ZENSHIN 2013/02/04(No2570 p08)
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週刊『前進』(2570号1面1)(2013/02/04 )
国鉄を基軸に3月大闘争を
放漫財政、賃下げ・解雇、改憲、原発推進の安倍所信表明弾劾
3・1ビキニ集会-3・11福島闘争へ
1月27日、オスプレイ沖縄配備反対と普天間基地撤去を要求する大集会とデモが、140人の沖縄行動団と本土の労働者・労働組合を軸にした4千人を超える結集で闘われ、自民党安倍政権に沖縄の根底的怒りがたたきつけられた。日帝・安倍への沖縄の怒り、大失業と戦争、外注化・非正規職化と闘う労働者階級の怒りは非和解である。沖縄闘争の勝利も、労働者と労働組合の決起にかかっている。動労千葉・動労水戸を先頭とした昨年の10・1外注化阻止決戦の勝利の地平が、現在の全階級闘争の基底にある。2・17国鉄大集会の成功を突破口に、3月決戦の爆発で極右超反動の安倍を打倒しよう。
安倍の無期限の金融緩和は大争闘戦を激化させる
1月28日、第183通常国会が召集され、安倍は衆院本会議で第2次安倍内閣としての初の所信表明演説を行った。さらに29日には13年度予算案が閣議決定された。
大恐慌の本格的激化と大争闘戦時代への突入、そして3・11情勢に根底から規定された安倍政権は、とんでもない極右で超反動だ。それと同時に脱落日帝の絶望的で危機的な政権である。
30日の国会答弁で安倍は、維新の会・平沼赳夫の質問を呼び水に、「まずは96条の改正に取り組む」と表明し(改憲条項の緩和)、憲法改悪の野望を露骨に示した。「原発ゼロ」も見直すと答弁し、原発推進・再稼働の立場も公然と表明した。大恐慌・大争闘戦と3・11情勢に追い詰められ、日帝・安倍はこのままではもたない、間に合わないという危機感で動き出した。福島と沖縄の怒り、労働者階級人民の怒りに包囲され、危機感にかられて極右超反動の正体をあらわにしている。
所信表明と代表質問・国会答弁で、打ち倒すべき敵の姿がはっきりと見えてきている。2・17労働者集会を突破口に、国鉄、反原発、三里塚を軸とする3月決戦で安倍は絶対に打倒できる。確信と執念をもって闘おう。
安倍は所信表明の冒頭、アルジェリア人質事件について触れ、「国際社会と連携しテロと闘い続ける」と反動的な「決意」を述べた。安倍はこの前日の毎日新聞インタビューでも「アルジェリアは『自分の国は自分でマネージする』という強い意志をもっていた」と答え、人質も含めて無差別に虐殺したアルジェリア政府の行為を賞賛し、海外派兵=武器使用と改憲志向を表明している。
そして日帝の「危機的な状況」を列挙し、「経済再生」「震災復興」「危機管理」に内閣一丸で取り組んで、「強い日本をつくる」のだと叫んでいる。だがここにこそ脱落日帝の最大の破綻点、危機点があるのだ。
その上で、「最大かつ喫緊の課題は、経済の再生」と言って安倍がやろうとしているのは、ゼネコンなど大資本救済のための10兆円もの公共事業(放漫財政!)であり、さらに「2%の物価目標」=インフレターゲット政策と無期限の金融緩和である。そして日銀法の「改正」を狙い、日銀=中央銀行の「独立性」もぶち壊し、政府が求めるままに国債を買わせ、無制限に紙幣を刷り続けて暴力的にインフレへと持ち込もうとしている。
労働者には大幅賃下げと3月大量解雇を強制し、生活保護費を3年間で670億円も削減しながら、防衛費は11年ぶりに増額し、軍拡と戦争・改憲、大増税へのフリーハンドを手にしようとしているのが安倍政権だ。
大失業と非正規職化に青年労働者の怒りは爆発
他方では、これまで原発を造り続け3・11の大惨事を生み出した張本人の自民党と安倍が、ぬけぬけと「震災復興」を語っている。だがそれを語れば語るほど、何の責任も取らずに、あくまで原発推進と再稼働に走る「福島圧殺内閣」の姿がいよいよ露呈する。
安保防衛政策では「抜本的な立て直しが急務だ」とし、2月の日米首脳会談で「緊密な日米同盟の復活を内外に示す」「領土・領海・領空は断固として守り抜く」などと表明している。だがオスプレイや普天間基地問題は完全なデッドロックであり、沖縄の根底的怒りの爆発と日米争闘戦の激化が安倍を痛撃している。それは足元から反乱が起きているTPP(環太平洋経済連携協定)参加問題と並んで、安倍の最大のアキレス腱だ。
所信表明の結びの「戦後の焼け野原の中で『将来はどうなるだろうか』と思い悩む若者たちを諭して」云々(うんぬん)のくだりは、今まさに「思い悩む」青年労働者や学生への新自由主義的な「自己責任」の説教だ。民営化・外注化と非正規職化攻撃は、大量の「マクド難民」や「追い出し部屋」を生み出している。「正規職」として若者を大量採用し、「代わりはいくらでもいる」と競争させ、ボロぞうきんのように使い捨てる「ブラック企業」をはびこらせている。
これが最末期帝国主義と新自由主義の現実だ。これらの大量の失業者や非正規職の青年層は、今まさに「生きさせろ!」の怒りを爆発させ、決起し始めている。動労千葉や動労水戸を先頭とした外注化阻止決戦の第2ラウンドは、JR平成採を始めとする青年労働者の反乱を組織する壮大な闘いである。
安倍の所信表明に青年を先頭とした労働者階級の怒りをたたきつけ、3月決戦の爆発で7月参院選を待たずに安倍を打倒しよう。
ベア拒否と定昇凍結の経労委報告に反撃しよう
「2013年版経労委報告」は、「戦後最大の難局」(日本経団連・米倉弘昌会長の序文)に際し、これまで以上に「労使一体となって危機に立ち向かう」ことを訴え、13春闘で「ベースアップを実施する余地はない」「定期昇給の延期や凍結を協議せざるをえない」と結論する、労働者への階級戦争宣言だ。
報告はまず、「悪化を続ける経営環境」のもとで労使が協力して、@円高是正、ATPPなど経済連携の推進、B法人税の軽減、C社会保障負担の軽減、Dエネルギー・環境政策の転換=原発再稼働・増設、E労働規制の見直し−労働法制「改正」を、「一気呵成(かせい)に実施すべき」であると表明している。
そして結論的に、「民主導による経済活性化、雇用創出の推進」を叫び、民営化・外注化・非正規職化の徹底的推進を打ち出している。この「報告」の責任者である経団連副会長(経営労働政策委員長)の日本郵船会長・宮原耕治は、「解雇規制は、経営としては、ほかの規制も含めて緩和し、最大限の自由度を持ちたい」と、露骨に「首切り自由」を要求してきた極悪の反労働者的人物である。
さらに報告は「新興国においては、成長基盤を強化する観点から、水・発電・鉄道分野をはじめとするインフラ建設に対するニーズは大きい」と「パッケージ型インフラ輸出を官民挙げてさらに推進する」とぶち上げている。これはJR東の「グループ経営構想X」の中身と完全に重なっているものだ。また定期昇給凍結と一体で、成果主義賃金導入、総額人件費削減を打ち出している。
こうした中で連合は、極右超反動の安倍にすり寄り、「民主党との連携を維持」しつつも「自公と政策協議を通じ連携を強化していく必要がある」との衆院選総括を組織決定した。同時に「連合政治方針」で、これまで改憲論議は「時期尚早」としていたものを、改憲論議の容認へと転換した。連合は安倍や日本経団連の完全な先兵に転落した。
本当に階級決戦期が到来している。闘う労働組合をめぐる攻防がすべてを決める。革命的共産主義運動と階級的労働運動の一大飛躍をかけて2〜3月決戦を闘おう。
2・17を突破口に外注化阻止の第2ラウンドへ!
外注化は合理化の究極形態だ。それは新自由主義の核心をなす攻撃である。合理化は労働者と労働組合が絶対反対で非和解的に闘わないことで、また労働者の団結が解体されていることで、はじめて貫徹されるのだ。
動労千葉は、新自由主義と闘う外注化阻止決戦の中心軸に反合・運転保安闘争を新たに打ち立てた。資本と非和解的に闘うことが階級的団結の強化・拡大になる。労働者の自己解放の思想=マルクス主義がそこには貫かれている。
JR東日本の「グループ経営構想X」は徹底した外注化・非正規職化攻撃であり、究極の安全破壊である。外注化・非正規職化は、笹子トンネル事故やボーイング787機の事故を引き起こした。全面外注化に突き進むJR資本は今や最悪のブラック企業だ。
昨年の10・1外注化阻止決戦の地平の上に、動労千葉と動労水戸は2月ライフサイクル強制配転攻撃を打ち砕いている。そして動労千葉を先頭に3・16ダイ改と対決し3月ストへ突き進んでいる。2・17国鉄集会の大結集を突破口に、4・1外注化阻止へ総決起しよう。全産別、あらゆる職場で、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いに立ち、国鉄決戦の第2ラウンドの勝利を切り開こう。
3・1ビキニデー杉並集会の成功をかちとり、3・11反原発福島現地闘争に全国から決起しよう。8・6ヒロシマ−8・9ナガサキ、3・11フクシマとともに、3・1ビキニは反核反原発闘争の歴史的原点だ。
「星野さんは無実だ」の学習会を組織し、全証拠開示運動を発展させよう。市東孝雄さんの農地死守へ2〜3月三里塚決戦に立とう。全人民に総決起を訴えよう。
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週刊『前進』(2570号1面2)(2013/02/04 )
沖縄の怒り安倍を撃つ
オスプレイ反対普天間基地撤去 労働者など4000人
1月27日午後、日比谷野外音楽堂で「NO OSPREY東京集会」がオスプレイ配備に反対する沖縄県民大会実行委主催で開かれ、参加者は4千人を超えた。在本土沖縄県人会なども多数参加したが、主力は労働組合、労働者だ(写真)。
壇上には「オスプレイ断固反対」の赤いゼッケンを着けた沖縄行動団がびっしりと並んだ。県民大会実行委と県下全41市町村の首長・議長ら総勢140人は、27、28日の両日、オスプレイ配備撤回要請の東京行動を組んでの参加だ。
全国労組交流センターは、沖縄民権の会(8面にビラ転載)とともに日比谷野音に駆けつけ、「安倍政権を打倒してオスプレイ配備を撤回させよう」と呼びかけるビラをまき、2・17国鉄集会、反原発3・11福島現地闘争への参加を訴えた。三里塚現闘と全学連行動隊は市東さんの農地取り上げに反対する署名と新パンフレット『農地は私たちの命』を販売し、大きな反響を得た。
昨年9月9日、「オスプレイ断固拒否!」の沖縄県民の強固な意志が10万3千人の県民大会となって結実した。しかし10月1日には岩国からオスプレイが飛来、今や12機が普天間基地に配備され、さらに今年7月までに12機を配備予定であり、来年以降、米空軍嘉手納基地への配備計画も明らかになった。さらに自衛隊までもがオスプレイ配備を画策中だ。墜落事故多発−事故必至のオスプレイを追加配備! 沖縄県民の怒りは日帝・安倍と非和解である。
9・9県民大会参加者の声がよみがえる。「もう政治家なんかに任せておけない」「未来は私たちの手で切り開く」と口々に語り、不参加の仲井真知事のメッセージ代読は「県民を無視するな!」「知事はいらん!」の怒りの声にかき消されたのだった。
あれから4カ月、市街地での低空飛行などを繰り返すオスプレイへの怒りはマグマのように燃えたぎっている。この怒りは、青年の完全失業率が9・4%である沖縄の「生きさせろ!」の怒りと直結するものだ。この沖縄の怒りが沖縄県と全41市町村を突き動かした結果が東京行動なのだ。
怒りに燃える沖縄県民、その先頭に立つ労働者の力で、オスプレイ配備撤回・辺野古新基地建設阻止をかちとろう。
(8面に関連記事)
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週刊『前進』(2570号1面3)(2013/02/04 )
前進速報版から
▼自治労臨大で橋下打倒・大幅賃下げ反対を訴え▼法大入試情宣禁止の仮処分に怒りの審尋▼広州の日系東海ゴム工業で2000人のスト
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週刊『前進』(2570号1面4)(2013/02/04 )
【要項】三里塚裁判
市東さんの農地強奪許すな!
2・4-18三里塚裁判 千葉地裁包囲闘争
2月4日(月)
◎千葉市内デモ
午前11時30分 千葉市中央公園で集会/正午 デモ(千葉市中央区中央1-12 千葉パルコ前)
傍聴券抽選のため12時50分までに千葉地裁傍聴券交付所に集合
2月18日(月)
◎千葉地裁包囲闘争
午前10時 千葉市中央公園で集会/10時30分 デモ
12時10分 裁判所包囲行動
◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
午後1時30分開廷(市東孝雄さんの本人尋問)
★傍聴以外の人は、午後2時30分 デモ/3時30分 リレートーク/5時20分 報告会
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週刊『前進』(2570号2面1)(2013/02/04 )
2〜3月大量首切り攻撃粉砕を
改悪労働関連3法許すな
年度末を前に、資本は労働者階級に対する大量首切りの攻撃に乗り出している。こうした攻撃のテコとなっているのが、昨年、立て続けに改悪された労働契約法、高齢者雇用安定法、労働者派遣法の3法だ。改悪された労働関連3法の中身を暴露する。
雇い止め解雇促進 労働契約法
非正規職労働者の多くは、1年単位とか3カ月単位とかの細切れの雇用期間で雇われ、その雇用契約を繰り返し更新するという雇用形態を強いられている。雇用期間が満了した時点で、問答無用に首を通告された経験を持つ労働者も多い。いわゆる雇い止め解雇だ。
しかし、雇用期間が満了したからといって、資本が無条件で首を切れるわけではない。雇い止めの場合でも、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない」解雇は本来無効だ。にもかかわらず、こうした労働法の原則はほとんど無視されているのが現実だ。
昨年、労働契約法が改定され、通算して5年を超えて同一の事業主のもとで働いた労働者が申し込めば、事業主はその労働者を期間の定めのない雇用契約(無期雇用契約)で雇わなければならなくなった。この規定が実際上、効力を持つのは2018年4月以降だ。
この規定は、けっして労働者の権利を保護するものにはならない。大恐慌のただ中で、資本は無期雇用で労働者を雇うことをできる限り避けようとする。そのため、5年未満で労働者を雇い止め解雇にしてくることは目に見えている。労働者はより不安定な状態を強いられかねないのだ。
5年で雇い止め解雇という働かせ方を制度化したものが、JRの契約社員制度(JR東日本ではグリーンスタッフ制度)だ。契約社員の雇用契約書には、雇用期間は1年、契約の更新は4回までと明記されている。5年過ぎたら必ず解雇になるとされているのだ。
契約社員が従事している駅業務自体がなくなるわけではない。5年のうちに青年労働者をとことん酷使し、疲弊させて使い捨てる。こんなことを制度化しているJRは、まさに「ブラック企業」そのものだ。
経験を積んで仕事に精通した労働者よりも、まったくの新人を雇った方がいいと資本は思っている。仕事に精通した労働者は、おのずと職場に団結を形成し、資本に対抗してくる可能性があるからだ。団結を奪うために、青年の人生そのものを踏みにじる。こんなあり方が全社会に横行していることは許せない。
だが、無期雇用への転換を避けるための雇い止めは、「合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない」解雇であり、明らかに違法だ。不当な雇い止めを許さず闘えば、勝利できる可能性は十分にある。
再雇用口実に外注 高齢者雇用法
改定高齢者雇用安定法も、今年4月1日から施行される。
この改定は、年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、定年後の労働者の継続雇用制度の整備を企業に義務づけるために行われた。
しかし、改定の眼目は、定年後の再雇用先はグループ会社でも構わないとしたことにある。高齢者の雇用確保を口実に、外注化を徹底推進しようとしているのだ。
これも、モデルになったのはJRのエルダー社員制度(かつてはシニア社員制度)だ。JR東日本は99年、外注化推進をうたうシニア協定を締結した労働組合の組合員に限って、定年後、JR関連会社に再雇用するという制度を設けた。ここから鉄道業務の外注化は本格的に始まった。外注化に反対し、シニア協定の締結を拒否した動労千葉の組合員は、再雇用から排除された。その後、シニア社員制度は、協定の有無にかかわらず全社員を再雇用するというエルダー社員制度に転換されたが、JRが「定年後の労働者の再雇用先の確保」を外注化の口実として使い続けていることは変わらない。
そもそも、年金の支給開始年齢の引き上げ自体が許し難いし、企業がそれに対応するというのであれば、定年を65歳まで引き上げるのが筋だ。だが資本は、絶対にそうした方法をとらない。あくまで定年後の労働者を外注会社に追いやり、賃金も労働条件も切り下げて、こき使おうとする。
経団連が発表した13年版「経営労働政策委員会報告」は、定年後の労働者の継続雇用が企業に義務づけられたことによって、今まで以上に賃金総額が増大すると叫んでいる。そして、60歳以上の労働者にも人事評価を行って「貢献度を賃金に反映させる」べきと言っている。労働者を生涯、競争に駆り立て、分断するというのである。
これも、手本になっているのはJRの制度だ。JR東日本のエルダー社員制度では、再雇用された労働者の賃金は60歳定年時の職級に応じて5段階に分かれている。現役時代に資本によってつくられた給与格差は、再雇用先でも続くのだ。
またNTTは、60歳を超えた労働者の雇用を口実に、人事・賃金制度の抜本的な改悪に着手した。4月から基本給を15%も引き下げるとともに、業績評価で賃金格差を拡大し、労働者を分断しようとしているのだ。
改定高齢者雇用安定法は、こうした攻撃の格好の口実に使われている。
団結権を全面否定 労働者派遣法
昨年10月1日には改定労働者派遣法が施行された。同法の改定は、当初は製造業派遣や登録型派遣の原則禁止を目的にするものと言われていた。
ところが、実際に成立した改定法は、製造業への派遣も登録型派遣も容認し、日雇い派遣も30日以内の期間の派遣だけを禁止するものになった。
しかも、同法改定案を可決した参院厚生労働委員会では、次のような付帯決議が付けられた。「偽装請負の指導監督については……丁寧・適切に実施するよう徹底すること」。要するに、偽装請負を容認し、ひいては偽装請負という概念自体も追放して、外注化に対する一切の規制を取り払おうというのである。
まさに改定労働者派遣法は、非正規職化推進法・偽装請負推進法そのものだ。
そもそも国鉄分割・民営化と重なるように86年から施行された労働者派遣法は、ピンハネの禁止という戦後労働法制の根幹を解体し、その後に続く労働法制改悪の突破口になった。
今や労働者派遣法は、労働者の団結権を否定する武器にさえなっている。昨年秋、一般合同労組さいたまユニオンが、派遣切りを行ったホンダ系部品メーカーのショーワを相手に申し立てた不当労働行為事件で、中労委は「派遣先に労働者派遣法違反の事実がない限り、派遣先は派遣労働者に対し使用者責任を負わない」という趣旨の反動命令を出した。派遣先に労働者派遣法違反の行為はなかったという事実認定もでたらめだ。
そもそも、「基本的労働条件について現実的かつ具体的に支配、決定できる地位にある者は労働組合法上の使用者に当たる」とするのが労働法の原則だ。派遣先には当然、使用者責任がある。
労働者派遣法は国鉄改革法と同様、団結権を根本的に否定するために使われ始めたのだ。
ところが資本は、これらの法改悪をも「規制強化」と言い、全面的な首切り自由を求めている。
大幅赤字に陥った電機各社は、昨年秋にそれぞれ数千人規模の労働者を退職に追い込んだ。それだけでなく、パナソニックなどでは「追い出し部屋」をつくってさらなる退職強要を行っている。半導体大手のルネサスは新たに3千数百人規模の早期退職の募集を打ち出した。昨年秋の退職者と合わせれば、ルネサスで職を奪われるのは1万人以上になる。
