日誌各月分のバックナンバーへ
●(10月2日) 成田空港/貨物ラッシュ(朝日千葉版)
成田空港の国際航空貨物の取扱量が急増し、空港の貨物地区が大混乱している。今年の上半期の輸出量は約33万トン、輸入量は約41万トンと、いずれも上半期実績で過去最高を記録。その後も、輸出入とも対前年同月比で2桁の伸びとなっている。公団は急きょ、新たな貨物施設の建設に着手。航空会社も施設増築に取りかかるなど、緊急対策をとり始めた。
国際貨物の取扱量は、アジア経済の急速な回復などを背景に昨年春ごろから増え始めた。品目別では、輸出は半導体電子部品類やVTR類が、輸入も半導体電子部品とコンピューターなどが増えている。
成田空港の貨物施設が処理能力を超えているので、公団は運輸省に「施設拡充の緊急性」に理解を求め、今年度当初予算に盛り込まれた公共事業等予備費から「貨物施設整備費」として約22億円の配分を受けた。9月下旬、空港内南側に
貨物施設7棟の建設に着手。今年中の完成を目指している。
こうした緊急対策をとった背景には、千葉県の計画がなかなか進まない現状がある。県は1990年に、空港の貨物地区に隣接する約78ヘクタールに、航空貨物ターミナル機能などを持つ国際物流複合基地を整備する計画を打ち出した。しかし、用地買収が進まず、当初今年度までとしていた事業期間を2007年まで延長した。
【本紙の解説】
貨物施設が処理能力の限界を超えた理由は、千葉県の「成田国際物流複合基地」事業の遅れである。遅れの最大の原因である用地買収は完全に行きづまっている。これまでの買収契約成立は全体の71パーセントで約55ヘクタール。測量など準備に入る予定だが、未買収地が虫食い状態で残るため造成工事は無理。
用地交渉の難航は地権者の代替地が見つからないためと県は説明しているが、地権者はバブル時の土地の高騰と用地内の移転組の土地代金を知っており、売りそうにない。県は代替地を県所有の山林・原野に求めているが、あまりにも時価が低い。県は用地内の裏切り者の移転に法外の金額を付けたことが裏目に出て、低い金額では売買交渉が成立しない状況を作り出したのである。
「複合基地」建設予定地は駒井野、取香地区であり、天神峰(二期用地内)の条件交渉の実態をよく知っている。県企業庁は、複合基地の完成を2007年まで延長したが無理である。そのために政府が公共事業等予備費を支出し、空港内に貨物施設を造ることになった。
●(10月3日) 「東京―ソウル」シャトル便/運輸省、沈静化に躍起(10/3毎日)
東京―ソウルのシャトル便構想に対し、運輸省が外交問題を懸念し、沈静化に躍起だ。韓国側が希望する羽田空港への乗り入れは不可能であると、森田運輸相以下幹部がくり返し表明。「2002年完成の成田暫定滑走路で成田―ソウルを1時間に1便程運航できる」(森田運輸相)と、羽田空港は選択肢に入らないと「防戦」している。
日韓双方は12月、航空当局者同士で成田の暫定平行滑走路の完成後の具体的協議に入る。日韓の航空需要は、韓国旅行にビザが不要になったことなどから増加し続け、予約が取りにくい状況。
このために、全日空の野村吉三郎社長は羽田空港を使ったソウルへのシャトル便構想を「個人的にはすごくやりたい」と明言するなど、日韓政財界は「日韓の輸送力増強は必要」という点で一致している。
運輸省の主張は、(1)羽田は国内需要で発着枠が満杯、(2)羽田は国内、成田は国際の原則があり、韓国だけ例外を認めれば、国際民間条約(シカゴ条約)違反になり、他国も羽田に乗り入れを求めてくる、(3)羽田の国際定期便就航には、成田の空洞化を懸念する千葉県の説得が必要――などで、身動きがとれない状況だ。
ただ、サッカーのW杯への対応で「大会期間中の限定なら、羽田―ソウル便も他国の理解を得られるかも」(運輸省幹部)との声もある。
●(10月3日) 成田空港の管制の運用見直し(10/3日経)
運輸省は2日までに、成田空港の発着枠の規制を一部撤廃し、航空管制処理の新方式を来年夏にも採用する方針で検討に入った。成田空港の1日当たりの発着総数は増加させないものの、利用しやすい時間帯での増便が可能になる。
成田空港では1時間の離発着回数を30回と定めている。さらに、3時間での発着回数は79回に規制。1時間の回数より少なく設定し、遅延便の影響を3時間の枠内で吸収する仕組みになっている。そのために1時間当たり平均離着陸回数は26回で、1時間の枠をフルに活用することができないのが実情だ。
運輸省はこの「3時間枠」を撤廃、発着調整の新方式「ファイアーブレーク(防火帯)」を採用する。ファイアーブレークは、航空機が飛ばない“空き時間”を1日のうちに数回設けて、遅延を吸収する管制方式。また1時間当たりの最高回数も数回増やす方向で検討中。
環境規制があるため1日の発着枠370枠は増やさないが、離着陸が集中する時間帯により多くの便を発着させる方式。
●(10月3日) 大阪府知事、「関空会社救済策」を国に要望
関西国際空港会社について大阪府の太田知事は3日の府議会で、国に空港用地の買い上げなど抜本的な対策を求めることを初めて表明した。同時に、地元自治体の最大の出資者として独自に再建案の検討に入る方針を明らかにした。
森田運輸相は同日の閣議後の記者会見で「運輸省としても検討しなければならない」と述べており、関空の経営形態を見直す論議が動き出す見通しとなった。
府議会の自民党は(1)大阪空港と経営統合、(2)国が空港島と滑走路を買い上げるなどの関空会社救済策を示した。
【本紙の解説】
「民活」と銘打った民間経営方式の完全失敗である。しかし、問題は経営方式の問題ではない。運輸省の航空政策、空港整備計画自体の全面破綻である。さらに、空港の候補地選定と建設方式も大失敗だった。大赤字の最大の原因は、関西ゼネコンの要望で埋め立て方式を採用したことだ。関空会社は政府にとって不良債権以上の「お荷物」となっている。
●(10月3日) 政府/日韓間「羽田の深夜、早朝チャーター便」検討(10/4朝日)
政府は3日、日韓間の航空便不足に対応するため、早朝と深夜のチャーター便を早ければ年明けにも開設する方向で調整に入った。日韓共催のW杯に向けて輸送力を増強するねらいもある。羽田国際化が一気に加速する可能性が出てきた。チャーター便の発着時間は、成田空港が使えない夜11時から早朝6時までとする案が有力だ。
運輸省は3月から羽田空港への国際チャーター便乗り入れを検討してきた。これまでの検討では、修学旅行や墓参団などが中心だったが、観光客も多い韓国路線の場合、不特定多数を募ったパック旅行のチャーター便も認める方向になりそうだ。
【本紙の解説】
政府方針として羽田空港国際化の検討が正式に表明された。これで、羽田国際化の方針が、運輸省の提案で、東京都と千葉県、自民党の都連と県連の対立から政府方針と千葉県との対立に発展したことになった。
●(10月4日) 千葉県自民党/羽田―ソウルW杯チャーター便に反対決議検討(10/5千葉日報)
自民党千葉県連の飯島重雄幹事長は4日、中川秀直官房長官が2002年のW杯に向けて、羽田―ソウル間に早朝、深夜の時間帯を利用したチャーター便の就航を検討することを表明したことについて、「容認できない。もし飛ばすなら千葉県上空は避けてもらわなければならない」などと強い不快感を示し、県議会最終日の10日に反対決議提出を検討していることを明らかにした。
●(10月4日) 反対同盟、成田市に3回目の公開質問状
以下は公開質問状の全文である
【資料】公開質問状(再々質問)
成田市道十余三─天神峰線(通称・団結街道)の道路区域変更の件
再質問に対する成田市の回答(9月26日付)は、道路区域変更の公示を行わないまま道路工事をなさしめた理由について釈明も謝罪の言葉も見られず、言語道断である。成田市は非を認めないばかりか「その後速やかに告示行為を為したところであります」と責任逃れに終始している。住民無視のこの態度は、住民に保障された憲法上の権利を侵害するものであり許されるものではない。
住民には閉鎖期間がいつまで続くのかも未だ知らされていない。しかも街道を原状に復するのかという核心部についての回答は曖昧であり作為すら感じられる。
「十余三天神峰線の道路区域の変更は今後において封鎖区間を廃止する計画によるものではないのか」「即刻原状に復することを要求する」との公開質問に対する成田市の回答は以下の通りである。
1回目回答(9月8日付)
「迂回路は、市道十余三天神峰線の道路占用工事に伴い築造されたものであり、現市道を廃止するものではありません。」
2回目回答(9月26日付)
「本件迂回路の設定は、道路占用工事にとって必要不可欠であり、現段階において原状回復することはあまりにも損失のみ多いこと等を考慮しますとご要求には応じかねますのでご了承くださるようお願い申し上げる次第です。」
これを文意どおりに解釈すると、「同市道の封鎖部分の工事が終了した時点で、市道を原状(工事が始まる前の状態)に戻す」と読みとれるが、なおも疑念が消えない。
よって以下の二点についてあらためて質問するので明確に回答されたい。
1、 市道十余三天神峰線の現在封鎖部分の工事が終了した時点で、道路区域を工事が始まる前の位置(成田市告示83号で変更される前の道路区域)に戻すのか否か
2、 同市道を工事が始まる前の位置に戻す期日はいつか。
