ZENSHIN 2013/02/11(No2571 p06)
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週刊『前進』(2571号1面1)(2013/02/11 )
反合・運転保安で外注化粉砕を
極右超反動の安倍・橋下打倒しプロレタリア革命を切り開こう
全国から2・24橋下打倒闘争へ
動労千葉の13年間の外注化阻止闘争のすべてを凝縮し、動労水戸の決起とともに闘い抜かれた10・1外注化阻止決戦の勝利の地平が今日の日本の階級情勢を規定している。それは新自由主義と対決しこれを打ち破る大きな展望を切り開いた。そのことが2013年決戦の1〜2月の前進の中でますます明確となっている。外注化阻止・非正規職撤廃、偽装請負弾劾、2〜3月大量解雇粉砕へ、「時代認識と路線」で武装し、いよいよ確信をもって闘いぬくときだ。大恐慌の本格的激化と大争闘戦時代の到来、大失業と戦争の大情勢に立ち向かい、2・17国鉄集会と2・24橋下打倒闘争への決起を突破口に、外注化阻止の第2ラウンドに全面突入しよう。国鉄を軸に3月大闘争で安倍と橋下を打倒し、プロレタリア革命を開こう。
外注化を阻止した12年間
10・1の検修・構内業務外注化は確かに強行された。しかし外注化攻撃の本格的開始から13年におよぶ動労千葉の闘いは、確実にJR東日本をぎりぎりまで追いつめてきた。他部門での外注化が次々と強行されていく中で、鉄道事業の要をなす検修・構内部門の外注化だけが、動労千葉の闘いによって12年にわたって阻止されてきた。このことは、JR全体の外注化・非正規職化、全鉄道業務の丸ごと外注化、分社化・子会社化、出向−転籍攻撃を、その根幹でがたがたに打ち砕くものとなっている。JR東日本が打ち出した新たな大合理化攻撃=「経営構想X」は、すでに土台そのものが突き崩されようとしているのだ。
動労千葉の外注化阻止闘争は、2000年9月に提案されたシニア制度(再雇用機会提供制度)と抱き合わせで始まった本格的な外注化攻撃と対決し、職場生産点からのすさまじい反撃、人生をかけた闘いの爆発として打ち抜かれてきた。「職場は絶対に売り渡さない」と、三十数人の組合員たちがシニア制度による再雇用を拒否して自ら首になった。シニア制度を粉砕した後も、エルダー社員として下請け会社に再雇用された約四十人の組合員は、「後輩の仕事を奪うわけにはいかない」と、検修・構内業務を拒否し、なんの経験もないきつい清掃の仕事に自ら就いた。
こうした仲間の団結にかけた先輩たちの懸命な闘いの姿を目の当たりにして、平成採の若い労働者が人生をかけて動労千葉を選択し加入を始めた。これらすべての思いと苦闘が13年の闘いの歴史に凝縮されている。
しかも、実際に外注化が強行されて以降の現実を見るなら、昨年の10・1外注化そのものが、本当に実施できるのか否かぎりぎりの状況の中での強行だったことは明らかだ。それは千葉支社だけではない。水戸、高崎、横浜、東京を始め東日本すべての職場の現実である。このことがもはや隠しようもなくあらわとなっている。東京では今年4月1日と10月1日に、さらにそれ以降にも本格的外注化が狙われている。まさに勝負はこれからだ。
希望と未来を求める平成採の労働者たちのマグマのような怒りは、今やJR全体をのみ込む奔流となっている。それがいつどこから公然たる反乱として噴出してもおかしくない段階に完全に入った。
戦後労働運動の壁越えた
動労千葉の13年にわたる闘いは、戦後日本労働運動の限界を根本からのりこえる闘いだった。合理化と民営化の攻撃に真正面から立ち向って団結を守り抜いたことも、外注化・非正規職化攻撃と闘って団結を維持・強化・拡大したことも、日本の労働運動の歴史に前例のない画期的闘いだった。同時にこの13年間は、青年層を始め全労働者があまりにもひどい状態に突き落とされてきた現実に対し、体制内の全党派と労働組合がいかに犯罪的な役割を果たしてきたかがあらわになる過程だった。
検修・構内業務外注化に関するJR東日本とJR東労組が2001年3月に結んだ協定には、「7〜8年で業務委託の最終段階までもっていく」と公然と記されている。国労も例外ではない。それどころか国労本部は、2001年から始まった「第2の分割・民営化」攻撃ともいうべき業務全面外注化、労組根絶を狙った大合理化攻撃である中期経営計画「ニューフロンティア21」とまったく闘わずに屈服し、国労の主力をなした設備メンテナンス部門(保線・電力・信号通信・土木)の全面外注化と3千人を超える仲間の出向を容認した。
これらをめぐる激烈な攻防と、国鉄1047名解雇撤回闘争での2010年の4・9政治和解にいたる攻撃との大攻防は、完全にひとつの闘いだった。職場で合理化攻撃に真正面から対決する闘いと「解雇撤回」を掲げ一人の首切りも許さず仲間を守り抜く闘いは、どちらが欠けても前進しない。逆にそれがどんなに困難であっても、労働者はその苦闘と闘いの創造の中から、労働組合の階級的原則と団結を日々よみがえらせ、階級性をとぎすまして前進することができるのだ。
なぜ動労千葉だけが卑劣なシニア制度導入と真っ向から闘い抜き、業務外注化や強制配転などありとあらゆる組織破壊攻撃を受けながら、13年間も外注化阻止を貫くことができたのか。逆になぜ東労組や国労本部を始め体制内の全潮流は無残に敗北したのか。
外注化強行以降の職場は、「矛盾だらけ」というよりもすべてが矛盾そのものだ。それは同時に、この困難な現実に不屈に立ち向かい続けるなら、そこが敵の弱点だとはっきりつかみ取ることができることを意味する。しかしこれに立ち向かうことができなかったら、矛盾は労働者の絶望に転化する。戦後の日本労働運動、体制内のすべての党派・潮流がこの壁を越えることができなかった。
動労千葉の反合理化・運転保安闘争路線とその闘いのみがこれを打ち破り、国鉄労働者の誇りを取り戻して、組合員が具体的に「これこそおれたちの闘いだ」と心から実感できる闘いの地平を切り開いてきたのだ。
2・17国鉄集会が突破口
2013年の決戦は、以上の動労千葉の闘いと、同じく外注化阻止を貫き被曝労働強制と闘い抜いて2月ライフサイクル攻撃を完全に打ち破った動労水戸の闘いを基軸的な原動力としながら、国鉄、反原発、星野全証拠開示運動の3大決戦、三里塚、沖縄、八尾北・西郡と裁判員制度粉砕・改憲阻止の4大攻防、そして5大組織任務の貫徹に向かって白熱的な闘いの過程に突入した。
極右超反動の安倍政権は、「日本経済の危機」「大震災からの復興の危機」「外交・安全保障の危機」「教育の危機」を列挙しながら、「危機突破」「国際社会と連携してテロと闘い続ける」などと叫び、「強い日本」をつくるとうそぶいている。日帝ブルジョアジーと安倍は、大恐慌と3・11情勢、そして大争闘戦時代への突入の中で、いよいよあらわになった国家と資本の絶望的危機と矛盾のすべてを、労働者階級人民に押しつけ、放漫財政とインフレ、大量解雇と賃下げ、改憲と原発推進で、必死に延命しようとしている。
安倍政権の登場と一体で出されてきた経団連の2013年版の経営労働政策委員会報告こそ、内外の危機と大激動、とりわけ大恐慌の本格的激化と大争闘戦の現実にのたうち回る日帝ブルジョアジーが「最大の難局」だと絶望的悲鳴をあげながら、労働者階級に「労使一体で危機に立ち向かえ」と犠牲を強要し、ベースアップの拒否と定期昇給の凍結を押しつける“階級戦争宣言”にほかならない。
だが改憲や原発再稼働は大衆的怒りを爆発させる。TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加やオスプレイ配備・辺野古新基地建設の問題は、安倍の最大のアキレス腱(けん)だ。安倍が「最大かつ喫緊の課題は経済再生」と叫んで進める公共事業や超金融緩和は大争闘戦を激化させる一方で、新たなバブルの崩壊と財政破綻、インフレの爆発を引き起こす。この絶望的な危機に立つ安倍政権を、7月参院選を待たずこの2〜3月決戦、国鉄を軸とする3月大闘争の爆発で絶対に打倒しよう。
10・1外注化阻止決戦の地平に立ち、それをさらに発展させ、外注化阻止の第2ラウンドと国鉄闘争全国運動の着実で力強い前進で、2013年決戦の勝利をもぎりとろう。当面する最大の突破口は2・17国鉄集会だ。動労千葉の闘いの歴史と教訓、反合・運転保安闘争路線を労働者階級全体のものとし、全産別・職場で路線的前進をつくりだそう。2・18―19三里塚裁判、2・24橋下打倒闘争、3・1杉並ビキニデー集会、3・11福島現地大闘争、そして3・24三里塚現地集会の大爆発をかちとり、安倍打倒を実現しよう。
この闘いの最良の武器が『前進』だ。機関紙を拡大し、生きたマルクス主義を全労働者のものにして全力で闘おう。
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週刊『前進』(2571号1面2)(2013/02/11 )
市東さんの農地裁判 “生きる権利かけ闘う”
全国人民総決起で農地守れ
(写真 千葉地裁包囲へ怒りのデモ 北原鉱治さん、市東孝雄さんを先頭に千葉地裁に向かうデモ隊【2月4日 千葉市】)
2月4日、千葉地裁民事第3部(多見谷寿郎裁判長)で市東孝雄さんの農地裁判(農地法裁判・行政訴訟を併合)が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟事務局次長・萩原進さんが再び証言台に立った。
裁判に先立ち午前11時半、千葉中央公園に労農学市民150人が結集し決起集会がかちとられた。萩原富夫さんの司会で、最初に北原鉱治事務局長が発言に立ち「2013年の闘いが今日の裁判から始まった」と参加者を鼓舞した。
続いて動労千葉の長田敏之書記長、全学連の斎藤郁真委員長らが闘う決意を明らかにした。
シュプレヒコールで集会を締め、「農地は私たちの命」と色鮮やかに大書された横断幕を掲げ、ただちにデモに出発した。先頭には市東孝雄さん自身が立っている。
「市東さんの農地を守り抜くぞ」のコールが千葉の繁華街に響き渡り、デモ隊の発するただならぬ真剣さが沿道からの視線を集めた。デモは千葉地裁前を制圧し、多見谷裁判長の偏った訴訟指揮に怒りをたたきつけた。
萩原さんが証言
午後1時30分開廷。ただちに萩原進さんの証言が始まった。
萩原さんはまず、自らが住む東峰部落で、轟音(ごうおん)を発してジェット機が頭上40bを離着陸していること、営農と生活に不可欠の東峰の森を破壊して東側誘導路が造られ、それが現在放置されている現実を怒りを込めて暴いた。そして「この騒音はとんでもない犯罪だ」と語気を強め、現在進められている深夜早朝の飛行制限緩和策動を弾劾した。
尋問は、市東さんの農地の耕作権解約手続きの問題に入っていった。成田空港会社(NAA)は、耕作者である市東家に秘密裏に旧地主から底地を買収し、十数年も隠し続けた上に、06年に突然農地法を盾に「耕作権を解約するから土地を明け渡せ」と迫ってきた。「こんなことがあっていいのか! 農地法の精神から言ってありえない」と萩原さんは弾劾した。
成田市農業委員会と千葉県農業会議はNAAの言いなりで耕作権解約申請を通し、農地転用機関へと成り下がった!
