SANRIZUKA 2006/10/15(No713
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週刊『三里塚』(S713号1面1)(2006/10/15)
知事の“隠密決定”弾劾する
市東さん耕作権 事実調査もなく解除許可
88年の違法売買、証拠も完全
国家犯罪暴き出せ
法も無視 末期的なNAA・国交省
(写真 地道な努力が実って有機農業に精を出す市東孝雄さん。無法決定への怒りは深い)
●前代未聞の隠密決定
暫定滑走路の「へ」の字誘導路に食い込む市東孝雄さんの耕作地を、NAA(成田空港会社)が農地法を使って収用しようとしている問題で、申請を受けた千葉県・堂本暁子知事は9月21日、数多くの違法な事実を調査もせず、NAAの解除申請を許可する決定を下した。市東さんと弁護団が調査を申請した膨大な違法事実について、知事はすべてを黙殺した。
今回の決定は、耕作者の権利を農地法で奪う前代未聞の事件にもかかわらず記者発表もない”隠密決定”だった。無法を闇から闇に葬り去る姿勢だ。三里塚闘争は、国家による農地収用との闘いという原点に引き戻された。「法が守ってくれないなら自分で守る」との意志を表明している市東さんを全国の労農学の力で支えよう! 三里塚で起こっている国家犯罪を白日のもとに暴こう!
(写真 農地強奪に加担した堂本知事)
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●事実調査もなし!
90年の耕作実績を受け継ぐ耕作者本人(市東さん)が、今後も耕作を続ける明確な意志を表明している純然たる農地を、農地法を使って収用するなどということはそもそも不可能だ。前例もない。農地法の根幹を完全に破壊する暴挙である。
しかし堂本知事はこの決定を記者発表もせず、隠密裏に通知する手はずをとった。なぜか?
空港会社は1988年に耕作地の底地権を元の地主から買収した件で、明らかな違法に手を染めている。市東さんと弁護団はこの事実を調査に基づいて指摘、県知事に再調査を要請した。申請書の錯誤も指摘した。
それでも県は動かなかった。確信犯なのだ。知事の付託を受けた県農地課は、9月14日の農業会議での説明で「空港会社は本人(市東さん)と何度も面談し協力を要請した(!!)」という虚偽まで振りまいた。「ウソをつけ! 自分の言葉に責任を持つなら俺の顔を見て発言してみろ!」と怒りに満ちた追及を行った市東孝雄さんの顔を見ることもできず、下を向いて「原稿」を読み上げていた。19人もの農業会議常任会議のメンバーは誰一人として、市東さんの追及に「反論」もできず、抗議の嵐の中、会議終了から30分も全員が沈黙し立ち上がることもできなかった。
そして21日の知事の隠密決定である。彼らは行政権力の構成者でありながら、自分たちの違法行為を自覚している。農地法違反だろうが何だろうが、後の裁判で負けようが、市東さんと反対農家をつぶせればいいという考えだ。本来は、開発から農民と農地を守る立場の県農地課は、ここではまるで空港会社の代理人だった。
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●違法売買の証拠
空港会社と県は、記者たちに虚偽の事実を流してもいる。「空港会社は2003年に地主から土地を買収し…」(9・23東京)というのはウソである。地主も口裏を合わせているが、ウソだという証拠がある。1988年7月9日付で地主・藤崎政吉と空港公団との間で、市東さんの耕作地の底地権を売り渡すことについての佐倉簡易裁判所の「和解調書」が存在する。調書には同年5月13日に売買代金約4472万円を全額支払ったことも明記されている。
そして問題は、これらの「売買」がすべて耕作権者たる父の市東東市さん本人に完全に秘匿して行われた事実だ。これは権利売買の条件として耕作者の同意が必須であることを定めた農地法3条に明白に違反する。言い逃れのできない事実で、公団による当該底地権の買収自体が無効である。
この事実に基づくならば、空港会社が「権利」を取得して18年が経過しており、解約請求権が10年で時効消滅する民法上の規定も生きてくる。
それゆえ空港会社は売買の年月日をごまかし、記者の取材に対しても「03年に売買した」とウソを流しているのだ。調べれば分かることだが、空港会社の言葉をそのまま垂れ流す新聞が悲しいかな存在する。
(写真 ガードマンに守られ無意味な延伸工事は始まった)
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●国家犯罪を白日の下に
あからさまな犯罪と違法行為を闇から闇に葬って市東孝雄さんの農地を強奪する。これが空港会社と県の考えだ。社会問題化する以前に脅迫と買収で農家をつぶす戦略だ。このような暴挙は、事実が広く世に出るだけで粉砕されるだろう。
あらゆる分野で空港会社・県による農地強奪の暴挙を暴き、広範な反撃の陣形を作りだそう!
