ZENSHIN 2013/07/15(No2592 p06)

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第2592号の目次

NAZENの立ち上げを報告する東京各地の労働者(7月11日 杉並区高円寺北)

1面の画像
(1面)
全国の力で山本太郎さんを国会へ
福島連帯・外注化阻止・被曝労働拒否!
動労水戸ストを共に闘おう(7月16日午前11時勝田車両センター)
記事を読む  
渋谷ハチ公前を数千人が埋めた(7月6日) 記事を読む  
NAZEN東京を結成
全原発廃炉へ闘いの中心に  杉並で350人が誓う(7月11日)
記事を読む  
前進速報版から 記事を読む  
【要項】革共同政治集会、7・29農地裁判判決・千葉地裁包囲闘争 記事を読む  
(2面)
解雇撤回10万署名に全力を
国鉄闘争を大社会問題化し9・25高裁反動判決阻止へ
記事を読む  
職場の闘いつくろう  国鉄全国運動・九州が総会(九州・H)(6月30日) 記事を読む  
労働者に被曝を強いるK544(被曝車両)再運用許すな
福島圧殺攻撃粉砕 7・16動労水戸ストへ
記事を読む  
外注化容認の国労本部に大事故続発の責任がある
資本の先兵化を宣言した大会運動方針案
記事を読む  
闘いは進む 青年の職場から
医療・福祉 国鉄署名と物販を持ち込み職場闘争を開始!  中四国 遠藤豪
記事を読む  
【要項】国労組合員資格確認訴訟、裁判報告・国鉄闘争決起集会 記事を読む  
(3面)
国鉄署名と反合・安全闘争で医療福祉職場の拠点建設を
革共同医療福祉労働者委員会
記事を読む  
国鉄・反原発決戦と参院選勝利へ熱烈カンパ訴えます 記事を読む  
闘うブラジル労働者階級
全国300都市で120万人がデモ 新自由主義打倒へ歴史的決起(丹沢 望)
記事を読む  
(4面)
8・6ヒロシマ世界大会に総結集を  参院選勝利―再稼働・改憲阻止へ
被爆者とフクシマの怒りを一つに労働運動と国際連帯で展望開こう
記事を読む  
再稼働一斉申請許すな  新規制基準施行 参院選で巨大な怒りを(城之崎進) 記事を読む  
2013年日誌 7月2日〜8日  エジプト軍がクーデター/JR北海道特急が出火 記事を読む  
(5面)
全国学生運動の闘う拠点  広大自治会を再建したぞ!
反原発などで熱い討論 処分反対の団結で勝利  (マル学同中核派広島大学支部)
記事を読む  
官邸・国会前金曜行動 「再稼働反対」の叫び  原発輸出に怒り渦巻く(7月5日) 記事を読む  
法大包囲デモ 学祭規制撤廃しろ  処分加担の学祭実弾劾(首都圏学生・S)(7月11日) 記事を読む  
証言デッチあげを粉砕  暴処法控訴審 証人I君が宣誓拒否貫く(法大・内海佑一) 記事を読む  
TPPを撃つD
情報独占とスパイ国家化
全産業分野で「知的財産」権 秘密性を大幅拡張し刑事罰
盗聴・言論弾圧と闘争破壊を狙う(村上和幸)
記事を読む  
(6面)
農地強奪判決・仮執行阻止 7・29千葉地裁包囲闘争へ
三里塚反対同盟が第3回一斉行動  “緊急3万人署名推進を”
記事を読む  
第3誘導路裁判 「騒音の独自調査」へ  多見谷裁判長と徹底対決(7月9日) 記事を読む  
7・7関西空港反対全国集会 “橋下・千代松を倒せ”
泉州住民の会を先頭にデモ(7月7日)
記事を読む  
チャーター機でフィリピンへ75人  強制送還を弾劾する(7月6日) 記事を読む  
賃金削減攻撃に職場の怒りと闘いが爆発  北海道 M・K 記事を読む  

週刊『前進』(2592号1面1)(2013/07/15 )

 全国の力で山本太郎さんを国会へ

 福島連帯・外注化阻止・被曝労働拒否!

 動労水戸ストを共に闘おう(7月16日午前11時勝田車両センター)

 「命を切り捨てにする今の社会は変えなければならない! 命を守れと本気で言う政治家がいないとダメなんです!」。参院選の東京選挙区から立候補している山本太郎氏の熱い訴えは、圧倒的な支持と共感を生み出しています。21日の投票日まであと1週間。極右反動安倍政権への怒りを根底から爆発させ、山本太郎氏の必勝へさらに闘いましょう。被曝車両K544の運用再開阻止へ、動労水戸の7・16〜18ストと連帯し、7・16勝田車両センター前に結集しともに闘いましょう。

 再稼働狙う安倍を倒せ

 今回の参議院選挙は、世界大恐慌と3・11東日本大震災・福島原発大事故情勢のもと、新自由主義と全面対決し、安倍政権を打倒する選挙闘争です。山本太郎氏の「被曝させない、TPP入らない、飢えさせない」の基本政策は、労働者人民の命と未来をかけた革命的スローガンです。3・11福島原発事故に直面して、芸能界の仕事を失っても闘うことを決意した山本太郎氏の全存在をかけた訴えは、3・11で価値観を大転換させた労働者人民の思いと同じです。山本太郎氏の訴えに誰もが感動し、涙し、熱烈な拍手を送っています。
 青年労働者や学生が次々と選挙ボランティアに参加し、さらに青年労働者や学生のリーダーが多数生まれています。これは労働者人民の団結の力で腐り切った社会と政治を打ち壊し、労働者が主人公の新しい社会をつくりだす自己解放的決起です。
 今、エジプト、トルコ、ブラジルをはじめとして、世界各地で100万人規模のゼネストや大デモが激しく闘われています。このプロレタリア世界革命情勢と一つに結んで、階級的労働運動を闘う労組拠点を打ち立て、首都・東京で100万人の決起をつくりだし、安倍政権を打倒しようではありませんか。
 7月8日、原発再稼働のための新基準が施行されました。北海道・関西・四国・九州の4電力会社が、伊方、川内、玄海など6原発12基の再稼働を申請しました。さらに柏崎刈羽原発の申請も狙われています。絶対に許せません! 福島原発事故をなかったものとし、フクシマの怒りを圧殺し踏みにじる暴挙です。福島原発事故で、今も約15万人が避難生活を強いられています。また観測井戸の地下水のセシウム濃度などが急上昇し、放射能汚染水も海に流れ出ています。放射線量が高いため原子炉にも近づけず、溶けた核燃料の状態も分からず、いまだ事故の収束や廃炉の展望もまったく立っていません。
 そもそも自民党こそ全国に五十数基もの原発を建設し、福島原発事故を引き起こした最大の責任者です。自民党や電力会社が福島原発事故に何の責任もとらず、自分たちの金もうけと延命のために、再び原発を次々に動かすことなど絶対に認められません!
 しかもこの連中がTPP(環太平洋経済連携協定)を推進し、解雇、低賃金、非正規職化を進め、長時間労働、過労死を強制し、医療・介護・教育を金もうけの手段にする一方で、改憲や辺野古新基地建設をもって青年・学生を戦争に駆り出そうとしているのです。
 山本太郎氏は、安倍政権によるこうした新自由主義攻撃の絶望的強行と真っ向から対決しています。山本太郎氏の当選をなんとしてもかちとりましょう。

 解雇撤回10万筆署名を

 JR東日本は今、3・11福島原発事故から半年以上も原発の25`圏内に放置されていた被曝車両K544の運用再開を狙い、7月16日に交番検査、17日に入場整備、18日に郡山工場への移送を強行しようとしています。動労水戸は12日には時限ストに決起、16日には組合員の総力でストに立ちます。この闘いと連帯・団結し、7・16勝田車両センター前に大結集し、ともにJR東日本に怒りをたたきつけましょう。これは反原発を真っ向から掲げた参院選と一体の闘いです。
 7月5日に行われた動労水戸とJR東日本水戸支社の団体交渉で、当局側はK544の交番検査をやれば、放射性物質を含んだホコリを吸い込む危険性があることを認めながら、「放射性物質の量は健康に影響を及ぼすレベルではない。K544の交番検査は通常の作業として行う」と言い放ちました。
 これは、労働者の命や健康はどうなってもいいし、労働者に健康被害が起きても放射能との因果関係を認めず、JRは何の責任も取らないということです。安倍政権や東京電力がやっている福島切り捨てとまったく同じではありませんか。絶対に許せません!
 安倍政権は、原発再稼働と一体のものとして福島県の避難区域を再編し、県民を放射能高線量地域へ帰還させて補償を打ち切り、県民の切り捨てを強行しようとしています。福島県民の帰還を進めるために、JR常磐線を現在休止中のJR竜田駅まで開通させ、「放射能は問題ない」「避難者は故郷に帰れ」と言って、福島の人たちをさらに被曝させようとしています。K544の運用再開なしにはJR竜田駅までの延伸や高線量地域への帰還強制もできないと、K544の運用再開を暴力的に強行しようというのです。
 動労水戸のストライキ決起は、被曝労働拒否の闘いであると同時に、政府・東電・JR東日本が一体となった福島県民の圧殺を許さず、外注化も絶対に阻止する闘いです。
 この動労水戸の闘いと同時に、国鉄分割・民営化との闘いが最大の決戦を迎えています。動労千葉の鉄建公団訴訟控訴審は9月25日に判決が指定されています。しかし国鉄分割・民営化の時に、JR設立委員会の指示で動労千葉や国労の組合員が採用差別されたという、決定的な新証拠が明らかになっています。事実調べもせずに反動判決を下すことなど絶対に許されません。
 不採用基準を作成した元国鉄職員局次長・葛西敬之(現JR東海会長)の証人尋問を始め、国鉄分割・民営化にかかわった連中を法廷に引きずり出し、すべてを白状=証言させなければなりません。「弁論を再開し、葛西を証人尋問せよ!」という巨万人民の正当な要求を掲げ東京高裁を包囲しましょう。昨年の6・29判決を出した白石哲裁判長が更迭・左遷させられた「白石事件」を含め、国鉄分割・民営化の「真実」を法廷で全面的に暴く闘いは、安倍政権や大阪市長・橋下徹らによる自治体丸ごと民営化攻撃、公務員360万人の首切り攻撃を粉砕する闘いと一体です。
 動労千葉は6・30定期委員会で、「国鉄1047名解雇撤回、外注化阻止、JR貨物賃下げ阻止」を闘って、新たな組織拡大闘争に総決起する方針を確立しました。動労千葉や動労水戸の決起と固く団結して、すべての職場で「解雇撤回・JR復帰」の10万筆署名に取り組み、反合・運転保安闘争路線で外注化阻止・非正規職撤廃の闘いを前進させましょう。7・17国労組合員資格確認訴訟と裁判報告・国鉄闘争決起集会に大結集しましょう。

 世界単一の労働者党へ

 7月革共同政治集会に大結集し、歴史的な大成功をかちとりましょう。全世界が完全に革命情勢に突入している中で、プロレタリア世界革命に勝利する単一の労働者党の建設と登場が求められています。
 革共同は結党以来、反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命を綱領的立脚点として闘い、60年安保闘争、70年安保・沖縄闘争、反革命カクマルとの内戦、国鉄分割・民営化阻止決戦や三里塚決戦、90年代以降の国鉄決戦を基軸とした階級的労働運動の復権の闘いなどを、全力で闘ってきました。これらすべてが労働者自己解放の闘いであり、労働者階級が自分たちの力で労働者党をつくりだす闘いでした。こうした労働者階級の闘いが革共同を国鉄決戦の党として形成し、内閣情報調査室や公安調査庁という日帝の権力中枢が送り込んだスパイ荒川を摘発・打倒する大勝利を切り開いたのです。
 この偉大な革命的地平の上で、革共同は今次参院選を、100万人の労働者人民を組織する労働者党への飛躍をかけて猛然と闘っています。闘うすべての労働者人民はこの革共同に結集して、革命に勝利する労働者党をともにつくりだそうではありませんか。
 そのためにも、革共同に圧倒的な夏期カンパを寄せてください。夏期カンパこそが13年後半決戦を闘う最大の力となるのです。
 7・29千葉地裁包囲闘争に大結集し、三里塚反対同盟・市東孝雄さんの農地を強奪する仮執行付き反動判決を絶対に粉砕しましょう。8・6広島−8・9長崎の反核反原発闘争に全国から総結集し、歴史的成功をかちとりましょう。

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週刊『前進』(2592号1面2)(2013/07/15 )

 渋谷ハチ公前を数千人が埋めた(7月6日)

 「今国会に必要なのは、なんのしがらみもなく本当のことを言える人間なんです。山本太郎を国会に行かせてください!」
 火を噴くような山本さんの演説は、原発への怒り、TPPへの怒り、ブラック企業に象徴される新自由主義への怒り、そして自民党・安倍政権に対する巨万の人びとの階級的怒りが凝縮されている。この訴えが連日、行く先々で拍手と歓声に包まれ、続々と新たな決起を生み出している。選挙活動を支える大勢のボランティアスタッフも目を輝かせて「一緒にスタッフをやりませんか」と訴える。たちまちスタッフ登録に長蛇の列。山本さんの演説に心を打たれ、泣きながら登録に来る人もいる。
 躍動感あふれる大衆行動がどんどん拡大し、社会を変える力が生み出されている。既成政党の泥仕合とはまったく違う、民衆が政治をその手に取り戻す新しい時代の選挙戦が始まった。
 100万人の決起で山本さんを国会へ! 7・21の投票日まで地域で職場で学園で、労組に分け入り、山本支持を訴えよう。

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週刊『前進』(2592号1面3)(2013/07/15 )

