ZENSHIN 2013/06/10(No2587 p06)

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第2587号の目次

原発なくせ!芝公園にあふれる怒り 7500人が結集した芝公園での集会。再稼働阻止へ決意みなぎる発言が続いた(6月2日 港区)=関連記事4面

1面の画像
(1面)
国鉄・反原発・改憲阻止を
4大産別決戦の前進かちとり安倍「成長戦略」を粉砕しよう
6・30星野全国集会-7・14三里塚千葉集会へ
記事を読む  
6・2反原発 “再稼働阻止・安倍打倒”  8万5千人 集会・デモと国会包囲 記事を読む  
前進速報版から 記事を読む  
【要項】6・30星野全国集会 記事を読む  
(2面)
動労千葉に学んで全職場で反合・運転保安闘争の実践を
9・25鉄建公団訴訟控訴審判決までが一大決戦に
記事を読む  
闘いは進む 青年の職場から
合同労組 過労死への怒り束ねて青年の組合加入かちとる  みやぎ連帯ユニオン 柴崎拓也
記事を読む  
国労原告団物販に協力を  4人の闘争団員を支え解雇撤回・外注阻止へ 記事を読む  
6・2大阪 団結拡大すれば勝てる  自治体・教育労働者が討論集会 記事を読む  
(3面)
安倍「成長戦略」粉砕を
「所得150万円増」の大ペテンで解雇規制撤廃し総非正規職化(大迫達志)
記事を読む  
プロレタリア革命きり開く障害者解放闘争の路線提起
『障害者解放』第4号の活用を(岩崎 泰明)
記事を読む  
国際労働運動 7月号  世界大恐慌の先端にあるEU 記事を読む  
(4面)
反原発・改憲阻止で結合を  福島とつながる さようなら原発6・2集会発言 記事を読む  
6万人が国会大包囲  原発立地住民が次々と発言(6月2日) 記事を読む  
2013年日誌 5月28日〜6月3日
日印が原子力協定早期妥結へ/連合、「改憲尚早」の文言削除へ
記事を読む  
訂正 記事を読む  
【要項】6・16第6回大間原発反対現地集会、なにがなんでも!全原発廃炉7・11東京集会 記事を読む  
(5面)
原発再稼働絶対阻め  7月に5社が13基を申請 安倍政権に百万の怒りを 記事を読む  
6・20広大全国集会に結集し自治会選挙の勝利へ闘おう
マルクス主義学生同盟中核派・広島大学支部
記事を読む  
TPPを撃つA
雇用と生活への影響  190万人が新たに雇用失う
規制緩和で「食の安全」崩壊  日帝の敗勢と立ち遅れあらわに
記事を読む  
三里塚裁判傍聴を! 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー 記事を読む  
星野同志解放へ全証拠開示を  星野暁子さん5・22集会での発言
“星野文昭を取り戻す運動は新自由主義と闘う希望の砦”
記事を読む  
紹介 序局第4号 フクシマの命の叫び
3・11福島行動全記録と診療所報告会の感動
記事を読む  
【要項】6・27迎賓館・横田爆取弾圧裁判差し戻し控訴審判決 記事を読む  

週刊『前進』(2587号1面1)(2013/06/10 )

 国鉄・反原発・改憲阻止を

 4大産別決戦の前進かちとり安倍「成長戦略」を粉砕しよう

 6・30星野全国集会-7・14三里塚千葉集会へ

(写真 原発なくせ!芝公園にあふれる怒り 7500人が結集した芝公園での集会。再稼働阻止へ決意みなぎる発言が続いた【6月2日 港区】=関連記事4面) 世界大恐慌が深まる中、各国帝国主義は米帝を先頭に一斉に争闘戦政策を強化し、世界経済の分裂化・ブロック化を進めている。行き着く先は大失業と戦争だ。これに対して全世界で労働者階級が怒りを爆発させて、生存と未来をかけて立ち上がっている。今こそ革命情勢の到来に胸躍らせ、プロレタリア世界革命への情熱と使命感に燃えて決起しよう。6・2反原発行動―6・9国鉄集会の大高揚をバネに、階級的労働運動の大前進をかけて6〜9月の4カ月決戦に総決起しよう。

 4カ月決戦の勝利を開こう

 動労千葉鉄建公団訴訟控訴審の5・8結審と6・9国鉄闘争大集会の成功をもって、9・25判決までの4カ月間が大決戦となった。
 4カ月決戦は第一に、国鉄闘争の勝利をかけた決戦である。
 解雇撤回・JR復帰をめざす鉄建公団訴訟で動労千葉は昨年6月、一審判決で国鉄当局の組合差別を認定させる画期的地平を切り開いた。動労千葉はさらに控訴審で、国鉄の不採用基準策定にJR設立委員会が直接かかわっていたことを示す新証拠を提出し、当時の国鉄職員局次長・葛西敬之(現JR東海会長)らの証人尋問を要求して闘ってきた。
 この闘いに恐怖した東京高裁は一度も事実調べを行わないまま5月8日に暴力的に結審した。一審判決を出し、動労総連合の出向無効確認訴訟も担当していた東京地裁の白石哲裁判長は突然、更迭された(白石事件)。一連の出来事は、動労千葉の1047名解雇撤回闘争の貫徹がどれほど敵に打撃を与えているかを示している。裁判打ち切りの大反動を許さず、6・9集会の高揚を新たな力として、国鉄闘争全国運動の「解雇撤回・JR復帰」10万筆署名を全国で猛然と闘おう。
 4カ月決戦は第二に、国鉄戦線を先頭に全産別・職場で外注化阻止・非正規職撤廃の闘いに総決起する決戦である。JR職場では、動労千葉、動労水戸、動労連帯高崎、国労郡山工場支部を先頭に検修・構内業務の外注化阻止・強制出向粉砕の闘いが燃え上がっている。動労西日本も決定的な勝利をかちとった。
 全産別での外注化阻止・非正規職撤廃の闘いの爆発はこれからだ。動労千葉の日々の職場闘争に学び、4大産別を始め全国・全産別で反合理化・運転保安闘争を闘おう。この闘いは、資本に対する労働者の怒りをひとつに束ね、団結を固める勝利の路線である。それは連合による職場支配をひっくり返し、階級的労働運動派が組合権力を握っていく闘いである。
 4カ月決戦は第三に、再稼働阻止・全原発廃炉へ、反原発闘争の一層の前進を闘いとる決戦である。

 再稼働阻止・全原発廃炉へ

 6・2反原発闘争は延べ8万5千人の大結集で闘いぬかれた。「原発再稼働を絶対に許さない! 全原発を今すぐ廃炉にしろ!」「政府と東電は福島原発事故の責任をとれ!」という怒りの声があふれ、労働者人民の決意を支配階級に突きつける大闘争となった。
 これに打撃を受けながらも、日帝・安倍政権は原発再稼働と原発輸出にのめり込んでいる。安倍が6日に発表した「成長戦略」第3弾は、原発再稼働について「政府一丸となって最大限取り組む」と明記した。そして全国の電力会社は7月に一挙に13基もの原発の再稼働を原子力規制委員会に申請しようとしている。福島第一原発の事故がまだ全然収束していないし、福島県民16万人が古里を奪われ避難を余儀なくされているというのに、この政府・資本家どもの開き直り的な原発再稼働策動は絶対に許されない。福島の怒りと固く結合し、再稼働絶対阻止・全原発廃炉へ闘おう。NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議)が主催する7・11東京集会に結集しよう。労働者の国際連帯闘争として、8月広島・長崎の反戦反核・反原発闘争を豊かに発展させよう。

 安倍の改憲策動を打ち砕け

 4カ月決戦は第四に、日帝の改憲策動と真っ向から対決し、改憲阻止・安倍打倒を闘いとる決戦である。
 日帝の最大の破綻点は戦後憲法体制下の労働者支配の危機性と安保・沖縄問題、すなわち日米安保同盟関係の矛盾と危機にある。世界大恐慌と帝国主義間争闘戦の激化の中で、この日帝の抱える矛盾と危機は極限的に深まっている。ここから日帝はまず96条(改憲手続き)を改悪する狡猾(こうかつ)な方法を使って改憲に道を開こうとしている。9条改憲と「非常事態条項」導入などで戦争国家体制と強権的支配体制をつくろうとしている。
 7月参院選で自民党は改憲を公約に掲げるとしており、改憲阻止闘争は重大な決戦に入った。これまで改憲攻撃の前には、労働者階級の改憲阻止の強い意思と闘いが戦後一貫して立ちはだかってきた。それゆえ安倍政権の改憲への突進は労働者階級の巨大な決起の引き金を引く。改憲攻撃を階級的労働運動と国際連帯の力で打ち砕こう。
 国鉄決戦は日韓でひとつの闘いとなった。それは韓国高速鉄道(KTX)で分割・民営化との決戦が始まったからだ(前号5面参照)。民主労総は4月、公共部門の共同闘争本部を発足させ総力闘争に突入した。そして動労千葉の闘いの歴史から学び、その教訓を生かそうと闘っている。
 アメリカではILWU(国際港湾倉庫労組)の現場組合員が、丸紅、伊藤忠、三井物産など日本商社による労組つぶしと対決し、組合本部の屈服を打ち破ってピケを張るなど実力闘争に立ち上がっている。
 日韓米の労働者が互いに密接に結びつき、闘いの勝利、試練をともにする段階に入った。動労千葉の労働者は「米韓の仲間のためにも俺たちは負けられない」と闘っている。労働者国際連帯―世界革命の大展望をかけて4カ月決戦を闘おう。

 大恐慌・大争闘戦を革命へ

 こうした闘いをとおして自民党・安倍政権、橋下・維新の会を打倒し、プロレタリア世界革命の勝利へ前進しよう。
 アベノミクスは、破産を全面的に露呈し始めている。バブルで上昇した株価は、一転して大きく下落し始めた。実体経済も回復にほど遠い。1〜4月期の輸出は数量ベースでは前年と比べて大きく落ち込み、設備投資も低迷している。新日鉄住金が4製鉄所の設備休止を打ち出すなど、日帝資本は国際競争で敗退し、過剰設備・過剰生産力の重圧にあえいでいる。日帝が直面している危機は解決不能の末期症状だ。
 ヨーロッパは大恐慌の真っただ中にある。ユーロ圏17カ国の4月の失業率は12・2%と過去最悪を更新した。8人に1人が失業している。中でも25歳未満の青年の失業率は、ギリシャ63%、スペイン56%、イタリア40%だ。好転する展望はまったくない。こんな社会に青年は夢も希望も持てない。EU首脳は「失業を改善しなければ政府とEUは若者の信頼を失う」と危機感をあらわにし、プロレタリア革命の現実性に震えている。
 安倍政権と敵階級の攻撃は凶暴だが、それは労働組合が闘わないことで初めて可能になっている。公務員賃金の大幅削減をめぐる攻防は、階級的労働運動派が全力で闘うならば、連合のもとで抑えつけられてきた6千万労働者階級の怒りを解き放ち、壮大な歴史的決起に転化できる展望を示している。
 @革命的情勢の到来(時代認識)と勝利の路線を全労働者階級の中に分け入って宣伝・扇動し、A全職場で反合・運転保安闘争を闘い労働者の団結をつくり出し、B党と労働組合の一体的建設を推し進めよう。
 獄中38年、無実の星野文昭同志の奪還をめざし、全証拠開示をかちとるために、6・30星野全国集会に結集しよう。
 三里塚反対同盟の市東孝雄さんの農地裁判の判決が7月29日、千葉地裁で行われる。農地を奪う不当判決を絶対に許さず、市東さんの営農と暮らしと闘いを守るために、7・14三里塚全国総決起集会(千葉市)に集まろう。
 職場の闘いがプロレタリア革命に直結している。青年労働者の党を建設しよう。闘う労働者・学生の中に『前進』を持ち込み、定期購読者を圧倒的に拡大しよう。
(写真 青年労働者・学生を先頭にして日比谷公園・国会へと向かうNAZENのデモ隊)

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週刊『前進』(2587号1面2)(2013/06/10 )

 6・2反原発 “再稼働阻止・安倍打倒”

 8万5千人 集会・デモと国会包囲

 6月2日、昼から東京・芝公園と明治公園において、安倍政権の原発推進、再稼働と輸出を絶対に許さない集会が合計2万5千人を超える参加で行われた(主な発言の要旨と関連記事4面)。集会終了後、都心をデモ行進。その後、約6万人が午後4時から国会を包囲し、5時から7時までは国会前、首相官邸周辺で大集会と抗議行動を展開した。

