ZENSHIN 2006/11/27(No2272
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週刊『前進』(2272号1面1)(2006/11/27)
教基法改悪案 単独採決強行に怒りの大反撃を
参院で絶対阻止しよう
愛国心強制と日教組解体許すな
日米韓国際連帯で世界革命へ
「衆院本会議で強行採決」の報を聞き、2000人が駆けつけ国会前集会(11月16日夕 衆院第2議員会館前)
安倍・自民党政権は、圧倒的多数の教育労働者と人民の反対の声を踏みにじって、教育基本法改悪案の衆院採決を強行した。国会前は採決強行の報を聞いて、怒りが沸騰した。そして結集したすべての労働者は「参院で阻止するために、あらゆる闘いを展開しよう」と決意を新たにした。攻防の決着はまだ全然ついていない。安倍政権は、労働者階級の闘いの爆発に脅えている。勝負を決めるのはこれからの闘いだ。衆院段階を数倍数十倍する闘いをつくり出そう。会期末は12月15日だ。延長も含めて年内40日間の決戦だ。死力を尽くして闘いを広げ、今国会での成立を絶対に阻止しよう。
安倍の凶暴性と日帝危機
自民党・安倍政権は、国会前に詰めかけた日教組組合員や労働者人民の連日の闘い、ハンスト、必死の訴えをすべて踏みにじり、審議を一方的にうち切り、全野党欠席のまま単独で採決を強行した。こんな一方的なやり方で教育の基本にかかわる法律が変えられていいのか! 断じて否だ!
安倍は日一日と労働者階級の怒りの決起が広がる情勢に恐怖し、遅れれば一層改悪は困難になるという危機感に駆られて、沖縄県知事選を前にして、しゃにむに単独採決を強行したのだ。だが、こんなやり方を労働者は絶対に許さないぞ! 怒りをたたきつけよう。
野党は「欠席戦術」と称して、体を張った抵抗もせず、やすやすと改悪案を衆院通過させてしまった。自民党の二階国対委員長は、民主党の「良識」ある対応に「謝意」を表した。(朝日新聞11・16付)
もともと小沢・民主党は教基法改悪に賛成で、超反動的な「日本国教育基本法案」を独自に国会に提出している。防衛庁の「省」昇格法案にも賛成しており、改憲勢力そのものだ。連合中央や日教組本部の「民主党べったり」路線は、労働者階級を裏切り、屈服させるものでしかない。
教基法改悪を阻止する力はどこにあるか。どのように闘えば勝利できるのか。それは、教育労働者を中軸とする全労働者階級の職場からの総決起をつくり出すことである。そして、日教組を“闘う日教組”につくりかえることである。
安倍政権の攻撃の矛先は、〈日教組の壊滅〉に据えられている。それは自民党幹部らの以下の発言を見れば、明らかだ。
「安倍政権の最大の抵抗勢力は官公労だ」「官公労と対峙する気概が求められる」(中川秀直幹事長)
「日教組、自治労を壊滅できるかどうかが次の参院選の争点だ」(森喜朗元首相)
「デモで騒音まき散らす教員は免許はく奪だ」(中川昭一政調会長)
「教員の政治活動禁止を徹底させる」「教職員団体は、『教育労働者』の組合から教育専門職としての職能団体に変貌(へんぼう)することも必要である」(八木秀次「つくる会」元会長、安倍のブレーン)
攻撃は凶暴だが、それはけっして日帝権力の強さを示すものではない。それどころか日本帝国主義は根幹から腐っており、ぐらぐらだ。国家財政の総破綻(はたん)の危機、イラク侵略戦争の泥沼化、「格差社会」・社会保障切り捨てと貧困化への労働者の怒りの蓄積、米軍再編、教育問題での矛盾の噴出など、どれも日帝には解決不可能だ。だからこそ安倍極右政権は、一切の犠牲を労働者階級に押しつけ、北朝鮮侵略戦争と階級圧殺にのめりこんでいる。
職場から日教組の再生を
教基法改悪をテコとした「日教組壊滅」方針は、日帝の全体重をかけた大攻撃である。それは改憲攻撃の先取りであり、突破口である。戦後労働運動を支えてきた4大産別労組(日教組、自治労、全逓、国労・動労千葉)を解体し、戦争前夜に労働者階級を完全に制圧する体制を完成させようとしているのだ。労働者階級は、この日帝の恐るべき危機の深さと、階級決戦情勢の煮詰まりをはっきりと見据え、断固たる階級的総反撃にうって出よう。
支配階級があからさまに「日教組壊滅」を宣言している時、日教組本部はどのように闘おうとしているのか。攻撃の激しさを直視することから逃げだし、組合員を攻撃にさらしている。「非常事態宣言」もおざなりなもので、権力と激突して本気で闘う方針ではまったくない。「教基法『政府法案』に反対」というのみで、もっとひどい民主党案を完全に容認している。依然として文科省とのパートナー路線にしがみついている。こんな日教組本部は組合員の闘いで打倒し、闘う執行部を確立する以外にない。
かつて教員が「お国のため、天皇のために死ね」という皇民化教育を担い、侵略戦争に加担・協力してしまった歴史への痛苦な反省から、日教組は、「教え子を再び戦場に送るな」「繰り返さぬぞ絶対に!」と誓ったはずだ。再び教育労働者に戦争教育を強制する攻撃が襲いかかっている時、体を張り命をかけて闘うのは、まさに今この時ではないのか!
30万組合員が団結し、処分をも恐れずに総決起したとき、勝利の道は切り開かれる。6千万労働者階級は日教組の闘いを断固支持し、連帯し、その闘いに続くだろう。逆に、ここで日教組が総力をあげた反撃に出なければ、団結は崩されてしまう。国鉄分割・民営化時に、国労本部が闘う方針を打ち出せずに組合員を激減させていったような事態が起きてしまうのだ。そんな事態を絶対に許してはならない。
闘いによってこそ、敵の組織絶滅攻撃と対決して、職場の団結を維持できる。それが階級闘争の真実であることは、国鉄分割・民営化攻撃に対して2波のストライキで反撃し、組合員の団結を守り抜いてきた動労千葉の闘いの歴史が示しているではないか。
動労千葉は、労働者の団結を最も大事にして闘い、時には全員が処分を覚悟して権力・資本の不当な団結破壊に反撃し、職場支配権をめぐる熾烈な攻防に勝ちぬいてきた。4月幕張事故の解雇策動から仲間を守り抜き、反合理化・運転保安闘争、1047名の解雇撤回闘争を最も原則的に、最も「労働組合らしく」闘いぬいている。こうした闘いが、いま教育労働者戦線を始めすべての産別、職場で求められている。ここにこそ、労働運動の階級的再生の道がある。
国境越えた労働者の団結
4900人の結集でかちとられた11・5労働者集会は、新たな壮大な階級決戦の始まりを告げている。アメリカと韓国からも労働者が参加し画期的な国際連帯闘争が実現した。民主労総ソウル地域本部のキムチャンソプ副本部長は「われわれ労働者は国境を廃止します」と宣言した。韓国労働者の心からの連帯の呼びかけだ。
その民主労総は、15日に4時間の警告ストを闘った。「民主労総はガンのような存在」と言い放ち全国公務員労組の組合事務所閉鎖など労組破壊を強めるノムヒョン政権と徹底的に対決して闘っている。22日には全国教職員労働組合1万人が年次休暇闘争で合流し、鉄道労組もゼネストに入り、40万ゼネストを実現する方針だ。
ソウル本部は先頭で闘っている。動労千葉は訪韓し、11月12日にソウルで行われた全国労働者集会をともに闘った。一層深まった動労千葉と民主労総、そしてアメリカの戦闘的労組との国際連帯のきずなは、プロレタリア世界革命勝利への大道を明々と照らしている。
アメリカ中間選挙での共和党・ブッシュの大敗北で、米帝は一層、体制危機を深めている。イラク・中東人民の不屈の闘いは米帝を決定的に追い詰め、米帝支配階級の分裂はいよいよ激化している。全世界のプロレタリアート人民のイラク反戦闘争はますます激化・拡大していくだろう。
米帝は危機を深めれば深めるほど、侵略戦争−世界戦争にのめり込んでいく以外にない。世界史はまさに、帝国主義の延命を許すのか否か、世界戦争かプロレタリア世界革命かを問う時代に突入したのだ。
(写真 動労千葉先頭に労働者大会に合流 【11月12日 韓国ソウル市庁舎前=6面に特集】)
「共謀罪」採決を阻止しよう
労組弾圧法、団結禁止法である共謀罪の衆院採決強行が狙われている。論理破綻して完全に追い詰められた政府・法務省は、臨時国会では一切審議せずに、抜き打ちで可決成立させてしまおうとしている。絶対に阻止しよう。防衛庁「省」昇格法案を粉砕しよう。11・23ジョイント・デモ、11・25星野全国集会(要項4面)、11・26北富士闘争に立とう。
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週刊『前進』(2272号1面2)(2006/11/27)
“闘い広げ 必ず廃案に”
衆院採決強行弾劾 国会前集会に2千人
11月15日の特別委採決強行に続いて、翌16日13時30分すぎ、衆院本会議で教育基本法改悪案が強行採決された。またも野党が欠席し、与党単独の強行採決だ。13時に開会、特別委委員長の森山が委員会審議を報告、自民党と公明党の賛成討論で審議うち切り。出席した全議員が賛成するというおぞましい構図で衆院通過が強行されたのだ。
(写真 被処分者が先頭に立って強行採決に抗議【16日昼】)
朝から国会前を人が埋めた。昼にはさらに人が増え、繰り返しシュプレヒコールをたたきつけた。「日の丸・君が代」不起立で停職3カ月の処分を受けて闘う教育労働者、都高教組合員の被処分者が先頭で闘った。
13時半、「たった今採決が強行された」と報が入ると、怒りを倍加させシュプレヒコールが続いた。悔しさに泣き崩れる人、涙を流しながら毅然と声を上げ続ける人。ハンスト中の都高教OBは「カネで『民意』をつくるとは何事か。この恨みは絶対はらす」と宣言。関西の学生は「戦争をやってみんなが死んだ、あの歴史を繰り返すなんて許さない」と訴えた。
この日、多彩な顔ぶれが駆けつけた。全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部委員長で門真市議の戸田ひさよしさん、三里塚芝山連合空港反対同盟の伊藤信晴さん、部落解放同盟全国連合会共闘部長の金平通雄さん、東大阪市議の阪口克己さんなどが次々マイクを握ってアピール。婦人民主クラブ全国協相模原支部の丹治孝子さん、元ひめゆり学徒の上江田千代さんが自らの戦争体験にもとづき「あの時代の教育を復活させてはならない」と訴え、みんながうなずいて聞き入った。
17時から、国会前を人間の鎖で取り巻く「ヒューマン・チェーン」。キャンドルに灯をともして「強行採決糾弾」と何度もシュプレヒコール。続々と人が詰めかけ5000人が参加した。
18時から全国連絡会の国会前集会。東京教組の組合員は「私が参加した教育改革フォーラムも発言者は『やらせ』だった。こんな連中に教基法を改悪させるわけにはいかない」と弾劾した。改悪反対運動の先頭に立つ人びとが「ほとんどの人が教基法を知らなかった現実から、私たちの運動でここまで大きな運動をつくってきた」「強行採決は敵の追いつめられた姿。参院で廃案に追い込むことは必ずできる」と口々に訴えた。2000を超える人が首相官邸前に移動して抗議のシュプレヒコールをあげた。
日教組本部の無方針を突き破り、「日の丸・君が代」被処分者が先頭に立って国会闘争の高揚をつくり出している。日教組の闘いを押しつぶすことこそ教基法改悪の最大の狙いであるにも関わらず、強行採決はまったく逆に現場労働者の闘いの爆発を引き寄せている。国会前で闘う人びとに敗北感はまったくない。
参院段階でさらに大きな闘いを起こし、必ず廃案に。その先頭に教育労働者が立とう。
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週刊『前進』(2272号1面3)(2006/11/27)
日程 ◎やめろ!教育基本法改悪 つぶせ!共謀罪 ジョイント行動
11月23日(木) 13時30分開始
京橋プラザ・ホール(中央区銀座1−25)
共催/都教委包囲・首都圏ネットワーク
破防法・組対法に反対する共同行動
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週刊『前進』(2272号1面4)(2006/11/27)
日程 米軍の北富士での実弾演習粉砕、梨ケ原国有入会地奪還、北富士演習場撤去 ◎11・26北富士総決起集会
11月26日(日)正午
忍野村忍草・自衛隊北富士駐屯地隣
※集会後、演習場正門までデモ行進
主催 忍草国有入会地守る会/忍草母の会
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週刊『前進』(2272号2面1)(2006/11/27)
廃案へ1000人が国会前埋める
教基法改悪案 特別委採決強行に怒り
11・15 声を限りにシュプレヒコール
衆院教育基本法特別委員会での強行採決が危ぶまれた11月15日。リレーハンストを闘ってきた教育労働者を先頭に、朝から人の波が国会前を埋めた。日教組組合員は北海道、関西、神奈川、千葉、東京など、日教組本部の動員枠とは関係なく全国各地から駆けつけた。教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会も座り込み。昼過ぎには総勢500人近くに膨れあがった。
(写真 「強行採決糾弾!」――衆院教基法特別委での強行採決に対し、怒りのシュプレヒコールをたたきつけた【11月15日午後5時過ぎ 衆院議員面会所前】)
午前中の中央公聴会に続き、特別委の予定時刻の午後1時を迎えた。傍聴に入った東京の被処分者が、途中で報告に来た。「公聴会に参加した与党の特別委委員は半分以下、一番少ない時はたった11人。それが午後からは全員総ぞろいだ。強行採決に備えているのではないか」。危機感に燃えて間断ないシュプレヒコールが続いた。
委員会終了予定時刻の午後5時が近づき、「いよいよ強行採決か」と緊張が走る。午後4時55分ころ、リレーハンストを闘う「日の丸・君が代」被処分者が先頭に立ち、議員会館前の座り込み場所から衆院議員面会所前に詰め寄せた。「強行採決を許さないぞ!」。声を振り絞って繰り返されるシュプレヒコール。
午後5時15分ころ、議面の中から飛び出してきた教育労働者が「たった今、特別委で強行採決された」と叫んだ。「うぉー」「ふざけるな」。腹の底から怒りの声がわき上がる。「強行採決弾劾」「改悪を阻止するぞ」。何度も何度も抗議のシュプレヒコールがたたきつけられた。
その後も、強行採決の報を聞きつけて、駆けつけてくる人が後を絶たない。午後6時からの教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会の国会前集会は、これまでで最大の1000人以上の労働者・市民が参加した。
北海道から50人で上京した北教組の代表は「子どもたちの悲痛な訴え、現場教職員の悩みをまったく聞かずに強行採決した暴挙を断じて許せません。いじめの原因は、自民党が推し進めてきた差別・選別の教育にこそある。私たちはけっしてあきらめてはいない。明日からも断固として闘いぬく」と決意を述べた。
