ZENSHIN 2005/05/02(No2196 p10)

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第2196号の目次
 
1面の画像
(1面)
全世界の労働者と連帯を
日帝・小泉=奥田体制を打倒する  闘うメーデーをよみがえらせよう
すべての青年労働者に訴えます  4・29 戦争・民営化と闘う集会・デモへ
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(2面)
抗日闘争と連帯し戦争・民営化と闘おう
デモの主体は日系企業の労働者
彼らは日帝の再侵略と過酷な搾取・抑圧に怒り決起している
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韓国 「独島」「教科書」に怒り  民主労総など決意大会 記事を読む  
“報道弾圧やめろ”  被処分者が都教委に抗議(4月18日) 記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2005 4・4〜4・13
厚労省「労働契約法」制定の大攻撃
奥田、抗日デモに敵対/中高年フリーター200万人へ
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(3面)
郵政民営化法案粉砕・小泉打倒
JPU本部は民営化推進だ 物ダメ・ストライキで闘おう
「絶対反対」掲げ6月全国大会へ  革共同全逓労働者委員会
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辺野古 本格的決戦へ  ボーリング阻止貫いた1年  計画撤回まで闘うと集会(4月17日) 記事を読む  
“辺野古に行こう”
平良夏芽さんが現地報告  上野で集会・デモ(4月16日)
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“関空使わせない”  泉州住民の会総会 派兵阻止へ決意(4月10日) 記事を読む  
(4面)
中国人民の抗日運動に敵対する日本共産党
「戦前と現在は違う」と侵略免罪
「中国側の責任指摘に道理」と日帝・小泉政権を支持
「暴力反対」叫び排外主義に屈服
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狭山第2次再審棄却 部落差別の最高裁決定
「自白」強要を暴き糾弾した石川さんの上申書を無視抹殺〔桑木 暁〕(3月16日)
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日誌'05 4月13日〜19日
衆院憲法調査会が最終報告  在外公館に自衛隊派遣検討
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(5面)
“介護の長谷川氏”を都議会へ  石原により福祉は破壊される
労働者人民に全犠牲を強制し怒りの反乱は治安弾圧で圧殺
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(6面)
団結広場 投稿コーナー
「つくる会」との攻防の焦点・杉並街宣へ 都革新・街宣スタッフ 上渓祐希
労働者の階級的本能で関生公判に参加 九州・民間労働者 杉野秋夫
強盗戦争の悪夢の歴史を繰り返すな 京都 山田一也
日共に対する明確な批判が大いに嬉しい 尋常高等小学校卒・91歳 南野修吾
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広島 教基法改悪阻止へ集会  今春「日の丸・君が代」闘争で勝利感
大内さん 5・7全国集会を呼びかけ(投稿/広島・K)(4月17日)
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5回目の「とわだ」派兵弾劾  呉で自衛官に訴え(3月31日) 記事を読む  
共謀罪廃案へ大詰め
共同行動が国会前に決起 審議入り阻止へ(4月19日)
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党学校 『共産党宣言』  −学習会の感想− 青年労働者を獲得する武器 P・M、実践の中で切り開く革命 J・H 記事を読む  
新刊紹介 コミューン6月号  破産国家アメリカ 記事を読む  
公判日程 記事を読む  
福嶋さん歓迎、4人の完全無罪へ!4・29集会 記事を読む  
(7面)
「つくる会」教科書絶対阻止へ
長谷川英憲氏、必勝への訴え
ファシスト石原と闘うため 私は東京都議会に乗り込む
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(8-9面)
侵略戦争と明治国家を賛美し「お国のために死ね」と教える
「つくる会」教科書全面批判  坂本千秋
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(10面)
東アジア経済圏に命運かける日帝 EPA締結で再植民地化狙う 要の日韓交渉で破産の危機も 反日帝闘争と連帯し侵略を内乱へ 島崎光晴 記事を読む  

週刊『前進』(2196号1面1)(2005/05/02)

 全世界の労働者と連帯を

 日帝・小泉=奥田体制を打倒する

 闘うメーデーをよみがえらせよう

 すべての青年労働者に訴えます

 4・29 戦争・民営化と闘う集会・デモへ

 戦時下において国家主義・排外主義にまみれ、日本帝国主義の国家と資本に屈服し戦争に協力する既成労組幹部をぶっ飛ばし、労働組合運動を階級的に再生しよう。そして労働者の団結の力で小泉=奥田体制を打倒しよう。労働者が主人公となる社会をめざし、闘うメーデーをよみがえらせよう。第76回メーデーにあたり、すべての労働者、とりわけ青年労働者の皆さんにこのことを心から訴えます。

 第1章 改憲と戦争国家づくりへ労組解体狙う小泉=奥田

 メーデーは労働者の団結の日であり、闘いの日です。全世界の労働者が一斉に立ち上がり、労働者階級こそ社会の主人公であることを宣言する日です。1886年5月1日、アメリカの労働者は8時間労働制を要求してゼネラル・ストライキに立ちました。これに対して血の弾圧が襲いかかりました。この日を歴史に刻もうとメーデーが開始されたのです。メーデーは、幾度も労働者の怒りの爆発の日として世界史に刻まれてきました。
 世界と日本は今、世界戦争とファシズムの情勢に向かって急坂を転げ落ちるように進んでいます。私たち労働者がどういう時代認識を持ち、どういう行動に踏み出すかによって、歴史の流れが大きく変わります。
 今こそ闘うメーデーをよみがえらせる時がやってきたのです。
 05年冒頭、歴史的没落の危機にあえぐアメリカ帝国主義のブッシュ大統領は、2期目の大統領就任演説で「自由と民主主義の拡大」「世界の圧制に終止符を打つ」として世界戦争の遂行を宣言し、これを「神からの召命」とまで言っています。そのために米軍を大再編し、全世界に侵略戦争を拡大する態勢をつくり始めました。
 日本帝国主義・小泉政権もまた、日米枢軸を形成して米帝とともに世界中で侵略戦争を担うことで帝国主義間の相互のつぶしあいに生き残るという国家戦略を決断しました。日帝は、米帝とともに世界戦争の道を進み、危機を乗り切ろうとしているのです。
 自衛隊のイラク派兵の継続、昨年12月の新防衛計画大綱と2・19日米安保協(2プラス2)での「共通戦略目標」設定と「日米軍事一体化」宣言に表されているように、対北朝鮮、対中国の侵略戦争態勢が公然と構築されつつあります。
 その中で日帝はなんとしても戦争放棄と軍隊不保持の憲法9条の制約を打破しようとしています。1月18日に日本経団連は二つの提言(改憲と教育に関する提言)を出し、財界自らが改憲と教育基本法改悪を呼号したことは重大事態です。
 日帝・小泉は、国連の安保理常任理事国入りの策動や拉致問題に対する北朝鮮経済制裁、朝鮮領・独島、中国領・釣魚台の略奪の動きを強めています。こうした中で、侵略と戦争の歴史を肯定し美化する「つくる会」教科書の検定合格など、すさまじい勢いで国家主義・排外主義をあおり立てています。そして石原都知事を先頭とするファシストどもが一斉に突出した行動を開始しているのです。
 他方で、戦後の歴史でかつてないほど小泉首相と奥田・日本経団連会長(トヨタ会長)の政財界が一体となった体制のもとで、私たち労働者にすさまじい攻撃をかけています。首切り、賃金破壊、終身雇用制解体、成果主義賃金導入から労働者の総不安定雇用化の攻撃ときて、ついには8時間労働制の解体、労働法制の解体に手がかけられています。社会保障制度の解体も激しく進行しています。
 今や日本は帝国主義諸国の中でも所得格差が大きい国のひとつとなり、労働者が貧困化しています。自殺者も急増しています。労働者の生活はおろか生存すら脅かされる事態が引き起こされているのです。
 そして労働組合の完全な変質・解体、一掃が狙われています。とりわけ日教組、全逓(JPU)、自治労、そして国鉄という、旧総評以来の闘う労働運動の流れを現場レベルではまだ残している官公労系の労働組合の徹底的な解体が策されています。
 連合は、こうした小泉=奥田の攻撃に屈して、その先兵に成り果ててしまっています。すでに笹森会長は昨年来、「憲法9条2項改正」を公言し、それと軌を一にして自治労本部は1月の中央委員会で「論点整理」という形で9条改憲を打ち出し、日教組本部も今年3月の中央委員会で「護憲から論憲へ」と言い始めました。ついに労働組合として改憲推進の道に踏み込むところまできています。
 連合は、今年のメーデーのスローガンに「平和・人権・労働・環境・共生」を掲げて「地球市民」として活動すると言っています。しかし、「平和・人権」を掲げる連合の幹部は実際には、資本や国家と「手をにぎり、共に活動を行」い、労働者への攻撃を率先して受け入れ、9条改憲を方針とし戦争協力の道を歩んでいます。これでは多くの労働者が労働組合そのものに絶望するのは当然です。
 小泉=奥田は、戦後60年にわたって形成されてきた国家・社会のあり方をひっくり返し、労働者自身を戦争の担い手とするところまで国家を改造しようと突っ込んできています。とりわけ労働組合をその先兵にしようとしているのです。

 中国労働者の抗日デモ爆発

 日本帝国主義が再び侵略と戦争の道に踏み出したことに対して、中国や韓国で連日、デモやストライキが爆発しています。北京で始まった抗日デモは中国全土に拡大し、総計数十万人がデモに立ち上がっています。韓国や台湾、香港でも数万規模でデモが行われています。立ち上がっているのは主として青年労働者や学生です。抗日デモの爆発は、何よりも日帝が再び朝鮮・中国・アジアに侵略と侵略戦争を開始したことへの根底からの怒りの闘いです。
 中国・広東省の日系企業の電子部品工場では、10代後半の女性労働者を中心に数千人がストライキに立ち上がっています。中国労働者の怒りの根底には、90年代以降十数年間に渡って続いてきた日本企業のあくどい経済侵略があります。日本の25分の1といわれる低賃金でこき使い、「女工哀史」「人を生きながら焼く」と言われるほど工場で働かせ、強搾取・収奪・抑圧を続けてきた日帝資本に対する積もりに積もった労働者の怒りの爆発です。
 このように再侵略を強める日帝こそ、今私たちに首切り・賃下げ、強労働の攻撃をかけ、戦争動員をもくろんでいる当の連中であり、中国労働者人民と連帯して打倒すべき共通の敵なのです。
 ところが、日本政府だけでなく朝日新聞や民主党、日本共産党までもが、こうした闘いに対して「暴徒」と非難しています。本来、国境を越えたインターナショナリズムの精神に立つべき労働者階級、労働組合の立場とは無縁です。
 日本の労働者、労働組合が果たすべき任務は、彼らと連帯し、共通の敵である日本帝国主義・小泉=奥田体制をぶっ倒すことです。なんとしても日本の地で労働者、労働組合のデモ、ストライキの巨大な大衆行動を爆発させましょう。

 第2章 階級的労働運動の先頭に立つ動労千葉と全金本山

 敵の攻撃はかつてなく激しくなっています。しかしはっきりさせたいのは、敵の側は矛盾に満ち満ちているということです。何ひとつ成算がないのです。
 資本主義というシステムそのものが根本的に破産しようとしています。資本主義は、労働者階級の存在ぬきには成り立たないにもかかわらず、労働者を食わせていくこともできなくなっています。世界中で貧富の差や失業、飢餓や環境破壊などの諸問題を激化・拡大させ、いよいよ世界大恐慌と3度目の世界戦争に向かって矛盾を爆発させようとしています。その中で全世界の労働者階級と被抑圧民族の反乱を次々と呼び起こしています。
 資本主義社会は、資本と賃労働の非和解性、資本家階級と労働者階級の2大階級の非和解的対立が貫かれた社会です。したがって、資本主義−帝国主義を倒さなければ労働者階級の究極的解放はかちとれません。求められているのは、こうした階級的立場に立ち、資本との闘いを貫く労働運動をよみがえらせることです。それのみが労働者の未来を切り開きます。
 労働者の反転攻勢が始まっています。
 今年の都立高校の卒業式・入学式における教育労働者の「日の丸・君が代」強制に反対する闘いは、石原都知事と都教委、警察の弾圧体制をはね返して闘い抜かれました。これは、戦争教育に一変させようというファシスト石原の狙いを打ち砕く、戦争協力拒否の闘いそのものでした。
 何よりも動労千葉や全金本山労組のような原則的な労働運動が、私たち労働者の進むべき道筋を照らし出しています。
 国鉄分割・民営化に反対して85〜86年に2波のストライキを敢行し、40人が解雇されながらも労働者の団結を守り抜いてきた動労千葉は、今年も72時間の春闘ストライキに立ち上がりました。3月17〜19日のストライキは、教育労働者の不起立闘争との連帯を掲げて闘われました。
 極限的な人員削減、保線業務の外注化、検査周期の延伸や列車のスピードアップなどJR会社の安全無視を原因とする相次ぐレール破断を弾劾し、安全対策を要求した今回のストライキは、大きな支持・共感をもって迎えられました。
 また全金本山労組の「一人の首切りも許さない」を掲げて闘い抜かれた34年の闘いは、2人の解雇を撤回させ、定年年齢を過ぎた人も含めて希望者全員を職場に復帰させる歴史的な大勝利となりました。この長期争議の完全勝利は、「労働者は団結して闘えば、勝利できる」という確信を全国の労働者に与えています。すさまじい資本の組合つぶしの攻撃に対し、組合員一人ひとりが対決し、自らの闘いで団結をつくり出し、最高裁確定判決をも実力ではね返してかちとった偉大な勝利です。
 ここには、労働者の団結をあくまで基礎にすえた労働運動、労働者のもつ階級性・力を全面的に信頼し、それに依拠して闘う労働運動の姿があります。一部の労組幹部の出世のための労働組合でも、政党・選挙のための労働組合でもありません。資本と闘い、労働者の階級的利害、労働者の生活と権利を守ることをとおして階級的団結をつくりだす労働運動が必要なのです。連合結成以来16年の労働運動の停滞期を突き破って、階級的労働運動がよみがえる時代がやってきたのです。
 昨年11月7日、動労千葉、全日建連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械港合同の3労組が呼びかけて行われた「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 大失業と戦争にたち向かう労働者の国際的団結を! 11・7労働者集会」には3600人が結集し、全金本山労組など全国の闘う労働組合に加え、アメリカのILWU(国際港湾倉庫労働組合)や韓国の民主労総など、戦争と民営化と闘う世界の労働組合が参加しました。資本の手先となった既成の労働運動を覆す闘う新潮流を作り出すランク&ファイル(現場組合員)運動を日米韓の労働者で誓いました。
 階級的労働運動が持つ国際性が世界の闘う労働者・労働組合との国際的な結合を生み出したのです。
 心あるすべての労組活動家、青年労働者はナショナルセンターの違いや過去のいきさつを超えて団結しましょう。資本の手先=労働貴族から労働者自身の手に労働組合を奪い返し、ストライキや巨万の大衆行動で闘う労働組合の勇姿をよみがえらせるために行動を開始しましょう。
 資本主義−帝国主義の命脈はもう尽きています。世界大恐慌と世界戦争が迫っていることはその証明です。労働者階級が権力を取る絶好のチャンスがやってきたのです。労働者階級がこのような確信をもって闘えば、必ず勝利することができるのです。

