SANRIZUKA 日誌 HP版   2006/3/1〜31    

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 2006年3

 

〔週刊『三里塚』編集委員会HP部責任編集〕 

週刊『三里塚』
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(3月1日) 成田設備談合の元部次長/懲役1年6月を求刑(3/2朝日、読売、毎日、東京各夕刊、3/2千葉日報)

 成田空港の電機設備工事をめぐる入札談合事件で、競売入札妨害罪に問われていた成田国際空港会社元工務部次長伊藤貞夫(57)、同元電気課長客野悦志(56)両被告の論告求刑公判が1日、東京地裁(井上豊裁判官)で開かれた。
 検察側は「業者の高額受注を可能にして税金を無駄遣いさせた極めて悪質な犯行」として、伊藤被告に懲役1年6カ月、客野被告に懲役1年を求刑した。判決は8日に言い渡される。
 起訴状などによると、伊藤被告と客野被告は共謀し、2003年7〜12月に行われた3件の電機設備工事の入札前に東芝、日新電機、富士電機システムズを落札者に決定。各社担当者に予定価格に近い金額を漏らし、公正な入札を妨げた。
 論告によると、客野被告は“業務”として、受注予定業者の割り振りや予定価格の95パーセント程度の数値を業者に漏えいすることを伊藤被告から引き継いだ。こうした談合システムは、民営化前の新東京国際空港公団時代から、少なくとも30年近くにわたって代々引き継がれていたという。
 両被告は起訴事実を全面的に認めており、伊藤被告は「自分を他山の石として再発防止に役立ててほしい」と陳述。弁護側は最終弁論で「天下り先確保だけが動機ではなく、割り振りには一定の有益性もあった。組織の一員として業務で行った犯行」と情状酌量と執行猶予を求めた。
 受注側のメーカー3社の担当者は昨年12月、それぞれ罰金50万円の略式命令を受けた。

 【本紙の解説】
 こうした談合が30年間近くも代々引き継がれてきたとのことだが、旧公団のたかり・収賄体質が如実に表れている。しかし、弁護側は「天下りの確保」だけでなく、「割り振りには一定の有益性もあった」と官製談合を肯定している。刑事弁護での執行猶予狙いとはいえ、これは許されない。この事件は公団−空港会社が行った談合の氷山の一角であり、いかなる意味でも肯定されるべきものではない。

(3月2日) 着陸便の高度引き下げ案受け入れ 千葉県と佐原など4市町(3/3読売千葉版)

 県と佐原、小見川、山田、栗源の4市町は、成田空港への着陸便が着陸態勢に入る飛行高度を開港以来の6000フィート(約1800メートル)以上から4000フィート(約1200メートル)以上への引き下げを求めた国土交通省の提案を受け入れることを決め、2日、国交省に意見書を提出した。
 1971年1月、当時の千葉県知事は、騒音対策の一環として「6000フィート以上」を条件の一つとして成田空港の受け入れを決めており、同高度の変更は初めて。国交省提案は、着陸便の混雑緩和策として昨年11月に示されていた。意見書では、「6000フィート以上を基本とする」としながら、4000フィート以上での運航を「混雑など航空管制上必要な場合に限る」として受け入れた。受け入れの条件として、航空機騒音の測定、飛行コースの公開、電波障害などへの対応のほか航空機騒音低減への努力を求めている。

 【本紙の解説】
 受け入れた4市町の佐原市、小見川町、山田町、栗源町は今月27日から合併し香取市となる。騒音拡大になる着陸高度の引き下げを容認した理由もこの合併にありそうだ。栗源町は自身が財政赤字であり、当初、財源が豊かな成田市への合併を計画していた。しかし、空港周辺11市町村の合併が成田市議会で否決された結果、栗源町は地理的に近い佐原市との合併しかなかった。しかし佐原市も財政赤字なので、新生香取市は今から財政改革の扱いが問題になっている。
 今回、高度引き下げを受け入れる条件として航空機騒音の測定、飛行コースの公開などを上げているが、実は騒音対策費の増大を期待しての受け入れである。「電波障害などへの対応」としているが、それが騒音対策費増額の要求なのである。
 着陸コースの高度引き下げは、騒音拡大だけでなく、航空機事故の可能性も増える危険なことである。住民の危険と引き替えに騒音対策費の増大を狙う市町村合併に未来はない。

(3月8日) 「組織ぐるみ」認定 成田空港談合(3/8夕刊全紙、3/9読売、毎日、産経各全国版、千葉日報)

 成田空港の電機設備工事をめぐる入札談合事件で、競売入札妨害罪に問われた成田国際空港会社(旧「新東京国際空港公団」)元工務部次長伊藤貞夫(57)、同元電気課長客野悦志(56)両被告の判決公判が8日、東京地裁で開かれた。井上豊裁判官は「入札を形骸(けいがい)化させて公正を損ない、国民の信頼を失墜させた」として、伊藤被告に懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)、客野被告に懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)を言い渡した。
 判決によると、伊藤被告と客野被告は共謀し、2003年7〜12月に行われた3件の受変電設備工事で、入札前にそれぞれ東芝、日新電機、富士電機システムズを落札者に決定。3社の担当者に予定価格に近い金額を漏らし、公正な入札を妨げた。
 量刑理由で井上裁判官は、これら3件のうち2件の入札は、伊藤被告や客野被告が、天下り予定先の企業や天下りした公団OBへの配慮から業者を選定したと指摘。受注予定業者の割り振りや予定価格の漏えいは「業務の一種として行われ、今回の犯行も公団内部で反復継続して行われていた行為の一部にすぎない」と述べ、組織ぐるみの犯行だったと認定した。
 公判で両被告は、電気課長の「業務」として、受注予定業者の割り振りや本命業者への連絡、予定価格の95パーセント程度の数値を業者に漏えいするといった官製談合の手法を代々引き継いできたと証言。「自分の代でやめるとは言い出せなかった」などと述べていた。民営化前の公団時代から、少なくとも30年近くにわたり担当者に代々引き継がれていたとみられる。
 受注側のメーカー3社の担当者は昨年12月、それぞれ罰金50万円の略式命令を受けた。

