ZENSHIN 2012/07/02(No2542 p08)
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週刊『前進』(2542号1面1)(2012/07/02 )
労働組合の力で野田倒せ
10・1JR外注化、原発再稼働、消費大増税、改憲・戦争と闘おう
7・16代々木公園(午前9時)総結集を
(写真 20万のデモ官邸前うめる 6月29日夕、原発再稼働に反対し20万人が首相官邸前を埋めた。広い道路の全車線を人波が制圧し「再稼働反対」の叫びがこだました。NAZENとドイツのエテコンも先頭で闘った【次号続報】)
1〜6月の2012年前半決戦は、激しい動と反動の激突であった。国鉄決戦と反原発決戦を一体のものとして推進し、プロレタリア世界革命へ向かって驀進(ばくしん)しよう――このスローガンのもとで決戦的な闘争をうち抜き、力強い前進をかちとってきた。6・10国鉄全国集会の感動的成功は、日帝ブルジョアジーと野田政権の原発再稼働と消費大増税の攻撃を粉砕する大闘争の階級的土台をつくりだした。またこの中で女性2同志が完黙・非転向の闘いを貫き、6・7弾圧は完全に粉砕された。勝負はこれからだ。首相官邸を包囲する数万、数十万の怒りと結び、7・16反原発10万人決起へ大進撃を! この決戦のただ中で組織拡大と夏期カンパ決戦をやりぬこう。7・29革共同政治集会を圧倒的に成功させよう。
巨万の決起で時代変わる
関西電力・大飯原発3、4号機の再稼働を決定した野田に対して、労働者人民は根底的怒りを爆発させ、あらゆる行動に立ち上がっている。野田が再稼働を決めたからといって、だれ一人あきらめてなどいない。
6月22日、首相官邸周辺に集まった4万5千人は「再稼働反対!」「絶対反対!」と2時間ぶっ通しで叫び続けた。「自分たちの未来は自分たちが決める」「野田をぶっ飛ばせ」。張り裂けんばかりの怒りは官邸で閣僚会議を行っていた野田らを震え上がらせた。「次は10万人だ!」「首相官邸前をタハリール広場に!」と、怒りの決起はとどまるところを知らない。大恐慌と3・11情勢下で今や革命的情勢が完全に生み出されている。
原発は地上にすえられた原爆だ。国と東電は福島第一でこの原爆を爆発させ、福島県民とりわけ子どもたちに大量の被曝を強制した。しかも一切その責任を取らず、「事故は収束した」などと強弁し、何本もの活断層の上に立つ大飯原発の再稼働を決めたのだ。再稼働準備に入った大飯原発3、4号機では、早くも事故が続発している。
野田にとって原発労働者が被曝しようが、子どもたちが被曝しようが、数十万人の福島県民が故郷を追われていようが、関係ないのだ。資本の利益、ブルジョアジーの延命のためには再稼働は当然だと思っているのだ。野田と労働者階級は非和解だ。この野田を打倒すれば再稼働は阻止できる。7・16の10万人決起で野田を打倒し再稼働を止めよう。
野田は1月の施政方針演説で「安全保障」の観点から原発再稼働を進めると宣言した。そして6月20日に成立した原子力規制委員会設置法の付則で、原子力の利用目的に「国の安全保障に資する」ことを明記し、原子力基本法の中身をクーデター的に変更した。まさに核武装のための原発再稼働なのだ。
そもそも外務省の内部文書では「核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャル(能力)は常に保持する」と69年以来ずっと確認されてきた。核燃料サイクルと称した軍事用プルトニウムの確保とロケット開発は、核を持てない敗戦帝国主義・日帝の核武装政策そのものだ。大飯再稼働決定と同時に原子力安全・保安院が26日、六ケ所村に建設中のMOX燃料加工場の工事を認可したことも超重大だ。脱落日帝・野田政権の原発再稼働強行と核武装の策動に労働者の反撃をたたきつけよう。
野田は安保強化と戦争・改憲攻撃でも超反動的だ。反原発闘争の大発展とともにオスプレイの7月配備策動と闘う沖縄闘争の高揚をかちとり、絶望的に凶暴化する野田を打倒し、プロレタリア革命勝利を切り開こう。
勝負はまさにこれからだ
野田は反原発闘争の爆発でグラグラになりながら、6月26日には、消費増税関連8法案の衆院採決を強行した。民自公3党合意のもと、約8割の賛成という翼賛国会で消費増税法案をごり押ししたのだ。しかし、首相官邸周辺に結集した労働者人民をはじめ、だれ一人としてこれで消費大増税が決まったなどと考えてはいない。野田をぶっ飛ばして勝利するのだという決意に燃えている。
採決強行と民主党の分裂は、野田政権の崩壊的危機と同時に、今や大恐慌と3・11情勢下で、日帝の統治能力そのものの危機と崩壊を突き出している。労働者人民の怒りが10万という規模で、議会制民主主義など踏み越えて拡大し始めた。もはや議会への幻想は吹き飛び、革命情勢が急速に接近している。
経団連会長の米倉、日本商工会議所会頭の岡村、経済同友会代表幹事の長谷川らブルジョアジーの中枢は、消費増税法案の成立を諸手をあげて歓迎した。原発推進勢力が消費大増税を強行し、資本の延命と金もうけのために、労働者人民への実質的な大幅賃下げと、徹底的な生活破壊を行おうとしている。とりわけ失業者、非正規労働者、年金生活者、障害者や中小零細企業などは、消費大増税のもとでは生きていけない。まさに死ねと言うことだ。
この消費大増税で得をするのは大企業だけだ。消費税率を上げれば上げるほど、輸出大企業への還付金は増える。トヨタは2010年度の年間還付税額が2246億円。消費税収入のワースト1は、管内にトヨタ自動車がある豊田税務署でマイナス1154億円。トヨタは消費税でぼろもうけしているのだ。
野田は消費増税を何度も国際公約してきた。その狙いは財政破綻から国債暴落へ突き進む日帝の危機を、消費大増税という極限的な大衆収奪でのりきるためだ。しかし労働者人民に国家財政破綻の責任など一切ない。それは百パーセント、ブルジョアジーと政府の責任だ。滅ぶべきは破綻し命脈尽きたブルジョア国家であり、労働者人民では断じてない。
過酷な緊縮財政下で、ギリシャやスペインの労働者は、生きるためにゼネストや大規模デモで闘いぬいている。これに続こう。再稼働阻止、消費大増税粉砕へ、国鉄決戦と反原発決戦で憎むべき野田政権を打倒しよう。
6・10地平発展させよう
労働者人民は社会の根底的な変革を求め壮大な決起を開始した。勝利の最大の鍵は、新自由主義と対決し闘う労働組合をよみがえらせることだ。労働者と労働組合を軸にすべての人民大衆が団結して資本家とその政府と闘うことだ。闘って団結を取り戻し、共同性を培っていくのだ。
生み出された革命的情勢を真の革命に発展させるために、今こそ労働者階級の基礎的団結形態である労働組合を階級闘争の大地に荒々しく登場させよう。6・10国鉄闘争全国集会が切り開いた地平を発展させ、職場生産点で資本と非和解的に闘いぬくことを土台に、政治闘争にも職場丸ごと決起していく階級的労働運動の飛躍を実現しよう。動労千葉を先頭に、10・1外注化阻止と非正規職撤廃へと闘う国鉄決戦に勝利し、職場を軸に階級的労働運動派を主流派へと押し上げよう。
議会制民主主義の破綻とともに連合支配も崩壊する。連合は原発再稼働に賛成するばかりか、消費大増税に「法案の早期成立を求める」と南雲事務局長談話を発表した。労働者への実質大幅賃下げ=消費大増税に積極賛成のナショナルセンターなど、どこの世界で通用するか。この期に及んで労働者人民の憎しみの的=野田政権を支えているのが、ブルジョアジーとともに連合だ。国鉄決戦と反原発決戦で連合指導部を打倒し、今こそ闘う階級的労働組合をよみがえらせる時だ。
動労千葉を先頭に、階級的労働運動派の前進と飛躍が勝利を開く情勢が到来した。
第一に、労働組合旗を林立させ、さようなら原発7・16代々木公園10万人大集会に全国津々浦々から総結集しよう。この階級的力こそが再稼働を止め、さらに10・1外注化を阻止する源だ。そこから8・6ヒロシマ−8・9ナガサキ反核反原発闘争へ進撃しよう。
第二に、10・1JR検修外注化阻止へ総決起しよう。動労千葉の闘いと一体でビラまき闘争に立とう。外注化は偽装請負と出向=転籍であり(JRに戻れない!)、技術継承が途絶え、安全問題も必ず噴出する、この矛盾と破綻を徹底的に暴露し、JR総連から青年労働者の反乱をつくりだそう。7・26〜27国労大会決戦へ、組織拡大で勝負しよう。
第三に、全学自治会同学会を再建した京都大学で7・6学生集会をかちとり、全国で新自由主義と闘う自治会を建設しよう。法大闘争の前進と9月全学連大会へ総決起しよう。
第四に、これら一切の成果をひっさげ、7・29革共同政治集会(東京、関西、東北)を青年労働者・学生を先頭に大成功させよう。
最後に訴えます。革共同に絶大な夏期カンパを寄せて下さい。大失業と非正規化の中でのカンパ闘争こそ、最高の階級的団結をかけた闘いです。夏期カンパ闘争でともにプロレタリア革命の勝利を開きましょう。
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週刊『前進』(2542号1面2)(2012/07/02 )
前進速報版から
▼東北石けん闘争、金銭和解案をけり解雇撤回貫く▼中国広東省で相次ぐ暴動、ストライキ▼デッチあげ粉砕、女性労働者2名を奪還
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週刊『前進』(2542号1面3)(2012/07/02 )
【要綱】さようなら原発10万人集会
東京・代々木公園 イベント広場、ケヤキ並木、サッカー場
7月16日(月曜日/休日)
★メインステージ
12時15分〜オープニングコンサート
12時55分〜メイン集会(午後2時まで)
午後1時30分〜パレード出発(集会中に出発/3コース)
■呼びかけ人さようなら原発1000万人市民の会
内橋克人/大江健三郎/落合恵子/鎌田慧/坂本龍一澤地久枝/瀬戸内寂聴/辻井喬/鶴見俊輔
注意事項
☆当日はJR原宿駅が大変混雑が予想されるので、できるだけ渋谷駅または地下鉄千代田線・代々木公園駅、明治神宮前駅、小田急線・代々木八幡駅をご利用ください。
☆当日は暑さ対策として、各自帽子、タオル、飲料水などのご用意を。ゴミは各自持ち帰りを。
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週刊『前進』(2542号1面4)(2012/07/02 )
【要綱】7・29革共同政治集会
7・29革共同政治集会
外注化阻止・非正規職撤廃! 再稼働阻止・被曝労働反対!日帝・野田政権打倒し、プロレタリア革命勝利を切り開こう
〈東京〉基調報告 深田 力(中央学生組織委員会議長)
7月29日(日)午前11時開会豊島公会堂(豊島区東池袋1-19-1)
〈関西〉基調報告 黒沢 肇
7月29日(日)正午開場 午後1時開会大阪市立西区民センター(大阪市西区北堀江4-2-7)
〈東北〉基調報告 岡崎康史
7月29日(日)正午開場 12時30分開会仙台市戦災復興記念館地下展示ホール(仙台市青葉区大町2-12-1)
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週刊『前進』(2542号2面1)(2012/07/02 )
動労千葉定期委 外注化阻止へ決戦態勢
“組織拡大こそ勝負の鍵だ”
動労千葉の第67回定期委員会が6月24日、DC会館で開催された。第1のスローガンは「検修・構内業務全面外注化『10月1日実施』を、全組合員の総決起で絶対に阻止しよう!」だ。
冒頭あいさつに立った田中康宏委員長は「闘いはまさに正念場だ。12年間にわたる外注化阻止闘争のすべてをかけて、この夏から秋の闘いに立ち上がろう」と切り出した。野田政権による消費税大増税と原発再稼働強行の動きを批判、22日金曜日に首相官邸前を4万人以上が包囲した闘いに触れ「経験したことがないほどの情勢、大きな転換点だ。労働組合をよみがえらせれば間違いなく歴史は動く」と述べた。
田中委員長は、外注化提案を6月21日に裏切り妥結した東労組本部を激しく弾劾、後を追うように妥結に進む国労本部を批判し、「現場は誰も外注化など認めていない。10年以上にわたる闘いで、検修職場は他労組も含めて丸ごと外注化反対になった。この事実は何も変わっていない。庁舎の改装はどうする。1千人を超える出向者の人選はどうなる。偽装請負や強制出向をめぐる法令問題も何も解決していない。切羽詰まっているのは会社の側だ。総力を挙げて闘えば阻止することは不可能じゃない」と述べ全組合員の決起を訴えた。
来賓として動労千葉顧問弁護団の石田亮弁護士があいさつを行い、「職場を守る現場での闘いと一体で、外注化と強制出向差し止めの仮処分を闘う」と発言した。
続いて、経過報告と総括を繁沢敬一副委員長が、情勢を川崎昌浩執行委員が、JRをめぐる動きについて大竹哲治副委員長が、当面する方針について長田敏之書記長が提起した。長田書記長は外注化絶対阻止へ以下の方針を明らかにした。
@外注化へ具体的動きが明らかになったらいつでもストライキに突入できる態勢の確立、A偽装請負問題についての対労働局闘争の強化、B外注化と強制出向の差し止めを求める集団訴訟の準備、C検修職場全員集会の開催、D本社、千葉支社、千葉鉄道サービス(CTS)との団交強化、E7月14日の「業務外注化阻止!動労千葉総決起集会」(午後6時、千葉市生涯学習センター)の開催、FCTSにおいてもストを含む闘いに立てる態勢の確立、G組織拡大闘争への全組合員の総決起などだ。
“10月1日も必ず止める。
討論では検修職場の組合員から鮮明な決意が表明された。幕張支部の山田護支部長は「われわれは2年半にわたって全面外注化を止めてきた。10月1日も必ず止める。強制出向には絶対に行かない。この場であらためて決意したい。この闘いに組織拡大闘争の成否もかかっている」と述べた。京葉支部の青年労働者は「職場の労働者の中で意識の分岐が始まっている。これを組織拡大に結びつける」と発言した。
千葉機関区支部の委員は、貨物会社の夏期手当超低額回答(1・61カ月)を弾劾、矛盾のすべてを現場労働者に転嫁するJR貨物大リストラと闘う決意を表明した。運転職場からも、運転基地再編と勝利的に闘い抜いた千葉運転区支部、銚子支部、佐倉支部の委員が決意を表明した。5月に結成をかちとった佐倉支部からは、傍聴も含めて9人の組合員が参加し、固い団結を示した。
総括答弁で田中委員長は、「原点に立ち返り、会社と東労組、国労本部がやろうとしていることに徹底的に怒りを組織しよう。技術力ゼロの会社に、労働者ごと業務を丸投げするなど絶対にやってはいけないことだ。実際に車両の検査・修繕ができるのか。百パーセント不可能だ。安全は崩壊し、技術継承が途絶える。こんなものは現場を知らない本社のエリートが考えた机上の話だ。何よりも組織拡大が実現できるかどうかが勝負だ。この闘いは単に自らの職場を守るだけじゃなく、日本の労働運動の現状に大きなインパクトを与える闘いだ」と語った。
満場一致で新たな闘いの方針を決定し、動労千葉は新たな闘争態勢を確立した。闘いの先頭に立つ動労千葉とともに闘おう。職場から総反乱を巻き起こし、検修全面外注化を阻止しよう。
(写真 組合歌斉唱と団結ガンバローで、全面外注化阻止の決戦に一致団結して突入することを誓い合った【6月24日 千葉市・DC会館】)
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週刊『前進』(2542号2面2)(2012/07/02 )
