ZENSHIN 2012/03/26(No2529 p06)
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週刊『前進』(2529号1面1)(2012/03/26 )
外注化阻止・新賃金制度粉砕・組織拡大へ
国鉄全国運動の発展を
大増税・原発再稼働・戦争へと突き進む野田政権打倒しよう
新自由主義の先兵=橋下ぶっ飛ばせ
(写真 すべてを奪い返すぞ! 労組解体・更地化粉砕! 西郡での集会後、600人が岡邨支部長を先頭に村を横断するデモに立った【3月18日 八尾市】)
「無数の労働者が非正規職、ワーキングプアに突き落とされ、社会保障制度が解体されて、その日その日をいかに生きるのかが精一杯の状況の中、今回の大震災が起きた。そして大震災が、生きるための最後の一線さえ奪おうとしている」。動労千葉は2011年3月14日の声明で3・11大震災と原発事故をこう弾劾し、生き抜くために闘おうと訴えた。それから1年。2012年3・11を日本と世界の労働者階級人民は、福島を先頭に反原発に総決起した。新自由主義と闘い、プロレタリア世界革命へと前進する突破口が切り開かれている。闘いは直ちに3・14〜18八尾北・西郡決戦と3・25三里塚闘争の爆発へ引き継がれた。この地平から、国鉄闘争全国運動の大前進、原発再稼働阻止、4〜6月国鉄決戦へ全力決起しよう。
フクシマの根源的怒り
「倫理的責任とは、この世界で人が人間的に生きることを妨げてはならないということ。この国の原発をすべて廃止に」(大江健三郎さん)、「人の命も守れないのに電力とか経済とか言っている場合ではない」(高校2年生・鈴木美穂さん)、「都市も農村も力を合わせ、大資本中心の日本のあり方を変えよう。『頑張ろう日本』ではなく『変えよう日本』だ」(農業・菅野正寿さん)。郡山市の開成山野球場から発せられた呼びかけは、フクシマを頂点に全国・全世界の反原発闘争を一つにした。
3・11のフクシマから根源的な革命の叫びが発せられ、新自由主義と対決する労働者自己解放・人間解放の階級的火柱が上がった。3・11一周年をいかに迎えるのかという根底的な問いかけと決起は、権力や体制内指導部の弾圧や制動・分断を打ち破って前進する時代を切り開いた。
福島県教組や国労郡山工場支部、福島の母親たちの仲間への信頼に満ちた決起が、政府や支配階級が振りまく「除染」「復興」「慰霊」などなどの分断・圧殺を打ち破り、新自由主義がもたらした未曽有の災厄への苦悩と怒りを結びつけ、ひとつに団結させた。動労千葉、動労水戸を先頭とする階級的労働運動派はこの歴史的決起に職場実践から大合流して闘い、新時代をたぐり寄せた。
3・11一周年の福島での、原発事故への根源的怒りと原発絶対反対の闘いの爆発は、革命=体制変革へのほとばしる希求だった。この中から労働組合再生への新たなうねりが巻き起こっている。労働組合が中心に座った階級的団結こそ、新自由主義をうち破る力であることが鮮明に示された。外注化阻止・非正規職撤廃と組織拡大の4〜6月決戦はこの全地平の発展をかけた闘いだ。
責任勢力としての飛躍
3・11郡山でフクシマの怒りと誇り高い階級的姿に触れ、この真実と意義を職場、学園、地域に伝えたいと誰もが強く感じた。そして権力や体制内指導部の分断と制動に抗して、全国でさまざまな実践が始まっている。本紙前号は「3・11福島を最先頭に全国と全世界で反原発の巨大なうねり」として、3・11のすべてを報道している唯一の新聞だ。これを徹底的に活用し拡大しよう。ここに党と労働組合の一体的発展の環がある。
3・11から始まった新たな階級闘争の革命的うねりは、労働組合をめぐる巨大な党派再編、流動、分岐の進行と一体だ。体制内指導部によって辱められ、無力化させられてきた労働組合が、反原発の怒り、闘いの高揚によってその再生の展望をつかみ、またその労働組合再生の闘いが、反原発闘争を大高揚させるという画期的な過程が始まっている。
職場で国鉄闘争と反原発闘争をますます一体的に発展させ、プロレタリア革命勝利を切り開いていかなければならない。3・11はその決定的な跳躍点となった。今こそ階級的労働運動派が責任勢力へ、主流派・多数派へと躍り出ていく情勢が完全に到来したのだ。
新自由主義は凶暴だが、決して盤石ではない。新自由主義は、カクマルを権力・資本の先兵として使った国鉄分割・民営化攻撃とそれに対する動労千葉の闘いが示すように、労働組合が団結して闘えば打ち破ることができ、破綻に追い込むことができるのだ。
福島県教組や国労郡山工場支部、そして福島の母親たちの原発への激しい怒りを爆発させた不動の決起が、国家権力や既成指導部との党派闘争に打ち勝ち、3・11を世界の労働者階級の団結の頂点に押し上げた。3・14―18八尾北・西郡決戦の大勝利も、鈴木コンクリート工業分会闘争の緒戦での重大な勝利も、労働組合の団結が切り開いたのである。
今や新自由主義への根底的な怒りと絶対反対での団結が、すべてを獲得し、情勢を動かし、勝利する時代なのである。
野田の絶望的な凶暴化
大恐慌は、米欧日帝国主義や残存スターリン主義・中国のあらゆるあがきにもかかわらず、激烈に深化・発展している。政府債務危機の爆発と国債暴落時代への突入が、帝国主義間争闘戦を死闘的に激化させ、為替戦争、貿易戦争、勢力圏争奪戦を促進している。
この中で、帝国主義と争闘戦からの脱落の危機にあえぐ日帝・野田政権は絶望的に凶暴化し、消費大増税と原発再稼働と日米安保強化=戦争の攻撃にしゃにむに突き進んでいる。財務省が野田を消費増税の「最終兵器」と言うように、野田は政権がつぶれても消費大増税をやろうとしている。原発再稼働については「地元の理解を得るため政府をあげて取り組み、私が先頭にたつ」とうそぶく。
さらに野田は、北朝鮮の人工衛星打ち上げ予告を逆にえじきとして、ミサイル破壊措置命令を発令することを狙い、そのために沖縄へのPAC3ミサイルの配備に踏み出そうともしている。また5月訪米時に、太平洋地域での新たな秩序作りの基本戦略「野田ドクトリン」なるものを打ち出し、「アジア太平洋最重視」という米帝オバマの対中対峙・対決政策に対応・競合しながら、日米安保強化=戦争政策にのめり込みつつある。
その先兵が大阪の橋下だ。橋下反革命の核心は、国鉄分割・民営化型の攻撃をついに自治体や教労で開始したということだ。橋下との闘いは公務員大量首切りと労組破壊、全面的な外注化・非正規職化との本格的な激突だ。しかも橋下は9条改憲を主張し、国政選挙にも打って出ようとしている。労働者と組合の団結こそ橋下反革命を打倒する力だ。
米・カリフォルニア州では教育公務員2万人への解雇通知という未曽有の攻撃との激突が始まっている。UTLA(ロサンゼルス統一教組)は必死の反撃に打って出ている。ウィスコンシン州での闘いが占拠運動に引き継がれ、ILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル21の勝利へ結実した力で、この大攻撃と立ち向かおうとしている。ギリシャ労働者階級の不屈の決起が、米日帝国主義足下に拡大していくことは不可避だ。労働者の団結と国際連帯で闘おう。
「6・10」大結集運動へ
10年春に学校を卒業した青年のうち、就職できなかったり、就職から3年以内に離職した者の割合は、政府の推計で実に大学・専門学校卒で52%、高校卒で68%、中学卒で89%にのぼる。彼らのほとんどが失業か非正規職の状態にある。大恐慌と3・11情勢、新自由主義攻撃のもとで、青年の未来は今や完全に奪われている。青年が生きていけないこの社会は終わっている。青年の怒りのマグマは、運動と組織に触れ、団結の素晴らしさを体感したとき、嵐のように爆発していく。
その勝利の道は、国鉄を先頭に全国・全産別で外注化阻止・JR新人事賃金制度粉砕、非正規職撤廃と組織拡大の4〜6月決戦に総決起することであり、何よりも国鉄闘争全国運動の発展をかけて、6・10国鉄大集会への結集運動を、職場生産点と学園、地域において猛然と組織し推進していくことだ。
JR千葉支社は3月20日から、「佐倉・銚子運輸区」新設に伴う異動の事前通知を強行した。佐倉運輸区への異動では千葉運転区の動労千葉組合員5人、銚子運転区の組合員8人に通知が行われ、この中には2名の支部長や本部執行委員も含まれている。これはまさにむき出しの組織破壊攻撃そのものだ。
4〜6月は全面外注化攻撃と新自由主義の絶望的凶暴化に対する歴史的な決戦のときだ。団結の強化と組織拡大に労働者の勝利と未来がある。革共同に結集し、ともに闘い抜こう!
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週刊『前進』(2529号1面2)(2012/03/26 )
“強制執行粉砕したぞ”
八尾北・西郡に600人が総決起
(写真 村を練り歩き、デモの解散地で橋下打倒への決意を込めて団結ガンバロー【3月18日】)
「3・14岡邨(おかむら)洋さん家族への住宅追い出し強制執行を粉砕しました!」。八尾北医療センター労組の藤木好枝委員長が高らかに報告すると、拍手と大歓声が起こった。会場は勝利感で満ち「新自由主義を打ち破ったぞ! 橋下打倒へ攻め上るぞ!」と戦闘意欲が否応なしに高まった(関連記事5面)。
3月18日、大阪・八尾市西郡に地元を始め全国から労働者と部落大衆、住民、学生など600人が続々と結集した。「住宅追い出し・病院つぶしの更地化粉砕/道州制・特区、改憲・労組破壊の橋下打倒/すべてを奪い返すぞ!全国総決起集会」をかちとるためだ。呼びかけは八尾北医療センター労組と部落解放同盟全国連合会西郡支部。どちらも新自由主義の先兵・橋下と真っ向から闘う階級的労働運動のかけがえのない大拠点だ。
動労千葉も登壇
集会では八尾北労組の灰垣美佐子書記長が開会あいさつ、藤木委員長が基調報告を行い、動労千葉の4・1JR東日本検修業務外注化阻止、3・11反原発郡山集会に続く3・14強制執行粉砕の大勝利を確認、4〜6月決戦に打って出ようと呼びかけた。
連帯のあいさつで、動労千葉は川崎昌浩執行委員が1047名解雇撤回闘争当該の中村仁さんとともに登壇、動労千葉を支援する会の山本弘行事務局長、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の武谷新吾執行委員、全国金属機械港合同の木下浩平さんが発言した。
被災地から仙台市職労の引地真理子さんと福島合同労組の市川潤子委員長が更地化攻撃と闘う決意を述べた。星野さんを取りもどそう!全国再審連絡会議の星野暁子さんが、獄中で不屈に闘う星野文昭さんのメッセージを代読。非正規労働者の団結力を示す東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の吉本伸幸書記長、3・14強制執行と闘った婦人民主クラブ全国協議会の山本美知子さんが闘いを報告した。
全国労組交流センターは総会決議をもって結集。入江史郎代表運営委員が前日の港合同事務局長・大和田幸治さんの急逝を惜しんだ。4・19法大包囲闘争へ進撃する全学連の斎藤郁真委員長も決意を表明した。
14家族から決意
ひときわ大きな拍手に迎えられて、強制執行を粉砕した当該の岡邨洋西郡支部長が特別報告に立ち、支部1千名建設と一体で「部落解放闘争の新たな全国組織の結成に向けた戦闘宣言」を発した。八尾北命と健康を守る会は診療所つぶしに怒りをたぎらせカンパを訴えた。
いよいよ住宅追い出しと闘う14家族の登壇だ。八尾市議の末光道正医療センター院長に紹介されて全員が決意を語った。「村を更地化する国や行政と闘う。裁判官や司法はいらない」(辻西幸子支部書記長)「貯金差し押さえは許せない。解同議員・吉村と八尾市長は地獄に落としたい」「15年、西郡のために闘った3家族に頭が下がる。みんなとがんばる」「被災地の苦闘は西郡と同じ。全国で同じことが起きている。許されていいのか!」「団結があれば勝てる。みんなと生きていく」(森本政二さん)「支部1千人建設へ労組と一体となり闘う」(佃文弘支部青年部長)。一人ひとりが発する、新自由主義−住宅追い出し、病院つぶし、更地化への怒り、絶対反対で闘い団結を拡大すれば勝利できるという確信は参加者の胸を打った。
これに全国連杉並支部と品川支部が応えた。田中れい子杉並支部長は反原発と狭山闘争勝利へ闘う決意を述べた。橋下の道州制・労組破壊と職場で闘う大阪市職の赤田由行さん、大阪市教組の沼田祐子さんも橋下打倒へ決意を表明。最後に、佃文弘青年部長の音頭で団結ガンバローを行い、デモに打って出た。
先頭の岡邨支部長のすぐ後ろに「すべてを奪い返すぞ!」と大書された横断幕が続く。労組旗と荊冠(けいかん)旗、多彩なのぼりを押し立て600人が村を練り歩く光景は圧巻だ。「強制執行阻止したぞ/追い出し・更地化絶対反対」のコールが響き、手を振る住民に応え村を横断。近鉄八尾駅直近まで4`の沿道では人びとがデモに目を見張り、次々とビラを受け取った。
橋下打倒への圧倒的な展望を切り開いた。
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週刊『前進』(2529号1面3)(2012/03/26 )
前進速報版から
▼動労西日本が12春闘の第2波行動でストライキ▼新自由主義の先兵=橋下打倒へ八尾北・西郡から戦闘宣言▼千葉県三里塚集会開く
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週刊『前進』(2529号1面4)(2012/03/26 )
【要項】 4・1対JR全国総行動
分割民営化25年に怒りを! 1047名解雇撤回 検修・駅業務の外注化反対、非正規労働撤廃!