【本紙の解説】
 判決では、談合が「業務の一種」であり、「公団内部で反復継続して行われていた行為の一部」となっている。氷山の一角にすぎず、判決は執行猶予付きとはいえ、求刑をそのまま認めた内容となっている。また、電気課の官製談合は1997年ごろからから繰り返されていたと判決は認定したが、実際は「少なくとも30年近くにわたり担当者に代々引き継がれていた」のである。つまり公団の談合は、1970年代から工事全般で行われていたことが明確になったのだ。談合の発覚は空港反対闘争を利するので、絶対に刑事摘発はされないという感覚だったという。つまり大っぴらに行われていた。成田空港のすべての工事が官製談合“天国”だったのである。
 空港会社は、この判決を受けてなお工事全般の追加調査はせず、今後の再発防止策のみを云々している。しかし「再発防止」のためにも、時効となった事件を含めて追加調査を行うのが基本ではないか。そうしない限り、空港会社のたかり体質・収賄体質は決して改善されない。

(3月9日) 千葉県議会一般質問 成田空港の騒音対策区域(3/10千葉日報)

 定例県議会は9日、一般質問に移り、成田国際空港の平行滑走路北延伸に伴う騒音区域の見直し問題で、A滑走路では予測される騒音区域が南北とも約2000メートル縮小するため、地域住民が対策区域の縮小を懸念している件について、伊藤丈議員(自民党、山武郡)から質問が行われた。堂本暁子知事は「県が決定する『騒特法』の地区、国が指定する『騒防法』の区域のいずれも、現在の(対策を行っている)騒音区域を維持する方針で進めている」ことを明らかにした。
 平行滑走路の騒音区域の見直しについては、石渡哲彦総合企画部長は騒音が拡大する北側は「円卓会議の合意事項に基づき、集落を分断させないよう配慮する」と説明。
 南側については「『原則として見直しは行わない』とする方針を示し、関係自治体に市町案の作成を依頼している」と述べ、年度内に一定の合意を得る考えを示した。

【本紙の解説】
 堂本知事は、A滑走路の騒音区域は縮小されるが、騒特法、騒防法の区域は現行の方針を維持すると恩着せがましく答弁している。
 その理由は何か? A滑走路の増便を計画しているからである。昨年10月の北延伸計画発表の時に、成田空港の年間運用回数を以下のように発表した。「平行滑走路の発着可能回数(年間ベース)も現在より3万5000回多い10万回とする、成田空港全体の発着回数は当面、現在より2万回多い22万回にとどめる」(05年10月3日付日誌を参照)
 この計画発表だと、暫定滑走路で3万5000回増便できるが、2万回に抑制して全体で22万回と理解してしまう。しかし実際は、暫定滑走路の新誘導路が進入コースを横切るなどの欠陥があって増便は無理だ、というのが現場実務者の意見だ。それゆえA滑走路を増便したいのである。
 09年に羽田空港が国際化されると、近距離便は羽田に移り、成田は欧米便に特化した空港になる。欧米便は燃料を満載するので、成田の暫定滑走路が2500メートルになっても使えない。そのため、A滑走路の増便に成田空港の浮沈が掛かっているのだ。それで将来の増便のために騒音地域は縮小しないなどと恩を売っているのである。
 そもそもA滑走路は、かつては1日360便で年間13万回が限度枠であった。それを1998年4月に、成田空港騒音対策地域連絡協議会(騒対協)が、1日360便から370便へ増便することを承認したが、これは平行滑走路完成(2000年完成の予定)までの暫定措置だった。
 当時の計画では、平行滑走路完成後は「発着回数は年間20万回。Aランは1日300便に減便(年間約11万回)」となっていた。この協議で、騒対協は平行滑走路完成推進の立場になったのだ。ところが暫定滑走路が完成した02年になって、A滑走路の1日370便枠は継続する(将来の増便)と方針が変わったのである。こうした事情ゆえに、空港会社は騒音地域の「縮小」とは決して言わないのだ。

(3月12日) 反対同盟の団結花見

 反対同盟恒例団結花見の会「ご案内」が12日に出された。

■ご案内
                        三里塚芝山連合空港反対同盟
 闘う仲間のみなさん。日ごろのご支援ありがとうございます。
 三里塚芝山連合空港反対同盟は、恒例の団結花見の会を4月2日に行います。
 改憲攻撃を頂点とする小泉反動との闘いと軌を一にして、三里塚は暫定滑走路北延伸の着工をめぐる決戦に突入しました。この夏にも、国交省は延伸工事に着手する構えです。
 民家の上空40メートルでジャンボ機(大型機)を飛行させるという、常軌を逸した暴挙は断じて許されません。北延伸がもたらすものは、現状110デシベルをはるかにこえる殺人的大騒音です。これによって天神峰・東峰地区から農家を追い出し、平行滑走路の本来計画につなげることを目的にしているのです。悪質地上げ屋まがいの暴挙を、反対同盟は総力で跳ね返し、空港を廃港に追い込む決戦として闘います。
 3・26三里塚全国集会は、着工阻止へと攻め上る総決起集会です。
 このさなかの花見となりますが、一時鋭気を養い、さらなる団結と闘いを発展させていきたいと思います。多くのみなさんがご参加くださいますようご案内申し上げます。
 2006年3月12日
         記
団結花見の会
    【日時】4月2日(日)午前10時から
    【会場】三里塚第一公園(雨天のときは会場を変更して行います)
【主催】三里塚芝山連合空港反対同盟

(3月12日) 米軍横田空域の一部を返還へ 日米一致、09年めど(3/13朝日、読売)

 日米両政府は、米軍再編をめぐり米・ハワイで11日(現地時間)まで開かれていた外務・防衛審議官級協議で、米軍横田基地(東京都)が航空管制している「横田空域」の一部を返還することで一致した。羽田空港が再拡張され、民間航空機の発着数が今の1.4倍になる09年までをめどに、空域の南側を中心にした最上層部を返還する。現在、1日470便の民間機が同空域を避けて飛行しており、航空機同士の異常接近(ニアミス)の原因と指摘されてきた。実現すれば飛行時間が最大9分短縮でき、ニアミスの危険も緩和される。
 横田空域は伊豆半島上空から新潟県にかけての1都8県に広がっており、最高高度は上空7000メートル。南側の一部はかつて日本側の要求を受けて返還されており、階段状になっている。
 国土交通省の試算では、1日あたり羽田と成田空港の発着便計470便が、空域を避けるために東京湾で急上昇したり、南側に迂回(うかい)したりしており、飛行時間が9〜3分余計にかかっている。また、神奈川県から静岡県にかけての太平洋上空は、空域を避ける羽田発着の国内線と成田発着の国際線の飛行ルートが交差しており、ニアミスの原因になっている。
 09年には羽田空港に4本目の滑走路が完成し、成田空港も2本目の滑走路が延伸される。発着数はそれぞれ現在の1.4倍と1.1倍になり、日本側は横田空域の返還を米国側に求めていた。
 関係者によると、具体的な時期や、返還後の管制を担当するのが自衛隊なのか、国交省の管制官なのかは今後の協議に委ねられる。また、空域の全面返還には米側が応じていない。

