SANRIZUKA 2010/06/01(No800 p02)
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週刊『三里塚』(S800号1面1)(2010/06/01)
市東さん 「俺たちは本気、権力に思い知らせた!」
5・17不当逮捕はねのけ獄外に渾身の檄
2010年団結街道決戦 ついに火噴く
“実力決起に続け”
国鉄・沖縄・法大と一体で
2010年三里塚決戦がついに火を噴いた。5月17日、団結街道の閉鎖通告看板に対して猛然と抗議した市東孝雄さんの不当逮捕をきっかけに、「市東さんにつづけ」との号令が全国津々浦々に響き渡り、5月20日の閉鎖攻撃を粉砕、5月24日の第3誘導路のための公聴会粉砕闘争も萩原富夫さんへの不当逮捕をはねのけ断固として貫徹された。そして5月25日の市東さんと支援に対する勾留理由開示公判はさながら弾劾集会の場となった。5月末にも予想される「閉鎖工事強行」の一報があったらただちに現地へ急行せよ。世界大恐慌と革命の時代の下で三里塚闘争の本格的爆発が開始された。国鉄・沖縄・法大決戦と一体で6・13国鉄大集会へ進撃しよう。
「閉鎖」看板に猛抗議
5月17日午後3時ごろ、団結街道の北端であるナリタゴルフコース脇でNAAと下請け業者が5月20日からの団結街道閉鎖を通告する看板を立て始めた。そのグループが3時45分、何と市東さんの家の横で同じ看板を立て始めたのだ。
市東宅当番から通報を受けた市東さんはゴルフ場先にある「堀ノ内の畑」からとって返し、この作業に対して猛然と抗議を始めた。「ここは生活道路であり営農道路だ。使っている人間がいるのに閉鎖するとは生活破壊だっ!」。NAAと業者が逃げ去るときびすを接して機動隊が来、公安警察がかけつけ、4時30分、市東さんを「器物損壊」罪で不当逮捕したのだ。
ここへ急を聞いてかけつけた萩原進さんら反対同盟、現地支援多数がおしかけ、市東さんの身柄防衛をめぐる肉弾戦となった。萩原さんは必死の形相で機動隊・公安警察に対決し「市東さんを逮捕するなら俺も一緒に逮捕しろ」と、市東さんの腕と手錠の間に我が腕を差し込んで、身柄拘束と対峙した。
現闘員も「こんな違法な閉鎖があるか。団結街道閉鎖は断じて認められない」「市東さんの抗議は正当だ」と権力に立ちふさがった。
団結街道に横付けしたパトカーに乗せることはとても無理と判断した権力は、市東さんを小見川県道脇に止めてある機動隊ワゴン車まで移動させ、それに押し込もうと策動した。この時、第2波でかけつけた現闘員が市東さんの身柄防衛に決起した。この中で1人が「公務執行妨害罪」で不当逮捕されたのだ。
市東さんと現闘員が成田警察署に連行されたのを受けて、抗議団が組織され、ただちに成田署へ急行した。宣伝カーが成田署周辺をありったけの怒りを込めて不当逮捕弾劾の宣伝を行う。
野戦病院の同志は「差し入れをさせろ」と猛抗議、認めさせた。
顧問弁護団の弁護士が東京からかけつけ市東さんの接見に入った。その間も警察署の入り口では押し問答がつづく。
市東さんの離れでは午後9時から記者会見。市東さん逮捕の不当性を曇りなく明らかにした。
市東さんは獄中から「私は元気。頑張るので外の皆さんも頑張ってください。これで、俺達が本気であることを空港会社に思い知らせることができた」との檄を発している。この輝きを増した市東さんの闘魂を見よ。
この後、「市東さんの農地取り上げに反対する会」の足立満智子成田市議、吉川洋千葉県議がかけつけ、成田警備課長を呼び出して抗議行動を夜11時30分まで展開した。
(写真 「器物損壊」を口実に市東さん【白いシャツ野球帽】を逮捕しようとする警察に対し闘う萩原進さん【中央=5月17日 団結街道】)
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週刊『三里塚』(S800号1面2)(2010/06/01)
