ZENSHIN 2013/10/03(No2603
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週刊『前進』(2603号1面1)(2013/10/07 )
JR体制打倒! 11・3総決起を
米財政破綻-大恐慌と対決し拠点建設の力で安倍を倒せ
10・18法政大集会・デモへ
(写真 橋下打倒集会を打ち抜いた労働者が組合旗を押し立て大阪駅前へデモ。「橋下の政治生命は尽きた」「橋下倒そう!」。気迫のコールと労組の大隊列に市民の注目が集まった【9月29日 大阪市北区】=記事2面)
2013年11・3労働者集会の1万人大結集へ1カ月決戦の展望が大きく開かれている。動労千葉は10月1日、外注化粉砕のストを打ち抜いた。東京高裁の9・25難波判決は解雇撤回を認めない反動的なものだが、一方では国鉄分割・民営化で国家的不当労働行為があったことを認定せざるを得なかった。4万4千筆を超える国鉄署名の力と労働者の怒りが、一審の東京地裁の6・29白石判決を完全にひっくり返すことを許さなかった。日帝権力中枢と資本の大犯罪を暴く国鉄決戦の正念場はこれからだ。JR北海道の安全崩壊は国鉄分割・民営化の帰結であり、新自由主義の崩壊の象徴だ。解雇撤回・JR復帰の新たな10万筆署名運動を職場で、地域で、街頭で推進し、11・3集会1万人結集へ全力で突き進もう。
9・25判決とJRの破綻
北海道で爆発的に進行しているJRの安全崩壊問題は、日本における新自由主義の本格的突破口だった国鉄分割・民営化の破綻の姿そのものである。それは3・11福島原発事故の爆発と根っこはひとつであり、労働者の団結と社会の共同性を解体する新自由主義の全面崩壊がついに始まったことを意味する。
大恐慌は大失業・戦争・革命を生みだしている。しかも大恐慌はさらに一層深まっていく。米帝は国家財政破綻=デフォルト(債務不履行)の危機にあえぎ、すでに政府機関の一部閉鎖に追い込まれ、職員80万人以上が無給で自宅待機を強制されている。脱落日帝の安倍政権は、労働者人民の怒りの爆発に恐怖しながら、来年4月の消費大増税を決定した。来年度の全家計の負担増は社会保障費削減なども含め7兆6千億円にのぼる。誰もが「今まで通りにはやっていけない」と感じており、今や革命情勢が急接近している。
この情勢に真っ向から切り結び、「今こそ職場に闘う労働組合を」と訴えて労働者階級の団結と未来を押し開く闘いこそ11・3全国労働者総決起集会だ。東京・日比谷野外音楽堂に、さまざまの労働組合旗を翻し、全国、全世界から労働者は総結集しよう。
11・3集会は第一に、国鉄決戦の歴史的爆発と勝利をかちとる総決起集会である。
9月25日の判決で東京高裁・難波孝一裁判長は、国鉄が改革労協(現JR総連)の差し金により、名簿提出直前に動労千葉組合員らをJR採用候補者名簿から外したことを不当労働行為と認定した。これは非常に重大なことだ。だが解雇撤回とJR復帰は拒否した。こんなことは到底認められない。
難波判決は矛盾と破綻に満ちている。JR設立委員長だった斎藤英四郎(当時の経団連会長)と国鉄官僚の葛西敬之(現JR東海会長)や井手正敬(元JR西日本会長)らが”不当労働行為の追及からいかに逃れるか”を謀議しながら採用候補者名簿を作成した動かぬ証拠を突きつけられ、その核心に触れずペテン的にごまかしているのだ。
難波判決は、国鉄当局による名簿不記載行為が行われなかったと仮定しても、原告が「JR東日本の採用候補者名簿に記載された上、同社に採用されたはずであるとの証明はいまだなされていない」と強弁する。その理由として”JRは国鉄当局による職員選別を前提に全名簿記載者を採用したのだ””国鉄が選別しなかったとしてもJRが選別した可能性がある”という論理を展開した。これは分割・民営化の根幹に触れる究極の自己矛盾だ。国鉄改革法23条は”JRによる組合差別や選別はない”ということを建前としてきたのである。虚構は崩れ去った。
真実はひとつだ。不当労働行為を認めたのなら、ただちに原状回復=解雇撤回しかない。11・3集会は「全解雇者をJRに戻せ」と闘う大集会である。
闘う労働組合の解体が安全崩壊を生んだ
この自己破綻している9・25判決とまさに一体のものとして、JR北海道の安全崩壊が全社会問題として爆発した。
相次ぐ重大事故と267カ所のレール異常の元凶は国鉄分割・民営化だ。同時に、JR総連カクマルを先兵にして闘う労働組合を解体したことの帰結である。労働者を4分の1に減らし、外注化を進めた結果、職場も会社も崩壊したのだ。
当初から経営破綻は必至と知りながら、経営安定基金でつじつまを合わせ、規制緩和と全面外注化で安全破壊を促進してきた政府・国交省も同罪だ。
JR北海道の安全崩壊の最大・最深の原因は、国労を軸とする経験豊かな保線労働者たちを大量解雇し、技術継承を断ち切ったことにある。ただちに全解雇者を職場に戻せ! 解雇撤回・JR復帰の新たな10万筆署名を職場から推進し11・3集会へ決起しよう。
10月1日〜2日、動労千葉は、JR構内計画業務の外注化に反対するストライキを断固闘った。違法・無法の重層的な偽装請負と、動労千葉つぶしのための管理者の増員や下請け会社での大量のプロパー社員採用は、現場の管理職さえ「何のための外注化か説明できない」と言うところまでその矛盾を深めている。動労千葉は、この事実を暴き、新たな戦闘宣言を発した。9・25判決と安全崩壊が示すJR体制と新自由主義そのものの崩壊を全面的に突いて闘いぬいている。
JR東日本が、闘う労働組合と安全を解体する外注化を強行した昨年10月以降、1年間の動労千葉の外注化阻止・非正規職撤廃の闘いは、被曝労働拒否の動労水戸と国労郡山工場支部の闘いへ発展し、さらに全労働者・全社会を獲得する位置に立っている。
国鉄決戦が圧倒的な基軸
11・3集会は第二に、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3労組の闘いと固く団結して、国鉄闘争を先頭に「闘う労働組合を全国の職場につくる」ための大集会だ。
「やられたらやり返せ」「倍返し」の実践は労働組合の団結と闘いによってのみ実現できる。関西生コン支部が訴えるように「新自由主義を突き進む自民党安倍政権の民衆に対するまやかしによる政権維持を許しているのも労働組合の結集・団結が弱いから」だ。企業の塀を越えて産業別の統一闘争を闘おう。また港合同も「どんな強そうに見える敵(資本)でも弱点がある、執念もって闘えば勝てる」「労働運動の現状を突破する鍵は国鉄闘争だ」と訴えて、地域で企業を越えた労働者の団結をつくり闘い抜いている。
安倍も橋下も、絶対反対の闘いがないことを前提にしてしか偉そうなことを言えない。消費大増税を決めながら、労働者の怒りの爆発を恐れて安倍はインチキな「賃上げ要請」を言わざるを得ない。「アベノミクス」なる破滅的政策の軸である「成長戦略」は、丸ごと民営化、労働組合の解体、労働規制の撤廃=解雇自由化、総非正規化など、労働者への階級戦争にその核心がある。であるならば、これを打ち破れば安倍は倒せるのだ。
この敵の階級戦争攻撃に対し、「戦争は工場(現場)で起きている」ととらえきり、敵の弱点を突いて闘おう。国鉄決戦を国鉄・公務員決戦として地域丸ごとの闘いに転化しよう。この闘いが、原発再稼働、改憲・戦争、大増税、社会保障制度解体の攻撃を打ち破る団結をつくる。国鉄を軸にすべての産業・地域から11・3総決起をつくり出そう。
日韓米を軸とした労働者の国際連帯集会
11・3集会は第三に、時代認識と路線を生きたマルクス主義として闘いとり、職場に拠点をつくり、労働者党と労働組合を一体的に建設し、青年・学生を先頭に無数の階級のリーダーを生み出す闘いだ。それは必ず1万人大結集を実現するものとなる。
新自由主義は全面崩壊を始めた。大恐慌の激化は大失業・戦争・革命を一気に引き寄せている。シリア情勢も、エジプト革命に始まる世界革命情勢の中でとらえきろう。
11・3集会は、米韓の闘う労働者・労働組合、在日・滞日外国人労働者をはじめとした感動的な国際連帯集会だ。大恐慌と新自由主義に対決し、安倍の集団的自衛権や日米安保ガイドライン見直し、戦争体制構築を狙う「特定秘密保護法」などの戦争・改憲の攻撃、さらに原発再稼働や東京五輪反動などと闘い勝利する道は、階級的労働運動であり国際連帯である。
11・3集会へ向かう決定的な闘いとして、10・18法大闘争の巨大な爆発をかちとろう。市東孝雄さんの農地死守へ、10・20三里塚全国集会に総結集しよう。
無数の職場拠点の建設に向け、『前進』1万人読者網と1万人の労組活動家づくりに、11・3総決起の闘いそのものとして取り組もう。
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【要項】10・20三里塚全国総決起集会、11・3全国労働者総決起集会
多見谷判決徹底弾劾! 市東さんの農地を守ろう! TPP絶対反対!
福島・沖縄の怒りとともに闘おう! 軍事空港粉砕・改憲阻止!
10・20三里塚全国総決起集会
10月20日(日)正午 成田市東峰 反対同盟員所有畑
主催/三里塚芝山連合空港反対同盟
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今こそ闘う労働組合を全国の職場に!
11・3全国労働者総決起集会
11月3日(日)正午 東京・日比谷野外音楽堂
呼びかけ/全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部/全国金属機械労働組合港合同/国鉄千葉動力車労働組合/国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動
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11・4労働者国際連帯集会
11月4日(月)午後1時開会/ 千葉商工会議所第1ホール(千葉中央ツインビル2号館14階)
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週刊『前進』(2603号1面2)(2013/10/07 )
動労千葉 新たな外注化にストで反撃
“組織拡大で会社に倍返しを”
動労千葉は10月1日、構内計画業務の外注化に反対し、検修職場の全組合員を対象に正午から翌朝までのストライキに立った。JR東日本はこの日、構内計画業務を千葉鉄道サービス(CTS)に外注化した。昨年10月の外注化に続くこの攻撃で、検修・構内業務のすべてが外注化された。この暴挙に対し、動労千葉は総力の反撃をたたきつけたのだ。
同日早朝、組合員と動労千葉を支援する会は雨の中、幕張本郷駅前で、ストの意義を訴える宣伝行動に立った。「外注化は鉄道の安全を崩壊させる。JR北海道の現実はそれを示している」という訴えは注目を集めた。幕張車両センターに出勤してくるJRやCTSの労働者にもれなくビラが手渡された。動労千葉組合員には激励の声がかけられ、組合員は自信に満ちた表情で宣伝隊に応えた。幕張支部の山田護支部長がマイクを握り「出向に出された組合員を必ずJRに戻す」と決意を述べ、表情を引き締めて職場に向かった。
(写真 前夜の総決起集会で”外注化と安全は相いれない”と新たな闘いへ決意【9月30日 千葉市】)
総決起集会開き万全のスト態勢
スト前日の9月30日夕方には、DC会館で「計画業務外注化・強制出向阻止!」を掲げて総決起集会が開かれた。
あいさつに立った田中康宏委員長は、闘いの課題を3点にわたって提起した。「第一の課題は外注化を粉砕することだ。外注化で仕業・構内の業務はJRにはまったくなくなるのに、JRの管理者は増える。外注化の本来の目的はコスト削減なのに、当局は何のために何をしているのか分からなくなっている。この矛盾を突いて闘えば外注化は必ずつぶせる」
「第二の課題は、動労千葉への組織破壊攻撃を粉砕することだ。CTSは今年19人のプロパー社員を雇った。外注会社が検修部門で雇った人員はJR東日本全体で80人。そのうち4分の1がCTSだ。昨年、動労千葉組合員は強制的にCTSに出向に出された。今度はCTSからも組合員をたたき出そうとしている。動労千葉の存在が外注化の最大のアキレス腱(けん)になっている。CTSのプロパー社員にも動労千葉に入ってともに闘おうと真っ向から訴え、組織破壊を粉砕する」
「第三の課題は、CTSとの本格的な闘いに入ることだ。8月22日にエルダーでCTSの清掃作業に携わっていた組合員が職場で亡くなった。本当に悔しい。CTSは団交で『死亡と業務に関連性はない』と開き直っている。だが、CTSは1日に二十数`も歩く作業を行わせていた。9月には熱中症で5回も救急車がCTSに呼ばれたが、労災扱いになっているのは1件だけ。JR、CTS双方で闘いを起こすとあらためて決意した」
さらに、鉄建公団訴訟の9・25東京高裁判決に触れ、解雇撤回を拒否した反動判決だが、不採用基準の策定を不当労働行為と認めさせたのは、動労千葉と国鉄闘争全国運動の力だと喝破し、国鉄方式の首切りを最高裁で最後的に粉砕すると宣言した。またJR北海道の現実を暴露し、「国鉄分割・民営化のすべてが崩れ落ちた」と述べ、「分割・民営化を全面的に問い直す闘いに入る」と提起、現状を突き破る力を持つために組織拡大に打って出ようと訴えた。
川崎昌浩執行委員の団交報告に続き、検修職場の各支部代表、車両技術分科会代表と青年部が決意を表明。動労千葉争議団の中村仁さん、高石正博さんも解雇を撤回させJRに戻ると断言した。
基調提起に立った長田敏之書記長は、計画業務の外注化が偽装請負であり、ストつぶしであることを具体的に暴いた。そして、外注化との闘いはこれからだと強調し、「組織拡大が最大の力。組織拡大で会社に倍返しを」と力説した。
動労西日本の山田和広書記長、ちば合同労組、動労千葉を支援する会、全学連の斎藤郁真委員長の連帯あいさつに続き、運転職場、貨物職場の各支部代表が発言し、全組合員が一丸となって闘う決意を表明した。
繁沢敬一副委員長の音頭で「団結頑張ろう」のこぶしを挙げ、翌日のストへの態勢を固めた。
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週刊『前進』(2603号1面3)(2013/10/07 )
前進速報版
▼9・15国鉄集会&9・25高裁判決@動画▼『共産主義者』178号発刊▼10・1電源開発本社デモ▼9・29橋下打倒集会に450人
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週刊『前進』(2603号2面1)(2013/10/07 )
JR北海道の安全崩壊は国鉄分割・民営化の帰結
9月19日の函館線・大沼駅構内での貨物列車脱線事故をきっかけに、JR北海道が267カ所ものレール異常を放置していたことが暴かれた。この事態の本質は、国鉄分割・民営化の全面的な破産がついに露呈したということだ。JR北海道の現実は、業務の外注化の結果をもまざまざと示している。国鉄分割・民営化の根源を撃つ1047名解雇撤回闘争と外注化阻止闘争を貫いて、JR体制を打倒する時が来た。11・3労働者集会は国鉄分割・民営化体制を覆す闘いだ。
(写真 〈上〉11年5月27日の石勝線特急炎上事故 〈下〉13年9月19日の貨物列車脱線事故)
現場知る労働者を首切り
国鉄分割・民営化による1047名の解雇こそ、鉄道の安全崩壊をもたらした根本にあるものだ。1987年にJR不採用とされ、90年に国鉄清算事業団から解雇された1047名のうち、453人の国労闘争団員と64人の全動労争議団員が、北海道で働いていた国鉄労働者だった。現場を熟知し、誇りをもって鉄道業務を担ってきた国鉄労働者を問答無用に解雇した国鉄分割・民営化こそが、技術の継承も断ち、安全崩壊の出発点になったのだ。
JR北海道は87年、1万2720人体制で発足した。だが、13年段階で同社の人員は7116人に減らされている。これは、安全投資の徹底した削減と同時に進められた。マスコミの報道でも、現場労働者の「線路を保守しようとしても人員も資材もない」という声が紹介されている。動労千葉は、「JR千葉支社だけで人員は5千人。たった7千人で、広大な北海道のすべての線路を点検・補修できるわけがない」と指摘する。
国鉄分割・民営化を前に北海道では鉄道営業キロで3割超の路線が「特定地方交通線」(赤字ローカル線)に指定され、やがて引きはがされた。長大なローカル線を抱えたままでは「民間企業」としてのJR北海道の経営は成り立たないからだ。住民生活を破壊し、地方を衰退させたこともまた、JRの原点だった。それでもなお、設備の保守ができなくなるほどにJR北海道はむちゃくちゃな人員削減を行ってきたということだ。
11年5月27日の石勝線事故は、05年4月25日のJR西日本の尼崎事故と並んで、国鉄分割・民営化の破産を衝撃的に突き出した。石勝線事故は奇跡的に死者が出なかったが、トンネル内で特急列車が脱線・炎上したこの事故は、まさに恐るべきものだった。以降、JR北海道は「安全を最優先する企業として生まれ変わる」と何度も口にした。だが、ディーゼルカーのエンジンから火を噴く重大事故は、一向に収まらなかった。同様の事故は、今年だけでも2月、3月、4月、5月と連続し、7月には2件も起きている。
JR北海道は、航空会社と対抗するため、ディーゼルカーを曲線でも高速が出せる振り子式に変え、時速130`で高速運転する施策にのめり込んでいた。しかも、北海道の場合、運行距離は本州よりはるかに長い。車体は最新型に艤装(ぎそう)されていても、積んでいるエンジンは二十数年前のものという車両もある。利潤を上げるための無謀なスピードアップが、車両炎上事故の多発をもたらしたのだ。
さらに、列車の高速運転は線路にも負荷をかける。ただでさえ気象条件が厳しい北海道で、基準を超える線路幅の拡大などの「異常」が、補修がとても追いつかないほど急速に拡大していった。
外注化で業務把握できず
だが、問題はそれだけではない。石勝線事故を巡っては、事故車両の車輪踏面が40aも剥離(はくり)していたことが判明している。動労千葉は、「ごく普通の定期検査が行われれば、そんなひどい状態になる前に必ず発見できる。一定の剥離が認められたら転削するのは、車両メンテナンスのイロハのイである」と指摘している。当たり前の車両の検査・修繕もできないJR北海道の現実は、極限的な外注化によるものとしか考えられない。
JR北海道自身、石勝線事故後の11年9月に策定した「安全性向上のための行動計画」で、「外部委託業務について、当社の側に、受託会社に業務内容を的確に伝え責任を持って管理しようとする意識が弱く、受託会社の多くがグループ会社であるという甘えもあり、役割分担が不明確な状態にありました」と自認せざるを得ない状態だ。JR北海道の特急車両の一部は、外注会社の「北海道高速鉄道開発」が保有し、JRはそこから車両を借りて運行している。こうしたあり方も、車両の検修がまともになされない事態につながった。
11年度にJR北海道が行った約3100回の車両検査のうち、延べ約900車両で必要な検査が行われず、延べ約1600車両の検査記録に不備があったことが、会計検査院の調査で明らかにされている。
マスコミは「本社によるずさんな現場管理」を問題にするが、およそそんなレベルの話ではない。外注化の結果、どこでどんな業務が行われているのかを、誰一人把握できなくなってしまったのだ。今回、レール異常の放置個所数についてJR北海道の発表が二転三転したことも、こうした事態を象徴している。
JR北海道の外注化は、構内入換・誘導・構内信号業務が「北海道JR運輸サポート」に全面委託され、構内運転士の4割がJRからの出向者ではなく運輸サポートに雇われたプロパー社員に置き換わるところまで進んでいる。
他方、JR東日本は今年ようやく、外注会社で検修業務に携わるプロパー社員の養成に着手した段階だ。これ自体はすさまじい動労千葉破壊攻撃だが、動労千葉の粘り強い闘いは、JR東日本の外注化計画に大幅な遅れを強い、その破綻をつくり出している。
分割・民営化に屈し、外注化を容認・推進してきたJR総連・北鉄労、JR連合・北労組、国労本部の裏切りが、安全を崩壊させた一方の原因であることも明白だ。
JR四国でも危険を放置
問題はJR北海道だけにとどまらない。JR四国でも、管内の91の鉄道橋について、補修が必要なのに工事計画が立てられていない事実が発覚した。うち56本は3年間も放置された状態で、中には24年間まったく補修されていないものもあった。同社が管理する橋2674本のうち約1100本に検査記録の不備があったことも判明した。
JR四国でもJR北海道と同様、ディーゼルカーのエンジン故障が相次いでいる。今年8月30日、高徳線でディーゼルエンジンの推進軸が車軸から外れる事故が発生した。11年5月と今年4月にはディーゼルエンジンと発電機をつなぐ回転軸が落下する事故が起き、03年12月にはやはり推進軸が脱落する事故が起きている。
同社も、11年度に実施した車両検査のうち延べ987両分で交番検査が規定どおり実施されず、または検査記録に不備があったと会計検査院からの指摘を受けている。車両の検査業務が子会社の「ジェイアール四国メンテナンス」に委託されていたことも、JR北海道と同一の構造だ。
「しっかり経営されている」?!
