ZENSHIN 2012/09/03(No2550 p08)
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週刊『前進』(2550号1面1)(2012/09/03 )
外注化阻止・全原発廃炉
大恐慌−民営化・全員非正規化と対決し橋下打倒=労働組合再生へ
今こそ反原発100万決起へ闘おう
(写真 動労総連合が出向差し止め集団提訴 動労千葉・動労水戸・動労連帯高崎の60人が検修外注化と強制出向差し止めの仮処分を申し立てた。東京地裁前には組合員と支援250人が結集しともに闘いぬいた【8月28日】=記事2面)
強制出向の差し止めを求める動労総連合の8・28集団訴訟が旋風を起こしている。当該職場を始め平成採用の青年労働者の組織加入も始まった。JR東日本の各車両センターなどへのビラ入れや職場討論が全力で闘われている。8月29日には大阪で、維新の会=橋下打倒の大街頭宣伝が展開された。非正規職撤廃を訴える東京西部ユニオン・鈴コン分会の闘いに支持と反響が広がっている。他方では再稼働阻止・全原発廃炉の闘いを変質し解体させる「脱原発基本法」制定運動に、怒りの声が噴出している。福島の怒りと結んで反原発100万人決起へ闘おう。9・5〜6全学連大会を成功させ、オスプレイ配備反対9・9沖縄県民大会、9・16橋下打倒闘争へ進撃しよう。労働者の総決起で、10・1外注化阻止決戦に勝利しよう!
あらゆる闘いで外注化と強制出向を止める!
大恐慌と3・11情勢下で、脱落日帝の延命をかけた全労働者階級の非正規職化=JR東日本の検修業務全面外注化の攻撃に対し、歴史的な反撃が開始された。8月28日、動労総連合の当該職場の60人(動労千葉49人、動労水戸10人、動労連帯高崎1人)が、東京地裁に強制出向の差し止めを求めて、かつてない集団訴訟に踏み切ったのだ。
動労千葉はこの日、検修職場の全組合員が始業から勤務明けまでの24時間ストに決起し、9時からDC会館でスト突入集会をかちとった。100人以上が千葉労働局を訪れ、偽装請負をくり返すJR職場への立ち入り調査を直ちに行えと、強く申し入れた。その大部隊で東京地裁への提訴に立ち上がった。
動労水戸は被曝労働強制に反対するストライキに7月30日から連日決起し、8月24日には家族ぐるみで全組合員がストに立った。このすさまじい闘いの過程で打ち固めた団結の力と組織拡大が、集団提訴の基礎にある。
動労連帯高崎の漆原副委員長の職場の高崎車両センター篭原(かごはら)派出では、車両職の34人全員削減が提案され、これを暴き弾劾した提訴が、東労組と国労の組合員に大動揺と分岐・活性化を生んでいる。
10・1外注化阻止決戦に絶対勝利する歴史的攻防は、8・28をもって次元を画する闘いの段階に突入した。「ありとあらゆる闘いで外注化と強制出向、非正規職化を絶対に止める!」という動労総連合の不退転の怒り、決意と固く結合し、11月総決起に向け、国鉄と反原発を一対の階級決戦として闘おう。
第一に、外注化阻止決戦は、一大社会問題化して闘えば必ず勝利できる決戦である。それは非正規職撤廃をかけた、日本と世界の労働者の現在と未来を左右する闘いだ。
日本の労働者は、JR総連カクマルや国労指導部の裏切り・屈服を粉砕し、動労千葉を先頭に、臨調行革以来、30年近い国鉄分割・民営化反対闘争を闘ってきた。動労千葉は12年間も、実際に外注化を止めてきた。その地平の上に、反原発の数万、数十万の怒りが燃え盛り、JR職場の地熱も高まるただ中で、外注化絶対阻止を決意した青年労働者の、動労総連合への加入が始まっている。
「目先のもうけ」しか考えないJR資本と日帝の外注化は、成算のない絶望的政策だ。外注化を一大社会問題化して絶対に粉砕しよう。強制出向反対の9・14動労千葉総決起集会に結集しよう。
全労働者階級の未来がかかった歴史的決戦だ
第二に、外注化阻止決戦は、日帝の生き残りをかけた野田の「日本再生戦略」を直撃する戦略的闘いだ。7月25日、英運輸省−日立製作所間で45億ポンド(約5500億円)の高速鉄道プロジェクトが正式受注された。今やブラジル、インド、ベトナムなど世界十数カ国で、総額数百兆円規模という高速鉄道事業が争闘戦的な受注競争の渦中にある。
野田政権が昨年策定した400項目におよぶ「日本再生戦略」の中で、実効性が言われているのはわずかに1割でしかない。その骨格をなすのが鉄道、道路、原子力発電、水道事業などの「パッケージ型インフラ輸出」である。
今回の受注はその具体化で、JR東日本が東急車輌(株)を子会社化したのもその流れの一環だ。英運輸省の発注は車両596両製作だけでなく「2045年までの車両リースと保守(検修)事業」がセットだ。パッケージ型輸出は「労務政策」も商品として輸出するシステムで、ここでJRが車両の検修合理化をできなければ破綻する。
さらにアジア・中東へのインフラ輸出は、「沿線開発」という名の「東アジア勢力圏構想」と一体で、戦前の「満州鉄道」の道だ。
第三に、職場での外注化・非正規職化・偽装請負弾劾の組織化こそ、勝利の道だ。
今回のJR東日本の提案は、東京の338人を始め東日本全体で約1千人だが、すでに現時点で6カ月後の「再提案」が通告されている。「3年で戻る」どころか、帰る職場も廃止し、3年で検修部門の5千人全員の外注化さえも画策されているのだ。これは今、自治体、教労、郵政や、電機を始めすべての民間職場にかけられている攻撃とも一体のものだ。それは野田の「日本再生戦略」の「全員有期雇用化」「40歳定年制」など、全労働者を非正規職化する攻撃との大闘争だ。
同時にこの決戦は、乗員・乗客の安全と命を守る闘いだ。最近だけでも、京葉線の橋梁事故死、東静岡駅での事故死などが相次いでいる。外注化によってJRの安全はさらに崩壊する。原発労働者の死亡や労災事故死、「野宿しないと生活保護が請求できない」などの報道も続く。人の命は徹底的に軽視・無視されている。職場から大反撃を組織し、社会を根底からつくり替えよう。
第四に、決戦勝利の核心は闘う労働組合をよみがえらせることだ。動労総連合の8・28総行動報告集会で動労千葉の田中康宏委員長は、「来年からはJRは検修部門の新規採用は一切やらない、と言っている。すでに二千万人以上の労働者が、非正規職に突き落とされています。労働組合がまったく抵抗しない中で、こんな社会ができたことが悔しくてなりません」と訴えた。JR資本の攻撃、東労組と国労本部の裏切りを暴露・断罪し、動労総連合とともに立ち上がろうと訴えよう。
外注化の全社会問題化は、職場の決起を励まし、闘う労働組合をよみがえらせる闘いだ。大胆な宣伝戦と組織化に打って出よう。
フクシマの怒りと結び職場から反原発デモへ
毎週の首相官邸・国会包囲の金曜日行動は、あらゆる分断・圧殺策動をはね返して、再稼働絶対反対・全原発廃炉を求める根底的な決起を生んでいる。それは国家・資本との非和解的闘いに発展し、議会への幻想を吹き飛ばし体制内勢力の限界を暴き出している。
こうした中で出てきたのが、「脱原発基本法」制定運動である。それは「電力の安定的な供給に支障がないように」とか「最新の科学的知見」に基づき「事故のリスクを極力減らす」などと言って再稼働を事実上容認し、すべての原発を直ちに停止し廃炉にせよという切実な要求や、現在の反原発闘争の高揚に敵対し、むしろ運動を解体するものだ。断じて容認できない。今こそ福島の怒りと固く結んで、NAZENを先頭に、反原発のうねりを労組・職場から組織し、100万人決起実現へ全力で闘おう。
外注化阻止決戦と11月総決起に向け、さらに大阪の9・16橋下打倒集会が決定的になった。橋下の反労働者的で極右的な本質は、新党結成で自民党の安倍晋三と連携することにいよいよ明らかだ。自治体、教労、八尾北・西郡を先頭に、労働組合と労働者の団結で、橋下・維新の会を打倒するために闘おう。
9・5〜6全学連大会を成功させよう。9・9オスプレイ反対沖縄県民大会と国会包囲の同時アクションに決起しよう。
大恐慌の深化・発展と3・11大震災−原発事故情勢のもとで、膨大な労働者と民衆が生きるために行動に立ち上がっている。怒りを希望と力に変えるのは、職場・地域の仲間との生きた団結である。そのための糧となり武器となるものが『前進』だ。『前進』を買って読もう。読んで投稿しよう。職場、地域、大学で読者会を組織しよう。
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週刊『前進』(2550号1面2)(2012/09/03 )
再稼働絶対反対の20万人デモと脱原発基本法制定は相いれない
「今すぐ廃炉」が全民衆の要求だ
労働運動再生し100万決起を
原発再稼働へ突き進む野田政権への労働者階級人民の怒りはますます高まっている。「すべての原発を直ちになくそう」は今や全人民の声だ。追いつめられた日帝ブルジョアジーと野田政権はあらゆる手段を動員して、原発推進の路線を貫くために一層凶暴で絶望的なあがきを強めている。
8月22日には野田が首相官邸前行動の主催者らとの会談で、大飯原発再稼働を公然と居直った。24日には、新設される原子力規制委員会の委員長になんと、原子力ムラの中心人物である田中俊一を据える閣議決定を行った。大飯に続く再稼働を今後も続々と強行するという宣言だ。
彼らが必死に狙っているのは、フクシマの怒りを何がなんでも圧殺することだ。「命より金もうけ」の新自由主義攻撃をとことん貫くことだ。こんな連中を全員たたきつぶし、原子力ムラを根こそぎ解体して、労働者人民自身がその団結の力で資本の支配そのものを転覆していく以外に、人民の未来はない。
すでに、動労千葉や動労水戸を始めとして、被曝労働や非正規職化と対決し、新自由主義を真っ向から打ち破るために闘う労働組合の力ある登場が始まっている。この労働運動の再生を軸に、野田政権包囲の闘いを本当に100万人を超える大闘争へと押し上げていくなら、全原発廃炉を切り開くことは必ずできる。
再稼働絶対反対は譲れない
この緊迫した情勢下で一部の弁護士や諸人士による「脱原発基本法」制定を求める運動が新たに発足した。8月22日の記者会見とそこに提出された法案要綱案によれば、この法案を議員立法として国会に提出し、その制定を次期総選挙の最大争点にしていくという。それが「脱原発」を可能にする最も「現実的な道」だという。
しかしこれは、フクシマの怒りを心の底から体現し、全原発廃炉への道を実力で闘いとることにはつながらない。まったく逆に、その立場を放棄して原発再稼働を容認する道に転落していく重大な危険をはらんでいる。
第一に、「脱原発」の達成を「遅くとも2020年度から2025年度までのできる限り早い時期」としていることだ。なぜ今すぐ廃止ではないのか。その理由は「電力の安定的な供給に支障が生ずることにならないように」し、「(原発の)立地地域及びその周辺地域の経済問題」をも考慮するからだと言う。これは政府・財界、電力会社の言い分と同じだ。「原発事故は二度と起こさせない。直ちに廃炉を!」という圧倒的な人民の決意とは相いれない。
第二に最も許せないことは、原発再稼働を認めるということだ。記者会見では再稼働を容認するのかという質問に「大飯原発3、4号機の再稼働が強行されてしまったことも、現実として受けとめなければなりません」と答えている。さらに「最新の知見に基づいて原子力規制委員会が定める技術上の基準に合格すること」を条件に、運転期間が40年に満たない原発の再稼働は良しとしているのだ。
田中俊一を委員長とする原子力規制委員会に再稼働の判断を委ねれば、どんな結果になるかは火を見るより明らかではないか。こんなことは断じて認められない! これでは「脱原発」どころか”原発再稼働容認基本法”になるしかない。
国会の密室に鍵を委ねるな
第三に、労働者人民の団結の力と行動に依拠するのではなく、結局は国会の密室で再びすべてを決めることにつながっていくということだ。
そもそも現在の議員や政党はすべて、日帝の原発推進を支持または追認してきた張本人ではないか。「3・11」は、電力資本の利害を政界全体が支え、行政・自治体や御用学者や裁判所までが一体化して「原発は安全」の大うそを垂れ流してきた構造を白日のもとに暴いた。もうだまされない! 自分たちの未来は自分たちで決める!――これが、7・16集会や首相官邸前に決起した膨大な人びとの心底からの決意ではなかったのか。
「脱原発基本法」制定運動に賛同する諸人士の主観的な思いがどうあろうと、法によって原発を規制し廃炉にすることも可能だという幻想をばらまくことは、人民の行動による変革ではなく「議員だのみ」の腐敗した政治を再び導入するものとなるしかない。そうではなく、今必要なのは労働者階級の職場からの大決起だ。フクシマの怒りと結合した労働者のデモやストライキの爆発こそが、新自由主義を粉砕し、全原発の廃炉を実際に可能にしていく最も現実的な力である。
10・1JR外注化阻止決戦の勝利と11月労働者集会をその突破口に、今こそ労働運動の現場から反原発の一大決起をつくりだそう。
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週刊『前進』(2550号1面3)(2012/09/03 )
前進速報版から
▼動労西日本先頭に広島で8・28外注化阻止総行動▼中国・深せんの石塚感応電子工場で賃下げに抗議しスト▼反原発・首相官邸前動画
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週刊『前進』(2550号1面5)(2012/09/03 )
【要項】9・9オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会、9・16橋下打倒集会
9・9オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会
9月9日(日)午前11時開会(10時からアトラクション)
宜野湾海浜公園多目的広場
9・9沖縄県民大会と同時アクション
『国会包囲』 〜オスプレイ配備を中止に追い込もう!
