ZENSHIN 2012/03/12(No2527 p06) 
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週刊『前進』(2527号1面1)(2012/03/12 )
労働組合の力で新自由主義と闘おう
脱落日帝の最後の先兵=橋下を全労働者の怒りでたたきのめせ
3・18八尾北・西郡―3・25三里塚へ

(写真 外注化と強制出向に徹底抗戦を宣言 壇上には中野洋前委員長と2月26日に急逝した清水匠執行委員の遺影が掲げられた。決戦本番に向け現場組合員から決意に満ちた発言が続いた【3月4日 千葉市民会館地下ホール】)
日本の労働者階級人民はこの1年、分断と圧殺を打ち破り、東北被災地およびフクシマの怒りとひとつになり、団結して必死に生き抜き、闘い抜いて、再び〈3・11〉を迎えた。世界大恐慌が底なしに深まり、新自由主義への怒りと闘いがエジプト革命を頂点に全世界に広がっている中で、日本階級闘争はその最先端で闘ってきた。何よりも国鉄決戦と反原発闘争で新自由主義と対決し、階級的労働運動を発展させ、プロレタリア革命への道をこじ開けるために奮闘している。3・11福島県民大集会の巨万の決起の地平から、外注化阻止・非正規職撤廃をかけた3~4月決戦へ、労働組合を軸に総決起しよう。
政府と東電の大犯罪の責任を徹底的に追及
1年前の3・11の巨大地震と大津波、そして福島第一原発事故は、大恐慌にあえぐ現代世界に新自由主義の大破産を絶望的に刻印し、同時に日本帝国主義の脱落的危機を決定づけた。原発事故は、その推移によっては首都を含む250㌔メートル圏が避難区域化する可能性が高かったことが、1年後の今になってマスコミで衝撃的に暴露されている。だが今も原発事故はまったく予断を許さない。
この1年、日米韓を軸に労働者の国際的団結を拡大し前進してきた動労千葉と、それを先頭とする日本の階級的労働運動は、大震災と原発事故への国と東電の責任を徹底追及し、「団結し生きかつ闘い抜こう」と訴え、「政治休戦」を切り裂き、反原発・反失業と国鉄決戦を軸に闘ってきた。それは被災地と世界をひとつに結ぶ歴史的役割を果たした。
新自由主義と大恐慌のもとで今、全世界で起きていることは、労働者階級の大失業と非正規職化と貧困化であり、社会的生産のいっさいを担う労働者が食べることも、生きていくこともできず、人間性の一片までも奪われるという現実の無限の拡大である。これは最末期帝国主義と残存スターリン主義の破産と腐敗、ブルジョア社会自身の崩壊の現実そのものである。その極致が〈3・11〉だ。
ならば、「オールジャパンによる復興」なるものや、原発・新幹線・水道の輸出策動をはじめ、さらなる新自由主義の絶望的凶暴化へと突き進む日本帝国主義に対し、原発推進・再稼働、民営化・外注化・非正規職化攻撃のすべてをひっくり返し、奪われてきたものを奪い返す、絶対反対の階級的な闘いをたたきつける中にこそ、労働者の未来はある。
この1年の攻防の中では、特に新自由主義と闘ってきた30年の歴史が輝き、一昨年の4・9国鉄政治和解の大反革命にも揺るがず、階級的原則を職場の団結および実践として貫く国鉄闘争全国運動の真価がいよいよ発揮され、その運動の拡大・発展が問われた。
今、12春闘の真っただ中で、国鉄をはじめ青年労働者が続々と決起している。JRなど全産業で、民営化・外注化・非正規職化そして偽装請負への怒りがあふれ、爆発している。
この中で動労千葉はすでに、JR鉄道業務の基幹である検修・構内業務の4・1外注化を阻止するという勝利をかちとった。JRや郵政をはじめとして万単位でかけられている非正規労働者の雇い止めへの反撃が始まっている。
3・11から1年。われわれはあらためて2万人に及ぶ死者・行方不明者の無念を晴らし、未曽有の原発事故と放射能汚染に対し、これを国家と資本による大犯罪として弾劾しぬき、全責任を彼らに取らせなければならない。労働組合を軸に今こそ、再稼働阻止・全原発廃炉と同時に、外注化阻止・非正規職撤廃をかけた3~4月決戦に総決起しよう。
資本主義・帝国主義にもはや何の未来もない
「近代ブルジョア社会は、自分で地の底から呼びだした魔物をもはや制御できなくなった魔法使いに似ている」(『共産党宣言』)。マルクスがこう見抜いてから160年、「これまでのあらゆる時代には不合理としか思えなかった疫病、すなわち過剰生産という疫病」が、今や最末期帝国主義の新自由主義の大破産、すなわち歴史的大恐慌として、全ブルジョア世界をのみ尽くしつつある。「ブルジョアジーの存在は、もはや社会とはあいいれない」ことが、マルクスの時代よりも数百倍、数千倍もはっきりしてきている。
今まさに必要なことは、「圧倒的多数者の利益のための、圧倒的多数者による、自立的な運動」であり、「公的社会を形成しているいくつもの層の上部構造を空中に吹き飛ば」して、「隠然とした内乱」を「公然とした革命となって爆発」させるための闘いだ。
米帝の没落、欧州恐慌とEU・ユーロの分裂・解体、中国バブルの崩壊、日帝の脱落。これはもはや誰も押しとどめられない大恐慌の現実そのものだ。ギリシャのゼネストは世界の労働者階級の闘いとつながっている。ヨーロッパもアメリカも日本も、経済だけでなく政治支配が出口のない危機にある。
この中で米帝は、「アジア太平洋最重視」と対中対峙・対決の新軍事戦略を打ち出し、争闘戦激化と絶望的な戦争衝動を強めている。だが決定的なことは「復帰40年」の不屈の沖縄闘争が日米帝を串刺しにし痛撃していることだ。
脱落日帝・野田政権による「税と社会保障の一体改革」とは、自らの歴史的破産を消費大増税と社会保障制度解体で労働者階級に絶望的に転嫁するものでしかない。1980年代の国鉄分割・民営化は、「増税なき財政再建」という真っ赤なうそを叫んで強行された。だが20万人以上の国鉄労働者を解雇し、200人を自殺に追い込んでやったことは、国家的詐欺と不当労働行為であり、膨大な国鉄資産のブルジョアジーによる私物化だ。
実際には、増税と企業減税を繰り返し、バブル経済とその崩壊のツケも含め1千兆円もの国家財政赤字を生み出したのが、日帝ブルジョアジーと政府だ。AIJ投資顧問による企業年金資産2100億円の大半の消失という事件など、資本主義の不正・腐敗の極ではないか。そして今また10%とか20%への消費大増税。「ふざけるな!」ということだ。
大阪維新の会の橋下大阪市長や堺屋太一らは、「国鉄分割・民営化でJR7社は黒字化した」などと、見え透いた大デマをふりまき、労組破壊と改憲、道州制導入と公務員360万人首切りの最先兵になり、これに石原や小沢らも群がろうとしている。だが国鉄分割・民営化で総評は解体されたが、動労千葉を先頭に今も国鉄1047名闘争が踏んばり続けている。この国鉄決戦の勝利に労働者階級の未来がある。
原発をなくせ! 外注化阻止、非正規職を撤廃しろ! この青年を先頭とする労働者人民の叫びと闘いは、資本主義・帝国主義を打倒するまでやむことのない大運動である。
外注化阻止・非正規職撤廃!3~4月決戦へ
原子力安全・保安院は、大飯3、4号機に続き伊方3号機も、インチキなストレステストで「妥当」とする方針を決めている。
しかし再稼働は絶対阻止できる。野田政権の再稼働の「政治判断」なるものは、フクシマを先頭とした労働者人民の怒りの激しさでぶっ飛ばせる。福島県民に「除染すれば安全だ」「もう帰村して生活できる」と、永久被曝を強制する政府と行政、福島県立医大・山下俊一らの反動体制を3・11福島県民大集会の大爆発を突破口に、断固打倒しよう。内部被曝、低線量被曝の危険性を暴き闘おう。
動労千葉は「分割・民営化25年」に抗し、反合・運転保安闘争を土台にして団結を守り、他労組や青年など職場の全労働者の先頭で闘うことで、「労働者こそが職場と社会の主人公だ。労働組合には無限の可能性がある」ことを、全労働者に示している。この闘いが唯一の正義として広く浸透する情勢だ。それは国労郡山工場支部の3・11アピール、JRや郵政の非正規職雇い止め攻撃への怒りの反乱、鈴木コンクリート工業分会の組合つぶしを狙った解雇に対する「賃金仮払いの仮処分」決定という重大な勝利に発展している。
外注化阻止・非正規職撤廃の3~4月決戦を、国鉄を先頭に全国・全産別で闘おう。
3・18八尾北・西郡に全国から総結集し、脱落日帝の最後の先兵であり、道州制・大民営化と労組破壊、改憲攻撃の橋下・大阪維新の会を粉砕・打倒しよう。
3・25三里塚闘争を、フクシマの怒りと結び、農地死守・成田軍事空港粉砕の全国闘争として圧倒的に爆発させよう。
青年・学生を先頭に、労働者人民は革共同に結集してともに闘おう!
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週刊『前進』(2527号1面2)(2012/03/12 )
動労千葉 12春闘勝利へ総決起
“中野前委員長・清水執行委員の遺志継ぐ”
12春闘勝利に向けた動労千葉総決起集会が3月4日、千葉市民会館で開催された。
壇上には2年前のこの日に亡くなった中野洋前委員長の遺影とともに、2月26日に急逝した清水匠本部執行委員の遺影が飾られた。清水執行委員は千葉機関区支部に所属し、本部財政部長、貨物協議会事務局長を長く務めてきた動労千葉にとってなくてはならない存在だった。前夜まで定期委員会の議案を執筆するなどまさに闘いのただ中での突然の死だった。あまりに早すぎる死に、参加した誰もが信じられない思いで清水さんの遺影を見つめた。
集会の冒頭、2人の死を悼み黙祷(もくとう)が行われた。
あいさつに立った田中康宏委員長は、中野前委員長が亡くなって以降の激闘の2年間を振り返り、「命日をこうした総決起集会で迎えていること自身、中野前委員長が一番喜んでくれる形ではないか」と故人を偲(しの)んだ。また、あまりに突然の清水執行委員の死について深い悲しみを抑えながら報告し、「清水さんは寡黙で、縁の下の力持ち的な仕事をずっと担ってきてくれました。貨物会社との交渉でも最先頭に立ってこられた。動労千葉の団結の中心には、いつも清水さんがいた。本当に残念でならない。中野前委員長と清水さんが動労千葉に残してくれた財産を受け継ぎ、その遺志を実現する新たな闘いに立つことをここに決意したい」と哀悼の意を表した。
本格的な組織拡大の実現へ
さらに田中委員長は、2月23日の運転士登用差別事件の最高裁反動判決をあらためて徹底弾劾、「なりふり構わぬむちゃくちゃな判決は敵の悲鳴だ。われわれの闘いは確実に敵を追いつめている」と述べ、現場からの闘いで運転士登用をもぎりとる決意を示した。そして、検修・構内業務の全面外注化の4月1日実施を阻止したことを高らかに宣言、あくまで外注化強行をねらう会社に対して労働組合として徹底抗戦で闘うこと、ここで本格的な組織拡大を実現することこそが外注化を止める力だと訴えた。
続いて、動労千葉を支援する会の山本弘行事務局長、国労郡山工場支部の橋本光一さん、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会が連帯のあいさつを行った。
中野前委員長を偲んでOBの水野正美元副委員長、白井敏行元執行委員が「かつての青年部世代が、中野前委員長が切り開いた闘いを継承していることを誇りに思う」と心のこもったあいさつ。
さらに大竹哲治副委員長が「まさかこの集会で清水さん追悼のあいさつをするとは夢にも思ってなかった。なんでも相談できる兄のような存在だった。今も信じられない。清水さんが抜けた大きな穴を本部・支部が一丸となって埋めるためにがんばりたい」と、清水執行委員の遺志を継いで闘う決意を述べた。
外注化阻止が勝負どころだ
闘いの先頭に立つ現場組合員から、決戦真っただ中の緊張感と、闘いへの決意に満ちた発言が続いた。
運転士登用差別裁判の当該を代表して幕張支部の小沢勇副支部長が、さらに検修外注化阻止、運転基地統廃合粉砕に向けて幕張支部、車両技術分科会、銚子支部、千葉運転区支部の代表が決意を表明した。さらに新人事・賃金制度に対する批判を川崎昌浩執行委員が、貨物会社での12年連続ベアゼロ打破へ千葉機関区支部の代表が発言。動労千葉争議団の中村仁さんの決意が続いた。
闘争方針提起に立った長田敏之書記長は、あらためて中野前委員長と清水執行委員の遺志を引き継いで闘う決意を表明、「今日を皮切りに春闘本番を迎える。とりわけ外注化阻止の闘いこそ動労千葉の勝負どころだ」と檄(げき)を飛ばした。
最後に青年部が元気いっぱいの決意表明を行い、団結がんばろうで集会を締めくくった。
(写真 集会後、中野洋前委員長を偲ぶ会が開催された。OBや現役組合員が多数集まり、中野前委員長の遺志を継いで闘うことを誓い合った【DC会館】)
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週刊『前進』(2527号1面3)(2012/03/12 )
前進速報版から
▼国鉄闘争全国運動沖縄が第2回総会▼国際婦人デー東京行動、東電デモ&集会▼最高裁による福嶋昌男同志への上告棄却決定弾劾
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週刊『前進』(2527号1面4)(2012/03/12 )

【集会要項】 3・25三里塚全国集会
第3誘導路粉砕・市東さんの農地を守ろう! フクシマ連帯・原発再稼働許すな! TPP反対! 軍事空港粉砕・改憲阻止!