 労働組合などが旗・のぼり掲げ

 芝公園では、さようなら原発1000万人アクション実行委員会主催の「6・2つながろうフクシマ! さようなら原発集会」が12時30分から行われた。自治体、教組、交通運輸、非正規など労組の旗やのぼりが林立し、原発立地からも多くの人が参加した。7500人の大結集だ。
 雨の予報が覆り、初夏を思わせる太陽が痛いほど肌を射す。その強烈な日差しが安倍政権の再稼働攻撃への激しい怒りと重なり、闘いのボルテージが一気に高まった。
 李政美(いぢょんみ)さんのライブ演奏に続き、最初に作家の落合恵子さんが、原発輸出への突進を「この国の死の商人と死の輸出を容認することはけっしてできません」と渾身(こんしん)の思いで弾劾した。続いて作家の大江健三郎さんが、原発輸出と再稼働を「広島・長崎への裏切り」「福島の原発事故で苦しんでいる人びとへの裏切り」と真っ向から批判した。
 福島から渡辺ミヨ子さんが発言に立った。渡辺さんは、子育て中に福島第一原発が建設され、「安全・安心」が流布されたことをつぶさに明らかにし、ペテン的除染や原発輸出への燃えさかる怒りを表明した。
 原発立地から4人が壇上に並んだ。どこも安倍政権と電力資本が再稼働の突破口と狙う原発であり、その卑劣で焦りに満ちた攻撃と闘っている地域だ。北海道電力泊原発の地元で闘う男性は「北電は1、2、3号機の再稼働を宣言しています。すべての原発を再稼働させない」と決意を表明した。
 福井で闘う女性は「大飯に続き、高浜原発を再稼働しようとしています。阻止したい」と宣言した。四国電力伊方原発(愛媛県)の地元で闘う女性は「再稼働が一番近いのが伊方原発と言われています。絶対に許せない」と語った。九州電力川内原発(鹿児島県)の地元で闘う女性は「川内原発の再稼働と第3号機の増設がもくろまれている」と決意を明らかにした。続いてルポライターの鎌田慧さんが「本気で、もっと力を出して頑張っていきましょう」と意気高く呼びかけた。
 デモの出発だ。大江健三郎さんらが横断幕を掲げ、堂々と歩む。続いて、原発立地から参加した人たち、労働組合などが旗やのぼりを押し立て進む。プラカードやボードも目を引く。NAZENも350人の隊列でひときわ元気に行進。「再稼働やめろ!」「輸出もするな!」「ストライキで原発止めよう!」のコールが周辺に響き渡った。

 7・11NAZEN東京集会結集を

 日比谷公園まで行進したデモ隊は、息つく間も惜しみ国会前周辺に向かった。“国会前へ!”労働者民衆が大河の流れのように進んだ。大音量で「人生をかけ原発をなくす!」と叫ぶ宣伝カーが登場した。浪江町・希望の牧場代表の吉沢正巳さんの乗った車だ。人びとが一斉に手を振る。吉沢さんもそれに応えた。
 午後5時からの国会前集会では原発立地で闘う人たち十数人が発言。国会前は、安倍と原発に連なる者たちすべてを打ち倒すまで消えることのない怒りの渦に包まれた。
 再稼働と原発輸出への労働者民衆の怒りの行動が始まった。憤激は百万人の単位で人びとを闘いの場に登場させ、巨大な歴史の流れが妥協なき闘いとして発展する。
 7・11NAZEN東京集会に集まろう! その成功の力と、被曝労働拒否のストを闘う動労水戸のような労働運動の発展で情勢を推し進め、安倍を打ち倒し全原発を廃炉に追い込もう!

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週刊『前進』(2587号1面4)(2013/06/10 )

前進速報版から 前進速報版から

▼6・2反原発集会・デモ・国会行動動画▼民主労総公共部門労働者2万人が決起大会▼5・23東日本狭山集会/新組織結成へ熱い思い

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週刊『前進』(2587号1面5)(2013/06/10 )

【要項】6・30星野全国集会

獄中38年、無実の星野文昭さんを取り戻そう!
検察官は全証拠を開示せよ!

6・30星野全国集会

6月30日(日)正午開場 午後1時開始
大田区民ホール・アプリコ展示室
(大田区蒲田5-37-3 JR蒲田駅東口徒歩3分)
弁護団報告/全証拠開示大運動から/星野同志のメッセージ/家族あいさつ/9・8徳島刑務所包囲デモへ
主催 星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議

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週刊『前進』(2587号2面1)(2013/06/10 )

 動労千葉に学んで全職場で反合・運転保安闘争の実践を

 9・25鉄建公団訴訟控訴審判決までが一大決戦に

 6・9国鉄集会をもって新たな決戦の火ぶたは切られた。26年を超えて闘われてきた国鉄1047名解雇撤回闘争は最大の正念場に入った。動労千葉鉄建公団訴訟控訴審判決日の9月25日まで、10万筆署名と物販を武器に全力で闘おう。JR東日本は今年10月1日予定でさらなる外注化をたくらんでいる。9・25までの決戦は、新たな外注化との激突と完全に重なった。この決戦は闘う労働組合を本格的に登場させることへの挑戦であり、その基軸は全産別・全職場で反合理化・運転保安闘争を実践することにある。今こそ新たな挑戦に大胆に踏み出そう。
(写真 3・1第1波スト。幕張本郷駅前で職場の仲間と地域の労働者に訴える動労千葉の組合員)

 新たな外注化との激突は開始された

 今年10月1日の外注化を巡る激突はすでに始まっている。JR千葉支社は、JR本体に残された構内計画業務の10月外注化に向けて攻撃を始めた。千葉鉄道サービス(CTS)で清掃業務に就いていた労働者に仕業・構内業務の見習いをやらせ、さらに今年度採用の大卒者7人と清掃業務に就いていた5人を検修・構内業務に就けるよう養成を行う計画を明らかにした。これは検修業務の本格的な非正規職化への踏み出しだ。そして、CTSにスト破りや構内計画外注化のための要員をつくろうとしてきたのだ。
 動労千葉組合員を先頭に現場の怒りが噴き出し、抗議・追及が行われる中で見習いはいったん中止に追い込まれた。緒戦における大勝利だ。
 水戸支社でも10月に構内誘導業務の外注化が狙われている。また東京4支社(東京、大宮、横浜、八王子)では、昨年10月や今年4月には外注化されなかった構内入換・誘導・仕業検査・構内計画などが10月1日を期して外注化されようとしている。東京での攻防はまさに今が決戦だ。

 職場に立ち返り外注先から反撃

 このJR職場での闘いと固く結合し、全職場で反合・運転保安闘争の実践に入ろう。この挑戦はこれからが本番だ。その鍵は、とことん現場に立ち返ることにある。
 動労千葉は、昨年10月外注化以降の厳しい分断を突き破って3月ストを敢然と打ち抜いた。この闘いは、あらためて動労千葉の反合・運転保安闘争の真価を示した。それは、外注化による安全破壊・雇用破壊と闘う、新たな時代の反合・運転保安闘争の創造・確立の過程そのものだった。
 これは何よりも、田中康宏委員長を先頭とする動労千葉の指導部が徹底的に現場に立ち返ることで切り開かれた。ここには、くめども尽くせない教訓があり、既成の労働運動の限界を突き破る具体的内容に満ちている。
 外注化が打ち抜かれた現実を日々職場で強制される中、絶対反対を貫いて新たな闘いに立ち上がることは並大抵のことではない。これまでの労働運動の歴史では、強行後も合理化と対決し抜けたことはなかった。一度強行されれば、その後は順調に合理化が進められてきてしまった。動労千葉はこの壁を突破した。
 合理化による矛盾と破綻が現実に表れるのは強行された後だ。強行されてからも闘い続けてこそ「合理化絶対反対」だ。
 動労千葉は、3・1春闘第1波ストを「36協定」問題を発端とする会社側の違法行為を突いて闘った。CTSは、まともに労基法も守らない違法企業であり、組合に対応できる管理者もいない。動労千葉は日々進行する合理化過程をとらえ、外注化実施であらわになった矛盾と破綻をつかんで離さず、それを具体的攻防点に押し上げて壁を破った。外注化強行という現実と対決し、奪われた職場と仲間をJR本体に取り戻す挑戦を始めていること自体が、これまでの労働運動史を画することだ。

 現場の怒りに肉迫し具体的な闘いに

 動労千葉は外注化阻止の13年間の闘いで、「外注化は絶対に間違っている」という全組合員の強烈な確信をつくり出してきた。単に自分の雇用や賃金の問題にとどまらず、安全を崩壊させ、全労働者の雇用を破壊し、青年の未来を奪う外注化は根本的に間違っているという確信だ。この確信を築き上げてきた闘いこそ、この間の闘いの基礎にあるものだ。
 同時に、闘いは具体的でなければならない。動労千葉は合理化絶対反対の原則を貫くとともに、現場組合員の怒りにとことん依拠し、全組合員が絶対に譲れない具体的課題を”見つけ出して”闘うことで、新たな局面を切り開いたのだ。

 戦後労働運動の限界を突き破り

 動労千葉の反合理化闘争は、1972年に始まる船橋事故闘争や80年代の国鉄分割・民営化反対闘争、そして13年間にわたる外注化阻止闘争へと連綿と受け継がれ、日常不断に闘われてきた。
 合理化との対決は、労働運動にとって最も重要な課題でありながら正面から闘い抜かれたことはなかった。ここをのりこえる決定的な闘いとなったのが船橋事故闘争だ。
 それまでは「事故は労働運動の課題にはならない」というのが労働運動の常識だった。労働組合自身が労働者の責任を認め、会社と一緒に「原因究明」を行い、当該の労働者への情状酌量を求めるのがせいぜいだった。しかし動労千葉は「事故の一切の責任は国鉄当局にある」と言い切って真正面から闘った。事故原因は合理化の中にあり、すべての責任は合理化を進めた当局にある。事故問題を反合理化闘争として闘い抜いたのだ。
 この闘いは現場労働者のものすごい決起を引き出した。鉄道で働く労働者は日々事故に直面し、誰もが「明日はわが身」と思い、事故責任が労働者に転嫁されることに怒りを感じ続けてきた。その怒りに火をつけたのだ。動労千葉は、この闘いをとおして事故当該の労働者を守り抜いた。
 合理化は、否定しがたい必然的なもののように進められる。しかし、それ自身の中に必ず矛盾と弱点を含んでいる。資本や当局も事故を生み出す合理化は正当化できない。この矛盾・弱点と、現場労働者が日々感じてきた思いがつながった時に闘いは爆発したのだ。

 合理化と闘い不断に団結うち固める

 現場ではあらゆるレベルで合理化が日常的に進み、労働者はその過程に巻き込まれている。その中から何をとらえて具体的闘いにしていくのか。動労千葉の反合・運転保安闘争は、ここで絶大な力を発揮した。
 現場労働者への絶対的な信頼に立ち、直面している具体的課題も、その本質も、すべて現場と率直に討論する。組合員一人ひとりが団結し、闘うことを自ら選び、実践をとおして確信を深めていく。そうすることで動労千葉は不断に団結を組織し続けてきた。
 「闘えば分裂する」という既成労働運動のあしき常識は、こういった団結を組織し続けてこられなかったことに根拠がある。社会全体を資本が牛耳る中、その影響は常に労働者に及ぼされる。労働組合はあらゆる機会をとらえ、この資本の支配と対決しなければならない。新たな局面では必ず労働者の中に分岐が生じる。その違いを克服し、実践をとおしてより強固な団結を組織していく必要がある。
 この点に既成労働運動の大きな弱点があり、資本の分裂工作=組合破壊攻撃に勝てなかった原因がある。それは、合理化との対決で最も鋭く問われてきた。「科学は絶対」という資本のイデオロギーに労組幹部自身が負け、闘う前から「合理化実施は仕方がない」とあきらめ、いかに現場が激しく闘おうとも合理化推進過程で労働組合としての日常的闘いをつくり出せなかった。その結果、攻撃の度に団結が弱まり、さらなる合理化が強行されていった。
 しかし、日々現場で働き、自らの手で安全を守り抜いている労働者には、「合理的だ」「安全だ」とされる合理化施策や技術革新の中に危険や矛盾を感じ取る力がある。労働組合の役割は、この現場労働者の実感を資本の攻撃に対置することだ。これを、動労千葉は反合・運転保安闘争を生み出す中で具体的にやり抜いてきたのだ。

 組織拡大実現し労組拠点建設へ

 公務員賃金の大幅削減との闘いや、全産別における全面的な外注化・非正規職化攻撃との対決において、最大の課題は資本の手先に転落しきった労働運動の現状を変革し、職場から本当に労働者のために闘う労働組合をよみがえらせることだ。この闘いが今ほど求められている時はない。
 どんな職場にも、労働者が日々感じている怒りや不満、蓄積された力がある。生きた労働者の実態や意識と格闘せずに、その職場での反合・運転保安闘争の確立はない。全職場で反合・運転保安闘争を実践し、階級的労働運動の復権に向けて闘おう。この闘いをとおして組織拡大を実現し、あらゆる産別で闘う組合権力を打ち立てよう。

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週刊『前進』(2587号2面2)(2013/06/10 )

 闘いは進む 青年の職場から

 合同労組 過労死への怒り束ねて青年の組合加入かちとる

 みやぎ連帯ユニオン 柴崎拓也

 私はみやぎ連帯ユニオンの組合員です。この間、2人の青年労働者の組合加入をかちとりました。
◆現職死亡が起きたブラック企業の現実
 倉庫業務を行っているある職場では正社員・契約社員・臨時・パートと大きく四つの立場に分断されています。職場は圧倒的多数が低賃金でこき使われる非正規労働者で成り立っています。
 倉庫内は空調設備もなく、夏は毎日熱中症になるほど暑く、冬は厚着しても寒い。そのせいでみんな体調を崩しています。50〜60代のパートの女性労働者は10年以上も勤続しているにもかかわらず、上がった時給はたったの10円! 当然、有給休暇もありません。敷地内に通勤の車をとめるためにも駐車料金が取られるようになりました。まさにブラック企業そのものです。
 会社に組合はありますが御用組合で、こうした現実に対して見て見ぬふりです。
 そうした中で、50代の正社員が仕事中に倒れ、そのまま死亡するという痛ましい事件が先日起きました。会社によって殺されたことは明白です。本当に悔しい! しかし会社側は「○○さんはいい人だった」とただ一言のあいさつと黙祷(もくとう)だけで、真実を押し隠しています。
 月に一度の全体ミーティングで、センター長は「みなさんの雇用だけは守ります」と言っています。過労死が起きている職場の中で「雇用を守る」ということは、「死ぬまで働くなら雇い続けますよ」と言っていることと同じです。「奴隷」としての労働だけは認めるということ以外の何物でもありません。
 労働者を何だと思っているのか! ふざけるのもいい加減にしろ!! 労働者が労働組合に団結して声を上げなければ、資本によって殺されてしまいます。
◆職場の生の声を聞く
 過労死に追い込んだ原因は、人員不足による多忙化です。超長時間残業が強制される中で、部署が違うと仲間同士が敵対関係になってしまいます。「○○さんは仕事が遅い」など仲間の悪口ばかり絶えません。みんながバラバラにされ、団結がまったくありません。
 「こんな職場で本当に組合を組織できるのか」と組合で議論し、まず職場の現実を知り、同僚と話をすることから始めようということになりました。仕事の合間や休憩時間、勤務が終わってから駐車場でなど、あらゆる機会をとらえて話を聞きました。
 確かに最初は同僚の悪口から始まります。しかし「そうじゃないんだ。パワハラも仕事が回らないのも、すべて会社が人手を増やさないからだ」と議論をすると、会社への怒りがバーッと噴き出してきました。そういう討論を積み重ねる中で、職場の仲間が「もう我慢ならない」と組合に加入してくれました。
◆職場は毎日がストライキ情勢
 今ではごく普通の労働者の口から「ストライキやりたいね」という話題が出ています。まさに職場はストライキ情勢です。御用組合にとってかわって、本物の労働組合を職場に組織し、労働者の手に職場を取り戻していきたいと思います。

