●(3月1日) 航空管制システム一時ダウン/全国のダイヤ乱れる(3/1夕刊、3/2朝刊の全紙)
国土交通省によると、1日午前7時ごろ、埼玉県所沢市の東京航空交通管制部(ACC)で、フライトプラン(飛行計画)のデータを処理するコンピューターシステムが故障した。この影響で、全国の空港で約20分間、出発便が離陸できず、一部は欠航となった。飛行中の航空機の着陸に支障はなかった。約1時間後にシステムは復旧したが、同省によると、羽田などの主要空港で30分以上の遅れが200便近くに出るなど、全国で運航ダイヤが大幅に乱れた。
トラブルがあったのは、「飛行計画情報処理システム(FDP)」。航空機の便名や経路など飛行計画の内容を、各空港の管制室などに送信したり、管制卓のレーダーに表示したりする。
国交省によると、トラブルは午前7時ごろ発生。飛行計画を送信したり、レーダーに航空会社名や便名を表示したりできなくなった。ACCには万一の際のバックアップ用を含めて2系統のシステムがあるが、今回は両方ともダウンしたという。
このため、午前7時10分から約20分間、全国の空港で出発を見合わせ、午前7時40分ごろから、通常は3~4分の間隔で管制している離陸間隔を、10分間程度に広げる安全措置をとったうえで、手動でデータを入力したり、管制官同士が電話でデータを伝達したりする方法で対応した。午前8時半からは離陸間隔制限を10分間から5分間に短縮。午前9時すぎには、羽田ではほぼ通常のペースに回復した。
国交省によると、コンピューター自体や送信系に問題はなく、1日から防衛庁と飛行計画データを共有するプログラムを変更したことが影響した可能性があるという。FDPのトラブルはこれまでに、97年1月、98年1月、同年10月に発生。うち98年1月には、今回同様、2系統ともダウンしたという。
【本紙の解説】
このトラブルは、管制のためのコンピューター・プログラムの不具合が原因となっている。具体的には自衛隊の飛行計画を処理するプログラムを先月、防衛庁が変更したため、国交省も飛行計画情報処理システム(FDP)の新たなプログラムを開発。この更新されたプログラムの相性がわるく、ダウンしたとのこと。しかし、根本的な原因は米軍、自衛隊、民間機という3つの管制空域をもつ日本の空域の複雑さにある。空域と航空管制は軍事優先になっている。日米地位協定第6条は米軍に日本の空の航空管制の最優先権を与えている。自衛隊機の運航も民間機より優先されている。今回の事故も自衛隊の飛行計画の変更にともなうトラブルなのである。報道はされていないが、イラク侵略戦争の開始直前情勢、朝鮮侵略情勢の切迫による軍事的緊張による飛行計画とそのプラグラムの変更が真の原因であろう。
●(3月5日) 成田空港周辺の市町村合併白紙に/成田市長は辞意表明(3/6全紙の千葉版、千葉日報)
成田市議会は5日、成田空港周辺11自治体の合併に向けた法定協議会の設置議案を否決した。これを受け、同市の小川国彦市長は閉会後、渡辺昭・同市議長に辞表を提出。記者会見で「政治的な責任をとる」と話し、4月の統一地方選には立候補せず、政治活動から引退することを表明した。小川氏は25日付で辞職となる。これで、昨秋から続いていた空港周辺の合併問題は、白紙に戻ることになった。
この日、成田市議会は最終日。03年度の一般会計予算案などを可決した後、「成田地域合併協議会の設置に関する協議について」と題する法定協設置議案が提案された。
小川市長は提案理由として「百年の計を考え、大局的な見地に立ってご賛同をお願いしたい」と訴えた。その後、賛成・反対各議員が意見を表明。賛成意見を述べた宇都宮高明議員は「合併しなければ数十年後、不作為を問われる」と話した。一方、反対意見の小泉一成議員は「拙速な合併で、このままで法定協に移るのは問題の先送りだ」と批判。設置案は10対16で否決された。
小川市長は記者会見で「政治家としてのけじめをつけ、おわびをしてご理解をお願いしたい。どういう形になるか分からないが、(合併の今後は)新しい人たちによって実るようにやって欲しい」と話した。
小川市長は県議を3期務めた後、76年に社会党から代議士に初当選。計6期務めた後、95年、成田市長となり、現在2期目。昨年12月、春の統一地方選への立候補を表明していた。
【本紙の解説】
小川市長は空港利権に明け暮れて、最後にそのために辞任に追い込まれた。当初、小川市長は周辺の市町村との広域合併には反対であった。理由は年間100億円以上におよぶ空港からの税収入であった。そのため成田市は現在、財政指数が1・5で市としては全国トップである。財政指数とは1を超えるほど財政に余裕があることを示す数字である。合併する予定であった他の市町村の財政指数は0・5前後が中心である。合併後は0・8に低下する。
しかし、成田市はどことも合併せずに単独を貫くこともできず、県の介入もあり合併推進に踏み切った。だが市議会選挙を前にして、「財政が悪化してまで合併する必要があるのか」「住民サービスが低下する」との懸念から合併賛成派であった議員が反対に回った結果、法定協議会設置議案が否決されたのである。
周辺市町村もこの空港からの税収入を見込んで合併希望が増え、11市町村となったのである。小川市長の辞任は空港の税収入が成田市と周辺市町村の対立を産み出した結果である。空港利権の取り合いでまとめることができずに、飛ばされたのである。
そのことによって最大の危機に立たされたのが、下総、大栄、神崎、栗源の香取郡4町である。とりわけ、佐原市を中心とする香取郡市と合併する予定であった栗源町は空港反対の団結小屋があることを理由に成田空港圏の町であると主張し、成田市との合併を希望した。これから佐原市との合併に戻るわけにもいかない。単独では町の財政破産は目に見えている。そのため、栗源町をはじめとする香取郡の4町は、合併法定協議会設置案を議会に上程し可決しようとしている。法定協の設置は関係する全議会での可決が必要で、栗源町などが単独で可決しても効力はない。意味のない行為である。
しかし、ほとんどの周辺自治体は成田市との合併以外に生きる道がなくなっているのが現状だ。町としての独自的発展の努力を怠り、空港を中心とする利権に頼って自治体を運営してきたことが原因である。
空港は騒音と危険をまき散らし、周辺自治体はその騒音の見返りに頼って市町村独自の発展ができなくなってしまったのである。
●(3月7日) 乗客が降りる最中飛行機誤って牽引(3/8読売千葉版)
7日午後4時30分ごろ成田空港の駐機場で旅客ビルから延びた搭乗橋に接続していた米シアトル発成田着ノースウエスト航空7便(ボーイング747─200型)を牽引車が誤って前方に引っ張り、機体出入口と接続橋全部の外枠がわずかに曲がった。乗客325人は降りている最中だったが、出入口と搭乗橋との結合部分は外れず、無事に旅客ビルに降り立った。
空港公団によると、同便は着陸後の午後4時10分ごろ、牽引車に引かれて駐機場に到着。役割を終えた牽引車が移動しようとした際、車と機体前輪をつなぐ金属棒をはずし忘れたらしい。
【本紙の解説】
搭乗橋との結合部分が外れなかったので、大事故にはならなかったが、もし外れていたら人身事故になっていたことは確実である。暫定開港以降、成田空港では小事故が頻発している。暫定滑走路によって空港管制が複雑になっていること、誘導路の不備から航空機の空港内の走行が渋滞していること、増便しているにもかかわらず、整備、保守、運営の人員が増加されておらず、むしろリストラされていることが原因である。これは民営化の方向が決定したことにより一層加速することになる。このままだと大事故はかならず起こる。
●(3月11日) イラク緊迫/欧州航空業界に打撃(3/11日経)