 第3章 「つくる会」教科書阻止、郵政民営化を粉砕しよう

 当面の最大の焦点は、1〜3月「日の丸・君が代」強制反対闘争の地平を拡大して、8月「つくる会」教科書の採択を許さない闘いを爆発させることです。
 「つくる会」教科書のイデオロギーは、日帝が戦後60年にわたって奥底でたぎらせてきた本性そのものです。日本経団連の経労委報告や奥田ビジョン、1・18提言が絶叫する「東アジア経済圏」=新たな「大東亜共栄圏」構築の野望、そして天皇制の強権的国家体制復活の宿願を「つくる会」教科書が表現し、生徒たちに注入しようとしていることは明白です。
 革共同は以下のように、具体的な闘いへの決起を訴えます。
 4大産別の労働者を先頭に、「つくる会」教科書採択を阻止し、ファシスト石原打倒、小泉=奥田体制打倒の突破口を切り開こう。
 同時に、小泉=奥田の攻撃の最大の環である郵政民営化攻撃を全労働者の総決起で打ち砕こう。JPU中央が全郵政とともに行う有明コロシアムでのアリバイ的な5・15郵政民営化「反対」集会を、闘う全逓労働者を先頭に怒りの総決起で「郵政民営化絶対反対」の集会に塗り替え、大民営化攻撃粉砕の烽火(のろし)をあげよう。
 「国鉄分割・民営化総決算」攻撃と対決し、国鉄1047名闘争の新たな発展をかちとろう。
 5・7教育基本法改悪反対全国集会に日教組、全教の闘う教育労働者を先頭に、全国からナショナルセンターを超えて大結集し、情勢を変えよう。
 5・15沖縄闘争を沖縄−本土を貫く青年労働者の団結した力を先頭に名護・辺野古新基地建設を阻止する闘いとして高揚させよう。
 関西生コン弾圧を反弾圧闘争の大衆的爆発に転化し、労働組合弾圧法である共謀罪を粉砕しよう。
 自治労、日教組を始めとする公務員労働者の政治活動、改憲反対闘争を禁圧して、改憲を狙う国民投票法案を粉砕しよう。

 石原打倒へ都議選勝利を

 そして最後に、6月都議会議員選挙闘争こそ、日本帝国主義の侵略戦争の最先兵であるファシスト石原都知事打倒をかけた国政選挙級の一大政治決戦です。とりわけ石原一派の山田区長を擁する杉並区こそ、「つくる会」教科書採択阻止をかけた全国最大の主戦場です。帝国主義、ファシスト石原と真っ向から闘う唯一の労働者の代表=長谷川英憲氏を都議会に送り出しましょう。
 私たち革共同は、以上の闘いへの決起を訴え、すべての労働者の皆さんとともに、自らを労働者階級の党へと飛躍させながら最先頭で闘う決意です。闘うメーデーをよみがえらせ、小泉=奥田体制を打倒しましょう。
 革共同とともに闘おうではありませんか。

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週刊『前進』(2196号2面1)(2005/05/02)

 抗日闘争と連帯し戦争・民営化と闘おう

 デモの主体は日系企業の労働者

 彼らは日帝の再侵略と過酷な搾取・抑圧に怒り決起している

 日系企業で2千人がスト

 4月9、10日の北京や広州に続いて、16、17日には上海を始め全中国の十数都市で抗日デモ(反日帝闘争)が闘われた。中国の労働者人民の抗日闘争は、終息どころか5月1日のメーデーや「五・四運動」86周年の5月4日に向け、一層激化・拡大している。
 16日には中国最大の経済都市であり日系企業4500社が進出(=侵略)している上海で、当局のデモ禁止を打ち破って数万人の抗日デモが爆発し、日本総領事館に押し寄せた。この日は同時に杭州、天津などでもそれぞれ数千人のデモが闘われた。さらに広東省東莞市の日系電子部品メーカーの現地工場で、7千人の労働者のうち2千人が賃金など待遇改善を求めてストに決起し、日本製品不買を呼びかけた。
 翌17日には香港(1万2千人)や東北部の瀋陽(2千人)にもデモは拡大し、中国全土の10都市で抗日闘争が繰り広げられた。深せんでは3週連続で1万人以上が決起し、アモイでは6千人がデモに参加した。

 「改革・開放」政策下の反乱

 新たに歴史的に開始されている抗日闘争の主体は青年労働者(と学生)である。今後デモの計画がある都市を含めて、成都や重慶は国営企業の中心地であり、上海、広州、深せんなどは沿岸部の「改革・開放」政策の典型的な工業都市だ。ここで決起している青年労働者は多くが内陸部からの出稼ぎであり、中国に進出している日帝資本(欧米帝国主義資本)の極度の低賃金と強搾取・強収奪を受けている人びとだ。
 だから元凶は日帝であり、闘っている真の相手は小泉=奥田路線である。同時に彼らは残存スターリン主義体制のもとで差別と抑圧にあえいでもいるのだ。
 すでにこの間、中国の残存スターリン主義体制の根本矛盾が、「改革・開放」政策と帝国主義資本の直接投資の野放図な展開のもとで爆発的に激化し、中国全土で労働者と農民のストや暴動が巻き起こっている。すでに中国の労働者人民のやむにやまれぬ決起が、全土で1千万人の規模で爆発している。こうした闘いがベースにあり、今日の抗日デモが闘われているのだ。
 この闘いの決定的契機となっているものが日帝の再侵略であり、米日枢軸のもとでの北朝鮮・中国侵略戦争の切迫だ。日帝の国連安保理常任理事国入りの野望、釣魚台略奪、「つくる」会教科書の検定合格と採択への策動、小泉の靖国神社参拝。これはかつての侵略戦争と植民地支配の歴史を反省も謝罪もしないばかりか、それを居直って、新たな侵略戦争と植民地主義的な階級戦争を開始しつつある日帝の凶暴な攻撃そのものである(それは日本の労働者への戦争・民営化攻撃と一体だ)。これに対する根底からの怒りが噴き出し、日本製品不買運動として爆発しているのだ。
 だからこの闘いは、かつての「五・四運動」がそうであったように、反日帝闘争であると同時に、「改革・開放」政策を推進し中国の労働者人民を帝国主義資本の抑圧と強搾取・強収奪にさらしている中国残存スターリン主義体制への怒りと反乱だ。それに転化する要素を圧倒的にはらんでいる。実際に中国政府が最も恐れていることは、89年天安門事件の再来である。

 排外主義に屈服する日共

 日帝・小泉とブルジョアマスコミは、中国人民の決起に対する敵意と排外主義キャンペーンに躍起となっている。日帝がかつての侵略戦争・植民地支配の責任を回避し、今また再侵略をしていることを棚に上げて、「反日デモ」を非難し、「謝罪と補償」を居丈高に要求している。極右・反動勢力は中国大使公邸や総領事館、日中学院などへの脅迫や銃撃を凶行するにいたっている。
 さらに自民・公明、民主はもとより日本共産党や社民党も、許し難いことに日帝の国益・排外主義の嵐に唱和している。特に日共は「どんな主義・主張も暴力に訴えるべきではない」「中国は過去と現在の問題を一緒にすべきではない」「いま日本が中国に侵略したりしているわけではありません」(市田書記局長)などと、中国人民の怒りの決起を非難し、排外主義に屈服している。
 しかし過去と現在の問題は連続しており、完全に一体である。中国人民が「つくる会」教科書など歴史歪曲の問題を一番重視しているのは、日帝が過去の歴史を居直り、侵略戦争と植民地支配を正当化しているからだ。そうした国に「資格」はないと、日本の国連安保理常任理事国入りに反対しているのだ。デモを「暴力」と非難しているが、そもそも帝国主義の戦争(侵略戦争)こそ、最大最悪の暴力ではないか。
 現在は「侵略していない」と言うが、すでに日米安保とガイドライン、周辺事態法があり、日米枢軸のもと中国や北朝鮮を攻撃対象として名指しし、米軍再編(トランスフォーメーション)を推進している。これは巨大な戦争重圧ではないのか。ましてや米帝ブッシュはすでに世界戦争路線を振りかざし、イラク侵略戦争を強行し、日帝がそれと一体となって多国籍軍に参戦している。改憲で戦争国家化しようとしている。それに中国領・釣魚台や朝鮮領・独島の帝国主義的略奪は侵略ではないのか。これらの事実は米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争の切迫を完全に示しているのだ。
 また何よりも、中国の残存スターリン主義体制のもとで「改革・開放」路線が推進され、今や3万1千社もの日本企業が中国に進出し、膨大な直接・間接の投資を行い、中国を超低賃金の生産基地・輸出基地にしている。中国の残存スターリン主義体制と結託して、中国の労働者を抑圧し、極限的に搾取・収奪している。日本経団連の奥田は「東アジア経済圏」を声高に叫んでいる。これが帝国主義の新たな侵略ではないとでも言うのか。

 小泉=奥田は共通の敵だ!

 日帝のこの今現在の侵略に怒り、抑圧と強搾取・強収奪に怒って、中国人民は決起しているのだ。今日の抗日デモの主力は日系企業の青年労働者たちである。
 日本の労働者階級人民の課題は何か。中国人民の歴史的な反日帝闘争への決起を断固支持し、連帯し、国際的な単一の階級的軍勢として闘うことだ。吹き荒れる排外主義キャンペーンを粉砕し、日帝のアジア再侵略、北朝鮮・中国侵略戦争に反対して闘うことだ。同時に日帝・小泉=奥田路線の一大資本攻勢、戦争と民営化(労組破壊)と社会保障制度解体の攻撃に全力で反撃することだ。日帝・小泉=奥田は日中労働者階級の共通の敵である。
 労働運動の階級的再生をかちとり、闘う朝鮮・中国・アジア人民と連帯し、「侵略を内乱へ」の闘いに総決起しよう。日帝を打倒しよう。日帝・小泉=奥田のファシスト的先兵である石原打倒、「つくる会」教科書採択阻止、6月都議選勝利に向け総蜂起しよう。

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週刊『前進』(2196号2面2)(2005/05/02)

 韓国 「独島」「教科書」に怒り

 民主労総など決意大会

 中国の労働者人民の抗日(反日帝)闘争と一体の闘いとして、日帝の独島(竹島)強奪と「つくる会」教科書攻撃に対する韓国の労働者人民の怒りと闘いが爆発している。
 3月10日に島根県議会・総務委員会で朝鮮領・独島の強奪を意味する「2月22日を竹島の日にする」という条例案が可決され、16日の本会議での可決が確実だと伝えられるや、韓国国内で労働者階級人民の怒りと危機感が一気に高まり闘いが爆発した。
 本会議前日の15日には、韓国全土で激しい反日デモが行われた。特に、ソウルの日本大使館前では、一日中、日本政府を糾弾する市民団体などによる抗議集会が相次ぎ、これを阻止しようとする警官隊と幾度も激突を繰り返した。
 本会議当日の16日午前には、日本大使館前で日本軍軍隊慰安婦とされた女性たちが日本の独島領有権主張と「つくる会」教科書に抗議する集会を開いた。
 4月5日の「つくる会」教科書の文部科学省検定合格が切迫する中で闘いが大きく盛り上がっていった。韓国歴史研究会会員らが、合格発表の5日にソウルの日本大使館前で日本の歴史歪曲教科書検定合格に抗議する集会を開いた。
 4月6日、民主労総傘下の全国教職員労働組合は、「つくる会」教科書検定合格に抗議して声明(前号に紹介)を発表、「今後日本が軍国主義の旗印を鮮明にさせてゆくことを表明するもの」と、「つくる会」の教科書攻撃が日帝の今日の侵略戦争の攻撃そのものであることを鋭く暴露・糾弾している。
 4月9日にはソウルの光化門で民主労総・韓国労総・全教組などの主催で日本の軍国主義復活を糾弾する決意大会が開かれ多くの労働者・学生・市民が参加し、日本大使館前までデモを行った。
 さらに民主労総は4月1日にノムヒョン(盧武鉉)政権が4月国会で成立をもくろむ非正規職関連法改悪攻撃への先制的な警告ゼネストをたたきつけ、4〜5月の賃団闘(賃金団体交渉、日本の春闘に相当)に突き進んでいる。
 3〜4月における韓国の労働者階級人民の闘いが中国で大きく報道されたことが、中国の労働者階級人民を鼓舞激励し、今回の一連の抗日闘争の高揚に結びついたと言われている。
 このことが示しているのは、有事立法とトランスフォーメーション(米軍大再編)による日米枢軸体制強化の中で、朝鮮・中国侵略戦争策動にのめり込む日帝へのアジアの労働者人民の歴史的な怒りの爆発がついに始まったということだ。そしてそれは、日帝・小泉=奥田によるアジア人民、朝鮮・中国人民へのすさまじい企業進出というかたちをとった新たな侵略・植民地化攻撃に対する激しい怒りの爆発でもある。
 日・朝・中の労働者階級人民の国際主義的連帯が今こそ問われている。日本帝国主義こそ、戦争と民営化・労組弾圧の一切の元凶であり、アジアの労働者人民の共通の敵だ。日帝打倒の闘いに連帯して立ちあがることが求められている。ともに闘おう。

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週刊『前進』(2196号2面3)(2005/05/02)

 “報道弾圧やめろ”

 被処分者が都教委に抗議

 「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会は4月18日、東京都教育委員会に対して、抗議申し入れを行った。
 NHK(日本放送協会)が3月28日に「クローズアップ現代」で放送した「国旗国歌/卒業式で何が起きているのか」に対して、都教委は4月6日、NHKに申し入れを行った。横山洋吉教育長自身がインタビューに応じて出演した番組であるにもかかわらず、「『なぜ、適正化を図らなければならなかったか』まで踏み込んだ内容になっていない」「『強制』をめぐっての都教委と学校現場の教員との対立という印象を与える番組とした」ことについて「極めて遺憾」とした、まったく不当な申し入れである。
 その前日の5日には、都議会自民党幹事長・比留間敏夫が同番組に関して「NHKの今回の報道内容は公正公平を基本とすべき公共放送の報道姿勢として大変遺憾なことであり、今後こうしたことのないよう強く要請する」というコメントを発表した。都議会自民党と都教委が一体となって報道弾圧に乗りだしたことは、重大問題である。
 同番組に登場した横山教育長は、「国旗・国歌法」制定時の「学校現場での強制はしない」という政府答弁と、都教委の行っていることの矛盾をキャスターに問われて、「学習指導要領をふまえて国旗・国歌の指導を行うことは、教育公務員の責務」とくり返すことしかできなかった。都教委の「日の丸・君が代」強制の不正義性を自ら暴露したようなものであった。それが放映されると、NHKに抗議し報道内容に介入するとは、女性国際戦犯法廷をめぐるNHK番組に対する事前検閲と同根の報道統制だ。
 被処分者の会は、「NHK報道に対する行政による報道弾圧に抗議する」とし、同文書の撤回とホームページへの掲載中止を求めた。申し入れ行動には、都政を革新する会の長谷川英憲さんらも参加した。