ドキュメント 5・17闘争
5月17日午後3時45分ごろ、NAAと作業員が市東さんわきで看板を立て始めた。
3時55分ごろ、ゴルフ場先の堀の内の畑で作業をしていた市東さんは、連絡を受けて現場に急行、NAAと作業員に猛然と抗議・弾劾した。援農に入っていた支援数人も加わる。
4時15分ごろ、ワゴン車2台に乗った機動隊が押しかけ、市東さんと支援を路上で囲い込む。
4時30分、私服公安警察10人ほどが急行し、市東さんを「器物損壊罪」で「逮捕」を告げ、手錠をかける。
同時刻、反対同盟員、三里塚現闘員の先発隊が到着。市東さん防衛の闘いに入る。萩原進事務局次長は、手錠をかけられた市東さんの腕の内側に自分の腕を差し込んで「市東さんを逮捕するなら俺も一緒に逮捕しろ」と、機動隊・私服刑事を圧倒。市東さんの身柄をめぐる攻防が約10分間つづく。
4時35分ごろ、パトカーに連れ込もうとしていた私服刑事、機動隊は、同盟・支援の抵抗の強さでこれを断念。
4時41分、市東さんを小見川県道の方に連れて行き、警察ワゴン車に乗せる。
同時刻、駆けつけた三里塚現闘の第2波部隊が到着すると、まさに市東さんがワゴン車に乗せられようとしている所だった。この部隊も総力で市東さん防衛の闘いに加わる。この過程で現闘員1人が「公務執行妨害」で不当逮捕される。
午後6時すぎから支援連は市東さんが勾留されている成田警察署前に陣取って、不当逮捕弾劾、即時釈放要求、差し入れ要求の抗議行動を10時30分まで展開。北原事務局長もかけつけ警察署長への面会を要求。
午後7時45分、反対同盟顧問弁護団の弁護士が東京から急きょかけつけ市東さんに接見。
午後9時、抗議行動を展開する一方で、市東さん宅の離れで記者会見を行う。足立満智子成田市議も同席。「空港会社が団結街道の一部を所有地だと言い張りながら団結街道を閉鎖にする暴挙は許されない。市東さんの抗議は正当であり、逮捕は不当だ」と訴えると8社の記者がうなずいていた。翌日には全紙に市東さんの不当逮捕報道が掲載され、全社会的な問題となった。
午後10時すぎ、獄中からの市東さんのアピールが伝わる。「自分は元気。頑張るのでみなさんも頑張って下さい。これで俺たちが本気だということを空港会社に知らしめることができた」という感動的な檄。
午後10時45分、市東さんの離れで待機していた反対同盟・支援に、接見を行った弁護士と抗議行動を行った支援が合流した。北原事務局長が「決戦は今日から始まった。迷うことはもはや何もない。闘おう」と檄。
午後11時ごろ、到着した足立満智子成田市議と吉川洋千葉県議他が成田署長に面会を要求。警備課長を引き出して抗議を11時30分までつづけた。「逮捕する必要はない」との吉川議員の追及に警備課長は「あの状況では逮捕せざるをえなかった」と弁解。「それこそ不当逮捕じゃないか」と抗議した。
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週刊『三里塚』(S800号1面3)(2010/06/01)
100人余が早朝決起
反対同盟 徹夜の実力阻止態勢
5・20閉鎖工事を粉砕
NAAが「閉鎖通告」を行った決戦の20日、空港会社によるフェンス設置攻撃に対して、反対同盟は戦闘態勢をとった。前夜から鈴木謙太郎さん、萩原富夫さんを先頭とする反対同盟、現地支援、はせ参じた応援の支援が市東さんの離れに泊り込んだ。三里塚闘争支援連絡会議は新しく建てられた監視台に登って、徹夜で権力・機動隊の動きを監視する。未明の“抜き打ち閉鎖”もありうる情勢だ。
朝5時、反対同盟、現地支援が続々と結集してきた。市東さんの決起に示された反対同盟の「本気度」が団結街道一帯を制圧している。市東さん宅離れ前の庭と、現闘本部先畑に分かれて権力を迎え撃つ体制をとった。
