ZENSHIN 2006/06/12(No2249 p08)

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第2249号の目次

“舌先三寸のペテンは許さん!” 「民主党案丸のみ」−採決強行という与党の許しがたい策動に全国から集った労働者・学生は激しい怒りをたたきつけた(6月2日 国会前)

1面の画像
(1面)
革共同の6月アピール  共謀罪絶対廃案 国会包囲へ
教基法改悪阻止・9条改憲粉砕 労働者は職場から総決起しよう
全国一斉家宅捜索を弾劾する
記事を読む  
“教基法改悪案、今国会で廃案に” 6・2全国集会&国会デモに3000人(6月2日) 記事を読む  
共謀罪採決強行阻む 6・2衆院法務委員会(6月2日) 記事を読む  
(2面)
“幕張構内事故への不当処分粉砕”  動労千葉が緊急決起集会(6月1日) 記事を読む  
国労弾圧公判 黒執証言の矛盾つく  「ひざげり」の場所も変転(5月31日) 記事を読む  
「愛国心」の強制狙う教基法改悪案阻止を
国会闘争は今週が最大の山場
日教組本部の屈服許さず 〈戦争協力拒否〉を貫こう
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5・27集会 “闘う方針を出せ”  日教組本部に怒りの声(5月27日) 記事を読む  
日教組解体が狙い  国会答弁 小泉・町村らが本音 記事を読む  
「教え子を再び戦場に送るな」を誓い貫く時  国会前 改悪阻止の声 記事を読む  
(3面)
自治労中央委 連合・民主党路線深める本部
“自治労の改憲勢力化阻止を”
労組交流センターが国会闘争訴え(5月25、26日)
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4大産別決戦での前進と改憲阻止闘争の大爆発へ  絶大な夏期カンパを訴えます 記事を読む  
板橋高校卒業式刑事弾圧 藤田さんへの有罪判決弾劾
「10・23通達」の全面擁護に怒り(5月30日)
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東京「日の丸・君が代」闘争 入学式処分許すな
“不起立は私たちの誇り”(5月26日)
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教員免許更新制阻もう  現職にも適用 戦争教育阻む教員を排除 記事を読む  
(4面)
集配局の再編合理化絶対反対  増員と深夜勤廃止かちとれ
首切りと9条改憲容認する連合全逓中央を打倒しよう
全逓62回大会に向け訴える  革共同全逓委員会
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公務員・教員の反対運動を禁止  国民投票法案は廃案に 記事を読む  
リンカーン寄港に反撃  佐世保 抗議集会や海上デモ(5月25日) 記事を読む  
(5面)
法大生500人が安東追及
“答えないなら学生部長失格”  退学処分撤回へ包囲デモ(5月26日)
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5・28北富士 “侵略訓練中止せよ”  米軍再編との闘いを宣言(5月28日) 記事を読む  
コミューン 7月号  強まる米・ロ対立 記事を読む  
(6面)
「日米同盟の新段階」=米軍再編うち砕け
閣議決定を徹底弾劾する(5月30日)
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改憲阻止の一環として 闘いの決意
相模原市議の西村綾子さん、反戦自衛官の小多基実夫さん
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米軍再編と闘う最前線 韓国ピョンテクの闘い
“命と平和の地を守る”  工事ボイコット宣言 ダンプ連帯(室田順子)
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2006年日誌 5月23日〜30日
米軍再編方針を閣議で決定  与党と民主が国民投票法案
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(7面)
「農地死守」貫き通す三里塚40年  反対同盟が語る闘いの原点 記事を読む  
7・2三里塚現地へ  反対同盟が全国に呼びかけ 記事を読む  
(8面)
団結ひろば 投稿コーナー
記事を読む  
5・19高裁不当判決 3被告から怒りの訴え 記事を読む  
「住民異動」で不当逮捕  デッチあげ口実に全国捜索 記事を読む  
投稿  戦争と革命を問う9条改憲  戦後革命期と憲法闘争  宮本 絵美 記事を読む  

週刊『前進』(2249号1面1)(2006/06/12)

 革共同の6月アピール

 共謀罪絶対廃案 国会包囲へ

 教基法改悪阻止・9条改憲粉砕 労働者は職場から総決起しよう

  全国一斉家宅捜索を弾劾する

“舌先三寸のペテンは許さん!” 「民主党案丸のみ」−採決強行という与党の許しがたい策動に全国から集った労働者・学生は激しい怒りをたたきつけた(6月2日 国会前)

 国会闘争が最大の山場を迎えている中で、日帝権力・警視庁公安部は5月25日、「電磁的公正証書原本不実記録・同供用、免状不実記載」容疑をデッチあげ、A同志をまったく不当にも逮捕した。しかもそれを口実に29日から6月2日にかけ、東京の前進社本社を始め、杉並、大阪、福岡、仙台、沖縄、神奈川、広島、京都などで次々と全国一斉の家宅捜索を強行した(8面記事参照)。これは戦時下、改憲情勢下で、革共同の前進に恐怖する小泉と日帝権力の不当極まる政治弾圧である。権力の攻撃を打ち破り、国会闘争に総決起し、共謀罪廃案、教育基本法改悪阻止をかちとろう!

 第1章 改憲阻止決戦の火ぶたはすでに切られている

 今国会決戦は、戦後階級闘争史上かつてない階級的激突となっている。
 6月こそ、共謀罪新設、教育基本法改悪、国民投票法案の強行採決か廃案かをめぐる、改憲攻撃の粉砕をかけた正念場だ。6月国会決戦は、会期延長を断じて許さず、既成政党や連合・全労連などの反動的制動をうち破り、日本プロレタリアートの戦闘的階級的底力を発揮して、プロレタリア革命に向けた歴史的前進をかけて総決起する闘いだ。
 世界は新たな革命的激動期に突入している。フランス・イギリス・アメリカなど帝国主義の心臓部から労働者階級のゼネスト・巨大デモが陸続として起こり、被抑圧民族人民の帝国主義打倒の不屈の武装解放闘争が世界を席巻している。
 5月の国会闘争に続いて、6月こそ、絶望的危機にあえぐ日本帝国主義と小泉政権を痛撃し打倒する時だ。60年・70年を超える大闘争に立とう。とりわけ学生と青年労働者の巨大な決起を訴える。
 6月国会決戦を闘うために確認すべきことは何か。第一は、9条改憲阻止の未曽有(みぞう)の階級決戦の火ぶたがすでに切られているということである。
 小泉政権のイラク侵略戦争参戦と在日米軍再編、沖縄圧殺と基地強化、公務員労働者の大量首切りや社会保障制度の全面解体、労働者人民の生活の極限的破壊、治安弾圧激化などは、そのすべてが現憲法の実質的な破壊・解体の攻撃として展開されている。
 そして今や、教育基本法改悪と国民投票法案を巨大な突破口にして、直接の改憲攻撃が本格的に始まった。自民党は「6月18日の会期末までは難しい。次の内閣でやればいいと言うなら、小泉首相の改革の政治家としての存在意義がなくなる」(5・27森発言)と、あくまでこれらの超悪法の成立を狙っている。
 教基法改悪は連日、特別委員会が開催され、国民投票法案は6月1日から衆院審議に入り、共謀罪は強行採決の緊迫情勢がエスカレートしている。こうした大攻撃の根っこにある9条改憲=新憲法制定攻撃は、戦後体制を丸ごと転覆させ、戦争に直結する巨大な反革命だ。
 現憲法の背後にある戦後革命情勢の原点に立ち返り、6月国会決戦を闘おう。
 1945年の敗戦から、47年2・1ゼネストにいたる2年間は、朝鮮・中国の革命情勢と連動して、日本の労働者階級がプロレタリア革命を実現する可能性をつかんだ時代だった。
 あの戦後革命期の嵐の激闘の中に、プロレタリア革命の条件と情勢は完全に存在し、成熟していた。しかし、労働者階級が権力を握るという意識性と指導性がスターリン主義のもとで歪曲され裏切られた結果として、46年「10月闘争」の直後の11月に憲法が公布され、47年の2・1ゼネスト敗北の直後の5月3日に憲法が施行されたのである。
 今度こそ、労働者階級の団結の力で帝国主義を打倒し、権力を握る時代に入ったのである。戦後革命期の生産管理闘争やストライキなどの労働運動の戦闘的伝統は、戦後60年を貫いて、日本の階級情勢を大きく規定してきた。日本のプロレタリアートの革命的精神の炎は、断固として燃え続けてきた。特に60年・70年・90年を結節環とする戦後階級闘争の連綿たる歴史は、9条に命を吹き込み、労働者階級の深部に根を張ってきた。
 連合の改憲勢力化は、結成以来、常に労働運動の最火点の問題であるが、現場組合員の闘いによって阻まれている。改憲阻止の6月国会決戦を、国鉄・教労・全逓・自治体の4大産別決戦、全国学生300万ゼネスト、沖縄・神奈川−全国の米軍再編最終報告の閣議決定に対する怒りの爆発など、すべての闘いを糾合して、歴史的大闘争に転じよう。
 帝国主義の行き詰まりは、全世界的に極限まで深まっている。米帝ブッシュ政権は、国内・国外統治の絶望的な矛盾に直面し、その突破口を戦争政策に求めている。ブッシュは実際に、国際緊張を挑発的に高め、イラクからイラン、北朝鮮への戦争政策を激化させている。
 イラクでは、新政権発足をめぐり民族解放・革命戦争が新たな爆発をとげている。イラン、パレスチナ、アフガニスタンなど、米帝の中東支配を崩壊させる大反乱が始まっている。
 世界情勢、米帝情勢に規定されて、国際帝国主義の「最弱の環」である日本帝国主義の破綻(はたん)と崩壊はより根源的である。小泉の後継へ向かう過程で日帝の政治危機は決定的に深まる。蓄積された膿(うみ)と矛盾が一挙に吹き出し、日帝階級支配の「ガラス細工」的性格が完全に明らかになる。
 とりわけ、財政危機の激化は、帝国主義の存立を吹き飛ばすものである。政治危機と支配階級の分裂・瓦解(がかい)に直結する。戦後史上かつてない政治危機の渦中に突入しつつある。
 日帝・小泉は、経済財政諮問会議と二頭立てで、5月22日に「財政・経済一体改革会議」を政府・与党で発足させ、公務員人件費削減、リストラ・人員削減、消費税増税、社会保障削減などの「歳出・歳入一体改革」を具体的に強行していく体制をつくりだしている。また5月30日に、在日米軍再編の取り組みを閣議決定し、日米枢軸のもとで、これまでと次元を画する戦争体制を強化している。
 これらの諸攻撃は、労働者階級の決起と革命的激動を必ず引き起こす。だからこそ日帝は改憲に突き進むのだ。

 第2章 「愛国心」教育と日教組解体攻撃を打ち破ろう

 第二は、教育基本法改悪を阻むために死力を尽くして闘うということである。
 教基法は46年11月の憲法公布を受けて、47年3月に公布・施行された。憲法理念との一体性をうたっている。
 改憲=新憲法草案の核心は、一つは9条の撤廃であり、いま一つは基本的人権の全面解体と天皇制攻撃の前面化を柱とする憲法原理の反動的大転換である。
 新憲法草案と教基法改悪は完全に対応している。教育の目標を「愛国心」強要=戦争教育に据え、「国を愛する態度を養う」と教育評価の対象にした。そして第10条の「教育は、不当な支配に服することなく」を空文化させた。
 ここに貫かれているのは、日本を再び戦争のできる国にすることである。それも世界大戦級の大戦争を1945年以前をも上回る国家総力戦として戦いぬける国に根本から変えようとしているのだ。
 すでに東京都教育委員会は01年に、教育目標と基本方針から憲法、教育基本法などを削除した。それは、03年10・23通達=「日の丸・君が代」の職務命令による強制から、06年4・13「職員会議の挙手・採決を禁止する通知」に至る、恐るべき諸攻撃の嵐となった。
 しかし、日帝がいかに職務命令や処分を乱発し、強権的に教育と学校のファシスト的支配を策動しても、「日の丸・君が代」不起立闘争を軸とする教育労働者の団結を破壊し、職場支配権を奪回できていない。杉並での「つくる会」教科書の導入も、教育労働者の団結を固め地域の労働者人民と結びつき、第二の勤評闘争の先駆けをつくり出している。
 そもそも教基法を最高法規とする(76年学テ最高裁判決)戦後教育は、教育労働者が「教え子を再び戦場に送るな」の固い決意のもとに、さまざまな限界をかかえつつも、勤評・学テ闘争・主任制闘争から、現在の「日の丸・君が代」闘争まで、あらゆる弾圧・処分に抗して不屈に闘い、守りぬいてきたのである。
 教基法改悪の最深の狙いは、日教組の解体にある。5月国会闘争と5・27全国闘争の地平を踏まえて、今こそ「10割年休闘争」の日教組の輝かしい闘いの伝統を継承し、連合と日教組本部の裏切りをのりこえ、打倒して、30万教育労働者が国会闘争に総決起することを訴える。

 4大産別の労働者が改憲阻止を闘う主力

 第三は、国鉄・教労・全逓・自治体の4大産別こそが、改憲阻止決戦の主力として、闘いの組織化を今こそ圧倒的に強化しようということだ。同時に、4大産別決戦のすべての力を、11月1万人決起へと目的意識性をもって発展させよう。
 5月25〜26日の自治労中央委員会で自治労本部は、「質の高い公共サービス」論などの闘争放棄と転向・変質方針で、昨年の鹿児島大会以来の自治労の戦闘的流れを断ち切り、平和基本法制定=改憲勢力化の条件をつくろうとした。
 だが今日まで自治労の改憲勢力化が阻まれていることは決定的に重大である。今中央委で本部は、改憲勢力化の策動を、来年の参院選に向けて自治労の民主党支持の一本化で推し進めようとした。
 この危機的情勢に対して、労組交流センター自治労部会が国会闘争への決起を呼びかけたことは、決定的インパクトを与えた。自治労の底からの戦闘的流れと反転攻勢への拠点は必死に守り抜かれた。8月大会へ自治労の新潮流運動の飛躍と力ある台頭が決定的に求められる。
 さらに6月14〜16日のJPU(全逓)定期大会(神奈川県民ホール)へ総決起をかちとろう。JPU本部の民営化への全面屈服と居直りを許さず、JPU本部打倒に総決起しよう。日帝・小泉−竹中は、1047名闘争が永続的に発展している国鉄分割・民営化の二の舞いを恐れ、郵政民営化の確たる展望を見いだせないでいる。他方で、民営化による集配拠点の再編に対して、労働者の怒りが急速に拡大している。全逓労働者は、物ダメ闘争の戦略的展望を握りしめ、職場の反撃によって自らの運命を切り開こう。
 民営化と改憲攻撃は一体だ。中曽根は国鉄分割・民営化攻撃による労働組合解体をもって、改憲攻撃に決定的に踏み込もうとした。全逓労働者は、郵政民営化絶対阻止、改憲粉砕の先頭に立とう。
 動労千葉への処分攻撃に反撃する「安全確立に向けた闘いへの処分・弾圧の中止を求める署名」は、物販闘争と一体になって全国的に圧倒的に拡大している。JR資本と一体になって、闘う動労千葉を排除して1047名闘争を解体する策動が決定的に強まっている。それは国労本部を引き込み、政治解決−和解路線を再び全面的に導入しようとするものである。これは4党合意路線の復活策動だ。
 1047名闘争解体の危機に対して、5・27臨大闘争弾圧裁判の闘いが国労再生をかちとる決定的推進軸として飛躍しなければならない。同時に、JR本体でJR資本と原則的、戦闘的に闘う動労千葉の反合・運転保安闘争を国鉄戦線全体の柱としてうち立てよう。
 4大産別決戦を推し進める集約的基軸として教労決戦がある。教育労働者が主体となった教基法改悪阻止闘争は、国会前が闘いの現場となって、大きな闘いの気運とうねりを日教組30万の中につくりだしている。1〜4月「日の丸・君が代」の不起立闘争は、教基法改悪・改憲阻止の国会闘争として、継続、激化、発展をかちとっている。
 さらに教育基本法改悪の民主党案と、これに同調する日教組指導部を弾劾するランク&ファイル運動が大きく爆発している。これは教育基本法改悪の最大の目的である日教組解体を根底的にうちやぶり、破綻させるものとなる。
 6・2集会の成功をテコに6・22日教組中央委員会へ進撃しよう。闘う日教組の再生に向けて、労働者細胞建設の先頭に立ち、11月へ攻め上ろう。

 第3章 法大先頭に6・15国会デモ−全国ゼネストへ

 第四は、改憲阻止全国300万学生ゼネストへの橋頭保を築く闘いとして、6・15全国学生国会デモの爆発をかちとることだ。
 21世紀初頭情勢で、法政大学を先頭にして全国学生1千人の国会デモを実現することは、60年にいたる59年11・27国会突入闘争、70年にいたる67年10・8羽田闘争に匹敵する位置を持っている。
 大学の独立行政法人化を始めとする「大学の構造改革」攻撃は、教基法改悪・改憲を先取りし、大学と学生を侵略と戦争に総動員する大攻撃だ。
 法政大学における3・14弾圧から3人の学生の退学処分攻撃は、自治会活動、サークル活動、学生運動を暴力的に禁圧するだけでなく、「学問の自由」「思想・表現の自由」「大学の自治」のすべてを圧殺し、ブルジョアジー、国家、そして天皇のために生き、かつ死ぬことを唯一のイデオロギーと行動原理にする大学の根底的変質を示している。まさしく徴兵制、学徒出陣、特攻隊の道だ。
 しかし、今や法政大キャンパスは平林・安東体制に対する怒りのルツボと化し、数千人の学生が全学連とともに決起している。4月新歓、4・28−5・26全国統一行動、5・15沖縄闘争への新入生を先頭にした決起、2度にわたる強制執行を阻止した東北大有朋寮の闘いなど、全国300万学生が日帝との一大激突へと向かう情勢はたぎっている。
 「プロレタリアートのたたかいの前進のなかで、革命党によって正しく指導されれば、学生運動は巨大な役割を演じうる。反スターリン主義・革命的共産主義運動とその党づくりの圧倒的なテコに転化しうる」(革共同第6回大会報告)
 これは、戦後日本階級闘争の金字塔としてあった70年闘争における学生運動の歴史的爆発が示している。こうした日本学生運動の歴史がフランスを始め全世界の学生に受け継がれている。70年闘争の先頭に立ち31年の獄中闘争を闘う星野文昭同志に対する日帝国家権力の恐怖と憎悪にそれが象徴されている。
 日帝権力の学生運動圧殺体制をうち破り、学生共産主義者としての自己の全存在をかけて、大学キャンパスで火の出るようなアジテーション、クラス討論、ビラまきを不撓(ふとう)不屈に実践すれば、1千人の学生隊列の登場は可能だ。大学を改憲粉砕=戦争国家化阻止・日帝打倒の砦(とりで)にしよう。21世紀のプロレタリア革命の先端に、青年労働者とともに学生が躍り出よう。
 6月国会決戦を教基法改悪・改憲阻止の大闘争として闘い、同時に国民投票法案を絶対に廃案にしよう。それは公務員と「教育者」に対して、運動規制と罰則、そして「地位利用威迫罪」(自民党船田元の私案)を設けるという恐るべき大攻撃である。こんな法案が成立したら、9条改憲へと堤防は決壊する。
 共謀罪新設絶対阻止のために、もっともっと労働者と労働組合の総力を結集し、6・10「1億2千万、共謀の日」を全国大行動として闘いとろう。

 米軍再編で日米同盟は「新段階」へと突入

 日帝・小泉は5月30日、米軍再編の基本計画を閣議決定した。全世界的な米軍再編によって日米同盟は「新たな段階」に入る。これは日米枢軸のもと北朝鮮・中国侵略戦争−世界戦争に突き進み、沖縄と本土を米日帝の前線司令部、出撃基地とする大攻撃だ。沖縄を先頭に新たな安保・沖縄闘争を全力で闘おう。
 6月国会決戦を、マル青労同1千人建設、機関紙活動の圧倒的強化、夏期一時金大カンパ闘争の巨大なテコとして、歴史的飛躍をかけてかちとろう。
 『ソリダリティ』(マル青労同機関誌)は、マル青労同1千人建設の最良の武器だ。青年労働者の団結と決起が階級情勢を決する。プロレタリア自己解放闘争としてのマルクス主義の復権は、労働運動・労働組合運動・階級闘争の現実の闘いをとおして実現されていく。4大産別の青年労働者こそ国会決戦に総決起しよう。革命の現実性をつかみとり、革命を現実に遂行する労働者党の主人公として青年労働者が立とうではないか。
 6月国会決戦を巨大な突破口に新指導路線の飛躍的全面的発展をかちとろう。

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週刊『前進』(2249号1面2)(2006/06/12)

 “教基法改悪案、今国会で廃案に” 6・2全国集会&国会デモに3000人

「教育基本法の改悪をとめよう!6・2全国集会&国会デモ」(主催・教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会)に教育労働者を先頭に3000人が参加、会期末まで2週間の闘いで、継続審議を許さず廃案にと誓い合った。@改悪案の問題点を周りの人に訴えよう、A国会闘争で政府・与党の横暴をうち砕こう、B職場と国会を結びつけて闘おう、と行動提起された(6月2日 日比谷野音)

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週刊『前進』(2249号1面3)(2006/06/12)

 共謀罪採決強行阻む 6・2衆院法務委員会

 自民・公明の与党は6月1日、共謀罪法案について民主党案を「丸飲み」し、2日の衆院法務委員会採決、今国会での成立を狙うという奇手に出てきた。しかも、「まとまればなんでもいい。次の国会で改正すればいい」(自民党幹部)などと実に許しがたい言辞まで吐いていたのだ。
 翌2日の国会前には、前夜のニュースで急を聞き、怒りを燃やした仲間が続々と結集した。そして、早朝からビラまき、傍聴闘争、議員会館前での座り込みと集会を終日闘い抜いた。夕方まで法務委員会理事会が続き、与党側の法務委員は委員会室に待機していつでも採決できる体制を崩さないまま、緊迫した攻防が続いた。しかし、爆発的に広がる世論と大衆運動の力に押され、午後6時半、ついに与党は採決強行を断念した。5月19日に続く決定的勝利だ。
 国会前で断続的に開かれた集会では、「採決など絶対に許せない」「愚弄(ぐろう)するのもいいかげんにしろ」とすべての発言者が与党の恥知らずな策動に怒りを爆発させた。関東学院大学教授・足立昌勝さんは「もはや継続審議の価値もない。こんな悪法は廃案にするしかない」と檄を飛ばした。集会には全国各地から230人が集まった。
 自民・公明は、あくまで会期末までの成立を狙っている。まったく予断を許さない情勢が続いている。しかし、もはや与党・法務省の破産は明らかだ。民主党案によっても共謀罪の危険性はなくならない。今週が、最後の、そして最大の山場だ。総力で決起し、共謀罪を永久に廃案に追い込もう!

