SANRIZUKA 2004/03/01(No650
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週刊『三里塚』(S650号1面1)(2004/03/01)
耕作権の「解約要求」には一切応ずるつもりない
市東さん 公団の暴論を厳しく批判
黒野の「謝罪」は何だったか!
今も24時間の監視
私服警官とガードマン 「まるでストーカーだ」
空港公団による市東孝雄さんの畑に対する賃貸借契約解除要請などの攻撃に対して、市東さんは改めて「一切拒否する」との意志を表明した。今回、現在の心境を含めた談話を寄せていただいた。以下は市東さんの話。(解説別掲)
◇ ◇
公団が私の畑の耕作権を解約してくれと要求してきました。また「契約外」と公団が称する畑の部分については「明け渡し」を要求してきました。いずれも、底地の権利を元の地主から公団が買収したというわけです。
(写真 公団の理不尽な「賃貸解除要求」を拒否し厳しく批判する市東孝雄さん【2月17日】)
公団の身勝手憤りを感じる
当然のことですけど、公団の要求に応じるつもりは毛頭ないということを、全国の皆さんに明らかにしておきます。いずれも祖父の代から大事に耕してきた畑で、私の耕作権は完全に確定しています。公団に対しては、売却の意志のないことを、代理人の葉山先生を通して伝える手続きを取っているところです。
だいいち公団の要求はあまりに身勝手ですよ。農家の頭上四十bにジェット機を飛ばしたり、私の家にジェット噴射をぶつけたり。こんなあり得ない滑走路を無理矢理開港したこと自体が許されない。これを平然とやってのけた以上、公団は私たち地元農民とは話ができない関係になったことを覚悟すべきですよ。誘導路が私の畑で「への字」に曲がってしまった。人の土地に勝手に設計図を引いて開港を強行したからでしょう。人の土地に滑走路を無理矢理押し込んどいて、おまえのせいで誘導路が曲がってしまったという言いぐさは本末転倒でしょう。そのうえ「出て行ってくれ」とはね。いまさらながら憤りを感じます。
謝罪の舌の根も乾かぬうちに
黒野総裁は去年、この開港は一方的だったと正式に「謝罪」したんですよ。あの「謝罪」は何だったのかと言いたい。黒野は「騒音下の農民の生活を思うと胸が張り裂ける思いです」なんて書いてよこした。その舌の根も乾かないうちに出て行けと。そういう神経が理解できない。
私たちはもう政府や公団に協力したくないんです。それが暫定開港の仕打ちに対する私たちの回答です。これは私たち農家自身が決めることであって、公団が勝手にどうこういう権利はないはずです。道理を無視して何でもできると考えたら大間違いだと思う。
*
今回の問題では、公団は私の畑の底地の権利を八八年の段階で地主から買っていたそうです。親父(故・市東東市さん)の代からその地主にはずうっと地代を支払い続けてきたんです。それなのに公団も地主も私に何も言わなかった。まったく失礼この上ないでしょう。こういうことをやって、彼らが薄笑いを浮かべていたのなら、私はとうてい許すことはできない。私は自分の確固たる権利を行使するまでです。
親父が地主と交わしていた書類上の契約面積は、約七反七畝(せ)。それ以外の土地は、親父と地主が合意の上でずうっと耕作し続け、立派な農地に育ててきた畑です。
もともとこの土地は戦後の農地改革(農地解放)で親父の畑になる予定だった土地なんです。ほとんどの農家はそうして自作農になった。親父の場合、ビルマに出征していて復員が遅れたりして正式な申請手続きが取れなかっただけのことなんです。当時、戦前に小作として耕作していた土地は、申請すればほとんど無条件に自作地となったわけですから。
だから親父は書類の上では自作地ではないのに、無条件で耕作できる合意を地主と交わすこともできた。実質的には、親父の所有地だったといっても良い土地なんですよ。
正式な契約地の部分はすでに五十年以上、それ以外も約二十年、合意の上で耕作し続けてきた畑です。いずれも耕作権は確定しています。これは誰も勝手に取り上げることは出来ません。くり返すけど、この畑の耕作権は私にある。絶対に公団の勝手にはさせない。これだけははっきり言っておきたいと思います。
24時間の監視や尾行は今も続く