以上、回答は文書にて10月13日までに、下記連絡先まで送達されたい。
2000年10月4日
成田市役所土木部長 殿
同 道路維持課長 殿
三里塚芝山連合空港反対同盟 事務局長 北原鉱治
同 顧問弁護団事務局長 弁護士 葉山岳夫
(連絡先)
・成田市三里塚115 北原鉱治
・東京都港区南青山5―10―2 第2九曜ビル505号
葉山法律事務所 弁護士 葉山岳夫
【本紙の解説】
9月26日に成田市の再質問状に対する回答がでて、成田市は「原状回復は応じかねる」といってきた。その回答文だけでは、トンネル工事が完成すれば、団結街道(十余三天神峰線)はもとの位置になるのか、それとも迂回路つまり空港外周道が市道・十余三天神峰線になるのかという質問に答えていない。つまり、団結街道を破壊するのか否かが、今回の質問状の趣旨だ。
9月26日の「解説」で詳しく紹介したように、現在の「迂回路」は空港外周道路であり、成田市は工事完成後にこの「迂回路」を正式な市道=十余三天神峰線にしようとしている。成田市は"団結街道の破壊"という三里塚闘争に敵対する行為が恐ろしいため、口頭では「団結街道はもとに戻す」といっている。しかし、文書ではそれを明らかにしない。正式には「十余三天神峰線は廃道にはしません」としかいっていない。つまり現在の迂回路である空港外周道を十余三天神峰線にしようとしている。
成田市は公団と一体化し、三里塚闘争に敵対しているのである。
〔写真の説明・緑色部分が本格フェンスで、ねずみ色(トタン板)部分が後で取り壊す仮設フェンス。本格フェンス部分は、暫定滑走路が完成したときには空港外周道路として使うことが工事計画に書かれている。つまり、団結街道を復活させることは工事計画にはなく、外周道路を団結街道の代用にする計画だったということだ。団結街道は空港敷地内に位置し、暫定滑走路横を走っているため、空港公団は何としても破壊する計画だった。しかし、反対同盟の闘いによってそれも粉砕されようとしている。〕
●(10月4日) 日航社長、羽田再拡張を月内に提言(10/5日経)
日航社長の兼子勲社長は4日の記者会見で、羽田、成田に次ぐ首都圏第3空港建設問題について、業界団体である定期航空協会を通じて羽田空港を沖合に再拡張する案を月内に運輸省などに正式に提言する考えを表明した。提言には東京湾に入る船舶の航路への影響が少ない再拡張の方法などを盛り込み、実現に向けて環境整備を図りたい意向だ。
●(10月5日) 運輸省方針/羽田―ソウル便、年明け就航目指す(10/6毎日)
運輸省は5日、羽田―ソウル間のシャトル便構想について、深夜早朝を活用したチャーター便として年明けの就航を目指して準備に入った。省内に設置した「羽田空港有効活用検討委員会」で細部を詰める。この日会見した梅崎寿事務次官は「できるだけ速やかに検討委の成案を得た上で実施していきたい」と述べた。
韓国の金浦空港は、午後11時以降の発着ができないため、羽田を午後9時には出発しなければならず、国内線利用の時間帯とぶつかるなど運用面で課題が残っている。またチャーター便も、応募型チャーター便(包括旅行チャーター便)を認めるかどうかを今後つめる。また運輸省は、羽田空港から関空を経由して、ソウルと結ぶルートの開設で、全日空と韓国のアシアナ航空が共同運航の協議を進めていることを正式に明らかにした。
梅崎寿事務次官は「東京・ソウル間の航空需要のひっ迫は、2002年の成田空港の暫定平行滑走路の供用後の増便で解決を図る。12月に韓国の航空当局と協議する」と話したうえで、02年までの間の当面の解決策の一つとして、「羽田空港の深夜早朝を活用した国際チャーター便について検討する」と説明した。
【本紙の解説】
羽田国際化が10月3日の閣議で決定された。この政府決定の後ろ盾で運輸省も羽田の深夜早朝の国際チャーター便の開設を決定した。2日前の10月3日の閣議後の記者会見では森田運輸相は、外交問題を懸念し、日韓シャトル便の沈静化に躍起になっていた。「韓国側が希望する羽田空港への乗り入れは不可能である」と、森田運輸相と運輸省幹部は繰り返し表明していたのである。
それが同日、早朝深夜初の羽田―ソウル便は政府として正式に検討を開始するとの中川官房長官の発言で、運輸省も前言を1日で翻し、来年初頭の羽田国際化を正式に表明している。
中川官房長官の記者会見では、この問題は9月の日韓首脳会談で金大中大統領が日本側に要請、森首相が「2002年のサッカーW杯に踏まえ、関心をもってフォローしたい」と語ったといわれている。日本側は韓国の要望に基本的に了承を与えている。
羽田国際化問題が、千葉県と運輸省の対立という関係から日韓の外交問題に発展してきた。運輸省は羽田国際化に横やりを入れている千葉県を屈服させるための絶好の口実を得て、政府のお墨付きまでもらった格好だ。
ソウル金浦空港は午後11時以降の離発着が禁止されているが、今年中に新ソウル空港として開港する仁川(インチョン)空港が完成する予定であり、この点はクリアしている。最後の問題は千葉県の「羽田国際化の絶対反対」をねじ伏せることができるかどうかにある。
●(10月6日) 夜間の羽田・ソウル便に地元反発、運輸相は意欲(10/7読売千葉版)
羽田―ソウル間の国際チャーター便について、森田運輸相は6日 、閣議後の記者会見で「千葉県の理解を得るよう全力を尽くす」とのべ、千葉県との交渉を本格的にスタートさせることを正式表明した。会見で「千葉県出身の実川政務次官もいらしゃるし、千葉県に対してお話することになるだろう」と述べ、強い意欲を示した。
これに対して千葉県は「運輸省の計画は絶対に認められない。2500メートルの平行滑走路を実現しようと地元が努力している大事な時なのに、当事者でもある運輸省が羽田国際化論を持ち出して混乱させるのはやめてほしい」(千葉県企画政策課)として、交渉には応じない構え。
県幹部は「日韓首脳の話を利用して、羽田国際化の先例作りをしたいように見える。運輸省は、成田空港の過去の経緯を無視してでも、羽田国際化を実現したいのか」と語気を強めている。
成田空港の地元からは「2002年に供用が開始される暫定平行滑走路を見据えて、企業が成田周辺への設備投資を本格化している段階で悪影響が心配だ」(成田商工会議所)との声も上がっている。
【本紙の解説】
森田運輸相と運輸省は、地元選出の実川政務次官を千葉県の説得の先兵に仕立てあげ、千葉県の説得・籠絡を期している。また、千葉県は三里塚闘争の歴史を理由にして羽田国際化に反対している。しかし、こんな利権争いのために三里塚闘争とその歴史があるわけではない。このことを運輸省と千葉県の両者に厳しく知らしめなければならない。三里塚農民を無視し、虫けらのように扱ってきたツケがこのような形で現れてきたまでだ。
●(10月8日) 反対同盟主催の現地闘争に1600人が結集(詳しくは週刊『三里塚』569号)
天神峰、東峰は3メートルのフェンスで囲まれ、さながら強制収容所のようである。その中で開かれた集会は、天神峰団結街道破壊攻撃弾劾、東峰神社の立ち木伐採阻止を宣言し成功裏に闘いとられた。また、郡司とめさん、小川徳太郎さんの追悼の集会としても行われた。
以下、「集会プログラム」「集会宣言」「裁判闘争特別カンパの訴え」を掲載します。とりわけ、特別カンパを寄せられることを反対同盟とともに『週刊三里塚』としても訴えます。
【集会プログラム】
成田空港暫定滑走路建設阻止10・8全国総決起集会
三里塚芝山連合空港反対同盟
開会:2000年10月8日(日)正午 於 成田市東峰
司会挨拶 小林一夫、鈴木加代子
■開会宣言 伊藤信晴
■基調報告 北原鉱治
■特別報告 動労千葉
■沖縄闘争報告 知花昌一
■成田用水裁判上告棄却徹底弾劾 鈴木幸司
■暫定滑走路粉砕闘争
決戦アピール 萩原 進
天神峰団結街道の破壊を許さない 市東孝雄
暫定滑走路粉砕のための裁判闘争特別カンパの訴え 木内秀次
顧問弁護団からの報告 弁護団事務局
婦人行動隊の決意 小林なつ
■追悼のことば
婦人民主クラブ全国協議会 西村綾子
赤堀中央闘争委員会 吉川みどり
遺族からの挨拶 郡司一治
■集会カンパのアピール 宮本麻子
■決意表明
住民団体 関西新空港反対住民、北富士
反戦被爆者の会、部落解放同盟全国連
都革新・長谷川英憲、山谷
共闘団体 野戦病院、中核派、解放派、戦旗派、蜂起派
■集会宣言
■閉会宣言・デモコース説明・ガンバロー三唱 鈴木謙太郎
*デモコースは小見川県道→東峰神社左折→青行団結の家右折→小見川県道→団結街道→現闘本部先まで約3キロ
【集会宣言】
集会宣言
本集会は暫定滑走路粉砕の決戦を宣言する。
政府空港公団は行きづまった平行滑走路の打開をかけて、暫定滑走路の突貫工事を強行している。これは住民を追い出そうとする許し難い暴挙である。
天神峰団結街道の廃止を実力で粉砕しよう。成田市は「市道を廃止しない」などと答えながら、公団と共謀して団結街道をつぶそうとしている。営農を妨害して農家を追い出そうとする卑劣なたくらみを許してはならない。
東峰神社の立木が飛行の障害であるなら、運輸大臣の認可自体が違法である。違法行為を力で押し通そうとする権力の暴挙を実力で粉砕しよう。
明日にも東峰地区で、大規模な軒先工事が強行されようとしている。畑をつぶして竹山を刈り、生活道路を廃止し神社を丸裸にする――こうして造る滑走路は地元住民の敵である。「空港と地域の共生」のまやかしは誰の目にも明らかである。
