ZENSHIN 2012/01/30(No2521 p06)
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週刊『前進』(2521号1面1)(2012/01/30 )
動労千葉スト―2・15国鉄集会への大結集から JR全面外注化阻止へ
青年の決起で労働組合を再生させ非正規職撤廃・新自由主義粉砕を
反原発2・11代々木公園集会-3・11福島へ
(写真 動労千葉、外注化強行に怒りのストライキ 京葉車両センターの構内運転業務一部外注化の強行に対し動労千葉が怒りのストに決起。早朝から車両センター門前で抗議集会を開催した【1月27日 千葉市美浜区】=詳報次号)
1月24日、第180通常国会が開会し、野田政権との新たな闘いが始まった。野田が施政方針演説で一番熱を入れ強調したのは、消費大増税の強行と原発再稼働である。また、11月大統領選の火ぶたを切った米帝オバマの一般教書演説は、「中間層」の取り込みを狙い、「公平な経済」「雇用」「製造業復活」「輸出」などを叫び、帝国主義間・大国間争闘戦の立場をもむき出しにした。外交・安保面では対中国、対イランの戦争的強硬姿勢を露骨に示した。大恐慌・大震災下で、脱落日帝、没落米帝と労働者階級の激突は、いよいよ非和解である。国鉄決戦と反原発・反失業闘争、外注化阻止・非正規職撤廃の大決戦で2012年の勝利を切り開こう。2・11反原発大行動と2・15労働者集会の成功が、当面するその突破口だ。
「2・16」は解雇撤回の原点
2・15国鉄集会は、非正規職化の元凶である国鉄分割・民営化と福島原発事故への怒りと大反撃の集会だ。25年前の2月16日は、7628人の国鉄労働者がJR不採用とされた日だ。3年後の90年には、うち1047名が国鉄清算事業団からも解雇された。この1047名の被解雇者を先頭に「解雇撤回・原職復帰」で心を一つに結んで、四半世紀にわたって解雇撤回が闘われてきたのだ。この団結と闘いの原点が「2・16」である。
この闘う団結を破壊する目的で、一昨年4月9日に「政治和解」の反革命が強行された。この攻撃は今も、JR本体と、自治体・教労・郵政・医療など全産別における民営化・非正規職化の攻撃として、さらには被災現地への「復興特区」攻撃として続いている。
しかしそれは、労働者が闘わないことを前提にした、本当は脆弱(ぜいじゃく)で破綻的なものでしかない。今や闘いはあらゆるところで始まっている。JRの青年労働者の反乱と決起を見よ! 郵政非正規ユニオンや東京西部ユニオン・鈴木コンクリート工業分会の闘い、橋下と「維新の会」に対する大阪の、1・11弾圧に対する横浜の、自治体職場からの労働者の反撃を見よ! 八尾北・西郡の決起、何よりも被災地の生きるための闘いを見よ!
今こそ職場に闘う団結を組織し、闘う執行部を打ち立て、労働組合を再生させよう。2・15集会に結集し、外注化阻止・非正規職撤廃の大決戦と12春闘に勝利しよう!
4・1に駅業務外注化狙う
1月25日、エジプトのタハリール広場には数十万人が大結集した。1年前のこの日こそ、ムバラク政権を打倒したデモが始まった日だ。重要なことは、体制内指導部の制動をのりこえて、青年労働者・学生を軸とした新たな組織が結成され、「軍政を倒せ。今日は革命の貫徹を訴える日だ」という「第2革命」への闘いが開始されていることだ。
この決起と一体で1月27日、動労千葉が京葉車両センターで構内運転業務外注化阻止のストに再び三たび立ち上がった。同職場では、外注化強行のために、20年以上もハンドルを握っていない職員などをかき集め、2週間の即席訓練で仕事をさせようとしている。そのため、構内で速度違反が繰り返されるなど、重大事故につながりかねない事態となっている。動労千葉の1・27ストはJR全面外注化絶対阻止をかけた決戦の号砲だ。
日帝もJR体制も今やボロボロである。1月25日朝、山手線の点検で運行が1時間以上にわたり停止した。その影響もあって通信急増でNTTドコモの通信回線がストップした。JR各社は今までも私鉄大手の8〜11倍もの事故を起こしている(国交省統計)。新自由主義のもとで進められてきた極限的合理化が、逆に生産の足を引っ張るほどに破綻している。
今や日帝・JR資本は新自由主義攻撃を絶望的に凶暴化させざるをえない。「会社は東労組を捨て、国労寄りになる」などという国労本部の夢想とはまったく逆に、職場支配権をJR資本が労働組合からすべて奪うJR大再編を仕掛けてきた。
JR青年の反乱と決起を
だから今、JR総連や国労の足元からも青年を先頭に労働者の反乱と決起が起こっているのだ。JRは一人の青年の決起がすべてを揺り動かす情勢に突入している。
JR東日本は1月、東労組、国労東日本本部、動労総連合など各労組に「駅業務委託のさらなる推進について」を提案した。今までの駅の業務委託は「1日の乗降客2万人以下」の駅が対象だった。その何十倍もある新宿駅や東京駅などの巨大駅も含む全駅の全面外注化を4月1日から始めるというのが今回の提案だ。JR東海も昨年11月21日に提出したリニア新幹線計画で、「中間駅には営業専任要員は配置しない」と明記した。まさに“安全問題など関係ない”ということだ。これはJRに就職した青年労働者を最初から外注先に「出向」させ、転籍(事実上の解雇)させるという、ほとんど詐欺同然のとんでもない攻撃であり、絶対に許せない。
JRは2000年の施設・保守部門の外注化を皮切りに、検修や駅の要員削減、丸投げ外注化・非正規職化を進めてきた。その必然的な結果が05年に引き起こされた尼崎事故だった。にもかかわらずJRはさらに業務外注化を拡大した。駅の外注化は07年以降、急速に進み、地方の駅は無残に切り捨てられた。
4月JR全面外注化阻止の闘いは、これらの攻撃すべての転覆をかけた大決戦だ。
原発再稼働絶対阻止しよう
福島原発事故は何一つ収束していない。それどころか監視や冷却システムというレベルの故障が相次いでいる。新たな高濃度汚染水の漏出が連日明らかになっている。被災地の失業と雇用保険支給打ち切りも拡大している。放射線被曝の深刻化の中で福島医療施設の建設は福島―全国の子どもたちと親たちの希望の星だ。全力で推進しよう。
原発事故への怒り、放射能汚染の拡大への怒りは、福島を先頭に全国で日増しにどんどん拡大している。3・11福島がいよいよ決定的焦点となった。全国から被災地の怒り、闘いと結び、郡山に総結集しよう。現地に労働組合の旗を林立させ、被災地を更地にして国と大企業が丸ごと奪う火事場泥棒の「復興特区」攻撃を打ち破ろう。先陣を切る2・11反原発代々木公園集会と2・3道州制粉砕・橋下打倒集会(エルおおさか)が決定的だ。ここから3・11福島へ攻め上ろう!
1月25日、神戸地検がJR西日本前社長・山崎正夫に対する控訴を断念し、「尼崎事故無罪」を確定させた。一方、JR東海会長・葛西敬之(原子力損害賠償支援機構運営委員)は「国鉄改革と分割民営化の経験に基づけば」として、東電から原発事故責任を切り離す組織区分けをせよと主張している(日経12・16付)。今やJR資本がまさに日帝の原発推進政策の最先兵となっている。こうした日帝の実体そのものを吹き飛ばす壮大な歴史的決起が3・11福島現地決戦だ。
現在稼働している原発は54基中3基(高浜3号機、柏崎刈羽6号機、泊3号機)で、313・8万`ワット。日本の10電力会社の現行発電量のわずか2%強だ。にもかかわらず、なぜ日帝・野田政権はこれほどまでに原発にしがみつくのか。それは、原発が新自由主義のエネルギー源であると同時に、帝国主義間・大国間争闘戦の中で原発推進と核武装化に脱落日帝の生き残りがかかっているからだ。
貿易赤字に転落した日帝
1月25日に発表された2011年の貿易統計速報値で、大恐慌・大震災下に日本の貿易収支が31年ぶりに約2兆5千億円の赤字となった。赤字は今後も続く見通しで、日帝の「貿易立国」戦略は崩壊寸前だ。国際貿易の目安である貨物コンテナ取扱数は、日本のすべての港を合算しても中国の上海港一つにも及ばない。日帝の没落はここまで進んでいる。
この脱落日帝の打倒へ、国鉄決戦と反原発・反失業闘争でプロレタリア革命を切り開く準備と実践がいよいよ決定的だ。農業・農民問題を始め全戦線領域の闘いも死活的になった。三里塚反対同盟・鈴木謙太郎さんの急逝をのりこえ、その遺志を継いで、市東孝雄さんの農地を死守し、三里塚闘争に勝利しよう。日米合意に基づいてオバマと野田があくまでも狙っている沖縄・辺野古新基地建設を労働運動の力で絶対に阻止しよう。その勝利の底力こそ、党建設と一体の階級的労働運動の拠点建設であり、全国的な学生自治会建設の闘いの前進である。
2〜3月決戦で4月JR全面外注化阻止、非正規職撤廃、原発再稼働阻止・廃炉の闘いの勝利を切り開こう。動労千葉は1月27日のストを貫徹し、動労水戸は28日に福島県いわき市に平支部事務所を開設し、猛然と闘いの先陣を切っている。大阪・橋下反革命と激突して八尾北・西郡決戦の爆発への闘いが進んでいる。2・15国鉄集会の大成功こそが2012年決戦勝利の突破口となる。
労組交流センターの2・4〜5徳島全国総会の成功をかちとり、2・5星野同志奪還徳島刑務所包囲の大デモを全国の力で打ち抜こう。
国鉄闘争全国運動の発展をかけて動労千葉を支援する会を職場に組織しよう。
党建設と労働組合拠点建設の一体的推進の闘いをやり抜き、機関紙『前進』の拡大闘争と財政闘争に不屈に取り組もう。
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週刊『前進』(2521号1面2)(2012/01/30 )
3・11へNAZENフクシマが訴え
政府・東電はすべてを元に戻せ! 原発再稼働阻止! すべての原発を廃止に!
3・11福島県大集会にフクシマ、全国の怒りを総結集しよう!
3・11福島県民集会まで残り1カ月余りとなった。この集会に向けてNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)フクシマから全国にアピールが発せられた。福島現地からの渾身(こんしん)の訴えに応え、日本帝国主義の全体重をかけた反動を打ち破って大結集しよう。(編集局)
3月11日は絶対に忘れることができない日、怒りの日です。2万人もの犠牲者を出した地震と大津波、原発事故で福島県内では今なお15万人を越える人々が避難生活を強いられ、大半の地域が「放射線管理区域」以上の高線量被曝下におかれています。
それなのに、野田首相は昨年末に突然の「収束宣言」。原発の中では、溶け落ち飛び散った核燃料がどこにあるかもわからず、それを取り出す術すらないというのに、一体どこが「収束」だというのでしょうか。
政府・東電は被災者のいのちや生活などまったく切り捨て、一切の責任から逃れようとしています。子どもたちの避難や疎開すら拒み、「除染」作業に住民や労働者をかり立て、家族も地域もバラバラにされています。
労働者、農民、漁民から生活の糧を根こそぎ奪っておきながら何の補償もなく、ようやく請求した賠償金すらほとんど支払われていません。それなのに県内23市町村の住民のみに、賠償金として1人8万円、子どもと妊婦には40万円支払うというのです。これが命の値段だとでも言うのでしょうか。どこまで福島県民をなめたら気がすむのでしょうか。
その一方で、原発をあくまでも再稼働し、外国に輸出までしようとしています。「人の命よりもカネ」、あれだけの事故を引き起こしても、結局は金儲(もう)けしか頭にない、これが今の政府や大企業の経営者たちの本音、本性です。「ミスター100_シーベルト」山下福島県立医大副学長の下、「放射線医療特区」として200万福島県民、36万人の子どもたちを人体実験材料にしようというのはその最たるものです。
人間の尊厳を奪い、自然を根こそぎ破壊する原発は新自由主義そのものです。都市と分断して地方を切り捨てる。正規職と分断して非正規労働者を大量に被曝させ使い捨てにする。この原発と闘うことは新自由主義と闘うことです。
労働者と農民・漁民、市民がひとつになり、福島と全国の怒りを一つにして、東電と政府の責任を追及し抜くこと、これこそが原発をとめる力です。この「人よりもカネ」の新自由主義の「復興」など、もうごめんです。ビジネスチャンスではなく、この腐りきった世の中を、すべての人々の団結でひっくり返すチャンスにしなければなりません。
3・11郡山開成山球場集会とデモにフクシマの怒り、全国の反原発の怒りを総結集して、野田政権の原発再稼働を絶対に阻止しましょう! 全国、全世界からすべての原発をなくしていく闘いを福島の地からまきおこしていきましょう!
2012年1月19日
NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議)フクシマ
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3・11福島県民集会
3月11日(日)12時半開場、午後1時開始
郡山市開成山球場(郡山市開成1―5―12)
主催/福島県民集会実行委員会
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週刊『前進』(2521号1面3)(2012/01/30 )
前進速報版から
国会開会日、「共謀罪」阻止・原発廃止を訴え▼市東さん耕作権裁判、署名偽造に追いつめられるNAA▼伯備線事故6周年で集会
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週刊『前進』(2521号1面4)(2012/01/30 )
【集会要項】2・11さようなら原発1000万人アクション、国鉄分割・民営化で不当解雇から25年 2・15労働者集会
2・11全国一斉! さようなら原発1000万人アクション
〈東京〉
2月11日(土)午後1時オープニングコンサート
午後1時半開会、2時半デモ
代々木公園B地区、イベント広場&ケヤキ並木
主催/さようなら原発1000万人アクション実行委
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国鉄分割・民営化反対! 1047名解雇撤回!
