ZENSHIN 2006/06/19(No2050
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週刊『前進』(2250号1面1)(2006/06/19)
6・15法大から国会へ
共謀罪・教基法改悪案・国民投票法案 今国会で絶対廃案に追い込もう
闘う労働者人民による連日の国会闘争はついに、共謀罪と教育基本法改悪案の今国会成立を狙った攻撃を打ち破った。6月2日、与党は民主党案を丸飲みしてでも共謀罪の衆院法務委員会採決を強行しようとしたが、この悪らつな策動も大衆的怒りの爆発で直ちに粉砕された。5月19日に続き、再び強行採決を実力阻止する偉大な勝利がかちとられたのだ。闘えば勝てる! 巨大与党の力ずくの攻撃も、労働者や学生が絶対阻止の決意で立ち上がれば押し返せることがはっきりした。会期末まで残る1週間を、闘って闘って闘いぬき、継続審議など断じて許さず完全に廃案に追い込もう。法政大学での1千人集会から、6・15国会デモの大爆発をかちとろう。
第1章 全反動法案を「継続審議」ではなく廃案に
小泉政権は今通常国会で共謀罪、教育基本法の改悪、改憲のための国民投票法案など、改憲と戦争に直結する法案を次々と成立させることを狙って全体重をかけた攻撃をかけてきた。だがそれは、共謀罪に反対する大衆運動の発展と、日教組本部の屈服をものりこえて国会前に続々とかけつけた全国の教育労働者の怒りの爆発によってついに実力で打ち破られた。会期を大幅に延長してでも全法案を押し通そうとした政府・与党のもくろみはいったん頓挫(とんざ)した。
追いつめられた自民党と小泉は、しかし今国会の会期末ぎりぎりまでなおも必死に、できる限りのことをやろうとあがいている。
共謀罪は、「目配せしただけでも逮捕」という戦前の治安維持法以上の悪法だ。労働者の団結権の破壊と思想の処罰がその狙いだ。教育基本法の改悪は、教育を再び「お国のために戦争で命を捧げる国民」をつくりだすものに変え、従わない教員は学校現場から根こそぎ追放することを目指している。まさに戦前の教育勅語の復活だ。国民投票法案は、憲法改悪を実際に可能にするための改憲準備法案である。その最大の目的は、改憲反対の運動をあらゆる口実を設けて事前に弾圧し一掃することだ。
与党は今、これらの法案をすべて継続審議とし、9月自民党総裁選後の臨時国会で最優先法案として成立させる方針を打ち出している。非公式の地方公聴会開催など閉会中審査を求める一方で、連合と民主党の一層の改憲勢力化を進めて、今秋国会の開会と同時に一気に成立に持ち込むことを狙っているのだ。これを断じて許さない闘いが必要だ。そのためにもここで今一度、労働者階級の総力を挙げて決起し、全法案を絶対に廃案に追い込もう。この1週間が正念場だ。
とりわけ教基法改悪案は、衆院特別委員会での審議が急ピッチで積み重ねられてきた。そこでは与党と民主党が互いに愛国主義と排外主義を競い合う実におぞましい議論が展開されている。ここでは「継続審議」とは、決戦を先送りにするかに見せかけて労働者階級の闘いを武装解除し、その陰で一層悪質な攻撃を進めることしか意味しない。与党案以上に「愛国心」をストレートに盛り込んだ民主党案をテコに、与野党間で法案を一層反動的に修正する動きが強まることは必至である。
(写真 「原子力空母の配備反対」を訴え米海軍横須賀基地へデモ【6月3日 神奈川県横須賀市)=記事4面)
第2章 屈服と裏切りの日教組本部打倒し前進を
これに対して今こそ闘争態勢を一段と強化し、与党案も民主党案もともに完全な廃案に追い込むことが全教育労働者にとって死活の課題だ。だが日教組本部は逆に、第2次の国会前座り込みを中止し、闘争の幕引きを図る大裏切りに走っている。民主党案に同意を与えただけでなく、闘いの発展を恐れる政府・与党と一体となってその解体に動く日教組本部は、教基法改悪阻止闘争の阻害物だ。こんな本部を怒りを込めて打倒し、のりこえて、全国のブロック、単組、職場から組合旗をもって国会前にかけつけ、廃案を求め闘おう。
すでに、5月16日からの国会前座り込みで2波の自主動員を行った北海道教組を先頭に、日教組内の下からの決起のうねりはいよいよ高まっている。6月4日には札幌で、「教育基本法改悪法案を廃案にしよう!」を掲げた全北海道集会が開かれ、北教組などが3千人を超えて集まった。5・27東京・芝公園での5千人集会、6・2日比谷野音での3千人集会に続く大結集だ。
この日教組内からの戦闘的決起の開始と、石原・都教委と対決してきた「日の丸・君が代」被処分者の闘いとの合流は、教基法改悪攻撃をその根幹から粉砕しつくす力を持っている。一切のかぎは職場生産点からの現場労働者の決起にある。会期末まで残された一日一日を全力で闘い、必ず廃案をもぎとろう。
6月国会決戦を、日教組本部を打倒し、連合中央を打倒して、連合の改憲勢力化を阻止する決戦として闘いぬこう。6・22日教組中央委員会、6・14〜16全逓(JPU)大会をその闘いの決定的な前進の場としよう。
その勝利をバネに、国鉄、教労、全逓、自治体の4大産別決戦全体の一層の大爆発を切り開こう。
第3章 医療制度改悪法案の成立を阻止しよう
政府・与党はさらに今週、医療制度改悪関連法案の参院採決を強行し、会期内に成立させようとしている。5月26日の行革推進法・市場化テスト法の成立強行に続く絶対に許せない攻撃だ。これによって高齢者から医療を奪い、医療費自己負担を引き上げ、病気になっても医者にかかることもできない社会をつくりだそうとしている。まさに社会保障制度を解体し、憲法25条の生存権をも否定し破壊する攻撃である。また医療現場で働く労働者をこれまで以上の大変な労働地獄にたたき込む。多くの医療労働者や高齢者から激しい怒りの声と闘いが沸き起こっている。連帯して強行採決阻止に立ち上がろう。
6月2日には、共謀罪粉砕のその裏で、自白強要と冤罪の温床である代用監獄を半永久的に存続させる未決拘禁者処遇法が成立した。9日には、防衛庁の「省」への昇格法案が閣議決定され国会に提出された。これらの一切が改憲に直結し、その外堀を埋める攻撃だ。このすべてをぶっとばす闘いをやりぬこう。
第4章 6・15法政大集会から国会デモに立とう
法政大学を先頭とした6・15全国学生国会デモは、法大での退学処分粉砕と同時に、この終盤国会を直撃する決定的な闘いとして呼びかけられている。
法大当局が公安警察と示しあわせて29人の学生を不当逮捕した3・14弾圧から3カ月、弾圧を粉砕し処分撤回を求める闘いは、平林総長をとことん追い詰め、法大全学を揺るがすものに発展している。改憲反対の立て看板もビラまきも禁止し、抗議した学生を権力に売り渡し、さらに退学処分に付すという攻撃は、学生運動を弾圧するだけでなく、大学から「思想・表現の自由」も「学問の自由」もすべて一掃するまさに改憲攻撃の先取りである。
これを許せば再び戦争、徴兵制、暗黒社会への道だという、闘う法大生の火のような怒りのアジテーションと、権力・当局とのキャンパスでの連日の激突は、数千の学生の共感を呼び、全国学生運動の新たな歴史的爆発への「台風の目」となっている。
「平林独裁体制を倒そう! 3・14弾圧の最高責任者である小泉政権を倒すために法大から国会へデモをやろう!」という6・15法大1千人集会と国会デモの呼びかけは、この闘いを決定的な次元に押し上げ、学生運動圧殺攻撃をはね返し、逆に大学を改憲粉砕=戦争国家化阻止の砦(とりで)に変えていく闘いの出発点となるものだ。
恐怖した大学当局は、弾圧を居直る声明や被処分者の「立入禁止」の告示を門前に掲げ、6・15闘争の爆発を何がなんでも阻止しようと躍起になっている。この卑劣な策動を闘う全国の学生の力で打ち破り、法大キャンパスを埋めつくす1千人の大集会と国会デモをかちとろう。
第5章 改憲阻止闘争に全力決起し今秋決戦へ!
今国会をめぐる激突は、改憲阻止の決戦がついに本格的に始まったことを示している。6月国会決戦の勝利は、秋の臨時国会(文字どおりの改憲突入国会となる)に向け、一層巨大な階級的大激突を引き寄せるものとなる。それは1960年の安保闘争、70年の安保・沖縄闘争をもはるかに超える大闘争への突入だ。
改憲とは、国と社会の根底的な大変革が日程に上ることだ。小泉政権と自民党が今進めている攻撃は、戦後民主主義体制の転覆を狙うクーデターだ。これを阻止する闘いは、労働者階級による帝国主義打倒のプロレタリア革命まで行き着く以外にありえない。時代はすでに、その大激動の真っただ中に突入した。
このことを確認し、決意も新たに進撃しよう。6〜7月闘争を闘い、8・6―8・9、8・15闘争の爆発をかちとり、今秋決戦への巨大な扉を押し開こう。
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週刊『前進』(2250号1面2)(2006/06/19)
捜索のためにデッチあげ逮捕!
警視庁による前代未聞の全国一斉捜索に大反撃を
6月5日、「電磁的公正証書原本不実記録・同供用、免状不実記載」でデッチあげ逮捕されたA同志は、完全黙秘・非転向を貫いて釈放をかちとった。だが今回の弾圧は、改憲情勢下における共謀罪を先取りしたかつてない政治弾圧である。絶対に許さない。
A同志が逮捕された5月25日とは、戦前の治安体制復活を狙う共謀罪法案の19日強行採決を阻止し、教育基本法改悪、国民投票法案の強行採決阻止の国会決戦が、改憲攻撃の粉砕をかけた正念場として白熱的に闘われていたときである。国会前では、関西生コン支部・港合同・動労千葉の3労組を先頭に日教組などの労働組合、組対法反対共同行動などの市民団体や個人が連日国会前にかけつけて闘っていた。
このような改憲攻撃粉砕をかけた戦後階級闘争史上かつてない階級的激突に恐怖した日帝が、革共同と労働者階級の闘いを圧殺するために行った弾圧の大エスカレーションである。
第一に、日帝・警視庁公安部は、革共同の前進と今国会攻防に追いつめられ、なりふりかまわず、逮捕のための逮捕、捜索のための捜索を強行した。
なんとA同志が、04年12月に杉並区から江戸川区の前進社に転居した際、江戸川区役所に「住民異動届」をしたことが、「犯罪」だというのだ。
A同志は、04年12月に事実どおり転居手続きを江戸川区役所で行い、その後、去年の夏に江戸川区から三里塚現地に転居して、現在そこに居住している労働者である。ここには、弾圧の理由となるような事実はまったくない。警視庁公安部はそのことを百も承知だ。A同志が現住所の三里塚現地から芝山町の勤務先に出勤する途上を待ちかまえて逮捕したことからも明らかだ。逮捕後、「住所、職業不詳」と偽ってマスコミ報道させ、A同志を東京地検に身柄送検した。絶対に許せない。
ありもしない「事件」をデッチあげて逮捕状を請求した警視庁公安部公安一課の星隆夫は、逮捕状に記載されている「引致場所」以外の警視庁田無署にA同志を連行するという違法行為を行った。警視庁公安部の違法な逮捕手続を知った東京地検公安部の國分検事は、27日A同志を地検内でいったん釈放せざるを得なかった。ところが、國分検事は「同一犯罪の再逮捕禁止」という刑事手続きの大原則を踏みにじってA同志を緊急逮捕し、慌てて逮捕令状を取り直した。ここに、法を無視して弾圧する国家権力の本性がはっきりと現れている。こんなことは絶対に許せない。
第二に、家宅捜索のデタラメなエスカレーションは絶対に許されない。
警視庁公安部は29日に前進社本社、30日に杉並の都政を革新する会事務所、31日に福岡、大阪の前進社支社、6月1日に仙台、沖縄、2日に神奈川、広島、京都、3日には全国連東京事務所など全国12カ所の違法な連続家宅捜索を、襲撃的・暴力的に強行した。
家宅捜索は、「犯罪」の捜査を目的としている。したがって、事件と関連性がある場所であって、かつ、事件との関連性がある「押収物」が存在することとされている。A同志が虚偽の「住民異動届」をしたというのは事実無根であり、家宅捜索を強行した全国12カ所もの前進社本社・支社、その他の事務所は「事件」と何の関連性もない。今回の全国一斉の家宅捜索で、警視庁が押収した押収物は、事件との関連性のある物は何一つない。
警視庁の狙いが、家宅捜索に名を借りた違法な情報収集であり、革共同に対する前代未聞の政治弾圧であることは明らかである。こんなデタラメな捜索令状を発付した東京簡裁の吉田・山本らを絶対に許さない。反撃して必ず責任をとらせる。
第三に、このような警察権力の違法・不当な弾圧に手を貸した裁判所を絶対に許さない。
捜査機関の違法行為を容認して勾留を決定した東京地裁佐藤裁判官、デタラメな捜索令状を発付した東京簡裁を絶対に許さない。こんな違法・無法な国家権力の横暴に責任をとらせなければならない。
革共同は、今回のデタラメな弾圧のエスカレーションを絶対に許さず、あらゆる闘いをもって大反撃に立つ。いかなる弾圧も完黙・非転向の闘いで粉砕し、改憲阻止決戦に総決起し必ず勝利する。
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週刊『前進』(2250号1面3)(2006/06/19)
共謀罪 “団結禁止法を葬れ” 最後まで国会攻防を継続
共謀罪法案は今国会での不成立が確定的となった。全国での署名運動と連日の国会闘争、弁護士会や労働組合、市民団体が反対決議・声明を挙げ闘った大きな成果である。1月20日の通常国会開始以来、6度も採決強行の危機があったが、ぎりぎりのところで粉砕した。労働者階級は、巨大与党と闘って勝てることを証明した。
6日朝から「破防法・組対法に反対する共同行動」や労組交流センター、動労千葉、関西合同労組の労働者ら60人が国会前に詰めかけて闘った。(写真)
共謀罪は思想・言論弾圧の「現代の治安維持法」であり、団結禁止法である。改憲攻撃と一体であり、その先取りだ。継続審議―臨時国会での制定など断じて許さない。廃案あるのみだ。6・13「超党派国会議員と市民の集い」(要項別掲)に結集しよう。
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週刊『前進』(2250号1面4)(2006/06/19)
改憲阻止・革命勝利へ絶大なカンパ訴えます
すべての支持者のみなさん、『前進』読者のみなさんに絶大な夏期一時金カンパを訴えます。
私たちは激烈な今国会攻防をとおして本格的な改憲決戦へと突入しました。共謀罪のような戦前の治安維持法をも超える超治安弾圧立法制定攻撃がかけられていること自体、「戦争と革命の時代」への突入という現在の時代基調を、敵の側から先制的に突き付けるものです。
何よりも昨秋決定された自民党「新憲法草案」は、まさにそういうものでした。戦後の労働者階級人民の激しい闘いによって日本国憲法に刻み込まれた反戦平和や民主主義を完膚無きまでに粉砕しようという攻撃です。戦争ができる国家をつくるために戦後の国家社会を戦前の大日本帝国憲法体制と同じ天皇と国家主義を頂点かつ基軸にすえたものへと全面的に転覆することを狙った、文字どおり反革命クーデターです。戦後成長を経て、米欧日の帝国主義が延命するための活路として、さらなる市場拡大と資源を求めて軍事力を行使する時代へと三たび突入する中で、日帝も戦争ができる国家に大転換しようとしています。現在の改憲攻撃が反革命クーデターという激しさを持つのは、帝国主義としての延命をかけた「命がけの飛躍」の激しさにほかなりません。
しかも、この帝国主義の危機は、他方で世界的な貧困と貧富の差の拡大を深化させ、「豊かな経済大国」であると思い込んでいたこの日本が、労働者が食べていくこともできない「格差社会」と言われる現実として実感され始めています。
