ZENSHIN 2012/12/03(No2563 p08)
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週刊『前進』(2563号1面1)(2012/12/03 )
全原発廃炉・改憲阻止
非正規職撤廃・大量解雇阻止へ連合打倒、労働組合運動再生を
闘う労働者党の建設かちとろう
民主党政権の崩壊と12月総選挙への突入を受けて、日本階級闘争は今や巨大な革命的激動に突入した。日本帝国主義の政治支配の崩壊はもはや果てしなく進み、追いつめられた日帝ブルジョアジーは新自由主義攻撃の激化と戦争・改憲に絶望的にのめり込んでいる。これに対する労働者階級の回答はただ一つ、プロレタリア革命への総力を挙げた前進以外にない。今こそ職場に闘う労働組合を打ち立て、それと一体で、資本の支配を根底から転覆するために闘う労働者階級の党を建設しよう。12月を、時代認識と路線で武装し、この激動情勢を階級的労働運動の一大飛躍に転化する組織決戦として闘おう。
巨大な革命的激動の時代が始まった
12・16総選挙とは何か。いくつもの政党・党派が次々と名乗りをあげては消え、あるいは野合して、12月4日の告示日当日まで、その数も公約も定まらない。この中に、もはや労働者人民を支配する力を失いながら、なおも必死に人民をだまして延命を図ろうとする全政党と日帝支配階級のぶざまな姿がさらけ出されている。
日帝の危機は本当に全面的で、根底的だ。今や乱立する諸政党のほとんどは極右・改憲勢力であり、労働組合の絶滅と階級的なものの一掃、圧殺を叫んで登場している。ブルジョアジーの非常な焦りと、労働者階級の革命的決起への恐怖がそこに示されている。だが連中には何の展望もなく、力もない。逆に大失業・非正規職化の攻撃と原発再稼働、大増税、戦争・改憲への突進に対してますます高まる大衆的怒りを前に、ひたすら危機感をつのらせて醜悪なあがきを繰り返している。
こうした支配階級の分裂の一方で、「労働者の味方」を装ってきた体制内指導部の正体もまた、闘う全人民の前に暴露されている。口先だけの政治はもう通用しない。「国会議員など全員うそつきだ。誰も信用できない」――これが労働者階級の大多数の心底からの声であり、怒りである。
起きているのは巨大な革命的激動情勢だ。最末期帝国主義の絶望的延命形態である新自由主義の大破産がついに、帝国主義とスターリン主義による戦後支配体制そのものを最後の崩壊局面にたたき込んだ。ブルジョア議会制度の崩壊は、労働者階級人民の怒りと決起をこの体制の枠内に封じ込めてきた最大の装置が崩れ去ったことを意味している。
労働者人民の未来は今やその一切が、資本家階級との絶対非和解の激突にかちぬく労働者階級自身の団結と行動にこそかかっている。世界を動かしている力は今、どこにあるのか。アメリカ大統領選挙を直撃した、民営化・労組破壊と闘うストライキや、11月14日にヨーロッパ23カ国で闘われたゼネストの力だ。それはエジプト・タハリール広場での新たな決起へ、ガザへ、さらに中国へと広がっている。
10・1JR外注化阻止の国鉄決戦−11・4労働者集会を闘った力は、11・11反原発国会包囲行動に対する国家権力のデモ禁止攻撃をも軽やかにのりこえて、雨天の中、20万人決起を実現した。この胸の熱くなるような自己解放的決起こそ、腐りきった社会を根底から変えて、原発を実際になくすことのできる力なのだ。
職場に闘う労働組合をよみがえらせよう! それと一体となって闘う真の労働者の党を、労働者階級自身の手で建設しよう。12月を、この闘いに青年労働者・学生、すべての労働者階級人民を組織する決定的な闘いの時としよう。これが12・16総選挙への労働者階級の回答だ。
外注化阻止決戦は日帝との全面激突
労働組合再生の鍵を握るのは、4大産別をはじめ全産別における外注化阻止・非正規職撤廃の闘いである。とりわけ国鉄決戦は、そのより本格的で全面的な第2ラウンドの決戦に突入している。この12月から来春にかけて、ここでの勝利を絶対に押し開こう。
11月28日、JR京葉線の車両事故で乗客1500人が1時間半も車内に閉じ込められたうえ、線路に降りて避難する大事件が起こった。これが10・1外注化の結果だ。
国交省によれば、2011年度に運休または30分以上の遅れの発生したJR東の在来線車両故障事故は190件。私鉄15社総計の24件の実に12倍近い発生率だ。またJR北海道では、車両3100両のうち約900両が一部検査を省略して走行していた事実が判明している。車両メンテナンスを全面外注化したJR四国でも987両の違反が発覚した。
なぜこんなことが起こるのか? JR総連や国労本部の外注化攻撃への屈服が、安全無視の野放しを許したからだ。
JR総連は東労組を先頭に、JR資本の大合理化攻撃に一貫して率先協力してきた張本人だ。国労本部もまた屈服に屈服を重ね、ついには一昨年の4・9政治和解=国鉄1047名解雇撤回闘争解体攻撃を受け入れるまでに転落した。その行き着いた先が、外注化を丸のみして10月23日に国労東日本本部とJR東会社との間で締結された「総合労働協約」だ。だが動労千葉は、外注化攻撃との12年にわたる絶対非和解の闘いを貫いて、10・1外注化阻止・非正規職撤廃の決戦を大爆発させた。新たな強制出向者49人という身を切る闘いを必死の団結で貫徹し、労働者側の主導権を確保して第2ラウンドの闘いに突入したのだ。
この動労千葉・動労水戸・動労総連合や国労郡山工場支部を先頭とした現場の闘いが、平成採の青年労働者の怒りと結びつき、偽装請負拒否を始め、労働組合の枠を超えて職場に闘いが次々とよみがえり始めている。
この闘いは日帝の国家戦略である「原発・高速鉄道・水道」輸出政策と激突する闘いとなる。これらはすべて「パッケージ輸出=国家的フルアウトソーシング」であることが特徴だ。JR東は常磐線でのCBTC(無線で列車運行管理や自動運転、自動停止を行う)試験計画を公表した。運転さえも外注化・無人化する攻撃だ。怒りをたたきつけ、絶対阻止しよう。
12月17日には、動労千葉鉄建公団訴訟の控訴審が開始される。6・29判決で東京地裁に国鉄分割・民営化の不当労働行為を認定させる大勝利をかちとった地平を引き継ぎ、国鉄改革法そのものを打ち破る巨大な展望をこじあけよう。解雇撤回・JR復帰を求める署名運動を各界各層に広げ、東京高裁を包囲する大闘争をつくりだそう。
これらすべてを、職場の団結拡大、青年労働者への組織拡大を焦点に、白熱的に闘いぬこう。
機関紙を党と労働組合建設の武器に
外注化・非正規職化攻撃は、全産別・全産業に及んでいる。これと一体で労働者の大量解雇、賃金の大幅切り下げ、諸権利の剥奪(はくだつ)、すさまじいまでの労働強化が全職場を一斉に襲っている。郵政職場では、年賀状のノルマ2万枚(100万円分だ!)というとんでもない「自爆営業」が強制された事例さえある。これへの職場の怒りの爆発、青年労働者の歴史的決起もついに始まった。
1枚のビラを重視しよう。宣伝・扇動に力を尽くそう。職場に渦巻く怒りを組織しよう。団結して闘えばどんな攻撃も打ち破る道を切り開けることを、全労働者に真っ向から訴えよう。
反原発の街頭行動を真に100万人規模の大行動に発展させよう。その核心は、福島の怒りの圧殺を断じて許さず、福島と心をひとつにして闘う労働者の職場からの決起にある。ここにとことん確信を持って、12・8もんじゅ現地闘争、12・14〜16原子力安全福島閣僚会議粉砕闘争を闘おう。
「アーミテージ・ナイレポート」は、原発こそ日米安保=戦争体制であることを突き出した。改憲とオスプレイ反対、沖縄・星野・三里塚との固い連帯をかけて闘おう。
怒りを力に、2013年の闘いを決する規模の圧倒的な冬期カンパ闘争に立ち上がろう。労働者の新聞『前進』を読み、全労働者の中に拡大しよう。党と労働組合の一体的建設に全力で総決起していこう。
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週刊『前進』(2563号1面2)(2012/12/03 )
星野再審全国集会
640人が星野奪還を誓う
“全国で証拠開示大運動を”
11月23日、東京・北区の赤羽会館で「フクシマ・オキナワの怒りと一体で獄中38年を打ち破れ!星野再審全国集会」が開かれた。主催は「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」。71年11月の沖縄闘争を闘った星野文昭同志はデッチあげ「殺人罪」−「無期懲役」弾圧と対決し、38年間の超長期の獄中闘争を徳島刑務所で闘っている。星野同志を一日も早く奪還しようと、640人が集まった。各氏の発言・決意表明をとおして全参加者がひとつに団結し、来年を再審開始−星野同志奪還の勝利の年とするために、全証拠開示大運動を全国に広げて闘うことを誓い合った。
(写真 徳島、沖縄を始め全国の救援会が登壇。星野同志奪還へ全人民的な大運動をつくり出そうと決意を新たにした【11月23日 東京・赤羽】)
賛同人から熱烈なアピール
獄中で闘う星野同志の怒りと悔しさは私たちすべてのものだ。一日も早く奪還しなければならない。「検察官が隠し持っている証拠をすべて開示しろ」という証拠開示の大運動は、これまでに賛同人600人、うち弁護士240人を超えて広がっている。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部は1850筆の賛同署名を寄せた。
こうした地平の上で集会は、労働運動、学生運動、冤罪と闘う人びと、弁護士、表現者、沖縄や福島を始めさまざまな人びとが参加し発言した。
ロビーには、星野同志が福島との連帯の思いを込めて描いた絵画が展示され、開会前に多くの参加者が見入った。またDVD「星野再審運動この1年」が上映され、600人で闘った2月の徳島刑務所包囲デモを始め、参加者は闘いの興奮と感動を新たにした。
開会のあいさつを共同代表の戸村裕実さんが行い、第1部として全証拠開示大運動の賛同人が発言した。まず藤田城治弁護士が全証拠開示の意義について、「検察は無実の証拠を隠す。結論ありきの裁判所の判断をひっくり返すためには、真実の証拠を突きつける以外にない」と訴えた。
続いて客野美喜子さん(「無実のゴビンダさんを支える会」事務局長)はゴビンダさんの再審を勝利に導いた開示証拠の重要性を語り、佐々木信夫さん(桜の聖母短大名誉教授、福島・取り戻す会呼びかけ人)はキリスト者の立場から運動の拡大を呼びかけた。
大津幸四郎さん(映画カメラマン、「圧殺の森」撮影者)は高崎経済大学時代の星野さんとの出会いを語り、恩田亮さん(法大「暴処法」弾圧裁判・無罪被告人)は自らデッチあげ弾圧と闘い一審無罪判決をかちとった立場から星野闘争への思いを語った。
千葉商科大学教授で国鉄闘争全国運動呼びかけ人の金元重(キムウォンジュン)さんは、韓国留学中の1975年に韓国中央情報部(KCIA)によるデッチあげ弾圧で逮捕・拷問され7年間投獄されたこと、出獄後に再審を訴え今春に再審無罪判決をかちとったことを語り、「私自身、無実の罪で刑務所生活を強いられ、星野さんの苦しみも想像がつく」「これからの闘いに加わっていきたい」と述べた。こみ上げるものを抑えつつ静かに決意を語る金元重さんの発言は、参加者を心から感動させ奮い立たせた。
飯田英貴さん(全国労組交流センター事務局長)は、「2月の徳島刑務所包囲デモで星野さんと合流した。来年を星野奪還の飛躍の年とする。鍵は労働運動の復権にある。外注化阻止・非正規職撤廃とともに、全証拠開示運動を全力で闘う」と決意表明した。
“星野闘争を労働者の中に”
第2部は「星野文昭さんの闘いとともに」と題して、桜井昌司さん(布川事件元再審請求人)、スティーブ・ゼルツァーさん(米運輸労働者連帯委員会)、福島菊次郎さん(写真家)のビデオメッセージが上映された。
星野同志のメッセージが、連れ合いの暁子さんから紹介された(8面に掲載)。そして暁子さんは、「文昭の獄中38年、私とともに生きた26年は、見せしめとしてあるのではなく、無期をひっくり返し日々勝利してきた闘いです」「福島、沖縄、労働者の闘いが星野とつながることで大きな団結が形成され、お互いに揺るぎない勇気を与え合う」と確信をもって語った。星野同志のメッセージと暁子さんの発言に、参加者は大きな拍手で応えた。
西村正治弁護士が徳島刑務所との闘いを報告、「奥深山さんの免訴を実現する会」の大塚正之さんが奥深山闘争の報告を行い、続いて全国24の救援会がのぼり旗を持って登壇した。徳島と沖縄の代表があいさつした。
第3部として、事務局報告に続き再審弁護団が発言した。和久田修、岩井信、酒井健雄の各弁護士に続き、鈴木達夫弁護団長は、「裁判闘争的には敵を打ち砕いている。めちゃくちゃな論理で居直る司法権力をどう打ち砕くか。それが証拠開示の大運動だ」と述べた。そして、かつて仁保事件の被告とともに長崎の労働組合を回った時の体験から、「星野さんの闘いを真っ向から訴えた時、労働者階級は必ず決起する。力を合わせよう」と訴えた(8面に要旨)。
最後に暁子さん、弟の星野修三さん、いとこの星野誉夫さんがあいさつし、共同代表の平良修さん(沖縄・牧師)が「必ず勝てる。前進し勝ちましょう」と呼びかけて集会を締めくくった。
こうして集会は、星野同志との熱い一体感のもとに、感動し勇気がわく歴史的なものとなった。星野闘争は、国鉄・反原発、沖縄・福島・三里塚と一体で新自由主義攻撃を打ち破り、労働者人民の未来を開く闘いだ。全証拠開示大運動をすべての職場・地域・キャンパスに持ち込み、労働者人民の力で星野同志の再審・奪還をかちとろう。
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■星野文昭同志の闘いと再審闘争
星野同志は1946年、札幌市生まれ。高崎経済大学在学中の1971年11月、沖縄米軍基地の固定化と侵略戦争のための沖縄返還協定に反対し批准阻止闘争に決起。11・14渋谷暴動闘争の大爆発に打撃を受けた国家権力は階級的報復として、デモ隊のリーダーだった星野同志を、警察・検察がねつ造した逮捕学生の「供述調書」を唯一の証拠に機動隊員殺害の「実行犯」にデッチあげて指名手配、75年に逮捕・起訴。一審で検察官は「死刑」を求刑。87年に最高裁で「無期懲役」判決が確定。星野同志は獄中から無実を訴え、96年に再審請求。今年3月に第2次再審請求が棄却され、現在、異議申立を闘っている。
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週刊『前進』(2563号1面3)(2012/12/03 )
前進速報版から
▼サンヨン自動車支部労働者が高空籠城闘争に突入/韓国▼日系・矢崎総業自動車部品工場で大ストライキ/中国▼矢崎総業スト続報
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週刊『前進』(2563号2面1)(2012/12/03 )
動労千葉鉄建公団訴訟控訴審 12・17東京高裁包囲へ
「解雇撤回! JR復帰」へ職場・地域で大署名運動を
不当労働行為認めた一審
動労千葉鉄建公団訴訟控訴審が、いよいよ12月17日から東京高裁第12民事部(難波孝一裁判長)で始まる。国鉄1047名解雇撤回・JR復帰に向けて、さらには公務員360万人首切りを始めとする「国鉄型」解雇攻撃を打ち破るためにも決定的に重要な闘いだ。
担当する難波裁判長は、東京地裁裁判官時代の05年9月15日に、国労鉄建公団訴訟で「解雇有効」の反動判決を出した人物だ。その後、熊本地裁所長を経て今年8月末に東京高裁に異動した。
一審での6・29判決(東京地裁第11民事部、白石哲裁判長)のポイントは以下の3点だ。
(写真 1047名解雇撤回! 11・4集会終了後、日韓米の労働者とデモする動労千葉の隊列【内幸町】)
不採用基準策定は不法と初認定
第一に、被告である旧国鉄(現鉄道運輸機構)が動労千葉や国労に所属する組合員を不当に差別することを目的に不採用基準を策定・適用したことを初めて認定したことだ。つまり、JRの本州3社と四国は定員割れだったにもかかわらず、「停職6カ月以上、または停職2回」という不採用基準を急遽(きゅうきょ)策定し、当初は採用候補者名簿に登載されていた原告を名簿から削り落とし、JR不採用としたことは国家的な不当労働行為であると明確に断罪したのだ。
第二に、この不採用基準が策定されていなければ原告は「JR東日本に採用されたはずである」と述べ、JRに在職したら得られたであろう賃金の3年分と清算事業団賃金との差額の支払いを被告に命じたことだ。これは、賃金上は原告をJRに在職したものとして扱ったことを意味し、JRに法的な責任があることを実質的に認めたもので、きわめて重大だ。
第三に、名簿作成という採用手続きの要をなす過程での不当行為を認定した以上、原状回復=JRへの採用を命じる以外にないにもかかわらず、あくまで“国鉄とJRは別法人”という国鉄改革法の虚構にしがみつき、「90年4月の清算事業団解雇は有効」としたことだ。断じて許せない反動判決なのだ。
10・11鉄運機構控訴審判決弾劾
本控訴審は、あらためて不当労働行為を認定させ、解雇撤回・JR復帰の判決を出させる闘いだ。被告には、不当労働行為の結果生じた事態を解消する義務、JRに原告を採用させる義務があることは誰が見ても明らかなのだ。
この闘いの最大の焦点は、国労秋田闘争団の小玉忠憲さんを原告とする鉄道運輸機構訴訟での10・11控訴審判決(東京高裁第14民事部、設楽隆一裁判長)をいかにぶち破っていくのかにある。10・11判決は、不採用基準を「客観的かつ明確なもの」「相応の合理性がある」と言いなし、消滅時効が成立しているとして損害賠償請求も退けた。6・29判決の全内容を覆した極反動判決だ(判決内容は本紙2557号参照)。
この大反動をぶち破るためにも12月17日、一審を上回る一大結集で東京高裁を包囲しよう。
国鉄改革法23条打ち破れ
不当労働行為に対する救済措置は原状回復が原則だ。不当な解雇は撤回されなければならないし、不当労働行為によって生じた損害はそっくり賠償されなければならない。戦後革命期以来の営々たる先達の闘いと膨大な裁判闘争・判例を通して築き上げられてきたこの大原則を、根底から破壊するために作られたのが国鉄改革法23条だ。
