ZENSHIN 2012/04/16(No2532 p06)
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週刊『前進』(2532号1面1)(2012/04/16 )
戦争、原発、大失業、大増税の攻撃に 国鉄全国運動で反撃しよう
新自由主義・野田政権打倒し青年を先頭に非正規職撤廃へ
4・19法大デモ−文科省行動に立とう
(写真 「再稼働とめて全部廃炉だ!」。降りしきる雨をものともせず国会デモに立つNAZENの隊列【4月11日 東京・霞が関】)
絶望的凶暴化を深める野田政権による消費大増税と原発再稼働の策動、ミサイル迎撃態勢突入=朝鮮侵略戦争体制構築の攻撃に、今や労働者階級人民の怒りは沸騰点に達している。これと真正面から対決する闘いと階級的労働運動路線の白熱的前進が、新たな階級闘争の時代を切り開きつつある。4〜6月決戦は、1〜3月の画期的な勝利の地平を打ち固め、国鉄決戦−国鉄闘争全国運動の発展を基軸にして、新自由主義の絶望的凶暴化を打ち破る歴史的な決戦である。既成の一切の勢力・党派の屈服と瓦解(がかい)をのりこえ、党派闘争の新たな激化に勝ち抜き、総決起しよう。
6・10大結集の闘いが4〜6月決戦のベース
まず何よりも、国鉄闘争全国運動の前進と6・10国鉄大集会の成功をかちとり、2012年前半決戦の勝利を確定し、11月集会大結集への道を切り開くために闘おう。
国鉄闘争全国運動をあらゆる職場・学園・地域に持ち込み、全国で6・10大結集運動を組織し、それを一切のベースに4〜6月決戦に総決起しよう。国鉄全国運動の発展と6・10大結集運動で原発再稼働、消費大増税、労働者全員解雇=非正規職化、戦争・改憲の日帝・野田政権を打倒し、2012年決戦の巨大な勝利へと進撃しよう。
4〜6月決戦の本格的爆発を展望した時、あらためて3・11福島(郡山)大闘争と4・1外注化を阻止した動労千葉の闘い、これを頂点とする1〜3月決戦の感動的勝利の地平をがっちり確認することが決定的だ。
その上で世界大恐慌の激化と3・11大震災−原発事故は何をもたらし、何を生み出したか。それは何よりも戦後体制下の一切の既成の価値観を崩壊させた。そして大破産した資本主義・帝国主義に代わる新たな社会の構築へと進む闘いの開始、プロレタリア革命の勝利へ総決起していく歴史的転機となった。
原発再稼働と大資本の「復興」が一切に最優先
この一方で、3・11から1年以上を経過した被災地の現実は、労働者人民の生活と地域の再生などそっちのけで、一切が新自由主義と独占金融資本の復興・延命のための「サプライチェーン再建」の優先であり、「特区」攻撃であり、そして原発推進体制の維持と原発再稼働策動という許し難い状況にある。
とりわけ福島の200万県民に対して、原発事故収束の何の展望もないまま、平然とうそとペテンで情報を隠し、高放射線量のもとに放置し、棄民化する攻撃が加えられてきた。放射能汚染から子どもを守るために必要な措置も、診療も治療も、「安全」「大丈夫」の合唱と住民分断のもと、すべて放棄されてきた。市や町や村、山や田畑や川や海に降り注いだ放射能の本格調査も、除去も、抜本対策も、何ひとつ行われてはいない。
それどころか、福島第一原発は今も放射性物質を出し続け、いつ再臨界や使用済み核燃料の溶融が起きてもおかしくない。それなのに「もう大丈夫」と高濃度汚染の避難地域への帰還が強行されている。日帝政府・行政、東京電力、原子力村のやっていることは、チェルノブイリ原発事故の時にソ連スターリン主義がやったことよりも危機的、反人民的だ。
だが脱落日帝と野田政権は、大恐慌と原発事故から逃れられず、危機打開も不可能であるがゆえに、消費大増税、原発再稼働、そして戦争・改憲攻撃で絶望的に突破しようとあがきにあがいている。しかし日帝ブルジョアジーは、経済・政治・軍事の全面で、帝国主義日本を再生する力などもう失っている。
3・11郡山での“原発いらない”“再稼働やめろ”の1万6千人決起と全国各地での10万人決起は、労働組合と労働運動をめぐる闘いを基礎とした反原発闘争の歴史的高揚であり、巨大なうねりであった。
国労郡山工場支部は国鉄を始め全国の仲間に、「労働組合と市民がひとつとなり、福島と全国の怒りが一つになって、開成山公園に2万人が集まれば、政府・東電に責任を取らせる闘いや、原発をとめる闘いの大きな力になっていくはずです。職場での議論をつくり運動をつくり、組合旗を掲げて開成山球場に結集してください」とアピールを発し、3・11大成功の先頭に立った。この決意をさらに実践し発展させて4〜6月決戦を闘おう。
全労働者の反乱組織し4・1検修外注化を阻む
国鉄1047名解雇撤回闘争に加えられた一昨年の4・9「政治和解」攻撃を打ち破ってきた闘いが、3・11情勢との対決を根底で可能にした。3・11直後のすさまじい階級圧殺、「政治休戦」と「挙国一致」の攻撃は、4・9反革命を土台とすることなしにはありえなかった。
連合中央などの帝国主義的労働運動が率先協力しただけではない。1980年代以来の労働運動解体攻撃に抗して唯一残った全国的闘いの拠点であった国鉄1047名闘争の解体攻撃、これへの体制内労働運動指導部の総屈服は、資本の攻撃に対して立ち上がることすらできない状況に、すべての労働組合をたたき込むものだった。
この4・9反革命を真っ向から打ち破る国鉄闘争全国運動の結成と発展が、3・11情勢下の一大反革命に対しても真正面から立ち向かう力をつくりだしたのだ。動労千葉、動労水戸、国労共闘を始め全国の国鉄労働者の不屈の闘いの存在と前進がこのことを体現している。
民営化・外注化・非正規職化という最先端の新自由主義攻撃との闘いは、世界の労働者が今日直面している最大の決戦課題だ。これに対し動労千葉、動労水戸を先頭とする闘う国鉄労働者は、この攻撃を核心において打ち破る闘いの方向を完全に指し示してきた。
民営化の核心は外注化にあり、外注化とは非正規職化だ。しかもそこにはほとんどすべて偽装請負の構造が存在し貫かれている。今やこのことが完全にはっきりした。正規職を排除し無権利で超低賃金の非正規職に追い込む外注化は、資本が最小の賃金コストで最大の利潤を獲得することを目的としている。だがこれは同時に資本にとって最大の弱点をなす。労働組合がこれと真正面から対決し、外注先の労働者とともに団結して決起するなら、偽装請負の不当性、違法性は明白となり、外注化自身が困難化、不可能化するのだ。
動労千葉は検修外注化を3年連続で阻止し、動労千葉組合員のみならず国労や東労組の組合員も巻き込んだ階級的団結の力をもって、新自由主義攻撃を打ち破ってきた。このことの意義は決定的である。
4・21尼崎事故弾劾闘争に全国から決起を
動労千葉が切り開いてきた外注化攻撃粉砕の闘いは、同時に非正規職化をその根幹で阻止し打ち砕く闘いとして、非正規職撤廃闘争の大爆発への巨大な突破口を開いた。
それは郵政非正規ユニオンや東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の仲間の闘いに引き継がれ、さらに大きく発展している。この闘いは、合理化攻撃と対決できずにきた戦後労働運動の限界を、反合・運転保安闘争路線の確立に続いて、最も決定的な思想と路線の確立で突破するものである。
被曝労働から青年労働者を守り、地域住民を守るための動労水戸の闘いは、職場の全労働者が生きるための決起であり、だからこそ組合の枠を越えて職場の全労働者の魂をとらえ、地域住民の中に労働組合への大きな信頼を呼び起こしている。こうして今や労働組合をよみがえらせる闘いが力強く始まったのだ。
さらに動労千葉、動労水戸の闘いに続く国労郡山工場支部の闘い、米子での偽装請負告発の闘いなどを先頭とする国労共闘の決起、動労西日本の契約社員制度撤廃の闘い、国労5・27臨大闘争弾圧裁判闘争の勝利の地平、和解を拒否して4・9反革命粉砕へ不屈に闘う国労闘争団員による国労の組合員資格確認を求める闘い、これらが国労本部・国労顧問弁護団を徹底的に追いつめ、いよいよ決定的な段階を迎えようとしている。
今やこれらすべてが「国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回、新自由主義と闘う労働組合をつくろう! 6・10全国集会」の結集へと結実しようとしている。6・10大集会は、「千葉動労のような労働運動をめざして職場の労働運動を建設することが一番大事……勇躍『新自由主義反対闘争呼びかけ人』として、できるだけの活動をしたいと思っております」(元国労新鶴見操車場分会長・佐藤功一さん)という全国の職場の労働者の思い、「被災地を大資本独裁下に置く復興特区攻撃は絶対に許せない」という被災地の仲間の気持ち――それらをひとつに結びつける歴史の転換をかけた大集会だ。
大阪・橋下反革命との激突を始め、新自由主義の絶望的凶暴化との闘いに勝ち抜き、4〜6月決戦と6・10大集会へ、地区党と革命的拠点建設の飛躍をかけて闘おう。
そこに向け、4・19法大デモ−対文科省行動、4・21尼崎事故弾劾闘争、4・28沖縄・憲法集会、そして「復帰40周年」の5・15沖縄現地闘争の爆発へと総決起しよう。
(写真 「4・9反核燃の日」の闘い高揚 〈上〉青森・全国から労働者が結集し、「4・9反核燃の日」全国集会が大勝利した【4月7日 青森市】〈下〉40人のNAZENの仲間が青森県六ケ所村内で歴史的なデモを行った【4月8日】=記事4面)
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週刊『前進』(2532号1面2)(2012/04/16 )
“大飯原発再稼働させない”
4・11日比谷 福井と結び700人緊急行動
大飯原発の再稼働絶対阻止! 全原発を廃炉に! 地元福井での闘いと結合した怒りのデモが本降りの雨を吹き飛ばして国会を包囲した。関西電力東京支社と東京電力本店を直撃し「再稼働をやめろ!」「福島を返せ!」と迫り、野田政権を徹底的に追い詰めた。
4月11日、マスコミは枝野経産相が13日にも福井に乗り込もうとしていると一斉に報道した。先立つ9日には経団連会長の米倉が「政治判断しろ」と野田をけしかけた。断じて許さないとの決意に燃えて、労働者・労働組合を先頭に700人が日比谷公園での「原発ゼロへ!止めよう再稼働4・11アクション」集会(「再稼働反対!全国アクション」呼びかけ)に駆けつけた。
午後6時から始まった集会には、福井県若狭町で再稼働と闘う住民が携帯電話を通じてアピール。原発城下町で生きる苦悩と決意に触れた参加者は怒りを倍加させ、デモに出発。国会周辺でのマイク規制にもかかわらず、NAZEN隊列から途切れることなく発せられるコールが全体を奮い立たせた。議員会館前での「請願行動」では「再稼働は第2のフクシマを繰り返すこと。推進する者は刑務所へ!」と激しい怒りをたたきつけ、原子力村に巣くう連中を震え上がらせた。これが全労働者人民の声だ!
泊原発停止まで残り1カ月を切った。大飯原発再稼働を許さず、野田のあがきに断を下そう。4・19法大−文科省行動に結集しよう。
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週刊『前進』(2532号1面3)(2012/04/16 )
前進速報版
▼沖縄県委員会からの緊急アピール▼中国・重慶で数千人が暴動的決起▼再稼働を止める!原爆ドーム前でも女たちのリレーハンスト
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週刊『前進』(2532号1面4)(2012/04/16 )
【要項】 尼崎事故弾劾 4・21全国総決起集会
尼崎事故弾劾 4・21全国総決起集会
●尼崎事故弾劾! 反合理化・運転保安確立!
●外注化阻止・非正規職撤廃! 国鉄1047名解雇撤回!
●国鉄闘争全国運動で労働運動をよみがえらせよう!