したがって現在の改憲攻撃に対する労働者階級の回答はただ一点、戦争によってしか生き延びていけなくなった、そして労働者の生活と生存を保障できなくなった帝国主義を打倒するプロレタリア革命以外にありません。労働者階級の側が真正面から革命を対置することなしには、生きることも、現在の改憲攻撃を打ち破ることもできないところまで情勢は煮詰まっています。
このまさに労働者階級の生き死にがかかったプロレタリア革命を実現するためには、労働者階級の政党が必要です。革共同は、この労働者階級を真に代表する政党になるために、命がけの自己変革と飛躍を誓います。そういう闘いとして現在革共同は、動労千葉労働運動に学びながら、4大産別決戦を全力で闘っています。
改憲攻撃を打ち破る核心は、戦後、労働者人民の権利を守り、9条改憲阻止の闘いを中軸で担ってきた4大産別を先頭とする労働組合の闘いにあります。革共同は、4大産別の闘いを防衛・発展させる中から、階級的労働運動の再生をやり遂げます。そしてこの闘いは革共同が本格的な労働者政党になることによってしか実現できないし、またこの闘いに粉骨砕身することをとおして革共同は本格的な労働者政党へと飛躍できると確信しています。
同志のみなさん、支持者のみなさん、『前進』読者のみなさん。ともに改憲攻撃を粉砕し革命をやり遂げるために、革共同を本格的な労働者政党として建設していくために、絶大な夏期カンパをお寄せいただくことを心からお願いします。
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週刊『前進』(2250号2面1)(2006/06/19)
教基法改悪案 継続審議許さず廃案に この1週間が勝負だ
連日の審議を重ねる特別委
教育基本法の改悪案をなんとしても廃案に追い込むため、6月18日の会期末まで、手をゆるめることなく国会闘争を闘いぬこう。
「今国会では成立できず。継続審議へ」というマスコミ報道の陰で、すでに衆院教育基本法特別委においては5月24日、26日、30日、31日、6月1日、2日、5日、6日、7日、8日と連日のように一般質疑・参考人質疑が積み重ねられている。文部科学委員会であれば審議日程が週2回に限定されるが、特別委を設置したことにより、連日でも審議が可能となったからだ。審議時間は合計50時間にもおよんでいる。
45人で構成される特別委だが、欠席する委員が後を絶たず、20数人から30人程度の人数で行われている審議も多い。野党最大会派の民主党が「改悪阻止」を投げ捨てて自らも改悪案を提出しているという構図の中で、対決性はまったくない緊張感のない議論が続けられている。審議時間の積み重ねは、採決を強行するためのただのアリバイづくりでしかない。
(写真 東京の「日の丸・君が代」被処分者が大挙登壇して決意表明【6月2日 日比谷野音】)
与党が閉会中の公聴会提案
6月8日に行われた特別委の理事懇談会では、与党側は、国会閉会中に地方公聴会を行うことを要求した。これに対して野党側は、政府案・民主党案ともに廃案にし、特別委も今国会で閉じることを主張したが、結論が出なかった。6月13日に再度理事懇を開いて協議する予定となっている。
国会閉会中にも地方公聴会を開催し、審議を進めようという政府・与党の横暴を絶対許すわけにはいかない。臨時国会の開会直後に衆院特別委採決・本会議採決へと突き進み、あっと言う間に参院で採決・成立強行へと持ち込もうとしているのだ。
全国で広がる反対運動の力
政府・与党側がこれほどまでに成立を急いでいるのは、反対運動の広がりを恐れているからだ。教育基本法改悪が次代の青年たちを戦場に送るための超重大攻撃であることや、憲法改悪に直結したものであることを多くの人が知ることになれば、反対運動は必ず一挙に広まる。共謀罪反対運動の広がりの二の舞になることを恐怖しているのだ。
すでに全国の教育労働者が、連日の国会闘争に加えて、地元での教育基本法改悪反対集会や街頭宣伝などに飛び回っている。この5〜6月に各地で開催された単組の定期大会では、「教育基本法改悪案の廃案を求める」などの特別決議が続々あがっている。
また、日教組・全教というナショナルセンターの違いを越えた共闘も各地に広がっている。東京では、日教組傘下の都高教・東京教組と全教傘下の都教組の3労組委員長が5月31日に「全都の教職員のみなさんへ」というアピールを発し、「教育基本法『改正』案を廃案にするために東京のすべての教職員のみなさんが立ち上がることを心より訴えます」と呼びかけた。
会期末までけっして気を抜かず、国会闘争を闘いぬこう。「継続審議にするな!」「政府案・民主党案とも今国会で廃案に!」の声を大きく上げよう。
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週刊『前進』(2250号2面2)(2006/06/19)
愛国心の競い合い 教基法特別委を傍聴して
6月8日、衆議院教育基本法特別委員会の審議を傍聴した。自民党と民主党が”どちらがより愛国的か”を競い合うおぞましい審議であった。以下、特徴的な発言を紹介する。
◆日教組と「日の丸・君が代」闘争に対する憎悪
臼井日出男(自民)「日教組の組合員から、教育基本法改悪に対する抗議ハガキが届いている。こういうハガキを書いている人たちが、新しい教育基本法の精神を正しく理解して子どもたちを指導していくことができるのか心配になる」(闘う教育労働者を排除しろと言わんばかり)
保利耕輔(無所属)は、日教組が1952年に採択した「教師の倫理綱領」(「教師は労働者である」とうたった)を取り上げ、「長い間そういうものが(教育現場を)支配してきた、根底にそういう理念があったことは否めない事実だ」(教師は労働者ではなく聖職者だとはっきりさせろと言うのか)。
笠井亮(共産)が「99年の『国旗・国歌法』制定時、野中官房長官が『起立する自由もしない自由もある』と答弁した。にもかかわらず今東京では、同じ言葉を生徒に言うと厳重注意処分となる」と指摘すると、「国旗・国歌を敬え」「常識なんだよ」とヤジと怒号で発言がかき消される。共産党が「国旗・国歌法」の法制化を提唱したことは許せないが、今や共産党さえ少数意見としてねじ伏せられようとしている。小坂文科相は「学習指導要領にもとづき国旗・国歌の指導を職務で命じることは、教員の内心の自由を侵すことにはならない。『君たちには歌わない自由もある』などと言うのには問題がある」と繰り返す。
◆戦中教育と天皇の賛美
保利「私は1941年に国民学校に入学した。戦時教育について、私は”よく鍛えていただいた”という感謝の念が強い。『教育勅語を暗唱させられた』などと言われるが、私は教育勅語を好んで暗唱したし、暗唱できるのが誇りだった」
さらに5月14日に天皇・皇后が皇居近くの北の丸公園を散策したことを報じた朝日新聞が敬語を使わなかったことを保利が批判し、それを受けて小坂が「新聞だから、字数が限られているからと言って許される問題ではない」と非難。
◆すり寄る自民と民主
こうした審議の最中で、気になったのが民主党改悪案を取りまとめた民主党教育基本問題調査会の座長・西岡武夫(元文相)の動きだ。特別委委員ではないので後方の傍聴席にいたが、審議内容を聞きもせず、自民党の森喜朗、町村信孝、河村建夫ら文相・文科相経験者を隣の席に呼んでは肩を寄せ合い、満面の笑みで談笑を10分も20分も続けていた。あたかも”政府案と民主党案のすり合わせはこの傍聴席で決まるんだ”と言わんばかりに。
こんな翼賛国会は本当に許せない。国会に駆けつけよう。 (本紙 Y・U)
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週刊『前進』(2250号2面3)(2006/06/19)
日教組本部が闘争解除
民主案擁護に続く大裏切り
最大の山場に態勢解除とは
この間の国会闘争と5・27集会、6・2集会の高揚が示すように、多忙化と管理強化で痛めつけられながら、日教組の現場組合員は、教基法改悪を日教組の存亡にかかわる課題としてとらえ、自主的な決起を開始している。戦争の時代への危機感の中で、「教え子を再び戦場に送るな」という教育労働者の魂がよみがえりつつある。
ところが、日教組本部は会期末へ向けて闘争態勢を強化するどころか、第2次の国会座り込み方針を50人から20人にダウンさせ、それをも中止した。とんでもない裏切り行為である。
そもそも日教組本部・森越委員長と日政連議員が民主党の教基法改悪案に合意したことは、歴史的な裏切りであり、「愛国心」教育推進への大転向である。
民主党案は、政府案以上にはっきりと愛国心、宗教的情操教育を盛り込んでいる。行政権力の「不当な支配」の概念をきれいさっぱり一掃し、教育行政の独立性を否定している。民主党案を評価する「書記長談話」は到底認められない。
法案審議では、民主党議員は教育勅語を礼賛し(大畠議員)、愛国心は「国体護持につながる」(山口議員)と言い、民主党案を売り込んでいる。日教組本部の民主党案擁護こそ、反対運動の最悪の阻害物だ。
民主党案に対して、現場組合員の激しい憤りがまきおこっている。ところが森越委員長は、5・27集会で民主党案への批判や撤回要求を「われわれの陣営を分断・かく乱する策動」と恫喝・非難した。連合にすがり、民主党を尻押しする日教組本部の路線こそ、真に手を結ぶべき改悪絶対反対勢力から日教組を分断するものである。
5月18日の連合中執で決定した「教育基本法の国会審議に対する対応」は、改悪反対でもなんでもない。〈民主党案も検討対象として、原案を修正しろ〉という代物だ。03年6月の武力攻撃事態法の修正・成立に手を貸した連合の裏切りを再び許してはならない。
5・13日教組見解の犯罪性
5月13日に出された「政府法案に反対する日教組見解」は、実に許せない内容である。
第一に、愛国心攻撃を「戦争を支持し担う国民づくり」の攻撃、教育労働者を戦争に動員する攻撃としてとらえていない。
日本の再軍備は、53年池田・ロバートソン会談で「教育によって愛国心と自衛のための自発的精神の成長」を約束することから始まった。学習指導要領の道徳や社会科の目標に「愛国心」が盛り込まれたのも、99年の新安保ガイドライン関連法の制定と一体だった。教基法改悪の推進者たちは、「国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す」(西村真悟)、「日本を守るために自分は戦うという覚悟を取り戻す」(安倍官房長官)ためと公言している。
教育労働者がそのことを真正面から訴えてこそ、保護者とのつながりも、有事法制で戦争に駆り出される他産別の労働者との共闘も広げていくことができるのである。
第二に、現行法10条を解体し、教育行政の無制限の介入を正当化する点について、まったく批判も弾劾もしていないことである。
「不当な支配に服することなく」に続けてあった「国民全体に対し直接責任を負って」という条文を政府改悪案が削除して「この法律及び他の法律の定めるところにより」と書き換えたことについて、小坂文科相は国会答弁で「法律にもとづく教育行政の行為は、不当な支配にはあたらないことを明確にしたものだ」と繰り返し言明している。
見解は、「国民全体に対する直接責任」の削除が「全体の奉仕者」の削除とあいまって「国家のために職務に邁進(まいしん)する教員像を想定させるもの」と指摘してはいる。しかし政府案が、行政権力による教育内容への介入の歯止めを取り払い、教員の教育権限を全面的に剥奪(はくだつ)しようとしていることには、なんら異を唱えていない。教基法が改悪されたら、平和教育が違法行為として処分の対象となるのである。
翼賛国会に教育のあり方を委ねる「調査会設置要求」といい、政党間の駆け引きに法案の行く末を委ねる民主党案擁護といい、本部は、「国民に直接責任を負って」を自ら投げ捨ててしまっている。
「政府主導による教育振興基本計画の策定は、教育の主体性や自律性が失われる」と言うなら、策定要求に組合員を引き回してきた過ちを根本的に自己批判すべきである。
今こそ〈対決・阻止・抵抗〉を
問題の核心は、日教組本部が、教基法改悪の先取り攻撃に対する〈対決・阻止・抵抗〉の闘いを放棄してきたことにある。
職務命令による「日の丸・君が代」強制に対して、処分を辞さない抵抗を貫いた東京の教育労働者の闘いは、権力の教育支配と闘う武器としての教基法10条の意義をよみがえらせた。「つくる会」教科書の使用強制に対して、杉並区教組は「いかなる弾圧、処分にも屈することなく、歴史の真実を子どもたちに伝え続ける」と宣言し、闘い続けている。教育労働者の体を張った闘いが、多くの労働者市民の共感を呼び、改悪反対運動を広げてきたのである。
「心のノート」や「愛国心」通知表、小学生を駆り出しての戦災訓練など、愛国心教育・軍事教練はすでに始まっている。〈新職=新級〉〈評価制度の賃金反映〉など、教職員を分断し団結を解体する攻撃が全国に広がっている。「君が代」不起立処分は新潟にも波及し、埼玉では自己申告書不提出を職務命令違反とする処分が出されている。
〈愛国心に燃え、国際平和のために戦う国民の育成〉を「教員の崇高な使命」とする改悪教基法の成立を許せば、「免許更新制の現職教員への適用」は、愛国心教育を踏み絵とする大量首切りとなるだろう。
石原・都教委の教基法・憲法違反と徹底対決する東京の被処分者の闘いに続き全国で教基法改悪の先取り攻撃と闘おう。職場の闘いと国会前を結び、巨万の国会闘争をつくりだそう。
6・22中央委で闘う方針を
6月22日、日教組第146回中央委員会が開催される。この中央委議案では、民主党案には言及することなく、「憲法改正動向から07年参院選は重要」だとして日政連議員・神本美恵子の参院選推薦方針を早々と打ち出している。一体、どういう理屈で、教育基本法廃止、改憲推進の民主党を支持せよと言えるか! 神本への一票は、教基法・憲法を絞め殺す一票となるのだ。
教基法改悪絶対阻止の立場と政府案・民主党案をともに廃案に追い込む闘争方針の確立が待ったなしに求められている。現場組合員の力で日教組本部の大裏切り方針を突き破り、教育基本法改悪絶対阻止の闘いをつくり出そう。
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週刊『前進』(2250号2面4)(2006/06/19)
改悪絶対阻止へ熱気
6・2全国集会&国会デモ 被処分者先頭に3000人
大内裕和、小森陽一、高橋哲哉、三宅晶子の4氏が呼びかけ人の、教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会が主催する「教育基本法の改悪をとめよう!6・2全国集会&国会デモ」が6月2日、東京・日比谷野外音楽堂で行われた。国会で教基法改悪案が連日審議されるという緊迫した中、全国の教育労働者を先頭に3000人が参加した。
呼びかけ人4氏が発言。高橋さんは「改悪案について『国とは統治機構を指すものではない』と言うが、かつての愛国心教育においても『郷土、家族を愛せ』と言って国のために命を捨てさせた。『私の愛に国は口出しをするな。私の愛を法律でしばるな』の声をあげよう」と述べた。
三宅さんは、ナチス支配下の抵抗を記したドイツの教科書の「抵抗の階段」を紹介。「1段めは同調しないこと。2段めは拒否。3段めは抵抗。4段めは政府を転覆するためヒットラー暗殺計画を企てた人びとが書かれています。1段めの階段を大きく広げ、希望を持って進もう」と訴えた。
小森さんは「特別委では麻生外相が教育勅語を暗唱し、『国体』という言葉が飛び交っている。日本会議のメンバーが国会を占拠することを私たちは絶対に許さない」と強く弾劾した。