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週刊『前進』(2587号2面3)(2013/06/10 )

 国労原告団物販に協力を

 4人の闘争団員を支え解雇撤回・外注阻止へ

 国労原告団物販への熱いご支援に心から感謝いたします。
 国鉄分割・民営化から26年、国鉄闘争の最大の正念場が訪れています。安倍政権とJR資本、日帝支配階級総体による国鉄闘争と国労解体攻撃に真っ正面から立ち向かい、胸を張って階級的労働運動の新しい時代を切り開く時が来ています。その先頭に動労千葉・動労水戸と一体となって闘う4人の国労闘争団と、これを全力で支え闘う「共に闘う国労の会」の仲間の闘いがあります。
 今や安倍政権は大恐慌と3・11情勢にとことん追い詰められ、JR東日本を先頭にしたJR資本も国鉄分割・民営化の破産を鉄道の海外輸出と業務の全面外注化・非正規職化でのりきる以外にありません。しかし、そのどちらも破綻的です。

 国労職場で外注阻む闘い始まる

 動労千葉・動労水戸―動労総連合の闘いに続いて、ついに国労職場からも新たな反撃の闘いが開始されました。
 動労千葉の外注化阻止の闘いは国労の仲間たちにも展望を与えています。国労本部は外注化に賛成し、出向協定を結んでいますが、職場から「合理化反対、外注化反対」の討議が始まり、現場組合員の団結で外注化をはね返す闘いが始まっています。
 国鉄労働者としての誇りと、青年労働者の未来をかけた闘いは、労働組合とは何であるのかをあらためて問いかけています。何のために自分たちは国鉄分割・民営化に首をかけて反対して闘ってきたのか。この原点に国労組合員一人ひとりが立ち返り、団結を打ち固めて前進するならば、国労本部の屈服や裏切りを超えて闘う道をつくり出すことは絶対に可能です。
 平成採の怒りは限度を超えています。JR東日本では、駅で5年間契約社員として働いた揚げ句に解雇される若者の多くが、「JRはとんでもない会社だ」と言って辞めていきます。彼らは低賃金・不安定雇用にさらされ、なおかつ「利益優先」「コスト削減」の外注化で安全は無視され、労働者の誇りや命が軽んじられています。いかに売り上げを伸ばすか、いかに営業成績を上げるかだけが目的とされる職場で、若者の怒りは、自らが「会社の利益を上げること」の中にしか位置づけられないことへの抑えがたい怒りなのです。
 こうした中で、JR東日本の駅外注化はまったくうまくいっていません。JR東日本は解雇した契約社員を外注会社でさらに低賃金で雇い入れようとしました。しかし今、雇い止め解雇にされても外注会社の採用試験を受けない若者たちが増えています。必要人員の4分の1ほどしか集まらず、外注化が計画通りにいかなくなった駅も出てきています。青年たちを見下したJR資本のやり方への「反乱」が起こっているのです。
 外注化阻止・非正規職撤廃の闘いは、4・9政治和解を徹底的に弾劾し、もう一度1047名解雇撤回闘争をよみがえらせることと一体です。

 解雇の真相暴き闘争は重大局面

 今、1047名解雇撤回闘争は重大な局面を迎えています。
 動労千葉の渾身(こんしん)の闘いによって、動労千葉や国労の被解雇者は当初、JR採用候補者名簿に記載されていたにもかかわらず、国鉄分割・民営化に反対する組合員を不当に差別する目的で策定された不採用基準によって、急きょ名簿から削除された事実が明らかになりました。
 そして、昨年6月29日の動労千葉鉄建公団訴訟の東京地裁判決では、不採用基準の策定そのものが不当労働行為だったことを認めさせ、「不採用基準が策定されなければ、原告らは採用候補者名簿に記載され、JR東日本に採用されたはず」とまで言わせたのです。
 さらに今年5月8日の控訴審では、JR設立委員会委員長の斎藤英四郎が葛西敬之らに選別解雇の基準の作成を命じた決定的事実も明らかにされました。
 国労本部はこの事実を入手していながら、政治解決路線=「1047名闘争を最後的に解体し連合に合流する路線」のもとでそれを意図的に抹殺し、葛西を追及するどころか擁護する側に回っていたのです。
 動労千葉鉄建公団訴訟控訴審9・25判決までの3カ月間を、国労秋田闘争団・小玉忠憲さんの最高裁闘争と一体で闘い、国労の現場から「解雇撤回・JR復帰」に向けた議論を巻き起こそう。

 組合員籍奪った国労本部許さず

  国労本部は、4人の闘争団員が闘う組合員資格確認訴訟で、解雇者からの組合員資格の剥奪(はくだつ)を平然と居直り、「(組合員の資格は)雇用関係が大前提であることは国鉄時代以来の扱い」と主張しています。冗談ではありません。不当解雇を許さず、被解雇者を組合員・役員として守り闘ってきたのが国労の歴史です。歴史の偽造まで行い、生死をかけて闘ってきた労働者の闘いを闇に葬り去り、二度と資本とは闘わないことを組合員に強いることなど絶対許せません。
 今季の物販闘争は国労における新たな闘いとともにスタートしました。動労千葉と固く連帯し、1047名解雇撤回闘争の本格的な発展ヘ闘う4人の闘争団員とともに、国鉄分割・民営化以来の全歴史を覆す根底からの決起をつくり出しましょう。みなさんのご支援、ご協力をお願いします。
◇品目表◇  (円)
1 神埼そうめん 2100
2 北海道ラーメンセット 450

3 十日町産妻有ざるうどん 1350
4 十日町産妻有そば 1400
5 博多とんこつラーメン 1100
6 金笛だしの素 1100
7 からしめんたい 2200
8 野菜カレー(辛口) 1100
9 からしたかな 500
10 もろみ 500
11 漁師のふりかけ 600
12 万能おかずしょうが 350
13 しそ巻きゅうりの漬け物 370
14 国産たまねぎスープ 600
15 海鮮スープ 600
16 ガレット 470

17 スイーツの詰め合わせ 1200
18 有機無農薬コーヒー 850
19 そのまま食べるしじみ 420
20 鮭皮チップ 280
21 ほし柿ようかん 550
22 ゆずようかん 550
23 ごまきな粉豆 370
24 黒わらび餅 1200
25 おからかりんとう 400
26 われおかきミックス 500
27 大地のじゃがいも 480
28 しょうが芋けんぴ 450
29 フルーツミルク 270
30 荒さきいか 520
31 あぶり焼小いわし 600
32 ウユニ塩湖の天然塩 490
33 よもぎせっけん 1050
申し込み先/国労原告団互助会
TEL 03-3329-8815 FAX 03-3329-8821

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週刊『前進』(2587号2面4)(2013/06/10 )

 6・2大阪 団結拡大すれば勝てる

 自治体・教育労働者が討論集会

 6月2日、大阪市内で労組交流センター自治体労働者部会と教育労働者部会による討論集会が行われ、関西各地から80人が結集した。
 13年前半、国鉄を先頭に外注化絶対反対のストライキを闘い切り開いてきた情勢は、すべての職場で青年労働者を始めとした根底的な怒りの決起として現れている。集会での熱気あふれる討論をとおして、絶対反対を貫く団結がすべての労働者を組織できることを全参加者が確信した。
 基調報告を行った大阪市職の赤田由行さんは動労千葉鉄建公団訴訟控訴審の5・8結審強行を弾劾し、「民営化・外注化攻撃との闘いが資本家階級を追い詰め、国家権力中枢をついに揺り動かしている。合理化攻撃に対し『よい面もある』と屈服し、現場にもそれを強要してきた既成の労働運動を突き破る闘いが、橋下を打倒寸前まで追い込んでいる。私たちは10割非正規職化攻撃を見据え、労働者全体の利害をかけて闘う方針を出すことで、敵の分断攻撃を団結に転化し、力関係を逆転させてきた。現場にあふれる怒りと結合し、労働組合をつくり変えるのは今だ」と訴えた。
 次に大阪市の教育労働者が「橋下の民営化攻撃はすべてが労働強化であり、労働者を競争・分断させ、職場の団結を破壊するもの。これに対して青年労働者が『一矢報いないと自分が自分でいられない』『労働者として誇りを持って闘う以外に生きられない』と声を上げ始めている。『やられてしまったら終わり。あとは悪用しないで』という組合本部を許さず、『日教組もストライキ方針を出せ』と職場で闘っている」と報告。
 解雇撤回を闘う大阪市斎場労働者、処分撤回を闘う大阪交通労組労働者が発言した。さらに、教育労働者が評価システムへの怒りを次々と表明し、これと闘わない組合本部を弾劾した。「評価シートの提出を拒否したらすべての項目で『能力なし』とされた。こんな制度はおかしい」「非常勤の自分は授業中のささいなことを口実に退職強要された。既成の組合は闘うことを拒否し、合同労組として闘っている」などの発言が続いた。
 自治体労働者は、4・26ストをめぐりスト方針を倒そうとする本部と対決した闘いを報告した。職場で起きた事故の責任を個人に押しつける当局や組合本部を許さず、スト方針を提起し闘っているという発言もあった。
 熱烈な議論を日教組奈良市の増田順計さんがまとめ、「このままやられてたまるか!という闘いが扉をこじ開け、社会を変えるうねりにつながってきた。組合をつくり変える闘いは、まず自分が闘うことから始まる。自分の組合でも次々と過労死や病気休職に追い込まれている青年労働者が一言『ストライキをやろう!』と提起したら、執行委員会の空気が一変した。この世の中をどう見るのか、どう職場で闘うのかは、ひとつのテーマ。今日の議論でつかんだ団結を核に、労働運動の歴史を塗り替え、世の中を動かそう」と結び、6・9国鉄闘争全国集会への大結集を訴えた。
(写真 「橋下大阪市長を倒そう」と団結ガンバロー【6月2日 大阪市】)

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週刊『前進』(2587号3面1)(2013/06/10 )

 安倍「成長戦略」粉砕を

 「所得150万円増」の大ペテンで解雇規制撤廃し総非正規職化

 安倍「成長戦略」が打ち出され、同時に財政健全化を叫ぶ「骨太の方針」が決定されようとしている。「民間活力の爆発」で1人当たり国民総所得を「150万円増やす」などとぶち上げて、改憲先取りの「戦略特区」を導入し、解雇自由・総非正規職化と全面民営化、原発輸出と社会保障解体に突き進もうとする階級戦争宣言だ。6・9集会の成功をバネに闘う労働組合を本格的によみがえらせ、国鉄・4大産別を先頭に4カ月決戦の爆発で安倍打倒をかちとろう。

 限定正社員制で解雇自由に 首切り促進の助成金も支出

 安倍「成長戦略」は今後5年間を「緊急構造改革期間」とし、「20年間続いた長期経済低迷から脱却させる」とした。
 「世界で一番企業が活動しやすい国を目指し、大胆な事業環境整備を進める」(5月29日の第10回産業競争力会議)大攻撃であり、「資本家には天国、労働者には地獄」の社会に大転換させようとするものだ。大恐慌と大争闘戦に追いつめられ、アベノミクスの大破産に直面する日本帝国主義の絶望的な攻撃である。
 最大の眼目は、雇用規制・労働時間規制の撤廃だ。
 ”思い切った構造改革に取り組む企業に税制措置や労働移動の円滑化の特別な優遇措置を行い、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型へ政策転換する”とし、”安易に首切りしない企業への「雇用調整助成金」を減らし、転職を後押しする企業への「労働移動支援助成金」に移す”と強調。労働者の首切りを支援するということだ。
 さらに、工場や店舗などの閉鎖、外注化による業務廃止を理由に、通常の正社員より格段に解雇しやすくする限定正社員制度の導入を打ち出した。規制改革会議の雇用ワーキング・グループ会議(5月14日)では「労働者の能力や適格性の低下・喪失を理由とする解雇」においても、通常の正社員より解雇しやすいと露骨に確認された。
 また、最長3年に制限されている労働者派遣制度を抜本的に見直し、すべての職種を派遣の期限がない「26業務」と同じようにするとしている。
 すべてが、解雇自由・総非正規職化の攻撃だ。何が「所得150万円増」だ。99%の労働者にとってはユニクロ・柳井正会長が公言する「年収100万円」へと転落させる大攻撃ではないか。