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週刊『前進』(2249号2面1)(2006/06/12)

 “幕張構内事故への不当処分粉砕” 動労千葉が緊急決起集会

 6月1日、動労千葉は「幕張車両センター構内事故への不当処分粉砕!反合・運転保安確立!6・1緊急総決起集会」をDC会館で開催した。
(写真 仲間への重処分は絶対に許さない! 反合・運転保安闘争の真価をかけた闘へ、動労千葉組合員は新たな決意を固めあった【6月1日 DC会館】)
 JR東日本は、4月6日に幕張車両センターで起きた脱線事故を口実に、動労千葉組合員に重処分を下そうと策している。この攻撃を断じて許さない決意を固め、まなじりを決した表情で組合員が大挙結集した。
 開会のあいさつに立った君塚正治副委員長は、「現時点でまだ処分は出されていないが、この集会を機にさらに当局を追いつめよう」と訴えた。
 田中康宏委員長が発言し、「この闘いは最後まで息を抜いてはいけない。処分を下したら絶対に黙っていないという雰囲気を各職場でつくってほしい。いつでもストに立ち上がれる態勢を堅持しよう」「3月10日の安全運転闘争突入から今日で83日になる。100日になっても200日になっても、この闘争は最後まで続ける」「365日、職場で日常的に闘ってこそ仲間を守ることができる」と檄を発した。
 そして、「船橋事故闘争以来の反合・運転保安闘争の原点が問われている。事故が起きた時、その責任の一切は当局にあると言い切って闘いに立つことは、今でも労働組合の常識になっているとは言えない。むしろ分割・民営化の結果、安全にどの組合もまったく声を上げなくなっている。だが、事故は労働者にとって切実な問題だ。この問題を取り上げないで労働組合の団結がどうしてつくれるのか」と強調した。
 基調報告に立った長田敏之書記長は、「気を引き締め、ストも辞さない方針で闘っていくことが重要だ。不当な重処分を許さない闘いを各職場で展開しよう」と呼びかけるとともに、「一人の仲間を全力で守る動労千葉の姿勢を徹底的に訴えて、組織拡大の闘いに立とう」と声を強めた。
 幕張支部の代表が当該の組合員とともに登壇し、「どんなに厳しい闘いになろうが最後まで闘う」と決然とした意思を表明した。
 また、動労千葉を支援する会の山本弘行事務局長が「一切の処分を許さないため最後まで闘う」と連帯の意思を示し、ス労自主も動労千葉との共闘を誓った。
 動労千葉は72年の船橋事故闘争以来の反合・運転保安闘争の一切をかけて処分粉砕の闘いに立っている。
 事故を起こしたくて起こす労働者など一人もいない。だが、鉄道労働者は誰しもが事故と隣り合わせの労働を強いられている。一人の組合員への処分攻撃はすべての労働者への攻撃だ。動労千葉の全組合員が、この処分策動をわがことと受け止め、怒りをたぎらせて闘いに立っている。
 幕張車両センターの事故は、かねてから危険が指摘されていた個所で発生した。そもそも電車基地構内は、入れ換え作業や出入区が輻輳(ふくそう)し、本線にも増して事故の起こりやすい職場だ。だがJRは、労働者の切実な要求を無視し、「費用がかかる」と言って構内にATS(列車自動停止装置)を設置することも拒んできたのだ。
 動労千葉が3月に展開した安全運転闘争に対しても、JR東日本は戒告、厳重注意の不当処分を強行した。重大事故への反省もなく労組破壊に躍起となるJRに対し、真っ向から闘わなければ労働者の命は守れない。このJRへの怒りは至る所に広がっている。ニューヨーク市中央労働者評議会やイギリスRMT(鉄道海運労組)、韓国鉄道労組も動労千葉への連帯メッセージを寄せている。
 動労千葉が呼びかける「安全確立に向けた闘いへの処分・弾圧の中止を求める署名」を職場に持ち込み、支援の輪を広げ、動労千葉組合員への重処分策動を打ち破ろう。

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週刊『前進』(2249号2面2)(2006/06/12)

 国労弾圧公判 黒執証言の矛盾つく 「ひざげり」の場所も変転

 5月31日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第58回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。「被害者」と称して出廷した黒執(くろとり)光久証人(事件当時、長野地本中南信支部・松本運輸区分会組織部長)に対する弁護側反対尋問が行われた。
 この弾圧は、鉄建公団訴訟に立った闘争団員への統制処分手続きが決定された02年5月27日の国労臨時大会に際し、本部役員らが宿泊するホテル前で国労組合員が展開した抗議のビラまき・説得活動が「暴力行為」に仕立て上げられた弾圧だ。国労幹部は抗議した組合員を平然と警察に売り渡す一方、臨大の会場警備を務めた組合員には「被害届」を出させて検察側証人となることを強要した。
 国鉄闘争は今、被解雇者1047名の統一陣形を形成する大きな成果を実現しつつも、「政治解決」の名で闘争を敗北に導こうとたくらむ国労本部の策動との激しい攻防の渦中にある。この中で貫かれる5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘い、とりわけ夏から始まる弁護側立証は、国労の階級的再生のかなめをなす重要な位置にある。
 公判の冒頭、原田隆司被告が意見を述べた。日比谷野音で開かれた4・4国鉄集会に全被告が弁護団とともに参加し、「訴訟をやる」と明言しない佐藤勝雄国労本部委員長に闘争団やJR組合員とともに弾劾の声をたたきつけたことを明らかにした。また、国労西日本エリア本部の裏切りを許さず、尼崎事故1周年の集会を鉄建公団訴訟原告団などとともに闘いぬいたことを報告した。
 この裁判で検察側は、松崎博己被告が池田久幸・長野地本東北信支部委員長(当時)に「ひざげり」をしたことをきっかけに、被告間の「共謀」が成立したと主張している。黒執証人は、その主張に沿って「松崎被告が池田さんにひざげりするのを見た」と検察側主尋問で述べていた。また、以前の公判で彼は、「ひざげりが行われた場所はホテル前歩道の中央付近」とも証言した。
 ところが黒執は、捜査段階では「ひざげりがあったのはホテル敷地と歩道の境界付近」と一貫して供述していた。にもかかわらず彼は、自分が証人出廷することになった今年2月、検事との打ち合わせの中で3年4カ月ぶりに記憶がよみがえったとして、ひざげりが行われた場所の変更を検事に申し出たというのだ。
 この点を河村健夫弁護人が検察側証拠のビデオを示して追及した。ビデオの映像は、黒執証言によれば「ひざげり」の直前に当たる現場の状況をとらえている。そこに映った被告たちは、ホテル敷地と歩道の境界あたりに、ビラを手にして立っている。仮にひざげりが歩道中央で行われたのなら、池田はビラを持つ被告たちの間をすり抜けて歩道中央まで出て来なければならない。「そんな場面を見たのか」とたたみかける弁護団に、証人は「見た記憶はない」と答えるほかになくなった。さらに弁護団が質問を重ねると、答えに窮した証人はぷいと横を向いてしまい、「ふてくされないで」と裁判長にたしなめられる場面もあった。
 池田への「ひざげり」なるものは検察側共謀立証のかなめをなす。しかし、これに関する黒執証言はころころ変わり、客観的事実ともかみ合わない。もはや検察側「共謀立証」は破産した。組合員を罪に陥れようとしてきた国労本部の裏切りも明らかだ。これを許さず、被告の無罪獲得と国労再生へ、闘いを強めよう。

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週刊『前進』(2249号2面3)(2006/06/12)

 「愛国心」の強制狙う教基法改悪案阻止を

 国会闘争は今週が最大の山場

  日教組本部の屈服許さず 〈戦争協力拒否〉を貫こう

 教育基本法改悪案の法案審議が衆院特別委員会で連日のように強行されている。30日には早くも参考人質疑が行われた。政府・与党はあくまでも今通常国会での衆院通過、さらには会期延長による今国会成立すら狙っている。一切の制定策動を許すな。廃案に追い込むために全力で闘おう。

 反動を競い合う国会審議

 民主党が提出した「日本国教育基本法案」は、政府案以上にストレートに愛国心や宗教的情操教育を盛り込んだものだ。国会審議は、与党と民主党が愛国主義、排外主義を競い合う超反動的議論となっている。同時に、政府答弁で改悪案の狙いも明らかとなってきている。
 小坂文相は、愛国心通知表にかかわって「『我が国の歴史や伝統を大切にし国を愛する心情』を意欲や態度で評価することは、内心についての評価ではない」という奇弁を繰り返し、評価をテコに子どもたちに愛国心を植えつける意図を隠そうともしていない。
 現行教基法第10条の「国民に直接責任を負って」を削除し「この法律及び他の法律の定めるところにより」に置き換えたのは、「法律に基づく教育行政は、不当な支配ではないことを明確にした」ものだと言い放った。学力テスト事件最高裁判決をテコに10条を葬り去ろうというのだ。
 すでに現行学習指導要領にも「愛国心」は盛り込まれているが、政府案はこれを公教育全体の目標に祭り上げている。改悪教基法が成立すれば、学校教育法の教育目標も改悪され、愛国心育成が学習指導要領の総則に盛り込まれ、全教科の教科書に愛国教材が満載されていくだろう。文科省は教育基本法改正推進本部に「ポスト教基法改正チーム」を設置し、関連法改悪の準備に入っている。
 中央教育審議会のワーキンググループは、教員免許更新制を現職教員にも適用することで合意した。7月にも答申が出され、来年の通常国会で法改正するという。「国を愛し国際平和に寄与する国民の育成」を教員の「崇高な使命」とする改悪教基法は、愛国心強制を拒否する教員の大量首切り攻撃となって襲いかかることは明らかだ。

 被処分者の闘いに続こう

 今や日教組の危急存亡の時が到来した。翼賛国会に教育の未来をゆだねる〈調査会設置要求〉といい、政党間の駆け引きにげたを預ける〈民主党案支持〉といい、日教組本部の転向はここに極まった。しかし、教育労働者の怒りと危機感は、日教組本部の思惑をのりこえて巨大な爆発を開始している。
 国会前座り込みは、民主党案撤回を求め2波の自主動員で決起した北海道教組の闘いによって日々戦闘化し、「日の丸・君が代」被処分者との合流もかちとられている。5月26日には、北教組と日教組九州ブロック、さらに全教・日高教も加わり、300人の座り込み闘争へと発展した。
 教育基本法改悪ストップ実行委の5・27集会には、動員割り当てを超える5千人の組合員が結集した。森越日教組委員長発言に怒りのやじが飛び、教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会の大内裕和、三宅晶子両氏の熱烈なアピールが集会の基調となった。
 日教組本部の協調路線のもとで眠りこまされてきた「教え子を再び戦場に送らない」教育労働者魂がふつふつとわきあがってきている。団結と抵抗こそが子どもたちを守るのだという労働者としての誇りが、よみがえりつつある。
 利権と腐敗にまみれた特権政治家どもに、愛国心や公共心を語る資格があるのか。愛国心教育、差別選別教育で戦場に送られるのは労働者階級の子どもたちではないか。今こそ改憲と戦争に突き進む帝国主義への階級的怒りを解き放とう。教育労働者の戦争協力拒否闘争として位置づけてこそ教基法改悪阻止闘争の巨大な爆発は切り開かれる。
 「国に先駆けて教育基本法を改正した」と豪語してきた石原・都教委の攻撃は、教育現場を制圧できたのか。断じて否だ。処分を辞さない不屈の抵抗闘争が3年にわたって継続され、新たな不起立者が続々と決起しているではないか。累積加重処分にも屈せず〈クビをかけても不服従を貫く〉ことを宣言する被処分者の登場によって、「10・23通達」も本質的に打ち砕かれているのだ。
 教基法改悪攻撃を打ち破る道を指し示し、闘う日教組再生の拠点をつくりだしている被処分者の闘いに、全国の教育労働者は学び、続こう。「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者こそ、教育基本法改悪阻止の先頭に立とう。
 教基法改悪の先取り攻撃に対する拒否・抵抗闘争を職場からつくりだし、職場攻防と結びつけて国会闘争に決起しよう。翼賛国会を包囲する教育労働者の隊列を日々拡大し、政府案・民主党案を必ず葬り去ろう。

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週刊『前進』(2249号2面4)(2006/06/12)

 5・27集会 “闘う方針を出せ” 日教組本部に怒りの声

 5月27日午後、「教育基本法改悪ストップ! 5・27集会」が、実行委員会の主催で東京・芝公園で開かれた。時折、激しい雨が降るあいにくの天気だったが、会場は全国から結集した日教組組合員や自治労組合員など5000人で満杯になった。
 集会では、主催者あいさつに続き来賓の紹介・あいさつなどが行われた。超反動的な対案を国会に提出した民主党の議員に対しては会場から「撤回しろ」と怒りのやじが飛んだ。
 また森越康雄・日教組委員長のあいさつには、「愛国心教育をやるつもりか」「調査会設置要求署名を撤回しろ」「闘う方針を出せ!」と、さらに激しくやじが浴びせられた。
 森越委員長は、「身内を攻撃する者がいるが、挑発にのることなく……」などと、組合員の正当な批判にただただ反発するだけで、まったく闘う方針を示さなかった。
 全国連絡会の三宅晶子さんと大内裕和さんがあいさつした。三宅さんは「教基法が改悪されれば、愛国心を教えることが義務になる」「あきらめず、勇気と希望を持って闘おう」と訴え、大内さんは「皆さんの闘いが子どもたちを守り、日本の戦争国家化を阻止する力だ。ともに闘おう」と呼びかけた。会場から大きな拍手が送られた。
 集会後、参加者は新橋〜銀座〜東京駅をデモし、「教基法改悪反対」の声を都心の空にとどろかせた。
 この日の日教組のビラは「愛国心」「改悪反対」「戦争」という言葉が、どこを探しても一言もない。それどころか「(日教組は)国を愛する態度を否定しているのではありません」と、攻撃に全面的に屈服している始末だ。
 戦争教育のための教基法改悪を絶対に阻止し、現場からの闘いで日教組中央を打倒し、闘う日教組をよみがえらせよう。
(写真 日教組組合員ら5000人が結集した5・27教基法改悪反対集会【東京・芝公園】)

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週刊『前進』(2249号2面5)(2006/06/12)

 日教組解体が狙い 国会答弁 小泉・町村らが本音

 衆院教基法特別委では、最大野党・民主党が政府・与党と同じ改悪推進の立場に立っているため、労働者人民の怒りや危機感とはまったく無縁な議論が進められている。本当に怒りに堪えない。
 この中で政府・自民党は、教基法改悪に込めた戦争教育と日教組解体の狙いをあけすけに語っている。5月24日の審議では、次のような発言が飛び出した。
 元文科相で自民党の町村信孝は、「基本法の改正の議論……の大切なポイント」として、▽「敗戦後遺症」的発想を教育界から取り除くこと、▽組合からマルクス主義、レーニン主義の影響を一掃すること――などを挙げ、こう言ってのけた。
 「一部の組合幹部は依然としてマルクス・レーニン主義から脱しきれない。そういう人たちがまだまだリーダーにいるということは、教育改革論議を建設的に前向きに進める際にまことにまずい」
 これはまさに日教組と教育労働運動の解体宣言そのものだ。日教組の原点は「教え子を再び戦場に送るな」の誓いにある。小泉が戦争と改憲に突進している今この時、その誓いを貫く闘いは教育労働者の階級性をかけたものになる。町村は、日教組が階級的労働運動として再生し発展することは絶対に許さないとわめき立てているのである。
 町村はまた、「教職員組合が道徳教育粉砕運動というのをずっとやってきた。このとがめは私は非常に大きいと思っております」と日教組運動を憎しみを込めて非難している。
 そもそも、自民党ら権力者が組合の思想や路線を問題にし、その排除を叫ぶこと自体、労働組合への不当な介入だ。
 日教組中央の文科省との協調路線にもかかわらず、教基法改悪に怒りを燃やして多くの日教組組合員が改悪阻止の闘いに立っている。これに恐怖した自民党は、日教組に対しても国鉄分割・民営化型の労組破壊攻撃に踏み込もうとしているのだ。日教組の存亡をかけた決戦の時が来た。
 政府案は「愛国心」について、「我が国と郷土を愛する態度を養う」と明記した。「心」ではなく「態度」としたことは重大だ。

 「国旗・国歌の尊重は当然」

  それは公明党議員が強調しているように、「ただ心の中で思っているだけでは駄目だ。態度に示すこと、よいことは行動しなければ駄目」ということだ。
 だから、「国を愛する態度を養う」指導・教育とは、教員が国旗・国歌を敬う態度を「率先垂範」し、国のために尽くすことを子どもたちに行動で示せ、ということになる。これは戦前、教員が「日の丸」の旗を振って若者を戦場に送り出した犯罪的な役割を再び繰り返せということだ。
 「愛国心」は、すでに学習指導要領に入れられているが、教育労働者が現場で抵抗し続けてきたことにより、日帝の狙いは阻まれてきた。それを今度は基本法に明記して、「愛国心」指導を「職務」として教育労働者に義務づけようとしているのだ。小坂文科相は「各学校において改正の趣旨を踏まえた指導の一層の充実を期することとした」と答弁している。
 小泉首相は、「普通、日本に生まれ、日本に育って、日本の教育を受けていくことによって、……愛国心というものを持ってくるのが私は自然な姿だったと思います」「国旗・国歌を尊重するなんていうのはもう当然のことなんですよ」「国旗・国歌なんてばか(ママ)にしてもいいよという教師がもしいたら、その方が問題だ」「どういうふうに指導するかは教師の質にもかかってくる」と言い放っている。だが、そこには不屈に貫徹される「日の丸・君が代」不起立闘争への恐怖がある。闘いは小泉を追いつめているのだ。
 9条改憲と一体で、子どもたちを侵略戦争に動員するための教基法改悪を絶対に阻止しよう。
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 許せない! 反動発言(5・24衆院特別委から)

●小泉首相「国旗・国歌を尊重するなんていうのはもう当然のことなんですよ」「国旗・国歌なんてばかにしてもいいよという教師がもしいたら、その方が問題だ」
●町村信孝・元文科相(自民党)「一部の組合幹部は依然としてマルクス・レーニン主義から脱しきれない。そういう人たちがまだまだリーダーにいるということは、教育改革論議を建設的に前向きに進める際にまことにまずい」

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週刊『前進』(2249号2面6)(2006/06/12)

 「教え子を再び戦場に送るな」を誓い貫く時

  国会前 改悪阻止の声

◆「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
 都教委は本日、入学式で「君が代」斉唱時に不起立を貫いた教員5人に懲戒処分を発令しました。03年「10・23通達」以来、なんと350人の教員が都教委によって懲戒処分されているという異常な事態です。
 都教委は4月13日には、職員会議で採決を禁止するという通知を出しました。職場は今、がんじがらめに縛られています。しかし私たち被処分者は、都教委の暴走にストップをかけ、教育現場に自由を取り戻すために闘い続けています。
 教育基本法が改悪されれば、東京の状況が全国各地に広がる。今、日本の民主主義は危機に瀕しています。教育基本法の改悪と国民投票法による憲法改悪、愛国心の強制は、教職員を大量処分し、愛国心を生徒に強制しロボットにして、この国を再び戦争に引きずり込む戦争国家づくり以外の何物でもありません。
 「教え子を再び戦場に送るな」という固い誓いを今こそ貫き通す時代が来ました。なんとしても憲法・教育基本法の改悪をとめましょう。
◆沖縄高教組の労働者
 5月23日には三宅晶子さんを呼んで「教育基本法改悪ストップ!沖縄集会」を600人で行い、昨日25日は名護市辺野古への新基地に反対する緊急県民大会と国際通りデモを行って、今日は国会前にやってきました。
 今立ち上がって教育基本法改悪をストップしなければ、子や孫たちに笑われます。今行動しなければなりません。全国のみなさん、ともに頑張りましょう。
 (教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会が主催した「5・26緊急国会前集会」の発言より)
(写真 怒りの発言が続いた5・26緊急国会前集会)