9月9日(日)午前11時〜12時/国会周辺(国会正門前へ)
主催/9・9沖縄県民大会と同時アクション
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9・16橋下打倒集会
9月16日(日)午後2時開会(集会後、御堂筋デモ)
大阪中之島公園・女神像前
(大阪市役所南側 地下鉄・京阪「淀屋橋」徒歩5分)
主催/9・16集会実行委員会
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週刊『前進』(2550号2面1)(2012/09/03 )
ストライキと集団提訴で決戦に突入
動労千葉が24時間スト
“強制出向粉砕・偽装請負弾劾”
(写真 弁護士会館で開かれた「スト貫徹!仮処分闘争報告集会」には250人)
動労総連合は8月28日、「強制出向粉砕・偽装請負弾劾」を掲げて外注化阻止総行動に立ち、ストと労働局申し入れ、さらに外注化と強制出向差し止めを求める集団訴訟を東京地裁に起こした。「ありとあらゆる闘いで外注化と強制出向、非正規職化を絶対に止める!」――ほとばしるような怒りと決意で全組合員が終日の行動を貫徹した。この闘いの渦中で動労水戸、動労西日本で組織拡大を実現する決定的前進が切り開かれた。
(写真 「直ちに立ち入り調査を行え」。ストに決起した動労千葉組合員が千葉労働局に抗議【8月28日 千葉市】)
「調査を行え!」労働局申し入れ
動労千葉はこの日、検修職場の全組合員が24時間ストに決起した。
9時からDC会館で開催されたスト突入集会に各職場から続々と組合員と支援が結集した。
この場で田中康宏委員長は「当局は外注化実施に向けて、管理者である助役への出向発令を先行して始めた。10月1日まで1カ月だ。今日の闘いは外注化絶対阻止への戦闘宣言だ」と口火を切った。幕張支部の山田護支部長は「外注化の趣旨説明、ロッカー整理など現場での攻防が始まり、毎日が闘いになる。会社は10月1日に実施する気だが、こんなクソみたいな会社ぶっつぶす覚悟で絶対に外注化を止める」と力強く宣言した。
その後、参加者全員で千葉労働局に向かった。動労千葉はこの間、偽装請負の違反申告を厚労相に行い、何度も何度も要請行動を重ねてきたが、労働局はまったく動かない。この日はストに決起した組合員と支援あわせて100人以上で労働局を訪れ、代表して田中委員長と検修の組合員など三十数人が1時間以上にわたって担当者と面談、職場への立ち入り調査を行うよう強く求めた。
その後、動労千葉は霞が関に向かい、東京地裁前で動労水戸と動労連帯高崎と合流、検修業務の外注化と強制出向差し止めを求める仮処分の申し立てを行った。申立人は、いま外注化対象の職場で働いている60人の組合員(千葉49人、水戸10人、高崎1人)だ。強制出向問題での労働組合の集団訴訟は初めてだ。
地裁前には、動労総連合組合員に加え、動労千葉を支援する会、全金本山労組や各地域のユニオンなどが支援に駆けつけ地裁前の歩道を埋めつくした。当該と代理人弁護士が大きな拍手の中を送り出され、東京地裁民事部に書面が提出された。
弁護士会館での報告集会には250人が集まった。田中委員長があらためてこの集団提訴と外注化阻止闘争の意義を提起した(発言別掲)。さらに、自らも申し立て人である動労水戸の石井真一委員長、動労連帯高崎の漆原芳郎副委員長がそれぞれ決意を表明した。
(写真 司法記者クラブでの記者会見 )
JRの外注化を一大社会問題に
10人の代理人弁護士を代表して石田亮弁護士が「今回の出向は明らかに『行きっぱなしの片道切符』だ。こんな出向を本人同意なしで会社が通告することなど許されない」と発言。花澤俊之弁護士は、千葉鉄道サービス(CTS)を相手にした解雇撤回裁判を担当してきた経験から「CTSは金のことしか考えていない本当にひどい会社。正義はわれわれにある」と断言した。鈴木達夫弁護士は「国鉄分割・民営化以来、どれほど労働者の権利が踏みつけられてきたか。社会には怒りがあふれ数十万人の決起が始まっている。その先頭にJR外注化阻止の闘いがある」と述べ、JR外注化を一大社会問題に押し上げようと強調した。
動労千葉青年部の渡辺剛史さんは「国労や東労組は何を考えているのか。いま声を上げないでいつ上げるのか」と戦闘的に決意表明。司会の関道利執行委員が「この闘いと連帯して、本日付けで動労西日本に1人の労働者が加入した」と、うれしいニュースを伝えると会場はさらに沸いた。
方針提起を行った長田敏之動労千葉書記長は「私が働く習志野運輸区でスト破りの勤務に入るよう言われた青年が『私も外注化には反対ですからスト破りはできない』とはっきり当局に言った。現場には怒りがあふれている」と述べ、連日の職場闘争と組織拡大の闘い、さらに強制出向の事前通知が予想される9月14日に動労千葉総決起集会(午後6時から千葉市民会館)を開催することを提起した。
集会後、司法記者クラブで会見が行われた。
28日の総行動は、動労総連合と支援の力が一つになり大高揚をかちとった。闘いは、いよいよ正念場中の正念場に入った。JR職場での闘いと一体となり、検修外注化10月1日実施絶対阻止の闘いに立とう。
(写真 JR西日本広島支社前で街宣)
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週刊『前進』(2550号2面2)(2012/09/03 )
各地でも連帯行動
動労西日本も組織拡大
広島でも8月28日、動労西日本、広島連帯ユニオン、動労千葉を支援する会・広島の仲間15人が、早朝からJR西日本広島支社前でのビラまきと街頭宣伝に決起した。大江照己動労西日本委員長を先頭に「東日本以上の外注化と偽装請負、非正規職化を進めるJR西日本を許さず闘おう」と職場に向かう労働者に訴えた。また、この闘いの過程で動労西日本に平成採の労働者が加入した。
岡山では山田和広副委員長を先頭に街頭宣伝に。米子の後藤総合車両所や香川・徳島・愛媛でもJR職場へのビラまきが行われた。
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週刊『前進』(2550号2面3)(2012/09/03 )
職場を怒りで熱く
田中委員長意義を訴え
10・1外注化阻止へ、最後の正念場の闘いに突入しました。東京約400人、千葉で約90人、水戸80人、高崎で50人、東日本全体で1000人余りの強制出向を伴う業務外注化です。今回の外注化は検修・構内部門の半分です。来年には追加的外注化、3年以内にさらに大規模な外注化、ほぼ5年間でJRの車両検査修繕部門のすべてが下請け会社に放り出される。雇用は破壊され、最終的には転籍―非正規職化まで必ず行き着きます。
にもかかわらず東労組は現場で、なにか3年で帰ってこれるかのような宣伝をしている。ウソっぱちもいいとこです。そういう宣伝で現場組合員を出向に駆りたてているんです。
当局も、さまざまな攻撃を始めています。外注化の現場説明会を設定したり、「ロッカーを整理しろ」なんてことも言ってきている。千葉では先行的に管理者16人に出向の事前通知が出されています。まさに一触即発で現場の怒りに火がつくという状況の中で今日のストライキを迎えました。強制出向など絶対に許さない。まず自らのために闘う。これが第一です。
だけど、これは自分たちのためだけの闘いではない。若い仲間たちにとっては「退職まで出向」という形ではすまない。5年後には転籍を迫ってくるに決まっている。
来年からJRは、検修部門の新規採用は一切やらない。下請け会社で採用すると言っている。団交で「それは正規職なのか非正規職なのか」と聞いたら、会社は「下請け会社がやることなので分からない」と言っている。あらかたが契約社員になるに決まっている。労働条件も雇用もめちゃくちゃにされ、徹底した低賃金で技術力が継承されていくんですか? 安全は確実に崩壊します。
すでに2千万人以上の労働者が非正規職に突き落とされています。こんな攻撃を許しておいたら、さらに1千万人、2千万人の青年が非正規職に突き落とされていく。労働者が未来に希望をもって働けない社会なんて絶対に間違っています。
私たちは業務外注化という課題にこだわってこだわって12年間闘ってきました。社会全体を競争原理にたたき込む新自由主義に対して、労働組合はちゃんと闘えるということを12年間証明してきた。この闘いは、この腐った社会のあり方を変えるまで続きます。この裁判は、今後も徹底的に闘い抜く宣言です。
この1カ月、職場を怒りの渦で埋めつくし、熱く熱くしてほしい。事前教育、庁舎の区分け、ロッカー整理、もっと細かいことを言えば工具はどうするんだとか問題は何ひとつ解決してません。ぐちゃぐちゃですよ。すべてを徹底的に追及する。職場に行ったら毎日ケンカです。その怒りの渦の中から「みんな考えてくれ。自分たちの未来、権利がかかっているんだ。後で悔やんだって始まらない」と職場の仲間に訴える。これが今日一番、提起したいことです。そういう熱い議論の中から、動労千葉や動労水戸に結集する動きが必ず始まる。
平成採の仲間が今日、動労西日本に結集しました。僕らが連帯して闘っている連帯労組関生支部はこの間、1千人の組合員を拡大しました。時代は、闘う労働組合が組織拡大する時代に入った。困難な闘いですが絶対にあきらめず、自らが闘いの先頭に立って訴えていこう。こういう闘いを徹底的にやり抜いて10月1日外注化実施を吹っ飛ばそう。
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週刊『前進』(2550号2面4)(2012/09/03 )
動労水戸 大子支部で組織拡大
ストと水戸支社抗議に立つ
動労水戸は8月24日、検修外注化絶対反対を掲げて全組合員がストに立ち総決起集会とJR水戸支社抗議行動を闘った。 勝田車両センターや勝田駅、水郡線営業所、土浦駅で早朝ビラまきを闘った組合員と支援が水戸市内に続々と結集し、午後から水戸地裁で開かれた損害賠償請求訴訟に臨んだ(記事別掲)。
その後、市内の会場で決起集会が開催された。
基調報告に立った石井真一委員長はまず、7月30日から開始した大子(だいご)支部の指名ストについて「この闘いは福島第一原発事故によって今も強制され続けている放射線被曝を絶対に許さない正義の闘いだ」と述べ、国労郡山工場支部の橋本光一さん、福島の佐藤幸子さんや椎名千恵子さん、仙台の自治体や全逓の仲間など全国からこの闘いに寄せられた檄(げき)文を紹介した。それは被曝労働拒否闘争への圧倒的共感を示すものだ。石井委員長は「この闘いは労働者の健康や命がどうなっても構わないという資本の本質を暴き、外注化阻止決戦の火ぶたを切った」と勝利的に総括した。
さらに石井委員長は、この間の団交での会社とのやりとりを具体的に報告しながら、「検修・構内外注化はあらゆる面で矛盾だらけだ。9月前半が勝負だ。教育訓練、出向の意思確認、設備工事などを巡って、東労組の組合員も巻き込んで職場抵抗闘争を闘い、10月1日実施を絶対に阻止しよう」と強く訴えた。
支援に駆けつけた福島労組交流センターの渡辺馨代表、動労千葉の中村仁執行委員、とちのきユニオンの仲間がともに闘う決意を表明した。
組合員から積極的な発言が続いた。「今の職場の雰囲気は分割・民営化の頃を思い出す」「『決まっちゃったらしょうがない』というあきらめも出てきている。『やっぱり外注会社には行きたくない』と言う人もいる。動労水戸加入の『壁』は大きいが組織拡大へ働きかけを強める」。勝利のための真剣な討議が交わされ、外注化阻止と組織拡大をなんとしてもかちとる決意がみなぎった。
最後に辻川慎一副委員長が「この決戦は、国鉄分割・民営化と、その後25年間にやられ続けてきたことすべてにリベンジし、今までの支配構造をぶっ壊す闘いだ。われわれが動労水戸としてやってきた闘いに確信を持って正々堂々と闘いきり、10・1外注化を粉砕することだ。その中で組織拡大は必ずできる」と奮い立つような訴えを行った。参加者全員の気持ちが一つになった。
集会終了後、参加者はJR水戸支社門前で抗議行動を闘った。この日は会社と東労組の支社団交の日だ。「外注化阻止! 強制出向を許さないぞ!」「被曝労働強制をやめろ!」「東労組の裏切り弾劾!」と腹の底から怒りのシュプレヒコールを繰り返した。
青年運転士が東労組と決別
この直後の28日、水郡線営業所で東労組大子支部青年部長を務める青年運転士が、東労組に脱退届けをたたきつけて動労水戸に加入した。「ライフサイクル深度化」と称する運転士の強制配転、被曝労働強制、検修外注化に絶対反対で闘うために東労組と決別し動労水戸を選択したのだ。傘下の組合員を強制出向に追いやる東労組執行部への人生をかけた反撃だ。この間の動労水戸の職場闘争は圧倒的に職場の若者を獲得している。
JRで働く全労働者は動労千葉、動労水戸―動労総連合に結集し、検修全面外注化とJR大合理化を阻止しよう。
(写真 検修業務外注化と出向、被曝労働を強いるJR水戸支社に怒りのコール【8月24日 水戸市】)
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週刊『前進』(2550号2面5)(2012/09/03 )
動労水戸損賠訴訟 組合差別は明らかだ
資料提出拒むJRを追及
動労水戸の損害賠償請求訴訟の第4回口頭弁論が8月24日、水戸地裁民事第1部(脇博人裁判長)で開かれた。運転士登用差別事件をめぐる最高裁判決の完全履行と、昇進差別・賃金差別による損害の賠償をJR東日本に求めた裁判だ。この日ストに立った組合員、多くの家族、支援が集まり、傍聴席に入りきれないほどの結集となった。
前回期日で原告側は、@最高裁判決が支払いを命じた「実際に運転士として勤務していたら得られたであろう賃金」との差額を明らかにするために、水戸支社の運転士が実際に乗務した勤務時間数の平均データ、A所属組合を表示した全社員の昇進試験の合否データ、原告組合員の昇進試験の全結果データ、B昇進試験の合否判定の具体的な判断基準などの開示をJR東日本に求めた。会社側は、木で鼻をくくったような書面でごまかし、具体的回答を一切拒否する不誠実きわまりない態度をあらわにした。
原告代理人の松田生朗弁護士、葉山岳夫弁護士、山本志都弁護士がそれぞれ、運転士の勤務時間に関するデータは本訴訟において必須不可欠であること、会社は所属組合ごとの合否データは存在しないと言っているがそんなことはありえないことなどを突きつけ、あらためて回答するよう強く迫った。
これに対して脇裁判長は、「『出す』『出さない』で空転してもしかたない。会社側は出さないと言っているのだから、その前提で裁判を進めてはどうか」と露骨に被告側に肩入れするではないか。傍聴席から「出すように促すのが裁判長の役目じゃないか!」と鋭い怒りの声があがった。裁判長の強権的な訴訟指揮をはね返し、全体が意気軒高と闘い抜いた。
裁判終了後の報告集会で石井真一委員長は「職場ではずっと下位職は動労水戸と国労。国労も会社との和解以降、どんどん試験に受かるようになっている。組合所属による差別は歴然としている」と述べ、会社側による不当労働行為をあらためて弾劾した。
次回期日は、11月30日午後1時20分から水戸地裁。
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週刊『前進』(2550号2面6)(2012/09/03 )
労組拠点うち立てよう
11月労働者集会 第1回実行委員会
闘う労働組合の組織拡大大会に
11月労働者集会の開催に向けた第1回実行委員会が8月26日、東京都中央区の浜町区民館で開催された。この場で、今年の労働者集会を11月4日(日)に日比谷野外音楽堂で開催することを決定した。内容的には「新自由主義と闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」「国鉄1047名解雇撤回! 外注化阻止・非正規職撤廃!」「反原発・反失業を闘う国際連帯闘争を!」という三つの課題を掲げて闘う。集会の呼びかけは例年どおり全日建運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、動労千葉の3労組と国鉄闘争全国運動の4団体だ。
冒頭、港合同の中村吉政副委員長が、8月18日に亡くなられた港合同の辻岡尚さんの功績に触れた。辻岡さんは、港合同の執行委員として闘いの最先頭に立つとともに、11月労働者集会のスタート当初から3労組共闘の中心としてその成功に尽力してこられた。中村副委員長は「港合同としては大和田幸治事務局長に続き、車の前輪・後輪を奪われた思いだ。2人は国鉄闘争と11月労働者集会の先頭に立って闘ってきた。港合同、そして私自身が先頭に立ち、この集会の成功と大阪市長・橋下による団結権破壊と闘う」と述べた。
続いて発言に立った関生支部の高英男副委員長は、関生支部でのこの間の組織拡大闘争について「何度もの弾圧と業界との激しい闘いに組合員は必死で応えてきてくれた。執行部自身がこの性根の入った組合員たちの力を存分に引き出せてなかった。執行部が危機感をもって訴え、内部でのねばり強い議論を経て全組合員に動いてもらった結果、8月までに約1千人の組織拡大を実現した」とその教訓を語った。
実行委員会の基調を提起した動労千葉の田中康宏委員長は「膨大な労働者が生きていくことのできない状況にたたき込まれているが、そうした人たちは労働組合に希望なんか持ってないのが現実だ。われわれこそが希望にならなければならない」と呼びかけた。さらに、この間の反原発闘争を始めとする闘いの高揚、正念場に入った国鉄闘争の現状、国際連帯闘争の拡大を報告し、「関生支部の闘いに学び、今年の集会を闘う労働組合の組織拡大大会としてかちとろう。これは戦後の労働運動がなしえなかった挑戦だ。情勢は悪くないが、闘いの拡大は簡単ではない。関生支部のように強烈な構想と執念を持つこと、11月集会に結集してきたすべての仲間が例外なく本気になることが鍵だ」と訴えた。
会場から活発に意見が出された。橋下による処分攻撃と闘う大阪市職の赤田由行さんは「9・16橋下打倒集会を職場での闘いを軸に、職場の仲間の怒りとつながり、いかに団結を拡大するのかをかけて闘う」と発言。郵政職場で働く仲間は「闘う労働組合の組織拡大大会に、という提起に大賛成だ。“どうしようもない”と言われるJP労組に風穴を開け、職場に拠点を打ち立てることが11月に向けた自分の闘いだ」。被災地での復興特区攻撃と闘う仙台市役所・動労千葉を支援する会の青年労働者は「闘いの核になる拠点労組を打ち立てることなしに1万人結集はない。仙台市職労を闘う労働組合に変える」と決意を語った。さらに東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会、医療・福祉職場、全学連などが発言。職場や大学キャンパス全体を対象とし、丸ごと獲得するための課題や教訓、苦闘が数多く語られた。
11・4全国労働者総決起集会まで残り2カ月だ。労働組合や個人の賛同署名、チケット販売などエンジン全開で具体的取り組みを始めよう。
(写真 呼びかけ3労組からの問題提起に続き、活発な討議が交わされた【8月26日 東京都中央区】)
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週刊『前進』(2550号3面1)(2012/09/03 )
「復興特区」攻撃粉砕し仙台市職労決戦勝利へ
革共同宮城県委員会
〈大恐慌と3・11〉情勢下における反原発100万決起という革命的情勢と未曽有の階級決戦期が到来した。この情勢に際して革共同は10・1JR外注化阻止決戦を基軸に党の総力を挙げて闘い、労働組合における革命的拠点建設と革命的労働者党建設を一体的に推進し、100万決起情勢をプロレタリア革命へと飛躍・発展させる方針を提起している。革共同宮城県委員会は10・1JR外注化阻止決戦を闘うと同時に、仙台市丸ごと外注化・非正規職化、市職労解体を狙う復興特区攻撃を打ち破ることをとおして、仙台市職労の革命的拠点化をかちとる決意である。ともに闘おう。