【本紙の解説】
 民間機の混雑緩和がテーマであるが、「空域の南側を中心にした最上層部を返還」ということは、極めて危険なことである。基本的に日本の空域は米軍と自衛隊が優先的に使っている。その隙間を民間機が使っている状態である。基本的に軍事優先の空域なのである。
 こうしたことが原因で、1971年の雫石事故は起こった。雫石事故とは、民間航空路に入り込んだ自衛隊機が全日空機と空中衝突し、乗客・乗員162人全員が死亡した事故である。その直後に民間機の飛行ルートと軍用訓練空域を平面的に完全分離する方針が「航空交通安全緊急対策要綱」に盛り込まれ、政府決定となったのである。これは軍事優先の中ではあるが、多大な犠牲を払った結果の一定のルールだった。
 しかし、雫石事故の8年後には完全分離方式の原則に反する時間分離方式が防衛庁から要求され導入された。成田空港開港にともない、百里空域と成田空域に時間分離方式と階段状の空域が設定されたのである。時間分離方式は他にも九州、北海道、三沢、三陸沖、硫黄島、小松沖などで導入されている。危険きわまりない方式である。
 今回検討されているのは「空域の南側を中心にした最上層部を返還」というものだ。横田ラプコン(RAPCON, Radar Approach Control の略)は、地域によって高度が異なり、6段階に分かれている。最上層部は7000メートルである。南側の一部はすでに返還されており、階段状に約3000メートルまで削減されている。しかし、民間機は事前に米側の許可が必要で、実際はほとんどの民間機が南側に迂回したり、飛び越えたりしている。
 したがって返還といってもそれは軍民共用化を強める結果となる。すでに、有事における民間空域への米軍機の運航は有事立法で容認しており、横田空域の一部返還といっても、その見返りに日本の空域全体をより一層軍事化することを承認するものであり、米軍空域が縮小するなどというものではない。

(3月14日) 成田空港 32関係機関がNBCテロ対策合同訓練 (3/15朝日、毎日、産経、東京各千葉版、千葉日報)

 成田国際空港内のテロ対策強化の一環として、京成東成田駅構内で14日、化学物質によるテロを想定した合同訓練が行われ、県警、成田市消防本部、成田空港会社など32の関係機関を中心に約300人が参加した。
 「空港に向かう電車内に置かれたビニール袋が破け液体が床に広がり、乗客が倒れた」の想定で実施された。東成田駅に電車が到着すると、レベルAの防護服に身を包んだ救助隊が車内に入り、意識不明の乗客を担架で救出した。その後、負傷者の状況などから液体は猛毒のサリンと推定され除染作業が展開された。また、屋外では、シャワーによる汚染物質の洗浄や負傷程度の見極めなどが行われた。
 成田空港では、2004年に化学物質や放射性物質によるテロを想定した対応訓練を行っているが、今回は医療、警察、消防機関で構成する「成田NBCテロリズム対策研究会」が昨年11月に策定した「成田地区NBC災害初動対応マニュアル」に沿って取り組んだ。訓練後、同研究会代表世話人で日本医科大学成田国際空港クリニック所長の牧野俊郎医師(57)は「地下鉄サリン事件を想定しての訓練で、関係機関に加えて多くのボランティアが参加し大規模に行えた。訓練を続けることにより人々の意識が高まるだろう」と意義を強調していた。

【本紙の解説】
 3回目のNBCテロ対策訓練だが、いままでは空港内そのものであったが、今回は京成成田駅を10時33分に出た列車において東成田駅の間でテロが起こったと想定して訓練が行われた。その列車が東成田駅に着いてから対策は始まった。
 東成田駅は開港当時の成田空港駅で、成田空港の中心部の地下にある。空港第2ビル完成後、成田空港利用者の駅としては空港第1ターミナルビル駅、第2ターミナルビル駅が新設され、旧空港駅は東成田駅と改称し、現在は芝山鉄道に継続する駅となった。
 その結果、東成田駅は空港利用客は利用せず、芝山鉄道を使う地元住民などしか使わない。つまり、空港テロが空港周辺の住民を巻き込んで行われたという想定である。現代の戦争やテロでは、空港が最大のターゲットになっており、その結果、空港周辺の住民はその損害を被ることになる。このテロ訓練はそれを証明したものだ。
 空港はやはり地元住民の生活とは相容れない。むしろ生活環境をあらゆる面で破壊するものなのである。「空港との共生」はあり得ない。共生というスローガンは、空港設置による騒音その他の被害を住民に押しつけるために、見返りとして騒音対策費などを出すという次元の問題なのである。

(3月16日) 千葉県県議会 成田空港の騒音逆転現象を論議(3/17千葉日報)

 2月定例県議会は16日、引き続き予算委員会を開き、全7会派から12人が県当初予算案に関係して質問した。
 自民党の伊藤丈議員は、成田空港の暫定平行滑走路の供用により発生した航空機騒音評価方式・WECPNL値(W値)の「逆転現象」を取り上げた。
 W値の逆転現象は、騒音測定で従来の4000メートル滑走路と合わせたW値より、暫定平行滑走路のみで計算したW値の方が大きくなるというもので、銀川憲雄・大気保全課長は04年度について「常時監視の88測定局のうち、成田市、芝山町、松尾町、横芝町、栄町の19局で確認。広い地域で発生している状況」と現況について報告。
 関係市町村からの航空機騒音評価方法の見直し要望を受け、環境省が設置した検討委員会が04、05年度で行った検討結果が近く公表されることも明らかにし、「今後、その成果をもとに適切な評価方法に見直されると思う」などと答えた。
 成田空港の民営化にともない国、空港会社、県、市町村と交わした75項目の覚書で、伊藤議員は「県として今後、実現についてどのように取り組むか」と質問。
 石渡哲彦・総合企画部長は「(暫定平行滑走路の)北延長整備に関連の深い騒音対策等の実現に積極的に取り組んでいく」との姿勢をみせた。