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週刊『前進』(2249号2面7)(2006/06/12)

 日程

国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
第59回 6月21日(水)/第60回 7月12日(水)
第61回 7月26日(水)/第62回 8月22日
 ※いずれも午後1時15分から、東京地裁

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週刊『前進』(2249号3面1)(2006/06/12)

 自治労中央委 連合・民主党路線深める本部

 “自治労の改憲勢力化阻止を” 労組交流センターが国会闘争訴え

 5月25―26日、新潟・長岡市で開かれた自治労第132回中央委員会において、労組交流センター自治体労働者部会を始め闘う労働者は、自治労の中央委員、傍聴者らに「自治労の改憲勢力化を阻止しよう。国会闘争に駆けつけよう」と熱烈に呼びかけた。日帝・小泉政権が行革推進=公務員制度改革の大攻撃を仕掛け、連合が1・19中執決定でこの攻撃の先兵となることを宣言し、国会では共謀罪の衆院法務委員会採決(5月19日阻止)、教育基本法改悪案の実質審議開始(5月24日)、国民投票法案提出(5月26日)、行革推進関連5法案成立(5月26日)という決戦の渦中にあって、労組交流センターの訴えは確実に自治労組合員の心をとらえた。
 中央委員会初日、労組交流センターの労働者30人は「全国から直ちに国会へ! 現場の力で反動法案を打ち破ろう! 自治労の改憲勢力化を阻止しよう!」と訴えた。現場の自治体労働者がリレートークに立ち、屈服を深める自治労本部への怒り、職場の仲間が置かれている過酷な労働実態、自らの職場での闘い、改憲阻止闘争への決意などを語ると、結集する中央委員、傍聴者が共感を示した。
 ところが中央委員会の議事の中で自治労本部は、民営化と公務員制度改革、賃金削減と労組破壊の攻撃の中で苦闘する組合員の声を逆手にとり、来年の参議院選挙での小沢民主党支持の一本化をごり押ししたのである。本部の屈服・転向は一気に深まっている。
(写真 自治労中央委に集まる組合員が続々と動労千葉処分撤回、改憲反対の署名【5月25日 長岡市】)

 政労協議に走る岡部委員長

 その象徴が岡部謙治中央執行委員長のあいさつだ。岡部委員長は「行政改革推進法案、市場化テスト法案は、現在の力関係では廃案は無理」と、闘わずして白旗を掲げ、1月臨時大会の時と同様、今回も議事を中座して政府との話し合いに向かった。現場組合員に依拠して大衆的に闘うのではなく、政労協議で行革方針をのむ代わりに労働基本権を認めてもらおうというのだ。だが、労働組合が自らの団結を武器に実力で闘わなければ労働基本権の奪還はない。岡部委員長は現場の怒りに向き合うことを恐れ、政府と連合の懐に逃げ込み、改憲阻止はもちろん教育基本法改悪、国民投票法案、共謀罪との闘いには一言も言及しなかった。
 議事でも、君島一宇副委員長が提起した第1号議案「当面の闘争方針」には、反動諸法案への怒りもなく、阻止方針もない。これは「情勢認識が甘い」というレベルではない。本部は組合員が国会闘争に立ち上がることを政労協議の阻害物と見なし、徹底的に抑え込もうとしているのだ。
 だが、この一方で、日教組組合員は教基法改悪攻撃に屈服する日教組本部の制動を突き破って「教基法改悪絶対阻止」の国会闘争に連日決起している。また共謀罪を阻止するために労働組合や市民団体が全国から国会前に続々と駆けつけている。闘いは政治情勢を動かし、政府・与党を追い詰めている。にもかかわらず自治労本部はこの現実を無視し、公務員にかけられた行革推進関連5法案の成立をむざむざ許したのだ。
 この状況に怒りと危機感を抱いた労組交流センターは、2日目、「本部の〈連合・民主党〉路線は改憲・戦争への道だ」「国会前に自治労旗を!」と訴えるビラを作り、配布した。
 だが本部はあくまで国会闘争、改憲阻止闘争を一切提起しない。君島副委員長は「憲法前文、9条1項2項を守る」と確認しつつ、平然と「平和基本法制定に向けた取り組みを前に進める」「拙速な国民投票法制定に反対」と述べた。これを改憲路線と言わずしてなんと言うのだ。

 “小沢民主党は労働者の党か”

 本部は、第2号議案「参議院選挙闘争の推進について」で「『二大政党制』の流れを確実なものとし、政権交代を実現するため」と称して来年参院選の比例代表組織内候補を民主党候補に一本化する方針を打ち出した。組合員の民主党批判を抑え込むために「格差社会解消」「本工主義克服」「男女平等」を掲げ、「女性」「非常勤出身」「臨時・非常勤職員の組織化に尽力してきた」という相原久美子・自治労本部組織局次長を候補に押し出した。
 しかし、その民主党は26日に自治体職場を民営化の嵐にたたき込む市場化テスト法案など行革推進関連5法案に賛成し成立させ、23日には与党の教基法改悪案よりも露骨に「愛国心」を強調する「日本国教育基本法案」を国会提出した。民主党の国民投票法案は与党案と同様、公務員・教育者の改憲阻止運動を禁じている。しかも民主党の浅尾慶一郎議員の国会質問(昨年10月)を契機に公務員の有給の休息時間が次々廃止になっている。「公務員たたき」の先頭に立っているのが民主党なのだ。
 これに対して社民党系県本部は「又市さんも支持してほしい」と民主・社民両立を哀訴することしかできなかった。ましてや彼らには単独ででも国会前に自治労旗を押し立てて闘おうという気概はまったくない。
 自治労本部は、大阪府本部や福岡県本部、東京都本部に小沢民主党支持一本化を強調させ、社民党系県本部を「統制処分」をちらつかせて恫喝し、彼らに屈服を迫った。これを受けた植本真砂子副委員長は答弁で「小沢新体制がスタートした。政権交代への期待が高まっている」と述べ、小沢民主党と相原候補への支持を恫喝と涙の両刀使いでごり押しした。

 8月大会決戦に全力決起を

 今必要なことは、真に現場労働者の闘いに依拠した階級的労働運動の登場だ。改憲と戦争への道を突き進む自治労本部の民主党・連合路線を粉砕することだ。
 2日間をとおして、それぞれ800枚用意した労組交流センターのビラはすべて組合員の手に渡った。百万人署名運動の9条改憲反対署名には73筆、動労千葉の処分撤回署名には50筆の署名が寄せられた。中央委員が約370人、傍聴者が約200人であることを考えると高い率だ。『前進』も4部売れた。本部が屈服を深めようとも組合員の階級意識、闘う意欲は健在だ。一方、2日間ともカクマルはまったく現れず、会場前は解放感に包まれた。
 自治体労働者の皆さん。自治労の改憲勢力化を阻止しよう。職場闘争をとおして団結を打ち固め、それを根拠に国会闘争に立ち上がろう。自治労本部の屈服路線を突き破る現場労働者の荒々しい決起で8・24―25自治労第78回定期大会(さいたま)を席巻しよう。改憲阻止闘争、8月大会決戦に全力で決起しよう。 

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週刊『前進』(2249号3面2)(2006/06/12)

 4大産別決戦での前進と改憲阻止闘争の大爆発へ

  絶大な夏期カンパを訴えます

 国と地方の借金が1059兆円に達し、GDPの2年分、1945年敗戦時の規模に匹敵するという、絶対に解決できない事態となりました。このすさまじい危機の圧力が「戦争をするしかない」ところに日本帝国主義をたたき込み、やみくもな改憲攻撃に突っ走らせています。
 皆さん。支配階級が勝手放題に浪費したツケを私たちに押し付け、戦争に駆り立てる。こんなデタラメをどうして許せましょうか!
 今やこの怒りの声は世界を席巻し、「生きるために闘おう! 社会を変えよう」と、全世界的に階級闘争が高揚し、革命的情勢が急接近しています。日本でも改憲阻止闘争を焦点に歴史を分かつ闘いが開始されています。この時代を切り開く夏期一時金カンパを訴えます。

 1兆円の利益で税金はゼロ。許せますか

 今や「格差社会」「二極分化」がマスコミで取り上げられない日はないほど労働者の窮乏と貧富の差が拡大している。
 5月下旬に入り、大企業の06年3月期決算が出そろいました。それによると、トヨタ自動車の1兆3721億円の純利益を始め、バブル経済期を上回る最高益を記録しています。1047名採用差別を居直るJR東日本は2747億円、郵政公社は1兆9306億円。大手銀行6グループの最終利益の総計は三菱UFJの1兆1817億円を筆頭に合わせて3兆1212億円で、バブル期の日本の全銀行(都市銀、地銀、第二地銀)合計益の約2兆3000億円をも上回っています。 
 日銀発表によれば、「超低金利により、家計が受け取るはずだった利子損失分は304兆円」というのです。高齢者はわずかな年金から介護保険料などを天引きされるのに、銀行がこれだけもうけても「不良債権処理で税務上の欠損金がある」ことを理由に、ほとんどの銀行は今期も法人税を納めなくてもよいのです。
 大企業と金持ち優遇の「税制改革」で、法人税の基本税率は87年の43・3%から99年には30%に激減し、所得税の最高税率も94年に75%だったものが37%に引き下げられています。相続税も金持ち優遇です。このように彼らは大企業と金持ちからは毎年20兆円以上減税して、その分を消費税や労働者家計への各種の増税で埋めているのです。
 一方、働く仲間の家計はどうでしょうか? 国税庁発表の「民間給与実態統計調査」によれば、民間企業に働く労働者の平均年収は98年以降下がり続けています。公務員労働者も99年以降下がり続けています。にもかかわらずすさまじい勢いで税負担などは急増しています。配偶者特別控除の廃止、定率減税の縮小、住民税の均等割(妻への課税が倍額に)、酒税・たばこ税の増税ラッシュ、厚生年金保険料の毎年アップ、雇用保険料負担アップ、介護保険料アップ。さらに小泉は、03年に医療費窓口負担を増やしたばかりなのに、医療制度改悪法案を5月18日に衆院で強行採決しました。
 こうして、すでに02年段階で年間所得100万円未満の被雇用者が13%、200万円未満が30%となっています。貯蓄ゼロ世帯は24%(05年)なのに、貯蓄保有世帯の平均額は1544万円で、97年統計から20%も増えており、貧富の差が急速に拡大しています。今年1月3日の『朝日新聞』で衝撃的に報道されたように、公立の小中学校で就学援助を受ける児童・生徒数が4年間で4割増えています。東京・足立区だけで2万人弱の小中学生が学用品や給食費の援助を受けているのです。
 皆さん。これだけ文明や科学技術が発達していてこのざまは何でしょうか? もはや支配階級が労働者階級を「食わせていくこともできなくなった」。こんな支配階級は失格です。彼らがいなくても労働者階級は全然困りません。私たち労働者が彼らに代わって社会をつくれば良いだけです。「革命の時だ」という時代の声が聞こえてくるではありませんか。

 世界で日本で激しい闘いが起きています

 社会を動かしているのは私たち労働者です。だから、世の中を変える力も労働者の闘いにあります。フランスでアメリカでドイツで韓国で、全世界の労働者が闘いに立ち上がっています。
 沖縄では米軍再編「最終報告」攻撃に対して、3月5日に続いて、5月14日に県民大会が闘い取られました。動労千葉の安全運転行動への感動と、4月6日の構内事故を口実にした当局の処分策動への怒りは全国の職場に大反響を呼び、1週間で100を超える労組からの団体署名が寄せられています。そして皆さん、国会前を見てください。連日、動労千葉、関西生コン、港合同、教組、自治労など、数百人の労働者が押し寄せています。そして、この力が共謀罪や教育基本法改悪攻撃と「力勝負」をしてジリジリと押し返しているではありませんか!
 小泉が、国会を3分の2の議員で「押さえている」にもかかわらずです。なぜでしょうか? それは、戦後階級関係がその根本において転覆されずに革命的激動に突入しつつあるからです。改憲とは、1945年のあの時、戦後革命の炎が燃えさかった時代に戻るということです。こうして06年〜07年改憲決戦がプロレタリア革命に向かう道を切り開こうとしているのです。

 労働者の未来を開くための熱いカンパを

 イラク戦争で米兵の死者は2400人を超え、ブッシュの支持率は3割を切り、英ブレア政権も5月4日、地方選に大敗しました。世界中の労働者階級が帝国主義打倒を渇望しています。
 この闘いの実現のために私たちは『前進』04年新年号で「新指導路線を渾身の力で貫き、党の革命を何がなんでもやり遂げよう」と誓い、今年の新年号では「11・6集会に結集した4600人が心から信頼し未来を託せる労働者党をつくろう」と訴えました。そして今、その決定的な闘いが開始されています。これをやりきるために、すべての労働者党員と党友、支持者、『前進』読者の皆さんの夏期一時金カンパ闘争への総決起を心からお願いします。
 革共同は労働者階級の党であり、彼らとともに闘うすべての人民の党です。革共同は、日本革命―世界革命の実現に向けて全生活をかけ、命をかけて闘い抜いてきました。革共同は皆さんと一体の党だからです。
 党が必要な運動資金を獲得できるかどうかは、党が階級から支持されているかどうかであり、労働者が身銭を切り革命運動を支えられるかは、社会の主人公としての試練でもあります。
 すでに見たように、労働者階級の生活は加速度的に厳しくなっています。しかしだからこそ労働者は、社会を変えるカンパには千金の重みがあることをつかみ、自らの誇りにかけて思い切った額の決起をすることのできる階級です。4大産別(自治体、教労、全逓、国鉄)と基幹産業の労働者の皆さん。10万円を単位とするカンパに挑戦しましょう。民間中小、未組織の労働者の皆さん。力を尽くして闘いましょう。そしてすべての皆さん。06年夏の挑戦として、カンパを武器に職場と地域の仲間の組織化を計画しましょう。カンパ闘争こそ、職場と地域に最も広い連帯の網を作る道です。
 絶大な夏期カンパを訴えます。

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週刊『前進』(2249号3面3)(2006/06/12)

 板橋高校卒業式刑事弾圧 藤田さんへの有罪判決弾劾

  「10・23通達」の全面擁護に怒り

 東京地裁は5月30日、04年の都立板橋高校卒業式で国歌斉唱時の不起立を呼びかけた元教諭・藤田勝久さんに、威力業務妨害罪で罰金20万円という、とんでもない反動判決を下した。藤田さんは判決直後、記者の質問に「懲役8月の求刑に罰金20万という判決は、無罪だと分かっていながら体制維持のため有罪という政治的判決だ」と、怒りをもって直ちに控訴することを宣言した。
(写真  「不当判決」の第一報を聞き、地裁前に詰めかけた支援者から怒りの声がわき上がった【5月30日】)
 東京地裁村瀬均裁判長による有罪判決は、今国会での教育基本法改悪、共謀罪制定、国民投票法制定策動という改憲と戦争へ動きの中で、司法の戦時型への転換が始まったことを示している。言論の自由について「他人の業務を妨害するものであれば許されない」とする判決内容は、憲法、教基法をまったく無視している。
 初めに有罪ありきの判決は、ウソとペテンの実にずさんなものだ。
 「有罪」を成立させている唯一の証人・田中教頭の偽証を、都教委が秘密裏に持ち込んだICレコーダーの都合の良い部分だけを取り出し、「田中の供述の信用性は揺るがない」と認定した。その一方で、都教委や校長からの圧力を受けながらも勇気を持って証言に立った現場の教員や保護者、卒業生の証言は、「あいまいで信用できない」と一方的に切り捨てた。そして、藤田さんの声が大きいことをもって「怒号」「喧噪(けんそう)」とし、威力業務妨害をデッチあげているのだ。
 公判で徹底的に崩された検察側立証を維持しようとあがく裁判長の判決文読み上げに、「そこ間違っている」と藤田さんは何度も抗議の声を上げた。
 判決内容は、「10・23通達」を全面擁護するものであり、有罪判決は「君が代」不起立闘争に対する大反動攻撃である。「都教委は、国旗・国歌の取り扱いを学習指導要領のもとで実施するよう『10・23通達』を出した」「学習指導要領のもと厳粛な雰囲気で行われる式を妨害した」と、「通達」に抗議したことをもって藤田さんを「有罪」としたのだ。
 そもそも「威力業務妨害」デッチあげは、「10・23通達」直後の板橋高校卒業式で「君が代」斉唱時に9割を超える卒業生が着席した事態に驚愕(きょうがく)した土屋都議や都教委によって仕組まれたものだ。生徒への深い愛情で教育活動をしてきた藤田さんにとって、教え子を戦場に送り出す「日の丸・君が代」強制など絶対に認めることはできない。そのささやかな抵抗である「通達」抗議のビラ配布を刑事事件にデッチあげ、卒業生不起立の責任を藤田さんに負わせて学校現場の攻防に刑事弾圧で襲いかかってきたのだ。
 村瀬裁判長の有罪判決は、この都教委の違憲違法な「通達」にお墨付きを与える政治目的を持ったものである。「日の丸・君が代」被処分者、被解雇者の闘いへの許しがたい攻撃であり、粉砕あるのみだ。
 板橋高校事件の不当判決は、都教委の不当な支配を擁護する教基法改悪の先取りである。被処分者こそ、日教組組合員の先頭で教基法改悪阻止の国会闘争に立とう。教育労働者の決起こそ、無罪判決をかちとる最大の力だ。

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週刊『前進』(2249号3面4)(2006/06/12)

 東京「日の丸・君が代」闘争 入学式処分許すな “不起立は私たちの誇り”

 東京都教育委員会は5月26日、入学式での「君が代」斉唱時不起立を理由に都立高の5人の教育労働者に対して処分を発令した(10分の1の減給1カ月が3人、戒告処分2人)。また「今後の対応」として、卒・入学式の被処分者を対象にして「服務事故再発防止研修」などを行うことも決定した。
 処分発令当日、会場の東京都教職員研修センターには、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会の呼びかけにこたえて、70人を超える教育労働者・市民・労働者が駆けつけた。「処分されても闘うぞ」「10・23通達撤回まで闘うぞ」――力強いシュプレヒコールがたたきつけられる中、校長に付き添われた被処分者がセンター内に入っていく。処分発令を受けて戻ってくると、各人がマイクを握り、自らの思いを語った(別掲)。教育労働者の誇りにかけて不起立・不服従を貫いた仲間たちに、温かい拍手が寄せられた。
 今年3月卒業式の不起立を理由に3カ月の停職処分を受け、「出勤闘争」を闘っている中学の教育労働者も駆けつけて発言した。「長く闘い続けることが教育基本法改悪を通させない力です。今、都教委ががむしゃらに進めている『日の丸・君が代』強制に抵抗することは、日本の社会をおかしい方向に持って行かせないために、とても大きな闘い。今年の入学式でも5人が抵抗を貫いた。これは私たち教育労働者の大きな誇りです」という訴えに、大きな拍手がわいた。

(写真 入学式で不起立を貫いて処分された仲間とともに「不当処分を撤回しろ」と抗議【5月26日 水道橋】)

 “被処分者は教基法改悪阻止へ闘う”

 処分発令を受けて、被処分者の会は「私たちの不当処分撤回の闘いは、憲法・教育基本法の改悪を許さない闘いと一体のものである。私たちは不当処分撤回まで闘い抜く。『教え子を再び戦場に送らない』ために」という抗議声明を発表。最後に「国会では今日、教育基本法改悪のための特別委員会の審議が行われている。教育基本法の改悪を許せば、東京の現実が全国に押し広げられてしまう。被処分者が改悪阻止の闘いの先頭に立とう。ただちに国会前に駆けつけよう。午後6時から行われる『教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会』の緊急国会前集会に参加しよう」と呼びかけた。
 03年の「10・23都教委通達」から3年目の卒・入学式で不起立闘争を断固闘いぬいた東京の教育労働者は、教育基本法改悪阻止・改憲阻止へ先頭で立ち上がっている。この闘いに連帯し、ともに闘おう!
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 被処分者の声

◆減給処分の教育労働者
 今回は担任を持ってはいなかったんですが、もう残り何年かですし、「反対の動きを絶やしてはいけないな」と思って、入学式で不起立しました。
◆戒告処分の教育労働者
 ごく当たり前のことを、当たり前にしただけだと思っています。これからもそうしたいと思います。
◆今年卒・入学式で続いて不起立し、減給処分を受けた教育労働者 どちらが正しいのかは自明な話です。当たり前のことを普通にやっていけることが大切です。普通が通る世の中を目指して頑張りましょう。