東労組の裏切り妥結弾劾し10・1外注化を絶対阻止する
6・10の地平固め歴史的な決戦へ
JR東日本による検修・構内業務の全面外注化を巡る闘いが正念場を迎えている。10月1日の実施強行を阻む攻防は、動労千葉の12年に及ぶ外注化阻止闘争の総決算をかけた大決戦だ。新自由主義の根幹をなす外注化攻撃を打ち破れるのか否か。日本労働運動の命運をかけた勝負の時だ。連日、首相官邸前に数万人が集まり、底知れぬ人民の怒りが爆発している。「経験したことのない情勢、大きな転換点だ。労働組合をよみがえらせれば歴史は動く」(動労千葉・田中康宏委員長)。この精神で10・1外注化阻止決戦に総決起しよう。
結託体制“再建”の密約で会社提案を丸のみした東労組
JR東日本と東労組は背水の陣で10・1実施強行を構えている。東労組は5月14日、「実施時期をどう考えているのか」と申し入れを行い、会社から「10月1日実施」の回答を引き出した。その後、わずか1カ月の間に7回の本社交渉が行われ、6月21日には妥結した。
異例のスピードで10・1に向かって事態が進行している。東労組は、ペテン的な一部修正を「成果」と言いなし、組合主導のできレースで10・1実施になだれ込もうとしている。現場に反対の声を上げる余地も与えずに強行しようとしているのだ。
事態の一切の核心は、東労組の裏切り妥結にある。
技術も経験もゼロの請負会社にJRの社員を丸ごと出向・転籍にたたき込む。これが外注化の正体だ。外注化が強行されれば、雇用は徹底的に破壊され、偽装請負・偽装出向は横行する。派遣法にも職安法にも違反する。技術継承も安全も崩壊する。どうしてこんな不条理がまかり通るのか。
焦点は、一から十まで東労組が主導してすべて丸のみする構図にある。団交に先立ちJR資本は、この間に進めていた東労組切り捨て政策について「不穏当で誤解を与えるものであった」と表明し、「留意を約束した」という(東労組機関紙『緑の風』)。外注化強行のために腐り果てた結託体制が「再建」されたのだ。東労組カクマルは、自らの生き残りのために「現場をすべて売り渡す」と会社に泣きついたのだ。
同時に、この攻撃の弱点もまた〈東労組の裏切り〉にある。東労組と会社の反動的結託体制を突き破って「外注化には絶対反対」「出向を拒否する」と現場の怒りを結集すれば、必ず阻止できる。請負会社は技術も経験もゼロだ。現場労働者が出向を拒否すれば外注化はたちまち机上の空論となる。
〈東労組の妥結弾劾!〉この一点に怒りを集中させよう。東労組は、現場労働者の雇用も誇りも未来もすべて売り渡そうとしている。東労組のもとで疑問を感じ悩んでいる平成採の青年労働者に訴えよう。現場の労働者がみんなで反対すれば外注化は阻止できる。
動労千葉−動労総連合は10・1阻止へ総力決起する。動労千葉は6月24日、第67回定期委員会を開催し、絶対反対で徹底抗戦することを宣言した。強制出向の集団差し止め訴訟も提起する。外注化の矛盾を何百項目でも指摘して団交で徹底追及し、何波でもストライキを行う。
4月1日の実施を阻止した力関係は変わっていない。現場労働者は誰もが外注化に反対だ。今年1月27日の京葉車両センターでの構内業務の外注化を巡っては、組合の枠を超えてすべての労働者が委託業務に就くことを拒否した。ハンドルを握ったのはカクマル分子と管理職だけだ。
4・1阻止の最大の原動力は何より東労組京葉車両センター分会における平成採の反乱だった。東労組本部は必死に抑え込もうとしているが、「私たちが出向して作業を行うのは外注会社に技術がないと言っているようなもの。もはや偽装請負のレベルの話ではない」「定年を65歳にすれば外注化する必要もない」(昨年11月に行われた東労組の「政策フォーラム」)との声が噴出している。
国鉄分割・民営化以来の東労組とJR資本の結託体制を崩壊させる事態が起きつつある。東労組の動揺は察して余りある。東労組カクマル最高幹部の松崎明の死を前後してJR資本の労務政策が転換し、結託体制の矛盾と危機が噴出する中で、超弩(ど)級の反乱が東労組を直撃したのだ。
これが外注化を阻止した力だ。12年間に及ぶ動労千葉の外注化阻止闘争の地平でもある。検修・構内業務の外注化の進捗(しんちょく)状況は、京葉車両センターでは構内業務の1日勤だけ、幕張車両センターはゼロ。JR東日本が検修・構内業務を丸ごと外注化するためには1千人規模の強制出向が必要だ。ここに動労千葉−動労総連合が絶対反対で立ちはだかり、平成採の反乱と結合しつつあるのだ。
どんなに東労組が「外注化=転籍は動労千葉の虚言だ」と宣伝しても現場はだまされない。東労組と会社が力ずくで出向・転籍を押し通すのか、それとも動労千葉とともに出向拒否の大反乱が始まるのか。問題は厳然と提起されている。
新自由主義の核心を打ち砕く大決戦がついに始まった
JRの検修職場で働くすべての労働者の皆さん! 動労千葉−動労総連合とともに出向を拒否して外注化と闘おう。動労千葉を支援する会が「外注化阻止ニュース」を発行している。支援する会や労組交流センターのウェブサイトからダウンロードできる。全国の検修職場に配布することを訴えたい。
新自由主義攻撃の核心は外注化(アウトソーシング)にある。外注化阻止闘争は日本の労働運動の展望を切り開く決定的な闘いだ。
外注化の本格的な攻撃は1995年の日経連報告「新時代の『日本的経営』」から始まった。日経連はこの提言で労働者を「長期蓄積能力活用型グループ」「高度専門能力活用型グループ」「雇用柔軟型グループ」という三つのグループに分け、労働力の「弾力化」「流動化」を進め、総人件費を削減しようとした。実に全労働者の9割を非正規雇用にたたき込む攻撃だ。
その推進力となったのが外注化(アウトソーシング)と労働者派遣法だ。これで有期雇用や間接雇用が激増した。「再構築」を意味するリストラという言葉がクビ切りや解雇の意味に用いられるようになったのはこの頃だ。
元通産官僚の村上世彰(村上ファンドを設立、後に逮捕された)が『アウトソーシングの時代』を出版したのが1999年。村上は、企業の各部門を丸ごと、労働者も設備も含めて全機能を外注会社に放り投げるフルアウトソーシングを提起している。丸ごと外注化で終身雇用や年功賃金を破壊できると提言しているのだ。
バブルが崩壊し長期不況が続く中、全産業で継続的にアウトソーシングが拡大した。偽装請負という雇用形態が一気に広がった。電機や自動車産業など製造業の工場では派遣社員や請負社員の割合が一挙に増えた。
国鉄分割・民営化を経て総評が解散し、連合が結成されたのが1989年。日本労働運動は外注化との闘いをほとんど位置づけることができず、対抗できなかった。それどころか電機連合や自動車総連を始め連合は完全に共犯者だった。
しかしJRでは、2000年「ニューフロンティア21」から始まったJR東日本の外注化攻撃を、動労千葉は12年間も阻んできた。動労千葉はニューフロンティア21を〈第2の分割・民営化攻撃〉と位置づけ、悪戦苦闘して外注化阻止闘争を継続してきたのだ。1047名解雇撤回闘争と並ぶ職場生産点での決定的な闘争だった。
動労千葉は、定年退職者の再雇用と引き換えの外注化容認(シニア制度)を拒否し、業務外しや役員の強制配転に耐えながら、検修職場における反合理化・運転保安闘争によって対抗してきた。そして数年前から青年労働者の動労千葉への加入が始まった。
JR東日本で10年以上、外注化を阻んできた階級的意義は大きい。新自由主義粉砕闘争を日本労働運動の中に打ち立てつつある。この地平を厳格に総括して10・1外注化阻止の闘いに突入しなければならない。動労千葉の外注化阻止闘争は、1995年日経連路線の核心をとらえたのだ。
新自由主義下の労働運動の成否は外注化との闘いにかかっている。10・1を巡って国鉄労働運動が新しい展望を切り開くことができるのか否か。動労千葉は12年間の闘いで組合の壁を超えて労働者の意識の決定的変化を生みだした。12年間も資本が外注化を強行できないのは、それだけの理由があるからだ。現場労働者は外注化に賛成などしていない。変化したのはただ一点、東労組が丸のみ妥結したことだけだ。外注化阻止の鍵は、裏切りに走った東労組と決別し、これを打倒し解体する闘争を発展させることにある。
大恐慌と3・11情勢の中で、日本帝国主義は〈原発・鉄道・水〉の輸出ビジネスを成長戦略の要に据えている。JR資本も、駅ナカ・電子マネー・鉄道の3事業に加えて鉄道の海外輸出に活路を見いだそうとしている。だから、JR資本にとって、足元の外注化が腰砕けに終わるわけにはいかないのだ。内外情勢もまた激しく10・1外注化を規定している。
労働運動の階級的復権を実現する時だ。職場生産点から外注化と闘う展望をつかみつつある。外注化阻止・非正規職撤廃闘争を全産業・全戦線に拡大しよう。
階級的労働運動の復権へ転換点となった6・10国鉄集会
国鉄闘争全国運動の6・10集会で呼びかけ人の伊藤晃さんは次のように指摘した。
「新自由主義のもとで攻撃が激しくなっていることは事実だ。しかし、資本は昔からこんなものだ。どこが変わったのか。昔は攻撃に対して反撃する労働組合・労働運動があった。今、それが非常に弱くなっている。労働組合が反撃さえすれば、対抗関係をつくることができる」「その可能性は、客観的状況ではなく、ひとえに労働者の意思と行動の中にある」
労働組合は労働者が資本と闘うために必要なのだ。労働者が団結して対抗してくることほどブルジョアジーにとって脅威となるものはない。労働組合のこの原点をよみがえらせることが最大の課題だ。逆に言えば、労働者の団結や階級意識を解体することにブルジョアジーは全精力を費やしている。10・1外注化を巡る攻防は、労働組合と団結を巡る資本も含めた大党派闘争なのである。これは階級闘争全体に巨大なインパクトを与える問題だ。
6・10集会には階級的労働運動の復権に向けて重大な転換点となる内容が息づいている。
「団体交渉では、いかに決裂するかだけを考えています。私の役割は最後に『やれるもんならやってみろ』と捨てぜりふを吐くこと。組合と決裂したままやるのは当局にとっては相当しんどい。条件闘争よりはるかに抑止力がある」(呼びかけ人の愛媛県職員労働組合・宇都宮理委員長)
「郡山で反原発の2万人集会を開催するという話が持ち上がり、これにかけるしかないと思いました。工場全体を巻き込んだ運動をしないと2万人はいかない。私は決意し、社民党、共産党の人たちにも訴えました。4・9政治和解でいったん壊された団結の再生が始まりました。JRの検修外注化に対し、工場全体で団結し勝てたら、でっかいものが生まれます。支部では国労の連合加盟反対で一致した」(国労郡山工場支部)
「台風で水道職員2名が命を落とす痛ましい事件が起こりました。2名を殺したのは安全無視の労働強化のせいだと、われわれは仙台市当局と闘ってきました。この闘いで、資本・当局と絶対反対で対決する潮流が生まれてきました」(仙台市役所・動労千葉を支援する会)
新自由主義の攻撃は労働組合の協力・屈服を前提としている。ここに新自由主義攻撃のひとつの核心がある。しかし、これを打ち破る価値観の転換が生まれている。6・10集会は、日本労働運動の現状を転換させる可能性を示した。「千葉では10年余の闘いで、外注化を阻止する力が現場から生まれた。現場の力が新自由主義に立ち向かうことができることを証明した」(動労千葉・田中康宏委員長)。誰もが労働組合のすばらしさを感じた。
大阪・橋下や被災地「復興特区」、原発再稼働、消費税など新自由主義攻撃の全面化の中で、労働運動の屈服を迫る攻撃は何より国鉄闘争を巡って仕掛けられている。
国労本部は闘争団員の組合員権を奪い、7月の大会で連合加盟に走ろうとしている。国労本部は、10・1外注化についても東労組と同様に「一部修正は成果だ」として推進の立場だ。4・9政治和解との闘いは現在進行形のテーマである。
10・1を巡る決戦は国鉄闘争の解体攻撃を打ち破る決戦でもある。国鉄闘争全国運動は6・10集会で「国鉄闘争の火をさらに大きく」のスローガンを打ち出した。国鉄闘争を広げることが労働運動再生の現実的な道である。情勢を転換させる大一番の勝負の時だ。
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週刊『前進』(2542号2面3)(2012/07/02 )
JR株主総会に抗議
闘争団を先頭に宣伝行動
JR東日本の株主総会が開かれた6月22日、共に闘う国労の会が抗議行動に立ち上がった。早朝から株主総会会場のホテルニューオータニにほど近いJR四ツ谷駅前に登場し、大横断幕を掲げて検修業務の全面外注化阻止、1047名解雇撤回を熱烈に訴えた。
マイクをとった秋田闘争団の小玉忠憲さんは「JR東日本の株主総会では、車両メンテナンス業務の全面外注化が打ち出される。駅業務の全面外注化も始まっている。現場のJR労働者と住民に被曝を強制し、原発再稼働の先頭に立っているのもJRだ。私たちは、青年の2人に1人が非正規雇用という社会など絶対に認めることはできない。私自身の不当解雇撤回と同時に、JRになってから採用された青年たちとともにJRの現状とこの社会を変えるために闘う」と宣言した。
国労上野支部の吉野元久さんも、国鉄分割・民営化以来のJR職場での安全崩壊の現状を暴露し、JR東日本による業務外注化を絶対に許してはならないと訴えた。多くの総会参加者がビラを受け取り、アピールに注目した。
その後、JR東日本本社がある新宿駅南口に移動、駅頭での宣伝行動を貫徹した(写真下)。
午後には東京高裁第14民事部に対して、小玉忠憲さんが闘っている鉄道運輸機構訴訟についての申し入れと署名提出行動が行われた。
「政府・鉄道運輸機構とJRの不当労働行為責任を明らかにし、解雇撤回の判決を求める署名」3239筆分を提出、一昨年12月2日提出分(3567筆)と合わせると署名は6806筆になった。申入書を読み上げ、第14民事部の書記官にしっかりと手渡した。
JR東株主総会では、前社長の清野智が会長に、副社長の冨田哲郎が社長に昇格する人事が承認された。すでに冨田は、今年の秋に「グループ経営ビジョン2020―挑む―」に代わる新たな経営計画を打ち出すことを表明している。その柱は、業務全面外注化を柱とするさらに徹底したコスト削減と、鉄道の海外輸出だ。動労千葉と動労総連合、共に闘う国労の会の闘いは、その核心部分を撃ち抜くものだ。
7・18国労組合員資格確認訴訟(10時30分、東京地裁)、7・19鉄道運輸機構訴訟控訴審(11時、東京高裁)を闘い、何よりも全職場から嵐のような闘いを巻き起こそう。そして、7・26〜27国労大会決戦へ突き進もう。
(写真上 総会会場直近のJR四ツ谷駅前で解雇撤回・外注化阻止を訴え【6月22日 千代田区】)
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週刊『前進』(2542号3面1)(2012/07/02 )
人事院闘争 社保525人の解雇撤回へ
国鉄決戦と一体で勝利開け
年金機構非正規職の反乱を
09年末の社会保険庁解体・民営化以来2年半にわたって不屈に闘われてきた社保労働者525人の分限免職処分(解雇)撤回闘争が山場を迎えようとしている。不当解雇撤回を求める人事院公開審理闘争は、社保庁解体・民営化が国鉄分割・民営化以上に悪質な公務員全員解雇・非正規職化攻撃の突破口であり、違法不当な国家的犯罪行為であることを暴き出した。その闘いは、過重労働の強制と雇い止め攻撃にさらされる年金機構労働者の怒りと結びつき、大きく拡大しようとしている。追いつめられた政府・厚生労働省に加え、人事院自ら”分限免職処分は適正に行われ正当”とする反動決定に向けて動き出した。人事院の反動決定を許さず、社保労働者525人の解雇撤回と年金機構労働者の総反乱へ、国鉄・反原発決戦の大高揚と結合して闘おう。