4・1対JR全国総行動
午前9時〜東京・新宿南口など数カ所
労組交流センター中心に全国各地で行動予定
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週刊『前進』(2529号2面1)(2012/03/26 )
JR体制打倒へ闘おう
鉄道業務の全面外注化狙うJR東に職場から総反撃を
国鉄分割・民営化から25年、われわれはJR体制打倒に総決起することをあらためて宣言する。JR東日本は今、大恐慌下での延命と、分割・民営化という国策の成否をかけて、JRで働く青年の未来を奪う業務大再編に踏み込んでいる。青年の中には今や不満と怒りが渦巻き、分割・民営化以来の矛盾は臨界点に達している。検修全面外注化4・1実施を阻止した動労千葉はこの怒りと結びつき、本格的な組織拡大を実現する新たな挑戦を始めている。動労千葉の勝利は、労働組合が断固として反撃すれば新自由主義攻撃を打ち破ることができることを、現実の闘いをもって示した。この勝利に続き、4月1日、全国各地で対JR総行動に立ち上がろう。
“ゼロベースで仕事見直す”
JR東日本社長・清野智はインタビューで、鉄道事業の特徴として修繕費や人件費などの固定費が経費の大半を占めることをあげ「設備の徹底的なスリム化やコストダウンを可能とするメンテナンス方法の検討など具体的な検討を進めている。これまでの仕事のやり方をゼロベースで見直す」(昨年7月。自社HPに掲載)、「日本は人口が減り続ける。新幹線が全部でき上がれば、鉄道では大きな発展は難しい」(『東洋経済』2月25日号)と述べている。
JR東日本社員の年齢構成は、現在50〜55歳の層が大きな山を形成し、40歳代(新規採用がなかった世代)は少数、20〜30歳代が次の大きな山をなしている。図1に明らかなようにJR東日本は、50歳代の国鉄世代が大量退職する今後5〜10年間で人件費を劇的に圧縮しようとしている。
すでに、この25年間で極限的な人員削減が進められてきた(87年度8万2500人↓11年度5万9650人)。だがこれまでのやり方の延長線上では限界がある。だから「ゼロベースで見直す」と言うのだ。
現状はどうなっているか(図2参照)。
この十数年で急拡大してきた駅スペース活用事業、ショッピング・オフィス事業では圧倒的に非正規雇用の割合が高い。他方、運輸業(鉄道業務本体)の非正規職化の割合は約5%。この間、非正規職の割合が増えているが(04年度末1・7%↓09年度末4・6%)、全体としてはまだ低い。1047名解雇撤回闘争を中心とする国鉄闘争25年の地平、何よりも動労千葉を先頭とする十数年の外注化阻止闘争が、非正規職化に歯止めをかけてきたのだ。
JR東日本は「グループ経営ビジョン2020 −挑む−」(08年4月)で「(運輸業以外の)営業収益を全収益の4割程度にまで引き上げる」と打ち出したが、その柱は、@鉄道業務の全面外注化(フルアウトソーシング)、A駅ナカ・ビジネス、Suicaなどカード事業のさらなる展開、B経営資源の首都圏集中とローカル線切り捨て(列車本数の削減、不採算路線廃線化やバスへの転換)、C海外への鉄道のパッケージ輸出だ。
JR直営の現業職場は消滅
図3に示した検修と駅業務の全面外注化、新人事・賃金制度、契約社員の大量解雇、運転基地統廃合、グループ会社再編など、まさに折り重なるように始まっている合理化施策は、互いに密接に連関している。そのすべてが現業部門の全面外注化に向かっている。
設備と駅の外注で安全は大崩壊
設備部門(保線、電力、信号通信、土木、建築、機械)は、01年以降の全面外注化で現場での仕事のほとんどは下請け会社が行っている。安全の要である工事にあたっての線路閉鎖(線閉)責任者や、調査・設計業務まで外注化された。
この体制のもとで、どれほど安全が破壊され現場労働者が殺されてきたのかを激しい怒りをもって確認しなければならない。93年から10年までで東日本で152人、全国で350人を超える鉄道労働者が殺されている。その大多数は下請け・孫請けの労働者だ。
駅業務においても徹底した合理化が実施されてきた。ホーム要員は激減し、ローカル線では無人駅・委託駅が激増した。異常時に対応できる体制は完全に破壊された。
「ニューフロンティア2008における今後の駅のあり方」(07年11月)の提案以降、首都圏を中心に1日の乗降客が2万人以下の小規模駅で業務委託が進められた。すでに東日本全体で約380の駅が全面的または部分委託駅となっている。
07年からは駅業務に契約社員(グリーンスタッフ=GS)を導入し、5年間で約2500人が採用された。今年から正社員登用試験で落とされたGSの大量解雇が始まっている。JR東日本は、雇い止めされたGSに、より低賃金で下請け会社への雇用を斡旋(あっせん)している。4〜5年の経験を積んだ1000〜1500人のGSを下請け会社に吸収し、駅業務外注化の受託要員にしようとしている。なんという、あくどい連中か。
駅業務合理化は、青年運転士のライフサイクル強制配転とも深く関係している。この25年間の度を超した要員削減で駅業務は破綻をきたしている。特に列車運行にかかわる駅輸送職がまったく足りない。青年運転士を将棋の駒のように強制配転して要員破綻の尻ぬぐいをさせているのだ。
検修と運転部門に踏み込む攻撃
また、地方切り捨てのための運転基地統廃合は運転士・車掌に対する労働強化、団結破壊と表裏一体だ。早晩、運転士・車掌も外注化や非正規職化の対象となりJR直営の現業職場は消滅する。
車両メンテナンスも01年以降、大幅に合理化された。JR自身が深々と関与して国土交通省令を改悪させ(02年)、検査周期などを自社の裁量で決められるようにした。その結果、連日のように車両故障・トラブルが起こるようになった。
検修業務の外注化は、01年以降、作業単位ごとに逐次進められてきたが、動労千葉を先頭とする外注化阻止闘争によってJR東日本全体での検修外注化は計画の約1割にとどまっている。
JR東日本は、外注業務の受託体制を整えるためにグループ会社の再編も進めてきた。また昨年秋に東急車輛の車両製造部門買収を発表したが、これは車両製造・地上設備・メンテナンスまで含めた鉄道のパッケージ輸出のためだ。
青年の一大反乱は不可避だ
JR東日本は世界大恐慌が深まる中、一方で、10年4・9政治和解を突破口に国鉄闘争の火を消し去ることを狙い、他方で、第2の分割・民営化攻撃の全面貫徹に踏み込んできたのである。
こんな大合理化を進めたら、いったいどんな仕事が直営で残るのか?
JR東日本の企画部門は現状で全社員の1割強だ(図4)。ここを残して他の全部門を非正規職化ないし別会社化すれば、文字通りの「9割非正規職化」だ。現業部門のほとんどの労働者は出向―転籍に追いやられ、生きていけないような低賃金に突き落とされる。職場は上から下まで偽装請負の満展開となり、安全はさらに徹底的に破壊される。地方都市では生きるすべとしての公共交通機関を奪われる。
JR東日本はこの暴挙を「持続的な成長と株主価値の向上のため」と正当化している。全面外注化の出発点となった経営計画「ニューフロンティア21」(00年11月)では「この改革は当然、困難や痛みを伴うが、企業が生き残り社員と家族の幸福を実現する唯一の手段」だとうたった。しかしこんなものは全部うそっぱちであることが完全にはっきりした。青年の未来を奪い、地域を切り捨て、安全投資を極限的に縮小し、一握りの経営陣と株主がボロもうけしてきただけではないか。これが民営化なのだ。
JR資本の延命と、労働者人民が人間らしく生きていくこととは絶対に相いれない。JR大再編は、青年の激しい怒りと抵抗、広範な闘いを引き起こさざるをえない。何よりも動労千葉・動労水戸―動労総連合と国労共闘が、25年にわたる組織破壊攻撃に勝利し、JR職場にがっちりと根を張ってこの攻撃を迎え撃っていることに根底的な勝利性がある。JR資本は国鉄闘争を根絶できないまま「のるかそるか」のJR大再編に踏み込まざるをえないからだ。
反合・運転保安闘争路線武器に
新自由主義攻撃と全面対決してきた動労千葉の十数年間の外注化阻止闘争は、JR大再編の一角を阻み続けることで、その計画全体をぶっ飛ばす展望を開いている。同時に、外注化の手先=東労組内部からの青年の一大反乱でJR体制を打倒する現実性を示してきた。
この闘いの土台には、70年代以来の反合・運転保安闘争の地平が脈打っている。動労千葉のベテランの組合員は「これ以上、合理化をしたら、そのうち大変な事故が起きる」と繰り返し警鐘を鳴らしている。先輩から後輩へ受け継がれ、現場の営々たる労働によって築き上げてきた労働者としての誇りがあるのだ。外注化は、こうした技術継承を破壊し労働者の誇りも奪い、業務自体の破綻さえ引き起こす。その最大の弱点が安全問題だ。
動労千葉は一つひとつの攻撃をつかんで離さず、現場労働者の危機感や誇りを具体的な職場闘争に転化してきた。合理化攻撃に徹底抗戦で攻勢的に立ち向かって団結を強化・拡大し、新自由主義と真っ向から対決して勝ちぬくことのできる階級的労働運動の新たな地平を切り開いてきた。
動労千葉に続き職場から新たな闘いを起こそう。4・1対JR総行動に立ち上がろう。そのすべてを国鉄闘争全国運動6・10全国集会に集約し大成功をかちとろう。
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週刊『前進』(2529号2面2)(2012/03/26 )
動労西日本 広島と五日市でスト
非正規職撤廃へ第2波行動
3月16日、動労西日本は12春闘ストライキを闘った。「12春闘勝利! 大幅賃上げ獲得/契約社員制度撤廃! すべての非正規職をなくせ! 山田副委員長の解雇撤回/外注化阻止! 偽装請負を許すな! 反合理化・運転保安確立/すべての原発を廃炉に! 再稼働阻止! 被曝労働を許すな」を掲げ、16日早朝よりスト拠点のJR五日市駅とJR広島支社前で街頭宣伝を行った。広島支社前では契約社員制度撤廃・雇い止め解雇撤回を求めて争議中の山田和広副委員長が熱烈なアジテーションを行った。
午後4時から再びJR広島支社前で街頭宣伝を行う中、支社の敷地にある広島印刷事業所でストライキに突入した岡崎昭夫組合員が支社前に現れ、支援に駆けつけた地域の仲間と合流した。JR五日市駅では大江照己委員長が6時30分からストに突入し、氷雨の降る中、30人が駅頭でスト突入集会をかちとった。
山田副委員長が司会を務め、大江委員長と岡崎組合員が高らかにスト突入宣言を発し、広島連帯ユニオン、広大生協労組、高陽第一診療所労組、広島県労組交流センター、郵政や岡山から駆けつけた仲間などが連帯のアピールを寄せた。
こうして動労西日本は、2月19日の岡山駅へのデモに続く春闘第2波行動を意気高く闘いぬいた。
国鉄分割・民営化から丸25年を迎えようとしているが、分割・民営化体制は「完成」とはほど遠い。分割・民営化の行き着いた先は尼崎事故や羽越線事故、伯備線事故に見られる安全の崩壊であり、業務の外注化と非正規化による労働者への果てしない攻撃だ。
尼崎事故をめぐる裁判でJR西日本の山崎前社長に対して無罪判決が下された。「稼ぐ」を経営方針に据えて労働者を徹底的に締め付け、追い詰めた結果が尼崎事故である。すべての責任はJR西日本と分割・民営化にあることは明白だ。
国労本部は国鉄1047名闘争解体の政治解決以降、「労使関係の正常化」という名目で労働組合の原則を投げ捨て、闘争団まで切り捨てた。戦後の日本労働運動の中で何度も繰り返されてきたことが、1047名闘争をめぐって起きている。この悪しき歴史の教訓をわれわれが突破できるのかどうかが問われている。国鉄分割・民営化の問題をあいまいにせず、国鉄闘争全国運動の壮大な発展をかちとろう。
動労千葉は検修・構内業務全面外注化の4月1日実施を阻んだ。外注化とは偽装請負でしか成り立たず、こうした違法が成り立つのは、労働組合が率先協力してきたからだ。全面外注化とは、労働者から職場を奪い、出向に駆り立て、最後は転籍=非正規職に突き落とす攻撃だ。これとの闘いは労働運動の今後を決する最大の課題だ。
動労千葉の闘いに続こう。4・21尼崎事故7周年弾劾現地闘争から6・10国鉄闘争全国集会へ全力で闘おう!