市東さんが明け渡しを求められている土地の面積は、南台と天神峰を合わせて9260平方b。これは、71年の第2次強制代執行で大木よねさんが奪われた土地約1900平方bの5倍だ。「かつてない規模で農民の土地を収奪しようとする暴挙に、身震いするほどの怒りを覚える」。萩原さんは真正面から裁判長の顔をにらみつけた。
「雨の日も風の日も雪の日も、赤ん坊を育てるように土を耕してきた。それを奪うというなら死を覚悟しても守ることになる。土地は農民の命そのものだ」
「戦後の貧しい開拓農民の土地なら札束でたたけば簡単に取れると踏んで、空港計画を三里塚にもってきた。その思い上がりが今の市東さんへの攻撃にまで続いている。だからこの空港は完成しないのだ! 空港が国策だというなら、農業は何なのか。国策と言いつつ目先のことだけを追い、その結果が今の成田や福島原発事故だ。食糧をまかなうことは社会の絶対的な基礎としてある。農民はそのことに誇りをもっている」
萩原さんは、一昨年の団結街道をめぐる闘いの中で、警察権力が市東さんを不当逮捕したことを鋭く弾劾した。さらに戦後の農地解放、農地法の制定から、日本農業が衰退の危機に直面している今日までの歴史を振り返り、今こそ農民の連帯、農業の再生を目指すべきことを情熱を込めて訴えた。そして市東さんの農地を守る闘いの中に食糧、農業・農民問題の答えがあると大局から語る一方、破綻している成田国際空港の「公共性」の虚偽を暴いた。
4時間を超える証言の最後に萩原さんは「市東さんを守ることは全国の農民を守ることだ。私は現代版佐倉惣五郎の気持ちで直訴したい。裁判長、あなたがひとりの人間としてこの問題を受けとめ判断されることを!」と述べた。傍聴席から大拍手が起こった。
2・18−3・24へ
裁判長が閉廷を宣しようとした時、市東孝雄さんが挙手して発言を求めた。「地主から土地を買収しておきながら秘密にしていたこと、私を一方的に悪者扱いしてマスコミにさらしたことなど数々の悪行を絶対に許さない。生きる権利をかけて闘う!」。その険しい形相を、NAAの代理人らはまともに見ることができない。
閉廷後、近くの会場で報告集会がもたれた。顧問弁護団を代表して葉山岳夫弁護士が萩原証言の大成功を語り、次回2月18日(月)の市東さんの本人尋問、さらに3・24三里塚全国総決起集会への大結集を訴えた。
最後に北原事務局長が弁護団全員の大奮闘を心からたたえ、参加者一同をねぎらい、一日の闘いを締めくくった。
2月18日、千葉地裁を人民の海で包囲する大結集を実現しよう。
(写真 閉廷後の報告集会。4時間を超える証言を終えた萩原進さん【左奥】が発言)
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週刊『前進』(2571号1面3)(2013/02/11 )
前進速報版から
▼星野同志の無実訴え2・5徳島で座り込み▼市東さん農地裁判、萩原事務局次長が再び証言▼官邸前行動で東京の学生がアピール
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週刊『前進』(2571号2面1)(2013/02/11 )
反合・運転保安闘争路線で外注化阻止第2ラウンドへ
JR東「経営構想X」と対決をD
JR東日本の「グループ経営構想X」はJRの全業務の外注化・非正規職化を徹底的に推し進めようとするものだ。これにJRの労働者が黙っているはずはない。特に平成採の青年労働者の反乱は不可避だ。職場から労働者の反乱が始まれば「経営構想」のすべてが破綻する。平成採の怒りと気持ちに根ざして外注化阻止の第2ラウンドをともに闘おう。
89年12月ストが情勢塗り替えた
一発のストライキが流れを大きく変えるということが労働運動の中では起こる。国鉄分割・民営化強行下で闘われた1989年12月5日の動労千葉24時間ストライキがそうであった。
国鉄分割・民営化の翌年の1988年12月5日、東京・東中野で事故が起きた。駅構内に停止していた列車に後続列車が追突して運転士と乗客1人が死亡するという大事故だった。
民営化で国鉄からJRになり、安全を巡る環境は加速度的に劣悪化していた。国鉄時代は「場内信号機が停止信号(赤)であればその信号を越えて進行してはいけない」という規則が絶対だった。しかし、JRになると会社は「1分の運転時間短縮は1億円の宣伝効果がある」と言って無理に運転時分を詰め始めた。しかも、列車が遅れることをあらかじめ想定して、「輸送混乱時は赤信号を越えて列車を進めろ」という違法な指示文書まで出されていた。実際、事故当日も列車が遅れていた。運転士は会社の指示通りに運転して事故が起きたのだ。
会社は事故の数時間後に「原因は運転士のミスと思われる」とする談話を発表。一切の責任を運転士に帰して事態をのりきろうとした。
これに対し動労千葉は事故後ただちに弾劾闘争に立った。「事故の一切の責任はJRにある」「分割・民営化こそが真の原因だ」と反合理化・運転保安闘争に立ち上がったのだ。
しかし、反合理化・運転保安闘争は単なる戦術の問題ではなかった。事故が起きたから労働者が自然と立ち上がったのではない。事故に対する罪のような意識と、当局に対する怒りとが現場には混在している。
東中野事故以降、動労千葉の執行部は1年間かけて事故原因を徹底的に調べ上げた。分割・民営化後の無謀な首切りで極限的な労働強化がなされていること、重箱の隅をつつくような当局の監視体制のもと、30秒や1分の遅れも処分の対象となり昇進に響くという状況が労働者を精神的に追いつめたこと、ATS(自動列車停止装置)の警報表示があってもいったん停止せず進めという規程の改悪がなされていたこと……これらを現場と一緒になって暴露し、怒りを引き出していった。
そして、東中野事故から1周年の1989年12月5日、動労千葉は満を持してストライキに突入した。
労働者と乗客の安全を掲げて闘われたストライキはJR労働者の圧倒的共感を呼んだ。実に350本を運休に追い込んだ民営化後初のストライキは、会社とJR総連が一体となった職場支配を吹き飛ばし、後の1047名闘争をつくり出す土台となったのである。
動労千葉は「反合理化・運転保安闘争は怒りのマグマを解き放つ闘いだ」と言う。不当解雇や労災事故、徹底した賃下げや非正規化といった資本主義社会の不条理に対する怒りは労働者なら皆持っている。平常な時には沈静化しているけれど、地下のマグマみたいにいつも労働者の気持ちの底にある。問題はそれを正しく自覚させ、解放し、労働者の闘いとして組織化していく路線の確立と実践だというのだ。
動労千葉は「安全は思想であり、哲学である」と主張し続けてきた。「安全を確保するためには日常的には目に見えない複雑な事故の原因をひとつひとつ排除し、ゼロに近づけていく以外にいかなる抜本策もない。いわば目に見えないものとの闘いであり、努力である」と。動労千葉は「機械は絶対だ」という会社に対し、「安全は日々働いている労働者がつくり出すものだ」ということを対置して闘争にした。動労千葉がはっきりさせたことは、事故との闘いは労働者の誇りをかけた闘いだということだ。
「労働運動は人間がやるものだ」――これは中野洋・動労千葉前委員長の言葉だ。彼はどんな困難な状況にあろうとも、労働者の気持ちをつかむことができれば必ず労働運動はよみがえると言ってきた。そこに到達するまでには時間がかかるかもしれない。しかし、どんな職場でもそこで働く労働者に共通の課題があるはずだ。職場・生産点の労働者に依拠して、労働者が求める課題を、労働者が納得する闘いとして愚直に積み上げていけば必ず道は開ける。これが動労千葉の反合理化・運転保安闘争が示していることなのである。
今のJR職場も「12・5スト」に向かう過程に似ている。昨年10・1の検修外注化強行から4カ月、組合員の怒りがあらゆる職場から噴出している。「一発のストライキが大きく流れを変える」――JR職場は今まさにそういう状況にある。
矛盾が噴出する外注化後の職場
動労千葉の田中康宏委員長は、外注化された職場の怒りに依拠し、新年旗開きで次のように宣言した。「新たな進むべき方向を外注化が強行された現実の中から考えてきた。それは動労千葉の原点に返ること。反合理化・運転保安闘争の原点に返る。外注化という新しい時代の反合・運転保安闘争を現場からつくり上げる」。この一言で、動労千葉の組合員は闘う意欲をみなぎらせ、燃えに燃えている。
外注化された職場は矛盾だらけだ。本来ひとつの職場、ひとつながりの労働だったものが分断され矛盾が噴出している。
一つは安全の崩壊だ。外注化された検修職場では「業務委託」とすら言えない異常な状態が続いている。仕業検査や派出検査といった仕事ごとに委託されたわけではなく、毎日数十の「指示書兼発注書」が出され、蛍光灯1本の交換さえ毎日発注している状態だ。事故で列車が乱れたら、変更した入れ換えごとに新たに作業を発注する。
動労千葉の組合員は、検修で働く労働者として、故障があれば責任と誇りを持って直してきた。それが今は、指示書が来ないと目の前に車両があっても直せない。
また、「指示書兼発注書」という名称もデタラメだ。指示書は外注先の千葉鉄道サービスの管理者が現場に業務を指示するものであり、発注書はJRが千葉鉄道サービスに業務を委託するものだ。全然性格が違うものを一本にすること自体、すべてJRが指示しており根本的に偽装請負であることを示している。
偽装請負を隠すために運転法規も踏みにじられている。構内入換作業に対する「通告」を千葉鉄道サービスには「情報提供」と言い換えている。「JRが指揮命令はしていない」と言うために、安全に不可欠の「1作業1通告」の原則すら踏みにじっているのだ。「このままでは間違いなく大事故が起きる」――これが現場労働者の実感だ。
外注化によるもう一つの矛盾は雇用破壊だ。外注先に強制出向となった若者たちは「元職場に戻れるのか」「このまま外注会社に転籍になるのではないか」という不安のもとで働かされている。
その中で千葉鉄道サービスは構内運転士の募集を始めた。構内運転は運転と検修の両方の技術を持ち、走行しないと分からない車両故障を発見するという、経験がものをいう仕事だ。構内運転だけを切り離せば、雇用と安全の両方が崩壊する。
駅の全面外注化の進行と闘おう
問題は検修職場だけではない。2月1日には第6次のライフサイクルが発令された。運転から降ろされ、輸送職とは関係のない営業主任として発令されている平成採もいる。運転職場に戻れるのかという不安を抱え仕事をしているのが現状だ。
同時に駅の全面外注化も進行している。駅には危険があれば列車を止める権限がある。駅は鉄道の安全輸送の要だ。しかし、その駅業務から改札や出札が切り離され、委託会社に丸投げされている。駅では、JRの正社員、契約社員、委託会社の社員などが混在し、本来はひとつの業務が分断され、雇用形態も賃金もバラバラにされている。
またJR東日本は4月1日に東京、横浜、八王子、大宮の4支社管内の駅業務全般を統括する子会社「JR東日本ステーションサービス」を立ち上げ、契約社員の首切りと駅業務の非正規職化を進めようとしている。
これでは青年は生きていけない。雇用破壊は安全破壊と一体で進行し、労働者の誇りと命を奪う。それは外注化の根本的矛盾であり、労働者の怒りに必ず転化する。
さらにJR東日本は3月ダイヤ改定で久留里線にワンマン運転を導入しようとしている。労働者と乗客を危険にさらす暴挙だ。経営構想Xは「究極の安全」だの「地域に生きる」だのと言うが、もうけのためには安全も地域も切り捨てるのだ。
外注化のもとでの反合理化・運転保安闘争は安全破壊と雇用破壊の矛盾を突いて平成採の怒りを闘いにし、その中で組織拡大を実現する闘いだ。
2・17労働者集会は、動労千葉が切り開いた地平を土台に「新自由主義と対決する反合理化・運転保安闘争」を全職場・全産別で新たに宣言する場だ。反合理化・運転保安闘争でグループ経営構想Xと徹底的に闘い、第2ラウンドに勝利しよう。 (鷹村大介)
(シリーズ終わり)
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週刊『前進』(2571号2面2)(2013/02/11 )
地方公務員賃金 退職金削減を撤回せよ
現業を先頭にスト貫徹を
積もりに積もった公務員労働者の怒りが闘いとなって爆発を始めた。特区連と東京清掃労組は退職手当削減と賃金制度改悪に反対しブロック集会と対区長行動を重ね、2月15日の29分スト(時間内集会)に攻め上ろうとしている。3月動労千葉ストと結合し全労働者の先頭で闘おう。
特区連・清掃で闘い始まる
荒々しい現場労働者の闘いがよみがえった。10・1JR外注化阻止決戦は全情勢を揺るがし、11・7都労連29分スト(時間内集会)に続く特区連(特別区職員労働組合連合会/東京23区職労で構成/約6万人)と東京清掃労組(約4500人)の決起が始まった。
東京23区長会は、国家公務員に続く「民間との格差の是正」と称して、最大約400万円にも及ぶ退職手当の大幅削減を提案してきた。それは、▼現業職の削減率を行政職の約2倍に設定▼中途採用の現業職の「中ぶくれ是正」▼「貢献度の一層の反映」を掲げ管理職を優遇し現業職に一層の不利益をもたらす――差別・分断の削減案だ。
生涯にわたる賃金の後払い分を奪い去る退職手当の大幅削減(現業職は21%を超える)と同時に今以上の分断を持ち込む団結破壊の大攻撃だ。退職を控えた労働者だけの問題ではない。青年労働者の未来を奪う攻撃だ。
現場の怒りが爆発した。「提案の中身を見て怒りが収まらない」「退職手当を想定した退職後の生活設計を破綻させるものだ。住宅・教育ローン、親の介護をどうしてくれるのか」「賃金も上がらない。退職手当も削減になる。未来のない提案」「撤回あるのみ」