4月21日(土)午後1時 JR尼崎駅北口広場
よびかけ 国鉄千葉動力車労働組合/国鉄闘争全国運動・関西準備会
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週刊『前進』(2532号2面1)(2012/04/16 )
JR大再編情勢に切り込む4〜6月国鉄決戦に立とう
6・10集会の圧倒的成功に総力を
革共同国鉄委員会
全国で闘われた4・1対JR行動は、国鉄決戦を軸とする民営化・外注化阻止、非正規職撤廃、反失業闘争を集大成し、6月10日の国鉄闘争全国運動集会の歴史的成功に向けての第一歩となった。JR東日本の検修外注化を阻止した国鉄決戦の一層の発展は、非正規職化の攻撃にさらされ、半失業状態にたたき込まれた膨大な青年労働者たちに希望を与え、確実な道しるべになる。そこに6・10集会の決定的な意義がある。階級的労働運動再生の闘いの先頭に国鉄労働者が立とう。
(写真 国鉄分割・民営化25周年に全国で4・1対JR行動。1047名解雇撤回、外注化阻止・非正規職撤廃の訴えに、多くの青年が署名に応じた【新宿駅南口】)
反原発の闘いと結合し検修外注化阻止しぬく
2010年の4・9政治和解から2年を経て、日本の労働運動は大きく様変わりした。
福島県教組と国労郡山工場支部、福島の女性たちの踏ん張りを先頭にかちとられた3・11福島県民大集会の圧倒的な成功は、国鉄闘争と反原発闘争が完全に一体であることを突き出した。これは、朽ち果てた新自由主義に最後のとどめを刺す決定的な闘いだ。
3・11集会は「復興」を掲げた反原発闘争の圧殺を許すのか否かの決戦だった。福島県民には高放射能、低線量被曝、内部被曝の危険が激しく襲いかかる一方で、放射能被害を語ることさえタブー視される耐え難い現実がつくり出されている。これを突き破る労働者階級人民の決起が始まったのだ。福島の怒りは根源的であり、それは体制内派の枠をぶち破るものとして噴出した。
これとともに、労働運動の主導権を誰が握るのかの大党派闘争も開始された。国鉄決戦は、3・11の大高揚に引き寄せられたJR総連カクマルや国労本部などとの激突過程に入ったのだ。
反原発は今や労働運動の中心的課題だ。原発を巡ってどういう態度をとるのかが、労働組合内部の権力闘争として闘われている。反原発は、体制打倒の階級的立場がない限り貫けない。
JRは野田政権や東京電力と一体化し、原発事故「収束」を演出するために、労働者に被曝労働を強いて放射能汚染地域での列車運行を強行している。これと徹底的に対決し、被曝労働拒否を労働組合運動そのものとして闘っている動労水戸や国労郡山工場支部の闘争は、青年労働者を吸引する深く大きな力を持っている。
反合・運転保安闘争路線貫き
JR東日本がたくらんだ検修業務外注化の4月1日実施は、動労千葉の組織を挙げた徹底抗戦によって阻まれた。
この闘いは、東労組と国労エリア本部が「妥結」しても、現場では外注先と委託契約が結べない状況をつくり出し、JR東日本の全管内で検修外注化を止めたのだ。
外注化阻止闘争は、労働者の非正規職化に立ち向かい、仲間と後輩に労働現場を残すという階級の利害をかけた闘いだ。動労千葉は、10年に及ぶ外注化阻止の闘いの上に、平成採用の青年労働者を組織する組織戦に勝利した。さらに、偽装請負徹底追及をも駆使し、この地平を切り開いた。
その根底には、安全を武器に鉄道労働者の誇りと共同性・団結を取り戻す反合理化・運転保安闘争路線の実践がある。外注化を阻止した3〜4月国鉄決戦は、全産別で新自由主義と外注化を逆包囲する労働組合運動の発展の可能性を示した。
日本における新自由主義は、87年の国鉄分割・民営化から始まった。JR資本はJR総連カクマルとの癒着・結託体制を形成し、「労働組合の合意」という形をとって外注化攻撃を進めてきた。この中で国労本部も資本の攻撃に屈し、00年の4党合意から02年の国労5・27臨大闘争弾圧を経て、10年の4・9政治和解に行き着いた。
国鉄闘争全国運動は、この攻撃の総体と対決し、それを覆す闘いだ。新自由主義の攻撃の軸をなす外注化は、労働組合の体制内幹部が手先とならなければ貫徹できない。だからこそ4・9政治和解を打ち破って国鉄闘争全国運動が継続されたことが決定的なのだ。
労働運動の主導権を巡る闘いこそ、新自由主義を覆す決戦場だ。
新自由主義との攻防の先端でJR体制と闘う
国鉄決戦は再び階級攻防の焦点にせり上がっている。
大阪市長の橋下と維新の会は、公務員労働者を全員解雇する攻撃に乗り出してきた。大阪府の改悪分限条例は、自治体業務を民営化する場合、職員に業務の譲渡・移管先での就職の機会さえ与えれば、分限免職できると規定した。国鉄分割・民営化時の国鉄清算事業団におけるペテン的な「再就職措置」のようなことさえせず、公務員労働者をどしどし首にするというのだ。
こうした攻撃が始まる中で、国鉄闘争全国運動が「国鉄闘争の火を消すな」と1047名解雇撤回闘争を貫いていることは決定的な意味を持つ。
JRを巡っても、さらなる決戦局面に突入した。JR東日本は、検修業務の外注化を阻止されながらも、駅業務の全面外注化に乗り出している。JRは駅業務外注化の提案理由として、「駅業務7000人の国鉄採の受け皿づくり」を挙げた。数年後に大量退職期を迎える国鉄採用の労働者をエルダー社員制度で関連会社に出向させ、外注化をさらに推進しようというのだ。こうしてJRは国鉄採と平成採の分断を図っている。
これは同時に、近い将来、駅→車掌→運転士という「昇進サイクル」が閉ざされ、運転・車掌業務の全面外注化が狙われているということだ。
JR東日本はまた、駅で働く契約社員(グリーンスタッフ=GS)約150人の雇い止めをこの3月に強行した。8月には、さらに150人の雇い止めがたくらまれている。その一方でJRは、今年度のGSの新規募集を大々的に打ち出した。こんなことが許せるか!
JRは、雇い止めにされたGSの一部を、外注先の「環境アクセス」で再雇用すると言う。それは、GSをさらなる低賃金・不安定雇用にたたき込みつつ、外注化のテコとして利用するということだ。運転士を駅業務にたらい回しにする「ライフサイクル」とあいまって、鉄道業務の丸ごと外注化(フルアウトソーシング)に向けての巨大な歯車が回り出したのだ。
3月17日、JR東日本はダイヤ改定に際し、運転区所の統廃合を強行した。常磐線の松戸運転区と松戸車掌区が廃止され、我孫子運輸区・綾瀬運輸区が新設された。千葉支社管内では、動労千葉の闘いにより佐倉運輸区の新設は5月にずれ込んだものの、JRはこれを動労千葉の組織破壊攻撃に徹底的に使い切ろうとしている。動労千葉は、「佐倉運輸区を最強の支部にする」と宣言し、この攻撃との全力対決に突入した。
JR貨物は3月7日、「経営自立計画」を提示した。その内容は、鉄道事業の人員を4700人に減らし、駅・運転・検修部門の徹底的な合理化とコスト削減を強行するというものだ。JR貨物は、これにより2018年度に株式上場可能な利益水準(経常利益100億円以上)を達成するとうそぶいている。その増収プランの中心にあるのが、瓦礫(がれき)輸送だ。まさにJR資本は、野田政権と経団連が進める原発再稼働と「震災復興キャンペーン」の前面に立っている。
JR総連打倒の好機が来た
JR東日本は4月、新人事・賃金制度の導入を強行した。これにより賃金表は廃止された。これは青年を始め全労働者から団結を奪う攻撃だ。他方、主幹職、主務職、技術専任職が新設される。主務職導入の狙いは、助役試験に合格しながら助役に発令されていない8000人の「見なし合格者」の救済=買収だ。新制度では、主務職以上のほぼ全員に管理手当が支給される。
JR東日本が新人事・賃金制度の導入を急いだ背景には、労務政策の根本的な転換がある。分割・民営化以来、25年にわたり労務政策を東労組に丸投げしてきた結果、フォアマン(中間職制)による職場支配は破綻をきたした。そのことを象徴的に示したのが、京葉車両センターでの「1日勤」外注化を巡って起きた事態だ。外注業務に就く者はカクマル分子と助役以外に1人もいないという現実は、資本の労務支配の空洞化を示して余りある。
その取り戻しをかけて、JRは資本による職場支配を立て直そうと必死なのだ。昨年秋からJR東日本は、「ローカルルール」と呼ばれる東労組優遇策の是正に手を着けてきた。
JR東日本は、小集団活動室を組合事務所化する東労組の行動を一貫して容認し、作業ダイヤ、勤務確定、配転、昇格・昇進試験などで東労組を優遇するなど、カクマルとの癒着・結託を続けてきた。合理化においても、東労組と事前の大筋合意の後に国労や動労総連合に対して提示することが常だった。
だが、JR東日本は、10年12月の松崎明の死と今年2月の浦和電車区事件最高裁決定を機に、こうしたあり方を全面転換しようと狙っている。
自ら資本と徹底対決し職場の全体を組織する
世界大恐慌下、4・9政治和解を転機に体制内労働運動幹部の転向は一気に進んでいる。この中でわれわれは国鉄闘争全国運動を基軸に、闘う労働運動をよみがえらせようと闘ってきた。
ここでわれわれが直面している課題は、「個人として闘う」ことから「職場全体を組織して闘う」ことへの転換だ。そこには確かに困難がある。しかし、まず自分自身が核となって資本・当局と対決し、闘いの正義性と方向性を職場の仲間に身をもって示すことなしには、何事も始まらない。職場全体を団結させ、資本・当局への怒りを共有して行動する取り組みが、目的意識的に積み上げられなければならないのだ。
そのためには第一に、資本・当局に対する批判とブルジョアジー全体に対する批判を結合させた宣伝・扇動を展開し、第二に、職場交渉や抗議声明の作成・学習会など、誰でも参加できる行動方針の設定と組織化が必要である。第三に、こうした取り組みの中で中心的活動家となる対象者を選定して国鉄闘争全国運動や「共に闘う国労の会」ヘの組織化を進め、第四に、その全体を持続的・系統的に続けることによって仲間の信頼をかちとり、職場権力を確立しなければならない。第五に、その全体を通して、われわれの主張と行動方針に、階級的正義を貫くことである。
国鉄闘争全国運動の一環としての「共に闘う国労の会」は、国労原告団物販の闘いや、JR資本と対決しての尼崎・羽越線・伯備線事故弾劾闘争を全力で闘ってきた。米子地本の組合員による後藤総合車両所の労災死亡事故弾劾・偽装請負告発の闘いは、吹田工場所長に栄転した当時の後藤総合車両所所長とJR西日本が書類送検されるという事態をつくり出した。JR西日本の事故責任がまたも問われたのだ。
また、鉄道運輸機構訴訟、国労闘争団組合員籍奪還訴訟、国労5・27臨大闘争弾圧裁判上告審闘争、国労バッジ訴訟などは、国労本部と非和解的に対立する闘いだ。
われわれが国労本部に取って代わる主流派の位置を確立するためには、これらの闘いを組織戦を目的意識的に貫くものとして闘うことが必要なのである。
青年の組織化に一切をかけ
青年労働者の組織化が勝利の鍵だ。この課題を据えれば据えるほど、「本当に勝てるのか。協会派・革同を圧倒し、カクマルを打倒できる組織なのか」が問われるのである。つまり、われわれ自身の労働組合的力量がトータルに問われるということだ。4・9という大反動の中で、ごまかしは一切通用しない。
他方で、JR大再編情勢は始まっている。JR総連からの青年の離反も至る所で起きている。東労組カクマルは、自分のファシスト的権益を巡って「抵抗」や「順法闘争」を叫ぶことはあっても、組合員と青年労働者の階級的利益は平然と資本に売り渡す存在だ。これに怒る青年の組織化こそ、JR体制を打倒する根源的力だ。青年が階級的労働運動に圧倒的に結集すれば、国労を連合化するという国労本部の思惑も根本から吹き飛ぶ。
決戦場はあくまで職場にある。外注化が生み出した下請け・孫請け構造の中で事故は続発している。偽装請負と資本の事故責任を追及する闘い、非正規職の雇い止めを許さない闘い、被曝労働拒否の闘いなど、課題は山積している。その一つひとつに挑戦し、職場フラクションを打ち固め、細胞建設と一体となって国鉄決戦を推進しよう。
職場支配権の掌握へ執念を燃やし、JR大再編情勢のただ中の4〜6月国鉄決戦に突撃しよう!