トモダチ作戦で対日争闘戦と日米安保の強化狙う米帝
3・11で日米安保が危機に
2011年3月11日、世界大恐慌の中で日帝は東日本大震災に直撃され、福島第一原発事故を引き起こした。日帝は階級支配崩壊の危機に陥った。戦後世界支配体制の要、日米安保体制も危機に突入した。米帝オバマは直ちに米軍(在日米軍と太平洋軍)派遣を決断した。米陸・海・空軍、海兵隊に対する有事(対中国・対朝鮮侵略戦争)の指揮権を唯一持つ米太平洋軍司令部(ハワイ)の責任者を投入し、戦争態勢を敷いた。
米帝は、大震災・原発事故に付け込んで「トモダチ作戦」を実施、日帝自衛隊の無力性を暴き、日米安保体制のもとに日帝を完全に組み敷こうとした。米中矛盾が激化するなか、世界戦略上の最重要地域を中東からアジア太平洋へ移し、対中対峙・対決を強めたのだ。
急派された原子力空母ロナルド・レーガンが3月13日未明に宮城県沖に到着した。強襲揚陸艦エセックスやドック型揚陸艦ジャーマンタウン、さらに第7艦隊の指揮統制艦ブルーリッジなど合計13隻の軍用艦が宮城県沖周辺海域に集結した。日米安保同盟・沖縄基地政策でぐらつく日帝・菅民主党政権に有無も言わせず仙台空港を制圧し、中国・ロシアに対する迎撃態勢をとった。大陸間弾道弾の着弾・核戦争を想定した対中国・対朝鮮侵略戦争をも構えた。これがトモダチ作戦だ。
日本市場制圧へ特区・TPP
米帝は危機に無対応の日帝に争闘戦をしかけ、軍事作戦と一体のものとして米保守系シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)と日本経団連との合同会議を頻繁に開き、日帝に激しい要求を突きつけた。
第一に、日米安保政策で動揺する民主党政権への不信感もあらわに、日米安保体制の戦時発動にむけた強化を要求した。第二に、福島第一原発事故で動揺する日帝に米帝の核支配とエネルギー政策の死活をかけて原発再稼働を要求した。第三に、米帝・大資本と仙台市、東北大学を直結させ、米帝・大資本が日帝の技術力を簒奪(さんだつ)でき、自由に投資(搾取・収奪)できる経済特区の設置を求めた。
世界大恐慌下で帝国主義間・大国間の争闘戦が激化するなか、米帝はアジア太平洋地域のブロック化=争闘戦政策として、日米安保体制強化とTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加を日帝に要求し、経済特区・復興特区を突破口に日本市場を開放させ、米帝資本が再分割・制圧することを狙っている。
危機突破かけ復興特区攻撃
日米安保同盟以外に軍事外交政策を持てない敗戦帝国主義・日帝にとって、米帝の日米安保強化・動員、市場開放・規制撤廃の要求がいかに日帝解体的なものであろうと、それをのむ以外に選択肢はない。また同時に日帝も「震災復興」を突破口に戦後の議会制民主主義体制(戦後憲法体制)と国家独占資本主義政策(福祉国家政策)を右から破壊する新自由主義政策を一層強めて、帝国主義間争闘戦からの脱落の危機を突破しようとあがいている。
経団連は昨年5月、米CSISとの3・11直後からの協議をとおして「復興・創生マスタープラン―再び世界に誇れる日本を目指して―」を打ち出した。大資本が農漁民から土地と海を強奪し、被災地の賃金をアジア並みに引き下げる復興特区プラン、被災自治体丸ごとの民営化・外注化・非正規職化だ。
大地震・大津波で死者と行方不明者が2万人を数え、福島原発事故で故郷を奪われ、避難を強制された人が40万人に達するなか、経団連は国家をフルに使って被災地の労働者、農民、漁民を食いものにし、あるいは切り捨て、金をもうけ、延命することをひたすら追求していた。これが資本主義・帝国主義の本性だ。
復興特区攻撃は、国・地方自治体がその見せかけの公共的性格(社会保障・福祉、教育など)を投げ捨て、労働者人民を搾取・収奪し、支配・抑圧するための暴力装置であることをあらわにする攻撃だ。また公務員全員解雇を狙う道州制の突破口であり、労働規制の撤廃、諸権利の剥奪(はくだつ)など、戦後憲法を停止・破壊する大反動攻撃だ。
日帝は、中国・アジア太平洋をめぐる米欧帝国主義との争闘戦、労働者階級に対する階級戦争の成否をかけてJR全面外注化、橋下反革命、復興特区の大攻撃に打って出ている。労働者人民が復興特区攻撃を粉砕できるか否かは、仙台市役所をめぐる市職労攻防と東北大学をめぐる自治会攻防に勝てるかどうかにかかっている。これは、絶望的危機にあえぐ日本帝国主義の延命をかけた新自由主義攻撃を粉砕し、プロレタリア革命を準備する闘いである。
復興特区-外注化・非正規化と対決し市職労の拠点化を
村井県政・奥山市政との対決
宮城県知事・村井嘉浩と仙台市長・奥山恵美子は、復興特区政策を率先して推進する復興計画を打ち出した。「食と農のフロンティア」(仙台市)をはじめ水産特区、産業特区など、すべての復興特区は、資本の誘致を口実に、津波で破壊された農地・宅地を強奪するために設けられる。農民から耕作権、漁民から漁業権を奪って資本に与える。労働法制の適用を除外し、大量の非正規雇用労働者を生み出し、資本がほしいままに搾取・収奪する。
沿岸部が更地化されたまま多くの労働者・農民・漁民が仮設住宅生活を強いられている。その間に大資本は巨大利権を独占しようとしている。村井、奥山はその便宜を図り、おこぼれにあずかかろうとしているのだ。
奥山仙台市長は、復興特区最大の攻撃として仙台市役所の全面的民営化、外注化・9割非正規職化、市職労の闘う団結解体の攻撃に踏み切った。市当局は清掃、給食、福祉、教育など多くの職場の民営化を強行した。その結果、非正規職はすでに全体の4割に迫っている。
民営化、外注化の領域は極限的に広げられようとしている。「日本公共サービス研究会」は7月27日に東京・足立区で第1回研究会を開催した。153自治体が参加し、各種窓口業務、会計・出納、国保・介護保険関連、設計・積算・入札・契約など、全面的な外部委託化の方針を打ち出した。全員解雇・9割非正規職化だ。仙台市の保育所民営化、税務事務の一元化、指定管理者制度による公募、清掃事業に対する全面競争入札などの攻撃はその突破口だ。
9割ストレス、5割が抑うつ
仙台市当局は4月4日、昨年6〜7月に仙台市職員からとったアンケートの結果を公表した。市職員の〈9割がストレスを感じ、5割以上が抑うつ状態の疑い>という現実が浮かび上がった。それは3・11から1年以上もたった今も変わっていない。しかも仙台だけではない。3月には「福島民友」が福島県の市町村職員の現状を「もう限界!業務過多、目立つ精神疾患」と報じた。
徹底した人員削減が強行され、復興の名のもとに月100時間を超える残業が強いられ、連日、帰りは終電、土日も出勤、仲間のことを考えようにも身動きが取れない。仕事が回らない現実を強制し、仲間を分断して団結を奪い、病休や自主退職、さらには自殺に追い込み、その穴埋めと称して外注化・非正規職化を強行する。これが仙台市の復興特区攻撃であり、全国360万公務員全員解雇・9割非正規職化の具体化である。
3・11当日、津波が襲う沿岸部での広報業務で2人の仲間が亡くなった。昨年9月の台風による冠水現場で2人の仲間が亡くなった。そして〈9割がストレスを感じ、5割以上が抑うつ状態の疑い>という極限的な労働環境の中で多くの仲間がメンタル発症や病休、退職、自殺に追い込まれている。この仲間の悔しさをわれわれは絶対にあいまいにしない。
仲間と団結し攻撃打ち破れ
職場には怒りがあふれている。仙台市役所・動労千葉を支援する会の仲間を先頭に復興特区=外注化・9割非正規職化攻撃と闘う労働組合をつくる闘いが始まっている。10・1外注化阻止、1047名解雇撤回の国鉄決戦と一体となって復興特区、民営化、外注化・非正規職化と闘い、反原発闘争への100万人決起をかちとろう。市職労拠点化の闘いは新自由主義との対決をとおして前進する。革共同宮城県委員会は、現場で闘う仙台市職労の同志、組合員の仲間とともに総力を挙げて復興特区攻撃粉砕へ闘う。
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週刊『前進』(2550号3面2)(2012/09/03 )
橋下打倒集会に賛同続々
労組交流センター 自治労連大会で訴え
8月26日、全国労組交流センター・自治体労働者部会は、愛媛県松山市で開催された自治労連大会に登場し、ビラまきと9・16橋下打倒集会の賛同署名集めを行った。
部会の仲間は「民営化、現業首切り許すな」と訴えながらビラをまくと、組合員は次々に自分からやってきて、ビラを受け取り署名に応じた。組合員は「橋下打倒」と「子ども・子育て新システム反対」の横断幕を見て共感し、署名に応じながら「処分はおかしい」「現場の民営化が進んでいる」と危機感や怒りをあらわにした。自治労連執行部が闘う方針を出さないからだ。
自治労連幹部は、労組交流センターの仲間に対して「ビラまきは敷地外でやれ」と言いながら、組合員に対しては「ビラを受け取らないで下さい」と指示し、会場入り口に大きな箱を置いてビラを回収するなどして、敵対してきた。しかし、組合員は半数以上がビラの回収に応じず、中には抗議する人も現れた。
午後からは「10・1外注化阻止」と「9・16橋下打倒」を訴える街頭宣伝と署名運動を行った。自治労連幹部の差し金で警備会社の職員が街宣の弾圧に再三現れ、自治労連幹部が監視する。しかし、多くの組合員が夏の日差しが照りつける会場前にわざわざ出てきて横断幕の写真を撮ったり、署名を行った。
日本共産党スターリン主義は労働運動において、国鉄1047名闘争での4・9政治和解のお先棒を担ぎ、日本航空客室乗務員のストライキを圧殺して、橋下大阪市長の道州制導入・全員解雇・組合つぶしに職場で闘わずに屈服してきた。彼らの労働組合支配は今や完全に空洞化している。現場は怒り、闘いを求めている。
労組交流センターの仲間は大会情宣で組合員の怒りと完全に結びつき、大勝利した。この闘いをひきついで、自治労大会決戦から9・16橋下打倒集会―10・1外注化阻止決戦に攻め上ろう!
(KN)
(写真 自治労連大会で「民営化反対、橋下打倒」を訴える全国労組交流センター【8月26日 松山市】)
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週刊『前進』(2550号3面3)(2012/09/03 )
入れ墨調査拒否者に戒告処分
赤田さんと9・16実が反撃
8月29日、橋下徹・大阪市長による「入れ墨調査拒否」への処分に対する反撃が大阪市役所前でたたきつけられた。処分攻撃の当該である大阪市職の赤田由行さんを先頭に、9・16橋下打倒集会実行委員会に参加する自治体労働者や教育労働者、全日建運輸連帯労組関西生コン支部、全国金属機械労組港合同、関西合同労組、全社連労組など総勢50人が抗議の宣伝活動を行った。
28日、大阪市職員の6人の労働者に対して「入れ墨調査の職務命令に従わなかった」として懲戒処分(戒告)が強行された。この不当処分への怒りをバネに、朝8時から出勤中の大阪市職の労働者らに「入れ墨調査拒否への処分を絶対に許さない。ともに反撃しよう」と訴えるビラが次々と手渡され、関生支部の宣伝カーから赤田さんが熱烈な訴えを行った。
10・1JR外注化阻止へ、ストライキで組織を拡大して闘う動労千葉・動労水戸の闘いと一体となって、9・16橋下打倒集会に攻め上ろう。
◇
入れ墨調査への回答を拒否して戒告処分を受けた赤田由行さんが29日に出した処分弾劾ビラを転載します。(編集局)
(写真 「入れ墨処分許すな」と訴え大阪市役所前で抗議行動【8月29日】)
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入れ墨調査拒否への処分を絶対に許さない! ともに処分―解雇攻撃への反撃を始めよう!
大阪市職員労働組合組合員 赤田由行
●橋下市長よ! あなたは入れ墨調査を開始した5月、入れ墨を入れていたら「懲戒免職はダメでも分限(免職)はあり得る」と言った。しかし、そもそもあなたが根拠としていた「職員が入れ墨を見せて脅しを行った」ことは完全にうやむやにされている。そんなでっちあげの調査で「解雇」の恫喝をされ、労働者が黙っていると思ったら大間違いだ!
入れ墨があるかどうかなど上司が見ればわかる。それでもあくまで「調査票」の提出を強制するのは、とにかく「言うことを聞け。聞かなければ解雇」と絶対服従を迫るということじゃないか。「俺が命令したらケツの穴まで見せろ」と言うことじゃないか! そんな調査を絶対に認めることはできない!
●労働者のみなさん。今回の調査は6月1日施行の職員基本条例による「職務命令」として行われました。この条例のなんたるかが、今回の調査ではっきりと示されました。
「5回の職務命令違反または同一の職務命令に3回の違反があれば直ちに免職できる」とし、解雇をバックになんでもかんでも職務命令を乱発しようということです。こんなものを絶対にまかりとおらせてはなりません。
●入れ墨だけの問題では決してない。すでに喫煙で停職1年、前日夜の飲酒による飲酒運転で停職1年、10分の休憩でさえ処分、など職員基本条例を盾にした重処分が相次いでいます。
副業を禁止された公務員にとって無給の「停職1年」とは生きる糧をまるごと奪い、自主退職に追い込む解雇以上の攻撃です。
だからこそ、今ここで入れ墨調査拒否への処分を撤回させることは、労働組合として絶対に必要な闘いです。
●闘えば勝てます。現場労働者が調査票の提出を拒否し続け、現場で「やっぱりあの調査はおかしい」と声をあげる中、2度にわたる提出命令が行われ、警告文がだされ、始末書を書けといい、3カ月以上たってやっと処分だというのです。絶対反対で闘う労働者が存在することが橋下を追い詰めてきたのです。今こそ労働組合として、処分―解雇という攻撃への大反撃を始めましょう。
●「今はおとなしくしておいた方が得策」などという意見もありますが、絶対に間違っています。野田政権の国家戦略会議は「40歳定年制」「有期雇用を基本に」と言い始めました。その野田に対して、橋下は賛辞を送り始めています。
労働者を全て非正規にするため、民主党政権と橋下が一体となって労働組合をつぶそうとしている構図がはっきりと見えてきました。その中で、道州制による公務員全員解雇―大民営化攻撃が狙われています。
●入れ墨調査を口実とした「配転」とは、国鉄の「人材活用センター」攻撃と同じ、典型的な解雇攻撃としてみる必要があります。解雇に向けて、入れ墨の有無で職員をバラバラにする攻撃です。そもそも入れ墨があろうがなかろうが、労働者は団結して職場を回してきたのです。橋下にどうこう言われる筋合いは全くない!
橋下よ! すでに「入れ墨調査拒否処分」を無数の労働者の怒りが包囲しているぞ!
労働組合の闘いとして、入れ墨調査拒否処分撤回の闘いをやろう!
その反撃の開始として、9・16橋下打倒集会に集まろう!
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週刊『前進』(2550号3面4)(2012/09/03 )
関西教労集会 大阪市教組に拠点を
民営化・全員解雇と闘おう
処分撤回を求め人事委員会闘争
8月24日の関西教育労働者集会は、橋下徹・大阪市長の攻撃に対する危機感と怒りに突き動かされた新たな参加者をはじめ約30人の教育労働者が結集した。
基調報告は、橋下の教育の民営化に絶対反対で闘い「君が代」不起立を貫き処分を受けた大阪市教組の沼田祐子さんが行った。
まず、10・1JR外注化阻止決戦は、反原発数十万人の決起として開始された革命的情勢の中で、絶対反対で闘う労働組合が新自由主義を粉砕できることを全社会に指し示し、資本と労働者の力関係を逆転させる一大階級決戦であること、それと一体で9・16橋下打倒集会は新自由主義と闘う労組拠点を職場に打ち立てる闘いであることを明らかにした。
そして自身が絶対反対の闘いを貫くことで、体制内執行部が当局の手先であることを組合員の前に暴き、本当の労組の団結をつくる契機となっていることを報告し、処分撤回を求める人事委員会闘争を、教育の民営化と闘う教育労働者の結集軸にして大阪市教組の拠点建設に踏み出すとの決意を語った。
教育の民営化に職場から反撃を
続いて関西労組交流センター・教育労働者部会の仲間が、橋下による教育の民営化は、教育をも資本の金もうけの餌食とする攻撃であり、教育公務員全員解雇・非正規職化の攻撃であることを明らかにした。日本総研は授業・部活動の民間企業への外注化やコミュニティスクールの設置など民営化の具体策を提案し、野田政権は40歳定年制と有期雇用化・10割非正規職化を打ち出している。橋下はその突撃隊長となり「維新八策」で「公立学校教員の非公務員化」を主張している。処分乱発こそその突破口だ。教労部会の仲間は「橋下を打ち倒す闘いを職場で始めよう。いかなる処分も全員解雇の始まりだ。一人の処分も解雇も許さず闘おう」と訴えた。
討論では教育の民営化攻撃に対して、それぞれの職場で闘いを開始していることが報告された。
中でも集会当日、大阪府教委が全公立学校の生徒や保護者から「授業評価」のアンケートを採り教員の評価・賃金に直結させると発表したことに「絶対に許せない」と怒りが次々と表明された。
府教委は9月半ばから全校でアンケートを実施し、来年度からその結果を反映させるという。橋下は、アンケート導入の条件として教育労働者の人事評価を絶対評価にするとしたが、実際は教育労働者の約5%に最低評価をつけるよう校長に指示を出している。「授業はわかりやすいか」などの生徒や親へのアンケートは多くの公立学校ですでに行われており、自由記述では学校や担当教員への批判が書きつづられているという。
討論では「何のための評価か! 気持ちがなえ誇りを奪われボロボロにされる」「労働者として団結すべき親と教員が分断され、教育の民営化に利用されている」と怒りが語られた。
「授業評価アンケート」は「ダメ教員」のレッテルをはり、教育労働者を競争させバラバラにし、職場の団結と労働組合をつぶし、全員を解雇していくものだ。学力テストの学校別公表や学校選択制と一体で、学校にランクを付け、次々と廃校にしていく。そして「公立学校には指導力がない」と決めつけ、民営化を進める攻撃だ。
労働組合の団結こそ生きる希望
教育労働者は、「いじめ」、学級崩壊、不登校、暴力事件、低学力などの問題と必死に格闘している。しかし、こうした問題は新自由主義による「人の命をモノ扱いし、未来に展望の持てない社会」と教育の破壊によってつくりだされているのだ。
「大津いじめ」問題では、かけがえのないわが子を亡くした親の怒りと悔しさを利用して、警察を学校に導入して子どもたちを逮捕し厳罰に処し、第三者機関で「解決」しようとしている。「教育労働者にも公立学校にも解決能力がない」と、教育の民営化を一挙に進めようとしているのだ。これでは「解決」どころか一層の教育破壊である。
青年労働者が命と心を削り取られるような毎日の中で、労働者的団結との出合いもないままに個々に押しつぶされ、あらゆることで不適格教員の烙印(らくいん)を押されて処分・解雇される。こんな現状を進めるのが教育の民営化だ。絶対に許せない。
まだ、橋下がかろうじて大きい顔をしていられるのは、労働組合執行部が現場の怒りを抑え込み闘わずに屈服しているからだ。だが沼田さんや大阪市職の青年労働者の闘いは、橋下の強権的なやり方は絶対反対の決起の前には実にもろいということを示している。
教育労働者にとっても、子どもたちにとっても、未来の展望と生きる希望を奪い返すために労働組合の団結を取り戻し、社会変革の主人公としての闘いを復権させることが必要だ。職場で闘いを開始し、9月16日、橋下打倒宣言をたたきつけ、10・1外注化阻止決戦で労働組合の力を示し、11・4労働者集会に攻め上ろう!