(写真 ストライキ突入を高らかに宣言する動労西日本の大江照己委員長【3月16日 JR五日市駅前】)
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週刊『前進』(2529号2面3)(2012/03/26 )
全面外注化を打ち破ろう!新自由主義との対決B
偽装請負の合法化を許すな
公務員の解雇自由化求める公共サービス改革調査報告
“民営化阻害する要因を取り除け”
民営化・外注化阻止闘争にとって、偽装請負弾劾の闘いが決定的に重要であることは、内閣府が公表した二つの調査報告に明らかである。
それは内閣府に依頼された「新日本有限責任監査法人」が「有識者」と地方公共団体関係者に対して行った「法令の特例等を活用した公共サービス改革に関する調査報告書」(11年3月)と、全国110の地方公共団体に対して行った「実態・実例報告」(12年1月)である。
第一に、「法令の特例等を活用した公共サービス改革に関する調査報告書」では”「新成長戦略」の実現にとって、公共サービス部門の民営化が思うように進んでいない。何が阻害要因となっているか”として、以下の点を挙げている。
「公共サービス改革法には強制力がなく、任意的取り組みにとどまっている」「原則すべての業務が市場化テストの対象となることを全面的に打ち出し、……何が制約要因になっているかを、行政府が検証し、説明責任を果たすことが本筋」
さらに「(財政再建の観点から)財務省が主導し……強いプレッシャーをかける必要がある」と言い放った上で、「これ以上の民間委託を進めるにあたっては、@偽装請負の問題、A公務員の身分・雇用の硬直性の問題(分限免職、官民交流、転籍等)を解決する必要がある」。
「公務員の転籍・退職の柔軟性に係る制度・法特例がない」ことを指摘するとともに、「偽装請負問題は重大。官民で直接、現場レベルで些細(ささい)な指示、相談さえできず双方ストレスを感じており、……民間委託ができない大きな理由を与えている」とした。
公務員の転籍や解雇を自由に行えるようにすることを強調するとともに、偽装請負問題が最大のネックとなっていることを、焦燥感をあらわにわめいているのだ。
第二に、「実態・実例報告」では、現に労働局から「偽装請負だ」とする指導が入ることで、外注化・民間委託していた業務すら直営に戻さざるをえなくなったり、派遣労働に切り替えて取り繕おうとする実例が多数あることを取り上げている。偽装請負問題が、現実に、大きな弱点となっているということだ。
第三に、二つの報告は、こうした公務員身分問題と偽装請負問題をいかに解決するかとして、法改悪と法令の特例や条例の活用を挙げている。まさに、公務員制度改革や大阪・橋下の「職員基本条例案」による公務員の首切り自由化である。偽装請負規制についても今通常国会で成立が狙われている改悪労働者派遣法案の付帯決議案に盛られた「(偽装請負問題についての)指導監督、助言については丁寧、適切に」という文言にある通り、骨抜きにすることがもくろまれているのだ。
そして第四に、いかに法規制をすり抜けるかの具体例として、受託企業への職員の(出向)派遣と「円滑な引き継ぎ」を挙げている。受託企業への職員の派遣とは、専門的技術・知識を持つ自治体職員を受託企業に派遣して、その指導監督のもとに業務を行うことで偽装請負問題をクリアーしようというものだ。
橋下大阪市長は、調査にあたった「新日本有限責任監査法人」から2人を市の特別参与として迎え入れ、職員の政治活動調査にあたらせている。その意図は、労働組合を壊滅させ、自治体を丸ごと民営化し、公務員360万人首切りを開始しようということである。
4月実施を阻止した闘いに続き
しかし、こんなことで偽装請負問題の追及から逃れられると思ったら大間違いだ。
現に動労千葉は、4・1外注化を阻止した。平成採の青年労働者を始め職場の全労働者を外注化反対で固めて偽装請負を徹底的に弾劾し、強制出向に対しては集団的な出向拒否闘争に入ると当局に迫った。日常の鉄道業務は現場での直接指示抜きにはありえない。「円滑な引き継ぎ」や「詳細な仕様書の作成」自体が偽装請負そのものである。脱法のための出向強制など認められるか。現場の怒りは団結を生み出し、組織拡大の現実性を押し開いていった。この力が、4・1外注化を阻止したのだ。こういう闘いを全国の職場でやりぬこう。
偽装請負弾劾は外注化覆す闘い
民営化・外注化はすべて偽装請負で成り立っている。JRだけでなく、今や日本の全産業が偽装請負を前提としている。労働組合の容認・加担こそが資本や当局の違法・脱法をまかり通らせてきた。偽装請負や出向・転籍の強要に対して、労働組合が徹底抗戦した時、その前提条件は崩壊する。これまで進められてきた業務外注化を土台から覆す可能性さえある。
動労千葉による外注化阻止・非正規職撤廃、偽装請負弾劾の闘いは、新自由主義に対して労働者の側が〈逆包囲する〉ことができることを示している。この闘いの中に〈労働者階級が新自由主義といかに闘うか〉という普遍的教訓がある。
国鉄と反原発、さらに橋下「維新」と「復興特区」を最大の激突点とする新自由主義との階級決戦への突入は、これまでの体制内労働運動の妥協・妥結路線では通用しない。資本と労働者との非和解的関係を見据えて絶対反対を貫き、階級的団結を総括軸に闘いぬく階級的労働運動路線だけが勝利と労働者の未来を開く。
6・10国鉄闘争全国運動大集会に向かって、国鉄決戦を先頭に、新自由主義との対決を全国全産別の職場で闘いぬこう。(大迫達志)
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週刊『前進』(2529号2面4)(2012/03/26 )
“反原発闘争の先頭に”
日教組臨大 労組交流センターが訴え
3月22日、日教組第100回臨時大会が東京・日本教育会館で開催された。原発再稼働へ突き進む野田政権の打倒へ総力を挙げて闘うべき時を迎えた今、まったく逆に、日教組本部は民主党幹事長の輿石東(こしいしあずま)を来賓に招き、野田政権との蜜月ぶりをアピールする始末だった。
全国労組交流センター教育労働者部会は会場前に登場し(写真)「反原発闘争の先頭に立ち新自由主義と対決する教育労働運動を! 民営化と労働組合つぶしの先兵、橋下を倒そう」と訴えた。
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週刊『前進』(2529号3面1)(2012/03/26 )
野田の消費大増税粉砕を
失業者・非正規労働者・年金生活者は生きていけない!
「社会保障と税の一体改革」の正体
野田政権は2月17日に「社会保障・税一体改革大綱」を閣議決定した。第1部は社会保障改革、第2部は税制抜本改革だ。その実態は消費大増税と年金削減、医療費負担増、保育民営化、企業減税だ。消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる。事実上の大幅賃下げで労働者階級(”99%”)の生活を脅かし、資本家階級(”1%”)を肥え太らせるのがこの「一体改革」だ。猛然と怒りを爆発させて消費大増税と「一体改革」を粉砕し、野田政権を打倒しよう。
すべての労働者に“大幅賃下げ”攻撃
日帝野田政権は「ショック・ドクトリン」よろしく大震災と原発事故を逆手にとり、復興と社会保障のためと称して消費大増税攻撃を仕掛けてきた。消費増税が実現できれば内閣が倒れてもよいとする捨て身の姿勢だ。
だが消費増税と社会保障費の抑制で経済成長と財政再建が可能になるという一体改革論は大うそだ。大恐慌と原発震災で国際争闘戦から脱落した日帝にはそれは実現不可能だ。消費大増税で負担が重くなるのは労働者人民であり、資本家は痛くもかゆくもないし、むしろ消費大増税で大もうけできる。「消費増税は社会保障のため」というのは大デマゴギーだ。
日本帝国主義は今、大恐慌、大震災・原発事故で破綻があらわになった新自由主義政策を強行する以外に延命策を見いだせず、絶望的に凶暴化しつつある。その突破口が野田政権の原発再稼働と消費大増税の策動だ。
国鉄分割・民営化攻撃以来30年の新自由主義政策は、格差を拡大、労働者人民を貧困化し、教育や医療を破壊してきた。そのうえに消費大増税―社会保障・税一体改革で非正規職や失業者、障害者、高齢者を含む全労働者階級人民への搾取・収奪を一層強めようとしている。資本は企業減税や税の払い戻しで優遇され、社会保障や教育の解体、民営化・産業化で新たな市場を得、利益をむさぼろうとしている。それを野田や経団連は、財政再建のため、国際競争のためと正当化する。すべてが大資本の救済・延命と利益のために行われているのだ。その全負担を負わされるのが労働者階級だ。
消費税は典型的な新自由主義政策だ。富める者が貧しい者から奪い、ますます富み、貧しい者がますます貧しくなり、生きていけなくなる。
もともと税金は能力に応じて負担するのがアダム・スミスの自由主義時代以来の資本主義国家の原則だった。所得の高い人は多く、少ない人は少なく負担し(累進課税)、集めた税金を国や自治体が教育や医療、年金などに充て、所得格差を小さくし(所得の再分配)、全国民の生活・生存を保障する。これが帝国主義が標恫(ひょうぼう)した「福祉国家」だ。本質的には資本主義の予防反革命政策、戦後革命の高揚と敗北の結果としての社会政策だ。帝国主義は大恐慌とニューディール以来の国家独占資本主義政策(と新植民地主義体制)を基礎にこれを実現しようとした。
ところが戦後の経済発展は1974―75年恐慌で終わった。過剰資本・過剰生産力を抱え込んだ帝国主義は新自由主義政策に転換し、福祉国家政策を公然と放棄した。逆進性の強い付加価値税や消費税を導入する(米帝レーガンは事務経費がかさむため消費税導入を断念)一方、法人税率を下げ、所得税の累進性を緩めた。所得格差は拡大した。「小さな政府」の名で教育費・社会保障費を抑制し、規制緩和・民営化で資本を救済した。軍事費を増やし、治安を強化、労働組合を弾圧、国家を強大化させた。
自民党政権は87年、「金持ちも貧乏人も同じように負担をするから公平だ」と宣伝して消費税を導入した。だが消費税は、低所得者には負担が重くのしかかり、所得が高い者ほど負担が軽くなる逆進性の強い税だ。なんら公平ではない。
消費税率は97年、アジア金融危機のなかで引き上げられた。その後も長く続いた不況とデフレ、今次世界大恐慌のなかで、賃金を大幅に下げられ非正規職化した労働者の生活が消費大増税によって成り立たなくなることは明らかだ。
大企業は法人減税や税の「払い戻し」
日本の消費税の対象は欧州諸国の付加価値税と違い、食料品をはじめ生活必需品を含む全領域に無差別に及ぶ。大企業は中小企業が納入する材料や部品などを買いたたき、自分が払うべき消費税分を中小企業から巻き上げる。さらに輸出企業は輸出額の5%を消費税の払い戻しとして国庫からもらう。トヨタなどの輸出大企業は消費税を1円も払わず、払い戻しを受けて二重にもうけているのだ。
他方、大資本に買いたたかれる中小企業は、派遣会社を設立し、そこに自社の労働者を出向・転籍させ、派遣社員として雇い入れ、その賃金を物品経費扱いにし、「仕入れ税額控除」を受けて消費税を浮かしてきた(自社の社員の賃金コストは物品扱いされず、仕入れ税額控除の適用外)。だがこれを国税当局に摘発されれば追徴金を課され、倒産に至る。これは97年の消費税率引き上げ後、派遣法の改悪と相まって大きく広がった現象だ(斎藤貴男著『消費増税で日本崩壊』)。
消費増税をてこに正社員が派遣社員化、非正規職化され、賃金や労働条件が大幅切り下げられ、解雇が容易に行われるようになった。団結破壊と分断が強まり、労働者の権利が奪われていった。
消費税は法人税や所得税の減収の穴埋めとしてしか機能してこなかった。「消費税は社会保障のため」という政府の宣伝は事実に反する。87年の消費税導入後の23年間に238兆円の消費税収入があった。その間の法人税の減収は計220兆円にのぼる。景気後退や大恐慌による税収減もあるが、消費税のほとんどが税率引き下げで減った法人税や所得税の収入の穴埋めに使われた。税収減を理由に医療費や年金は抑制され、社会保障の充実などない。
社会保障の抑制と消費増税、法人減税という税・財政の一体改革は経団連など大資本の一貫した要求だ。経団連は11年の税制提言で消費税率を15年度までに10%、20年代半ばまでに10%後半に引き上げるよう要求した。野田政権の「一体改革大綱」は経団連の要求にこたえたものだ。
経団連など大資本は「一体改革」と称して社会保障費をすべて消費税で賄えと主張し、消費大増税を提唱する(03年の奥田ビジョン)。社会保障費の企業負担をなくすことが目的だ。健康保険や厚生年金、雇用保険などの保険料の企業負担がなくなれば、現役世代も高齢者も失業者も学生も社会保障費をより多く負担しなければならなくなる。それができなければ社会保障は切り捨てられる。
さらなる問題点は、消費税を社会保障の主な財源にすることを認めれば、高齢化で給付が増える年金や支払いが増える医療費のために消費税率を天井知らずに引き上げることになる。だから政府はますます「消費税は社会保障のため」と強弁するのだ。「財政再建のための国鉄分割・民営化」「社会保障のための消費税」――。「政府は必ず嘘(うそ)をつく」(堤未果)のだ。
岡田副総理は年金の「抜本改革」に必要な財源を消費税率10%による税収増だけで賄うと勘定していないから「さらなる増税は当然必要だ」と述べた。野田首相も消費税率が15年以降に10%を超える可能性に言及した。数字の付け替えだけで消費税率の引き上げは簡単にできる。恐るべき消費税制度を労働者階級の怒りで粉砕しよう。
共通番号制導入で個人情報一元管理
社会保障・税一体改革でもうひとつの大問題は社会保障・税共通番号制度の導入を前提にしていることだ。共通番号制は「個人識別番号法案」としてすでに今国会に提出されている。15年1月からの利用をめざしている。「マイナンバー」なる軽薄なネーミングであたかも便利で軽快な制度であるかのように装っているが、許すまじき治安管理強化だ。新自由主義のいわゆる「小さな政府」の正体がこれだ。
共通番号制は、国民全員に番号を割り振り、税務署の把握している個々人の所得や病院が把握している病歴などの情報をひとつながりにして中央政府が一手に掌握し、行政機関などで利用する制度だ。表向きは所得把握の精度を高めることで、低所得者に所得税を払い戻したり、給付金を支給したりする「給付付き税額控除」を導入・実施するためだという。写真付きの個人カードが発行され、身分証にも使えるという触れ込みだ。「きめ細かな社会保障を給付できる」とか、医療、介護、保育などの自己負担額を合算して、所得に応じた負担額を決める「総合負担制度」の導入にも利用できるともいう。
だが実際には医療や介護の給付を抑制するために「きめ細かな」情報を得ようとしているにすぎない。共通番号を記したカードの携帯が義務づけられ、検問の警察官がすべての個人情報を読み取り機で確認する時代が来るだろうと予想される。
所得の正確な把握は共通番号では困難だといわれる。8億もある銀行口座を名寄せ(マッチング)しなければならない。事業所得や海外資産、商取引などすべてを把握することはできないと政府も認めている。政府は当初マッチングしないから安全だと言っていたが、マッチングするから便利だと言い換え始めた。ペテンがあらわだ。
共通番号制度は導入に5千億円、運用に350億円もかかる。消費税0・5%分の費用だ。何が「財政健全化」か。
政府は共通番号の機能の拡大を想定している。例えば災害時の本人確認や要援護者リストの作成に有用だという。被災して困難な状況にある人びとに食品や衣類を配り、医療を行うのにどうして個人を識別をする必要があるのか。
国家が労働者人民を一元的に管理し、税を漏れなく徴収するために共通番号制を組み込む社会保障・税一体改革は絶対に許せない。断固粉砕しよう。
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週刊『前進』(2529号3面2)(2012/03/26 )
“賃下げ春闘”許すな
電機連合 「コスト削減」の先兵に