新聞は書いてくれませんが、私の家はいま現在も二十四時間、サングラスにマスクをした私服警官や、公団が雇ったガードマンに監視されています。二十四時間です。家に誰が出入りしているかとか、全部チェックされてます。ガードマンといっても、私服警官と連携してパトカーに似せた車で徘徊しています。やってることは私服警官の車とまったく同じ業務です。
これだけやられると、たいがいの人は嫌になっちゃうでしょうね。家の中をのぞいていくんですよ。まるで犯罪者扱い。人権もへったくれもない。
彼らの行為こそ犯罪じゃないですか。ストーカーですよ。こんな行為がどうしていまだにまかり通るか。こういう陰湿な行為も、公団・黒野のもうひとつの顔なんだと思います。
もみ手で擦り寄る公団用地部。二十四時間体制の監視や尾行、イヤガラセ、ストーカー行為。そしてやむことのない騒音とジェット排ガス。そしてあろうことか滑走路の「北側延伸」で敷地内の農家を脅し、私に土地を明け渡せといってきた公団総裁。
これが空港の現実です。彼らは私を脅して反対同盟に傷を負わせたいと考えているのなら、とんだ見当違いですね。私は親父から受け継いだ畑を立派に育て、彼らの国家犯罪を告発し続ける覚悟です。
どうか皆さんのさらなるご支援をお願いします。
(二月十六日 談)
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週刊『三里塚』(S650号1面2)(2004/03/01)
揺るぎない耕作権
市東さん畑 あり得ない「明渡し」
空港公団は昨年十二月二十四日、成田暫定滑走路の平行誘導路建設を阻んでいる(「への字」湾曲)市東孝雄さん方の畑と天神峰現闘本部、さらに反対同盟野戦病院、岩山団結小屋の土地の底地権を地主から買収・取得したと発表した。そして市東さんには「賃貸借契約解消の要請」、野戦病院その他には「退去の申入れ」等の文書を送付してきた。(本紙648号)
さらに公団は二月九日、市東さんに対して文書を送付、「代替地」を明示して畑の賃貸借契約解除などを重ねて要請してきた。このなかには「賃貸借契約」以外の土地で故・市東東市さん(孝雄さんの父)の代から耕作権が確定していた畑の「明け渡し」を求める文言も含まれている。今回、市東孝雄さんはこれも含めて公団の要求を明確に拒否する意志を明らかにした。
賃貸借契約が交わされている土地(五十年耕作)はもとより、それ以外で現在市東さんが耕している畑も、父・東市さんの代から地主との合意で二十年近く問題なく耕作されてきた土地だ。合意して二十年畑として耕した事実は土地の権利関係を決定づけるもので、市東さんの側に確かな耕作権が発生している。公団が「明け渡し」を強要できる法的根拠はない。
今回明らかになったが、公団による底地の買収は一九八八年に密かに行われていた。にもかかわらず公団は耕作権の壁に阻まれ、市東さんに「明け渡し」を要求できなかったのである。
*
公団の目的は、四月の民営化を前に敷地内農家を屈服させる道筋をつけることにある。農家に圧力をかけることで「暫定路(二五〇〇b化)の最大の障害となっている別の反対派農家との交渉に本腰を入れたい」(産経12・25千葉版)との思惑もある。公団は暫定開港の国家犯罪(頭上四十b飛行やジェット排ガス直撃など)が社会的に暴かれることを恐れている。
敷地内農民の生活と闘いを労働者人民の連帯の輪で守り抜こう。
(写真 市東孝雄さんの畑の所で誘導路が二カ所「へ」の字に曲がった暫定滑走路。空港公団の自業自得である)
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週刊『三里塚』(S650号1面3)(2004/03/01)
有事関連法
「有事」に米軍が空港占拠
首相が強制「指示」
朝鮮半島での戦争想定
政府が今国会に提出を決めた有事関連七法案のうち、港湾や空港などの軍事使用の規定を定める「特定公共施設利用法案」の概要が明らかになった。
有事の認定(米軍・自衛隊共同の朝鮮半島での軍事行動)に伴い、首相を本部長とする対策本部が「利用に関する指針」を策定、飛行場、港湾、道路、海域、空域、電波の六分野について軍事利用規定を定める。
