ZENSHIN 2012/07/16(No2544 p06)
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週刊『前進』(2544号1面1)(2012/07/16 )
JR外注化阻止決戦へ
7・29革共同政治集会かちとり 8・6ヒロシマ大行動に立とう
野田・橋下打倒へ怒りの総決起を
動労水戸 検修・構内外注化と徹底的に闘う 「グループ会社と一体となった業務体制のさらなる推進について」(水戸支社)に対する緊急声明 詳報次号
(写真 7・13官邸前 再稼働反対!野田打倒!の叫び 労働者人民の怒りはとどまることなく、首相官邸前―永田町―霞が関一帯を毎週金曜日の夜に埋め尽くして爆発している) 原発再稼働や消費大増税を始め、危機にあえぎつつ絶望的に凶暴化する野田政権の打倒へ、今こそ総決起する時だ。首相官邸前行動の空前の高揚と労働者民衆の団結、7・16代々木公園の巨万の反原発決起から、7・29革共同政治集会の大成功と国会包囲闘争、8・6ヒロシマ−8・9ナガサキヘ、嵐のような進撃をかちとろう。今こそ闘う労働組合の力で野田を打倒し、新自由主義を打ち破るのだ。その最大の闘いが国鉄決戦であり、10・1JR外注化阻止決戦だ。歴史的決戦に総決起しよう。
10・1外注化阻止は歴史的な階級決戦
勝利の展望はひとえに労働組合の階級的再生にかかっている。その核心は、国鉄分割・民営化以来営々と闘い抜かれてきた国鉄決戦にあり、とりわけJR東日本の10・1検修全面外注化を阻止できるかどうかにかかっている。10・1外注化阻止へ、7〜8月からすべての労働者人民が総決起することを訴えたい。
JR東日本は、車両の検修部門という鉄道輸送の安全の根幹にかかわる業務を、10月1日から全面的に外注化しようとしている。そもそも外注会社には、車両の検査修繕を行う能力はまったくなく、JR東日本から労働者を出向、転籍させようとしている。これは違法な偽装請負そのものだ。
動労千葉は平成採の青年労働者の怒りの反乱と結びつきながら、この攻撃を12年間も阻み続け、今年の4・1外注化も阻止してきた。そして今や4・9政治和解の反革命を打ち破り、JR東労組や国労本部の裏切り・妥結と対決し、10・1外注化阻止の大決戦に、この7〜8月から完全に突入しているのだ。
外注化と非正規職化は新自由主義の決定的攻撃である。新自由主義という腐り果てた破綻的社会をつくり出した本格的な始まりが国鉄分割・民営化だった。だから新自由主義を打ち倒し、命脈尽きたブルジョア社会を根底から変える道は、民営化と外注化・非正規職化粉砕の大攻防に勝ち抜くことにある。
「国鉄改革3人組」と言われた葛西敬之(現JR東海会長)は、”表層民意によらず原発を再稼働するのが非常時のリーダーの使命”と主張してきたが、野田の再稼働の決断を「敬意を表したい」と絶賛している。同じく「3人組」の一人、井出正敬(元JR西社長)は尼崎事故の責任を問われ在宅起訴された法廷で、「事故は想定外」と強弁している極悪人だ。しかも井出は「勝手連」と称し橋下・大阪維新の会を支える運動を続けている。
福島県民に被曝と棄民化を強制し、原発再稼働を推し進めている野田の背後には、何よりも金もうけ優先のJR資本があり、葛西や井出らがのさばっているのだ。「人間の命よりも金」という新自由主義の根底的変革は、国鉄決戦、外注化阻止決戦で分割・民営化に労働者階級の側から決着をつけ、JR体制を打倒することによってかちとられるのだ。
10・1外注化への東労組の裏切り妥結と国労本部の総屈服は絶対に許せない。中曽根の国鉄分割・民営化も動労(現JR総連)カクマルを先兵にして初めて成立した。同じように今、JR資本と東労組は断末魔の腐った結託体制を再建し、外注化攻撃を進めようとしている。しかしもうこんなものは通用しない。平成採の怒りの反乱は不可避である。
10・1外注化阻止はまさに7〜8月から実質的な決戦に突入する。しかもJRの外注化阻止には4大産別、全産別の労働者の現在と未来がかかっている。日帝ブルジョアジーが狙う「9割非正規化」もJRが突破口だ。4大産別を先頭に全産別の職場で、外注化阻止・非正規職撤廃へ本格的に決起しよう。
連合ダラ幹打倒し労働組合の再生へ
今日、絶望的に凶暴化する野田政権を支えているのは資本家階級であり、それ以上に連合ダラ幹どもである。連合は、発足時に当時の首相・竹下が「抱擁したい」と語ったように、国鉄分割・民営化と総評解体によって日帝ブルジョアジーと帝国主義的労働運動の指導部がつくりだしたものだ。この連合が今や原発推進の最先兵となり、消費増税関連法案を「早期に成立させるよう求める」(南雲事務局長談話)などと叫んでいる。
だが連合の労働者支配は破綻している。ここに連合の最大の危機と矛盾がある。そしてその対抗軸こそが不屈に闘い抜かれてきた国鉄闘争であり、1047名解雇撤回闘争であり、今日の国鉄闘争全国運動だ。第2の分割・民営化攻撃としてある10・1全面外注化を、動労千葉・動労水戸−動労総連合や国労郡山工場支部を先頭に、JR職場での青年労働者の怒りの反乱と、4大産別の現場からの総決起をもって断固粉砕しよう。
野田とJR資本を中枢とする資本家階級にとって原発再稼働と外注化攻撃は完全に一つだ。だからこそ労働者階級の側は、再稼働反対と外注化阻止を新自由主義を打倒する基軸的闘いとして総決起していこう。
動労千葉への6・29鉄建公団訴訟判決は、解雇を有効とする反動判決であるが、同時に不当労働行為を初めて認定させた画期的判決であった。「次は解雇撤回だ!」。今こそ1047名解雇撤回闘争を外注化阻止決戦と結合して、徹底的に攻勢的に闘う時だ。外注化阻止決戦もこれをバネとして勝利を切り開こう。
今や「動労千葉を支援する会」と「共に闘う国労の会」の力が全面的に発揮される時だ。会員拡大と夏季物販闘争に全力を挙げ取り組もう。
反原発で解き放たれる根底的な怒り
被災地・福島を先頭とする労働者階級人民の怒りのすべてが全面的に解き放たれつつある。6・22(4万5千人)−6・29(20万人)−7・6(15万人)と繰り返し、繰り返し、首相官邸前とその一帯を「再稼働反対」の叫びで埋め尽くし制圧する闘いは、さながら日本における「タハリール広場」だ。
欧州恐慌を今日的な最先端とする世界大恐慌の底なしの激化・深化のもとで、ギリシャ労働者の不屈の決起を始め全世界の労働者階級の嵐のような革命的決起。これと今や完全に一つとなって、日本の労働者階級人民の歴史的決起が始まっている。しかもこれは、大恐慌下ですでに歴史的命脈の尽きた資本主義・帝国主義と、生きていくための必死の闘いを開始した全世界の労働者階級との力と力の激突、倒すか倒されるかの階級決戦情勢の到来を告げている。
脱落日帝とその利害を凶暴に絶望的に体現する野田政権は、未曽有の危機の中からとんでもない反動を密集させている。6月16日の大飯原発再稼働決定以来、日本原燃による六ケ所再処理工場での高レベル放射性廃液のガラス固化試験再開(6月18日)、「もんじゅ」新機器作動の確認(6月21日)、原子力規制委員会設置法の付則で原子力基本法を改悪し、「わが国の安全保障に資する」を盛り込む(6月20日)など、核燃サイクルの維持と核武装の意図をいよいよ露骨にして、原発推進政策を強行している。
福島原発事故の収束の展望もない中で、電力資本は「(柏崎刈羽原発について)新生東電を経営するうえで根幹の一つだ」(東電社長・下河辺)、「脱原発はまったくない」(関電社長・八木)などとうそぶいている。大飯3号機フル稼働にあたり、経産副大臣・牧野は「行き詰まっていたエネルギー政策が第一歩、将来に向けて前進した」と公言した。
同時に野田は、自民党と結託して消費増税関連法案の成立強行に突き進み、オスプレイ沖縄配備をあくまで狙い、集団的自衛権の憲法解釈見直しまでぶち上げている。新自由主義攻撃の最先兵である大阪維新の会の橋下は、この野田に最大限の賛辞を送り始めた。
この腐りきった新自由主義・日帝の全構造を革命的にぶっ飛ばさなければならない。その最大、最深の力こそ、労働者階級の団結と労働組合の復権・再生だ。反原発闘争を再稼働阻止・全原発廃炉へ、労働者と労働組合の力でさらに拡大・発展させよう。被曝労働反対で闘おう。そしてこれと固く結合して、10・1JR外注化阻止の階級決戦に全力決起しよう。
この決戦とプロレタリア革命の勝利のためにこそ、夏期カンパ闘争に全力を挙げて取り組もう。7・29革共同政治集会のかつてない歴史的成功を断固として実現しよう!
(写真 7・8三里塚 反対同盟、誘導路直撃デモ【成田市東峰=記事5面】)---------------------------------------------------
週刊『前進』(2544号1面2)(2012/07/16 )
前進速報版から
▼仙台開催のNTT労組大会で訴え▼椎名千恵子さんの米西海岸反原発ツアー報告▼大飯原発再稼働にエテコンが日本政府弾劾の声明
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週刊『前進』(2544号1面3)(2012/07/16 )
【要綱】7・29革共同政治集会
7・29革共同政治集会
外注化阻止・非正規職撤廃! 再稼働阻止・被曝労働反対!日帝・野田政権打倒し、プロレタリア革命勝利を切り開こう
〈東京〉基調報告 深田 力(中央学生組織委員会議長)
7月29日(日)午前11時開会 豊島公会堂(豊島区東池袋1-19-1)
〈関西〉基調報告 黒沢 肇
7月29日(日)正午開場 午後1時開会 大阪市立西区民センター(大阪市西区北堀江4-2-7)
〈東北〉基調報告 岡崎康史
7月29日(日)正午開場 12時30分開会 仙台市戦災復興記念館地下展示ホール(仙台市青葉区大町2-12-1)
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週刊『前進』(2544号2面1)(2012/07/16 )
1047名闘争をよみがえらせる時だ
10・1外注化阻止と一体で今こそ解雇撤回へ大運動を
6・29判決の意義と国鉄決戦の展望 不当労働行為を認定
動労千葉鉄建公団訴訟の6・29東京地裁判決は、1047名解雇について、司法権力に初めて具体的かつ明確に不当労働行為を認定させた。1047名の国鉄労働者が受けた事実上の指名解雇が不当労働行為だったことを裁判所に認めさせたのだ。日本階級闘争にとって決定的な戦略的地平だ。不当労働行為を認めた以上、解雇撤回は当然だ。だが6・29判決は「解雇は有効」とした許しがたい判決だ。実践方針は、今こそ国家的不当労働行為を徹底追及し、解雇撤回・原職復帰の大原則のもとに国鉄1047名闘争をよみがえらせることだ。動労千葉と国鉄闘争全国運動は高裁段階で解雇撤回をかちとるための大運動を提起している。JR外注化阻止決戦と一体の闘いとして、構えを大胆に変え呼びかけを開始する時だ。
(写真 1800人が参加した6・10国鉄大集会で登壇する動労千葉争議団と和解を拒否して闘う国労闘争団員) 原則貫く闘いが開いた地平
判決は、原告である動労千葉組合員9人がJR採用候補者名簿に記載されていたにもかかわらず、設立委員会への名簿提出期限(87年2月7日)直前に、改革労協(現JR総連)の横やりで「停職6カ月以上または停職2回以上」という不採用基準が策定され、原告らが名簿から削除されたことを不当労働行為と認めた。不当労働行為がなければ「JR東日本に採用されたはず」とまで述べている。
しかし、そこまで述べながら”国鉄とJRは別法人”という国鉄改革法23条の枠組みを固守し、再就職促進法が3年で失効したので90年4月1日の国鉄清算事業団解雇は有効という結論になっている。
損害賠償についても、JRに採用された場合と清算事業団時代の賃金差額だけを認定しているが、JRに採用されていれば3年で清算事業団から解雇されることはない。まったく筋の通らない話だ。バックペイ(無効な解雇後の賃金)に言及するなら、現在まで25年分の賃金全額支払いが必要だ。結局、「解雇は有効」という結論ありきの許しがたい反動判決なのだ。
動労千葉鉄建公団訴訟は、国鉄が採用候補者名簿の作成の際に行った組合差別・選別行為を明らかにし、国鉄清算事業団(現在は鉄道運輸機構)による解雇の撤回と雇用関係を認めさせてJR復帰の足がかりとする裁判だった。不当労働行為に対する救済措置は原状回復が基本であり原則だ。裁判所は論理構造的には、もはや解雇撤回しかないところまで追い込まれている。
今回の判決は、不当労働行為を徹底追及して解雇撤回で闘っていく路線の勝利性と正義性を完全に示した。動労千葉の闘いは、一昨年の4・9政治和解への4者4団体の屈服をのりこえ、不当労働行為について全面的に争い、それを認めさせることで新たな一歩を切り開いたのだ。
一昨年の4・9政治和解を拒否して闘い続けたことの大局的な意義ははかりしれない。国鉄1047名闘争を支援し、心を寄せてきた文字通りすべての人びとに対して再度、解雇撤回闘争へ総決起を呼びかける時が来たのだ。
解雇者を守るのが労働組合