 インフラ輸出へ全面民営化 原発の再稼働と輸出に突進

 「国家戦略特区」を設けて企業減税や労働規制など規制緩和を進め、空港・道路・水道・公営交通などインフラ(社会基盤)運営を全面的に民営化しようとしている。
 4月17日の第6回産業競争力会議で竹中平蔵(慶應義塾大学教授)は”直ちに全国展開が困難な場合、特区で実験的に導入し、最終的には道州制”と主張した。特区という形で現行法をすり抜け資本のやりたい放題にしようということだ。
 さらに「企業特区」と称して、”意欲と技術力のある企業に対し、特例を認め、公道での新型車の試験走行をしやすくし新しい技術や製品の開発をサポートする”ことまで打ち出そうとしている。トヨタなど巨大資本のためだったら法律も関係ないということだ。
 第10回産業競争力会議は「日本のインフラビジネスの競争力を強化」「低コストでの維持・管理の実現」を打ち出した。公共施設やインフラの建設や運営に民間資金を使う手法(PFI)で今後10年間で過去10年間3倍の12兆円規模の事業に民間投資を全面的に呼び込もうとしている。丸ごと民営化・外注化とそこで働く公務員労働者の全員解雇・総非正規職化であり、公共施設・資産の民間資本への売り渡しだ。
 成長戦略は、海外市場獲得を掲げ、TPP(環太平洋経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)の締結とインフラ輸出、資源確保を強調した。大恐慌と大争闘戦時代の帝国主義的通商政策であり、市場・資源・勢力圏の争奪戦に絶望的に突進しようとしている。そのためにも、JR東日本の「グループ経営構想X」を手本に、民営化・外注化・非正規職化の全面的な国内階級戦争に出ようとしているのだ。
 さらに原発活用を掲げた。「地元自治体などの理解を進めるために政府一丸となって最大限取り組む」とし、原発再稼働を強力に進めると打ち出した。地元の理解を進めるとは、再稼働反対・全原発廃炉を求める巨大な闘いを、力ずくでおしつぶすということだ。絶対に許してはならない。

 「財政健全化」を叫んで年金・生活保護・地方交付税を削減

 安倍政権は同時に、「財政健全化」の「骨太の方針」を打ち出そうとしている。
 そこでは、プライマリーバランス(基礎的財政収支)について、@15年度の対国内総生産(GDP)比の赤字を10年度から半減、A20年度に黒字化するとする国際公約を守るとし、さらに21年度以降も公的債務(借金)残高の安定的な引き下げを目指すとした。
 アベノミクスの「異次元」の金融緩和・国債発行で財政危機はさらに悪化し、長期債務残高は1千兆円、GDPの2倍を超える世界最悪の水準に達した。国債暴落と国家財政破綻が迫っている。
 財政再建など問題にもならない。安倍政権は、絶望的な国内階級戦争に突進するしかない。成長戦略と一体の第4の矢として、医療・介護・年金・生活保護などの社会保障も聖域とせず、徹底的に削減・解体しようとしている。
 5月16日の経済財政諮問会議では、米「財政の崖」の契機となった米国の予算執行法を参考に、”予算規模が一定水準を超えた場合に発動されるトリガールールなどを課して、拡大する財政赤字に見合う義務的経費の削減や歳入の増加策を義務づけていくような仕組みが必要”(佐々木則夫経団連副会長、東芝社長)とまで言い出した。
 オバマ政権は、歳出の強制削減で連邦公務員100万人に無給休暇の強制と20〜30%の賃下げを強行。地方公務員に対しても同様の大攻撃がかけられ、全米で闘いが巻き起こっている。さらにオバマは400万人の長期失業者の連邦失業給付金を11%削減し、公的年金、高齢者・障害者医療保険も大幅にカットした。これと同じことを日本においても行うということだ。
 社会保障国民会議(清家篤会長=慶応義塾長)は、年金を減額調整する「マクロ経済スライド」の実施を主張し、同時に65歳まで引き上げられる受給開始年齢をさらに引き上げる必要性を強調。「67、68歳、あるいはもう少し上まで引き上げていくことがあってしかるべきだ」と公言した。労働者は死ぬまで働けということであり、「高齢者雇用」の名目で全世代の賃下げがいっそう進められるということだ。
 生活保護費についても「支援のあり方(各種扶助・加算制度や給付水準)を早期に見直す」としている。今年度予算で生活費の減額などで670億円削ったが、来年度以降も住宅費などを見直していくというのだ。
 地方交付税についてはリーマン・ショック後の上乗せ分(13年度は約1兆5千億円)を削減し、”行革への自治体の努力が地方交付税に生かされ頑張る地方が報われる仕組み”を新設・拡充しようとしている。今回の公務員賃下げ攻撃では、過去5年間の人件費削減に応じて「元気づくり事業費」を加算し自治体首長の反対を抑え込んでいった。同じ手法を普遍化しようというのだ。まさに道州制の先取りだ。

 4カ月決戦で安倍打倒へ!

 しかし、安倍の暴力的手法は、自治体労働者の怒りに火をつけ、4・26に始まる歴史的な自治労ストライキ情勢を生み出した。丸ごと民営化・全員解雇攻撃の先兵を買って出た橋下徹大阪市長に対して現場から反乱が巻き起こり、怒りの決起によって市営交通民営化も水道の府市統合・民営化も大破綻に陥っている。安倍の絶望的な攻撃はひとたび労働者の闘いが爆発するなら、一気に吹き飛ぶものでしかない。
 動労千葉・動労水戸を先頭とするJR外注化阻止・非正規職撤廃、解雇撤回、反原発・被曝労働拒否の闘いは、日帝・安倍政権の命脈を絶つものとして発展している。国鉄闘争を先頭とする荒々しいストライキの復権と階級的労働運動が、安倍とその成長戦略を直撃している。国鉄・4大産別を先頭に4カ月決戦を闘い抜き、安倍打倒に突き進もう。
 (大迫達志)

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週刊『前進』(2587号3面2)(2013/06/10 )

 プロレタリア革命きり開く障害者解放闘争の路線提起

 『障害者解放』第4号の活用を

 障害者解放と労働者解放は一体

 『障害者解放』の第4号が発行されました。多くの人が活用されることを訴えます。
 国鉄決戦がこじ開けてきた階級的労働運動を全産別・全戦線で推進し、新自由主義と徹底対決する中で、大恐慌をプロレタリア革命に転化する闘いにとって障害者解放闘争は労働者階級の団結をいかにかちとり拡大するのかという、きわめて実践的な課題になってきています。
 『障害者解放』第4号が訴えていることの第一は、障害者解放闘争のルーツこそ資本主義打倒に立ち上がる労働者解放闘争にほかならないということです。障害者解放闘争は「障害者は労働者階級である」という叫びをつかんできました。障害者は分断されてきた労働者であり、障害者が現在的に労働しているか否かではなく、資本の分断によって障害者と呼ばれてきた、あるいは障害者として登場しなければ生きられないという限りで、すでに労働者階級であることを鮮明にさせています。
 歴史的にも障害者はまず最初に労働から排除されてきたのではなく、支配階級はあらゆる人間を労働に駆り立て、死ぬまでこき使い、合理化を強い、障害者を生み出しながら、直接の生産階級である労働者階級から搾取・収奪するために抑圧体制を護持してきたのです。この中で障害者も、家族や支援者と一体でどちらの階級につくのかが問われてきました。はっきりしていることは、階級闘争だけが人間の尊厳を守る歴史を切り開いてきたということです。
 資本主義は、封建制と闘い、労働力の商品化・商品経済化を推し進めるために「自由・平等・博愛」を掲げ、ブルジョア的権利を拡大してきました。しかし、障害者も含めて全人間が解放される時代を切り開くのは、やはり「資本家による私的所有と分配」を原理としたブルジョア社会を打倒するプロレタリア革命以外にないのです。
 資本主義・帝国主義の時代、障害者は「世界人口の10分の1」と言われています。帝国主義段階において、労働者階級は世界戦争を阻止し、ロシア革命を生み出しました。資本はその予防反革命として、国家独占資本主義政策のもとで福祉や社会保障を打ち出しました。福祉や社会保障も階級闘争の産物です。資本や国家へのお願いや依存ではなく、社会の真の主人公である労働者階級の手に全面的に社会的生産を取り戻さなければなりません。
 障害者への隔離・選別・排除は、労働者を過労死に追いたてる競争・団結破壊と表裏一体で強まってきました。労働者階級を分断し対立をあおるこうした攻撃に打ち勝つためには、今日の非正規職撤廃闘争と同様、個別の権利獲得運動に切り縮めるのではなく、階級的団結を打ち固める団結回復の共同闘争が据えられなければなりません。
 障害者にとっても、資本依存の体制内障害者運動から決別するためには階級移行が必要です。障害者解放闘争を団結形成の闘いとして再出発させることは、労働者階級を労働者階級として形成しようとする労働運動にとっても、まったく同様の課題です。

 血債主義と決別し階級的団結を

 「血債」を枕詞に、労働運動や障害者解放闘争を労働者の自己解放闘争ではなく体制内的にゆがめてきたあり方、スターリン主義が労働者国際連帯=世界革命を放棄して民族主義的、糾弾主義的にその裏切りを正当化してきたあり方からの根底的決別が求められてきました。「夏山論文」は、こうした血債主義やスターリン主義と闘うことが、マルクス主義を取り戻し階級闘争を進める上で今日も喫緊の課題であることを訴えています。
 第二に新自由主義との徹底対決が求められているということです。
 「朝霧論文」に鮮明ですが、福祉は1990年代以来、完全に「もうけのための福祉」に転換しています。株式会社が参入し、公務員減らしと民営化を促進した障害者自立支援法(現・総合支援法)と一体で「障害者ビジネス」があおられ、作業所がその下請け機関に変えられようとしています。低賃金・無権利のヘルパーを増大させ、外注化と一体で障害者就労が促進されています。
 2011年に改定された障害者基本法では、「障害者の消費者としての保護」という項目が書き加えられました。これは、「消費者にもなれず働けない障害者」は早晩「保護すべき障害者ですらない」として、障害者を切り捨て、抹殺する攻撃を強める論理に発展していきます。
 『障害者の経済学』(中島隆信著)は、「能力のある障害者を一般就労へと結びつけるためにはどうすればよいのか」「ビジネスとは無関係の世界に生きてきた従来型の福祉施設にとって根本的な発想の転換が必要」などと提言しています。また、キリン財団や船舶振興会などとともにNPOや障害者団体に多大な基金を提供してきたヤマト運輸などがリーダーとなって、外注化促進のテコとしての障害者就労が叫ばれてきました。
 「福祉を変える経営」の名のもと、「運営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な小規模作業所や公的に運営されている授産施設に経営感覚を持ち込むこと……このビジネスモデルは、パン製造の工程で熟練を要する生地の製造は外注し、焼き上げの工程も自動制御のオーブンという自動化によって、労働市場では競争力が劣る障害者の労働力の量と質の不利を補い……」(小倉昌男著『福祉を変える経営―障害者の月給1万円からの脱出』)とさえ言われているのです。
 昨今の障害者差別禁止法(差別解消法に改称)制定の動きも、障害者への差別撤廃ではなく「障害による差別の禁止」という概念で労働者全体の就労動員・消費者動員を図ろうというものです。福祉の自己責任化を狙う「成長戦略」と一体の社会保障解体攻撃です。

 合同労組に結集して闘いぬこう

 第三に、障害者は合同労組(労組交流センター)に結集して闘おうということです。
 労働者と団結し、社会の根本的変革をめざして闘う。そればかりか労働運動が持っている可能性にかけ、地域を獲得し拠点を建設し労農同盟−ソビエトを展望する。その展望をかけて労働者党を建設し、労働組合と一体的に発展させましょう。
 『障害者解放』第4号は、実際に障害者作業所の中で労働組合をつくり闘っている挑戦を紹介しています。あるいは実際に就労支援B型という作業所で労働組合を立ち上げて、「障害者が労働組合を結成したがゆえ」の弾圧と闘っている仲間にも触れています。共通することは、「障害者は労働者ではないから組合は認めない」「団交要求や組合ビラを配布しないと誓約をするなら入所契約を更新してもいい」というような、障害者に固定化を強いてきた壁を突破し、労働者の団結を取り戻す先頭に障害者が立っているということです。
 新自由主義は資本の増殖のために障害者と体制内障害者運動を「活用」し始めています。安倍の「成長戦略」を粉砕する闘いの先頭で、障害者解放闘争を切り開くべく、団結して立ち上がろうではありませんか。
 (岩崎 泰明)
(『障害者解放』第4号 発行 障害者解放編集委員会 頒価 200円)

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週刊『前進』(2587号3面3)(2013/06/10 )

 国際労働運動 7月号

 世界大恐慌の先端にあるEU

【特集】
 ギリシャに始まる南欧−EU全体の金融・財政危機に、EUは膨大な財政援助をしてきた。その条件としての緊縮政策は事態の根本的解決にはならず、逆に国家財政の危機、金融市場の解体に向かっている。国内需要は減退し、経済成長はマイナス成長に停滞している。欧州の恐慌は世界大恐慌の最先端にある。
 第1章は、独仏の対米対抗的経済ブロックであるEUが、大恐慌により解体的危機に追い込まれていることを鮮明にしている。大恐慌対策でEUは緊縮政策を巡り独仏対立が生じ、さらに国家間格差の拡大、EUと加盟国の国家主権の衝突などが全面的に激化し、解体を決定的に促進している。緊縮政策の強行に対して、労働者階級は生存をかけた怒りの全欧ゼネスト決起を爆発させている。
 第2章は、EUの中軸であるユーロ体制に焦点を当て、通貨と金融は単一であるが財政と国家主権は別々というユーロ体制の構造的矛盾が大恐慌で爆発し、ギリシャ、キプロス危機となってユーロ体制が崩壊しつつあることを、図を多用して明らかにしている。
 第3章は、大争闘戦時代におけるEU、特に仏帝国主義のマリ−アフリカ侵略戦争を弾劾している。
【ニューズ&レビュー】
▽緊縮政策と闘う英独仏のメーデー。独の革命的メーデーのアピールがある。
▽5月8日に強行された動労千葉鉄建公団訴訟控訴審の結審を弾劾している。
【世界経済の焦点】
 米帝の「財政の崖」問題を解明。今や「崖」からずり落ち、「崖」は恒常化していると暴露している。