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週刊『前進』(2196号2面4)(2005/05/02)

資本攻勢&労働日誌 2005 4・4〜4・13

 厚労省「労働契約法」制定の大攻撃

 奥田、抗日デモに敵対/中高年フリーター200万人へ

2021年中高年フリーター200万人へ UFJ総合研究所は「増加する中高年フリーター」と題するレポートを発表。35歳以上になってもフリーターのままでいる「中高年フリーター」の数は2001年には46万人だが、21年には200万人を超えると推計。(4日)
過半数の企業が年金制度見直し 財団法人労務行政研究所は、退職金・年金の実態に関する調査の結果を発表。過半数の企業が02年以降、年金制度の見直しに着手。4社に1社が適格年金を廃止(または移行)、3社に1社が厚生年金基金の代行を返上。(4日)
「つくる会」教科書が合格 新しい歴史教科書をつくる会が主導する扶桑社版歴史・公民教科書が文科省の検定を合格。(5日)
マスコミ9条の会スタート マスコミ9条の会の発足を記念する集会が開かれ、新聞、放送、出版、映画、広告、印刷、音楽、学識者など390人が参加。(5日)
地方公務員の政治活動制限法案提出へ 自民党は、地方公務員や公立学校教員による選挙運動などの政治的行為を制限する目的で、今国会に関連7法案を提出、成立を目指す方針を決めた。(6日)=前号2面参照
経済財政諮問会議、「骨太方針2004」の総点検結果を公表 政府の経済財政諮問会議が「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)2004」について、実施状況を点検した結果を公表した。(7日)=要旨別掲
奥田経団連会長が抗日デモに敵対発言 奥田日本経団連会長は会見で、中国の抗日デモに関して、「日本の大企業はこういうリスクは当然……よほどのことがない限り撤退などはない」とあくまでも中国人民への搾取・収奪を継続する意図を明らかに。(11日)
終身雇用「支持」78% 終身雇用や年功序列賃金という日本型の雇用慣行を支持する人の割合が高まっていることが、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」実施のアンケートで分かった。終身雇用の支持率は78%、年功序列の支持率は66.7%と、99年に調査を始めてから過去最高。不安定雇用化の中で日本型雇用を見直す動きが広がっている。(11日)
最低賃金制、地域別に一本化の議論 厚労省は、2種類ある最低賃金制度について、5月に専門部会を設け、産業別を廃止して地域別に一本化する見直しの議論を始めることを決めた。(12日)
労組に代わる労使委員会導入策動 採用から解雇まで労働契約全般について法制化を検討している厚労省の研究会は、中間報告を発表。解雇をめぐる「金銭解決」の制度づくりとともに、労組に代わる「常設の労使委員会」新設を提案。(13日)=前号3面参照

 「骨太方針2004」実施状況(概要)

 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)2004」の実施状況を点検した結果が公表された。各項目をA(十分な取組みがなされた)、B(工程表はあるが内容が不十分)、C(工程表が作成されていない)、×(取り組みがまったく行われていない)の4段階で評価している。
 ×として、「高齢者医療費の削減や、公的保険給付の内容および範囲の見直し」を挙げている。
 Cとしては、@「地方の裁量権の拡大」、A「公務員制度改革」、B「官民の人事交流」、C「雇用保険3事業の整理統合」、D「教育委員会の改革と校長の権限強化」、E「医療保険制度改革」、F「公的保育の廃止(株式会社化、公設民営方式の導入)」などを挙げている。

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週刊『前進』(2196号3面1)(2005/05/02)

 郵政民営化法案粉砕・小泉打倒

 JPU本部は民営化推進だ 物ダメ・ストライキで闘おう

 「絶対反対」掲げ6月全国大会へ

 革共同全逓労働者委員会

 日帝・小泉内閣は、この連休前にも、今国会に郵政民営化関連法案を提出しようとしている。だが今や、小泉内閣は発足以来最大の政治危機に陥っている。労働者の反撃が現場からたたきつけられるなら、法案もろとも小泉を打倒できる絶好のチャンスが到来している。われわれは、昨年9月の「基本方針」閣議決定に対して、郵政分割・民営化絶対反対の路線と、JPU(全逓)中央本部打倒、物ダメ・ストライキで闘うという方針を確立した。2月の第120回中央委員会に対して、闘う全逓労働者のデモをたたきつけた。中央本部の「民営化対応」が組合員をだますペテンであることを暴き、郵政民営化絶対反対の闘いの意思を示したのだ。法案を葬り去り、民営化攻撃を阻止する決戦の時が来た。闘う全逓労働運動を再生し、総決起しよう。6月全国大会(奈良)に向かって闘おう。

 郵政民営化との闘いは労組破壊・改憲阻止の階級決戦

 郵政民営化の最大の狙いは、経営形態の変更による公務員資格のはく奪にあり、活動家パージと大量首切り、労働組合破壊である。国家公務員の身分を奪った上に「守秘義務」や「配達義務」のしばりをつけてスト権を永遠にはく奪し、民営化後の新会社に人事権を全面的にゆだねることにある。これによって新会社に解雇権を与え、大量首切りの自由を得て労働組合を破壊することにある。
 この攻撃に対して中央本部は、07年までに徹底した人減らしを行い「事業基盤さえ確立できれば民営化は怖くない」という郵政公社総裁・生田の言辞に従って組合員に対する大裏切りに走っているのだ。そのことは3月16日に正式に発表された、1万人削減を打ち出した「アクションプラン・フェーズ2」に対して、@アクションプラン・フェーズ2について基本的考えで一致しているA6月全国大会で全面的受け入れを決定する――と言っているのを見れば明らかだ。
 実際、本部の「民営化対応」の中身は「郵便局ファンの会」運動と「法案上程後は民主党との協議」としており、本気で反対する気などさらさらない。唯一の「闘い」と言えるのが、5月15日に東京・有明コロシアムで開かれる、全郵政、全国特定郵便局長会との3者共闘による1万人規模の集会である。しかしそれすら、すでに「公社幹部を来賓に招くのでは」と組合員にささやかれ、中央本部の民営化推進の正体は見ぬかれているのだ。こうした中央本部を打ち破り、現場労働者の激しい怒りをたたきつけ、5・15を民営化絶対反対の闘いへと塗り替えなければならない。
 郵政民営化攻撃は、単に郵政労働者にかけられた攻撃ではない。郵政民営化を突破口に全公務員労働者を非公務員化することで、戦後労働運動を担ってきた公務員労働者、とりわけ全逓、自治労、日教組を解体する攻撃である。
 日帝・小泉政権は中国・北朝鮮侵略戦争、世界戦争の切迫に規定されて、日米枢軸のもと、自衛隊のイラク駐留延長と米軍再編(トランスフォーメーション)による日米安保の世界大的拡大を進めている。そのためにも、憲法9条の改悪と集団的自衛権の法制化に躍起となっている。そこで、戦後一貫して戦争に反対してきた官公労系労働組合を解体し、自治労、日教組を改憲勢力に変質させようとしているのだ。

 民営化阻止こそ労働者の立場だ

 郵政民営化反対闘争の階級決戦としての性格がまさに鮮明になっている。05年〜07年の民営化をめぐる攻防は、改憲決戦と一体となって、絶対負けられない闘いなのだ。この攻撃に、日共・郵産労は「国民の郵便事業を守れ」と弱々しくつぶやくのみである。カクマルに至っては深夜勤裁判をアリバイ的にやるだけで、「目を民営化問題のみに釘付けにしてはならない」(全逓カクマルビラ)と早々と逃亡している。
 わが革共同全逓委員会は、産別委員会を再確立・強化し、革共同第6回大会、新指導路線と労働組合論の革命論的確立の観点から、郵政民営化絶対反対の路線と方針を革命的に確立してきた。
 その中身は郵政民営化反対論の労働者的立場の主体化にある。わかりやすく言えば、「労働者の立場での郵政民営化反対」である。多くの潮流が民営化絶対反対を掲げられないのは、民営化問題を国会での小泉対「抵抗勢力」か民主党の枠内でしか措定していないからだ。つまり労働者という主語が欠落しているのだ。職場・生産点からの闘いで大量首切りを阻止するという立場がないのだ。問題はこの一点にある。これでは民営化と闘えるはずがないのである。
 労働組合論の革命論的確立は、11月労働者集会と動労千葉の3月ストライキ、国際連帯反戦闘争の経験の精華であり、プロレタリア革命への唯一の道である。その真価を実践で示し、何がなんでも郵政民営化・改憲阻止決戦に勝利しよう。
 レーニンは「ストライキには革命のヒドラ(怪物)がひそんでいる」と言っている。敵が階級決戦を仕掛けてきたことに対して、労働者階級の側が階級的に闘わなければ勝利することはできない。逆に言えば、階級的に闘えば勝てるということだ。そのことは、国鉄分割・民営化に反対して唯一ストライキで闘った動労千葉と、そうではなかった国労との違いに明白に現れている。
 全逓本部は、国鉄分割・民営化攻撃に震え上がって「国労のようになるな」とひたすら屈服の道を歩んできた。この腐りきった奴隷根性を粉砕し、郵政分割・民営化に対し物ダメ・ストライキで闘うことで階級性を取り戻すことによってこそ、「権利の全逓」と言われた全逓労働者魂を呼び戻せるのだ。そうしてこそ、初めて社会の主人公としての労働者になれるのである。

 本山闘争勝利に続き78越年闘争を引き継ぐ闘い今こそ

 78越年反マル生闘争は、全逓労働者の怒りの物ダメ闘争で空前の郵便物の滞貨を実現した。すべての全逓労働者の参加で闘われたこの闘争に震え上がり、日帝・当局は58人の懲戒免職を含む8000人を超える処分者を出した。
 中央本部は91年、4・28反処分闘争の終結を、4・28被免職者の組合員権のはく奪をもって強行した。われわれはこの暴挙に対して、2カ月間で7000人を超える反対署名を集めて第99回臨時中央委員会闘争に臨み、あと20票で本部案を否決するところまで追い込んだ。この闘いから14年目にして、ついに昨年6月、1審の反動判決を打ち破って、高裁逆転勝利判決をかちとったのだ。
 これに対して郵政公社は最高裁への上告をもってこたえた。われわれはこの闘いを、被免職者の職場復帰と現場からの全逓改革の方針を鮮明にして闘わなければならない。
 全金本山労働組合は2人の解雇を撤回させ、3月16日に組合員の就労をかちとり完全勝利した。この本山闘争の勝利に続き、これと固く結合して、4・28反処分闘争は闘われなければならない。それは、この闘いが本山闘争と同じく「一人の首切りも許さない」闘いであり、単なる個人の処分撤回闘争を超えて、労働者の階級的団結を打ち固め、労働者階級の未来を切り開く闘いであるからだ。連合結成以来の既成労働運動指導部による裏切りと屈服、そして制動を突破して、労働運動の戦闘的階級的再生を切り開く闘いである。
 反マル生闘争を引き継ぐということは、組合員にとことん依拠し、信頼して闘うことである。団結こそ労働者の最大の武器であることをはっきりさせよう。郵政民営化を阻止するために、4・28陣形をさらに一層打ち固め、4・28闘争の勝利をかちとろう。階級的団結をかちとる最良の手段である物ダメ・ストライキを今こそ復権しよう。自ら全逓解体に走り名前までJPUと変えて、破産した本部を打倒しよう。郵政分割・民営化絶対阻止へ物ダメ・ストライキで闘おう。

 アクションプラン2粉砕しよう

 2月14日、公社・生田は公社経営委員会で「アクションプラン・フェーズ2」を提示した。郵便内務を外注化し、「余剰人員」となる内務労働者の退職を目的にした集配外務への強制配転や、大量の非常勤への置き換えによって、07年までの2年間で1万人を削減するというものだ。
 公社・生田は、アクションプラン1の成功の上にアクションプラン2をスタートさせるかのように言っているが、けっしてそうではない。アクションプラン1によって1万7千人の計画を上回る1万9千人の人員削減は強行したが、最大の課題に据えた現場組合員の「意識改革」はいまだに成功していない。ゆうパックのシェアは20%拡大したが、過度の負担で小包業者が軒並み撤退して、全国でパンク状態に陥っている。
 第120回中央委員会では多くの地区からアクションプランへの不満が噴出し、見直しの要求が相次いだ。にもかかわらず、本部は6月全国大会でアクションプラン2を全面的に受け入れると開き直っている。
 現場では、アクションプラン1によって、いろいろな問題が発生している。
 物件費削減によって日本郵便逓送(日逓)の労働者の賃金が年収で100万円もダウンした。その上、この4月からの新賃金制度によって、さらなる大幅な賃下げとなっている。さらにフェーズ2では10%の物件費削減が提案されている。
 そもそも民間会社である日逓などの輸送部門で起きていることは、郵政民営化攻撃の先取りであり、民営化によって日帝が何をやろうとしているのかを示している。競争入札の導入によって極限的なコストダウンを強制し、そのことが相次ぐ労働者の削減と非正規雇用化、そして賃下げの一方で超勤の連続とサービス残業の強制となっている。
 こうした現実に対して組合員の怒りが爆発している。東京地本委員選挙に立候補した東京日逓支部の三役全員が大差で不信任された。九州では偽装倒産による大量首切りに対する闘いが起きている。
 集配職場では、「1通でも集めに行きます」という「コスト」をまったく無視した集荷サービスによって、毎日集荷に追いまくられ、残業が常態化し、サービス残業が強制されている。2月に不払い残業に対して32億円の残業代が支払われたが、これは氷山の一角に過ぎないのだ。
 深夜勤導入によって現職死亡が30人を超え、東京中郵ではまたも58歳の労働者が犠牲になった。深夜勤と闘わない支部執行部は、彼がなぜ死亡したのか一言も語らない「追悼文」を書いている。言えないのは自分が共犯者だからだ。そんなやつの追悼文など絶対に許してはならない。
 東北・福島のいわき支部では、支部執行部が全員不信任され、新執行部が選出された。これに対し、地本が新執行部を不承認して混乱を引き起こしたあげく、組合員の怒りの前に地本委員長が謝罪するなど、現場の組合員の怒りと不満は沸騰点に達している。
 全国でわき上がる現場組合員の怒りと結びついて、6月全逓大会でアクションプラン2を不承認し、中央本部を打倒しよう。