イラク情勢の緊迫が欧州の航空各社の経営に打撃を及ぼし始めた。開戦やテロに対する懸念から、主要国の航空会社の2月の座席稼働率は軒並み前年実績を下回った。原油高騰による航空燃料の値上がりも採算悪化要因となっており、各社は運賃の値上げやリストラを急いでいる。
英最大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の2月の座席稼働率は70%と前年同月比で1.6ポイント低下した。マイナス転落は昨年7月以来。運賃を払った顧客をどれだけの距離運んだのかを示す有償旅客キロ(輸送実績)も同5.6%減と2カ月連続の減少となった。同社は「戦争とテロの脅威が増えるにつれ、環境は厳しくなりつつある」と説明している。KLMオランダ航空も2月の稼働率が77.2%と同2.2ポイント低下。エールフランスは同1ポイントの低下となり、特に中東・アフリカ路線は5ポイント以上落ち込んだ。原油高騰によるジェット燃料の値上がりも痛手。欧州の石油製品市場ではジェット燃料のスポット価格が2月下旬以降、1トン当たり350ドルを超え、昨年11月の約1.5倍の水準に達した。
【本紙の解説】
米国では航空最大手のアメリカン航空の倒産が時間の問題になっている。欧州でもブリティッシュ・エアをはじめとして航空需要が激減しそうな情勢に突入している。需要の後退だけでなく、ジェット燃料が急騰していることから航空会社の経営はより一層の危機に陥っている。ジェット燃料は昨年の11月からは1・5倍であるが、1年前の昨年の3月からは2倍になっている。米航空協会がつくった報告書によれば「対イラク攻撃が始まれば米航空業界であらたに7万人の雇用が失われ、赤字総額は107億ドル(約1兆2840億円)に達する」となっている。
イラク侵略戦争は航空会社の大倒産と大再編をもたらしそうだ。
●(3月12日) 一坪共有地強奪裁判の実質第1回公判開かれる
千葉地裁で3月12日、一坪共有地分割訴訟(02年12月21日付日誌を参照)の事実上の第1回公判が開かれた。
公判廷で北原事務局長、木内秀次さんの2名が意見表明をおこなった。(詳しくは本紙参照)
●(3月13日) JAL減便決定/イラク攻撃懸念でインドネシア、仏向け
日本航空システム(JAL)は13日、対イラク攻撃問題の影響で利用予約が落ち込んでいるインドネシア向けとフランス向けの路線を4月1日から減便すると発表した。9・11以降、米国向け路線を縮小してきたが、欧州やアジア路線にも減便が広がった。
インドネシア向けは東京─ジャカルタと東京─デンパサールをそれぞれ週7便運航しているのを4月からは東京─デンパサールをジャカルタ経由で運航し、週7便に減便。週10便運航している東京─パリも週7便に減らす。これらの路線は3、4月の予約が昨年より5~6割落ち込んでいる。
同社は一昨年9・11以降、関空―シカゴ、東京―ダラスなどを休止するなど便数を減らし、米国向けの輸送能力をテロ前に比べて約3割削減している。
【本紙の解説】
9・11以降、日本の航空会社はドル箱の北米線が約3割という激減のなかでアジア便を成田の暫定滑走路で増便し、安売りチケット、格安ツァーに回すことで何とか乗り切ってきた。しかし、ここにきて経済のより激甚な落ち込みとイラク侵略戦争の切迫で航空需要はさらに落ち込む気配である。アジア便も搭乗率が激減している。
格安チケットによるアジア便の需要の増加で昨年10月からの冬ダイヤから暫定滑走路滑走路は10パーセント前後の増便になったが、今年3月末からの夏ダイヤ改正はイラク侵略戦争のなかであり、激減になりそうだ。人家の頭上40メートルの騒音、連絡誘導路の渋滞、事故続出であり、需要がなくとも減便ではなく、即刻閉鎖すべきなのである。
●(3月13日) 首都圏新空港研へ月末に解散(3/13日経千葉版)
羽田、成田に次ぐ首都圏第3空港の早期実現を目指して産業界が設立した「首都圏新空港研究会」(会長・千速晃新日本製鉄社長)が今月末で解散する。羽田空港の再拡張が決定し、新空港が短期的に実現する可能性が薄れたため。同研究会の活動は鉄鋼やゼネコンなどでつくる日本プロジェクト産業協議会(JAPIC会長・同)が引き継ぐ。
同研究会は新日本製鉄や石川島播磨重工業など民間企業約140社が参加して1993年に発足した。年間約5000万円の予算で新空港実現に向けた調査研究や提言、シンポジウム開催などの活動をしてきた。
研究会解散を受け、JAPICは4月、新しい「首都圏新空港研究会」(仮称)を設置する。新研究会で第3空港を含めた首都圏の空港整備全般について引き続き調査研究や提言、広報などの活動をしていく方針だ。
首都圏第3空港については、民間団体や自治体などが東京湾奥や千葉県木更津沖、川崎市沖など以上の候補地を国土交通省に提案している。だが、同省は羽田に4本目の滑走路をつくる再拡張で当面の航空需要に対応することを決定。第3空港は「長期的な視点をする」という位に後退している。
【本紙の解説】
首都圏新空港研究会は、首都圏第3空港に以下の5カ所の海上空港候補地を推薦していた。 東京湾の湾奥、本牧沖(中ノ瀬)、 富津岬南、観音崎南、
九十九里沖の5カ所であった。九十九里沖は論外として、推奨地は湾奥にあった。
それは3兆円を超えるという建設費を見込めるからであった。東京湾の湾奥に空港を建設しそれを羽田と橋でつなげるという構想でもあった。また、その工法はメガフロロートにしたかったのである。それは、研究会の出資者が石川島播磨重工業、新日鉄であり、造船や製鉄会社が中心だったからである。
経済の活性化を巨大な設備投資で乗り切ろうというプロジェクトであった。しかし、空港特別会計の赤字化のなかでその目論見は完全に外れた格好である。しかし、羽田再沖展開の4本目の滑走路の工法の本命がメガフロロートになっており、この会の目的は達成したともいえる。しかし、そのメガフロロートによる建設そのものは約8年間で4000億円ほどの費用であり、現在の造船不況、製鉄不況を緩和するにはほど遠い数字である。
●(3月14日) ANSWER連合運営委員会代表/3・30三里塚集会に参加決定
アメリカの反戦団体ANSWERから14日、三里塚反対同盟に対して3・30三里塚全国集会へ代表を派遣するとの連絡があった。来日するのは約30年の活動歴をもつ女性活動家リンさん。
「ANSWER連合運営委員会」は、この間のアメリカでの数百万人にのぼるイラク反戦デモを主導している団体。ブッシュ政権のイラク侵略戦争を阻止するために全世界の労働者人民に連帯と協力を呼びかけている。
反対同盟は1966年の空港反対闘争開始以来、羽田空港など当時の国際空港がベトナム侵略戦争への米軍中継基地となっていることを踏まえ、「軍事空港建設阻止」を主要なスローガンとして掲げてきた。以来、三里塚闘争は国家権力の農地強奪に対する実力抵抗闘争を通して、日本階級闘争における最も戦闘的な反戦勢力が結集する砦となってきた。
現在、反対同盟は暫定滑走路の開港による殺人的騒音や“叩きだし”攻撃と対決し、同滑走路の即時閉鎖をかちとる闘いに全力をあげている。そして日米政府が新安保ガイドラインで、成田空港を朝鮮有事の米軍受け入れで使用することを決定して以来、「米軍基地化阻止」を強く訴えて闘ってきた。この闘いは米日帝国主義の侵略戦争を阻止する闘いそのものなのである。
そして現在、イラク侵略戦争や朝鮮侵略戦争が切迫する中、反対同盟は国際的反戦闘争との連帯を闘争方針の一環として改めて確認し、世界の反戦団体に交流を呼びかけ、三里塚現地闘争への参加要請を行ってきた。
来日するリンさんはANSWERを代表し、この間のアメリカにおけるイラク反戦闘争への取り組みについての報告とアピールを行う予定。また30日の集会とデモ終了後、集会参加者との連帯交流会を行うことも予定している。
成田空港の米軍基地化を阻止せよ! イラク・朝鮮侵略戦争を阻止するために、世界の反戦闘争と連帯しよう! 反戦の砦=三里塚から反対同盟が呼びかける3・30全国集会の成功をか
ちとろう!