このうち軍の兵站拠点となる成田空港など飛行場や港湾については、首相が管理者に対して自衛隊・米軍の優先利用(占有!)を要請、従わない時は強制力を伴う「指示」ができる仕組みを設けた。有事=朝鮮侵略戦争という事態において、自衛隊や米軍が成田空港など空港・港湾を占拠することを保証する。ここがこの法案の核心部である。
この法案は、有事法制の本質が「万が一、外国から攻撃された場合の備え」(政府の説明)ではなく、いままさに歴史的に切迫している対北朝鮮の侵略戦争発動を保証するための国家総動員法であることを端的に示している。
九四年の朝鮮半島危機(北朝鮮核問題)では、成田空港など大空港・港湾の軍事使用問題がネックとなり、危機が収束した経緯があった。五十万人規模の米軍を受け入れる体制、とくに大空港を米軍が占有的に使用できる体制が日本側になかったことで開戦を断念せざるを得なかった。数十万人の米軍投入を伴う大規模な日米共同作戦においては、成田空港などの占有が作戦の正否を左右するキーポイントをなすからだ。
この問題が日米安保体制の実質改訂=「安保再定義」論議に火をつけ、朝鮮戦争を想定した米の「千五十九項目対日要求」(九五年)〜日米共同宣言(九六年)〜新安保ガイドライン策定(九七年)に結びついた。その帰結が周辺事態法(九九年)と有事三法の制定(〇三年)だった。立法の目的は侵略戦争以外の何ものでもないのだ。
今回の法案が通ると、米日は朝鮮半島での軍事作戦を行う上での法的な制約がなくなる。あまりにも重大な事態である。対北朝鮮の経済制裁法案(外為法改悪=2・9成立)とあわせ、朝鮮侵略戦争への決定的な引き金をひく攻撃だ。
有事関連七法案の成立を阻止しよう! 軍事空港=成田を人民の怒りで包囲し、廃港に追い込もう!
(写真 成田空港に飛来した自衛隊の軍用輸送機C130【2001年2月4日】)
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週刊『三里塚』(S650号1面4)(2004/03/01)
3・28全国集会招請状 反対同盟
招請状
全国の闘う仲間のみなさん。自衛隊のイラク派兵が強行されるなか、三里塚では暫定滑走路延伸と闘争破壊攻撃が強まっています。私たち反対同盟は三月二十八日に全国集会を開催し新たな闘いに決起します。みなさんの総結集を訴えます。
成田空港の軍事使用が公然と始まりました。小泉内閣は昨年十二月二十六日から二波にわたって航空自衛隊先遣隊を、一月十六日には陸上自衛隊先遣隊を成田空港から民間機でイラクに派遣しました。これらはイラク占領のための明白な軍事行動であり、「成田空港は軍事使用しない」とする政府の国会答弁を踏み破る暴挙です。政府は内閣官房に「水際危機管理チーム」を設置して成田空港に危機管理官を任命しました。千葉県警は空港でNBC(核・生物・化学)対策部隊と爆発物処理班、銃器対策部隊による合同訓練を実施し、空港警備隊内に軽機関銃を装備する「銃器対策部隊」を常設しました。成田空港は戦争体制に組み込まれ、軍事空港、治安弾圧空港へと変わりつつあるのです。
四月一日に始まる成田空港民営化とそのための暫定滑走路延伸攻撃(二五〇〇メートル化)はこの動きと一体です。黒野公団総裁は昨年来、「〇七年の株式上場までに平行滑走路完成に目途をつける」と表明し、「当初計画の完成が無理ならここ数ヶ月のうちに暫定滑走路の北延伸を決断する」と発言しています。「へ」の字誘導路を直線化するために、これに係る市東同盟員の畑と天神峰現闘本部、さらには野戦病院と岩山団結小屋の底地買収を発表し、耕作権の解約を求め、現闘本部など団結小屋の土地の明け渡しを要求する文書を送達してきました。また一坪共有地に対しては、強奪のための不当裁判を起こしています。
もとより反対同盟はこれらの攻撃に屈するものではありません。敷地内反対同盟を先頭に敢然と迎え撃つ決意です。そもそも成田空港民営化がもたらすものは、空港の欠陥性と危険性の飛躍的な増大です。利益追求のリストラと経費削減で空港の危険が増し、環境対策がなおざりになることは必至です。
この民営化にともなう北延伸攻撃の本質は、暫定滑走路の欠陥隠しと闘争破壊です。来年、中部国際空港が開港し成田の航空貨物が激減します。〇九年には羽田空港の新D滑走路が完成し成田のアジア便の大半が移ります。暫定滑走路をかかえたままでは成田の陥落が避けられず、〇七年の株式上場もおぼつかないのです。