(大阪・槻山)
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週刊『前進』(2550号4面1)(2012/09/03 )
原子力規制委員会人事案許すな
田中俊一(委員長候補)は原発推進の先兵
原子力ムラの出身者で 福島事故にも重大責任
8月24日に野田政権は、新たに設けられる原子力規制委員会の人事案を閣議決定した。8月29日に参院で野田首相への問責決議案が可決され、国会審議が止まることにより、規制委メンバーは、規制委員会設置法の例外規定を使って首相が単独で任命することもありうる情勢となっている。
この規制委は、大飯原発に続く他の原発の再稼働と原発輸出を当面の最大目的とした機関である。さらには福島と全国で一層の被曝を国策として強制する極悪組織だ。こういう新機構を設置すること自体、3・11福島原発事故そのもの、そして大飯原発の再稼働に続く人類史的な大犯罪にほかならない。
労働者人民には、原発事故と放射能汚染を繰り返そうとするこんな政権や国家を打倒する権利と義務がある! 官邸前行動を始め反原発闘争をさらに大衆的に爆発させ、規制委人事案を粉砕しよう。
規制委は原発行政の独裁的な機関だ
原子力規制委は環境省の外局として新設され、このもとに「原子力規制庁」が設けられる。経産省の原子力安全・保安院、内閣府の原子力安全委員会、文科省の放射線モニタリングなどの機能を集約する。原子力にかかわる行政のほぼすべてが規制委に集中され、巨大な権限をもつ独裁的な機関が出現するのだ。
野田政権はこの独裁的機関に原子力ムラの”札付き”の人物を就けようとしている。委員長候補の田中俊一は、@高速増殖炉「もんじゅ」を運営する原子力研究開発機構の副理事長、A内閣府・原子力委員会の委員長代理、B原子力学会の会長、という経歴を持つ。@は原子力関連の独立行政法人、Aは国の原子力政策の最高機関、Bは原子力関連の御用学者団体であり、原子力ムラを総わたりした人物だ。3・11福島原発事故を引き起こした張本人の一人であり、本来なら即、監獄送りとなるべき者である。核・原発の非人間性を体現し、核と資本のためなら人間の命など露ほどにも思わない極悪人だ。
委員候補の更田(ふけた)豊志は原子力研究開発機構、同じく候補の中村佳代子は医療用放射性廃棄物処理場を運営するアイソトープ協会と、いずれも原子力関連機関に所属している。核と放射性物質で金もうけをしている連中が「規制」機関に入って、何を規制するというのか。原子力関連資本の好き放題にお墨付きを与えるに決まっているではないか。従来から原子力ムラは、原子力関連資本の人物が国の原子力機関の要職を占め、その原子力機関から関連資本に天下りするという、相互浸透で成り立ってきた。同じことが踏襲されているのだ。
伊方の再稼働と原発輸出を狙う
こんな連中によって規制委がつくられれば、大飯原発に続いて他の原発も再稼働が進められるに決まっている。すでに伊方3号機はでたらめなストレステストの1次評価について「妥当」と判断されており、政府の手続き上ではいつでも再稼働に持ち込める状況にある。さらに8月上旬に原子力安全・保安院は、泊1・2号機、川内1・2号機のストレステスト結果を「妥当」と判断した。
さらに委員候補の大島賢三は、JICA(国際協力機構)副理事長・顧問などを歴任した外務官僚である。JICAこそ、原発などインフラ輸出のための円借款を担当し、そのための現地専門官の役割も果たしている。大島の役割は原発輸出の早期強行にある、と見てまちがいない。現に今、野田政権はベトナム・ヨルダン・トルコへの原発輸出を具体化しつつある。
原発の輸出、すなわちフクシマを上回るほどの原発大事故を輸出することなど、何がなんでも許してはならない。
山下俊一と並んで被曝強制の“主犯”
規制委は原発再稼働・原発輸出を画策しているだけではない。田中俊一は福島県の「除染アドバイザー」である。福島県の「放射線健康管理アドバイザー」である山下俊一とともに、福島県民の避難を認めず被曝を強制してきた「主犯」だ。そういう人物を新たな独裁的な国家機関の長に据える狙いは明白である。福島を始め全国で”放射線被曝は大丈夫”という大うそを振りまきつづけ、内部被曝・被曝労働に対する不安と怒り、抵抗と闘いを圧殺することだ。日本帝国主義はこれを当面の第一義的な目標にしている。ここを突破しないと再稼働も原発輸出も強行できないからである。
別掲の田中語録を見れば、彼が「確信犯」であることは明白である。@放射線被曝が福島でどれほど健康を破壊しているか百も承知しつつ、「100_シーベルト以下なら影響はない」と大うそを言いつづけている。A福島から避難することを許さず、「福島の人間は福島に住むしかないんだ」と被曝を強制している。田中は原子力損害賠償紛争審査会でも、自主的避難者への賠償に反対しつづけた。B”除染すれば大丈夫”とこれまた大うそを繰り返し、「住民が除染作業に関与する状況をつくる」ことで「ストレスを克服する力をつける」とキャンペーンしてきた。要は、除染とその効果について大うその誇大宣伝をし、福島県民を除染作業に駆り立てて、内部被曝への怒りを鎮圧しようとしてきたのだ。
田中は除染アドバイザーとして飯舘村の除染を担当したが、除染を徹底的にやったわけでもない。同村の酪農家の長谷川健一さんは「除染はまったく進んでいない」「避難する選択肢を排除する中途半端な除染」と批判している(東京新聞7・24付)。福島からの大量避難を認めたら日本帝国主義の核・原発政策は崩壊してしまう。だから「除染で大丈夫」説を吹聴し、被曝を強制し続けているのだ。
福島県の健康管理アドバイザーで福島医大副学長の山下俊一は、〈医療〉の側から被曝を強制してきた。田中俊一は〈除染〉の面から被曝を強制してきた。すでに山下の悪名は定着しているが、田中はそれに劣らず”ゆるやかな殺人の確信犯”にほかならない。しかも、山下も田中も、「放射線医療」や「除染」の事業で大手医療・医薬資本や大手ゼネコンと結びつき、自分は甘い汁を吸って平然としている。野田政権は、放射線被曝に対する福島と全国の怒りを押しつぶすために、このような人物を規制委委員長に就けようとしているのだ。
内部被曝と一歩も引けない闘い
これは、内部被曝・被曝労働の問題こそが原発をめぐる攻防の最大焦点であることを敵=日帝の側から自認するものである。敵の攻撃は、”低線量・内部被曝は大丈夫”という一貫した大うその上にのみ成り立っている。この大うそにこそ、核・原発の最悪性があり、同時にその最弱性もある。したがって”低線量・内部被曝は人類を破滅させる”という真実が労働者人民に広がれば帝国主義の核も原発も成り立たなくなる。
すでに、官邸前・国会前だけでなく全国すべての反原発・脱原発行動で、「子どもを守れ」というコールが繰り返されている。そこには、”放射能汚染は許されない、一番被害を受ける子どもの命を守るのは人間として当然”という熱い思いがこめられている。福島の人びとが3・11以来のあらゆる圧殺攻撃に負けなかったことにより、被曝強制に対する怒りが解き放たれ、今や帝国主義の最弱点を突く巨万決起に発展しつつある。ここでの攻防に勝ち抜けば、再稼働を阻止して全原発を廃炉にしていく展望は確実に切り開かれる。
「安全保障」目的の明記は核武装狙い
単に人事案だけではなく、規制委の発足自体がそもそも許せない。この規制委は、原子力政策の目的が核武装であると明記されて初めて設置される国家機関だからだ。
規制委設置法の第1条の「目的」には、「我が国の安全保障に資する」と記された。そればかりか規制委設置法の付則12条に盛り込む形をとって、「原子力の憲法」とされる原子力基本法も改悪された。「原子力利用の目的」に「我が国の安全保障に資する」が追加されたのだ。
第2次大戦後の日帝の原発推進は一貫して核武装を狙ったものだったが、ついにそれを法律上でも公然とさせたのだ。これで日帝は核兵器の保有を合法化した。ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマを経てきた日本が核兵器を持つことなど、どんなことがあっても許さない。これを食い止めるためなら、必要なことはなんだってやろう。野田政権は言うにおよばず、核武装をたくらむ資本家とのその体制そのものを吹っ飛ばそう。
こんな政権、こんな体制のもとでは人民は生きられないことが歴然とした。命を守るために福島とつながろう。福島とつながって命を守ろう。首相官邸前・国会前行動を先頭に、100万人デモに発展させ、すべての原発をなくそう。
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田中俊一(原子力規制委員会委員長候補)の語録
「100_シーベルトというのは健康に大きな影響はないということだと、いわゆる健康影響との関係でこのあたりをどう今後住民に理解いただくかということ、折り合いをつけていただくかということが大変大事になってくると思います」
「住民が納得するかどうかというのは、やはり住民が除染作業にある程度関与していただけるような状況を作ることが一番大事。……除染をする中でストレスを克服する力をつけていただきたい……。除染活動を当面の労働の機会とする……」
(11年8月の第32回原子力委員会での発言)
「放射能・放射線に対するストレスを克服するために、正しい知識を身につけること」
(12年2月の伊達市のセミナーでの講演)
「原発はコントロールできる」「福島事故は防げた」
(12年8月の国会での所信表明)
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週刊『前進』(2550号4面2)(2012/09/03 )
原発いらない福島の女たち 子どもの命守りたい
“政治を変えよう”と集会
8月29日、「女が変える!政治もくらしも原発も/原発いらない女たちアクション第3弾」が行われた。原発いらない福島の女たちなどが呼びかけ、福島から駆けつけた女性、福島から各地に避難している女性など、各地から女性が集まった。
参加者は午後2時、経産省前テントひろばに集合。「未来を孕(はら)むとつきとおかのテントひろば行動」世話人の椎名千恵子さんが「昨年12月に始めた『とつきとおか行動』は9月11日で満ちます。人間と人間がつながるエネルギーが社会を変える力です」と呼びかけ、テント前の歩道で輪になって福島の民衆の鎮魂と抵抗の踊り・かんしょ踊りを踊った。
その後、衆議院第一議員会館多目的ホールに移動して院内集会を開催。最初に原発いらない福島の女たち呼びかけ人の武藤類子さんが発言した。「原発事故が起きて、この世の中はひっくり返ると思いました。しかし大飯原発再稼働に象徴されるように、政治は何も変わらない。福島原発告訴団が告訴した被告訴人33人のうち32人が男性。原発社会も男性がつくってきたことがわかります。私たち一人ひとりが大切にされる世界に変えるため、女が前に出ましょう」と呼びかけた。
子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク代表の佐藤幸子さんは、「福島の子どもたちを守るために何回も院内集会に来て訴えたが、子どもたちを避難させないどころか、福島に戻していく。甲状腺検査でのう胞やしこりが出ても『心配しなくていい』。子どもたちを守るためには自分たちで政治をやるしかありません」と訴えた。
(写真 「女が変える!政治もくらしも原発も」と訴えかんしょ踊り【8月29日 経産省前テント】)
母親たちが胸を打つ訴え
続いて福島の女性が次々とマイクを握った。とりわけ母親たちの真剣な訴えが参加者の胸を強く打った。三春町から東京に避難している女性は「避難者の子どもの健康相談会を行ってきたが、本当は病気にならないために、残っている福島の子どもたちを避難させたい。原発を二度と稼働させたくない」、福島市から東京に避難している女性は「昨年3月、私は妊娠3カ月で、4歳と2歳の子どもを連れて避難した。中学生と高校生の妹はまだ福島市に住んでいる。いち早く子どもを助けてほしい」と訴えた。
福島市から米沢市に避難している女性は「福島市では毎時3・1マイクロシーベルト以上の校庭で活動させられ、部活もやらされ、地産地消の給食が出されている。伊達市のある小学校ではほぼ全員、福島市の中学校でも3分の2の子どもの甲状腺にのう胞が出ている。子どもたちを疎開させて」と呼びかけた。福島市の女性は「この1年半でわかったのは、この国は民主主義じゃないということ。国は『復興』『頑張ろう』『被災地の農産物を食べて応援しよう』と言う。政治は財布にも台所にも命にも直結している。子どもたちの命を守るためにも政治を変えたい」と訴えた。
その後、6〜7人に分かれてグループ討論を行い、再度全体集会で各グループの討論の報告を寄せ合い、今後も女性たちの行動を定期的に続けていこうと確認した。
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週刊『前進』(2550号4面3)(2012/09/03 )
8・24 官邸・国会前、霞が関に数万人
「野田やめろ」コール
8月22日、首都圏反原発連合の代表などとの会談で野田首相は「再稼働は必要」と開き直り、原発政策を推進すると言い放った。24日には、労働者民衆の反対の声を踏みにじり原子力規制委員会の人事案の閣議決定を強行した。
24日、首相官邸・国会前には数万の労働者民衆が駆けつけ、激しい抗議の声を上げた。「多くの国民の声を無視している野田は独裁者だ」「抗議がまだまだおとなしい。怒りを前面に出して、もっと激しくやる必要がある」と参加者が口々に怒りを語った。野田を絶対に許すな!