緊張の時間が過ぎるが権力の動きはない。午前7時、反対同盟が全国に結集を呼びかけた時刻だ。ワゴン車で、マイクロバスで、タクシーで、応援部隊約100名余が結集してくる。反対同盟による簡単な意志一致の後、団結街道の北端=ナリタゴルフコースのT字路と、南端=市東さん宅前団結街道入り口に部隊が配置された。「午前8時前後が焦点になる。ぬかりなく阻止体制を」と萩原進事務局次長。
すると午前8時、ゴルフ場側と市東さん宅側でそれぞれ機動隊1個中隊が配備された。一気に緊張が高まった。しかし、阻止部隊の迫力に気おされて団結街道には踏み込めない。「何のための配備か」に「(団結街道の)通行に不安があると通報があったので」と弁解。対峙状態が30分間つづいた。だが、権力機動隊はそれ以上手出しすることができず、結局5月20日の閉鎖攻撃は粉砕された。
午前9時より総括の打ち合わせ。北原事務局長、動労千葉の川崎昌浩執行委員、市東さんの農地取り上げに反対する会の井村弘子さん、足立満智子成田市議、吉川洋千葉県議らがあいさつした。萩原進事務局次長がまとめの提起。「市東さんの決起を先頭にして今日の団結街道閉鎖は阻止した。引き続き監視体制を強化し、激突に備えよう」
部隊はこの後、市東さん・現闘員の激励行動に千葉地裁に急行した。
団結街道廃道阻止決戦は緒戦において大きな勝利をかちとった。しかし闘いの本番はこれからだ。5月末にも成田市からNAAへの団結街道底地の譲渡手続きが完了し、再び閉鎖攻撃に出てくる。支援連は監視体制を継続して迎え撃つことを決定した。5〜6月臨戦態勢のさらなる強化を。国鉄・沖縄・法大決戦と一体で勝利しよう。この力で6・13大集会へ。
2面に解説と関連記事
(写真 「5・20閉鎖強行」を実力で粉砕し、勝利を確認するシュプレヒコールを行う労農学【成田市天神峰 市東さんの畑】)
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週刊『三里塚』(S800号1面4)(2010/06/01)
弾劾声明
三里塚芝山連合空港反対同盟
5月20日、市東さんの不当逮捕を弾劾する声明が反対同盟から発表された。(要旨)
*
5月17日に警察権力が強行した市東孝雄さんと支援者1名の不当逮捕を、反対同盟は満身の怒りをこめて弾劾する。どこから見ても正当な市東さんの抗議に対して、寄ってたかって暴行し、あろうことか手錠をかけ、かけつけた支援者を数にまかせて押さえ込み、2人をパトカーの中に押し込んだ県警・機動隊と成田警察署の所業は、断じてゆるすことのできない暴挙である。
空港会社が設置した看板の掲示内容は、事実上、団結街道の閉鎖通告である。一部が空港会社の私有地だからといって、団結街道全体の機能を奪うことが、どうしてできるのか。通行止めする道の先には、市東さんのもうひとつの畑がある。しかも、看板は「5月20日」の期限のわずか3日前に、断り無く立てられた。
「管理期間満了の5月20日から1〜2カ月間の払い下げ手続きが済むまで閉鎖は難しい」と答えた片山成田副市長の回答は虚偽だったのだ。
市東さんの怒りは正当、抗議は百l正義。市東さんを守るために闘った支援者の闘いもまた百l正義である。
そもそも、空港会社が市道廃止の口実にあげる第3誘導路計画は、暫定滑走路の破たんの結果の場当たり的なものである。見よ! 昨年7月に供用を始めた2本目の誘導路はいまや無用の長物と化している。「羽田ハブ(基軸空港)」への転換と、世界的大不況による航空資本の破たんのなかで、第3誘導路計画は、無理・無謀の終着点である。このようなものに、天神峰・東峰、飛行直下の住民が踏みにじられていいはずがない。
市東さんは「自分は元気です。私は頑張りますから、皆さんも頑張って下さい。これで俺たちは本気だということを、空港会社に知らしめることができた」と力強く呼びかけている。
全国のみなさん! 市東さんの闘いこそ、三里塚に脈々と受け継がれる実力闘争の精華である。この決起に応えて、とことん闘おう。不当逮捕徹底弾劾! 不当に勾留されている市東さんと支援者を即刻釈放せよ!