(写真 全国78人の審理の先陣を切って始まった平口雅明さんの公開審理闘争【2010年8月10日、広島で】)
「公務員大量解雇」との最先端の激突
国鉄闘争全国運動6・10全国集会は、あらゆる産別・職場で「本物の労働運動」を実践し、新自由主義攻撃を打ち破る10・1JR外注化阻止決戦への突入を宣言した。
その先頭で社会保険庁分限免職処分者の平口雅明さんをはじめ闘う社会保険労働者が決起している。社保庁解雇撤回闘争が、国鉄闘争を基軸に道州制・公務員全員解雇攻撃との決戦の最先端で不屈に闘い抜かれているのだ。
民主党・連合政権は、09年末、社会保険庁解体=日本年金機構発足をもって社保庁の公務員労働者全員の解雇を強行した。「年金機構不採用」とされた525人の誇り高き労働者は、自主退職の強要を拒否して分限免職処分を受けて立ち、国鉄1047名解雇撤回に続く闘いに突入していった。10年4・9国鉄闘争政治和解攻撃と一体となった連合・自治労本部と全国社会保険職員労働組合(社保労組)本部による闘争圧殺策動を粉砕しての決起であった。社保庁分限免職者を先頭に、全国各地で人事院闘争、裁判闘争が闘われ、国家を相手取った解雇撤回闘争が力強く進められている。
この闘いは今や、過重労働の強要と雇い止め攻撃にさらされている日本年金機構の現場の怒りと結びつき、公務員大量解雇・非正規職化攻撃に立ち向かう最先端の闘いとして闘い抜かれている。
人事院“解雇正当”の反動決定を策動
社保庁労働者525人の不屈の解雇撤回闘争は、人事院公開審理の場において国鉄分割・民営化に続く社保庁解体・民営化による職員全員解雇・選別採用、大量の非正規職化の不当性を暴き出し、首切り下手人の民主党政府と厚生労働省を徹底的に追いつめている。今や、人事院自ら「内閣から独立した第3者機関」としての「公平性」の仮象すらかなぐり捨て、日本帝国主義の支配機構の一端として、社保労働者の解雇を正当とする超反動決定へ突き進もうとしている。
本年3月28日付で人事院公平委員会は、不服申し立てを行った社保労働者のもとに、厚労省大臣官房所属の4人の官僚の証言記録を送付してきた。人事院が自らの権限で採用した証人の証言を証拠として認めろというのだ。しかし、その証言内容たるや、これまでの人事院公開審理闘争で重ねられてきた分限免職者の怒りと悔しさに満ちた証言のすべてを踏みにじる許し難いものだ。
この審理で公平委員は、時間制限をもって請求者(被解雇者)側の尋問を抑圧し、証人の官僚が証言に詰まれば助け舟を出すといったありさまである。そして、次のような誘導尋問を露骨に繰り返した。
公平委員が露骨に官僚に肩入れ
公平委員「そうすると分限免職回避の努力の程度っていう事についてはどのように考えていらっしゃったんですか。ここには出来る限りという事なんですけれども」。証人「まさに文字通り出来る限り」。公平委員「(分限免職者は)一人も出さないようにという事で取り組んでいたと言う事でよろしいですか」。証人「はい、はい」。
こうした証言を、自ら水を向けては引き出し、このたびの分限免職処分は適法妥当であったと結論付けようとしている。各省庁への配置転換の依頼や民間への再就職あっせん、地方公共団体への再就職依頼などは最大限行った、分限免職回避のための努力は十分になされた、厚生労働省への転任者選任も公平公正になされた、とする。許し難いことに公平委員会は、このような調査結果を導き出し、人事院による処分承認の判定を行おうとしているのだ。何が「公平」委員会だ。もはや人事院は国家犯罪の追認機関としての姿をあらわにしたのだ。
人事院総裁に元JR東海副社長
野田政権は4月10日付で人事院総裁に元JR東海副社長の原恒雄を起用した。藤村官房長官は「公務員制度改革を進めるため民間の感覚を有する方に就任してもらう」とし、原新総裁は就任記者会見で「国鉄という『官』と、民間会社になったJRの両方の経験を生かして自分なりに任務を果たしたい」と応えた。国鉄分割・民営化による国鉄労働者20万人の首切りと労組破壊攻撃に手を染めた「経験」を買われて、人事院そのものを公務員大量解雇・非正規職化、公務員労働運動解体の公務員制度改革攻撃の先兵に仕立てあげようとしているのだ。
分限免職を狙って社保庁解体を強行
送付されてきた証言記録の中には、新たに明らかとなった決定的な事実が含まれていた。実は、社保庁解体後も3カ月間は残務処理要員として旧社保庁の職員を残してもいいという予算措置が付いていたというのだ。これにより113人の社保庁職員の雇用が延長されることは法的に十分可能であった。にもかかわらずこの予算は「活用されなかった」。
それはなぜか。「社会保険庁がなくなったのは12月末なのでそれとの関係でちょっと3月末まで引っ張って分限免職ってのが同じように出来るかというような問題もありましたので」と、元社保庁総務課長の樽見秀樹証人は証言した。つまり、社保庁の廃止というタイミングを逃すと国家公務員法第78条4項「廃職」による分限免職のチャンスがなくなるから、113人の雇用延長の予算は使わなかったとぬけぬけと証言しているのだ。
社保庁解体・民営化と年金機構設立をもって「どこにも行けない社保庁職員」を意図的に生み出し、もって分限免職を強行することにこそ目的があったということだ。「分限免職回避の努力」は初めから建前であった。公務員の大量解雇と非正規職化のためにこそ社保庁廃止は強行されたのだ。
年金制度破綻を居直る国家詐欺
社保庁解体・民営化にはもう一つ目的がある。社会保障の重要な一角を占める公的年金制度を民営化し、資本の金もうけの対象にすること、大破綻の兆しをみせているこの制度の国家的責任を放棄することだ。「みんなのため、老後のため」とウソにウソを重ねて保険料を取り立ててきた国家的詐欺を最後的に居直るためのものだ。公務員解雇と資本の利潤追求と国家的詐欺の居直りという悪質極まりない新自由主義攻撃として社保庁の廃止は強行された。社保庁被処分者の不屈の決起がこの事実を白日のもとに暴き出し、断罪の闘いが人事院闘争、裁判闘争としてたたきつけられているのだ。
社保庁闘争こそ公務員大量解雇・非正規職化攻撃との重大な激突点である。
09年末に社保庁の正規職員は1万2566人、社保庁廃止によりこの1割以上が退職もしくは有期雇用職員とされた。10年1月設立時の日本年金機構全職員に占める有期雇用職員は4割近くとなり、11年度には全職員約2万7千人のうち6割超が有期雇用職員(准職員、契約職員、定年退職後再雇用職員)とされた。
有期雇用職員の大量解雇を画策
しかも、毎年度末には契約更新回数の上限にかかわらず有期雇用職員の大量雇い止めが狙われている。そのもとで、延々と続く残業と過重労働が強制されているのだ。
今や年金機構の職場には、正規・非正規職を問わず、労働者の怒りが充満している。分断を打ち破り、闘いの火の手を上げる時が来た。社保労働者の解雇撤回闘争と結合し、残業・過重労働の強制と非正規職雇い止め解雇に絶対反対し、非正規職撤廃の闘いを巻き起こそう。
原発再稼働を絶対に阻止しようと数万人、十万人にも上る人民が首相官邸前を埋め尽くし、野田政権を追い詰めている。新自由主義に対する根底的な怒りが既存の枠組みを打ち破り、やむことのない闘いの奔流となりつつある。「復興特区」攻撃と激突する被災地の闘い、大阪・橋下「維新の会」の道州制・公務員攻撃を打ち破る現場労働者の反乱が始まっている。10・1外注化阻止決戦と一体の決戦として社保庁525人の解雇撤回・公務員全員解雇攻撃粉砕を闘おう。全国の職場で国鉄闘争全国運動を推し進め、闘う労働組合を再生しよう。
〔沖 淳也〕
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週刊『前進』(2542号3面2)(2012/07/02 )
戦後革命期以来の激動期勝利への夏期大カンパを
『前進』読者のみなさん! すべてのみなさん! 首相官邸・国会前では毎週、数万人の包囲行動とデモが続いています。民衆の怒りが野田政権を分裂・崩壊寸前に追い込み、ついに日本でギリシャと並ぶような革命情勢が始まりました。
みなさん! 人類史を変える壮大な事業を実現するだけの規模の資金、革共同への全力の夏期カンパをお願いします。
新たな社会建設の第一の闘いとして
非正規職をなくし、原発をなくし、戦争をなくす。こうした新たな社会の建設は労働者階級自身の事業です。夏期カンパは第一に、その最初の闘いです。
日本の労働者の税などの負担率は収入の43%強です。ブルジョアジーはこれほど収奪しても国庫を破綻させているのです。
労働者階級人民はこれまで、さまざまな困難を超え、身銭を切って闘ってきました。
60年三井三池闘争のホッパー決戦にあたり訴えられた緊急カンパで、労働者は職場や街頭で21億円を集めて130日余りの大決戦を支えました。とりわけ炭労の労働者は、三池労組の「1カ月1万円生活」と連帯し、低賃金攻撃の中でなお毎月600円カンパを軸に、数カ月で10億円を集めきりました。
国鉄分割・民営化攻撃に対しては、1047名解雇撤回闘争を軸に百万人規模の支援陣形が25年間の闘いをともにしました。こうした階級の力が今、「国鉄闘争の火をさらに大きく」を掲げた国鉄闘争全国運動に継承され発展しています。
ここには、労働者階級自己解放の闘いこそが全人類解放を切り開くというマルクス主義の核心が脈打っています。
夏期カンパ闘争は第二に、JR東日本における検修・構内業務全面外注化阻止決戦勝利のために毎日まくビラや、職場からの反撃と組織化のために絶対必要な闘いです。
外注化阻止の決戦に勝利する資金を
日本の労働者の4割が非正規雇用です。青年労働者や、これから学生たちが就職しようとする職場はさらに過酷になっています。
6・10国鉄集会で発言に立った田中康宏動労千葉委員長は「いま起きていることは、はらわたが煮えくりかえることばかりです。生活保護をめぐる事態、関越道ツアーバス事故、被災地で起きていること、大阪で橋下がやっていること……。本当に悔しいのは、社会がここまで壊れ、2千万人もの労働者が非正規職に突き落とされるまで労働組合が何の抵抗もできなかったことです。必要なのは闘う労働組合をよみがえらせることです」と訴えました。「10月1日JR外注化」攻撃との闘いを、東日本すべての車両センターや駅で呼びかけ、三池闘争以上に「総資本対総労働」の大決戦に押し上げましょう。
原発再稼働許さぬ力ある大カンパを
第三に、全原発の廃炉をかけた夏期カンパです。
新自由主義とは、あふれかえるほどに大きくなった生産力が、逆に社会を暴力的に解体するほどの破壊力となった自己中毒症状です。原発こそ新自由主義そのものであり、「地上に置かれた原爆」として大事故で民衆の命と生活を奪っています。こうして支配階級は、社会の「99%」を占める労働者人民に失業と非正規労働を押しつけ、放射能で子どもを、被曝労働で労働者を殺してきましたが、もう誰もだまされません。
「国家は企業と金持ちを守るだけで人民を守らない。人民にウソしか言わない」。3・11大震災と福島第一原発事故が白日のもとに暴き出した国家・資本と労働者人民の非和解的関係が、1945年の日帝敗戦以来2度目といえる巨大な人民決起を巻き起こしています。人民の生命を守り医療を取り戻すための福島医療施設建設も始まりました。原発再稼働を阻止し、これらすべてを実現するカンパをお願いします。
現代の特高警察と闘い勝利しよう!
第四に、闘う拠点・革命党建設カンパです。世界の階級闘争の歴史は、闘いの路線と拠点を守ったものだけが勝利することを教えています。革共同は1969年4月の破壊活動防止法発動以来、人民の海に守られて非合法・非公然体制を堅持してきました。だからこそ今日の情勢に間に合いました。
福島の根底的怒りと労働者の階級的怒りを前に、支配階級は”もう倒される”という恐怖に震えています。
公務員労働者のみなさん、民間基幹産別の労働者のみなさん。10万円単位の決断で、敵の攻撃に圧倒的迫力で反撃するカンパを寄せて下さい。
非正規職のみなさん、年金生活者のみなさんからのカンパは決定的です。さらに団結拡大の武器として職場で地域でカンパを呼びかけて下さい。あらゆる人びとに呼びかけて夏期カンパ闘争に勝利し、プロレタリア革命への道を押し開きましょう。
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週刊『前進』(2542号3面3)(2012/07/02 )
非正規労働者に聞く
ジェコーの雇い止めと闘う(下)
ショーワ見ならい解雇撤回スト
派遣も非正規職も撤廃しかない
解雇の狙いは職場分会の破壊
――解雇されたときのことを。
Bさん 派遣から直接雇用になったといっても6カ月の有期雇用。正社員にしろと要求しているうちに、1回目は雇用が継続されたけれど、2回目に切ってきたんです。
Aさん 私は08年9月。契約が切れる2日前に、総務のトップから「欠勤が多いから本日をもって解雇だ」と言われたんです。法律で定めた1カ月前の解雇予告も無視して。2日後に同じ組合員のCさんも解雇。
Bさん 私は09年の4月。2月末に期間従業員全員が呼ばれて「4月末に解雇」と通告された。取締役は「会社を守ることで精いっぱい。あなたたちより株主への配当が優先だ」と。無性に腹が立ったのを覚えてます。
――狙いは?
Aさん リーマンショックを理由にしていたけれど、明らかに組合つぶしですよ。私たち分会に力がついてきているから会社は「このまま放置すると仲間が増える。まずい」と思ったんです。
Bさん 私たち期間従業員全員の首を切っておいて、3カ月後には新たに70人の派遣を入れたんですよ。何のために私たちを切ったのか!
――ストライキは?
Aさん すぐに神奈川ジェコー労組の委員長に話して、会社に解雇不当を訴えたんですけど、聞く耳を持たなかった。
Bさん 解雇を通告された後、すぐ「ストをやろう!」って言って、3月と4月に2波のストを打ちました。
Aさん 初の体験。最初にストをやったショーワの話を聞いて、ぜひ私たちもと思ったんです。
Bさん そうです。先にストを経験していたショーワの人たちに、ストの効果とリスクとを教えてもらいました。
Aさん ストをするまで色々とあったけれど、やって良かったと組合員全員が思ってますよ。
7年の夜勤専属で睡眠障害に
――裁判闘争は?
Bさん 初めに解雇されたAさんとCさんが第1次訴訟で、私とDさんが第2次訴訟。さいたま地裁熊谷支部です。
Aさん 第1次の方はいよいよ7月23日から本人尋問が始まります。それと、私は労災認定も申請してるんですよ。
――そのことですけど夜勤はどうでしたか?
Bさん 派遣先の工場で初めて経験、ジェコーでは5年やりました。夕方6時25分から翌日の3時25分まで。ずっと立ちっぱなしで、数_のバネを部品に入れる細かい作業でした。夜勤でも残業は当たり前、2〜3時間はザラでしたね。昼夜勤もやりましたよ。
Aさん 夜勤シフトは何回か変わったけれど、最終的にはBさんと同じ時間帯に。自動車部品の組み立てと検査が主で、毎日が眠気との闘いでした。夜勤専属の勤務は7年間にもなりましたよ。
Bさん 夜勤専属は派遣だけだったのでは? 正社員の女性もいたけど昼夜2交替だったから。
Aさん そういえば、私の部署では非正規の私だけが夜勤専属だった。
――心身への影響は?
