SANRIZUKA 2005/10/01(No688 p02)

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第688号の目次

写真 暫定滑走路「北延伸」攻撃への反撃が始まった。首都圏の労農学が緊急闘争(9月19日 東峰)

1面の画像
(1面)
“東峰の森は切らせぬ” “北延伸は阻止できる”
緊急闘争 「新誘導路阻止」宣言
国家暴力に民の制裁
北原鉱治事務局長「三里塚40年・変革の時」
記事を読む
小泉反動倒す力  労農学連帯、新たな時代 記事を読む
敵は「何でもあり」戦争だ 10・9集会へ参加呼びかけ
靖国、教育、憲法…反戦の砦の真価見せる
記事を読む
ピンスポット 支援する会“第2期”を全力で
会費納入・支援カンパを呼びかけます
記事を読む
 コラム 団結街道 記事を読む
闘いの言葉 記事を読む
(2面)
北延伸関連スポットを調査  継ぎはぎ空港に驚きの声 記事を読む
イラク情勢 石油の要衝でゼネスト
米軍は孤立し凶暴化 バスラ反英軍で民衆暴動も
“南部戦線”を構築 レジスタンス、宗派を超え
記事を読む
三芝百景 三里塚現地日誌 2205  9月7日(水)〜9月20日(火) 記事を読む
《おことわり》 記事を読む

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10・9全国総決起集会

10月9日(日)正午
成田市東峰・反対同盟員所有地

《主催》 三里塚芝山連合空港反対同盟

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週刊『三里塚』(S688号1面1)(2005/09/01)

 “東峰の森は切らせぬ” “北延伸は阻止できる”

 緊急闘争 「新誘導路阻止」宣言

 国家暴力に民の制裁

 北原鉱治事務局長「三里塚40年・変革の時」

 9月19日、「暫定滑走路北延伸阻止」の三里塚現地緊急闘争が闘われた。反対同盟の呼びかけに応えて首都圏から多くの労農学がかけつけ、北延伸と対決する決意を明らかにした。集会には動労千葉、都政を革新する会、婦人民主クラブ全国協議会の代表もかけつけ、新局面を迎えた三里塚闘争に新たな決意で臨むアピールを行った。集会後、参加者は北延伸攻撃を阻む各拠点を見て廻る現地調査を行い、国交省・NAA(空港会社)の狙いが南進=農民圧殺にあることを実感、10・9全国集会の成功を誓った。
 昼すぎ、三里塚現地の東峰開拓道路に180人の労農学が結集した。目の前わずか数十b先を巨大な航空機が爆音をたてて離着陸している。これらを吹き飛ばす勢いで集会が始まった。
 冒頭、北原鉱治事務局長が発言した。「選挙で勝った小泉は『もうおれに逆らう者はいない』とうそぶいている。小泉政権の反動攻撃をいかに打ち破るか。成田空港の完成を40年間阻んできた三里塚の闘いの真価が問われている」「暴力で襲いかかる者は暴力の制裁を受ける。これが真理だ」「南がだめなら北に延ばす、こんなデタラメを許していいのか。三里塚は勝利へ前進している。今一度力を合わせ新たな闘いに立ち上がろう」と熱烈に訴え、満場の拍手で確認された。
 つづいて動労千葉の滝口誠特別執行委員が、「住めない環境を強制して追い出そうとする北延伸攻撃は許せない」と弾劾。尼崎事故や米国ハリケーン被害を例に出し「戦争と民営化の攻撃の行く末はあのような惨事だ。全金本山の勝利をみよ。闘えば勝てる」と強調した。そして「今日はアメリカのノースウエスト航空と闘っている整備士組合と連帯するプラカードを準備してきた。写真を彼らに送って連帯の意志を示し、三里塚闘争のように闘えば勝てることをアピールしたい」としめくくった。
 都政を革新する会の長谷川英憲さんは「北延伸には何の合理性もない。ただ農民をたたき出すためだけの攻撃を10・9集会への大結集ではね返そう」とアピール、都議選、つくる会教科書採択阻止の闘いにふれ「採択されたけれど闘いは大きな勝利をかちとった。戦時下の排外主義、愛国主義の攻撃と国際連帯で闘っていこう」と述べた。
 婦人民主クラブ全国協の代表は「小泉反動をはね返す第1歩として今日の闘いに参加した。小泉は170兆円もの借金を増やしたけれど、三里塚空港のようなムダ使いも平然とやっている」と訴え、小泉政権の下で軍事化が拡大している座間・相模原米軍基地の実態を弾劾した。全学連委員長の大山尚行君は「北延伸攻撃を阻止するために廃寮攻撃と闘う有朋寮学生を先頭に学生を10・9集会に結集する」とアピールした。
 最後に萩原進事務局次長が「新誘導路の計画は怒りあきれるほどのデタラメな計画だ。東峰部落は一切拒否して闘う」「小泉のファシスト政治に対して人民の側から戦争を始める気概で立ち向かおう」と集会を締めくくった。
 集会後参加者は頭上40b飛行の直下から敷地内を横断するデモを行った。
 その後、実行委員会・中核派の部隊は2時間かけて、北延伸の理不尽さを確認する現地調査を行って10・9集会への取り組みを確認した。(2面に調査報告)
(写真 暫定滑走路「北延伸」攻撃への反撃が始まった。首都圏の労農学が緊急闘争【9月19被 東峰】)