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週刊『前進』(2249号3面5)(2006/06/12)

 教員免許更新制阻もう

 現職にも適用 戦争教育阻む教員を排除

 中央教育審議会教員養成部会の教員免許制度ワーキンググループは5月26日、教員免許更新制を現職教員にも適用する方針を決定した。闘う教育労働者を学校現場からたたき出すことを狙う教員免許更新制の導入をなんとしても阻もう。
 教員免許更新制とは、「教員の資質向上のため」という理由で生涯有効だった教員免許に期限を設け、期限を迎えるたびに更新していく制度。昨年12月の中教審中間報告では期限は10年、期限が切れる前に最低30時間の講習を義務づけ、教員としての適格性などが国が定めた基準に達しているか評価し、更新するかどうかを決めるとされた。
 これは、教育基本法改悪と一体の重大攻撃だ。教基法改悪により「国を愛する態度を養う」ことが教員の職務とされれば、愛国心教育を拒否する教育労働者は“教基法の教育目的をまっとうしない不適格教員”とされ、公然と教員免許を奪われることになるのだ。
 免許更新制そのものが許せないものだが、さらに現職教員に適用するなど、絶対に認めることはできない。中間答申は現職教員を含めすでに教員免許を有している者の扱いについては結論を出さなかった。それをワーキンググループが、終身有効の教員免許は「絶対不可侵のものではなく……合理的な範囲で新たに制約を課すことは許される」として、「現職教員にも適用する」と結論した。終身免許として取得した教員免許を、後の法改定により奪うというのだ。法の不遡及(ふそきゅう=新法令をその施行前にされた行為にさかのぼって適用することは禁止されている)という原則にも反する暴挙だ。
 教員免許制度ワーキンググループの委員には、都教委教育長の中村正彦も入っている。東京における「日の丸・君が代」処分の乱発を全国に拡大して、「日の丸・君が代」強制に抵抗する教育労働者を一掃しようとしているのだ。
 中教審は7月にも最終答申を提出し、来年の通常国会で法改悪を狙っている。導入を阻むため、教育労働者を先頭に闘おう。

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週刊『前進』(2249号4面1)(2006/06/12)

 集配局の再編合理化絶対反対 増員と深夜勤廃止かちとれ

 首切りと9条改憲容認する連合全逓中央を打倒しよう

  全逓62回大会に向け訴える

  革共同全逓委員会

 6月14〜16日、横浜で開催される第62回全逓(JPU=日本郵政公社労働組合)全国大会に向けた闘う全逓労働者の任務と方針は明らかである。日帝・小泉の改憲、民営化・規制緩和=労組破壊攻撃に、職場生産点から12万全逓労働者の怒りを束ね、78年反マル生越年闘争を上回る反撃を開始することだ。郵政民営化攻撃に屈服し、集配拠点局再編大合理化を始めアクションプラン2合理化による首切りを推進する連合全逓中央=菰田(こもだ)―難波執行部を打倒し、階級的労働運動を切り開くことだ。郵政民営化絶対反対、超勤拒否・物ダメ・ストライキ方針を掲げ、現場から増員増区など具体的要求を
まとめ、闘いを組織しよう。その力で改憲決戦を現場から組織しよう。
(写真 「郵政民営化絶対反対」を臨大の参加者に訴える全国の闘う全逓労働者【2月9日 東京・日本青年館前】)

 労働者の生存権かけ全世界の労組が決起

 全世界で、戦争と民営化・規制緩和の攻撃に対して、巨大な反撃が始まっている。闘う労働者、労働組合の存在と闘いが決定的であり、それが時代を決する情勢が到来している。
 フランスのCPE(初期雇用契約)を粉砕した全国デモと二波にわたるゼネストを始め、いずれの国でも「雇用」「年金」「労働法制」「戦争」などを焦点に労働者階級は闘っている。全世界共通して直面しているのが、戦争と民営化・労組破壊攻撃だ。80年代以降、後退を強いられてきた全世界の労働運動が、根源的力をふりしぼって、新たな指導部を生みだし、国際的連帯行動を開始し始めた。
 小泉政権は、1千兆円を超える破局的な財政危機にあえぎながら、国益をかけて米帝ブッシュの米軍再編(トランスフォーメーション)とともに世界戦争を推進する決断をした。戦後階級関係を一掃するために、今通常国会で改憲と一体の反動諸法案の成立を前倒しで行おうとしている。
 その最大のターゲットに全逓、日教組、自治労そして国鉄労働運動の4大産別の解体と、連合の産業報国会化を据えている。国鉄分割・民営化に続く郵政民営化の核心的狙いもここにある。前首相の森は郵政民営化について「民主党を支えている連合傘下の全逓、自治労、教労などの組合をつぶすこと」が狙いであると公言している。
 世界の労働者の闘いを日本で実現するためには、連合支配を打ち破る新たな闘う労働運動の潮流を職場生産点を基礎につくりあげる以外にない。その手本は、国鉄分割・民営化にストライキで闘い、今なお国鉄1047名闘争と組合の団結を堅持し、鉄路を武器に闘いぬいている国鉄千葉動力車労働組合である。学ぶべき核心は、天下国家を論じとことん現場の労働者に依拠し信頼し、原則的な路線の確立と練り上げられた実践的方針を打ち出せる指導部と組合員の団結にある。
 全国の闘う全逓労働者に訴えたい。企業防衛主義と愛国主義は同根であり、それを路線とする連合労働運動に展望はない。民営化に反対できない労働運動は、戦争にも改憲にも反対できない。
 連合全逓中央・菰田―難波は、労働者の生命と生活を破壊する帝国主義を支える労働運動の推進者である。国鉄労働運動とともに戦後労働運動を牽引(けんいん)してきた全逓労働者の誇りにかけて、郵政民営化攻撃のただ中で、本部派の支配を打ち破る闘いをともにつくりあげよう。

 全逓を解体・変質する策動を断じて許すな

 今回の大会で連合全逓中央は、小泉=奥田の戦争と民営化―労組破壊、改憲攻撃に全面屈服し、全逓労働運動を解体し企業防衛―翼賛労働運動に変質させようとしている。
 第一に、集配拠点局の再編大合理化を受け入れ、強制配転、自主退職=首切りを推進しようとしていることである。郵政株式会社が定員も明らかにせず、各新会社の体制も決まっていない中で、雇用の確保などウソっぱちである。北海道・東北・中四国・九州などの地方の組合員の不安と怒りは日増しに大きくなっている。その怒りを共有して、民営化絶対反対の路線と連合全逓本部打倒、超勤拒否・物ダメ・ストライキの闘う方針を全国に広げていこう。
 第二に、憲法改悪に賛成していることである。「連合方針に沿って慎重に」というのは、憲法9条改悪を認めるということだ。菰田委員長が参加し賛成した連合中央執行委員会(1月19日)の国民投票法案推進の立場こそ、全逓を改憲勢力にしようとするまぎれもない証拠である。憲法9条改悪反対の大会決定を断固かちとらなければならない。改憲反対闘争の力が、階級的全逓労働運動を再生する力となる。
 第三に、全郵政との組織統一問題だが、これも全逓の全郵政化―全逓労働運動の解体攻撃に狙いがある。とりわけ現場の全逓労働運動を一掃しようということである。まさに、戦後階級関係の解体と改憲・戦争国家づくりと一体の攻撃だ。
 その上で全面的な民営化攻撃は、所属組合を越えて職場に襲いかかっており、全逓労働者が全郵政組合員を獲得して、ともに反撃することが正しい道である。あわせて非常勤・短時間などの不安定雇用労働者14万人の要求をまとめあげ、組織化に取り組もう。
 第四に、民主党支持問題である。2月臨大での代議員の発言でも、「民営化に賛成する民主党は支持できない」という現場の全逓労働者の怒りの声が出されている。民主党は第二自民党であり、労働者の政党などではない。愛国主義を前面に出した民主党の教育基本法の主張は自民党を上回るものだ。民主党支持見直しをかちとろう。

 民営化絶対反対貫く職場闘争の復権を!

 6月全国大会から9月1日帰属決定のこの過程が重大な決戦としてある。集配拠点局再編合理化は、郵政民営化攻撃の軸をなす大合理化攻撃である。小泉とこれに屈服した連合全逓中央が進める民営化の矛盾のすべてが明らかとなり、全国の職場で怒りが爆発し、全逓中央・地本、支部の役員そして公社・現場管理者にたたきつけられる状況になることは間違いない。
 郵政分割・民営化の狙いは、公務員身分の剥奪(はくだつ)、活動家パージ、大量首切りと全逓労働運動の解体にある。国鉄分割・民営化と同じ攻撃がかけられ、地方や過疎地の郵便局を始め局の統廃合は不可避だ。雇用継続が保証されているように言っているが、実際には、いったん全員解雇・選別再採用である。
 成立した郵政民営化法は雇用問題の条項について、次のように書いている。
 @首相および総務省は、民営化推進本部の決定をへて「公社業務等の継承に関する基本計画」を定める。
 A基本計画の中では承継会社に引き継がせる職員など、基本的な事項について決める。公社は、法施行時に解散するものとして、承継会社はその時、認可を受けた実施計画に定めるところに従い、業務等を公社から引き継ぐ。
 B公社が解散する時に公社職員であるものは、法施行時に承継会社のいずれかの職員となる。
 C公社は公社職員に施行日の2週間前までに、どの承継会社の職員となるかを通知しなければならない。
 D労働条件を定める時は公社の条件に配慮する。
 Bでいう公社解散時の職員が承継会社の職員ということが、「帰属問題を法的に担保」と本部は雇用継続のように言うが、それは大きなペテンだ。Aを見れば分かるように、基本計画をへて、公社が承継会社に引き渡されるまでの間に、ありとあらゆる形で攻撃が行われる。新会社の「定員」を決めないまま、徹底的な事前の人員削減の嵐が吹き荒れるのだ。
 Cを見ると、職員がどの会社にいくかの正式通知(雇用の確定)は、07年4月「実施計画認可申請」を提出し、9月に認可を受けて新会社が発足する2週間前となっているのである。つまり、ぎりぎりまで選別とふりわけの暴力的プロセスに労働者をたたき込み、新会社から排除することが画策されているのだ。
 集配拠点局の再編大合理化は、首切り推進と全逓労働運動破壊そのものだ。

 集配再編は首切り・合理化計画だ

 本部議案では「民営化対応を最優先課題」として、「職員の帰属等に関する準備企画会社の考え方と本部判断」なるものを示している。すなわち「各会社の制度設計に関する検討状況」「職員の帰属」「集配拠点の再編と貯保外務員の集約化」「効率化施策と要員協議の取り扱い」などについて「概ね了解できる」などと言って、今後ともすべて「本部一任」方針で労使交渉を進めるとしている。ふざけるな!
 集配拠点の再編とは、郵便事業の分割・民営化に向けて、郵便事業会社と郵便局会社に切り分け、強制配転を前提に就業場所を特定することをとおして全面的な効率化・要員削減を強行するものである。集配拠点の再編が、実は帰属=雇用方針そのものなのだ。
 その中身は、全国4700局のうち普通局1100局を統括センターとする新たな集配エリアを形成し、全国集配特定3600局の郵便内務はすべて統括センターに配転・集中し、郵便外務もその所属とし段階的にすべて統括センターに配転・集中するというものだ。単独局の内務・外務と総合局あわせて12万6千人を対象にした大規模な強制配転と首切り合理化計画である。
 さらに「貯金保険外務の集約」は、集配拠点の再編にあわせて貯金保険外務を窓口会社に配属することなどをとおして、全面的な要員削減を強行するものだ。
 重大なことは、普通局1100局を統括センターとする集配エリアの再編は、これまでの郵便区調整のエリアをはるかに超える再編であり、これまでの生活圏や通勤圏を前提にしない。新会社への帰属方針とは、集配再編にともなう配転を前提としており、本人同意を必要としていない。帰属方針をめぐる苦情については帰属会社のみを受け付け、就業場所については一切受け付けない。最終決定権は新会社にあるとされている。
 さらに帰属会社について異議のある者に配布される「帰属会社希望調書」には
▽全国どこでもかまわない
▽支社エリア内ならどこでもかまわない
▽連絡会近隣ならどこでもかまわない
▽連絡会内ならどこでもかまわない
 という選択肢が記載されている。異議があるなら広域配転に応じろ、嫌なら辞めろ、ということだ。
 統括センターや配達センターという形で、労働者が配転され集められることで全国に大・中・小の国鉄分割・民営化の際の「人材活用センター」のようなものが出現することになる。
 本部は「承継計画には全員の名簿が記載される」つまり「全員の雇用が確保される」と言っているが、大うそである。公社は「承継計画策定時には、どの職員がいつ退職するか不明であるため、承継計画には全職員を記載」と露骨に言っている。形式上は全員の名簿を記載するが、実際は集配拠点の再編によって自主退職を強制するということである。
 要するに来年3月までに徹底的に退職に追い込むということだ。集配拠点再編や2ネット、JPS(郵政版トヨタ方式)の強行の過程で、どしどし退職に追い込むぞと言っているのだ。そういうものとして広域配転の強制や早朝5時始業、郵便内務・外務の一体化などがあるのだ。
 集配拠点局の再編合理化は、5万人の強制配転で自主退職=首切りを狙うものであることがはっきりした。集配拠点の再編=帰属方針の大会決定を絶対許してはならない。

 輸送部門の労働協約改悪に反対

 さらに許せないのは、輸送部門の労働者に関して、事故に伴う損害賠償を「5万円を上限に社員に請求できる」権利と一方的な懲戒処分を会社に認める労働協約を「本部一任」で締結しようとしていることだ。
 どこの職場でも、人減らしと悪化する労働条件の中で一切の余裕が奪われ、誤配や誤送が多発していることは、だれもが日々実感している。労働強化と低賃金のあげく事故の責任を押しつけられ、損害賠償金まで取られ、懲戒処分まで強化されるというのか。もともと「民間会社」である日本郵便逓送など郵送部門の仲間に対する攻撃は、郵政民営化による新会社の姿を示している。輸送部門の組合員を裏切り、切り捨てる本部方針は、まさに自ら全逓を分断・破壊するものだ。

 全逓労働者は階級的反撃の先頭に立とう

 労働組合運動にとって、どういう時代認識を持つかが決定的に重要だ。小泉政権は、郵政民営化を突破口に、労働運動破壊の上に、改憲を行い、戦争に突き進もうとしている。だが、全逓労働者12万の怒りが、同じ攻撃を受けている4大産別労働者全体の怒りと結合するならば、小泉政権もろとも郵政分割・民営化攻撃を打ち破ることができる。
 郵政民営化攻撃との闘いは、ひとり全逓労働者の闘いではなく、日本の労働者階級の命運をかけた位置にあることを、あらためて確認しよう。
 日帝支配階級が最も恐れているのは、国鉄労働者とともに全逓労働者なのだ。戦後革命期以来、労働運動を牽引し、78年反マル生越年闘争を闘い抜いた全逓労働者が支配階級に強制した階級的力関係はいまだ転覆されていない。日本郵政公社労働組合(JPU)に名称変更しても、現場には全逓労働者魂を堅持している数千数万の活動家・組合員がいる。だから小泉政権は、分割・民営化をもって、全国単一組織である全逓労働運動を分断・解体しようとしているのだ。
 だが、日本の労働者階級は圧倒的に改憲に反対している。憲法9条改悪反対の署名や改憲問題の学習会を職場・地域で組織し、その政治的・階級的怒りと郵政民営化攻撃との具体的闘いを結合しよう。とりわけ増員と深夜勤廃止の要求を現場から闘いに組織しよう。職場闘争を徹底的に重視しよう。その力が改憲阻止闘争の爆発のエネルギーとなる。
 改憲決戦の先取りとして、今通常国会で共謀罪新設と教育基本法の改悪が重大な局面を迎えている。闘う労働者、労働組合が国会前座り込みなどを闘っている。全逓労働者も職場から仲間を組織して、国会闘争を全力で闘おう。これらを改憲阻止と郵政民営化阻止の全逓決戦の闘いにまとめあげ、日帝・小泉の戦争国家化攻撃を粉砕しよう。とりわけ未来を担う青年労働者の決起をかちとろう。闘う全逓労働者は、革共同に結集しともに闘おう。

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週刊『前進』(2249号4面2)(2006/06/12)

 公務員・教員の反対運動を禁止

 国民投票法案は廃案に

 5月26日、政府・与党は国民投票法案(日本国憲法の改正手続に関する法律案)を国会に提出した。民主党も同日、独自の対案を提出。6月1日には衆院本会議で法案の趣旨説明が強行された。憲法改悪攻撃がついに、国会での正面対決の課題に浮上した。

 「修正」の後も本質変わらず

 国民投票法案は、憲法改正に必要な手続きを定めるものだと言われているが、単なる手続き法では断じてない。その狙いは、改憲反対の声と運動をあらゆる口実を使って弾圧し、事前に封じ込めることにある。改憲反対運動圧殺法案――これがこの法案の、隠された本当の名前だ。
 当初の与党案には、メディアへのきわめて厳しい規制や、外国人の運動の全面禁止が盛り込まれていた。これに「言論の自由を奪うのか」と批判が起き、修正して出されたのが今回の法案である。しかし本質は何も変わっていない。最大の問題は、公務員・教員の運動禁止規定が罰則付きで残り、しかも一層強められていることだ。さらに、「国民投票の自由妨害罪」などを設けて、改憲阻止闘争への警察権力によるあらゆる形の干渉や弾圧を可能にすることを狙っている。

 労組のビラも弾圧の対象に

 与党案はその第104条と第105条で、公務員労働者と教育労働者が改憲反対の運動を行うことを「地位利用」の名で禁止している。違反者には、公務員は禁固2年、教員は同1年というきわめて重い罰則を設けている。
 自民党憲法調査会会長の船田元は、法案提出に先立って行われた与野党の論点整理の中で、この公務員・教員への規制について、他人を威迫することも禁止せよと主張した。「威迫」とは「相手に不安の念を抱かせるに足る行為」を指し、「威力」のように相手の意思を制圧する力さえも持たないものであるという。これでは、労働組合が職場の仲間をオルグすることや、改憲反対の街頭宣伝やビラまきもすべて、国民投票法による禁止と弾圧の対象になってしまう。要するに、公務員労働者や教育労働者には改憲反対の発言もさせない、闘争への参加も一切認めないということだ。
 この点では民主党も実際には同じだ。民主党案には与党案のような規制条項はない。しかしそれは、すでにある国家公務員法などの公務員・教員への政治活動禁止条項を適用して弾圧すればよいという立場に立っているからだ。
 04年には、社会保険庁の職員が休日に職場外の、自分の住んでいる地域で行った政治活動を理由に国公法違反で逮捕されるというとんでもない事件が起きている。国民投票法の制定は、そうした弾圧をすべての公務員労働者・教育労働者の上に拡大し、労働者の政治的権利を完全に奪うものだ。絶対に許すことはできない。

 4大産別決戦で勝利しよう

  このことは、小泉政権がその改憲攻撃を貫く上で、自治労や日教組を始めとした4大産別の労働運動の破壊と解体なしには、一歩も進めない壁に突き当たっていることを示している。
 与党案の第104条はその対象に、国と地方の公務員だけでなく独立行政法人や公庫の職員、さらに今回新たに「日本郵政公社の職員」を明示している。郵政民営化を強行して労働者を首切り自由の地獄にたたき込みながら、全逓労働者が改憲阻止の闘争に立ち上がることは公務員と同様に禁止するというのだ! 日帝が労働者階級の闘いの爆発を心底から恐れ、それを未然に抑え込むことに一切をかけているのは明白だ。
 全逓や教労、自治体、国鉄といった4大産別の労働者は、戦後の反戦平和運動の中心的な担い手であり、9条改憲を今日まで阻止し続けてきた最大の力だ。逆にここで自治労100万、日教組30万を先頭に、すべての労働者が戦争と改憲に反対して立ち上がるならば敵の攻撃などふっとんでしまう。そのことを恐れるからこそ、こんな禁止規定が盛り込まれたのだ。
 国民投票法案粉砕・改憲阻止の最先頭に今こそ4大産別が立とう。現場からの決起が情勢を変える。民主党案も含めて絶対阻止、廃案にたたき込もう。
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 国会に提出された与党案(一部省略)

▼第104条(公務員等の地位利用による国民投票運動の禁止)
 次に掲げる者は、その地位を利用して国民投票運動をすることができない。
 @国もしくは地方公共団体の公務員または特定独立行政法人、特定地方独立行政法人もしくは日本郵政公社の役員もしくは職員
 A公庫の役職員
▼第105条(教育者の地位利用による国民投票運動の禁止)
 教育者は、学校の児童、生徒および学生に対する教育上の地位を利用して国民投票運動をすることができない。
▼罰則 
(第104条違反)2年以下の禁固または30万円以下の罰金
(第105条違反)1年以下の禁固または30万円以下の罰金

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週刊『前進』(2249号4面3)(2006/06/12)

