ZENSHIN 2012/07/30(No2546 p10)
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週刊『前進』(2546号1面1)(2012/07/30 )
すべての原発・核なくせ! 野田倒せ!
8・6広島-8・9長崎へ
ヒロシマ大行動に全国総結集し再稼働強行の野田の来広阻止を
被爆者と福島の怒りひとつに闘おう
巨大な反原発デモが首都・東京と日本全国を覆う中で、今年の8・6ヒロシマ、8・9ナガサキを全世界が注目している。ヒロシマ・ナガサキの人類史上最も残虐な大量殺戮(さつりく)として始まり、フクシマに行き着いた帝国主義とスターリン主義の核による支配の歴史を今こそ終わらせるのだ。そのことを被爆者と福島の怒りをひとつにして、8・6ヒロシマから全世界に宣言しよう。NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)結成1周年集会に結集する全国の労働者・学生・住民、ドイツのゴアレーベン代表団も合流する8・6ヒロシマ大行動は本物の「世界大会」だ。3・11以来の福島の怒り、首相官邸前、7・16代々木公園、7・29国会前の「再稼働反対」の叫びを8・6ヒロシマへ!
(写真 オスプレイの岩国基地搬入を弾劾! 米軍岩国基地前でデモする仲間たち【7月23日 岩国市】=記事10面 核と原発の廃絶は人民共同の決意だ
福島を切り捨て、広島・長崎の被爆者抹殺を続け、原発再稼働でさらなる被曝を強制しようとする野田。「安全保障のための原子力」と公言して核武装を策動し、オスプレイ配備を強行する野田。この野田が、被爆67年目の広島を訪れ、「過ちは繰り返しませぬから」と刻まれた原爆慰霊碑の前に立とうとしている。これほどのヒロシマへの、福島への、全労働者人民への侮辱があるか! 被爆者への冒涜(ぼうとく)があるか!
「ヒロシマ・ナガサキを繰り返すな」「核と人類は相いれない」と叫び続けてきた広島・長崎の、そしてビキニの被爆者たち。その被爆者の叫びをわが叫びとして、日本の労働者階級人民は毎年、広島・長崎に集まり、反核の誓いを新たにしてきた。その日本で「3度目の原爆」と言われる原発の大事故が引き起こされた。この無念、この悔しさ! しかし、われわれはもう一歩も引かない。今度こそすべての核と原発を廃絶するまで闘い抜くのだ。それはすべての被爆者の、再稼働反対の叫びをあげる数十万人の、その背後にいる数千万の労働者人民の共同の決意だ。
8月6日午前7時半、原爆ドーム前へ! 平和公園一帯に、あの首相官邸前の「アジサイ革命」情勢をつくりだそう。「再稼働反対! 野田を倒せ!」の声(「音」ではない!)で、式典会場の野田を直撃したたきのめすのだ。そして、「核抑止力は必要」「原発再稼働はやむなし」「安保も基地も必要」と公言するような、野田を始めとする市長や議員や権力者どもが「制圧」する平和公園を、核廃絶・全原発廃炉へ闘う被爆者・被爆二世、全労働者人民の手に奪還しよう。
1971年、被爆者・被爆二世抹殺と沖縄永久核基地化を推進する佐藤首相を実力糾弾した全国被爆者青年同盟の闘い以来ともいうべき闘いを、8・5沖縄県民大会と固く一体となって、今夏8・6広島−8・9長崎闘争で打ち抜き、野田政権を打倒しよう。
腐りきった新自由主義を打ち倒そう
全人民の怒りに包囲された野田は、「国民のためだとの確信を持ちながら、やらなければならないことは貫きたい」などとうそぶいている(22日早稲田大学での講演)。そしてJR東海会長・葛西のようなブルジョアジーとその取り巻きは「野田首相こそ一国のリーダーとしてふさわしい」とたたえ、原発再稼働やオスプレイ配備に反対する圧倒的多数の労働者人民を「放射能恐怖症」「オスプレイ恐怖症」などとののしり、「無知な大衆」として見下している。ふざけるんじゃない!
だが野田や葛西のような1%にも満たない連中こそがフクシマを引き起こしたのだ。そして大恐慌の果てしない激化の中で、さらに搾取と収奪の限りを尽くし、とてつもない詐欺・犯罪行為(LIBOR・ライボー=ロンドン銀行間取引金利の不正操作を見よ!)や戦争で吸血鬼のように社会から富を吸い上げ、世界を支配し続け、破滅へ追い込もうとしている。
今こそはっきりさせよう。ここまで社会をめちゃくちゃにし、人間と人間を分断し、競い合わせ、人が人として生きられないような世の中をつくりだしてきた、全世界の一握りの新自由主義者・支配階級どもを一掃することこそが、一切の問題を解決する道だ。
原発も核兵器も、オスプレイも、消費税もTPP(環太平洋経済連携協定)も、必要としているのは野田や葛西のような極少数の腐りきった新自由主義者どもだ。彼らを権力の座から引きずり下ろし、圧倒的多数の労働者階級が権力と生産力を握れば、原発や核や戦争や増税に命を脅かされることなく、だれもが人間らしく生きていける。そうしたプロレタリア世界革命の勝利以外に一切の決着はないのだ。
日本の労働者階級は、世界大恐慌が深まり、ギリシャを先頭とする世界の労働者の革命的決起が巻き起こっている中で、今や一気にその最前列に躍り出た。この膨大な日本労働者階級本隊の大衆的決起の始まりは、資本の支配と、連合を使った労働者抑圧体制の崩壊が決定的に始まったことを示している。
連合のダラ幹は、消費税に賛成するほど裏切りを深めた。8月5日に広島で開催する原水禁・連合・核禁会議主催の「世界大会」では、「原発のゲの字も言わせない」としている。だが連合ダラ幹の日帝支配階級との一体化が極限まで進めば進むほど、現場組合員の離反と反乱も進む。もはや労働者の怒りのマグマはだれも抑えきれない。
日本の労働者階級は、国鉄分割・民営化の強行以来25年におよぶ連合支配下で、徹底的に団結も組合も奪われ抑圧されてきた。「日本はデモもストもない国」とまで言われてきた。しかし大恐慌と3・11情勢下で、日本の労働者階級はたたきつぶされるのではなく一気に覚醒(かくせい)し、鍛えられ、積もりに積もった新自由主義への怒りを解き放ち始めた。それは、国鉄分割・民営化以来、連合結成以来の階級支配の決定的破綻だ。
今や4・9「政治和解」の反革命は打ち破られている。新自由主義攻撃の核心中の核心をなすJR検修・構内外注化攻撃は、動労千葉を先頭とする闘いによって12年間も阻まれてきた。国鉄闘争全国運動のような新たな階級的大運動が力強く発展し始めている。
この国鉄闘争の不屈の前進が連合支配の完成を阻み、日本労働者階級の階級性・戦闘性の解体を決定的に阻止して、ついに国鉄決戦と反原発決戦の一体的爆発でプロレタリア革命へと向かう情勢を切り開いたのだ。
ストライキを闘う力を職場生産点に
今こそ労働者階級は、闘う労働組合をよみがえらせ、労働者自身の団結と闘争の組織として取り戻すことで、一挙に情勢を革命的に前進させなければならない。職場生産点で労働者の団結を固め、拠点建設を進め、ギリシャやスペインに続き、ストライキ(ゼネスト)を闘い抜ける力をつくることが決定的に求められている。それこそが再稼働を真に阻止し、全原発の廃炉、原発のない社会を実現する階級的で現実的な展望だ。
そのような情勢を切り開く最大の闘いが、10・1JR外注化阻止決戦と、全産別での外注化阻止・非正規職撤廃の闘いである。
この決戦のただ中で、「原発がなくなると仕事がなくなる」という資本の分断、団結破壊に対決し、原発と被曝労働なしには生きられない新自由主義の経済・社会と階級支配そのものを打ち砕く闘いを推し進めるのだ。
野田が8・6広島で慰霊碑前に立つのは、原爆投下時刻8時15分の黙祷から10分後の8時26分だと言われている。野田の来広自体が絶対許せない。断固阻止しよう。「再稼働反対!」「野田を倒せ!」。「過ちは繰り返しませぬから」という誓いを果たすのは、今この時だ。今こそ尽きせぬ怒りを、ありったけの叫びをひとつにして、立ち上がろう。
8・6広島―8・9長崎の闘いで野田を打倒し、原子力ムラを解体し尽し、新自由主義を打ち倒して「にんげんの世」を、「崩れぬ平和」をわが手に取り戻そう!
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週刊『前進』(2546号1面2)(2012/07/30 )
ドイツ反核の総本山 ゴアレーベンが来日
ドイツのゴアレーベンは、ハンブルクとベルリンの間にある農村だ。そこにある核燃料廃棄物中間処分場への搬入阻止闘争は、95年以来13回も実力で闘われ、ドイツ反核・反原発運動の総本山となっている。運動の中心は地元住民の反対同盟だ。周囲の農民団体、各地の反核・反原発団体と広範な共闘関係をつくりあげている。
77年、連邦政府と州政府は国策でドイツ各地に原発を建設しつつ、使用済み核燃料の再処理やウラン濃縮工場、最終処分場など「総合核燃料リサイクルセンター」をゴアレーベンに建設する計画を決めた。現地住民を先頭に反対運動が立ち上がり、79年には州都ハノーバーを10万人のデモが埋めた。こうして政府は当初プランを断念、中間処分場の建設と「最終処分場のための探査活動(実際は建設)」への縮小を余儀なくされた。これとの強靱(きょうじん)な闘いが続いている。
核廃棄物は、フランスのラ・アーグ再処理工場で処理されてゴアレーベンの中間処分場に搬入されるが、これを阻止する運動がここ数年、激化してきた。
昨年11月は、3・11福島原発事故の衝撃を背景に市民、労働者、農民、青年学生らが総決起する闘いとなった(写真)。核廃棄物輸送列車に立ちはだかり、ゴアレーベン到着までの時間の最長記録となる126時間を強制した。出発地でもフランス鉄道労働者の阻止行動に直面。ドイツに入ると、行く先々で線路がデモ隊の座り込みでブロックされ、バリケードが築かれた。搬入列車は100回も立ち往生した。
主戦場は、ゴアレーベンの中間処分場まで20`の地点のダネンベルクだ。2万人の警察機動隊に対し、抗議集会に2万3千人が結集した。労働組合も参加し、農民は400台のトラクターで合流した。現地では3千人の行動隊が数日前から待機し、搬入コースを座り込みで埋め尽くし、激闘は搬入の最後の一瞬まで続いた。このゴアレーベン代表団が来日する。
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週刊『前進』(2546号1面3)(2012/07/30 )
夏季特別号・紙面案内
夏季特別号論文 10・1外注化阻止決戦へ 反原発デモのうねりを11月総決起へ 7〜9面
プロレタリア革命と共産主義 10面
動労千葉、外注化支社提案に怒りの声明 2面
日米防災演習、自衛隊が首都治安訓練 2面
全学連第73回定期全国大会へアピール 3面
大恐慌の現局面と革命的情勢の成熟 4〜5面
核と原発への怒りはひとつC電産中国 6面
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おことわり
本号を夏季特別号として発行し、8月6日号は休刊します。休刊中のニュースは前進速報版でご覧下さい。
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週刊『前進』(2546号1面4)(2012/07/30 )
【要項】8・6広島−長崎 反戦反核反原発闘争
8・6広島−長崎 反戦反核反原発闘争
広島 8月5日(日)
午前11時〜12時30分 放射線影響研究所(旧ABCC)見学会
主催/8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
NAZEN結成1周年集会
午後4時〜6時 広島市東区民文化センターホール(広島市東区東蟹屋町10-31)
主催/すべての原発いますぐなくそう!全国会議
<関連行事>全国青年労働者交流集会/ 全国学生集会/各産別労働者集会(いずれも5日午後 東区民センター)
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ヒロシマ・ナガサキはフクシマの怒りをともにする!
8・6ヒロシマ大行動
8月6日(月)午前7時30分 原爆ドーム前
核廃絶・全原発廃炉! ヒロシマ・アピール集会
午前8時20分 野田首相弾劾デモ
原爆ドーム前→元安橋→平和大橋東詰→中国電力前
8・6ヒロシマ大行動大集会
12時30分 広島県立総合体育館小アリーナ
【発言】下田禮子さん(被爆者)、佐藤幸子さん(福島から)、伊方原発再稼働阻止の訴え、斎藤征二さん(元全日本運輸一般労組原子力発電所分会長)、ドイツ・ゴアレーベン ほか
8・6ヒロシマ大行進 午後3時 デモ出発(→原爆資料館前まで)
主催 被曝67周年8・6ヒロシマ大行動実行委員会
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長崎 8月7日(火)
玄海原発プルサーマル運転再開阻止闘争 午後3時30分 現地集合
主催/8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
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長崎 8月8日(水)
正午 長崎大学医学部 山下俊一福島派遣弾劾行動
午後2時 九州電力長崎支社申し入れ行動(玄海原発、川内原発再稼働阻止)
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8月9日(木)
長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼式典
主催/長崎在日朝鮮人の人権を守る会
午前7時半 爆心地公園の原爆朝鮮人犠牲者追悼碑前
8・9野田首相弾劾デモ
午前10時 城栄講演(路面電車・大橋下車)
8・9長崎 反戦反核反原発集会
午後1時30分 長崎県勤労福祉会館(路面電車・公会堂前下車)
主催/8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
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オスプレイ配備に反対する
8・5沖縄県民大会
8月5日(日)午後3時(2時からイベント)
宜野湾市海浜公園多目的ひろば
主催 オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会実行委
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週刊『前進』(2546号1面5)(2012/07/30 )
前進速報版から
▼岩国でオスプレイ搬入弾劾デモ▼佐世保でオスプレイと原発再稼働反対集会▼再稼働反対で秋田6波デモ▼椎名さん反原発訪米報告
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週刊『前進』(2546号2面1)(2012/07/30 )
“外注化10・1実施を絶対阻む”
“100名に及ぶ強制出向粉砕を”
動労千葉 外注化支社提案に怒りの声明
JR東日本千葉支社は7月23〜24日、各労組に検修全面外注化に向けた支社提案を行った。これを徹底弾劾する動労千葉機関紙『日刊動労千葉』(7月25日付)を転載します。(編集局)
(写真 7・14動労千葉総決起集会で登壇し外注化絶対阻止への決意を表明した検修職場の組合員
検修・構内業務外注化「10・1実施」絶対阻止!
JR千葉支社―87名の要員削減を提案(7/24)
100名に及ぶ強制出向を粉砕しよう!
全ての組合員のみなさん! JRで働く仲間のみなさん!
JR千葉支社は、7月24日、検修・構内業務の全面外注化に向けて、委託対象業務及び外注化に伴う87名に及ぶ要員削減の提案を行ってきた。腹の底からの怒りで提案を徹底的に弾劾するとともに、「10・1実施」絶対阻止へ、あらゆる手段を尽くして闘いぬこう。
幕張、京葉、習志野、銚子の検修・構内業務を外注化
提案において千葉支社は、委託対象業務について、
@車輪削正業務(京葉車両センターで実施済み)*幕張
A入換業務(京葉一部実施済み)*幕張、京葉、習志野
B誘導業務(京葉一部実施済み)*幕張、京葉、習志野
C車両の解放・連結に伴う業務(京葉一部実施済み)*幕張、京葉、習志野
D構内計画業務(1年後に実施予定)*幕張、京葉、習志野
Eその他構内に係わる業務(京葉一部実施済み)*幕張、京葉、習志野
F仕業検査業務 *幕張、京葉、習志野
G駅派出業務(定例業務として仕業検査業務や入換業務を行っている駅派出に限る)
*一ノ宮、鴨川、木更津、銚子の各派出
H信号業務(直接、本線運行に関わらない車両センター等の構内に限る)*幕張
Iホームでの分割・併合業務 *一ノ宮、鴨川、木更津の各派出
であるとした上で、本社で委託対象業務とされていた「資材・倉庫関係業務」については、今回の提案には含めないとしている。
今回の提案においてJRに残る業務は、本区関係では、技術管理、保全検査、臨検、検修当直、事務、資材・倉庫、派出関係では、千葉派出、西船橋派出、木更津関係では、技術管理、交番検査としている。
また、「構内計画業務」については、委託対象業務としているが、今後、体制を見直して1年後に委託するとしている。
要員削減数が出向者数ー強制出向粉砕へ動労千葉で闘おう!
一方、業務委託に伴う要員関係については、幕張車両センターで管理職+1名、車両職▲(マイナス)63名、京葉車両センターは車両職▲8名、習志野運輸区は車両職▲11名、銚子運輸区で車両職▲5名、合計、管理職+1名、車両職▲87名の要員削減となっている。そして、この要員削減数が出向者数になること、出向者については、委託対象業務に従事している者が委託とともにそのまま出向になるとの考え方を示してきた。
しかし、この数字には、1年後に委託予定の構内計画業務の要員が含まれていないため、構内計画業務の要員数も含めれば、全体で100名を超える強制出向になるということだ。
千葉支社は今後、9月冒頭から、偽装請負にならないために委託後の業務の流れについて教育を行うとしている。また、業務委託後にJRとCTS(千葉鉄道サービス)で使用する場所を区分けするために、7月末から調査を実施し、8月以降、工事を行うとしている。
さらに、業務委託に伴いCTSが作業責任者、運転責任者を幕張、京葉、習志野の各区に配置するとしているが、人数はまだ決まっていないとして、具体的な人数は提示しなかった。そして、委託先会社は、千葉鉄道サービスで、「10月1日」から実施するとしている。
100名に及ぶ強制出向を絶対に阻止しよう!
出向を「成果」だと言いなす東労組を絶対に許すな! 動労千葉で共に闘おう!
「休日増、賃金増額、一時金支払いを確認」は全くのウソ 労働者を出向に出すことを「成果」とするJR東労組を絶対に許すな!
(表)業務委託提案にともなう要員削減数(『日刊動労千葉』をもとに作成)
箇所 |
職種 |
現行 |
提案 |
増減数 |
|
幕張車輌センター |
管理 |
15 |
16 |
+1 |
木更津派出 管理者+1 |
車輌 |
123 |
61 |
▲63 |
木更津 技術者+1 |
京葉車輌センター |
車輌 |
52 |
44 |
▲8 |
|
習志野運輸区 |
車輌 |
15 |
4 |
▲11 |
JRに残る4人は構内計画 |
銚子運輸区 |
車輌 |
5 |
0 |
▲5 |
|
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週刊『前進』(2546号2面2)(2012/07/30 )
自治労現評総会 橋下打倒!首切り粉砕!
交流センターの訴えに反響
7月19日から3日間、北海道旭川市内で開催された自治労現業評議会総会、組織集会の初日と2日目の会場前に、全国労組交流センター自治体労働者部会と北海道労組交流センターが登場。全国の自治体現業の仲間に、公務員攻撃を許さず胸を張って先頭で闘おうと訴える宣伝活動を行った。
7・16反原発集会17万人大結集の興奮さめやらぬ中、「原発推進と大増税、公務員首切りの民主党・野田政権倒そう!」「大阪・橋下を先兵とする全現業の民営化・非公務員化=全員解雇攻撃を全国の団結でぶっ飛ばそう!」「自治労本部の裏切りを許さず、闘う労働組合をよみがえらせよう!」「10・1JR全面外注化阻止決戦を全労働者の階級決戦として闘おう!」という訴えは、全国の自治体で苦闘する現場労働者の胸に響き渡った。全国の自治体部会の仲間の共同作業で作成されたビラ500枚は参加者のほとんどが手にし、大きな反響を呼んだ。
特筆すべきは、大阪・橋下徹市長への怒りが爆発寸前であり、橋下打倒の声が地に満ちているということだ。公務員攻撃をあおって労働者の誇りを踏みにじる橋下市長。不当な処分攻撃を乱発して民営化・外注化による大阪府市1万人の非公務員化=全員解雇・非正規職化と労組破壊攻撃に突き進む橋下「維新の会」をどうして許せるか。9月橋下打倒大集会の賛同の呼びかけに対し、署名に応じメッセージを書き連ねる組合員が署名板の前に列をなし、2日目の組織集会(分科会)開会前のわずか20分足らずで37筆も集まった。9月大阪・橋下打倒闘争の爆発は間違いない。
同時に、民主党・野田政権とその最大の支柱、連合本部、自治労本部への怒りもまた極限に達している。自治労本部は自治体労働者にかけられた民営化・外注化による全員解雇・非正規職化攻撃に対して何一つ闘おうとしない。それどころか、昨年8月の現評総会と自治労大会で現場の怒りが爆発した「地公法57条『単純労務』規定削除」方針や「現業アクションプラン」を性懲りもなく打ち出して、階級闘争否定の「働こう」運動へとねじ曲げようとしている。それに対する現場労働者の回答は、労働組合を再生し、職場から絶対反対の闘いを巻き起こすことだ。すでに全国の職場・単組で橋下型攻撃を跳ね返す画期的な闘いが始まっている。10・1外注化阻止決戦と一体で闘いの火の手を上げよう。
さらに、今回の現評総会闘争は、産別委員会建設と地区党建設を一体的に進めるものとして感動的にかちとられた。総会初日夜の交流集会は地元北海道と全国の闘う自治体労働者の熱い連帯と団結の場となった。8月末自治労大会(函館)決戦に向かっての決意と態勢は打ち固められた。8月自治労全国保育集会(高知)から8・6ヒロシマ大行動、自治労連大会(愛媛)、自治労大会(函館)、そして9月大阪・橋下打倒全国闘争の爆発をかちとり、10・1外注化阻止へ攻めのぼろう!