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週刊『三里塚』(S688号1面2)(2005/09/01)

 小泉反動倒す力

 労農学連帯、新たな時代

 「北延伸」攻撃とは何なのか? 国交省・NAAの思惑が露わとなった。
 「北延伸」のうたい文句は「ジャンボ機を飛ばす」だ。暫定開港で上空40b飛行を強制されている反対農家と敷地内地権者に対する最後通牒的な脅しだ。
 もともと「北延伸」計画は、02年の暫定開港前後から地権者への脅しとして持ち出されてきた。東峰・天神峰の反対農家を叩きだし、南側の本来計画による2500b化(暫定開港の北ずらし分を加え3300b)を実現することが狙いだ。北延伸ではジャンボ機は飛べず、便数も増やせないからだ。
 また2年後の07年に迫る成田空港会社の株式上場前に、形だけでも「2500b化」を確定したい事情もある。上場自体が破たんしかねないからだ。
 こうしてNAAは開港後、同盟一坪共有地への強奪提訴(02年12月)、市東孝雄さんへの耕作権解約要求(03年12月)、天神峰現闘本部の撤去・明け渡し提訴(04年3月)など強攻策を次々とくり出した。そしてこれを背景に地権者に対する猛烈な切り崩し工作を進めた。「特別立法による収用」などという脅しをマスコミにリークしたりもした(02年4月)。
 昨年末から北延伸攻撃が具体化したのは、この開港以来の屈服強要が失敗した結果でもある。時間切れに追い込まれたのである。

●小泉反動の一環としての「北延伸」攻撃
 そして「北延伸」にはもうひとつの決定的な動機がある。小泉反動の一環としての三里塚闘争破壊だ。
 小泉「改革」の特徴は、大資本の営利活動に自由を与えるために、労働者・農民の権利や抵抗手段を物理的にもイデオロギー的にも奪うことにある。「作る会教科書」などの教育反動や治安弾圧立法の制定攻撃(凶暴罪等)にみられる国家的統制の強化は、小泉反動の不可欠の一環だ。
 そして小泉反動はその核心部で、イラク派兵を切っ先とする軍事力行使に踏み込んだ。タブーだった9条改憲攻撃は公然と政治スケジュールに組み込まれた。
 しかしこの小泉反動の最大の弱点は、労働者や農民の階級的反撃が避けられないことにある。小泉政権はさしあたり反動を「改革」と言いくるめ、かろうじて政権を維持している。しかし《戦争と民営化》が進めば進むほど、労働者・農民との激突は避けられない。小泉政権が労働組合などに異常な敵意を示す理由もここにある。
 このなかで、三里塚闘争のような「法」的枠組みを超えた人民の抵抗拠点が、権力との40年におよぶ死闘に勝ちぬき、なおかつ階級闘争の一角に存在する意義は大きい。小泉反動にとって三里塚闘争の存在はそれ自体が致命傷なのだ。
 暫定滑走路は、航空運輸政策としては必要性を失った。それでも政府・国交省が執拗に三里塚への攻撃を続ける背景は以上のようなものだ。

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週刊『三里塚』(S688号1面3)(2005/09/01)

 敵は「何でもあり」戦争だ 10・9集会へ参加呼びかけ

 靖国、教育、憲法…反戦の砦の真価見せる

 反対同盟は暫定滑走路「北延伸」攻撃に対する反撃の陣形を整えつつある。天神峰・東峰区の空港敷地内農民をたたき出すことを目的とした「北延伸」計画は、東峰の新設誘導路問題などで早くも弱点を晒している。反対同盟に10・9全国集会への抱負を聞いた。