内閣官房長官の菅義偉は9月24日の記者会見で、「十分な経営基盤もないまま北海道だけを切り離した分割・民営化に問題があったのではないか」という記者の質問に、「それはまったくない。現に九州、四国、貨物会社はしっかり経営されている」と答えた。
まさにとんでもない居直りだ。JR四国の実態は先に述べたとおりだ。JR貨物は、労働者を超低賃金状態にたたき込むことだけを唯一の延命策にしている会社だ。JR九州は、郵政資本と同様、多額の自社商品を買わせる「自爆営業」を労働者に強いている。
国鉄分割・民営化の矛盾は経営基盤の脆弱(ぜいじゃく)なJR北海道とJR四国で先鋭的に表れたが、本質は全JRでまったく同じなのだ。
国土交通省はJR北海道の経営陣を刷新し、JR東日本から役員クラスの派遣を求めるという。そんなものが対策になるはずがない。JR東日本こそ外注化で安全を破壊している張本人だ。規制緩和を行ってきた国交省も、その共犯者だ。
9月30日には大阪府吹田市にあるJR西日本の鉄橋で、線路の保守作業中の労働者が川に転落して死亡する事故が起きた。またも労働者の命がJRに奪われたのだ。
国鉄分割・民営化は全破産した。その原点に位置する1047名の解雇を巡り、動労千葉は鉄建公団訴訟で「不採用基準の策定は不当労働行為」という東京高裁判決を実力でもぎり取った。動労千葉・動労水戸―動労総連合の外注化阻止闘争は、10月1日の新たな外注化強行に対し、外注会社で組織をつくる新たな闘いに入っている。
新自由主義攻撃の出発点になった国鉄分割・民営化に断を下そう。労働者の命を奪うJRと反合理化・運転保安闘争で対決しよう。職場から闘う労働組合をつくり出し、その力を11・3労働者集会に結実させよう。
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週刊『前進』(2603号2面2)(2013/10/07 )
9・29大阪 労組の闘いで橋下打倒を
解雇・処分許さぬ 市役所前に450人
9月29日、大阪市役所を目の前にした中之島公園で橋下打倒集会が開催され、全国から450人が結集した。昨年から3回目を数えるこの集会には、職場で激しい民営化攻撃と闘う労働者が組合旗を持ってかけつけた。
全国金属機械労組港合同の中村吉政副委員長の「民営化とは人の命を何も考えず、利益を上げるためのものだ。悪いものは悪い、と声を上げよう」という発言に続き、全日建運輸連帯労組関生支部からのメッセージが読み上げられた。
動労水戸の青年労働者・照沼靖功さんは「構内計画業務の外注化は労働組合の団結破壊が目的であり、安全破壊だ。JR北海道の相次ぐ事故は、外注化によって技術継承が破壊されたためだ。被曝労働拒否の闘いでつながった国労郡山工場支部とともに闘う」と力強くアピールした。
続いて動労千葉争議団の中村仁執行委員が9・25動労千葉鉄建公団訴訟控訴審の反動判決を弾劾し、「不当労働行為を認めさせたことは決定的。しかしなぜ解雇が撤回されないのか! 慰謝料だけだったら労働者は使い捨てじゃないか! 不当労働行為と闘っている全国の労働者の先頭で、動労千葉の闘いで絶対に風穴を開ける。フクシマの闘いと一体となり、解雇撤回を求めて最高裁に向かって闘う」と熱烈な決意を表明した。
9・25反動判決を弾劾する集会宣言が読み上げられた後、基調報告を八尾北医療センター労組委員長の藤木好枝さんが行った。「労働組合の闘いが安倍・橋下の攻撃を破産させ、追い詰めている。いかなる解雇・処分も許さず、労働組合をめぐる攻防に勝利し橋下を打倒しよう。国鉄闘争の地平で闘えば勝てる! 八尾北・西郡闘争は、安倍−橋下・維新の会の成長戦略の要である更地化攻撃や医療の産業化と真っ向から闘い跳ね返してきた。11月労働者集会1万人結集で集会の景色を変え、来年3・11へ攻め上ろう!」と訴え、満場の拍手に包まれた。
(写真 9・25反動判決への怒りも新たに11・3労働者集会に向かって団結ガンバロー【9月29日 大阪市役所前】)
民営化と闘う現場から報告
橋下による民営化攻撃と対決する現場からの特別報告が行われた。
大阪市職の赤田由行さんは「われわれの闘いが結集軸となり、労働者の怒りに火がついている。市長との力関係は逆転している。労働組合の闘いがあればすべてをひっくり返すことができる!
本部を批判しているだけではなく、自らが民営化・外注化・非正規職化と闘う組合執行部だという構えで、ストライキを軸に闘う労働組合をよみがえらせよう!」と、いかなる処分策動も許さない決意を明らかにした。
「入れ墨」処分撤回を闘う大阪市交通局の労働者は、ユーモアも交えながら「どす黒い野望をもつ橋下や府知事・松井などの狙いは憲法をも破壊し、市民の財産を食い物にするものだ。人の心が豊かになることを踏みにじる橋下に対して、私たち労働者はお金だけで動くものではないことを武器に闘おう」と訴えた。
斎場労働者のメッセージ、カンパアピールに続いて、奈良市従、愛媛県職、関東の自治体労働者が、「組合権力をとる決断が情勢を切り開いている」「JR資本との攻防は私たち職場の攻防につながっている」「組合本部は”闘いのない社会を”と言うが、この社会で闘わずして労働者の未来はない」など、当局や体制内労組幹部との激しい攻防を報告した。
さらに拠点労組から、高槻医療福祉労働組合を始め、動労西日本、日教組奈良市、関西合同労組・郵政非正規部会、全国水平同盟、婦人民主クラブ全国協議会と全学連の力強い訴えが、会場全体を熱気に包んだ。
最後に港合同の木下浩平さんが、「闘いの方針はあらゆる職場に闘う労働組合をつくること、その力で安倍・橋下の狙いを打ち砕くことだ。その総括軸が11月労働者集会だ」と集会をまとめた。
集会後の大阪駅までのデモは、繁華街の労働者の圧倒的注目を集めた。
11月労働者集会から来年3月の階級決戦へ、9・25反動判決への怒りも新たに闘いの火ぶたは切られた。国鉄・公務員決戦の歴史的大高揚を切り開こう。
(関西・S)
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週刊『前進』(2603号2面3)(2013/10/07 )
パククネと非和解の激突 韓国
内乱陰謀罪発動に反撃
労働者宣言 「体制転覆を夢見る」
11月労働者集会を前にして、新自由主義に対する労働者階級の新たな決起が全世界でわき起こっている。韓国では、追いつめられたパククネ政権が絶望的な反革命への突進に打って出、これとの一大激突が始まった。
国家情報院による選挙介入という大統領選時の不正が暴かれたことにより、パククネはこの夏、政権崩壊の寸前まで追いつめられていた。怒りのロウソクデモは8月には10万の規模に達した。恐怖したパククネはなんと最後の手段として、かつての軍事独裁政権時代に乱発された「内乱陰謀罪」や国家保安法を数十年ぶりに発動し、闘いの発展を全力で圧殺しようとしてきたのだ。
9月4日、統合進歩党のイソッキ国会議員が国家情報院によって逮捕された。容疑は今春、朝鮮半島が極度の軍事的緊張状態にたたき込まれていた時に、「北朝鮮の南進計画に呼応して韓国内で破壊工作をたくらんだ」というものだ。この政治的デッチあげ弾圧をテコに、極右勢力を総動員した激しい反共キャンペーンが仕掛けられた。
国家情報院は大統領直属機関であり、その前身は軍事独裁時代の悪名高いKCIAだ。パククネの父親であるパクチョンヒはこのKCIAを使って、労働者人民の闘いはもとより言論や思想の一切を圧殺する恐怖政治を敷いた。その時代に歴史の歯車を戻す気か! 労働者の怒りと危機感は逆に、天をもつく勢いで燃え上がった。
9月10日、民主労総の組合活動家約200人が集団記者会見を開き、内乱陰謀罪と国家保安法の廃止を求める労働者宣言を発表した。それは、1%の財閥が支配する資本主義社会を根底から変革する革命こそ労働者の要求であると明言し、パククネに対して「内乱と体制転覆を夢見る私たちも処罰せよ!」という歴史的な挑戦状を真っ向からたたきつけた。そして、既成の野党や体制内勢力が弾圧に震え上がり、イソッキの逮捕に同意するなどぶざまな屈服をさらけ出したことを批判。「私たちは統合進歩党と思想と路線が違うからといって、この弾圧から目をそらすことはしない」「労働者民衆の生存を踏みにじる権力に立ち向かい堂々と闘う」と、国家情報院の解体とパククネ政権打倒へ労働者階級こそが先頭に立って闘いぬくと宣言した。
この宣言文は、昨年末の大統領選を闘ったキムソヨンさん(キリュン電子前分会長)らの「変革の会」が起草し、わずか数日の間に闘う労働者の圧倒的な賛同を集めたものだ。そこには現代自動車の非正規職3支会を始め、資本と絶対非和解の闘いを不屈に闘いぬいている労組と現場活動家の大半が名を連ねている。これを突破口として、翌11日には市民団体の代表や民主人士らが独裁政治の復活は許さないという記者会見を行い、そこには民主労総のシンスンチョル委員長も同席した。反撃の波は9月末までに全国に広がり、パククネは完全に墓穴を掘った。
(写真 記者会見を開き労働者宣言を発表する民主労総の前・現職幹部と活動家【9月10日 ソウル】)
全教組壊滅攻撃粉砕へ総力闘争
このことは韓国階級闘争が今や、巨大な革命的情勢のまっただ中に突入し始めたことを示している。起きているのは新自由主義の大破産だ。パククネら支配階級にとってはもはや、一層凶暴な強権政治へと絶望的に突っ走る以外に延命の道はない。だがそれは労働者人民の命がけの決起を必ず呼び起こす。これまで以上の大激突、大激動は不可避である。
その最大の焦点は、労働組合と労働運動をめぐる攻防だ。パククネ政権は統合進歩党への弾圧に続いて、9月23日、全国教職員労働組合に対するむきだしの破壊攻撃を仕掛けてきた。解雇者を組合から排除することを要求し、応じなければ労働組合としての法的地位を取り消すという最後通告を行ってきたのだ。
全教組は直ちに怒りを爆発させ、総力闘争を決議して立ち上がった。民主労総も10月1日、中央執行委員会を開いて、全教組―公務員労組弾圧粉砕への新たな闘争計画を決定。民営化阻止、非正規職撤廃、労組破壊攻撃粉砕を柱に、パククネとの全面対決をかけて、公務員労働者を先頭に組織を挙げた決戦に打って出る決意を固めている。
今秋決戦はまさに、韓国においても日本においても、歴史の転換点を決するような闘いになる。11月労働者集会にはこの決戦の渦中から、韓国民主労総の闘う労働者が大挙して参加する。11・3全国労働者総決起集会と11・4国際連帯集会の大成功をかちとり、さらに訪韓闘争に決起しよう。日韓労働者の団結の圧倒的強化をかちとろう。
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週刊『前進』(2603号2面4)(2013/10/07 )
闘いは進む 青年の職場から
合同労組 福祉現場こそ元気に働き続けられる職場に
東京 森山千穂
7月、K組合員が12年間勤めた職場である障害福祉サービス事業(就労継続支援B型)施設の施設長・副施設長を相手に団体交渉を行いました。
5月、K組合員から退職の相談を受けました。議論を重ね、K組合員自身は悩みながらも「退職するにあたって自分の思いを施設に伝えたい」と決断し、分会の先頭で団体交渉に挑みました。
職場は、施設側のあり方に嫌気がさして、すでに何人もの職員が職場を去っていく状況でした。K組合員の場合、慢性的な人員不足から生じたトラブルを、施設側は「なぜ大声を出して職員を呼ばないんだ!」「人と接する仕事がわかっていない!」などとK組合員にトラブルの責任を押しつけて、事故報告書、始末書の提出を迫ってきたのです。このことが引き金となり、「もう限界だ」と退職を決めたのです。
この時の心境をK組合員は団交で、「ミスのたびに、全職員が集まる1日の振り返りの場(反省会)で改善を指摘されました。最初は改善しようと努力してきましたが、その都度追いつめられ、つるし上げのように感じ精神的に参りました。私は自信が持てなくなり、人格まで否定されているような不安に陥り、ミスを繰り返すという悪循環に陥っていました」と明らかにしました。
●仲間の未来のために
そして、「職員さんがずっと働き続けられるように、私と同じ思いをする方を再び出さないでほしい」「誰だってミスをしたくてする人はいません。ミスが起きた時に振り返りの場を叱責(しっせき)、追いつめる場にしないでほしい」「利用者さんのことを第一に考えるなら、職員が心身ともに元気に働き続けられる環境があってこそではないでしょうか」と思いのたけを伝えました。
施設長から「そのような思いをさせたことは申し訳ない」という謝罪を引き出しました。
闘いはこれからです。
06年施行の障害者自立支援法(13年4月からは障害者総合福祉法に移行)は介護保険と同様に公的責任を投げ出し、非正規職を増大させた福祉の民営化法でした。K組合員の職場も福祉の民営化で「新自由主義職場」となっているのです。「障害者対応が第一」と言いつつ、矛盾を労働者に押しつけることで障害者の安全も脅かしているのです。福祉職場の矛盾もけっして特別ではありません。
この現状を変えるのは、民営化攻撃の元凶である国鉄分割・民営化を粉砕し職場から反合・安全闘争で闘うことです。
K組合員が職場の仲間の未来を考えて団交に決起したことが、職場の仲間の共感を得ています。職場に残った分会員は職場で新たな仲間づくりを目指しています。K組合員は今後もユニオンの組合員として闘い続けます。11月労働者集会へ! 今こそ闘う労働組合をつくり出しましょう。
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週刊『前進』(2603号3面1)(2013/10/07 )
11・3へ新たな10万筆署名運動を
東京高裁の反動判決を弾劾する
「採用差別は不当労働行為」を認定しながら解雇撤回を否定 日刊動労千葉第7571号
9月25日の動労千葉鉄建公団訴訟控訴審判決に対して、動労千葉が日刊動労千葉第7571号(9月26日付)で発表した声明を紹介します。国鉄闘争全国運動が最高裁判決に向けて新たに呼びかけた「解雇撤回・JR復帰」10万筆署名を押し広げ、ともに闘おう。(編集局)
(写真 東京高裁判決を前に「すべての解雇者をJRに戻せ」とシュプレヒコールを上げた【9月25日】)
(一)
9月25日、東京高裁第12民事部・難波裁判長は、解雇撤回を求めて闘い続けてきた鉄建公団訴訟について、動労千葉組合員を採用候補者名簿から外したことを不当労働行為であると認定しながら、解雇撤回・JR復帰を拒否して500万円の「慰謝料」のみを命ずる反動判決を下した。断じて許すことができない。
この判決は、不当労働行為を認めざるを得ないところまで追いつめられながら、どんな論理矛盾をきたそうが、国鉄改革法体制だけは護持しようとする政治的反動判決であり、正義を踏みにじる暴挙だ。われわれは、満腔(まんこう)の怒りをこめて反動判決を弾劾し、解雇撤回の日まで闘い続けることを決意する。
(二)
判決は「国鉄当局は、当初は、動労千葉所属の組合員をも基本的には採用候補者名簿に記載する方針で同名簿の作成を進めていたにもかかわらず、改革労協側の姿勢に触発されるなどして、国鉄分割・民営化に反対する姿勢を示していた労働組合に所属する職員を、このような労働組合に所属していること自体を理由として、差別して不利益に取り扱う目的、動機(不当労働行為意思)の下に、本件名簿不記載基準を策定し、これに従ってJR東日本の採用候補者名簿に記載しなかったものと推認するのが相当である」と、明確に不当労働行為を認定した。その限りでは全く正当な判断である。それどころか、かつて難波裁判長自身が「停職6カ月または2回以上」の不採用基準を合理的として全ての請求を棄却する判決を下ろしていることを考えれば、われわれの闘いがついにここまで裁判所を追いつめた大きな成果だと言っても過言ではない。
(三)
だが、判決はそこから一転して、JRと国鉄は別法人でありJRには採用の自由があるから、「採用候補者名簿に記載されることが、直ちに同社に採用されることを意味するものではない」とか、「JR各社は、採用候補者名簿に記載された国鉄職員を全員採用したが、これは、国鉄において、本件基準に照らして採用することが不相応であると判断する職員を採用候補者名簿に記載しないとする方針の下に名簿を作成していたことを前提としたもの」であり、それが変われば全員採用したか否かは明らかではないというのだ。これは、「名簿不記載基準の策定は不当労働行為」との認定とは明らかに矛盾する主張だ。「国鉄が選別しなければJRがした可能性がある。JRがやれば『採用の自由』だ」と言う。こんなペテンでJR復帰の道を閉ざしたのだ。そして、「本件不記載がなければ一審原告らがJR東日本に採用されたはずであるとまでは認められないものの、本件の事実関係の下では、原告らが採用された可能性は相当程度にあったことも否定できないから」という理由で「慰謝料」の支払いだけを認めたのである。
これが「判決」の名に値するものなのか。「解雇撤回」「JR復帰」の4文字を否定するために奇弁を弄(ろう)しているだけのことだ。
(四)
だが、この判決が示しているのは、国鉄分割・民営化攻撃、国鉄改革法の破たんに他ならない。当該争議団・組合員はもとより、弁護団、国鉄闘争全国運動を先頭とした全国の支援の仲間たちの闘いがついにここまで敵を追いつめたのだ。
中曽根は、「国鉄労働運動を潰し、総評、社会党を潰すことを明確に意識してやった」と公言している。国鉄分割・民営化、採用差別が国家的不当労働行為に他ならないことは、司法の判断を待つまでもなく始めから明らかなのである。この26年間、司法がやったことは、奇弁を弄して不当労働行為を不当労働行為ではないと言い続けただけであった。
しかし、われわれは長い闘いの中で、不採用基準策定過程の真実を暴きだし、その基準が、井出、葛西ら旧国鉄幹部と斎藤JR設立委員長が足繁(しげ)く会い、共謀して作られたものであることを明らかにした。「国鉄とJRは別法人で不採用の責任はJRに及ばない」なる虚構は全部崩れ落ちたのだ。
それでもなお、国鉄改革法体制を護持しようとして矛盾を噴出させているのがこの判決だ。もう一歩だ。われわれは26年間の全てをかけて、解雇撤回をかちとる日まで闘いぬく。