千葉高教組の組合員は「今この国は差別と戦争と人を殺すことが平気な国になっている。絶対に改悪を止めることはできる。あきらめてはいけない」と訴えた。
全国連絡会呼びかけ人の三宅晶子さんは「強行採決は安倍内閣のファシズムへの第一歩。安倍首相は国会の権力を握って、自由、人間の尊厳、正義を踏みにじろうとしている。力を合わせて改悪を止め、ファシズムの一歩を止めよう」と緊迫した表情で呼びかけた。
リレーハンストの先頭に立つ東京の「日の丸・君が代」被処分者が、「こんなに腹が立ったのは初めて」と述べてシュプレヒコールの音頭をとった。「強行採決弾劾」「この暴挙をわれわれは忘れないぞ」。怒りに震えて時たま声が途切れ、周囲から「頑張れ!」と声が飛ぶ。国会前と首相官邸前に1000人の怒りの声が響き渡り、「また明日、国会前に来よう。仲間に事態を報告し、より大きな力で改悪を阻もう」と誓った。
(写真 リレーハンストを闘う教育労働者を先頭に約500人が国会前に【15日午後 衆院第2議員会館前】)
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週刊『前進』(2272号2面2)(2006/11/27)
発言
この悔しさ忘れぬ
参院で必ず廃案に
●東京「日の丸・君が代」被処分者・Nさん
昨日・今日と「これが民主国家なのか」ということを次々やって、まったく反省しない。独裁者が勝手にやることがいい世の中だ、と示すような国会運営は本当に許せない。しかし私たちの方が多数派です。何としても止めましょう。(16日)
●北教組・Sさん 強行採決は与党の数によって法案を通すという暴挙。あの国会議員たちに、現場の教職員の苦しみや悩み、努力がわかっているのか。本当に大きな怒りを感じた。北教組は11月25日に札幌で1万人集会を行う。国会での採決を目の当たりにした今日の悔しさを忘れず、さらに大運動をつくり出して改悪を阻もう。(16日)
●神奈川・三浦半島地区教職員組合・Yさん 腹の底から怒っている。職場に差別・分断を持ち込み子どもと教職員を傷つけてきたやつらが、教基法が悪い、組合が悪い、現場の教職員が悪いと攻撃している。それは戦争ができる国づくりにとって私たちが邪魔だから。
三浦半島教組は11月9日、横須賀で2000人の結集で10割の全員集会を行った。彼らは私たちの闘いに追いつめられ、強行採決せざるをえなかった。闘いを広げれば廃案にできる。周りの労働者に声をかけ、動こうとしない組合指導部は突き上げて闘おう。それができるのは現場の労働組合員だ。労働者の誇りにかけて闘おう。(16日)
●「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・Kさん 安倍は「美しい国」と言うが、いじめ、未履修、やらせ質問、汚いことしかやっていない。東京では教職員を大量処分でいじめている張本人。労働者の願いを真っ向から踏みにじる彼らに教育を語る資格はない。今日の人の波を一周り二周り広げ、参院で廃案に追い込もう。今ここにいる私たちは歴史の最前線に立っている。一層の決意を込めて闘おう。(16日)
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週刊『前進』(2272号2面3)(2006/11/27)
各地で公聴会を弾劾
教育基本法改悪に向けた衆院教育基本法特別委員会の地方公聴会が、11月8日に仙台、宇都宮、津、名古屋で、11月13日には札幌と大分で強行された。これに対し、各地で弾劾行動が闘いぬかれた。(仙台での抗議行動は前号既報)
(写真 三重県教組の組合員らが公聴会の会場前で教基法改悪阻止を訴えた【11月8日 三重県津市】)
●三重県津の公聴会は8日午前、都ホテルで行われた。「教育基本法の改悪をとめよう!三重連絡会」の呼びかけにこたえ、早朝から会場前には三重県教組の組合員など大勢の人びとが駆けつけた。関西からも「教育基本法改悪をとめよう!兵庫連絡会」や「みんなでとめよう!教育基本法改悪全関西の集い実行委」、部落解放同盟全国連合会などが合流した。
教基法改悪の問題点を暴き、この公聴会が衆院採決強行に向けた密室審議であることを訴えて、ビラを配布した。通行する人のほとんどがビラを受け取り、教基法改悪への関心の高さを示した。
公聴会終了後、傍聴者からその様子が報告された。発言者3人のうち2人が改悪案に賛成し、学習塾経営者は「公立学校も株式会社制度にすべきだ」と発言したという。これに対して怒りを燃やし、参加者は引き続き行動を強化することを確認しあった。
●名古屋の公聴会は、8日午後、名古屋国際ホテルで行われたが、会場前は終日「採決するな!改悪案を廃案に!」の声がとどろいた。「教育基本法改悪をとめよう!愛知連絡会」などが呼びかけた抗議行動には愛知県高教組など100人近くの人びとが集まり、代表団がホテルの中で要望書を読み上げ、衆議院の責任者に手渡した。
公聴会では4人が発言し、うち3人が「戦後教育では国家を意識した教育が不十分だった」などと述べて改悪案に賛成した。これに対し、高橋哲哉東大教授が、「現在の改正論議は教育的視点ではなく政治的意図から出てきた」「現場の多くは改正を望んでない」と反対意見を展開した。
●栃木県宇都宮での公聴会は8日午後、同市内のホテルで行われ、3人の発言者全員が改悪案に賛成した。会場のホテル前やJR宇都宮駅前では、教育労働者を始め労組、市民団体による抗議行動が取り組まれた。
●13日、大分市内のホテルで開かれた公聴会に対し、地元の市民グループや「とめよう戦争への道!百万人署名運動福岡県連絡会」などが抗議のビラを配布し、傍聴闘争を闘った。
公聴会では3人の発言者のうち2人が「家庭、地域の教育力が落ちている中、時代に即した改正を期待したい」などとして改悪案に賛成した。
「やらせ公聴会」に高まる怒り
ところが、社民党の保坂展人議員が、現行法のどこをどう変えるべきかと2人に質問すると、「不勉強です」「自民党案、民主党案も熟知していません」としか答えられなかった。公聴会から出てきた傍聴者は「やらせ公聴会反対」のボードを掲げて怒りを表した。
公聴会後、大分県教組、高教組主催の報告集会が行われ、「なんとしても廃案に」と決意を固めあった。
●13日、札幌市内のホテルで行われた公聴会では、3人の発言者のうち2人が「誇り高い日本人を育てることは国民の義務」などとして改悪案に賛成した。
会場前では「とめよう戦争への道!百万人署名運動・北海道」や地元の労働組合などが「戦争のための改悪をやめよ」と訴え、ビラを配った。会場の周辺には15人もの私服警官が配置され、申し入れ行動を妨害してきたが、それをはねのけ、代表が申し入れ書を読み上げて、衆院事務局の責任者に手渡した。
(写真 公聴会会場のホテル前で「採決するな」「改悪案を廃案に」と訴える人びと【11月8日 名古屋】)
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週刊『前進』(2272号2面4)(2006/11/27)
国労弾圧公判 “除名を念頭に査問手続き”
高嶋元国労委員長が本音を吐露
11月8日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第66回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれ、高嶋昭一証人への尋問が行われた。高嶋証人は02年5月27日の国労臨時大会当時、国労本部委員長の役職にあり、大会を招集した当人だ。
この大会で国労本部は鉄建公団訴訟を提起した闘争団員への統制処分手続きを決定した。これに抗議し、ビラまき・説得活動に立った国労組合員らの行動が「暴力行為」にデッチあげられたのが5・27臨大闘争弾圧だ。
5・27臨大に先立つ02年4月、自民党らは国労本部に鉄建公団訴訟の鎮圧を迫る3与党声明を出していた。葉山岳夫弁護人、佐藤昭夫弁護団長、一瀬敬一郎主任弁護人が尋問に立った。「3与党声明の後、与党から具体的に反対派組合員の除名を求められたのか」と問いただす弁護団に、高嶋はあっさりと「解決案をのむ闘争団、のまない闘争団がいては困るから、除名という話が出た」と言ってのけた。弁護団が「除名を念頭に統制処分を進めたのか」と念を押すと、高嶋はためらわずに「はい」と答えた。
与党や高嶋らが意図していたのは、鉄建公団訴訟原告を国労から除名することだったのだ。しかも高嶋は、労働組合の統制権にも合理的限界があることをまったく知らなかったという。
高嶋は当時、大会や中央委員会で「鉄建公団訴訟はJR復帰を放棄し、国鉄闘争を否定するもの」「一部闘争団による団結破壊」などの非難を繰り返していた。弁護団は、「今でもそう思っているのか」と問いつめた。高嶋は「その後の鉄建公団訴訟の経緯は知っているが、4党合意で解決できなかった私としては、評論は避けたい」と述べて首をうなだれた。
5・27臨大当時、国労本部は「(JR不採用について)JRに法的責任がないことを認める」とした4党合意を受諾し、JRの不当労働行為を認定した労働委員会命令を自ら投げ捨てつつあった。「それは背信行為」と指摘する弁護団に、高嶋は「JRが命令を履行してくれればいいが、今の法体系はそういうシステムになっていないから」と「政治解決」路線を弁解した。佐藤弁護人が声を強め、「労働委員会命令の取り消し訴訟を起こしていても、使用者には命令を履行する義務がある。それも知らなかったのか」と問いつめた。高嶋は「その理解はなかった」と返答した。
5・27臨大当時、被告とされた国労組合員は「4党合意は不当労働行為」として労働委員会に救済を申し立てていた。その結果、労働委員会は4党合意の首謀者、甘利明・自民党副幹事長(当時)の証人喚問を決定した。こうした事態について、当時、高嶋は甘利から強く叱責(しっせき)された事実も認めた。
また高嶋は、国労大会に際して毎回、自ら麹町警察署に警備要請に赴いていたことを告白した。
次回公判は、5・27臨大当時、新橋支部委員長を務め、大会で4党合意反対の立場から修正動議を提出した篠崎信一証人への尋問だ。山場を迎えた公判闘争に集まろう。
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週刊『前進』(2272号2面5)(2006/11/27)
10・26〜11・10
厚労省労働時間規制撤廃へ新提案
9月失業率は微増/民放労連が放送命令反対声明
●春闘共闘委が07春闘方針構想案 全労連や純中立組合でつくる国民春闘共闘委員会は総会を開き、07春闘方針構想(案)を提起。案は来年1月18日の代表者会議で春闘方針として決定。(10月26日)
●郵政公社人員不足で2100人採用 日本郵政公社は、配達や営業を担当する外務職員約2100人を来年春に採用するため、採用試験を実施すると発表。(27日)
●9月の完全失業率4.2%に上昇 総務省発表の労働力調査によると、9月の完全失業率は4.2%で前月に比べ0.1ポイント上昇。厚労省発表の一般職業紹介状況によると、9月の有効求人倍率は1.08で前月と同水準だった。(31日)
●JFEスチール、技能系社員のみ賃上げ提案 JFEスチールは、技能系社員の一部に限って来年4月から賃上げする賃金制度改定案を労働組合に提案した。6年ぶりの賃上げだが、一律ベースアップを否定するもの。(31日)
●民放労連などが放送命令に反対 民放労連は総務相によるNHKへの放送命令に反対する声明を発表。8日には日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)も発表。だが菅総務相は10日、NHKに放送命令を強行した。(11月1日)
●ホワイトカラー・エグゼンプション「知っている」は9% 連合はインターネットアンケート調査の結果を発表。ホワイトカラー・エグゼンプションについて「内容まで知っていた」は9%、「名前は聞いたことがある」は18.4%となっている。(6日)
●連合、中小共闘は春闘2500円以上の要求へ 連合は07春闘へ向けた中央討論集会を開催。4年目を迎えた中小共闘は、要求額の目安として賃金カーブ維持分に加え、2500円以上の賃金改善を求める方針を示した。(7日)
●犯罪発生件数に失業率影響 法務省は06年版犯罪白書を公表。失業率の動向が犯罪発生件数の増減に影響していると分析。(7日)
●残業代「自己申告制」いまだ4割 連合総研の調査によると、残業手当が支給される時間の決定方法は、自己申告制をとる企業が最多の40.7%だった。(7日)
●新労働時間制導入で1人当たり年間114万円の損失 全労連系の研究団体・労働総研が、ホワイトカラー・エグゼンプションが導入されると、労働者1人あたり年114万円、日本全体だと約11兆6千億円もの損失になるとした試算結果を発表。(8日)
●労政審分科会で新エグゼンプション制度提言 厚労省の労働政策審議会労働条件分科会が開かれ、「今後の労働時間法制について検討すべき具体的論点(素案)」が示された。「自由度の高い働き方にふさわしい制度の創設」を提起している。(10日)=要旨別掲
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厚労省「今後の労働時間法制」新素案の概要
●自由度の高い働き方にふさわしい制度の創設
一定の要件を満たすホワイトカラー労働者について、個々の働き方に応じた休日の確保及び健康・福祉確保措置の実施を確実に担保しつつ、労働時間に関する一律的な規定の適用を除外することを認めることとしてはどうか。
◆制度の要件
@対象労働者の要件として、次のいずれにも該当する者であること
・労働時間では成果を適切に評価できない業務に従事する者であること
・業務上の重要な権限及び責任を相当程度伴う地位にある者であること
・年収が相当程度高い者であること
A制度の導入に際しての要件として、労使委員会を設置する
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週刊『前進』(2272号2面6)(2006/11/27)
本物の労働者党建設へ圧倒的カンパ訴えます
戦後、焼け野原の中から立ち上がった日本の労働者は、わずか1年半のうちに1947年2・1ゼネストに上りつめ、260万人の官公労労働者が吉田内閣打倒に立ち上がりました。この闘いはGHQの銃剣によって挫折させられたとはいえ、現在の憲法はこうした嵐のような闘いの渦中で制定されました。
今まさに安倍政権は教育基本法改悪案の衆院採決を強行し、これを突破口に6年以内に憲法を改悪するとまで公言しています。改憲が問題になる情勢とは、再び労働者階級と資本家階級が決着を求めて真正面から激突する時代が来たことを意味します。