Bさん 寮に帰ると昼勤の人たちが起き出すから、ゆっくり寝れない。疲れがとれない。体調を崩してしまって、いまだに回復してませんね。
Aさん きつかった。特に6畳の部屋にもう一人いた時はプライバシーもないし、疲れていてもゆっくり寝ることもできなくて。期間従業員になった頃はますます体調が悪化して、有休を全部使い切ってしまった。生理不順・頭痛・胃腸不良・自律神経失調などの診断をされて。それから3年近くたったけど、回復していないんです。
――詳しい検査をしたんですね。
Aさん 08年10月頃、2晩にわたって睡眠脳波の測定を行ったら、睡眠障害が見られたんです。「データに表われた睡眠障害は7年夜勤専属の結果」と結論付けられて、解析結果が雑誌の『労働科学』に学術論文として公表されました。
それで、10年夏に労災申請をしたのに却下。「夜勤専属は、日常業務が深夜の時間帯であるだけで、長時間労働を伴うものではなく、日常業務で受ける負荷の範囲内である……」なんて、許せない内容でした。いま労働局に不服申し立てを行っているところです。
次はジェコーでデモをやりたい
――今後の闘いへの抱負と決意を。
Bさん 4・27の門前闘争には、いつも支えてくれている仲間が大勢来てくれました。地元埼玉はもちろん、東京、神奈川、栃木……、それから宮城からも。金属や機械関連の職場の人が多かったですね。この顔ぶれでやるのは去年に続いて2回目、元気が出ました。
Aさん 午前はショーワで門前闘争、ショーワの周りをデモ行進、午後はジェコーで門前闘争。マイクで会社に言いたいことを言いました。次はジェコーでもデモをやりたいですね。
Bさん ボーナスもなければ退職金もない、子どもも産めない、人生設計もできないなんて! 人を人として扱ってないんです。派遣も非正規職も撤廃しかありません。
Aさん 裁判で勝利するまで頑張りたいし体調も良くしたい。これからも神奈川ジェコー労組に全国の皆さんの力を貸してほしいと思います。
――ありがとうございました。
(写真 2009年4月の第2波スト。組合員と支援が本社工場に突入し7時間半にわたって職場占拠を闘った)
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週刊『前進』(2542号4面1)(2012/07/02 )
国鉄と反原発で野田を打倒し消費大増税を絶対粉砕しよう
「法案早期成立」求める連合許すな
民自公の結託で強行を狙う
6月26日、野田政権は、まったく許せないことに自民・公明と結託して消費増税法案の衆院通過を強行した(賛成363、反対96、欠席・棄権16)。現在5%の消費税率を14年4月から8%、15年10月から10%に引き上げるものだ。
労働者は、新たに5%の賃下げを強いられるに等しい。すでに今ぎりぎりの生活を強いられている労働者家族には、一線を越えた生活破壊、生命破壊が進行する。資本家階級の延命のために、とりわけ失業者、非正規職労働者、年金生活者、中小零細業者などに「死ね!」という攻撃だ。
人民の大多数が反対している大増税法案が衆院議員の4分の3の賛成をもって可決されたこと自体、国会がどれほど人民の意思とかけ離れ、ブルジョア独裁の道具となっているかを示している。しかも、民主党は09年の総選挙で「任期4年間は消費増税を行わない」という公約を掲げて選挙に臨み、政権交代を果たした。その公約を真っ向から踏みにじって、選挙で対決した自民・公明と手を結んで法案の衆院通過を強行したのだ。まったく許し難い。
労働者の負担増は、消費増税だけではない。住民税の年少扶養控除の廃止、子ども手当の減額、厚生年金の保険料の増額、「震災復興」のための所得税・住民税の臨時増税、さらに電気料金の値上げなどなど。これでもかこれでもかと家計に重くのしかかる。
採決の際、民主党内から小沢グループを中心に57人の反対者が出た。その結果、民主党は分裂状態に陥り、野田政権の政権基盤は一層不安定化し、日帝統治機能の崩壊の危機を深めている。しかし日本経団連と連合の腐りきった幹部がこの野田政権を全面的に支えている。原発再稼働をめぐる闘いと結合して、階級決戦はいよいよ非和解的に激化している。
企業に減税、労働者は増税
野田政権は、消費増税は「社会保障の安定財源の確保および財政健全化」のためだと言っている。わざわざ「社会保障」を先にもってきて、「社会保障と税の一体改革」などと核心的狙いをごまかしている。だが、はっきりさせよう。「社会保障」などというのは労働者人民を欺く大うそ、ペテンだ。狙いはただ一点、大増税だ。
野田が民主党の分裂も辞さず、自民党と手を組んでまで消費大増税に突き進んでいる動力は、万力のように日帝を締め上げる帝国主義の国際争闘戦の圧力であり、脱落日帝のすさまじい危機だ。その中で消費増税は、危機に陥っている日帝・資本家階級を救済し、一切の矛盾と犠牲を労働者人民に押しつけるものだ。
実際、民主党が宣伝してきた「最低保障年金」などのペテン的な社会保障諸施策は全部「先送り」または削除された。消費増税に「私の政治生命をかける」とまで言い切った野田の念頭には、労働者人民のための「社会保障改革」など何もない。大恐慌の深まり、国の借金1千兆円という世界最悪の財政破綻の中で大増税と社会保障の切り捨てはこれから同時一体的に進んで行くのだ。
今進んでいることは、「資本家に減税、労働者に増税」だ。日本経団連は、法人税(企業利益に課税)の減税と消費大増税が一体であることをあけすけに語っている。経団連が5月に出した新提言では、「世界各国は法人税率の引き下げ競争を展開している」が、日本では「法人税・社会保険料の重い負担が企業活動を阻害している」と主張し、国際競争で生き残るために、法人税減税と社会保障負担の軽減を強く求めている。法人税率はこの間次々と引き下げられてきたが、さらに財界の要求どおり今年度から5%の減税が実施された(3年間は約3%の復興特別税が加算される)。
その一方で、「わが国の消費税率は先進国中、最も低い水準にある。増税の余地は大きい」「2020年代半ばまでに消費税率を10%台後半まで引き上げることが必要不可欠」だと主張しているのである。
ここに明らかなように野田政権の消費大増税は今回の10%化にとどまらない。さらに20%近くまでの再引き上げを狙っている。
命脈尽きた資本主義と国家
許し難いのは連合だ。連合会長・古賀は緊迫する政局の中で野田としばしば会食・会合し、連合幹部は消費増税に反対する民主党議員を回って、反対をやめるようオルグしている。
連合は法案が衆議院で可決された26日夕、「事務局長談話」を出した。そこでは、今回の消費大増税法案が「国民が安心できる持続可能な社会保障制度の構築」のためのものであるかのように美化している。そして「与党内から反対が出たことは誠に遺憾」「法案を早期に成立させるよう求める」などと開き直った。民主党の選挙公約違反には一切言及せず、「消費税」の文言すらなく、それが大衆収奪の悪税であることに一言もふれていない。
非正規で低賃金の青年労働者が苦しんでいる時、そして大震災被災地で人民が失業し日々の生活に苦しんでいる時に、さらに苦しみを強制する消費大増税を、連合はあろうことか「早く成立させろ」と叫び、自ら動き回っているのだ。これが労働組合のやることか!
野田は「国家の危機」を叫び、「国がつぶれてもいいのか」と恫喝している。だが、大恐慌が示すように、世界の資本主義の命脈はもう尽きたのだ。資本家階級がどんなにあがこうとも、この全世界的危機を解決することなどできず、泥沼的混乱を深めていくだけだ。
財政破綻にあえぐギリシャは、付加価値税率(日本の消費税に相当)がどんどん上げられて現在23%、スペインも同様に18%、イタリアは21%(9月から23%)だ。ではそれで社会保障は安定し、財政危機は解決に向かっているのか? まったく逆だ。一層の国家破産状態を深めている。労働者階級の「生活保障」は少しでも改善されたか? まったく逆だ。首切りの嵐が吹き荒れ、賃金と年金の削減、大増税に苦しめられている。家賃も電気代・水道代も払えない家庭が続出している。こうした欧州各国の状況は、これから日帝が陥っていく新自由主義の総破綻と泥沼の未来をさし示している。
野田政権に対する「もう我慢ならない」という怒りと「このままでは生きていけない」という危機感、命の叫びが、堰(せき)を切ったようにあふれ出ている。6月22日の首相官邸に迫る4万5千人の再稼働阻止行動もその怒りの表れだ。誰もこの怒りの噴出を抑えることはできない。労働者に犠牲を集中しなければ生きていけない国家こそ滅ぶべきだ。
腐った労組幹部、連合中央を打倒し、労働組合を労働者の手に取り戻そう。国鉄決戦と反原発決戦で野田政権を打倒し、消費大増税を絶対に阻止しよう。
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週刊『前進』(2542号4面2)(2012/07/02 )
三里塚農地裁判 “実地調査は形だけ”
市東さん 裁判長の強権指揮を弾劾
6月25日、千葉地裁民事第3部(多見谷寿郎裁判長)で市東孝雄さんの農地裁判(行政訴訟と農地裁判が併合)が開かれ、市東さんを先頭に三里塚芝山連合空港反対同盟、顧問弁護団、支援・傍聴の労働者・農民・学生・市民が一丸となって闘った。
今回の証人調べは、元成田市農業委員会事務局長の山崎真一。2006年7月3日、成田空港会社(NAA)は市東さんの耕作地の賃貸借契約解除のための申請書を成田市農業委員会に提出した。同委員会は、市東さんと反対同盟の反対意見を無視して異例のスピードで手続きを進め、NAAの言いなりで「転用相当」の結論を出し、千葉県に進達した。山崎はその実情を知る人物だ。
午後1時半に開廷。
土地特定の誤りを市東さんから強く訴えられたことについて弁護団が問いただすと、山崎は「農地法20条2項の転用にあたるかだけを審査した」と逃げるのに必死だ。
ここで市東さんが立ち上がり、自ら気迫を込めた尋問を行った。7月19日に農業委員会とNAAが車2台に分乗し、畑の「実地調査」に来た時のことを問い詰め、「あの時私は畑にいた。あなた方は車から降りて1分もたたず立ち去った」と指摘した。耕作地の位置や空港の境界などは調べず、形だけの調査だったことが浮き彫りになった。さらに市東さんは審理手続きの異様な拙速さについて追及した。
続けて弁護団は、NAAが土地の底地を取得した時期について虚偽の記載を行い、農地を秘密裏に買収した後、転用せずに持ち続けた重大な違法を指摘した。山崎が「それほど大きなことではないと思った」と言い逃れに走るや、「何のための委員会だ!」と傍聴席から怒声が起きた。
また、農地が空港敷地の内外にまたがっていることを追及された山崎は、「当時その認識がなかった。公団から説明はなかった」という決定的事実を暴露した。「農地取得自体が違法、無効になる」と指摘されるとNAAの入れ知恵そのままに「内外一体として考えていた(問題ない)」などと繰り返した。
「空港事業として申請されたら、調べもせずすべてフリーパスか」と詰め寄られると山崎は、「結果としてそうです」とあけすけに認めた。
3時間超の尋問を受けた山崎が引き下がった後に、多見谷裁判長が本性をむき出しにした。
直接尋問拒否に法廷内騒然
多見谷は突然一方的に、「10月15日の石指雅啓証人(元国土交通省成田空港課長)の尋問方法について、神戸地裁に呼んでテレビ会議システムで行う」と通告したのだ。「証人は海上保安庁の要職にあり、現場を離れられない」という理由だ。NAA側の要求を全面的に受け入れ、直接尋問という裁判の原則を破壊する大暴挙だ。
弁護団は全員が「認められない!」と弾劾した。傍聴席は怒りで沸騰した。裁判長は怒号の中「閉廷」を宣し、NAAと千葉県の代理人はいち早く逃亡した。だが弁護団と傍聴者は誰一人動こうとしない。弁護団は「進行協議の日程を入れろ」と激しく要求した。裁判長はかたくなにこれを拒否し、職員を前面に立てて退廷を促す。
緊迫したこう着状態が十数分続いた。折れたのは裁判長だった。苦虫をかみつぶしたような顔で進行協議の具体的日取りを弁護団に示した。弁護団は「テレビ会議方式は絶対に認めない」との意思を再度示して、法廷での攻防を締めくくった。
次回の農地裁判は9月10日(月)。
農業委を弾劾し奮起を訴え
裁判所近くの会場で報告集会が、闘いの高揚感の中で開かれた。
最初に市東さんが、「空港会社のやり方をあらためて思い知った。裁判長も許せない。これからもどんどん声を出してやります」と決意を表し、大拍手を受けた。
続いて葉山岳夫弁護士を先頭に弁護団全員が発言し、非妥協で闘う姿勢を明らかにした。農業委員を経験したことがある県内の農民は、「農業委員会は農民の権利を守る行政機関だ。他に比べても空港に偏る成田市は異常」と怒りを表した。
北原鉱治事務局長は弁護団の奮闘をたたえ、7・8三里塚現地闘争への大結集を訴えた。
最後に萩原進事務局次長が、「農業委員会は農地転用機関に変質している。裁判所の正体もあぶり出された。7・8に現地大結集を実現し、裁判での力関係も変えよう。全力で闘おう!」と一同に奮起を促した。
(写真 葉山弁護士ら弁護団の奮闘をたたえる北原さん【右】。左端が市東さん【6月25日 千葉地裁】)
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市東さん農地裁判勝利 第3誘導路工事粉砕
7・8三里塚現地闘争
7月8日(日)午後1時半 成田市東峰・萩原さん所有地(天神峰・市東さん宅南側の東峰開拓組合道路沿い)
〈主催〉三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『前進』(2542号4面3)(2012/07/02 )
学生は7・16代々木公園へ
同学会再建した京大生とともに新自由主義と闘う自治会建設を
マル学同中核派・京大支部
6月22日、4万5千人の労働者学生人民の怒りが首相官邸を包囲した。鳴りやまぬ「再稼働反対!」のシュプレヒコールは、新自由主義に対する根底的怒りの表明だ。時を同じくして、カナダ・ケベック州では学生が学費値上げに反対し、100日間を超す抗議行動が闘い抜かれている。ギリシャやスペインでの大規模ストライキも、EU帝国主義に対する労働者階級の根底的反撃だ。時代が動き始めた! 新自由主義の崩壊の時代に学生はどう生きるのか。一人ひとりの主体的決断が問われている。7・16反原発集会(東京・代々木公園)は、原発の再稼働を止め、野田政権を打倒する歴史選択の日となるだろう。京都大学で始まった学生自治会復権のうねりこそ、新自由主義にうち勝つ学生運動の唯一無二の方針だ。7・16と一体で自治会建設を推し進めるために、同学会執行委員会の呼びかける7・6学生集会に集まろう。
再稼働阻止!野田政権打倒への決戦場だ
7・16反原発集会は、原発をめぐる階級的攻防の決戦場だ。
福島を見殺しにしながら「国民生活を守る」と言い、「安全基準に絶対はない」と言いながら再稼働を強行する野田政権。6月8日の野田記者会見および16日の再稼働決定は、徹頭徹尾許しがたい内容だ。また、昨年来、再稼働要請を出し続けている関経連(京都大学も加盟)を始め、再稼働決定に小躍りする日帝資本家階級。こんなやつらが社会の主人公よろしく、「生活」をうたい「国民」を語るこの現実はもう我慢ならない。
新自由主義は、社会のすべてを破壊してきた。鉄道、郵便、大学、医療……。新自由主義は、人間社会が長い歴史の中で積み上げてきたあらゆるものを独占し、破壊する以外に儲(もう)けられなくなった資本主義の末期的姿だ。原発を見てほしい。自らの利潤以外に何も興味を持たない支配階級の姿を。何万年も処分できない核のゴミに誰が責任を取るのか。そこにあるのは「我がなき後に洪水よ来たれ」(資本論)という、腐敗せる支配階級の思想そのものではないか。
東電会長の勝俣恒久は26日の読売新聞インタビューで何と言ったか。「福島原発の安全対策は十分だった」「法整備が問題」と自らの責任を完全に投げ捨て居直った。電力会社全体で14兆円にものぼる利益を人民から収奪しながら、事故が起これば一切の責任を「国家」幻想に転嫁する。これこそが、新自由主義のなれの果てだ。
「再稼働反対!」の思いは、真理をねじ曲げ、社会の未来すら金儲けの手段とする新自由主義への怒りだ。この階級決戦に、7・16への10万人決起で決着をつけよう。代々木公園を埋めつくす10万人の決起で再稼働を止め、野田政権を打倒しよう!
6・10国鉄集会の地平を大学キャンパスに
始まった4万5千人の怒りの決起。この思いをいかに一つの力として登場させ、責任勢力に飛躍するか。何十波にもおよぶ大ゼネストを闘いぬいたギリシャ労働者階級が直面した課題そのものと日本の労働者階級も対決せざるをえない。7・16に向けた最大の課題はここにある。
6・10集会の大成功と動労千葉の外注化阻止決戦こそがその回答だ。25年間にもおよぶ国鉄闘争勝利の地平の核心は、階級的労働運動の力で新自由主義に勝利できるということだ。動労千葉の外注化阻止闘争は、その展望を全労働者階級に開示している。
JR資本の総力を挙げた外注化攻撃を、動労千葉は10年以上阻み続けている。職場にこだわりぬいて闘う中で、労組の枠を超えて労働者全体が外注化絶対反対で一致した。外注化を強行すれば、JR東労組の支配が崩壊しかねないと資本は感じている。
社会を動かしているのは労働者だ。「資本は賃労働を前提とする」(マルクス『賃労働と資本』)。労働者から搾取することで初めて資本は存在できる。労働者階級が反乱に立ち上がれば資本家は一歩も前に進めない。動労千葉の闘いはそれを証明している。
だからこそ連合・全労連などの体制内労働運動が新自由主義の最大の援軍、推進軸なのだ。「10次下請け」とも呼ばれる原発労働者の重層的な下請け構造や、その結果引き起こされる被曝労働の強制と安全崩壊。これらはすべて電力総連・電機連合の裏切りなしには成り立たなかった。国鉄分割・民営化がカクマルの裏切りなしに成り立たなかったのと同じ構造だ。
7・16に向かって、体制内派による支配をぶち破る革命的拠点建設を前進させよう。学生戦線はその先頭に立つ!