(五)
われわれは絶対に忘れない。この攻撃の過程で国鉄の職場を追われた20万人の仲間たち、自殺に追い込まれた200人の仲間たちのことを。国鉄分割・民営化は暴力的な首切り攻撃であり、労組破壊攻撃であった。日本における新自由主義攻撃がここから始まり、膨大な労働者が非正規職やワーキングプアに突き落とされ、社会そのものが破壊された。そのことを忘れない。
JR北海道の現実を見てほしい。安全の全面崩壊。JR貨物の現実を見てほしい。賃下げを強制し続ける以外にもはや経営手段が無くなっている。これが国鉄分割・民営化がもたらしたものだ。国鉄分割・民営化は大失敗に終わった。
今こそ、国鉄分割・民営化を問い直さなければならない。安倍政権は、労働規制のさらなる緩和をもって、社会全体を総非正規職化、民営化地獄に叩きこもうとしている。闘う労働組合を甦(よみがえ)らせよう。国鉄分割・民営化体制を打破し、解雇撤回・JR復帰をかちとろう。
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週刊『前進』(2603号3面2)(2013/10/07 )
国鉄を基軸に医療産別拠点化の闘い進め11月1万大結集へ
革共同医療福祉労働者委員会
私たちの闘いは情勢に肉薄し、情勢を切り開き、プロレタリア階級に檄(げき)を飛ばして路線と方針を実践として貫き、急激に進化している。6千万労働者階級の目が一身に注がれていることを肝に銘じなければならない。とりわけ現場労働者はもっともっと必死に現場に食らいつかなければならない。11・3日比谷に全国から1万人の労組活動家を登場させよう。すべてはここから始まる! 「解雇撤回・JR復帰」10万筆署名を武器に、全国で組織し組織し抜いて進撃しよう。
医療福祉をめぐる決戦
一挙手一投足が情勢決める
動労千葉争議団の鉄建公団訴訟9・25高裁判決は、「解雇撤回だけは許さない」というまったく許しがたい反動判決である。しかし同時に、国鉄当局の不当労働行為を認定させたのは、まぎれもなく私たち労働者階級の力だ。新自由主義支配の崩壊の中で、この力で司法をもねじ伏せ、解雇撤回をかちとることは絶対に可能だ。11・3集会はそのための14年決戦に向かう総決起集会だ。全力で組織しよう。
福島第一原発の汚染水流出は、「第2の3・11」とも言うべき重大な事態だ。福島現地、国内はもちろん国際的にも深刻な事態をつくり出している。にもかかわらず、安倍首相はオリンピック招致演説で「東京は世界で最も安全な都市」「福島原発事故はコントロールされている」「汚染水の影響は完全にブロックされている」などという大うそを全世界に発信した。安倍に対する怒りが猛然と上がっている。
福島原発事故から3年目の来年3・11は、決定的な位置に押し上げられた。9月の「ふくしま共同診療所」報告会に、地元の人たちを始め160人が参加したことを見ても、本当に私たちこそが責任を取ることに執念を持つ必要がある。私たちの一挙手一投足と具体的な実践が情勢を決定する正念場へと、完全に競り上がったのだ。
オリンピック使い特区攻撃
安倍政権は、「世界で一番ビジネスのしやすい環境を実現する」と称して東京・大阪・愛知を「国家戦略特区」にしようとしている。
さらに2020年オリンピック東京開催決定をテコに、地域限定で大幅な規制緩和を行う「戦略特区」に東京を指定して、これを成長戦略の柱に据え、労働者階級全体への階級戦争に打って出ようとしている。10月上旬に第1次「戦略特区」を決定し、秋の臨時国会に関連法案を提出し強行しようとしている。
「戦略特区」を設置して、教育の公設民営化とバウチャー制度導入、株式会社の農地所有解禁、医療介護の病床規制見直しなどを行おうとしているが、最大の攻撃は「解雇特区」攻撃だ。
それは「雇用規制緩和」と称して、@金銭解決を含む解雇規制の緩和、A「有期雇用契約の5年を経た無期雇用への転換」の規制撤廃、B法定労働時間(1日8時間、週40時間)の規制を適用しない「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入を行う。
さらに重大なことは、道路・施設の整備・管理をPFI(公共施設の建設・運営への民間資金の投入)方式にすることにより、一気に全面的な民営化・外注化を促進しようとしていることだ。
すでに労働現場では、8時間労働制をめぐって資本との激しい攻防が展開されている。さらに敵の攻撃は、外注化・10割非正規職化の全面的推進で賃金制度・労働条件を解体するとともに、絶対非和解で闘う労働組合に対する解体攻撃のさらなる激化として現れる。
TPP(環太平洋経済連携協定)、オリンピック情勢によって、医療・福祉を戦場として日帝・安倍政権の攻撃がますます加速しようとしている。ここでの反撃は、国鉄を軸とする4大産別決戦と完全に一体である。首都・東京を一大戦場として、安倍政権と労働者階級との激突が開始されたのだ。
医療の「市場化」許すな
国際争闘戦からの脱落の危機に瀕(ひん)する日帝の「アベノミクス」の3本柱は、@異次元の金融緩和、A巨額の財政出動(10年間で200兆円の公共事業など)、B成長戦略=民間投資を喚起する政策として打ち出された。徹底的に労働者大衆を搾取・収奪し、犠牲にする政策である。
株式会社化と混合診療解禁
そしてB成長戦略プランの第一が医療である。「戦略市場創造」としてその具体化を決定している。「混合診察の解禁」「株式会社経営の解禁」を、TPPの「外圧」をも巧みに利用しながら、むしろ日帝の側が積極的に進めようとしている。これは労働者を、新自由主義資本のさらなる搾取・収奪と合理化、強労働、団結破壊の渦中に投げ込もうとするものだ。
安倍政権は成長戦略第2弾として、「産業競争力会議」で四つの分科会設置を決定し、その一つを「医療・介護」とした。そこで討議する主な論点として、@医療法人・社会福祉法人の再編促進、A混合診療の解禁拡大、Bレセプトの電子化を通じた予防医療、一般医薬品のネット販売が出された。
@は、医療・福祉を「戦略市場」として「創造」するため、大規模高機能病院と診療所との役割分担を鮮明にし、高機能病院が重症患者の治療に専念する体制をつくる、そのための設備投資などを可能にする規制緩和、株式会社の参入などを大胆に進めるというものである。
Aの混合診療は、@とともに医療の市場化・産業化の柱であり、要石の位置にある。先進医療研究の推進と同時に、皆保険制度の解体を促進し、低所得者を医療から排除するとともに民間医療保険の参入を促進する。医療は営利事業の土壌と化す。
Bは、情報の一元化をはかるとともに、電子機器導入を強制し医療の市場化―産業化を推進する。さらに病院で診療することも困難な低所得者層をターゲットとして、一般医薬品のネット販売解禁、さらに今後コンビニ、一般小売店へと販路を拡大する。
安倍「社会保障改革」と対決を
また、8月に安倍政権の社会保障改革をまとめた「プログラム法案」骨子案が出された。その中身は医療・介護が中心である。医療分野は14年〜17年度、介護分野は15年度をめどに実施するとしている。「社会保障の給付額は毎年3兆円ほど増え、財源不足を国の借金で穴埋めしている状態」として、@国民健康保険の運営を市町村から都道府県へ移行し、これを機会に負担増へ、A高齢者医療に出す支援金の算定方法の変更、大企業の健康保険組合の負担増へ、B70〜74歳の医療費窓口負担引き上げ(1割負担から2割負担へ)、C介護保険制度では要介護度の低い「要支援」向けサービスの市町村事業への移管による利用者の負担増、高所得者の保険料引き上げ――などが検討されている。
以上のように、安倍政権の「社会保障改革」の中身は、国家の負担を軽減するにとどまらず、むしろこれを使って医療の市場化・産業化、営利事業化を推進するものである。安倍政権は、新自由主義の崩壊の中で、生き残りをかけて医療・福祉の市場化・産業化に突進しようとしている。医療福祉産別の闘いは、脱落日帝と労働者階級との生死をかけた階級攻防の焦点になってきたのだ。
それは同時に、日本共産党スターリン主義との激烈な攻防を生む。
日共スターリン主義打倒へ
医療の市場化・産業化は、労働現場の徹底した強労働=合理化、低賃金=非正規化、外注化なしに成り立たない。これに対する労働者の怒りと決起は不可避である。だからこそ安倍政権と資本は、現場の反撃を阻止するために、日共スターリニスト=日本医労連指導部をこれまで以上に支配の補完物・協力者として、闘う労働組合の抹殺に打って出ているのだ。
医療福祉産別の仲間は、日共スターリン主義の抑圧と団結破壊を粉砕して、闘う労働組合をよみがえらせよう。それは労働運動の戦場でスターリン主義を打倒する歴史的な闘いなのだ。
団結し闘う拠点つくる
8時間労働制解体の医労連
医療産別では、日本看護協会が長日勤=12時間労働を推薦し、全国の病院に適用させようとしている。これに対して日本医労連本部も、“長時間夜間労働の改善を実現させるためには「長日勤」=12時間労働が必要である”として、積極的に支持している。
郵政では、限定正社員制度を先取りした「新一般職」の来年4月からの導入が、JP資本と結託するJP労組体制内幹部によって進められている。
まさに日共医労連幹部はJP労組幹部と同様、いやそれ以上に労働者の生命と生存の権利を売り渡し、安倍政権の最悪の補完物として敵対しているのだ!
この裏切りと敵対を絶対に許さず、労働者階級に暴露し、長時間労働に反対し、8時間労働制を守り抜く闘いを組織しよう。新自由主義は、まさに「労働者が生きること」そのものと敵対するまでに矛盾を深めている。これと絶対反対で闘う中で、労働者の怒りと合流し組織することはまったく可能なのだ。
国鉄署名武器に組織化を!
闘う労働組合に対する組織破壊攻撃と真っ向から勝負し、現場攻防に負けないことである。そして、徹底した事実の暴露で職場の労働者を組織し、動労千葉のように組織拡大に打って出ることが実践的結論だ。
そのために、地区党の団結を基軸にして産別委員会の建設を前進させよう。労働現場の課題から逃げず、うまずたゆまず闘いを組織し、現場細胞を闘いの切り羽としつつも、産別委員会と地区党が一切の責任を取るために闘おう。絶対非和解で闘う階級的労働運動路線の実践に一条の光を見て、労働者が結集する情勢がついに来ているのだ。
私たちとともに闘いたいと、意を決して結集する労働者が確実に現れている。一見分厚く見えていた帝国主義の岩盤にひびが入り、新自由主義の支配が崩壊しつつある。今こそ脱落日帝=安倍政権と新自由主義資本を打ち倒す時だ。
だからこそ、現場細胞が時代認識と路線で徹底的に一致することが11月組織化の力である。その武器が新たな国鉄10万筆署名だ。このかん多くの労働者が国鉄決戦に触れ、感動し、自らの闘いを階級攻防の中に位置づけ、強固に闘う活動家として飛躍している。国鉄決戦を闘うことは、そのまま労働現場の闘いの展望となる。また国鉄署名と物販は、職場を把握する武器である。4カ月決戦で着手した組織化をさらに地区党・細胞で白熱的に討議し、前進させよう。
11・3全国労働者集会へ、時代認識と路線で組織された1万人の労組活動家の結集をかちとろう。労働者階級、とりわけ私たち絶対反対派にとって、11月3日はまさに新たな闘いの第一歩だ。ここでつかみ取った地平から14年3月国鉄・反原発決戦に進撃しよう。
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週刊『前進』(2603号3面3)(2013/10/07 )
国鉄署名で職場を回り拠点建設の決意新たに
中国地方の医療職場から
中国地方A県では、国鉄解雇撤回10万筆署名を軸とした医療職場(B大学病院)の拠点化政策に向けて、地区党を挙げての議論と取り組みを開始した。
◆全組合員を対象に署名を呼びかけ
B大学病院は診療・教育・研究部門で3千人、さらに外郭団体、派遣・委託なども含め膨大な数の労働者が働いている。
今回私たちは従来のような一般的な職場ビラまきではなく、3千人全員が獲得の対象であることをはっきりさせ、まずすべての組合員の職場訪問に挑戦した。交代制勤務の看護職場では、なかなか目的の組合員と会えないことが多い。それでも毎日職場を訪問することで、半数近い組合員と面談した。そして何人もの組合員から、記入欄が全部埋まった署名用紙が届き始めた。このとき、一人ひとりの組合員が持つ力を信じ、そこに依拠することがやはり出発点だということにあらためて気づかされた。
また時間休をとって学内宣伝を2度行った。取り組み最終日には、「今週は毎日病棟に回って来ています」と言い残して通り過ぎて行った看護師がいた。それは、10万筆署名運動と私たちが「しつこい」ぐらいに存在感を発揮しているのだと感じた瞬間だった。こうして9・15国鉄闘争に向かう実質10日間の取り組みで、職場から135筆の署名が寄せられた。
◆国鉄闘争が持っている巨大な力
特徴的だったのは「国鉄」を知らない世代が好意的に署名に応じてくれたことだ。青年世代は26年間の闘いということにまず素直に驚いた。そして、それは生まれる前の遠い昔の話ではないこと、B大学病院ではすでに非正規職が6割を超えたことや、親元から独立することもできない青年の現実の原点がこの26年前の攻撃にあったと訴えた時、理屈抜きで共感して署名に応じる労働者が多かった。国鉄解雇撤回署名が職場の現実と結びついた時、それは誰かのための署名ではなく自分の問題となるのだ。
さらに、組合の現執行部の複数の役員が今回初めて署名に応じた。「解雇撤回」の誰も否定できない大義。そして、新自由主義の攻撃と破綻の一切を、その出発点であった国鉄分割・民営化と徹底的に闘うことで転換する闘い方で、必ず職場を組織し闘う労働組合をよみがえらせることができると確信した。
この4年間取り組んできた組合役員選挙で、私たちの複数の候補がそれぞれ4割以上の票を得るところまできた。私たちの職場も7〜9月の闘いで切り開いた労働運動をめぐる地殻変動情勢、労働者の意識の根底的な転換の情勢の例外ではなかったのだ。
◆組合執行部選挙の勝利へ闘う
同時にそれは、次の選挙でもし勝てないなら「正しいことを言っているが、結局多数はとれない」存在としてみなされてしまうことでもある。ある組合員から「毎年あなた方を支持し投票しているのに、どうして勝てないんでしょうね」と言われた。この言葉がすべてを表している。今が「最後の」大チャンスなのだ。今度こそ絶対に勝たなければならない。
私たちはB大学病院を必ずや医療福祉産別の拠点として打ち立てる。7・8%賃下げ強行、超長時間労働の強制、病院間競争での生き残りをかけた手術室大増設による労働強化と安全破壊に対して、すべてを新自由主義による医療の民営化とその破綻としてとらえ、動労千葉の反合・運転保安闘争を医療の職場で実践していく。
職場細胞での討議、青年と毎週1回積み重ねてきた『前進』フラクションの力、その一切を地区党のもとに集約し、総力で職場に返すことで、産別の違いや労働運動の経験・蓄積の有無という個人の力量を超えて、党として労働運動を実践できる力が必ず生まれてくる。それが「党と労働組合の一体的建設」の核心だと考える。
国鉄解雇撤回第2次署名と物販を組織化の武器にして、11・3集会大結集に突き進むことをあらためて決意する。
(中国地方・E)
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週刊『前進』(2603号4面1)(2013/10/07 )
第3回全国機関紙担当者会議の基調
新しい時代の新しい機関紙活動に挑戦し1万人読者網を建設しよう
革命的共産主義者同盟書記長 天田三紀夫
9月14日、第3回全国機関紙担当者会議が開かれ、天田三紀夫革共同書記長が基調報告を行った。1万人『前進』読者網建設の闘いを推し進め、党と労働組合を一体的に建設し、プロレタリア世界革命を切り開こう。1万人読者網実現の条件はそろっている。全国の同志は勇躍して機関紙闘争に打って出よう。(編集局)
はじめに
7〜8月の四つの勝利、すなわち@山本太郎氏の参議院選挙勝利、A国鉄決戦の爆発、とりわけ動労水戸と国労郡山工場支部の被曝労働拒否の闘いの結合、B8・6広島―8・9長崎―8・15集会の成功、C8月下旬の4大産別大会での激突――の上に今、9月攻防が激しく闘われている。9・4〜5全学連大会、9・8星野同志奪還・徳島刑務所闘争、三里塚現地攻防、9・14反原発大闘争(東京・亀戸中央公園)、国鉄―4大産別決戦など、革共同と日帝国家権力・資本、体制内労働組合幹部とが激突している。さらにオリンピック東京招致決定の反動、福島第一原発事故・汚染水垂れ流し、シリア情勢など、国際的にも新たな激動情勢に入っている。日帝国家権力・資本、体制内労組幹部らの9月反動を粉砕し、11月労働者集会、2014年3月大闘争へ突き進もう。
新自由主義への根源的な怒りが爆発している
新自由主義・帝国主義と全面的な階級戦争
今、全世界的に新自由主義、正確にいえば最末期帝国主義の絶望的な延命形態である新自由主義、これと全世界の労働者階級が激しく闘っている。大恐慌情勢もますます全世界を覆い尽くし、労働者階級を歴史の前面に登場させている。
新自由主義とは何か。労働者階級の人間性を破壊し、蹂躙(じゅうりん)する。労働者階級の団結を否定し破壊する。労働者階級が労働組合のもとに団結して資本との闘いに決起することを恐怖する。労働者の闘いを解体し資本への隷属を強制する。
「そもそも帝国主義・資本主義はそういうもの」かもしれないが、新自由主義は極限的なことをやる。社会を崩壊させる。新自由主義は全労働者の労働権・生活権・団結権を奪い、非正規職にたたき落とす。その中で国家への服従を迫る。
しかし、『前進』2599号の中央労働者組織委員会論文や関西自治体労働者委員会論文が言っているように、新自由主義の攻撃には整合性など何もなく、すでに破綻し、絶望的に凶暴化しているにすぎない。3・11福島第一原発事故やJR北海道の事故続発に見られるように、崩壊が始まっている。だから労働者が団結して闘えば勝つことができるのだ。
労働者階級は奪われたすべてを奪い返すために決起する。労働者階級に必要なものは、プロレタリアートを団結させる階級的な労働運動の全世界的な登場であり、階級的な労働組合と一体的に建設される世界単一の革命的労働者党である。このことがますます鮮明になってきた。