10年にわたる賃金切り下げと不安定雇用化の攻撃で、労働者の貧困化が著しく進行しています。OECD報告では、日本は加盟国中第2位の貧困大国です。トヨタが2兆円を超える収益を上げる一方、働いても働いても生活保護以下の収入しか得られない現実が労働者に強いられています。年金・医療制度改悪、障害者自立支援法を始めとした社会保障制度の解体に続き、大増税が画策され、労働者はもはや闘わなければ生きられません。
学校での「いじめ・自殺」の元凶も、資本主義(帝国主義)のどんづまりの危機にあります。青年労働者の半分が非正規雇用を強いられ、年間3万人もの労働者人民が自殺に追い込まれ、社会全体が「いじめ」を当たり前とする構造になっているのです。労働者を食わすことも生かすこともできなくなった資本主義はすでに歴史の生命力を失っています。
時代はまさに労働者の時代です。労働者階級の力のみが戦争に突き進む流れを止め、この社会を根本から変えることができるのです。森元首相が公言したように、安倍政権は来年7月の参院選を「日教組・自治労壊滅が最大の争点」と位置づけ、「官公労は最大の抵抗勢力」として、戦後革命期以来の決戦を労働者人民に仕掛けています。
私たちの回答は一つです。今こそ労働者人民の団結で安倍改憲政権打倒へ、今国会での教基法改悪を絶対阻止し、格差社会をぶっ飛ばす。それにふさわしい本物の労働者党、革命党を断固として登場させることです。
全世界で怒りの声が噴出し、労働者の大反乱が始まっています。全世界の労働者は一つの敵に向け、団結して闘いを開始しています。11・5で開始した闘いを真の勝利に結実させるために、かつてない決意に満ちた圧倒的な年末一時金カンパを心から訴えます。ともに闘いましょう。
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週刊『前進』(2272号2面7)(2006/11/27)
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
第67回 11月29日(水)/第68回 12月20日(水)
第69回 1月10日(水)/第70回 1月31日(水)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁
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週刊『前進』(2272号3面1)(2006/11/27)
郵政民営化との闘いはこれから
経費削減で殺されてなるか
職場の団結で組合再生を
日本郵政公社は、1年後の民営化を前にして、10月27日、急きょ2100人もの一般職(外務区分)の新規採用を発表した。これは、合理化による人員削減が進行し、強労働による勧奨退職があいつぎ、要員不足が限界を超えたことを示している。全国で吹き出しているJPS(郵政版トヨタ方式)の破産と併せ、民営化攻撃はもはや完全に行き詰まっている。郵政現場では何が起こっているのか。今回寄せられた関東の全逓(JPU)労働者の報告は、現場労働者の団結と反撃の開始が、民営化全体を崩壊させる現実性を明らかにしている。(編集局)
要員の不足でトラブル続出
I局の集配では、総務主任2名が降格し、もう1人も連絡とれず1カ月以上欠勤状態が続いている。この総務主任は班長で配達先とのトラブルを解決できずに悩んでいたという。
当局は誤配や交通事故に対して即処分を通例にしているが、そもそも昼休みもとれないほどの過密な仕事量と、「超勤は当然」という職場ではミスは不可避だ。欠員補充の要求を無視し、要員不足を常態化させている公社・当局にこそ最大の責任がある。
しかし、仕事が極限的にきつく回らなくなると、どうしても労働者の間で競争と分断が起こる。「あいつは仕事が遅い」「あいつは仕事をしない」など、仲間に怒りのほこ先を向け、団結が崩れるように当局が仕向けている。
だが、職場でのねばり強い討論をとおして、一切の問題はアクションプラン1・2(効率化と人員削減)にあるという自覚が次第に強まり、労働者同士が助け合い、団結し、「何でも話し合える関係」をつくりあげ、増員要求で当局の責任を追及しようという気運が日々増している。
労働者を「商品」として扱い、徹底して搾り取ったあげく使い物にならなくなったら切り捨て、新しい「商品」に取り変える、このむき出しの資本主義の本質があらわになっている。この現実を前に、郵政労働者は自分の誇りを取り戻しつつある。職場の団結を突き崩す攻撃は、逆に、実際に仕事を回しているのは誰なのかを、労働者に自覚させ始めているのだ。
H局では、この9月、組み立てゆうメイトさんの約半分を雇用延長せず、期間満了=実質上の首切りを強行しようとしてきた。更新を繰り返してきた当局には、雇用期間を更新する責任があるのは当然のことだ。
当局は、非正規労働者だから簡単に解雇できると算段してきたが、予想外の要員不足という事態に直面し、雇用延長をせざるをえなくなっている。分断支配をのりこえ、正規職と非正規職の労働者の団結が郵政の現場では緊急の課題となっている。
(写真 バイクで集配にむかう郵政労働者)
動労千葉の安全闘争に学ぶ
G局では、郵政版トヨタ方式(JPS)の攻撃として、バイクの削減と更新長期化問題が深刻だ。当局はコスト削減のために、これまで個人に固定していたバイクを交代で使用するよう変更してきた。専用のバイクがなくなった職員(ゆうメイト)は、朝からバイクの確保に大変苦労する。バイクが固定していれば異常に気付きやすく、早期に発見し事故などを未然に防ぐことができるが、毎日違うバイクとなると、「こんなものか」と違和感を覚えても修理等に出さず放置されてしまい重大事故につながる危険性が出てくる。
また要員不足のために、従来よりも受け持つ区域が広くなったことで積載量も多くなり、バイクの負担も大きく、磨耗と故障が従来より進む。ところがバイクの更新基準が不明のもの、明らかに基準を超えたものがあるのが現状だ。バイクの安全問題は命に直結するものであって、安易なコスト問題でとらえる筋合いのものではない。
当局は、集配労働者のプライドをコスト問題で傷つけ、当局の言いなりになる現場にしようとしている。しかしことは命に関わることであり、現場の怒りは爆発寸前だ。動労千葉の反合・運転保安闘争の勝利の地平は、今、郵政職場にとって切実なものとなっている。
現場から反撃し闘う組合へ
もうすぐ年末・年始の繁忙期がやってくる。通常の時期ですら要員不足のため、仕事が回らないでトラブルやミスが頻発しているのに、大量の年賀を処理できるのか、現場には不安が高まっている。
しかし組合は、繁忙手当削減や、特例休息の廃止を当局と一緒になって現場に押しつけてきている。「権利の全逓」とまで言われた組合が、労働者の闘いとってきた諸権利を投げ捨てている。現場の要求を無視し、郵政公社の忠実なパートナーとして、「利益優先」を組合方針としている始末だ。
組合役員は、腐りきった全逓本部を打倒し、全逓を現場から変革していこうという路線も方針もないため、自己保身のために組合を利用しているにすぎない。
しかし、既成の労組執行部への不満を言い合っているときは過ぎた。今必要なことは、「郵政民営化絶対反対」の立場から直ちに闘いの方針を現場労働者自らがつくりだし、分会・支部に拡大し、闘う機関につくり変え、労組を現場労働者の手に奪還することだ。
労組は、労組幹部のためにあるのではなく、現場労働者のためにあることを職場闘争の開始で示すのだ。実際に仕事を回しているのは当局でもなく、労組幹部や組合役員でもない以上、それはまったく可能なのだ。
(全逓労働者 三浦行雄)
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週刊『前進』(2272号3面2)(2006/11/27)
11・12日比谷 教基法改悪阻止へ8千人
“採決強行許すな”
“9・21判決広げ改悪法廃案へ”
11月12日、日比谷野音で開かれた教育基本法の改悪をとめよう!全国集会(主催/全国連絡会)に、全国から教育労働者を先頭に8000人が結集した。政府・与党による採決強行が切迫する中、会場全体が緊迫感に包まれ熱気あふれる集会となった。
よびかけ人あいさつで大内裕和さんが、「教育の格差は労働現場の格差と結びついている。一方で若い労働者には働いても生活できない層を生み出し、他方で巨額の利益をむさぼっている企業がある。子どもは、教育は、労働者は売り物ではない。若者に必要なのは愛国心ではなく、労働組合だ」と檄を発した。
都教委による「日の丸・君が代」強制に対し、処分攻撃を許さずに闘い抜いてきた教育労働者が大挙して登壇した。“ハンスト決行中”のたすきをかけた労働者の姿がひときわ印象的だ。代表して発言した予防訴訟原告団であり、「日の丸・君が代」不当処分撤回被処分者の会事務局長の近藤徹さんは、「9・21判決は私たちに勇気と確信を与えてくれた。政府は教育基本法改悪の理由に『規範意識を育てる』をあげているが、憲法も教育基本法も踏みにじってきた彼らに『規範意識』を語る資格はない。9・21判決を全国に広め、教基法改悪案を廃案に追い込もう」と確信をもって訴えた。
また、連日国会前での座り込みを続ける北海道教組から200人が参加していることが報告され、「9・21判決に続く北海道人事委員会での処分取り消し決定は、闘いの正当性を示してくれた。さらに世論を喚起して改悪を阻止しよう」と発言し、会場全体から割れんばかりの拍手が響いた。
(写真 寒風をついて首都圏の教育労働者を先頭に8000人が結集。「今、改悪を許せば戦争につながる」という危機感が会場にあふれた【11月12日 日比谷野音】)
森発言への怒り
高橋哲哉さんは、安倍政権の極右体質に警鐘を乱打し、「為政者の国家戦略のために教育が利用されてはならない」と訴えた。また三宅晶子さんは、「国家によって生きる価値のあるものとないものへの選別が行われ始めている」と教育行政を批判し、「森元首相が日教組・自治労を壊滅すると言っている。ここに教基法改悪の狙いがある。今こそ労働組合の団結権を奪い返して闘うことが重要です」と提起した。
大分の発言者は49年の教科書を示しながら、教基法改悪を許してはならないと訴えた。そして連日国会前で座り込んできた益永スミコさんが、大分の公聴会でも反対行動を行うことを報告した。
最後に小森陽一さんから方針提起を受けて、参加者は組合旗を林立させて次々と銀座へのデモ・パレードに出発した。
国会前での被処分者を先頭としたハンスト決起は、全国の教育労働者の怒りや危機感と結びつき、教基法改悪反対の大きなうねりをつくり出している。この日の集会の高揚も、国会前の闘いの熱気がそのまま持ち込まれたものだ。教育労働者の現場からの決起は、明らかに政府を追い詰め、社会を揺るがす闘いとして発展している。
(写真 “愛国心を押しつけるな”と訴える被処分者の会を始めとした教育労働者のデモ隊【東京駅前】)
日教組の再生を
この時、日教組本部が何ら攻勢的・決戦的な闘いの方針を出さず、民主党にすり寄り、おざなりの「非常事態宣言」とわずかばかりの国会動員でお茶をにごし、現場労働者の怒りを押しつぶそうとしている。まったく許しがたい。教基法改悪をめぐる最大の攻防点は、文科省とのパートナー路線で職場での闘いを放棄する日教組本部を現場からの決起で断罪し、本部を打倒し闘う日教組を再生することの中にある。それが森元首相の「日教組壊滅」宣言や中川昭一政調会長の「デモ教師は免許はく奪だ」発言に対する現場からの回答だ。
求められているのは11・5労働者集会の戦闘的高揚がさし示した道だ。徹底して職場の闘いにこだわり、闘いの中で団結をつくり出し、職場支配権を確立し、日教組を現場組合員の手に奪い返していくことだ。それは国鉄分割・民営化=組合破壊攻撃と徹底対決して闘ってきた動労千葉の闘いに学び、動労千葉労働運動を、今、この決戦のただ中で実践していくことである。
9・21判決を武器に、「日の丸・君が代」不起立の闘いを教育労働者の「戦争協力拒否宣言」として闘おう。職場から闘う労働組合を再生し、教育基本法改悪を絶対に阻止しよう。
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週刊『前進』(2272号3面3)(2006/11/27)
教育改革タウンミーティング
安倍が「やらせ」の張本人
「小泉内閣の閣僚と国民との直接対話」「あなたの意見が日本の未来を創ります」
そんな文字が映し出される中で行われた教育改革タウンミーティング(TM)。03年から8回開かれたこの教育改革TMのうち、5回が「やらせ」であったことを政府が認めた。「やらせ」質問はすべて、文科省から内閣府に出向していた役人が当時の安倍官房長官のもとで作成し、各県教委に指示を出していたという。もちろんどの質問も「教育基本法の改正に期待する」という内容だ。
しかも、さらにこの「やらせ」質問をした発言者に、5000円の謝礼金を支払っていたことが判明した。この「協力者謝礼金」は内閣府が運営を委託した広告代理店と結んだ契約の中に予算化されていた。まさに内閣が総ぐるみで世論のねつ造を行ったということである。これだけでも内閣が吹っ飛ぶほどの大問題なのだ。
中教審が「教育基本法の改正」を求める答申を出したのが03年の3月。「やらせ」のTMはその年の12月から始まっている。世論を「教育基本法改正」へと誘導するためにねつ造の工作を行ったことは明白である。
安倍は、02年から小泉内閣の官房副長官、03年に自民党幹事長、05年には官房長官を務めてきた。小泉の右腕としてこの「やらせ」をしくんだ張本人だ。その安倍が「知らなかった」などと言うことは通用しない。このねつ造工作の中心にいた文科省の広報室長は、安倍内閣の発足と同時に首相直属の「特命チーム」の一員に取り立てられている。現在は、「教育改革」を担当する山谷えり子首相補佐官をサポートする内閣参事官として、教育再生会議を仕切る役割を演じている。安倍の「教育再生」とはこうした世論ねつ造の上に進められようとしているのだ。
そもそもこのタウンミーティングというのは、01年の小泉政権の登場とともに「積極的な国民との対話」を触れ込みに、これまで174回も行われてきた。テーマも郵政民営化・司法改革・国民保護・再チャレンジなどあらゆる分野に及んでいる。政府が認めただけでもその半分で「やらせ」が行われていたというのである。こんな世論のねつ造の上に行われた小泉政治、とりわけ教基法改悪は完全に無効である。
この世論ねつ造の裏には、労働者・労働組合の闘いに対する支配階級のものすごい恐怖がある。教育基本法に手をつけ、憲法9条に手をつけたとき、労働者階級の総反乱がまき起こることを死ぬほど恐れているのである。森元首相の「日教組・自治労の壊滅が参院選の争点」発言、中川昭一政調会長の「デモをする教師は免許はく奪だ」発言などもまったく同じだ。
