ZENSHIN 2012/06/04(No2538 p08)

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第2538号の目次

(写真 「農地死守」の気概で、デモの先頭に立つ反対同盟【5月28日 千葉市】)

1面の画像
(1面)
6・10大結集で時代変わる
全産別で外注化阻止・非正規職撤廃、被曝労働拒否訴え闘おう
法大暴処法弾圧「全員無罪」の勝利
記事を読む  
三里塚 農地強奪許さない  千葉地裁へ向けデモ(5月28日) 記事を読む  
前進速報版から 記事を読む  
(2面)
6・10国鉄大集会へ最後の奮闘を  田中康宏動労千葉委員長が訴え
国鉄軸に新自由主義と対決し階級的労働運動を復権しよう(5月27日)
記事を読む  
6・10へ各地で国鉄集会(5月18、20日) 記事を読む  
「物販購入者」を組合活動家と位置づけ地域の団結つくろう
金属労働者からの提起(東京・金属労働者 等山一郎)
記事を読む  
(3面)
非正規職撤廃・新賃金粉砕へ
連合JP労組本部の支配覆す  郵政労働者にインタビュー
記事を読む  
自治労中央委 橋下へのみなぎる怒り
福島 交流センターの訴えに大反響(5月24日)
記事を読む  
非正規労働者に聞く  ショーワの派遣切りと闘う(上)
安全無視の違法職場で死亡事故 生き抜き闘うため行田分会結成
記事を読む  
(4面)
東労組が「組合案」で外注化に道
資本との断末魔の結託粉砕し10・1JR検修外注化阻止へ(矢剣 智)
記事を読む  
闘う電通労働者の登場を
6・10国鉄集会に大結集し新自由主義粉砕の総反乱へ
資本と一体化したNTT労組中央倒せ(革共同電通委員会)
記事を読む  
(5面)
京大同学会再建・全学選挙勝利かちとろう
原発御用大学解体・再稼働阻止!  教育の民営化粉砕へ闘う自治会を
マル学同中核派・京都大学支部
記事を読む  
関越道バス事故の最大の責任は国交省にこそある
投稿 関西合同労組大和分会
記事を読む  
市東さん農地裁判 土地強奪の違法明らかに  NAA戸井証人を徹底追及(5月28日) 記事を読む  
三里塚裁判傍聴を! 記事を読む  
(6面)
内部被曝・被曝労働と闘い全原発廃炉へ
診療所を建設し福島で起きている現実を希望へと変えたい
福島診療所建設委員会 渡辺馨事務局長
記事を読む  
秋田 “再稼働をやめろ!”  第5波反原発アクション 記事を読む  
大飯再稼働絶対許すな  野田のデマと脅迫うち破り(5月20日) 記事を読む  
2112年日誌 5月22日〜28日
原子力委、推進派だけで秘密会議/防衛省「黄海にイージス艦配備も」
記事を読む  
(7面)
八尾北医療センター明け渡し裁判 市の暴挙退ける判決
大阪地裁  “団結の勝利や!”と歓声
橋下打倒へ大きな展望開く(革共同東大阪地区委員会)(5月24日)
記事を読む  
電機の大量首切り許すな  大恐慌下に団結して反撃を 記事を読む  
全関西狭山集会 “全証拠の開示を”  労働運動の力で勝利へ(西郡支部・植村清)(5月23日) 記事を読む  
(8面)
暴処法判決 「全員無罪」は団結の力  法大−全国学生運動の金字塔(5月31日) 記事を読む  
金属労組KEC支会 75人全員が職場復帰へ
世界変える日韓労働者の共闘  この力で6・10国鉄集会へ(5月30日)
記事を読む  
5・21〜25 鈴コン分会などと連日闘い  資本を追いつめる(5月21〜25日) 記事を読む  
国際労働運動 7月号  欧州諸国で政権崩壊 記事を読む  

週刊『前進』(2538号1面1)(2012/06/04 )

 6・10大結集で時代変わる

 全産別で外注化阻止・非正規職撤廃、被曝労働拒否訴え闘おう

 法大暴処法弾圧「全員無罪」の勝利

 韓国金属労組KEC支会 75人全員の解雇撤回かちとる 動労千葉との国際連帯の力示す(記事8面)

 歴史的な大勝利だ! 法大暴処法(暴力行為等処罰法)弾圧裁判で5月31日、東京地裁が学生全員に無罪判決を下したのだ。八尾北医療センター明け渡し裁判での全面勝訴に続く決定的勝利であり、弾圧の下手人=警視庁公安部と法大当局には大打撃だ。さらに韓国金属労組KEC支会は、日本遠征闘争の直後、整理解雇撤回の勝利をもぎり取った。階級的に団結して闘えば新自由主義に勝てる。次はいよいよ6・10国鉄闘争全国運動集会への大結集だ。新自由主義への怒りをすべて結集し、文京シビックホールを埋め尽くし、10・1JR外注化阻止・非正規職撤廃へ、新自由主義と闘う階級的労働運動復権の決定的な転換点にしよう。京大同学会=全学自治会再建の闘いにも断固勝利し、6〜7月から夏〜秋の大決戦に進もう。

 10・1外注化阻止へ大決戦

 6・10大集会は「国鉄1047名解雇撤回、外注化・非正規職化阻止、被曝労働絶対反対」を軸とする国鉄決戦の勝利をかけた闘いだ。JR東日本とJR東労組が腐った断末魔の結託体制をもって、車両の検査修繕業務と構内運転業務の全面外注化を10月1日に強行しようとしている。彼らはこの6月にも10・1外注化を妥結しようとしている。絶対に許すわけにはいかない! 6・10大集会は何よりも10・1外注化粉砕の闘争である。
 日帝ブルジョアジーはJR全面外注化を突破口に全産別で外注化・非正規職化を激しく強行し、全労働者の9割を非正規職に突き落とそうとしている。だからJR全面外注化阻止に全労働者の未来がかかっているのだ。
 国鉄分割・民営化は何をもたらしたか。規制緩和と競争力強化が叫ばれ、民営化・外注化・非正規職化が労働者階級に襲いかかり、今や労働者の4割が非正規職(半失業)に突き落とされている。「命よりも金もうけ」ということがむき出しの、労働者人民が生きていけない社会となり、今やブルジョア社会の機構のすべてが崩壊へと突き進んでいる。これこそ国鉄分割・民営化から始まった新自由主義攻撃がもたらしたものだ。
 しかもこの新自由主義攻撃は既成の体制内労働組合の総屈服と率先協力で成り立ってきた。国鉄分割・民営化も動労カクマルの裏切りと協力で強行された。東労組を先兵とする10・1外注化も国鉄分割・民営化と同じ構造で強行されようとしている。JR資本とJR総連の腐った断末魔の結託体制を粉砕し、10・1外注化強行を阻止しよう!
 JR資本とJR総連は今、高放射線量地域でも率先して鉄道を走らせ、汚染車両の検査修繕業務や汚染がれき輸送などで鉄道労働者に被曝労働を強制している。彼らこそ原発再稼働の先兵になっているのだ。JR10・1外注化阻止と被曝労働拒否の攻防は日帝中枢との一大決戦だ。この国鉄決戦に勝利してプロレタリア革命へと突き進もう!
 JRで働くすべての青年労働者のみなさん!
「外注化絶対阻止! 被曝労働絶対反対!」でともに闘おう。外注化は青年労働者を出向・転籍に駆り立て非正規職に突き落とす攻撃だ。外注化と被曝労働は青年労働者から未来を奪う。断じて許すな! 外注化と被曝労働に協力する東労組と今こそ決別し、動労千葉や動労水戸、国労共闘とともに闘おう。JR資本とJR総連に大反乱をたたきつけ、外注化と被曝労働強制を粉砕しよう!
 動労千葉は30年間も新自由主義と闘って勝利してきた。JR全面外注化という究極の大合理化攻撃を、反合理化・運転保安闘争路線を基礎に10年以上も阻止し続けている。ここにこそ青年労働者の生きる道があり、階級的労働運動復権の大きな展望がある。
 今こそ国鉄分割・民営化に革命的決着をつけよう。闘う国鉄労働運動の復権を6・10大集会からつくり出そう。6・10には国労から大結集し、国労の階級的再生をかけて代議員選挙―7月国労大会決戦に突入しよう!

 橋下反革命は打倒できる

 6・10大集会はまた、大阪維新の会・橋下反革命の打倒をかけた歴史的闘いだ。橋下は、資本家階級の利益と脱落日帝の延命のために「大阪都構想」と「道州制導入」を掲げ、「職員基本条例」「教育基本条例」や「特区=更地化」攻撃を振りかざし、公共部門を丸ごと民営化し、大阪を始めとして公務員労働者360万人の全員解雇・非正規職化を強行しようと狙っている。そのために労働組合そのものを壊滅しようとしている。「統治機構の変革」や9条改憲さえ叫んでいる。
 この橋下こそ破綻した新自由主義の絶望的凶暴化の最先兵だ。労働者の団結や社会の共同性を最後の一片まで破壊しようとしている。橋下が扇動する「公務員労働者=悪者」論を粉砕しよう。橋下がどんなに「無駄なサービスを徹底的に削る」とか「能力や意欲のない公務員は首を切る」とわめこうが、清掃、バス・地下鉄、教育、医療、行政窓口などの労働者が汗水たらして働いているから、社会も行政も成り立っているのだ。
 「無駄を削る」とわめくのなら、大阪維新の会や橋下ら反労働者的集団こそ最大の「無駄」であり、労働者を搾取して生きる資本家階級や、労働者人民を弾圧するための警察機構など、壮大な「無駄」そのものではないか。4大産別を先頭に労働者こそ社会の真の主人公であり、生産と社会の根幹を担う誇り高い存在だ。労働者は限りなく誇りを持ち、胸を張って闘おう。
 被災地・仙台でも、橋下反革命と連動して自治体労働者をすりつぶすような攻撃がかけられている。自治体労働者は月100時間を超える残業を強制され、9割がストレスを感じ、5割が抑うつ状態となっている。これが「復興特区」攻撃だ。新自由主義の絶望的凶暴化が労働者を日々殺している! 「復興のため」と言って労働規制を取り払い、「民間の力を借りる」と称して公共部門を丸ごと民営化し、「職員の補充」を口実に非正規職を拡大することなど、断じて許せない!
 とりわけ大阪や仙台の攻防で絶対に勝とう。大阪では「団結破壊アンケート」を粉砕し、「君が代」不起立闘争をたたきつけ、「入れ墨調査」拒否を闘っている。八尾北医療センター明け渡し裁判での全面勝訴は、橋下打倒の号砲だ。労働者が団結して闘えば橋下に勝てる。国鉄を先頭に全産別で民営化・外注化阻止、非正規職撤廃、被曝労働反対を闘い、6・10集会に総結集しよう。

 大飯原発の再稼働阻止を

 

6・10大集会はさらに、階級的労働運動の力で原発再稼働を阻止し、全原発の廃炉へ闘う集会だ。3・11福島県民大集会の高揚で追い詰められた野田政権に助け舟を出したのが、この夏の「暫定的再稼働」を唱え出した橋下だ。橋下と関西広域連合は5月30日、大飯原発3、4号機の再稼働を完全に容認した。これを受けて野田政権は6月上旬にも再稼働を正式決定しようとしている。
 福島第一原発は今も膨大な放射性物質をまき散らし、格納容器から漏れている大量の汚染水はすべて垂れ流しだ。おびただしい数の福島県民が今も避難生活を強いられ、疎開の必要な子どもたちが24時間、被曝を強制されている。被曝労働を伴う汚染がれきの拡散・広域処理に対し全国各地で闘いが爆発している。このなかで原発再稼働など断じて許せない。
 6・10大集会で福島の怒りとさらに固く結びつき、再稼働阻止・全原発廃炉に向けて闘おう。国労郡山工場支部と福島県教組など、闘う労働運動の力が3・11郡山の闘いを牽引(けんいん)した。階級的労働運動の復権こそ原発再稼働を阻止し、全原発廃炉をかちとる唯一最大の道だ。だが原発を推進し、被曝労働を下請け会社に外注化して非正規労働者にやらせるよう資本に要求してきた電力総連などは、この期に及んでも原発を再稼働せよと政府や民主党を突き上げている。
 こうした腐った労働運動の現実を変えなければならない。6・10こそ階級的な闘う労働運動を復権する大集会だ。
 足元でのギリシャ―欧州恐慌を先端とする世界大恐慌のさらなる激化は、完全に資本主義・帝国主義の終わりを告げている。福島原発事故に誰も責任をとらず、無責任を決め込むブルジョアジーにもはや社会を支配する力はない。労働者が主人公の新しい社会をつくる時だ。原発再稼働と消費大増税へやみくもに突き進む野田政権を今こそ打倒しよう。欧州の労働者のように怒りのゼネストに立とう。
 6・10大結集で時代と歴史は変わる。全国の職場、地域、大学から文京シビックホールに総結集しよう。そしてここから7・16反原発10万人大集会、7月国労大会決戦、8月ヒロシマ・ナガサキ、9月橋下打倒総決起へ、そして11月決戦へと攻め上ろう。

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週刊『前進』(2538号1面2)(2012/06/04 )

 三里塚 農地強奪許さない

 千葉地裁へ向けデモ

 5月28日、千葉地裁・民事第3部(多見谷寿郎裁判長)での市東孝雄さんの農地裁判(行政訴訟と農地法裁判が併合)がいよいよ証人調べの段階を迎えた。「農地強奪を許すな!」の気概に燃えて、三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・農民・学生・市民が心を一つにし、全力で闘いぬいた。(関連記事5面)
 三里塚反対同盟はこの決戦局面にあたり、開廷に先立って千葉市内中心部を回り地裁に迫るデモを行う方針で臨んだ。
 正午、千葉市内の葭川(よしかわ)公園で、強い日差しを浴びながら集会が開始された。
 北原鉱治事務局長が冒頭、「いよいよ裁判も山場に入った。正義が正義として通用するには、われわれ底辺の人間が立ち上がらなくてはだめだ。今日の法廷闘争を断固闘おう」と熱を込めて訴えた。続いて反対同盟顧問弁護団が、証人調べの開始にあたって、成田空港会社(NAA)の農地強奪策動を徹底的に断罪する意気込みで法廷に臨むことをアピールした。
 司会の萩原富夫さんのリードで「市東さんの農地を守りぬくぞ!」と高らかにシュプレヒコールを上げ、直ちにデモに出発。平日の日中ではあったが、参加者は125人となった。
 「農地死守!耕す者に権利あり」と大書された横断幕を押し立て、反対同盟がデモの先頭に立った。宣伝カーからは婦人行動隊・宮本麻子さんの「裁判所は農地強奪の手先になるな!」「農地取り上げを許さないぞ!」「TPP反対! 原発再稼働阻止!」などのコールが千葉市街のすみずみまで響き渡り、ビラが沿道の人びとに吸い込まれるように手渡された。
 午後に開かれた裁判では、自らの悪行を隠し、ごまかし、開き直ろうとするNAA用地部長の戸井証人を、顧問弁護団が容赦なく徹底的に追及し、農地強奪の違法性、悪質さを全面的に暴き出した。
 市東さんの農地裁判は重要な段階に入った。反対同盟46年の闘いに追いつめられた日帝とNAAは、裁判所を新たな「収用機関」として利用し、「裁判で農地を奪う」というこの上なく卑劣なやり口に訴えている。一方で市東さんの目の前で第3誘導路工事を急ピッチで進め、地上げ屋まがいの追い出し攻撃をかけている。
 だが、市東さんを最先頭に反対同盟が「農地死守」の闘争原則を断固として貫き、攻撃を真っ向から迎え撃っていることに、敵は根底的な打撃を受け、本質的になんら打つ手がない状態だ。
 労農連帯の真価をかけて三里塚農地決戦に立ち上がろう。全国の労働者、農民の未来がこの決戦の行方にかかっている。軍事空港を許さず、戦争を阻止する力もここにある。反対同盟が呼びかける7・8三里塚現地闘争に総決起しよう!
(写真 「農地死守」の気概で、デモの先頭に立つ反対同盟【5月28日 千葉市】)

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週刊『前進』(2538号1面3)(2012/06/04 )

前進速報版から 前進速報版から

▼法大暴処法弾圧裁判で全員無罪▼三里塚農地裁判で証人尋問開始▼四川省で清掃労働者の大スト▼新潟市再任用解雇撤回裁判始まる

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週刊『前進』(2538号2面1)(2012/06/04 )

 6・10国鉄大集会へ最後の奮闘を

 田中康宏動労千葉委員長が訴え

 国鉄軸に新自由主義と対決し階級的労働運動を復権しよう

 国鉄闘争全国運動6・10大集会の成功に向け、5月27日に都内で開催された第2回実行委員会での田中康宏動労千葉委員長の提起(要旨)を紹介します。集会までの最後の1週間、産別を超え、職場・地域・学園・街頭で、あらゆる機会をとらえて集会への参加を全力で訴えよう。会場の文京シビックホールを埋めつくす大結集を実現しよう。(編集局)
(写真 6・10集会実行委員会で熱弁をふるう田中康宏動労千葉委員長【5月27日 東京】)