大内さんが行動提起を行い、「改悪の中身と問題点を自分の言葉で訴えよう。国会闘争の力で、改憲勢力が多数を占める国会情勢を変えよう。国会闘争と各地・各職場の闘いを結びつけていこう。『日の丸・君が代』で停職処分にされた東京の教育労働者が連日、校門前で座り込みを続けている。この闘いと国会前の座り込みをつなげ、改悪案の廃案へ闘おう」と呼びかけた。
東京の「日の丸・君が代」被処分者の会、被解雇者の会などが大挙登壇し、被処分者を代表して都立高の女性労働者が発言した。「『10・23通達』以降のべ350人が処分を受けた。都教委の弾圧は年々エスカレートし、前任校での来賓としての行動まで処分を狙っている。職員会議の採決が禁止され、来年から奉仕活動が必修化され、国のために命を投げ出させる教育へと突き進んでいます。被処分者の活動は憲法・教基法改悪を阻止するための運動でもあります。日本中に運動を広め、大きなうねりにしていこう」。力強い訴えに大きな拍手がわいた。
各地からの報告では、埼玉と大分の教育労働者が地元の改悪反対運動を報告した。東京大学の学生は「早稲田大ではビラまきで逮捕、法政大では立て看撤去に抗議したら逮捕と退学処分。こんなことは許せない」と訴えた。国会からは、社民党の福島瑞穂党首と日本共産党の穀田恵二国対委員長が発言した。
ただちに国会デモに出た。長蛇(ちょうだ)のデモ隊列が続々と公園から繰り出す。最後尾の東京の教育労働者の隊列には、勤務を終えて大急ぎで駆けつけてくる組合員の姿が後を絶たない。衆参両院の議面前では大きな声でシュプレヒコールをあげて、「改悪を阻止するぞ! 必ず廃案へ!」と誓い合った。
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週刊『前進』(2250号2面5)(2006/06/19)
行革推進法成立弾劾する
配置転換や首切り狙う 職場から怒りの反撃を
5月26日、行革関連5法が成立した。行政改革推進法と市場化テスト(公共サービス改革)法、公益法人制度改革関連3法だ。
行革推進法は「簡素で効率的な政府(小さな政府)を実現するための行政改革の推進」を目的とし、民営化の推進と経費抑制を打ち出している。
基本方針は@5年間で国家公務員5%以上、地方公務員4・6%以上の純減を目標とする。国家公務員総人件費を2015年度までに国内総生産(GDP)比半減に近づけるA商工組合中央金庫や国民生活金融公庫など政府系8金融機関を2008年度に1機関に統廃合するB独立行政法人を見直すC31特別会計を17から12に統廃合し、約20兆円を捻出(ねんしゅつ)するD国の資産のGDP比率を2015年度までに半減する――という5本柱だ。
また関連して公務員制度改革、規制改革、市場化テストなどとの連携を掲げている。公務員への能力・実績主義に基づく人事管理、労働基本権と人事院制度・給与制度改革、天下り規制など公務員制度改革の早期具体化をうたっている。
そして首相を本部長とする行政改革推進本部を5年間の期限付きで設置するとしているように、ポスト小泉を含む行革推進の基本方針である。経費抑制・国民負担軽減と称して大増税への地ならしを図っている。
行革関連5法は本質的には、日本帝国主義が世界戦争危機と帝国主義間争闘戦の激化、国家財政破綻(はたん)という絶望的・体制的な危機をのりきるための国家大改造攻撃である。また今国会における医療制度改革法の制定を始め教育基本法改悪、共謀罪、国民投票法の制定策動や米軍再編・安保大改定、歳出入一体改革、地方分権改革、道州制導入の動きと一体だ。
日帝は戦後的な社会保障、地方自治、教育を解体し、9条改憲で戦争国家に転換しようとしている。「小さな政府」=「簡素で効率的な政府」「官から民へ」はそのためのイデオロギー的スローガンだ。
これら全攻撃の核心に国鉄分割・民営化と同じく官公労の労働組合の解体が据えられている。公務員労働運動の抵抗力を打ち砕くことが最大の狙いだ。ところが連合も全労連も闘わすして行革攻撃に屈服し、その先兵となろうとしている。
5月29日に政府と連合は第3回政労協議を開いた。ここで連合の古賀事務局長や自治労の岡部委員長らは、労働基本権問題の協議機関にすぎない専門調査会の設置の約束と引き替えに公務員の大量首切りの先兵になることを誓った。
これを受けて政府の有識者会議は30日、今後5年にわたる国家公務員純減の最終報告を公表し、純減数を1万9644人とした。当初目標の「5%以上」を上回る。さらに政府は、公務員純減の具体化に向けた基本方針を含む「骨太方針2006」を7月に閣議決定し、そこに純減対象者の配置転換を進める国家公務員雇用調整本部(本部長・安倍官房長官)の設置を盛り込もうとしている。
連合・公務労協・国公連合・自治労本部は雇用調整本部=「首切り推進本部」の設置を「手柄」と考えている。組合員の怒りを爆発させ、職場闘争を巻き起こし、大闘争に発展させようという気などないのだ。政労協議にうつつをぬかし、来年参院選での民主党支持を組合員に強制し、「良質な公共サービス」論をふりまき、改憲・国家改造攻撃の補完物になっている。
全労連・国公労連・自治労連本部は、日本共産党の「資本主義の枠内の民主的改良」路線に基づき連合や地方6団体にすり寄ってきた。5法案の採決に際し全労連の坂内事務局長は「おざなりの審議で採決したことに抗議」「国民が安心して安全な生活ができる社会を」と述べた。現場の怒りや階級的立場とは無縁だ。
連合・全労連指導部の抑制を突き破る階級的労働運動を登場させる時、全情勢は一変する。動労千葉の反合・運転保安闘争への支持・共感はそれを示した。行革関連5法を職場からの実力闘争で粉砕しよう。
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週刊『前進』(2250号2面6)(2006/06/19)
5・22〜6・2
行革推進法など5法案成立
御手洗が経団連会長/マクドナルドで労組結成
●64%が格差拡大を実感 連合総研が発表した「第11回勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート」で、約64%が「過去5年間で個人間の収入格差が拡大した」と見ていることがわかった。(5月22日)=要旨別掲
●連合が組合費調査 連合と連合総研は「労働組合費に関する調査」の結果を発表。組合員1人あたりの平均組合費は月5107円で、平均月額賃金での割合は1.69%。スト資金は6割弱の単組が積み立て。積立総額は平均7億6079万円。ストの賃金補償日数に換算するとちょうど20日分。(23日)
●マック、60歳定年制を廃止 日本マクドナルドは定年制を廃止したと発表。「定年までの雇用が保障される機能がなくなる」との指摘がある。(23日)
●日本経団連会長に御手洗が正式決定 経団連は定時総会を開き、奥田会長の後任にキヤノン会長の御手洗(みたらい)冨士夫を正式決定した。就任後の記者会見で、小泉=奥田の構造改革路線を「さらに充実させていく」姿勢を強調、「努力した結果の格差は称賛される」などと述べた。小泉首相はあいさつで奥田を引き続き経済財政諮問会議の議員として留任させる考えを示した。(24日)
●行政改革推進法、市場化テスト法が成立 行政改革推進法など行革関連5法が参議院本会議で可決、成立した。行革推進法は国と地方の公務員を5年間で4.6〜5%以上減らす内容。(26日)
●マックで組合結成 日本マクドナルド本社に「日本マクドナルドユニオン」の結成を通告。上部団体は連合ユニオン東京。すでに6県で200人が加入した。(29日)
●公務員の労働基本権に関する「検討の場」設置へ 政府と連合は公務員制度改革に関する政労協議を開き、労働基本権を付与する公務員の範囲の「検討の場」を6月中にも設けることなどで合意。これに対して全労連「公務員制度改革」闘争本部は30日抗議談話を発表した。(29日)
●4月の完全失業率、4.1%で前月と変わらず 総務省統計局が発表した労働力調査によると、4月の完全失業率は4.1%で、前月と同率だった。厚労省が発表した一般職業紹介状況によると、4月の有効求人倍率は1.04倍で前月を0.03ポイント上回った。(30日)
●国家公務員、5省の純減数1万9644人 政府の行政減量・効率化有識者会議は国家公務員の純減に関する最終報告書をまとめた。純減数は1万9644人に。(30日)
●教基法改悪阻止へ日教組と全教組合員が集会 「教育基本法の改悪をとめよう!6・2全国集会」が日比谷野外音楽堂で開かれ、日教組や全教に加盟する全国の組合員など3000人が参加。(6月2日)
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連合総研 勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート(要旨)
5年前と比べて「個人間の収入格差が拡大した」と感じている人の割合は63・6%、「変わらない」は14・5%で、「縮小した」は5.9%。
格差拡大の主な要因として「パート・派遣労働など非正規雇用が増えたこと」をあげた人が51.1%と最も多かった。
正規・非正規間格差について、5年前と比較して「賃金処遇の差が拡大した」が21.8%、「変化していない」が43.4%。格差について正規社員では「現状のままでいい」が41.2%と最も多く、非正規社員では「縮小すべき」が39.6%で最多、また男性は「現状のままでよい」が39.5%で最多、女性は「縮小すべき」が29.0%で最多、年齢層別では30代が「現状のままでよい」が最多など、雇用形態、男女、年齢で意識の違いが表れている。
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週刊『前進』(2250号3面1)(2006/06/19)
国鉄1047名闘争解体の危機突破し勝利の道開こう
敗北導く「和解路線」と決別を
国鉄1047名闘争は重大な岐路に立っている。国労本部は、「政治解決」の名で被解雇者1047名に最後的な屈服を強要しようと策している。だが、より重大なことは、鉄建公団訴訟を支援してきた勢力の中から、「政治解決」を唱える動きが急速に強まっていることである。これは、その主観的意図がどうであれ、4党合意と同じ過ちを繰り返すものにほかならない。国鉄闘争を自ら敗北に追いやっていいのか。国鉄闘争の勝利は、反合・運転保安闘争を貫く動労千葉とともに職場生産点からJR資本と対決し、共謀罪や教育基本法改悪、改憲のための国民投票法案などをめぐる国会闘争=改憲阻止闘争の先頭に1047名が立ってこそ切り開かれる。
被解雇者が主体となって闘うべきだ
1047名闘争の圧殺をたくらむ国労本部は、「年内解決、小泉内閣での解決に道筋をつける」「国会会期中に解決促進」と叫んで「政治解決」=和解路線にのめり込んでいる。同時に、鉄建公団訴訟を支援してきた勢力の中からも、「年内政治解決」「解決交渉のテーブルづくり」という主張が公然と現れた。
4党合意や鉄建公団訴訟をめぐって対立してきた双方が、ともに「政治解決」路線に激しく傾斜しているのだ。これは、国鉄闘争を敗北に追いやりかねないきわめて重大な事態である。
改憲をもくろむ小泉政権に対し、労働者階級の怒りは激しく噴き出し始めている。共謀罪新設や教育基本法改悪、医療制度改悪法案や改憲のための国民投票法案を阻むため、労働者は連日、国会前に詰めかけて闘いぬいている。国会前は、労働者階級と小泉政権との激突点になったのだ。
この情勢と無縁なところで唱えられる「国会会期中の政治解決」などの主張は、およそ現実性を欠くばかりか、国鉄闘争を限りなく卑しめるものだ。多くの労働者が国会前で怒りのこぶしを上げているその時に、政府・与党に「政治解決」をこいねがうこと自体、労働者の闘いへの許しがたい裏切りだ。
2・16国鉄集会を経て、国鉄闘争は1047名総体の統一陣形を生み出した。それは、被解雇者1047名が闘いの主体として立ち上がる条件をようやく手にしたということだ。4党合意を受け入れた国労本部は、闘争団の血叫びを圧殺して被解雇者を権力・JR資本に売り渡そうとした。ここに典型的に示されるように、これまで1047名は闘いの主体として認められてこなかったのだ。鉄建公団訴訟の闘いは、この状況を覆し、自らが闘いの主体に躍り出るための苦闘ではなかったのか。
1047名が主体となって改憲阻止を始めとする階級攻防の先頭に立てば、それが労働者階級全体を糾合し、壮大な階級決戦が切り開かれることは間違いない。国鉄闘争の勝利もそこにかかっている。1047名闘争は本来、そうした巨大な可能性を秘めている。
かつて中曽根は「行政改革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と言い放ち、今なお「国労解体を明確に意識して国鉄改革をした」と豪語している。そのために首を切られたことへの怒りを根底から解き放ってこそ、敵を圧伏することができるのだ。その中で、敵の側から「和解」を求めてくることもあるだろう。それはあくまで、闘いの結果としてもたらされるものだ。
だが、「政治解決」=和解を自己目的化した途端、被解雇者の存在と苦難は、政府・与党との取引材料におとしめられてしまうのだ。「1047名の統一」も「交渉テーブルづくり」のための単なる枠組みとされ、国鉄闘争支援勢力は政府に見せつけるための「数」としてしか位置づけられなくなる。
国労本部は、国鉄労働運動の壊滅を一貫して狙ってきた政府にすがって「政治解決」を図ろうとし、その結果、敵階級の求めに応じて屈服を重ね、4党合意の受け入れにまで行き着いた。「政治解決」路線は、その過ちを繰り返し、1047名闘争を解体に導くものにほかならない。こうした動きに1047名がもてあそばされてはならない。4党合意を根底的に総括し、「政治解決」を自己目的化する一切の路線ときっぱり決別すべきだ。
全世界で始まった労働運動の新たな高揚は、日本の労働者階級を巻き込んでさらなるうねりを生み出そうとしている。改憲をめぐる決戦が火ぶたを切った今、1047名はこの闘いの主役として最先頭に立とう。改憲阻止の一大階級決戦を切り開いてこそ、国鉄闘争の勝利も実現できる。
原則的に解雇撤回闘争貫く動労千葉
国鉄1047名闘争は、被解雇者の解雇撤回・JR復帰を求める闘いだ。それは、被解雇者が先頭に立って闘うとともに、JR資本と対決するJR本体の闘いと緊密に結びついてこそ勝利できる。
それを原則的かつ果敢に実践しているのが動労千葉だ。国鉄分割・民営化にストライキで立ち向かった動労千葉は、JR体制下でも「1047名の解雇撤回」を掲げ、連年、春闘ストライキを闘いぬいている。争議団の闘いと生活を支えるため、全組合員が年2回の物販オルグに回っている。争議団が闘いの先頭に立つとともに、JR組合員が自らの闘いとして解雇撤回闘争を貫いているのだ。こうした闘いは全世界の労働者の共感を呼び、国際連帯の輪も広がっている。
昨年4月の尼崎事故は、国鉄分割・民営化体制=JR体制の根底的な破産を突き出した。それ以降もJRは、羽越線、伯備線の重大事故を立て続けに引き起こしている。
これに対して動労千葉は、昨年に続き06春闘でも渾身(こんしん)の安全運転闘争に立ち上がった。「危険個所では減速する」という運転士として当然の行動に、JR東日本は職制による監視や不当処分の恫喝を加えて闘いの圧殺を図った。だが、これと全面対決して貫かれた動労千葉の闘いは、圧倒的な労働者の心をつかんでいる。何よりもそれは、事故の危険にさらされる現場組合員が主体となって闘いぬいたからである。こうした闘いは、1047名の統一陣形形成の原動力ともなっている。
JRはこれに憎悪を集中し、06春闘をストライキと安全運転闘争で闘った動労千葉組合員に、戒告と厳重注意の不当処分を発令した。さらにJRは、幕張車両センター構内での事故を口実に、動労千葉組合員への重処分を策している。