●(3月16日) 反対同盟事務局が「東峰神社裁判闘争」のお知らせ
3月31日の東峰裁判闘争の連絡が反対同盟から配布されましたので、紹介します。
◎お知らせ 反対同盟事務局
反対同盟員ならびに支援のみなさん。
東峰神社裁判の第5回公判が3月31日午前10時30分から、千葉地裁で開かれます。
前回公判(2月3日)では、原告・弁護団によって裁判長の交代にともなう意見陳述が行われました。被告・空港公団は、重ねて原告側から提出を求められてきた変更認可申請書添付書類を、ついに提出しました。書面は大半が墨で黒く塗られた異様なものでしたが、これによって、(1)進入表面を突き出す物件として神社林が存在したこと、しかし(2)その所在地と所有者を「不明」として処理していたという重大事実が判明しました。
「土地も立ち木も公団のもの」「立ち木は神社の周囲に植生」と強弁する公団のでたらめを、被告提出書類から明らかしたのであり、重要な一歩を進めたと言えます。
第5回公判では、原告・弁護団が神社境内地の総有関係を沿革と法理論から明らかにします。
反対同盟としても傍聴闘争を取り組みたいと思いますのでよろしくお願いします。
2003年3月16日
記
東峰神社裁判 第5回公判
【日時】3月31日(月)午前10時30分
【法廷】千葉地方裁判所
※当日は、被告・空港公団関係者等の傍聴が予想されます。傍聴席確保のため反対同盟・支援は10時に千葉地裁に集合したいと思いますので、よろしくお願いします。
●(3月18日) 成田空港の警備/公団などが点検 ハワイの強制送還受け(3/18朝日、読売、東京各千葉版)
今月9日、男性が成田空港から出国審査を受けず、搭乗券もないまま航空機に乗り込み、ハワイから強制送還された問題で、新東京国際空港公団は17日、空港の警備態勢を緊急点検した。国交省の成田空港の担当者と危機管理の担当者も立ち会った。
点検は出国審査場や従業員用の通路、搭乗橋など第1、第2の両ターミナルビルの約20カ所と、駐機場や整備場地区など約20カ所。同公団の担当者は「再発の防止に務めたい」と話した。
【本紙の解説】
本人は「駐機場から作業用階段で上がり機内に入った」といっている。しかし、駐機場にたどり着く経路がいまだわかっていない。1日で3万人以上の乗降客がいて、それ以上の数の職員などが出入りしている空港にこのようなスキはいくらでもあるのが常識である。それを取り締まろうとしても無理であろう。現在最高の警戒体制のフェイズEをとっているが、今回のようなケースを完全にゼロにするためには新たに数千人の警備要員が必要になるだろう。
成田空港が民営化されるのは来年である。この警備費用を負担することは、利潤追求第一の民営会社では不可能だろう。
●(3月20日) 厳戒態勢の成田空港(3/21千葉版全紙)
対イラク攻撃が始まった20日、成田空港では航空テロやハイジャックに備える対策本部が設置されるなど厳戒態勢に入った。千葉県警も緊急テロ対策本部を設け警察官2000人を動員して手荷物検査や空港内のパトロール強化を始めた。このほか、千葉県内の人の集まる幕張メッセ、東京ディズニーリゾートでも厳しい警戒体制を敷いた。
成田空港では、緊急テロ対策本部の設置を受けてターミナルビル出入り口や金属探知機ゲート、地下通路などを重点的に警備体制を強化、厳戒態勢を敷いた。出発ロビーのチェックカウンターには、液体物を含めた手荷物検査強化への協力を求める「お知らせ」が張り出され、旅行客に協力を要請。
アフガン攻撃と同レベルの警戒体制が続く中、4割増しの警備体制で巡回回数を増やしたほか、第2ターミナルビル中央口では、小型金属探知機を手にした空港警備隊が目を光らせた。
成田空港内には米、英国系の航空会社が10数社あり厳戒ムードが一気に強まったが、午後3時現在、JALグループはじめ各エアラインとも平常通りの運行に支障はなく1日あたり約3万5900人(今年2月)の出発旅行客も表面上は平静を装い、大きな混乱は見られなかった。
新東京国際空港公団(黒野匡彦総裁)は20日、ハイジャックや航空機爆破などの航空テロに備えるため「空港保安対策実施本部」(指揮・永井隆男副総裁、本部長玉造敏夫理事)を設置した。対策本部は正午に設置され、公団幹部約20人を前に玉造本部長が「テロ活動の活発化が見込まれ、ハイジャックなどの航空テロが懸念される。これを防ぎ空港の円滑な運用を確保するため対策本部を設置した」として航空保安対策の強化、徹底やゲリラヘの警戒を指示した。
本部に運用管理はじめ保安、事業、旅客など10人の統括費任者を置き200人体制で臨む。
なお、空港内のセキュリティー体制は、平常時のフェイズ1から厳戒のフェイズ2、異常事態を想定したフェイズEの3段階あり、現在は一昨年9月以来フェイズEの措置が継続中。
【本誌の解説】
成田空港は通常の空港警備隊体制の1500人体制を増強し2000人で警備している。また公団もそれは別に200人の要員を出して警備を開始した。日帝・小泉政権が米帝・ブッシュ政権のイラク侵略戦争を全面支持し、自衛隊を出兵させていることから、日本がゲリラ戦争のターゲットになったことは当然である。その中でも最大の標的が成田空港である。それは成田空港がイラク侵略戦争の兵站基地の役割を果たしているからである。日本から出航した空母やその艦載機、横田、嘉手納などの空軍基地から出発した軍用貨物機には、アメリカ本土から成田経由で座間にいったん集積され、横田、横須賀から中東に運搬される軍事物資がかなりの量で積まれているからである。
また、成田空港の警備は直接的日本の防衛である。しかし、本当のねらいはアメリカ本土への航空機ゲリラ戦を阻止することにある。成田空港発着便の3分の1がアメリカ本土への便なのである。
成田空港は単なる民間空港ではない。民間航空機が兵員、貨物の運搬のための軍用機として徴発されるように、民間国際空港はそれ自体が巨大な軍事基地である。またイラク侵略戦争以上に朝鮮侵略戦争時には、侵略戦争の戦域兵站起点になる位置を成田は持っている。イラク侵略に際しての在トルコ米軍のインジルリク空軍基地と同じ位置である。
反対同盟の3・30全国集会はイラク戦争反対のための闘いである。全国から集まろう。
●(3月21日) ハワイアン航空/経営破たん イラク開戦が経営体力に打撃
(3/23読売、毎日、日経)
米中堅航空、ハワイアン航空(本社・ホノルル)が21日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を地元裁判所に申請、経営破たんした。
一昨年の同時多発テロの後遺症や景気低迷による旅客減と、安売り競争で経営体力を弱めている米航空業界にとって、米国の対イラク開戦にともなう旅行自粛がさらに経営に打撃を与えることが懸念されていた。ハワイアン航空のケースは開戦後初の破たんになる。