機動隊が畑に向かうトラクターを検問し、私服刑事が農作業や生活を監視するといった人権侵害が横行している。反対同盟は全戸が一丸となってこれらの攻撃を粉砕する。
都知事・石原と森政権は、戦後初めて羽田空港に自衛隊機を飛来させた。日米政府は有事の民間空港・諸施設の徴発手続きを具体化させた。ガイドライン関連法整備のうえに有事立法・改憲攻撃が強まっている。周辺事態法に基づく初の訓練が来月全土で強行されようとしている。
成田空港は軍事空港である。暫定滑走路は二本目の四〇〇〇メートル級軍用滑走路につながる。体を張って阻止しなければならない。
沖縄の基地撤去闘争はさらに広がり、北富士では本土移転の射撃訓練阻止闘争に立ち上がっている。有事の軍事使用に反対する関西空港反対住民の闘いが前進している。不当労働行為に反撃して国鉄労働者が立ち上がった。賃下げと首切りに戦闘的な労働者の決起が始まった。
三里塚からすべての反動をうち破ろう。この秋の闘いに勝利し、来春三月全国集会を暫定滑走路粉砕の一大決起集会としよう。
二〇〇〇年十月八日
三里塚芝山連合空港反対同盟
【裁判闘争カンパのアピール】
暫定滑走路粉砕のための裁判闘争特別カンパの訴え
三里塚芝山連合空港反対同盟
政府・空港公団は暫定滑走路の二〇〇二年五月供用開始にむけて、来年十一月三十日完成の突貫工事を強行しています。反対同盟は十・八全国集会に始まる一年間を三里塚闘争の成否を決める闘いとして総力をもって立ち上がります。この闘いのために特別カンパを要請します。
成田空港の二本目の滑走路である平行滑走路(二五〇〇m)は用地問題が解決できず破綻しました。暫定滑走路は、長さを二一八〇mに切り縮め北方にずらした工事計画です。このためジャンボ機は飛べず国際線としては実用に耐えません。
にもかかわらず強行するのは、力ずくで住民を追い出し平行滑走路の行き詰まりをなんとか打開しようとしているからです。その凶悪さは形を変えた強制代執行というべきものです。空港公団は居住地域を収容所のようなフェンスで囲みました。生活道路である市道(団結街道)を廃止しようとしています。飛行の障害になるとして東峰神社の立木を伐採しようとしています。畑をつぶし竹山を刈る大規模な軒先工事を東峰地区で強行します。さらに上空四〇メートル直下の大騒音と誘導路のジェットブラスト(エンジン噴射音)で住民を追い出す計画です。
営農と生活を破壊し追い出そうとするこれらの暴挙に対して、反対同盟は体を張って闘います。同時に、権利を守りぬくために裁判闘争で闘いの正義を真っ向から明らかにします。反対同盟は運輸大臣の認可の違法を明らかにする工事実施計画の変更認可処分取消訴訟を起しました。
立木が飛行の障害だとすれば、これを承知で認可した運輸大臣の行為自体が違法です。しかも、暫定計画は着陸帯幅、滑走路と誘導路の離隔距離、進入灯火システムなどの諸点において国際標準に違反しています。政府の法律違反を国家暴力の発動をもって押し通す暴挙がまかりとおれば正義は立ちません。昨年の周辺事態法成立以降、関連法がつぎつぎにつくられ、土地収用法の改悪や住民運動の既得権剥奪が始まりました。三里塚の無法を許せば、沖縄・北富士をはじめとする反戦・基地撤去闘争はもとより、反原発闘争や環境保護運動など、すべての住民運動に波及することは必至です。
特別カンパはこの認可処分取消訴訟と二期工事差止訴訟など暫定滑走路粉砕に向かう裁判闘争のためのものです。権利侵害のひとつひとつに立ち向かいうち破る決意です。
反対同盟は暫定滑走路を粉砕し、成田空港を有事の兵站拠点とするたくらみをうち破る決意です。日頃のご支援に感謝申し上げますとともに、絶大なるご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
二〇〇〇年十月八日
(連絡先)事務局長・北原鉱治 成田市三里塚一一五 0476(35)0062
記
「暫定滑走路粉砕のための裁判闘争特別カンパ」要項
一口二千円以上でお願いします。
【送金方法】
・郵便振替
(口座番号)00130―0―562987
(口座名称)三里塚芝山連合空港反対同盟
※ 別紙振替用紙に住所・氏名・電話番号をご記入の上、お近くの郵便局からお振り込みください
・現金書留 成田市三里塚一一五 北原鉱治
※ 左の用紙にご記入の上、同封してお送りください
(いずれの場合も住所、氏名、電話番号を明記してください。反対同盟から領収書を発行します)
ご住所/個人・団体/お名前/電話番号
●(10月10日) 千葉県議会、羽田国際化に反対決議(10/11各紙)
千葉県定例議会は10日、一般会計補正予算案など31議案と自民党が提出した「羽田空港の国際化に反対する決議」など議員発議案10件を可決し閉会した。
羽田空港国際化への反対決議は、9月の日韓首脳会談で浮上した日韓シャトル便構想などにみられる羽田国際化論議の高まりをけん制するもの。羽田国際化論議が、平行滑走路実現に向けた本県関係者の努力を無視し、信頼を裏切り、かつ空港反対派に力を与えることになる。東京湾沿岸地域の騒音問題に触れながら「県民にとって、到底認めがたい」などとしている。
さらに「反対派ゲリラによって県収用委員が襲撃され瀕死の重傷を負い、他の収用委員の家族に対する執拗な脅迫等によって県収用委員会が機能停止に追い込まれていること、多数の空港関係の県職員、また4名の県議会議員が時限発火装置による放火あるいは爆発物による襲撃を受け、家財等の被害はもとより、人命の危機すら招いている事実が軽んじられた甚だ理不尽なもの」と強く批判している。
そのうえで今後、運輸省などの関係当局が「羽田空港の国際化」をなし崩し的に強行するようなことがあれば、羽田離発着航空機の千葉県上空の飛行をあらゆる方法をもってこれを断固阻止することを表明するとしている。
【本紙の解説】
政府と運輸省が、深夜・早朝の羽田―ソウル便のチャーター便就航を年明けにも開設するための検討に入った。この情勢に千葉県は「羽田国際化絶対反対」で焦りにかられた決議をあげた。「あらゆる方法をもって阻止する」というのはは県の決議としては尋常ではない。
しかし、決議文の全文をよく読むと、文章の勇ましさにもかかわらず、政府が推し進める「深夜・早朝の羽田―ソウル便」には反対していない。また、政府を敵に回そうともしていない。千葉県がいっているのは「なし崩し的羽田国際化反対」である。あくまで「今般の日韓首脳会談以降の議論も含めて一連の『羽田空港国際化』発言を聞くとき、まず『羽田空港の国際化』ありきの感を懐かざるを得ない」というように、この日韓航空情勢を羽田国際化の口実にしている運輸省官僚に反発している。
つまり千葉県としては、政府提案で検討している「深夜・早朝のチャーター便就航」はやむを得ない。しかし、羽田の深夜・早朝の国際定期便やシャトル便、昼間の国際線の運航には絶対反対という考えの決議文である。
しかし、羽田の国際化が「空港反対派に力を与えることになる」とはどういうことか。われわれは、成田空港の農民無視の空港建設に絶対反対であり、羽田空港の拡張や国際化に賛成しているわけではない。むしろ、東京住民に騒音をまき散らす、羽田の再拡張には反対である。また羽田の拡充は、戦時下における首都圏の治安部隊の出動基地を整備することになり、その理由からも反対である。
千葉県は、羽田が国際化すると成田空港整備への政府の関与が薄れ、県への「見返り」がなくなることを心配しているにすぎない。それを「空港反対派を利する」と表現しているのである。つまり、羽田国際化になれば、平行滑走路の当初計画実現や3000メートル級滑走路への拡張は完全に断たれると思いこんでいる。
これは完全に間違いである。羽田が国際化するしないにかかわらず、暫定滑走路は使い物にならない2180メートルで終わる運命だ。三里塚闘争が続いている限り、暫定滑走路は暫定滑走路のままである。
千葉県は羽田国際化に反対し、政府に三里塚農民の圧殺、三里塚闘争の鎮圧を要求している。この千葉県の悪らつな政策とこの決議文を許してはならない。
●(10月12日) 航空局長、羽田の完全国際化を否定(10/13各紙)
千葉県選出の自民党国会議員会議が12日、自民党本部で開かれた。運輸省の深谷憲一航空局長を招いて「羽田国際化」についての説明を受けた。
中村正三郎県連会長(元法相)らが、運輸省に「なし崩し的に羽田を使用するのは良くない」などと釘を刺した。
これに対して航空局長は、(1)国際チャーター便就航は、あくまで夜間の有効活用が目的で、省内の検討委員会で検討中、(2)国内線の過密な離発着のため、国際便就航は現時点では困難、(3)国際化の拡張工事の予定はない―と説明。現時点での羽田国際化を否定し「国際線は成田、国内線は羽田」という原則を改めて強調した。
また日韓シャトル便については、韓国側が政府に要望した早朝・深夜の羽田―ソウル間のチャーター便就航についても「検討中」として、「機材の大型化を要請し、関空を利用しての乗り換え便などを検討している」と述べた。
さらに首都圏第3空港建設構想に関して「第3空港案を羽田空港再拡張という形にはしない」と答えた。
【写真は、羽田国際化や第3空港問題をめぐってくりひろげられる東京都と千葉県との激しい利権争いを報じる各紙】
【本紙の解説】