 規制緩和が引き起こした大惨事に階級的怒りを

 闘いは一歩一歩、着実に前進しています。私自身あらためて、この運動にかけきりたい、この運動で階級的労働運動をよみがえらせたいと決意しています。6・10集会を、われわれ自身がひとつの転換をかちとる集会にしたい。
 この間、起きていることに本当に腹が立ってしょうがありません。
 一つ目は関越自動車道の事故です。あの光景を見て、尼崎事故そのものだと思いました。あれは国土交通省による殺人事件です。規制緩和したらああなることは国交省は百も承知してたんです。
 鉄道もバスもタクシーも一斉に規制が緩和されました。「事前規制型の行政はやめて事後チェック型に転換する」と。事故が起きたら人間が死ぬんですよ。事後チェックで済むんですか。
 もっと腹が立ったのはこんな大事故の直後に、航空関係で「100項目の規制緩和をする」って言っていることです。
 さらにJR西日本前社長の山崎正夫が7月1日から「安全研究所」の技術顧問になる。尼崎事故裁判で無罪になっただけでもはらわたが煮えくりかえってたんだけど、東電の開き直っている幹部と同じじゃないですか。
 生活保護をめぐっては、片山さつきと自民党が陰謀を仕組んで、それを受けてすぐに小宮山厚生労働大臣が生活保護の見直しを宣言しました。問題は生活保護ですか? 3万人以上が毎年自殺し、2千万人が非正規職のワーキングプアに突き落とされ、年金もガタガタ。生活保護以外に生きられない人があふれている。これが問題なんじゃないんですか。問題が全部すりかえられて、ウソにウソを重ねてああいう宣伝をやっている。
 社会が完全に壊れています。毎日、労働者が殺されています。階級的立場を研ぎ澄ますことが絶対に大事です。この腐りきった社会に対する自分の中から沸き上がる怒りこそ土台です。それを職場の仲間に訴え、具体的闘いへと組織し、すべての怒りを6・10集会に結集させたい。

 国鉄全国運動に労働運動の未来がかかっている

 では一番、何が問題なのか。日本の労働運動の崩れ方があまりにひどいことです。課題はこの一点に尽きると言ってもいい。
 そうであるが故に、国鉄分割・民営化の問題、国鉄闘争にあらためてこだわり抜くことが大事です。なぜか。国鉄分割・民営化で日本の労働運動がここまで崩されたからです。総評と社会党は自ら解散し、階級的力関係が変わって膨大な労働者が非正規職に突き落とされた。すべては国鉄分割・民営化から始まった。ここをあいまいにして労働運動の前進はない。これが第一です。
 他方、われわれがやったきた国鉄分割・民営化反対の闘いは、僕らが思っている以上に国際的に評価されている。新自由主義の民営化攻撃に正面から立ち向かい、20年も30年も団結を守り抜いてきた前例は国際的にもない。韓国やアメリカの同志から言われて「ハッ」と気がついたことです。
 一昨年の4・9政治和解と対決してこの国鉄闘争全国運動を立ち上げたわけですが、この対抗関係の中に階級的労働運動の帰趨(きすう)がかかっているんです。
 重要なことは、僕らが腹を決めて「ここで引き下がったら日本の労働運動に未来はない」と訴えた途端、呼びかけ人の方々が「一緒に闘おう」と名のりをあげてくれたことです。けっして孤立しなかった。一昨年、昨年は「国鉄闘争の火を消すな!」と訴えましたが今年も同じではいけない。「国鉄闘争の火をもっと大きく燃え上がらせよう」ということでなければいけない。
 もう一つ付け加えるならば、民主党政権の「成長戦略の柱」は、原発輸出、水インフラに加えて鉄道のパッケージ輸出です。野田政権が立ち上げようとしている「平成版臨調」の中心には、日航名誉会長・稲盛と並んでJR東海会長・葛西が入っている。
 労働運動の大流動も国鉄をめぐって起きています。全労協の事務所は新橋の国労の建物にあったんですが、この5月に国労が追い出しました。全労協にいてもらっちゃ困るから、つまり国労本部が連合に行こうと腹をくくっているからです。労働運動の雪崩うつ新たな崩壊も、国鉄労働運動をめぐって起きている。やはり、ここが勝負なんです。

 10・1外注化の実施阻止へ!

 こうした中で国鉄闘争が重大な決戦局面を迎えています。
 私たちはJR東日本における検修業務外注化を11年間止めてきましたが、この5月にそれが一気に動き出しました。会社は、何が何でも10月1日に外注化を強行する構えです。
 しかもこれは、東労組が5月14日に「申19号」という申し入れを出す形で動き出した。「ここで外注化に協力すれば切り捨てられないで済むかもしれない」という思惑で、まさに腐った結託体制です。東労組の現場組合員に反対の声を上げる間も与えず一気に決めてしまおうとしている。6月には妥結する腹です。
 会社も切羽詰まっています。JR東日本全体で検修部門の外注化だけが進んでない。偽装請負問題が暴露され、これまで外注化してきたものまで問題になりかねない。
 しかも、駅や検修では50歳以上の国鉄採用者が半分以上です。どんどん退職が始まる。会社は、外注化を前提にして若い人を入れてこなかったから、これから業務がどんどん崩壊し始める。
 10年間の闘いで、ここまで会社と東労組を追い詰めてきた。ここで本当に勝負したい。この闘いで戦後労働運動がのりこえられなかった限界を超えることができるかどうか、闘って闘って組織を拡大することができるのかどうか。簡単ではないが、動労千葉としてはここにかけたい。
 6・10集会は、国鉄分割・民営化の総決算、とりわけ全面外注化をめぐる最大の決戦に全面戦争を構える集会であり、この闘いを通して、階級的労働運動復権に向けた決戦を僕らのすべての力を注ぎ込んで始める総決起の場、転換の場にしたいと思っています。

 支配が崩れ落ち変革の可能性は間違いなくある

 では、労働運動を変革する可能性はあるのか。困難だけれど間違いなくあります。
 第一の理由は、支配階級が足元から崩壊しているからです。こんな支配の崩壊ぶりは見たことありません。本当に打つ手がない。自民党も民主党もダメ。だから橋下みたいなやつが担ぎ出されている。いかんともしがたい中ですべてが労働者への攻撃に転化している。
 第二の理由は、何よりも怒りの声が限界を超えて社会の隅々まで積み上がっていることです。
 第三の理由は、大震災と原発事故以降、膨大な労働者が「国家の本質」を見たことです。「こいつらはおれたちを殺すんだ」ってみんな思っている。しかも、ここまで壊れてしまっている社会を、橋下・維新の会や、被災地「特区」でさらにぶち壊そうとしている。われわれのやり方いかんで労働運動復権の可能性は絶対にある。
 求められていることは何か。
 一番目は、冒頭に述べたように、新自由主義がもたらした現実、これから始まろうとしている現実への激しい怒りです。

 職場から闘い福島と連帯を

 二番目に原発被災地・福島との連帯です。福島を先頭とする反原発闘争と、反失業闘争、反新自由主義闘争の結合です。福島がたたき込まれている現実にこそ、この国の支配の本質が鮮明に示されているし、引くことができない非和解的関係にある。職場からの闘いを通して福島と連帯する。この中から間違いなく階級的労働運動の再生が始まる。
 三番目に、大阪市長・橋下の攻撃に、4大産別決戦として立ち向かうことです。こう構えなければいけない。国家財政危機なんだから4大産別です。大阪でいえば数年間で半分が首になる。今度の総選挙で橋下が勝ったら、大阪の職員条例を法制化すると言っている。これが財界の意思です。民営化・外注化阻止−非正規職撤廃の闘いはここが勝負所です。そうでなければ、いま民間で必死に闘っている仲間たちも勝てない。
 四番目に、民営化・外注化―非正規職化阻止の闘いに全力で立ち上がることです。非正規職労働者とともに立ち上がることを正規職労働者の正面課題に据えることです。
 動労千葉の外注化阻止闘争は、この点で、何とか今までの労働運動のあり方を変えたいという挑戦であり、反合・運転保安闘争の路線的な発展だったと思っています。「事故や外注化問題は労働組合の課題にはならない」と、ずっと言われてきました。でも、これを許しておいて「反合理化」を掲げてもウソになる。戦後の反合理化闘争の限界をのりこえる努力だったと思っています。

 国際連帯が画期的地平に

 五番目に、国際連帯闘争の画期的な地平です。大事なことは、いまだ小さい力ながらも私たちが信頼されていることです。なぜ信頼を勝ちえているのかを自覚的にとらえ返さないといけない。この先に階級的労働運動の復権が必ずあります。
 転換という意味では、新しい参加者がどれだけ生まれるかが大事です。発言する人も初めて来た人に向かって訴えて欲しい。そうした転換が全労働者に通用する内容を生み出していきます。
 組織建設という観点で言えば、全国に呼びかけ人をつくって全国運動を本格的な大衆運動へと発展させたい。会員2000人の突破とは、そういうことだと思います。
 6月10日に会場を埋め尽くす2千人結集をかちとるために全力で最後の奮闘をお願いします。

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週刊『前進』(2538号2面2)(2012/06/04 )

 6・10へ各地で国鉄集会

 “労働運動の王道を” 東京東部 新自由主義と闘う

 5月18日、亀戸文化センターで「原発・非正規・新自由主義/すべては国鉄から始まった 5・18東部集会」(主催・国鉄闘争全国運動東京東部の会)が70人の参加で行われました。
 一般合同労組東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会のDVDが上映され、その後青年のユニットでミニコンサート。日本初の合同労組と言われる南葛労働会が誕生した亀戸にちなんで「南葛労働者の歌」に始まり、内外の労働歌メドレーが圧巻でした。
 司会は国鉄闘争全国運動東京東部の会共同代表の米山良江さん。「日の丸・君が代」不起立処分を理由に解雇され裁判闘争を闘っている教育労働者です。主催者あいさつは自治体の民間委託会社で闘っている共同代表。「共に闘う国労の会」の資料を示して「なんて恥知らずだ。JRに雇用されているのが組合員で、解雇されたら組合員権を失うなんて、労働組合でなくなる」と国鉄闘争の2010年4・9政治和解を弾劾しました。
 動労千葉の田中委員長の講演は「JR西日本元社長の山崎正夫が鉄道安全研究所の技術顧問に就任したとは驚いた。尼崎事故の賠償も終わっていないのに。これがJR資本だ。関越自動車道のバス事故は国鉄分割・民営化以来の規制緩和で起きた。福島原発事故と同じだ」と語り、新自由主義と対決する動労千葉の外注化阻止の闘いを紹介しました。
 一般合同労組東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の3人の解雇当該、放射能を考える下町ネットワークの青年からの特別報告がなされました。
 6人の仲間の職場闘争報告を受け、動労千葉新小岩地域班、東京地域合同労働組合東部ユニオン・アイ介護サービス解雇当該、同JR千葉鉄道サービス分会解雇当該、D評価攻撃と闘う江戸川区職員労働組合の仲間、東京交通労働組合でD評価攻撃と闘う仲間、校長のパワハラで不当解雇された教育労働者などが発言。まとめは合同労組の仲間が「国鉄闘争全国運動は労働運動の王道だ」と宣言し、6・10国鉄大集会を呼びかけました。共同代表、江戸川区職の佐藤賢一さんによる団結ガンバローで集会を締めくくりました。
(東京東部・小泉義秀)
(写真 70人の参加で成功した東京東部集会【5月18日】)

 闘争団・羽廣さんが講演 長崎 全国運動の立ち上げへ

 5月20日、長崎で国鉄集会が開催され、国労小倉闘争団の羽廣憲さんが講演しました(写真)
 講演に先立って「俺たちは鉄路に生きる」などのビデオ上映があり、国鉄分割・民営化当時の動労千葉など国鉄労働者の闘いが集会参加者に感銘を与えました。
 講演で羽廣さんは、国鉄分割・民営化当時、まだ20代だった自分たちの闘いと思いを生き生きと語り、さらに2年前の国鉄闘争4・9政治和解の反動性を克明に暴露しました。そして非正規雇用が当たり前となった現在の社会状況の原点が国鉄分割・民営化にあったこと、国鉄闘争はこの社会のあり方と真っ向から対決して今も闘われていることなどを明らかにしました。
 質疑応答・討論が2時間以上にわたって熱心に行われ、ある参加者は自分の職場の状況に触れながら、「長時間労働など、労働者が自ら労働法を破って働くことで、やっとギリギリの生活が成り立っている。この現実は本当におかしい。だから新自由主義との対決という提起にすごく共感を覚える」と発言しました。さらに「今の社会の原点が国鉄分割・民営化にあるということは、その通りだと思う。80年代に日本の社会は大きく変わった。分割・民営化自身が不当労働行為だ」「安全第一なのに、人員削減が優先されて事故が続発している。鹿児島新幹線の事故も対応する体制がなくて、乗客は6時間も缶詰にされてしまった」「外注化は安全を損なう。関越バス事故もJRの事故も本質は同じだ」「99%が貧しく、1%だけが豊かになる社会はおかしい」「長崎新幹線反対!」等々と、国鉄分割・民営化、新自由主義、外注化、非正規雇用問題などをめぐって白熱的な論議が続きました。
 最後に会員の拡大や物販の取り組みなども呼びかけられました。6・10全国集会と長崎での国鉄闘争全国運動の立ち上げへの大きな一歩となる集会となりました。反原発闘争とともに長崎での国鉄闘争の組織的前進に向けて、今回の集会の成功の上に私たちは今後さらに闘っていきます。全国の仲間とともに6・10集会の成功をかちとろう!
(長崎・K) 

 支援する会が初総会 北陸 “全職場で外注化と闘う”

 5月20日、動労千葉を支援する会・北陸第1回総会を富山県民会館で行いました(写真)
 総会の冒頭に「動労千葉外注化阻止決戦」のDVDを上映し、動労千葉が10年も外注化を阻止してきた勝利の地平を確認。動労千葉を支援する会事務局長の山本弘行さんの特別講演が行われました。
 山本さんは、佐倉支部結成とストライキについて報告、「動労千葉は佐倉支部を最強の支部にすると決意している」「4・1外注化は阻止したがJR東資本は10・1全面外注化を強行しようとしている。この情勢のもとで佐倉支部が結成された」「4・1外注化阻止は”闘えば勝てる”ことを示した。外注化と無縁な職場はない。自分の職場で”4・1”を闘い、物販を広げよう」と提起し、6・10全国集会への参加を訴えました。
 動労千葉を支援する会・北陸事務局長の北陸ユニオン委員長が、ユニオン結成から1年間の闘いの総括と今後の方針を提起。「北陸では2015年北陸新幹線開業に伴う在来線の第3セクター化で200人のJR本体労働者の出向・転籍が行われたり、関連会社の労働者の大量解雇が狙われている。この問題を北陸の”4・1”として、国鉄労働者の決起をつくりだす。各職場で闘いを」とアピールしました。
 討論では、北陸ユニオン組合員の「職場では、国内だけでなくアジアの労働者との競争が煽(あお)られている。動労千葉の外注化阻止の闘いを全世界に広げよう」との発言、5・15沖縄闘争の報告、NAZEN北陸で闘う学生の「国鉄闘争が大事だとわかった」との発言、ス労自主からの決意表明を含めて活発な意見が出されました。
 最後に、6・10全国集会への結集と支援する会の会員拡大を確認し、参加者全員の団結ガンバローで気勢をあげ、市内デモへ打って出ました。
 (北陸・K)

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週刊『前進』(2538号2面3)(2012/06/04 )

 「物販購入者」を組合活動家と位置づけ地域の団結つくろう

 金属労働者からの提起

 労働運動の現場担う最良の仲間

 国鉄闘争全国運動の6・10集会の大成功をかちとるために、動労千葉物販闘争を変革することを訴える。
 われわれは常日頃、動労千葉の物品販売をさまざまな労働者に買ってもらっているが、品目が「いいもの」であるからとか「欲しいもの」だからという理由で買ってくれている労働者は一人もいない。動労千葉の闘いの中に希望と展望を見出しいるからこそ「買っている」のである。
 つまり「物販購入者」とは、労働運動の現場を担う最良の部分であり、また最も戦闘的な人たちでもある。
 だがわれわれは、今までこの「購入者」を「ただの購入者」としてしか考えてこなかったのではないか。一人の購入者を、一品目の購入者をないがしろにしてきたのではないか。これまで、物販に協力してくれた労働者を、集会チケット購入や集会参加オルグの対象者に切り縮め、組織化することについて放棄してきたのではないか。
 それは労働者を利用主義的に扱い、戦闘的労働者を「購入者」という枠の中に押し込める、労働者蔑視の思想の現れであったのではないか。
 今まで、物販闘争における組織化を放棄してきた結果だと思うが、各職場に点在する購入者は、数多くの「自分以外の購入者」がいることを知らない。「動労千葉を支援している者は自分だけ」のような感覚となり、職場で孤立した存在になっている場合もある。地域的な、また産別的な連帯を失った労働者は、職場で孤高の存在として闘うことを強制されているのではないか。

 点在する購入者を結びつけよう

 われわれは「購入者」たちの職場をどれほど知っているのだろうか。そこでどれほど苦闘しているのかを十分に知っているであろうか。その職場や労働組合のことも知らないで、われわれは何をやり、何をオルグしてきたのだろうか。
 われわれは、このような物販闘争のあり方をあらためて総括し、ランク・アンド・ファイルの真の意味での組織化に取り組むことが必要だ。動労千葉物販を再度、階級的労働運動の出発点として位置づけ、国鉄闘争全国運動を具体的に前進させる武器として再確立し、点在する購入者を「組合活動家」として位置づけ直す必要がある。
 孤立している一人ひとりの活動家を組織し、ネットワーク化することで、地域や産別に闘う労働者の組織をつくることができるはずだ。孤高の活動家を、拠点組合を結集軸に組織することができれば、戦闘的労働者・労働組合の交流が生まれれば、そこに新たな地域的団結も生まれる。そして、点在する職場に党組織を建設できれば、革命の拠点・ソビエトが生まれる。
 あらためて物販闘争を位置付けなおし、国鉄闘争全国運動と物販闘争を結合させ、6・10集会を成功させよう。
 (東京・金属労働者 等山一郎)

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週刊『前進』(2538号3面1)(2012/06/04 )