 声と勇気と力を出して 反対同盟事務局長 北原鉱治さん

 三里塚は再び決戦の秋を迎えている。国土交通省と成田空港会社が打ち出してきた北延伸計画なるものは、東峰、天神峰の農民に
住むことさえ許さず生活権を奪う、農民無視の極致ともいうべき攻撃だ。
 現在毎日強行されているジェット機の40b頭上飛行やジェット噴射の吹きつけ攻撃を今度はジャンボ機を使ってやろうとする人権侵害の最たるもの。
 造ってしまえばあきらめるだろうという新たな軒先工事をわれわれは絶対に許さない。
 農家を取り囲むように計画されている“はみ出し誘導路“の理不尽さや進入灯を阻む廃棄物処分場の存在など延伸計画がいかに場当たり的でデタラメであるかを示す事実がつぎつぎと暴露されてきている。「懲りない連中」とは国交省、空港会社の連中のためにある言葉だ。
 彼らは要するに東峰、天神峰の農民をたたき出して南に伸ばしたいのだ。ここにわれわれのチャンスがある。新たに騒音下に組み込まれる北部の住民と連帯し、北側延伸を許さぬ陣形を全国の仲間と作って行きたい。
 国政に目を転じれば小泉内閣が選挙で圧勝した。だが彼がこの4年間でやったことは戦争政策であり、労働者のリストラ、首切り、合理化であり、福祉切り捨てだ。
 彼は勝利に勢いを得て、「靖国神社」への参拝、教育基本法―憲法改悪の攻撃に出てくるだろう。時代はまさに60年前の第2次大戦前を思い出させる戦争の情勢に入りつつある。
 成田空港は自衛隊の離発着基地としてすでに9回も軍事使用されている。私は訴える。声ある者は声を勇気ある者は勇気を力あるものは力を出してこの状況を変えなければならない。政治はみんなで作り出すものだ。正か邪かはっきり声に出そう。
 そして若い諸君。幼子たちに確かで希望ある未来を伝えなければならない。だからこそ今、三里塚が勝利して見せなければいけないのだと強く思う。
 10・9全国集会は日本の将来を指し示す決戦の闘いだ。目に見える成果を示さなければならない。

 新誘導路、狙いは南延伸 反対同盟事務局次長 萩原進さん

 北延伸にともなって新誘導路の計画と称するものが東峰部落に提示されたが、一目みてあきれたという実感が正直なところだ。
 東側誘導路は従来、私の“清水の畑”の西側を通るものとされてきたが、彼らの計画図を見たら空港の敷地からもはみ出し、東峰の森も切り倒して大きく迂回するルートになっている。
 家の畑も完全に空港の中に組み入れられている。それだけなりふり構わぬ計画だということだ。だいたい東峰の森は数年前に、当時の公団の方から「残したい」と申し入れてきたものだ。それを今度は自分で切ろうというのだから何をかいわんやだよ。つぎはぎだらけ、パッチワーク。まったく想定しなかった事態に追いつめられでっち上げたということだ。
 問題になっている廃棄物処分場の移転だって簡単じゃない。家のすぐ横に同様の例があってそれを撤去するのに8000万円かかっている。処分場は何十倍もの面積だから費用だけで押して知るべしだ。
 要するに、彼らは南側への延伸を狙っているということ。ちょうど5年前、暫定滑走路の計画を発表した時とそっくりだ。まず「計画発表」でわれわれを脅し、それでも崩せなかったので「着工」で脅そうというわけだ。同じことをもっとあくどくやろうとしているが、反対同盟と三里塚には通用しない。
 こうまでしてわれわれを叩き出そうとする彼らの意図は何か。小泉圧政の中で、闘いの炎を消したいと言う意図だ。小泉構造改革は「何でもあり」の攻撃なのだから、こっちの側も同じ次元で闘いをぶつけなけりゃいけない。「戦争か革命か」だよ。
 総選挙で真っ向から反戦を掲げ真の変革を訴える勢力はいなかった。だから小泉に流れた。三里塚を闘うわれわれこそが本当の変革者として登場しなければならない。勝てる展望が見えれば民衆は決起する。これは代執行闘争を始めとした闘いの教訓だ。10・9を新たな出発点に三里塚をもう一度全国化したい。