当時首相の中曽根康弘を先頭とする国家権力中枢と「改革派」と呼ばれた国鉄官僚(現JR経営陣だ!)は、「国鉄とJRは別」というフィクションを作り上げ、「どんな組合差別や不当解雇があったとしてもJRには何の関係もない」と強弁し続けてきた。こんなことがまかり通るなら、労働3権(団結権、団体交渉権、団体行動権)など絵に描いた餅でしかない。最高裁を始めとする司法権力は、この「JRに法的責任なし」の大ペテンにお墨付きを与え続けてきた不当解雇の張本人だ。
国鉄分割・民営化攻撃の渦中に制定された労働者派遣法(86年7月施行)もまた、労基法や職業安定法などに定められた直接雇用の原則を破壊し、実際の使用者が労働者に対して負うべき責任の一切から資本家たちを解き放った。これによりどれほど多くの労働者(とりわけ青年労働者)が超低賃金の無権利労働を強制され、理不尽きわまりないいじめを受け、解雇され、生活も、未来も、命さえも奪われてきたのか。
国鉄改革法23条をあらためて階級闘争の戦場に引きずり出し、全労働者の怒りの総決起で粉砕しつくさなければならない。国鉄1047名闘争は、まさに現在の雇用関係と社会のあり方を根底から問う闘いであり、労働者派遣法粉砕・非正規職撤廃の闘いと表裏一体の関係にある。同時に、すべての公務員労働者にこれから本格的に襲いかかろうとしている「いったん全員解雇、選別し新規採用」の国鉄型解雇・社保庁型解雇、総非正規職化を絶対に許さない闘いそのものでもある。
全職場・地域で判決の学習会を
6・29判決をきっかけに、解雇撤回・JR復帰の高裁判決をかちとるための署名運動が開始され、どんどん広がっている。国鉄闘争に心を寄せ続けてきた多くの人びとが次々と名乗りをあげ、呼びかけ人・賛同人は2カ月で2倍になった。国鉄闘争全国運動の事務局には連日必ず、賛同署名が入った郵便が届く。
この闘いは、大恐慌下の大量解雇と大失業、公務員バッシング、そして新自由主義に対するあらゆる怒りと結びつく巨大な可能性を持っている。従来の国鉄闘争支援陣形にもう一度大胆に分け入るとともに、その枠組みを越え、ここから「新しい国鉄1047名闘争陣形」をつくる構えで本控訴審と新たな署名運動に取り組もう。
とりわけ、業務全面外注化攻撃に怒りを燃え立たせているJRの青年労働者の結集をかちとろう。外注化阻止・非正規職撤廃闘争の今ひとつの大きな柱は、この1047名解雇撤回闘争だ。
またそのためにも、すべての労働者に「これはおれたち自身の問題だ」「すべての労働者の力を集めて絶対に勝たなければならない闘いだ」ということが伝わるような宣伝物の工夫、飛躍が早急に求められている。
動労千葉顧問弁護団長である葉山岳夫弁護士が月刊『労働運動』10月号、『序局』3号に寄せた6・29判決についての論考は最良のテキストだ。地域・職場で6・29判決学習会を網の目のように開催し、署名運動の年内1万筆達成へ運動を広げよう。
すべての職場・地域から12月17日、控訴審第1回口頭弁論に大結集しよう。
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動労千葉鉄建公団訴訟
控訴審第1回高等弁論
12月17日(月)午前11時 東京地裁
※午前10時、裁判所前に集合
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週刊『前進』(2563号2面2)(2012/12/03 )
11・4労働者集会報告集が発刊
11・4全国労働者総決起集会実行委員会が集会報告集を発行した。生き生きした写真とあわせて集会での全発言が収録されている。主要発言は3言語で掲載されている。
集会での全発言を読み返すと、この1年間の各職場での実践でかちとられた豊かな地平が手応えをともなって伝わってくる。とりわけ、その闘いを最先頭で切り開いてきた呼びかけ3労組の発言は、階級的労働運動復権への最良の指針だ。
外注化阻止・非正規職撤廃の闘いの本格的な発展に向け、『前進』読者のみなさん、11・4集会に参加したみなさんに、ぜひもう一度じっくり読み味わっていただきたい。
◆注文先 動労千葉:千葉市
中央区要町2−8DC会館
TEL 043-222-7207
FAX 043-222-7197
E-mail/doro-chiba@doro-chiba.org
B5判50n/頒価500円
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週刊『前進』(2563号2面3)(2012/12/03 )
大量首切りと対決を
団結して闘えば打ち破れる
世界大恐慌がますます深化する中で、日帝資本は電機を先頭に正社員の大量解雇の攻撃にのめり込んでいる。首切りの激しさは、08年のリーマンショック直後を超えている。東京商工リサーチの調査では、12年に上場企業が募った「希望退職者」数は1万6779人で、昨年1年の1・9倍になっている。
報道されているだけでも人員削減の規模はすさまじい。シャープは、2千人の予定で「希望退職」を募ったところ、予定を超える2960人がこれに応じた。パナソニックは、海外を中心に1万人を削減する計画で、すでに2千人が削減されている。ソニーはテレビ関連で1万人を削減するとし、また美濃加茂工場を来年3月末に閉鎖、非正規職1920人を雇い止めにすると公表した。NECも国内外で1万人の削減に着手し、すでに2393人が「希望退職」に応じている。半導体大手のルネサスは、1万2千人削減のプランのもと5千人予定の「希望退職」を募り、7446人が「応募」した。
人員削減の波は全産業に広がっている。製紙最大手の王子は、新規採用の抑制で15年度までに国内で2千人を削減すると発表し、損害保険のNKSJホールディングスは従業員の約15%に当たる4800人を15年度までに削減する経営計画を打ち出した。
これらの数字は、大手企業本体に限ってのものだ。下請けや取引先を含めれば、その影響は計り知れない。例えば東京商工リサーチによれば、パナソニックの場合、国内取引企業は3万1391社で、その総従業員数は約690万人に上る。シャープの場合、8495社で、総従業員数は約420万人だ。電機大手の大量首切りは、関連する膨大な労働者に波及する。
大恐慌下での大量首切り攻撃と本格的に対決する時代が来たのである。
ロックアウト型は100%違法
「希望退職」という言葉にはうそがある。この大恐慌のただ中で、先の見通しもなく自ら望んで退職する労働者などいない。資本は、巨額の損失計上という自らの危機をも「武器」にして労働者を絶望に追い込み、退職を強いているのだ。
今や資本の攻撃手法は、さらに凶暴なものになっている。労働者をねちねちと追い詰めて退職に「合意」させる手間さえ省き、その場で問答無用に労働者をたたき出す「ロックアウト型解雇」がそれだ。社員証を取り上げたりして社屋への立ち入りを物理的に不可能にし、解雇理由さえまともに告げず、一切の交渉・協議を拒む。資本はこうしたやり方で正社員の首を切り、とことん非正規職に置き換えようと狙っている。
こんなやり方は徹頭徹尾、違法だ。戦後労働法制を原理的に解体した労働契約法でさえ、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」解雇は無効だと定めている。整理解雇の4要件(@人員整理の経営上の必要性、A解雇回避の努力義務、B被解雇者選定の合理性、C説明・協議などの手続きの妥当性)すら無視した解雇や、資本が自分で決めた就業規則にも書かれていない解雇理由をデッチあげての首切りなど、本来、認められる余地はない。
にもかかわらず、こんな手法が横行しているのは、労働者が労働組合に団結して闘わないことを大前提にしているからだ。労働者が決然と反撃すれば、こんなでたらめは必ず粉砕できる。大量首切り攻撃は、労働者が階級的団結を取り戻すチャンスでもある。
国鉄分割・民営化は、国家が率先して大量解雇と労組つぶしを強行することにより、全資本を同様の攻撃に駆り立てた。その国鉄分割・民営化を粉砕し、1047名解雇撤回闘争に勝利してこそ、大失業攻撃と立ち向かうことができる。外注化阻止・非正規職撤廃の闘いを徹底的に貫き、解雇と闘う階級的労働運動を全面的に復権しよう。
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週刊『前進』(2563号2面4)(2012/12/03 )
授業力評価・授業アンケート粉砕を
公務員全員解雇・総非正規職化
教育民営化=労組破壊と闘おう
9・16集会の地平固め2月橋下打倒集会へ
「授業力不足」を口実に免職狙う
9月5日、大阪府教育委員会は「『教職員の評価・育成システム』の教員評価の一部を改定し、来年度から『授業力評価』を導入する。『授業力評価』は、保護者と生徒による授業アンケートと校長等による授業観察などで行う。そのため、今年度中に大阪府下全公立学校の全教員を対象に、生徒と保護者による授業アンケートを実施し、課題を把握する」と通知しました。すでに授業アンケートが実施されている市もあります。
資料@「授業アンケート見本」を見てください。授業を行う全教員の評価を生徒と保護者にさせ、自由記述では、教科など具体的に意見を書くように指示しています。
また府教委は「『支援が必要な教員』を把握し必要な措置を講じる」としています。府教委の「評価・育成システム改革ワーキンググループ」の資料では、生徒らのアンケートを元に「授業満足度のグラフ」をつくり、「低評価群の教員」とされると「重点授業観察対象者」となり、校長だけでなく教委の指導主事や「第三者」による授業観察にまでさらされることが明記されています(資料A)。
保護者や生徒による授業アンケートは、教員たたき・学校たたきに生徒や保護者を動員する許し難いもので、生徒や保護者と教育労働者の信頼関係を破壊・分断し、競争に駆りたて、肉体も精神もボロボロにして命を奪う攻撃です。すべてを「教員個人の能力や責任の問題」にし、さまざまな理由をつけて「支援の必要な教員」「不適格」の烙印(らくいん)を押して次々と研修所送り・処分・免職にする使い捨て攻撃です。橋下徹大阪市長による「大阪府・市丸ごとの民営化」の柱である「教育の民営化」=教育公務員全員解雇・総非正規職化、労組破壊の攻撃そのものです。
「保護者とのトラブルや生徒との関係、学級がうまくいかないこと」や「いじめ」などは誰もが直面することです。これらは、労働者階級が大量解雇・10割非正規化攻撃によって団結を破壊され、毎年3万人以上が自殺し、親が子どもを殺すところまで追い詰められ、生きられない状況にたたき込まれている社会の崩壊的現実から起こっていることです。
学校現場や子どもたちが社会の状況から無縁であるわけがありません。「教員個人の責任」ではないのです。にもかかわらず教育労働者はこうした現実と向き合い、あがき、殺人的長時間労働の末に、精神疾患などさまざまな病気、早期退職、過労死へとたたき込まれています。
絶対反対で闘い全権利奪い返す
連合・大阪教組は「評価・育成システム」の導入について、「あくまで教職員の意欲・資質能力向上のため」「賃金反映はさせない」と言いながら認めました。認めた結果が賃金への反映であり、職員基本条例の「最低評価2回で免職」攻撃であり、今回の「授業アンケート」導入です。
しかもこの攻撃は現場を無視して矛盾だらけであまりに破綻的です。だから「評価制度絶対反対、授業力評価・授業アンケート絶対反対」を貫いて闘えば、積もりに積もった教育労働者の怒りが必ず噴出します。求められているのは、その結集軸です。
教育労働者に殺人的な超過勤務を強いている要因の一つが、1971年に制定された給特法(国公立教員の給料の特措法)です。給特法が「時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しない」と定め、“その代わりに教職調整額=給料月額×4%を本給として支給する”としたため、どれほど超勤をしても教育労働者には超勤手当は一切支給されません。これは教育労働者を「聖職者」として他産別の労働者と分断し、労働基本権を奪おうとする攻撃です。その結果、教育労働者は「時間外、休日及び深夜の割増賃金」を定めた労基法37条の適用除外とされました。
給特法には「原則、時間外勤務を命じないものとする」と明記されているにもかかわらず、日教組本部が「聖職者」攻撃に屈服して職場で闘わなかったことで、すべての超勤は「自主的にやっているもの」と見なされ、今日のような時間外勤務手当なしの無制限の殺人的超過労働が常態化していったのです。
職場で「絶対反対」を貫いて闘って団結をつくり出し、奪われた労働者の権利をすべて奪い返そう!
団結を取り戻し労組再生しよう
学校評価、授業アンケート、統一学力テストの学校別公表、学校選択制などは、それらを通して公立学校を序列化し、下位校を廃校にし、「学校協議会」などを通して資本の導入を図り、教育を民営化する攻撃です。公立学校の廃校は、労働者の子どもたちから教育を奪い、今まで住んでいた住民を町から追い出し、大資本の金もうけのための町につくり変える「府・市丸ごとの大民営化」=「大阪都構想」の柱なのです。
そしてこうした新自由主義攻撃を貫徹するために「評価」で職場の団結を解体し、労働組合を徹底的に破壊しようとしています。
橋下市長が大阪市教組教研の会場使用を不許可にするなど、労働組合を目の敵にし、労働者の団結破壊、労働組合解体に躍起になっているのは、労働者・労働組合の反撃を恐れているからです。
労働者階級全体の生存権をかけた「絶対反対」の闘いは、一人から始まった闘いも、必ず積もりに積もった労働者階級の怒りを解き放ち、それを結集軸にした労働者階級の団結をつくり出します。大阪市教組や大阪市職の労働者は現場から反撃して、大阪市役所前で9・16橋下打倒集会をたたきつけました。橋下が最も恐れる労働者の団結を奪い返して労働組合を再生させる闘いが、橋下の足元から始まったのです。
動労千葉や動労水戸はJR検修・構内業務の10・1外注化を阻止するために、全組合員が団結してストライキに立ち上がりました。この渾身(こんしん)の決起は、JR労働者、とりわけ青年労働者の総反乱的決起を生み出し、世界の労働者の生きるための共通の課題である「外注化阻止・非正規職撤廃」の闘いの軸になっています。
11・4全国労働者総決起集会には全国から5800人の労働者・労働組合が結集し、韓・米・独の労働者代表も参加して新自由主義と闘う国際的な労働者大会となりました。労働者が団結すれば勝てるのです。
2月下旬には、大阪で再び橋下打倒集会を開催します。11・4全国労働者集会の地平を発展させ、国鉄決戦と反原発闘争の爆発、階級的労働運動を発展させるために闘います。
(大阪 槻嶋陽子)
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週刊『前進』(2563号3面1)(2012/12/03 )
11・4集会が開いた地平と展望
外注化阻止・非正規職撤廃を闘い党と労働組合の一体的な建設へ
革共同中央労働者組織委員会
11・4全国労働者総決起集会への5800人結集、11・11反原発20万人決起の爆発に追いつめられた野田は、衆議院を解散し総選挙へと突入した。都知事の座を放り出して極右勢力の結集に走った石原慎太郎を含め、大恐慌と3・11情勢が日々深まる中で、日本帝国主義の政治支配は絶望的危機に突入している。今こそ連合を打倒し、闘う労働組合の復権にすべてをかけて総決起する時だ。11・4集会が切り開いた歴史的地平とそこで問われた課題を正面から見すえ、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いをどこまでも推し進め、党と労働組合の一体的建設へ全力をあげて闘い抜こう。
(写真 11・4労働者集会で登壇した国鉄労働者)
新自由主義攻撃を打ち破る闘いの新たな到達点を記す
11・4集会は「新自由主義と闘う労働組合の全国ネットワークを!」のスローガンを掲げ、5800人の結集とデモで意気高くかちとられた。
集会は呼びかけ3労組の提起を大きな柱に、前段の青年集会の高揚と戦闘性みなぎる息吹を牽引(けんいん)力に圧倒的に闘いとられた。
冒頭、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の高英男副委員長は「闘うことでしか生きられない時代は、分断を打ち破り団結するチャンス」「労働者が希望を持てる闘いを全国で実現しよう」と強くアピールした。
集会の中心中の中心である国鉄闘争を柱に労働運動の再建を熱烈に訴えた動労千葉・田中康宏委員長の発言は、動労千葉の10・1外注化阻止決戦への支援行動をソウルで闘ってくれた民主労総ソウル地域本部への心からの感謝に始まり、「外注化が強行され職場には悔しさと怒りがあふれているが闘いはこれからだ。団結の力で絶対に外注化を阻止する」と固い決意を内外に示した。
全国金属機械労働組合港合同の中村吉政副委員長は集会のまとめで「混迷する政治情勢の中、われわれ自身が働く者の権利を守り、職場・地域で先頭に立ち、非正規労働者の組織化に向けて奮闘しよう」と参加者一同の奮起を呼びかけ、この日の集会が獲得した地平を明らかにした。
11・4集会は、前日の国際連帯集会への300人結集と一体で、最大の圧巻だった国鉄労働者全員の登壇、いまひとつの大きな柱となった福島・被災地を先頭とする反原発を闘う勢力の大結集、NAZENの登場、そして東京西部ユニオン・鈴木コンクリート工業分会、郵政非正規ユニオンの登場を先頭とした非正規労働者の総決起、さらには9・16橋下打倒闘争を引き継ぐ大阪市職、大阪市教組の労働者の登場を含め、新自由主義を打ち破る闘いの新たな到達点を鮮烈に記した。
11・4集会が切り開いた路線的地平とは何か。