 非正規職撤廃・新賃金粉砕へ

 連合JP労組本部の支配覆す

 郵政労働者にインタビュー

 6・10大集会を前に、郵政民営化絶対反対で闘う東京の郵政労働者Sさんから職場の状況と郵政労働運動の課題を聞いた。Sさんは「非正規職撤廃の闘いは、多数派を組織するJP労組の組合員であるおれたちが職場生産点でどう闘うかが問われている」と何度も強調した。(編集局)
(写真 日本郵政経営陣による小包の事業統合で破綻をきわめ滞貨の山となったターミナル局【2010年】)

 雇い止めはね返す力をつくる

 ――第2の国鉄分割・民営化と言われた郵政民営化から5年。闘う労働組合の再生をかけた6・10大集会が呼びかけられていますが、郵政職場からいま一番訴えたいことは?
 まず民営化の破綻ですね。人が減らされて配達業務そのものが大混乱です。そして賃金が3分の1で労働者の権利も何もない非正規職が現場の6割を超えるデタラメがまかり通って、モノが言えない職場だらけになった。業務破綻のしわ寄せは全部この現場に押しつけられる。この現実を何とか変えたいという思いが職場で高まっています。非正規職というあり方を撤廃しろという切実な要求でもある。郵政非正規ユニオンの仲間は自力で組合を結成して勇気ある闘いを始めました。
 そして新人事・給与制度の導入攻撃です。大幅な賃下げと成果主義で現場同士を競争させて徹底的に分断する。労働組合が本当に問われる攻撃です。職場生産点でどう闘うか? 連合・JP労組24万人の中にいるおれたちが問われている。
 ――大量の雇い止めが進行しています。
 郵政大リストラと称してます。小包み事業の統合を強行した経営陣が、犯罪ともいうべきやり方でつくりだした「大赤字」と事業危機(注1)の責任が、何の責任もない非正規職に転嫁される。むちゃくちゃな話です。彼らは同じ仕事で賃金は本務者の3分の1、年収200万円。ぎりぎりの生活。それで3カ月とか半年契約で会社の都合で一方的に切られる。こういう無権利状態が現場の6割を超えた。怒りは充満しています。
 問題は、こういう事態に多数派を組織する労働組合がストも打てないことです。JP労組本部は確信犯。目の前の雇い止めに沈黙している。一方でボーナスを3割も減らされても沈黙する。表裏一体なんです。
 結局、24万人の組合員がこのまま連合に支配されたままなのか、という問いかけになる。俺自身もJP労組の組合員で、「民営化絶対反対」「JP労組本部打倒」を掲げていますが、その中身は何かです。本当に有効な反撃を職場から組織できるか。1人の雇い止めが出たら職場全体で跳ね返せる抵抗力を職場につくれるか。多数派の労働組合を下からつくりかえることが本当にできるか。
 非正規ユニオンの決起は本当に勇気ある闘いです。これに連帯して、現場にいる俺たち組合員自身が力のある反撃を自分の職場から組織できるかどうか。ここが新人事・給与制度をめぐる闘いで決定的に問われる。

 新人事・給与制度は粉砕だ

 ――新人事・給与制度とは?
 「民営化にふさわしい賃金制度」と称して、全逓(JP労組の前身)時代からの年功賃金を解体して成果主義に変える攻撃です。勝ち組と負け組の差を毎日つけて賃金の差をつける。毎日「こいつはDランク」とやる。それを労働者同士で競わせる「小集団」制度とセットです。これを当局と組合本部が「共同提案」で出してきた。
 こういうのがすんなり通ったら労働組合がある意味がなくなる。何十年もかけて先輩たちが築いた労働者の権利なんてゼロになる。実はもう現場の6割は労働者の権利なんてない。これを許してきた。この現実そのものをひっくり返すことが問われている。だから非正規職撤廃と新人事・給与制度粉砕は、二つにして一つの闘いなんです。
 ――賃金制度の改悪は郵政民営化の懸案事項でした。
 賃金制度とか正社員の労働協約は、まだほとんど全逓時代のままです。これを全部一掃するために当局とJP労組本部の共同提案で来た。国労本部が連合の軍門に下るかどうかの情勢と同じ。敵の階級意志です。組合の存立が問われる。労働者の権利なんて問題にもならない新自由主義という労働者支配の全体が郵政でも問われている。国鉄闘争で提起されている問題と同じだと思います。
 本部は第3次要求を出して完全にやる気ですよ。当局もガラリと態度を変えてきた。職場で激突が始まりました。

 反動管理者と職場で大激突

 ――職場での激突とは具体的には?
 反動管理者を使った暴力支配の復活です。マル生運動(注2)ですね。現場を黙らせる。まだ黙らない人間も多いですから。2年前にJPEX計画(小包みの分社化)を破綻させた現場の力はまだ残っている。これを一掃するのが狙いです。まず班長クラスを毎日の会議で恫喝する。「どこの班の営業成績が悪い!」と毎日やる。新人事・給与制度の班制度など、小集団制度(注3)を前提にしている。その先取りですね。
 ――営業成績とは?
 年賀ハガキとかを自腹で買わせる自爆営業。これを集配労働者にやらせる。1人何千枚とかのノルマを強制して自爆させる。もちろん違法行為です。非正規職には、身分保障がない弱みにつけ込んで”買わないならクビだ”と。
 全逓時代を知っている本務者は応じない人も多いです。1枚くらいは買いますが(笑)。こういう人間をつぶす。毎日恫喝する。「意識変革!」「意識変革!」と怒鳴りつける。とにかく文句を言わせない。これ、黙ってると結構参ってしまうんです。これは労働組合の核心にかかわる問題なんです。
 僕も直撃されました。「君の営業成績は何だ!」と大声でやられた。朝の出発前の郵便物の山で殺気立っている現場で。怒り心頭で大声で反論しました。「人が減らされて休憩も取れない。配達自体が破綻してるのに営業なんてできるわけないでしょう!」と激しくやり合った。みんな仕事の手を止めて注目してました。他の班の人も。みんなスカッとして「やってくれたな」という感じ。ほとんど全員同じ気持ちですから。

 職場で闘ってこそ団結できる

 ――配達が破綻しているのですか?
 とにかく人が減らされて、飯も休憩もまともに取れない。絶対に時間内に終わらない。営業なんてまず不可能。これを百も承知で当局は締め上げている。
 配達自体が破綻してるんです。会社関係なんかは必要な郵便が届かないと仕事にならない。お客はイライラして待ってる。人が足りなくて遅れる。これが毎日。椅子をけ飛ばして怒鳴られる。これを毎日現場が引き受けている。本当に営業どころではない。それでも当局は「営業、営業!」「意識改革!」と。「イチ、ニ、サンシー」と全員に声を出させる軍隊式体操。こうやって現場の骨を折る。メンタル(精神疾患)になる人間も増えてます。
 ――新制度の導入攻撃と関係がある?
 導入の先取りです。組合の大会を通るかどうかは大問題ですけど、当局は現場の抵抗力を粉砕することが前提。「小集団制度」の実を取る攻撃ですね。全逓世代が狙われるのも理由があります。

 職場の雰囲気ガラッと変化

 ――職場の雰囲気はどうなりました?
 僕がやり合った翌日、僕より激しく抵抗する仲間が生まれました。別の先輩も堪忍袋の緒が切れて相当反撃した。こうなると職場の雰囲気はガラッと変わる。これが重要なんです。ウーッとなって沈黙したら本当にボロクソにやられますから。そうなると周りもガックリくる。
 でも何人もやり返すと強いです。反撃すれば団結できます。団結って具体的な闘いなんです。小さな闘いでも具体的に始めると職場内で討議も起こる。反撃して良かったとか悪かったとか、次はこうやろうとか。こういうサイクルが回ると現場の意識は急激に変わりますよ。そして当局との力関係も変わる。
 ――現場の意識の変化というと?
 労働者は闘ってなんぼという意識。どんなに小さい課題でも自分の身体を通して団結の意味を自覚できるんです。自分の経験もそうです。それと、現場の強みは実際の業務を自分たちが仕切っている自覚ですね。”労働”しているのはおれたちですから。管理者はせいぜい2〜3年で代わるし現場が分からない。
 その管理者たちがデタラメをいう。仕事に精通している仲間ほどすごく怒ってます。仕事のプロですから。これも本質的な問題で、労働組合が職場と労働の実権を握ることが大事です。そうでないと業務は回らない。ここを基礎にして闘う。労働組合の基本ですね。動労千葉の反合・運転保安闘争と同じです。

 生活要求含め全責任をとる

 ――当面の差し迫った課題は?
 非正規職が6割を超える事態を許してきた現実を実践的にのりこえる闘いを職場で具体的に始めることです。非正規職の撤廃、新自由主義の打倒とは、社会を根底からつくりかえるということですが、生活要求闘争のような課題も含めて一切合切、おれたちが責任を持つ以外に何も動かない。
 「生産性向上で会社につくす」という今の連合・JP労組本部の路線と方針では、現場のマジメな組合役員も腐っていきます。現場では、ほとんどの執行委員が班長なり副班長という役職についている。当局から恫喝されて、実際に班員を”評価”するのも彼らです。リアルに大変なことになると感じている。
 そして極限的な人減らしで業務が破綻していることへの怒り。台車の取っ手が外れていて、ひもで縛って引っ張るとか。この程度の問題すら対応できないほどの忙しさを強制されている。大会に向けた支部委員会も開けない。組合の職場ビラもまけない。ましてや賃金闘争を闘う思想とか理論なんて崩壊させられてます。
 結局、民営化絶対反対のおれたちが動かないと誰も責任を取れない。しかしチャンスはあります。新人事・給与制度なんて冗談ではないと思っている労働者が、執行委員を含めて分会、支部単位でいるんです。中にはマル生分子の班長もいますよ。でも怒りは組合員一人ひとりの中に強くある。この思いを全体の思いにまとめる。それをまとめていく核になる活動家をつくりだしていくことが勝負を決めます。
 非正規の仲間の決起に本当に応えるためには、民営化絶対反対の路線を一部の”専売特許”にとどめないで組合員自身の闘いをつくることです。本部の支配を下から打ち破る分会・支部の団結をつくる。資本当局との具体的な闘いを積み重ねて、職場の仲間全員で雇い止めを止められる現場の抵抗力をつくる。一筋縄ではいきませんが、この積み重ねがあってこそ初めて民営化絶対反対、非正規職撤廃の路線の中身も実感できる。
 新人事・給与制度粉砕と非正規職撤廃の闘いは二つにして一つ。後のない闘いですが千載一遇のチャンスでもある。そして全党派の大再編情勢の中での6・10大集会は産別を超えた団結の場です。郵政労働者も全力で参加したいと思います。
【注1】郵政事業危機 民営化の目玉だった小包み事業統合を、旧経営陣が破綻を承知で強行し大赤字をつくった。政府の第3者機関が背任行為を認定したが責任は問われず、全責任を非正規職など現場労働者に転嫁。
【注2】マル生運動 60年代末に国鉄当局が始めた生産性向上運動。暴力を伴う組合つぶしだった。現場の大衆的反撃で国鉄総裁が国会で陳謝。郵政でも78〜79年に同様の攻撃が始まり、年賀配達をストップさせる「ブツだめ」の反マル生闘争が爆発した。
【注3】小集団制度 班長を”奴隷頭”にして、班単位で収益に責任を負わせたり班同士、班員同士を業績で競わせ、賃金に差を付ける。当局の職場支配戦術のひとつ。

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週刊『前進』(2538号3面2)(2012/06/04 )

 自治労中央委 橋下へのみなぎる怒り

 福島 交流センターの訴えに大反響

 自治労中央委員会初日の5月24日、会場の福島市公会堂前に労組交流センター自治体労働者部会、被災地の福島と宮城の労組交流センター、全学連が16人で登場し、署名・宣伝活動を行った。
 「フクシマの怒りと結びつこう。新自由主義と闘う労働組合の再生へ、国鉄闘争全国運動6・10集会に大結集しよう。原発の再稼働阻止、全原発を廃炉へ! 公務員全員解雇・総非正規職化を狙う大阪・橋下打倒に総決起しよう!」
 福島現地の仲間を先頭に口々に発せられる熱烈な闘いのアピールは、全国から来た多くの参加者の胸に響きわたった。開会前のわずか1時間に参加者のほとんどがビラを受け取り、NAZEN署名は90筆に達した。原発立地県の単組代表をはじめ参加者が次々と署名に応じ、福島診療所建設の訴えに真剣に耳を傾けた。
 新自由主義のもたらした原発事故と放射能汚染の現実、野田政権による被災地切り捨てと「復興・除染・帰還」キャンペーン、「復興特区」攻撃に対する福島の根底的な怒りと全国の労働者が結びつくことが、労働運動の再生にとっていかに決定的なことか。
 しかし自治労本部は、当日配布の「経過報告」の中に、「がれき広域処理」受け入れに向けての項目を書き込むという許しがたい裏切りを行っていた。5月22日の北九州市による放射能がれき搬入強行にあたっては、闘う住民に対する弾圧の先頭に自治体職員が立たされていた。自治労本部は一体どちらの側に立つのか! 労働組合としての決然とした態度と闘いこそが決定的に求められている。フクシマの怒りとひとつになって、原発再稼働絶対反対・全原発廃炉、がれき広域処理絶対反対・被曝労働強制拒否で闘うことが問われているのだ。

 現地の組合員が状況を報告

 中央委員会の議論では、福島現地から、自治体による「帰村」宣言の中、依然として高線量であるにもかかわらず役場や小学校が再開され、公務員労働者が率先して家族ともども帰村すべしとの圧力がかかっていることが報告された。過重労働のもとで病欠・病休者が続出し、日常業務、除染業務など被曝労働を強いられる自治体労働者の苦境が明らかとなった。この福島の現実と一体となった全国の闘いが求められている。青年部からは「本部は大飯原発再稼働阻止を表明すべきであり、それが福島で中央委員会を開催する意義だ」との意見が出された。
 特筆すべきは橋下・大阪維新の会への怒りだ。
会場前に展開する署名隊に対して、大阪の現業組合員をはじめ「橋下打倒署名はないのか」という声が多く聞かれた。みんな橋下の理不尽きわまりない公務員バッシングと自治体丸ごと民営化、全員解雇・総非正規職化攻撃に怒りと危機感を募らせ、闘いの方針を求めているのだ。
 議事の中でも、労働基本権を否定する公務員制度改革や民営化に対する反対意見が相次いだ。
 どんなに自治労中央本部が腐り果てようと、現場には抑えがたい怒りと闘いへの意欲が満ちている。断固、ここに確信を持ち切って職場から階級的労働運動をよみがえらせよう。6・10集会の大結集をかちとろう。
(写真 宣伝隊の訴えに応え参加者が次々署名。「橋下打倒署名はないのか」の声も【5月24日 福島市】)

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週刊『前進』(2538号3面3)(2012/06/04 )

 非正規労働者に聞く

 ショーワの派遣切りと闘う(上)

 安全無視の違法職場で死亡事故 生き抜き闘うため行田分会結成

 世界大恐慌と3・11情勢のもとで激化する資本攻勢と対決して爆発している非正規職撤廃闘争の発展のために、本号からシリーズを開始します。初回は一般合同労組さいたまユニオン行田分会の闘いだ。埼玉県行田市にあるホンダ系部品メーカーのショーワ本社工場で派遣労働者として働き、08年のリーマンショック直後に解雇された労働者たちが労組に結集して分会を結成、ショーワ資本に対して解雇撤回・原職復帰を求めて闘っている。3人の組合員から話を聞いた。(編集局)
(写真 ショーワ本社工場門前での4・27社前闘争)

 正規から非正規−派遣労働者に

 ――ショーワで働くようになった経緯は。
 Aさん 生コンの品質管理をする仕事を15年くらいやった。高速道路工事でぼろもうけしているのに給料は上がらない。社長と大げんかして辞めた。社会保険も何もない土木の仕事の後、派遣会社のコラボレートに応募して、三菱電機からショーワに来た時には社名がプレミアラインに変わっていた。
 Bさん 最初は郵便番号の読み取り仕分け機を作る会社だった。納品して組み立てて連結し、立ち上げる仕事で、15年いた。家族の事情があったのに業務命令で「3カ月出張に行け」というので腹が立って辞めた。仕方なく入った派遣会社が東洋ワークで、ホンダ金属からショーワに来た。
 Cさん 工場に社員でいたけれど経営不振で首になった。交通整理の仕事で一緒だった人から派遣のリライアンスのことを聞いて、新聞広告で見つけて登録。ショーワの詰め所で面接し、そこから派遣労働が始まった。
 ――ショーワではどんな仕事でしたか。
 Aさん バンディングという、スプリングの中に入っているピストンに樹脂を巻き付ける仕事。1人で1度に4台の機械を動かして1日7千〜8千個を作った。トラブルを処理しながら、その製品の目視検査もやった。
 Bさん まず組み立て現場で説明もなくて作業をやらされた。社員に聞いても手やあごで指図する。抗議したら1カ月で異動させられた。外注先で加工した棒のシャフトにメッキ付けをする現場だった。
 Cさん 派遣の中で欠勤が出たとき補充に行く「欠勤対応」だった。派遣元同士が労働者の貸し借りをしていた。バンディング、鉄粉を型枠に入れてプレスしてピストンボディを作る「焼結」など、この工場の現場はすべて経験した。