(写真 自治労現評総会で、公務員全員解雇粉砕、野田・橋下打倒を訴え【7月19日 旭川市】)
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週刊『前進』(2546号2面3)(2012/07/30 )
動労千葉を支援する会 総会開催
“外注化阻止へ闘う”
日本の労働運動の命運かけ
動労千葉を支援する会の2012年度総会が7月22日、千葉市内で開催された。総会には全国29の会から、それぞれの代表96人が参加した。
JR千葉支社は23〜24日、検修・構内業務全面外注化に向けた支社提案を行った。本年の総会は、その直前のきわめて緊迫した情勢の中での開催となった。終日、活発な討論を通して、全参加者がこの決戦に決起する決意を固めた。
連帯あいさつでは国鉄闘争全国運動呼びかけ人の金元重(キムウォンジュン)さん、広島から駆けつけた新たな呼びかけ人の李東碩(イトンソク)さんが紹介され、ともに闘う決意を表明した。
運動方針案を提起した山本弘行事務局長はまず「JR東日本は就業規則を盾に検修全面外注化と強制出向に踏み出そうとしている。動労千葉はスト、集団訴訟も辞さず自らの首をかけて決起している。この攻防に日本の労働運動の命運がかかっている」と会員の奮起を強く訴えた。そして、当面する闘いの3本柱として、@10・1検修全面外注化阻止への総力決起、A6・29東京地裁判決をふまえて1047名解雇撤回の大運動をまきおこすこと、B職場・地域での支援する会建設、2千口への会員拡大を提起した。
動労千葉からの提起を長田敏之書記長が行い「検修外注化に向けた具体的動きがあれば、ストライキや集団訴訟を始め、ありとあらゆる闘いを展開して絶対に外注化を阻止する。とりわけ当局が最も恐れる組織拡大をなんとしても実現する」と力強く宣言した。
今年の総会の際だった特徴は、議案の3分の2が各地の活動報告で占められていることだ。討論では「どの職場でも外注化や解雇・雇い止めが問題になっており、解雇撤回や外注化との闘いについて自分の問題としてとらえている。国鉄闘争の普遍性を実感する」(東京・西部)、「これまでの物販は“動労千葉の紹介”で終わっていたが、職場闘争の前進を土台に地域共闘も前進した。物販闘争が地域の労組を結びつける軸に成長した」(東京・北部)、「反原発で決起した人たちにねばり強く国鉄闘争を持ち込み、その中から6・10国鉄集会参加と会員拡大を実現した」(静岡)など、職場と地域での取り組みが生き生きと報告され、この1年の画然たる前進を感じさせた。また、仙台市や習志野市など自治体職場での闘いの教訓が語られ、職場「支援する会」建設こそ闘う労働組合再生の第一歩であることが強調された。
討論の中で、動労千葉の関道利執行委員、動労千葉争議団の中村仁さんが外注化阻止、解雇撤回への強い決意を表明。最後に発言した全国運動呼びかけ人の伊藤晃さんは「このような無数の運動を通して労働者は歴史をつくっていく」と討論の感想を述べた。
まとめの提起に立った運営委員(神奈川)が、80年代の国鉄分割・民営化反対闘争に決起した自らの思いを語り「同じ決意で10・1外注化阻止の闘いに立つ」と発言し、「勝負はこの7〜8月だ。外注化、非正規職化を巡って国論を二分する情勢をつくろう」と提起した。運動方針案と会計報告、新年度の運営委員が全体の拍手で承認された。
第2部では、杯を交わしながら会員と動労千葉組合員が交流を深め、ともに外注化絶対阻止へ闘うことを誓い合った。
(写真 全国から96人が参加し、外注化阻止決戦の決意を固めた【7月22日 千葉市】)
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週刊『前進』(2546号2面4)(2012/07/30 )
日米防災演習許すな
自衛隊が首都で初の治安訓練
市ケ谷・朝霞で「指揮所演習」
反原発の高揚に恐怖と対抗
17万人が結集した7・16反原発集会の当日、自衛隊は都内全域を対象に史上初の治安出動待機態勢に入るとともに、20日まで日米防災演習を行った。反原発闘争の革命的高揚に対する日米帝国主義の恐怖の表明である。国鉄・反原発決戦をもってこれを打ち破ろう。
(写真 7月16日朝、都内の各区役所に配置され、庁舎内で宿泊まで行った第1普通科連隊の連絡兵)
7・16に治安出動待機態勢突入
大恐慌の深まりは戦争の危機を激化させ、新自由主義の攻撃に対して労働者の反乱が激発し、世界は革命情勢に突入している。大恐慌下の日本においても3・11から1年4カ月、日帝ブルジョアジーの原発再稼働に対する労働者民衆の根底的怒りが20万人の官邸前抗議行動として爆発し、「再稼働反対!」「野田政権倒せ!」の怒りの行動は全国に拡大している。
20万人の決起に恐怖した日帝・野田政権は、労働者民衆17万人が参加した7・16反原発集会の当日、早朝から陸自第1師団(練馬駐屯地)に事実上の治安出動待機態勢をとらせた。
「首都直下型地震の想定」のもと緊急有事・非常事態に備え、7月16日午前9時、都内23区役所に各2人の連絡兵を配置し、夜7時まで23区全域を対象にした自衛隊史上初の治安出動待機態勢を敷いた。
迷彩服で夜間行軍、区役所に宿泊
そして第1普通科連隊(練馬駐屯地)の第1中隊から第5中隊、重迫撃砲中隊の19個の分遣隊(各8人から15人で編成)が23区全域に徒歩による夜間行軍を行った。住民の中止要請と抗議の声を無視し強行したのである。
昼間の治安出動待機態勢を維持した上で強行された夜間の行軍は、有事の際の政治・経済の中枢の防衛と都内の軍事的制圧のため、都内全区役所と全通信機関の確保と連携、中隊の指揮・活動拠点(清掃工場や公園)と小隊の活動拠点(同)の環境調査、通信の確保を目的に強行された。19個の分遣隊以外に2組のオートバイ地上偵察隊(計4台と予備1台)と7組(各3人)の徒歩地上偵察隊が運用され、人員輸送用車両が分遣隊通過の交差点に配置され、部隊通過後、各分遣隊の活動拠点に先行し、合流した。
さらに歴史的な事態として、翌17日早朝からの陸自駐屯地との通信を確保するために、7区役所(板橋・文京・練馬・葛飾・荒川・足立・台東)で連絡兵各2人が庁舎内の会議室などで宿泊した。宿泊を拒否されたその他の区役所では17日の朝、再配置されている。
この実動治安訓練は、非常事態への対応と動的防衛力への転換に伴う部隊運用の実効性を高めることが目的とされた。夜間の実動訓練に動員された部隊編成は、訓練指揮官・第1普通科連隊長のもとに総員324人。
5千人を動員し日米指揮所演習
他方、7月16日から20日まで、市ケ谷、朝霞駐屯地を中心として、「自衛隊統合防災演習」を口実に非常事態に対応する5千人を動員した日米統合運用による「指揮所演習」が行われた。統裁官は自衛隊の統合幕僚長である。
「参加部隊」は、統合幕僚監部、内部部局、陸海空幕僚監部、情報本部、情報保全隊、指揮通信システム、陸海空自の全部隊・全組織である。「関係機関」は、全府省庁、全地方自治体、在日米軍である。
要するに4・1JR検修・構内業務全面外注化攻撃が動労千葉の闘いで阻止され、原発再稼働を巡る攻防が非和解となる4月末段階ですでに計画されていた首都制圧の治安出動訓練を、7・16反原発10万人集会の当日、統合幕僚長を統裁官に日米帝国主義が発動したということである。
兵士が銃向けるべきは支配階級
「軍隊なしには、ブルジョアジーはなにひとつ行うことはできない」(レーニン全集第1巻381n)
そのとおりだ。
だが、日米帝国主義軍隊の統合治安出動によっても労働者階級人民の根底的怒りを鎮圧することはできない。
3・11で事実上、23万人の自衛隊が総動員され、兵士一人ひとりが被災者救援活動に全力を挙げた。さらに原発事故対処活動の中で被曝しながら、新自由主義の本質とその破綻した現実を兵士一人ひとりが全身でつかみとった。過酷な任務を担う兵士も、軍服を着た労働者であり非正規職労働者である。再任用を拒否(解雇)されても解雇撤回闘争を闘うことすら困難な現実にたたき込まれているのは、諸産別の非正規職労働者と同じであり、使い捨てにされる存在である。
帝国主義ブルジョアジーと野田政権が自衛隊に治安出動を発令すれば隊内矛盾は激化し、治安出動命令拒否や隊内反乱は不可避に発生する。それが最末期帝国主義の軍隊だ。イラク・アフガニスタン戦争における米軍の敗退の根本原因は、帝国主義戦争の不正義性にあると同時に、戦争の担い手が人間・労働者であり、戦争が米兵士を肉体的精神的に破壊するということにある。
1%の帝国主義ブルジョアジーの利益のために働く99%の階級・階層に属する兵士は労働者民衆の「再稼働反対!」の根底的決起に合流する存在である。治安出動によって兵士たちは銃を向けるべき自分の本当の敵が帝国主義ブルジョアジーであることを知る。
ストライキで再稼働止めよう
最末期帝国主義ブルジョアジーには未来の展望はない。野田政権の「国家戦略会議フロンティア分科会」は、「日本の将来予想には、さまざまなシナリオがありうる。しかし、誰が描こうとも、現在ある情報からその延長線上をたどるなら、日本の2050年の姿は、……『坂を転げ落ちる』日本である」と絶望的な「展望」を描いている。
これが資本主義・新自由主義の姿だ。「10・1外注化阻止・非正規職撤廃! 反原発・再稼働反対!」の闘いで野田政権を打倒しよう。
「再稼働反対!」の闘いは日帝ブルジョアジーと非和解である。国家暴力による弾圧によって、労働者民衆一人ひとりが主体的に行動を開始した「再稼働反対!」の闘いを解体することはできない。行動は怒りの爆発である。国家権力の弾圧や体制内派の制動が強化されればされるほど、労働者民衆の怒りの行動は訓練され、強固な団結と組織力を生み出す。決起した二十数万人は数百万人の決起に発展する。なぜなら再稼働反対・全原発廃炉の闘いは、すでに国境と民族、階級・階層を超えた普遍的な自己解放の闘いに発展しているからである。そしてこの全人類的闘いはプロレタリア革命に発展する。
全職場から「再稼働反対! 野田政権倒せ!」の官邸前闘争を組織しよう。国鉄・反原発決戦を基軸に外注化阻止・非正規職撤廃・改憲阻止・オスプレイ配備反対を掲げてストライキを打てる労働組合をなんとしても再建しよう! 労働者が職場権力を奪取しよう! 兵士は労働者民衆の闘いに合流し、隊内から決起しよう!
(革共同反軍闘争組織委員会)
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週刊『前進』(2546号3面1)(2012/07/30 )
全国学生は全学連第73回定期全国大会へ
反原発闘争の高揚の先頭に立ち全国大学で学生自治会の建設を
革共同中央学生組織委員会
来る9月5〜6日の全学連定期全国大会(招請状別掲)は、7・16代々木公園及び首相官邸前で大高揚する反原発の巨大なうねりを押し広げるとともに、それと結合して全国キャンパスで始まった闘いを学生自治会建設へ発展させる歴史的大会だ。8・6ヒロシマを「全原発廃炉! 野田政権打倒!」の大闘争として打ち抜き、全学連大会への大結集へ攻め上ろう。
再稼働への怒りは革命に行き着く
今次全学連大会の焦点は第一に、原発と野田への怒りを解き放ち、代々木公園17万人と「あじさい革命」のうねりを学生が先頭に立ってさらに爆発させることだ。
「3・11」から約500日。代々木公園を埋め尽くした17万人決起の熱気が衝撃的に日本列島を駆け巡っている。みなが感動し、励まされ、もっと大きく発展させたいと新たな一歩を踏み出している。これは、原発再稼働と野田に対する人間的怒りの爆発だ。福島を切り捨て、一切の情報を隠して被曝を強制し、電力会社や資本家階級を守る政府と御用学者。野田は「国民生活を守る」と再稼働を居直った。
もう我慢も限界だ、もう一歩も退かない、政府を倒してでも自分たちで未来を決めると決意した幾百万の民衆の行動が、ものすごい団結の力となって野田の前に立ちふさがった。日本社会の歴史的大変革の開始だ。すべてを奪い返す力が労働者民衆の中に生まれている! 腐り果てた帝国主義支配を終わらせるまでやむことのない革命の始まりだ。
闘いの大高揚が国家権力の本質を赤裸々に暴き出した。首相官邸前の20万人の行動に対して7月13日以降、日帝は警察権力の車両と鉄さくによるバリケードをつくり、暴力的弾圧を行ってきた。このバリケードはまぎれもなく野田と電力資本を守っているのだ!
福島県民を放射能にさらし殺そうとしているのがこの国家だ。だからこそ支配階級は、打倒される恐怖をひしひしと感じている。「国家は、階級対立の非和解性の産物であり、その現れである。国家は、階級対立が客観的に和解させることができないところに、またそのときに、その限りで、発生する。逆にまた、国家の存在は、階級対立が和解できないものであることを証明している」(レーニン『国家と革命』)。ここで屈するわけにはいかない。この支配を覆し、原発を廃絶する力を生み出すカギは、労働組合・学生自治会の再生と一体で、青年・学生自身が行動を本格的に開始することにある。学生が一個の戦闘部隊となって力強く登場することが求められている。それが階級闘争に決定的インパクトを与え、さらなる大高揚を切り開いていくのだ。
キャンパスめぐる攻防の質的な転換
第二に、反原発闘争が歴史的高揚段階に入っているがゆえに、キャンパスでの攻防はより激しくなっている。この攻撃を真正面から粉砕する全国学生の団結をつくり出し、学生自治会建設の闘いを前進させよう。
ついに全学自治会同学会の歴史的再建をかちとった京都大学攻防が、決定的に激化している。京大当局の6月22日付「告示」第5号は絶対に許せない。本年6月の全学選挙の結果を「京都大学が公認している同学会規約に則って行われた選挙であるとは認められない」「昭和34年以来公認してきた京都大学全学自治会同学会とは一切関係のないもの」と全否定し、3000投票−2100信任の京大生の意志を真っ向から踏みつぶそうとしている。6・22告示こそ関経連理事として再稼働の先頭に立つ京大資本が、京大学友2万の意志と誇りを徹底蹂躙(じゅうりん)する自治会運動破壊に乗りだすものだ。
これまで、選挙もなく一部学生に私物化されていた同学会を「承認」し続けた京大当局が、こうした腐敗を変えようと京大生が立ち上がった途端に、あわてて「告示」を出した。理由ははっきりしている。今回の同学会再建こそ、原発推進大学への反乱であり、学生が自治会に団結して大学と社会の腐ったあり方をひっくり返す大きな一歩だからだ。国立大法人化をテコに進められる大学の新自由主義的運営、「教育の民営化」、団結破壊・自治破壊をはね返し、学生運動復権の号砲として打ち抜かれたことに京大当局は震え上がり、凶暴化している。
闘う京大生とともに「告示」粉砕へ決起しよう。そして何よりも、反原発闘争への2万京大生の総決起で不抜の学生権力を打ち固めよう。
東北大では、7月20日の当局主催の全学説明会で、当局がサークル自治破壊を露骨に宣言、全面対決が始まった。
福島大では、7月13日の山本太郎さんとのトークセッションへの教室貸し出しを当局が全面拒否し、副学長を先頭に教職員数十人がかりで妨害を企てた。福島大生を日々被曝させ、自分の意見を言うことすら踏みつぶす。この現実を絶対にひっくり返そう。
法政大学では、大学祭規制への法大生の反乱が始まり、法大当局は先頭に立つ学友への処分策動を開始した。全法大生への恫喝だ。絶対に粉砕するしかない。文化連盟は、暴処法無罪の地平からキャンパスを奪い返す闘いの中心軸に躍り出る。
こうした激突は、ついに始まった300万学生の生存と未来をかけた決起を、ブルジョアジーが圧殺して地獄に突き落とすのか、それとも全国学生の渾身(こんしん)の力でこれを組み伏せ、学生運動の本格的高揚を切り開くのかをかけた歴史的な闘いだ。歴史選択をかけた激突だ。
今次の全学連大会を、この攻撃と真正面から対峙・対決する全国学生の闘争方針と団結をつくり出す歴史的な大会としよう。
法大型の闘い担う活動家をつくろう
第三に、全学連大会に向かう方針上の課題を提起したい。
一つは、10・1JR全面外注化絶対阻止の決戦と一体で、高まる反原発闘争の闘いの先頭に学生が立とう。福島第一原発廃炉作業において、鉛による被曝線量隠しが行われていた。資本による殺人そのものだ。原発再稼働の攻撃は、「事故収束」キャンペーン―避難者の分断と一体で進んでいる。その先兵が大学だ。福島大当局は、文科省の「国立大学改革強化推進事業」の本年度予算に「環境放射能研究所」設置を申請、長崎大学や広島大学など国内外の「放射能=安全」を唱える御用学者・研究機関の中心となり、被曝を利用した金もうけにのめり込んでいるのだ。福島大生の怒りと連帯し、反原発闘争を徹底的に爆発させよう。
8月6日、広島大生を先頭に野田打倒の大デモをかちとろう。沖縄・岩国と固く連帯し、オスプレイ配備絶対反対、安保粉砕・日帝打倒へ闘おう。
二つは、「教育の民営化」のもとでの学生への攻撃の一つひとつに対し、具体的闘争をもって反撃し、学生自治会建設・強化へ挑戦しよう。
三つは、最大のカギは強力な活動家集団の形成だ。法大闘争6年半を通して国家権力・大学資本と非和解で激突し、処分撤回闘争の中から生み出してきた豊かな路線的内容を踏まえ、法大型の闘争を全国大学で展開し圧倒的な活動家集団を形成しよう。
四つは、反帝国主義・反スターリン主義の革命的労働者党を、拠点大学を中心に建設しよう。
全国学友のみなさん。プロレタリア世界革命の成否をかけ、歴史的な大会の大成功に向かって、一カ月決戦をともに闘い抜こう。
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週刊『前進』(2546号3面2)(2012/07/30 )
全学連中央執行委が招請状
全学連中央執行委員会が全国の学生に向けて発した全学連定期全国大会への招請状を紹介します。ともに闘おう。(編集局)
すべての原発を廃炉へ! 全国学友は団結し、学生自治会をつくろう! 全学連第73回定期全国大会に集まろう!
全国学友のみなさん! 全学連中央執行委員会は、9月5日〜6日に開催する全学連第73回定期全国大会への結集を訴えます。
大飯原発再稼働への怒りが爆発しています。毎週金曜日の首相官邸前行動では、15万〜20万のデモ隊が道路を埋め尽くし、7・16反原発集会では、フクシマを先頭に全国の怒りが首都を席巻しました。歴史的な事態です。行動と変革の時代です。この闘いの先頭に膨大な数の青年・学生が立っています。怒りは一つになり、行動が行動を呼び、闘う中で奪われた誇りを取り戻しています。
今こそ全国のキャンパスから「原発再稼働反対!」の声を轟(とどろ)かせ、学生の団結体である学生自治会をつくろう。
一つに、すべての原発を今すぐなくすために、学生は行動を開始しよう。史上最悪の福島第一原発事故は、いまだ「収束」などしていません。高まる怒りが、今年3月11日の郡山集会に1万6千人の結集を実現し、5月5日には「稼働原発ゼロ」をかちとりました。しかし、原発再稼働に固執する野田政権は「原子力村」の利害を体現し、多くの反対の声を踏みにじって大飯原発再稼働を強行しました。絶対に許せません。野田政権の唱える「国民の生活のため」(6月8日会見)とは、「原子力村のため」に他なりません。
核・放射能と人類は相いれません。いまだ16万人の福島県民が避難を余儀なくされ、多くの方々が故郷や仕事を奪われる中、「フクシマの怒り」と原発は非和解です。その怒りの先頭で、福島大学の仲間が声をあげています。
大学と私たち学生のあり方が問われています。原発政策の中枢を占め、低線量内部被曝を否定して福島を切り捨て、多くの御用学者を生み出してきた大学の中からこそ、「原発絶対反対!」の運動を巻き起こそう。私たち学生には、原発を止める力があります。
二つに、本年6月、京都大学において3千をこえる全学選挙で全学自治会同学会が再建されました。新執行部は、「国立大学法人化によって大学が変質する中で、学生は商品としておとしめられ、とことん収奪の対象とされてきました。資本、国家政策、大学当局の収奪の攻撃に対抗するために、学生は団結体としての学生自治会を持つ」「大学において、圧倒的多数を占めるのは学生です。学生が一つの意志として動いた時に、大学当局にはなすすべがありません。これこそが学生自治の根拠となるのです」「大学の新自由主義的運営に対し、これと対抗できる学生自治会を復権させます。それは、学生が大学運営の責任主体に飛躍するための挑戦をするということです」と訴えています。
小泉構造改革と国立大学法人化(04年〜)による「教育の民営化」政策で、学問・教育は大資本の金儲(もう)けの手段とされ、学生は高い学費、就職活動、奨学金に苦しめられています。同時に、学生自治会や自治寮の廃止、サークル活動・大学祭への規制など自治破壊・団結破壊も推し進められています。この大学の腐敗を鮮明に突き出したものが、「原発翼賛大学」と「御用学者」の姿でした。
この現実に対して京大の仲間が団結を甦(よみがえ)らせて闘い、学生自治会をつくり出していることは大きな展望です。「教育の民営化=営利化」が学生の分断によってはじめて成り立っている以上、私たちが一つひとつの矛盾に立ち向かい団結を生み出すことが重要です。
京大同学会再建こそ、あらゆる大学で学生自治会は建設できることを証明しています。本大会をその出発点にしよう。
三つに、全国学生の力で法大闘争に勝利しよう。大学当局と警察権力による学内規制―処分―「119人の逮捕と33人の起訴」に対して6年半にわたって闘ってきた法大闘争は、ついに今年5月31日、「暴処法弾圧での5人全員の無罪判決」という大勝利をかちとりました。4月19日には、市ケ谷キャンパスで全国集会とデモを行い、一人の学友の不当弾圧をはね返し成功させました。
法大闘争は、文化連盟を軸にする学生の団結によって弾圧ははね返せること、闘えば勝てることを示してきました。これは今、大学祭規制への法大生の反乱として発展しています。法大闘争の「一人の仲間も見捨てない! キャンパスを学生の手に取り戻そう!」のスローガンは今年、京都大―福島大―沖縄へ拡大しています。すべての不当処分撤回をかちとろう。全国で法大のように闘おう。
四つに、大激動の時代に立ち向かい、学生運動と学生自治会を甦らせる挑戦を開始しよう。未曽有の世界大恐慌は、青年・学生への大失業と非正規職化として襲いかかり未来を奪っています。しかし、資本主義の限界性が明らかになる中、ギリシャ、スペイン、アメリカで、そして日本のJRでもストライキの反撃が始まっています。生きるための闘いと国際連帯が発展しています。
大失業は戦争・改憲と一体です。野田政権は原発再稼働や消費大増税とともに、沖縄新基地建設とオスプレイ配備を強行しようとしていますが、沖縄においても8月5日に県民大会が爆発します。
全学連は戦後直後の1948年9月、授業料値上げ反対の全国ストのただ中で発足し、「学問の自由と生活擁護」「再びの戦争反対」のスローガンを掲げました。戦争に反対し生活を守る、そして福島と連帯し原発を止めるという新たな意義のもと、全国学生は団結し闘いに立ち上がろう。社会変革の原動力としての学生運動と学生自治会を甦らせよう。
私たちは本大会で本年9月までの闘いを総括するとともに、「反原発闘争の高揚」「学生自治会の建設」の二大方針を決定します。何よりも、全国学生の団結をつくり出す出発点とします。全国300万学生は、全学連大会に集まろう!