【本紙の解説】
 騒音逆転現象とは、暫定滑走路が開港して騒音の絶対値は高くなっているにもかかわらず、A滑走路延長上の騒音コンターで「うるささ指数」が低くなる現象のことだ。うるささ指数とは、闇騒音(あんそうおん=通常の騒音値)と航空機通過時騒音との乖離を数値化したもの。暫定滑走路の新設で加わった騒音が闇騒音として加算されるので、いままでのA滑走路騒音との乖離幅が狭くなり、その結果、うるささ指数は低くなってしまう。
 うるささ指数は航空騒音の国際基準のひとつだが、このような問題も多く、使っている国は少ない。成田のような矛盾もあるので、騒音基準の見直しは行っているらしいが、対策費の全面見直しにつながる問題なので、基本的に変更するつもりはないと言われている。
 また、成田空港の民営化にともなう75項目の「覚書」は無視されている。むしろ、成田空港会社の周辺対策費は民営化後激減し、いまや半分近くまで減らされたとの指摘がある。周辺市町村は成田民営化問題が持ち上がったときに「3空港一体、上下分離案」に反対し、「成田単独・上下一体」を推進し、実際そうなったのである。3空港一体では成田の儲けが、関空に行ってしまい、地元に落ちないという理屈で反対したのである。
 しかし実際は上下分離方式の方が、周辺対策は国の責任事業になるので、これほどの激減にはならなかったはずだ。「成田単独、上下一体」を主張したことが裏目に出たのだ。自業自得と言うしかないだろう。

(3月17日) 九十九里沖空港誘致で講演(3/18千葉日報)

 国が検討する首都圏第三空港の誘致を目指す「九十九里沖空港誘致懇談会」(会長・堀内慶三大網白里町長)は17日、白子町青少年センターで講演会を開き、城西国際大学の小島照男教授らが誘致の必要性を訴えた。
 同懇話会は、首都圏第三空港の九十九里沖誘致を目指し2001年1月に発足。山武・長生郡市16市町村のほか、各商工会など14の経済団体が参加し、誘致実現に向けた協議を進めている。
 今月7日には、地内会長と同懇話会委員の小島教授らが国土交通省に出向き意見交換。国際ハブ空港として九十九里沖空港の実現可能性はあるのかなど6項目についてただし、国の考えを早期に示すよう求めた。
 こうした経緯を踏まえて講演した小島教授は「国からは九十九里は有効な候補地という回答を得た。羽田と成田、九十九里沖の空港トライアングルを構築し、首都圏空港体制を築かなければ日本経済は失速する」と強調した。
 あいさつに立った堀内会長は「山武、長生地域を将来的に希望が持てる地域にするためには大きな政策が必要。空港誘致はさまざまな要素を含んでいる」と述べた。

【本紙の解説】
 九十九里沖空港とは、九十九里沖10〜15キロメートルの太平洋上に約7キロメートル四方の人工島(約4900ヘクタール)に、5000メートル級の滑走路3本を建設する計画である。うたい文句は「将来的な拡張余力と24時間対応が可能」と「成田空港とのアクセスが良好」というものである。あまりの空論なので国交省もまったく相手にしていなかった。
 また「交通アクセスは大深度地下鉄で直線距離20キロ、高速道路で圏央道と連絡して成田空港へは20分程度」、「予定地付近は水深30メートル前後のため工法的にも可能で、首都圏の産業廃棄物や一般廃棄物の処理場の完全焼却溶融炉を人工島に建設すれば、各地で懸案のゴミ問題も解決」としている。
 どうやら実際の狙いは「首都圏の産業廃棄物の完全焼却溶融炉を人工島に建設」という後段にありそうだ。太平洋に巨大ゴミ処理場を造る計画なのだ。ゴミ処理場だけではだれも相手にしてくれないので、奇想天外な空港建設論を付け足したものにすぎない。
 2001年の首都圏第3空港論議のとき、堀内慶三大網白里町長が周辺自治体に呼び掛け、長生・山武地域の町村長が集まって首長会議はもたれた。しかし他の町村は、この空港計画があまりに現実ばなれしているので「できるならいいが…」などと相手にしなかった代物である。その結果、「九十九里沖空港誘致懇談会」は堀内大網白里町長の取り巻きだけになっているらしい。

(3月22日) 成田空港から水質汚濁物質流出 取香川が1キロ白濁(2/23朝日、毎日、産経、東京)

 国土交通省利根川下流河川事務所は22日、成田市の利根川支流の取香川が白く濁っていると発表した。成田国際空港の沈砂地から下流に約1キロにわたって川が白濁しているのが確認されているという。
 同事務所などで原因を調べているか、成田国際空港から航空機に散布する防除氷剤が流れ出た可能性があるという。防除氷剤は、航空機の翼などの氷を取り除く薬剤で、人体には無害という。また、県の簡易水質検査では異常がなく、死魚なども確認されていない。
 同事務所は降雨などで川底に沈殿している汚濁物質がさらに流れ出す可能性もあるとみて、約13キロ下流にある利根川合流部の新川水門の閉鎖も含め対応を検討している。

 【本紙の解説】
 防除氷剤が「人体に無害」と言っているが、まったくのウソである。防除氷剤とはプロピレングリコールのことだ。このプロピレングリコールは「毒性が非常に低い」とされていて、保湿剤としてハミガキ、シャンプー、化粧水、乳液をはじめ、各種クリーム類、アフターシェービングローションなどに入っている。さらに、ゆでうどんやそばの中にも入っている。しかし、「低い」といっても毒性は確認されているのである。接触性皮膚炎を起し、飲むと肝臓など内臓の障害を招くことがある。溶血作用もあり、吸い込むと中枢神経抑制を起こし、染色体異常がおこったという報告もある。発ガン性、アレルギー(アトピーや花粉症)に大きな関連性があるとも言われている。そのため、安全性をうたっている日用品や食品では使っていない。アメリカではプロピレングリコールは6歳以下の子ども用品への使用を禁止されているようだ。日用品で使われているから、人体には無害ということではない。使い続けたり、大量に摂取したら、体に蓄積され悪影響が出てくるものである。
 そのために、欧州の空港では防除氷剤で使われたプロピレングリコールは、貯蔵タンクに回収されリサイクル施設に送られるか、バキュームカーで完全回収され、下水処理場で処理されている。環境保全のためにそうしている。
 今回のものは2月の大雪の時の防除氷剤であると思うが、「エコエアポート」と銘打っているものの成田空港の環境対策のずさんさが現れている。
 また県が、簡易水質検査でプロピレングリコールを「異常はなく、死魚などもいない」として人体には無害といっていることは許されない。

(3月23日) 成田騒音対策委員会 周辺市長ら空港会社に要望(3/23読売千葉版)

 成田国際空港会社と国土交通省、県、空港周辺自治体などで作る「成田国際空港騒音対策委員会」の今年度の会合が22日、成田市内で開かれた。
 成田市の小林攻市長は、航空機の着陸時に出る「逆噴射音」の早朝・深夜の軽減措置を空港会社に要望。佐原市の岩瀬良三市長は、空港の混雑緩和策として同市や栗源町などの上空を現状より低い高度で航空機が飛行する国交省提案に、運航を混雑時間帯に限定することを改めて求めた。