戦後日本の労資関係に大きな影響を与えた60年三池闘争は、職場活動家1200人の指名解雇をめぐる大争議だった。総評が最盛期の頃だ。「総労働対総資本」と呼ばれる大闘争となり、全国から10万人の支援が現地に結集し、ホッパー決戦では1万人の警官と2万人のピケ隊が対峙した。しかし最後は指導部が、無期限ストライキを解除し指名解雇の対象となった労働者は自ら退職するという斡旋(あっせん)案をのんだ。
これに対して国鉄1047名闘争は、1千人を超える国鉄労働者が、幾度にもわたる和解策動や闘争圧殺、既成指導部の裏切りを打ち破って闘いの道を選んだ。国鉄分割・民営化反対闘争の第2ラウンドとして史上最大・最長の解雇撤回争議が25年を超えて闘われてきた。
1047名の国鉄労働者は、「国鉄分割・民営化に反対する国労や動労千葉に所属している」というただ一点で解雇された。国鉄当局や動労カクマルなどからすれば、87年4月1日を前に動労千葉も国労も消えてなくなっているはずだった。しかし、動労千葉は2波のストを通して団結を守り抜き、国労も86年修善寺大会の攻防を通して4万人の組合員が残った。
こうした状況の中で国鉄当局と動労カクマルらは、明白な不当労働行為=採用差別を行ったのだ。本州においては、大幅な定員割れが発生したにもかかわらず、ストを貫徹した動労千葉組合員12人や国労活動家など75人が清算事業団に送られた。北海道・九州では、定員を大幅に縮小して無理やり過員を生み出し、「仲間を裏切れない」と国労に残った組合員が選別的に清算事業団に送られた。1047名の国鉄労働者は、国鉄分割・民営化と不屈に闘い抜いてきた誇り高き動労千葉や国労の組合員だ。筆舌につくしがたい理不尽な差別と選別、解雇の攻撃に怒りを燃やし、「必ずや政府とJRに責任を取らせる」と闘ってきたのだ。故中野洋動労千葉前委員長は「1047名は日本労働運動の宝だ」と終生たたえ続けた。
古今東西の労働組合運動の歴史は、組合の先頭で闘った役員・活動家に対する指名解雇攻撃に組織の総力をあげて闘ってきた経験に満ちている。労働組合が指名解雇を許せば、労働組合の自己崩壊に行き着く。仲間を見殺しにする組合は労働組合ではない。そんな組合のもとで、職場の仲間のために闘おうとする者は出てこない。1047名解雇撤回闘争は労働組合の階級的生命をかけた問題なのだ。
動労千葉にとって、分割・民営化反対闘争の中で解雇された仲間、駅や売店などに強制配転された仲間を職場に取り戻し、運転士への登用差別を粉砕する闘いは、組合と団結を守るために絶対不可欠な課題なのだ。
10・1JR外注化決戦のさなかに解雇撤回への一歩前進を切り開いたことは、組織拡大にもインパクトを与える。
国鉄闘争が占める決定的な位置
あらためて国鉄闘争の階級決戦における巨大な意義を再確認する必要がある。強調したいのは、日本の階級関係・政治地図の基底には、一貫して連合の存在があるということだ。
国鉄分割・民営化攻撃を通して55年体制の一方の支柱だった総評・社会党ブロックが解体されたことから今日にいたる階級関係や政界の再編は始まった。労働者階級の全国的団結形態だった総評が解体されたことは、資本家階級と労働者階級との力関係に大きな変動をもたらした。賃労働と資本の関係が非和解的である以上、資本家階級の政策と攻撃は、労働者の抵抗を常に見据えている。総評が存在した時は、職場や地域で労働組合がそれなりに対抗関係を形成し、ナショナルセンターの存在は階級関係全体に有形無形の影響力をもってきた。これがあるとないとでは労働者階級の対抗力はまるで違う。
元首相の中曽根康弘が正直に語っているように、この総評を解体するための核心的攻撃が国鉄分割・民営化だった。
89年に総評が解散し、連合が結成された時に初代会長のポストを得た山岸章(全電通)は、非自民政権の樹立を標恫(ひょうぼう)して政界再編にうつつを抜かし、自民党を飛び出した小沢一郎と手を組んで93年の細川政権誕生に暗躍した。そして、小沢と気脈を通じつつ「政治改革」−社会党解体に血道をあげた。
その後、いったんは自民党が政権を奪回、小泉構造改革とその破産、リーマンショックなどを経て民主党政権の樹立に至った。連合はその最大の支持母体となり、選挙の実行部隊となった。民主党政権には、連合の幹部が労働貴族の名にふさわしく次々と入閣した。
国鉄分割・民営化と総評解散・連合結成の影響は、日本労働運動の弱体化と労資協調化にとどまらなかった。労働組合を新自由主義の内在的先兵とし、ついには日本帝国主義の最後の救済者に仕立て上げたのだ。今日の民主党・野田政権の底なしの危機、あるいは原発再稼働や消費大増税、社会保障解体など労働者階級へのむちゃくちゃな攻撃を考えれば、国鉄分割・民営化と総評解体によって労働者階級が一敗地にまみれた影響は途方もなく大きい。
反原発20万決起と結びつき
だが、ナショナルセンターの解体や労働運動の後退という20年以上の階級的停滞を超えて、端的に言えば総評も社会党も存在しない中で、20万人もの人民が首相官邸前を占拠し、「野田を倒せ」「原発再稼働阻止」と闘う情勢が始まっている。60年、70年を超える規模で人民決起が始まっている。これはゴールではなく始まりだ。日本の労働者階級はここから団結や組織(労働組合と党)を取り戻していく。
この情勢の中で、連合との対抗軸として存在してきた国鉄闘争において地殻変動が起きているのだ。4者4団体は、一昨年の4・9政治和解をもって「解雇撤回」「政府の謝罪」「原職復帰」などをすべて投げ捨てて解散した。だが、動労千葉が発した「国鉄闘争の火を消すな!」の叫びは国鉄闘争に心を寄せてきた多くの人びとの心をとらえ、動労千葉の外注化阻止闘争と結合しながら、広範な呼びかけ人陣形をつくり、着実に闘いの戦線と陣地を広げ、新自由主義と闘う労働運動の可能性をつかんできた。6・29判決は、この国鉄闘争全国運動にとって決定的な地平を打ち立てるものであり、1047名闘争再生への号砲だ。
動労千葉は10・1外注化阻止の大勝負に入っている。これこそ、90年代以降の資本攻勢の柱であるアウトソーシング=外注化・非正規雇用化を打ち砕き労働運動の新たな展望をつかむ決定的な闘いだ。ここに労働運動再生の展望の一切がある。
国鉄闘争は巨大な可能性をもった闘いだ。20万人決起の息吹を全身に感じながら、1047名解雇撤回闘争と10・1外注化阻止決戦を階級決戦として闘おう。被曝労働を許さず、各産別で新自由主義と闘う労働運動の飛躍的前進をつくりだそう。分割・民営化以来の大反動を打破し、労働者階級が反転攻勢に出る絶好の機会が来たのだ。国鉄闘争全国運動を軸に職場・地域に賛同会員と基金の拡大を呼びかけ、職場闘争を開始しよう。
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週刊『前進』(2544号2面2)(2012/07/16 )
動労千葉鉄建公団訴訟 東京地裁判決の要点
「不採用は不当」ならば直ちに解雇を撤回しろ
動労千葉鉄建公団訴訟における6・29東京地裁判決は、国鉄1047名闘争勝利への決定的突破口をこじ開けた。判決の全体像を見る中で、その意義と今後の展望をつかみとりたい。
判決のポイント@
不採用基準は不当労働行為と初認定
判決の第一のポイントは、国鉄当局による「停職6カ月以上または停職2回以上」という不採用基準の策定・適用を不当労働行為と認定したことだ。判決は以下のようにその事実を認定した。
当時、国鉄分割・民営化攻撃の先頭に立った「改革派」の国鉄官僚どもは「不当労働行為をやれば法律で禁止されていますので、私は不当労働行為をやらない……、やらないということはうまくやるということ」(当時国鉄職員局次長、現JR東海会長の葛西敬之)と公言しながら労組破壊攻撃を全面展開した。
しかし、あまりに激しい攻撃の中で多くの国鉄労働者が「希望退職」で職場を去り、分割・民営化直前の1987年冒頭にはJR本州各社で大幅な定員割れが発生することが判明した。当然にも原告らを含めた採用候補者名簿が作成され、当時の国鉄総裁・杉浦も会見で「本州全員採用」を表明せざるをえなかった。
これに対して動労カクマル松崎を先頭とする改革労協(現JR総連)が猛烈に反発、2月2日に開いた鉄道労連結成大会では「国鉄改革に反対する不良職員が採用されかねない。……われわれは断じて許さない」という特別決議まであげて”国労と動労千葉の首を切れ”と当局に要求した。
名簿作成の中心にいた葛西は、カクマル松崎らと結託し、設立委員会への名簿提出(2月7日)直前に急きょ不採用基準をデッチあげ、原告らを名簿から削り落とすよう指示したのだ。
真実隠し続けた被告・鉄運機構
動労千葉と顧問弁護団は提訴以来7年余り、この問題の追及に訴訟の大半のエネルギーを注ぎ込んできた。被告の鉄道運輸機構側は、自らが首切りの張本人でありながら「(基準の)作成時期は昭和62年1月ころと思われるが……詳細は不明」というふざけた主張をくり返し、この問題から逃げ続けてきた。
原告側は2009年12月の口頭弁論で、国鉄職員局補佐として名簿作成の中心にいた伊藤嘉道証人を引きずり出し、原告らがいったんは名簿に登載されていたこと、急きょ策定された不採用基準で名簿から排除したことを証言させた。JR不採用から実に20年以上もたって初めて明らかになった真実だった。
4者4団体の鉄建公団訴訟、鉄道運輸機構訴訟判決では、不採用基準について「基準自体は明確なもの」とされ、該当する原告は慰謝料の支払いからも除外された。”重処分を受けた者はJR不採用になっても当然”とされてきたのだ。
動労千葉鉄建公団訴訟はこの壁を破った。判決は、「動労千葉等、分割・民営化に反対する労働組合に属する職員を不当に差別する目的、動機の下に、本件名簿不記載基準を策定したと推認するのが相当」であり「裁量権の逸脱ないし濫用に当たる」と国鉄当局の不当労働行為を具体的に認めざるをえなかった。
判決のポイントA
賃金相当分の損害賠償を一部認める
第二のポイントは、慰謝料だけでなく初めて損害賠償(差額賃金)の支払いを認めさせた点だ。
先行する4者4団体の裁判の判決は、名簿作成過程における組合差別を認めながら、「不当労働行為が行われなかったと仮定しても原告ら全員が希望する地元JRに採用されたはずであるとの証明はされていない」と強弁して賃金相当分の損害賠償を否定し、”JR各社に採用される可能性があったとの期待権侵害”に対する慰謝料だけを認定した反動判決だった。
しかし、動労千葉鉄建公団訴訟の判決は、「本件名簿不記載基準が策定されなければ、原告らは採用候補者名簿に記載され、その結果、JR東日本に採用されたはずであるといいうる」と明確に認定し、一部とはいえ賃金相当分の損害賠償を認めた。この点も、これまでの裁判を一歩のりこえる重要な内容だ。
にもかかわらず判決は、「不法行為に基づく損害賠償請求権と、雇用契約関係の存続を前提としたいわゆるバックペイ(無効な解雇後の賃金)の請求権とは……その性質が異なる」とし、「上記不法行為の実質は、原告らに対する国鉄によるJR東日本への採用妨害行為というべきものであって、原告らが労働能力自体を喪失したわけではない」とか「再就職するのに相当と考えられる合理的期間の賃金相当額のみを認めるのが相当」と勝手に決めつけ、JR不採用から3年間の賃金の差額(JRで働いていた場合と清算事業団在籍時の賃金の差額)だけを認定した。
判決のポイントB
清算事業団からの解雇は有効と強弁
第三のポイントは、ギリギリまで追い詰められながら解雇撤回だけは絶対に認めない反動性にある。とにかく解雇有効の結論ありきなのだ。
判決は、国鉄改革関連法のひとつである再就職促進法が90年4月までの時限立法だったことを理由に、原告と国鉄清算事業団の雇用契約関係は「同法失効時には……当然に終了することが予定されていた」とし「清算事業団が原告らにたいして行った本件解雇は、合理的な理由があり有効」と強弁した。
再就職促進法のどこにも3年たったら解雇するという条文はない。そもそも、採用候補者名簿からの排除という不法行為の結果、原告らは清算事業団に送られたのだ。国鉄を引き継いだ清算事業団―鉄道運輸機構は名簿からの排除を取り消し、JR各社に原告らを採用させる義務があるのだ。
この点についても判決は「本件名簿不記載基準の策定及び原告らの採用候補者名簿の不記載という行為と本件解雇が一体ということはできない」と原告の主張を退けた。
判決は、「国鉄の経営破綻に対しいかに対処するかが重要な国家課題となっていた」とか「経営体制を抜本的に改革して分割・民営化を行うとともに、国鉄の抱える数万人に上る余剰人員の解消が重要な課題となっていたことは明らか」と述べ、国鉄分割・民営化の最大の目的が国鉄闘争解体にあったことを覆い隠すとともに、白昼公然たる国家的不当労働行為で20万人もの国鉄労働者が職場を追われ、200人が自殺に追い込まれたことを是認している。
国鉄改革法23条が、承継法人への採用手続きを国鉄による採用候補者名簿作成と設立委員による採用という2段階に切断し、不当労働行為の責任をJRに負わせない卑劣な仕組みをつくったことについても、判決は「余剰人員の削減という国家的課題に対処すべく、上記のような採用手続きを法定することは、国会の立法裁量の範囲内」と全面肯定し、大量解雇と労組破壊のすべてにあらためて承認を与えた。