国鉄決戦の基軸性
国鉄決戦がこの任を担って登場した。国鉄決戦がプロレタリア革命運動の基軸的課題になった。JR資本は、日帝ブルジョアジーの先頭に立ち、ブルジョア的延命の旗頭になっている。外注化・非正規職化攻撃、原発再稼働攻撃、全世界へのインフラ・パッケージ輸出、復興特区攻撃と被曝労働強制、労働3権解体と改憲攻撃、これらを葛西敬之(JR東海会長)が先頭になって、マスコミを通してアジテーションをしている。JR資本が日帝の中心にいる。
そういう中で国鉄決戦を闘いぬき、JR資本の攻撃に反撃して勝利する道を動労千葉の鉄建公団訴訟が突き出した。国家権力中枢と激突して闘いぬいた裁判闘争の中で、JR設立委員会こそが不採用基準を作った張本人であることを暴き出した。9・25の反動判決を阻止するために10万筆署名に全力をあげている。
9・15闘争は非常に重要だ。「おれは国労だ」「おれは動労総連合だ」という枠をのりこえ、解雇撤回闘争を全階級の課題として闘う。こういう闘争は歴史的になかった。国労共闘も含め国鉄の全同志が主催者として参加する歴史的な大前進がかちとられている。
9月25日の東京高裁判決は反動判決が予想されるが、最高裁に向かって第2次国鉄署名に取り組む方針が準備されている。解雇撤回・JR復帰10万筆署名はこれからますます組織化の武器になる。ますます武器にして全国で全労働組合に入っていこう。
9・14反原発大集会には、2010年4・9政治和解に屈服した国労闘争団員が来る。4人の闘争団で満足せず、20人、30人にしよう。「おれはだまされた」と怒り心頭に発し、「あんたたちが言っていることが正しいから一緒にやろう」という闘争団員が必ず出てくる。解雇撤回・JR復帰10万筆署名を日本階級闘争を変える力にすることができる。
新たな大流動が起こっている。8月の自治労大会で大阪城の入り口に列をなして812人が国鉄10万筆署名に応じた。8・27全国自治体労働者集会には180人が賛同署名をした。『前進』が20部売れた。この1千人の活動家層は1千人の『前進』読者候補でもある。だが体制内労組幹部も自らの延命のために階級的労働運動派を排除しようとする。だから労組権力をめぐって今激しい攻防が闘われている。
報告活動の重要性
全国・全産別の闘いで重要なポイントは報告活動だ。自分たちだけ産別の事情を知って抱え込んでいては、もったいない。職場闘争報告を出して全国に知らせよう。全国に報告し、それで全国を獲得するのだ。
現場労働者は10時間労働、サービス残業をやらされ、とんでもない状況に置かれている。常任同志が現場同志から聞き取りをして報告を書こう。報告活動は『前進』にも反映する。
地区党の常任同志の活動の半分は報告活動だ。自分の闘いを自分だけの胸に収めないで、全国の同志に知らせ、共有し一緒に闘う姿勢に変革しよう。
階級的な団結、細胞的な団結がなければ情勢は打開できない。一人で抱え込んだ場合、必ずブレが起きる。地区党の課題、産別委員会の課題にすれば、いろいろな角度から討論され、ブレは是正される。
各産別・各職場の攻防についての分析を出し、全国のものにする。この作業は機関紙担当者になお一層求められる。分析・報告を『前進』に、「団結ひろば」に出そう。
拠点建設・細胞建設と地区党建設の闘いを機関紙を中心にして全部やっていく。報告活動においても、身も心も現場に行って、現場の同志と一体となって新しい情勢を切り開くという進攻精神が必要だ。
フクシマの怒り
福島第一原発の汚染水流出は「第2の3・11」情勢にある。階級的労働運動の力で安倍政権を打倒する以外に原発事故・汚染水・放射能問題の打開策は出てこない。
福島を圧殺し、汚染水を垂れ流して抜本的な解決策を出さない国家、安倍政権に労働者人民は激しい怒りと危機感を抱いている。改憲・戦争策動への怒りと危機感も高まっている。それらを労働運動の課題として闘い、労働運動で情勢を打開することがわれわれの課題であり、戦略である。
したがってNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議)の中心は労働運動でなければならない。除染労働者と原発労働者の組織化を抜きに再稼働阻止の道はない。階級的労働運動派が除染労働者や原発労働者を組織化する中で反原発闘争を闘いぬく路線を確立しよう。
われわれは2011年3・11直後から反撃に立った。5大拠点建設論を打ち出し、労働運動、農民運動、市民運動、大学に拠点をつくるために決起した。
とりわけ、ふくしま共同診療所を全国の力で建設し、9月8日に「開設から9カ月、甲状腺エコー検査から見えてきたもの」と題する報告会が160人の参加でかちとられた。行政を批判しながら本格的な拠点化が進められている。
国労郡山工場支部の被曝労働との闘い、青年獲得の闘いは素晴らしい地平を切り開いている。実に決定的だ。
全国にNAZENを結成すること、これは重要な組織方針である。@全原発廃炉・再稼働阻止、A被曝労働拒否・階級的労働運動をよみがえらせる、Bふくしま共同診療所建設推進、C保養・避難運動、D国際連帯闘争の発展――これがNAZENの運動の5本柱である。
国際階級闘争の発展と国際連帯の新段階
独ゴアレーベン、機関士労組との国際連帯が発展している。
韓国民主労総ソウル本部が外注化問題と並んで原発問題をテーマにした理念交流を動労千葉に申し出てきた。韓国も原発が多い。それが今止まっているため、節電が強制されている。韓国階級闘争にも原発にイデオロギー的に勝たなければいけないという問題がある。
『国際労働運動』10月号は韓国・民主労総を体系的・歴史的に分析している。こうしたものは『国際労働運動』以外にはない。
アメリカ階級闘争とヨーロッパ階級闘争も大党派闘争だ。11月号の特集は「アメリカの大学闘争」だ。新自由主義と闘うアメリカ学生運動を分析・紹介している。
またエジプトやシリアなどの中東情勢、アフリカ情勢を分析できるのも革共同しかいない。新自由主義論がないと分析できない。
例えば韓国の階級闘争を理解していく上で、韓国資本主義はどういう段階にあるのかをはっきりさせなければならない。現段階の韓国資本主義は、日帝への屈服ばかりではなく、日帝をのりこえている領域も非常に多い。争闘戦も展開されている。これを理論的に整理することは新自由主義論においても重要な課題になっている。
国際階級闘争分析と『国際労働運動』の位置づけをもっと高めたい。
党と労働組合の一体的建設と地区党の飛躍を
連合に代わり階級的労働運動派の登場を
2013年前半の闘いは、連合労働運動を破産にたたき込み、体制内労働運動指導部を打倒する労働運動として、あるいは労働組合運動をめぐる権力闘争として、発展している。体制内派指導部との激しい決戦となっている。
7〜8月のわれわれの4大勝利で、体制内指導部は打倒される危機に直面した。ここで彼らは、階級的労働運動派、動労千葉派の活動家を職場からたたき出すことを決意した。
したがって求められていることは、自治労4・26ストから8月産別大会で切り開いた地平に満々たる自信をもって、拠点建設に成功すること、産別委員会建設に勝利すること、地区党の正面課題としてこれを闘いぬいて突破することである。『前進』の読者網建設を通して勝ちぬいていこう。
重要なことは、党が団結していくこと。産別委員会も地区党も現場との一致をかちとることが鍵だ。党が団結しなかったら体制内派に勝てないし、産別の拠点化はできない。
党と労働組合の一体的建設は死活的闘い
労働運動をやる党への変革、あるいは階級の指導部の形成のために徹底的に闘おう。階級的労働運動を大きく発展させること、この点を抜きにして革共同の存在意義はない。
党と労働組合の一体的な前進のもとで、労働組合権力を奪取し、圧倒的な労働者階級を闘う労働組合のもとに結集させるために、その中心に労働組合の活動家集団、『前進』読者集団を形成することが不可欠だ。それなしに組合権力を取ることはできない。レーニン流に言えば、そういうことがない中で組合権力は取るべきではない。逆に恥をかかされて、われわれが打倒されてしまう。
プロレタリア革命と機関紙活動の意識性
党と労働組合の一体的な建設をかちとることは、いかにして可能になるののか。
第一にプロレタリア革命と革命運動の意識性を貫くことだ。
日本に反帝国主義・反スターリン主義の労働者党、社・共に代わる新たな労働者党をつくることは、最高に意識的・戦略的な闘いである。プロレタリア革命に向かっての系統的な宣伝・煽動(せんどう)戦、労働者階級に依拠した系統的な宣伝・煽動戦、機関紙活動の意識性にかかっている。プロレタリア革命が意識的な事業である以上、機関紙活動も革命に向かって労働者を組織する意識性をもってやらなければならない。
『前進』の見出しも、革命に向かって労働者をどう組織するかを考えて決められている。「○○闘争に決起しよう」というのは簡単だ。そうではなく革命への意識性、戦略性が貫かれた見出しをつけなければならない。
第二に労働組合の革命論的意義をはっきりさせることだ。
階級闘争、革命運動における労働組合の役割、意義についてもっと論じなければならない。どうしたら労働組合を運営できる党、労働運動を闘える党になるかを示さなければならない。
第三に党が一丸となって国家権力中枢と闘い、労働組合を通して資本と徹底的に闘う中で、階級的な団結が深まり、前進することができる。
第四にそれには指導部の圧倒的な形成と変革が必要となる。
つまり、時代認識と路線を体現する指導部として自己形成すること、革共同の50年の闘いの歴史の体現者として飛躍すること、マルクス主義者になることが求められる。
現場同志の闘いから学び吸収する力をつけなければならない。現場がどう闘い、どういう報告をしているのか、それを自分がどういう形で路線的・革命的に整理するのかが問われる。
意識性をもって党派闘争を闘い、その中で党を建設することが求められる。絶対反対を貫き、階級的団結を強化することを通して地区党建設と細胞的団結をかちとる。そうした闘う労働者党建設論を確立して闘う。
党建設の前進は中央指導部の細胞性が確立する度合いに応じてかちとられる。『前進』2600号の大原武史論文は、夏季特別号を引用して、問題は中央指導部の細胞的団結だと結論づけている。
産別委員会建設と地区党建設を基軸に
地区党は、労働運動を闘う地区党へと脱皮することと同時に、分担主義をやめて全戦線の課題を担う地区党へと成長することが求められている。
帝国主義・新自由主義の攻撃の現れが差別・抑圧であり、根は一つだ。根は帝国主義であり、新自由主義である。それと闘うために地区党が屹立(きつりつ)しなければならない。地区党はすべてと対決することが求められる。新自由主義の攻撃の具体的な現れ、彼らの意図、それらを全部、地区党の課題として引き受け、反撃しなければならない。
星野闘争、部落解放闘争、入管闘争などの根は一つ、新自由主義だ。労働運動を闘う地区党へ脱皮すると同時に、全戦線の課題を担う地区党になろう。革命的共産主義運動の歴史的な総括をかけて、「党の革命」の前進をかけて、全戦線的に分担主義を克服するという課題が非常に煮詰まってきている。
大恐慌下に革命を引き寄せる機関紙活動を!
この半年間でバラ売りと宣伝紙(無料配布)を合わせると○○○○部になった。無料配布といっても特定のだれかに渡している。バラ売りと無料配布とで定期購読部数とほぼ同じ部数となっている。それは1万人読者網建設が大いに達成可能な現実的な目標であることを示している。
定期購読部数の増減が激しい。増減の要因はすべて各地区の経験として報告されている。機関紙担当者と地区党の団結があった時に部数が拡大している。
街頭での販売・配布部数が著しく増えている。学生戦線は山本太郎選挙特集号を320部売った。しかし通常号に戻ると320部を維持できない。事は単純ではない。
この激しい動きに臆することなく、新しい時代の新しい機関紙活動を実践することが求められている。大恐慌のもとでプロレタリア革命を主体的に引き寄せる機関紙活動として毎日がある。それは労働者細胞建設をもって職場全体を獲得していく機関紙活動である。
労働者細胞の建設はいかにしてできるか
職場・工場全体を丸ごと獲得する闘いは労働者細胞建設から始まる。労働者細胞はどうしたら建設できるのか。
その基礎は一人ひとりの同志の自己解放的な決起である。生きるために闘うという自己解放的な決起だ。
そして〈時代認識と路線〉で武装し語ることが職場での労働者細胞建設の課題、当該地区党の課題だ。関西のBさんは、いったん一人になったところからはい上がり、支部権力を握った。さらに単組権力への挑戦を始めている。職場細胞建設を地区党の課題にして闘い成功したことが勝利の教訓である。
資本・権力と闘う(これにはさまざまなやり方と契機があるが)姿を見せることが職場の労働者から最も厚い信頼を得ることにつながる。逆に、われわれが闘っていなかったら大阪市の交通局や市従の労働者は8・27全国自治体労働者集会に来なかっただろう。闘っている姿を見せることから討論が始まり、『前進』の1部購読、定期購読へと進んでいく。
沖縄で国鉄10万筆署名運動と物販闘争を機関紙の定期購読につなげる闘いをやっている。それはまだまだこれからだが、沖縄NTTの職場の半分以上の労働者が物販をやっている。10万筆署名運動と物販闘争は、職場の全面的な分析と仲間づくり、『前進』読者会建設、細胞建設の基礎になる。
地区党と産別委員会で討議を開始し前進
地区党建設、産別委員会建設とは、中央委員会と一体化した地区党、産別委員会の建設である。これを否定する血債主義派との闘いを組織論としてしっかり総括しなければならない。
1人でも党員が存在する職場はすべて拠点であるという拠点建設論の立場に立とう。
地区党はすべての同志の課題を討議する組織である。集中して討議できる力は日常的な党活動、日常的な機関紙活動の中で育まれる。
番外だが提起したいことがある。機関紙配布活動が着実に行われていなければ、地区委員会を何時間やっても結論は出ない。機関紙担当者や配布者、地区キャップは、機関紙を配布する時に職場で起こっていることを掌握しなければならない。そうしなければ午後7時から10時に会議をやっても結論が出ない。『前進』配布網の日常的な建設・確立も意識的な闘いである。
第節 革命に向かって独自の系列をつくる闘い
プロレタリア革命勝利に向かって戦略的に闘う。機関紙活動は党の独自の系列をつくる闘いだ。また日帝国家権力中枢から防衛された独自の機関紙配布網を建設する闘いである。職場の中でそのように機関紙を配布することは可能だ。
マルクス主義で闘う
『綱領草案』の内容を具体的な現実に即して展開したものが機関紙であり、機関紙活動である。
プロレタリア革命は何千万人という労働者階級の崇高な闘いだ。共産主義運動は私有財産(資本)と階級、階級支配、搾取を廃絶する大事業である。マルクス主義で武装して闘い勝利するということだ。
例えば、参院選の東京選挙区で山本太郎氏に66万6684票が投じられたことは、世の中が動き出したということだ。まったく政治と関係なかったような人も投票した。それほど大きく動いたのだ。プロレタリア革命は、そういう人たちが動くような何千万人もの崇高な事業だ。そういう階級廃絶の大運動だ。だから大党派闘争なのだ。
今や階級を廃絶すると主要しているのは革共同しかいない。日本共産党は1973年に「プロレタリアート独裁」を「プロレタリアート執権」という訳の分からない言葉に換え、76年には「プロレタリアート執権」も綱領から抹殺してしまった。プロレタリアートの独裁がないのだからマルクス主義ではなくなった。それに比して革共同はマルクス主義的な『綱領草案』を発表し、それに基づいて闘っている。
党と労働組合の一体的な建設の武器が『前進』だ。党の路線・方針を労働組合の中で貫き物質化する。あるいは労働組合の実践を党として主体的に受け止める。そのような相互浸透的な発展として、党と労働組合の一体的建設を進めよう。
労働者同志が機関紙の内容に責任とろう
非常に教訓的なことだが、産別委員会の論文や日常的な職場活動の報告は、自分がぶつかっている壁、全党がぶつかっている壁が何であるかを明らかにするものだ。「自分だけ情けない」「自分はだめだ」というのではなく、全党がぶつかっている壁として自覚的にとらえ直し、階級全体の中に回答を返していく闘いが始まった。これからもっとやっていく。
編集局を先頭にして『前進』変革の努力を
今、情勢が激しく動いている。だから少しでも油断すると自分が後衛になってしまう。『前進』が「後衛」になってしまう。だから内外情勢の激しさ、プロレタリア革命情勢の成熟に食らいつき、それを労働組合的に、マルクス主義的に分析し解明しなくてはならない。
だからプロレタリア革命の勝利に向かう日々の宣伝・煽動が鍵を握っているのだ。機関紙はマルクス主義で宣伝・煽動し組織する武器である。『前進』で賃労働と資本の関係、帝国主義論、新自由主義論などをマルクス主義的に宣伝・煽動する。
機関紙闘争=財政闘争
機関紙は労働者同志の機関紙財政分担金で維持されている。党はその分担金が集まらなかったら『前進』を発行できない。そういう機関紙の発行があってこそ、革命運動は本格的に発展する。機関紙活動の前進は財政闘争の前進としても実現される。そういう党をしっかりつくっていくことが重要だ。
国際階級闘争の要請
国際階級闘争も待ったなしに機関紙活動の発展を求めている。世界単一の労働者党の建設が現実の課題になってきた。
『綱領草案』には英語版、ハングル版がある。ドイツ語版は作成中だ。『綱領草案』は全文が翻訳されている。『前進』も重要な論文・記事などを全部翻訳できる体制をつくりたい。『前進』国際版のようなものを出していきたい。世界単一の労働者党を建設する意味で、もっとやるべきことがある。
血債主義との闘いには、労働者の国際的団結、世界単一の労働者党の建設で勝利していく。動労千葉労働運動、3労組共闘の前進として労働者の国際連帯闘争が発展している。関西入管研究交流集会、全国入管研究交流集会の中で国際連帯闘争が発展している。
結論
11・3労働者集会1万人結集から2014年3月決戦へ!