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週刊『前進』(2587号4面1)(2013/06/10 )

 反原発・改憲阻止で結合を

 福島とつながる さようなら原発6・2集会発言

(写真 大江健三郎さん、落合恵子さんらがデモの先頭に【6月2日 東京・港区】)

 6月2日、「つながろうフクシマ! さようなら原発集会」が東京・芝公園で開催され、7500人が集まった。呼びかけ人など4人の人士の発言要旨を紹介します。(編集局)

 呼びかけ人から

 痛みへの想像力と共感で結びつこう 作家 落合恵子さん

 この国は相変わらずの国策をそのまま続けています。まるで3・11などなかったかのように。だから私たちは忘れない。心に刻みます。防衛費を増やしながら、福祉を削りながら、事前の防災ばかり呼びかけながら原発はそのまま。だからもっとたびたび私たちは抗議をしましょう。声を荒げていきましょう。福島の人びとの苦しみを放置したまま、トルコに原発を売り、インドを始め海外の国々を訪れているこの国の死の商人と死の輸出を私たちが容認することはけっしてできません。
 10万人以上の人びとが家に、古里に帰ることができず福島にいらっしゃる。そのことからも目をそらし、薄っぺらなおがくずみたいな内閣に私たちは共感するものはありません。心からの怒りと理不尽に対する許し難い思いを込めて、もう一度約束しましょう。私たちは福島とつながります。私たちはすべての原発立地の人びととつながっています。憲法が保障した生存権、基本的人権、主権在民、福島の人びとにありますか? 奪っておいて、よくもよくもという気持ちがあります。私たちの痛み。そこから始めていきましょう。
 とにもかくにもこの時代を越えていくために、いくつかのテーマで私たちは柔らかく結びつくことができるはずです。ネットワークという言葉を、私は時に編み物のニットワークに変えたりします。結んでほどく、ほどいて結ぶを私たちはできるはずだと思います。例えば、反原発と憲法改悪阻止の二つのテーマだけで、もっと柔らかく結びつくことは可能なはずなのです。私たちはある地方に、そこに暮らす人びとに命と安全と安心に対する犠牲を強いたまま生きてきた痛みと反省が強くあります。だからこそ結びつきたいのです。
 人あっての発展、子どもの未来あっての繁栄です。開発という名の、発展という名の、拝金という名の堕落と破壊とまやかしの繁栄にもう一度私たちはまっすぐに別れを告げましょう。この鎖から私たち自身を解き放つことができるのは一人ひとりの私たち自身であるという誇りを、もう一度素手で握りしめましょう。何があろうと、どんなはめ方があろうと私は私を売らないぞ。この約束が大切だと思います。
 福島第一原発事故の後、私はずうっと対峙してきた権力がほしいと心から思いました。そしたら子どもを、家族を、学校を、地域社会を、そのまま別の所に移転させることもできるのにと。あの人たちが欲得で結びつくなら、私たちは痛みへの想像力と共感で結びつこうじゃありませんか。

 次世代が生き延びううる世界を残そう 作家 大江健三郎さん

 5月20日の新聞に原発ゼロを目指す私らの考え方が示されました。福島原発事故が終わっていない、地下貯水槽から大量の汚染水が漏れている、汚染された地域の除染が進まない、そして日本中が被災地になる危険を語り、原発ゼロを今決断し直し、実行する必要を思い知らせるものでした。
 同じ日、電力4社が原発8基の再稼働を申請すると報道されました。その隣の記事には原発輸出を急ぐ安倍首相の日印原子力協定へ乗り出そうとする写真もありました。核不拡散条約に加盟していない核保有国インドに対してです。これは広島・長崎への裏切りです。原発再稼働の申請が福島原発事故で苦しんだ人びとへの裏切りであるように。さらに原発ゼロを実現するほかないと今日、日本各地で、ここで集まり声を上げデモ行進をする者らへの裏切りであるように。それは原発ゼロへの意思を圧倒的に表している各種の世論調査の回答者に対する一種の侮辱だと思います。
 なぜそれが許されるのか。なぜそれを現政権に許しているのか。3・11の悲惨を踏まえて私らが原発ゼロをほかにあり得ない選択とした時から2年しかたっていない。
 3・11後、すぐドイツは原発利用に原理的根拠はないと国の方向転換を始めました。次の世代が生き延びることを妨げない、次の世代が生きていける環境をなくさないことが今、人間の持ちうる最大の根本の倫理だというのが彼らの定義です。今それは実現に向かっています。ところが安倍首相が行動の根拠に何を置いているか。政治的、経済的であり、倫理的ということを考えない。この国の社会がその勢いに押されていることを考える必要があります。
 1945年の敗戦の2年後に新しい憲法が施行されると、みんなが興奮した。私は12でしたが、13条のすべて国民は個人として尊重されるという項目に引きつけられた。それまで自分は個人として尊重されたことがない。この生き方でやっていこうと思いました。
 あれから66年、それを原理にして生き、仕事もしてきました。残された日々は短いですが、次の世代がこの国で、アジアで世界で生き延びうる世界を残すことを何よりも根本の倫理的な根拠としてやっていく。それを自覚し直すために原発ゼロへのデモに加わります。

 改憲、再稼働許さず安倍政権打倒する ルポライター 鎌田慧さん

 この芝公園は去年の5月5日、「さよなら原発5・5(ゴーゴー)集会」を開いた場所です。ちょうど全土の日本の原発が全部止まった日だったわけでして、記念すべき縁起の良い場所です。
 8月になるともう一度原発ゼロになります。去年は2カ月ほどで無理やり再稼働させましたけど、今度はそう簡単にはできない。ずっと再稼働できない。私たちの力で再稼働させない。そういう思いの集会として今日が設定されています。
 私たちの基本は福島を忘れないことです。福島の人たちが故郷を失ってしまいました。福島の子どもたちはどんな内部被曝の影響が現れるか分からない。母親たちはそういう不安を抱えながら生活してます。それが日本の現実です。日本の社会は福島抜きには語れない。日本の政治は福島の人たちとともに進んでいくしかない。
 その福島は被曝におののいています。これからどうなるか分からない。福島の第4号炉の使用済み燃料がどうなるか分からない状況です。それを私たちは胸にしっかりと受け止めて、これからデモ行進を盛大にやっていきたいと思っています。
 安倍政権はまったく何も反省していない。しゃにむに再稼働しようと思っています。財界の利益のためです。暴走政権というしかない。このような政権はもう許せない。
 原発はすでに破綻している技術です。人を犠牲にして、人を不幸にして、人をおとしめる発電がなぜ必要なのか。財界のもうけのために人民を犠牲にすることを安倍政権はやろうとしています。私たちの力で絶対に阻止する。それが私たちの子孫から託された私たちの役割であります。
 原発は国の政策で、国の金を投じてやってきました。国家がなければ原発は成立しない。
 今、日本の国家は軍備強化を急いでいます。憲法9条をやめて戦争をする国にしたい。96条を変え、憲法9条を変え、集団的自衛権で戦争をする。そのような国が原発を持ち、再処理工場、もんじゅ、ウラン濃縮工場――これらの原発施設を稼働させながら核大国に向かおうとしている。
 それを防いでいるのは私たちのこの集会です。この集会は平和のために進んでいく集会です。96条改悪を許さない。9条改悪を許さない。再稼働を許さない。安倍政権は打倒する。
 皆さん、本気で、もっと力を出して頑張っていきましょう。今からのデモンストレーションを徹底的に頑張りましょう。

 福島から

 勇気を持って真実を明かし語るとき 農業者 渡辺ミヨ子さん

 私は福島第一原発から25`くらいの所に住んでいました。今は小学5年生の孫と私たち夫婦の3人で田村市内の西側に住んでいます。
 子育て中のころ大熊町に福島第一原発が造られました。周りの人たちがたくさん働きに行きました。私は広島に落とされたあの恐ろしい原爆のことが頭をよぎりましたが、周りのほとんどの人たちが聞いてもいないのに「絶対安全だ」「事故は起きない」「ここには大きな地震は来ない」と口々に言っていました。そして原発のおかげで生活が豊かになったように思い込んでいました。
 あの3月11日の大きな地震のあと原発が4基も爆発して、広島に落とされた爆弾の何百倍もの放射能が飛び散ってしまいました。生まれ育った時から私たちを守ってくれた豊かな自然は、すべて放射能という死の灰で汚されてしまったのです。「安心・安全」という真っ赤なうそと少しばかりの豊かさに踊らされていた自分を悔やみ、未来を生きる子どもたちの空気を思い、流れる涙を抑えられませんでした。
 国は初めから「安心・安全」キャンペーンをやる一方で、福島医大には膨大な予算が充てられました。復興予算、除染費用。毎日、新聞やテレビのニュースでは福島県に充てられる予算の数字が大きな文字で映されていました。今、県内各地に大手企業が入り、除染が行われています。水で洗い、土をはぎ、草木を倒して袋に詰め込むだけで地域が元に戻るわけがありません。雨が降れば大地の放射能は川へ海へ流れるのです。汚染水のタンクが、汚染物の詰まった袋が所狭しと増えるばかりです。30`圏内の私たちの地域では山菜から1万何千ベクレルというセシウムが検出されましたが、帰っている年輩の人たちは知らずにそれを食べてしまうのです。福島で起きていることの真実を隠したいと考える人たちの強い力があるように思えてなりません。
 先日、総理大臣が、わが国の世界一の技術の原発を外国へ輸出すると言っていました。福島の原発が世界一の技術であるならば世界中の原発は今すぐ止めなければいけないでしょう。なぜどの国よりも放射能の恐ろしさを体験済みの日本が外国へ輸出することが許されるのか。経済成長戦略にとらわれすぎて道を誤ってはいけないでしょう。
 原発のごみと国の大きな借金で未来の日本が苦しむことがないように、今考えを新たにするときではないでしょうか。勇気を持って真実を明かし、福島の真実を語り、世界中の英知を結集し、福島を日本を母なる地球を守っていきましょう。

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週刊『前進』(2587号4面2)(2013/06/10 )

 6万人が国会大包囲

 原発立地住民が次々と発言

(写真 国会前を埋めた労働者民衆。安倍政権の原発政策に抗議の大集会【6月2日】)

 6月2日、芝公園、明治公園での反原発集会・デモを終えた労働者民衆は、その勢いのまま国会周辺に向かって進んだ。午後4時から国会を包囲。約6万人が5時から国会議事堂前や首相官邸周辺で集会や抗議行動を展開した。
 国会前は人で埋め尽くされ、まったく身動きできない。「原発いらない!」「福島忘れるな!」「再稼働反対!」「伊方許すな!」「泊も許すな!」。激しいドラムのリズムに合わせ、地響きのようなコールが続いた。

 泊、大間、柏崎刈羽

 国会前の集会では原発立地の地元で闘う人たち十数人が次々に登壇し、安倍政権への煮えたぎる怒りと原発をなくすまで闘う気概を語った。
 北海道電力泊原発と闘う住民は「3月9日、岩内で反原発の集会が予定されていた。しかし、猛吹雪で高速道路も一般道路も車が通行できず中止になった。事故が起こっても逃げられない」と規制委員会を弾劾。さらに北電の再稼働に対し闘っていくと表明した。
 電源開発の大間原発(青森県)建設に反対して闘っている男性は「完成すれば世界一危険なフルMOXの大間原発の建設が進んでいる。炉心から300bでは、故熊谷あさ子さんが売却せず娘の小笠原厚子さんが守っている“あさこはうす”とその土地がある。建設をなんとしても止める。今月16日には現地で第6回大間原発反対現地集会と大間町内デモを行う」と、結集を訴えた。
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)に反対し闘っている男性は「柏崎刈羽原発は100万`ワット級の原発が7基もある。それが爆発したら新潟県民は全員死亡。刈羽村は一昨年は雪が3b降った。雪が降ったら避難も何もない。われわれも苦しいかもしれないが、どこか再稼働を粉砕すればやつらはがたがたになる」と力強く述べた。

 浜岡、上関、伊方

 中部電力浜岡原発(静岡県)に反対して闘っている住民は「浜岡原発は、東海地震の震源域の真上に存在し、世界で最も危険な所にある。私たちは、5基の原発のうち、3・11前に1、2号機を大衆的な行動で廃炉に追い込んだ。自信をもって原発廃炉に向かおう。残っている3基を必ず廃炉に追い込むことを約束し、宣言します」と確信も固く語った。
 中国電力の上関原発(山口県)建設と闘っている祝島の住人が青年とともに登壇し、発言した。「31年反対運動を続けて来ました。デモの回数は1162回、毎週、みんなの意思を固めるために続けています。4年前、中国電力が600人で埋め立て工事の総攻撃を行った時は、島の船20〜30隻と、陸上では全国から集まった200人くらいの人で阻止しました」と不屈の闘いの歴史を報告した。
 四国電力伊方原発(愛媛県)の地元の2人の女性が発言した。「過疎地を犠牲にして原発を造ってきたやり方が許せない。だからこの国会前に来て国会を包囲したかった。安全な原発なんてない。国も県も信じられない。皆さんの声で原発を止める以外にない」「伊方原発から6`のところに世界でも有数の活断層があります。もし事故が起これば瀬戸内海は死の海になります。先輩たちがずっと闘って私たちの世代を守ってくれたように、次は私たちが次の世代を守る番です。頑張りましょう」と呼びかけた。さらに愛媛の若者グループから女性2人も登壇。「伊方原発とめまっしょい! とめまっしょい!」とコールし、全体が唱和した。福島県、福井県の住民、島根原発、東海第二原発(茨城県)、志賀原発(石川県)、川内原発(鹿児島県)の地元で闘う人びとも発言した。