 俺たちを追い出す計画だ 敷地内・天神峰 市東孝雄さん

 空港会社が北延伸を決定して、ボロが次々とあらわになってきた。本当によくこんなでたらめな計画を出せるもんだよね。
 空港の敷地をはみ出して東側に迂回する誘導路なんか、笑っちゃうと言う感じ。子供の図画工作じゃないんだからさ、「ここがちょっと足んないからこっちへ出っ張らせます」なんていう話じゃないでしょ。そこには先祖以来住み続けて農業やっている人間が住んでいるんだよ。つぎはぎの空港を口実に追い出されちゃかなわないよ。
 誘導路にしろ、廃棄物処理場の移転問題にしろ、管制塔からの死角部分が増えるというにしろ、いかにいいかげんな計画で北延伸を考えているかの証し。結局、暫定開港のときと同じで、北延伸計画でおれ達敷地内を追い出したいというのが奴らの本音。だから計画もこれだけひどい。安全無視もひどい。
 農民無視は今に始まったことじゃないけど、あきれるほどだよ。逆にこっちはますますファイトが沸いて来る。「こんなでたらめを許しちゃならない」と言う気持だよ。ジャンボ機の飛行なんか絶対許さない。延伸したって、うちの畑と現闘本部と北原さんの一坪で「へ」の字誘導路は曲がったまま。便数も増えない。
 小泉の圧勝で攻撃は強まるだろうけど、まっこうから対抗できるのは三里塚を先頭とした農民と労働者の力だ。ここまで来たら勝たないとね。権利はしっかり主張しなければいけない。10・9集会は三里塚闘争の新たな出発の日です。大結集お願いします。

 二度と戦争教育は許さぬ 反対同盟本部役員 鈴木幸司さん

 選挙での小泉政権の圧勝を見て、戦前と同じ時代に入ったことを痛感する。「反対するものは許さない、逆らうものはみせしめだ」というんだから、とんでもない状況が始まった。
 戦争体験者は皆語るが、戦争教育の恐ろしさを声を大にして改めて訴えたい。「つくる会教科書」採択の攻撃、教育基本法の改悪の動き。戦前は子どもの心を天皇主義へ変えていったんだから。
 小泉が靖国神社に参拝することを公言しているけど、あんな戦争神社はない。私も含めて出征者は「今度会うときは白木の箱(棺)に入って靖国神社で」と本気で誓ったものだった。その神社に首相が参拝するなんてとんでもないこと。敗戦―憲法制定の過程を通じて「もう2度と侵略戦争はしません」と誓った根本のところを否定して、「再び戦争をやる」と宣言するようなものだ。
 自衛隊のイラク派兵も延長されるだろう。憲法の改悪にも手をつけてくるかも知れない。今こそ三里塚を軸に全人民が一致団結して戦争と民営化の攻撃と対決すべき時だと思う。
 北延伸の攻撃も、小泉の戦争政治に正面からぶつかっている三里塚のような闘いをつぶしたいという意図だと思う。あんなめちゃくちゃな計画ないわけだから。
 いずれにしても世の中を変えるのは労働者・農民・人民の力だ。戦後の歴史は重大な曲がり角に来ている。10・9集会は北延伸計画を粉砕し、小泉政権の打倒へむかう全人民の決起集会だ。いっそうの大結集をお願いします。

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週刊『三里塚』(S688号1面4)(2005/09/01)

ピンスポット 支援する会“第2期”を全力で

 会費納入・支援カンパを呼びかけます

 天神峰現闘本部裁判は10月6日の第8回口頭弁論から地上権をめぐる本格的な論戦に入る。そこで反対同盟は権利の存在を積極的に主張する議論を展開する。具体的には建物登記の事実など地上権設定に至った経緯、鉄骨造り3階建物の増築と構造などを詳述する。空港会社側の破たんをさらに拡大する追及が行われる予定だ。
 また現闘本部は誘導路を「へ」の字に曲げている現地攻防の焦点である。いっそうの支援陣形の拡大と傍聴闘争への取り組みを強めよう。支援する会をさらに拡大し、第2期の運動を前進させよう。
●会費納入方法について 年会費は1口3000円。団体の場合は出来る限り複数口でお願いします。
▼郵便振替【口座番号】00100−8−297055【加入者名】天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会
▼銀行振込:三井住友銀行成田出張所【店番号・口座番号】548−6592903【口座名義】伊藤信晴
●銀行振込の注意
 銀行振込の方は、納入者の氏名等を正確に確認できませんので、連絡票(別途配布)を「支援する会」事務局まで郵送願います。郵便振替の方は、振替用紙に氏名・住所が書き込まれますので、連絡票は必要ありません。
〒286−0111
成田市三里塚115(北原気付)/天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会事務局
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天神峰現闘本部裁判
10・6口頭弁論へ
10月6日(木)10時半・千葉地裁
※傍聴券配布のため午前9時30分地裁前集合