 リンカーン寄港に反撃 佐世保 抗議集会や海上デモ

 5月25日、佐世保港(長崎県)に米原子力空母エイブラハム・リンカーンが寄港した。リンカーンは韓国海軍との合同演習を終えて、佐世保に入港したのだ。この狙いは、現在米帝が進めている米軍再編の中で西太平洋海域に空母2隻を配備しようという、北朝鮮・中国侵略戦争態勢づくりにあることは明らかだ。しかも核空母リンカーンは、イラク侵略戦争で1万回以上の出撃を行い、イラク人民を虐殺してきた血塗られた空母だ。この攻撃は絶対許せない。
 この日早朝、長崎県平和運動センターと佐世保現地闘争本部(佐世保地区労、社民党)の主催で海上抗議デモと陸上での抗議集会が闘われ、反戦共同行動・福岡も急きょ駆けつけた。
(写真 米原子力空母リンカーンに向かって怒りのシュプレヒコールを上げる労働者・市民【5月25日 佐世保】)
 8時前、リンカーンが佐世保湾の入り口に姿を現わした。これに対して、19隻の海上抗議船が空母を取り巻いて阻止行動を展開した。海上抗議船に対し、イージス艦こんごうなど海上自衛隊の艦船が妨害し、米軍の警備艇が機関銃の銃口を向けて威圧した。
 海上デモに呼応し、陸上からも俵ケ浦に結集した100人の人びとが怒りのシュプレヒコールを上げた。
 陸上抗議集会では長崎県平和運動センターの坂本浩事務局長があいさつし、日米が一体化した戦争への攻撃を弾劾、「5日間、集中し闘おう」と呼びかけた。社民党県連代表の今川正美さんも怒りを表明した。
 その後、65人の仲間を乗せた19隻の抗議船が俵ケ浦沖に引き返し、陸海で一体となって怒りのシュプレヒコールを上げた。
 午後1時からは佐世保市の中心街にある島瀬公園で強い日差しの中、抗議の座り込み行動が闘われ、80人が参加した。駆け寄って握手をして激励する仕事中の労働者、手を振って激励する人など多くの市民から共感が寄せられ、佐世保市民の原子力空母寄港への怒りが伝わってくる。
 5月27日、「来るな!米原子力空母、許すな米軍再編・日米軍事一体化」全国集会が佐世保市の島瀬公園で行われ、悪天候にもかかわらず1500人が結集した。反戦共同行動・福岡は25日の入港阻止闘争に続きこの日の闘争に参加した。
 長崎県平和運動センターの中崎幸夫さんと核空母寄港反対現地闘争本部長の吉村庄二さんが主催者あいさつ。神奈川平和運動センター事務局長の加藤泉さんは、原子力空母の横須賀母港化絶対阻止の決意を述べた。沖縄平和運動センターの山城博治さんは、「11月の県知事選に向かって、沖縄は火だるまとなって闘いぬく」と決意表明した。
 集会後、小雨が降る中、米海軍基地を直撃する佐世保市内デモを行った。「原子力空母リンカーン寄港弾劾! 米軍再編を許さないぞ! 憲法改悪を阻止するぞ!」と元気よくシュプレヒコールを行った。
 米軍佐世保基地の正面ゲートは多くの機動隊員で固められていたが、デモ隊は10分間、立ち止まって怒りの抗議をたたきつけた。

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週刊『前進』(2249号5面1)(2006/06/12)

 法大生500人が安東追及 “答えないなら学生部長失格”

  退学処分撤回へ包囲デモ

 5月26日、不当逮捕で退学処分を受けた学生を先頭にして、500人の法大生が退学処分粉砕の法大包囲デモと安東学生部長に対する追及行動を闘った。
(写真 文学部生3人の退学処分の真相究明に集まった法大生500人【5月26日 法政大学】)
 昼休み前からキャンパスには学生が大勢集まった。退学処分を受けた学生が登場し、「不当処分を許さない。撤回まで闘う」とアジテーションを始めると、直ちに聴衆の輪ができる。安東学生部長ら弾圧のために動員された教職員は、法大生の反撃を恐れて排除できず、突っ立っている。
 「安東学生部長、こっちに来て質問に答えてほしい。なぜフジテレビが逮捕映像を撮影できたのか。なぜ110番通報の直後に200人の警察官が学内に突入したのか。なぜ学生が登校する8時前に立て看板の撤去作業を行わなかったのか。なぜデモ行進の最中に立て看板を撤去をしなかったのか」
 答えられず、立ち尽くす安東。「そっちが来ないならこっちが行くぞ」と宣言すると、学生の間から「おー」と歓声が上がった。被処分者が安東へ詰め寄ると遠巻きに眺めていた学生も安東を取り囲み、一瞬にして大衆団交の場となった。
 「なぜ3月14日当日、200人もの警察官が待機していたのか」……沈黙。
 「デモ隊の入構が12時28分、110番通報が29分。33分には全員が逮捕されている。なぜたった4分間で全員を逮捕することが可能になったのか」……沈黙。
 「何か言えよ」とヤジが飛ぶ。「安東、安東」とコールが起こる。「私を退学処分にするなら、理由を述べてみよ。学生の前で、私の『罪状』をあげてみるがいい」。安東は何も言うことができない。
 1人の学生が前に出てマイクをとった。「安東教授のゼミの学生です。これだけは言いたい。ビラや立て看板が禁止されることは、表現の自由がなくなるということ。表現の自由がなくなるということは、みんなが好きな服を着て学校に来ることもできなくなるということだ」。学生から大きな拍手が起こった。安東はみるみる青ざめていく。
 「答えられないのなら学生部長失格だ。二度と学生の前に現れないでいただきたい」と通告し、「安東はクビであります」と描かれたプラカードが胸元に掲げられた。大爆笑がわき起こる。「写真を撮って、みんなに伝えて下さい」と訴えると、一斉に携帯電話のカメラで写真を撮る。逮捕や処分を後ろ盾にした彼らの「凶暴さ」は脆弱(ぜいじゃく)なものでしかない。笑い飛ばしてやれ。
 こうして、安東は法大生500人によって大衆的に包囲され、打倒された。学生部長の「権威」は地に落ちた。キャンパスは解放空間となった。
 「次は平林総長に問いただそう。処分撤回まで闘うぞ」と宣言、キャンパスが高揚感に包まれる中、法大包囲デモに出発した。500人の学生が正門前に移動する。「おれはデモに行ってから講義に行く」という会話が交わされる。55年館の各階の窓が開き、学友が手を挙げてこたえる。キャンパス内外が一体で戦闘的デモをやり抜いた。
 国会前の座り込みから駆けつけた60歳代の市民も参加した。「国会前でビラを受け取り、居ても立ってもいられなくなった。ビラや看板を禁止するのみならず、大学自身が警官を入れて逮捕させるなど絶対に許されないことだ」と語る。
 この日の500人の行動は、4月28日の第1波法大包囲デモや5月19日の退学処分者の学内からの排除を阻止した闘いを上回る。5・26の大高揚で攻守は逆転した。卑劣な弾圧に手を染めれば染めるほど、弾圧と闘う法大生のキャンパスぐるみの決起が促進されるのだ。
 次は平林総長をキャンパスに引きずり出し、打倒する。6・12法学部教授会での処分決定を阻止し、文学部生への退学処分を撤回させよう。6・15闘争を平林総長に裁きを下す1千人大集会としてかちとり、国会に攻め上ろう。(H・K)

 京都大 時計台前で集会とデモ

 京大では5月26日、小泉反動国会に対する怒りの反撃を開始した。昼休み、本部時計台前に立て看板を出し、アピールした。マイクを持った学生が教基法改悪と改憲を弾劾し、学生の未来を戦争に引きずりこむ国会をぶっつぶそうと訴えた。雨の中、行動を呼びかけるビラを配り、署名を集めた。ビラを読んだ1回生も時計台前に集まった。
 多くの学生、教職員、市民が注目する中でデモに出発した。「教基法改悪阻止」などと書かれたプラカードと「法大生への処分弾劾」と書かれた横断幕を広げた。飛び入りの1回生もデモに加わり、登校中の1回生も授業をとばしてデモに合流した。法大弾圧に関する再三の申し入れに対して何もしない京大当局に対して「当局は大学自治の破壊に抗議せよ」とシュプレヒコールをたたきつけた。京大周辺を通って出町柳駅までデモした後、駅前で街頭宣伝を行った。
 京大では、学生内で改憲をめぐる論議が始まっている。5月23日と30日に開かれた改憲問題全学大討論会にはビラを見て1回生が何人も参加した。討論会では「9条2項を変えて軍隊を持つことで他国と対等になれるのではないか」「国益のために自衛軍が海外で活動することが必要ではないか」などの意見について議論になった。これに対して、現実に始まっている戦争と米軍再編や改憲が一体であること、戦争をやろうとしているのはブッシュや小泉、一握りの資本家ではないか、と提起した。
 参加していた1回生からは「改憲は許せない」「次のデモには自分も行く」という声も上がっている。1回生が自分でビラを書き、400人を超える学友に渡してまわるという決起も始まった。(U・A)
(写真 雨の中、「改憲反対」などを訴え本部時計台前からデモに出発する京大生【5月26日 京都大学】)

 東北大 退学と停学処分に怒り

 東北大では5月26日、改憲と教育基本法改悪反対、法大生3人の「退学」処分と有朋寮の古郡陸君への「無期停学」処分撤回を掲げて、昼休みにキャンパスで集会を行いました。1年生も十数人参加し、処分撤回をかちとって、6月15日に法大→国会デモへ駆けつける決意を固めました。
 集会でさまざまな人が発言。有朋寮の寮生は、東北大「無期停学」処分と法大「退学」処分は改憲攻撃そのものだと訴えました。処分に怒りを燃やし、撤回を誓いました。最後は元気よくシュプレヒコール。1年生が特に盛り上がり、「退学処分撤回」「6・15法大・国会デモへ」の掛け声に威勢よくこたえていました。(G・Y)

 山形大 東北大生と法大生訴え

 山形大学では5月30日、「改憲問題と大学生」というテーマで、「退学処分」と闘う法大生と東北大学有朋寮の古郡陸委員長を招いて交流会を行った。
 まず山大生の1人が改憲について問題点を提起し、法大生が3・14法政大弾圧とこれへの反撃を報告、3・14法大弾圧を許さない法大生の会が呼びかける6月15日の法政大→国会デモへの参加を訴えた。
 古郡委員長は「有朋寮問題は改憲・戦争と直結している。大学は、学生を人格をもった人間としてみていない。国や大学に有益な『資源』かどうかでみている。だから弾圧してくる。これこそ改憲そのもの。教基法改悪阻止・改憲阻止のため6・15法政大→国会デモへ行こう」と訴えた。
 2人の訴えに「行動すれば勝てる」「屈せず闘うことに感服」「すごいエネルギーを感じた」と新入生が感想を語った。(N・I)
写真 キャンパス集会の場で処分撤回と6・15法政大→国会デモを訴える学生【5月26日 東北大学】)

 広島大 教育労働者招き講演会

 広島大学では、新入生の改憲阻止・教育基本法改悪阻止の決起が始まっている。1年生だけで話し合ってビラを作り、自主的に学習会を組織し、ゼミで教基法改悪を暴露するなどの行動が開始されている。
 5月26日、広島県内の青年教育労働者を招いて教育基本法改悪についての学習講演会を行った。多くの新入生が参加した。
 講演では、スライドを使って教育現場への「日の丸・君が代」の強制の実態と教基法改悪の与党案を分かりやすく暴露。積極的な討論をつうじて広大から教基法改悪阻止・改憲阻止の大きな運動をつくろうと確認した。教基法改悪阻止6・2全国集会への参加を呼びかけ、新入生を始め多くの参加が決まった。
 広大ではクラス討論が活発に行われている。法大の素晴らしい闘いに触れ、6・15への参加も次々と決まっている。(Y・K)
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 退学処分粉砕! 憲法改悪・教育基本法改悪阻止!
 6・15法政大→国会デモ
6月15日(木)法政大学
◎市ケ谷キャンパス正門前集会(12時40分)
◎法政大→国会デモ(13時20分)
呼びかけ/3・14法大弾圧を許さない法大生の会

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週刊『前進』(2249号5面2)(2006/06/12)

 5・28北富士 “侵略訓練中止せよ” 米軍再編との闘いを宣言

サマワ模擬施設の前で怒りのこぶLを突き出す忍草母の会

 5月28日、自衛隊の北富士演習場内(山梨県)にあるイラク・サマワ宿営地模擬施設でのイラク派兵訓練の中止と模擬施設の撤去、演習場の返還を要求する集会・デモと申し入れ行動が闘われた。北富士忍草母の会、忍草国有入会地守る会が呼びかけ、関東各地から80人が参加した。サマワ模擬施設の上方の演習場内で集会を行い、自衛隊の侵略戦争訓練に怒りをたたきつけた。
 忍草母の会の天野美恵事務局長が、今回の訓練がすでに24日から開始されていることを弾劾、「ここは忍草の入会地で自衛隊の土地ではない。米軍がいる時も座り込んだことがある。なぜ逮捕できなかったか。私たちに入会権があるからです。裁判所が2度にわたって忍草に入会権があると認めている」と闘いの正義性を示した。「闘う以外ない。演習場を平和の山に取り戻すまで闘う。闘うことを名誉だと思っている。絶対に負けない。入会権確立のために闘う」と今後の闘いを力強く宣言した。

 入会地を取り戻すまで闘う

 国有入会地守る会会長の天野豊徳さんは「米国のイラク占領は正義の戦争ではない。泥沼に入っている。自衛隊も惨めな状態に陥っている」と米日のイラク侵略戦争を弾劾、「沖縄海兵隊の移転演習で海兵隊は、榴弾(りゅうだん)砲演習だけでなく小火器の演習を申し入れている。米国は、イラク戦争に続いて、イラン、北朝鮮の2カ国を脅している。小火器演習は極東有事を想定している」と米日帝の戦争政策を弾劾し、「皆さんとともに入会地を取り戻すまで闘う」と決意を明らかにした。
 三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長が連帯のあいさつ。「教育基本法の改悪を絶対に阻止しなければ、若い諸君の未来はない」と警鐘を鳴らした。「世界の労働者、世界の農民が連帯すれば戦争は防げる。ここにいる人たちが中心になって、北富士・三里塚とともに若い人たちのために闘いましょう」と呼びかけた。
 「世界の友を殺す戦争に行ってはいけない。人を殺してはいけない。あなたたちも死んではいけない」−−婦人民主クラブ全国協議会代表で相模原市議の西村綾子さんが自衛隊兵士に向かって呼びかけた。反戦共同行動委員会の三角忠代表は「反戦共同行動委員会は、米軍再編と改憲と対決し、小泉政権打倒へと闘う」と語った。
 全学連の学生は「自衛隊は直ちにイラクから撤退しろ」と要求し、訓練を弾劾した。改憲攻撃については「300万人の学生ゼネストで阻止する」と改憲阻止の闘いの今後の展望を示した。
 さらに、法政大学で3月14日に29人の学生を不当逮捕した事件を口実に法大当局が強行した3人の学生の退学処分を激しく弾劾。「冤罪事件で退学は前代未聞だ。絶対に許さない。5月26日の法大包囲デモでは500人の学生が怒りに燃えて決起した。団交で安東学生部長を追及した。安東は逃げ回るばかりで、立場が逆転した」との報告に大きな拍手がわき起こった。司会をしていた天野事務局長も「よくがんばったね」とたたえた。
 カンパアピールは母の会の大森ふじえさん。「梨ケ原は、桑を植え、草を刈ったかけがえのない入会地です。この土地を血塗られた戦争訓練のために使うことなど許せません」と訴え、これにこたえて5万4千円のカンパが寄せられた。
 母の会の天野正子さんが決意表明を行った。「サマワ宿営地模擬施設地域は私たちの入会地です。無断使用は断じて許せません。自衛隊は訓練を直ちにやめ、模擬施設を撤去しなさい」と要求した。鮮やかな富士山に向かって力強くシュプレヒコールを上げ、陸上自衛隊の梨ケ原廠舎(しょうしゃ)前までデモした。
 廠舎前では、小泉首相と額賀防衛庁長官にあて申し入れを行った。イラク派兵演習の即時中止、サマワ模擬施設の撤去、演習場返還などを要求する申入書を天野豊徳さんが読み上げ、自衛隊の責任者に手渡した。
 この日の闘いの高揚で、米軍再編と真っ向から闘う北富士闘争の重要性があらためて確認された。
(写真 決意あふれる集会を終え、参加者全員でシュプレヒコールを行った【5月28日 北富士演習場内】)

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週刊『前進』(2249号5面3)(2006/06/12)

 コミューン 7月号

 強まる米・ロ対立

 イラク人民の民族解放戦争の爆発的発展によって占領支配の重大な危機に直面した米帝は、この危機をのりきるためイランへの侵略戦争策動を強めている。
 これに対するロシア、中国の牽制(けんせい)、米帝の通常・核軍事力の強化、NATOの東方拡大、旧ソ連諸国のCISからの引きはがし策動などが交錯(こうさく)する中で、米ロの対立と緊張が急速に激化している。それはイラン侵略戦争、中国・北朝鮮侵略戦争の危機を一層切迫・加速させ、世界戦争の爆発情勢を醸成している。
 今号の特集は、米帝との対立を深めつつ軍事大国路線を進め、ロシア大国主義を強める今日のロシア・プーチン政権の動向について分析している。
 第1章は、イラン侵略戦争を前にして、プーチン政権に対する批判を強め、対ロ対決強化政策に転換した米帝・ブッシュ政権の動向について明らかにしている。第2章は、5月に行われたプーチンの年次教書演説の分析を中心に、新たな軍拡路線、NATO東方拡大への対抗政策の内容について分析している。第3章は、深刻化するロシアの経済危機のりきりを目的として展開されている天然ガスを中心とする資源戦略の現状を明らかにしている。第4章は、天然ガス戦略を展開する巨大国営企業・ガスプロムの実態・現状について暴露している。
 翻訳資料は米国防総省のQDR(4年ごとの戦力見直し)の2回目。

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週刊『前進』(2249号6面1)(2006/06/12)

 「日米同盟の新段階」=米軍再編うち砕け

 閣議決定を徹底弾劾する

 小泉政権は5月30日、在日米軍再編の実施方針を閣議決定した。5月1日に日米両政府が合意した最終合意を「法制面、経費面を含め、的確かつ迅速に実施する」と強調し、関係自治体に対しては新たな地域振興策をもって反対を圧殺することを狙っている。普天間基地のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設については、政府案を基本としながら具体的地名や「V字滑走路」などの表現は盛り込まず、稲嶺沖縄県知事や島袋名護市長を一層の屈服に引きずりこむことを狙っている。米陸軍第1軍団新司令部の座間移設、辺野古新基地建設を始めとする米軍再編は、「日米同盟の新段階」を画するものであり、沖縄と本土を米日帝の前線司令部・出撃基地とするものだ。9条改憲と一体の攻撃であり、全力で闘いを爆発させなければならない。

 小泉来沖に怒り沸騰 5・25那覇県民大会“新基地絶対許さん”

  5月25日、那覇市与儀公園で、「基地の県内移設に反対する県民会議」主催による「県民意思を踏みにじる米軍再編日米合意糾弾! 辺野古新基地建設を押しつける小泉首相の来県に抗議する5・25緊急県民集会」が開かれた。26〜27日、名護市ブセナ「万国津梁(しんりょう)館」で開かれる「太平洋・島サミット」に出席するために小泉が来沖することにあわせ、前日にあたるこの日に開催された。沖縄はすでに梅雨入りし朝からたえまなく降り続く雨をつき労働組合を軸に1200人が結集した。
(写真 激しい雨の中、緊急県民集会の最前列に陣取る辺野古・命を守る会【5月25日 那覇市与儀公園】)
 平和センター事務局長・山城博治氏の司会で行われた集会では、金城祐治さん始め辺野古・命を守る会が参加していることが紹介され、全体がこれに拍手・指笛でこたえた。集会では、山内徳信氏の主催者あいさつを始め、名護ヘリ基地反対協・安次富浩氏、「15人委員会」(県内有識者15人で構成)・宮里政玄氏、社民、社大、共産の政党代表などが発言した。
 発言者は異口同音に、県民の頭ごしに米軍基地再編日米最終合意を強行し、しかも閣議決定に突き進む小泉の来沖に対し激しい怒りを表明し、米軍基地再編最終報告、辺野古新基地建設・政府「沿岸案」を白紙撤回せよ、普天間基地は即時閉鎖、無条件返還以外ないと訴えた。
 松田寛高教組委員長の集会決議案朗読、「小泉首相の来県糾弾」「米軍再編日米合意糾弾・閣議決定を断念せよ」「普天間基地の即時閉鎖・辺野古沿岸案反対」「憲法・教育基本法改悪反対・共謀罪の制定許すな」など8本のスローガン採択、団結ガンバローで集会を締めくくるころには雨も本格的となった。
 集会場出口では命を守る会のオジー、オバーが出発するデモ隊に声援を送り、その出口の道路向かいにある神原中学校では、多くの生徒が校舎や校門前歩道からデモに声援を送るなど感動的光景がくり広げられた。「最悪のコンディション」にもかかわらず、むしろこれを戦闘的逆バネにして、ほぼ全員が雨の中、ひめゆり通り→国際通り→県庁前のデモを貫徹した。