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週刊『前進』(2587号4面3)(2013/06/10 )

 2013年日誌 5月28日〜6月3日

 日印が原子力協定早期妥結へ/連合、「改憲尚早」の文言削除へ

●NSC参加者に守秘義務の方針 安倍政権は、日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設に関し、NSCのメンバーとなる首相や閣僚に守秘義務を課す方針を決めた。6月上旬にも閣議決定する。(28日)
●防衛相、グアム視察 小野寺五典防衛相は、在沖米海兵隊の移転先となっているグアム・アプラ地区の海軍基地と、アンダーセン空軍基地を視察した。(29日)
●日印首脳、原子力協定「早期に妥結」 安倍首相はインドのシン首相と会談し、インドへの原発輸出に向け、日印原子力協定の「早期妥結」で合意した。(29日)
●7月中にも再稼働申請 原子力規制委員会が原発規制の新基準を7月18日までに定めるのを受け、北海道、関西、四国、九州の4電力会社が計8基の原発について、7月中にも再稼働のための申請を原子力規制委員会にする見通しとなった。(30日)
●もんじゅに管理改善命令 高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)で約1万個の機器の点検が放置されていた問題で、原子力規制委は、日本原子力研究開発機構に対して、原子炉等規制法に基づき安全管理の改善命令を出した。残る機器の点検や再発防止対策を終えるまで運転再開の準備作業を認めない。(30日)
●東証、リーマン時以来の下落幅 東京株式市場で日経平均株価の終値が737円の急落、今年2番目の下げ幅になった。23日以降1週間の下落幅は2千円を超え、リーマン・ショック時以来の大きさになった。(30日)
●防衛局、埋め立て申請補正書を提出
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て申請をめぐり、沖縄県の補正指示を受けていた沖縄防衛局は補正書を県に提出した。(31日)
●連合、「改憲尚早」の文言削除へ
連合は中央委員会で「政治方針」の改定案をまとめた。憲法改正について「時期尚早」とする立場を見直し、この文言を削除する。10月の定期大会で正式に決める。(31日)
●IMF、日本に財政健全化促す 国際通貨基金(IMF)は、日本経済についての年次審査を終え、消費増税などにより財政健全化を着実に進めるよう強く求める声明を公表した。(31日)
●防衛装備品共同開発、英仏と推進へ
 小野寺防衛相は31日の英国防相との会談で化学防護服の共同開発について合意に向け協議推進を確認したのに続き、仏国防相とも防衛装備品の共同開発の合意に向け協議を本格化することで一致した。(2日)
●F15墜落、訓練再開に抗議 沖縄県の米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機1機が沖縄本島の東約130`の海上に28日墜落したが、米軍は2日後に訓練を再開。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会は同基地第18航空団と沖縄防衛局に対して抗議し、原因究明とその間の飛行停止を求めた。(3日)
●トルコのデモ、67都市に拡大 トルコ最大の都市イスタンブールで31日に始まった反政府デモは67都市に拡大し、拠点となっている同市タクシム広場などを数千人が占拠した。(3日)

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週刊『前進』(2587号4面4)(2013/06/10 )

 訂正

 前号4面の青森県委員会論文の中で、第3章「国鉄闘争を貫き職場から」の1、2行目の続きの2行分を下の段に置く誤りがありました。この2行を第3章の1、2行目の後に挿入し、その後に現行3、4行目が続くように訂正し、おわびします。

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週刊『前進』(2587号4面5)(2013/06/10 )

【要項】6・16第6回大間原発反対現地集会、なにがなんでも!全原発廃炉7・11東京集会

第6回大間原発反対現地集会

6月16日(日)午前11時10分(集会後デモ)
大間原発に反対する地主の会・所有地
(青森県下北半島・大間町)
主催   大間原発反対現地集会実行委員会
呼びかけ 核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会
     ストップ大間原発道南の会/PEACE LAND
協賛   大間原発訴訟の会/なくそう原発・核燃、あおもりネットワーク/大間原発に反対する会

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なにがなんでも!全原発廃炉

7・11東京集会

7月11日(木)午後6時開場 6時30分開会
座・高円寺2
 (杉並区高円寺北2−1−2/JR高円寺駅北口徒歩5分)
 ふくしま共同診療所からの報告
 被ばく労働拒否で闘う労働組合・動労水戸からの報告
主催 すべての原発いますぐなくそう!全国会議(NAZEN)

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週刊『前進』(2587号5面1)(2013/06/10 )

 原発再稼働絶対阻め

 7月に5社が13基を申請 安倍政権に百万の怒りを

 東電も柏崎刈羽の2基狙う

 安倍政権は、7月18日までに原子力規制委員会が新しい規制基準を施行するのに合わせて、電力5社が7原発13基の再稼働を規制委に申請する形で、再稼働に踏み込もうとしている。原発を持つ電力会社のうち、東北電力・北陸電力・中部電力・中国電力を除く5社が再稼働に一斉に乗り出すのだ。昨年の大飯原発再稼働反対の闘いを上回る巨万決起で絶対に阻止しよう。今こそNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)を拡大・強化し、7・11東京集会、8・6広島−8・9長崎闘争に総決起しよう。
 7月に再稼働申請が見込まれているのは、北海道電力泊原発1〜3号機、東京電力柏崎刈羽原発1・7号機、関西電力高浜原発3・4号機、四国電力伊方原発3号機、九州電力川内原発1・2号機と玄海原発3・4号機である。さらに、関西電力は、9月に定期検査入りする大飯原発3・4号機についても12月に再び稼働させるため、7月に申請する計画という(毎日新聞5・31付)。原発を持っている電力会社9社のうち5社が、再稼働に乗り出すというのだ。福島第一原発事故を引き起こした東京電力もが、なんの責任も取らないで柏崎刈羽原発の再稼働を申請しようとしている。
 これはもう、“3・11の前の状態”に戻すに等しい。福島第一原発事故が収束していないのに、第2、第3の原発大事故を引き起こそうというのか。今なお16万人が避難したままなのに、さらに全国各地の再稼働で何百万人もの人を古里から追い立てようというのか。3・11以降ずっと福島を始め首都圏・全国の人たちを被曝させ続けていながら、またも膨大な人々を被曝させ傷つけようというのか。
 こんなことは絶対に許さない。私たちは3・11で誓った。二度とこのような原発事故は起こさせないと! 原発は絶対に廃炉以外にないと! 原発を認めるような社会そのものを根底から変えるしかないのだと! 人生をかけたこの誓いをなんとしても貫き、再稼働を絶対にくいとめよう。再稼働について規制委の審査は数カ月から「半年かかる」(田中俊一委員長)と言う。7月の申請以降、今秋過程のすべてを含む再稼働阻止の決戦を猛然と闘いぬこう。

 「成長戦略」に延命をかける

 この一斉再稼働の方針は、安倍政権の判断による。安倍政権は、6月半ばに閣議決定する「成長戦略」に原発活用と再稼働を明記しようとしている。国鉄分割・民営化の首切りの張本人である葛西敬之(現JR東海会長)は、資本家階級の意志を体現して、原発再稼働を主張している(読売新聞5・26付)。さらに、鉄鋼・造船重機械関係労組からなる基幹労連は、「早期の再稼働」を基本政策として打ち出した。資本家階級と体制内労働運動幹部は、今やそろって再稼働に突進し始めたのだ。
 安倍政権は、再稼働と一体で原発輸出にも乗り出している。5月にはトルコなどへの輸出を実質的に決定し、核を保有するインドとも原発輸出のための原子力協定妥結を急ぐことを確認した。日帝は鉄道・水などとともに原発輸出をインフラ輸出の柱と位置づけ、死活的な延命策にしている。「日本の最高水準の技術、過酷な事故を経験した中での安全性への高い期待が寄せられた」などとうそぶく安倍を許してはならない。チェルノブイリ事故の後にソ連の原発輸出はなく、安倍政権の原発輸出策は人類史上未曽有の大罪である。
 安倍政権は再稼働のために何よりも、フクシマの怒りを抑えることにしゃにむになっている。6月5日に福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会の新体制が決まった。山下俊一と神谷研二は、福島と全国の怒りにより、居座り続けられなくなった。しかし、新しい委員連中も極悪だ。稲葉俊哉(広島大学原爆放射線医科学研究所長・教授)は、早くも11年4月に「事故で甲状腺がんが増える可能性は低い」と断定していた。高村昇(長崎大学原爆後障害医療研究所国際保健医学福祉学研究分野教授・県放射線健康リスク管理アドバイザー)は、11年3月25日に飯舘村を訪れて「健康に害なし」と説明したが、その後の4月11日に飯舘村全域で避難となった。清水修二(福島大経済経営学類教授)も委員となった。内部被曝の隠蔽(いんぺい)を許さず、フクシマと全国の怒りをたたきつけよう。

 脱落・日帝の焦りとあがき

 このように、再稼働攻撃には日帝の凶暴さが現れているが、同時に労働者人民との非和解性と再稼働策動の破産性も浮き彫りになっている。安倍政権にはなんの成算もない。軍事用プルトニウム確保のために核燃料サイクル推進に固執し、そのために再稼働にこぎつけようと狙っている。しかし、核燃料サイクル政策もボロボロになっていて、それすらなんの計画性もない。
 日帝を再稼働に駆り立てているのは、3・11で脱落帝国主義と化したことへの焦り、なんとか巻き返したいというあがきでしかない。資本家階級は破産した新自由主義にしがみつくことしかできず、結局は破滅に転落していく以外にない。すでに経済政策で大破産がさらけ出された。原発も同じように、労働者人民が立ち向かえば安倍政権の狙いを必ず粉砕できる。むしろ核も原発もない社会へ、革命的な前進に転化することができるのだ。
 6・2反原発闘争には、再稼働が狙われている各地から多くの人たちが決起した。何よりも、福一原発の労働者自身が、「いつまでも仮設ではどうしようもない」「きちんとしたものを技術のあるメーカーに造らせず、安かろう悪かろうの悪循環になっている。みんな文句を言っているよ」「耐久性のあるものに交換すべきだと東電に提案しても、『予算がない』と却下される」と批判している(東京新聞5・1、5・5付)。労働者階級には全原発廃炉の力がある。ここに確信を持って、絶対に再稼働を止めよう。
(写真 青年労働者を先頭にNAZENの隊列が元気にデモを盛り上げた【6月2日 東京・芝公園】)

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週刊『前進』(2587号5面2)(2013/06/10 )

 6・20広大全国集会に結集し自治会選挙の勝利へ闘おう

 マルクス主義学生同盟中核派・広島大学支部

 百武君への処分を許さず団結を拡大

 来たる6月20日、広島大学西条キャンパスで開催される「百武君への処分阻止! 広大に学生自治会をつくろう! 全国学生集会in広島大学」(主催・広島大学学生自治会準備会)への大結集を全国学友に訴えます!
 いよいよ広大に学生自治会を打ち立てる時がやってきました。6・20集会は、学生自治会準備会代表・百武拓君(理学部3年)への不当処分を阻止し、自治会執行部選挙(6月26日〜7月5日予定、全学投票)の成功をかちとるための1日行動です。広大生と全国学生の団結をつくり出そう。
 原発再稼働に突き進む安倍政権への怒りが、大きなうねりとなって爆発しています。6・9国鉄集会は、闘う労働組合・学生自治会の力で新自由主義と安倍政権を打倒し、21世紀革命へ突き進む展望を示しました。この高揚を引き継ぎ、6月20日、広大キャンパスで怒りの火柱をあげよう!
 法大生・武田雄飛丸君の処分撤回を求めて4・25法大闘争に決起し、不当逮捕された百武君は10日間の勾留の後、5月5日に不起訴奪還されました。ところがその百武君を、広大当局は「懲戒処分(退学・停学を含む)の対象」として「呼び出し」を行いました。絶対に許せません。
 広大キャンパスでは怒りが渦巻いています。クラス討論では「なぜ逮捕されたのか?」「不当逮捕で処分なんてあるのか?」と質問があがり、活発な討論が起こっています。連日200〜300枚のビラが手渡され、すでに130をこえる「処分反対メッセージ」が集まっています。
 百武君への処分は全広大生−全国学生の問題です。百武君はサークル自治団体の代表として学内規制に反対し、学生の自治・自由を守る闘いの先頭に立ってきました。そして、学生自治会準備会の代表として自治会建設を呼びかけてきました。百武君への処分は、学生を処分で脅して従わせるための「見せしめ」であり、自治会建設を妨害しようとする広大当局の恐怖のあらわれです。法大当局による武田君への「無期停学」処分とまったく同じです。
 学生運動への処分をはね返す力は、学生運動の中にのみあります。自治会建設運動への処分策動は、広大生が自治会建設をやり抜くことによってのみ粉砕できます。6・20集会と自治会執行部選挙の成功こそ、処分阻止の展望です。
(写真 教室で処分阻止・自治会建設を訴える百武君に学生が注目)