ハワイアン航空は米本土とホノルルを結ぶ定期便を主力とし、総資産は約2億5600万ドル(約311億円)。同航空は、イラク問題にともなう原油高による燃料費の高騰や航空保険料の上昇も経営に打撃となったとしている。
【本誌の解説】
米国の航空資本の倒産がイラク戦争の開戦とともに本格的に始まった。トップテンの半分が倒産確実をいわれている中で、観光で成り立っていたアメリカ本土―ハワイ路線は、戦争開始情勢とともにこの1月から旅行客は激減し、燃料費の高騰とともに、倒産になった。また、米本土―ハワイ路線の直行便はハワイアン航空の独占に近い状況になっており、航空運賃が通常より異常に高く、観光客に嫌われたようだ。アメリカ本土から、ハワイ往復より、日本往復の方が格段に安いのである。
●(3月21日) 反対同盟が「花見」のご案内
4月6日の「団結花見の会」の案内が反対同盟から配布されましたので、紹介します。
◎ご案内 三里塚芝山連合空港反対同盟
闘う仲間のみなさん。日頃のご支援ありがとうございます。反対同盟は毎年恒例の団結花見の会を4月6日に開催します。
米・ブッシュ政権は20日、ついにイラク侵略戦争を開始しました。紅海ややペルシャ湾の米艦艇などからバグダッド市内に向けて多数の巡航ミサイルを発射したほか、特殊貫通爆弾バンカーバスターを使った集中攻撃を強行しました。これによってバグダッド市民多数が犠牲になりました。国連安保理の決議を得られないままの先制攻撃は、石油利権をめぐる帝国主義侵略そのものです。全世界の反戦行動に連帯して立ち上がりましょう。
反対同盟は3・30全国集会を、日本における戦闘的な反戦勢力の一大集会としたいと思います。集会には米反戦団体ANSWERの代表が参加し報告します。反戦運動が盛り上がるイギリスからジャーナリストの発言を予定しています。
イラク侵略が始まり朝鮮侵略戦争が切迫する中、三里塚は「成田空港を米軍の出撃基地とするな」のスローガンを掲げ、危険な暫定滑走路の即時閉鎖と軍事空港の廃港を求めて闘っています。
激しい闘いのさなかの花見となりますが、一時、鋭気を養うためにご参加くださいますようご案内申し上げます。
2003年3月21日
記
団結花見の会
【日時】4月6日(日)午前10時から
【会場】三里塚第一公園 (雨天のときは会場を変更して行います)
【主催】三里塚芝山連合空港反対同盟
(連絡先)事務局長・北原鉱治 成田市三里塚115
電話0476(35)0062
………………………………………………………………………………
●(3月23日) イラク侵略戦争/旅客減など米航空業界に直撃
(3/22毎日、3/23日経など)
イラク戦争による乗客減が予想以上に深刻化し、米欧の航空大手が相次ぎ大幅な減便や人員削減に乗り出した。米国ではユナイテッド航空(UA)が8パーセントの減便と3400人の削減を決め、ノースウエスト航空も12パーセントの減便と4900人の削減を打ち出した。欧州でもKLMオランダ航空が中東路線の大半を運休するなど合理化の動きが広がっている。
ユナイテッドは4月から国内104便、国際20便を減らす。国際線は東京、アムステルダム、フランクフルトが対象、乗務員と整備士も合計で約3400人減らす。ノースウエストは4900人の削減と航空機20機の削減を決めた。
米国では最大手のアメリカン航空も4月から国際線を6パーセント減便する。ロンドン、パリなどが対象で、ロサンゼルス―東京線の就航も延期する。コンチネンタル航空は上級役員を含めて1200人程度を減らす方針だ。
イラク戦争の影響で「国際線を中心に予約の落ち込みが深刻」(ユナイテッド航空)。USエアウェイズは「キャンセルが相次ぎ予約は一週間で40パーセント落ちた」という。米航空輸送協会は開戦前に大西洋路線の乗客減を2割程度と予想していたが、実際の落ち込み幅はこれを上回っているもようだ。
企業が従業員に出張や旅行の自粛を要請した結果、航空各社の収入源であるビジネス客が大幅に減っている。燃料費の高騰もあり21日にはハワイアン航空が連邦破産法11条の適用を申請した。経営環境は悪化の一途をたどっている。
欧州ではKLMが24日から4月13日までベイルート、バーレトン、ドーハなど中東8路線の運航を停止する。中東路線で運航を続けるのはドバイ、テヘランだけになる。北米、アフリカ、欧州域内路線についても減便や使用機の小型化に取り組む。
エールフランスは24日までテルアビブ便を運休。ハンガリ、ブルガリアなど東欧の航空会社もキプロス、カイロ、ドバイ便などを取りやめた。フィンランド航空は人員削減の協議を始めると発表した。「開戦で危機が深まっている」と判断し、大規模なコスト削減をする考え。戦争が長期化すれば他の航空会社にも同様の動きが広がるとみられる。
【本誌の解説】
イラク侵略戦争が全世界の航空会社に与える影響の大きさは今時点では測りようがないといわれている。
この記事でもユナイテッド航空、ノースウエスト航空の減便と人員削減、それとアメリカン航空の減便、コンチネンタル航空の人員削減、欧州各社の減便を報道しているが、すべて、イラク戦争が1~2週間で終わる場合の予測のものであり、夏ダイヤ(半年間分)の運行計画なのである。つまり、イラク戦争が短期間で終わり、航空需要は1~2割後退するが、約半年で回復基調になるというものである。これは91年の湾岸戦争時のデータを基礎に割り出しているものだ。
しかし、進行していることは91年とは違う。まず戦争の規模だが、地上戦でバグダッドの制圧とフセイン体制の打倒を目的にしており、長期戦の可能性が高い。またブッシュは「悪の枢軸」といって引き続き北朝鮮、イランへの侵略も間近である。戦争が終わったとしても、ゲリラ情勢はそれ以上に加速し、いつ第二の9・11が起こるかという問題があり、戦争が収束に向かったとしても航空需要はさらに落ち込むことになりそうなのだ。
さらに世界経済とアメリカ経済が大恐慌過程に突入しつつあり、航空需要の回復基調はあり得ないというのが大方の予想である。成田空港もイラク戦争で2割前後落ち込むことは確実である。朝鮮侵略戦争情勢が切迫すれば便数は半減近くになることも必然的な事態だ。
そのために、米政府は航空会社に緊急支援策の準備を始めた。9・11直後に行った債務保証の供与、資金贈与などを再び行うのであろう。
この米政府の航空会社支援を見て、日本の定期航空協会(会長・大橋洋治全日本空輸社長)も19日に、緊急支援を求める要望書を国土交通省に提出している。具体的には、日本政策投資銀行による航空会社への緊急融資制度について、継続・拡充すること、という要求である。要望書には「国際線中心に、減収などで自助努力では解決困難な大きな影響を被る」とあり、今後は航空各社の経営状況が大幅に悪化する恐れがあるとしている。つまり、支援なければ航空会社は倒産する、そのために、低利、無利子の緊急融資を要請している。