現業労働者を先頭に、特区連と東京清掃労組が一丸となって、当局との全面対決に突入した。1500人を超える参加でかちとられた1月18日の特区連・東京清掃労組総決起集会に続き、各単組支部・分会の集会が大結集でもたれ、各地区ブロックで数百人を集める決起集会が次々とかちとられている。そして、各区長への申し入れ行動から2月12日の総決起集会を経て15日の29分スト(時間内集会)に攻め上ろうとしている。
激しい怒りとかつてない求心力をもって、労働組合の団結がよみがえりつつある。「面白くなってきた」。これが現場労働者の闘いの実感となろうとしている。
解雇・賃下げと闘う13春闘へ
公務員大量解雇と賃金大幅削減絶対反対が、JR外注化阻止・非正規職撤廃の第2ラウンドと一体で、13春闘の重大な激突点となった。
橋下徹大阪市長を先兵とする丸ごと民営化=全員解雇・総非正規職化、労組解体攻撃が、全労働者に対する「雇用破壊」「首切り自由」の大攻撃であるのと同時に、公務員賃金削減は、13年版経労委報告で経団連が主張する最賃制廃止と生活保護費削減=最低生活基準引き下げによる「賃金破壊」、アジア諸国並み低賃金化の歴史的攻撃だ。
とりわけ安倍政権が13年度予算案での地方交付税削減をもって強行しようとしている地方公務員賃金の一律7・8%カットは、地方の民間賃金水準を引き下げ、一層の搾取強化を狙うものである。青年労働者に手取り10万円以下の極貧生活を一生強制する攻撃だ。政府の暴力的手法として使われた地方交付税削減こそ道州制攻撃そのものであり、公務員360万人首切り・総非正規職化に直結する攻撃だ。
絶対反対で闘う時が来た。危機に立つのは、労働者を食わせられなくなっただけでなく、その血を吸って生き延びようとする帝国主義ブルジョアジーの側だ。公務員労働者は全労働者の先頭で闘おう。分断ではなく団結を、怒りをバネにストライキで闘おう。
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週刊『前進』(2571号2面3)(2013/02/11 )
自治労臨大 青年の怒り噴出 “この給料でやってられるか”
交流センターの情宣に共感
丸ごと民営化を狙う橋下に怒り
1月31日〜2月1日に東京で開かれた自治労臨時大会は、大阪を最先端に始まった公務員360万人首切りと全国の自治体での大幅賃下げ攻撃に対する現場の怒りと危機感が噴出する決定的な大会となった。
全国の代議員から「労働組合としての存亡のかかった情勢」という言葉が口々に出され、自治労組織の総力を挙げた闘いを求める発言が続いた。「公務員制度改革」を掲げて「雇用破壊」と「賃金破壊」の丸ごと民営化・外注化・非正規職化に全面協力する連合・自治労本部への怒りが渦巻いている。職場から懸命の闘いを始めるなら、必ずや階級的労働運動が前面に躍り出る歴史的情勢が到来しているのだ。
1月31日、自治労臨大の初日、労組交流センター自治体労働者部会は、会場の日本青年館前に登場。横断幕を掲げビラ配布と熱烈なアジテーションを行い、会場内と呼応して闘いの機運を大きく巻き起こした。
大会の焦点は、橋下徹大阪市長を先兵とする自治体丸ごと民営化・公務員大量解雇絶対反対の闘いだ。同時に、退職手当の大幅削減と地方公務員本給の一律7・8%削減の大攻撃に対する、自治労の総力を挙げた決戦態勢の構築だ。
主要議題は、13春闘方針とともに、都市交(日本都市交通労組)との組織統合問題とされた。主要単組の一つである大交(大阪交通労組/組合員約6300人)の職場は、橋下の最大の攻撃対象の一つだ。橋下は大阪市営地下鉄・バスの丸ごと民営化を、この3月にも市議会で決定して13〜14年度中に全員解雇と転籍・選別採用を強行しようとしている。さらに4月以降、上下水道、保育所・幼稚園、学校、病院、清掃などの丸ごと民営化で、市職員の半数約2万人の削減を実行に移そうとしている。
橋下の攻撃を許すならそれは全国に波及し、公務員360万人首切りが一挙に現実のものとなる。公務員大量解雇・労組解体は、経団連が主張し政府・経済財政諮問会議が打ち出そうとしている正規職の解雇規制撤廃による首切り自由化の先取りであり、「正規雇用・非正規雇用という枠に固定されない新たな働き方」(2月5日、経済財政諮問会議)=10割非正規職化に直結する歴史的攻撃である。
事は重大であり、ただちに自治労組織を挙げた決戦に突入しなければならない。もう一刻たりとも自治労本部の裏切りを許しておけない。
攻撃の全容を暴き2・24橋下打倒集会を呼びかける労組交流センターのビラは、食い入るように読まれた。橋下「入れ墨調査」処分撤回署名は33筆も集まり、「定期大会の時にしました」「処分に負けず頑張ってください」と多数の参加者が声をかけてきた。
“組織挙げ闘え”との意見が続出
公務員への賃下げは全労働者に対する攻撃である。青年労働者にとっては未来を奪う大攻撃だ。絶対に負けられない。
自治労本部は資本主義体制擁護と財政再建の立場から民営化・外注化・非正規職化に協力し、公務員解雇・賃下げ攻撃とまったく闘おうとしない。青年部を始め全国の代議員から、現場の怒りを爆発させ組織の総力を挙げた闘いに入るべきとする意見が次々と出された。「公務員制度改革とは何だ。交渉、交渉というが、何を交渉するというのだ」「こんな安い給料でやってられるか」
最大400万円に及ぶ退職手当の大幅削減と現業差別・分断の攻撃に対して、特区連と東京清掃労組が現場の怒りを爆発させてストライキを含む闘いに突入していると報じる労組交流センターのビラは、全国の参加者に力強い激励となった。
国鉄1047名解雇撤回の国鉄闘争全国運動を先頭に、橋下を切っ先とする階級戦争に対する反撃が、闘う労働組合の再生と一体で始まっている。現場の怒りを総結集し、13春闘を闘い抜こう。2・24集会に総結集しよう。
(東京・HO)
(写真 大量解雇・総非正規職化、大幅賃下げに絶対反対で闘おうと訴えた【1月31日 東京】)
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週刊『前進』(2571号2面4)(2013/02/11 )
新人事・給与制度阻止を
JP労組中央委闘争に立とう
2月14〜15日、JP労組第11回中央委員会が開催される。JP労組中央本部は郵政資本と一体となり、この中央委員会を経て6月全国大会で新人事・給与制度導入を柱とする大合理化推進に突き進もうとしている。だが職場には郵政資本、JP労組中央に対する怒りが渦巻いている。郵政民営化から6年目を迎え、日帝の全面的危機と郵政労働者の闘い・抵抗の前に民営化は破綻的状況にある。
米帝を始め帝国主義・大国の恐慌対策は全面的に破綻し、激しい争闘戦の展開が時代基調となった。恐慌の深まりと争闘戦の進行が交差したところで大恐慌は真の奈落に転落する。ヨーロッパ・中東を始め全世界で労働者階級の闘いの大高揚の時代が始まった。郵政労働者は、これらの闘いとひとつとなり、国鉄決戦を基軸に、郵政職場から階級的労働運動を復権させ、プロレタリア革命に向かって進撃していく。
民営郵政資本は、民営化の破綻ののりきりと生き残りをかけ、「郵政グループビジョン2021」を打ち出した。「総合生活支援企業グループ」を掲げるこの計画は、JR東日本の「グループ経営構想X」と同じように、大合理化・非正規職化と労働者意識の解体・団結破壊・労働組合のさらなる体制翼賛勢力化を狙うものだ。資本と歩調を合わせ、これを積極的に推進しようとしているのがJP労組中央だ。
攻撃の突破口が「新人事・給与制度」だ。JP労組中央は資本と一体となり、今中央委員会で、その導入に突き進もうとしている。「第4次要求交渉の成果」として、D・E評価を「絶対選考」とする回答を引き出したと本部は開き直っている。しかし、これで「競争と差別、団結破壊」の攻撃の本質がいささかも変わらないことは明白だ。
新人事・給与制度導入はさらに、給与水準が現状より3割低い「新一般職」を導入し、非正規職化を一層推進するものだ。差別・分断を拡大し強めることで競争をあおり、「ただ働き」をもっと強制するものだ。そして際限のない「営業、営業」の尻たたきである。極限的要員不足の中で交通事故や過労による現職死亡が全国で相次いでいる。賃金面でも、ベースアップがゼロの上、一時金は2年4期連続の3割カット。JP労組中央は今春闘でもベア要求を完全に放棄した。中央の裏切りは明らかだ。
新人事・給与制度導入を絶対に許すな! 郵政グループビジョン2021を粉砕しよう!
現場から、民営郵政打倒、外注化粉砕・非正規職撤廃の闘いを前進させよう。3月大量雇い止めを阻止し、郵政非正規ユニオン1千人建設を進めよう。国鉄決戦の第2ラウンドを闘い、連合JP労組中央本部の支配をぶっ飛ばし、全国の郵政職場から闘う労働組合をつくりだそう。
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週刊『前進』(2571号3面1)(2013/02/11 )
教育現場から新自由主義と闘おう
改憲と民営化・労組破壊の安倍「教育再生」粉砕しよう
安倍は1月28日の所信表明演説で、「日本経済の危機」「大震災からの復興の危機」「外交・安全保障の危機」と並んで「教育の危機」を挙げ、「危機突破」「強い日本」をつくると表明した。帝国主義間・大国間の大争闘戦の時代に、「教育は国家戦略」(下村博文文科大臣)と位置づけ、日帝の生き残りをかけて改憲・戦争、教育の民営化・労組破壊に突っ込んでいくのが安倍「教育改革」だ。安倍が「最重要課題の一つ」と掲げる「教育の再生」の反動性を暴露し弾劾する。
「教育再生実行会議」を極右・超反動で固める
安倍は06年に首相に就任すると、首相の諮問機関である教育再生会議を立ち上げ、教育目標に「愛国心」を盛り込むなど教育基本法を改悪した。そして下村博文官房副長官(当時)の主導で07年に教育3法を改悪し、教員免許更新制度の導入と新たな管理職ポスト(副校長・主幹・指導教諭)の設置、学習指導要領の改悪を強行した。
第2次安倍内閣は、改悪教基法を現場に貫徹していくために、教育再生会議に「実行」の文言を加え教育再生実行会議を1月15日に発足させた。メンバーは安倍のブレーンである八木秀次ら極右勢力で固められた。八木は、日本の侵略戦争の歴史を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」の元会長で分裂後は日本教育再生機構を設立して理事長に就任、育鵬社から歴史・公民教科書を発行している。ほかにも「つくる会」系の歴史教科書(扶桑社版)を採択させた前愛媛県知事の加戸守行、奉仕活動の義務化を提唱する作家の曽野綾子、アフラック日本創業者・最高顧問で産経新聞社取締役の大竹美喜らが就任。きわめつけは、右翼教職員団体である全日本教職員連盟(約2万1千人)の委員長を務める河野達信である。日教組を攻撃し、教基法に愛国心を盛り込むことを要求してきた団体だ。露骨な”日教組解体シフト”である。また、受験塾を経営する佐々木喜一など、教育の民営化を推進するメンバーも加わった。
安倍は「世界トップレベルの学力と規範意識を身に付ける機会を保障していく」と言う。自民党は総選挙で侵略賛美の教科書の策定・採択や道徳の教科化などを掲げ、ただちに「心のノート」を復活させた。改憲・戦争のために排外主義をあおり、教育の国家統制を強めようとしている。
バウチャー制度推進と民営化の急先鋒=下村
安倍政権の「教育再生」は安倍の極右性に注意が向きがちだが、教育の民営化と日教組つぶしを本格的に推進していくことにその核心がある。
安倍は、文科官僚の抵抗を排するために、文科大臣とは別に教育再生担当大臣を新設した。その両大臣を、教育の民営化の信奉者である下村に兼務させたことは重大だ。
下村は02年に自民党文教科学部会副会長として、「教育特区」による株式会社立の学校の参入を解禁させた。この小泉政権時代に導入された構造改革特区制度こそ、新自由主義を全社会化する突破口として位置づけられたものだ。下村は、特定の地域・区域で規制緩和できるという仕組みを利用して、「規制や既得権の壁に阻まれてきた教育改革に向けて、ようやく『特区』 という手段を手に入れた」(下村著『下村博文の教育立国論』)と教育の民営化の最先頭に立ってきたのだ。そして「次の風穴は『公設民営』(チャータースクール)」と息巻いている。
さらに民営化を徹底していくために下村は、バウチャー制度の導入を主張する。これは、政府が生徒1人分の教育費を利用券として保護者に交付し自由に学校を選択させるというもので、学校間の競争を極限的に激化させる。学校選択の対象は公立・私立を問わない。全国学力テストと第三者機関の学校査察による学校評価や入学者数に応じて予算が配分されるため学校ごとの教育条件格差は増大する。競争に敗北した学校は廃校・民営化され、教職員が解雇される。すでに米英などではチャータースクールやバウチャー制度が導入され、教員の大量解雇や職場・教育の荒廃が大問題になっているのだ。
だが下村は、「国の基準を満たせない学校は廃校になっても仕方ないし、そもそも学校選択制の下では、子どもが集まらないだろうから潰(つぶ)れてしまうだろう。そのような学校にいた先生は、廃校とともに職探しをしてもらう」(『中央公論』06年11月号)、「当然、生徒の集まらない学校は淘汰される。……元々自己責任で選んだ学校なのだから、生徒や親たちも文句は言えない」(下村著『学校を変える!「教育特区」』)と居直っている。何が「教育再生」だ! 安倍や下村こそ教育の破壊者だ!