NECは3月15日、労働組合に対して4〜12月の9カ月間、組合員である一般社員約1万6千人の月給の4%削減を提案した。さらに、時間外・休日・深夜勤務手当の減額、福利厚生の会社補助の1年間凍結も示した。また今年1月には、外部委託も含めて1万人規模の「人員削減」を表明している。
NECはこうした首切り・賃下げにより、2013年3月期に400億円の経費削減をめざす。シャープも、今春以降の定期昇給の凍結を労使協議する方針だ。破産した新自由主義の道を一層突き進むしかない日帝にとって、これは労働者階級全体に対する賃下げ攻撃の突破口としてある。
これに対して日本電気労組は「コスト削減が必要という認識はわれわれも共有」と、全面的に賛同した。古賀伸明・連合会長も資本の大攻撃をごまかして、今春闘について「これまでの労使の信頼関係を土台に、労使が共通の認識に立った上で交渉を行うことができた」などと言っている。
世界大恐慌の進展と東日本大震災、原発事故で日帝の争闘戦からの脱落は決定的だ。「ショック・ドクトリン」に基づく「復興」攻撃、さらなる外注化と非正規化、労働者の首切り・賃下げ攻撃に屈服し、率先して推進しているのが連合や電機連合の幹部どもだ。労働貴族を打ち倒し、国鉄闘争全国運動を基軸に階級的労働運動をよみがえらせよう。
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週刊『前進』(2529号3面3)(2012/03/26 )
非正規化攻撃を貫き促進する
改定派遣法に大反撃を
「規制強化」の装いも捨て
3月8日、労働者派遣法改定案が衆院本会議で可決され、参院に送られた。民主・自民・公明の3党は、今国会で派遣法改定案を押し通そうとしている。絶対に許すな。
昨年11月、民自公3党は、一昨年来、国会に出されていた派遣法改定案から、製造業への派遣や登録型派遣を原則として禁止する条項を削除することで合意した。違法派遣の場合、派遣先が派遣労働者に直接雇用の契約を申し込んだものと見なすという規定は、導入が先送りされた。また、派遣期間の制限についても、2カ月以内の期間は禁止とされていた当初案が、30日以内は禁止と変えられた。31日以上なら構わないということだ。
この修正により、派遣労働を規制するという当初の見せかけは完全に失われた。修正前の法案も、実際には抜け穴だらけで、非正規労働者の置かれた現実を追認し、合法化するものにほかならなかった。だが、この修正により、派遣法改定案は新自由主義の攻撃を徹底的に推進し、非正規雇用化をとことん貫くためのものに純化した。
経団連は今年の「経営労働政策委員会報告」で、「経済のグローバル化が進むなか、正規労働者で終身雇用が当たり前という考え方はあらためる」と言い放った。これに呼応した野田政権は、派遣法改定案をも武器に、”失業したくなければ非正規雇用で我慢しろ”と労働者に襲いかかってきたのだ。
連合はこの派遣法改定案の修正について事前に了承し、黙認した。そして今、「(法案の)早期成立に向け、精力的に取り組む」と叫んでいる。断じて許せない。
衆院厚生労働委員会は3月7日、公明党が提案した付帯決議をつけて派遣法改定案を可決した。その付帯決議の中には、「(派遣)期間制限違反の指導監督については、……丁寧・適切に、必要な制度についてのみ実施するよう改めること」「偽装請負の指導監督については、……丁寧、適切に実施すること」「労働派遣と請負の区別基準をさらに明確化すること」などの項目がある。労基署は法違反の摘発などせず、資本の違法行為を見逃せということだ。
特に、偽装請負について言及されていることは重大だ。支配階級は、動労千葉(動労総連合)が闘っている外注化阻止闘争、偽装請負摘発の闘いを明確に意識し、それをたたきつぶせと叫んでいるのだ。
“偽装請負”の合法化も狙う
経団連は「2011年度経団連規制改革要望」で、「労働者派遣と請負との区分については、……厚生労働省より疑義応答集が出されているものの、各労働局の判断が異なる事例が散見され、企業現場において混乱が生じている」として、「派遣と請負の区分が十分に判断できない状況にあり……改善が必要である」と叫び立てた。これは、委託先が受託先の労働者を指揮命令した場合は偽装請負に当たるなどの基準を定めた厚生労働省の通達を撤廃し、偽装請負を全面的に合法化しろという意味だ。
派遣法改定案に付された付帯決議は、これとまさに同じだ。派遣法の改悪にかこつけて、外注化への一切の規制を取り払おうという策動だ。
外注化の実施を阻み続ける動労千葉(動労総連合)の闘いは、この攻撃と真っ向から対決し、勝利している。現場の攻防こそが、外注化・非正規職化を阻むのだ。
国鉄闘争全国運動の位置は、非正規職撤廃の闘いにとってますます決定的なものになっている。6・10国鉄集会への組織化を軸に、今こそ職場で階級的団結を固め全力で闘いぬこう。
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週刊『前進』(2529号3面4)(2012/03/26 )
国家公務員賃金7・8%削減
古賀連合会長が「理解」と容認
労働基本権回復まったくペテン
国家公務員の給与を平均7・8%引き下げる臨時特例法が2月29日、参院本会議で可決・成立した。特例法案の内容は、国家公務員賃金を平均0・23%引き下げるとした11年度の人事院勧告を同年4月にさかのぼって実施した上で、12年度と13年度は人事院勧告実施分を含めて平均7・8%、賃金を削減するというものだ。
この大幅賃下げは、連合と連合系の公務員連絡会(国公連合、自治労、日教組など)が公務員制度改革法案とセットで賃下げ特例法を成立させることを菅政権―野田政権に求めていたことによってもたらされた。
しかし、連合が公務員制度改革推進の口実に掲げる「労働基本権回復」は大ペテンだ。そもそも、争議権(ストライキ権)を奪われたまま団体交渉権や協約締結権を与えられても、労働基本権の回復にはまったくならない。交渉権や協約締結権は、ストライキをはじめとする労働者の団結と実力行使を裏付けにして初めて意味を持つからだ。
野田政権は、公務員制度改革法案の狙いを、「人件費の大幅減は基本権付与を前提にした労使交渉を経るしかない。人勧では限界がある」とあけすけに語っている。
その意図は今回の賃下げ特例法の成立過程そのものにおいて貫かれた。スト権なしの協約締結権付与とは、「労使合意」の名のもとに賃下げを労働者に強い、ひいては公務員の身分保障を奪うものにほかならないのだ。
しかも、連合が成立を求める公務員制度改革法案は、自民党などの反対で、審議入りの見通しさえ立っていない。賃下げ特例法だけが食い逃げされた形だ。
この国家公務員の賃金引き下げは地方公務員にも波及する。大阪市長の橋下徹は市営バス運転手の賃金を4割も引き下げる提案を挑発的に打ち出し、三重県は12年度の職員の賃金を一律3%削減する条例を押し通した。
公務員賃金の引き下げは、全労働者をさらなる低賃金にたたき落とす新自由主義の攻撃そのものだ。これによって直撃されるのは、まさに非正規職の労働者にほかならない。橋下を先兵に繰り広げられる公務員バッシングは、公務員労働者と民間労働者、正規職と非正規職を分断し、労働者全体を一層劣悪な状態に突き落とすことが狙いだ。これに乗せられたら、自分の首を絞めるだけだ。
「定昇凍結」などに道を開く連合
野田政権は、「社会保障・税一体改革大綱」で、公務員賃金引き下げを消費大増税の前提となる「自ら身を切る改革」と位置づけている。賃下げ特例法の成立は、消費大増税の攻撃に拍車をかけている。
今年1月の民主・自民・公明3党の協議では、形式的な協約締結権付与にさえ抵抗する自民党をなだめるため、民主党は人勧実施分も含め8%を超える賃金削減案を提示した。これについても連合の古賀伸明会長は、「国会運営が難しいのは理解せねばならない」として容認した。
連合は「国家公務員の給与引き下げが、中小・地場企業の労使交渉に悪影響を与えることがないよう、しっかりと説明責任を果たすことを求める」と政府に哀願している。だが、春闘のまっただ中で公務員賃金の引き下げを「要求」し、定昇凍結などの攻撃に道を開いたのは連合自身ではないか。
もうこんな現実に我慢ができない。連合支配を覆し、階級的労働運動をよみがえらせよう。
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週刊『前進』(2529号4面1)(2012/03/26 )
3・11福島の怒りを原発再稼働阻止へ (2)
四国電力伊方原発 愛媛県職労の闘い先頭に再稼働阻止の運動広がる
(写真 全原発を廃炉に追い込む熱意で全国から集まった人びとが開成山野球場の1塁側、3塁側、バックネット裏の内野全席を埋めた【3月11日 郡山】)
危機に駆られた野田政権の原発推進政策との対決は、この3〜4月にいよいよ正念場を迎えている。連載(2)では伊方原発再稼働阻止、六ケ所核燃再処理工場閉鎖へ向けた地元からの二つのアピールをまとめて掲載します。
3・11「原発いらない!福島県民大集会」は1万6000人の大結集で「原発廃絶・再稼働阻止」の宣言を発した。愛媛からも愛媛県職員労働組合の組合員や郵政労働者が郡山現地にかけつけた。この決起と一体で、伊方原発再稼働の攻撃と対決する愛媛現地でも、朝の伊方原発ゲート前集会(写真下)・デモ、松山での300人のデモを始め県内各地で行動が闘われた。3・11の大高揚を切り開いた階級的労働運動の力を発展させ、大飯原発とともに再稼働の突破口と位置づけられている伊方原発再稼働を絶対に阻止しよう。
原子力防災訓練の強行で巻き返し図る県当局
1月13日に伊方原発2号機が定期検査で停止し、四国の原発は全部停止した。これは労働者階級の闘いが強制しかちとった勝利だ。そしてそのことで「原発がないと電力が足りなくなる」というのがウソであることが事実として暴かれた。地元紙の世論調査でも「再稼働に否定的な回答が6割を超えた」(3・10付愛媛新聞)。
こうした状況の中で、野田政権と愛媛県、四国電力資本らの再稼働に向けた巻き返しの動きが激しく開始された。2月16日には、伊方原発から30`圏内を対象とする「愛媛県原子力防災広域避難訓練」が愛媛県の主催で強行された。この訓練の実施要項では、その「目的」に、「福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、伊方原子力発電所でも同様の事故が発生した場合に備え……」と記されている。伊方発電所の「3基の原子炉とも全交流電源を喪失する事態」を平然と想定していること自体が、断じて許しがたい。たとえ「第二のフクシマ」を引き起こすことになっても、再稼働すると宣言しているのだ。
訓練には最新鋭ヘリ護衛艦「いせ」(事実上の本格ヘリ空母)や輸送艦「ゆら」など陸海空自衛隊と21の自治体、警察、消防、病院、学校、通信、公共交通など60機関、約1万人が動員された。それはまさしく「核戦争」を想定した「大規模有事訓練」そのものだ。30`圏内の小中学校では屋内退避、安定ヨウ素剤の説明なども行われた。原発再稼働のためなら、福島のように子どもたちが大量被曝する事態が繰り返されてもかまわないというブルジョアジーども! ここに腐り果てた新自由主義の極致がある。
さらに3月6日に原子力保安院から、「伊方原発2号機の運転継続の10年延長(30年を超える原子炉の運転継続)」認可が発表され、3月9日には「伊方原発3号機のストレステスト1次評価は妥当である」という四電の評価を「妥当」とする原子力保安院の審査が出され、3月中に最終結論が出される予定だ。
東日本大震災を受け国が設けた専門家の検討会の中間報告では、マグニチュード9の南海地震の想定震源域が四国のほぼ全域に拡大された。しかも伊方原発は日本最大の断層である中央構造線の真上にあるのだ。机上の空論のストレステストをもって再稼働にゴーサインを出すなど言語道断である。また伊方3号機は福島原発3号機と同じくプルサーマルであり、猛毒のプルトニウムを大量にばらまく。
伊方原発こそ「地上に設置された原爆」そのものである。再稼働など絶対に認めるわけにはいかない。
「労働安全衛生」を守るために原発廃止を要求
愛媛では昨年6・11に350人の「初めての道路デモ」が、12・11には300人のサウンドデモと四国電力原子力本部包囲の「ヒューマンチェーン」が市民団体の呼びかけで開催された。昨年12月には「伊方原発を止める会」が結成され「伊方原発差し止め訴訟」が500人を超える原告団を結成して提訴された。さらに今年3・11と、伊方原発建設開始以来40年の反対運動と福島原発事故への労働者人民の怒りが結びつき、ついに広範な大衆行動が始まった。
こうした動きと一体で、2・16広域避難訓練強行に対して愛媛労組交流センターとNAZENヒロシマ、岡山、徳島の共同行動として反撃がたたきつけられた。また毎月11日の反原発アクションが、労組交流センター全逓部会・自治体部会と百万人署名運動を先頭に闘い続けられている。
国鉄闘争と一体で民営化に反対
大阪・橋下の市長選挙応援に真っ先にかけつけた新自由主義の先兵=愛媛県知事・中村時広は、橋下のように「脱原発は理想。再稼働は現段階では白紙」などとペテンを弄(ろう)しながら、「条件を満たせば再稼働に賛成」と自己の立場を表明している。何より、「第二のフクシマ」を想定した有事訓練を行った張本人であり、「原子力に向き合っていくのが、日本の取るべき現実的な選択」と明言して、再稼働の先頭に立っている。中村は四電に原発周辺住民への戸別訪問まで要請している。「新自由主義のエネルギー源」として原発をあくまでも維持しようとしているのだ。
愛媛県職員労組はこの中村知事・愛媛県当局に対して、労働安全衛生確保という組合の当たり前の要求として「原子力災害対策業務に関する申し入れ」を行っている(以下、3月6日付機関紙「県職通信」より)。
「組合は2月24日の団体交渉時に……私たちの労働安全衛生を守るために伊方原発を廃止するよう改めて訴えた。
▽組合要求 原子力災害対策用務において安全衛生を確保することは困難であり、『職員の安全衛生を最優先』に考えれば伊方原発は廃炉にするしかない。直ちに伊方原発を停止し順次廃炉にするよう、四国電力に要請すること……。
この間当局から2度の文書回答を得ているが、交渉自体は延期され……3月末に団体交渉を行うこととなった。
県民の健康・生命、愛媛の土地と大気と健康を守るのが私たちの使命であり……組合は伊方原発の再稼働に反対し、廃炉を求めていきます」
愛媛県職労は組合の要求として「伊方原発廃止」を正面から掲げて中村知事・県当局に突きつけている。国鉄闘争全国運動呼びかけ人である愛媛県職労の宇都宮理委員長は、「原発を本気で止めようと思えば、労働者の団結を高めることが不可欠です。解雇撤回という当たり前の要求を掲げて闘う国鉄闘争全国運動に皆様の応援をお願いします」と訴えている(国鉄闘争全国運動呼びかけのリーフレットより)。愛媛県職は、動労千葉の外注化阻止の闘いと一体で、自治体職場における外注化攻撃=現業廃止攻撃に「民営化絶対反対」の原則を貫いて闘っている。労働組合が反原発の闘いの軸にすわり、職場と地域全体に団結を拡大していく時、再稼働阻止・全原発廃炉の展望は一気に開ける。そのことを示したのが3・11福島県民大集会の大高揚を切り開いた福島県教組や国労郡山工場支部、動労水戸の闘いだ。
階級的労働運動の再生が原発とめる最深の力
反原発と国鉄決戦を軸に階級的労働運動の再生をめざす闘いを、自らの組合、職場で進めよう。国鉄闘争全国運動・物販オルグと一体で、労働組合が「原発廃止」を掲げるために全力で組織化に入ろう。
反原発闘争・被曝労働阻止の闘いは、新自由主義粉砕の闘いそのものであり、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いとひとつである。それは被曝を強いられる膨大な労働者の「供給源」とされている2千万人の非正規・失業・半失業の労働者、青年労働者を獲得し、正規・非正規の分断を打ち破る闘いだ。
新自由主義の延命を断ち切る原発再稼働阻止の決戦に絶対勝利しよう!