2・17国鉄集会で反撃に立て
こうした攻撃に対する反撃の軸は、不当労働行為による解雇と対決する国鉄1047名解雇撤回闘争だ。国鉄闘争全国運動が主催する2・17労働者集会に結集し、首切り攻撃と対決しよう。団結を固め、13春闘を階級決戦として闘おう。
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改定された労働関連3法の概要
労働契約法
5年を超えて働いた労働者を、企業は無期雇用で雇わなければならない
→5年未満での雇い止めを誘発
高齢者雇用安定法
年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、定年後の労働者を企業は継続雇用しなければならない。ただし継続雇用先はグループ会社でも構わない
→業務の外注化を促進
労働者派遣法
製造業派遣も登録型派遣も容認
「偽装請負の指導監督は丁寧・適切に」という付帯決議
→偽装請負を容認し外注化を推進
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週刊『前進』(2570号2面2)(2013/02/04 )
JR各社の中期経営計画が示す分割・民営化の破綻
JR東「経営構想X」と対決をC
JR東日本の「グループ経営構想X」は、「国鉄改革は、私たちの変わらぬ『出発点』」と言う。しかし、JR各社は「国鉄改革は成功した」とはおよそ言えない惨状にある。総破綻した「国鉄改革」を出発点に位置づける経営構想Xには、始めからその崩壊がはらまれている。JR各社の経営計画を暴き、国鉄分割・民営化の根底的な破産を明らかにする。
恒常的な経営赤字と重大事故の続発
■JR北海道
国鉄分割・民営化の矛盾はとりわけJR北海道に集中している。JR北海道では、11年5月27日の石勝線トンネル内での特急列車の脱線・炎上事故を始め、重大事故が立て続けに起きている。また、JR北海道が11年に行った車両検査の約3割に不備があったことも指摘された。
こうした事態を受けて、JR北海道は12年11月14日、「中期経営計画2016」を策定した。そこでは、「お客様の安全を最優先とするグループとして再生」するとうたわれている。だが計画が掲げる「経営幹部による『膝(ひざ)詰め対話』の継続実施等を通じた安全風土の構築」という「対策」は、労働者に事故の責任を押しつけるものでしかない。
JR北海道の12年3月期決算は、鉄道事業での334億円の損失を236億円の経営安定基金運用益でも埋められず、44兆円の経常損失を出している。にもかかわらずJR北海道は「株式上場による完全民営化の達成」を叫んでいる。
同社が収益増大の期待をかけているのは、15年度末開業予定の北海道新幹線(新青森−新函館間)であり、札幌駅南口のJRタワーを拠点とした駅ナカビジネスだ。だが、それが思惑どおりいく保証は何もない。
しかも、北海道新幹線が札幌まで延伸されれば、江差線の五稜郭−木古内間、函館本線の函館−小樽間は第三セクターとし、江差線の木古内−江差間は廃止する方針だ。もうけるためには地方をどれだけ衰退させても構わないというのが、JRの姿勢だ。
■JR四国
JR四国の経営状況は、鉄道会社として成り立つのかどうかさえ危ぶまれるレベルだ。
JR四国は、中期経営計画「レジェネレーション2020/ファーストステージ」を12年4月に策定した。同計画は20年度に「自立経営の確立という目標を達成する」と言うが、およそその展望はない。
JR四国の輸送人員キロは、91年の21億2300人キロをピークに、11年度には13億7300人キロへとほぼ半減した。
この中で計画が打ち出したのは、「少数精鋭化(総額人件費の削減)」「保有設備の適正化(集約、スリム化)による経費の削減」「輸送需要に応じた列車体系の精査」「社有地の有効活用、売却」などだ。それは鉄道への需要の減少を前提とした極限的合理化策でしかない。労働者には徹底した労働強化と低賃金を強い、鉄道の安全をどこまでも破壊するものだ。
JR四国の現実は、国鉄分割・民営化そのものの破綻を示している。
■JR九州
JR九州は、12年4月に「JR九州グループ経営計画−つくる」を打ち出した。
JR九州は3島JRの中で唯一、経常黒字を計上しているが、それでも12年3月期決算では鉄道事業は105億円の赤字で、それを101億円の経営安定基金運用益で埋めている構造だ。特徴的なのは、関連事業で148億円の利益を上げていることだ。”鉄道よりも関連事業で稼ぐ”という点では、JR各社の中でも群を抜いている。
経営計画は、鉄道部門の売り上げは横ばいとする一方、関連事業の売り上げを16年度までに10%増加させるという。その中心に置かれているのが、博多駅や大分駅の周辺開発、ホテル開発、分譲マンション事業だ。不動産事業で生き残るというのである。また、農業にも手を伸ばし、「アジアの成長を取り込む」として中国や韓国でも関連事業を展開するという。
しかし、大恐慌のただ中でこんなバブリーな計画を打ち出すこと自体に根本的な危うさがある。何よりも、11年3月に全線開業した九州新幹線による増収効果は、鹿児島本線・八代−川内間の117`という長大区間を第三セクター化したことによって成り立っている。しかもJR九州は、鹿児島中央−川内間はもうかるからとして、新幹線と並行する区間であるにもかかわらず自ら抱え込んでいる。
計画は関連産業の強化のため「グループ間の人事運用のさらなる拡大を図る」という。外注化と強制出向の貫徹ということだ。こうした方策は安全を解体する。昨年11月には、在来線の高架工事中にクレーン車のアームが九州新幹線の架線に倒れる事故が起きている。
被曝を強いる瓦礫輸送で延命を図る
■JR貨物
JR貨物は11年末、「経営自立計画」を策定した。その背景には、11年2月に策定された中期経営計画「飛躍」に示されたプランと実績の乖離(かいり)が激しく、国土交通省がJR貨物に新たな計画の策定を迫ったという事態があった。
「経営自立計画」は、18年度に経営自立を達成するという。だが、その現実性はまったくない。
計画は、11年4月現在で5277人の鉄道部門の人員を18年度に4700人に削減するという。
具体的な施策は「駅・運転・検修等の現業各部門における徹底的な効率化」「運用改善による車両所要数の縮減」「多能化の推進、勤務体制の見直し等により現業要員の削減」「検修基地の配置の見直し、検修要員の削減」などだ。駅も125駅から97駅に減らす。
今でさえきわめて劣悪な労働条件と低賃金を強いられているJR貨物の労働者に、これまで以上の労働強化を押しつけようというのである。
JR貨物が増収を当て込んでいるのは、唯一、瓦礫(がれき)輸送だ。労働者と住民を被曝させる瓦礫輸送にしか延命の道を見出せないJR貨物の姿にも、国鉄分割・民営化の大破綻は示されている。
駅ナカビジネスが破産し債務超過に
■JR西日本
JR西日本は10年10月28日、「JR西日本グループ中期経営計画2008−2010見直し」を発表した。これは、08年5月に策定した計画を見直したものだ。
JR西日本は05年の尼崎事故以降、口先では「安全性向上」を唱え続けてきた。だが、徹底した外注化と重層的下請け構造のもとで、事故は後を絶たない。
にもかかわらずJR西日本の計画は、「新幹線の競争力の強化を進めます」「900キロ4時間圏内において、対航空機競争優位の確立を目指します」と叫んでいる。「同業他社との競争に勝つ」と呼号し、「稼ぐ」をスローガンに掲げて尼崎事故を引き起こしたJR西日本の体質は、何ひとつ変わってはいない。
JR西日本は近畿統轄本部を先頭に、近畿圏の車両検修業務体制の変更に着手した。検修部門の全面的な外注化に道を開こうとしているのだ。
JR西日本が収益拡大の柱に置いているのが、駅ナカビジネスだ。JR西日本は11年5月、大阪駅を大改修し、大阪ステーションシティを開設した。だが、そこでの中心的店舗に位置する「JR大阪三越伊勢丹」は94億円を超える債務超過に陥った。大恐慌下での限度を超えた駅ナカビジネスへの傾斜は、JRを大破綻に導いたのだ。
資本は自ら招いた経営破綻を常に労働者を犠牲にしてのりきろうとする。JR西日本が一層の外注化・合理化に走ることは明らかだ。
■JR東海
JR東海は現在、中長期的な経営計画を公表していない。だが、JR東海がリニア新幹線の建設に社運をかけていることは明白だ。
また名古屋駅新ビル建設を計画し、駅ナカビジネスやホテル業、不動産業の拡大を図っている。
JR東海の動向で重要なのは、08年10月に日本車輌製造を子会社化し、他のJRに先駆けて新幹線車両の製造部門を持ったことだ。日本車輌製造は国鉄時代から新幹線の車両製造を請け負っていたが、台湾新幹線の車両製造にかかわることで日本企業による高速鉄道輸出に道を開いた。
鉄道の海外輸出を目的にJR東日本を中心として設立された日本コンサルタンツにJR東海は1円も出資せず、独自のやり方で新幹線やリニアの海外への売り込みを図っている。経団連は経労委報告で”パッケージ型インフラ輸出を官民挙げて推進せよ”と叫び、安倍政権もそれを「経済再生」の柱に据えているが、肝心のJR資本自身が分裂状態にある。
日帝の基軸的戦略撃つ闘い
こうしたJR体制全体の危機を突破するために、JRの旗頭としてのJR東日本はグループ経営構想Xを打ち出したのだ。それは、JR資本だけでなく日帝資本総体の基軸的戦略としての位置を持つ。だからこそ外注化阻止決戦は、経営構想Xに破産を強いるとともに、日帝ブルジョアジー総体の破産と崩壊を突き出し、それを打倒する階級決戦なのである。国鉄闘争全国運動の2・17労働者集会に結集し、戦闘態勢を一層固め、4月のさらなる外注化阻止へ闘おう。
(長沢典久)
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週刊『前進』(2570号2面3)(2013/02/04 )
郵政非正規ユニオン 都労委審問で圧勝
不当労働行為暴ききる
1月24日、東京多摩郵便局の非正規労働者19人雇い止め・解雇を巡る東京都労働委員会の第2回審問が行われ、郵政非正規ユニオンの腕章を付けた組合員と支援の各労働組合の傍聴者55人が駆けつけました。審問では郵政非正規ユニオンの早川繁雄、大畠公彦両執行委員が証言を行い、森川文人、酒井健雄両弁護士の強力な援軍のもとに会社側弁護団を圧倒し、ほぼ完璧に近い勝利を実現しました。
今回の証言の焦点は、郵政非正規ユニオン結成までの経緯と、会社による同ユニオンつぶしの不当労働行為解雇、および第7回までの団体交渉における会社側の不誠実団交を暴露し立証することでした。
結成までの経緯では以下のことを明らかにしました。まず、2011年9月末を期した4万6千人の雇い止めを阻止するために、同年4月以降、齋藤裕介委員長を先頭に東京多摩局のゆうパック課の仲間たちによって「作業所の清掃運動」が組織化され、東京多摩局の中に組合の母体が結成されたこと。こうした動きを恐れた会社側が、日東配(日通ペリカン便グループ)の幹部を利用して、業務において齋藤委員長への差別や監視を行い、6月ゆうパック課勤務者15人を、組合つぶしの目的で雇い止め・解雇にしたこと。
また、6月の組合結成を阻止できなかった東京多摩局が、齋藤委員長が労働委員会に不当労働行為救済申し立てを行ったことを理由に、9月末に報復解雇に及んだことを証言しました。
それらは同時に、団体交渉における会社側の不当労働行為を暴く証言となりました。日本郵政首脳陣の大失態による大赤字の責任を非正規労働者に押しつけ、東京多摩局が黒字でありながら雇い止め・解雇にしたことを明らかにする多摩局の「経営状況」の資料の提出を拒否したこと。さらに団体交渉への出席者が責任ある人物ではなく、「私は4月に赴任してきたので知りません」と開き直る中川業務企画室長らであり、不誠実対応であることなどです。
証言の最後に、ゆうパック統合の失敗で生み出された赤字の責任を労働者に押し付ける日本郵政を弾劾しました。郵政資本は「郵便再生に向けてバージョン1」(2011年7月)で1250億円の人件費削減を図り、その結果、要員不足で死亡事故を含む交通事故が頻発、病気や自殺者も激増していると怒りを表明。東京多摩局における雇い止め・解雇撤回闘争が、労働者の命さえ奪う「平成24年度の黒字化」との闘いの戦場であることを鮮明に語りました。
2月14日(木)午後1時30分から第3回目の審問が行われ、中川陽二・東京多摩局業務企画室長と、齋藤委員長に対してアルバイトの「ボロクズ」とののしった大工原重良・元東京多摩局ゆうパック担当課長が証言します。皆さんの傍聴への圧倒的な参加をお願いします。
(郵政非正規ユニオン執行委員長 齋藤裕介)
(写真 審問後の総括集会で発言に立つ齋藤委員長。傍聴の仲間とともに勝利をかみしめた【1月24日 都庁】)
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週刊『前進』(2570号3面1)(2013/02/04 )
橋下打倒!2・24大阪闘争へ(上)
市職・市従労働者を先頭に全面民営化との決戦突入を
大阪市長・橋下による都市交通・水道・教育などの全面民営化との激突が、火花を散らしながら始まっている。2〜3月が大決戦だ。自治体丸ごと民営化・総非正規職化をめぐる最先端の攻防点として、2・24橋下打倒闘争は決定的に重要な闘いになった。大阪市職・市従労働者を先頭に全国から大阪・中之島公園に大結集し、林立する赤旗で大阪市役所を包囲しよう。今号から上中下の3回にわたって関西の闘う仲間からのアピールを掲載します。(編集局)
全面外注と10割非正規職化狙う
安倍政権は1月22〜24日に開いた経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議で「規制改革が1丁目1番地で重要」(竹中平蔵産業競争力会議民間議員)、「百の言葉よりも意味のあるひとつの行動が重要だ。この会議で洗い出された真の重要課題について、戦略の取りまとめを待つことなく矢継ぎ早に行動を起こしていきたい」(安倍)などと主張、破産した新自由主義の貫徹に突撃すると宣言した。
安倍は、「強い国家」「強い経済」を押し出し、軍事強化と無制限金融緩和の大キャンペーンをしているが、それはブルジョアジーからさえも「『景気は洗脳から』の手法」と揶揄(やゆ)されているように、実現性がきわめて乏しい。日帝ブルジョアジーどもは、世界大恐慌―資本主義の世界史的終焉(しゅうえん)という現実から逃れられない。1〜3月決戦で安倍は打倒できる。
こうした危機を背景に全資本が業務全面外注化、10割非正規職化、労組解体に突進している。JR東日本は「経営構想X」を掲げ、全面外注化と鉄道パッケージ輸出に資本としての存立をかけ、他方で動労千葉・動労水戸の解体に総力をあげている。NTTは65歳雇用義務化を逆テコに労資一体で10割非正規職化・賃金解体に踏み出した。パナソニックやシャープは技術継承が崩壊しようがお構いなしに大量解雇と10割非正規化へと突き進んでいる。JRの外注化攻撃が全産業化し労働者階級全体に襲いかかっている。この時代認識をもって1〜3月決戦を闘おう。
市バス「来年にも新会社移行」
日本維新の会・橋下徹大阪市長、みんなの党・渡辺喜美らは、こうした資本主義の危機を「好機」としてのし上がろうと躍起になっている。新自由主義の貫徹に、自己と資本主義の延命をかけているのだ。
その橋下市長のもと大阪市当局は、下水道・バス・学校を切っ先に、全面的な業務外注化―新会社設立―出向―転籍(公務員解雇)―総非正規職化を打ち出し、労働者の団結をズタズタに解体しようと襲いかかってきている。
大阪市交通局が発表した「民営化基本方針素案」によれば、市営地下鉄民営化については、大阪市100%出資の株式会社化方針のもと、2014年度新会社設立、2015年度営業開始としている。市バス民営化については、2013年4月から引き受け民間バス業者募集、2014年4月民営会社移行。交通局労働者6100人は全員退職、民間会社への選別再雇用を行うとしている。すでに不採算路線の廃止が始まっている中、全員の再雇用などありえない。労働者は資本によって選別され、バラバラにされる。
問題は、こうした大攻撃に対して労働組合(大阪交通労働組合=大交)が早々に民営化受け入れを表明したことだ。中村義男大交委員長(昨年初め、橋下に「直角おじぎ」した)は「いたずらに反対するのではなく、民営化に向かって労使協議を行っていく」「雇用確保が前提なら経営形態にこだわらない」と完全に資本の側に立ち、組合員に“反対するな”と恫喝している。橋下はすかさず「労組もやっと目が覚めた」と歓呼の声を上げている。
組合員は「現在市バス運転手を取り巻く状況は自動車事業民営化に向かい、リストラの対象者としてさまざまなプレッシャーを受けながら業務をこなす毎日です。年明けから何名かの同僚の自殺者を出す状況です」「闘うべきである私どもの労働組合はこの問題を解決する気持ちもなさそうなので、私自身が解決するしかないという結論に達しました」「人を陥れることにより、これからの事業の民営化を有利に進めようとする人びとが存在している」と声を上げている。現場組合員はけっして屈服していない。
市バス労働者はかつて「長生きしない」と言われてきた。特にワンマン化されて以降は、一人で安全に責任を持ち、運行に神経をすり減らしてきた。大交・都市交は、そうした交運労働者の現実を前にしながら反合理化闘争を放棄し、条件闘争で当局に屈服していった。今こそ、動労千葉が切り開いてきた反合理化・運転保安闘争路線でこれまでの全歴史をつくりかえる時だ。
自治体が水輸出を戦略的事業化
本紙2568号関西地方委員会論文で暴露したが、大阪市当局は、出向を拒否したら「分限免職もありうる」、転籍にあたっては「退職届」を書かせ、「全員が新会社に採用されるわけではない」「退職時には地方公務員だから雇用保険は出ない」など労働者を奴隷扱いした文書を公然と打ち出し労働者に挑戦してきている。
日帝は、欧州帝国主義に独占されている水ビジネス利権に割り込み、東南アジア(特にベトナム、カンボジア)と中国を市場として分捕ることに、鉄道輸出や原発輸出とともに帝国主義としての生き残りをかけている。
「水・環境ソリューション」と称する国家戦略事業が、1990年ごろから東京都や北九州市、横浜市、川崎市、神戸市、福岡市などの自治体と国内企業(東洋エンジニアリングや日揮など)が連携し、国家丸抱えで進められてきた。しかし、中途半端なあり方で争闘戦に敗北し続けてきた。今回、大阪市が橋下のもとで民営化・外注化を推進し、本格的な戦略企業を立ち上げてアジアに食い込み始めたことは決定的に重要なのだ。1月21日にはベトナム・ホーチミン市での都市排水管理事業に参入が内定した。自治体民営化と労働運動解体攻撃によって、地方自治体がJRと並ぶ戦略企業の一角を占めようとしている。これは道州制構想の中身そのものである。
そもそも水ビジネスなどというが、金を払ってしか水を飲めなくしたのは誰なのか。資本主義そのものではないか。それを「悲惨な水事情」などといって、慈善者顔で世界の労働者・農民を食い物にすることなど許せるか。だからこそ「ボリビアの水戦争」をはじめ、水事業の民営化は労働者階級の根底的反撃を受けてきたのだ。
全面民営化攻撃と闘い、安倍・橋下を打倒することが全世界の労働者・農民と団結する唯一の道だ。大阪市職・市従労働者は、全国の労働者の先頭で出向・退職強要粉砕で闘おう。
大阪市は学校、清掃、港湾、保育所、幼稚園、区役所窓口などの民営化・外注化を今年から来年にかけて一挙に実行するとしている。
しかし、こんなものがすいすいと行くはずがない。橋下自身が府市統合本部会議で「こんなことできるんですか」と疑問を出したくらいだ。しかし実際は、なんの成算もなしに「どんどんいきましょう」(上山信一大阪府市特別顧問)などという議論がまかり通っている。やつらにとって「桜宮高校事件」は渡りに船だったのだ。
児童・生徒の死をも利用して民営化を進める。これが新自由主義だ。労働者階級の生存をかけて安倍・橋下を打倒しよう。
(大阪・安達貢)
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【要項】2・24橋下打倒集会
橋下による処分攻撃に反撃し、今こそ闘う労働組合をつくりだそう!