ブッシュの侵略戦争はイラク本土への大量虐殺戦争であり、国土の破壊である。それはまた、アメリカをはじめとする労働者全体の生活を破壊し、経済そのものを大恐慌に導くものとなるであろう。この破局が航空産業ですでに始まったということである。政府支援のレベルで押しとどめることはできない危機、破綻なのである。
●(3月23日) 一坪共有地、無断で整地(3/24朝日千葉版、千葉日報)
成田空港の用地内に点在し、反対派らが共有する「一坪共有地」の一部について、新東京国際空港公団が反対派の共有者に無断で整地していたことが23日、反対派の立ち入り調査で明らかになった。反対派は事前の相談がなかったなどと反発を強めている。
整地されていたのは、芝山町菱田と成田市木の根の2カ所の共有地で、広さは372平方メートルと105平方メートル。いずれも旧横風用滑走路の計画地内で、誘導路を建設しているエリアにある。三里塚芝山連合空港反対同盟が1人ずつ共有者になっているが、95パーセント以上は空港公団の持ち分。
空港公団によると、昨年9月と12月、くぼ地に土を入れて整地したという。
整地した理由について、民法上は共有物の過半を所有していれば管理権があると説明。「コンクリートで固めるなどの共有物の変更にはあたらない。隣接地での誘導路工事のための整地」と話している。
立ち入り調査は北原派が定期的に実施しているもので、空港公団職員が立ち会い、約10人が7カ所を見て回った。
「一坪共有地」を巡っては昨年12月、空港公団が一部の反対派地権者に対し、8カ所の共有地について、分割したうえで対価の賠償と引き換えに持ち分の引き渡しを求める民事訴訟を千葉地裁に起こした。整地され2力所も提訴の対象になっていた。北原派関係者は「訴訟対象の土地について整地するのは問題だ。怒り心頭に発する、と話している。
【本紙の解説】
反対同盟が年に数回おこなっている一坪共有地調査の結果、2カ所が整地されていたことが判明した。反対同盟と顧問弁護団は直ちに抗議したが、立ち会いの公団職員は「安全のために整地した」としか答えられなかった。
公団は工事のために危険であることを理由に、「管理権の行使」としている。しかし危険性はまったくないところである。ここは新たな誘導路工事を阻止している一坪共有地であり、この所有権が公団に移転しない限り、誘導路は完成しない。そのため、どうしても公団は工事を早く進めるために整地したのである。公団がいう「危険」があった場合でも、地権者である一坪共有者の承諾は必要条件である。不法・不当な整地であることは明白である。
公団は、暫定滑走路の開港でも三里塚闘争の解体に失敗したことにより、さまざまな攻撃を全面的に開始しだした。北延長攻撃、東峰の貨物基地構想の提示、一坪共有地強奪裁判の提訴などである。にもかかわらず不屈に闘いぬいている反対同盟に打撃を与えるだけの目的で、今回の共有地整地を行ったのである。
●(3月26日) 対策継続の声続出/新東京国際空港騒音対策(3/27毎日千葉版)
成田空港の騒音対策を空港周辺自治体と国、新東京国際空港公団が話し合う「第30回新東京国際空港騒音対策委員会」(委員長・永井隆男公団副総裁)が26日、成田市内のホテルで開かれ、来年4月に公団が特殊会社化された後も従来の騒音対策が継続されるよう、地元自治体から国、公団に要望が相次いだ。
国土交通省航空局や県、地元12市町村、空港公団のほか、成田空港に乗り入れている航空会社の代表者、学識経験者などが出席した。
空港の南側に位置する芝山町の相川勝重町長が「芝山は町面積の約7割が騒音区域。特殊会社化が騒音対策にマイナスに作用するなら、町民の生活への影響は大きい」と発言。他の自治体の首長も「従来どおりの対策の継続を」と要望した。
これに対し、国交省新東京空港課の玉木良知課長は「特殊会社法に国の監督命令で騒音・環境対策をおこなう旨を明記してある。適切に実行する姿勢は変わらない」と説明した。
【本紙の解説】
騒対協も転機に差し掛かっている。騒対協は反対闘争から条件派に裏切った人と周辺の人から成り立っている。三里塚闘争の激烈な発展を基礎に国と公団から騒音補償を取り付けてきた。成田空港の騒音補償は他の空港の騒音補償と比べても飛び抜けている。その理由は、公団が反対同盟と他の住民を分断するために、莫大な買収費として騒音補償、地域振興策にこれまで惜しみなく予算をつけてきたからである。
しかし、成田空港が民営化することにより、その高額補償も民営会社の経営状態に依拠することになる。周辺自治体が民営化に全面的に賛成した結果である。騒音補償の危機に慌てて「従来どおりの対策の継続を」をいっているが、むなしい限りである。それは「国の監督命令」といっても強制力はなく、営利目的の民間会社はできるかぎりそれを無視することが確実だからである。
騒対協の人たちも空港絶対反対、空港廃港の闘いをしない限り、安全で騒音のない暮らしはできなくなったのである。
●(3月26日) ノースウエスト機引き返し(3/27朝日千葉版、千葉日報)
26日午後4時40分ごろ、成田空港発シアトル行きノースウエスト8便(B747―200型、乗員乗客305人)で、乗客のいない席に「お前は死ね、ワハハ」と英語で書かれた紙が置いてあるのが見つかった。同便は1時間ほど前に成田を出発していたが、機長の判断で引き返し、午後6時10分過ぎに到着した。
国土交通省新東京空港事務所などによると、乗客は約1時間40分後、別の航空機に移り、再び出発した。紙はエコノミー席で見つかったという。
【本紙の解説】
紙一枚でゲリラを恐れて航空機を引き返したことは成田空港の歴史ではじめてのことである。イラク侵略戦争が開始されて、成田空港が、米軍基地と同じ反米ゲリラの最大のターゲットであり、最重要警備地点になっているからである。成田空港からの航空機ゲリラを、アメリカはもっとも恐れているといわれている。94年のフィリッピン航空機(マニラ発成田行き)の沖縄上空での爆破があったからである。これは「ボジンカ(大爆発の意味)計画」と呼ばれ、大作戦の予行演習であり、9・11の原点といわれている。ボジンカ計画は、予定通りに敢行されていれば、1995年1月に成田、ソウル、台北、香港、バンコク、シンガポールから米国へ向かう米旅客機11機に爆弾を仕掛けるというものであった。
イラク戦争が長期化するといわれているなかで、成田空港での反米ゲリラは現実性を帯びてきた。成田空港の利用者は今後ますます減っていくであろう。
●(3月26日) 米航空、乗客10パーセント減(3/27日経夕刊、3/28東京)