外注化阻止・非正規職撤廃、偽装請負・雇い止めを許すな!
国鉄分割・民営化で不当解雇から25年 2・15労働者集会
2月15日(水)午後6時半 すみだ産業会館(墨田区江東橋3−9−10丸井共同開発ビル8階/JR錦糸町駅南口すぐ)
呼びかけ/国鉄闘争全国運動
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週刊『前進』(2521号2面1)(2012/01/30 )
4月検修・全駅外注化阻止を
「国鉄改革25年」=JR大再編と対決するかつてない決戦へ
非正規職撤廃へ総反撃に立とう
革共同国鉄委員会
JR東日本は1月11日、動労総連合に「駅業務委託のさらなる推進について」を提案した(国労には12日提案)。JRはこれを今年4月1日実施としている。検修・構内業務の外注化と並び、駅業務の外注化にも踏み込んできたのだ。国鉄分割・民営化からちょうど25年目の今年4月1日を前に、外注化阻止の全面激突が始まった。動労千葉は1月10日、京葉車両センターでの指名ストを打ち抜き、現在、総力で闘いに立っている。問われているのは階級的労働運動の復権であり、外注化・非正規職化阻止の闘いにJR本体労働者と労働組合が立ち上がることだ。3・11福島県民集会(郡山)の大高揚を実現し、外注化阻止決戦でJR体制との決着をつけよう。
グリーンスタッフ解雇の強行と全駅の外注化
「駅業務委託のさらなる推進について」は、JR東日本全駅での業務外注化を狙う大合理化計画だ。07年12月に提案された「ニューフロンティア2008における今後の駅のあり方」以来実施されてきた駅(出改札)業務の外注化を規模・人員においてさらに深度化・全社化し、業務委託の範囲を、1日の利用者2万人以下の首都圏を中心とする約360の小規模駅から、運転取り扱い駅を除く全駅に拡大する。
しかも、首都圏5支社(東京、横浜、八王子、大宮、千葉)に限定されてきた契約社員(グリーンスタッフ)制度を、今後、地方7支社(高崎、水戸、仙台、盛岡、秋田、新潟、長野)に押し広げ、「駅業務従業員」を「プロパー社員」(外注会社が採用する非正規職)に丸投げする。まさに全駅外注化提案であり、実施されれば偽装請負のオンパレードとなることは明らかだ。
これは、検修外注化と並び、「国鉄改革25年」に向けたJR大再編の核心をなす攻撃だ。
3月末には、300人余りのグリーンスタッフ(GS)が雇い止めにされる。これへの青年の怒りに追いつめられたJR東日本は、東労組と国労東日本本部を取り込み、国労の「セーフティネット」要求を逆手にとってGSに「エントリーシート」(外注会社への再就職希望の確認書)を配布するとともに、「駅業務委託のさらなる推進について」の実施日を4月に繰り上げたのだ。
しかも、1月12日の団交で、「社員の退職のスピードが早い。しかし、その分の新規採用者を採ることも難しい。要員不足を補い、駅の機能を維持する上では、委託を拡大するのが妥当」と言い放った。これが会社の提案理由だ。ふざけるな!だったらGSの首を切るな! 正社員に採用して欠員を埋めろ!
この攻撃は、運転士を駅にたらい回しにする「ライフサイクルの深度化」と一対のものであり、新人事・賃金制度の4月導入とも完全に一体だ。人件費削減を狙い、青年労働者を丸ごと非正規職化して団結をズタズタに解体し、生活を破壊する新自由主義そのものの大攻撃である。これは、検修・設備・鉄道関連業務のすべてにわたる外注化・非正規職化に必ず行き着く。安全は徹底的に破壊されるのだ。
動労千葉の闘いにより検修外注化を全面的に貫徹できない中で、JRは駅にも攻撃の手を広げてきた。これをJRの破綻点に転化しよう。25年にわたり国鉄分割・民営化絶対反対を貫き、10年間、検修外注化を止めてきた動労千葉を先頭とする闘いが、その真価を発揮する決定的な局面がついに到来した。
「国際戦略特区」と連動した基地統廃合の攻撃
世界大恐慌と3・11情勢の一層の深まりの中で、JR体制と青年労働者の利害は絶対に相いれず、完全に非和解であることはもはや明らかだ。
今や日本帝国主義は、帝国主義間争闘戦の戦列から脱落しつつある。その絶望的な危機を突破するため、日帝は「復興特区」の設置を皮切りに労働者を徹底的に非正規職化するとともに、原発再稼働と原発・新幹線の海外輸出で延命を図っている。破綻した新自由主義をあくまで貫こうとする日帝の最凶悪の先兵こそJR資本だ。日帝は、JR西日本前社長・山崎正夫への無罪判決で尼崎事故を居直り、JR体制を徹底的に擁護して「国鉄改革25年」を押しわたろうとしている。
だからこそ、国鉄決戦は全労働者階級の命運を決める位置にあり、国鉄決戦勝利こそプロレタリア革命を押し開く最短のコースなのだ。
今、被災地の労働者はすさまじい解雇と非正規職化の攻撃にさらされ、雇用保険の給付切れも迫っている。その中でJR東日本は、被災者の生存を踏みにじり、巨大な利権と暴利をむさぼろうと策している。
その第一が、国鉄労働運動のメッカである品川地区の大規模売却・再開発に着手したことだ。
原発・新幹線・水資源設備の輸出を新成長戦略の柱に掲げる野田政権は、昨年12月、新たに「国際戦略特区」構想を打ち出した。その一つが、品川−田町間の20fに及ぶ田町電車区(現田町車両センター)用地を「跡地売却」と称して「国際戦略特区」に指定し、再開発する計画だ。東京都は、特区内の企業の法人事業税を減免して外資系企業の誘致を図るとぶち上げている。これに応じてJRは線路配置などの変更を行い、高度利用可能な大規模事業用地を生みだすための工事に着手した。こうしてJRは、国内最高値の土地を払い下げる一方、国から多額の援助を取り付けるのだ。
これは同時に、検修業務外注化と「1線1車両基地」化=基地統廃合に向けた全面的な攻撃だ。
そもそも品川駅構内と田町電車区は1947年2・1ゼネストの拠点だった。ゼネストを組織した全官公庁共闘議長の伊井弥四郎は品川客車区の出身だ。大量首切りに反対して労組が設定したダイヤで電車を動かした46年の人民電車事件も、その司令塔だった省電中央労組の拠点は品川・田町地区にあった。国鉄労働運動の輝かしい伝統的拠点=田町電車区を跡形もなく清算−廃止することなど断じて許せない。
第二に、原発再稼働・原発輸出と一体のものとして、JRは新幹線輸出に全面的に乗り出している。昨年9月、野田が緊急時避難準備区域の指定を解除するや、JR東日本は直ちに常磐線の営業運転を広野まで延伸し、原発事故「収束」宣言に際しては、すぐさま常磐線の相馬−原ノ町間の運転再開を強行した。
この間、JR東日本は東急車輌の買収、高速鉄道輸出のためのコンサルタンツ会社の設立、パートナー企業の再編・吸収・統廃合(機械部門の再編)を矢継ぎ早に進め、新幹線輸出に向けた体制を固めてきた。他方、国土交通省は昨年12月26日、整備新幹線の未着工3区間(北海道、北陸、九州の各新幹線)の着工を認めた。
整備新幹線だの再開発だので兆単位の利益を懐にする一方で、JRはGSの雇い止めを強行して青年を路頭に迷わせ、闘争団も雇用なしで放り出している。それに加え、業務の全面外注化というめちゃくちゃなことに踏み込んできたのだ。そのもとでは、新採は最初から外注会社の契約社員にされる。これは、青年労働者を激しく競わせ、会社に忠誠を誓わない者はJRで働かせず、外注会社でたらい回しにした上、放り出すということだ。まさに究極の使い捨て政策である。
しかも、東労組や国労東日本本部は、これに合意し推進しようとしているのだ。断じて許せない。これは、労働運動全体を根底から規定する問題だ。今こそ全力の反撃をたたきつけよう。
第三に、JR東日本は「震災7線区」を全面的に切り捨て、他方でJR貨物は「東日本大震災に伴う災害廃棄物輸送」に踏み込んでいる。
一昨年、JR東日本は信濃川発電所再稼働許可申請に際し、期末手当削減でひねり出した58億円をばらまいた。昨春闘では、地震保険金710億円を手にながら、震災を口実にベア・ゼロ回答で居直った。そして今年度は、一部不通の仙石線の復旧予算を計上することも拒否し、第三セクターの三陸鉄道にはさまれた山田線については廃線=バス路線への転換すら表明している。
一方、JR貨物は昨年11月2日、岩手県宮古市からの災害廃棄物のコンテナ輸送を開始した。これに先立ち野田政権は「東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法」を制定し、環境省は「1`あたり8000ベクレル以下の焼却灰等は、一般廃棄物として扱い、最終処分場に埋め立て処分とする」ことを認めた。従来は100ベクレル未満が埋立ての限度とされ、それ以上の廃棄物は原発施設内で厳重に管理することが義務づけられていた。この規制撤廃により、運搬・輸送・廃棄の全過程で高度の被曝が労働者に強いられている。
もはやJR体制と労働者は絶対に非和解だ。10年にわたり検修外注化を阻止してきた動労千葉の闘いの教訓は、青年の獲得=組織拡大こそが外注化を止め、また青年の獲得は資本との非和解的対決を貫く反合理化闘争の中でしか実現し得ないということだ。
4・9政治和解を受け入れ、合理化を容認する国労本部に未来はない。闘う現場の組合員が執行部を奪取しなければならない。闘争団員から組合員資格を奪った国労本部に対しては、4闘争団員の組合員資格奪還の裁判闘争も開始された。
この中で、3・11は、闘う労働組合の再生をかけた大決戦となった。
JR体制打倒をかけて3・11福島に総結集を
野田政権は原発事故「収束」宣言で高濃度の放射能汚染を居直り、「除染」で労働者に被曝を強い、さらに「放射線医療特区」で200万人福島県民を人体実験の材料にしようとしている。その最先兵こそJRだ。
現JR東海会長で原子力損害賠償支援機構運営委員である葛西敬之は、昨年12月16日の日経新聞インタビューで、「国鉄改革と分割民営化の経験に基づけば、東電の将来像には電気の安定供給のために『未来に向けて活性化させる組織』と『(事故対応など)過去を処理する組織』があってよい」と言い放った。国鉄分割・民営化方式で東電資本を救済し、原発事故の責任・犠牲・ツケのすべてを労働者人民に転嫁しろというのだ。
だが、国労郡山工場支部の仲間を先頭に、国鉄労働者はその誇りにかけて「フクシマの怒り」の先頭に立ち闘っている。動労水戸は被曝労働の強制と全力で闘いぬいている。これに続き、自分の職場で資本と闘い、自分たち自身が階級的団結を固めて3・11に総決起するのだ。闘う国労の旗を3・11に林立させよう。
外注化・非正規職化と闘わず、逆にそれを推進するJR総連や国労本部を打倒しよう。1047名解雇撤回を真正面から掲げる2・15労働者集会に総結集し、国鉄闘争全国運動を全産別・全職場で発展させよう。4月全面外注化阻止の決戦を闘いぬき、平成採の青年の決起をかちとって、日本労働運動を塗り替える新たな出発の時としよう。
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週刊『前進』(2521号2面2)(2012/01/30 )
動労千葉運転士登用差別事件
勝利判決の破棄許すな
逆転狙い最高裁が弁論再開
2・2傍聴闘争に結集しよう
最高裁は昨年末、動労千葉の運転士登用差別事件についての弁論を2月2日に再開することを決定した。最高裁が弁論を開くこと自体が、きわめて異例のことだ。組合側勝訴の09年高裁判決をひっくり返すことを狙った絶対に許すことのできない攻撃だ。傍聴闘争に全力で結集し、勝利判決をかちとろう。
この裁判は、国鉄時代の1980年、81年、82年にドライバーコースで採用され、訓練を受けて運転士資格を取得した動労千葉組合員が、動労千葉に所属していることだけを理由に運転士に登用されなかった不当労働行為事件をめぐる裁判だ。09年の高裁判決は、JR東日本の不当労働行為を明確に認定し、中労委の反動命令と、一審東京地裁の不当判決を取り消し、「1998年1月1日付で運転士に発令したものとして取り扱わなければならない」と判示している。国鉄分割・民営化以来、二十数年にわたって固く団結を守り抜き、あらん限りの組織破壊攻撃を打ち破ってきたことによって切り開かれた勝利だ。
動労水戸の同じ内容の裁判でも、08年12月18日に最高裁で勝利判決が確定し、すでに希望する組合員は本線運転士や構内運転士の仕事に就いている(動労水戸は現在、この最高裁判決の完全な履行を求めて新たな訴訟を闘っている)。
80年から82年にドライバーコースで採用された動労千葉組合員は、いまだ1人も運転士職を発令されていない。他方、同じ条件の東労組組合員、動労千葉からの脱退者は次々と運転士に登用された。動労千葉は、1047名解雇撤回闘争とともに、この運転士登用差別事件を最重要課題と位置づけて闘い続けてきた。
JR東日本は国鉄分割・民営化以降も、JR総連・東労組と結託し、あらん限りの組織破壊攻撃をくり返してきた。87年4月〜88年4月の1年間で、役員・活動家を中心に98人もの動労千葉組合員が駅や売店などに強制配転された(当時の組合員の約1割)。支部の掲示板は撤去され、組合事務所明け渡し訴訟が起こされた。職場での機関紙配布や組合費徴収にまで処分が加えられた。露骨な昇給昇格差別。面談の場などを利用した脱退強要。「暴言」「不規則発言」などを理由とした処分の乱発。あげればきりがないほどだ。東京では国労の運転士が次々と強制配転され、文字通りゼロにされた。
こうした、ありとあらゆる不当労働行為の山の上に成り立ってきたのがJR体制なのだ。
国鉄闘争根絶攻撃うち破れ
最高裁は、東京高裁での判決が出てから2年以上もこの問題を放置した上で突然、弁論再開を決定した。これは、一昨年の1047名闘争の4・9政治和解や、尼崎事故をめぐるJR西日本前社長・山崎正夫への1・11無罪判決とも一体のきわめて政治的な決定だ。国鉄闘争根絶攻撃の前面に再び司法権力が名乗り出たということだ。
JR体制の危機があらゆる側面から深まり、検修や駅業務の全面外注化、新人事・賃金制度に対する青年労働者の「もうがまんならない!」という怒りはかつてなく高まっている。こうした中で、10年以上にわたって検修業務の外注化を阻止してきた動労千葉や、被曝労働を拒否してストに決起した動労水戸が、青年労働者の心をがっちりととらえ、本格的に結合し始めていることに、JR資本と国家権力は心底から震え上がっているのだ。検修外注化阻止の闘いと一体で2・2最高裁闘争に総結集しよう。
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動労千葉の運転士登用差別事件
80〜82年 ドライバーコース(予科生)で国鉄採用。運転士資格を取得
87年4月 国鉄分割・民営化
89年 89年を最後にJR東が予科生からの運転士登用打ち切り
90年3月 千葉県地労委に救済申し立て
90年6月 地労委で組合側勝利の命令
94年9月 中労委での審査が結審(中労委は11年11カ月間放置)
06年7月 中労委が地労委命令取り消し
08年3月 東京地裁が組合側請求棄却
09年9月 東京高裁が組合側勝訴の判決
