SANRIZUKA 日誌 HP版   2006/4/1~30    

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 2006年4

 

〔週刊『三里塚』編集委員会HP部責任編集〕 


(4月2日) 反対同盟 団結花見の会

 反対同盟は春恒例の団結花見会を三里塚第1公園で開催した。桜は満開、雨天予報を覆す天気にも恵まれ、首都圏から駆けつけた支援団体の代表らとともに名物のジンギスカン鍋を囲み、大いに盛り上がった。北原事務局長は「これで団結花見も40回目。私たち反対同盟はまだまだ前進を続けている。三里塚は各方面で闘う仲間の皆さんとの連帯が命だ。決戦の今年、よろしくご支援お願いします」と語った。

(4月4日) 成田空港 牛積み替え中逃走(4/5読売)

 ニュージーランドからチャーター便で成田空港に着いた子牛3頭が4日朝、貨物機からトラックへの積み替え中に逃げ出した。輸送業者らが約10分間、追いかける捕り物劇となった。
 国内で肉牛として育てるため体長1メートル、体重200キロほどの約500頭が、同便で輸入された。2頭はすぐ捕まったが、1頭は、一般の立ち入りが禁止されている「制限区域」内を逃げ回った。
 そばにある誘導路では、航空機が地上走行していた。子牛が誘導路に近づかなかったため、運航への影響はなかった。輸送業者は「トラックへの追い込み方がまずかった」と恐縮していた。

【本紙の解説】
 厳戒警備が続く成田空港に最近では犬が2匹侵入し、短時間であったが滑走路を閉鎖したことがあった(05年12月1日付日誌を参照)。今回は子牛が3頭であった。通常、生きた牛の大半は船便で輸入さる。航空機での大量輸入はあまりないという。体重が200キロもあり、滑走路に入り込めば前回の犬どころの騒ぎでは収まらなかっただろう。
 成田空港は羽田国際化のあおりで先行きの経営不振が見込まれて、完全民営化のための07年に予定されていた株式上場も見送られている。羽田が国際化する09年には、旅客はかなりのシェアを奪われる。しかし空港貨物基地は充実している。とりわけ農産物の輸入量は日本最大で、成田空港は巨大な食料基地となっている。今後は、羽田との関係で成田空港の存在意義が問われることになるが、生きた動物の扱いに熟練していくことが成田の延命策かもしれない。動物の侵入や逃走で航空機がストップするようでは羽田国際化と競争できるはずもない。

(4月5日) 成田市取香川の白濁問題 水から防除氷剤検出(4/6産経千葉版、千葉日報)

 成田空港近くの放水路(成田市駒井野)の水が白濁した問題で、原因を調べていた成田国際空港会社は5日、放水路の水には、航空機が離陸する前に翼などに氷が張り付かないように吹き付ける防除氷剤の成分が含まれていたと発表した。防除氷剤が白濁の直接の原因かどうかは分かっていない。

【本紙の解説】
 3月22日に取香川が白濁していた(06年3月22日付日誌を参照)原因が防除氷剤(プロピレングリコール)であることをほぼ認めている。ただ「防除氷剤が白濁の直接の原因かどうかは分かっていない」などと言い逃れをしようとしている。つまり防除氷剤が含まれることそれ自体は問題なく、白濁したことだけが問題だとしたいのである。
 これでは「環境に配慮したエコ・エアポート」が聞いてあきれる。前回指摘したが、「欧州の空港では防除氷剤で使われたプロピレングリコールは、貯蔵タンクに回収されリサイクル施設に送られるか、バキュームカーで完全回収され、下水処理場で処理される」のである。防除氷剤の流出は無害で問題なし、との態度を取る空港会社の姿勢は大いに問題ありだ。

(4月7日) 成田市からゴミ問題の回答

 廃棄物処理場についての4回目の質問状(06年3月30日付日誌を参照)の回答が7日付で8日に届けられた。
 しかし、回答は質問には答えずにはぐらかしている。反対同盟が「方針決定のプロセスを明らかにして下さい」と質問したにもかかわらず、「対応策その他関連する事項については、現在検討中」で「お話しできる段階にはありません」と答えている。
 成田市が環境問題をクリアーし、周辺住民が安心し納得できるまで廃止・閉鎖を許してはならない。