 【本紙の解説】
 成田国際空港騒音対策委員会は、成田空港会社、国交省、千葉県、茨城県、騒音下の関係16市町村で構成され、騒音の障害防止などを協議するために設置されたものである。各市町村にはそれぞれ部会が設置されている。成田空港会社へ各市町村の要望を取りまとめる機関になっている。
 昨年は「北延伸ではなく、本来計画」と各市町村の要求が強く出たが、今年はその勢いもない。関心は翌日発表になった北延伸での新たな騒音コンターに移っており、騒音の低減要求もあまりない。佐原市などは、低い高度の運航を認めてしまったうえで、「混雑時だけにしてくれ」などと見え透いた「抵抗」のポーズをみせている始末だ。これでは足元を見られるだけである。

(3月23日) 成田空港延伸、500戸防音工事へ(3/24朝日、読売、毎日、日経各千葉版、千葉日報)

 成田空港の暫定滑走路の延伸で、航空機騒音防止法(騒防法)に基づく新たな騒音対策が23日、国土交通省、県、成田国際空港会社(NAA)、成田市など9市町村の間でほぼ合意された。新たに防音工事の対象となる家屋は約500戸。一方、移転補償が受けられる特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(騒特法)の区域は、一部の地域で合意が得られず、今後の協議となった。NAAは今夏から着工する方針だが、地元との合意が前提で、着工の時期に微妙な影響を与えそうだ。
 見直しは、暫定B滑走路が北側に延伸し、騒音区域が北側に約1キロ延伸することに伴う措置。
 騒音区域のうるささ指数(WECPNL)が75以上になると、騒防法で防音工事の助成が受けられる第1種区域に指定される。今回、騒音区域が延伸することで、成田市と下総、大栄、多古、芝山の各町で、新たに約500戸が1種区域に指定される。
 うるささ指数が80以上になると、騒特法で防止特別地区に指定される。住宅などが新たに建築できなくなる一方、移転希望者は補償を受けられる。地区の線引きを巡り、「提示された案では、移転する人とできない人が出て、地区が分断される」との意見が成田市の一部であり、再度、協議していくことになった。年間航空機発着枠を20万回から22万回に増やす方針についても、合意は得られなかった。
 成田空港の北側で騒特法の防止特別地区に大半が含まれる久住地区の空港対策委員会の松島文哉会長は「どういう線引きにするか、各地区ごとに意見をまとめている。今月中に調整したい」と話している。
 NAAは年度内の完全合意を目指し、今夏からの工事着手を打ち出している。黒野匡彦社長は「(着工の遅れは)ないと期待している。現時点で大幅に前進した」と述べた。だが、同社幹部は「騒特法での合意がない限り、工事の着手はできない」と話している。

 【本紙の解説】
 騒防法の第1種地区に組み込まれ防音工事の対象となるのは500戸となった。それは決着したようだ。しかし、騒特法による特別防止地区で移転補償の区域が決定せず、年度末までの解決はできなかったようだ。また、年間22万回の増便も合意は得られていない。
 空港会社は51号線トンネル化工事にこの夏に着工するために、騒音コンターの線引きと騒特法の移転地区の地域割は年度内に終わらせようとしていた。しかし、それは不調に終わり、着工は微妙といっている。
 久住地区では「分断するな」として騒特法の特別防止地区の拡大をテーマに調整に入っている。空港の設置で歴史を持った村落共同体が分断されることは許されないことである。
 一般的に空港会社は移転補償の要求が強いという理解だが、それは一面的である。騒特法の特別防止地区に組み込まれると自宅は強制移転になり、移転補償は出る。しかし、自宅以外の山林、田畑には移転補償はない。また以後、人が住む家も建てられない。そのため、財産価値は決定的に低まる。その財産価値低減を差し引いても村落共同体を守ろうという要求なのだ。このことを空港会社は、三里塚闘争40年の歴史を経験してもなお理解できないのである。
 空港が設置され、汗水流して丹誠込めた田畑や山林の財産価値が激減し、その結果、里山が荒れ果て崩壊しているのが空港周辺の実情だ。それ以上に村落共同体が分断し解体している元凶が空港なのだ。空港との共生はそもそもあり得ない。

(3月23日) 成田国際空港/中期経営計画を発表(2/24読売千葉版、日経関東版)

 成田国際空港会社(千葉県成田市)は2006年度から5年間のグループ中期経営計画「Newステージ2010」を策定した。北側延伸による平行滑走路の供用開始や成田新高速鉄道の開通に向け経営基盤の強化を盛り込んだ。2010年度のグループ全体の売上高を05年度見通しの約1700億円から2000億円以上に伸ばす目標も設定した。
 2500メートルの平行滑走路の建設で、航空機発着回数は06〜09年度の平均約18万9000回から10年度には19万3000回に伸びると予測した。新たに第1旅客ターミナルの南ウイングや第2ターミナル本館中央部に商業施設を設け、非航空分野の収入増も見込む。
 一方、費用となる施設建設や保全で、発注・価格交渉の見直しを進めるほか、社員数を5年間で約150人(17パーセント)減らすなどコスト削減にも取り組む。このほか、チェックイン後に手荷物を爆発物検知装置で検査するインラインスクリーニング方式も全旅客ターミナルビルで実施する。

 【本紙の解説】
 06年度から向こう5年間の経営計画だが、航空機の発着回数は極めて弱気ながらも数字を出している。経営的には05年度実績から300億円の売上増を見込んでいるという。これは空論に等しい数字だ。
 昨年05年の年間の発着回数は18万8275回であった。北延伸で暫定滑走路が2500メートル化しても約4000回しか増えない計算だ。昨年の10月3日に発表された北延伸計画では、暫定滑走路が2500メートル化すれば、年間発着回数は6万5000回から10万回に増えるとした。しかし暫定滑走路の05年の実績は約5万5000回だった。2500メートル化しても6万回以上にはならないのだ。
 これは何を意味するか。それは中期経営計画の経営環境にある。それには日本経済は「デフレ経済を脱却し本格的長期回復基調になり、海外旅行は、ビジネス客、観光客ともに順調に増加」としているが、「航空会社は航空機のダウンサイジング化などイールド重視の経営へ。成田空港においては2009年度の羽田空港の国際化や東アジアの空港との競争が本格化」するとしている。航空会社は経営効率のため搭乗率重視で航空機はジャンボ機から中小型機に転換する。それと競争激化がある。羽田が国際化し、仁川空港、上海浦東空港などとの競争である。羽田にアジア便の大半が移行し、ジャンボ機の比率も少なくなるといっている。
 暫定滑走路の2500メートル化は、ジャンボ機を飛ばせなければ国際空港の滑走路とは言えないという国からの至上命令だったが、実際の航空需要と羽田国際化という現実の中では経営的には必要のない延伸計画なのだ。むしろ経営的には無駄な設備投資である。そのため、07年に予定していた株式上場を中止しなければならなかったのである。
 さらに売上増300億円などというのは空論だ。「非航空分野の収入増も見込む」となっているが、成田空港会社は着陸料に依拠した経営で、そこからの脱却は難しい。そのためにむしろ売上減少の対策の方が現実的なテーマなのだ。それを17パーセントの人員削減で乗り切ろうというのがこの経営改革の本音なのである。