 NAZEN東京を結成

 全原発廃炉へ闘いの中心に

 杉並で350人が誓う

 7月11日午後6時半から、東京・杉並区の座・高円寺2において「なにがなんでも!全原発廃炉 7・11東京集会」がNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)の主催で行われ、350人の参加で大成功を収めた。
 最初に動労水戸の石井真一委員長が動労水戸の被曝労働拒否の不屈の闘いを報告。「明日からストライキに入る。全国から支援を!」と訴えると会場は割れんばかりの拍手で応えた。
 NAZENから織田陽介事務局長が発言。山本太郎さんの参院選挙戦と自らの訪独の報告を行い、「労働組合と市民が手を取り合って反核運動・反原発運動をつくろう」と確信も固く呼びかけた。ふくしま共同診療所の報告を、診療所医師の杉井吉彦さんが行い、福島における「安全」キャンペーンを怒りをあらわに語り、「渾身(こんしん)の力で診療所を支える。全国の力で盛り上げてほしい」と訴えた。
 東京各地区のNAZENからの発言と、8・6―8・9実行委事務局長の三角忠さん、都政を革新する会の福田政幸さんのアピールは反核・反原発の気概あふれる内容。最後に、NAZEN杉並の北島邦彦さんが、NAZEN東京の強力な建設のためにも山本太郎さんの参院選勝利を目指して闘おう、全原発の廃炉へNAZEN東京が先頭に立つ、保養運動に取り組もうと訴えて集会を締めくくった。(詳報次号)
(写真 NAZENの立ち上げを報告する東京各地の労働者【7月11日 杉並区高円寺北】)

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週刊『前進』(2592号1面4)(2013/07/15 )

前進速報版から 前進速報版から

▼三里塚第3誘導路裁判、7・14−29総決起を誓う▼国鉄闘争全国運動・九州が総会▼関西空港反対全国集会が142人の参加で大成功

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週刊『前進』(2592号1面5)(2013/07/15 )

【要項】革共同政治集会、7・29農地裁判判決・千葉地裁包囲闘争


革共同政治集会

〈東京〉
革命的共産主義運動50年と大恐慌―プロレタリア世界革命の時代の到来
基調報告 革命的共産主義者同盟書記長 天田三紀夫
7月28日(日)午前11時半開場
豊島公会堂(豊島区東池袋1−19−1)

〈関西〉
基調報告 夏美優一
7月21日(日)
正午開場 午後1時開会 
大阪市立浪速区民センター
(大阪市浪速区稲荷2−4−3)

〈東北〉
基調報告 岡崎康史
7月21日(日)
正午開場 午後0時半開会
展示ホール(仙台市若林区南小泉1−1−1)
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7・29農地裁判判決・千葉地裁包囲闘争
7月29日(月)午前10時集合 千葉市中央公園
判決 午後1時30分 千葉地裁
主催・呼びかけ/三里塚芝山連合空港反対同盟

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週刊『前進』(2592号2面1)(2013/07/15 )

 解雇撤回10万署名に全力を

 国鉄闘争を大社会問題化し9・25高裁反動判決阻止へ

 動労千葉を先頭とした30年にわたる国鉄分割・民営化反対闘争は、ついに国家的大陰謀を暴き出し、その核心に手をかけた。国鉄分割・民営化こそ、その後の民営化・外注化、大失業と非正規職化の出発点だ。だからこそ、ここで国鉄分割・民営化に決着をつければ、すべてひっくり返すことができる。最大の正念場を迎えた国鉄闘争を一大社会問題に押し上げるときだ。職場での反合・運転保安闘争確立と一体で、「解雇撤回・原職復帰」の10万筆署名と物販に総力で取り組もう。9・25東京高裁での反動判決を絶対に阻止しよう。

 国鉄解雇の真実ついに暴く

 今年の春、国鉄1047名解雇撤回・原職復帰を闘う動労千葉鉄建公団訴訟をめぐって「事件」ともいうべき大反動が起きた。昨年6月29日の東京地裁判決で、国鉄分割・民営化による選別解雇を不当労働行為と認めた白石哲裁判長が、突如として更迭・左遷させられたのだ。そして、東京高裁の難波孝一裁判長は何ひとつ事実を調べず、たった3回の口頭弁論で結審を一方的に宣言した。裁判所の「公正・公平」の建前さえ投げ捨て、「国鉄分割・民営化の真実に触れるものは許さない」という敵の階級意思を示したのだ。
 国鉄闘争の持つ位置はそれほどに大きい。国鉄分割・民営化は、労働者からすべての権利を奪いつくす攻撃の出発点であり土台だ。公務員労働者の雇用・賃金を破壊することで全労働者を無権利にたたき落とすには、現在も「国鉄方式」による全面的な民営化攻撃以外ない。もしここで、国鉄分割・民営化が、当時の首相を先頭に政官財と裁判所までが一体となって強行された大陰謀だったとなれば、これまで労働者を襲った攻撃も、これから安倍や橋下が狙う攻撃もすべてその根拠を失い崩壊しかねない。敵はそれに戦々恐々としているのだ。
 国鉄分割・民営化は、労働運動の骨をたたき折ることを狙った戦後最大の大攻撃だった。「巨額赤字の解消」を名目に、マスコミを総動員して「国鉄職員がサボっているせいだ」など一大キャンペーンが展開された。実に2人に1人という首切り攻撃がかけられ、わずか5年ほどの間に20万人の国鉄労働者が職場を追われ、200人が自殺に追い込まれた。
 当時の首相・中曽根はその目的を「国労をつぶし、総評・社会党をつぶすことを明確に意識してやった」「お座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と露骨に語っている。日本労働運動の中軸である国鉄労働運動をつぶすことなしに、解雇自由・賃下げ自由や非正規職化、そして改憲・戦争も成り立たない。一大階級決戦として仕掛けられた攻撃だったのだ。

 連合支配の完成阻んだ地平

 動労千葉は敵の攻撃の本質を見抜き、85〜86年に「国鉄分割・民営化絶対反対」を掲げて渾身(こんしん)の2波のストライキに立った。「ここでひざを屈すれば二度と立ち上がれない」「事態を切り開くには、国鉄労働者自身が本当に腹を固めて立ち上がる以外ない」。動労千葉の全組合員が、国鉄当局による全組合員・家族への激しい恫喝を跳ねのけ、大量の報復解雇・重処分をも受けて立った。
 この闘いは国鉄労働者の魂に火をつけ、中曽根と国鉄当局をグラグラに揺さぶった。現場には怒りが渦巻いていたのだ。マスコミが流すうそが「国民世論」とされ、真実が隠されたまま自分たちは「国賊」のように扱われる。労働組合など存在しないかのように好き勝手に攻撃が進められる。このことに心底悔しい思いをしていた。
 国家の総力を挙げた攻撃も、職場で労働者が本気で立ち上がった途端に崩壊の危機に陥り、力関係は一変した。そもそも国鉄分割・民営化は、その強引さゆえに矛盾に満ちた攻撃だ。最初から最後までうそで塗り固め、解雇・処分で脅し、労働者を黙らせることによってしか成り立たない凶暴だが脆弱(ぜいじゃく)な攻撃だ。
 これに手を貸したのが松崎明を先頭とする動労カクマルであり、動労を中心として結成された鉄道労連(現JR総連)だ。労働組合の側から分割・民営化への全面協力を表明し、労働者を守るどころか自ら率先して退職強要に手を染めたのだ。この歴史的裏切りと、国労本部が最後まで闘う決断をしなかったことで国鉄分割・民営化はかろうじて強行できた。
 動労千葉は「動労千葉が闘えば国労も必ず立ち上がる。国鉄労働者の壮大なゼネストで分割・民営化は粉砕できる」と渾身の闘いで訴え続けた。その中で国労の現場組合員は、全面協力に走ろうとする本部を粉砕し、国労の旗を守って87年JR発足を迎えた。
 動労千葉は分割・民営化後も、清算事業団闘争圧殺のための和解=闘争終結策動を89年12月から90年3月のストライキでぶっ飛ばして1047名解雇撤回闘争を生み出し、今日に至る国鉄分割・民営化反対闘争の継続をかちとった。
 その後の23年間もきわめてダイナミックな攻防の過程だった。労働組合に国鉄分割・民営化を認めさせ、闘争を終結させるための幾度もの和解策動と対決し、これを打ち破る闘いの連続だった。
 2010年4月9日、国労本部を先頭とする4者4団体が政治和解で闘いの旗を降ろした。“労働運動が際限なく後退し、労働者がすさまじい攻撃にさらされ続ける中で、こんな形で国鉄闘争が終結させられたらどうなるのか”――動労千葉はこの国鉄闘争の重大な危機の中から国鉄闘争全国運動を呼びかけ、闘争終結策動を打ち破った。
 国鉄労働運動の解体と連合支配の完成という敵の狙いの根幹は、すでに完全に打ち砕かれているのだ。

 今こそ全職場に分け入ろう

 国鉄分割・民営化をあいまいにせず、1047名解雇撤回・原職復帰の原則を貫いてきた動労千葉は、一つひとつ真実を暴き出し、敵をギリギリと追い詰めてきた。
 鉄建公団訴訟一審では何年にもわたる執念の追及で、当時の国鉄職員局次長・葛西敬之(現JR東海会長)の指示で急きょ不採用基準が策定され、採用候補者名簿に記載されていた動労千葉争議団員や国労闘争団員を名簿から削り落としたことを暴き、不当労働行為だと認めさせた。
 控訴審では新たな決定的証拠を見つけだし、国鉄とJR(当時の設立委員会)が、名簿作成、不採用基準による選別にいたる全過程で綿密に打ち合わせを行い、完全に一体となって不当解雇を強行したことを明らかにした。改革派と言われた国鉄官僚の井手正敬(元JR西日本会長)、葛西らがJR設立委員長の斎藤英四郎(当時の経団連会長)のもとに何度も何度も通い、斎藤が不採用基準作成を葛西らに直接指示、JR設立委員会の場でも正式に承認されていたのだ。「国鉄とJRは別法人」「選別したのは旧国鉄でありJRは関与していない。仮に不当労働行為があってもJRに責任はない」という説明は全部うそだったのだ。不当労働行為の責任がJRに及ぶことは誰の目にも明らかになった。
 国鉄分割・民営化は、国鉄労働者20万人の首切りと労働運動壊滅を狙うまさに国家的大陰謀だった。重要なことは、このことを今こそ全社会に知らしめることだ。10万筆署名運動と物販で自治体や教労を始めあらゆる職場に分け入り、国鉄闘争根絶に向けた反動判決策動を絶対に打ち破ろう。
 それは同時に、国鉄分割・民営化から始まった攻撃に自らの職場から反撃を開始し、階級的労働運動を復権していく闘いそのものだ。民営化・外注化・非正規職化に労働組合が立ち向かえることを示せれば、労働運動の復権は絶対に可能だ。
 自らの職場で新たな時代の反合・運転保安闘争を確立しよう。10万筆署名と物販で国鉄闘争の新たな発展を切り開こう。

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 新パンフが完成

 国鉄闘争全国運動が「解雇撤回・JR復帰」10万筆署名達成へ新しいパンフレット「今こそ国鉄闘争の火を大きく!/暴かれた真実」を発行した。
 昨年6月29日の一審判決のポイント、控訴審で提出された新証拠、さらに国鉄分割・民営化の経過や当時の中曽根発言などの基礎的資料も盛り込まれている。当時を知らない若い世代にも国鉄闘争の持っている歴史的な位置の大きさが伝わる内容だ。職場・学園・地域にどんどん持ち込もう。

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週刊『前進』(2592号2面2)(2013/07/15 )

 職場の闘いつくろう

 国鉄全国運動・九州が総会

 国鉄闘争全国運動・九州の第3回総会が6月30日、北九州市で開かれ、福岡を始め長崎、大分、熊本などからも会員が参加して活発な討論が行われました。初参加の若い労働者や新会員も集まり、1047名解雇撤回へ9・25判決までの決戦を闘い抜き、闘う仲間を増やし、国鉄闘争の火をさらに大きくしようと誓い合う意義ある総会になりました(写真)
 竹内良夫代表の開会あいさつの後、国労小倉地区闘争団の羽廣憲さんが日頃の支援にお礼を述べ「労働者の団結した力が世の中を変えるときが来ています。私は、みなさんと最後まで闘う」と決意を述べました。
 総会のメインは手嶋浩一代表の基調講演。手嶋代表は、「非正規労働者は低賃金と劣悪労働、正規労働者はブラック企業で過酷労働を強制され、労働者は声も上げることができないほど無権利状態にある。このような社会は国鉄分割・民営化から始まった」と指摘し「会員が当たり前の労働運動を職場で始めなければならない。職場で仲間をつくり、要求をつくり、資本・当局と団結して闘おう」と職場闘争の重要性を強調しました。
 事務局が、昨年2月総会以降の闘いの総括と、9・25鉄建公団訴訟控訴審判決に向けた4カ月決戦を闘おうと訴えました。会員が先頭になって職場の闘いの組織化に踏み込み、「組織拡大と拠点づくり」に取り組むことで安倍反動政権を打倒する闘いを押し上げていくという提起です。
 討論では障害者福祉施設の廃園攻撃と闘う虹ケ丘労組の野下委員長、合同労組レイバーユニオン福岡、自治体労働者などが発言しました。再び発言した羽廣さんは、「闘うことは、それまでの関係を捨て、生活のあり方も変えること。手嶋さんも私もそうやって闘い今ここにある」と述べ、手嶋代表も「重要なのはこの運動を広げること」と呼びかけました。
 最後に竹内代表が「きょうの討論は本当によかった。腐ったように見える日本の労働運動にも動労千葉のようにストで闘う労組がある。動労千葉に続いて闘い、この世の中を変えましょう」と訴えました。
 (九州・H)

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週刊『前進』(2592号2面3)(2013/07/15 )

 労働者に被曝を強いるK544(被曝車両)再運用許すな

 福島圧殺攻撃粉砕 7・16動労水戸ストへ

 JR水戸支社は今週にも、現場の反対を一切無視して被曝車両(K544編成)の交番検査と郡山総合車両センターへの移送を強行しようとしている。これに対して動労水戸は全力で反撃を開始し、職場の仲間に決起を訴えている。7月16日には総力でストに立つ。

 内部被曝強制

 7月5日の動労水戸との団交で、会社はK544の機器箱内のほこりに放射性物質が含まれていることを認め、作業の際にそれを吸い込む危険性があることも認めた。にもかかわらず「国の(空間線量)基準」を盾に「放射性物質の量は健康に影響を及ぼすレベルではない」と強弁し、内部被曝の危険性を指摘しほこりの線量を測定しろという動労水戸の要求を拒んでいる。線量を測って高い値が出たら作業ができなくなるからだ。
 線量測定をしない理由を説明できなくなった会社側は「線量の高い冷却器を外したので通常の車両だ。危険という認識はない」と完全に開き直っている。原発事故以来、広野駅に半年間放置され、今も車両の至るところから高い線量が出る車両がなぜ「通常の車両」なのか。