2012年7月16日
全学連中央執行委員会(斎藤郁真委員長)
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全学連第73回定期全国大会
9月5日(水)〜6日(木)、東京都内
※参加費1000円(会場代、資料代など)。宿泊費は除く
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週刊『前進』(2546号3面3)(2012/07/30 )
暴処法無罪で祝勝会
法大闘争勝利へ団結固める
7月21日、去る5月31日に暴処法(暴力行為等処罰に関する法律)弾圧で無罪判決をかちとった5人の被告団(恩田亮・法政大学文化連盟副委員長、増井真琴・文連企画局長、法大無期停学処分者・新井拓君、法大退学処分者・内海佑一君、織田陽介・前全学連委員長)を囲んで、全国から集まった学生や弁護団、支援者とともに盛大に「暴処法無罪祝勝会」を開催しました。
勝利を謳歌(おうか)するとともに、控訴審勝利、全処分撤回、法大闘争の爆発に向けた決意と団結を打ち固めました。
シュプレヒコールで元気よく幕を開け、被告団の全員が登壇して明るくこれからの展望を語りました。「控訴審もかちぬいて完全無罪を実現しよう」(恩田君)、「僕らの闘いで7・16の20万人決起を勝利させていきたい」(新井君)、「今回の無罪は、国家権力を揺さぶり、なぎ倒す闘いはできることを示した。本気になって勝ちに行くために闘う」(織田君)
続いて、長期にわたる闘いを支えともに闘って下さった弁護団の鈴木達夫さん、藤田正人さんからのあいさつ。さらに、文化連盟委員長として法大闘争の最先頭に立ってきた全学連委員長の斎藤郁真君が法大闘争勝利への決意を表明。とりわけ法政大での学祭飲酒規制を撤回させるために全力で闘うこと、処分撤回への新たな闘いを開始することを方針として全体で確認しました。
続いて「法大無罪のバトンを星野文昭さんへ」と題し被告団の増井真琴君が「この無罪を星野文昭さんの無罪・奪還に向けた闘いの力にしていきたい」と訴えました。星野暁子さんは星野さんの闘いをひきつぐ学生への思いを語り、2・5徳島刑務所包囲デモを題材とした「希望が舞い降りた日に」を始め3編の詩を朗読して下さいました。
乾杯の後、法大闘争の激闘を振り返るビデオ上映、動労千葉や東京西部ユニオンの鈴コン分会、三里塚現闘、高山俊吉さんを始めとする闘う弁護士など多くの方が発言して下さいました。最後に法政大の校歌とインターナショナル斉唱、団結ガンバローで幕を閉じました。
(首都圏学生S)
(写真 司会の法政大学・倉岡雅美さんがリードし、シュプレヒコールで元気よく開会【7月21日 江東区】)
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週刊『前進』(2546号3面4)(2012/07/30 )
歴史がついに動きはじめた
勝利のため絶大なカンパを
7・16代々木公園での集会を始め、首相官邸前や全国各地で数万人、十数万人もの人たちが立ち上がっています。「60年安保以来」「いや、それ以上の高揚だ」と集まった人たち自身の口からその高揚感、歴史的意義がさまざまに語られています。人びとの波は資本家とその手先となっている野田政権を確実に追い詰めています。「歴史が動き始めた!」「時代が変わった!」――こうした思いはもはや機動隊や国家暴力を背景にしたさまざまな法律、条例などを吹き飛ばす勢いです。
私たちは、この闘いに勝利できますし、必ず勝利しなければなりません。そのためにあらためてカンパを心から訴えたいと思います。
第一に、この歴史的高揚の真の姿を正しく、さらに広範に伝えていく必要があります。そのためには、『前進』をもっともっと広げなくてはなりません。大量のビラをまかなければなりません。そのためには紙代、インク代もかかります。印刷機も更新しなくてはなりません。そうしたお金は、人びとのカンパによるしかないのです。
ビラ1枚あたりは2〜3円でも、何十万枚、何百万枚とまくには、どうしてもそれだけの“規模”のお金が必要です。「原子力ムラ」のプロパガンダに負けない宣伝物はまだまだ足りません。闘いに立ち上がった、あるいは立ち上がろうかどうしようか迷っている人たちにも、この高揚と勝利の展望が伝えられなければならないと心から思っています。そのための費用をぜひ支えてください。
第二に、この歴史的高揚を維持・発展させるためには、やはり組織が必要です。
かつて1970年代の大衆的高揚を支えていたのは総評という労働組合の連合体でした。総評のもと、闘いを資本主義の枠内に押しとどめようとする労組幹部を現場からひっくり返していった多くの青年労働者たちによって切り開かれた高揚でした。
この大衆的高揚を押しつぶすために1980年代に国鉄分割・民営化攻撃がかけられました。総評の中心にいた労組とその幹部たちはこれと闘えず、総評は自ら解散し、連合がつくられていきます。
しかし、この国鉄分割・民営化攻撃はけっして完了してはいません。「負けてはいない」ということです。動労千葉や、国労の中にもあくまで不当解雇撤回を掲げて闘う労働者が存在し、彼らを支えともに闘う、動労千葉を支援する会や国鉄闘争全国運動が今、大きく飛躍しようとしています。
私たちは、この反原発の歴史的高揚の中でこそ、この国鉄闘争を軸にした闘う労働組合の復権をなしとげなければならないと考えています。そのためには、国鉄分割・民営化とあくまで闘い、不当解雇撤回を貫く組織=労働組合それ自身と、そうした労働組合をつくり、支え、拡大していく労働者階級自身の党が絶対に必要です。
組織には、その活動を支える活動家が必要であり、何人もの人に会うための交通費、会合をかちとるための費用、コピー代から電気代に至るまで、積み重なると相当な額になります。分断されている労働者をつなげ、団結をつくりだしていくための費用です。
第三に、党の非公然体制を維持・強化するための費用です。
開始された闘いを本当に勝利させるためには、どうしてもこの非公然の闘いが必要です。労働組合、とりわけその結成にいたる過程は今でもたいがい非公然です。そして、この資本主義社会を転覆しようという組織=党は、プロレタリア世界革命を「合法」とする憲法や法律がどこの世界にもないように、本質的に非合法であり、したがって非公然領域の闘いと組織をどうしても必要とします。こうした費用も大衆的で広範なカンパによる以外にはありません。
四番目に拠点づりのための費用です。福島に何としても人びとの心のより所となる拠点をつくらなければなりません。それは「診療所」という形態を取りますが、放射能の問題に限らず、そこで人びとが寄り集まって会合でき、談笑できる場でなければなりません。原子力ムラや放射能による分断を打ち破り、労働者や農民、人びとの団結を形づくっていくために、やはり圧倒的な人びとの支援に支えられた拠点をつくりだしていくことが必要だと考えます。
最後に。こうした闘いには国家権力の弾圧がつきものです。今後さらに拡大するであろう弾圧に打ち勝っていくために、ぜひカンパを寄せていただきたいのです。何より獄中37年の闘いを今なお貫き、「この2〜3年で勝利する」と決意を固めている無実の星野文昭さんを支えるためのカンパです。
私たち自身にも変革が問われています。プロレタリア世界革命に命をかけ、生活のすべてをかけてきた私たちは、どんなに困難な飛躍であれ、必要な飛躍と前進は必ずかちとることができると確信しています。どうか、この決意と意志を支え、ともに勝利するためのカンパを寄せて下さるようあらためて訴えます。
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週刊『前進』(2546号4面1)(2012/07/30 )
欧州恐慌・米帝失速・中国バブル崩壊 大恐慌の現局面と革命的情勢の成熟
国鉄決戦・反原発決戦の一体的発展を
世界金融大恐慌はとどまることなく深化、発展、拡大している。基軸国米帝は、オバマとバーナンキ(FRB=連邦準備制度理事会議長)の体制下での大規模な量的金融緩和によっても膨大な財政赤字の重圧から脱出できず、経済は低成長、停滞、二番底の現実化の中であえいでいる。その米帝に対して、欧州恐慌の本格的爆発、中国バブルの歴史的崩壊が激浪のごとく押し寄せ、米帝に大打撃を与えている。本稿では現在直下、火を噴いているギリシャ、スペインの危機と、それがEU(欧州連合)およびその中軸・ドイツ帝国主義に与える深刻な影響を見ていこう。さらに世界大恐慌の震源地であり、全世界を根底的に揺り動かしている米帝の現状を概観しよう。世界大恐慌をプロレタリア世界革命へ! その勝利のために国鉄決戦と反原発決戦を全力で闘い、階級的労働運動の創成と発展、党と労働組合の一体的建設をかちとろう。
〔T〕ギリシャ経済は破綻し労働者の闘いが永続化へ
危機はユーロ体制の所産だ
ギリシャ危機はユーロ圏諸国、EU諸国を含むヨーロッパ恐慌の爆発の一環として存在している。
5〜6月、ギリシャの総選挙、再選挙をめぐって、全欧州、全世界が大揺れに揺れた。米欧日の帝国主義諸国は、非常事態の発生に備えて金融の緊急対応体制をとった。同時に、ギリシャが万が一ユーロ圏から離脱したらどれほど破滅的情勢となり国民生活が崩壊するかについて、全世界のマスコミ、ジャーナリズムが騒ぎ立て、ギリシャと欧州のプロレタリアート人民を恫喝した。
このことは何を示しているか。それは、ギリシャ問題はギリシャ一国の問題ではなく、ユーロ体制、EU体制、いや新自由主義的な全世界そのものの矛盾の爆発であり、その集中的表現としてあるということである。
今日の危機の大本にあるギリシャのユーロ圏参加(01年)後のバブル経済は、EU体制、ユーロ体制そのものの必然的所産であったのだ。ユーロ圏の17カ国は統一通貨、統一金利のもとにありながら、財政は経済力も競争力も経済規模もまるで違う諸国家の主権のもとにある。ユーロ圏はこのことが持っている矛盾を初めから背負っている。
ドイツ帝国主義、フランス帝国主義は、この矛盾をあえて冒してでも、その帝国主義的利害のためにユーロ体制を形成し、それを米帝・日帝などへの経済ブロック的な防波堤としてきたのである。そのもとで、資本と商品の輸出を圧倒的に展開し、利益を上げてきたのだ。
しかし、それでいてEUは、米帝を基軸とする新自由主義的な巨大バブル経済、金融自由化やグローバリズムの大波にのみ込こまれ、かつ乗り入れて、バブル経済につぐバブル経済を展開してきた。ドイツなどは、かつてマルクの時代にすさまじいマルク高で苦しんだことを忘れたかのように、相対的に低い為替レートのもとで国際的競争力を高め、全世界で利益をむさぼったのである。
この流れの中で、ギリシャ、スペインなど南欧諸国で住宅バブルが発生し拡大していった。そして、ドイツ、フランス、その他世界の帝国主義諸国も、そうした欧州経済にのっかり、莫大(ばくだい)な利益をそこから引き出してきた。
しかし、このバブルが米帝発大恐慌のもとで破裂するや、南欧諸国とりわけギリシャ、スペイン、ポルトガルなどにとっては手に負えない大打撃となり、おのおの巨大な財政赤字の重圧に苦しむことになったのである。
こうした背景を一切消し去って、ギリシャ、スペインの労働者人民に財政危機の原因・責任を一方的に押しつけ、増税、賃下げ、年金カットなどを「構造改革、財政再建」と称して労働者人民に強制しようとしている。それがドイツ、フランスなどの帝国主義諸国であり、それにすがりつくギリシャ、スペインなどの資本家階級である。
労働者階級が長い闘いの歴史の中でかちとってきた労働条件、諸権利に関して、非難されることなどまったくない。これを今日、各国政府がむちゃくちゃなレベルで奪い去り、労働者階級を失業と賃下げで生活できない状況に追い込み、EUからの支援を受けて財政再建を行おうとすることなど、断じて認められない。労働者階級がゼネストとデモで闘いぬくことは圧倒的に正義なのである。
「緊縮策」強行で経済は崩壊
この間のギリシャの総選挙、再選挙の過程で示されたものは、こうした労働者階級人民の圧倒的な声であり、力だった。
6月17日の再選挙の結果、新民主主義党(ND)を中心とする3党連立政権が成立したことで、ギリシャのユーロ離脱は当面なくなったとキャンペーンされている。しかし、実際にはそんな生やさしいものではない。第一党になったND派と第二党の急進左翼連合の獲得議席は、第一党へのボーナス50議席を除けば79対71であり、その差はわずか8議席でしかない。また、「緊縮派」の合計よりも「反緊縮派」の合計の方が大きいのである。
さらに重要なことは、「緊縮派」の3党も、1300億ユーロの第2次支援の交換条件としてのまされた「構造改革」の修正を要求して、「トロイカ」(EU、ECB=欧州中央銀行、IMF=国際通貨基金)と交渉するとしていることである。
仮にEU側が力で押し切ったとしても、労働者階級人民が直ちに怒りを再爆発させることは確実である。ここで決定的なことは、〈ギリシャ・プロレタリアートはどんな圧力や弾圧にも、絶対に屈しないで闘うだろう〉ということである。労働者階級はその存在を抹殺されるような反階級的攻撃に、けっして屈して終わることはない。この間のゼネストの繰り返しの中で鍛えられた労働者階級の力は決定的なのである。
修正交渉がペテン的なものに終われば、3党連立などはおそろしく短命で崩壊するだろう。
はっきり言えることは、EUとの合意案に示される「財政緊縮」の攻撃は、実行されても絶対に成功しないということだ。4年間も5年間もGDP(国内総生産)成長率がマイナスを続ける国家で「超緊縮財政」を強行すれば、経済はむしろ崩壊し、税収は大幅に減少するからである。
労働者階級のゼネストの力は再び強まり、ギリシャ危機は何度でも再燃する。プロレタリア革命の勝利がこれにピリオドを打つまで、闘いは続くのである。
だから労働者階級が革命的・原則的に闘う限り、EUはギリシャ危機を絶対に解決できない。国際的な存在である世界のプロレタリアートはこの点をしっかりとつかみ、ギリシャのプロレタリアートと連帯し、絶対に孤立させず、ともに闘おう。
このことは、逆に帝国主義・資本主義の体制側から見れば、ギリシャはいつユーロ離脱へ踏み切るか、予断を許さない危機が続くということである。
EUの解体に直結する危機
ここで、「ギリシャは小国でGDPも小さいから、切り落とせばいい」という主張もある。だが、EU諸国がギリシャに対してもつ債権は3000億ユーロを超えている。ECBが買い入れたギリシャ国債だけでも大変なものである。
さらに、ギリシャの離脱とか切り落としということは、スペイン、ポルトガル、イタリアなど南欧諸国に巨大なインパクト(衝撃)を与える。とりわけ、すでに大破綻状態のスペインに与えるインパクトは巨大である。そうなればイタリア、フランスはもとより、ドイツそのものが吹っ飛ぶほどの事態となる。つまりEU解体に直結する。
このように、ギリシャがプロレタリア革命まで終わることのない革命と反革命の激突点としてユーロ体制を揺さぶる中で、今や大国スペインがギリシャ以上の危機と矛盾を爆発させる過程に入った。ヨーロッパ恐慌は大変な段階に踏み込んだのだ。
〔U〕スペインは住宅バブルの崩壊で国家破綻が現実に
10年間続いた異常なバブル
スペインは完全に恐慌情勢に突入している。EUがスペインの銀行に1千億ユーロの支援を正式に決めた7月20日、スペイン国債価格は下落し、10年物国債の利回りは7・3%にも高騰した。これが引き金となって欧米の外国為替市場でユーロが売られ、7月23日には最安値の1ユーロ=94円台に急落した。6月28〜29日に開かれたEU首脳会議では銀行に直接、資本注入し、銀行救済と政府債務問題を切り離す形を決めたのだが、まったく効果はなかったわけである。
この会議でスペインのラホイ首相は「これでは国債を発行して資金調達することもできない」と悲鳴を上げたが、まさにそのような状況が現出している。国債利回りが高騰、すなわち国債価格が暴落して国債発行がまともにできない状況とは、すでに国家が財政的・金融的に破綻しているということである。
実際、今日のスペインの危機は尋常なものではない。住宅・不動産バブルは、1999年の単一通貨ユーロ導入以来、08年に崩壊するまで10年間も続いた異常なものであった。この間、スペイン一国でEU全体のなんと3割に達する住宅・不動産への投資が行われた。
ユーロ圏の「統一通貨・統一金利」体制のもとで、スペインにとってドイツ、フランス、イタリアなど外国からのユーロ投資は相対的に低金利のものとなり、まさに洪水のように投資資金が流入したのである。これは、ドイツ、フランス等の帝国主義大国にとって、過剰資本状態の打開(吐け口)としての意義をもち、EU、ユーロ圏のメリットとしておう歌されたわけである。
さらにその事情に重なって、基軸国米帝が住宅バブルから全面的バブルへと突き進み、サブプライムローンがらみの証券化金融商品にのめり込んでいったという事情があった。EU諸国もスペインも、これにどっぷりと浸っていった。これは「過剰資本・過剰生産力」の壁にぶち当たった新自由主義が、金融自由化、グローバリズムの推進をもって、国内的にも世界的にも金融的バブル経済に突入していったことを基盤として進行した。
こうしてスペインの住宅・不動産バブルは巨大化し、住宅価格は2倍にも3倍にも高騰を続けていった。この結果、スペインの銀行貸し出しの半分が住宅・不動産向けのものとなった。
この新自由主義下のスペインの住宅・不動産バブルが、米帝発の世界大恐慌の爆発のもとで、08年に全面的に崩壊したのである。
住宅・不動産価格はすでに30%以上も下落した。さらに20%以上、下落することは避けられないと言われている。これが約9580億ユーロに達する銀行の不動産関連資産から、圧倒的な量の不良債権を生みだすことは必至である。パリバ証券の試算では、最大2710億ユーロの損失になると計算している。
スペインの金融機関の不良債権比率は、5月に8・95%となり、94年以降で最悪の水準となった。これは、さらに21%にまで上昇するとみられている。
また、スペインの銀行の融資資産の総合計は1兆7380億ユーロ(12年見積もり)とされている。つまり不動産以外にも企業向け、消費者向けの融資も膨大にある(7800億ユーロ)。スペイン経済全体がGDP4年連続マイナス成長であること、つまり大不況そのものが吹き荒れていることを考えてみれば、不良債権がこれからどんどん発生し巨額化してくることは確実である。
(写真 スペイン北部のアストリア地方、レオン地方の炭鉱労働者が5月から無期限ストライキに入り炭鉱を占拠。7月には首都マドリードの労働者50万人が「炭鉱労働者は国の補助金依存だ」というキャンペーンに怒り、炭鉱スト連帯集会に結集した【5月 スペイン北部】)
国債の暴落が止まらない!
スペインの銀行危機の現実と、これらの倒産(大手銀行バンキアの一部国有化としてすでに始まっている)、さらにその連鎖を考えたならば、スペインの金融システムがやがて総瓦解(がかい)することは確実である。そしてこれはドイツ・フランスを含むユーロ圏・EU全体の総瓦解に発展するのである。
また、スペインの銀行危機は国家財政を圧倒的に悪化させ、財政赤字を急増させる。現在、公式統計ではスペインの累積国家債務は対GDP比80%程度というが、これは110%程度まで拡大するといわれている。
大恐慌下の大不況のもとで、スペイン政府は増税で歳入を増やし、公務員の人員削減、賃下げ・年金カットなどで歳出を減らし財政を再建しようとしているが、破産するに決まっている。むしろ財政赤字は増えていく。しかも、この状況下で資本不足による銀行の破産を避けようとして公的資金を注入するならば、膨大な歳出の増加となる。
6月のEU首脳会議で、スペインの銀行の資本不足による危機を回避するために、EUから1千億ユーロ規模の資金供与を行うことなどが協議された。
しかし、住宅・不動産バブルの崩壊が大恐慌下に現実化している今、1千億ユーロの投入などでスペインの銀行システムの危機をのりきれるはずもなく、ましてやスペイン政府の財政危機の激化を阻止する力などない。国債は暴落し続けている。
このように新自由主義の資本主義的あり方ではギリシャ危機が解決できなくなっているのと同様、スペイン危機の本格的激化、発展を阻止することなど、とうていできないのである。
鍵を握るのは労働者の闘い
スペイン危機の基本動向にとって、プロレタリアートの存在、労働組合と労働運動の存在と闘いが、ギリシャと同じく決定的要因をなしている。
EU首脳会議でスペインのラホイ首相が1千億ユーロの資金供与を「政府経由でなく、銀行に直接融資してほしい」と懇願した。これは財政赤字問題でEUやIMFから支援を受ければ強力な緊縮財政政策をつきつけられることを、ラホイは恐れたからである。
この背景には何があるのか。今日の体制的危機の突破をかけた緊縮財政政策は、ストレートに階級決戦である。危機にあえぐ資本家階級とその国家にとっては、労働者階級に「流血」を強制すること、それをさらに強めること以外に延命する方法はないのである。だが、労働者階級はこのような階級的で一方的な犠牲を甘んじて受け入れることなど、断じてない。生きるためには闘うこと、革命に向かって進むしかないと、労働者階級は本能的・本質的に把握して決起を開始している。2月には、財政危機を労働者階級への犠牲の押しつけでのりきろうとしたラホイ政権の攻撃を、ゼネストの力ではね返した。
スペイン恐慌の爆発を真に止揚する道はただひとつだ。さし迫る階級決戦でプロレタリアートが勝利すること、プロレタリア革命を引き寄せていくこと――これしかない。スペイン・プロレタリアートは歴史的にも再三、世界の先頭に立って闘ってきた戦闘的、革命的な存在だ。
〔V〕危機はドイツとEU全体に波及して大恐慌を促進
新自由主義の矛盾の大爆発
恐慌論的に見るならば、ギリシャ危機もスペイン危機も、単なる一国のあり方の問題ではない。このことをしっかりと確認することが決定的に重要である。
端的にいえば、米帝基軸の世界経済編成、そしてドイツを事実上の「盟主」とするEU体制・ユーロ圏体制――これらが、その新自由主義的・帝国主義的あり方の基本的矛盾(根底は階級対階級)を爆発させた結果が今日の大恐慌であり、その一環としての欧州恐慌なのである。
ギリシャとスペインの恐慌的情勢は、まさに欧州恐慌の全面的爆発の開始を告げるものである。これは、イタリア、フランスはもとより、ドイツ帝国主義そのもの、したがってEUそのものを大恐慌のどん底にたたき込んでいく始まりである。
言い換えればこの情勢は、ドイツ・プロレタリアートの革命的決起を先頭に、全欧州の労働者階級が反革命の階級的攻撃と対決して、ついに新自由主義・帝国主義体制の根底的転覆に勝利して、大恐慌を止揚する――そういう情勢の始まりなのである。
債権国ドイツに打撃が集中
ギリシャ危機の深刻化、スペイン恐慌の爆発は、ドイツ帝国主義に決定的打撃を与え、世界大恐慌の全面的激化を引き起こす。それは、EUの解体を現実のものとする。以下においては、ドイツがギリシャ、スペインを含むPIIGS諸国(注)とどれほど濃密な債権・債務関係を結び、運命共同体化しているかを指摘する。(注。PIIGSとは、ユーロ圏で財政状況がとりわけ厳しいポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインの5カ国を指す。それぞれの国名の頭文字を取っている。)
(1)まずギリシャは、ますますEU=ドイツとの関係を深めている。ギリシャに対してユーロ圏各国は合計2900億ユーロもの債権・債務関係を形成するに至っている。その内訳は以下のとおり。