千葉県議会決議文の「激しさ」を押さえるために、運輸省の深谷航空局長が出向いて千葉県選出の自民党国会議員団の説得にあたっている。運輸省としては羽田国際化の絶好の実績をつくろうと、説得に躍起になっている。
運輸省は日韓シャトル便について「検討中」としているが、検討中とは実現のための検討である。また、「韓国側が政府に要望した早朝・深夜の羽田―ソウル間のチャーター便就航」といっているが、これはウソだ。韓国側が要求しているのは、昼間もふくむ「シャトル便」である。日本政府と運輸省はこの韓国の要望に「早朝・深夜の羽田―ソウル間のチャーター便就航」で対応し、なんとか外交上の約束をはたそうとしている次第である。また、運輸省は千葉県を押さえこむために3点の確認をしている。また第3空港の建設は羽田の拡張はないと「約束」している。
しかし、第3空港の候補地選定作業に入った段階でこれは言いすぎだ。いくら千葉県を抱きこむためにとはいえいきすぎである。これでは検討委員会を設置した意味がなくなる。
しかし、航空局長の話は、すべて「現時点では」という枕言葉がついており、「情勢と環境の変化」でいつでも変えられるしろものである。
●(10月13日) 成田市、団結街道の復元を約束
公開質問状(再々質問)(10月3日付)に対する成田市の回答が10月13日付で、反対同盟と弁護団に送られてきた。
以下は全文である。
【資料】公開質問状(再々質問)への回答書
三里塚芝山連合空港反対同盟 事務局長 北原鉱治様
三里塚芝山連合空港反対同盟顧問弁護団 事務局長 弁護士 葉山岳夫様
成田市土木部長
成田市土木部道路維持課長
公開質問状(再々質問)の回答について
2000年10月3日付で、提出されました公開質問状(再々質問)につきまして、下記のとおり回答します。
記
1.について
市道十余三天神峰線の道路占有工事完了後、従来の路線に戻る予定であります。現市道を廃止するものではありません。
2.について
道路占有工事の期間は、平成13年6月30日迄の予定となっています。
以上
【本紙の解説】
成田市はこれまで、団結街道を封鎖し空港外周道を「十余三天神峰線」に変えようと、さまざまなペテンを弄してきた。しかし、反対同盟と敷地内農民の怒りの抗議闘争で、「従来の路線に戻す」といわざるをえなくなった。団結街道を破壊するという攻撃は基本的に粉砕した。「基本的に」と断り書きする理由は、回答書の最後に「予定であります」と変更の余地を残す表現があるからだ。「戻す計画である」となぜ断定できないのか。「予定」を守らせるために、来年の6月まで成田市を監視していく必要がある。
●(10月16日) 公団、東峰地区のフェンス一部移動工事を通告
空港公団は「東峰地区の工事(実施時期)についてのお知らせ」を区長を通して東峰地区住民に配布した。「10月19日より既設仮柵の一部移設等の工事を実施」するとの通告である。
今までの仮柵は小見川県道の迂回道にそって設置されていた。それをより民家に近づけ、威圧的にする工事である。東峰での本格的工事開始の通告でもある。さらに、旧竹槍街道ともう1カ所の工事の開始を通告してきた。
運輸省と公団は、暫定滑走路の工事を東峰・天神峰の住宅間近で行い、騒音と振動をふりまいている。村中が収容所のようなフェンスで囲まれている。警察による日常的な検問と監視、尾行などの嫌がらせが続いている。これが「空港と地域の共生」なるものの実態だ。反対派農民を力ずくで追い出すことが「共生」の正体であることを認識すべきだ。
〔写真の説明・団結街道迂回道路にそって張り巡らされている高圧電流の電線。敷地内はまるで収容所だ。〕
●(10月16日) 共生委員会「暫定滑走路の工事は順調」(10/17千葉日報ほか)
成田空港の運用を監視する「成田空港地域共生委員会」の第33回委員会が16日、同委員会事務所で開かれた。山本代表委員によれば、会合の中で公団が暫定滑走路の整備状況について報告し、「工事は順調で、目標としている来年11月30日には工事としては終わる見通し」と述べた。この公団の報告に対し、委員からは大気汚染データの測定や二つの滑走路にはさまれた地域の環境対策いわゆる谷間対策などの周辺対策をきちんと行うよう求める声が相次いだ。
また、情報公開のあり方も取り上げられた。委員らは「飛行コースを外れた発着機について運輸省は情報公開しているが、書き方が専門用語でわかりづらい」と指摘、運輸省側も改めると約束した。
また、同委員会が検討を続けている「今後の共生委員会の在り方」については、今月中をめどに素案をまとめるという。
【本紙の解説】
共生委員会が運輸省・公団の手先としての姿を明確にしてきた。「工事は順調」という公団の報告を無批判的に受け入れ、工事終了後の谷間対策や大気汚染を問題にしている。軒先工事で天神峰・東峰の人たちがフェンスの中での窒息的な生活状況を強いられ、工事騒音や振動に苦しんでいることを問題にもしていない。「空港建設のマイナス面を監視する第三者機関」が聞いてあきれる。
また、「今後の共生委員会の在り方」の検討とは、98年11月の共生委員会で運輸省および周辺自治体との亀裂が表面化したことから出発している。
このとき共生委員会は、98年「東峰声明」を受けて「平行滑走路関連のいわゆる軒先工事を行うことは適切ではない」と声明した。運輸省自身も「運輸省・公団も、現段階で平行滑走路関連の工事を行う意志はなく、話しあいで解決していくことを確認しました」と表明せざるをえなかった。
この共生委員会の姿勢は、実は運輸省と公団側の方針と完全に矛盾するものだった。共生委員会側は、運輸省への弁解として「共生委員会は第三者機関であり、空港の建設・運用からマイナスの影響を受ける地域、住民の立場に立ち、地域の方から寄せられた意見にこたえなければならないと考えたからであります。成田空港問題はあくまで話し合いで解決されなくてはならない」としていた。
しかし運輸省は翌年五月、手のひらを返すように一方的に暫定滑走路計画を発表し、住民の合意や納得がなくても工事は開始すると宣言した。
このことで共生委員会は「中立」的立場を装うこともできなくなった。運輸省・公団の立場を全面的に擁護し、その先兵の役割を担うことになった。「対立の解決」「意見の調整」機関から、運輸省・公団の住民対策の出先機関になったのである。
もともと共生委員会は、反対派と推進派の意見を「調整」するという形で反対派を抱き込むための機関として発足した。円卓会議の「合意」にもかわらず脱落派の一部が反対運動を「継続」したことへの対策である。しかし、運輸省・公団は暫定滑走路計画で軒先工事を一方的に開始し、脱落派自身も賛成派と反対派に分裂してしまった。そのため「意見の調整」は不可能になり、共生委員会の存在理由はなくなったのである。
共生委員会の組織改組の検討内容は公表されていない。しかし、昨今の共生委員会の会議の内容でその基本的方向は明白である。運輸省・公団の立場に立ち、周辺地域の対策(反対運動破壊)を「第三者機関」という立場を利用して行うということである。共生委員会は名実ともに運輸省・公団の先兵となった。
●(10月16日) 羽田空港 北方向からの着陸実験(10/17日経ほか)
羽田空港の運用見直し作業を進めている運輸省は16日、現在は認められていない北側方向からの着陸実験を、10月23日から27日の予定で行うと発表した。
実験は横浜ベイブリッジ上空から北上し東京渋谷上空のあたりで右旋回、羽田空港に着陸する飛行コース。北側進入(ノースバード運航)コースはヘリコプターが多く飛ぶため、運輸省の検査機であるプロペラ機を使い、ヘリとの競合状況を調べるほか、空港管制官の作業量がどの程度増えるかなどを調査する。
運輸省は「実験がうまくいけば今年度中に北側からの着陸を公用機などの小型機に限って開始する」としている。
【本紙の解説】
これは、成田の暫定滑走路が暫定のままで止まる公算が明確となり、第3空港の完成も10年先のことであるという現実に対応する動きである。首都圏の国際便スロット(離発着枠)の当面の増加は羽田国際化以外にない。ただし、羽田も昼間のスロットは国内線だけで飽和状態だ。その打開策が東京上空を飛ぶ北側からの進入航路開設なのである。その本格的な開設準備に入ったことを、この実験は示している。
現在羽田空港のA滑走路は、陸地上空を飛ぶことになる北側からの進入・離陸を行っていない。騒音問題があるからである。また、平行するC滑走路も北側からの離陸後すぐに旋回し千葉県方向に航路をとっている。
このA滑走路の北側進入問題が解決すると、羽田空港はA、C滑走路がオープンパラレル方式として管制できるので、離発着能力は飛躍的に増加する。現在は、北風の時にはA滑走路は離着陸が制限されるので、その時の状態を想定したスロット枠しか認可できない状態である。運輸省としては、千葉県がどんなに「反対」しても2002年のオープンスカイ(日米の航空規制撤廃)開始までには、羽田空港の全面的国際化を決断する以外になくなっている。
●(10月17日) 定期航空協議会が「羽田再拡張」要望(10/18各紙)
国内航空会社12社が加盟する定期航空協会(定期協、会長・兼子勲日航社長)は17日、首都圏第3空港の候補地として「羽田空港の再拡張」を検討するよう運輸省航空局に要望書を提出した。首都圏第3空港は2002年から始まる第8次空港整備計画(8空整)の中核事業として推進される予定。羽田の再拡張は新空港作りに比べ設備投資額が低いという利点がある。定期協から要望が出されたことで、羽田再拡張構想が第3空港の有力候補の一つとなりそうだ。