11年末 最高裁が弁論再開を決定
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2・2最高裁闘争
最高裁判所 第1小法廷
2月2日(木)午後1時30分から
※傍聴券配布のため12時30分に最高裁南門前に集合(東京メトロ「永田町」下車)
※裁判終了後、社会文化会館で報告集会
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週刊『前進』(2521号2面3)(2012/01/30 )
伯備線事故6周年で集会 “全責任は資本に”
米子支社弾劾申し入れも
JRの保線労働者3人が殺された06年1月24日の伯備線事故から6年を迎える1月21日、「伯備線事故6周年・後藤工場労災事故弾劾!米子国鉄集会」が行われ、37人が結集した。
集会に先立って、JR米子駅前で「国鉄1047名解雇撤回! 国鉄全国運動を広げよう! 外注化・偽装請負撤廃! 契約社員制度許すな!」の横断幕を掲げた街頭宣伝が行われた。また集会終了後、参加者は米子駅前通りを貫くデモを行い、JR米子支社を弾劾する申し入れ行動を貫徹した。
集会は、JR後藤総合車両センターでの偽装請負を申告した国労米子支部執行委員の入口裕伸さんの司会で進行した。冒頭、動労西日本の大江照己委員長が「国鉄分割・民営化の直後に連続して大事故があった。あの怒りは今も忘れられない。尼崎事故当時の社長への1月11日の無罪判決は絶対に許せない。総労働対総資本の闘いをつくり出し反撃しよう」とあいさつした。
基調提起を国労米子後藤総合車両所分会副分会長で「共に闘う国労の会」の鷲見貢さんが行った。鷲見さんは、伯備線事故の責任を押しつけられた青年が職場に塩漬けにされている現状に怒りをぶつけ、「事故は一切が会社の責任だ。JR西日本は責任をとれ」と糾弾し、JR体制を倒さずに職場の安全はないと言い切って、「JR資本を打倒する国鉄決戦に勝利することが原発推進体制もひっくり返す。動労総連合の闘いに国労の現場からも続こう。動労西日本の山田和宏さんとともに闘う青年を組織する。被曝労働と闘う国労郡山工場支部と連帯し、3・11福島県民集会に総結集を。4・21尼崎現地に登場してJR西日本を追い詰めよう」と提起した。
動労西日本の山田副委員長は、「非正規職を切り捨て、青年の未来を奪い、殺していくJRは許せない。非正規職は撤廃しかない。岩国駅での車両火災や瀬戸大橋上で車両が4時間も立ち往生する事故が相次いで起きているが、JRはまったく責任を取らない。青年の怒りは爆発寸前だ。原発でもJRでも労働者は被曝労働と非正規雇用と闘っている。青年を組織しよう」と呼びかけた。
国労5・27臨大闘争弾圧裁判を闘う富田益行さん、小泉伸さん、原田隆司さんが発言。富田さんは、関西でも偽装請負告発の申告闘争に取り組む決意を表明した。
岡山の労働者が無実の星野文昭さんを奪還する2・5徳島刑務所包囲デモへの参加を訴え、国鉄闘争全国運動・徳島からの連帯のアピールが代読された。広島労組交流センターの仲間は、決戦を迎えた呉市営交通民営化阻止の闘いを報告をした。NAZEN山陰の代表は、「2・12さよなら島根原発大集会」への結集を訴えた。
国鉄闘争全国運動の呼びかけ人で元安芸労働基準監督署長の大野義文さんが特別講演。「労災事故の責任はすべて資本にある」「JR西日本の山崎前社長が無罪になった。JRは尼崎事故の責任を認めず開き直っている。危険を職場で芽のうちに摘み取る闘いがなければ労災事故はなくならない」と述べ、「団結して資本の責任を追及しよう。国鉄闘争全国運動で闘う労働組合をよみがえらせよう」と訴えた。
最後に、動労千葉を支援する会・山陰の仲間が国鉄闘争全国運動の2・15集会と3・11福島県民集会への結集を訴えた。
(写真上 伯備線事故と後藤総合車両センターでの労災事故を弾劾し、米子駅付近をデモ【1月21日】)
(写真下 国労米子支部や動労西日本の仲間を中心に行われた集会。JR体制打倒を誓った【米子市内】)
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週刊『前進』(2521号3面1)(2012/01/30 )
闘う労働組合運動の再生へ
大恐慌・大震災に立ち向かう労組交流センターの大飛躍を
徳島総会の成功かちとれ
2011年を全力で闘い抜いた動労千葉は、年初から京葉車両センター検修構内業務の1日勤外注化をめぐるギリギリとした攻防を闘い、「労働組合を社会変革の主体として登場させよう」と高らかに宣言した。命より金が優先という腐りきった社会はもう終わらせよう。それができるのは社会を動かしている労働者の闘いだ。闘う労働組合をよみがえらせること、これが2012年の階級攻防の核心だ。日本労働者階級が闘いの中でつかみ取ったこの核心を守り抜き、最後の勝利までともに闘うことを革共同はあらためて宣言したい。
(写真 2011年11・6労働者集会のデモ)
闘いを共有し労働運動に一切かける
世界大恐慌の深まりは大失業として労働者を襲い、福島第一原発事故による放射能汚染はなんら収束することなく、労働者の生活と子どもたちの未来を奪い続けている。
東電役員、野田政権の責任逃れと福島の切り捨ては絶対に許さない! 被災地・福島に渦巻く怒りは、新自由主義の中で踏みにじられてきた私たち労働者階級の魂そのものだ。まともな職を! 子どもの命を! 人間が人間らしく生きていくための要求を掲げて資本・国家権力と非和解で闘われる日本階級闘争は、全世界の労働者人民の未来を決する重大な決戦だ。
3・11と福島第一原発事故を資本と国家による犯罪だと徹底弾劾し、連合や全労連指導部の政治休戦策動を打ち破って、「闘う労働組合をよみがえらせよう」と職場で悪戦苦闘し闘いを切り開いてきたのは、動労千葉、ス労自主を始め全国労組交流センターに結集する労働者たちであった。
大恐慌下の大失業、3・11がもたらした現実は本当に許し難い。JRでは有名大学を卒業して契約社員になった青年は少なくない。5年たったら首を切られ、正社員になれなければ路頭に放り出される。非正規で解雇された者は一生非正規のまま、次の職が見つかるかさえわからない。福島では郵政労働者が日々降り注ぐ放射線の中で郵便を配達している。危険を百も承知で原発で働かざるを得ない労働者もいる。きれい事では通用しない現実があるのだ。
この現実に労働運動は立ち向かうことができるのか。交流センターに結集する労働者は日々そのことに挑戦している。どんなに困難であろうと職場で踏ん張り闘い抜く中で展望を切り開く――このことから逃げずに立ち向かう交流センターは誇り高き労働者の組織だ。
動労千葉、動労水戸、4・9政治和解を拒否して闘う国労組合員を基軸として労働運動を展開してきた交流センターこそが、2012年の階級的労働運動の新時代を切り開く決定的位置を担っている。2月、徳島市内で開催される第19回全国定期総会の成功を全力でかちとろう。
労働者階級全体の勝利に責任をとり
交流センターは今回の総会において、労働者階級全体の勝利に責任をとる全国的労働者組織として画然たる飛躍を開始しようとしている。3・11大震災と原発事故によって、青年たちは今まで教えられてきたことが「すべてウソだった」と弾劾し闘いに立ち上がった。それはこれまでの労働組合、労働運動に対する根本的否定でもあった。われわれはこれに対して、階級的労働運動で立ち向かおうと呼びかけてきた。階級的労働運動が本当に力を持ち、闘う労働組合がよみがえらなければそれすらウソになってしまう。
交流センターの仲間たちが立ち向かっている現実は、資本・国家権力・体制内労働運動指導部だけでなく、職場の労働者、3・11以降闘いに立ち上がった膨大な青年労働者に通用するかどうかの厳しさだ。革共同はその苦闘を共有し、総会の成功と交流センターの飛躍に全力を挙げて闘う。
交流センターの具体的方針の第一は、動労千葉破壊を核心とし、全平成採を首切りと非正規にたたき込むJR東日本の4月全面外注化阻止の国鉄決戦だ。そして全産別・全職場で外注化阻止の闘いを開始することだ。
この闘いは、正規労働者による非正規職撤廃の闘いでもある。職場には「正規・非正規」という言葉では言い表せないほどの分断の現実がある。非正規職撤廃闘争は非正規職労働者との団結をかけた命がけの闘いだ。外注化阻止闘争は、正規労働者が資本と徹底的に闘い非正規職化を止めるという、動労千葉10年の闘いをもってついにつかんだ展望である。4大産別で絶対に闘い抜こう。
第二は、「復興特区」による被災地丸ごとの民営化攻撃、大阪・橋下が進める「大阪都構想」−「職員・教育基本条例」による民営化・整理解雇攻撃と闘い、360万人公務員の首切り・道州制攻撃をはね返すことだ。
3・11震災直後、支配階級がすべての責任を放棄したそのときに、避難所を守り、住民を守り闘ったのは自治体労働者と教育労働者だった。橋下が恐れ、敵視し、解体しようとしているのは、こうした自治体労働者、教育労働者が本来もっている階級性・共同性であり、労働組合の団結だ。
第三は、野田政権の原発再稼働と福島の切り捨てを3・11福島大闘争で打ち破っていくことだ。
交流センターはこの闘いを国労郡山工場支部の仲間たちとともに切り開こうとしている。資本・野田政権による被曝労働の強制を絶対許さず闘おう。自らの職場で反原発闘争を闘い、東電で働く労働者、とりわけ原発で働く労働者の決起をかちとろう。
さらに、交流センター総会が徳島刑務所闘争=星野文昭同志奪還として闘われることは決定的だ。日帝の新自由主義攻撃は、国鉄分割・民営化と同時に、70年安保・沖縄闘争を先頭で闘い抜いた星野文昭同志を無期懲役にすることによってなんとか成り立っているにすぎないのだ。「星野奪還!」は本土における安保・沖縄闘争だ。総会とともに、徳島刑務所闘争を断固闘い抜こう。
国鉄決戦軸に青年の決起生み出そう
労働者の中に入ってみればみるほど「労働組合の復権」は簡単なものではなく、職場の仲間がすぐには闘いに立ち上がってくれない現実にぶちあたる。しかし、一度火がつけば、理屈を越え、仲間や階級のためにすべてを投げうって資本や国家権力と闘うのもまた労働者である。階級的労働運動とは、労働者が本来もっている階級性・共同性の全面的解放だ。
その闘いの基軸をなすのは国鉄闘争だ。国鉄分割・民営化攻撃は、大資本救済のためにつくられた国鉄赤字の一切を労働者に押しつけ、組合員を不当に解雇し、その一方で「JRに責任は一切ない」ということを宣言した。労働者が食えなくなろうが、社会が成り立たなくなろうが自分さえ生き残ればいい――多くの労働組合指導部もこれを認め、新自由主義攻撃は激化していったのだ。
これに絶対反対で闘った国鉄労働者の勝利性は、全労働者の未来をかけてJR資本と非和解に闘ったところにある。社会に何の責任も取らなくなった資本家どもを徹底弾劾し、目先の金や自分だけの利益よりも労働組合に生き闘うことを誇りとするまでブルジョアジーとの党派闘争に勝ち抜いていることだ。25年間あらゆる闘いにおいてこれを実践しているところに動労千葉の強さがある。動労千葉、動労水戸だけでなく分割・民営化の修羅場をくぐり抜けてきた国労の現場労働者も本質的に同じだ。
国鉄闘争はこれからが本番なのだ。それは、闘う国労の再生を軸に全労働者が闘いの中で労働組合をよみがえらせ、資本家に代わって、全人民に人間として生き抜くための展望を指し示していくことにほかならない。
分割・民営化から25年、労働組合に生き闘うことがどれだけすばらしいことかを動労千葉青年部、動労水戸、国労、動労総連合の青年たちが、自らも模索しながら、職場内外の闘いでつかんだことを必死にJR東労組の平成採に訴えている。この闘いの中に労働組合の復権は必ずある。青年の勝利のために革共同はあらゆる困難をともに引き受け全力で闘いたい。
すべての党派闘争は実践において決する。国鉄闘争を基軸に闘い、交流センターの飛躍を実現しよう。その中で階級的労働運動を実践する党を職場生産点に断固として打ち立てよう。
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週刊『前進』(2521号3面2)(2012/01/30 )
市東さん耕作権裁判 署名偽造を徹底追及
“NAAは全記録提出せよ”
1月23日、市東孝雄さんの耕作権裁判の弁論が千葉地裁民事第2部(白石史子裁判長)で開かれた。市東さんを始め三里塚芝山連合空港反対同盟、顧問弁護団、そして支援・傍聴の労働者・農民・学生・市民が「農地死守」の決意で法廷を満たし闘った。
この裁判では、市東さんが耕作している土地の一部を「不法耕作」と決めつけて、成田空港会社(NAA)が明け渡しを求めている。だが行政訴訟・農地法裁判とともにこの裁判でも、@NAAによる畑の位置の特定がまったく誤っていること、Aその特定の唯一の”証拠”が「同意書」「境界確認書」に添付された手書きのずさんな図面であること、Bその図面の作成者とされる旧地主自身がまったく関与を否定しており、署名の文字も別人によって書かれたこと――これらが大問題になっている。
そしてついに「同意書」「確認書」に書かれた市東東市さん(孝雄さんの父・故人)の署名が偽造されたものであるという決定的事実がこの間の筆跡鑑定の結果、明らかになったのだ。
弁護団は鑑定書を提出し、NAAを追及した。「空港公団(NAAの前身)は事業認定の期限切れに迫られ、市東さんの署名の偽造にまで走った。こんな偽造文書で土地の明け渡しを求めることはできない。訴訟は棄却されなければならない」。また当時の用地交渉に関する報告書などの記録を洗いざらい提出するよう重ねて強く求めた。
これに対しNAAは、公団と旧地主との「覚書」なる文書を証拠提出した(一部墨塗り抹消した不鮮明なコピー)。また次回までに独自の筆跡鑑定を提出し、署名が当人のものであることを明らかにするという。
弁護団はこれらに一層容赦ない反撃を加えて真実を明らかにする姿勢を表した。次回期日は4月9日(月)。
閉廷後に近くの会場で報告集会が開かれた。司会は伊藤信晴さん。
最初に市東さんが立ち、「争点がかなり煮詰まってきました。弁護士さんと傍聴のみなさんの力をお借りして、訴訟を却下に追い込むような闘いをこの1年やりたいと思います」と鮮明な決意を述べた。
続いて葉山岳夫弁護士を先頭に弁護団が、法廷の解説とNAAを追いつめた手応えを語った。
さらに市東さんの農地取り上げに反対する会、動労千葉、関実が連帯発言を行った。動労千葉の滝口誠さんは急逝した鈴木謙太郎さんへの追悼の言葉を述べ、反原発闘争での労働者・農民・漁民の結束した闘いを訴えた。
土地特定の唯一の根拠が偽造によって出されていたことに、参加者全員があらためて怒りをかき立てられた。そしてあわよくばだんまりを決め込んだまま土地を奪い取ろうとしていたNAAが、あせりにかられて具体的に「反論」せざるをえないところにとうとう引きずり出されてきたのだ。
一層厳しい追及を加え、違法、不法がどちらの側かを徹底的にはっきりさせよう。裁判闘争と一体で現地攻防を闘いぬこう。
3・25三里塚全国総決起集会へ大結集を!