2010年5月20日
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週刊『三里塚』(S800号1面5)(2010/06/01)
団結街道
5月17日、市東さんの決起以来、三里塚は完全に決戦に入った▼市東さんが勾留されている成田署への宣伝カーによる連日の激励行動、連日の弁護士接見、成田駅頭・成田市役所・千葉地検・千葉地裁へのビラまきとそのためのビラ作り、検事の勾留尋問・裁判官の勾留尋問のたびの千葉へ赴いての激励行動、朝から夜まで続く監視行動そして5・20閉鎖実力阻止闘争、5・24公聴会粉砕闘争と萩原富夫さんの不当逮捕、5・25勾留理由開示公判の闘いと激励行動、5・26萩原富夫さんの勾留尋問に対する激励行動、市東さんがいない間の援農体制……。「猫の手」も借りたい▼再び70年代、80年代の三里塚闘争らしくなってきた▼こうした中、若き全学連がついに三里塚現地行動へ登場した。5月24日の公聴会粉砕闘争の間、正午から午後4時までのヤグラでの監視行動を坂野陽平委員長代行、洞口朋子副委員長代行らが担当した。坂野君は「監視を行っていると決戦突入の実感が沸いてきますね」と。そして全学連は決戦行動隊の派遣を決めた▼一方、すばらしいエネルギーを発揮しているのが「市東さんの農地取り上げに反対する会」だ。90歳の井村弘子共同代表を先頭に、5月20日の闘争には早朝から10人以上が駆けつけた。25日の勾留理由開示公判も同じ▼高齢の井村さんの決起を見た萩原事務局次長。「感動、感激したよ」と言葉を詰まらせていた。いよいよ三里塚パワー全開、総反撃の時だ。
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週刊『三里塚』(S800号1面6)(2010/06/01)
「臨戦態勢突入」5・16集会
5月16日、団結街道の閉鎖実力阻止を掲げた緊急現地闘争が闘われ、385人の労農学がかけつけた。反対同盟は「臨戦態勢」を訴え、ここで市東孝雄さんが戦闘宣言を発した。(成田市東峰=2面に記事)
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週刊『三里塚』(S800号1面7)(2010/06/01)
闘いの言葉
「自分は元気。獄中で頑張ります。今回の闘いで俺達が本気だということを空港会社に知らしめることができた」
5月17日 反対同盟・市東孝雄さん(獄中で)
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週刊『三里塚』(S800号1面8)(2010/06/01)
(緊急呼びかけ) 団結街道の閉鎖実力阻止闘争へ
★閉鎖の動きがあり次第現地に急行してください
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週刊『三里塚』(S800号1面9)(2010/06/01)
日程 集会、裁判
国鉄分割・民営化反対 1047名解雇撤回 新たな全国運動スタート
6・13大集会
●6月13日(日)午後1時開会
●東京・文京シビックホール
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【三里塚闘争裁判】
●7月1日(木)午前10時30分 鈴木さん一坪共有地裁判
●7月26日(月)午前10時30分 市東さん耕作権裁判
【法大闘争裁判】
★暴処法裁判
第14回公判 6月21日(月)午後1時30分
★4・24集会弾圧裁判
判決公判 6月24日(木)午後1時30分
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週刊『三里塚』(S800号2面1)(2010/06/01)
5・25 千葉地裁811号法廷を弾劾集会の場に転化
市東さん勾留理由開示公判で
6人の退廷乗り越え 遠藤裁判長を震え上がらせる
5月25日、市東孝雄さんの勾留理由開示公判の日を迎えた。反対同盟の市東さんは、5月17日に天神峰の自宅の真ん前に設置された空港会社(NAA)の看板に対し、心底からの怒りを爆発させて弾劾・追及の闘いに立ち上がったことで、器物損壊の罪名を着せられて逮捕された。
これに強く抗議した現闘員も公務執行妨害で逮捕された。即時奪還の決意と不当弾圧への怒りに燃えて、反対同盟を先頭に100人以上の労働者、農民、学生、市民がこの日午後、千葉地裁に結集した。
ところが傍聴席はたったの18席! しかも東京地裁の裁判で駆り出される暴力職員がここ千葉地裁にまで派遣されて、最初から弾圧・排除の態勢が敷かれている。
午後3時に開廷。市東さんと現闘員は元気な顔を見せた。全学連副委員長の倉岡雅美さんが、「不当な勾留弾劾! 市東さんを釈放せよ!」と心からの叫びを上げた。これに対し、遠藤圭一郎裁判官は即座に退廷命令を発し、倉岡さんを法廷から暴力的に排除した。
葉山岳夫弁護士を先頭に顧問弁護団が徹底的に追及し釈明を求めた。「市東さんに『逃亡のおそれがある』というのが勾留の理由だが、空港に反対し天神峰で農地を守り耕し続けると宣言している市東さんがどうして家と畑を放棄して『逃亡』などするのか。NAAの看板の内容は、団結街道を通行禁止にし迂回を強制して市東さんの営農を著しく妨害する不当なものではないのか。このような看板をNAAが勝手に設置すること自体が道路交通法76条違反である。だからこそ成田警察署はこの看板を3カ所すべてで回収し持ち去ったのだ。そもそも裁判官は44年も続いている三里塚闘争を正しく認識しているのか」
核心を鋭く突いた質問に追いつめられながら、遠藤裁判長は一切の応答を拒絶することに終始した。2人の人間の自由を奪っておきながら理由すら明らかにしない、その態度は何だ! 絶対に許すことはできない!