第一に、11・4集会は新自由主義に立ち向かう階級的団結の総結集によって、10・1JR外注化阻止決戦が切り開いた「外注化阻止・非正規職撤廃」の階級決戦をその第2段階へと全面的に突入させた。第2段階の闘いとは、外注化の破綻と偽装請負の現実を職場生産点から徹底的に暴き、JR総連・東労組、国労幹部の裏切りを弾劾し、開始されたJR総反乱情勢をさらに徹底的に促進させていく闘いだ。この過程は、来年「4・1」へ向かって平成採の青年労働者の怒りがさらに爆発し、2・1ライフサイクル強制配転発令を迎え撃ち、外注先の労働者、さらには駅の契約社員(グリーンスタッフ)の怒りの決起との合流を限りなく拡大、発展させていく過程である。
第二に、11・4集会は外注化阻止・非正規職撤廃の階級決戦が、文字どおり全産別・全職場に拡大していくべき闘いであることをはっきりさせた。今日の新自由主義攻撃の最先端をなす外注化・非正規職化と対決する全労働者の職場からの反乱を組織し、職場支配権の奪還をかけて総決起していく。この過程こそ、国鉄決戦を先頭に、体制内指導部を打ち破り労働組合の再生を全面的に闘い取っていく過程である。
動労千葉鉄建公団訴訟6・29判決を武器に「解雇撤回・JR復帰を求める」大運動を全産別で推進し、国鉄闘争全国運動の発展を闘い取ることが決定的な鍵となる。
青年労働者の圧倒的獲得へ
第三に、11・4集会は青年労働者の怒りと完全に結びつき、外注化・非正規職化と徹底して闘い、青年労働者の圧倒的獲得に全面的に突入していくことが一切の鍵であることを確認した。
これから大恐慌が決定的に深まる中で、日帝はその延命をかけて、首切り・雇い止め、リストラ、労働強化、そして非正規職化の新自由主義攻撃を絶望的かつ凶暴に推し進めてくる。闘う以外に生きることも未来もない青年労働者の怒りが、全産別・全戦線でさらに爆発していく。問題は、この青年労働者を誰が組織するのかをめぐって革命と反革命が激突していく中で、階級的労働運動派と革命的労働者党の登場が死活的に求められる情勢が急速に煮つまっているということだ。
第四に、11・4集会は外注化阻止・非正規職撤廃の国鉄決戦と反原発決戦がひとつになって闘われることで、相互に強め合い、発展していく過程を切り開いた。
動労水戸が先頭に立って切り開いた被曝労働拒否の闘い、さらに非正規職撤廃闘争の発展は、原発労働者の決起とともに、すべての労働者の職場生産点での被曝労働との闘い、反原発闘争へのさらなる闘いの拡大をつくり出そうとしている。二十万人〜数十万人の原発に対する怒りの決起、再稼働阻止・全原発廃炉の要求を断固として守りぬき、100万人決起へと発展させていく道は、国鉄決戦と結びついた労働組合再生の闘いを豊かに発展させていく中にこそある。
この11・4集会が切り開いた路線的地平の高さ、その決定的意義をまずひとつのものとして断固確認しよう。
JR東の新経営構想と全面対決する「国鉄決戦の党」に
10月30日、JR東日本は新たな経営計画「グループ経営構想X―限りなき前進―」を発表した。新たな決戦情勢の到来だ。同時にそれは、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いが本格的な階級決戦へと発展していく展望を押し開くものである。
JR東日本による10・1検修・構内業務の全面外注化は、動労千葉、動労水戸の組織破壊を露骨に目標にすえて強行された。それは、全国・全支社一斉と言いながら、その攻撃のすべてが千葉支社・水戸支社を最大の焦点に襲いかかったことを見ても明らかだ。逆に言えばJR東日本は、最大の実体である東京支社管内での外注化強行を後回しにしてでもこれを強行せざるを得なかった。
動労千葉を先頭に12年間にわたって検修全面外注化を阻止してきた闘いは、それほどまでにJR東日本を追いつめていたのだ。しかも、激突は検査・修繕部門にとどまらない。ライフサイクル強制配転に対する青年運転士の怒り、駅業務全面外注化をめぐる攻防、契約社員グリーンスタッフの雇い止めに対する青年労働者の我慢を超えた怒りの爆発も、押しとどめることのできないギリギリのところまで来ている。「経営構想X」との闘いは、JR体制そのものとの全面激突とならざるをえない。
また「経営構想X」は「地域に生きる」「世界に伸びる」をキーワードにしている。「復興特区」攻撃の先頭に立ち、新成長戦略の先端でアジア・世界への鉄道輸出の先頭に立つことを表明するものだ。JR東日本は、日帝の新自由主義攻撃と一体で、自らの資本としての延命をはかろうとしているのだ。
その緒戦で巨大な怒りの爆発がJR資本にたたきつけられたことは実に決定的だ。動労千葉・動労水戸・動労連帯高崎の闘いを大きな切っ先に、ストライキ、職場実力抵抗闘争、あるいは偽装請負告発など、職場から創意あふれる闘いが縦横無尽に展開された。それは国鉄分割・民営化以来、初めてと言っていいほどの規模で全JR職場を覆い尽くした。国労郡山工場支部を始めとする国労の現場労働者の闘いにも新たな火を着けた。
いま必要なのは10・1外注化強行をめぐって起きている全事態をつかみ、これから本格的に実施されようとしている「経営構想X」の全領域、全部門で徹底的な職場抵抗闘争をつくりあげ、この闘いを動労千葉・動労水戸の闘いとひとつにしていくことであり、このすべてを組織拡大、団結の拡大に結実させるために全力をあげて闘い抜くことだ。10・1〜11・4が開いた地平、さらに来春2・1〜4・1過程の闘い、さらに来年10・1へ向かう過程は、この無数のチャンスと展望をわれわれに与えている。今こそ外注化阻止・非正規職撤廃にすべてをかけ、われわれすべてが「国鉄決戦の党」に飛躍していこう。
労働者階級の大地と結合し拠点と細胞建設の大前進を
11・4集会が切り開いた外注化阻止・非正規職撤廃の第2段階への突入は、〈組織拡大を最大の課題として、党と労働組合の一体的飛躍をかちとろう>という11・4集会の組織的総括の核心を実現していく闘いである。「労働組合と労働者階級の党との相互作用を通じる以外に、世界のどこにもプロレタリアートの発達は起こらなかったし、起こることもできなかった」(レーニン『共産主義と左翼空論主義』)。この闘いを自らの課題としてやり抜くことである。
第一に、階級的労働運動路線を徹底的に推進することこそプロレタリア革命の道であることをあらためて確信し、つかみ取ろう。もっともっと労働組合運動に習熟し、徹底的に闘い、ここに命をかけ、すべての飛躍の土台としよう。
第二に、そのためにも労働者階級の根底的怒りと徹底的に結びつき、職場の現実、労働者の全生活と密着し、〈労働者は必ず決起する>という確信と経験を積み上げよう。党と労働組合の一体的建設は、労働者階級の大地と具体的実践的に結びつく地区党建設として「中央委員会と細胞建設」を生き生きと展開することで絶対に実現できる。
第三に、その核心は日常不断の職場闘争、これと一体となった職場の組織化の闘いを全力で進めることにある。ここでの最大の勝負は、どこまでも腐敗し無力になっても“階級的決起だけは絶対に許さない”と分断と闘いの圧殺のみに存在価値を見出している体制内労組幹部との闘いだ。4・9反革命以降の国鉄職場が最も激しい攻防点だ。それは、国鉄戦線にこそ階級的労働運動発展の一番の可能性があることを示している。この闘いは、ある意味では資本との闘い以上に大変だが、日常不断の闘いによって必ず打ち破れる。
第四に、こうした闘いこそ党と労働組合の一体的建設の真骨頂であり地区党建設の闘いそのものだ。党と労働組合の限りない一体化と地区党建設こそ、拠点建設と細胞建設の闘いである。自らその先頭に立ち階級の指導部として闘おう。
11・4集会とそこで闘い取られた画期的地平は、これらすべての課題をきわめて路線的、実践的、組織的に明らかにした。まさにここがロドスだ、ここで飛べ!
機関紙とマルクス主義こそその最大最良の武器だ。今こそ闘争と学習、徹底した細胞的一致をかちとり勝利の2013年へ猛然と進撃しよう。
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週刊『前進』(2563号3面2)(2012/12/03 )
プロレタリア革命の時代切り開く絶大なカンパを
『前進』読者のみなさん! 闘う労働者・学生・市民のみなさん! 労働者階級が新自由主義の攻撃を打ち破り、社会の主人公となる新しい時代が到来しました。この情勢にあたり、革共同は自らの革命党としての重大な責任を厳粛に確認します。この歴史的・階級的責務を果たす革命党建設ために、革共同への絶大なカンパを要請します。
解散・総選挙と、石原慎太郎都知事の辞職・都知事選が示している事態は、日本帝国主義の政治支配システムの完全な崩壊です。野田も石原も労働者人民の闘いによって打倒され、権力の座から追放されました。10万人、20万人の反原発国会行動は、非正規職の青年労働者が抱く現実への怒り、オスプレイ沖縄配備に対する怒り、それらと福島の怒りが渾然(こんぜん)一体となって爆発を続け、野田を追いつめました。新自由主義の権化として都知事の席に居座り続けた石原も、都労連(東京都労働組合連合会)に結集する労働者の団結破壊・労組解体を貫徹することはできませんでした。階級的労働運動の前進と闘う労働組合の再生こそ、総選挙・都知事選情勢に対する労働者階級と革共同の回答です。
国鉄闘争の大前進
これらの闘いの中心軸にあるのが、国鉄決戦−外注化阻止・非正規職撤廃、1047名解雇撤回を掲げた階級的労働運動であり、われわれ革共同はその最先頭で闘いぬいています。
JR東日本による業務全面外注化の阻止へ最先頭で闘う動労千葉をはじめとする国鉄労働者の闘いは、動労水戸の被曝労働拒否闘争と一体で、JRで働く青年労働者獲得への大きな展望を切り開いています。
その結晶が、11・4全国労働者総決起集会への5800人の結集です。外注化阻止・非正規職撤廃、解雇撤回の闘いが、世界中の労働者が直面している攻撃との闘いとひとつであること、したがって労働者の国際連帯を創造していける闘いであることも明確になりました。
外注化阻止決戦は第2ラウンドに突入します。国鉄をはじめ4大産別、さらにはあらゆる職場で外注化・非正規職化と闘いましょう。職場において新自由主義を粉砕し、職場支配権を奪還していくことこそ、階級的労働運動の真価が試される闘いです。革共同は階級的労働運動の路線に確信をもち、党と労働組合の一体的建設に全精力を注入して闘います。
反原発の最先頭で
反原発闘争も大きな転機を迎えています。
11・11国会前100万人大占拠行動におけるデモ禁圧攻撃は、原発絶対反対の闘いが国家権力の支配の根幹と激突する課題であることを突き出しました。
反原発の街頭行動を真に百万人の大行動に飛躍させるためには、原発労働者との団結・連帯をすえながら、職場生産点から「全原発の即時停止と廃炉」を掲げて立ち上がっていくことが不可欠の課題になっています。
12月16日投開票の総選挙―都知事選挙に向かう過程は、反原発闘争をめぐる激しい党派闘争の場でもあります。日本維新の会代表に就任した石原慎太郎は、多数の外国人記者を前にして「核兵器に関するシミュレーションくらいやった方がいい」と核武装への野望をあらわにしています。原発再稼働、高速増殖炉もんじゅ試運転、フルMOX燃料の大間原発新設、核燃サイクル維持と、原発にしがみつく支配階級の狙いはここにこそあります。新たな反核闘争の構築が求められます。
福島現地では、政府・県・山下俊一ら御用学者が一体となった被曝隠し・被曝強制の攻撃に対し、労働者人民の団結の力で子どもたちの命を守る新たな闘いが始まっています。福島の怒りの圧殺を断じて許さず、連帯してともに闘いましょう。
私たちは、反原発闘争の高揚を膨大な労働者人民とともにさらに推進していく中で、革共同をさらに豊かで、柔軟で、強靱(じん)な労働者党として鍛えていく決意です。これまでをひとまわりもふたまわりも超えるカンパを寄せていただけるよう訴えます。
本格的な党建設を
世界は革命情勢に完全に入りました。米大統領選挙も中国共産党大会も、現代世界を規定するこの2大国がいずれも支配体制の絶望的な危機に陥っていることを示しています。中国の労働者人民の怒りはすでに臨界状態に入り、あらゆる契機から1万人を超える大暴動が続発しています。ヨーロッパでは23カ国1000万人のゼネストとデモが大爆発し、その衝撃によってEUの予算案をめぐる首脳会議が決裂しました。まさにEU解体の危機です。
世界中の労働者階級の決起が示しているものはなにか。新自由主義の絶望的な継続に依存するしかない資本家階級を打倒する決戦場は、ブルジョア議会ではなく職場生産点、街頭とキャンパスにあるということです。
革共同は世界の労働者階級と団結・連帯し、必ずやプロレタリア革命の荒々しい時代を切り開きます。本格的な労働者党の建設をともに完遂すべく、絶大なカンパを寄せてください!
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週刊『前進』(2563号3面3)(2012/12/03 )
“全面非正規化止める”
一般職非常勤職員制度導入 豊中市職での闘い
全国で公務員解雇・非正規職化との激突が始まった。豊中市は、これまでの非常勤職員に替わり任期1年、選考による更新で65歳まで昇給可能とする一般職非常勤職員制度なるものを導入しようとしている。しかしその本質は非正規職の待遇改善どころか、御用労組幹部の協力のもと、全職員の非正規化を狙うものだ。以下、11月20日の豊中市職大会でまかれた闘う仲間のビラを掲載します。(編集局)
「一般職非常勤職員制度」は正規職を非正規職化する攻撃です この制度の撤回を求めます 野田保育所・深町加代子
組合定期大会に参加された組合員の皆さんご苦労様です。
今大会議案で導入が提案されている「一般職非常勤職員」制度は、執行部は非正規の雇用の問題のようにごまかしていますが、本当は私たち正規に向けられた攻撃です。
この制度は今まで「特別職」としてきた非常勤職員(嘱託・パート職員)を正規と同じ一般職に位置づけるというものです。
今までと違い、1年ごとに更新され65歳定年で、給料が毎年上がっていく。私たち正規と違うのは1年ごとに管理職に評価され、雇用が更新されるということです。
右下の給料表を見てください。これが一般職非常勤職員の給料表です。この給料表を見た職場の仲間は「私たちがこうなるってことじゃない!?」と声をあげました。そうです。正規職員をいったん解雇し非正規職化する仕組みを、当局と組合執行部でつくったのです。
保育所では「臨時職員をこの制度に移行すると、とってもいいことである」と説明して、反対意見を抑え込み、組合執行部が合意しました。
この制度は、いま橋下大阪市長・維新の会が具体的に始めている「道州制」「公務員制度廃止」の政策とそっくり同じです。
野田政権は「子ども子育て新システム」を自治労本部と一体で進め、豊中市は全国に先駆けて先行実施しようとしていますが、それを実施するための仕組みがこれなのです。正規職の圧倒的な首切りと非正規化です。
福岡市は民間委託で現業ゼロを目指すと新聞発表しました。神戸市では保育所を毎年数箇所ずつ民営化を進めています。大阪市は清掃・交通などの民営化を打ち出し、当局の言うことを聞かない職員は「職員基本条例」で処分・解雇を進めています。八尾市では保育所の民営化に伴い保育士の事務職への職種変更が行われ、多くが自主退職しています。職場を失っても雇用が守られるのは一部管理職だけです。
これらの攻撃は、国そのものの方針であり、豊中市だけが関係ないということはありえません。
豊中市でも当局は技能職の採用問題で「将来的な業務変更などから人員の余剰が見込まれる」といっています。つまり事業丸ごとの民営化・業務委託が行われるということです。余剰人員は不当配転・分限免職―すなわち首です。
労働組合ならば民営化・外注化に対して絶対反対・ストライキで闘うべきです。ひとりの首切りも許さず闘うのが労働組合です。
現場で団結しこの攻撃の本質を暴き、この制度を撤回させましょう。民営化絶対反対・非正規職撤廃で闘いましょう。
【解説】上記賃金表は、司書、幼稚園教諭、保育士など免許・資格等が必要な「非常勤専門職」のもので、事務などの非常勤行政職はさらに低賃金である。128号級までの賃金表が示されているが、市当局は「非常勤職員選考案内」で「任期は1年」「1年間を良好な勤務成績で勤務した非常勤職員について選考により再度任用されることがある」と強調している。雇い止めは1年ごとに可能だ
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週刊『前進』(2563号4面1)(2012/12/03 )
もんじゅ廃炉12・8敦賀現地闘争へ
軍用プルトニウム生産工場
高速増殖炉の継続阻止を
日帝の核武装策動許すな
12月8日、福井県敦賀市で高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を求める集会とデモが行われる。総選挙情勢のなかで「核武装」論が公然と台頭している。12・8集会の大成功と戦闘的デモで、もんじゅ廃炉、日帝の核武装攻撃を粉砕しよう。
原爆材料製造工程そのもの
9月14日、野田政権は「革新的エネルギー・環境戦略」で原発再稼働に加え、再処理継続と高速増殖炉「もんじゅ」継続を決定した。文部科学省・もんじゅ研究計画作業部会はこれを受けて、核廃棄物減容を目玉にしつつ高速増殖炉に関する技術の維持・継続を軸にした多様な目的炉をめざす方針をうち出した。「もんじゅ」=発電所が大うそであり、核軍用炉そのものであることが隠しようもなく明らかになってきている。
日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、「もんじゅ」(福井県敦賀市)の運転を来年末に再開し、また「常陽」(茨城県大洗町)の運転を2015年度に再開する計画を発表した。
原発・核燃廃止が帝国主義としての決定的脱落をもたらすことに恐怖した日帝支配階級は、自己の延命をかけ、原発輸出と一体で核武装国家への本格的飛躍へ突進することに踏み切ったのだ。
第2次世界大戦での敗北に対する日帝の最大の反動的総括は、一貫して核保有である。米帝の核支配、日米安保のもとで、「高速増殖炉等の面で、すぐ核武装できるポジションを持ちながら平和利用を進めていく」(1968年外務省「外交政策企画委員会」での国際資料部長・鈴木孝の発言)という方針に沿って核燃料サイクル計画(プルトニウム生産体制の構築)を推進してきたのだ。