 戦争と民営化攻撃に対決し4大産別決戦・都議選勝利へ

 東京の教育労働者は、昨春の300人に及ぶ不起立決起に続き、今春も60人の不起立決起を闘いぬき、ファシスト石原に大打撃を与えた。都教委は3月30日に卒業式の不起立者に対する懲戒処分を決定した。これは石原の事実上の敗北宣言である。「2年目の不起立闘争を封じる」という石原のもくろみは完全に打ち破られたのだ。不当処分決定に抗議して、被処分者の会を先頭にした闘いが開始されている。この闘う教育労働者の処分を恐れない不起立闘争を、全逓労働者はわがものとしよう。
 文科省は4月5日、「つくる会」教科書を検定合格させた。韓国や中国では連日、歴史の歪曲や領土強奪などに反対して反日デモや抗議行動が展開されている。「つくる会」教科書の検定合格こそ、日本帝国主義のアジア侵略戦争を謝罪することなく、逆に「大東亜戦争」と称して居直り正当化する行為である。
 アジアの人びとが怒りを持つのは当然だ。日米枢軸化を推し進め、またも侵略戦争にのめりこんでいく日本帝国主義に対する危機感の現れである。われわれは、このことを真剣に受け止めなくてはならない。
 「つくる会」の教科書採択を阻止する闘いが決定的である。とりわけその最大の焦点が東京・杉並だ。石原都政の先兵、山田区政との闘いは一歩も引くことができない闘いである。
 6月都議選がその最大の決戦場になっている。日帝・小泉の先兵、ファシスト石原を打倒するために長谷川英憲氏の当選を何がなんでもかちとらなくてはならない。これこそ、アジア人民の闘いにこたえる道だ。郵政民営化を絶対阻止することも、これと同じなのだ。〈戦争と民営化(労組破壊)〉の攻撃を打ち破り、4大産別決戦に絶対に勝利しよう。

 5・15を「民営化絶対反対集会」に

 このような情勢に真っ向から立ち向かえる陣形こそ、昨年の11・7労働者集会の切り開いた地平の中にある。この1〜3月、日本経団連の1・18改憲提言と教育提言などの小泉=奥田による大反動が吹き荒れた。その核心である国家主義・愛国主義の扇動、そしてファシスト石原の台頭は、「国際主義」と労働組合の新たな団結を呼びかけた11・7集会の地平の破壊・絶滅攻撃でもある。
 今春「日の丸・君が代」闘争は、これと対決する渾身(こんしん)の反撃だった。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部に対する弾圧への反撃と本山闘争の勝利は、05春闘の中で反転攻勢を示す意義を持った。6000人が結集した3・20集会の成功と陸・海・空・港湾労組20団体陣形の堅持は限りない展望を示した。これは3月決戦勝利のメルクマールである。これによって4〜6月決戦への展望を切り開いた。
 この階級的政治的情勢のカギを握っているのが、全階級的課題をかけた郵政民営化をめぐる攻防を軸とする4大産別決戦と都議選決戦である。郵政民営化法案策定・国会提出の時期にあわせて動労千葉が呼びかけた「戦争と民営化に反対する4・29労働者集会」は決定的に重要である。連合メーデーの腐りきったあり方を蹴飛ばし、4・29集会を「郵政民営化絶対反対集会」としてかちとろう。4・28反処分集会の成功をかちとり、連続闘争として全国の全逓労働者は総結集しよう。中央本部の裏切りを突き破る現場組合員の怒りで、5・15を「民営化絶対反対集会」に塗り替えよう。4〜6月都議選決戦を闘いぬき、長谷川英憲氏の当選をかちとって、ファシスト石原を打倒しよう。
 この力で、今年の11月労働者集会を1万人規模で大成功させる進撃を開始しよう。わが全逓委員会は、昨年11・7集会を倍する全逓労働者の結集へ向けて、郵政分割・民営化阻止へ物ダメ・ストライキで闘い、絶対に勝利することを誓う。

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週刊『前進』(2196号3面2)(2005/05/02)

 辺野古 本格的決戦へ

 ボーリング阻止貫いた1年

 計画撤回まで闘うと集会

 名護市辺野古の海上新基地建設のために昨年4月19日以来、防衛施設庁はボーリング調査の強行に踏み込んできたが、オジー、オバーによる座り込みの継続・発展と9月以降の海上攻防戦によって1年間、くい1本打たせなかった。4月6日の工事期限切れを前に、沖縄県は調査の1年間延長を承認、新たな攻防に入った。追い詰められた那覇防衛施設局は、4月21日にリーフ外でのボーリング掘削用のスパット台船を反対派を排除してでも強行設置すると宣言した。泥沼化するイラク侵略戦争と米軍の世界再編のもとで、沖縄基地はその役割を一層高めている。戦後60年の5・15闘争を前に新基地建設阻止の闘いは、日米帝の戦争政策を阻む本格的な決戦に突入しようとしている。
 4月17日、沖縄県名護市辺野古でボーリング調査を阻止する座り込み1周年の集会が基地の県内移設に反対する県民会議とヘリ基地反対協議会の主催で開かれ、450人が結集した。
 那覇防衛施設局は、4月21日にもスパット台船の設置を強行しようとしている。1年間阻止し続けてきた勝利の地平の上に、暴力的調査強行を絶対に阻止しようと意気高い総決起集会となった。
 県民会議の山内徳信共同代表は、那覇防衛施設局への波状的抗議や座り込みなどの闘いを紹介し、「民衆が力を合わせ、時代錯誤の基地建設を押し返している」「新基地建設計画は間違っていましたと政府に認めさせるまで気を緩めずに闘いぬこう」と訴えた。
 ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は「この1年間、多くの人たち、若者たちが単管に上り闘った。カンパも4000万ほど集まり、海人(ウミンチュ=漁師)も立ち上がった。座り込み参加者は3万人を超えた。21日にはスパット台船を追い返す闘いをやる」と決意を語った。
 平和運動センターの山城博治事務局長は「政府は虎視たんたんと県内移設を強行しようとしているが、辺野古での基地建設をぶっつぶすことが重要だ。頑張ろう!」と力強くアピール。政党代表が次々とあいさつし、糸数慶子参院議員は「辺野古に基地は造らせない。その勝利は目前だ。ともに頑張ろう」と訴えた。
 普天間基地爆音訴訟団の島田善次さんは「沖縄戦の日である4月1日にイラクから米兵が戻ってきた。中国をまねろというわけではないが、もっと激しくやろう!」。辺野古の弁護団は「憲法で環境権を盛ろうなどと改憲を主張し、実は環境を破壊している連中にそんなことが言えるか」と弾劾し、アメリカでのジュゴン裁判などの報告をした。
 地元代表として東恩納琢磨さんが「21日、辺野古へ来て目を光らせ、歴史の生き証人になってください。仕事を休んで来てください」と決起を訴えた。
 海人代表として山城善勝さんが「石川での発電所建設で生活できなくなり、国頭に来た。戦後私たちは海に助けられて生きてきた。この海に飛行場は造らせない。仕事を投げて毎日、海に来ている。応援してください」と訴えた。
 海上行動隊を代表して阿部和子さんが発言。「23歳の施設局職員に聞きました。『あなたは宮森小学校の事件、コザ暴動、少女暴行事件を知ってますか?』と。知りませんでした。沖縄の痛みを分からない。東京行動、大阪行動、全国的な支援がある。絶対に止めます」。こうした熱気あふれるスピーチが続き、最後に団結ガンバローを行い、参加者は21日に辺野古に再結集することを誓った。

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週刊『前進』(2196号3面3)(2005/05/02)

 “辺野古に行こう”

 平良夏芽さんが現地報告

 上野で集会・デモ

 4月16日、「ジュゴンとさんごの海を守ろう/沖縄に新しい米軍基地はいらない集会&コンサート」が東京・上野水上音楽堂で開かれた。毎週月曜日に防衛庁抗議行動を続けている「辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会」と、糸数慶子さんら沖縄選出国会議員6氏の呼びかけで、4月19日に座り込み1年を迎える辺野古現地闘争と呼応する集会・コンサートだった。
 集会に先立って上野公園からJR御徒町駅を周回するデモ行進が行われた。沿道からの飛び入りもあり、参加者は300人を超えた。道行く外国人が「ノーウォー!」と呼応、ビル工事中の労働者たちも手を振って声援してくれた。
 集会&コンサートには700人が集まった。メインは、辺野古から駆けつけた平良夏芽牧師(沖縄平和市民連絡会共同代表)。平良さんは、3月16日のスパット台船設置阻止の闘い、とりわけ海上保安庁との激しい攻防を報告し、「辺野古の闘いは本当に命がけの闘いです。でも、辺野古に関心を寄せる全国の皆さんがいると信じられるからそこまでできる」と語った。そして4月21日の工事強行の計画はほぼ確実だと警告を発し、「時間と気力、体力のある人は辺野古に結集してください。20人がヤグラに上ったら作業はできない。ヤグラ四つに80人が必要です。集まれない人は防衛庁、防衛施設庁に“強行するな”とファックスやメール、手紙、直接行くなどして声を届けてほしい。その声によって私たちは守られます。皆が主人公です。この後もきっちりと基地建設を止めていきましょう」と力強く呼びかけた。
 座間、横田、横須賀・厚木など反基地闘争の報告があり、辺野古現地で闘ってきた若者たちも次々発言、「辺野古に駆けつけよう」「東京で行動しよう」とアピールした。

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週刊『前進』(2196号3面4)(2005/05/02)

 “関空使わせない”

 泉州住民の会総会 派兵阻止へ決意

 4月10日、泉佐野市生涯学習センターで関西新空港絶対反対泉州住民の会総会が行われ、70人が参加した。主催者の森田恒一代表が「今年2月、自衛隊第10師団(名古屋市)の軍事物資輸送を関空に拒否させたことは、軍事利用反対運動が結実したものだ。関空2期は北朝鮮・中国侵略の基地づくりのため。戦争反対の闘いを強めよう」と述べた。
 安藤眞一・淡路町空港反対同盟事務局長と山本善偉・東灘区住民の会代表が来賓あいさつを行った。安藤さんは「この運動の力が軍事利用を止めた。住民の会の団結強化が大事」、山本さんは「神戸空港工事の中止を求める会で来年2月16日開港を止めるための会議をしている。ともに闘う」と述べた。三里塚反対同盟の北原鉱治事務局長のメッセージが読み上げられた。
 国賀祥司事務局長が運動方針を提起、「第一に最大の方針は5月第6次自衛隊イラク派兵に関空を使わせないこと。重火器・弾薬だけでなく日用品・隊員の輸送も許さない。第二に関空2期事業に反対しよう。第三に新田谷市長の空港優先市政をやめさせよう。第四に全国の住民運動、労働運動との連帯を強めよう」と述べた。(写真)
 第2部では、川村賢市さん(元自衛官、全日建連帯労組近畿地区トラック支部委員長)が「なんで自衛隊のイラク派兵に反対するのか」と題して記念講演をした。川村さんは「派兵に反対するのは、自衛隊の本来任務が平和と独立を守るためで、自ら攻めていくことではないから。自衛隊は戦場で敵を殺す訓練しかしていない」と述べた。自衛隊派兵差し止め訴訟を行っていること、前日は福知山駐屯地で自衛隊員に訴えてきたことを話し、最後に連帯労組に対する1・13大弾圧との闘いへの支援を呼びかけた。
 関空が「指定公共機関」とされ、いよいよ軍事使用との闘いが熾烈(しれつ)になっている中、関空2期反対運動は、派兵阻止闘争としてもますます重要だ。支援、連帯を強めよう。

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週刊『前進』(2196号4面1)(2005/05/02)

 中国人民の抗日運動に敵対する日本共産党

 「戦前と現在は違う」と侵略免罪

 「中国側の責任指摘に道理」と日帝・小泉政権を支持

 「暴力反対」叫び排外主義に屈服

 中国人民の日本帝国主義に対する怒りの決起は、さらに全国に広がっている。これは、日帝の新たな侵略と侵略戦争の攻撃に、中国人民がいかに大きな危機感と怒りとをもっているかを突きつけるものである。われわれはこの中国人民、朝鮮人民の決起を断固支持し、これと連帯して日帝の侵略と対決して闘わなければならない。ところが、この時に日本共産党は、「暴力はよくない」「戦前と現在を区別せよ」と中国人民に向かって説教をたれ、その闘いに真っ向から敵対し、日帝の攻撃を擁護しているのである。

 帝国主義の戦争こそが最大の暴力

 この間の問題については、市田書記局長が4月11日に、志位委員長が13日に日共としての見解を表明している(志位発言は別掲)。そこではそれぞれ、大きく3点を述べている。
 第一は、「どんな主義・主張も暴力に訴えるべきではない」ということ、第二には、「侵略戦争の反省こそ戦後の原点」であり、靖国神社参拝や「つくる会」教科書の検定合格のような態度を改める必要があるということ、第三には、「中国側は過去と現在の問題を一緒にすべきではない」ということである。
 これはそれぞれとんでもない主張である。そもそも日共は、中国人民が何に怒り、何を弾劾して闘っているのかについて、徹底的にあいまい化している。
 中国人民は、@日本の国連安保理常任理事国入り、A「つくる会」歴史教科書、B中国領・釣魚台(「尖閣諸島」)略奪攻撃、C小泉の靖国神社参拝、D憲法改悪策動と有事法制、E日米安保協での中国の仮想敵国扱い、などに対して、全人民的な怒りを爆発させているのである。
 そして同時に、F残存スターリン主義中国の「改革開放」路線、日帝資本(米欧帝資本)の抑圧と搾取・収奪に対して、そこで働いている青年労働者を中心に決起している。
 われわれはこの全体を真っ向から受けとめ、連帯して立ち上がるべきである。ところが日共は、これらのことを意識的に避けて通ろうとしているのだ。
 ここでは、4点にわたって日本共産党の態度を弾劾する。
 第一に、「どんな主義・主張も暴力に訴えるべきではない」という言説の超反動性である。
 それは、中国人民の闘いが、どれほど大きな怒りを表しているかを無視抹殺するものである。人民の側にではなく、国家権力の立場に立ったものの言い方なのである。
 そして、何よりも、中国人民の「暴力」に比べて、日本帝国主義が米帝とともに行っている暴力がその何千倍も何万倍も巨大な国家暴力であることを覆い隠していることだ。日米安保のもとに、沖縄を始め巨大な在日米軍基地を置き、新ガイドラインを締結し、周辺事態法、有事法制と戦争体制を強める日帝。この日米枢軸の戦争体制は、イラク侵略戦争を継続・激化させ、北朝鮮、ひいては中国の体制を転覆する侵略戦争のための攻撃なのだ。
 2月19日にワシントンで行われた日米安保協議委員会(2プラス2)では、「日米の共通戦略目標」を掲げ、台湾問題に言及し、中国を名指しして、米軍再編を行うことを確認した。これ自体が戦争行為だ。巨大な暴力であり、脅迫だ。
 戦争ほど大きな暴力はない。第2次世界大戦では日帝によってアジア人民2000万人が殺された。中国では3500万人が殺傷されたと言われている。
 これに比べたら、中国人民の抗議行動は、圧倒的に正義である。何が暴力か。この闘いに対して、権力とブルジョアマスコミと唱和して「反暴力」を叫ぶのは完全に帝国主義の側に立った、許せない行為である。
 もう一つ、中国人民の闘いがスターリン主義政府の制動を突き破り、スターリン主義を打倒する第2革命に発展することに対して、日本共産党は心底から恐怖しているのである。歴史の舞台に中国人民の巨大な大衆闘争が登場することの素晴らしさに感動するのではなく、逆に恐怖し憎悪しているのだ。そこに日共の反革命性が示されている。