 名護 抗議の直接行動 「県サミット」会場で

 5月26日、「太平洋・島サミット」出席のために名護市・万国津梁館にやってきた小泉に対して、「米軍再編・辺野古沿岸案押しつけの張本人が名護に乗り込んでくることなど絶対に許せない」と会場前で断固たる怒りの声が直接たたきつけられた。前日の大雨の県民大会に続く連続闘争となった。平日昼間にもかかわらず約50人が万国津梁館前の道路に朝11時から陣取り、「沿岸案反対」「基地押しつける小泉を許さないぞ」「沖縄から出ていけ」とシュプレヒコールが飛んだ。約2時間、炎天下で通行する車にアピールする。何をやっているのか理解したドライバーは次々と連帯のクラクションや手を振ってのアピールを返してくれる。県民はみな小泉の極悪の沖縄差別政策に対して怒り心頭なのだ。
(写真 万国津梁館入りする小泉に「基地押しつけを許さないぞ」と徹底弾劾を浴びせる【5月26日 名護市】)
 午後1時半、警備があわただしくなり、抗議の周辺は機動隊に取り囲まれた。上空に警備ヘリも旋回し始めた。「小泉が来るぞ!」と参加者にも緊張が走る。やがて白バイに先導された黒塗りの高級車が猛スピードで会場にすべりこんでいった。激しい弾劾の声に恐れおののいているのが分かる。小泉もひとたび沖縄人民の怒りの直接行動がたたきつけられるやひたすら逃げ回る「卑怯者」だ。
 今回の抗議行動は、「米軍再編」=沖縄圧殺の張本人を直接弾劾し、「新沿岸案」を絶対に許さないという「闘争宣言」を小泉本人にたたきつけた。「島サミット」などと称して政府開発援助(ODA)数十億円を目玉に16カ国および地域の閣僚を呼びつけ、日帝の国連常任理事国入りへの支持・忠誠を強要する「大東亜会議」そのものであり、アジア・太平洋地域への日帝の再侵略の拠点に沖縄・名護を定めようという攻撃だ。米軍再編もろとも粉砕しよう。

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週刊『前進』(2249号6面2)(2006/06/12)

 改憲阻止の一環として 闘いの決意

 相模原市議の西村綾子さん、反戦自衛官の小多基実夫さん

 5月1日、日米両政府は米軍再編「最終合意」を発表し、その実行過程に踏みこみ始めている。「最終合意」の恐るべき狙いと闘いの展望について、最前線で闘う相模原市議の西村綾子さん、反戦自衛官の小多基実夫さんから話をうかがった。(編集局)

 軍都になることを拒否する 相模原市議会議員・婦民全国協代表 西村綾子さん

 ――「最終合意」を読んだ印象は?
 昨年の2月、10月に続く第3段階の合意ですよね。”もうロードマップの実行段階なんだ、具体的実行に踏みこむんだ”とガンガン強行突破していく姿勢が明らかだと感じましたね。
 ――米陸軍第1軍団司令部の座間移転が明記されました。
 もっともっと戦慄(せんりつ)をもって受け止めて闘っていかなければならないと思います。最前線で米4軍を指揮する司令部を持ってくるわけですよね。
 この前、NHKで<グアム→沖縄、日本列島→不安定の弧〉という図を見てなるほどなと思ったんです。沖縄の基地は出撃拠点としてもっと強化される。佐世保や岩国も強化される。その中で、キャンプ座間が、アメリカの戦争戦略全体の中でものすごく重大な位置を占めてくる。
 1937年盧溝橋事件の年に帝国陸軍の「軍都計画」がつくられ、厚木基地、座間、相模総合補給廠(しょう)がつくられたんです。だからマッカーサーは、まず厚木飛行場に降り立ってまっ先にこのあたりを押さえました。
 「米軍再編」では、これと全く同じことがやられようとしている。国道16号線でここ(*1)とつながっている横田基地に第5空軍司令部と空自司令部を置き、横須賀には第7艦隊司令部と海自の司令部がある。グアムにも海兵隊司令部が移転し強化される。キャンプ座間を軸に、これらの基地が一体となった巨大軍事拠点がつくられようとしているわけです。
 そう考えると、厚木基地の空母艦載機部隊を移転するから「負担軽減」になるなんてウソだということはすぐ分かります。厚木も岩国も、両方とも空母の基地にするということですよ。騒音が減る保障なんて全くない。太平洋に六つの空母を展開するわけでしょ。必ず厚木に飛んで来ますよ。
 米軍再編で出てきていること、やろうとしていることは全部憲法違反なわけです。これまで地元から何度説明を求めても、防衛施設庁は現実にどうなっていくのかという実態は一切明らかにしない。現行憲法のもとでは、まったく説明がつかないから言えないということでもあるんです。改憲を許せば一気に拡大してくることは明白なんです。
 ――陸自の中央即応集団司令部も座間に移駐しようとしています。
 相模原には72年戦車阻止闘争(*2)の大きな地平があり、2度にわたって自衛隊移駐を認めない市議会決議をあげました。今もこれを盾にしてがんばっているわけです。
 キャンプ座間は、ほぼ3割が座間市、7割が相模原市にあります。なんとしてもキャンプ座間に自衛隊を入れたかった日本政府は、座間市側から自衛隊を入れた。それに対しても座間市は、今以上の自衛隊増強はしないという確約を防衛庁からとっています。
 そしていま政府は、陸自中央即応集団司令部を、キャンプ座間の相模原市域に設置すると言っているわけです。本当に正念場です。
 政府の説明に「だまされない」ことがすごく重要です。「負担が減る」と言ってるけど実際には増える。一部返還について「返してくれるものは、返してもらえばいいのでは」という声も出ました。しかし本質はそうじゃない。返さない部分がものすごく強化され、とんでもない軍都になるということをはっきりさせて米軍再編に絶対反対を貫くこと、あくまで「全部返せ」と言っていくことが大事なんです。
 一部返還すると言っても有償で、400億円出せと言っているわけですから。 もともと、やせた大地を汗水流して開墾した先人がいるわけです。やっと畑らしくなったところを帝国陸軍がサーベルをちらつかせ二束三文で暴力的に取り上げた、それを米軍が占領・接収したんだから、返還するなら無償で地元に返すのがあたりまえなんですよ。
(写真 米軍再編・基地強化反対のデモに立つ西村さん【前列中央 2月19日 横浜市】)

 韓国・沖縄との連帯をかけて

 ――闘いの決意を。
 昨年7月、韓国のピョンテク(平沢)を訪問しました。ピョンテクの基地は、相模原の軍都計画と同じ時期に、日本帝国主義が中国侵略のためにつくったものです。朝鮮半島の西側の海に面していて、すぐそこが中国なんですよ。絶対に中国を狙っているなと実感させられました。
 朝鮮人民との国際連帯、沖縄人民との連帯、二度と侵略戦争をくり返さないという誓いは、けっして口先だけのものであってはならない。米軍再編阻止は、ピョンテク農民や沖縄の人々と具体的に連帯する闘いです。
 基地撤去をめざす県央共闘会議などの取り組みの中で、最も力強い部隊として労働組合が登場してきています。一緒に行動する中で一人ひとりの組合員が元気になり、変わってくるというのが実感です。
 改憲阻止の闘いの中でなんとしても米軍再編計画を阻止するためにがんばりましょう。
(*1)婦人民主クラブ全国協議会の本部はJR横浜線をはさんで相模総合補給廠と隣接している。もともとは戦車阻止闘争当時の野戦病院にもなった所。
(*2)戦車阻止闘争は、1972年、相模補給廠から南ベトナムへの戦車移送を阻止した闘い。補給廠の西門前大通りはテント村ができ、100日間にわたって戦車移送を阻止した。

 日本全土が日米共同基地に 反戦自衛官 小多基実夫さん

 ――「最終合意」を読んでどうでしたか?
 戦後半世紀以上続いたアメリカの世界軍事体制の抜本的な再編の一環としてとらえています。
 ソ連が崩壊し、他方で、アメリカを基軸とした世界支配体制もガタガタになっている。米ソの世界支配体制の中で民族解放闘争も抑え込んできたが、その抑圧体制全体の崩壊過程が始まった。世界中で帝国主義に対する解放闘争が爆発し、どこで何が起こるか予測がつかない。世界支配の危機の中での再編です。
 だから米軍全体を、機動力があって小回りがきく態勢に変えようとしている。米陸軍はストライカー部隊などC130という中型輸送機で対応できる編成にどんどん変えている。C5ギャラクシーのような巨大輸送機だと、着陸できる飛行場そのものが限られて対応できない地域も出てきますからね。米陸軍そのものが海兵隊に近づいている。
 そして、アメリカ本国に加えて、太平洋側と大西洋側――具体的にはイギリスと日本ですが、この3カ所に戦略的な展開拠点を据えて世界中どこへでも出撃できる体制をつくろうということです。日本抜きにアメリカの世界戦争戦略が考えられないような体制になろうとしている。そのためには憲法9条も変え、日本全体を戦争国家にし、自衛隊も米軍と一緒に動けるような軍隊につくり直していかなければならない。
 ――米軍と自衛隊の「融合・一体化」がキーワードになっています。
 今進んでいることは、司令部を頂点にしたある種の「合体」と言えるようなものです。
 最も分かりやすいのは横田での「ミサイル防衛体制」です。いつ飛んでくるかわからない弾道ミサイルの発射を確認して迎撃する体制をつくると言っている。そのために米空軍の司令官をトップに、米空軍と空自が一体で常時臨戦態勢をとる。だから四六時中一緒にいることになる。いつも同じテーブルで会議をやり、同じ食堂で飯を食い、文字どおり「一つの軍隊」としてやっていく。

 共同演習拡大し侵略軍隊化

 ――今年1月に米本土で日米共同の上陸演習が行われましたが?
 自衛隊は、実際の共同演習をとおして米軍のかなり進んだ戦闘レベルを習得しようとしているんです。
 レンジャーや空挺部隊など、陸自でもかなり鍛えられている部隊はいます。でも、自衛隊はずーっと何十年も戦争をやったことがないので、そういうレベルでは現代の民族解放戦争に対応できない。
 イラクで米軍がやっているような車両を止めて尋問やること一つとっても、自衛隊は実際の戦場ではやったことがない。車が来たらどうやって止めるのか。何人がどのように配置して尋問を始めるのか。こういうことは、米軍は、侵略と占領をくり返す中、ものすごい反撃を受け、幾人もの死者を出しながら経験を積んできている。そこで常識になっていることを自衛隊は知らない。
 だから、自衛隊の中から教官レベルの隊員を選抜して米軍から訓練を受け、その戦闘レベルを自衛隊全体に教えていく。
 いま共同訓練の拡大に必死になっているのは、イラクへの侵略―占領支配など米軍と一緒になって世界に出ていくためです。
――F15の訓練移転で6つの空自基地があげられていますが?
 空自の中枢、戦闘機部隊が配備されているのは全国7カ所です。千歳(北海道)、三沢(青森)、百里(茨城)、小松(石川)、築城(福岡)、新田原(宮崎)、那覇(沖縄)ですね。そして米軍の戦闘機部隊は三沢、嘉手納(沖縄)、岩国(山口)に配備されています。
 最終合意には、那覇を除く6基地への訓練移転が明記されました。那覇の空自部隊は嘉手納基地で日米共同訓練を始めます。
 つまり、北海道から沖縄まで、日本にあるすべての戦闘機の基地を事実上の日米共同基地として運用するということです。それを「共同基地」とは言わないで「訓練移転」と言っているだけなんです。
 その証拠に、最終合意文書には「自衛隊施設における訓練移転のためのインフラ改善」と明記されています。有事法制下で全国の民間空港を米軍が使おうとしていますが、その前段階として全国の空自基地を米軍が自由に使うところから始めていくということです。
 改憲阻止決戦の発展の中でこの米軍再編を阻止していく闘いは、日本政府を追いつめるだけでなく、アメリカによる新しい世界戦争戦略の根幹をぶっつぶすような位置、間違いなく世界革命に直結するような闘いになると思います。

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週刊『前進』(2249号6面3)(2006/06/12)

 米軍再編と闘う最前線 韓国ピョンテクの闘い

 “命と平和の地を守る” 工事ボイコット宣言 ダンプ連帯

 韓国軍・戦闘警察1万7千人が投入された5月4日以降、ピョンテク(平沢)では韓国軍が野営し、住民生活が脅かされている。「命と平和の地、テチュ里、トドゥ里から軍人と警察は撤収しろ!」「殺人蛮行のノムヒョン(盧武鉉)は退陣しろ!」――ピョンテクとソウルで怒りのロウソク集会が連日続けられている。
(写真 5月4日 ピョンテク)
    ◇
 5月10日、建設運輸労組ダンプ分科(ダンプ連帯)キョンギ南部支部は、ピョンテク米軍基地拡張工事のボイコットを宣言した。「村の老人たちが一生かけて血と汗でつくってきた農地を『アメリカ帝国主義の軍事基地』に『献納』することはできない。『東北アジアの戦争基地』にするための汚い陰謀に私たちダンプ労働者が加わることを拒否する」と。未組織のダンプ労働者にも広く呼びかけ、実力阻止闘争を展開することを明らかにした。
 5月13日、民主労総は「5・18精神継承、米軍基地拡張全面再検討、国防部長官の退陣、軍部隊撤収、平和農業実現のための全国労働者大会」をソウル・光化門で開催した。
 集まった3000人の労働者は、引き続いて開催されたピョンテク基地拡張阻止国民対策委員会(汎対委)の汎国民ロウソク文化祭に合流した。
 翌14日、テチュ里で予定された汎国民大会をめぐる攻防は夜明けから始まった。テチュ小学校に続く全ルートが警察によって封鎖されていた。これを突破しようと各所で激突し、この日、民主労総組合員ら36人が連行された。公共のバスさえも通行禁止。上空には軍用ヘリが旋回し、「軍事施設である鉄条網を壊したり、侵犯した時は、軍刑法によって厳しく処断される」などと放送し、数千枚のチラシを投げ散らした。
 午前11時半、テチュ小学校で汎国民大会が始まった。7千人が集結したホンジョン里でもトドゥ里でも住民とともに汎国民大会を開催した。こうして怒りの同時開催が実現、各集会を電話でつなぎ、連帯と応援のメッセージを交わした。
    ◇
 「日清戦争」「日露戦争」の激戦地となったピョンテクに、中国侵略戦争の足場として日本軍基地が建設されたのは1941年。地元農民は穀物や家畜を奪われ、土地を奪われ、滑走路と格納庫の建設に強制動員された。30〜40万坪ほどの日本軍基地は戦後、米軍に引き継がれ、今度はブルドーザーで拡張された。朝鮮戦争下の52年12月、「たった2日」で住民は追い出され、現在のペンソン基地(キャンプ・ハンフリーズ)が急造され、以後、13回も拡張が繰り返された。
 ”戦争の時に基地は拡張される””命と平和の地を基地には渡せない”――ピョンテク基地拡張阻止が全労働者人民の課題となった。もはやその怒りを抑えつけることはできない。それは沖縄の怒りを抑えつけることができないのと同じだ。海を越えてピョンテクと辺野古の闘いは固く共闘している。
 (室田順子)

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週刊『前進』(2249号6面4)(2006/06/12)

日誌'06 5月23日〜30日

 米軍再編方針を閣議で決定

 与党と民主が国民投票法案

●日中外相が1年ぶり会談 麻生外相がカタール・ドーハで中国の李肇星(リーチャオシン)外相と会談した。李外相は小泉首相の靖国神社参拝の自粛をあらためて求めたのに対し、麻生は小泉の考えを説明、「自分自身の参拝については個人の心情と公的な立場を踏まえ、適切に判断する」と語った。(23日)
●義務教育での愛国心評価を否定 小泉首相は、教育基本法改悪案に盛り込まれた「我が国と郷土を愛する態度」に関し、義務教育課程で児童生徒の評価項目としない考えを示した。この日実質審議入りした衆院教育基本法特別委員会の答弁で小学校では評価を求めない考えを示した。(24日)
●改悪防衛庁設置法が参院で可決、成立
在日米軍再編を担当する防衛施設課の新設など防衛庁の組織改編のための改悪防衛庁設置法が参院本会議で与党と民主党などの賛成多数で可決、成立した。今夏に施行する。(24日)
●新憲法草案「2次草案」を策定を表明
自民党の船田元・憲法調査会長が津島派の総会で講演し、同党が昨年まとめた新憲法草案について「さらにバージョンアップしたい」と述べ、同草案に明記されなかった「集団的自衛権行使」を条文で明確にし、国民の新たな責務を盛り込むため「2次草案」を策定する考えを示した。(25日)
●原子力空母が佐世保に入港 米原子力空母リンカーン(10万d、約6千人)が米海軍基地のある長崎県・佐世保港に入港した。米原子力空母の佐世保寄港は1968年のエンタープライズから通算7隻目。(25日)
●現職も教員免許更新制 教員免許更新制について、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)のワーキンググループは、現職教員にも適用することが「適当」とする案をまとめた。(26日)
●「不起立」で処分 東京都教育庁は、今年の入学式の「君が代」斉唱時に起立しなかったとして、都立高校の教職員5人を減給や戒告などの懲戒処分にした。(26日)
●国民投票法案、与党・民主提出 与党と民主党がそれぞれ独自に国民投票法案を国会に提出した。(26日)
●自民部会、「防衛省」昇格法案を了承
自民党内閣・国防両部会の合同会議で、防衛庁を省に昇格させる同庁設置法等改正案を了承した。公明党も同日の外交安全保障調査会と内閣部会の合同会議で、有識者から意見聴取するなど党内論議を再開した。政府は与党の了承を受け、今国会に同改正案を提出したい考え。(26日)
●カブールで過去最大の反米暴動 アフガニスタンの首都カブールで、駐留米軍の車両が渋滞の車列に突っ込んだ交通事故をきっかけに、1万人以上が参加する反米暴動に発展した。アフガニスタン政府は、首都に夜間外出禁止令を発令した。(29日)
●米軍再編を閣議決定 小泉内閣は、在日米軍再編の最終合意を実施する政府方針を閣議決定した。沖縄県の普天間飛行場の移設先は「日米安全保障協議委員会(2プラス2)で承認された案を基本」にするとし、「辺野古崎」などの地名の明記は見送った。辺野古沖計画の策定に伴う99年の閣議決定は廃止した。(29日)
●「君が代」不起立呼びかけ罰金刑 定年まで勤務していた東京都立板橋高校の04年の卒業式に来賓として訪れた際、開式前に保護者らに国家斉唱時に起立しないよう呼びかけたなどとして、同校の藤田勝久・元教諭が威力業務妨害罪で在宅起訴された刑事裁判で、東京地裁は無罪主張を退け、罰金20万円(求刑・懲役8カ月)の判決を言い渡した。(30日)

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週刊『前進』(2249号7面1)(2006/06/12)

 「農地死守」貫き通す三里塚40年

 反対同盟が語る闘いの原点

「農民魂を見よ」などののぼりを立て砦に立てこもり、第1次強制代執行を迎え撃つ。この激戦地駒井野の地は現4000メートル滑走路の北端にあたる(1971年3月)

 三里塚闘争は今年で40年の節目を迎えた。この40年は空港建設という国策に対して、農民が農地を武器に実力闘争を貫き通してきた偉大な歴史である。しかしそれは単に過去の記録ではない。米軍再編と改憲の攻撃がかけられている今日、三里塚は労働者階級人民の闘いの結集軸として、反戦反基地闘争の拠点として確固たる存在感を示している。今回、三里塚実力闘争の原点を再確認し復権するために、三里塚反対同盟の4氏に取材し、勝利への決意を大いに語ってもらった。(本紙・石井良久)

 「国策」を阻んだ不屈の抵抗 実力闘争の歴史

 1966年6月、政府は突如として千葉県成田市の三里塚に「新東京国際空港」を建設することを発表した。三里塚は零細な開拓農民が多いから追い出すのは簡単と判断しての、一方的な決定だった。地元の農民は同年7月に3000人の参加で総決起大会を開き、三里塚芝山連合空港反対同盟を結成した。
 反対同盟事務局次長の萩原進さんは、当時を怒りを込めて語る。
 「この地に空港をもってきたこと自体が侵略的行為なんだ。閣議決定し国策だと、国家暴力を発動し、土地を奪い取る、このやり方が40年続けられてきた」
 萩原さんは当時21歳、国が進めた「シルクコンビナート(養蚕)事業」の中心的担い手だった。同じ国が手のひらを返して、この地での農業の未来を押しつぶす決定を下したのだ。萩原さんは初代の青年行動隊長となって闘った。
 67年、反対同盟は、実力闘争に敵対する日本共産党と絶縁し、全学連と共闘関係を結んだ。闘いは大量の機動隊に守られた強制測量に対する実力闘争として爆発した。71年には2度にわたって強制代執行(機動隊と重機による土地の暴力的収用)が行われた。
 本部役員の鈴木幸司さんは、ブルドーザーの前に立ちはだかりケガを負った。
 「あのころはとにかく怒りだけだったな。機動隊に対して『きさまら今朝も米を食ってきただろう、その米はわれわれが作った米だと分かってるのか!』と」
(写真 萩原進事務局次長【成田市東峰=平行滑走路敷地内】1944年生まれ)