それゆえ黒野公団総裁は、ただただ「二五〇〇メートル完成」の言葉欲しさに、まともにジャンボ機が飛べず無意味な北延伸を、危険性の増大と住民生活破壊に蓋をして強行しようと策動するのです。
全国のみなさん。三里塚闘争は闘いの成否を決める決戦に突入しました。おいつめられた公団の農地強奪と北延伸攻撃を、反対同盟は総力で粉砕します。東峰神社裁判の勝利は、滑走路中央部の拠点を守り、平行滑走路を粉砕しました。この勝利を引きつぎ、敷地内農家を先頭に総決起する決意です。
成田空港はイラク―朝鮮侵略戦争の出撃拠点です。反対同盟は米反戦団体ANSWERと連帯し、韓国・アジアの戦争と軍事基地に反対する人々との連帯を強めてきました。三・二八全国集会は国際反戦闘争への連帯集会でもあります。米・ブッシュ政権と小泉内閣のイラク侵略を阻止しよう。有事法制と改憲、戦争のための法改悪に反対しよう。「労農連帯」の旗を高く掲げ、動労千葉を始めとする戦闘的な労働者とともに闘おう。三・二八全国集会への大結集を呼びかけます。
二〇〇四年二月十九日
…………………………
記
【集会名称】イラクへの自衛隊派兵阻止・有事法制粉砕 暫定滑走路延伸攻撃粉砕し軍事空港を廃港へ
3・28全国総決起集会
【日時】3月28日(日)正午
【会場】成田市天神峰反対同盟員所有地
【主催】三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『三里塚』(S650号1面5)(2004/03/01)
3・20日比谷 世界反戦行動へ
自衛隊派兵即刻止めよ

●軍隊をただちに引き上げろ!
●イラク、パレスチナ、すべての土地で植民地占領をやめろ!
●戦争ではなく、雇用、教育、医療、住宅のために金を使え!
*
アメリカの反戦団体ANSWERをはじめ全世界の反戦派が、イラクやパレスチナの軍事占領と再植民地化に反対する3・20反戦デモを呼びかけている。日本帝国主義の軍隊(自衛隊)がついにイラク軍事占領の一角に登場したことに対し、労働者人民の反撃を開始しよう! 3・20東京日比谷公園・野外音楽堂を反戦の渦で埋め尽くそう!(冒頭はANSWRの呼びかけ文より引用)
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週刊『三里塚』(S650号1面6)(2004/03/01)

春まき人参の保温用ビニールを広げる作業中に竜巻に見舞われ、ビニールが巻き上げられそうになった。芝山町の騒音地域でも、空港が出来てから竜巻の被害が増えた▼竜巻とは「積乱雲の底から漏斗状の雲が下垂し海面または地上に達する大型の渦」(広辞苑)。陸上のものが「トルネード」だ。トルネード研究のシカゴ大・藤田教授は、トルネードの強さを定義。F0の「微弱」からF5の「想像を絶する強さ」まで六段階に分類した。この「藤田階級表」は国際標準だそうな▼この表によれば、F0は「煙突やTVアンテナが損傷。小枝が折れる。根の浅い木が倒れる。看板が損傷する」程度。風速三十二b位までの竜巻。最強レベルのF5では「建物が基礎から剥され飛んでいく。鉄骨建築が破壊される。車が遠くまで飛ばされる。想像を絶する事象が起きる」▼F5はアメリカで実際に発生し、風速は毎秒百四十二bにも及んだ。アメリカは竜巻の本場で、日本と較べものにならない被害を出している。この分類だと先日の天神峰の竜巻はランク外だ。高さ三メートル位で積乱雲もなし。発生原理の異なる砂漠の竜巻は旋風(ダスト・デビル)と呼ばれるが、空港近くの竜巻の多くはこれだろう▼ちなみに成田空港は民営化後の経営の雲行きが断然怪しいダウンバースト(下降気流)。暫定路の欠陥は致命的で、羽田の新滑走路(〇九年完成)や中部国際空港(同〇五年)にかなりの顧客を奪われること必至だ。「もとの畑に戻せばいいんだよ」と語る反対同盟長老たちの言葉がじわりと現実味を増してきた。
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週刊『三里塚』(S650号1面7)(2004/03/01)
派兵基地=成田空港に機関銃!