■回答書
 三里塚芝山連合空港反対同盟
 事務局長 北原鉱治 様
                        成田市長 小林 攻

  成田空港の北延伸に伴う市の最終処分場について(回答)

 平成18年3月30日付でご質問のあったこのことについて、下記のとおり回答いたします。
                記
(1)方針決定のプロセスについて
(2)方針決定の目処について
 (回答)成田空港の北伸に伴う本市のクリーンパーク(一般廃棄物最終処分場)の対応策その他関連する事項については、現在検討中であります。従いまして、貴職お尋ねの具体的内容についてお話しできる段階にはありませんので、ご理解のほどお願い申し上げます。
 なお、市議会並びに経済環境常任委員会の関与については、行政(市)の立場で具体的なお話はできませんので、市長としての回答はありません。

(3)開業以来の環境記録のデータ開示について
 (回答)クリーンパークの各種データについては、環境部クリーン推進課にて記録を保存しておりますので、随時ご覧いただきたくお願い申し上げます。

(4月9日) 検問所に飲酒運転の軽乗用車が突っ込む(4/9毎日夕刊)

 9日午前4時15分ごろ、成田国際空港(千葉県成田市)の検問所に軽乗用車が突っ込んだ。衝突の反動で金網フェンス(高さ約4メートル)が開き、内側にいた男性警備員(54)が軽傷を負った。通報で駆けつけた県警成田国際空港警備隊の男性警部補(32)が車内にいた男を業務上過失傷害容疑と公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した。
 県警成田署の調べでは、容疑者は運送業の男(29)。酒に酔っていたといい、調べに対し、「覚えていない」などと供述している。
 成田国際空港会社によると、同検問所は成田空港・暫定平行滑走路(2180メートル)東側にあり、工事車両専用の出入り口。容疑者は警備員の制止を無視し、突っ込んできたという。
 8日には神戸空港(神戸市中央区)で無職の男(28)の四輪駆動車がフェンスを突き破り、制限区域に侵入する事件があった。

 【本紙の解説】
 最近、空港に外部から侵入するような事件が多いようだ。成田空港では外国から来る鳥インフルエンザや感染症などに怯え、国際手配の人物の入国を拒否することに躍起になっているので、空港の敷地外からの侵入には手が回らないのだ。この事件も警備していたのはガードマンだけで、機動隊員は「騒ぎを聞きつけて」やってきて、ようやく逮捕したとのことである。そのときに、機動隊員は胸倉をつかまれて防戦一方だったが、逮捕された本人は泥酔していて記憶がまったくないらしい。

(4月11日) 成田市 一般廃棄物最終処分場 調査費2500万円 成田市提案へ(4/11朝日、産経各千葉版、千葉日報)

 成田市は10日、成田空港の暫定滑走路延伸に伴い、滑走路の北側に隣接する同市の廃棄物最終処分場の閉鎖方法について、2500万円の調査費を臨時市議会に提案すると発表した。調査費は、成田国際空港会社が2250万円を負担し、残る250万円を市が一般財源から支出する。
 閉鎖、廃止の方法は固まっていないが、市は今後、処分場の上部を土で覆う案などを検討する。

 【本紙の解説】
 成田市は反対同盟の質問状には「現在検討中であり、お話しできる段階にはない」としているが、実際はもっと煮詰まっているようだ。調査費の要求までしているので調査方法は決定しているのである。また、「上部で土を覆う」案も検討すると言っているので、最終形態の提案をしている。ここまで話が進んでいて「お話しできる段階ではない」というのは不誠実そのものである。

(4月14日) 成田空港 北延伸 騒特法特別地区対策で県庁訪問(4/15朝日、産経各千葉版、千葉日報)