(写真 市東さんはNAAを一層追いつめる決意を述べた。右は葉山弁護士【1月23日 千葉市】)
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三里塚裁判傍聴を!
◎第3誘導路許可取消裁判
2月7日(火)午前10時30分 千葉地裁
◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
2月20日(月)午前10時30分 千葉地裁 (傍聴券抽選のため1時間前に集合)
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週刊『前進』(2521号3面3)(2012/01/30 )
金属労働者の春闘アピール
国鉄と反原発の闘い貫き職場から12春闘に立とう
3・11情勢下の闘争圧殺うち破れ
革共同は「2012年こそ、日々進行する革命情勢の急速な成熟を本物の革命に転化する、その巨大な扉を全力で押し開く」と宣言した。金属労働者はこの宣言を自らの職場で実践する。3・11東日本大震災と原発大事故という経験したことのない情勢の到来は、最末期帝国主義の破綻と矛盾が凶暴な形で労働者階級人民に襲いかかる姿を全世界に明らかにした。そして、労働者の団結がそれと唯一対決できることを示した。その中核的部隊としての11月労働者集会派、動労千葉の闘いは、世界の労働者の注視の的であり、世界革命を展望させるものとなっている。大恐慌の中、帝国主義の「最弱の環」である日帝を打倒するのは、われわれだ。
階級的労働運動と党建設は一体
11月労働者集会の総括は革命に向かっての総括としてある。だから、職場での11月集会オルグや労組オルグは、ただ単に集会への参加オルグではない。11月労働者集会組織化の過程すべてに意味がある。革命に向かっての組織化が11月労働者集会なのだ。
革命情勢が到来する中で、プロレタリア革命に向けた闘いと組織が生まれる。新自由主義や規制緩和攻撃は議会で起きているのではない。3・11情勢や世界恐慌もすべて職場で起きている。だから、すべての職場に革命情勢があるのだ。
われわれが職場闘争や職場細胞建設を訴えるのは、帝国主義を打倒し、プロレタリア革命を実現する力と現実が職場にあるからであり、職場での資本との攻防を抜きに資本の打倒はないからである。重要なのは職場の現実をどうとらえるかだ。労働者が革命の主体であるというマルクス主義の視点で職場をとらえ、職場細胞を建設する観点ですべてをとらえることが必要だ。
だから、職場に工場細胞をつくることと、階級的労働運動を実践することは一体である。革命党と労働組合を一体的に建設する鍵はマルクス主義だ。革命情勢という時代認識を真につかみとり、労働運動を再生する主体を地区党と産別委員会の力で形成しよう。
4・9反革命との対決が勝利開く
4・9政治和解という名の国鉄闘争解体攻撃や3・11反革命と対決し、国鉄決戦の勝利をもって階級的労働運動の発展をかちとる時がきた。日本階級闘争史上最大の攻防が国鉄分割・民営化である。それは、帝国主義の延命のための新自由主義攻撃の先駆けであり、労働組合を解体し、労働者を非正規と失業の中にたたき込む攻撃としてあった。だが、動労千葉と全国の労働者の団結による反撃で日帝の攻撃は未完となり、国鉄闘争をめぐる攻防が四半世紀も続いたのである。
一昨年の4・9政治和解は、大恐慌の中で帝国主義が延命するための反革命攻撃である。4・9以降、労働組合の瓦解(がかい)と破壊が進行し、地域的な団結が破壊された。象徴的なのは、大阪市労連の委員長が、極反動の橋下市長の前で頭を下げて屈服した姿である。体制内労働運動は4・9反革命に屈服し、戦後的な労働者の権利を資本に売り渡そうとしているのである。
やはり、4・9反革命と対決する国鉄全国運動の登場なしに、3・11反革命と対決できなかったであろう。それは「3・11大震災・原発『事故』以降、政府・資本は、震災解雇、復興『特区』という名の外注化や民営化、非正規職化とあわせて労働運動破壊の攻撃をかけています。今こそ、階級的な団結と労働組合を全国の労働者の情熱と力で作り上げていきましょう」と、1人の首切りを許さず、34年間の闘いで職場復帰をかちとった被災地(仙台市)の全金本山労組が、国鉄全国運動に結集したことに象徴的に示されている。
国鉄分割・民営化から生まれた非正規職化攻撃に対して渾身(こんしん)の反撃を行っている動労千葉の外注化阻止闘争の勝利の地平は、分割・民営化攻撃との決着をつける歴史的な決戦となっている。
金属労働者こそ反原発の先頭に
3・11によって現実と化した放射能汚染は、労働者に「核と人類は共存できない」ことを示した。ヒロシマ・ナガサキの犠牲の上に原発は存在するのである。
ヒロシマ・ナガサキを経験した日本は、反核意識が強かった。日帝は原発建設を国家プロジェクトとして推進し、抵抗する労働運動や市民運動を破壊した。戦後革命期の労働運動を牽引(けんいん)した日本電気産業労働組合(電産)への破壊攻撃はその最たるものであった。労働者人民の抵抗を力で押しつぶすことで「核の平和利用」は進められたのである。
原発を製造したのは三菱重工、日立製作所、東芝などの基幹産業である。他にも、原子炉容器や制御装置、電源装置、配線、バルブ、配管など多岐にわたる業種がかかわり、数多くの労働者が従事している。日本の製造業の大半がかかわっており、原発は基幹産業の象徴であり、同時に新自由主義の象徴でもある。
原発の現場は数次にわたる下請け構造になっており、全国54基の原子炉で常に7万人以上の労働者が働いていた。その中でも大半を占める下請け労働者は、最も危険な仕事に従事させられ、放射能にさらされている。
現在、自動車や電機で広がっている派遣労働や非正規労働という、人間を部品やコストとしか見ない労働の実態が原発にあるのだ。
労働者を被曝させ、命を削り取る原発では、関連するすべての現場で労働者の権利や安全が切り捨てられ、労働組合が解体され、団結が失われている。80年代の国鉄分割・民営化を推進した新自由主義攻撃と同じ攻撃が、原発産業でも貫徹されたのだ。労働組合の解体を前提としてしか、原発は建設できないのだ。
そして、原発に従事してきたすべての労働者は、3・11を期して「自分たちの造ったものが惨禍を引き起こしている」と衝撃を感じている。自分の生産物が仲間や家族を死に追いやることを喜ぶ労働者はいない。この矛盾に対して、原発を造り、運営してきた労働者こそ原発を廃止する力があることを宣言しよう。金属の労働者こそ反原発闘争の最先頭に立とう。
3・11郡山に労組の旗翻らせよう
日本経団連は、大震災の中で労働者を切り捨て、資本の延命に走った。被災地を「復興特区」にし、農業や漁業を大資本に蹂躙(じゅうりん)させ、労働者の権利を奪おうとしている。
被災地では、震災により倒産した企業が次々と労働基準監督署に解雇予告手当の免除申請を行い、労働基準監督署はそれを安易に認めている。これは資本の都合でいつでも解雇できるという、規制緩和攻撃そのものである。資本の言う「復興」とは労働者の切り捨てと資本の救済なのである。われわれはこの現実を許さない。
だが、この攻撃に対して、被災地は根源的な団結力を発揮し、全国の労働者との団結と連帯の輪をつくった。動労千葉も被災地と連帯して労組交流センターに「東日本大震災救援対策本部」をつくり、労働者の根源的な団結が、あらゆる攻撃に対抗できることを全世界の労働者に示した。
さらに、3・11が春闘を破壊したことを忘れてはいけない。3・11という大反動の前に春闘は瓦解した。「被災地への対処」を名目に春闘が中断・延期となり、労資一体の企業防衛一色となった。あらゆる労資対立は「悪」となり、労働者の生きるための要求さえ握りつぶされ、メーデーも自粛と中止になった。
あらゆる意味で、12春闘は昨年とはまったく違うものとなる。一度破壊された春闘は強烈な目的意識がなければ闘えない。戦後的な思想や運動では通用しなくなった。だから、春闘を闘うことそのものが闘争となる状況だ。
日本経団連は「負担の重い定期昇給を実施している企業は、厳しい交渉を行わざるを得ない」と定期昇給をも否定しており、全面的な賃下げ攻撃を宣言している。資本の攻撃の前に連合は「賃上げで内需を拡大し、日本経済を縮小均衡、デフレから早期に脱却し、持続可能な成長をめざす」と資本への協力方針を打ち出している。主要産別である自動車や電機などの金属労協は、資本の意をくみ、2年連続のベースアップの統一要求見送りを決定している。
体制内労働運動との対決抜きには、春闘はもはやないのである。賃金の低下や非正規の増大は資本と連合の結託体制の中で生まれている。破綻した資本は利潤を非正規という低賃金労働でしか確保できない。そして、「企業防衛」の名目で資本を脅かすあらゆる存在を労資で押しつぶすのが、破綻した資本主義である新自由主義だ。
敵の攻撃の本質は職場の団結破壊、労働組合破壊である。だからこそ、12春闘は職場の団結をめぐる闘いとなる。被災地と同じように団結が勝負を決める。12春闘を階級攻防として闘いぬこう。
すでに、正規・非正規を問わず職場の労働者は「生きるため」の闘いを始めている。ある自動車関連の労組では、非正規労働者の解雇に対して職場の団結を固めながら正規・非正規の壁を越えて闘っている。ある金属労組は、工場移転の組合破壊攻撃に対して、職場の労働者の団結で移転を粉砕している。ある単組では、賃金差別を弾劾して闘う執行部をつくるなど、職場の団結と細胞建設を基礎にした闘いが陸続と起きている。
反原発闘争のうねりを革命に転化させるためにも、今春、動労千葉の外注化阻止闘争と連帯し、3・11郡山現地に闘う労働組合の旗を林立させ、12春闘を職場から闘いぬこう。この闘いの中で労働者の団結を拡大しプロレタリア革命への「巨大な扉」を押し開こう。金属労働者よ、青年労働者よ、ともに決起しよう!