やむにやまれず抗議の声を上げた傍聴者に対し、遠藤は退廷命令を乱発。萩原進事務局次長、婦人行動隊の鈴木加代子さん、太郎良陽一さんの3人を含む計6人が退廷させられた。
退廷者は、連れ出されると、法定内の様子を傍聴席に入れなかった廊下の労農学に報告する。「この地で農業をつづけることが闘いだ、と言っている市東さんがなんで逃亡するんだよ、と抗議したら退廷」と怒りの鈴木加代子さん。一斉にわきあがる弾劾。法廷内外が完全に占拠状態だ。
(写真 裁判終了後、「市東さん奪還、団結街道閉鎖阻止、第3誘導路着工阻止へ闘うぞ」とシュプレヒコール【5月25日】)
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週刊『三里塚』(S800号2面2)(2010/06/01)
100人余 声の限り激励
“護送車”越しに熱い交流
弁護団は暴力的訴訟指揮を徹底的に弾劾しつつ、当初「1時間」とされていた陳述時間の2倍に達する2時間を超える追及をとことんやりぬいて、遠藤が音を上げる寸前まで追いつめた。
顔をひきつらせる遠藤裁判長。道理の通らない理不尽な訴訟指揮を、ただただ上からの指示ということで強行せざるをえないピエロのような姿はあわれですらあった。弁護士からは「裁判長は検察官の犬だ」などの指弾も行われた。
(写真 勾留理由開示公判が終わって、警察署に送り返されようとする護送車を100人余が取り囲んで、中の市東さん、現闘員を激励した【5月25日】)
アイコンタクトで
閉廷後、全員が裁判所裏手に移動し、成田警察署に送り返される市東さんと習志野署に送られる現闘員の乗った車両を取り囲んで見送り、大きな声援・激励を送った。
100人以上の激励団が2台の護送車のドアや窓ガラスをたたいて激励する。車はまったく前に進めない。感動的な交歓が四方で行われた。両者とのアイコンタクトも交わされた。
行き交う通行人や周辺住民も注目する。開示公判の行われている間中、反対同盟宣伝カーは県庁、検察庁、弁護士会館などの官庁街を宣伝しつづけた。
市東さんと現闘員が裁判所から出てくるというので、宣伝カーもその場に加わった。女性の現闘員が「市東さん頑張ってください。農作業は順調に進んでいます。安心して闘ってください」と伝えた。
その場で総括集会が持たれ、弁護団が法廷の状況を再現し裁判官を全面的に批判した。
北原鉱治事務局長は憤りをあらわにして、「退廷命令を出すだけで、質問には一切答えない。こんな裁判官がいるのかとあきれた! われわれは闘う以外にない」と弾劾した。
萩原進事務局次長は、「3・28集会で反対同盟はまなじりを決し、火の玉となって闘うと宣言し、5・16集会では臨戦態勢を宣言した。市東さんはそれを実践している。成田市は焦りに駆られて、異常な速さで団結街道廃道化へ向けてNAAへの売却手続きを進めている。われわれももう一段闘いを前に進めて勝利を切り開こう」と訴えた。
最後に鈴木謙太郎さんの音頭で団結ガンバローを三唱した。弾圧との白熱した攻防に勝ちぬき、市東さん、現闘員、そして前日逮捕された萩原富夫さんを一刻も早く取り戻すことを全員が誓い合った。
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週刊『三里塚』(S800号2面3)(2010/06/01)
第3誘導路 デッチ上げ公聴会を弾劾
5・24 ムダな工事に200億!
反対同盟農民への連続不当逮捕許すな
5月24日、第3誘導路計画を認可するための公聴会を粉砕する闘いが、成田市天神峰と同土屋の公聴会会場近くで闘われた。17日の市東さんへの不当逮捕弾劾闘争、20日団結街道閉鎖実力阻止闘争につづく決起だ。午後2時、雨の降る中を東峰の開拓組合道路に、反対同盟を先頭に115人の労働者・農民・学生・市民が続々と結集した。
冒頭に北原鉱治事務局長がマイクを握り、「いわれなき罪名を着せられた市東孝雄さんは今日も獄中で闘っている。彼の必死の叫びを受けとめよう。公聴会は市町村長が勝手にやっているもの。沖縄県民の基地撤去を求める怒りと、われわれの怒りは共通だ。三里塚の勝利なくして日本の未来はない。公聴会粉砕のデモに立とう!」と、いつになく激しい口調で訴えた。