「教育委員会制度改革」テコに日教組解体策す
教育再生実行会議は、「いじめ対策」の報告を2月中に、「教育委員会制度の見直し」を6月中にもまとめるという。
下村は、文科省―都道府県教委―市町村教委―学校という組織構造を「無責任四重構造」と呼び、「四重構造の仕組みや日教組を壊して、これまでのしがらみの教育の現場を更地にしてしまう……その戦術論こそが、『バウチャー制度』」(『教育立国論』)と言っている。「教育委員会制度の見直し」の狙いとはまさに民営化と労働組合つぶしなのである。
とりわけ”教職員組合が教育委員会に入り込んでいる”と日教組解体を最大の眼目に置く。そして「(日教組の)活動内容には大きな誤りがある……。(ヨーロッパ諸国の)組合活動は、賃金や待遇改善などの生活闘争に絞っているところが多い。ここが日教組と決定的に違うところだ。日教組は、『教え子を戦場にやらない』という明確なメッセージを一貫して発信してきた」(『教育立国論』)と言う。日教組と教育政策・教育内容を巡り激しくぶつかってきたことを憎悪し、組合活動への不当な介入を策しているのだ。
新教育3法狙う
そのために@教育公務員の政治的行為を制限している教育公務員特例法を改悪し、政治活動への罰則規定を設ける、A地方公務員法を改悪し、教職員組合の収支報告を義務づけ、違反を行った団体は人事委員会の登録を抹消する(=団体交渉権の対象外にする)、B「義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法」を改悪し、教育委員会の調査を徹底させ「政治的中立」を欠いた教員に罰則規定を適用する――という「新教育3法」の国会提出を狙っている。
下村は「新教育3法が実現すれば、大阪府教育基本条例はあえて必要なくなる」と言い、安倍は「維新の会の条例は、(教育基本法の)法改正と方向性が一致している。閉そく状態にあった教育現場に風穴をあけるという大きな意義がある」と語っている。橋下と一体となって”大阪の全国化”を狙っているのが安倍政権なのだ。
外注化阻止決戦
大阪の攻防を先頭に、教育現場から外注化阻止・非正規職撤廃で闘い、日教組本部の文科省とのパートナーシップ路線を粉砕し、今こそ闘う労働組合をつくろう。
下村は「民間の力というのは、かつての国鉄分割民営化などがその成果を実証している。JRへの不採用問題など一部引きずっている問題もあるが、他の交通機関との競争原理を取り入れたことで、……電車は止まらなくなった。サービスも向上するなどの成果を挙げた」(『学校を変える!「教育特区」』)と国鉄分割・民営化を錦の御旗に掲げている。
だが、その「競争原理」が尼崎事故を引き起こし、外注化・偽装請負を蔓延(まんえん)させ安全を崩壊させてきたのではないか! 労働者を非正規職に突き落とし生きる権利を奪ってきたのではないか! JR外注化阻止の闘いは、国鉄分割・民営化の破綻性をつきだし、連合支配を打ち破る新自由主義への総反乱情勢を生み出している。安倍政権は労働組合の持っている力に恐怖している。安倍―下村の「教育再生」には何の展望もない。国鉄決戦を基軸に、教育現場から外注化阻止・非正規職撤廃を闘い、安倍政権を打倒しよう。
(道端 渉)
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下村博文文科相の発言
■四重構造の仕組みや日教組を壊して、これまでのしがらみの教育の現場を更地にしてしまう……その戦術論こそが、「バウチャー制度」の導入。
■国の基準を満たせない学校は廃校になっても仕方ない。そのような学校にいた先生は、廃校とともに職探しをしてもらう。
■生徒の集まらない学校は淘汰される。元々自己責任で選んだ学校なのだから、生徒や親たちも文句は言えない。
■次の風穴は「公設民営」。
■日本の教職員組合は学校現場にイデオロギーを持ち込んでいて、世界的に見て異常。それを一掃することが教育正常化の第一歩。
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週刊『前進』(2571号3面2)(2013/02/11 )
橋下打倒!2・24大阪闘争へ(中)
民営化・非正規職化を狙う「教育振興基本計画」と闘う労組を
現業職で分限免職が始まる
10割非正規職化・大失業、改憲・戦争、原発再稼働に突き進む安倍政権は、下村博文に文部科学相と教育再生担当相を兼任させ、教育再生実行会議を発足させた。下村は、第1次安倍内閣のもとで教育基本法改悪、全国学力テスト・学校評価制度・教育バウチャ−制度・学校選択制などを提言し、教育の民営化を進めた人物だ。また安倍は就任早々、橋下徹・大阪市長と会談し、改憲・戦争と教育の民営化、日教組つぶしで一致した。
大阪市は1月から「勤務態度が悪い」現業職員274人を対象に研修を始めた。「改善が見られなければ今秋に免職処分にする」方針だ。現業の外注化の前に分限免職処分や選別・振り分けを行い、職場・労組の団結を解体し、総屈服させようとしているのだ。
同じ攻撃が教育現場でも全国でも始まっている。正規職の削減、殺人的超過重労働、退職手当大幅削減・賃金カット、成績主義に基づく人事・賃金制度などが民営化・外注化、大量解雇・10割非正規職化と一体となって激化し、とりわけ青年労働者の未来を奪っている。その最大の基軸、突破口がJR東日本の「グループ経営構想X」=全面外注化攻撃だ。
だがこれは新自由主義の大破産としての世界大恐慌から脱出できない資本主義の絶望的な延命策であり、死の苦悶(くもん)である。逆に言えば、労働者階級が生存をかけて総反乱し、団結して闘い、体制を打倒し社会を根本からつくりかえる時を迎えているということだ。
桜宮高校事件利用する橋下
大阪市は昨年末、大阪市教育振興基本計画を発表した。大阪都構想の2015年実現へ府・市丸ごと民営化・非正規職化を強行する一環だ。以下その概要を示す。
学校協議会(資本・地域)の意向を受けて校長中心のマネジメントをする。そのために橋下の方針を貫徹する校長を民間から公募し、校長の権限を強化する。校長が学校運営計画と目標を設定し、「優れたもの」には重点的に予算をつける。校長は目標達成のため、教員の公募、希望転任(FA制)、特別免許状による社会人や専門家の登用などで教員を集める。学校による自己評価、学校協議会による評価を行い、〈計画−実行−評価−改善〉のサイクルを確立する。成果が上がらなかったり、大阪市立桜宮高校のように「問題」が起こったりすれば、校長以下教員の総入れ替え・学校つぶし・全員免職で、教育公務員も非正規職にする。市立幼稚園を皮切りに、学校給食の外部委託化、事務の外注化や企業との連携による一部授業の外部委託化、民間の補助教材の活用など、外注化・民営化を進める。
これらを貫徹するために徹底した団結破壊・組合つぶしで反撃の芽を摘む。授業力評価(保護者・生徒による授業アンケート)導入など教員評価による能力給と処分、「不適格」者や病休者への排除・免職攻撃を学校選択制や学校統廃合と併せて行う。
研修所送り・処分による振り分けと「自主退職」に追い込んでの解雇、分限免職がすでに実行されている。
現在、教育労働者の病気休職(とりわけ精神疾患)は他産別に比べても多い。大阪市はその割合が全国一だ。生活保護世帯数の割合も全国一だ。教育労働者は、困難を抱えた子どもたちと向き合い、個人でストレスを抱え、殺人的長時間労働の末、自らも病気で倒れていく現状にある。橋下は「病休者の割合を全国平均以下にする」と、病休者さえ免職の対象にしている。許せない。
橋下は桜宮高校での生徒の死さえ利用して教育の民営化を進めようとしている。生徒の死はつらく悔しい。だからこそ問題の本質を明らかにする必要がある。
橋下は「口で言って聞かないなら手を出さないとしょうがない」と言って大阪府知事時代から体罰を奨励してきた。「特色ある学校づくり」と称して学校間・教職員間で成果を競わせ、評価と処分で教育労働者の団結を破壊し、職場支配権を奪い、自由闊達(かったつ)な討論を抑圧してきた。桜宮高校事件はこうした橋下のやり方の結果起きたのだ。青年の未来を奪う新自由主義がもたらしたものでもある。一切の責任は橋下、当局、政府、資本にある。
桜宮高校体育科の教員の総入れ替え・募集中止・府立高校体育科の募集人員増による市立学校と府立学校の統廃合・府立高校の統廃合=分限免職攻撃が始まっている。生徒や教育はどうなってもいいとばかりに民営化・非正規職化を進めるのが新自由主義であり、その最先兵が橋下である。
「授業力評価」に怒りが噴出
これらの攻撃は労働者が黙って従っている限りでしか通用しない。今年度試行した授業アンケ−トに学校現場で怒りの声が上がり、保護者からも疑問の声が上がっている。桜宮高校つぶしの攻撃には高校生たちが決然と反撃に立ち上がっている。教育の民営化は教育の破壊だ。矛盾だらけで破産は必至だ。
だから、教育の民営化がもたらす教育の崩壊、職場の矛盾に立ち向かい、ひとりからでも民営化絶対反対で闘い、それを結集軸に団結を拡大すれば勝てるのだ。
攻撃に頭をたれ、教育労働者を処分・解雇と殺人的長時間労働に駆りたてる体制内教組執行部の支配をぶっとばし、自分たちで闘う団結をつくりだそう。橋下の教育民営化との対決として「君が代」不起立を貫き、処分撤回を求める大阪市教組の労働者の人事委員会闘争を結集軸に、闘う教組につくりかえる拠点をつくりだそう!
2〜3月、JR外注化阻止決戦と一体の闘いとして、自治体丸ごと民営化・外注化、公務員全員解雇・非正規職化と全面激突する2・24橋下打倒闘争に全国から総決起し、3・11反原発福島行動への大結集をかちとり、橋下もろとも安倍を打倒しよう!
(大阪・槻嶋陽子)
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【要項】2・24橋下打倒集会
橋下による処分攻撃に反撃し、今こそ闘う労働組合をつくりだそう!
民営化・外注化絶対反対!すべての非正規職を撤廃しよう!
2・24橋下打倒集会
2月24日(日)午後1時
大阪中之島公園女神像前(市役所南側) 集会後、難波までデモ行進
主催 橋下打倒集会実行委員会
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週刊『前進』(2571号3面3)(2013/02/11 )
国際労働運動 3月号
「職場で殺される」青年の現実
特集は「新自由主義と闘う青年労働者」。
第1章は、アルジェリア人質事件が起き大恐慌と争闘戦が激化し危機を深める極右反動・安倍政権の打倒を呼びかけ、資本の延命の先兵であるJR東の「経営構想X」の粉砕を訴え、非正規職化を進める労働法制の改悪を弾劾している。
第2章は、新自由主義下の青年労働者の現実に肉薄する。仕事がない。仕事があっても半数近くが非正規・超低賃金で生きていけない。結婚できない。将来が見えない。自殺率が上昇。生きるために労働する職場で「殺される」。「ブラック企業」がはびこる。JR、郵政、金融、民間のあらゆる資本がそうだ。資本は青年を暴力で「つくり変え」、人格を破壊し、うつ病に追いやり、使い捨てにする。果ては自殺だ。しかし青年労働者が階級的共同性を取り戻し、労働者階級の解放に向け生き闘う時代に入っている。
第3章は、青年労働者の指導部への飛躍=マル青労同への結集をストレートに訴えている。
ニューズ&レビュ−は、韓国・民主労総が新大統領パククネに対する闘いを開始したことを伝える。金属4労組が先頭に立ち、「希望バス」が蔚山の現代自動車の高空籠城現場に結集した。アルジェリア人質事件は仏軍のマリ侵略戦争の停止を求めて起こされた。事態の本質は欧米日帝の19世紀末以来のアフリカ再分割戦争であると指摘する。
世界経済の焦点は、「TPPとアメリカ農業問題」という視点からTPPを暴露する。実は多数の米国農民も農業だけでは食べていけないのだ。
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週刊『前進』(2571号4面1)(2013/02/11 )
3・1ビキニデー杉並集会に結集を
ビキニ-福島の怒りは新たな反原発・反核の闘いの原点だ
安倍の原発再稼働策動を粉砕しよう
2013年、日本の反原発運動はひとつの正念場を迎えている。安倍政権のもとで狙われる原子力規制委員会のペテン的な「安全基準」と原発の本格的再稼働・輸出。世界大恐慌の激化と帝国主義間・大国間の争闘戦の非和解化によって、日帝は核武装とその偽装形態である原発政策にすがりつく以外にない。「廃炉の予算を捻出(ねんしゅつ)できない」などという各電力資本の傲慢(ごうまん)かつ無展望な見解を受けて、安倍はなんの未来もない原発の再稼働を強行しようとしている。絶対に許せない。
核燃サイクルをめぐる攻防も決戦だ。日本原燃とRFS(リサイクル燃料貯蔵)は、六ケ所再処理工場とむつ中間貯蔵施設の10月完成を打ち出した。しかし再処理技術の確立はまったくめどが立たず、「稼働できなければ、(再処理工場の使用済み核燃料プールは)14年度中にあふれ、計画は破綻する」(毎日新聞2・1付)という。原発再稼働の破綻は必至だ。
〈3・11>から2年。労働者民衆は、帝国主義とその新自由主義政策に痛めつけられてきた一切を覆す階級意識に目覚め、闘いに立ち上がった。万単位のデモは政府を揺るがし、原発を次々に停止に追い込むとともに、すべての原発をいますぐなくす原則的なスローガンとして「再稼働阻止」を掲げて闘われてきた。その力が民主党政権を倒し、さらに安倍政権の再稼働政策に対して決意も新たに立ち上がろうとしている。55年体制の中でつくられた自民党は、自らの政策に耐えうる思想的・組織的力もない。自民党は崩壊する資本家階級の政治的・イデオロギー的支配が、昨年を超える労働者民衆の巨大な決起へと転化することを思い知るだろう。
革命的共産主義者は、この決戦を労働者民衆とともに徹底的に闘うと同時に、大衆の巨大な闘争に耐えうる組織的な構えをもって応え、この闘いを本質的な、すなわち核なくしては一秒たりとも生きられない資本主義社会、帝国主義とスターリン主義の世界体制の革命的打倒に向かって闘おう。崩壊する新自由主義政策に立ち向かい、労働者の階級意識を形成し、団結を組織し、階級的な労働運動をつくり出す闘いに結びつけて闘おう。
再稼働攻撃の最大の柱は「復興と除染」を合言葉にした「福島の怒り」の圧殺と隠蔽(いんぺい)だ。福島原発事故を許すのか否か。「3・11フクシマ」の忘却を認めるのか否か。1〜3月の闘いの焦点は、3月11日、福島現地から怒りの声を安倍政権にたたきつけていくことにある。
そこに向かって「3・1ビキニ」が決定的課題であることを訴えたい。
(写真 2月1日、安倍政権への怒りあふれる金曜行動が闘われ、「原発なくせ」の大コールが霞が関・永田町一帯を覆いつくした。東京の学生は「福島原発事故の責任を絶対にあいまいにしない。3・11福島に結集し、安倍首相にフクシマの怒りをぶつけよう」とアピール)
ビキニ事件の隠蔽画策した米政府
1954年3月1日、マーシャル諸島ビキニ環礁において米軍による水爆実験ブラボーが行われた。その破壊力は広島原爆の約1000倍、TNT火薬に換算して15メガトン(第二次大戦で使用された全爆弾を合計しても3メガトン)と言われる。
前年12月のアイゼンハワー米大統領による「アトムズ・フォー・ピース(原子力の平和利用)」演説は、ソ連の水爆実験の成功を受けて、同盟国への核技術の拡散を原発の商業化という形で承認しながら核兵器への転用を取り締まり、同時にソ連に対峙する軍事ブロックを形成するという核支配政策の転換を意味した。その実態は「平和利用」の言葉とはかけ離れた核実験の連続と地球規模の放射能汚染・大虐殺だった(米帝は46〜58年に計67回、1000メガトンの大気圏核実験!)。
ビキニ事件後、放射能雨が日本中をパニックに陥れた。被爆した日本の漁船は少なくとも856隻、しかし「なぜか厚生省は、魚は調べたが、乗組員の方は詳しく調べようとしなかった」(大石又七氏『矛盾』)。
ABCC(原爆傷害調査委員会)のモートン所長は「23人の漁夫は、2、3週間、長くてもせいぜい1カ月もしたら治るだろう」と発言、被ばくの隠蔽とモルモット化を狙った。日本の御用学者も「いまの程度の放射能雨なら永久に飲んでも害はないと思う。ラジウム泉を飲むつもりで飲みなさいとすすめたいぐらいだ」(大阪大学・朝田常三郎)と発言。日本政府は早くも12月には「人体に危険を及ぼす恐れがまったくないことが確認されるに至った」として検査を打ち切った。
原水禁運動と大石又七さん
この中から日本の労働者民衆は立ち上がり、原水爆禁止署名運動(日本で3200万、世界で6億7千万)は原水禁世界大会(55年8月6日)へと発展していく。この発祥地が、静岡・焼津と東京・杉並だった。この闘いは、米占領軍のプレスコード(報道規制)下で押さえつけられてきたヒロシマ・ナガサキの怒りを解き放った。ビキニ事件は「平和運動の原点」(大石又七氏)だった。
しかし、大石氏は「ここを境に、ビキニ被爆者と広島・長崎の被爆者は対照的な方向をとりはじめる」(『矛盾』)と告発する。その背景にあったのは、正力松太郎(読売新聞社主)とともにCIA(米中央情報局)とつながり暗躍した柴田秀利(日本テレビ)が「毒を持って毒を制す」と語った原発導入であった。柴田は「原爆におびえ、憎み、反対ののろしばかりを上げ続けてきた日本に、初めて『毒は毒をもって制す』、平和利用への目を開かせる掛け声が、全国にこだましたのだ」「日本中が、自分たちの思い通りに変わっていくのを見ながら、私は感涙の涙を流した」という手記まで残している。
また日帝は、米帝から原子力技術と原子炉を得るための格好の取引材料としてビキニ事件の政治決着をはかり、見舞金7億2千万円をもって「完全解決」とした。「ビキニの被災者たちは、日本原子力発電の人柱にされたのだ」(『矛盾』)
こうした過程に運動内部から日本共産党が加担したのは有名な話だが、それだけではない。原爆医療法の成立(57年)の過程について、当時社会党参議院議員の藤田進は「(ビキニ被爆者や原発被曝者を含めると)成立が遅れるだけだ、という判断が社会党にも出てきたわけ。とりあえず現在、広島・長崎の被爆者、犠牲者をどうするかというところに絞らなきゃあ。それで自民党の譲歩を求めなきゃあ……絶対多数ですからね」などと語った。こうした歴史が「3・11フクシマ」につながっていったのだ。
ビキニと福島結ぶ反原発・反核運動を
3・1ビキニデー闘争を闘う意義は第一に、闘い続ける大石又七氏とともに米日帝の責任を追及し、「3・1ビキニ」を杉並に刻みつけることだ。大石さんは、久保山愛吉さんの壮絶な死に「自分を重ね、覚悟を決める日々だった。今でもあのときのことを鮮烈に思い出す。悲しみ、怒り、そして恐怖。俺は決してわすれない」とまさに「ビキニの怒り」を語っている。ビキニ被爆者をヒロシマ・ナガサキの被爆者と分断してきた歴史をのりこえ、杉並の地から「フクシマ」を見据えて立ち上がろう。
第二に、社共をのりこえ新たな反原発・反核運動を杉並からつくり出すことだ。社会民主主義者は、階級的な支配と搾取を暴力的に維持するブルジョア国家を、プロレタリアートにとって非和解な打倒対象とするのではなく、逆に階級闘争を緩和し調和するものと位置づけ、もって資本主義社会のもつ階級対立の絶対矛盾をも解決できると考えている。スターリン主義者は、資本主義・帝国主義に対する根底的否定、最もラジカルな人間存在の対置、すなわち労働者の階級的団結こそが帝国主義を打倒し、世界革命を切り開くという立場を綱領的=実践的に確立しえず、生産力や核武装など帝国主義と同じ土俵で「闘争」することになる。こうした社共への断罪を、日本プロレタリアートの階級形成の現段階と切り結び前進させる革命的共産主義者の実践の問題として捉え、反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命の綱領的立脚点のもとで前進する外注化阻止・非正規職撤廃闘争を軸とした実践において歴史的に止揚していく闘いと一体で、ビキニの怒りを貫いていくのである。
第三に、日帝ブルジョアジーの原発再稼働・核武装政策と、それを阻止するプロレタリアートの階級的団結の組織化の闘いの切っ先は、反原発運動にとっては内部被曝問題である。「子どもを守りたい」というささやかで当然の思いが、ブルジョアジーの世界支配とあいいれない本質を内在させていることが、反原発運動の革命性であり、フクシマは革命の根拠地であるという意味だ。放射能への不安と怒りに真正面から向き合い、労働者民衆を組織し、2013年の激動を準備する組織の建設を進めるとともに、3・1ビキニ―3・11フクシマの怒りを安倍にたたきつけ、反原発運動の発展を切り開こう。
〔吉井 宗〕
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週刊『前進』(2571号4面2)(2013/02/11 )
人びとの“希望”となって福大生は3・11の先頭に
マル学同中核派・福島大学支部
大震災と原発事故からまもなく2年。福大支部は、政府と原子力ムラをあげてのあらゆる「福島圧殺」攻撃と闘いぬいてきた。今も消えることのない無念さ、悲しみ、怒り、悔しさ……。そのすべてを闘いの原動力に変え、2周年目の3・11を闘いの日としてかちとろう。福島と全国の学生は3・11反原発福島行動の先頭で声を上げよう!