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週刊『前進』(2532号2面2)(2012/04/16 )
改定派遣法の成立弾劾
非正規職撤廃闘争で反撃へ
改定労働者派遣法が3月28日、参院本会議で成立した。この改定派遣法は、新自由主義による非正規職化の攻撃をとことん促進するものだ。この攻撃と徹底的に対決し、職場から外注化阻止・非正規職撤廃の闘いを巻き起こそう。
成立した改定派遣法は、当初案にはあった製造業派遣や登録型派遣の原則禁止の規定が削除された。日雇い派遣の禁止についても、当初案では2カ月以内の期間の派遣は禁止とされていたものが、30日以内は禁止と変えられた。さらに、60歳以上の高齢者や「主たる生計者」以外の労働者には、そもそも「30日以内は禁止」の規定すら適用されない。
また、違法派遣の場合、派遣先が派遣労働者に直接雇用の契約を申し込んだものと見なすという規定についても、実施日が3年先に先送りされた。これは永久に「見なし制度」など導入しないという意味だ。
もはや改定派遣法には、派遣労働を規制するという装いすらない。それどころか、衆院厚生労働委員会では次のような付帯決議まで行われた。
「期間制限違反の指導監督については、……丁寧・適切に、必要な限度においてのみ実施するよう改めること」「いわゆる偽装請負の指導監督については、労働契約申込みみなし制度が創設されること等も踏まえ、丁寧・適切に実施するよう改めること」
つまり、労働基準監督署は、違法派遣や偽装請負についての摘発などせず、資本の違法行為を見逃せというのだ。
民主・自民・公明3党が昨年12月に派遣法改定案の修正案を国会提出して以来、まともな審議もなく法の成立が強行された。その不十分な国会審議の中で、自民党やみんなの党は、派遣労働者が大量に首を切られたのは違法派遣や偽装請負が規制されたからであり、これは「官製派遣切り」だとわめき立てた。本末転倒も甚だしい。
さらに彼らは、日雇い派遣が被災地での雇用創出に役立っているとまくし立てた。まさにショック・ドクトリンそのものだ。ここに改定派遣法の本質が示されている。
改定絶賛する連合の裏切り
改定派遣法の成立に際し、連合の南雲弘行事務局長は、「現行派遣法を労働者保護に向けて一歩でも二歩でも前進させるもの」「非正規労働者の権利保護に資する内容となっている」という談話を出して絶賛した。
だが、改定派遣法が、経団連の狙う9割非正規職化の決定的武器として使われることは明白だ。その最先端に、大阪市長・橋下による公務員全員解雇の攻撃がある。
だが、労働者階級の反撃は外注化を阻止した動労千葉の闘いを先頭に始まっている。6・10国鉄集会を非正規職撤廃の大闘争として打ち抜こう。
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週刊『前進』(2532号2面3)(2012/04/16 )
全面外注化を打ち破ろう! 新自由主義との対決D
雇用責任とらぬ「偽装請負」
請負で直接指揮命令は違法 外注化阻止へ告発・弾劾を
外注化阻止・偽装請負弾劾は、新自由主義との闘いの最大の環をなす。
偽装請負とは、契約の上は「請負」という形を取っているが、その実態は、請負業者の労働者を発注企業の管理下に常駐させ、発注企業の指揮命令のもとに業務をさせる行為を指す。
「請負」と「労働者派遣」の違いは何か。「請負契約」では請負業者が発注企業から「仕事の完成」を約束し、その「成果」に発注主が報酬を支払う。「労働者派遣契約」では派遣業者が発注企業に労働者を派遣し、その派遣労働者に対し発注企業が直接に指揮命令して仕事を行う。報酬も派遣労働者が提供した時間に応じて支払う。
「請負」では、発注企業は請負業者の労働者に対して直接に指揮命令はできない。それに対して「労働者派遣」は発注企業に派遣された労働者に直接指揮命令ができる。
「偽装請負」とは、契約上は「請負契約」となっているのに、発注企業が請負業者の労働者に対して直接指揮命令を行うケースを指す。もちろん違法だ。
派遣法で労働者供給事業を容認
そもそも職業安定法は、自らの労働者を他人に派遣し、他人の指揮命令のもとに使用させることを「労働者供給事業」と定義して原則禁止している。労働基準法第6条も「何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」とし、間接雇用の禁止(雇用責任の明確化)や中間搾取の禁止を厳しく規定している。
しかし実際には、民法で規定されている請負契約を悪用し、請負業者が「仕事の完成」を契約しているが、実際のところは、自らの労働者を発注企業の指揮命令下で働かせる「偽装請負」は昔からあった。民法の規定なので請負を管轄する役所はあいまいだった。
偽装請負をめぐる状況は80年に転換する。経済成長の終わりと円高不況などを背景に「偽装請負」が野放図に拡大し、劣悪な労働環境が問題になった。労働省(現厚生労働省)もなんらかの対策が迫られていた。
ここで労働省は二つの「対策」をとった。
ひとつは85年に労働者派遣法を制定して違法だった労働者供給事業を合法化したことだ。
もうひとつが翌86年に出した「労働省告示第37号」だ。〈派遣>を合法化することと併せて〈派遣>と〈請負>の区別を明確化したものだ。この基準は現在も有効であり、〈労働者派遣事業>と〈請負事業>の区分の方法を示している。
請負事業の要件について、告示は主に次の2点を挙げている。@請負業者は、自ら雇用する労働者を、自らの指揮命令のもとに直接使用すること――具体的には〈業務上の指示や労働時間等の管理は請負業者が自ら行う>〈労働者の配置や服務規程も請負業者が自ら定め、管理する>こと。A請負業者は、自ら請け負った業務を、自ら独立して処理すること――具体的には〈業務処理のための費用は自ら調達し自ら使用する>〈業務の処理について法律上の責任を自ら負う>〈単に肉体労働を提供するものではない>ことだ。
ポイントは、請負業者が雇用する労働者に対する指揮命令権をどちらがもっているかである。告示は、形式的に請負契約であっても、発注企業が指揮命令権を持つ場合は派遣事業だとしている。すなわち偽装請負だ。
逆に言えば、請負契約の場合は、発注企業は請負業者の労働者に直接の指揮命令は絶対にできない。直接指揮命令をした場合は労働者派遣法や職業安定法の違反となる。
いずれにせよ、労働者派遣という形をとらない限り、発注企業は別の企業の労働者に対して直接の指揮命令はできない。
労働法の制約をことごとく無視
通常、労働者は労基法や労働安全衛生法で守られている(はずだ)。法律によって企業は〈正当・合理的な理由なしに解雇できない>〈作業に応じて労働者に健康診断を受けさせる>〈職場に安全管理の責任者を置く>〈従業員に社会保険に加入させる>などの義務を負う。労働者派遣の場合も、派遣労働者の身分や労働条件に関して派遣先・派遣元の双方に一定の〈労働関係・雇用関係>があり労働法のさまざまな制約を受ける。
だが、請負契約は発注企業と受注業者との民法上の契約であるため、発注企業と請負労働者との〈労働関係・雇用関係>は「蒸発」。労基法の規制は無視され、発注企業は請負労働者の身分や労働条件にほとんど注意を払わないで済む。
従来の下請けならば、自前の工場で製品をつくり発注先に納める。しかし、偽装請負の場合は自前の設備など不要だ。請負業者は人を集め、発注企業に送り込むだけ。請負労働者は、発注企業の指揮命令のもとで働く。つまり、実態は労働者派遣そのものなのに、請負契約を装っているので労働法の制約を丸ごと無視するのだ。
派遣労働者の場合、一定の年限が来れば直接雇用の申し込み義務が生ずる。だが、請負を装っているのでこれもやらない。仕事がなくなれば請負契約を打ち切って労働者を簡単にクビにする。不必要な労働者を名指しでクビにする指名解雇も簡単だ。健康管理や安全管理も請負会社に丸投げ、労災事故が起きても請負会社に処理させる。
偽装請負とは、生産量に合わせて労働者を増減させ、労働法もオール無視で、一切の雇用責任から逃れ、労働コストを引き下げるために、ただひたすら低賃金で労働者をこき使う最悪の雇用の仕組みなのだ。だから、業務外注化は不可避的に偽装請負の蔓延(まんえん)を生む。
この十数年、資本は新自由主義の柱として偽装請負を全面化することで延命してきた。大恐慌の深まりの中で、今や公然と偽装請負合法化を要求している。偽装請負は資本の弱点だ。偽装請負告発を武器に外注化・民営化と闘う労働運動をつくりだそう。
(江崎祐人)
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週刊『前進』(2532号3面1)(2012/04/16 )
大阪・教育2条例と徹底対決を
橋下による教育の民営化と全員解雇攻撃を打ち破ろう
革共同教育労働者委員会
3月23日、大阪府議会で教育2条例(教育行政基本条例、府立学校条例)、職員基本条例、関係条例整備条例の4条例が可決・成立した。市議会では「君が代」起立・斉唱条例が成立したが、教育2条例・職員基本条例は継続審議となり、5月市議会で修正協議が行われるという。府の4条例は、昨年9月に維新の会が提出した教育・職員基本条例案を分割・再編し、表現上の手直しはしたものの、大阪維新の会案の狙いを押し通したものとなっている。最大の核心は、民営化による大量解雇・選別採用の合法化にあり(本紙2530号3面参照)、教育労働者もそのターゲットになっている。
免職の脅しで服従を迫る
教育行政基本条例と府立学校条例は、教育の「独立性・政治的中立性」、教育委員会の「指導助言原則」など戦後教育行政の理念を跡形もなく一掃し、市場・競争原理と強権的官僚統制が一体化した新自由主義の教育管理システムを目指すものだ。知事−教育委員会−校長−教職員の上命下服の目標管理システムを構築し、人事評価と処分・免職の脅しで教育労働者を分断し競争させ支配しようとしている。
首長は、教育目標を含む教育振興計画の策定を主導し、目標達成に努めない教育委員には罷免権を行使する。校長を公募制・任期制にして、首長に忠誠を誓わせる。教育委員会は基本計画に基づく学校運営指針を定め、校長に指示し、校長は指針を踏まえて教育目標を含む学校経営計画を定める。教職員は、評価・育成システムにより校長の学校経営計画に沿った個人目標を設定させられ、その達成度で校長が教職員を評価する。教職員にも適用される分限条例は、2年連続D評価で分限免職と定める。
両条例には、いわゆる「指導力不足教員」に対する「改善研修」「免職等の措置」がことさらに書き込まれ、校長の意向で選ばれる保護者からなる学校協議会に、教員の授業を調査し「指導力不足教員」申請の意見を述べる権限を与えている。
職員基本条例では、職務命令への服従を「倫理原則」にまで祭り上げ、同一の職務命令違反3回で分限免職と規定していいる。職務命令違反に対しては指導研修を行い、懲戒条例は、「非違行為を反省させ、今後行わないことを誓約させる」とする。
昨年6月に「君が代」起立・斉唱条例を先行して成立させ、不起立教員の処分条例として教育基本条例案が策定された経緯は、「君が代」を踏み絵とする闘う教育労働者の排除が労組破壊と職場支配権解体の突破口として位置づけられていることを示すものだ。
こうした目標管理と命令服従のシステムを通じて推進しようとしているのが、学校間の学力向上競争であり、これをテコとした統廃合・民営化である。
統廃合・民営化と「廃職」「分免」
府立学校条例は高校の学区を廃止し、3年連続して定員割れした学校を再編整備の対象とするとしている。維新案に明記されていたように、「再編整備」とは「統廃合」と「学校法人化」であり、いずれの場合にも、地公法28条1項4号の「廃職又は過員による分限免職」が発動される。分限条例によれば、統廃合の場合には校長の評価で対象者が選定され、公設民営化の場合には全員免職の上、譲渡・移管先による選別が行われることになる。
橋下は大阪府知事時代には、私立高校への助成を3割カットする一方、国から支給される私学の就学支援金に上乗せする形で年収610万円以下の家庭は授業料負担をゼロにする「私学無償化」を導入した(朝鮮高級学校は除外)。私学助成の配分基準も、集めた生徒の人数分だけ補助金を出す仕組みに変更した。
これによって、公立私立全体の生徒獲得競争が一挙に激化した。私立高では収容人員を無視して生徒を詰め込み、非正規職教員を増やして人件費削減に走った。府立高は160校中49校が定員割れする事態となり、高校入学者の公私比率は10年度の73対27から11年度68対32へと劇的に変化した。保護者からは歓迎の声も高かった「私学無償化」だが、これは事実上のバウチャー(クーポン券)制度の導入だった。
橋下は大阪市では、小中学校の統廃合・民営化を進めようとしている。市の戦略会議は、3万8千人いる職員を4年間で半分の1万9千人にする方針を決定、地下鉄・市バス、病院、水道・下水道、ごみ収集・焼却、保育園・幼稚園を民営化の対象にあげている。市立小学校は、全297校の3分の1にあたる101校を14年度末をメドに統廃合する再編プランが打ち出されている。橋下が「保護者の選別にさらして自然に統廃合を促す手法」と露骨に言うように、学校選択制の導入と学力テストの学校別結果の公表がそのテコとして位置づけられている。
橋下は府立高校10校の「進学指導特色校」化、旧「同和推進校」の小中一貫「スーパー特進校」化など、「グローバル人材育成」のためのエリート教育に予算を集中する一方、学力テストの成績で学校を序列化し、困難校から廃校・民営化していこうとしている。貧困や差別ゆえの低学力を教員の資質や指導力の問題にすり替え、公教育や教職員組合をバッシングするのはそのための手口なのだ。維新の会の条例案の作成者と言われる坂井大阪市議は「私は格差を生んでいいと思っている。まずは格差を受け入れてでも、秀でた者を育てる必要がある」とあけすけに狙いを語っていた。教育2条例は、1%が肥え太るために99%を切り捨てる攻撃だ。
落ちこぼれゼロ法まねる
02年にブッシュ政権は、全米の小中学生に数学と国語の一斉テストを義務づけ、成績の改善しない学校に教員入れ替え、廃校、民営化などの制裁措置を科す落ちこぼれゼロ法(NCLB法)を制定した。これにより教育活動はテストのための教育に変質し、学校の成績を上げるために不正が横行し、名前とは裏腹に貧困家庭やマイノリティの子どもたちが排除されていった。ニューヨーク市では1750校中150校が廃校になり、教職員の4分の3が強制配転や激務によるうつで退職に追い込まれた。