集団疎開裁判弁護士が訴え
午後6時、官邸前での集会は22日の報告から始まった。首都圏反原発連合の代表は「野田首相に抗議し、三つの要請をした。一つめは大飯原発の再稼働を中止すること。二つめは停止中のすべての原発を再稼働しないこと。三つめは全原発を廃止するエネルギー政策の転換。さらに現在進めている原子力規制委員会の人事案の撤回を要請した」と報告したうえで、「野田首相は福島からの悲痛な声にも表情を変えなかった」と弾劾し「今日は民主党本部にも圧力をかけよう」と呼びかけた。会談に出席したもうひとりの人は、「福島からの3通の要請を渡したが、野田の反応はなかった」と批判、「これからも原発の廃止を訴えて強く首相官邸に迫っていこう」と訴えた。「人事案反対!」「原発やめろ!」。野田への憤激がシュプレヒコールをいつも以上に激しくさせた。
さらに多くの参加者が発言に立った。ふくしま集団疎開裁判を闘っている弁護団の柳原敏夫団長と滋賀県から駆けつけた井戸謙一弁護士がマイクを握った。柳原さんは「だれもが二度とけっして原発事故があってはならないと、そのためには原発はすべて廃炉にしなければならないと思うように訴えよう。今こそ福島の子どもたちの集団避難を訴えよう」と激しい調子で呼びかけた。井戸さんは「今からでも福島の子どもたちを避難させるべきだ。支援してください」と訴えた。
官邸前には早くから多くの労働者民衆が駆けつけた。「非正規の労働組合の組合員だった」という女性は「原発も消費税もTPPも、私は怒りだしたら収まらない。電力総連も連合もおかしい。労働組合が頑張らないとだめだ。ネットやツイッターだけでは限界がある。労働組合は、目の前の利益を守るだけでなく社会全体を考えないといけない」と熱い心のうちを口にした。
国会前のファミリーエリアには今回も多くの家族が参加した。横浜から来た母親は「小学4年生の娘と小学1年生の息子の3人で初めて来ました。娘が夏休みの自由研究で原発事故を調べたので、抗議行動にも行ってみようということで」と語った。小4の女の子は「原発の勉強をするだけだと気持ちが暗くなったけど、ここに来て楽しかった。原発を止められる気持ちになった」と元気よく話した。
「電力不足」のうそ明らかに
24日、野田への抗議の声は官邸・国会前・環境省前から文科省前、経産省前、民主党本部前にも広がった。文科省前ではふくしま集団疎開裁判の柳原弁護士、井戸弁護士を先頭に「福島の子どもたちを避難させろ」と訴えた。環境省前では「原子力規制委員会の人事案を絶対に阻止しよう!」と環境省を弾劾した。
首都圏反原発連合の代表などの抗議を受けた直後の22日午後、野田は日本商工会議所の岡村正会頭と会い、原発推進で突き進むことで一致した。こんな連中は労働者民衆の力で打ち倒そう。
関西電力は、「原発がなくても(電力の)供給力は維持できた」と認めた。「電力が足りなくなる」は真っ赤なうそだった。大飯原発を今すぐ止めろ! 全原発を廃炉にしろ! 官邸・国会前、霞が関を埋め尽くす巨万の力こそ原発廃絶の道を開く。労働者民衆の闘いは野田や原子力ムラを追い詰めている。さらに「原発反対」の声を大きくし、100万人結集をめざして突き進もう。
(写真<上> 国会前も多くの労働者民衆が埋め尽くし、野田への怒りと原子力規制委員会人事案反対の叫びをあげた【8月24日】)
(写真<下> ファミリーエリアでは子どもたちが元気な声を張り上げて「原発はいらない!」)
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週刊『前進』(2550号5面1)(2012/09/03 )
極右の安倍や石原と連携する橋下=「維新の会」を打倒しよう
9・16大阪中之島集会に大結集を
日帝政治支配の危機の中で国政進出狙う
野田政権は、自民・公明と手を組んで消費大増税法案を可決・成立させた。その野田政権は政権崩壊の危機を深めている。野田の問責決議案が8月29日に参院で、自民を含む野党の賛成多数で可決された。国会審議は完全にストップし、今秋、衆院解散―総選挙に向かって情勢は動き始めた。
そうした中で、大阪市長・橋下徹と「大阪維新の会」が国政進出への動きを強めている。また、ブルジョア・マスコミは民主党や自民党など既成政党の無力・破産をなじる一方で、橋下をそうした政治の危機を打ち破る「改革の旗手」であるかのようにしきりに持ち上げている。この橋下にすり寄る諸政党は同29日、橋下の「大阪都」構想を後押しするものとして「大都市地域特別区設置法案」を成立させた。
橋下は9月中旬にも新党を結成しようと動き出している。これに民主党・松野頼久や自民党・松浪健太ら「道州制型統治機構研究会」の5人の国会議員が合流すると報道された。
橋下をめぐるさまざまな動きは何を意味するか? 世界大恐慌と3・11大震災―福島原発事故の重圧で日帝支配階級(資本家階級)は、帝国主義間争闘戦からの脱落の危機、未曽有の政治危機、統治能力の崩壊にあえいでいる。その支配階級にとって今や、橋下のような連中に最後の「救世主」であるかのごとくすがりつく以外に、なんの展望も持てなくなっているのだ。それで橋下を使って労働者階級への階級戦争、急速な反動化、改憲と戦争の攻撃を決定的に強めようとしているのである。
だから、この橋下を使った攻撃を断じて軽視するわけにはいかない。橋下の反動的正体を階級的に見抜き、全力で対決し、橋下=「維新の会」打倒に向かって闘おう。
極右・改憲の安倍や石原との合流を画策
橋下と「維新の会」が次期衆院選をにらんで、8月中旬に自民党の安倍晋三に合流を要請していたことが明らかになった。なんと橋下が総選挙で組もうとしている最大の相手は、都知事・石原などに加えて、07年9月に破産して首相の座を突然投げ出し、すでに「過去の人」となった自民党の極右政治家・安倍晋三だというのだ。
安倍は橋下のことを、「大きな壁をぶち破るには相当の起爆力が必要だが、われわれが求めていたパワーを持っている」「日本を変えていく大きな可能性を秘めている」などと称賛し、その反革命性に期待感を表明している。
橋下は8月21日、軍隊慰安婦問題で、「慰安婦が(日本)軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられた証拠はない。そういうものがあったのなら、韓国にも(証拠を)出してもらいたい」などと述べた。議論の余地のない日帝軍隊の歴史的犯罪を、橋下は完全に開き直った。この橋下発言を安倍は「大変勇気ある発言だ」と全面賛美した。
新自由主義の手先となって労働者を攻撃
両者の最大の共通点はイデオロギー的、政治的な本質が極右であること、そして強烈な改憲志向にある。次期衆院選の公約となる「維新八策」で橋下は、「憲法改正要件(96条)を3分の2から2分の1に緩和」と主張している。
極右と言っても、橋下が主張していることは、実は日帝支配階級の本音そのものである。「維新八策」の冒頭で「自立する個人」「自立する地域」「自立する国家」の実現を掲げている。その意味するものは、資本家の利益のための新自由主義そのものである。労働者階級に対して競争と分断をあおり団結を破壊し、「死ぬも生きるも自己責任」という論理をもって国家・自治体の社会保障切り捨てを擁護し推進するものである。さらに公務員の大量削減と賃下げ、大企業への規制緩和、解雇の自由化など、資本家階級が望む新自由主義政策のオン・パレードだ。
また、「脱原発依存体制の構築」と称して原発維持・再稼働を認める方向を打ち出している。軍事面でも「主権と領土を自力で守る」と述べ、日米安保基軸、基地の全国化を打ち出している。さらに衆議院定数の半減(480→240議席)や参議院廃止などを叫び、議会制民主主義への右からの憎悪をあらわにしている。
このように橋下は、民主党や自民党などの既成政党の破産の中で、彼らにはできないファシスト的で凶暴な手法をもって労働者階級に襲いかかり、日帝の危機を突破しようとしているのだ。
労働者階級の団結力で必ず橋下を倒せる
この橋下を打倒できるのは、労働者と労働組合の団結した力である。すでにこの間、大阪市の労働者は市労連幹部の屈服をのりこえて橋下の数々の攻撃に怒りを爆発させ、これを打ち破ってきた。「君が代」起立・斉唱の強制、労使関係アンケート思想調査、「入れ墨」調査などに断固反撃し、打ち破ってきた。この闘いは、労働者が団結して闘えば、橋下なんか絶対にうち破れることを証明している。
橋下は、大阪市職員4万人を4年間で半減する方針を打ち出している。さらに市バス運転手について4割賃下げ方針を打ち出し、労働組合つぶしの攻撃を強めている。
「ギリシャを見てください。公務員と公務員の組合をのさばらせておくと国が破綻してしまいます。ですから、大阪市役所の組合を徹底的に市民感覚に合うように是正、改善していくことによって、日本全国の公務員の組合を改めていく。そのことにしか日本の再生の道はない」(昨年12月)
このように橋下はプロレタリアートの力を恐れ革命に恐怖しているのだ。JR外注化阻止決戦、反原発決戦と一体の闘いとして、野田打倒と橋下打倒へ立ち上がろう。大阪の闘う労働者が呼びかける9・16大阪中之島集会の圧倒的成功をかちとり、怒りの御堂筋デモを闘いとろう。
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週刊『前進』(2550号5面2)(2012/09/03 )
12年版「防衛白書」を批判する
米帝オバマの新軍事戦略下に北朝鮮・中国侵略戦争構える
12年版「防衛白書」は、「北朝鮮の核・ミサイル脅威」論をふりまき、中国の急速な軍事大国化と中国艦隊の太平洋進出などを名指しで非難している。他方で米帝の対中対峙・対決の新軍事戦略を支持し、自衛隊の「動的防衛力」としての確立、日米安保と沖縄米軍基地の堅持を強調、対北朝鮮・中国侵略戦争を構えた。総じて新自由主義の破綻を改憲と戦争による大反動で突破しようとする日帝支配階級の意図をむきだしにしたものだ。階級的反撃をたたきつけよう!
(写真 「在沖米海兵隊の役割」を宣伝する地図【防衛白書】)
「アジア太平洋重視」に米帝戦略の軸足が転換
防衛白書は以下の3部構成になっている。
「第1部/わが国を取り巻く安全保障環境」「第2部/わが国の防衛政策の基本と動的防衛力」「第3部/わが国の防衛に関する諸施策」
第1部は、日帝・防衛省が見る日本周辺諸国の軍事情勢である。北朝鮮については、金正日が死亡し金正恩が継承したが、ミサイル発射などの「軍事的挑発を繰り返していることは朝鮮半島の緊張を高め、東アジア全域の安全保障の重大な不安定要因になっている」と北朝鮮スターリン主義への排外主義的な敵意をあおっている。
中国については、「中国軍事力の広範かつ急速な近代化、わが国近海などでの活動の拡大・活発化は……わが国を含む地域・国際社会にとって懸念事項」と、日本を上回るスピードで軍事大国化しつつある中国への警戒と対抗心がむきだしだ。
そして米国については「オバマ政権は12年1月、新たな国防戦略指針を公表し」「安全保障の重点をよりアジア太平洋地域に置くことや同盟国との関係強化といった方針を打ち出している」と賛美している。
北朝鮮、中国などのアジア太平洋の危機に対して米帝オバマは新軍事戦略指針で対応している。新軍事戦略は、イラク・アフガニスタン侵略戦争の敗北・撤退と大恐慌下の財政危機で、米帝の世界支配の限界が露呈したことを契機にする戦略転換だ。米帝の世界支配の軸足をアジア太平洋に転換させ、軍事的・経済的に台頭した中国スターリン主義を脅威と認定し、対峙・対決戦略をもって「アジア太平洋での米軍戦力の増強」をはかり、日帝を米帝戦略に徹底的に動員することで争闘戦的にたたきつぶし、他のアジアの同盟国を軍事的に動員するものだ。
今回の新戦略指針で、米帝は海空両軍の統合作戦能力を高める「エア・シーバトル構想」を打ち出した。中国が米軍を作戦海域に接近させない「接近阻止・領域拒否戦略」を採用し、中国軍が太平洋進出能力を向上させ、米空母を標的にした対艦弾道ミサイルを開発していることを無力化する構想だ。大規模な戦争計画である。
すでに新型の有人・無人ステルス爆撃機や、対潜能力の向上などが進んでいる。次の新たな戦争としての中国侵略戦争に備える大軍拡である。
中国の巨大なバブル経済の崩壊が始まり、労働者・農民の怒りがスターリン主義支配を揺るがし、北朝鮮情勢が中国スターリン主義の危機を促進している。米帝は戦争的手段を含めて中国スターリン主義の打倒を狙っている。ここに米帝の新指針の核心がある。
さらに新軍事戦略の下で、対北朝鮮の侵略戦争演習である米韓軍事演習、日米軍事演習、さらに米韓日の3国軍事演習が激化している。北朝鮮の情勢次第でいつでも侵略戦争に突入する準備を整えている。徹底弾劾しなければならない。
エアシーバトルに対応した動的防衛力の構築
第2部で「動的防衛力」を明示した。これは民主党政権下の10年版「防衛大綱」で初めて打ち出されたものだ。
米帝の新軍事戦略を支持する日帝・自衛隊は、米帝の中国対峙・対決戦略と一体化し、エアシーバトルの一翼を担うことになった。北朝鮮・中国侵略戦争は、日帝の死活をかけた戦争になる。
現に釣魚台(尖閣諸島)では、日中の「領土」を巡る対立と戦争・排外主義が吹き荒れている。これに対しては「労働者階級に国境はない。『固有の領土』もない。国境を超えた国際的団結とプロレタリア世界革命へ」の立場で闘うことが必要である。
5月9日の産経新聞によると、陸海空3自衛隊が昨年11月の統合演習で釣魚台が中国に占領されたと想定し、詳細な奪還作戦を策定していた。事態は@平時での不法行動、A武力攻撃予測事態、B武力攻撃事態と認定しての自衛隊の着上陸作戦に進むと想定。自衛隊は、@陸自部隊の統合輸送・機動展開、A防空作戦、B対艦攻撃、C自衛隊と米軍の施設防護、D尖閣での着上陸作戦の五つの作戦で対応するとしている。
武力攻撃事態の認定とは、日帝の側からする中国への宣戦布告である。戦争の開始なのだ。
武力攻撃事態を認定すれば、自衛隊は全面的に軍事出動する。米帝は釣魚台は日米安保の範囲とし、自衛隊を動員した中国侵略戦争を計画している。そのために自衛隊に要求されているのが「動的防衛力」である。
白書は、動的防衛力についてこう言っている。
「10年度防衛大綱では、即応性、機動性、柔軟性、持続性および多目的性を備え、軍事技術水準の動向を踏まえた高度な技術力と情報力に支えられた『動的防衛力』を構築するとしている 」
米帝の新軍事戦略は、日米同盟のあり方の戦争的飛躍を求めている。これに対応して自衛隊は、実戦に加わることが可能な「動的防衛力」への変革を打ち出している。
しかし日帝自体が3・11で帝国主義からの脱落を深め、統治不能状態に陥っている。自衛隊だけ変革すると言ってもできるはずがない。米軍が3・11で、「トモダチ作戦」を北朝鮮・中国侵略戦争体制の発動として実施したのに対し、自衛隊は無力さをさらけだした。特に福島原発事故対応では、自衛隊自身が対応不能に陥った。
この中で自衛隊の隊内暴力やいじめなど腐敗が深刻化し、抗議や弾劾が内部から上がっている。3・11で多くの自衛隊員が被曝労働を強制された怒りもある。「動的防衛力」への転換は、こうした隊内反乱を抑え込む狙いも持っている。
軍事産業の利益のための「弾道ミサイル防衛」
第3部は、自衛隊の運用と日米安保堅持必要論を述べたてている。
自衛隊の運用では、弾道ミサイル防衛(BMD)の必要性を述べ、4月の北朝鮮の「ミサイル発射」を排外主義的にののしっている。
北朝鮮の「ミサイル発射」の際の自衛隊のぶざまな様子も露呈した。沖縄県民に「非常態勢」を強制しながら、いつ発射されたのかも把握できず、発表を待つ地元の自治体などに肩すかしを食らわした。「弾道ミサイル防衛」の実態はその程度のものなのだ。
弾道ミサイル防衛(MD)は、新自由主義を開始した米帝レーガン政権の戦略的防衛構想(SDI)を引き継ぐものだ。スターウォーズと言われた計画は荒唐無稽(こうとうむけい)で1兆jもの国家予算を投じながら結局実現しなかった。死んだ計画を再度持ち出したのがクリントン政権であり、ブッシュ政権が引き継いだ。弾道ミサイルは射程5500`の場合なら秒速6000b、大陸間弾道弾なら秒速8000bに達する。これを撃ち落とすのは不可能だという判断が大勢だ。SDIと同じなのだ。
しかし軍事産業の代理人ブッシュはこれを強引に推進し、04年の小泉政権の時に日本配備を強要した。MD計画に日本は防衛予算から毎年1000億円以上を投入、04〜10年度までに約9000億円を投じた。システム自体が開発途上の金食い虫だ。防衛産業だけがもうけている。次期戦闘機F35の採用決定も武器輸出3原則の緩和も軍事産業のためだ。
改憲攻撃で日米安保の危機の突破はかる日帝
白書は、「日本の平和と安全の確保」「日本周辺地域の平和と安定の確保」「国際的な安全保障環境の改善」のために日米安保が重要だと叫ぶ。
そして「沖縄は戦略的要衝に存在」「在沖米海兵隊はその高い機動性と即応能力により地域の平和と安全の確保に多様な役割を果たしている」と絶賛している。
広大な米軍基地がいまだに沖縄の中心部を占拠し、およそ沖縄の人民の米軍基地による騒音や墜落事故や米兵による暴行事件などの苦しみを分かろうともしない。普天間基地を返還せず、辺野古新基地建設を推進し、今は朝鮮・中国侵略戦争のために危険なオスプレイを普天間基地に配備しようとしている。
だが、白書が日米安保を美化しても、日米安保はその中核たる沖縄で破綻している。9・9沖縄県民大会でオスプレイ配備を粉砕し、辺野古新基地建設阻止、米軍基地撤去、安保粉砕へ闘おう。
防衛白書は、新自由主義と日米安保体制の破綻を、改憲攻撃のエスカレートと戦争でのりきろうとするものだ。集団的自衛権承認や武器輸出3原則撤廃の動きも重大だ。国鉄決戦と反原発決戦を階級決戦として闘い労働組合を再生しよう。
〔宇和島洋〕
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週刊『前進』(2550号5面3)(2012/09/03 )
国際労働運動10月号
外注化に勝利する道
アメリカ・シカゴは新自由主義の発祥の地であり、資本家階級と労働者階級が、最先端で対決してきた所だ。
ニューオーリンズでは、05年のハリケーンの災害後、直ちに労働者人民の相互救援の共同体が作られた。それを恐怖する支配階級は暴力的弾圧と復興特区=住民追い出し、外注化・民営化を強行し、激突は今も続いている。
こうしたアメリカ新自由主義及びそれと対抗・競争、同盟し模倣している日本の支配階級に勝利するために、彼ら以上にアメリカ階級闘争から学んでいこう。
第1章は、第2次大戦後の労働運動の爆発的高揚への反動として現れた新労務政策=労組分裂・解体攻撃の中からレーガンらが登場したことを具体的に示す。そして70年代に戦後世界体制が根底的に崩壊した中で、最末期のあがきとして新自由主義が全面的に採用されたことを明らかにする。
第2章は、都市再開発利権を狙ったシカゴの学校閉鎖・外注化・民営化プロジェクトと対決し、教職員組合と地域共同体を奪還する闘いを見ていく。
第3章は、ニューオーリンズのハリケーン・カトリーナ大災害と労働者人民の共同性の回復、「復興学区」攻撃との教職員組合の闘いを軸に現在のアメリカ労働運動の課題に迫る。
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週刊『前進』(2550号6面1)(2012/09/03 )
全学連大会へ大結集しよう〈下〉
反原発と大学自治攻防を闘い学生運動の大爆発かちとろう
100万決起の先頭に
「生きさせろ!」の数十万人のデモが国会前を埋め尽くす時代。未来を担う学生の力ある登場が求められている。
「国民生活を守る」と称して原発再稼働を強行した野田政権は、「領土」問題においても「国家・国益」を掲げて排外主義をあおっている。それは、戦争・改憲攻撃とも一体だ。しかし、200万の福島県民を高濃度の放射能にさらして見殺しにしている野田政権が「守る」ものとはいったい何か!
8月24日の首相官邸前行動に参加した男性(郡山市から自主避難中)はマイクを握り、火の出るような怒りを爆発させた。「(原子力規制委員会委員長候補の)田中俊一なんか、私にしてみれば犯罪者だ! 何で犯罪者が国をしょって立つんだ! 東電の勝俣だって清水だって、野田だってみんな犯罪者だ! 本当は牢屋(ろうや)に入っているべき人間じゃないか!」
「再稼働反対! 全原発廃炉!」の叫びは野田政権を打倒し、社会を根本的に変革するまでやむことはない。今こそ反原発闘争を100万の規模で爆発させるときだ。学生はその先頭に立とう。
来る全学連大会は、原発に怒る全国学生の総決起大会とし、首相官邸前の怒り、および「フクシマの怒り」と結合して、今秋の反原発闘争を大高揚させよう。
(写真 8・6ヒロシマ大行動で早朝から野田来広弾劾デモに立った東北大生と全学連の隊列)
御用学者どもの追放を
反原発闘争において100万人の決起をかちとる道は、福島の現実と向き合い、「フクシマの怒り」とつながることだ。
あらためてはっきりさせなければならないことは、福島から生きる希望、未来を奪っているのは野田政権であり、「原子力ムラ」の連中であるということだ。ある福島大生は、「危険だというのは分かっていながらも、やっぱり生まれ育ってきた土地だから郷土愛がある。データを出されて”危険だ”と言われても、すんなり入ってこない。そのデータを見るということは、自分たちの明日を失うってことだから」と話してくれた。福島に生きる学生は誰しもが、「被曝したくない」という思いと、「仲間・家族と生まれた土地で生きたい」という思いを重複・交錯させながら生きていくことを余儀なくされている。
この福島の思いや苦闘に対し、御用学者の山下俊一(福島県立医大副学長、長崎大教授)や神谷研二(福島県立医大副学長、広島大教授)は「100_シーベルトまでなら身体に影響はありません」「福島で生活しても問題ない」などとデタラメを振りまき、怒りを抑え込もうとしている。
8月26日付毎日新聞の「福島・子どもの甲状腺検査/説明不足/不安招く」という記事に登場した山下俊一は、許しがたい大暴言を吐いている。「小さながんも見つかるだろうが、甲状腺がんは通常でも一定の頻度で発症する。結論の方向性が出るのは10年以上後になる。……日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響を巡る訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなった時の最終的な被害者は国民だ」
ふざけるな! 「日本という国が崩壊」しないように、いかなる健康被害が出てもそれを隠蔽(いんぺい)し抑え込んでいく、福島県民はそれを甘んじて受け入れよ、というのだ。「国家予算を圧迫」されたくなければ、甲状腺がんであろうが被曝労働であろうがそれを認めよ、というのだ。まさに山下は、「命より金」「命より国家」のブルジョアジーの反人民的本性をむき出しにした、国家イデオロギーの権化そのものではないか! そして、「最終的な被害者は国民」などと描き立てて、福島と全国の労働者人民を分断させ対立をあおっているのだ! 増税も電気料金の値上げも福島が原因だとでも言うのか! ”日本国家のために福島は死ね!”と絶叫する「教育者」と「大学」。もう我慢ならない。福島大・福島県立医大、そして東大・京大を始めとする御用大学・御用教授どもを、全国学生の責任において、そして福島との連帯をかけて解体・追放しよう!