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週刊『前進』(2521号4面1)(2012/01/30 )
3・11へ再稼働阻止の巨大なうねりを
放射線被曝から命を守れ! 3・11福島集会へ @
「ICRP基準」の非科学性
放射線に「しきい値」はない 1発でも遺伝子を傷つける
福島での被曝強制を許さず、原発再稼働を絶対に阻止するため、NAZEN署名活動を強めつつ3・11福島闘争に総決起しよう。各職場・キャンパスで反原発闘争を組織するため、ストライキで闘った動労水戸のように、放射線被曝から命を守る課題に取り組もう。今回の連載では、放射線被曝と闘うために、国際放射線防護委員会(ICRP)の被曝基準、「ふくしま集団疎開裁判」、チェルノブイリ原発事故での被曝との闘い、放射能の人体への影響、原爆症認定訴訟、原発労働者の労災認定、というすでに激烈な攻防となっている六つのテーマを取り上げる。
放射能汚染が拡大 「事故収束」大うそ
福島第一原発の事故現場は一体どうなっているのか。1・2・3号機の溶けた核燃料は、圧力容器を突き破り、格納容器の底に落下、コンクリートを侵食しているものもあると発表されてきた。すでに格納容器の底から抜け落ち、原子炉建屋外の土の中に潜り込んでいる可能性も指摘されている。最近、2号機の格納容器内の映像が公開されたが、水面は見えず、炉心に注入した水が建屋地下に流れ出ていることが確認された。肝心要の溶融核燃料とそれを冷やす水の所在・状況は、まったくわからなかったという(1・20付東京新聞)。立ち上る湯気と強烈な放射線は再度の爆発・高濃度放射能大量放出の重大危機が続いていることを示している。どこが「収束」なのか。
事故直後に80京(けい)ベクレルという想像を絶する放射能が放出され、田畑や校庭・住宅・職場、山林・河川・湖沼、海など広範囲にわたってばらまかれた。1年近くたった今もなお放射能が原発から外へ出て降り注いでいる。放射性物質は風や雨や水流によって移動し、汚染地帯を拡大するとともにホットスポット(局地的に高い線量になる個所)をつくっていく。周囲の水が集中的に流れ込む河川・湖沼・谷間などで高線量数値が測定されている。
福島原発の沖合の海底には、放出された放射性物質が「拡散して薄まる」(原子力安全・保安院)どころか、沈殿していたことが報道された。東京湾に注ぐ河川の河口付近では高濃度の場所が出現し始め、今後の湾全体への汚染拡大が予測されている。
このような環境汚染のもとで、放射能が食物連鎖をとおして魚などの生物に濃縮されている恐るべき現実が明らかになってきた。われわれが生きていくための根幹をなす食物の中に放射能が紛れ込み、それを食べることで内部被曝するリスクが、福島県民を始め首都圏も含め数百万、数千万の労働者人民に襲いかかっている。放射能汚染・被曝問題は収束どころか、これから本格的に拡大し深刻化していく。原発の再稼働など論外だ。
「100_未満ならリスクなし」と強弁
たった1発の放射線でも人間にがんを引き起こす。放射線においてはこれ以下なら安全という「しきい値」は存在しない。
放射線は遺伝子を傷つけ細胞を破壊して人間を殺傷し、子孫にも重大な健康被害を与え続ける。放射能を体内に取り込んで起きる内部被曝は、人体にきわめて重大な影響を及ぼす。このことはこれまでの被曝の歴史と医療・医学によって実証されてきた。さらに放射線に関する生物学はこれを裏付ける多くの証拠を提供しつつある。ヒロシマ・ナガサキ、ビキニ、チェルノブイリ、イラクなどで今なお放射線障害が進行している。「核と人類は絶対に相いれない」のだ。
経産相・枝野幸男は官房長官当時、「ただちに健康に影響はない」を繰り返し、御用学者・山下俊一は「100_シーベルトを超えなければ発がんのリスクが高まることはない」と、あたかも「しきい値」があるかのごとくうそをついてきた。福島県郡山の子どもたちの集団疎開裁判で裁判長・清水響は「100_シーベルト未満の放射線量を受けた場合における晩発性障害の発生確率について実証的な裏付けがない」と、証拠調べを一切せずに原告の訴えを却下した。
低線量ではあたかも人体に影響がないかのごとく言いふらしてきた日帝の放射線関連基準の基になっているのがICRP勧告だ。そのエセ国際的権威を背景に日帝は原発・核燃サイクル(核武化政策)を推進してきた。「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構は、このICRPに4万5千j(2010年)の資金を投入している(表)。
ICRPは低線量について、がん発生のリスクが100_シーベルトでは0・5%増えるとしてきたが、実際は広島・長崎の日米合同調査でその2倍だったことが判明していた(NHK「低線量被ばく 揺らぐ国際基準」昨年12月28日放送)。しかしICRPは低線量の場合のリスクを引き上げず、半分のまま据え置き、その後、原発などで働く労働者に対してはリスクをさらに引き下げた。
これについて当時ICRP基準づくりに直接かかわった元委員のチャールズ・マインホールドは「原発や核施設は労働者の基準を甘くしてほしいと訴えていた。基準が厳しくなれば核施設の運転に支障が出ないか心配していたのだ」「労働者に子どもや高齢者はいないのでリスクは下げてもよいと判断した。科学的根拠はなかった。われわれの判断で決めたのだ」と告白した。別の元委員は「低線量のリスクはどうせわからないのだから、半分に減らしたところで大した問題はない」とほざいている(同番組)。
労働者民衆の命と健康をなんだと思っているのか。「わからないことがある場合には、どれだけ大衆の健康を守っても守りすぎることはない」(ゴフマン/タンプリン著『原発はなぜ、どこが危険か』)のだ。
水爆開発のローレンス・リバモア国立研究所の生物部門トップに就きながら、放射線被曝の危険性を証明したゴフマンは力説する。「放射線が健康に及ぼす害は、本当は極めて重大なものである。そしてそのことを日本や他の国の一般の人びとに知られてしまうことが、原子力産業などの側にとって最大の脅威なのである」(ゴフマン著『人間と放射線』)。科学的根拠のないでたらめなICRP基準によって、これまでどれだけの労働者人民が殺されてきたことか。ICRP基準は大量虐殺兵器そのものである。
世界のヒバクシャが内部被曝を告発
米帝は戦後世界支配の要として核政策を展開してきた。だが推進すればするほど放射能、特に内部被曝と晩発性放射線症の危険な本質があらわになった。核政策の破綻を恐れた米帝は、ICRPを手先に晩発性放射線症の問題を徹底的に抹殺し押し隠してきた。
しかしヒバクシャを先頭とした世界の労働者人民と戦闘的科学者の核廃絶の不屈の闘いが、米帝の卑劣で凶悪な策動を撃ち続け追い詰めてきた。そして今、3・11に対するフクシマの怒りが、帝国主義の核支配・核政策のよりどころであったICRPの化けの皮を引きはがしつつある。
「原発は安全」と大うそをつき、史上最悪の核事故を引き起こし、福島の子どもたちを始め全労働者人民に被曝を強制し続けているこの凶悪犯どもが、なんら責任を問われず、投獄もされず、のさばり続けていることなど、許してはならない。六ケ所再処理工場試験再開―伊方・大飯・東通原発再稼働を絶対に阻止しよう。3・11福島県民集会2万人結集をてこに全原発即時廃絶をかちとろう。
(河東耕二)
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ICRPの予算(2010年)
1 アメリカ原子力規制委員会 250,000j
2 欧州共同体委員会 130,455j
3 ドイツ原子力安全省 115,021j
4 日本原子力研究開発機構 45,000j
5 カナダ原子力安全委員会 40,000j
その他 36,692j
合計 617,168j
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ICRP元委員の暴言
(NHK「追跡!真相ファイル『低線量被ばく揺らぐ国際基準』」より)
ICRP元委員チャールズ・マインホールド
「原発や核施設は労働者の基準を甘くしてほしいと訴えていた。基準が厳しくなれば核施設の運転に支障が出ないか心配していたのだ」 「労働者に子どもや高齢者はいないのでリスクは下げてもよいと判断した。科学的根拠はなかった。我々の判断で決めたのだ」
ICRP元委員(氏名不詳)
「低線量のリスクはどうせわからないのだから半分に減らしたところで大した問題はない」
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週刊『前進』(2521号4面2)(2012/01/30 )
さようなら原発1000万人アクション
2・11代々木公園に結集を
稼働原発は残りわずか3基に!
2月11日、東京・代々木公園で開催される「全国一斉!さようなら原発1000万人アクションin東京」(実行委員会主催)に大結集しよう。
野田政権が狙う原発再稼働をめぐって闘いは2〜3月にかけていよいよ正念場を迎える。2・11はこの攻防のど真ん中で野田政権への怒りの大反撃をたたきつけ、3・11福島県民集会に向かって突破口を切り開く重大な決戦だ。同日、広島でのNAZENヒロシマ結成集会を始め全国各地で一斉行動も行われる。3・11から1周年の福島県民集会に向かって、原発再稼働阻止の巨大なうねりをつくり出そう。
25日に柏崎刈羽原発5号機、27日に島根原発2号機が定期点検に入り、稼働中の原発はわずか3基となった。再稼働ができなければ4月までに全原発が停止する。昨年3・11以来、絶えることなく高揚してきた反原発の闘いによって野田政権と日帝ブルジョアジーは完全に追い詰められている。福島を先頭とする労働者民衆の怒りと行動が支配階級を根底から揺るがしている。
こうした中で野田政権は、4月に全基停止となる前になんとか1基でも再稼働に持ち込もうとあがきにあがき、なりふりかまわぬ強硬手段に訴えている。
賛成派だけで耐性「妥当」決定
18日、原子力安全・保安院は大飯原発3、4号機のストレステスト1次評価について「妥当で安全性が確認できた」と発表したが、意見聴取会では不当にも一般傍聴者の入場を禁止し、警官隊を配備して抗議する人びとを暴力的に排除した上、約3時間遅れで強行するという暴挙を働いた。
しかもストレステストのデタラメさを批判してきた井野博満さん(東大名誉教授、NAZEN呼びかけ人)ら2人の委員がこの措置に抗議して欠席する中で、三菱重工などの原子力関連企業から研究費を受け取っている東大教授・岡本孝司らのような賛成派委員だけで強行したのだ。こんな連中に再稼働を決定する資格はどこにもない!
また再稼働が有力視されている伊方3号機(MOX燃料を使ったプルサーマル発電炉)をめぐっては、地元自治体を動員し、自衛隊を出動させた「広域避難訓練」が2月中旬に行われようとしている。完全に核戦争を想定した軍事演習そのものだ。まさに原発は「地上に置かれた原爆」以外の何物でもない。大事故を前提とし、住民が逃げ回るような大惨事を想定して「避難訓練」をやること自体が言語道断であり、絶対に許されない。地元の闘いと一体で、2・11集会・デモの高揚をかちとり、再稼働を絶対に阻止しよう。
国・東電の責任徹底追及しよう
原発再稼働に向けた政府の策動はますます巨大な怒りを爆発さている。1月14〜15日に横浜で行われた脱原発世界会議に世界30カ国1万1500人が結集し、野田政権に大反撃をたたきつけた。経産省前では福島の女性たちを先頭に怒りの座り込み行動が続き、経産省はこれに耐えかねて、座り込みテントへの「退去命令」を出した。原発再稼働に向けて反動的正体をむき出しにする野田政権に対し、闘いは一歩も引かず継続されている。
野田の再稼働攻撃は内部被曝の恐るべき健康被害を押し隠し、原発事故と放射能被害の責任をとことん居直ることと完全に一体だ。しかも山下俊一らの「医療特区」構想は、「福島県民200万人を被験者(モルモットだ!)にして、科学界に記録を打ち立てる」(11年8・19付独シュピーゲル誌のインタビューでの山下発言)ものであり、被災者を製薬、医療機器、保険など医療資本の金もうけの材料にしようというのだ。福島を先頭に怒りは爆発している。子どもたちの命を守り、国と東電の責任を徹底追及する声が野田政権を直撃している。
再稼働阻止をかけた2〜3月の闘いは、まさに現下における階級攻防の最大の焦点であり、被災地の仲間とともに野田政権の「復興特区」攻撃を打ち破る闘いだ。野田と日本経団連が「復興」と称してやろうとしていることは、原発を再稼働し、住民を高濃度の放射能下で被曝させ、農民・漁民からは仕事と生活の糧を奪い、被災地の労働者を低賃金・無権利状態でとことん搾取しようという、まさに災害に乗じた新自由主義攻撃「ショック・ドクトリン」そのものだ。これに対する反撃の核心は、福島を先頭とする被災地の怒りと固く連帯し、原発再稼働を断固阻止することだ。
2・11代々木から3・11郡山へ攻め上る闘いは、12春闘に向けて連合ダラ幹の制動を打ち破り、青年部を先頭に階級的労働運動の拠点を建設し組織を拡大する闘いと完全に一体だ。動労千葉の外注化阻止闘争を先頭に全国の職場で職場闘争を闘い、3・11福島県民集会への取り組みを呼びかけ、組合賛同をかちとり結集しよう。2・11反原発大集会・デモの高揚をその突破口としよう。
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全国各地で2・11〜12行動
3・11から11カ月を迎える2月11日(土)〜12日(日)、全国各地で反原発のさまざまな取り組みが予定されています。各地の行動予定を紹介します。(編集局)
■北海道 2月12日午後1時半〜福島からの報告を聞く会/札幌エルプラザ/主催・2・12集会実行委員会
■栃木 2月11日・原発なくそう宇都宮パレード/午後3時〜集会、3時半〜デモ/まちかど広場(東武宇都宮駅前)/主催・実行委員会
■埼玉 2月12日午後1時〜広瀬隆さん講演会/埼玉会館小ホール(JR浦和駅西口徒歩5分)/主催・埼玉反原発アクション
■千葉 2月12日午後2時〜原発なくせ!千葉の水を守ろう!2・12ティーチ・インちば/ホテルプラザ菜の花3階(千葉県庁前)/主催・原発なくせ!ちばアクション
■静岡 2月11日・浜岡廃炉☆原発全廃フクシマと共に怒るSIZUOKAアピール/午前10時半〜リレートーク、11時40分〜デモ/静岡市葵区青葉公園/主催・すべての原発いますぐなくそう!全国会議・静岡(準)
■島根 2月12日午後1時半〜オープニングイベント、2時10分〜今中哲二講演会・各地からのあいさつ、3時半パレード/水・大地・海・空・食・こどもを守ろう!さよなら島根原発大集会/松江市総合体育館大体育室/主催・さよなら島根原発大集会実行委員会
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週刊『前進』(2521号4面3)(2012/01/30 )
2・11広島 NAZEN結成集会へ
福島と結び闘おう
2月11日、すべての原発いますぐなくそう!全国会議・ヒロシマの結成集会が開催される。同準備会が発した「NAZENヒロシマ結成の呼びかけ」を紹介します。ともに成功をかちとろう。(編集局)
NAZENヒロシマ結成の呼びかけ
今こそ、すべての原発の即時停止・廃炉を! 新たな原発の建設・再稼働を絶対に許さず、いっさいの核と原発を私たちの生きる社会から廃絶しましょう!