〔革共同愛媛県委員会〕
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週刊『前進』(2529号4面2)(2012/03/26 )
青森六ヶ所再処理工場 日帝の核武装政策許さず破綻した核燃施設閉鎖へ
「4・9反核燃闘争」は国策との一大激突点だ
2012年4・9反核燃闘争は、3・11情勢を受けて決定的闘いとなった。われわれは、昨年8・5に広島でNAZENを結成した。その意義は「核の平和利用」による分断、電源立地交付金による分断、被曝労働という分断、あらゆる分断を打ち破り階級的団結を形成する闘いだ。それは戦後日帝のあり方を根底的に批判し尽くす闘いだ。
われわれはNAZENの闘いを通して福島の怒りと結び、福島の子どもたちを守るために野田政権の再稼働を絶対阻止し、団結して必死にあらゆることをやろうという労働者的生き方を組織する闘いに突入した。3・11福島県民大集会を頂点とする闘いの地平の上に4・9反核燃闘争でこの階級的団結をさらに打ち固める闘いを前進させよう。
六ケ所再処理工場の建設は、国鉄分割・民営化とともに日帝の改憲・核武装を目指す新自由主義攻撃の柱の一つであった。三里塚闘争が日帝の全体重をかけた国策との闘いであったように、六ケ所闘争もこの国策との労働者階級人民の一大激突点である。それは、1969年「新全総」による地方の大規模開発という日帝形成の歴史とその矛盾、「中央と地方」の関係も含めたそのあり方を根本的に問い、日帝の核武装を許さない闘いとして連綿と闘われてきた。そして、日帝・原子力産業の全体重をかけた攻撃を直接受けているがゆえに現地の闘いは「少数者」の闘いになってきたが、全国の力も結集して闘い続けられてきたことで日帝の破綻点となっているのだ。
2012年4・9反核燃闘争をNAZENとして全力で闘おう。それは、ヒロシマ、ナガサキ、オキナワ、ビキニ、フクシマ、そしてロッカショという戦後日帝の核・原発政策と労働者階級人民との激突点において、日帝の破綻点を突いて階級的団結を形成していく闘いだ。
トラブル続きで停止中 使用済み核燃料も限界
六ケ所再処理工場は今日、日帝の核政策の破綻の象徴となっている。
再処理工場とは、原爆材料となるプルトニウムを生産する化学工場である。80年代に登場した中曽根政権は、「戦後政治の総決算」を叫び、軍事大国化への攻撃をかけてきた。究極的目的は、「核武装国家化」だった。原発を日本に導入し、米帝レーガンと1987年新日米原子力協定を締結して六ケ所再処理工場とウラン濃縮工場を核心とする核燃サイクル建設を推進したのだ。
しかし、この六ケ所再処理工場は、操業開始予定が1997年12月であったのに、トラブル続きのため2012年10月に延期され、それも延期が確定的となっている。現在工場がぶつかっている問題はガラス固化体製造工程のトラブルだ。2008年の試運転ストップに続き、満を持して本年1月再開された「事前確認試験」でまたトラブルが発生し、停止している。今度は4月下旬に再開すると言われている。
六ケ所再処理工場は、プルトニウム製造工場であると同時に、使用済み核燃料の後始末という原発稼働には不可避な問題を「解決」する役目を担ってきた。最終処分地が決まらない中で、全国原発の使用済み核燃料が再処理工場の貯蔵プールに運び込まれ、再処理を待つという形で使用済み核燃料の行き場を確保してきたのだ。しかし、容量3千dのプールにある燃料は約2867d。もう限界だ。この危機を突破しようとするのがむつ中間貯蔵施設である。最長50年間保管するというが、その後どうするのか何も決まっていない。
さらに使用済み核燃料の処分方法として直接埋設処分ではなく再処理を選択しながら、「核武装のための再処理」という狙いをごまかすために日帝が掲げてきた建前は、プルトニウムの商業利用である。だが今、高速増殖炉「もんじゅ」が動かず、3・11でプルサーマル導入の流れも厳しさを増した。建前が崩壊するのだ。
ことは軍事問題だ。建前なしに今まで通り再処理路線でいくというわけにはいかない。それは露骨な核武装の宣言に等しい。その点では、プルトニウム・ウラン混合燃料(MOX燃料)を全炉心で使う大間フルMOX原発建設は、建前維持には死活的だ。しかし、福島を先頭に巻き起こる反原発の怒りの前に進捗(しんちょく)率38%の建設を押し通せるか、日帝にとっては先が見えない状況だ。そして、必ず来ると言われる巨大地震で、再処理工場直下の断層がずれプールに亀裂が走れば、燃料が冷やせなくなり爆発して「世界が終わる」と言われている。
あらゆる面で六ケ所再処理工場、日帝の核燃サイクル政策はどんづまりの危機に陥っている。それでも日帝は、核武装のためには必死にしがみつこうともがいている。
どんなに破綻していても、労働者階級人民の力でぶっ飛ばさない限り彼らはやめない。本当の力勝負がこれから始まるのだ。4・9反核燃闘争を全力で闘おう。
放射能の危険性を暴き福島の子ども守り抜け
4・9反核燃闘争は、日帝の破綻の頂点であるとともにあらゆる面で原発体制の要である六ケ所に全国の力を集めて闘われてきた。何よりも全国の労働組合が反原発・反核燃闘争として闘い抜いてきた。
しかし、闘いの継続と同時に画然とした飛躍が六ケ所反核燃闘争に求められている。六ケ所反核燃闘争の原点には、何よりも放射能の危険性のテーマがある。六ケ所闘争では、労働組合、労働者は徹底的に放射能と再処理工場の危険性を学ぶ学習会を重ねてきた。だからこそ、3・11福島原発事故が起こった時、福島から「一刻も早く避難すべきだ」と多くの活動家がすぐに考え、青森に通った研究者は「何で逃げないんだ!」とストレートな思いを福島の労働者にぶつけた。
ここで重要なことは、放射能の危険性を徹底的にはっきりさせること、帝国主義の安全宣伝に対して、それを全力で打ち破るというテーマだ。国家の全体重をかけた攻撃が巨大な原子力マネーを使った放射能安全キャンペーンとして県内を制圧する中で、しかし、六ケ所反核燃闘争は、それと徹底的に対決し、しぶとく何度も何度も学習会を積み重ねることをも通して闘われてきた。
それは同時に、「ではどうすればいいのか」「ともに生き抜くために何が必要なのか」を本当に、喜怒哀楽、苦楽をともにして、信頼をつくり、団結を育み、その土台の上に英知を結集して闘いとることで初めて意味をなす。「放射能の危険性」を訴えることが真の力を持つのである。
六ケ所反核燃闘争を全国の力で闘い抜くこと、そして六ケ所反核燃闘争こそが福島の子どもたちを守る闘いの苦楽を全力でともにすることだ。職場、地域、学園で徹底的に全情熱をかけて六ケ所再処理工場・核燃施設閉鎖と子どもたちを守ることを呼びかけ、福島診療所建設を実現することだ。
放射能による分断攻撃に負けない階級的団結を国鉄闘争とともに反原発・反核燃闘争の統一をもってつくり出す。その力で六ケ所闘争も勝つ。まさに地区でNAZENの闘いを切り開くこと、ここに本年六ケ所反核燃闘争の飛躍点がある。
4・7「2012年4・9反核燃の日」闘争とNAZEN青森結成集会を全力で闘い、原発再稼働と六ケ所再処理工場稼働・核燃サイクル政策を粉砕しよう。
〔革共同青森県委員会〕
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週刊『前進』(2529号4面3)(2012/03/26 )
3月13日〜19日
原子力安全委、大飯原発の「妥当」確認/沖縄にPAC3配備へ
●「嘉手納以南」返還へ計画 日米両政府は、在日米軍再編見直しをめぐる外務・防衛審議官級協議で、在沖海兵隊のグアム移転に伴う嘉手納基地以南の米軍施設の先行返還に向け、整理・統合計画づくりに着手することで一致した。(12日)
●米軍が石垣空港使用 在日米海軍のHH60Hヘリコプター1機とC12固定翼機1機が、県・市の自粛要請を無視し民間空港の石垣空港に飛来した。同空港への米軍機飛来は08年11月以来。(13日)
●沖縄米軍3300人も国外へ 日米両政府は在日米軍再編見直し協議で、在沖海兵隊の移転規模約8千人のうちグアムへ4700人、残り3300人は日本国内に分散移転せず、ハワイや豪州、米国本土の米軍施設に移すことで基本合意した。岩国基地からも500〜600人の海兵隊がグアムに移転する。(13日)
●安全委、大飯原発の確認終了 定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機について、内閣府原子力安全委員会の検討会は、経産省原子力安全・保安院が「妥当」としたストレステストの1次評価審査書を確認した。野田首相はこれで安全性が確認されたとして再稼働に踏み切る腹。(13日)
●高江の反対派住民1人に妨害禁止命令 米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設をめぐり、反対する住民2人に通行妨害の禁止を国が求めた訴訟の判決で、那覇地裁は1人に対し「将来においても妨害行為をするおそれがある」として「通行妨害」禁止を命じる判決を出した。もう1人に対する請求は棄却した。(14日)
●保安院、防災強化に抵抗 06年当時、原発事故に対応する防災指針について、国の原子力安全委員会が国際基準見直しに合わせて改訂しようとしたが、経産省原子力安全・保安院が強硬に反対していたことが分かった。保安院は「社会的な混乱を惹起(じゃっき)し、ひいては原子力安全に対する国民不安を増大するおそれがあるため、検討凍結を」と文書で申し入れていた。(15日)
●北朝鮮、ミサイル発射へ 北朝鮮の朝鮮宇宙空間技術委員会は、4月12〜16日に人工衛星を搭載したロケットを打ち上げると発表した。(16日)
●シリア首都、同時爆発で27人死亡
シリアの首都ダマスカスの2カ所で大規模な爆発が同時に発生し、27人死亡し、約140人がけが。治安機構施設の近くで、自動車にしかけた爆弾での「自爆テロ」と報じられた。(17日)
●「脱原発」80%支持 原発の依存度を段階的に下げ、将来はなくす考え方に「賛成」44%、「どちらかといえば賛成」(36%)を合わせて80%に上ることが、日本世論調査会の全国面接調査で分かった。(18日)
●沖縄にPAC3配備へ 野田政権は「北朝鮮ミサイル」への対応として、沖縄県に地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)やイージス艦を配備する方向で調整に入った。宮古島を軸に検討されている。(19日)
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週刊『前進』(2529号4面4)(2012/03/26 )
【集会要項】 「4・9反核燃の日」全国市民集会、NAZEN青森結成集会と現地闘争
「4・9反核燃の日」全国市民集会
4月7日(土)午前11時開会
青森市民ホール 会議室(1) JR青森駅正面口下車
主催/集会実行委員会
〈関連イベント>
★「4・9反核燃の日全国集会」とデモ
4月7日(土)午後2時/青い森公園(県庁となり)
主催/核燃とめよう!全国実行委員会 原水禁ほか
★六ケ所・再処理工場門前抗議集会
4月8日(日)午前10時30分
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NAZEN青森結成集会と現地闘争
4月7日(土)午後5時
NAZEN青森結成集会
青森市民ホール 主催/NAZEN青森準備会
4月8日(日)
◎NAZEN青森の六ケ所・再処理工場門前抗議集会
午前10時(10時30分全体に合流)
◎六ケ所村内デモ/11時30分〜
◎東通原発(東北電力)再稼働反対抗議集会/午後2時
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週刊『前進』(2529号5面1)(2012/03/26 )
“市職員を4年で半減”
現業一掃・市労連解体を狙う 橋下大阪市長を団結して倒せ
大阪市は3月7日、約3万8000人(昨年10月現在)の市職員を「4年で半減させる」という方針を打ち出した。橋下徹市長や市幹部職員で構成する市戦略会議で確認した。
「職員半減」の大半は現業部門だ。
戦略会議では「大阪市は技能職員の割合が多い」と現業部門をやり玉に挙げ、地下鉄、バス、市立病院、上下水道、ごみ収集、保育園・幼稚園などで勤務している労働者、約1万6400人については民営化や独立法人化などの経営形態の変更で非公務員化し、丸ごと民間事業体に移すとしている。全員解雇(分限免職)で現業をゼロにする方針だ。
これは、戦後自治体労働運動の戦闘力の中心をなしてきた現業部門を一掃することで、大阪市労連を文字通り解体・絶滅する方針でもある。