 中国人民は現在の侵略に怒っている

 第二に、日共は日本政府に対して「歴史認識を正す」ように迫っているかにみえるが、ここにも大きなペテンがある。何よりも、彼らは、「つくる会」教科書や、小泉の靖国神社参拝が、日本を再び侵略戦争に引きずり込むために行われているのだという核心問題を覆い隠し、それに言及しないのだ。それらは過去の問題ではなく、今日と未来の問題なのだ。
 日共は、小泉政権が過去の侵略戦争を本当に反省して平和の道をとることがあるかのように描き出そうとしている。だが、小泉政権はすでにイラク参戦をもって戦時に突入し、帝国主義としてこの道を進むほかないのだ。このことをあいまいにした「歴史認識」などありえないのだ。
 第三に、決定的に重要なことは、日本共産党が盛んに「区別してとらえる」ことを強調していることである。市田は「また日本の一部の人物の言動と日本国民全体を区別することも中国側にもとめたい」と言い、さらに「同時に中国側にも過去の侵略戦争と現在の問題とを一緒にしないことをもとめたい」と言い、「いま日本が、中国に侵略したりしているわけではありません。過去の侵略戦争と現在とを区別してとらえることが大事でしょう」と言っている。
 前者については、自分たちが政府と声を合わせて「暴力はよくない」と非難していながら、どうして「区別しろ」などと言えるのか。中国人民の決起には道理があり、当然だ、自分たちも日本の労働者階級としてともに闘うという意思表示と行動があって初めて「一部の言動と人民を区別する」ことが可能になるのだ。日共はまず自分自身を正すところからものを言わなければならない。
 もう一つの「区別」はもっとひどい。市田は、今は中国に侵略しているわけではない、と言って、今日の日本政府と企業による中国侵略を「侵略ではない」と弁護しているのだ。
 これは今日の中国スターリン主義が「改革・開放」政策で外国資本をどしどし導入し、経済成長を図っていることを擁護・美化する立場から、そこでの日帝資本の低賃金での搾取と収奪の全体を擁護する態度をあからさまにするものだ。
 今日、日共は「資本主義の枠内での民主的改革」を綱領路線とし、資本主義をあくまで守りますと誓約しているが、同時に中国のスターリン主義体制について、これを「市場経済をつうじての社会主義への道」として擁護する態度をとっている。だから、そこでの中国経済の破局的危機についても知らん顔をし、それにつけ込んだ日帝資本の搾取と強収奪についてもすべて黙認し、「素晴らしい発展」と賛美しているのだ。
 中国人民の今日の激しい怒りが、現実の日系企業・資本の悪らつさに対して向けられていること、それがあるからこそ闘いが爆発するのだという自明のことを覆い隠し、「区別しろ」と叫ぶことで、日系企業で働く労働者の階級的怒りを封殺するのである。
 「区別」論に関して志位は次のように言う。
 「日中両国政府が、今回の事態の根本にある歴史問題――日本の過去の侵略戦争と植民地支配にたいして、これを肯定・美化する動きが日本の一部支配層のなかにおこっているという問題と、大使館や在留邦人・企業などの安全を確保するという問題とを、区別して対応することが大切だ」と。
 これも要するに、過去の侵略戦争の問題はそれとして横に置いて、今現在の「大使館や在留邦人・企業などの安全を確保する」ために日中両国政府は努力せよ、と言っているのである。歴史問題は完全に付け足しであって、「大使館や在留邦人・企業などの安全を確保する」こと、つまり人民の闘いから日本企業を守れと要求しているのだ。日帝の立場、国益論、排外主義に立って、人民の闘いを押しつぶせ、弾圧して取り締まれと要求しているのだ。
 そうした立場から、志位は中国政府に対して「安全確保の問題では、現に、日本大使館に被害がおこったわけだから、中国側は、国際的ルールにしたがって、責任ある対応をすべきだ」と要求し、「一方、日本側の対応についていえば、安全確保についての中国側の責任を指摘することには道理がある」と、町村外相の「謝罪と賠償要求」を支持している始末である。

 日帝の国益擁護の扇動と闘わぬ日共

 

第四に、今日の政府とマスコミの反中国の排外主義キャンペーンに対して、これを戦争への道を掃き清めるものとして真っ向から弾劾すべきであるにもかかわらず、日共は警鐘を鳴らすどころか、完全にこれに屈服し、唱和してさえいることである。
 今日、日共は、中国スターリン主義の「市場経済をつうじての社会主義への道」に、彼らの社会主義論の唯一の道を見出しており、したがって、中国経済の危機、中国社会の矛盾の深まりにも目を閉ざし、それを避けて通ることで、中国政府・中国共産党との関係を形成している。したがって、今日のような中国人民の巨大な決起が、必ず中国のスターリン主義体制そのものと衝突することを本能的にも知っており、それを恐怖しているのである。
 日共は闘う朝鮮・中国・アジア人民と連帯して日帝の侵略と侵略戦争を内乱に転化するという唯一の階級的・革命的立場には絶対に立たないから、この戦争に向かっての大濁流に抗するすべがないのである。
 したがって、今日の事態は、日本共産党の危機と破産を浮き彫りにしていると言えるのである。中国人民の闘いに敵対する日共を弾劾し打倒しのりこえる時だ。日本の労働者階級は小泉=奥田の先兵、ファシスト石原打倒、「つくる会」教科書採択阻止、6月都議選勝利へ闘いぬこう。 〔高田隆志〕

 資料 「反日デモ」に関する志位発言

 一、日中両国政府が、今回の事態の根本にある歴史問題――日本の過去の侵略戦争と植民地支配にたいして、これを肯定・美化する動きが日本の一部支配層のなかにおこっているという問題と、大使館や在留邦人・企業などの安全を確保するという問題とを、区別して対応することが大切だ。
 一、安全確保の問題では、現に、日本大使館に被害がおこったわけだから、中国側は、国際的ルールにしたがって、責任ある対応をすべきだ。
 一、一方、日本側の対応についていえば、安全確保についての中国側の責任を指摘することには道理があるが、同時に、今回の事態の根本に、自らもかかわって進めてきた、靖国神社参拝や、歴史の事実をゆがめた教科書問題など、侵略戦争を肯定・美化する動きがあることを直視することが必要だ。これをあらためる立場にたたないと、問題を根本から解決することにならないことを、指摘したい。(4月14日付『赤旗』)

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週刊『前進』(2196号4面2)(2005/05/02)

 狭山第2次再審棄却 部落差別の最高裁決定

 「自白」強要を暴き糾弾した石川さんの上申書を無視抹殺

 3月16日、最高裁第1小法廷(島田仁郎裁判長)は、石川一雄さんの狭山第2次再審・特別抗告を棄却する決定を下した。
 石川一雄さんは、「私の人間としての尊厳を踏みにじった裁判官は断じて許せません」「どんな仕打ちをされようとも、立ち上がって闘いぬくのが真骨頂」と、不屈の決意を明らかにした。われわれは、この石川さんとともに、最高裁決定を粉砕し、今度こそ、再審闘争の勝利をかちとらなければならない。
 最高裁決定を批判するにあたって、まずはっきりさせておきたいことは、「捜査」の名のもとに警察を先頭に日帝・国家権力が総力をあげて行った部落差別の扇動、差別捜査、デッチあげ逮捕、取り調べにおける拷問・誘導によるうその「自白」の強要、「証拠」の捏造(ねつぞう)など、極悪非道の限りを尽くした権力犯罪こそが、狭山差別裁判の一貫した本質であり、それこそが暴き出され、裁かれなければならないということだ。
 この点で、昨年10月末に石川さんが最高裁に提出した上申書は、警察権力の拷問、誘導、あらゆる手段を使った「自白」の強要と「証拠」の捏造を暴き、鋭く糾弾している。ところが最高裁決定は、この上申書の内容には一切触れず、無視抹殺した。最高裁決定批判では、この点にこそ最大の注目をし、弾劾しなければならない。
 その最たるは筆跡問題である。

 筆跡の問題で新たな粉飾

 「脅迫状」の筆跡は、犯人を特定する上で最も価値ある物証として、狭山裁判の最大の争点だった。
 第一に、今回も弁護団は、この「脅迫状」の筆跡が、石川さんが逮捕前に刑事によって書かされた「上申書」の筆跡とは、まったく違うことを主張した。
 これに対し最高裁は、一方では、東京高裁高木・高橋決定と同様に「書いたときの心理状況のちがい」をもって、「筆跡がちがっても不思議ではない」と居直っている。
 しかし、「筆跡のちがい」を認めつつ、「書いたときの心理状況のちがい」で片付けることは余りに暴論である。この暴論に対する批判の大きさに恐れをなした最高裁は、新たな粉飾をこらしてきた。
 「申立人の捜査段階の供述によれば、脅迫状作成に当たり、雑誌『りぼん』から振り仮名の付された漢字を拾い出して書き写した上、それを見ながら、3回の書き損じを経て4回目に書き上げたというのであって、その供述を前提にすれば、資料の参照、下書きの有無という点でも、文章作成の条件は、脅迫状と(逮捕前の)上申書とではかなり異なるものである」
 「心理状況のちがい」だけでは批判に堪えられなくなり、「資料を参照したかどうか、下書きをしたかどうかでも筆跡はかわる」と新たに付け加えてきた。
 では、この逮捕前の上申書自体、いったいどのようにして書かれたものなのか。石川さんの父・石川富造さんは、生前、次のように証言している。
 「(一雄は字が)皆目、ちっとも書けないし、自分の名も満足に書けなかった。警察がうちに三晩つづけてきた。ほいで、『脅迫状』ていうのを出して、『見て書け』って言ったら(一雄は)書けなかった。『時間かけても書けねえじゃ、しょうがねえじゃねえか』と。ほいで、一雄にこれ(ペン)をもたして、『こうゆうふうに書くんじゃねえかっ』て(手をつかんで)、書かせた。近所の若い方、百人にも書かせたそうです」
 これこそが、「上申書」の真実だ。この違法捜査こそが裁かれなければならない。しかも、このようにして強制された上申書自体、誰が見ても「脅迫状」の筆跡とは異なるのだ。

 「脅迫状写し」の真実は明白

 第二に、最高裁決定は、(逮捕後の)「脅迫状写し」について、「申立人が、昭和38年7月2日、勾留中に取調べの検察官から求められて脅迫状の内容を思い出して、万年筆を用いて再現したものである」と言っている。
 これについて石川さんが昨年の上申書で語っている。「中田さんの家に届けられた手紙を書いたと言えとも追及されました。私は当時、そんなものは書けませんと言いましたが、聞いてくれませんでした。狭山署に居る間に『脅迫状』を写す作業をさせられていたのです。当時の私は、ただ取調官から『それをやれ』と言われれば、有無を言わさず、その中身に関係なく拒否できないまま、書き写しました。其(そ)の作業は川越分室に移るまでさせられ、完成・未完成に関係なく、私が書き写した物は全(すべ)て、2本の鉄の棒に突き刺していたので、かなりの枚数があるはずですし、現在でも検察庁の未開示証拠の中に存在しているものと思います」
 これが真実だ。ことごとく警察の暴力によって強制されたのだ。最高裁決定は、この真実の叫びの前にぐらぐらになっている。石川さんの言う取り調べ当時の証拠が明らかになれば、筆跡問題の真実は一目瞭然(りょうぜん)であり、警察の暴力的デッチあげと石川さんの無実は明白である。最高裁は証拠開示勧告や事実調べを一切せず、他方、高木・高橋決定の「書いたときの心理状況のちがい」論を補足して「参考資料の有無」などという新たな奇弁に逃げ込み、真実の究明にふたをしたのだ。

 「国語能力」のデッチあげ

 第三に、当時の石川さんに「脅迫状」のような文書を書くことのできる国語能力はあったのかどうかも争点になってきた。そこには部落差別により文字を奪われてきたという差別の現実がある。茨城県連の婦人を始め、全国連も要請行動のたびに自らの生い立ち、識字を習う婦人が行った実験などに基づいて、石川さんには「脅迫状」は書けなかったと訴えた。
 最高裁決定は、この糾弾に追いつめられ、「靴店に住み込みで働いていた14歳のころには、店主の妹から約3カ月間平仮名や漢字を習い、得意先の名前程度は漢字で書けるようになっていたと認められ、ある程度の国語的知識を集積していたことがうかがわれる」と勝手な推測を並べている。
 しかし、これではせいぜい「得意先の名前程度」の筆記能力であり、「文書作成能力」の立証になっていない。このことに自ら動揺して、最高裁は次のような新見解を持ち出した。
 石川さんがかつて勤めていた養豚所の経営者が警察によって強制された供述から、「(石川さんが)私の家に居るとき、私が野球が好きで報知新聞をとっていると、この新聞の競輪予想欄を見ては、しるしをつけていたし、私の家でとっている読売新聞も読んでおりました」「交通法規の本を少し読んでいるのは見ました」などを取り出し、「石川には十分な国語能力があった」と強弁する。
 しかし、読売ジャイアンツのファンであった石川さんが報知新聞や読売新聞を「読んでいた」といっても、それが脅迫状のような作文能力の立証になるだろうか。競輪好きの人が予想新聞を見て印をチェックするからといって、どうしてそんなことが言えるのか。
 現に部落には、2005年の今日も、スポーツ新聞も読売新聞も「読んでいる」し、免許をとって車に乗って仕事をしているが、仕事で出す伝票一枚ですら他人を頼って書いてもらう人が少なからずいる。
 石川さんが事件以前に勤めていた製菓工場での経験を述べた上申書は、この暴論を打ち砕いている。
 「3年8ケ月程で、私は『クラッカー』という所の焼き上げの『責任者』にされてしまったのです。本来なら喜ぶべきことながら、『責任者』になると、当日使用した物品などを『伝票』に書かねばならず、無学の私には『読めない』『書けない』で思いあぐねた結果、親友に恥を凌(しの)んで自分の無学を教え、……書いて貰(もら)っていたのです」
 これが部落問題の真実の姿だ。最高裁は、この上申書に突き出された部落問題の真実から逃げ回ろうとして墓穴を掘ったのだ。