3・25三里塚全国集会
3月25日(日)正午
成田市天神峰 反対同盟員所有畑
主催/三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『前進』(2527号2面1)(2012/03/12 )
鈴コン闘争 賃金仮払いを地裁が決定
緒戦で重大な勝利かちとる
2月29日、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会が解雇撤回をめぐる緒戦で重大な勝利をかちとった。不当解雇された3人が昨年11月30日に申し立てた「解雇予告効力停止仮処分申立事件」(東京地裁民事11部・光本洋裁判官)で、本年3月から来年2月まで1年間、内尾稔分会長と吉本伸幸書記長に対して毎月20日までに23万円、鈴木善弘会計に同じく22万円を支払えという決定が出たのだ。
この決定は不当解雇撤回・職場復帰への展望を開くとともに、非正規雇用問題で分断され怒りと悔しさの中で涙をのんできた無数の労働者、労働組合への檄(げき)となる。3月7日、勝利のしらせをもって鈴コン社前に登場した分会に対して職場の労働者は「やっぱりお前たちは正しかった! いつ戻ってくるんだ」と言って迎えた。
鈴コン分会の闘いは、新自由主義攻撃に立ち向かう労働運動をよみがえらせる闘いであり、正規職・非正規職労働者が団結を奪い返す闘いだ。すべての労働者に勇気と展望を与え、非正規職撤廃への道筋を指し示す具体的闘いだ。3カ月雇用の労働者も、職場で団結し労働組合を組織して闘えば勝てる! 鈴コン分会の団結と職場での闘いを基礎に、全国の仲間と固く団結して完全勝利をもぎりとろう。
この訴訟は、有限会社東豊商事(=鈴木コンクリート資本)代表取締役・鈴木富美子による雇い止め解雇の予告通知の無効確認を求めるとともに「解雇予告の効力が有しないことを仮に定め、判決確定に至るまで賃金を仮に支払え」と申し立てを行い争われてきた。
裁判所の判断のポイントは以下の点だ。
常勤と同様の勤務実態認定
まず、訴訟を起こした3人の雇用契約が「業務内容の基幹性、更新回数が極めて多数回に及んでいること等から、期間の定めのない雇用契約と実質的に異ならない状態となっていた」と認めたことだ。10年、20年もの間、非正規で雇用し続けていることへの怒りと決起の正義性は誰も否定できないのだ。その上で裁判所は、「本件各雇い止めが解雇権濫用法理に照らして有効であるかどうか」と検討している。
鈴木資本による「臨時労働契約終了予告通知書」による雇い止め解雇の理由は、職場門前と最寄りの駅前で行った街宣での3人の組合員のアピールが就業規則の8つの項目に違反するということだった。この就業規則自身が反動的であり、いまだ全文を分会に提供していない代物だ。「会社の信用を傷つけ営業を阻害する宣伝扇動反抗的な行為をなし、またはこれを企てるような行為」「会社の経営に関して故意に真相を歪め、又は事実を捏造(ねつぞう)して宣伝流布する等の行為により、会社の名誉及び信用を傷つけた」として、本来は懲戒解雇にあたるが、情状酌量し懲戒解雇ではなく雇い止めにしたというものだ。
街宣は正当な労働組合活動
裁判所は、街宣のアピールの内容が鈴木資本の名誉を著しく侵害し、社会的信用を毀損(きそん)したといえるが、正当な労働組合活動として社会通念上許容される範囲内のものであれば解雇の客観的・合理的な理由足りえないとしたうえで、結論は「本件街宣行為は違法性の程度が低いというべきであり、未だ本件各雇い止めには客観的には合理的な理由を認めることができない」として賃金請求権の存在を認めた。特に、鈴木資本の側からは、列記された8つに及ぶ規則に街宣におけるどの発言が違反するか説明も一切ないから「違反行為が本件街宣行為であるか否かが通知上明確でない」と指摘している。このことは、3人の闘いと訴えが正義であり真実であることを決定的に示しているのだ。
他方、「雇い止め通知の無効確認」については不当にも却下した。
3人のアピールは、死亡した田口組合員の解雇撤回と、皆勤・精勤手当支給の一方的廃止通告撤回を要求して闘われた昨年9・27ストに対する3~7日間の出勤停止処分期間中に行われ、あるがままの事実、闘いの正義をすさまじい迫力で訴えたものだ。「鈴木資本の名誉を毀損し社会的信用を毀損した」などという理屈は、仲間の命と団結にかけきって闘う労働組合への敗北感そのものであり自ら墓穴を掘るものだ。裁判所も分会が団結にかけきって闘う姿に圧倒されたに違いない。
いまや資本は、自らの支配や利害のためにあるブルジョア法を犯してしか延命できない。これに対して、分断を打破し、怒りをひとつに結集すれば、どんな職場でも闘えるし勝てる。鈴コン分会の闘いはこのことを示しているのだ。今後の裁判や労働委員会も、こうした職場・地域・全国の闘いと一体で闘われる。
今回の決定は勝利への第一歩だ。東京地裁という場で風穴をあけた意義は大きい。3月5日に行われた東京都労働委員会の「調査」における公益委員の関心事も組合側勝利の決定内容についてだった。生コン産別と地域の連帯を強化しよう。全国の合同・一般労組委員会は、この地平を使いきって自らの地域・職場での闘いに総力をあげよう。その力で鈴コン闘争の勝利、国鉄闘争全国運動の深化・発展をかちとろう。
(革共同合同・一般労組委員会)
(写真 「仮払い決定をかちとりました!」。社前行動で勝利を伝える分会員に同僚が笑顔で応えた【3月7日 板橋区】)------------------------
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週刊『前進』(2527号2面2)(2012/03/12 )
国労組合員資格確認訴訟 “解雇撤回の原点貫く”
石﨑さん、成田さんが意見陳述
国労組合員資格確認訴訟の第2回口頭弁論が3月7日、東京地裁民事第11部(白石哲裁判長)で開かれた。原告の石﨑義徳さん(鳥栖闘争団)と成田昭雄さん(旭川闘争団)が意見陳述に立ち、国労組合員として解雇撤回闘争を闘ってきた人生と、組合員資格を奪った国労本部への怒りを万感の思いを込めて語り、法廷を圧倒した。
前回の裁判で逃亡を決め込んだ国労本部側は、宮里邦雄ら3人の弁護士が落ち着かない表情で被告席に並び、田中博文副委員長ら本部役員が身を固くして傍聴席に入った。すかさず闘う国労組合員が「闘争団からもグリーンスタッフ(契約社員)からも組合員籍を奪うのか」と弾劾の声を浴びせた。また、前回に続き鉄道運輸機構の職員が傍聴席に入り込んだ。
期日前に国労本部側は準備書面を提出し、原告が組合員資格を失ったのは、規約改定ではなく、闘争団員の特別組合員としての扱いをやめるとした「大会決定」によるものだと主張してきた。国労本部の1047名闘争終結宣言に伴い当然にも闘争団員は組合員資格を失ったとし、責任逃れを図る卑劣な言い分だ。
これに乗じた裁判長は「原告が被告とは別の資格喪失理由を主張するのは形式上おかしい」と言い募った。裁判の核心をずらす策動だ。原告代理人は大会決定と規約改定は不可分だと反論した。
石﨑さんが意見陳述に立ち、「私はこれまで全身全霊で国鉄分割・民営化反対闘争にかかわってきました。この気持ちは今もまったく変わりません。これからも国労組合員として闘い続けます」と宣言した上で、国鉄分割・民営化当時を振り返り、「国鉄労働者は国家権力と命がけと言ってもいい職場闘争を展開した。国鉄闘争は多くの労働者に闘う勇気と感動を与え、労働者の団結した力は、労働者が資本に支配されている社会を変える力があることを示した」と言い切った。
続いて意見陳述に立った成田さんは、「理不尽きわまる分割・民営化に絶対反対の声を上げることは当然のことでした。不当な解雇にはあくまでも解雇撤回で闘う。これが私の生き方であり、原点です」と断言。国労本部を怒りを込めて弾劾し、「どこまで私たちをペテンにかけ裏切れば気がすむのか! 『雇用問題が解決しなければ闘いは終わらない』と言いつつ、闘いを組織するのではなく、闘いを放棄してきたのは誰だったのか!私たちを利用しもてあそんできたのは誰だったのか!」と声を強めた。また「子どもの未来、青年の未来、農民・漁民の未来、年金で暮らしている人たち、すべての労働者の未来をかけて……ともに闘おう」と訴えた。
目頭に涙をにじませての陳述に傍聴者は胸を熱くした。他方、国労本部は力なくうなだれた。
この日の早朝、「共に闘う国労の会」は国労本部にほど近い新橋駅前での宣伝行動に立ち、4原告が解雇撤回闘争を不屈に貫いていることをアピールし、これに敵対する国労本部の裏切りを徹底的に暴き出した。
次回5月9日に原告側は国労本部への決定的な反撃を行う。大結集し、国労本部を追撃しよう。
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週刊『前進』(2527号2面3)(2012/03/12 )
“福島に命守る拠点を”
動労水戸平支部 いわきで講演会開く
1月にいわき市に事務所を開設した動労水戸の平(たいら)支部が3月3日、事務所開設以来初めての企画として「原発事故と命の絆(きずな)を考える3・3いわき講演会」を開催した。会場はJRいわき駅前のLATOV6階セミナー室。動労水戸組合員を先頭に、地元の労働者・農民、また原発事故の避難区域からいわきに避難している住民が何人もチラシなどを見て参加した。
動労水戸の国分勝之副委員長の開会あいさつに続き、福岡県北九州市の熊手町クリニック院長の吉本哲郎さんが講演を行った。吉本さんは「36万人の福島の子どもたちの命と健康を守るため、全国の力でみんなの拠り所となる診療所を建設しよう」と活動している呼びかけ人の一人だ。
吉本さんは精神科医として長年、精神科患者とともに活動してきたことを報告。精神科医療と福島の現実を重ね合わせて「『年間100㍉シーベルトまでは大丈夫。にもかかわらず文句を言うあなたがおかしい』という風潮がつくられることが一番恐ろしい。これこそ精神科患者を社会から排除してきた論理とまったく同じ」と弾劾し、「1㍉シーベルトとは人間の体を構成する60兆個の全細胞を放射線が1回通過すること。『この程度なら放射線を取り込んでも大丈夫』という数値はない」と訴えた。
「避難はもちろん大事。避難できない場合はなるべく取り込まないこと、体の免疫力を高めることも必要。しかし一番大切なことは、原発事故を引き起こした社会を変える力が自分たちにあることに目覚めることだ。国家・資本の攻撃に負けないため、人間と人間がつながっていこう。国家や東電と闘って生きていくことをとおして、新しい社会をつくり出す希望をつくろう。福島への診療所建設は、新しい社会への拠点をつくり出す闘い。被曝に苦しむ子どもたちに『あなたのためにこんなふうに一生懸命動いてくれている人たちがいる』ことを示すことこそ、一番の力になるのではないか。仲間がいつでも自由に集い交流し討論し知恵を絞る『場』を建設しよう」と提起した。
講演に続き、参加者から活発な意見と質問が続いた。双葉地区からいわきに避難している人が3・11以降の格闘を報告し、参加者はみな全原発の廃炉へ心を一つにして闘おうと誓った。
最後に動労水戸の辻川慎一副委員長がまとめの発言。被曝労働強制をストで阻んだ闘いなどを報告し「福島で今、徹底した分断策が吹き荒れ、避難した人・残った人、残った人の中もさらに分断しようとしている。絶対分断されず、人間としてつながって闘いぬこう。診療所建設も治療だけにとどまらず、新しい社会をつくり出す拠点をつくる闘いだ。3・11郡山に参加して、ともに闘いましょう」と熱く訴えた。
(写真 組合旗に加え地元の住民も多数参加、吉本哲郎医師の講演に聞き入った【3月3日 福島県いわき市】)
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週刊『前進』(2527号2面4)(2012/03/12 )
JR東の労務政策が大破産
カクマルとの結託体制は清算
資本の職場支配も貫徹できず
労働者が職場の実権握る好機だ
JR東日本の労務政策は根本的に破産した。国鉄分割・民営化以来、JR東日本は東労組カクマルを手先として取り込むとともに、彼らに職場における労働者支配を委ねてきた。だが、その結果、生じたのは、資本自らの職場制圧力の圧倒的弱体化だ。その取り戻しをかけて資本はカクマルとの結託体制の清算に動いている。だが、それは職場支配のさらなる空洞化をもたらすものになる。外注化阻止を基軸に東労組への青年の反乱をつくり出し、JR体制を打倒しよう。
労働者を従える力失った助役層
今、JR東日本には労働者支配をカクマルに「丸投げ」してきたつけが突きつけられている。職場で労働者を資本に組み敷くために配置された助役などの職制は、労働者の団結に対抗し、労働者を自己に従わせる力を失っている。これは資本としては異常な事態だ。
JR東日本はその取り戻しをかけて、東労組カクマルとの癒着・結託体制を清算し、資本による専一的な職場支配を確立しようと躍起になっている。新人事・賃金制度で新設される「主務職」もそうした意図によるものだ。だが、カクマルとの結託を二十数年も続けた結果、根本的に劣化したJRの職制層を立て直すことは容易ではない。
この情勢は、青年を先頭とした労働者が職場から闘いを起こし、JR体制に風穴を開ける絶好の機会を生み出している。
4・1検修全面外注化を阻止した動労千葉の闘いは、このことを見事に実証した。京葉車両センターでの外注化を阻止した闘いは教訓的だ。京葉車両センターでは、動労千葉組合員はけっして多くはなかった。だが、動労千葉の不屈の闘いは、職場の圧倒的な労働者を外注化反対で結集させた。東労組の青年の中からも外注化への怒りの声が上がり、東労組分会も「反対」を唱えざるをえなくなった。
エルダー社員として外注先の千葉鉄道サービスに雇用されている労働者は、動労千葉の必死のオルグに応え、外注化される業務に就くことを拒んだ。東京から送り込まれたカクマル分子と助役を充てることで、かろうじてJRは1日勤の外注化を強行したが、それ以上の攻撃には踏み込めていない。
管理者が「外注業務に就け」と言っても、それに応じる者はカクマルと助役以外にいないという現実は、まさに資本の労働者支配が空洞化しているということだ。JRの労務政策はどうしようもなく破綻している。