成田空港が自衛隊のイラク派兵基地と化したことに対応し、県警は空港警察にマシンガン(軽機関銃)を装備した「銃器対策部隊」を設置した。公然たる軍事基地=成田空港はいまやイラク・中東人民の憎しみの的だ。
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週刊『三里塚』(S650号1面8)(2004/03/01)
闘いの言葉
発展するストライキだけが農村の眠りを破り、階級意識を目覚めさせ、都市労働者との同盟が持つ意義を農民にはっきり実地に明らかにできる。
一九二〇年 農業問題テーゼ N・レーニン
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週刊『三里塚』(S650号2面1)(2004/03/01)
賃下げと農業切り捨て表裏一体
日本経団連・奥田ビジョンの一方の柱
「農産物輸入自由化」とは何か
「平均年収200万」のカラクリ
労農の連帯でイラク派兵阻止を!
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| 1月初旬につづき再びFTA批准に反対して機動隊と衝突した韓国の農民・労働者(2月9日 ソウル) |
日本の支配階級は日本経団連・奥田ビジョン(注1)という形で農業・農民の絶滅政策に踏み切ったが、この政策は、労働者階級への賃下げ、リストラ、首切りと表裏一体の攻撃である。農産物市場の開放(農業・農民絶滅とイコール)の最大の目的は労働力の再生産費=食費の削減による劇的な賃金引き下げにあった。これが高コスト構造の改革と称する奥田ビジョンの柱の一つとなっている。農民絶滅政策とリストラ・賃金引き下げは同じ攻撃だ。さらに奥田ビジョンは、「東アジア自由経済圏構想」実現のために農産物市場を開放し、それを取り引き条件に、アジア諸国を日本の従属国とし、市場および安価な労働力を含む資源を支配しようとしている。欧米帝国主義諸国に対抗し生き延びるためだ。日本の労働者と農民は日本帝国主義による切り捨て、奴隷化というまったく同じ攻撃に直面している。今こそ労働者と農民は連帯してイラク侵略戦争への自衛隊派兵を阻止する時だ。日本帝国主義の打倒へ突き進もう。
一九九七年、経団連(当時)は「農業基本法見直しに関する提言」を行い、「関税率や関税を相当量を引き下げるべき」とし、明白に農業切り捨てにカジをきるべきことを明言した。
二〇〇三年の奥田ビジョンではさらにエスカレートさせ、農業・農民の絶滅の方向を鮮明にさせるべきだとして「国際競争力が乏しく、国内生産の合理性を失っている分野は他への再配分(転換)が必要だ」と言い放った。
(写真 BSE牛が発見されたため隔離されたアメリカ・ワシントン州マブトンの酪農場の牛。農と食の安全性が聞きにさらされている)
これは農業と中小企業を指している。その目的はアジア諸国への農産物市場の開放と輸入農産物の全面的受け入れである。同ビジョンは「東アジア諸国は農産物市場の開放を望んでいる」として「農政の抜本的転換」を要求した。
中でも焦点はコメ市場である。昨年末、小泉首相は「経済全体を考えて農業問題で譲るべきは譲る、改革すべきは改革する」と語り、農林水産省に、食料・農業・農村基本計画の改定に着手させた。六月には答申が出される予定だ。
さらに一月三十一日の施政方針演説で「農業・農村の改革を加速するため、米政策の改革と農業経営の規模拡大や法人化を推進する」と米作農業の破壊に着手する意志を明言した。
賃金5割減
こうした農産物市場開放の最大の目的は、食料品価格の引き下げによる大幅な賃金引き下げである。
日本の労働者の賃金制度は一九九五年の「新時代の日本的経営」(日経連=当時)提唱以来、激しい改悪の攻撃にさらされてきた。年功序列型賃金制度の破壊や雇用制度改悪、非正規雇用者の激増などとともに、激しい賃下げが押し進められてきた。そのために労働基準法の改悪までが強行された。昨年十二月の「経営労働政策委員会報告」は「まだ不十分だ」とばかり、「高止まりの賃金水準を適正な賃金水準へ引き下げろ」と絶叫している。