福島原発事故は、「三度目の原爆投下」ともいうべき国家犯罪に他なりません。拡大し続ける放射能汚染は、人類が未(いま)だ経験したことのない事態であり、福島の人々から古里を奪い、仕事を奪い、農地や海を奪い、子どもの命と未来を脅かしています。しかし、この戦慄(せんりつ)すべき事態の中で、生きる希望と未来をとりもどそうと、福島の人々を先頭に巨大な反原発の行動が始まっています。
一方、野田政権は「収束宣言」でこの反原発の声を押しつぶし、あくまでも原発再稼動と原発輸出に突き進もうとしています。ぜったいに許すことはできません。福島原発事故1周年の3・11に向かって、反原発の運動は正念場を迎えています。福島現地では3月11日に県民大集会が開催されます。私たちはいま、原発即時停止・廃止の決意も新たに、ヒロシマとフクシマを結ぶ反原発の運動体として、「すべての原発いますぐなくそう!全国会議・ヒロシマ」(略称・な全=NAZENヒロシマ)の結成を呼びかけます。
全国組織としてのNAZENは、2011年8月5日、広島で結成されました。10月10日には「NAZENフクシマ」が結成され、仙台、東京、関東、北陸、関西、岡山、四国、九州など、各地でNAZENの運動は拡大しています。被爆地における「NAZENヒロシマ」結成の意義は大きいと思います。NAZENヒロシマは、全原発廃炉をめざし、当面、再稼働の阻止と福島の子どもたちの命を守る活動に力を注ぎます。そのために、広島の被爆者、医師、労働組合、市民運動、住民運動、諸個人、そして福島、東日本からの避難者、すべての力を結びつけたいと思います。
2月11日、福島現地から元福島県教職員組合委員長で、NAZENよびかけ人でもある清野和彦さんをお招きし、NAZENヒロシマ結成集会を開催します。「すべての原発いますぐなくそう!」の思いをもつすべてのみなさんの参加をよびかけます。
2012年1月
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フクシマとヒロシマを結び反原発の大運動を すべての原発いますぐなくそう!全国会議
NAZENヒロシマ2・11結成集会
2月11日(土)午後1時 開場12時半
広島平和記念資料館(原爆資料館)地下1階会議室1
福島からのアピール 清野和彦さん(福島県教組元委員長)
3時半からデモ(本通り→金座街→原爆ドーム)
主催 すべての原発いますぐなくそう!全国会議ヒロシマ準備会
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週刊『前進』(2521号4面4)(2012/01/30 )
1月17日〜23日
保安院「大飯原発の耐性評価『妥当』」/米韓両軍、合同訓練実施へ
●燃料プール、一時冷却停止 東京電力は、福島第一、第二原発の使用済み燃料プールの冷却設備や水素爆発を防ぐための原子炉への窒素注入が一時停止したと発表した。午後4時10分ごろ、福島県田村市にある送受電設備に不具合が起きて、周辺の広い地域で電圧が瞬間的に低下したことが原因だとしている。東北電力も、同じ瞬時電圧低下で、送電網につながっている女川原発1号機(宮城県)の燃料プールの冷却設備も約40分にわたって停止したと発表した。(17日)
●「君が代」の起立斉唱、大阪府教委が命令 大阪府教育委員会は、府立学校の全校長を集めた臨時校長会を開き、中西正人教育長が全教職員約1万3千人を対象に、入学式と卒業式での「君が代」の起立斉唱を求める職務命令を出した。起立斉唱を義務づけた全国初の「大阪府君が代条例」を踏まえた措置。(17日)
●大飯原発の耐性「妥当」 定期検査で停止した原発を再稼働するための条件とされるストレステスト(耐性評価)について、経済産業省原子力安全・保安院は、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の1次評価を「妥当」とする審査結果の素案を専門家の意見聴取会に示した。それに対し再稼働に反対する人たち約20人が経済産業省別館の会場に入り、傍聴を求めて抗議。保安院は会場を別室に移し、審査書に批判的な井野博満東京大学名誉教授と原子力プラント技術者の後藤政志氏の両委員が「傍聴させないなら出席しない」と抗議する中で聴取会を強行した。(18日)
●格納容器の内部撮影 東京電力は、福島第一原発2号機の原子炉格納容器内の様子を工業用内視鏡で調査した。事故が発生した格納容器内の様子を直接調べたのは初めてだが、水滴などで視界が悪かった。推定されていた高さに水面は認められなかった。(19日)
●米韓合同訓練を実施へ 韓国軍は、今年上半期に大規模な合同上陸訓練を実施すると発表した。北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記死去後の朝鮮半島情勢の変化に備えるもので、3月にも実施される見通し。訓練には韓国軍の海兵隊と在沖米海兵隊など計1万人以上が参加する計画。1989年の米韓合同演習以降で最大規模の上陸訓練になるとしている。(19日)
●アセス審査始まる 名護市辺野古への米軍普天間代替基地建設に係る環境影響評価(アセスメント)評価書に対する初の県環境影響評価審査会が、西原町で開かれた。冒頭、審査会の宮城会長は異例の会長私見として、沖縄防衛局の未明の評価書搬入に対する強い不快感を表明。審議では、ほぼ全般にわたって予測や評価のやり直しを求める声が相次いだ。(19日)
●EU、イラン原油禁輸 欧州連合(EU)は外相理事会で、イランの核開発疑惑に対する制裁措置として、イラン産原油を7月1日から全面的に禁輸する措置を正式に決めた。イランへの圧力を強める米国の姿勢に同調した形で、日米欧が制裁強化に向けて足並みをそろえる。(23日)
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週刊『前進』(2521号5面1)(2012/01/30 )
労組破壊に突進する橋下打倒を
破綻した新自由主義の絶望的凶暴化 八尾北・西郡決戦で反撃しよう
昨年11月の大阪府・市の首長選で知事から市長に転じた橋下は、大恐慌―3・11情勢のもとで危機を深め新自由主義を絶望的に推進する日帝ブルジョアジーの先兵として道州制、民営化・労組破壊の凶暴な攻撃に突っ込んでいる。大阪市労連幹部の屈服に怒り闘う市職労働者とともに、公務員労働運動の復権をかけて橋下打倒へ決起しよう。その最大の戦場は診療所廃院・住宅追い出し―更地化・廃村攻撃と闘う八尾北・西郡だ。2・3集会をかちとり、3月決戦へ立とう。
(写真 90度に腰を折り橋下にひれ伏し組合員の怒りを買った市労連の中村委員長【1月4日 大阪市役所】)
首切り・民営化攻撃を加速
ユース部長選で本部不信任拡大
1月24日開票の大阪市職ユース部長選挙で「橋下打倒! 労組破壊攻撃許すな! ストライキで闘おう!」と訴える候補に199票が投じられた。本部派はかろうじて1000票を確保したが、白票・無効票・持ち帰り票などの本部不信任票は300票近くにおよんだ。
年末年始、橋下の言動や大阪市労連委員長の腰を折り曲げての謝罪などが全国に報じられるなかで、大阪市の本庁・区役所・保育所・建設・環境・港湾などさまざまな職場から青年労働者たちの意気軒高とした戦闘意志が寄せられたのだ。
青年労働者だけではない。本庁でも出先でも、労組交流センター自治体労働者部会ビラの受け取りや反応が一変している。
「組合本部の屈服にはガマンできない。怒鳴り込んでやりたい」「がんばってくれ。君らの時代が来たな」「チクリやひっかけ処分に気をつけてがんばってくれ」
1千を超える大阪市の職場には、いまだ団結や職場支配権が息づき根づいている。網の目のように張りめぐらされた組合員の団結、そのアリ地獄に橋下を引きずり込んで完膚なきまでにたたきのめしてやる。
新自由主義は、国家独占資本主義政策下の制度・体制から思考・発想まで、既成のすべてを破壊する点に最大の特徴がある。国独資は一定の建設性をもっていたが、新自由主義には破壊性しかない。だから自己矛盾に満ち、いつも場当たりでしかない。何か整合性をもった経済・社会を生み出すわけではない。ひたすら社会矛盾・階級矛盾を激化させ、帝国主義の体制的危機を加速させ、革命的情勢を促進するものでしかない。
橋下は凶暴性においても破綻性においても、新自由主義の先兵そのものだ。大阪市のヒト・モノ・カネを独占資本が跡形なくぶんどるために、あらゆるものを破壊しながら自らも奈落の底に転落していく。民営化・首切りがただひとつの「政策」だ。「行政」の仮面すらかなぐり捨てたむきだしの資本家独裁に破滅的に突進している。
整合性も勝算もない方針が噴出
橋下の首切り・民営化・労組破壊のポイントは次の4点だ。
@府市統合による水道、大学、病院、港湾の新自由主義的統合と民営化。
A区役所を新自由主義の司令塔として学校、幼稚園・保育所、福祉・生活保護、住宅・公園・街路整備などに新自由主義を貫く。区役所の再編と一体でゴミ焼却・下水・工営所などを広域連合化・一部事務組合化する。
B地下鉄・バス・ゴミ収集などの事業丸ごとの完全民営化。
Cこれら全体を、首切り自由・賃下げ自由の労務支配、労組破壊によって貫くこと。団結破壊・労組破壊のためにも首切り・民営化に突進しようとしているのだ。
だがこれらは、何の整合性もない破綻的・破滅的なものでしかない。
12月19日に市長に就任した橋下は、23〜25日には大阪市戦略会議で25部局のヒアリングや指示を行い、27日には大阪府市統合本部を発足させ、地下鉄・バス・水道などの経営形態変更を打ち出した。28日には大阪市改革プロジェクトチームを発足させ、施政方針演説で「公務員労組をのさばらせると国はギリシャのように破綻する」と危機感をあらわにした。
1月4日の年頭会見では「労組適正化」を打ち出し、市労連委員長を最敬礼で謝罪させたあげく握手も拒否した。マスコミはこれを「公開処刑」と報じた。13日には区長会議を開催して公募区長に教育・福祉などの破壊を競わせる方針を打ち出し、「今日は革命記念日」などと発言した。
この間、堺屋太一、上山信一、前横浜市長・中田宏、前杉並区長・山田宏などの反動分子を次々と顧問などに引っ張り込んでいる。また、前市長の平松派幹部を追放せずに現業首切りの責任者に据えたり、平松時代の総務部長や建設局長を副市長に据えたりしている。
部落解放教育の大拠点であった二つの地区で教育特区をめざして小中一貫学校を創設する、全国最大の寄せ場と最多の生活保護者を抱える西成区を「子育て特区」にして自ら指揮する、現業職員全員を再試験にさらすなど、まさに「更地化」攻撃そのものだ。これらがたいへんな「スピード感」をもって遂行されていると喧伝(けんでん)されている。
しかし現実は、1981年末からの国鉄分割・民営化攻撃以来30年、2004年末からの大阪市ヤミカラ攻撃以来7年、やりたくてもやりきれなかったブルジョアジーの自治体攻撃の課題・野望がぎゅうぎゅう詰めのてんこ盛りだ。関西財界は関市政にも平松市政にもブレーンを送り込み直轄支配をたくらんだが、結局は論点整理程度のことしかできていない。
だから、あれもこれもと焦りといらだちに満ちた「方針」が、何の整合性も勝算もないまま次々と噴出してくる。これは四半世紀におよぶ国鉄闘争の勝利性の証だ。橋下の「スピード感」とは、支配階級の破綻と破滅の急加速であり、革命情勢の急接近以外の何ものでもない。
橋下にひれ伏す労組執行部
関西労組交流センター自治体労働者部会、教育労働者部会が、府市ダブル選に向けて徹底的に訴え実践してきた核心は、支配階級本流が道州制・公務員360万人首切り・総非正規職化の攻撃を全面化し階級決戦に打って出てきており、労働組合運動をめぐる攻防において階級的団結と反撃をつくり出すことだ。ここに党派闘争の環があった。あらゆる党派・勢力は、この2点を見据えず「反独裁・反ハシズム」を唱えたあげく平松支持に走り、平松ともども潰走(かいそう)した。
そして橋下の言動を新自由主義の破綻の表現としてとらえることができずに、ゴジラ化してすくみ上がっている。市職労・市従労組の幹部たちは現場労働者に「民意に敵意をもって臨まない」だの「肉を切らせても骨は切らせない」だの、さらには「役選ビラに『橋下』と書かないでくれ」などと言い、橋下への怒り、橋下と闘わず土下座する体制内労組幹部への怒りを必死に抑えつけようとしている。
自治労本部の橋下に対する唯一の方針は「独裁的な手法を許すことなく、関係労働組合との意見交換・協議を求めていく必要があります」(1月26、27日の自治労中央委・当面の闘争方針)というものだ。こんな組合執行部のもとでは、もはや現場労働者は生きていくことさえできない。
橋下は現場労働者の反撃を死ぬほど恐れ、労働組合をたたきつぶし、これまでの組合との関係を無にして職場支配権を根絶やしにしようとしている。市のある部局は、2011年度の懸案事項として、「労使小委員会の事前協議了解がないと工事の発注すらできない。……市政改革を推進するうえで担当窓口の組合折衝の整理が必要だ」と悲鳴を上げている。
つまり、国鉄分割・民営化から四半世紀を経てなお、大阪市のど真ん中で現場労働者が職場を支配しているのだ。絶対反対派が意気軒高と屹立(きつりつ)し、現場に渦巻く怒りと結びついて闘うならば、腐りきった組合執行部を打倒して、闘う団結を取り戻し階級性をよみがえらせることのできる決定的な好機が到来しているのだ。
2・3集会の成功かちとれ
昨年来、2・3反橋下大阪行動と2・26青年労働者集会−デモの計画が呼びかけられ、自治体・教労を先頭に道州制、新自由主義と全面的に激突する戦意に燃えて2012年を迎えた。
マル青労同第8回大会の勝利を徹底議論し、全地区・全産別・全細胞で自らの血肉とし、11月集会の核心的総括である階級的労働運動の拠点をつくりだす闘いの年だ。「党と労働運動の一体的建設」を革命の戦略的準備としてやりぬく必勝戦略を全面的に発動する。さらに橋下と激突し勝利する決定的な方針を打ち立てた。それが3月八尾北・西郡決戦方針だ。
12月1日の3家族への最高裁の上告棄却決定を受けて八尾市は、12月21日に新たに11家族を住宅から追い出す議案を強行採決し、1月21日には3家族に「30日以内に住宅を明け渡せ」との通告書を送りつけてきた。
絶対反対の闘いで橋下の正体を労働者階級の前に暴き、対決構造を攻勢的につくりだし、階級的総反撃の先頭を切り開く決定的闘いをたたきつけなくてはならない。国鉄分割・民営化の時に動労千葉がやった闘いを、八尾北・西郡決戦として橋下にたたきつけてやるのだ。動労千葉の闘いがあって初めて、分割・民営化が首切りであり国家的不当労働行為であることが満天下に突き出された。国労20万がタコツボに逃げ込んでいるだけではけっして真相は暴き出されなかった。橋下反革命の道州制、新自由主義は、何の展望もない破綻的な攻撃だ。これを決定的に突き出すのが八尾北・西郡決戦だ。
この対決構造をストレートに職場に還流させ、橋下の全員解雇攻撃と対決する職場闘争をぶちぬき、そこからまた八尾北・西郡決戦に決起していく。凶悪で破滅的な、しかし階級的団結の前にはきわめて脆弱(ぜいじゃく)な、橋下−道州制、新自由主義の正体を暴き出し、より広大で強大な反撃を組織していく決戦として八尾北・西郡決戦を闘おう。国鉄、被災地、大阪−八尾北・西郡で、新自由主義の特区化・更地化攻撃を迎え撃ち、革命情勢を一挙に切り開こう。
2月3日、関西労組交流センター・八尾北医療センター労組・部落解放同盟全国連西郡支部の共催で、「道州制粉砕・橋下打倒!2・3集会」が開催される。大成功させよう。
この激突の中でこそ、党と労働組合拠点の一体的建設に勝利して、11月集会の壁を突き破り、革命の戦略的準備を劇的に推し進めていく。そのためには、〈中央と細胞〉という革命党の基本的骨格を同時一体に、相互獲得的に、豊かにつくりだしていかなければならない。橋下打倒の闘いの中でこの党建設に突き進み、2012年の闘いを先頭で切り開く職場細胞・地区党・産別委員会をつくりだしていく。
(川上憲一)
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八尾北・西郡決戦勝利! 更地化・強制執行粉砕!労働組合破壊を許さないぞ!