運転部門外注化も狙い政策転換
JR東日本は、これまでどおり東労組と結託していくこともできない。何よりそれは、東労組カクマルが拠点とする運転や車掌も含めて、全面的な外注化に踏み込もうとしているからだ。そこに労務政策転換の根本的な狙いがある。
今、JR東日本は「ローカルルールの是正」と称して、これまで東労組には無条件で認めてきた会議室などの利用を制限し始めた。ローカルルールとは、労働協約には明記されないまま、東労組だけを特権的に扱ってきた職場慣行のことだ。規制は組合掲示板の設置場所や掲示内容にも及んでいる。年末年始輸送時に東労組の分会が組合員にみかんを配ることも、就業規則に違反する「勤務時間中の組合活動」として禁止された。
11年12月、JR東日本は、以下の4項目を重点的に是正すると打ち出した。①運輸車両部門として、安全、快適、安定した輸送を阻害するようなこと、②円滑な業務運営の阻害要因となるような勤務関係のルール、③社員の意欲・発意を阻害するようなこと、④管理者と社員のかかわりを阻害するようなこと。
まさにこれは、カクマルが拠点とする運転部門に踏み込むという宣言だ。JRはその中で「組合役員の職場常駐、社員の監視等」をあぶり出すと挑発的に述べている。
これに対し東労組は激甚に反応した。東労組の機関紙『緑の風』11年12月15日号は、これらについて、「築き上げてきた労使協力関係をも清算し、一方的・強権的な職場支配を狙ったもの」「JR東労組の活動を規制し、国鉄改革に“区切りをつける”こと」と、危機感もあらわに絶叫している。
東労組は国鉄分割・民営化以来、経営者の人事をも含む経営事項に踏み込む形で資本との結託体制を形成してきた。しかし資本は、もはやこうしたあり方は許さないとしているのだ。
これは、今まで資本に容認されて職場をファシスト的に支配してきた東労組カクマルにとって、その存立基盤を脅かす事態にほかならない。
今や東労組カクマルは資本によって解体の対象とされている。しかし彼らは、外注化・合理化のさらなる手先となるほかに延命策を持たない。
09年10月末、JR東日本は「グループ会社と一体となった業務体制のさらなる推進」を提案した。検修部門の全面的な外注化提案だ。その最大の特徴は、これまで作業ダイヤ単位、ユニット単位で「委託を逐次実施する」としていたものを改め、「一括して委託する」としたことだ。
東労組内部から反乱の火の手を
会社提案には、検修にかかわるあらゆる業務が外注化の対象に列挙されている。車両センターで直営で残るのは技術管理だけだ。検修職場で働くすべての労働者を出向の対象とし、やがては転籍を強いるという計画だ。
ところが、この提案に先立って、東労組は『緑の風』09年8月1日号で、「『グループ会社と一体となった業務体制のさらなる構築』に対するたたかい」なるものを掲げていた。東労組が言う「たたかい」とは、会社提案を組合員にのませるための過程のことだ。会社の正式提案がなされる3カ月も前から、東労組は検修全面外注化に裏で承認を与えていたのだ。
その対極で動労千葉は、検修全面外注化に対する総力を挙げた反撃に突入した。09年10月末時点で会社は外注化の実施日を10年4月1日としていたが、動労千葉は今やこの攻撃を2年にわたり阻んでいる。
動労千葉の闘いは、外注化に対する青年労働者の怒りに火をつけた。東労組の中からも反対の声が公然と上がる中で、東労組はいまだあからさまには検修全面外注化提案に妥結できないでいる。
だが、彼らは新人事・賃金制度は妥結し、駅業務の全面外注化についても、妥結を前提とした裏切り交渉を進めている。
検修全面外注化だけが例外ということなどありえない。01年3月に東労組がJR東日本と結んだ「グループ会社と一体となった業務体制の構築(運輸車両関係)に関する協定」には、「『シニア雇用に関する協定』第3項に基づき、運輸車両関係については、グループ会社と一体となった業務体制を構築する」と書かれている。全面外注化の推進は、10年も前からの東労組の既定方針だったのだ(本紙前号3面参照)。
結局、東労組カクマルは、自らのファシスト的権益を巡っては資本との緊張関係をある程度激化させることはあっても、労働者の階級的利益そのものは、平然と資本に売り渡して恥じないのだ。
こんな東労組に付き従っていたら、東労組内でもほんの一握りにすぎないカクマルの特権維持のためのついたてにされ、自分の人生を資本に売り渡されるだけだ。東労組の内部から、今こそ反乱の火の手を挙げよう。
浦和事件判決でさらなる危機に
2月6日、最高裁はいわゆる浦和電車区事件について、東労組のカクマル分子7人の有罪判決を確定させた。
浦和電車区事件とは、01年1月から7月にかけて、浦和電車区庁舎内で行われた退職強要事件だ。東労組のカクマル役員らは、JR連合の企画した芋煮会に参加した東労組組合員を「組織破壊者」と決めつけて脅迫し、JR東日本から暴力的に退職させた。
こうしたカクマルのしたい放題の振る舞いは、国家権力の許容範囲を超えていた。権力は02年11月、東労組役員7人を逮捕した。これは、JR資本に対しても、カクマルとの癒着の清算を迫るものだった。これを受け、JR東日本は一審判決後の07年8月、逮捕されたカクマル分子を懲戒解雇にした。これにより資本とカクマルとの間に決定的な亀裂が入った。
東労組はこの事件を「えん罪」と強弁し、それに対する「反弾圧のたたかい」なるものを内部統制の手段に使ってきた。そもそも東労組カクマルは、国鉄分割・民営化の先兵となり、国鉄労働者を自死に追いつめるような凶悪な行為を、権力に守られながら繰り返してきた連中だ。その彼らが「国家権力に弾圧されました」と叫んでも、労働者にはまったく見向きもされなかった。しかし、東労組は、カクマルに忠誠を誓うか否かの踏み絵として、この事件を徹底的に利用した。
毎回の公判には、東労組の青年組合員が2~3千人規模で傍聴券取りに動員された。労働者の怒りを買うだけの「反弾圧」の駅頭宣伝に駆り出されたのも、東労組の青年組合員だ。その動員を断れば、「組織破壊者」のレッテルを張られ、脅迫される。こうした恫喝支配に青年労働者は辟易(へきえき)としており、怨嗟(えんさ)の声は満ちている。
これまでの東労組カクマルのやり方からすれば、最高裁判決が出された今、「えん罪弾劾」運動で青年労働者を締め付けようと躍起になっていてもおかしくない。ところが、東労組が今、全力を挙げているのは、グリーンスタッフ(契約社員、GS)問題での街頭宣伝への青年の動員だ。
そもそもGS制度は、99年の東労組とJR東日本との確認メモに基づき導入されたものだ。その張本人の東労組が、GSの正社員化を口にすること自体が大ペテンだ。
しかし、東労組がGS問題でしか青年を動員できないのは、浦和電車区事件についてがなり立てれば、青年は確実に離反すると彼らが心底、恐れているからだ。
彼らをここまで追いつめたのは、二十数年にわたる国鉄闘争の展開であり、外注化を10年にわたり阻んできたことに象徴される動労千葉(動労総連合)の闘いだ。
JR資本にとっても、東労組との関係を元に戻すことなどもうできない。この中で国労本部は、JR連合と一体化して東労組に成り代わろうと、度を超えた転向を深めている。だが、資本の目から見れば、国労本部もそれに足る反革命的迫力を欠いている。こうした情勢も、国労本部の裏切りと徹底的に対決してきた闘う国労組合員がつくり出したものだ。
JRの労務支配の大破産は、階級的労働運動が職場支配権を握る絶好のチャンスを生み出している。一切は、階級的労働運動の伸張によって決まるのだ。これがJR大再編情勢の核心だ。青年労働者の組織化へ、全精力を傾け、執念を燃やして打って出よう。
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週刊『前進』(2527号3面1)(2012/03/12 )
JR全面外注化粉砕の3-4月決戦へ
組織をあげた徹底抗戦で4・1外注化を阻止した
動労千葉の勝利の歴史的意義
動労千葉は、検修全面外注化や基地統廃合、運転士登用差別裁判における反動判決、新人事・賃金制度導入などJR資本による集中砲火の中、意気軒高と闘っている。2・26定期委員会と3・4総決起集会の場で動労千葉は、検修全面外注化の4・1実施を阻止したことを高らかに宣言した。動労千葉は、70年代の船橋事故闘争や三里塚ジェット燃料輸送阻止闘争、そして80年代の国鉄分割・民営化反対闘争と同質の、内外情勢との関係でいえばそれを超える闘いに決起している。日本の階級闘争の歴史の中でも特筆すべき労働組合であり、闘う労働者の集団だ。
職場全体の大反乱つくり出した地平
JR東日本における鉄道業務の全面外注化をめぐる攻防は、いまだ厳しい闘いのただ中にある。契約社員グリーンスタッフ(GS)雇い止めや、駅業務の外注化をめぐる攻防も重大局面にある。
外注化攻撃は、職場からJR籍の労働者を一掃する攻撃だ。駅の全面外注化で、これまでの営業(駅)↓車掌↓運転士という道が閉ざされる。これは、かなり近い将来、車掌や運転士の業務の外注化も俎上(そじょう)に乗ることを意味する。
5年間の実務経験を持つGSを雇い止めにして下請け会社で雇用し、ライフサイクル制度で運転士を駅に強制配転して穴の開いた業務につかせるなど、鉄道業務を丸ごと外注化する巨大な歯車が動き出している。
動労千葉の闘いは、この歯車の一つを止めることでJR東日本のフルアウトソーシングの野望を粉砕する展望をつかみつつある。GS雇い止め阻止や駅業務の外注化阻止も、それぞれ巨大な意義を持っている。まさにこれから外注化をめぐる大変な攻防が始まる。
動労千葉は労働組合として外注化攻撃に徹底抗戦することを宣言した。これは労働運動の歴史上、特筆すべき事態だ。
なぜ動労千葉は外注化を阻止できたのか。
第一に、現場から、東労組や国労本部の裏切りを許さない職場丸ごとの大反乱をつくりだしたことだ。会社も東労組も全面外注化の協約を簡単には結べない状況に追い込まれている。第二に、偽装請負問題の徹底追及の力だ。第三に、かつてない集団的な出向拒否闘争が爆発する可能性だ。第四に、ひとつ間違えば尼崎事故が起きかねない根底的な安全崩壊への労働者の怒りと危機感の爆発だ。第五に、動労千葉の本格的な組織拡大の現実性だ。動労千葉の攻勢的な闘いがJR東日本と東労組を決定的に追い込んでいるのだ。
また、2000年以降、JRが進めてきた設備関係を始めとする外注化は、すべて偽装請負で成り立っている。JRだけでなく、日本の全産業が偽装請負を前提としていると言っても過言ではない。出向や転籍についても個人の同意をめぐる裁判はあるが、労働組合の組織をあげての集団的抵抗は例がない。
労働組合の容認・屈服こそが資本の違法・脱法をまかり通らせてきた。偽装請負や出向・転籍に対して、労働組合が徹底抗戦した時、その前提条件は崩壊する。それはJR資本にとっては、これまで進めてきた業務外注化が土台から覆される危険性さえはらんでいるのだ。
団結強化・拡大し資本の弱点を突く
動労千葉の外注化阻止の闘いはどんな地平を切り開いているのか。動労千葉の闘いは、新自由主義に対して労働者階級の側が逆包囲できることを示している。この闘いの中に〈労働者階級が新自由主義といかに闘うか〉という普遍的な教訓、手がかりがある。
ある動労千葉組合員は職場集会で「動労千葉の外注化阻止の闘いは崇高な闘いだ」と述べた。この言葉に象徴されるように、この間の外注化阻止闘争は、幾多の試練をくぐってきた動労千葉組合員の誇りと魂に火を付けた。動労千葉の組合員の階級的魂に物質化しているものはなんなのか。
そもそも新自由主義攻撃の決定的特質として”労働組合自身が、労働組合の名において新自由主義を進める”という重大な問題がある。労働組合が新自由主義と闘えないという問題だけではない。労働組合の降伏と協力こそ新自由主義の決定的ファクターなのだ。ここを打ち破り覆すことが絶対に必要なのだ。
実際、新自由主義は労働組合の降伏と屈服から始まった。米国ではレーガン政権によるPATCO(航空管制官労組)解体だ。ここからAFL-CIO(米労働総同盟―産別会議)指導部の画歴史的屈服が始まる。
労働現場での直接的な激突と労働者側の敗北を通して新自由主義が進行したというよりも、労働組合が団交や協約などを通じて、職場と労働者を積極的に売り渡すことで攻撃は貫徹されてきた。その典型が前号3面で明らかにしたJR総連・東労組の姿だ。
日本においても80年代の国鉄分割・民営化に対して、国労本部と総評指導部、社会党・共産党を始めとする全党派が屈服し闘いを回避した。動労カクマルは、敵の攻撃の先兵となることで延命を図り、労働運動を内側から攻撃・解体した。ここから日本でも新自由主義が開花していく。
他方で動労千葉の労働者は、自らの首をかけ、国鉄分割・民営化攻撃に対して乾坤一擲(けんこんいってき)のストライキに決起した。それは国鉄1047名解雇撤回闘争を生みだし、国鉄労働運動は決定的な一線で踏みとどまった。以降、国鉄闘争が新自由主義に対する決定的な対抗軸となってきた。
あるいは、十数年にわたる外注化攻撃の中で、動労千葉には執拗(しつよう)なまでの激しい組織破壊攻撃が加えられ続けた。幕張支部役員は次々と強制配転され、動労千葉のベテラン労働者は中心的な仕事から完全に外された。これに対して現場組合員は、火の玉となって組織拡大の努力を続けてきた。攻撃が加えられるたびに反撃のストに立ち、その渦中で東労組や国労から1人、2人と組織拡大を実現してきた。
労働者こそ社会的生産の主体である。鉄道(そしてあらゆる産業)は、労働者の熟練した共同作業によって運行されている。鉄道の安全の核心問題もここにある。外注化攻撃は、こうした労働者の共同性、誇りと団結を破壊して進められる。
では、現場労働者を分断し、その団結を破壊した資本にまともに鉄道が運行できるのか。職制の手だけで鉄道が動かせるのか。労働者が誇りを奪い返し、団結して闘った時、新自由主義の存立基盤は崩壊していく。
外注化・合理化との闘いは階級的力関係そのものをめぐる問題であり、最終的にそれは組織攻防戦に集約される。動労千葉は、反合理化・運転保安闘争を通して労働者の誇りと共同性を取り戻し、団結を強化・拡大してきたのだ。新自由主義の外注化攻撃に対して労働組合は前進できる!