就任当初は法改正を公約していたオバマ政権だったが、今では生徒の成績の給与反映や廃校・民営化の拡大を連邦資金を餌に州政府に競わせている。民間主体が行政当局と契約を結んで公費で運営するチャータースクールが激増し、優遇税制も受けられるとあって、学校が金融機関の「優良」な投資先と化している。
教育労働者は解雇され、貧困家庭の子どもたちは公教育から排除され、軍に勧誘されてアフガニスタン・イラクに送られ、教育ビジネスだけが繁盛する。これがNCLB法の帰結だった。それは「政策の失敗」というよりも、これこそが、もはや社会を社会として成り立たせることもできなくなった最末期の資本主義としての新自由主義の本質と言うべきだ。今こそ労働組合が社会の根底的変革の主体として登場する時だ。
道州制・360万人首切りの突破口
新自由主義の極致と言うべき橋下教育改革だが、その地ならしは着々と進んできていた。教育振興基本計画を通じた教育統制は06年教育基本法改悪で導入されたものであり、「教育委員会を廃止し、教育行政を首長に移管する」とは、民主党がマニフェストで掲げていた教育政策だった。
01年の義務標準法改定で、正規教員を1日4時間の非正規教員2人に振り替えることが可能となった。さらに06年度からの教員給与の国庫負担金削減で正規教員定数が非正規教員へと振り替えられてきた。給食、用務、司書など少数職種は次々と民間委託されている。
教育の民営化をめぐっては小泉政権時代に総合規制改革会議が株式会社の学校経営への参入や公設民営化(包括的管理委託)を強く要求し、一部風穴が開けられてきた。株式会社・NPO法人による学校設置が解禁され、株式会社立の大学・通信制高校も生まれた。
公設民営化については04年の中教審答申「今後の学校の管理運営のあり方について」が設置者管理主義の例外として幼稚園と高校の公設民営化を容認し、指定管理者制度にならった委託先指定手続きの法制化に言及している。しかし文科省は委託契約方式は認めず、自治体が土地建物を提供して民間主体が学校法人を設立する「公私協力学校」方式に限定し、私学助成をつけないこともネックとなり、この方式も広がってこなかった。
“教育基本条例案は法に抵触する”という文科省見解を歯牙(しが)にもかけない橋下は、こうした制約をいとも簡単に踏み越えつつある。関西同友会が出した道州制提言は「国・地方の公務員のうち360万人をいったん解雇する。教育公務員等126万人の現業公務員は、国立・公立学校を私学化するなど組織を公設民営化した上で再雇用の機会を与える」としていた。教育2条例・職員基本条例はその突破口としてつくられている。
民営化反対で団結しよう
維新の会が発表した「船中八策」では、教育・職員基本条例の法制化や公務員労組の政治活動規制、教職員組合の「適正化」を掲げている。維新の会の国政進出の動きで、大阪型の民営化・首切り攻撃、教育の民営化攻撃が全国に波及し、被災地の復興特区とあいまって道州制攻撃が加速化することは必至だ。新自由主義の民営化、非正規化攻撃と真っ向から対決し、「教育の民営化絶対反対」を鮮明に掲げて、全国で闘いを開始しよう。
橋下の「2人に1人」の民営化・首切り攻撃とどう闘うか。動労千葉は1980年代の国鉄分割・民営化攻撃に対して、全組合員が首をかけて2波のストライキに決起し、28人の解雇者を出しながら、階級的団結を守り抜いた。そして今、第2の分割・民営化攻撃である検修外注化攻撃を阻止し続け、組織拡大をかちとり、青年労働者の総反乱を切り開いている。「民営化絶対反対」の団結こそが勝利を切り開くことができる。
橋下に早々と最敬礼して謝罪した労組幹部をのりこえて、現場組合員の反撃が始まっている。職務命令を振りかざした「労使関係アンケート」拒否の闘いが現場から巻き起こり、凍結・廃棄へと追い込んだ。「不起立3回で分限免職」の恫喝を打ち破って、卒業式では府立高校で29人、橋下のおひざ元の大阪市立学校で3人、大阪市以外の市町村を合わせて総計35人の教育労働者が不起立を貫いた。その抵抗は入学式でもさらに継続されている。
現場組合員によって不屈に闘い続けられてきた「日の丸・君が代」闘争は、新自由主義の民営化・首切り攻撃との闘いの最前線に押し上げられている。「君が代」処分・解雇粉砕を現場組合員の全国連帯で闘おう。職場の仲間が怒り、苦しんでいる問題のすべては新自由主義攻撃が元凶であり、分会会議の議題、職場闘争の課題だ。職場から階級的団結をつくり出し、闘う労働組合をよみがえらせることこそが最大の反撃だ。
11月全国労働者総決起集会に結集するロサンゼルス統一教組(UTLA)は今、9500人の解雇攻撃と果敢に闘っている。新自由主義による教育の民営化・首切り攻撃と闘いぬいて、日米教育労働者のランク&ファイル(現場組合員)の国際連帯を発展させよう。
橋下教育改革への怒りを解き放ち、新自由主義と対決する教育労働運動を職場からつくり出し、国鉄闘争全国運動に合流していこう。必死に生き闘いぬく福島県教組と固く連帯して、原発再稼働阻止・全原発の廃炉へ闘いぬこう。
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こんなにそっくり! 橋下教育改革とアメリカ・落ちこぼれゼロ法
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アメリカ・落ちこぼれゼロ法 |
橋下大阪市長の教育改革 |
学力テスト |
州統一テスト参加を学校に、全米テストへの参加を地方当局に義務づけ。大半の州が学校別ランキングを公表 |
府知事時代に全国学テの市町村別結果を公表。府独自学テを実施、大阪市は学校別結果を公表 |
学校選択制・バウチャー制度 |
学力向上目標を達成できない学校から転校する権利を付与、塾や家庭教師に使えるバウチャーを支給。大半の州でチャータースクールを含む指定校以外の公立学校選択制度を導入 |
府立高校は学区を廃止、大阪市は学校選択制を導入。私学授業料を無償化、府立高校の定員割れを意図的につくり出す |
学校に対する制裁措置 |
目標を達成できないと転校者が増え、生徒の頭数で配分される学校予算が削減され、教育条件低下の悪循環となる。4年連続で教員総入れ替え、5年連続で民営化か廃校 |
3年連続定員割れで統廃合、学校法人化 |
教員評価と給与反映、身分保障 |
学テ成績の伸び率でランク付け、ネット等で実名公表、2年連続下位で解雇可能に(NY市) |
評価の昇給・勤勉手当への反映はすでに実施。2年連続Dで分限免職。保護者の申立で「指導力不適切教員」に改善研修、免職 |
教育委員会制度 |
教育局長を市長の直接雇用に変更、教育委員会は執行機関から助言機関・事務機関に(NY市)。市長直属の教育長官を新設(シカゴ市) |
首長が主導して教育目標を含む教育振興計画を決定、目標達成に努めない教育委員の罷免も |
※米国欄は特に州や都市名を記載していないものは、落ちこぼれゼロ法に基づく全国的制度。大阪欄は教育2条例のほか、維新案、橋下市長の発言等による。
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週刊『前進』(2532号3面2)(2012/04/16 )
東京「日の丸・君が代」闘争 再発防止研修に抗議
“不起立に恥じるものない”
東京都教育委員会は、都立校の卒業式において「日の丸・君が代」強制に反対して不起立した教育労働者3人に対して、3月29日に戒告処分を発令したのに続いて、4月5日に「服務事故再発防止研修」を実施した。当日、研修会場である水道橋駅前の東京都教職員研修センター前では、年休を取ってかけつけた教育労働者を先頭に抗議・弾劾行動がたたきつけられた。
2003年「10・23都教委通達」から9年目の卒業式でも教育労働者が断固として不起立闘争を継続することに追い詰められた都教委は、事前に、今年から再発防止研修を中身・回数ともにエスカレートすると発表して恫喝した。
従来は「地方公務員法(服務規律)について」と題していた研修を「教育における国旗掲揚及び国歌斉唱の意義と教育者としての責務について」という内容に変更。実施時期も、従来の夏休み期間中から、入学式を前にした4月5日に変更した。これまで95分間だった教職員研修センターでの研修は195分間に延長され、全体研修の後に、一人ひとりを別室に分断して行う個別研修も加えられた。さらに6月まで2カ月、それぞれの学校において校内研修を行い、その後、再び研修センターでの研修を行うというのだ。
しかし、このような不当研修を被処分者は意気軒高と迎え撃ち、完全に都教委の策動を打ち破った。
研修開始を前にして、8時半過ぎから「不当処分を撤回しろ」「都教委は再発防止研修をやめろ」というシュプレヒコールを繰り返したたきつけた。
12時半過ぎ、研修を受講し終えた被処分者が会場前に戻ってきた。被処分者は、「研修の中で反省を迫られたり、誓約書に署名させられるというようなことはなかった。しかしそもそも私の不起立は恥じるものではない。ここで反省や、なんらかの思想の変更を迫られるようなことがらではない」「およそ研修と呼ぶにふさわしくない内容で、非常につまらない授業を受けさせられたようなものだった。全体研修の後、個別研修に移動する際は、逃亡防止のためにいたるところに職員が配置され、トイレの中まで入り込んできて監視された。独房に連れて行かれるような感覚だった」と都教委の対応を弾劾した。研修をもって被処分者を転向させることなど、絶対にできないのだ。
今年の卒業式は、大阪市長・橋下による「君が代」強制条例、職員基本条例・教育2条例を最先端攻防とする教育の民営化、教育労働者の大量首切り攻撃と対決する闘いだった。大阪の教育労働者と固く団結して東京・広島を始め全国各地で教育労働者の闘いが打ち抜かれた。
この闘いをさらに押し広げ、新自由主義攻撃と対決する教育労働者の団結をつくり出そう!
(写真 「都教委は不当処分をやめろ!」研修に臨む不起立被処分者を激励【4月5日 東京・水道橋】)
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週刊『前進』(2532号3面3)(2012/04/16 )
大阪 始まった公務員解雇
職場から団結して大反撃を
市音楽団員の分限免職狙う
大阪市長・橋下が、公務員労働者全員いったん解雇・選別再雇用の道州制導入に向けて、いよいよ公務員の首切りに踏み出そうとしている。
4月5日、大阪市改革プロジェクトチームは「施策・事業の見直し(試案)」を発表、大阪市音楽団を2013年に民間移管すると打ち出した。同楽団は国内唯一の自治体直営の吹奏楽団で、36人の音楽士は市の正規職員であることから「音楽士について配置転換先を検討する必要がある」とした。
それを受けて橋下は音楽士の処遇について「単純に事務職に配置転換するのは、これからの時代、通用しない。仕事がないなら分限(免職)だ。分限(免職)になる前に自分たちでお客さんを探しメシを食っていけばいい」と述べ、分限免職にする意向を示した。
雇用者の雇用継承義務も完全放棄して、公務員の身分保障を破壊し、大量首切りへ突破口を開こうとしているのだ。
たばこ1本で懲戒免職検討
また4月3日、大阪市営地下鉄四つ橋線本町駅の駅長室で職員がたばこを吸ったため、火災報知機が作動して上下線計4本が最大1分遅れた。橋下は即日、「(喫煙した職員は)服務規律を厳格化していくという市長のメッセージを挑戦的に無視した。君が代条例で起立をしない職員とある意味同様に扱う。今までの事例やバランスを考えず厳罰でいく」と述べた。5日には「この事態は相当重い。服務規律の厳格化が現場に届いてない。免職は法的に問題があるかもしれないが、司法決着をすればよい」と述べ、この職員の懲戒免職を検討していることを明らかにした。
こんな恣意(しい)的判断で懲戒免職を乱発することなど許されない。
組合つぶしのリストを捏造
2月の市議会で維新の会の杉村幸太郎市議が、昨秋の大阪市長選で使われたという平松前市長の推薦人紹介カードの配布リストを取り上げ、「このような名簿リストが局内に存在したということは、交通局と労働組合が組織ぐるみで市長選挙に関与していたことを裏付けるもの」と交通局を追及した。
3月末に、このリストがデッチあげであることが発覚した。橋下を支持する交通局の非常勤職員が業務用パソコンにアクセスしてデータを引き出し、「知人・友人紹介カード配布回収リスト」「非協力的な組合員がいた場合は、今後不利益になる」などという文言を付け加え、捏造(ねつぞう)したのだ。この職員は昨年来、維新の会の集会に参加し、杉村とも知り合いだった。
事態が明らかになってもなお、橋下は「何の問題もない」と開き直っている。杉村も辞職せず、組合への謝罪も拒んでいる。組合つぶしのためにはどんなデマもいとわないということだ。
アンケートは自ら廃棄処分
他方、2月に橋下が実施しようとした業務命令による「労使関係アンケート調査」は、現場労働者の怒りの反撃にあい、1週間後に「凍結」に追い込まれた。
その後、市側は回収した回答データや用紙の廃棄を決定。開封や集計をせずに保管していたが、4月6日に廃棄処分に追い込まれた。同調査を担当した市特別顧問の野村修也弁護士が労組幹部の立ち会いのもと、たった1人で、約2万4千人分の回答データが入ったDVDを破壊。その後2時間以上かけ、ケース約20箱に入った約1万人分の回答用紙を大型シュレッダーにかけるというぶざまな姿をさらした。
入学式でも不起立し反撃
橋下に対する反撃は始まっている。卒業式に続き、入学式でも2人の府立高教員が不起立を貫いた。大阪市立小学校では卒業式に続き入学式でも不起立すると表明した教育労働者に対して、市教委は式場での起立・斉唱を命じる職務命令を出せず、職員室で業務するよう命じる異例の職務命令を発出して式を行った。処分の脅しに屈しない労働者の団結と反撃に、橋下は震え上がっている。
大阪府の職員基本条例と改悪分限条例は、民営化により公務員の職場を奪った場合に「当該職員を免職することができる」とした公務員首切り条例だ。同条例は大阪市ではまだ成立していないが、橋本は先駆けて公務員大量解雇に乗り出そうとしている。労組幹部の総屈服を突き破る団結をつくり、橋下の新自由主義攻撃に立ち向かおう!