 再稼働と一体

 K544運用強行の動きは、国と東電による福島圧殺、「新規制基準」のもとでの原発再稼働一斉申請と一体だ。避難区域再編(今年4月)と補償切り捨て、避難者への帰還強制など福島への分断・圧殺攻撃が強まっている。JR東日本はその最先兵として常磐線を竜田駅まで延伸する準備を進め、同時に、JRや下請け会社の労働者に際限のない被曝労働を強制しようとしているのだ。
 動労水戸の闘いは、国と東電、JR東日本の攻撃と最先端で切り結ぶ闘いだ。とりわけ内部被曝問題を焦点に押し上げ、職場実力闘争で闘い抜いているきわめて先駆的な闘いだ。K544が移送される郡山総合車両センターでも、国労郡山工場支部を先頭に被曝労働強制に対する闘いが始まっている。
 こうした労働者の命をかけた必死の闘いが、検修外注化阻止闘争とひとつになり、闘う労働運動復権の突破口になろうとしている。だからこそJR東日本は、動労水戸の闘いをなんとしても圧殺しようと躍起になっているのだ。
 青年労働者への被曝労働強制を絶対に許すな! 7・16スト支援に全力で立ち上がろう!
   ◇  ◇
7月16日(火)10時半、常磐線勝田駅集合。11時、勝田車両センター前抗議行動。午後2時、JR水戸支社抗議行動

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週刊『前進』(2592号2面4)(2013/07/15 )

 外注化容認の国労本部に大事故続発の責任がある

 資本の先兵化を宣言した大会運動方針案

 国労本部は、7月25、26日に静岡県伊東市で開かれる第82回定期全国大会に向けて、13年度運動方針案の第一次草案を出した。そこには資本の攻撃と闘う中身はまったくない。それどころか「JR会社にあっては、いまだに一部の労働組合に偏った労務政策を取り続ける姿勢が見られる」として、国労本部こそ「健全な労使関係の確立」の先頭に立つと至る所で宣言している。今大会で国労本部は、1047名闘争を跡形もなく解体し、JRの外注化・非正規職化攻撃の最悪の先兵に純化しようとしているのだ。
 そのことを端的に示しているのが、JRが起こした重大事故についての見解だ。事故の実態は確かにすさまじい。しかし、これと闘うべき労働組合の方針が「健全・正常な労使関係の構築」「労使が胸襟(きょうきん)を開いて真摯(しんし)な議論を積み重ねていく」ことなのか!
 事故の原因は、彼らも認める通り検修部門を始めとした業務の外注化、検査周期の延伸、人減らし合理化にあることは明らかだ。だが、その外注化をすべて認めてきたのは国労本部ではないか!
 国労東日本本部は00年3月に「シニア雇用に関する協定」を、01年6月に「グループ一体となった業務体制の構築(運輸車両関係)に関する協定」を、同年8月に「設備部門におけるメンテナンス体制の再構築に関する協定」を、02年2月に「新保全体系の実施に関する覚書」を結んだ。06年11月にはJR東日本との包括和解で一切の紛争案件を取り下げ、12年2月、新人事・賃金制度について妥結、10月には検修外注化を認め、その証しとして就業規則をそのまま協約にした総合労働協約を締結した。
 その総括なしに語られる「合理化反対」「労働条件改善」「安全・安定輸送確立」など、徹頭徹尾まやかしだ。
 10年の4・9反革命で1047名解雇撤回闘争を自ら解体した国労本部は、今やJR総連カクマルと裏切りの度を競い合いながら、資本の先兵と化している。これが運動方針案の最大の問題だ。

 非正規職の雇い止め解雇も容認

 運動方針案はJR各社の契約社員制度について「改正労働契約法を生かす運動を取り組んでいく」と言う。だが、労働契約法改定の核心は「5年で雇い止め」というJRの契約社員制度を全社会に広げることにある。「5年継続して働けば有期雇用を無期雇用に転換できる」という形を取りながら、その実、5年前に非正規職を雇い止めにしろと資本をけしかけているのが改定労働契約法だ。国労本部はその攻撃を裏から支えている。
 彼らの本音は、和解拒否の4闘争団員が起こした国労組合員資格訴訟で明らかになった。そこで彼らは「JRと雇用関係があることが組合員資格の前提」「例外として、被告の判断と方針の下で解雇が不当だとして争う場合には、組合員資格を維持存続させる」と言った。これは、雇い止めにされた労働者が解雇撤回闘争を望んでも、本部が認めなければ当該労働者は組合員資格さえ奪われるということだ。事実、国労本部は雇い止めにされたグリーンスタッフの裁判提訴要求を踏みにじり、「もう組合員ではない」という口実で一切の闘いを圧殺してきた。

 現場から反撃し国労本部打倒へ

 だが、こうした現実に対し、現場からの反撃は開始された。高放射線量下の労働を強いられている被災地の国労職場を先頭に、労働組合の団結を再構築し、職場抵抗闘争で外注化と立ち向かう闘いが貫かれている。本部が外注化を容認する中での困難を極める闘いだが、そこには国労を階級的に再生させる巨大な可能性がはらまれている。
 JR貨物の賃下げ・期末手当削減に対する貨物労働者の怒りが噴出する中で、国労組合員の意識も活性化しつつある。
 これらを国労本部打倒に集約して国労大会闘争を闘おう。今年10月1日の新たな外注化阻止へ、職場で反合・運転保安闘争を闘い、国労を現場組合員の手に取り戻そう。

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週刊『前進』(2592号2面5)(2013/07/15 )

 闘いは進む 青年の職場から

 医療・福祉 国鉄署名と物販を持ち込み職場闘争を開始!

 中四国 遠藤豪

 安倍政権の成長戦略のターゲットの職場で、物販と署名を提起した。労組とか共産主義をよく思っていない人たちだ。資料を「やっぱりいらない」とつき返され、なかなか話ができず時間だけが過ぎていた。「忙しくて話す時間がない」と自答した。しかし「迷ったらやる。やることでしか道は切り開けない」と地区で議論し乗り込んだ。
●国鉄闘争を巡り分岐
 詰所で30代、40代の「年上の後輩」が物販のカタログとタブロイドを手に取った。「あなたは若いから知らないと思うけど、私たちは国鉄分割・民営化をリアルタイムで見てきた世代。当時、国鉄労働者は『カラ出張』とかで、テレビや週刊誌でよくたたかれていた。自業自得だ。私たちの税金で甘い汁を吸ってきた人が解雇撤回を言うなんておかしい」
 僕が何もしゃべっていないのに相手の方がどんどんムキになっていった。タブロイドやビラを何回も手に取っては「ここがおかしい」と指摘。最後に「反論は?」と聞いてくる感じだった。
 さらに「署名だけなら職場の半分の人はしてくれると思う。自分の祖父が昔、国鉄で働いていたならなおさらだ。でも、タブロイドを見せたらダメ。若い人はしてくれると思うけど、35歳以上の人は国鉄時代のことを知っているからしてくれないと思う」「署名だけなら誰かに言われてやっていると思われるだけだが、このタブロイドを見れば、こいつは仕事以外の時間、何をしているんだという話になる。このまま続けていたら出世に響くよ」
 ちなみに別の同僚は、「昨日はありがとうございました。また詳しく話を聞かせてください」との反応。
●スターリン主義をのりこえる
 話の中で「共産主義になったら4割の人が死ぬ」とも。「僕らが目指しているのはスターリンがやったような共産主義ではない」と返したが、「中国でも北朝鮮でも、同じことを言っている」「共産主義っていうのは、どんな人でも平等に暮らしていこうっていう思想。ウィーン少年合唱団みたいなもの。頑張った人が報われない。頑張ることに意味がなくなる」。労働者の中に、正しく共産主義やマルクス主義が伝わっていないことを痛感した。自分たちの闘いでマルクス主義と階級的労働運動の復権を成し遂げるという決意を新たにした。
●誇り高き動労千葉派として
 帰り際、「あなたが労働組合をつくろうとしていることは、みんな知っている」とも。ちょっと驚いた。だが、むしろそれならそれでいい、というすがすがしい気持ちになった。労働者に寄り添って生きて何が悪いんだ!という感じ。いつも一緒に仕事をして、生きる喜びを分かち合っている仲間として、こんな過酷な資本と闘うのは当然のことじゃないか。
 職場の空気は、国鉄闘争を持ち込んだことで一変した。僕はもしかしたら孤立しているのかもしれない。しかし、国鉄闘争26年の闘いが示すように、そんな中でも必ず労働者は団結する。
 「管理職には言わんよ」――。物販は買わなくてもこういう形で労働者側の小さな秘密の団結が始まった。ともに頑張りましょう。

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週刊『前進』(2592号2面6)(2013/07/15 )

【要項】国労組合員資格確認訴訟、裁判報告・国鉄闘争決起集会


 国労組合員資格確認訴訟
 7月17日(水)午後3時半
 東京地裁527号法廷

 裁判報告・国鉄闘争決起集会
 7月17日(水)午後6時半
 文京区民センター
 主催/共に闘う国労の会

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週刊『前進』(2592号3面1)(2013/07/15 )

 国鉄署名と反合・安全闘争で医療福祉職場の拠点建設を

 革共同医療福祉労働者委員会

 動労千葉の新たな「反合理化・運転保安闘争路線」を医療・福祉の職場でこそ実践し、階級的労働運動の大前進を切り開こう。そのために「解雇撤回・JR復帰」10万筆署名と国鉄闘争支援の物販、労働者新聞『前進』を手に、職場・産別の労働者を大胆に組織しよう。動労千葉解雇撤回裁判の9・25反動判決阻止に向かう大決戦のど真ん中で、8・6広島―8・9長崎の大結集を全国の医療・福祉労働者を先頭に切り開こう。参院選総決起で極右・安倍政権を打倒しよう。

 安倍「成長戦略」とTPPに対決する

 国鉄闘争全国運動が呼びかけた6・9全国集会は、全国から1800人の労働者の結集でかちとられました。動労千葉の田中康宏委員長は発言の冒頭、「非正規職化・貧困化・ワーキングプア・労働組合の弱体化のすべてが国鉄の分割・民営化から始まった。ここに決着をつけ、これから反転攻勢にうって出る。この数カ月の過程にこれまでの努力のすべてを注ぎ込もう」と訴えました。国鉄闘争26年の切り開いた地平、労働者が本来持っている団結の力に絶対的な確信を持って、医療・福祉産別における「反合・運転保安闘争路線」の実践をもって、戦後労働運動の限界の突破に挑戦していきましょう。
 大恐慌と大争闘戦時代への突入のもと、安倍政権はその矛盾をすべて労働者に押し付け、延命のための絶望的な攻撃にうって出てきています。しかしながら、安倍が推し進めようとしている「アベノミクス」の異次元金融緩和政策は、4月のスタートからわずか3カ月で破綻があらわになりました。しかも、これがますます大恐慌下の一大争闘戦を不可避とし、労働者階級への階級戦争と、外に向かっての侵略戦争の衝動を激化させるものとなるのです。
 安倍の「成長戦略」とTPP(環太平洋経済連携協定)参加のもとで最大のターゲットとされているのが、医療・福祉分野です(引用参照)。「医療・福祉の産業化」として、徹底した搾取と収奪の草刈り場と化していこうというのです(本紙2590号「TPPを撃つC労働者から医療を奪う」参照)。非正規職化・外注化を前提とした「雇用創出」、「良質の医療サービスの提供」を口実とした混合診療の全面解禁や規制緩和が狙われています。その行き着くところは10割非正規職化と首切り・賃下げの横行、過労死レベルの労働強化の強制であり、医療事故多発、安全崩壊は避けられません。
 闘う労働組合・労働運動の解体と団結破壊が、安倍のこの攻撃を後押ししています。だからこそ階級的労働運動をよみがえらせることが必須の課題です。

 動労千葉に学んで反合・安全の実践を

 この安倍政権の攻撃とどう闘うか。その回答は動労千葉を先頭に新たな前進を切り開いた「反合・運転保安闘争」路線を全産別・職場で闘っていくことです。医療・福祉の職場でこそ、その中身をストレートに実践していきましょう。
 医療・福祉の現場で安全を確保することは、医療・福祉労働者の誇りそのものです。「命よりもカネ」の新自由主義医療・福祉とその安全破壊の現実に対して、怒りを持たない労働者など、ひとりもいません。問題は、この怒りに根ざした闘いが、新自由主義攻撃との対決において徹底非和解・非妥協の質をもって貫かれなければ、一歩も先に進まないということです。それが「反合理化」ということであり、反合・安全闘争の核心中の核心です。
 そして現場の怒りを闘いに組織していく上で、「このように闘えば勝てる」という勝利への展望を指し示す武器こそ、「解雇撤回・JR復帰」の10万筆署名運動であり、国鉄闘争支援の物販闘争です。
 それは、〈解雇撤回、国家的不当労働行為の徹底した責任追及>という、本質的にすべての労働者の階級的魂をとらえる力をもった闘いだからです。同時にこの闘いは、労働者の階級的魂を投げ捨ててきた既成の労働運動潮流を現場から打倒しのりこえていくための、新たな団結を形成する闘いでもあります。9・25控訴審判決に向かう一大決戦過程を、10万筆署名と物販を武器にして、医療・福祉産別における階級的労働運動復権の闘いと一体で闘っていこうではありませんか。
 その闘いは、全国の医療・福祉職場ですでに開始されています。広島・草津病院では、労働者を分断して資本の道具にする評価制度に絶対反対を貫いて闘い、中山崇志・広島連帯ユニオン草津病院支部委員長に対するデッチあげ刑事弾圧や組合破壊攻撃を、青年労働者の獲得と組織拡大ではね返してきました。そして昨年来連続して発生した病棟での火災や事件・事故、営利優先の病棟再編という新自由主義攻撃に対して、「病院で働くすべての労働者を対象にして団結を拡大しよう」という組織拡大闘争をもって反撃しています。奪還された中山委員長を先頭に青年たちが全力で立ち上がっています。
 「労働運動は人間がやるものだ」――故中野洋・動労千葉前委員長はこう語っていました。どんな困難な状況にあろうとも、労働者の気持ちをつかむことができれば、労働運動は必ずよみがえると。現場での安全崩壊の進行に対して、闘う労働組合をよみがえらせて労働者の誇りを奪い返す闘いが、全国の医療・福祉職場で今始まろうとしているのです。
 戦後長きにわたって医労連支配のもとにあった職場でも、「大恐慌と3・11」は労働者の階級意識を根底から塗り替えています。私たちの呼びかけいかんで職場全体が、さらには階級全体が大きく動き出す決定的な情勢を迎えています。このことに圧倒的な確信を持ち、組織して、組織して、組織しぬこうではありませんか。

 8・6ヒロシマ行動をともに闘おう!