続いて動労千葉の長田敏之書記長が市東さん逮捕を徹底弾劾し、政治解決路線を乗り越えて1047名闘争の新たな全国運動を開始する6・13集会への大結集をアピールした。団結ガンバローを三唱し、参加者はその場からただちに車で移動し、公聴会会場の成田国際文化会館建物を間近に見下ろす根子名川沿いの土手に再結集した。
反対同盟の宣伝カーが大音量でのアピールを市街に鳴り響かせる中、会場に迫るデモ行進に出発した。機動隊はいつになく極端に居丈高で、指揮官車から強圧的な警告をひっきりなしにわめき、デモ隊への暴力的な弾圧を繰り返してきた。特にデモの先頭に立っていた萩原富夫さんと鈴木謙太郎さんに対し、威嚇と規制を集中してきた。
そしてすでにデモコースの終わり近くになって、機動隊は萩原富夫さんに突如一斉に襲いかかり、暴力的に連行し、数人がかりで地面に組み伏せ、手錠をかけて逮捕するという暴挙に及んだ! デモ隊の怒りが爆発し、全員が不当な弾圧・規制と激しく衝突しながら抗議をたたきつけ、再び出発地点の土手に到着する周回デモを貫徹した。
北原事務局長が再びマイクをとり、「すばらしいデモ行進であった。ここまできたら、とことん闘う以外にない」と、鮮明な決意を表し、全員の気持ちを一つにした。続いて萩原進事務局次長は、「今日の弾圧には、これを上回る反撃を『ノシ付けて』お返しする。市東さんは”俺たちが本気であることを知らしめた。自分もがんばるから外の人もがんばってくれ”と、獄中からアピールしている。自分はやるべき闘いをやった、そしてまたやるという決意だ。これを正面から受けとめて、反対同盟はこの5月〜6月をとことん闘いぬく。明日の市東さんの勾留理由開示公判に全力で結集を!」と訴え、この日の闘いを締めくくった。
今こそ市東さんの闘魂を共有し立ち上がろう!
(写真 第3誘導路認可のための公聴会に対し、萩原富夫さんの不当逮捕をはねのけてデモが闘われた【5月24日 成田市土屋】)
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週刊『三里塚』(S800号2面4)(2010/06/01)
5・16集会 400が実力決起決意
市東さん 「体張って闘います」
5月16日、「団結街道閉鎖阻止! 第3誘導路計画粉砕!」を掲げた現地闘争が闘いとられた。司会は事務局の鈴木謙太郎さん。萩原進事務局次長が基調報告に立った。「2〜3月を戦闘的攻勢的に闘いぬいたことで、敵のあせりに満ちた攻撃を引きずり出した。本集会をもって臨戦態勢に入ることを宣言する!」
この決起の号令に、結集した385人の労働者、農民、学生、市民が拍手と歓声で応えた。萩原さんの意気高い訴えと行動提起に熱烈な拍手が鳴りやまない。
市東孝雄さんは、「第3誘導路で囲って騒音で私を屈服させ追い出してやろうというのが狙いです。だけど人間はやられればやられるほど、”なにくそ!”という気持ちになる。やれるものならやってみろ。私は体を張って闘う」と敵の悪らつな策動にも微動だにしない決意を述べて、参加者の胸を打った。
動労千葉の田中康宏委員長は、「成田空港は崩壊の危機に瀕している。三里塚、国鉄、沖縄が同時に決戦を迎えた。1047名闘争はまさに正念場だ。『和解』の本当の姿が明らかになってきた。あの中曽根が一枚かんでいた。こんな形で闘いを終わらすことは断じてできない。新たな国鉄闘争の始まりとなる6・13集会に大結集を!」と全力で訴えた。
会場脇の、東峰の森をつぶして造られたこの東側誘導路には一機の航空機も通らない。滑走路が着陸専用にされたことで今ほとんど使われていない状態なのだ。何百億円も投じて強行されたこんなデタラメを、またしても第3誘導路という形で繰り返そうとしている。 破綻した成田空港を今度こそ廃港にたたきこもうとの怒りをみなぎらせ市東さんの畑までデモを貫徹した。
市東さんの家の敷地に建てられたばかりの団結やぐらが、この日お披露目となった。国鉄・沖縄・法大と一体の闘いで廃道化を絶対に阻止し、第3誘導路のもくろみを粉みじんに粉砕しよう!