60年安保で国会を30万人の労働者・学生が取り囲み岸内閣を打倒した時、岸首相は「声なき声が私を支持している」とうそぶいた。孫にあたる安倍は「声なき声」を「やらせ」でデッチあげたのだから、もっと悪質でファシスト的だ。こんな安倍政権は労働者人民の国会包囲で打倒される以外にない。教育基本法改悪を絶対に阻止しよう。
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週刊『前進』(2272号3面4)(2006/11/27)
“法律に無理が。見直すべき”
偽装請負を居直る御手洗
企業の空前の収益なるものが、「偽装請負」を満展開し、労働者階級をワーキング・プアの状態にたたき込むことで実現されたものであることが社会的に暴露・弾劾されている。
その張本人の一人、キヤノン会長の御手洗・日本経団連会長が、10月13日の経済財政諮問会議の場で「請負法制に無理がある」と言い放った。キヤノンの違法行為を認めて謝罪するのではなく、まったく逆に法律を現実に合わせろと開き直ったのだ。
まさに、「法律は自分たちのためにある」と言わんばかりの勝手気ままな言い草である。資本家どもが今あるブルジョア法すら守らないというのなら、労働者階級も法律にしばられる必要はまったくない。資本家階級を打倒する革命をやるだけだ。
この日の会議は、安倍政権になってから初めてのものだった。安倍政権発足に合わせて会議の民間委員4人も総入れ替えとなり、5月に奥田の後を継いで経団連会長になった御手洗は、経済財政諮問会議でも奥田の後を継いで委員となった。その御手洗が最初に出席した会議の場でこのような主張をしたのだ。
御手洗は会議で、「現場で雇っている方が教えるのは当たり前。法律を遵守するのは当然だが、これ(請負元が指揮してはいけない)では請負法制に無理があり過ぎる。これを是非もう一回見直してほしい」と主張した。だが、これは問題のすり替えである。
今問題になっている「偽装請負」は、労働者の権利を守れないからと禁止されていた製造業への労働者派遣が04年3月の派遣法改悪で解禁されたにもかかわらず、一定期間派遣労働したら派遣先に雇用義務が生じるという派遣法の規定が資本にとってじゃまなので、引き続き脱法的に請負を装っていたことから生じている問題なのだ。その証拠に、御手洗は、「今の派遣法のように3年経ったら正社員にしろと硬直的にすると、たちまち日本のコストは硬直的になってしまう」とも主張している。つまり、請負法制だけでなく派遣法も改悪しろというのだ。
だから、必要なのは「偽装請負」を派遣に置き換えることではない。派遣も請負も廃止して、すべての労働者が正社員として働けるようにすることなのだ。
「サービス残業」や「偽装請負」の横行を見ても分かるように連合中央や全労連中央が闘わない中で、労働者の権利はまさに「絵に描いたもち」の状態だ。それどころか、現実に法律を合わせると称して労働法制の改悪が、8時間労働制の解体や、終身雇用制を解体する派遣法などの制定として80年代中期以降進行してきた。今回の御手洗発言は、さんざん戦後労働法制を改悪してもまだ足りないと、労働者階級を19世紀初頭の「工場法以前」の状態にたたき込もうという攻撃なのだ。
「法律を現実にあわせろ」という御手洗をぶっとばし、労働者の権利を権利として貫くためにも動労千葉のような闘う労働組合の復権が必要だ。
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週刊『前進』(2272号3面5)(2006/11/27)
合同労組全国交流会厚労省に申し入れ
“労働法制改悪に反対”
11・5全国労働者集会・デモの熱気がさめやらぬ翌6日、闘う合同労組全国交流会の代表団は、厚生労働省に以下の3点について申し入れを行いました。
1、厚生労働省が国会に上程しようとしている労働契約法制については、労働基準法や労働組合法で保障された労働者の権利を侵害するものであるので、立法化をやめること。
2、労働基準法の「改正」による、いわゆるホワイトカラー・エグゼンプションの導入によって、今でさえ解体されている「1日8時間労働」制が完全に有名無実化するので導入しないこと。
3、現行パート労働法の努力義務規定を強制力のあるものに改正するか、新たな法律の制定、及びILO条約の遵守・批准によって、全ての非正規雇用労働者の均等待遇原則を保障すること。
前回5月の申し入れの際に私たちに大見得を切ったY担当官は、6月に労働政策審議会の労働条件分科会で起きた審議紛糾の責任を取らされたのか出てきません。代わりに出てきた担当者からは「彼は担当が変わりました」としか説明がありません。年度途中で担当者が変わるとは政府の側もそうとうピンチです。
私たちは申し入れ書を読み上げ、正式に申し入れを行いました。その後、厚労省前での昼休みビラまきの後、国会議員を回り、さらにその足で国会前の教育基本法改悪反対ハンストの隊列に合流しました。教育基本法改悪阻止の決意表明は全体を代表して関西合同労組が行いました。
次回の申し入れは審議会の動向を見て随時行います。地域で基幹産別の仲間にも取り組みを広げてもらうのが課題です。
(投稿/司馬達朗)
(写真 合同労組全国交流会の労働者たちが厚労省の担当官に申し入れ書を読み上げ【11月6日 厚労省】)
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労働法制 改悪攻撃の要点
現在、厚生労働省は来年の通常国会に労働法制改悪案を提出するために月3回のペースで労働政策審議会の労働条件分科会で審議を重ねている。
そこでは、労働契約法制の新設と、労働時間法制の見直しが主要な議題となっている。
●労働契約法制
労働契約法制とは「現在の労働法制の中に採用や転籍、出向、解雇など労働契約に関する項目が規定されていない」ことを口実に、新たな法体系を導入し、戦後労働運動が積み上げてきた労働裁判の判例や労働委員会命令を清算することで、労働法制を全面解体しようとする攻撃だ。
労働契約法制は出発点からして労働契約を個別の労資関係ととらえた民法的な法体系であり、労働組合の存在を前提に集団的労資関係を規定した労働法制とは原理的に相容れない存在だ。
厚労省がこれまで提案してきた内容を見ても、@労働組合にとって代わる「常設の労使委員会」A解雇の金銭解決制度の導入B資本が自由に決定できる就業規則の優位性の確認、など労組否定の項目が並んでいる。
労働契約法制導入の攻撃は、まさに4大産別の労働組合解体攻撃と一体であり、改憲と戦争国家化攻撃と直結している。
だが、連合中央や全労連中央は、労働法制解体=労組破壊攻撃と闘わず、「ホワイトカラー・エグゼンプションは、サービス残業の合法化だから反対だが、解雇規制のためにも労働契約法は必要」と労働契約法制を基本的に容認している。
しかし、解雇を許さないためには、法律に頼るのではなく、闘う労働組合の職場闘争を復権させることが必要なのだ。
●労働時間法制
労働時間法制の見直しでは、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入が最大の焦点だ。
日本経団連は、昨年6月に発表した政府への要望書で年収400万円以上の労働者について労働時間規制を全廃することを求めている。これは「サービス残業」横行への怒りの爆発で、未払い残業代の支払いを余儀なくされていることへの危機感と開き直りである。
労働総研がこのほど発表した試算ではこの攻撃が実施されれば、1013万人もの労働者が残業代を受け取れなくなり、一人あたり換算で年間114万円の損失、労働者階級全体ではなんと11兆6千億円もの減収になるという。だがこの試算はホワイトカラーのみだ。実際に発動されれば工場労働者にも拡大する。
厚労省は資本の意を受け、ホワイトカラー・エグゼンプションの名前を「自律的労働時間制度」から「自由度の高い働き方にふさわしい制度」などとペテン的に変えながら必死に導入を狙っている。絶対に阻止しよう。
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週刊『前進』(2272号4面1)(2006/11/27)
「障害者自立支援法」“法撤廃へ”怒り爆発
日比谷−国会に1万5千人
「一から出直しを」のアピールを採択
「障害者自立支援法」成立から1年を迎えた10月31日、「障害者」の怒りが爆発した。日本障害者協議会、障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動実行委員会、全日本ろうあ連盟の3団体が呼びかける「出直してよ!『障害者自立支援法』10・31大フォーラム」に、全国から1万5000人が結集し、日比谷野外音楽堂、公会堂、「にれの木広場」、厚生労働省前など日比谷公園一帯を埋めつくした。われわれは、続々と結集する「障害者」、支援者に「自立支援法」の撤廃と11・5労働者集会への結集を呼びかけるビラまきを行った。
集会は12時半から始まり、各会場では、主催3団体の発言に続いて全国から集まった参加者が次々に「自立支援法」の問題性や破壊されていく生活の切実な現実を訴えた。また、公会堂では政党シンポジウムが行われた。ところが、「自立支援法」制定の最大の張本人である自民党は直前になってボイコットした。これが各会場に伝えられると参加者から激しい怒りがわきおこった。
厚労省前の集会では初めて自治労の代表が参加し発言した。「『障害者自立支援法』を一から出直す」ことを求めるアピールを採択し、国会議員要請団を送り出したあと、参加者は東京駅方面と国会請願の2コースに分かれてデモ行進した。国会前に到着したデモ隊は、教育基本法改悪に反対する教育労働者のハンスト団、日教組などの座り込みの労働者、共謀罪反対を闘う人びととエールを交換しながら、2時間にわたって国会前を席巻した。
(写真日比谷公園から続々とデモ行進に出発。1万5000人の大デモが国会と都心を席巻した【10月31日】)
厚労省がひた隠ししてきた法の正体
「自立支援法」の一部が施行された4月以降、厚労省がひた隠しにしてきた法律の具体的中身が明らかになるにしたがって、「支援法」に対する怒りと闘いは全国に拡大した。6〜7月には、東京、大阪を中心に抗議集会が繰り返し開かれた。また、5月末に明らかになった「精神障害者」「退院支援施設」に対して反対運動が展開された。これは、精神病院の病棟の一部を「自立支援法」施設に移行することで、事実上「精神障害者」を病院内に閉じ込めたまま法制度上退院したことにするという、とんでもない計画である。「地域移行に逆行する」「隔離の固定化、強化につながる」と強い反対の声が上がるのはあまりにも当然だ! 「精神障害者」を先頭に多くの「障害者」が厚労省への抗議を繰り返したたきつけている。その中で、10月施行を延期せざるをえないところまで厚労省を追いつめている。
東京の板橋では、区がこれまで行ってきた1日24時間の介助保障の削減を提案してきたことに対して、対象とされた区内の「障害者」全員が抗議行動に決起し、区庁舎内に座り込んで区の提案を撤回させた。杉並では、区内すべての「精神障害者」の作業所が一致して「自立支援法」への抗議の集会を行った。札幌、さいたま市、神奈川の相模原、名古屋、大阪の高槻など全国各地で数百人の「障害者」や家族などが県庁や市役所に押しかけ、「自立支援法」に対する抗議の闘いを展開している。
10月からの全面施行によって「障害者」をとりまく状況は一段と悪化している。障害程度区分ごとの国庫負担額が介護保険以下に引き下げられた結果、介助時間を大幅に縮める自治体が続出している。利用料負担に耐えかねて介助や施設利用をあきらめる人、利用を減らす人はさらに増え続けている。採算が取れず、閉鎖に追い込まれるグループホームや作業所が出始めている。
また、閉鎖は免れているものの、職員の賃金を切り下げたり職員数自体を減らして生き残りを図る施設や作業所は、膨大な数に上っている。その結果、現場の労働者の労働は極限的に過酷になってきている。
東京の東大和市では、これまで社会福祉協議会が行ってきた移動支援を採算が取れないことを理由に取りやめたため、病院にかかることができなくなった「視覚障害者」が出ている。昭島市では手話通訳に利用料を取ることを決めた。「会話をすることになぜ利用料を払わなければならないのか」と怒りが広がっている。こうした現実に対する危機感と怒りが1万5000人の結集を実現したのである。
「障害者」と労働者の団結で勝利開け
臨時国会には「障害者」の「所得保障が実現されるまで1割の応益負担は凍結する」などを内容とした「障害者自立支援法」改正案が民主党から出されている。社共もこれを支持し野党共闘が成立している。10・31の大結集を受けて、この改正案ではないが、春の通常国会では与党がかたくなに拒否した「自立支援法」に関する審議が、11月16日に参議院厚生労働委員会で行われることがついに決まった。
これは、「障害者」の声を踏みにじり、郵政解散後、3分の2議席を独占した与党が数にものを言わせて採決を強行した「自立支援法」の審議やり直しの突破口を開くものだ。いったん法律が成立したら「闘いはもう終わり」という「法案成立万能神話」を打ち砕く第一歩だ。首切り自由の悪法を若者と労働組合の闘いで撤回させたフランスの闘いにも似た画期的事態だ。これを突破口に、審議やり直しから「自立支援法」撤廃まで追い込もう。その実現は「障害者」運動の力、「障害者」と労働者の団結した闘いにかかっている。
民主党は来年の参院選に向けて当面、与党との「対決姿勢」をとっているが、憲法改悪や教育基本法改悪において本質的に自民党と変わるところがない。「自立支援法」改正案には「格差社会」批判で安倍政権との「違い」を出そうという狙いもある。「障害者」団体が超党派でつくった10・31陣形を国会に反映させるなら、改正案は民主党単独提出ではなく野党の共同提出にするのがふさわしいが、民主党はあえてそうしていない。
公明党は、10・31集会で「自立支援法」改正案を審議しろと言うなら「公明党が議員立法で出している臓器移植法改正案も審議してもらいたい」と発言した。こんな取引は絶対許せない。臓器移植法とその改悪は、「脳死」の名のもとに患者の命を選別する医療切り捨て攻撃であり、「障害者」を「価値なき命」として抹殺する「尊厳死・安楽死」に直結するものだ。
勝利の道は10・31に示された「障害者」運動の力、11・5集会に示された労働者の力をより大きく発展させる中にある。「障害者」と労働者の団結でフランスのように法撤廃まで闘おう。そこにむけ「自立支援法」審議やり直しをかちとろう!