 安倍政権は参院選を前に、原発再稼働、頓挫している核燃料サイクルの再開、原発輸出に向けた攻撃を開始しました。福島では15万人が故郷を追われ、200万人が過酷な放射能にさらされている現実はいまだに続いています。通常の180倍にあたる12人もの甲状腺がんが子どもたちから見つかる異常な事態にもかかわらず、長崎大学・山下俊一や広島大学・神谷研二らはヒロシマ・ナガサキの名においてフクシマを圧殺し、子どもたちを見殺しにしているのです。絶対に許せません。大恐慌と争闘戦の激化のもと、崩壊する新自由主義の生き残りをかけた原発再稼働と原発輸出、そして核武装に向かって突き進む攻撃に、私たちは「ふくしま共同診療所」を生き抜くための医療拠点として圧倒的に強化・発展させて闘おう。
 今夏8・6広島―8・9長崎を反戦反核・反原発、階級的労働運動と国際連帯の旗を高く掲げて闘おう。米オバマは6月19日、ベルリンで「配備済み戦略核の3分の1削減」提案の演説を行いました。これはドルと米国債が暴落し、米経済が大崩壊の奈落に転落することへの恐怖から、効率的な核兵器の配備で最大限の軍事的効果をめざすとして新たに策定された核兵器運用指針と一体のものです。これをもって「核なき世界をめざす」などと言うのは、階級闘争の圧殺を狙う大ペテンにほかなりません。大恐慌と大争闘戦の激化、資本主義の体制崩壊の危機のもとで急切迫する侵略戦争・核戦争情勢と真っ向から対決し、これを阻止できるのは、階級的労働運動の復権・再生と労働者階級の国際連帯の力です。
 世界の労働者階級の共通の敵である新自由主義に対して、世界各地で根底的決起が続々と開始されています。まさに労働者階級自己解放の新たな時代が、確実に始まっているのです。新自由主義の崩壊と大争闘戦の激化のもとで、階級戦争と侵略戦争にうって出ようとする帝国主義に対して、わが手でプロレタリア世界革命を成し遂げる前人未到の挑戦を、今こそ本格的に開始しようではありませんか。
 医療・福祉労働者はその先頭に立ち、プロレタリア革命を手繰り寄せる革共同を強大に建設していこう。階級的労働運動の前進が日帝権力中枢のスパイ荒川を摘発・打倒した勝利の地平に立ち、党と労働組合の一体的建設を前進させよう。全国の医療・福祉職場で階級的労働運動の拠点建設を推し進めよう!
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 安倍の6・5「成長戦略」第3弾スピーチ

 エネルギー、医療、インフラ整備。がんじがらめの規制を背景に、公的な制度や機関が民間の役割を制約している、いわば「官業」とも言える世界は、今でも広い分野で残されています。いずれも、将来の成長が見込まれる産業ばかりです。この「官業」の世界を大胆に開放していくこと、これが安倍内閣の仕事です。
 10年後には60兆円近くまで増加が見込まれる医療費も、今、官業を開いていくことで、その抑制にもつなげることができると確信しています。

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週刊『前進』(2592号3面2)(2013/07/15 )

 国鉄・反原発決戦と参院選勝利へ熱烈カンパ訴えます

●国鉄が4カ月決戦の軸
 すべての皆さんに心から夏期カンパを訴えます。
 革共同は、結成以来五十有余年の歴史的地平に立って、今ひとつ新たな挑戦に打って出ています。それは、1980年代の中曽根政権のもとで開始された国鉄分割・民営化との成否をかけた決戦として、この夏から秋の闘いを「4カ月決戦」として構えなおしたことです。
 中曽根内閣は1987年に国鉄を分割・民営化し、同じ年に日米原子力協定の改定によって原爆製造の要となる核燃料サイクル基地=核燃料再処理工場を青森県六ケ所村に造ることを決定=認可しています。「民営化・外注化、非正規職化」と原発という新自由主義の攻撃の要は、今に至るも「完結」を阻まれ、闘いは継続しています。何より国鉄分割・民営化との闘い=1047名の解雇撤回闘争は、10年「4・9政治和解」にもかかわらず、継続・発展しています。11年3・11福島原発事故を契機に、反原発の闘いは、青年労働者や学生たち若い世代が中心となって猛然と前進しています。
 国鉄闘争は、確実に資本家階級と日本政府を追い詰めています。それは、昨年6月29日に「(国鉄からJRに移行する過程で国家的)不当労働行為があった」と認定した東京地裁・白石哲裁判長を、突然左遷・更迭するやり方に現れています。20年近く国家権力中枢の内閣情報調査室や公安調査庁によって送り込まれていた希代のスパイ・荒川碩哉(ひろや)が最大の関心を持ち、最も憎悪して解体を狙ったのも国鉄闘争でした。このスパイ・荒川を摘発・打倒したことは決定的な闘いでした。
 国鉄分割・民営化が、国家による不当労働行為であり、不当解雇であることは明らかです。“解雇撤回”を目指す闘いは圧倒的な階級的正義に貫かれています。この国家的不当労働行為を少しでもあいまいにするなら、3・11大震災と原発事故によって暴かれた「誰も責任を取らない」新自由主義=資本主義のあり方を容認することにつながります。
 この国鉄闘争は改憲を阻止する闘いそのものです。中曽根康弘は一貫して、「国鉄改革でお座敷をきれいにして改憲を」とわめき立ててきました。革共同は、この国鉄1047名解雇撤回、民営化・外注化・非正規職化阻止の闘いに最後の最後まで絶対に責任を取りきり、勝利するまでともに闘い抜く覚悟と決意です。
●参院選100万決起を
 革共同は、国鉄決戦と一体の闘いとして、今次参院選において山本太郎氏の選挙闘争を闘っています。山本氏が掲げる「被曝させない、TPP入らない、飢えさせない」の公約は、今日の資本主義=新自由主義と絶対非和解で対決するスローガンだからです。
 原発は3・11福島第一原発事故とその「収束作業」の過程でも明らかですが、燃料となるウラン採掘の現場から稼働、点検作業、廃炉まで、そのすべてにおいて被曝が強制されます。資本主義は「命よりカネ」を優先させることで、労働者に被曝を強いてきました。「被曝させない」を本当に実現するためには、「命よりもカネ」の資本主義=新自由主義を根本からひっくり返す以外にありえません。TPPは日米安保と一体の、戦争のための協定であり、絶対に認められません。そして「飢えさせない」は、今まさに私たちの周りで起こっている青年労働者の問題です。若い世代の半数以上が非正規・低賃金に追いやられて誇りすら奪われ、「いじめ」やいつクビになるかわからない職場で働かざるをえない社会は、根本的に間違っています。
●労働者階級自己解放へ
 革共同は、こうした闘いを闘い抜き、プロレタリア革命の勝利に向けて、どんな弾圧にも屈しない非合法・非公然の体制を歯を食いしばって貫いてきました。この非合法・非公然体制を貫くためにも資金が必要です。公務員をはじめ、多くの職場で賃金カットが強行されている中で、しかしだからこそ、この「労働者が生きていけない」現実をひっくり返すために、ともにこの歴史的事業に参画してほしいと心から思っています。
私たちの綱領草案第1項には、以下の記述があります。「われわれ革命的共産主義者同盟の目的はただひとつ、この労働者階級自己解放の闘いの全面的な貫徹とその完全な勝利にある」。この「労働者階級自己解放」をめぐって「命よりカネ」の資本主義と闘い、スターリン主義とも決別・対決して闘っています。無実のまま獄中に38年間も閉じこめられている星野文昭同志を奪還する闘いも完全に一体です。
どうか、10万円単位で出せる方はその規模で、そうではない方も周囲に声をかけてカンパを集中されることを心からお願いします。革共同は、厳しい生活の中から身を削るようにして協力して下さった皆さんのカンパに必ず応えていきます。ともに党をつくり、労働者階級の不屈の組織をつくり出し勝利しましょう。

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週刊『前進』(2592号3面3)(2013/07/15 )

 闘うブラジル労働者階級

 全国300都市で120万人がデモ 新自由主義打倒へ歴史的決起

 弾圧を契機に一挙に巨大化した抗議デモ

 トルコに続いてブラジルでも、新自由主義政策を全面展開する政府と資本家に対する労働者階級の怒りが爆発した。
 発端は、サンパウロで6月6日、1千人の地下鉄労働者と青年組織MPL(運賃無料化運動)や学生たちによるバス、電車、地下鉄などの料金値上げに抗議する闘いだ。11日と13日の数万人規模のデモが激しく弾圧された事件を契機に、新自由主義政策の野放図な展開によって生活を破壊されてきた労働者人民の怒りは、一挙に爆発した。17日には、闘いは瞬く間に全国に波及し、各都市で巨大なデモが行われた。
 サンパウロでは25万人、リオデジャネイロでは15万人がデモを行い、首都ブラジリアでは5千人の若者が国会のロビーを占拠し、数百人が建物の屋根に上って抗議の声をあげた。この闘いに対する警察の暴力的弾圧で数百人が逮捕され、100人以上が重軽傷を負うと、20日にはさらに巨大な抗議行動が爆発した。
 20日の抗議デモには全国300都市で120万人が参加し、この20年間で最大のデモとなった。この闘いはもはや単に交通料金の値上げに抗議するものにとどまらず、政府の新自由主義政策総体に対する怒りを爆発させる闘いとなった。
 この怒りの激しさの前に恐怖したルセフ政権と地方行政機関は、暴力的弾圧政策をいったん抑制し、交通運賃の値上げを撤回し、ペテン的な対話とさまざまな譲歩政策を打ち出さざるを得なくなった。だが、いったん堰(せき)を切って爆発したルセフ政権とその新自由主義政策への怒りは、ペテン的な政策で抑え込むことはできない。
(写真 リオデジャネイロの30万人デモ【6月20日】)

 首切り・インフレに加え運賃値上げに怒り

 世界大恐慌の影響はこの数年間、急速にブラジルに波及した。財政危機と資金不足に苦しむ帝国主義諸国からの投資資金の引き揚げが始まるとともに工業生産は低下し、13年第1四半期(1〜3月)の経済成長率は0・6%に急降下した。これにともなって失業と首切りが増大した。他方インフレが高進して労働者の生活を圧迫した。現在のインフレ率は公式には6・5%と発表されているが、実際には労働者の生活必需品などは20〜30%上昇していると言われる。労働者の怒りは次第に高まり、11年に554件であったストライキは、12年には873件に急上昇している。
 こうした状況下での交通運賃の値上げは、労働者階級が堪忍袋の緒を切る決定的契機になった。ブラジルの諸都市で働く労働者の通勤のための交通費は、所得の15%から20%を占めるまでになっていた。交通費の高騰は、公共交通機関の民営化の結果であった。民営化によって設立されたバスや鉄道会社は、利益を拡大するために運賃を値上げする一方で、設備の更新や新投資を極力回避し安全対策も怠ったため、混雑や事故が多発し、労働者は高い運賃と文字通りの通勤地獄を強制された。労働者はこうした状況に日々怒りを蓄積させていたのであり、今回の運賃値上げを契機についにその怒りを一挙に噴出させたのだ。
 政府が予算を削って教育や医療制度を崩壊させる一方で、14年のサッカーのワールドカップ主催と16年のリオデジャネイロ五輪開催のために、260億jもの予算を投入して競技施設を建設し、民間資本にもうけさせようとしたこともこの怒りの火に油を注いだ。
(写真 6月14日、サンパウロでレッドカードを掲げ抗議)

 御用労組幹部がルラ政権を支えてきた

 前政権の新自由主義政策の継承をIMF(国際通貨基金)と国内の資本家にあらかじめ約束することで03年に成立したルラPT(労働者党)政権は、この10年間に野放図な新自由主義政策を展開してきた。ルラ大統領は、労働者の生活改善のためには経済の安定が必要だとして、新自由主義政策は経済安定のための「劇薬」処方だと説明して労働者に忍耐を要求した。この忍耐を経て経済が安定すれば労働者の生活は劇的に改善するというペテンを使って、強力な緊縮政策、民営化政策、外債支払いのための社会福祉予算の削減、外資への国内市場の開放の促進と、そのための労働と福祉に関する規制の緩和、労働者の非正規職化、外注化、賃金削減や年金制度の改悪などを労働者に強制してきたのだ。
 ルラは、労働者出身で元金属労組の委員長であったという経歴を利用し、ルラ政権の新自由主義政策によって労働者や農民の生活が根本的に改善されるという幻想をあおり、野放図な新自由主義政策を推進してきたのだ。
 そして、この資本家と結託したルラ政権の新自由主義政策を全面的に支持したのが、ブラジル最大の労働組合であるCUT(中央統一労働組合、746万人)を始めとする労働組合の諸ナショナルセンターであった。これらの労働組合は、労働者の新自由主義政策への疑問を押さえつけ、反乱を抑え込む反動的な役割を果たした。さらに、政権党PTと連携したトロツキスト(統一書記局派)やブラジル共産党も、閣僚や政府高官、地方政府の役職という餌を与えられ、ルラへの幻想をあおる重要な役割を果たした。