 差別糾弾闘争として貫こう

 狭山再審闘争勝利のために、裁判所が石川さん=クロの決定的論拠としてきた事実認定とその法的根拠を真正面から突き崩さなくてはならない。その核心は、警察による「自白」強制・捏造問題そのものだ。今回の決定文を根底から粉砕する作業をベースにしながら、基本的な方向を石川さんの「自白」が強制と誘導によってデッチあげられた問題にすえきって、ここを土俵とした再審闘争論を組み立てることが最大の核心点となる。
 狭山闘争が国家権力による部落差別に基づくデッチあげとの闘いであるならば、警察による誘導、強制、脅しなどによる「自白」の強制の問題は核心中の核心であるべきなのである。この問題が一貫して裁判闘争の基軸に座らずに、「自白」と「客観的証拠」との矛盾を明らかにするという方法がとられたことによって、「自白」そのものの権力によるデッチあげ問題があいまいにされた。したがってまた、部落差別との闘い(差別糾弾闘争)としての裁判闘争が明確にならなかったのである。解同本部派が狭山闘争を法廷技術主義に転落させ、大衆闘争、糾弾闘争と裁判闘争とを切断していった根拠も、ここにある。これでは差別裁判に永遠に勝利することはできない。
 あらゆる手段を使って石川さんを「自白」に追いやった警察・検察権力、そのすべてを認めた裁判所という国家あげての部落差別によるデッチあげという狭山差別裁判の全体系を、石川さんの真実の証言をベースに暴き尽くし、徹底糾弾して、再審闘争に勝利しよう。5・22狭山中央闘争に総決起しよう。
 〔桑木 暁〕

 解説 狭山事件

 63年5月、埼玉県狭山市で高校生・中田善枝さんの死体が発見された。警察は差別的見込み捜査で部落民の中から石川一雄さんを選び、5月23日に逮捕し、長期勾留の中で虚偽の「自白」を強要、「殺人犯人」にデッチあげた。64年3月、浦和地裁内田裁判長が死刑判決。2審冒頭、石川さんは無実を主張した。74年10月、東京高裁寺尾裁判長が無期懲役判決を下した。77年8月、最高裁が上告を棄却し寺尾判決が確定した。以後、石川さんは2度の再審請求を行ったが、いずれも棄却された。

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週刊『前進』(2196号4面3)(2005/05/02)

日誌'05 4月13日〜19日

 衆院憲法調査会が最終報告

 在外公館に自衛隊派遣検討

●東中国海ガス田の試掘権手続き開始 経済産業省は、東中国海の石油・ガス田開発問題について、日本の企業が申請している試掘権を認可する手続きに入ったことを明らかにした。中国側は「中国側の権益と国際関係の準則に対する重大な挑発だ」と抗議。(13日)
●横田基地の機能維持へ 米政府が米軍再編で、第13空軍司令部(グアム)と横田基地(東京都)の第5空軍司令部を統合する案を白紙に戻し、横田基地の司令部機能を維持する一方、第13空軍司令部を改編してハワイに新たな「戦闘司令部」を創設する方針を日本政府に伝えていたことが明らかになった。(13日)
●海自派遣を半年間延長へ 政府は、テロ対策特措法に基づきインド洋に派遣している海上自衛隊の派遣期間について、5月1日に期限が切れる基本計画を変更し、半年間延長して11月1日までとする方針を固めた。防衛庁によると、海自は、01年12月から今年3月末までに、米英など11カ国の艦艇に対し約500回、約39万5千`リットル(約150億円相当)の給油をした。(13日)
●ステルス軍艦を日米共同研究 防衛庁と米国防総省は、レーダーに捕捉されにくいステルス性に優れた艦艇を日米で共同研究することで合意し、了解覚書を交わした。(14日)
●在外公館警備に自衛隊派遣も検討 町村外相は参院外交防衛委で、中国の抗日デモで日本大使館に投石が行われたことに関連し、在外公館警備に自衛隊隊員を派遣するなどの対策を検討する考えを示した。(14日)
●衆院憲法調査会、最終報告書 衆院憲法調査会は、5年余りの議論をまとめた最終報告書を、自民、民主、公明の賛成多数で議決した。9条については、1項の戦争放棄の理念は堅持するが、自衛権や自衛隊の存在を明記する改正が多数意見とされた。(15日)
●都市型施設、4月下旬から訓練 沖縄県金武町のキャンプ・ハンセン「レンジ4」で建設が進む都市型戦闘訓練施設について、米側が4月下旬から訓練を始めると政府に伝えていたことが分かった。(15日)
●上海の抗日デモ数万人に 中国・上海の抗日デモがこれまでで最大の数万人規模に膨れ上がり、デモ隊が日本総領事館に押しかけて投石などした。杭州市や天津市でも数千人規模のデモが行われた。(16日)
●日中外相会談 町村外相と中国の李肇星外相が北京市で会談。町村は、中国各地での抗日デモで被害が出たことについて、謝罪や賠償、再発防止を求めた。これに対し李外相は「中国政府は、これまで一度も日本国民に申し訳ないことをしたことはない。日本政府は、歴史問題などで中国国民の感情を傷つけている」と指摘、具体的に小泉首相の靖国神社参拝や教科書問題をあげた。(17日)
●イラク第6次後期要員、小牧を出発 航空自衛隊のイラク派遣輸送航空隊の第6次後期要員79人が愛知県小牧市の空自小牧基地からバスで中部国際空港に移動し、チャーター機で出発した。(18日)
●米軍支援受け空中給油訓練 空中給油機を06年度末に導入する航空自衛隊が米空軍の支援を受けた空自のF15戦闘機の空中給油訓練を公開した。訓練には米軍嘉手納基地所属の第909空中給油隊が参加。KC135空中給油機から給油用パイプに空自千歳基地(北海道)所属のF154機が延べ10回接続した。(18日)
●コブラゴールドに陸・空自 大野防衛庁長官は、5月2日からタイで行われる米国などとの合同軍事演習「コブラゴールド」に陸上、海上、航空の3自衛隊幹部を参加させる方針を明らかにした。陸・空自が多国間訓練に参加するのは初めて。(19日)

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週刊『前進』(2196号5面1)(2005/05/02)

 “介護の長谷川氏”を都議会へ

 石原により福祉は破壊される

 労働者人民に全犠牲を強制し怒りの反乱は治安弾圧で圧殺

 6月都議選は、日帝打倒、プロレタリア世界革命に向けた血路を切り開くための決定的な決戦となった。米帝のイラク侵略戦争が泥沼に突入する中で、日帝・小泉政権は、日米枢軸路線によって自衛隊をイラクに派兵し、侵略戦争へと突入した。そして米帝ブッシュの世界戦争路線とそのための米軍大再編・日米安保のエスカレートと一体で、北朝鮮・中国侵略戦争に突進しようとしている。この小泉=奥田路線のファシスト突撃隊が東京都知事の石原だ。1〜3月の「日の丸・君が代」強制拒否の教労決戦の大爆発を引き継ぎ、東京・杉並区での「つくる会」教科書採択阻止の闘いを大爆発させ、ファシスト石原・山田打倒、都議選勝利へ総決起しよう。

 小泉=奥田路線の先兵として社会保障制度を解体

 小泉=奥田の攻撃は、帝国主義間戦争の過程が開始される中で、日帝の戦後体制と戦後的諸関係、価値観を暴力的に解体・再編して日帝ブルジョアジーが生き残ろうとするものにほかならない。その攻撃は労働者階級人民にすさまじい犠牲を強制する。したがって、連合などの既成指導部がどんなに裏切りを深めて日帝ブルジョアジーの先兵になろうとも、労働者階級人民の怒りの決起を抑えきれるものではない。
 こうした中で、日帝ブルジョアジーはファシスト・石原を先兵として労働者階級の闘いを圧殺し、戦争への道を突進しようとしている。石原は、首都東京の権力を握り、国がやれないことも、国に先駆けて強行することで戦争と民営化(労組破壊)・社会保障制度解体の攻撃を進めようとしている。
 石原は、自治体首長の立場にありながら「命がけで憲法を破る」と公言している。そして天皇を賛美し靖国神社参拝を繰り返して天皇制イデオロギーを復活させようとたくらみ、「日本軍が南京で虐殺を行ったと言われますが、これは事実ではない」と南京大虐殺を否定し、暴虐のかぎりを尽くした植民地支配・侵略を居直って、「中国を分裂させよ」と侵略戦争を扇動している。こうした反動的言辞の数々は、帝国主義の危機と戦争の時代への突入の中で、戦後的あり方を右から転覆して帝国主義間争闘戦、戦争に勝てる国家に転換させようとするものである。しかも日帝権力機構や警察権力を使い、ファシスト政策を進めている。
 石原のファシスト的政策の柱に「日の丸・君が代」強制をとおした教育制度改革の攻撃がある。「つくる会」教科書の採択を狙う攻撃と一体となって、10・23都教委通達によって教育労働者の闘いを圧殺して、戦争教育へと全面的に塗りかえようとしている。それは同時に労働組合を破壊する攻撃である。卒・入学式での60人にも上る都高教労働者の不起立の闘いはこの攻撃をはね返し、石原打倒の巨大な展望をこじ開けた。
 その上で決定的なことは、小泉=奥田の先兵としてファシスト石原が日帝の戦後的あり方の反動的転換を狙って社会保障制度の全面的解体の攻撃に出てきていることである。

 介護保険導入を突破口に

 ファシスト石原の社会福祉政策の特徴は、日帝が介護保険制度導入(97年法成立)によって社会保障制度全体を解体する攻撃を開始したことを受けて、小泉=奥田路線を貫くために全国に先駆け突出して福祉解体の攻撃を行っていることにある。
 石原は都知事就任後の99年9月に「障害者」施設を視察し、「ああいう人って人格あるのかね」「安楽死なんかにつながるんじゃないか」と「障害者」差別発言をし、安楽死を扇動した。また01年には週刊誌などで「文明がもたらしたもっとも悪しきものはババアなんだそうだ」と発言した。石原の暴言は単なる暴言にとどまらない。こうした差別思想のもとに「改革」と称して福祉切り捨て政策を強行している。
 石原の福祉切り捨て政策の背後には、日本帝国主義の危機に対する絶望的な焦りがある。帝国主義間争闘戦の激化の中で、福祉制度などは無駄であり、切り捨てなければ日帝が延命できないというイデオロギーがある。先に見た石原暴言は福祉切り捨てを推し進めるための扇動なのである。
 どんなペテンを使おうとも社会保障解体は、広範な労働者人民の怒りの爆発を引き起こさずにはおかない。もともと社会保障制度は、資本主義が帝国主義へと推転し危機の時代に突入する中で、労働者階級の革命的闘いの高揚への譲歩という側面と、その闘いの圧殺という側面の両面を持って形成されてきた。
 石原は、そのことを熟知した上で「都の行政がやる最大の福祉は治安維持である」(03年7・8付日経)と言って内乱的危機に対しては治安体制の強化で対応しようとしている。石原の治安弾圧強化の攻撃は、帝国主義間争闘戦に勝ち抜くための国家体制の構築という狙いと、社会保障制度全面解体を始めとした労働者階級への攻撃が必然的に引き起こす人民の怒りの爆発を暴力的に圧殺する狙いを同時にもって全面的に展開されているところにファシスト的な凶暴性がある。
 石原は、2月25日の記者会見で首都大学東京について「自衛隊に1年体験入学するとかね、警察にはいるとか、……私はそれはね、つまらぬ授業に出るよりもずっとずっと効果があると思うから、その1年間は大学に出たことにするみたいな、そういうシステムを今後とるわけです」と言っている。まさに学徒動員や徴兵制の先駆けをやろうとしているのである。

 「選択」「自由契約」うたい認証保育所で保育を破壊

 石原の福祉破壊攻撃の第一は、認証保育所制度の導入で福祉としての保育を支えてきた認可保育所制度を解体し、保育の分野を利潤追求の場に投げ出すことである。石原は当選翌年の2000年「福祉改革推進プラン」を打ち出し、そして02年2月には「TOKYO福祉改革STEP2」を打ち出した。石原の福祉改革は〈選択>〈競い合い>〈地域>をキーワードとして提唱されている。そしてその柱になっているのが認証保育所制度である。
 認証保育所制度は、「大都市の多様なニーズにこたえる」と称して「駅前設置」「ゼロ歳児保育」「13時間開所」をうたい文句に東京都独自の制度として始められた。しかし、この制度は@庭園がなくてもいいとしている、A1人あたりの施設面積が2・5平方bでいいとしている(認可保育所は3・3平方b)、B保育士の資格をもつ職員は6割でいいとしている、などの問題をもっている。
 認証保育所のA型は184施設になっているが、そのうちの8割が株式会社か有限会社の営利企業であり、保育料は認可保育所の2〜3倍になっている。「自由契約」をうたい文句にしていたが、保育料が安いところで4万3000円から高いところでは12万円というのだ。こんなに高い保育料で何が「選択」というのか。これでは多くの労働者家庭では子どもを預けたくても預けられない。
 東京都は、認証保育所がなかなか増えない現実に対して昨年5月6日、東京都児童福祉審議会の意見具申で「(補助が)認可保育所ばかりに手厚い」として大幅削減を打ち出した。「競争の促進」「認可保育所の生き残りをかけた改革を迫る」(民主党富田俊正)と認可保育所に対する圧力を強め、認証保育所を拡大しようとしているのだ。さらに認証保育所制度の実施にともなって無認可保育所に対する都加算補助をゼロ歳児に厚くすると称して3歳以上の補助を廃止し、全体として大幅に削減した。こうした補助金の削減は、保育所で働く労働者の労働条件や保育料、保育の状態に直接の打撃になっている。
 また、認証保育所は、内部告発が起こるほど保育の条件が劣悪であり、保育料も高いという中で、それほど拡大していない。大手資本が子会社を使って参入した認証保育所を廃止するところも現れている。そのため子どもたちはベビーホテルに投げ出される結果になっている。
 石原は、「東京の独自性」として「女性の社会進出や核家族化が進み、地方と比較して、相対的に保育サービスを必要とする子どもの割合が多い」「就労形態が多様で通勤時間も長くなりがちであることから、延長保育や休日保育に対するニーズはより強い」と言っている。これは、日帝・小泉=奥田路線のもとで労働者階級を不安定雇用、長時間労働・深夜労働、低賃金といった過酷な労働条件や、保育もできず、働かざるを得ない状況に労働者が追いやられている結果である。それについては素知らぬ顔で「都市型保育サービスへの転換」などと称して福祉を破壊することは絶対に許せない。
 石原福祉改革のさらに重大な点は、それによって労働者に犠牲が強制されるということだ。
 三鷹市が開設した保育園を公設民営方式とし、ベネッセコーポレーションに委託した結果、公営の運営費の半分で済んだと言われているが、それは労働者の賃金をそれだけ低くしたということなのだ。職員は有資格者だが、全員が1年ごとの契約社員で低賃金が強制されている。職員の入れ替わりも激しく、すでに園児置き忘れなどの事故が発生している。
 しかも石原は、福祉解体をそれ自身として追求するだけでなく、同時にそれを労働者階級に対する攻撃として目的意識的に展開しているところにファシストとしての凶悪さがあるのだ。