 人が死んだのに機械は動いてた

 ――現場の状況はどうでしたか。 Bさん 07年か08年に死亡事故があった。修理しようと頭を突き出していた人がクレーンに首を挟まれたんだ。クレーンの運転者は人に気がつかなくて、免許も持っていなかった。 Aさん 修理で人が出入りする口の50_上を天井クレーンが通過するようになっていたそうだ。それに5d以上は資格がなければ運転できないのにやらせたんだ。 Bさん ショーワでは新人教育も安全教育も受けた記憶がない。この事故の後、免許がないのに「指揮命令」で無理やりフォークリフトの運転をやらされた。 Cさん 亡くなったのは社員でクレーンを運転していたのは派遣の人。人が死んでいるのに、ほかの機械は動いていた。 Bさん その派遣会社は責任を取らされて、全員撤退させられた。 Aさん 機械のメンテナンスもろくにしない。治具(ジグ)の予備もない。それで作業をさせられて不良品が流れると派遣のせいにされる。 Cさん 作業能率が悪い、物覚えが悪い、不良品を出したといって、派遣はすぐに交代させられる。毎日が緊張の連続だった。 Aさん 慣れてきたら社員がやるはずの業務日誌を書かされて、終業時間が過ぎても残業手当はつかなかった。段取りの管理や新人教育までやらされた。 Cさん 契約では行田工場が働く場所なのに、別の工場へ行かされたこともあった。

 ユニオンのビラを見て「入ろう」

 ――ユニオンに加入した時のいきさつを。
 Aさん こういう働き方をさせておいて、一方的に契約解除だと解雇を通告してきた。08年12月末にバンディングでは何人か切られた。さいたまユニオンが翌年1月23日にストライキをやってビラをまいた。
 Cさん そのビラを見たので、自分が首だと言われた時、ユニオンに電話した。Aさんにも「組合に入ろう」と誘った。
 Aさん ビラを見て組合に入るつもりだった。その前に労基署に行ったけれど「法的には問題ない。契約期間前の解除は民事の問題。裁判しかない」と言われた。Cさんと一緒にユニオンの人に会って組合員になった。
 Bさん 派遣元に「徹底的にやるからな」と通告して、行田分会を立ち上げた時にユニオンに入った。2月6日のストの翌日だった。

 契約期間満期まで賃金出させた

 ――派遣会社との団交はどうでしたか
 Bさん 東洋ワークは団交をすっぽかしたり、1カ月ずつ振り込むなんて言うから、「ふざけるな!」って言ってまとめて出させた。寮も夏までに出るところを翌年の4月まで居続けた。
 Aさん 日研総業とかほかは契約期間満期まで賃金を出させたけど、プレミアラインだけが決裂して裁判になった。
 Cさん リライアンスもプレミアになっていたから一緒にやった。
 Aさん 裁判では和解したけれど翌年まで寮に居続けた。とにかく住むところを確保するのが切実だったから。
 ――そして、いよいよ派遣先のショーワとの闘いに入るわけですね。
 (つづく)

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週刊『前進』(2538号4面1)(2012/06/04 )

 東労組が「組合案」で外注化に道

 資本との断末魔の結託粉砕し10・1JR検修外注化阻止へ

 JR東日本は検修・構内業務の全面外注化について、JR東労組との団交の場で「10月1日に実施したい」と回答した。国鉄闘争全国運動の6・10大集会はいよいよ重要になった。東労組は5月14日、「『グループ会社と一体となった業務体制のさらなる推進』に関する『組合案』実現を求める申し入れ」なるものを行い、5月に集中的な団交を入れた。これを絶好のテコとして、JR東日本は検修外注化強行に乗り出してきたのだ。東労組はまたも労働者をJR資本に売り渡した。

 涙金でまた労働者売り渡す

 東労組は検修外注化について、5月16、21、22、30、6月1日の5回にわたる団体交渉の日程を入れ、すでに交渉に入っている。「申し入れ」からわずか2日後に団交が開始されることなど、これまでに例がない。
 通常であれば、申し入れ項目に対して会社は、主幹部を中心に検討し、実態を調べ、回答を作らなければならない。にもかかわらず、2日後に団体交渉が行われた事実は、「申し入れ」以前から水面下での事前の打ち合わせが行われていたことを示している。しかも、矢継ぎ早に交渉日程を入れているのは、6月中にも妥結をするという狙いがあるものと見なければならない。
 東労組が策定した29項目の「組合案」には、「出向は支社またがりの異動は行わない」「世代交代を担う社員については出向期間を短縮すること」「出向する社員に対し、基本給の調整額を新設し、2千円を加えること」などの項目が並んでいる。いずれも、外注化を前提としたものだ。東労組は、高々月2千円で職場と労働者を売り渡そうとしているのだ。
 「ライフサイクルの深度化」が強行された時も、東労組は「駅に異動したら1号俸加算」という資本の修正提案をのんで妥結した。今回も、涙金で全面外注化に道を開こうとしているのだ。

 偽装請負こそ外注化の弱点

 東労組の「組合案」には、「JR社員が委託会社の作業員に直接作業指示をするなど、偽装請負となる委託は行わないこと」という項目がある。
 しかし、鉄道業務の外注化は必ず偽装請負を発生させる。東労組はこんなことを百も承知で、外注化を推進しようとしているのだ。JR東日本自身、業務を受託するグループ会社に検修業務についての経験や技術力がないことを認めている。外注化など、本来できるはずがないものだ。
 動労千葉―動労総連合は、外注会社への強制出向を労働組合として拒否すると宣言している。これまであらゆる産別で、外注化攻撃は労組が一切の闘いを放棄し、むしろその推進者となることによって貫徹されてきた。労働者が団結して外注化−出向強制に立ち向かえば、資本の攻撃を打ち砕くことはできる。
 東労組の「組合案」はまた、「入社後10年間は出向の対象としないこと」「出向期間は原則3年」「10年でJR本体からの出向に頼らないグループ会社の体制を確立すること」とも言っている。これは、現場組合員とりわけ青年労働者を欺くペテンだ。
 今回の会社提案は、逐次外注化ではなく一括全面外注化だ。車両センターで働く労働者は、新幹線を除けば東日本全体で約2千人だ。そのうち「約1200人が出向になる」と会社も回答している。管理者と技管(技術管理)、事務を除き、ほとんどの労働者が強制出向に駆りたてられる。JR本体に残るのは総合車両センターとごく少数の技管ポストだけだ。帰る職場などはない。
 このことをひた隠しにし、組合員をだまして妥結に突き進む東労組カクマルを絶対に許すな。

 裏切り妥結重ねてきた歴史

 今やJR資本は日本帝国主義の中枢を構成するに至っている。そのJRの外注化は新自由主義攻撃の基軸に位置し、これとの闘いは階級攻防の最焦点にある。
 こうしたJR東日本の外注化施策を一貫して受け入れ、率先推進してきたのが東労組だ。
 JR東日本が00年11月に提示した中期経営ビジョン「ニューフロンティア21(NF21)」は、02年6月の完全民営化を前提に、合理化・外注化を軸に大幅な人員削減を狙う攻撃だった。「事業戦略」の項では、鉄道事業は3番目に位置付けられ、「ステーションルネッサンス(駅を集客システムとして利用する)」「IT化」などの企業戦略が打ち出された。当時、収益の90%を鉄道事業から上げていたJR東日本にとって、これは会社のあり方を抜本的に変えることを意味した。
 NF21に対して東労組は、「会社は完全民営化を前提として、NF21で世界に冠たる鉄道会社の基盤をつくるスタートを切った」「東労組も世界に冠たる労働組合として進むべき道と到達点を示さなければならない」と言い放った(『緑の風』01年2月15日号)。
 その後もJRは「ニューフロンティア2008」(05〜08年)や「グループ経営ビジョン2020−挑む−」(08〜17年)で、駅など営業職場の外注化も重層的に強行した。07年4月実施のグリーンスタッフ(契約社員)の駅業務への本格導入は、非正規職化攻撃の先端を行くものだった。

 設備部門での丸投げ外注化

 NF21の提案に先立つ00年9月、JR東日本は「グループ会社と一体となった業務体制の構築(運輸車両関係)」と「設備部門におけるメンテナンス体制の再構築について(設備21)」の二つの提案を行った。
 「グループ会社と一体となった業務体制の構築(運輸車両関係)」は検修部門の大合理化攻撃だ。JR東日本はその「基本的な考え方」で、「急速に増大するシニアに、よりふさわしい雇用の場を確保」するためだと述べた。00年3月の「シニア協定」でも「グループ会社等への鉄道業務等の委託を更に深度化する」と明記された。
 動労千葉はこの攻撃と全面的に立ち向かい、検修部門の外注化を10年以上にわたり阻止しぬいてきた。
 「設備21」は、設備部門(保線・土木・建築・機械・電力・信号通信)の全面的外注化を狙った攻撃だ。そこでは「機械化」「システム化」「IT化」により「設備メンテナンス総量の縮減」を目指すとされた。JR本体は「管理のプロ」、パートナー会社は「施工のプロ」に徹するとされ、安全無視の「丸投げ外注化」の横行はここから始まった。
 01年3月30日、東労組は「グループ会社と一体となった業務体制の構築(運輸車両関係)」に関して単独妥結、6月13日には「設備21」についても単独妥結した。

 検修部門にも踏み込む攻撃

 01年11月、JR東日本は「新保全体系」による合理化案を提示した。その主な内容は、10年間の耐久性を基本に製造されているハイテク車両の導入により、検車周期、検査内容を大幅に緩和するというものだ。02年3月、東労組はこれについて単独妥結した。
 さらに03年3月、JR東日本は「『車両メンテナンス近代化第V期計画』の実施について」を提案した。これに対し東労組は、「メンテナンス近代化大集会」なる推進大会を開き、04年2月に単独妥結した。
 この施策により、千葉支社管内では習志野電車区の廃止、幕張電車区の業務の鎌倉総合車両所へ移管、幕張電車区からの木更津派出の切り離し、幕張電車区の幕張車両センターへの改編などが強行された。
 こうした攻撃の上にJRが満を持して出してきたのが、09年10月の「グループ会社と一体となった業務体制のさらなる推進」と題する検修部門の全面的な外注化提案だ。その最大の特徴は、これまで「委託を逐次実施する」としていたものを改め、「一括して委託する」としたことだ。つまり職場丸ごとの外注化に踏み込んだのだ。
 以来、動労千葉はこの攻撃と全面的に対決し、2年にわたり外注化の実施を阻んできた。とりわけ、外注化絶対反対の路線で職場全体を獲得し、青年労働者の組合加入をかちとったことがJR資本を追いつめた。
 JR東日本は検修業務の全面外注化に乗り出すにあたり、ひとたびは東労組カクマルとの結託体制を清算することをも決断していた。しかし、動労千葉を先頭とする反撃によって外注化が阻まれる中で、再び東労組の裏切りに依拠する以外に攻撃の手段を失っている。 これ自身、JR資本の危機を示して余りある。JR総連を解体し、青年労働者を階級的労働運動のもとに組織することこそ、外注化攻撃への最大の反撃となるのである。

 反合・運転保安闘争で反撃を

 東労組の裏切りによって推進された合理化・外注化攻撃は、安全の崩壊というすさまじい現実をつくり出した。
 JR東日本は激しい要員削減・人件費削減とメンテナンス費用の削減を強行した。これはJRに膨大な利益をもたらした(グラフ参照)。労働者には果てしない労働強化がのしかかり、外注化と相まって、その矛盾は安全崩壊として噴出した。
 死亡事故も多発している。分割・民営化以降、東日本管内では12年4月までに153人もの労働者の命が奪われた。全国では350人にもなる。その多くが外注先の下請け労働者だ。その一切の責任はJR資本にある。
 「闘いなくして安全なし」が闘いのスローガンだ。安全の確立は労働組合の闘いによって資本に強制する以外にない。
 合理化の矛盾は安全問題(事故)として現れる。動労千葉はそこに着目し、反合理化・運転保安闘争路線を貫いて闘っている。またそれは、起こりうる事故との日々の闘いでもある。まさに「安全は思想であり哲学」(中野洋動労千葉前委員長)なのである。

 資本の免罪がカクマル方針

 この闘いに敵対し続けてきたのが東労組カクマルだ。東労組は「責任追及から原因究明へ」などと言い、資本の責任は不問に付し、事故のすべてを現場労働者の「ミス」として片付け、労働者に責任を転嫁してきた。
 88年12月の東中野駅事故に際して、JR総連カクマル最高幹部の松崎明は、「『事故=人減らし・合理化の結果』、だから『会社の責任』というように、あたかも会社が悪で、そのために事故が起きているという、宣伝のための宣伝は意味がないのです。われわれは効率化にも合理化にも賛成する。そういうことをトータルに考えていくことが、とくにこんにちの労働組合の重要な役割」(『職場からの挑戦』)と言い放った。合理化と事故の関連を切断し、資本絶対擁護の立場に立ったのだ。
 JR東日本の外注化攻撃は、東労組カクマルの率先協力なしに不可能だった。すべての外注化施策に東労組カクマルの裏切りが刻印されている。彼らは今またそれを繰り返そうとしているのだ。
 外注化・非正規職化への渦巻く怒りを組織し、東労組カクマルをJR職場から放逐しよう。青年労働者こそがその先頭に立とう。
 6・10国鉄闘争全国運動集会に全力で結集し、10・1検修外注化の強行をなんとしても阻もう。
 (矢剣 智)

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週刊『前進』(2538号4面2)(2012/06/04 )

 闘う電通労働者の登場を

 6・10国鉄集会に大結集し新自由主義粉砕の総反乱へ

 資本と一体化したNTT労組中央倒せ

 「復帰40年」の5・15沖縄闘争で福島と沖縄の怒りが合流した。闘う電通労働者は、動労千葉を支援する会を結集軸に連合路線と対決し、闘い抜いてきた。全面的な外注化・非正規職化の矛盾は今や、NTT資本そのものを危機に陥れており、先兵となったNTT労組中央本部に対する現場労働者の怒りが火を噴こうとしている。電通労働者は6・10集会に総結集し、新自由主義を打ち倒す総反乱の最先頭で闘おう。

 3・11郡山と稼働原発ゼロをかちとった

 「原発いらない!3・11福島県民大集会」への1万6千人の大結集は、「復興・鎮魂」キャンペーンと格闘する中で実現された。それは福島の怒りを爆発させ、腐敗した連合幹部と対決して労働組合が先頭になってつくり出した闘いだった。
 5月5日に国内の稼働原発ゼロをかちとったことは、世界の労働者への巨大な檄(げき)となっている。
 労働者は全世界の数十億人の労働者階級と一体で闘っていると感じる時、資本にはけっして理解できないし突き崩すこともできない団結力を感じ取ることができる。労働者階級の闘いは、どんなに小さな闘いであっても、世界的規模の闘いの一環としてある。新自由主義と闘う国鉄闘争、そして原発事故と闘い原発をなくす日本の労働者の闘いに世界の労働者が注目している。すべての原発を「とめよう」から「なくそう」へ。体制の根本からの変革をかけて、電通労働者は最先頭で闘っていこう。

 電電民営化と対決し外注化を覆す闘いに

 国鉄分割・民営化と一体のものとして進められた1985年の電電公社の民営化から27年。職場は間断ない合理化の嵐に見舞われてきた。それは新自由主義の最先端の攻撃として、全面的な外注化・分社化・非正規職化の連続だった。しかしそれは同時に技術継承・安全問題を始め資本にとって解決不能の重大問題を不可避とし、現場労働者は怒りを充満させてきた。今や大恐慌下のNTT資本の矛盾は臨界点に達している。ついに電通労働者の怒りの決起でNTT資本を吹き飛ばす時が来たのである。
 そもそもNTTの歴史は電信から電話、そしてITへのスクラップ・アンド・ビルドの歴史だった。高度経済成長期には経済成長を支える電気通信事業の拡大が求められた。大量の労働者が政策的に投入され、電気通信事業を担わされてきた。そして電電公社は、機械化・自動化が完成するや、業務に携わってきた労働者をあたかも邪魔者のように扱って、大合理化の中にたたき込んだ。電報の自動改式、電話の全国即時網の完成、無線職場しかりである。
 しかしこの過程は、電通労働者が反合理化闘争を闘い抜いてきた歴史でもある。全国の電話局、電報局、中継所、あらゆる職場を舞台として反合理化闘争が激しく闘われてきた。
 NTT労組中央本部のホームページの年表に「1979年8月、沖縄県支部の再建大会成功」「1980年2月、福島県支部の再建大会成功」ということが記載されている。この事実は、NTT資本との反合理化闘争が同時に、全電通(現NTT労組)中央と現場組合員との激しい攻防の歴史でもあったことを示している。
 沖縄の電通労働者は1960年代から70年代にかけて、全軍労とともに本土復帰闘争を先頭で闘い抜いた。72年の「復帰」を契機として電電公社に統合されて以降は、「軍事通信には手を貸さない」という闘いの原則をめぐって全電通中央本部と激突した。その激しい闘いは79年には、全電通中央本部による沖縄支部組合員全員の「再登録」攻撃にまで行き着いた。
 また全電通中央本部は80年には福島県支部を丸ごと凍結させ、職制を中心に「福島県支部再建委員会」をつくり、県支部全員の組合員権を剥奪(はくだつ)して「再登録」運動を行った。
 当時の電話は「コードをジャックに差し替え、テンキーを打つ」ことによって成り立ち、「6万5100人の電話交換手」と言われた多くの女性労働者が電話交換業務を担っていた。この連続作業は「頸肩腕(けいけんわん)症候群」を引き起こし、体が鉛のようになって「布団も上げられなくなり」「自分の子どもすら抱くことができない」状態に追い込むほどのものであった。
 この現実に対して、福島県支部内で23歳の女性労働者が入水自殺をしたことをきっかけに、全国で「頸肩腕症候群の職業病認定闘争」が発展していった。全電通中央は、こうした職場の闘いの背骨を折ろうと襲い掛かったのである。
 中央本部は全国の職場闘争を徹底して攻撃し、活動家をパージして、電電民営化の道を掃き清めていった。電電民営化に至るこの全過程は、動労千葉地本が動労本部カクマルと徹底対決し、1979年に動労千葉として分離・独立していく過程と軌を一にしている。
 国鉄分割・民営化を始め3公社5現業(国鉄、日本専売公社、日本電信電話公社の3公社と郵政、国有林野、印刷、造幣、 アルコール専売の5事業)の民営化攻撃は新自由主義攻撃そのものであり、闘う労働組合を粉砕して階級的力関係を変え、資本の欲しいままに労働者から搾取・収奪・略奪しようとする階級戦争そのものだった。
 動労本部カクマルが攻撃の先兵になることなしに国鉄分割・民営化があり得なかったのと同じように、85年電電民営化と全電通の連合化路線は、連合の初代会長になった反共民同、全電通本部・山岸章委員長体制抜きにはなし得なかった。まさに労働組合が最大の攻防点だったのである。
 さらに02年以来の「構造改革」攻撃は、メタル回線(電話線)から光回線への転換の中で、メタル系の労働者を”不要な存在”として扱い、徹底的に外注化・非正規職化を推し進めて人件費を削減し、団結破壊を進める大攻撃であった。その違法性、あくどさは、まさに合理化攻撃の極致であった。
 毎年50歳になった労働者が「自主的」に辞表を提出して、「誓約書」を書くことを条件に賃金30%カットで系列会社に再雇用される。これを拒否すると「全国流動社員」とされ、職種まで変更されて慣れない遠隔地へ飛ばされるという許し難い攻撃である。NTTの業務は347社の系列会社に細分化され、NTT労資はこの過程で11万人の労働者の子会社への転籍を強行し、現場から放逐してきた。
 しかし今や、NTT労組中央本部の支配は完全に空洞化し、電通労働者の怒りと決起が資本と直接ぶつかり合う過程に入った。
 NTT資本は、正規労働者が高齢化して大量に定年退職を迎えることにより、技術・知識・経験を持った労働者がいなくなるという事態に直面している。資本と中央本部は「認識が甘かった」と人事・賃金体系の抜本的見直しを言い出し、「65歳まで安定して働く仕組みづくり」などと称して、50歳定年制を廃止するとともに生涯賃金を引き下げ、賃金の大幅カットで65歳まで働かせようとしている。勤続17〜18年の労働者が初任給並みの低賃金に引き戻される――こんなことが許されるわけがない。まさに電通労働者の総反撃の時が来た。