労働者の団結を拡大することは可能だ! それを身をもって示してきたのが動労千葉の闘いだ。そして今、動労千葉は満を持して本格的な組織拡大への挑戦を始めている。
国鉄めぐる攻防が再び歴史の焦点に
労働組合の協力なしに全面外注化は絶対に不可能だ。ここに資本の決定的弱点がある。外注化問題の要である出向・転籍の一切は労働組合の対応にかかっている。資本の本質的・階級的な弱点を突き、労働者の本質的・階級的な力を守り強化する中で、新自由主義を打ち破ることができる。
〈労働運動の解体か再建か〉をかけて国鉄-JR労働運動をめぐる決戦が再びみたび、歴史の焦点となっている。一昨年の4・9政治和解にもかかわらず、依然として動労千葉が新たな可能性を生み出しつつ意気軒高と闘いぬき、国鉄闘争全国運動を軸に1047名闘争が継続している。
動労千葉―動労総連合を先頭とする闘う国鉄労働者は、正規雇用の非正規化を阻止し、JRに労働現場を残すために闘っている。それは自らの課題であり、仲間や後輩の問題であり、子や孫の世代の利害、すなわち階級の利害をかけた闘いだ。 この動労千葉という労働者集団の闘いと声が、すべての国鉄(JR)労働者の魂をとらえる情勢が到来している。
新自由主義との闘いは労働組合の存在そのものをめぐる攻防だ。労働組合こそ情勢決定要因だ。労働組合と労働者の団結にかかわる〈本質的な力〉をめぐる攻防と勝利が動労千葉の闘いの中にある。ここに労働者階級の決定的な力と勝利性が示されている。
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週刊『前進』(2527号3面2)(2012/03/12 )

全面外注化を打ち破ろう! 新自由主義との対決①
「国鉄型」攻撃が全労働者に
民営化とリストラ強行の張本人が橋下のブレーン
4月1日で国鉄分割・民営化から25年を迎える。政府が4・9政治和解に際して「国鉄改革に関する未解決の課題への取り組みを強化し、その完遂に全力を挙げる」(前原国交相談話、10年6月)と述べているように、国鉄分割・民営化は完成していない。それどころか、尼崎事故に象徴される安全の根底からの崩壊、JR3島会社(北海道・四国・九州)、貨物会社の経営危機を始め、「国鉄分割・民営化=成功」神話の崩壊はもはや隠しようもない。
にもかかわらず国鉄分割・民営化をあくまで正当化し、「国鉄型」の攻撃を全社会化する攻撃が始まっている。その当面する焦点は、一方で、JR大合理化(全業務の外注化)と国鉄労働運動根絶攻撃であり、他方で、大阪市長・橋下徹を先頭とする公務員360万人首切り=一大民営化だ。
本連載では、絶望的危機にのたうつ日帝・支配階級の攻撃の方向性と、それに対する闘いの展望を探る。
「国鉄改革成功」のデマくり返す
大阪市長・橋下のブレーンである堺屋太一は、橋下との共著『体制維新―大阪都』の中で「国鉄改革が成功した理由」として、「(国鉄分割・民営化の結果)六つの旅客会社と貨物会社は黒字となり、何千億円もの法人税を支払ってくれるほどになりました。体制(システム)を変えれば同じ事業でもガラリと変わるのです」と述べ、「体制変更」=公務職場の全面民営化を主張している。
もう一人の橋下のブレーンである上山信一(慶応大学教授)も著書『大阪維新』の中で「国鉄改革に学べ」と同様の主張を展開している。
堺屋・上山らが主張する「国鉄改革成功」論は絶対に許せないデマだ。
JR3島・貨物会社は分割・民営化から25年がたった今も、政府(鉄道運輸機構)が株を100%保有する事実上の国有会社であり、完全民営化などほど遠いのが現実だ。財務省と国交省は2010年12月、今後20年間で計8490億円の支援策を実施することも決めている。これが国家の全体重をかけた国鉄分割・民営化が生みだした現実だ。
国鉄分割・民営化を先駆けとする新自由主義政策の二十数年の展開が生みだしたものは何か。それは何よりも、徹底的な雇用破壊、格差と貧困だ。年金も教育も医療もすべてガタガタに破壊された。中曽根政権は分割・民営化に際して「増税なき財政再建」を掲げたが、財政赤字は天文学的な額にまで積み上がっているではないか。
国鉄型の攻撃とは、不採算部門の切り捨て、安全投資の極限的縮小、地域経済と地方切り捨て、そして何よりも徹底した人件費削減にこそ中心があるのだ。「規制を緩和し競争原理を導入することで活力が生まれ社会全体に富をもたらす」「民営化すれば新たな雇用が創出される」――こうした新自由主義者どもの主張は、民営化を断行し、利権に群がって私腹を肥やすためのデマだ。
347社に細分化されたNTT
堺屋は同書で、1999年に始まるNTT分割も「体制変更」の成功例としてあげている。
堺屋は、98年7月~00年12月まで自民党政権下の経済企画庁長官・情報通信技術担当大臣(兼務)として、この大合理化を主導した人物だ。NTTは、99年に始まる分割と、すさまじい分社化・子会社化によって03年度末の段階で347社もの連結子会社に細分された。労働者は、50歳でNTT退社―賃金3割カットで子会社への転籍が迫られ、転籍を拒否する労働者には全国各地への強制配転攻撃が襲いかかった。旧NTT発足時(84年)に31万4千人いた労働者は、03年度末で20万5千人(10万9千人減)となり、NTT本体(固定系3社)に残ったのはわずか3万6千人(11・5%)だ。
上山は、80年に旧運輸省に入省した。86年に同省を退職し、米系コンサルティング会社マッキンゼーに入社、「大手企業20社の改革(=リストラだ!)を手がけた」と履歴に記している。07年から現職。全国各地の自治体で事業仕分けを展開した「構想日本」の政策・運営委員でもある。
平松前市長の前の関淳一大阪市長時代には、市政改革推進会議委員長(06~08年)となり「職員厚遇問題追及」=労組バッシングの先頭に立った札付きの人物だ。関市長落選(07年)後は、大阪府知事に当選した橋下にくっつき、ブレーンの役割を果たしている。
堺屋、上山ともに労働者階級の不倶戴天(ふぐたいてん)の敵だ。こうした社会を徹底的に破壊してきた張本人どもが、デマを重ね、「時代にあった”ビジネスモデル”を開発すれば、ものの10年で日本は再生する」(上山)などと吹聴しながら新たな攻撃に手を染めている。日帝・支配階級は結局、すでに破産を刻印された新自由主義政策を絶望的に貫徹する以外にない。
労働者階級の反撃がなければデマはデマとしてまかり通る。しかし、ここで決定的な階級的反撃をたたきつけるならば、敵の全面的攻撃は逆にやつらの墓穴となる。
国鉄1047名闘争と、動労千葉を先頭とするJR現場からの不屈の闘いこそ、国鉄分割・民営化を切っ先とする新自由主義攻撃に決定的な破産を強制してきた闘いだ。この国鉄闘争を軸に、今こそ反転攻勢に立とう。
(日高隆)
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週刊『前進』(2527号3面3)(2012/03/12 )
ILWUローカル21の勝利
組合排除狙うEGT社に職場実力闘争で打ち勝つ
「占拠運動」を獲得・連帯し
2月7日、アメリカのILWUローカル21(国際港湾倉庫労組第21支部)組合員はEGT社穀物倉庫と輸出用船舶で就労し、スト破り要員は排除された。ローカル21は職場の団結・実力闘争を基礎にして、全米、全世界の階級闘争の焦点になり、ついに歴史を動かしたのだ。
(写真 線路内で穀物列車阻止闘争【11年9月21日】)
巨大独占と対決
220人のILWUローカル21、全体でも4万のILWUが、超巨大な独占資本に勝利した。今回の協定は、EGTで働く労働者はすべてローカル21のハイヤリングホールから派遣されると規定している。ハイヤリングホールは組合員が民主的に選出したディスパッチャー(派遣責任者)が、労働者を各職場に公平に派遣する仕組みだ。これはILWU労働運動の核心であり、これをEGTに認めさせたことは大勝利だ。全米、全世界の労働者に巨大なインパクトを与えている。
EGTは、世界の3大穀物商社の一つ、バンジーと日本の巨大総合商社伊藤忠、韓国の海運会社STXの合弁だ。それらは銀行・証券会社と一体化し、政府と癒着している。
バンジーも伊藤忠もバイオエタノール製造の大手だ。トウモロコシから作られるエタノール燃料は、エタノール生産のために使われるエネルギーの方がエタノールから得られるエネルギーより大きい。バイオ燃料は政府の補助金を奪う税金泥棒産業なのだ。また、独占資本が農家を借金漬けにし、生殺与奪の権、価格支配権を握ることで利益を出す仕組みなのだ。
政府との一体化を示すあと一つの事実はTPP(環太平洋経済連携協定)だ。日本では今、伊藤忠の小林栄三会長らが政府の審議会「食と農林漁業の再生実現会議」をつくってTPPを推進し、農林漁業を独占資本の食い物にしようと策動している。
このように、EGT=バンジー・伊藤忠・STXは政府と一体であり、波止場のウォール街だ。それが総力で襲い掛かったが、労働者に敗れたということだ。
既成の枠を越え
新たにロングビュー港に進出したEGTは当初、ILWUローカル21に時間外手当なしの長時間労働、安全規定の半減、賃下げなどを提示し、それをのまないからとILWUを排除した。そして穀物倉庫運営の経験がない会社に業務を請け負わせ、それが非ILWUの労働者を雇った。完全な偽装請負だ。
ILWUは20世紀初頭以来の長い闘いで西海岸の港湾施設の雇用を確保し、その権利を経営者団体にも港湾当局にも認めさせてきた。EGTは、その雇用の権利に手をかけたのだ。
80年代以降の外注化・労組破壊が、ついに労働運動の最も戦闘的な拠点であるILWUに正面から襲い掛かってきたということだ。港湾当局や経営者団体との協約に明文で記されていることを踏みにじり、平然と法律違反をして土足で踏み込んできたのだ。
敵が従来の枠を越えて攻撃してきたとき、労働組合は何をすべきかが問われた。
昨年6月3日、ILWUの大反撃が始まった。組合員千人以上がEGTの本社前で抗議集会を開き、戦闘宣言を発した。
7月11日には、EGTの穀物輸出ターミナルに向けてデモが行われた。ローカル21の組合員は門を打ち破って構内に突入し、抗議集会を開いた。これに対して警察は、集会を襲撃し、指導部を含む100人の組合員を逮捕。だが、数百人の組合員が線路を封鎖し、穀物列車を完全に阻止した。
協定に明記された権利をEGTが一方的に侵害したのであり、法律的にもEGT側に非があるのは明白だ。だが連邦裁判所はILWUのピケットを禁止する命令を出した。違反すると巨額の罰金が科せられ、指導者は投獄される。
だが、ILWUは職場の実力闘争を続行した。
9月7日には、警察は実力闘争に立ったILWU本部のマケルラス委員長に暴行し、逮捕した。これが全米に巨大な衝撃を与えた。というのは、80年代以来、ほとんどの争議が裁判所の差し止め命令に抗することができず、命令が出たら、職場の闘いをやめて裁判闘争や和解に移行するのが常識となってしまっていたからだ。そして裁判依存による敗北につぐ敗北への怒りが充満していたからだ。昨年2月からウィスコンシン州で議事堂を連日占拠して闘った10万人の大決起も、反公務員労組法が強行採決された後は、法廷闘争と選挙運動に焦点がずらされた。多くの職場で新法に従わず、スローダウン闘争や一斉休暇などを行い、新法で廃止された組合の権利を現場で奪還したが、全体を覆すまでには至っていない。
その壁を突破したのがILWUの職場実力闘争だった。ILWUは現在の権利が1934年のゼネストなどの戦闘的闘いでもぎ取ったものであることを家族内でも職場でも新しい世代に繰り返し伝えてきた。新規採用者がフルに権利を持った組合員になるには、組合史講座への出席が必要とされている。このILWUのローカル21が権利を守るために職場で団結し、誇り高い闘いを続けて、本部も含めて公然と差し止め命令に挑戦したのだ。これが、9月からのオキュパイ(占拠)運動の大衆的な大爆発の火を付けた。
組合回り大動員
ウォール街オキュパイ運動はたちまち全米に拡大し、ILWUの拠点、オークランドでは地域ぐるみの巨大な運動になった。オキュパイ運動はローカル21と連帯し、11月2日のオークランド港封鎖、12月12日の西海岸全港湾封鎖に決起した。
動労千葉、全国労組交流センター、全学連は伊藤忠抗議闘争を行い、ローカル21のコフマン委員長は11・6労働者集会に参加した。
この国際連帯は、オキュパイとローカル21との連帯をいっそう激励するものとなった。労働組合の経験がゼロのまったく新しい層を含め、全体がローカル21との連帯をオキュパイの中心課題にしていった。
弾圧を恐れたILWU本部はオキュパイの港湾封鎖との共闘を禁じる通達を出したが、一般組合員はともに闘い続けた。
12年1月下旬~2月上旬に予定されていた第1回のEGTからの輸出穀物積み出しを阻止するために、ILWU活動家も、オキュパイの活動家もあらゆる産業の労働組合に阻止闘争への動員を働きかけた。労働運動の大変革が始まった。
国家権力・資本は震え上がった。ワシントン州の知事が介入し、EGTとILWUとの協定が成立した。このかんの労働運動の大後退を逆転させる、歴史的な大勝利だ。
(村上和幸)
(写真 12・12西海岸港湾封鎖の前日に行われた伊藤忠東京本社抗議闘争は現地の闘いを激励した)
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週刊『前進』(2527号4面1)(2012/03/12 )
原発再稼働阻止を(1)
関西電力大飯原発 階級的労働運動を推進し電力労働者の怒り組織へ
2月20日、高浜原発(福井県)が停止し、関西電力の全原発が停止した。全国でも稼働原発は残りわずか2基だ。反原発闘争は3・11福島県民大集会(郡山市)をもっていよいよ全原発停止・廃止の現実性を生みだしている。絶望的危機に陥った日帝・野田政権の巻き返しの焦点となっているのが関西電力大飯原発(福井県)再稼働をめぐる攻防だ。階級的労働運動の拠点建設と革命的労働者党建設の一体的推進を総括軸に、大飯原発再稼働阻止の闘いを爆発させよう!