ドイツの債権 845億ユーロ
フランスの債権 633億ユーロ
イタリアの債権 558億ユーロ
スペインの債権 369億ユーロ
オランダの債権 178億ユーロ
その他 317億ユーロ
ドイツの位置の大きさが際だっている。
(2)そのうち、すでに実施済みのギリシャ向け第1次支援融資の総額は529億ユーロである。これは2国間融資の集積としてあり、ドイツももちろん含まれる。
(3)ギリシャへEFSF(欧州金融安定基金)をとおして合計730億ユーロが出されている。これにドイツを含む各国が拠出している。
(4)ECBでは、ギリシャ国債などの買い入れが相当額に達している。評価損は大きいが、究極的に各国負担である。
(5)ギリシャ・スペイン危機に対応して9月以降、ESM(欧州安定メカニズム)が常設され、EFSFと連動して働く。ESMは当初、7月から発足する予定だったが、ドイツの憲法裁判所が、ESMがドイツの基本法に違反するかどうかの判断を9月12日に出すため、それ以降に延期された。合計8020億ユーロである。このうちギリシャへの第2次支援策は総額1040億ユーロ。これらにおいて、やはりドイツが最大の資金拠出者である。
(6)なんといっても最大の問題は、ECBのユーロ圏統一決済システム(TARGET2)である。各国の政府・民間のすべての貸し借りは、各国中央銀行をとおして、このTARGET2に貸し借りを記載して決済される。
現状では、貸し手側としてドイツ、オランダ、フィンランドの3カ国でTARGET2に総額8400億ユーロが記載されている。借り手側にはギリシャ、スペインなどPIIGS諸国が並び、合計8500億ユーロが記載されている。
貸し手側3カ国のうち、ドイツのTARGET2残高は6986億ユーロである。全体の83%強であり、ドイツの位置が圧倒的である。
しかも、ギリシャのユーロ離脱は究極的には不可避なものになっている。そしてギリシャのデフォルト(債務不履行)は、スペイン(キプロスはもとより)のデフォルト化の危機をつくりだす。さらにPIIGSすべてが連動して総転覆する事態も、けっして荒唐無稽(こうとうむけい)な話ではない。
(7)スペインについては銀行が今年1〜4月に合計9000億ユーロも借り入れ、その大半を使って自国債を購入している。この国債がいつ紙くず化してしまうかもしれないのだが、ここで生ずる損失は、結局ECBとその最大の担い手であるドイツに向かうのである。
世界大恐慌は二番底へ進む
このように見てくると、ギリシャ危機とスペインの激しい恐慌の爆発が、経済・金融の国際的結合関係をとおして、どれほど激しくEU体制を揺るがし解体し、ドイツ帝国主義を破綻のどん底につき落とすものであるか。そのインパクトは実に巨大で激しい。
だからこそ今日の欧州恐慌情勢は、米帝のリーマン・ショック的大恐慌の本格的突入と同じような超ド級のインパクトをもつものとして発展しつつある。単にリーマン・ショックの波及というようなレベルではなく、それをも超えた、本格的な世界大恐慌の巨大な二番底的爆発の危機がじりじりと成熟してきているのである。
これは単なる理論や予測のレベルの問題ではない。すでに昨年秋には、ヨーロッパの金融システムの流動性が08年のリーマン・ショック直後のように凍りついてしまった時期があった。そして今年6月にも、ギリシャの再選挙の結果に備えて、米欧日の中央銀行間の緊急相互融通システムづくりの準備が行われたのである。こうしたことから、欧州恐慌の現実的爆発の大きさをきちんとおさえておくことは重要である。
大恐慌のもとでつくり出される新自由主義・帝国主義の危機、そしてその圧力下での支配階級の側の大混乱と被支配階級(プロレタリアート人民)の生活の尋常一様ではない急激な悪化が起きている。すなわち、青年に職がない、生きていけない、食っていけない人びとの大量の現出、反革命的弾圧の異常な強化などである。
そして、帝国主義の危機が深まれば深まるほど新自由主義の絶望的凶暴化が一段と激化しようとしている。労働者階級の「階級」としての再生産さえ破壊しながら、当面の利潤の極大化に走り、外注化=民営化、非正規職化、大失業の恒常化などを平然と前提化するような情勢がいよいよ強まってくる。今こそ労働者階級は、生きるための革命に立つべき時である。労働者階級の階級的形成と決起、労働組合と階級的労働運動の再生と創成に一切がかかっている。
〔W〕米帝は大恐慌の重圧から脱出できず没落を深める
量的金融緩和の効果も消え
次に基軸国米帝を軸にした大恐慌情勢について、特徴点をつかみとっていこう。
米帝は、大恐慌のすさまじい打撃によって、どんなにオバマやバーナンキが財政・金融政策を繰り広げても、依然として大不況の重圧下に低迷している。むしろ巨大な財政赤字の重圧から身動きもとれず、立ち往生している状況である。バーナンキのQE2(量的金融緩和の第2弾、10年11月〜11年6月、6000億jの資金供給)は完全に流動的マネーの洪水を引き起こし、一時的に「株式バブル」や「中国バブルの延長化」などをつくり出した。だが、今やその麻薬的な効力も消えうせた。
またECBによるLTRO(昨年12月と今年2月、低利1%・期間3年の合計1兆ユーロ の資金供給)は、米帝にとっても一時的なカンフル効果はあったが(3月の株価の上昇)、それもすぐに効力を失い、5〜6月は総じてNYダウ(NY株式市場のダウ工業株30種平均)は低迷している。
米経済は、実体経済にかかわる5〜6月のデータのほとんどが、状況の悪化を示している。
第一に、GDP成長率は今年に入って急降下し、昨11年WQ(第4四半期、10〜12月)の+3%成長から、今年TQ(1〜3月)は+1・9%に低下してしまった。
5月の鉱工業生産も、製造業は▼(マイナス)0・4%となり、全体としても▼0・1%(指数=97・3)とマイナス成長となった。
第二に決定的なことは雇用統計と失業統計である。非農業雇用者数の月々の増加が、4月が改定値で+7・7万人に下方修正され、5月はさらに低く+6・9万人となった。また失業率は再び悪化し、+0・1ポイントの8・2%となった。かつての歴史的な平均でいえば、月々20万人以上の増加が続かない限り、景気の回復過程などとは到底いえない。2カ月続けての非常に低い雇用増数にバーナンキはうちのめされ、「がっかりする内容」と思わず口走ったという。
これはいくつかのことを示している。根底的にいえば、今回の大恐慌は、長い歴史的な過程をとおして帝国主義の「過剰資本・過剰生産力」が蓄積され、その重圧を新自由主義のもとで金融的バブルとグローバリズムの結合でなんとかのりきろうとしたが、完全にはじき飛ばされた結果、発生したということである。にもかかわらずバーナンキは、財政的ばらまきとゼロ金利の長期化によってこの危機をのりきろうとしたが、結局挫折してしまったのである。
ブッシュ政権、オバマ政権のもとで天文学的な規模で財政投入が行われ、超低金利が恒常化されたが、それは巨大独占企業、それも国際的に多国籍展開する大企業を延命させたにすぎなかった。また巨大金融機関の延命も、株式バブルや金融的バブルに一時的にのっかることで延命したにすぎなかった。
巨大金融機関は、今次大恐慌でその金融システムと金融的蓄積方式が破綻してしまい、新たな形態の成長過程に入ることなど百パーセントできていない。むしろQE2やECBのLTRO(1兆ユーロ の散布)などで生じた一時的な株式バブルやその他のバブルに乗じて、かつての金融派生商品の冒険的なスタイル(たとえば「CDO〔債務担保証券〕のCDO」)に手を出して再び大きな損失をこうむっている始末である。
こういう独占的延命のスタイルのもとでは、「過剰資本・過剰生産力」の抜本的整理など問題にならない。独占的手法で、それも国際的に外注化、外国子会社化方式で利益の極大化に走っているため、雇用の本格的拡大、とくに重要な国内中小企業における雇用の拡大などには向かわないのである。
そしてこうした雇用の減少、失業の拡大が長く続いた結果、今や労働者階級の一定の年齢層全体がその技能を失い、労働力として新しい雇用に対応しえない結果をつくり出している。つまり長期失業者数が膨大化したまま続くという情勢が生まれている。
いまひとつ決定的なことは、米国経済の長期不況と長期停滞の現実の上に、欧州発の恐慌の圧力が米国の輸出を直撃していることである。米欧関係は実体的経済関係としても大きいのである。さらに中国の貿易が壊滅的ともいえる打撃を欧州恐慌のもとで受けている。中国バブルの収縮がどんどん進み始めたため、米国の国際展開型の大企業が軒並み打撃を受け、生産を縮小したり、工場を閉鎖したりし始めている。
こうした結果、〈米国経済の不況重圧+欧州信用不安+中国バブル崩壊〉の打撃を受けた大独占体は、いまリストラや企業の合理化など防衛体制に入っている。新規採用の拡大など、まったくやらない。このような背景のもとで、前述の雇用統計のデータが出てきているわけである。
第三に、この雇用情勢、失業情勢は、住宅市場にも重圧となっている。もともとの超住宅バブルの結果の過剰生産がいまだに払拭(ふっしょく)できていない。その上にこの経済情勢が加わっているから、いまだ「住宅市場は底を打った」などと言えない状況に低迷している。
5月の住宅データは、ほとんど住宅市場の危機の継続を示すものばかりである。
住宅着工件数
前月比▼4・8%
中古住宅販売件数
前月比▼1・5%
住宅価格指数(20大都市圏平均)
前年同月比▼1・9%
今日、住宅市場の改善といわれているのは、新規着工も住宅販売も前年同期比でプラス化しているということだ。しかし、今見たとおり住宅価格はまだ前年同月比を超えていない。これは差し押さえ物件、値崩れ物件があふれている中で、超低価格でまとめ買いして集合住宅(アパート、マンション)を造る住宅会社や投資家が現れているからである。
ある意味、「持ち家」中心のアメリカの長い長い伝統的あり方は崩れてしまって、依然として回復などできていないということである。
それは、あまりにも多くの労働者人民が失業または半失業(派遣労働者、パートなど)の状況で苦しんでいるからである。新自由主義のもと、大恐慌のもとで「1%」が大成長して「99%」が貧困にあえぐあり方が固定化されてしまっているから、構造的に「持ち家」志向など維持できなくなっているのだ。
住宅市場自体が大恐慌と新自由主義的社会構造の中でゆがんでしまっているから、住宅事情は一向に改善しないのだ。
巨額財政赤字でドル暴落へ
米帝が大恐慌の重圧から何ひとつ脱出できていないこととして、いまひとつ重視すべきは、米帝の巨大な財政赤字の重圧の問題である。
今年の年末で、延長されてきたブッシュ減税(所得税減税)の期限が切れる。このまま期限切れとなれば、2210億jの事実上の「増税」となる。給与税減税も12月で期限切れとなり、950億jの事実上の「増税」となる。緊急失業給付措置も年末で終了する。
他方、財政削減について民主・共和両党が合意できないときは、昨年成立した「財政赤字削減計画」に基づいて、国防費(5千億j)を中心に財政支出を10年間で1・2兆j強制的に削減することになっている。
このような増税と歳出削減が12月に実施されたら、合計6070億j(GDP比4%)の影響を13会計年度の予算に与え、それは米経済に大打撃となると言われている(「財政の崖」)。
この問題をめぐって、オバマ民主党と共和党が11月の大統領選を前に激突し身動きとれない状況になっている。しかし、結果としてどの程度の赤字「改善」策がなされるにせよ、実際的な米帝の財政赤字はほとんど変わらず、これからも年々1兆jレベルで財政赤字を出し続けていく。
大恐慌情勢の中で、このことはドル暴落への決定的な圧力を加えるものとなる。逆にいえば、いまや米帝は大恐慌、大不況の重圧をカバーする財政出動などまったくできないところに立ちすくんでいるのである。
大恐慌情勢、欧州恐慌情勢などに追い込まれていく中では、結局、バーナンキ的な野放図なQE3、QE4……へと突っ込んでいくしか道はなくなっていく。これはバブルを引き起こすことはあっても、真の解決にはならず、結局、インフレ化経済に突入する。それはドルの減価の果てしない進行であり、ドル暴落への道そのものである。
巨大金融機関が再び危機に
ここで追加的に確認しておきたいことは、いま米巨大金融機関に重大な危機が発生し拡大していることである。
5月に米金融大手JPモルガン・チェースはCDS(注)販売がうまくいかず、20億jの損失を出したと発表し、金融市場を震撼(しんかん)させた。(注。CDSはデリバティブ〔金融派生商品〕の一種で、企業などの破綻リスクを取引する。短期売買で「利ザヤ」を得る投機対象となっている。)
これは、ロンドンでのデリバティブ取引において、欧州信用危機への対応で失敗したためであった。しかもこの失敗を取り戻すために、さらに複雑な取引を行い、損失を巨大化させてしまったのである。7月の発表では、損失額は5月発表の約2倍、44億jに膨らんだ。
ところで、このJPモルガン・チェースの事件は、米金融機関が抱えている巨額損失の、ほんの氷山の一角ではないかと見られる。このニュースの発表を受けたNY株式市場で、金融株が軒並み大暴落したことがそれを示している。現実の金融市場では、QE(金融緩和)政策によって過剰流動性(マネー)が世界中を動き回り、いわゆるリスクマネーが巨大化しているからである。
市場外での店頭デリバティブは今や700兆jにまで肥大化している。世界のGDPの10倍である。ちなみに00年にこれは60兆jであった。10年間で実に10倍以上である。おそるべきレベルにまで膨脹した過剰流動性がさまざまな地点、さまざまな形でバブルをつくり、また破綻させているのである。今や、リーマン・ショック以前のような、マネーゲームによる大金獲得へと、巨大金融機関があらゆる手段で接近しているとみていい。米巨大金融機関の新たな混乱が発生しても、まったくおかしくない情勢だ。
このように基軸国米帝が依然として大恐慌の打撃の中でのたうち回り、徹底的に行き詰まり、新たな危機の爆発へ進みつつある中で、欧州でも1〜3章で見てきたとおりいまひとつの大恐慌が「欧州信用不安」の名のもとに、音をたてて進行しつつあるわけである。この米欧の現実が、輸出国家としてようやく成立していた世界第2位のGDP大国=中国に与えた影響は予想を超えるものである。その中国バブルの崩壊が逆に米帝に与える打撃も激しい。さらに、欧州恐慌が米帝に与える打撃ははるかに大きなものである。
こうした危機の中で米帝オバマがとる基本的な戦略は、強大な軍事力を武器とした商品・資本の輸出戦略である。文字どおりの通商戦争を帝国主義的争闘戦として全面的に遂行しようとしている。
実は、この米帝の帝国主義間争闘戦の最大の相手国は、日帝そのものである。米帝は対中国の戦略的対峙・対決のもとで、日帝のアジア・太平洋・世界への勢力圏形成の一切の展開を許さず、日帝を米帝の延命のテコに使おうとしているのである。
〔X〕階級的労働組合を再生しプロレタリア革命勝利へ
「脱落日帝」の階級戦争攻撃
大恐慌の今日的展開の中で、米帝の争闘戦戦略の展開に追い詰められている日帝は、国際争闘戦での強行突破によって、3・11情勢下の「脱落日帝」的危機をつきぬけようとあがいている。そのために野田政権は、労働者階級との階級決戦にすべてをかけ、国鉄・原発攻撃を強め、消費税大増税と原発再稼働に突進している。
消費税大増税はまさに新自由主義税制の典型である。消費税導入(89年)以来こんにちまで20年余、消費税で獲得した税収額は、ほとんどそっくり法人税(企業の利益に課税)の減収・減税額と一致している。日本経団連は、法人税率の一層の引き下げとともに、消費税率の20%程度への段階的引き上げを政府に提言している。これはすなわち、大失業、低賃金、非正規職化という現実のもとで、労働者階級にすさまじい実質的賃下げが強行され、それが決定的に強められるということである。労働者階級への搾取と収奪の政策そのものである。
ここでも日帝・野田は、新自由主義の居直り強盗的な論理をもって労働者人民を恫喝している。すなわち、財政赤字が対GDP比200%を超えたということ、そして情勢がいまひとつ展開すれば日本国債が売りまくられ暴落する危険があることを逆手にとって、「待ったなしの問題だ」と恫喝を繰り返しているのである。そして、既成政党のあらゆる消費税反対派をはね飛ばして、自公民の連合さえ組んで突っ走っている。
これに対していま全国で、労働者階級人民、中小・零細企業などすべての人民が怒りを募らせている。これは、必ずすさまじい政治的エネルギーとなって政治情勢、階級情勢を激動させる。ここでも体制内派の抑圧をのりこえた階級的労働運動の再生・決起が問われている。
消費税大増税はこんにちヨーロッパの労働者階級がゼネストで対決している緊縮策攻撃そのものである。日本の労働者階級は既成指導部をのりこえてゼネストに決起しても闘うべき情勢である。
国鉄決戦=4大産別決戦=外注化阻止・非正規職撤廃の闘いの爆発をかちとる決定的契機として、国鉄決戦=消費税増税阻止決戦と反原発決戦をしっかりと据えて闘いぬこう。
消費税増税との対決はすぐれて日帝・野田政権打倒の闘いそのものである。野田政権は、新自由主義の延命の守護神に変質したボナパルティズム政権である。したがって体制内派の労働運動指導部の組合支配をとおした協力なしに、一日も成り立たない政権である。
野田は今や新自由主義・経団連的勢力の切り札的な存在となっている。野田を打倒することは、日帝の政治危機を一段と加速させ、階級的流動化をどこまでも促進する。それは、反革命の台頭ばかりでなく、何よりもプロレタリア革命派の台頭の決定的チャンス到来を意味する。
(写真 「再稼働反対!」を叫ぶ金曜日行動。7月20日夕には9万人が首相官邸―国会前を埋めた。大恐慌下、全世界で労働者人民の闘いが広がっている)
野田の打倒は政治危機加速
世界大恐慌は、資本主義・帝国主義がもはや人間の歴史的社会として寿命が尽き果てたことを鮮明に示している。
労働者階級は人間らしく生まれ、育ち、働き、社会的に生き、活動していくことを許されなくなっている。生きていけない、食っていけない、青年労働者が半分も職をもつことができない――こんな社会がいつまでも延命していくことなど、けっして許してはならない。まさに革命的情勢が到来しているのである。
今こそ労働者階級は新自由主義・帝国主義と対決し、生きぬき、闘いぬき、それを打倒するために決起しよう。
大恐慌を世界革命へ! 大恐慌をプロレタリア革命へ! これを労働者階級の真っただ中で闘いぬき、職場生産点を基軸に階級的労働組合の再生、創成のために全力で闘おう。党と労働組合の一体的形成をかちとろう。労働者階級の階級的能力の無限の力、社会を変え、人間を変え、革命をつくりだしていくその力に圧倒的な確信をもって、今こそ決起しよう。
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週刊『前進』(2546号5面1)(2012/07/30 )
原発なくそう! 改憲はばもう!
8・15労働者・市民のつどい
8月15日、東京・なかのゼロ小ホールにおいて、8・15労働者・市民のつどい全国統一実行委員会が主催する労働者・市民の集いが行われる。実行委の呼びかけに応えて集まろう!(編集局)
■7・16代々木公園に17万人「再稼働反対!」「野田倒せ!」
7月1日、野田政権は大飯原発の再稼働を強行しました。既成事実で屈服させるつもりでしょうが、そんなことは通用しません。野田首相が何を言おうと、日本経団連や連合幹部が何を言おうと、労働者・民衆は「みんなウソだった」ということを知っているし、「もうだまされない、決してあきらめない」ということを心に決めて立ち上がっているのです。
首相官邸前の金曜行動は、6月29日20万、その後も毎週10万人単位の怒りの結集が続いており、7月16日の代々木公園には17万人の労働者・学生・市民が集まり、渋谷・新宿・原宿のデモの波は炎天下6時間にわたって途切れることがありませんでした。
今年3・11一周年を「鎮魂と復興」に押し留めようとしたことに対して、多数の闘う労働組合の結集のもと「原発いらない福島県民大会」(開成山球場)をかちとったことは決定的でした。高校生の鈴木美穂さんは「人の命も守れないのに、電力とか経済とかいっている場合ではないはずです」と福島の怒りを代表して発言しました。この福島の怒りと結合して、どこまでも原発反対つらぬく、数十万、数百万の闘いのうねりが始まったのです。
■新自由主義の中心的攻撃として戦争と改憲の攻撃が始まった
野田政権は原発再稼働と一体で、核武装宣言に等しい原子力基本法への安全保障条項の新設を行いました。また、消費大増税も許すことのできない大衆収奪です。さらに復興特区攻撃、オスプレイの配備強行・沖縄基地の永久化、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加などなど、「危機」を逆手にとって実質的な改憲と戦争への攻撃を激化させてきています。いわば「3・11」のショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)の攻撃です。
国会内では、昨年11月からは改憲案を作る憲法審査会が衆参両院ではじまり、今年4月27日には自民党の「憲法改正草案」が発表され、改憲発議が現実のものとなろうとしています。こうした中で、石原都知事は尖閣諸島購入を策動し、橋下大阪市長・維新の会も激しく登場してきています。彼らの登場は、日本の支配階級の中に「改憲クーデター」願望がふつふつとわき上がって来つつあることを示しています。
■橋下大阪市長打倒ののろしをあげ、野田政権をうち倒そう
原発をなくし改憲と戦争攻撃を阻止するために何が必要なのか。新自由主義は資本の無制限の金儲(もう)けのために、労働者をばらばらにし、団結を解体することにいっさいをかけてきました。そして、日本における新自由主義攻撃の発端となった国鉄分割・民営化は、中曽根「新たな憲法を床の間に」という攻撃でした。これに立ちふさがった、国鉄分割・民営化反対の闘いを、今日の原発情勢のもとで、さらに大きくすること、すなわち労働組合の復権こそがカギです。
橋下大阪市長の目的も労働運動の解体です。そして原発再稼働と消費増税強行の野田首相を結局は賛美しています。今秋、橋下市長をぶっ叩(たた)き、野田政権をうち倒しましょう。
戦後67年目の8月15日、私たちは「福島―広島―長崎―ビキニの怒りを共に」「原発なくそう 改憲はばもう」―国益と排外に憲法は屈するのか―と題して第18回8・15労働者・市民のつどいをおこないます。多くの皆さんの賛同と参加をお願いします。
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福島-広島-長崎-ビキニの怒りを共に
原発なくそう 改憲はばもう
8・15労働者・市民のつどい
―国益と排外に憲法は屈するのか―
8月15日(水)正午開場、午後1時開会 なかのゼロ小ホール
木田節子さん(原発いらない福島の女たち)
森川文人さん(弁護士)
西川重則さん(平和遺族会全国連絡会代表)
コント 松元ヒロさん
韓国・民主労総ソウル地域本部
田中康宏さん(動労千葉委員長)
主催 戦後50年を問う8・15労働者・市民のつどい全国統一実行委員会
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原発再稼働阻止! 野田打倒! 日帝の核武装阻止!