国鉄闘争勝利の大攻勢に立とう
東京地裁は、動労千葉争議団を先頭とする原則的闘いによって外堀を埋められ、もはや解雇撤回を言い渡すしかない寸前のところまで追い詰められた。判決文は論理的にも完全に破綻している。しかし、あくまで”国鉄とJRは別”という国鉄改革法がつくりあげた虚構にしがみつき「解雇は有効」と強弁しているのだ。この最後のとりでを攻め落とし、1047名闘争勝利へ突き進もう。
不当労働行為は明白な犯罪だ。組合差別による不当解雇は撤回されなければならない。この判決は、組合をつくれば(加入すれば)即解雇という攻撃にさらされている多くの青年労働者にとっても決定的な意味をもつ。国鉄闘争支援陣形を形成してきた労組と労組活動家はもとより、多くの青年の中に今こそ1047名闘争を持ち込み、共同の闘いとして解雇撤回をかちとろう。これが6・29判決への回答だ。 --------------------
不当労働行為認定した6・29判決
▼「動労千葉等……に属する職員を不当に差別する目的、動機の下に、本件名簿不記載基準を策定したと推認するのが相当」
▼不採用基準策定がなければ原告らは「JR東日本に採用されたはずであるといいうる」とし、その損害として「JR東日本に採用されたであろうことを前提にした経済的利益(逸失利益)を観念する余地がある」と言明
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週刊『前進』(2544号2面3)(2012/07/16 )
“労組を再生しよう”
NTT労組大会で訴え
7月11、12日に被災地の仙台で開催されたNTT労組大会の初日、全国労組交流センター電通労働者部会は、被災地フクシマから全国のNTT労働者に熱烈に訴える宣伝行動を行った(写真)。
「怒福島隊」と「福島診療所建設」ののぼりを掲げ、診療所建設委員会事務局長でもあるNTT労組組合員の渡辺馨さんが「再稼働反対! 福島返せ! 労働組合の力で原発をなくそう! 非正規職を撤廃し青年の未来を守ろう! 7・16代々木公園へ! JR全面外注化阻止決戦に勝利しよう!」と訴えた。
会場前でまかれた電通部会のビラは現場労働者の怒りを体現している。「若年層と呼ばれる私たちのことが今回の大会議案書には1行しか載っていません。将来がどうなるのか毎日不安で夜も眠れない」(25歳)。「私は手取り10万円そこそこで食っていくのがやっと」(22歳)。「生涯賃金を65歳まで先延ばしされて(全国配転される)全国流動型なんてやってられない」(45歳)
今大会でNTT労組中央は、NTT資本が打ち出した65歳への定年延長と生涯賃金引き下げ、3割賃金カット案を丸のみしようとしている。こんな御用組合があっていいのか! 電通部会の訴えは、大合理化と非正規職化に全面協力するNTT労組中央への根底的批判であり労組再生への戦闘宣言だ。
当日、労組中央執行委員の名札を付けたダラ幹どもは、ビラ回収のゴミ袋まで持った30人近い「大会警備」による執拗(しつよう)な妨害を行おうとした。それは、現場の怒りに対する危機感と恐怖の表明だ。
外注化・非正規職化、大幅賃下げと被曝労働強制に対する職場の労働者の怒りと闘いを燃え上がらせ、労働組合を現場の手に取り戻そう。国鉄決戦と反原発決戦を基軸に新自由主義打倒の階級決戦を闘いぬこう。
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週刊『前進』(2544号2面4)(2012/07/16 )
【要項】国労組合員資格確認訴訟、鉄道運輸機構訴訟控訴審
国労組合員資格確認訴訟
7月18日(水)午前0時30分
東京地裁527号法廷
鉄道運輸機構訴訟控訴審
7月19日(木)午前11時
東京高裁101号法廷
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週刊『前進』(2544号2面5)(2012/07/16 )
訂正
前号2面の青年の訴えの見出しとリードにある「大阪市職労」は「大阪市職」の誤りでした。
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週刊『前進』(2544号3面1)(2012/07/16 )
若者が殺到する労働組合を
郵政非正規ユニオン 齋藤裕介委員長が語る
非正規職の青年の怒りと団結で
組合結成から1年、自らの雇い止め撤回闘争を闘いつつ、4万6千人の大量雇い止め攻撃との熾烈(しれつ)な組織戦を闘いぬく郵政非正規ユニオンの齋藤裕介委員長に、闘いの出発点から今日までを語ってもらった。それは国鉄分割・民営化とならぶ新自由主義の一方の柱、郵政民営化の核心をなす「9割の非正規職化」との非和解的な激突だ。(編集局)
(写真 東京多摩支店正門で怒りの声をたたきつけた昨年10月のデモ。マイクが齋藤裕介委員長) 社会のあり方を変える力を持った運動めざす
――組合結成から1年間の感想は?
いろんな仕事を転々として、ようやく安定したと思った郵便局で雇い止めになり、闘う仲間と出会った。一番の感想は仲間が一つの心になって闘えること。労働組合の一番大事なところです。
僕の世代の青年は、他人を蹴落として生きることを強いられた面もあります。幼少の頃から成績の良い人間は先生から優遇されたり。お金のある家、ない家。良い学校に入ればいい職業に。仲間意識は子どもの頃から削り取られてきたように思います。そして社会に出れば非正規雇用。これは新自由主義といわれる今の社会の根本的な問題ですね。
――どういう闘いをめざしたいですか?
この社会のあり方を変える力を生み出すような非正規労働者の闘いです。周りの若い活動家もほとんど非正規雇用です。月収10万から13万。結婚できますか? 家庭が築けますか? 自分が食べるのも厳しい。10年、20年働いても収入は増えない。年金もない。頑張っても雇い止め。希望がもてますか? この感覚は普通に収入がある人にはなかなか理解できないように思う。敵の分断なのだと分かっていても、この現実を許してきた大人たちに裏切られた感覚もあるんです。
でも闘えば団結できます。郵政16万人から始めて、すべての非正規労働者が自ら立ち上がるために社会の問題全部を見すえて闘う。原発事故も米軍基地の問題も根っこは同じだからです。
希望がある世の中が欲しい。非正規労働をなくそう。奪われたすべてを実力でかちとろう。自分たちの子ども、自分たちの未来、100年先、200年先に通じる世の中を僕たちの手で作ろうという運動です。
マルクスの共産党宣言から約170年。ほとんどの労働組合が敵の道具になってしまった。これには理由があるはずです。これをただ作り直すのではない。200年たっても通用するような思想や主義、社会運動をめざしたいと思います。
30万個が遅配の大騒動 現場で何が起きたか?
――雇い止めになった時の職場の状況は?
例のJPEX計画(ゆうパックとペリカン便の統合・分社化)が2010年7月に破綻して郵便事業会社に再統合される以前の職場は、あえて言えばですが、それほどむちゃくちゃではなかった。上司に言いたいことも言えて当たり前だったし、うちの職場では「雇い止め」という言葉自体を聞かなかった。短期アルバイトは別ですが、ゆうメイトの契約は自動的に更新されていたんです。本人が辞めたいと言わない限り簡単に首を切られることはなかった。
現場の8割が非正規雇用になっていたこと自体が大問題ですが、そのゆうメイトのベテランが仕事を回していた。15年とか20年のベテランが大勢いた。正社員は1〜2割の管理者ですが実務は分からない。だから非正規職といっても、自分たちが郵便事業を支えている誇りもあった。
ところがJPEXの破綻で、ゆうパックとペリカン便が郵便局に戻った。ブツの量は一気に3倍から4倍。大混乱です。とても人が足りなくて、募集して一度に30人くらいゆうメイトが入りました。ペリカン便出身者もどっと入った。それでも人が足りなくて、新規ゆうメイトを募集した。全部あわせて80人くらい入りました。
しかし人は増えても仕事を教えられる人がいない。上司は現場の実態を把握できない。もうむちゃくちゃです。結果、誤発送率が30%まで跳ね上がった。東京某局に行くべきものが沖縄にいってしまうとか。これが日常茶飯事になった。
毎日誤発送、モノは壊れる、届かない、生ものは腐る。苦情殺到です。これが30万個以上の遅配騒動という社会問題になった。実務面から見ても会社をボロボロにしたのは完全に経営責任です。物量は予測できたのに、体制も作らず事業統合を強行した。
民営化の本質むきだし「バイトのクズども」!!
職場の環境は激変しました。当時のペリカン便の実情を知って驚きましたが、日通時代のペリカンは、非正規なら月8万〜10万くらいでやれる人だけが残っていた。家族を抱えた人は無理。自分の経験からどういう職場か想像できます。
怒鳴り合いは当たり前。仲間の蹴落とし合いは当たり前、働かずに楽するのも当たり前。そういう環境から大量に人が流れてきた。リーダー格も人間が屈折している。技術も心意気も仲間意識も壊されている。悪いところだけ残っている。そして荷物は増えた。
もう対応できません。お客さんの信用はあっという間に崩壊です。致命傷です。荷物は一転して激減。9月には7月再統合時の5分の1くらい。管理者は営業努力もしないで労働者を切り始めた。企業としても最低のやり方です。ゆうメイトにむちゃくちゃな「評価下げ」の賃下げを乱発して退職を強要する手口もここから始まりました。
――組合の存在が問われる場面ですが。
組合は沈黙です。その後は、闘いがない職場の典型です。労働者の中に資本の手先を作る。ペリカン出身者が手先にされました。
まず管理者が毎朝“リーダー格”数人を集めて円陣を組む。全部ペリカン出身の非正規職。ただのヒラ社員です。言うことを聞く人間だけ円陣に入れる。ここに加われない人は歯ぎしりして黙る。首を切られるからです。そして円陣の彼らが当局の言いなりで業務を仕切る体制になった。
超勤管理も彼らだけで采配するようになった。元々のゆうメイトには声もかけない。悲しい現実ですが、わずかでも給与のたしになるからと、超勤したい人はたくさんいるんです。
そして自爆営業。郵便ギフトとか年賀ハガキ。これを“円陣”のリーダー格がどんどん買う。そして非正規職の仲間に強制して売りつける。それを当局に見せる。俺たちはこんなに買ってるんだから切るな、あっちを切れと。こうして雇い止めが始まり、郵政生え抜きのゆうメイトが50〜60人切られました。ゆうパック課の7〜8割はペリカン出身者に置き換わった。彼らは誰も雇い止めにならなかった。この時の怒り……。
――すごくいやらしいやり方ですね。
もう会社は人件費を削ることしか考えない。民営化の本質でしょうね。この状況で、例の「バイトのクズども」なんて暴言を吐いた悪質な管理者が幅をきかすようになった。部下にいくら“自爆”させたか。これが管理者の基準になった。某課長代理はミーティングで「いくら仕事ができても評価しない。いくらギフトを買ったかで評価する」と言い切った。コンプライアンスもへったくれもない犯罪行為です。買わなきゃ首を切ると全員の前で明言した。
こういう管理者は、わがままで常に上から目線で命令するから、みんなに嫌われていました。現場は誰も従わなかった。民営化でそういう人間が幅をきかす職場になった。そして徹底的に仲間が分断された。
分断とは恐ろしいものです。月8万くらいでやっていた非正規職から見ると、郵政の週5日の深夜勤で20万というひどい労働でも破格なんです。ペリカン時代は有給休暇もなかった。そして言うことさえ聞けばとりあえず首はつながる。これを“守る”ために仲間を蹴落とす。これを当局が組織する。闘いがない職場はこうなるんです。
こういう体制になると僕のような人間はじゃまなんです。仕事が結構できて、人に仕事も教えられて、現場の仲間を自主的に統率もする。こういうのはとても嫌われました。(笑)
――組合結成時の雰囲気はどうでした?
むこうの反応がすごかったです。影響が広がらないように、雇い止めになりそうな人を3〜4人のペリカングループが取り囲んで僕と接触させない。出社時に駅を降りると数人が待っている。帰りも数人で駅まで送って僕と話をさせない。休憩時間もつきまとう。僕らが打ち合わせをしていた喫茶店には毎日誰かが配置されて聞き耳を立てていた。当局はここまでやらせたんです。
こういう会社がまともに回るわけがない。年間1千億程度の赤字を出すボロボロの会社になってしまった現場とはこういうことなんです。
(写真 雇い止めに抗議する昨年9月のスト突入集会に結集した組合員たち【東京多摩支店】)
非正規の若者の多くは組合をどう見ているか
――問題はどこにあると思いますか?
問題はとことん労働組合ですね。最大組合のJP労組本部が当局の労務政策に協力して雇い止めに沈黙する。JP労組の電話窓口に相談したら首を切られるといううわさすらあった。連合のJP労組本部は年収3千万クラスだそうですね。本当ですか? 労働組合やって3〜4年で億の金が入るなんて信じられない。闘いになるわけがない。こういう現実をもう何年許してきたんですか?