しかし、従来の労働力再生産費構造を前提に賃下げ圧力を加えても、それだけでは限界がある。日本経団連が提唱する国際競争力のある賃金水準はなんと「四人家族の労働者で平均年収二百万円」である。現在三百七十万円である平均賃金を、能力給や不正規職の増加や賃金制度複線化などの圧力だけで約五十lも下げることは無理だ。労働者は文字通り路頭に迷い、飢え死にし、暴動が頻発する。
そのために奥田経団連が導入しようとしている抜本策が、農民・農業切り捨てを前提にした農産物市場の全面開放すなわち安価な輸入農産物の完全自由化である。例えば現在急増している中国野菜の原価は日本の農産物の五分の一から十分の一である。タイから輸入されるコメの原価は八分の一から十分の一だ。生活費の三十lを占める食費がかりに五十l下落すれば賃金を十五lも下げる余地ができるという理屈だ。
他方、コメには現在四九〇%の関税をかけて国産のコメ生産は守られているが、この関税がゼロになれば、日本の米作は壊滅する。奥田経団連はこのように、農業絶滅と引き換えに、従来と比べても格段の賃下げを強行しようとしているのだ。
また、農産物輸入自由化の裏には大手食品産業を救済する狙いも込められている。食材の原材料を安くして、輸入食品との競争を後押ししようというのだ。
これが今、日本の労働者と農民の直面している現実である。
農業市場開放で食料費削減狙う
奥田ビジョンのもう一つの問題は、現代版大東亜共栄圏とも言える東アジア自由経済圏構想の狙いである。
この構想提唱の裏には、帝国主義的ブロック作りであるFTA(自由貿易協定=注2)締結の競争で、日帝資本が取り返しのつかないほどの敗北を喫している現実がある。
世界経済が歴史的な長期不況・停滞に陥り、限られたパイの取り合い(争闘戦)に突入している中で、EUでは一九五〇年代からの積み重ねの上に一九九二年に市場統合を達成した。一九九九年には通貨統合まで実現して、強力なブロック化を完成した。
一方アメリカもカナダ、メキシコなどとNAFTA(北米自由貿易協定)を一九九四年に締結、さらに二〇〇五年の完成をめざして南北アメリカすべてを含むFTAA(米州自由貿易協定)交渉を進めている。
そしてEUもアメリカもそれにとどまっていない。EUは中南米諸国からアジアにまで食指を伸ばし、アメリカもASEAN各国との二国間交渉を目指している。
●「存亡かけて」
こうした経済圏囲い込み競争の中で、日本だけがシンガポール一国としかFTAを締結できないという惨状を呈している。日本がWTO(世界貿易機関=注3)優先政策をとっている間に、欧米各国は抜け駆けし、先を争ってブロック化を進行させ、経済圏競争で大きくリードしたのだ。
あまりの立ち遅れに焦った日本の支配階級は奥田ビジョンで「FTA締結競争でこれ以上遅れを取るようなことがあれば国の存亡に関わる」とまで述べて、FTA締結を通した東アジア自由経済圏構想を大々的に打ち出した。
しかし、FTAという二国間協定で、日本が売りたい工業製品は数々あっても、アジア諸国から輸入できる品目は限られる。その限られた中の最大のものが農産物なのだ。
小泉、奥田らは、三百万農家を犠牲にした農産物開放政策で、FTA競争における致命的後れを挽回しようとしている。農民の命と引き換えに、自動車、IT,金融等々の市場と経済圏を形成しようというのだ。
またこうした農産物市場開放政策はアジア諸国の農業自体もゆがめるものである。
奥田ビジョンの東アジア自由経済圏構想の実現に向けて、すでにFTA交渉の動きが勢いを増している。
昨年十月にいったん頓挫した対メキシコFTA交渉は、「対アジアFTA交渉成功のための試金石」として十一月に再開され、次官級協議が十二月、今年一月とつづけられている。