だがそれは、動労千葉の反合・運転保安闘争が、JR体制を根底から撃つ闘いとして貫かれたことへの資本の恐怖の表れだ。
裏切り者引き入れ敗北の道歩むのか
このJR資本と呼応して、国労本部=佐藤・吉田執行部は動労千葉排除の策動に再び乗り出してきた。国労本部は、JR資本の意思に忠実に従い、1047名の統一陣形と国鉄闘争の破壊に躍起となっている。
日本共産党指導部や全労連の一部幹部もまた、動労千葉排除と1047名陣形解体の策動を続けている。この反動に抗して、1047名陣形を何としても守りぬかなければならない。
にもかかわらず、この国労本部を引き入れて「政治解決」を図ろうとする動きが、鉄建公団訴訟支援の陣営の中から生まれてきたことに、今日の国鉄闘争の危機がある。国労本部による「訴訟の提起」にのみ闘争の進展をゆだね、そのために国労本部を積極的に引き入れる誤りは、「政治解決」路線から生じている。
この動きは、改憲情勢下で鉄建公団訴訟の控訴審が反動判決となることを恐れ、それにあらかじめ屈したところから発したものだ。しかし、闘いへの構えがあれば、どんな判決であれそれを主体の団結の強化に転じることはできる。事実、9・15判決もその中身は解雇撤回を認めない反動判決だった。だが、それへの怒りもバネに、1047名の統一陣形が形成されたのだ。問われているのは、改憲情勢下で階級的労働運動を貫くことである。
国労本部の介入を許して、闘いに勝利することは絶対にできない。
2月の中央委員会で国労本部は、「鉄道運輸機構(旧国鉄清算事業団−鉄建公団)を相手とした新たな訴訟については、7月の全国大会で最終的に判断する」と集約した。ところが、全国大会に向けての代議員選挙が告示された今になっても、彼らは一向に訴訟方針を打ち出そうとはしていない。それはひとえに、JR資本のくびきのもとに国労本部が置かれているからだ。彼らは、訴訟をやらないどころか、配転・出向40事件や国労バッジ事件までをも、敗北のうちに収拾しようと策している。
国労本部はJRの事故責任追及の闘いも投げ捨てた。尼崎事故1周年の4月25日、国労西日本エリア本部はJR西日本やJR連合・西労組と一緒になって労使安全会議の集会を開き、会社への忠誠を誓った。しかも彼らは、「春闘ストを実施した」ことを口実に建交労もこの集会から排除した。国労本部が唱える「建交労との共同」は、JR内部からのどんな小さな抵抗も抑え込もうとするものにほかならない。
「組織混乱を克服した」だの「リセット完了」だのとうそぶきつつ、国労本部は4党合意受諾による組織混乱の責任を何ひとつとっていない。鉄建公団訴訟原告への統制処分も「やむを得なかった」と居直り続けている。彼らの大罪は何よりも、闘争団員への統制処分に反対した国労組合員を警察に平然と売り渡したことにある。
これらについて自己批判も謝罪もしない国労本部に、1047名闘争への介入をさせてはならない。勝利を求めて必死に闘ってきた誇りある闘争団員・国労組合員にとって、現執行部を容認するなど耐え難い屈辱ではないか。佐藤−吉田執行部打倒こそ、闘う国労組合員がとるべき道だ。
国労本部を打ち倒し、国労の階級的再生を切り開く攻防の切っ先に、5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いがある。公安警察と一体化した現執行部のもとで、国労の団結も国鉄闘争の勝利もない。5・27臨大闘争弾圧との闘いは、国労を現場組合員の手に取り戻す闘いだ。
国労本部は、控訴審を闘う鉄建公団訴訟原告団を権力の集中砲火にさらして孤立化させ、たたき伏せようと狙っている。この国労本部を打ち倒し、闘う執行部を樹立してこそ、闘いは勝利に向かって進むのだ。そのためにも、5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを全国労組合員のものにしよう。
今こそ「政治解決」路線と決別し、1047名闘争を国家権力・JR資本と真っ向から対決する本来の闘いに立て直そう。被解雇者1047名の団結を固め、改憲阻止の壮大な階級決戦を切り開いて、国鉄闘争の勝利を実現しよう。
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週刊『前進』(2250号3面2)(2006/06/19)
ジャワ地震 これは階級的な災害だ
自衛隊の派兵を弾劾する
5月27日、ジャワ島中部でマグニチュード5・9の地震が発生し、6000人近い死者、5万人の負傷者と家を失った被災者65万人という大災害となった。一昨年12月にスマトラ沖地震が起こり、大津波の被害が重なり30万人もの死者が出たが、これに続いて、またしても貧困層の住民を中心に大災害が見舞った。
これは単なる自然災害ではない。帝国主義の世界支配と新植民地主義的侵略のもとでの階級的災害である。同時に、この災害への「救援」と称する帝国主義諸国の行動も、新植民地主義的侵略のための政治的・軍事的・経済的もくろみをもった行動だったことを弾劾しなければならない。
インドネシア政府は地震から2日後の5月29日、救援が遅れる一方で、非常事態宣言を発した。これは何よりも人民の怒りの決起を抑え、治安を確保することが最優先におかれていることを示している。
日帝は、スマトラ沖地震に続いて、今回も額賀防衛庁長官が自衛隊に派遣命令を下し、国際緊急援助隊法に基づく派兵を強行した。
かつて日帝のアジア・太平洋戦争においてインドネシアを侵略・占領し、インドネシア人民を虐殺し、さらに強制労働や軍隊慰安婦に駆り出した歴史をもつ日帝が「救援」を口実に軍隊を送ることはまったく許せないことである。戦後も日帝はスハルト独裁体制の後ろ盾となってその抑圧支配を支え、新植民地主義的収奪を強めてきた。
ちょうど震災と時を同じくしてシンガポールで開かれた「アジア安全保障会議」(英国際戦略問題研究所主催)で6月3日に講演した額賀防衛庁長官は、アジア・太平洋地域の地震などの災害に対し、「各国の軍が迅速に対応するための制度及び手続きを整備しておくこと」と国際的な枠組みの創設を提案した。自衛隊法を改正し、自衛隊の国際平和協力活動を付随的任務から本来任務に格上げしたいとの意向も強調した。
額賀は、「われわれは災害救援の分野でイニシアチブを取りたい」と国際平和協力活動に積極的に乗り出す考えを表明し、「日本の平和と安定は、アジア太平洋地域のそれと不可分の関係にある」「軍組織の災害救援活動は、将来は内戦後の復興支援や平和構築などの分野に広がりを持ち得る」と述べた。
さらにマラッカ海峡のテロ、海賊対策を取り上げ「外務省や海上保安庁を中心に沿岸国への協力をしているが、防衛庁としてもどのような協力が可能か検討したい」と強調した。
また政府は1日、武器輸出3原則を緩和して、インドネシアに対し「テロ・海賊対策」のための巡視船艇3隻を供与することを決め、与党安全保障プロジェクトチームに報告した。
額賀講演が示すように、「災害派遣」を口実とした日帝の、米帝と結託したインドネシア・東南アジア侵略と対決し、闘うアジア人民と連帯して闘うことが求められている。
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週刊『前進』(2250号3面3)(2006/06/19)
泉佐野市議選 関空優先の市政と対決
地区党が主体で闘い勝利
住民の決起と結合して勝利
5月14日の泉佐野市議選で国賀祥司議員は空前の大激戦を勝ちぬき堂々たる当選をもぎりとった。12位1749票の大勝利だった。
(写真 選挙戦第一声の国賀祥司候補【5月7日 泉佐野】)
この勝利は、何よりごみ有料化に怒り、決起した住民自身の勝利である。これまで「関空もできたし」とあきらめていた人も、「もはや我慢がならない」と決起した。古くからの支持者も新しく接点をもった人も総決起した。泉佐野に劇的化学変化が起こったのである。関空と小泉の「三位一体」攻撃に対する怒りが、ごみ問題として爆発した。泉佐野市議選の勝利は、何よりも、こうした住民の怒りと結びつき、住民の総決起に発展する方針を選挙方針として闘い、かちとったものである。
この闘いは、関西空港に反対し関空優先市政を打ち倒す闘いだ。ごみ有料化の原因は空港優先市政による借金にある。戦争と民営化の三位一体改革を粉砕する自治体労働者の決起をつくりだす闘いでもある。
この闘いは今、ごみ有料化を問う住民投票実現のための直接請求運動になって発展している。選挙戦での住民の決起がさらに発展し、次々と新しい署名運動の担い手が生まれている。「これだけは許せない!」と多くの住民が、署名を必死に集めている。直接請求署名の締め切りの6月7日までに4500筆以上が集約されている。
こうして4月強行実施というごり押しで、ごみ有料化に泉佐野市民を屈服させようとした新田谷市政のもくろみを完全に破綻(はたん)させた。住民投票の是非を審議する市議会開催は不可避である。住民の怒りと決起は、闘いを新しい段階に押し上げているのだ。この闘いは、マスコミをも動かし2回テレビ報道がされ、新田谷市政のごみ有料化が批判されている。しかも、市長はマスコミの取材を拒否し逃げ回っている。
泉佐野市議選が示したものは労働者人民の怒りの激しさと決起の展望だ。これは例外的事態ではけっしてない。帝国主義の労働者への攻撃、小泉「改革」による戦争・民営化の攻撃による生活破壊の激しさは、全国いたるところで労働者人民の激しい怒りを呼び起こしている。職場で地域で、泉佐野で始まったような人民の反乱と結びつくことはまったく可能だということだ。この怒りと結びつく労働者党としての「感性」と「能力」があれば、こうした闘いは全国どこでも実現することができる。
06〜07年の4大産別・改憲阻止決戦は、今や待ったなしだ。この決戦に勝利するためにも、労働者党として自己を徹底的に確立することが決定的だ。泉佐野市議選は、この闘いの展望を切り開いたのである。
ごみ有料化との闘いを柱に
国賀祥司議員の当選は、空前の激戦を勝ち抜く選挙戦略の構想どおりの選挙戦として大勝利した。
まず第一に、住民の怒りと結びつき、住民決起をトコトン促進する選挙戦になったことである。ここにおいて、ごみ有料化問題を選挙闘争の柱に設定したことは決定的だった。
05年3月に強行採決されたごみ有料化に対して、住民は05年夏から「ごみ問題を考える会」を立ち上げ、独力で7000の署名を集める運動をつくり、昨年12月から始まったごみ有料化のための説明会で反対の闘いを展開してきた。そして2月4日の全市説明会では、市長を住民が取り囲み、実施の中止を強烈に訴える闘いをやりぬいた。しかし、新田谷市長は、中止を要求する住民の声を無視して、4月強行実施前にこの声を圧殺しようとした。
われわれは、こうした攻防の中で一定生まれてきた「挫折感」を見据えつつ、あくまで住民の怒りは強まることはあっても弱まることはないと確信して、住民投票要求・直接請求運動をごみ有料化と闘う方針として確立し、住民に真っ向から打ち出していった。そして同時に、これを選挙方針として闘うことにした。
この方針がごみ有料化に怒る住民と結びつき、共鳴し合いしながら選挙戦の勝利を切り開いていった。住民のごみ有料化反対への決起が支持の拡大になるというダイナミックな選挙戦が展開されたのだ。
実際の住民の決起は、われわれの予測を超えたものだった。選挙戦をとおして住民の怒りを知り、住民の怒りに励まされ、この選挙戦を闘いぬけたのだ。
第二に、住民の決起と結びつく選挙戦は、これまでのわれわれの選挙の闘い方を突破する運動的選挙、宣伝戦の選挙として勝利したことである。
昨年暮れ選挙体制発足時から従来の「名簿選挙」を突破していくことが強く確認されていた。この「壁」を突破するカギは、ごみ有料化を争点化し直接請求・住民投票方針を確立することにあった。泉佐野で起こっている階級的激突を選挙方針の核心に据えることこそが、新しい選挙戦の展開を可能としたのだ。
住民投票を呼びかけるビラが全市でまかれ始めたのは、選挙戦終盤の4月中旬だった。この投票日1カ月を切った時期から始めた宣伝と運動が、ごみ問題で怒る住民と結びついて、ものすごい勢いで選挙戦の勝利につながった。ビラを読んだ住民から賛同する電話が毎日かかってきた。住民のごみ問題への怒りが、すぐ国賀支持に転化する選挙戦になり、1カ月弱で支持者が爆発的に拡大する選挙戦になった。新しい世代の支持者が続々と生まれた。支持者の世代交代が一挙に進められた。
このような運動と宣伝の選挙戦によって、短期決戦で勝利できたのである。
第三に、地区党がうまずたゆまず地域の労働者住民と切り結び、さまざまな闘いを取り組んできた土台の上に、今回の選挙戦の方針を生みだすことができた。
実際、地区党は支持者・住民との日常的交流の闘いを積み上げ、ごみ問題の闘いでは首尾一貫して住民とともに闘ってきた。それだけではなく、「日の丸・君が代」決戦を始めとする4大産別の闘い、関西合同労組の春闘と争議闘争、改憲阻止闘争を貫きながら、選挙闘争を推し進めてきているのだ。
一切を地区党の責任で貫徹
もう一つの画期的意義は、今回の泉佐野市議選を徹底的な地区党選挙を貫いてやりぬいたことである。
第一に、選挙の主体が地区党であることを明確にしたことである。
昨年から始まった選挙体制は、地区党独自の力をベースにして労働者細胞を選挙の主力にして闘うことを明確にして方針を形成してきた。労働者細胞の生活と活動律に合わせて集票方針を練り上げ地区党単独でも勝利するんだという気概で闘いぬいてきた。これは労働者細胞が地域を分担し地域の隅々まで熟知する闘いを通常から闘いぬいてきたことによって可能になった。実際、直接請求運動方針の形成から3月中旬までは文字どおり単独で闘い勝利の土台を形成してきた。
第二に、そのことは、同時に選挙方針の一切を地区党の責任で討議し、決定するということでもあった。ここが今回選挙の核心的地平である。
4月中旬の選対本部の発足にあたって、選挙方針を地区党でまず討議し決定する、そしてその方針を選対全体の方針に練り上げていくという体制にした。こうした選挙体制をとることで地区の労働者細胞が選挙全体を統括し指導するという構造をつくりあげていった。このことによって選挙後の闘いを、地区党が全体の闘いを引き継いで闘っていくことが可能となった。
このように泉佐野市議選は、われわれの革命的議会主義の新たな教訓と地平をかちとった。
ごみ有料化撤回の闘いはまだこれからである。07年夏の関空2期供用開始との闘い、トランスフォーメーションとの闘い、そして何より4大産別・改憲阻止決戦は待ったなしである。われわれは泉佐野市議選の勝利の教訓と総括を生かし、闘いぬく決意である。ともに闘いともに勝利しよう。
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週刊『前進』(2250号4面1)(2006/06/19)
暫定滑走路の「北延伸」夏秋着工阻止
青年労働者と学生を先頭に 6・25東京−7・2全国集会へ
赤坂 潤
「自衛軍の創設」を柱とする憲法改悪を頂点に、歴史を画する大反動攻撃が襲いかかる中、三里塚闘争は暫定滑走路「北延伸」の着工をめぐる決戦に突入した。国土交通省・NAA(成田空港会社)はこの夏〜秋にも着工を強行する構えだ。反対同盟は決戦を前に、きたる6・25東京集会(前日からパネル展)、7・2全国集会(三里塚現地)を呼びかけている。あの1966年の空港設置閣議決定から40年、三里塚闘争は政府の「国策」を実力で阻んできた。「農民と労働者の正義が国家の論理を打ち負かしてきた」(反対同盟の7・2招請状)闘いが三里塚闘争だ。このかけがえのない砦(とりで)を守り抜くことは改憲阻止闘争の不可欠の一環だ。青年労働者・学生の新たな戦列を加え、6・25、7・2を新たな突破口に、三里塚への一大結集運動を巻き起こそう!