非正規職から見ると、こういう大きな組合全体が敵に見えたりもします。「正規と非正規の壁を越えて」なんて簡単ではない。正規の組合員で、体を張って職場闘争を日常的にやっている職場がどれほどあるかと思ってしまう。これは若い人の気持ちの上の大きな壁なんです。
ユニオンを立ち上げた当初、交流センターの全逓部会という闘う組織を知りました。郵政職員は40万人もいるので、活動家の数も1万や2万は普通にいるだろうと思ったんです。でもそんなにはいなくて、実はびっくりしました。
これで本当に勝てるのかと考えました。JP労組中央本部打倒っていつですか? そんなの不可能じゃないかと何度も思いました。
でも目の前の雇い止めを実際に止められる力を職場に作ろうと必死に頑張っている仲間がいた。これに勇気づけられました。4万6千人の雇い止め計画が進行中ですが、実際の切り合いに勝ち抜く戦略を考え抜く時だと思います。僕たちはこれを非正規ユニオン運動をとおして何とか打開したいと考えています。
1千人の組織の建設へ したたかに仲間増やす
――本当に勝つために何ができるか? 何ができないか?
勝てる闘い方を考え抜いて実践する。失敗も成功も積み上げる。この中から時代に通用する闘いの思想や戦略をつくりだす以外にない。若い人が殺到するような圧倒的な魅力と力のある労働組合が必要ですよ。いまのほとんどの労働組合はそういう魅力がない。でも一方で首相官邸前に10万を超える人たちが殺到している。その多くは労働者です。こういう圧倒的なエネルギーがある。
僕にとっては資本と労働のカラクリとか、現代世界のカラクリを解き明かしたマルクス主義との出会いは大きかった。労働者とは何か? 私有財産制の廃止の意義。すごい闘いの武器です。
でも僕たちはマルクスの単なる信者ではない。実践家なんです。僕は歴史が好きですが、生きた歴史の中での実践、そのための理論や哲学、戦略論などが両軸で機能するのだと思います。マルクスの理論を極めなければ闘えないとは考えてません。もちろん勉強も好きですよ。自分の頭で考えることが大事なんです。
先輩活動家の皆さんの決意と情熱に出会い、人生をかけて郵政非正規ユニオンを立ち上げた。一方で現実の厳しさも知りました。でも失敗を恐れず前に進めばいい。非正規労働者の闘いに力があると確信できますから。ここに来るのに1年かかった。僕にはえらい長い1年でしたが、得るものも大きかった。
僕は武道が趣味で、孫子の兵法なんかも好きです。実戦では心の持ち方も大事でしょう。敵からだって学ぶとか、リーダーに必要なものは何かとか。部下との接し方。一面的ではなく多角的に考える。リーダーは前線で先頭で闘わなければならない。闘う人間に人はついていきます。後ろから突撃しろと言われても突撃しない。それが青年労働者です。自分なりに分かってきました。
手応えはあります。怒りは充満している。歴戦の仲間もいる。40万人が働く郵政職場を揺るがす闘いは可能だと思います。労働組合の再生をかけた動労千葉などの国鉄闘争に本当に連帯する闘い、郵政決戦で1千人規模のストライキを本当に実現することでしょう。
一緒に闘える人はたくさんいるはずです。非正規労働者は2千万人。郵政だけで20万人。僕たちが目指す「1千人組織」はその1%未満です。それでも1千人がストを構えれば郵政職場は本当に革命ですよ。敵も必死でつぶしにくるでしょう。根性を入れてしたたかに仲間を増やす時です。今後ともご支援をよろしくお願いします。
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【要項】
8・5郵政非正規ユニオン全国協議会結成大会
8月5日(日)11時半開場・正午開始
広島市東区民文化センター(東区役所隣)
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週刊『前進』(2544号3面2)(2012/07/16 )
郵政非正規ユニオン 第2回大会かちとる
“全組合員の団結守った”
郵政非正規ユニオンの第2回定期大会が7月1日、東京都内で行われ、同東京協議会結成が宣言された。組合員と都内の各合同労組郵政非正規部会の仲間を中心に約50人が参加、1年間の激闘で団結を守りぬいた非正規ユニオン闘争の地平をたたえあった(写真)。
来賓として西部ユニオン鈴木コンクリート分会書記長の吉本伸幸さん、合同・一般労働組合全国協議会、全国労組交流センター全逓労働者部会の代表、ス労自主の代表などがあいさつした。この中で鈴コン分会の吉本さんは「非正規労働者が組合をつくって闘えることを存分に示した」と檄を飛ばした。また全逓部会の代表は「俺たちは連合中央に支配されたままの労働者ではないことを自分の職場から示したい」と決意を語った。
動労千葉、関西合同労組郵政非正規部会、広島連帯ユニオン郵政支部などからの連帯のメッセージを受け、非正規ユニオンの齋藤裕介委員長が1年間の闘いの総括と方針、決算・予算、役員体制、郵政非正規ユニオン東京協議会結成という5本の議案を提起した。委員長は「この1年間、東京多摩支店や郵政本社への連日の抗議行動やデモ、ストライキ、団体交渉や労働委員会闘争などをやり抜き、一人の脱退者も出さず組合員の団結を守り抜いた。非正規ユニオン運動は全国各地に広がり、勇気づけられている。1〜2年でけりをつけるような勢いで勝負したい」と語った。
東京各地区の組合員が連帯の決意を述べ、最後に8月の全国協議会結成への方針が提起され、齋藤委員長の音頭で団結ガンバローの声が力強く会場に響いた。
大量雇い止め攻撃にさらされている郵政非正規労働者の怒りと闘いは着実に実を結び、国鉄闘争を軸とする新自由主義と闘う階級的労働運動の陣形は大きく前進している。広島の地で予定されている8・5郵政非正規ユニオン全国協議会結成へ進撃しよう!
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週刊『前進』(2544号3面3)(2012/07/16 )
歴史の変革期に勝利する絶大なカンパを訴えます
『前進』読者の皆さん、すべての皆さん。とりわけ青年労働者・学生の皆さん! ついにこの日本で始まった巨大な歴史の変革にあたり、革共同への絶大な資金カンパを心から訴えます。
歴史が動き出しました。首相官邸前には毎週10万人、20万人という規模で青年を先頭とする労働者民衆が結集しています。「再稼働反対!」「野田やめろ!」と地の底からわき上がり官邸を揺るがすコール。機動隊の阻止線を押し返して前進するデモ。6車線の道路を完全に解放し、仲間とともに、腹の底から怒りの声をあげた感動とうれしさ。まさに革命の始まりです! その先頭は日々被曝を強制され未来を奪われている福島をはじめ全国の労働者や母親たちの怒りです。また新自由主義攻撃のもとで団結と労働組合を奪われてきた非正規職の青年労働者・学生の根底的な怒りがあります。
7月16日は代々木公園を中心に渋谷・原宿・新宿一帯を労働者人民で埋め尽くし、日本の「タハリール広場」とする歴史的闘いでした。7月29日には再び国会で、8月には沖縄、広島・長崎を先頭に野田打倒の怒りの火柱が全国で燃え上がろうとしています。日本の労働者がついに「命より金もうけ」という腐りきった資本主義社会を根底から変革する闘いの先頭に躍り出たのです。
ゼネストを闘う労働組合が必要
私たち革共同は、立ち上がったすべての青年・学生に心の底から叫びたい。「この闘いは必ず勝利できる! 福島の根底的怒りとひとつに結びつき、ともに闘おう!」と。
エジプトやギリシャをはじめ、全世界の闘いとひとつのこの闘いが勝利するために必要なのは、この巨万の決起のただ中に自分たちの労働者革命党をつくり上げること、連合を打倒しゼネストを闘える労働組合を全国の職場につくりだすことです。私たちは国鉄闘争と反原発闘争を一体で闘うことでこの巨大な事業を必ず実現できると確信しています。そのために巨額の資金カンパが必要なのです。
新聞の投書でも「連合は労働組合なのか」「ゼネストも辞さない覚悟で脱原発を訴えるべき」という主張が出るほど、いま労働組合が何をするのか、労働組合とは何かが焦点になっています。連合は1987年の国鉄分割・民営化で労働組合が徹底的に攻撃されるなか、政府や財界の買収工作で生まれた「絶対にストライキをやらない」「労使協調」のナショナルセンターです。この連合のもとで「4割の労働者が非正規」という許し難い現実がつくり出されたのです。いまや連合は消費増税も原発も推進・賛成です。こんなものは労働組合とは呼べません。青年・学生の敵です。連合の幹部たちは組合費から会社役員並みの報酬を得るなど腐りきっています!
革共同は、この国鉄分割・民営化に2波のストで反撃した動労千葉や関西生コン支部、港合同、そして1989年に結成された労組交流センターとともに連合支配を打ち破り、労働組合を現場労働者のもとに取り戻そうと闘ってきました。今年10月1日にJRが強行しようとしている検修業務の全面外注化を絶対に阻止し、発足から3年目を迎えた国鉄闘争全国運動を前進させ、連合打倒の突破口を切り開こうではありませんか。
革共同は「反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命」を掲げ1957年に結成されました。以来約半世紀にわたり60年安保闘争、70年安保・沖縄闘争、新自由主義反革命カクマルとの戦争、そして国鉄分割・民営化反対闘争や国家権力による治安弾圧との闘いなど、幾多の困難をのりこえ闘い抜いてきました。そしてその資金はすべて労働者自らの力でつくり出してきました。社会の真の主人公は労働者です。その解放は労働者自身の事業です。資金の拠出はその本当に大事な一歩なのです。
非正規職労働者が党建設の主役
非正規職の青年労働者から寄せられるカンパは決定的です。非正規職労働者こそ、最も資本主義・新自由主義の搾取を受けているがゆえに、階級として団結することによってのみ資本の支配を根底からひっくり返し、労働者の誇りと共同性を取り戻すことのできる革命の最大の主体だからです。既成の労働組合や政党に組織されなくても首相官邸前に大挙結集する青年労働者の姿は、そのエネルギーの大きさを証明しています。
かつてロシア革命を勝利に導いたレーニンは、労働者党とその機関紙の財政活動について、「労働者自身の創意とエネルギーの観点から」たとえ少額でもたくさんの労働者のグループが集めた資金の方が、少人数の個人が集めた高額の資金よりはるかに重要だと述べています。また「金を出すべきかどうか、誰に出すか、どんな目的に出すのかを疑いもなく、前もって討議した労働者グループが行った」資金の拠出こそ最も重要だと訴えました。さらにレーニンは、毎回の賃金の中から資金を確保する「習慣」をつけようと呼びかけています(「半年間の活動の決算」)。財政闘争も団結が総括軸です。
非正規職労働者の皆さん! 非正規職の撤廃に向けて、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会や郵政非正規ユニオンのように労働組合をつくり、仲間をつくって徹底的に討論し、自らの党をつくるために、できる限りのカンパを寄せてください。そして公務員労働者の皆さん、民間基幹産別の労働者の皆さん。この非正規職労働者の決起と組織化に人生をかけるものとして、さらに十万円単位のカンパを寄せていただき、その姿をもって非正規職労働者の団結を組織しましょう。
すべての皆さん! 野田や大阪市長・橋下をぶっ飛ばし「紫陽花(あじさい)革命」を真の革命として勝利させるため、ともにカンパ闘争に勝利し、労働者が主人公の社会をつくっていきましょう!