行政職員や教員についても、約2万1600人(昨年10月)を年に900〜450人ペースで削減し、2015年10月時点で約1万9350人規模を目指すとしている。2250人減、4年間で1割以上の削減だ。これ自身が大変な攻撃だ。
橋下は「(半減は)相当難しいが、経営形態を変更し、非公務員化を本気でやらないと僕が大うそつきになる。市幹部のみなさんには覚悟をお願いする」とうそぶいている。
橋下・大阪維新の会は、現業全廃攻撃の筆頭に市営バスの運転手(約700人)を挙げ、4月からの4割賃下げ強行を狙っている。交通局側は当初2割賃下げ案を示したが、橋下に一蹴されたため、在阪民間大手5社のうち最低賃金水準である近鉄、南海並みの約460万円とする案をまとめた。現在の賃金から実に38%減だ。
他方、橋下の大阪市長就任以降、ブレーンとして民間から任用している特別顧問・特別参与は計50人にも上り、その報酬も以前の2倍以上に引き上げられたことが明らかになっている。職員の大量解雇、大幅賃下げを強行する一方で、首切り計画を立案する極悪のブレーンどもには「しかるべき待遇をしないといけない」として、拘束時間に合わせて日額2万2000〜5万5000円も支給している。2月分の報酬が最多だった顧問は、11回44時間の勤務で47万3000円もの報酬を受け取った。労働者の誰がこんなに賃金を受け取っているというのか! 怒りに堪えない。
昨年12月に発足した大阪府市統合本部は、2月13日の会合で「広域行政の一元化に関する今後の進め方」を示した。「地下鉄、バス、水道、一般廃棄物、消防、病院、港湾、大学、公営住宅、文化施設、市場、下水道」の12事業については「経営形態の見直し」を、府立中央図書館と市立中央図書館、府立体育会館と市立中央体育館など府市で類似する42の施設・機関についても「あるべき姿を検証する」とし、いずれも6月までに方向性をまとめることを決めている。
これは、経団連が「復興・創生マスタープラン」(昨年5月)で例示した民営化対象と酷似している。「公共庁舎、公営住宅、道路、空港、港湾、上下水道、交通、医療・福祉、防災、公営住宅、電子行政、環境、廃棄物処理といった公共インフラの計画、施工、管理、運営、さらには、都市計画の立案から事業実施に至る一体的なまちづくり、行政サービスの提供」など、文字通り公務職場を丸ごと民営化しろという要求だ。
まさに極限的な新自由主義の攻撃だ。「民間の経営手法を導入する」と称して医療も福祉も教育も切り捨て、あらゆる公務職場を民間に開放して市場として食い物にするものだ。橋下は、労働者をとても生きていけない状態に突き落とそうとしているのだ。
橋下・維新の会との闘いは、大阪市・府のみならず全国の労働者の死活をかけた決戦課題だ。
動労千葉を先頭とする外注化阻止の国鉄決戦は、支配階級の矛盾を突いて、新自由主義の攻撃に破綻を強いている。大阪市・府下で奮闘する労働者は、その闘いと結合して、橋下打倒の火の手を上げた。大量解雇・大幅賃下げ攻撃粉砕へ、全力で闘おう。
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週刊『前進』(2529号5面2)(2012/03/26 )
八尾北・西郡3・18全国集会
“すべてを奪い返すぞ”
(写真 住宅追い出しの強制執行と闘う14家族が壇上に勢ぞろいし決意表明。全国から結集した仲間と団結を固めた。発言は辻西幸子支部書記長【3月18日 八尾市】)
新自由主義の先兵・橋下と八尾市長・田中による労組解体、道州制・更地化攻撃を打ち破り、八尾北・西郡決戦が橋下−野田政権打倒へ攻め上る闘いとして火を噴いている。全国から600人が結集して大爆発した3・18全国総決起集会での基調提起と発言を紹介します。(編集局)
●基調報告
絶対反対・団結拡大で勝利を 八尾北医療センター労働組合 藤木好枝委員長
3・14岡邨洋さん家族への住宅追い出し強制執行を粉砕し勝利したことを報告します。
当日早朝より八尾北医療センター労組・部落解放同盟全国連西郡支部・八尾北命と健康を守る会、関西の労働者110人が医療センターに結集、岡邨さん宅の前で闘いました。抗議弾劾する私たちの団結に恐れた八尾市と裁判所執行官は、強制執行を強行することができず、すごすごと逃亡しました。岡邨さんは窓から体を乗り出して「今日から新しい闘いが始まる」と勝利宣言を発し、私たちと合流。岡邨さんを先頭に村内デモを打ち抜いて地域に勝利の報告を行いました。
道州制・更地化攻撃への怒りが各地で沸き上がる中で、橋下−田中は強制執行に踏み切れませんでした。4・1JR東日本の構内検修業務全面外注化を阻止した動労千葉の空前の勝利、圧殺攻撃をはね返して大爆発した3・11反原発・郡山決戦の大勝利に続く3・14の大勝利は、新自由主義を打ち破る決定的地平を獲得しました。
ついに絶対反対の闘いが地域丸ごと獲得する状況をつくり出しました。外注化を強行すれば、平成採の青年労働者たちが動労千葉へ結集する情勢と同じです。西郡支部1千名建設の展望を圧倒的に開いたのです。これは八尾北・西郡だけでなく、絶対反対、資本と非和解を貫いて闘っているところ全体で起きている情勢です。「絶対反対、拠点建設、団結拡大」こそ勝利の路線です。3月決戦は日本階級闘争の「まったく新しい時代」を切り開いたことを圧倒的に確認したい。
新自由主義と対決してきた闘い
世界大恐慌はギリシャ危機から国債暴落・国家破産の時代に突入し、資本主義の終わりを告げ知らせています。世界中で青年を先頭に労働者階級は渾身(こんしん)の決起を始めています。大恐慌と3・11で日本は資本主義諸国の中でも最も激しい没落の一途をたどっています。一切を全労働者の非正規化にかけ、国鉄闘争の解体を先頭に労働運動の壊滅を狙い、JR大再編を軸とする道州制・「復興特区」攻撃という絶望的な新自由主義の貫徹に必死に打って出ています。その先兵が橋下=維新の会です。
しかし、国鉄闘争は2年前の4・9政治和解攻撃をものりこえ、国鉄闘争全国運動を組織して闘われています。そして、国鉄分割・民営化と地対協路線に屈服した部落解放同盟と労働運動の幹部を屈服(大阪市労連の幹部の直角お辞儀)させても現場労働者が職場支配権を握っています。
橋下は「現業は高給すぎる。解放同盟、労組の口利きを排除する」と差別をあおって労働者を分断し、密告を組織して組合をつぶす問答無用の攻撃をかけてきています。これに対して今、現場労働者・青年労働者の怒りが沸々とわき起こり、決起が始まっています。
その最先端で八尾北医療センター民営化反対11年、西郡住宅闘争15年の絶対反対の闘いが、道州制を打ち破り、橋下・田中八尾市長打倒へ攻め上っています。医療センター明け渡し=全員解雇、西郡の更地化=廃村化の道州制攻撃を、団結拡大、労働運動をよみがえらせる決定的チャンスとして闘い抜こう。
八尾北・西郡決戦の今日的な地平
私たちは「国鉄分割・民営化絶対反対、1047名解雇撤回」を闘い、その地平の上で住宅闘争と八尾北民営化反対闘争を闘ってきました。その中で八尾北労組を土台に西郡支部と地域住民が団結し、闘いの拠点を築いてきました。
新自由主義は部落差別を切っ先にして労働者階級全体に襲いかかっています。応能応益家賃制度も西郡に真っ先にかけられました。私たちは応能応益絶対反対で闘う八尾北労組員への給料差し押さえや住民への年金・貯金差し押さえ攻撃を労働者への分断・団結破壊としてとらえ、差別・分断を打ち破り、一つの階級として団結をかちとってきました。
八尾北医療センターの明け渡し・住宅追い出し絶対反対で闘う中で、新自由主義がうそとペテンで労働者からすべてを奪い生きさせないという更地化攻撃であることを暴き出しました。八尾北労組は「村の診療所」の労組から階級全体に責任をとる労組に飛躍することを通して、地域丸ごとの決起をつくり出す展望を切り開いています。
国鉄分割・民営化攻撃と地対協路線に屈服した解同本部や日本共産党などは完全に道州制攻撃の先兵に転落しています。労働者の怒りを抑え込み、敵の攻撃の前に差し出し、生き延びようとしていますが、もはやそれは通用しません。
首切り・賃下げ、外注化・非正規化、殺人的な労働強化、分断と競争。労働者の怒りは爆発寸前です。絶対反対の闘いが登場すれば、敗北主義をふりまき労働者の階級性を曇らせてきた体制内勢力の姿はたちまち暴かれ、労働者本来の階級性、戦闘性が一気に爆発します。だから3・14でも八尾市職員を強制執行にまったく動員できなかったのです。私たちが労働者と結びつくチャンスです。闘いは3・14ですでに始まっています。
“すべてを奪い返す”闘いの開始
住宅追い出し・病院つぶしの更地化に対する怒りが抑えきれずに噴き出しています。これは西郡だけではありません。道州制・特区、改憲・労組破壊への怒りが堰(せき)を越えています。絶対反対の闘いが団結を広げ、情勢を切り開く時代が来ました。
資本主義の崩壊の中で、階級的団結と拠点建設を通して新自由主義を打ち倒し、すべてを奪い返す闘いが始まりました。切り開かれた新たな地平をさらに前に進めましょう。国鉄闘争全国運動を軸に労働運動をよみがえらせましょう。私たちはこの闘いを土台に、八尾北労組を拠点に地域丸ごとの組織化、西郡支部1千名建設に打って出ます。3月の勝利を打ち固め、4〜6月決戦に打って出ましょう。
(写真 3・11フクシマの怒りと結合し3・14−18連続闘争に決起しデモ行進する全関西の労働者【18日】)
●特別報告
新たな全国組織、結成しよう 部落解放同盟全国連合会西郡支部 岡邨洋支部長
15年前、隣保館に多くの住民が集まり、応能応益家賃反対の声を上げた。解同本部派の吉村議員は裏切った。私たちは15年の住宅闘争と八尾北民営化反対の11年の闘いの中で、絶対反対の団結こそがわれわれが存在し生きぬく最大の誇り、闘う力だとつかみ取った。
全国連西郡支部は、八尾北労組とともに住民の団結と労働組合の団結をよみがえらせる部落解放運動をやっている。今までとはまったく違う、この新しい解放運動こそ西郡の未来、希望だ。6千万労働者、2千万青年労働者の決起が始まっている。全国の労働者とともに闘うことでわれわれが社会の主人公であることがはっきりした。
全国水平社の熱い息吹を復権させ、新自由主義と真正面から対決し、部落解放=人間解放を掲げて闘う新しい全国組織を立ち上げよう。
資本主義は終わりの時を迎え、危機ゆえに資本は労働者の生活と生命すべてを吸い尽くそうとしている。新自由主義は今までの社会のあり方を崩壊させている。絶対反対で立ち上がれば崩れる存在でしかない。労働者階級が一つに団結し、すべてを奪い返す時が来た。
部落差別の本質は、資本による労働者階級に対する分断・団結破壊の攻撃だ。部落差別は資本の攻撃の切っ先だ。橋下による大阪市の労働者への解雇攻撃は斎場労働者から始まった。住宅追い出しも部落から始まった。
解同は階級全体への攻撃ととらえられず、闘いを部落民だけの権利要求に切り縮めた。地区協は自分の利権のためだけに更地化を進める行政の手先に成り下がった。全国連本部も労働者階級との団結と絶対反対の闘いに敵対し、応能応益に屈服し破産した。共産党は八尾市議会で全会派を代表して住宅追い出し議案の賛成討論に立った。地区協をたたき出し新しい部落解放運動をつくろう。
労働者は労働組合に結集することで団結できる。西郡支部の闘いは八尾北労組の労働組合的団結によって階級的な息吹を受け団結をつくってきた。労組が軸になることで西郡支部の闘いは、すべての人びとの解放を目指す結集体になった。
国家権力と不屈に闘う石川一雄さんと連帯し、狭山闘争を新自由主義攻撃との最前線の闘いとして爆発させ勝利しよう。
そのすべては西郡支部1千名建設にかかっている。団結を求める階級的精神と情熱を今こそ復権させよう。(要旨)
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週刊『前進』(2529号5面3)(2012/03/26 )
●14家族の決意
住宅追い出し強制執行許さぬ
●辻西幸子支部書記長
団結を一つのものにしようと全国から集まっていただいて、本当に心強い。一つの力を大きなものにして、更地化しようとしている国や行政と闘っていきたい。必ずすべてを取り戻します。
●佃照夫さん
住宅を強制執行で追い出すことは、生存権を剥奪(はくだつ)し、私たちを死に追いやることです。絶対に許せない。西郡のように住民を追い出し、土地を更地にして大手企業に売り渡す政策が、日本のあらゆる地域で行われている。こんなことが許されていいのか! 八尾北・西郡闘争も動労千葉の闘いを軸に団結し、ともに闘いをさらに進める覚悟です。団結と行動こそ最大の勝利の道です。
●Aさん
この村で生まれ育った地元議員が見返りほしさに、入居者に説明もしないで応能応益家賃を導入した。うそとだましで供託者を崩し、貯金を抜いていった。いまなお14人が頑張っている。更地化を暴いて、団結にみんなを結ぶことができた。私たちの勝利です!