拡張案は羽田のターミナルビルなどの既存施設を有効に活用しながら空港容量を拡大する。現在3本ある滑走路のもっとも沖合にあるC滑走路のさらに沖合950メートルに平行する3000メートルの滑走路1本を新設する。拡張面積は現行の空港の約3割弱の拡大である。工法は埋め立て方式、桟橋方式、メガフロート方式などを想定。定期協の試算では、羽田空港の発着能力は現在の27万回から年間42万回に増加する。約54%増になり「21世紀中ごろまでの国内線需要に対応できる」とみている。建設コストは6000億から8000億円、工期は5、6年ですむとみている。
同構想は管制方式を現在のレーダー誘導方式ではなく、離陸から着陸まですべてをコンピューターで管理するFMS(フライト・マネジメント・システム)に切り替えることを前提にしている。そのことにより、現行と異なる海上コースを設定でき、騒音も軽減できるとしている。離発着回数も飛躍的に増大する。
定期協は、かつても羽田沖合1500メートルを埋め立てる羽田の再拡張を提案したが、海運の大型コンテナ船の航行に支障が出るなどの理由で実現しなかった経緯がある。
【本紙の解説】
第3空港の候補地の一つとしては現実的な案ではある。着陸料の高さを押さえられ、工期も短いという点、また都心からのアクセス問題もクリアできる。しかし空港管制システムをFMSに切り替えることを前提にしている。これは、羽田空域の狭さのためである。米軍の横田空域の返還と東京上空への北側進入は前提にはできない。そのため海側へ航路をとることで計画された案である。新たに海上を飛ぶ航路も設定できるとしている。
FMSはまだ信頼のおけるシステムではない。FMSは車のナビゲーションシステムと同じ方式である。クルージングミサイルを誘導するための位置情報を衛星からとって管制するシステムである。クルージングミサイルの命中精度の向上を航空管制に応用したものである。この方式で、航空機同士の間隔を狭くでき、飛行コースも狭く設定できるので航路の新設が可能だという。しかし、事故や故障など航空機のトラブルがあった場合には大事故につながりかねない。
日本の大手航空会社は、80年代の航空規制緩和で登場したアメリカの巨大航空企業と競わなければならず、事故対策は二の次となっている。80年代のアメリカの航空規制緩和は、事故に次ぐ事故を引き起こした。アメリカ航空企業と競争するためには、日本も事故のことを考慮してはいられないということだ。
羽田再拡張の難点は、(1)横田空域の返還、(2)コンテナ船の航路、(3)東京上空の騒音がある。この案は、(2)のコンテナ船の航路の問題だけは解決しているが、(1)と(3)の問題を棚上げし、それをFMSという危険な航空管制システムで「解決」しようとする計画である。
●(10月18日) 成田市、空港委員会を発足(10/20千葉日報)
成田空港の経済波及効果を積極的に地元経済に取り込もうと、成田商工会議所は18日、「空港委員会」を発足させた。空港委員会は暫定滑走路が2002年に供用されることをにらみ、空港運用によって発生する経済効果をビジネスチャンスとして積極的に取り込むことが狙い。
このため地元経済界としてどのように対応すべきかを調査・研究するとともに、空港公団など関係機関への働きかけを行う。また地元経済の発展のためには2500メートルの当初計画通りの平行滑走路整備が必要として、その実現に向けた諸活動も合わせて推進するとしている。
18日での初会合では、委員長に石川邦紘氏(石川自動車工業)、副委員長に藤崎政弘氏(成田東武ホテル)と郡司正弘氏(郡司建設)および委員12人を委嘱した。
当面の事業としては、成田空港がもたらす地域経済への波及効果の定量分析と地域活性化策の提案、空港貨物・物流などの勉強会。2500メートル平行滑走路実現への諸活動を行うほか、暫定滑走路の完成を市民レベルで盛り上げるため、駅前や市役所前などに一番機出発までの日数を表示するカウントダウンボードを設置する――などを掲げている。
成田空港の建設・運用では依然、反対派地権者が交渉に応じていないほか、航空機騒音を被る市民もおり、商工会議所として組織的な経済効果取り込みへの活動を控えてきた経緯がある。
石川委員長は「成田市や北総地域全体の経済のことで商工会議所が取り組まないのはおかしい。眼前にきている膨大なビジネスチャンスを棚ぼた的に待っていていいのか」と空港委員会の意義を強調。「あくまで、地元経済の規模を拡大し、住民の生活を豊かにすることができれば」と抱負を話した。
【本紙の解説】
成田商工会議所は99年に「平行滑走路の早期完成を求める10万人署名」をやった成田空港早期完成促進協議会の中軸団体である。この商工会議所が再び反対同盟と三里塚闘争への全面敵対を開始した。
経済効果の研究だとか言っているが、本当は成田市肝煎りの暫定滑走路完成翼賛運動である。平行滑走路の2500メートル化実現への反動的政治活動が中心である。経済活動はそれぞれの企業の独自努力で他の企業との競争で行われる。絶好の経済チャンスがあれば、他の企業を出し抜くのが資本主義の習いである。成田市レベルで経済団体で委員会を作り研究してもたかが知れている。
問題は「民間団体」として千葉県、成田市という行政の枠をこえて成田空港の「完全完成」をイベント的に盛り上げようとしていることにある。そのことで成田市民に空港反対闘争への敵対心を煽り、空港反対の農民を孤立化させることが最大の眼目なのである。
この成田市空港委員会の三里塚闘争敵対活動を絶対に許してはならない。
●(10月19日) 東峰の仮柵の移動工事1日で終わる
10月16日に通告してきた仮柵工事は1日で終わった。
これから迂回道路を始めとする暫定滑走路の工事が天神峰・東峰で本格化してくる。これからが暫定滑走路決戦の本番である。
●(10月19日) 成田空港、航空機事故救難訓練
成田空港では19日午後、乗員乗客110人が乗ったDC10が着陸に失敗、エンジンから火災が発生したという想定で「航空機事故消火救難訓練」が行われ、国内外の航空会社や周辺市町村の消防隊など925人が参加した。
●(10月20日) 運輸省、羽田の国際チャーター便認可 /千葉県反発(10/21各紙千葉版)
運輸省は20日、東京商工会議所大田支部が要請していた羽田空港発着のグアム行き国際チャーター便を「暫定的な地元への特例」として認可した。羽田からの国際チャーター便はこれで3度目。大田支部のイベント案内文には「羽田空港国際化に向けての象徴的イベント」と書かれている。11月2日の深夜出発、5日早朝帰国予定で、支部会員ら約250人が全日空機で往復する。
千葉県内からは反発の声が上がっている。沼田知事は「誠に遺憾。県としては羽田空港の国際化についてはあくまで反対。運輸省で今後も『成田は国際、羽田は国内』という原則に基づき適切な処理がされるよう期待する」とコメント。自民党の飯島千葉県連幹事長は「チャーター便の内容は羽田発着の必然性のないもので、あれを運輸省が特例とするなら際限がなくなる」と国際化へのなし崩しに危機感を示した。千葉県幹部も「羽田の国際化がなし崩し的に行われることになりかねない」と懸念を表明した。
運輸省では「今年9月と同じ内容で今回も認めた。今回の件で千葉県から了解をもらえず残念に思っている。羽田を国際化するものではない」と述べている。
【本紙の解説】
これまでの2回は、同じ大田区羽田の地元商店街が1998年と今年の9月にハワイのフェスティバルで神輿(みこし)を担ぐ行事であった。この行事も羽田国際化論議を推進する目的で行われた。この2回はすったもんだした結果、千葉県も「特例」という解釈で最後にはしぶしぶ了解した。しかし今回千葉県は了解しなかった。運輸省もこの千葉県の反対を押し切って羽田からの国際チャーター便を認可した。
これで羽田国際化はもう一段進んだ結果になった。千葉県の反対も千葉県選出の自民党国会議員を使って押さえ込めるととの感触が運輸省にはあるようだ。自民党の亀井静香政調会長は「成田が国際、羽田が国内なんていう原則はない。羽田も国際空港といっている」と公言している。日韓チャーター便も認可されるようである。千葉県の抵抗もむなしく終わるのか。
●(10月23日) 沼田・千葉県知事、羽田空港の国際チャーター便に改めて反対(10/24各紙)
千葉県の沼田知事は23日の定例記者会見で、運輸省が羽田空港から国際チャーター便が来月上旬に運航することを認めた問題について「成田は国際、羽田は国内という国の方針のもとに県では空港建設に努力してきた。急に羽田の地元がグアム旅行するからといって、羽田から国際チャーター便を飛ばすことは基本的にあり得ない」とあらためて「羽田国際化に反対する」ことを表明した。さらに羽田国際化の動きが運輸省などで活性化していることについては「成田空港の建設では警備中の警察官が4人も亡くなったり、県職員や議員宅が放火されるなど、県が払ってきた犠牲を忘れないでほしい。今までの不幸な歴史がだんだん風化されてきている。そのために羽田国際化の問題が起きている」と強い不快感を示した。運輸省は千葉県が行ってきたこれまでの努力を十分に考慮すべきとした。