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週刊『前進』(2544号3面4)(2012/07/16 )
【要項】ジェコー解雇撤回裁判
7月23日(月)午前10時(全日)
7月30日(月)午前10時(全日)
さいたま地裁熊谷支部401法廷(JR熊谷駅・秩父鉄道熊谷駅徒歩15分)
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週刊『前進』(2544号4面1)(2012/07/16 )
核と原発への怒りはひとつ 8・6−8・9闘争へ(3)
「黒い雨」で死の灰が体内へ
核・原発の放射能が人を殺傷
政府の内部被曝否定許すな
放射性物質を大量に排出し
「再稼働絶対反対」「野田はやめろ」「フクシマを返せ」の巨万のシュプレヒコールは日帝支配階級を徹底的に追い詰めている。
今号ではあらためて、「黒い雨」の実態と被爆者の証言に肉薄し、広島・長崎の被爆者の決起、放射能から命を守る福島の闘い、労働組合の被曝労働との対決などすべてが内部被曝をめぐる非和解的攻防であることを明らかにしたい。
アメリカ帝国主義は、ソ連スターリン主義を巻き込んだ第2次帝国主義世界戦争で、1945年8月6日広島に、そして9日長崎に原子爆弾を投下した。原爆が上空で炸裂(さくれつ)し、熱線・爆風、さらに放射線が両都市の数十万人の住民に襲いかかった。一瞬にして原爆地獄が出現した。原爆は、核分裂連鎖反応による巨大なエネルギーを大量破壊・大量殺戮(さつりく)に利用する軍事目的で開発された。それが広島・長崎で初めて実戦使用された。
帝国主義が生み出したこの核兵器は、放射線で人体を被曝させ殺傷する放射能兵器である。核分裂を同様に利用した原発は、大量の放射能(死の灰)をつくり出し、現場労働者に被曝労働を強制する。日常的に外部へ放射能を放出し、また3・11のように原発事故で膨大な放射能を放出して環境を核汚染し、無数の労働者人民を被曝させる。労働者人民を放射能で殺傷する点で、原爆と原発はまったく同じだ。
原水爆の爆発や原発事故は大量の放射線や熱線の放出で多数の人間を一瞬にして殺傷するが、それだけでなく、原水爆の爆発や原発事故が生み出す放射性物質、ウラン鉱山や原発などの核施設、核廃棄物、劣化ウラン弾などが放出する放射線も、それがたとえ低線量であっても人体に深刻な影響を及ぼす。体内に取り込んだ放射性物質による被曝(内部被曝)でがんや白血病などに冒されて死ぬ。この事実を帝国主義とスターリン主義は今日まで頑強に否定している。核武装(化)と原発を推進するためだ。核と原発は内部被曝を不可避としている。
広島・長崎の原爆による被曝には、初期放射線だけでなく、残留放射線による被曝がある。後者は、@土壌や建物が原爆中性子により放射化し、外部から被曝させる残留放射能、A爆発で生じた核分裂生成物(死の灰)や未核分裂のウラン・プルトニウムの原爆材料、および誘導放射化された土・ほこり・すすなどが地上に降下し、主に呼吸や飲食をとおして内部から被曝させるフォールアウト(放射性降下物)の2種類がある。「黒い雨」はAのフォールアウトに該当する。
死の灰を含んだ原爆の火球は上昇・膨張し、空気中の水蒸気を水滴にし、きのこ雲のかさをつくった。爆風で舞い上がった放射化された土やほこりなどは、上昇気流に吸い上げられ、きのこ雲の柱となった。熱線で大火災が発生し、熱気でできた上昇気流によって水蒸気とすすなどが雲となった。上昇気流が続くと、水蒸気がどんどん加わり、水滴が合体して大きくなり、重くなる。これが放射能を帯びた「黒い雨」(フォールアウト)となって落ちてきたのだ。
広島市内の住宅内部の壁に残っていた黒い雨の跡から、セシウム137(半減期30年)が検出されている(1986年1月17日NHK放映の「黒い雨〜広島・長崎原爆の謎」)。
(写真 死の灰および放射化されたほこりやすすが雲となって黒い雨を降らせた)
「白いブラウスが真っ黒に」
原爆投下後、広島・長崎で黒い雨に遭った被爆者の多くが、「今でも忘れられない」と証言している。「バケツをひっくり返したような土砂降りの雨」「向こうが見えなくなるぐらい、たたきつけるような雨」という記憶とともに、「白いシャツがみるみる黒くなった」「白いブラウスは泥をかぶったように黒く汚れていた」「顔が真っ黒になった」など、着衣・身体の黒い汚れが鮮明に印象に残っているという。この「黒い雨」が強い放射能を含んでいて内部被曝をもたらし、後にがんなどの病気を引き起こすことになるなど、知るよしもなかった。
真夏の炎天下、原爆の熱線によるやけど、火災でのどがかわき、黒い雨水を飲んだ人たち。黒い雨が降った川や井戸の水をこれまでどおり飲み水・生活用水として使い続けた人たち。黒い雨で被曝した住民は、「結局は毒を飲んでいたようなもの」と述懐している。
黒い雨が降ったのが珍しくて、その中を走り回って遊んだ子どもたちもいた。黒い雨は畑や山林などにも降り注ぎ、野菜や山菜を放射能汚染した。
飲むこと、食べることをとおして放射性物質が体内に入り込み、放射線が内側から細胞を損傷し続け、生命に重大な被害を与える内部被曝(『国際労働運動』8月号34n参照)。黒い雨こそ、原爆の放射能が内部被曝を引き起こすことを証明する証拠にほかならない。
黒い雨は、下痢・高熱・めまい・脱毛だけでなく、体調不良・倦怠(けんたい)感(いわゆる「ぶらぶら病」)や子宮がん・胃がん・大腸がんなどのがん、白血病・白内障・甲状腺機能低下症などの晩発性症状を多発させた。黒い雨が降った地域で、家族のほとんどががんを発病し、亡くなった事例が数多くある。
降雨域を狭める政府・厚労省
黒い雨の降雨域について、政府は、広島では大雨地域と小雨地域に分け、前者だけを健康診断特例区域とし、後者を援護対象からはずした。小雨区域とされた地区やそれ以外の区域で「黒い大雨が降った」と多くの住民が事実を証言しているにもかかわらず、政府は「降っていない」と強弁して証言を認めず、被爆者認定請求を拒否し続けてきた。
だが、黒い雨の降雨域が政府の指定地域よりはるかに大きいことは、証言や痕跡調査などの積み重ねなどで明らかになってきている。
長崎では、政府は「地上に降り注いだ原爆の放射性物質はわずか」と、広範囲に降った「黒い雨」や「黒い灰」の存在、それによる被曝を認めようとしない。政府は、旧長崎市域の行政区分をもとに「被爆地域」(爆心地から南北に半径12`、東西に7`)なるものを指定した。
同じ12`圏内で被爆しても未指定地域とされた人たちに対し、厚労省は「放射能の影響はないが、被爆体験による心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神的な健康影響がある」と決めつけ、精神疾患とその合併症に限って医療費を支給している。この第2種健康診断特例区域では、がんなどの病気は医療費支給の対象とならないのだ。
これまで政府・厚労省は、あらゆるうそと詭弁(きべん)を繰り出して内部被曝の否定に躍起となってきた。なんら科学的根拠のない線引きで被爆者を分断・差別し、被爆地域指定外の被爆者を無視してきた。
これに対して被爆者は、「食事や呼吸で放射性降下物を体内に取り込んだ。内部被曝したことは明らかだ」という確信のもとに、政府に対して原爆症認定を求めて闘ってきた。粘り強い闘いが司法を追い詰め、内部被曝・低線量被曝による健康被害の可能性を認めさせてきた。
そうした中で3・11福島原発事故が発生し、福島県民を始め数百万人の労働者人民の内部被曝問題が大問題と化してきた。原発・核燃の国策破綻の危機にたたき込まれた支配階級は6月25日、長崎地裁に内部被曝で健康被害を受けた人びとの被爆者認定を求めた集団訴訟を全面却下させた。被爆者は「血も涙もない不当判決」と怒りをたたきつけ、控訴審闘争の宣言を発した。この反動判決と連動して厚労省の検討会は7月9日、「黒い雨」地域の拡大を拒否する最終報告書を発表した。
内部被曝をめぐる闘いは、反核・反原発闘争の帰趨(きすう)を決する闘いとなった。放射能から子どもを守る母親たちの闘い、被曝労働を拒否してストライキに決起した動労水戸の闘い、全国のがれき搬入阻止の闘い、そして原発再稼働反対の巨万の大衆的実力闘争の爆発。これらすべてが「内部被曝・被曝労働を絶対許さない」という、帝国主義・資本家階級との非和解的闘いだ。
今、資本・国家による抑圧と分断を打ち破り、労働者階級人民の自己解放の歴史的大闘争がついに始まった。核武装と金もうけのために原発再稼働を強行した野田政権を渾身(こんしん)の怒りを込めて打ち倒そう。労働組合旗を先頭に8・6広島―8・9長崎闘争へ。
(河東耕二)
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週刊『前進』(2544号4面2)(2012/07/16 )
7・7福島県庁 野田を福島で直撃
「再稼働反対」コール響く
大飯原発再稼働強行への怒り、さらに6日夜の首相官邸前15万人結集の興奮も冷めやらぬ中で、7月7日、野田首相が福島県庁を訪問し、佐藤雄平県知事と会談を行った。この報を受けて「本気で再稼働を止めたい」「野田に直接、福島の怒りの声をぶつけたい」「首相官邸前の思いとひとつになりたい」――前日の告知にもかかわらず、小雨降りしきる中で40人もの人びとが福島県庁前緊急行動に立ち上がった。
佐藤幸子さん、武藤類子さんを先頭とする「原発いらない福島の女たち」、そして何人もの福島大生が県庁前に結集。心をひとつにして再稼働反対の声を上げた。
野田首相の福島県庁到着に先駆け、午前中から行動は始まった。午後3時過ぎ、「再稼働反対」のコールが響き渡る中、機動隊が阻止線を張り始めて、一挙に緊迫した。
黒塗りの車に乗った野田が県庁内に入った瞬間、集まった人びとの怒りは最高潮に達し、「再稼働反対」のコールを繰り返した。
そして野田を弾劾する怒りのアピールが始まった。「福島の高校生です。なぜ高校生がここまで深刻な問題を考えなければならないのか」「大阪から転勤で福島に来た。慣れるのに時間がかかったが、今は第2の故郷だと思っている。福島が汚染され、大飯がもし事故を起こし、大阪まで汚染されたら、いったいどうすればいいのか」
ふくしま合同労組の市川潤子委員長は「原発事故は、野田首相、あなたたちが起こした人災だ。野田首相たちは原発の再稼働をあきらめないかもしれない。私たちは日本と世界から原発をなくすことをあきらめない」と訴えた。
さらに「福島に住む子どもの母として一言言いたい。野田首相は、自分の子どもたちを福島に連れて来い。20_シーベルト基準を撤回しろ。この夏からは子どもたちのプールも始まってしまう。子どもたちを疎開させてほしい」などと、真剣な訴えが続いた。
「原発なくせ」「福島返せ」と繰り返すコールと怒りの訴えは、県庁内の野田首相、佐藤県知事を完全に包囲した。
(写真 福島大学の学生を先頭に、「再稼働反対」「野田は帰れ」のコール【7月7日 福島県庁前】)
子ども福島の要望書を拒否
子どもたちを放射能から守る福島ネットワークは、野田首相にあてた「子どもたちの未来を守るための要望書」を作成し、「@日本政府は、福島の子どもたちの避難、疎開、保養支援を積極的に行って下さい。A日本政府は、大飯原発再稼働を即座に中止して下さい。B日本政府は、県内の原発をすべて廃炉にしてください。C日本政府は、原発に頼らないエネルギーへの転換に全力を注いで下さい」という要望を並べた。同ネット代表の佐藤幸子さんを先頭に県庁にいる野田首相に手渡そうとしたが、警官隊に阻まれた。
県庁前でのこれらの行動には多くの取材陣も駆けつけた。たとえ少数であっても、フクシマの怒りは世界を揺るがす力を持っている。
首相官邸前を始めとする街頭での闘いをどこまでも発展させよう。7・16集会を大成功させ、何よりもフクシマの怒りを守り抜き、連帯し、発展させよう。
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週刊『前進』(2544号4面3)(2012/07/16 )
7・6反原発 “絶対にあきらめない”
15万人が官邸前埋める
(写真 警察の部隊をぐいぐいと押し返す労働者民衆の大集団【7月6日 永田町】)
野田首相の大飯原発再稼働の暴挙が民衆の怒りの火に油を注いでいる。労働者民衆はまったくあきらめてなどいない! 逆だ! 再稼働への怒りがこれまでを上回り、さらに激しく燃え始めた。
大飯原発が7月1日に起動して最初の金曜日である6日夜、15万人の労働者民衆が首相官邸前に集まった。途中から雨が降り出す中、「再稼働反対!」「再稼働やめろ!」の激烈なコールがやむことなく続いた。
警察はこの日、6月29日のような解放区を再現させてはならないと厳重な警備態勢をとった。官邸前一帯に十数台の機動隊バスと車両を並べ、最寄りの地下鉄国会議事堂前駅構内にまで警官を配置した。さらに歩道に沿って警官が立ち並び、参加者を歩道に押し込めようと図った。
午後7時半、参加者たちが怒りを抑えられず車道へ進出した。財務省方向に延びる6車線の道路は、6月29日に続き、再び労働者民衆で埋め尽くされた。「再稼働反対! 再稼働反対!」、NAZENの隊列のコールが激しさを増した。