米航空輸送協会(ATA)は26日、イラク戦争の始まった3月第3週(17―23日)の米航空会社の乗客輸送量(乗客数×搭乗距離)が前年の同じ週に比べ10パーセント減少したと発表した。特に大西洋路線は25パーセントの大幅な落ち込み。今後2―3カ月の予約状況はさらに深刻で、大西洋路線が前年同期比40パーセント以上減っている。各社とも一段のリストラを迫られる可能性が強い。
ATAによると、先週の乗客の減少ぶりは「2001年の同時テロ以来」。もっとも影響の大きかった大西洋路線以外でも、太平洋路線は13パーセント、ラテンアメリカ路線は8パーセント、国内路線は7パーセントそれぞれ減少した。
今後2―3カ月の予約状況は太平洋路線で前年同期比30パーセント減となるなど、状況はさらに厳しくなる見通し。航空会社によっては解約数が予約数を上回る日もあるという。先週は比較的落ち着いていた国内路線も20パーセント以上減り、ラテンアメリカ路線も15パーセント以上減少した。
【本紙の解説】
イラク侵略戦争開始で米航空会社は乗客の予想以上の落ち込みで、政府援助がなければすべてが倒産する危機を迎えた。航空業界は90億ドル(約1兆800億ドル)を政府に援助を要求している。ブッシュ政権は「イラク戦争に直結関係するコストだけにする」といっている。つまり、米帝のイラク侵略戦争の兵員・物資輸送にかかわった航空会社で、その戦争貢献度の割合で政府援助を決めようというのだ。航空会社はもう一つの軍隊であるが、イラク戦争でますますその様相を帯びてきた。政府にもっとも戦争協力した航空会社だけが政府援助で生き残り、他は倒産・解散となるのが、米航空業界の昨今の実情である。
●(3月27日) イラク戦争の影響/公団収入1割ダウン(3/28毎日、東京の各千葉版、千葉日報)
新東京国際空港公団・黒野匡彦総裁は27日の定例記者会見で、米英によるイラク戦争について「大変心配しており影響は避けられない。減便による着陸料の減収などで、月間ベースで10億円程度の減収が予想される」と、空港収入が1割程度減少するとの見通しを明らかにした。
黒野総裁は「推計は難しいが、高い伸び率で推移してきた出発の利用者が開戦後、明らかに低下した。航空会社の着陸料も下降傾向だ」と収入面での影響を認め「1日でも早く通常の状態に戻ってほしい」と戦争の早期終結に期待した。
また、空港公団の民営化に及ぼす戦争の影響についても「試練の時と受け止めているが、来年4月の株式会社化(特殊会社)の目標は崩したくない」と述べた。
さらに、焦点の一つとなっている特殊会社から民間会社(完全民営化)への移行時期にふれ、「その段階で2500メートル平行滑走路が完成していなければ、投資家の信用は得られないだろう。仮に完成していなくても(滑走路の)工事が進んでいるなどメドがついている必要がある」と、2500メートル滑走路の整備状況が上場の重要な目安になることを示唆した。
【本紙の解説】
イラク戦争の開始で、成田空港の収入が1割減とはすさまじい事態である。空港の収入は航空機の着陸料と乗降客の利用料が基本である。航空機の搭乗率にもよるが、その割合は半分、半分である。イラク戦争開戦から運休はでていないので、乗客が2割近くほど激減していることになる。4月からの夏ダイヤでは、1割近くの減便と運休が予想されている。実情にあわせれば、便数も2割近く減少するはずである。アメリカとEU間の大西洋便や、EUと中東間はそれ以上の減便になっている。
つまり、イラク戦争が長期化すると、成田空港の便数と乗客は2割減になりそうだ。
これでは民営化も吹き飛びかねない数字である。つまり関空レベルの赤字になりかねないのである。
2割の減便とは、90便前後である。これは現在の暫定滑走路の使用回数100便を若干下回った数字である。この点からも、成田空港の経営的観点でも暫定滑走路はやはり、運用停止にしたほうがいいのである。
●(3月27日) 公団/一坪共有地485平方メートル取得(3/28読売、毎日、産経各千葉版、千葉日報)
成田空港の未買収地問題で、空港公団は27日、暫定滑走路(2180メートル)そばにあり、反対派2人が所有権を持っていた「一坪共有地」(約485平方メートル)を取得したことを明らかにした。これで空港内の一坪共有地は20カ所(計約0・7ヘクタール)になる。
公団は昨年12月、暫定滑走路の2500メートル化の障害になるとして、8カ所の一坪共有地を対象に、反対派の共有持ち分を金銭賠償で取得するための「共有地分割訴訟」を千葉地裁に起こした。
今回の取得分はその一つで、取得できたのは提訴以降初めて。2人のうち強硬派の空港反対同盟北原派に所属する1人が死去し、相続した家族が売却。残る1人も裁判で争うことを避けて売却したという。
この一坪共有地は暫定滑走路から東に約110メートルしか離れておらず、くぼ地になっている。2500メートル滑走路が完成した場合には、航空機の安全な着陸に必要な着陸帯として整備しなければならない場所で、公団は平たんに整地する方針。
【本紙の解説】
売却したのは、故郡司トメさん、故・郡司一治さんの息子である。両親の闘いを無視し、一治さんの四十九日も終わらないうちに公団に売却するとは、許せないことである。一治さんの葬式直後から反対同盟は、息子さんに一坪共有地の維持に関してのお願いを行っていた。その最中に、すでに公団と売却の交渉を進めていたのである。反対同盟はこのことを郡司トメさん、郡司一治さんの闘いを裏切り、同盟に敵対する行為であるとして弾劾する考えである。
●(3月28日) 共生財団調べ/航空機騒音「心身に影響与えず」(3/29朝日、読売各千葉版)
成田空港周辺地域共生財団は28日、航空機騒音が空港周辺住民の健康に与える影響について、現時点では心身に自覚症状が現れるほどではないという調査結果を発表した。
騒音区域に住む住民のうち、航空機の騒音によって、60パーセントが「うるさく感じる」、33パーセントが「会話が妨害される」、14パーセントが「就眠が妨害される」と回答。非騒音区域ではいずれの項目にも該当者はいなかった。
しかし、騒音で頭が痛くなるなどの身体的影響や、イライラするなどの情緒的影響については心身に影響を与えるレベルではなかったという。
【本紙の解説】
成田空港周辺地域共生財団も、共生委員会とともにその生命を終えたようである。共生財団は、97年10月に、騒音地域での従来の枠組みを越えた騒音対策をおこなう趣旨で設立された。共生財団は、空港公団と県、周辺1市7町により、基本財産が6億円、運用財産が100億円で発足した。空港公団と自治体が半額づつを出資した。第1種騒音地域からも外れた助成対象にならない地区の民家などが対象に設立されたのである。それと、騒音地区での健康診断を行ってきた。基本財産の出資分配で千葉県と成田市が対立したこともあった。成田市が自治体分のかなりの割合を出しながら、理事は県出身者がしめ、非常勤で高給をとっているということなど、役職利権と工事利権をめぐる醜い争いであった。