「もんじゅ」は原爆生産の要
核兵器生産の最大の問題は、プルトニウムなどの核分裂性物質の確保とその純度の高度化(核弾頭の小型化)である。
上の図が示すように、日帝の原爆材料生産は、高速増殖炉を要とした核燃サイクルを基本としている。ウラン濃縮を始発点とし、原発(軽水炉)→軽水炉用再処理工場→高速増殖炉→高速炉用再処理工場を経て軍事用プルトニウム抽出に至る一連の核燃サイクルは、原爆材料製造工程そのものにほかならない。
原発もプルトニウムを生産するが純度が低く(60%)、そのままでは原爆はつくれない。しかし高速増殖炉では、劣化ウランを炉心の周囲に敷きつめたブランケット部分に対し、この原子炉級プルトニウムを炉心燃料にして燃やして中性子を当てると、97・5%(原型炉「もんじゅ」)、あるいは99・36%(実験炉「常陽」)という核兵器に最適なスーパー級プルトニウムがつくられるのである〔現在米帝などが配備している核兵器は94%〕。
今日まで日帝はこの二つの高速炉で約36`グラムの軍用プルトニウム(原爆約20発分)を生産している。「もんじゅ」は年間62`グラムの軍用プルトニウム生産能力を持つ。どんなにリスクがあろうと経費がかかろうと、日帝が「もんじゅ」にしがみつくのは、この一点なのだ。
そして炉心燃料となるプルトニウムを大量に生産する原発、その使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場なしに核燃サイクル工程は成り立たない。核軍事上、原発と六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)、「もんじゅ」は密接不可分の関係にある。またプルトニウムとウランの混ざったMOX燃料を原発で使いプルトニウムを消費するプルサーマル計画は、「余剰プルトニウムを出さない」という口実でプルトニウム大量生産体系を維持し推進するものだ。大飯原発再稼働・フルMOX大間原発建設再開の強行の根源的動機がここにある。
だが、「もんじゅ」・六ケ所再処理工場は事故が相次ぎ、原発は3・11で大破綻し、核燃サイクルの環はばらばらというぶざまな状態をさらけだしている。日帝の核武装政策は最大の危機にたたき込まれているのだ。
日米共同の核軍事技術研究
2009年度文部科学省委託事業「核不拡散強化に関する海外技術調査」参考資料では、「(高速増殖炉の)ブランケット内で生成されたプルトニウムはウランのみによるブランケット装荷の場合、核爆発装置に利用されることを容易にする」と明記している。「もんじゅ」「常陽」がまさにそれだ。「核不拡散強化」を叫ぶなら、両炉こそ真っ先に問題にしなければならない。
だが、「もんじゅ」情報について第1回作業部会配付資料の評価結果(答申書)は、「積極的に情報を公開することを原則とする」とうそぶきながら、「核心的な技術については情報管理も必要」と、この肝心要の情報を極秘にすると居直っている。
茨城県東海村にある原子力機構のリサイクル機器試験施設(RETF)は、「もんじゅ」「常陽」のブランケット燃料から高純度プルトニウムを抽出する高速炉用再処理工場である。日帝にとって軍用プルトニウム獲得の最後の関門をなす最重要の核施設だ。1995年に着工し試験棟完成・一部研究機器搬入後、状況不明が続く。同施設では、照射済みブランケット燃料からのプルトニウムとウランの分離速度を決定的に速める遠心分離接触器の核軍事技術が米国から日本に移転されたことが暴かれている(『グリーンピース・レポート』)。
帝国主義・大国間の争闘戦において最も激しい攻防の焦点をなす核技術といわれる高速増殖炉のプルトニウム生産とその再処理をめぐり、極秘裏に日米帝間で核軍事技術の共同研究と移転が行われている。
米帝は、敗戦帝国主義・日帝の核武装衝動を抑えつつ、その野望を世界核支配戦略・対日戦略および米軍需産業の利権構造の中に組み込み、自己の利益に沿うように規制しコントロールしてきた。一方、日帝は核武装化のために、日米同盟・日米原子力協定のもとで「原子力の平和利用」を大義名分として米帝などから核技術・機器・プラントを導入しつつ、軍用プルトニウム生産体制の形成を推進してきたのだ。
核はコントロールできない
高速増殖炉「もんじゅ」は、@暴走しやすい、A燃えやすいナトリウムを冷却材に使っている、B地震に弱い、C猛毒のプルトニウムを燃料にしているなどの特色をもち、重大事故を不可避とするきわめて危険な原子炉である。実際「もんじゅ」は1995年12月8日にナトリウム火災大事故を引き起こした。また原子炉建屋などの直下に活断層があることも確認されている。
3・11福島原発事故で、核はコントロールできないこと、被曝労働・放射能汚染をもたらす原発(核)は労働者人民と相いれないことが明白となった。そして「もんじゅは決して発電炉ではなく、超核兵器級プルトニウム生産炉である」(吉田義久著『アメリカの核支配と日本の核武装』)という核武装問題。また、もんじゅの約1兆円という巨額の建設・運転費用と1日5500万円の維持費。これらを考えれば、原発とともに「もんじゅ」を即時廃炉にするのは当然だ。
世界大恐慌の深まり、米帝のアジア重視(対中国)戦略のうち出しのなかで、没落帝国主義・米帝と脱落帝国主義・日帝は、核政策を軸に相互の利害をかけた同盟と争闘のあつれきを激化させ、世界戦争(核戦争)への道を促進しつつある。核を必要とする帝国主義を一刻も早く打倒することは歴史的急務だ。
3・11と反原発闘争の高揚は連合をとおした日帝の労働者支配を切り裂き、東電や原子力機構を始めとする核施設で働く労働者にも、反原発・反核の気運をもたらし決起を促している。首相官邸前を始め全国で粘り強く闘われる原発再稼働阻止・全原発をなくせの巨万人民のうねりを12・8「もんじゅ」現地闘争に合流させ、原発廃炉・核燃解体を実現する大前進をかちとろう。
(河東耕二)
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2012もんじゅを廃炉へ!全国集会
12月8日(土)午前11時〜午後4時
▼現地抗議集会と原子力機構申し入れ
午前11時〜 白木海岸(福井県敦賀市)
▼もんじゅ廃炉を求める全国集会
午後1時30分〜4時 きらめき港館
主催 2012もんじゅを廃炉へ!全国集会実行委員会
▼午後4時から敦賀市内デモ
主催 NAZEN、8・6-8・9実行委員会
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週刊『前進』(2563号4面2)(2012/12/03 )
“安全宣伝ふざけるな”
NAZEN杉並が月例デモ
11月22日午後7時出発で、毎月恒例となったNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)杉並の阿佐ケ谷デモを、30人強の参加で杉並区役所まで貫徹しました。今回もネットでデモを知ったという、ドラム持参の新しい参加者もありました。それほど多い人数ではありませんが、デモの集中力と迫力では、どこのデモにも負けないと自負しています。
今回のデモの第一の目的は、12月15日から福島で開催される日本政府主催、IAEA(国際原子力機関)共催の「原子力安全に関する福島閣僚会議」に抗議し、弾劾することです。コールも青年を中心に議論してつくったもので、「原発推進IAEA 福島くるな!」「安全キャンペーン ふざけるな!」「がれきと除染で 金もうけすんな!」。さらに、総選挙―都知事選挙情勢に対して、「野田・安倍・石原・橋下打倒!」「今だ、デモだ、ストライキだ!」の声を、杉並の街にとどろかせました。
「原子力安全に関する福島閣僚会議」は、除染をより徹底させることによって安全な福島に帰還することができるという、許しがたいキャンペーンの場です。そして、「福島は収束したのだから、原発政策の継続に何の問題もない」と、国際機関であるIAEAがお墨付きを与えようとするものであり、絶対に容認することはできません。IAEAとは何か。アメリカ帝国主義の核独占体制のもとに「核管理」を行う、原発推進のための国際組織です。NAZEN杉並では、こうした分野についての学習をもっともっと掘り下げることも含めて議論し、今回のデモに臨みました。
また、総選挙―都知事選挙過程での「脱原発」キャンペーンが、けっして福島の人びとの怒りと切り結んだものではないこと、結局は現状容認に陥っていくものであることなど、NAZENの原発絶対反対の論理をより深めていくものとして議論していきたいと話し合っています。
12月も13日(木)に、IAEA弾劾第2弾デモを予定しています。また3日(月)には、学習会「『ビキニ事件』と杉並の原水爆禁止運動」(後編)を開く予定です。 もっともっと広がりをつくって、2013年に向けたNAZEN杉並の運動的・組織的強化を図っていきたいと思います。(NAZEN杉並 北島邦彦)
(写真左 「野田・安倍・石原・橋下打倒!」。青年が先頭でデモコール【11月22日 杉並区】)
(写真右 宣伝カーの横断幕の訴えに多くの人が注目)
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週刊『前進』(2563号4面3)(2012/12/03 )
NAZEN長崎 政府の「脱原発」斬る
直ちに廃炉求め集会
11月18日、「すべての原発いますぐとめよう! 全国連絡会議ナガサキ(NAZENナガサキ)」の集会が長崎市内で開催され、約30人が集まりました。(写真)
この集会では「政府の『脱原発』政策を斬る」と題して、物理学者の藤田祐幸さんが講演。講演の中で、政府・原子力規制委員会は報告書の中で、今後玄海原発などが事故を起こした場合、1週間に100_シーベルトの被曝までをも住民に容認させようとしていることを指摘し、「こうした形で許容量を上げていけば、原発は当然にも『安全』ということになる」と弾劾しました。そもそも現行の年間1_シーベルトという被曝許容量が、科学的な根拠に基づかない政治的に操作された数字であり、それを具体的な資料をあげて明らかにしました。そして原発はただちにすべて廃炉にすべきことを訴えました。
この集会では、事故後に福島から九州へ移住した人の発言もありました。「3号機が爆発したとき、これは危ないと思って、5分で荷物をまとめ、家族と一緒に避難した。1カ月後に帰ったら、『安全』と言っているけど、やはりおかしいと思い、家族は避難させて自分は一人で福島に残った。だが、ガイガーカウンターを買って測ると、どこでもスイッチを入れた瞬間に鳴り出す。事実を隠して、ごまかして、今の世の中は本当におかしい。原発は絶対に反対! 希望したら誰でも避難できる、そんな社会にしていきたい」と訴えました。
11月11日の東京での反原発100万人大占拠に参加した橋里事務局長は、どしゃぶりの中の11日の闘いを報告し、さらに今後の方針について提起をしました。何よりも原発再稼働に反対し、すべての原発を即時停止していく闘いを長崎で推進していくこと、また多くの人の支援によって12月1日からふくしま共同診療所が開院へとこぎつけたこと、さらに福島への支援運動をさらにいっそう進めていくことが訴えられました。そして来年3・11を見据えて闘っていこうと強調しました。
集会は質疑応答も含めて熱心な討論となりました。この集会の成功を大きなバネにして、長崎での反原発闘争のいっそうの発展をつくりだしていこうと思います。
(NAZENブログから転載)
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週刊『前進』(2563号4面4)(2012/12/03 )
官邸前 “母親の怒りを聞け”
持続する金曜日の熱気
11月23日夕方、首相官邸・国会前、文科省前などに多くの労働者人民が集まり闘いぬいた。昼に開催された「星野再審全国集会」を終え、全学連の学生やNAZENの仲間も駆けつけた。官邸・国会前では、いつものように「大飯を止めろ!」「大間つくるな!」「子どもを守れ!」の熱い怒りのシュプレヒコールが夜空にこだました。
官邸前でスピーチが始まった。島根県から来た女性は「島根3号機建設継続は認めない。島根原発の近くには活断層がある。事故があったらどうするのだ。私たちは避難先に広島や岡山が指定されている。46万人の住民に逃げろと言う。原発こそ出て行け!」と腹の底から怒りを表明した。
目黒区から来た女性は「この1年半、原発反対の活動をしてきました。母親の怒りを聞け! 叫びを聞け! 原発はいらない。本当にいらない。子どもを守れ。私たちはあきらめない。これからも原発反対の活動を続けていく」と不屈に闘いを続けると宣言した。
北海道から来た女性は「北海道は雪が降って寒いが、毎週金曜日夜、若い人が中心になって頑張っている」と報告し、「チェルノブイリの子どもたちの保養活動をやってきた。それが今、福島原発事故で役に立つとは思わなかった。保養に来た子どもたちが『原発いらない、子どもの命を守って』と言って帰って行った。私たちは”原発いらない、子どもの命を守れ”のふたつを突きつけられている」と端的に語った。
国会正門前でも多くの人が発言した。茨城県から来た女性が、小学校6年生の娘さんと登壇。「茨城県は東海村に原発があります。県庁の隣にある日本原電茨城総合事務所の前で、毎週金曜日午後6時から7時半まで抗議行動をしています」と紹介し、「原発は再稼働でなく廃炉にしろ!」とひときわ大きな声を張り上げた。進学のため今年上京した、福島県郡山市出身の女性は「初めて国会前の行動に参加しました。事故当時は高校に通っていました。爆発したときも自転車で学校に行った。私の家族や友人が今も放射能の危険にさらされています。それが悲しいです。福島に帰ると、子どもは線量計を付けて学校に通っています。原発はなくすべきです」と思いを語った。
文科省前と、続いて財務省前ではふくしま集団疎開裁判の会の人たちが抗議と宣伝行動を行い、弁護団長の柳原敏夫弁護士や光前幸一弁護士、会の人たちがマイクを握って訴えた。
12・16総選挙、都知事選挙情勢のなかで既成の政党が離合集散を繰り広げ、ブルジョア議会制度の枠内で原発をなくすことが可能であるかのような幻想を必死であおっている。だが、官邸・国会前行動を先頭とする全国の行動と、動労水戸などの労働組合の闘いこそがすべての原発をなくす道だ。フクシマとつながり、毎週金曜日の首相官邸・国会前行動、全国の行動を全力で闘おう!
(写真 全国から駆けつけた参加者が「原発なくせ!」と訴えた【11月23日 官邸前】)
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週刊『前進』(2563号5面1)(2012/12/03 )
政府・IAEAの福島閣僚会議許すな
国際的圧力で原発を維持し子どもにさらに被曝を強制
12・14〜16福島・郡山行動へ
「原子力安全の強化」へ154カ国の閣僚らが参加
12月15〜17日に福島県郡山市で、日本政府主催・IAEA(国際原子力機関)共催で、「原子力安全に関する福島閣僚会議」が開かれる。15日午前の本会合から始まり、16日と17日の三つの専門家会合をはさんで、17日午後の閉会の本会合まで実に3日間に及ぶ。参加者はIAEA加盟154カ国の閣僚ら約千人。14日には参加者の県内視察と「被災地産品の安全性に関するワークショップ」、15日夜には福島県主催の歓迎レセプションが予定され、郡山の商店街では「万全のおもてなしを」と歓迎ムードがあおられている。
この福島閣僚会議は、福島原発事故を居直って原発を推進し続けるのが最大の目的だ。そのために、事故による深刻な被曝や放射能汚染をすべて「安全」と言いなし、フクシマと全国の怒りを押しつぶそうとしているのだ。日本政府は昨年3・11以降、特に昨年12月の「原発事故収束」宣言以降、そうした攻撃を続けてきた。しかしその大うそは見破られ破産を重ねてきた。「福島を返せ! 原発なくせ」という声は今や巨万の声となって日本と世界にとどろいている。だから今度は、IAEAという国連機関の権威と圧力をもって、原発政策の維持と推進、そして被曝強制の大攻撃を仕掛けてきたのだ。
そもそもIAEAが福島県で閣僚会議を開催すること自身が絶対に許せない。86年のチェルノブイリ原発事故の際にも、事故現地での国際会議はできなかった。IAEAは、アメリカ帝国主義など核保有国が核兵器を独占し原発を推進するためにつくった国際機関である。ICRP(国際放射線防護委員会)やWHO(世界保健機関)も実質的にIAEAの支配下にある。「年間100_シーベル未満はリスクなし」という非科学的な基準を決めたのもIAEAとICRPである。IAEAとは核・原発・放射能に関する世界最悪の機関、被曝による殺人を容認してきた極悪組織だ。
福島原発事故を引き起こした張本人でもあるIAEAが福島に来ること自体、どんなことがあっても許してはならない。
しかもIAEAのトップに位置する事務局長は現在、09年に「唯一の被爆国・日本」を売りにして日本人で初めて就任した天野之弥(ゆきや)である。日本帝国主義こそがこうした殺人行為をすべて担っているのだ。
事故の「知見と教訓」基に再稼働も輸出も推進
福島閣僚会議の中身は、外務省が発表している「開催目的」や専門家会合のテーマを見れば明白だ(全文別掲)。
そこでは「事故から得られた更なる知見及び教訓を閣僚及び専門家レベルで国際社会と共有し、更に透明性を高め……」と言う。政府・東電がグルになって福島第一原発事故の真因を今なお隠し続け、福島県民健康管理調査をめぐっては「秘密会」を開き、大飯原発の真下に活断層がある事実をごまかしている。何が「透明性」だ!
「事故から得られた知見と教訓」とは、直ちにすべての原発を廃炉にすること以外にあり得ない。福島第一原発は1年8カ月たった今も日々、大量の放射性物質をまき散らし続け、核燃料はメルトダウンしたまま手もつけられず、原発労働者は過酷な被爆にさらされている。
しかし福島原発事故が引き起こしたこの深刻な被害について何ひとつ反省しないどころか、まったく逆に、その「知見・教訓」を基に原発の「安全」を強化し、大飯原発に次ぐ他の原発を再稼働させようとしているのである。こんなことがどうして許せるか!