2014年3月に向かって大決戦となった。帝国主義・新自由主義の破局はさらに進む。とてつもない情勢になっていく。激しく闘いぬいていく。1万人『前進』読者網建設が勝利だ。これから半年間を全力で闘おう。
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週刊『前進』(2603号5面1)(2013/10/07 )
10・18法大闘争の大爆発を
処分撤回・学祭実打倒から自治会建設へ進撃しよう
マル学同中核派・法政大学支部
法大キャンパスでは、帝国主義支配を根幹から覆す学生の怒りが噴き出している。その中で決定的な勝利がかちとられている。法大当局が全面的に自主法政祭に介入し、その先兵となった学祭実行委員会(学祭実)によって特定の数サークルが希望企画場所から排除されようとしていたが、闘う法大生は徹底的に暴露・弾劾し、全面撤回させた。学祭実にすっかり“恥をかかせ”、団結して決起すれば必ず勝利できることを示した。
06年3・14大弾圧以来の最大最高の決戦情勢だ。勝負は、10月18日に市ケ谷キャンパス中心部から巨大な法大生の決起をつくり出すことだ。その力で学祭実を打倒し、学生自治会建設へ突き進もう。そして11・3労働者集会に大合流しよう。
「絶対反対」の闘いが新自由主義揺るがす
法大文化連盟を軸とする実行委員会から「大学の主人公は学生だ! 不当処分撤回! 当局の企画介入を許さない! 学祭実をぶっとばそう!」を掲げた「10・18集会呼びかけ」が発せられた。
10・18闘争は一つに、法大当局と学祭実による露骨な学祭つぶしに怒りを爆発させる闘いだ。
「今年はついに、大学当局が学祭企画に介入し、『趣意書』の評価を無視しての企画場所の一方的・強権的な変更など、不当な学祭つぶしが行われています。学祭実もまたそれに協力し、『趣意書』の形骸(けいがい)化に積極的に加担している状況です。……もはや学祭実は、『大学当局の意志』を『学生の意志』として表現するための隠れ蓑(みの)にすぎない存在になっています」(「呼びかけ」)
御用学生団体・学祭実の堕落と反動化は加速度的に進んでいる。その正体が露わとなり、「もう一歩も引けない」と法大生の新たな決起を続々と生みだしている。
10・18闘争はいま一つに、「教育の民営化」の腐った象徴である法大中心部から学生の反乱を巻き起こし、新自由主義を粉砕する闘いだ。すなわち、学生自治会を建設する闘いだ。
「この問題は、『営業権』や『施設管理権』を掲げ、大学を私物化する法政大学のあり方をめぐる問題です。ゆえに法政大学だけの問題でもなく、国立大学法人化以降の財界と国家による大学の統制強化と、大学間競争の激化によって追いつめられた大学が、キャンパスに商業原理を貫徹していくため、その障害である学生の自治や団結を破壊する攻撃です」
「大学当局と学生は本質的に非和解です。文化連盟はこの点を見据え、08年、大学当局に非公認化されても、学生の団結と可能性にのみ依拠して『教育の民営化反対』『一人の仲間も見捨てない』をスローガンにして闘ってきました。それは、規制や処分の一切を学生自治の問題としてとらえ、絶対反対の姿勢で臨むことで実践されます」(同)
法大当局の学祭つぶし、その先兵の学祭実、怒りを爆発させる法大生の決起の拡大。これは300万学生の直面する現実であり、6千万労働者階級の現実だ。10・18闘争の爆発は、新自由主義大学(法人化大学)を粉砕し、学生が教育を実力で取り戻す号砲となり、階級的労働運動の前進と一体で安倍政権打倒と革命へ向かう。
ついに法大自治会建設の展望が射程に
現下の法大情勢の核心は第一に、ついに法大での学生自治会建設を射程に入れた大衆的決起を生み出していることだ。
「裏切り者の学祭実はいらない!」――これが怒れる法大生の声であり、2年連続の「学祭実への2割不信任」で示された法大生の怒りだ。“学祭実を打倒し、自分たちがとって代わる。学生の利益を体現する団体が必要だ”――闘う法大生集団は今、明確に原始的・原初的な自治会建設に踏み出している。学祭実打倒と自治会建設は大衆的欲求だ。新自由主義攻撃が最も激しく、なりふり構わぬ処分・弾圧と闘う法大キャンパスにおいてこそ怒りは根底的だ。自治会建設によってのみ勝利できるという確信が日々深まり、自治会建設への最短コースをひた走っている。
核心の第二は、法大生の怒りは「営業権」「施設管理権」という新自由主義大学の「心臓部」を撃つものとして発展していることだ。
「営業権」とは、大学の「利潤追求」が優先され、教育を金もうけのタネに使うことだ。「営業権」を盾にビラまき弾圧も許されると居直っている。「施設管理権」とは、キャンパスは理事会の“私有財産”であり、いかなる規制や自治破壊も許されるというものだ。学祭実はこの論理に完全に屈服し、学生支配の先兵となっている。
しかし、こんなブルジョアジーの「権利」など学生は絶対に認めない。粉砕あるのみだ。全人民の未来をつくる「教育」と、ブルジョアジーのカネまみれの欲望など両立しない。いかなる攻撃も「教育」という建て前を掲げざるをえないところに、支配階級の矛盾と弱点がある。「絶対反対」の路線と方針ががっちりと法大生の怒りとかみ合い、行動にかり立てている。
核心の第三は、「昨年10・19法大集会」と、その後の武田雄飛丸君(文連委員長)への「無期停学」処分をものともしない闘いが、圧倒的な求心力となっていることだ。
昨年の10・19法大闘争の1千名でのぶち抜きが、今もキャンパスの力関係を規定している。10・19闘争で「悪夢」を見た法大当局は、直後に武田君への「無期停学」処分を強行したが、それすらも法大生の怒りと団結に転化している。
そればかりか、この処分は当時の学祭実委員長が国際文化学部に文書で「要請」したものであったことが処分撤回裁判で暴かれた。武田君への処分と学祭規制問題との一体性がますます明らかとなり、法大当局・学祭実の存立を揺るがす最弱点となっている。
核心の第四は、一方での9月全学連大会のうち抜き、他方での機関紙『前進』での討論が、闘う法大生の革命性・能動性を激しく引き出していることだ。全学連大会での全国学生との団結形成、そして「反帝国主義・反スターリン主義世界革命」の綱領的立脚点での一致が、法大生に自らの決起への確信を深めさせ、「生き方」をかけた決起をつくり出している。法大自治会建設とマル学同法大支部建設が一体で進んでいる。
10・18法大へ全国の学友は総結集しよう
総じて、10・18法大闘争の爆発は世界を揺るがし、全世界での青年労働者・学生の新自由主義への反乱と一体化する。昨年10・19をこえる学内決起をたたきつけた時、もはや法大当局・学祭実は支配を維持できない。「1人の決起」が二けたの学内活動家集団を生み出し、二けたの核心的決起が3万法大生を獲得する「化学変化」を生み出す。決起が決起を呼ぶ革命の過程として「激動の10日間」を闘おう。
10・18法大闘争は、11・3労働者集会に直結する。学生の団結は、動労千葉労働運動を先頭とする階級的労働運動との連帯を求める。さらに、決戦を迎えた10・20三里塚闘争とも一体でうち抜かれる。
新自由主義の崩壊は、すさまじい勢いで進んでいる。ただただ労働者・学生の未来を破壊するしかない帝国主義に対し、労働組合・学生自治会の建設で新たな社会を創造していく今秋の革命的闘いをつくり出そう。10・18法大闘争と一体で、同日の安倍打倒の国会デモを闘おう。
全国学友は、自らの大学での学生自治会建設(強化)の展望もかけて、10月18日は法大キャンパスに大結集してほしい。そしてわれわれはこの秋、法大を軸に東京での学生自治会運動の創成への重要な一歩を踏み出す決意だ。
法大闘争はその激しさと根底性ゆえに、常に決戦のただ中から多くの「革命のリーダー」を生み出し前進してきた。その規模を数倍数十倍させ10・18闘争をかちとろう。一人ひとりの学生の決起が歴史を前進させる。10月18日をその出発点としよう。
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週刊『前進』(2603号5面2)(2013/10/07 )
内部被曝強制の新自由主義
77年のICRP勧告で大転換 「放射線有益」論主導した日帝
汚染水問題での安倍の言動は、人の命などなんとも思わない資本家階級の本性をむきだしにした。安倍打倒を掲げ、今秋の反原発闘争をさらに発展させよう。反原発闘争は「命より金」の新自由主義との闘いだ。内部被曝問題も新自由主義下で激変してきた歴史がある。今号では、1977年のICRP(国際放射線防護委員会)勧告での新自由主義的な大転換と、90年代末から日本帝国主義主導で振りまかれてきた「低線量放射線有益」論の二つを取り上げる。現在、私たちが闘っているのは、この新自由主義下での被曝隠蔽(いんぺい)と被曝強制であることを鮮明にさせたい。
原発汚染水の海洋流出居直る安倍打倒しよう
汚染水の大量流出と海洋汚染は、安倍政権による「第2の3・11」である。安倍は9月に福島第一原発にまで行って、「汚染水はブロックされている」と言い放った。大火事が起きているど真ん中で、「火事は起きてない」と言うに等しい。放射能が人間の五感に感じられないことをいいことに、安倍は大うそを繰り返している。しかも、これは火事ではなく、チェルノブイリ事故を上回る人類史上最悪の原発事故なのだ。人間の命と尊厳をこれほど侮辱するものがあるだろうか。今や、安倍をぶっ飛ばし安倍政権を打ち倒すことは、すべての労働者人民の責務となった。
汚染水問題だけではない。福一労働者が早くから汚染水タンクの危険性と改善策を指摘していたのに、東電・政府はそれを無視して被曝労働を強制しつづけてきた。福島の子どもたちに甲状腺がんが多発しはじめてもなお、御用学者と福島県・政府は「放射線の影響ではない」と言い放っている。
さらに、避難区域の除染効果がないことが実証されたにもかかわらず、なおも「除染で安全」のデマで帰還と被曝を強制する。これと一体で、常磐線の竜田駅までの延伸も画策している。一方で、被災3県のプレハブ仮設住宅には8月末でも4万6500戸が入居しており、入居率は事故から2年半後も88%(阪神大震災では61%)、真の救済策は取られていない。そして、これらの大うそと命の軽視・圧殺の上に、東電までが柏崎刈羽原発の再稼働を申請するという、許されない暴挙に出てきた。
反原発は新自由主義との闘いだ
これらすべてに対し、“こんな大うそを平気でつくやつらはなんなんだ”“こんなうそで子どものがんと海洋汚染を居直る連中はなんなんだ”という怒りの声が充満している。これに対する回答は鮮明でなければならない。これこそが新自由主義なのだ。資本家階級が当座を生き延びるためなら、人の命など露ほどにも思わない、「命より金もうけ」である。しかも、この新自由主義こそが世界大恐慌を引き起して大破産したにもかかわらず、資本家階級はなおもその破産した新自由主義にしがみつくしかない。だから、これほど破滅的なやり方を繰り返すのだ。
まさに新自由主義は〈最末期帝国主義の絶望的な延命形態>である。しかし、新自由主義には弱点がある。労働者人民の分断、労働組合の翼賛で成り立っているにすぎない。労働者人民が団結して立ち向かえば、必ず新自由主義・日帝を打ち負かすことができる。反原発闘争は新自由主義との闘いであり、その展望は何よりも労働組合をよみがえらせて闘う中にある。だから、反原発闘争と国鉄決戦は一体だ。
資本の利益を最優先し被曝「低くする」を抹消
内部被曝の隠蔽と被曝強制という点でも、新自由主義のもとで大きな転換がある。「核が登場して以来、内部被曝の事実は抹殺されつづけてきたが、今の日本政府と福島県が行っている内部被曝の隠蔽は、新自由主義攻撃としてある。その意味で歴史上最もあくどい」(『国際労働運動』8月総特集号29n)。これを歴史的に検証したい。
放射線は1発でも人体を傷つける。これ以下なら安全という「しきい値」などない。それは、マラーの「放射線照射による突然変異」の発見(1927年)、ゴフマンの「低線量放射線によるがん死」の論証(70年ころから)、ペトカウの「低線量放射線による細胞損傷」の発見(72年)などによって実証・論証されてきた。
だから、ICRPが決めてきた「放射線防護基準」とか「許容線量」とかは、ゴフマンが断罪したように「殺人許可証」にほかならない。今の日本政府や福島県とかが言う「何_シーベルトまでは大丈夫」論もすべて、「殺人許可証」なのだ。
しかし、そういう「ICRP防護基準」ですら長期間、「できるだけ低くする」と明記されてきた。ICRP50年勧告では、「被曝を可能な最低レベルまで引き下げるあらゆる努力を払うべきである」とされた。58年勧告や65年勧告で改悪されてきたとはいえ、「できる限り低く」という文言は残っていた。
空気・水・食糧も汚染する新基準
これを大転換したのがICRP77年勧告である(中川保雄著『放射線被曝の歴史』明石書店を参照)。従来の「できる限り低くする」という表現は消し去られた。「放射線防護は、個人、その子孫および人類全体の防護に関係するものであるが、同時に放射線被曝を結果として生ずるかもしれない必要な諸活動も許されている」という言葉が冒頭に置かれた。これはもう、無制限の被曝容認論だ。
実際この勧告で、原発などの作業で1回当たり100_シーベルトまでの大量被曝を認め、年間5_シーベルト未満はゼロ扱いに変えられた。「許容線量」を「実効線量当量」と言い換え、例えばストロンチウム90では11・5倍もの被曝量を公認した。「これらの基準の問題は、原発および核燃料サイクルの事故や日常運転、放射性廃棄物の処理・処分によって引き起こされる環境の汚染、食糧の汚染の問題に直結する。原子力産業は空気や水や食糧を従来よりもはるかに放射能で汚染してもよい、というお墨付きを与えられたようなものである」(『放射線被曝の歴史』)
この77年勧告では、“企業利益のため被曝防護のコストを減らす”という考え方が取られた。「コスト−ベネフィット(利益)論」と称す。その背景には、一方で70年前後の世界的な人民反乱と反原発運動の高揚で、原発の設計や安全装置の見直しを迫られコストが増えていた。他方で、74〜75年世界恐慌をへて資本主義・帝国主義体制はいったん大破産し、延命に必死になっていた。ここから、資本家階級の利益を最優先し、無制限の被曝を容認するものに大転換したのだ。
資本の利益のためなら人の命がどうなろうとかまわない、という新自由主義そのもの! 新自由主義は80年代に本格化するが、70年代後半にすでに始まっていた。いま私たちの眼前にあるのは、これ以来強まりつづけてきた新自由主義下の被曝隠蔽・被曝強制なのだ。
「放射線有益」論者らが3・11後の政府要職に
さらに、90年代からは「低線量放射線有益」論が公然と登場する。これを世界的に主導したのは、ほかならぬ日本帝国主義、直接には日本の電力資本とそれに連なる御用学者たちである(島園進著『つくられた放射線「安全」論』河出書房新社を参照)。
「低線量放射線研究のパイオニア」と称する石田健二(元電力中央研究所・放射線安全センター長)の発言が典型をなす。「100〜200_シーベルトの低線量放射線領域においては、身体的な障害を示す事例の報告は見当たらない。それよりも逆に、生理的に有益な効果(ホルミシス効果と呼ばれる)を生じる場合がある」とし、具体的に「発がん抑制、老化抑制、生体防御機構活性」を挙げている(『日経サイエンス』08年6月号)。ホルミシスとはギリシャ語で「刺激する」という意味。この「放射線有益」論で、低線量を完全無視しえないICRPモデル・基準も変更すべきだ批判する。
その動物実験をしたと言うが、信用ならない。要は、歴史的に実証・論証されてきた「低線量放射線の危険性」を、とにかく全面的に否定するという階級的立場がまずある。そのために、電力中央研究所が中心となり、放射線医学総合研究所(放医研)も加え、さらには15大学の御用学者を巻き込み、「放射線安全・有益」論をばらまいてきたのだ。
世界的にこれを主導したのは日帝である。86年のチェルノブイリ事故で、日本の御用学者は広島・長崎の「疫学的経験」を振りかざして、国際帝国主義としての対応の先頭に立った。核兵器では米帝主導だったが、「放射線防護」に関しては日帝が筆頭に躍り出た。さらに日帝は、95年の「もんじゅ」事故に続き、99年の東海村JCO事故では死者2人、被曝667人、避難31万人という惨事を経験した。原発事故と放射能汚染の深刻さ、それが生み出す体制崩壊の危機を思い知ったからこそ、日帝はICRPをも批判する「放射線有益」論に訴えはじめたのだ。
しかも、この「放射線有益」論の中心的人物が、3・11後に政府の要職に就いている。電中研から放医研に移った酒井一夫は、首相官邸の原子力災害専門家グループの8人の1人、「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」の9人の1人。文科省・放射線審議会会長の丹羽太貫、内閣府原子力安全委員会委員長代理の松原純子も「有益」論者である。私たちが対峙しているのは、こういう新自由主義の権化と言うべき連中だ。
フクシマの圧殺を許さず、全原発を廃炉にするためには、新自由主義・日帝を打ち倒さなければならない。極悪の「放射線有益」論への怒りを爆発させ、10・13反原発闘争に決起し、何よりも11・3労働者集会に結集しよう。
〔島崎光晴〕
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新自由主義下での内部被曝問題の推移
1950年 ICRP(国際放射線防護委員会)設立初の勧告で「被曝を可能な最低レベルまで引き下げるあらゆる努力を払うべき」
54年 ビキニ事件で放射能への世界的危機感
63年 大気圏内核実験禁止条約の締結
70年前後〜 反原発・環境保護運動の高揚
77年 ICRP勧告で“利益優先で被曝防護のコストを減らす”考えを導入し大転換
80年〜 米・英・日で新自由主義攻撃の本格化
86年 チェルノブイリ原発事故に重松逸造など日本の御用学者が国際的対応の筆頭に
89年 電力中央研究所を中心に「放射線ホルミシス研究委員会」発足
93年 大学など14機関の参加でホルミシス効果の共同研究プロジェクト開始
95年 「もんじゅ」事故
99年 電中研の主導で「低線量放射線有益」論の初の国際シンポジウム
東海村JCOの臨界事故で避難31万人
2002年 電中研主催の国際シンポで、「放射線有益」論でICRP基準を批判。この時の
講師、酒井一夫・丹羽太貫・松原純子らが3・11後に政府の要職に就く
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週刊『前進』(2603号5面3)(2013/10/07 )
“絶対に廃炉にする”
9・27官邸前行動
若い女性ら安倍を弾劾
9月27日の首相官邸・国会前行動では、若い女性を中心に安倍への猛烈な怒りの発言が続いた。さらには北海道、秋田、愛媛など各地で闘う人びとも駆けつけ、活動を報告し、再稼働阻止を訴えた。安倍への怒りは激しく、先鋭化し、安倍打倒まで突き進む勢いだ。
秋田県から参加した女性は、「私には、めいが世の中で一番可愛い存在です。めいには豊かで明るい未来を残したい。秋田でも毎週金曜日にデモが行われています。汚染水流出や原発輸出に対して、秋田弁で抗議のコールを上げています。負けません!」と声を張り上げた。
もう一人の女性は「安倍首相! 私は毎日毎日ニュースや新聞記事を見て怒り、悲しむ日々です。『汚染水はコントロールされている』とうそをつき、『原発を放棄しない』と世界中に言い放ち、あなたは福島で生活している人たちのことを踏みにじる行為をしています」と安倍を厳しく批判し、「私たちは絶対に廃炉を目指します。新潟県知事にはがっくりしました。でも私たちは負けません。絶対に廃炉にします!」ときっぱりと言い切った。
若い女性が続き、「安倍さん! 私はもうあなたのことを『さん』付けで呼ぶことがいやになりました。もう気分が悪いです。おい安倍! あなたはいったい誰のために政治をやっているんですか! 経済界のやつらのためにやっているとしか思えません。本当に醜い、いやなやつだと思う!」と吐き捨てるように怒りを表明した。
(写真 「海を汚すな!」「柏崎刈羽、再稼働反対!」と怒りのコール【9月27日 首相官邸前】)
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週刊『前進』(2603号5面4)(2013/10/07 )
【要項】10・18法大集会&デモ、10・18安倍打倒国会デモ、1013原発ゼロ★統一行動
大学の主人公は学生だ!!/不当処分撤回! 当局の企画介入を許さない! 学祭実をぶっとばそう!