道州制粉砕・橋下打倒!2・3集会
2月3日(金)午後7時開会
エルおおさか南ホール(地下鉄・京阪「天満橋」駅下車。西へ500b)
主催 関西労働組合交流センター
八尾北医療センター労働組合
部落解放同盟全国連西郡支部
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週刊『前進』(2521号5面2)(2012/01/30 )
八尾北・西郡団結旗開き ムラ全体に責任とる
住宅退去通告に戦闘宣言
1月14日、八尾北医療センター労働組合・部落解放同盟全国連合会西郡支部・八尾北命と健康を守る会の団結旗開きが八尾北医療センターで行われた。青年を先頭に地元や関西各地から110人が結集した。
司会が動労千葉のメッセージを読み上げ、連帯と共闘のあいさつに入った。預貯金差し押さえ弾劾裁判弁護団、関西労組交流センター、婦人民主クラブ全国協関西ブロック、全学連、そして道州制・民営化と闘う共闘会議から関西合同労組大阪東部支部が、八尾北・西郡決戦を自らの闘いと一体で闘う宣言を発した。 八尾北労組の藤木好枝委員長が基調報告で「2012年は決戦の年になる。八尾北労組員でもある辻西幸子さん、田中由加さん、岡邨洋さんへの住宅追い出し強制執行との攻防があり、八尾北医療センター明け渡し裁判の早期結審が狙われている」と現局面を明らかにした。そして「八尾市の問答無用の攻撃との闘いに結着をつける第一段階の攻防が3〜4月だ」とし、「八尾北労組11年、住宅闘争15年の闘いは、国・資本・八尾市の800事業民営化を最先頭で阻み新自由主義を破産させてきた。3月決戦で国・八尾市との力関係を変えよう。八尾北・西郡決戦で道州制粉砕=橋下打倒の闘いを切り開こう」と訴えた。
闘いの輪は広がっている
主催団体の決意を西郡支部の岡邨洋支部長が述べた。「3家族への住宅追い出し強制執行、11家族への新たな追い出し提訴を絶対に許さない。八尾市と地区協、そして日本共産党、すべてがグルになっている」と弾劾し、「私たちの闘いがこれを暴き出した。こんな連中をぶっ飛ばしムラ全体に責任を取る。支部1千名建設で更地化・廃村攻撃を打ち砕く」と戦闘宣言を発した。
住宅明け渡しと闘う西郡支部の辻西幸子書記長は、12月1日の最高裁決定に対し「上告棄却、門前払い。私らの声に聞く耳すらもたない。闘いの輪は広がっている。みんなで突き進んでいく」と力強く決意を語った。家賃供託者は「何があっても負けない。とことんやる」と断固たる意志を表し、守る会は「医療センターの明け渡しを絶対に許さない」と断言した。
末光道正八尾市議は、「民主党政権の原発、失業、大増税も、橋下・維新の会の道州制・労組破壊も、解同=地区協を先兵にした田中八尾市長の更地化攻撃も、追い詰められて何もかも破壊しすべての人を敵に回す新自由主義だ」と断じ、「この攻撃を打ち破れるのは敵の弾圧を団結に変える絶対反対の闘いだ。国鉄全国運動、被災地の怒りと結びつき、60年・70年をはるかに上回る、戦後革命期に次ぐ決戦の年にしよう」と呼びかけた。
守る会の音頭で乾杯し、アトラクションではビンゴゲームで盛り上がった。最後に、西郡支部の佃文弘青年部長の音頭で団結ガンバローを行った。どの顔も本当に生き生きしている。熱い、力強い旗開きとなった。いざ、2012年決戦へ。
(投稿/八尾北医療センター労組・青木麻季)
(写真 八尾北労組、西郡支部、守る会の団結旗開き。3家族を住宅から追い出す強制執行攻撃への総決起を誓った【1月14日 八尾市】)
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週刊『前進』(2521号5面3)(2012/01/30 )
野田施政方針演説に反撃を
大増税と原発再稼働が前面
1月24日、通常国会が開幕し、野田首相が就任後初の施政方針演説を行った。野田はその冒頭で、「国政の重要課題を先送りしてきた『決められない政治』からの脱却」を目指すと宣言した。そして自民党政権時の首相だった福田や麻生のかつての施政方針演説をも引用し、これまで歴代政権がやろうとして貫徹できなかった全攻撃をここで一気に押し通そうとする階級的意志をむきだしにした。
野田がこの演説で列挙したすべてが、労働者人民の全生活を根底から破壊する許すことができない大攻撃である。その一つひとつがわずか1%の大ブルジョアジーの利益のために他の99%を犠牲にするという、新自由主義の本質をまさに全面的に体現するものだ。
●公務員首切り・非正規化と一体
とりわけ野田は、「大震災からの復旧・復興」「原発事故との戦い」「日本経済の再生」を三大優先課題として掲げ、その実現のためには「政治・行政改革と社会保障・税一体改革の包括的な推進」が必要とし、これをまずやりぬくことに「不退転の覚悟」で臨むとした。
その核心は、消費税の大幅引き上げを始めとする史上空前の大増税攻撃への突入であり、それと完全に一体となった公務員労働者360万人の大量首切り・非正規職化の攻撃である。
野田政権は、現在5%の消費税率を2014年4月から8%に、15年10月には10%に引き上げる法案を3月末までに国会に提出すると言明した。消費税が10%になった場合、これに「震災復興」の名による臨時増税分を加えた税負担の実質増加額は、年収500万円の世帯で年に31・4万円、年収300万円の低所得世帯でも24・1万円に上るとの試算がある。しかもこれはまだ序の口だ。先の内閣改造で副総理兼「一体改革」担当相に就任した岡田はすでに、10%では足りないと、一層の税率引き上げを公言している。
そしてこの恐るべき大増税を押し通すために、日帝が自ら引き起こした国家財政破綻の責任の一切を居直り、そのすべてを公務員労働者への攻撃にすりかえて襲いかかろうとしている。「行政の無駄削減」を声高に叫び、日帝にとって消費増税と並ぶ最大の懸案であった「公務員制度改革」=公務員労働者の大首切りと非正規職化の攻撃に、いよいよ本格的に踏み込もうというのだ。その突破口として「復興特区」攻撃とともに、独立行政法人改革、国家公務員給与引き下げ、郵政民営化攻撃のさらなる推進などを挙げている。
すでにこの間、膨大な労働者が非正規職に突き落とされ、人民の生活が窮乏化する一方で、金融資本・大資本の救済のためには巨額の国家財政がそれこそ湯水のように投入されてきた。だがそれももはや限界に達している。この中で日帝は今や、労働者人民への一層極限的な大衆収奪にのりだし、そこでむしりとった金を日帝大資本の下に集中投下するとともに、教育や医療・福祉を始めとした公共部門を丸ごと民営化して資本の新たな金もうけの手段とすることに、唯一の延命の道を見いだそうとしているのだ。ここに日帝の描く「新成長戦略」と、野田の掲げる「社会保障と税の一体改革」なるものの犯罪的な正体がある。
●安保強化・辺野古新基地を推進
施政方針演説で野田はさらに新成長戦略の「実行を加速」し、その具体的な工程表を伴う「日本再生戦略」を本年半ばまでに策定すると言っている。その柱は、一つは「復興特区」である。被災地を大資本の専制支配下において戦後憲法的な諸権利の全面解体を強行し、それをさらに全国に拡大していく攻撃だ。2月上旬の「復興庁」設置がその突破口である。
いま一つは、原発再稼働への突進だ。エネルギー政策の再構築へ「複眼的な視点」が必要として、その第一に「経済への影響」を挙げている。これは、”原発をなくせば日本経済がつぶれる”という恫喝である。原発・核燃料サイクル推進と原発輸出は日帝の第一級の国策であり、その放棄は日帝が帝国主義であることをやめることを意味するのだ。今春の再稼働に、野田はまさしく自らの政治生命を賭けている。
第三に、米帝の新戦略を受け、辺野古新基地建設を始めとする日米安保強化と朝鮮・中国への侵略戦争政策を、米帝と一体となってあくまで推し進めようとしていることである。とりわけ北朝鮮情勢について、「不測の事態に備え」「万全の態勢で」臨むとしている点は重大だ。憲法9条の制約を公然と踏み破る攻撃がこれから続出してくることは間違いない。
野田の施政方針演説はこのように、野田政権と日帝がついに資本家階級の存亡を賭けた全面的な階級戦争に踏み切ってきたことを示している。だがこれらの攻撃は、労働者階級を先頭とした全人民の怒りと闘いの全面的な圧殺なしには、現実には一歩も進まない。施政方針演説で野田は「先送りする時間は残されていない」「対症療法はもう限界」と声を張り上げて叫んだが、これこそ日帝の悲鳴そのものだ。世界大恐慌の進展下、日帝はすでに帝国主義の一翼から「脱落」するがけっぷちへと追いつめられている。そして3・11で始まった巨万の労働者人民の新自由主義に対する怒りの噴出が、この日帝をギリギリと締め上げているのである。
この2〜3月の闘いがいよいよ決定的となった。今春外注化阻止の国鉄決戦、3・11反原発福島集会を野田政権打倒の決戦として闘い、絶対に勝利を切り開こう。
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週刊『前進』(2521号6面1)(2012/01/30 )
団結ひろば 投稿コーナー
年末年始の人員削減と労働強化許せない 郵便労働者 天城 聡
全国の郵便局で働く仲間のみなさん。激動の年末年始、大変お疲れさまでした。
非常に忙しいこの時期、わがM支店では「低実績者」を年賀状の臨時出張所(販売所)に派遣するということが行われました。私もその一人です。現場労働者にとっては、迷惑以外の何ものでもない。
「経費削減のために」と盛んに人員削減が進められています。数年前から試行的に一部の班で臨時の外務ゆうメイトをなくしました。今度は内務のゆうメイトまでゼロにするというのです。私の班は、その該当班です。異常な職場環境で、労働強化が進められています。「この施策は成功しました」と支店長あたりに報告している現場管理者の顔を思い浮かべると、へどが出そうです。
年賀状の苦情等も現場のせいにされます。お客のところに行かされ、謝罪させられる。本当にギリギリの要員配置で、郵便事故も交通事故も何だっておきる環境です。私たちはロボットではない。一人の労働者です。
管理者は、また営業、営業と言ってくることでしょう。今求められているのは労働者が職場だけでなく社会の主人公として声をあげることだと、私は日々思っています。年末年始はへとへとになりましたが、これに負けるわけにはいきません。全国の仲間たちの力を借りながら、私も日々闘っていきます。
星野獄中弾圧に対し高松矯正管区に抗議 徳島救う会 仙田哲也
1月18日、岡山・大阪・徳島の星野救援会が、星野文昭さんの手紙の字数制限をしないこと、暖房、湯たんぽの使用を認めることなどを要求する請願行動を高松矯正管区に行った。
徳島刑務所長は、星野さんの妻・暁子さんへの手紙に不当な「書き直し」を強制している。「600字は多すぎる、400字まで」というが「受刑者心得」に字数制限条項は一行もない。心をこめて手紙につづった暁子さんへの思いを踏みにじる暴挙だ。
さらに、生活房における一切の暖房を奪っている。休養日に時には零度にもなる酷寒の生活房でじっと一日中を過ごさせるのは拷問に等しい。事実、神戸拘置所では27歳の男性が拘置中に暖房が無く凍死している(国賠で刑務所側が敗訴)。
最愛の人との文通に屈辱を与え、さらに拷問的寒さで「転向」を強制する国家権力を絶対に許すことはできない。
労働者階級にとって、闘いで奪われた同志は自らの分身であり、それを奪い返す闘いは自己解放闘争そのものである。今回の行動は、労働運動と救援運動を分断線を引いて破壊してきた日共スターリン主義を決定的にのりこえる闘いだ。
2・4―5全国労組交流センター総会と一体で、2・5星野奪還・徳島刑務所包囲デモを熱烈にかちとろう!