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週刊『三里塚』(S688号1面5)(2005/09/01)

団結街道

 自民党と民主党の若手議員が北朝鮮拉致問題で意気投合し「人権派はなぜ拉致問題で沈黙するのか!」と盛り上がっていた拉致問題に関しては、今やどんな小さな反論も新聞・テレビから一掃された観がある。何しろ北朝鮮の最高権力者が事件を認めた「国家犯罪」なのだから制裁は当然だという単純明快な論調だ拉致事件はプロレタリア国際主義の立場からも許されない犯罪行為だが、政府もマスコミも真相解明をいうならなぜ一言、拉致事件の背景と歴史的経緯に言及しないのか。ここが問題の核心部なのに拉致事件は日本が関わった朝鮮戦争(休戦中)の延長上にある。死者400万人という世界戦争なみの大戦争に日本は関与し、その結末が南北分断だ。その後アメリカは南朝鮮に核を配備し分断を固定化した。日本は南の軍事独裁政権と結んで分断を支え、アメリカに基地を提供したあれから今日まで日米韓と北朝鮮は準戦争状態(休戦)なのだ。拉致事件はこの戦争状態のなかで起こった。歴史から解きほぐさなければ問題が解決できない所以だ日本の敗戦から朝鮮戦争までアメリカは南朝鮮を軍事占領し、独立運動を血みどろの弾圧で潰した。この弾圧は日本政府の関与で始めて可能だった。この事実もあまり知られていない。南北分断の責任は日本だとすら言えるそもそも旧宗主国たる日本は、旧植民地との間に戦後60年を経て国交回復も果たせていない。日本に強制連行された朝鮮人行方不明者の消息調査も着手以前の状態だ。拉致問題は「人権」のひと言でで片づく問題ではないのである。

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週刊『三里塚』(S688号1面6)(2005/09/01)

 闘いの言葉

 小泉「構造改革」を打ち破ることこそが人間らしい生き方だ。われわれは歴史を動かす闘いでこれを証明し、全国の学生の力で廃寮攻撃を止める。
 9月9日 東北大学有朋寮委員長 織田陽介

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週刊『三里塚』(S688号2面1)(2005/09/01)

 北延伸関連スポットを調査

 継ぎはぎ空港に驚きの声

@迂回誘導路を阻む東峰の森(写真手前)と一坪共有地(後ろ右手の土手)のわきに立ち、萩原進さんの説明を聞く現地調査団(9月19日)
A北延伸滑走路の進入灯を阻む面積4万2千平方メートルのは器物処理場を見る(成田市徒十余三)
B大木よねさん、萩原作治さんらが眠る東峰墓地。南側への延伸を阻んでいる
C現地調査の最後に、騒音下・芝山町菱田でたたかう鈴木いとさん、加代子さんと交流