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週刊『三里塚』(S713号1面2)(2006/10/15)
便数増えず、ジャンボも退役
無意味な「北延伸」をなぜ強行するか?
暫定滑走路の北延伸工事が9月15日に着工されたが、「造っても便数はほとんど増えない」など、その中身は想像以上に無意味・無内容で無駄な工事である実態が明らかになってきた。北延伸計画に公共性はゼロだ。延伸阻止・暫定滑走路閉鎖を求めて闘おう。
(図 北延伸計画の破たん性を示す地図。@は「へ」の字誘導路、Aは東側誘導路、Bはクリーンパーク)
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北延伸工事は25日から、国道51号線の付け替えトンネルに拡大された。しかし、空港会社自身や航空会社、マスコミなどから、北延伸計画の無意味さを指摘する発言、報道があいついでいる。
まず空港会社の黒野匡彦社長自身が「南側への延伸が本音」(9月12日付毎日新聞)と語った。新聞各紙は「なお遠い完全空港化」(9・24東京新聞)、「青空見えぬ延伸」(9・17朝日新聞)という論調を展開、外国航空会社からは「この程度の増便に330億円も使うのか」(同上)という声がっている。
●「へ」の字誘導路は直らない
なぜ北延伸は無意味なのか。以下解説する。
まず現在でも暫定滑走路の運用を大幅に制限している「へ」の字誘導路の直線化が絶望的だ、ということである。
暫定滑走路に航空機が離着陸している場合、「へ」の字誘導路部分があまりに滑走路に近接しているため航空機が入ることができず、手前の信号で待機することになっている。(地図@参照)
北延伸でさらにジャンボ機など大型機が運航すると、この「へ」の字誘導路を通過すること自体が危険で、1時間当たりの滑走路使用効率が4000b滑走路の3割程度に落ちるのだ。
誘導路を「へ」の字に曲げているのが市東孝雄さんの畑、天神峰現闘本部、北原事務局長の一坪共有地である。空港会社は現闘本部と一坪共有地を取り上げる不当な裁判を起こしているが、本来は訴訟自体が成り立たないほどの無法な裁判であることが明らかになっている。市東さんの畑の耕作権はく奪攻撃も、甚だしい農地法の逸脱である実態が明らかになっており、北延伸の開業予定「2009年」までに「への」字誘導路を直線にするなど絶対に不可能だ。
●「東峰の森」伐採は許されない
さらに新誘導路を阻む「東峰の森」の存在だ(地図A)。
現在の暫定滑走路は、駐機場と滑走路を結ぶ連絡誘導路が狭く、クランク状に折れ曲がっているためジャンボ機が通過できない。そこで北延伸計画では新たに東側誘導路を作る計画になっているが、東峰区が50年以上にわたって守り育ててきた「東峰の森」(約10ヘクタール)の3分の2を切り倒さないと誘導路を作れない。
ところが、森は東峰区住民が入会林として生活の一部をなしてきた財産だ。空港会社は入会林であることを認め、1996年と2003年の2度にわたって正式に「地区住民との合意なしに森を伐採しない」と確約した。北延伸はこれらを無視して伐採を強行する計画だが、法的にも信義上も許されない。
東峰区住民は8月3日と9月12日に公開質問状をつきつけ、「合意なくして伐採なし」とした確約の再確認を求めた。空港会社はこれを無視する姿勢なので、9月26日には東峰区住民全員の名において、東峰の森を保全する仮処分申請を千葉地裁に提出した。
さらにこの「東側誘導路」は構造からいってもも無意味な計画であることが明らかだ。東側誘導路のルートに注目してほしい。滑走路の南側延長上の真下を2回も通過する構造になっている。2カ所ともに信号機が付けられ、離着陸の航空機がある場合には待機しなければならない。
誘導路が滑走路の飛行直下を2回もくぐる空港は世界中を見渡しても成田暫定の北延伸滑走路だけだ。北延伸計画の破たんぶりは明らかと言うほかはない。
農家潰し“南延伸” NAA黒野社長の狙い
●ゴミ処分場の転用違法
また成田クリーンパーク(一般廃棄物最終処分場)の違法転用の問題がある。
暫定滑走路の北端からわずか50メートル地点に成田市の一般廃棄物最終処分場がある(地図B)。北延伸計画は、この処分場を廃止して空港の保安区域にする予定だが、最終処分場の廃止は法律によって、埋め立て後の排水や大気の浄化が証明されるまでできず、廃止さるまでは他への転用は禁止だ。