200万福島県民、とりわけ子どもたちを犠牲にしなければ成り立たない社会が、はたしてまともな社会なのか? 「あの過酷な侵略戦争を推進した軍国主義政権といえども、大空襲でどんどん被害を受けていく中で、子どもたちを空襲から守るために集団児童疎開させました。今の政権は何ですか! 子どもたちを放置して放射線被曝にさらしている」(4月東北大新歓講演会での中嶌哲演さんの言葉)
「原子力ムラ」や政府当局があおる分断・対立をのりこえ、全原発の廃炉に向かって福島とトコトンつながり、福島大生・労働者・農民・闘う女たち・医師と団結を固める全学連大会としよう。
誇りと団結甦らせよう
「3・11」以降明らかになったことは、御用学者が巣食う全国の大学の腐りきった現実である。しかし、ここに「教育の民営化」および新自由主義大学の最大の矛盾がある。学生の誇りをかけて御用学者を追放する闘いは、新自由主義をうち破る壮大な闘いだ。学生自治会運動(全学連運動)の原点に立ち返り、この闘いに立ち上がろう。来る全学連大会は、その出発点だ。
全学連運動は第2次世界大戦後の戦後革命期の中で、「生きさせろ!」と闘いを開始した労働者階級とともに立ち上がった学生の中から生み出された。「戦争反対」「生活防衛」を掲げた闘いが全国大学に学生自治会を建設し、1948年6月の116校30万人が参加して行われたゼネラル・ストライキを契機に、全学連は結成された。
決定的だったのは、軍事研究と学徒動員に協力した大学・研究者の責任を追及する闘いであった。これが、学生運動を体制内・キャンパス内の運動に押しとどめようとするスターリン主義の制動をのりこえ、60年安保闘争、70年安保・沖縄闘争を巨大な大衆闘争の爆発として実現させる力となったのだ。
だからこそ日帝支配階級は70年闘争以降、学生運動の圧殺に血道をあげてきたのだ。80年代の国鉄分割・民営化を強行した中曽根は、「ここで行革に成功すれば、次の段階で現下の大問題である教育改革も不可能ではあるまい。第二臨調の次に必要なものは”教育大臨調”だ。……行革はその精神的な先駆である」(81年7月)と、臨時教育審議会を発足させ「産学提携の強化」をうち出した。それは新自由主義攻撃そのものであり、学生運動と教育労働者運動をたたきつぶし、大学・教育を搾取・戦争の先兵にしようとするものだった。しかし全学連の闘いは、80年代から90年代にわたって、この攻撃を核心的に粉砕してきたのだ。
2004年の国立大学法人化と06年3月以降の法大闘争は、全学連運動を最後的に解体することを狙った、新自由主義による「教育の民営化」を貫徹させるのか否かをかけた階級攻防だった。この法大闘争の中で全学連の闘いは、「一人の仲間も見捨てない」「教育の民営化粉砕」のスローガンを生み出し、新自由主義に勝利できることを証明してきた。
全学連運動の大爆発をかちとる時だ。大恐慌と「3・11」が、学生の中に団結への欲求を生み出している。「大卒23%『安定職』なし」(8・28付毎日新聞)という現実への根底的怒りを生み出している。学生を襲う「学費・就活・奨学金」の三重苦。働くことすらできない現実。一方、「学問」「研究」が人間社会を発展させるどころか破壊しているという現実。これらに対する怒りを生み出している。それは資本主義そのものへの怒りだ。
「学生はいかに生きるべきか」「大学・教育はいかにあるべきか」――これを問う中に学生の誇りを取り戻し、団結を甦(よみがえ)らせる可能性がある。
サークル棟強奪許すな
マルクス主義学生同盟中核派・東北大支部は、反原発闘争を全国の最先頭で闘う。首相官邸前の怒りを全国に拡大し、今秋100万人行動を実現しよう。御用学者・原発翼賛大学弾劾闘争を徹底的に闘おう。そして、反原発闘争圧殺の階級的攻撃としてある学内攻防に勝ち抜こう。
東北大では昨年来、学生自治会運動の高揚が始まっている。新入生が自治会運動を担い、原発推進大学を追い詰めている。そうした中で東北大当局は、サークル部室の剥奪(はくだつ)に踏み込んできている。
東北大のサークル活動はこれまで、学生自身がサークル棟を管理・運営し、サークル部室配分の権利もサークル員自身にあった。それが学生の主体的活動を保障し、時間制限なく部室を使用できる物質的根拠として、東北大学生運動の基盤となってきた。大震災直後も多くの学生が部室に寄り添い仲間と協力して生き抜く拠点となった、学生の大切な居場所だ。
しかし今年7月、東北大当局は「説明会」を開催し、部室配分権を大学当局が握ると宣言した。しかし、何ひとつ当局の思い通りには進んでいない。学生自治会の仲間が「説明会」で抗議する中で、結局別の日に全学協議会(密室会議だ!)を開いて「決定」することしかできなかった。
部室配分権の剥奪の先にあるのは、当局によるサークル選別であり、部室使用権の剥奪だ。サークル部室を東北大生から奪う攻撃を絶対に許さない。大学自治攻防と反原発闘争は一体の問題だ。団結して闘えば勝てる。全学連大会で団結を固め、ともに激動の今秋決戦に突入しよう。
〔マル学同中核派・東北大支部〕
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全学連第73回定期全国大会
第1日 9月5日(水)文京区民センター(午前10時〜)
第2日 9月6日(木)浜町区民館(午前9時〜)
参加費1000円(会場費、資料代など。宿泊費は別途)
連絡先/電話 03−3651−4861
mail_cn001@zengakuren.jp http://www.zengakuren.jp
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週刊『前進』(2550号6面2)(2012/09/03 )
こんな理不尽許さぬ
西郡住宅闘争 10家族の裁判始まる
代表して佃さんが戦闘宣言
8月23日、大阪地裁第24民事部(古財英明裁判長)で、八尾市西郡住宅から10家族を追い出す攻撃と真っ向から対決する新たな裁判闘争が始まった。
この裁判は、八尾市が昨年12月の議会で強行した議決にもとづき、応能応益家賃制度絶対反対を貫く家賃供託者に住宅の明け渡しを求めて提訴したものだ。(供託者をはじめ闘う仲間は「住宅追い出し〔=明け渡し〕弾劾裁判」と呼んでいる)
八尾市と裁判所は、この裁判を開始するに当たり、10家族をバラバラにして裁判をすべて分離する許しがたい分断攻撃をかけてきた。しかし、供託者の団結と法廷内外の戦闘的闘いによって攻撃を打ち破り一つに併合、統一裁判を裁判所に認めさせる決定的勝利をかちとってこの日を迎えた。
1007号法廷からあふれる大傍聴団が見守るなか、全家族を代表して佃(つくだ)照夫さんが、気迫を込め、一語一語力を込めて意見陳述を行い、八尾市を弾劾し尽くした。(要旨別掲)
まず佃さんは、「応能応益で若い人が村から離れ、今年小学校に入学した新1年生はたった8人」と、応能応益家賃制度の導入によってもたらされた村の現実を明らかにした。そして、「建て替えた43棟はこれまでの家賃の3倍以上にもなることを隠している。更地化優先で、高齢者や病人の住み替えは後回し。住民はこのことで怒っている」と、ムラ全体の怒りをたたきつけた。
さらに、「八尾北医療センターを廃院に、小中学校や福祉施設を統廃合し、地域丸ごと更地化し民営化を図って、大手企業の利益のため住民を犠牲にしている」と資本の手先と化した八尾市のたくらみを徹底的に弾劾し、「こんな理不尽が許されていいのか」と、語気強く迫った。
最後に、「私たちは全国の労働者と団結し、絶対反対で闘いぬき、この世の中を根本から変える!」と熱い連帯を込めて戦闘宣言を発し、古財裁判長と八尾市住宅管理課の代理人を圧倒した。
次の期日は、10月25日(木)午前11時だ。全力で傍聴に結集しよう。
(写真 裁判闘争の最後に団結ガンバロー【8月23日 大阪地裁】)
前半の闘いが切り開いた地平
そもそも、国と八尾市は、応能応益家賃絶対反対の15年にわたる不屈の闘いを一掃できないまま、今年3月、岡邨(おかむら)洋さんの住宅追い出し強制執行に追い込まれた。岡邨さんの人生かけた決起と部落解放同盟全国連西郡支部・八尾北医療センター労組の地域ぐるみの固い団結が、八尾市と裁判所のウソとだましの手口を暴き、手先となっている解同大阪府連・地区協への怒りを引き出し、強制執行粉砕のムラぐるみの決起に発展した。
その中で、3・18全国総決起集会への600人の大結集は、八尾北・西郡闘争を全国闘争に押し上げ、動労千葉の4・1JR構内・検修業務外注化阻止と3・11郡山(福島)反原発闘争と一体になり、大阪市職や市教組の内部からの決起と結びついて橋下打倒闘争ののろしとなった。それが、5・24八尾北医療センター明け渡し(病院廃院・全員解雇攻撃)裁判での全面勝訴に結晶した。
この勝利を武器に、7・22第7回西郡支部大会は、国鉄分割・民営化を突破口とする新自由主義攻撃が、階級的団結を破壊して労働運動を絶滅する攻撃であり、これと一体のものとして地対協路線による部落解放運動解体攻撃があったことを鮮明にした。そして、非正規職撤廃を部落解放運動の正面課題に据え、新たな全国組織の結成に向けた宣言を発した。
今や、ムラはほとんどが失業・半失業状態だ。夜だけの勤務、仕事をかけ持ちしても結婚もできない低賃金、使い捨て。そして、福島原発をはじめ過酷な被曝労働を強制されている作業員の多くが被差別部落の出身者だ。すでに闘いは始まっている。
この中で8月13日、よみうりテレビは、八尾市の清掃労働者が腰痛対策で昼休みに屋上で運動していることを、「まるで高級スポーツジム、公務員の甘え」と大キャンペーンした。ふざけるな! これは、現業民営化を切っ先に公務員全員解雇−非正規化、組合つぶしに打って出る合図だ。現場の怒りは必ず連合・全労連指導部をのりこえ爆発する。
(写真 7・22西郡支部大会で岡邨支部長が基調報告)
岡邨さんへの差し押さえ弾劾
八尾市は8月20日付けで、岡邨洋さんに、総額1334万円もの差し押さえ攻撃を強行してきた。1カ月も欠かさず以前の家賃を供託してきた岡邨さんに、応能応益に反対しているからと最高家賃をふっかけ、さらに裁判中はその2倍を払えというのだ。職場の八尾北医療センターで1000万円になるまで給料の4分の1を差し押さえ、娘さんの就学援助金の受け入れ口座まで問答無用で差し押さえた。
だが、「弾圧は私たちの闘いの前進と勝利の証し」(佃さんの陳述)なのだ。
職場に地域に、怒りはふつふつと煮えたぎっている。10・1JR外注化阻止決戦の勝利こそ、労働運動を根底から塗りかえ、闘っても勝てないという絶望を吹き飛ばし、時代を動かす巨大な号砲となる。国鉄闘争全国運動を押し広げ、八尾北労組を拠点に、6千万労働者、2千万青年、300万部落民の未来をともに切り開こう。
9・10八尾北労組大会、9・20八尾北控訴審(第1回)闘争、9・16橋下打倒全国闘争から11月へ! 全戦線の総決起をつくり出そう。ともに闘おう。
(西郡支部・植村清)
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佃照夫さんの意見陳述
私たちは一貫して、八尾市の応能応益家賃制度導入に対し、15年間反対し闘ってきました。
市は、供託しながら話し合いを求める私たちを受けつけず、うそとだましにより、家賃を支払わないことで裁判にかけ、「勝訴したので話す必要はない」と、私たちに高額な家賃を請求してきたのです。しかし、私たちは、応能応益家賃絶対反対を訴え続けています。
なぜなら改良住宅は、一般の公営住宅と違った性格のものです。地域住民の代表との話し合いの中で、地域改善の名のもとに私たちの土地、建物、借家を市に協力して提供し、一律低額家賃という条件で改良住宅が建設された経緯があるからです。
応能応益家賃制度導入によって、若者の共働きや親と一緒に同居して働いていた者が、家族全体の総収入によって家賃が決められるため、高額な家賃となり、公営住宅や改良住宅から出て行かざるをえない状況です。西郡では、ここ10年の間に1千人以上もの若い人たちがムラから離れ、人口も激減している。この結果、市内において西郡地域は高齢者が最も多く、子どもが最も少ないムラになっており、しかも独居老人が増え続け、孤独死や自殺者が出てきているのです。
応能応益家賃制度は私たち住民を苦しめる制度であり、こんな家賃の決め方は間違っています。このような理不尽なことが許されていいのですか。本来の行政の仕事は、私たち住民を住みやすく豊かな生活ができるようにすることではないのですか。
裁判においても、裁判官は行政と同じ立場に立ち、八尾市側に有利に運ぶ反動判決を下しています。人としてあるまじき行為は断じて許されません。
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週刊『前進』(2550号6面3)(2012/09/03 )
8月21日〜27日
衆院、「竹島」で抗議決議/日米ガイドライン再改定へ
●普天間配備は県民大会後 在日米軍トップのケネス・グラック沖縄地域調整官(海兵隊中将)は、垂直離着陸機MV22オスプレイの普天間飛行場への配備は9月9日の沖縄県民大会の後になるとの見通しを示した。(21日)
●「尖閣」は安保の適用範囲内 外務省の杉山アジア大洋州局長は、米国務省のキャンベル次官補らと会談し、「尖閣諸島」は日米安保条約の適用範囲内だとあらためて確認。(22日)
●野田首相と再稼働反対メンバーが面会 野田首相は、「首都圏反原発連合」のメンバーら10人と面会した。再稼働の中止などの求めには応じず、話し合いは平行線に終わった。(22日)
●「原発0%」支持が最多 野田政権が新しいエネルギー政策を決めるための「国民的議論」としてきた討論型世論調査で、2030年の電力に占める原発割合は、すべての調査で原発ゼロの支持が最も多かった。(22日)
●伊方2号機の耐性評価提出 四国電力は愛媛県の伊方原発2号機の耐性評価(ストレステスト)の1次評価結果(1、3号機はすでに提出)を、経済産業省原子力安全・保安院に報告した、と発表した。(23日)
●線量計未装着、計8人 東京電力は、福島第一原発で昨年6月以降、日々の被曝線量を測る線量計「APD」をつけずに働いていた作業員は8人、紛失した作業員は20人に上ると発表した。(23日)
●衆院、「竹島」で抗議決議 衆院本会議は、韓国の李明博大統領の「竹島」上陸と天皇への謝罪要求発言への抗議決議を賛成多数で採択した。「竹島」での決議は59年ぶり。(24日)
●領土問題で野田が「不退転の覚悟」 野田首相は、「竹島」と「尖閣諸島」は日本の固有の領土と強調した上で、韓国や中国の領有権の主張に対し「不退転の覚悟で臨む」と表明。(24日)
●韓国国債の購入凍結も検討 安住淳財務相は、5月に合意した韓国国債の購入について、凍結を含め検討する方針を示した。(24日)
●核燃、地中処分へ法改正 経済産業省は、使用済み核燃料をそのまま埋める「直接処分」ができるように、最終処分法などの関連法を改正する準備を始めた。(25日)
●防衛省も「人的ミス」 MV22オスプレイが4月にモロッコで墜落した事故をめぐり、防衛省が設置した専門家よる分析評価チームは、人為的ミスの要因が大きく機体に構造的な問題はないとする報告書をまとめた。(25日)
●改憲、「維新と連携」 自民党の安倍晋三元首相は、改憲をめぐる大阪維新の会との連携を「選択肢として考えるべきだ」と述べた。(25日)
●ガイドライン再改定へ 政府は、米軍への自衛隊の補給支援を日本の領域外で可能とすることを念頭に、ガイドライン(日米防衛協力の指針)の再改定作業に着手した。(25日)
●韓国国債格上げ、日中と同格に 米格付け会社ムーディーズは、韓国国債の格付けを「A1」から「Aa3」へ一段階引き上げたと発表。日本、中国、台湾などと同格に。(27日)
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週刊『前進』(2550号7面1)(2012/09/03 )
すべての原発と核施設なくそう
独ゴアレーベン反対同盟の闘い
核廃棄物再処理・貯蔵と対決
今年の8・6ヒロシマ反戦反核闘争にドイツを代表する反核団体・ゴアレーベン核廃棄物処分場反対同盟のマーティン・ドナート委員長、ケアスティン・ルーデック前委員長、広報担当のレナート・ミュラーさんが参加した。広島に続いて山口県・上関原発建設予定地、同原発反対運動の拠点・祝島、さらに福島を訪れた彼らは、全世界からすべての原発と核をなくすために固く団結して闘う決意を深めた。本稿ではゴアレーベンの1977年以来35年間にわたる闘いを紹介する。
昨年11月に126時間の激闘
高レベル廃棄物搬入めぐり
ゴアレーベンはドイツの北部、ニーダーザクセン州リュヒョー・ダネンベルク郡にある小さな村だ。地元住民約2千人を組織するゴアレーベン核廃棄物貯蔵施設反対同盟は同村で1977年以来闘い続けている。同盟は周囲の農民団体、ドイツ全土の反核・反原発団体などと広範な共闘関係をつくりながら、ゴアレーベンへの核廃棄物搬入をめぐる闘いだけでなく、ドイツの原子力政策を根本から変更させる闘いの中軸を担っている。
昨年11月には高レベル核廃棄物の搬入をめぐって実に126時間の大激闘を展開した(通常36時間で移動できる行路)。ドイツの原発が生み出した高レベル核廃棄物をフランス北部のラ・アーグで処理し、それをゴアレーベンの中間貯蔵施設に運搬するというもので、ラ・アーグから約1400`の行路を11基の特殊容器カストーアに収めて輸送する。
11月23日から28日までの5日間の激闘を見てみよう。
(写真 ゴアレーベン中間貯蔵施設への核廃棄物の鉄道輸送の終点・ダネンベルクにいたる線路では、数千人が座り込んで搬入阻止へ徹底抗戦した【昨年11月26日】)
フランスの側でも阻止行動
核廃棄物を積んだ列車は11月23日にラ・アーグを出発。この時の闘いで画期的だったのは、鉄道労組を先頭にフランスの労働者人民が搬入阻止行動に立ち上がったことだ。ゴアレーベンが続けてきた粘り強い働きかけ、さらに3・11福島原発事故を受けて、原発大国フランスでも原発に反対する闘いが確実に高まっている。
出発直後、まずヴェロニア近郊の線路で、反対派約千人が数日前からキャンプを張った。警察は催涙ガスなどで排除しようとしたが、ガスマスクも用意したデモ隊は線路の敷石を取り除くなどして徹底抗戦。カストーアは出発してわずか10分で立ち往生させられた。
他方、24日にはゴアレーベンで一番大きな町リュヒョーで中高生ら約2千人がデモを行った。この地方の子どもたちは赤ん坊の時からデモに参加している、反原発運動の「3代目」の世代だ。
この時点でニーダーザクセン州環境省が発表したカストーアから2bの場所の放射線量は毎時75マイクロシーベルト。これほどの高線量にもかかわらず、同省は「許容値の100マイクロシーベルトを下回っている(だから問題ない)」と発表した。
25日午前になって輸送列車はようやく独仏国境を越えたが、それ以降、沿線に集まった人びとの抗議行動で、実に100回も線路上に立ち往生させられた。
26日午後、ゴアレーベンまで約19`のダネンベルクで抗議集会が行われた。ダネンベルクは鉄道輸送の終点で、ここからトラック輸送に切り替わる。集会参加者は実に2万5千人。農民も400台のトラクターで合流し、労働組合も参加した。集会と並行してダネンベルクへの輸送を阻む闘いが展開された。数`にわたる線路に座り込んだ数千人の反対派の排除に警察は手間取り、全員を排除し終えたのは27日朝だった。
(写真 ▲核廃棄物用特殊容器カストーア)
線路に腕固定 警察が降伏!