 権力・右翼の襲撃と分断をはね返し闘う

 したがってこうした状況下で起きた今回の労働者の反乱は、ルラ政権と、その政策を全面的に継承した現在のルセフ政権の新自由主義政策に対する労働者階級の根底的な怒りとノーをたたきつけるものであったが、同時にそれは労働組合や政党のもとに組織されたものではなく、きわめて自然発生的な性格を持ったものであった。実際、6月20日の巨大抗議行動においても労働組合の組織的参加はなく、労組の旗はほとんど見られなかった。デモ参加者の74%がこのようなデモに初めて参加した人びとであり、94%がいかなる政党にも所属していない人びとであった。
 ルセフ政権や資本家たちは抗議運動の自然発生的性格を見て取り、右翼ファシスト勢力や私服警官を動員して、労働者の抗議運動に分裂を持ち込もうと策動した。17日や20日の抗議デモにはPSTU(統一社会労働党)などの少数の左翼政党やコンルータスなどの左翼労組、CUT内の左翼反対派などが参加していた。右翼ファシスト勢力は、これらの左翼勢力に対して、「労働者を抑圧する労働者党と同じ左翼を信用するな。やつらをたたき出せ」と叫んで、リオデジャネイロやサンパウロで組織的な武装襲撃を加えた。とりわけ、サンパウロではPSTUのデモ隊は、右翼ファシスト勢力によってこん棒や催涙スプレー、投石、スタンガンなどで集中攻撃を受け、13人が重軽傷を負った。
 またデモを呼び掛けた一部の勢力は、広範な労働者人民をデモに結集するために必要だとして、労働組合や左翼政党の旗やスローガンをデモに持ち込むことを禁止し、革命的な左翼勢力や左翼的労組と労働者階級が合流することを阻止しようとした。

 労組隊列軸にコンルータスの歴史的挑戦

 このような困難な状況下で、動労千葉と国際連帯の絆(きずな)を結んでいるコンルータス(正式名称はCSP-Conlutas=労組人民センター-コンルータス、組合員180万人)は、ファシスト右翼勢力と対決しながら、独自の労組隊列を登場させ、労働組合を軸にして、労働者階級の新自由主義との闘いを発展させる歴史的挑戦を開始している。
 コンルータスは、6月25日には、金属労組の最大拠点のあるサンジョゼ・ドスカンポスで5千人の集会とデモを行い、27日には全国統一行動を呼びかけた。また7月11日には、傘下の労働組合にストライキとデモで総決起することを呼びかけている。
 コンルータスのこうした闘いは、さまざまな妨害と困難に直面しているが、この闘いに勝利すれば、ブラジルの労働者革命に向かって巨大な第一歩を踏み出すことができるであろう。
 闘うブラジル労働者人民と国際的に連帯して、労働者階級の力で新自由主義政策を粉砕しよう。
 (丹沢 望)

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週刊『前進』(2592号4面1)(2013/07/15 )

 8・6ヒロシマ世界大会に総結集を

 参院選勝利―再稼働・改憲阻止へ

 被爆者とフクシマの怒りを一つに労働運動と国際連帯で展望開こう

 安倍政権の原発再稼働・改憲攻撃と真っ向から対決し、山本太郎さんの勝利をめざす参院選決戦が熱く闘われている。この新たな時代の新たな選挙戦を闘い抜き、今夏8・6ヒロシマに総結集しよう。被爆者の怒りとフクシマの怒りをひとつにし、階級的労働運動と国際連帯の力で既成の反核運動の歴史を塗り替える「世界大会」をかちとろう。
(写真 1300人のデモ隊が「核と原発をなくそう」と訴え、広島の街を行進した【昨年8月6日】)

 原発新規制基準施行と再稼働申請に反撃を!

 7月8日、原発新規制基準の施行と5原発10基の再稼働申請をもって、日帝支配階級は3・11以前に全社会を引き戻す反革命を本格的に開始した。福島第一原発からは今も大量の放射能が漏れ続けている。約15万人もの人びとが故郷を奪われて先の見えない避難生活を余儀なくされ、福島の12人の子どもに甲状腺がんが見つかり、労働者、農民、漁民、全住民の生活と命が深刻な脅威にさらされている。そのさなかで「原発事故で死んだ者はいない」(自民党・高市早苗)「再稼働こそ経済成長の条件」(JR東海会長・葛西敬之)「福島原発事故を経験したから世界一安全な原発ができる」(安倍)と臆面もなく語り、再稼働と原発輸出へ突き進む日帝資本・安倍政権。その凶暴性は、大恐慌の本格的爆発と大争闘戦時代に突入する中で3・11に直撃された日帝が、断崖絶壁の危機に立たされていることの表れだ。
 だが、このまま再稼働や原発輸出に突き進むことができると思ったら大間違いだ。3・11をなかったことにすることは絶対にできない。福島の怒りは絶対に消えない。
 今、参院選での山本太郎さんの当選に向けて巨大な大衆的行動が爆発している。この熱気とエネルギーで今夏8・6ヒロシマ闘争の成功を闘いとろう。既成原水禁運動を今こそのりこえ、〈再稼働阻止・全原発廃炉・核廃絶〉を鮮明に掲げて、被爆者と福島の怒りをひとつにしたヒロシマ世界大会に結集しよう。

 被爆者の怒りと闘い原点に

 被爆者の核と戦争に対する根源的怒りと闘いこそ、帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制の根幹をなす核支配・核戦争戦略を根底から揺るがすものであった。ゆえに帝国主義とスターリン主義はこの被爆者の怒りと闘いを解体することに全力をあげた。米占領軍のプレスコード(報道統制)、核抑止力論と平和利用論、ソ連・中国の核実験をめぐる原水禁運動の分裂、被爆者抹殺と差別・分断政策――被爆者の怒りと闘いを解体しようとするあらゆる攻撃がしかけられた。しかし被爆者の核廃絶を希求する叫びと闘いを消すことはけっしてできなかった。
 被爆者の戦後史は、原爆症と闘いつつ労働者階級として必死に生き闘い抜いてきた歴史である。国鉄、自治体、教労、全逓、電通をはじめ広島のあらゆる職場にいた被爆者は労働組合に結集して闘った。朝鮮戦争下の1951年8・6には、日教組、総評、広島電鉄労組、海員組合などの主催で「全国労働者平和大会」が開催された。広島の被爆者は労働者階級として闘う中に自らの解放の道を求めていた。
 だが、スターリン主義と社会民主主義の指導部は、経済闘争と被爆者解放・核廃絶の闘いを分離し、後者を「平和共存」と「ソ連核実験支持」のスターリン主義政治に、あるいは階級対立を超越した「小ブル平和主義」の枠にねじ込み、抑圧していった。日本共産党は「ソ連の死の灰なら喜んでかぶる」とまで言って原水禁運動を分裂させ、スターリン主義の核実験と「平和利用」を擁護するために内部被曝問題も抹殺した。この既成原水禁運動を根底から打ち破る革命的方向性を提示したのが、革共同がその創成期に闘った62年の米ソ核実験反対闘争であり、70年決戦である。この70年決戦過程で決起した被爆者、被爆二世の闘いが、被爆者青年同盟の結成、高陽病院建設運動をつくりだし、今日に至る8・6広島反戦闘争の土台を築いたのだ。

 「ABCC体制」による内部被曝の隠蔽許すな

 ヒロシマの闘いを3・11情勢の今から歴史的にふりかえると、内部被曝との闘いが最大の攻防の焦点であったことがあらためて浮かび上がる。
 1945年秋、東京大学の都築正男教授は、原爆症について「第一、熱線/第二、圧力/第三、第一次放射能/第四、放射性毒ガス――第四を吸うとストロンチウムその他の放射性物質が肺臓に入り骨髄に沈着する」という見解を発表。「放射性毒ガス」という表現で内部被曝に初めて言及したのだ。これに驚愕(きょうがく)した米帝は都築氏を公職追放とした。
 さらに、米帝が内部被曝の危険を否定し、さらなる核開発と核戦争を遂行するためにつくった施設がABCC(原爆傷害調査委員会)である。ABCCは、米原子力委員会、米陸海空3軍共同の病理学研究所とともに、被爆者をモルモットにしてデータを収集した。そしてABCCは、広大医学部、同大原爆放射線医科学研究所(原医研)、厚生省、広島市医師会、広島日赤・原爆病院などをその支配下に置いた。この米軍=ABCCを頂点とする広島の医療支配こそが被爆者の治療、賠償要求の闘いを決定的に困難にした。
 被曝の影響は爆心地からの距離のみで決められ、「黒い雨」「死の灰」の放射性降下物による内部被曝の事実は抹殺された。IAEA(国際原子力機関)やICRP(国際放射線防護協会)の「100_シーベルト以下なら影響はない」というデタラメも、内部被曝や放射線による遺伝的影響の否定も、すべて米軍=ABCCの「研究成果」を根拠にしている。
 ABCCは現在、放射線影響研究所(放影研)となっているが、本質は何も変わらない。放影研理事長の大久保利晃は、「被爆者の立場に立った研究は科学ではない」と言い放ち、「黒い雨」被爆者らの内部被曝を全否定している。「ABCC体制」は今も存続し、広大原医研の前所長・神谷研二(現広大副学長)や現所長・稲葉俊哉らが、フクシマを圧殺する先兵となっている。
 ヒロシマの被爆者は自らの解放と福島との連帯をかけて、これに対し不屈に闘いを挑み続けている。広島の高陽第一診療所、福島のふくしま共同診療所を内部被曝と闘い、命を守る拠点として発展させよう。

 被曝労働拒否の闘いで全原発廃炉・核廃絶へ

 今夏8・6ヒロシマ世界大会の画歴史的意義は、〈再稼働阻止・全原発廃炉・核廃絶〉の展望を被曝労働絶対拒否の階級的労働運動の展望として示すことにある。
 原発、再処理工場、そして核兵器工場をはじめ一切の核関連施設の稼働は、労働者への被曝労働強制によって初めて成立する。「労働は、まず第一に、人間と自然とのあいだの一過程、すなわち人間が自然との物質代謝を彼自身の行為によって媒介し、規制し、管理する一過程である」(マルクス『資本論』第1巻第5章「労働過程と価値増殖過程」)。だが被曝労働は、人間と自然との物質代謝を媒介するのではなく、それを根本から破壊する。「価値増殖がすべてで人間や自然はその手段、搾取材料でしかない」という資本主義は、その最末期において、価値増殖のために労働過程―根源的な生命活動そのものをも破壊し尽くす「被曝労働」という究極の疎外労働を生み出すまでにいたったのだ。
 被曝労働を強制されている労働者は、何重にも階層化された下請けの非正規・半失業労働者である。労働組合の破壊と外注化・非正規化――こうした新自由主義の支配こそが原発と被曝労働強制の絶対条件である。
 動労千葉を先頭に闘われている新たな反合・運転保安闘争と外注化阻止決戦、動労水戸の放射能汚染車両再運用阻止の闘い、国労郡山工場支部の闘い、さらに愛媛県職労の伊方原発再稼働阻止に向けた闘いは、原発を支える被曝労働とそれを強制する新自由主義の全構造を職場から根底的に覆す闘いだ。この労働組合の決起と100万人デモが結合したとき、反原発闘争は具体的勝利の展望を開くことができる。
 それは、かつて中国電力・豊北原発の建設を阻止した電産中国(日本電気産業労働組合中国地方本部、96年に解散)が、新自由主義攻撃のもとで原発推進の御用組合・電力総連に吸収されていった敗北を根底からのりこえる道でもある。
 全原発廃炉の実現も、福島の命を守る診療所建設・保養・避難運動の発展も、階級的労働運動の前進と国際連帯の力にかかっている。

 国鉄決戦を軸に国際連帯を

 今や世界中で労働者階級人民の怒りのマグマが噴き上がっている。安倍が原発を輸出しようとしているトルコやブラジルで100万人のデモ・ゼネストが爆発している。アベノミクスの大破綻は情勢をさらに加速させ、国鉄・反原発決戦は全世界の階級闘争の最先端になっていく。国鉄闘争全国運動を軸に労働組合をよみがえらせる挑戦が全産別で闘われ、参院選決戦で山本太郎さんの当選をめざすみずみずしい決起が巻き起こっている。
 全国、全世界の労働者階級人民に全原発廃炉・核廃絶の8・6世界大会の実現を呼びかけよう。今こそ既成原水禁運動をのりこえ、被爆者とフクシマの怒りと一つになって立ち上がろう。

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8・6広島-8・9長崎反戦反核反原発闘争

広島 被爆者とフクシマの怒りをともにし実現しよう
全原発廃炉・核廃絶8・6ヒロシマ世界大会
再稼働阻止!全原発廃炉!ヒロシマ世界大会
8月5日(月)午後3時〜6時
アステールプラザ中ホール(広島市中区加古町4―17)
アメリカ・ドイツから ほか/被爆者・被爆二世、福島からの訴え、
各地の反原発運動/被曝労働阻止をたたかう労働組合
主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会
すべての原発いますぐなくそう! 全国会議(NAZEN)

ヒロシマ・アピール集会
8月6日(火)午前7時 原爆ドーム前
8時15分 黙とう後、首相式典出席抗議、中国電力包囲のデモ行進

8・6ヒロシマ大行動大集会
12時半 広島県立総合体育館小アリーナ(広島市中区基町4―1)
午後2時半 市内デモ行進
主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会

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長崎
8月8日(木)正午 長崎大学本校 山下俊一と長崎大学への弾劾行動
午後2時 九州電力長崎支社申し入れ行動
長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼式典

8月9日(金)午前7時半 爆心地公園の原爆朝鮮人犠牲者追悼碑前
主催/長崎在日朝鮮人の人権を守る会
8・9安倍首相平和式典出席弾劾デモ
午前10時 城栄公園(路面電車・大橋下車)

8・9フクシマの怒りとともに 被ばく68周年長崎集会
午後1時30分 長崎県勤労福祉会館(路面電車・公会堂前下車)
主催/すべての原発いますぐなくそう! 全国会議ナガサキ
協賛/8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会

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週刊『前進』(2592号4面2)(2013/07/15 )