〔関東「障害者」解放委員会〕
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週刊『前進』(2272号4面2)(2006/11/27)
相模原 1800人が基地を包囲
労組が続々と 日米同盟再編に怒り
(写真 「すぐ返せ!相模補給廠」の大横断幕を広げ人間の鎖で基地を包囲。フェンスの向こう側が米陸軍相模総合補給廠【11月12日 神奈川県相模原市】)
11月12日、「ちょっと待て!基地強化/すぐ返せ!相模補給廠/”人間の鎖゛行動」が神奈川県下の労組の大結集で闘いとられた。
米陸軍・相模総合補給廠には、小銃から糧食、野戦病院セット、各種工作車両に至るまで膨大な軍事物資が常時保管されている。アメリカの世界戦争戦略を支える最重要の兵たん基地であり、ベトナム戦争当時、100日間にわたる戦車搬出阻止闘争が爆発した所だ。
米軍再編の中、キャンプ座間への米陸軍第1軍団司令部の移転、陸上自衛隊の中央即応集団の移転と一体で、相模補給廠へは、まず戦闘指揮訓練センターと400両の軍用車両の駐車場設置が計画されている
昨年来、神奈川県下の労組が軸になり、キャンプ座間包囲行動が何度も取り組まれてきた。これに続いて、今回初めて相模補給廠を包囲する行動が取り組まれた。
(写真 組合旗を林立させ神奈川県下から1800人が結集。基地にむけこぶしを上げた【11月12日】)
◇ ◇
12時半から県央共闘会議の主催する前段集会が相模原市役所前で開かれた。司会は、婦人民主クラブ全国協が行った。最初に、自治労県央ブロック共闘会議議長が「日本全体が戦争への道を進んでいるとき、基地撤去の行動は大切だ」と主催者あいさつ。次いで湘北教組が「教基法改悪案の成立を何としても阻止する。子どもたちを二度と戦場に送らないために、教育基本法改悪との闘いと反戦・反基地の行動を一つに闘う」と決意表明した。県央ユニオンは「わずかな金を払って首切りを自由にし、8時間労働制を解体する労働法制改悪が狙われている。12月5日の全国闘争で絶対に阻止しよう」と訴えた。侵略戦争反対の闘いと労働現場での資本との闘いを一つにして闘う労働組合の勝利の方向が示されたことは重要だ。
厚木基地第3次爆音訴訟原告団が「裁判で勝ったが爆音はいっこうに減らない。第3次を上回る運動をくり広げ第4次訴訟に取り組む」と決意表明。19日投開票の沖縄県知事選について「必ず勝利をかちとろう」という呼びかけも行われた。300人の参加者はJR相模原駅までデモ行進し本集会に合流した。
2時から駅北口の市有地で、県下全域の多くの労組旗が林立する中、集会が開かれた。神奈川平和運動センター代表が「イラク戦争は敗北した。米軍再編との闘いは拡大している。補給廠の全面返還のために人間の鎖行動を成功させよう」と主催者あいさつ。平和フォーラムは「今日の日比谷野音の教基法改悪反対全国集会と連帯し、この行動を成功させよう」と呼びかけた。さらに、「基地の早期返還は市是だ」という相模原市・小川市長のメッセージ、原子力空母の母港化に反対する三浦半島地区労議長のアピールを受けた。
3時15分、花火を合図に基地北側の野積み場の1・5`を包囲する人間の鎖行動を開始、3回にわたり完全に成功した。労組交流センターは、11・5労働者集会の成功の息吹と緊迫する国会闘争への決起を熱烈に訴えつつ、ともに闘った。
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週刊『前進』(2272号4面3)(2006/11/27)
星野さんとともに11・25星野全国集会へ
11・25星野全国集会が目前に迫った。
すべての皆さん! 11月25日、東京山手教会へ集まろう。無実の星野文昭同志を取り戻すために、今こそ立ち上がろう。11・5労働者集会の高揚を引き継ぎ、星野闘争勝利の展望を切り開こう。
今この瞬間も、星野同志は徳島刑務所で闘っている。星野同志が繰り返し訴えているように、無期攻撃はひとり星野同志にかけられたものではない。それは、現在、戦争・改憲と民営化に立ち向かう労働者・人民すべてにかけられた攻撃としてある。労働者階級は、無期攻撃と闘う星野同志と家族に固く連帯し、どこまでも守り抜く。そして必ず星野同志を取り戻す。「無実の星野文昭さんを取り戻そう」の声をもっともっと押し広げ、全人民のものとしよう。
(写真 「FREE HOSHINO」の黄色いのぼり旗を林立させて銀座をデモ【11・5労働者集会】)
35年目の渋谷に総結集しよう。
再審連絡会の仲間とともに11・5に参加 杉並星野文昭さんを救う会 谷沢備作
私は、3労組が呼びかけた11・5労働者集会に、全国各地から結集した再審連絡会の仲間たちとともに参加しました。
会場前で11・25星野全国集会参加を訴えるビラをまき終えた後、少し遅れて日比谷野音に入場したところ、今回から「救う会」のシンボルとして登場した黄色いのぼり旗が、いやでも目につきます。これは、星野文昭さんの弟、修三さんがデザインしたものです。杉並、徳島、沖縄の三つの救援会から発足した再審連絡会が、全国に飛び火していく勢いを感じる光景を目の当たりにし、感激しつつ集会に合流しました。
国境を越えた労働者の連帯は、例年以上の発展を肌身で感じます。また、9・21判決勝利に沸く教育労働者の高揚感は、聞く者まで気持ちを高ぶらせてくれます。この道筋に安倍打倒、日帝打倒を確信させます。集会結集4900人の労働者と同じ思いを同じ場所で共有できたことを、明日からの闘いのエネルギーとしてフル充電しました。しかし、まだ何か心残りを感じます。それは「何故、彼はこの場にいないのか」ということです。
私は、杉並に住むようになってから、家族や星野文昭さんに思いを寄せる人たちを知ることをとおして、この運動に参加しました。それまでは、星野さんは偉大な先達であり、後の世代に属する私には英雄そのものでした。確かに偉大な英雄であることは間違いありません。だが、ただの英雄にしていていいのか! いいはずはけっしてないのです。
11月25日、渋谷・東京山手教会で星野全国集会が予定されています。11・5集会に参加し、感動を共有されたすべての皆さんに参加を訴えます。
11月労働者集会の成功の完遂は、星野奪還の完遂として本質的には保証されるものと、私は信じています。また、日帝・安倍による改憲攻撃のさ中、階級と階級が真に激突する戦後革命の再回帰的情勢は、星野奪還がまったく可能な時代が来たことを示していると考えます。既に、本年5月から、友人面会や手紙という交通権をかちとり、彼の息づかいも、われわれは感じることができています。一日も早く星野文昭さんを家族のもとへ! 労働者階級のもとへ奪還しよう! そして勝利しよう。11月25日、東京山手教会で会いましょう。
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星野文昭さんを取り戻そう
35年目の渋谷で問う
沖縄−星野11・25全国集会
11月25日(土) 東京山手教会
午後1時開場 渋谷公園通り
2時開会 JR・地下鉄渋谷駅
5時閉会 から300b
◎講演 知花昌一 反戦地主/読谷村議
−1972年沖縄本土復帰の内実を問う−
「星野文昭さんは何のために闘ったか」
◎朗読劇 イノセント ◎歌と語り
◎パフォーマンス「KAKOと今」
◇07星野カレンダーなど販売
主催/11・25全国集会実行委員会
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週刊『前進』(2272号4面4)(2006/11/27)
NHKに「拉致」放送命令
報道への国家統制を許すな
菅義偉総務相が11月10日、NHKの橋本元一会長を呼び、短波ラジオ国際放送で北朝鮮による拉致問題を重点的に取り上げるよう命令した。日帝・安倍政権は、北朝鮮への排外主義キャンペーンをテコに、NHKの全面的な国営放送化、報道全体の国家統制に道を開き、戦争のできる国家へと大転換しようとしている。
◆ ◆
命令書には、「放送事項」の中に「北朝鮮による日本人拉致問題に特に留意すること」という形で放送すべき内容が具体的に盛り込まれている。
そもそも、戦後の放送法の中に「国際放送実施命令」が規定されていること自身が、報道の自由を侵害する重大な問題をはらんでいた。しかし、これまでは「国の重要政策」などの一般的な形であった。今回は、具体的に「北朝鮮による日本人拉致問題」を重点的に取り上げるよう命令した点で、従来のあり方をも決定的に踏み越えている。
命令が表現の自由や報道の自由を侵害するという批判が噴出したにもかかわらず、電波管理審議会は関係者からの意見も聞かず、ただ一回の秘密審議で放送命令を「適当」とする答申を出した。さらに片山虎之助参院幹事長は「放送命令という用語や法律が古い。法改正してはどうか」と発言した。塩崎恭久官房長官も「命令によって放送の自由が問われるなら法律自体が問われることだ。この際、議論いただくのも一つの考え」と放送法改悪に言及した。
ここに安倍政権の報道に対する基本的政策がはっきりと示されている。政府がテレビ、ラジオ、新聞などの報道を国家統制し、政府の宣伝・広報機関として使おうということだ。戦前、日帝は報道を使って大本営発表などデマ情報を大宣伝し、都合の悪い事実はまったく知らせず、人民を戦争に動員した。今また同じことをしようとしているのだ。国民投票法案で報道を使って改憲の宣伝を流し、その一方で人民の改憲反対の運動を弾圧しようとしていることとも通底している。
◆ ◆
もともと安倍は、NHKの国際女性戦犯法廷の番組内容に政治介入し、改変させた張本人だ。政府は教育改革のタウンミーティングでやらせ質問を行っていた。その中で「協力者」に謝礼まで支払われていた。このように政治権力を使って、都合の悪い報道は圧殺し、都合の良いように「市民の意見」をデッチあげて歴史の偽造や「教育改革」キャンペーンなど反動攻撃を推進しているのだ。
安倍政権は、NHKが社内不祥事の続出で受信料収入が激減して危機にあることに付け込み、受信料義務化を検討するという言葉と引き替えにNHKの抵抗を抑えた。
この策動は、同時にNHKの労働組合・日放労=労働者を屈服させて、報道の国家統制に対して闘えなくしようという攻撃である。逆に今、日放労が労働組合としての団結を固めて闘いに立ち上がれば、こうした攻撃を打ち砕くことができる。
教育基本法改悪、改憲、共謀罪新設の攻撃と一体となったNHKへの放送命令=報道の国家統制を許してはならない。北朝鮮侵略戦争に突き進む安倍政権を打倒しよう。
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週刊『前進』(2272号4面5)(2006/11/27)
11月8日〜14日
「船舶検査」海自が極秘訓練
安倍が「核武装論議」を容認
●米民主党が下院で圧勝、米国防長官更迭
7日に投票された米国の上下両院議員、州知事などを選ぶ中間選挙は、下院(定数435)で民主党が227、共和党195。民主党が94年以来12年ぶりに過半数を奪還して圧勝した。上院(定数100)は民主党系無所属を合わせ50議席。ブッシュ米大統領は選挙を受けて記者会見し、ラムズフェルド国防長官の辞任を発表した。イラク政策の責任を取らせた事実上の更迭。後任にはロバート・ゲーツ元中央情報局(CIA)長官を指名した。(8日)
●ガザ住宅地をイスラエルが砲撃 パレスチナ自治区ガザの北部ベイトハヌーンの住宅地にイスラエル軍戦車部隊が約10回の砲撃を加え、子供7人を含む住民19人が死亡した。ガザでは9日、砲撃の犠牲者の葬儀が営まれ、数万人が参加した。(8日)