しかも福島閣僚会議の狙いは、日本だけでなく国際的にも原発政策を推進し、さらに日本の原発輸出まで容認することにある。
外務省文書にある「IAEA行動計画」とは、昨年9月に策定され、“福島第一原発事故を機に安全基準を強化する”、そのために“IAEAからの調査チームを自発的に受け入れる”としたものである。福島原発事故のような原発の大事故を防ごうというのではない。事故をも機にして、まだ原発を導入していない国も含めてアメリカ帝国主義の核独占と日本の原発技術の支配下に置こうとしているのだ。米・日が争いながらも日米安保を強めつつ、核不拡散と原発推進、さらには日本の原発輸出を進めようというのだ(本紙前々号4面参照)。
外務省文書には「IAEA行動計画の実施を含む原子力安全の強化に関する国際社会の様々な取組の進捗状況を議論する」とある。それは今指摘したようなIAEAと米・日による支配と統制をますます強めるということである。これはアジアにおける米日帝国主義による安保強化と侵略戦争の動きと一体だ。12月福島閣僚会議は、こういう帝国主義の本性をむき出しにした会議なのだ。
県とIAEAが共同で被曝強制の拠点を設置
さらに重大なのは、開催目的を「放射線からの人及び環境の防護のための措置」とし、同じ名の専門家会合が予定されていることである。これはこれまで主に日本政府と福島県が対応してきた福島における放射線被曝と放射能汚染に関して、IAEAと国際帝国主義が大々的に乗り出すということだ。「防護」や「健康管理」「除染」を掲げながら、今まで以上に深刻な被曝を強制しようとしているのである。今回の閣僚会議の最大テーマはこの点にある。
福島閣僚会議の過程では、IAEA天野事務局長と佐藤県知事が協力文書に署名することが予定されている。福島県は除染や放射線対策の拠点として三春町と南相馬市に「県環境創造センター」(仮称)を設置し、15年度にも開所しようとしている(上図)。200億円プラス用地取得費という巨額を投じる巨大プロジェクトだ。ここにIAEAが恒常的な拠点を置く。すでに11月3日には環境省が、ICRPや福島医大の協力のもとで除染などをめぐる「対話集会」を開いた。
さらに福島閣僚会議ではIAEAと福島医大が共同プロジェクトの具体案を正式発表しようとしている。福島医大は11月20日、「ふくしま国際医療科学センター」を発足させた。“住民の健康管理を担い、健康不安解消を目指す”というこのセンターの本性は、「(被爆者を)検査すれども治療せず」と言われた旧ABCC(広島・長崎の原爆投下後に米政府が設立した調査機関・原爆傷害調査委員会)よりさらに極悪だ。
日本政府とIAEAは国際的圧力のもとで今まで以上に被曝と汚染地への帰還を強制しようとしているのだ。さらに「秘密会」の暴露で怒りの的となっている県民健康管理調査を「国際的承認」のもとで続けようとしているのだ。こんなものは子どもたちへの一層の被曝の強制、環境のさらなる破壊でしかない。
「私たちを抜きに、福島のことを決めるな!」
外務省は「福島の復興に向けた確かな歩みを国際社会に発信する」「福島の復興にも資する機会とする」とも言っている。「復興」と言うのならフクシマを返せ! 何よりも原発事故を引き起こした政府と東電、資本家連中は責任を取れ!
3・11以降、福島と全国で数々の非道を平然と行い、今また福島閣僚会議で原発と放射能で命を奪おうとする者たちを、私たちは絶対に許さない。
今や世界人民の声となった「ノーモア・フクシマ」の声を、福島閣僚会議にこそたたきつけよう。全国の労働者人民はフクシマの怒りとつながってともに行動しよう。
「原発いらない福島の女たち」が12・14〜16の福島・郡山行動を呼びかけている。スローガンは「私たちを抜きに、福島のことを決めるな!」だ。このあまりにも当然の要求をすべての労働者人民の共通のスローガンとして、12・14〜16福島・郡山行動、12・15の日比谷野音集会に駆けつけよう!
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原子力安全に関する福島閣僚会議 2012年12月15〜17日
開催目的
国際的な原子力安全の強化に貢献することを主な目的としている。東京電力福島第一原子力発電所事故から得られた更なる知見及び教訓を閣僚及び専門家レベルで国際社会と共有し、更に透明性を高め、そして、放射線からの人及び環境の防護のための措置並びに国際原子力機関(IAEA)行動計画の実施を含む原子力安全の強化に関する国際社会の様々な取組の進捗状況を議論する機会とする。また、福島の復興に向けた確かな歩みを国際社会に発信するとともに、福島県と1AEAとの協力を強化する契機とし、福島の復興にも資する機会とする。
スケジュール
■12月15日(土曜日)
◎9時30分〜12時30分 本会合
共同議長:玄葉外務大臣、マレーシア閣僚級
◎12時30分〜14時00分
日本国外務大臣主催ワーキングランチ
◎14時00分〜17時00分 本会合
◎18時30分〜20時00分 福島県主催歓迎レセプション
■12月16日(日曜日)
(必要に応じて本会合を以下と並行して継続)
◎10時00分〜13時00分 専門家会合セッション1
「東電福島原発事故からの教訓」
◎15時00分〜18時00分 専門家会合セッション2
「東電福島原発事故を踏まえた原子力安全の強化」
■12月17日(月曜日)
◎9時00分〜12時00分 専門家会合セッション3
「放射線からの人及び環境の防護」
◎13時00分〜14時00分 本会合(閉会セッション)
開催地 郡山市・福島産業交流館ビッグパレットふくしま
主催者 日本国政府
共催者 国際原子力機関(IAEA)
参加者 IAEA加盟国、関係国際機関等
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週刊『前進』(2563号5面2)(2012/12/03 )
福島集団疎開裁判高裁第2回審尋
“子どもの避難を”デモと交流会 支援広がる
11月26日、「ふくしま集団疎開裁判」の第2回審尋が仙台高裁で行われた。同裁判は昨年6月、郡山市内の小中学生14人が「年1_シーベルト以下の安全な場所での教育の実施」の仮処分を福島地裁郡山支部に求めたものだ。しかし12月16日の福島地裁の決定は「却下」。「年間100_シーベルト未満の低線量被曝による健康への影響は実証的に確認されていない」と県放射線健康リスク管理アドバイザー・山下俊一ら御用学者の主張を丸のみして、「子どもを避難させる必要はない」と結論づけたのだ。
即時抗告の申し立てと支援の輪の広がりの中で、仙台高裁は10月1日に高裁としては異例の審尋を開き、今回は第2回の審尋だった。前回を引き継ぎ、今回も昼から夜まで「ふくしま集団疎開裁判・仙台アクション」が取り組まれた。
正午に仙台市・肴町公園に集合し、一番町商店街などの繁華街から仙台高裁前を通って肴町公園に戻るデモが行われた。ふくしま集団疎開裁判の会の井上利男代表や「原発いらない福島の女たち」の武藤類子さんを先頭に、降り出した雨にも負けず「子どもを守ろう! みんなで守ろう」「みんなで疎開! 子どもはすぐに」などのコールを唱和しながら行ったデモは、沿道の人びとの多くの注目を集めた。
午後2時半から仙台地裁で第2回審尋が行われた。仮処分申請では傍聴ができないが、デモを終えた仲間たちは裁判所に入って、多くの支援と共感が集まっていることを裁判所にアピールした。
午後3時、仙台弁護士会館で「市民交流会・第1部」が始まった。「ふくしま集団疎開裁判」東京アクショングループの演劇班は寸劇で、郡山の子どもたちの被曝の深刻さと山下ら御用学者の許し難さを訴え、「今すぐ子どもたちを疎開させよう」と呼びかけた。
(写真 井上利男代表【右端】や武藤類子さん【左から2人目】を先頭に一番町商店街から仙台高裁前を通ってデモ【11月26日 仙台市】)
第3回審尋が1月21日に決定
そこに審尋を終えた弁護士が合流した。滋賀県から駆けつけた井戸謙一弁護士は「第3回の審尋が1月21日午後2時に設定された。私たちは裁判所に『書面のやりとりばかりでなく参考人の意見を直接聞くべき』と求めたが、それは認められず。次回までにさらに子どもたちをただちに避難させる必要性について立証していく」と述べた。
東京の光前幸一弁護士は「裁判所は郡山の子どもたちから明確な健康被害が出ない限り疎開を認めないのか。日本の公害裁判はこれまで常にそういう闘いだったが、その現実をなんとか突き破りたい」、柳原敏夫団長は「市民の声と関心こそが裁判所を動かす力。さらに大きな力をつくり出そう」と訴え、活発な質疑と討論が続いた。
(写真 第2回審尋が終わった後、弁護士の報告に真剣に聞き入る支援者【仙台弁護士会館】)
屋外イベントに子どもを大動員
午後6時からは会場を移して「市民交流会・第2部」が行われた。井戸弁護士が「集団疎開裁判の成果と課題」、武藤類子さんが「福島の現状と国・東電の責任追及」と題して問題提起。武藤さんは「福島では子どもたちが『復興』『安全・安心』キャンペーンのための屋外イベントに駆り出されています。『風評被害に負けないため』という名目で、福島市大波地区と柏市が地元産の米を交換して給食に使っています。こうした現実に抗するため、疎開裁判の支援運動を全国に広げましょう」と呼びかけた。
宮城県や福島県、関西、東京など各地から駆けつけた参加者が「子どもたちを守るために何ができるか」と真剣に話し合い、「1月21日の第3回審尋に向けて周りの人に声をかけて支援を広げよう」と確認しあった。
最後に主催者が「原発いらない福島の女たち」の12・14〜16の福島・郡山アクションのチラシを紹介して、「まずはそれぞれの地元からこの3日間の行動に集まろう」と呼びかけた。
福島の子どもたちの甲状腺検査では実に44%から結節・のう胞が見つかった。「これ以上子どもたちを被曝させるな!
避難させろ! 子どもたちの命と健康を守れ!」の声を上げ、裁判所を包囲しよう!
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週刊『前進』(2563号5面3)(2012/12/03 )
福島閣僚会議に抗議を
ふくしま集団疎開裁判の会代表 井上利男さん
今回、仙台高裁が第3回目の審尋を1月にも入れることを決めました。しかし私は状況を楽観視してはいません。
この裁判で福島地裁が「却下」という判断を下したのは昨年12月16日。野田首相が福島第一原発事故の「収束」を宣言したのと同じ日でした。
この直前の11月28日、内閣官房「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」の会合で、ICRPのクリストファー・ クレメント科学事務局長が「ICRPと事故後の(放射線)防護に関する提言」を行い、同じくICRPのジャック・ロシャール主委員会委員は「緊急時から被曝継続状況への移行」を提言しました。
こうしてICRPから「年間20_シーベルト基準」にお墨付きをもらったことを受けて野田首相は「収束」を宣言し、福島地裁は「子どもたちを避難させる必要はない」と決定したわけです。
それと同じことが今、繰り返されようとしています。12月15〜17日に郡山で開催される「原子力安全に関する福島閣僚会議」です。そこで日本政府と福島県は、またも国際的な「お墨付き」を得ようとしているのです。実に恐ろしい問題です。私はこの会議が集団疎開裁判の行方にも影響すると考えています。
さらに福島県はこの会議で、「世界中から集まる閣僚たちに福島が復興している姿を見てもらおう」と考えている。全世界に「福島はもう大丈夫だ」と大宣伝して、原発政策を維持していこうとしているのです。本当に許せません。
そういう意味で私はこの会議に抗議する12・14〜16の直接行動が重要だと思っています。
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週刊『前進』(2563号5面4)(2012/12/03 )
“農地は農民の命と同じ”
市東さんの会シンポジウム 裁判闘争が正念場に
11月25日、「市東さんの農地取り上げに反対する会」が主催するシンポジウムが、千葉市生涯学習センターで開かれました。「いま『公共性』を問いただす――原発、沖縄、成田の農地裁判」と題したこのシンポジウムは、同会の継続した取り組みとして毎年開かれている集会です。今年も千葉県内を中心に労働者、農民、学生、市民が多数駆けつけ、三里塚反対同盟も総出で参加し、市東さんの農地を守る運動を一層広げていく重要な集会となりました。
会の共同代表で秋田県の農民である坂本進一郎さんの開会のあいさつに続き、第1部は早速、市東孝雄さんの登場です。畑、農作物、作業風景などのスライド写真がスクリーンに映し出され、市東さんが質問に答える形で、今年は天候不順に大いに悩まされながら旬の野菜を届けてきた苦労を語りました。私たちが口にする野菜の一つひとつが、農民の真剣な取り組みの結果であることを実感させられます。この豊穣(ほうじょう)な農地が、そして日頃使われている作業場、農機具置き場、離れなどが成田空港会社(NAA)によって明け渡しを求められていることの理不尽さが、あらためて伝わってきました。
顧問弁護団による裁判解説を交えながら、市東さんが裁判への率直な思いを語りました。「この間のNAAや国交省役人の証人尋問を聞いていて、胸ぐらをつかんでやりたいような気持ちでした。自分たちの作った筋書きをいいように語り、都合が悪いことは“知らない”“前任者がやった”と逃げる。聞くに堪えない。農民にとって農地は自分の命と同じです。それを取り上げるとは、死ねということ。祖父の代から90年耕してきた肥沃(ひよく)な土地を、デタラメ極まりないやり方で取られることは我慢できない。最後まで闘うしかないという気持ちで裁判に臨みます」。そして市東さんの本人尋問が行われる来年2月4日には、「500人、600人が集まっていただき、裁判所が収拾つかなくなるくらいまで追いつめてほしい」と語りました。この気迫に参加者は圧倒されました。
第2部では「公共性を放棄する新自由主義国家――これをいかに転換させるか」と題して埼玉大学名誉教授の鎌倉孝夫さんが1時間半の講演を行い、「人間の生きる基盤を担う農業」の意義が展開されました。
全国農民会議に結集する県内の農民が発言に立ち、農業つぶしのTPPに断固反対し、市東さんの農地を守る闘いを全力で担う決意を述べました。そして勝利するために、動労千葉と反対同盟が築いてきた労働者と農民の連帯を一層強くする必要を訴えました。
活発な質疑応答を経て、群馬・市東さんの農地を守る会の闘争報告に続き、最後の主催者のまとめでは、これまでの裁判傍聴のねばり強い取り組みを積極的に確認しながら、「傍聴から一歩外へ出て闘う機会も増えるだろう。もっと現地に行く機会も増やそう」と強調されました。
市東さんの農地裁判は本当に今が正念場です。その緊張感と闘いの機運を全参加者が共有した集会でした。
(田宮龍一)
(写真 市東さんの農業への愛着が全参加者に届き農地守る闘いの機運を高めた【11月25日 千葉市】)
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週刊『前進』(2563号5面5)(2012/12/03 )
三里塚裁判傍聴を!
◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
12月10日(月)午後1時30分 千葉地裁
★萩原進事務局次長の証人尋問
◎団結街道裁判
12月18日(火)午前10時30分 千葉地裁
(傍聴券抽選のため1時間前に集合)
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週刊『前進』(2563号6面1)(2012/12/03 )
第3次アーミテージ・ナイ報告批判
没落米帝の新軍事戦略と一体中国との対峙・対決を強める
はじめに
世界は革命情勢だ。11月14日、23カ国1千万人の労働者が国境をこえた史上初のヨーロッパゼネストに決起した。一方、23日、EU27カ国の臨時首脳会議では1兆ユーロ 規模の歳出削減をめぐる中期予算協議が決裂、EU統合の矛盾が爆発し、EU崩壊の危機が激化している。そしてEU危機は、オバマ再選後の没落米帝を締め上げている。
米帝は今、「財政の崖」と呼ばれる深刻な事態を迎えている。年末にはブッシュ政権が導入した大型減税の期限が切れ(過去1兆5千億ドル)減税が失効する。また12年10月から執行される13会計年度予算が成立しておらず、このままでは13年1月2日には向こう10年間で最低1兆2千億ドルの歳出削減措置が自動的に発動される。債務残高が13年2月には法定上限額に達する見込みで、そうなると新規国債が発行できず政府は機能不全に陥る。3月31日には暫定予算が期限切れとなる。4月以降の暫定予算の成立も不透明だ。
さらに、4年連続の1兆ドルを超える米財政赤字、16兆394億ドルの債務残高(9月末時点)など、米帝経済の景気後退、デフォルト、ドル暴落と米国債の再引き下げという危機が米帝を締め上げている。
一方、日帝は「復興予算の転用」や「補助金」で「景気をふかす」「日本再生」のシナリオを組んでいたが、もろくも崩れている。「4年ぶりの景気後退」で物が売れず、雇用は悪化し、日帝経済は八方ふさがりだ。原発再稼働、オスプレイ強行配備、増税に対する労働者階級人民の怒りは日帝と非和解的に激突している。11・16衆院解散と都知事・石原の辞任は、脱落日帝の絶望的な危機の現れである。
統合戦力をアジア・太平洋に 世界大的な展開力は喪失
世界大恐慌と米国家財政の危機、イラク・アフガン戦争の敗退という現実から打ち出されたのが米新軍事戦略である(1月5日)。そして、8月に出された第3次アーミテージ・ナイ報告(注1)はこれと一体であり、この二つは没落米帝の根底的な危機を示している。
帝国主義間(大国間)争闘戦で今日もっとも深刻で危機的なものは、米帝の中国スターリン主義との対峙・対決、争闘戦の激化である。
オバマは最高位の米統合戦力をアジア・太平洋地域へ投入することを新軍事戦略で打ち出した。米新軍事戦略は、「挑戦的な世界の安全保障戦略」という情勢分析と「米軍の主要任務」で構成され、「2020年の統合部隊に向けて」という部分で締めくくられている。そして「米軍の主要任務」として次の10項目を挙げている。
@テロリズムと不正規戦(ゲリラ戦)に対処する。A侵攻を阻止し、侵攻されたら撃破する。B中国の「接近阻止/領域拒否(A2/AD)」戦略に対しても、戦力を投射する。C大量破壊兵器に対処する。Dサイバー・スペースや宇宙で効果的に作戦を展開する。E安全で有効な抑止力を維持する。F米本土を防衛し、民政当局を支援する。G安定化のためのプレゼンスを提供する。H安定化作戦と対ゲリラ戦を実施する。I人道的支援、災害派遣等の活動を実施する。
だがこの新軍事戦略が破綻の危機にある。その第一がイラン・中東危機の激化である。
オバマはイランへの経済制裁の強化に加え、今春以降、ペルシャ湾内の掃海艦を8隻に倍増し掃海用大型ヘリも4機増派、空母2隻を常時巡回させている。昨年湾内での掃海演習は米英日3カ国で実施、今年は中東諸国など30カ国超に拡大した過去最大の「国際掃海大演習」を強行し(9月22〜27日)、イランに軍事重圧を加えている。6月にペルシャ湾に新規配備した、掃海艦艇の指揮艦ポンセ(注2)は「公海上の基地」の役割を担い、米海軍特殊部隊の出撃拠点になっている。
イスラエルは10月24日、スーダンの首都ハルツーム南部の軍需工場を空爆した。この軍需工場ではイラン主導でイランの弾道ミサイル・シャハブが製造され、パレスチナ自治区ガザに輸送されている。今回の空爆は同距離にあるイラン核施設空爆の予行演習とも言われており、イスラエルではイランへの単独攻撃論が再浮上している。
イスラエルは11月14日からガザ地区の空爆を開始した。21日の停戦合意までに、ガザでの死者は162人に上り、1200人以上の負傷者が出ている。停戦後もイスラエル国内で爆破戦闘が起きている。
要するにイラン・中東危機は、オバマの思惑を超えて激化しているということだ。
自殺・脱走などで崩壊的危機
先に述べた「米軍の主要任務10項目」で明らかなように、米帝は対中対峙・対決を軸に不正規戦争の世界大的展開を維持し続けることを表明しているが、その戦力はすでに喪失しているのだ。
第二に、領土問題をめぐる日韓対立、日中対立の激化である。
米新軍事戦略の基軸は米日韓同盟とその強化である。領土問題と軍隊慰安婦問題をめぐる日韓対立の激化は、そのまま米新軍事戦略の危機・破綻に転化する。日韓政府レベルで合意したGSOMIA(軍事情報包括保護協定)とACSA(物品役務相互提供協定)の防衛協定の締結は、韓国労働者階級の闘いで阻止され、米新軍事戦略は「漂流」の危機にある。
第三が、米軍の崩壊的危機である。イラク・アフガニスタンに派兵された兵士は推定で230万人。帰還兵のうち30万人がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、そのほか32万人が脳に障害を負っている。アメリカでは毎日18人前後の元兵士が自殺している。アフガニスタンとイラクからの帰還兵だけでも自殺者は数千人にも上り、戦闘中の死者6460人を超える現役・帰還兵士が自殺に追い込まれている。過去8年間で海兵隊での脱走兵の数は7323人に及び、アフガンでは米軍基地内で米兵への戦闘が激発するまでに追い込まれている。これが米軍の実態なのだ。
日帝に軍事的要求突きつけ 原発再稼働、自衛隊海外派兵
米国防総省が8月に議会に提出した「米軍のアジア太平洋展開に関する第三者評価書」(戦略国際問題研究所〔CSIS〕作成)と、アーミテージ・ナイ報告(以下「報告書」)は、いずれも日米韓同盟・統合軍事体制強化の提言だ。「報告書」は日帝に「歴史問題に向き合い」「(日韓)防衛協定を締結し、3国間の軍事的関与を継続せよ」と激しく日帝に要求している。
アーミテージとナイの第1次報告(00年)は、日帝に対し有事法制の整備を要求した。第2次報告(07年)は、日米同盟を英米同盟のように変化させ中国スターリン主義を東アジアの枠内に取り込む意欲を要求した。
これらと今回の報告書との最大の違いは、「中国の脅威」を前面に押し出し、「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略を強化している中国に対して、米新軍事戦略と日帝の「動的防衛力構想」で対処すると明記、日帝に「飛躍(=米帝への屈服)」を突きつけていることだ。
報告書は、憲法停止状態で行った3・11での「トモダチ作戦」を実施した期間のあり方が日米同盟であり、24時間、365日の「トモダチ作戦の世界的展開」の実施を日帝に突きつけた上で、改憲と核武装は行うなとくぎを刺している。そして米日の軍事的一体的強化を大前提にした上で、日帝への争闘戦を激化させ、次の9項目の「勧告」を突きつけている。
(1)原発再稼働は「正しく責任ある前進」であり、米帝の核エネルギー体制維持のため、福島第一原発事故を引き起こした責任において「安全な原子炉の設計と健全な規制の実施を推進するリーダーシップ」を引き受けろ、それが日帝の「包括的な安全保障に不可欠な要素」としての「米日協力」である。(2)シーレーンの確保、イランの核の脅威に対する軍事重圧に積極的に関与せよ。(3)TPP(環太平洋経済連携協定)参加に加え、EESA(経済・エネルギー・安全保障に関する包括的協定)の交渉を行え。(4)日米韓の同盟を強化するために、延期されたGSOMIAとACSAの防衛協定を韓国と締結しろ。(5)インド、オーストラリア、フィリピン、台湾とともに、地域的フォーラムへの関与を続け、対中国包囲網の軍事的支援を行え。
(6)役割と任務の新たな見直しにおいて……地域的な不測の事態において米国とともに行う防衛を含む責任分野を拡大しろ。米日同盟は、日本の領域をかなり超える、より強健で、共有され、共通運用可能な「情報・監視・偵察」の能力と作戦を要求している。米軍と自衛隊が平和時、緊張、危機および戦争という安全保障の全局面において十分に協力して対応することが日本の責任当局である。(7)ホルムズ海峡封鎖が言葉で示され、またはその兆候が出た際は、日本は単独でこの地域に掃海艇を派遣しろ、また、米国と共同して南中国海の監視を増やせ。(8)二国間および国家の安全保障上の秘密を防護するため、防衛省の法的権限を強化しろ。(9)PKOでの武器使用の許容範囲を拡大せよ。
このように日帝に激しく突きつけているのだ。
職場闘争貫き米日帝打倒を
そして「米日同盟」に対する11項目の勧告、米帝に対する7項目の勧告を行っている。
要するに米帝は、「日本が強力な米国を要求している以上に、(米帝と一体化できる)強力な日本を必要としている」(序文)。まさに没落の危機にあえぐ米帝が、脱落日帝にどこまでも屈服せよと帝国主義間争闘戦を徹底的に激化させている。日帝は米帝から何を突きつけられても絶望的に日米同盟の強化に突き進むしかない。だがこれは必ず破綻する。なぜなら日帝政治委員会は、分裂と野合を繰り返し、労働者階級人民から完全に見放され、原発再稼働への怒り、オスプレイ配備と訓練強行への怒り、外注化・非正規職化攻撃への怒りが社会に充満しているからだ。
日米同盟の絶望的強化は階級矛盾を拡大し、沖縄県民を始めとする労働者階級人民の巨大な怒りが日帝を締め上げる結果となる。すでに帝国主義軍隊そのものが崩壊の危機にある。
欧州では1千万人超の国境をこえたゼネストがついに爆発した。世界は革命情勢だ。新自由主義への労働者階級民衆の怒りはプロレタリア世界革命によってしか収まることはない。世界大恐慌と戦争を世界革命に転化する情勢がすでに到来している。外注化阻止・非正規職撤廃はいまや全世界の労働者階級が生きるための共通の課題であり、4大産別の職場での闘いの前進を土台にした外注化阻止・非正規職撤廃は、プロレタリア革命の戦略的課題に押し上げられている。したがって闘う労働組合の再生が一切の核心である。
日米安保同盟粉砕・日帝打倒−プロレタリア世界革命へ、闘う米、中東の労働者階級と連帯し、資本との戦場である職場・生産点からともに総決起しよう!
〔革共同反軍闘争組織委員会〕
(注1)アーミテージ・ナイ報告 8月15日公表された、アーミテージ元米国務副長官とジョセフ・ナイ元国務次官補(現ハーバード大学教授)を中心とした超党派の外交・安全保障研究グループの、日米同盟に関する報告書「日米同盟アジアの安定をつなぎ止める」。00年の第1次報告、07年の第2次報告に続く報告。2人の共著となっている。
(注2)ポンセ 1971年就役の水陸両用のドック型輸送揚陸艦だった。1月、米国防総省高官が老朽化したポンセの廃棄を延期し、補修して海上に浮かべ中東地域での海軍特殊部隊の出撃基地として使う計画を発表。第5艦隊に配備。満載排水量2万6千トン。
原発の再稼働と推進を日本に迫る米帝
(アーミテージ・ナイ報告から)
原子力発電に対する国民の強い反対にもかかわらず、野田政権は2基の原子炉の運転を一部再開した。……われわれは、こうした状況下での原子力発電の慎重な再開は、適切であり責任ある措置であると考える。……
3月11日の悲劇を、経済的・環境的な一層の低迷の理由にすべきではない。原子力を安全に、クリーンに、かつ責任を持って推進し、利用することは、日本の包括的な安全保障において重要な要素となる。……原子力研究開発における日米協力は不可欠である。
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週刊『前進』(2563号6面2)(2012/12/03 )
危機深める中国・習近平体制
ストと暴動に直撃された党大会 スターリン主義の末期突入示す
11月8日から14日まで、北京で中国共産党第18回全国代表大会(党大会)が開催された。この大会は、欧州危機と対日関係のあつれきの激化の中で、急速に崩壊する中国バブル経済と労働者のストライキの嵐の中で開催され、新たに発足した習近平体制が中国スターリン主義の末期的な危機を象徴する政権であることを示した。
(写真 「仲間を返せ!」と警察署を包囲する矢崎総業の労働者たち。ストライキに対する弾圧にただちに反撃【11月24日 広東省汕頭市】)
人民の怒りを恐れ戒厳体制
大会は労働者をはじめ農民や漁民、学生などの怒りを恐れ、異常なまでの厳戒態勢下で開催された。武装警察や解放軍、さらに140万人もの民間人をも動員して北京に大々的な治安体制を築き、反体制ビラがまかれるのを防ぐためにタクシーの後部座席の窓を開けることや、市内の売り場で包丁やナイフの販売まで禁止した。反体制とみなされた人物は、北京から隔離されるか監視下に置かれた。そしてネット規制が強化された。
ここまでしなければ守りきれないほど、労働者人民の怒りに包まれた大会だったということだ。現にこの大会の過程、各地で労働者のストライキが爆発し、さらにチベット人の1万人デモをはじめ抗議行動が相次いだ(本紙第2561号参照)。
本来10月に開催される予定であった大会は11月にまでずれ込んだ。それはまず、中国スターリン主義の破産が政治的にも経済的にも極限まで進み、労働者の怒りが爆発し、その結果中国共産党内のいわゆる「改革派」と「保守派」の路線対立が激化し、党内人事が最後まで決まらなかったからである。
また一方で、次期総書記の習近平の健康問題があったとされる。その体調不良が党大会を延期させたひとつの原因とされている。
これらの事態は、発足したばかりの習近平体制の重大な危機を示している。
格差が拡大し腐敗はびこる
初日の8日に行われた胡錦濤総書記の「中国の特色を持った社会主義の道を固く堅持して前進し、小康(いくらかゆとりのある)社会の全面的な建設のために奮闘しよう」と題する政治報告は、中国スターリン主義の歴史的極限的な破産を赤裸々に示す報告となった。
この報告は第一に、現在の中国を「社会主義の初級段階」とし、「中国の特色ある社会主義」を強調し、胡錦濤自らが提唱した「科学的発展観」のもとに、「収入と分配の格差の拡大問題の解決」「共同富裕」を掲げ、「2020年には国内総生産、および都市と農村の住民の平均収入を2倍化する」と、所得倍増をぶちあげた。
「初級段階」論は、中国スターリン主義が社会主義・共産主義とはまったく無縁な、逆にそれを根幹から否定した体制であることを自ら暴露するものだ。
「中国の特色ある社会主義」とは、スターリン主義としての独裁政治を維持・強化することを何よりも意味している。また「科学的発展観」は、”経済発展とともに、格差是正など調和の取れた社会を目指す”という意味だが、これは提起された「所得倍増」とあわせて、逆にいかに今の中国経済の危機がすさまじく、労働者や農民が貧困を極め、格差が拡大しているかを自認するものだ。(この「科学的発展観」は、本大会で党規約が改定され、党の「戦略思想」から「行動指針」に格上げされた)
胡錦濤報告は、中国の格差社会の現実と中国スターリン主義体制の破産を自認したものにほかならない。そしてなによりも、搾取され収奪され奴隷のような状況にある中国労働者階級の相次ぐストライキや暴動的決起に対する中国スターリン主義の恐怖の声そのものである。
第二に、胡錦濤報告は党の腐敗問題を強調し、「この問題の解決ができなければ、党に対する致命的な傷害となり、党を滅ぼし国を滅ぼすに至る」と叫び、すさまじい表現でこの問題の深刻さを暴露した。腐敗が労働者の決起を呼び起こし、彼らを打倒することを予感しているのである。
この危機を反映して大会では、中央規律委員会を強化し、王岐山副首相をこの委員会のトップにあたる書記に据えた。だが腐敗問題はスターリン主義体制という体制自身が本質的にはらむ問題である。また実際に一番腐敗しているのは習近平をはじめ政治局常務委員のトップの7人だ。習近平一族の財産は約305億円ともいわれ、この資産と特権を背景に娘は米ハーバード大学に留学している。腐敗の問題は、まさに「党を滅ぼし国を滅ぼす」事態に発展しようとしているのである。
米日戦争政策に軍事で対抗
第三に、胡錦濤報告は1章を「全力でエコロジー文明を建設する」と題して環境問題に割き、中国での環境問題の深刻さを表明している。同様の文句は党規約にも新たに盛り込まれた。資本と政府が結託して強行する火力発電所や化学工場建設に反対する労働者、農民、漁民の数万人規模の暴動が中国各地で起きており、中国スターリン主義は追い詰められているからだ。
そして重要なことは、「断固として国家の海洋権益を守り、海洋強国を建設する」「国防建設を強化する目的は、国家の主権、安全、領土保全を守り、国家の平和と発展を保障するためである」として、米帝の対中対決政策の激化、釣魚島をめぐる日帝の侵略政策の展開に対して、スターリン主義的な戦争政策を対抗的積極的に推進することを宣言したことである。ここには中国スターリン主義の反人民性が鮮明に示されている。
抑えられない労働者の決起
このように、今回の中国共産党第18回全国代表大会は、中国スターリン主義の歴史的破産、その末期的な姿を示し、労働者階級の闘いによって倒される、倒されなければならない政権であることを示した。習近平政権が成立した2日後の17日には、習近平のかつての赴任地であった福建省寧徳市の福安で政府の支配と腐敗に怒る1万人の大暴動が起き、発足したばかりの習近平体制を直撃している。習近平体制は最初から「死」を宣告されているのだ。
世界大恐慌−欧州危機が深まり、日本とのあつれきが強まる中で、中国の日系自動車産業が行き詰まっている。広東省汕頭市汕頭経済特区にある日系・矢崎総業の自動車部品工場で、リストラと全面非正規化に反対して16日から始まった1万3千人のストライキは、いぜん続いている。企業側の暴行や警察への連行・勾留などの弾圧に対し、女性労働者を先頭に不屈に闘い反撃し、闘いを拡大している。
「外注化阻止・非正規雇用撤廃」の闘いを職場で貫いて、習近平体制打倒へと進む中国の労働者階級との団結をかちとり、反帝・反スターリン主義世界革命への道をともに切り開こう!