●Bさん
私たちは負けていません。私たちは虫けらではありません。吉村議員と田中市長は地獄に落としたい。橋下・道州制粉砕、応能応益絶対撤回、更地化絶対撤回。医療センターは守りぬきたい。ともに手をつなぎ力いっぱい、目いっぱい闘います。
●森本政二さん
09年に強制執行された。あのときの団結があったら絶対勝てる。権力には絶対負けない。地区協は自分のことしか考えていない。僕らはそういうことはない。団結の旗のもと、みんなと一緒に生きていこうと思っています。
●佃文弘支部青年部長
一緒にこの日を迎えられたことを誇りに思う。青年部は住宅追い出し強制執行攻撃と非妥協で闘い、解同本部派、共産党をふっとばします。怒りを持って、被災地の労働者と一体の闘いとして差別・分断を打ち破り、新自由主義と対決する新しい解放運動を推し進め、支部1千名建設で労働組合と一体となり最先頭で闘っていきます。
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週刊『前進』(2529号5面4)(2012/03/26 )
3・25へ千葉三里塚集会開く
“市東さんの農地守れ”
3月18日、千葉市のDC会館で第6回千葉県三里塚集会が実行委員会の主催で開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟を迎え、青年を中心に千葉県の労働者、動労千葉組合員、農民、学生、三里塚現闘など80人が「市東さんの農地強奪を許すな!」を合言葉に参加した。
冒頭に、福島を始め3月11日の全国全世界での反原発闘争のビデオが上映された。ちば合同労組青年の司会のあいさつに続いて、早速反対同盟の北原鉱治事務局長が演壇に立った。
1966年に佐藤栄作首相と友納武人千葉県知事のもとで住民を無視して三里塚に「国際空港建設」が閣議決定された経緯を、北原さんは怒りを込めて振り返った。そして今日の原発問題と併せて、国策の名で行われる住民生活の破壊を弾劾し、「ここに集った人たちが新しい政治をつくる時代が来た!」と熱を込めて訴えた。そして「当初の集会参加者は大半が県下の労働者だった。その原点を思い返し、実行委がこの集会を開いていることは心強い。動労千葉と反対同盟の連帯を基礎に、千葉が中心になって3・25を成功させよう」と呼びかけた。
次に連帯のあいさつとして県内の農民Aさんが発言に立った。Aさんは2月2日に福島で全国農民会議が結成されたことを報告し、「原発事故とTPPは一撃で農民をつぶす攻撃だ。全国の農民の力を結集し、帝国主義打倒へ向かわなければならない。鈴木謙太郎さんの遺志を引き継いで闘う」と決意を表した。
続いて、反対同盟の伊藤信晴さんと宮本麻子さんが3・25大結集を訴えた。伊藤さんは米韓FTAに対する韓国農民の怒りを報告し、農地強奪阻止、軍事空港反対の決起を呼びかけた。福島の果樹農家出身の宮本さんは、実家やその周囲で行われている除染作業の実状を報告し、それが農家の期待や安心とはほど遠いものであることを語り、市東さんの農地を守るためにともに決起することを訴えた。
動労千葉の繁沢敬一副委員長は、鈴木謙太郎さんと清水匠さんの早世を悼み、全面外注化攻撃との闘いの前進をバネに3・25三里塚に立ち上がる決意を述べた。
青年労働者のカンパ・アピールをはさみ、三里塚現闘、千葉・星野文昭さんを取り戻す会、裁判員制度はいらない千葉県実行委、ちば合同労組、千葉労組交流センター、医療労働者、婦人民主クラブ千葉支部、原発なくせ!ちばアクション、全学連の千葉大生、NAZENの織田陽介事務局長が次々と発言し、自らの闘いの現場の報告と、3・25大結集への決意表明を行った。最後に団結ガンバローを三唱。
いつもなら集会は終了だが、実行委の粋な計らいで、ここから北原鉱治さんの90歳の誕生日を祝う催しに移った。花束と檄布の贈呈、特注の巨大ケーキの披露、ハッピーバースデーの合唱――拍手と笑顔が弾けた。
過酷な戦争体験を経て、事務局長として実力闘争の最前面に立ちながら三里塚闘争を半世紀近く率いてきた北原さんの人生を、参加者全員が心から祝福した。
その熱気のまま交流会につながり、勝利を誓って乾杯。北原さんは1978年開港阻止決戦の闘いを語り、青年の奮起を促した。歓談と交流の中で3・25大結集への機運が一層高まり、この日の集会は大成功した。
(写真上 “新しい政治をつくる時代が来た!” 90歳になった北原鉱治事務局長を祝って記念撮影【3月18日 千葉】)
(写真下 第6回千葉県三里塚集会は3・25大結集へ熱気あふれる総決起の場となった【DC会館】)
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【要項】 三里塚裁判傍聴を!
◎市東さん行政訴訟・農地法裁判3月26日(月)午前10時30分 千葉地裁
◎市東さん耕作権裁判4月9日(月)午前10時30分 千葉地裁
(傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合)
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週刊『前進』(2529号6面1)(2012/03/26 )
団結ひろば 投稿コーナー
(写真 3・11郡山 バスの乗客とエールを交換) 3・11郡山集会に参加して うそつく国や専門家に失望 福島大学1年
今回の集会に参加して私が感じたことは一つです。国や専門家への失望。それと恐怖。
避難生活中の高校生の方は言いました。「人の命も守れないのに、電力とか経済とか言っている場合ではないはずです」と。ただの一般人であり、いまだ成人していない私にはごく当たり前のことにしか聞こえませんでした。デモ中に聞こえた「政府と東電は責任をとれ」。これも当たり前です。悪いことをしたら謝り、物を盗ったら返す。返せないなら弁償する。こんなことは小学生にだって分かります。
人の上に立ち、代表となっている人たち。そんな立派な人たちが、なぜ当たり前のことを理解し、実行できないのか。ましてや、なぜ事実を隠蔽(いんぺい)したり、問題を小さく見せかけて責任を逃れようとするのか。うそつきの言葉は、大学生の私には理解できません。
このままでは「安全」な放射能にむしばまれ、「国民のために」殺されてしまう。私はただ、当たり前のことを当たり前にして、当たり前のように生きていきたい。そのために必要なら、うそつきたちに後ろ指さされてもかまいません。
3・11郡山集会に参加して 責任追及こそ2年目の闘い 法政大学1年
集会とデモには約2万人(公式発表では1万6千人)が参加し、福島県民や大江健三郎さんの発言を受けて、大会は激しく高揚し、その後の学生のデモ隊列も意気軒高と街頭を練り歩きました。
集会で感じたことは、福島県の中で「分断」が起きているということ、そのためにも私たちが今こそ団結して被災地の現状を人民の力で打破するべきだということです。
「復興」とか「支援」というものが、資本の力に依存して行使される限り、とりわけ農民・労働者は継続的に苦しい生活を強いられるであろうということを、被災地の人びとはすでに理解しています。企業や資本だけがうまみをすすり(救われ)、その代償を負わされている現状を、今こそ立ち上がって打ち破らなければ生きていけない!原発事故から1年のこの日、福島の地から根底的な怒りが爆発しました。
私は「3・11」1周年を迎え、原発事故を風化させず、国・東電・電力会社の悪事を暴き、私たちの力を示すことが、「3・11」を真に反省するための一歩だと考えています。傷のなめ合いや痛み分けをするだけではなく、「人災」を引き起こした張本人をはっきりさせ責任追及を行う、それが2年目の闘いです。ともに怒り、立ち上がりましょう!!
3・11郡山集会に参加して 福島の現実に向き合えた! 岡山大生
1年前、多くの被害を出した地震が起こりましたが、テレビで津波の被害が延々と流されても私は大きな感情を抱けず、あまり自分とは関係がないと思い、映像を傍観しているだけでした。
しかし、当事者の気持ちを想像したり、放射能の危険性をメディアで警告されているのを聞いているうちに、私も完全な傍観者でいられる人間ではないのだと気付きました。同じ日本に住んでいるのだからひとごととして生活を続けるのではなく、危険性に疑いを持ちつつも現地に行って、その地で暮らす人びとの思いを少しでも理解できたらと思うようになり、福島に行くことになりました。
現地の様子は思ったよりも静かで本当に放射能は危険なんだろうか、と疑問を持つ時間が多かったのですが、運動ではさまざまな立場の人が怒りを表現していてとても悲しい気持ちになりました。原発さえなければ不快な感情を生むこともなかったのだろうと思うと居たたまれない気持ちになります。
その場に参加することしかできなかった私ですが、それでも現地に行って自分の目で福島を見れたことは自分にとって大きな一歩だったのかもしれないと思うことが、過去の私が福島を傍観していたという罪悪感からの救いになっています。
福島を見たということしかできなかったですが、多くの人が原発問題に関連した行動を始めていることをアピールできたと思います。
3・11郡山集会に参加して 福島の怒りと連帯し続ける 富山大学2年
全国から1万6千人が集まり、福島の怒りの大きさがよく伝わりました。集会では福島県を代表して農家や漁師、お母さん、高校生ら6人が発言をしました。避難先の山形県米沢市から福島市の職場まで生活のために毎日出勤することの大変さ、なりわいの農業、漁業、畜産業を一瞬にして奪われたことの悔しさ。祖父母をおいて避難できない気持ちなど、福島の怒りとより一層つながる発言が多く出ました。
発言した6人に共通していたことは、これまで原発を推進してきた国や電力会社、原子力ムラの連中の責任追及を徹底することでした。事故後の補償もロクにせず、原発再稼働をもくろんでいることに誰よりも怒っているのは、福島県の人びとなのだと身をもって感じとれた。一人の高齢者の方が「私たちは国策による戦争、そして今回の原発事故で二度も国に棄(す)てられた」と発言したことが私にとっては衝撃だった。「命よりも金もうけ」の社会を変えない限り原発は止められない。このことを誰よりも自覚しているのも、福島県の人びとなのです。
私にとって今回の集会は大変よい衝撃になりました。原発をすべて廃炉にするには、福島の怒りと連帯し続けることです。全国の私たち次第で今後の情勢は大きく左右されるのです。
皆さん、福島の人びとと徹底してつながりともに闘っていきましょう。
介護職員の賃金制度改悪に団結で反撃を 医療福祉労働者 J
3月末廃止の介護職員処遇改善交付金問題を春闘行動で取り組んだ。
厚生労働省は「介護の賃金を継続的に改善するため、1年ごとの交付金から継続的に財源確保できる介護保険の加算に切り替える」という。しかし、実際には職員会議で質問しても経営側は沈黙。厚労省が、原子力安全・保安院と同様に大混乱に陥っているからだ。そもそも労資の賃金問題に国家が一方的に介入しておきながら、今度は制度設計をした厚労省老健局介護保険計画課や老人保険課が、3月の現時点で次の制度の申請書類を配布・公表できていないのだ。異常事態である。現場は1万5千円カットの不安と怒りで一杯だ。
交付金から介護保険加算への切り替えとは、国がいう「単に財源が変わるだけ」ではない。JR外注化攻撃とまったく同じ攻撃だ。「賃金改善」を、国家財源ではなく40歳以上が払っている保険料のアップ、さらに「介護が必要な高齢者」の1割自己負担でやるということである。しかも、賃金問題なのに介護保険の領域となり、大規模施設は県、小規模は市町村の介護窓口の管轄にバラバラに移される。すべては事業者=資本まかせ。国はますます福祉の責任、当事者から逃亡する。
介護の賃金は、「措置ではなく保険」とされたことで公的監査対象からはずされた。さらに今回は、介護保険料の総額7兆5千億円のパイの中にまぜ込む制度変更である。まさに「人間の尊厳」が問われる介護現場で、ニチイ学館やワタミなどの飢えた資本の前に、入居者と職員を市場原理で追い立て搾取・収奪をしていく攻撃だ。
「『必要な介護』よりも、金になる『介護サービス』を優先しろ! 『コストのかからない入居者』を集めろ! ベッドの稼働率を上げろ!」などが実際に連呼されている。それにつれ、労働がますます「うとましく」させられている。医療福祉の現場でも「命より金もうけ」なのだ。
労働者間の分断の攻撃に反撃が始まっている。団結を総括軸に、連合が屈服する12春闘を歴史の転換点として闘おう!