さらに暫定滑走路については「当初計画の2500メートルを一日も早く実現し、国際線はすべて成田から飛ばせるようにしたい」と述べた。
【本紙の解説】
今回の定例会見での沼田知事発言は、羽田国際化問題での「敗北」を認める内容である。
千葉県議会が10月10日に3度目の「羽田国際化に反対決議」を行ったが、政府、自民党政調会、航空会社、東京都などの羽田の再拡張・国際化の流れを阻止できていない。むしろ、千葉県の「反対」は空回りし、羽田国際化の流れを促進している感が強い。沼田知事はそれを「歴史の風化」といって嘆いている。
成田の暫定滑走路が国際線としてはとても使えるしろものでないことは、航空関係者では一致した見解である。急増する首都圏の航空需要を満たすことは1、2年先には日本経済にとって必要な課題である。その現実的解決は羽田の国際化以外にない。騒音問題を「解決」し、24時間空港の機能をフルに発揮すれば、羽田のポテンシャルは現在の3本の滑走路でも巨大である。運輸省がいっている「昼間は国内線で一杯」というのも現在の航空規制の枠内で一杯ということである。羽田の国際化と再拡張で当面の首都圏の発着枠ひっ迫の危機を乗り切ろうということは当然の動きである。
千葉県の「羽田国際化反対」もこれで風前の灯火だ。10月12日、運輸省航空局長が千葉県選出の自民党国会議員会議で「羽田の完全国際化を否定」したとされているが、実は「夜間の国際チャーター便就航」を飲ませたというのが真相である。
●(10月24日) 成田空港対策協議会、暫定滑走路の北側延長要求
成田市内の商工関係者らが組織する「成田空港対策協議会」(鬼沢伸夫会長)は24日、市内で全体協議会を開いた。同会は県知事に来月、成田空港までの交通アクセスや国際物流複合基地事業の早期完成を求める要望書を提出することを決めた。
また会議の中では、二本目の滑走路の用地問題が解決できなかった場合、騒音問題の解決を先行させた上で、さらに北側に延長し、2500メートル滑走路の完成を視野に入れるべきだという提案もあった。
また、2002年初夏の暫定滑走路の供用開始までの間、成田空港を補完する意味で、深夜・早朝に羽田空港から国際チャーター便を運航するのはやむを得ないとの認識で一致した。
要望書には、(1)成田空港と羽田空港が、相互に補完し合う関係を確立する、(2)暫定滑走路ではなく、2500メートルの当初計画滑走路を実現する、(3)成田新高速鉄道の整備や県企業庁の成田国際物流複合基地事業などについて、県が主体的に取り組む――ことなどが盛り込まれた。
【本紙の解説】
成田空港対策協議会も「2002年夏までの羽田の深夜・早朝の国際チャーター便」を認めざるを得なくなった。2002年の暫定滑走路供用開始までといっているが、それは「羽田国際化反対」を掲げる県や成田市への配慮である。
空対協は今回、暫定滑走路を北側へさらに延長し、3000メートル級の滑走路にする計画を提案した。これは、すでに運輸省が暫定滑走路提案前に検討した計画である。運輸省としても、少なくともあと300メートル北側にずらし、2500メートルにしたかったのである。
しかしこれは採用できない案であった。その理由のひとつは用地買収問題である。ここで用地買収に失敗すれば暫定滑走路自体が危うくなる。ふたつめは、騒音コンター策定に数年かかるという問題である。
空対協は完成後の再延長の提案らしいが、これも騒音コンターの策定に数年間かかり、また、用地買収に成功したとしても、進入灯の追加設置のために、長期間進入を一方向に限定しなければならない。新たに建設する以上に時間もかかる作業なのである。また、北側には東関道があり、そのトンネル化、迂回道路の設置も必要になり、建設省・道路公団の説得もあり、北側への延伸は基本的に無理なのである。
●(10月25日) 「羽田再拡張を優先せよ」(朝日新聞社説)
首都圏第3空港について、東京湾に海上空港を建設する案が複数、提案されている。臨海部の開発にはずみをつけたい自治体が誘致に名乗りをあげ、土建、鉄鋼、造船業界が背後で動く。巨大公共事業にありつこうとするいつもの光景だ。新空港建設に突き進もうとする動きに待ったをかけ、「羽田の再拡張で対応すべきだ」と要求したのが、航空大手3社である。飛行機が発着ごとに払う使用料は、現在でも海外の空港に比べて2〜3倍高い。このうえに新空港を造られては、国際競争に耐えられない。航空会社にとって死活問題なのだ。羽田の再拡張の案なら、既存の空港施設や交通インフラが使える。費用も安く工期も短く済む。
空港建設は費用だけでなく、騒音や海上の船舶航路との調整も必要だろう。そうした問題があるとしても、いまの財政や経済状況を考えると、調査検討会は、実際に空港を利用する航空各社が推す羽田の再拡張案を優先して検討すべきだと思う。
羽田の再拡張検討の際には、国際空港化についても議論を深めたらどうか。広大な首都圏で国際線が成田発着だけとい現状に不便をかこっている利用客も多いだろう。首都圏第3空港では、関係業界や自治体ではなく、利用者に顔を向けた公共事業のあげ方を示してもらいたい。
【本紙の解説】
朝日新聞社説の論評である。経済効率の面から「羽田の再拡張」を推奨している。しかし日本の公用事業は朝日も言うように、もっとも経済効率の悪い方式で、ゼネコンその他が儲かる方式をいつも選択してきた。だから、運輸省の深谷航空局長は、10月12日の千葉県選出の国会議員団に招かれた際、「首都圏第3空港を羽田空港再拡張という形にはしない」と言い切っている。9月26日に第3空港
「調査研究会」の第1回会合が開かれた直後であり、完全な言い過ぎだ。
しかし確信をもって言っている。それはすでに埋め立て構想などで絞り込む候補地が確定しており、その中で羽田再拡張は入っていないということだ。運輸省はゼネコン救済で大蔵省その他とすりあわせ、すでに動いている。
この運輸省の動きに航空会社大手、東京都が横やりを入れ、それに朝日が乗っているのである。ちなみに朝日はつい数年前までは“成田第一主義”で、羽田国際化をいうのはナンセンスとの立場だったのだが。
●(10月26日) 公団総裁定例会見/旅客ビル、航空会社入れ替えへ(10/25読売)
中村公団総裁は26日の定例記者会見で、成田空港で2つの旅客ターミナルビルに分かれて事務所をおいている各国の航空会社の再配置計画を策定、2005年に実施することを明らかにした。
配置替えの理由は(1)第一ビル、第二ビルの旅客数の格差が増大し、暫定滑走路供用開始後さらに拡大する。現在の出国比率は第一ビルが35%、第二が65%、(2)出発便のピークが第一は午後、第二は午前で非効率的、(3)別の航空会社が共同運航するケースが増えた。成田空港の現在の共同運航は週間便数の37%。会社が別のビルに分かれ、旅客の利便性を欠く――などである。
公団によると、現在の発着回数は年間13万3千回、旅客数は2520万人だが、5年後は旅客数は約1・3倍の3270万人と予測している。10年後の2010年には発着回数は20万回、旅客数は3800万人と推測している。
第一と第二の利用比率のバランスとるため、全日空が第二から第一ビルに移転する案を中心に検討し、共同運航(コードシェア)を考慮して再配置する計画である。
【本紙の解説】
第一ビルと第二ビルのアンバランスは計画ミスである。成田空港は当初計画ではA滑走路は欧米便、B滑走路はアジア便として設計されていた。第二ビル完成時にB滑走路が完成していなかったが、当初計画のシステムで入所方式を決定したことから、こうしたアンバランスが生じた。また、航空会社のアライアンス(連合)が急速に進み、切符の販売会社と違う航空会社の飛行機に乗る例が多くなっていて、成田のように滑走路別にターミナルビルと航空会社の事務所が配置されるのは時代遅れになっているのである。
問題は、公団は5年後の発着回数、利用旅客数を1・3倍、10年後を1・5倍に計算していることだ。発着回数では5年後が年間で約17万回、10年後は20万回としている。
この10年後の発着回数は、暫定滑走路が2500メートル以上の滑走路にならなければできない数字である。
公団は敷地内地権者の断りもなく、暫定滑走路が当初計画の平行滑走路として完成することを前提に需要予測を行っている。この農民無視。「地権者と話し合う。納得なしに滑走路工事は進めない」とした確約も「今は昔」である。
●(10月26日) EU、成田発着枠拡大要求/規制緩和日欧対話促進(10/27朝日)
日本と欧州連合(EU)による各省庁の局長級の「規制緩和対話」が26日に開かれ、EU側は成田空港の発着枠の拡大、独占禁止法の罰則の強化や電気通信分野の競争の競争促進など9分野60項目を要求、日本側は20分野125項目を要求した。
●(10月27日) 東京都、羽田再拡張へ桟橋滑走路案提案
羽田空港の拡張整備を国に要請している東京都は27日、海面から15bの高さに新滑走路を建設する「桟橋方式」を運輸省などに提案していく方針を明らかにした。都の構想は、羽田空港のC滑走路の東側約1300メートル沖合に「D滑走路」(長さ3500メートル、幅450メートル)を新設するもの。工法は海中に支柱をうち立て、その上に滑走路全体を渡すもので、巨大な桟橋のような建物となる。埋め立て方式に比べて環境への影響が少ない上に、滑走路下の空間は小型船の航行が可能なため、船舶運航に対する影響も少ないという。