福島の現実―「復興」「帰還」キャンペーン
福島を覆う政府、マスコミあげての「復興」と「帰還」の大宣伝。これは「収束」および「安心・安全」キャンペーンと一体で進められた。福島では、放射能被害や原発事故へ声を上げることそのものにすさまじい重圧と弾圧が伴い、生きることそのものが闘いとなっていった。
いち早く昨年1月31日に「帰村宣言」をした川内村は、「帰還」「復興」の旗振り役となっている。昨年10月13日には天皇が訪れ、日の丸を振って出迎える村民の姿が大きく報道された。「帰還」と「復興」の象徴とされる一方、その実態は「完全帰還14%」(福島民友1・29付)、「帰村者の6割超が50代以上」(福島民報1・31付)だ。また、事故以前から「原発城下町」と呼ばれ、現在は「除染」作業員の拠点となっている。1月7日の作業員宿舎の火災では、16歳の少年が出稼ぎに来ていることも発覚した。
「帰還」キャンペーンは避難補償にも及んでいる。福島県は昨年末、「県外避難者の住宅支援新規申し込み打ち切り」と「県内自主避難者の住宅支援」を発表した。県内の避難は支援するが、県外避難はダメというのだ。生活と故郷を奪われた上に、避難と支援という当然の権利までも奪われ分断される。こんなことがどうして許せるか!
「除染」研究に生き残りをかける福大当局
「帰還」と「復興」の柱が「除染」だ。福島大の除染研究は、「除染すれば福島に住める」キャンペーンに学問の名でお墨付きを与えている。しかし除染事業の実態は、汚染物質の捨て場所もない、何層もの下請けとピンハネだ。それは当然にも、労働者住民を被曝させ大手ゼネコンだけがもうかる「手抜き除染」という事態を生み出した。
「除染」の実態への怒りが高まる中、福大当局は除染研究に生き残りをかけている。昨年度の福大の運営費交付金額は86国立大学中74位。総合大学としては下から2番目だ。前年度比で見ても15%減額で全国ワースト2位。04年度の国立大法人化以降、予算は右肩下がりに減る一方だった。この状況下で震災と原発事故が起こり、11年7月には日本原子力研究開発機構と、昨年2月には放射線医学総合研究所と提携した。いずれも原発推進で被曝者をモルモット化している機関だ。その結果、今年度の予算は約4億円増え、86大学中トップクラスの増額率となった。加えて、除染研究を担うために3・11後に設立された「うつくしまふくしま未来支援センター」には、エスエス製薬から活動資金5千万円が提供された。学問が企業から買収され御用化される、これが法人化大学の実態だ。学生自治会をよみがえらせることは、こうした大学のあり方を学生の手で変革していく闘いだ。
3・11以降、あらゆる弾圧にも屈せずにキャンパス内で「原発反対!」の声をあげ始めた福大生の登場およびマル学同福大支部の再建宣言(昨春)は、当局には驚愕(きょうがく)すべき事態であった。それは同時に、どちらかが倒れるまで続く壮絶な闘いの始まりでもあった。大学当局は、立ち上がった学生を徹底的に抑え込もうとし、親の呼び出し、担当ゼミ教授を使った恫喝と取り込み、キャンパス外活動の常時監視など数々の弾圧に手を染めた。この重圧に屈せず仲間との団結にかけ奮い立ってきた日々。この怒りと闘いの蓄積こそ、全国学友に3・11闘争を呼びかける原動力だ。3・11で、福島の学生と全国学生がひとつとなろう!
資本と当局の責任を徹底的に追及しよう
「復興」「帰還」キャンペーンの核心は、「原発事故の責任のあいまい化」だ。福大で学生弾圧の先頭に立つ清水修二教授は言う。「がれきの県外処理では各地で持ち込み反対などの激しい反対運動が起きた。『汚いものはすべて福島に閉じ込めておけ』と言わんばかりの風潮がどれだけ福島を傷つけているか」「福島事故の責任について東電が四割、政府三割、自治体二割、国民一割だと思っている」(東京新聞1・22付)。「福島の立場」を自称して全国のがれき受け入れ反対闘争をののしり、「国民総ざんげ」を要求する清水の狙いは、政府・東電への責任追及のあいまい化であり、原子力ムラの免罪であり、放射能による健康被害を闇に葬ることにある。
帝国主義の核と戦争政策は、広島・長崎の被爆者、ビキニの被爆者、沖縄の人びとの切り捨てと抹殺の上に成り立ってきた。しかし逆に、広島・長崎、ビキニ、沖縄こそが反戦反核・反基地闘争の拠点となり、発信源となってきた。ここに日本労働者階級の底力があり、日帝の階級支配の矛盾がある。
先月27日のオスプレイ配備撤回集会(東京・日比谷野音)では、安倍を直撃する沖縄の激しい怒りが示された。清水は、このような労働者の階級的な決起に恐怖し、その圧殺のために「福島の運動の顔」としてブルジョアジーに担ぎ上げられている。福島こそ「革命の根拠地」であり、プロレタリア革命の大拠点となるからだ。
3月11日、沖縄と思いをひとつに、帝国主義の核と戦争で命を奪われてきたすべての人びとの思いを背負い、福島から全国・全世界へ「核と原発をなくせ!」と叫ぼう! 政府・東電への怒り、責任追及の火を燃え上がらせる日にしよう!
中でも山下俊一・県立医科大学副学長(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)は絶対に許せない! 山下は「長崎大教授」や「被爆2世」を売りにしながら、県民健康調査秘密会で被曝症状隠しの口裏合わせを主導した県民殺しの犯罪人だ。その山下が「次期長崎大学長候補」(福島民友2・5付)となるというのだ。ふざけるな! 福島県民の被曝データを人体実験さながらに収集し、「200万人の福島県民全員を被験者にする。科学界に記録を打ち立てる大規模な研究になる」(独誌『デア・シュピーゲル』11年8月15日号)と宣言し、その「成果」を手土産に今度は学長だと! こんなことは粉砕あるのみだ!
福島の怒りで安倍自民党政権を倒そう!
安倍政権は「福島圧殺内閣」だ。安倍は所信表明演説で、総理就任後初めての訪問地に福島を選んだことを得意げに述べている。だが、そこで行ったことは「再稼働宣言」なのだ。また、総選挙第一声で福島の地でやったことは、自民党の原発責任を問うプラカードを掲げる労働者・学生を自民党員が力づくで押さえ込むことだった。これこそ、安倍の掲げる改憲の正体であり、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」とする自民党改憲案の中身だ。
福島の怒りと行動は必ず安倍・自民党を打ち倒す。3・11を、福島から安倍にトドメをさす日としよう!
福島から全原発廃炉の叫びがあがっている。「生きる力を絶やさない! 俺は活きる」(福大3年・広野町出身)、「繰り返しちゃいけない。そろそろ怒るぞ」(郡山市高校生・17歳)、「今のがんばりで未来は変わる!」(田村郡中学生・15歳)、「こんなことは自分で最後にしたい。この思いが行動に駆り立てている理由だ」(浪江町高校生・16歳)。これらは2周年にあたっての福島の学生・若者のメッセージだ。福島を反原発の発信源とし、この社会を変革することこそ福島の学生の「希望」であり「欲求」だ。
労働者、農漁民、母親たちは福島の若者の登場を待ち望んでいる。家や母校を奪われ、家族や仲間とバラバラにされ、未来を描くことさえ奪われた人びとの希望となり、福大生は立ち上がろう! 300万学生、6千万労働者、270万農漁民……、あらゆる人びとと結びつき3・11反原発福島行動を大成功させよう! 福島大に闘う学生自治会をよみがえらせよう!
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週刊『前進』(2571号4面3)(2013/02/11 )
2013年日誌 1月29日〜2月4日
安倍首相が「改憲」を表明/F35次期戦闘機「例外」容認へ
●地震や津波に対する原発の新安全基準案 地震や津波に対する原発の新しい安全基準を検討している原子力規制員会の有識者会合は新しい基準の骨子案をまとめた。(29日)
●マリ周辺派遣、英が240人追加
英政府は、キャメロン首相が30日にアルジェリアを訪問し、セラル首相と会談すると発表した。フランス軍が介入したマリや周辺地域に対しては、軍事要員を最大で240人追加派遣するという。英政府は、輸送機2機と偵察機1機をマリに送り、約90人が仏軍を後方支援している。(29日)
●首相、「改憲」表明 安倍晋三首相は衆院本会議で、憲法改正の発議要件を定めた憲法96条を緩和する方向で改正する考えを表明した。(30日)
●原発ゼロ、首相「見直す」 衆院本会議での代表質問で安倍首相は、民主党政権が掲げた「2030年代に原発稼働ゼロ」の方針を批判。(30日)
●過酷事故対策の原発の新安全基準案
原子力規制委員会は原発の新安全基準の骨子案をまとめた。これまで電力会社の自主的な取り組みだった過酷事故対策を法律で義務化。新基準の骨子案は、29日にまとまった地震と津波対策の骨子案と統合される。7月に正式決定し、法的に義務化される。その後、規制委が電力会社の申請を受けて、個々の原発を基準に適合しているか審査する。(31日)
●米、アジア太平洋の関与強化 米国の次期国防長官に指名された共和党のヘーゲル元上院議員は米議会上院軍事委員会の公聴会で証言し、米国がアジア太平洋地域への関与を強める方針を示した。日本や韓国との同盟を深化させる重要性も強調した。(31日)
●フィンランド原発に日本企業が応札
フィンランド産業電力(TVO)は、同国南西部のオルキルオト原子力発電所4号機の入札に日系のGE日立、三菱重工業、東芝の3原発メーカーを含む5社が応札したと発表した。(31日)
●笹子トンネルずさん工事 中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の上り線で、崩落した天井板をコンクリート壁に固定するボルトに十分な量の接着剤が使われていなかったことが、国土交通省の調べでわかった。(1日)
●尖閣常駐も「選択肢」 安倍首相は参院本会議で、釣魚台(尖閣諸島)に公務員を常駐させることについて検討する考えを示した。(1日)
●報告案、原電に漏出 日本原子力発電敦賀原発直下の断層問題をめぐり原子力規制委員会は、事務局である原子力規制庁の名雪哲夫審議官が公表前に専門家会合の報告書案を原電役員に手渡していたと発表。(1日)
●首相、普天間飛行場の辺野古移設を表明 安倍首相は第2次安倍内閣発足後初めて沖縄を訪問し、米軍普天間飛行場について、名護市辺野古への移設を進める考えを示した。(2日)
●F35次期主力戦闘機「例外」容認へ
安倍内閣は、米国などと共同生産する自衛隊の次期主力戦闘機の最新鋭ステルス戦闘機F35に関し、日本国内で製造した部品の輸出を、武器輸出三原則の例外措置として認める方針を固めた。(4日)
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週刊『前進』(2571号4面4)(2013/02/11 )
【要項】3・1原発いらない杉並集会
ビキニ水爆実験・被ばくから59年
3・1原発いらない杉並集会
3月1日(金)午後6時30分〜
高円寺・セシオン杉並ホール(東京都杉並区梅里1―22―32)
□福島県郡山市からの報告
井上利男さん(ふくしま集団疎開裁判の会・代表)
「原発被災地をおおう『国際原子力ロビー』の影」
□VTR上映(山本太郎さんによるインタビュー)
大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)
主催/3・1原発いらない杉並集会実行委員会
呼びかけ/すべての原発いますぐなくそう!全国会議-NAZEN杉並
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週刊『前進』(2571号5面1)(2013/02/11 )
3・11怒りの福島現地へ
反原発福島行動'13呼びかけ人の訴え@
今号より「再稼働阻止! 未来のために立ち上がろう!!/3・11反原発福島行動13」の呼びかけ人の訴えを連載します。今号はふくしま集団疎開裁判の会で活躍する井上利男さん、全国農民会議共同代表の鈴木光一郎さんのお二人です。この呼びかけにこたえ、3月11日福島現地で行われる集会・デモに全国からこぞって駆けつけよう!(編集局)
「3・11」を風化させない
3・11反原発福島行動13呼びかけ人/郡山市 井上利男さん
子どもたちを避難させろ!