8・15靖国弾劾デモ
8月15日(水)
午前8時 外濠公園・法政大学正門前集合
8時半 デモ出発
主催 反戦共同行動委員会
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週刊『前進』(2546号5面2)(2012/07/30 )
7月17日〜23日
線量計に鉛板で被曝隠し/オスプレイ12機、岩国に陸揚げ
●聴取会で電力会社員「発言禁止」
2030年の原発の割合などを決めるための意見聴取会で原発推進を求める電力会社幹部の意見が相次ぎ、批判の声があがり、政府は電力会社員の意見表明を認めないと決めた。(17日)
●金正恩に「元帥」 北朝鮮の朝鮮中央通信は朝鮮労働党中央委員会が17日付で金正恩第1書記に元帥の称号を与える決定をしたと伝えた。(18日)
●大飯と志賀の断層調査を指示 関西電力大飯原発(福井県)と北陸電力志賀原発(石川県)の敷地内を走る断層が活断層である疑いがあるとして、経済産業省原子力安全・保安院は関電と北陸電に対し、各断層の再調査に着手するよう指示した。(18日)
●福島第一4号機、核燃料の損傷調査へ 東京電力は福島第一原発4号機原子炉建屋の使用済み核燃料貯蔵プールから未使用の核燃料を試験的に取り出す作業を始めた。(18日)
●大飯4号機も起動 関西電力は大飯原発4号機(118万`ワット、福井県おおい町)の原子炉を起動した。25日にフル稼働となる見込み。(18日)
●シリアで爆発、国防相殺害 内戦状態にあるシリアの首都ダマスカスの国家安全保障本部で爆発が起き、ラジハ国防相、アサド大統領の義兄シャウカト副国防相らが死亡した。(18日)
●美浜2号機「10年延長」認可 25日で運転開始から40年を迎える関西電力美浜原発2号機(福井県美浜町)について経産省原子力安全・保安院は、今後10年間は安全に運転できるとする関電の報告を正式に認可した。(19日)
●オスプレイ事故58件 沖縄への配備が予定される米軍の新型輸送機オスプレイに関連する事故が、量産決定後の2006〜11年の5年間に58件起きていたことが米軍の資料でわかった。朝日新聞が報道。(20日)
●原子力規制委員長に田中俊一 野田内閣は原発の安全規制を新たに担う原子力規制委員会の初代委員長に田中俊一・前内閣府原子力委員長代理を起用する人事案を固めた。(20日)
●シリア停戦監視30日延長 国連安保理は20日が活動期限のシリアの停戦監視団の活動を30日間延長する決議案を全会一致で採択した。(20日)
●線量計に鉛板、被曝隠し 東京電力が発注した福島第一原発の復旧工事で、下請けのビルドアップ社の役員が昨年12月、厚さ数_の鉛のカバーで放射線の線量計を覆うよう作業員に指示していたことがわかった。厚生労働省は労働安全衛生法に違反する疑いがあるとして調査を始めた。ビルドアップの和田孝社長も認めた。(21日)
●オスプレイ12機、岩国に陸揚げ 米新型輸送機MV22オスプレイ12機が民間輸送船から米軍岩国基地に陸揚げされた。米軍は10月初旬から米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)で本格運用する方針。(23日)
●政府原発事故調が最終報告 福島第一原発事故で政府の事故調査・検証委員会は、東電や国の事故防止策や危機管理をめぐり、安全を最優先に考える姿勢が欠けていたとする最終報告をまとめ、野田首相に提出した。(23日)
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週刊『前進』(2546号6面1)(2012/07/30 )
核と原発への怒りはひとつ 8・6−8・9闘争へ(4)
電産中国が77年に反原発スト
電力労働者と住民の力で 豊北原発の建設を阻む
山口支店前で座り込み貫徹
「原発建設反対」を掲げ、電力産業の労働組合がストライキで闘った。1977年10月26日、電産中国(日本電気産業労働組合中国地方本部)山口県支部は、中国電力が地元豊北(ほうほく)町に建設予定の豊北原発建設阻止を掲げストライキに立ち上がった。
「山口市の中心部にある支店ビルの前には、タテ1b、横4bの超大型の看板が設置され約20名の組合員が座り込みを敢行。あわせてビラ配布などの宣伝活動で市民に反原発を訴えました。また参加者全員で社屋へのビラはりも行われました」。機関紙『電産中国』(77年11月10日付)は、闘いの模様を生き生きと伝えている。
7月16日、代々木公園17万人結集、毎週金曜日の首相官邸前・国会前占拠の空前の結集と、福島第一原発事故と大飯原発3、4号機の再稼働に対する労働者人民の巨大な怒りの決起が始まった。これらの闘いは、原発、消費増税、非正規化など新自由主義のもとでは生きていけないという労働者人民の、支配階級を打ち倒すまで止まぬ壮大な闘いの始まりだ。勝利の道は、全国・全産別に闘う労働組合を復権し、労働組合が闘いの中心に座ることだ。「原発賛成」の腐敗した電力総連や連合の幹部を打倒し、青年労働者、労働組合こそ再稼働阻止・全原発廃炉の先頭で闘おう。
本シリーズ最終回の今回は、原発建設に対しストライキで闘い、地元漁民・住民とともに建設を阻止した電産中国の闘いを『電産中国の闘い 反原発労働運動』(五月社、絶版)を中心に紹介したい。
(なお、豊北原発のほかにも全国30カ所以上で労働組合や漁民、住民の闘いで原発などの建設を阻止した歴史があり、今も青森県大間などでは闘いが続いている)
(写真 電産中国は77年から80年まで毎年反原発ストに決起【79年10月26日 中国電力山口支店前】)
首かけた闘いが団結つくる
戦後革命期、世界でもまれな「停電スト」を闘った電産が解体されるなかでも電産中国は生き残り、職場を基礎に戦闘的闘いを展開した。1973年、初めて反原発を掲げ、74年には島根原発でピケをはってストを打った。76年秋、伊方原発への山口県徳山港からの核燃料積み出しに対し、3波にわたって阻止闘争を展開。この闘いが豊北原発反対闘争の基盤をつくる上で大きな意義を持った。
76年暮れころ、山口県豊北町の神田岬に建設が予定されているといううわさが広がった(豊北町は県北西部に位置する町で、05年、下関市と合併し下関市豊北町となった)。反対運動が始まり、77年3月、地元住民が中心となって反原発の講演会を開催。漁民400人が参加し運動が大きく広がっていく。6月13日に中国電力が現地に原発建設を申し入れて以降は漁民を中心に反対闘争が一挙に盛り上がった。
電産中国山口県支部大会が7月末に開催され、豊北原発阻止闘争をストライキで闘う方針を決定。10月26日、山口県支部はストを打ちぬき、中国電力山口支店前での座り込みを貫徹した。さらに78年1月27日、山口市職員労働組合が同じく豊北原発建設反対のスローガンを掲げて30分間の時限ストを行った。
3月10日には豊北町議会全員協議会に漁民、住民、労働者など約2千人が傍聴に詰めかけ、電産も約20人の組合員を動員した。3月11日、電産中国は「中国電力の社員も原発に反対しています」の大見出しがおどる『原発だよりbP』の第1回目を、漁協の全面的な協力で住民に配布。同18日には第2回目を配布した。
あせりをみせた中国電力は隠し事務所をつくり、スパイ活動や地元工作に奔走。3月26日に反対派の町長が中国電力と推進派の圧力によって辞任。5月、豊北町長選と同町議補選が行われ、反対運動の巨大な高揚の中で両選挙とも反対派が圧勝。6月1日に豊北町議会が開催され、「事前環境調査拒否」などを決定。6月8日、県並びに中電に「原発立地拒否」を通告、豊北原発建設を破産に追い込んだ。
他方で、電産中国が住民とひとつになり反原発闘争に立ち上がったことに中国電力資本は危機感を深め、ビラ配布を口実として山口県支部委員長など7人に対し不当な「懲戒」攻撃を行った。以降、電産中国は処分撤回を求めて闘いぬいた。
電産中国は当初から漁民・住民の信頼を得られたわけではなかった。「どうせ中電から給料もらって」というのが反応だった。「漁民と本当に団結できたと感じたのは処分を食うた段階から」だった。電産が首をかけて闘う中で関係が変わったのだ。労働組合が不屈に闘い、漁民・農民や住民との団結を固めて闘いぬく中に、原発をなくす展望があることをこの事実が示している。
電産中国はその後も島根原発2号機の建設などに反対し、78年、79年、80年とストライキに決起した。81年4月14日には島根原発でピケットを打ち抜き定期検査を半日ストップさせた。
電産中国の闘い引き継ぐ道
電産中国の反原発闘争の原点には「合理化反対の5文字にしがみついて30年間闘った」というほどの職場の闘いがあった。電産中国はその後労働運動の舞台から姿を消すことになったが、同じように一貫して反合・運転保安闘争を闘い、JR東日本の10・1外注化攻撃と闘いぬく動労千葉のような闘いの中に、電産中国の闘いを引き継ぎ、のりこえる道もある。
戦後労働運動では、合理化攻撃との闘いが決定的な位置を占めた。国鉄では激烈な闘いが展開された(中野洋著『戦後労働運動の軌跡と国鉄闘争』)。電力資本も徹底的な合理化を進めた。それは原発の建設と並行したものであり、同時に、資本による職場支配も段階を画して進んだ。
この攻防の中で電産中国は「合理化反対」を基礎に、原発建設は「合理化攻撃そのもの」「原発労働者、とりわけ下請け労働者の被ばく」「核武装」などの問題だとして闘った。「安全闘争」も「どんな作業も2人以上でやらせるようにしろ」と徹底的に進めた。
だが、74〜75年恐慌を転機に日帝は、政治的にも資本攻勢・労働組合破壊の面でもそれまでとは質を異にする攻撃に踏み込んだ。それは国家・資本との熾烈(しれつ)な攻防を意味した。成田空港の開港攻撃もこの過程だった。それに対し動労千葉は反対同盟農民との血盟にかけ、77年から81年、ジェット燃料貨車輸送阻止をストライキ・順法闘争で闘った。動労千葉はその闘いを反合・運転保安闘争とひとつのものとして闘い、国鉄分割・民営化阻止闘争の勝利へと発展させた。
この過程で電産中国も外注化・下請け化などそれまでと次元を画す攻撃に直面した。「危険作業を拒否すると下請化する……単純に拒否するという闘いだけではだめ」「安全の問題については、(資本の側が)職場で小グループを作り、そこで討議させる。ギマン的な方法で来られると、こちらはすごく弱い」。新自由主義との攻防の悪戦苦闘の中で、90年代前半、電産中国は闘いの幕を降ろすこととなった。
動労水戸、被曝労働反対スト
福島第一原発の収束作業で、放射線量を少なく見せるために線量計を鉛カバーで覆っていた事実が判明した。東電の加担は明白だ。原発労働者、収束作業に従事する労働者への被曝の強制を絶対に許すな。
検修外注化攻撃と闘う動労千葉・動労水戸、そして動労水戸の被曝労働反対のストライキ闘争こそ電産中国の闘いを継承し発展させる闘いだ。百万人単位で労働者人民が立ち上がる時代が始まった。青年労働者・学生はその先頭に立って闘おう。闘う労働組合を全国につくり出し、「原発反対」のストライキで闘おう。それこそ原発をなくす道だ。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争に立とう。
(北沢隆広)
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週刊『前進』(2546号6面2)(2012/07/30 )
反戦反核東京集会 内部被曝を徹底糾明
広島・長崎と福島の怒り共有
7月22日午後1時半から東京の文京区民センターで反戦反核東京集会が開かれた。310人が参加し、原発・核燃廃絶の強固な意思一致をかちとった。
集会は、入江史郎・ス労自主委員長の主催者あいさつから始まり、第五福竜丸の元乗組員の大石又七さんのビデオレターが上映された。
企画のメインは、「内部被曝を徹底糾明する」パネルディスカッション。山田真さん(小児科医)、下田禮子さん(反戦被爆者の会)・大江厚子さん(セイブ・ザ・イラクチルドレン広島)、黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)をパネラーとして密度の濃い討論が行われた。
福島の健康相談会に協力してきた山田医師は、何が起こるかわからないから福島は心配していると指摘。山下俊一らは被曝資料を集めながらデータを公開せず、「大丈夫だ」という結論しか出さないと弾劾した。
放射線はどこまでも安全ではなく、放射線による人体への影響は、DNAの二重ラセン切断によるがん化、活性酸素の発生による健康障害のリスクなどが次第に解明されてきていることなど、重要な知見が述べられた。そして「ヒロシマ・ナガサキ、ビキニ、フクシマと何度も被害に遭いながら、被害が大したことはないと日本が言ってしまえば、原子力推進側に大きな力を与える」。だから、今回の福島では最初から被曝の計画的隠蔽(いんぺい)がなされたのではないかと、核心点が提起された。
広島から、下田禮子さんが「被爆者の多くの人ががんなどの病気で亡くなっている」と、被爆を生み出す社会への怒りをこめて発言。次に大江厚子さんが、「黒い雨」全域を被爆地として認定させる闘いに関わってきた立場から、「黒い雨に遭い健康被害がたくさん出たにもかかわらず、なぜ被爆者として認定しないのか」「低線量被曝・内部被曝を認めないICRPと国を絶対に許せない」と断罪した。さらに、イラクの子どもたちの劣化ウラン弾被曝の惨状を伝えるとともに、北朝鮮情勢をめぐり「今度アジアで劣化ウラン弾が使われるだろうと言われているが、これを絶対に使わせてはならない」と強く訴えた。
福島の黒田節子さんは、「黒い雨」を浴びた資料を隠し続け被爆者認定を拒否してきた放影研(旧ABCC)・国に対し、「憤り以外の何ものでもない」と語る広島の被爆者の思想・態度は福島とまったく同じと言明。福島では、放射能の情報がまったく知らされていない。学校の被曝線量がいい加減な計測でしか行われていない。放射能がたまらない場所にモニタリングポストが設置され、計る前に除染している。医者に行って被曝の話をすると「あなたの考えすぎ」とか怒られる。こういう状況を語り、「再稼働されてしまったが、反原発で若い人が集まってくるので、あきらめるわけにはいかない」と不屈の闘争意志を明らかにした。
この後、特別報告として、高山俊吉弁護士が「医者とともに弁護士も問われている」「原子力村を許さない闘いを弁護士も闘う」と決意表明。
続いて「反核燃を闘う青森の労働組合」と題して、間山正茂・南部バス労組委員長が、再処理工場など核施設が乱立する青森にNAZEN青森が結成された決定的意義を強調。今回の原子力基本法改悪は、日本が核武装するということを明確にしたと指摘し、これと真っ向から対決し、原発を廃炉にし核燃をなくすためにともに闘うことを熱烈に訴えた。
最後に、まとめとして三角忠・全国統一実行委事務局長が発言。「反原発を闘う労働組合が今、決定的に重要になってきている。被曝労働を強制されている労働者との団結をいかにつくりだすのか。被ばく者の怒りと結びついて闘おう」と檄(げき)を発した。
野田政権・山下徹底弾劾・打倒! 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争に全力決起を!
(W)
(写真 「反原発を闘う労働組合が決定的に重要だ」と集会をまとめた三角忠さん【7月22日 東京】)
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週刊『前進』(2546号6面3)(2012/07/30 )
西郡支部大会 新組織建設へアピール
新書記長に森本さんを選出
7月22日、大阪・八尾市桂人権コミュニティセンターで第7回部落解放同盟全国連西郡支部大会を170人の結集でかちとった。
基調報告を岡邨洋支部長が提起した。「社会の根本的変革まで終わることのない、戦後革命期以来の大規模な決起が始まった」、一切が10・1JR外注化阻止にかかっていると提起。「全世界と日本の労働者、解放運動の未来をかけて総決起しよう。この中で300万部落民と6千万労働者、階級全体に責任を取る支部へ飛躍を。支部1千人建設を」と訴えた。そして、3〜4月決戦と一体でかちとった二度の強制執行粉砕、3・18全国闘争、5・24八尾北裁判勝利は「国や八尾市と闘っても勝てない」という体制内勢力の敗北主義に勝利し、絶対反対・階級的団結で闘えば勝てることを示し、「新自由主義・道州制の橋下打倒!の突破口を切り開いた」と勝利感を込めて語った。
その上で「@民営化・外注化、道州制による部落解体・更地化攻撃に対して階級的団結をもって闘う。A非正規職撤廃闘争を部落解放闘争の正面課題にすえて闘う。B階級的労働運動を徹底的に推進する部落解放闘争を、労働組合の階級的再生としてかちとる」、実践的には「最も激しい差別と分断攻撃にさらされてきた部落民が、プロレタリア革命の主体、労働組合の担い手として登場しよう」と訴えた。
また、無実の石川一雄さんを「犯人」にし続ける狭山差別裁判を新自由主義攻撃ととらえ、狭山闘争を階級的労働運動の重要な闘いとして闘おうと呼びかけた。住宅裁判の10家族が「絶対反対で闘う」、支部員が「地区協を打倒しよう」と次々と決意を語った。
09年住宅明け渡し強制執行と闘った森本政二さんを書記長とする新執行部の樹立に、ひときわ高い拍手が起こった。また西郡支部からの「新たな部落解放の全国組織結成」に向けたアピール(要旨別掲)が読み上げられ、熱い感動が会場を包んだ。
大会で決戦態勢は確立した。原発再稼働阻止! 8・6広島、8・23住宅裁判、9・20八尾北裁判控訴審、9月橋下打倒全国集会から10・1JR外注化阻止、11月労働者集会へ総決起しよう。
(西郡支部・植村清)
(写真 住宅明け渡し強制執行と闘い勝利した岡邨支部長の基調報告に聴き入る参加者【7月22日 八尾市】)
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◆新たな部落解放の全国組織結成へのアピール
全国連西郡支部
「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と発した水平社宣言から91年。再び部落解放への新たな宣言を発する時が来た。部落解放の戦場で死んでいった膨大な同志の無念を晴らす時がついに来た。
新自由主義は全面的に破産し、日本帝国主義は死の恐怖にのたうちまわっている。日本革命―世界革命情勢が到来している。しかし既成の部落解放運動は部落民を資本の餌食(えじき)として差し出すまでに転落した。われわれはこれをのりこえる前進を開始した。
部落差別とは、資本が労働者階級を分断し団結を破壊する攻撃だ。新自由主義による部落の解体は、全労働者を非正規にし失業・半失業状態にたたきこむ。部落民への攻撃を切っ先とし、あげくは被曝労働へと駆り立てる攻撃だ。
部落民が分断攻撃をぶち破り労働者階級解放の闘いの最先頭に躍り出る時が来た。その武器は労働組合だ。労働組合を再生することだ。プロレタリア世界革命で人類史の前史から後史を切り開く歴史的事業を担う新たな部落解放運動の開始を宣言する。この旗のもとに結集しよう。(要旨)
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週刊『前進』(2546号6面4)(2012/07/30 )
NAAは文書提出を
市東さん耕作権裁判 裁判所に命令要求
7月23日、千葉地裁民事第2部(白石史子裁判長)で三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの耕作権裁判の弁論が開かれた。
今回の法廷は主に書面のやりとりに終始したが、成田空港会社(NAA)はこの中で、今まではコピーだけを証拠提出していた「同意書」「境界確認書」の原本を裁判所に提出した。NAAが市東さんに「土地を明け渡せ」と迫る唯一の根拠は、この二つの文書に添付された図面である。ところがそこに描かれた畑の位置は、市東家が耕してきた場所と違っている。また反対同盟顧問弁護団の聞き取り調査で、旧地主の藤ア政吉はこの図面に「自分は関与していない」と明言した。
さらに、二文書に書かれた市東東市さん(孝雄さんの父・故人)の署名は偽造であると筆跡鑑定の結果明らかになったのだ! NAA側は警察OBによる「筆跡鑑定」で反論を試みたが、鑑定と呼ぶに値せぬずさんな代物だった。これで市東さんを「不法耕作」呼ばわりし農地を強奪しようとは、悪質地上げ屋を上回る犯罪行為だ。
NAAは、当時の交渉記録、報告書など多くの関連文書をまだまだ隠し持っている。弁護団は白石裁判長に対し、「文書提出命令」を出すよう重ねて求め、NAAをさらに徹底追及する姿勢を示した。次回期日を10月29日(月)として閉廷。
近くの会場で報告集会が開かれた。司会は伊藤信晴さん。最初に市東さんが傍聴への謝意を表しながら、「これからいろいろな証拠が出てくると思うので、弁護士さんとともに闘います」と簡潔に決意を語った。
続いて葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が法廷の解説を行い、民事第3部で進む行政訴訟・農地法裁判とともに、この耕作権裁判が開始から6年たって重大局面を迎えていることが説明された。
北原鉱治事務局長があいさつに立ち、「藤ア政吉が最近亡くなり、法廷に呼び出せなくなったのは残念。三里塚は裁判闘争とともに現地闘争がものを言う」と一同に奮起を促した。
動労千葉、関実、市東さんの農地取り上げに反対する会、群馬・市東さんの農地を守る会が連帯発言を行った。動労千葉の滝口誠さんは、10・1全面外注化攻撃との決戦に立つ決意を表した。
最後に萩原進事務局次長が立ち、「国策、国益を真っ向から批判するわれわれの主張が今通じる時代だ。10万、20万と動き出した人びとへ大上段から訴えよう。全学連をはじめあらゆる階層の人びとが現地闘争に取り組んでほしい。その力を10・7三里塚全国集会に結集させよう」と熱を込めて訴えた。
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★三里塚裁判日程
◎市東さん行訴・農地法裁判/9月10日(月)午後1時30分開廷 千葉地裁
(渡辺清一・元千葉県農地課長の証人尋問)
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週刊『前進』(2546号6面5)(2012/07/30 )
関西で星野集会 大阪・京滋の会を軸に
7月14日、関西星野集会が「大阪・星野文昭さんを取り戻す会」、関西労組交流センターの共催、「星野文昭さんを取り戻す会・京滋の会」協賛で全関西から81人が結集してかちとられた。
関西労組交流センター代表の富田益行さんが主催者あいさつをした後、基調報告を「大阪・星野文昭さんを取り戻す会」代表の南谷哲夫さんが行った(写真)。冒頭、3・30再審棄却決定を弾劾し、「時代は大きく地殻変動的に動き出した。10・1JR外注化阻止の闘いは新自由主義の攻撃を大破産させる。この勝利に星野奪還のでっかい展望も生み出される。9月大阪の橋下打倒全国闘争を360万公務員全員解雇・非正規化、労組破壊の攻撃をぶち破る闘いとしよう。星野異議審闘争を全証拠開示の大運動として展開し再審開始・釈放をかちとろう。星野さんの総会へのメッセージを星野闘争の指針として闘おう」と力を込めて提起した。
「大阪の会」の新田和生さんが棄却決定の批判を展開し、関西労組交流センター、大阪の会、京滋の会は「渦巻く怒りと結びついて星野さんを奪還しよう」などと発言。新自由主義と絶対反対で闘う西郡支部、京大同学会再建を闘う全学連、党と労働組合の一体的前進を押しとどめようした「6・7」弾圧粉砕などの闘争報告が行われた。
3・30再審棄却決定を許さず、全証拠開示・再審開始の新たな大運動を階級的労働運動の不可欠の闘いとして確認し、星野奪還を誓い合った。
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獄中3同志に激励のはがきを送ろう!
徳島刑務所で37年間の獄中闘争を貫く星野文昭同志、今年5月17日に下獄し府中刑務所での闘いを開始した福嶋昌男同志、組合つぶしのデッチあげ弾圧を跳ね返し山口刑務所で闘う中山崇志同志に、熱い闘いの息吹を送ろう!