 成田空港暫定平行滑走路の北延伸整備で、航空機騒音の拡大が懸念されている成田市久住地区の住民らが14日、県庁を訪れ、県が進めている騒特法の騒音対策基本方針見直し作業について、要望書を堂本暁子知事に手渡した。
 要望書では、土地利用が制限される騒特法に基づく線引きについて「関係住民へ法の趣旨の理解に努めていただき、十分な時間をかけて対応してもらいたい」と要請。
 同地区は4000メートル滑走路と平行滑走路の両方の影響を受ける一方、騒特法による線引き・地区指定で、同地区内の集落が分断されることへの懸念が地元住民に高まっているため、「法的な公正さだけでは不満が解消されない。騒音下住民の心情的な公平さに配慮してほしい」などとしている。
 これに対し、堂本知事は「気持ちはよくわかる。難しい問題はあるが、県も一生懸命に努力しているので協力をお願いしたい」と話した。
 久住地区騒音対策委員会の松島文哉会長は「地元も法の原則は重くみないといけないが、互いの合意点に達するのは大変な作業。時間が必要だ」と話した。

 【本紙の解説】
 北延伸にともなう騒防法地区の線引きは3月に確認された(06年3月23日付日誌を参照)。しかし、騒特法の特別地区の線引きと2本の滑走路に囲まれた谷間地区の補償問題は決まっていない。このことで成田市久住地区の住民が要望書をもって県庁を訪れた。
 騒特法の特別防止地区で移転が問題になっているのは、成田市久住地区の幡谷の集落である。幡谷は、駅前の開発地区である新幡谷地区を除き、古くからの集落として須賀辺田(すがべた)、松ヶ崎(まつがさき)、萱橋(かやはし)の3つの地区に分かれている。その中で須賀辺田地区の住民が強硬に移転を希望している。理由は、特別防止地区の線引きで地区内が分断されているからだ。
 防止特別地区の基準は、騒音コンターがうるささ指数80以上である。その拡大基準としては以下のようになっている。「集落の過半がうるささ指数80のコンター内にある集落。集落の過半はうるささ指数80のコンター外であるが、当該集落を含む行政区の他の集落が移転対象となり、従来からの地域社会の絆及び祭祀等の維持・存続が困難となる孤立集落」。したがって、集落を分断しないようにするために、集落の一部が移転対象になった場合はその当該集落は全戸を移転対象とするのが普通である。
 集落を分断・破壊しないという問題と、騒音地区に組み込まれると、騒防法の補償が出ても地価は下落するという問題がある。そのため、せめて宅地だけでも移転を補償するためである。したがって、集落が分断される須賀辺田については、全戸が移転を希望するのも当然である。
 空港は周辺住民の生活を破壊し、土地の価値も下落させる。空港反対ではない条件要求ではあるが、生きるための当然の要求だ。
 騒特法の線引きの決定権は千葉県にある。にもかかわず、堂本知事は「難しい問題はあるが、県も一生懸命に努力しているので協力をお願いしたい」などとペテン的に他人事のように言っている。県は「協力をお願いしたい」などという立場にはないはずだ。集落を分断せずにすべて特別防止地区に組み入れると決断すればよいのである。

(4月18日) 航空機騒音測定式修正案(4/18環境庁より)

 航空機発着回数が大幅増加したにもかかわらず、騒音評価値が減少するなど成田国際空港周辺の騒音測定値に異常が指摘されていた問題について、(社)日本騒音制御工学会が環境省の依頼で組織した「航空機騒音に関する評価方法検討委員会」は、17年度の調査報告書を18年4月18日までにまとめた。
 成田国際空港では14年4月に、2本の滑走路が並行して走る「暫定平行滑走路」が供用され、以後航空機発着回数が1日350回から450回に大幅増加したが、周辺に設置された102局の騒音常時監視局の多くで、1本の滑走路だけだった時より騒音評価値が減少するなど、測定値異常が指摘されていた。
 今回の報告書は16年度の調査報告に続くもので、16年度に提示した修正案とともに、エネルギーベースでの評価「時間帯補正等価騒音レベル(Lden)」による評価によっても数値上の逆転が発生しないことを確認したとしている。
 16年度の調査報告では測定値異常の原因を、「加重等価平均感覚騒音レベル(WECPNL)」定義式を簡略化して現在の環境基準による騒音評価式を定めた際に、本来時間帯によって異なる音のエネルギー量平均値(パワー平均値)について、どの時間でも1日の平均値と同じと仮定したことで生じた誤差が原因であると結論。対策として修正案が提示されていた。