 再稼働一斉申請許すな

 新規制基準施行 参院選で巨大な怒りを

 日帝・安倍政権は7月8日に原子力発電所の新規制基準を施行し、同日北海道、関西、四国、九州の電力4社が5原発10基(北海道電力泊1〜3号機、関西電力大飯3、4号機、高浜3、4号機、四国電力伊方3号機、九州電力川内1、2号機)の再稼働を原子力規制委員会に申請した。九州電力は12日にも玄海原発3、4号機を追加で申請するとしている。
 また、福島第一原発事故の当事者である東京電力も柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働申請を2日の取締役会で決定したが、地元住民の怒りの声を受けて泉田新潟県知事が反対したため、現時点での申請を見送った。
 原子力規制委員会は6カ月以内に審査を完了させるとしており、安倍政権は年内にも本格的に原発を再稼働しようとしている。3・11の未曽有の大事故がなかったかのように再稼働に突き進む安倍政権の暴挙を絶対に許すことができない。

 再稼働を前提にした新規制基準

 今回施行された新規制基準は「世界最高レベルの厳しさ」などと言われているがとんでもない。あくまでも再稼働を前提にした基準でしかない。
 旧原子力安全・保安院は全人民の怒りのただ中で廃止が決定された。それに代わる規制組織として原子力規制委員会が昨年の9月19日に発足したが、委員長の田中俊一(原発推進の原子力学会元会長)を始め5人の委員全員が原子力ムラの出身者で占められている。こんな組織が原発を規制できるわけがない。
 しかも新規制基準なるものは、原子力規制委員会設置法に基づいて委員会設置から10カ月以内に施行する必要から拙速で決められたものなのだ。そもそも福島第一原発事故の原因もいまだ究明されておらず、収束の見通しも立っていない。原発事故で約15万人もの人びとがいまだに避難生活を余儀なくされている。しかも福島県をはじめ広範囲に放射性物質がばらまかれ、内部被曝を含めた被害はこれから拡大していく。こうした現実に真剣に向き合うなら、今求められているのは全原発の廃炉であり、再稼働を前提にした規制基準の策定などではないはずだ。

 再稼働攻撃こそ敵の危機の現れ

 規制委員会の本質は現在運転中の大飯3、4号機の運転継続を新規制基準施行後も認めた中に鋭く現れている。
 田中委員長は大飯について、1月には「例外扱いできない。自動的に9月までの運転はあり得ない」と発言していたにもかかわらず、原発輸出と再稼働推進に走る安倍内閣の政治的圧力の前に後退し、7月3日には「ただちに安全上重大な問題は生じない」などと言って、正式の審査すら経ずに運転継続を認めた。規制委員会の本性があらわになったのだ。
 これを見て東電をも含む電力各社は、免震重要棟整備やフィルター付きベント装置設置などの新規制基準が未達成であるにもかかわらず、一斉に再稼働を申請した。
 これにはさらなる理由がある。規制委員会の新規制基準は、具体的な対策を指示しているわけではなく、あくまでも一定の性能を要求しているだけなのだ。実際、田中は「基準は書き物だが、審査で基準に魂を入れていく」などと言っている(産経新聞7・7付)。要するに結論は規制委のさじ加減で決まるのだ。
 この規制委員会のデタラメなあり方は、新自由主義の破産の中で追い詰められて原発輸出と再稼働に走るしかない安倍政権や、経営危機にのたうち回り安倍政権をバックにして関係自治体を無視して再稼働をごり押する電力各社の意を受けたものである。逆に言えば、全人民の怒りの決起で吹っ飛ばせる代物だ。

 MOX燃料使用の狙いは核武装

 今回再稼働を申請した伊方や高浜は、危険極まりないMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料使用が前提になっている。6月27日、高浜原発にMOX燃料搬入が強行された。高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転再開のめどが立たない中でプルトニウムを保有し続けるためには、一般軽水炉でMOX燃料を燃やす(プルサーマル発電)ことでプルトニウム保有量(現在45d)をこれ以上増やさないようにする以外にない。安倍政権と電力各社は、破産した核武装・核燃料サイクルをあくまでも維持しようとしているのだ。

 伊方など再稼働阻止100万決起を

 伊方原発は四国西北部に細長く伸びる佐田岬半島の付け根に位置する。この半島は日本で最大の活断層である中央構造線によって形成された。中央構造線は西は熊本県から東は諏訪湖を経て霞ケ浦にまで達する巨大な断層だ。これが動けばM8クラスの巨大地震で伊方原発などひとたまりもない。いったん原発事故が起これば岬の先端部からの避難はほとんど不可能なのだ。
 7・11東京NAZEN集会の大成功から、参院選・山本太郎必勝、8・6ヒロシマ−8・9ナガサキ闘争へ。『国際労働運動』反原発特集号の学習を広げ、今秋再稼働阻止決戦を昨年の大飯闘争を上回る巨万の決起で大爆発させよう。
 (城之崎進)

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週刊『前進』(2592号4面3)(2013/07/15 )

 2013年日誌 7月2日〜8日

 エジプト軍がクーデター/JR北海道特急が出火

●東電、柏崎刈羽原発の再稼働申請を決定 東京電力の取締役会は柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働審査を原子力規制委員会に申請することを決定した。泉田裕彦新潟県知事は「信頼関係を破壊する行為」と反発。(2日)
●原子力規制委、核燃施設の新基準案を発表 原子力規制委員会は、使用済み核燃料再処理工場などの核燃施設の新規制基準の骨子案を発表した。新基準の施行は12月の予定。(2日)
●大飯原発、9月まで運転決定 関西電力大飯原発3、4号機について、原子力規制委員会は「安全上重大な問題はない」として、定期検査に入る9月までの運転継続を認めた。(3日)
●参院選開始、433人が立候補 第23回参議院選挙が公示され、21日の投開票に向けて選挙戦が始まった。選挙区(改選数73)と比例区(同48)合わせて433人が立候補。(4日)
●エジプト軍がクーデター エジプト軍最高評議会のシーシ議長は国営テレビで演説し、現憲法停止とムルシ大統領の解任を発表した。軍による事実上のクーデターで、暫定大統領には最高憲法裁判所のマンスール長官が就任。ムルシ前大統領は軍に拘束され、国防省に身柄を移送された。(4日)
●東電、福島第一原発作業員の内部被曝線量を低く算定 福島第一原発で働いた作業員の内部被曝線量について、東電が国の指導に従わず不適切に算定していたことが分かり、厚生労働省は479人の被曝記録を修正すると発表した。うち452人は被曝量が本来より少なく記録されていた。(5日)
●維新・橋下共同代表「慰安所の女性に感謝」と発言 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は参院選候補の応援のため訪れた沖縄で、米施政権下の沖縄に日本政府による米兵向け慰安所が設置されたとして、「レイプを防ぐため沖縄女性が慰安所で頑張った。感謝の念を表す」などと発言した。政府の慰安所が沖縄に設置された事実は確認されていない。(5日)
●防衛省、イージス艦2隻追加検討
防衛省が弾道ミサイルを迎撃できるイージス艦2隻を新たに導入し、8隻態勢に増強する方向で検討していることが分かった。(6日)
●JR北海道の特急、また出火 北海道八雲町のJR函館線山崎―鷲ノ巣間で、走行中の特急北斗14号が床下エンジン付近から出火して緊急停止し、乗客約200人が車外に避難した。JR北海道は当面、同型エンジンを搭載した36両の運行を中止する。(6日)
●特急出火、「重大インシデント」
国土交通省運輸安全委員会は、JR北海道の特急北斗14号が走行中に出火した問題を「重大インシデント」と判断し、調査を開始した。(7日)
●5原発10基、再稼働申請 原発の新規制基準が施行され、北海道、関西、四国、九州の4電力会社が5原発10基の再稼働に向けた安全審査を国に申請した。結論が出るまで半年程度かかる見通し。東電は柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働申請を見送った。(8日)
●TTIP交渉開始 米国と欧州連合(EU)の自由貿易協定である環大西洋貿易投資協定(TTIP)の交渉がワシントンで始まった。(8日)

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週刊『前進』(2592号5面1)(2013/07/15 )

 全国学生運動の闘う拠点

 広大自治会を再建したぞ!

 反原発などで熱い討論 処分反対の団結で勝利

 私たちは広島大学で闘う学生自治会を再建しました! 全国学生運動とプロレタリア革命勝利に向かっての決定的な拠点をうち立てました。
 西条キャンパスへの移転後初めての本格的な自治会選挙でしたが、8日間の選挙戦で投票総数は1306票(全広大生の約1割)。うち603票の信任票で再建が決定し、百武拓委員長(理学部3年)が誕生したのです。ご支援・ご協力、ありがとうございました!
 学生の注目はとても熱く、学生同士が至るところで選挙について会話していました。総合科学部前の常設投票所には、毎日のように学生が投票に来ました。サークル内でも自治会建設の賛否をめぐって真剣な討論が行われ、部として賛同し投票に協力するところもあらわれました。
 選挙結果を受けて学生の注目はさらに上がっています。ビラをもらいに来る学生、「サークル棟を24時間使えるようにしてください」と言ってくる学生。自治会の責任を感じます。本格的なスタートはこれからです。百武委員長を先頭にさらなる飛躍に挑戦します。
(写真 選管から投開票の結果を受け取りVサインで勝利を喜ぶ百武拓君【7月5日 広島大学】)

 原子力ムラと対決しよう!

 選挙戦で決定的だったのは、前段の「6・20全国学生集会 広大」を闘いとったことです。この日広大当局は、学生が提出した「百武君への処分反対」と「神谷研二副学長の解任」を求める申し入れ書の受け取りを、坂越理事の決定で「大学として拒否する」という前代未聞の対応をしました。坂越理事とは広大経営協議会の学内委員であり、佃和夫(三菱重工元会長、経営協議会・学外委員)ら「原子力ムラ」の中枢人物と一緒に広大の人事・予算権などすべてを牛耳る連中の一人です。フクシマ圧殺の連中と、学生の声を握りつぶし権利を奪う連中は同一人物であると完全に明らかになりました。この理事決定をも学生の処分反対のメッセージ・クラス決議の物質力で覆し、当局に申し入れ書を受け取らせました。
 自治会建設運動の前進が当局の反動を引き出し、全学生に「敵は誰なのか」を暴いた地平の上に選挙戦は闘われました。百武君は、原子力ムラに支配された経営協議会と対抗する学生の団結体として、学生自治会建設を訴えて勝利しました。
 今回の勝利は、4月開講以来の連日のクラス入りで多くの”拠点クラス”を生み出してかちとられました。4・25法大集会での百武君へのデッチあげ逮捕と奪還闘争、その後の広大当局の処分策動との対決……。これらすべてをクラス討論で提起し、「大学・社会はこれでいいのか」と訴えてきました。その中で、ともに怒りの声を上げるクラスがいくつも生み出されました。さらに、「反原発と自治会との関連性は何か?」「自治会をつくって何をしたいのか?」という質問が出され、それに答える中で敵をはっきりさせる宣伝・扇動をつくりました。そうしたクラスが、選挙でも圧倒的に信任してくれたのです。
 百武君が代表を務める文化サークル連合(文サ連)の中でも、「神谷教授を福島に派遣する大学の事情は何か?」「文サ連は学生自治会とどう関わるのか?」をめぐって活発な議論が行われ、私たちが自らの主張を全学生に通用するものに練り上げる場となりました。

 8・6広島から再稼働阻止へ

 今回の選挙戦で、百武君の主張にあいまいなものは一切ありませんでした。「神谷・佃を追放しよう!」「原子力ムラに支配された経営協議会を打倒しよう!」と訴え、「大学にお願いする機関」ではなく、「闘争機関」として自治会再建を訴えました。大学の現体制を根底から覆す自治会が必要だと訴えました。「原発・御用学者」を最大の焦点に、新自由主義=「教育の民営化」と闘う学生自治会が、全学選挙で明示に広大生から承認されたことは画期的です。これに原子力ムラの連中は震え上がっています。3・11以降、日帝支配階級は「科学」の名で「放射能=安全」「福島=安全」を唱える広大と神谷教授を、福島支配の柱としてきました。ここをうち砕いた時に、安倍政権の「成長戦略」も再稼働も破産します。
 「福島圧殺−再稼働推進」の最先兵である広大に自治会をうち立てた勝利に確信をもち、闘う労働者人民との団結を強化し、広大生は今夏今秋の「再稼働阻止−安倍打倒−参院選勝利」の100万決起、8・6ヒロシマ大結集、9月全学連大会の先頭に立ちます!
 (マル学同中核派広島大学支部)

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週刊『前進』(2592号5面2)(2013/07/15 )

 官邸・国会前金曜行動 「再稼働反対」の叫び

 原発輸出に怒り渦巻く

 7月5日、首相官邸・国会前などで金曜行動が行われ、多くの労働者民衆が手に手に手作りのプラカードやボードを掲げ怒りの声を上げた。七夕に近いこの日は、原発反対の強い思いを書いた短冊を笹の葉にくくりつけ持参した参加者が目を引いた。
 午後6時、コールの開始だ。「再稼働反対!」「伊方をやめろ!」「原発売るな!」「どこにも売るな!」
 安倍と資本家連中は福島の人びとを踏みにじり、「命よりもカネ」と原発再稼働と輸出に突き進もうとしている。だがそれで労働者民衆の怒りが沈静化することはない。逆に、再稼働をとめ原発をなくすには、安倍・自民党や資本家連中を打ち倒さなければならないことが労働者民衆の意識にのぼり、福島を始め、首相官邸前で全国で闘いはますます巨大に発展する。
 安倍弾劾の発言が次々と始まった。若い女性は「安倍首相! 自分の国の事故の始末もできないくせに海外に出かけて行って、なぜ原発を売るんだ! 人間が管理・処理できない原子力にいつまでしがみついているんだ。私たちの命・明日をあなたにまかせることはできない!」と声を張り上げた。
 続いて若い男性がマイクを握って「安倍首相! あなたは昨日、ツイッターで『日本を取り戻す闘いが始まった』と言ったが、金もうけをすることが『日本を取り戻す』ことなのか! 原発でさんざん自然を汚しておいて『何が日本を取り戻す』だ!」と弾劾。
 年輩の女性は「安倍首相! 私たちが原発をやめろと声を挙げているのが、どうして分からないのだ。これは全人類の問題だ。私たちは絶対にあきらめない。原発をなくすまで頑張る!」とみなぎる決意を表明した。