 沖縄と福島の怒りを先頭に6・10集会へ

 「復帰40年」の5・15沖縄闘争で、福島の怒りと沖縄の怒りが合流した。「革命の火薬庫」=沖縄と「革命の根拠地」=福島が一体となって、新自由主義攻撃と闘うことは決定的である。この闘いの牽引(けんいん)車こそ闘う電通労働者であり、わが電通委員会であることを宣言する。
 闘う電通労働者は、国鉄闘争を戦略的水路に連合と対決する階級的労働運動を進め、生き抜いてきた。ここに希望があり展望がある。職場の怒り、青年労働者の怒りを結集して労働者の職場支配権を確立し、正規労働者と非正規労働者の団結をつくり出す闘いである。その時初めて、職場の現実を突破することが可能となる。
 重要なことは目的意識性・組織的決断・断固たる実践である。国鉄分割・民営化絶対反対、国鉄労働者1047名解雇撤回の闘いこそ、新自由主義攻撃に対する階級的回答である。全国の職場で外注化阻止・非正規職撤廃の闘いを繰り広げよう。
 6・10大集会は、国鉄闘争全国運動を結集軸に、被災地を資本の食いものとし押しつぶそうとする「復興特区」攻撃に対する怒りと闘い、反原発闘争と沖縄闘争、そして橋下反革命と闘う大阪を始めとする全国の労働者の闘いをひとつに結びつける歴史的な集会である。国鉄闘争解体の4・9反革命に至った体制内労組幹部をのりこえる闘い、労働運動の力で社会を変えるまでやむことのない革命の闘いである。6・10集会へ総結集しよう。
 闘い半ばで倒れた長野の誇るべき電通労働者・小林正年同志の遺志を引き継ぎ、全国の団結で「闘う電通労働者」を登場させよう!
 〔革共同電通委員会〕
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■2002年以来の「構造改革」
 50歳で「自主退職」、誓約書を条件に系列会社に賃金3割カットで再雇用。これを拒否すると「全国流動社員」として職種変更の上、遠隔地に配転

■2012年提案「処遇体系の再構築」
 50歳定年制を廃止し、基本給・手当の大幅カットで60歳までの生涯賃金を引き下げ。年収300万円程度の低賃金・1年契約で65歳まで雇用

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週刊『前進』(2538号5面1)(2012/06/04 )

 京大同学会再建・全学選挙勝利かちとろう

 原発御用大学解体・再稼働阻止!

 教育の民営化粉砕へ闘う自治会を

 マル学同中核派・京都大学支部

 5月25日、京都大学で全学自治会同学会の執行委員会正副委員長を選任する全学選挙が始まった。新自由主義と根底で闘いぬいてきた京大生たちが、ついにつかみとった二十数年ぶりの全学自治会選挙だ。なんとしてもこれに勝ちぬき、同学会を再建しよう。それが大学キャンパスから原発再稼働を阻止し、教育の民営化を粉砕する根底的な力となる。300万学生の団結体としての全学連運動の復権へ向け、今こそ全国大学に学生自治会権力をうち立てよう!
(写真 クラスに入り、同学会再建へ向けて信任投票を熱烈に訴える冨山統一候補【京大】)

 冨山統一候補に熱い期待が

 立候補したのは委員長候補に全学連前書記長・冨山小太郎君(農学部)、副委員長候補に全学連副委員長の大森靖之君(薬学部)を擁する冨山統一候補だ。06年以来の法大闘争の鉄火の中でうち鍛えられ、さらに日本最大・最強の自治寮において、徹底的に当局との対決に責任を取ってきた人格が並ぶ最高の体制だ。この冨山統一候補が信任されることこそ、京大における新自由主義への大反撃の宣告だ。
 「この日を待ってましたよ!」「冨山さんたちはウチの学部の連中みんなにめちゃくちゃ信頼されている! 彼なら絶対に信任しますよ!」。満面の笑みで投票した学生の言葉は、まさに全京大生の声だ。抑えがたい新自由主義への怒り、学生自治復権への希求は、冨山統一候補への熱い期待として形をなし、せきを切って解き放たれた。投票開始から6日目にして投票者は千人を超え、一日の投票者数もとどまるところを知らず拡大している!
 「この投票で、学生の権利を全部取り返せるんだよな!」。意気高く投票所でかわされる学生の会話は、当たり前の思いであると同時に、新自由主義と不屈に闘い、団結を拡大してかちとった解放空間だからこそ発せられる言葉だ。団結し、立ち向かえば新自由主義に勝利できる!――このことを全京大生は自らの実践を通して今、根底的につかみとりつつある。 
 とりわけ、数年来の闘いの全地平が凝縮した冨山統一候補の立候補宣言と、その核心を端的に表現した「大学奪還!」「京大から原発の再稼働を強行させるな! 原発御用大学を変えよう!」「学生の生活を守れ! 学生自治寮の発展、防衛を!」「国立大学法人化反対! 大学を金もうけの道具にさせない!」「総長団交を実現する全学自治会再建を!」のスローガンは、京都大学における新自由主義との具体的攻防点と、それに勝利していく展望を明らかにし、学生のみならず教職員も含めた全学に衝撃を与えている。
 原発推進と教育の民営化の現実に対する怒りはもはや抑えることはできない。クラスでの討論中に別の教室の教官が「自分のクラスにも来てくれ。自分も松本総長は許せない!」と熱烈な支持を表明する事態が起こっている。

 新入生が続々クラスに入る

 新自由主義大学は、しょせん支配階級内部における一致もまともに形成できないほど破綻した砂上の楼閣でしかない。その表面的な凶暴性とは裏腹に、「絶対反対」の階級的団結が対置された時、そのペテン性と脆弱(ぜいじゃく)性は暴露され、怒りによって逆包囲されるしかない。国鉄闘争全国運動の大前進、3・11福島県民大集会の歴史的成功によって明らかとなった階級闘争の核心的構造は、京大にも厳然と存在している。支配階級はもはや、新自由主義への怒りを抑えるいかなるすべもない! 
 もっとも重要なことは、全学選挙の過程で新入生を先頭に、新たな学生が続々とクラスに分け入り、討論を組織し、投票を呼びかけていることだ。「組織される者から、組織する者へ!」――それは、新自由主義を根底から打ち破る現場からの決起であり、当局、権力、体制内派を震撼(しんかん)させ、キャンパスの力関係を転換させている。選挙過程自体が、学生自治の担い手を膨大に生み出す最高の舞台となっているのだ。
 だからこそ、同学会選挙はそれのみで決着する闘いではなく、連綿と継続し、絶えず新自由主義と対決する主体を膨大に獲得し、プロレタリア世界革命を準備していく壮大な闘いの突破口を切り開く出発点だ。同学会選挙の高揚をもって、本当の意味で、京大生の新自由主義に対する全面的反撃は開始される。 

 法大闘争勝利の地平に立ち

 この同学会選挙の高揚は、何よりキャンパスにおける日々の闘いがつくりあげたものだ。闘う京大生は、法大闘争の激闘の中で新自由主義を打ち破る路線をつかみとり、2010年の4・9政治和解を拒否した国鉄闘争全国運動の発足に労働運動・学生運動の全面的復権の可能性を見いだし、その闘いの一環として全学自治会復権をかちとっていく準備を着実に進めてきた。 
 06年3・14弾圧をもって開始された法大闘争は、新自由主義と対決する学生運動への飛躍を全国学生に鋭く迫ってきた。この決戦に真正面から挑み、そこで培われた闘いの地平は、ついに帝国主義支配の基幹をなす京都大学をまるごと革命の拠点へと生まれ変わらせる地点にまで到達した。同学会再建は絶対に成る! それは、法大闘争がつかみとってきた路線的地平をいよいよ全面的に普遍化し、全国300万学生の総反撃の号砲となる。 
 さらに、昨年3・11大震災と原発事故が暴きだした新自由主義の破産、原子力村に深々と取り込まれた大学の現実に、怒りをもって対決する学生を膨大に獲得し、キャンパスにおいて原発御用学者を圧倒する闘いを展開してきた。こうした現場での闘いを通して、実質的な自治会執行部として全学に登場する活動家集団が形成されるに至ったのだ。この地平の上に、いよいよ4月からは同学会の本格的再建を宣言し、全学生に公開された会議と徹底的なクラス討論で議論が組織されてきた。 
 京大に続き、全国の大学で、そしてあらゆる職場で、拠点権力樹立と革命的労働者党建設の一体的推進へと大胆に、そして徹底的に挑戦しよう! その地平の一切を国鉄闘争全国運動6・10全国集会に結集させ、全国・全戦線の力で最大の決戦局面を迎えた10・1JR全面外注化阻止決戦と7月国労大会攻防に勝利し、階級闘争の新たな段階を切り開こう!
 その力をもって全原発の廃炉をかちとる7・16の10万人大集会、橋下打倒の関西決戦へと勇躍進撃しよう!
 いざ、学生運動の歴史的大爆発へ!

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週刊『前進』(2538号5面2)(2012/06/04 )

 関越道バス事故の最大の責任は国交省にこそある

投稿 投稿 関西合同労組大和分会

 『前進』2535号の「関越道事故 全責任は資本・国交省にある」の記事を読んだ分会員から「名神着工時から高速道路の設計・施工にかかわってきた者として、補足したい内容がある」との意見が出され、分会で討論を重ねました。出された意見は「事故そのものについての国交省の責任をもっと追及したい」というものでした。
 討議の結果を以下の3点に整理します。
 @マスコミではドライバーやツアーバス会社のことだけを異様に大きく取り上げているが、事故現場の映像や報道内容を見る限り、多数の死傷者を出した直接の原因は、高速道路の遮音壁がバスをまっぷたつに切り裂いたことである。しかし、ガードレールの端部が遮音壁の道路側に重ね合わせてしっかり結合されていれば、今回のような大惨事にはならなかった。こんなことは、高速道路の安全管理の基本中の基本である。つまり、道路の安全管理放棄が今回の最大の事故原因である。
 このことをひた隠しにしていた国交省は、マスコミに指摘されてアリバイ的にNEXCO資本(日本道路公団=JHを分割・民営化した高速道路会社。国交省との実体関係はJHのまま)に質問し、NEXCO資本もまたアリバイ的に「そのような事実はなかった」とだけ回答した。
 両者のこの対応は、すべての責任をドライバーらになすりつけて知らぬ顔を決め込もうとするものであり、尼崎事故での国交省−JR資本、原発事故での経産省−原子力安全・保安院−東電資本とまったく同じである。
 5月23日になって、ごまかしきれなくなったNEXCO資本は「現行基準を満たしていない不連続個所がNEXCO3社合計で5100カ所ある。来年度までに4300カ所でガードレールを取り替えて遮音壁とのすき間を埋める」ことを公表した。言うまでもないことだが、道路管理の最終責任は国交省にある。にもかかわらず、国交省は“被害をこうむった管理者”のように振る舞っている。
 冗談ではない! この大惨事の最大の責任は、安全を切り捨てて必要最小限の工事費すらカットしてきた国交省にこそあるのだ。
 AJH民営化以降、国交省は安全管理より高速道路利用台数確保を優先させてきた。最近では、サービスエリアで金もうけするために、格安ツアーバスを積極的に導入してきた。今回の死傷事故は、「安全より金もうけ」という民営化が引き起こしたものである。
 このことを容赦なく突き出したのが、翌24日に新潟で起きた国交省直轄のトンネル爆発事故だ。国交省が「可燃性ガスは発生しないから」と検知項目も防爆構造も工事費から削った上に「工期短縮」を迫ったことが、ガス爆発を引き起こし、坑内にいた4人の労働者を吹き飛ばしたのだ。
 3・11原発事故の根本に「電力の国策民営化」があったことが、この間さまざまな形で突き出されてきているが、高速道路においても公共資産である道路を支配階級が私物化し金もうけの手段にすることがJH資本の狙いだった。新自由主義にとって高速道路は単に物流だけでなく自動車産業、土木建築産業、通信産業、軍需産業の受け皿であり動脈であるが、リーマン破綻からは、高速道路施設そのものをも金もうけの対象とするに至ったのだ。
 Bなによりも重要なことは、JHの分割・民営化攻撃の本当の狙いは、国鉄分割・民営化同様、労組の絶滅にあった。
 1970年代には「左派」と呼ばれた道路公団労組(道公労)本部は、国鉄分割・民営化攻撃と真正面から闘いぬいている動労千葉の道ではなく、民営化を受け入れることで職場内の既得権だけを守ろうとする条件交渉の道を選択した。闘わざる屈服の道であり、「戦闘的労組」から体制内労組への変質後退である。
 この結果、維持管理部門の労働者はサービス部門に配転され、維持管理業務が大幅に縮小されたうえ外注化された。「闘いなくして安全なし」は総評時代からの労組の原点だが、新自由主義のもとではとりわけ死活的である。動労千葉の全面外注化阻止の闘いの対極として、今回の事故を見ておく必要がある。
 あらゆる職場、現場で、生き抜くために新自由主義と闘うことが求められているのだ。

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週刊『前進』(2538号5面3)(2012/06/04 )

 市東さん農地裁判 土地強奪の違法明らかに

 NAA戸井証人を徹底追及

 5月28日、午後1時30分を少し過ぎて、千葉地裁・民事第3部(多見谷寿郎裁判長)で市東孝雄さんの農地裁判が開廷した。
 証人は現成田空港会社(NAA)用地部長の戸井建司。市東家に対する農地取り上げ策動の全過程に関与した最重要証人であり、06年にNAAが千葉県に出した「解約申入許可申請書」を作成した張本人だ。
 NAA代理人の主尋問に続き、顧問弁護団の反対尋問に入った。ほどなくこの証人は、市東さんを被告席に立たせて農地取り上げ策動を進めながら、その罪深さに無自覚無責任のやからであることが明らかにされた。
 強制的手段をもって農民の土地を収奪しようとしていることについて問いただされると、戸井証人は「話し合いで円満に解決したい。流血の事態があってはならない」などと繰り返した。農民の生活を奪おうとする当事者が放つその言葉の矛盾を指摘されると、「市東さんには離作補償として1億8千万円を提示した」「市東さんにはまだご理解頂けるチャンスがあると思っている」とぬけぬけと述べ立てた。“農民が土地を売って出ていくことだけが円満解決だ”と言うのだ! 傍聴席から激しい弾劾の声が次々飛んだ。
 さらに、明け渡し対象の土地の特定がまったく誤っているという重大な事実については、「あらためて調査したことはない」「検討してない」。旧地主の藤ア政吉からの土地取得の経緯については、「わからない」「記録があるかどうかも知らない」。NAAの土地取り上げの唯一の根拠である「同意書」「境界確認書」およびその添付図面については、「前任者から引き継いだだけ」――と万事この調子だ。
 そして、空港敷地内外にまたがる土地については、「空港のために一体的に運用が企図されている土地だから、農地からの転用について知事の許可は必要ない」と農地法も航空法も踏み破る暴論を臆面(おくめん)もなく述べた。「NAAが取得すればどこにある土地も空港敷地ということか」とたたみかけられると「それは……」と絶句し、あげくに「用地部が取得した土地はすべて空港敷地」と開き直った。
 さらにGSE・ULD(機材置き場)を造る計画なるものの根本的矛盾を問いただされると、戸井証人は「市東さんの自宅の土地を取得できるという前提で進めていた」と口にし、NAAの不遜(ふそん)きわまりない姿勢をあらわにした。
 午後4時過ぎまでの弁護団の容赦ない尋問によって、戸井証人に代表されるNAAの行いは矛盾と違法だらけで、やがて強制手段をもって農地を奪おうと画策していることが全面的に明らかにされ、「解約許可申請」そのもののあまりのずさんさと違法・無効が浮き彫りになった。そして裁判所に対しては、原発と同様の国策裁判として、NAAと千葉県の重大な違法を容認し、これに加担するのかどうかを鋭く追及する闘いとなった。
 閉廷後に近くの会場で報告集会が開かれた。司会は伊藤信晴さん。
 最初に市東さんがあいさつに立ち、「本当に腹が立ちました。話し合いだと言うのなら、うちのすぐ前でやっているあの第3誘導路工事は何か! むこうがやってくる攻撃にはそれなりの対応をします」と怒りを込めて訴え、拍手を受けた。
 続いて葉山岳夫弁護士を先頭に顧問弁護団全員が、戸井証人を追及し破綻に追い込んだ手応えを報告した。そして次回6月25日の法廷で、当時成田市農業委員会事務局長の山崎真一証人への尋問を一層厳しく行うことを明らかにした。
 全学連の斎藤郁真委員長、群馬・市東さんの農地を守る会の青柳晃玄さん、動労千葉の後藤俊哉さん、関実、市東さんの農地取り上げに反対する会などが、連帯と決意を表し、最後に萩原進事務局次長がまとめの発言を行った。「彼らは自分がやってきたことを胸を張って正しいと言えない。われわれはそれができる。空港のでたらめな拡張をこれ以上許してはならない。何が国策・国益だ! それは福島も沖縄も同じだ。この裁判で勝利し、力関係を決定的に変えていこう!」
 この激しい怒りを込めたアピールに、一同は大きな拍手で応え、次回6・25裁判傍聴と、7・8三里塚現地闘争への決起を誓った。

 7・8三里塚現地へ!