警官隊が大慌てで駆けつけ規制しようとするが、阻止線を張るだけで精いっぱいだ。「逮捕するなら野田を逮捕しろ」。一斉に弾劾の声が上がった。「再稼働反対!」の猛烈なコールとともに、巨大な怒りの固まりとなった集団が前へ前へと歩み出した。警察はジリジリと後退するしかない。雨に打たれる参加者の体から、熱気で湯気がもうもうと立ち上る。労働者民衆は、その大集団の圧力で警官隊を押しまくり、ついに50bも阻止線を官邸側に押し返した。首相官邸前は再び解放区となった。
この日、厳しい弾圧態勢にもかかわらず、集会開始前にはすでに数千人が官邸前に集まった。あらゆる世代が参加しているが、これまでと比較して青年の割合が画然と増えている。
福島の女たちも毎週参加
原発いらない福島の女たちも武藤類子さん、黒田節子さん、森園かずえさんを先頭に横断幕を掲げて参加。黒田さんは「再稼働しても、私たちはあきらめる気がしない。落胆なんかしていない。ますます勢い付いている。10万人、20万人の闘いに感動し、力をもらっている。すごいことが始まった」と確信に満ちて語った。
世田谷区から来た若い女性は「今反対しなければと思って来た。これまで無関心だった人も話を聞いてくれるようになった。『集会に行こうかな』と言っている。周りの雰囲気が変わった」と元気に語った。「原発いらない 全部廃炉ダ!」と書いたボードを持った年輩の女性は「行動で示さないと。とことんあきらめないでやる」と気迫を込めて話した。集会では福島から来た青年や女性など多くの人が野田を弾劾し、「再稼働やめろ」と叫びを上げた。
7・16に続き、8・6広島―8・9長崎反戦反核集会に職場の仲間や友人を誘って集まろう。
(写真 原発いらない福島の女たちも「再稼働反対!」)
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週刊『前進』(2544号4面4)(2012/07/16 )
7月3日〜9日
国会原発事故調が「人災」と報告/集団的自衛権の解釈見直し狙う
●原子力規制委の人選指針 野田政権は原発の安全規制を一元的に担う原子力規制委員会の委員長と委員の人選基準を発表した。直近の3年間に原子力関連会社などの役員や社員だったり、年間50万円以上の報酬を得ていたりする者を除外する。(3日)
●ロシア首相、国後島訪問 ロシアのメドベージェフ首相は日本が返還を求めている北方領土(クリール諸島南部)国後島に入った。極東発展相らを伴い、実効支配を強調。玄葉光一郎外相は不快感を表明。(3日)
●日台巡視船が接触事故 台湾の遊漁船と巡視船が尖閣諸島(釣魚台)海域に入った。出てきた所で日本の巡視船と接触する事故が起きた。(4日)
●福島第一4号機冷却停止問題で予備ポンプも動かず 福島第一原発4号機の使用済み核燃料プールを循環冷却させるポンプが一時的に止まった問題で、予備ポンプが起動できなかったことが分かった。(5日)
●国会原発事故調、「人災」と最終報告 東京電力福島第一原発事故を検証する国会事故調査委員会(黒川清委員長)は最終報告書を決定した。東電や経済産業省原子力安全・保安院が地震、津波対策を先送りしたことを「事故の根源的原因」と指摘、「自然災害でなく人災」と断定した。(5日)
●JR西元3社長が無罪を主張 107人が死亡した2005年4月のJR宝塚線尼崎事故を巡り、JR西日本元会長の井手正敬被告ら歴代3社長が強制起訴された裁判の初公判が神戸地裁(宮崎英一裁判長)で行われた。3被告は事故を「想定できなかった」と無罪を主張した。(6日)
●国家戦略会議が集団的自衛権の行使容認を提言 野田政権の国家戦略会議フロンティア分科会(座長・大西隆東大教授)は日本の将来像を提言する報告書で憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を認めるよう求めた。(6日)
●釣魚台国有化の方針 野田政権は尖閣諸島(釣魚台)の国有化方針を固め、東京都の石原慎太郎知事に尖閣諸島を購入する意向を伝えた。(6日)
●アフガニスタン国際支援、160億jで合意 アフガニスタン復興国際会合は2012〜15年の4年間で160億j(約1兆2800億円)超の資金援助をすることを柱とする「東京宣言」を採択して閉幕した。(8日)
●福島健康調査1年で問診票提出2割止まり 東京電力福島第一原発事故で福島県は昨年6月から県民を対象に健康管理調査を行ってきたが、問診票を提出した住民は2割程度。研究者らは発がんリスク増加などの被曝影響が見極められないとしている。(8日)
●大飯3号機フル稼働 関西電力大飯原発3号機(福井県おおい町)はフル稼働に達した。政府は節電目標を関電管内で10%に引き下げた。(9日)
●首相、集団的自衛権の解釈見直しを「政府内で議論」 野田首相は衆院予算委員会で、政府が禁じている集団的自衛権について「政府内での議論も詰めていきたい」と述べ、憲法解釈の見直しを検討する意向を表明した。(9日)
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週刊『前進』(2544号4面5)(2012/07/16 )
【要項】7・22反戦反核東京集会
7・22反戦反核東京集会
7月22日(日)午後1時開場 1時半開会
文京区民センター3A(都営地下鉄春日駅A2出口)
DVD上映「黒い雨と内部被曝」
パネルディスカッション「内部被曝を徹底糾明する」
山田真さん(小児科医)
下田禮子さん(反戦被爆者の会)
黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)
特別報告「反核燃を闘う青森の労働組合」
間山正茂さん(南部バス労組委員長)
主催 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
協賛 すべての原発いますぐなくそう!全国会議(NAZEN)
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週刊『前進』(2544号5面1)(2012/07/16 )
反核・反原発 8月広島-長崎に結集を
フクシマの怒りを共有し8・6ヒロシマ大行動へ
マル学同中核派・広島大学支部
今夏8・6ヒロシマ闘争は、「原発再稼働撤回・野田政権打倒」を最大の焦点とする、かつてない歴史的大闘争である。7・16代々木公園大集会―7・29国会包囲行動を全力で闘い、一切の怒りを8・6ヒロシマに結集し、沖縄―広島―長崎を結ぶ熱い闘いで、野田政権打倒へ進撃しよう。全国の学生は8・6広島に集まれ! 広大生はこの闘いの先頭に立とう!
(写真 昨年の8・6ヒロシマ大行進)
再稼働撤回・野田打倒する大デモを
歴史が音を立てて動き出している!
首相官邸前闘争は、6月29日に史上空前の20万人を結集し、労働者民衆の実力で霞が関という日帝国家権力のど真ん中に「解放区」をつくり出した。この事態に驚がくした野田政権と国家権力・警視庁は、続く7月6日の行動において機動隊を使った暴力的規制を行い、地下鉄駅出入り口を封鎖するなど、地から湧き出るような人民の結集を妨害する暴挙に出た。
だが、開始された闘いのうねりをこんなことで圧殺することはできない。「再稼働反対!」「あけろ! あけろ!」のコールが駅構内に響きわたる中、NAZENを始めとする青年たちの実力決起がついに国家権力の規制の壁を決壊させた。「官邸前に行くぞ!」「野田を倒せ!」。再び官邸前道路は万余の人民で埋め尽くされた。
誰もが必死に声をあげ、雨に濡れながら訴える。機動隊の規制を粉砕して首相官邸に一歩一歩迫る巨万のデモ隊。仕事を終えて駆けつけた青年労働者、被災地の農民、子どもを抱いた母親、そしてキャンパスから仲間と連れ立って結集する学友たち。野田を打倒して原発をとめるまでやむことのない闘いが始まった。
翌7日には福島現地で野田弾劾闘争が闘われ、「子ども福島」とともに福島大の学生が最先頭で決起した。さらに8日の三里塚集会で、反対同盟事務局次長の萩原進さんは学生に「街頭闘争を闘おう!」と熱烈に呼びかけ、動労千葉の滝口誠さんは「あじさい革命をプロレタリア革命へ! 7・16で首都を制圧しよう!」と檄を発した。
まさにこの7〜8月は、野田政権打倒に向かって数十万数百万の労働者学生が決起する大政治決戦だ。今や、「革命は、執行権力を完成し、これをそのもっとも純粋な表現にまでひきもどし、これを孤立させ、これを唯一の標的として自分に対立せしめる。自分の一切の破壊力をこれに集中するために」(マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』)。この先にあるのは日本帝国主義の政治支配の崩壊であり、プロレタリア革命の開始だ。
官邸前行動と7・16集会の巨大なうねりを、次は8・6ヒロシマに結集しよう。野田は原発再稼働の強行と一体で原子力基本法を改悪し、原子力推進の目的を「わが国の安全保障に資する」ためだと明記した。フクシマを切り捨てて原発推進・再稼働・核武装化へ突き進む野田が8月6日の朝、あの原爆慰霊碑の前で何を語るというのか! 絶対に許すことはできない。前日5日には、沖縄でオスプレイ配備反対の県民大会が行われる。「沖縄−広島−福島の怒り」を一つにし、広島の地で万を超えるデモで野田を迎え撃とう!
大学から原発御用学者をたたき出せ
再稼働反対・野田打倒の闘いが巨万の渦となって爆発している今こそ、闘う労働組合の鮮烈な登場と一体で、大学キャンパスから学生運動を復権させよう。原発翼賛大学の腐敗を徹底弾劾して同学会を再建した京都大学の仲間に続いて、学生自治会を建設しよう。とりわけ広島大における決定的な環は、長崎大の山下俊一とともに福島県立医大副学長に就任した極悪御用学者・神谷研二(広大原爆放射線医科学研究所教授)をキャンパスからたたき出す闘いだ。
神谷は原発事故直後から「100_シーベルト以下は影響ない」「チェルノブイリの乳児の甲状腺がんは一般人より少ない」などとデタラメを吹聴し、武藤類子さんら福島原発告訴団1324人から刑事告訴された札付きの犯罪人である。われわれはこの間、神谷が講師を務めるクラスでこの事実を暴露し、神谷追放を学友に訴えてきた。これに震撼(しんかん)した広大当局は、何と「神谷先生の実名を出すのは、学生が動揺するからやめてくれ」などと泣きついてきた。ふざけるな! 神谷を擁護する広大当局もまた福島を切り捨てる犯罪者だ。神谷の存在こそ、原発事故をもテコに原子力村入りと新自由主義大学化を目指す広大当局の決定的な弱点だ。
この闘いは同時に、これまで徹底的に隠されてきた内部被曝の真実を明らかにし、帝国主義の核政策を根底から撃つ闘いだ。本紙前号の河東論文にあるとおり、野田政権は原発再稼働と一体で新たな被爆者抹殺政策に突き進んでいる。被曝問題の核心は、ヒロシマ・ナガサキ・ビキニの被爆者が戦後一貫して、命をかけて内部被曝の真実を訴え続けてきたのを、大学や医療界が徹底的に無視・抹殺し、踏みにじってきたということにある。それが帝国主義の核政策を支え、原発を推進し、福島原発事故を引き起こした。だからこそ、被爆者の怒りと福島の怒りを一つに、闘う医療労働運動と学生運動の復権をかちとること、帝国主義支配を打ち倒すことが、内部被曝問題の階級的な解決だ。
原発推進大学を学生の闘いでうち破り大学を反原発の砦(とりで)に!
広大生先頭に全国学生の総決起を!
今夏8・6闘争において、戦後反核運動をのりこえる新たな反戦反核闘争の創成に挑戦しよう。その中で、広大学生運動は決定的な位置を持つ。
広大学生運動―学生自治会運動の歴史は、いつも闘う被爆者とともにあった。反戦被爆者の会を創立した故・小西のぶ子さんは、60年安保闘争時に全学ストに立った広大生の支援に駆けつけて以後、生涯にわたり広大学生運動に心を寄せ、闘いを支えてくださった。
原潜寄港阻止闘争(64〜65年)やベトナム反戦闘争を通じて、マル学同中核派・広大支部のもとに闘う広大生が結集し、その力で闘う教養部学友会の再建がかちとられた。これは66年全学連再建の決定的なテコとなり、67年10・8羽田闘争に始まる70年安保・沖縄闘争の巨大な爆発を切り開く力となった。
とりわけ、68年1月の米原子力空母エンタープライズ佐世保寄港阻止闘争において、広大生と全学連は長崎の被爆者との感動的合流を果たした。「全学連がああいうふうに、機動隊相手に自分たちの血を流してまで、エンプラ入港に反対し、核兵器の持ち込みに抗議した。……核兵器に関する限り貧困と病苦に苦しむ、被爆者の気持ちこそ、全学連の気持ちだ」(『ナガサキの被爆者』西村豊行著)。
原水禁運動の混乱と分裂に失望した多くの被爆者が、全学連と広大生の闘いに勇気づけられ、再び闘いに立ち上がった。それは、71年8月6日の佐藤栄作首相来広実力糾弾闘争として爆発していった。
広大学生運動の革命的発展に心底恐怖した日帝・文部省と広大当局は、教養部廃止=学友会解体(75年)と大学移転(82〜95年)を強行し、学生自治の基盤を破壊しようとした。広大の西条移転は、まさに大学の新自由主義的再編の最先端をなす攻撃であった。
だが、わが広大支部は、広大学生運動の地平を継承し、組織と運動を守り抜いてきた。そして今日、原発反対・野田打倒の政治決戦が画歴史的な規模で爆発する中、反原発・反戦反核闘争への決起をストレートに呼びかけて広大生の闘いを発展させることが新自由主義への最大の反撃である。広大における闘う学生自治会の大衆的再建の道もこの中にある。
反原発闘争と学生自治会復権の闘いを支え抜く最深の力は、スターリン主義をのりこえる革命的労働者党の建設にある。8・6ヒロシマに向かって闘う広大生は中核派に結集し、ともにプロレタリア革命の勝利めざして闘おう!