新自由主義大学粉砕する展望が見えた
大学キャンパスは新自由主義との主戦場だ。
昨年、学生の自殺者数は初めて1千人を超えた。一方で、就職率は過去最低となっている。この現実の中で、当局・資本は「自己責任」を振りかざして学生を分断してきた。この新自由主義大学との最大の攻防点が6年間の法大闘争だ。
われわれは、闘う法大生とともに法大闘争を闘い抜く中で、新自由主義に勝てる展望をつかんできた。119人の逮捕と33人の起訴をもってしても法大学生運動はつぶせなかった。それどころか、闘う文化連盟の旗を掲げる新たな学生が次々と登場し、飲酒規制をめぐってキャンパスを揺り動かしている。
学問は学生の主体性なしに成り立たない。だからこそ、新自由主義大学は当局による学生支配の凶暴さだけでは成り立たない。大学当局は常に体制内学生運動を取り込むことで革命派の圧殺に手を染めてきたが、それがうち破られた瞬間、新自由主義は非和解的な怒りと反乱に包囲されるしかない。これが新自由主義の最大の弱点だ。
法大闘争こそ新自由主義大学粉砕の実践であり、自治会建設の無限の可能性を全国の学生に示した。原発を止め、大学を学生の手に取り戻す力もここにある。全力でこの闘いに続こう。
信任された京大同学会とともに闘おう
京都大学で闘う学生が二十数年ぶりに全学選挙をやりぬき、同学会(京大の全学自治会)再建に向けて、7・6学生集会と7・20代議員大会を呼びかけている。マル学同京大支部は断固としてこれに応え、ともに闘いぬく決意だ。
新執行部が3042票の投票総数と2149票の信任を獲得したことに追い詰められた京大当局は、6月22日付「告示第5号」を発表し、「選挙の無効」を絶叫している。それを全教員に送りつけ、研究室の学生にも告示内容で意思一致させるという徹底ぶりだ。
しかしこれこそが選挙の勝利の地平だ。関西生コン支部の労働者は、権力の弾圧との闘いの中で、「弾圧を受けるのは力を持っている証拠だ!」(高英男副委員長)と喝破した。同学会は着実に学生の思いを力に変える組織として生まれ変わりつつある。
法人化2期目を迎え、日帝中枢の一角を担う京都大学当局は、なりふりかまわず学生自治破壊に突っ込んできたのだ。4月には吉田寮自治会との交渉打ち切りを宣言し、6月には学生自治の砦(とりで)である法学部地下BOXの「夜間使用禁止」を一方的に決定した。また熊野寮自治会には水光熱費の値上げ強行を準備している。われわれは当局による学生自治破壊を満身の怒りで弾劾する。
京都大学で学生に全責任を取ってきたのは学生自治会だ。80年代の吉田寮廃寮阻止闘争を見てほしい。学生自治会は常に学問の根本を問い直しながら、教育の無償化要求や法人化反対の闘いを巻き起こしてきた。
その一方で松本紘総長の無責任と無方針状態はどうか。日帝ブルジョアジーとの一体化しか頭にない松本総長体制には、大学を運営する気概も能力もない。自治寮つぶしの「学寮型大学院構想」や、若手研究者を子飼いにするための「白眉プロジェクト」、大阪市長橋下徹の維新の会にすり寄る「入試改革」など。どれ一つとして、大学はいかなる場所なのかという学生の根底的問いに回答できないでいる。京大総長のこの「思想の貧困」こそ新自由主義大学の破産なのだ。
誇り高き京大生の反乱は不可避である。吉田寮団交で当局方針を撤回させた200人の学生の怒りと思いは、その最大の証明だ。
闘う京大生による同学会再建は、この思いを一つにする決定的水路だ。マル学同中核派京大支部は、すべての京大生とともに新自由主義と闘う自治会建設に進撃する。
7・6学生集会から、7・16反原発集会、7・20同学会代議員大会へ! すべての京大生は新自由主義と対決し、ともに立ち上がろう!
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7・6京都大学学生集会
7月6日(金)午後6時〜 京都大学キャンパス内にて
〈主 催〉 集会実行委員会
〈呼びかけ〉同学会執行委員会(暫定)
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週刊『前進』(2542号5面1)(2012/07/02 )
核と原発への怒りはひとつ 8・6−8・9闘争へ(1)
福島診療所建設の推進を
福島は終わっていない!大飯再稼働絶対に止めよ
闘う労働組合先頭に勝利開け
官邸包囲する空前の大デモ
野田政権による大飯原発3、4号機の再稼働宣言に対し、空前の怒りが爆発している。4万5千人が集まった6月22日の首相官邸前抗議行動を突破口に、再稼働反対の闘いは今や燎原(りょうげん)の火のごとく燃え広がっている。その最先頭で福島の怒りが燃え立っている。「今回の原発事故で、誰が責任をとっているか。みんな逃げている。言い訳をしている。ごまかしている。うそをついている。そんなことはもうたくさんだ!」。22日の官邸前行動に参加した浪江町の男性は、怒りもあらわに訴えた。
6月半ばの東電発表では、福島第一原発2号機の格納容器の真上周辺で、最大で毎時880_シーベルトの高線量が計測された。停止原子炉の格納容器内の通常線量は0・1_シーベルト程度だから、まさに殺人的な汚染度だ。一方で、昨年12月の「事故収束」宣言を受けて3月には、福一労働者のマスクに付けるフィルターは安価で薄い普通の防じんフィルターに替えられてしまった。数多くの原発労働者がきょうもまた被曝労働を強いられている。絶対に許してはならない。
現在もなお、16万人もの福島県民が家に帰れず、多くの人びとが仮設住宅や公営住宅などで避難生活を送っている。子どもたちの健康被害が恐るべき規模で広がっている。「事故は収束した」と言いなして福島を切り捨て、再稼働へ突き進む野田政権に対し、「福島は終わっていない!」という怒りをたたきつけていかなくてはならない。
野田は6月8日の記者会見で、福島の被害の実情についても、福島第一原発の作業現場における労働者の大量被曝についても、何ひとつ触れずに最初の「大飯3、4号機再稼働決定」を宣言し、地元に同意を求めた。その上、10日に都内で行った講演では、再稼働決定に抗議する福島の訴えを「精神論だ」などと罵倒(ばとう)し、「再稼働は私の責任で判断した」などと傲岸不遜(ごうがんふそん)にも繰り返した。野田が1%にも満たない原子力ムラとブルジョアジーのために、福島を切り捨てようとしていることは誰の目にも明らかとなり、日本中の労働者人民が怒りを爆発させている。
先述の浪江町の男性は訴える。「警戒区域の生の声をどんどん伝えることが大事だと。僕らの無念の気持ちが分かるかということを、みんなに本当に訴えたいと思う。政府は、福島の原発事故のことを過去のものとして、ふたをして再稼働してしまう。それを止めるのはみんなの実力だ」。この福島の怒りをともにして、7月の再稼働阻止決戦を全力で闘おう。
避難区域再編の反動的狙い
野田政権は昨年12月にでたらめな「原発事故収束」「冷温停止状態の達成」を宣言し、それを根拠に今年4月から避難区域(昨年3月22日設定)の再編を強行している。住民を帰還させることで「事故収束」を演出し、賠償などを無慈悲に切り捨て、今後一切の責任を放棄していくことが狙いだ。この攻撃は、大飯原発の再稼働と表裏一体であり、福島における「資本のための復興」を推進していくための布石でもある。
政府による避難区域再編とは、それまでの「警戒区域」と「計画的避難区域」の一部を、航空機モニタリングによる年間積算放射線量の想定レベルに応じて(この測定方法自体がずさんだ!)、@早期帰還をめざす「避難指示解除準備区域」(年間20_シーベルト以下の地域)、A帰還まで数年かかる「居住制限区域」(20_シーベルトを超えるおそれがある地域、農作業は禁止)、B5年以上帰宅できない「帰還困難区域」(50_シーベルト超)の3区分に再編するというものだ。それまでの立ち入り禁止となっていた「警戒区域」の指定が解除され、年間積算線量50_シーベルト以下(と政府がみなす)地域は「出入り自由」とされることになる(宿泊は不可)。とりわけ@「避難指示解除準備区域」では、一時的な立ち入りに際しての放射性物質のスクリーニングや防護措置も必要とされず、子どもや妊婦の立ち入りについても何の規制もない。
このあまりにもいい加減でずさんなやり方に、再編対象とされた11市町村のうち、4月の時点で再編に応じたのは南相馬市、田村市、川内村の3市村だけで、ほかの8町村は現在も再編に応じていない。除染のめども立たず、インフラも復旧されず、そのうえ再編に伴って賠償が打ち切られるのではないかとの懸念から、住民説明会などで抗議の声が上がっている(事実、住民の95%が避難生活を続ける広野町は、昨年9月に緊急時避難準備区域の指定を解除されたことから、政府は今年8月末の賠償打ち切りを決めた)。なお、5年以上も帰宅できないとされる「帰還困難区域」は7市町村にまたがって設定され、対象住民は2万2千人におよぶ見込みだ。
立ち入り禁止を「解除」された地域でも、いまだ高濃度の放射能に汚染されており、年間積算線量で20_シーベルトどころか100_シーベルトを超えるホットスポットが至るところで見つかっている。
ある住民は、帰宅した庭先で毎時12マイクロシーベルト(年換算100_シーベルト超)もの高線量を計測した。原発事故で着の身着のまま避難を余儀なくされ、避難区域再編に伴って帰還した人びとは、政府によってまたも被曝させられたのだ。その上、上下水道などのインフラもまるで復旧されていない中で、いつ爆発するかもしれない原発の近くで過酷な生活を強いられているのだ。この状態でいったい何が「収束」したというのか!
「甲状腺検査」に疑問と怒り
さらに深刻なのは福島の子どもたちの内部被曝の現実だ。郡山市の小中学校では、新年度から屋外活動の制限が解除されたが、26の小中学校・保育所で年間線量20_シーベルト超のホットスポットがあることが5月初めに分かった。小学校だけで15校で発見されており、保護者からは「形だけの除染しかやっていないからではないか」と怒りが噴出している。
また、福島県立医大が県の委託を受けて実施している甲状腺検査において、今年3月末までに3万8114人のうち1万3460人に5_以下の結節および20_以下の嚢胞(のうほう)が見つかり、186人はそれ以上の大きさの結節・嚢胞が認められ再検査となった。このような甲状腺異常が子どもに見られるのはきわめて異例だ。
しかし、保護者への通知では「再検査の必要はありません」などと書かれている。福島県立医大副学長・山下俊一は「2次検査の対象にならなかった子どもは自覚症状がない限り、追加検査の必要がないと、保護者らに説明してほしい」などと日本甲状腺学会の会員あてに文書を出していた。保護者からは「次の検査は2年後だというが、なぜすぐに再検査してくれないのか」「県立医大だけがデータを独占していること自体がおかしい」と声が上がっている。(『国際労働運動』8月号、反原発総特集28〜29n参照)
7・16から8月広島・長崎へ
明確に現れ始めている子どもたちの健康被害を無視抹殺し、原発事故の責任をどこまでも居直り、何食わぬ顔で原発再稼働と「資本のための復興」を推し進めようとする野田政権を断じて許してはならない。そして、山下俊一を筆頭とする御用学者(住民を被曝させモルモット化する極悪殺人者だ!)の「放射能安全キャンペーン」を打ち破り、子どもたちや原発労働者を始めとして住民の命と健康を守り抜く立場から、福島の現実と課題に真正面から向き合う診療所の建設がいよいよ待ち望まれている。それは、野田政権による原発再稼働と「資本のための復興」の攻撃を最も根底から打ち破る闘いでもある。被曝労働、内部被曝と対決し、労働者階級の手に医療を取り戻し、福島のすべてを取り戻す第一歩をこの診療所建設から踏み出そう。
この7月が歴史を決する勝負の時だ。7・16集会10万人結集の力で野田政権を打倒し、再稼働阻止・全原発廃炉へ闘いを推し進めよう! 何よりも、この闘いの先頭に闘う労働組合が登場することが求められている。野田政権の延命に手を貸し、原発再稼働を許しているのは連合に代表される体制内労働運動の幹部だ。労働組合をよみがえらせ、階級的労働運動を復権しよう。JRの外注化阻止・被曝労働反対こそその先端である。原発労働者を被曝から守るための新たな闘いを開始しよう。6・10国鉄闘争全国運動集会はその決定的な突破口をすでに切り開いている。この地平をますます発展させ、7・16集会への大結集を職場・組合でストレートに訴え、仲間を組織して駆けつけよう。8・6広島―8・9長崎を、闘う労働組合が中心となった新たな反核反原発闘争の創造としてかちとろう。
(水樹 豊)
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◇
労働者階級の闘いで核も原発もなくそう。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争の勝利に向け、今週から5回にわたり連載します。
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週刊『前進』(2542号5面2)(2012/07/02 )
いわきトークセッション 力合わせ診療所建設を
動労水戸平支部 運動の先頭に
6月23日、いわき市労働福祉会館で「放射能から命と生活を守るため福島に診療所をつくろう!いわきトークセッション」が行われた。動労水戸平(たいら)支部とNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議)いわき準備会が共催したもので、動労水戸組合員、地元いわきや福島県内の労働者を始め50人が集まった。
まず、原発いらない福島の女たち・未来を孕(はら)むとつきとおかのテントひろば行動世話人の椎名千恵子さんが「原発を止めた民衆の力で住民を守る診療所建設を」と題してアピールした。冒頭、「昨22日、首相官邸前に4万5千人が集まりました。美しき『あじさい革命』です」と訴え、「改悪原子力基本法は『わが国の安全保障に資する』と盛り込み、原発は戦争のためのものとはっきりさせた」と断罪した。「しかし今、多くの人びとが直接行動に立ち上がっています。国と東電の責任を追及する福島原発告訴団も立ち上がりました。あらゆる力を集め、福島に診療所をつくりましょう。診療所建設とは人間の生き方そのものを引き受けるもの。『ここでやっているよ』と旗を掲げることが必要です。最初からすべてできなくていい。『全国に仲間がいる。あなたも一緒にやろう』と仲間になってもらい、厚みを増していこう。診療所建設へ力を合わせよう」と呼びかけた。
次に、動労水戸副委員長の辻川慎一さんが発言した。まず「87年に国鉄分割・民営化を強行した首相・中曽根康弘は、在任中に六ケ所村の核燃料サイクル施設建設を決め、原発10基を発注。また85年に労働者派遣法を制定した。労働組合つぶし、原発建設、非正規職労働者を膨大に生み出す――この三つの根っこは一つです」と弾劾。そして「動労水戸の組合員は分割・民営化から23年、運転職場から外され、そば屋や売店に強制配転されても、仲間との団結を頼りに頑張ってきた。その結果、運転士登用差別事件で最高裁勝利判決をかちとった。さらにストライキで放射能汚染車両の検修を止め、団結して闘えば勝てることを示した。労働組合を自分たちの手に取り戻すことで外注化も再稼働も止められる」と振り返り、「診療所建設は労働組合の課題。治療はもちろん、訪れた人と語り合う場をつくることが大切。動労水戸もそのために力を尽くす」と決意を述べた。
平支部の川俣辰彦さんが原発で働く労働者からの熱いメッセージを紹介。続けて参加者が次々と発言した。診療所建設のことを職場で訴え、同僚から『再稼働に絶対反対』という声とともにカンパが寄せられた報告、街頭でのカンパ活動の報告など、実践的な報告や意見が寄せられた。
最後に平支部の小野裕通さんがまとめと行動方針を提起し、「私も3・11で被曝した当人。診療所建設へ基金を集め、いわきから『原発をなくそう』という闘いをつくろう。JR東は常磐線を広野駅からさらに北へ延長しようとしている。動労水戸は被曝労働を絶対許さない」と訴え、大きな拍手を集めた。
「福島の子どもたちの命と健康を守るため、みんなのよりどころとなる診療所を建設しよう」という運動の中心に地元の労組・動労水戸平支部が立った意義はきわめて大きい。全国で診療所建設へ取り組みを広げよう。
(写真 椎名千恵子さんの訴えを多くの参加者がメモを取りながら聴く【6月23日 福島・いわき】)
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週刊『前進』(2542号5面3)(2012/07/02 )
“杉並を反原発の拠点に”
NAZEN杉並集会 若い力加わり展望つかむ
6月23日、前夜の首相官邸前4万5千人決起の熱気もさめやらぬ中、NAZEN杉並は「福島の怒り・想いにつらなり すべての原発を廃炉に! 6・23杉並集会」を165人の参加でかちとった。NAZEN杉並は、新たな若い仲間も加わった例会を積み重ね、5、6月、高円寺デモ、阿佐谷デモ、街頭宣伝、勉強会を連続して行い、さらに6・10国鉄集会をとおして杉並での運動を本格的に始めてきた。地熱は高まっており、連日の街宣でも手応えが違う。
集会は、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク代表世話人の佐藤幸子さん、福島診療所建設委員会の松江寛人さんの講演を中心に行われ、再稼働阻止・原発廃炉へ、福島と具体的に結びついて団結と連帯をどんどん広げよう、職場・地域で闘い被曝労働と対決する本物の運動をつくろうというものだ。
講演の中で佐藤さんは、今なお続く福島現地での分断攻撃、それを打ち破る闘いの大変さとともに、具体的な連帯の拡大の展望を語り、そのとりでとしての「診療所」の重要性を強調した。全国・全世界・首相官邸前などでの集会・デモの高揚の最前線で激しく闘ってきた佐藤さんの確信が伝わってきた。
松江さんは医師として、福島医大副学長で極悪人の山下俊一への怒りと、一刻も早く診療所を開設する決意をユーモアを交えて語った。動労水戸はビデオメッセージで、労働者の団結で被曝労働と闘う道を示した。