クリーンパークのようなダイオキシンを大量に含む焼却灰(一般家庭ゴミ)では、排水や大気の浄化に5〜6年かかる。しかしこれでは2009年の北延伸開業に間に合わない。そこで空港会社と成田市は、法律違反を承知で廃棄物を埋め立て、空港用地に転用しようとしているのだ。
市や空港会社がこのような違法をあえて押し通すことを許してはならない。反対同盟はダイオキシンを含むゴミの全量撤去を求めて闘っている。 ●短かすぎる滑走路
さらに、「2500bでは短ぎる」という問題も浮上している。
かりに「2500メートル」になっても燃料を満タンにする長距離便は飛べないため、この面からも便数が増えない実態が露呈してきた。需要が多いニューヨークやワシントンなどアメリカ東海岸にも飛べずロンドン等のヨーロッパ便にも使えない。
しかも現在、成田暫定滑走路で運行している短距離アジア便は、09年に同時に開業する羽田空港の新滑走路に大半が移る。「ほとんど便数は増えない」どころか、成田の暫定滑走路は存在する意味もなくなる可能性が出てきたのだ。およそ人の農地を違法に取り上げてまで強行しなければならない事業ではない。
そして、ジャンボ機は時代遅れで消える運命にあることも明らかになった。「ジャンボ機が飛べないから北に伸ばして2500メートル化する」というのが空港会社の説明だったが、そのジャンボ機は間もなく成田空港から消えてなくなろうとしているのだ。
成田空港発着の7割を占めていたジャンボ機はこの8年で3割まで減少したことが報道された。 世界最大のジャンボ機保有会社(29機保有)である日本航空も、向こう3年以内にジャンボ機を全廃する。不況下で大型機から中型機へのシフトが加速しているのだ。ジャンボ機はやがて成田空港から姿を消す。短距離便も羽田に移る。なぜ北延伸が必要なのか。
●「公共性」もなし
「北延伸」計画の狙いは何か。ただひとつ、反対農家をつぶすことだ。北延伸には空港の運用面からも「公共性」のかけらもない。それで市東孝雄さんの農地を違法な手段で取り上げるとは言語道断だ。
農家上空40bにジェット機を飛ばしている暫定滑走路の現実は国家犯罪だ。暫定滑走路を閉鎖に追い込むまで闘おう。
(写真 暫定滑走路の運航を制限している「へ」の字誘導路。北延伸しても直線化はできない)
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週刊『三里塚』(S713号1面3)(2006/10/15)
北総農民率いて合流する
萩原進さん “11月”へ「労農連帯」訴え
「労働者と農民の連帯とは」
反対同盟事務局次長の萩原進さんが、9月23日に都内で行われた「改憲阻止! 戦争と民営化・労組破壊に立ち向かう9・23労働者集会」で、「労働者と農民の連帯とは何か」を訴えた。
◇
労働者の皆さんが11月東京に1万人結集を目標に闘い、今日の階級情勢を切り開いている。その一端をわれわれ三里塚の反対同盟も担い、北総農民の大合流をかちとっていきたい。これが私の立場です。
憲法闘争を闘う中で、現在の農民の置かれている状況、あるいは戦後61年の農民の姿を見て分かることは、労働者の闘いと合流しなければ世の中を変えられないことです。労働者階級の圧倒的な決起の中で、農民はどう闘うのかが問われている。私たち三里塚の農民がそうした立場から、日本中の農民の先頭に立って闘いを呼びかける決意の表明でもあります。
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市東孝雄さんの農地を「農地法で取り上げる」という攻撃は、たんに一農民の問題ではありません。農民をつぶし農地を破壊し農業を破壊する。これが国の政策になってしまったことが背景にある。“百姓つぶし”です。いますべての農民がこの嵐にさらされている。市東さんの農地を守る闘いは、全国の農民の命運がかかっていることを知ってほしいと思います。
韓国の農民の闘いを見てください。昨年のWTO閣僚会議やAPECの会議で、農産物輸入の関税を大幅に引き下げる自由化へ動いた。これに対して農民たちはトラックやトラクターを国会に乗り入れて闘った。軍隊と警察が高速道路の入口を全部封鎖しても、彼らは国会周辺に集結し闘った。死人が出るほどの激しい闘いでした。
時あたかも韓国でもイラク派兵が問題になっていました。派兵に反対する労働者の闘いが提起され、農民と労働者が合流しました。また巨大な米軍基地がある平澤(ピョンテク)という所で、基地拡張に反対する農民たちが、労働者の隊列と合流して闘っている。
