根底にあるのは中国におけるバブル経済の崩壊であり、行政権力と資本の癒着が生み出した労働者・住民からの詐欺まがいの資金集め。ところが今、中国のバブル経済が崩壊に向かう中で、多くの企業が資金繰りに苦しくなり倒産の危機を迎え、この市民の投資が紙くずになろうとしている。
12月24日には、1・5億元(約20億円)の債務を抱えた社長が自殺している。年末を迎え、資金繰りをできず年を越せない倒産企業の実態が次々と明らかとなった。1月1日という日に暴動が起きたのは理由がある。この事件は中国経済が急激に崩壊に向かっていることを示している。
*
年始の3連休が明けた仕事始めの1月4日も、全国各地で労働者のストライキが次々と爆発した。
江西省梧州では、午後、香港系企業である中拡永威実業有限会社の梧州おもちゃ工場で、賃金と残業代未払いに抗議して1000人の労働者がストライキに決起。労働者の街頭デモを阻止するために警官が動員されたが、労働者は経営側が話し合いに応じることを確認するまで6時間のストライキを闘った。(写真)
江蘇省無錫市では、中国最大の全自動洗濯機の企業である江蘇無錫小天鵝会社の労働者が、賃下げと年末手当不払いに抗議して、1000人以上のストライキに決起した。
四川省成都市では、午前中、製鉄と鉄鋼加工会社である成都攀成鋼集団(青白江区)の数千人の労働者が、待遇の不公正と官僚の腐敗、交通事情のひどさに抗議し、デモに決起した。武装警官が動員されデモを弾圧。デモの一方で工場労働者は、見守る街頭の人々に今後のストライキ支援のためのカンパや物資提供を訴えて闘った。
昨年末、自治を求めた広東省の烏坎(ウーカン)村での闘いも、火力発電所の新設に反対した汕頭市海門の闘いも、農民、労働者、住民側の勝利に終わった。
一方で日系シチズン争議も、2週間のストライキと武装警官による監獄工場化に屈せず不屈に闘いぬき、中国史上初の事実上の現場労働者の団体交渉による勝利をかちとっている。こうした昨年の闘いが切り開いた地平が、勝利の展望を労働者に与え、年明けからの連続的な闘いの爆発となっている。
そして何よりも、中国経済の雪崩打つ崩壊が進んでいる。欧州経済危機は中国経済を直撃し、一方でバブル経済崩壊にともなう金融危機が進行している。しかし中国の労働者は、昨年の闘いで自分たちが社会の主人公であること、闘うことで勝てる展望をしっかりとつかんだ。中国と世界の労働者の歴史的な決起に応える闘いを2012年、実現しよう。
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号2面6)(2012/01/16)
闘いで決着つける
全学連三里塚現地行動隊の決意
あまりにも突然の死で何を言っていいのか正直とまどっています。僕の頭の中には、忘年会での謙太郎さんの歌声が響いています。翌日、「今日もさっきまで、(忘年会で歌の点数で負けたことを)娘に言われてよ」と嬉しそうに語っていた笑顔がまぶたに焼き付いています。
謙太郎さんは反対同盟をはじめとする闘う仲間との団結を何よりも大事にするやさしい方でした。そのやさしい笑顔で、「三里塚が先頭に立つしかない」と農民全体そして未来のために仁王立ちして闘ってこられました。昨年の5・20裁判闘争弾圧でご家族と共に逮捕された後、「覚悟は出来ている。いよいよ決戦本番という感じだ」と語られていた謙太郎さん。2012年、まさに決戦本番という最中に倒れられたことは本当に残念でなりません。
謙太郎さんとともに闘うことができない悔しさを闘志に変え、三里塚闘争勝利の報告ができるその日まで残されたご家族とともに闘いぬくことを誓います。現地行動隊は、謙太郎さんの闘魂を受け継ぎ、何よりも2012年決戦の爆発をかちとりたいと思います。
2012年は、大恐慌、原発事故という形で突き出された新自由主義の破産と徹底的に対決し、国境を越えた労農学の団結の力で勝利の扉を全力で押し開くときです。われわれの前に立つ扉がどんなに巨大でも、小さな鍵穴があるのです。そして決定的な鍵を握りしめているのが三里塚闘争です。
「国策」を阻み続けてきた三里塚闘争の地平を、被災地を先頭に全国の農民・労働者・学生に押し広げ、あらゆる職場・キャンパスに闘う労働組合・学生自治会、農民組織を建設しようではありませんか。