 “安倍首相の罪万死に値する”

 別の年輩の女性は「安倍首相! 福島原発事故は史上最大の事故だ。あなたたちは原発を造り続けて責任をとろうとしない。その上に再稼働しようとしたり、外国に原発を売りつける。よくそんなことができるな! 恥を知れ」と安倍に怒りをたたきつけ、続けて「再稼働は絶対に認めない。そして外国の人をだまして原発を輸出する。これは未来永劫(えいごう)続く犯罪行為だ。あなたの罪は万死に値する。再稼働はするな! 原発輸出もするな! ここに来ている人たちは誰ひとり暇なわけではない。お金が有り余っているわけでもない。必死の思いで来ているんだ!」と心からの思いを叫んだ。
 7月8日、原子力規制委員会は新規制基準を施行し、直ちに、関西電力など電力会社4社が5原発10基の再稼働を求めて審査を申請した。絶対に許すことはできない。
 再稼働に突き進む安倍政権への怒りで街頭を埋め尽くし、参院選での山本太郎さんの勝利を実現しよう!
(写真 再稼働と原発輸出を進める安倍政権に怒り【7月5日 官邸前】)

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週刊『前進』(2592号5面3)(2013/07/15 )

 法大包囲デモ 学祭規制撤廃しろ

 処分加担の学祭実弾劾

 気温35度という猛暑の中で7・11法大包囲デモが行われました!
 今年度の自主法政祭に向けた全学説明会を前に、学祭規制をめぐってサークル員の怒りは日々高まっています。こうした怒りを形にし、全法大生に訴えるデモとして法大文化連盟・首都圏学生が結集し、真正面から学祭規制撤廃・不当処分撤回を訴えました。「自主法政祭を取り戻そう!」というビラの見出しに、サークル員をはじめ多くの学生が注目しています。
 デモに先立ってまず斎藤郁真全学連委員長がマイクをとり、「学祭実は、”学生の自主意識の低下”を口実に、毎年強化される規制をのんできた。彼らは大学当局の規制の補完物でしかない。明日の全学説明会で不信任をたたきつけよう。怒りを行動で、今日のデモで示そう」とアピール。
 続いて文化連盟委員長の武田雄飛丸君が、今年度行われた趣意書制度の改悪は、自主法政祭の学生文化を最後的に解体する悪質なものであることを明らかにし、当局への屈服と一体で武田君への処分に加担した学祭実を徹底弾劾しました。最後に、「これから一緒にデモに出て、明日の全学説明会に結集し、学祭実に不信任をたたきつけましょう。規制の継続絶対反対、文化連盟の排除絶対反対の声をあげ、規制に反対したことを理由に処分されたすべての学生の復学をともに要求していきましょう!」と呼びかけ、多くの学生が見守る中、九段校舎へ向かってデモに出発しました。
 「自主法政祭に規制はいらない!」「規制と一体の処分を許さないぞ!」――炎天下のデモをやりぬき、デモ隊は再び外濠公園へ。あらためて武田君がキャンパスの学生に向け、自らも駆けつけてともに闘った広島大学での学生自治会再建という快挙を報告。全国大学に続き、法大でも学祭実を打倒し、文化連盟とともに学生の団結を取り戻していこうと訴えました。
 7・12全学説明会から8・6ヒロシマ、そして9月全学連大会への大結集に向かって、法大生・首都圏学生は先頭に立って闘う決意です。
 (首都圏学生・S)
(写真 「学祭規制反対、処分撤回!」を訴えながら、法大文化連盟と全学連の学生は炎天下の法政大学周囲を力強くデモ行進した【7月11日 千代田区】)

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週刊『前進』(2592号5面4)(2013/07/15 )

 証言デッチあげを粉砕

 暴処法控訴審 証人I君が宣誓拒否貫く

 7月10日、一審で全員無罪をかちとった法大「暴処法」弾圧裁判控訴審の第4回公判が、東京高裁第12刑事部(井上弘通裁判長)で開かれました(被告は新井拓、織田陽介、恩田亮、内海佑一、増井真琴の5人)。
この日、井上裁判長と検事は結託してデッチあげ「証言」をさせるために、「事件現場にいた」とされる法大OBのI君を「証人」として出廷させました。あらゆる政治弾圧が示しているとおり、この狙いは団結破壊です。一審での玉聞という裏切り者を使ってのデッチあげ「立証」を再び行うものです。
 冒頭、恩田亮君が証人尋問中止を求める異議申し立てを行い、次のように訴えました。
 「I氏は、本件弾圧が行われた2009年5月15日の直後の18日、大学の正門を出たところを公安警察官たちに威圧的に包囲され、強引に車両に乗せられ、検察庁に連れ込まれ16時間もの長時間にわたり、取り調べを強要され虚偽の自白を強いられた。『君が検事に協力しないから検事は怒って逮捕状を書いているぞ。今からお前の家に行って家宅捜索を行うんだ。どうする、検事に協力するか、しないか?』など脅迫的な言葉で圧倒されたI氏は、自分の意思に反する供述を余儀なくされた」
 「無法行為の極致とも言える圧力を加えられたI氏を、この期に及んで証人として出廷させようとする検察は恥を知るべきであり、正義を語る資格はない。加えて、本日の証人尋問を決定した裁判所も同罪である。法律を武器に国民の権利を侵害する公安警察や公安検察、裁判所はまさに暴力団と変わりなく、一審無罪の本件について執拗に争う姿勢を見せるその姿は実に醜く、われわれ被告団と弁護団、その支援者は断固として抗議し、証人尋問の中止と、本裁判の速やかな控訴棄却、すなわち一審判決支持の決定を要求する」
 これに対して井上裁判長は不当にも異議申し立てを却下してI君を証言台に立たせましたが、I君は「公安警察によって自分の意思とは無関係に無理矢理調書をつくらされた」と言明し、「宣誓を拒否する」と井上裁判長に宣言しました。
 この事態に大パニックとなった井上裁判長は「そのことを証言で言え」「正当な宣誓拒否とは認められない。過料の対象だ」などとI君に恫喝を加えてきました。これこそ星野裁判をはじめ敵司法権力の常套(じょうとう)手段であり、虚偽の「証言」を行えと裁判所自らがそそのかしているのです。
 被告団・傍聴席から激しい怒りがたたきつけられる中、井上裁判長は退廷命令も出せず、I君は断固宣誓拒否を貫きました。裁判長は、今後の立証について検事と密室で決めようとするも、「公開の場でやれ」という被告団の追及に「被告人に発言権はないが、言われていることはもっともです」と認めざるを得ず、次回期日だけを決めて閉廷を宣言しました。
 検事に至っては宣誓拒否がたたきつけられたことに手をふるわせながら動揺し、顔面蒼白(そうはく)となって今にも息の根が止まりそうなぐらい苦悶(くもん)の表情を浮かべ、残る2人の検事側証人を含めた立証計画すら明らかにできない始末。検事も裁判長も完全にノックアウト状態となりました。
 新井君からは、この間の井上裁判長による不当な訴訟指揮を弾劾する異議申し立てが出され、次のような戦闘宣言が発せられました。
 「トルコ、ブラジル、エジプト、ヨーロッパなど全世界で100万人の大デモやゼネストが爆発している。この日本でも山本太郎氏を先頭として『被曝させない』『TPP入らない』『飢えさせない』という根底的な100万人の決起が開始された。広島大学では、学生自治会が、1千人以上の学生投票で再建された」「われわれ暴処法被告団は山本太郎氏を断固支持してともに闘う」
 団結した闘いが敵を追いつめています。次回は9月2日午後3時です。東京高裁と東京高検を追撃し、無罪を実力でもぎりとろう!
 (法大・内海佑一)

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週刊『前進』(2592号5面5)(2013/07/15 )

 TPPを撃つD

 情報独占とスパイ国家化

 全産業分野で「知的財産」権 秘密性を大幅拡張し刑事罰

 盗聴・言論弾圧と闘争破壊を狙う

 5月リマ会合で紛糾、合意できず

 今年5月のTPPリマ会合では、「知的財産」(特許権・著作権・商標権・意匠・企業秘密など)に関する交渉が紛糾し、今年中の交渉妥結のスケジュールがあやうくなったという。知的財産条項の文書は代案・保留項目などで約80nに膨れ上がり、諸条項の中で最長になっているという。
 TPPの知的財産条項の交渉文書は公式には一切発表されていない。アイサ米下院議員が昨年5月にリークした文書(11年2月、9月段階の交渉文書)のみが知られている。文書がいまだに発表されていないのは、交渉内容にやましい所があるから隠すだけではない。そもそも知的財産権の拡張そのものが、秘密性の拡張なのだ。
 すでに日本でも衝撃的な形でそれが使われている。11年9月、東電は事故時の手順書の提出を求められた時、「知的財産が含まれる」として大部分を墨塗りにした。知的財産とは、人命よりも何よりも秘密性を優先させる切り札として使いうるものなのだ。
(写真 知的財産保護法案【PIPA】とオンライン海賊行為防止法案【SOPA】に反対するデモ【2012年1月18日 ニューヨーク】)

 米国法より徹底して独占権保護

 音楽をパソコン上に一時的にダウンロードして聞くことなどは、著作物の違法なコピーとみなさないことは世界各国共通のことだ。音楽会社などの権利を最大限に拡張している米国法でさえ、これは認めている。ところが、アイサ議員がリークした文書によれば、これも違法コピー扱いになる。この条項は音楽だけでなく写真や文書などにも適用されるので、重大な言論弾圧に使用できる。著作権表示があるネット上の文書をダウンロードしただけで違法とされる。
 リーク文書では、特許権付与の条件が米国法よりも大幅に緩和され、発明が「既知の製品の有効性を高めない場合」でも特許権が認められるとしている。例えば、遺伝子操作作物が実際には生産性を上げていないことが、近年の研究結果から明らかになっているが、今後とも新たな遺伝子操作作物に特許権を与え続けるということだ。そうした特許は、農民に対する独占資本の支配力を強めるためのみに使われるのだ。
 また知的財産保護の大幅拡張によって、医薬品の製品化の最終段階で必要な治験(臨床実験)のデータも製薬会社の知的財産として保護される。治験データが秘密にされると、治験の適正性を第三者が検証できなくなる。巨大製薬会社の利益のために効果のない薬や危険な副作用のある薬で多くの患者が被害を受ける。
 また、ジェネリック医薬品(特許の有効期間が切れた薬を安価に製造するもの)の製造・販売が困難になる。治験データが入手できないと、同じ薬であっても巨額の費用と時間をかけて同じ治験をやりなおさないと各国政府の認可がとれない。
 また、リーク文書は「商業的規模での意図的な著作権侵害への刑事罰」についても、独特の拡張解釈を持ち込んでいる。「金銭的利益を直接または間接に目的にしていない侵害」もそれに含めるというのだ。コピーしても他人に売り出していないものは、その性格上、簡単に見つけることはできない。それを刑事事件として取り締まるということは、全国民の通信を盗聴・傍受することなしには不可能だ。
 最近元CIA職員が暴露したように、NSA(国家安全保障局)は、まさにその全国民的、全世界的な傍受・スパイ行為をやっていたのだ。TPPは、これをさらに推進することになる。

 守秘義務で大学はがんじがらめ

 日本帝国主義もアメリカ帝国主義と知的財産分野で激しく争闘しつつ、労働者人民に対しては、TPPを使い、知的財産イデオロギーを使って攻撃してきている。
 すでに全国の大学で、法人化をテコにした産学連携が、「知財管理」を軸にして進められている。
 福島医科大学「知的財産取扱規程」では、「職務発明等に係る知的財産権は、法人がこれを承継する」とし、「発明者等…■は、必要な期間中、その一切の事項について秘密を守らなければならない」としている。「発明者の権利を守るために知的財産保護が必要」など大うそだ。研究者は賃金労働者として法人、資本が一切の生産物を取得するのであって「知財保護」が強化されればされるほど、守秘義務などでがんじがらめにされる。
 もともと人間の知識は、外見上孤独な個人作業である場合でさえ、先人から学び、同時代人と相互に影響しあうことなしにありえない。本質的に共同作業の産物だ。それを完全な私有財産にすることは不可能だ。資本主義のもとでさえ、長い間、特許権、著作権は、公開性を保障することと引き換えに、独占的権利を一定期間認めるという制度でしかありえなかった。「知的財産」イデオロギーは新自由主義と不可分一体で、矛盾だらけだ。これを決定的な柱とするTPPを全労働者人民の力で粉砕しよう。
 〔村上和幸〕
 (シリーズ終わり)

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 「TPPを撃つ」目次
(1)アメリカ帝国主義の狙い(6・3付2586号)
(2)雇用と生活への影響(6・10付2587号)
(3)農民の生活・生業を破壊(6・24付2589号)
(4)労働者から医療を奪う(7・1付2590号)
(5)情報独占とスパイ国家化(本号)

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週刊『前進』(2592号6面1)(2013/07/15 )

 農地強奪判決・仮執行阻止 7・29千葉地裁包囲闘争へ

 三里塚反対同盟が第3回一斉行動

 “緊急3万人署名推進を”