都によると、D滑走路を桟橋方式で建設する場合、工期は10年以内で費用は8000億〜9000億円に収まり、首都圏に新たな第3空港を建設するよりも6000億〜7000億円も費用を削減できると試算している。発着枠は現在の25万回から41万回まで拡大できるという。
【本紙の解説】
10月17日の定期航空協議会が提案した「羽田再拡張」案の二番煎じであり、具体的内容ではそれ以下のレベルの低い提案である。この案の唯一の積極性はコンテナ船と小型船舶との航路の共存にある。その点では定期協がすでに、沖合展開の距離を1500メートルから950メートルに削って基本的に解決している。また、定期協も「工法は埋め立て方式、桟橋方式、メガフロート方式などを想定」といっている。つまり、今回の東京都の提案は、定期協が沖合950メートルとしているのを1300メートルとしているだけである。350メートルの違いで、大騒ぎするほどの提案でもない。
さらに、この提案の最大の欠陥は航空機の離発着の航路問題にまったくふれていない点である。管制方式にもふれていない。また騒音問題にも関心を示していない。騒音問題は東京都住民が我慢すればいいと考えているのか。土木工事さえできれば、空港は完成すると考えているのである。地方自治体特有の「箱物行政」的発想である。
●(10月27日) 自民党亀井政調会長、羽田国際化推進を指示
自民党の亀井政調会長は27日、首都圏の空港容量を拡大するため、羽田空港の再拡張を早急に検討するよう運輸省に指示し、2001年度の予算に関連する調査費を盛り込むことを求めた。亀井政調会長が同日、石原・東京都知事が提案した東京都独自の羽田再拡張案に対し、全面的なバックアップを約束したためだ。亀井氏は「第3空港は中長期的な話。まずは羽田を国際化に向け整備したい」と述べている。
運輸省は、早急に航空局を中心に検討を始めるとともに、週明けにも与党と今後の対応を調整する。
【本紙の解説】
亀井政調会長は石原都知事とは旧福田派(現森派)の仲間である。石原提案を丸飲みして運輸省に指示を出している。亀井はもともと羽田国際化の急先鋒である。千葉県の「羽田国際化反対」を苦々しく思っていた人物である。「千葉県が羽田国際化反対だというなら、成田を千葉県が完全空港にしてからいうべきだ。強制収用もできないで国に文句いうな」と反革命的にかみついていた。この亀井が羽田国際化に弾みがつくと考えて東京都の羽田再拡張案に乗ったのである。
困ったのは運輸省である。運輸官僚はゼネコンを使っての新空港建設案ですでに動いているのである。
●(10月27日) スカイフェスタ2000フォーラムのパネルディスカッション
新東京国際空港公団審議役・小堀陽史の発言(日経新聞の広告より。広告主は「空の日」「空の旬間」実行委/定期航空協会/新東京国際空港公団)
成田空港の運用状態は、99年度実績で、発着回数13万3000回、一日換算で364回。処理能力は370回ですので、まさにぎりぎりの状態です。開港時の2・2倍。旅客取り扱い数は約2600万人、1日換算で7万1200人、従業員を含めると10万人になり、一つの町を形成しているわけです。これは開港時の3・5倍。貨物は183万トン、開港時の4・8倍。発着回数は91年頃から横ばいであり、まさに1本の滑走路の限界を示している。成田は世界でも類を見ない大型機だらけの空港で、ワイドボディー機を含めた大型化率は90%に達してしまう。
今後の需要予測と処理能力に関しては、2本の滑走路整備後、発着回数は22万回が限度。ただ地元との約束で、平行滑走路供用後は20万回を限度として供用し、増加については改めて地元と協議することになっている。
需要予測に関しては、今後とも首都圏の国際空港需要は増加していくことが見込まれており、2500メートルの平行滑走路が整備されれば、発着回数が20万回に達する2010年度で年間の国際旅客数は約3800万人の需要が見込まれる。
平行滑走路は暫定的に2180メートルの滑走路として整備を進めており、2002年5月までに供用を開始する予定。仮にこの暫定滑走路で供用した場合には、B767などの中型機の利用が中心になる。1便当たりの輸送力が低下するため、年間発着回数が20万に達した時点で年間旅客数は約3400万人程度と見込まれている。
このために、暫定滑走路では当面の国際航空需要には対応できるものの、2010年で需要予測との差400万人が成田に飛んでこられなくなるということになる。首都圏を代表する国際空港としての責任をはたせない、経済的な損失も大きい。この意味で2500メートルの原計画の滑走路はどうしても必要というわけです。
【本紙の解説】
公団は暫定滑走路の使用試算を最大限で、年間離発着回数6万5千回といっている。2180メートル滑走路なので中型機しか使用できず、平均乗客数は約200人前後。年間乗客数は6万5千回×約200人=約1300万人となるわけだ。現在のA滑走路の年間乗客数が約2500万人なので合計3800万人。これなら10年後の需要予測の3800万人に対応できることになる。
公団は今回のフォーラムで「暫定のままだと400万人分が不足する」と発言した。3400万人までは大丈夫という意味だ。しかし、この試算には多くのウソとペテンがある。暫定滑走路だけで年間4万5千回(増加分の900万人÷中型機の平均搭乗数200人=4万5千回)飛ばすというのはあり得ない想定だ。向こう10年間の増加分=4万5千回を全部暫定滑走路で飛ばす、つまりアジアの近距離便でまかなうというものだ。まったくの空論である。
空論だというのは、航空需要の伸びのうち暫定滑走路でも飛ばせる近距離便はごく一部にすぎないという単純な理由だ。公団・小堀某もいうように「成田は世界でも類を見ない大型機だらけの空港で、ワイドボディー機(B747やMD11等)を含めた大型化率は90%以上」なのである。ゆえに暫定滑走路は使い物にならないのだ。
公団がこの「スカイフェスタ2000」でいいたかったことは、要するに平行滑走路建設が「暫定」滑走路で終わった場合、もはや絶望ということだ。
〔注〕中型機
ボーイング767が中心で、乗客数は235人、270人、288人。ただし、暫定滑走路では乗客数も積載燃料も制限され、200人程度での運航が限度と言われている。
●(10月29日) カンタス航空次期社長「成田に増便を」(10/29毎日)
オーストラリア最大の航空会社カンタス航空の次期社長に内定したジェフ・ディクソン副社長は、シドニー郊外で毎日新聞などのインタビューに応じ、ポスト五輪を視野に今後も積極展開策を展開し、成田空港発着便を増便する意向を示した。
11月に創業80周年を迎える同社の今後の世界戦略としては、北米と英国など欧州、アジアの一部を伸ばしていく。日本は極めて重要な市場。5年前まで収益性の高い路線だったが、ここ2、3年低迷し、ようやく回復してきた。成田にもっと飛ばしたい。関西空港の予定はない。
●(10月30日) 国際チャーター便「ルールづくり検討を」実川運輸政務次官(10/30千葉日報)
国際チャーター便が11月上旬に羽田空港から出発することを運輸省が認可した問題で、千葉県選出の実川政務次官は29日までに千葉日報の取材に応じ、「運輸省に対して千葉県のことを配慮するよう厳重に申し入れた」と述べた。また、今後の対応については、今年の3月に運輸省が省内に設置した羽田空港有効活用検討委員会で「ルールづくりなどについて検討した方がいいのではないか」との見解を示した。
一方、沼田・千葉県知事は「特例はあくまで一度かぎり」として今後チャーター便はあり得ないと言い切っている。9月議会で三度目となる「羽田国際化反対決議」を可決した千葉県議会も強く反発。自民党千葉県連の飯島幹事長は「今回のチャーター便を特例とするなら、際限がなくなる」となし崩し的に羽田国際化が行われることに危機感を示し、実川政務次官に「運輸省はもっと千葉県に配慮して慎重にやってもらいたい」と電話で申し入れた。
実川政務次官は成田空港を抱える千葉県と、羽田空港の有効活用を検討している運輸省との板挟みで「非常に苦しい立場」とした上で「今回も特例中の特例として認識している。航路も騒音を配慮して千葉県の上空を飛ばさない」と説明。さらに、「今後の対応などを含めて羽田空港有効活用検討委員会で検討した方がいい」と述べた。
【本紙の解説】
実川運輸政務次官は「運輸省に厳重に申し入れた」といっているが、今後の対応については「ルールづくりを検討した方がいい」ともいっている。羽田国際チャーター便についての「ルールづくり」が必要とは、羽田から国際便を飛ばすルールをつくれという意味だ。国際チャーター便を認めているのである。
「ルール」はすでに決まっている。「成田空港がクローズしている深夜、早朝の羽田国際化」である。実川政務次官は、「板挟みで非常に苦しい立場」と言うが、実は運輸省の立場に立って、羽田発の国際チャーター便を千葉県に飲ませようとしているだけだ。
●(10月30日) 梅崎運輸省事務次官「羽田再拡張、先行し検討」(10/31毎日他)
羽田の再拡張案について運輸省の梅崎事務次官は30日の定例記者会見で「首都圏第3空港問題の中で先行して議論することはあり得る」と述べ、羽田再拡張問題の検討を先行させる意向を明らかにした。定期航空協会と東京都が要望し、自民党の亀井静香政調会長が梅崎次官に電話で「羽田再拡張問題をもっと早くやるべき」と指示し、来年度予算の調査費計上など年内の結論を求めた。