(河原善之)
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週刊『前進』(2563号6面3)(2012/12/03 )
11月20日〜26日
ガザ、停戦が成立/大飯の活断層調査報告は2月以降
●日本の新幹線、インド採用へ 野田佳彦首相とインドのシン首相は、カンボジアのプノンペンで会談し、インドの高速鉄道構想で「日本の新幹線システム採用を念頭に具体的に協議を進める」ことで合意した。(20日)
●ガザ、停戦が成立 パレスチナ自治区ガザ情勢をめぐり、停戦交渉を主導していたエジプトのアムル外相が、ガザを実効支配しているイスラム組織ハマスとイスラエルとの停戦が成立したと発表した。(21日)
●中間貯蔵施設、年度内立地選定困難
南川秀樹環境事務次官は、福島県内の除染で出る汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設の立地選定について、工程表で示した今年度中の決定は困難との認識を示した。(22日)
●沖縄で米兵をまた逮捕 沖縄県警は、米海兵隊キャンプ・コートニー所属の1等兵(20歳)を建造物侵入の疑いで逮捕した。米兵による侵入事件は3週間で3件目。(22日)
●女川・東通原発も誤り 原発で重大事故が起きた時に放射性物質がどのように拡散するかを示した予測図に誤りが相次いでいる問題で、東北電力は女川(宮城県)と東通(青森県)の予測に使われた気象データに誤りがあったと発表した。(22日)
●大飯の活断層調査報告は2月以降
関西電力は大飯原発(福井県)の敷地内にある断層が活断層かどうかを判断するための追加調査の計画を原子力規制委員会に提出。来年2月中旬以降にいったん結果をまとめる。(22日)
●脱原発「容易ではない」 国際エネルギー機関(IEA)のマリア・ファンデルフーフェン事務局長は、野田首相が表明した「2030年代に原発ゼロ」方針について「容易ではない」と慎重な判断を求めた。(22日)
●普天間移設の埋め立て申請先送り
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐり、野田内閣は年内の埋め立て申請を見送る方針を決めた。(22日)
●無料検診、作業員の3・7% 東京電力福島第一原発で原発事故から今年9月までに働いた2万4118人のうち、国と東電のがん検診制度を無料で受けられるのは904人で全体の3・7%にとどまることが判明。国と東電が50_シーベルト超の放射線を昨年12月の野田政権の事故収束宣言までに浴びた場合に限るとしたため。(22日)
●夜10時超え着陸11回 米海兵隊が普天間飛行場に強行配備したオスプレイが、午後7時以降の夜間飛行訓練を実施した1カ月で、計9日間のうち騒音防止協定が制限している午後10時以降の飛行は計6日間11回だったことが分かった。(23日)
●電力社員兼議員99人 原発を持つ全国の電力会社9社に、現役社員のまま地方議員になっている「社員議員」が99人いることが分かった。(25日)
●福島の健康調査「不十分」 福島第一原発事故の影響を調べるため来日した国連人権理事会のアナンド・グローバー助言者が、福島県民への健康調査について「不十分」と指摘した。(26日)
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週刊『前進』(2563号7面1)(2012/12/03 )
学生の決起は歴史変革の原動力
自治会建設と反原発闘争軸に全学連運動の本格的大飛躍を
革共同中央学生組織委員会
12・16総選挙に向かう過程は、青年・学生の未来を決する大決戦だ。「国家の危機を救え」と絶叫し「戦争と大失業」を推し進めるブルジョアジーの攻撃に押しつぶされ、あるいは新自由主義への怒りを「選挙の一票」という体制の枠内に押しとどめてわれわれを再び資本主義の鎖につなぎとめることを許すのか、それとも自らの団結と行動こそが歴史変革の原動力であると確信して、労働組合・学生自治会をよみがえらせて革命に立ち上がるのか。300万学生のみなさん、歴史選択=党派選択=人生選択の時は今だ。人間社会をさらに崩壊させることでしか延命できない資本主義にとどめを刺し、「帝国主義打倒・スターリン主義打倒」の世界革命をやろう。その最先頭で、世界を揺るがす学生運動を爆発させよう。
東北大自治会選挙決戦に勝利しよう
11月27日の東北大一日行動は、新自由主義攻撃と対決し学生自治会建設の闘いを圧倒的に飛躍させる展望を切り開いた。法政大−京都大−福島大−広島大の闘いに続き、被災地・仙台の東北大からも怒りの火柱が上がった。
何より、東北大当局と徹底対決し、キャンパスを学生の手に奪い返す大激突・大激動情勢を手繰り寄せている。東北大学生運動は、全国自治会運動・寮運動・サークル運動の最先頭で闘い抜いてきた。2000年に国立大学法人化=「教育の民営化」に対して渾身(こんしん)のバリケード・ストライキをたたきつけて以降、01年からの学生自治会非公認化と有朋寮廃寮攻撃、04年からのサークル「内規」適用という自治破壊攻撃とも敢然と対峙し、全学連の闘う拠点として屹立(きつりつ)してきた。その戦闘精神は、06年から始まる徹底非和解の法大闘争に受け継がれさらに発展している。2012年、世界大恐慌と3・11情勢の中で追いつめられた東北大当局が自治拠点の壊滅を狙って襲いかかってきたが、それに強烈な反撃をたたきつけた。
キャンパスにおける動と反動との激突の中から、自治破壊攻撃と生き方をかけて対決する主体が感動的に生み出されている。東北大当局は10年以上かかっても、当局の手先となって学生を支配する「御用学生団体」を一つも生み出すことができないまま、東北大生とのむき出しの激突の戦場に引きずり出された。勝利の展望も確信もわれわれの側にある。
東北大学生運動は、今年6月の京大全学自治会同学会再建の大勝利を引き継ぎ、さらに福島大生の怒りと一体化し、「反原発闘争を全力で闘い『大学改革』攻撃を粉砕する学生自治会」の不抜の確立へ大飛躍する。とりわけ、現在東北大当局の卑劣な妨害策動を日々はね返して打ち抜かれている学生自治会執行部選挙(11月29日〜12月7日)に大勝利する。全国学友は東北大生の感動的な決起に続こう。
新自由主義大学を覆す反原発の闘い
11・27行動の集会で東北大生は、「原発事故以降明らかになった原子力ムラの腐敗と支配構造が許せなかったから、私たちは反原発闘争に全力を傾注してきた」「その原子力ムラの最も悪らつな一員として大学がいたからこそ、御用学者追放が反原発闘争の重要な課題となった」「『教育の民営化』が生み出す現実をのりこえるためにも、反原発闘争が決定的だった。『教育の民営化』の象徴として原発翼賛大学の腐敗があったからだ」「現実の反原発闘争の前進の中から、学生自治会建設が欲求となり課題となっていった」とアピールした。ここに、全国学生が3・11以降の600日余を経てつかみとった内容が凝縮している。
原発推進とは日本帝国主義にとっての「国是」であり、同時に原発事故は全人民の生きる条件を破壊する。福島で起きていることこそ、帝国主義・新自由主義の破産の現実だ。ただちに全原発の廃炉をかちとることは、原発と核なしには生きていくことのできない帝国主義という体制そのものを根底的に打倒すること、すなわち革命にほかならない。
反原発闘争の20万−100万の規模での爆発は帝国主義・新自由主義を根底から覆す根底性を持っている。その構図は何よりも、「社会の縮図」としての大学で最もあらわとなる。「フクシマの怒り」をたたきつぶし、殺人的被曝を強制してもなお平然とする御用学者。「教育」「学問」の仮面をかぶって、日帝の原発政策のお先棒を担ぐ御用学者ども。彼らの存在こそ、国立大法人化=「教育の民営化」=新自由主義大学=「大学改革」攻撃の最も腐りきった本質を示している。
御用学者への怒りを一つに束ねキャンパスから反原発闘争を大衆的に巻き起こしていくこと、御用学者をたたき出す学生の団結をつくり出すこと、それはすなわち、新自由主義のもとで奪い尽くされてきた学生の人間的誇りをよみがえらせる闘いであり、「学生の自己解放闘争」そのものだ。原発への怒りは、「学費−就活−奨学金」の新自由主義大学への怒りと結合する。そして御用学者追放の闘いの高揚が、大学総体の変革を目指す団結拠点である学生自治会建設の欲求を生み出す。それは一つ大学にとどまらず、全国大学での学生自治会建設、そして300万学生の反原発闘争への怒涛(どとう)のような政治的決起・街頭決起となっていく。
「『3・11』を受けて、大学・教育はいかにあるべきか」――この回答は、「反原発闘争の発展による学生自治会建設」の中にある。
300万学生獲得する全学連運動を
法大闘争6年半の地平の上に、そして京都大学同学会再建と福島大学生運動創成の地平の上に、全学連運動の本格的な飛躍をかちとろう。それは全学連を、新自由主義の破産が生み出す「戦争−原発」「大失業−非正規職化」と全面的に対決する部隊として打ち鍛えるとともに、日本学生運動が帝国主義とスターリン主義を打倒する21世紀革命の最先端部隊として歴史の前面に躍り出ることだ。学生運動が強力な組織をもって階級闘争に参加することは、日本革命のカギを握る最重要課題だ。全学連運動は新自由主義大学を真正面から打ち破り、反原発闘争を牽引(けんいん)することで革命的共産主義運動を全力で物質化する。
全学連運動とは、全国的な学生自治会運動だ。来るべき21世紀革命に向かって、学生自治会は全学生を組織する大衆的基盤の上に、徹底的に大学キャンパスをめぐる攻防を闘いながら、労働者階級とともに日本帝国主義を打倒する巨大な政治決戦を闘う部隊をつくり出していく。新自由主義大学と「大学改革」攻撃への怒りを束ね、反原発闘争を基軸にすえた全国学生の決起を組織する。ここにおいて全学連が中央指導部を持つ全国単一の学生運動であるとともに、スターリン主義をのりこえるイデオロギー的高さ(マルクス主義)で武装されていることが決定的な力を発揮する。キャンパスを反原発・革命の砦に! そして全学連運動は、階級的労働運動と固く連帯して革命の主力部隊へ飛躍しよう。
12月攻防から2013年へ
最後に、総選挙情勢と対決する12月決戦方針を提起したい。一つに、各大学での拠点攻防を組織拡大闘争として闘い抜き、全学連運動の強化・発展へ集約しよう。
二つに、法大処分撤回の大運動を爆発させよう。12・6法大包囲デモがその突破口だ。「授業妨害」「迷惑行為」を叫んでの処分こそ、学生存在の全否定そのものだ。反原発闘争と並んで、法大処分撤回闘争を学生自治会建設に向かっての大衆運動形成の重要な突破口としよう。
三つに、反原発100万人決起に向かう12月の闘いを福島で、そして東京でさらに高揚させ、来年3・11「2周年」の闘いへと攻め上ろう。
四つに、死活をかけて東北大自治会選挙の大勝利をかちとり、打ち立てられる若き新執行部を先頭に全国大学での学生自治会建設運動の圧倒的な前進を実現しよう。
五つに、マルクス主義学生同盟・中核派の建設へ驀進(ばくしん)し、勇躍2013年決戦へ!
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週刊『前進』(2563号7面2)(2012/12/03 )
東北大学一日行動 全国から学生が結集
サークル活動破壊に反撃
11月27日、東北大学川内キャンパスで、東北大学学生自治会と文化部サークル協議会(サ協)運営委員会の主催による「大学の主人公は学生だ!11・27東北大一日行動」が打ち抜かれた。初雪の降る中、熱気あふれるキャンパス中央集会と大学当局への抗議行動が闘われ、夕方には全国学生集会が感動的成功を収めた。この高揚の中、学生自治会の執行部選挙(11月29日投票開始、12月7日開票)が大決戦へと押し上げられた。
大学当局は7月26日の「学友会全学協議会」なる密室会議で、サークルの団結体であるサ協から「部室配分権」を奪い、「今後学友会が部室の配分・管理・運営を行っていくこと」をクーデター的に「決定」した(本紙2561号)。多くのサークル員から抗議の声が上がり、「7・26決定」撤回と部室増設を求める署名運動が始まった。とりわけ「非公認」とされているサークルの部室剥奪(はくだつ)攻撃との攻防が決戦局面を迎えている。
また当局は、10月上旬、ある学生団体の出した立て看板を無断で撤去し破壊する暴挙をはたらき、当該団体からの抗議文さえ受け取らないという態度に出てきた。
(写真 東北大生を先頭に全国の学生が解放的デモでサークル破壊への反撃の意気込みを示し、キャンパスの空気を一変させた【11月27日】)
当局は逃亡!
自治破壊、サークル活動破壊攻撃の数々に対して、学生自治会とサ協運営委員会は、11・27行動を呼びかけた。これに恐怖した当局は、「東北大学会計規程」なるものを持ち出し、「教育研究活動の支障となる大音量または拡声器等を用いた集会・イベントを行うことはできません」などと書かれた看板を学内数カ所に慌てて設置した。さらに集会当日、「学生の皆さんは……巻きこまれないように注意してください」と書いた張り紙を掲示するなど、必死で11・27行動への破壊・妨害を画策した。東北大生を「巻き込まれる」対象としてしか見ない、ここに当局の貧困な学生観が表れている。
だが当日昼休み、学生自治会・サ協と全国学生がキャンパス中央で堂々と集会を開始しても、当局はその場に出てくることさえできない有様だった。昼集会は東北大生の圧倒的注目と多数の飛び入り参加を得て、解放感にあふれてかちとられた。参加者はそのまま学内をデモして当局の窓口=学生支援課に進撃し、怒りの抗議行動をたたきつけた。
学生支援課は「学生自治会、サ協その他本学の正規の手続によらない団体やそれに同調する本学の学生・学外の個人・団体等の……文書は、一切受け取りません」などと書いた紙を掲示し、抗議や質問にもろくに答えないという態度に終始した。飛び入りで参加した学生も含め全員の怒りが爆発! 当局は大混乱に陥り、最後は窓口を閉めて逃亡した。
夕方には、屋内で全国学生集会が開催された。
(写真 学生支援課に対する抗議行動で当局を対応不能に追いつめた)
自治会選挙へ
学生自治会の石田真弓副委員長は基調報告で、「総選挙で改憲勢力が台頭し、反原発闘争に対して憲法停止とも言える攻撃がかけられている。革命が問題になっている。闘う組織と運動の登場が求められている」「敵の矛盾を徹底的に突き、全学生の怒りと結びつけよう。最大の反撃は組織拡大だ」と提起し、次期執行部選挙の勝利を訴えた。
続く特別アピールでは、「無期停学」処分と闘う法大生・武田雄飛丸君が「10・19法大集会の学生1千人の決起を、当局は『迷惑行為』『業務妨害』で片づけようとしている。僕はこの処分攻撃を、大学と社会を変える闘いに転化します」と決意表明。
さらに、京都大学の仲間が、「東北大のサークル攻防に絶対に勝ちたい。京大では、大学再編攻撃に対して、教員と学生が一体となって決起している」と報告した。
ハイライトは、この間決起した東北大生からの発言だ。「自分のサークルは地域での障害者介護の活動をしていますが、当局は私たちに『ビラまきをやめろ』『学外者と一緒に活動するな』と言ってきました。他大学ではビラまきができなくなっているが、東北大では『内規』反対で闘うサ協が自治を守ってきた。サークル活動を守るために闘います」との宣言に、全体が拍手で応えた。さらに、自治会活動を担う1年生が、「本日の当局の対応は本当に卑劣だが、自治会を恐れているからだ。学生の手に大学を取り戻すため、次期執行部選挙に立候補します」と決意表明し、万雷の拍手が送られた。
福島大、岡山大、広島大から連帯アピールが行われ、最後に法大処分撤回の署名運動と自治会執行部選挙への決起が呼びかけられ、団結ガンバローで集会を締めくくった。(東北大・A)
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週刊『前進』(2563号7面3)(2012/12/03 )
京大集会 “松本総長の打倒へ”
全学的反乱開始を宣言
11月24日、動労水戸の青年労働者と八尾北医療センター院長の末光道正さんを講師に招き、「松本総長打倒!11・24京大集会」が開かれました。
京大では10月1日からJR東海会長・葛西が経営協議会に就任し、立て看板撤去、カリキュラム再編、学寮型大学院「思修館」開講などの攻撃が矢継ぎ早に始まりました。学寮型大学院は経営協議会が「塾議」を行い、葛西らがその手法とイデオロギーを垂れ流す場として位置づけられています。11・24集会はこの情勢との対決を宣言する場となりました。
動労水戸の青年は、被曝労働阻止ストと10・1外注化阻止決戦を報告し、「職場を丸ごと獲得するための日常的な働きかけ」で、「動労水戸がストに立ち上がる意義をとことん訴えたとき、東労組のペテンは打ち破られ、職場の青年が丸ごとスト破り拒否に決起した」「当局は班体制を変更して分断しようとしたが、一度信頼関係をつくればどこでも議論できる」「現場の反撃で外注化は必ず撤回できるし、青年がその先頭に立つ」と訴えました。現場攻防で組合が職場支配権を握っている地平は参加者の心をとらえました。
福島診療所建設呼びかけ人で八尾北医療センター院長の末光さんは、住民の団結で病院を建て地域を守ってきた八尾北・西郡の闘いと、末光さん自身が闘った京大医学部ストについて述べ「団結の拠点としての診療所建設」を熱烈にアピール。とりわけ医学部ストでは「人事権が教授から青年医師連合に奪還され」「自主講義がいくつも生み出され」「各地の病院の要請に応えて医師を派遣」するという決定的事態を生み出したことが語られました。
学生からは京大決戦の現状と方針を提起。「カリキュラム再編に反対する教授有志の呼びかけに200人を超える学生が結集」「自治会がなかった学部でも新たな自治会建設が始まっている」「学寮型大学院は自治寮の追及で定員割れに追い込まれ、さらに総長への実力闘争が構えられている」など、全学的反乱が始まっていることが報告されました。
怒りのすべてを結集し、総長打倒の全学ストへ突入する機運が高まっています! 「大学改革」を打ち破る自治会建設を通して、新自由主義への総反撃を開始しよう!(京大・N)
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週刊『前進』(2563号7面4)(2012/12/03 )
国際労働運動 1月号
外注化阻止を軸に国鉄決戦へ
本号より装丁をリニューアルした。一層の活用を。
【特集】
JR東日本の10・1外注化をめぐって、動労千葉を先頭に歴史的な決戦が闘われた。11・4集会は、この高揚を引き継いで、闘う労組の組織拡大を推し進めることを誓い合った。また、動労千葉の鉄建公団訴訟6・29判決は、国鉄清算事業団による解雇を有効としたが、動労千葉組合員をJR不採用としたのは不当労働行為だと明確に認定した。控訴審での解雇撤回・JR復帰へ闘おう。
第1章は、外注化阻止決戦の現場を描写し、新自由主義の核心的攻撃である外注化・非正規職化を打ち破って労働組合を再生させる道を指し示している。
第2章は、6・29判決を詳細に検討し、勝利の展望を明らかにしている。また、国労秋田闘争団への反動判決を弾劾し、国労組合員資格確認訴訟の意義も提起している。
第3章は、JR東日本の「経営構想X」を批判し、外注化阻止の第2ステージ、ライフサイクル粉砕などの来春に向けての課題を提起するとともに、全産別での総決起を訴えている。
討議資料として、6・29判決の抜粋を掲載した。
【ニューズ&レビュー】
▽韓国・民主労総の11・11労働者大会は「整理解雇撤廃!」などを掲げて闘われ、動労千葉訪韓団が熱い合流をかちとった。
▽中国・習近平新体制は、労働者のスト・暴動に迎え撃たれている。
【世界経済の焦点】
実体経済が下降し「2番底」に向かう日本経済の破滅的な危機に焦点をあて、日帝打倒の展望を示す。
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週刊『前進』(2563号8面1)(2012/12/03 )
総選挙情勢に『前進』で勝負しよう
恒常的な配布網を建設し機関紙中軸の組織活動を
日本帝国主義の絶望的破綻の中で行われる総選挙で訴えるべきことは、候補者の選択ではない。選挙と議会では何も変わらない。労働組合破壊と改憲に突進する極右勢力に打ち勝つ階級的労働運動を力強く復権するために、職場と街頭で『前進』をもって選択肢として登場することだ。 前進経営局
秋を闘い求められる飛躍
9月に全国機関紙担当者会議を開催し、10〜11月には各地方で担当者会議を開催した。機関紙拡大・組織建設の闘いを柱に据えて10〜11月決戦を闘いぬいた。