ふくしま集団疎開裁判の会は、11年6月に郡山の子どもたちの集団疎開を求めて裁判を起こしました。3・11直後の福島は、線量が最も高い時に情報が提供されず、放射能のプルーム(雲のような塊)が上空を通り過ぎた時も多くの市民が子どもを連れて屋外の給水所に並んでいました。
さらに文科省は4月に通知を出し、年20_シーベルトもの被曝を子どもたちに押し付けた。法律では一般人の被曝許容限度は年1_シーベルト。放射線障害防止法は3カ月に1・3_シーベルト(=年5・2_シーベルト)以上を放射線管理区域として許可なき者の立ち入りを禁じているにもかかわらず、です。
この国はまったく違法な行政措置を講じても平気な、大変恐ろしい国です。早くも11年5月に福島のお母さんらが文科省交渉に行きましたが、文科省も子どもを保護するつもりがまったくない。
こんな人権侵害と健康破壊はどうしても許せない。僕は革命家でもなんでもないけど、アメリカの独立宣言も記したとおり、人民に敵対するこんな政府は打倒されるべきです。革命が必要です。
こうした現実を打開するために集団疎開裁判が提起されました。しかし福島地裁郡山支部の決定は棄却。野田首相が原発事故の「収束」を宣言したのと同じ12月16日です。前日の15日には内閣官房「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ(WG)」が避難区域の設定基準を年20_シーベルトとする最終報告をまとめた。同WGの11月の会合ではICRP(国際放射線防護委員会)のジャック・ロシャール委員らが「緊急時から被曝継続状況への移行」を提言した。“事故は収束し緊急時は終わった。日常生活に戻れ”ということです。以降1年、避難区域の指定解除と再編が続き「復興」があおられています。
仙台高裁の結論について予断は許されません。医学論文やチェルノブイリの例などの証拠を見据えたら、訴えた子どもたちの正義は明らか。しかしもし高裁が「子どもたちは疎開すべき」と認めたら、今の政治を全否定し革命的変化をもたらすことを意味しますから。裁判に勝っても負けても、子どもたちを救うためには市民の力が必要です。勝ち負けにかかわらず道を切り開いていくのは、行政にも裁判所にも頼らない市民の力です。
(写真 「文科省モニタリングポストば除染ポスト'とやゆされてます」と語る井上利男さん【郡山駅前】)
現状はホロコーストと同じ
現状はナチスドイツのホロコースト同様の事態です。ガス室も強制収容所もないけれど、何十万人もの人が巨大な放射線ルームの中に閉じ込められ、おびただしい健康被害を受けている。政府や行政には年1_シーベルト以下に抑える義務があるのに、福島県内ではいまだに年20_シーベルト基準が生きている。その中で屋外イベントに子どもたちがしょっちゅう動員されています。
日本政府の背景には国際原子力ロビーがいる。IAEA(国際原子力機関)につながる学者の権力意識はYouTubeの動画「真実はどこに?―WHOとIAEA/放射能汚染を巡って」を見ただけでよくわかります。彼らは、重松逸造や山下俊一らがつくった計算モデルに基づき「甲状腺以外の健康被害はない」と主張し、それ以外の疫学調査はすべて「無知に基づくもの」と言うんです。
衆院議員調査団が11年10月にウクライナなど3国を訪問して作成した報告書に添付された「チェルノブイリの長い影」というチェルノブイリ博物館からの持ち帰り資料を読めば、その本性がよくわかります。私のブログにもアップしたので見ていただきたい。事故による妊婦・子どもたちの疾患や遺伝学的影響がよくわかります。随所にICRPやIAEAへの批判も出てきます。
郡山駅前行動を毎週続ける
昨年7月からは郡山駅前で県内初の金曜アクションを始めました。東京で首相官邸前に20万人が集まっているのに、県内で何もないのはおかしいと思ったからです。
郡山でも放射能被害の問題の講演会には多くの人が集まります。多くの市民が不安を持っている。だけど行動を起こす人はさしあたり少数。医療界やメディアなどがすべて国や県の圧力下に置かれているからです。行動することを怖いと思っている人もいるからこそ、「怖くないよ」と訴え続け、圧力を打ち破る力をつくり出したい。
行動とは特別なものではない。眠くなったら寝る。お腹が空いたら食べるのと同じ、日常にとけ込んだもの、自分の中からわき上がるものです。寒くても、始めた以上は責任がある。声を上げ続けようと思っています。
広島は8月6日、長崎は8月9日、それぞれ毎年欠かさず核兵器廃絶と平和を祈念しています。
全国から集まってください
同じく3月11日は永遠に原発廃絶と健やかに暮らせる未来を祈念すべき日です。
福島の場合、大震災と津波だけでなく原発事故が複合しているから、政府も県もこの日を風化させようとする。それを許したら、原発事故の被害のすべてが歴史の闇に葬り去られてしまう。たった2年、被曝が今まさに進行しているさなかで風化が始まることほど恐ろしいことはありません。だから3月11日、「私たちは絶対に風化させません」という決意を込めて福島市で集会とデモをやります。
この思いに全国からぜひ連帯してほしい。当日は月曜なので仕事のある人は大変でしょうが、休暇を取って集まってください。福島に来られない人も福島と連動して、前日の10日などにイベントを開催する場合でも3・11反原発福島行動13に連帯を表明してください。私もこれから連日、ツイッターやブログで呼びかけていきます。
■井上利男さんのブログ
「原子力発電 原爆の子」/Twitterのアカウント「@yuima21c」
※ふくしま集団疎開裁判
郡山市の小中学生14人とその親が「子どもたちを安全な場所で教育せよ」との仮処分を求めて11年6月に訴えた事実上の人権回復申立事件。福島地裁郡山支部は同年12月に申立を却下。仙台高裁では今年1月まで3回の審尋が行われ年度内にも判決が予想される。
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【要項】 3・11反原発福島行動'13
再稼働阻止! 未来のために立ち上がろう!
3・11反原発福島行動'13
3月11日(月)正午開場
福島県教育会館大ホール(福島市上浜町10-38)
JR福島駅東口バス2番のりば「競馬場方面」行き「豊田町」下車徒歩5分、または3番のりば「東堀河町」行き「上浜町」下車徒歩2分
12時30分プレイベント/午後1時コンサート
1時30分集会/3時15分デモ出発(→県庁前→福島駅)
主催/3・11反原発福島行動実行委員会
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週刊『前進』(2571号5面2)(2013/02/11 )
農民としてここに生きる
全国農民会議共同代表・酪農家/本宮市 鈴木光一郎さん
酪農家として誇りをもって
あらためて感じることは、原発というのは本当にものすごいエネルギーを封じ込めてそれを一気に爆発させるものです。そんなものを発電に利用するというのは「死の行進」ですね。支配者たちはとんでもない危険性を知っていながらひた隠しにしていた。そして原発は、大地震が襲えばあっけなく壊れてしまうような古い装置であり、その程度の技術力に過ぎない。そんなものを頼りに資本主義は生き延びてきたのです。
自民党は全然反省してない。ふざけた話です。徹底的に責任を取らせなければなりません。
私は酪農家として、自分の仕事に誇りをもって取り組んでいます。労働者が自分の仕事に誇りをもつのと同様に、自分のつくった牛乳が皆さんに「おいしい」と言って喜んでもらえる、それが農民の喜びの神髄であり、そこに責任をもつのが農民だ。本当に安全でおいしい牛乳を届けることが、私たち酪農家の生きがいです。それは金には換えられない。だから低農薬・循環型の農業というのは当たり前のことなんですね。
牛乳は大昔は薬として、あるいは生命力を高めるものとして珍重されました。秦の始皇帝もチーズにして病気を治すものとして愛用したと言われています。日本で一般的に普及するようになったのは戦後ですが、今では生活に欠かすことのできない存在です。
私たちがこうして精魂込めてつくり、細心の注意を払ってみなさんに送り届けているものを、原発はいとも無造作に踏みにじった。本当に許すことはできない。
酪農家にとって牛は家族同然の存在です。もちろん私は今でも、自分のところで搾った牛乳の安全性について、徹底的に厳しく管理しています。だが、原発に近い場所の多くの酪農家は3・11の時に、引き裂かれる思いで牛たちをつないだまま置いてきた。1カ月くらいあとで戻ってみたら、牛はみな死んでいた。死んだ牛を豚が食っていたところもあった。
国はなんの対策もなく放ってきた。悲しみを怒りに変えて国と東電に絶対に責任を取らせる!