全原発停止の現実化に焦り強行突破狙う野田
野田政権の「事故収束」宣言は、ふくしま集団疎開裁判の仮処分申し立て却下、経産省前テント撤去策動などが示すとおり、国家暴力でフクシマの怒りを圧殺する階級戦争宣言だ。大飯原発再稼働はこれと一体の攻撃であり、階級的力関係をめぐる激突だ。
全電力量の半分を原発に依存していた関電の全原発が停止したことは、日帝にとって労働者人民によって強制された“想定外”の事態だ。再稼働攻撃は戦略もなくほころびだらけだ。その破綻の象徴が原子力安全・保安院のストレステスト(耐性評価)である。
そもそもストレステストは原発メーカーの机上の計算にすぎない。原子力安全・保安院は当初「1次評価に加え、重大事故を考慮した2次評価が前提」と言いながら、その2次評価をやらずに「妥当」の判断を下した。“3・11”から何も学ばないし、学べば原発は動かせないのだ。
このふざけきったストレステストに人びとの怒りが爆発し、1月18日、経産省前は抗議の声で埋めつくされた。原子力安全・保安院は意見聴取会を「非公開」にし、これに抗議した2人の委員が欠席するなか、三菱重工などから多額の寄付金を受け取っていた座長の岡本孝司(東大教授)らが聴取会を強引に進めた。うわべの正当性もかなぐり捨てた再稼働への破綻的な突進である。
JR・東電一体の資本の攻撃
もはや「原子力村」の虚構は通用しない。2月24日から福井県議会は予算案審議に入ったが、むき出しの階級意志があらわとなっている。福井県と北海道だけが盛り込んだ、原発稼働を前提にした「核燃料税」の導入、そして原発再稼働の認可とバーターで与えられた「新幹線・敦賀駅の開業」である。北海道でも同様の認可が下ろされたが、これは国鉄1047名解雇の下手人であるJR東海会長・葛西敬之を東電会長に就任させる動きと一体のものだ。
新幹線開業は単なる「買収」ではない。福井県とJRは新幹線開業とともに「地元在来線の第3セクター化」を協議している。不採算路線を切り捨て、外注化で膨大な労働者の首切り・非正規職化を進めて地元経済を破壊する。そうして大失業を強制し、偽装請負が“慣習化”された原発労働に労働者を供給し続けるねらいだ。そのために地元を大型インフラ事業の物質力で徹底的に分断する攻撃だ。
民営化・外注化・非正規職化を通した原発への依存構造を拡大し永久化させること、これが野田政権と葛西ら日帝ブルジョアジーのねらいだ。「葛西と新幹線」を引っ張り出さなければ原発は動かせないということでもある。この腐りきった構造のすべてを粉砕することなくして再稼働阻止も全原発の廃炉もない。
反原発闘争は新自由主義との対決そのものだ。国鉄闘争全国運動を集約軸とした階級的労働運動の中に勝利の展望がある。国鉄闘争全国運動が原発への労働者人民の怒りをまるごと獲得する圧倒的展望が開けている。
全学連が関電本店前で1カ月間座り込み貫徹
大飯原発再稼働阻止への闘いは始まった。全学連は1月20日から1カ月間、再稼働阻止・関電本店前座り込み行動を貫徹。関電、警察権力の妨害をはね返して大きな支持と共感を巻き起こし、関電管内の全原発が停止するという画期的な地平を生み出している。関西での再稼働阻止の決戦陣形を構築するために必要なことは何か。
第一に、電力総連による支配をうち破る電力労働者の決起をつくり出すことだ。その現実性は開かれている。関電本店前座り込みには、関電の下請け企業で働いていた労働者も参加し、ともに再稼働阻止の声を上げた。
「関電下請けのコールセンターで原発事故の補償問い合わせの対応が業務だった」「原発事故直後なのに、社内では原発は絶対安全という教育が行われ、補償に関するまともな対応は一切指示されない」「反原発デモに参加して職場で報告したら解雇された」
これが現場労働者の声だ。労働者は電力資本にまったく屈服していない。何万人もの労働者が電力資本の内部で原発への怒りをたぎらせている。再稼働攻撃は、この怒りのマグマを解き放つ。重要なことは「危険作業の請負化」などで外注化・非正規職化を推進し、労働者を分断してきた電力総連の支配を粉砕することだ。それは可能だ。非正規労働とその重層的な下請け構造は、資本と体制内労組の強さを証明するものではない。逆に膨大な労働者の怒りを内部に抱え込み、反乱の現実性に絶えず戦慄(せんりつ)しているのが電力資本であり電力総連だ。全学連の座り込みは、関電の全原発を停止に追い込む闘いの力を引き出し、怒りの結集軸となって電力労働者の決起の展望を満天下に示している。
3・18八尾北・西郡決戦の爆発を突破口に闘う
第二に、福島をはじめとする被災地との連帯を貫くことだ。3・11を引き起こした国家と資本の犯罪を徹底断罪し、新自由主義の全構造との非和解的対決を貫くことだ。このことが、再稼働阻止の闘いを体制内派の歪曲をうち破ってプロレタリア革命の勝利へ導く決定的な焦点なのだ。
第三に、自らの現場で新自由主義と対決する拠点を建設し、勝利の展望を示すことだ。2・26関西青年労働者集会で福島県教組元委員長の清野和彦さんは「困難に直面したときは足元を掘れ。そこに泉わく」と訴えた。その言葉どおり、反原発闘争を新自由主義との対決として貫く関西学生戦線は、昨年11・10反原発団交をかちとった地平を前進させ、1月31日に京大で開催された「高温ガス炉プラント研究会(新型原発の研究会)」に突入、主催者である東大・岡本孝司(前掲のストレステスト妥当判断の下手人)を徹底的に追及し、京大からたたき出した。キャンパスでの日常的闘いの蓄積は、御用学者の跋扈(ばっこ)を粉砕する力関係をも生み出している。
この中で関西学生戦線はいよいよ原発御用学者を生み出した元凶である教育の民営化=国立大学法人化体制そのものとの対決へと突き進んでいる。それは大阪市長・橋下徹との提携で大学を帝国主義間争闘戦の先兵へ純化しようとする京大総長・松本紘を打倒する、全学自治会再建の闘いだ。この地平を全面的に発展させ、地区党と学生の団結を強化し、大飯原発再稼働を粉砕しよう。
最後に、原発再稼働阻止への最大の突破口として3・18西郡・八尾北決戦への総結集を訴える。3・18こそ橋下・維新の会による道州制攻撃を先端的に貫く更地化攻撃を粉砕し、ソビエト建設を展望する決定的な闘いだ。この闘いは、橋下の掲げるペテン的脱原発や体制内派による反原発運動の歪曲を最後的にうち破り、青年労働者・学生の革命的決起を生み出す闘いだ。
3・18西郡・八尾北決戦への大結集で、階級的労働運動の拠点建設を本格的に推し進め、原発再稼働阻止の決戦に勝利しよう!
〔革共同関西地方委員会〕
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週刊『前進』(2527号4面2)(2012/03/12 )
NAZEN東海を結成
浜岡・もんじゅの廃炉掲げ
2月26日、名古屋で東海3県(愛知、三重、岐阜)の闘う仲間が集まり、浜岡原発廃炉・もんじゅ廃炉を掲げ、NAZEN東海の結成が宣言されました。
駆けつけたふくしま合同労組書記長の藤井千賀子さんは、3月11日に郡山市で開催される福島県民大集会への参加を呼びかけ、福島の復興は原発廃絶を土台にして初めて成り立つこと、原発再稼働は福島の被曝者切り捨てと事故責任の隠蔽(いんぺい)であること、労働組合を中軸に農民、漁民、商工業者も含めた闘いが力強く始まったことを訴えました。NAZEN東海のすべての仲間が3・11福島県民大集会に参加しともに闘うことを決意しています。
NAZEN呼びかけ人である松井英介医師のメッセージ、「内部被曝の基礎知識」の上映などを通して、低線量内部被曝の実態が明らかにされ、これまでの被曝「基準」が原発推進のために政治的に改ざんされたものだったことも明らかにされました。資本家と国家への怒りがつのりました。
地元東海から「労働組合の力で浜岡原発を廃炉に」(静岡労組交流センター)、「芦浜・熊野・海山(みやま)を阻んできた三重県の反原発闘争」(とめよう戦争への道!百万人署名運動三重連絡会)、「中電本店闘争を継続して闘おう」(愛知労組交流センター)など、闘いが報告され、NAZENあいちの代表からNAZEN東海結成が宣言されました。
NAZEN東海の行動方針として、①中部電力への抗議・申し入れ、再稼働・新設阻止と廃炉へ行動する、②福島の子どもや親たちの命と健康を守る診療所建設の募金運動、③1千万人全国署名、④3・11福島県民大集会への参加などが全員の拍手で確認されました。
(愛知・K)
(写真 「労働組合の力で浜岡原発を廃炉に」などを訴えた結成集会【2月26日 名古屋市】)
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週刊『前進』(2527号4面3)(2012/03/12 )
3・25三里塚現地大結集へ 反対同盟アピール
市東孝雄さんの農地死守決戦への突入を宣言する3・25三里塚全国集会を目前に、三里塚芝山連合空港反対同盟から熱烈なアピールをいただいた。3・11福島県民大集会と一体で総力結集を!(編集局)
言語道断の国策と対決 反対同盟事務局長 北原鉱治さん
現在の日本の政治が人民が望むものといかにかけ離れているか、満天下に示されてきたこの1年であった。3月11日に東日本を襲った未曽有の地震と津波は、多くの人びとの生活と生命を奪ったのみならず、福島第一原発の大事故を引き起こし、おびただしい放射性物質がばらまかれた。住民の生活と健康が危険にさらされている。私と同じ年代を生きてきた方々は、1945年8月の広島、長崎への原爆投下とそれによってもたらされた放射能汚染をただちに想起したに違いない。核兵器と原発は本質において同じであり、廃絶以外にない。
三里塚は一貫して反戦反核の砦(とりで)として闘ってきたが、その重大性がいよいよ明らかになっている。自衛隊は先日、南スーダンPKO派兵として成田空港から制服の先遣隊と軍事物資を送り出した。それが人民の目を欺くために「人道支援」の名のもとに行われようと、実態は侵略戦争である。反対同盟は2月19日、三里塚現地において派兵弾劾のデモを行った。われわれの怒りをかわそうと、本隊についてはこの日羽田から出発したことが当日に明らかにされたが、すでに成田の軍事使用は急ピッチで進められているのが現実だ。これを容認すれば全国各地の空港、港湾、道路、鉄道などは「有事」と称する戦争で際限なく米軍と自衛隊によって使われるだろう。
私は闘争初期の1966年に労働組合の案内で羽田空港を見学し、ベトナム戦争のための米軍チャーター機が機体の弾痕(だんこん)も生々しい姿で滑走路の傍らに止まっているのを確認した。そのことを反対同盟の実行役員会に報告して、以来「軍事空港反対」は三里塚に欠かせぬスローガンとなった。今その責任を果たす時が訪れた。
この空港は、天神峰で3代にわたって農業を続けてきた市東孝雄さんの農地を奪おうとしている。第3誘導路を建設することによって、市東さんの家、農地、作業場を空港の中へと囲い込んで重圧をかけ、やがてたたき出そうとする攻撃である。生命の糧を育む農民に襲いかかる「国策」とは、言語道断だ! さらに野田政権はTPP(環太平洋経済連携協定)を推進し、日本の農業・農民を壊滅に追い込む方向に進んでいる。このような反人民性ゆえに成田空港は「日本の表玄関」たりえぬぶざまな姿をさらしている。われわれの闘いがある限りこの空港は永久に完成しない。
三里塚46年の闘いと、戦争のための物資は運ばないという労働者の闘いが固く結合して、日本の政治を根本から変えるときだ。原発を止める力もここにある。
若くして亡くなった鈴木謙太郎さんの無念を思い、その家族とともに勝利へ前進する。3・25三里塚へ大結集しよう。
3・11と共に総決起を 事務局次長 萩原進さん
近ごろ国交省では「成田・羽田一体で運用しハブ空港としよう」などとという主張がまかり通るようになったが、これは成田の破綻による航空政策の失敗で、国際競争に負けたことの表現だ。
成田空港は、暫定滑走路を無理やり供用したのに、反対運動と反対派農家をつぶせなかった。それで本来と逆の北へ北へと無理やり滑走路を延伸してきた。結果、安全性は切り捨てられ、事故も多い。不要な誘導路を何本も造ったり継ぎ足し工事を重ねても、欠陥空港から脱することはできず、地盤沈下は止まらない。NAA(成田空港会社)はいまだに株式の上場もできない。民営化と言っても民間に放り出すこともままならない。あげくには「カジノを成田に」なんて知事が語るような始末だ。
国策空港を破綻させてきたのは、まぎれもなく46年間にわたって農地を守り、非妥協的に空港反対を貫いてきた反対運動の力だ。今や土地収用法も適用できなくなった。そこでNAAは、農地法を使って裁判を起こし農地の明け渡しを迫るというむちゃくちゃなやり口に訴えてきた。1本の滑走路に3本目の誘導路まで造って市東さんの自宅を囲ってしまうやり口は異常というほかない。
福島、沖縄でも、国策をかたって人民の生活が踏みにじられている。3・11大震災と福島原発事故は、日本の政治、経済、社会のあり方を一変させた。政府と国家の信頼性は地に落ちた。三里塚は国策の名による農地収奪の暴虐と体を張って闘ってきたが、その正しさを胸を張って主張できると思う。
沖縄では、あらゆる政党が「基地反対」を唱えざるをえない状況だ。沖縄県民の熱意と闘いがそういう形で現れている。この叫びを本土の人びとが受けとめ自らの闘いとして立ち上がれば、勝利が切り開ける。三里塚はその闘いの旗振り役を果たさなければならない。闘う農民組織が福島の地において「全国農民会議」として産声を上げた。農民の怒りもいよいよ火が付く時だ。
資本主義が行き詰まり世界で恐慌が起きるなかで、政府はこの巨大空港をますます軍事空港として使おうとしている。われわれは反戦反核の旗を高く掲げて闘う。市東孝雄さんは自らが三里塚・天神峰の地で日々営農し住み続けることで、成田の軍事基地化を阻み続けている。
農民の闘魂に追いつめられているのは敵権力の側だ。NAAの農地強奪の違法と犯罪を法廷で追及し続けることも決定的だ。鈴木謙太郎さんの遺志を引き継ぎ、無念を晴らさなければならない。三里塚がここで踏ん張りきることが全国の闘いの勝利にもつながることを強く訴えたい。3月は厳しい日程の中で誰もが四苦八苦しているが、3・25三里塚全国集会は3・11福島県民大集会と一体です。みなさんの総決起を心から訴えます。
謙太郎さんの分まで闘う 天神峰部落 市東孝雄さん
私の畑をめぐる闘いは正念場を迎えました。三つの裁判を闘っていますが、法廷では私の農地を奪おうとしているNAAの違法、不法、犯罪行為が次々と明るみに出ています。
わが家の耕作地を特定する図面がデタラメであることは当初から指摘してきましたが、その図面を添付した「同意書」や「境界確認書」に書かれた父・市東東市の署名が偽造されたものだったという筆跡鑑定が出ました。
なぜそんな驚くようなことが行われたのか。土地収用法で強制的に土地を取り上げる期限切れに迫られていた空港公団は、どうしても父の署名・捺印(なついん)が入った書類を収用委員会に出さなければならなかった。しかし父が同意するはずもない。だから偽造した。「強制収用してしまえば犯罪行為はバレない」という権力の浅はかな思い上がりです。
そして反対同盟の闘いはついに事業認定を失効させ、土地収用法による強制収用はできなくなりました。そうしたら今度は農地法を悪用して裁判に訴えて耕作地を奪おうとしてきた。そこに持ち出されてきたのがこの署名を偽造した文書です。こんなものには一片の証拠価値もない。本来ならとっくに却下されるべき裁判です。
ところが千葉地裁は、毎回弁護団の追及によって窮地に陥るNAAと千葉県側の肩を持って裁判を続けています。法にも理屈にも合わないのに、最後はデタラメな判決を出すことをいとわないのが裁判所です。毎回の裁判闘争で裁判所に詰めかけ、傍聴席を埋める闘いがとても重要になっているわけです。
2月1日、福島県二本松市で開かれた全国農民交流集会に参加しました。反原発、反TPP、三里塚連帯を掲げる全国の農民の集まりとして大々的に開かれました。全国農民会議が発足して大変勇気づけられました。この陣形を全国の農民の中に広げていきたいと思っています。
反戦の砦としての三里塚の責任も大きくなってきました。この間自衛隊の先遣隊が南スーダンへ向け成田から出発しました。戦闘車両などが今も成田から送られています。反対同盟は沖縄や福島と連帯し、軍事空港反対を貫き、反原発の闘いの先頭に立ちます。
この闘いのさなかで、ともに頑張ってきた事務局員の鈴木謙太郎さんが突然亡くなったことは本当に無念でなりません。謙太郎さんは菱田の騒音直下で、一軒になっても親子二代、「敷地内と連帯する」と一途に空港絶対反対を貫いて闘ってきました。私たち反対同盟の大きな柱を失ったことは、本当に痛恨の極みです。彼の遺志を継ぎ、彼の家族とともに彼の分まで闘おうと思います。
反対同盟がその決意、姿勢を明らかにする場として、3・25を全国のみなさんとともに大成功させたいと思います。
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週刊『前進』(2527号4面4)(2012/03/12 )
2月28日~3月5日
大阪市「君が代条例」成立/オバマ「対イラン軍事攻撃も」
●大阪市、君が代条例が成立 大阪維新の会と公明党、自民党の大阪市議団は教職員に君が代の起立斉唱を義務づける市条例案について、橋下徹市長提案の原案を修正することで合意した。修正案は同日深夜の市議会本会議で、3会派の賛成多数で可決、成立した。(28日)
●北朝鮮、ウラン濃縮中断で米と合意
北朝鮮外務省報道官は寧辺でのウラン濃縮活動、核実験、長距離ミサイル発射を一時停止し、濃縮施設を含む寧辺の核施設を監視する国際原子力機関(IAEA)要員の復帰を認めると明らかにした。米政府は24万トンの食糧支援を表明。増量も視野に入れ、支援を最終決定するために近く米朝高官協議を行う。2月23、24日に北京で行った米朝協議で合意したもの。(29日)
●PKO武器使用の緩和検討 野田政権は、国連平和維持活動(PKO)に自衛隊が参加する際の武器使用基準を緩和する検討に入った。自衛隊の宿営地外で作業する国際機関や非政府組織(NGO)の民間人らも保護できるように見直す。PKO協力法改正案の今国会提出も視野に入れている。現行のPKO協力法では、NGOや国際機関の職員を守る目的で自衛隊員が武器を使えるのは宿営地など「自己の管理下」にいる場合に限られる。(29日)
●広野町役場、元の場所に 東京電力福島第一原発事故による避難に伴い、役場機能を町外に移していた福島県広野町が元の役場で業務を再開する。役場ごと避難した9町村の中で初の帰還。町は今後除染や復旧工事を進めて、年内にも住民の帰還を終える計画だが、どこまで住民が戻るかは不透明。避難自治体では川内村が既に「帰村宣言」し、4月にも元の役場に戻る予定。(1日)
●在沖海兵隊、残留1万数千人か 在日米軍再編見直しの日米協議で、沖縄に駐留する米海兵隊第3海兵師団の地上戦闘部隊の大半が国外移転しても、在沖米海兵隊1万8千人(日米両政府公表の定数)のうち1万数千人が沖縄に残るとみられることが分かった。政府・与党関係者が明らかにした。米側が打診している構想では、第3海兵師団の戦闘部隊の大半は国外移転させるものの、第3海兵遠征軍司令部、第31海兵遠征部隊などは沖縄に残すとしている。(2日)
●イランへの攻撃、オバマが警告 オバマ米大統領が、核開発疑惑がくすぶるイランに対する軍事攻撃について「はったりではない」と警告した。オバマは、イランの核開発阻止に向けてあらゆる選択肢を排除しないとの考えについて「米国は、イランの核兵器保有を許容しないと本気で言っているということだ」と強調。(2日)
●プーチン返り咲き ロシア大統領選でプーチン首相(59)が当選を決めた。メドベージェフ(46)を後継として首相となった2008年以来、3期目への返り咲きとなる。メドベージェフを首相としてポストを交換し、「双頭体制」を維持する。就任は5月。任期は従来の4年から6年に延長されており、2018年まで。(4日)
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週刊『前進』(2527号4面5)(2012/03/12 )
【要項】 市東さん行政訴訟・農地法裁判、第6回千葉県三里塚集会
三里塚裁判傍聴を!
◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
3月26日(月)午前10時30分 千葉地裁
(傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合)
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市東さんの農地強奪を許すな!
第6回千葉県三里塚集会
3月18日(日)午後1時から
DC会館(JR東千葉駅前)(千葉市中央区要町2―8)
主催/千葉県三里塚集会実行委員会
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週刊『前進』(2527号5面1)(2012/03/12 )
大恐慌の現段階と世界革命の展望
恐慌対策の野放図な満展開が国債暴落の危機を生み出した
帝国主義のあらゆるあがきにもかかわらず、大恐慌の進行・深化・発展の大きな流れを押しとどめることはできない。大恐慌の進展は戦後世界体制の本格的全面的崩壊過程を促進し、プロレタリア世界革命の時代の到来を一挙に現実化しつつある。国鉄闘争と反原発闘争を軸とする今春決戦の勝利を切り開くために、内外情勢の核心である大恐慌の現局面について明らかにする。
「対策」はすべて一時しのぎ 大恐慌の全面的爆発は必至
2007年のパリバ・ショックに始まり、08年のリーマン・ショックによって本格化した今次世界大恐慌は、09年、10年、11年とますます激化・発展し、帝国主義を絶望のふちへと追い込みつつある。
この世界大恐慌は、帝国主義が歴史的に蓄積した矛盾の爆発として、「過剰資本・過剰生産力」の問題と「世界経済の分裂化」の問題が相互に作用しあって進行しているのであって、帝国主義の歴史的寿命が尽き果てていることを容赦なく突き出すものである。帝国主義の財政・金融政策によってのりこえることなど到底できない。
今や、この大恐慌の進行の中で、①基軸国=米帝の没落、②EU(欧州連合)解体(欧州恐慌の爆発とユーロ崩壊の危機)、③中国スターリン主義のバブル経済の瓦解(がかい)、④大恐慌と3・11情勢下での日帝の争闘戦的脱落が急速に成熟している。これらは相互に作用しあって、世界大恐慌の本格的全面的爆発への動きを推進するものとなっている。帝国主義者や残存スターリン主義者がどんなにあがこうと、この大情勢の流れを止めることはできない。むしろ、そのあがきによって危機はますます加速し、深まる一方である。
帝国主義のあがきはまず、恐慌対策としての財政・金融政策の野放図な展開となって進んだ。だがそれは結局、国家財政赤字の天文学的巨大化となって、国家債務危機、国債暴落の危機をつくりだした。ギリシャ問題に端を発し、国債暴落の危機がイタリア、スペインなどの南欧諸国、さらには全欧、全世界に広がるにいたった。
2011年秋、ギリシャ国債のデフォルト(債務不履行)の危機が切迫化した。その影響はイタリア、スペイン、さらにはフランス、ドイツに波及した。この事態に震撼(しんかん)した帝国主義諸国は、11年末から12年初めにかけて、絶望的なあがきを開始した。すなわち欧、米、日の順で超金融緩和政策に突入し、かつてないマネー氾濫(はんらん)、マネー暴走情勢を現実化するにいたった。
この動きは一時しのぎであり、カンフルであり、また麻薬的な政策である。この政策は、大恐慌の長期大不況化(二番底化を含む)の重圧や、ギリシャ・デフォルトを契機とする欧州恐慌の全面的爆発への恐怖、日帝のデフレ・円高地獄からの脱出願望により強行された。だが大恐慌はこんな政策ではクリアできるものではない。むしろ膨大な余剰マネーの氾濫とマネーの暴走を引き起こし、ついには手のつけられない経済のインフレ化や、国家間の果てしない争闘戦、為替戦争、貿易戦争の幕を切って落とすのだ。
余剰マネーの氾濫と暴走を引き起こす超金融緩和政策
まず、この政策を基底的に強行したのは米帝であり、QE2(金融の量的緩和第2弾)と昨年6月以降のその継続的政策である。その上で、この間の超金融緩和の決定的突破口となったのは、昨年12月21日のECB(欧州中央銀行)による巨額の資金供給政策の実施である。総額4890億ユーロを欧州の諸銀行に1%の低利、期間3年、無制限で貸し出すというもので、欧州の大小5千の金融機関が一気に借り入れ、全額が即日消化されたという。
さらに、世界的に見て重要なことは、本年1月25日のFRB(米連邦準備制度理事会)・FOMC(米連邦公開市場委員会)の決定である。ここで①FF金利(市中銀行が融通し合う金利)を0~0・2%に据え置く、②金利を少なくとも2014年終盤まで異例の低水準にする、③新たな物価目標を前年比2%上昇と設定することが打ち出された。
これは実に重大な金融緩和政策である。すでにQE2及びその後の政策によって、企業と金融機関は莫大(ばくだい)な「資金」を保有している。しかも大恐慌情勢の重圧下、設備投資などを行う余地はない。したがって14年末まで「異例の低金利」が半ば保証されるとすれば、膨大な資金は流動的マネーとして株式や商品の市場に大量に流れ込む。さらに米国はもとより新興諸国を含めて世界中をかけめぐり、ひいては暴走にいたるからである。
FRBのバーナンキ議長は、この政策が何よりも株価の上昇をもたらすことを狙っていることを隠していない。これが資産効果を通して個人消費の拡大、ひいては設備投資の拡大につながればよいとしている。さらにこの政策がドル安をもたらし、それが輸出拡大につながることをも意識的に狙っている。これはオバマの争闘戦的な輸出拡大戦略と完全に一体のものだ。欧州危機の激化・長期化からくる対ユーロ・ドル高による米帝の損失をドル安促進で突破しようとしているのである。また日帝に対しては円高・ドル安の固定化を狙っている。
このFOMCの超金融緩和政策は、日帝・日銀に巨大な圧力となった。円高固定化阻止とデフレからの脱却を狙って、日銀はついに2月14日、「中期的な物価安定のメドを当面1%とする」と決定し、物価上昇を事実上ターゲット化して超金融緩和政策を展開することを決定したのである。そしていわばその実践として「資産買い入れ基金」(国債、社債、ETF=上場投資信託、REIT=不動産投資信託などを日銀が買い入れて市場の急落などを阻止する!)を10兆円増額し、合計65兆円規模とすることを決定した。
これによって、日銀の長期国債買い入れは年間40兆円規模にふくらむ。政府の国債新規発行の年44兆円に匹敵する額だ。年間の全国債発行額の2割を日銀が買い入れることになる。しかも日銀はここで「物価安定のメド」について、「消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラス領域にあると判断しており、当面は1%をメドとする」としている。つまり、当面は1%、しかし2%まではかまわないと宣言している。
現在のデフレ的状況下で2%まで物価が上昇することもかまわず、超金融緩和政策をやるとしたのである。これはいわゆるインフレターゲット政策への踏み込みであり、強引なマネー洪水政策をいよいよ本格的に推進していくということだ。
NY株価のバブル的上昇は米経済回復の反映ではない
今や米・欧・日の帝国主義は、堰(せき)を切ったように一斉に超金融緩和政策に踏み込み、余剰マネーを氾濫させる方向に走っていることは明らかである。しかしこれが、大恐慌が長期大不況化し、二番底化の危機に直面している現実をのりこえる力を持つのかといえば、明らかに否である。
まず米帝について見てみよう。
確かに12年に入ってから、ニューヨーク株式市場では株価は20%前後も上昇している。しかし、ほとんどの日がいわゆる薄商い(7~8億株レベル)でしかない。確かにリーマン・ショック後の最高値をつけたり、85年5月以来の高値になったりもしている。しかしこれは、大恐慌が突き出した「過剰資本・過剰生産力」の問題や、失業者が依然として膨大に存在している現実をのりこえて新しい経済成長が始まり、その反映として株価が上昇しているのかといえば、まったくそうではない。
リストラ・失業増大へ
確かに膨大な財政投入や超低金利の長期化により、大独占企業による独占的な収益の吸い上げという意味での企業収益の一定の拡大はある。しかしそれは、いわゆる経済の二極化が進む中での、一方での企業収益の増大でしかない。したがって絶えずリストラが行われ、不断に失業者が生み出されている。経済の一定の改善による雇用の拡大はあるが、それは非正規雇用や超低賃金業種での雇用拡大でしかない。本格的な新しい成長の始まりからくる雇用の増大ではけっしてない。
「過剰資本・過剰生産力」が厳存し、膨大な失業者を蓄積しつつ雇用の増大と減少(リストラ)が依然として綱引きをしている現実では、たとえ株価の一時的バブル化が生じ、それが一定の資産効果や消費の拡大をもたらしても、本格的な雇用の拡大などは到底できない。余剰マネーの洪水が引き起こす株価の上昇など結局は不安定で、若干の否定的契機が発生すれば大暴落するのである。
ここで今ひとつ押さえておくべきことは、大恐慌下の景気浮揚政策で最も強力なのは財政の大量投入ということだ。リーマン・ショックの後はこれが7千億㌦、8千億㌦のレベルで2回にわたって行われた。しかし今日、米帝の財政赤字は巨大化し、大規模な財政投入などできない。しかも矛盾的なことに、大不況の重圧下で、オバマ政権は財政赤字の削減を唱えながら景気の暴落を避けるためには一定の財政支出を続けざるをえない。このために財政赤字は一向に減らないのだ。
2012年度の財政赤字は、1兆100億㌦を予定していたのに、09年の1兆4127億㌦に次ぐ1兆3270億㌦となっている。ちなみに、2013年度の財政赤字は「予算教書」で9010億㌦などとしているが、これも到底守れるものではない。大不況重圧下で本当に9010億㌦まで削減すれば、経済は破綻するからである。この現実は没落米帝にとって、国債暴落の危機がますます深まっているということであり、思いきった巨大な景気対策など到底打てないのだ。
こうした現実を全体的にみれば、バーナンキの超金融緩和政策によって生じることは、間違いなく一定の株式バブル(限界的)であり、いまひとつは新興国市場への攪乱(かくらん)的流入である。結局は、QE2によるインフレ化のようなことを引き起こし、経済への打撃となってはね返るということだ。為替戦争的にはかなり強力に作用するかもしれないが、米欧日のすべてが為替戦争に突入している中では輸出力の回復もまた限界的であり、大恐慌をのりこえる展望をもつことは不可能である。
EUの財政削減強制に対しギリシャ労働者怒りの決起
次に、超金融緩和政策下での欧州恐慌の情勢についてみてみよう。
昨秋のギリシャ国債のデフォルトの危機は、アメリカ国債の格下げという歴史的衝撃を受け、一気にイタリア国債、スペイン国債の利回り高(=国債価格の暴落)となって発展し、欧州銀行の債務拡大へと進んだ。このままでは欧州恐慌の本格的、全面的爆発は必至というところまで情勢は進み、ECBはついに欧州版QE2ともいうべき大量資金供給の政策に踏み切った。
この結果、銀行の一定の部分には、イタリアやスペインなどの高利国債を購入して利益(サヤ)の獲得を狙う動きも生じ、2月14日現在ではイタリアやスペインの国債(10年物)利回りは、7%前後の危機的レベルから5%前後へと低下した。ポルトガルはまだ12%だが、19%レベルからは下がった。フランスの国債などもほぼ通常の利回りに戻った。
これで情勢は一気に好転し、クリアされたのかといえば、まったく違う。これは実際にはカンフル効果とも言うべきものであって、ギリシャを始め南欧諸国、ひいてはEU諸国全体の国家財政危機、膨大な財政赤字の問題はなんら解決などしていない。それどころか昨秋以降の欧州における金融恐慌の進行はきわめて深刻であり、それは当然にも欧州の実体経済を大いに悪化させたのだ。
2011年10~12月期(第4四半期)にはついに、ユーロ圏のGDP(国内総生産)は前期比で0・3%減、年率換算では1・3%減となった。国別でみると、ドイツは0・2%減(年率換算0・7%減)であり、リーマン・ショック直後の09年第1四半期以来のマイナス成長である。フランスは0・2%増(年率換算0・9%増)だが、低成長そのものだ。イタリアが0・7%減(年率換算2・9%減)、スペインが0・3%減、ギリシャが6・8%減である。
また、ユーロ圏の11年12月の失業率は10・4%に上昇した。スペインはなんと22%、ポルトガルも13・6%の失業率だ。ギリシャも20%を超えていることは明らかだ。
この実体経済の悪化は、ギリシャ債務危機をさらに全面的に爆発させた。ギリシャに対するEU委やECB、そしてIMF(国際通貨基金)などの支援方針は、支援の条件としてギリシャの財政再建政策を厳しく要求するものだった。公務員の人員削減や賃金・年金の削減、消費税などの増税を強制し、大幅な歳出削減を要求し、それを通して財政赤字をGDP比で短年月のうちに一挙に減らせというものだ。
これは実際には、ギリシャの実体経済を大幅に縮小させるしかないものであった。この中で11年第4四半期には、EUやユーロ圏諸国そのものがマイナス成長に陥ってしまったのである。こんな状況下では財政赤字の削減が進展するはずもない。実際、ギリシャの政府債務は11年9月現在で対GDP比159%。1年前の10年9月には同138・8%であったので、1年間で20・3ポイントも政府債務は拡大してしまったのである。