とりわけ農民の実力行動はすさまじかった。
27日朝7時、線路上に置いた重いコンクリート製のピラミッドに農民4人が腕を入れて抜けないように固定。コンクリートだけ持ち上げれば4人は大けがをする。警察はピラミッドを部分的に切断して構造を検証したが、その複雑な構造を解明できず、農民たちに「自主的に撤退してほしい」と申し入れた。農民たちは警察に「『自分たちは負けました』と降伏宣言しろ」と通告。その結果、警察が「降伏声明」を発表、それを受けて農民たちは退いた。この行動は夜10時過ぎまで実に15時間も列車進行を阻んだ。
こうしてようやく輸送列車からトラックに積み替えられた後、ゴアレーベンまで約19`を陸上輸送する最終ルートでも闘いは続いた。農民は早朝からトラクターを連ねて道路を封鎖。麦わらの巨大な固まりに火をつけて煙幕を張って抵抗した。警察は放水車10台で放水。ヘリコプターと警察車両に守られた輸送トラックが中間貯蔵施設に到着した時も、数百人の座り込み隊列が待ち構え、最後まで激闘は続いた。
これだけの激闘を闘いぬいた後、現地反対同盟と農民同盟は高らかに勝利宣言を発した。「輸送は終わったが、闘いはまだまだこれからだ。今後とも核廃棄物中間貯蔵施設には絶対反対で闘う。核とわれわれは共存できない」と決意を述べた。前年までの最長記録92時間をも塗り替えた126時間、5日間にわたる激闘に、闘う仲間たちは大きな勝利感を持った。
(写真 コンクリート製のピラミッドに腕を突っ込み列車進行を阻んだ4人の農民は、警察に「降伏声明」を発表させた【昨年11月27日】)
農民を先頭に不屈の35年
地元の住民の実力決起から
ゴアレーベンの闘いは今から35年前、1977年に始まる。連邦政府がゴアレーベンに使用済み核燃料の再処理工場や最終処分施設など「総合的核燃料リサイクルセンター」を建設することを決定したのだ。地元の農民はただちに反対運動に立ち上がった。翌78年には、農民がボーリング調査を実力で阻んだ。
地元農民の闘いは、ドイツ全土の労働者人民の心をとらえた。79年3月には、州都ハノーバーに農民たちがトラクターデモで登場、それに応えて10万人の大デモが行われた。ドイツにおける戦後最大のデモだった。この闘いによって、ニーダーザクセン州首相は連邦政府に計画の中止を申し入れ、連邦政府は再処理工場建設を断念すると発表。中間貯蔵施設の建設と「最終処分施設のための探査活動」に縮小せざるを得なくなった。
偉大な勝利だったが、中間貯蔵施設建設をめぐる攻防は続いた。80年5月にはボーリング調査場に数十の団結小屋による「テント村」をつくり、数千人の活動家が集まった。5月3日にはこの地方の伝統的地名を名のって「ヴェントラント自由共和国」を宣言し、太陽をシンボルとした緑色の「国旗」を掲げ、「国境」の遮断機を設置し、独自のパスポートまで発行した。
反対運動の広がりに恐怖した警察は6月5日、テント村に暴力的に襲いかかって参加者をごぼう抜きして排除、抵抗のシンボルとして立てられた高さ30b近い塔も破壊した。その塔には「この塔を破壊できても、われわれの抵抗の意志はくじけない」と掲げられていた。三里塚の強制代執行阻止闘争とまったく同質の闘いであった。
実際に、弾圧でも闘いはけっして終わらなかった。84年には、中間貯蔵施設に核廃棄物が搬入される日(「Xデー」)に備えて、約5千人が座り込んで実力阻止行動の実地訓練を実施した。「X」の字に組み合わせた木をいたるところに設置、プラカードを張り付けたこの行動は、多くの芸術家との共闘もつくり出し、警察による大弾圧との激闘となった。
86年、中間貯蔵施設に核廃棄物の搬入がついに開始された。この時も投石を含めた直接行動や、鉄路の枕木などを取り外してしまう闘い、座り込みなど創意あふれる闘いを展開した。気温が氷点下になる厳しい寒さの中で、キャンプを設置する人、食料をまかなう人、直接行動を担う人――地元住民と他地域から訪れる人びとの強力な連帯のもとでの闘いだ。このような豊かな団結のもとに繰り広げられる闘いを、ドナート委員長は「一つの共同体として、とても温かい気持ちになれる闘いです」と語る。
最終処分施設の建設阻止へ
最終処分施設については「探査活動」という名目で、建設が続けられてきた。「探査活動」は大幅な遅延を余儀なくされていたが、このかん新たな動きがある。ガラス固化体と使用済み燃料約1万8千dを、地表から約250b以深にある岩塩ドームの中の地下840bから1200bの範囲に貯蔵しようとする計画だ。
しかも昨年12月に連邦政府は、「12年半ばまでに連邦法を制定し、新たなサイト選定手続きを行う」と公表した。最終的な建設に突き進もうということだ。最終処分施設建設をめぐって、ゴアレーベンは新たな重大局面を迎えている。
(写真<上> 州都ハノーバーで行われた10万人デモ。この力が州首相に再処理工場建設を断念させた【1979年3月31日】)
(写真<下> 中間貯蔵施設のためのボーリング調査場で「ヴェントラント自由共和国」建国を宣言して集会【1980年5月】)
独の原発政策全体を覆す軸
ゴアレーベンは、核廃棄物貯蔵施設をめぐってだけでなく、ドイツの原発政策全体を覆す闘いの中軸を担っている。
ドイツでは1998年に連邦政府が脱原子力政策を発表。以降、原子力発電からの段階的撤退政策が打ち出された。
しかしメルケル政権は2010年、運転中の原発17基の運転期限を平均12年延長することを決定。多くの人民が猛烈な反対の声を突きつけた。その先頭にゴアレーベンの闘いは位置した。
こうした闘いの上に立って、昨年3・11福島原発事故直後に、「フクシマは警告する」「フクシマは世界中にある」などと訴えたデモがドイツ全土で行われた。連邦政府は昨年3月に17基のうち8基を停止させた。6月にはその8基の廃炉とともに、残る9基も22年までに閉鎖することを発表した。これらは、ゴアレーベンを先頭としたドイツ人民の粘り強く広範な闘いがかちとったものだ。
ドナート委員長は「ドイツ政府は3・11の衝撃を受けて、22年までに原発から撤退すると決めたが、私たちはすべての原発の即時停止を求めて引き続き闘いぬく。全世界の原発を停止させるために闘う」と訴えている。すべての原発と核施設をただちに廃絶せよ――これは日本、ドイツ、そして全世界の労働者人民の共通のテーマである。
(写真 中央がドナート委員長、右がルーデック前委員長、左がミュラーさん)
核戦争を阻む闘いとして
ゴアレーベンは1977年から実に35年間、核燃料貯蔵施設の建設と搬送に対して「絶対反対」を貫いて闘ってきた。日本で46年間にわたって「不屈・非妥協・絶対反対」を貫いてきた三里塚に匹敵する闘いだ。
これだけの闘いをどうやってつくってきたのか。まず、「核には平和利用と軍事利用の区別はありません。『原子力の平和利用』はプルトニウム製造のためであり、原子力エネルギーは命に対する戦争です」(ドナート委員長)という明快な立場である。
ドイツは第2次大戦後1990年まで45年間も東西分割を強いられた。旧西ドイツは”NATO(北大西洋条約機構)軍として”核武装し、東西冷戦下の核戦争の最前線基地として位置づけられてきた。それゆえ彼らは、原子力産業との闘い、とりわけ核燃料再処理によるプルトニウム製造との闘いを、ストレートに核兵器製造・核戦争そのものを阻む闘いとして貫いてきたのである。
(写真 8・6ヒロシマ大行動の後、市内デモの最前列に立ったドナート委員長とルーデック前委員長)
チェルノブイリの経験から
また86年のチェルノブイリ事故の衝撃は、ゴアレーベンとドイツの反核運動の広がりにとって決定的だった。
8月11日に福島の診療所建設のためのシンポジウムでルーデック前委員長は訴えた。「私は6人の子どもの母親。私たちはチェルノブイリを経験した。がんの発症は避けられないし、先天性障害を持って生まれた子どもも多く見てきた。だからこそフクシマを二度と繰り返してはならない」
日本以上に身近にチェルノブイリ事故とそれによる放射能汚染に直面してきた経験を持つからこそなおさら、彼らはフクシマに寄り添うスタンスを鮮明に持っているのだ。
彼らはまた、ドイツ全土と世界に運動を広げていく努力を懸命に重ねてきた。ゴアレーベンがあるリュヒョー・ダネンベルク郡の人口は約5万人。ドナートさんは「5万人の郡で約1万人が阻止行動を行っている」と誇り高く語った。ルーデックさんは「ゴアレーベンは非常に貧しい地域です。国と原子力産業は住民をカネと暴力で屈服させるために全力を注いできた。しかし私たちは絶対にカネを受け取らずに『原子力反対』を貫いてきた」と言う。
当初は「反対」の声をあげることすら厳しかった貧しい農村地帯で「『人間的に生きたいと思う人はみんな団結しよう』という共通点を見つけ拡大することを大切にしてきた」(ルーデックさん)。こうして住民の共同性を奪い返し、団結を拡大してきたのが35年の歴史なのだ。地元の労働組合との連帯も3・11以降、強まったという。
(写真 「原発お断り」)
私たちは人間らしく生きる
ゴアレーベンの仲間たちは本当に明るい笑顔を持っている。ドナートさんは語った。「ドイツの『原発お断り』というステッカーはにっこり笑っているでしょう? これが大切なんです。命と生活を破壊する原子力産業や、警察による弾圧――こうしたものすべてを笑い飛ばして、私たちは人間らしく生きる。それがあの笑顔です」
「フクシマを経験した私たちの手で、今度こそ原子力時代を終わらせよう」――日独の労働者人民の間に培われたきずなを強め、すべての原発と核施設を廃絶するために力を合わせよう!