10・18法大集会&デモ
10月18日(金)12時40分集合
法政大学市ケ谷キャンパス中央
集会後に法大包囲デモ
呼びかけ 10・18法大集会実行委員会
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福島圧殺の五輪招致弾劾! 原発再稼働阻止!/成長戦略−
解雇自由化・特区攻撃絶対反対!/改憲・TPP・秘密保護法粉砕!/教育再生実行会議粉砕! 大学の主人公は学生だ!
10・18安倍打倒国会デモ
10月18日(金)午後(法大デモ終了後)
霞が関
呼びかけ 全日本学生自治会総連合(斎藤郁真委員長)
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1013原発ゼロ★統一行動
10月13日(日)午後1時〜7時
国会議事堂周辺
主催 首都圏反原発連合
共催 さようなら原発1000万人アクション/原発をなくす全国連絡会
●午後1時〜 日比谷公会堂集会 正午開場 先着順(定員2000人)
●午後2時〜 巨大デモ 日比谷公園霞門集合
●午後5時〜7時 国会前大集会
*雨天決行。悪天候の場合は中止。予定は変更の場合があります。
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週刊『前進』(2603号6面1)(2013/10/07 )
集団的自衛権で「9条破棄」狙う
階級的労働運動と国際連帯で戦争と改憲の安倍政権を倒せ
改憲阻止闘争の勝利のために(上)
安倍政権による憲法改悪の動きが本格化している。安倍は「憲法改正は私の歴史的使命」と宣言し、副首相の麻生は「ナチスの手口に学べ」とまで主張して、どんな手を使ってでも改憲を強行する意図をあらわにした。今や改憲をめぐる攻防が、日本階級闘争の正面課題へとせりあがった。11・3労働者集会の歴史的成功をかちとり、階級的労働運動と労働者国際連帯の力で改憲阻止闘争を爆発させよう。上、下2回の連載で、安倍政権のこの間の動向を踏まえつつ自民党改憲草案(2012年4月発表)を暴露・批判し、改憲阻止闘争の路線的核心を明らかにしたい。
(写真 戦後革命期の、7万人が大結集した1946年4・7幣原内閣打倒人民大会。労働者が首相官邸に突入)
自衛隊を「地球の裏側」まで戦争に行かせる!
この間、安倍政権は憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認へ急ピッチで動いている。内閣法制局長官に集団的自衛権容認派の小松一郎を起用したクーデター的人事に続き、9月17日から安倍の私設諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)を再開。ここで年内に報告書をまとめ14年初頭にも政府として解釈変更へ踏み出すとしている。安保法制懇のメンバーは、14人全員が集団的自衛権容認派で固められ、その中には国鉄分割・民営化で不当労働行為をもって労働者の首を切った下手人・葛西敬之(JR東海会長)が加わっている。
集団的自衛権とは「同盟関係にある国が武力攻撃を受けた場合、自国が直接攻撃されていなくても、同盟国とともに戦うことができる」というものだ。重大な点は、例えばアメリカ本国が直接攻撃されなくても、米軍がどこかで攻撃を受けただけで発動できることだ。
去る9月19日、内閣官房副長官補・高見沢将林が、集団的自衛権が容認された場合、「自衛隊が地球の裏側まで絶対に行かないとは言えない」と発言し批判を呼んだ。集団的自衛権の発動が、いかに無制限で野放図な軍事行動となるかをはしなくも暴露したものだ。
この動きと並行して、安倍は今秋臨時国会で国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案と特定秘密保護法案を提出、さらにNSCの理念に当たる国家安全保障戦略(NSS)とそれに沿った防衛大綱の見直しをいずれも年内に閣議決定するとしている。防衛大綱の焦点としては、海兵隊機能の導入と敵基地攻撃能力の保有が挙げられているが、すでにその先取りとして、航空自衛隊が米軍戦略爆撃機B52による敵基地攻撃演習に共同訓練として参加していたことが明らかになっている。
安倍は「積極的平和主義」と称して、明らかに一線を超えた戦争準備に猛然と突き進んでいるのだ。この動きを絶対に軽視することはできない。
なぜ今、日帝は改憲なのか
こうした安倍政権の改憲攻撃を真正面から迎え撃ち、改憲阻止闘争を階級決戦として爆発させていくために、私たち労働者階級に求められていることは何か。
第一に、「なぜ今、改憲なのか」を時代認識から明らかにし、改憲と戦争の階級的性格を具体的に暴きだすことだ。
改憲攻撃の背景にあるのは、今日の世界大恐慌と帝国主義間・大国間争闘戦の激化、とりわけ米帝の未曽有の危機と没落であり、その突破をかけて打ち出された「新軍事戦略」だ。米オバマ政権は、アジア太平洋地域の市場の制圧と勢力圏化を公然と宣言し、TPP戦略と一体で中国をけん制する新軍事戦略を進めている。日本へのオスプレイ配備や軍事演習の激化もその一環である。
さらに、米有力シンクタンク・CSIS(戦略国際研究センター)が昨年8月に発表した「アーミテージ・ナイ報告」は、中国との軍事対決を強調しつつ、日本に対して「集団的自衛権の禁止は日米同盟にとって障害物」と突き付けた。安倍はこれに応えて昨年衆院選の公約で「米国の新国防戦略と連動して自衛隊の役割を強化する」「集団的自衛権行使を可能とする」と掲げたのだ。
こうした米帝の対アジア戦略に対し、日帝・安倍政権は自らも独自のアジア勢力圏化をはかろうとあがき、一定の武力行使が可能な方向を必死で模索している。安倍政権の突出した動きには、こうした背景があるのだ。
第二に、改憲攻撃は日帝の階級支配の危機、とりわけ3・11後の危機に対する新自由主義的な統治形態の転換=階級戦争だということだ。「国鉄分割・民営化で国労をつぶし、総評をつぶして、お座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」という中曽根発言からも明らかなように、改憲とは労働組合破壊を核心とする新自由主義的国家改造に他ならない。だからこそ、この攻撃とがっぷり四つに組んで対決する国鉄闘争を先頭に、全産別・全職場で階級的労働運動を爆発させていくことに勝利の展望がある。
第三に、改憲阻止闘争の今一つの柱となるのが、労働者階級の国際連帯闘争で戦争と排外主義の攻撃を打ち破っていくことだ。改憲は、天皇制イデオロギーを軸とする国家主義・排外主義の濁流で全人民を押し流そうとする攻撃である。この間の極右改憲勢力の暴言――安倍の「侵略の定義は定まっていない」発言、大阪市長・橋下の「従軍慰安婦は必要だった」発言などに対し、アジアをはじめ全世界から怒りが爆発している。また「尖閣国有化」をぶちあげて領土問題を扇動する口火を切った石原慎太郎は、「日本は軍事国家になるべきだ。経済を蘇生させるには防衛産業が一番いい。核武装を議論することも選択肢だ」(朝日新聞4・5付)などと言い放った。
こんな連中のために、日本と他国の労働者民衆は互いを敵とみなし、憎しみ合い、殺し合わなければならないのか? 否! 11・3集会を歴史的な国際連帯集会としてかちとり、戦争と排外主義をあおる安倍政権と極右改憲勢力を打ち倒そう!
憲法と安保・沖縄問題は日帝の最大の破綻点だ
「日本の帝国主義としての最大の破綻点は、戦後憲法体制下の労働者支配の危機性と、安保・沖縄問題、すなわち日米安保同盟関係の矛盾と危機にある。世界大恐慌下でその矛盾と危機はいよいよ爆発点に達していく」(革共同綱領草案)。憲法と安保・沖縄問題は日帝の「最大の破綻点」であり、改憲阻止闘争は革命の展望そのものだ。このことをまずしっかりと確認しておきたい。
もとより憲法とは「政治の子」「革命の子」であり、突き詰めればどの階級が権力を握るのかという革命の問題に必ず行きつく。
近代憲法は、アメリカ独立革命(1776年)やフランス革命(1789年)に代表されるブルジョア革命によって封建制を転覆したブルジョアジーが、他の階級に対して自己の覇権を宣言し、自分たちが築く国家・社会の原理を宣明するものとして成立した。それは確かに封建時代の専制支配を廃止し、個人の「法の下の平等」を宣言したが、その個人とはあくまで私有財産の所有者としての個人を意味した。他方、いっさいの生産手段と生活手段を持たず、自らの労働力を商品として資本家に売る以外に生きる術を持たない膨大なプロレタリアートは、社会的生産を担う階級でありながら、実質的にあらゆる権利を奪われた賃金奴隷であった。プロレタリアートが団結して資本に抵抗することは「財産権の侵害」とされ、「団結禁止法」で弾圧された。
ブルジョアジーの支配に対するプロレタリアートの闘いは、その存在とともに始まり、自らの生存と尊厳をかけ、人間的解放をめざして絶えず闘われてきた。1830年代にイギリス全土を席巻したチャーティスト運動は、団結権や労働時間の短縮を含む労働者自身の「チャーター(憲章)」をブルジョア国家に対置した。48年の革命は全ヨーロッパの支配階級を震撼(しんかん)させ、71年パリ・コミューンは史上初の労働者権力を打ち立てた。
そして1917年ロシア革命の勝利をもって、ついにプロレタリアートは「人間による人間のあらゆる搾取の廃止」「階級の廃絶」「搾取者に対する抑圧」をうたった労働者自身の憲法を闘いとった(18年第5回全ロシア・ソビエト大会で採択)。これは後にスターリン主義によって破壊され、36年に悪名高き「スターリン憲法」にすり替えられたが、近代憲法の限界をプロレタリア革命によって打ち破った歴史的意義は計り知れない。
戦後革命敗北と憲法の誕生
レーニンが『国家と革命』で明らかにしたように、マルクス主義国家学説の核心は「国家は階級対立の非和解性の産物である」ということ、そして「それは、普通、もっとも勢力のある、経済的に支配する階級の国家」であり、軍隊・警察・監獄などの暴力装置によって「そのときどきの搾取階級が……被搾取階級を暴力的におさえつけておくための組織」「一階級が他の階級を抑圧するための機関」だということだ。改憲阻止闘争を闘うにあたって、このことは決定的に重要である。
今日、自民党改憲草案への批判として、「憲法は本来、国を縛るものなのに、自民党はそれを逆転させて国民を縛るものに変えようとしている」という、いわゆる立憲主義の立場からの批判がよく聞かれる。確かに改憲草案が描く国家像は、強権的な国家権力の下に国民を縛り付けるものだ。しかし、だからと言って、現在の憲法が本当に国家を縛り、人民の権利を守ってくれるのだろうか? ここには憲法を没階級的に美化し、理想化する護憲的幻想が少なからず含まれている。
重要なことは、現行憲法もまた「政治の子」「革命の子」であり、戦後革命期の労働者階級の闘いが、革命の敗北と引き換えに支配階級に強いた「譲歩と妥協」の産物だということだ。そしてブルジョア国家を「縛る」ものがあるとすれば、それは憲法の条文の美辞麗句ではなく、生きた人間の闘いであり、労働者人民の団結した力で国家権力をねじ伏せる以外にないということだ。今日、国鉄闘争がついに国家的不当労働行為の真実を暴き出し、国家権力をぐいぐいと追いつめているのも、労働者が団結して不屈のガチンコ勝負を続けてきたからだ。
労働者階級に必要なのは、立憲主義・護憲主義の幻想ではなく、自民党改憲草案のどす黒い内容から敵の危機を読み取り、そこに革命の現実性を見出すことだ。敵の攻撃の狙いは、労働者階級が戦後史を通じて培ってきた団結と階級意識を根こそぎ解体することにある。今こそ戦後史のすべてをかけてこの攻撃を迎え撃ち、プロレタリア革命をもって決着をつける時だ。この歴史的な階級決戦の到来に胸を躍らせて立ち上がろう!
以下、そうした観点から自民党改憲草案への批判を展開していきたい。
国防軍創設し戦争体制構築狙う自民改憲草案
自民党改憲草案の中身は、日帝の延命をかけて戦後的統治形態の根本的転換を狙うものだ。だが、同時にそれは、およそ近代憲法の体をなしていない代物であり、労働者人民に到底通用するものではない。怒りを込めて徹底的に暴露・弾劾し、闘いを組織しよう。
まず、改憲草案の最大の目玉は、何といっても9条改憲にある。
周知の通り、現行憲法の第9条は二つのセンテンスから成り立っている。第1項で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使」を「永久に放棄する」と宣言し、続いてそれを単なる理念上の確認にとどめないように、第2項で陸海空の戦力の不保持と交戦権否認を具体的に明記している。第9条はこの全体で「戦争の放棄」なのである。
これに対し、改憲草案は、第9条のタイトルを「戦争の放棄」からまったくの別概念である「安全保障」に変え、「国防軍」創設を柱とする事実上の「戦争条項」へと変質させる。すなわち第9条の要をなす第2項を全文削除し、代わって「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」という新たな条文を書き加え、続いて「第9条の二」として「国防軍創設」が長文にわたり展開されるという構造だ。
ここで注意してほしい。まず、現行9条1項では「国権の発動たる戦争」と「武力による威嚇又は武力の行使」をともに「永久に放棄する」とある。だが改憲草案では「国権の発動としての戦争」は放棄するが、「武力による威嚇及び武力の行使」は「用いない」、ただし「自衛権の発動は妨げない」というレトリックだ。いわば「戦争」と「自衛のための武力行使」を別概念に分類することで、自衛を口実とした事実上の戦争行為を可能にするという実にペテン的な記述になっているのだ。自民党発行の「日本国憲法改正草案Q&A」は、「このような文章整理を行っても、9条1項の基本的な意味は、従来と変わりません」などとぬけぬけと述べているが、これはどう読んでも単なる「文章整理」ではなく、9条の内容そのものの破壊である。
そもそも「自衛権」とは一体何か。この言葉は、1928年のパリ不戦条約(「戦争の放棄に関する条約」。米、英、仏、独、伊、日など15カ国が調印)の締結時、この条約の禁止対象から除外する例として「自衛権の発動=自衛のための戦争は禁止されない」といういわば「抜け道」として登場した概念である。実際、翌29年に世界大恐慌がぼっ発し、世界経済の分裂・ブロック化が進む中で、同条約締結国は次々と「自衛のため」と称して戦争に突入した。日本にいたっては中国侵略戦争を「事変」などと称して、戦争とさえ認めなかった。「国家の自衛権」なるものは、帝国主義戦争を正当化するための口実でしかないのだ。
労働者に銃を向ける国防軍
「9条の二」で「国防軍を保持する」と明記され、その任務遂行は「国会の承認その他の統制に服する」と規定される。「その他」を付けることで、国会承認を待たずにより簡易な手続きで活動できる仕組みだ。またその活動は「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」(国際協力と称してあらゆる軍事行動への参加が可能)に加えて、「公の秩序を維持」=治安出動が明記された。労働者人民に銃を向けることも辞さないということだ。それ以外にも「法律の定めるところにより」活動範囲を拡大できる。また「国防軍の審判所」=軍事裁判所の設置が明記された。
そして、驚くべきことに「9条の三」として「国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない」と、わざわざ「国防軍」とは別の項目を設けて新たに規定している。これは05年時の改憲草案にもなかったものだ。この「国民と協力して」の意味について、改憲草案起草委員会座長・中谷元は、TVのインタビューで「例えば尖閣諸島に民間人を住まわせ、監視させ、中国が攻めてきたときに報告してもらう」などと答えている。
以上のように、自民党は極めてリアルに戦争状態を想定した上で、9条を「戦争放棄」から「戦争条項」へ百八十度ねじ曲げることを狙っているのだ。(次号につづく)
〔水樹 豊〕
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九条はこう変えられようとしている
〔現行憲法〕第二章/戦争の放棄
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
A 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
〔自民党改憲草案〕第二章/安全保障
(平和主義)
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。
2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。
(国防軍)
第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