 反対同盟は闘いの方針として、7・8三里塚現地闘争を打ち出した。
 市東さんに対する農地取り上げの攻撃は、裁判での早期結審動向とともに、現地においては第3誘導路工事の急進展として激化している。成田空港は、世界大恐慌情勢のもとで旅客も貨物も激減し、反対同盟の闘いによって「未完成の欠陥空港」の現実を強制され、存亡の危機に立たされている。焦燥に駆られた敵の攻撃を、労働者人民の実力で打ち破ろう!
 萩原事務局次長は7・8を「来春3〜4月まで見通した闘いの出発点」と位置づけ、全力結集を呼びかけている(週刊三里塚第848号)。農民追い出しのための第3誘導路工事に怒りをたぎらせ、7・8に総決起を!
(写真上 「市東さんの農地を守りぬくぞ!」と意気高くシュプレヒコールを上げ、千葉地裁に向けてデモに出発【5月28日 千葉市】)
(写真下 怒りを込めて発言する市東孝雄さん【左】。さらに左から右へ北原鉱治事務局長、葉山岳夫弁護士、西村正治弁護士、伊藤信晴さん)

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週刊『前進』(2538号5面4)(2012/06/04 )

三里塚裁判傍聴を!

◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
6月25日(月) 午後1時30分開廷 千葉地裁
(傍聴券抽選のため1時間前に集合)
市東さん農地裁判勝利 第3誘導路工事粉砕
7・8三里塚現地闘争
7月8日(日) 午後1時30分 萩原進さん宅の「横川」の畑
(天神峰・市東さん宅南側の東峰開拓組合道路沿い)

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週刊『前進』(2538号6面1)(2012/06/04 )

 内部被曝・被曝労働と闘い全原発廃炉へ

 診療所を建設し福島で起きている現実を希望へと変えたい

 福島診療所建設委員会 渡辺馨事務局長

 「復帰40年」の5・12沖縄集会での発言で、福島診療所建設委員会の渡辺馨事務局長は、オキナワとフクシマの怒りをひとつに結合し、子どもたちの命と未来を守り、新自由主義と闘う福島の拠点、診療所建設への支援・協力を心の底から訴えた。これに応え、全力で支えよう。
(写真 渡辺事務局長の訴えに応え全参加者が福島診療所建設のため奮闘する決意を固めた5・12沖縄集会)

 人の命も守れず何が電力か

 福島診療所建設委員会の事務局長をやっています。フクシマNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議)の事務局長もやっています。今福島は本当に「終わった」というところがあるんですが、その「終わった福島」を希望に変えたいというのが診療所建設です。
 今福島で起こっている事態は、こんな事が世の中にあっていいのか。こんな事が起こっていいのか。それは実は沖縄でもずっとそうだったんだと、きょう沖縄に来てあらためて思いました。
 3月11日の福島県民大集会で高校生の鈴木美穂さんが「人の命も守れないのに、電力とか経済とか言っている場合ではないはずです」と言いました。これは大変深い言葉です。どういうことかというと、鈴木さんは第二原発の近くの高校にいました。その時、原発が爆発しました。当時、津波で家族や地域の大変多くの人が流されていきました。目の前で助けてくれという声が聞こえたにもかかわらず、原発で避難しなければならないと言うことで、肉親を振りきって逃げなければならなかった。こういう経験をしたことから出てきた言葉なんです。
 ですから今福島で起こっていることは、今の話に象徴されるように、ほんとに目の前で人が殺されても文句を言うなというあり方、これとの闘いだと思っています。
 私はフクシマNAZENを中心に福島のこの現状と闘っています。今避難している人が16万人、津波で亡くなった被災者は約2万人と言われています。さらにその後、1年間過ぎて1700人の人が自殺しているんです。これは大変な数字です。特に福島県で700人、宮城県で600人、そういうことが政府から発表されました。目の前で起こった事実に本当に希望を失って自ら命を絶った人がそれだけの数に上ったという事実です。本当にこの事態をなんとかしたいと思います。

 高陽病院のような診療所を

 思い起こせば、広島において、原爆が落とされた直後から7年間、アメリカの占領下でABCC(原爆障害調査委員会)のもとに被爆者がまったく治療をされないで放置されて、データだけ集められたという経験をもっています。その後、放影研(放射線影響研究所)のもとでさらに10年間、被爆者は本当に差別と苦しみながら闘って来た。そういう中で、自分たちは生きていていいのか、こういう声が起こった。そして生きるための闘いとして1972年、広島で高陽病院をつくった。自分たち被爆者の手でつくったという話を聞きました。私は福島もこれだなと思ったんです。
 福島の人たちが、子どもたちが、今から3年後、5年後、10年後、どうなるのか。今さまざまな病気がもう出始めています。体の不調を訴え、免疫が落ちていくという状況の中で病院に駆け込んでいくんですが、「放射能の影響はない。放射能ということをこの病院で言っちゃだめですよ」と言われるんです。
 超有名な「ミスター100_シーベルト」、長崎大学から来た山下俊一、広島大学から来た神谷研二、この2人が福島医大の副学長に就任して、福島の子どもたちの甲状腺調査というものを18歳以下0歳児の36万人を対象に行っています。そういう中で3万6千人のデータを集めた結果、186人の甲状腺に5_以上のしこりが見つかった。しかし「まったく問題はない。良性だ」。何を根拠に良性だと言えるんですか。そんなことが新聞で堂々と報道されている。それが今の福島の現状です。
 こういう見えない原子力村というんですか、医療、学者、さらにはマスコミを含めた力によって、今福島の原発事故はなかったかのようにしようという動きが出ているんです。それが「除染と復興」です。「除染して村に帰りましょう」「除染して学校にもどりましょう」という運動が始まっています。
 先週は(3・11集会の会場となった)開成山球場の隣の公園でラーメン祭りをやっていました。開成山球場は放射能が高いからそこで集会をやってはならないと言っていたような人たちがやっているんです。さらには鼓笛パレード、ちびっ子パレード、キッズパレード。子どもたちをどんどん街頭に出して、「福島は何でもない」「郡山は何でもない」という動きが始まっています。
 しかし、現実は大変な被曝と闘いながら、そういう現実をどう変えていくのか、毎日悩んで、頼るところがないんです。病院に行ったって相手にされない。相談相手がいない。そうした母親の気持ちとか、子どもたちの現状に向き合う、福島に診療所を、高陽病院のような診療所を福島につくって、そこから福島の現実はどうなっているのか、さらには原発は危険だ、安全な原発なんかひとつもないんだと、はっきり世界中に発信する診療所。そうして今現実に起こっている問題についてどういうふうに対応するのか、医者がそういう人たちと向き合う、そういう診療所をつくっていきたいと思っています。

 福島と沖縄、全国の力で!

 ですから今、私たちは全国に、全世界に訴えています。非常に反応はいいです。なんとか福島の子どもたちの未来を守りたいという声が圧倒的に寄せられています。そうした運動をぜひとも成功させたいと思っていますので、皆さんのご支援とご協力を本当にお願いしたいと思っています。
 さらに沖縄について一言いいたいと思います。福島や全国の原発は権力の暴力によってつくられてきました。そして、沖縄の基地も銃剣とブルドーザーでつくられてきた。しかも福島の農民も労働者もすべてのものを奪われている。同じように沖縄の農民も67年間、基地に奪われて、それとの闘いを必死になって闘いぬいてきた歴史があるわけです。そうした闘いを福島と沖縄と、そして全国の労働者の力で、こうした人の命を顧みないような社会をひっくり返す闘いとしてやっていきたいと思います。頑張りましょう!
(写真 被災地の仙台でも街頭で診療所建設を訴える【4月30日】)

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週刊『前進』(2538号6面2)(2012/06/04 )

 秋田 “再稼働をやめろ!”

 第5波反原発アクション

 5月20日、原発反対・秋田デモ実行委員会による「今こそ廃炉だ! 再稼働やめろ! フクシマと団結しよう!」のスローガンを掲げた駅前一周の第5波反原発デモアクションが闘われた。
 この企画は、原発を何がなんでも再稼働しようとする動きに対抗して、「今ここで声をあげなくてどうするんですか!」という青年労働者の強い要望を受けて、4月末に実行委員会を開催して取り組まれたものです。
 午後2時からのデモ行進の前に、3人の仲間による熱い一言アピールが発せられ、フクシマから避難している子ども連れのママさんたちを中心に30人を超える仲間が結集してアクションに打って出ました。 
 「原発いらない! 再稼働やめろ! 東電うそつき! 値上げをやめろ!」「汚染ガレキは持ち込むな!」などの明るく元気なリズムコールは全参加者を一体化させ、政府と電力各社を直撃するものとなりました。
 この間、実行委員会は、連合メーデーを始めとして駅前や職場での2500枚に及ぶビラ配布と署名活動を粘り強く展開してきた。しかも19日から22日の4日間にわたって、汚染ガレキの「試験焼却」が市内で強行されようとしている。その結果マスコミの注目するところとなり、当日は、地元有力新聞社とTVスタッフがデモ行進と参加者に対する取材活動を熱心に行って、夜のTVニュ−スで映像が映り、翌日の新聞に記事が掲載されるなど、大きな反響を呼び起こしました。
 ビラを見て初めてデモに参加した仲間を迎えた交流会も盛り上がり、「もっと仲間を集めてまたやろうよ!」という意見が出て、次の実行委員会開催が待ち望まれています。全原発をなくすために団結して闘おう!
 (秋田・TK) 
(写真 秋田市内での第5波反原発デモにマスコミも大注目【5月20日】)

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週刊『前進』(2538号6面3)(2012/06/04 )

 大飯再稼働絶対許すな

 野田のデマと脅迫うち破り

 JR東海・葛西が現状に恐怖の悲鳴

 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を絶対に阻止しよう。日帝は全国50基のすべてが人民の闘いによって止まっている状況に大打撃を受け、一日でも早く動かそうと焦りを強めている。
 関西電力の八木誠社長は5月28日、「早急に、国のご英断をお願いしたい」と政府に迫り、これを受けて野田首相は29日の衆院本会議で「電力供給の3割を担ってきた原子力を直ちに止めては日本経済、国民生活は成り立たない」と脅して、再稼働を決定するタイミングを計っている。30日の関西広域連合の事実上の承認で6月上旬にも再稼働の決定を狙っている。
 橋下大阪市長は「電力が足りないなら、夏だけ再稼働を」と提案し(5月19日)、野田政権に助け舟を出している。
 また、JR東海の葛西敬之会長は産経新聞5月29日付で「再稼働がリーダーの使命だ」と野田に発破をかけている。葛西は「この1年間で国民に浸透した反原発の空気」「国民の説得は1年前よりもさらに困難になった」と恐怖の悲鳴を上げ、だからこそ「綺麗ごとを清算して」再稼働に突き進めと叫んでいる。国鉄労働者20万人首切りの極悪人・葛西が日帝の危急存亡の危機の中で、階級闘争の前面にひきずり出されてきた。
 福島第一原発事故は現在進行形の大事故だ。今なお放射性物質をまき続けている。事故原因の究明すら進んでいない。こんな状態のまま、1基でも原発を再稼働させることは、「第2第3の福島原発事故」を引き起こすものでしかない。
 実際、福島第一原発の1号機の格納容器内の水位は40aしかないことが明らかとなった。これを東電は「1・8bある」と発表し続けてきた。2号機の水位は60aしかない。毎時6dもの水を注入しているのに、片っ端から外部に漏れている。廃炉を進めるには格納容器に水を張り、原子炉(圧力容器)を水没させ、放射線を遮ることが必須だが、核燃料がメルトダウン(炉心溶融)している2号機格納容器内の放射線量は7万3千_シーベルトもあり、格納容器に人間が近づいて補修することなどできない。水漏れが解決されなければ廃炉の実現はおぼつかない。
 さらに4号機こそ危機的だ。ボロボロに破壊された建屋の中の核燃料プールには、原子炉3基分の1535体の使用済み核燃料が収められている。もし強い地震が再び起きて冷却用の燃料プールが壊れ、水が失われたら、核燃料が溶け出し、大量の放射性物質をまき散らす。最悪の場合、第一原発での復旧作業全体が不可能になり、1、2、3号機からも水が失われ、さらに莫大(ばくだい)な量の放射性物質がまき散らされることとなる。それは、5、6号機まで連鎖していく。東日本、いや日本全体ですら人が住めなくなる。大地震が再び起きる可能性はきわめて高い。
(写真 福島第一原発4号機の崩壊状況。がれきの中のプール内に1535体の核燃料がある【5月26日】)

 福島県民の苦悩と怒りが闘いの原点

 こんなに危機的な事態なのに、信じられないほど危険な施策がまかり通っている。何よりも避難地域の再編で、「年間放射線量20_シーベルト未満なら居住可能」というとんでもない基準(避難指示解除準備区域)が設けられた。政府は、川内村や広野町を始め、その地域の学校や役場・公共機関を再開し、住民を帰還させようとしている。
 「20_シーベルト未満」とは、厳格な管理が義務づけられている放射線管理区域の設定基準(年換算5・2_シーベルト)よりもはるかに高い。そこで水を飲んだり食べたりしてはならないし、生活することなど論外だ。それを野田政権は、法律をどんどん踏みにじり、高濃度の放射能汚染地域に住民を帰還させようとしているのだ。「棄民政策」そのものである。
 5月末、浪江町の62歳の自営業男性が、一時帰宅していた自宅近くの倉庫で自殺した。スーパーを経営していたが、避難生活を余儀なくされ、1年たっても営業を再開できず、「このまま生きていても仕方ない」「商売をいつ再開できるか不安だ」と話していたという。男性は政府と東電によって殺されたのだ。
 この男性のように、何代もかけて築きあげてきた生活や仕事、将来の希望を、原発事故とその後の棄民政策で奪われ、被曝に苦しみ、不安な日々を過ごしている人がたくさんいる。「仮設生活ももう限界」という声が日増しに強まっている。福島現地の人びとの思いと怒りに肉薄し、ともに闘うこと、これこそ反原発闘争の原点だ。
 ところが、このような現実を尻目に、東電の新社長・広瀬直己は「原発が全然ダメだというのはエネルギー政策上、もったいない」(5月8日の記者会見)と平然と述べた。「もったいない」だと! やつらは金もうけのことしか考えていないのだ! 事故の収束もできず、責任もとらず、必要不可欠な賠償もせずに人びとを死に追いやっているくせに、どこまで腐りきっている連中か!
 われわれが闘っている相手は、このように自らの延命のためにはどれほど人民を犠牲にしても構わないとする帝国主義支配階級である。非和解的な階級闘争であり、労働者人民の団結した力で、実力で打倒する以外にない。

 原発推進の野田を支持する連合中央

 ところがこうした資本家どもを支えているのが腐りきった連合中央、御用組合幹部だ。それは非正規労働者を原発被曝労働に従事させた電力総連ばかりではない。自治労中央も日教組中央もこの1年、民主党政府の原発推進と棄民政策を何一つ批判してこなかった。
 そうした中で、政府はがれき処理では、焼却灰1`あたり8千ベクレルまでならそのまま埋めてよいという、とんでもない決定を強行した。もともと1`あたり100ベクレル超は放射性廃棄物で、特別な処分が必要だ。今回、政府が認めたのはその80倍もの濃度だ。がれきの集積・輸送にあたるJRやトラックの運輸労働者、焼却作業を行う清掃労働者が被曝労働を強制されている。
 労働組合が何一つ問題にせず、それどころか全面協力することでこんなことがまかり通っているのだ。国鉄―4大産別を先頭に、職場から外注化阻止・非正規職撤廃、被曝労働拒否の闘いに立ち上がろう。被曝労働拒否を組合ぐるみで闘う動労水戸のように闘おう。
 反原発闘争の勝利の道は、階級的労働組合運動を強化・発展させることだ。その前進をかけて、新自由主義と闘う6・10国鉄闘争集会に大結集し、7・16反原発10万人集会へ進もう。大飯再稼働を絶対に阻止しよう。