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農民たちは何を訴えているのか? 日本に引きつけて考えてみましょう。みなさんが毎日食べているコメ。玄米で農協買い取り価格が1俵1万2000円。15年前は2万4000円。その半値です。1反歩でよく穫れても8俵。10万円にも満たない。1町歩やってもで120万円です。半分は経費ですよ。機械も別。これが今の農業政策です。「農業やめろ」という政策です。卵は30年前より安い。牛肉はもとより豚肉はずーっと500円〜600円で横ばい。みかんも、りんごも安いなんてもんじゃない。元凶は輸入自由化です。国産の米は高いといって、輸入を解禁した。日本の農民は働きが悪い、コストダウンしろ、経営改善だと迫ってきた。何が起こったか? 農民が自分の子どもに農業を継げといえなくなった。農業高校は次々とつぶされる。農業を教える学校が無くなっているのです。食料自給率は40%を割った。安ければいいという政府の感覚は、食べ物じゃなくて「えさ」なんです。札束で外国から食料を奪い取る面もある。世界に食べ物は決して余ってません。
結論をいいますが、農業をつぶしてまともな社会は成り立ちません。これまで農家は働いて働いて夜も寝ないで働いて、何とかなるだろうと。これが大半の農民です。家族と別れて出稼ぎに出た。しかしもう出稼ぎの場もない。その上に減反でコメを作るなといわれ、一方で米を輸入して値段は半値に暴落した。
これでも終わらない。6月に出された新農政では農村は法人化しろ、部落でまとまって企業でやれとなった。個人だと本州以南では4町歩以上、北海道では10町歩以上でなければ作ったコメも買わないと。何しろ300万農家を40万農家に減らすと公言している。完全な百姓つぶしです。
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労働者が作る自動車を輸出して農産物を輸入する構造を経団連が作った。これが“安いコメ”の仕組みです。何が起こるか。ツケは労働者にまわります。労働者の給料が安くなる。実はこれが百姓つぶしの目的なんです。農民は補助金をもらってけしからんなんて宣伝され、労働者と農民は分断されるからくりです。
いまこそ労働者と農民が団結して、この分断を打ち破ろうではありませんか。三里塚は動労千葉の労働者とともに築き上げた労農連帯の砦でもあります。三里塚にはあらゆる階層の人々が集まっていますが、労農連帯が柱です。開港阻止決戦(70年代後半〜80年代初頭)の厳しい闘いの時代に、労働者は首をかけて、なぜ三里塚を支援するのかと自問しながら闘ってくれた。ジェット燃料を運ばなければ首になる厳しい関係です。それでも闘ってくれたのが動労千葉の仲間です。
80年代の中曽根臨調・行革の攻撃、国鉄分割・民営化という名の労働運動潰しの時代にあって、私たち三里塚農民にも2期着工攻撃が襲いかかった。あの嵐の時代を労農連帯で闘い抜いたんです。その時代を突き抜けて今日の動労千葉の姿があるし私たち反対同盟の姿もある。いま何が起きているか? 動労千葉の拠点つぶし。そして三里塚の北延伸です。改憲攻撃の中身は、本当に闘う労働者や農民の拠点をつぶす攻撃なんです。
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政府は強いわけではありません。「戦争を二度とやらない」と約束した憲法を変えないと生きていけない支配者なんて終わりです。だから三里塚40年の闘いが重要なんです。国家権力と40年も闘った、今日なおも五分以上に渡り合っている。いまこそ労働者と農民の隊列を大合流させ、この秋の11月をともに闘いぬこうではありませんか。
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週刊『三里塚』(S713号1面4)(2006/10/15)
コラム