●安倍、核論議を容認 安倍首相は、民主党の小沢代表との党首討論で、麻生外相や自民党の中川昭一政調会長が核保有議論の必要性に言及していることについて「抑止はどうあるべきかという議論、またそういう議論に対する論評はあり得る」と述べ、発言を容認する考えを示した。(8日)
●船舶検査、海自が極秘訓練 海上自衛隊の特殊部隊「特別警備隊」が、国連安保理決議に含まれる船舶検査に備え、本部を置く広島県江田島市で連日極秘訓練を行っていると共同通信が報じた。(9日)
●「イラク戦争の死者15万人」 イラクのシャンマリ保健相は、イラク戦争開戦以来の死者数が「推計15万人」に上るとの見通しを示した。AP通信が伝えた。(9日)
●やらせ質問、文科省が積極関与
これまで8回開かれた政府主催の教育改革タウンミーティング(TM)のうち5回で「やらせ質問」が判明した問題で、文部科学省が質問案を作成するなど積極的に関与していたことが明確になった。青森県八戸市では県や市教委が集めた教員ら「関係者」がTM参加者の半数以上を占めていたことも分かった。(9日)
●東京都がテロ想定訓練 東京都は、国や民間事業者など関係する27機関とともに、大規模テロを想定した訓練を行った。今年3月に都がまとめた国民保護計画などに基づく「国民保護訓練」と位置づけ、図上訓練と実動訓練の2本立てで実施。(10日)
●V字形滑走路の双方向使用 沖縄県の普天間飛行場の代替施設のV字形滑走路に双方向から着陸できるよう米側が進入灯の設置を求めていることに対して島袋名護市長が「基本合意に反する」と批判したことについて、防衛施設庁の渡部施設部長は会見で、緊急時の双方向着陸は「基本合意書」には反しないとの認識を示した。(10日)
●NHKに放送命令 菅義偉総務相は、総務省にNHKの橋本元一会長を呼び、放送法に基づき短波ラジオ国際放送で北朝鮮による拉致問題を重点的に取り上げるよう命令した。具体的な項目をあげた命令は初めて。(10日)
●イスラエル軍のガザ砲撃非難決議、米が拒否権 国連安全保障理事会は、イスラエル軍によるガザ砲撃で8日に市民多数が死亡した事件を非難する決議案を採択したが、米国の拒否権行使で否決された。10カ国が決議案に賛成、日英などは棄権した。(11日)
●安倍「海外武力行使」を研究 安倍首相は米紙ワシントン・ポストの取材に応じ、海外での自衛隊の活動について「何が海外での武力行使に当たるのか研究する必要がある」と述べた。首相は集団的自衛権行使の解釈変更の研究を表明しているが、海外での武力行使に研究を拡大する考えを示したのは初めて。(14日)
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週刊『前進』(2272号5面1)(2006/11/27)
教基法決戦の先頭に 安倍の大学支配を許さず法大決戦勝利―総反撃へ
革共同中央学生組織委員会
11月15日、安倍政権は衆院特別委員会で教育基本法改悪案を強行採決し、翌日衆議院本会議で可決した。絶対に許すことが出来ない。怒りを込めて徹底的に弾劾する。衆院での単独採決強行を、逆に安倍政権の命取りへと転じよう。教育基本法改悪阻止・改憲阻止決戦は、これからが勝負だ。300万学生の怒りを爆発させ、教育基本法改悪阻止・安倍政権打倒に総決起しよう! さらに激しくキャンパスでの闘いと国会前闘争を闘おう。
(写真 ハンスト決起で闘う教育労働者に連帯して、全国学生も教育基本法改悪阻止の国会闘争の先頭に立った【11月6日 国会前】)
採決強行に学生の怒りを
安倍政権による教育基本法改悪案の衆院強行採決は無効だ。こんな採決は誰も認めていない。労働者階級と学生の怒りに火をつけただけだ。命をかけてハンガーストライキを貫徹する教育労働者を先頭に、国会前は連日闘う労働者人民の怒りにあふれ、安倍政権打倒の最前線となっている。
「教え子を再び戦場に送るな」をスローガンに掲げて闘う教育労働者の怒りは、ますます燃え上がっている。とりわけ、11・5日米韓労働者4900人の国境を越えた団結の中心に教育労働者が立っている。教育労働運動の解体など絶対に不可能だ。300万学生は、闘う教育労働者とともに教育基本法改悪を阻止することを宣言する。
安倍政権は、マスコミや極右ファシストを総動員して世論操作に必死だが、学校現場で闘う教育労働者の発言は、敵の薄っぺらなペテンを一撃で粉砕する威力があり、安倍政権の化けの皮を完全に引きはがしている。
「いじめや未履修問題の原因は教育基本法にある」などというのはとんでもないデマゴギーだ。最大の責任は、憲法や教育基本法を踏みにじって学校現場に「日の丸・君が代」を強制し、これに従わない教職員への処分を行ってきた小泉や石原、安倍などにある。
労働者階級を低賃金、非正規雇用、労働強化、偽装請負で搾取し、年金や福祉を切り捨て、労働者階級を「生きていけない現実」にたたき込んできた日本帝国主義こそ、いじめや自殺の元凶だ。教育基本法改悪は、この「格差社会」=階級社会の現実を極限的に拡大するものだ。
その上、教育基本法改悪で愛国心教育と競争教育を強化すれば、再び戦争教育になる。だからこそ教育労働者は、体を張ってでも絶対に阻止するという決意に燃えて、安倍政権の大ペテンを徹底的に弾劾して闘っているのだ。
タウンミーティングでの「やらせ発言」を見よ。日本帝国主義は、金で買収しなければ、教育基本法改悪賛成の発言を組織することさえ出来ないのだ。完全に破綻(はたん)している。
安倍政権は、全国6カ所で、やらせとアリバイづくりの地方公聴会を実施したが、これに対して各地で労働者、学生、市民らの弾劾行動がたたきつけられた。名古屋の公聴会では、「教育基本法の改悪をとめよう! 全国連絡会」の呼びかけ人である高橋哲哉・東京大学教授による「改正反対」の意見陳述に、傍聴席から拍手が巻き起こるほどだ。議論をすればするほど安倍政権のボロが噴出している。もはや、教育基本法改悪など、審議に値しない。
安倍政権は、北朝鮮侵略戦争突入情勢の中で、国論を大分裂させて衆院強行採決に突き進んだ。だが、これはがけっぷちに追い込まれた敵の危機の現れにほかならない。
衆院強行採決を安倍政権の命取りに転じてやろう。6000万労働者階級と300万学生の根底的な怒りで教基法改悪を阻止し、安倍内閣を総辞職に追い込もう。全国の学生は今こそ国会前に駆けつけ、安倍政権を打倒しよう!
「教育再生」は大学も直撃
安倍政権が掲げる「教育再生」は、大学を直撃する。教基法改悪案には、「第7条 大学」という項目が新たに設置されている。「大学は、高い教養と専門的能力を養うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」とされている。大学での研究や教育の一切が、「社会の発展」のための従属的手段に位置づけられているのだ。
しかもここでいう「社会」とは、巨大金融資本の利益が何より優先とされる社会、戦争に向かう社会のことである。帝国主義の延命に寄与しないとみなされた学問分野は切り捨てられ、大学は資本家の求めるままに、1割のエリートと9割の安価な労働力を供給する場へ、軍事研究と軍国主義教育の場へと変えられる。
それは同時に、大学を「真理探究の場」ではなく「資本家の利益のための職業訓練の場」「帝国主義への服従の場」へ変えていく攻撃だ。そこでは学生の自由な討論や団結、政治運動などはもちろん、研究の自由もサークル活動の自由さえも徹底的に弾圧されるのだ。
法大での現実を見よ。「立て看板とビラまき規制」に反対したら不当逮捕され、退学・停学処分を強行しているではないか。まさに、これは安倍政権による「教育再生」を先取りした攻撃だ。安倍が「若者に奉仕活動をさせよ」と言っていることとまったく同じように、法大の安東学生部長は「奉仕活動でもしてみるかな。学生部へ行こう!」(法政コンパス44号)などと学生に向かってあおり立てている(誰も相手にしていないが)。しかも、法大当局は、学生のサークル活動に対して、「サークル活動なんて必要あるのか」「学生会館は非知性」などと言い放って学生会館を解体し、「サークル活動として、ボランティアをやれ」などと言い出している。
法大だけではない。富山大学では、大学当局が「学生支援委員会決定」なるものを振りかざし、自治会非公認化をしかけてきている。「学生自治会の活動は中核派という『特定の政治団体を助長する活動』だ。法政大学のことを宣伝しているのがそれにあたる。学生規則19条違反なので非公認だ」などと言う。
これは戦前、戦争に反対する者や政府を批判する者をすべて「アカだ、スパイだ、治安維持法違反だ」として弾圧したのとまったく同じやり方である。大学当局が進んで安倍政権に屈服し、学生運動つぶしをやろうとしている点で、法大当局とまったく同じだ。
このように、今や全国の大学が安倍政権に総屈服するのか、それとも大学を学生の手に取り戻し、フランスの学生のようにキャンパスをとりでにして安倍政権と全面対決するのかという二者択一が問われている。
安倍政権も大学当局も、資本も、学生を人間として見ていない。やつらは、学生を資本の利潤拡大のための奴隷と位置づけ、それを育成する場が大学だと思っている。安倍は「規範意識」などと言って帝国主義への屈従をたたき込み、愛国心を強制する場に大学をつくり変えようとしているのだ。そして、愛国心をたたき込んで、かつての特攻隊のように、国のために命を投げ出せ、と言っているのだ。
だが、「愛国心」強制などというのは、はっきりいってやり方がくだらなすぎるのだ。若者に未来を保証できない日本帝国主義を、どうしてわれわれが愛さなければならないのか。冗談ではない。安倍政権は、若者に「愛国心」が足りないと嘆いているが、それはいわゆる戦後教育のせいでも日教組のせいでもない。ほかならぬ日帝ブルジョアジー自身がつくり出してきた腐敗した現実に対する、若者たちの当たり前の感情である。
こんな破産した国を今さら「愛してください。お国のために死んでください」などとは笑止千万である。そんなことを強制しようとする教基法改悪など廃案以外にない。死すべきは若者ではなく帝国主義国家の方である。教育基本法の改悪を絶対に阻止し、日本帝国主義を打倒しよう。
改憲阻止300万ゼネストへ
すでに、300万学生は、教育基本法改悪阻止・安倍政権打倒の闘いに猛然と決起している。法大決戦の勝利的前進は、安倍政権の破綻を刻印しているといっても過言ではない。この間、法大当局による卑劣な策動の数々はすべて、法大生の広範な大衆的反撃を引き起こす結果にしかならなかった。
法大の被処分者の闘い、全国から駆けつけた学友の闘いは、法大生の怒りと結合し、警視庁公安部による厳戒態勢を打ち破り、法大生11人連名の公開質問状提出と59クラスのストライキ決議をかちとっていった。そして10月20日には500人の結集で学内集会をかちとった。
法大当局の人を人とも思わぬ扱い方に、学生が黙っているはずがない。法大生の闘いは全国の青年・学生の怒りを代表しているのだ。そして若者を本質的に獲得できない安倍のやり方は、初めから破産しているのだ。
「格差社会」の実態の一端を衝撃的に暴露したNHK番組「ワーキング・プア」に対して、放送直後に全国から多数の手紙やメールが寄せられたという。
だが、ブルジョア連中は頑強にこの「格差社会」の事実を否定し、あるいは居直っている。いわく「世間で言われているほど日本が格差社会だとは思いません。アメリカは非常に所得格差の大きい社会です。しかし、すべてがフェアであるという観念がありますから、格差に耐えられるのです」(日本経団連会長・御手洗冨士夫『会社は誰のために』)。ふざけるな!