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週刊『前進』(2544号5面2)(2012/07/16 )
7・8三里塚緊急現地闘争 “市東さんの農地守れ”
第3誘導路工事を徹底弾劾
7月8日、三里塚芝山連合空港反対同盟の主催で「市東さんの農地裁判勝利! 第3誘導路工事粉砕」を掲げた三里塚緊急現地集会が開かれた。
前夜から朝まで降り続いた雨が上がり強い日差しで気温が上がる中、成田市東峰の萩原進さんの畑に、反対同盟を先頭に245人の労働者・農民・学生・市民が続々と結集した。この畑も開拓組合道路とともに空港敷地に深く食い込んだ場所で、目の前ではジェット旅客機がひっきりなしに走行を繰り返している。
午後1時半、萩原富夫さんの司会で集会が始まった。
最初に北原鉱治事務局長が発言に立った。「市東さんの家と畑を空港の中に囲い込もうとしていることを、許してはならない。われわれは闘って自分たちの政治をつくる以外にない!」と語気を強め、決起を促した。
続いて萩原進事務局次長が基調報告を行った。「市東さん追い出しのため、第3誘導路の突貫工事が、今行われている。だが情勢はダイナミックに動いている。野田政権の原発再稼働、消費大増税、オスプレイ配備、TPP推進に対する人民の怒りは頂点に達している。週末の官邸前を始め、全国で10万、20万の人びとが立ち上がっている。沖縄・福島・三里塚が手を結び立ち上がれば日本は変わる!」。そして市東さんの農地裁判とそれと一体の千葉市での集会・デモ、さらに三里塚現地闘争の取り組みの圧倒的強化を熱を込めて呼びかけた。そして特に学生に向かって「街頭闘争を闘おう! 敵がもし市東さんの農地に手をかけたら巨万の人民が立ち上がる情勢をつくり出そう」と三里塚実力闘争の歴史を体現した檄を発し、10・7全国総決起集会への大結集を訴えた。
続いて天神峰の市東孝雄さんが発言に立った。「空港はとにかく第3誘導路を造って私を追い出そうとあせっている。裁判での証人尋問はあまりにデタラメで腹が立った。再稼働、消費税、オスプレイ、TPP、これらは絶対に許せない攻撃だ。全力で反撃します」と力強くあいさつし、大きな拍手を受けた。
反対同盟顧問弁護団の葉山岳夫弁護士が裁判闘争の報告を行い、成田市農業委員会事務局長だった山崎証人の、空港の悪行・違法をことごとく追認する屈服ぶりを「空港会社成田出張所だ!」と弾劾した。
動労千葉の滝口誠さんは、10・1外注化攻撃粉砕へ組合員全員が立ち上がっていることを報告し、7・16代々木公園反原発集会の空前の大結集を訴え、「首都を制圧しよう!」と叫んだ。関実の発言に続いて、市東さんの農地取り上げに反対する会の人びとが壇上に並んだ。その中から三里塚に連帯する農民2人が、農地死守・TPP粉砕の最先頭に立つ決意を表し、全国農民会議への結集を呼びかけ、事務局が市東さんに応える支援運動の決意を述べた。
婦人民主クラブ全国協議会は、首相官邸前での野田打倒へ向けた人びとの熱気を報告した。
全学連の斎藤郁真委員長は、萩原事務局次長のアピールに応えて学生が先頭に立って農地を死守する決意を表し、「7・16はあらゆる怒りが一つになる集会。原発を廃炉に追い込み、空港も基地もTPPも粉砕する闘いへともに立ち上がろう」と訴えた。
集会の最後に、伊藤信晴さんのリードで団結ガンバローを三唱。反対同盟を先頭に直ちにデモに出発した。
取香2号線(旧小見川県道)に出て市東さん宅前を過ぎると、第3誘導路工事で急ピッチで造られた取香トンネルが眼前に現れた。宣伝カーでマイクを握る宮本麻子さんが怒りを込めて弾劾した。「わずか150bの距離に7bも掘り下げたトンネルは急勾配で危険な構造。急坂を猛スピードで上がってくる車によって、市東さんのトラクターが妨害される」
デモ隊はこのトンネルをくぐり小見川県道から南台の市東さんの畑へ、さらに反転して出発点へと戻る一周デモを、大量の機動隊による不当な規制を破って貫徹した。
地形をずたずたに破壊し、無理を重ねて進められる工事の現状をつぶさに確認した参加者は、心からの怒りを抑えきれず、反対同盟とともに市東さんの畑を絶対に守り、空港廃港まで闘いぬくことを誓った。
(写真上 「第3誘導路粉砕・農地死守」の気概に燃え、のぼりを掲げデモの先頭に立つ三里塚反対同盟【7月8日 成田市東峰】)
(写真下 動労千葉と反戦共同行動委員会は意気高くデモの中心を担い、市東さんの農地を守りぬく決意を表した)
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週刊『前進』(2544号5面3)(2012/07/16 )
7・6京大 “闘う自治会復権を”
同学会が呼びかけ集会
7月6日、京都大学キャンパスで全学自治会同学会執行委員会(暫定)が呼びかける学生集会が、京大当局による学生自治破壊攻撃を粉砕し、100人を超える結集でかちとられた。
開会宣言に続き、東北大学学生自治会、法政大学文化連盟が熱烈な連帯あいさつを行った。
続いて同学会執行委員会委員長の冨山小太郎君が基調提起に立った。
冨山委員長は、法人化によって引き起こされている学生の現実(原発、自殺、学費……)に触れながら、「新自由主義は、徹底的に自治を破壊し決定権を奪う攻撃だ。これに対決する学生の権力=学生自治会を復権できるのか否かが問われている。この時代の中で、学生は社会に対して真剣に考え、行動を開始しようとしている。カナダ・ケベックでの学費値上げに反対する学生の100日を超すストライキ、日本の首相官邸前の20万人の原発再稼働反対の闘いを見てほしい。この思いをつなげ、力に変えていくことが同学会の最大の任務だし、そのために7・20代議員会に集まってほしい」と訴え、支配階級から自らの手に決定権を奪い返す組織を建設することを宣言した。
基調提起に続いて、平田郁生副委員長が、「松本総長は『学生には主体性がない』というが、京大ではさまざまな運動(社会問題、労働組合、原発、野宿者支援、障害者解放、民族問題など)に取り組んでいる学生組織がたくさんある。それらがバラバラにされている中で、新自由主義攻撃が推し進められて、せちがらい大学にされてきた。同学会は、こういった運動を本当に力に変えていかなくてはいけない。僕たち自身が決定する力が足りなかった。みんなが力を合わせれば本当にすごいものを生み出せる。そういう同学会をともにつくろう!」と熱烈に訴えた。
自由討論では福島、沖縄の学生などが次々とアピールを行った。さらにある京大生は、「この団結がもっと大きくなれば、すごいことになる。周りの学生は原発再稼働の話でも、一見興味なさそうにしているが、実際話してみると結構考えている。自分はここでこうして発言するまで2年かかった。他の学生も同じように考えている。自分の考えを変えることを恐れず討論を開始しよう」と訴え、万雷の拍手をもって確認された。
集会は京大当局による学生自治破壊攻撃と対決してかちとられた。
5月25日〜6月8日に実施された全学選挙の中で1千人の学生の議論を経て、京都大学経営協議会に関西電力元社長・藤洋作(美浜原発事故で労働者11人を死傷させ引責辞任)が巣くっていることを追及する要求書が、当局にたたきつけられた。これに恐怖した京大当局は「選挙は認めない。要求書も受け取らない。教室も貸し出さない」と言い放った。
さらに、吉田寮との団体交渉を日程変更して7月6日にぶつけるという露骨な分断を策した。
だが、こうしたあらゆる妨害策動を粉砕し、7・6集会に100人を超える学生が大結集し本格的再建を宣言した。吉田寮団交においても寮自治破壊の内容には一切踏み込ませなかった。そもそも当局は4月に吉田寮との交渉打ち切りを宣言し、強制執行で寮食堂を解体しようと策したが、200人の徹夜団交で撤回に追い込まれた。6日の団交も、100人を超える集会参加者の合流を恐れて、当局は早々と妥結せざるを得なかったのだ。
7・6学生集会の大成功は、学生自治会には新自由主義を打ち破る力があるのだと、確信させた。全国300万学生は、同学会に続き自らのキャンパスで学生自治会を建設しよう!
(マル学同中核派・京大支部)
(写真 当局の妨害を粉砕して集会をかちとり「学生自治の復権」を高らかに宣言【7月6日 京大】)
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週刊『前進』(2544号5面4)(2012/07/16 )
【要項】8・6広島-8・9長崎 反戦反核反原発闘争
広島
★8月5日(日)
NAZEN結成1周年集会
午後4時〜6時
広島市東区民文化センター(広島市東区東蟹屋町10-31)
主催 すべての原発いますぐなくそう!全国会議
〈関連行事〉
・オキナワとヒロシマを結ぶ全国青年労働者交流集会
・全国学生集会
・各産別労働者集会
午後 広島市東区民文化センター
★8月6日(月)
核と原発をなくせ!ヒロシマ・アピール集会
午前7時30分 原爆ドーム前
野田首相弾劾・中国電力包囲デモ
午前8時20分 原爆ドーム前出発(→中電前)
8・6ヒロシマ大行動大集会
12時30分 広島県立総合体育館小アリーナ
8・6ヒロシマ大行進
午後3時 デモ出発(→平和公園資料館前まで)
主催 被爆67周年8・6ヒロシマ大行動実行委員会
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★8月7日(火)
玄海原発プルサーマル運転再開阻止闘争(現地集合)
主催 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
長崎
★8月9日(木)
長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼式典
主催 長崎在日朝鮮人の人権を守る会
午前7時半 爆心地公園の原爆朝鮮人犠牲者追悼碑前
野田首相弾劾デモ
午前10時 城栄公園(路面電車・大橋下車)
8・9長崎反原発反戦反核集会
午後1時30分
長崎県勤労福祉会館(路面電車・公会堂前下車)
主催 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
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週刊『前進』(2544号6面1)(2012/07/16 )
団結ひろば 投稿コーナー
野田の福島訪問弾劾 再稼働に皆怒ってる 福島大学 A
7月7日、野田首相が福島を訪問しました。福島県庁前の抗議行動には、老若男女を問わず多くの人が集まっていました。やはり皆、原発再稼働に対して怒っているのだということを、あらためて強く感じました。
野田首相は結局、われわれの前に姿を現すことなく去っていきました。いったい何のために福島まで来たのでしょうか。福島県民の声を聞く気など毛頭ないとしか思えません。
しかし、だからといって、われわれはあきらめません。大飯原発再稼働撤回、そして全原発廃炉という要求を、政府に一層、徹底的につきつけていきます。
20万で「音」扱いなら今度こそ「声」を! 福島大学 F
7月7日の福島県庁前での行動に参加しました。こっちは30人、向こうの警察は100人、それでなんで話ができない? 野田の車が制限速度を大幅に超えて県庁を飛び出した。あのスピードはなんなのか? 目の前であげられる国民の声を一切聞く気がないのは明らかであった。「国民の生活」を大事に思うなら、当事者である「国民」の声を聞くべきだ。
10万人じゃ足りない。20万人でも「音」扱いだった。ここ一番、全国から集まって今度こそ「声」をあげましょう。
クラス討論積み重ね京大同学会集会成功 関西学生 Y
7月6日、京都大学同学会再建に向けて学生集会がかちとられた。京大を始め同志社大、福島、沖縄の学生からパトスあふれる発言が続き、学生は常に時代と向き合い、社会、大学の現実との闘いに決起する可能性をひめていると確信した。
2年間どう大学当局と闘えばいいのか必死で考えてきた学生は、「自分たちの自治会を自分たちの思い、行動をもって体現していきたい!」と発言。誇りに満ちあふれ感動なしに聞けなかった。
集会成功の理由の一つ目は法大闘争の地平だと思う。私はその渦中で闘ってきた人間ではないが、法大闘争で絶対に仲間を裏切らない指導部が生み出されたことは決定的意義がある。もともと人間を心から信頼していなかったからこそ、私の可能性を信じきって闘う仲間の存在は計り難く大きかった。仲間を信じきること、人間の存在そのものに依拠しきること(団結)、そのたゆみない貫徹があったからこそ集会が成功したと思う。
二つ目は日々のクラス討論の積み重ねだ。クラス討論では、うまく議論できない、学生を信じきれない……本当にしんどかった。しかし、それは個人では解決できない。仲間と議論しないと課題は見えてこない。日々議論し、一歩一歩次の課題に向かって前進することにこそ意味がある。
クラス討論で内容で一致を深めることはなによりも重要だ。しかし、それだけを重視して提起者の熱い思いを軽視してはならない。人間の熱いパトスがもう一人の人間のパトスを呼び覚ます。その関係こそ団結だ。
自治会は個々の主体が生まれない限り発展しない。その中で全国全学生を獲得する内容が生まれる。これまでのクラス討論の集大成が炸裂(さくれつ)した集会だった。
福井の闘いに連帯しNAZEN岡山デモ 動労西日本副委員長 山田和広
7月8日、NAZEN岡山は原発再稼働反対を訴え、JR岡山駅前の桃太郎大通りをデモ行進した。駅前で配っていたビラを見て来た人、今日デモがあるというメールやツイッターを見て来た人、フクシマからの避難者、ドラムを持った音楽グループの人たち、60人が参加した。
福井県の大飯原発3号機は7月に入って再稼働し、首相官邸前で毎週大規模な抗議行動が行われている。これに連帯し、「再稼働反対」「原発反対」「子どもを守れ」「ガレキはいらない」と声をあげた。また、デモに先立つ街頭宣伝では、市民にビラ約200枚を配って原発反対を訴え、署名に応じた市民もデモに飛び入りで合流した。
デモ終了後、労働組合・岡山マスカットユニオンの主催で、『国際労働運動』8月号を使った労働学校が開催され、20人が参加した。「かつてなかったような労働者の根底的な決起の時代が、現実に始まっている」「被曝労働絶対反対で、労働組合が先頭に立って闘わなければならない」ことが確認された。
全学連の岡山大学の仲間は、「資本家がなんと言おうと現場に決定権があるんだ。京都大学では同学会が再建され、闘いが盛り上がっている。7・16集会に参加して声をあげよう」と決意表明した。7・16代々木公園10万人集会、8・6ヒロシマ大行動へ団結して闘おう。
「在留カード反対!」叫び7・9法務省デモ 動労千葉を支援する会 T
7月9日は、外国人登録証が廃止され、新たに在留カード制が施行される日だ。「仮放免者の会」が呼びかけた法務省デモに参加した。昼下がりの日比谷公園に仮放免の外国人が続々と集まる。子ども連れの家族も。在留カード制は子どもたちの教育に即影響する。
「国はどこですか」「スリランカです」「あそこにいるのが私の息子よ」と誇らしげに呼ぶ。頼もしそうな青年が私と一緒に参加した難民に会釈する。「友だち?」と聞くと、品川の入管収容所の中で手紙のやり取りをした人だという。非正規滞在者や難民申請者同士の連帯を感じる。
集会が始まった。全発言者が法務省に向けて「生きさせろ」と怒りをぶつけた。「外国人登録証がなくなったら私を証明するものはない! 私たちはお化けなのか!」という女性。「みんな生活できる力、権利持っている!」という男性。「働かないでどう生きろというんだ」「これはみんなの問題だ!」
中国人と結婚し2週間後に「強制退去」を通告されているイランの男性が「初めてデモに参加した。私は負けない」と発言、大きな励ましの声と拍手が起こる。みんなの怒りが一体になった。
集会の怒りはデモにつながった。東電前から新橋駅へ、いくつものカラー横断幕と短いコールで訴えた。途中から合流もあり長い隊列になる。法務省前では怒りが噴出、法務省に迫った。
新自由主義は資本の利益のために国境を越え労働者の団結を破壊する。弾圧と使い捨て。世界中の労働者が生きるため立ち上がっている。だから在留カードは私たち労働者の問題だ。日本で生きるため団結して闘おう!