極右政権といっていい安倍政権だが、安倍本人を支える「ブレーン5人組プラス・ワン」は、日本版ネオコンともいうべき右翼系宗教原理主義者が顔を揃える▼「プラス・ワン」の下村博文衆議院議員。安倍側近だが「日本会議国会議員懇談会」の事務局長だ。議員懇は日本最大の反共組織・日本会議の綱領と政策を国会で実現する組織である▼日本会議の中心は「生長の家」の指導部だった椛島有三。綱領は@改憲A教基法改悪B靖国公式参拝C皇室典範改定反対D「ジェンダーフリー」反対E拉致被害者救出Fイラク派兵の継続など▼次が伊藤哲夫・日本政策研究センター所長。前記の椛島とともに生長の家の指導部だった。生長の家は今「日本協議会」を名乗り日本会議の実質指導部を構成している。伊藤は、安倍らの「歴史教育を考える若手議員の会」設立の後ろ盾でもある。彼らは日本会議のロビイストなのだ▼八木秀次はご存知「新しい歴史教科書をつくる会」前会長。会は分裂したが、現在は同趣旨の「日本教育再生機構」を立ち上げ、自ら代表に就任した。残る3人は西岡力・東京基督大教授、島田洋一・福井県立大教授、中西輝政・京大教授。彼らは前記「教育再生機構」の発起人だ▼西岡と島田は拉致問題の「救う会」幹部としても有名。日本帝国主義の危機の深淵で、こうした右翼系宗教原理主義が台頭している。ブッシュのブレーンがキリスト教右派の原理主義者を基盤しているのと似ている。
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週刊『三里塚』(S713号1面5)(2006/10/15)
反対同盟がインターネットブログを開設
現地情報を迅速に
国家犯罪を暴く武器へ
反対同盟が9月15日、専用のブログを立ち上げた(写真)。北延伸工事の着工、市東孝雄さんへの耕作権取り上げ攻撃などで、情報伝達の迅速性、幅広さが求められるようになったため、開設したもの。開始以来、早くも多数の閲覧者が同盟のブログを訪れている。
特に市東さんの耕作権問題をめぐっては、千葉県農業会議での審議、堂本知事の取り上げ決定などを対象に、申し入れや公開質問状、要請書、陳述書、弾劾声明などが連日のように出された。
ブログの開設で、9月15日以降のものであればこれらを閲覧できる。また今後もこの種のデータが瞬時にして読めるようになる。 要望や意見も反対同盟に届くようになった。多数の人びとの利用を呼びかける。URLは
http://www.sanrizuka-doumei.jp/
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週刊『三里塚』(S713号1面6)(2006/10/15)
闘いの言葉
農産物は安ければいいのか。実はこれが低賃金のカラクリ。労働者と農民が分断されている現実を今こそ打ち破れ。9・23労働者集会 反対同盟・萩原進氏
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週刊『三里塚』(S713号2面1)(2006/10/15)
宗派対立をあおる米軍の末期的占領政策
“宗派を超えた”レジスタンスが米軍を圧倒し始めた
イラク解放戦争また新たな段階に
サドル派に権力委譲?
米軍 苦肉の手のひら返し
ブッシュの中東政策は根幹から破産
イラク解放戦争また新たな段階に
イラクはいま世界を揺るがす
9月23日、イスラム諸国は断食月に入った。04年以来、断食月はレジスタンスによる占領軍への攻撃が激増する。6月に開始されたバグダッド制圧作戦「フォーワード・トゥゲザー」は、毎日7万人の米軍と新イラク陸軍、イラク治安部隊を動員した大作戦だった。
しかしイラク人民とレジスタンスは、米軍の夏季大攻勢を跳ね返した。イラクでの世論調査によれば、米ブッシュの主張とは裏腹に、ほとんどのイラク人が「無差別テロの原因は、米軍が作っている。米軍が撤退すれば治安はよくなる」と回答している。
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●内戦を煽るまでに危機を深める米占領軍
米国務省と独立系調査機関の世論調査によると、イラク人の大多数が米軍の即時撤退を求めており、撤退すればイラクは現在よりはるかに安全になり「宗派間の暴力」も減ると見ている。国務省の世論調査でも、バグダッドで調査に応じた住民の4分の3が米軍がイラクから出て行けば安全になると回答し、65%が即時撤退に賛成した。
注目すべき点は、バグダッドの街頭意識調査で共通していた論調は、アメリカ軍はイラクにとどまる口実を作るために内戦を煽っている、というものだった(W・ポスト紙)。
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●サドル師派取り込みに走った米占領軍
「シーア派とスンニ派の内戦」以上に、米軍に対する攻撃が激化の一途をたどっている。これは注目に値する。米軍への攻撃は、9月、1週間に800回から900回。15分に1回という驚異的な数字だ(CBS)。
(写真 イラク侵略戦争の実態を世界に知らしめたアブグレイブ刑務所での捕虜拷問事件)