民営化・外注化絶対反対!すべての非正規職を撤廃しよう!
2・24橋下打倒集会
2月24日(日)午後1時
大阪中之島公園女神像前(市役所南側) 集会後、難波までデモ行進
主催 橋下打倒集会実行委員会
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週刊『前進』(2570号3面2)(2013/02/04 )
都革新旗びらき 原水禁発祥の地・杉並から
新たな反核反原発を
1月27日に杉並区の産業商工会館で開催された都政を革新する会2013年旗びらきに参加した。1月の激闘を担ってきた仲間や多数の初参加者を交え杉並を中心に95人が集まった。
冒頭、長谷川英憲代表が今の時代の階級的な見方を、年頭のいくつかの事件も交えながら述べた。労働者民衆は怒り苦しんでいるが、支配階級の方がもっと崩壊的で倒される寸前でもがいていることを明らかにした。
続いて北島邦彦事務局長が労働者が進むべき方向と方針を豊かに提起した。「安倍政権の打ち出している政策はきわめて凶暴だが、世界の帝国主義の危機は底なしだ。反原発闘争の巨大な爆発をも通して、青年労働者・学生をはじめ、あらゆる年代・階層の膨大な人びとが政治に引き入れられ、怒りはますます広がっている。3年前に半世紀にわたる自民党支配を倒した労働者民衆の怒りは、昨年末に民主党政権を打倒した。これまでの議会と政治に対する根本的な不信と拒否は山本太郎氏の衆院選挙で鮮明に表わされた。山本氏に票を投じた7万人の決起には、本物の労働者党を求める熱い思いがこもっている。福島の怒り、3・11への怒りは体制変革への展望を必ず切り開く」
さらに北島さんは「資本は生き残りをかけて外注化・非正規職化で闘う労働組合と団結をつぶそうとしている。労働者の力を総結集して2・17労働者集会から6・9国鉄闘争全国運動集会を成功させよう。3月反原発―反核闘争へ、3・1ビキニデー杉並集会をNAZEN杉並の仲間とともに闘おう。『原水禁運動発祥の地・杉並』から新たな反核反原発運動を推進しよう。さらに、星野文昭さんを取り戻す全証拠開示運動、三里塚3・24現地集会と産直運動、沖縄闘争、西郡・八尾北闘争、橋下打倒闘争、裁判員闘争を闘おう。東京西部ユニオンを先頭に職場からの資本との攻防、団結拡大を闘い、あらゆる権利と生活を守る闘いの先頭に立つ。6月都議選〜7月参院選に至る半年、猪瀬都政批判・弾劾を闘い選挙情勢に真正面からかみこんでいこう」と全面的に提起した。
ふくしま共同診療所の松江寛人所長は、開院して感じた福島の現実と苦悩を報告し、「この現実、自分たちの現実を見据えてともに進もう」と訴えた。
乾杯の後、軽食を囲みながら交流を深めた。地域の医療機関、三里塚現闘と現地行動隊の学生、三里塚産直運動、西部ユニオン青年部と吉本伸幸委員長、NAZENの織田陽介事務局長、星野暁子さん、杉並・星野文昭さんを救う会などの発言が続いた。
誰もが危機感や怒りとともに展望にあふれている。体制内勢力が言う絶望感とはまったく違う。誰かに託すのではなく、労働者民衆自身、自分たち自身の力、分断を打ち破って団結する力と闘いが時代と社会を変えるのだ。全員で元気よく団結ガンバローを行い、今年の旗びらきを締めくくった。
(東京西部/SI)
(写真 2013年の奮闘を誓い参加者全員で乾杯【1月27日 杉並区】)
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週刊『前進』(2570号3面3)(2013/02/04 )
民営化・非正規職化と闘おう
交流センター教労部会 日教組全国教研で大情宣
1月26〜28日、日教組第62次教育研究全国集会が佐賀市を中心に佐賀県内各地で行われた。戦争・原発推進・公務員首切りを推し進める極右・安倍政権の登場に怒りを燃やす教育労働者が全国から3日間でのべ約1万人参加した。
全国労組交流センター教育労働者部会は、地元九州を始め各地から集まり、早朝から教研集会全体会に参加する組合員にビラを配布。「民営化・非正規職化と職場から闘い、新自由主義と対決する教育労働運動を/破産した民主党政権支持方針・連合路線と決別しよう」と訴え、大阪での2・24橋下打倒集会、福島現地で闘われる3・11反原発福島行動,13への参加を呼びかけるビラが、全国の組合員に次々と手渡された。
午後から始まる各分科会の会場前でも、横断幕を掲げてビラを配りながら、大阪の教育労働者の「君が代」不起立処分撤回を求める署名活動を展開。大阪・橋下に怒る全国の組合員が次々と署名に応じた。
(写真 教労部会ビラを受け取り、組合員が次々と「君が代」不起立処分撤回署名に応じた【1月26日昼 佐賀市民会館前】)
退職金400万円減に本部協力
26日午前中の全体会であいさつに立った日教組の加藤良輔委員長は冒頭、昨年の「税と社会保障の一体改革」の法案通過を民主党政権の取り組んだ成果として評価する発言をした。とんでもないことだ! この発言に会場はざわめき、何人もの組合員が怒りをぶちまけ始めた。
消費税増税の露払いとして決定された公務員労働者の400万円にも上る退職金削減も、日教組本部の全面協力なしにはありえなかった。今年度末の退職者から150万円の削減が始まり、削減額が段階的に引き上げられる。文科省がやっていることはブラック企業以上に悪質だ。日教組本部はこの期におよんでも、この現実に対して全国から怒りを持って結集してきた教育労働者を前にして、民主党政権を賛美しているのだ。
さらに大阪の高校生の事件に関して加藤委員長が「自死する前に周りが何かすることはなかったのか」と発言すると、組合員からは「無理を言うな!」「わしらのせいにするな!」などの声が上がった。
今次教研集会開催地の佐賀県教組は、小説『人間の壁』(石川達三著)で描かれたとおり、1957年に人員削減提案に対して98%の組合員の休暇闘争で人員増をかちとった歴史を持っている。
今回の退職金削減攻撃に対して日教組委員長は全国にストライキの指令を出すべきだ。「駆け込み退職」は、県当局と日教組本部に対する怒りを込めた抗議なのだ。
動労千葉は国鉄分割・民営化に反対してストライキで闘い、組合員の団結を守り抜いた。教育労働者は労働者階級の一員としてストライキに立ち上がるべき時だ!
教育労働者の賃下げと首切り、非正規職化、そして教育の民営化攻撃を民主党政権・連合と一体になって担ってきた日教組本部への怒りは組合員の中にあふれている。こうした現場労働者の怒りこそが、野田・民主党政権を打ち倒した力だ。
安倍政権への怒りを解き放ち、現場組合員の闘いを抑圧する日教組本部を許さず、現場組合員の手に労働組合を取り戻そう。職場から民営化・非正規職化との闘いを巻き起こそう。
分科会参加者からの報告
■理科分科会
3・11に向き合い福島の怒り共有
今回の理科分科会に参加した私たちのテーマは「3・11とどう向き合うか」ということだった。それは実践的にはフクシマの怒りを共有し福島県教組と団結することだ。
提出された数々のレポートは原発や内部被曝の問題などを取り上げ、「核と人類が共存できない」ことをあらためて明らかにした。さらに人と人とのつながりこそがこれからの人間社会をつくっていく基本となることが繰り返し議論された。また、いまだに子どもたちを年間20_シーベルトもある地域で生活させている政府に怒りの声が上がった。
福島県教組は県教組が作成した放射能読本を紹介した。文科省がつくった放射線教育「副読本」に対抗して、福島県教組が団結の力でつくり上げたブックレットであり、フクシマの怒りそのものだ。会場に持ち込まれたブックレットは完売。すでに購入して全組合員に1冊ずつ配布し学習活動に使っている教組もある。フクシマの怒りを全国で共有し、現場組合員の団結で日教組を取り戻し、教育労働運動をよみがえらせよう!(T)
■民主的学校づくり分科会
分断政策に負けず非正規撤廃へ
「地域における教育改革とPTA」分科会では@民主的学校づくり、APTAと地域の連携、B過密・過疎・へき地の教育の三つの小分科会に分かれてそれぞれ発表・討議が行われた。
「民主的学校づくり」小分科会では、大阪の夜間中学校補食給食を守る取り組みや、沖縄の多忙化する学校現場での教育労働者や子どもの様子が報告された。9割の沖縄県民の反対を押し切ってMV22オスプレイ配備が強行され、福島原発事故の放射能被害が拡大し続けているにもかかわらず原発再稼働が強行されたことを弾劾する報告もあった。
非正規職をめぐる問題では、採用試験の年齢制限引き上げに取り組んで採用をかちとった女性労働者が「問題は正規職労働者の問題。分断政策に負けず、非正規職撤廃と労働条件の改善のために闘うことが重要だ」と訴えた。
人事評価制度と賃金がリンクされている単組の報告者は、「賃金カットが7年間も続き、評価制度でさらにカットされている。国家公務員の7・8%賃下げや退職金400万円切り下げに公務労協議長として合意した日教組の中村前委員長・加藤現委員長を許すことはできない。日教組はただちに闘う方針を打ち出すべきだ」と訴えた。
最終日、司会者は「私たち一人ひとりが労働運動と教育運動を考え、『命を守る』こと、『教え子を再び戦場に送らない』ことを貫く労働組合運動として団結してともに闘おう」とまとめた。
(S)
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週刊『前進』(2570号3面4)(2013/02/04 )
8・6処分撤回 広島人事委
下田禮子さん、倉澤さんが証言
団結権破壊する8・6官制研修
昨年12月25日、広教組組合員の倉澤憲司さんへの「8・6処分」撤回を求める第6回人事委員会口頭審理が開催された。広教組、広高教組組合員をはじめ多くの仲間が傍聴席を埋めた。
この日は被爆者の下田禮子さんと倉澤さん本人の証人尋問が行われた。
8・6ヒロシマ大行動呼びかけ人の下田さんは自らの被爆体験を語り、二度とヒロシマを繰り返さないために教育にあたるべき広島県教委が、8・6ヒロシマ大行動の先頭に立つ青年教育労働者の倉澤さんを処分したことを「ひきょうだ」と弾劾した。人事委員会は当初、県教委に追随し下田さんの証言を認めようとしなかったが、これを打ち破って実現した下田さんの証言は、県教委や人事委員会を圧倒した。
倉澤さんは、年次有給休暇の時季変更権行使と10年経験者研修参加の職務命令にかかわる校長とのやり取りを具体的に証言し、その違法性を明らかにした。@校長は時季変更権行使に当たって、上から命令されて言うだけでまったく確信を持っていなかった。A年休の使用目的が8・6ヒロシマ大行動への参加であることを知って時季変更権が行使された。B校長は県教委の指導により「1日でも欠席したら研修が終了しない」という間違った認識を持たされ職務命令を出した。C校長自身が「異常」と証言せざるをえなかったほどの8月5日から6日にかけて電話での繰り返しの職務命令だった。これらを怒りをこめて暴露した。
Aに関しては、校長が時季変更権を行使する以前に、8・6ヒロシマ大行動のビラを添付した文書が倉澤さんの勤務地である庄原市教委から県教委に提出されていた。同文書には、倉澤さんについて「当該教諭は8・6ヒロシマ大行動呼びかけ人となっており、平成21年8月6日は、8・6ヒロシマ大行動に係るデモ行進に参加することが想定される」と書かれていた。まるで公安警察の報告書だ。県教委が倉澤さんの大行動参加を阻止するために時季変更権行使、職務命令発出を指示したのは明白だ。
さらに倉澤さんは、10年経験者研修などの官制研修の実態を明らかにした。研修は「教職員の能力向上」という目的とはかけ離れ、体調や諸事情など一切かまわず参加が強制されている。上からの命令に黙って服従する教職員をつくるためのものでしかない。こうした官制研修の増加が、教職員をさらに多忙にし、病気休職増加の原因にもなっているのだ。
最後に倉澤さんは、8月6日に官制研修を入れること自身が、「教え子をふたたび戦場に送るな」のスローガンのもとに闘ってきた教育労働者の団結権破壊、組合破壊だと弾劾し、こうした文科省・県教委の攻撃と対決して処分撤回まで闘うことを宣言した。
倉澤証言に打ちのめされた県教委側は、反対尋問で倉澤さんの病休や年休の回数をあげつらおうとした。代理人や傍聴者から「多くの教職員を病休に追い込んでいるのはいったい誰だ!」と鋭い抗議の声が上がり、委員長も「立証趣旨が不鮮明」と注意した。その後はまったく内容も迫力もない反対尋問に終わり、最後に県教委側は倉澤さんへの病休についての質問を「撤回します」と言わざるをえなかった。
人事委員会は、倉澤さん本人の証言で口頭審理を終了する予定だったが、倉澤さんと代理人は直接処分を出した県教委担当者の証人尋問を要求した。人事委員会はこの要求を即座に却下できず「再検討する」とした。
倉澤さんの8・6処分撤回の闘いを安倍、橋下に対する教育労働者の反撃の突破口にしよう。
(投稿/広島県労組交流センター教労部会)
(写真 人事委員会での証言に臨む下田さん【手前】と倉澤さん【右から3人目】【12月25日 広島】)
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週刊『前進』(2570号4面1)(2013/02/04 )
3・1ビキニ集会-3・11福島闘争へ
大事故と放射能汚染の責任徹底追及し全原発を廃炉に
福島の闘う人たちから、3・11反原発福島行動が呼びかけられた(呼びかけ文と要項を左に掲載)。これに応え、原発事故責任の徹底追及、再稼働阻止・安倍政権打倒、全原発廃炉を掲げ、全国から3・11福島に総結集しよう。これと一体で「3・1ビキニデー」集会を闘いとろう(要項別掲)。ビキニ事件こそ、今にいたる核と原発をめぐる闘いと攻防の原点であり、現在の福島で勝ち抜き反原発闘争の展望を切り開くための教訓としなければならない。3・1−3・11闘争を、8・6広島−8・9長崎と並ぶような年間最大の連続闘争として闘おう。その激闘の中から、NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)を、反原発の全人民的運動体として拡大・発展させよう。
安倍の再稼働絶対とめよう
「2周年目の3月11日を福島で闘おう」という声が、労働者人民の中で日ましに高まっている。全国から8月6日に広島に、8月9日に長崎に集まるように、3月11日は福島に集まって怒りの行動に立とう。2周年を福島で闘い、「ノーモア・フクシマ」を日本と全世界の原発廃炉の不退転の出発点にしよう。
私たちは、「3・11とフクシマ」を一日も忘れたことはない。忘れられるはずがない。福島第一原発が爆発したあの映像。膨大な放射性物質の流出とその隠蔽(いんぺい)という恐るべき事実。子どもたちを被曝させて「被験者」にしようとする山下俊一らの悪行の数々。「除染」と称して放射能汚染地域への帰還を強制する”意図的な殺人行為”。福島第一原発の収束作業と除染作業に当たる労働者への非人間的な扱いと被曝労働。どれをとっても、私たちの怒りはますます募る。
何よりもがまんならないのは、政府・東電を始め誰も原発事故の責任をとっていないことだ。私たちは3・11以来、〈事故責任の追及〉を第一に掲げて闘ってきた。「責任」とは「人が引き受けてなすべき任務」(『広辞苑』)のことだ。「追及」とは「責任などを、どこまでも追い責めること」(同上)。では、政府・東電を「追い責め」、「なすべき任務」をやらせられてきたか? 逆に福島の生活のすべてを奪い破壊しながら、「復興」キャンペーンだけをしているのが現実ではないか。
「未来のために立ち上がろう」と呼びかける福島の人々とともに、事故責任を取らせる本格的運動にしていくのはこれからだ。原発事故と放射能汚染に対する無念さ、悔しさ、怒りを晴らさないで、自分の人生もありえない。これが反原発・脱原発で立ち上がった人々すべての思いだ。その思いを2周年目の福島現地に持ち集め、責任追及の大運動を誓いなおす場にしよう。
日本の人民は、第2次大戦後に「戦争責任の追及」「戦争犯罪者の追放」を掲げて闘った歴史を持っている。この戦後革命期の責任追及は、1947年2・1ゼネスト寸前にまで上りつめた巨大で激烈な闘いだった。しかし、日本共産党の裏切りによって敗北させられ、責任追及を果たしえないまま終わってしまった。福島原発事故・放射能汚染に対し、この戦後革命期を上回る責任追及の闘いを発展させよう。「ノーモア・フクシマ」を心に決めた人すべてが、そうした運動を巻き起こし、必ず勝つことをともに決意しよう。