だが、資本家連中がいかなる詭弁(きべん)を弄(ろう)しても、「格差社会」と貧困の現実の中にいる労働者人民の怒りは必ず爆発する。もはやこんな国に若者はなんの愛着も抱いていない。「未来は青年のもの、革命は青年の権利」(動労千葉・田中康宏委員長)なのだ。青年が立ち上がれば、労働者階級の主力部隊が動きだす。その時点から革命は開始される。
11・5全国労働者総決起集会はその端緒を切り開いた。11・5では民主労総ソウル地域本部副本部長キムチャンソプ氏が「われわれ労働者は国境を廃止します」と力強く宣言した。会場全体がインターナショナリズムの感動に沸き上がった。この感動を知った労働者には、「愛国心」などという展望のない、せせこましい感情が入り込む余地はない。われわれが獲得すべきは全世界である!
全国、全世界の労働者人民と固く団結し、教基法改悪阻止、安倍政権打倒へ! 300万学生の改憲阻止ゼネストに突き進もう。マルクス主義学生同盟の旗のもとに結集し、ともに闘おう!
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週刊『前進』(2272号5面2)(2006/11/27)
アメリカ中間選挙 共和党が歴史的な大敗
イラク危機と国内階級矛盾
ブッシュ打倒・即時撤兵へ
民主が両院制圧
11月7日に投開票された米中間選挙(4年ごとの大統領選の合間の選挙)で、民主党が94年以来12年ぶりに上下両院で過半数を奪還し、勝利した。ブッシュと共和党の大敗北だ。下院(定数435)は民主党229、共和党196(未確定10)で民主党が圧勝し、上院(定数100)は民主党51(独立派2を含む)、共和党49で民主党が競り勝った。州知事も民主党28、共和党22で民主党優位に逆転した。
この結果は、第一にブッシュ大統領とそのイラク政策の根幹が否定されたことを意味する。第二にブッシュ政権の数年間の社会経済政策による所得格差、階級格差、差別の拡大・激化への労働者階級の批判が大きいことを意味する。ブッシュの引き起こした戦争とブッシュがもたらした貧困に苦しめられた労働者階級人民が怒りを爆発させ、ブッシュに歴史的敗北を強制したのだ。
労働者階級はブッシュにノーを突きつけただけではない。80年代共和党レーガン政権が始め、90年代民主党クリントン政権が引き継ぎ、2000年代共和党ブッシュ政権が拡大・激化させたアメリカ帝国主義の基本政策、外への侵略戦争、内への階級戦争(規制緩和・民営化による極限的な搾取・収奪)に対して、歴史的なノーを突きつけた。四半世紀にわたる〈戦争と民営化〉によって蓄積されたアメリカ労働者階級人民の不満と怒りが噴出したのだ。
ブッシュ政権は今後、危機のりきりのために労働者階級への攻撃を強めざるを得ない。階級対立の激化は不可避だ。基軸帝国主義国アメリカにおける革命的情勢の成熟は、世界革命の時代の到来を意味する。今回の選挙はこうした階級情勢を決定的に促進した。
(写真 国防長官更迭を発表。左からラムズフェルド長官、ブッシュ大統領、ゲーツ新長官【11月8日】)
イラクで「敗戦」
イラク戦争にノーを突きつけられ、追いつめられたブッシュは、ラムズフェルド国防長官に「イラク敗戦」の責任を負わせ、スケープゴートにして解任した上に(しかし本当の犠牲者は虐殺されたイラク人民と死亡米兵だ)、ベーカー元国務長官を中心とする「超党派」のイラク研究グループにイラク政策見直しを諮問した。政策転換、超党派のポーズで「イラク敗戦」の現実を取り繕おうとしているのだ。
だが、このような姑息(こそく)なのりきり策を労働者階級、被抑圧民族人民は許さない。逆にえじきにして闘う。労働者階級人民は、イラク―中東で民族解放闘争を戦うイラク・アラブ・ムスリム人民と連帯し、イラク反戦闘争を大爆発させ、ブッシュ政権を追いつめ打倒するだろう。
米帝ブッシュのイラク戦争に参戦し、枢軸関係を形成してきたイギリス帝国主義ブレア政権と日本帝国主義安倍政権のショックは隠しようもない。
すでに政権末期の「死に体」状態に入っているブレアには、ブッシュの選挙敗北はとどめの一撃となるだろう。発足したばかりの安倍政権にとって、小泉政権以来の最大の後ろ盾であるブッシュの敗北は致命傷となる。現に安倍政権の命運をかけた最初の大攻撃である教育基本法改悪は、労働者階級の大反撃にあい、衆院採決強行にもかかわらず改悪案成立は断じて保証されてはいない。
ブッシュもブレアも安倍も大ピンチだ。労働者階級の怒りの決起で3人とも打倒することができる情勢が来ている。労働者階級の国際的団結で帝国主義を打倒しよう。
中間選挙での共和党大敗の要因は、何よりもアメリカ人民がイラク戦争の泥沼化と格差拡大・貧困化の責任はブッシュにあると認定したことだ。
「福音派」の存在
報道6社の出口調査によると、「ブッシュ大統領に反対するため」投票した人が全体の36%を占め、うち93%が民主党候補に投票した。イラク戦争については全体の56%が「不支持」で、そのうち80%が民主党候補に投票した。イラク戦争不支持は2年間で11ポイント増えた。
大型減税と対テロ戦争を軸に支持を訴えた共和党は、中流層の票を大きく失った。ブッシュは「何をどう言ったところで結局、税金と安全がいかに大事か米国民は分かるはずだと思っていた」と述べ、選挙戦略の誤りと敗北を認めた。
ブッシュ政権の経済政策を金持ち優遇と非難し、格差是正、最低賃金引き上げ、イラクからの米軍の段階的撤退を掲げた民主党は、中流層に加えて膨大な低所得者層すなわちプロレタリアートと被抑圧民族人民の支持を拡大して勝利した。
その一方で、共和党が04年大統領選でブッシュ再選の原動力となった宗教右派―福音派を支持基盤として維持したのも事実だ。
宗教右派の中心をなす福音派(プロテスタントの一派)の白人キリスト教徒のうち共和党支持は71%で、2年前より7ポイント減ったが、依然として圧倒的である。福音派が全有権者に占める割合は23%から24%へ1ポイント増えたため、共和党支持率は絶対値では1ポイント減にとどまる。
福音派は、共和党に目立った不正資金疑惑やスキャンダルに不満を抱いたが、「伝統的な道徳的価値を売り渡したサンフランシスコ・リベラル」のペローシ下院民主党院内総務(次期下院議長)よりも共和党の方がましという選択をしたのだ。
民主党自身が宗教右派に接近した。自らの信仰の深さを告白して宗教右派にアピールし、支持を得た候補もいる。民主党はリベラルへかじを切ることができず、明確なイラク戦争反対、米軍即時全面撤退のスローガンを掲げられなかったのだ。
低所得層の増大
民主党は中流層の53%から支持を得た。94年には中流層の54%が共和党に投票したのをひっくり返した。年収10万j(約1200万円)以下のグループはいずれも民主党支持が多数を占めた。
低所得層ほど民主党支持率が高い。選挙前の調査で、2万j(約240万円)台の所得層の民主党支持は1割余り増えて6割に上った。低所得層の増加、格差拡大が民主党支持率の上昇につながった。
しかし民主党は本質的に帝国主義的なブルジョア政党だ。リベラル派より中道派の方が多いため、党としてイラク反戦を掲げられないのだ。
ブッシュ政権の大型減税、それがつくり出した住宅投資ブームの中で所得格差が激しく進行した。賃金切り下げでますます低所得になった労働者階級や移民を始め被抑圧民族の中に不満と怒りが蓄積した。
米世帯の年間所得の中央値は、昨年上昇に転じたが、それまで5年続けて減少した。
年収で上位2割のトップ層の所得が全体に占める割合が05年に50・4%に上がり、67年以来の最高水準を記録した。
シカゴ市では時給6・50jの最低賃金を4年後に手当込みで13jに引き上げる条例案を市議会は大差で可決したが、市長の拒否権発動で条例案は葬られた。
中国などとの競争が激化する中で、比較的高い賃金を払ってきた製造業が雇用を減らしている。収益重視と称して、生産性が上昇しても賃金を引き上げない企業が増えた。労働者階級の所得は伸びず、富裕層=資本家階級との格差は開く一方だ。
連邦の最低賃金は97年以来9年間、時給5・15jに抑えられてきた。民主党は時給7・25jに引き上げることを公約として掲げた。すでに時給7・25jを越える最低賃金を住民投票で決めた州も幾つかある。だが、資本の側からすれば、最低賃金の引き上げは、労働コストを膨らませ、競争力低下につながる。最低賃金引き上げも労働者階級が闘わなければかちとることはできない。
日帝危機に連動
日帝・安倍政権は、米ブッシュ共和党の中間選挙大敗で最大の衝撃を受けている。
安倍は、小泉とともにイラク戦争とブッシュ政権を全面的に支持してきたのに、ブッシュ政権は「イラク政策は失敗だった」と認めて国防長官を更迭、民主党との協調関係に入った。ラムズフェルドが中心になって推進してきた米軍再編・日米軍事一体化の今後も不透明だ。民主党の圧力で基地建設・維持費の負担を迫ってくる可能性がある。民主党が優位の議会のもとでは、北朝鮮制裁問題で日帝寄りだったボルトン国連大使の留任は困難だ。ブッシュ自身が東南アジアFTAを提唱して日帝のアジアでの孤立化を図っている。靖国神社参拝問題にも民主党は敏感だ。
教育基本法改悪を絶対に阻止し、戦争と改憲の安倍を打倒しよう。日米韓の労働者の国際連帯を発展させ、米日帝の北朝鮮侵略戦争を内乱に転化しよう。
(藤沢明彦)
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週刊『前進』(2272号6面1)(2006/11/27)
11・12ソウル労働者大会
動労千葉 民主労総ソウル本部と共闘
5万人がゼネスト誓う
民主労総の全国労働者大会に参加した動労千葉訪韓団。隣には全国鉄道労組KTX乗務支部(11月12日 ソウル)
「労働者を痛めつけ、そして戦争をしようという資本家たちに、労働者の団結した力を、全世界の労働者に国境はないということを見せつけてやろう」。田中康宏動労千葉委員長は11月12日、ソウルの地でこう宣言した。動労千葉とアメリカILWU(国際港湾倉庫労働組合)代表団を始め11・5集会をともに闘った100人余の訪韓団は、民主労総ソウル地域本部とともにゼネスト闘争を闘うという、新たな一歩を踏み出した。
11月12日、民主労総のチョンテイル烈士36周年全国労働者大会がソウル市庁前広場で開催された。民主労総は集まった5万人の組合員を前に、▽非正規権利保障立法獲得、▽労使関係ロードマップ粉砕、▽労災法改悪阻止、▽韓米FTA(自由貿易協定)阻止の4大要求を掲げてのゼネストを宣言した。
本大会は午後3時半すぎ、会場中央をまっすぐに数百本のゼネスト旗、続いて色とりどりの組合旗が続々と入場した。民主労総ソウル本部の旗とともに動労千葉、動労西日本の真紅の動輪旗が進んでくる。全金本山と染め抜かれた赤旗、濃紺の全学連旗、ライトブルーの東北大学旗なども青空に翻っている。
大会ではゼネスト指針1号が発せられた。それは11月15日に4時間の警告ストを闘い、22日には民衆総決起全面ストを闘い、23〜28日に毎日4時間のストライキ、29日、12月6日にも全面ストライキ、非正規関連法案が強行された時には即刻全面ストライキに突入するというものだ。
この日、「民主労総ゼネストの先鋒(せんぽう)を担う」と宣言し、全国建設運送労組ダンプ分会、同生コン分会の組合員1万4900人が無期限ストライキに突入した。大会ではパクテギュ建設運送労組委員長が「失った労働基本権をかちとるために全面的ゼネストで労働者の名を取り戻す」と発言した。彼らは、特殊雇用労働者に対する労働基本権保障と法制度改善を要求し、真正面からノムヒョン政権との勝負に出たのだ。
さらに大会では、農民を代表して全国農民会総連盟(全農)のムンギョンシク議長も連帯あいさつに立ち、「韓米FTA締結が迫っている。労働者と農民の粘り強い連帯だけが労働者・農民の生命を守る。農民は民主労総ゼネストを熱く支持する。11月22日には百万民衆総決起に打って出る。強固な連帯闘争で世の中を変える闘いをともに担おう」と力強く訴えた。
(写真 女性連盟の清掃労働者が歌う替え歌に全員が拍手喝采【12日昼 ソウル・青瓦台近く】)
各所で産別集会
午前11時、大学路で開かれた建設労働者闘争決意大会には組合員7000人余が集まった。
ダンプ連帯のキムグムチョル議長が「われわれが願うのはみすぼらしい『保護』などではなく、働く権利、ストライキの権利、労働者として当然の労働基本権だ」と訴えた。
チョンゲ広場ではタクシー、バス、地下鉄、鉄道など4000人余が17日の運輸産別転換総会を控えて総団結を固める運輸労働者決意大会が開かれた。
ソウル駅前広場には公共連盟、全国公務員労組、全国教職員労組など数千人が集まった。ヤンギョンギュ公共連盟委員長は「11月ゼネスト闘争は公共労働者が担わなければ勝利できない闘いだ」と檄(げき)を飛ばした。本大会前のソウル市庁前広場でも金属産業連盟、金属労組など7000人余が金属労働者決意大会を開いた。
警告スト14万人