米軍の戦略は、反米勢力を分断し、武装レジスタンスの組織と支持者を分散させることだ。これは占領政策が根底から破たんしはじめたことの表現でもある。昨日までの敵と手を組むことを米軍が必死に追求する姿は末期的だ。
第1に、反米強硬派といわれたシーア派のサドル師とマフディ軍の取り込みだ。イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)シスタニー派と激しい主導権争いを行っていたサドル派は、サドルシティでの支配権をついに確立し、7月のイスラエルによるレバノン侵略の際には、バグダッドで100万人をデモに動員して勢力を誇示した。驚愕した米軍は、治安部隊の一角をマハディ軍に明け渡し、サドル派の地域での支配権を黙認し、さらにはシスタニー派との抗争も“黙認”して秋波を送った。
これはバグダッド占領以来の決定的な政策転換を意味する。サドル派は、この米軍の条件を「受け入れ」た。シスタニー派に取って代わって権力の座に着く道を選択した。これでシーア派内の新たな権力闘争が生まれた。
マスコミ報道の論調は、主に「シーア派とスンニ派の内戦」だが、本質はイラク・イスラム革命最高評議会(シスタニー派)とサドル派の権力争いである。権力闘争に勝つために、シーア派内の「復讐心」を利用・扇動し、スンニ派を攻撃し、自派の力を誇示している関係である。
22日、断食月入を前にして、サドル師は、クーファの金曜礼拝で演説した。「米軍との対決は、平和的・政治的でなければならぬ。決してアメリカ人の血も、イラク人の血も流してはならない」「平和的な政治的戦い、平和的抵抗闘争こそがわれわれの誇り」と語り、米軍との軍事的対決を放棄することを宣言した。またスンニ派との関係では、自制を求めず、「復讐の権利」を留保した。(AFP)
(写真 占領軍への怒りを爆発させる市民)
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米軍の狙いは第2に、スンニ派武装レジスタンスの攻撃の矛先を、シーア派への「報復」へ誘導することだった。米軍の占領に協力してきたスンニ派の国防相は、「シーア派によるスンニ派への攻撃を、米軍は黙認している。米軍のサドルシティでの作戦は手ぬるい。ファルージャはあれほど破壊されたのに、サドルシティは破壊されない」などと発言した。自分がファルージャ攻撃を容認したことを忘れたかのような発言だ。
作り出された「宗派対立」の構造に乗せられたレジスタンス組織も、少なからずあったようだ。23日にサドルシティで起きた爆弾事件はその典型だ。灯油を買うために並んでいたサドルシティ住民を対象に、無差別の爆弾攻撃が行われた。
このような「宗派対立」を煽る米軍の戦略は、一見、功を奏しているかに見える。3カ月でバグダッド市民1万人以上が死亡。30万人以上が国内難民となった。
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●レジスタンスの伝統と戦略的前進
しかしイラク人民は、正しく情勢を認識している。1千年以上続くシーアとスンニの「対立」は、現在のイラクの内戦状況とは実は関係がない。
バグダッドのいくつかの地区では、宗派の違いや宗教の違い、思想の違いを乗り越えて、住民の武装自治が貫徹されている。アンバル州での部族会議では「われわれは、中世に戻ることはできない。バドル旅団とマフディ軍は、他のシーア派武装組織とは別だ。アンバル州の部族は、シーア派もスンニ派も共に、占領軍の即時撤退を実現するために結束する」という決議をあげた。1920年の反英武装闘争では、南部のシーア派の決起に応え、ファルージャのドレイミ部族内のシーア派がハッバニーヤの英軍基地を攻撃し、この戦闘をきっかけに、スンニ派を含む全面的な武装蜂起へつながった歴史がある。
南部では、新たなシーア派の武装レジスタンスが組織され活動を開始。マイサン州から英軍が撤退する事態に発展した。何よりも、バスラの南部石油労組2万3000人が波状的なストライキを敢行し、団結を固めている事実である。組合員はスンニ派、シーア派、キリスト教、外国人労働者が組織されている。
この結果として、9月の米軍への攻撃は15分に1回というレベルまで高まったのである。レジスタンスへの支持率はこれまでの最高だ。連邦議会と政府は、醜悪な利権争いで権威を失った。この権力闘争に参加したサドル派は、このままでは必ず人民から見放される。