 都立病院を半分に統廃合し地域住民の医療を奪う

 石原の福祉破壊攻撃の第二は、都立病院の「民間移譲、民営方式の導入」による統廃合である。
 石原は、知事就任直後に 「公共事業なんてみんな民営化したらいいんだ」「病院も含めて、民営化できるものはすべて民営化を考える」と発言した。そして2000年8月の「衛生局改革アクションプラン」(第2次)でその中心に都立病院改革を位置づけ、01年12月に「都立病院改革マスタープラン」を打ち出し、現在それに基づく再編が進んでいる。
 その内容は、16カ所ある都立病院を8カ所にし、豊島病院・老人医療センターの統廃合・民営化、荏原病院・大久保病院・多摩老人医療センターを衛生局の第三セクターである保健医療公社に移譲し将来的に民営化すること、清瀬小児病院・八王子小児病院・梅ケ丘病院を統廃合してセンター化すること、母子保健院の廃止などである。
 すでに01年11月に墨東病院に「東京ER(救急治療室)」を導入したのを始め、02年12月には母子保健院を廃止し、04年4月に大久保病院を、05年4月には多摩老人医療センターを東京都保健医療公社に移し公社化した。東京ERは広尾病院、府中病院にも開設されている。豊島病院の区移管に向けては板橋区との協議が進められており、荏原病院の公社化に向けても検討が進められている。府中病院、松沢病院、駒込病院についてはPFI(民間資本の活用による公共施設の整備)方式の導入が検討されている。PFI方式は、民間資本に公有地を無償貸与し、利潤追求の場にするものだ。
 清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院の統廃合は、府中病院のある敷地に移転するというものである。地域に子どもを診る病院が少ないことから多くの地域住民が利用してきた中での移転は、それぞれの地域にとっては廃止以外のなにものでもない。診療を受ける機会が奪われるのだ。それぞれの地域で反対運動が起こっている関係で東京都は当初予定の07年実施を2年延期するとしている。
 こうした都立病院改革は労働者・住民から医療を奪うものである。東京都はかぜなどの比較的症状の軽い病気は地元の診療所や病院で治療を行い、重症の患者は診療所などの紹介をとおして高度の機能を持つセンター的機能病院で受診するとしている。これまで都が行ってきた医療の一部を区市町村や民間に受け持たせるという名目で投げ出すのである。そうしておいて採算が厳しい医療分野を民間病院が行うために都が出していた一般会計補助金を99年から03年までで103億円も削減した。
 都立病院の公社化・民営化で職員が削減されることは不可避である。15以上の診療科目をもつ8つの都立病院の100床あたりの職員数と東京都保健医療公社として設立された2つの病院を比較するとその差は明白である。医師数では東部地域病院は都立病院より4・2人、多摩南部地域病院は4・9人少ない。看護師数は東部地域病院は19・7人、多摩南部地域病院は18人少ない。職員総数では東部地域病院は31・1人、多摩南部地域病院は28・1人少ない。こうした職員数の削減、労働強化は、医療事故につながるものであり、すでに多摩南部地域病院、東部地域病院とも死亡事故さえ起こっている。

 都立の福祉施設を廃止や民間移譲ですべてなくす

石原都政の福祉破壊攻撃の第三は、都立福祉施設の全面的な解体として進められている。
 都立福祉施設改革推進委員会は02年6月、都立の福祉施設をほぼ全面的に廃止、あるいは民間移譲する報告書をまとめた。別表に見るように高齢者福祉、児童福祉、障害者福祉の全面的な解体である。報告書が出されて3年足らずだが、すでに04年10月に調布福祉園が民間移譲され、町田福祉園も民間移譲の運営事業者が決定されている。
 報告書では「都立福祉施設は今後一定の時間をかけながら、漸次収束させていく」と全面廃止を宣言している。報告書はさらに「利用者本位という考え方は、単に福祉サービスを直接に利用する立場に立つということにとどまるものではなく、……財源を本源的に負担する納税者としての都民の立場に立つということを意味している」と言っている。このように「利用者本位」はまったくのウソで、資本の利益のための都の財政改革で福祉を切り捨てるものである。
 もともと資本主義社会では、資本の利潤追求の論理によって、労働者階級に悲惨な現実が強制され、特に子どもや高齢者、「障害者」に犠牲が集中する。労働者階級の怒りとブルジョア支配の危機の中で国、自治体など公的機関が担うべきものとして社会福祉が行われてきたのである。
 戦後日帝の福祉政策が収容施設への隔離・抑圧の差別政策として展開されてきたことに対して怒りに燃えて決起した「障害者」は、「すべての『障害者』が人間らしく、あたりまえに生きられる地域生活の保障」を求めて闘ってきた。そして、「障害者」自身と支援の労働者人民の闘いで一定の範囲で地域自立生活をかちとってきた。ところが日帝は、介護保険制度の導入をテコに「障害者」に支援費制度を導入し、さらに今国会で障害者自立支援法を成立させ地域自立生活を奪おうとしている。
 東京都福祉改革推進委の報告書は、「ごく当たり前に地域の中で自立した生活を続けていける社会の実現をめざす」とあたかも福祉改革が地域自立生活のためであるかのような言辞をろうしている。だが実際には地域自立生活のための政策は何もないどころか、「福祉サービス提供主体経営改革に関する提言委員会」の提言に基づき福祉施設を移譲する民間施設に対する都の補助を削減する。要するに、あらゆるペテンを使いながら、福祉を全面解体しようとしているのである。
 石原が、府中療育センターを視察し、「人格はあるのか」と差別発言を行ったのは、単に差別思想の持ち主だから差別発言が出たという問題ではなく、こうした福祉を全面解体するために意図的に差別をあおる目的があったのだ。
 福祉施設改革では、都外児童養護施設は「規模を縮小し漸次廃止」とし、都内児童養護施設についても「民間移譲」して都立児童養護施設としては完全になくす方針を打ち出している。そして「養育家庭制度やファミリーグループホームなど地域に根ざした家庭的養護施策を再構築する」としている。ところがその養育家庭制度のために都内に9カ所ある養育家庭センターは2カ所のサポートステーションに再編される。しかも東京都の補助は大幅に削減されている。
 日帝の経済危機と資本による解雇、賃下げ、不安定雇用化、強労働など労働者に対する攻撃で労働者家庭に激しい矛盾と犠牲が強制されている。社会福祉政策の必要性はますます高まっているのである。ところがファシスト石原は、「東京から日本を変える」と叫んで社会保障を全面的に切り捨て、労働者人民の怒りの高まりに対して治安弾圧体制を強化し、侵略と戦争への道へと突進している。
 6月都議選決戦で長谷川英憲さんの当選をなんとしてもかちとり、ファシスト石原を打倒しよう。長谷川さんは、介護と福祉を要求する杉並住民の会や介護保険に異議あり全国ネットワークで高齢者とともに社会保障解体と闘い、介護保険廃止に向かって闘ってきた労働者階級の代表だ。この6月都議選の勝利に労働者階級人民の未来がかかっている。ファシスト石原、その一翼である杉並・山田区政を打倒し、日帝・小泉=奥田路線による侵略戦争への突進をうち砕こう。

図 都立病院再編整備案の概要

都立病院再編整備案の概要(都立病院マスタープランより)
現行都立病院(16)
再編後の都立病院(8)
墨東病院(総合病院) 23区全域の住民対象の病院
府中病院(総合病院) 多摩全域の住民対象の病院
清瀬小児病院、八王子小児病院、梅が丘小児病院 府中病院のある敷地へ移転統合する
大塚病院(総合病院) 産前産後、小児、リュウマチ
駒込病院(総合病院) 膠原病等中心
広尾病院(総合病院) ガン、感染症等中心
松沢病院(精神病院) 急患・災害医療等中心
神経病院(神経難病) 精神医療専門
 
現行都立病院
再編後公社化・民営化
豊島病院(総合病院)、老人医療センター 民営化(板橋区に移譲交渉中)
大久保病院(総合病院)、荏原病院(総合病院)、多摩老人医療センター 公社化(検討中)(すでに公社化)
母子保健院(産院・乳児院) 廃止(すでに廃止)

 

都立福祉施設改革委員会報告書の内容
特別養護老人ホーム 板橋ナーシングホーム 東村山ナーシングホーム 廃止に向けて順次規模縮小
養護老人ホーム 板橋老人ホーム 東村山老人ホーム 吉祥寺老人ホーム 大森老人ホーム 廃止・順次規模縮小・早期に民間移譲
軽費老人ホーム むさしの園 早期廃止
都外児童養護施設 舟形学園 八街学園 勝山学園 片瀬学園 伊豆長岡学園 規模を縮小し漸次廃止
都内児童養護施設 中井児童学園 品川景徳学園 石神井学園 小山児童学園 むさしが丘学園 民間移譲
知的障害者更正施設 七生福祉園 千葉福祉園 八王子福祉園 小平福祉園 日の出福祉園 町田福祉園 練馬福祉園 調布福祉園 小規模施設は順次民間移譲・大規模施設は規模を縮小し民間移譲(事業者決定)(すでに移譲)
知的障害児施設 七生福祉園 千葉福祉園 東村山福祉園 規模を縮小し民間移譲
身体障害者療護施設 日野療護園 多摩療護園 清瀬療護園 民間移譲
身体障害者更正施設 視覚障害者生活センター 聴覚障害者生活センター 清瀬園 民間移譲
身体障害者授産施設 練馬就労支援ホーム 大泉就労支援ホーム 清瀬喜望園 用賀技能開発学院 廃止または施設種別変更や統合

 

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週刊『前進』(2196号6面1)(2005/05/02)

団結広場 投稿コーナー

 「つくる会」との攻防の焦点・杉並街宣へ 都革新・街宣スタッフ 上渓祐希

 中国などアジア各国の若者を中心とした抗日デモが街頭を揺り動かしています。怒りの的は日帝のアジア再侵略、“侵略を居直る教科書”の検定通過です。闘うアジア人民と連帯し、労働者民衆の戦争動員をうち破るため、「つくる会」との攻防の最大焦点である杉並へ、街頭宣伝への皆さんの参加を呼びかけます。
 わたしは連日、朝夕は区内駅頭で、さらに毎週水曜には昼に区役所前で、労働者・市民に「つくる会」教科書採択阻止を呼びかけています。長谷川さんや都革新議員団のアジと一体でビラまきや署名集めを行っています。街頭の状況はアジア人民の決起が開始されて以降、急激に日々変わってきています。情勢の激動が明らかに街を揺さぶっています。特に若者の反応です。討論すれば、マスコミ宣伝のうのみではなく、「本当のことが知りたい、何が問題で、何が起きているのか」という声が聞かれます。ビラの見出し「抗日デモの背景を考えよう」をじっと見て、受け取っていく人もいます。
 マスコミでは連日、排外主義が振りまかれています。しかしどれだけ「中国の反日教育のせいだ」「謝罪・補償しろ」とわめき立てようとも、中国−アジア人民の決起はますます燃え広がっていくでしょう。7月、「つくる会」教科書の採択を石原都知事−山田区長が狙っています。アジア人民の闘いへのエールとして、「つくる会」教科書採択阻止・都議選勝利へ、教育労働者をはじめとする戦争協力拒否の闘いを押し広げていきましょう。闘いを呼びかける長谷川さんの主張を杉並中に響き渡らせ、私たち一人ひとりが力づよく登場し、一人でも多くの区民と呼吸していこう。ファシスト石原打倒へ、決戦の杉並に駆けつけよう。

 労働者の階級的本能で関生公判に参加 九州・民間労働者 杉野秋夫

 4月7日、関西地区生コン支部に仕掛けられた不当弾圧=デッチあげ起訴に対する第1回公判闘争に九州から断固かけつけました。主催者の予想を超える1200名(主催者発表)の結集が勝ち取られました。
 この弾圧はあたりまえの組合活動にかけられたものです。労働組合そのもの、労働者が人間として生きていくことそれ自体を否定するものです。私の中の労働者の階級的本能が敏感に反応しました。緊急な呼びかけにもかかわらず、これだけ多くの労働者が結集したのは、私と同様な思いが、参加したすべての労働者の心の中に浮かんだからではないかと思います。権力にとっては、11月労働者集会に結集する勢力になんとかして打撃を与え、運動を破壊しようと意図したものでしょうが、あまりにも破産的であることはあきらかです。
 被告とされる委員長以下当事者達の闘う決意は決然としているとの傍聴報告に大きな拍手と喝采(かっさい)が巻き起こりました。11月労働者集会に直接参加していない闘う仲間にも大きな感動を与えました。
 私たちが、この闘争を断固として支援し、支え抜いていく中で、さらに大きな団結と結集を勝ち取ることは可能だと思います。
 国労5・27弾圧や部落解放同盟全国連寝屋川弾圧でも闘いの輪を大きく広げ勝利的に前進しています。
 この闘争には動労千葉や30年以上の闘いで最終的勝利を勝ち取った全金本山からの報告もありました。
 私はこの闘争に参加することで、私たちの闘いは、正しい方針と、どんな困難にもあきらめない不屈の闘志があれば絶対に勝利することができることの確信を持つことができました。

 強盗戦争の悪夢の歴史を繰り返すな 京都 山田一也

 はじめての投稿です。私は現在、「集会」で知り合った人から『前進』を購読しています。なかなか時宜を得た鋭い分析と何よりも最も虐げられた人々から見た世界観には敬意を表さざるを得ません。その一貫性とゆるぎない革命的破壊力をもった解説と論評は、おそらく日本では貴社をおいて他にはないという確信に至りました。
 この間の中国・韓国における労働者人民の怒りの爆発に対する報道は、もはや既存のやり方ではやってゆけなくなった帝国主義とスターリン主義の破綻(はたん)とその悲鳴を表していますね。
 それにつけても「わが祖国」日本の労働者人民の闘いは如何でしょうか。帝国主義本国における階級的決起を一日でも早く、いや「一日千秋」の思いで待っているというのが偽らざる彼らの気持ちではないのでしょうか。ファシスト石原をはじめとする首都圏における支配者、その走狗(そうく)どもの一言一言がどれ程アジア人民・大衆の煮えくりかえる怒りを呼んでいるか、想像にかたくないでしょう。「日の丸」を手に次から次へと「靖国」で参拝合掌し、ドトウの如くアジアへと侵略、略奪の強盗戦争へと、その軍靴を進めていった、あのいまわしい悪夢の歴史は高々60年前のことでしたね。
 政府・国家権力は、その責任をいまだに認めず、驚くべきことにひたすら居直り、「明治」以降の天皇制国家権力の果たした役割をあがめたてまつろうとしています。
 「国の自己責任」を果たさない日本とは何なのでしょう。結局、労働者人民による革命をもってしか、その責任を果たしたとは言えないということでしょう。小泉=奥田路線は今や、墓場へと突き進んでいます。さあ、私たちは彼らに「死に水」をくれてやろうではありませんか。