被曝強制する国家許さない
日本政府は事故責任を取るどころか逆に居直りつづけ、安倍政権のもとで原発の再稼働と新増設、原発輸出の方針をむきだしにしはじめている。今や反原発闘争は、原発54基建設の張本人である自民党政権との正面激突に入った。昨年来の〈再稼働阻止! 100万人デモを起こそう!〉という運動を実現する時がやってきたのだ。3・11福島を、再稼働阻止・安倍政権打倒を掲げ、100万人デモに向かう全国的大闘争として闘おう。
安倍政権の原発再稼働策動の最大の矛先もフクシマ圧殺にある。昨年12月の「原子力安全に関する福島閣僚会議」は、内部被曝の事実を隠し、「除染・安全」を掲げてフクシマの怒りを抑えこむのが狙いだ。しかし、この攻撃は破綻し、逆に弱点と化している。
明らかになった「手抜き除染」の最大の原因は、政府・環境省自身が「除染できない」と知っていることにある。さらに、事故後に役場機能を移転した9町村のうち、7町村が避難先で小学校を再開したものの、12年度の入学児童数は本来の数の約13%、13年度17%にすぎない(朝日新聞1・14付)。福島県民の側からも「除染できない」と判定されているのだ。ところが政府はなおも、「除染・帰還」と称して「復興」の柱にしようとしている。
これは、「原発は安全」といううそ以上の最悪のうそであり、被曝を強制する人類史上の大犯罪だ。チェルノブイリ事故でもこういう大うそが振りまかれた。しかしソ連人民の体制への怒りと反原発運動は、被曝強制の大元であるスターリン主義体制の打倒をもって応えた。
3・11以来2年間の闘いをへて多くの人々が、人間を被曝させ自然を破壊する現状を変えるには国家体制をくつがえすしかないのではないかと思いはじめている。「除染・安全」の大うそによるフクシマ圧殺と再稼働策動に対し、3・11福島で猛然と反撃しよう。
体制の根本的変革問われる
私たちが闘っている相手は、こういう大うそを平気でつく確信犯の連中である。これが今の原子力ムラであり、日本の国家・体制そのものだ。日本の資本家階級は、大恐慌と帝国主義間・大国間争闘戦の中で、核武装の偽装形態である原発の推進と輸出に死活をかけてしがみついている。
全原発廃炉という究極目標は、こうした国家・体制のあり方を根本から変えることを抜きにはなしえない。3・11以来、多くの人が感じ取ったように、原発をめぐって根本的に問題となっているのは、「命より金」の資本主義社会だ。特に、資本の利益を一切とする今の新自由主義だ。「放射能から命を守ろう」という人間として当たりまえのことを貫きたい。全原発廃炉という共通の思いを実現したい。そのためなら恐れることなく、これに立ちはだかる資本主義という枠を、新自由主義という壁を突き破ろう。3・11から2周年の福島で、全原発廃炉のためにどんな困難も打ち破る団結した運動を登場させよう。
ビキニは反核反原発の原点
さらに、今年の3・11闘争を、「3・1ビキニデー」集会とひとつの闘いとして取り組もう。1954年のビキニ事件こそ、核と原発の容認か反対かをめぐる攻防の原点である。しかも、ビキニ事件で争われた問題は、今の福島で起こっている全問題とまったく同じだ。「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ」に加え「ノーモア・ビキニ」と「ノーモア・フクシマ」のすべてをひとつにしよう。それを日本の労働運動の原則、市民運動の”常識”になるまでにしよう。そうしてこそ、反原発闘争の飛躍と展望も切り開ける。
ビキニ事件については水爆実験で被爆した第五福竜丸元乗組員の大石又七さんが書かれた『矛盾』(11年9月、武蔵野書房)を読むだけで、ほとんどのことが分かる。
ビキニ事件が原点であるのは、@広島・長崎に続く第三の被爆であり、しかも度重なる水爆実験で現地と日本の全体が内部被曝した。Aこの事件を機に、東京・杉並から原水爆禁止運動が始まり、今日にまで続く運動となった。B報道規制で隠されてきた広島・長崎の原爆被害が、これを機に初めて公然となった。ヒロシマ・ナガサキという形で敗戦を迎えたことへの怒りが沸騰した。
Cしかし、日米政府はわずか7億円強の「見舞金」でビキニ事件を政治決着させ、その裏で米国が日本に原子力技術・原子炉を供与する取引をし、日本の原発推進が始まった。D「毒をもって毒を制す」(正力松太郎の懐刀=柴田秀利)と称し、原水爆禁止運動の発展をつぶすために「原子力の平和利用=原発推進」の政策が実施され、社会党・共産党は屈服した。
このように、ビキニは反戦反核運動の出発点でありながら、同時に「平和利用」論による日本の核・原発政策の始まりの契機ともなり、それを許した原水禁運動の限界性を刻印するものでもあった。このすべての結果として福島原発事故に至ったのだ。今、私たちが闘っている反原発闘争は、ビキニで始まった運動を真に引き継ぎ、核・原発をめぐる長年の攻防に決着をつける歴史的意義を持つ。
しかも、ビキニ事件での人民に対する政府の政策は、福島で現在やっているのとまったく同じだ。典型例を二つあげる。第五福竜丸が日本に帰還した時にはあった「航海日誌」「漁労日誌」「海図」「無線日誌」のことごとくが消失した。日米政府による証拠隠滅だ。もうひとつは、同じ乗組員や仲間・理解者に対する卑劣きわまる分断だ。事件直後に亡くなった久保山愛吉さんの妻、第五福竜丸の漁労長(船頭)だった見崎さん、事件を機につくられた放射線医学研究所の医師たち。当時は水爆実験と被爆を厳しく批判していたこれらの人たちは、のちに政府側の圧力で寝返り、大石さんへの敵対者に転じた。事件から半世紀以上たっても、政府はそういう分断を必死になってやるのだ。こんなことを福島で繰り返させてはならない。
大石さんが長い沈黙を破ってビキニ事件を告発するようになったきっかけは、東京都内の中学生が元乗組員の話を直接に聞きたいと切に願ったことにあるという。その大石さんの思いと人生は今、「子どもを守れ」とコールする巨万の反原発・脱原発行動の中に引き継がれている。もっとビキニ事件と大石さんの決起に学んで闘おう。
大石さんはNAZENの呼びかけ人である。NAZENは大石さんの闘いと人生をともにする団体として結成された。今こそ「ノーモア・ビキニ」を全人民的に復権して、NAZENの運動を発展させよう。
NAZENの拡大・発展を
3・11から2周年を迎え、反原発闘争は一段の飛躍が求められている。再稼働を阻止し、全原発廃炉に向かうためにどういう運動をつくりだせばいいのか。
何よりも、フクシマの怒りを共有してどこまでも闘う運動である。フクシマの苦悩と困難、分断と孤立、闘いと希望などあらゆるものに真に向き合う時、中途半端なものは通用しない。原発に絶対反対を貫き、被曝から命を守るために徹底的に闘い、その中から本来の人間性と社会性を取り戻すのだ。12月に開院した「ふくしま共同診療所」を発展させることも、運動の不可欠の事業だ。
さらに、原発を「今すぐなくそう」という絶対反対の立場で、全原発廃炉まで粘り強く進める運動が必要だ。絶対反対という点では、攻撃の激しさにたじろいだり、攻撃をかわしたりするのではなく、真っ向から対決して突き破る運動でなければならない。粘り強くという点では、政府やその手先による懐柔や分断を一切寄せつけない、団結した運動でありたい。
何よりも、階級的な労働運動の発展と一体となる運動こそが求められている。原子力ムラと資本家階級と真に対決して勝利する運動は、労働者階級の闘いを抜きにありえない。特に、動労水戸のように、労働組合として被曝労働を拒否する運動を広げることが必須の課題だ。反原発100万人デモの実現のためには、労働組合をよみがえらせて立ち上がるしかない。全原発廃炉の展望も、本来は社会の主人公である労働者階級が決起して初めて切り開かれる。
こうした運動をNAZENとしてつくり出そう。反原発で立ち上がっている人々は、NAZENの運動をともに担ってほしい。3・1ビキニ−3・11福島を闘う中から、NAZENを拡大し発展させよう。
〔島崎 光晴〕
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週刊『前進』(2570号4面2)(2013/02/04 )
実行委員会 3・11反原発福島行動'13へ
賛同と参加を呼びかけ
3・11反原発福島行動,13への賛同と参加の呼びかけが、同実行委員会から発せられました。この福島の訴えに応え、3・11二周年の福島行動を全国の仲間の力で成功させよう。福島圧殺の安倍政権を許さず、ともに未来を切り開こう。(編集局)
「再稼働阻止! 未来のために立ち上がろう!
3・11反原発福島行動'13」への賛同と参加を呼びかけます。
雪化粧する冬山だけが、まるでなにごとも無かったかのように、気高く、美しくそびえ立つ福島です。
しかし、3・11原発事故は、何ひとつ収束していません。4号機の使用済み燃料が収められているプールが余震で転倒したら、福島県どころか東日本が壊滅する危機さえ現実のものとしてあります。ヨウ素131による初期被曝の深刻さが解明されつつあるなかで、福島県の甲状腺検査では、のう胞の数も形状も知らされず、親たちの不安は増えるばかりです。被曝労働の実態とは向き合わずに、ゼネコンだけが儲(もう)けを得る仕組みの名ばかりの除染が、「手抜き」作業を生み出すのは当然です。避難補助の打ち切りの一方で、復興予算にのみ税金がじゃぶじゃぶと注ぎ込まれる有り様は、経済優先、利権構造で原発を推進してきた自民党の体質がそのままです。安倍内閣は、新たな原発の建設さえ唱え始めました。IAEAと福島県が建設する三春・南相馬の「県環境創造センター」は、いよいよ福島のいのちを圧殺する策を練るのでしょうか。
このような厳しい現実を踏まえて、2年目の3・11に、福島に立つものとしてどう向き合って行くか、市民、農民、漁民、労働者、等しく問われていると思います。いまこそ、毅然として声を挙げなければ、すべてがなかったことにされてしまいます。子どもたちのいのちが、刻々と損われようとしています。未来を描けない青年たち、生きるすべを根こそぎ奪われた生産者、被曝を強いられている労働者、そうした現実の真っ只中にいる私たち自らが声を挙げましょう。福島は、許さない! 諦(あきら)めない! 第二の福島をくりかえさせない!と。
福島はどうのぞむのか? 原発立地県や、官邸前などで再稼働阻止の闘いを続けてきた人々、世界の視線も熱くあります。県民の声は、「県内全基廃炉75・4%」(福島民報1・6付)。この思いとともに、3・11二周年の福島行動にたちあがりましょう。福島の”怒りののぼり旗”をはためかせ、全国・全世界の反原発の思いと一つになって、流れを変えましょう! それぞれの独自性を大切にしながら、ともに手をつなぎ合いましょう。社会を変える力、未来を切り拓(ひら)く力は、私たちにこそある! まき返しましょう! 行動しましょう!
2013年1月
【呼びかけ人】会田恵(陶芸家・伊達市)/阿部一子(阿部農園・福島市)/市川潤子(ふくしま合
同労組委員長・福島市)/井上利男(ふくしま集団疎開裁判の会・郡山市)/川俣辰彦(動労水戸平支部・いわき市)/黒田節子(原発いらない福島の女たち所属・郡山市)/佐々木信夫(桜の聖母短期大学名誉教授・福島市)/佐藤幸子(川俣町)/椎名千恵子(福島市)/島明美(伊達市)/鈴木光一郎(全国農民会議共同代表、酪農家・本宮市)/関久雄(NPO職員・二本松市)/丹治博志(福島バッジプロジェクト・福島市)/橋本光一(国労郡山工場支部・郡山市)/長谷川健一(飯舘村前田区長・酪農家)/吉沢正巳(希望の牧場・浪江町)/渡辺馨(福島診療所建設委員会事務局長・伊達市)/渡辺ミヨ子(原発いらない福島の女たち所属・田村市)
(1月27日現在)
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週刊『前進』(2570号4面3)(2013/02/04 )
首相官邸前 原発推進の安倍に怒り
“子どもを逃がせ”の声轟く
1月25日、首相官邸・国会前、文科省前など霞が関・永田町一帯に数千人の労働者民衆が集まり安倍政権の福島圧殺と原発推進政策を弾劾する大抗議行動を闘いぬいた。
文科省前では、ふくしま集団疎開裁判の会が抗議・宣伝行動を行った。司会の青年が元気良く第一声。「今月21日に仙台で第3回目の審尋(裁判)が行われ、東京からも仲間がたくさんバスで駆けつけた。今日はその報告をメインに行います」と提起。続いて「子どもたちを逃がせ!」の怒りのコールが文科省庁舎に轟(とどろ)いた。
光前幸一弁護士が報告を行い「仙台では毎回デモをやるが、市民の受けとめ方が違ってきた。裁判のことが仙台でも知られてきたらしく、声をかけてくれる人や窓から見ている人もいた」と疎開裁判への関心が高くなっていることを伝え、さらに「裁判所は3月までに結論を出すと言っており、裁判所に行って話すのは終了となった。好意的な判断を出すという状況ではない。こういう運動をしてプレッシャーをかけていくことが重要」と切迫した情勢を迎えて一層の奮起を訴えた。
弁護団長の柳原敏夫弁護士が、仙台高裁に意見書を提出した北海道深川市立病院の松崎道幸医師に電話インタビューを行った。松崎医師は「茨城県取手市で子どもの心電図検査の異常が増えている。心臓の筋肉の動きが乱れ、命を落とす危険もある”QT延長症候群”とその疑いのある児童・生徒が、2010年度1人、11年度の2人から12年度は8人に急増した。取手市は空間線量が事故後10倍に増えた」と不安の思いを語り、続けて「10_シーベルト程度の被曝でもがんが増えることが原発労働者の調査や最近の医療被曝患者のデータで示されている。福島の子どもたちは、この2年近くで中通りは10〜20_シーベルト被曝している。福島に住み続けることは心配だ。行政はきちんと対策をとるべきだ」と弾劾した。
首相官邸前でも多くの参加者がマイクを握って安倍・自民党政権に迫った。年輩の女性は「福島第一原発で水素爆発が起こった時、自分が何もしてこなかったことを後悔した。そしてこの抗議行動にも参加している。安倍首相! 原発は造ってはならない。あってはならない。だから全部廃炉にするしかない! 私にはこの春結婚する娘がいます。やがて生まれるであろう命のためにも、私たちはあきらめません」と力いっぱいの叫び。
原子力規制委員会は、原発労働者の「身元調査」を義務化する方針を発表した。原発労働者の怒りが「告発」などさまざまな形をとって噴出し、原発労働者の中から階級的労働運動が登場することにおののいているのだ。原発労働者を守り、ともに闘おう。3・11福島現地闘争に結集し、安倍を打倒しよう。
(写真 原発推進・福島圧殺の安倍政権を弾劾し、首相官邸前行動が力強く打ちぬかれた【1月25日】)
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週刊『前進』(2570号4面4)(2013/02/04 )
吉祥寺デモ 3・11福島へ決起を誓う
1月27日、NAZEN吉祥寺は極右・原発推進の安倍政権への怒りに燃えて8回目の反原発・反失業吉祥寺デモを闘った。デモ後、ビキニ事件の学習会を開催し、3・11福島への総決起を誓った。
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週刊『前進』(2570号4面5)(2013/02/04 )
【要項】3・1原発いらない杉並集会
ビキニ水爆実験・被ばくから59年
3・1原発いらない杉並集会
3月1日(金)午後6時30分〜 高円寺・セシオン杉並ホール(東京都杉並区梅里1―22―32)
□福島県郡山市からの報告
井上利男さん(ふくしま集団疎開裁判の会・代表)
「原発被災地をおおう『国際原子力ロビー』の影」
□VTR上映(山本太郎さんによるインタビュー)
大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)
主催/3・1原発いらない杉並集会実行委員会
呼びかけ/すべての原発いますぐなくそう!全国会議-NAZEN杉並
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週刊『前進』(2570号4面6)(2013/02/04 )
【要項】3・11反原発福島行動'13
再稼働阻止! 未来のために立ち上がろう!