 開港阻んだ闘い

  反対同盟は支援の学生・労働者とともにバリケードを築き地下壕(ごう)を掘り、あるいは立ち木に体を縛りつけて機動隊と激しく闘った。大量の逮捕者、負傷者が続出した。
 77年、空港南端の岩山地区にそそり立ち開港を阻んでいた60bを超す大鉄塔が、機動隊の大量動員による卑劣なだまし討ちによって撤去された。だが政府の威信をかけた78年開港は、大衆的実力闘争と革命軍のゲリラ戦によって、ズタズタにされた。空港は滑走路3本での当初計画を粉砕され、滑走路1本のみで、大衆的怒りに包囲され常時厳戒体制のぶざまな開港を強いられたのだ。動労千葉は「ジェット燃料貨車輸送阻止」ストライキを闘いぬき、反対同盟との労農連帯のきずなをうち固めた。
(写真 1966年7月4日の閣議決定に抗議して立ち上がった農民の総決起大会【66年7月10日】)
 事務局長の北原鉱治さんは、これらの実力闘争の現場で常に最先頭で闘った。地下壕に潜り、砦(とりで)に立てこもり、全国指名手配を受け、逮捕も3度経験している。恐れる気持ちはなかったのだろうか。
 「俺がやらなきゃ誰がやるんだと、あとは理屈はない。あの地下壕戦、たしかに人が死んでもおかしくなかった。お前行けよと私は言えない。自分がやっちゃうからいい。第2次大戦で私は一度死んだ人間なんだよ」と北原さんは笑う。
 政府・空港公団は、2期工事着工の展望に行き詰まる中で、金と脅しで反対同盟を条件派に変質させようとする陰湿な「話し合い」攻撃に重心を移した。
 82年、政府高官と秘密交渉をもった石橋政次副委員長が役職を解任された。83年には「一坪再共有化運動」を掲げて条件闘争路線に転落した脱落派が反対同盟を分裂させた(3・8分裂)。しかし「一切の話し合い拒否、農地死守」の原則を固めた反対同盟を、敵は破壊できなかった。
 鈴木幸司さんの回想。
 「闘いは楽しいときばかりではない。仲間と思っていた人が闘いから脱落していく。この苦しみを乗り越えていくことを避けて通れない。3・8分裂の前夜、小川源が日向派の野郎らを引き連れて俺をあっち(脱落派)に引きずり込むためにうちにきた。俺は絶対反対を貫く敷地内の人たちと一緒に闘うと追い返した。源は『俺も敷地内だ』なんて言ってたけどな(笑)」
(写真 鈴木幸司本部役員【芝山町菱田】1925年生まれ)

 県収用委も解体

 84年の成田用水闘争、機動隊を粉砕した85年の10・20三里塚十字路での蜂起戦を経て、闘いは再び力の激突に発展した。運輸省・空港公団は敷地内農民を追い出し反対同盟をつぶすために、86年に2期工事の着工を強行し土地収用法による恫喝をかけてきた。公団の松井総裁は「反対派の軒先まで工事を進め、ご理解いただく」と言い放った。
 だが88年の千葉県収用委員会を解体した革命軍の戦闘、89年〜90年の成田治安法による団結小屋や現闘本部の封鎖・撤去攻撃との闘いを経て、2期工事は完全に行き詰まり、93年にはついに事業認定が失効した。土地収用法による強制収用は不可能となったのだ。

 北延伸は「第2空港」づくり 廃港めざす闘い

 もともとは平行に並んだ滑走路2本と横風滑走路1本の計3本をもって用をなすはずの成田空港は、農民追い出しのための2期工事強行=「軒先工事」に反対同盟が屈服しなかったことで、まったく完成のめども立たなかった。そこで出てきたのが、本来の計画の2500bの平行滑走路を長さを縮め北にずらした「暫定滑走路」なるものだった。またしても反対の声を踏みにじり、02年、この滑走路は2180bでとにかく開港した。滑走路の南では頑として東峰部落の反対同盟・農家が営農・居住しているがゆえに、その頭上にジェット機を飛ばし続け追い出しをはかる、という殺人的な開港だった。
 「普通の飛行場であれば滑走路の両側に誘導路がある。それがここには1本、しかもへの字に曲げられ、ターミナルとの連絡誘導路は幅が狭く一方通行、こんな欠陥空港にもろ手をあげて賛成する人は誰一人いない。自らが招いた結果だ。しかもこの滑走路を無理やり北に延ばすという。本来の2500bのうち半分近くの1100bを北にもっていく。そうするとそこにまた新たな管制塔までつくることになる。暫定滑走路の北延伸と言っているが、要するにもう一つの空港、第2空港を北側につくるに等しい」(萩原さん)
 第2空港づくり! 言われてみればそのとおりだ。

 目の前でごう音

 市東孝雄さんは、99年に亡くなった父・東市さんの跡を継ぎ、天神峰で農業を営んでいる。目の前でジェット機が轟音(ごうおん)をあげて自走する畑の一角で市東さんは憤慨する。
(写真 市東孝雄さん【成田市天神峰=平行滑走路敷地内】1951年生まれ)
 「堂本千葉県知事はこの状況を見て、『人の住む場所じゃない』と言ったそうだが、認可を下ろしたのはあんたじゃないかと。ひどい話ですよね。これだけやって『何で出ていかないんだ、出ていかない方が悪い』なんて、空港会社のやり方は本当にふざけてる」
 公団から民間会社になったNAA(空港会社)は暫定滑走路を北延伸することで今度は大型機・ジャンボジェットを頭上に飛ばし、けた違いの爆音で圧倒し、この地に生きる農民をたたき出そうというのである。
 暫定滑走路の南側の芝山町菱田で轟音直下に住む鈴木幸司さんは、敷地内への連帯を込めて語る。
 「孝雄君は本当にこの地で闘うという決意があるから、あそこでがんばっているんだよ。中途半端ではいられない。千葉県知事は『人間の住める場所じゃない』なんて人ごとのような話をしているがとんでもない。うちの頭上を騒音立てて飛ぶ飛行機は暫定滑走路から飛び立っているんだ。俺は敷地内と共に闘うよ」
 その市東さんの畑が天神峰現地闘争本部の建物とともに暫定滑走路の敷地にえぐり込み、誘導路をへの字に曲げているのは誰もが知るところである。また東峰の森は新誘導路の建設を阻んでいる。この存在ある限り、滑走路は永久に「完成」しないのだ。

 革命権の正当性

 今、戦後憲法における柱とされてきた戦争の放棄、戦力不保持を明記した第9条、そして基本的人権を定めた第12条が破壊、変質させられようとしている。萩原進さんは「その攻撃は三里塚において先取り的に行われてきた」と断言する。軍事空港建設のために、法をねじまげ農民・住民の基本的人権を踏みにじってきた歴史であった。だがそれは同時に、不当不法な国家権力に対し、人民が抵抗権、革命権を行使して闘うことの正当性、勝利性が誰にもわかる形で示された歴史でもあった。そして米軍再編と改憲の攻撃が激しく襲いかかってきている今日、三里塚の闘いの質が全国に求められており、また必ず波及することは疑いない。
(写真 「暫定滑走路の北延伸阻止するぞ」とこぶLを上げる反対同盟【今年3月26日の全国総決起集会】)
 そして三里塚闘争の新たな発展は、これまでの動労千葉との労農連帯のきずなをさらに強め、闘う労組・労働者階級の結集を大いに実現することにそのカギがあるだろう。その成功に向け、われわれ一人ひとりが反対同盟の決意にしっかりとこたえよう。
 「とにかく戦争は絶対ダメ。私もたった一つでいいから真実を貫き通せと自分に言い聞かせてきた。だから三里塚は勝たねばならないし勝つ材料はある。まず三里塚で勝ってみようじゃないか」(北原さん)
 「何よりも40年間闘い抜けたということの喜びが大きい。国家と真正面から闘いぬいてきた。これは自分たちだけの力じゃない。全国の大きな支援があってのこと」(萩原さん)
 「みなさんはよく敷地内でがんばっているからすごいと言ってくれるが、私にとってはごく自然のこと。そういう生き方しかできない」(市東さん)
 「資本主義の奴隷になっているだけじゃだめ。労働者階級が完全に支配階級にならなくては。40年間やって勝負がつかないんだから50年までには勝負をつけるよ(笑)」(鈴木さん)

 掲げ続けた「軍事空港反対」 反戦闘争の拠点

 「私にとっては第2次大戦はいまだ終わっていない」と北原さんは言う。「国家が国民を守る」という建て前はまったくのウソであることを、戦争体験者としてリアルに体験してきた。それが、不屈の40年を誇る三里塚闘争の原動力になっている。
 北原さんは海軍で海防艦に乗り組み数々の戦闘に遭遇し、人が次々と死んでいく姿を見て「人間の命とは何か」と自問した。その思いは、二度とこのような戦争を繰り返してはならないという決意に変わった。
(写真 北原鉱治事務局長【成田市三里塚】1922年生まれ)
 「闘争が始まったばかりの67年、羽田空港の労働者に案内されて、私は作業服と帽子という労働者と同じ格好で空港を見学した。滑走路のはずれに止まっている707という機がベトナムに行くチャーター便だった。物資輸送、兵員輸送、また負傷した米兵、あるいは遺体を運ぶのに使われるという。その機体は傷つき破損していた。それを整備し修復してまたベトナムへ飛ばすという。その報告を同盟の実行役員会で行い、私は『成田軍事空港建設反対』のスローガンを掲げることを提案した」
 鈴木幸司さんの反戦の強い意志の原点は、「モンゴル抑留の体験」だ。
 「終戦を迎えたのは満州(中国東北部)での移動過程だった。そこにいた10万の軍隊は敗戦の賠償としてソ連に差し出された。貨物車を2階作りにして外からカギを閉められ移送された上、ヘトヘトになって歩かされた。極寒のモンゴルでの強制労働は、零下30度までは休むことを許されない。昨日生きていた者が今日の朝にはもう死んでいる。この労働を天皇にもやらしてやりたかったよ!」
 零下31度になってやっと休めるんだよ、と笑う鈴木さん。その手の指の一部はその時の凍傷で失われた。ヒロヒトと天皇制への怒りの炎は、今も衰えることなく燃えさかっている。
 「われわれが兵隊に出るときは部落の人たちが総出で見送り、白木の箱が用意され、『今度会うときは靖国神社で』と誓った。日本は戦争に負けない、いざとなったら神風が吹くと教えられた。本当に天皇制教育ほど恐ろしいものはない。教育基本法の改悪、共謀罪、みな戦争につながっている。成田も戦争に使われることは目に見えている」と鈴木さんは言い切る。

 戦争の道拒否を

 こうした戦争体験者に比して、萩原進さんは自らを「戦争を知らない戦中派」と呼びながら、戦争への道への警鐘を鳴らす。
 「このまま行ったら侵略戦争に突っ走る。沖縄は戦場になる。三里塚も最前線基地にされる。とくに若い人たちに訴えたい。知らないうちに軍服を着せられ銃を担がされ戦場で血みどろになって死にいたるのか、それを拒否して闘う隊列に加わり同志を募っていくか、そういう岐路に立たされていることを」
 今年の1月、陸上自衛隊のイラク派兵部隊が成田空港から軍服姿で大々的に出発することが画策されていた。反対同盟はこれを阻止しようと三里塚第一公園での集会・デモをたたきつけた。「成田軍事空港反対」のスローガンはまさに的中した。北原さんは笑顔で語る。
 「この問題で三里塚で闘いが爆発したら全国に抵抗が広がるんじゃないかと向こうは恐れ、羽田からの出発に切り替えた。大きな勝利だ。三里塚を全国に広げる条件はある。だからまず三里塚で勝ってみようじゃないか」
 米軍再編攻撃が迫る今日、沖縄を始め全国の反戦反基地闘争の最先頭に、三里塚が躍り出ようとしている。
(写真 集会のすぐそばで着陸するジェット機。成田の軍事空港化を許してはならない【2005年10月9日】)
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 三里塚闘争40年の歩み
66年6月 新空港設置を成田市三里塚に内定、発表
  7月 佐藤内閣、三里塚空港設置を閣議決定
     三里塚芝山連合空港反対同盟を結成
67年10月 空港用地外郭測量に対して実力阻止闘争
  12月 反対同盟が分裂策動強める日本共産党と絶縁
68年2〜3月 市営グラウンドで全学連と機動隊が衝突
69年12月 政府、土地収用法での空港の事業認定を告示
70年2〜10月 強制測量と3次にわたる闘い
70年12月 千葉県収用委が1期工区内用地の収用裁決
71年2月 駒井野での第1次強制代執行阻止闘争
  9月 第2次強制代執行阻止闘争、機動隊3人死亡。
     大木よねさんをだましうち的に襲い強制代執行
72年   機動隊死亡事件で青年行動隊への弾圧相次ぐ
73年4月 A滑走路完成、しかし開港のめど立たず
77年5月 空港公団、岩山大鉄塔をやみ討ち撤去。抗議中
     の東山薫さんが機動隊のガス銃で虐殺される
78年3月 動労千葉、24時間ストでジェット燃料列車阻止
     管制塔突入占拠闘争で4月開港を粉砕
  5月 A滑走路1本で成田空港が開港。同日、東京
     航空管制部が革命軍のゲリラで機能停止
79年11月 戸村一作委員長が死去
81年3月 動労千葉がジェット燃料輸送延長阻止でスト
  12月 石橋政次副委員長と政府高官の秘密交渉発覚
83年3月 脱落派が反対同盟から分裂(3・8分裂)
84年   菱田で成田用水との闘いが白熱化
85年10月 三里塚十字路で学生・労働者が機動隊と激突
86年10月 政府・空港公団、2期工事を強行着工
87年9月 「小川グループ」が反対同盟を脱退
88年9月 県収用委の会長を革命軍が打倒。収用委解体
89年9月 各団結小屋に成田治安法で「使用禁止命令」
90年1月 天神峰現闘本部に対し強制封鎖処分。現地の
     団結小屋への撤去攻撃との闘いが爆発
92年12月 2期工事が未買収地に囲まれ完全ストップ
93年   事業認定が完全に失効、強制収用が不可能に
96年12月 運輸省が「平行滑走路00年完成目標」打ち出す
99年5月 運輸省が「暫定滑走路」案を発表
00年4月 公団が東峰部落でフェンス工事などを強行
01年6月 公団が東峰神社の立ち木伐採を強行
02年5月 暫定滑走路開港。東峰で頭上40b飛行始まる
04年4月 空港公団がNAA(成田空港会社)に民営化
05年10月 NAAが暫定滑走路北延伸計画概要を発表

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週刊『前進』(2249号7面2)(2006/06/12)

 7・2三里塚現地へ

 反対同盟が全国に呼びかけ

 三里塚芝山連合空港反対同盟から7・2全国総決起集会の招請状が発せられた。同時に6・25東京集会が呼びかけられている。全力でこれにこたえ、大結集しよう。(編集局)

 ■招請状

 全国の闘う仲間のみなさん。改憲攻撃を頂点に歴史を画する大反動が襲いかかるなか、三里塚は暫定滑走路北延伸の着工をめぐる決戦に突入しました。国交省・NAA(成田空港会社)はこの夏〜秋にも、着工を強行する構えです。あの空港設置閣議決定から四〇周年を迎え、反対同盟はきたる七月二日、全国総決起集会を開催します。三里塚に心を寄せてくだる皆さんの大いなるご参加を訴えるものです。
 NAA黒野社長は先日、暫定滑走路の北延伸について「二〇一〇年三月(〇九年度末)の供用時期は絶対守る」として、この六月にも国交省に空港計画の「変更許可申請」を行う意志を明確にしました。何がなんでも東峰・天神峰地区の上空四〇メートルにジャンボ機を飛ばし、反対農家を叩きだそうとの意思表示です。空港建設四〇年におよぶ不当な農地取り上げの歴史と、暫定開港の恐るべき国家犯罪を闇に葬り去ろうとしているのです。この暴挙を私たち反対同盟は絶対に許しません。農家の上空四〇メートルにジェット機が飛び交うような、およそ憲法が保障する基本的人権さえも無視する現実を、これ以上一刻も許すことは出来ません。地元住民や全国の労働者・学生・市民の力を合わせ、国と空港会社の犯罪行為を世に問い、暫定滑走路を閉鎖に追い込む決意です。
 七・二全国集会で反対同盟は、着工阻止決戦と同時に憲法改悪阻止への闘いを断固として宣言します。改憲の目的は戦争のできる国家体制づくりです。それはとりもなおさず三里塚のような人民の抵抗を二度と許さないという攻撃です。改憲に反対する運動自体を禁止する「国民投票法案」も国会に出されました。子どもたちに「愛国心」を法律で強制する教育基本法改悪も切迫しています。人の心を罰する「共謀罪」新設の攻撃も抜き差しならない段階にきました。そして小泉政権の「構造改革」で、ごく一握りの大富豪が生まれ、圧倒的多数の働く者がリストラにあい、働いても働いても報われない社会に変貌しています。年間三万人が自殺する社会。これが小泉「改革」の正体です。
 三里塚は政府の「国策」を四〇年間阻んできました。農民と労働者の正義が国家の論理を打ち負かしてきた。それが三里塚闘争です。改憲が通れば国防は「国民の義務」となります。反戦運動は「犯罪」となります。お上に逆らうこと自体が犯罪になるのです。それが改憲の本質です。三里塚はここで再び立ち上がらなければならないと覚悟しています。改憲を阻止し戦争の道をストップするために、三里塚闘争はここで何としても勝ち抜かなければならない。北延伸着工阻止決戦の行方は、すべての労働者人民の未来と一体なのです。
 あの一九六六年七月四日の「空港設置閣議決定」から遂に四〇周年を迎えます。多くの同志、仲間たちが団結し、血を流して政府・権力の農地強奪と闘い、現在なおも軍事空港の完成を阻み続ける三里塚。この闘いの砦を、北延伸着工阻止決戦、そして改憲阻止の歴史的闘いのなかで、すべての皆さんとともに守り抜くことを心から訴えるものです。六・二五東京集会(歴史勉強会とパネル展示)および七・二全国集会の成功のために、多くの労働者・学生・市民の皆さんが力を貸してくださることを心から訴えます。
 二〇〇六年五月二八日
三里塚芝山連合空港反対同盟
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暫定滑走路「北延伸」着工阻止
憲法改悪絶対反対 三里塚闘争40周年

 7・2全国総決起集会

【日時】7月2日(日)正午
【会場】成田市東峰 反対同盟員所有地
【主催】三里塚芝山連合空港反対同盟

三里塚闘争40年の歴史と現在(いま)を語る

6・25東京集会

【日時】6月25日(日)午後1時
【会場】東京江東区総合区民センター
※福島菊次郎写真展と戸村一作彫刻展
 6月24日〜25日の2日間
 午前10時〜午後5時 
右区民センター・展示ホール
【主催】三里塚芝山連合空港反対同盟

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週刊『前進』(2249号8面1)(2006/06/12)

団結ひろば 投稿コーナー

 国賀氏の6期当選と労働委闘争の勝利 大阪 苦労人

 国賀当選と労働委員会闘争の勝利、前半戦の2大勝利を報告します。
 5月14日の泉佐野市議選で、関西合同労組顧問でもある国賀さんの6期目の当選を勝ちとりました。
 私たち地区の労働者党員は、この選挙戦の選対方針を細胞会議での討論をもって決定し、支援の同志たちとともに最後まで熱烈なオルグをやりぬいて、1749人の素晴らしい投票決起を実現したのです。
 自民党市長とそれに翼賛する議員たち(民主党を含む)が勝手に決めたゴミ有料化強行に住民の怒りが爆発しました。泉佐野では関空関連事業が巨額の赤字をもたらし、小泉行政が追い打ちをかけて、市民と市職員にすさまじい収奪を行ってきました。
 公共料金、保険料などすべて値上げし、ついにゴミまで金を取るのか! もう我慢ならない! 住民投票で撤回させようという訴えは、泉佐野市全域を大きな渦に巻き込んで、旧来の地域支配をぶち破る住民の反乱的行動を生み出していったのです。住民投票の実現へ、たたかいは続いています。
 この選挙戦の渦中、4月6日、中央労働委員会で勝利的な和解を勝ちとることができました。フルタイムパートであった私を有給休暇を保障させた組合活動のゆえに時間短縮した不当労働行為をついにうち破り、3年4カ月ぶりにフルタイムの労働時間へ回復させたのです。組合分会の掲示板も設置を許可させて、職場で国賀支持を呼びかけることができました。
 全国のみなさん、労働者が主人公の社会めざして、職場と地域でがんばり抜こう。その重責を担うのは地区の労働者党員だ。