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週刊『前進』(2538号6面4)(2012/06/04 )

日誌'12 2012年日誌 5月22日〜28日

 

 原子力委、推進派だけで秘密会議/防衛省「黄海にイージス艦配備も」

●北朝鮮「圧力続けば対応措置」 北朝鮮外務省報道官は、北朝鮮が人工衛星ロケット打ち上げに関し、「平和的な衛星発射計画であり、核実験のような軍事的措置を予定したことはなかった」と反論、米国が圧力をかけ続けるなら「対応措置を講じる」と述べた。(22日)
●WHO、福島原発周辺の全身被曝量を10〜50_シーベルトと推計 世界保健機関(WHO)は東京電力福島第一原発事故による国内外の外部、内部被曝線量の推計結果を公表した。全身の被曝線量は、原発に近い福島県浪江町などの住民は10〜50_、それ以外の福島県は1〜10_、千葉県や茨城県などの近隣5県は0・1〜10_、東京都、大阪府など他の国内地域は0・1〜1_シーベルトだったという。(23日)
●原子力委、秘密会議で核燃サイクル報告原案書き換え 毎日新聞によると、内閣府原子力委員会は原発の使用済み核燃料の再処理政策を論議してきた原子力委・小委員会の報告案を作成するため4月24日、経済産業省・資源エネルギー庁、電気事業者ら推進側だけを集め秘密会議を開き、再処理に有利になるよう「総合評価」を書き換え小委員会に提出していた。(24日)
●福島汚染、2号機主因と東電発表
東京電力は、福島第一原発事故で大気に放出された放射性物質の総量を90京ベクレルとする試算結果を発表した。2号機からが最も多く、3号機も大量放出。高濃度汚染水の海洋漏出は「4月1日から」とした。(24日)
●エジプト大統領選、決選投票へ 24日に投票が終わったエジプト大統領選で、ムスリム同胞団は、擁立するムハンマド・ムルシ氏が首位、元首相のアフマド・シャフィーク氏が2位で、2人の決選投票になると発表。(25日)
●島サミットで日本、400億円支援を約束 「日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議(太平洋・島サミット)」は沖縄県名護市で本会合を行い、日本が今後5年間で最大5億j(約400億円)を援助すると盛り込んだ「沖縄キズナ宣言」を採択した。(26日)
●防衛省報告書案「黄海にイージス艦配備も」 防衛省は北朝鮮の人工衛星ロケット発射に関する検証報告書案をまとめた。今後、発射予告があれば朝鮮半島に近い黄海に海上自衛隊イージス艦の「発射地点の周辺海域」への配備を検討すると明記。(28日)
●海自が10年に合同演習で軍艦撃沈
東京新聞によると、米ハワイ沖で10年7月に実施された環太平洋合同演習(リムパック)で海上自衛隊の護衛艦2隻が米豪軍とともに標的の強襲揚陸艦を砲撃、撃沈した。集団的自衛権行使にあたるとの指摘が出る。(27日)
●菅前首相「国に責任」 東京電力福島第一原発事故を検証する国会事故調査委員会に参考人招致された菅直人前首相は、事故の責任が国にあるとし、「責任者として事故を止められなかったことを心からおわび申し上げる」と述べ、自身の判断の正当性を強調、東電や電気事業連合会を「原子力ムラ」と断じ、原子力安全・保安院とともに批判した。(28日)

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週刊『前進』(2538号7面1)(2012/06/04 )

 八尾北医療センター明け渡し裁判 市の暴挙退ける判決

 大阪地裁

 “団結の勝利や!”と歓声

 橋下打倒へ大きな展望開く

(写真 喜びと決意がみちあふれた勝利判決の報告集会【5月24日 大阪弁護士会館】)
 大阪市長・橋下のひざ元で決定的な勝利がかちとられた。廃院・全員解雇攻撃と闘う八尾北医療センター(健進会)が、5月24日、大阪地裁で全面勝利判決をもぎとったのだ。地元・西郡は沸きに沸いている。この地平から橋下打倒へ総決起していこう。

 八尾北労組が軸になり廃院・更地化攻撃を粉砕

 「原告(八尾市)の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」
 5月24日、大阪地裁第12民事部・高橋文■裁判長のはっきりした声が202号大法廷に響いた。「八尾北全面勝利」の判決だ。
 一瞬の沈黙の後、大法廷を埋めた傍聴団の喜びが一気に爆発した。「勝った、勝った!」「やったー」「団結の勝利や!」と歓声が上がり、拍手がわき起こった。手を取り合い、抱き合い、こらえきれず涙ぐみ、喜びの声が飛びかった。
 岡邨洋さんに対する住宅明け渡し強制執行を2度にわたって阻止した。その地平の上に、1年半にわたる「八尾北医療センター明け渡し裁判」闘争の勝利をついにもぎりとった。八尾北医療センター労働組合の絶対反対の団結を軸に、毎回大法廷を埋めつくす傍聴や300筆もの一筆署名など、職場・地域の絶対反対の団結の力がこの判決を敵に強制したのだ。大勝利だ。
 「八尾北医療センター明け渡し請求」とは、八尾市が八尾北医療センター(健進会)に土地・建物を明け渡して出ていけという、病院つぶし・全員解雇、更地化による労組破壊・拠点破壊攻撃だ。この間、新自由主義−新成長戦略のもと、次々と公立病院は民営化・閉鎖された。労働組合があらかじめ屈服し、自ら明け渡してしまったからだ。これを八尾北労組の絶対反対の団結はついに打ち破った。

 「長年の地域医療の拠点」と認定

 5・24判決は、「八尾北医療センターが長年にわたって地域医療を担ってきた医療機関」と認定し、05年4月から10年3月末までの5年の土地・建物の使用貸借契約は「無償による使用期間の終了」にすぎず、「(医療と契約は別だ、契約切れだから出ていけという八尾市の主張は)余りにも形式的で、社会通念に照らして採用の余地はなく、失当」と、八尾市の全面敗訴を言い渡したのだ。
 大恐慌と3・11情勢のもとで、新自由主義が破綻しているがゆえに支配階級は、「闘っても国や行政には勝てない」という無力感とあきらめを強制して凶暴に攻撃を貫こうとする。5・24の勝利は、これをものの見事に打ち破った。労働者が絶対反対で団結したら勝てる時代が来たのだ。
 今回の勝利は大阪市長・橋下徹(維新の会)、八尾市長・田中誠太を決定的に打ちのめすと同時に、部落解放同盟大阪府連・地区協に決定的打撃を与えている。
 八尾市の更地化=病院つぶし・全員解雇攻撃の手先となり先頭に立ってきたのが府連・地区協だ。医療センターを「売却すべき。売却後の法人を探せ」と市長に要求し、その「見返り」である利権をむさぼろうと腐敗した姿をさらけ出してきた。労組破壊の先兵として立ち現れた府連・地区協の本性を徹底的に暴く中で、八尾北労組は分断を打ち破り、団結をいっそう強く固めてきた。
 判決後の勝利報告集会で藤木好枝八尾北労組委員長は、「私たちの力が前進し団結の力が八尾市を打ち破った。地区協をぶっ飛ばし、私たちが主流派となってムラと地域と八尾市の労働者と結びつき、西郡の更地化をぶち破り、橋下打倒へと進む新しい闘いの出発だ」と確信を込めて語った。八尾北労組、西郡支部、守る会の一人ひとりが喜びと決意を語った。
 八尾北・西郡闘争が八尾市全域、全国の労働者と結びつき、橋下・田中による更地化攻撃(解雇・非正規化)を打ち破る展望を指し示した。
(写真 西郡をはじめ八尾市北部地域の唯一の医療拠点・八尾北医療センター。年間延べ5万人が診療と介護に訪れる)

 大阪都構想=道州制に労働組合の団結で対決

 5・24判決の勝利は何よりも、3・11郡山2万人決起、4・1JR検修・構内業務外注化阻止、5・5全原発停止に続く決定的勝利だ。いまや絶対反対の闘いが新自由主義攻撃を決定的にはね返し、労働者階級の総決起を生み出そうとしている。絶対反対の闘いがすべての労働者の怒りと結びつき、すべてを獲得し、すべてを奪い返す新たなステージへと突入した。新自由主義を吹き飛ばし革命まで行き着く、やむことのない闘いが始まった。 
 5・24の勝利は、こうした絶対反対の闘いが敵・権力に強制したものであり、それは労働者階級の力を表している。労働者階級の根底的怒りの爆発に対する敵・権力の破綻と動揺、恐怖の表れだ。住宅闘争、強制執行粉砕決戦、3・18全国総決起闘争という労働組合を軸とした絶対反対の闘いが、一見凶暴な新自由主義攻撃を打ち破り、その闘いがムラ全体を獲得する新たな地平をつくり出している。西郡支部1千名建設の圧倒的展望もこの中にある。
 八尾北医療センター民営化絶対反対の11年の闘いと応能応益家賃制度絶対反対の住宅闘争15年の闘いが、ムラの更地化という敵の攻撃を暴き出し、労働者・住民の怒りと結合して総決起情勢をつくり出しつつあるということだ。
 また5・24勝利は、大阪市の労働者をはじめ闘うすべての労働者階級と団結してかちとった勝利である。新自由主義の最後の突撃隊である橋下反革命に対して、強烈な打撃を与えている。
 日帝と橋下は、西郡更地化を西成更地化と併せて大阪都構想=道州制攻撃の起爆剤と位置づけている。これと正面から激突している八尾北・西郡闘争の存在は決定的だ。なぜならそれは、橋下反革命の本質を新自由主義−道州制攻撃としてつかみとり、労働組合を先頭とする絶対反対の団結で必ず打ち破れることを示しているからだ。
 大阪市職・大阪市教組・大阪市従内部からの根底的決起は、体制内指導部の屈服方針を吹き飛ばし、労働者の不屈の決起をつくり出し、緒戦の勝利と言える決定的な地平をかちとっている。

 勝利の核心は党の路線と団結力

 5・24勝利を切り開いた核心的力はなにか。それは地区党の路線的団結だ。日々の実践を地区で議論し、路線的総括で党が一致し、地区党の団結で労働組合の団結をつくり出してきた。この中で決定的だったのは、血債主義と団結破壊を内実とする体制内勢力との対決をとおして党が団結を強化し、ついにこれを打ち破ったことだ。その時、組合員・労働者の自己解放的決起が始まり、労組の団結が圧倒的に深まった。新自由主義を打ち破る労働組合の絶対反対の団結が、5・24勝利を引き出した根底的力だ。
 敵権力には新自由主義の貫徹以外に道はなく、破綻しながら突撃してくる。しかしそれは、労働者階級の怒りと団結を拡大し、資本主義の危機をいっそう促進し、敵の墓穴をより深く掘るものでしかない。
 労働者階級が勝利する時代が来た。6・10国鉄闘争大集会は、日本における労働者階級の新たな総反乱の開始だ。新自由主義との攻防の基軸である国鉄闘争は、JR検修全面外注化を10・1強行粉砕決戦で迎え撃とうとしている。国鉄決戦に勝利し闘う拠点を全国に無数につくり出そう。6・10集会に総結集し、その力で原発再稼働を阻止し、全原発の廃炉をかちとろう。
 (革共同東大阪地区委員会)
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 【表】八尾北民営化反対闘争の歴史
1951年 西郡平和診療所が開設。住民が自力で建設
1966年 幸生診療所に名称変更
1982年 八尾市が八尾北医療センターを開設。幸生診療所の医師ら職員のほとんどが移った
1997年 大阪府同和地区医療連(医療施設連絡協議会)が同和地区診療所の民間への譲渡・廃止方針を打ち出す。八尾市が市内同和地区の安中診療所を大手病院資本に経営序譲渡
1998年 大阪府が「同和地区診療所自立支援事業」で診療所の廃止・民営化方針を打ち出す。医療連最大の病院である阪南中央病院が同和予算を返上
2000年 八尾北医療センター労組結成
2003年 八尾市による八尾北医療センターへの経営コンサルタント導入と末光道正院長への「定年」退職攻撃を粉砕
2004年 阪南中央病院が民営化
2005年4月 八尾市と解同大阪府連による大手病院資本への八尾北医療センター売り渡し・全員解雇(完全民営化)を阻止
2008年3月 八尾市が議会で八尾北医療センター売却方針を表明/12月 八尾市が土地・建物の鑑定を要求。鑑定をめぐる激しい攻防に入る
2009年2月 森本政二さんへの住宅明け渡し強制執行。八尾北労組が終日ストで決起/9月 八尾北労組大会で民営化絶対反対決議
2010年3月 八尾市が八尾市営住宅機能更新計画を策定。更地化攻撃激化/4月1日 「土地・建物契約期限切れ」を打ち破り医療と介護を継続/4月21日 八尾市が5月末までの明け渡しを通告/7月八尾市が大阪地裁に医療センター明け渡しを提訴
2012年3月14・27日 岡邨洋さん宅への強制執行を粉砕/18日 西郡で全国総決起集会/5月24日 八尾北明け渡し裁判の一審判決で市の請求を棄却。全面勝利

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週刊『前進』(2538号7面2)(2012/06/04 )

 電機の大量首切り許すな

 大恐慌下に団結して反撃を

 大失業攻撃との決戦が始まった

 大失業攻撃が今、労働者階級に激しく襲いかかっている。
 その先頭に立っているのが電機資本だ。電機資本は12年3月期決算で軒並み壊滅状態に陥った。パナソニック7721億円、ソニー4566億円、シャープ3760億円と、大手3社は過去最悪の赤字を計上した。
 電機資本はこの危機をひたすら大規模な首切り攻撃でのりきろうとしている(表参照)。
 パナソニックは今年度中にグループ全体で1千人を削減し、本社要員を3〜4千人規模で縮減させる計画だ。すでにパナソニックの労働者は、今年3月末時点で1年前と比べて3万6千人も減っている。尼崎工場(兵庫県)でのプラズマパネルの生産は縮小され、液晶パネルを生産する茂原工場(千葉県)は売却された。また、今年度中にリチウムイオン電池を生産する貝塚工場(大阪府)を閉鎖し、生産設備を中国に全面移管することも検討されている。最新鋭の尼崎第3工場でのプラズマテレビ用パネルの生産はすでに中止された。
 ソニーは、今年度中にテレビ部門の労働者1万人を削減すると打ち出した。これにより、この10年間の人員削減規模は6万人に達する。
 NECは今年9月までに国内外で1万人の労働者を削減する。
 東芝は深谷工場(埼玉県)でのテレビ製造を停止し、国内でのテレビ生産から撤退した。
 半導体大手のルネサスは、1万2〜4千人規模の人員削減を柱とした経営再建策を策定した。鶴岡工場(山形県)の売却も検討の対象だ。
 これは、労働者階級を襲う首切り攻撃の一端に過ぎない。重層的下請け構造の中で、さらに膨大な非正規職労働者が解雇に直面している。
 しかもこれは、本格的な大失業攻撃の端緒と言うべきものだ。震災情勢下、資本は08年のリーマンショック後の大量首切りを超える大攻撃に乗り出そうとしている。反緊縮のデモが激発する欧州と同様、大失業と対決する決戦の時が到来した。

 国境またぐ激烈な外注化の攻撃

 電機産業の崩壊は、大恐慌のただ中で、テレビ部門を中心に韓国や台湾メーカーとの価格競争に敗れたためと言われている。昨年の薄型テレビの世界シェアは、1位サムスン電子(23・8%)、2位LG電子(13・7%)と上位を韓国資本が独占し、それに後れをとって3位にソニー(10・6%)、4位にパナソニック(7・8%)が位置している。
 韓国製テレビと言っても、その組み立て工程のほとんどは中国で行われている。EMS(エレクトリック・マニュファクチャリング・システム)と呼ばれる、国外の低賃金労働力を搾取しての丸投げ外注化方式こそ、低価格の源泉だ。日帝資本がこれと対抗しようとすれば、同じように国境を越えた外注化に徹底して踏み込む以外にない。
 薄型テレビに使用される液晶パネルの生産で「先駆者」の位置を誇ったシャープも、空前の赤字に転落する中で、台湾の鴻海(ホンハイ)グループに救済を求めざるをえなくなった。EMSの受託企業として最大手と言われる鴻海が、今やシャープの筆頭株主だ。
 鴻海はシャープ堺工場で生産された液晶パネルの半分を引き取り、それを世界中から受注した受託生産の部品として使う計画だ。しかも、その組み立て工場は中国にある。まさに国境を越えた重層的な下請け構造だ。
 国境をまたいで展開される資本の外注化競争が、大失業攻撃に拍車をかけているのである。

 新自由主義のうそは暴かれた

 

自動車資本と並んで電機資本は、日本帝国主義の製造業の「国際競争力」を象徴する存在だった。その電機資本の今日の惨状は、日帝の没落を示して余りある。
 これは階級支配の決定的な破綻を日帝に突きつけている。「官より民」「民営化すればすべてうまくいく」というのが新自由主義の基軸的イデオロギーだ。「公共部門は赤字を垂れ流すだけだが、民間企業は立派に利益を上げている」と、支配階級はこの数十年間、言い続けてきた。そのモデルとなっていたのが、自動車資本と電機資本だ。だが、今やこれらは大赤字を生み出すだけの存在になり果てた。
 この数年、電機資本は家電エコポイント制という国家の補助金にすがって生き延びてきただけだ。「自由競争」だの「自己責任」だのという新自由主義の言い分がうそであることは、すでに暴かれている。
 だから支配階級は、大阪市長・橋下を先兵に、ただただ公務員労働者に理不尽な恫喝を加えるほかになくなったのだ。
 6・10国鉄集会に結集し、大失業と立ち向かう階級的団結を固めよう。外注化・非正規職化の攻撃に労働者の国際連帯で反撃しよう。闘えば勝てる時代が来ているのだ。
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 【表】電機各社の人員削減計画