3・11反原発福島行動'13
3月11日(月)正午開場
福島県教育会館大ホール(福島市上浜町10-38)
JR福島駅東口バス2番のりば「競馬場方面」行き「豊田町」下車徒歩5分、または3番のりば「東堀河町」行き「上浜町」下車徒歩2分
12時30分プレイベント/午後1時コンサート
1時30分集会/3時15分デモ出発(→県庁前→福島駅)
主催/3・11反原発福島行動実行委員会
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週刊『前進』(2570号5面1)(2013/02/04 )
経労委報告と対決し13春闘へ
“ベアの余地なし”“定昇凍結” 大幅賃下げと大量解雇を狙う
外注化・非正規職化と闘おう
経団連は1月22日、2013年版「経営労働政策委員会報告」を公表した。「活力ある未来に向けて−労使一体となって危機に立ち向かう」というサブタイトルが付された今年の経労委報告は、ますます深まる大恐慌と、激化の一途をたどる帝国主義間・大国間の争闘戦のただ中で、大量首切りと外注化・非正規職化、賃金切り下げの攻撃で生き残りを図る資本の基本戦略を示したものだ。これと徹底対決し、13春闘の決戦に立とう。
「最大の難局」と絶望的悲鳴
13年版経労委報告には冒頭の経団連会長・米倉弘昌の序文から「グローバル競争が一段と激しさを増す中、日本企業は長引く円高とデフレ、税・社会保険料などの重い負担、経済連携の遅れ、行き過ぎた温暖化対策、電力の供給不安とコスト上昇など、非常に厳しい事業環境に直面している」「戦後最大とも言える難局を乗り越えていく」などの言葉が並んでいる。
「一段と厳しさを増す国内事業活動と現状打開への道」と題された第1章には、資本家階級の“時代認識”が示されている。「悪化を続ける経営環境」「日本経済の縮小と立地競争力のさらなる低下」「本格的な産業空洞化の進行」「危ぶまれる『貿易立国』の地位」――これはまさに日帝の絶望的危機に直面する資本家の悲鳴だ。
この間、経団連は、日本企業を取り巻く「6重苦」と称して、@円高、A重い法人税・社会保険料負担、B経済連携協定の遅れ、C柔軟性に欠ける労働市場、D行き過ぎた温暖化対策、E電力供給不足・コスト増――を挙げ、その打開を声高に唱えてきた。この6点に危機の原因を求める認識自体、徹頭徹尾でたらめだ。ブルジョアジーは、資本主義自身がつくり出し、新自由主義によってさらに深まった大恐慌の現実をけっして見据えられない。だから、大恐慌からの突破の道がより徹底した新自由主義攻撃の貫徹にあるかのように放言できるのだ。
経労委報告は、この「6重苦」なるものに対応して、「@円高の是正、A経済連携の推進、B法人の税負担の軽減、C一層の社会保障制度改革、Dエネルギー・環境政策の転換、E労働規制の見直しを一気呵成(いっきかせい)に実施すべきである」と言う。それは、大量首切り・非正規職化、一層の賃下げを強行するということなのだ。
「雇用流動化」は「使い捨て」
この中でも特に、経労委報告が「労働規制の見直し」を絶叫していることは見過ごせない。資本家どもは、民主党政権下で行われた労働者派遣法、労働契約法、高齢者雇用安定法の改定を「規制強化」と言いなしている。しかし、これらが外注化・非正規職化をさらに推進するために行われたことは明らかだ(2面参照)。にもかかわらず経労委報告は、「規制強化色の強い労働政策が継続されれば、雇用創出どころか、国内における雇用の場そのものが失われかねない」と労働者を恫 喝している。
資本がもくろんでいるのは、文字通り労働者の9割を非正規職にすることだ。経労委報告は「“非正規雇用”の増加を問題視する向きも多いが……“正規”か“非正規”かという二項対立的に捉(とら)えること自体が、現状に合致しているとは言い難い」「非正規雇用という呼称自体……こうした用語を用いることも適切ではない」と言い放っている。労働者のほとんどを非正規職にしてしまえば「非正規」という概念もなくなる。そこまで徹底して非正規職化を強行するというのである。
経労委報告はまた「雇用の維持・創出を図るためには……『雇用の源泉である企業の事業活動の柔軟性確保』や『多様な就業機会の創出』の観点を重視」すべきだとする。これはもはや、非正規職でなければ雇用しないと言うに等しい。
さらに経労委報告は、「外部労働市場の育成、活用を図ることが重要である」として一層の外注化強行を押し出し、労働者派遣の期間制限の緩和などを求めている。また、正規雇用労働者についても、「企業内余剰人員」が増加しているとして、年度末を前に大量解雇を強行する意思をあらわにした。
また、賃下げを始めとした労働条件不利益変更に対する規制の撤廃を要求し、事務職労働者に対する労働時間規制の解除(ホワイトカラー・イグゼンプションの導入)も叫び立てている。
これら「労働市場における流動化促進」策の行き着く先は、“ブラック企業”といわれる楽天やユニクロなどで行われている「大量採用、大量解雇」方式に示される青年労働者の使い捨てだ。その極限を行くものこそ、JRの契約社員制度(JR東日本のグリーンスタッフ制度)である。
デフレ口実に賃下げ居直り
経労委報告は13春闘に向けた資本の方針として、「ベースアップを実施する余地はない」と言い切った。さらに、定期昇給制度の解体にも踏み込んでいる。今次経労委報告の原案には「定期昇給制度の見直しを聖域にすべきではない」という一文があったとも言われるが、公表された経労委報告にそうした露骨な表現がないことは、本質的な問題ではない。公表された報告にも「深刻かつ危機的な経営状況にある企業においては、定期昇給の実施時期の延期や凍結について協議せざるを得ない」「制度自体の今日的意義や将来的な持続可能性などについて労使で議論を尽くし」と書かれている。既成労組幹部の裏切りを取り付けた上で、より周到に、より徹底的に定期昇給制度を解体するという意味だ。
これに加え経労委報告は、連合が形ばかり打ち出した非正規労働者の時給引き上げ要求さえ拒否し去り、「賃金カーブという概念がそもそも成立しない非正規労働者」とまで言っている。非正規職は一生、賃上げなしの低賃金でこき使われて当然だというのだ。
許し難いのは、経労委報告が「デフレの進行によって実質賃金は大幅に上昇」としていることだ。厚生労働省の毎月勤労統計調査でさえ、労働者の1人平均月間現金給与総額は97年の37万1670円から11年の31万6792円へと、14年間で5万円以上も下落したという数値を示している。こうした平均賃金の低下の裏には、非正規職の拡大という事態があった。それでも「実質賃金は大幅に上昇」と言い張ることで、経団連は非正規職化をさらに推し進めると再び宣言しているのだ。
しかも経団連は、安倍の思惑どおりインフレが進んだとしても、賃上げをするつもりなどまったくない。
さらに経労委報告は、最低賃金の引き上げも全面的に拒否している。 安倍政権の登場を背景に、資本はその強欲をますますむき出しにしつつある。
原発再稼働の願望むき出し
今次の経労委報告の特徴は、原発再稼働をあからさまに要求していることだ。報告は「電力の供給不安と価格上昇懸念も、国内の事業活動を一層困難にしている」「国内事業を継続していくためには……原子力を含む多様なエネルギーの選択肢を維持することが不可欠である」と叫んでいる。人間の生命を踏みにじり、労働者階級を絶滅に追いやる結果になろうとも利潤を追い求める資本の本質を、経団連はもはや隠そうともしない。
こうした資本の要求を全面的に受け入れているのが安倍政権だ。法人税の一層の引き下げを迫る資本に応じ、安倍は1月24日に決定した13年度税制改革大綱で、研究開発減税の拡大や自動車取得税の廃止など、企業への大幅減税を打ち出した。
また、社会保険料の企業負担が重すぎると叫ぶ資本に応えて、安倍は社会保障制度の全面的な解体に手を着けようとしている。その切っ先に位置するのが、生活保護費の大幅削減だ。
さらに経労委報告は、「一刻も早くTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に入る必要がある」とし、「道州制の実現」も求めている。社会が社会として成り立たなくなっても、資本だけは生き残るというのである。
攻撃の先端を担うJR資本
今次の経労委報告は、「新興国においては、成長基盤を強化する観点から、水・発電・鉄道分野をはじめとするインフラ建設に対するニーズは大きい」「パッケージ型インフラ輸出を官民挙げてさらに推進することが重要である」と唱えている。大争闘戦のただ中で、資本の生き残りを海外侵略に求めるということだ。その先頭に立っているのが、「グループ経営構想X」を打ち出したJR東日本などのJR資本だ。
JRでの外注化を粉砕する闘いは、経労委報告との最先端の攻防だ。報告は「ミドルマネジャーの育成」「次世代経営幹部の育成」を例年になく強調する。その背後にあるのは、職制層の崩壊という事態だ。労働者の9割を非正規職化しつつ、1割の幹部層を資本のもとにつなぎとめるのは、実際のところ至難の業だ。業務そのものを破壊する外注化は、職制層の資本への忠誠心をも掘り崩してしまった。そうした事態が典型的に現れているのは、検修外注化強行後のJR職場だ。
資本の手先となってきた既成労組幹部の統制力も崩れつつある。経労委報告が「労使一体」「労使コミュニケーションの強化」をいつになく押し出しているのも、そのことへの危機感から来ている。この情勢も、JR総連傘下の青年労働者の反乱をつくり出した外注化阻止決戦によって切り開かれたのだ。
資本の攻撃は凶暴だが、そこには必ず破綻点がある。破綻点を見いだし、そこを突いて闘えば資本を追い詰めることはできる。経労委報告には、そうした資本の危機が図らずも表れているのだ。外注化阻止・非正規職撤廃の闘いを軸に13春闘を階級決戦として闘いぬこう。勝利は労働者階級のものだ。
(岩谷芳之)
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週刊『前進』(2570号5面2)(2013/02/04 )
生活保護670億円削減
公共事業10兆円、防衛費も大幅増
3月決戦で安倍打倒を
安倍政権は1月29日、生活保護費を今年度よりも670億円も削減する13年度予算案を閣議決定しました。2月下旬にも国会に提出しようとしています。受給世帯の生活はおろか生存をおびやかす削減を許すわけにはいきません。労働者人民の団結した力で安倍政権を打倒しましょう。保護費削減の内容と狙い、その背景を見ていきます。
(図 上、生活扶助基準額の引き下げ【月額】 下、生活保護受給者の年次推移) 食費などが1割カットに
安倍政権が13年度から3年かけて引き下げようとしているのは、生活保護費の約35%を占める、食費、被服費、光熱水費などの生活扶助の基準額です。13年度は8月から150億円減らすといい、都市部なら40代夫婦と小、中学生の4人世帯の場合、15年以降、月々2万円、子ども1人の3人世帯なら月1万6千円も減額。母親と子ども1人の母子家庭では月8千円もの減額です(表)。
さらに、年末に支給される「期末一時扶助金」(1人1万4千円)も70億円カットし、生活扶助費を3年間で総額740億円減額するとしています。削減は04年度以来9年ぶりで、下げ幅は過去最大になります。受給世帯の71%が5%以下の減、25%が5%超〜10%の減。96%の世帯で扶助費が減ることになります。特に子育て中の若い、人数の多い世帯の生活扶助が大幅に減らされようとしているのです。
また、生活保護費の約半分を占める医療費(医療扶助)を、就労支援も合わせて450億円の削減を見込むとしています。受給者に価格の安い後発薬を使わせる、価格が高い先発薬を処方した場合、医師には説明責任が生じる、特別な理由がないのに後発薬を拒んだら、福祉事務所に指導させるとしています。こんな分断を許してはなりません。警察OBの配置など言語道断です。
安倍は無謀なインフレ政策を推し進めようとしており、22日には、日銀が物価を2%上げる目標を導入すると決定しました。命をつなぐ最低限の生活費を生活保護世帯から削り取り、さらに物価高にさらそうというのです。しかも消費税率が14年4月には8%に、15年10月には10%に引き上げられようとしています。これでは生きられない! 生活扶助基準の引き下げは「生存可能な基準以下」の状態を強いる、国家による殺人行為です。
今回の引き下げについて厚労省は、子どものいる世帯などで「保護を受けていない低所得世帯より生活扶助費の方が上回ったからだ」と説明しています。しかし、低所得世帯とは年収が平均およそ120万円の世帯です。生活保護を受けて当然なのに受けていない世帯と比較して、「逆転している」として基準額を引き下げるとは! これは受給世帯の生死にかかわる問題です。それは受給世帯だけではありません。自治体によっては当てはまらない場合もありますが、生活扶助の基準額はほかの制度の物差しでもあります。
就学援助、生活福祉金の貸し付け、国民健康保険の減免、介護保険料・利用料の減額の制度は、扶助基準が引き下げられることで利用できなくなります。また、引き下げで住民税の非課税限度額が下がるために、新たに課税される人も出てきます。そして、非課税世帯に認められていた免除や減免制度が利用できなくなり、医療や介護の自己負担分が増えることになります。どの制度もギリギリの生活を強いられている世帯には死活的です。
最低賃金引き下げに連動
もうひとつ決定的な問題があります。それは、生活扶助基準の引き下げにより、最低賃金を引き上げる理由がなくなり、逆に引き下げる可能性すら出てくることです。
全国の生活保護受給者は、12年10月時点で214万2580人ですが、95年の88万2229人から増加の一途をたどり、過去最多だった第2次世界大戦後の1951年の月平均204万6646人を抜きました(図)。95年は日経連(02年に経団連に統合)が「労働者の9割を非正規職にする」と提言した年です。
日経連は97年に製造業の賃金水準について「日本を100としたときアメリカ81、ドイツ95、イギリス83、フランス67、韓国52」という推計を出し、「日本全体の高コスト構造の是正」を叫び立てました。トヨタの人事部長などは、「この10年間で年金・健康保険の負担は2・5倍に拡大し、総額人件費の、実に13%を占める」と悲鳴を上げ、「総額人件費の削減」へ、福利厚生費のかからない労働者、すなわち非正規職への置き換えを進めました。
同時に、資本の側は業務の外注化と労働者派遣事業を拡大しました。これに屈服した労組幹部の裏切りによって多くの労働者が非正規労働に突き落とされ、97年以降、労働者全体の賃金である「総額人件費」は下降し続けてきました。
そして、世界大恐慌と3・11東日本大震災―福島原発事故のもとで、解雇や労災による失業者が膨大に生み出され、生活保護世帯が急増しました。年金受給資格のない無年金者、生活扶助基準にも届かない低所得世帯は、あまりにも低い賃金と不安定雇用が生み出したものです。10年の金融広報中央委員会の調査によると、全世帯の3割、単身者は4割近くが貯蓄なしです。
すでに09年のリーマンショック時を超える大量解雇が始まっています。生活扶助基準の切り下げをめぐる攻防は、賃金・雇用をめぐる資本との攻防と切り離すことはできません。
労働組合で団結し闘おう
2年続きの借金超過予算から抜け出さなければ日本は国債暴落の危機に陥りかねません。そこで、13年度予算案は、新規国債の発行額を税収以下に抑えながら、防衛費とゼネコンのための公共事業を大幅に増やしました。防衛費は11年ぶりに増加(400億円増)、公共事業は12年度補正予算を含め10兆円規模になります。その財源を確保するために生活扶助基準の引き下げと地方公務員給与の削減となったのです。
資本と国家が生き残るためにどうして私たち労働者人民が犠牲にならなければならないのでしょうか! 賃金闘争が労働者階級と資本家階級との倒すか倒されるかの階級決戦の一大テーマになりました。
国鉄を先頭に外注化阻止・非正規職撤廃・解雇撤回へ闘うとともに、賃金削減に反対し大幅賃上げをかちとる13春闘を闘いましょう。首切りと賃下げ、原発推進、戦争と改憲をたくらむ安倍政権を打倒しましょう。生活扶助基準の引き下げを許さず、生き抜くために労働組合のもとに団結しましょう。
(今井一実)
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生活保護制度
日常生活をまかなう生活扶助が基本。必要に応じて住宅扶助や教育扶助、介護扶助などが加算される。
生活保護基準
健康で文化的な最低限度の生活水準の尺度。
憲法第25条
@すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。A国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
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生活扶助基準額の引下げ(月額)
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現在 |
2015年度以降 |
削減額 |
3人世帯(夫婦と子1人) |
約17万2千円 |
約15万6千円 |
1万6千円 |
4人世帯(夫婦と子2人) |
約22万2千円 |
約20万2千円 |
2万円 |
単身(70代以上) |
約7万7千円 |
約7万4千円 |
3千円 |
2人世帯(70代以上夫婦) |
約11万4千円 |
約10万9千円 |
6千円 |
単身世帯(20〜40歳) |
約8万5千円 |
約7万8千円 |
7千円 |
母子世帯(母親と子1人) |
約15万円 |
約14万1千円 |
8千円 |
*都市部の場合。冬季加算、母子加算、児童養育加算を含む。端数処理で合計・差額が一致しないことがある。
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週刊『前進』(2570号5面3)(2013/02/04 )
退職手当削減に怒り
現業職は削減率が2倍
特区連・東京清掃 29分間ストを準備
大恐慌下の大量解雇・賃下げ、外注化・非正規職化との大攻防に入った13春闘の真っただ中で、公務員労働者の賃金闘争が火を噴いています。
東京23区の区職労で構成される特区連と東京清掃労組は、最大400万円にも及ぶ退職手当削減と労働者分断の人事・賃金制度大改悪の攻撃に現場の怒りを爆発させ、ストライキ(2月15日に29分間の時間内集会を配置)を含む真正面からの激突に入りました。昨秋の都労連29分間スト(時間内集会)決起以来の闘いです。
当局の提案は許し難い。削減額は最大で400万円にのぼります。現業職の削減率は行政職の約2倍の20%台です。加えて「職務・職責に応じた貢献度の一層の反映」と称して役職が高いほど削減額が緩和されます。役職のない現業職に圧倒的に不利な算定方法をとっています。「技能・業務職には、2重3重の過酷な苦痛が強いられる」(特区連機関紙)むき出しの分断・差別賃金制度への転換が意図されているのです。
さらに安倍政権は13年度予算で地方交付税を減らすことで、国家公務員に続いて、7月にも地方公務員賃金の一律7・8%削減を強行しようとしています。安倍政権はこうして削減した9千億円分を地方の防災や活性化事業に充てるのです。
もう許せない! ここまで踏みにじられて黙っていられるか!