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週刊『三里塚』(S800号2面5)(2010/06/01)
全学連が三里塚行動隊を派遣
決戦に突入した三里塚に全学連が行動隊の派遣を決定した。5月25日から任務に就いている。5月24日には、監視ヤグラに陣取っての監視行動に織田洋介委員長、坂野陽平委員長代行、洞口朋子さんら5人が決起し、現地行動を担った。三里塚2010年決戦を牽引する織田全学連の歴史がついに始まった。
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週刊『三里塚』(S800号2面6)(2010/06/01)
解説 緒戦の主導権を握る
5・17〜25闘争 NAA・権力を圧倒
労農連帯・沖縄連帯が真価
5月17日の市東さんの不当逮捕を契機に三里塚は新たな決戦に入った。反対同盟、現地支援を先頭に全国の三里塚闘争陣形が沸き立っている。5・20団結街道閉鎖実力阻止闘争、5・24第3誘導路のための公聴会粉砕闘争、5・25市東さんと現闘員の勾留理由開示公判に動労千葉をはじめ多数の労農学が仕事を棚上げしてかけつけている。さらに、警察・行政に抗議が集中している。
獄中の市東さんに対しても全国から激励メッセージが寄せられている。韓国の民主労総ソウル本部からは5月18日の光州蜂起30周年を期してメッセージが寄せられた。土、日に現地へ駆けつけて宣伝カーのボイスを行った労働者もいる。
団結街道廃道阻止決戦の主導権は完全に反対同盟の側が握った。この原動力は3・28全国闘争〜5・16闘争の成功にある。5・25勾留理由開示公判の総括集会で萩原進事務局次長は「3・28集会で『反対同盟はまなじりを決し火の玉となって決戦に突入する』と宣言したが市東さんはじめ同盟はそのとおりの闘いに決起した」と提起した。
さらに5・16緊急現地闘争自体が「臨戦態勢突入集会」としてかちとられた。市東さんは発言の中で「攻撃を受ければ受けるほど『何くそ』となるのが人間。私も体を張って闘います」と戦闘宣言を発した。その翌日に身をもって実践したのだ。反対同盟の闘魂が国交省、NAA、成田市、警察権力を圧倒している。
また、動労千葉をはじめとした労働者との連帯の中に三里塚闘争の勝利の展望を見出してきた反対同盟の路線的な勝利が威力を発揮している。そして何よりも、大恐慌が深まるという情勢の中で、国鉄・沖縄・法大決戦との結合ががっちりと闘いを支えている。反対同盟は4・25沖縄県民大会に結成以来初めて組織決定で参加した。萩原事務局次長とともに市東さんも参加した。9万人という島ぐるみの決起に感動しつつ、勝利の息吹を感じ取っていた。
沖縄に触発されて三里塚もうなり上げた激闘過程に突入した。
団結街道の閉鎖に向けた譲渡手続きが5月20日をもって始まり、5月中の閉鎖工事強行もありうる情勢だ。第3誘導路をめぐっては、6月中の計画認可、即着工の可能性が高い。連日の成田駅頭ビラまきでは、労働者、市民、学生の変化を感じ取ることができる。南北の騒音下地帯に対しては「飛行回数の30万回化」にむけた「説明会」なるものが開催されており、住民の反対決議(成田市久住・下総地区)もあがり始めた。
成田空港会社の理不尽な攻撃の数々に対して、大地が鳴動しつつある。団結街道閉鎖阻止へ、一朝事があれば直ちに現地へ急行し、反対同盟とともに闘おう。
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週刊『三里塚』(S800号2面7)(2010/06/01)
動労千葉と民主労総ソウル本部から逮捕弾劾のメッセージ
動労千葉と民主労総ソウル地域本部から、市東孝雄さんへの不当逮捕を弾劾するメッセージが寄せられました。
●動労千葉より
反対同盟の市東孝雄さん、萩原富夫さんらの不当逮捕を弾劾する
5月17日、成田空港会社が敷地内の市東孝雄さん宅前の団結街道廃止を前提にした立て看板を立てようとしたことに対して、市東さんが猛然と抗議したところ、千葉県警は何らの理由も告げず不当逮捕するという暴挙を行った。
また、24日には、団結街道廃止反対、第3誘導路建設反対を訴えて公聴会会場へのデモ行進を行ったところ、過剰警備に抗議した反対同盟の萩原富夫さんを不当逮捕した。
こうした千葉県警による反対同盟に対する弾圧は、44年目を迎える反対同盟の闘いが成田空港の完成を阻止し続けていること、そして何よりも大恐慌の中で成田空港の存在そのものが危機的な状況になっていることを示すものだ。
不当逮捕された市東さんは、「われわれが本気だということを示すことができた」と元気に闘い抜いている。反対同盟の決意に応え、空港廃港まで闘おう!
2010年5月25日 国鉄千葉動力車労働組合
●民主労総ソウル地域本部より
千葉県警は市東孝雄同志をただちに釈放せよ!