(3月26日) 3・26全国集会

 反対同盟は成田市天神峰の市東孝雄さんの畑で全国集会を開催、1200人の労働者・学生たちが集まり、暫定滑走路「北延伸」の今夏〜今秋着工攻撃を阻止する決戦態勢に突入するとの宣言を発した。新たに三里塚闘争に参加した人々を中心に前日から現地調査や交流会なども行われ、三里塚闘争の再出発のための様々な企画・取り組みを行う方針を参加者全員が確認した(詳細は本紙参照)。

■集会プログラム
           国道51号トンネル工事着工阻止
           暫定滑走路北延伸攻撃粉砕
           3・26全国総決起集会
        開会:2006年3月26日(日)正午   於:成田市天神峰

◇開会宣言                          鈴木 幸司
◇主催者挨拶                         北原 鉱治
◇基調報告                          萩原 進
◇特別報告                          動労千葉
◇今夏、暫定滑走路北延伸着工阻止──反対同盟の決意・敷地内の決意
・国道51号着工阻止、ゴミ処理場違法転用許すな        市東 孝雄
・芝山からの決意、「東峰の森」の破壊許すな、菱田廃村化阻止   鈴木 謙太郎
・天神峰裁判支援アピール                   野戦病院
◇反対同盟顧問団の決意                    反対同盟顧問弁護団
◇カンパアピール                       婦人行動隊
◇決意表明
・住民団体
 関西新空港反対住民、北富士、沖縄、反戦被爆者の会、部落解放同盟全国連合会、
 都革新・長谷川英憲、婦民全国協、「障害者」、山谷
・共闘団体
  中核派、解放派、統一委、蜂起派
◇集会宣言
◇スローガン採択
◇閉会宣言・デモコース説明・ガンバロー三唱

■3・26全国集会スローガン
                          三里塚芝山連合空港反対同盟

1、今夏、暫定滑走路北延伸=国道51号トンネル工事着工を阻止しよう。
2、誘導路新設のための「東峰の森」の破壊阻止。廃棄物処理場の違法転用を許すな。
3、天神峰現闘本部裁判闘争に勝利し、市東さんの農地を守りぬこう。野戦病院、岩山団結小屋の明け渡し要求拒否。
4、一坪共有地強奪阻止。騒特法粉砕・芝山廃村化阻止。成田治安法を粉砕しよう。
5、共謀罪新設阻止、教育基本法改悪―改憲阻止。国民投票法案を粉砕しよう。
6、軍事空港建設を粉砕しよう。国際反戦運動と連帯しイラク―朝鮮侵略戦争を阻止しよう。
7、関西新空港粉砕。沖縄、北富士はじめ反戦・反核、反基地、反原発闘争の高揚かちとろう。
8、革マル派の敵対を粉砕し、動労千葉をはじめとする戦闘的労働運動と連帯して闘おう。
9、あらゆる差別抑圧粉砕。部落解放運動連帯。入管法・外登法撤廃。排外主義を許さず、在日朝鮮中国人民とともに闘おう。
10、監獄法改悪阻止。保安処分法・精神保健福祉法を撤廃しよう。
11、三里塚闘争勝利。6・25東京集会、7・2全国集会に総決起しよう。

■集会宣言
 本集会は、小泉内閣の改憲の動きに反対し、暫定滑走路北延伸の今夏着工阻止を断固として宣言する。
 国交省と成田国際空港株式会社は、暫定滑走路の北延伸着工をこの夏にも強行しようとしている。着工地点は最大の難工事と言われる国道51号のトンネル工事である。09年供用開始のために、国交大臣による空港計画の変更認可と切り離し、違法に前倒しで工事を強行するものだ。
 このトンネル工事は北延伸着工そのものである。反対同盟は、進入灯建設のための成田クリーンパーク(廃棄物処分場)の違法転用と、誘導路新設のための「東峰の森」破壊など、追いつめられたあげくの無謀な攻撃を断じて許さない。
 北延伸のねらいは、民家の上空40メートルでジャンボ機を飛ばし、生活破壊の大騒音で農家を追い出し、計画倒れの平行滑走路を復活させるところにある。この悪質「地上げ屋」まがいの工事を総力ではね返し、空港を廃港に追い込む決戦として、反対同盟はこの夏・秋を闘いぬく。
 戦後政治を一変させる小泉内閣の改憲と戦争の攻撃に対して、全国で人民の決起が始まった。民営化と労組破壊の攻撃に対して、動労千葉が春闘ストに決起した。「日の丸・君が代」強制に対して教育労働者の不起立闘争が闘われた。沖縄では名護新基地計画に怒りが爆発している。暫定滑走路の北延伸と成田からの陸自東部方面隊のイラク出兵策動は、米軍基地再編と一体の成田空港軍事化攻撃である。反対同盟は40年間、国策による人権圧殺と軍事空港建設に反対して闘い勝利してきた。労農連帯と反戦の砦=三里塚は全国の決起の最先頭で闘う決意である。
 北延伸は追いつめられたあげくの工事計画であり、民営化した空港会社の新たな障害となるであろう。成田空港に完成の時はない。
 6・25東京集会、続く関西集会を成功させよう。7・2全国集会に決起しよう。全国を縦断する三里塚集会で決起を呼びかけよう。天神峰現闘本部裁判闘争への支援を訴える。夏の着工阻止決戦に決起し新たな三里塚闘争をつくりだそう。
   2006年3月26日
                           三里塚芝山連合空港反対同盟