公務員攻撃の大合唱の中で、賃下げと民営化・外注化、非正規職化の過酷な現実を強いられてきた公務員労働者、現業労働者の怒りが一挙に噴き出したのです。
事態は、埼玉県をはじめ全国で、教頭を含む教職員や警察官までもが生活防衛と抗議の意を込めて退職手当削減前の駆け込み退職に殺到していることと一体です。
公務員への攻撃は全労働者への攻撃であり、退職手当削減・制度大改悪は青年の未来を奪う攻撃です。分断ではなく団結を。怒りを闘いに。国鉄を基軸に闘い抜き、闘う労働組合の再生をかちとろう。
(写真 1500人を超えた特区連・東京清掃総決起集会【1月18日】)
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週刊『前進』(2570号6面1)(2013/02/04 )
革命軍の2013年アピール
プロレタリア革命の勝利へ戦略的配置につき闘い抜く
鷲島輝充
2013年は、革命的な大激動の時代の幕開けだ。非正規職化攻撃に立ち向かい、生きるために闘う青年労働者が社会の真の主人公として輝かしく登場するのは今だ! 学生が敢然と階級決戦の先頭に立って情勢を牽引(けんいん)するのは今だ! 極限的な日帝政治危機にのたうち回り、革命の恐怖に震え上がっているのは安倍政権だ。これからの数カ月で絶対に打倒してやる! 古い夢を見続けるブルジョア連中に「お前たちの体制はもう終わりだ!」と引導を渡してやる! 攻勢につぐ攻勢をかけて、プロレタリア革命の勝利と共産主義社会の創造へと大進撃していこう。この過程でプロレタリアートの巨万の軍勢をつくりだそう。その絶好機が到来した。外注化阻止・非正規職撤廃の国鉄決戦、再稼働阻止・全原発廃炉の反原発決戦、星野文昭同志奪還の全証拠開示運動の3大決戦をぶちぬき、三里塚、沖縄、八尾北・西郡、改憲阻止・裁判員制度粉砕の4大攻防を勝ち抜こう。5大組織任務を貫徹し、革命的共産主義運動と階級的労働運動の一体的前進をかちとろう。革命軍はすべての闘う人びとと心の底から一体となって2013年の激闘を闘い抜く決意を込めて本アピールを送る。
(写真 原発に炎天下の怒り 昨年7・16の代々木公園を埋め尽くした17万人の労働者人民は、 「核と人類は共存できない」という非和解的怒りをもって新たな歴史を切り開いた)
国鉄・反原発の決戦で情勢をこじ開けた12年
2012年の最大の闘いは、10・1外注化阻止・非正規職撤廃の歴史的な国鉄決戦をぶちぬいて勝利したことである。
外注化が労働と労働者を分断し団結を徹底的に破壊する攻撃であることに対し、10・1決戦は、「反合理化・運転保安闘争」路線を貫いて職場抵抗闘争を切り開き、JR資本に大打撃を強制したのだ。それのみならず「職場抵抗闘争の拡大・発展を通して人間的共同性としての団結をかつてなく強固なものにした」(政治局2013年1・1アピール)。そして資本の違法・不法を暴いて破綻を強制し、「労働組合の壁を越えた決起、とりわけ青年労働者の反乱の不可避性をつかんだ」のだ。
「時代認識と路線が職場で苦闘する労働者の階級的魂に肉薄すれば労働組合の違いを超えて闘いが発展する情勢を急速に形成」し「階級の闘いが階級の闘いを呼び起こし、運動と統一行動への道を切り開く」時代をつかみ取ったのだ。外注化阻止・非正規職撤廃の勝利の突破口を切り開いた。動労水戸の平成採労働者を始めとする外注化への怒りはJR当局を恐怖のどん底にたたき込んでいる。動労千葉を先頭とする国鉄労働者がさらなる団結の強化・拡大でJR全面外注化攻撃の第2ラウンドで必ずJR労働者の総反乱=JR体制打倒を実現しよう!
第二に、10・1外注化阻止決戦が日本と全世界の労働者の階級的魂をつかみ、世界革命へ向かって発展させ勝利する誓いの場として、11・4労働者集会をかちとったことだ。外注化阻止・非正規職撤廃は世界の労働運動の共通の闘いだ。地球的規模で新自由主義への怒りが充満している。
民主労総ソウル地域本部が日本大使館前で闘った外注化阻止闘争での「動労千葉支援行動」は実に感動的だった。またそれは、帝国主義の繰り出す排外主義と「領土問題」をテコにした分断攻撃を労働者階級の国際的団結の力でぶち破ることができることを示した。
第三に、マル青労同結成から10年、労働運動の中にマルクス主義を復権し、階級的労働運動をよみがえらせる戦略的闘いを貫き、新時代を切り開く青年労働者の指導部が圧倒的に登場してきたことである。京大、東北大を始め自治会の再建に猛然と決起している学生戦線は、新自由主義と日帝を打倒する決戦部隊として新体制を確立している。こうした未来を体現する新たな階級の指導部が階級的労働運動を着実に発展させ、階級闘争の荒々しい展開を担う準備が整ったことである。
第四に、国鉄決戦を土台にして、反原発闘争が日本階級闘争の不抜の中心軸に座った。戦後階級闘争史上たぐいまれな壮大な決起が開始された。首相官邸前を埋め尽くした再稼働阻止―反原発の巨万の波は、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いと一体となり、消費大増税強行・TPP(環太平洋経済連携協定)に反対する労働者人民の怒りと結合し、野田政権を打倒した。
また昨年の衆院選に杉並区で立候補した山本太郎氏を都政を革新する会とNAZEN(すべての原発いますぐなくそう全国会議=な全)が全力支援し7万票を獲得した闘いは、自民党・石原伸晃を直撃する大衆の怒りをたたきつけた。20万人から100万人へ! フクシマの怒りを体現し、安倍新政権の改憲と原発推進政策、フクシマ圧殺攻撃を粉砕し、原発再稼働阻止・即時廃炉をかちとろう!
2012年、ついに党と労働組合の一体的建設の闘いをとおして、世界大恐慌、3・11情勢をいよいよ日本プロレタリア革命へと転化していく闘いが大きく始まったのだ。この道を断固突き進もう!
大恐慌対策が完全破産 世界は革命情勢に突入
世界大恐慌は完全に本格的爆発過程に突入した。米経済のいわゆる「財政の崖」問題は2月末のデフォルト(債務不履行)の危機をまた3カ月だけ先送りしたものの、絶望的に危機が増幅している。世界の帝国主義国がどこも財政危機を抱え、債務危機・金融危機と一体となって通商戦争、為替戦争、金融緩和競争に明け暮れている。要するに完全な大争闘戦時代に突入したということだ。
米帝オバマ=バーナンキ(米連邦準備制度理事会=FRB議長)の恐慌対策は、QE3(量的金融緩和第3弾)まで発動したにもかかわらず、経済指標はガタガタで、大破産している。もはやドル大暴落が時間の問題になってきている。欧州恐慌の泥沼化と拡大はさらに進行・深化し、中国バブル経済の崩壊をさらに促進する。中国の特異な「高成長」は完全に終焉(しゅうえん)し、世界経済の破滅的転落はさらに加速度を増していく。
米帝オバマは新軍事戦略で中国スターリン主義への対峙・対決をより一層強め、対北朝鮮侵略戦争の画策や東アジアの米帝的制圧を最大級に重視している。
そういう中で日帝の国際争闘戦からの脱落は決定的なものとなった。世界大恐慌の爆発と3・11大震災・原発事故の直撃によってすべてに行き詰まってしまったのだ。すでに労働者人民の幻想をも利用する形で登場した民主党・連合政権が打倒され崩壊した。それに代わって登場した安倍超反動新政権は、小選挙区制度トリックで議会で多数派となっている本質的に脆弱(ぜいじゃく)な政権に過ぎない。こんな政権は労働者階級の怒りで短期間のうちにぶっ倒すことができる。
「アベノミクス」と称する無制限の国債日銀引き受け=紙幣印刷・垂れ流しのインフレ政策を進め、資本家救済の公共事業などを打ち出している。すでに破産しつくした諸政策の二番せんじであり、しかも完全に戦時型インフレ経済へとかじを切った。すべてを労働者の犠牲のうえに資本を救済するものだ。
一方で改憲と国防軍の創設とセットにして、凶暴な侵略戦争・領土略奪戦争へのコースを現実に歩みだした。それは他方で、労組破壊・民営化攻撃として労働者階級への未曽有の階級決戦攻撃を激化させる。労働者の抵抗の中では安倍のもくろみは成り立たない。労働者階級の怒りを爆発させ、安倍の攻撃をプロレタリア革命への闘いの前進に転化しよう!
重要なのは、死の苦悶(くもん)にあえいでいるのは帝国主義であり、残存スターリン主義だということである。もはや生命力が尽き果て、本来の価値増殖運動が不可能になった資本が新自由主義攻撃で労働者から奪えるものをすべて奪ってかろうじて延命している。こんな転倒した社会は絶対に打ち壊さなければならないし、ひっくり返せる。2013年は、この点で日本プロレタリア革命の勝利へと急速に上りつめる年だ。
ヨーロッパのゼネストを始め、全世界の労働者階級は大恐慌の生み出す大失業と戦争の惨禍に直面しながら陸続と闘いに決起している。革命的情勢はプロレタリア世界革命に向かって日々煮詰まってきている。今こそ、新たな革命的インターナショナルの創成をかちとり「世界単一の党」を確立していこう。
非合法・非公然体制を堅持し一層強化しよう
権力・公安警察との非合法・非公然体制建設をめぐる闘いは2012年、激しくぶつかった。権力は「非合法・非公然体制を絶対に許さない」という強烈な階級意思をもって弾圧を加えてきた。しかし、これを外注化阻止決戦―階級的労働運動解体攻撃としてとらえ、労働者階級自身が猛然と決起し、完全に粉砕しぬいた。
革命軍はこの感動的勝利とともに意気軒高と非合法・非公然体制を堅持しぬいた。階級的団結をガッチリと固めることで鮮やかに勝利したのだ。
党と労働組合をめぐる死闘に階級的労働運動路線で勝ち抜くことが決定的だ。階級的労働運動が発展すればするほど、必ず敵支配階級との暴力的激突へと急速に発展していく。
安倍政権の誕生とその絶望的凶暴化は、労働者階級自身にとって、これにうちかつ非合法・非公然体制の強固な建設を求める。また非合法・非公然体制が土台にあることで階級的労働運動は爆発的に発展する。
階級的労働運動路線の発展と非合法・非公然体制建設はどこまでも一体である。両者は相互促進的に発展し、プロレタリア革命の必勝陣形(党・労働組合・ソビエトの三位一体的発展)の土台となる。それは権力の攻撃・弾圧をますます無力化させ、勝利を揺るぎないものにするのだ。そして労働者階級が資本家階級を打倒することもますます現実化するのだ。
非合法・非公然体制建設は階級的労働運動路線の根幹をなすものとして、労働者階級の主体的決起=生きるための闘いそのものとして大飛躍しようとしている。革命軍は階級とともにその飛躍と一体となって、その勝利の土台の一翼となって、どのような暴虐があろうが闘い抜く。重要なのは、日帝支配階級は本当に弱体であり、統治する自信も能力も喪失しているということだ。だからより凶暴化し、「革共同と階級的労働運動を今のうちに破壊しよう」と焦りまくっているのだ。
日帝権力は、革共同の40年を超える非合法・非公然の闘いの蓄積・継承を本当に恐れている。労働者階級人民と革共同は、70年安保・沖縄決戦に対する破防法弾圧とカクマル反革命との二重の内戦に勝利して、階級的労働運動の拠点を守り抜いた。
国鉄分割・民営化攻撃が体制内勢力やあらゆる党派を総屈服させていった中で、2波のストライキで立ち向かった動労千葉と一体となって、革共同は新自由主義攻撃に唯一勝利する党として労働運動の大地に屹立(きつりつ)している。そして世界大恐慌と3・11情勢の中で、2013年、いよいよ青年労働者と学生を先頭に革命の実現に向かって烈々たる執念で燃えたぎっている。
非合法・非公然体制の強化は、資本主義が自らの「墓掘り人」として生み出したプロレタリアートにとって、プロレタリア独裁樹立に向かう必須不可欠の闘いである。ここで断固勝利しよう。
労働者階級とともに階級闘争の先頭で闘う
第一に、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いの爆発でプロレタリア革命勝利の関門を労働者階級の一員としてこじ開ける闘いである。JR東日本は「グループ経営構想X」をもって労組解体、団結破壊攻撃を強め、JR総連を先兵に動労千葉破壊に全力を挙げている。しかし10・1外注化阻止決戦が示したように、それはJR労働者の怒りに火をつけ、JRの組合の枠を越えた総反乱情勢を生み出している。この地平を徹底して押し広げよう! 国鉄を軸に、すべての産別、全世界の労働者と連帯して外注化阻止、非正規職撤廃の闘いでプロレタリア革命への道を突撃しよう!
第二に、反原発闘争の空前の高揚をかちとる闘いである。原発事故と福島がおかれた現実そのものへの怒りの深さが反原発闘争の原点だ。日帝が繰り出す、IAEA(国際原子力機関)閣僚会議や「活断層調査」のパフォーマンスを許さず、被曝労働と対決する労働運動・労働組合の創成とともに、再稼働阻止―全原発廃炉の全人民的決起をかちとろう。革命軍はフクシマの怒りの先頭に立って闘い抜く。
第三に、星野同志奪還の全証拠開示運動の爆発を実現することだ。無実でありながら70年闘争への報復として38年間の獄中生活を強制されている現実を必ず打ち砕く! すでに星野同志の無実は百パーセント明らかだ。新自由主義と対決する労働者階級人民の団結した力で、全証拠開示をかちとり、星野再審・奪還の扉を開こう! 革命軍は星野同志の獄中闘争に連帯し奪還勝利へと全力を挙げる。
第四に、新自由主義と対決する三里塚、沖縄、八尾北・西郡、改憲阻止闘争(裁判員制度粉砕)の〈4大攻防〉を勝ち抜くことである。とりわけ三里塚は市東さんの農地取り上げをめぐる決戦である。絶対に農地死守の闘いに勝利しなければならない。革命軍は、再び三度日帝権力との激突の最先端に押し上がった三里塚闘争の勝利のために階級的労働運動の巨万の決起と一体になって全力を尽くす。また日本革命の火薬庫である沖縄の労働者階級人民の怒りに連帯して奮闘する。
第五に、反革命分子や体制内労働組合運動幹部を踏みしだいて、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いに勝利することである。JR総連は、昨年10・1外注化強行の最も重大な推進者としてJR資本と一体となって階級的労働運動を進める動労千葉破壊の先頭に立った。これは、国鉄分割・民営化での反革命的所業をも上回る大反革命である。革命軍はこれを絶対に許さない。国鉄労働者と一体となって、JR総連の全面打倒に向けて全力で闘い抜く。
カクマル中央派は、労働者階級への絶望を深め階級的労働運動の前進を憎悪している。議長・植田琢磨は「日本の労働者人民が……自民党にまたもや政権をゆだねることを選択した……極めてゆゆしい事態である」などとブルジョア商業新聞ですら「民意は自民党を選択したのではない」と言っている中で、絶望を組織している。また、「非正規雇用労働者の抜本的処遇改善」などと非正規職撤廃に敵対する労働運動の最悪の体制内派だ。
大恐慌論も新自由主義論もないカクマルは、革命を口にしつつ資本の奴隷頭として「新自由主義労働運動」を率先して遂行する労働者の裏切り者だ。革命軍は、階級的労働運動に対するカクマルのどんな敵対策動も絶対に許さない。
また、カクマルはアリバイ的な反原発闘争からもずり落ち、黒田崇拝運動にのめり込んでいる。原子力の平和利用論者=黒田寛一を尊師とする彼らは、そもそも原発事故やフクシマの現実に対する怒りとは無縁であり、即時廃炉・核廃絶に敵対している勢力なのだ。
塩川一派はすでに「歴史のくずかご」に入ってしまった。日本階級闘争になんの影響力もなくなった。
第六に、革命軍は党と階級の先頭に立って非合法・非公然体制堅持のために闘う。すでに始まった「国家と革命」が問題となる戦略的闘いの先頭を担う。政治警察と対決して党と労働組合の決定的な土台となり、根幹を防衛しぬくために闘う。長期指名手配攻撃と不屈に闘う同志とともに、また星野同志を始め、福嶋昌男同志、中山崇志同志の獄中闘争の同志とともに闘い抜く。
階級として闘う部隊として今日的に求められる軍事任務の遂行に全力を挙げ、自己を律し、武徳の修練に励む。労働者階級の生きた闘いに学び、マルクス主義の主体化、理論的研磨を怠らず、機関紙を徹底学習する。
最後に、レーニンは1917年ロシア2月革命に対して以下のように言っている。「自然界にも、歴史にも、奇跡などというものはない。だが、あらゆる革命をふくめて、歴史のあらゆる急転換は、きわめて豊富な内容をしめし、闘争者の闘争形態と力関係のきわめて思いがけない独特の組み合わせを展開するので、俗物の頭には多くのことが奇跡のようにおもえるに相違ない」(『遠方からの手紙』)
2013年の闘いで、俗物どもに急転換の「奇跡」を連続的にたたきつけ、その支配の威厳をとことん失墜させよう。粘り強く職場闘争を展開し、拠点組合を建設する中で力関係は変化する。巨万の人民の戦闘配置が問題となる「急転換」の日は近い。革命軍は、労働者階級とともに階級闘争の先頭に立って闘い抜く決意である。
勝利に向かって突き進もう! ともに闘わん!