(写真 全国農民交流集会で全原発廃炉への決意を語る鈴木光一郎さん【1月26日 二本松市】)
沖縄・三里塚とともに進む
国は今TPPを進めようとしているが、これをやられたら農業は破滅します。沖縄では農民は、風土・気候と一体化して暴風雨に耐えながらサトウキビづくりを守ってきた。それが貿易自由化ということで壁を取っ払われたら、はっきり言って全滅です。こんな農民切り捨てのTPPを認めるわけにいかない。財界は自分たちだけ生き延びればいいと思っているようだが、最後は彼ら自身も破滅する道です。
三里塚で農民が土地を取られることの苦しみが、そして金を積まれても屈服せずに空港と闘い続けることの大事さが今、本当に分かります。
私も三里塚闘争の初期から足を運んでいました。最近DVDになった「三里塚の夏」に福島反戦会議の旗がぱっと出るシーンがある。旗を持ってるのは私です(笑)。
福島の現実は隠されている
今はさまざまな情報が氾濫(はんらん)する時代だが、自分が判断するときに大事なものは実感です。三里塚の闘いの意義は、あの大地に立ってみなければ分からない。そこで人間、自分、すべての価値も見えてくる。
福島も同じです。福島の現実は、「安全」「大丈夫」という情報でかき消され、真実が伝わっていない。ですから皆さん一人ひとりが3・11に福島の地を訪れて、この地に立って、そこに住んでいる人びとと対面し話して、自分の五感で感じ取り、見極めてほしいと思います。そうすることで皆さんそれぞれの闘いの方向性も見えてくるのではないでしょうか。
福島の現実は大変厳しいものですが、今若手の人から「この地で放射能汚染と徹底的に闘いぬいて農業をやっていく。何十年かかろうとこの土地を取り戻したい」という声が上がっています。私はそのことに本当に自分が洗い流されるように感動し、自分もここで農民としてともに生き、闘い、行動するという気持ちを新たにしました。
ぜひ皆さん、3・11福島に結集してください。
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週刊『前進』(2571号5面3)(2013/02/11 )
放射能漏れは止まらず原発事故は今も進行中
3・11福島へ/事故責任徹底追及を(上)
忘れもしない2011年3月11日の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の大事故。これらは東日本の労働者階級人民をどん底の苦しみに追いやった。しかもそれは今も続いている。極右の自民党・安倍政権は野田政権の悪行に輪をかけ、“原発事故は終わった”とばかりに福島を切り捨て、原発再稼働に突き進もうとしている。絶対に許せない。事故責任追及の闘いを徹底強化しよう。今回は福島第一原発事故の現状に迫り、「収束宣言」のウソを暴く。
(図 福島第一原発の現状) 高濃度汚染水があふれ貯蔵タンク建設も限界
福島第一原発事故の現場はどうなっているのか。このこと自体、昨年の政府事故調、国会事故調の調査報告書の発表以来、マスコミでも報じられることがほとんどなくなってしまった。野田の「収束宣言」のウソが大手を振ってまかり通っているのだ。
だが、福島第一原発事故の現場は3・11当時と本質的には何ひとつ変わっていない。それどころか事故はまだ進行中だ。
福島第一原発の事故現場では事故によって崩壊した放射性物質の封じ込めが2年近くたってもいまだにできていない。まさに人類が初めて体験する一大原発事故なのだ。
1号機と3号機にはスカスカの「建屋カバー」なるものをかぶせているが、そんなものでガス状の放射性物質の放出を止められるはずがない。
事故対策の核心はメルトダウンして破損した1〜3号機の原子炉圧力容器と格納容器全体を密封状態にして、本来の循環冷却システムを再建することである。
われわれは今回の原発事故で原子炉の崩壊熱のすさまじさを目の当たりにした。どんな危険な化学プラントでも反応を止めればいったん危険は回避される。ところが原子炉の場合、核燃料の連鎖反応を止められたとしても、膨大な崩壊熱が数十年にもわたって出続け、それを冷やし続けないとシステムそのものが崩壊し、大惨事を引き起こすという危険きわまりない代物であることが衝撃的に明らかになった。
“事故直後は全交流電源が喪失したことによって冷却システムが稼働できなかった。緊急時の冷却システムもうまく動かなかった。だから緊急対策としてとにかく「打ち水」をして、あふれ出た高濃度汚染水をポンプでくみ出して放射性物質を濾過(ろか)して再使用する。それでも高濃度汚染水が余るからひとまずはタンクに貯める”。そう東電と政府は主張してきた。こんな緊急避難策を「循環注水冷却システム」と怪しげな名前を付けて実行してきた。
本来、軽水炉では原子炉を止めても膨大に出続ける崩壊熱を取り除くためにRHR(残留熱除去系)というシステムを定期検査に備えて3組も備えている。だから本当ならこのRHRを再建できて初めて「収束宣言」を出せるはずなのだ。
ところが事故から2年近くたってもRHRを再建できずにその場しのぎの打ち水方式で高濃度汚染水を垂れ流しにするしかないのが現状なのだ。つまり原子炉を含む格納容器を再度密閉することが検討課題にもならないぐらい地震と津波と水素爆発で原子炉全体がガタガタに破壊されてしまっているということだ。
その結果、微量になったとは言え放射性物質が空気中に24時間漏れ出し続けている。さらに、垂れ流しの冷却水による地下水の汚染が日々進んでいる。これらの汚染水が10〜20年後に突然、遠く離れたところで高濃度汚染水として見つかる可能性すらあるのだ。
しかも増え続ける汚染水用のタンクの増設が限界に近づいている。現在福島第一原発の広大な敷地内に千基を超えるタンクが建設され、約12万dもの処理水が貯まっている。汚染水は1日400dずつ増加。一部は濾過して再使用しているが、大部分はタンクに貯めるしかないという。タンク増設計画も限界に近づいている。こんな弥縫(びほう)策がいつまでも続くわけがない。
そこで東電が狙っているのが汚染水の海洋放出だ。これに対して地元の漁民は一斉に反対している。原発事故後にも東電は大量の高濃度汚染水を意図的に海に放出し、まだ出荷規制にかかる魚が20種類にも及ぶという取り返しの付かない犯罪行為を犯した。その責任も取らずに、再度汚染水の海洋放出を画策するとは断じて許し難い。
4号機の使用済み燃料プールは崩壊の危機に
4号機の使用済み燃料プールの問題も何ひとつ解決していない。
4号機については水素爆発をしたけれども、定期検査中で原子炉は稼働していなかったと言われている。だが、すでに明らかにされているように4号機の最上階にある使用済み燃料プールには大量の使用済み核燃料を含む1533本もの燃料集合体が保管されている。3・11の直後にはこの使用済み燃料プールの冷却システムも破壊され冷却不能に陥り、燃料棒が溶け出す危機に直面した。燃料プールの冷却自体は原子炉のRHRに相当するものが再建されているが、それも時々故障し問題を起こしている。
さらに4号機が水素爆発したことで、建屋がボロボロに破壊され、燃料プールそのものが崩壊しかねない危機状態が続いている。この燃料プールが再び地震や津波に襲われて崩壊すれば燃料棒がばらばらに飛び散って溶け出し、放射性物質を大量放出することで“首都圏からの避難すら問われる”と言われているほどの大問題なのだ。
だが崩壊寸前の4号機燃料プールから、近づいただけで人間が即死すると言われる放射能まみれの使用済み核燃料を取り出すことは至難の業である。そのための独自の施設と態勢をつくらねばならない。その具体的プランはこれからなのだ。このことひとつとっても、事故は進行中である。
“人間がコントロールできる代物じゃない!”
以上見たように、福島第一原発の現場は本質的には事故当時となんら変わっていない。にもかかわらず「収束宣言」などというウソで事故責任をすり抜け、原発を再稼働させようなどというデタラメを許してはならない。
事故原因については四つの事故調の報告書が出ているが、「責任追及は目的としない」などという政府事故調を始め、いずれも責任追及をあいまいにしている。その結果事故原因そのものにも真剣に迫ろうとはしていない。
事故そのものについて言えば、いまだに原子炉内部・格納容器内部がどうなっているのかさえ分からない状態だ。2号機内部は7万2900_シーベルトで、誰でも6分で死に至ると言われている。ロボットなどもあまりの高線量に次々と壊れている。だから、メルトダウンした燃料がどうなっているのかもまったく分かっていないのだ。
飯舘村から福島市などの福島中通りを汚染させたのは3月15日に2号機から大量放出された放射性物質が昼過ぎから降り出した雨と雪によって土壌に沈着したのが原因だと言われている(「運命の日3月15日」)。
この2号機からの放射性物質の大量放出の原因についても四つの報告書はまったく迫れていない。だが、徐々に事実が明らかになってきている。2号機の大量放出の原因は「格納容器の本体と上ぶたの接続部分や配管フランジ部(つなぎ目)」からだという(東電自身による日本原子力学会での発表)。配管のつなぎ目から漏れたいうことは、地震によって配管が大きく揺れたことにより、つなぎ目に緩みが生じて低い圧力でも漏れてしまった可能性が高い。そのほか、詳細に検討すれば、至る所に地震による配管のひび割れが原因と思われる事象が見いだされる。
3・11当日現場にいた労働者は、「この原発事故がいかにすごいものだったか、どれほどたまたま運が良かっただけで東日本が助かったか……あの時現場にいたすべての人が『原発事故はどんなに対策やマニュアルがあっても、こりゃ人間がコントロールできる代物じゃない、事故の次元が違いすぎるよ』って思ったはずだ」とブログ上で語っている。
現在も活断層問題が再稼働をめぐって争われているが、日本のような地震大国で原発をつくること自体に無理があるのだ。だからこそ、今回の事故原因の究明は重要である。それをすり抜けて規制を強化したから再稼働というのは、はじめに再稼働ありきであり、福島第一原発事故を再来させるものだ。こんなことは絶対に許してはならない。
そのためにも福島第一原発事故の原因を徹底的に究明し、政府・東電や原子力ムラに責任を取らせる運動をさらに強めなければならない。それが福島の闘いに応え、新たな原発事故を防ぐ最大の道である。
3・1ビキニ−3・11福島現地闘争に総決起しよう。
〔城之崎進〕
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週刊『前進』(2571号6面1)(2013/02/11 )
団結ひろば 投稿コーナー
退職金削減―現業職員の怒りに火がついた 東京自治体 有島るりこ
衆議院解散のドサクサの中、わずか1日で国家公務員退職金削減が決まった。次は地方公務員だと東京都職員、埼玉県職員など多くの自治体で退職金が大幅削減された。
東京23区でも1月23日、最大400万円の削減案が示された。成果主義で上位職ほど削減幅が少なく、現業職は率でも額でも行政系の約2倍の削減案。
「何が公務員は優遇されているだ」「現業つぶしだ」「怒りが収まらない」「俺たちが何をしたというんだ」「撤回しかない」「現業だけ基本給10・2%削減し、今度はこれか」「60歳以降の雇用内容も決めず、退職手当だけ削減するとは許せない」。現業職員の怒りに火がついた。
「大幅削減も許せないが、現業には二重三重に過酷だ。不公平で認められない」と、行政職も現業職も、自治労系も自治労連系も独立単組も団結し、競い合って連日、ブロック集会、各区長・区長会要請行動や執行部交渉が行われている。
明日は大雪という2月5日夜のブロック集会では「みんな怒ってますか。こんな提案認めるわけにはいかない。明日は清掃労組と一緒に区長に対し、要請行動を行う。雪が降ろうがやりが降ろうがやりぬく」と決意表明がされた。
闘いの山場は14日。15日早朝には29分職場集会が設定されている。そこに向け、12日の区長会座り込みから中野サンプラザホール(2200人収容)での総決起集会へ、怒りと行動が拡大している。現業つぶしで自治体労働運動をつぶす区長会の狙いは打ち破られつつある。
しかし、これからが正念場。攻撃は激しいし、7月からの基本給7・8%削減攻撃が狙われている。一切は自ら闘いぬいて団結を拡大し、外注化阻止・非正規職撤廃、新自由主義と闘う労働組合をつくることだ。
県民投票を否決した新潟県議会に怒り! 新潟 KS
柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案の臨時新潟県議会審議が1月21〜23日行われ、私は3日間傍聴しました。
3・11福島原発事故とその後の推移に危機感と怒りをもった市民が自発的に「柏崎刈羽原発を稼働させるか、させないかの県民投票を実現しよう」と、昨年3月に「みんなで決める会」を発足させました。必要署名数4万人をはるかに超える6万8千人余を集めて県民投票条例案を提出したことによって、今回の県議会審議となりました。
1日目に「みんなで決める会」の6人が思いを込めて意見を述べたのですが、胸をうちました。妻子のいる青年労働者は、この運動にかけるために仕事をやめたそうです。別の青年は、自分の車を売って運動の資金にしたといいます。
また新潟市から遠く離れて住んでいた女性や主婦は、新潟市に開設した事務所に通いつめ、連日街頭に立って署名集めを続けてきたのです。
そして県内各地で「受任者」といわれる署名を集める人が次々と生まれ、署名は期限切れが近づくほどうなぎのぼりに増え続けたそうです。
昨年10月の朝日新聞の調査で72%が県民投票に賛成しており、市民の自主的で主体的な決起から生まれたこの運動は県民全体を巻き込んで柏崎刈羽原発の是か非かを問う大運動になったのです。
県議会審議の内容はひどいものでした。県知事が条例案は修正しても県民投票は実施すべきだと繰り返し言っているにもかかわらず自民・民主・公明は、最初から否決ありきの論議を繰り返し、「原発は国策であり、県民投票はなじまない」という理由で否決。まるで福島原発事故などなかったような意識です。本当に腹がたちました。
こんな現実は変えなければならない!と怒りと決意を新たにしました。
星野同志の無実訴え2・5徳島で座り込み 徳島 仙田哲也
昨年の2・5徳島刑務所包囲デモから1年。2月5日、「徳島刑務所は受刑者を殺すな! 暖房と面会を取り戻そう! 星野さん救援・徳島刑務所抗議行動」が取り組まれた。
JR徳島駅前で昼休みの1時間、座り込み行動が行われた(写真)。星野文昭同志の家族である星野暁子さんを迎え、徳島救う会を軸に東京、岡山からも駆けつけて闘われた。食事に出てきた労働者の面々が、ビラを受け取り、署名に足をとめていく。新自由主義と対決して、獄中で闘いぬく星野同志に、多くの労働者が階級的な息吹を感じ取っている。
午後から参加者全員で徳島刑務所に移動、暁子さんと東京北部の会の狩野裕子さんが星野同志との面会を申し込んだ。しかし、認められたのは暁子さんのみ。これに対し「友人面会を妨害するな」と怒りを込めて抗議の申し入れを行った。暁子さんを始めに東京、岡山、大阪、徳島からの請願書が提出された。
検察側が隠し持つ全証拠開示の取り組みは、安倍政権とのギリギリとした死闘に突入している。
星野同志の無実の証拠「色・声・光」は、『国際労働運動』2月号でがっちりつかめる。星野闘争は、必ず新自由主義と対決する労組拠点を生み出す大きな力になっていく。外注化・非正規職化阻止の国鉄決戦、反原発のフクシマ陣形と文字どおり一体となった星野全証拠開示運動をつくりあげよう。
松山市で星野全証拠開示署名の街頭宣伝 愛媛 日野 亮
1月26日、松山でも「愛媛星野さんを取り戻す会」のよびかけで、星野全証拠開示の街頭宣伝・署名を取り組みました。寒さが一番きびしくなる時期ですが、大街道商店街のアーケードでみんなで取り組めたことがよかったです。署名を始めるとすぐに応じてくれる人。さらに話し込んでいると次の人、次の人と、とぎれる間のない署名運動になりました。
12月には「ネットで星野さんのことはよく見ています……」という若いカップルもいて、毎月の継続的取り組みになりました。全証拠開示にむけ、愛媛でも着々と獄中との団結が蓄積されていっています。
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週刊『前進』(2571号6面2)(2013/02/11 )
迎賓館・横田爆取被告団のアピール
2・23総決起集会に大結集し差し戻し控訴審無罪かちとれ
1986年の東京サミットに対するロケット弾戦闘を口実とする、私たち3人(須賀武敏・十亀弘史・板垣宏)への「迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧」裁判は、文字通り最後の決戦を迎えている。
中曽根以来の国家権力の新自由主義攻撃とその治安弾圧に対する四半世紀に及ぶ裁判闘争の経緯は次の通り。1987年デッチあげ逮捕と起訴。15年2カ月に及ぶ未曽有の未決勾留。完黙・非転向の闘いを貫き、2004年に、15年をかけた綿密な審理の結果としての一審無罪判決をかちとる大勝利。それに対して検察官が控訴。東京高裁の中川武隆裁判長はまったく証拠調べをしないまま1回で結審し、15年かけた無罪判決の「破棄」「差し戻し」を判決。最高裁は私たちの上告を直ちに棄却して、差し戻し一審開始。2010年6月に中川の意を受けた林正彦裁判長が、証拠によらず、治安弾圧の意志だけによって逆転「有罪」を判決。私たちは直ちに控訴し、この3月25日に、差し戻し控訴審の最終弁論公判を迎えようとしている。
私たちは、3・25公判を、これまでの闘いのすべてをかけた最後の決戦として闘いぬく。ここで勝利し、再逆転の無罪判決を必ずかちとる。
無罪立証した控訴審
控訴審における5回を重ねた弁護側立証で、私たちは重大な勝利の地平を切り開いた。控訴審裁判所による即日結審のもくろみを打ち砕き、2人の専門家証人の尋問と私たち3人の被告人質問をかちとった。
証人として立ったO氏とS氏は、正確な専門的知識によって、原判決(差し戻し一審「有罪」判決)の誤り、すなわち私たちの無実を、精密かつ鮮やかに立証した。その証言と結びあう形で、私たち3人は被告人質問において徹底して攻勢を貫き、自らの無実を全面的に明らかにした。私たちは積年の怒りを力に変えたのだ。
控訴審におけるそれらの闘いによって、私たちは「法廷的」には、完全に勝ち切っている。裁判所は、証拠で判断する限り無罪を宣告する以外にない。
しかし、だからこそ今、法廷の内と外とが一体となった全力を挙げた決起が求められている。
今こそ闘いを広げよう
差し戻し前控訴審の判決と原判決は、証拠による判断ではない。中川の控訴審判決は、立証がどうであれ「中核派の被告に無罪判決を出すことは許さない」とし、林の原判決は、さらに進めて「中核派の被告ならば、立証がなくても有罪」とした。それらは、裁判所による新たな意識的なデッチあげそのものだ。
原判決は迎賓館戦闘について、「まさにテロ行為にほかならず」「反社会性の著しい悪質・重大な犯行」であると、口を極めてののしっている。原判決の本質がそこにはっきりと露呈している。国家権力に歯向かう者は絶対に許さないという階級意志の表明だ。
だからこそ私たちは、階級的労働運動とともに、闘う学生運動とともに、新自由主義攻撃とその治安弾圧に対決するすべての人民とともに、広い陣形で法廷の内と外を結び、司法の犯罪を粉砕しなければならない。その橋頭保を築く2・23集会に、力に満ちた大結集をしよう。
福嶋同志再審勝利を
同じデッチあげ弾圧を受けた福嶋昌男同志は、不当逮捕以来20年、法廷で敢然と闘いぬいた。昨年3月の許すことのできない上告棄却決定に対して、「新たな闘いを始める」と戦闘宣言を発した。現在、府中刑務所において、不屈に再審に向けた闘いを進めている。獄外においても、再審請求の準備はしっかりと進められている。獄壁の内外に呼応するその闘いに対して、刑務所当局は福嶋同志への懲罰(昨年9月)、面会・通信の妨害、差し入れ制限などの卑劣な攻撃を加えている。監獄の中に監獄をつくる弾圧であり、断じて許せない。
2・23集会は、福嶋同志への獄中弾圧を許さず、必ず再審をかちとろうとする集会である。その再審への道を、3人への無罪判決によって決定的に切り開こう。
階級闘争前進と共に
デッチあげ弾圧粉砕の闘いは、階級的労働運動や闘う学生運動に対する、あらゆる弾圧を打ち砕く闘いだ。私たち被告団は、常に、階級闘争全体の前進と一体のものとして公判闘争を進めてきた。2・23集会は国鉄、反原発、三里塚、沖縄を闘う集会でもある。
そして何よりも、私たちは、星野文昭同志の闘いに深く学び、強く連帯する。私たち4人の無罪を確定させる闘いは、星野同志の「全証拠開示・再審開始・無罪奪還」の闘いに結びつく。階級の怒り、星野同志の怒り、私たちの怒りはひとつだ。
心から訴えます。2・23集会へ、そして3・25公判へ、ともに闘い、ともに勝利しよう!