集会後半も濃い内容だった。部落解放同盟全国連杉並支部の青年が生々しい映像を使って現状に迫る「南相馬支援活動報告」。西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会・内尾稔分会長の不屈の決意。西部労組交流センターの福島出身の女性自治体労働者の意を決した発言。NAZEN吉祥寺の青年の鋭い怒り。沖縄民権の会の座覇光子さんは「6・23」にオスプレイを押しつけ、訪沖した野田首相を弾劾した。斎藤郁真・全学連委員長は、京大・法大をはじめ学生は最先頭で闘うと語った。
1分アピールでは大間現地闘争を闘った仲間や大飯現地闘争を闘った仲間たちが熱い発言を行った。街頭から、また東京各地のNAZENの仲間の参加を得て、とりわけ若い力を感じさせる集会となった。
最後に集会アピールを東京西部ユニオン青年部が読み上げ、第一に診療所建設運動、第二に被曝労働を許さない運動、第三に7月16日10万人結集の実現を宣言・採択した。事務局の北島邦彦さんがまとめと行動提起を行い、運動の継続・拡大と7・16集会の10万人結集を訴えた。
3・11福島の闘いは稼働原発をゼロに追い込み、福島と沖縄が結びつき野田政権を追いつめている。労働者内部の分断や裏切りに負けなければ、野田の再稼働強行は必ず十万、百万の非和解的な闘いに転化・発展する。1954年3月ビキニ被爆事件を契機とした戦後原水禁運動の発祥の地であり、闘いの爆発的発展の拠点だった杉並・東京を、再び階級的な反原発・国鉄の闘いの爆発の一大震源地に! NAZEN杉並がその展望をつかんだ集会だった。
(杉並・SW)
(写真 戦後原水禁運動をのりこえ、杉並から新たな反核反原発闘争の発展をと誓い、”団結がんばろう”【6月23日 東京・杉並】)
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週刊『前進』(2542号6面1)(2012/07/02 )
4万5千人官邸包囲
再稼働に怒りが爆発
(写真 国会南側の車道まであふれ出て、「再稼働反対!」を2時間以上、叫び続けた。青年が全体をリード【6月22日】)
(写真 ▲織田事務局長【手前左】を先頭に首相官邸前で闘うNAZEN)
野田首相が関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を決定した暴挙に対して6月22日夕、4万5千人が首相官邸前に結集し、怒りの声をあげた。首都圏反原発連合有志が呼びかけたもの。行動開始予定は夕方6時だったが、その前から続々と人びとが結集し数百メートルにわたって歩道を埋めた。勤め帰りの労働者、学生、子どもを連れた母親、車椅子の高齢者も。隊列はどんどん膨れて伸びていった。さまざまなプラカード、ボードが掲げられた。
どの顔にも怒りがいっぱいだ。東電、電力資本の手先=野田政権は福島原発事故も全然収束していないのに、福島の人びとを踏みにじり、人民の圧倒的多数の声を踏みにじって再稼働を決めた。絶対に許せない! その怒りが4万5千人の大結集となってあふれ出た。
最前部ではマイクで発言が行われていたが、隊列が長すぎてほとんどの人に届かない。隊列はやがて歩道で収まらず、車道にまであふれた。4万5千人の人びとは、夜8時過ぎまで約2時間にわたって「再稼働反対!」のコールを叫び続けた。怒りの声は、首相官邸でこの時間にちょうど会議中であった野田や枝野(経産相)らを直撃し、震え上がらせた。NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議)は、織田陽介事務局長を先頭に、ともに全力で闘いぬいた。
7・16代々木公園10万人結集へ全力で闘おう。
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週刊『前進』(2542号6面2)(2012/07/02 )
オスプレイの普天間配備阻止を
新自由主義の殺人輸送機
全国6ルートで低空訓練も
米海兵隊が、8月にも垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを沖縄・普天間基地に配備しようとしていることに対して、5200人が集まった6・17宜野湾市民大会など沖縄の労働者人民の激しい怒りの闘いが起こっている。原発再稼働と消費税大増税に突っ走る野田・新自由主義政権のもう一つの大犯罪であるオスプレイ配備を絶対阻止しよう。大恐慌下、支配階級の分裂が露呈する中、絶望的危機を深め、凶暴化する野田政権を労働組合の決起を軸に打倒しよう。
(写真 ヘリコプター機能と固定翼機機能を併せ持つオスプレイ。機内に最大9dのほかに機外に最大6・8dの重量の兵器などをつり下げて運ぶことができる)
沖縄配備狙い開発
オスプレイは、従来のCH46ヘリと比べて「最大速度は2倍、搭載量3倍、行動半径4倍」とうたわれる「最新鋭の航空機」だ。だが、この輸送能力の飛躍的強化がどれほどの危険を伴うものかは、開発段階から今日の実戦配備までに36人を事故で失っていることに示されている。米軍にとって兵士や労働者の命は使い捨ての消耗品なのだ。度重なる事故にもかかわらず、米国防総省は「安全」「機体に問題はない」と強弁し続ける。
オスプレイは、一対の回転翼が上に付いた状態のヘリモードで離着陸し、回転翼を前面に傾けて固定翼機モードで飛行するという二つの機能を切り換えつつ操縦される。だが、普通のヘリコプターだと、エンジンが停止しても、気流を利用しながら回転翼の角度を変えて軟着陸できるオートローテーション機能が付いているが、オスプレイは回転翼が小さくその機能がない。だからエンジン停止になれば一気に墜落する。
このオスプレイは、米帝は当初から沖縄への配備を念頭に置いて開発してきた。1992年にオスプレイの普天間基地配備が米軍文書に明記されている。95年の少女暴行事件で沖縄の怒りが爆発した後、翌96年4月に「普天間基地返還」が打ち出されたが、米帝としてはそれはオスプレイ配備のための移設をもくろんだものだった。辺野古新基地とは、オスプレイのための新基地だ。沖縄の闘いが爆発してこの計画が行き詰まる中で、普天間基地居座りのままでのオスプレイ配備が強行されようとしているのだ。そのために200億円かけて普天間基地滑走路の補修工事を計画している。
何が沖縄への負担軽減だ。世界一危険な普天間基地に世界一危険な輸送機を押しつけようとしているのだ。こんなことがどうして許せようか。
普天間基地に来年までに計24機が配備され、さらに空軍嘉手納基地にCV22オスプレイが配備されようとしている(MVが海兵隊仕様、CVが空軍仕様、機能は同一)。しかも沖縄全域で低空飛行訓練が行われる。
さらに、普天間配備の前に山口県の岩国基地に陸揚げされ一時駐機するほか、本土でも岩国、キャンプ富士を始め拠点が置かれ、沖縄・本土の六つのルートで150bの低空飛行訓練が行われる。訓練回数は年間330回。沖縄だけではなく、全土がオスプレイに脅かされることになる。
原発と同じ大うそ
沖縄ではこれまで米軍基地あるがゆえの大事故が何度も起き、命の危険にさらされてきた。59年6月30日宮森小学校(石川市、現うるま市)への米軍ジェット機墜落事故では児童12人を含む18人が殺された。68年11月には戦略爆撃機B52が嘉手納基地から離陸に失敗し知花弾薬庫近くで墜落・炎上した。そして2004年8月、返還されているはずの普天間基地のCH46米軍ヘリが沖縄国際大学に墜落した。もう絶対に許せない状態が果てしなく長期にわたって続いているのだ。普天間基地の県外・国外移設ではなく、撤去だ。直ちに閉鎖し、返還せよ、だ。
政府は、「普天間は危険だから辺野古移設が必要」と話をねじ曲げ、新基地建設の口実に普天間の危険性を使っている。断じて許せない。
80年代中ごろから開発が始まったオスプレイは、その開発自体が新自由主義攻撃と言える。速度・距離・積載量でとてつもなく高度な能力を併せ持つ輸送機という発想は、軍部と軍需産業の悲願であり、そのためには惜しみなく予算を注ぎ込む、どれほど年月がかかっても開発するという政策である。度重なる死亡事故にもかかわらず、開発・生産が強行され、量産されてきた。1機1億jという開発と生産に膨大な利権が絡み、ボーイング社を頂点に全米の40州から2千の企業がこの事業に群がっているという。
朝鮮・中国への戦争
そもそも兵器である以上、戦争のためにどう役立つかが一切の基準で、安全や騒音の問題は考慮の外である。配備するために「安全」と言いくるめてきたのだ。これは原発の安全神話とまったく同じ構図だ。原理的に安全と対極にあるものを安全と強弁する。戦場における効率性が判断基準のすべてだ。
騒音の問題にしても、敵に気づかれずに近づくという観点から騒音を減らす努力をするので、基地周辺の住民のことは念頭にない。人の命よりも戦争。人の命よりも原子力と金もうけ。基地も原発も同じだ。基地と人間の命とは共存できない。
歴代の防衛施設庁長官や沖縄防衛局長が「基地との共生」を強要するなど数々の暴言で更迭されてきたが、オスプレイ配備は、その極限を押しつけるものである。そもそも帝国主義者の言う「抑止力」とは、住民と兵士の命を危険にさらしてしか成り立たないものであることが、これほどはっきりしていることもない。もはや労働者人民が生きていくためには、帝国主義を倒さなければいけない。沖縄の41市町村議会全部と沖縄県議会がオスプレイ配備反対の決議を上げた。大義ははっきりしている。絶対反対を貫くしかないし、それは米日帝と非和解ということだ。
もう一つはっきりさせたいことは、オスプレイ配備は、米日帝の朝鮮・中国侵略戦争のために強行されるということだ。
米帝オバマは、1月の「新軍事戦略」で「アジア・太平洋重視」を打ち出し、対中国戦争戦略を明確にした。そして、北朝鮮・金正恩体制の危機につけ込んで侵略戦争体制を強化している。朝鮮・中国侵略戦争のためのオスプレイと闘うことをはっきりさせよう。
野田打倒情勢の激化の中で原発再稼働阻止、消費増税粉砕、オスプレイ配備阻止を掲げ、国鉄闘争と結合して職場からの闘いを強めよう。
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オスプレイの事故
●開発段階
1991年6月 試作機が離陸後、数bの高さから墜落。飛行制御システムの配線ミス
1992年7月 試作機が飛行中にエンジンから出火し墜落。乗員7人全員が死亡
2000年4月 夜間侵攻での兵員輸送訓練中、自ら生みだした下降気流により揚力を失い墜落。乗員4人と海兵隊員15人が死亡
2000年12月 夜間飛行訓練中に森林地帯に墜落。乗員4人全員が死亡。構造的問題と操作ミスとされた。事故を受け2005年5月に解除されるまで全機が飛行停止
●配備後
2009年5月 ノースカロライナ州で低空飛行訓練中、燃料切れで緊急着陸。給油中にエンジンの排気熱で草地が燃えだし、機体外壁を損傷
2010年4月 アフガニスタン南部で夜間着陸に失敗し横転、4人が死亡。垂直揚力による下降気流で砂ぼこりが巻き上げられパイロットの視界が遮られたとの推測
2012年4月11日 モロッコ南方沖合で訓練中、離艦後に墜落し乗員2人が死亡
2012年6月13日 フロリダ州で訓練中に墜落。米軍は「機体に問題はない」と発表
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週刊『前進』(2542号6面3)(2012/07/02 )
NAZENナガサキ “玄海、川内を廃炉に”
九電長崎支社に申し入れ
6月16日、政府は大飯原発の再稼働を決定しました。この暴挙に怒り、19日、NAZENナガサキは九州電力長崎支社に対して、大飯原発再稼働決定を弾劾し、“玄海原発と川内(せんだい)原発の再稼働反対! 廃炉にしろ!”との申し入れを行いました。
NAZENナガサキの仲間たちは、午後2時に長崎支社に行きました。そして出てきた職員に対して、申し入れ書を読み上げました。
「6月16日、福井県にある大飯原発の再稼働を政府が正式決定したとの報道が流れました。私たちはこれに驚きと憤りを感じています。昨年3月11日に史上空前の事故を起こした福島原発は、原子炉内がいまだ不安定であり、依然として強い放射線を発し続け、放射能をまきちらしています。……私たちはこの大飯原発の再稼働に反対し、地元九州の玄海原発と川内原発の再稼働に強く反対します」
「玄海原発1号機は、日本でもっとも危険な原発とされています。37年間も使っている原子炉で、その劣化のすさまじさは専門家も指摘しています。免震棟もできていず、地震に対する防御がありません。さらに3号機はプルトニウムを燃やしています。これらは福島以上の事故が起きる可能性を意味しており、長崎は再度被曝することになります。長崎に落とされた原爆はプルトニウム型でした。プルトニウムでつくられた電気など使いたくありません」
「命のことを考えるなら『すべての原発は廃炉に』ということです。すでに全国には広島型原爆の120万発分の放射性物質・使用済み核燃料があり、九電にも数万発があります。……高レベル廃棄物処理問題を放置したまま、再稼働をするというのはあまりにでたらめです」
申し入れの後、九電に対して抗議と質問が上がりました。
特に「福島のような事故が起こらないように、しっかりと安全を確保して、原発の運転を継続していくようにしていきます」との職員の答えには、「電力会社の言うことは、まったく信用できない。安全などどうして確保できるのか! 高レベル廃棄物は、解決などできない。それなのに再稼働するなんて、どういうつもりだ!」と弾劾の声を上げました。
さらに「現段階で原発をなくすのはむずかしい」と九電職員が発言すると、「電力不足になる、などと脅すのが仕事なのか! 電力不足になるという発表も信用できないが、原発がないと電力が不足するというなら、それは電力会社の怠慢だろう!」と怒りが爆発。高レベル廃棄物処理の問題についての追及には、まったく答えられませんでした。
長崎ではすでに、県漁連が総会で全会一致で「玄海原発再稼働反対」の決議をあげています。さらに松浦市鷹島では、8割もの住民が反対の意思を表明しています。被爆者をはじめ長崎でも反対の声は高まっています。再稼働反対の声は大きく広がろうとしています。
今後も再稼働阻止、がれき搬入反対で、長崎は闘います。そして8月の広島−長崎闘争の成功を実現していこうと思います。
(長崎・K)
(写真 九電長崎支社に「玄海原発と川内原発の再稼働をするな。廃炉に」と申し入れ【6月19日 長崎市】)
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週刊『前進』(2542号6面4)(2012/07/02 )
6月19日〜25日
原子力基本法に「安保」目的追加/日米韓が初の海上軍事訓練
●オスプレイを嘉手納基地にも 米空軍がCV22オスプレイを、2014年から嘉手納基地にも配備することが分かった。(19日)
●改正宇宙機構法、平和目的を削除
宇宙航空研究開発機構の活動を「平和目的」と限定している規定を削除し、防衛利用を可能とする改正機構法が、参院本会議で可決、成立。(20日)
●原子力基本法に「安保」目的追加
成立した原子力規制委員会設置法の付則で、原子力基本法の基本方針が34年ぶりに変更された。付則で基本法二条に一項を追加。原子力利用の「安全確保」は「我が国の安全保障に資することを目的として」行うと明記した。(20日)
●FRBが金融緩和強化を延長 FRB(米連邦準備制度理事会)は、連邦公開市場委員会を開き、長期金利低下を促す金融緩和政策について、当初6月までとしていた期限を年末までにすると決めた。(20日)
●15金融機関一斉格下げ 米格付け大手ムーディーズは、欧州債務危機を背景に米ゴールドマン・サックスや米シティグループなど世界の主要15金融機関の長期債務格付けを1〜3段階、一斉に引き下げたと発表した。(21日)
●日米韓が初の海上軍事訓練 海上自衛隊と米韓両国の海軍による初の本格的な合同軍事訓練が朝鮮半島南方の公海上で始まった。米海軍横須賀基地に配備されている原子力空母ジョージ・ワシントンが初参加。(21日)
●ギリシャで新政権発足 ギリシャで新民主主義党(ND)党首のサマラス首相が率いる新政権が正式発足。EUなどの支援の条件になっている緊縮策を見直す。15万人の公務員削減案撤回も含まれている。(21日)
●シリア軍機が亡命 シリアの空軍ミグ21戦闘機が、ヨルダン北部の軍用空港に緊急着陸。ヨルダン政府報道官は、パイロットが政治亡命を求め、同国政府が受け入れたと語った。昨年3月に反体制運動が本格化した後、軍用機による亡命は初めて。(21日)
●シリア、トルコ軍機を撃墜 シリア国境に近い地中海上空を飛行中のトルコ軍F4戦闘機が消息を絶ち、シリア軍はこの戦闘機がシリア領海上空に侵入したため撃墜したと発表。(22日)
●普天間配備、変更せず 米国防総省は、オスプレイを7月下旬に米軍岩国基地へ搬入し、8月に普天間飛行場に配備する計画に変更はないと日本政府に伝えた。今年相次いだ墜落事故の原因は機体構造や安全性に問題はなく人為的ミスと強調。訓練を指揮していた中佐をこの日までに更迭。(22日)
●米韓が最大の実弾訓練 韓国軍と在韓米軍は、朝鮮戦争開戦から25日で62年となるのに合わせ、南北非武装地帯に近い韓国北部の京畿道抱川市の演習場で過去最大の合同実弾訓練を行った。(22日)
●中国軍拡、西太平洋まで 中国人民軍のシンクタンク、軍事科学院の内部報告書「強軍戦略」に、ミクロネシア連邦以西の太平洋とインド洋の海域で支配力拡大を図るとの海軍の目標が明記されていることが判明。(24日)
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週刊『前進』(2542号7面1)(2012/07/02 )
7・16で野田打倒し再稼働とめよう
東電株主総会行動 独・エテコン 東電を追及
“最も悪影響を与えた企業”