2 (略)
3 国防軍は……法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
4 (略)
5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。(以下略)
(領土等の保全等)
第九条の三 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。
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週刊『前進』(2603号6面2)(2013/10/07 )
『障害者解放』第5号発行
国鉄闘争を闘い社会保障の解体と改憲をめぐる決戦へ
画期的なパンフ
新自由主義の破滅的な攻撃が世界で吹き荒れる中、プロレタリア世界革命の現実性が労働者階級の闘いによって切り開かれています。その闘いを牽引(けんいん)しているのが1047名解雇撤回、非正規職撤廃、外注化阻止の国鉄闘争です。
動労千葉鉄建公団訴訟で9月25日、東京高裁の難波裁判長は「解雇撤回・JR復帰」の訴えを退ける反動判決を下しました。一審同様に不当労働行為を認めておきながら、分割・民営化は正しかったとJR復帰を拒絶しました。しかし、こうしたデタラメ性と結論だけの暴力性は私たちの闘いが敵を追い詰めたのであり、国鉄改革の大破産を強制する事態です。解雇正当化と労組破壊・安全破壊の外注化しか延命の道がない新自由主義の破綻を暴き、絶対反対、非和解で闘えば必ず勝てることを示しました。
障害者解放パンフ5号の基底は、この新自由主義と全力で闘ってきた勝利性と追い詰められた敵の姿、それを補完している体制内派打倒の展望を指し示しています。障害者解放闘争が国鉄闘争そのものとして闘うことにより、ついにすべてを奪い返す決定的地点にたどり着いたのです。
「新自由主義攻撃との全面的対決軸として障害者総合支援法反対を民営化反対! 外注化・非正規職撤廃闘争として押し上げ、1047名闘争と一体的に闘う」(朝霧論文)。障害者解放運動の主流派に飛躍するための、障害者解放の路線を私たちが全労働者階級の前に、国鉄闘争として全面的に提起しました。これまでの障害者解放運動の歴史を塗り変える画期的なパンフです。
第一に、冒頭の夏山論文と朝霧論文がその基調です。夏山論文では、今日的な時代認識を確立して、大恐慌にのたうちまわる資本主義が新自由主義の破綻を改憲と労組破壊で突破しようとしている点を鋭く分析しています。改憲攻撃を打ち破る力は労働者の団結と階級的労働運動にあるとすえています。
自民党の改憲草案は、「福祉はじめ国家に付随するあらゆる責任を放棄」(夏山論文)し、福祉を資本家の利潤獲得の手段に置き換えようとしています。先行的に進んでいる「福祉の民営化」を憲法的に裏付けようとしています。実態的攻撃を進め、既成事実を積み重ねた上で改憲に踏み切るやり方は、敵の弱点なのです。介護、医療、生活保護、福祉等の社会保障制度をめぐる闘いは、改憲阻止闘争の最前線の攻防となっています。
夏山・朝霧論文
第二に、朝霧論文では、国鉄闘争が労働者階級自己解放の普遍性と世界革命の扉をこじ開ける闘いの心棒になっている点を明らかにしました。「国鉄決戦に勝利するということは、資本主義社会成立以降に支配の支柱として作られ、新自由主義攻撃下で一段と激化した差別・分断・抑圧を一挙にぶっ壊す展望が開けます」(朝霧論文)。この間の国鉄決戦で、外注化・非正規職化攻撃と差別・分断は一体であることをつかみました。それは国鉄闘争を主語にして障害者解放闘争を語る、あるいは障害者解放闘争を主語にして国鉄闘争を語るというレベルを路線的に突き抜けた地平で提起しています。
こうした路線的深化を可能にしたのは、プロレタリア革命が障害者を解放する唯一の道筋であり、障害者も労働者階級の一員であると規定し、階級的労働組合を通じて団結を形成していく点を〈障害者解放の綱領〉にすえ切ったことです。労働組合的団結は分断されている障害者の一人ひとりが持っている力を無限大に引き出します。だから国家、資本と障害者は非和解的に闘うことが可能となります。そこには体制内的思考や血債主義が入り込む余地は寸分もありません。この点、パンフ5号を通じて徹底的に確認しよう。
第三に、パンフ5号は三里塚・沖縄、TPP、反原発、新自由主義との闘いをトータルに提起しています。キーワードは改憲決戦として位置づけて論じていることです。これらの闘いに障害者解放闘争が接ぎ木的に論じられているのではなく、階級的労働運動の発展と豊富化をつくりだすものとして障害者解放闘争を位置づけています。また、宇佐見論文では「ナチスの手口を学べ」の麻生発言への弾劾を切り口にして、ナチス同様に安倍の改憲攻撃の本質が労働組合を解体して現行憲法を停止する手法であることを批判し、労働組合をめぐる攻防に対決点がある点を明らかにしています。ドイツ革命における労働組合が担った戦争障害者、労働災害での障害者などの障害者解放運動の役割を歴史的に照射する意欲的な論文です。
11・3大集会へ
第四に、総じて「国鉄決戦を基軸に新自由主義を打倒する労働運動の復権と発展をめざす11月集会に障害者先頭にみんなが総結集しよう。国際主義と地区党建設、『前進』1万人読者網建設がそのカギである」(夏山論文)と14年春に向かっての決戦に障害者は先頭で闘う決意が示されています。何よりも今問われているのは、「労働運動のできる党への飛躍」であり、11・3労働者集会に圧倒的な障害者の隊列を登場させることです。
多くの仲間がこのパンフを活用して、11・3集会の組織化と拠点建設に突き進むことを訴えます。
(朝霧広巳)
(写真 『障害者解放』第5号 発行 障害者解放編集委員会 頒価 200円)
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週刊『前進』(2603号7面1)(2013/10/07 )
安倍打倒・農地裁判勝利!10・20三里塚へ
三里塚芝山連合空港反対同盟の3氏から、10・20全国総決起集会への大結集を訴えるアピールが寄せられた。労農連帯のきずなも固く、全力でこれに応えて立ち上がろう。(編集局)
「農地死守」貫いた47年
反対同盟事務局長 北原鉱治さん
7月29日、千葉地裁で市東孝雄さんに対し農地の明け渡しを迫る不当判決が出された。だが、成田空港会社(NAA)が何よりも望んでいた、判決の確定を待たずに強制執行ができる「仮執行宣言」を阻止した。一片の正義もない「仮執行」については、どう理屈をこねくりまわしても多見谷裁判長は踏み切れなかったのだ。
「耕す者に権利あり」――この大原則がうち捨てられ、企業の金もうけが優先され、農民が土地を好きなように取られたら、日本の将来はどこにあるというのか。
これは市東さん一人の問題ではない。日本の全農民、全人民の将来がかかった問題だ。
三里塚闘争の歴史は、こうした暴力的で理不尽な農民への仕打ちに対して、「農地死守」を一途に貫き、国家権力と非和解で闘ってきたものだった。47年にわたって続くとは当初はだれも思っていなかったが、この長い歴史の中で、全国全人民の支援を得て、労農学連帯、国際連帯の拠点として闘い存在してきたことを、誇りをもって確認することができる。
私は今年も全学連大会に参加し、学生諸君とひざ詰めで話をした。全学連とともに歩んできたことで、自分もずいぶん若さと熱気を受け取ることができた。この国の政治のあり方を根本から変えなければ自分の未来もないとの思いで、学生諸君も闘っている。そんな彼らに古い世代としての責任感を感じつつ、私も闘志をますます燃え立たせている。
10・20に大結集し三里塚の大地を踏みしめ、市東さんの農地を絶対に守ろう。
東京・霞が関に乗り込む
反対同盟事務局次長 萩原進さん
反対同盟は、農地法で農地を収用することを認めた多見谷判決を絶対に許さない。あれが判例となれば、耕作者の同意がない農地の売買がよしとされ、農地法の根幹、ひいては戦後憲法体制の重要な一環が否定されるということだ。
われわれはこれから、農地裁判の控訴審闘争で東京・霞が関に乗り込んでいく。今この首都中枢一帯は数々の裁判闘争を含め、反原発、反TPP、沖縄の基地反対など、国策との対決となった重要な闘いがひしめいている。そこに、47年間にわたって成田空港建設という国策中の国策を実力闘争で阻んできた三里塚が加わることになる。
安倍は「領土防衛」を叫び、集団的自衛権を押し通し、オスプレイの軍事訓練を沖縄から本土へ拡大し、改憲への動きを進めている。これまでの一線を越えた戦争政策だ。これに対し、一つになって立ち向かおうと三里塚から呼びかけたい。
東京オリンピックを口実に、成田空港の「容量拡大」が叫ばれているが、実は成田は「容量はあっても需要が埋まらない」現状だ。2012年の発着実績はやっと20万回を超えただけで、30万回など夢のまた夢だ。それでも彼らは深夜早朝の飛行制限をもっと緩和しろ、24時間空港にしろ、果ては「もう1本滑走路を造れ」などと叫んでいる。住民を無視して何もかも「四者協議会」(国交省、千葉県、周辺9市町、NAA)で決めて結果をごり押ししてくる。空港間の競り合いの中での、生き残りをかけた焦りだ。
反対同盟は5回の一斉行動で、空港周辺での住民の怒りの激しさをあらためて実感した。「空港との共存共栄」のうそが完全に暴かれた。農民の農地を奪って造られるこんな空港のどこに公共性があるというのか!
こうした現実をていねいに説明し、ともに闘うことを訴え、新たな同志を募り、三里塚闘争が一段の飛躍をするときだ。
10・20をその出発点としてかちとるために、ぜひ一人でも多くの人に駆けつけていただきたい。
農業続ける決意は不変
天神峰部落 市東孝雄さん
6年にわたる農地裁判へのご支援に感謝します。千葉地裁の判決はNAAの言いなりで私に農地明け渡しを命じる不当なものでしたが、皆さんの署名への取り組みなどのおかげで、仮執行宣言を付けることを許しませんでした。東京高裁でこの判決を覆すのはなかなか大変だと言われていますが、私の主張をがんがん突きつけて、これまで以上に闘います。
もともと成田空港はアジアのハブ空港という触れ込みだったのが、今や格安航空が頼みの綱という実情です。現在空港内では格安専門のターミナルを造る突貫工事をやっていますが、こんな不便な空港に格安を持ってくる意味がありません。成田はとっくに破綻しています。
「原発はコントロールされている」「汚染水はブロックされている」という安倍発言には心底驚きあきれています。私はこの間、福島や沖縄に何度か足を運んで現地の実情を見てきましたが、国策を力ずくで進めて住民が犠牲にされるという点では、本当に三里塚と同じです。こんなやり方を続けてきたから、2本の滑走路もまともにできないのです。今のJR北海道の事態も国鉄分割・民営化という国策の破綻、もうからないところには金も出さないというやり方が招いた結果だと思います。
先日、右翼が街宣車3台くらいで繰り出して、うちの近くで騒いでいました。「中核派は天神峰の市東をだまして空港や原発への反対運動をやらせてる」とかなんとか。結局三里塚勢力が反原発などの運動とつながるのを恐れてるんですね。だからあの手この手で反対運動をつぶしたい。
私は有機・完全無農薬で農業を続けてきたことに誇りと生きがいを感じています。これからも天神峰で農業を続けていく気持ちにいささかも変わりありません。
連帯してともに闘いましょう。10・20にぜひこぞって集まってください。
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週刊『前進』(2603号7面2)(2013/10/07 )
安倍打倒・農地裁判勝利!10・20三里塚へ
福島-沖縄の闘いと結び戦争・改憲攻撃と対決を
アベノミクスの破綻とJR北海道事故に見られるように、最末期帝国主義の絶望的な延命形態である新自由主義は決定的崩壊局面を迎えている。この危機をのりきりるために、日帝・安倍政権は「東京オリンピック」を大々的に使った反革命攻撃に打って出てきた。10・20三里塚全国総決起集会を安倍政権打倒を宣言する大闘争として闘い、市東孝雄さんの農地裁判控訴審の勝利に向けた態勢を築こう。9・25動労千葉の鉄建公団訴訟控訴審反動判決を弾劾する闘いと連携し、11・3労働者集会に向けた闘いの一環として、10・20三里塚へ大結集をかちとろう。
東京五輪反革命による三里塚破壊攻撃許すな
「2020年東京五輪開催」を口実とした反革命攻撃を粉砕しよう。
安倍は福島第一原発汚染水流出問題で「完全にブロックされている」などと恥知らずな大うそを言い放ち、福島県民の怒りを封殺して、原発再稼働への道を開こうとしている。さらに、東京を「国家戦略特区」に指定して、労働規制の撤廃=解雇自由化の切り口にしようとしている。さらに、「特定秘密保護法案」の臨時国会提出と併せて「共謀罪」の再提出を来年の通常国会で強行しようとしている。
そして三里塚闘争に対しては、「成田の発着枠拡大」という新たな破壊攻撃に出てきた。空港間競争で追いつめられる成田の延命を図るため「オリンピック」で反対闘争を抑え、これまではできなかった住民追い出し攻撃を強行しようという、ショックドクトリン(惨事便乗型資本主義)の発動だ。
10・20でこの攻撃を徹底的に打ち破ろう。
歴史的破産を露呈した成田
韓国の仁川空港などとのアジア・ハブをめぐる争闘戦に敗れた成田空港は、羽田との競争でも敗勢に陥っている。羽田の国際線枠は現在6万回。来年3月31日にはこれに3万回が増枠される。それも従来の朝や夜の発着枠ではなく、昼間帯の増枠だ。
これを見越してアラブ首長国連邦のエミレーツ航空は、6月1日から羽田―ドバイ線を開設して、日本の拠点空港を事実上、成田から羽田に移した。さらに、このドル箱の発着枠をめぐって全日空や日本航空、両者と提携を組む大手航空会社が争っている。
成田の焦りは深い。首相官邸、国土交通省、NAAや地元の自治体、経済界は、成田の拡張、滑走路の延長、滑走路の増設をあからさまに要求している。
4月17日の産業競争力会議で、成田に3本目の滑走路増設を要求する意見が出された。同26日には千葉県の経済同友会が、「成田に3本目の滑走路を」と要求した。
9月26日、国交省の交通政策審議会・航空部会で「成田の運用時間を24時から朝の6時にまで延長すべき」との意見が出され、「成田の24時間化」が公然と叫ばれた。
これらの要求はどれも周辺住民の生活を破壊するとんでもないものであり、通常なら到底実現不可能なものばかりだ。それを「東京オリンピック」を使って強行しようとしているのだ。
これは成田空港建設という国策が約50年を経てついにその歴史的破産を露呈したということでもある。
成田・三里塚への空港建設決定に先立ち、富里・八街空港がもくろまれていた(1964年)。その規模は現在の成田の2倍。2300fの敷地に4000b滑走路2本を含む5本の滑走路を造る計画だった。ところが1千戸の専業農家を立ち退かせるという無謀極まりない計画のため、すさまじい反対闘争が巻き起こり、規模を2分の1に縮小して、御料牧場が存在した三里塚に計画を変更した。そもそもの出発点から無理を承知の欠陥空港だった。
それを今になって、「50年前の富里・八街空港計画の規模に戻せ」と言うに等しいとんでもない要求を出してきている。
そこには反戦・反核・反権力闘争のとりで=三里塚闘争の存在をこれ以上許せないという支配階級の危機感がある。国策に対決して「軍事空港建設阻止」を掲げ、「農地死守・実力闘争」の原則を貫き、強固な労農連帯を築いて47年間闘ってきた三里塚の力がそこに如実に表されている。
そして三里塚は、日帝のTPPをも使ったアジア市場争奪戦、帝国主義間争闘戦に不可欠の航空・空港戦略に対し、真っ向から立ちはだかる存在だ。三里塚闘争は第1次安倍政権のアジア・ゲートウェイ構想攻撃以来、再び安倍政権との全面対決に入ったのだ。
農地法の根幹破壊した多見谷判決を弾劾する
市東さん農地裁判の控訴審闘争に勝利し、「仮執行宣言」を断じて許さない強く広い闘争陣形を、10・20大結集の力、労農連帯の力で強固に打ち固めよう。
舞台が控訴審に移り、三里塚はいよいよ東京高等裁判所・霞が関に攻め上る。反原発闘争をはじめとした首都中枢・霞が関を揺るがす闘いとの結合がますます深まっていく。このことを、敵は何よりも恐れている。福島の怒りを体現し経産省・東電に迫る反原発闘争、沖縄米軍基地反対闘争、反TPP闘争と手を結び、共通の敵である国策と国家権力に立ち向かう統一戦線を構築しよう。
控訴審での弁論闘争の焦点は、「農地法を使っての農地収用」という暴挙をとことん暴き、徹底的に粉砕することだ。
農地法は戦後農地改革を守る法律だ。第一条ではっきりとうたわれている「耕作者の権利保護」こそ同法の基本理念だ。
しかし、一審千葉地裁・多見谷判決はNAAの主張を全面的に受け入れて、この農地法の根幹を踏みにじった。
絶対に許すことができない!