(写真 「北延伸」着工攻撃に立ち向かう反対同盟【3月26日 成田市天神峰】)
驚くばかりの国家犯罪を暴き出そう
「日本の表玄関」を標榜(ひょうぼう)する成田空港は、戦後高度成長期の66年に3本の滑走路計画をもつ一大国策プロジェクトとしてスタートした。ベトナム戦争で米軍チャーター機が羽田空港(東京)を満杯にしたことが新空港建設の大きな動機だった。しかし農地収用に対する農民たちの激しい抵抗闘争が巻き起こり、ベトナム反戦運動とも合流しつつ戦後最大級の反権力闘争に発展。78年の一期暫定開港(A滑走路=4000b)まで12年、B滑走路の「暫定滑走路」としての供用(02年)までさらに24年を要した。
2本目の滑走路が「暫定」と称するのは、予定地に反対農家を残したまま、当初予定の2500bを2180bに切り縮めて暫定オープンを強行したからだ。何と農家の頭上40bにジェット機が行き交い(東峰地区)、誘導路を地上走行するジェット機からは猛烈な排ガスが直撃する(天神峰地区)という、驚くべき国家犯罪がまかり通っている。これが現在の三里塚である。
そもそも航空法は、住民の生活環境に破壊的影響を及ぼす空港建設を禁じている。堂本千葉県知事は農家への“説得”で「ここは人間が住む環境ではない」と言い放ったが、「頭上40b飛行」の現場では現行憲法が保障する生存権すらはく奪されている。しかし、この驚くばかりの人権破壊と国家犯罪は、マスコミ報道からほぼ完全に遮断(しゃだん)されている。
国土交通省・NAAは「飛行機を飛ばしてしまえば反対農家は必ず屈服する」と開港を強行した。人が住めない環境を強制して「移転」を強要する。これがNAAが言うところの「民主的」とされる空港建設の実態だ。
政府・国交省は、強制収用が不可能になった89年以降、何度も過去の一方的な空港建設を「謝罪」してきた。大臣同席の「公式な謝罪」もある(公開シンポジウム=91〜93年)。「地権者の同意なき着工は行わない」とも確約した(円卓会議=94年)。しかし、これらの確約はすべて反故(ほご)にされた。その一切の結論は、暫定滑走路の開港だった。
国策を破綻させた三里塚40年の闘い
農民たちの抵抗闘争には圧倒的な正義がある。彼らは暫定開港の暴挙に対して最後まで屈服と移転を拒み通した。「40b飛行」などの過酷な環境にあえて身をさらしてでも、国家犯罪を告発する道を選んだのである。
「飛ばしてしまえば農民は屈服する」と見込んでいたNAAは窮地に立った。この国家犯罪は、広く露見しない(隠されている)ことを前提にかろうじて成り立っているからだ。何しろ「成田問題は社会的に解決した(!)」(国交省が組織した隅谷調査団の最終所見=98年)というのが政府の公式の立場だ。マスコミ主要各社も朝日新聞を先頭にこの立場を採用している。何と闘う農民は「存在しない」ことになっているのだ。彼らは闘いが全国レベルで焦点化することを死ぬほど恐れている。事実を隠してきた自らの犯罪性が問われ、社会的非難を浴びて暫定滑走路の運航自体が困難となることも必至だからだ。それは40年の歳月をかけた国家事業の致命的な破綻(はたん)である。
ヤクザ顔負けの“地上げ”
NAAは農民たちを黙らせ屈服させるために、警察権力を使った陰湿な嫌がらせを続けている。農民たちの日常は、ストーカーのような「私服車両」から24時間監視されている。NAAは専用の監視スポットまで警察(県警空港警備隊)に提供している。民間警備会社も大量の「ガードマン」を雇い、警察と連絡を取り合って監視活動に加わっている。外出すれば公然の尾行が付く。家に出入りする業者は嫌がらせを受ける。業務妨害は当たり前。畑に行くのにも検問にあう。子どもが検問で脅されたこともある。要は“非国民”扱いなのだ。これらも事実として社会的に露見すれば明白な犯罪行為である。
現在進められている「北延伸」攻撃は、反対農家を最後的にたたきつぶすための、国交省とNAAの最後の賭(か)けでもある。本来計画とは逆の北側に滑走路を伸ばし、南側の反対農家の上空40bに大型のジャンボ機を飛ばそうというのだが、現在すでに最高110デシベルを超える「人の住める環境ではない」(堂本知事=前記)状態なのに、騒音値が格段に高いジャンボ機を飛ばせばどうなるか。農民たちに“死刑宣告”を突きつけ、文字どおり力ずくで移転を強要しようというのだ。ヤクザ顔負けの“地上げ”を国がやっているのである。
「北延伸」の着工は形変えた強制収用
NAAと政府・国交省は焦りを隠せない。NAA黒野社長は5月29日の会見で「09年度供用開始の期限は絶対守る」と声を強め、国交省への施設変更許可申請(北延伸計画への変更)手続きを6月中に行うと宣言した。初めに夏〜秋着工ありきで、新たに騒音被害地域となる地元成田市・久住地区住民との交渉すら無視する姿勢を明確にした。またNAAは、法に基づく環境アセスメント(影響評価)を「やらない」と明言している。アセスだけで最低一年はかかり、完成時期が大幅にずれ込む危険が大きいからだ。
近くNAAは東峰地区住民に対して最後通告的な「説明」を行うという。もはやペテンに満ちたあの「話し合い」ですらないのだ。そして形だけの「公聴会」を開けば、国交省は自動的に計画変更を「許可」する算段だ。北側一雄国交大臣は前記の黒野会見と同日、「2500b化は待ったなしだ」とハッパをかけた。法律さえも無視するNAAの強硬姿勢は、政府・国交省自身の意向なのである。
反対同盟破壊こそ真の狙い
政府・国交省とNAAがここまで北延伸「着工」にこだわる理由は、端的に反対同盟つぶし、三里塚闘争破壊だ。本来計画の南側を残したままの「北延伸」への巨額の投資は、空港経営の観点からはマイナスしか生まないからだ。東峰・天神峰地区の反対農家をたたきだし、同地区を更地にすると3300b滑走路に変貌するが、こうならなければ国際空港の滑走路として論外であることはNAA自身の経営分析(中期経営計画)でも明らかになっている。彼らの主眼は一点、南への本来計画なのだ。反対農家の頭上40bにジャンボ機を飛ばす北延伸計画とは、形を変えた強制収用なのである。
反対同盟の決意に応え決戦の夏秋へ
第一級の国策事業を40年も阻み続ける三里塚闘争は、権力支配の破綻を象徴する存在だ。閣議決定と法律を振りかざした国策に警察力が投入され、なおかつ成田空港は40年間も未完成のままだ。この闘いに凝縮した労働者、農民、学生、市民のエネルギーは巨大だ。三里塚はいまでも権力の暴力支配が及ばない“解放区”なのだ。多くの青年労働者・学生の仲間が、この闘いの現場を訪れ、闘いの力を実感して欲しい。三里塚闘争40年の歴史はいまなお現在進行形なのだ。
この闘いは改憲攻撃との対決で決定的な意味を持つ。改憲の本質は戦時体制への移行だ。国防は「国民の義務」となり、反戦運動自体が「犯罪」とされる。お上(かみ)に逆らうこと自体が犯罪になるのだ。二度と三里塚農民のような抵抗は許さないということだ。自民党の憲法調査会は新憲法草案づくりで、この問題(成田闘争のような反乱)を対象化した論議を重ねてきた。40年にわたり軍事空港の完成を阻み続けた三里塚が勝ち抜けるかどうか、それは権力への抵抗を貫いた「闘いの権利」そのものがかかっている。
三里塚闘争は改憲阻止の砦
反対同盟はこの「北延伸」着工阻止決戦に不退転の決意で臨むことを明らかにするとともに、改憲攻撃との闘いを三里塚闘争の中心的課題として掲げて闘い抜くことを宣言している(7・2全国集会招請状その他)。わが革共同と中核派は、この反対同盟農民の決意に全身でこたえ、今夏〜今秋「北延伸」着工阻止決戦を断固として闘い抜くことを宣言する。
「北延伸」計画は「09年完成」が絶対であり、「半年、一年の遅れが致命傷になる」(NAA)問題となっている。敵は追い詰められている。三里塚現地に大勢の労働者・学生・市民の結集をかちとることが最大の力となる。反対同盟はいま、天神峰現闘本部裁判闘争、北延伸用地にかかる廃棄物処理場の移転(廃止)問題、さらには地区住民との契約を反故にする東峰の森伐採攻撃(新設誘導路の用地=北延伸計画の中心的問題)など、あらゆる機会をとらえてNAAと国交省の脱法行為を許さず、粘り強い闘いを続けている。
きたる6・25東京集会(前日から三里塚写真パネル展示会=東京・江東区総合区民センター)、7・2全国総決起集会(三里塚現地)を突破口に、青年・学生の新たな闘う隊列を作りだそう! 三里塚現地行動(現地調査・援農・交流会)に一人でも多く参加しよう!
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週刊『前進』(2250号4面2)(2006/06/19)
現地調査・援農に行こう −現地闘争本部が呼びかけ
三里塚現地闘争本部から、7月1日〜3日の三里塚現地行動が呼びかけられている。現地調査・援農に参加しよう。(編集局)
●現地調査・援農・交流会の案内
全国の学生、青年労働者のみなさん。戦後政治を一変させる改憲攻撃との闘いが激化する中、三里塚闘争は新たな決戦に突入しました。日帝・国土交通省とNAA(成田空港会社)は、6月に暫定滑走路の計画変更を申請し、夏〜秋にも北延伸工事の着工を強行しようとしています。三里塚反対同盟は、着工阻止の決戦を宣言し、7・2全国集会への大結集を呼びかける檄を発しました(集会招請状 本紙前号掲載)。
閣議決定から40年。空港はいまだ完成していません。政府は反対農家の頭上わずか40bにジャンボ機を飛ばそうと滑走路の「北延伸」に着手したのです。現地の農民たちはこの現実と日々闘い抜いています。また成田空港が自衛隊のイラク派兵基地になろうとしていることにも強い弾劾行動を続けています。
日帝・国家権力が全体重をかけてつぶそうとしてもつぶされず、40年も権力に抗して闘い続ける三里塚闘争の強さの秘密はどこにあるのか。
三里塚現地闘争本部は7・2全国集会に合わせて、三里塚の歴史を学び、その勝利の地平を確認し、今年の着工攻防を実地に調査する現地行動を企画しました。39年前の全学連現闘開設の出発点は現地調査と交流会、援農などの現地行動でした。今新たに、この行動から第一歩が始まります。
労農連帯の三里塚には、改憲を頂点とする小泉反革命をうち破る道筋があります。人民の未来をきりひらく青年労働者と学生たちとの幅広い交流を何としても実現したいと思います。企画は3日間に及びますが全行程に参加できない人は、現地調査だけ、交流会だけ、援農だけでも構いません。要項を確認し、申し込んで下さい!
三里塚現地闘争本部
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7月1日(土) 現地調査と交流会
@現地調査
午後1時〜5時
三里塚闘争の歴史と闘いの到達地平を知るために、天神峰・東峰の現在と暫定滑走路の破たん的実態を実地に調べます。
▽12時30分、京成成田駅改札前集合。車で来られる人は1時に天神峰の市東さん宅へ。
A反対同盟との交流会 午後7時〜9時
▽交流会のみ参加の人は午後6時、京成成田駅改札前集合。車で来られる人は6時30分に天神峰の市東さん宅へ。
7月2日(日) 全国総決起集会
(1面に要項)
7月3日(月) 援農
早朝から夕方まで反対同盟宅で農作業を手伝います。
▽用意する物 作業着(上着、ズボン)、軍手、帽子、タオル、運動靴または地下たび、着替え。
※申し込みは、6月29日(木)までに三里塚現地闘争本部へ。
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週刊『前進』(2250号4面3)(2006/06/19)
横須賀 “原子力空母配備許さぬ” 労組中心に大高揚
「米海軍原子力空母横須賀配備を許さない6・3全国集会」(横須賀市ヴェルニー公園)が自治労、教労を中心とする1600人の結集で闘われた。
集会は「三浦半島地区労」「母港化を許さない全国連絡会」「母港化を止めよう神奈川実行委員会」「母港問題を考える市民の会」の4団体が呼びかけ、関東圏の労組に加えて沖縄、長崎からの参加もあり、組合旗が林立する熱気ある集会として高揚した。
冒頭、地区労議長の三影憲一さんは横須賀市長の「腰くだけ」を糾弾し「安全を保障するものは闘いだ」と訴えた。市民の会の呉東正彦さんは、12月の市長訪米、4月商工会議所と保守系市議団の訪米、5月の町内会長などを主とした「意見を聞く会」をもって母港化に舵(かじ)を切ろうとしている市長を激しく批判し、「反対署名が50万を超えた。市長権限の12号バース浚渫(しゅんせつ)工事をストップさせよう。市民投票に持ち込もう!」と呼びかけた。全国連絡会の福山真劫さんは「共謀罪、教基法改悪、米軍再編の三つは改憲という『戦争をする国』へのひとつながりの攻撃だ」と訴えた。基地撤去をめざす県央共闘の岡本聖哉さんは「通常空母も原子力空母もダメだ。日本のどこにも基地はいらない。岩国もダメだ」「第1軍団司令部座間移駐の閣議決定に反対して闘い抜く」と述べた。
沖縄から参加した全国基地問題ネットワーク事務局長の山城博治さんは稲嶺沖縄県知事が政府に屈したことを批判し「横須賀の目の前に広がる基地の現実を見たとき、これが戦争放棄した国の現実かと疑う。実力で、私たちの力で新基地建設を阻止していく」と力強く宣言した。長崎・佐世保からは米原子力空母リンカーン寄港抗議闘争が報告された。
(写真 基地正門に向けシュプレヒコールをあげる教育労働者【6月3日】)
「米軍再編」の基軸なす攻撃
昨年10月の米軍再編「中間報告」の重要な柱として打ち出された08年横須賀への原子力空母配備(ジョージ・ワシントンが最有力艦)は、米陸軍第1軍団司令部の座間移転、沖縄・辺野古への新基地建設と並ぶ超重大攻撃である。アジア・太平洋地域の空母6隻体制を構想し、「不安定の弧」をにらみ、侵略戦争=民族解放闘争制圧と、北朝鮮・中国への侵略戦争態勢構築として横須賀の原子力空母母港化の攻撃がある。空母艦載機部隊の機動的運用、海兵隊および陸軍ストライカー旅団との結合による機動力の飛躍的強化が狙われている。横須賀では隣接する海上自衛隊との一体化が進み、米軍とともに動ける自衛隊としての既成事実化が進んでいる。この意味においても米軍再編の先端的位置をもっている。
5月1日の米軍再編「最終合意」、5月30日の閣議決定と対決し、新たな決戦的闘いの第1歩が「6・3全国集会」として闘いとられたのである。
神奈川県労組交流センターは、三浦半島教組の大動員を始め多くの労働者が参加する中で、ビラを配り、「労働者の力で母港化を阻止しよう! 教育労働者の総決起で教基法改悪を阻止しよう」と訴えた、多くの改憲反対署名が集まり論議が交わされた。
集会終了後のデモでは、米軍基地前で次々と「母港化反対! 基地撤去! イラクから撤退しろ」のシュプレヒコールをあげた。米軍再編と対決し、これを打ち砕いて母港化を阻止する力強い前進がかちとられた。
(写真 横須賀基地12号バースに帰港する空母キティーホーク【5月25日】)
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週刊『前進』(2250号4面4)(2006/06/19)
5月31日〜6月6日
共謀罪の今国会成立を阻止
ジャワ地震で自衛隊を派兵
●自衛隊車列脇で爆発 陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワの治安当局によると、サマワ市中心部の北1・5`の路上で自衛隊とオーストラリア軍の車列計9台が走行中、道路脇で仕掛け爆弾が爆発した。事件に関与したとして、治安当局に拘束された2人は「占領軍を攻撃した」と述べた(31日)。
●4軍調整官がオスプレイ配備明言 在沖米軍トップのウエーバー4軍調整官は、2014年から16年の間に、普天間基地所属の中型ヘリ中隊に垂直離着陸機MV22オスプレイが配備されることを明らかにした。(31日)
●ジャワ島中部地震、自衛隊に派遣命令 ジャワ島中部地震で「医療支援」を行うために現地入りしている防衛庁の先遣チーム19人が、最大の被災地バントゥル県を車で視察した。また額賀福志郎防衛庁長官が陸上、航空自衛隊に国際緊急援助隊法に基づく派遣命令を出した。(31日)
●改憲手続き審議入り 自民、公明の与党と民主党がそれぞれ提出した憲法改正手続きを定める国民投票法案が衆院本会議で趣旨説明と質疑を行い審議入り。(1日)
●代替協議機関は日米の計画合意後設置
防衛庁の守屋事務次官が、米軍普天間飛行場代替施設の建設に関する協議機関の設置時期について日米間で基本計画が合意された後になるとの見通しを示した。(1日)
●ODAで「武器」初供与 政府は、ODA(政府開発援助)としては初めて、武器輸出3原則を緩和してインドネシアに対しテロ・海賊対策のための巡視船艇3隻を供与することを決め、与党安全保障プロジェクトチームに報告した。(1日)
●共謀罪、自公両党が継続審議へ
自・公両党の幹事長、国対委員長が会談し、「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について、民主党との修正協議を断念し、継続審議とする方針を固めた。(2日)