■暫定滑走路北延伸阻止 運動方針
                                反対同盟事務局
(1)7・2三里塚全国集会
 日時:7月2日(日) 正午
 会場:三里塚現地
※夏の北延伸着工阻止と閣議決定40周年の決起集会
(2)6・25東京集会(24〜25日 パネル展)
・「三里塚闘争40年 歴史と現在(いま)を語る集い」
日時:6月25日(日)午後1時から
会場:江東区総合区民センター(江東区西大島) 会議室
※同盟が報告し質疑とディスカッションを行います。
・パネル展示と戸村彫刻展 野菜即売会
  日時:24日(土)、25日(日)の両日
  午前10時〜午後5時
  会場:江東区総合区民センター 展示ホール
※反対同盟との談話・交流
(総武線亀戸駅から徒歩15分、都営地下鉄大島駅から徒歩1分)
(3)上記の東京集会と並ぶ関西集会、および7〜8月地方集会
 北延伸着工に反対する集会を全国各地で開催するようにお願いします。
 反対同盟が参加し三里塚への結集を呼びかけます。
(4)5・11天神峰現闘本部裁判闘争
第11回口頭弁論
 日時:5月11日(木) 午前10時30分
 法廷:千葉地裁501号法廷
※傍聴券抽選のための整理券が配布されるので9時30分をめどに地裁前に集まって下さい
(5) 4・2団結花見の会
 日時:4月2日(日) 午前10時から
 会場:三里塚第一公園(雨天の時は会場を変更して行います)

(3月30日) 反対同盟、クリーンパーク(一般廃棄物最終処分場)問題で4回目の公開質問

 成田市と空港会社は3月中旬に基本協定に調印した。しかし、この事実を報道機関にも発表していない。事前に朝日新聞が独自の取材で報道したのみだった(06年2月24日付日誌を参照)。基本合意では、転用費用は空港会社の負担、実施は「成田市が主体で行う」との確認になっている。したがってゴミ処理場の転用にあたっては、成田市はその方法を公表し、市民の納得をえた上で進める義務がある。以下は、反対同盟の公開質問状全文。

■公開質問状(第4回目)
成田市長・小林 攻 殿
                         三里塚芝山連合空港反対同盟
                             事務局長・北原鉱治

 成田市と成田国際空港株式会社は、3月中旬、成田クリーンパークの空港用地転用に関する基本協定書を交わしました。しかし市民には、この事実がまったくと言ってよいほど知らされていません。反対同盟は前3回の公開質問で、問題を包み隠すことなく明らかにすべきと訴えてきました。協定書を交わしたことすら公表しない成田市の姿勢は言語道断であり、私たちはあらためて強い不信感を抱かざるをえません。
 一般廃棄物最終処分場を廃止するについては、近隣地区の環境破壊につながりかねないことから慎重に判断することが必要です。特に、当該処分場については、法の規制以前の廃棄物にダイオキシンが大量に含まれる可能性が高く、その漏洩による環境汚染が強く懸念されます。近隣地区の住民は、これまで航空機騒音と排気ガス等の環境被害を受けてきました。加えて健康に直接関わる地下水汚染の不安にかられているのです。私たちはあらためて、隠し立てすることなく厳正に対処するよう、市長ならびに関係部・課に強く要望するものです。
 今回、交わされた協定書では「処分場の閉鎖・廃止、その代替機能、及び関係機関等との協議・調整に関しては、成田市が主体となって行う」旨、明記されています。対処方針を成田市の主体責任とした以上、もはやこの問題を秘密裏に進める理由はないと考えます。基本協定書の合意という新しい事態をふまえ、以下質問しますので誠意ある回答をお願いします。

(1)方針決定のプロセスについて
1、これから後、いかなる手続きと手順によって閉鎖・廃止の方法を決定するのでしょうか。方針決定のプロセスを明らかにして下さい。
2、方針決定に際して、有害物質の遺漏・飛散などの科学調査を第3者機関に依頼することが必要と考えます。依頼するとすればそれはいかなる機関であるのか明らかにして下さい。
3、方針決定過程において、成田市議会ならびに経済環境常任委員会はどのように関わることになるのでしょうか。明らかにされたい。

(2)方針決定の目処について
1、埋め立てた廃棄物の全量撤去はありうるのでしょうか。全量撤去か埋め立てによる廃止かの選択・決定はいつを目処とするのか、お聞かせ下さい。
2、また埋め立てによって廃止する場合、廃棄物処理法ならびに環境省令では、閉鎖後2年間のモニタリングが義務付けられています。当該処分場の閉鎖―廃止に関しても例外ではないと考えるが、成田市の判断をお聞かせ願いたい。

(3)開業以来の環境記録のデータ開示
 当該処分場については、1989年の開業以来、浸出液と発生ガス等について定期的に調査した記録があると思われます。開業以来の調査記録を明らかにして下さい。
 以上、4月12日までに文書にて回答されるよう要望します。
 2006年3月30日

(3月30日) 北延伸整備で追い越し誘導路検討(3/31千葉日報)

 成田国際空港の暫定平行滑走路の北延伸整備の一環で、成田国際空港会社は30日、新設する誘導路などに航空機の追い越し用の誘導路(待機場=ホールディングベイ)の設置を検討していることを明らかにした。
 追い越し用誘導路は、機体トラブルや運航上の理由で、離陸順番に変更が生じた場合、航空機が一時的に使用する場所。空港会社によると、北延伸整備で計画されている東側誘導路では、滑走路北側から離陸する航空機の地上走行距離が現在より伸びるため、万一のトラブルに備える必要性が今まで以上に生じる。また、暫定平行滑走路の2500メートル化に伴い空港の処理能力向上も求められることから、同社と空港事務所など関係機関によるワーキンググループが設置方法や設置場所、運用に関する検討を重ねている。
 現時点では、東側誘導路と、滑走路に平行する現誘導路のそれぞれに1カ所ずつの設置が有力で幅は30メートル、長さは最低でも100メートルとなりそう。
 同社では、6月下旬から7月初旬ごろを予定する航空法に基づく施設変更許可申請に同施設を盛り込む考えという。