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週刊『前進』(2532号3面4)(2012/04/16 )
【要項】ショーワ、ジェコー 行田本社工場弾劾闘争
■ショーワは団体交渉に応じろ! ショーワ行田本社工場弾劾闘争
4月27日(金)正午 ショーワ本社工場前(行田市藤原町1−14−1)
主催 一般合同労組・さいたまユニオン
■解雇撤回! 正社員として採用しろ! ジェコー行田本社工場弾劾闘争
4月27日(金)午後4時 ジェコー本社工場通用門(行田市富士見1−4−1)
主催 JAM神奈川ジェコー労働組合
※いずれもJR高崎線・吹上駅より総合教育センター行きバス15分、長野1丁目下車、徒歩10分
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週刊『前進』(2532号4面1)(2012/04/16 )
“反核燃”青森で全国集会
4・7 NAZEN青森を結成
4・8 六ケ所村で村内デモに決起
2012年「4・9反核燃の日」闘争は、原発再稼働に突き進む野田政権と真っ向から対決し、4月7日、青森市内での全国集会に1146人を結集して闘われた(1面に写真)。3・11福島県民大集会を引き継ぐ「原発なくそう! 核燃なくそう!」の意志が示され、NAZEN隊列は吹雪をつく元気いっぱいのデモを牽引(けんいん)した。全国集会後、NAZEN青森の結成集会が開かれ、翌8日には六ケ所村の現地デモと再処理工場前での抗議集会も行われた。
(写真 再処理工場前での全体集会で怒りを込めたシュプレヒコール【4月8日 六ケ所村】)
南部バス労組を先頭に
7日午後5時からNAZEN青森結成集会が開かれ、65人が参加して大成功した。司会を南部バス労組書記長がつとめ、開会のあいさつを南部バス労組委員長の間山正茂さんが行った。
集会は、ふたつの提起を柱に進められた。初めに、子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの椎名千恵子さんが、「ひるまず、豊かに99%の怒濤(どとう)を」と題してアピール。福島では復興予算でさまざまなプロジェクトがつくられ、「除染」「身体検査」「給食安全検査」などに数千万から数百億円の予算がつき、「国も県もいろいろやっているじゃないか」というキャンペーンになっている。そして、いわき市で”双葉いじめ”がはやり、コンビニが混んでも双葉のせいだと話されているような現実に、ひるんでしまいそうになるという思いが率直に語られた。
それは椎名さんら「福島の女たち」の闘いの力の大きさを示すものでもあった。3・11福島県民大集会が復興翼賛色で染め上げられることを打ち破ったことの大きさだ。あらためて「『原発いらない!』のスローガンを集会名称に入れることができて良かった」の言葉を会場全体でかみしめた。椎名さんは最後に「ひるみませんよ。がんばりましょう」とまとめた。心から”前に進もう!”という椎名さんの決意が伝わってきた。
日本核武装阻止の闘い
続いて、青森現地からの発言として「青森反核燃闘争のこれまで」を八戸北伝道所牧師であり写真家の岩田雅一さんが提起し、「これから」と題する方針提起を、百万人署名運動・青森県連絡会代表の中道雅史さんが行った。岩田牧師は、戦前から続く国の本質が六ケ所、フクシマをもたらしていることを弾劾し、中国残留孤児の方の「この国は子どもたちに謝りましたか」という言葉を紹介。自分たちがこの国家と闘争してきたがゆえの「少数者」であり、その意義を受け止め、先人に学んで、自分も闘っていくと結んだ。
中道さんは、何よりも日本の核武装を阻止する闘いとして六ケ所の核燃反対闘争を闘ってきたことを確認し、核燃サイクル粉砕の闘いと一体で大間原発建設を止めることが核武装を止める道だと喝破。NAZEN青森の闘いの方向性を力強く提起した。
全国のNAZENの仲間が発言した。事務局次長の富田翔子さんは、青森の風景を「すごい美しさと厳しさ」と表現。東京で青年が”見えなくさせられている”現実や、仲間が見えなくなったとき死に向かってしまう現実を語り、「自分の怒りを解放し、生きる団結をつくることが問われている」と訴えた。そしてNAZENが若者を引きつけているのは「絶対反対! ぶれない! 貫く! そして元気に! ひるまない!」ことだと提起、さらに闘いを前進させるために頑張るとの決意を表明した。
百万人署名運動・福島の長沢宏さん、宮城連帯ユニオンの青年、国労秋田闘争団の小玉忠憲さん、ス労自主の入江史郎委員長、8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会事務局長の三角忠さんが闘いの決意を表明。連帯あいさつでは、反核燃闘争を闘い続けてきた地元の3人の人士からアピールが行われた。
青森の青年はカンパアピールで、知り合いの青年から初めて賛同金をもらえた闘いの前進を誇り高く紹介した。閉会あいさつでは青森市の”闘うお母さん”が、これからもできることをしっかりやっていくと宣言した。
(写真 原発と核施設が集中する青森県でNAZEN青森が結成された【4月7日 青森市】)
再処理工場へ抗議集会
NAZEN青森を結成した翌日の8日、NAZENの仲間は決意も新たに六ケ所現地に出発した。マイクロバスを満杯に総勢40人で現地に向かった。午前10時から六ケ所再処理工場門前で抗議集会。10時半から全体集会に合流し、「再処理とめろ!」と怒りのシュプレヒコールを何度も何度も工場に向かってたたきつけた。
門前闘争の高揚をそのままに、NAZENの隊列は六ケ所村内デモに打って出た。デモ参加者それぞれが六ケ所村でデモに出ることの激しさ、緊張感、決意をかみしめながら、声を張り上げてデモを行った。家の中から手を振るお婆さん。一方で、車の窓からつばを吐き捨てる青年。反応は真っ二つだ。
今年に入って、六ケ所村及び下北半島では、核燃サイクル政策が揺らぐ中、県や村、関連企業が激しい勢いで核燃サイクルを維持せよと国に迫り、3・11以降止まっていた各施設の工事が再開されている。一方で3・11には県内でも1800人の反原発・反核燃集会が開催された。いまなお激しいせめぎ合いの渦中にあるのだ。
この局面でNAZENは、「六ケ所漁民、農民、労働者とともに生き死にをともにするぞ!」「フクシマとともにすべての核をなくし生きよう!」とデモを敢行した。かけがえのない歴史的出発点をNAZENとして切り開いた。
「東通原発」に申し入れ
六ケ所から車で30分。東北電力東通原発への申し入れ行動に向かった。門は閉ざされ、警備会社職員が対応。東北電力の職員がいないので代行して受け取ると言う。しかし「あなたは警備会社でしょ。電力会社が受け取るべき」「事前の電話では当直がいると言った」との追及に押され、東北電力の職員が原発建屋から門まで出て来て、織田陽介NAZEN事務局長から申入書を受け取った。「再稼働を絶対許さないぞ!」とシュプレヒコールを上げ、ゲート前で総括会。NAZENはすべてを引き受けて飛躍し闘うことを確認し、2日間の闘いを終えた。
2012年「4・9反核燃の日」闘争とNAZEN青森結成の地平は決定的だ。フクシマと結びついて闘うNAZENが青森の地で4・9闘争と一体で立ち上がった。反核燃の市民運動を担ってきた仲間も、労働組合、職場で格闘する仲間も総決起して闘いを組織した。一人の青年、一人の学生をこの闘いで獲得しようとの目標を立てて闘った。6日にNAZEN事務局長、事務局次長が弘前大学にもかけつけ、そこで出会った青年が2日間の全行程をともにした。大勝利だ! 野田政権の再稼働を絶対に許さず闘いを前進させよう。
(青森・S)
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週刊『前進』(2532号4面2)(2012/04/16 )
4・28沖縄・憲法集会へ
百万人署名運動が主催 改憲攻撃激化に反撃を
とめよう戦争への道!百万人署名運動事務局から「改憲阻止!原発なくせ!4・28沖縄・憲法集会」への呼びかけが発せられた。積極的な参加を訴えます。(編集局)
◇
3・11から1年と1カ月が過ぎました。私たちは無我夢中で「反原発」を闘ってきました。福島現地をはじめ全国全世界で闘われた3・11闘争は、”原発をなくして世の中を変えよう”という思いであふれました。
しかし野田政権は、原発の再稼働を強行しようとしています。また北朝鮮の「衛星」ロケット発射を口実に、自衛隊PAC3の沖縄配備を強行しました。彼らの危機と凶暴性が露わになっています。ハンストや抗議デモにともに立ち上がり、原発再稼働を絶対に阻止しましょう。
この中で4月28日に、とめよう戦争への道!百万人署名運動は「改憲阻止!原発なくせ!4・28沖縄・憲法集会」を開催します。「改憲阻止」の重大テーマを中心にすえた講演集会です。改憲攻撃を今日的にどうとらえ、改憲・戦争阻止をどう闘うかを一緒に考えたいと思います。各地からの参加を訴えます。
改憲動向の一つは、3・11を契機に支配階級・権力内部に改憲衝動が高まり、憲法審査会が始動したことです。憲法審査会とは改憲原案の作成と発議ができる国会の「委員会」です。昨年10月から実質審議が始まり、月2回(衆参合わせて4回)のペースで進行しており、最近の議題は「公務員の政治的行為の制限について」や「大震災と国家緊急権」などです。おぞましい改憲論議が声高に行われており、けっして見過ごすことはできません。
改憲動向の二つは、自民党が4月28日に「新たな改憲案」を発表することです。この新改憲案は国会・憲法審査会への提出を念頭に置いたものであると同時に、部分ではなく全面的な改憲案となっています。天皇の元首化、自衛軍と自衛権の明記、公務員への労働三権の制限、国家緊急権の新設、改正要件の緩和、国民の憲法尊重義務などに踏み込み、国家主義的様相が前面化しています。
改憲動向の三つは、アメリカの新軍事戦略が日米の軍事一体化を加速させ、集団的自衛権の行使を要求していることです。この5月にも日米新ガイドラインの見直しが打ち出される予定です。武器使用基準の見直し―PKO法改悪の策動も含め、実体的な9条改憲の攻撃です。
そのうえで、今日の改憲攻撃をとらえるには、新自由主義の凶暴な攻撃との一体性をおさえていく必要があります。
新自由主義は徹底して労働者の団結を破壊し、民衆の戦後的諸権利を奪います。かつてイギリスのサッチャー政権は、各種国営企業を民営化し、労働者を擁護する多くの制度・思想を一掃しました。日本の中曽根元首相は「国鉄分割・民営化で国労をつぶして、新しい憲法を床の間に置く」と言って新自由主義の先駆者となりました。
新自由主義は、「9割の労働者を非正規に」突き落とすことによって、財界・資本家の利益を増殖させようとするものです。そして、労働者が団結して闘えないように、分断や労組破壊を意図的に繰り返します。その先兵とも言うべき大阪の橋下は、民営化・労組破壊を露骨にしかけ、9条改憲を掲げています。
「復興特区」は資本の金もうけが目的で、「復興」の名の下に労基法破壊・道州制導入・国家大改造が狙われています。
こうした新自由主義の暴力的特徴ゆえに、労働者が団結して立ち向かうことが新自由主義を打ち破る核心であり、同時にそれは改憲を阻止する核心でもあります。改憲を阻止し、新自由主義を打ち砕いてこの世の中を変えることが憲法闘争のテーマとなりました。
さて、4月28日は「沖縄デー」です。サンフランシスコ講和条約発効の1952年4月28日は、沖縄が日本から切り離された日でした。今年は60年目の4・28であり、5月15日は72年「5・15本土復帰」から40年目です。沖縄の怒りは、辺野古新基地建設を阻み、普天間基地と日米安保体制をいよいよ追い詰めています。5・15沖縄闘争を断固闘いましょう。4・28沖縄・憲法集会への参加を呼びかけます。
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【要項】 改憲阻止!原発なくせ!