●代用監獄を存続 警察の留置場に法的根拠を与え、本来の拘置所の代わりに使う「代用監獄制度」を存続させる刑事施設・受刑者処遇法の改悪案が参院本会議で採決され、自民・公明の賛成多数で可決・成立した。逮捕後に勾留が決まった容疑者は、拘置所に収容されるのが原則。04年の実績では、98%が、本来は例外の警察留置場に収容されている。(2日)
●ブッシュ「最悪大統領」 第2次世界大戦後の米大統領(11人)のうち、「最悪の大統領」を聞いたところ、ブッシュ大統領が34%でトップになったと、米クウイニピアク大学が発表した世論調査で明らかになった。(2日)
●夜間騒音、半年で193回 米空軍嘉手納基地のペオリ広報局長から沖縄市基地政策課に「騒音防止協定を順守している」との文書が届いた件に関連し、沖縄市は、5月までの約半年間に、騒音防止協定で制限されている午後10時から翌午前6時までの夜間の航空機騒音が193回計測されたとの測定結果をまとめた。(2日)
●米「空自の活動拡大を」 額賀防衛庁長官は、ラムズフェルド米国防長官とシンガポールで会談した。クウェートとイラク南部サマワに近いタリル飛行場との間を中心に輸送活動にあたっている航空自衛隊について、ラムズフェルドは「C130輸送機の運航範囲を広げられないか」と活動拡大をあらためて求めた。(4日)
●嘉手納基地・騒音激化 嘉手納基地を離着陸する戦闘機の訓練激化で午前零時から午後5時の間に、嘉手納町屋良地域で100デシベル超(電車通過時の線路脇に匹敵)の騒音が36回発生した。(6日)
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週刊『前進』(2250号5面1)(2006/06/19)
危機深める日本経済 これが「バブル期超え」の実態だ
財政破綻は資本主義史上最悪
島崎光晴
小泉政権は日本経済の「景気回復」を宣伝しているが、全然違う。逆に、一定の回復をもたらした要因自体が、もっと深刻な矛盾と危機を生み出している。大独占企業は19世紀のような搾取によって空前の利益をあげているが、これに対し労働者階級の心底からの怒りが噴出しつつある。90年代末以来の恐慌対策にしても、国家財政を大破綻(はたん)させ、日本経済全体を金利上昇にもろい体質に一変させてしまった。日本の財政・金融が抱える危機は、帝国主義国中で最悪であるだけでなく、資本主義史上でも類例のないものだ。さらに、輸出依存の景気回復にすぎず、米国・中国のバブルが崩壊すればたちまち崩れる。4大産別決戦と改憲阻止決戦で、危機にのたうつ日本帝国主義の打倒をめざして闘おう。
一定の景気回復の要因 |
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景気回復の状況と実態 |
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前例のない矛盾と危機 |
雇用者報酬 97〜04年に23兆円減少 |
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大独占企業3年連続で過去最高益 |
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革命でしか解決できぬ「格差社会」 |
景気対策140兆円、銀行に51兆投入 |
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不良債権の減少、銀行も最高益に |
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国債残高775兆円、国家財政:は破滅 |
超低金利りで家計の利子損失304兆円 |
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不良債権の処理、企業債務の圧縮 |
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金利上昇は財政・銀行・企業を直撃 |
内需6・4%増に対し輸出は42%増加 |
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自動車・電機等輸出依存の景気拡大 |
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米国・中国バブル崩壊で総崩れに |
強搾取で最高利益に
政府発表では、「02年2月に始まった今の景気拡大は5月で52カ月となり、バブル景気(86〜91年)を抜いて戦後2番目の長さになる」とされている。しかし本格的な回復と言える状態ではない。
何よりも、景気の拡大幅が従来に比べて小さい。バブル期の実質GDP(国内総生産)の拡大幅は24・9%だったが、今回(01年10―12月期〜05年10―12月期)は9・8%しか拡大していない。浮揚力がほとんどないのだ。
しかも、生産や設備投資が伸びているのは、自動車とデジタル家電に限られている。鉄鋼や半導体、さらには工作機械や電機も、生産・投資が増えているのは自動車関連向けだ。例えば自動車1台に使われる半導体は15年前の15個弱から今や70個前後に跳ね上がっている。05年度の製造業の設備投資(海外含む)の増加額のうち、実に32・6%もが自動車関連だ。大独占企業の資本蓄積に全経済が従属している。これこそ帝国主義のあり方だ。
トヨタの05年度の販売台数は、国内では前年度比1%減の236万台強に対し、北米では13%増の255万台強と国内を上回った。要するに対米輸出・現地生産によって自動車の生産・投資が増加し、国内製造業全体もその恩恵を受けるという形である。“自動車こければ皆こける”といういびつな状況だ。
日本経済は90年からのバブル崩壊、97年秋からの恐慌突入をへて、その中で今回の若干の景気拡大期を迎えている(大きな推移は『現代帝国主義論U』第T部第4章参照)。では、この景気拡大の要因は何か、その結果はどうか。それを具体的にみれば、日本経済がますます矛盾を深め、破滅的な危機に陥っていることが分かる。
世帯平均所得月6万円も減
景気拡大の第一の要因は、労働者の首切り・非正規雇用化・賃下げなど、まるで19世紀のような搾取によって企業が収益を回復させてきたことにある(『共産主義者』148号「小泉−奥田路線の破綻と06春闘」を参照)。
上場企業は03年度から05年度まで、3年続けて過去最高の利益を更新し続けている。05年度決算で連結純利益が1千億円を超えた企業は43社と、前年度の2倍になった(表1)。この大独占企業こそ日本帝国主義の中枢をなす。93年度には売上高が8%減ると赤字になったが、今では20%減っても赤字にならないまでになった。
なぜか。莫大(ばくだい)な規模で賃金を減らしたからだ。04年4月の企業アンケート調査では、利益を伸ばすために最も効果があった方法は「人件費の圧縮」と答えた企業が47・9%にも上った。「売上高の増加」と答えた企業は24%にすぎない。実際、「雇用者報酬」の総額は、ピークの97年の278兆9169億円から04年には255兆5357億円に落ち込んだ。差額の23兆3812億円が賃金分のカットだ。1世帯の平均所得はピークの97年の585万円から05年は511万円と74万円も減った。月6万円強の減少だ。
このように企業の最高益は、雇用者数自体の削減、賃金の安い非正規雇用への置き換え、正規雇用の賃金引き下げという三重の資本攻勢の結果だ(表2)。「賃金と利潤は反比例する」というマルクス『賃労働と資本』の指摘どおりではないか。これこそ〈搾取〉そのものだ!
それも19世紀のような搾取なのだ。1898年(明治31年)に書かれた横山源之助の『日本の下層社会』(岩波文庫)では、「工場人足」などの不定期雇用や日雇い労働という膨大な貧困層の実態が描かれている。それは資本主義の生成期の貧困問題であるが、その時から100年以上もたった今、再びそのような非正規雇用化と貧困が襲いかかっている。資本主義が体制としてやっていけなくなっているのだ。93年の「規制緩和について」(通称「平岩レポート」)をまとめた当時の官房副長官・石原信雄ですら、次のように言っている。「規制緩和自体は悪いことではないが、敗者は切り捨てご免になっている。19世紀の自由主義と同じだ」と(4月3日付毎日新聞)。
労働者がますます貧困になっている一方で、資本家階級はますます裕福になっている。100万j(1億円強)以上の資産(居住目的の不動産を除く)を持つ人は世界で830万人。うち日本が134万人で、6人に1人が日本人という割合。米国は250万人もいるが、人口比では日米は同じだ。これは税制が富裕層優遇に大改悪されてきた結果でもある。所得税・住民税の最高税率が55%に引き下げられ(99年)、株式譲渡益と配当所得への課税も従来の半分以下の10%に引き下げられた(03年)。
現在の消費の伸びにしても、株価上昇と連動している。労働者階級は1円でも安いものを買おうとあくせくしているのに、資本家階級はバブル期以上に宝飾品・高額品を買いまくっている。それが統計上は個人消費の増加として表れる。
もはや、労働者階級への搾取はがまんの限界を超えている。この状態を解決する道はただ一つ、資本家階級を打ち倒すことだ。前経団連会長の奥田は、「そもそも共産主義を選ばない限り格差ゼロはありえない」と言い放っている(4月7日付日経新聞)。そのとおりだ。「格差社会」の抜本的解消のためには、共産主義しかない。階級社会を廃絶するには共産主義以外にない。そのためには「プロレタリアートを支配階級に高めること」(マルクス・エンゲルス著『共産党宣言』)、つまりプロレタリア革命を実現することだ。これこそマルクス主義の解放原理である。
恐慌対策190兆の末路
今回の若干の景気拡大の第二の要因は、史上空前の恐慌対策、大銀行・大企業の救済策がとられたことにある。その結果、日本の財政と金融は破滅的な危機に陥ってしまった。
恐慌対策の一方の柱は、大規模な景気対策と銀行への公的資金の投入である。バブル崩壊後の景気対策は累計で140兆円にも及んだ。銀行への公的資金の投入は、資本注入や銀行保有株式の買い上げなど総額51兆円にも達した。合わせて191兆円、法人税収入13兆円強(06年度見込額)の14・7倍もの財政資金がつぎこまれたのだ。29年大恐慌の際のどの国にもなかったような大規模な恐慌対策である。もともと19世紀の資本主義には国家の恐慌対策というものはない。だから、90年代以降の日本の恐慌対策は資本主義史上でも前例のないものなのだ。
そのおかげで大銀行は不良債権を減らすことができた。さらには、06年3月期の大銀行6グループの利益は3・1兆円とバブル期を超えて過去最高になった。
しかし恐慌対策の結果、当然にも国家財政は破滅的になってしまった。06年度末の国・地方の長期債務残高は約775兆円の見込みである。国債残高だけで542兆円と、名目GDPを上回る。97年度末の国債残高が258兆円だから、この10年間で2倍に膨らんでいる。もともと、29年大恐慌以前の資本主義は均衡財政が基本であり、帝国主義国で赤字財政が常態化するのは70年代以降である。日本の巨大な公的債務は帝国主義国の中でも最悪であるだけでなく、資本主義史上でも類例がない。
日帝の存亡を握る4大産別
仮に国債の買い手がつかず国債価格が暴落すると、国の予算編成すらできなくなる。しかも、世界大恐慌と帝国主義間争闘戦はこれから本格化していくというのに、財政的余力がまったくない。さらに日帝はアジア・全世界で米帝とともに侵略戦争にうって出ようとしているが、こんな財政破綻下では戦争もできない。日帝にとって本当に存亡の危機なのだ。
これほどの天文学的な債務を抱えている中では、もはや国家を暴力的に改造するやり方で突破する以外にない。だから日帝は、公務員制度の全面的解体・再編、社会保障制度の破壊、地方自治制度の解体、消費税率の2ケタへの引き上げなどに死活をかけて突っこんできている。4大産別決戦は、こうした日帝の生き残りをかけた経済的・財政的大攻撃との闘いだ。
金利上昇に弱い体質
恐慌対策のもう一つの柱は金融政策だった。99年にはゼロ金利政策がとられ、01年からは金融の量的緩和策がとられた。大銀行に資金をじゃぶじゃぶに注ぎこむとともに、大企業の利子負担を軽くしようとしたのである。
しかし、ゼロ金利によって実際に何が起きたか。バブル崩壊後の超低金利で家計が失った利子収入はなんと304兆円にも上る(日銀試算)。本来なら家計の利子所得となるべきものが大銀行と大企業に移転してしまった。大銀行はこれを使って実質100兆円を超える不良債権を処理してきた。銀行から借金している大企業は、これによって債務を整理・圧縮してきた。国家・大銀行・大企業が総ぐるみになって、家計から300兆円も没収して延命してきたのだ。こういうのを〈収奪〉と言うのだ。
だがその半面、日本経済はあらゆる部門で金利上昇に致命的に弱い体質に転落してしまった。金利がわずか1%上昇するだけでどうなるか。
@国家財政では国債費(償還・利払い費)が年1兆6000億円増加する。06年度の国債発行予定額は138兆円だが、これ以外に特別会計には200兆円もの借金があり、これらの利払い負担も増える。A大銀行は、金利上昇=債券価格下落による損失が業務純益の22%にもなる。地方銀行では同66%に膨らむ。B大企業の経常利益は4・2%減、中小企業は9・4%減と試算されている。
銀行が国債を売れば総崩れ
今年3月、日銀は金融の量的緩和策を解除した。これを受けてすでに市場の長期金利は一時2%台と、99年8月以来の水準に上がっている。
実質金利ゼロの状態は95年から10年以上も続いてきた。こんな低金利は17世紀初頭のイタリア・ジェノバ以来のことで、資本主義史上に先例がない。それほど長期間ゼロ金利だった後に金利機能を復活させた場合にどうなるか。まさに前人未到なのだ。そのような非常手段で生き延びてきた日本経済は、必ず恐るべき報復を受けるだろう。
特に銀行が保有する国債残高は99兆円弱(2月末)にも上っている。その一部でも市場に放出されると国債価格は急落し、金利が一挙に上昇する(債券価格と金利は反比例する)。金利上昇は日本経済を一瞬にして死に追いやりかねない。
しかも原油高の長期化がすでに物価上昇の要因となっており、この面からも金利は上昇傾向となる。05年度の消費者物価は97年度以来8年ぶりにプラスに転じた。今後さらに物価上昇圧力が強まれば、金融引き締め懸念から金利は上昇していかざるをえない。
米中のバブル崩壊へ
さらに若干の景気拡大の第三の要因は輸出である。景気の「谷」だった02年1〜3月期から05年7〜9月期までをみると、実質GDPは8・2%増加した。その需要を輸出と国内需要に大別すると、輸出が42%増加しているのに国内需要はわずか6・4%しか増加していない。従来と同様、完全に輸出主導、輸出依存の景気拡大なのだ。日本の製造業の海外売上比率は91年度は5・6%にすぎなかったが、04年度には16・1%まで上昇した。海外売上比率が30%を超す企業は電機、自動車だけでなく化学、医薬品などの部門でも多くなっている。
輸出が増えているのは米国と中国だ。05年の米国の対日赤字(国際収支ベース)は826・8億jと過去最大を更新した。トヨタやブリヂストンなど自動車関連が米依存度の高い企業の代表格だ。また、05年の日本の中国・香港との貿易総額は25兆円となり、米国との22兆円を上回った。日本企業は中国に工場を作り、日本から資本財や部品を輸出し、中国で製造して米欧日に輸出するという構図になっている。中国に進出している日系資本の輸出比率は5割、電機では7割に達する。中国を経由した「迂回(うかい)輸出」だ。だから、日本の対中輸出も結局は米景気に左右されるものでしかない。
ところが、その肝心の米経済が今や住宅バブルの崩壊に向かいつつある。米国ではこの数年、住宅価格が上昇し続けたため、住宅ローンを借り増しして消費に充てるのが常態化してきた。住宅ローン残高は昨年末で8・7兆j(約960兆円)、家計の負債11・9兆jの7割を占めるにまでなった。こんなバブルがいつまでも続くはずがない。住宅バブルの崩壊、本格的な大恐慌への突入は時間の問題だ。「米経済が本格的な恐慌に入っていけば、最後の頼みの綱である輸出も崩れ、日本の恐慌はいよいよ全面的にならざるをえない」(『現代帝国主義論U』88n)
アジア支配の絶望性と改憲
さらに、米バブルの崩壊は日米争闘戦を新たな段階に押し上げる。05年の米新車販売シェアで日本車は32・2%と過去最高になった。日本車3社だけでGMのシェアを上回る。これがGM、フォードの経営危機を引き起こしている。米バブルが崩壊すれば、自動車を筆頭に日米経済対立が再燃せざるをえない。そうなると、営業利益の6割を北米市場で稼いでいるトヨタなどはひとたまりもない。
一方、日帝は80年代半ば以来、日米争闘戦の激化に対応してアジアの勢力圏化を目指してきた。日米経済対立が再燃すれば、日帝はますますアジアに侵略していく以外にない。しかし、アジアの勢力圏化が行き詰まっている現状では、それも簡単ではない。日本と韓国とのFTA(自由貿易協定)交渉が中断しているなか、韓国は5月にASEANと商品貿易協定で合意した。アジアのFTAから日帝が締め出されかねない絶望的な事態となっている。それが日帝をアジアでの侵略戦争に駆り立てている。改憲はそうした日帝の生死をかけた攻撃だ。