 沖縄の叫び、本土で私たちが響かせる時 京都・学生 W

 沖縄で数日間見聞したあと、私は一体何を知っていたのだろうかと自問自答した。本土のメディアから流れてくる抽象的な日本の政治。それらすべては沖縄で具体化していた。日米再編の「やっと沖縄の負担が軽くなる、良かったじゃないか」というような報道。よく目にする「負担軽減かつ抑止力維持」(そんなうまい話があるのだろうか)。本土にいては見過ごされがちなフレーズだ。
 しかし、実際はそんなものではない。普天間の基地がなくなっても辺野古に新しく基地ができる。……ジュゴンが住む、どこまでも碧(あお)い海をつぶして。このことに反対するのは「公益及び公の秩序」に反するのだろう。だが、新基地建設のどこが「公益」なのだろうか? 私も沖縄に行く前は、日米同盟なしの日本はやっていけないのだろうと安易に考えていた。多くの本土の人間もそうだろう。基地を押し付けられている人たちのことに気づかずに。
 政府はこう言う。「日米同盟が、地域および世界の平和と安全を高める」。だが、抽象的な話はもうやめてもらいたい! 沖縄の地元の人々が、具体的に苦しんでいるのだ。一個の人間として、私はこのことに耐えられない。基地は、一人ひとりの幸せにつながるようにはとうてい見えない。沖縄には「これでもかこれでもか」とまで日本の矛盾が押し付けられている。その矛盾はその場しのぎの振興策などでは絶対に解決しない。
 短い滞在ではあったが、沖縄の人々がどれだけの叫び声を上げているのか少しわかった。そして、その声を今まで聞き逃してきた自分を恥じた。沖縄の声を、今度は私たちが本土で響かせなければならない。

 一気に明治まで回帰する教基法改悪攻撃 千葉 漠 有人

 教育基本法の改悪案がいよいよ国会に上程され、強行採決の動きが強まってきているようです。その内容は「国のため=天皇のため」に、「喜んで死んでいける」国民を造り上げる「教育=洗脳」に、あからさまな「お墨付き」を与えようというものです。野党ばかりか与党内にも異論・疑問があるにもかかわらず、なぜ急ぐのか? 彼らがイラクでも沖縄でも追いつめられ焦っている証拠にほかなりません。
 今のうちに、子どもたちに、若者たちに、「忠孝一致」「滅私奉公」「尽忠報国」の理念をインプットしておくことが必要であり、急がなければならないのです。
 「心のノート」がそれであり、「つくる会の教科書」がそれであり、そしてそれは、天皇を神格化し、絶対化するためのさまざまな「仕掛け」「修身」「国民道徳」「教育勅語」をはじめ明治の初めの「教学大旨」にまでさかのぼる。
 「教学大旨」に付された「小学条目」で「仁義忠孝ノ心ハ人皆之(これ)有リ、然(しかれ)トモ其(そ)ノ幼少ノ始ニ、其脳髄ニ感覚セシメテ培養スルニ非(あらざ)レハ、他ノ物事已(すで)ニ耳ニ入リ、先入主トナル時ハ、後奈何(いかん)トモ為(な)ス可(べ)カラス、故ニ……忠孝ノ大義ヲ第一ニ感覚セシメンコトヲ要ス」つまり、“白紙の脳髄が悪しき『先入主』で染色されないうちに先手を打って『皇道主義』の徳を注入せよ”と言っているのです。
 昭和・大正を飛び越して一気に明治にまで回帰しようというのが、「教育基本法」改悪の真の狙いにほかなりません! 絶対に許せません! ここは『前進』で言っているように「壮大な統一戦線」を組織して闘う以外にありません! 全労働者・学生・国民大衆の怒りを結集していこうではありませんか!

 朝刊とメール便配達掛け持ちの労働実態 関西・民間労働者 西山文彦

 私は準社員として新聞の朝刊配達とクロネコヤマトのメール便配達で生計を立てています。
 朝刊は約250部配り、1カ月で6万円強の収入です。新聞屋という職場は正社員とかアルバイトとかの区別は一応ありますが、1部配達して約10円、1軒集金して約120円の完全歩合制で、社会保険などもありません。ささいな失敗でもすぐに解雇につながります。朝刊配達のスタッフはほとんどの人が昼間は別の会社で働いています。仕事を二つ以上掛け持ちしなければ生活していけないのです。
 メール便配達のほうは時間給千円で、1日5時間・週休2日です。週30時間以上働くことはできません。30時間以上働けば有給休暇等の権利が発生するためです。管理職を除けば事務所のスタッフもほぼ同じ待遇です。パート労働者は半年ごとに解雇↓再雇用の繰り返しで何年たっても新入社員と同じ扱いです。
 このようなことは多くの職場でも行われているようで、私の友人は自動車の季節工として働いていますが、そこでも半年ごとの解雇・再雇用の繰り返しだそうです。
 無権利、不安定雇用、食っていけない賃金、これが民間の労働者の実態です。民営化の行き着く先です。

 ムスリムを共産主義者は獲得しうるか? 秋月丈志

 「中東地域でマルクス主義の影響力が少ないのはなぜか。スターリン主義者の裏切りのゆえだけなのか…」という投書(2245号)を拝見しました。
 1917年ロシア革命後にソヴィエト政権は、ムスリム人民に対し共闘と連帯を呼びかけています。17年10月革命から1カ月後に出された人民委員会議のアピール(「ロシアと東方の全てのムスリム勤労者に訴える」)の一節を紹介します。
 「……帝国主義者強盗の足下から地面が滑り落ちつつあります。こうした偉大な出来事を前にわれわれは、ロシアと東方の、権利を奪われたムスリム勤労者のみなさんを求めています。……あなた方の国々を奪い奴隷にした連中を倒しましょう! もうこれ以上彼らがあなた方の生まれた国を略奪するのを許してはなりません。あなた方こそあなた方の土地の主人です。……われわれは、われわれの旗に、世界の抑圧された人民の解放を高く掲げます。ロシア、東方のムスリムのみなさん! 世界をよみがえらせるこの事業において、みなさんの共感と支持を期待します」
 このソヴィエト革命政権のよびかけは、帝国主義に支配されてきたすべてのムスリム人民を獲得する内容をもっていたと思います。
 レーニンが民族問題に向き合う時に一切の基準としたのは、世界革命の勝利のために〈プロレタリアにとっては何が重要か〉ということでした。労働者階級が帝国主義を打倒し勝利するためには世界人口の多数である被抑圧民族の「最大限の信頼」を確保しなければならない、被抑圧民族の「プロレタリアートをも含めた抑圧民族一般に対する敵意、正当な不信」を言葉だけではなく実践で克服すること――このことをレーニンは死ぬ間際まで、〈プロレタリア階級闘争の根本的利益〉がかかった問題として強調し続けました。しかし世界革命を裏切ったスターリン主義は、レーニンとは正反対の行動をとり続けました。今の現実はその歴史的結果です。
 この圧倒的な「負の歴史」を共産主義者はどうのりこえるのか。それは「イスラム教徒の人々の中にマルクス主義をもち込んでゆく」ことではないと思います。労働者階級とその先進的部分である共産主義者こそ、帝国主義と最もよく闘う存在であること、ムスリム人民への一切の抑圧と侵略への反対者であること、ムスリム人民の完全な民族自決と宗教的自由の擁護者であることを、言葉だけでなく行動で示すことです。そうしてこそ労働者階級は、十数億のムスリム人民を世界革命の「同盟軍」として獲得しうると確信します。

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週刊『前進』(2249号8面2)(2006/06/12)

 5・19高裁不当判決 3被告から怒りの訴え

 5月19日、東京高裁第3刑事部・中川武隆裁判長は、1986年の迎賓館・横田ロケット弾戦闘に関するデッチあげ弾圧の控訴審判決で、一審無罪を破棄し原審に差し戻す超反動判決を行った。両事件にまったく関与していない3同志に対して、事実の裏付けがまったくないのに、「共謀を推認できる」と強弁しているのだ。3同志から、満身の怒りを込めた弾劾文を寄せてもらった。(編集局)

 冤罪は裁判官が作る 須賀武敏

 判決文を聞いた時に、背筋が凍った。この判決は、とにかく有罪にしたいという裁判長の心証だけで出されたとんでもない判決だ。有罪にしたいが、事実審理をやって一審判決を覆す自信はない。だから、その内容は支離滅裂で、破産している。裁判長は追いつめられてこんな判決を出したのだ。
 冤罪事件で悩み、苦闘して無罪を勝ち取った多くの人がいるが、その人たちが「冤罪は裁判官が作る!」という叫びをあげている。私は今回の中川裁判長の判決で、それが本当であることを実感した。
 私がとりわけ怒りに堪えないのは、金沢の借家のことだ。金沢には私しか住んでいない。ここは私が病気療養していた場所だ。そこに、板垣さんや十亀さんは出入りしたこともないし、その存在すら知らない。今回の判決で一番許せないことは、一審で事実審理していない、控訴審でも審理していない「金沢証拠」なるものでもってA2信管について中川裁判長が言及していることだ。A2信管というのは85年の羽田・成田の4事件のことだ。これは、検察官が一審の論告でも控訴趣意書でも書いている。検察官の証拠申請が却下され、事実審理がないにもかかわらず、論告でわれわれ3被告と福嶋同志の4人を名指しして、迎賓館・横田だけではない、85年の4事件にも関与したと言い始めた。その最大の証拠が金沢借家だと言うのだ。
 しかし、これはもう時効になった事件だ。すなわちその証拠を調べても私たちを起訴できなかったのだ。
 ところが、今回、中川裁判長は突如としてこの金沢借家を持ち出して、おまえ達はA2信管を作った。犯罪者だ。こういうデッチあげを行ったのである。許せない。迎賓館・横田だけでなく、事実でないことを新たに加えて、今回の判決文で言ったことは生涯忘れない。
 こんなことを許したなら裁判が成り立たない。裁判官が事実審理しないで、勝手に想像だけで、おまえたちは有罪だと決めつけられたら、たまったものではない。
 私たちの裁判の最大のポイントは思想信条を裁かれていることだ。私たちが中核派に属している、そういう集団の中からデッチあげて当然、これが中川裁判長の回答だ。
 一審の木口裁判長は正しくも無罪判決を出した。それも原則的に十分に精査した上での判決だ。これに一字一句反論することは難しいのだ。したがって、今回の判決は反論は何もない。ただ字句をこねただけだ。裁判所による犯罪が行われたということなのだ。直ちに上告するだけでなく、こういう裁判のありかた全体を問う、そういう闘いに入りたいと思う。
 きわめて反動的な判決だけれども、同時に完全に破産した形の差し戻しだ。絶対に勝てる、無罪を勝ち取れるという核心を深めている。

 一審無罪は覆せない 十亀弘史

 判決への怒りの激しさをどう表せばいいのか、いまだに言葉がみつからない。5月19日の法廷と、裁判長の顔を思い返す度に、腸(はらわた)が煮える。言葉を超えたその憤怒を、私は生涯身体に刻み込む。東京高裁第3刑事部の中川武隆裁判長を絶対に許さない。
 中川は証拠調べの公判を1度たりとも開いていない。そうであるのに、16年、全176回をかけた東京地裁での公判の、揺るぎない結論としての無罪判決を「破棄」し、事件を地裁へと「差し戻し」た。裁判官であるはずの中川は、事実と論理と法律を尊重する真摯(しんし)さをかけらも持たない。判決は一片の真実も一片の法理も含んでいない。それは、むきだしの政治的な暴力を行使した、東京高裁によるテロそのものだ。
 一審の無罪判決は、被告の無実という実体的な真実に合致し、正確で明確、重ねた年月を反映して十分に重く、覆しようがない。
 中川は自判を回避した。証拠調べをまったく行っていない以上、確立された判例からいって自ら逆転有罪判決を出すことはできない。しかし中川の判決は、いくつかの項目について自らの「判断」を示した上で、「事件についての被告の共謀」を「推認」している。それらの判示は、実質において、有罪を自判したのと変わらない。しかも、原審においては「関連性がない」として証拠採用を拒否された検察側「証拠」さえも、勝手に検討して、「破棄・差し戻し」の根拠としているのだ。原審審理の密度の高い中身のすべてを否定し、検察官の虚構をそのまま容認する中川の手法は、卑劣極まりない。
 中川の判決は端的に「公判で審理しなくとも事実が分かり、被告は有罪だ」と言っているのと同じだ。そこには、度はずれな違法が含まれている。こんな判決が許されれば、あらゆる事件について、一審の無罪判決がことごとく意味を失う。検察官は地裁で無罪を宣告されたら、直ちに控訴して、高裁に、調べをさせないまま「破棄・差し戻し」を判決させればいいのだ。その判決文に有罪の「推認」がありさえすれば、その推認は法的には「下級審を拘束する」。そうなれば高裁は、最も簡便な有罪の自動製造機と化す以外にない。
 中川はまさにそのような「裁判」を行った。前例のない重大きわまる法律違反を強行したのだ。しかしその限度をこえた違法は、私たちの反撃の絶好の標的となり、闘いを拡大する明確な根拠ともなる。改憲情勢を見越して戦時司法の先兵へと「飛躍」した中川を裁き返す武器は、今回の判決自体の中にある。
 私たちはやられたらやり返す。上告審を闘い、さらに延々たる闘いに踏み出す。闘いを強め、そして広げなければならない。最後の勝利を手にするために、今までの闘争と運動のあり方を、大きく転換しなければならない。ともに、前進しましょう!

 共謀罪先取りの判決 板垣 宏

 「ふざけるな! こんな判決ありえない」。中川裁判長の超反動的な判決主文を聞いた途端に、怒りが私の体中から一気に湧き起こり噴出してきて、思わず大声で叫んでいました。
 控訴審は被告の救済のためにあります。一審無罪判決に対する検察官控訴そのものが憲法違反であり本来許されないことです。まして、中川のように、ただの一度たりとも審理することなく、一審の無罪判決を破棄し原審裁判所へ「差し戻し」することなど、憲法違反、判例違反であり、絶対に許されません。本件は一審で16年も裁判しています。2年や3年で出した簡単な結論ではないのです。
 しかも、裁判中、私は15年2カ月にわたる拷問的な未決勾留により、重大な人権侵害にさらされ、健康を害し、家族関係を破壊され、すべての人間的自由を奪われ続けてきたのです。この中で、私たちは血を吐くような思いで審理を重ね裁判を闘い、検察官の主張を一つひとつつぶし、その努力が実って、一審裁判所も厳格かつ厳密な証拠評価・価値判断を行わざるを得ず無罪判決を行ったのです。その判断は正しく揺らぎがありません。この私たちの地を這(は)い、血のにじむような努力を、中川裁判長は高裁での審理を一切封じることで抹殺し、土足で踏みつけたのです。人間のすることではありません。
 5・19判決が許せないのは、被告・弁護人の防御権・弁護権を完全に奪い取り、どんなに一審で十分な審理を行い、厳密な証拠評価・価値判断を行って被告の無実・無罪が証明されても、それを高裁の裁判官の主観だけで被告人の不利益にひっくり返すことができるとするその超反動性にあります。本件裁判だけでなくすべての裁判でこのようなことが行われれば、一審での無罪判決は無意味となり、すべての裁判は高裁でなんら審理することなく覆すことが可能となる。恐るべき暗黒裁判が必然化します。
 また、中川は自身で検察官の証拠請求を却下しておきながら、当のその証拠を一審で取り調べなかったことが審理不尽に当たるなどとする矛盾に満ちた判決をしています。さらには、その却下し見ていないはずの証拠で、事実認定にさえ踏み込んで検察官の主張どおりの判断しています。粗雑で、矛盾だらけの最低・最悪の判決です。
 中川は立川反戦ビラまき事件でも一審無罪判決を逆転有罪判決にしていますが、本件では、一審無罪判決の正しさ重さゆえに有罪自判こそできなかったものの、実質的には有罪心証を満展開する判決内容になっています。要するに、どんなに証拠がなくても、国家に逆らう組織の一員であればそれだけで共謀は成立し、有罪であるとする、共謀罪を先取りした判決だということです。
 まさに中川は政治的予断で裁判をする治安判事であり、戦時司法の先兵です。こんな裁判官は罷免・追放しよう。そして5・19判決を上告審で粉砕しよう。

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週刊『前進』(2249号8面3)(2006/06/12)

 「住民異動」で不当逮捕 デッチあげ口実に全国捜索

 5月25日、警視庁公安部はA同志を「電磁的公正証書原本不実記録・同供用、免状不実記載」容疑で不当逮捕した。A同志が04年12月、杉並区から江戸川区に引っ越し、区役所に住民異動届けを出したことが「犯罪」だと言うのだ! あまりのこじつけに逮捕手続きまでが違法だったため権力は27日にA同志をいったん釈放、その場で再び「緊急逮捕」した。「犯罪事実」もないのに恐るべき人権侵害が繰り返され、しかも勾留決定が行われた。
 さらに、この「容疑」を口実に、29日に前進社本社、30日杉並の都革新事務所、31日福岡、大阪の前進社支社など、6月1日仙台、沖縄、2日神奈川、広島、京都などと違法な家宅捜索を強行した。
 警視庁の捜索差押令状請求に対して、その違法性が明白であるにもかかわらず令状を発布した裁判所の責任も重大だ。
 これは革共同に対する戦時下の政治弾圧そのものだ。絶対に許せない。A同志をただちに釈放せよ!

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週刊『前進』(2249号8面4)(2006/06/12)

投稿 戦争と革命を問う9条改憲

 戦後革命期と憲法闘争

 宮本 絵美

 国会では共謀罪新設策動、教育基本法・憲法などの改悪案が次々と出てきて風雲急なるこのごろ、私の心もざわついています。6月の国会闘争に熱い思いを寄せ、60年安保闘争くらいの運動の盛り上がりを期待しているところです。
 「国体はゴジされたぞ、朕(ちん)はタラフク食ってるぞ ナンジ人民 飢えて死ね ギョメイギョジ」――今の若い人たちは、これが何のことかおわかりでしょうか? これは1946年5月19日、皇居前広場で開かれた食糧メーデーで、共産党のある職場組織の責任者が掲げたプラカードの文言です。(写真)
 彼は不敬罪で起訴されました。同年11月の一審判決では名誉毀損(きそん)で懲役8カ月となり、翌47年6月の二審判決は不敬罪で有罪としたうえで、大赦による免訴、そして新憲法施行後の48年5月の最高裁判決は、何の罪かには触れないで免訴としました。ちなみに47年11月15日施行の改正刑法で不敬罪は廃止されています。
 GHQ(連合国総司令部)は、45年10月、政治犯の即時釈放と思想警察廃止を要求、東久邇(ひがしくに)内閣は実行不可能と総辞職。その日マッカーサーは近衛文麿と会い、憲法改正の必要を説いて「敢然として指導の陣頭に立たれよ」と言っています。憲法改正「近衛案」は11月に天皇に報告されました。
 幣原(しではら)首相もマッカーサーと会い、五大改革の指令と「憲法の自由主義化」を指示されて、10月の閣議で松本国務相を憲法改正に関する研究主任と決めました。松本は12月8日の帝国議会で「天皇の統治権総攬(そうらん)の大原則には変更を加えない」と答弁。松本案は「近衛案」より、ほとんど明治憲法と変わりない内容でした。
 2月3日、マッカーサーは@天皇は国家の元首の地位にある、A戦争放棄、B封建制度廃止、の3原則をGS(民政局)に示し、日本国憲法草案づくりを命じました。こうして46年2月4〜10日までの1週間で「マッカーサー草案」をつくりあげたのです。
 政府は抵抗を試みましたが押し切られました。国会の一院制を二院制にし、その他、若干を除いて「憲法改正案要綱」として3月6日に発表しました。
 大多数の民衆は、敗戦だろうが終戦だろうが、空襲から逃げまどうことがなくなってホッとしていました。戦争放棄に異論のあるはずもなく大歓迎でした。私もそのひとりでした。
 ソ連、オーストラリアなど極東委員会の中にも天皇制を廃止して共和制を考えていた国もありました。敗戦をきっかけにして日本でプロレタリア社会主義革命が起きることに恐怖したマッカーサーは、天皇制を残す一方、これらの国々を納得させるためにも戦争放棄は必須と考え、それは同時に、日本が再び軍国主義になる懸念を除去するためでもありました。つまり、憲法第二章(戦争の放棄・9条)と第一章(天皇・1条〜8条)は、日本革命を敗北させるために、いわば一体のものとして登場したわけです。
 この時、日本の労働者の意識が、憲法の方を向いていなかったことを本当に残念に思います。労働者の関心ごとは、より有利な労働条件であり、食える給料でした。日本国憲法の発効する年、47年2・1ゼネストは挫折しましたが、それにひるむことなくたたかいつづけ、有利な労働条件を積み上げていきました。憲法の戦争放棄・主権在民・基本的人権の尊重という三原則が絵に描いた餅(もち)に終わらせない条件をつくりつつあった、ともいえるでしょう。
 私が青春を燃やし、命を懸けた2・1ゼネストがGHQの弾圧を粉砕して打ち抜かれていたならば、憲法はアメリカから「押しつけ」られなくても、日本労働者階級人民の手で書き換えられていたでしょう。
 憲法の問題は、私たちの生活にもっとも深くかかわる問題であり、実に戦争と革命の問題です。そのことが、戦後60年、めぐりめぐって再びやってきたのではないでしょうか。

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