かつてイラク共産党は、南部で100万人を組織した中東最大のスターリン主義党であった。しかしサダム・フセインの共産党取り込み政策に屈し政権に参加した。そのとたんに腐敗し、人民から見放され、あげくに政権からもたたき出された。イラク人民の政治情勢認識は正確である。誰が裏切り者かを決して見誤らない。
(写真 米大統領・ブッシュ)
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●末期的な米帝の中東政策は破たん寸前
01年11月以来、アメリカ帝国主義がイラクとアフガニスタンに投入した戦費は5490億ドル(約60兆円!)にもなった。07予算年度には、さらに1100億ドルが追加される。月平均でイラクに1カ月80億ドル、アフガンには15億ドルが投入されている計算だ(AP)。13万5000千人の兵力ではイラク占領を維持できなくなり、20万人にまで戦力を増強することも検討されている。戦力の漸次投入。完全にベトナム敗北の二の舞である。
レジスタンスの戦いが米帝を追いつめる本質的な構造は深化しているのだ。追いつめられた米ブッシュは、対イラン攻撃を本気で検討している。世界戦争の引き金を本当に引きつつあるのだ。まさに万国の労働者・農民は決起する時だ。★
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週刊『三里塚』(S713号2面2)(2006/10/15)
「担い手新法」農民と地方の切り捨て
300万農家を40万に!
“4ヘクタール未満は米販売もできない”
農地法の廃止を企む日本経団連
6月14日、第164国会で農政「改革」3法案が成立した。@担い手経営安定交付金交付法案、A糖価調整法・農畜産業振興機構法改正案、B食糧法改正案の3本だ。
中でも@の担い手経営安定交付金法案は「担い手新法」と略称されるものだが、農業と農民、そして地方を切り捨てるための反動法案である。
一言で言えば、現在、兼業農家も含めて300万戸あると言われる農家の数を40万戸に激減させる、極端な農民切り捨て法である。9割近い農民を切り捨て1割の「優良」農家・団体に補助金や融資を集中しようという法律だ。
その手法は、価格支持政策から直接補償政策への転換と言われるものだ。価格支持政策とは、食糧管理制度の米価のように、政府が基準価格を設けて全作物を買い取る制度である。買い入れ価格が時価より高い場合は政府の負担による農家補償と同じ効果を持つ。ところが、直接補償は価格支持政策とはまったく異なる。補償対象は政府によって選別されたごく一部の農家に限られる。
これによって「優良」な40万戸以外の農家260万戸が切り捨てられるのだ。つまり、従来麦・大豆・てんさいなど各種品目の面積や価格に応じて農家に交付されてきた補助金のやり方を廃止して、「直接支払い」と呼びながら本来の趣旨とは逆に、農家・団体の規模で補償対象を絞り込むことで、農家を激減させ、補助金額自体も減らそうという、農民切り捨て政策だ。
補助金を受け取れる「担い手農家」に選ばれるのは本州以南で4f以上、北海道で10f以上の耕作面積を持っている農家である。日本の農家の平均耕作面積が1fであるから、前述のように9割が切り捨てられることになる。
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この農民切り捨て法は、日本経団連が2000年以来、政府に要求してきたものだった。03年にメキシコとのFTA協定合意した後の3月16日、日本経済団体連合会は、「経済連携の強化に向けた緊急提言〜経済連携協定を戦略的に推進するための具体的方策」なるものの中でさらに要求を具体化し、その第三章で「農業構造改革の加速化」と題して、農業・農民切り捨て政策の推進をあらためて要求した。
農水省は、経団連の要求に呼応する形で、これより早く2002年12月から食料・農業・農村政策審議会企画部会を立ち上げ、この問題を論議してきた。その中身は大きく3点。すなわち@約40万戸とされる「プロ農家」以外の260万戸の切り捨て、A株式会社による農地取得の要件緩和、Bそして農協の解体と農協事業への民間株式会社の参入である。
この内の@が今回、「担い手新法」という形で立法化されたのだ。
そしてこの悪法は、大手資本への農業への参入の道を開くという狙いも持っている。すでに日本の財界の間では1999年段階から「農業ビジネスは宝の山」(「日経ビジネス」99年5月号)などという議論が行われていた。担い手新法はそれにそった立法なのだ。