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週刊『前進』(2570号6面2)(2013/02/04 )
2013年日誌 1月22日〜28日
エジプト革命記念日、各地で激突/防衛費11年ぶり増
●活断層上に原子炉、禁止 原子力規制委員会は地震や津波に対する原発の新安全基準について有識者会合を開き、地面をずらす恐れのある活断層の真上に原子炉建屋などの安全上重要な施設を設置してはならないとする項目を新基準に明記する方針に。(22日)
●北朝鮮への制裁強化 国連安全保障理事会は北朝鮮の人工衛星ロケット・長距離弾道ミサイル発射を安保理決議違反と非難、制裁対象を追加する制裁決議案を全会一致で採択。(22日)
●大飯、不適合なら停止 原子力規制委員会の田中俊一委員長は、唯一稼働中の関西電力大飯原発(福井県)3、4号機について新安全基準に合わなければ運転停止を求める考え。(23日)
●英首相、脱EU問う国民投票提案
キャメロン英首相は欧州連合(EU)脱退の賛否を問う国民投票を17年末までに実施すると表明した。(23日)
●北朝鮮、核実験を明言 北朝鮮の国防委員会は国連安全保障理事会の制裁決議に反発し、米国を狙うことを想定した「高い水準の核実験」を実施すると明言した。(24日)
●日本人死亡者は10人 アルジェリア人質事件に巻き込まれた日本人17人全員の安否が判明し、死亡が確認されたのは計10人となった。(24日)
●年内に新防衛大綱決定 安倍内閣は閣議で、民主党政権下の2010年にできた防衛計画の大綱(防衛大綱)見直しと中期防衛力整備計画(中期防)廃止を決める一方、年内に新たな大綱を作成する方針を決定。(25日)
●エネルギー政策見直し指示 安倍首相は日本経済再生本部で「責任あるエネルギー政策の構築」を掲げ、民主党政権のエネルギー・環境政策、「2030年代に原発ゼロ」路線をゼロベースで見直すよう指示した。(25日)
●宇宙基本計画、安保と密接に連携
政府の宇宙開発戦略本部(本部長=安倍首相)は新年度から5年間の宇宙基本計画を正式決定した。「安全保障・防災」「産業振興」「宇宙科学などのフロンティア」の三つを重点課題とし、安倍首相は防衛計画の大綱の見直しを踏まえ、安全保障政策と密接に連携することなどを指示した。(25日)
●エジプト全土で7人死亡 エジプトでムバラク政権打倒から2年目の革命記念日に各地で反ムルシ勢力と治安部隊が激突、計7人が死亡。(25日)
●防衛費、11年ぶり増 安倍政権は2013年度政府予算案の一般会計総額を過去最大規模の92兆6100億円とする大枠を決めた。防衛費は今年度比400億円増、11年ぶり増。(27日)
●情報収集衛星、軌道に 国が情報収集衛星を載せたH2Aロケット22号機を打ち上げた。地球上のどの地点も1日1回以上撮影できる。(27日)
●エジプト3県に非常事態宣言 エジプトのムルシ大統領は、3県に30日間の非常事態を宣言。25日以降3県を中心にデモ隊と治安部隊との衝突で約50人近くが死亡した(27日)
●安倍首相、所信表明演説 第183通常国会の衆参両院本会議で第2次安倍内閣発足後初めて安倍首相が所信表明演説を行い、当面の課題を「経済再生」「震災復興」「外交・安全保障」に絞り対応すると表明した。(28日)
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週刊『前進』(2570号7面1)(2013/02/04 )
福島の怒りと結び3・11へ
広島大 神谷教授は福島から解任を
学長に申し入れ行動
1月28日、No Nukes HIRODAIの呼びかけで広大生が浅原学長への申し入れ行動に決起しました。そして、川崎副学長への30分の大衆的追及・弾劾行動をうち抜きました。
申し入れた内容は、@昨年7月に提出した公開質問状(大飯原発再稼働への大学の態度表明、福島県民が神谷研二教授を告訴・告発したことへの見解表明)に回答すること、A神谷研二を福島での要職すべてから解任すること、B広島大で相次ぐ教職員・学生の自殺に関する情報と大学の対策を明らかにすること、の3点です。
No Nukes HIRODAIは、広島大が“被爆地の権威”で「放射能安全神話」をふりまき福島の怒りの圧殺に手を染めてきたこと、「放射線影響の研究」の名で福島県民をモルモットにしていることを弾劾してきました。そして昨年6月、1300人超の福島県民による「業務上過失致傷」容疑での東電幹部や国、神谷ら御用学者の告訴・告発を受け、7月に浅原学長へ公開質問状の提出を行いました。ところが学長は半年間も沈黙してきたのです。
副学長の態度に怒りが爆発
1月28日夕、申し入れ書やメッセージ、プラカードを携えて私たちが学生総合支援センターへ行くと、川崎副学長を筆頭に10人ほどの職員が待ち構えていました。申し入れ行動への副学長の登場は初めてです。
No Nukes HIRODAI代表の鈴木研也君(理学部4年、全学連副委員長)が申し入れ書を読み上げ、「なぜ学長から回答が来ないのか」と追及しました。副学長は他人事のように「私がどうこう言うことではありません」。このふざけた態度に怒りが爆発しました。
「広大として神谷教授を派遣していることに福島から怒りの声が出てきている。広大副学長としての意見を聞きたい」。ところが副学長は、「あなたたちと意見は同じじゃない。『御用学者』と言い切れるか。神谷先生も一生懸命やられている」とはぐらかす。刑事告訴については「司法判断を待つしかない。告発される人はおられるだろう……、そういう感想だけです」と。これが仮にも副学長の言うことか!
さらに、「『福島の今の汚染レベルでは健康に与える影響はない』となぜ言い切れるのか」という追及にも、「文脈が分からないと判断しようがない」と逃れ、職員が「川崎副学長は学生支援担当で、神谷先生の件は担当外」と助け舟。
キャンパスで自殺が相次いでいる問題についても、「『相談があったら来てください』と言うことしかできない。いろんな自殺の理由がある。悲劇といえば悲劇」と責任逃れに終始しました。
あまりにもひどい対応に「そもそも副学長は責任ある説明をする立場で来ているのか!」と追及すると、「そういうわけではない」と居直りました。だったらわざわざなんのために現れたのか!
最後に私たちは「福島の人の命にかかわる問題だ。刑事告発にあいまいな態度をとり続けていること自体が、福島への裏切りだ。学生からの不信も増幅している。今回、クラス決議が上がっている。学生の意見にも目を通してほしい。2月4日までの回答を要求します」と突きつけました。
「原子力ムラ」一体化許さぬ
今回の申し入れに向け、No Nukes HIRODAIは“学生の質問に答えない浅原学長の態度”を問題にし、クラス討論を行ってきました。そして、申し入れ賛同の三つのクラス決議、42の意見・メッセージを添え、3けたを超える広大生の意思としてこの行動に立ちました。「何の反応も示さないのはおかしい」「自殺の原因について明確にしてください」といった意見が次々と出ています。人命を軽視し、福島にも学生にも向き合わない学長への不信が、広大生に拡大しています。
広大は3・11以降、「原子力ムラ」の利害を代表する新自由主義大学としての姿をむき出しにしてきました。福島原発事故に際し、浅原学長は「未曽有の国難に立ち向かう」「原子力災害に対応できる人材育成を」と叫び、日帝の原子力政策を取り繕う「最後の安全弁」の役を買って出ました。
3・11直後から神谷を先頭に、多数の医療スタッフを福島に派遣し、国と福島県が設置した原子力災害対策本部に広大として入っています。そして長崎大・山下俊一らと一緒に「県民健康管理調査」の陣頭指揮を執り、200万福島県民の被曝データ採取=モルモット化をはじめとする「福島棄民政策」を計画・遂行しています。
それだけでなく、今年度後期からIAEA(国際原子力機関)やICRP(国際放射線防護委員会)、三菱重工、文科省などと協力し、「放射線災害復興を推進するフェニックスリーダー育成プログラム」を開設。“今後も世界で原発を続けるためのグローバル人材を育成する”と言い始めました。広大経営協議会には、原発・軍事企業=三菱重工会長の佃和夫がいます。広大は原発・核武装の擁護者となっているのです。
04年の国立大学法人化による経営協議会制度のもと、大量の御用学者が育成され、福島原発事故という歴史的大犯罪を引き起こしました。その責任を省みずますます「原子力ムラ」と一体化する広大を変えるため、浅原学長を学生の前に引きずり出す闘いが必要です。広大生の怒りの団結体として学生自治会をよみがえらせよう。福島の怒りとともに、広大生は3・11福島現地闘争に決起します!
(広島大学・A)
(写真 鈴木研也君【中央】を先頭に広大生は副学長ら当局の居直りを徹底追及した【1月28日】)
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週刊『前進』(2570号7面2)(2013/02/04 )
法政大 入試情宣禁止の仮処分
審尋で徹底弾劾
全国の闘う仲間のみなさん! 法大当局は全学連の斎藤郁真委員長や、無期停学処分撤回へ闘う武田雄飛丸君(文化連盟委員長)ら6人に対し、2月5日から始まる入試中の「情宣禁止仮処分」を東京地裁に申し立てました。2010年から4年連続で行われているこの仮処分は、入試期間中に法大の半径200b以内の立ち入りを禁止し、「ビラまきや演説をするな。違反したら罰金百万円(!)を払え」というものです。法大当局と裁判所による事実上の憲法停止攻撃であり、学生運動つぶしそのものです。
この仮処分の審尋が1月30日午前11時、東京地裁429号法廷で開かれました。参加者は、斎藤君、武田君、さらに坂野陽平全学連書記長、内海祐一君、私・洞口朋子、そして頼もしい4人の法大弁護団です。一般傍聴は認められず、地裁職員によるものものしい警備態勢が敷かれる中で約1時間、徹底的に怒りをたたきつけました。
法大当局が雇っている極悪弁護士・芝昭彦(元汚職警官)は「教育事業には当然『営業権』がある」と教育や学問を金もうけの道具としていることを自ら吐露しました。斎藤委員長を先頭に「大学は営業の場ではない」と猛抗議。「『営業権』とはいったい何を根拠にしているのか」「入試でビラまきによってどんな損害が出たのか」という追及に対しては一切回答をしませんでした。
そして、鈴木雄輔裁判長(東京地裁民事第9部)は終始法大当局を擁護し、藤田正人弁護士が2回目の審尋を要求すると、頑なに拒否して強引に終わらせました。これに対して、抗議をした武田君ら当該の学生に退廷を乱発する始末。法大当局にも裁判所にも何ひとつ正当性がないのです。
何より許しがたいことは、法大当局が「営業権」を掲げて仮処分を申し立てていることです。法大当局は、「必要十分な数の学生を確保することは法政大学が大学として存立するための必須の前提条件」「受験生の中から有為な人材を選抜するための業務(=入試)」と言い放ち、ビラまきや演説は「営業権の侵害だ」とわめいているのです。つまり、「受験生をかき集めて金もうけをしたいから、大学を批判する行為は認めない」ということです。
これこそ、金もうけ優先の新自由主義大学の腐りきった姿です。受験生や学生を何だと思っているのか! 絶対に許せない! 「営業権」による仮処分こそ、安倍政権や財界が狙っている改憲攻撃そのものであり、理事会が大学を牛耳って学生の行動を抑圧する構造はまさにこの社会の縮図です。
全学連と文化連盟はこの怒りをバネに、受験生と合流し、3・11福島集会―3・24三里塚闘争の先頭に立ちます。その突破口として、2月15日から始まる武田君への処分撤回裁判の大成功をかちとります。ともに闘いましょう!
(法政大学・洞口朋子)
(写真 審尋終了後に裁判所前で。左から斎藤君、洞口さん、武田君、坂野君【1月30日】)
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週刊『前進』(2570号7面3)(2013/02/04 )
2・4-18大結集を 三里塚反対同盟が訴え
市東さん農地決戦勝利へ 千葉地裁を包囲しよう
2月4日―2月18日の市東さん農地裁判闘争への大結集を訴えるアピールが、三里塚芝山連合空港反対同盟から発せられた(1面に要項)。これに全力で応え、千葉地裁を労農学人民の海で十重二十重に包囲しよう。農地強奪攻撃への怒りを国家権力と空港会社(NAA)にたたきつけ、3・24三里塚全国集会に総決起しよう。(編集局)
(写真 市東孝雄さん)
◇ ◇
すべてのみなさん!
わたしたちは1月13日に旗開きを行いました。市東孝雄さんの農地を守る決戦に三里塚闘争47年のすべてをかけ、半年間の臨戦態勢に突入することを宣言しました。この決戦の極めて重要な闘いが、2月に行われる二つの裁判闘争です。反対同盟は、2月4日の萩原さんの証言と集会・デモへの結集を呼びかけます。2月18日の市東さん証言には500人を超える人間の鎖で千葉地裁を包囲します。トラクターデモ、リレートーク、駅頭・地裁前での街頭宣伝など千葉地裁を圧倒するありとあらゆる闘いで早期結審―反動判決をたくらむ多見谷裁判長を追いつめたいと思います。
市東さんの農地と営農手段を奪う攻撃との闘いは、1971年の大木よねさんに対する強制代執行以来の農民の命である農地をめぐる決戦です。土地収用法の失効に追いつめられた空港会社・国家権力は本来農民を守るべき農地法を悪用し裁判所を使って農地を奪おうとしています。
空港会社による畑のでたらめな位置特定、耕作者である市東さんに何の相談もなく農地を取得した事実、その事実を15年間も隠し地代を払わせ続けた事実、証拠文書の偽造といった違法行為の数々を裁判所が追認することなど絶対に許しません。こんなでたらめなやり方で親子3代100年耕してきた農民の命とも言うべき農地が奪われようとしているのです。この生きる権利のはく奪は、一軒の農家、一人の農民だけの問題ではありません。千葉地裁を包囲する闘いで、農民の未来をかけすべての人びとの生きる権利をかけ、農地強奪を阻みたいと思います。
また、空港会社は第三誘導路の3月7日供用開始を発表しています。第三誘導路は市東さんの家を空港の中に囲い込み生活と営農を破壊することが目的です。供用開始の前倒しに対してわれわれは断固3・7現地闘争を闘います。格安航空の利益のための深夜・早朝の飛行制限撤廃を許しません。
安倍政権は、労働者の首を切り、TPPによって農業や医療をはじめとした全社会の仕組みを壊し、教育を破壊し、戦争・改憲の政策を強行しようとしています。新自由主義という人びとの生活・命を犠牲にしてしか成り立たない社会は変えなければなりません。つぶされるべきなのは原発であり、基地であり空港です。市東さんの農地を守る闘いで思いを一つに、安倍政権を打倒しよう!
動労千葉を先頭とする6000万労働者との労農連帯を発展させ、福島・沖縄・三里塚をつらぬく「国策」との不屈・非妥協の闘いを広げよう。2・4―2・18千葉地裁包囲闘争をかちとり、3・7闘争を闘い、3・24全国集会への大結集を! 新たな三里塚闘争の発展を切り開こう!