10・1JR外注化阻止決戦への動労千葉、動労水戸を先頭とする国鉄労働者の渾身(こんしん)の決起が新自由主義攻撃の岩盤を突き破る道を指し示した。この衝撃は闘う労働者の心をとらえ、闘わなければ生きられない非正規職労働者を吸引している。階級的労働運動派が党派闘争を闘って連合派、体制内派を打倒し、組合権力を闘い取る段階に入った。この時、労働組合権力を奪取するためにも、労働者党を建設するためにも、機関紙が死活的に求められる。マルクス主義と、それを体現する機関紙なしに、体制内党派に打ち勝ち、組合権力を確立することも、党を建設することもできないからだ。
最も闘いぬいた国鉄職場で『前進』が求められ、圧倒的に拡大しているのはそのためである。機関紙こそ党と労働組合の一体的建設の環なのである。
活動の変革へ三つの挑戦
全国機関紙担当者会議は二つの課題を提起した。ひとつは、機関紙の中身の変革である。もうひとつは、機関紙活動の変革である。
機関紙の中身の変革はすでに開始されているが、労働者指導部を先頭に全同志が機関紙作成に決起することが最も重要な課題であることを確認しておきたい。
各地方の担当者会議では労働者党員を中心に新たな担当者が生まれ、機関紙活動の推進軸になっている。このことが決定的に重要である。
ここでは主要に機関紙活動の三つの挑戦について述べたい。
@配布網確立が党建設そのもの
独自の配布網の建設が最初に挙げられているのは、機関紙活動の本質にかかわることである。配布は一見技術的なことのように思われるがそうではない。毎週繰り返される定期的配布は組織建設そのものである。機関紙活動の創造性も困難性も配布に現れる。
レーニンは『何をなすべきか』で、機関紙配布を受任者網と位置づけ、組織建設の柱にした。
革共同第3回全国委員総会(1962年)も配布の重要性について次のように提起している。
「『前進』や『最前線』の読者を労働者のあいだに拡大していく仕事は、一時的な片手間なものではないのである。一枚の機関紙の継続的配布は、戦闘的労働者の思想的変革をかちとり、一人ひとりわが同盟に組織されていく宣教師と組織者の役割を果たす」
配布をめぐって討論し、配布を改善し、会議以前に配布し、読んでから会議に参加し、討論する。このことを全党的に確立することで、党活動は一気に前進する。
一週間の活動は『前進』から始まる。繰り返し『前進』を読むことは自己を共産主義者として日々再生させ、プロレタリア革命に向けた闘う意欲を生み出す。読むことで資本のイデオロギーを粉砕する力がつき、自分の職場と世界の階級闘争がひとつになり、職場で闘う武器になる。配布網を再建することで、機関紙という血流が組織の中に生き生きと循環し、組織を再生し、再生産していくのである。
A職場の闘いと細胞建設の武器
職場で資本と原則的に闘い、体制内の日和見主義潮流と徹底的に闘う労働組合を拠点として建設するためには、職場細胞建設が不可欠である。この拠点の職場細胞が地区党の中心に位置し、中央委員会・産別委員会と一体になって闘う。これが党と労働組合の一体的建設である。そのためには、マルクス主義を最も体現した機関紙での武装とその拡大が決定的なのである。
全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の高英男副委員長は11月労働者集会で「派遣・非正規労働者の増大は、私たちの闘う環境を厳しくしているのではなく、団結できる環境が広がっているととらえる視点が重要です」と訴えた。この視点を獲得するためには闘争と学習である。その最良の武器は機関紙である。
問題は、機関紙活動は目的意識的闘いであり、意識的に開始しないと始まらないということだ。しかし、そこに決然と踏み込めば確実に実るところにきている。ここに圧倒的に確信を持とう。
対象者を検討して、リスト化したことによって定期購読者を拡大したという報告がある。また、担当者とは違う同志が勧めたら二つ返事で拡大できたという報告もある。『前進』は勧めないと拡大できない。対象者を決めたら、組織の力で拡大闘争に決起し、失敗を繰り返しながら、成功もしていくのである。
せっかく拡大した読者を短期間で失う例も少なくない。粘り強く『前進』フラクを半年、1年と重ねて獲得している例が大半である。毎週『前進』の公開読み合わせ学習会を行い、11月労働者集会に「『前進』でしっかり固めた人は100%参加。学習会に参加した人の中から、法事をやめて集会に来る人や、周りを組織する人が出た」という報告もある。
コミンテルン3回大会(1921年)でも、機関紙は「革命的労働者の活動共同体となるよう心掛けなければならない」と提起している。たとえ職場で一人であったとしても、読者会やフラクをつくる観点での闘いが求められる。
B執念もち粘り強く働きかけを
反原発闘争や街頭宣伝などで確かな手応えがある。その際、重要なことは、組織する観点で販売することである。数は少なくとも、ていねいに粘り強く努力することで組織化に成功した例が少なくない。
東京の反原発闘争に参加した青年に『前進』販売と11月労働者集会のチケット販売をしたら、その青年が地区党ですでに対象化していた労組の活動家で、二重の働きかけが組織化の大きな力になったという例がある。
また、昨年街頭で出会っただけで、その後一度も会えなくても手紙や電話を続け、今年の11月集会に21歳の青年を組織した例もある。宣伝紙や手紙の送付を続けてから自宅を訪問して読者に獲得した例もある。
「街宣で出会った青年に『私は中核派です』と言って『前進』を渡したら、即座に『私は中核派にはなりません』と言われたが、いったん持ち帰って読んだのだろう、メールに返信してくれるようになった。『前進』を出したら拒否されるのではないかという先入観は払拭(ふっしょく)すべき」という報告もある。
「1日50円は労働者新聞のために」
青年労働者の定期購読が困難な一因に、紙代の負担がある。しかし、新聞を出すには資金が必要である。以下はある地区の報告である。
「1日50円は労働者新聞のために出そう。非正規、超低賃金の青年に真っ向から定期購読を提起する。月1400円は1日50円未満。1日の稼ぎの中から50円は労働者の新聞のために出そうと。これが新自由主義、帝国主義ブルジョアジーを打倒する力になると訴える」。これを全党で実践しよう。
労働者階級の「選択肢」に
ロシア革命の焦点がボルシェビキ支持か不支持かであったように、いま選択肢のない労働者階級は、自らの階級組織を求めている。われわれが選択肢として登場する。それが『前進』だ。
大恐慌下で怒りをもって立ち上がる青年・学生の中に、『前進』の圧倒的な読者網をつくろう。
12月機関紙拡大闘争に決起し、党と労働組合を一体的に建設し、13年決戦に突き進もう。
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週刊『前進』(2563号8面2)(2012/12/03 )
星野再審集会
司法権力うち砕こう
鈴木達夫弁護団長の発言(要旨)
有罪の根拠は完全に崩れている
私たちは裁判闘争的には、敵をうち砕いている段階に入ったと考えています。
つまり、星野さんが現場で機動隊員を直接殴った、あるいは機動隊に向かって火炎瓶を投げる指示を行ったという二つが有罪の根拠なんですが、この二つが崩れてしまっているのです。
「キツネ色の服の人が殴っていた。それは星野さんだ。ゆえに星野さんが殴っていた」と。しかし、その色は見誤っていたんだと第1次再審の段階で、最高裁が言ったんです。「Kという人の色の見誤りなんだ」と。だけど「後ろ姿と声で分かる」と、こういうでたらめを言ったわけです。
「声で分かる」と言うが、声ほど頼りにならないものはない。時間がたてばたつほど、あっという間に声の記憶は消えていくことが、心理学的な研究の成果としてはっきりしています。
また、供述を誘導することも、「不当な誘導でない限り許される」と言い出した。こんなことまで言って居直って逃げようとしている司法権力をどううち砕くか。ここに今、私たちの知恵と力を集中すべきです。
全面的な証拠開示の闘いがそこに位置づく。くだらないことを言って逃げている連中の息の根を止めるために全証拠開示運動が必要なんです。
発言された皆さんの思いの熱さと深さに感激しました。その熱さと深さが人を動かす。運動を広げ、敵をも圧倒する。全証拠開示運動は必ず勝てると思います。弁護団もこれを進めることが勝利につながる道だと、あらためて確信しました。
真剣な訴えは必ず労働者に届く
証拠開示運動の賛同人600人の中で弁護士は240人。今も増え続けています。1週間足らずでこれだけ集まった。なぜか。理由は二つです。
一つは、検察が証拠を隠し持っているなんて絶対に許されないということ。弁護士はそのことに日々直面しています。
もう一つは沖縄闘争を闘った星野さんが獄中で38年間も闘っていることです。その星野さんの闘いが今の沖縄闘争と結びつくわけです。無期懲役の星野さんをなんとしても取り戻そうという大運動は、今も続く沖縄闘争の一翼です。
かつて私は長崎県労評の書記を何年間かやっていました。そのとき仁保事件の被告の岡部さんと二人で長崎の60〜70ある全部の労組を回りました。それで県労評の会場が満杯になる集会ができたんです。私はそのときに、世界のどこで起きたことであっても、理不尽な権力の弾圧に対して一人の人間が闘おうとした時、労働者は絶対にそれを見放さないと確信しました。星野さんの闘いを真っ向から訴えたときに、それは労働者の胸にストレートに届き、胸を響かせ、必ず決起する。それを確信し、力を合わせて星野さんを取り戻しましょう。
(写真 11・23星野再審全国集会。証拠開示大運動へ団結【東京】)
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週刊『前進』(2563号8面3)(2012/12/03 )
獄中の星野同志から再審集会メッセージ
「星野無期」弾圧を覆し誰もが人間らしく生きられる未来を
裁判所追い込み再審・釈放へ
1%の資本家・富裕層が富むためには、99%の労働者人民が失業、非正規、貧困、戦争によって生きられなくてもいいという今日の世の中を、人間らしく生きられるように変えようと、全世界で労働者人民が立ち上がっています。
このなかで、全世界の労働者人民の団結した力で、星野無期はじめあらゆる弾圧を覆し、はね返して、このすべての労働者が人間らしく生きられる未来を開く、そうした集会として本日の星野集会をかちとりましょう。
多忙のなかの参加を、暁子・家族共々、心から感謝しています。
私の獄中38年の闘い、二人の26年の闘いを、暁子が「見せしめとしての38年ではなく、それをひっくり返し、日々無期に勝利してきた闘いとしてある」と言うように、死の強制を覆し生に転換していく格闘を通して、自らと全労働者人民の人間的解放・未来をかけたものとして無期と闘い、そうして私と暁子、家族、友人、仲間との絆を強め闘うことによって、すべての労働者人民の団結した力で無期を覆す、人間の人間的解放を実現する道を共に開いている。そのように闘うことに人間として生きる誇りがあり、そのように闘うことによって、人間の人間的解放の力を団結してかちとることができる確信を深めています。
「命よりも金もうけ」の新自由主義によって労働者人民の生活が、職場、地域で、フクシマ、沖縄、全国、全世界で破壊される世の中を、すべての労働者人民の団結した力で変えていく、その力で、2〜3年で無期からの解放をかちとり、すべての労働者人民の人間的解放を、この時代をチャンスとしてかちとっていきましょう。
2・5徳島刑務所包囲デモとそれに続く取り組みによって、その闘いの大きな転換を私たちは手にしています。(中略)
私への無期は、権力が無実であることを百も承知で、誘導・強制して、私が殴っていた、火炎びん投てき命令をしたという嘘の供述をつくり、それを唯一の証拠としていることに最初から破綻があります。権力にとってそれでも無期を貫くために、確定判決も、先の棄却決定も、白を黒と強弁することと、それを力で強引に押し通すこと以外にないのです。こんなものを許しておいて、私たちの未来はないのです。
団結に生きる中に人間の誇りが
そうであれば、無実の真実と正しい論理で、この虚偽を徹底的に打ち砕き、それを社会的な力とし、再審を決めなければ裁判所が裁判所として成り立たないところに追い込み、再審・釈放を絶対にかちとりましょう。そうすることによって、私たちは人間として真の誇りをもち、誰もが生きられる未来を開くことができます。(中略)
労働者が一つにつながり生産を担い社会を動かしていること、そこにおける共同性に根ざした団結こそ、それを軸とする労働者人民の団結こそ、その最高の力であり、新自由主義のあらゆる攻撃を打ち砕き、新たな社会を実現する力です。その団結した力を、闘いを通して強化し、資本・権力から職場、学園、地域、全世界の支配権を奪い、すべてを奪い返し、労働者人民こそ社会の主人公となって、その人間的共同性、人間的力をすべて解き放って誰もが人間らしく生きられる社会を実現し運営していくことができる、そのことだけがすべての労働者人民と人類そのものの未来を開く、そのことを真正面から訴え、この闘いを発展させましょう。その力で星野再審・釈放をかちとりましょう。
この闘い、団結に生きるなかに、人間として生きる誇りがあり、人間的未来を開く力を手にする道があります。共に学び合い、力を合わせ、生き闘いましょう。
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週刊『前進』(2563号8面4)(2012/12/03 )
団結ひろば 投稿コーナー
ひとつになるために集まったのだと実感 広島・非正規労働者 小野さつき
先日東京で行われた11・4全国労働者集会に参加してきました。東京での大規模集会は6・10以来2回目となりますがただただ圧倒、の一言でした。全国からたくさんの人が集まり、年齢も性別も職種も関係なくひとつになれるのだと、ひとつになるために集まったのだと実感できる集会でした。
一人ひとりが自分らしく生きるために闘っている、闘っていけるのだと勇気をもらえる場所だと思います。今いる職場には、まだ仲間と呼び合える人がいなかったとしても集会に参加した労働者の人たちは間違いなく、同じ想いをもって日々を生きている仲間で同志だと思いました。
主軸となっているのはJRに限らず全世界のあらゆる職種の、すべての労働者に起こっている事態で、直面している死活問題であり、それぞれが望んでいる生き方はひとつなのだという連帯感が生まれているのだと思います。
今回、登壇された方に20〜40代の青年労働者が多数いたのも印象的です。資本との闘いが青年の人たちに浸透し、先達の方々から受け継がれていく様を目の当たりにしたようでした。
ドイツ、アメリカ等の労働者や青年活動家の方のアピールもですが、特にスリランカ等アジア系の出稼ぎ労働者のアピールがあったのが驚きでした。自国で働き口がなく、出稼ぎに来日しても低賃金で地価等も高く、居住環境も低所得者と同等、それ以下で、企業側から監視されているかもしれない状況で、この集会に参加するだけでなく発言まで行うのにどれだけの勇気をふりしぼったのだろうと思いました。
一国だけでなく世界すべてで声を上げているのだと認識できた瞬間でした。
訪韓団の一員として学んだことを活かす 東京 李光陽
11月10日より、ソウル特別市にて行われた民主労総の「烈士精神継承 2012全国労働者大会」および前夜祭、そして翌日、民主労総本部で行われた理念交流会に動労千葉訪韓団の一員として参加しました。
10日の前夜祭では、韓国各地から駆けつけた多くの労働者、活動家が、音楽や律動を交えながら各々の活動報告や抱負、決意を述べていました。会場にはこの間の闘争で犠牲になった烈士たちへの焼香所などもあり、そこはある種の祝祭空間でありながら、同志の尊い犠牲への敬弔を重んじる磁場ともなっていました。それは私にとって、朝鮮半島における闘争の深い歴史性を想起させるとともに、国境を越えて労働者階級の団結への確信を深めるものでした。
翌日の全国労働者大会にも巨万の労働者人民が結集し、「非正規職、解雇撤廃」「労組破壊中断」「労働者の参政権保障」「進歩的政権交替」を要求する大デモが行われました。目前に控えた大統領選挙を、資本独裁を打ち破る「進歩的政権交替」を実現する闘いとして貫徹するために、労働運動の力強い団結が訴えられていました。初めての訪韓でしたが、視覚的にも内容的にも民主労総の迫力ある集会とデモに、熱い感動を覚えました。
時を同じくして、ヨーロッパでも、国境を越えた大規模なストライキおよびデモに1千万もの労働者が結集しています。世界は激動しています。ひるがえって日本では極右勢力による野合が連日メディアをにぎわせ、競い合って国家主義と戦争を鼓吹し、まさに戦争前夜ともいえる様相です。この支配階級の末期的な攻撃を私たちの好機として、在日朝鮮人三世として、また部落民として、非正規労働者としての立場から、私は労働者に対しての分断、破壊攻撃を全労働者の団結で粉砕して闘っていきたいと決意を新たにしています。そのために、今回の訪韓闘争で学んだことを活かしていきたいと思います。ともに闘いましょう。
このままでいいか!郵政の現場は大混乱 東京F局 森内一郎
11月に入って年賀はがき販売が始まり、職場は大混乱の状態になっている。管理者が毎日、「年賀はがきの販売をしろ」と嫌がらせを言う。人手不足で業務が大変だということも無視してだ。
そして職場には年賀ののぼりが何本も立っている。蛍光灯がはずされて暗くなった廊下の天井から、電車のつり広告のように年賀販売の文字が書かれた紙が連なっている。とんでもない!
年賀の販売がそんなに大切なのか。この事態の中で多くの労働者が悩み、自分で年賀はがきを買い取る自爆営業のあげく、金券ショップに足を運んでいるのである。ナンセンス!
今、課長になっているやつらは、国鉄(JR東日本)でスト破りをして人をけ落として出世したやつらと同じである。自分の上司にはゴマをすり、部下をごみ扱いするようなやつらが管理職になって、労働者をノイローゼにさせている。
今の郵政の職場は、闘う組合をつぶそうと狙う管理職たちによってめちゃくちゃな状況になっているのである。闘う労働者を強制配転し、管理者の言うことを聞くやつらを組合の役員にして労働者を抑えつけている職場も多い。
そして11月のある日曜日には、現場は人手が足りなくて困っているのに、担当課長が現場の混乱をかえりみず年賀はがきの臨時販売所に行ったのである。「お前は何を考えている!」と大声で叫びたくなった。
企業の下請け作業に動員される障害者 宮城 如月有羽
11・4集会に決起した障害者として現状を書きたいと思います。
私は精神障害者で、現在の立場は「就労継続支援B型事業所」という、一般企業で働くことが難しい人たちに働く場と収入を提供する事業所の利用者です。簡単にいうと「作業所」です。
時給は、私の場合は平均260円くらいです。主にビーズで製品を作り、売り上げが収入となりますが、企業の下請け作業もあります。一番、障害者を体よく使った外注化だと感じるのが、大手運送会社の配送センターに出張してクレジットカードやETCカードが入った封筒を厚紙の保護ケースに入れて封をする作業です。1通3円、15人ぐらいで3時間で1万通ぐらいやります。
また、私は以前、一般企業のいわゆる「障害者枠」で働いていました。法律上、企業には一定の割合で「障害者」を雇う義務がありますが、どのような障害者を雇うかは自由です。なんとか雇ってくれる企業を見つけましたが、配慮は「労働時間を短くする」の1点だけでした。求められる責任は同じで、1人だけ早く帰るので同僚と話をする機会も少なかったです。働き始めて半年を過ぎたころから出勤できない日が多くなり、震災をきっかけに「自主退社」しました。事実上の解雇でした。その企業は「障害者をたくさん雇っている」と、感謝状をもらっていました。
私は現在、障害年金をもらっています。私の等級の目安は「配慮があれば働ける程度」だそうです。今の作業所でも、時には大きなストレスがかかって休んでしまったり、ユニオンの活動に影響が出たりしたことがあります。そのような状態でも「やっぱり企業で働くことを考えた方がいいのではないか」と考えさせられてしまうのは、この社会が、障害者を「動員」しているからだと思います。
精神科に通う人たちにとって一番の「薬」は、ありのままの自分を受け入れてくれる仲間の存在です。だから私は、地域の仲間、全国の仲間、全世界の仲間と連帯して、これからも闘います。
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