そして迎えた15日、無期限ストを続ける建設運送労組を始めとする193労組14万5111人(団体行動を含む)がストを闘った。
民主労総ソウル本部は文字どおりこの闘いの先頭で奮闘している。
コジョンファン本部長は、「ソウル本部は民衆総決起を促すほど親資本的で親帝国主義的なノムヒョン政権に対して退陣闘争を始めた。市民社会団体などとともに『労働基本権獲得ソウル地域共闘本部』と『ゼネスト総決起実践団』を構成し、6地区協議会とともに共同実践をしている」「再び威力あるゼネストで『民主』と『連帯』の民主労総であることを堂々と示さなければならない」とゼネスト勝利に向けた決意を語っている。
“団結こそ力” 田中委員長が発言
12日午前、動労千葉と訪韓団は、民主労総ソウル本部とともに、青瓦台近くで開かれた「5人未満の事業場への勤労基準法全面適用! 外注・請負労働者の基本権保障!」を要求する非正規職・零細事業場・女性労働者大会に参加した。非正規職労働者を中心に約700人が集まった。
主催団体を代表し、チョンウィホン全国一般労組協議会議長が発言し、「働いても生活できないのが私たちの現実だ。政権と資本に期待するものは何もない。最も虐げられた労働者に希望を与えられない労働運動では何の意味もない」と力を込めて訴えた。
解雇争議を闘う安山始興一般労組コヌァ分会、ロッテホテル・ルームメイド支会の女性労働者や、IT労働組合の青年労働者などが次々に発言。地下鉄の清掃事業で働く女性連盟の労働者たちが自慢ののどを披露して拍手喝采(かっさい)を浴びた。解放感みなぎる女性労働者の存在は闘いの展望を示している。
動労千葉の田中康宏委員長が発言に立った。
「労働者の団結や権利が破壊され、首を切られる。社会のあり方が根本的に間違っている。私自身、国鉄の民営化で1986年、20年前に解雇され、今も闘い続けています。私は、労働者の団結した力こそが歴史をつくり、社会を変える力だと絶対的な確信を持っています。私たちの勝利は簡単なことなんです。敵よりも1日、たった1日長く闘い続ければ労働者は必ず勝利します」
「労働者を痛めつけ、そして戦争をしようとする資本家たちに、労働者の団結した力を、全世界の労働者に国境はないということを見せつけてやりたい。私たちは民主労総の闘いに学んで、日本でも強力な労働運動をつくり出すためにがんばりぬきます。カムサハムニダ! トゥジェン!」
大きな拍手が起きた。
日本からは東部労組も参加し、非正規職労働者が団結し正規職化をかちとった闘いを報告した。
大会途中、代表団が青瓦台(大統領府)に抗議面談に向かった。出発前、全国女性労働組合のナジヒョン委員長は「労働者に労働基本権、勤労基準法を適用せよというあまりにも当然の要求を伝えるために大統領府に行く」と決意を語った。
(写真 発言する田中康宏委員長【青瓦台近く】)
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週刊『前進』(2272号6面2)(2006/11/27)
“今、烈士精神受け継ぐ”
(写真 前夜祭で日本からの訪韓団全員が登壇。ILWUの3人も【11月11日 ヨイド】)
11月11日夕、韓国・民主労総06全国労働者大会前夜祭の会場、国会議事堂近くのヨイド公園文化広場で、動労千葉は民主労総ソウル本部と感動の再会をした。
田中康宏委員長とがっちりと握手を交わしたコジョンファン本部長は、動労千葉と訪韓団を「労働烈士精神継承マダン」へと誘った。ソウル本部は11月6日から11日までを「これ以上殺すな−非正規労働烈士追慕週間」に設定し、焦点の非正規悪法粉砕闘争を力強く展開してきた。この締めくくりがソウル本部主催の労働烈士追慕祭だった。
ホヨング民主労総副委員長に続き、ナムグンヒョン建設連盟委員長が、今夏のポスコ争議渦中、警察の暴行で殺されたハジュングン烈士について「4カ月たっても殺人者の調査すらされていない」と怒りを込めた。
コジョンファン本部長は、「烈士の血で建設された民主労総は、烈士の精神をいかに継承するのかという岐路に立っている。死んでも非正規職烈士たちの精神を受け継ぐためにゼネスト闘争を組織しよう」と大声で激しく呼びかけた。
参加した訪韓団も心を一つに「烈士精神を継承してゼネスト闘争に勝利しよう!」とシュプレヒコールをあげ、前夜祭へと合流した。
日本から参加の訪韓団全員が登壇し、紹介された後、田中委員長はソウル本部の紹介で長期争議中の鉄道労組KTX乗務員支部の女性労働者を激励した。「KTXの闘いにずっと注目してきました」「初めて会った気がしません」と、闘う者同士の合流が実現した。
全面ゼネストへ
「行こう!ゼネスト」と大書されたメインステージの横では、金属労組の非正規職労働者が、「国会日程に追われるゼネストはもうやめよう! 中断のない全面的ゼネスト闘争を即刻組織せよ!」と書いた横断幕を広げていた。
11月7日、ノムヒョン政権は昨年来の攻防の焦点である非正規職関連法案を、野党の合意を取り付けて国会法制司法委員会全体会議に上程。労使関係ロードマップに基づく労働法改悪も今定期国会で強行する姿勢を強めている。
一方、全国公務員労組事務所の強制閉鎖に続き、9日にはチャンヘオク全教組委員長らの教職剥奪(はくだつ)に踏み切るなど、激しい労働弾圧が続いている。
敵の踏み込みに民主労総チョジュノ執行部は逆に闘争戦術をダウン、当初方針の15日全面ゼスネト突入を延期した。
ソウル本部は今、怒れる現場組合員、非正規職労働者とともに、力あるゼネストの組織化に全力をあげている。
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週刊『前進』(2272号6面3)(2006/11/27)
争議テントを訪問
11・13 動労千葉が激励
(写真 労働者大会で署名を訴える金属労組ハイテクRCDコリア支会の組合員【12日 ソウル市庁前】)
13日、動労千葉訪韓団は、金属労組キリュン支会と同労組ハイテクRCDコリア支会の工場の前でテントを張って長期闘争を続ける労働者を訪問した。
動労千葉の組合員は、金属労働者の歌である「鉄の労働者」を律動を交えて歌い、励ました。
RCDコリア支会の女性労働者たちは動労千葉に「動労千葉の同志たちの模範にならい原則を死守して闘います」と書かれた大きな横断幕を贈った。
動労千葉の組合員は「大きな責任を感じるが、これまで以上に職場闘争を原則的に闘っていくことでこたえたい」と感想を述べた。
訪韓期間中、ソウル本部の仲間たちは、「動労千葉労働運動とソウル本部との連帯は互いの力を高めあっている」と何度も力説した。
韓国労働者が突き当たっている壁をわがものとし、それぞれの地で、自らの職場で団結を守り抜き勝ち抜いていくことこそ、真の国際連帯の土台だということを教えてくれた交流だった。(H)
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週刊『前進』(2272号6面4)(2006/11/27)
人間としての怒りを共有し共に闘う存在 愛媛 佐藤 泉
11・5労働者集会に参加して思ったこと! 今まで以上に活気にあふれる労働者の国際的団結をアピールする発揚の場になっていた。感激! 失業労働者として、ひとりの部落の女として集会全体の成果を自分のものにしたいという思いをおさえられなかった。
幼子と共に家族ぐるみで参加していた「難民請求」をしている人々の力強く生き生きとした参加席からのアピールに感激! 彼らが集会に参加している日本の労働者にいかに期待しているかをヒシヒシと感じた。
自分たちの人間性をも奪う支配者に対する怒りをこめた韓国の学生の律動から、たたかいへの息吹がビリビリとこの身に響いてきた(我を忘れて、昨年とはまたちがった思いで見入ってしまった)。
ブッシュ政権の圧政下、たたかうアメリカの労働者からの熱烈な団結と連帯のアピールを彼らの運動の広がりを感じながら私なりに受け止めた。
たたかう医療労働者、たたかう「障害者」、たたかう部落のきょうだい、在日のきょうだい、参加したすべての仲間から、また新たに生まれ変わる力と勇気と闘う自信をもらった。
全逓(JPU)と自治労の仲間が全参加者に起立してアピールした時、思わず私も会場の片隅で立ち上がって手をふり拍手してしまった。(手が痛くなったけど)メチャメチャうれしかった!
デモに出られなかったのが残念だったけれど、インターナショナルを口ずさみながら仲間との合流を待つのも楽しかった。
困難は皆ぎりぎりのところで、みすえ、そそぎ、のりこえようとしている! 最後の勝利までは、苦難の方が多いことは百も承知で飛び込んだたたかいだから、自分なりに足りないところは団結のたたかいをとおして自分の力にしたい! あらためて、私たちは人間としての怒りを共有し共にたたかう存在であることを実感した。
仲間増やしタクシー労働者の現状変える 広島 長門善明
私は広島のタクシー労働者です。タクシー労働者の現実は非常に厳しいものです。
第一に、賃金が安い。今は完全歩合制で45%、ボーナスも年間210万円も稼がなければ出ない。だから、みな年間300万円は稼ぐようにしています。しかし現実は、月の賃金は総支給額23万円強(手取り18万円そこそこ)です。年末ですら、05年の例でいうと手取り22万円強にしかならない。本当に厳しい。
だから公休日も休まない人が多い。なぜなら、公休日は歩合が50%になるからです。私は、ふつう朝の5時30分から翌日の2時、3時まで働いています。これを1カ月13日・隔日勤務でこなすのです。土日は4万〜4万6千円、月火水木は3万〜4万円の売り上げです。
広島は2輪車やバスが多く、そのため交通安全・安全運行には神経を使います。海と山にはさまれた三角州上の街なので地下鉄がつくれないためです。道路事情も職場の環境を左右します。
料金が2〜3千円の範囲に空港があったりすれば、タクシーの利用客もありますが、市内から空港までは1万3千円はするので、乗客はほとんどありません。毎日運転していると、道路整備の状況が良くないことも見えてきます。広島大学も市内から移転して、街には活気がありません。本当に藤田県政は悪政です。
この間のリストラ・規制緩和で広島でもタクシー事情が様変わりしてきました。家庭崩壊により、会社の3階の社員寮にかなり多くの50歳代の人が住み込んでいます。
新規参入のタクシー会社の中には、車両だけ使い回し、メンテナンスなどまったくしない無責任な会社も多く、交通ルールも無視しがちです。
このような労働現場の環境を変えるためには、一人では闘えない! 仲間を増やして労働現場を変えていかなければなりません。いくら企業がリストラを強行しても、労働現場すべてをなくしてしまうことは不可能です。
失業中の労働者同志の皆さん! タクシー労働者になって職場を変えようではありませんか。労働条件が悪くなれば闘う労働組合を作って、闘うしかありません。若者もタクシー現場に入って共に闘おう!
米空母キティホーク佐世保寄港阻止行動 長崎・労働者 K
11月6日、佐世保に米空母キティホークが入港した。米空母の佐世保寄港は、5月の原子力空母エイブラハム・リンカーンの寄港に続いて今年2回目。佐世保が朝鮮侵略戦争の出撃基地として強化されていることに、私は怒りをこめて寄港阻止闘争に決起しました。
朝7時半前に抗議船団が出航。陸上で佐世保地区労、長崎県平和運動センターの労働者とともに阻止行動を闘いました。8時過ぎに「キティホークが佐世保沖に見えた」との情報。8時20分ごろ佐世保の狭い湾口に巨大な米空母が姿を現した。みんなで怒りもいっぱいに「キティホークは来るな」「今すぐ出ていけ」「日米安保粉砕」「佐世保の港を戦争に使わせないぞ」とシュプレヒコールをあげました。
翌7日午後6時から松浦公園で「来るな!米空母、許すな!米軍再編・日米軍事一体化 長崎県集会」が開かれ、米海軍佐世保基地を撃つ抗議デモを行いました。
集会では、キティホーク寄港への抗議決議とともに「教育基本法の改悪を許さない特別決議」も上げられました。
キティホークは9日に佐世保港を出港し、ただちに鹿児島西方沖・東中国海での日米合同演習の中心を担っています。この演習には、海自の艦艇約90隻と、米海軍から弾道ミサイルの迎撃能力を備えた最新鋭のイージス艦シャイローなど約10隻が参加と言われています。まさに北朝鮮と中国を挑発する軍事行動だ。しかも北朝鮮への戦争演習そのものであることは間違いないと思います。
この間、佐世保は米海兵隊の強襲揚陸艦隊の母港として固定化され、原潜や空母の寄港回数が増加しています。さらにインド洋へ向けた海自艦隊の派遣も続いています。北朝鮮の「核実験」を口実とした対北朝鮮宣戦布告とも言える北朝鮮船舶検査の出撃拠点として佐世保が位置付けられ、強化されていることは間違いありません。
私は佐世保を北朝鮮侵略戦争の出撃基地にさせてはならないと思い、11・5労働者集会の「国境を越え、労働者の国際連帯で北朝鮮侵略戦争を阻止する」の実践として闘いぬきました。
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