同時に、何よりも敵が全体重をかけて市東さんの農地を奪おうとしている以上、三里塚現地での闘いの強化をかちとらなければなりません。現地行動隊は最大限の増強をもってこれにこたえ、農地死守決戦、第3誘導路粉砕を闘いぬきます。
全世界で、最後の、そして落としどころのない闘いが開始されています。この怒りの決起と結びつき、原発再稼動、TPP、「復興特区」、消費大増税へと突き進む野田政権を打倒しよう! 謙太郎さん、2012年、われわれの闘いで必ず落とし前をつけます。笑顔で見守ってください。
(写真 デモの先頭に立つ全学連行動隊)
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号2面7)(2012/01/16)
北総の空の下で
遺影に感無量
「いい顔してるね」
2012年初頭、闘いの旗を開くと同時に鈴木謙太郎さんの急死という現実に直面しました。5日の夜中に救急車で搬送され、一時持ち直してほっとしたのも束の間、7日には帰らぬ人となりました。脳梗塞でした。
ご家族はもちろんの事、誰もが事実を受け入れがたいまま、9日のお通夜を迎えました。会場で、謙太郎さんの包み込むような笑顔の写真に迎えられて、涙があふれます。「いい顔してるね…」
「父ちゃんらしいでしょ」と加代子さんも泣き笑い…。会場に入りきれないほどの人たちが、謙太郎さんを偲んで集まりました。
大きな体に全てを吸収するように、周りの人を温かく受け入れてくれる人でした。柔らかな低音の歌声は、聴く人を魅了しました。同盟忘年会で、故鈴木幸司さんが得意だった「歩」を、謙太郎さん、市東孝雄さん、萩原進さんがリレーで競演しました。三者三様の魅力で圧巻でしたが、謙太郎さんの思い出として、忘れがたいものになりました。
産直忘年会では、畑を手伝うようになった娘さんと最高得点を張り合う茶目っ気も。「娘が市東さんの裁判に参加するようになったのが誇らしくってね、子煩悩な人だった」と加代子さん。
よき父よき夫であると同時に、菱田廃村化攻撃に仁王立ちして立ち向かう鈴木家の大黒柱だった謙太郎さん。彼の遺志を継ぐ鈴木家の女性たちを全力で支えきることに、反対同盟の真価がかかっています。
北里一枝
---------------------------------------------------
週刊『三里塚』(S839号2面8)(2012/01/16)
三芝百景 三里塚現地日誌 2012
12月20日(火)〜1月10日(火)
●日豪EPA(経済連携協定)締結交渉がオーストラリアのキャンベラで再開した。07年開始以来12回の交渉を行って来たが、農産物市場の開放がなければメリットのない豪州に対して、日本側は難色を示し、今年2月以来中断していた。今回は13回目。TPP参加国である豪州は、TPP問題もからめて日本に圧力をかける可能性があり、TPP交渉の前哨戦としての位置づけも。(20日)
●千葉県は成田空港の利用促進と県経済の活性化を図る、と称して「グレード・アップ『ナリタ』活用戦略会議」を設立し、初会合を開いた。森田健作知事は「東京・羽田ブランドに千葉ブランドは負けている。空港と共に千葉ブランドを」と危機感をにじませあいさつした。(22日)
●成田空港の11月の輸出額が前年比23前%減の6738億円であったことが、東京税関の発表で分かり、9カ月連続で前年比マイナスとなった。落ち込み幅も09年8月以来最大。(23日)
●臨時閣議で来年度予算案が決定され、その中で、成田空港の年間発着30万回拡大にむけた整備事業が、11年度の6・5倍となる13億円になったことが判明。(24日)
●成田空港会社の森中小三郎社長は年頭の記者会見を行い、「空港機能強化に精力的に取り組む」と3月末の25万回への年間発着枠引き上げにむけ住民無視の政策を行うことを強調した。(1月4日)
●鈴木謙太郎事務局員が急逝 反対同盟事務局員だった鈴木謙太郎さんが心原性脳梗塞のために急逝した。享年57歳。(7日)
●団結旗開きで2012年決戦の火ぶた切る 鈴木謙太郎さんの急逝をのりこえて、新年デモと団結旗開きが開催され、市東孝雄さんの農地死守を軸とする2012年三里塚決戦の火ぶたが切られた。(8日=写真=1面に記事)
●鈴木さんの葬儀しめやかに 鈴木謙太郎さんの葬儀が多古町のセレモニーホールでしめやかに行われた。(10日=1面に記事)
---------------------------------------------------