 “東峰の森は潰せない” 廃棄物処理場もじゃまに 狙いは南進、農民追い出し

 9・19緊急現地闘争の後、反対同盟、全学連現闘の案内で北延伸攻撃に関する現地調査が行われた。訪れた場所は、新誘導路で破壊される東峰の森、移転が問題になっている一般廃棄物処分場、市東孝雄さん方監視台、東峰墓地、鈴木幸司さん宅。延伸計画のデタラメさに参加者は怒りの声を上げていた。
 約50人の参加者がまず訪れたのが東峰の森。10・9全国集会が行われる予定の萩原進さんの畑のすぐ東側だ。8月末に東峰部落に示された空港会社側の計画図によると、この通称「清水の畑」と北原鉱治事務局長らが持つ一坪共有地の間を新東側誘導路が通る計画になっている。
 その土手になっている一坪共有地の脇で萩原進さんがマイクで説明した(写真@)。「この一坪共有地は多古町の農民から提供されたもので、北原さんが名義人の1人になっている。こことうちの畑の間を新誘導路が通るというんだけど、間隔は非常に狭い。しかも清水の畑に行く農道や今われわれが立っているこの道も誘導路ができれば寸断される。トンネルにでもする外はない。それだけ見てもずさんな計画であることは一目瞭然」と話した。
 次に当時の空港公団が東峰の森を部落に残すとしてきた経緯を解説した。「数年前になるだろうか、当時の公団は部落への懐柔策として、この県有林を東峰の森と改名して、防風林、防音林、景観保護の趣旨で残したい旨、申し入れてきた。そのために植わっている樹木のすべてを調査し、下草を刈るなどしてわれわれを取り込もうとした。ところが『残す』と言ったその森を、今度は切り倒すという。こんなマンガのような話しがありますか」と訴えた。
 そして「東峰の森は開拓以来、部落の入会林だ。部落が下草を刈り管理してきた。落ち葉を肥料に使っている農家もいる。営農になくてはならない大切な森だ。それを切り倒すなど絶対に許せない。部落は一致して計画拒否を通告した」
 解説を聞いた参加者は一様に驚き納得した様子。現闘員が補足説明で「北延伸計画というのはボロボロです。誰も喜ばない計画なんです。当の空港会社もやりたくない。狙いは何か。5年とか6年をかけて東峰部落の営農と闘いをつぶすことです。そして南側に伸ばしたい。北延伸はそのための圧力手段なのです」と強調、「北延伸は阻止できます」という言葉に参加者はうなずいた。
 次に市東宅畑にある空港監視台に上って、市東さんと滑走路・誘導路の距離、ジェット噴射の現状を体験した。

 三里塚新たな結集運動を

 つづいて調査団は暫定滑走路北側の一般廃棄物処分場(クリーンセンター)へ(写真A)。広さ4万2千平方bの同処分場は、北延伸計画にともなって移転が焦点化している場所だ。
 現闘員が説明した。「この場所は延伸計画にともなって進入灯を設置しなければいけない場所です。また保安地域になるので現在深い谷になっている部分を平らにしなければなりません。つまり法律でこの処分場は移転させなければならないのですが、それには約10万立方bと予想される廃棄物を掘り返して移転しなければならない。しかし単に移すのではなく、ゴミを高温で溶融処置をして動かさなければならない。移転先の確保、何万台にもなるダンプカーによる移転作業。気の遠くなるような、何年かかるか分らない話です。それもこれも無理に無理を重ねる延伸計画が元凶なのです」。
 解説を聞いて一行の中から驚きの声があがった。
 さらに補足として「この処分場は現在の暫定路にも影響している。本来この地にあるべき進入灯を建てられないので、400b分滑走路にくいこませてあるため北側からの着陸では1780bしか使えていません」と説明した。
 次は東峰墓地(写真B)。現地への訪問回数が多い仲間でもこの地に立ったことのある人はそう多くない。萩原作治さん、川嶌邦夫さんそして小泉(大木)よねさんらの墓に闘いの勝利を誓った。
 最後は菱田で廃村攻撃と闘う鈴木幸司さん宅へ(写真C)。参加者の中には1980年代半ばの成田用水決戦以来の訪問という人も多かった。鈴木さん1軒だけに変貌した菱田・中郷部落の変わりように驚くとともに、こうしたきびしい状況に負けず闘いを貫く鈴木さん一家の闘魂に感激した様子だった。
 鈴木いとさん、加代子さんが自宅の庭に調査団を招き入れあいさつした。「10・9集会よろしくお願いします」といとさん。加代子さんは「金に転んで移転していった農家がその後どうなったかは、三里塚闘争の歴史の本などでいやというほど強調されているのに、同じ轍を踏む農民の何と多いことか。あきれています。うち1軒になり権力のいやがらせなど圧力はありますが、全国のみなさんの顔を思い浮かべてがんばりぬいています。10・9集会でもう一度お会いしましょう」と決意を語った。
 現地調査に参加したメンバーは改めて三里塚闘争が空港会社側を土俵際に追いつめていること、北延伸計画はその結果出されてきた苦し紛れのデタラメ計画であることなどに確信を持った様子だった。
 さらに大勢の労農学が三里塚現地調査に参加しよう。10・9集会の成功をかちとろう。

 

 

 

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週刊『三里塚』(S688号2面2)(2005/09/01)