また対韓国交渉が昨年十二月、対マレーシア交渉が今年一月十三日に始まり、対タイ交渉も二月十六日に始まった。FTA交渉を加速させるために経済産業省は経済連携交渉室の人員を五人から八十人に増やす方針を明らかにした。
来年四月にはASEAN全体とのFTA交渉が予定されている。
これらのすべてにおいて、日本側の要求は鉄鋼、自動車、鉱工業品の関税撤廃と投資の自由化であるのに対して、メキシコやアジア諸国はおしなべてコメ、豚肉、牛肉、鶏肉、オレンジ、果汁、砂糖などの農産物市場の開放である。
対メキシコでは、日本の輸入農産物は百億円であるのに対し、輸出品である自動車など工業製品への関税が十六lかけられているため「年間四千億円の損失だ」と自動車業界は言い募っている。
奥田会長はトヨタ自動車の利益代表として(トヨタの会長だ!)「たかが百億円の農産物輸入を嫌って、四千億円もの損失をこうむっていいのか」と、養豚農家切り捨てを主張している。
トヨタの利益のために農民は死ねと言わんばかりの暴論だ。
第3次世界戦争への道 奥田ビジョン今一つの結論 経済圏作りのためのイラク派兵 3・20日比谷へ集まろう
日本の支配階級が主張する東アジア自由経済圏のもう一つのポイントは、自前の軍隊を海外に展開できる能力だ。アジアの排他的経済圏を主導するという行為は、アジア諸国および米欧帝国主義との利害の衝突を伴う。それは、戦前の植民地獲得をめぐる侵略戦争および帝国主義列強との戦争の歴史を見るまでもなく明らかだ。
奥田会長は今回の“ビジョン”を強調した雑誌記事(文芸春秋今年一月号)で「日本の占める国際的位置からしてイラク派兵は当然」と強く支持している。労働者へのリストラ、農民切り捨て、東アジア自由経済圏そして自衛隊の海外派兵はブルジョアジーの延命策として一体なのだ。
今、イラクをはじめとする中東やアジアで進行しつつあることは、帝国主義による再植民地化である。グローバリズムとはその別名だ。中東支配の根底的な破たんに直面していたアメリカが、イラク戦争を中東全域の再編と位置付け、アジアでは最終的に中国の転覆まで公言している。
この世界史的な大反動の中にイラク戦争があり、そこへの日帝の派兵がある。そしてイラク占領をめぐって米欧の帝国主義が激しい非和解的な対立を深めている。
各国で進む労働者へのリストラと農業切り捨てそして排他的経済圏によるブロック化及び中東・アジアでの再植民地化と勢力争いのための果てしない戦争の開始■。すでに帝国主義は三度目の世界戦争へと後戻りのきかない過程に突入してしまった。
われわれの進むべき道は帝国主義打倒以外ではありえない。
一八六〇年ころ、アメリカ南部には四百万人の奴隷がいた。当時奴隷主たちは次のように奴隷制を擁護した。「自分たち農園主は、イギリス資本家が労働者の連中を扱っているのとおなじことを別のやり方でやっているだけなんだ。自分たちだけを責めるのはお門違いだ」と。別の奴隷主は「イギリスの労働者よりここの奴隷の方がはるかにめぐまれた暮らしをしている」と豪語した。(『アンクル・トムの小屋』)
今、日本の労働者と農民の眼前にあるのは、「労働する機械」でしかなかった一九世紀のイギリス労働者、アメリカの黒人奴隷そして戦前の日本の労働者と同じ労働監獄だ。
われわれは帝国主義の奴隷となることを拒否する。今こそ労働者と農民の同盟で、帝国主義の支配を打ち倒そう。イラク・パレスチナをはじめとする被抑圧民族人民と連帯して前進しよう。イラクへの自衛隊派兵阻止、3・20世界反戦統一行動の爆発を勝ち取ろう。
(写真 3・20国際反戦闘争への胎動が始まっている【2・15スペインでの10万人デモ】)
(注1)奥田ビジョン 二〇〇三年一月日本経団連が発表した「活力と魅力溢れる日本をめざして――日本経済団体連合会新ビジョン」と題する提言
(注2)FTA 世界各国の合意をめざすWTOに対して二国間の交渉で取り決められる貿易自由化協定
(注3)WTO GATT(関税と貿易に関する一般協定)をひきついで一九九四年に発足。本来、加盟国の一致で貿易自由化を進める趣旨なので二国間交渉のFTAとは相入れない。