 日共に対する明確な批判が大いに嬉しい 尋常高等小学校卒・91歳 南野修吾

 1970年ころから時々『前進』を読んでいます。そのころ私は日中友好協会を主導していた日本共産党の変質に抗議し、新たに立ち上げられた日中友好(正統)本部の活動に参加してきました。当時、中核派活動家のAさん(女性)と知り合ったのですが、その時はそれほど深い交流はありませんでした。ところが、その後30年余を経てある集会で再びめぐり会い、わが娘に再会したような欣(よろこ)びを覚え今日に及んでいます。
 『前進』を継続して読んでいるのではなく、同じ運動の会議とかデモとかで出会ったとき、または彼女がわざわざ拙宅まで持参してくれるのに甘えて読ませてもらっています。日共に対する明確な批判、大いにうれしい。また、世界各地の民衆のたくましいたたかいの報道や写真の豊富なのもうれしい。また、共謀罪は、かつての治安維持法以上の悪法です。戦前・戦中になめた苦難の再現は、命ある限り阻止するため、たたかいを続けたい。
 しかし、別に批判するつもりはないけれど、「米帝」「日帝」の文字がやたら目に入ります。「帝国主義」の具体的な認識の厚い人は良いけれど、そうでない者、例えば私のような90歳の老人や今年大学に入ったばかりのボンボン(苦労知らず)には、テイコクシュギって、なんや、これ……と首をかしげかねない、と思うのですが。まあ、これは90じじいの「独り言」と聞き流してください。
 中核派・革共同・『前進』は、黒田寛一=カクマルとの永年の血闘で相当のエネルギーを消耗したように思いますが、すでにカクマルは滅亡寸前。今こそ「労働者・人民の党」建設にまっしぐらに進んでもらいたいと願っています。

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週刊『前進』(2196号6面2)(2005/05/02)

 広島 教基法改悪阻止へ集会

 今春「日の丸・君が代」闘争で勝利感

 大内さん 5・7全国集会を呼びかけ

 4月17日、広島市の国労会館で「『日の丸・君が代』強制と処分を許しません/子どもはお国のためにあるんじゃない!/教育基本法の改悪をとめよう4・17ヒロシマ集会」が開催されました。今春卒・入学式闘争を闘った広島と中四国各県の教育労働者など150人余の結集で会場に勝利感と闘志があふれました。 
 呼びかけ人を代表して広島県朝鮮人被爆者協議会会長の李実根さんが開会のあいさつ。「戦後60年の今、日本は大きく右旋回しようとしている。歴史に学ばない日本の為政者は、教育勅語と大日本帝国の復活を狙っている」と警鐘を鳴らし、「アジアの人びとと連帯して、戦争国家への道を阻もう」と訴えました。 
 今春「日の丸・君が代」をめぐる闘いの報告が行われ、会場は共感と感動の拍手にわき立ちました。広教組・広高教組の仲間が青年部を先頭に壇上に勢ぞろいし、職場・分会での多彩な不起立・不服従闘争を報告しました。さまざまの困難と葛藤をのりこえて職場の先頭に立ち、反動を打ち破って勝利した経緯が一人ひとりから具体的に語られ、全参加者に大きな感銘と勇気を与えました。
 高校生は、文科省−県教委−反動校長らを串刺しに弾劾し、正義感あふれる決起の模様を報告しました。
 実行委員会を代表してセイブ・ザ・イラクチルドレンの大江厚子さんから支援・共闘の闘いが報告されました。その中で、イラク派兵阻止のために「教え子を戦場に送らない」日教組綱領を身をもって実践する教育労働者の存在と魂に触れて心から励まされたことが紹介されました。
 松山大学助教授の大内裕和さんが講演し、「今春東京と広島の不起立・不服従闘争は、教基法改悪の先取りとしての『日の丸・君が代』強制の攻撃に大打撃を与えた。教育労働者の反撃の拡大こそ、教基法改悪法案の通常国会上程を阻んでいる力だ」と、東京と広島の闘いをたたえ、この力を推進力として教基法改悪・憲法改悪を阻止しようと訴えました。
 吹き荒れる「学力低下」キャンペーンが、国鉄分割・民営化をめぐる「ヤミ・カラ」キャンペーンと同じであり、日教組破壊の攻撃であることを暴露し、また特に「ファシズムはものいわぬ人びとの上に完成する」ことを指摘しました。「日の丸・君が代」闘争と固く結びついた教基法改悪阻止の運動の発展を説き明かし、5・7全国集会への総結集を呼びかけました。この檄(げき)に、会場から熱烈な拍手が送られました。
 東京を始め全国で決戦に突入した「つくる会」教科書採択絶対阻止の緊急アピールが行われました。
 集会が最高潮を迎える中、両教組の仲間が再び壇上に立ちました。4月15日に不当処分撤回の人事委員会審査請求を行った被処分者の会の代表が、「゙東京と共に”を合言葉に、人生をかけて闘った誇りと確信に立って、処分撤回・日教組再生の勝利の日まで闘いぬく」と決意を表明し、割れるような拍手を受けました。最後に、実行委員長の由木栄司さんが「処分撤回、『つくる会』教科書採択阻止、教基法改悪阻止へ、団結して前進しよう」と行動方針を提起しました。
 (投稿/広島・K)

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週刊『前進』(2196号6面3)(2005/05/02)

 5回目の「とわだ」派兵弾劾

 呉で自衛官に訴え

 3月31日、広島反戦共同行動委は、早朝から「補給艦『とわだ』の派兵を中止せよ」「アフガニスタン・イラク侵略戦争阻止」を掲げて、呉現地闘争を闘った。
 まず呉地方総監部への申し入れ行動に立った。出て来た事務官に対し、労働者学生は「派兵を中止し、自衛隊を撤退させよ」と詰め寄り、申入書を読み上げて、受け取らせ、抗議のシュプレヒコールを行った。
 さらにからすアレイふ頭に移り、出港桟橋に停留している「とわだ」の乗員に対し「自衛官は派兵を拒否しよう」「イスラム人民を殺すな」と呼びかけた。
 今回の「とわだ」の派兵は海自最多の5回目である。これまで米軍艦船などへの油の補給は450億円以上にのぼっている。米軍がアフガン型・イラク型を駆使して戦争を拡大している。自衛隊も同じように、この米軍に即応できる参戦体制に移行しようとしている。絶対に許せない! 午前10時、「とわだ」が離岸すると直ちに抗議の声を上げた。(写真)

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週刊『前進』(2196号6面4)(2005/05/02)

 共謀罪廃案へ大詰め

 共同行動が国会前に決起 審議入り阻止へ

 4月19日、破防法・組対法に反対する共同行動は、共謀罪審議入り阻止の緊急国会行動に立ち上がった。早朝からの地下鉄・国会議事堂前駅でのビラまき、衆院第2議員会館前での座り込み、昼休みの街宣・集会などに30人が駆けつけ、「共謀罪を廃案へ」の決意を国会にたたきつけた。
 この日の行動は、「共謀罪連休前にも審議入りか」の情勢下で、あらためて「共謀罪廃案へ!」の不退転の決意を国会にたたきつける緊急行動として設定された。国会議員や国会で働く労働者人民、修学旅行中の学生や教育労働者などに熱烈に「共謀罪絶対阻止」を呼びかけた。
 共謀罪は、労働者人民が団結すること自体を否定し、革命党や労働組合などのあらゆる組織・団体を解体し侵略翼賛の組織・団体に再編することを目的とする究極の治安弾圧法である。
 国家権力(実体は警察官)は「捜査のため」と称して、自由勝手に労働者人民の思想・信条にまで介入することができるようになる。共謀罪は国家権力にとって都合の良い思想(翼賛思想)だけを認める「思想処罰法」でもある。「犯罪の準備もしていないのに罪に問われる、21世紀の治安維持法」(週刊『SPA!』3月8日号)という批判が出ている。
 共謀罪法案をめぐる国会審議入り情勢は大詰めを迎えている。日帝・法務省は、これまで2年越しの4度の国会で審議入りを阻止され、完全に追いつめられている。最後のあがきとしてこの1〜3月の間、修正ならぬ修正案をちらつかせて日弁連執行部や民主党を絡め取ろうとしてきたが、うまくいかなかった。
 さらに、卒業式での「日の丸・君が代」強制阻止の闘いの大高揚、動労千葉の春闘72時間ストライキの貫徹、3・15共謀罪廃案へ国会デモと「3・26戦争と治安管理に反対するシンポジウムU」の大成功などの労働者人民の闘いの前進と一体となって、共謀罪廃案の闘いは日帝・小泉=奥田路線粉砕を掲げた階級闘争の前面にぐっと押し出されたのだ。
 衆院法務委員会は、連休明けの審議日程がまったく決まっていない。現在は「会社法」改悪案の審議を行っているが、激論となり採決の見込みも立たない。さらに「少年法」改悪案が国会提出となった場合には、衆院法務委員会の連休明け審議日程が「会社法」と「少年法」に割り当てられ、共謀罪法案の審議日程の確保が困難になる。
 法務省は、労働者人民の闘いの前進に追いつめられ、国会審議日程にも追いつめられ、四面楚歌の状況である。さらに徹底的に法務省を追いつめよう。
 この日早朝の国会前でのビラまき時に、「憲法と人権の日弁連をめざす会」の弁護士たちは「憲法改悪をぶっとばせ!/共謀罪…とんでもない!/裁判員制度…おかしい」改憲と司法改悪に反対する大集会(午後6時から霞が関の弁護士会館2階講堂クレオ)への参加を呼びかけるビラをまいた。この集会は、戦時下での弁護士と労働者民衆の共同闘争の場だ。呼びかけにこたえてすべての労働者人民は全力で参加しよう。その力が、日帝・小泉政権へ改憲阻止を突きつける巨大な武器となり、同時に共謀罪廃案への力となる。

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週刊『前進』(2196号6面5)(2005/05/02)

党学校 『共産党宣言』  −学習会の感想−

 青年労働者を獲得する武器 P・M 

 『ドイツ・イデオロギー』の新訳本とその学習の上に立った『共産党宣言』の学習は、さらに生き生きした姿を示しているような気がします。
 何よりも、プロレタリアートの自己解放の思想を基底に置き、「労働組合論」の再確立を通じて読む『共産党宣言』は、きわめて具体的なプロレタリア革命の道筋を明らかにしてくれます。
 とくに、第2章冒頭の“共産主義者の党の性格と任務”の項は、プロレタリアートと共産主義者の関係の原理的再確立についてとても鮮明になりました。
 現在、統一戦線の拡大とマル青労同の組織化のたたかいの中で、日本共産党系−民青系の労働者との接触が拡大しています。そこでの主要議論のほとんどが『共産党宣言』の中にあります。プロレタリア自己解放論、暴力革命論、プロレタリア独裁論、共産主義社会論など、争点の解答のほとんどがここにあるということです。
 『新訳・共産党宣言』(マルクス主義原典ライブラリー、新訳刊行委員会訳)を武器に、党の再武装によって膨大な青年労働者の結集を実現したいと思います。

 実践の中で切り開く革命 J・H 

 唯物論を『ドイツ・イデオロギー』で学習したあと『共産党宣言』を学習し直したので、以前気付かなかったこととか分からなかったことが、分かってきた気がした。
 「共産主義者は、特別の原則をたてて、その型にプロレタリアの運動をはめこもうとするものではない」(『新訳・共産党宣言』32n)、すなわち、現実の労働者階級の闘争から出発すること。
 講義でも言われていたが、労働者階級が本質的にもっている革命性(第1章で学習した)についてとらえ返しが必要だと思った。上から指導を押しつける態度を党が労働者階級にたいしてとるべきではない、ということはなぜそう言われるようになってきたのか。それは、『党宣言』にあるように、運動の外側にいて理論を押しつける(カクマルのように)のは、現実と離れているから誤っているということだと思う。
 そうした思想と現実の関係は、再度登場する。
 「社会全体に革命をもたらす思想があるといわれる。それは、古い社会の内部に新しい社会の要素が形成されたこと、古い思想の解体は古い生活諸関係の解体に歩調をあわせるということをいっているにすぎない」(同44n)と。
 講義での思想があって現実社会が変わってきたのではなく逆だ、という説明に納得した。そしてそれが物質化したとき、「思想が大衆を実践的にとらえたときに、革命的思想のめざした現実の変革が実現されるのである」という説明も、分かりやすかった。偉大なる思想家が発明・発見する「革命」ではなく、労働者階級が実践の中で切り開く革命ということかな、と思いました。

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週刊『前進』(2196号6面6)(2005/05/02)

 コミューン6月号

 破産国家アメリカ

 本号の特集は、第1章でアメリカ帝国主義が、大恐慌爆発の切迫に脅え、身構えていることを明らかにしている。
 財政赤字、経常収支をファイナンスしてきた欧州、日本、中国からの資金の流れが細りだし、逆流も始まった。累積債務は、結局は返される見込みはないことが、公然と言われるようになった。
 企業、個人の破産の激増が迫っている。だから、ブッシュ政権は、新たな破産法の成立を急いだ。労働者人民からは、傷病手当などのわずかな収入源さえ、最後の一滴まで取り立てる。
 米帝にはこの破綻(はたん)は、解決できず、戦争を際限なく拡大するしかない。ブッシュ政権のユニラテラリズム(単独行動主義)によるイラク侵略戦争への突入は、アメリカの強さではなく、求心力の弱まりの結果だ。
 第2章では、帝国主義労働運動の破綻・大流動と新たな潮流の台頭について、闘いを紹介しつつ明らかにしている。ILWUローカル10(国際港湾倉庫労働組合第10支部)を先頭に、カリフォルニア州で3・19イラク開戦2周年闘争が高揚した。ファシスト知事シュワルツェネッガーによるブッシュ以上の年金・医療破壊攻撃に、労働者が実力決起で勝利している。
 翻訳資料は、EU上級代表ソラナによる、EU軍事戦略文書である。「世界的行為者」として登場し、アメリカに対抗していくことを明らかにしている。

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週刊『前進』(2196号6面7)(2005/05/02)

公判日程

☆迎賓館・横田裁判
福嶋昌男同志裁判論告求刑
4月26日(火)午前10時
*東京地方裁判所

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週刊『前進』(2196号6面8)(2005/05/02)

福嶋さん歓迎、4人の完全無罪へ!4・29集会

4月29日(金)午後1時開場 2時開会
東京・渋谷勤労福祉会館
(渋谷区神南1-19-8、渋谷駅ハチ公口下車、公園通りをNHK方向へ)
主催/不当な長期勾留をやめさせるために!十万人保釈署名運動

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