 イラク情勢 石油の要衝でゼネスト

 米軍は孤立し凶暴化 バスラ反英軍で民衆暴動も

 “南部戦線”を構築 レジスタンス、宗派を超え

●イラクレジスタンス、遂に南部戦線を構築
 8月24日、シーア派の聖地ナジャフでバドル旅団(カイライ政府に参加したシスタニー師の軍事組織)が反米闘争指導者のサドル師派事務所を攻撃したことが引き金で、南部地域の人々が宗派を超えて占領軍の追放とカイライ政府打倒を目指す武装反乱を開始した。(前号既報)
 9月7日、南部最大の都市で石油積み出し港のある戦略的要衝バスラで、レジスタンスによる大規模な戦闘が展開された。イギリス軍に支援された1万3500人の警察組織と内務省特別軍の支配は決定的な破たんに直面している。警察と治安組織の内部からの反乱も始まっているようだ。
 9日からは、バスラのスンニ派指導者の呼びかけでゼネラル・ストライキが始まった。同派の活動家が拘束されたことがきっかけ。12日現在、反米指導者の下にあるシーア派も合流し、ストが継続されている。これでナジャフ、サマワ、ナシリア、アマラ、バスラといった南部の主要都市が反占領のレジスタンスに合流したことになる。それまで比較的”平穏”を保ってきたとされる地域だ。「南部戦線」の構築に米英軍は衝撃を隠せない。
 こうした事態のなか、イギリス軍とオーストラリア軍が自衛隊の駐留するサマワからの撤退を検討し、日本にも打診していたことも明らかになった。
 また韓国政府も9日、イラクに派遣している韓国軍部隊約3200人の3分の1を撤退させることを検討中だ。(共同)
 米占領軍はひたすら凶暴な「掃討作戦」を続行し、レジスタンスの住居と決めつけた各都市を丸ごと破壊する虐殺行為を続けているが、米本土でのハリケーン被害に端を発する米軍内部からの”反乱”も始まっている。イラク侵略戦争の敗北は隠しようがない。
 虐殺の共犯者=日帝・自衛隊は即時撤兵せよ! 小泉政権の「イラク特措法延長」を許してはならない。
(写真 イギリス軍と群集が衝突した南部の都市バスラ。火炎瓶が飛び戦車が燃え上がった)
●カイライ軍の脱走兵増加
 【9月3日=バグダッド】カイライ政府は2005年のカイライ軍の脱走兵が前年を上回ったことを認めた。(確認出来る数だけで)800人のカイライ軍兵士が脱走し、それらのうち70人が将校。(イスラムメモ=IM)

●アル・カイム奪回
 【9月4日=アル・カイム】レジスタンスがアル・カイム市内の全域を掌握。全域にイラク国旗を持った武装レジスタンスが展開し、モスクからは『神は偉大なり!』などの文句が聞こえる。カイライ市長は都市が『テロリスト』の手に墜ちたと認めた。(IM)

●揺れる海兵隊の街・ブルックパーク
 【9月7日=東京】米国・海兵隊の一大拠点、オハイオ州ブルックパーク市が揺れている。イラクでは先月初旬、道路に仕掛けられた爆弾などで同市から出撃した海兵隊員18人が、たった2日間で命を落とした。若者たちの無残な死に、ブッシュ政権に同情的な声が多いこの街からも「反戦の声」が上がり始めた。

●親米派バドル旅団がパレスチナ人に出国強要
【9月7日=バグダッド】シーア派の排他的な宗派主義者・バドル旅団メンバーが、イラクに住むパレスチナ人に1カ月内にイラクから出ていくよう要求した。従わなければ治安部隊によって連行されるか殺されるだろうと脅迫した。イラクには1万人以上のパレスチナ人が住んでおり、国内には40年以上つづくパレスチナ人居住地がある。
 バドル旅団は、イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)の武装部門で、彼らは2003年春に米侵略軍と一緒にイラクにやってきて治安部隊の根幹となっている。(IM)

■タルアファル=米軍に突き刺さったナイフ
 【9月10日=タルアファル】米軍3500人とカイライ軍5000人、その他支援部隊1万人が、タルアファル(人口20万人)への大規模な攻撃を開始した。
 同市は昨年8月、何百人もの住民が殺され、数千人が退避させられる残酷な米軍攻勢の現場だったが、その後レジスタンスに奪回されていた。今回、4日から米軍が同市を包囲し空爆を開始、バドル旅団による検問所での略奪と虐待行為が始まっていた。イラク赤新月社によれば10日までに90パーセントの住民が2カ所の難民キャンプに強制的に収容された。(IM)
 米軍は今回の空爆および砲撃で化学兵器を使用した(!)。窒息性ガスのようだ。医療関係者がクドス・プレスに語ったところでは「近隣の都市であるモスルとバイジの病院には、米軍による化学兵器もしくは毒ガス爆弾の被害を受けた170人以上の中毒患者が運び込まれた」。死体の毀損状態も明らかに化学兵器のものだという。
 今回の米軍とカイライ軍の攻撃について、クルド愛国戦線(移行政府に参加)の副議長は「反乱を平和的に終わらせるというイラク政府と住民との協定を破るものだ」と非難せざるを得なかった。
 しかし11日には、レジスタンスは米軍正面から忽然と姿を消した。「トンネル・ネットワークで旧市街に脱出した」(米軍当局)のだ。レジスタンスはなおも神出鬼没で米軍を翻弄している。