耕作者に無断で地主が底地を第三者に売り飛ばすなどということを認めたら、耕作者が自らの耕作の権利を守る機会は完全に奪われてしまう。これはすべての小作耕作者、ひいては全農民にかかわる重大問題だ。その意味でTPP攻撃との最先端的攻防だ。
市東孝雄さんという一人の農民の尊厳と生きがいを「国策のためなら奪ってよい」とする人権侵害の極みとも言える一審反動判決を、控訴審で根本から覆そう。
控訴審の係属部は東京高裁第19民事部・貝阿弥誠裁判長と決まった。向こう1年ないし1年半と想定される決戦が始まった。反対同盟を先頭に、労農学人民の力を結集して、控訴審闘争に勝利しよう。
周辺住民の怒りと結び空港を包囲する闘いへ
反対同盟は5月以来5回にわたって空港周辺地域、騒音地域に署名を武器に一斉行動を行ってきた。成田空港が開港して35年、「空港との共存共栄」なる美辞麗句が完全なうそであることが明らかになった。成田市三里塚地区、下総地区、香取郡多古町、山武郡芝山町など、周辺の多くの地域が荒廃している。移転が相次ぎ、シャッター街が広がり、「線引き」で住民が分断され、残るのは騒音だけという現実が進行している。
そこへ24時間化が国交省諮問委員会で語られ、さらに「オリンピック」で暫定滑走路の1000b延長やもう1本の4000b滑走路計画があからさまに語られている。
反対同盟は、周辺住民、騒音下住民、さらにかつて反対運動に参加したすべての人びとにも連帯と闘いを呼びかけ、一斉行動を継続している。これは動労千葉の組織拡大闘争の趣旨と同じだ。
騒音被害で立ち退きを余儀なくされ、地域共同体のきずなを断ち切られた周辺住民の現実は、「命より金」という新自由主義がもたらしたものだ。成田空港はまさに周辺住民の怒りで包囲されている。それは、福島において放射能汚染で生活の場を奪われた県民の怒りと通底している。国策に絶対反対の三里塚闘争の正義性と勝利性が数万人の北総住民の怒りと結合し、空港を包囲する闘いの始まりだ。
10・20集会・デモを周辺住民と結びつく規模と内容で実現しよう。
農地裁判控訴審闘争への突入を意気高く宣言し、動労千葉を先頭とした6千万労働者との労農連帯の力、全国農民会議をはじめ260万の農民との固い団結の力、国際連帯の力で、日帝・安倍の戦争・改憲政治を打ち砕く場として、10・20を全力でかちとろう。
〔斉田猛〕
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週刊『前進』(2603号7面3)(2013/10/07 )
群馬集会 市東さん迎え120人集う
“原発とめよう!”の熱気
(写真 市東さんが語る不当判決への怒り、農民としての誇りと喜びに120人の参加者が聞き入った。これに続いて、三里塚と連帯し群馬から反原発・反TPPの闘いを進める発言が続いた【9月29日 高崎市】)
9月29日、反対同盟の市東孝雄さんを迎えての7回目を数える三里塚集会が、高崎市の群馬音楽センターで開かれました。今回は群馬・市東さんの農地を守る会が呼びかけて集会実行委を結成し、集会名を「原発・TPP・改憲/市東さんの農地を守ろう/大地は私たちの命」としました。多くの初参加者を含め、これまでで最大の120人の参加です。
オープニングアクトに反原発ユニット「スパングルズ」が登場。あでやかな衣装で華やかに闘いを訴える替え歌ポップスで、会場全員の心をわしづかみにしました。
司会の女性の開会あいさつに続き、「原発とめよう群馬」の加賀谷富士子さんの発言、デモや学習会でTPPとの闘いを重ねてきた団体からの、「原発・TPP・改憲、市東さんの農地を守ろう」の報告、カンパアピールが行われました。
基調報告を青柳晃敬さんが行いました。青柳さんは土地家屋調査士として農地裁判で耕作地の測量を行い鑑定書を作成した経緯を語り、7・29多見谷判決を激しく弾劾し、10・20三里塚への参加を呼びかけました。
いよいよ市東孝雄さんの登場です。市東さんは裁判闘争支援への感謝を述べ、闘いの意欲を語りました。「暫定滑走路を北に伸ばす時には『ワールドカップのため』といい、今度は『オリンピックのため』と騒いでますが、現実には成田空港は完全に破綻しています。空港を造ると地元は潤うと言われたが、まったくのうそでした。今回の緊急署名と反対同盟の一斉行動は、そういう地元の怒りと結びつきました。私は畑が好きで、誇りをもって農業をやっています。完全無農薬で年間60品目の野菜を作っています。消費者から『おいしかったよ』と言われることがうれしい」
そして福島、沖縄、群馬などの闘う人びとと一層固く結びついて闘う意気込みを表し、「皆さんの力を貸してください。10・20三里塚に集まってください」と静かな語り口ながら熱を込めて訴えました。
続いて、全国農民会議共同代表の小川浩さんが7・29多見谷判決を弾劾し、全国農民のさらなる決起を呼びかけました。
群馬からは、八ッ場ダム建設反対運動と、地元の地方議員2人の発言を受けました。群馬合同労組の佐藤敦委員長は、「一人だけでは踏ん張れない。職場で仲間を組合に組織し、闘える組合にしよう。気合と根性で闘おう」と訴えました。
主催者から青柳晃玄さんが三里塚への思いを語り、10・20参加を呼びかけ、会場カンパを市東さんに手渡しました。高階ミチさんから参加者へのあいさつがされて、最後にスパングルズが再登場し、元気に反原発コールで集会を締めました。
翌30日、群馬合同労組は、現在かけられている組織破壊攻撃に対する大々的な一日行動に攻勢的に取り組みました。この力で必ず市東さんの農地を守ります。10・20―11・3へ進撃しよう。
(群馬・T)
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週刊『前進』(2603号7面4)(2013/10/07 )
2013年日誌 9月24日〜30日
レール異常、新たに170カ所/東電、柏崎刈羽の審査申請
●レール異常、新たに170カ所 JR北海道がレール幅の広がりなどを補修していなかった問題で、同社は新たに少なくとも170カ所で異常を放置していたと発表した。補修を怠っていたのは、少なくとも計267カ所になった。(25日)
●オスプレイの追加配備が完了 米軍普天間飛行場への追加配備のため山口県の岩国基地に搬入されていた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機のうち、最後の1機が沖縄県宜野湾市の同飛行場に到着。第1陣の12機と合わせ、24機の配備が完了した。(25日)
●高速増殖炉研究を継続 文部科学省の作業部会は日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)の研究計画案をまとめ、研究を続けるとした。(25日)
●東電、柏崎刈羽の審査申請 東京電力は柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働に向けて、新しい規制基準への適合審査を原子力規制委員会に申請した。また、東電の広瀬直己社長は、柏崎刈羽の6、7号機以外の原発も再稼働申請に向けて準備を進める考えを示した。(27日)
●「汚染水、海洋放出を」 東京電力福島第一原発の廃炉に向けた研究開発をする国際廃炉研究開発機構に助言する海外専門家のグループは、除去が難しい放射性物質トリチウムの海洋放出は「やむを得ない」との見解を示した。(27日)
●JR西の歴代3社長、無罪 2005年4月に107人が死亡したJR福知山線の脱線事故で業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代社長3人に対し、神戸地裁は無罪を言い渡した。(27日)
●米・イランが首脳対話 米国のオバマ大統領とイランのロハニ大統領は電話で協議し、イランの核問題の早期解決をめざすことを確認した。1979年のイラン革命をきっかけに国交を断絶して以来、両国の大統領が初めて直接言葉を交わした。(27日)
●安保理、対シリア決議採択 国連安全保障理事会は、シリアのアサド政権に化学兵器全廃を義務付け、違反した場合の制裁を警告する決議案を全会一致で採択した。(27日)
●JR四国、放置の橋91カ所 JR四国が、線路がかかる橋について「安全を脅かす恐れがある」として補修工事が必要と判断しながら具体的な工事の計画を立てていないことが、会計検査院の調査でわかった。会計検査院は78カ所と指摘していたが、JR四国は、補修時期を決めていない橋が91カ所あることを明らかにした。(28日)
●堺市長選で維新が大敗 大阪・堺市長選で無所属・現職の竹山修身が維新公認で新人の西林克敏を破り、再選を果たした。西林は大敗。(29日)
●「積極的平和主義」を確認 安倍政権は有識者会議「安全保障と防衛力に関する懇談会」(北岡伸一座長)を開き、外交・安保政策の指針となる国家安保戦略(NSS)の基本理念を「国際協調主義に基づく積極的平和主義」とすることを確認した。北岡座長は会合後、「これまでの日本は『軍備はなるべく持たない』という消極的な平和主義だった」と語った。(30日)
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週刊『前進』(2603号8面1)(2013/10/07 )
団結ひろば 投稿コーナー
9・27玄海原発ゲート前で規制委調査弾劾 福岡 大楠 栄
9月27日、ミスター100_シーベルト田中俊一が委員長を務める原子力規制委員会が玄海原発3号機・4号機の再稼働をねらって、過酷事故を想定した対策・設備を「調査」するという“やらせ”パフォーマンスのために、玄海原子力発電所入りした。伊方、川内に続いて3番目だ。
「ふざけんなー!」って怒りの声を上げるため、NAZEN福岡は日の出より早くそれぞれ家を出発し、玄海原子力発電所ゲート前へ向かった。
玄海町は海に近くて、寒い。眠たい目をこすりながら思った。この佐賀の美しい海、山、自然を失いたくない。目に見えない放射能の海で焼かれる福島を忘れて原発再稼働なんてありえない。朝日を見ながら全原発即時廃炉しかないって心に刻んだ。
朝6時半ごろから佐賀や福岡の脱原発・反原発団体が集まりだし、NAZENナガサキも城臺美弥子さんを先頭に駆けつけてくれた。7団体60人ほど集まり、7時〜9時までゲート前で緊急抗議行動を行った。
リレートークでは1番にNAZEN福岡事務局が元気良く原子力“推進”委員会を弾劾。そして自らの被爆体験をもとに、「核と原発は同じ! 再稼働など絶対に許さない」との城臺さんの怒りのアピールには、参加者全員がグッとなる場面も。豊島耕一元佐賀大教授は「規制委員会は汚染水漏れがますます重大事故化している現実にこそ向き合え」と弾劾。みなの怒りは高まるばかり。
原発労働者のバスにまぎれてこそこそと入っていった規制委員会のバスは、仏革命で貴族が首都から逃げ出す時、辻馬車に乗って惨めに過ぎ去った姿と重なる。
9時を過ぎ、全体での抗議行動は終わったが、わたしたちは怒りのコールを続け、多くの人がともに声を上げた。
堂々とわたしたちの前に登場できず、逃げた原子力規制委員会に原発の“安全”チェックしてもらい、再稼働OKのお墨付きをもらって、命預けるなんてできない。
「原発再稼働して事故が起こったらどぎゃんすっとですか?(佐賀弁)」っと、いまは地元のじーちゃん、ばーちゃんががんばってくれている。わたしたち若い世代がこれを引き継いで、労働者階級の力で全原発即時廃炉にしよう!
『愛と革命』を読んで人間の共同性つかむ みやぎ星野文昭さんを救う会 青柳葉子
『愛と革命』の表紙の明るさを見てください! 星野文昭さんが暁子さんを癒やすために毎月、描き続けてきた一枚一枚の絵で敷きつめられた表紙のやさしい明るさを!
そして、文昭さんのアップが表紙の右の折り返しに、暁子さんが左に。「粋」すぎます。
極めつけは本のタイトル=愛と革命。もう何も言うことはありません。ピッタリすぎてて。大げさでも誇張でもないんです。そのことは、この間の星野さんを取り戻すための闘いの前進の中で、おそらくみんなが実感していることです。
85nで暁子さんが「一人の人間が寄り添って、本当に理解してくれるということで、人間は甦(よみがえ)るのだということを、実感した」と書いています。これは、「人間が人間らしく生きられる社会をめざす」者にとって最も大切なテーマではないでしょうか?
今日の青年労働者、高齢者に最も厳しく現れているように、人間の共同性を奪われ、生きるすべを奪われ、尊厳を奪われ、家族を奪われ、孤独を強いられていく。胸が張り裂かれそうなこと、怒り心頭なことが次々起こっています。
団結して立ち上がることで共同性を取り戻していく。星野さんが、「暁子とすべての労働者人民との絆(きずな)・団結を深め、奪われたものを日々、奪い返していくたたかい」と言っている意味がようやくつかめた気がします。
すばらしい本が出ました! 星野さんの絵、暁子さんの詩と手記、星野闘争の歴史と再審闘争の現局面、すべてが詰まっています。個人的には、お母さんの美智恵さんの俳句も好きです。本屋に図書館にドンドン置いてもらいましょう!
1ページごとに放たれる“生命の輝き” 東京 村雨省吾
ついに発刊された!
この一報を聞き、書店で『愛と革命』を手に取った。
早速読んでみよう。手に取ると、目に飛び込んでくる鮮やかな色彩の数々。獄中の“暗い”イメージとはかけ離れた絵画。“豊かさ”という一言では伝わらないクリエイティブなメッセージが伝わる。そして、手記とともにある暁子さん若き日の肖像。
『愛と革命』――これは、書籍というより、芸術作品と呼べるものではないだろうか。この本が全国の書店に並んでいることに、再審への大きな一歩を感じる。
『愛と革命』という題名のとおり、革命には愛の力が必要なのかもしれない。
「ほんとうの革命家は、大いなる愛情に導かれている。愛のない本物の革命家なんて、考えられない」(チェ・ゲバラ)。ゲリラ兵士として、キューバから米国をたたき出した20世紀の英雄は、帝国主義への憎しみとともに、家族に対する愛情も忘れることはなかった。
星野さんもまた長い獄中生活の中、孤立を強いられ続けても、自分の「弱さ」を克服し、暁子さん、そして生きとし生けるものへの愛情を育み続け、団結をエネルギーに変え、39年にわたる不屈の闘いを続けている。
「会社に使い捨てにされて、帰ってきたら寝るだけ」「このままじゃ国に殺される!」「ただ生きていたい! それだけ」。今を生きるすべての人びとが自由を奪われている。生きること、食べること、働くこと、家族をつくること。青年にとっては、ただ“生きる”ということそのものが、困難な時代だ。
39年、過酷な獄中という場にあり、一つひとつの困難をのりこえ、克服して生きてきた星野さんの闘いは、驚異的な闘いであり、今の時代を生きる「希望」だ。しかし、この本は「自分の境地は誰でも得られるもの」と私たちに優しく励ましてくれているようだ。
星野さんを取り戻す闘いとは、生命を守る闘いそのものであることをこの『愛と革命』の一冊から感じた。
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週刊『前進』(2603号8面2)(2013/10/07 )
山本太郎氏が全国キャラバン 山本太郎通信Vo.1
山本太郎参議院議員が「反TPP・反秘密保護法」を訴える全国街宣キャラバンを行っている。ボランティアの仲間たちとともに9月22日渋谷からスタートし、現在は第2弾が進行中で、札幌、仙台、福島などを回った。「山本太郎通信」Vo・1(9月22日付)を紹介します。(編集局)
勝手ながら「秘密」にします
秘密保全法、ヤバイよ。
知って欲しいんです。
知らなきゃ、奪われる。
あなたの「知る権利」が奪われる
例えばこの先、収束のメドも立たない、福島東電原発で何かが起きても、行政機関などがそれを「特別秘密」と決めれば公開せずに隠せてしまう。
国や権力者が「国益に反する」「公共の秩序を乱す」と判断すれば、自分たちの「不利益」「不都合」と判断すれば、その事実を公開しなくなる、隠す事が出来てしまう。
しかも、何が「秘密」かは、あらかじめ公表しなくて良い。
秘密保全法は、「国の安全」「外交」「公共の安全と秩序の維持」に関わる事のうち、「国の存立にとって重要な情報」を「特別秘密」に出来る。
解釈の仕方では、どんなことでも、何とでもコジつけられちゃう。
情報漏洩(ろうえい)した者には最高懲役10年。
「特別秘密」を漏えいする者だけでなく、それを探ろうとする者も、「特定取得行為」として、処罰される。
今以上の情報隠蔽(いんぺい)が当たり前に行われ、それにアクセスする者、知ろうとする者は罪に問われる。
国会での追及も出来なくなるかもしれない。
マスコミの記者さんもフリージャーナリストも踏み込んだ取材なんて出来なくなるでしょ。
内部告発なんてハードル高すぎでしょ。
取材したり調査した事を発表しなかった、としても「未遂罪」適用、って怖すぎる。
それに関してTwitter、Facebookでコメントしたら「共謀罪」の恐れ。
情報を漏らすのも「罪」、「探る」のも罪、「情報出せ、公開しろ!」って声を上げても「特別秘密の取得罪」ってどう考えたってオカシイでしょ。
情報統制が始まる
昔、戦争があった時代と同じ。
何としてもこれを阻止しなきゃ、今よりもっともっと酷い時代がやって来る。
秋の国会でアッサリ通過させようとしている秘密保全法。
皆で大きな声を出し、巨大なウネリを作り出そう!
まずは、地元選出の国会議員の事務所にガンガン電話しよう!
FAXしよう! メールしよう!
皆の「知る権利」「生きる権利」「表現の自由」を守ろう!
兎(と)に角、政治家が「1番怖がる言葉」を伝える。
「支持者ですが、秘密保全法に賛成すれば、次の選挙は応援しない」と。
1万人から、その意見が寄せられれば?
10万人からだったら?
原発、被曝、TPP、消費税、貧困問題、労働問題、秘密保全法、全て同じ。
国会でひっくり返すには反対勢力の力が弱すぎる。
あなたが、アクションを起こし周りの人たちを本気にさせられなきゃ止められないんだ。
力を合わせよう。
全身全霊で「秘密保全法」を止めよう!
反原発=反TPP
脱原発するには、TPPに参加しちゃ駄目なんだ。
TPPには「ISD条項」ってのがある。投資家が「損しました」ってなれば、「投資先の国」を相手取って訴えを起こす事ができる。
条約を結んだのは国と国なのに、条約とは直接関係無い「投資家」に相手国を訴えて良いと権利を与えている。
たとえば、日本で「脱原発が決定」されたとする。
でも海外の「投資家」が日本の原発に投資していて、「俺が投資した原発はまだ20年稼働できたはず、その分の金を払え」って訴えを起こせる。
「廃炉作業」やその後「核のゴミ」100万年分の管理費用だけでも天文学的金額になるのに、それ以外に「損害賠償」ってなると脱原発のハードルが上がっちゃうよね?
実際9年後に原発ゼロになるドイツでも、北欧の企業に訴えを起こされてる
(中略)
TPPの中身について僕らが詳しく知れるのは、参加してから「4年後」
「参加して4年経たないと僕たちは条約の中身を知れない」交渉に関わるホンノひと握りの人しか、その内容の深くまでアクセス出来ない。
日本にとって「不利益」な事が満載の「取り決め」だったとしても
☆交渉に参加するまで条文テキストも見れない
☆すでに決まった項目は議論も蒸し返す事が出来ない
☆文言の一つも変える事は許されない(この事について交渉担当官もハッキリと発言している)
☆「交渉の余地」は「全くない」
☆すでに「決まった事」は「受け入れる」しかない
大手メディアでこの件に関してどこまで報道されてる?
事前に俺たちが決めた事に「絶対服従」。異を唱える事は許さない。
これがTPPのポリシー。
ここにISD条項が重なれば最悪の事態になる事は理解出来るよね。
「良い条件を交渉で勝ち取る」なんてTPPにおいては有り得ない。
「世界で勝つ!」とウソブイテル安倍総理、僕たちをこの国を、売り渡すのはやめて頂けませんか?
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STOP!秘密保全法 船橋で訴え
「汚染水をコントロールできているって、この国の首相は大ウソをついた。そんな政府の下で本当のことを知れなきゃ、僕たちは自分の命も守れない。秘密保全法を絶対止めましょう」――ビール箱に乗って演説する山本議員に多くの聴衆がうなずく。(9月28日 船橋駅前)
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週刊『前進』(2603号8面3)(2013/10/07 )
神山香代子同志を追悼する
美容師としての誇りかけ資本の安全無視と闘った
革共同東京西部地区委員会
6月23日、東京西部ユニオンで闘う神山香代子(こうやまかよこ)同志が、急逝脳溢血で逝去されました。
職場で闘い、仲間を組織し、団交や都労委闘争を先頭で闘った神山同志の突然の訃報(ふほう)に誰もが驚き、直後は受け止めることも困難でした。明るい笑顔、労働者的な茶目っ気、口癖の「頑張ります!」。華奢(きゃしゃ)な体、控えめな性格、でも一度決めたらトコトンやる。そんな神山同志の持つ『前進』は、どの記事もくまなく線が引かれていました。毎週、星野文昭同志にはがきを書き、「60歳で再雇用になったから9月の徳島刑務所包囲行動に参加する」と宣言した矢先のことでした。
神山同志は、愛媛の地で生まれ、生粋の美容師として働き続け、30代で革命運動に出会い献身的な闘いを始めました。
そして2001年上京し、東京西部地区委員会に着任すると同時に、低料金美容チェーン店に就職。1日10時間勤務、03年以降、休暇は5・27国労臨大闘争弾圧の公判に合わせて取り、傍聴席にはいつも神山同志の姿がありました。また、東京西部ユニオンに加盟、手作りの料理持参で組合事務所を訪れ、周囲を励まし続けました。
神山同志が、職場で仲間を組織する転機になったのは、06年の党の革命です。塩川派や5・27国労臨大闘争内の一部の裏切りに怒り、「革命は誰か特別な人がするのではなく、現場で働く労働者が団結してやるもの。その力が自分の中にある」と決意します。
かつては「徒弟制度=将来は独立」が基本であった美容業界が、新自由主義=規制緩和で低料金美容チェーンが乱立し、労使関係は徒弟制度のまま資本のやりたい放題。ベテラン美容師ですら時給千円〜900円で、客が少なければ早上がり、使い捨て。低価格の競争から1人のカットを15分以内でやれという会社の命令に40年近く美容師として働いてきた誇りを傷つけられ、「美容師は刃物や劇薬を扱う。ていねいにやらなければ、15分では労働者の安全も利用者の安全も守れない」と自分の現場で闘いを開始したのです。
確信を与えたのが、動労千葉の反合・運転保安闘争でした。こんな神山同志に目をつけた会社の「客からのクレーム」をデッチあげた「呼び出し」を機に、呼び出し拒否と団交申し入れを提出し、公然たる組合活動を1人から開始しました。団交で社長に謝罪させ、有給休暇取得時の皆勤手当の不払いと、天引きされたペナルティ金を支払わせました。団交報告のビラは、1店舗2人〜数人と分断されたチェーン店の労働者に創意工夫して渡され、11年8月には、念願の分会を結成しました。
分会結成に驚愕(きょうがく)した会社は、社内に渦巻く労働者の怒りがさらに闘いに発展するのを恐れ、監視カメラ・録音を全店舗に導入、就業規則の改悪、分会切り崩し、一人職場への不当配転、再雇用による10万円以上の賃下げとあらゆる攻撃を仕掛けてきました。都労委へ提訴し、団交で対決。つらい時でも「仲間がいる。団結が楽しい。働きやすい職場にする。会社を見返してやりたい」が、神山同志の原動力でした。
東京西部ユニオンは、「神山組合員の逝去は会社の責任」とする追加申立を都労委に提出し、団交では居直る会社を徹底追及しました。
9・8徳島刑務所包囲行動では、河原で発言する星野暁子さんの隣りに神山同志の笑顔の遺影がありました。
神山同志! あなたが逝去する前に書いた6・30星野集会に寄せたメッセージ「自分を信じ、仲間を信じ、労働者階級として生きたい」を胸に刻んで、プロレタリア革命実現のためにどこまでもあなたとともに闘い続けます。
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