ゼネストと街頭デモ
さらにいえば、EU、ECB、IMFなどの対ギリシャ支援策の根底的問題性は、大恐慌下でのユーロ体制の矛盾(通貨は統一、財政は各国別)の爆発から今日のユーロ危機が生じていることを無視し、ギリシャ労働者階級を圧殺し犠牲にして危機をのりきろうとしていることである。
これは、大量首切り、リストラ、賃金の大幅カット、年金制度の破壊、大増税攻撃の繰り返しなどによって、ギリシャ労働者階級の労働と生活の基礎を破壊し、階級的圧殺を狙う攻撃以外の何ものでもなかった。これに対してギリシャの労働者階級は、たぐいまれな団結力と戦闘力を発揮して大ゼネストを繰り返し、戦闘的街頭デモを何回も何回も政府とブルジョア階級、そして何よりもEUのドイツ、フランスなどの帝国主義にたたきつけてきた。
ギリシャ・プロレタリアートのこの階級的決起の力は国家体制を揺さぶり、諸ブルジョア政党、小ブルジョア的政党を揺さぶり、EU帝国主義によるギリシャの強制的財政再建策を現実的にはね返し、予定通りの実行など許さなかったのである。
EU、ECB、IMFは12年に入って、ギリシャとギリシャ・プロレタリアートに対して牙(きば)をむき出しにして襲いかかった。ギリシャは12年3月20日期限で145億ユーロの国債返還をしなければならないが、財政赤字をむしろ拡大しており、これをのりきることができない。EU、ECBなどはこれに対して総額「1300億ユーロ」のギリシャ支援の枠を確認している。だが、この3月を前にしてギリシャ政府にきわめて厳しい条件をつけ、これを受け入れなければ支援は発動しないと恫喝した。
その条件とは、①年金の削減などにより12年の歳出を対GDP比1・5%削減する、②最低賃金を22%引き下げる、③公務員(公的部門)を1万5千人削減する、というものだった。あからさまな労働者階級圧殺の攻撃だ。ギリシャの2大労組は、2月9日の政府の対EU回答書を前に、2月7日のゼネストを実施した。圧倒的な戦闘的デモが文字通り街頭を埋めつくした。
ギリシャ政府は動揺の末、2月9日の回答期限ぎりぎりにこのEU3条件を受け入れた。しかしEU側は、ギリシャ政府の合意声明には年金カットなどの具体的切り込みがないとして拒否し、新しい3条件を突きつけた。①緊縮関連法の国会議決、②歳出削減(追加削減3億2500万ユーロ分)策の中身の明示、③与党党首の「誓約書」の提出である。これは年金カットの強行をギリシャ政府に強制し、「無条件降伏」を迫るものだ。これに対してギリシャ・プロレタリアートの怒りは爆発した。2月10日、11日とかつてない激しさで大ゼネストが実施された。首都アテネはもちろん、地方各都市でもストとデモが爆発的に展開された。
生存権をかけた闘い
にもかかわらずギリシャ議会は2月13日にEU要求の緊縮策を承認した。プロレタリアートの怒りは頂点に達した。15日にはアテネの国会前広場は数十万人(警察発表でも5万5千人)のデモで埋まった。市内各所で銀行、商店などが炎上し、アテネはすさまじい状況となった。しかし、EU側は2月13日のギリシャ議会の緊縮策承認でも不十分として、2月20日まで決定を延期した。理由は、ギリシャ側の対応では、年金カットという決定的な部分が確認されていないというのだ。
これから3月20日にむかって、具体的にどのように展開するかは予断を許さないが、仮に一定の妥協が成立し3月危機がひとまずクリアされても、ほんの時間稼ぎにすぎない。
ギリシャにひたすら財政赤字の強引な削減を強制し続けるやり方が続く限り、あまりの理不尽な攻撃に対するギリシャ・プロレタリアートの革命的決起は生存権をかけた「絶対戦争」として爆発し、ギリシャ資本主義の根幹を揺るがすものへと発展していく。これは絶対に避けられない。
したがって、こうしたギリシャ圧殺によるユーロ危機のりきりは絶対に成功しない。ギリシャのデフォルト、国家破産は結局は不可避である。今日、ドイツ、フランスなどのEU帝国主義は、ギリシャの破産が現実化してもEU金融システム全体が破綻しない方法を必死に模索しているが、そんな方法などない。ギリシャのデフォルトがポルトガル、スペインなどに波及しないことはありえない。イタリアについてもしかりである。
12年1月30日のEU首脳会議の合意は、EU内に(イギリスとチェコを除く)25カ国の新条約体制をつくり、年々の財政赤字を対GDP比で0・5%以内とし、各国は法律や憲法でこれを明記するとした。この新条約(協定)は各国の議会議決や国民投票による承認を必要とする。したがって短時日にはできない。しかも大恐慌下の長期大不況過程にある今日、こんな財政規律主義を貫けば欧州諸国はボロボロになる。欧州恐慌はむしろ圧倒的に爆発してしまう。ギリシャ・デフォルトをのりきれる体制などといっても、ほとんど空論である。
以上の結論として、この間の米欧日の超金融緩和政策は、欧州でも結局破産することは明らかだ。むしろここから見えてくることは、全欧州が結局、ギリシャ的情勢・階級情勢に向かう以外にないということである。そして、ギリシャ・プロレタリアートが今日闘いとっている偉大な地平は、必ずや全欧プロレタリアートのものとなり、全世界プロレタリアートのものとなるだろう。生きぬくことは闘うこと、日々闘うことで日々生きぬくといった情勢が、つまりプロレタリア革命の主体の諸条件が全面的に成熟する情勢が急速に訪れつつあるということだ。
消費大増税・原発再稼働へ絶望的に突進する野田政権
大恐慌は、米欧日帝国主義や残存スターリン主義などのあらゆるあがきにもかかわらず、激烈に発展している。国債暴落時代の重圧と帝国主義間(大国間)争闘戦の激化が為替戦争、貿易戦争、勢力圏争奪戦を爆発的に促進している。
このなかで脱落日帝はますます危機へと追い込まれている。野田政権が消費増税を強行し成立させるメドをつけなければ、暴走を開始したマネーのすさまじいエネルギーが日本国債の暴落にむかって動き出す――こうした恐怖が日帝ブルジョアジーを襲っている。経常収支の黒字が安泰でなくなれば、日帝の天文学的財政赤字は一挙に体制崩壊の危機に発展する。
ここから、今日の日帝は、その政治的脆弱(ぜいじゃく)性から脱却できないまま、消費増税に絶望的に突入しようとしている。また、国際争闘戦での決定的敗退を阻止するために「成長戦略」なるものを推進し、その前提として労働者階級への民営化・外注化・非正規職化の攻撃を徹底的に強めている。それと一体で労働組合への壊滅攻撃を強めてきているのだ。
さらに、脱落日帝を今ひとつ決定的に追いつめているのは3・11原発事故で受けたダメージであり、原発の再稼働問題である。日帝にとって原発強行・原発再稼働は、大恐慌下で激化する国際争闘戦における帝国主義としての延命のかかった問題として、絶体絶命の危機として存在する。だからこそ原発事故への怒りを圧殺し、「除染が済めばそこへ帰れ」と言って、永久被曝を強制する政治を傲然(ごうぜん)と強行しようとしている。
原発は地上に置かれた原爆であり、3・11はその原爆が爆発したのだ。この事態に立ち向かうすさまじい課題は、前衛的階級としての労働者階級と革共同こそが真っ向から受けて立たなければならない。3・11の一周年を迎えて、国鉄決戦と一体のものとして反原発闘争を全階級の力をふりしぼって徹底的に闘いぬき、新自由主義攻撃粉砕、帝国主義打倒、すなわちプロレタリア革命まで勝ちぬかなければならない。
以上に述べた大恐慌の現局面と階級情勢の進展、この全体像を今こそ圧倒的に暴露し、労働者階級人民の怒りを組織し、新自由主義打倒にむかって驀進(ばくしん)しよう。
国鉄決戦と反原発闘争の歴史的勝利を切り開こう。
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週刊『前進』(2527号6面1)(2012/03/12 )
3・8国際婦人デー 女たちが東電デモと集会
“命より金の社会を変えよう”
3月3日、2012年3・8国際婦人デー行動「命より金もうけの社会を変えよう!女たちの東電デモ&集会」が東京労組交流センター女性部や婦人民主クラブ全国協議会関東ブロックの会員を始め青年、学生ら150人の結集で大高揚した。
集会に先立ち日比谷公園から東電デモに出発。「原発いらない!」「福島を返せ!」「金もうけより命が大事!」「仲間が大事!」「非正規職撤廃!」とコールし、東電本店前では一段と声高く「東電は責任とれ!」と迫った。
3・11から1年を迎える中で原発への怒りが深まっている。銀座では沿道の人びとが握手を求めてくる場面も。力強く明るい戦闘的なデモは、不当弾圧を狙った権力の度肝をぬいた。
集会は1週間後に迫った3・11福島県民大集会へむかった総決起の場となった。司会を婦民全国協の会員で長崎の被爆者でもある高木美佐子さんが担い、連帯のあいさつに三里塚芝山連合空港反対同盟婦人行動隊の宮本麻子さんが立った。宮本さん自身も福島出身であり、ともに国策である原発と三里塚空港への怒りを訴え、3・11福島と3・25三里塚への決起を呼びかけた。動労千葉からの連帯のメッセージが動労千葉家族会から読み上げられた。
「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」と世話人で「未来をはらむ女たちのとつきとおかのテントひろば」を経産省前で運営する椎名千恵子さんが福島からの訴えを行った。「3・11福島県民大集会を福島県民の原発に対する怒りや闘いの入らない集会にしてしまおうという動きに対して、地元で闘う者たちの声が入らないようではなんのための集会か、冗談じゃないと、粘り強く働きかけてついに『原発いらない!』を集会名称に入れさせることができた」と語った。福島に襲いかかる攻撃の激しさを表すと同時に、一人ひとりが福島の怒りと結びつく主体的な決起を求める内容だった。
続いて基調提起を婦民全国協の川添望さんが椎名さんの提起に真っ向からこたえて行った。「第1次世界大戦中の疲弊するロシアで生きるために立ち上がった3・8国際婦人デーの女性労働者・労働者家族の決起がロシア革命を切り開いた。いま新自由主義の破綻として福島の現実があり、非正規労働者の生きていくこともままならない現実、戦争の危機がある。この中で今日の3・8国際婦人デーの行動は命より金もうけの社会を変える闘いだ」と意義を明らかにした。さらに「私たちは分断につぐ分断と闘ってきた。新自由主義を支える体制内労組をぶっとばして闘う労働組合をよみがえらせ、団結を固めれば労働者民衆は絶対に勝つことができる」と実践を踏まえた迫力ある提起だった。
基調提起を受けて職場・キャンパス・地域から発言・報告が行われた。2月の徳島刑務所包囲行動を闘いぬいた星野暁子さん、橋下反動・道州制攻撃と対決する自治体労働者が発言。福島出身の自治体労働者は怒りの福島とつながって闘うことを呼びかけた。医療職場の青年労働者は、非正規職撤廃の闘いを正規職労働者こそが闘うと力強い決意表明。婦民全国協会員で病院労組の仲間は、職場で一から労組をつくりあげていると報告。資本と真っ向から闘うことで仲間が増えたという力強い明るい報告に会場はひとつになった。
反原発で決起した母親の決意を三多摩の婦民全国協の会員が訴え、NAZENからはこの間の5万筆を超える反原発署名の提出などの闘いの前進が報告された。全学連からも、大学当局の妨害を跳ね返し3・11へ組織化が進む福島大学などの闘いが報告された。
まとめと行動提起を東京労組交流センターの女性部長の石田訓子さんが行い、3・11福島県民大集会から3~4月全力で国鉄決戦-外注化阻止・非正規職撤廃と反原発闘争を闘いぬこうと訴え、全員でシュプレヒコール。インターナショナルを歌い、幕を閉じた。
(写真上 「東電は責任とれ!」「原発いらない!」「福島を返せ!」「仲間が大事!」「非正規職撤廃!」とコールしデモ【3月3日 東京・銀座】)
(写真下 「団結を固めて勝利しよう」と3・11福島への総決起を誓った2012年3・8国際婦人デー集会【3日 京橋】)
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週刊『前進』(2527号6面2)(2012/03/12 )
新たな入管体制を許すな!在留カード制度粉砕しよう
在日外国人と団結し4月入管闘争へ
革共同入管闘争組織委員会
世界大恐慌下、昨年3・11情勢に追い詰められた日帝は、絶望的に凶暴化する新自由主義に対応した新たな入管法・入管体制への転換をかけた攻撃に打って出た。それが09年改悪入管法で3年以内に実施するとされた在留カード制度だ。この新制度は、在日・滞日外国人を、①特別永住者(日帝の侵略と植民地支配の生き証人である在日朝鮮人・中国人とその子孫、約40万人)②中長期在留者(3カ月以上の在留資格者、約170万人)③その他(非正規滞在者、難民申請者、約8万人)の三つのカテゴリーに分断。戦後入管体制の一方の柱であった外国人登録法を廃止し、入管法で一元的に管理するものだ。すでに在日外国人の怒りは沸騰している。反原発・反失業と国鉄闘争を軸に「新たな入管体制を許すな! 在留カード制度を粉砕しよう!」を掲げて4月入管闘争を闘い、7月実施を木っ端みじんに粉砕しよう!