共生財団は騒音地域の線引きから外れたところへの騒音補償の公的機関であった。つまり、騒音対悪を公団から出資金を多くとって、国が定めた補償対象の拡大を目的にしたものであった。しかし、空港が民営化され、騒音補償がいままで通り継続するかどうかというときに、騒音補償拡大の機関は無用なものになってしまったのである。
そのためか、騒音が住民の健康に与える影響はないとの判断になっている。これだけの航空機騒音が健康に影響がないはずはない。睡眠ひとつをとっても影響は大きい。しかし、それと身体的影響や精神的影響との因果関係を証明すること自体が難しいことである。それが難しいからと言って、影響がないと断定はできないはずである。すくなくとも、影響はあるが、その因果関係は複雑であるというレベルの報告が常識的であろう。
いずれにしろ、ここ数年間で財政的にも解散に追い込まれる共生財団である。もし、存続を希望するならば、むしろ、航空機騒音の深刻な健康への影響を立証すべきではないか。
●(3月28日) 黒野総裁が謝罪書簡/東峰地区 反対派農家に対話求める(3/29朝日、読売、東京各千葉版、千葉日報)
空港公団は28日までに、成田空港の平行滑走路予定地に未買収地を持つ成田市東峰地区の反対派農家らに、過去を謝罪し、空港問題解決に向けた直接対話を求める黒野匡彦総裁名の書簡を出した。
書簡はA4判4枚。公団職員が持参した。書簡で黒野総裁は、暫定滑走路建設について「計画を一方的に策定し、賛否も問わない一方的な手法でした。身勝手な手法で多くの問題を作り出したことをおわびしなければならない」と謝罪。
そのうえで、「直接お会いし、ご意見やおしかりを受け、どのようなことができるのか考え、お答えすることが長期間にわたる空港問題について道筋を見いだすことであり、私の責務」と主張。自らが農家側との話し合いを進めたい考えを示した。
書簡について黒野総裁は、「率直にわびることで、平行滑走路建設を理解してもらう話し合いのきっかけに」と説明。理解が得られなかった場合も、早期に暫定滑走路の北側延伸に踏み切る考えのないことを明らかにした。
これに対して農家側は、「暫定滑走路を供用した現状のままでは、言葉だけの謝罪は信用できない」と批判。直接対話にも応じない考えだ。
【本紙の解説】
黒野書簡は3月19日に、東峰地区全戸に配布された。しかし、あまりの無礼さに相手にされなかった。抗議の動きも地区で話題にならないほどであった。いい加減にしろということである。そのために「黒野総裁が謝罪書簡」という新聞記事にもならなかったのである。意気消沈した黒野は28日に、主だった新聞社と配信会社に書簡を送りつけたのであった。
「暫定滑走路の建設」を「率直にわびる」といっているが、その理由は暫定滑走路の延長のために、「話し合い」を目的にしたものであり、いかなる謝罪の言葉もそらぞらしいのである。これでは農民は相手にせず、見向きもしないであろう。
謝罪というならば、暫定滑走路の運用の即時停止とか、暫定滑走路の延長の断念、というものでなければ通用しないであろう。
それにしても、黒野総裁という人は、非現実的な空論的話題を提供することが好きなようだ。農民が動かないなら、暫定滑走路を北側に延長し、頭上にジャンボ機を飛ばし、こんどこそ、追い出すという「北延長論」もそのひとつだ。
「北延長しても誘導路が今のままならジャンボ機は滑走路に入れない」という北延長論の批判に対しては、「西側に誘導路をつくれば何とかなる」と対応した。これが天神峰の西側誘導路建設論である。しかし、地権者が50人もおり、数十年の買収工作をしても敷地の取得は不可能であると批判された結果、北側延長論は基本的に後退した。
それに変わったのが、「東峰貨物基地構想」である。しかし、これも現在、天浪地区の貨物地区の増設、空港南側貨物基地の建設、千葉県が手がけている取香の物流基地の建設で、成田空港が扱う貨物量の数倍の処理能力になる。また2009年にはアジア便はほとんどが羽田に移転する。それにともないアジア便貨物の成田取り扱い分の大半は自動的に羽田に移る。東峰貨物基地は100パーセントのウソであり、東峰地区全体を買収したいということが全面的に暴露された。
そうしたら今度は「謝罪書簡」である。だれも相手にしないのは当然である。
●(3月30日) 三里塚全国総決起集会開催
アメリカの反戦団体ANSWERをむかえ、3・30全国総決起集会が1200人の結集のもと開催された。詳しくは本紙を参照。
集会の式次第、スローガン、集会宣言を以下に紹介する。
【集会式次第】
イラク侵略戦争反対・有事立法粉砕
暫定滑走路を閉鎖し軍事空港を廃港へ
3・30全国総決起集会
三里塚芝山連合空港反対同盟
開会:2003年3月30日(日)正午 (於)成田市天神峰
■司会挨拶
■開会宣言 鈴木 幸司
■基調報告 北原 鉱治
■特別報告 動労千葉
■イラク反戦のための国際連帯アピール
●ANSWER(米反戦団体)代表 リン・ニーリー
●アイルランド人ジャーナリスト デビッド・マックニール
■反対同盟決意表明 萩原 進
市東 孝雄
■三里塚裁判闘争報告 反対同盟顧問弁護団
■カンパアピール
■決意表明
●住民団体
関西新空港反対住民、北富士、沖縄、反戦被爆者の会、解放同盟全国連、都革新・長谷川英憲、婦民全国協、「障害者」、山谷
●共闘団体
野戦病院、中核派、解放派、戦旗派、蜂起派
■集会宣言
■スローガン採択
■閉会宣言・デモコース説明・ガンバロー三唱
*デモコースは小見川県道→東峰神社左折→青行団結の家右折→小見川県道→団結街道→現闘本部先まで約3.5キロ
【スローガン】
3・30全国集会スローガン 三里塚芝山連合空港反対同盟
1、暫定滑走路粉砕―延長阻止。軍事空港建設を粉砕しよう。
2、土地収用法粉砕―収用委再建実力阻止。地元農家を抹殺する「共生委員会」を許すな。
3、空港絶対反対・一切の「話し合い」拒否。東峰神社裁判闘争を支援しよう。
4、一坪共有地の強奪阻止。騒特法粉砕・芝山廃村化阻止。成田治安法を粉砕しよう。
5、農地強奪の先兵=堂本知事徹底弾劾。脱落派一掃。裏切り者の条件移転徹底弾劾。
6、国際反戦運動と連帯しイラク侵略戦争阻止しよう。有事三法粉砕・改憲阻止。破防法・組対法攻撃粉砕。天皇制粉砕。
7、関西新空港粉砕。沖縄、北富士はじめ反戦・反核、反基地、反原発闘争の高揚かちとろう。
8、教育基本法攻撃粉砕。動労千葉をはじめとする戦闘的労働運動と連帯して闘おう。