以上、日本経済の危機がいよいよ深まり、日帝が帝国主義の「最弱の環」に陥っていることを明らかにしてきた。小泉「構造改革」の結果はこういうものでしかない。日帝は資本主義史上でも前例のない危機に陥っているのだ。4大産別決戦と改憲阻止闘争は、この最弱の日帝を打ち倒す闘いである。革命の現実性を確信して突き進もう。
[表1] 05年度純利益ランキング(単位は億円)
順位 |
|
純利益 |
1
|
トヨタ |
13,721 |
2
|
三菱UFJ |
7,707 |
3
|
三井住友FG |
6.868 |
4
|
みずほFG |
6,499 |
5
|
NTTドコモ |
6,104 |
6
|
ホンダ |
5,970 |
7
|
日産自 |
5,180 |
8
|
NTT |
4,986 |
9
|
ダイエー |
4,131 |
10
|
キヤノン |
3,840 |
11
|
りそなHD |
3,832 |
12
|
三菱商 |
3,500 |
13
|
新日鉄 |
3,439 |
14
|
JFE |
3,259 |
15
|
武田 |
3,132 |
16
|
東電 |
3,103 |
17
|
野村 |
3,043 |
18
|
住金 |
2,212 |
19
|
三井物 |
2,024 |
20
|
JT |
2,015 |
21
|
KDDI |
1,905 |
22
|
ブリヂストン |
1,807 |
23
|
三井住友建 |
1801 |
24
|
デンソー |
1,696 |
25
|
新日石 |
1,665 |
26
|
オリックス |
1,663 |
27
|
関西電 |
1,610 |
28
|
住友商 |
1,602 |
29
|
JR東日本 |
1,575 |
30
|
松下 |
1,544 |
31
|
伊藤忠 |
1,451 |
32
|
大和 |
1,399 |
33
|
ミサワHD |
1,243 |
34
|
ソニー |
1,236 |
35
|
JR東海 |
1,224 |
36
|
三井トラスト |
1,196 |
37
|
中部電 |
1,194 |
38
|
信越化 |
1,150 |
39
|
コマツ |
1,142 |
40
|
商船三井 |
1,137 |
41
|
アステラス |
1,036 |
42
|
フジタ |
1,021 |
43
|
住友信 |
1,000 |
[表2]非正社員の4割弱が月給10万円以下(各就業形態に占める月間貸金額の割合=%、03年9月)
就業形態 |
10万円以下 |
10〜20万円 |
20〜30万円 |
30〜40万円 |
40〜50万円 |
50万円以上 |
正社員 |
1.0 |
20.8 |
33.3 |
25.2 |
10.3 |
7.2 |
非正社員 |
37.2 |
40.8 |
12.7 |
3.8 |
1.7 |
1.5 |
契約社員 |
7.7 |
45.3 |
27.6 |
10.9 |
4.8 |
2.1 |
派遣労働者 |
12.3 |
44.2 |
37.2 |
4.3 |
0.4 |
0.4 |
臨時雇用者 |
44.3 |
33.8 |
12.5 |
2.8 |
0.3 |
0.0 |
パート |
50.8 |
40.0 |
5.7 |
0.7 |
0.0 |
0.1 |
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2250号5面2)(2006/06/19)
6・15法大→国会デモに立とう
マル学同法大支部は訴える
6月15日の法大→国会デモが重大な決戦となった。
第一に、6・15を言論・思想弾圧に手を染め、法大を戦争に協力する大学に変貌(へんぼう)させようとする平林総長を打倒する日にしよう。
法大当局は6月5日、「法政大学市ケ谷キャンパスにおける一部学生の抗議活動について−法政大学の基本姿勢」という見解を明らかにした。
「基本姿勢」は、退学攻撃が思想弾圧であることを自認している。3月14日の事件について、逮捕された学生が立て看板撤去を「阻止しようとした」と言う。つまり実際には、そうした行為はまったくなかったということだ。逮捕も退学も大学への批判者、反対者への見せしめであり、思想弾圧だということだ。
また、「本学は憲法の定める思想信条の自由や表現の自由の重要性を十分に認識のうえ大学運営を行っております」と主張する。しかし、立て看板を撤去するために警察を大学に引き入れた法大当局にこのようなことを語る資格はない。むしろ「一般社会のルール」と言ってそれを相対化しているのだ。
さらに「本学学生には、引き続き冷静な対応を心がけ、学業に励むことを求める」と言っている。ふざけるな。自分の学ぶキャンパスで29人の学生が逮捕され、事実もはっきりしないまま「退学」が強行されているのに「関心を持つな」とはなんたる言い草か。
被処分者5人の決起は法大を変える闘いだ。実際、彼らの闘いに500人が続き大学を追いつめている。学生会館を破壊しサークル活動を妨害し、学生の権利・自主性を否定し続けてきた法大当局に積もりに積もった怒りを今こそたたきつけよう。次は1千人決起の力で法大を変えよう。
(写真 5月26日 法政大学)
人民の闘いで小泉は倒せる
第二に、9条改憲につながる国会でのすべての動きを粉砕し、小泉政権打倒に突き進もう。
今国会での共謀罪の採決は事実上不可能となった。採決強行の動きを何度もはね返して勝利した。「話し合っただけで逮捕」「まばたきで共謀」が共謀罪の本質だ。実行行為がなくとも処罰でき、考え方や思想を処罰するものであり、刑法の原理を根本からひっくり返す「現代の治安維持法」だ。
「戦争中はものが言えなかった」と誰もが言う。小泉が共謀罪新設を狙うのもまさしく戦争の時代が始まっているからだ。しかし労働者や学生、市民が国会を取り囲んでこれをはねのけた。侵略戦争を許した「負の歴史」をのりこえる闘いが始まっている。共謀罪法案を廃案に追い込もう。
教育基本法改悪を絶対に阻もう。小泉・自民党は会期末前に連日審議を行い、あくまで衆院採決を狙っている。狙いは「愛国心」教育の復活だ。憲法改悪と一体で「国を愛せ」「国を守れ」を大合唱し、実際には米国や日本などの帝国主義国家が世界を分捕りあう侵略戦争に労働者や学生をかり出すものだ。
今通常国会は改憲攻撃の本格的始まりだ。しかし、小泉は重要法案を成立させることもできず、昨年の衆院選「圧勝」などなかったかのように危機を深めている。小泉政権の5年間が資本家連中のためだけの「改革」であり、改憲と戦争国家化につき進むだけのものであったことに、怒りが噴出し始めている。
法大生が6月15日のデモの先頭に立つならば、労働者階級の小泉政権への怒りを解き放ち、小泉政権打倒の巨大な突破口を開く。
第三に、6・15を改憲攻撃を粉砕し、日本帝国主義を打倒する歴史的な階級決戦の突破口としよう。
社会の危機が深まっていることは誰の目にも明白だ。しかし、この社会は資本家階級が牛耳る資本主義・帝国主義社会だ。銀行など巨大資本が空前の利益を上げる一方、労働者は失業や生活苦に苦しめられている。若年失業率は10%にもなり、膨大な若者が将来の生活すら描けない。高齢者は医療費が跳ね上がり病院にもいけない。
支配階級自身も「崩壊する日本」(日本経団連)と危機感を表明しているが、実際に行っているのは、自衛隊の武力行使を容認し、侵略戦争をやる国に変えることだ。そして再びアジアを勢力圏にすることだ。そのためにも改憲が必要だと必死に主張する。
しかし、われわれに必要なのは、労働者を搾取し、世界から収奪を続け、甘い汁を吸い続けるために戦争をやり、貧困を拡大し、差別や抑圧をつくりだす資本家連中を打倒することだ。
実は帝国主義は世界的に行き詰まっている。特にブッシュ政権は、経済的危機を深めながら絶望的に戦争政策にのめり込んでいる。長期戦争論のもと世界的な米軍再編で世界戦争に突入している。他方で、ヨーロッパや中東、南米での労働者の闘いに追いつめられている。6・15はこの世界史的流れの先頭に日本の学生運動が立つ日だ。
自らの手で未来切り開こう
第四に、6・15を自分たち一人ひとりの行動が大学を変え、社会を変えることを示す闘いにしよう。
法大生は、大学の決定であっても500人の決起で「退学処分」を粉砕してきた。大学を変える力は学生の団結した行動にこそある。これは今の社会も同じだ。いつまで議会や議員にわれわれの未来をゆだねなければならないのか。議会とは、資本家階級がこの社会を独占・支配していることを「おしゃべり」で覆い隠しているだけだ。
青年をいつでも解雇できる若年雇用契約(CPE)を撤回させたフランスの闘いはすごい闘いだ。政府や議会が決めたことを労働者や学生の大衆行動で実際に撤回させた。
社会変革に必要なのは労働者や学生の団結した行動だ。大デモやゼネストこそ世の中を変える。デモやストライキを復権しよう。全国300万学生の改憲阻止ゼネストへつき進もう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2250号5面3)(2006/06/19)
事情聴取に怒りの追及 法学部 教授会反論できず
6月1日、法大野球部祝勝会に参加しようとした平林総長に対して、会場の学生から「帰れ」コールがたたきつけられた。キャンパスでは「6月15日は集会に行きますよ」「3分でいいから発言させて」「友人と一緒に国会デモに行く」との声が寄せられている。
法大当局は6月5日、「法政大学市ケ谷キャンパスにおける一部学生の抗議活動について−法政大学の基本姿勢−」を公表し、6日には退学処分決定を受けた3人の法大生に対して、名指しで立入禁止を通告する看板を正門に設置した。第二の3・14法大弾圧を狙う攻撃だ。
しかしこの「基本姿勢」は、3・14弾圧については「学内において逮捕者を出す事態となりました」としか言えず真実から逃げ回っている。退学処分を受けた3人の文学部生が学内で弾圧の真相究明や退学処分撤回を闘っていることに悲鳴をあげ、「特定の教職員に対する侮辱的言動、誹謗(ひぼう)中傷行為」「拡声器を使って自己の主張を一方的に行って」いるなどと泣き言を言っている。
しかしその上で「本学運営に対する妨害行為については毅然たる態度をもって臨み」と、再び警察権力に売り渡すと宣言している。絶対に許せない。
法大生は、学生を無視した一方的な学生会館解体や「立て看板やビラまきの禁止ルール」に対して怒りの声をあげたのだ。これに対して法大当局は「学生には、引き続き冷静な対応を心がけ、学業に励むことを求める」と言っている。学生の主体を二度三度踏みにじるもので許せない。
6月7日には2人の法学部生の事情聴取が行われた。2人の学生は3・14弾圧や自宅謹慎処分に対する怒りの追及を行い、事情聴取を行った法学部教員は2人の主張をただ聞くのみで反論できなかった。これで処分決定を下したら事情聴取など処分決定のためのアリバイづくりだ。6月12日の法学部教授会での処分決定を阻止し、6・15法大1千人集会で退学処分を撤回させよう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2250号6面1)(2006/06/19)
沖縄に行って初めて実感させられたこと 大学生 秋原道子
私は広島の大学1年生。今回初めて沖縄に行った。様々なことを感じ、学んだ。3日間のツアーだったが、常に日米の帝国主義に対する怒りが私にはあった。日米帝は世界大戦がとっくに終わった現在でさえ、沖縄に差別政策をし続けている。一体この現状は何なのか?!と感じた。
まず、最初に驚いたのが、那覇空港。自衛隊と共同使用ではないか! それと、米軍基地のすぐ隣に住宅がある。いつ事故が起こってもおかしくない状況だ。日米帝は、日本にある米軍基地の75%を沖縄に強いている。『前進』によく書いてある「琉球処分」の意味が私は分かっていなかったが、分かった。これから米軍再編が進むとどうなるのかと思った。
1日目に行った平和祈念公園。そこには様々な慰霊碑があるが、その中には全国各県が作っているものもあった。その中の一つに、愛知県が作った「愛国知祖之塔」という慰霊碑があったが、沖縄戦で死んだ兵士を褒めたたえ、戦争賛美しているのだ。これはほんの一例だ。広島の平和公園も戦争の反省がされていない場所だが、あんなに差別的な形で戦争の犠牲者になった沖縄が戦争賛美? ふざけんな! 沖縄を何だと思っているのか!
私は実は中学生の時、沖縄が修学旅行先だった。しかし、9・11で他の場所に変わってしまった。あのころ、そんな学校や観光客が多かった。その時、沖縄人民がこの状況をどう考えたかなんて私は考えもしなかった。私たち本土の人民は観光地「沖縄」には危険だから行かない。しかし、沖縄で生きている沖縄人民はどうなのか! 彼ら彼女らに犠牲を強いるのか。私はそれを知った時、なんて自分のことしか考えてなかったのか、本土の人民はもっと沖縄の現実を見るべきだと思った。
沖縄に行って、日本にこんな場所があるのか、私がオキナワをどんなに知らないかを実感させられると同時に、本や新聞からでは伝わらない沖縄人民の深い思い、闘いを学んだ。自分の政治意識がまだまだ生ぬるい部分があると感じた。よくデモで言う「米軍再編粉砕!」、われわれのスローガンの一つである「沖縄奪還!」。それをなす時こそ日米帝を打倒する時であるという、沖縄と連帯して闘うということの大きさを知った。沖縄と連帯して、私も学生の一人として闘う。
国民投票法制定反対の講演会に参加して 東京 伊藤鮎子
5月31日、都内で開かれた憲法問題の学習会に参加しました。とめよう戦争への道!百万人署名運動の緊急の呼びかけによる、改憲国民投票の制定に反対する講演会です。講師は大東文化大学助教授の井口秀作さん。他の3人の憲法学者と共同編集で、『いまなぜ憲法改正国民投票なのか』と題する本をこの春に刊行された方です。
国会に与党と民主党の国民投票法案が提出された直後で、会場には労働者や地域で活動する女性、戦争体験世代の方などが非常な関心と危機感をもってかけつけ、熱心な質疑応答が交わされました。
井口さんは、国民投票を「国民による主権の行使」として美化したり、「改憲反対なら国民投票で否決すればよい」とする考えは根本的に間違っていると話されました。特に「否決すればよいと言うが、否決は現状維持を意味し、安保や自衛隊がなくなるわけではない。場合によってはこれまで以上の解釈改憲が進む」と警鐘を鳴らし、憲法9条問題に国民投票で決着をつけるというのはむしろ危険で、国会に改憲の発議をさせない闘いをあくまでやるべきだと強調されました。まったく同感です。
また、与党案と民主党案の中身はほとんど変わらないこと、民主党は「規制なし」を言うが、仮に規制が全廃されても安心はできないと提起されました。メディア規制を外した代わりに、資金力のある財界や大政党だけがテレビでの宣伝をやりたい放題にしたのが今回の法案であること。公務員・教員への規制も、すでにある公務員法や、刑法の住居侵入罪などを使って「ビラをまいたら逮捕」の事例が起きている。条文だけでなく、この現実を見なければならないと話されました。
お話を聞いて、国民投票法案の絶対阻止なしに改憲阻止などありえないとあらためて思いました。
と同時に、この場では語られませんでしたが、国会を包囲する闘いと並んで、4大産別を始めとする労働者が職場から戦争協力拒否の具体的な闘いを起こすことが、改憲攻撃を実際に阻止する上でますます重要になっていると強く感じました。
共謀罪粉砕の闘いで国会前が「広場」に 東京 三並信一
共謀罪新設阻止・粉砕の闘いが存在することを「発見」したのが昨年、05年春。この時から私の国会前行動は始まりました。
そして06年となり闘争は拡大し、大きなホールでの集会では立ち見の人々が増えていきました。(そこでは中核派の古い知人や友人と会話もできました)
現在、世界中の帝国主義においては資本主義が、そして警察、検察、裁判所、さらに「法律」そのものが「戦争のできる国づくり」へと突き進んでいます。この国における共謀罪新設のための政府のたくらみはこの「戦争国家化」とぴったりとつながっているものであって、私は共謀罪新設は絶対に許すことなく、粉砕しなければならないと思っています。
下の写真は6月2日の国会前集会の様子です。ものすごい盛り上がりである。そこは「道」ではなく「広場」となりました。一日中居ても決して一時も、もてあますことなく、むしろ時間がもっともっとほしいといった充実した毎日を過ごすことができて、同じく闘いにかけつけた人びとともっとコミュニケーションを取りたいという気持ちになったのです。(中にはこの『前進』紙をおまわりのすぐそばで広げて読んでいる青年もいるのです)
私は第2次世界大戦で3人の伯父を失っています。ですから戦争をするために必要な共謀罪法案など絶対にまちがっているし、必要はなく、必ず阻止し粉砕すべきと考えるのです。
『前進』読者の皆さん、そしてすべての闘う皆さん、今からでも決して遅くはありません。ぜひ、国会前に駆けつけてください。
共に闘いましょう。
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週刊『前進』(2250号6面2)(2006/06/19)
“医療制度改悪やめろ”
介護保険に異議あり全国ネットワーク 国会前座り込み