 【本紙の解説】
 暫定滑走路が供用開始された直後から騒音の逆転現象が問題になった。逆転現象とは「2本の滑走路が存在する時、2本の滑走路に離着陸する航空機全てを対象とした評価値が、どちらか1本の滑走路に離着陸する航空機のみを対象とした評価値よりも低くなる現象」ということである。
 しかし環境庁の発表では、週別平均では設置している33の監視局中、20局で逆転現象があった。その値は週別評価値で最大0.1から0.8dBの逆転とのことである。しかし、年平均では逆転はなかった。
 その原因は、「本来時間帯によって異なる音のエネルギー量平均値(パワー平均値)について、どの時間でも1日の平均値と同じにしたための誤差」であると結論している。そして数値を補正すれば誤差はなくなるというものである。つまり「環境基準式WECPNLでは、夕方の機数を3倍、夜間の機数を10倍しますが、Lden評価では夕方の騒音に+5dB、夜間の騒音に+10dBの補正を加えます」として、Lden評価にして誤差が生まれないようにしたと言っているのである。
 訳の分からないことを言って数値を補正することで、逆転現象をなくしてしまったのである。その結果、滑走路が1本より2本の方が、うるささ指数が高くなったらしいが、この説明だけはまったく分からない。そして騒音補償や騒音コンターなどがどのように変化するかは発表していない。その結果をみなければ、この補正が正しいのかどうかは判断できない。

(4月28日) 成田空港で出国ラッシュ始まる(4/29日経)

 大型連休が29日からスタートするのを前に、成田空港では28日午前、連休を海外で過ごす旅行客の出国ラッシュが始まった。空港の出発ロビーは、トランクやスーツケースを抱えた家族連れや団体客などで早朝から混雑した。
 成田国際空港会社によると、今年の大型連休は5月1、2日を休みにすれば9連休になるなど曜日の配列に恵まれたこともあり、4月28日から5月7日にかけて出国する旅行客が過去最高の約36万3600人にのぼる見込み。出国のピークは4月29日、帰国のピークは5月7日になるという。
 昨年は反日デモの影響などで中国方面の旅行客が不振だったが、今年は落ち込みを回復。このほか、香港やシンガポールなど東南アジアも人気を集めているという。

 【本紙の解説】
 成田空港会社は、今月の15日に、連休中の旅客予測を前年同期比で3パーセント増の予測を発表している。これは過去最高になると騒いでいる。航空需要が年々増加して成田空港は前途洋々と宣伝したいらしい。
 だが実際の航空需要と成田通過の旅客は基本的に横ばいだ。成田空港の2005年度の空港運用情報が4月29日に発表になったが、一年間の国際線旅客数は3033万7267人で、昨年同期比では99パーセントになり、1パーセント減少している。またここ3カ月の国際線旅客数も横ばいである。1月=24万4243人(昨年比98パーセント)、2月=231万9606人(昨年比98パーセント)、3月=268万2419人(昨年比100パーセント)となり、減少気味の横ばい基調である。
 にもかかわらず、国交省は、航空需要について、2012年まで国際線が約5パーセント、国内線が約3パーセント増加と予測し、これを基準に空港整備などを進めている。羽田空港が国際化しても成田空港の需要は減らないという理屈は、この国交省予測通りの右肩あがりの航空需要を前提にしたものだ。実際は侵略戦争の開始、SARSなどの感染症の流行、9・11などの反米ゲリラなどがあり、航空需要は乱高下しながらも、基調は横ばいなのである。
 そのために、成田空港の需要も横ばいなのである。しかし、このまま09年の羽田国際化(新D滑走路)がスタートすると、成田は大打撃を被ることは必至だ。そのため、ゴールデンウイーク期間が特別に9連休になることが要因で3パーセント増えていることを大騒ぎしているだけなのである。成田空港会社は、航空需要の停滞、着陸料金の値下げ、着陸料以外の航空外収入の不振などにより、経営不安に怯えているのである。

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