市東孝雄同志といえば、現地で生まれ育ち、これまで三里塚を守り続けている方ではないですか。韓国の同志たちが三里塚を訪問した際、直接お目にかかり、闘争の映像を通してもよく知っています。
孝雄同志が看板設置に抗議するのはあまりにも当然であり、正当な行為です。法的要件も満たさない彼らが勝手に私有地云々し、わが農民たちの暮らしの拠り所に手をかけているのに、どうして抗議せずにはいられましょうか。
あらためて竜山(ヨンサン)撤去民惨事が目に浮かびます。力のない労働者・農民を暮らしの拠り所から追い出すのに国家権力を動員しているのです。
千葉県警は今すぐ市東孝雄同志を釈放し、三里塚農民に謝罪しなければなりません。そして虎視眈々(こしたんたん)と三里塚を奪おうとする野望に満ちた策動を中止しなければなりません。
数十年間、多くの人々が三里塚で守ろうとしたものは、単なる「土地」ではなく、農民の「暮らし」であり「命」です。
民主労総ソウル本部と、三里塚の願いをよく知っている韓国の同志たちは、千葉県警察を糾弾せざるを得ず、今回のことを契機に空港反対同盟の闘いをさらに固く支持し、守り抜くという決意を表明します。
2010年5月18日
(光州民衆抗戦30周年の日)民主労総ソウル本部
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週刊『三里塚』(S800号2面8)(2010/06/01)
韓国労務士グループ「労働者の友」が来訪
5・20激闘の只中
現地調査と交流会を実現
5月20日、決戦真っ只中の三里塚に韓国民主労総の紹介で、公認労務士のグループ「労働者の友」の7人が訪れ、現地を回り、反対同盟と交流した。(写真)
公認労務士とは、労働委員会などでの労使紛争で、労使の代理人を務めるなどの業務に従事する国家資格。今回来たのは研修中の労務士の卵。民主労総ソウル地域本部のハンヒョクさんの引率だ。
午後3時、市東さんの庭に到着した一行だったが、折から「5・20団結街道廃道阻止」の闘争の真っ最中。庭で立ったまま、三里塚現闘員が現地調査の概略を説明して、まず、市東さん宅畑わきの監視台。「へ」の字誘導路、現闘本部などの説明に加えて、使われなくなった第二(東側)誘導路の接続部分を説明。つづいて市東さん宅西側に向かい、「Down With Narita Airport(成田空港粉砕)」の大看板を確認。同時に第3誘導路予定ルートも説明した。
そして団結街道にもどり、「閉鎖攻撃」の現状とこの日の闘いの経緯を解説。現闘本部と市東さんの畑〜東峰神社〜東峰十字路北側開拓道路〜横堀鉄塔〜菱田の大看板へ。
夜の7時30分からは反対同盟を代表して参加した萩原進事務局次長との交流会。現地を回った感想で「事前に少し勉強はしてきたが実際に回ったのとは大違い。44年も闘えば勝利の道が開けることを実感した」と感想を語ってくれた。
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週刊『三里塚』(S800号2面9)(2010/06/01)
三芝百景 三里塚現地日誌 2010
5月12日(水)〜5月25日(火)
●反対同盟は成田市・小泉一成市長に対し団結街道の廃道手続きを中止するよう求める申し入れ書を送付。(13日)
●前原国土交通大臣は、羽田の国際定期便を10月31日から就航させると発表した。新たに欧米路線も加え、「24時間国際拠点空港」化を推進するとの意向だ。(14日)
●「地域共生」と称して空港建設を後押しする「成田共生会議」(共生委員会の後継)の新会長に石田東生・筑波大教授が選出された。(15日)
●反対同盟が呼びかけた5・16緊急現地闘争には385人の労農学かけつけ大成功した。(16日=記事別掲)
●千葉県警は、団結街道の閉鎖を示す看板設置をめぐって市東さんを「器物損壊」で不当逮捕した。(17日=1面に記事)
●国交省成長戦略会議は、首都圏の羽田空港、成田空港の国際ハブ空港としての機能強化を軸とする報告書を前原大臣に手渡した。(17日)
●検察官による勾留尋問のこの日、反対同盟先頭に市東さん、現闘員激励行動に千葉地裁へ決起した。夜は支援連絡会議が市役所前と京成成田駅頭でビラまき。(18日)
●京成成田駅前で再びビラまき(19日)
●「管理期間」期限が切れるこの日、反対同盟と支援は早朝5時から、団結街道閉鎖攻撃を迎え撃つ実力阻止体制をとって、閉鎖を粉砕した。(20日=1面に記事)
●韓国の労務士グループが三里塚を訪れ、現地調査と反対同盟との交流会を行った。(20日=写真)
●団結街道の底地について成田市からNAAへ売却する手続きが始まった。(220日)
●5・24公聴会粉砕闘争が萩原富夫さんの不当逮捕をはねのけて闘われた。(24日=記事別掲)
●市東さんと現闘員の勾留理由開示公判が千葉地裁で闘われた。(25日=記事別掲)
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