☆星野文昭同志 〒779−3133 徳島市入田町大久200−1
☆福嶋昌男同志 〒183−8523 府中市晴見町4−10
☆中山崇志同志 〒753−8525 山口市松美町3−75
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週刊『前進』(2546号7面1)(2012/07/30 )
10・1外注化阻止決戦へ
始まった反原発デモのうねりと結び11月集会巨万の総決起へ驀進しよう
闘う労働組合の力で野田・橋下打倒を
(写真 7・16反原発17万人集会の後、代々木公園からデモに出るNAZENの大隊列)
はじめに
2012年前半、大恐慌の世界的な深まりは、新自由主義と闘う全世界労働者階級の総決起の合図となった。
ギリシャ労働者階級は、欧州恐慌・ギリシャ恐慌と対決し、2011〜12年、何波ものゼネスト決起で闘った。また、スペイン労働者階級は、労働法改悪反対デモ、教育予算切り下げ反対デモ、イベリア航空ストライキ、地下鉄スト、鉄道労組スト、そして80都市で数十万人が緊縮反対デモに決起している。これらの闘いは、チュニジア、エジプトの労働者階級の決起と一体となって前進した。
新自由主義と闘う中東人民の決起は、米帝のイラク侵略戦争に決定的打撃を与え、米帝の世界政策の変更・敗北、さらなる凶暴化・世界戦争攻撃を強制する闘いとなった。
まさに、資本主義体制は、雪崩のように崩壊し、終焉(しゅうえん)の時を迎えている。全世界は、1917年ロシア革命のスターリン主義的変質の突破をかけた闘いとして、プロレタリア世界革命の歴史的前夜の到来を迎えているのだ。
3・11(大震災と原発大事故)は、新自由主義・帝国主義の終焉であり、フクシマの怒りが根底から噴出する合図となった。「トモダチ作戦」と復興特区攻撃、これらが福島を始め労働者階級人民の頭上に襲いかかっている。福島第一原発事故は「収束」などしていない。原発は地上に置かれた原爆として、労働者階級に対する根本的敵対物として存在している。復興特区攻撃は、ブルジョアジーが土地と漁港と海を独占することを最優先させた政策である。500日経過しても仮設住宅生活を強いられている人びとが27万人もいるのだ。なんということだ。
実際、新自由主義・日帝は、未曽有の危機と混迷の中で階級支配の核心部がグラグラし始めている。原発再稼働、消費増税法案の強行、オスプレイ配備強行と凶暴な攻撃をごり押しする民主党・野田政権は、経団連と連合に支えられながら、統治能力の崩壊に直面している。政治情勢・階級情勢は根底から動揺し、流動化する事態が到来している。革命的激動期、革命的情勢と言える事態が到来しているのだ。
勝利への道は、全世界の労働者階級の団結形態である労働組合を甦(よみがえ)らせる闘いにあり、これと一体にマルクス主義で武装された労働者党を建設することの中にある。
〈大恐慌-3・11〉に立ち向かう日本労働者階級の壮大な決起
(1) 数十万・数百万の大衆的大デモと革命的情勢の到来
日本プロレタリアートの革命的決起が断固として開始された。
大恐慌、3・11情勢と闘う日本労働者階級は、戦後階級闘争の壁を突破する力を本質的に持った闘いに立ち上がり始めた。
7月16日、代々木公園を17万人の労働者人民が埋め尽くした。それは、「国と社会のあり方を変える」「命を脅かすすべてに反対する」「未来は自分たちで決める」という意志表示であり、戦後階級闘争の限界を突破する力をもった闘いになった。
金曜日夜の首相官邸は、6月29日の20万人を頂点に、15日1万2千人、22日4万5千人、そして7月6日15万人、13日15万人、20日9万人、と毎週毎週、怒りに燃える労働者人民によって大包囲された。
この怒りは、破綻した新自由主義の絶望的凶暴化を示す日帝・野田の大飯原発再稼働に対する怒りであった。「収束宣言」「安全宣言」を発し、「原発を停止したら、安い電力を断たれ日本経済は国際的競争の中で敗北する。日本の企業はみな外国に逃げてしまう」と恫喝する野田のやり方への怒りであった。
つまり、問題が煮つまってきたのだ。新自由主義・日帝の危機、国際争闘戦での敗北と脱落の危機を、このままでは日本が危機だ、衰退するという問題にすりかえて、原発政策がすでに破綻し、人類そのものの存在・生命・生活・労働の一切を脅かしている現実を居直り、原発再稼働でさらに破滅的危機を極限化しようとしているのだ。
今や、破綻し寿命の尽き果てた新自由主義・帝国主義そのもの、資本主義そのものの打倒へと突き進むしかないのである。数十万の怒りの決起を、恐るべき原発の即時廃炉・廃絶へと、現実に結実させていく闘いは、まさにプロレタリア革命の成否そのものと一体である。
すなわち、反原発闘争はすぐれて階級決戦であり、新自由主義・帝国主義の大反動、大反革命攻撃を階級的労働運動の再生・創成を通して、労働組合が職場生産点から決起することによって、根底から打ち破る決戦である。だから、今求められていることは、階級決戦=国鉄決戦=原発決戦としてかちとり、勝利することである。
百万、数百万の労働者人民の歴史的決起が始まった。この根底には3・11以来の労働者人民の苦闘が凝縮していた。これらの決起とともに闘い、現実から学び、労働組合を軸とする本格的発展へ挑戦する時が来た。
その基礎には、日本階級闘争の現実、激しい党派闘争がある。没落するスターリン主義と社会民主主義の反動的敵対が逆巻いている。だからこそ決定的に必要なことは、労働者階級に依拠し、労働組合の革命的拠点建設を実現して闘い抜くことである。
(2) 国鉄闘争全国運動の力が革命的高揚を根底で支えた
この反原発闘争の新たなうねりを根底において支えていたのが階級的労働運動路線であり、国鉄闘争全国運動の力であった。
6、7月闘争は、国鉄闘争全国運動の大成功を起点として転換的な出発点になった。とりわけ4・1外注化を阻止した地平の上で、6・10国鉄闘争全国集会の成功は、今日の新自由主義攻撃との一大階級決戦の基軸が国鉄決戦であることを鮮明に突き出した。6・10集会は、この国鉄決戦を先頭とする職場生産点での闘い、さらに非正規職撤廃の怒りの決起によって、労働組合を再生させ、新自由主義を打倒することが可能であることを決定的に示したのである。
すなわち、日本労働運動を死滅に導くかに見えた4・9政治和解(2010年4月9日、国鉄1047名解雇撤回闘争に対する政治和解によって解雇撤回の旗を降ろさせ今後一切争わないと屈服させた反革命)についに風穴を開けたのである。そして、日本における新自由主義政策の極にある原発再稼働、消費増税、非正規職化攻撃の先兵となり、破綻にあえぐ野田・民主党政権をかろうじて存立させている連合を突き破り、絶対反対を貫く階級的労働運動の根底的展望を切り開いたのである。
新自由主義の日帝・野田政権は、国鉄攻撃、原発再稼働、橋下反革命、消費税大増税、改憲攻撃、沖縄基地強化を始め全面的な反動攻撃を強行している。まさに全一体の階級決戦が到来している。
現在、その中で最も基軸的な攻撃は、国鉄攻撃である。ついにJR東日本会社はカクマルJR総連との腐った結託体制を再形成し、10月1日からの検修(検査修繕)部門、構内運転部門の一挙的全面的外注化・民間委託化の強行へと踏みきってきた。
JR水戸支社に続いて、7月23〜24日、JR千葉支社は動労千葉などに外注化とそれに伴う87人に及ぶ要員削減の提案を行ってきた。
内外の鉄道部門、航空資本との利潤第一主義的な国際競争の中で追いつめられたJR資本がコストを極限的に切り下げ、最大限利潤を確保するために、鉄道事業にとって生命ともいうべき運転・保安部門を全面的に外注化、民間委託する攻撃である。
また、これを強行することで、4大産別(国鉄、自治体、教労、全逓)全体に外注化・民営化の方式を持ち込むテコにしようとしている。すでに4大産別で進行中であるが、9割非正規職化、いや全員非正規職化まで推し進める攻撃である。
決定的なことは、JRにおける検修・構内業務の全面外注化は基本的にすべて違法な偽装請負そのものだということである。JR本体からの指示なしには何一つできない。しかもこのことは運転・保安の面からもけっして許されることではない。必ず重大な事故が頻発し、矛盾が爆発する。このことは鉄道事業で働く労働者の生命にかかわる大問題である。また乗客として全労働者人民を大惨事に追い込むものである。これ自体一大社会問題である。いや大政治問題である。
さらに外注化は、悪らつな労働組合破壊攻撃である。戦闘的階級的労働組合を破壊し、御用組合を育成する攻撃である。
4・9反革命として開始された階級的労働運動としての国鉄労働運動の全面的解体・圧殺の攻撃は、2011年〜12年の総力決起によって、国鉄闘争全国運動の創成・発展をもってはじき返された。
今年3・11反原発集会(郡山開成山野球場で開かれた1万6千人の福島県民大集会)の大高揚は、確実に階級情勢を揺さぶるに至った。このことに対する巨大な反革命として10・1JR全面外注化攻撃がある。JR資本とカクマルJR総連が一時的にせよ腐った結託関係に舞い戻り、そこに国労本部が合流して10・1反革命の推進陣形を形成した。しかし、このことは10・1反革命に反撃し、逆に粉砕していく展望・方向も示すものである。
すなわち、革命の前進に追い立てられて凶暴化した反革命であるがゆえに、攻撃の無謀さがあり、反撃のスキがあるのである。
また、最大の前進は、被災地で高線量被曝と闘う労働運動の実践をつくり出していることである。被災地で闘う労働組合、市民団体が一つになって、国鉄闘争と反原発闘争を闘う陣形を確立した。
6・10国鉄全国集会は、大阪市長・橋下反革命と全面的に対決する3労組共闘の闘いをさらに強固にして、労働運動を甦らせることを烈々と確認した。そして9月橋下打倒闘争から10・1外注化阻止決戦を最大の闘いとして闘うことを確認した。
新自由主義に怒り、橋下反革命を打倒する断固たる闘いが開始された。
大阪市の労働者、いや全労働者階級への〈全員解雇=首切り、非正規雇用>の居丈高な攻撃が連日かけられた。「労働組合の既得権は社会になじまない、全部返せ」「政治活動は認めない。慣行はあってはならない」「拠点をつぶす、更地化して活用する」
橋下のこれらの言いたい放題の暴言に対し、徹底的に敵の狙いを分析して反撃を組織した。橋下反革命は、帝国主義ブルジョアジーの危機の中で新自由主義の最先兵として登場した。新自由主義の攻撃と闘い勝利するためには、絶対反対の旗を掲げる。労働運動の団結した力で反撃する。階級的労働運動の全国的力で反撃する。これらの闘いを3・18八尾北・西郡全国集会の成功から全面的に発展させて闘い、勝利への道を驀進(ばくしん)している。3・18全国決起は、八尾北診療所の立ち退き攻撃を完全に粉砕する根底的力となった。そして9月橋下打倒闘争は、党と労働組合が自分の責任において橋下打倒を宣言する場である。
(3) 「9割非正規化」の攻撃に対する本格的な反撃の開始
何よりも、現在の階級社会の現実に対するマルクス主義者として労働者としての怒り、「これが人間の社会なのか」という怒りを爆発させることである。9割非正規職化、これは社会全体を空中分解させるものだ。こんなことを許してはならない。
非正規職化攻撃は社会を覆い尽くしているが、しかし、それと激突して現実にぶち破る突破口を、われわれは実際に切り開きつつある。
6・10集会で宣言された「ここから歴史が変わる」ということは、2012年前半の国鉄闘争を先頭に全産別で必死の決起があったからだ。
それは、80年代の国鉄分割・民営化攻撃と闘ってきた基軸をはっきりさせ、新自由主義論の路線的深化をかちとることと一体で進行した。まさに80年代の電電公社民営化、NTTを先頭とするアウトソーシング(外注化、外部委託)をもってNTTそのものを解体する攻撃、男女雇用機会均等法攻撃は、労働行政の規制緩和であり膨大な非正規労働者を生み出す突破口になった。この中で日帝は80年代、原発建設を徹底的に進めた。
まさに、現代を規定するすべてが国鉄分割・民営化攻撃の中にある。しかし、この国鉄への攻撃で、ブルジョアジーは労働運動を根絶することができなかった。
95年日経連プロジェクト報告による「9割の非正規職化」攻撃に対して、国鉄1047名解雇撤回闘争が25年間闘われ、4・9反革命をのりこえ、第2の分割・民営化攻撃に対する新たな国鉄決戦で、外注化阻止・非正規職撤廃の崇高な闘いが開始されている。正規と非正規が分断を打ち破って一体化して闘いが開始されている。
大恐慌、3・11は、労働運動のあり方を変えた。これらの攻撃との対決は、きわめて根底的である。体制内労働運動打倒を内包している。まさに、外注化阻止・非正規職撤廃の立場に立つことによって、階級的激突情勢を分析できる。階級的労働運動が勝利する立場を確立できたのである。
組合つぶし、雇い止め攻撃に、解雇撤回と非正規職撤廃を対置し、資本の分断、組合分裂攻撃に反撃し、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会、郵政非正規ユニオンなどの非正規労働者の根底的決起が始まっているのである。
(4) 労働組合と党への弾圧・破壊攻撃に反撃し勝利した
2012年前半は、労働裁判をめぐっても激突した。
動労千葉鉄建公団訴訟の6・29東京地裁判決は、「解雇は有効」とした反動判決であったが、同時に不当労働行為を初めて認定させる新たな一歩を切り開いた、画期的な勝利でもあった。国家的不当労働行為を徹底追及し、国鉄1047名闘争を4・9反革命を粉砕して闘う展望を生み出した。
他方で、動労千葉の予科生等運転士登用差別事件について、最高裁は2月27日、動労千葉が全面的に勝利した東京高裁判決(09年9月30日)を覆す反動判決を出した。これに対する民事再審の申し立て(3月24日)を6月1日に棄却し、7日付の即時抗告も門前払いした。だが、こんな攻撃で闘いの火を消すことはできない。
動労水戸の運転士登用差別事件をめぐる最高裁判決(08年12月24日)完全履行と、昇進差別・賃金差別による損害の賠償をJR東日本に求めた損害賠償請求訴訟が水戸地裁で闘われている。
国労秋田闘争団の小玉忠憲さんを原告とする鉄道運輸機構訴訟(控訴審)はこの7月19日、東京高裁が、葛西敬之(国鉄分割・民営化当時、国鉄職員局次長。現・JR東海会長)らの証人申請をすべて却下し、結審を宣告する暴挙に走った。6・29判決の地平で激突しているのだ。
5・27臨大闘争弾圧被告団は、昨年10月13日の東京高裁による不当判決に対して、5月9日に上告趣意書を提出した。
国労闘争団組合員の資格奪還訴訟は、6・29判決のもとで重大な闘いとなっている。「雇用関係が大前提であることは、国鉄時代以来の扱いだ」という国労弁護団・宮里邦雄弁護士の戦後労働運動史の偽造を弾劾して闘っている。労働裁判をめぐる闘いの決定的地平のもとで外注化決戦を闘うことが求められている。
さらに戦闘的労働者へのデッチあげ弾圧に対する反撃を徹底的に闘った。神奈川、千葉の青年労働者へのデッチあげ弾圧を党と労働運動破壊の攻撃として徹底的に反撃し、打ち破った。さらに6月弾圧も、2女性同志を奪還して勝利した。完全黙秘・非転向の不屈の貫徹と大衆的階級的反撃の組織化によってかちとられた勝利である。
最大の闘いは、非合法・非公然体制解体の攻撃に対する闘いであった。非合法・非公然体制は、労働者階級が、生き、闘い、勝利するために絶対に必要不可欠な体制である。
(5) 戦争・改憲―沖縄の攻撃への危機感と根底的な怒り
垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備とガレキ拡散・原発再稼働に対する闘いは、全国の怒りとなって爆発している。オスプレイの普天間基地配備攻撃は、沖縄の労働者階級人民の空前の怒りを引き起こしている。「配備強行なら全基地即時閉鎖だ」という仲井真知事の言葉は、沖縄の怒りのマグマが沖縄の支配秩序を吹き飛ばす勢いであることを物語っている。しかもこの時期に、全駐労沖縄地本が再雇用労働者のパート導入撤回を求めて7・13ストに立ち上がったことは、基地労働者が沖縄の労働者階級の先頭に再び立ちつつあることを宣言するものだ。
沖縄の怒りは岩国から全国へ拡大し発展しつつある。改憲・戦争への根底的怒りの決起が始まったのだ。
この情勢は、どこから始まったのか。それは2011年3月が分岐点になっている。3・11の大事故で米帝は直ちに戦争体制に突入した。「トモダチ作戦」と命名してハワイを司令部にして、沖縄海兵隊を先頭に第7艦隊をすべて投入した。そして3月16日にはパラシュートで仙台空港に降り立った。米帝はそこで、日帝が軍事力としてまったく体をなしていない現実を目の当たりにした。外敵にも内敵にも戦う体制がまったくないということだった。他方で、米帝はイラク侵略戦争からの撤退を余儀なくされていた。
大恐慌は一層深まり、米帝もまた二進も三進もいかなくなった。そして、オバマは「雇用の創出」を掲げて、米帝の「新軍事戦略」で軍事力をアジア・太平洋にシフトし、対中国戦争政策にかじを切った。この最前線基地が日本列島全体なのである。
米帝は、軍事体制と一体で、TPP(環太平洋経済連携協定)で日本経済全体の制圧を画策している。日本帝国主義もこれに必死で防戦している。これが、改憲攻撃の前面化なのである。
5月冒頭、各党から一斉に改憲プランが提出された。ここで共通していることは、労働者階級の生存権の否定、労働者階級の団結権の否定(労働組合解体攻撃)、非常事態法を憲法条項に盛り込む改憲攻撃なのである。明白に労働組合の解体が一切の前提になっている。
すでに、憲法停止宣言として復興特区攻撃があり、「この国のあり方を変える」と称しての道州制攻撃がある。そして裁判員制度をもって労働者階級人民を裁判員に任命し、司法の手先に仕立て上げようとしている。
また、消費大増税攻撃は、新自由主義税制の典型であり、それ自体が巨大な攻撃である。消費税大増税で獲得する歳入の増加は、ほとんどそっくり法人税の減税・減収の額と一致する。これは、労働者階級の大失業、低賃金、非正規職化という現実のもとで、すさまじい実質的賃下げが強行されるということである。労働者階級の搾取と収奪の政策そのものである。
この攻防は、4・9反革命まで進んだ帝国主義ブルジョアジーが、この4・9の地平で改憲の大攻撃をかけてきていることを示している。したがって改憲攻撃は、労働運動をめぐる激突である。この点を徹底的にはっきりさせたい。国鉄決戦を突破口に勝利するということである。
(6) 学生を先頭に新自由主義攻撃と徹底的に闘った地平
法大学生運動で結集した学生共産主義者の力は、京大同学会執行部選挙闘争の勝利として結実した。
戦後学生運動の地図を完全に塗り替える闘いが開始された。70年代〜80年代は反革命カクマルと大学をめぐって全面的に闘った。またスターリン主義日本共産党との闘いは、60年以来の50年余を超える闘いで勝利した。
スターリン主義は、マルクス主義を解体し、労働者階級の決起を本質的に否定し敵対する。労働者階級の否定は、彼らがマルクス主義者でも何でもない証左である。この対極に法大学生運動が切り開いた地平がある。
だから新自由主義と闘う学生運動論を構築し、教育の民営化、原発推進大学の虚像を鮮明にすることができた。
福島大学をめぐる全学連の躍進は、この新自由主義と闘う学生運動論の路線が引き寄せたものである。特に反原発闘争を学生運動の中心軸に据えるための主体的拠点の確立に成功したのである。
ファシスト・カクマルを打倒し、日共スターリン主義と全面的に対決する300万学生の先頭で闘う体制を構築した。とりわけて自治会を基礎として闘う橋頭保をかちとった意義は計り知れない。
(7) 国際連帯闘争の前進開く
国際連帯闘争は、プロレタリア世界革命へ向かってとことん発展する。新自由主義攻撃は、労働組合を破壊し、社会保障制度を解体した。労働力商品の再生産をも否定し人間労働を部品扱いにした。この現実は全世界で共通なものになっている。しかし、この現実への根源的な怒りの決起は、全世界のプロレタリアートに、打てば響くような連帯闘争となって発展した。
各国からの闘う代表の訪日が相次いだ。ゴアレーベン(ドイツの核廃棄物処分場建設反対同盟)、韓国民主労総金属労組亀尾(クミ)支部KEC支会、エテコン(ドイツの環境団体)。われわれは、ドイツの同志、民主労総の同志をこよなく尊敬し、彼らから徹底的に学んだ。この過程ではっきりしたことは、彼らを受け入れる体制、路線、思想を、既成の諸勢力がすでに全部投げ捨てているという日本の階級闘争の現実だった。4・9反革命とはこういうことだったのだ。
エテコンは6月29日、首相官邸前の20万人の先頭に立った。KECは解雇75人の全員の職場復帰を実現した。彼らの動労千葉労働運動に対する連帯感は一挙に高まっている。
(8) 革命勝利に向け党と労働組合の一体的建設が進んだ
われわれは、「労働者階級の解放は労働者自身の事業である」(綱領草案)という根底的な確認をプロレタリア革命運動の重心にしっかりと据えて闘ってきた。
さらに労働者階級の自己解放闘争にとって、その階級的解放の本質的歴史的性格からくる、労働者階級の自己解放=共産主義革命の目的意識性を集中的に体現する党の重要性とともに、労働者階級全体の「基礎的団結形態」としての労働組合の意義がきわめて決定的なものであるということ。この基礎的団結形態を土台に据えてこそ、労働者階級の党の建設も、またその党的組織的な目的意識性も、労働者階級の具体的闘い、組織をとおして不断に鍛えられ、深化し、磨き上げられていく関係が存在しているということ。
このようにとらえて、党と労働組合は一体的に形成されてこそ、真に革命をめざす階級的自己解放闘争が実現されていくということである。
さらに、労働者階級の解放は階級社会に終止符をうつ革命の本質からして、プロレタリアートの独裁の道をとおして前進するが、このプロ独の観点から見た時には、党・労働組合・ソビエトはまさに三位一体構造抜きには勝利しえないが、このソビエトの創成・形成・維持・発展にとって、労働組合の果たす役割はきわめて大きいということである。
まさに党と労働組合の一体的形成に勝利してこそ、党も労働組合もそれぞれに革命的役割を持ち、その力を土台にしてこそソビエトの形成・維持・プロ独の運営ということも可能になるのだということを含意していると言えるのである。
このような観点から、星野文昭同志奪還闘争、農地死守・三里塚闘争、沖縄闘争、裁判員制度廃止の闘い、百万人署名運動、在留カード粉砕の入管闘争、婦民全国協の闘い、障害者解放闘争、反軍闘争、被爆者解放闘争を闘ってきた。
そして地区党への結集こそ、基礎中の基礎であることをはっきりさせて闘ってきた。連合支配を打倒し、労働組合を甦らせる力を発展させることが鍵であるとして闘ってきた。階級的労働運動と一体となって前進してきたということである。
われわれは、プロレタリア世界革命へまっしぐらに向かい、労働組合を甦らせ、労働者党建設をかちとり、あらん限りの決起で勝利へと突き進む。
新自由主義と闘う労働者階級の指導部建設の闘いの新段階
中央労働者組織委と産別委の指導部建設
2012年前半の国鉄決戦と反原発決戦を確固として支えたのは、第一に、中央労働者組織委員会の主導性であった。このもとで産別委員会の指導部建設が成功的に前進した。この壮大な挑戦は、大恐慌、3・11情勢と強烈に対峙して闘っている階級的自覚を根拠にしていた。
職場細胞の資本との非和解的闘いの実践を基礎として前進した。新自由主義との闘いは、時代認識と路線の一致を求めたのである。
他方、学生運動の全国的前進と発展は、中央学生組織委員会と大学細胞の一体的発展を求めている。国家権力と原発推進勢力は、日本学生運動が法大をめぐって119人の逮捕者を出して闘い抜かれていることに恐怖している。
日帝ブルジョアジーは、新自由主義と闘う学生運動を何がなんでも破壊し壊滅させたい。これが彼らの本質である。
この攻撃に勝利する道は、中央学生組織委員会と大学細胞の一体的建設である。中央学生組織委員会は、大学細胞で生起していることを自らの闘いとして全面的に対象化する。大学細胞は、細胞が必死で切り開いたすさまじい地平を中央学生組織委員会全体に還流させる。この〈相互浸透と一体化〉に成功することが300万学生を獲得する路線の確立を切り開くのである。われわれはスターリン主義をのりこえる組織建設論を持って、前人未到の闘いに突入し勝利することが求められている。
地区党の変革基礎に労働運動は前進する
2012年前半の組織的前進は、第二に、中央委員会と細胞の一体的建設論のもと、地区党建設論、地区党指導部の中軸に現場の階級的指導部が位置する闘いとして前進した。本格的地区党建設の出発点となった。
地区党は、党・労働組合・ソビエトの中軸である。党と労働組合の一体的前進は、地区党建設を不可欠とする。地区党は、労働者階級の階級意識の最高の結集体である。したがって時代認識と路線の一致をとことん求める。この路線的一致が一切の前提である。
さらに、地区党の変革なくして労働運動の前進はない。地区党は、団結が求めるすべての領域を担い革命的拠点建設に突き進む。そして新自由主義の矛盾の一切を背負って闘う全階層の結集体である。
2012年前半、この地区党建設論をもって断固として前進した。そのためにも栄光ある地区党の根本的変革が求められている。
不抜の職場拠点建設の段階へと突入した
第三に、われわれは断固とした一歩を踏みださなければならない。階級的労働運動は、不抜の産別・職場拠点建設の段階へ突入したのだ。連合派、体制内派を打倒し組合権力を奪取する段階に入った。
この闘いは、体制内指導部のもとにあった戦後労働運動を塗り替える闘いであり、きわめて価値創造的な闘いである。この闘いは絶対に勝利できる闘いである。なぜなら労働者階級の階級性にとことん依拠するからである。正規と非正規の分断と闘い、階級的団結を取り戻す闘いだからだ。さらに時代認識の確立に挑戦し、社会の主人公である労働者階級の誇りを取り戻す闘いであった。
そして、これらの闘いを前進させるために、学習会、講演会、職場交流会、労働学校などをもって実践が開始された。さらに事後的にも報告集を作成し、根底的組織化の武器にしている。これらの活動は、党と労働組合の一体的前進をかちとる基礎的活動となっている。
非合法・非公然体制建設の死活的重要性
階級的労働運動路線の前進の基礎としての非合法・非公然体制建設の闘いがある。
階級情勢が急速に流動過程に入っている。あっという間にそういう時代が来ている。階級的労働運動の大飛躍へ向けた闘いの過程へ日々突入している。この時に、何十年もの闘いの伝統を持っている組織が、労働者の自己解放闘争を発展させて世の中を全部ひっくり返してやると、そのリアリティーが出てくるのはそんなに遠い先ではない。今の日帝は本当に弱体だ。彼ら自身、支配していく自信がない。だが、だからこそ支配階級は、自信がなくなっている時ほど凶暴化する。
こうした中で非合法・非公然体制があることが、階級的労働運動を発展させる。非合法・非公然体制は、階級的労働運動発展の最深の根拠地である。打倒され、滅ぼされる側は、あらゆる手段をもって攻撃をかけてくる。どういう状況が来てもわれわれはたじろぐことなく大衆運動の先頭で全力を挙げて闘う。それは非合法・非公然体制を背景にしてこそ可能である。今の情勢に対して総合的に党の力を発揮していくために、プロレタリア革命が必要とする土台的なものを守っていく上で決定的に重要となる非合法・非公然体制を圧倒的に強化しよう。
革命的共産主義運動の全力でJR外注化阻止決戦を闘おう
(1) 新自由主義で破壊された人間的共同性とり戻す闘い
帝国主義戦後世界体制は、1974〜75年世界恐慌の爆発を歴史的な契機として、すでに歴史的生命力を完全に喪失している。この中で登場した「新自由主義政策」は、労働者階級の組合的団結の破壊を水路に、人間的共同性のすべてを破壊した。資本増殖の規制を取り払い、世界の富をほしいままに投機の対象にしている。だがそれは国際労働者階級が団結する条件、すなわちプロレタリア世界革命の歴史的条件をついに成熟させているのである。
この到来した革命的激動期のもと、未曽有の階級決戦にいかに立ち向かうか。
20世紀の世界大恐慌と世界戦争に、労働者階級は1917年ロシア革命以来、資本主義・帝国主義の世界史的打倒に決然と立ち上がっている。しかしこの世界革命への巨歩をスターリンは、一国社会主義路線への歪曲とその正当化としての労働者階級自己解放の抹殺と血の粛清と弾圧によって徹底的に圧殺した。国際共産主義運動は、人間的根底的感性、闘争と団結を原理とする労働者自己解放を無残な敗北に導くスターリン主義という反革命運動によってゆがめられ、ねじ曲げられ、窒息させられてきた。21世紀の2012年秋、その全歴史を根底的に転覆する時が来た。
労働者階級自己解放の抑圧・解体と断固として闘うならば、ロシア革命の勝利とそのスターリン主義による歪曲=疎外という歴史的現実を労働者階級自身の意識性と行動・実践において、根底的に変革・創造することができる。人間自身が生み出した疎外から根底的に解放し、人間的意志と生命力の発動、すなわち労働者の存在と闘争を通じた階級意識の発展によって、歴史をどこまでも変革できる未来が切り開かれているのである。
反帝国主義・反スターリン主義の革命的共産主義運動は、資本とブルジョア国家権力との非和解的闘争を根底的に貫徹していく。言い換えれば、人間自身がつくり出した疎外態に支配、屈服し、「共産主義」の名をもってこの疎外態を労働者階級に強制するスターリン主義の歪曲の核心を意識的に打倒していく運動である。この帝国主義打倒・スターリン主義打倒の根底的な貫徹による、強烈な階級意識と共同性・団結の形成こそ、ブルジョア暴力支配を打ち破る決定的な階級決戦に勝ち抜く力である。
3・11大震災と原発大事故は、この帝国主義とスターリン主義によって、封印・封殺されてきた戦後階級闘争と労働者人民の壮絶な闘争の歴史を呼びさました。
「3・11」は、日本帝国主義と労働者階級に連なる一切の関係、戦争と戦後の歴史のすべてを根本から揺さぶっているのだ。同時に「3・11」という人間的生命と存在を根底から揺さぶる事象の中で、闘いの歴史的記憶は、いかなる弾圧、抹殺をも超えて継承され、それが階級的生命となって呼びさまされているのだ。
大震災などの惨事に乗じて利潤と投機を狙う日帝ブルジョアジーと体制内勢力に対して、動労千葉を先頭に、階級的労働運動の根底的実践を対置して、まなじりを決して闘い抜いてきた。その土台は、戦後国鉄闘争と解雇撤回闘争の歴史のすべてを葬り去ろうとした「4・9反革命」との闘争で培われた。それは体制内勢力によって幾たびか葬り去られてきた労働者大衆の生きた闘いを、復権・再生させる第一歩でもあった。
こうして被災地、とりわけ人間としての存在基盤を原発事故によって、奪われ続けている福島の人びとの怒りと根底から結びつくことができたのである。 それは、この階級決戦に、反帝国主義・反スターリン主義の革命的共産主義運動の歴史的存在と階級的生命のすべてを注ぎ込んで闘い抜こうということなのである。
(2) これまでの闘いの全地平かけて10・1外注化を阻む
革共同は、世界大恐慌と3・11情勢のもと、プロレタリア世界革命への飛躍をかけ、「10・1検修外注化阻止」の国鉄決戦に総決起することを宣言する。この死力を尽くした階級決戦を、国鉄決戦を基軸に、国鉄決戦と原発決戦を一体的に勝ち抜き、同時に非正規職撤廃闘争の圧倒的発展として闘いとろうではないか。その核心は、スターリン主義による共産主義運動の歪曲を理論的実践的に粉砕する革共同の半世紀にわたる死闘の総括とその勝利の上に、この階級決戦をとおして強靱(きょうじん)な革命的労働者党を建設することである。
戦後革命期以来、革命的共産主義運動の創成とともに、新自由主義をめぐる80年代中期の国鉄分割・民営化決戦に至るまで、国鉄労働運動は戦後の日本階級闘争を一貫して牽引(けんいん)した。日本階級闘争の歴史的中軸であるがゆえに、その歴史は日本の全政治党派による激烈な党派闘争の戦場になってきた。
とりわけ日本における新自由主義の突破口としてある国鉄分割・民営化攻撃は全政治党派をふるいにかけた。体制内勢力は、国家的死重をかけた国鉄分割・民営化攻撃になすすべなく屈服し、カクマルは、動労本部を握り国鉄分割・民営化の凶暴な先兵になることで反革命としての本質をさらけ出した。この国鉄分割・民営化攻撃に対し階級的労働組合としての存在をかけ、真っ向からストライキで闘い抜いたのは動労千葉だけであった。
今まさに、国鉄分割・民営化決戦以来25年を経て、すべての国鉄労働者が再び人生をかけ、首をかけ、労働者の誇りをかけた第2の分割・民営化決戦が、外注化決戦として到来したのだ。
前述のように、6月29日、JR採用名簿から動労千葉組合員が排除されたことを不当労働行為として初めて明確に認定する東京地裁の重要な判決があった。すでに分割・民営化反対の2波のストライキに対する公労法解雇の撤回・和解と併せて、動労千葉の分割・民営化反対闘争の正義性を完全に認めさせたことは、判決そのものの超反動性を超えた画期的判決であり、本当に偉大な階級的勝利である。
これは国労などの解雇撤回闘争放棄の4・9和解を完全にのりこえ、5・27弾圧闘争、国労4名の解雇撤回闘争の継続、そして組合員権確認訴訟のすべての正義性が貫かれている。この画期的判決が動労水戸の運転士登用差別最高裁勝利、さらに昇進試験制度を始めすべての不当労働行為を断罪する新訴訟と併せてJR資本とその手先どもをギリギリと締め上げている。
こうした新自由主義攻撃と真っ向から激突し勝利し抜いてきた闘いを原動力とする国鉄闘争全国運動は、6・10集会の大成功によって新たな大発展の道を切り開いている。日本階級闘争の戦闘的革命的再生が、国鉄全国運動を軸に展開し始めているのである。
そしてまたこの運動による党派闘争の真の勝利が、あらゆる体制内党派の内部からの階級的根底的離反と自己解放的決起を劇的に進行させている。このことは同時に検修部門外注化阻止闘争の勝利の核心も、会社と体制内勢力の支配から職場労働者とりわけ青年労働者の根底的離反と決起として生み出されていることをも示している。
さらに検修部門外注化阻止決戦に、反合理化・運転保安闘争路線を貫徹して闘わなければならない。動労千葉を基軸とする国鉄闘争を貫く今ひとつの革命的地平は、職場闘争の路線を反合理化・運転保安闘争として打ち立ててきたことである。反合理化・運転保安闘争は、「反外注化」「反民営化」「被曝労働拒否」を貫く闘いである。
それは人間が生み出した技術や機械に人間労働を従属させる転倒した資本主義支配のイデオロギーと、人間生命を否定し人間労働を分断する運動に対して、労働組合を通じた集団的団結と闘争によって生命と労働を意識的な労働過程として奪還していくのだ。そこには労働の最前線において日常的に労働者階級としてその生命を守り、生命力の根幹にある共同性を奪還するというプロレタリアの闘争原理が貫かれている。それゆえにこの路線には、労働者階級が全人民性を獲得していく普遍性が貫かれている。またこの路線は、資本主義への経済的従属を組織する経済主義を突破して闘い抜かれる。
外注化とは、徹底的な労働者の分断と団結破壊であり、「最新技術」による人間労働の陳腐化・空洞化を通じた低賃金・非正規雇用化である。外注化を通じて、資本はむきだしの価値増殖への規制の一切から自由になっていく。それは同時に、資本が生産や輸送に関するあらゆる社会的責任を放棄することなのだ。そこからJRは新自由主義に延命を託す他の巨大資本のように雇用、安全などの社会的責任をすべて子会社に丸投げしようとしている。
さらにJRは「原発、鉄道、水」のパッケージ輸出を、日帝の延命をかけた国際争闘戦のための「9割非正規化」の階級戦争として仕掛けている。「原発、鉄道、水」はいずれも、非正規雇用化と多重搾取の構造を持ち、極限的な搾取・収奪である新自由主義攻撃であり、民営化攻撃にほかならない。そしてこの構造を支えることで寄生しているのが、連合を始めとする体制内労働組合のダラ幹どもだ。「原子力村」に典型的な、このような腐りきった社会構造に、労働者階級自身の手で断を下す決定的な闘争を検修外注化決戦において開始するのである!