4・28沖縄・憲法集会
講師 滝本匠さん(琉球新報記者)
清水雅彦さん(日本体育大学准教授・憲法学)
西川重則さん(百万人署名運動事務局長)
4月28日(土) 午後1時15分開始
北とぴあ2階 つつじホール
(東京都北区王子1丁目、JR・地下鉄南北線 王子駅下車)
主催/とめよう戦争への道!百万人署名運動
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週刊『前進』(2532号4面3)(2012/04/16 )
アサド政権打倒へシリアの反乱
新自由主義への怒りが爆発 既成労組のりこえ地域共闘
エジプト革命に呼応して反乱を開始したシリア労働者人民のアサド政権打倒の闘いは、政府軍の凶暴な弾圧と虐殺に抗し、1年にわたって数次のストライキを含んで不屈に続けられている。
米帝、国連、中東反動政権などが闘争の革命的展開を恐れて介入し、政府軍の撤退と和平交渉を要求していた期限が4月10日に切れたが、軍事行動によるシリア人民の虐殺は続き、闘いは激烈化している。
「構造調整」で大失業が拡大
第一に、シリア人民の反乱の根底にあるのは、アサド政権の長年の新自由主義的圧政への労働者人民の怒りの爆発だ。シリア軍の人民残虐行為は、この闘いへの恐怖と憎しみの表現なのだ。
新自由主義のもと、IMF(国際通貨基金)の指示する民営化など「構造調整プラン」を強行してきたアサド政権によって現在、全人口の3分の1が生存水準以下の生活を強いられ(国連統計)、失業率は20%を超え、青年層は半数以上が失業、公共サービス労働者はダブルジョブが普通、農民は土地から追い出されるという状況が生まれている。しかもシリアは1970年から親子2代のアサド軍事独裁体制の非常事態法のもとにあり、人民の基本的権利は一切奪われてきた。この中で蓄積した怒りが一気に爆発したのだ。
第二に、シリアの反乱はチュニジア蜂起、エジプト革命に激励されて爆発した。シリアはトルコ、レバノン、イラク、ヨルダンなどの諸国と国境を接し、イスラエルやイランともほぼ地続きで、西アジア・北アフリカの心臓部に位置している。シリア労働者人民の闘いは、帝国主義の中東支配への決定的打撃であり、地中海を隔てたギリシアなどヨーロッパの労働者人民にとって、プロレタリア世界革命への巨大なアピールなのだ。
反乱を恐れる米帝と産油国
第三に、シリアの反乱の革命的発展を何よりも恐れているのは、米欧帝国主義諸国(日帝も)と中東産油国の諸反動政権だ。シリア労働者人民の闘いに恐怖したサウジアラビアなど中東の反動諸政権が、彼らの敵であるイランと盟友関係にあるアサド政権に対し、当初は「シリア政府支持」「暴動は陰謀」などの態度を表明していた。
そうした中で米帝オバマは昨年5月18日、対シリア経済制裁を発表し、国連での制裁論議、シリア反政府勢力の取り込みなどを通して、アサド打倒へ進むシリア労働者人民の不屈の闘いを圧殺する行動に乗り出した。
また、シリアの地中海岸に海軍基地を持ち、武器援助を行ってきたロシアは一貫してアサドを支持してきた。
米帝にとって「石油・イスラエル問題すなわちパレスチナ、イラン問題」を抱える西アジア・北アフリカは、中国・東アジアに次ぐ戦略的地域だ。イラク侵略戦争敗北の中でエジプト革命に直面した米帝は、リビアを反革命的巻き返しの拠点とするため、大規模な空爆を続行しつつシリア情勢への対応を迫られた。
第四に、米帝はそのために、リビア型の直接軍事介入を追求しつつ、当面はシリア労働者人民の反乱に介入し、国内抵抗勢力をからめ取ろうとしている。そのために「シリアの友人」会議を、昨年12月と今年3月の2回、国連や湾岸諸国を動員して開催し、「シリア国民評議会」なる組織にシリアの反政府勢力代表として「国際的承認」を与え、その指導のもとに「自由シリア軍」という軍事組織を置いて資金・武器供給を行うことを決定したのだ。
この「シリア国民評議会」は亡命政治家などが、シリア反乱後に隣国トルコ(西アジアでのNATOの砦)で急きょ結成した組織で、国内で闘う抵抗運動と何の関係もなく、現在は分裂状況だといわれる。「自由シリア軍」は、もともとは「人民に武器は向けられない」として、アサドの軍隊から離反した兵士たちの運動だった。しかし、これもトルコに亡命していた旧軍将校らが、サウジやカタールなどから供給される武器を与え、自らの指揮下に入れてしまった。
既成政党の制動破る闘い
ではこの間、シリアの労働者人民はどのように闘ってきたのか。
チュニジア蜂起、エジプト革命が爆発した昨年1月、首都ダマスカスの南ダルアーで、高校生たちが壁に「アサド打倒は人民の声」と書いて逮捕され、拷問されたことが発端だ。3月18日の金曜日(イスラム礼拝日)、シリア労働者人民は同地でこれに抗議する数万人の空前のデモ・集会を行った。軍隊が出動し、戒厳令のもとに町全体を包囲、デモ隊に発砲、電気・水道・ガスなどを遮断した。しかし労働者人民はひるまず、ダルアーを先頭に全国でデモを継続し、毎金曜日が闘争日となった。
3月に開始された大衆的な反乱は、アサドの政治体制の一部である既成政党や既成労働組合と関係なく各地に分散した活動家、青年たちが中心となり、独自に地域共闘委員会などのゆるやかな結合体をつくって拡大していったものだ。
シリアの労働者階級は、体制内労働組合(GFTU)の「スト=陰謀」論に抗し、昨年5月以来、アサド打倒のゼネストを計画した。軍隊の恫喝と介入にもかかわらず10月26日、アラブ連盟代表団の訪問の機会をとらえてゼネストを実現させた。軍の襲撃に抗して主要都市の交通機関、公共サービスがストップ、商店も閉店した。
こうしたシリア反乱の階級的展開に揺さぶられたアサド政権は、戦車、ヘリ、重火器まで投入して、人民せん滅的な軍事攻撃に転じ、反乱都市を一つひとつ軍事的に陥落させ、住民虐殺をくりかえし、ますます絶望的に凶暴化している。
「シリア国民会議」「自由シリア軍」などの、帝国主義の手先となった”反政府勢力”から、シリア労働者人民が闘いの主導権を奪い返すかぎは、激闘を続けるエジプトのように、労働組合を軸としたソビエト型の住民共闘組織の形成である。
(川武信夫)
【『国際労働運動』5月号「シリア/新自由主義のアサド独裁権力に反乱」を参照】
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週刊『前進』(2532号4面4)(2012/04/16 )
4月3日〜9日
米の原発水漏れ「深刻な問題」/原子力安全3委員は続投
●米海兵隊第1陣が豪州北部に到着
米国が進めている米軍再編の一環として、豪州に初めて恒常的に駐留させる米海兵隊の第1陣約200人が、本拠地ハワイから豪北部ダーウィンに到着した。豪州政府によると、今後半年にわたり、共同で軍事演習や訓練を行う予定だという。部隊を6カ月ごとに交代させながら増強し、最終的には約2500人規模とする。(3日)
●窒素注入装置一時ストップ 東京電力は、福島第一原発1〜3号機の原子炉に窒素を注入する装置が不具合で止まり、一時窒素が送れなくなったと発表した。約2時間40分後に予備機を起動して注入を再開した。強風の影響で砂やほこりが舞い上がり、装置のフィルターが目詰まりを起こしたのが原因らしい。炉心溶融事故を起こした1〜3号機は、水素濃度が上昇して爆発するのを防ぐために原子炉に窒素を送り続けている。(4日)
●米の原発水漏れ「深刻だ」 米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長は、不具合で停止中のカリフォルニア州南部のサンオノフレ原発を視察した。三菱重工業製の蒸気発生器の配管が破損し水漏れが起きた問題について、「非常に珍しい現象で、深刻な問題だ。安全が確保されるまで再稼働はしない」と述べた。さらに破損個所が増える可能性もある。(6日)
●FA18が米の住宅地に墜落 米南部バージニア州バージニアビーチの住宅地区にあるアパート街に、米海軍の戦闘攻撃機FA18が離陸直後に墜落し、アパートが炎上、大破するなど約40軒が被害を受けた。海軍当局者は記者会見し、近くの海軍基地を離陸した直後の事故機のエンジンに「致命的な故障」が発生したことを明らかにした。FA18は、米海兵隊が岩国基地にも同型機を常駐させており、米空軍嘉手納基地や米軍普天間飛行場にも訓練でたびたび飛来し、那覇市などの住宅地上空を飛行している。(6日)
●大飯原発「基準おおむね適合」 定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について、野田政権は関係閣僚会合で、暫定的な安全基準に「おおむね適合している」と判断し、安全性を確認した。ただ、さらに議論する必要があるとして、再稼働の妥当性の政治判断は先送りした。この日は、関電が大飯原発に対して実施済みや計画中の安全対策が、6日に決めた安全基準と適合しているかどうかを確認した。(9日)
●原子力安全3委員は続投 内閣府の原子力安全委員会の班目春樹委員長は、16日が任期切れの3人の委員を、新たに原子力規制庁が発足するまでの間、任期を延長することを明らかにした。5人で構成される委員のうち、久木田豊、久住静代、小山田修の3委員の任期が16日に迫り、3人とも辞意を表明していた。議決には3人の委員の同意が必要で、任期を延長するか後任が決まらなければ、原子力安全委員会は機能が停止する。3月末で辞意を表明していた班目委員長も含め、5人全員が発足まで続投することになった。(9日)
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週刊『前進』(2532号5面1)(2012/04/16 )
マル学同福島大学支部の新歓アピール
福島大生は再稼働阻止決戦と4・19法大デモの先頭に立つ
マルクス主義学生同盟中核派・福島大学支部と、闘う福島大生は、国家権力、資本、福島大当局による卑劣な団結破壊攻撃を粉砕し、4・19法大包囲デモと文部科学省行動に決起する。4月新歓闘争で全新入生と結びつき、福島から大飯原発再稼働絶対阻止のうねりをつくり出す。
(写真 3・11福島県民大集会には福島大学を先頭に全国の学生が大結集し、再稼働絶対阻止を誓い合った) 福島大が最大の決戦場
原発いらない!3・11福島県民大集会で示された1万6千人の怒りは、全原発を停止・廃炉にし、原子力ムラを解体し資本主義・帝国主義を打倒するまでやむことのない根源的な怒りだ。「がんばろう日本ではなく、変えよう日本!」(二本松市農民・菅野正寿さん)、「展望が見えない中で、夢や希望の追求は困難です。しかし未来に生きる子どもたちのことを考え、脱原発・反原発の実現を課題に生きていくことが唯一の希望です」(浪江町から本宮市へ避難している橘柳子さん)。それは社会変革の欲求であり、革命のエネルギーだ。
「全原発の停止」の現実性に追いつめられた野田政権が再稼働に突進している中、数百万、数千万の労働者・学生が、敵が誰であるかをつかみ行動に立ち上がっている。
だからこそ、「フクシマの怒り」と再稼働阻止決戦に”革命のヒドラ”を見た政府・東京電力・大学当局は、「がれき処理問題」や「賠償−避難区域再編」、さらには”過激派”のレッテル貼りなどで闘いの隊列を分断し、団結を破壊しようと躍起になっている。
原発事故から1年1カ月。いよいよ正念場がやってきた。最大の決戦場は福島だ。そして福島大学だ。われわれは福島大キャンパスで学生の団結を復権し、敵の分断策動を怒りに転化し、全国学友の最先頭で決起する。
清水は再稼働の先兵だ
「フクシマの怒り」の破壊に必死になっているのが福島大・前副学長の清水修二(3・11集会呼びかけ人代表)だ。4月7〜8日に福島大キャンパスで行われた「『原発と人権』全国研究・交流集会」(現地実行委員長は清水)で、清水は2回講演した(以下の引用はそのレジュメから)。
一つに、清水は低線量被曝の健康被害を無視・軽視している。年間被曝限度について「年1_シーベルトが急に年20_シーベルトに緩和されるのはいかにも不合理」としながらも、続けて「被災者がそこで暮らしていくためには甘受する以外になかろう」と、福島県民に”現状を容認せよ”と迫る。しかもその理由たるや、「福島市の30万人を移住ないし避難させることに伴う被害は、放射線の被害よりも恐らく大きい」とし、「健康被害」と「経済被害」を金銭勘定ではかりにかけ、”この社会を維持するためには現状を受け入れよ”と強要するのだ。
そして結論として、チェルノブイリで「現地の人々は……辛抱強く『適応』している」と言い、”放射能に適応せよ”と恫喝しているのだ。
二つに、清水は絶対に政府・東電の責任を追及しない。「賠償」のテーマでは「国民の責任」「首都圏(東電管内の電力消費者)の責任」論を持ち出し、果ては「原子力村を袋だたきにして片付く問題ではない」と原発事故を起こした犯罪者どもを擁護している。
労働者人民がこの原発事故に真に責任をとるということは、賠償額の論議ではなく、全原発を廃絶することであり、原発なくしては成立しない資本主義社会を打倒することだ。ところが清水は福島大教授としての自らの責任には一切触れず、「原子力発電は『原子力村』が国民に押し付けたものではなく、国民が選択してきたもの」などと逆に描く。清水は「政府を信用するなというのではなくて、信用できる政府をつくろう」「紋切り型の階級国家論で識者に政権を弾劾してもらっても、現地のストレスは少しも緩和されない」と言う。清水こそ「脱原発」をペテン的に掲げた野田政権の最悪の親衛隊なのだ。
三つに、清水は全原発の停止・廃炉を求めない。「現にいま福島に残って暮らしている住民の目線で、事態を捉(とら)え、議論して欲しい」とは言うが、3・11集会で示された福島県民の根源的怒りには絶対に触れない。今回のレジュメから「原発反対」も消え去り、新歓冒頭から福島大生の反原発闘争への決起を弾圧している。
原発再稼働の先兵、清水を倒すのはわれわれ福島大生だ。
学生分断攻撃を許すな
昨年6月19日の「怒りのフクシマ大行動」以来、福島大生は新たな仲間を迎え入れながら反原発闘争の最先頭に立ち続けた。その決起は全国の学友を鼓舞激励し、再稼働阻止の根底的な力となってきた。一人の福島大生の決起が百人千人の闘いを引き起こし、原子力マフィアどもの足元を揺さぶり続けてきたのだ。
それと反比例して、福島大当局は、新自由主義大学の本性をあらわにし、原子力ムラの先兵へと転がり落ちていった。そして福島県民に放射線被曝を強制する最悪の御用学者である山下俊一・神谷研二(いずれも福島県立医大副学長)と一体となり、「フクシマの怒り」を抑え込むために、腐りきったブルジョアマスコミを使って福島大生の決起を抑えつけようとしている。
福島大当局は、産経新聞4月5日付朝刊に福島大での反原発闘争を誹謗(ひぼう)中傷する記事を書かせた。福島大生の決起が新自由主義大学粉砕とプロレタリア革命へ発展しつつあることに消耗感と焦燥感を募らせているのだ。しかし、こんなやり方はもう通用しない。膨大な労働者・学生が社会のあり方そのものを変革するために立ち上がっている。この怒りは、産経新聞の陳腐な記事では絶対に押しとどめることはできない。
われわれは、福島大当局が産経記事に託したはかない願望を粉砕し、前進している。原発廃止−福島大当局打倒へ、4月から新たな福島大生の決起が生み出されている。福島大生の怒りを甘く見るな!
法大支部のアピール(本紙前号)に応え、福島大生は法大デモ&文科省行動に立とう。福島大闘争と法大闘争の結合は清水ら御用学者を追放し社会を変える力となる。
法大闘争は、新自由主義大学と真正面から激突し、「一人の仲間も見捨てない」と団結を守り、6年間の闘いで組織を拡大し、「教育の民営化」攻撃にうちかってきた。法大闘争のように闘おう!