 天神峰・市東孝雄さんの農地裁判の判決日〈7・29〉がいよいよ目前に迫った。農地強奪判決と仮執行宣言を絶対に粉砕しよう! 三里塚芝山連合空港反対同盟は猛暑の中、緊急3万人署名一斉行動に立ち、47年の闘いの正念場として「農地死守」の気概を示し、7・29千葉地裁包囲闘争を呼びかけている。労働者・農民・人民の未来をかけて反対同盟とともに全力で立とう。
 7月7日、反対同盟は、市東孝雄さんの農地取り上げに反対する緊急3万人署名の第3回一斉行動を行った。
 今回は、芝山町の各地域と成田市三里塚が対象だ。言うまでもなくA滑走路の影響を直接に受けている、空港反対運動のもともとの基盤地域である。
 午前9時、天神峰の市東孝雄さん宅離れに反対同盟と支援連が集合した。
 北原鉱治事務局長が、「足かけ48年を数える三里塚闘争も新たな山場を迎えている。今日一日熱中症に気をつけながらがんばろう」と一同を激励した。それぞれの分担地域を確認しつつ、署名用紙、ビラ、リーフ、討議資料などを持ち、炎天下の中を全員が出発した。
 伊藤信晴さんは川津場地区を回った。白枡に住む伊藤さんはかつて芝山町の青年団でバレーボールの監督を務めたこともあり、そうした関係も掘り起こしつつ、農家を中心に一軒一軒訪ねた。
 市東さんが自ら耕している農地について、空港から明け渡しを迫られていること、裁判の判決が今月29日に迫っていること、旧地主が市東さんに秘密で空港に売り渡すなどさまざまな違法・脱法行為を重ねていること――これらを懇切丁寧にカラーリーフを駆使して話しかける。
 この理不尽は、同じ農家として見過ごしにするわけにはいかない。農作業の手を止めて署名してくれる人が相次いだ。市東さんとは小学校の同級生だった人は「そういうことになっていたのか」と市東さんの近況を思いやり、署名に応じ共感を示した。
 闘争の初期に駆けつけた思い出を語る人、中核派現闘の名前や顔を覚えている人もおり、行く先々で話がはずんだ。また、家族・親族・知人などが空港内や空港関連で働いている人も芝山町では非常に多い。そのことを理由に署名を断る人にも、伊藤さんは丁寧に説明・説得し、相手の心を動かした。結果としてこの日、伊藤さんは事前の控えめな目標を大幅に上回る23筆の署名を獲得した。
 北原さんは宣伝カーに乗り込み、南三里塚など要所では辻立ち演説を行いながら、自ら先頭で足を運んで署名を集めた。萩原進事務局次長も地域を回って署名を次々と獲得した。
 夕方5時に再び市東さん宅離れに集合。結果を集約し、それぞれが直面した事例や地域の特色などを報告しあった。
 この日の一斉行動で205筆の署名が集められた。前日の6日には、婦人行動隊の鈴木加代子さん、宮本麻子さん、木内敦子さんを中心に女性だけの街頭宣伝をJR津田沼駅頭で行い、69筆の署名を集めたことも報告された。さらに全国各地から送られてきた分などを集計し、現在の数は9642筆と確認した。
 最後に、萩原進事務局次長が「闘いの成果が目に見える形で表れている。緊急3万人署名を7・14全国集会と17日の千葉地裁に対する署名提出行動へ向けて一層積み上げていこう。空港問題に悩み苦しんでいる住民の現状を理解し、周辺回りを続けていこう」と訴えた。
(写真 〔上〕猛暑の中を緊急3万人署名の第3回一斉行動を闘いぬき市東孝雄さん宅離れで集約〔中〕炎天下、三里塚を歩いて回る北原鉱治事務局長と宮本麻子さん〔下〕農家を回り署名を訴える伊藤信晴さん【7月7日】)

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週刊『前進』(2592号6面2)(2013/07/15 )

 第3誘導路裁判 「騒音の独自調査」へ

 多見谷裁判長と徹底対決

 7月9日、千葉地裁民事第3部(多見谷寿郎裁判長)において、第3誘導路裁判の弁論が開かれた。三里塚反対同盟と支援の労働者・学生・市民は、市東孝雄さんを天神峰から追い出すために造られた第3誘導路にあらためて怒りをかき立て、法廷に詰めかけた。
 被告の国とNAA(成田空港会社)が騒音問題で「大したことはない」と居直りを決め込み、実測値の提出を拒んでいることに対し、反対同盟顧問弁護団は求釈明を突きつけた。そして、3月に第3誘導路が供用開始されたことを踏まえ、訴えを「許可決定取り消し」から「供用差し止め」に変更した。また、第3誘導路のジェット機走行の騒音の独自の調査を行うことを明らかにした。
 今回はこうした書面をやりとりする手続きに終始し、次回期日を10月28日と確認して閉廷した。だが農地裁判の判決を間近に控え、多見谷裁判長と、「農地死守」の気概に燃える傍聴者との間には、最初から最後までただならぬ緊張が続いていた。
 弁護士会館で記者会見と報告集会が開かれ、伊藤信晴さんが司会を務めた。最初に北原鉱治事務局長があいさつに立ち、「7・14集会で署名を集約し、17日に千葉地裁に提出、そして29日の判決を迎え撃つ。反対同盟はどのような判決が出ようと闘い続ける。今、日本の政治を根本から変えなければならない」とアピールした。
 続いて葉山岳夫弁護士がこの日の法廷の解説を行い、「国と空港会社は第1次、第2次強制代執行を大幅に上回る規模の農地を、できれば闘いを小さく押しとどめて取り上げてしまいたい。だがそうはいかない。3万人署名の取り組みが前進し、マスコミも取り上げ始めている。弁護団は農地強奪攻撃と徹底的に闘いぬいて最後に必ず勝利する」と、力強く決意を表した。さらに弁護団が次々と不退転の決意を語った。
 動労千葉と関実が連帯発言を行った。動労千葉特別執行委員の滝口誠さんは反対同盟と連帯し、9・25鉄建公団訴訟控訴審判決へ向け闘う決意を明らかにした。
 締めくくりに萩原進事務局次長が発言した。「8日時点の集約で、9841の署名が集まっている。市東さんの立場に身を置き、最後の1週間にさらに署名運動に取り組み、14日の集会に残さず持参してほしい。この間は地元での一斉行動を積み重ね、民衆の行動力は深く、強く、時が来たら一挙に爆発することを実感した。そのことを確信し、反対同盟は署名を今回で終わらせず千葉県全域に持ち込んでいく。7・14全国集会で千葉市中央公園を埋め尽くし、29日にも全力で結集して反動判決と仮執行宣言を粉砕しよう!」
 この力強い方針提起に全員が大きな拍手で応え、全力決起を誓い合った。
(写真 裁判後に記者会見と報告集会。7・14まで全力で3万人署名に取り組もうと誓い合った【7月9日 千葉】)

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週刊『前進』(2592号6面3)(2013/07/15 )

 7・7関西空港反対全国集会 “橋下・千代松を倒せ”

 泉州住民の会を先頭にデモ

 7月7日、関西空港反対全国集会を泉佐野市内で開催しました。地元住民はじめ142人が参加して大成功しました。
 今年の関空闘争は、関空による財政破綻の責任を市職員と住民に押しつける千代松泉佐野市長との闘いになりました。また、八尾空港にオスプレイの訓練受け入れを表明する橋下大阪市長・維新の会との闘いになりました。
 集会は、泉州住民の会の小林順子さんの司会で始まりました。主催者あいさつは関西労組交流センターの富田益行代表です。「関空で働く1万3千人の労働者を組織して、関空を内部から食い破る闘いが勝利の核心だ」と述べました。
 連帯あいさつは、動労千葉の川崎昌浩執行委員、部落解放同盟全国連西郡支部の佃久子さん、婦人民主クラブ全国協関西ブロック代表の山本美知子さん、三里塚現闘本部からありました。
 動労千葉の川崎さんは「橋下打倒をともに闘う。国鉄闘争に勝ち抜けば自治体の闘争にも勝てる。外注化との闘いを組織拡大で勝利する」と鮮明に述べました。
 基調報告は泉州住民の会の国賀祥司代表(泉佐野市議)が行いました。「泉佐野で起きていることは全部関空問題であり、新自由主義との闘いだ。千代松市長は財政破綻の責任を取らないばかりか、今度は市の職員を半減する大解雇攻撃を宣言した。関空開港時には1100人いた職員が現在は600人にまで削減されている。さらに300人削減して民営化したら市役所は仕事が回らず、地域全体を破壊する。闘いは市職員と地域住民が団結して闘う絶好の構図になる。橋下のオスプレイ受け入れ表明は、沖縄と連帯した反戦闘争で絶対に粉砕できる。新自由主義は完全に破産している。断固闘って勝利しよう」と呼びかけました。
 決意表明は、泉州住民の会、関西労組交流センター、八尾北医療センター労組、関西合同労組泉州支部、全学連が行いました。
 泉州住民の会の中山綾子さんは「オスプレイ受け入れを言う橋下はふざけている。沖縄の負担軽減などにはならない。絶対阻止しよう。千代松市長が金もうけのために公務員の首を切ることなど絶対に許せない」と述べました。
 大阪市職の赤田由行さんは「千代松市長の職員半減攻撃におびえる必要はない。大阪市で橋下と闘って勝っている。橋下にはウソとペテンしかない。現場から『おかしい』と声が上がれば勝てる」と呼びかけました。
 関合労の黒瀬博匡委員長は「橋下の手先になって千代松市長が職員の半減化攻撃という橋下以上のことをやろうとしている。これは民間労働者への攻撃でもある。労働組合が全体の利害をかけて動労千葉のように闘えば勝利できる」と断言。
 閉会あいさつは、関西労組交流センターの深町加代子さんが行いました。集会の後、猛暑を吹き飛ばして関空島が見えるマーブルビーチまでデモを行いました。沿道から多くの住民が応援していました。
 (K)
(写真上 「オスプレイ受け入れ反対!」を訴えデモ【7月7日 大阪・泉佐野】)
(写真下 関空島に向け怒りのシュプレヒコール【7日 マーブルビーチ】)

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週刊『前進』(2592号6面4)(2013/07/15 )

 チャーター機でフィリピンへ75人

 強制送還を弾劾する

 7月6日、日帝・法務省が行ったチャーター機を使った初の強制送還を怒りを込めて弾劾する。
 6日早朝、強制送還のフィリピン人75人と警備の入管職員62人を乗せたチャーター機(日本航空機)が成田空港からフィリピン・マニラ空港に向かって飛び立った。
 マニラで取材したTBSの報道には、26年も日本で暮らしていながら突如強制送還されたというフィリピン人男性(54歳)が「(心が)痛いです。『なぜこうなったのか』とみんなが言っていた」と語る姿が映し出された。
 強制送還された75人の中にはなんと1〜5歳の子ども8人が含まれているという。これに対し法務省は、「夫婦や親子がバラバラにならないように配慮した」(8日)と言い放った! 生活基盤のある日本から家族丸ごと追い出しておいて何が「配慮」なのか。絶対に許せない。
 昨年12月、安倍政権の登場と同時に明らかになった「チャーター機による一斉送還」計画については、毎日新聞がリークするや激しい怒りが巻き起こった。即日、法務省前で抗議行動が取り組まれ、3月6日には、仮放免中の難民申請者、仮放免者を軸に300人の在日・滞日外国人、支援者らが法務省デモに立ち上がった。
 「チャーター機による一斉送還」関連3000万円の予算が成立、6月10日には牛久の東日本入管センター内でチャーター機の入札が行われた。不安を募らせた被収容者たちが、早期の仮放免の実施、医療など処遇改善とともにチャーター機での強制送還反対を要求して「帰室拒否」の抗議行動を行うなど、闘いが続いていた。牛久入管収容所問題を考える会を始め、動労千葉、全国労働組合交流センター、各地の合同労組・ユニオンなどは6・20世界難民デー行動を取り組み「チャーター機で強制送還するな!」と訴えた。
 牛久の会は7月8日、怒りの抗議声明を発した。「当会の面会ボランティア会員に7月5日夕方から6日の朝にかけて次々と牛久入管から『フィリピン人が連れ去られた』『職員が二十数名きて無理矢理持って行かれた』『2年以上も帰らないとがんばっていた人が連れて行かれた』『夜の12 時頃に職員が大勢やってきた』等々の悲痛な電話が入りました。……退去強制が執行された状況を推察するだけでも、同意無き一斉強制送還の人権無視、人道上の配慮など一切ない執行現場が浮かびます」
 外国人を人間扱いしないこうした強制送還は、安倍政権の「新成長戦略」「日本再興戦略」が掲げる「パッケージ型インフラ海外展開」「高度外国人人材受け入れ推進」とコインの裏表の攻撃なのだ。1%の「国益」で殺されてたまるか! 差別・分断を許さず、非正規・正規を問わず日本で生きぬく外国人労働者と労働組合で団結し、国際連帯で闘おう。

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週刊『前進』(2592号6面5)(2013/07/15 )

 賃金削減攻撃に職場の怒りと闘いが爆発

 北海道 M・K

 私は、北海道の自治体労働者です。このたび職場で賃金削減に反対する闘いが爆発しました。
 職場のみんなは十数年にわたる賃金の削減に苦しんでいます。昨夜、自分の10年分の源泉徴収票を見直してみたところ、10年前と比べて年間の所得は80万円減、引かれる社会保険料などは20万円増です。これではみんな苦しいわけです。
 今中高年の仲間は、採用当初は民間の半分とか3分の1の賃金で苦労し、そのうち年齢が上がっていけばまあ何とかなる賃金になるだろうと予想していたわけですが、それが賃金の独自削減や地域給の導入などでこのありさまです。もともと地方公務員は安月給の代名詞で、身分の保障もないところ、多くの先輩たちが労働組合に結集し団結して必死に闘ってきたので、ぎりぎりのところで雇用と食える賃金が確保されてきたのだと思います。
 資本主義の危機が深まり、資本家は労働者からさらに搾り取って生き延びようとしています。自治体労働者に攻撃を集中し、退職金や賃金の削減を始め、事業廃止などによる分限免職や道州制導入による全員首切りまで狙っています。
 今回の賃下げ攻撃が、まったく理不尽極まりないものであったため職場で怒りが爆発したのです。そして4月の自治労全国スト方針に興奮したのです。
 5月には当局が、この際に収支不足の穴埋めもしようと国が強要した削減率以上の賃金削減を提案してきたので、職場の労働者の怒りはさらに高まりました。そして、たくさんの闘争が取り組まれました。
 このような中で国鉄闘争全国運動・北海道は、この闘いに連帯し何度もビラまきに決起しました。「ストライキ断固支持。国鉄闘争とともに全ての労働者のために闘おう」というビラの訴えは、職場の多くの労働者の支持と共感を得ました。
 今回の闘争は、削減幅を圧縮させて収束したわけですが、賃金削減などの攻撃はこれで収まるものではありません。職場には賃金のほか、人員合理化への怒りも渦巻いています。
 労働者への団結破壊攻撃の始まりが国鉄分割・民営化であるならば、国鉄闘争とともに闘うことと、今後の闘いを見据えた万全の体制が必要です。そのため私も頑張っていきたいと思います。

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