パナソニック
 今年度中にグループ全体で1千人の削減
 本社要員を3千〜4千人規模で削減

ソニー
 今年度中に1万人の削減

NEC
 9月までに国内外で約1万人の削減

ルネサス
 1万数千人の削減

リコー
 2014年までに1万人の削減

オリンパス
 国外を中心に2500人超の削減

TDK
 2013年までに1万1千人の削減

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週刊『前進』(2538号7面3)(2012/06/04 )

 全関西狭山集会 “全証拠の開示を”

 労働運動の力で勝利へ

 5月23日、八尾市西郡第3集会所で全関西狭山集会が開催された。部落解放同盟全国連西郡支部、八尾北医療センター労組、関西労組交流センターの共催で105人が結集した。
 集会は、西郡支部と八尾北労組の司会のもと、49年にわたって国家権力と不屈に闘う無実の石川一雄さんのアピールの読み上げから始まった。
 石川さんの決意を受けて岡邨洋西郡支部長が基調報告を行った。「狭山闘争は国鉄、反原発闘争とともに新自由主義を打ち倒す最前線の闘いです。部落差別を切っ先に労働者を分断し、全員解雇・非正規化にたたき込む橋下の道州制・更地化攻撃を粉砕する力もここにある」と核心を提起した。そして「石川さんとともに労働組合、労働運動の力で全証拠を開示させ、狭山第3次再審勝利へ総決起しよう」と訴えた。
 さらに二つの点を明らかにした。岡邨さん自身への強制執行を粉砕した2回の闘いと3・18全国総決起闘争は、1〜3月決戦と一体でかちとられた勝利であること。更地化絶対反対へムラぐるみで闘う八尾北・西郡闘争が、大阪市職の労働者、教育労働者の闘いと結びつき橋下を打倒する最先頭の闘いであること。そして「絶対反対で闘い、団結を拡大すれば勝利できる」と力強く宣言した。
 また、更地化と労組破壊の手先・部落解放同盟大阪府連を弾劾し、新自由主義と闘う新たな解放運動をつくり出そうと訴え、次のように方針を提起した。「6・10国鉄闘争全国集会へ総力決起し、今秋の国鉄・原発・橋下打倒へ突き進もう。八尾市で働く自治体労働者、非正規の労働者の組織化に打って出よう。住宅裁判の分断を許さず統一裁判をかちとろう。7月22日の西郡支部大会、支部1千名建設を闘いとろう」
 これを受けて南谷哲夫関西労組交流センター代表、関西合同労組大阪東部支部、豊中市の自治体労働者、東大阪市教組の教育労働者、国労組合員、婦人民主クラブ全国協関西ブロック、全学連が決意表明を行った。
 国労組合員は、「動労千葉の外注化阻止の勝利は、全労働者に襲いかかる外注化・9割非正規化攻撃にどうしたら勝てるのかを示した。国鉄闘争全国運動はこの攻撃と闘う労働組合、労働者が総結集して新自由主義攻撃を粉砕する砦(とりで)だ。闘いを爆発させ革命をたぐり寄せよう。総力で6・10集会に駆けつけよう」と訴えた。
 西郡支部からは、6月に明け渡し裁判を闘う支部員が「八尾北・西郡闘争の勝利で狭山再審を。石川さんと星野文昭さんの闘いは一体だ」と狭山闘争の勝利と星野さん奪還への決意を表明した。
 灰垣美佐子八尾北労組書記長は、翌日の八尾北裁判判決闘争への総決起を訴えた。そして、「体制内勢力との党派闘争を闘い、八尾市の労働者全部と結びつくところに来た。橋下大阪市長と田中八尾市長を打ち倒す、革命に向けた団結をつくる。八尾北を闘う拠点としてうち固め、関西の労働運動を塗り替える闘いに打って出る」と戦闘宣言を発した。
 最後に住宅明け渡し裁判を闘う当該の音頭で団結がんばろうを行った。
 (西郡支部・植村清)
(写真 「狭山勝利・橋下打倒を」。灰垣八尾北労組書記長が翌日の裁判への総決起を訴えた【5月23日 八尾市】)

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週刊『前進』(2538号8面1)(2012/06/04 )

 暴処法判決 「全員無罪」は団結の力

 法大−全国学生運動の金字塔

 「被告人は無罪」。5月31日、法大暴処法弾圧裁判の判決公判で、東京地裁刑事第1部の若園敦雄裁判長が主文を読み上げた瞬間、429号法廷は被告団5人を先頭に歓喜の渦に包まれた。国家権力(警視庁公安部)と法大当局が一体となって行った「暴力行為等処罰ニ関スル法律」による未曽有のデッチあげ弾圧を完璧(かんぺき)に粉砕したのだ! 法大闘争と2012年決戦の大爆発への号砲だ。
 法大暴処法弾圧とは、法政大学の門に掲げられた学生排除のための看板を「共謀して壊した」として、09年5月15日に11人の学生を不当逮捕(うち5人を起訴)したものだ。判決は「監視カメラの画像を見ても5人が損壊したと認定するには疑いが残る」として検察側の主張を排除し、さらには検察のつくり上げた「事前共謀」「現場共謀」という虚構のストーリーも否定した。
 被告団の完全黙秘・非転向―8カ月に及ぶ獄中闘争、弁護団の法廷闘争、そして全国からの圧倒的な支援によってたぐり寄せた完全勝利だ。5人の仲間は法大闘争と全国学生運動のリーダーだ。指導者を狙い撃ちして運動を壊滅させるという敵の浅はかな願望は破産したのだ。
 判決後、弁護士会館での報告集会がものすごい高揚感でうち抜かれた。法大裁判弁護団長の鈴木達夫弁護士が「3・11後のこの時代に、法大で無罪をかちとった意義は大きい。全労働者・学生の怒りと思いが429号法廷に凝縮した」と語り、被告団長の織田陽介君(前全学連委員長)は「暴処法は闘いの弾圧のみが本質だからこそ、そこに弱点がある。団結をうち固めれば絶対に勝てる」と勝利の意義を明らかにした。恩田亮君(法大文化連盟副委員長)は「全国に法大の闘いと学生運動を広げよう!」と力強く宣言した。
 暴処法弾圧の粉砕と無罪戦取は歴史的意味をもっている。法大において6年超にわたってかけられた「119人の逮捕―33人の起訴」という前代未聞の弾圧体制そのものをなぎ倒す金字塔であり、国家権力と法大資本の不当性を暴き出し、法大生と全国学生がキャンパスを奪還し学生権力を樹立する反転攻勢に打って出る突破口だ。
 国家権力が09年5月の暴処法弾圧に走ったのは、直前の4・24法大キャンパス集会が暴力的圧殺体制を打ち破って1千人の規模で大爆発したことに対する支配階級の恐怖だった。今回の無罪判決は闘う法大生に勇気を与え、09年「4・24」を5倍、10倍する闘いを実現していくだろう。新自由主義攻撃とその一環としての弾圧がいかにデタラメであり、破産的か。労働者・学生が団結して反撃した時にもろくも崩れるものなのだ。
 法大闘争は本年4・19デモ弾圧粉砕(学友A君を5月10日に完黙・非転向で奪還)に続く無罪判決で大進撃している。3万法大生の決起は不可避だ。法大当局の責任徹底追及とすべての不当処分の撤回、増田総長体制打倒へ突き進もう。
 日本学生運動の歴史的高揚へ! 京都大全学自治会樹立をかちとり、6・10国鉄集会―7・16反原発10万人集会へ!
(写真 無罪判決をかちとった織田陽介前全学連委員長ら5人の被告団と弁護団【5月31日 東京地裁前】)

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週刊『前進』(2538号8面2)(2012/06/04 )

 金属労組KEC支会 75人全員が職場復帰へ

 世界変える日韓労働者の共闘

 この力で6・10国鉄集会へ

 5月30日夜、韓国から大ニュースが飛び込んだ。韓国・民主労総金属労組KEC支会が75人の整理解雇撤回をかちとったのだ! KEC支会が5月21〜25日に取り組んだ日本遠征闘争は、民主労総ソウル本部の仲介で動労千葉が受け入れ、全面的に支援した闘いだ。動労千葉を先頭に全国労組交流センターの金属労働者、合同・一般労組全国協のなんぶユニオン、東京西部ユニオン・鈴木コンクリート工業分会、さらに郵政非正規ユニオンや東京北部の精研労組などが連日、支援・連帯闘争を闘った。日韓労働者の共同闘争が資本を追い詰めたのだ。国際連帯と階級的労働運動は世界を変える力を持っている。この力で6・10国鉄大集会を成功させよう!
(写真 「KECの疑わしい内部取引を告発する!」と書いた横断幕を広げ記者会見を行う民主労総金属労組KEC支会【5月7日 韓国・大邱雇用労働庁前】)
 全国金属労組亀尾(クミ)支部KEC支会(ヤンテグン支会長、組合員190人)は、慶尚北道亀尾市にある半導体製造メーカーKECで整理解雇撤回を闘う労働組合だ。さらに労組はKECの不法派遣、偽装派遣を暴いて闘っている。KECの背後には韓国最大の労組弾圧企業サムスンがいることも明らかになっている。KEC支会は、亀尾サムスン電子工場の社内下請け労働者とともにサムスンに労働組合の旗を立てようと奮闘している。
 KEC資本は2009年から赤字経営だとして賃金カットを行い、整理解雇攻撃に出てきた。これに対し労組は10年6月ストライキに突入! 会社側は工場を閉鎖し、夜中に600人もの暴力ガードマンで女性労働者を宿舎から追い出すなど激しい弾圧に出た。労組はひるまず工場占拠など実に333日のストライキを闘った。
 昨年5月、労組はストをやめ、職場復帰を決めたが、資本は組合員を生産現場に戻さず、労組活動の度合いに応じて組合員にオレンジ、黄、青のシャツを着せ、反省文を書かせるという「教育」を実施するなど、執拗(しつよう)な労組解体攻撃を加えた。その一方で一部の労組幹部を取り込んで御用労組をつくり、KEC支会から交渉権を奪ったのだ。
 それでも労組をつぶせないと見るや、KECは今年1月13日、全労働者の20%に当たる166人に整理解雇を通知し、2月24日に75人を解雇したのである。
(写真 「KECの疑わしい内部取引を告発する!」と書いた横断幕を広げ記者会見を行う民主労総金属労組KEC支会【5月7日 韓国・大邱雇用労働庁前】)

 元は「韓国東芝」

 亀尾市は朴正煕(パクチョンヒ)元大統領の生地で最大の地盤だった。ここに1965年日韓条約の後、韓国最大の工業団地が造成され、1969年9月にいわば国策会社として設立された「韓国東芝」が、74年に韓国電子株式会社(KEC)に社名変更した。
 今回、東芝本社を訪問した際、KEC支会のオムジョンフン教宣部長は「KECは、韓国では今も東芝という名前で認識されている。KECの非人間的行動は東芝がやっていることだと目に映る」と、くぎを刺した(原発メーカー東芝は日本でも怒りの的だ!)。
 KEC支会は今春、KECが非上場の海外企業を通じ、資金を横流ししている証拠をつかんだ。今回の日本遠征闘争は、東京・五反田にある日本子会社=TSジャパンを抗議訪問するとともに、取引企業各社にKECの労組弾圧の実態を伝え、「熟練した労働者が解雇され、製品の品質が低下している」と、KECに圧力を加えるためだ。
 KEC会長の郭正昭(クァクチョンソ)は日本で生まれ育った在日韓国人2世であり、創業者の郭泰石(クァクテソク)の後継として87年にKEC社長に就任。87年、韓国は民主化闘争と労働者大闘争の大高揚を迎えていた。KEC労組も88年9月に結成されている。
 郭正昭は会長となった後も、日本だけでなく香港や中国に系列子会社を広げ、妻などを社長に配し、KECグループ会長として資金の流れを操作してきた張本人だ。労組は「在日韓国人本国投資協会長のKEC郭正昭会長が日本に横流しした財産は、われわれの血と汗でつくったものです」と弾劾している。
(写真 KEC日本子会社TSジャパン抗議訪問に動労千葉青年部、なんぶユニオンなど30人が結集【5月22日 東京・五反田】)

 労組主導で交渉

 日本遠征闘争を終えて帰国後、会社側との交渉が劇的に動き出した。31日にはKECの不当労働行為および不当解雇の件で慶北(キョンブク)地方労働委員会の初審判が予定されていた。
 KEC支会が「社長が出てこない交渉は意味がない」と強く主張するのに対し、会社側は交渉相手として全国金属労組委員長を指名して事態の打開を図ってきた。KEC支会は「金属労組委員長が出ていくからには、郭正昭会長が出てこい!」と要求を突きつけた。
 この結果、29日に社長との交渉が実現した。席上、労組は解雇撤回を含む交渉案を提案、到底受け入れられないとする会社側に労組は「受け入れないならば、郭正昭会長のペーパーカンパニーをすべて公開する」と突きつけた。交渉決裂かという攻防が続く。さらに会社側は2月に御用労組との間で妥結した合意内容(賃金削減、2組2交替制への転換など)が全組合員に適用されるなどと強弁し、これを支会が拒否。交渉は決裂寸前となった。
 ところが30日午後、KECは突然、「経営上の整理解雇者75人に対し31日付で解雇を撤回し、6月5日から全員復職させる」と発表したのだ。
 KEC支会のヤンテグン支会長は「整理解雇撤回を要求してしぶとく闘ってきた組合員たちがかちとった成果だ」と勝利を確認した上で、10年に工場占拠ストライキで懲戒解雇された20人の解雇撤回や賃金削減、交替制問題など闘いはこれからだとし、「亀尾工場をつぶそうとする者の陰謀を徹底して明らかにし、労働者の権利を守りきるまで闘う」と宣言した。

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週刊『前進』(2538号8面3)(2012/06/04 )

 5・21〜25 鈴コン分会などと連日闘い

 資本を追いつめる

 「TS−Japanに横流しした金はKECの労働者の血と汗だ」と日本語で書かれたピンクのゼッケンを付けた3人のKEC被解雇者とともに東京で5日間の連続闘争が闘いぬかれた。
 「5・21裁判員制度廃止!全国集会」参加を皮切りに、22日からKEC子会社への抗議訪問、さらにKECの取引先であるソニー、デンソー、東芝、三菱電機などを回り、KECによる労組弾圧の実態を具体的に明らかにするとともに、日韓労働者の団結した闘いを見せつけた。
 24日には東京北部地域の拠点組合である精研労組がある東京武蔵野病院を動労千葉の長田敏之書記長とともに訪問し、12春闘勝利・非正規職化阻止のストライキ闘争中の精研労組と感動的な合流を果たした。
 オムジョンフン教宣部長は「私たちの組合も30代前半の女性が組合員の3分の1。10年のスト中に会社が食堂を外注化しようとしていることが分かり、闘って阻止した」と報告。また「精研労組では正規職と非正規職の労働者が力を合わせて闘うことで団結力が強くなった」との組合員の話を聞き、「日本では少数の組合でも目標を持って団結して闘っている。本当に学ぶところが多い」と語った。「日本でも韓国でも労働者はみんな同じ攻撃と闘っているんだ」とみなが実感した。
 25日朝、KEC労働者は板橋区浮間舟渡で鈴木コンクリート工業分会の社前闘争に決起した。
 吉本伸幸書記長が資本を弾劾し、労働者に団結を訴えたのに続き、マイクを握ったオムジョンフン教宣部長が「労働者はみんな労働組合に入って闘おう!」と呼びかけた。熱を込めたアピールは30分を超えた。解雇撤回まで闘いぬくことを誓い合った鈴コン闘争がKEC支会の日本遠征闘争の締めくくりとなった。
(写真 〈上〉スト中の精研労組を激励訪問したKEC支会と動労千葉の長田書記長【24日 板橋区】〈下〉鈴木コンクリート工業分会の社前闘争に参加。吉本書記長がアピール【25日 浮間舟渡】)

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週刊『前進』(2538号8面4)(2012/06/04 )

 国際労働運動 7月号

 欧州諸国で政権崩壊

 5月6日、フランス大統領選挙で、新自由主義的な緊縮財政を牽引(けんいん)してきた現職のサルコジが敗北した。同じ日、ギリシャ総選挙では連立与党が3割の支持しか得ることができず、敗北した。欧州では昨年来、9カ国で政権が崩壊した。まさに革命情勢だ。欧州諸国は昨年末以来、リーマン・ショック並みの金融危機・財政危機に陥っている。この中で緊縮策に対する労働者人民の怒りが爆発している。「賃下げ、増税で生活できない」「財政危機の責任は1%の資本家と政府にある。99%の労働者に押しつけるな」の怒りと闘争があふれている。
 「緊縮策に怒り爆発/全欧州が革命情勢」と題した特集は、この情勢と闘いを展開している。
 第1章は、世界恐慌の最先端にある欧州金融恐慌爆発が示しているEU・ユーロの構造的矛盾に切り込んでいる。第2章は、世界大恐慌によるEU・ユーロの解体的危機がドイツ帝国主義の存亡の危機としてあること、そこにおける革命的メーデーの意義を明らかにしている。第3章は、米帝の欧州MD配備がロシアとの緊張を高めていること、ロシアのプーチン体制長期化の反人民性を明らかにしている。
 次号は、全48nの「原発大特集」を2週繰り上げて発行する。請うご期待!

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