9、あらゆる差別・抑圧粉砕。部落解放運動連帯。入管法・外登法撤廃。排外主義を許さず、在日朝鮮・中国人民とともに闘おう。
10、拘禁二法反対。刑法改悪・保安処分新法粉砕。精神保健福祉法を撤廃しよう。
11、国家権力と一体となって三里塚・国鉄労働運動に敵対する革マル派を職場、学園、全地域から一掃しよう。
12、三里塚闘争勝利。今秋十・一二全国集会に総決起しよう。
【集会宣言】
本集会はアメリカ帝国主義のイラク侵略を弾劾し戦争阻止を訴える。小泉内閣の戦争支持表明を徹底弾劾し、自衛隊の参戦を阻止しよう。
この戦争は石油利権のための帝国主義の侵略戦争である。米軍は巡航ミサイルや特殊貫通爆弾に加えて、殺傷力を高めたクラスター爆弾と劣化ウラン弾による無差別爆撃を開始した。大量殺戮兵器によって、イラクの人民と子供たちが、日々傷つき殺されていることにわれわれは我慢できない。
三里塚闘争はベトナム戦争を教訓に軍事空港建設に反対した。成田空港が米軍の出撃基地として朝鮮侵略作戦計画に組み込まれて以来、基地化に反対してきた。日本の反戦勢力が結集する砦となった。この闘いの真価を発揮するときがきた。すべての労働者人民は戦争阻止のためのあらゆる行動に決起しよう。
反対の声を押し切って建設された暫定滑走路は、構造的欠陥をさらけ出している。あいつぐ事故は大惨事の予兆である。即時閉鎖あるのみだ。
おいつめられた黒野公団総裁は、「貨物基地計画」の作り話で東峰区の買収をたくらみ、失敗するや「暫定滑走路建設を謝罪する」との書簡を出して「話し合い」を迫っている。他方で、天神峰ではジェットブラストを浴びせ続け、木の根では地権者に断り無く一坪共有地を整地する暴挙を強行した。どうして許すことができようか。欠陥滑走路を閉鎖させ軍事空港を廃港にしよう。
ストライキで闘う動労千葉と反対同盟は労農連帯の両輪である。沖縄・北富士の基地撤去・演習阻止闘争、関西空港反対闘争に連帯する。三里塚の不屈の実力抵抗は、反戦・国際連帯へのメッセージである。
招請に応えてくれたANSWER(アンサー)とリン・ニーリー氏、デビッド・マックニール氏に感謝する。イラク人民と連帯し侵略戦争を阻止しよう。切迫する朝鮮侵略戦争と有事立法攻撃を粉砕するために総決起しよう。
二〇〇三年三月三十日
三里塚芝山連合空港反対同盟
●(3月31日) 開港の姿とどめる空港第4サテライト閉鎖
開港25年を迎える成田空港で唯一、開港当時のデザインを残していた第1旅客ビルの第4サテライトが31日、改修のため閉鎖された。
第4サテライトは78年5月の開港と同時に供用が始まった。本格的な改修を一度も経験せず、成田空港の「原型」ともいえる茶色の外観を残し、空港関係者や利用客に愛されてきた。
しかし、老朽化が進み、01年12月には同サテライトに向かう「動く歩道」で火災が発生。05年度には新東京国際空港公団が航空会社の再配置を予定していることなどから改修が決まった。
これまで同サテライトを使用していたノースウエスト航空とKLMオランダ航空は1日から第2サテライトに移転。05年度末までに今の約5・4倍の新たな施設が完成する予定だ。
【本紙の解説】
第4サテライトは唯一、開港以来25年一度も改修していないとのこと。しかし、サテライトの「老朽化」が進むほど使い込んでいるにもかかわらず、空港は未だ完成していない。世界に例がない空港である。
成田空港は出発点から間違っていた。そもそも羽田に代わる国際空港は、富里空港であった。富里空港は5本の滑走路を持つ、今でも世界の空港と引き比べて遜色のない設計だった。しかし、それが富里空港反対闘争で破産し、「三里塚空港」として変更された。滑走路は富里の5本に比べ3本に減った。この広さの空港では、国際空港としては耐久年数が限られるとの判断で、数年後には本格的国際空港を建設するとされ、三里塚空港は「暫定」国際空港となった。1967年のことである。
71年の用地の強制収用を巡る攻防で工事は遅れ、78年の一期開港も1本の滑走路だけでの「暫定」開港となった。それから24年後の2002年4月にオープンした平行滑走路も、本来計画の2500メートルの長さに出来ず、2180メートルの「暫定」滑走路となった。
「暫定」が3回も続いてすでに25年が経過した。もう「暫定」はやめて廃港に向かうべき年数だ。38年前の本来の国際空港建設計画はどこにいったのか。首都圏第3空港計画も消し飛んだ。羽田拡張をもって、羽田が本格的国際空港となりそうである。40年近い回り道をしてきたものである。
●(3月31日) アメリカン航空 破綻回避(4/2産経)
経営難に陥っている米航空最大手アメリカン航空の親会社AMRは31日、整備士、パイロットの労働組合、それに客室乗務員組合と交渉していた経費削減策に暫定的に合意したと発表し、労組側から賃金カットの合意が得られないと、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用申謂に踏み切らざるを得ないとしていたが、3労組との合意で、当面は経営破綻が回避される見通しとなった。
AMRによれぱ、経費削減に合意したのは、約10万入の社員のうち約7割にあたる7万人。賃金のカット率は15から20パーセントで、従業員組合による承認手続きは今後15日程度かかるという。
AMRは、今回の経費削減策に加え、米シティバンクから7億5000万ドル規模の破綻企業向け融資を受け、場合により2億5000万ドル規模の追加融資を受けることでも合意。他の複数の金融機関からも計5億ドルの融資を受ける見通しで、総額15億ドルの緊急融資を受けるメドがついたとしている。
同社は米中枢同時ゲリラの影響で深刻な経営不振状態が続いている。加えて対イラク戦の影響で、主力の大西洋路線が大きな打撃を受け、1日あたりの赤字額が約500万ドルに達している。AMRは、主要な組合に対して年間18億ドルの賃下げを受け入れるよう求めていた。ただ、対イラク戦が長期化し、現在の旅客の減少が続けぱ、大幅な赤字を抱える同社の経営基盤は再び揺らぎそうだ。
【本紙の解説】
アメリカン航空は、労働者の賃金の約20パーセントをカットし、総額人件費のうち18億ドルを圧縮しようとしている。1日あたりの赤字が500万ドルなので、年間計算として500万×365日で18億2500万ドルになる。赤字の全責任を労働者の賃下げに転嫁するという攻撃である。
しかし、イラク侵略戦争、新型肺炎新感染症(SARS=サーズ)の流行で航空需要は半減近くに落ち込むようだ。民間航空事業として生き延びるすべはもうない。結局、アメリカン航空が延命するためには、米軍の輸送部隊の一環を担い、政府支援で生き延びる以外ないようだ。
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