(写真 難民申請者を先頭に東京入管収容所に向かって「収容するな!」「仕事をさせろ!」とデモ) “怒り心頭! 必ず風穴を開けるぞ!”
「怒り心頭! 外登法と闘いぬいてきた30年の闘いをチャラにするのか! 必ず風穴を開ける!」「私たちはどうなるの! 私たち外国人も人間です。在留カードなんてやめにしませんか?」「ハンストやデモで闘い、収容所への長期収容や処遇に抗議してきた。闘えば変えられる!」。在日朝鮮人・中国人、在日外国人労働者、難民や難民申請者、仮放免者などからこうした火のような怒りが噴き出している。日帝・法務省が打ち出した在留カード制度の7月9日実施とその内容を知った在日外国人は、直ちに反撃の闘いを開始している。
在留カード攻撃とは第一に、世界大恐慌と3・11情勢下、全世界で巻き起こる労働者階級の決起、革命の現実性に恐怖した支配階級の予防反革命だということだ。進行する革命情勢、このもとで民族・国籍・国境を越えた労働者の団結を恐れたブルジョアジーによる労働組合破壊、階級的労働運動破壊攻撃である。
さらに声を大にして訴えたいのは、在日外国人を分断・支配する攻撃であると同時に、この攻撃の狙いが日本の労働者階級と在日外国人労働者への分断攻撃だということだ。だからこそ、在留カード粉砕は日本の労働者階級の課題なのだ。在日朝鮮人・中国人、外国人労働者と団結し、在留カード粉砕に立ち上がろう!
第二に在留カード攻撃は、危機にのたうつ日帝ブルジョアジーによる全労働者の9割を非正規職労働者に突き落とそうという究極の新自由主義攻撃だ! TPP(環太平洋経済連携協定)交渉をテコに進む安価・使い捨ての外国人労働力導入に対応する外国人労働政策の転換だ。それは「復興特区」への外国人労働者の導入としても不可欠なのだ。しかも外国人のみならず全労働者に対する超低賃金の強制であり、労働者としての権利剥奪(はくだつ)、非正規職化攻撃として推し進められる。
そして第三に、在日朝鮮人・中国人、在日外国人に対する差別・抑圧政策そのものであり、在日外国人の生存権を踏みにじる許しがたい攻撃だということだ。
第2の分割・民営化攻撃=外注化阻止の国鉄決戦と結合し、国際連帯と在日外国人労働者との共同闘争を実現した11月労働者集会の地平から民族・国籍・国境を越えた世界の労働者階級の団結で希望あふれる未来を切り開こう!
「復興特区」で使い捨て外国人労働力
この新たな在留管理法制の最大の特徴は、一般永住者を含む「中長期在留者」という新たなカテゴリーを設け、在留管理と監視の主要な対象をこの「中長期在留者」に置いたことだ。
この「中長期在留者」=「3カ月を超える在留資格を認められている外国人」に交付されるのが「在留カード」だ。「偽変造防止のための」ICチップが搭載された「在留カード」には、顔写真、氏名、生年月日、性別、国籍、居住地をはじめ在留資格などの個人情報が記載される。
特筆すべきは、「就労制限の有無」という項目が新設されたことだ。そのカード中央に①就労制限なし②就労制限あり/在留資格で認められた就労資格のみ可③就労不可/就労するには資格外活動許可が必要――このいずれかが記載される。カード裏面には「資格外活動許可の有無」が記載される。法務省が「雇用主が在留カードを確認して、簡単に判断できるようにした」と説明しているとおり、外国人は、人間である前に「労働力商品」として表示され、扱われるのだ。
この「労働力」をコントロールするために、違反者には厳しい刑事罰が科せられ、在留資格の取り消し、収容・退去強制への道が敷かれている。在留カードには「常時携帯義務」があり、「受領拒否」や「提示拒否」には「1年以下の懲役または20万円以下の罰金」、「不携帯」は「20万円以下の罰金」となる。
届け出内容に変更が生じた場合、14日以内に地方入管局に届け出なければ罰金。それが90日を超えると在留資格が取り消される。それが永住者の場合でも例外ではない。
また、07年10月に施行された改定雇用対策法では、外国人を雇用している雇用主に届け出の義務が課せられたが、今回の改悪入管法ではさらに外国人を受け入れた時、終了した時、その他受け入れ状況などの届け出が義務付けられた。不当解雇されても解雇撤回を闘うどころか、14日以内に在留資格に見合った新たな就職先を見つけないかぎり、在留資格を取り消され、強制退去だ。外国人労働者の権利保障など想定されていない。
ここにあるのは、改悪入管法が労働法をも支配するという転倒した構図だ。新たな在留管理制度は、「秘密保全法」案や「海上保安庁法」改悪案などとともに改憲攻撃の一環としてあるのだ。
いつ非正規滞在者に転落するかもしれない「中長期在留者」と、「見えない存在」として徹底的に日本社会から排除される「非正規滞在者」とはコインの裏表なのだ。
3・11という大規模災害、巨大な破壊をも食いものにして生き延びようと日帝・野田政権は、ショック・ドクトリンで被災地を労働法規に縛られない「復興特区」とし、安価で使い捨てられる非正規職労働者を雇い入れようとしているのだ。このための「中長期在留者」だということだ。
特別永住者にも
歴史的存在である在日朝鮮人・中国人ら「特別永住者」にとっても「緩和」どころか許しがたい管理強化が狙われている。特別永住者には新たに「特別永住者証明書」が交付され、さらに「外国人住民票」が作成される。「特別永住者証明書」には「常時携帯義務」はないとはいえ、「提示義務」があり、「入管職員等から提示を求められた場合には、保管場所まで同行するなどして、提示することが必要になることがあります」(法務省入管局のホームページ)。しかも、「受領拒否」「提示拒否」「更新遅延」などには「1年以下の懲役または20万円以下の罰金」が入管法違反の刑事罰として科せられる。紛失した場合などには14日以内に再交付しなければ、懲役または罰金なのだ。
しかし、80年代の指紋押捺拒否闘争を頂点とする実力闘争で、在日朝鮮人・中国人たちは法の適用を許さない力関係を築いてきた。今回の「特別永住者証明書」への切り替えは、その地平を切り崩し、忠実に入管法に従うのか否か、新たな「踏み絵」を在日朝鮮人・中国人に強制する攻撃だ。戦後67年もたち、4世、5世になろうというのに植民地支配を継続するとは! 絶対に許せない。
さらに一切の権利を奪われようとしている非正規滞在者、難民申請者、仮放免者たちにとっては、まさに生きるか死ぬかの大問題になっている。すでに昨年数回にわたって、難民申請者を含む仮放免者たちは「外国人の人権を認めろ!」「収容するな!」「仕事をさせろ!」「生きさせろ!」と叫んで東京入管局や法務省へのデモを闘いぬいた。この在日外国人の叫びは、高放射線量下で闘っている福島の労働者、農民、漁民の怒り、「子どもたちの未来を奪うな!」と闘う母親たちの怒りとつながるものだ。11月労働者集会に集まった労働者の共通の要求であり、世界中の「99%」の叫びだ。
労働組合で団結し国際的共同闘争へ
しかし、こんなやり方がいつまでも通用するはずがない。「99%」が黙っていない。もともと危機に陥っているのは支配階級の側だ。労働組合を破壊し、団結を奪おうとするのも、「99%」の力を恐れているからだ。この世界を動かしているのは労働者だ。労働者が団結すれば、どんな攻撃も打ち破ることができる。
在留カード攻撃も、在日外国人と日本の労働者が団結すること、さらに外国人労働者が団結することに恐怖した予防弾圧だ。敵の狙いが団結破壊ならば、日本の労働者と在日外国人労働者が民族・国籍・国境を越えて団結して闘えば勝利することができる。
具体的には階級的労働運動の力で闘って勝つということだ。各地の合同労組やユニオンで外国人組合員とともに闘いが始まっている。反原発闘争と国鉄決戦を闘い、動労千葉や関西地区生コン支部、港合同の闘い、外国人労組や多国籍労組の先駆的な闘いに学び、続こう。11月労働者集会を通じて広がった日韓米労働者の国際連帯をさらに強化し、団結を拡大することだ。
闘って闘って勝つ! これが2012年の入管闘争だ。団結して闘い、在留カード制度を粉砕しよう! 4月入管闘争がその突破口だ。
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週刊『前進』(2527号6面3)(2012/03/12 )
福嶋同志への上告棄却弾劾
迎賓館・横田爆取デッチあげ でたらめな筆跡鑑定認定
最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は3月5日、迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判において福嶋昌男同志の上告を棄却する反動決定を下した。満腔(まんこう)の怒りをこめ、徹底弾劾する。
福嶋同志は百パーセント無実だ。迎賓館事件(1986年5月)にも横田基地事件(同年4月)にも一切関与していない。87年のデッチあげ指名手配から25年、93年の不当逮捕以来19年間、終始一貫無実を主張し、検察と裁判所が一体となったデッチあげ弾圧を弾劾し、不屈・非妥協で闘いぬいてきた。
一審、二審とも福嶋同志を「有罪」としたが、その根拠は皆無だ。あるのは福嶋同志とは無関係の岩手借家(岩手鍋爆弾事件)から押収されたメモだけだ。それを権力が得て勝手に解釈して、事件と関係があるメモとこじつけ、さらに「メモの筆者は福嶋」とするデッチあげの筆跡鑑定を認めて、有罪としたのだ。筆跡だけで有罪認定を行い、懲役12年もの重刑を科すという、前代未聞のデッチあげ弾圧裁判である。
福嶋同志は、2度の有罪判決に激しい怒りを燃やし、全力で上告審闘争を闘いぬいてきた。とりわけ筆跡と指紋について、上告趣意書に引き続き、警察鑑定の非科学性とデタラメ性を完全に暴く3通の補充書を次々と提出、さらに追加の補充書を準備していた。第3次の補充書では、権力が「決め手」とする小島直樹筆跡鑑定について、竹﨑博允・現最高裁長官自身がかつて鑑定手法に信用性がないとして退け、無罪判決を出していた例があることをも突きつけた。
この攻勢的な闘いで福嶋同志の無実は一層鮮明になり、最高裁第2小法廷を追いつめていた。また3回の最高裁申し入れ行動を通して労働者、市民の間に新たな連帯闘争の広がりを実現しつつあった。この前進に恐怖した最高裁が無実を百も承知で福嶋同志を獄に入れようとして上告を棄却した。権力犯罪だ。
福嶋同志はデッチあげ攻撃と25年間不屈に闘いぬいてきた。この闘いは、国鉄分割・民営化と闘い続ける動労千葉をはじめとする国鉄労働者、37年の獄中闘争を闘う星野文昭同志と一体のものとして、国家権力の階級圧殺攻撃を粉砕し、党と階級の団結を守りぬいてきた。
福嶋同志は、上告棄却に心底から怒りを燃やし、戦闘的に立ち向かい、直ちに異議申し立ての闘いに入っている。
階級的労働運動路線の大前進をかちとり、その力でデッチあげ攻撃を絶対に粉砕しよう。不屈に闘う無実の福嶋同志とどこまでも固く連帯して闘おう。
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週刊『前進』(2527号6面4)(2012/03/12 )
星野同志ビデオ国賠 “全証拠開示を”
なぜ警察に預けたのか
3月6日、東京地裁民事第45部(石井浩裁判長)で星野文昭同志のビデオ国賠訴訟の第5回口頭弁論が開かれた。この訴訟は、星野同志無実の重要な証拠であるビデオテープ2巻を、東京高裁(国)が警視庁公安部に預け、警視庁公安部(東京都)がこれを「紛失」したことを徹底的に弾劾する闘いである。
家族と杉並、東京東部、茨城、千葉、神奈川など各地の星野救援会と学生が傍聴席を埋め、弁護団と一体となり、被告・国と裁判長を終始圧倒して闘いぬいた。
冒頭、被告(国)の代理人は「すでに提出済みの書面の通り」と言うだけで、口頭で自らの主張を述べることすら避けた。すると、裁判長は突然、「原告は、ビデオテープを紛失した過失の責任を裁判所にもあると言うが、預けたことと紛失したことの因果関係はないでしょう。それを証拠で立証できますか。原告の言う裁判所の過失とは、紛失したことか、それとも預けたことか」などと、被告(国)の立場に立ちきったとんでもない主張をしてきた。弁護団は、すかさず「両方だ」と激しく弾劾した。裁判所は証拠を庁内でしっかり保管する義務があるのだ。庁外に出して保管することができるのは、大きくて裁判所内に保管できない物とか、危険物などが例外的に認められているだけである。
これまでビデオテープを警視庁公安部に預けた理由の説明から逃げ回ってきた被告(国)が、ついに初めて述べてきた。しかしその説明は、「ビデオテープは、適切な温度や湿度等、保存に適した環境で保管しなければ、磁気テープの劣化が生じる恐れがある上、ケースに入れずに何段も積み重ねたら、ビデオカセット自体が変形する恐れがあるから」という、驚くべきものだった。藤田城治弁護士が、この点を「これは一般論を述べたものか」とただすと、被告(国)は「一般論を述べている。本件にも適用できる」と答弁した。
裁判長が「次の予定があるから」と裁判を終わらせようとするのを藤田弁護士が制し、「預けた理由」に関して「国が主張する『適切な温度・湿度』についても、ビデオテープの取り扱い説明書によれば、15度~25度、湿度40%~60%と、ごく普通の環境である。また、付属のケースに入れるだけで、保管に不便な事情は一切ない。裁判官は、本当にこのような理由でわざわざ警視庁公安部に預けたのか」と、弾劾の意見陳述を断固かちとった。
裁判後、10人で裁判所前での昼休み街宣を行った。星野全国再審連絡会議の戸村裕実、狩野満男両共同代表らがマイクを握り、満身の怒りでビデオテープ「紛失」を弾劾し、東京高裁に全証拠の開示を迫った。ビラはどんどん受け取られ、再審開始を求める署名もかつてなく集まった。
次回は4月24日(火)午後1時40分から。傍聴に集まろう。
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