 【本紙の解説】
 成田空港会社は、暫定滑走路の東側を通る新誘導路の設計にまだ結論を出していないようだ。飛行コース上を二度も横切る前代未聞の設計自体に無理があるということだ。
 この新誘導路設置に関して、航空安全推進連絡会議が2月15日に安全策を要望し、空港会社は1カ月を目処に回答するとしていたが、いまだ回答はない(06年2月15日付日誌を参照)。航空安全会議が「(新設誘導路は)危険で、いま以上に遅延便が増える可能性すらある」と指摘したことは正しい。それゆえに回答できないのだ。
 そもそも航空機は地上走行が苦手で、バック走行もできない。また地上走行は燃料も大量に使う。新連絡誘導路は 入り口から滑走路南端の取り付きまで2キロもあり(駐機場からの距離がプラス500メートル)、滑走路北側まで回り込んで南向きに発進する場合は、総移動距離が5キロを超える。この長さ自体が誘導路として失格だ。
 それ以上に問題なのは、飛行コース上を2回も横断することである。離着陸機が上空を通過する際はこの地点に進入できず、信号機によって停止・待機することになる。「処理能力向上」などはそもそも無理な設計だ。むしろトラブルが前提の設計とさえ言える。
 「6月下旬から7月初旬ごろに施設変更許可申請を出す」予定だとされているが、NAAはこれを無視することを示唆している。本来は、この申請に対する許可が下りてから公聴会を開く手順となるが、空港会社は一方で今夏にも工事を開始すると公言している。空港本体の工事と切り離して国道51号線のトンネル化工事を開始するという意味だ。事実上これが北延伸の工事開始となる。
 反対同盟と三里塚闘争はこれを絶対に許さないだろう。

(3月30日) 野鳥の会が要望/成田新高速と北千葉道遮音チューブ設置(3/31千葉日報)

 2月に着工した成田新高速鉄道と北千葉道路で、日本野鳥の会・県支部(志村英雄支部長)は30日、印旛沼周辺に生息するサンカノゴイ、オオタカなどの希少種を保護するため、遮音チューブの設置などを求める要望書を堂本暁子知事に提出した。
 要望書は、絶滅危惧種のサンカノゴイ(サギ科)について、「北印旛沼は本州唯一の繁殖地だが、十数番(つがい)しかいない。琵琶湖では道路工事で観察されなくなった」などと指摘。
 営巣地での騒音や光、電車との衝突死を避けるために、鉄道と道路全体を遮音チューブで覆う工法を検討することや、施工で破壊されるヨシ原の代償造成については、工期・内容を公開するよう求めている。
 成田新高速と北千葉道路をめぐっては、着工前に環境影響評価書が縦覧されたが、野鳥の会は「サンカノゴイに関する記述を避けている」などと問題点を挙げている。

 【本紙の解説】
 サンカノゴイは、コウノトリ目サギ科で全長70センチ前後の渡り鳥。ロシア、中国から冬に、広い湿地やヨシ原に渡来する。希少種で絶滅危惧IB類(環境省レッドリスト)に分類されている。絶滅、野生絶滅、絶滅寸前=「絶滅危惧IA類」の次の絶滅危機=「絶滅危惧IB類」である。オオタカはその次の脆弱=「絶滅危惧U類」である。
 問題の環境影響評価書では、オオタカ以上の絶滅危惧類のサンカノゴイを無視しているという。トンネル化を否定された野鳥の会が、代替策として遮音チューブ設置を要求するのは当然であろう。
 成田新高速鉄道は地元成田市などが強引なまでに推進して着工させた代物だ。しかしいまでは市関係者はこの新高速鉄道に敵意すら露わにしている。理由は成田市街地に接する「土屋駅」設置を拒否されたことだ。またそれ以上に、この新高速鉄道の影響で成田市街の空洞化の恐れが問題になっている。現在、京成線のスカイライナー(開港時にスタートした空港特急)は成田駅にも停車しているが、スカイライナーは成田新高速線中心の運行になり、成田駅はバイパスされてローカル駅となってしまうからである。
 「都心からのアクセス時間を現在の約1時間から30分台に大幅に短縮し、お客様の利便性向上を図ります」などと中期経営計画「Newステージ2010」で成田空港会社はうたっているが、それほど歓迎すべきものとはなっていないのが実情だ。
 空港会社も、出資金及び負担金と空港内の2つの駅改修工事で計601億円の出費を強いられる。しかも、仮に暫定滑走路が完成しても、羽田国際化のあおりで旅客数は約3300万人から約3480万人へ約180万人しか増加しないとの試算を「Newステージ2010」は出している。費用対効果がゼロの設備投資なのである。
 都心から空港までの時間短縮を期待する航空客は、短距離アジア便の旅客が多い。その人たちは、もっと近い羽田空港から出発するようになるのだ。
 希少絶滅危惧種の生息地を奪い取ってまで、成田新高速鉄道を整備しなければならない理由はないのである。

(3月31日) 熱田一氏が用地売却(3/31朝日千葉版、4/1朝日、読売、産経、東京各千葉版、千葉日報)

 成田国際空港の用地問題で空港会社は31日、三里塚・芝山連合空港反対同盟熱田派元代表、熱田一氏(86)と土地売買契約を結び自宅も移転すると発表した。
 熱田氏から空港会社が取得したのは、横堀墓地の約35平方メートルと水田および畑の約4770平方メートル。また、熱田氏は芝山町香山新田から成田市西三里塚に移る。一坪共有地は成田市東峰など3カ所で取得の目処がついたが、横堀現闘本部は熱田氏が持ち分を返還することで同社が95パーセントまで持つことになる。残りは20人が所有。
 熱田氏は「家族と離れて暮らすことがままならず決断した。全国の同志には感謝している」などとするコメントを出して空港反対運動から引退した。同社の黒野匡彦社長は「心から敬意を表したい。完全空港化に一歩近づいた」と述べた。

 【本紙の解説】
 熱田氏の移転はすでに確定していたことであったが、非常に残念である。とりわけ横堀墓地の売却は許し難いことである。登記上の名義はともかく、横堀墓地は空港反対闘争にかかわる全ての人間の総意で登記されたものであり、道義的に熱田氏個人の所有物とは言い難いものだ。
 横堀墓地はそもそも横堀部落の“総有”であった。それを空港公団(現NAA)が土地の仮名義人から買い上げる形で公団名義に書き換えてしまった。そのために1981年から裁判になり、1審を経て、2審の東京高裁で裁判所の和解要請を原告・被告双方が受け入れ、1997年に公団と横堀地区が墓地の土地を半分ずつ所有することとなった。判決内容としては部落の総有が認められたもので、それは反対運動全体の力で勝ち取った成果だ。こうした成果を踏まえて、現地支援者で闘争に殉じた者も横堀墓地に埋葬されている。
 熱田氏はこの事実を百も承知で売却した。裏切り以外の何ものでもない。
 健康の悪化により「家族と離れて暮らすことがままならず」ということは理解できる。しかし熱田夫妻が最後まで横堀で生活し闘い抜くと宣言したら、あらゆる面での支援を引き受ける者たちは必ずでてくる。いずれにせよ、墓地の売却はとうてい許されるものではない。

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