 原発再稼働阻止・神谷打倒の原動力

 学生自治会建設は、原発再稼働・海外輸出にのめり込む安倍政権と、「福島圧殺」の最先兵である御用学者=神谷研二(広大副学長)を打倒する闘いでもあります。
 3・11以降の反原発の闘いが、原発再稼働を阻んできました。その巻き返しをかけて登場した安倍政権は、インフラ・パッケージ輸出を「成長戦略」の要とし、「2020年までにインフラ輸出を30兆円に拡大する」と主張し、原発を海外に売り込むことで生き残ろうと必死です。安倍はトルコやインドなどを訪問し、「事故の教訓から安全性を高めた」「日本の原発は世界一安全」などと許しがたい宣伝を続けています。この間明らかとなったもんじゅ点検漏れや敦賀原発2号機直下の活断層問題に追いつめられながらも、7月18日発表の「新規制基準」を契機に原発再稼働を狙っています。
 安倍政権の原発推進は、「フクシマの怒り」の圧殺なしには一歩も前に進めません。それゆえ、安倍政権と日帝ブルジョアジーは原発推進の御用学者を大学の中枢に据え、「安全神話」に学問的お墨付きを与えようとしています。その象徴が、本年4月から広大副学長(復興支援・被ばく医療担当)に「昇格」した神谷研二です。
 神谷は原発事故直後から福島現地に派遣され、福島県立医大副学長として「放射能安全神話」を振りまき、内部被曝の危険性を否定して「福島は安全」とデマ宣伝を続けてきた極悪の犯罪者です。福島では約17万4千人の子どもの甲状腺検査で12人が甲状腺がん、16人が疑わしいと診断されています(これもまだ一部にすぎない)。にもかかわらず、神谷ら御用学者は「原発事故による被曝との因果関係はない」と主張し、政府・東電の責任を免罪し続けています。他方、神谷は福島県民全員から被曝データを集めるプロジェクトの責任者として、「貴重なデータ」収集に熱中してきたのです。
 神谷副学長体制と百武君処分策動。ここに「原発推進大学=広大」の構図は明らかです。福島の怒りと連帯し、再稼働と福島圧殺のための処分を阻止しよう。それは、安倍政権を打倒し、広大浅原学長−神谷副学長体制を打倒する闘いです。広大自治会建設は、全国・全世界人民の未来をかけた決戦です。

 革命に向かっての学生自治会建設を

 5月28日に安倍政権の教育再生実行会議は「これからの大学教育等の在り方について」(第3次提言)を発表しました。「世界の中で競争力を高め、輝きを取り戻す『日本再生』」には大学改革が不可欠とし、2017年までの「大学改革実行集中期間」で大学・教育をブルジョアジーのもとに制圧することを狙っています。「大学のグローバル化」「産学官連携の強化」「学長権限の強化」による新自由主義大学化の徹底推進です。会議副座長の佃和夫(三菱重工業相談役)は、「原発再稼働」と「安保・防衛力強化」を叫ぶ広大経営協議会委員でもあり、佃は安倍の手代となって広大を牛耳っています。
 私たちは、「教育は誰のものか」「大学の主人公は誰なのか」を根本的に問うて自治会建設決戦を闘います。帝国主義の絶望的延命形態である新自由主義は、本来であれば未来を体現するはずの大学・教育を資本に隷属させ、学生の可能性を押しつぶすことによってしか成り立ちません。
 自治会建設とは、学生の団結と行動で新自由主義大学を転覆し、実力で大学・教育を奪い返す闘いであり、階級的労働運動の前進と一体で、「大失業と戦争」に突き進む帝国主義を打倒する、すなわちプロレタリア革命を目指す闘いです。私たちは「革命に向かう学生自治会建設」をかちとります。大衆的な活動家形成を推し進め、広大自治会建設への全国的求心力を高め、革命への情熱をたぎらせて6〜7月決戦を駆け抜けます。
 「広島大学学生自治会建設は、『3・11情勢』での法大闘争−京大同学会−東北大自治会の全成果と蓄積をさらに発展させるものとして闘いとられる。その勝利はプロレタリア革命と全国300万学生総決起への号砲をうち鳴らすものとなる。
 『フクシマの怒り』と結びつき、反原発闘争と反戦反核闘争を広島の地で一体化させ、新自由主義大学を根底から覆す広大自治会再建は、全学連運動を300万学生の怒りを体現する大衆的運動体としてさらに大きくおし広げ、学生の可能性と革命の展望を全人民にたいして明あかと示すものになるだろう」(『共産主義者』第176号、中央学生組織委員会論文)
 6・20大結集の力で自治会執行部選挙に勝利し、8・6ヒロシマ闘争へ突き進もう!
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百武君への処分阻止!
広大に学生自治会をつくろう!

全国学生集会in広島大学

◇6月20日(木)正午〜昼集会(東広島キャンパス・スペイン広場)
◇夕6時〜全国学生集会(総合科学部講義棟内)

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週刊『前進』(2587号5面3)(2013/06/10 )

 TPPを撃つA

 雇用と生活への影響

 190万人が新たに雇用失う

 規制緩和で「食の安全」崩壊

 日帝の敗勢と立ち遅れあらわに

 前回明らかにしたように、TPP(環太平洋経済連携協定)とは、没落の危機にあえぐ米帝の死活をかけた一大国家戦略であり、それは対中対峙戦略であるとともに、激しい対日争闘戦である。
 にもかかわらず、日帝・安倍政権はTPP参加へ絶望的に突き進む以外にない。今回は、TPPが労働者人民の雇用や生活にどんな影響をもたらすかを見ていきたい。

 あばき出された政府試算のうそ

 5月22日、大学教員890人でつくる「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」が、TPPに参加した場合の影響について試算を発表した。それによると、農林水産物33品目の関税を撤廃した場合、関連産業と合わせて生産額は約10兆5400億円減少し、雇用の喪失は農林水産業で146万人(12年度農業就業人口の58%)、関連産業も含めれば190万人に達するとされた(13年3月の完全失業者数280万人の68%に相当!)。国内総生産(GDP)も約4兆8000億円(1%)落ち込む見込みだ。
 政府が3月15日に発表した試算では、「農林水産業は約3兆円減少するが、雇用は減らず、GDPは約3・2兆円増加する」などとされていた。しかし、これは農林水産業の損失のみを計算し、関連産業(商業、製造業、運輸業など)がこうむる損失を一切考慮に入れず、雇用や所得の減少にともなう消費の鈍化も度外視した上、「輸出拡大で企業が潤い、雇用が拡大し、個人消費が3兆円増える」などという「バラ色の未来」を想定したものだった。今回、この政府試算のデタラメが完全に暴き出された。
 だが、TPPの影響は、大雑把な経済指標では表示されない私たちの日常生活のさまざまな部分にも現れる。例えば「食の安全」の崩壊だ。
 米国通商代表部(USTR)の2013年外国貿易障壁報告書では、TPP参加国が撤廃すべき「貿易障壁」(資本の金もうけの障害となる法律や規制)が列挙され、金融規制、労働規制、公衆衛生に関する規制、さらには宗教的規範に至るまでやり玉にあげられている。とりわけ同報告書は、日本に対して詳細な政策批判を展開し、「食品表示制度が消費者に余計な情報を与えている」と非難。「食材および食品添加物の名称を含有率とともに表示させ、製造過程の説明も義務づける現在の日本の制度は厄介なもの」であり、「ライバル企業に機密情報を公開してしまうリスクがある」と批判した。
 昨年3月に発効した米韓FTAで、韓国側は1年間に63もの国内法の改正を余儀なくされたが、TPPによる包括的な規制緩和はいっそう過酷なものになると予想される。遅れて交渉参加する日本が、これらの要求を突っぱねて自国に有利な交渉を進めるのはおよそ不可能である。安倍は輸出でもうける大企業の利益のために、労働者人民の生活を際限なく破壊していく以外にないのだ。

 日帝の延命の道はどこにもない

 5月30日、安倍は内閣府が都内で開いた国際会議後の歓迎会であいさつし、「TPPへの交渉参加は何年にもわたり、国論を二分してきた。もう議論は十分だ」「行動あるのみ。間もなく交渉に参加する」と発言。TPP担当相の甘利明も同日、都内で講演し、6月中旬にまとめる政府の成長戦略について「TPP交渉参加が(成長戦略の)柱だ」と強調した。
 だが、果たしてTPP参加で日帝の「経済成長」などあり得るのか。答えは否である。世界大恐慌と大争闘戦の時代において、日帝には主要帝国主義からの脱落の道しか残されていないのだ。TPP交渉参加をめぐる現状は、そのことをまざまざと示している。
 4月に終了した日米事前協議では、安倍が「守る」と主張した米などの重要5品目については議題にすら乗せられず、他方で米側の自動車輸入関税の引き下げは最大限延期させられる完全敗北となった。TPPをはじめ新自由主義政策を批判してきたJ・ケルシー教授(ニュージーランド・オークランド大学)は、「日本の譲歩は異例だ」と指摘している。
 TPP交渉の次回会合は7月15〜25日と決まったが、日本が参加できるのは最後の3日間だけで、本格的な参加は9月に先送りとなった。この立ち遅れは日帝にとって致命的だ。その上、交渉参加11カ国のうち7カ国の11財界・業界団体は5月20日に共同声明を発表し、日本が参加しても交渉スピードを一切緩めないことを要求、TPPの年内妥結をあらためて強く迫った。また声明は「TPPは、日本および他の交渉国に、包括的でどの分野・品目にも例外を認めない高水準の貿易を要求している」と念押しした。
 現時点で譲歩に譲歩を重ね、大幅に遅れて交渉に参加する日本が、「交渉力」次第で「聖域」を守れるかのように描くこと自体が完全にペテンなのである。ましてTPP参加で「経済成長」などまったくの絵空事だ。
 今やアベノミクスの破綻があらわとなり、戦争・改憲と新自由主義の安倍政権に対する労働者人民の怒りの声はかつてなく高まっている。6・9国鉄闘争全国集会の地平を打ち固め、闘う労働組合を軸にTPP断固阻止へ闘おう。三里塚反対同盟が呼びかける7・14全国集会に結集しよう。
〔水樹 豊〕

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週刊『前進』(2587号5面4)(2013/06/10 )

三里塚裁判傍聴を!

◎団結街道裁判
6月18日(火)午前10時30分 千葉地裁
 (傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合)
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市東さんへの農地強奪判決阻止!

7・14全国総決起集会

7月14日(日)午後1時
千葉市中央公園(千葉市中央区中央1ー12ー1)
主催/三里塚芝山連合空港反対同盟

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週刊『前進』(2587号6面1)(2013/06/10 )

団結ひろば 投稿コーナー 団結ひろば 投稿コーナー

 「郵政2021」粉砕へ現場から闘いを! 郵政労働者 由利徹

 新年度が始まり、早2カ月、わがM局も局長が替わり、”何か変化があるか?”と期待していたが、何も変化がない。人が足りないのに、朝礼は長々と20分もかけ、超過勤務は当たり前という状況が続いている。
 さて、今全国どこの局でも行われみんなの頭を悩ませている問題が「かもめーる」だろう。先日も局長が班長ミーティングに顔を出して販売促進の檄(げき)を飛ばした。最近では、かもめーるの予約が取れないと、朝礼時に「昨日の実績はゼロでした」と言わされ、なぜゼロだったのかの原因と今日の目標を発表させられる。いわばさらし者にされ、朝から労働者をブルーな気持ちにさせる。M局ではそんなことを朝からやっている。実にくだらない。業務に追われ、そんな暇はないというのに。
 そして6月から始まるDOSS(*)とやら。日々の業務実績が数字上ではじき出され、管理者のよくいう”見える化”が表される。われわれ現場にとっては苦痛で面倒な作業だし、労働者同士の競争をあおり、団結を奪う道具に過ぎないものだ。こんなものを許すわけにはいかない。
 そんな中、JP労組は今夏の全国大会議案に「新人事・新給与システム」をあげている。私自身この施策には反対だし認めるわけにはいかない。こんな制度を認めたら安全は無視され、まるで管理者の思うツボにされてしまう。「郵政2021」「新人事・新給与システム」に対し、一人ひとりが現場から反対しよう。
 *DOSS 集配業務支援システム。配達担当者が携帯端末機を持たされ、配達物数を確認したり、作業別に労働時間を入力したりして「業務のむだを省く」というもの。これで各人の作業能率をグラフ表示することを「見える化」と呼んでいる。(編集局注)

 三宅氏を講師に招き反原発学習会第8弾 東京 風間義治

 5月28日に大井町きゅりあんにおいて「原発とめろ!新橋アクション」の主催で、ジャーナリストの三宅勝久さんを講師に招き、学習講演会が開かれました。「東電直撃デモ」を続けてきた新橋アクションの学習会企画は、今回で第8弾。
 最初に、5月18〜19日の柏崎刈羽原発再稼働阻止バスツアーの報告が、主催者から写真スライドを使って行われました。07年の中越沖地震のつめ跡が今も残る中で、柏崎刈羽原発の立地がいかに危険なものかが具体的に報告されました。
 続いて「電力腐敗の闇を暴く/止まれ♪原発天下り行進曲」と題して、三宅さんの講演に移りまた。三宅さんは、電力会社・関連企業と政府・財界との癒着の構造を暴き、東京電力のうそやごまかしの情報操作によって原発再稼働が策動されていることを指摘しました。そして、自らの地道な調査を通じて解明した、原発推進御用労働組合である関西電力労組が「政治団体」を通じて違法な献金を行って民主党政権を支えていた事実や、官僚が原発関連企業に天下りしている実態を、鋭く批判しました。
 活発な質疑応答が行われ、最後にJP労組銀座支部の星野勝紀さんが行動提起を行いました。「個人の声を集団的力に形成し、原発をとめる具体的実践に打って出よう」と訴え、6・2反原発行動、6・9国鉄闘争全国集会、6・20東電直撃デモ、6・26東電株主総会抗議行動への参加・結集を呼びかけました。
 東電の責任を徹底追及し、再稼働阻止、全原発廃炉へさらに闘おう!