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週刊『三里塚』(S650号2面2)(2004/03/01)
東アジア自由経済圏構想
21億を勢力圏に
現代版大東亜共栄圏だ
東アジア自由経済圏構想の描く世界は、総人口二十一億人、GDP七兆ドルの東アジアを日本が動かすという現代版大東亜共栄圏である。中国をはじめとしたアジア諸国を従属国として位置付けている。
ポイントは中国などアジア諸国の経済的台頭に対し「脅威」と捉えるのではなく日本経済圏の一部=植民地・従属国に組み込んでしまえという論理だ。
そこで出されるキーワードが「最適地論」である。日本は中国と同じ製品を作るのではなく、付加価値の高い分野へシフトさせていくべきだというのだ。そして農業や中小企業など労働集約型産業はすべて賃金の安いアジアに移転せよ、という。
ここから農業絶滅論も出てくる。結論はトヨタを始めとした一部大企業だけが生き残り、安いアジアの労働力を搾取し資源を収奪し、欧米帝国主義に対抗しようという夢想である。
しかしこの道の行く先は破滅である。これは、一部の巨大財閥が政治と経済を動かし、朝鮮・台湾・中国を植民地化して巨利をむさぼったあげく滅亡した大東亜共栄圏の二番煎じでしかない。
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週刊『三里塚』(S650号2面3)(2004/03/01)
三芝百景 三里塚現地日誌 2004
2月4日(水)〜2月17日(火)
●一坪共有地強奪裁判 空港公団による一坪共有地強奪裁判で北原鉱治事務局長と木内秀次さんの持ち分に関わる公判が千葉地裁で行われた。(4日)
●成田出入国者減少 2003年に成田空港を利用した出入国者は2224万人で前年比9・5lのマイナスとなったことが報じられた。SARSが直接的に影響を与えた形だが、世界的な航空不況が背後に横たわっている。成田の民営化に暗雲となっている。(4日)
●成田財政特措法を5年間延長 政府は事務次官会議で2003度末に期限切れとなる「新東京国際空港周辺整備のための財政上の特別措置法」を5年間延長する改正案を決めた。4回目だ。(5日)
●成田でテロ対策研 成田空港でテロ対策などを見すえた「NBCテロ対策研究会」が開かれた。県警本部や公団など約15機関、約90人が参加した。空港内の警戒度は、01年9・11以来異常事態を想定したフェーズEのままとなっている。(5日)
●成田共生委員会民営化後も存続 成田空港地域共生委員会の第47回委員会が、成田市三里塚で開かれ、成田民営化後も存続することが決まったが、同委員会の国や公団に屈服していく姿がますます浮き彫りになっている。(6日)
●羽田再拡張の飛行ルートに県が反対 羽田再拡張に伴う会合で千葉県は、飛行ルートについて「騒音の分担が著しく不十分」と反対の意向を示した。(9日)
●テロ対策で空警に新部隊
千葉県警は、成田空港警備隊に機関銃を装備した専従の銃器対策部隊を発足させた。イラク戦争の警備と称した治安攻撃のエスカレートである。(10日)
●日本原現地闘争に伊藤さん
岡山県日本原で行われた反基地現地闘争に反対同盟から伊藤信晴さんがかけつけ決意表明した。伊藤さんは3・28全国集会への結集を訴えるとともに「労働者と農民が連帯してイラクへの自衛隊派兵を阻止しよう」と労農の連帯を訴えた。(11日)
●2・13イラク反戦闘争へ
陸・海・空・港湾20労組などが中心となって東京明治公園で開催されたイラク反戦闘争に三里塚現闘が参加して共に闘った。(13日=写真)
●市東さん宅でネギの出荷
敷地内天神峰の市東孝雄さん宅で出荷用の長ネギなどの荷詰めが行われた。(16日)
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