介護保険に異議あり、全国ネットワークは6月8日、医療制度改悪案の参議院厚生労働委員会審議が大詰めを迎える中、国会行動に決起した。杉並、神奈川、高槻を始め大阪からも駆けつけ、国会前は高齢者から医療を奪う医療制度改悪への怒りがあふれた。
午前10時、参議院議員会館に集まった全国ネットワークの会員は、参議院・厚生労働委員会の審議傍聴と議員回り、国会前の座り込みと3隊に分かれた。国会前では座り込みの高齢者に駆け寄って握手をして激励する人、署名をして「頑張ってください」と声をかける被爆者団体の高齢者など大きな反響だ。用意したビラはすぐにまき終わり、追加を取り寄せた。
傍聴者からの報告があり、委員の一部からは突っ込んだ質問が行われたが、厚労省はこれに答えようとせず、委員が堂々と居眠りをし、起きていても笑い話をしている状況に激しい怒りを表明した。それでも質問の中で「今日は大勢の団体が来ている」と言及されたことを紹介し、「私たちの行動の手ごたえを感じた」と報告された。
議員回りは、全国ネット代表の水上信也さんと介護と福祉を要求する杉並住民の会代表の八木ケ谷妙子さんが先頭に立ち、医療制度改悪案の廃案を求めた。「93歳の年寄りが一生懸命訴えていたと伝えて」という八木ケ谷さんの迫力と要請団の真剣さは、野党に伝わった。自民党議員の秘書さえも「必ず伝えます」と神妙だった。
(写真 「医療制度改悪阻止!」高齢者を先頭に国会前で怒りのコール【6月8日 永田町】)
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週刊『前進』(2250号6面3)(2006/06/19)
中国スターリン主義の危機
バブル経済崩壊は必至 労働者農民の反乱拡大
河北 恵一
昨年7月の人民元切り上げ以降、米中間の緊張はより深まっている。米帝ブッシュ政権のQDR(4年ごとの国防政策見直し)や米軍再編は、核心に中国に対する戦争重圧をはっきりとすえた。中国スターリン主義・胡錦涛政権はこれにあえぎながらも対抗的積極的に必死に延命しようとしている。しかし「改革・開放」路線の危機と矛盾も深まっている。日帝はこの中であらためて「最弱の環」であることを突きつけられ、絶望的な戦争国家化攻撃を暴力的に推進しようとしてい
る。06〜07年、アジアとりわけ中国をめぐる激動は不可避である。
対中国の軍事重圧を強める米帝ブッシュ
ブッシュ政権の危機はすさまじい。イラク情勢の泥沼化と国内階級情勢がブッシュを追い詰めている。
何よりも米帝経済は、これまでの恐慌防止策とバブル引き延ばしが限界となり、その矛盾が世界大恐慌として爆発せざるを得ない情勢となっている。
3月14日、米商務省が発表した05年経常収支統計では経常赤字が初めて8000億jを突破し過去最大となった。経常赤字の大半を占める貿易赤字が同17・2%増の約7236億jと急増。うち、対中国が2000億jを超えて最大となっている。
この巨額の経常赤字は国外からの資金流入によって補填(ほてん)されている。05年の資本収支は外国からの対米投資が同10・2%減の1兆2927億j、米国からの対外投資(資本流出)は4917億jとなっており、約8010億jが赤字を補填している状態だ。米帝ブッシュの対中軍事重圧の根底にはこのような米帝危機があるのだ。1月31日の「一般教書演説」に続いて2月6日米国防総省がQDRを発表した。
ここでは、今後20年間を見越した優先課題として、@テロネットワークの打倒、A米本土防衛、B戦略的な岐路に立つ国々への対処、C大量破壊兵器の拡散阻止をあげている。
特に注目すべきなのはBである。「その選択が21世紀の国際安全保障環境を決定づける」国として中国、ロシア、インドの3カ国をあげ、インドは「戦略的パートナーになりつつある」、ロシアは「米国に対する軍事的脅威になりそうもない」としている。
(写真 土地強奪などに抗議の陳情をする地方農民が北京に続々と集まっている)
ところが中国については「米国と軍事的に競い合える最も大きな潜在力を持つ国で、米国の軍事的優位が失われる懸念がある」と断じている。
そして中国と対抗するために、空母11隻のうち少なくとも6隻、約70隻の潜水艦のうち6割をアジア・太平洋地域に配備するなど、あからさまなアジア・太平洋シフトをとった。
これは激しい対中軍事重圧である。同時に、中国(市場・資源)の争奪をめぐる帝国主義列強(何よりも日帝)との争闘戦なのである。本質的には1994年10・21米朝合意同様に、米帝の激しい危機感とむき出しの戦争政策である。
重要なことは、QDRや米軍再編攻撃と一体のものとして経済(通商面でも為替面でも)政策においても対中戦争重圧として加えられていることである。
人民元切り上げは米帝の対中戦争重圧そのものである。しかしそれは米帝にとって矛盾的である(人民元切り上げ問題は『コミューン』4月号参照)。人民元の大幅切り上げを行えば、中国に流入している投機的資金が流出に転じ、中国のバブル経済が一気に崩壊しかねない。そうなればITから流通、金融まで巨額の対中投資をしてきた米大企業をも危機にたたき込むことになる。また大幅切り上げは、中国が人民元安を維持するために続けてきた大量のドル買い=米国債購入を激減させ、米国債暴落・ドル暴落の引き金を引くことになりかねない。
結局のところ米帝とドル体制は、膨大な対中貿易赤字の処理に苦しみながらも、中国スターリン主義からの資金流入に頼らざるを得ないのだ。まさに末期的な危機である。中国経済の危機は世界経済危機に直結するのである。
昨年7月人民元切り上げ以降も、特に3月全人代―4月胡錦涛訪米過程での激しい対中重圧が展開された。米政府高官らによる発言や相次ぐ中国関連の報告書の発表が、そのことをはっきりと示している。
4月4日にはライス国務長官が議会証言し、米中首脳会談重要課題5項目として「ルールを守る中国を望む」とした上で、@貿易不均衡、A中国政府の外国ソフトウエア排除問題、B人権、C「責任大国」としての中国の外交方針、D米中間の信頼醸成をあげ、貿易不均衡について「中国の構造改革が必要だ」と発言した。
こうした激しい政治・経済一体となった対中戦争重圧の中で4月19日胡錦涛(国家主席)が訪米し米中首脳会談が行われた。会談では人民元切り上げ、対北朝鮮・イラクへの制裁、人権、台湾問題などをめぐって激しく意見が対立した。
「改革・開放」路線の矛盾がますます激化
中国スターリン主義は、ブッシュのこうした激しい対中戦争重圧にあえぎながらも、対抗的積極的に危機を突破しようとしている。
胡錦涛政権は、2001年6月15日上海で設立された「上海協力機構」(SCO)を対米対抗的なものとして位置づけをより強めようとしている。「SCO」には現在、中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンが参加している。
SCOは本質的には対米的な軍事的集団安全保障組織と言っていいものだ。SCOには加盟申請しているモンゴル、インド、パキスタン、イランがオブザーバー出席している。イランは今年6月に正式加盟との発表がなされた。しかしこれは激しい対米対抗策として先延ばしとなった。05年にはロシアが中国・インドと相次いで共同軍事演習を行う中、加盟申請しているアフガニスタンはカルザイ政権がアメリカの傀儡(かいらい)であるとして加盟を拒否されている。
しかし、こうした中国スターリン主義の対抗的延命策は、世界革命を放棄した一国社会主義路線の本質的矛盾のゆえに、帝国主義の激しい戦争重圧の餌食とされ、危機と激動を深めるものとならざるを得ない。
第10期全国人民代表大会(全人代=国会)第4回会議が3月5日から14日まで開催された。胡錦涛政権はバブル経済崩壊への危機感から、「安定した比較的速い発展」を掲げた第11次5カ年計画(06〜10年)や今年の成長率目標を8%程度とした政府活動報告などを採択した。新5カ年計画は、生産過剰や環境破壊、都市と農村の格差拡大などへの取り組みとして、省エネや廃棄物の削減などを打ち出した。
しかし中国にとって成長率7〜8%はマイナス成長にならないための最低線である。そのためには一層の外資導入と積極財政政策をとらざるを得ない。すでに中国の輸出全体に占める外資系企業のシェアは03年には54・8%と6割近くにまで達している。完全に外資に依存した経済構造になっている。
4月20日、中国国家統計局は1〜3月の国内総生産(GDP)が実質ベースで前年同期比10・2%と発表、03年から3年連続約10%の高成長となった。「資源の節約と環境保護の重視」(胡錦涛)、「過剰生産業種の調整を」(温家宝首相)と危機感を表明しているが、現在の中国経済構造である限りそれは不可能に近い。
これは、中国のバブル崩壊の危機を深め、他方でさらなる米帝の一層の人民元切り上げ要求などの激しい対中重圧としてますます中国スターリン主義=胡錦涛体制を締め上げるものとなる。
経済格差は都市と農村間のみならず、都市内部、地域間、さらには業種間の格差が拡大している。これは、中国スターリン主義体制の本質的矛盾ゆえである。毛沢東時代の「計画経済」体制で強大化した官僚機構の権力は温存したまま、とう小平の「改革・開放」路線が推進された。この官僚機構が特権を利用して暴利をむさぼることを可能にした。中国は政治体制だけでなく経済体制的にも依然として残存スターリン主義そのものであり、その根本矛盾からけっして逃れることはできない。
「改革・開放」路線は労働者農民の側から見れば、自分たちからの搾取と収奪によって可能となったものであり、それをより強化する路線でしかないということだ。全人代での最高人民法院(最高裁)活動報告は、農民らが官僚の腐敗・横暴や土地の強制収用などを地方の各級裁判所に「直訴」(手紙を含めた陳情)した件数が400万件に上ったことを明らかにした。他方で、最高人民検察院(最高検)活動報告は昨年1年間に汚職で立件した公務員数が4万1417人に上ったとしている。
ここに示されているように、胡錦涛政権が「改革・開放」政策をより推進するためには、労働者農民の怒りを徹底的に弾圧する以外にない。全人代開催直前に人権活動家や弁護士を拘束、また北京市郊外の「陳情村」の陳情者らの強制撤去にそれははっきりと示されている。
こうした情勢の中で労働者農民の自主的主体的決起が開始されつつある。すでに01年前後から中国東北部(黒龍江省など)で、中国共産党の御用組合「中華全国総工会」(工会)の支配を打ち破って新たな独立組合が結成されるなど、闘いが拡大している。
いま労働者農民の怒りは企業経営者や地元官僚や黒社会(暴力団)に向けられている。しかし矛盾が構造的に拡大再生産される構造である以上、中国人民の怒りはこうしたやからを支え温存し自らの支配を貫徹しようとする中国スターリン主義体制そのものへと必ず向かっていくだろう。これ以外に中国の労働者農民が生きる道はないのである。
中国人民はいま確実に中国スターリン主義打倒の第二革命へ向かう新たな闘いを開始した。胡錦涛政権との激突は不可避である。さらに台湾情勢、中台関係の緊張が深まっている。08年台湾総統選挙、08年北京オリンピック、10年上海万博などの政治過程の中で激動を不可避としている。
日帝の侵略許さず日中人民の連帯闘争を
米帝の激しい争闘戦の中で日帝はその「最弱の環」であることをあらためて暴露された。日帝は包括的な経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)などのアジア勢力圏化でも中国、韓国にも大きく出遅れており、危機を深め絶望的な激しい争闘戦に踏み込もうとしている。
4月、日帝・経済産業省は、今後の中長期的な対外経済政策の基本的方向性を示すものとして「グローバル経済戦略」を策定した。戦略の視点に「アジアとの共創」を掲げ、実態上の東アジア統合をより「効率的で成熟した市場経済圏」にすること、そのための政策目標として東アジア経済圏を日本のイニシアチブで質の高い市場経済圏にするとした。これは小泉=奥田路線のより一層の具体化である。
昨年9月、多くの日系企業が製造拠点を置く中国東北部、遼寧省大連の経済開発区で、大規模なストライキが闘われた。
その後「大連―日系企業でのストライキとその後」(『鳳凰週刊』05年第34期)と題する報告が明らかになった。この中では労働者の置かれている状況、日系企業による「トヨタ方式」での労働者の強搾取、収奪の現実、中国地元政府、総工会の反労働者性が余すところなく暴露された。
日本経団連は5月24日、奥田の後任会長として御手洗冨士夫を選出、御手洗は「イノベート(変革)日本」を掲げ奥田路線の堅持推進を宣言した。御手洗はキャノンの会長である。
報告では、大連キャノン工場で大規模なストライキが日帝・小泉=奥田路線への怒りとして爆発したことが明らかとなっている。その実態はすさまじい。女性労働者は23歳になると自動的に解雇される! この差別規定は現在キャノンだけにしか残っていない。キャノンは労働時間は1分たりとも削ってはならないと労働者に立ち作業を強要。休憩は午前8分、午後の7分のみ! 労働者は経営側に200元の賃上げと23歳で女性労働者を解雇する規定の廃止、暖房補助費支給など12項目の当然の要求を掲げて闘った。
これが奥田や御手洗の言う「東アジア経済圏構想」の実態だ。中国労働者人民の搾取・収奪による日本帝国主義の繁栄、これこそ戦前の「大東亜共栄圏」そのものではないか。
靖国参拝、さらには東中国海ガス田開発(=釣魚台略奪攻撃)は、日帝の中国侵略戦争へ向けた激しい衝動であり攻撃である。矛盾をはらみつつも文字どおり暴力的に突破する以外ないのである。
しかし、われわれは中国人民(アジア人民)の根底的怒りを忘れてはならない。昨年4月の中国全土での反日抗争は大連キャノンの労働者の決起に明らかなように日帝の新たな侵略戦争へ向けた動きに対する怒りとして爆発したのだ。
絶望的な中国侵略策動を進める日帝と対決し、4大産別決戦とそれを軸とした改憲阻止決戦を全力で闘おう。この闘いは中国の労働者農民との国際的連帯闘争そのものであり、日帝の中国侵略戦争阻止、日帝打倒の闘いに直結している。
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週刊『前進』(2250号6面4)(2006/06/19)
刑事収容施設・被収容者処遇法
代用監獄存続を法制化
6月2日、「刑事収容施設・被収容者処遇法」が参議院本会議で採決され、与党の賛成多数で可決・成立した。この法は一部マスコミが報じたような「監獄法の100年ぶりの改正」などではない。日帝・小泉政権の危機が深化する中、ブルジョア独裁体制を強権的に維持する目的をもって、国家の暴力的実体である監獄を一層強化するものだ。断じて許せない。
本法は、昨年成立した「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部改正」という形をとっており、結局は、未決拘禁者、受刑者、死刑確定者についてひとつの法律にまとめてしまったものである。未決の拘禁者は「無罪推定」が原則であるように、三者の法的地位はそれぞれ異なっている。にもかかわらず一つの法律にしたのは、被収容者の獄中における権利や基本的人権を規定したものではまったくなく、監獄の管理と監獄制度・治安体制の強化を目的にしているからであることは明白だ。
最大の問題点は、「代用監獄」の存続を法的に根拠づけたことである。法に「都道府県警察に、留置施設を設置する」と明記し、逮捕されて取り調べを強制されている被疑者はもちろん、起訴後に裁判を争っている被告人も含めて「刑事施設(拘置所)に収容することに代えて留置施設に収容することができる」としたのだ。
警察の管轄下にあり、捜査機関と完全に一体となっている「代用監獄(=留置施設)」は、思想転向とニセの「自白」を強要する手段として使われてきた。デッチあげ弾圧と冤罪の温床である。その代用監獄を廃止させる闘いは、1980年代から、「拘禁2法」反対闘争として連綿と続けられてきた。国際人権規約委員会も代用監獄の廃止を勧告している。
ところが、東京都は警視庁の大規模留置場として品川分室や立川分室を建設・機能させており、さらには原宿に巨大留置施設の建設を策動している。逮捕後に勾留決定された被疑者は、本来拘置所に収容されるのが原則であるにもかかわらず、今日では98%が警察留置場に収容されている。代用監獄制度の現実をドンドン進行させながら、本法をもって一層固定化・永続化しようというのだ。
代用監獄の法制化は、共謀罪の制定策動や、刑事裁判の「簡便・迅速・厳罰」化攻撃と完全に一体で治安体制の戦時型転換を狙うものであり、断じて許すことができない。さらに、本法は被収容者の権利であるべき獄外との自由な交通などを認めていない。「刑事施設の長は……できる」という規定にすぎない上、「刑事施設の規律及び秩序を害するおそれ」がある場合には制限するとし、あくまで管理を優先し基本的人権を侵害しているのだ。
星野文昭同志は、31年間獄中に捕らわれ人間的自由と権利を奪われている。星野文昭同志を奪還する闘いと一体となって、自由な文通・面会をかちとろう。
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