(3) 4大産別先頭に全産別で外注化阻止・非正規職撤廃へ
世界大恐慌、大失業と戦争の時代の到来の中で、検修外注化阻止決戦は、日帝の階級支配を根底から覆す闘争であり、全国全産別において、同じ路線を貫くことによって、根底的かつ全面的に立ち上がっていくということである。同時に、労働者の階級的団結破壊として激しく進められる外注化・非正規労働、被曝労働に労働組合の名で屈服を強要する連合、全労連指導部をその内部から打倒し、労働組合を労働者階級自身に奪還し、帝国主義打倒まで止むことない総決起を開始するということだ。
10・1外注化阻止決戦は、国鉄決戦を基軸に国鉄決戦と反原発決戦の一体的発展をプロレタリア革命へと大きく飛躍させていく突破口である。
さらに今まさに2500万の非正規職撤廃闘争が、国鉄決戦、原発決戦とともにこれと一体・緊密となって、労働組合の階級的再生をかけたプロレタリア革命の大きな柱として打ち立てられている。
昨年の8・30国鉄集会以来の外注化・非正規職撤廃闘争の前進が、鈴木コンクリート工業分会、郵政非正規ユニオンの激闘を経て、急速に2500万非正規労働者の獲得と決起をかちとる巨大な革命的空間を切り開いている。非正規労働者があらゆる困難をものともせず、人生をかけクビをかけて、自らの力で組合をつくり、正規労働者とのかぎりない団結を求めて決起しているのである。ここにはまさに労働者階級の本来的革命的魂が解き放たれている。その瞬間、あらゆる分断は打ち砕かれ、正規と非正規の一体的決起が、有機的累乗的力を発揮していくのである。
全産別で非正規職撤廃を掲げ、外注化・民営化のもたらす団結破壊・労組破壊、さらなる非正規化と全員解雇攻撃、安全破壊と被曝労働の強制と徹底的に闘い抜こうではないか。全逓、教労、自治体、医療・福祉、合同・一般、金属、NTTなど、それぞれの歴史的決起をかちとろう。
(4) 事故と被曝の責任とらせ反原発闘争の無限の発展を
広島、長崎そしてビキニで命を奪われ、被曝に苦しめられてきた人びとの歴史と存在を一時も省みず、空前の原発事故と被曝を福島と全国全世界にもたらした日帝ブルジョアジーの責任を絶対にあいまいにしてはならない。日帝ブルジョアジーと体制内勢力によって葬り去られてきたすべての人びとの命と思い、怒りを胸に、その打倒に向けて根底的に前進しよう。広島、長崎、ビキニの真実を隠し、葬り去ろうとしたところに福島がある。福島の怒りは、広島、長崎、ビキニと根底的階級的に結びつくことによって全労働者階級と人民の闘いに転化する。原発も核兵器も絶対反対で団結し、労働者の階級性においてすべての怒り、慟哭(どうこく)、誇りを今に貫き、生き生きと甦らせ、全国全世界の核と被曝の強要に対する怒りを階級的に一つにして、どこまでも拡大しよう!
この怒りは、本年3・11郡山以来、「原発再稼働反対・全原発廃炉」の闘いとして、消費税大増税と非正規雇用攻撃の全面化のただ中において、数十万の人びとの空前の歴史的決起となっている。それは、首相官邸の十数万の決起を経て、7・16の17万人決起をかちとり、今やプロレタリア革命をはらむ壮大な闘いに発展している。解き放たれた巨万の労働者大衆は、戦後的体制内左翼の幻想と制動から自由となり、この革命的うねりは、瞬く間に職場に還流しようとしている。体制内勢力による職場支配の「最後の防波堤」である職場と街頭(政治)の分断が、外注化決戦と一体で、4大産別を先頭に、全産別において突破されようとしているのである。
反原発闘争の無限とも言うべき発展をかちとろう。その先頭にNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)の闘いがある。何よりもNAZENは、福島の怒りを体現し貫徹する運動体として、今や鮮烈に認知され始めている。青年学生、青年労働者を先頭に、このかけがえのない運動体を大きく豊かに、明るく輝かしく発展させよう。
福島における診療所建設を命と団結の寄る辺として打ち立て、郡山、いわきにおいて反原発・被曝労働拒否を路線的に貫き階級的拠点を打ち立てよう!
(5) 野田と橋下反革命を階級の根底的怒りで打倒する!
日帝の未曽有の政治危機は、経済のみならずブルジョア議会制民主主義の根底的危機として爆発している。民主党政権が鳩山、菅と続き、最後に野田に残されているのは、どのような憤激を呼ぼうとも、日帝ブルジョアジーを救済するという使命感だけである。それは同時に、労働者階級に打倒される恐怖にまみれた連合幹部も同様である。
事態の核心には、戦後の議会制民主主義に対する労働者大衆の最後の幻想の崩壊がある。大飯原発再稼働以降も増え続け、7・16以降も高揚する巨万の首相官邸包囲デモは、労働者大衆がブルジョア支配体制と体制内勢力への幻想から完全に決別し始めたことを示している。さらに野田の原発再稼働とともに、国家的収奪としての消費大増税と社会保障解体攻撃は、巨大な階級的憤激と決起を引き起こしている。労働者大衆が巨万の規模で、自分たち自身の主体性において行動し始めたのである。
この革命的な息吹とうねりに感動し、決定的に結びつき、今こそ新自由主義と野田政権を打倒し、プロレタリア革命への進撃を開始しよう。
8月は、6〜7月闘争の歴史的高揚を引き継ぎ発展させる決戦的な月になる。検修外注化阻止決戦と一体で8月広島・長崎などの反戦・反核闘争、さらに改憲阻止闘争を階級的に爆発させよう。10月オスプレイ配備との非和解的激突に入った8・5沖縄県民大会、8・15労働者・市民のつどいの歴史的階級的勝利を切り開こう。階級支配の全構造を見据え、職場闘争に不屈に勝ち抜き、これと一体で沖縄闘争、改憲阻止闘争に総決起しよう。この巨万の決起とわが革命的隊列が結びつくことを、心底恐れている国家権力の弾圧に勝ち抜こう。
この革命的激動情勢だからこそ、本質は極右の反革命でありながら、「改革者」のポーズをとり、大衆迎合的手法を駆使し、大衆の憤激を労働者階級と労働組合の打倒に組織する橋下との対決を絶対にあいまいにしてはならない。橋下は自民党と民主党の支配の崩壊に対して、その批判者を装いながら日帝ブルジョアジーの新たな救済者として登場しようとしている。
この攻撃にリアリズムを与えているのも連合を始めとする体制内労働組合のダラ幹どもだ。橋下との断固たる対決ではなく、屈服を呼びかけているのが彼らにほかならない。9月橋下打倒闘争は、ブルジョアジーの卑劣な延命に断を下し、その救済者を労働組合の団結と労働者大衆の自己解放の力で根底から粉砕する階級決戦である。
(6) 学生運動の大衆的高揚を
反スターリン主義・革命的共産主義で自らを武装し、〈国鉄決戦と反原発闘争でプロレタリア革命を押し開く>先頭に立ってきた学生戦線は、2012年後半において目もくらむような歴史的飛躍に打って出る。絶望的破綻に直面する日帝・新自由主義に対して、一方では日本労働者階級の全命運をかけて10・1JR全面外注化阻止決戦が87年国鉄分割・民営化粉砕決戦をしのぐ階級決戦として激しく闘い抜かれ、他方では革命への萌芽を内包した数十万規模の原発絶対反対の歴史的大闘争が波状的にたたきつけられている。
戦後革命期以来の革命的情勢のただ中で、学生運動がキャンパスと街頭で300万学生の先頭に立って、全プロレタリアートと全人民の利益をも体現して登場する機は成熟しつつある。日帝・新自由主義を打倒するために、反原発闘争と大学自治の復権を日本戦後学生運動の全蓄積と飛躍をかけて貫く。9月全学連大会に始まり、11月労働者集会に至る全過程を、中央学生組織委員会と大学細胞の一体的建設・強化をテコにして、新自由主義を打ち破る学生運動の大衆的高揚を戦取する。
法大では、大学祭全面規制=学生の団結破壊に、根底的怒りと決起が巻き起こっている。キャンパスでの力関係をなんとしても転換させる。そして暴処法「無罪」の地平から、停・退学処分撤回の大運動を起こし、勝利する。法大学生自治会の革命的復権の闘いとして貫く。
京大は、3千を超える京大生の意志として同学会再建を果たした地平を、日本学生運動の名において守り抜く。それは、関西電力を主力として支え、大飯原発再稼働の張本人である京大松本総長体制を、反原発闘争のキャンパスを揺るがす決起で打倒することである。同時に、「6・22当局告示」=同学会非公認を新自由主義大学の腐敗の極致として弾劾し必ずや粉砕する。さらに、福島の根底的根源的怒りの先頭で福島大を反原発闘争の拠点に転じる。「革命の火薬庫」=沖縄で学生運動の断固たる登場をかちとる。東北大、広島大、富山大を始めとして、自治寮死守、学生自治会の再建・強化などに全面的に打って出る。今秋決戦こそ、学生自治会の旗を押し立てて、21世紀の現代革命を引き寄せるマルクス主義・共産主義を甦らせる、学生運動の本格的復権と高揚をかちとる。
(7) 三里塚・沖縄闘争を闘い全戦線での大前進を開こう
国策と真っ向から闘って46年間、不屈・非妥協に闘い、成田空港の完成を阻んできた三里塚闘争は、反原発の巨万の決起の情勢の中で、実に決定的な位置に立っている。三里塚は絶対反対派の拠点であり、反戦・反核の砦(とりで)である。市東孝雄さんの農地を強奪するための第3誘導路工事など国家総ぐるみの攻撃に対し、体を張って闘い、打ち砕こう。10・7三里塚現地大集会へ結集しよう。
オスプレイ配備反対を契機に、沖縄闘争の新たな大高揚が生まれている。この根底には、辺野古の海上実力闘争を闘い抜いた青年の決起、沖縄に国鉄闘争を広げてきた戦闘的労働者の闘い、非正規労働者の組合結成、そして全駐労のストライキなど、階級的戦闘的な労働者の不屈の闘いがあり、階級的労働運動の路線が勝利の道筋を示しているのだ。5・15「復帰」40年の闘いを引き継ぎ、さらに全国で沖縄の決起に応えて闘おう。
階級の闘いとともに
労働者階級の闘争を基軸に、日帝打倒へ向けた全戦線における有機的前進を切り開こう。
革共同の革命的労働者党としての団結は、国家権力との闘争の最前線で階級的団結をつかみ取ってきた弁護士戦線を先頭に、全国農民会議の結成に示される農民の闘いの前進、入管闘争の歴史的展開と新自由主義下での国際連帯闘争の前進、幾多の階級決戦と内戦を支えきり新たな決起と結びついた女性解放闘争、さらに労働者階級との分断を打ち破る部落解放戦線における階級的団結の形成など真に豊かな教訓を生み出している。そして自衛隊解体・兵士獲得のため地区党建設の先頭で闘う反軍戦線、新自由主義攻撃と必死で闘う障害者解放闘争の前進がある。
この地平は、日本階級闘争における半世紀の革命的労働者党をめぐる死闘の歴史の上に切り開かれている。革共同の闘いの歴史は、時代に立ち向かい、前進している限りにおいて無駄なことは一つとしてない。時代は、革共同が歴史的存在として、さらに決定的に屹立(きつりつ)することを要請している。
党の諸戦線における課題は、労働者階級の闘争と存在の中に路線的展望を据えるということにある。労働者階級の生きた闘争に徹底的に依拠し、運動の前進と一体でマルクス主義の武装と路線的一致をかちとることが重要である。党的思想と路線的一致によって全戦線をプロレタリア革命の不可欠の一環として前進させよう!
10・1外注化実施阻止をかちとり、11月労働者集会の巨万の大結集に向けて進撃しよう!
資本・権力との死闘に勝てる不抜の革命党を建設しよう!
万規模の階級的隊列を登場させて闘おう
党は、3・11郡山集会と動労千葉の4・1外注化阻止以来、急速に労働者大衆の求心力を高めている。既成政党に対する絶望の裏側で、真に力ある党と指導者、その勢力の目に見える登場への全人民的待望が明確にある。今や数千、数万の労働者階級人民の強烈に団結した隊列を登場させる力、そして闘争に実際に勝利しその負託に応えることが決定的に求められている。今まさに全労働者人民の決然たる行動を呼びさます時代が来ているのだから。
こうしたことは、国家権力の暴力装置あるいは武装反革命との対峙―激突をも不可避とする。しかし、われわれはこうした死闘に先制的に勝利してきた。その上に階級的に団結した青年・学生の部隊の底知れぬ戦闘性を生み出しているのである。したがって、なんらたじろぐことはない。しかもわれわれは、動と反動の激突のことごとくが労働者階級の不抜の団結の糧となることを明確につかんでいる。11月に向け今秋の決戦の一つひとつを、巨万の労働者隊列を登場させていく決定的な過程として闘おう。
中央委員会―細胞と地区党の団結が核心
党と労働者階級の生死をかけた一大階級決戦に突入するにあたって、党の団結こそが一切の勝敗を決する鍵であり、また不抜の党的団結の形成こそが帰着点であることを断固として確認しよう。未曽有の情勢の中で、中央委員会―細胞の一体的建設を一切の土台にして、路線的指導性を発揮した中央労働者組織委員会・産別委員会と地区党建設との一体的確立が何よりも急務である。全国の細胞と一層緊密に呼吸しながら、その全体が党的団結を打ち固めつつ、全国単一の革命的労働者党として変革と飛躍をかちとっていくのである。
党細胞の建設は、ブルジョアジーのみならずあらゆる体制内勢力との死闘的攻防を通じて実現できる。とりわけ職場細胞建設は、地区党の中にしっかりと位置づけると同時に、党―中央そのものとして建設されなければならない。勝利も敗北も中央のそれとして峻厳(しゅんげん)に総括されなければならないのである。すべての党員は、労働者大衆の前では党を代表するのであり、それは党中央として屹立して初めて可能になる。
労働者大衆の党に対する信頼は、党が一つに団結しているという点にある。そして団結の核心は、帝国主義とこれを擁護する勢力とりわけ国家権力と一歩も引かず断固として闘争していることで形成される。党が国家権力の弾圧に一歩も引かず完全黙秘・非転向を貫き勝利し続けていること、同時に星野文昭同志の37年間の不屈の獄中闘争に裏打ちされて、党に対する信頼が圧倒的に高まっている。日本労働者階級人民は、さまざまな歴史的闘争の中で日帝ブルジョアジーとこれを守る体制内諸党派に裏切られ続けてきた。だからこそ簡単に信用はされない。しかもその体制内派が、その本質が暴かれるのを恐れ、労働者大衆との結合を切断するためにありとあらゆる攻撃を仕掛けてくる。だからこそ今はっきりさせよう。われわれこそ日本労働者階級自身であり、その党であると。
宣伝・扇動―機関紙を軸とした組織建設へ
われわれが「革命の時代に通用しているか否か」を判断する指標は宣伝・扇動戦にある。機関紙の購読者数は、われわれの影響力を直接的に示すバロメーターである。巨万の労働者の隊列の登場の土台は、機関紙活動にある。宣伝・扇動が労働者階級とりわけ青年の胸を打ち、その根底的決起を生み出す内容があるのか否かは、きわめて重要な真剣勝負である。党の機関紙もまた日本労働者階級そのものにならなければならないのだ。
そういう観点に立ってまず党員自身が読み込み、その毎号の階級的息吹を伝えながら配布することが、日常的機関紙活動である。ビラや機関紙の配布や読み合わせを、われわれは帝国主義の物質的支配を打ち破る団結を求める生命力の発動として貫徹している。ビラや機関紙はわれわれ自身である。われわれはビラや機関紙を通じて、相手と団結しようとしているのである。この原理を貫き圧倒的に説得力と獲得力のある機関紙とビラを発行し、真剣勝負で巨万人民と団結しよう。そして、こうした挑戦の中に財政闘争の発展の源泉がある。
権力の攻撃を無力化する弾圧との闘いを
ブルジョア国家権力は、議会制民主主義を隠れみのにしつつ労働者階級人民に対する暴力支配を独占的に貫徹する。労働者階級大衆は、国家の暴力装置が自分たちを守るのでなくブルジョア国家を守るためにあることを歴史的現在的に感知している。したがって、反弾圧の闘争はそれが根底的に闘われた時に、労働者大衆の深い怒りに転化する。それゆえまた、革命的労働者党に対する信頼は、弾圧攻撃に対する断固たる対応によって深く、広く生み出されていくのだ。
わが党の同志たちは、国労労働者に対する5・27弾圧、さらに法政大において、戦前・戦後の労働運動、学生運動に猛威をふるった暴処法弾圧を完全黙秘で打ち破った。この金字塔的地平を先頭として、2012年前半の連続的弾圧を次つぎと打ち破る決定的勝利をかちとった。
帝国主義ブルジョアジーの危機と分裂、労働者階級大衆の怒りの行動の激化は、まぎれもなく革命情勢の急速な到来を示している。だからこそ、ブルジョア国家権力は、労働者階級の階級的撃破にその国家暴力を集中させるのである。この暴力性の集中によって党と労働組合の変質と解体を図る。戦前の革命運動とりわけ日本共産党は、ここにおいて決定的に敗北した。わが党の非合法・非公然体制の40年余に及ぶ日帝国家権力との激烈な攻防は、まさに敵の破防法発動や非常事態法によるあらゆる法と権利の停止を根本で粉砕する闘争として勝利的に展開されている。あえて言えば、大衆の中に繰り返し流布される「国家権力万能神話」が神話でしかないことをはっきりさせていく階級の背骨をめぐる闘争だ。労働組合における死闘の勝利と党をめぐる死闘の勝利は階級的に一体である。
党と労働組合をめぐる死闘に階級的労働運動路線で勝ち抜き、巨万の隊列を登場させよう! その基礎こそ非合法・非公然体制の強固な確立である。そしてその力が階級的労働運動路線をさらに強力に発展させる。革命の時代が到来しているからこそ、階級的労働運動路線と非合法・非公然体制の建設はどこまでも一体である。非合法・非公然体制の力で、長期指名手配同志を守り抜こう! 迎賓館・横田爆取裁判を始めすべてのデッチあげ弾圧粉砕の闘いに勝利しよう。
獄中の星野文昭同志と一つになった2・5徳島刑務所包囲の600人のデモに権力は打ちのめされ、凶暴化している。3・30再審棄却決定を弾劾し、「全証拠開示」を要求する大運動が7・1霞が関・銀座デモから始まった。今秋この闘いをさらに広げ、星野同志を奪還しよう!