会見で梅崎次官は「航空管制の技術上の問題があり、滑走路を1本増やしてどの程度発着回数の増加が見込めるか、十分に検討することになる」と説明した。問題は、成田空港の地盤沈下をおそれる千葉県の反発を呼ぶおそれがあることと、再拡張には新しい航空管制技術の導入も必要とされており、検討作業も難航する可能性もある。
また、亀井政調会長や東京都は羽田の国際空港化も主張しているが、「羽田は国内線でいずれ限界に達する」として、国際空港化の論議を否定した。
【本紙の解説】
亀井自民党政調会長からのねじ込みで、羽田再拡張を第3空港に先行して検討することを約束させられたことを「先行して議論していくことはあり得る」と苦々しく述べている。また「航空管制の技術上の問題があり、滑走路を1本増やしてどの程度発着回数の増加が見込めるか」と羽田再拡張には技術的問題があると、否定的な態度を露骨に表明している。
空港管制上の問題とは発着回数の増加問題だけではない。実は安全性にかかわる問題こそが第一に検討されるべきなのである。
●(10月30日) 宮沢蔵相、関空の経営計画「抜本的見直し」表明(10/31各紙)
宮沢蔵相は30日、大阪市内で開いた関西経済団体との懇談会で、巨額の累積赤字を抱える関西国際空港の経営問題について国の財政支援の前提として関空の経営計画を抜本的に見直す必要を訴えた。
宮沢蔵相は懇談会の中で「関空はその重要性からナショナル(国家的)な問題だ」と述べた。その上で「もう一度、指導者が大変な決心をして生き延びさせるにはどうしたらいいかを考えなければいけない。その答えは非常にドラスチックなものになる可能性がある」と関空会社の経営が危機的な状況であることを認め、国が全面的に支援して抜本的改革に取り組む必要性を強調した。さらに、「国がどこかを買い上げれば済むという話ではない。採算の見通しが立たないと一時しのぎになる」と指摘。また、関空の二期工事は続けるべきとの考えも示した。
【本紙の解説】
宮沢蔵相の「経営計画の抜本的見直し」との発言は、関空会社の破産、倒産を大蔵省が宣言したことに等しい。つまり経営形態の変更を求めているのである。民間会社方式の破産の宣告である。公団方式への転換や、伊丹空港との経営的合体で運輸省の下に再編するかを提案しているのである。
二期工事の継続発言は経営破産宣告の衝撃性を和らげるもの以外ではない。関西経済団体との懇談会であり、ゼネコンその他への配慮以上のものではない。大蔵省の立場は明確で、二期の延期・凍結である。
関西のゼネコンは、関空、神戸震災復興でバブル崩壊後に危機を何とか乗り切り、今後関空二期、神戸空港、そして大阪オリンピックまで誘致して生き延びようとしているが、3つとも不要なものである。
●(10月31日) 外国航空会社、空港使用料値下げ要求(11/1読売)
外国航空会社で組織する在日外国航空会社協議会(FAAJ)は31日、国際的に割高とされる日本の国際空港の空港使用料などの引き下げと、首都圏の空港容量の不足を解消するため、成田、羽田両空港の発着枠を拡大するべきだという声明を発表した。
記者会見したFAAJ幹部は、「関西空港の二期工事や神戸空港、中部国際空港など、あまり必要ないところで空港が建設されている」と、日本の空港整備計画を批判し、「需要が多い羽田や成田の整備に重点を置くべきだ」と主張した。
●(10月31日) 政府・自民案「羽田新滑走路に調査費10億」/来年度予算(11/1日経)
政府・自民党は31日、羽田空港の発着枠を増やして国際化を実現するため、4本目となる新しい滑走路の建設に向けて来年度予算に調査費を計上する方針を固めた。
運輸省が来年度予算で要求している首都圏第3空港の調査費12億円のうち、10億円程度を羽田の新滑走路の調査費に転用する。羽田沖の地質調査を実施して新たに海を埋め立てて滑走路を建設するか、桟橋方式を採用するかを決める。
【本紙の解説】
羽田新滑走路に来年度予算調査費を10億円もつけるという自民党方針の意図は、運輸省の「羽田拡張より第3空港」という考え方をしばることにある。10月30日の梅崎運輸省事務次官の記者会見での発言が自民党政調会を刺激した。梅崎事務次官は羽田再拡張を「先行し検討」とはいっているが基本的に再拡張は無理だと言っているのだ。
第3空港の調査費の変遷は、99年度が1億円、2000年度が3億円である。そして2001年度予算で一気に12億円が計上される。初の本格調査予算だ。その中の10億円を羽田再拡張の調査に回すとの自民党方針は、第3空港の調査を止めろという意味だ。
これで運輸官僚がゼネコンその他と組んで21世紀の初頭を飾る予定だった首都圏の巨大プロジェクト「第3空港」は夢と消え失せるのか。
●(10月31日) 千葉県、羽田再拡張に警戒感(11/1読売)
羽田再拡張について森田運輸相は31日に記者会見で、「羽田について調査をできるだけ早くやろうという意欲をもっている」と述べ、検討に前向きな姿勢を示した。さらに同日、運輸省の梅崎事務次官も記者会見で「できるかできないか分からないが検討していく」と言明した。すでに東京都や自民党本部、航空会社大手は羽田再拡張を積極的に提案・推進している。この動きに対して千葉県は羽田国際化同様、警戒感を強めている。
羽田空港の騒音問題をめぐっては、年間約28万回に及ぶ羽田離着陸の大部分が千葉県上空を飛行している現状を踏まえ、千葉県では運輸省に対し、何度も飛行ルートの変更を求めてきた。新滑走路ができれば約40万回に発着が増加する試算もある。浦安市や市川市、木更津市などの騒音被害の悪化はさけられない。千葉県では「新滑走路案は、騒音の発生源をさらに1300メートル県側に近づける」(千葉県企画課)と反発。さらに、成田空港との関連でも、2500メートル滑走路が完成していない段階での“羽田再拡張案浮上”に「悪影響を及ぼしかねない」と神経をとがらせている幹部もいる。
【本紙の解説】
羽田再拡張案が羽田国際化を前提にした案であることから、千葉県がまたしても猛反発している。しかし、千葉県の抵抗は後の祭りだ。羽田再拡張はともかく、羽田国際化へのステップは確実に進んでいる。
運輸省の梅崎事務次官は、ここに及んでも「(羽田再拡張は)できるかできない分からないが」などと煮え切らない言い方をしている。運輸省は今度は千葉県と水面下で組み、羽田再拡張に隠然と反対していくつもりか。いずれにせよ、成田空港が35年もかけて完成しないことの結果として、自民党と運輸省の対立、東京都と千葉県の対立、航空業界と建設業界の対立が現れているといえる。
それにしても千葉県は、成田の農家の上空わずか40メートル(!)にジェット機を飛ばす計画(暫定滑走路)を平気で進めておいて、海を隔てた羽田空港からの騒音を「問題」にしている。例によって「もっと予算をくれ」という千葉県一流の条件闘争の一環だが、虫のいい話だ。
●(10月31日) シンガポール航空機が台北で離陸失敗/70人以上死亡
現地時間で10月31日の午後11時18分(日本時間11月1日午前0時18分)、台北近郊の中正国際空港でロサンゼルス行きシンガポール航空のB747−400型機が離陸に失敗し炎上した。乗員・乗客179人のうち70人以上が死亡、58人が重軽傷、48人が無事。シンガポール航空によると、同機は台北経由でロサンゼルスに向かう予定だった。事故当時、台湾には台風が接近、激しい雨と強い風が吹き荒れ、台北を発着する国内線航空便の欠航があいついでいた。
パイロットは「離陸の途中で何かにぶつかったようだ」と話している。機体は指示された滑走路と平行な別の滑走路(閉鎖中)上で炎上している。事故の原因は、「激しい雨で視界が悪く,パイロットが指示された滑走路と別の工事中の滑走路に入り込んでしまい、置いてあった工事用車両に衝突した」という説が有力。また「離陸の途中で突然の強い横風にあおられて、隣の平行滑走路まで飛ばされてしまった」と見解もある。
【本紙の解説】
飛行機事故は相変わらず続発している。80年代後半からはアメリカで多く起こったが、90年代に入りアジア地域とアジアの航空会社の事故が続発している。理由は明白である。アメリカのメガキャリア(巨大航空会社)との競争の中で、アジアの航空会社は徹底した低賃金と労働強化、整備その他の経費削減を強行しているからだ。
今回事故を起こしたシンガポール航空は、機材も比較的新しいものが多く、安全性には定評があったアジア有数の航空会社である。この事故までシンガポール航空は創業以来50年、人身事故ゼロをキープしていた航空会社だ。そのシンガポール航空がこの大事故を起こしたので関係者は震撼している。
2002年から日本にも適用されるアメリカのオープンスカイ政策が航空業界の競争を極限化させている。航空会社は生き延びるために経費削減、とりわけ人件費の圧縮を大命題として進めている。このことが航空機事故の最大の原因だ。事故の真相は解明されていないが、いずれにしろ飛行機操縦側と、管制誘導側の双方に問題がある。今回の場合は航空機の整備不良が原因ではない。
航空事故は数百人の人命を一挙に奪う。航空運輸業での資本の論理による過当競争は大人身事故の続発となる。今回の事故は2002年のオープンスカイ導入にむけた警告であり、新たな大事故の「幕開け」として考えるべきものだ。
|