首切り許さない立場から星野署名訴える みやぎ連帯ユニオン 植木直人
6月16日、みやぎ星野文昭さんを救う会の街頭宣伝でアピールした内容の一部を紹介します。
一人の首切りも許さない立場から、星野文昭さんに対する一刻も早い再審を求める署名とカンパへのご協力を訴えます。
星野さんは戦争に反対する思いを胸に、1971年に三里塚闘争、それに続く沖縄返還協定批准阻止の闘いに猛然と決起しました。協定の目的と実態は、アリバイ的に沖縄を日本に「返還」することで沖縄の米軍基地を永久に固定化してしまうものでした。島の経済を米軍に依存せざるをえない沖縄の労働者にとって、基地がなくなれば明日からの生活も困窮することは明らかでしたが、彼らは基地の撤去を求めて闘いを展開しました。
星野さんは、沖縄に連帯する闘いを全国に広めようと活動し、いわゆる渋谷事件に関係したとして指名手配され、75年から37年の長きにわたり無実の罪で獄中生活を強いられています。星野さんは百パーセント無実です。弁護団は事件から38年も経過した2009年時点でさえ、新たに27点にもおよぶ新証拠を裁判所に提出し再審を請求。にもかかわらず今年3月、東京高等裁判所は請求を棄却しました。
星野さんをデッチあげ逮捕し、沖縄闘争は終わり、沖縄県民を犠牲にして日本の平和が保たれている。おかしくはありませんか? 福島県民さえ犠牲になれば再び原発利権を追求することができる。こんなことを断じて許してはなりません。こんな社会は絶対におかしい。人間が人間らしく生きていける社会をつくろうではありませんか。人間は核や戦争とは共存できません。まずはこの署名から社会を動かしていこうではありませんか。
来年の星野総会には何倍もの青年参加を 徳島 指原博
星野救援会の総会に参加しました。今年の総会の印象は、全国でこんなにたくさんの労組や学生が「自分の問題として」一生懸命取り組んでいるのか、ということでした。そういう情勢が来たということです。
皆さんの発言を聞いていて、これは動労千葉の採用差別事件と同じじゃないか……と思いました。動労千葉は「不当労働行為はあったけれど、解雇は有効」。渋谷事件は「6人の証言は間違いだらけだけれど、星野は有罪・無期懲役」。
まさに、政府の信頼、司法権力の信頼は地に落ちています。総会前夜には、20万人が首相官邸を、反原発で包囲しました。
郵政非正規ユニオンの斎藤委員長の発言が、私の胸にも凛(りん)と響きました。同志一人を守れずに、われわれは団結しているといえるのか。来年は、この総会にもっと青年が何倍にもなるようにします。……まさに自分の思っていることそのものでした。
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週刊『前進』(2544号6面2)(2012/07/16 )
150人が東京下町デモ
再稼働・高濃度汚染に怒り
7月8日、東京で「放射能を考える下町ネットワーク」が呼びかけた「子どもたちを放射能から守ろう/原発再稼働絶対反対/下町デモ」が行われた。葛西地域デモ、江戸川区役所〜新小岩デモに続く第3弾で、墨田区錦糸町から江東区亀戸のコースだ。
首相官邸前行動でビラを受け取った人、「スカイツリーの下でデモやろう」という呼びかけに反応した人、「下町デモ」にひかれて地元から集まった人、子連れのお母さんたちなど。群馬や静岡から来ている人もいる。年齢もさまざまだが、誰もが官邸前の熱気を持ち寄っている。野田の再稼働強行への怒りは本物だ。誰もあきらめてなどいない。
動労千葉新小岩地域班やユニオンの旗がある。そのほかにも、呼びかけに応えて参加した組合がいくつかある。
おりしも下町地域では、葛飾区にある都立公園で最高25万ベクレル/sと、超高濃度の放射能汚染土壌が各所で検出されている。あらためて原発への怒りが沸騰しているのだ。
デモ出発点の錦糸公園での集会は注目の的だった。職場の放射能問題を告発して闘っている仲間や組合旗を持って参加した労働者が、組合での反原発の闘いを報告した。
さあ、150人でデモに出発だ。人出でにぎわう錦糸公園から飛び入り参加した人も多い。
なかでも小出裕章さんと共演したネット動画で有名な「スイシンジャー」(検索してみてください)一座がコスチューム姿で飛び入り参戦し、最後は先頭でコールもやって最高に盛り上がった。
デモの後、交流会が行われたが、会場に入りきれないほど人が集まった。それぞれ主体的に行動している一人ひとりが反原発への思いを熱く語り、再稼働への怒りを新たにした。多くの人が呼びかけを待っているのだ。
さらに話題は、参加者自身の首切り問題や労働組合の話にも発展していった。どうすれば勝てるのか、労働組合はなぜ必要なのか。これまでにない多様な参加者との討論では、こちらの本格的飛躍が求められる。
議論は尽きなかったが、ともに地域で行動を起こし、7・16代々木10万人集会には一緒に参加することを参加者全員で約束して散会した。
(東京東部・M)
(写真 下町ネットが呼びかけたデモ。多彩な参加者が官邸前の熱気を持ち寄り大高揚した【7月8日 東京・墨田区】)
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週刊『前進』(2544号6面3)(2012/07/16 )
星野面会・手紙国賠 墨塗り手紙を提出
刑務所包囲への弾圧弾劾
7月6日、東京地裁民事第38部(定塚誠裁判長)で、星野文昭同志への面会・手紙での国家賠償請求訴訟第3回裁判が開かれた。星野暁子さんを先頭とする原告、12人の傍聴者、西村正治、岩井信、藤田城治弁護士が開廷前から法廷を圧倒した。
前回、被告・国は「準備書面(1)」を提出した。この中で国は、2・5徳島刑務所包囲デモへの敵意をむき出しにし、暁子さんとの面会不許可と星野同志への手紙の墨塗り、さらに7人の面会不許可は正当なものであったと主張した。
弁護団は、これを徹底的に弾劾する原告「準備書面(1)」と「請求原因変更申立書(2)」を提出した。2・5闘争以降、暁子さんが送った手紙4通が新たに墨塗りされた。西村弁護士は追加の申し立てを行い、手紙の現物を証拠として提出した。傍聴席からもべったり墨塗りされた様子が見え、怒りが沸き起こった。
原告「準備書面(1)」の総論部分では、旧監獄法から現行の法律に変わる中で外部交通が拡大した趣旨を明確にし、「暴力団取り締まり」を口実にしたここ数年の大反動を弾劾している。また、星野同志は無期懲役という困難な中で再審請求を行っているのであり、その勝利のためには、再審弁護団はもちろん、友人面会が広く実現される必要があることを明確にした。
さらに、国が2・5闘争を友人面会不許可、手紙墨塗りの根拠にしていることを満身の怒りを込めて弾劾した。集会・デモ行進を行うことは労働者人民の当然の権利であり、憲法でも保障されている。国は、それを弾圧の口実にしているのだ。
各論では、暁子さんとの面会不許可と手紙の墨塗り、7人の友人面会不許可が、徳島刑務所長の裁量権を逸脱した違法、不当なものであることを個別に明らかにした。
裁判終了後、西村弁護士から傍聴者に詳細な説明が行われ、あらためて国家権力への怒りが沸き上がった。全国総会、7・1高裁デモの勝利の上に全証拠開示大運動に総決起し、星野同志を取り戻そうと誓い合った。
次回は、9月21日(金)午前11時30分から705号法廷で行われる。全力で結集しよう。
(写真 徳島刑務所によって墨塗りされた星野暁子さんから星野同志にあてた手紙)
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週刊『前進』(2544号6面6)(2012/07/16 )
星野全国総会 星野暁子さんの訴え
労働運動の力で星野奪還 その力で人間解放実現を
6月30日、7月1日の両日、東京で開催された「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議2012年全国総会」での星野暁子さんの発言(要旨)を紹介します。星野暁子さんは星野文昭同志のおつれあいであり、再審連絡会議の共同代表の一人です。(編集局)
昨日も、首相官邸前を15万とも20万とも言われる人が取り囲みました。再稼働を許さない労働者人民の声が、政権を揺るがすほどに高まっています。福島の子どもたちは放射能にさらされ、自殺者が増え、16万人もが避難生活を強いられる中での再稼働とはいったい何でしょうか。その上、消費増税です。星野の闘いは、この怒りの声とともに進みたいと思います。
6月12、13、14日、文昭に面会に行って来ました。文昭は今、本当に元気です。「どうしてそんなに元気なのか」と聞きました。「明け方、うつらうつらしながら考えるんだ。人間にとって何が一番大切なことなのか。人間は誰もが人として素晴らしいものを持っている。人として生きる喜びを大切にして生きられるようにしなければならないのに、今の社会はそうなっていない。だからそういう社会をつくるために生きる。そこで勝負する。だから元気なんだ」
そして翌日、「暁子がいてくれるからなんだ」と言っていました。
文昭は、無期によって人として生きる喜びを奪われ、それを一つひとつ奪い返す中でコミュニストとしての普遍性をつかみとってきました。文昭自身が、闘いと団結と愛によってよみがえったのです。孤立を経験した私も、闘いと団結と愛によってよみがえってきました。鈴コンの労働者が言うように、社会を変えようとする労働者の団結は無限大なのです。
そして今日の総会を、「棄却決定を弾劾する総決起集会としてかちとりたい。基本は同じく、あと2〜3年で出獄すると思っているよ」と言っていました。このことを総会の確認点にしたい。
昨年7月のアメリカ訪問の成功は、星野の闘いが「世界の星野」として通用することを示しました。獄中で闘うムミア、ケビン・クーパー、リン・スチュワートなどとの国際連帯を実現しました。今年はぜひ韓国に行き、星野を持ち込んで、勝負をかけたいと思っています。
今年2月5日、600人で実現した徳島刑務所包囲闘争は、画期的な、感動的な闘いでした。「獄壁を越えて」星野に声を届けたデモによって、星野の闘いが自分の闘いになったという人を数多く生み出しました。
文昭は、2・5がつくり出した地平として、今回のメッセージで「星野解放を実現することなくして自らの未来、解放はないとして星野に取り組んでくれることが肌身に感じられてうれしい」、そして「星野の闘い、再審・解放を闘うことによって、人間解放の闘いを真に自らの闘いとして闘うという新しい地平を開き、そのことによって星野闘争、星野再審・星野解放闘争の勝利の展望を開いている」と重要なことを言っています。
階級的労働運動の力で星野を奪還しようと言ってきましたが、同時に星野奪還の力で階級的労働運動、人間解放の勝利を実現する、それが実体として形成されたのだと言っているのです。文昭への手紙の中でも、文昭の言うことを一つの指針として自分の闘いに生かすという人が増えています。星野は革命の学校だと思います。そのことも総会での重要な確認点にしたいと思います。
これに対し、徳島刑務所は、面会禁止、手紙の差し止め、一部抹消などの攻撃をかけてきました。「訴因追加」を行って面会・手紙国賠で争っています。また、6月22日、徳島弁護士会は、「勧告書」と「意見書」を徳島刑務所に対して送りました。結婚記念日の私の面会拒否と、手紙の一部抹消は「明らかに人権侵害だ」と述べています。力を得て、国賠勝利をかちとっていきたい。
3月30日、東京高裁第11刑事部、若原正樹裁判長は、星野の第2次再審を棄却しました。「誘導は、不当なものでない限り記憶喚起のために有効だ。Kr供述は、誘導をやったから記憶喚起ができたのであり、それに比べ厳島鑑定での実験は、誘導しないから記憶喚起ができなかった」などと述べているのです。
満腔(まんこう)の怒りというのは、こういう時に使うものだと思います。満腔の怒りをもって弾劾します。闘いに追い詰められ、悪意をもって「誘導」を美化した棄却決定は、あの1983年の草場良八による確定判決に等しい、それ以上の反動判決です。
あの時とまったく違うのは、全力で反撃する闘う仲間が、全国にともにいるということです。腐敗したおぞましい裁判所を許しておいて未来はありません。
証拠の全面開示を求める大運動を、賛同運動と署名運動として全国から開始しましょう。裁判の最初に証拠を開示するのは、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストリア等、先進国と言われる国では常識です。検察官が証拠を隠し持っているのは日本だけです。民間目撃供述の開示をなんとしても実現しましょう。
そして、原発再稼働に怒る福島と全国、オスプレイ配備反対に立ち上がる沖縄、外注化・非正規化阻止を闘う国鉄全国運動と一体に闘い、新自由主義と闘って、階級的力関係を変え、星野再審開始と釈放をかちとっていきましょう。その力で、人が人として生きられる社会を実現しましょう。
(写真 全国再審連絡会議総会の初日、星野同志のメッセージを星野暁子さんが読み上げた)
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