 5月沖縄闘争に参加して

(写真 辺野古の浜で新基地建設を阻止する気概に燃 えて団結ガンバロー【5月20日 名護市】)

 すべての基地・核なくすまで 労働者 山川さくら

 初めて沖縄闘争に参加しました。ガマ、ひめゆり資料館、基地を見て、沖縄の人たちに「戦後」はあったのだろうか……と何とも言えない気分になりました。
 日本は戦後も自衛隊という名の軍隊を持ち続け、日本中に米軍基地をつくることを許し、海外で戦争をするアメリカの支援をしてきました。
 私の仕事は子どもに携わるものですが、子どもたちに沖縄のイメージを聞くと、きれいな海にいろいろな魚がいて白い砂浜の観光地。「沖縄には、米軍の基地がある」と話したら、数人の子どもが「戦争はしたらいけないんだよ」と言っていました。
 集会では、全国から集まった青年の発言を聞き、労働者は粗末に扱われ、学生は希望をくじかれている実態を知り、怒りを感じました。
 「何とかしたい」と思って入った労働組合では、会議の内容を職場で組合員以外の人に話してはいけないことにされています。
 これでは現場の声が組合員に届かないし、仲間を増やせないと、交流集会で話したら、「社会や職場の問題の原因を明らかにし、解決、改善するには組合員でない人を含めて話をすることが重要だ」と指摘されました。
 96条と9条の改憲は絶対に許してはいけないし、すべての基地、核施設をなくしたい、と本気で思います。命が大事にされる社会になるまであきらめずがんばります。

 仲間と団結し自治会再建へ 沖縄大学1年生 上地秀彦

 1日目の南部戦跡めぐりやひめゆり資料館見学では、沖縄で育った沖大生も、よりリアルに戦争の恐ろしさを感じました。安倍の戦争策動や橋下の慰安婦発言にあらためて怒りを感じました。
 国際通りのデモで「安保粉砕、基地撤去!」「安倍を倒せ!」と、道のど真ん中で叫びました。沿道の反応が去年にも増して良かった気がします。参加した沖大生も「最初はデモの激しさにビックリしたけど、みんなが怒ってることを実感し、街の人の反応を見ても怒っていいと思った」と言い、デモの最後には彼自身も大きく声をあげていました。
 集会での、イドンソク教授の講演や富田晋さんの基調提起を聞いても、沖縄は「戦争の島」ではなく「国際連帯の島」と位置づけることが正しいと思いました。
 19日の学生交流集会は、多くの沖大生と高校生で全国の仲間を迎えることができました。全学連の斎藤委員長の基調提起には沖大生だけでなく高校生も夢中でメモを取っていました。奪還された青野君、百武君の発言の元気の良さに、沖縄の学生は「逮捕されていたとは思えない」と驚きながらも勇気づけられたと思います。沖大生が初参加者の発言の場で「沖大で学生自治会をつくって闘いたい」と宣言した時に、この集会の成功を確信しました。
 3日目の辺野古現地での闘争は、「自治会をつくりたい」と言った学生が前日に参加を決めてくれました。名護市現地のデモでは、彼と一緒に最初から全力でデモに参加しました。私も、沖大学生自治会の再建のためにがんばります。

 デモと集会で大衆の力確信 広島大学 刈部賢輔

 私は、今回初めて沖縄に行きました。本州に比べて湿度が高くて驚きました。68年前の沖縄戦もこのような気候だと聞きました。
 初めに全国の仲間と再会し、轟壕(トゥルルシガマ)に行きました。その周辺は自然が豊かで神秘的だと感じました。実際に入ってみると入り口は狭く、暗く歩きにくい場所でした。当時ここに600人がいたと聞き、恐ろしく思いました。
 デモと集会を通じて、大衆の力で基地をなくし社会は変わると確信しました。

 考えてほしい福島と沖縄を 福島大学1年生 根本和昭

 沖縄の問題を、今回の企画でじかに感じることができました。国際通りのデモではたくさんの地元の人が手を振り、その反応の良さに驚きました。沖縄の戦時の歴史にも触れて、けっして忘れてはいけないものだと再認識しました。
 米軍基地に赴いた時は、まずその規模に驚きました。そして嘉手納基地ではジェット機の騒音を初めて聞き、毎日あの音と生活するのはとても苦痛だとわかりました。普天間基地では初めてオスプレイを見ました。機体数が見える限り9機だったので、残りの2〜3機はこの空を飛んでいるのかと思うととても悲しく不安に思いました。
 私は2日間だけでしたが、とても内容の濃い2日間でした。ただ、デモの時もよい反応をしてくれるのは年配の方で、若者はビラをもらうが読まずに過ぎ去る光景が多かった。私は3・11に対しての福島の学生の反応を思い出しました。
 ちゃんとした考えを持った若者や学生はいますが、大多数が3・11はもう終わったことと思っている印象を私は持ちました。それに似たような現象が沖縄でも起きているのか。一人ひとりが福島のこと、沖縄のこと、日本のことを考えてほしい。原発や津波の被害で苦しむ人や地域を忘れないでほしいと思います。

 沖縄の若者の積極性感じて 富山大学 野々宮孝一

 沖縄での活動を通して率直に思ったことは、沖縄と本土の社会に対する思いの温度差です。最近は特にMV22オスプレイの配備や辺野古新基地建設問題など政治的にかなりホットな情勢で、高校生・大学生を中心とする若い世代の社会問題に対する取り組みが自分の地元の富山と比べて、きわめて積極的で先進的であることを感じました。
 学生世代が社会問題としっかり向き合えるために、考えるきっかけ・活動できる環境・意見できる環境が、いま求められている重要な課題です。

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週刊『前進』(2587号6面2)(2013/06/10 )

 星野同志解放へ全証拠開示を

 星野暁子さん5・22集会での発言

 “星野文昭を取り戻す運動は新自由主義と闘う希望の砦”

 5・22裁判員制度廃止全国集会で星野暁子さんは、無実の政治犯・星野文昭さんの解放へ向け全証拠開示運動に総決起することを熱烈に訴えた。暁子さんの発言を掲載します。(編集局)
(写真 5・22集会でアピールする星野暁子さん)

 5・22集会に参加された皆さん、こんばんは。
 私の夫の星野文昭は1971年11月14日の沖縄返還協定批准阻止闘争で「殺人罪」をデッチあげられ、無期懲役刑で獄中38年を迎えています。デモ参加者のうその証言でデッチあげられたのです。現在は第2次再審請求中です。
 私は獄中結婚をして27年になります。ともに再審を闘っています。
 全証拠開示を求める署名にご協力ありがとうございます。賛同は弁護士271人を含む800人に、署名は4万1277筆寄せられています。
 新自由主義攻撃としての司法改革、その核心である裁判員制度に反対する運動のみなさんとともに、その一翼として闘います。
 現在の裁判は戦時下の簡易・迅速・厳罰裁判をそのまま引き継いでいます。戦前にもなかった自白調書の証拠能力を認めています。裁判所が証拠説明不要として、自由心証主義、代用監獄、密室での取り調べは続いています。国連の人権擁護委員会の勧告も拒否しています。
 冤罪の根本的司法問題の棚上げだけでなく、簡易、迅速、厳罰化は変わっていません。
 裁判員制度は労働者民衆を資本・国家の立場で裁かせ、総翼賛体制に持っていこうとするものです。裁判員制度はその中軸です。裁判員制度反対で闘います。
 星野を取り戻す運動は新自由主義攻撃を阻む砦(とりで)としてあると思います。
 全証拠開示運動は決定的に重要です。写真のネガと11人の供述調書を検察は出そうとしません。なぜ拒むのか。そこに無実を示す証拠があるからです。検察の意見書に弁護団は反対意見書を提出して反撃にうって出ています。3者協議を要求して闘っています。
 日本の裁判では、検察はデッチあげ証拠は出しても無実の証拠は隠し持っている。そして、責任が問われません。
 再審が開始された裁判では、新規に証拠が見つかったのではなく、元々あった証拠が無罪判決に導いています。布川事件、足利事件、東電女性社員事件もみんなそうです。
 また、ビデオ国賠にも取り組んでいます。裁判所や警視庁公安部はビデオテープをなくしたとして証拠隠滅を行っています。
 これは新自由主義との闘いです。全国、全世界で全証拠開示運動を進め、星野解放をかちとっていきましょう。
 星野文昭は徳島刑務所に閉じ込められています。暖房のない寒さ、夏の暑さと闘い、獄中から冤罪と人間解放を訴えています。文昭は言っています。「人間が人間らしく生きられる社会をつくっていきたい。それは暁子との愛情であり、労働者民衆との団結である」と。
 文昭が獄中で描いた絵を見た人が、獄中でこんな明るい絵を描けるのはすごいと言ってくださいます。
 星野の存在と闘いが新自由主義と闘う人びとを激励する。過酷な状況の中でも、そうであるからこそ人間的に生き闘うことができるという希望を与えている。
 新自由主義としての司法改革と対決する希望の砦です。沖縄、福島と一体に、裁判員制度反対運動とともに闘います。必ず勝利しましょう。

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週刊『前進』(2587号6面3)(2013/06/10 )

新刊紹介 序局第4号 フクシマの命の叫び

 3・11福島行動全記録と診療所報告会の感動

 『序局』第4号が発刊された。一昨年11月創刊以来、「福島の怒りを共有する」と「国鉄闘争の火を消してはならない」を軸に「新自由主義と対決する総合雑誌」として発行されてきた。3・11以来2年3カ月、原発事故はまったく収束せず、被害を広げているにもかかわらず、政府は福島第一原発の事故などなかったかのように振る舞い、原発輸出のトップセールスに駆けずり回り、「政府一丸となって」原発を再稼働させようとしている。
 この現実に真っ向からあらがう闘いとして、今年の3・11反原発福島行動があった。それは怒りの火の玉であり、闘いの希望を示す光源だった。

 団結に希望が

 この至極まっとうな3・11福島行動に対して、驚くべきことにさまざまな妨害が加えられた。それは、福島の闘う人びとの強い思い、福島の闘いの火を消そうとするものであり、「福島の怒りを共有する」姿勢の対極にあった。
 本誌の「全記録 3・11反原発福島行動13」に採録された発言者のストレートな怒り、闘いの強い意志をあらためてかみしめたい。そこには現体制に対する根源的な批判が込められている。しかもそれぞれが絶望ではなく、団結の中に希望を見いだしている。
 また、この集会に連帯して、全世界から450以上の海外賛同メッセージが寄せられたことも大きい。本誌では、それを30n近くとってできる限り多く転載している。海外の闘う人びとがこれほど強く日本の闘いと連帯しようとしていることに胸を打たれる。
 さらに、昨年12月に開院したふくしま共同診療所の報告会の模様が詳しく採録されていることは、本号の圧巻である。福島県立医大・山下体制のもとで、被曝に対する正当な医療が封殺されている恐るべき現実に敢然と立ち向かって、「保養と避難を勧めつつ、住民・子どもたちの健康と安全を守っていく」同診療所の理念と医療行為は、圧倒的な共感と感動を生むものである。
 3・11福島集会と診療所報告会の生々しい発言を読むと、「なるほど、妨害する勢力は、こういうものが怖かったのだな」と得心がいく。逆に、労働者民衆にとって、これこそ必要なものだったのだ、とも。
 診療所を支える全国の医療現場の闘いとして、広島の高陽第一診療所の森三郎事務長のインタビューと、大阪・八尾北医療センター労組の藤木好枝委員長のレポートは、大変意義深い。森さんは、原爆の被爆医療に携わってきた経験から、ふくしま共同診療所の果たすべき役割の大きさを述べている。
 郡山市の井上利男さんの現状報告、そして、第五福竜丸元乗組員の大石又七さんの講演は、それぞれ原発に対する説得力のある告発である。

 今すぐ書店へ

 もう一つの本誌の柱である国鉄闘争は、2・17国鉄集会での発言が採録されている。重大な局面を迎えている1047名解雇撤回闘争、昨秋以来の外注化阻止決戦という両面から今日の国鉄闘争の巨大な意味をつかむことができる。
 「労働裁判の最前線から」の連載は、職場での闘いと結んだ裁判、労働委員会闘争の力強い前進がレポートされ、ますます重要なシリーズになっている。あわせて山本志都弁護士の「非正規」公務員問題の講演は、きわめて今日的実践的な課題への問題提起だ。
 論文も充実している。「裁判員制度との闘いこそ改憲阻止の闘い」と訴える高山弁護士、沖縄の戦後の歴史をふまえ4・28「主権回復記念日」を痛烈に批判する高嶋伸欣さん、安倍政権の金融・財政政策を鋭く突く鎌倉孝夫さんなど、多くを学ぶことができる。他の連載もおもしろい。
 本誌は全国の書店で購入できる。今すぐ書店に行こう。店頭で見つからない時は、注文して取り寄せて下さい。

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週刊『前進』(2587号6面4)(2013/06/10 )

【要項】6・27迎賓館・横田爆取弾圧裁判差し戻し控訴審判決

6月27日(木)午後1時30分開廷
東京高裁429号法廷
午後1時 傍聴券配布所集合
午前11時30分〜裁判所前でビラまき街頭宣伝

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