そして、次に焦点になっているAの農地法の改悪問題だ。農地の保有を株式会社に解禁しようという、事実上の農地法廃止の攻撃であり、市東孝雄さんの耕作権取り上げ攻撃の背後にはこの農地法廃止攻撃が横たわっている。
株式会社による農地取得は現在でも可能であるが、「入口規制」と呼ばれるきびしい制限の下に置かれている。これを「参入は自由にし、違反した場合にだけ罰すればいい」という「出口規制」に変えようとしている。これも農地法を廃止し、日本の農業を切り捨てようという思惑だ。
農業切り捨ては労働者への賃下げとイコールだ。労農連帯を強め反撃しよう。
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週刊『三里塚』(S713号2面3)(2006/10/15)
北総の空の下で
農民の誇り
拝金主義を拒否し
「農業会議がここまでひどいとは思わなかった。空港会社の手先だよ」――この市東孝雄さんの怒りと悔しさを共有する支援の輪が広がっています。
当該の畑の年収を勝手に試算して、150年分の補償をするから文句はないだろうという拝金主義!誇りを持って農業に従事する農民をこれほど愚弄した一言はありません。
成田駅街宣でわざわざ宣伝カーのところに来て「わたしも農業をやっているから畑一つひとつ皆違っていて代替地をやるといわれても同意できない気持ちがよく分かります」と言ってくれた60代くらいの女性がいました。
北側騒音下の農民Hさんは「戦争で帰りが遅くなったから小作のままだなんて国の責任だろうよ。それを盾に取るなんてひどい話はないよ。おれは市東さんみたいにはがんばれないなあと思うけど、それでも一度に大金を手にしてダメになった連中は何人も知っている。地道に百姓つづける気にならなくなっちゃうんだろうね]
9月23日の労働者集会で萩原進さんが、農民と労働者の連帯を熱烈に訴えました。「国は300万戸ある農家を40万戸まで減らすといっている。米価は15年前の半分これでは農家は食べて行けません。一方労働者には輸入野菜で食費を切り詰めれば給料が下がっても生活できるという。こんなことを言わせといていいんですか」
今、労働者に必要なのは空港ではなく豊かな農地なんだと、声を大にして叫びましょう。
(北里一枝)
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週刊『三里塚』(S713号2面4)(2006/10/15)
三芝百景
三里塚現地日誌
9月20日(水)〜10月3日(火)
●堂本知事が耕作権取り上げ許可 千葉県・堂本暁子知事は、空港会社から出されていた市東孝雄さんの耕作権の取り上げ申請を許可する決定を行った。(21日)
●労働者集会で萩原事務局次長がアピール 東京・文京区民センターで行われた労働者集会に反対同盟から萩原進事務局次長が参加して「今こそ労働者と農民が分断を乗り越えて自民党政府打倒へ前進する時」とのアピールを行った。労働者・学生からは熱い共感が寄せられた。(23日)
●北富士集会、動労水戸20周年パーティーへ 「米軍による実弾演習阻止・北富士現地集会」と「動労水戸結成20周年パーティーに、反対同盟からそれぞれ鈴木いとさん、鈴木幸司さんが参加して連帯を深めるとともに、10・8全国集会への結集を訴えた。(24日)
●国道51号線トンネル工事が本格化 暫定滑走路の北延伸工事で国道51号線付け替えトンネル工事が本格化した。クイ打ち機やクレーンを使った大規模工事では航空機が運航しない深夜の工事となる。(25日)
●国会開会日闘争に三里塚現闘も参加 臨時国会開会日の国会前闘争に三里塚現地から現闘員がかけつけ終日闘った。(26日)
●「東峰の森切るな」仮処分申請 東峰区が「東峰の森」の保全を求める仮処分を千葉地裁に申請して受理された。(26日)
●関西集会に萩原、市東さん 大阪で行われた全関西実行委員会主催の三里塚集会に反対同盟から萩原進事務局次長、市東孝雄さんが参加し発言した。集会では市東さんに檄布が手渡された。(28日=写真)
●つくば集会に鈴木謙太郎、伊藤さん 茨城県つくば市で開催された三里塚集会に鈴木謙太郎さんと伊藤信晴さんが参加、北延伸攻撃、市東さんへの耕作権取り上げ攻撃への怒りを訴えた。(30日)
●動労千葉大会に北原事務局長 DC会館で行われた動労千葉の第35回定期大会に北原鉱治事務局長が参加して労農連帯のきずなを深めた。(10月1日)
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