2013年1月22日
三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『前進』(2570号7面4)(2013/02/04 )
共産主義者175号
「3・11」二周年闘争へ特別号 13年前半戦の路線が明快に
『共産主義者』175号は、安倍政権打倒の2013年前半戦、とりわけ「3・11」二周年闘争に向けた特別号として発行されました。7本のすべての論文が書き下ろしの力作です。
安倍超反動政権を打倒する決意
巻頭の高城和也論文は、新春首都圏活動者会議で提起された2013年の階級決戦論に加筆した路線論文。外注化阻止・非正規職撤廃を軸に、国鉄・反原発決戦と星野証拠開示大運動の3大決戦の勝利を訴えています。さらに三里塚など4大攻防と、機関紙活動の変革と飛躍など「組織的前進のための五つの任務」を提起しています。「階級的労働運動の登場こそ勝負を決める」からこそ「革命の勝利に向かって労働運動を組織できる党になること、党と労働組合の一体的建設」を着実にやりぬこう。
福島現地闘争を訴える4論文
本号は、3・11決起論として4論文を特集として掲載しています。まず@宮城県委員会論文は、仙台市職と郵政新仙台局の二つの拠点建設を軸に被災地における労働運動をつくり出す決意がみなぎっています。現場の労働者の職場闘争の実践が躍動しています。
A福島県委員会論文は、3・11福島現地闘争の組織化のために必読の内容を訴えています。「五つの拠点建設」が実践的に前進し、その中心に福島県委員会(地区党)の団結が要になっていることが述べられています。苦楽をともにしてきた福島の仲間たちの息吹が伝わります。「福島県委員会は“組織建設の鬼”になる」という決意とともに「3・11」二周年を闘おう。
B国木田同志の論文は、労農同盟論をより前進させるために提起された意欲作です。福島の農民の怒りと苦悩に肉薄し、TPP問題を明らかにするため、NAFTA(北米自由貿易協定)がもたらした農業破壊の現実などが暴露されています。答えは労農同盟論の深化・発展にあります。その最先頭で闘う市東さんの農地決戦、3・24三里塚大結集へ活用を。
C河東同志の論文は、反原発闘争の理論的前進のための論考です。12月福島閣僚会議でのIAEAと福島閣僚会議の「覚書」の内容を暴露し、被曝隠蔽(いんぺい)問題を突き出しています。そして米帝による核の世界支配と日帝の独自核武装問題を歴史的・系統的に明らかにしています。NAZEN運動の全国的発展のために活用しよう。
昨年沖縄闘争が切り開いた地平
沖縄県委員会論文は、オスプレイ配備に怒る沖縄県民の闘いのただ中で、70年決戦以来の沖縄県党の死闘の歴史を階級的労働運動路線によって総括して出された重要論文です。昨年刊行の『基地も原発もいらない』(前進社ブックレット)で打ち出された「新自由主義と闘う沖縄闘争論」を、歴史総括をさらに路線的に整理・深化して提起しています。“基地労働者が動くとき、沖縄の労働運動が動く”――この確信をもって沖縄闘争を大爆発させよう。
「大争闘戦時代への突入とプロレタリア革命」と題する巻末の無署名論文は、世界大恐慌の現段階を明らかにした情勢論文です。〈大恐慌は大失業と戦争を生みだす>〈世界はついに歴史的な大争闘戦時代に突入し、革命情勢を日々成熟させている>という結語は、アルジェリア情勢が事実をもって明らかにしています。労働者階級の回答は、国際連帯であり、プロレタリア世界革命です。『前進』新年号1・1アピール第2章とセットで学習しよう。
革共同の政治機関誌『共産主義者』を労働者人民に大胆に広めよう。
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週刊『前進』(2570号7面5)(2013/02/04 )
【要項】2・9富山再審集会
2・9富山再審集会
2月9日(土)午後6時30分
きゅりあん第4講習室(5階)(JR京浜東北線・東急大井町線・りんかい
線/大井町駅下車)
主催 無実の富山保信さんの再審無罪をかちとる会
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週刊『前進』(2570号8面1)(2013/02/04 )
オスプレイ配備撤回を
労働運動の力こそが勝利開く
辺野古新基地建設許すな
世界大恐慌と3・11情勢のもとで、今や沖縄の基地経済は破綻し、沖縄の労働者に雇用破壊と失業、非正規職化の過酷な現実を強いている。ここには日帝・資本と労働者の非和解的対立がある。
昨年9・9県民大会への10万人結集は、基地も安保もいらないという根底的な怒りの決起であり、社会変革の要求そのものだった。この沖縄の要求は、対中対峙・対決政策の最前線出撃基地として沖縄を位置づけている日米帝には到底容認できないものとしてある。
(写真 労働組合の旗が林立【1月27日 日比谷野外音楽堂】)
東京行動の限界
1・27の「NO OSPREY東京集会」は、翁長(おなが)雄志県市長会会長(那覇市長)を始め、県議会議長、県町村会長らが口々に全41市町村長らが参加した「東京行動」であることを、「オール沖縄」「保革を超えて、全首長が立ち上がった」と強調し、強行されたオスプレイ配備を日本政府の沖縄差別だと弾劾した。
しかし、問題は「沖縄差別撤廃要求」なのか? 9・9県民大会の10万人決起は、7・13ストライキを打ち抜いた全駐労を先頭とする労働組合の組織的闘いによってかちとられた。切実に求められているのは、この10万人決起を安保粉砕・基地撤去まで闘いぬくことができる階級、労働者の登場だ。
この階級的決起に恐怖したのは日帝だけではない。翁長を始めとする「保革を超えた全首長」たちもまた震え上がり、沖縄の怒り、階級的決起を押しつぶし、「沖縄差別撤廃要求運動」に変質させようと狙ったのが東京行動だ。
1・27が突き出したこの壁と限界を、沖縄と本土の労働者と労働組合が、階級的労働運動の力が、絶対に突破しなければならないのだ。
(写真 「NO OSPREY」の横断幕を掲げて右翼の妨害をはねのけデモする東京行動団【1月27日 東京・数寄屋橋交差点】)
極右安倍の正体
極右超反動の日帝・安倍政権は排外主義的に領土拡張をあおり、日米安保強化、戦争と改憲、原発推進に突進しようとしている。1月中旬、安倍は初の外交先としてベトナム、タイ、インドネシアに乗り込み、ベトナムに原発輸出の見返りとして約5億jの円借款供与を行うなど、アジア勢力圏化へ踏み込んでいる。同時に中国をにらんで「南西諸島防衛」と称し、沖縄をアジア・中東への侵略出撃拠点として強化しようとしている。
1月27〜28日の東京行動に対しては、天皇主義右翼・在特会などが田母神俊雄(元空幕長)を先頭に安倍親衛隊として登場し、「日本を守るオスプレイ」「いやなら日本から出て行け」などと敵対した。これこそ安倍の正体なのである。
労働者の決起を
オスプレイ配備撤回と米軍普天間飛行場の県内移設断念を求める「建白書」(要請書)を持って28日に首相官邸を訪れた行動団に対し、安倍は「私も思うところがある」などと応対した。
そして翌29日には、総額3001億円の沖縄振興予算を含む13年度予算案が閣議決定されるとともに、2月2日に安倍が自ら沖縄に乗り込み、仲井真弘多知事と会談することが発表された。防衛省予算案には与那国島に陸自沿岸監視部隊を配備するために62億円を計上したほか、安倍の強い要望で釣魚台(尖閣諸島)周辺の警備費が増額されるなど、防衛関連費は11年ぶりの増額となった。
今回の沖縄訪問は、2月中旬に予定される訪米を前に、辺野古新基地建設推進を狙った攻撃だ。安倍はすでに昨年12月21日、「基本的に辺野古に移設」だと新基地建設を宣言している。安倍の「思うところ」とは、動揺せずに新基地を造るということ以外にない。
今年、安保・沖縄闘争がオスプレイ配備撤回、辺野古新基地建設阻止の大決戦を迎える。求められているのは、新自由主義攻撃を打ち破る労働者と労働組合の団結、階級的労働運動の再生である。沖縄と本土の労働者階級の力で安倍を打倒し、オスプレイ配備反対、安保粉砕・基地撤去をかちとろう。
(写真 オスプレイ集会参加者に市東さんの農地取り上げ反対署名を求める三里塚現闘【日比谷公園】)
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週刊『前進』(2570号8面2)(2013/02/04 )
沖縄配備許すな −−沖縄民権の会
「オスプレイ」を飛ばすな! 「米軍基地」どかせ!
沖縄のオスプレイ配備が強行された。現在の12機配備に加え、更に辺野古に12機、嘉手納にも9機配備しようとしている。
昨年、9・9沖縄県民大会では、10万余の人々が怒りを結集させました。全沖縄の抵抗とともに、本土の民衆も立ち上がろうではないか!
「沖縄の方は気の毒」「沖縄の方はよくがんばっていますね」などという同情や美辞麗句は要らない。苦しみをともに、闘いをともにすることが、沖縄−本土の分断を埋めることです。
沖縄と本土の労働者が真剣に担ってこそ、勝利への道筋を示すことができるのです。これ以上、沖縄の「米軍基地」から、戦争を世界の労働者階級に仕掛けてはならない。
戦後だけでも68年になんなんとする年月、日米政府は日米安保条約によって構造的に沖縄を抑圧差別し続けてきた。日米安保は支配者、権力者のための安全保障です。
沖縄へのオスプレイ配備は、この日米安保が、両国の労働者階級、とりわけ沖縄の犠牲によって成り立っていることを思い知らせるものでした。
朝鮮戦争、湾岸戦争、中東戦争等々で他国の人々をどれほど殺りくしたことか!
そして米国兵士もどれほど殺されたことか! 生還しても戦争時の恐怖におびえ心身を病み、家族からも見捨てられジャングルに追いやられる。生きながら捨てられるという戦争の悲劇をオバマは何と見るか!
安倍首相は、この腐敗した資本主義体制の危機を戦争で一挙に打開しようと、オバマと戦争のための会談を画策している。そして、釣魚台(尖閣諸島)問題を口実に自衛隊を増派し、オスプレイの配備を強行しようとしている。戦争となれば、沖縄のみならず本土のいたるところが戦場だ。
あの残酷な沖縄戦を再び起こそうとしているのです。沖縄の民衆は、身をもって体験し、今も基地あるが故に、毎日生活を脅かされている。もうこれ以上、沖縄−本土、そして世界中に被害者、加害者を作りだしてはならない。
沈黙はオスプレイ配備を許し、戦争に加担することです。
星野文昭さんは、1971年11月14日、「沖縄返還協定批准阻止闘争(渋谷暴動)」で殺人罪をでっち上げられ、無期懲役刑で38年間の投獄と満身の怒りを込めて対決し、獄中非転向で闘いの最先頭に立ち続けている。星野さんの闘いの正当性は、沖縄の現実が物語っている。
星野さんの不屈の闘いに学び、再審を実現し、奪還するためにも、今こそ本土の労働者は沖縄の労働者とともに立ち上がろうではないか!
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週刊『前進』(2570号8面3)(2013/02/04 )
全証拠を開示せよ@
星野同志の無実示す 色 光 声
星野同志は薄青色の背広 殴打者は上下「きつね色」
星野文昭同志は無実である。にもかかわらず獄中38年! 怒りを爆発させて、全証拠開示大運動の大発展をかちとろう。2013年、階級決戦の爆発で星野同志を何としても奪還するのだ。『国際労働運動』2月号(「星野文昭さんは無実だ」総特集)の学習で、星野同志無実の確信を徹底的に深めよう。全証拠開示と再審開始を求める署名を訴え、全国の労働組合・学園に分け入ろう。あらゆる地域・街頭に飛び出そう。今回は、「色」「光」「声」をキーワードに4回シリーズで星野同志の無実を徹底的に明らかにする。
(写真 『国際労働運動』2月号の表紙写真)
Kr供述のみで物的証拠なし
星野同志は無実であり、「有罪」の物的証拠は一切ない。「星野同志の機動隊員殴打」をデッチあげた鉉供述を核心的証拠に、確定判決(1987年、東京高裁・草場良八裁判長)は星野同志に有罪を宣告し、無期懲役刑を科した。
そのデッチあげの象徴が、星野同志が当日着ていた「背広の色」である。
鉉は72年2月16日の取り調べで以下のような供述を強いられた。
「この顔を覆っている手を薄いクリーム色の背広の人が鉄パイプでしきりに殴りつけていました。この時、このような服装の人は星野さんしかいないので、顔は見ていませんが、この殴っていた人は星野さんだったと思います」
鉉はここで、「顔は見ていない」こと、殴打者の「服装は薄いクリーム色」だったことなど、原記憶に基づく供述を明確に述べている。
服の色の誤り認めた最高裁
しかし、星野同志の当日の服装は「薄青色」の背広と灰色のズボンだった。
星野同志と弁護団の粘り強い闘いによって、第1次再審請求の特別抗告審で、ついに最高裁は、
鉉の星野同志の服の色に関する供述の誤りを認めざるを得なくなった。星野同志の服の色が「薄青色」であったとしぶしぶ認めたのである。
服の色が違えば別人である。星野同志は殴打者ではない。
にもかかわらず最高裁は、鉉は、背広の色の供述に誤りがあるとしても、殴打現場以外でも星野同志を「きつね色」(鉉は殴打者の服の色をうすいクリーム色あるいはきつね色と供述している)と供述しており、殴打者についても星野同志を指しているものと解される、とした。また、殴打者が星野だと「声で分かった」「後ろ姿で分かった」と強弁し、特別抗告を棄却した(08年7月14日)。
最高裁は、「鉉は星野同志の服の色(薄青色)を一貫して『きつね色』だと(間違って)供述しているのだから殴打者も星野同志だ」と言うのである。
このとんでもない主張は、次の鉉の法廷証言ですでに破産している。
「いや、星野さんがその服装をしていたというんじゃなくて、先ほど申し上げました点在する記憶の中で、まあ警察の取り調べもそうですけど、事件の現場にそのきつね色の上下の人がいたということは記憶があるわけです。そこから逆にさかのぼっていって、最初(星野同志に)会った時にその服装だったというような供述になったというように記憶していますけれども」(星野控訴審第7回)
「きつね色」はKrの原記憶
警察・検察は取り調べの以前から星野同志の服の色が「薄青色」であることは掌握していた。だが鉉は殴打者の服の色が「きつね色」であることに関しては譲らなかった。それは鉉の供述がデッチあげられた虚構である中で、殴打現場における唯一の強烈な原記憶だったからである。
星野同志を殴打者に仕立て上げるデッチあげの証拠を鉉供述に依拠するしかなかった警察・検察、裁判所は、そのために鉉に「星野同志の服の色は最初からきつね色だったことにせよ」と強制していたのである。
だが、「星野同志の服の色=薄青色」の真実の前に、核心的証拠とされた鉉供述の、「殴打者=きつね色=星野同志」の決めつけはすでに完全に破綻している。星野同志は無実だ。
東京高裁は直ちに再審を開始せよ! 今すぐ星野同志を解放せよ!
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☆星野闘争
星野文昭同志は、1971年11月14日、沖縄返還協定批准阻止闘争をデモ隊のリーダーとして最先頭で闘った。この闘争で機動隊員1人が死亡した。星野同志はその「実行犯」にデッチあげられ、物的証拠もないままに有罪とされ、無期懲役刑を科された。証拠は鉉を始めデモ参加学生6人のデッチあげられた供述調書だけだ。星野同志は獄中から「命よりも金もうけ」の社会を根底から変えようと訴え、非転向で闘っている。
昨年3月30日に第2次再審請求が棄却され、現在異議審中。66歳。獄中38年、徳島刑務所在監。
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週刊『前進』(2570号8面4)(2013/02/04 )
団結ひろば 投稿コーナー
中央線の快速電車であわや大事故寸前に 東京 戸田伊作
1月30日、JR中央線の三鷹駅でビラまきを終え電車に乗り、立川に向かおうとしたら、突然「異音を聞いたので運転を見合わせます」「車両点検をしています」と放送があった。次に「沿線火災」との放送。私は立川行きをあきらめ、あらためて三鷹駅でビラをまくことにした。
昼過ぎだったので三鷹駅はパニックになっていなかったが、改札口には20bほどの列ができ、駅員は総出で振替乗車券配布やバス案内に当たっていた。ほとんどが青年で、半分はグリーンスタッフだろう。時には罵声(ばせい)を浴びせられながらの事故対応だ。帽子に赤線のある管理職は1人だけだった。
駅の出口で「JR事故多発」の見出しのビラと2・17集会のビラをまいた。「解雇撤回、首切りJRは事故多発」「民営化・外注化の結果です」などと声をかけてビラをまくと、いつもの2倍ほどのスピードで受け取られ、あっという間になくなった。バスの運転士が「うちもひとごとじゃないな」と言いながら、署名にも応じてくれた。
再度、改札に行くと今度は「ガ線に飛来物がかかった」と「事故原因」について放送していた。尼崎事故の時も「踏み切り事故」「置き石脱線」などデマが飛び交ったな、と思い出しながら総武緩行線に乗った。
事故原因はテレビのニュースで知った。隣接の建築現場の防護ネットが支柱ごと、走っていた特別快速電車に倒れ込み、緊急停車! とんでもない大事故じゃないか。死傷者ゼロで胸をなでおろした。
しかし「異音」↓「車両点検」↓「火災」↓「ガ線」とくるくる変わる事故原因の放送は、無責任の一言だ。
JRは「中央ラインモール」構想で武蔵境−国立間を子会社にやらせようとしている。駅ナカ商売の拡大に必死で、土台の鉄道輸送はガタガタだ。そのど真ん中での事故だ。「JRの安全無視は極まれり」と怒りを強くした。
郵政の職場の現状を今年こそ打破したい 東京F郵便局 森内一郎
本当に忙しく人手不足の中で新年になった。今年も郵政職場は多くの問題点を抱えている。
最初に年賀状の大量の売れ残りである。私が確認しただけでも旧郵便事業会社の売れ残りが1万5千枚以上。これに旧郵便局会社や区内の特定局の分を考えると100万枚売れ残ったと考えられるし、全国だと推定で1億枚売れ残ったと考えられる。資源のムダであり、労働力のムダだと思う。だいたい都内で前年度より2307万枚も発売量を増やしたのである。
次は人手不足による労働者同士のいがみ合いである。本来なら労働組合が増員を要求すべきなのにそういうことはしない。逆に人を減らすことに協力している。休憩も45分も取れず15分でやっているのに、まったく休まず仕事をしろと言うのか。本当に考えてほしい。御用組合が労働者の気持ちをひどい状態にさせているのである。
そして支社が変なキャンペーンを始めようとしている。それは通勤時の服装を見直そうである。はっきり言って何を着ようとも勝手だと言いたくなる。局の入り口には大きなポスターが張られ、そして更衣室のポスターは同じ男性がスーツ姿と普段着で写っているのである。スーツ姿の写真の下には小さな女の子が「お仕事がんばってね」のコメント、普段着のポスターの下には「遊びに行くの」のコメント。
これは完全な差別だと思う。いろいろな仕事があって社会は成り立っている。スーツで仕事というケース、あるいは作業着で仕事というケースもあると思う。残業で体を使って仕事をしている人たちへの差別だと思う。
支社でこんなことをやるひまと金があるのなら、現場により多くの労働者を雇ってほしい。本社・支社のまったく仕事を知らない人間が勝手に労働条件を悪くするから本当に現場は混乱してしまうのである。だからこそこういう体制を今年は本当に打破したい。
巨大地震が迫る浜岡原発を直ちに廃炉に 静岡 熊谷尚樹
東海・東南海・南海地震の震源域が連なる南海トラフ(浅い海溝)での最大級の巨大地震(マグニチュード9・1)が「30年以内にほぼ確実に来る」と予想されている。内閣府の発表では、死者は関東以西の30都府県で8万人から最大32万3000人に達する。20b前後、最大34bの津波が太平洋岸を襲い、名古屋市、静岡市など10県151市区町村で震度7の強い揺れなどで最大約238万棟が全壊・焼失すると推定。東海地方から九州までの広い範囲で甚大な被害をもたらす。
この予想が公表されてから「防災対策」が強調されるようになった。だが一番肝心の対策がなされていない。震源域の真上に建つ浜岡原発(静岡県御前崎市)だ。
中部電力は、浜岡原発1、2号機の廃炉作業を進めるために使用済み燃料棒1099体を5号機に移す方針だ。5号機はマグニチュード6・5を記録した09年駿河湾地震で、1〜4号機の2・5倍〜4倍もの異常な揺れ(426ガル)に見舞われた。5号機だけが突出した揺れを起こしたことに対して中部電力は、5号機の地下に「低速度層」という揺れを増幅させる性質を持った地層があることを認めている。南海トラフ地震では御前崎の予想震度は「7」。浜岡原発の真下に巨大な活断層が存在する可能性も指摘されている。
ところが、浜岡原発の震災対策は建設中の防潮壁で万全だという。厚さ2b、高さ22b、総延長1・6`メートル。海岸の砂浜の上に建つ浜岡原発に防潮堤が造られていなかったこと自身が驚きだが、東日本大震災では20bの厚さがあった釜石港の防潮堤が役に立たなかった。浜岡のものはペラペラの「せんべい」のようだ。こんなものに1千億円超も費やす。
これが原発の安全対策なるものの姿だ。帝国主義の正体だ。浜岡原発は時限式の原爆だ。3〜5号機を含めて直ちに廃炉以外にない。
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