国家権力の攻撃の一切を無力化し、不抜の革命党を建設しよう!
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週刊『前進』(2546号9面1)(2012/07/30 )
国労大会 会場に迫るデモに立つ
国労大会初日の7月26日、共に闘う国労の会は早朝から大会会場前での宣伝行動に立った。静岡県警と結託し組合員を排除する本部を激しく弾劾し検修外注化阻止の決戦方針確立を訴えた。また伊東市内で決起集会と大会会場に迫るデモを貫徹。解雇撤回・外注化阻止・全原発廃炉の声をあげた
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週刊『前進』(2546号9面2)(2012/07/30 )
国際労働運動 9月号
野田打倒が改憲阻む
世界大恐慌と3・11情勢は、日帝の改憲衝動を一気に高めた。米帝は「トモダチ作戦」を発動し戦争態勢に突入し、日帝は国家存亡の危機に陥りながら対応不能となり、脱落帝国主義の姿をさらけだした。「国家緊急権が必要」「改憲が必要」と叫び立てた。
野田は帝国主義としての生き残りをかけて原発を再稼働し、消費大増税、オスプレイの沖縄配備を強行しようとしている。それを連合が支えている。すべてが全人民の生活の根源を破壊する攻撃であり、数十万人のデモが激発している。革命情勢が切迫している。
第1章は、日帝の改憲衝動の全体像を明らかにし弾劾している。戦争の観点から原子力基本法、宇宙機構法を改悪し、自民党らが国家緊急権、労働三権解体を含む改憲案を提出していることだ。
第2章は、新自由主義とは労組破壊でありその集約点が改憲であること、10・1外注化阻止の国鉄決戦が反撃の転換点であり、連合に支えられた野田を打倒する闘いが改憲阻止闘争と提起している。
第3章は、労組破壊・改憲攻撃を粉砕する突破口として橋下打倒闘争の重大性を訴える。「私たちは奴隷ではない」と橋下打倒の労働者の決起が始まっている。
資料として緊急事態に関する改憲試案、自民党改憲草案、大阪維新の会・維新八策を載せた。
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週刊『前進』(2546号10面1)(2012/07/30 )
プロレタリア革命と共産主義
職場を支配する労働者の力が資本主義の転覆を可能にする
坂本千秋
原発再稼働に対する労働者人民の怒りは、ついに国と社会の根底的変革を求める巨大な歴史的行動となって現れた。まさにプロレタリア革命へ向けての闘いが現実に始まったのである。この革命によってこれまでの支配体制を打倒した上に労働者階級人民が築き上げる「新しい社会」とは何か。革共同の綱領草案はこのことを、資本主義社会の転覆と真の人間的な共同社会=共産主義社会の建設として提起している。その核心問題について、さらに踏み込んで考えてみよう。
人間社会の共同性奪還へ
世界大恐慌の深まりと、その中で発生した昨年3・11の大震災と原発大事故は、今日の資本主義・新自由主義の末期的な姿を白日のもとにさらけだした。わずか1%にも満たない大独占ブルジョアジー(資本家階級)が国家と全社会を独裁的に支配し、99%の犠牲の上に「命より金もうけが大事」と突っ走っている。原発再稼働と被曝の強制はその頂点だ。そのもとで今や労働者のほとんどが非正規職に突き落とされ、農民・漁民が生活基盤を破壊され、失業と貧困がまんえんし、教育や医療などすべてが崩壊し始めている。
彼ら1%の支配をもうこれ以上、許しておくことはできない! そのもとで社会全体が底の底まで腐り果て、崩れ落ちていくのを黙って見ているわけにはいかない。子どもたちのために、人類の未来のために、今こそ立ち上がって彼らを打倒し、人が人として生きられる社会を打ち立てよう。これが首相官邸前と7・16に集まった人びとの固い決意であり、意志である。この決意がさらに拡大し発展していくのを押しとどめることは、もう誰にもできない。
社会が人間の共同体であるとすれば、今日の資本主義社会はそれとはまったく異なった、きわめて非人間的で転倒した社会となっている。「この世の中は生存競争だ。生き残るためには他人をけ落とせ」という資本の弱肉強食の論理のもとで、人間本来の共同性が破壊され、人と人とが限りなく分断されてきた。資本主義の最末期である新自由主義は、それを極限まで推し進め、ついには社会そのものが成り立たなくなる寸前まで追い込んだのだ。
私たちが目指すのは、この転倒した社会を打ち倒して、真に人間的な共同社会を打ち立てることだ。「フクシマ」の現実を本当に突破していく道もここにある。これは人類の歴史を塗り替える巨大な歴史変革の事業である。だがけっして困難なことでも、途方もなく時間のかかることでもない。労働者人民が本気で決意して総決起すれば、すぐにでもできることである。
なぜなら、敵はわずか1%であり、人民の側は99%であるからだ。1%がほしいままにふるまうことができたのは、99%の人びと、とりわけその圧倒的中心である労働者階級に、資本主義があたかも永遠に続く社会であり、労働者は闘っても勝てないかのように思わせてきたからだ。そして資本に買収された労働組合の幹部たちが労働組合を変質させてこれを支えてきたからである。さらにそれをも突き破って闘う者には公安警察を差し向け、あらゆる手段で弾圧してきたからである。
だが労働者階級にはこの社会を根底から変える力がある! 労働者こそは、その労働によって生産と社会を成り立たせているこの社会の真の主人公だ。資本は労働者なしでは実際には何も生産できないが、労働者は資本家なしでもその団結の力によって立派に社会を運営できる。そして労働者階級は、その団結を通して奪われてきた人間的共同性を奪い返し、新社会を建設していく能力を闘いの中で自ら獲得していくことのできる階級なのである。
マルクスは、資本主義は最後の階級社会であり、その転覆は階級社会そのものの廃止につながること、そして近代の労働者階級=プロレタリアートこそ、この転覆の担い手として資本主義が自ら生み出した決定的存在であることを明らかにした。共産主義とは、労働者階級が自分自身の自己解放を通して階級社会を廃止し、全人間の解放を達成しようとする現実の運動である。1871年のパリ・コミューン、1917年のロシア革命は、労働者階級がブルジョア独裁の国家を打倒して自分自身の国家を打ち立てるならば、共産主義社会の建設に向かって進むことはまったく可能であることを指し示した。
だがロシア革命を変質させたスターリン主義は、労働者階級の中にこそ社会を変える力があるというマルクス主義の最大の核心をゆがめ、否定し解体した。その結果、旧ソ連や中国のスターリン主義は、労働者や農民を極度に抑圧しながらそれを「社会主義」「共産主義」の名で正当化し、帝国主義とともに第2次大戦後の世界を核の力で支配して、プロレタリア革命を圧殺する役割を果たしてきた。このスターリン主義こそ、連合に代表される労働組合の御用組合化と並んで、新自由主義のもとでの資本のやりたい放題をここまで許してきた元凶である。
今必要なことは、労働者階級がこれら一切の壁を突破して、労働者階級解放の思想であるマルクス主義を自らの手に奪い返し、階級として一つに団結して資本主義社会転覆のために総決起することだ。そして農民・漁民をはじめとするすべての勤労諸階級・諸階層の人民が、この労働者階級と固く団結してともに立ち上がることだ。
原発再稼働への数十万人の怒りの決起、その背後にある数百万人、数千万人の社会変革への熱い思いを一個の組織された力に変え、ブルジョア国家権力を実際に打倒できる力へと成長させていくことである。闘う労働組合をよみがえらせることこそ、その出発点である。全力で闘い、勝利へ向かって突き進もう。
労働者階級の団結が出発点
資本主義社会の根底には、人間の労働力が商品となり、労働が労働する人間自身の生きる喜びとしてではなく資本の価値増殖の手段に変質させられている現実がある。「命より金もうけ」に象徴されるこの社会の転倒した非人間的あり方の一切は、この労働力商品化を基礎として成り立っている。この賃労働と資本の関係を、資本の廃止によって全面的根底的にひっくり返し、人間労働と人間社会の本来の姿をよみがえらせること。ここに問題の核心がある。
そもそも、人間とは何か。人間が行う労働とは何か。
人間は自然に働きかけ、自然を加工して生産物をつくることで日々の生活を再生産しながら生きている。だが人間の労働は、動物が餌をとる行為とは違い、人間自身の自由な意識的活動として、また本質的に他の人間との協働すなわち社会的な活動として行われる。他の動物とは異なるこの人間労働の特殊性こそ、人間が自分たち自身の社会を形づくる根源である。
ところが資本主義社会では、社会の主要な生産手段が資本家階級の私有財産となり、労働者階級は一切の生産手段・生活手段から切り離されて、自己の労働力を「商品」として資本家に売る以外に生きることができない状態に落とし込められている。そこでは、労働の生産物は労働者自身のものではなくすべて資本のものとなり、労働者が働けば働くほど、その結果は労働者を抑圧し支配する資本の力の増大となって現れる。そして人間の最も人間的な活動であるはずの労働は、労働者を逆に人間ではなく機械の部品に転化し、資本を肥え太らせるためには労働者の命さえ奪い尽くす恐るべき強制労働となっている。
今日、全社会に広がる非正規職労働者をとりまく現実、あるいは被曝労働に示される現実は、その極限的な姿であると同時に、実は資本主義のもとですべての労働者がおかれている本質的な姿そのものである。
だが、資本がどんなに搾取を強めても、労働者が人間であり、労働者の行う労働が人間の労働であることを百パーセント否定することはできない。どんなに虐げられ踏みにじられていても、否、そうであればあるほど、労働者階級の中から「おれたちは奴隷じゃない!」という根源的な叫びと反乱が必ず起こってくる。
3・11の被災地で起きたこともそうだ。被災地では実は、人間は他の人間と互いに助け合ってこそ生きられるということが、極限状況の中で膨大な労働者人民の間に一瞬にしてよみがえった。「トモダチ作戦」という名の軍隊の治安出動は、これに対する支配階級の恐怖の反応にほかならない。
新自由主義が労働者を徹底的に分断し、人と人との社会的きずなを破壊し尽くしていても、労働者階級が生きるために団結して立ち上がり始めるなら、その瞬間に、奪われていた人間的共同性がこの団結の中に不死鳥のようによみがえってくる。この団結が資本の支配を掘り崩すのだ。労働者階級とはそういう階級なのである。だからこそマルクスとエンゲルスは『共産党宣言』で、労働者階級は資本主義の「墓掘り人」であると言い切ったのである。
資本の廃止が全問題の核心
資本主義社会の転覆は、労働者階級がその団結の力でブルジョアジーの政治権力を完全に打倒し、これまでの国家機構を徹底的に解体して、自分たち自身のまったく新たな国家(コミューン型国家)を打ち立てることから始まる。この国家は、打倒された旧支配階級の抵抗を根絶・一掃するためにプロレタリアートの独裁として建設される。しかしその本質は、ブルジョア国家が社会の1%による99%への独裁であるのに対し、逆に99%の圧倒的多数者による1%への独裁であるという点で、すでに自分自身の死滅を準備している国家だと言える。
勝利した労働者階級はこのもとで、旧社会の解体と同時にその中から「生まれ出たばかりの共産主義社会」の建設に直ちに着手する。その第一歩は、資本家階級の手から彼らが私物化してきた社会的生産手段のすべてを実力で没収し、労働者国家による国有化を通して、社会全体の共有財産に変えることである。
その核心は資本の廃止だ。資本とは、多くの労働者の労働によってつくりだされる一つの社会的な力が資本家階級のものとなり、他人の労働を搾取する力に転化したものだ。資本主義社会では生産手段が直接生産者である労働者から切り離されて資本家階級の私有財産になっているために、労働者がつくりだすこの社会的な力が社会全体のものとならずに資本家階級の独占物となり、「資本の力」に転化して労働者人民を支配している。
資本主義の転覆とはひとことで言えば、このブルジョア的私有財産、すなわち生産手段の私的所有を廃止することだ。そのことによって労働の生産物がもはや資本に転化することのできない状態をつくりだすことにある。
そして資本が廃止されれば、賃金労働も廃止される。労働者はもはや、日々の生活の糧を得るために自分の労働力を資本家に切り売りする必要は一切なくなる。代わって、社会の全成員がひとしく労働者=生産者となって、社会的に必要な労働を互いに分かち合って働き、生産物を共同で管理し消費する体制が始まるのだ。そこでは、失業や過労死という資本主義につきものの労働者階級の困苦も当然ながら消えてなくなり、他人の労働を搾取して生きる者自体がまったく存在しなくなる。
さらに、搾取する階級がいなくなれば、もっぱら労働に従事する階級すなわち労働者階級という「階級」もなくなる。社会が他人の労働を搾取する者と搾取される者に分裂してきた階級社会の歴史に、完全に終止符を打つ道がここについに開かれる。そして階級社会のもとでのあらゆる社会的差別や抑圧、肉体労働と精神労働の分裂と対立、都市と農村や諸民族間の分断と対立をも、階級社会の廃止とともになくしていくことが可能になる。
また、生産手段の共有を基礎とする共同体的社会のもとでは、個々の労働は直接に社会的総労働の一部を構成し、全生産者=労働者の主体的結合のもとで社会的生産の全体を計画的・意識的に組織していくことが可能になる。商品経済のもとで貨幣がもっていた人間を支配する神秘的な魔力は失われ、貨幣自体が必要なくなって消滅する。
共産主義建設の二つの条件
資本の廃止はこのように、階級社会の廃止と共産主義社会建設へ向けての決定的な水路を切り開く。それは、資本主義のもとですでに成熟していた共産主義社会建設の諸条件が、資本の廃止によって一気に解き放たれるからである。
一つは、資本主義が歴史上初めて生み出した巨大な生産力のすべてが、人間社会の発展のための共有財産として丸ごと社会に還元されることだ。いま一つは、この生産力の大発展を生み出すもととなった、資本主義の近代的大工業のもとで組織された大規模な「結合した労働」が、資本の専制支配のもとでの強制された結合から、労働者自身の自主的で意識的な結合に置き換わることだ。ここに共産主義社会の真に豊かで高度な建設を可能にする客体的条件と主体的条件が生まれてくる。
21世紀の今日、生産力の発展は、社会の全員が一日にせいぜい1〜2時間の労働をすれば、全人類の物質的生活を維持できる規模に達している。資本を廃止して他人の労働を搾取して生きる者を根絶しさえすれば、もはや「生存競争」のために人間同士が争う必要などまったくない、飢餓も貧困もない世界をつくりだすことはできるのだ。
さらに、大工業のもとに組織された何千人もの労働者の結合労働は、その個々の労働力の算術的総和ではなく、それをはるかに超えるものを生み出す。人間はもともと、共同体社会の一員として他の人間とともに労働することで、自分自身の個人的限界をも超えていく力を発揮する。そこに人間労働の本質がある。この本質が資本の支配を打ち破って全面的に解き放たれる中でこそ、社会が直面するあらゆる問題を人間自身の団結の力で解決していくことが可能になる。
原発事故がもたらした深刻な放射能汚染と対決し、克服していく大変な闘い、核と原発を実際にこの地上からなくしていく闘いも、この中でこそ真に勝利していくことができる。未来は圧倒的に開かれているのである。
労働組合の革命的な役割
資本家階級から彼らの私有財産である生産手段を没収することは、プロレタリア権力のもとでの武装したプロレタリアートによる革命的な権力行使なしにはできない。だがそれを生産現場で実際に実行するのはまさに、各職場生産点における労働者階級の闘いだ。労働者がその団結の力をもって職場のすべてを自分たちの支配下におき、革命政権の発する布告を各職場で実行に移すところから、一切が始まる。
労働者階級の基礎的団結形態である労働組合の役割は、ここにおいて決定的な位置をもっている。労働組合は、労働者が資本の無制限の搾取に対して団結して立ち向かうために結成されるが、同時にその存在と闘い自体が資本の専制的な職場支配をその足元から掘り崩すものである。
だからこそ資本は、労働者の団結、労働組合そのものを敵視し、その破壊に全力を挙げる。労働者階級は逆にこの団結を唯一の武器に、「生きぬくための闘い」=資本との日々のゲリラ戦を闘いぬくと同時に、資本の支配に対するより根底的な反撃を開始する。すなわち、資本の職場支配に内側から穴を開け、食い破り、ついには職場支配権を実質的に資本の手から奪い取っていく闘いだ。
動労千葉が切り開いてきた反合理化・運転保安闘争の、戦後労働運動における画期的意義は、この職場支配権をめぐる攻防に労働組合の側から積極的・攻勢的に踏み込んでいったところにある。そして、資本の意のままには職場が回らない状態を実力で資本に強制する地平を押し開いてきたのである。12年間にわたる外注化阻止の闘いの勝利も、その結果だ。
この職場支配権をめぐる資本との格闘を日々の闘いに意識的に貫き、発展させ、個々の職場をロシア革命時のプチーロフ工場のような労働者階級の闘いの拠点につくりかえること。そうした拠点職場を全産別と地域の中に無数に築き上げること。これが権力奪取の基礎的条件を形成するのであり、またこの闘いを土台とすることで、労働者階級による社会的生産の全面的な掌握・管理・運営への道が現実に切り開かれてくるのである。
逆に言えば、この闘いが一定のところまで進むことなしには、ブルジョア権力打倒の蜂起の勝利も、プロレタリア権力の樹立とそのもとでの共産主義への前進もありえない。
何より重要なことは、一人ひとりの労働者がこの闘いを通して生産の主体としての自覚と誇りを取り戻すことだ。そしてそれは、人間としての誇りと力を取り戻すことである。このことこそが、労働者を抑えつけている全体制を空中に吹き飛ばしていく労働者自身の自己解放の巨大な力を全面的に解き放つ。
また労働者は、この闘いの中で自分たちの職場の狭い利害を超えて、階級全体・人民全体の利害を貫く立場に自分自身を立たせていくことを学んでいく。すなわち、職場生産点の制圧を基礎にして、労働者階級が実際に社会全体に責任をとる勢力として登場し、そのための階級的力を労働組合としての闘いの中で養っていくのである。
闘う労働組合をよみがえらせることは、今日あらゆる意味で決定的だ。この闘いを、労働者階級の革命党の建設と一体で、今こそ全力で推し進めなくてはならない。
農民をはじめとする諸階級・諸階層の人民は、ブルジョアジーとプロレタリアートの二大階級が真っ向から生き死にをかけて激突する中で、プロレタリアートの陣営に断固として合流してともに闘うことによって、自らもまたプロレタリア革命と共産主義社会建設の主体となる。具体的には、ブルジョア国家権力を打倒するために労働者階級と連帯して決起し、プロレタリア権力の母体となるソビエトの建設を労働者階級と固く団結してともにやりぬくことである。
社会の階級への分裂をなくし、あらゆる差別や抑圧をなくしていく力も、この団結の発展の中で培われていく。党・労働組合・ソビエトは、プロレタリア革命の勝利と新社会の建設を可能にするためにプロレタリアート自身が闘いの中で生み出していく組織であり、そのどの一つが欠けても真に勝利することはできない。
世界の労働者と共に進もう
この闘いは、帝国主義とスターリン主義による世界支配の体制を全面的に打倒する、プロレタリアートの国際的に連帯した決起によってこそ真に勝利することができる。プロレタリア革命は本質的に世界革命である。「万国のプロレタリア、団結せよ!」の言葉を今こそ実践する時代がきているのだ。
すでに、世界大恐慌の深まりと国際ブルジョアジーの生き残りをかけた争闘戦の激化、新自由主義攻撃の絶望的凶暴化の中で、全世界のいたるところで労働者や農民の死活をかけた決起が続々とわき起こっている。そして、世界の労働者人民にとって倒すべき敵は同じであり、目指す目標も同じであることがますます明らかになっている。
問題は、これまで労働者階級を抑えつけてきたあらゆる既成の枠組みを打ち破って、労働者階級の怒りと自己解放のエネルギーを根底から解き放つような団結をつくりだすことだ。そしてそれを、一個の組織された力へと成長させていくことだ。闘う労働組合、階級的労働運動の全社会的な登場と、これと一体となった労働者階級の本物の党、革命党の登場こそその突破口である。
動労千葉労働運動を生み出し、また「3・11フクシマ」の試練に立ち向かってきた日本の労働者階級こそ、全世界の最先頭で、世界のプロレタリアートが進むべき道を切り開かなくてはならない。2012年後半の決戦に勝ちぬくことはその第一歩である。全国にわき起こる反原発の大闘争の先頭に立ち、その成否をもかけて、10・1外注化阻止の国鉄決戦に必ず勝利し、プロレタリア革命への扉を押し開こう。
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週刊『前進』(2546号10面2)(2012/07/30 )
オスプレイ搬入弾劾
岩国で怒りの抗議行動
7月23日早朝、殺人輸送機オスプレイの米軍岩国基地への搬入・陸揚げ強行に反対して、岩国基地南側対岸の岩国市尾津町の堤防道路上に全国から600人の労働者・市民が結集した。岩国市住民の実行委員会の呼びかけで、朝と午後1時からの2回にわたって抗議行動が行われた。
「怒」の紙を手にした多くの岩国市民を先頭に、全国各地で米軍基地に反対する市民団体や労働組合が、この間の野田政権の人を人とも思わないやり方や「命より金もうけ」の政治に対する心の底からの怒りに突き動かされて、自己解放的に結集してきたのだ。
地元の岩国市職労を先頭に、山口県下の自治体労働者やJR労働者、関西生コン支部も組合旗をおしたてて結集した。労働者は、職場での当局・資本攻撃と一体のものとしてオスプレイ配備の問題をとらえて怒りを爆発させている。これほど多くの労働者・市民・学生が直接、岩国基地に対して怒りの声をあげたことはなかった。首相官邸前の「あじさい革命」と同様の闘いが岩国でも開始されたのだ。
被爆67周年8・6ヒロシマ大行動実行委員会や百万人署名運動、NAZENに結集する仲間、広島大の闘う学生も、広島と岡山から30人がこの日の闘いに決起し、抗議行動にともに参加した。基地強化−オスプレイ配備反対は、核廃絶・原発廃炉の闘いと完全に一体の闘いだ。「原発もオスプレイもいらない」「オキナワ・フクシマと団結して闘おう」「野田政権を打ち倒そう!」のかけ声は、結集したすべての労働者人民に共感を呼び起こした。
仲間たちは、朝には堤防での抗議行動と呼応して岩国市役所へのビラ入れを、昼には岩国駅前で街頭宣伝を行い、オスプレイ配備に反対するビラと8・6ヒロシマ大行動のビラを配布した。市役所の労働者も街頭も、圧倒的に「オスプレイ配備反対」だ。「次は8・6ヒロシマへ!」というコールは、多くの参加者に受け入れられた。8・6ヒロシマに大結集し、その力で野田を打倒しよう! (広島・OS)
7月21日、佐世保で、オスプレイの岩国基地への搬入、さらに沖縄への配備に反対して、長崎県平和運動センターの主催で「脱基地! 脱原発! オスプレイ配備と原発再稼働を許さない長崎県集会」が開催された(写真下)。数百人の労働者が集まり、原発再稼働に反対するとともに、オスプレイの配備に反対して佐世保市内をデモ行進した。
この集会に長崎労働組合交流センター(準)と百万人署名運動を推進する長崎の会も参加し、ともにオスプレイ配備を弾劾し、8月9日の長崎反原発反戦反核集会に向けてチラシをまいた。
日米両政府の戦争政策の激しい展開と労働者への攻撃に対する怒りが、緊急闘争にもかかわらず多数の労働者の結集を生み出している。この怒りを引き継ぎ、8月広島・長崎闘争の高揚をかちとろう!
(長崎・K)
(写真上 オスプレイ岩国基地搬入に対し、8・6ヒロシマ大行動実行委が怒りの先頭に【7月23日 岩国】)
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