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週刊『前進』(2529号6面2)(2012/03/26 )
原発・軍事情報漏洩で懲役10年 戦争国家化を狙った超治安弾圧
「秘密保全法案」を葬り去れ
野田政権は3月19日、外交・安全保障や治安などの重要情報を「特別秘密」とし、その情報の漏洩(ろうえい)や調査・取得を禁じ、厳罰化をはかる「秘密保全法案」について、今国会への提出は断念する方針を表明した。だが次期国会での激突は必至であり、労働者と労働組合の決起を軸に全戦線から反撃し粉砕しなければならない。
この間、日弁連や民放労連、日本雑誌協会、日本ペンクラブ、日本新聞労連、日本新聞協会などが相次いで反対声明を政府に提出、商業紙のほぼ全紙が法案反対の社説を掲載する事態となっていた。消費増税や公務員の大量削減などをめぐる階級攻防が、反原発闘争の空前の高揚と結びつき、体制の根幹を揺るがす激突に発展し始めたことに追い詰められた野田政権の一歩後退だ。
しかし1985年に廃案となった「国家機密法案」以来の日帝国家権力の攻撃が、現在の大恐慌下で、戦後民主主義的な階級関係を右から破壊する階級戦争そのものとして、新自由主義の絶望的凶暴化と戦争国家づくりに向けて動き出したことは重大だ。
労働運動破壊と民衆監視
法案原文は公表されていないが、野田政権の「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」の報告書(昨年8月)で明らかになった法案の中身は、国家機密法案の改悪版だ。決定的な特徴は@「特別秘密」として「国の安全」「外交」と並んで「公共の安全及び秩序の維持」を加えたこと、A罰則について「最高10年」の厳罰主義を明確にしたことだ。また直接の漏洩行為のみならず共謀や教唆も処罰対象となり、行政機関はもとより独立行政法人や民間企業、大学までもが監視対象となる。
「公共の安全と秩序の維持」とは警察情報のことだ。ただでさえ闇に包まれ、証拠や事件のデッチあげなど違法行為の数々が社会問題になっている警察活動だが、それを告発する調査活動などを禁じる法律なのだ。
過去の冤罪事件で、警察官の内部告発に基づく報道機関の取材により警察の内部文書が発覚、無罪判決の決め手になった事例もある。これが警察庁長官の指定する「特別秘密」となれば、この種の取材や弁護・調査活動自体が「犯罪行為」となる。文字通りの秘密警察化だ。また「特別秘密」の範囲は、政府など各行政機関が自分で決める。恣意的な運用がいくらでも可能な仕組みなのだ。
「情報を漏らすことを働きかける」行為が処罰される規定も重大だ。たとえば原発問題などでのSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)情報や汚染分布のデータ、原発の危険性に関する情報などが「公共の安全と秩序の維持」を盾に特別秘密とされる。米軍基地情報なども同様で、反原発闘争や反基地闘争をつぶす狙いは明白だ。
「外交」全般が対象になった点も重大だ。労働者や農民の利益を侵害するTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉情報に接近すること自体が犯罪となる。国政調査権に基づく国会質問も制限できる。裁判所による証拠の提出命令を「国家秘密」を盾に行政機関が拒否することも合法化される。
取材活動を「特別取得罪」として罰する規定も入っている。戦後民主主義的な権利をずるずる後退させてきたマスコミすら猛反発するゆえんだ。「知る権利」もへったくれもないのだ。
このような性格の「秘密保全法案」を、公安政治警察は当然のように労働運動破壊や民衆監視の治安弾圧体制を強化する「チャンス」と位置づけている。『警察白書』も「情報保全の強化に万全を期す」と表明した。
新防衛大綱の筆頭項目に
野田政権はこの法案作成のきっかけについて、昨年9月の釣魚台(尖閣諸島)沖での中国漁船衝突事件ビデオ流出問題を宣伝しているが、これは口実にすぎない。挫折した国家機密法案以来の動きの再始動なのだ。その最大の契機は、イラク戦争への自衛隊参戦を受けて05年10月に締結された日米合意「日米同盟・未来のための変革と再編」による、日米安保体制の決定的な変質だ。
この協定は、日米安保条約の適用範囲を「極東」に限定した第6条を事実上撤廃し、「世界における共通の戦略目標を達成する」のが日米同盟だと宣言した。そしてその必須不可欠の措置として「部隊戦術レベルから国家戦略レベルに至る」情報共有と機密保持態勢の構築が国家間で確認されたのだ。そして07年、日米の軍事情報包括保全協定(GSOMIA)が正式に締結された。
GSOMIAは、米国が日本などに秘密軍事情報を提供する場合、情報の受け手である日本が米国と同程度の秘密保全措置を講じることを義務づける協定だ。現在、米国はNATO諸国やイスラエルなど60カ国以上と同協定を結んでいるが、重要な点は、日米共同の軍事作戦行動が、北朝鮮情勢や対中国情勢の激変で切迫し、これが「秘密保全措置」の強い動機になっていることだ。
民主党政権発足後、鳩山政権が対米自立的な自主防衛路線を打ち出して米オバマ政権に一蹴された経緯があるが、菅政権時代に前記の新日米同盟路線は再確認され、「政府における情報保全に関する検討委員会」(10年12月)が設置された。そして一昨年12月、同政権下で決定された新防衛計画大綱の「基本方針」の筆頭項目に、「政府横断的な情報保全体制の強化」が明記された。「秘密保全法」は国家の軍事問題なのである。
そして昨年1月、前記の「有識者会議」が設置され、「秘密保全法の整備は喫緊の課題」とする今回の報告書が出された。反原発闘争の高揚の中で野田政権が一気にこの法案の国会提出へ動いたことはきわめて重大だ。次期国会を見据えて同法案粉砕ヘ闘おう!
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週刊『前進』(2529号6面3)(2012/03/26 )
裁判員制度廃止へ行動しよう 3・30クレオ集会に結集を
裁判員制度はいらない!大運動が呼びかけ
3月30日、「終わりへ!裁判員制度・原発と最高裁」集会が「裁判員制度はいらない!大運動」主催で開かれます。裁判員制度を廃止に追い込もう。呼びかけ文を転載します。(編集局)
裁判員制度施行3年
3・30クレオ集会
裁判員制度廃止へ、行動を!
(裁判員制度はいらない!大運動)
●裁判員制度は破綻している
裁判員制度はなんとか順調に進んでいると最高裁は説明していますが、事実ではありません。制度はもくろみを大きく外れ、順調どころかもはやボロボロというのが実態です。
1月5日にさいたま地裁で行われた選任手続では、330人の候補者のうち出頭したのは5分の1にも満たない61人でした。その出頭者の中からも拒否(辞退)が続出し、結局最後まで残ったのはたった34人、元々の候補者の1割程度しかいなかったのです。また、1月25日の広島地裁でも、候補者795人の内41人しか残りませんでした。
これが「市民参加の司法」として法務省、最高裁、日弁連が大宣伝した裁判員制度の現実です。
●「3・11」、裁判員制度と最高裁
「3・11」、大震災と原発事故によりこの国に住む人々の生活は根底から一気に姿を変えました。私たちの生活はこれからどうなってゆくのかと憂え、私たちも黙っていてはいけないと思う日々がこのときに始まりました。
その直後の3月25日、最高裁は、東北3県での裁判員裁判を再開すると宣言しました。1993年10月29日、伊方原発訴訟で最高裁が下したのは住民敗訴の判決でした。以来、最高裁は原発の安全性にお墨付きを与え続けた責任があります。
その最高裁は、国民から「原発も裁判員制度も廃止」のレッドカードを突きつけられるのを恐れ、あろうことか被災地での裁判員裁判強行に走ったのです。その結果、最高裁は激しい非難を浴び、裁判所の中からも反発が出たことはご承知のとおりです。
政府・最高裁は、「期待を込めて裁判員制度を見守る」という前代未聞の政治的発言を天皇にやらせ(09年12月天皇誕生日感想文)、にもかかわらず制度への反発は増大するばかりで「好転」せず、そのあげく、昨年11月には全員一致で合憲判決を出し、「究極の八百長」と冷たい視線に包囲されただけでした。
●刑事裁判の破壊
制度が刑事裁判にもたらした破壊は恐るべきものです。裁判員裁判対象事件はこの間大幅に減少しているにもかかわらず、公判前整理手続きの長期化などで事件は滞留し、被告人に超長期の身柄拘束を強いる状態が依然として続いています。
「わかりやすさ」の名のもとに事件の審理から背景や本質の立証を大幅にカットさせ、被告人の権利は甚だしく侵害されています。無罪判決が増えることもなく、求刑通りか時に求刑以上の判決が言い渡され、死刑判決はむしろ増えています。裁判員制度が極めつきの刑事司法改悪であることはこの3年間の経験の最大の総括点と言わねばなりません。
●三審制の否定
最高裁はさらに2月13日、一審(千葉地裁)の裁判員裁判で無罪、控訴審(東京高裁)で逆転有罪とされた覚せい剤取締法違反(営利目的密輸)事件について、再逆転無罪判決を言い渡しました。白木勇裁判官は補充意見で「裁判員制度の下では控訴審裁判所が自ら形成した心証を重視する従前の判断手法は改める必要がある」と述べています。判決の最大の問題点は、三審制を根底から否定し、刑事裁判の実質的な「一審終審制」化を狙っていることです。ほとんどの裁判員裁判で有罪判決が言い渡されている現状からすれば、控訴審では「市民判断」の名のもとにその有罪判決は維持されてしまいます。今回希有な無罪判決を利用して99%を超す有罪判決の一審終審制を宣言したところに最高裁の危機感が表れています。
●現代の徴兵制度
裁判員制度は国民一人ひとりを治安の担い手とする「現代の徴兵制度」です。そしてこのもくろみに抵抗する行動は、それこそ本当の「国民の司法参加」であり、現憲法を堅持しようとする至高の国民行動です。裁判員法によれば、制度実施3年目の今年は「制度見直し」の時期になりますが、裁判員制度は問題点を見直せばすむようなものでは決してありません。
職場や学園や地域の皆さんに心から呼びかけます。お仲間を広くお誘いいただき、こぞって3・30クレオ集会にご参加下さるようお願い申し上げます。
(写真 「原発の問題は裁判所に責任がある」とのプラカードを掲げ郡山市内を行進。3・11郡山集会には高山俊吉さんをはじめ多くの弁護士が参加した) ----------------------------
終わりへ! 裁判員制度・原発と最高裁
3月30日(金)午後6時15分〜8時30分
弁護士会館2階クレオ(東京メトロ・霞ケ関駅B1出口)
●スライド上映 大運動のたたかい 2007年〜2012年
●第1部 高山俊吉さんに聞く(東京弁護士会)
「なりふりかまわぬ最高裁」
●第2部 パネルディスカッション
織田信夫さん(仙台弁護士会)
成澤宗男さん(『週刊金曜日』編集部)
齋藤裕介さん(郵政非正規ユニオン委員長、2012年裁判員候補者)
コーディネーター 森川文人さん(第二東京弁護士会)
入場無料
主催 裁判員制度はいらない!大運動
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週刊『前進』(2529号6面4)(2012/03/26 )
A同志勾留理由開示公判 弾圧のデタラメ性暴く
裁判所・公安警察を徹底弾劾
3月22日、東京地裁立川支部でA同志に対する勾留理由開示公判が行われた。この弾圧は3月13日、A同志がゴミ出しのために部屋から出て階段を降りはじめたところ、突然警視庁公安部の十数人の警察官がA同志を取り囲み、拘束して部屋まで連れ戻し、玄関で警察官が自ら転ぶや、「公務執行妨害だ」と言ってA同志を逮捕したものだ。これほど明白なデッチあげ逮捕であるにもかかわらず、中山延一裁判官はA同志の勾留を決定した。
公安警察と中山裁判官への怒りを抑えることができない。多くの労働者、学生、同志たちが「A同志を今すぐ返せ!」と、勾留理由開示公判の傍聴に駆けつけた。
法廷は、A同志、弁護団、傍聴人の一体となった怒りが終始激しく渦巻いた。A同志は、最初から最後まで裁判官の真ん前に立ち、微動だにせず裁判官をにらみ続け、完全黙秘で闘い抜いた。
弁護人が「十数名の警察官に取り囲まれているのに、どうして体当たりができるのだ」「反原発の活動家の身柄拘束が目的のデッチあげ事件だ」「警察官こそ、特別公務員職権乱用罪だ」と鋭く追及する。裁判官はうろたえ、何も答えらない。
傍聴人も「裁判所は、転び公妨を容認するのか」「公安警察のうそや政治弾圧を追認し、原発安全の判例を出し続けるのは、1%のための裁判所だからだ」「裁判所が憲法無視・人権侵害の府と堕していることは許されない」「A同志を、直ちに釈放しろ」と次々と弾劾した。
裁判官は、開廷直後に全学連の斎藤郁真委員長をはじめ3人を退廷させ闘いの鎮圧を試みたが、傍聴人の声の正義性の前に、その後はまったく退廷命令を出せなかった。
弁護人は、公妨でのデッチあげ逮捕と同時に、12年も前の爆発物取締罰則違反容疑で強行された家宅捜索を鋭く弾劾した。捜索場所もA同志も、事件と一切関係ないことは明々白々だ。警視庁と裁判所が結託した違憲・違法の家宅捜索であることを暴ききった。
公判開始前は、裁判所前でビラをまき、労働者・市民に訴えた。
公判の終了後には、立川市内で弁護団が記者会見を行った。集まった10社の記者に、転び公妨と捜索差し押さえのデタラメ性を明らかにした。
3・13弾圧は、3・11反原発闘争の大高揚と4・1の検修業務外注化を阻止した動労千葉の闘いに追いつめられた政治弾圧だ。「転び公妨」とは、逮捕理由の何一つない者の身柄を拘束するために、警察官が自分で転んで暴行事件をデッチあげて逮捕する究極のデッチあげ弾圧だ。絶対に許せない。
3・13弾圧をのりこえて、3・14西郡住宅明け渡し強制執行を実力阻止し、3・18八尾北・西郡全国闘争は600人の結集で大成功した。さらに3・24原発再稼働を許さない1000万人アクションと3・25三里塚全国総決起集会の力で、A同志を奪還しよう。
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