■米軍兵士たちの惨劇
 【ダール・ジャマイル氏のイラク速報=8月24日】10万をはるかに超えるイラク人と、1800人以上の米軍兵士は、”ブッシュの戦争”がなければ今日も生きていただろう。
 …ブッシュのウソによって息子を亡くしたフェルナンド・ソアレス・デ・ソーラーは「大統領に伺いたい。もしこの戦争が『われわれの自由』と『われわれの守る価値』のためだと確信するなら、なぜ君は自由の戦いに自身の娘を派遣しないのだ?」と書いた。
 イラク駐留米軍への攻撃は今、1日に70件を上まわり…(米兵の)死亡者数は遠からず2000人を突破する。陸軍の調査で、全イラク駐留兵士の54%が士気を「低い」または「ひじょうに低い」と答えた。
 兵士ニコラス・プルビラは、帰国して<戦争に反対するイラク帰還兵〉に参加した。彼は「私の便は大量の血が混じっていた」「ずっと疲労を感じてきた、髪の毛はぬけ…右腕の感覚がなくなり…」と語った。彼が苦しんでいるのは、イラクで使われた劣化ウラン兵器による被曝だ。1991年の湾岸戦争を体験した帰還兵1万1000人以上が死んだ。その他にも25万人以上が有効な治療を受けられないでいる。

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週刊『三里塚』(S688号2面3)(2005/09/01)

 三芝百景 三里塚現地日誌 2205

 9月7日(水)〜9月20日(火)

●米航空会社が大赤字 アメリカの主要航空会社が加盟する米航空運送協会(ATT)のスポークスマンはハリケーン被害で燃料価格が急騰していることなどから、2005年の航空各社の赤字額が約100億ドル(1兆1千億円)に拡大する恐れがあることを明らかにした。(9日)
●成田、夏休み利用客減少 
東京入国管理局成田空港支局は夏休み期間中(7月15日〜8月31日)の出入国者数をまとめた。それによると総数は374万1000人だが、出国者数、入国者数のいずれも減少した。理由は中部国際空港に需要が流れたこと、中国の反日デモなどとされている。(13日)
●JAL機の部品飛行中に欠落 ドイツのフランクフルトから成田空港に到着した日本航空408便(ボーイング747−400型)で、右主翼についている部品が到着後の整備で、無くなっていることが分った。同空港は午後3時51分から8分間、滑走路を閉鎖して点検したが部品は見つからなかった。(13日)
●新潟大学名誉教授が証言 
一坪共有地強奪裁判で新潟大学名誉教授の鷲見一夫さんが証言し「金さえ払えば土地を取り上げてもいいという考え方自体土地収用法と同じだ」と指摘した。(14日)
●米航空大手2社が破産法申請 業界第3位のデルタ航空と第4位のノースウエスト航空は米連邦破産法第11条に基づく会社更生手続きの適用を申請した。格安航空会社との競争、燃料費の高騰が原因と報じられた。(15日)
●成田治安法処分の適用延長
 反対同盟の天神峰現闘本部、野戦病院、岩山団結小屋に対する成田治安法の使用禁止処分が1年延長された(2006年9月18日まで)。これで17回目の処分延長となる。(16日)
●市東さん宅でにんにくの植え付け 天神峰の市東孝雄さん宅ではこの日、にんにくの植え付け作業が行われた。(18日)
●緊急現地闘争が成功 反対同盟の呼びかけで「暫定滑走路北側延伸阻止」の緊急現地闘争が闘われ、集会と敷地内横断のデモ行進が行われた。動労千葉はアメリカのノースウエスト航空で闘っている整備士組合と連帯し、それを支援するため、三里塚闘争を写真に収めて送ろうと、英語のプラカードを用意して闘った。(19日=写真)

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週刊『三里塚』(S688号2面4)(2005/09/01)

《おことわり》

「蘇るむしろ旗――三里塚闘争40年の真実」は今週休みます。

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