4月19日は昨年文科省が「年20_シーベルト基準」を打ち出した日だ。福島大生と全国学友は「フクシマの怒り」でつながろう。
われわれ福島大支部は、闘う学生自治会を復権し、福島大学を反原発とプロレタリア革命の拠点にする闘いの最先頭に立つ。ともに闘おう!
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法大包囲の全国学生デモ&文部科学省行動
4・19原発いらない!大学生が立ち上がる日
★法大生への不当処分撤回! 大学を学生の手に取り戻そう!
4月19日(木)
正午 法政大学市ヶ谷キャンパス正門前集合
法大九段校舎・総長室へ向けデモ
午後3時 経済産業省前テント集合
文科省へ要請行動
【呼びかけ】4・19法大―文部科学省行動実行委員会
(連絡先 全学連/法政大学文化連盟)
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週刊『前進』(2532号5面2)(2012/04/16 )
マルクス主義を学ぼう
世界大恐慌にあえぐ資本主義をプロレタリア革命で打倒しよう
マルクス主義学生同盟中核派
学生が人生をかけるべき思想・行動原理
3・11東日本大震災と福島第一原発事故は、私たちの暮らす社会がいかに非人間的なものであるのかを突き出しました。原発問題においては、多くの労働者、とりわけ非正規の労働者が被曝労働を強いられ命を削られる現実の上に、東電役員が数千万円もの役員報酬を受け取り、政府・官僚と政治家、電力会社と財界、裁判所、マスコミ、御用学者と労働組合幹部が「原子力ムラ」と呼ばれる結託体制をつくり、原発利権にまみれていたことを明るみに出しました。
今、膨大な人びとが人生をかけて闘いに立ち上がっています。「こんな社会を子どもたちに残すわけにはいかない」「変えるのは今しかない」。今年3月11日には、高線量下の郡山に1万6千人が集まり、命をかけた福島の人びとの怒りの声が発せられました。
全世界が激動の時代に入っています。大恐慌の進行と国家破綻、大量の首切りと失業、戦争。誰もがこうした社会のあり方が長く続くとは思っていません。そして私たちと同じように未来を担う若者たちが、デモに、ストライキに、そしてエジプトのような革命に立ち上がっています。
私たち学生は、この時代に見合った思想と行動原理を打ち立てなければなりません。
大学もまた「原子力ムラ」の一員として利権にまみれ、真実を覆い隠すとともに、単位や高額の学費、就活などによって学生を競争させ、企業に従順な労働力として育ててきました。私たちはこうした大学のあり方を根本的に否定し闘い、自分の中に歴史を変革する力をつけていく必要があるのです。
マルクス主義学生同盟中核派は確信をこめてマルクス主義を学ぼうと訴えます。
資本主義社会の本質を科学的に明らかにし、資本主義社会をその国家暴力を含めて根底から暴力的に転覆し、労働者階級が主人公となって、搾取と抑圧を廃絶して人間的な社会をつくりだす――このマルクス主義こそ、学生が人生をかけて学ぶべき思想であり行動原理です。
(写真 スペインで政府の労働政策に抗議するゼネストが爆発【3月29日】)
大恐慌と原発事故は新自由主義の破産だ
今こそ、プロレタリア世界革命へと突き進む団結の拠点として労働組合・学生自治会をよみがえらせよう。この闘いを通してマルクス主義を現代に復権しよう!
現在野田政権は、大飯原発3、4号機の再稼働に向かって突き進んでいます。福島の子どもたちが今この瞬間も被曝している現実をよそに「収束宣言」を発し、大地震・津波対策もまるで行わず、平然と再び「フクシマ」を繰り返そうとしています。こんなことは絶対に許してはならない! 問題は、なぜ人類がその歴史を終わらせてしまうかもしれない政策を支配階級はやり続けるのか、そしてどうすればこうした社会を変えることができるのか、ということです。
「これまでのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である」(マルクス・エンゲルス『共産党宣言』)
資本主義社会は労働者階級と資本家階級の非和解的な対立に基づく階級社会です。生産手段を独占し私有する資本家階級と、逆に一切の生産手段から切り離され自分の労働力を切り売りすることでしか生きていけない労働者階級へと社会が分裂している。この「賃労働と資本」の関係のなかで、労働者は自ら生産した生産物からも切り離され、自分(と家族)の生活を維持する(もしくはそれすら成り立たないような)程度の賃金しか受け取れない。一方で資本家は労働者から剰余労働(不払い労働)を搾取し、膨大な利潤をせしめる。人間の「生命の発現」である労働が資本の利潤追求の手段となり、労働者の労働力が商品として売り買いされる。資本主義は根本から転倒しているのです。
そして「新自由主義」は資本主義の最末期の姿です。1974−75年恐慌で過剰資本・過剰生産力状態を露呈して以降、資本はあらゆる規制を取り払い、労働者・学生の団結を破壊することを通して延命してきました。その結果、今や青年の5割が非正規職にたたき落とされ、大学生の自殺者はついに年間1千人を超えました。しかも新自由主義は、教育や医療など人間生活に不可欠な領域まで民営化して金もうけの対象とし、破壊しています。
恐慌の不可避性
この新自由主義の歴史的破産の現れが、現在進行中の世界大恐慌であり、福島第一原発事故なのです。
「恐慌のなかで、社会的疫病が発生する。これまでのあらゆる時代にはおよそ不合理としか思えなかったような疫病、すなわち過剰生産という疫病である。社会は、とつぜん、一時的に未開状態にひきもどされたかのような状況になる。飢餓や全社会的な破壊戦争がおこり、社会がすべての生活手段から切断されてしまったかのようになり、工業と商業も破壊されてしまったかのようだ」(同)
価値増殖を唯一の動機とし、労働者を賃金奴隷におとしめる資本主義は、恐慌(信用制度の崩壊、銀行・企業の連鎖的倒産、社会的生産の停止、大失業など)を不可避にもたらします。人間の生み出した生産諸力が資本の運動のなかで人間自身や自然への破壊力として作用するのです。
特に19世紀末から20世紀にかけて、自由主義段階から帝国主義段階へと世界史的に推転した資本主義は、その矛盾を世界恐慌と世界戦争として爆発させました。帝国主義諸列強は、巨大になりすぎた生産力を周期的恐慌によっては破壊・整理することができず、侵略戦争と領土拡張によって市場・資源を奪い合い、2度の世界大戦という地球規模の破壊と大量殺戮(さつりく)に行き着いたのです。
戦後、アメリカを基軸国とする帝国主義世界は、延命のためにありとあらゆる財政・金融政策を繰り返し、その破産の末に新自由主義に行き着きました。すなわち資本の利潤=もうけを一切に優先し、「もうからないものは一切切り捨てる」という攻撃です。現在の世界大恐慌は、この新自由主義政策の破産のもとで起きています。すなわち資本主義が歴史的に積み重ねてきた全矛盾の爆発です。それは銀行や企業の危機にとどまらず、国家財政の破綻にまでいたり、労働者には解雇、大失業、非正規化、社会保障の剥奪(はくだつ)、生活破壊となって襲いかかっています。
大恐慌の根底に「過剰資本・過剰生産力」がある以上、いかなる資本への救済策をもってしても問題は解決しません。
「それでどうなるのか? ブルジョアジーは今までよりもっと全面的な、もっと激烈な恐慌への道を開き、恐慌を予防する手段をますますせばめるのである」(同)
階級社会の歴史を終わらせる歴史的事業は、階級矛盾が人間として耐えがたいまでになった時、人間が怒りを爆発させて立ち上がることによって実現する。まさに今がその時です。では、その革命を行う力を持っているのは誰なのか。
労働者が主人公
この転倒した資本主義を打倒する力は労働者階級にあります。「ブルジョアジーに対立しているすべての階級のなかで、プロレタリアートだけが真に革命的な階級である」(同)
「プロレタリア革命とは、労働者階級が資本家階級の支配を打ち倒し、ブルジョア国家権力を粉砕してプロレタリア独裁を樹立し、資本家階級の私有財産としてある社会的生産手段のすべてを団結した労働者のもとに奪い返して、自らの手で全社会を再組織することにほかならない。それは賃労働と資本の関係を廃止すると同時に、一階級による他階級への抑圧と搾取そのものを終わらせ、社会の諸階級への分裂をなくし、本来の共同性を人間の手に奪い返すものとなる」(革共同綱領草案)
労働者階級こそ、階級対立を止揚し、人類がその前史から本史へと歩み出すことを可能にする革命的階級なのです。
新自由主義政策の狙いは、正規雇用や教育、社会保障を解体して、労働者人民を弱肉強食の競争にたたき込み、労働組合や学生自治会、地域の連帯などあらゆる団結を破壊していくことにありました。しかも「小さな政府」を掲げながら軍事大国化、警察国家化を強め、大規模な侵略戦争を繰り返してきました。
しかしそれは1970年を前後してスターリン主義の制動を打ち破って立ち上がった労働者・学生の闘いに対する反動的巻き返しでもあり、その凶暴性はけっして強さの証明ではありません。
闘う労働運動と結び全国に学生自治会を
新自由主義は労働組合の屈服によって初めて成り立つ以上、労働者・学生が労働組合や学生自治会をよみがえらせ団結して立ち上がれば、必ず打ち砕くことができます。
国鉄分割・民営化は、「3人に1人の首切り」を進め、国鉄労働運動を解体するための国家的不当労働行為でした。総評解散をもって労働運動を右翼的に再編した連合幹部は、派遣法や外注化を通した非正規職拡大に率先して協力してきました。原発でも「危険作業は下請けに」と外注化を求めた労働組合によって、現場労働者の9割は非正規・下請け労働者となっています。
これに対決して闘い抜いてきた動労千葉に学び、法大闘争は闘われてきました。処分や逮捕を受けても「一人の仲間も見捨てない。これ以上の大学の暴挙を絶対に許さない」「仲間のために」を合言葉に団結して闘い抜いてきました。学生の本来持つ力と可能性を信じて闘い抜いてきたのが法大闘争です。
こうした闘いが今や全労働者・学生・市民に拡大する時がきています。体制内派の支配はもう終わりだ! 大恐慌と3・11で、新自由主義にくみしてきた体制内派に対する現場労働者の怒りが高まっています。
すべての学生は、階級的労働運動の前進と一体となって、新自由主義を打ち破る団結体=学生自治会を全国につくりだそう! 新自由主義と対決するすべての学生は、その闘いの勝利に責任を取りきるマルクス主義学生同盟中核派へ結集しよう!
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週刊『前進』(2532号6面1)(2012/04/16 )
団結ひろば 投稿コーナー
PTA会長として卒業生に訴えて好評 福島 渡辺馨
3月13日、中学校の卒業式でPTA会長として行った卒業生へのあいさつが好評でした。その一部を以下に紹介します。
昨年3・11東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故はすべてを変えました。家を奪われ、仕事も生活の糧も奪われ、育んできた農地や家畜を奪われ、そして子どもたちの未来までも奪われようとしています。福島県に住む私たちは、目に見えない放射能の恐怖と闘っていかざるをえません。本当に悔しいです。安全だと言って原発を推進してきた人たちに責任をとってもらわなければ一歩も前に進めません。
3・11を経験した私たちは、「人が生きることってどういうこと?」「これまで当たり前と思っていたことがまったくそうではないんじゃないか」「毎日友達といろんな話をできることが実はとっても貴重なことなんだ」と気づかされたのではないでしょうか。
私もこの1年、今までだったら出会うことのない多くの人たちと出会いました。私たちが生きているこの社会や未来についてこれほど考えさせられた時はありません。
福島のこの地に住む私たちは、大きな使命を与えられました。原発事故の証人となって「放射能なんかに私たちの生活や未来を奪われてはならない」「原発や核と、人間は共存できない」ことを世界に訴えるという使命です。
そして福島から伊達市から発信した声が日本中を、そして世界中を変えます。みんながつながれば大きな希望ができると思います。
学生弾圧の福大当局許さず再稼働阻止を 福島大学 F
放射線「20_シーベルト基準」から1年の4月19日は、原発被害者にとって不愉快な日だ。本来原子力を監視するはずの政府機関が、民衆に敵対し東電に味方したからだ。
福島大は学生のためではなく、ブルジョアジーの金儲(もう)けの場となっている。福大では反原発を口にしただけで”過激派”のレッテルを大学当局に張られる。福大当局は、手当たり次第に学生を学生課に呼び出して弾圧している。
3・11集会に恐怖した福大当局と権力は、4月5日の産経新聞に記事を出した。福大当局がマスコミ・公安と癒着していることは一目瞭然だ。なぜ「原発反対!」と言ってはいけないのか!
「過激派と付き合うな」などと当局に言われる筋合いはまったくない。そもそも、大学は学生がいてこそ成り立っているのではないか! キャンパスの主人公は誰なのだ! 福大生の自由を奪い、団結を崩そうとしているのが前副学長の清水修二と学生課だ。闘う福大生を売り渡す。こんなことが許されてはいけない。やつらも原子力ムラの連中と一緒に牢獄にぶち込みたい。
国家権力や企業と癒着した大学との闘い。法政大学と福島大学はまったく同じだ。法大の中に一歩入れば憲法は停止されている。学生が理事会に支配され、ビラをまくだけで処分されるなんてまったく考えられない。福大当局の弾圧の先には法大がある。だからこそ、私と福大生はとことん法大生と連帯し、ともに大学を学生の手に取り戻すため闘うことを誓う。
『前進』読者のみなさん、福大当局に怒りと抗議を集中してください。福大生の闘いと全国の怒りがつながって福大当局を包囲した時、彼らのキャンパス支配は崩壊します。それが再稼働を阻止していく力にもなります。そしてみなさん、今週4月19日に行う法大デモと文部科学省抗議行動を、ぜひ一緒に闘いましょう!