6月27日、渋谷区の国立代々木競技場第1体育館で行われた東京電力の株主総会に対して、日本の労働者人民とともに、国境を越えた団結で大きな反撃がたたきつけられた。ドイツの環境団体「エテコン(倫理&経済基金)」の代表6人が「2011年に地球に最も悪影響を与えた企業」として東京電力に「ブラックプラネット賞」を授与するために登場したのだ。会場内外は終日、福島原発事故に対する東電の責任を追及して再稼働阻止・全原発廃炉を訴える声で包囲された。
エテコンはドイツ・デュッセルドルフに本部を置く団体だ。利益至上主義で地球環境を破壊する企業や経済システムに警鐘を鳴らしてきた。06年以降は、地球環境を最も破壊した企業を弾劾して「ブラックプラネット賞」を授与。これまで、アメリカの傭兵(ようへい)会社・ブラックウォーター社や、メキシコ湾で原油流出事故を起こしたイギリスの石油会社・BPなどが、受賞している。エテコンは昨年11月、ベルリンで東電へのブラックプラネット賞授与式を行い、東電を招請したが、東電は欠席。そのため今回、東電株主総会の場で賞を授与しようと訪日した。
(写真 東電株主総会の会場前で記者会見を行うエテコンのメンバー【6月27日 渋谷区】)
“こんなひどい対応は初めて”
株主総会開会の10時を前に、9時には会場周辺を反対派が包囲して騒然となった。会場前で脱原発・東電株主行動やエテコンが記者会見を行った。エテコンのアクセル・ケーラー・シュヌーラ会長は「一昨日から福島を訪問した。放射線量を測るとどんどん上昇していく。何百万人もの人間を危険にさらす信じられない現場を見た。私たちは今日、東電にブラックプラネット賞を授与します。日本から、そして全世界から原発はなくなるべきです」と訴えた。
エテコン代表団のうち4人は、1人あたり100株以上の東電株を保有している。にもかかわらず、東電に「株主総会に出席する」と伝えると、東電は言を左右にしながら「あなた方に出席権はない」と言い続け、株主総会出席を妨害し続けた。しかしこれらの妨害を突き破って、原発に反対する株主たちの協力を得て、シュヌーラ会長と若い女性活動家リュディル・ウィルさんの2人が堂々と会場に入った。その手には、ブラックプラネット賞のトロフィーである黒く汚れた地球儀があった。
しかし会場に入ったシュヌーラ会長らに対して、東電は発言権も、トロフィーを授与する機会も与えなかった。
株主総会の議長を務めるのは、なんと勝俣会長だ。しかもマスコミを含めて報道関係者は全員シャットアウトで、総会の状況は報道できない。
原発に反対する株主が議案を提出し、議案の提案や動議提出、質疑応答で東電の責任を問おうと発言を続けたが、勝俣らは、大量に動員したいわゆる「動員株主」の数を頼みに反対派の動議を次々に否決して議事を進めいてく。
この現実を目の当たりにしたシュヌーラ会長らは午後1時過ぎ、議事途中で席を立ち、外に待ち受ける報道陣の前に姿を現した。
「私は30年間、批判的株主運動をしてきた。どの株主総会でも株主は発言権を持っている。しかし東電の株主総会ではそれすらない。これまで企業のひどい対応も数々経験したけれど、東電ほどひどい対応は初めて。まるで封建時代のように独裁的だ。昔の皇帝と臣下の関係を思い起こした。勝俣会長らが皇帝のような権利を持ち、すべてを独裁的に支配している。東電はメディアも締め出した。こうした対応は東電がこの賞を受けることを恐怖しているからだ。ブラックプラネット賞のトロフィーは28日の東電デモで必ず渡す」。怒りに燃えたシュヌーラ会長の激しい叫びがその場を圧した。
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週刊『前進』(2542号7面2)(2012/07/02 )
新橋アクション 東電本店直撃デモ
エテコンと国際連帯行動
6月28日夕方、新橋アクションが主催するリレートークとデモが行われた。デモは毎月行われ今回がちょうど10回目。さらに今回は、東電株主総会への抗議行動のために来日し、福島も訪問したドイツの環境団体「エテコン」も参加して、国際連帯の熱い闘いとなった。
午後5時20分、JR新橋駅前のSL広場でリレートークが開始された。司会をNAZEN事務局次長の富田翔子さんが務めた。最初にNAZEN事務局長の織田陽介さんが「野田の再稼働宣言は許せない。今日はエテコンの人たちが来る。日独の団結で闘おう」と呼びかけると、帰宅途中の人びとが注目し、数百人が聞き入った。
5時40分、エテコンの一行が到着。会長のアクセル・ケーラー・シュヌーラさんがマイクを握った。「福島に行ったが想像を超える事態だった。200万人の人たちが放射能を浴びながら住んでいる。30万人の子どもが苦しんでいる。日本の今の政治は犯罪だ。原発は廃止しなければならない」
続いて原発いらない福島の女たちの椎名千恵子さんが「昨日福島第一原発1号機で毎時1万_シーベルト以上の放射線量が計測された。人が浴びれば40分で死亡する。これが今の福島の現状。再稼働は絶対に許せない。明日、原発いらない福島の女たちと原発いらない全国の女たちは院内集会をやって、国会前に押しかける。そのあと官邸前の10万人行動に合流する。皆さんも10万人の1人となって下さい」と訴えた。リレートークは総勢15人が怒りと決意のあふれる発言。新橋駅前を「再稼働を許すな!」「野田打倒!」の一色に染め上げた。
6時30分、近くの桜田公園に移動し、ただちにデモに出発した。飛び入りする人が次々と現れ、隊列は過去最高の250人に膨れあがった。東電本店前では警察の暴力的妨害を跳ね返し、シュプレヒコールをたたきつけた。東電に対してエテコンがブラックプラネット(黒く汚れた地球儀)を渡そうとすると、相手は拒否を決め込む。だが気迫で圧倒して受け取らせ、全員で東電を徹底的に弾劾した。
(写真 東電に向かう新橋アクションのデモにエテコンも合流。飛び入りする人が次々と現れ、隊列は250人に膨れあがった【28日 東京・内幸町】)
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週刊『前進』(2542号7面3)(2012/07/02 )
エテコンが福島訪問
地元の労働者、母親らと交流
“財界の独裁権力打破を”
エテコンの訪日団6人は東電株主総会を前に6月25日に福島を訪問し、自治会館3階の会見場で記者会見を行った。
その後、福島駅前の会場で「国際連帯をバネに、あらためて再稼働阻止へ/ドイツ・エテコン歓迎パーティー」が行われた。地元の労働者や、子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの佐藤幸子さん、椎名千恵子さんらが呼びかけたものだ。
椎名さんが進行役を務め、主催者を代表してあいさつした佐藤さんは「子どもたちを放射能から守る福島ネットワークは、子どものことを一番大事だと思っている人たちがつながって活動している。子どもたちの健康を思うと日々、胸が張り裂けんばかり。その責任を取らない東電に対して、株主総会では私たちの分まで怒りをぶつけてください」と訴えた。
テーブルには丹誠込めて準備された手作りの料理が並んだ。子ども福島ネットの活動を紹介したDVDが上映され、地元の労働者や母親たちとの濃密な交流が続いた。
最後にエテコンのアクセル・ケーラー・シュヌーラ会長が発言した。「先ほどのDVDは衝撃的だった。親たちが自分の子どもたちを避難させなければならない――こんなことがどうして起こるのか。利潤が人間を上回っている。この世界を支配している150の企業の連中にこそ、貧困や戦争の全責任がある。国境を越えて全世界で団結して、利潤ばかりを追求する財界の独裁権力を絶対に打破しましょう」。この呼びかけに、お互いが胸を熱くした。
翌26日は地元の仲間の案内で被災地を訪問した。福島市から川俣町、飯舘村を通り南相馬市へ。福島第一原発から20`圏内の南相馬市小高区は今年4月まで警戒区域だった。区域見直しで立ち入り禁止は解除されたが、居住はできず、電気も通らず、人間が一人もいないゴーストタウンで、津波や地震の被害の跡も生々しいままだ。荒れ果てた田畑が続く飯舘村では、雨だれの落ちるコンクリートの上に線量計を置くと、数値が30マイクロシーベルトまで跳ね上がった。
エテコンのメンバーは「東電への怒りをますます強くした。ドイツでこの現実を多くの人びとに伝えていく」と語った。
(写真 福島の労働者や母親たちとの濃密な交流が続いたエテコン歓迎パーティー【25日 福島市】)
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週刊『前進』(2542号7面4)(2012/07/02 )
福島と結んだ10万人デモは歴史を動かす偉大な闘いだ
労働組合・職場丸ごと大結集を
福島県民の思いを土足で踏みにじり、大飯原発再稼働「決定」を強行した野田政権は「決定」を撤回しろ! もはや野田政権を倒してでも、原発を止めなければならない! 日本中が怒りに燃え、首相官邸前は万単位の人びとの抗議であふれている。この声をますます拡大し、7・16さようなら原発10万人集会(代々木公園、NAZENは9時集合)を10万人を超える大デモとして実現しよう。職場やキャンパス、地域から丸ごと結集し、野田政権を倒して原発を止めよう!
官邸前で歴史に残る革命のドラマが進行している
「紫陽花(あじさい)革命」。6月22日に4万5千人を突破した首相官邸前の抗議行動は、大衆の中からこう呼ばれ始めた。チュニジアの「ジャスミン革命」になぞらえたネーミングだ。梅雨空のもと、小さな花が集まって大きく奇麗な花を形づくる紫陽花に、民衆の行動が見立てられた。
そこに集まる人、人、人。その瞳は迷いなく真っすぐ首相官邸を見つめ、怒りに燃え、そして明るい。「再稼働反対!」と声をからして叫ぶ互いの真剣さに感動し、さらにわき上がる怒り。何かが始まった。ここに希望がある。すべての人がそう感じたに違いない。人間同士の間にある壁は崩れ、誰もが自らを満たす連帯感に涙した。
「革命」。この偉大な言葉に見合うだけの内実がここに存在している。あらゆる既成政党の党利党略政治、なれ合いの「改革」や「革命」なるものの軽薄さをすべて吹き飛ばす重みがある。福島の子どもたちの命と自らの未来を守り、人間らしく生きられる社会を求める民衆が、自らの行動で体制を揺さぶり、覆していく決意と真剣さをもって立ち上がっている。歴史に残るドラマが進行しているのだ。
「国民生活を守ることが、私がよって立つ唯一絶対の判断の基軸だ」。6月8日の大飯原発再稼働宣言に際し、野田首相はこう口走った。彼は、生活を守ろうとする民衆の声を踏みにじって消費税増税を宣言した。若者を非正規職に突き落とし、「復興」の名のもとに労働者の賃金をさらに引き下げようという連中がこういうことを平然と口にしている! そして非正規職の若者たちに、原発を動かし被曝労働を用意することを「雇用を守る」と言うのだ!
そして彼は主張する。「福島で避難生活を余儀なくされているみなさんの複雑な気持ちは理解できる。しかし、……人びとの日常の暮らしを守る責務を放棄することはできない」
「理解」? いつしたのだ。福島の思いを「理解」した者が再稼働を宣言できるだろうか! 福島の怒りが「人びとの日常の暮らし」と対立し破壊するものとして攻撃されたとき、日本中の怒りは頂点に達したのだ。福島を守れ! 福島との分断を許すな! 10万人を超える福島との連帯の意志で代々木公園が埋め尽くされたとき、7・16は野田政権を打ち倒すその日であり、原発を止めるその日となる。
大衆行動が政治を動かす歴史的過程が始まった
7・16は歴史に残る大政治闘争となろうとしている。
3・11大震災と福島第一原発事故は、いかに非人間的で非民主的な社会に私たちが暮らしていたのかを白日のもとにさらした。津波対策も切り捨て、数十万人規模の労働者に被曝労働をさせボロもうけする財界と政治家。うそをついて恥じないマスコミと裁判官、そして御用学者。これを公然と支える労働組合幹部。こうした社会構造に怒り、新しい社会を次世代に残そうと決意した民衆の行動が、政府を追いつめてきた。3・11から1周年の福島県民大集会で1万6千人が示した福島の怒りは、「5・5稼働原発ゼロ」という前代未聞の地平を切り開いた。大衆の行動が政治を動かすという歴史的過程が開始されたのだ。「稼働原発ゼロ」の地平を絶対に明け渡さず、体を張ってでも守り抜こう。
野田政権はあくまで原発再稼働への強硬姿勢を崩していない。反原発運動はこうした政府とますます非和解的にぶつかり発展し、必ず野田政権を踏みしだいて歴史を切り開いていく。
もはや労働者民衆の怒りは原発のみならず、消費税や雇用、社会保障や教育、そして戦争と基地の問題など、限界を超えている。大恐慌の進行と国家破綻、緊縮政策に労働者民衆が大反撃をたたきつけるヨーロッパの情勢と本質的に同じだ。
民主党政権は原発と消費税問題を契機に分裂と崩壊を開始した。野田政権を倒し原発を止める。この決意で10万人を超える労働者民衆が代々木公園を埋め尽くしたとき、歴史が大きく動き出す。
反原発運動と沖縄の連帯で戦後体制を打倒しよう
そしてもう一つの歴史的事態が進行している。それは、万のうねりとなって進む反原発運動が、沖縄との連帯を真剣に求めていることだ。
4閣僚による再稼働決定の翌6月17日、大飯原発のある福井現地と、核燃サイクルと大間原発建設がもくろまれる青森でのデモとともに、沖縄ではオスプレイ配備反対の宜野湾市民大会が5200人でかちとられた。本土と沖縄の闘いが野田政権を追いつめている。
6月20日、原子力基本法が原子力規制委員会設置法の付則でもって改悪された。「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として」とされていた原発の目的を、「我が国の安全保障に資することを目的として」と拡大し、「平和利用」のベールを公然と投げ捨てた。「これらはわが国の安全保障にかかわるものなので、究極の目的として(基本法に)明記した」(公明党・江田康幸議員)、「日本を守るため、原子力の技術を安全保障からも理解しないといけない」(自民党・塩崎恭久衆院議員)などと、核武装の意図を隠そうともしない。福島や沖縄の子どもたちを危険にさらして何が「わが国の安全保障」なのか!
さらに同日、宇宙航空研究開発機構法が改悪された。平和目的の限定条項を廃止し、「宇宙基本法の基本理念にのっとり」と変えた。宇宙基本法は「わが国の安全保障に資するよう行われなければならない」と規定しているのだ。
こうした事態を受けて、「なぜ核武装の是非を公然と議論しないのか」という論調がマスコミから噴き出している。
「戦後」の現実はその言葉とは裏腹に、戦争に次ぐ戦争の時代としてある。第2次大戦が終わると同時に朝鮮戦争やベトナム戦争、中東・アジアへの戦争など、休むことなく戦争が継続されてきた。日本においては憲法9条を軸とした戦後憲法から沖縄を除外し、日米安保体制をもって公然と戦争が継続されてきた。資源や市場をめぐって強盗戦争を世界に繰り広げた帝国主義体制は、戦後の「民主主義」のイデオロギーのもと、公然と連続してきたのである。72年のペテン的沖縄「返還」は、こうした体制を終わらせるものではなく、むしろ「戦後憲法こそ現実に合わない」という議論を噴出させた。
こうした帝国主義体制と日米安保政策は、沖縄の「永久核基地化」をもってのみ成り立ち、沖縄労働者民衆の怒りを、本土―沖縄の分断と差別によって抑えつけようとしてきた。しかし今、反原発運動が沖縄との連帯を懸命に求めているその姿は、欺瞞(ぎまん)的な「戦後と平和」を突き破る歴史的意味を持つ。福島、沖縄と連帯し、世界から原発と核をなくす10万人集会として7・16をかちとろう。
被曝労働反対! 原発労働者と連帯して闘おう
最後に、首相官邸前をはじめとした闘いに、労働組合こそ職場からの丸ごとの決起で応えよう。その最大の課題は、福島第一原発で命を削って作業に当たる原発労働者と連帯し、被曝労働絶対反対の具体的闘いをとおして、労働組合を再生するために闘うことだ。
反原発運動は、原発の廃炉という途方もない課題に真正面から立ち向かうことが問われている。原発労働者たちは、健康管理も1カ月先の雇用も守られず、使い捨てられる状態におかれている。野田政権と東電は、昨年12月の「収束」宣言以降、ただでさえ被曝を防止できない装備を、さらに軽微化しながら、「廃炉にするには被曝労働者を拡大し、許容線量を上げる以外にない」「もしくは徴兵制だ」と、「廃炉」を利用し現体制を「復興」しようとしている。本当に許せない。原発労働者を守り、本当に廃炉に向かって前進しなければならない。
被曝労働は、戦後における核戦争の日常化と表裏一体の、日常の核戦争化としてあったと言えるのではないか。これに対して、電産中国をはじめ全国の官公労を軸とする労働組合の原発建設阻止の闘いがあったものの、労働組合総体としては被曝労働と根底から対決することはできなかった。平和でない核戦争を「平和利用」とするイデオロギーは、職場における労働組合の敗北の上に成り立つ具体的問題だ。労働組合は「被曝労働は非正規労働者にやらせろ」と正規・非正規の分断に加担し、今の若者の現実の土台をつくった。被曝労働は、国鉄分割・民営化と並んで、新自由主義を進める国家・資本による労組破壊としてあった。
そして今、JR東日本検修全面外注化阻止・被曝労働絶対反対の地軸を揺るがす決起が、新自由主義を打ち破り、労働組合運動復権の一大流動情勢をつくり出している。
反原発運動は闘う労働組合を歴史的に再生する重要かつ独自の課題を有している。労働組合の再生こそが、原発労働者を守り、原発を廃炉にしていく中心課題だ。福島の怒りに涙し、代々木公園を埋め尽くす連帯感に感動し、歴史を動かす当事者となることは、労働組合の再生にとって大きな力となる。核の平和利用論を打ち破り、日本の反核運動の歴史的復権も見えてくる。
すでに平和フォーラムと全労連が各3万人の動員方針を決定し、職場は動き出している。動員枠を上回る職場丸ごとの結集を実現しよう。残り2週間を大事に、しかし大胆に駆け抜け、野田を倒し、原発を止め、歴史を動かす日として7・16を迎えよう!