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差し戻し控訴審無罪へ! 福嶋再審勝利!
2・23総決起集会
日時 2月23日(土) 午後1時開場 1時30分開会
場所 初台区民会館(京王新線初台駅下車5分)
主催 迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会
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週刊『前進』(2571号6面3)(2013/02/11 )
星野面会・手紙国賠第6回裁判 被告・国のうそ暴く
布川事件 桜井さんが「陳述書」提出
2月1日、東京地裁民事第38部で面会・手紙国賠第6回裁判が開かれ、徳島刑務所による面会拒否・手紙墨塗りを弾劾した。
原告の星野暁子さん、「布川事件」で再審無罪をかちとった桜井昌司さん、金山克巳同志の3人が出廷し、星野・再審連絡会議の人たちが傍聴席を埋めた。昼休みには、裁判所前で全証拠開示大運動のビラをまき、署名を訴えた。
2006年以降、総計94人が星野文昭同志と面会して、獄壁を事実上打ち破る団結を強化してきた。これが星野闘争を飛躍させ、徳島刑務所と国家権力に大打撃を与えてきた。昨年2・5徳島刑務所包囲デモには600人の労働者人民が決起し、星野同志を取り戻す闘いを労働者階級の課題へと押し上げた。
この闘いに追い詰められた徳島刑務所は、許しがたい攻撃をかけてきた。7人の友人と暁子さんの面会を認めず、暁子さんの手紙5通を墨塗りした。さらに2・5闘争に対する報復として、新たな面会妨害と手紙の墨塗り、2人に対し面会、手紙の授受などの禁止処分を行った。
面会・手紙国賠は、これとの真っ向からの闘いである。獄中38年を不屈に闘う星野同志と獄外の友人が自由に面会することは、人間としての当然の権利であり、根源的な欲求である。これを否定する徳島刑務所、国家権力を絶対に許すことができない。
被告・国はこの間の「準備書面」で2・5闘争が徳島刑務所にいかに打撃を与えたかを語り、その報復として、面会拒否も手紙の墨塗りも当然であると開き直っている。暁子さんの面会拒否にあたっては、回数終了だけではなく「面会を認める特別な理由」があるか検討したといううそまで書いている。
西村正治弁護士は、これらを具体的事実で弾劾する原告「準備書面(4)」と、うそを暴く「星野暁子陳述書」を提出。最後に、桜井さんが「陳述書」を提出した。
星野闘争は、労働者階級、非正規労働者・青年労働者の怒りと一体になって安倍政権を打倒し、その中で星野同志を階級の手に取り戻す闘いである。
3・5東京高裁包囲デモに決起しよう。全証拠開示大運動を全国で拡大しよう。
次回、第7回裁判(4月12日午後1時半、705号法廷)の傍聴に駆けつけよう。
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週刊『前進』(2571号6面4)(2013/02/11 )
3・5高裁デモへ
星野無実の全証拠開示せよ
星野文昭同志の全証拠開示と再審開始を迫る「3・5東京高裁包囲デモ」が、星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議から呼びかけられた。
2013年、星野同志奪還へ、本年第1波のデモである。星野同志はすでに獄中38年! 無実の証拠を隠し、いまだ再審を開始しない東京高裁・東京高検に怒りのデモをたたきつけよう。総力決起を訴えます。
1971年、沖縄返還協定批准阻止闘争を最先頭で闘った星野同志に、日帝・国家権力は無実を百も承知で、「殺人罪」をデッチあげ、無期懲役の攻撃を加えてきた。星野同志はこの70年安保・沖縄決戦への報復弾圧を、38年間非転向を貫き、絶対非和解の闘いで日々打ち砕いている。そして、全力を挙げた弁護団の闘いと一体のものとして東京高裁をぎりぎりと追い詰めている。
星野同志と弁護団は、昨年12月冒頭、現場目撃者の供述調書の開示と、闘争現場で撮影された星野同志の写真のネガの複写(スキャニング)を請求した。同時にこれら証拠開示の必要性を説明するための3者協議を求めたが、今に至るも東京高裁からは何の返事もない。3者協議も開かず、弁護団の意見も聞かずに、開示請求を棄却することなど断じて許してはならない。
今こそ、星野同志の無実を全人民に訴えよう。証拠開示をしないばかりか、証拠を隠滅までして再審開始を阻もうとする日帝・東京高裁−司法当局を徹底的に追い詰めよう。
安倍政権は、世界大恐慌の一層の深まりと大争闘戦時代への突入、そして3・11情勢に根底的に規定されている。その凶暴で絶望的な攻撃は、全人民の怒りをかきたて、「生きさせろ」の根底的な闘いをいよいよ全面的に引き出している。この怒りと星野同志の怒りはひとつだ。国鉄決戦を基軸に、反原発、三里塚決戦と一体となって全証拠開示大運動を総力で推進しよう。2・17国鉄大集会を成功させ、3月決戦で安倍政権を打倒しよう。3・5東京高裁包囲デモへ!
☆
3・5全1日行動
★午前11時30分 日比谷公園・霞門結集/12時15分 デモ出発/
★午後1時30分 署名提出行動
★午後1時40分 第11回ビデオ国賠開廷(東京地裁527号法廷)
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週刊『前進』(2571号6面5)(2013/02/11 )
追悼!渡久地政昇同志
沖縄への強い思いと怒り 革共同として生涯を貫く
革共同神奈川県委員会
革共同神奈川県委員会の渡久地政昇(とぐち・せいしょう)同志が昨年11月14日に肺炎のために亡くなりました。享年68歳でした。
沖縄民権の会との共催で1月26日、川崎市内で偲(しの)ぶ会を開催しました(写真下)。革共同沖縄県委員会のメッセージとともに多くの仲間たちの思いが語られ、渡久地同志の遺志を引き継ぎ革命を成し遂げる決意を新たにしました。
渡久地同志との出会いは87年、天皇訪沖阻止決戦を訴えるビラまきに、当時廃品回収の仕事をしていた渡久地同志が通りかかり、こちらが恐縮するくらいに感謝されたのがきっかけでした。渡久地同志は、川崎の同志たちと本多著作選の沖縄奪還・安保粉砕・日帝打倒論を学習しつつ、三里塚闘争に参加する中で革共同に結集しました。
1944年に那覇で生まれた渡久地同志は、結婚後、夫婦と幼い子どもたちの家族4人で東京にやってきましたが、生活は描いたようにはならず別居。沖縄の家族との約束を果たせぬ半生を川崎の地で必死に生き抜いてきました。
東京で板前をしていた時に、元全軍労委員長で国会議員の上原康助がやってきて、沖縄を裏切る上原と大激論になり上原をお店からたたきき出したこと、沖縄人民党の党員だったお兄さんが73年に日本共産党に合流したことに怒って人民党を脱退したこと、コザ暴動での武勇伝などを、渡久地同志は目を輝かせながら語ってくれました。
沖縄への強い思いと激しい怒り、しかしけっして楽ではない生活、遠く離れている家族への深い愛情。渡久地同志のこのような苦闘と存在が革共同と合流することで、今日の私たちの階級的労働運動路線が深まり、またその後の渡久地同志の闘いもあったと確信します。神奈川沖縄青年委員会発行の『デイゴ』の編集に携わり、「神奈川・星野文昭さんを取り戻す会」の共同代表も務めました。ここ数年の心筋梗塞との闘いの中でも「11月労働者集会に参加したい。同志たちに会いたい」と常に闘いの現場に身を置き、革共同であることに誇りを持っていた渡久地同志でした。
いま安倍政権は中国や北朝鮮と戦争するためにオスプレイを配備し、日米安保と沖縄基地の強化、憲法改悪、労組つぶしの新自由主義攻撃に突っ走っています。
私たちは、労働者の団結した力で沖縄闘争に勝利し、資本主義を転覆する日まで渡久地同志とともにあり続けることを誓いました。
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週刊『前進』(2571号6面6)(2013/02/11 )
「闘う者が家族」と語った渡久地さんの志を生きる
沖縄民権の会 座覇光子
11月14日、安らかな顔を見せて、渡久地さんは逝った。この静かさの数分前まで、生きよう、生きたいと、自らの苦しみと重ねて働く者の苦悩を想えば、生きて一緒に世の不条理と闘いたかったに違いない。
不器用な生き方しかできなかった渡久地さん、「あなただけではないよ。沖縄人(ウチナンチュ)はみんなそうだと思う」と言ってあげたい。だまされたり、裏切られたりで人が信じられない。その孤独な日々をパチンコで紛らわしていたんだと思う。
ある日、沖縄のことを書いたビラを配っている人たちに出会った。とても感動し、「その集会に行きます」と言ったのがきっかけで闘う同志となった。渡久地さんは、「俺は、あなたを信頼していないから……」と、言い放った。言われた同志は戸惑い、動揺したと述懐する。
渡久地さんは「本音」を言って、なおかつ「俺に信頼させてくれ」と願った。空腹を満たしたいように彼は信じる人が欲しかったんだと、私はすぐ分かった。彼は私の分身だから。それはずっと以前から共有している沖縄の歴史が物語り、現在に至るまでわれわれ沖縄人に言わしめていることだから……。
神奈川の同志がずっと彼の面倒を看ていて、ある日、共産党系の病院の医者に「『野田のヤロー』と言っていたんですが、彼は何か政治活動をやっていたんですか」と聞かれたそうだ。私なら「何を言っているんですか! 沖縄の人はみんなオスプレイ配備反対なんです! この言葉に込められた深い痛苦を想像できますか」と……。
安倍首相に代わって、ますますわれわれ労働者階級に重荷を負わせようとしている。戦争をしたがっている。再び沖縄戦を繰り返せと言うのか! 世界の労働者にオスプレイを飛ばすことで、われわれを被害者のみならず加害者にさせるのか。
しかし、われわれは自分さえ良ければ良いという社会を否定し、労働者は助け合い、支え合うのだと深く思っている。渡久地さんが息子を亡くし、葬式代もないような時、沖縄の同志の女性は、羽田まで追いかけて行って、足りないだろうからとさらに10万円を渡した。渡久地さんも死が近いことを悟ってか、亡き息子の墓を作るために生保の中から身を削るような思いで送金して、自分の葬式代まで託した。
神奈川の同志は彼の最後まですべての面倒を看て成し遂げてくれた。親身になって20年間余、見守ってくれた。「あなたの兄弟、姉妹はどこにいますか」「闘う者が兄弟であり、家族だ」という問答を想い出す。
実に世の変革の始まりを垣間見せてくれた。いや、しかと見せてくれたと深く感謝している。
沖縄人にも私はこのことを伝えたい。「私の故郷は世界の労働者階級の中にある。ともに生きられる故郷をつくるのだ」と……。この想いがあれば、沖縄とともに苦闘し、世界の労働者階級とともに解放されることを渡久地さんは信じているでしょう。私たちは渡久地さんの志を生きようではありませんか。
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週刊『前進』(2571号6面7)(2013/02/11 )
【要項】差戻し控訴審無罪へ! 福嶋再審勝利!2・23総決起集会
差戻し控訴審無罪へ! 福嶋再審勝利!
2・23総決起集会
日時 2月23日(土)午後1時開場 1時30分開会
場所 初台区民会館(京王新線初台駅下車5分)
主催 迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会
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