福島の現実と怒りに寄り添い反原発誓う 埼玉 春野弥生
職場の仲間と一緒に3・11郡山集会に参加しました。大江健三郎氏が「政治でも経済でも国益でも防衛でもなく、人が生きていくために、原発をなくすんだ」と言っていたことは本当にそうだと思いました。
地元福島の人たちの、帰れといわれても帰れない、帰りたくても帰れない現実。発言の中で「事故以降、常に選択を迫られてきた」という話がありました。確か、以前の集会でもこういう話があったと思いましたが、あらためて「福島の現実は今も変わっていないんだな」と思いました。
「このすさまじい現実と原発・東電・政府への怒りに寄り添って、ともに活動していかないと」と決意を新たにしました。
またあらためて、人と人とのつながりが重要だと思います。この日、郡山には1万6千人が集まり、本当に行けて良かったと思いました。
この集会を先頭に、各地で思いをひとつにして集会やデモが行われました。私もこの集会に向けて、メールやツイッターで何人かに激励されました。参加するのは一人ひとりだけど、それが集まって力になる。労働組合もそうですが、自分がやることで周りも影響され、逆に激励もしてくれるようになります。
このつながりを大事にしてこれからも原発に反対していきたいと思います。
“心は折れない福島”意気感じた郡山集会 首都圏学生 C
3・11郡山集会が始まる前、放射能測定器に0・5マイクロシーベルトとあり、「怖い」と感じました。芝生に触らないようにして、マスクもつけました。福島に行って数値を見て初めて、放射能は怖いと感じました。ここで福島の人たちは毎日暮らしている。子どもも大人も。原発は今も放射能を漏らし続けている。
集会はコーラスや詩の朗読、演奏など、お祭りのように始まり、正直びっくりしました。原発に反対するから神妙になってもおかしくないのに。「放射能の中でも心は折れないぞ」という福島の人たちの心意気を感じました。
福島県民代表6人の方が話されました。共通しているのは原発によって生活を大きく変えられた悔しさでした。テレビや新聞では聞こえてこない、見逃してしまいそうになる声です。
原発事故は天災の前に怠りの人災です。東電は警告を受けていたのに無視し続けてきた。事故の後も真実を隠し続けた。その責任をはっきりさせる前に、なぜ再稼働が検討されるのでしょうか。原発はなくすべきだと思います。今原発はこの国に住んでいる人間を苦しめている。
みんなで原発がない社会に変わる痛みを分け合いながら、新しい社会をつくっていけばいい。この集会で、あらためて原発はなくすべきだと強く感じました。
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週刊『前進』(2532号6面2)(2012/04/16 )
“裁判所の犯罪”絶対許さぬ
星野同志が再審棄却を弾劾
無実の星野文昭同志(徳島刑務所在監)に対する東京高裁の3・30第2次再審請求棄却を絶対に許すな! 星野同志は獄中から怒りと、断固闘う決意を表明している。連れ合いの星野暁子さんへあてた手紙の一部を紹介します。(編集局)
一言で言って、暁子も言うように、本当に許せない。
白を黒と言って恥じない言辞、ペテン的な言辞によって検察がねつ造した虚偽の供述を支持し、真実を闇に葬り、無実の者に無期投獄を強い続けるような裁判所の恥ずべき腐敗、裁判所の犯罪と言うべき暴挙を絶対に許すわけにはいかない。
資本・権力が生命よりも金の支配を維持するために犠牲を強いている労働者人民に一方的に「犯罪責任」を負わせ、あるいはまったくの冤罪を負わせる、新自由主義、原発−基地・戦争によって労働者人民に犠牲を強いることを裁判所として担い、何よりもそのことへの労働者人民の闘いを圧殺することの片棒をかつぎ、そして、その闘いの先頭に立ち、その闘いを圧殺する無実を承知の無期に不屈に闘い、再審・釈放を労働者人民と一体に闘い、資本・権力の生命より金の世の中を変え、誰もが人間らしく生きられる社会を実現していこうとする闘いを圧殺するものとして再審請求を棄却したことの罪は深い。資本・権力、裁判所は、労働者人民の未来を破壊するものとして地に落ちている。
これまで築いてきた地平の上に、2・5の地平の上に、3・11−3・18−3・25の地平の上に、新自由主義・原発がすべての労働者人民の仕事も生活も、生命さえも奪うことに対して、生命がけで立ちあがり、労働者人民の団結した力で世の中を変え、労働者自己解放・人間解放をかちとるために根底から総決起していこうとしていることと一つに、棄却決定粉砕、再審・釈放をかちとる闘いに絶対勝利していこうと思う。
全知全能を注いで、再審請求の武器を万全なものに磨いて、決定の白を黒とする論理、言辞、ペテンを真正面から粉砕し尽くして、棄却決定を粉砕し、再審・釈放をかちとっていきたいと思っているよ。暁子と一つに、そして皆とともに。
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週刊『前進』(2532号6面3)(2012/04/16 )
市東さん耕作権裁判
“NAAの土地取得は無効”
農地強奪の犯罪を徹底追及
4月9日、千葉地裁民事第2部(白石史子裁判長)で、市東孝雄さんの耕作権裁判の弁論が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟を先頭に支援の労働者・学生・市民がともに闘った。
この裁判は、市東さんの耕作地の一部を、成田空港会社(NAA)が「不法耕作」として明け渡しを迫っているものだが、この明け渡し請求の前提が崩れる重大局面を迎えている。
反対同盟顧問弁護団は、空港公団(NAAの前身)の土地取得そのものが違法・無効だったことを暴き、NAAと裁判所に突きつけた。
公団は1988年に市東家が耕作する南台41番地の土地を、地主から秘密裏に買収した。しかしこの畑は空港敷地(土地収用法で事業認定された空港建設予定地)の内外にまたがっている。農地法は農地の他の用途への転用を厳しく制限し、売買には県知事の許可を必要としている。ただし、成田空港の「空港敷地、道路、線路、航空保安施設」については、特別に規則を定めて例外(許可不要)とした。
この南台の土地は空港敷地の外部を含んでいることで例外規定からはずれ、売買には県知事の許可が必要である。したがって耕作者の同意の書面が不可欠であり、これらなしには土地を取得することはできない。つまり、公団は市東さんの耕作地が敷地内外にまたがることなど調べもせずに「買収」へと走ったのであり、違法・無効だ。
NAAには「土地を明け渡せ」と言う権利などないということだ!
NAAは、後知恵的に敷地外部分を「空港関連の資材等の置き場として利用するから空港敷地と一体」と強弁して、のりきろうとしている。居直り強盗の暴論だ!
さらに弁護団は、署名偽造問題でNAAが警察OBに書かせたインチキな「鑑定書」に対する反論をたたきつけた。また、当時の用地買収に関連する交渉記録、報告書などについて、裁判所がNAAに文書提出命令を出すよう重ねて迫った。
この日の裁判は、次回期日を7月23日として閉廷した。
その後、弁護士会館で報告集会が開かれた。最初に市東さんがあいさつに立ち、「この裁判も重大局面です。今後もともに闘いましょう」と簡潔に、自信に満ちて語った。
続いて葉山岳夫弁護士がこの日の審理を解説し「追及の手を緩めずに闘う」と決意を表した。さらに弁護団全員が、民事第3部の行政訴訟・農地法裁判と併せて、NAAの違法を暴き農地強奪を打ち砕く決意と展望を語った。
北原鉱治事務局長は第3誘導路工事の深夜強行を弾劾し、「正義が勝つ闘いを」と一層の決起を促した。さらに市東さんの農地取り上げに反対する会の三角忠さん、動労千葉の後藤俊哉さん、関実が連帯発言を行った。
最後に萩原進事務局次長がまとめの発言に立った。「今空港周辺の一番の大地主はNAAだ。住民は家も建てられず、畑を増やせず、敷地内外や騒音区域で線引きされ、土地価格で地域が分断されてきた。空港を粉砕し、土地を人民に解放する日まで闘いぬこう!」と熱を込めて訴え、全員が大きな拍手で応えた。
(写真 裁判後の総括集会で市東さんが「ともに闘いましょう!」と一同に奮起を促した【4月9日 千葉】)
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週刊『前進』(2532号6面4)(2012/04/16 )
共産主義者172号
新自由主義と闘う路線 労組拠点づくりを提起
激動期の階級形成と党建設論
『共産主義者』172号は、3・11福島県民大集会の圧倒的高揚と動労千葉の検修・構内業務外注化4・1実施阻止の勝利を受け、新自由主義と真っ向から闘う路線的方針を打ち出した意欲的論文が満載だ。国鉄決戦と反原発闘争が一体となって1〜3月決戦がかちとった勝利的地平が結実している。
巻頭の大原武史論文は、新年冒頭に開催された首都圏活動者会議の基調報告だ。日本階級闘争・革命的共産主義運動の主戦場が国鉄戦線にあり、国鉄決戦の死闘の渦中で平成採の組織化をめぐる攻防にかちぬくことが日本階級闘争の歴史的最火点になっていることを明らかにした。激動期・革命的時代における階級形成と党建設論を提起し、青年労働者・学生に「党とその闘いについて熱く語ろう」と訴えている。
革共同中央学生組織委員会論文は、昨年3・11以降の1年間の闘いの中で直面した原発推進大学と学者たちの驚くべき腐敗を全面暴露・徹底弾劾し、大学を解放していく闘い、新自由主義大学を粉砕する闘いに勝利していく展望を明らかにした。法大決戦でつかんだ「教育の民営化」粉砕の闘いの教訓が、3・11情勢下の反原発闘争の大衆的発展によってさらに光り輝いている。4〜5月、新歓闘争―沖縄闘争と自治会建設の展望を示した意欲作だ。
橋下反革命粉砕の路線を鮮明に
革共同自治体労働者委員会論文は、自治体丸ごと民営化・首切り攻撃との最先端攻防を闘う路線を形成した重要論文だ。大阪の橋下「維新」反革命との攻防、被災地での「復興特区」攻撃を打ち砕く闘いの地平から、全国の自治体労働者の闘う指針を提起している。被災地の自治体における新自由主義攻撃を全面的に暴露し、動労千葉の反合・運転保安闘争路線が自治体職場における民営化攻撃を打ち破る勝利の路線となることを鮮明に論じた。被災地と大阪を先頭とする全員解雇・非正規職化、外注化・偽装請負と闘う職場闘争の実践を踏まえ、全国の自治体労働者への総反乱を呼びかける産別論文だ。
革共同関西地方委員会論文は、1〜3月八尾北・西郡で住宅明け渡しの強制執行を粉砕し、道州制粉砕・橋下打倒の道を指し示した高揚感にあふれている。八尾北医療センター廃院・西郡更地化との闘いを新自由主義攻撃との最先端での先鋭な対決点として明確に位置づけている。新自由主義と対決する新しい部落解放闘争路線を発展させる論文としても重要である。
革共同入管闘争組織委員会論文は、戦後入管体制の大再編ともいうべき改悪入管法=「在留カード」導入が、在日・滞日外国人を含む労働者階級人民全体に対する新たな徹底的分断攻撃であることを明確に突き出した。日帝の入管体制の歴史と労働者階級への分断攻撃の構造を暴露し、自らの職場で労働組合を組織し資本と闘いぬくことこそ国際連帯の闘いであり、労働者階級の団結であることを鮮明にさせている。
反原発闘争の理論武装へ特集
反原発闘争の理論武装のために、「特集/放射線被曝から命を守れ!」を掲載した。@「ICRP基準」の非科学性、A低線量内部被曝の危険性、Bチェルノブイリの真実と教訓、Cビキニ事件を今改めて問う、D広島・長崎原爆症認定訴訟、Eふくしま集団疎開裁判という六つのテーマから、福島原発事故の重大性や日帝危機の深刻性を暴露・弾劾している。
本号の最後に、『前進』新年号掲載の革共同政治局の2012年1・1アピールを収録した。巻頭論文と合わせて学習してほしい。
4〜6月の国鉄決戦・反原発闘争の中で、労組拠点づくりと党建設に突き進み、今年前半の〈11月労働者集会〉としてある国鉄闘争全国運動6・10全国集会への結集に向けた組織戦に、本号を徹底的に活用しよう!
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週刊『前進』(2532号6面5)(2012/04/16 )
【要項】星野東京高裁包囲デモ、迎賓館・横田爆取弾圧集会、第23回全国研究交流集会、三里塚裁判
再審請求棄却弾劾!
東京高裁は再審を開始せよ!
4・20東京高裁包囲デモ
4月20日(金)正午 日比谷公園霞門集合
午後0時半 デモ出発
主催/星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議
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福嶋さんの上告棄却弾劾! 再審へ!
差し戻し控訴審勝利、5・15〜16第1回公判へ結集しよう!
迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判
4・29緊急総決起集会
4月29日(日)午後1時開場、1時30分開会
千駄ケ谷区民会館
主催/迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会
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新たな入管体制ゆるすな! 『在留カード』粉砕!
反原発・反失業! 在日外国人労働者と連帯しよう!
第23回 全国研究交流集会
4月22日(日)午後1時
横浜開港記念会館(横浜市中区1-6)
主催/外登法・入管法と民族差別を撃つ 全国研究交流集会実行委員会
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三里塚裁判傍聴を!
◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
4月23日(月)午後1時30分 千葉地裁
◎第3誘導路許可取消裁判
5月1日(火)午前10時30分 千葉地裁
(傍聴券抽選のため1時間前に集合)
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