〔織田陽介〕
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週刊『前進』(2542号8面1)(2012/07/02 )
「詐欺罪」デッチあげ粉砕!
女性労働者2名を奪還したぞ
6月7日に「詐欺罪」をデッチあげられ不当逮捕・勾留されていた関西の2名の女性労働者を6月27日、奪還した!
公安警察と検事は、デッチあげ弾圧を押し通そうと最後まで必死にあがいたが、2名の獄中での完全黙秘・非転向の闘いと大衆的怒りの爆発に追いつめられ、さらには弾圧そのもののあまりのデタラメさと不正義性ゆえに、ついに起訴できずに2名を釈放するしかなかったのだ。大勝利だ!
6・10国鉄闘争全国運動集会の大成功は10・1JR東日本検修全面外注化阻止の闘い、大飯原発再稼働絶対反対の闘いを新たな段階に押し上げた。これに恐怖した警視庁公安部は、階級的労働運動路線の破壊のために必死だった。
取り調べと称して、「人でなし」「極悪人」「うそつき、ペテン師」「黙秘は卑怯だ」などと人格を否定する罵詈(ばり)雑言を浴びせかけ、「もう一般社会に戻れないぞ」「とにかく活動をやめろ」などと朝・昼・夜と連日8時間近くも転向強要に全力をあげた。また、衣類の差し入れ妨害も執拗(しつよう)に行われた。少しでも柄の入ったもの、かかとから10a以上ある靴下、ボタンのついたもの、ベルト通しのついたズボン、Tシャツがほつれていると難癖をつけ、さらには弁護士からの本の差し入れまで妨害するなど、嫌がらせの限りを尽くした。
しかし、2名の女性労働者の完全黙秘の貫徹と党と労働者階級人民の総決起によって弾圧を完全に粉砕したのだ。東京地裁前では連日、朝と昼のビラ入れを貫徹した。逮捕された女性労働者の地元滋賀県でも連日の駅頭ビラ、職場ビラ入れをやり抜くなど、大衆的反撃に全力をあげた。
6月22日の勾留理由開示公判では4人の弁護団が逮捕の不当性を追及した。「詐欺容疑」とは、自分の名前で借りたマンションの水光熱費を自分の名前で開設した銀行口座から毎月引き落としで払っていただけのことなのだ。ここには逮捕される理由などみじんもない! 弁護団は、この逮捕が「原発なくそう! 闘う労働組合をよみがえらせよう!」と闘う労働者への政治弾圧であることを暴き、ただちに釈放せよと迫った。弁護団、傍聴席一体となって6・7弾圧への怒りを爆発させた。
今や野田政権打倒の巨万の決起が起きている。外注化阻止・非正規職撤廃の国鉄決戦、大飯原発再稼働阻止の首相官邸包囲の大デモという革命情勢とひとつになって6・7弾圧を粉砕したのだ。
「詐欺罪」拡大解釈を許さず
2012年1〜3月の闘いは、革命的共産主義運動にとってのひとつの金字塔であった。6・7弾圧は第一に、この地平からさらに前進する革共同の階級的労働運動路線に対する日帝国家権力の絶望的な恐怖ゆえの大反動だった。
3・11郡山集会の高揚、4・1外注化阻止決戦の前進、八尾北医療センター立ち退き要求を粉砕する裁判闘争の勝利、法大暴処法無罪判決、京大同学会権力の樹立などなど、渾身(こんしん)の前進をかちとって6・10集会の大成功へ攻め上ってきたことに対する大反動だった。
4・1JR外注化阻止の闘いに驚愕(きょうがく)したJR資本とJR総連は、再び結託して10・1外注化へ絶望的に突進している。外注化=非正規職化は新自由主義攻撃の核心中の核心であり、外注化阻止の闘いは新自由主義を食い破り、帝国主義打倒にまで発展する闘いである。
同時に反原発闘争は、野田首相の6・16大飯原発再稼働宣言への怒りとして燃え広がり、消費大増税強行に対する怒りと重なって巨万の決起へと発展している。6月首相官邸包囲から7・16代々木公園10万人結集、7・29国会包囲へ、空前の歴史的決起が始まった!
6・7弾圧は第二に、銀行口座の開設という、被害者もおらず、違法性もないことを「詐欺罪」にデッチあげたもので、政治弾圧そのものだ。
生活保護や失業手当の「不正受給」をデッチあげて「詐欺罪」を適用する弾圧も頻発している。
治安目的で「詐欺罪」を乱発することは、新自由主義の破綻と帝国主義支配の崩壊の中で起きている新たな攻撃だ。これは新自由主義の絶望的凶暴化であり、破綻と腐敗そのものでもある。
だからこそ、絶対反対で団結して闘えば必ず勝利できることを実証した6・7弾圧粉砕の闘いの意義は絶大だ。
6・7弾圧の粉砕は、日帝・野田政権と警視庁公安部を今や一層の危機にたたき込んでいる。
新自由主義の延命のために絶望的に凶暴化した弾圧を粉砕した地平の上に、10・1JR外注化絶対阻止を先頭にして、原発再稼働、消費大増税、改憲・戦争へと突進する野田政権を打倒しよう。野田政権の延命を唯一支える連合ダラ幹を打倒し、労働組合を復権しよう。道州制・公務員全員解雇・労組破壊に突き進む大阪・橋下を労働者の怒りで打ち倒そう。国鉄決戦と反原発闘争を一体的に闘いぬく中から労働組合権力を奪取しよう。
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週刊『前進』(2542号8面2)(2012/07/02 )
“安全な原発などない”
大飯原発の再稼働に反対する
アメリカなど各地 世界一斉に抗議行動
(写真 「今すぐ全原発閉鎖を!」「日本の労働者・農民を守れ!」などのプラカードを持って日本領事館前に集まり「サイカドーハンタイ!」と抗議行動【6月22日 アメリカ・サンフランシスコ】)
(写真 日本総領事館前でダイインを行い「日本の原発なくせ!」とアピール【22日 ロサンゼルス】)
(写真 オレゴン州ポートランド【22日】)
4万5千人が首相官邸を取り囲み、「再稼働反対!」を野田政権にたたきつけた6月22日、世界中で「再稼働反対!」の声が響き渡った。「大飯原発の再稼働に反対する国際行動」が、現地時間で6月13日から22日、オーストラリア、フランス、フィンランド、ドイツ、インド、イタリア、韓国、タイなどで取り組まれたのだ。アメリカでの闘いを紹介する。(編集局)
6月22日、サンフランシスコの日本領事館前で大飯原発再稼働反対の集会とピケットが闘われた。参加団体は反核行動委員会、フクシマの放射性降下物に注意を促すネットワーク、環境選択権ネットワーク、健康と環境のためのグリーンアクションなど。数十人の参加者全員が日本語で「再稼働反対!」、英語で「ノーモア・ニュークリア!」のコールを繰り返した。
集会に参加した70代の在米日本人女性は、6月22日に日本の首相官邸前の抗議行動に4万5千人が参加したことを報告し、「日本でも多くの人が『生きさせろ』『原発反対』と主張し始めた。原発問題は国際的課題であり、原発を非合法化せよ」とアピールした。
日本の小学生から送られてきた手紙が読み上げられた。「私は何歳まで生きられますか。なんで私だけ転校しないといけないのですか。毎日長袖、長ズボン、 マスク、帽子でとても暑い。外でも遊べません。……私の夢は去年とまったく違います。放射線をなくしてほしいです」
動労千葉との国際連帯を積極的に担い、11月労働者集会にも来日している運輸労働者連帯委員会のスティーブ・ゼルツァーさんもマイクを握り、日本で福島と連帯するためと称して、福島の汚染された食料を買おうというキャンペーンが行われていることを弾劾し、「どうして森を除染することができるのか。森に雨が降れば、土地が汚染され、川に流れ込み、さらに海に流れ込んで世界中の海を汚染する。日本政府は除染をしたから福島の人びとは安全だと主張している。子どもたちも、学校が除染されたから安心だと言われている。しかし、親たちは自分たちで放射能を測定し、まだ汚染が続いていることを確認している」と報告した。
さらに「アメリカではサン・オノフレで事故を起こした原発に反対し、閉鎖を呼びかける闘いが勝利している。カリフォルニアの各都市で原発を閉鎖する闘いを行おう。誰が原発を推進しているのか。それは東芝やGMなどの企業だ!」と闘いを呼びかけた。
岩手出身の若い女性が発言。「私は、地震のあと3月末にこちらに移ってきました。家族はいろんなことがあってそのままでいます。私の姉は震災のあとに妊娠してあと2カ月で赤ちゃんが産まれるところです。最近、その赤ちゃんに脳に障害があることがわかりました。ただ祈るしかありません。核のない世界を私たちが創造するのは今しかないと思います。今こそ声を上げましょう」
ほかにも宮城出身だという若い女性など、在米日本人たちも駆けつけての日本領事館前抗議行動となった。
サンフランシスコ反核行動委員会が日本総領事にあてた抗議書簡は、次のように結ばれている。
「私たちが行動を起こしている間にも、アメリカ政府とオバマ政権は、カリフォルニアのサン・オノフレとディアブロ・キャニオンにある2基の原発は安全なので納税者は原子力産業に補助金を出し続けるべきだと主張している。私たちはこれらの政策や見解を拒否する。日本にも、またアメリカの104基の原発についても、“安全な原発などあり得ない”というのが福島の教訓だ。私たちは日本政府が大飯だけではなく、他のいかなる原発をも再稼働させないよう要求する。原発は世界の健康と安全に対する継続的な脅威だ」
22日、カリフォルニア州ではロサンゼルスの総領事館前でも「原発廃止、メルトダウン阻止/日本の原発なくせ!」のイベントが開催され、多くの日系アメリカ人を先頭に抗議集会と被曝の影響へのアクションとして「ダイイン」が行われた。
オレゴン州ポートランドでもこの日、抗議行動が取り組まれた。
すでにアメリカ国内では15日のニューヨーク、オレゴン、シカゴ、ロサンゼルスに始まり、18日にはニューヨークの日本大使館前抗議行動など連続的な反原発の国際連帯行動が展開されている。
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週刊『前進』(2542号8面3)(2012/07/02 )
反動判決に怒り
関合労阪神支部かねひろ分会 “解雇撤回せよ”
6月19日、神戸地裁尼崎支部でかねひろ判決闘争が闘われた。かねひろ裁判は、12年にわたって解雇撤回闘争を非和解で闘ってきたかねひろ分会の許用皓(ホヨンホ)関西合同労組阪神支部長の闘いに追いつめられたかねひろ運輸資本が、「解雇を正当と認めろ」とする「地位不存在等確認」と「一切の争議行為をやめろ」と訴えたものだ。
判決には関合労組合員をはじめ地域の仲間20人が結集した。神戸地裁尼崎支部長の揖斐裁判長は「雇用契約上の権利がないことを確認する」などの判決主文だけを読みあげて脱兎(だっと)のごとく逃げ去った。
すかさず許用皓支部長は「こんな反動判決は絶対認められない」と法廷全体を圧倒する怒りの演説で反動判決を徹底弾劾した。そしてあくまでも解雇撤回を貫き、デタラメな判決には控訴して闘うことをきっぱり宣言した。そして最後に、全員でシュプレヒコールをたたきつけた。
(写真 反動判決後、「かねひろ運輸資本が白旗を揚げるまで闘おう」と裁判所前で集会【6月19日 尼崎】)
◇塩川派と決別
かねひろ運輸資本は、職場に労働組合をつくろうとした許用皓さんを2000年7月に「指名解雇」。以来、許用皓さんは解雇に怒りを燃やし、解雇撤回・原職復帰を闘いぬいてきた。
この闘いは、同時に「労働者は闘っても勝てない」と救済主義に転落した塩川派が巣くう「関西合同労組兵庫支部」執行部による「金銭和解路線」との闘いでもあった。やつらは、かねひろ運輸資本が許用皓支部長への「指名解雇」に血道をあげている時、資本の手先になって、無期契約を放棄し、解雇攻撃を呼び込むようなとんでもない「3カ月契約書」を取り結んだのだ。やつらのこの裏切り抜きに解雇はありえなかった。
08年の分岐以来、新たな団結で社長宅包囲弾劾・社前抗議行動を闘い、企業団地での署名は200筆に及んだ。不屈の闘いに共感する輪が広がり、11年に関合労阪神支部が結成された。
一方、かねひろ運輸資本は、10年1月に「雇用関係不存在」「争議行為の禁止」を求めて裁判所に泣きつき、許用皓さんを訴えてきた。盗っ人たけだけしいと言うべき裁判だ。許用皓支部長は、かねひろ側が3人もの弁護士をつけて臨んできたのに対して、弁護士なしでたった1人で法廷に立ち、関合労の固い団結で闘ってきたのだ。
◇団結を拡大し
判決は、事実認定においても「雇用契約上の権利がないことを確認する」とし、「社長・会長宅半径200b内」での争議行為を禁止するというとんでもない反動判決だ。
しかし、かねひろ運輸資本の狙いは門前闘争を含む争議行為の全面禁圧だったが、判決は、門前闘争を禁止できなかった。それどころか、会社敷地内への立ち入りを限定的にせよ認めたものだった。労働組合に門前闘争の「お墨付き」を与えてしまったのだ。
かねひろ闘争は、敵の狙いを核心で打ち砕いた。12年にわたって「解雇撤回」を貫いてきた階級性・正義性が、かねひろ運輸資本、裁判所を圧倒したのだ。
かねひろ闘争は、どこまでも「解雇撤回」を真正面から掲げ、門前闘争を闘いぬき、職場と地域に団結を拡大し、かねひろ運輸資本が白旗を揚げるまで闘いぬく決意だ。
(関西/K)
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週刊『前進』(2542号8面4)(2012/07/02 )
職場から
節電の前にやることがあるだろう!
東京F郵便局 森内一郎
5月になり、郵便局も政府の節電キャンペーンにのって「クールビズ」と称するノーネクタイとなった。
思えば郵便局でのクールビズは、節電や温暖化防止うんぬんではなかった。どうしても郵政民営化をやりたかった小泉政権が使った選挙時の格好つけだった。そして昨年、原発問題で国民の怒りが高まった時、民主党がスーパークールビズと称したのだ。国民の怒りが国会を包囲しているのは当然だ。
郵政の職場では15年ほど前、毎日暑い夏に外で汗をかいて仕事をしている集配課の職員が「ネクタイを締めろ」「締めないと処分するぞ」とさんざん当局に脅された。現実にノーネクタイで処分された人もいたのだ。それが今は5月にノーネクタイだ。いいかげんなものである。
そもそも管理者たちが「仕事」をしている所は通気性も良い快適な所だ。ネクタイを締めていようがいまいが居心地は良い。一方の労働者が働く場所はどうか。入金管理表や着払いの領収書を作る場所は特に劣悪だ。そこは仕事をするための場所ではなく、物置用の場所だった所で、外の気温が25度だとそこは35度にもなる。当然エアコンを入れたが、すぐに電源が切られてしまった。あまりに暑いので扇風機を持ち込んだ人がいたのだが、コンセントを抜かれてしまった。これはもう人権問題であろう。
私は昨年、ある管理者にそのことを抗議したが、「俺はそのころは管理者ではなかったから」と逃げられてしまった。
JPEXの破綻で作った大赤字の責任を現場に押しつける当局。それを追及もできない組合本部。この組合幹部のていたらくも、劣悪な職場環境を改善できない原因なのだと痛感する。現場の怒りをなめるとどうなるか。もうすぐ彼らは必ず思い知るでしょう。
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