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ドイツの原子力政策とゴアレーベンの歴史
1977年2月
ニーダーザクセン州首相がゴアレーベンへの総合的核燃料サイクルセンター建設計画を発表
3月
ゴアレーベンで初のデモに全国から結集
1979年3月
1週間のゴアレーベン闘争、州都ハノーバーに10万人
5月
州政府が再処理工場の建設を断念。しかし最終処理施設の建設は認可
秋
ボンで10万人の反原発集会
1980年1月
第1回のボーリング調査開始
5月
ボーリング調査場に反対派がテント村を建設、「ヴェントラント自由共和国」宣言
6月
機動隊が残虐な弾圧でテント村を破壊
1981年5月
州議会が、ドイツ核燃料再処理会社の申請に対して、「中間貯蔵施設の建設は認可、再処理工場は不認可」と決定
1984年8月
核廃棄物搬入の日「Xデー」を想定して、バリケード建設など阻止行動を開始。その後、毎年のように現地で実力阻止行動
1994年6月
予想される廃棄物(カストーア)輸送阻止のための闘争開始、高校生や30台のトラクターが抗議デモ、牧師らも反対声明。抗議のテント村が出現
7月
搬入路に1千人が座り込み、搬入路をすべてブロック
1995年4月
中間貯蔵施設へ、高レベル廃棄物の初の搬入強行。デモ隊が警官隊と激突。以後、輸送が定期的に行われる
5月
ハノーバーの1万5千人のデモに250台のトラクターが合流
1996年4月
リューネブルクの上級裁判所が工事禁止を解き、ラ・アーグ再処理工場からの搬入を承認。反対運動が激化
5月
ゴアレーベン地区一帯が厳戒体制下に置かれる中、ラ・アーグからの列車が到着、1万人が抗議デモ、500人が逮捕、100人負傷
2000年3月
連邦政府が「脱原発政策」を決定、「32年間で全廃へ」と
10月
連邦政府が最終処理施設建設の探査活動のモラトリアム(一時停止)を決定
2009年9月
ベルリンで反原発の5万人の大デモ
2010年3月
環境大臣が最終処理施設探査活動のモラトリアムを停止。同年11月、再開
2011年3月
3・11福島原発事故を受けて、連邦政府が稼働中の原発17基のうち8基を停止
6月
連邦政府が、停止中の原発8基の廃炉と、残る9基の2022年までの廃炉を発表
11月
核廃棄物輸送阻止闘争。ダネンベルクの抗議集会に2万5千人が参加、農民は400台のトラクターで合流。過去最長の126時間の激闘
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週刊『前進』(2550号8面1)(2012/09/03 )
婦民全国協全国総会 女性が社会変革の先頭に
新代表に三浦正子さん
8月25、26日、横浜市鶴見で婦人民主クラブ全国協議会第29回全国総会が開催され、全国から会員・読者が結集した。
総会には、10・1外注化阻止決戦のまっただ中から動労千葉の山口世修執行委員が駆けつけ、日本の労働運動・労働者の未来をかけた闘いのアピールを行い、支援を呼びかけた。さらに国労原告団・旭川闘争団の成田昭雄さん、労組交流センター女性部、沖縄民権の会の座覇光子さん、神奈川労組交流センター、湘北合同労組委員長が共闘のあいさつに立った。
三里塚芝山連合空港反対同盟婦人行動隊の宮本麻子さんから「市東さんの農地死守!」を訴えるメッセージが寄せられた。
総括・情勢・方針は婦民全国協本部の鶴田ひさ子事務局長が提起した。大恐慌と3・11情勢下で官邸前、全国で巻き起こる数万数十万の怒りの決起、全世界で立ち上がる労働者民衆、支配階級が分裂して「領土問題」を持ち出して排外主義と戦争をあおり立てる状況こそ革命情勢だととらえ、闘う労働組合をよみがえらせ、福島の怒りと結びついて新自由主義と対決し、「命より金もうけの社会を変えよう」と訴えた。外注化阻止、反原発、戦争・改憲と闘う婦民として新たに三浦正子代表を押し立て、新聞を全国の力でつくり、組織拡大に打って出ることが強調された。
特別報告では、福島読者会から3・11以来の福島の現実が訴えられ、政府の避難地域解除により子どもはもちろん労働者が日々高線量の中で生活し被曝し続けていることへの深い怒りが表明された。その中で福島の読者会が毎週スタンディングデモに決起していることが報告され、全参加者が力づけられた。
続いて八尾支部からは新自由主義攻撃と闘い、病院・住宅追い出し・更地化に対してこの間、勝利につぐ勝利をかちとっている、闘えば勝てると確信をもったと話され、橋下打倒の9・16集会が呼びかけられた。
1日目の討論、夕食交流会、2日目の組織拡大にむけての分散会と全体討論で参加者全員が発言。この討論を通して、昨年来、広島をはじめ各地で福島の怒りとつながる独自の行動が追求され、学習が積み重ねられ、新たな人びととの積極的な交流が全国的に生まれていることが大きな前進として相互に共有できた。外注化阻止・非正規職撤廃の闘いについては、自治労全国保育集会での保育新システム反対の圧倒的な反響や40歳定年制・10割非正規職化の動き、動労水戸の被曝労働拒否の闘いなどが報告された。具体的な話を聞いて話し合うことを通じて社会全体の課題であり、自分たちの職場・地域で闘っている中身そのものであることをつかみ、11月労働者集会への結集を確認した。
全議案を採択した後、最後に新運営委員が登壇。丹治孝子代表が「この体制で安心」と語り、新代表の三浦正子さんに引き継いだ。
三浦代表は「婦民全国協は、闘う労組を軸に地域ですべての民衆を結集して団結をつくる役割を担っている。労働者民衆の中にこそ社会をつくり変える力がある。女性がその先頭に立ってあらゆる課題に取り組もう」と訴えてインターナショナルと団結がんばろうで幕を閉じた。
(写真 「労組を軸に地域で団結しよう」と活発に論議【8月25日 横浜市鶴見】)
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週刊『前進』(2550号8面2)(2012/09/03 )
迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧差し戻し控訴審
3人の完全無罪に向けて9・18裁判傍聴とデモへ
迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会の9・18爆取デッチあげ弾圧裁判差し戻し控訴審闘争の呼びかけを掲載します。(編集局)
4人の反戦活動家が国家権力のデッチあげ弾圧と25年にわたって闘っています。迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の被告とされた須賀武敏さん、十亀弘史さん、板垣宏さん、福嶋昌男さんの4人は事件には一切関与しておらず、無実です。
◆新自由主義との闘い
1986年、当時の首相・中曽根康弘は「戦後政治の総決算」を叫んで、戦争と改憲、規制緩和と国鉄分割・民営化攻撃に出ました。日本における新自由主義攻撃のさきがけでした。アメリカではレーガンが、イギリスではサッチャーが新自由主義攻撃を労働者・民衆に加えていました。
このような時代状況の中で東京サミットが開催されました。4月15日、米軍横田基地に向け、5月4日にはサミット歓迎式典が開かれていた東京・赤坂の迎賓館に向けて飛翔弾が発射されました。両事件とも中核派によるゲリラ事件であり、サミット粉砕とともに強い反戦・反基地の意志が込められていました。
この二つの事件に驚愕(きょうがく)した国家権力は“何がなんでも犯人を捕まえよ”という号令を発し、87年に須賀さん、十亀さん、板垣さんの3人を、93年には福嶋さんを爆発物取締罰則違反容疑で逮捕・起訴しました。4人は一貫して無実・無罪を訴え、デッチあげを弾劾し、不屈・非妥協で裁判を闘ってきました。裁判所は拷問さながらに3人に16年、福嶋さんに12年もの未決勾留を強制しました。
東京地裁での超長期の裁判闘争の結果、2004年3月、3人は無罪判決をかちとりました。しかし検察が控訴し、東京高裁では公判を1回開いただけで「一審無罪判決破棄・差し戻し」という不当極まる判決が出ました。差し戻された東京地裁で10年6月に逆転有罪判決が出され、現在、控訴審が闘われています。
◆福嶋さん、再審決断
一方、3人との併合裁判が認められなかった福嶋さんに対しては06年3月、東京地裁が懲役12年の有罪判決、控訴審も一審を追認し、最高裁で今年3月5日に上告棄却となりました。福嶋さんは現在、府中刑務所で再審を準備しています。
爆取弾圧との闘いは、新自由主義と真っ向から対決する闘いでした。そして今、10・1JR外注化阻止決戦と反原発闘争とともに、労働者民衆の団結でデッチあげ弾圧を打ち砕きましょう!
9月18日(火)午後1時、東京高裁傍聴券配布所に集合してください。開廷に先だって行う高裁包囲デモ(午前11時に日比谷公園霞門集合)にも結集をお願いします。
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週刊『前進』(2550号8面3)(2012/09/03 )
民主労総14万ゼネスト
非正規職総力闘争を宣言
(写真 スト決意大会後、労働部安山支庁前までデモ行進し、SJM安山工場で7月27日に行われた工場閉鎖と労組襲撃に抗議する民主労総金属労組【8月29日 安山】)
8月29日、韓国・民主労総13万7千人がゼネストに立ち上がり、非正規職撤廃へ総力闘争を宣言した。
主力の金属労組は7、8月の5次ゼネストとして現代自動車、起亜自動車など10万人が全国40カ所でストを闘った。6月、貨物連帯とともに物流を止めるゼネストを闘った建設労組も2万人が決起。民主労総中央の戦術ダウンにもかかわらず現場労働者の怒りが14万ゼネストを実現した。
金属労組はゼネスト前夜の28日、使用者協議会と12次中央交渉を開いたが、使用者側は1週間連続2交替制導入を図り、交渉は進展しなかった。金属労組は9月7日に6次ゼネストを行うことを決め、8・29ゼネストに突入した。
29日、金属労組は民主労総と共催で京畿道(キョンギド)安山(アンサン)市庁前で「用役ヤクザ(暴力ガードマン)による暴力襲撃糾弾! 責任者処罰! 職場閉鎖の即時撤回! 特殊雇用労働者の労働基本権獲得!」を掲げた民主労総決意大会を開催した。金属労組京畿支部、ソウル支部組合員を先頭に2500人が集まった。
大会でパクサンチョル金属労組委員長は「7月27日に強行された金属労組SJM支部への用役ヤクザの襲撃を絶対に忘れない。力を合わせて職場閉鎖をやめさせよう」と訴えた。集会後、雇用労働部安山支庁までデモ行進し、会社の工場閉鎖と不法な暴力行為にくみする労働部を弾劾した。
午後5時、SJM安山工場正門前に移動した金属労組組合員たちは「監獄工場をわれわれの力で7月27日以前の姿に戻そう」と、工場に張り巡らされた鉄条網をカッターで切り始めた。警察部隊が催涙弾で応戦したが、労働者は果敢に闘い、警察部隊を追い返し、鉄条網を全部除去! その場で家族を交えた闘争文化祭がかちとられた。
キムヨンホSJM支部長は「動揺することなく楽しく闘っている自分たちに驚いている。この力は組合員の主体的決起と温かい連帯闘争のおかげだ。今後も日々金属労働者らしく闘い、必ず勝利する」と語った。
領土問題への労働者の回答は国際的団結と職場闘争だ! 日韓労働者の国際連帯が力を発揮する時だ。
(室田順子)
(写真 民主労総ソウル本部など300人が集まったソウル地域ストライキ出征決意大会。民主労総が非正規職総力闘争を宣言した【8月29日 ソウル・才能教育本社前】)
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週刊『前進』(2550号8面4)(2012/09/03 )
団結ひろば 投稿コーナー
8・7山口刑務所に中山委員長激励行動 広島連帯ユニオン草津病院支部 仲間 結
8・6ヒロシマ大行動の翌7日、全国の医療・福祉労働者の代表14名で、広島連帯ユニオンの中山崇志・草津病院支部委員長が組合つぶしの弾圧で収監されている山口刑務所での激励行動に決起しました。
到着時、午前中の面会時間が終了していたため、全員で差し入れを申し出ましたが、当初「登録者のみ差し入れが可能」との妨害がありました。しかし、仲間全員の中山さんへの激励の熱意と気迫をもって、全員差し入れをやり遂げました!
午後から広島連帯ユニオンから3名、全国の仲間から3名が代表して面会を申し入れましたが、「友人面会」 は許可されませんでした。
しかし、そんな事で私たちの団結は崩せません! 皆で刑務所の面会受付で激励ハガキを書き、刑務所長への怒りと中山さんへの激励の気持ちを込め投函。その後、刑務所を去る直前には涙雨ならぬ怒り雨が降り出しました。今思い返しても私たちの気持ちをあらわしたかのような集中的・局地的な雨でした。
その後、中山さんから手紙が届きました。「他の受刑者は友人面会が認められているのに何故自分には認められないのか?」との中山さんの問いに、刑務所側から「面会については法律があり、山口刑務所では所長の裁量によって決定している」との返答があり、労組つぶしの弾圧であることが明らかになりました。
8・7激励行動は、中山さんと共に闘う会(中共会)にとって大きな前進であったと思います! 仲間の団結がより強まった中共会効果! 恐るべしです!!
消費税増税法案可決にとてつもない怒り 関東 T
去る8月10日、仕事が休みだった私はとんでもない速報で目が覚め、それと同時にとてつもない怒りが込み上げてきた。というのも、国会において《消費税増税法案》が可決されたのである。
まず皆様にも考えてみてほしい。日本全体が好景気であれば、国家としての税収増加も見込めるが、低収入・低待遇・年金医療福祉の削減進行、国民の半数が非正規職だというのに、税収増加が見込めるだろうか?
《1%の鬼達》は別として、国民の99%は安い商品を狙い、1円でも安い商品を手に入れるために複数のお店を奔走し、点数券や懸賞等に応募して無料で商品を入手しようとしているのが実情なのに、そんな状況で国民が支払う消費税を増税などしたら、普通の《人間》だったら購入するのをためらってしまうだろう。
各種税金だって増税したし、そこへ来て消費税まで増税されたら、国民に「お前ら全員死ねよ」と言っているに等しい、国家による《自国民大虐殺》になってしまうだろう。もし、消費税増税により悲惨な結果が続出したら、国家は責任を取るのだろうか? いや、それは無理だろうし、彼らは鼻で笑い、「それがどうしたの?」という態度を取るだろう。
そうなることが予測されることから、我々日本国民が団結して《1%の鬼達》を倒す、その時が来たのである。我々99%の者達は、一致団結して、桃太郎とその仲間達になって、悪さをし続ける鬼を退治しようではないか!! 桃太郎だって、彼一人では鬼を退治できなかったが、雉(きじ)や猿・犬等の仲間と共に団結して鬼を退治したのだ。故に、我々国民も一致団結して政府を倒し、やつらに目にもの見せてやろうではないか!
外注化阻止ニュースJR労働者に浸透中 東京 利根川洋
JR東日本の10・1検修外注化への怒りは、検修職場はもとより、街頭でも大きな渦となりつつあります。動労総連合のスト決起や集団訴訟は、現場で苦闘する国労や東労組の青年の悩みや怒りに結びつき、「闘い」が衝撃的に浸透しています。
あと1カ月に迫ったのに現場には正式な説明もなく、うわさだけが飛び交っています。その中で、唯一正しい情報源が動労千葉を支援する会が発行する「外注化阻止ニュース」です。
ほとんどの職場では、私たちの門前ビラを青年が受け取ると、東労組の役員が「受け取るな」と必死で恫喝し、国労は「受け取ってもいいじゃないか」と言う状況です。その中で青年は「受け取ったのを見張られていたのかな」と疑問を抱き、何が書いているのかと興味を持ち、話しかけてくる状況です。
青年からは、「えー、JRに入ったのに、○○社の社員になっちゃうんですか? そんなのありですか」などの率直な反応に始まり、「確かに帰る職場はないんですよ。今やってる仕事を子会社が取っちゃうんですからね。仕事を続けるなら、子会社の社員になるしかなくなりますね」と考え、「組合(東労組)は3年で帰れると言ってますが、おかしいですね」と疑問をもち真剣に考え出しています。
そこに、「職場を回しているのは私ら労働者でしょ。区長や助役じゃない。ストライキで闘い、社会の主人公になりましょう」と訴えると、「回しているのは私たちです」ときっぱりした答えが返ってきます。言った方が驚くことが度々あります。
10・1までの1カ月で社会問題にすることはまったく可能だと思います。「労働者の首を切って安全を破壊し、資本家だけが肥え太る」――JRは東電と同じです。JR体制を打倒しよう。
「固有の領土」は日帝が作った政治的概念 東京 小野正春
石原東京都知事が4月に「尖閣諸島を都が買い取る」という声明を出し、中国への挑発を行った。8月19日には国会議員、右翼ら150人が漁船21隻に分乗、「尖閣」に押し寄せ、東京都議ら10人が泳いで上陸、「日の丸」を掲げた。
豊下楢彦関西学院大学教授が、岩波の『世界』8月号で石原に反論、「固有の領土」とは国際法上の概念ではまったくなく、「北方領土」「竹島」「尖閣諸島」といった領土紛争を三つも抱え込んだ日本の政府と外務省が考え出した、きわめて政治的な概念であると言っている。
1945年6月下旬、終戦工作に乗り出した昭和天皇のもとでまとめられた「和平交渉の要綱」では、「国土に就いては、止むを得ざれば固有本土を以て満足す」と記され、「解説」の部分で具体的に「固有本土の解釈については、最下限沖縄、小笠原、樺太を捨て」と説明されていた(前掲論文)。
つまり「固有の領土」は「固有本土」を守るための犠牲になったり、捨てられる対象と見なされてきたのである。
本土復帰から40年を経た沖縄の「犠牲の構造」は何ら変わっていない。今日の最大の焦点はオスプレイ配備問題であり、野田政権は排外主義をあおって沖縄全人民の反対を踏みにじって強行しようとしている。
領土問題は、侵略戦争の原因であり、結果である。排外主義・国家主義と戦争をあおる題材として、世界の労働者人民を分断し戦争に引きずり込むのだ。石原はファシストとして徹底的にマスコミを動員して画策している。
しかし世界の労働者人民にとって国境はない。インターナショナルの決起が始まる時、反動の論調は力を失うのである。
原発労働者の憤怒の証言(『序局』)に学ぶ 東京 西村豊行
今年の被爆67周年8・6ヒロシマ大行動は、ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ・オキナワを中心に、被曝労働と闘う労働組合、原発労働の体験者、そしてドイツのゴアレーベン核廃棄物処分場反対同盟などが一堂に会し、国際的で感動的な一大闘争となった。前日の〈NAZEN結成1周年集会>に続いて、当日の大行動集会でも、元原発労働者の斉藤征二さんが登壇し、原発を激しく告発した(写真)。
斉藤さんは、『序局』第2号(4月刊)の「とにかく原発を止めること―原発労働の実態と原発労働者の闘い」の語り手である。この記事は、原発労働者の闘いの優れた体験記となっている。
斉藤さんは、25歳で配管工として「人夫回し」の親方の下で、原発労働を始める。1967年に美浜原発1号機の建設作業に従事し、それから大飯原発、高浜原発、玄海原発を経て、1981年に敦賀原発に落ち着く。原発での労働は15年間に及んだ。電力資本直下の元請けは幾層(5〜7層位)もの下請け、孫請けなどで偽装請負労働を強い、賃金のピンハネで労働者の生き血をたっぷりと吸う。雇用形態・賃金ともきわめて劣悪だ。現場は高放射能に浸かり、数分から数十分の間に、外部被曝と内部被曝を重ねて受ける労働地獄である。稼働中の原発では定期検査が主な仕事であり、一カ所の滞在期間は短く、全国の原発を渡り歩くという。重層的な雇用形態に加え、団結が困難な現実がある。それでもバラバラにされた原発労働者の組織化に挑戦した。そして関西地区生コン支部の原発分会を結成する。この苦闘を刻む道筋は圧巻であり、深く教えられる。「仲間の労働者の被曝死」を多く見送り、斉藤さん自らも手術を繰り返した。「ステントが5本入る」満身創痍(そうい)の身を挺(てい)しても、大飯原発の再稼働を許さず、全原発の廃炉を「一生懸命叫びたい」と語る。
労働運動の実践に活かされるべき読み応えのある記事だ。
映画「ニッポンの嘘」が暴くこの国の真実 東京 朝田麻実
今、映画「ニッポンの嘘(うそ)/報道写真家 福島菊次郎90歳」が各地で上映されています。
91歳になった今も現役カメラマンとして福島県南相馬市に、あるいは昨年9・19明治公園の6万人デモの現場に立ち、シャッターを切る福島菊次郎さん。彼は報道カメラマンを目指す若者たちに「問題自体が法を犯したものであれば、カメラマンは法を犯しても構わない」ときっぱり語ります。
福島さんは暴漢に襲われ、家に放火され、それでもヒロシマ、三里塚、安保、水俣、天皇と軍隊――覆い隠されようとする「ニッポンの嘘」を暴いてきました。その出発点はヒロシマです。被爆で体を破壊され、耐えきれない痛みと苦しみゆえ、かみそりで何十本も切り裂いた内ももの傷跡の写真。被爆者が亡くなると葬儀に現れて遺体を持ち去って解剖したABCC(原爆傷害調査委員会)の現実。
ヒロシマとフクシマの今がひとつに重なります。人間の「生存」をここまで軽んじるこの国の本性は戦後67年、何ひとつ変わっていません。
いや、戦後67年だけではない。福島さんは、昭和天皇ヒロヒトが自らの戦争責任について問われた時に「そういう言葉のアヤについてはよくわかりません」と答えたと話します。人間の生存を踏みにじるこの国の本性は、戦前・戦中から今にいたるまで、まったく変わっていないのです。
3・11を受けて「ずっと嘘だった」ことに気づいてしまった私たちの力で、今度こそ、なんとしても「この国」を覆したい。フクシマを生きぬく人びととつながって。同映画は東京、大阪、広島、福岡など各地で上映中です。
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