ゴアレーベンの仲間と反原発で熱い交流 国際連帯委員会 菊川 敦
ドイツ反原発運動の中心、核廃棄物処分場と35年間不屈に闘うゴアレーベンの仲間が1月14〜15日の脱原発世界会議(横浜)に参加するため訪日しました。数日間の滞在でしたが、実に中身の濃い国際連帯でした。
ゴアレーベンの闘いは文字どおり体を張った実力闘争ですが、これを彼らは「非暴力行動」と呼びます。なぜなら「権力に危害を加えるものではない」からだそうです。
彼らと話していて、さすがと思うことが何回もありました。たとえば、動労千葉との討論・交流では、代表のケアスティンさんが「運動を継続するうえで重要なのは敗北主義との闘い。たしかにゴアレーベンは、処分場の建設を阻止するにはいたっていませんし、廃棄物も搬入されてしまっています。でも、もし私たちが闘っていなかったらどうなっていたでしょう。原発がドイツに100基も造られ、ゴアレーベンには当初の計画通り巨大な核燃サイクルが建設されていたでしょう。私たちはそれを阻止したのです。だから私たちの闘いは大きな意味をもっているのです」と。
また、16日に法政大学の集会・デモに参加するさい、「これは20人くらいの小さなデモですよ」と言うと、「いいじゃないの。私たちが参加すれば23人になる!」との答えでした。
ケアスティンさんはその日、44回目の誕生日。私たちは浅草観光とお好み焼きでお祝いして、今後につながる親交を大いに深めました。
「情宣禁止仮処分」!? 恥知らずな法大当局 法政大学 倉岡雅美
「こんなことがまかり通っていいのか!?」――3年連続で今年も「情宣禁止仮処分命令申し立て」がやってきました。これは、法政大学の入試期間中に、市ケ谷キャンパスと総長室がある九段校舎の半径200b以内でのビラまきやマイクアピール等の情宣活動を禁止するものです。憲法停止状態をはるかに超え、200b内を歩くことさえ許されていません! 違反したら「1日につき100万円を支払え」というのです。
この法大側の申し立てを裁判所が毎年受理、執行しているのです。
申し立て書には「仮処分により保全すべき権利−営業権」とあります。情宣禁止の理由の第一が、「営業権」なのです。教育研究機関としての建て前すら恥知らずにもかなぐり捨てています。受理&執行する裁判所側も頭からつま先まで腐敗しきっています。
さらに極めつけは、今回も法大側の代理人になっている芝昭彦弁護士(芝経営法律事務所)です。元神奈川県警の官僚であり、汚職もみ消しで自主退職した後に弁護士になり、今や法大の顧問弁護士になっているというドラマより出来すぎたこの腐敗構図!
今法大当局は、全法大生の表現活動を圧殺しようとしています。学祭での泥酔者を口実に、「学祭での完全禁酒」を筆頭に大学が提示する7項目を飲まないと「自主法政祭」そのものを開催しないと言ってきているのです。その7項目の中には「(学祭での講演会のチケット販売などの)商業化を抑制すること」という項目もある! 営業権を掲げた法大が、どの口で言っているのでしょう!? その言葉、そのままお前らに返してやる!
3万法大生の総団結と総行動で必ずや今の法大の腐敗した現実と攻撃を打ち砕いてみせます。
法大受験生のみなさん。私たちはみなさんを心から応援しています。ともに未来を担う若者として一緒に行動しよう!
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週刊『前進』(2521号6面2)(2012/01/30 )
星野同志奪還・再審勝利! 2・5徳島へ大結集しよう
怒りのデモで刑務所包囲を
2・5徳島刑務所包囲デモは目前に迫った。 「全国労働組合交流センター」と「星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議」の呼びかけに応え、「徳島に行こう」「今こそ星野さんを取り戻そう」という声が、全国に沸き上がっている。
徳島刑務所包囲デモは第一に、星野文昭同志の奪還を、われとわが手で引き寄せる闘いだ。
70年安保・沖縄闘争を最先頭で闘った星野同志が、デッチあげ無期で37年間も刑務所にとらわれている。こんなことを絶対に許してはならない。われわれは、必ず、星野同志を取り戻す。その決意を、怒りの刑務所包囲デモとしてたたきつけるのだ。
今日、全世界で労働者階級のゼネストや暴動的決起がまき起こり、資本主義打倒の革命的情勢が生み出されている。世界大恐慌はますます深化、激化し、一切の犠牲を労働者人民に押しつけて生き延びようとする帝国主義・ブルジョアジーに対する怒りが燃え上がっている。
星野同志は昨年の星野全国総会に「あと2、3年で出るつもりで闘っている」という決意を送ってきた。世界革命への激動の中で、星野同志を取り戻す闘いを大爆発させよう。
第二に、星野同志に対する獄中弾圧を粉砕する闘いである。
徳島刑務所は、星野同志に許しがたい獄中弾圧を加えている。友人面会禁止にも等しい攻撃、手紙の墨塗りや字数制限、「新聞を読みながら薬を塗った」とか「洗面器を所定の位置に戻さなかった」とかを口実にした懲罰や処分を次々にかけている。その結果、星野同志は1年間「4類」に留め置かれ、面会は1カ月に2回しかできない。
この攻撃は、星野同志の不屈の闘いが、大恐慌下で生きるために立ち上がっている6千万人労働者階級の心をとらえ、階級闘争が前進することに対する恐怖ゆえのものである。獄中弾圧を打ち破る闘いは、星野同志と階級が一つに団結する闘いである。
獄中と獄外との分断を許さず、労働者階級の闘いで、獄中弾圧を粉砕しよう。星野同志を守り、自由な友人面会をかちとろう。
第三に、階級的労働運動の大前進を切り開こう。
大恐慌下の3・11情勢は、労働組合解体、労働運動の一掃として襲いかかった。この攻撃に対して不屈に対決し、動労千葉、動労水戸、国労共闘を先頭とした国鉄決戦を基軸に、労働組合を甦(よみがえ)らせる闘いを貫いてきた。被災地の労働者人民と一体となり、外注化阻止、非正規職撤廃の路線を確立し、青年労働者が階級のリーダーとして躍り出た。
こうした階級的労働運動の前進の中で、全国労組交流センターが、星野同志奪還を労働者階級の正面課題に据えきった。星野同志と家族を守り、獄中から取り戻すために闘うことは、労働者の「義理・人情」「共同性」の基軸をなすものだと根底的に提起している。
星野同志奪還を階級の政治的課題に押し上げ、階級的労働運動の前進を闘いとろう。
第四に、2〜3月闘争の突破口を切り開こう。
新年号路線のもとで、2012年の階級決戦に激しく突入している。破綻し絶望的凶暴化を深める新自由主義と対決し、2〜3月を闘いぬこう。
2・15国鉄集会から2・26青年労働者集会に全力で結集し、3・11反原発福島大闘争の大高揚をかちとろう。
そして、「復帰40年」へ怒りが燃え上がる5月沖縄闘争に決起しよう。星野奪還闘争の飛躍をかけて、辺野古新基地建設阻止を沖縄の労働者階級と一体で闘おう。
2・5徳島刑務所包囲デモに全力あげて立ち上がり、階級的団結の力で星野同志を奪還しよう。
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●徳島刑務所包囲闘争
2月5日(日)正午・徳島駅集合/午後2時・徳島市入田支所前集合(徳島市入田町春日121の1)/午後2時半・刑務所包囲デモ
【主催】全国労働組合交流センター/星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議
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週刊『前進』(2521号6面3)(2012/01/30 )
ビデオ国賠 証拠「紛失」許さぬ
警視庁と高裁を追及
1月17日、東京地裁民事第45部において、星野文昭同志のビデオ国賠第4回裁判が行われた。この国家賠償請求裁判は、星野同志の裁判の「証拠」であるビデオテープを、東京高裁と警視庁公安部が「紛失」したことを、徹底的に弾劾する裁判である。
裁判に先立ち地裁前で、星野暁子さんと支援者は「直ちに再審を開始せよ!」「釈放せよ!」と満身の怒りをこめて訴えた。「2・5徳島刑務所包囲デモへ」と大書されたビラには、労働者人民の喝采が起きた。
1971年11・14沖縄返還協定批准阻止闘争は、集会・デモ禁止を打ち破り、1万2千人の機動隊で制圧された東京・渋谷で闘われた。星野同志の率いるデモ隊は、機動隊の阻止線と遭遇・激突し、これを粉砕して、渋谷で待ち受ける万余の人民との合流を果たしたのである。
この闘いで機動隊員1人がせん滅されたことに対して、国家権力は星野同志を「機動隊殺害」の実行犯だとデッチあげ、無期懲役刑を強いている。だが、星野同志は全く無実である。物的証拠など一切ない。あるのはデッチあげられた「供述調書」だけである。
「紛失」したとされるビデオテープは、11・14沖縄闘争を報道したテレビニュースの録画である。星野同志の部隊が撮影されていた客観的な現場映像である。デッチあげ供述には、必ず客観的事実との矛盾が存在する。弁護団が、これを第2次再審請求審で明らかにしようとしていた矢先に、ビデオテープの「紛失」が明らかにされた。
裁判では、被告の国(東京高裁)及び東京都(警視庁公安部)の代理人が全員下を向き意気消沈している中、藤田城治弁護士が、彼らの卑劣な言い逃れを鋭く批判する「準備書面」を、圧倒的な迫力で読み上げた。東京高裁が、現に争っている再審で「証拠」を「紛失」するとは何事だ。星野同志は、無実であるにもかかわらず、37年間も獄中を強制され、再審を闘っているのだ。「証拠」はすべて無実の証拠だ。それを東京高裁が「紛失」することなど、断じて許されない。しかも、「証拠」であるビデオテープを警視庁公安部に保管を委託し、その結果なくしたというのだ。
警視庁公安部とは、治安弾圧を目的とする捜査機関であり、星野同志をデッチあげた張本人だ。ビデオテープは、いくらでも改ざんできる「証拠」ではないか。さらにビデオテープは小さな箱にすぎず、裁判所で保管できるものだ。
刑事訴訟法にも「運搬または保管に不便な押収物」以外は、裁判所内に保管しなければならないことが明記されている。
弁護士が、警視庁に預けた理由を説明せよと追及しているにもかかわらず、東京高裁は一切明らかにしようとしない。
これは明白に、東京高裁と警視庁による「証拠隠滅」である。悪らつ極まりない「証拠隠滅」を、徹底的に弾劾し、星野同志の再審開始をかちとろう。
今こそ星野同志の解放へ、2・5徳島刑務所包囲デモに決起しよう。次回期日は3月6日(火)、午前10時15分開廷。傍聴に大結集しよう。
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週刊『前進』(2521号6面4)(2012/01/30 )
徳島で星野絵画展
地元に闘いへの共感拡大
1月20日から22日までの3日間、徳島市の駅直近の「ぽっぽ街」という商店街で、星野文昭同志の絵画展を開催した。
今回の絵画展は、2・5徳島刑務所包囲デモに向けての前段の闘いとして、星野同志の獄中からの提起に応えて取り組んだ。徳島星野さんを救う会と星野再審全国事務局が一体で、2・5刑務所包囲デモに向けて大きな展望を作り出した。
空き店舗を借用し絵画展を開催するにあたり、地元救援会の方から大きな看板の提供があったり、前夜遅くまで皆で準備することで見事な絵画展会場をつくりだした。
絵画展が始まると、近所の方が「このくらいのことしかできないけど、吹きさらしで寒くて大変でしょ」と石油ファンヒーターを持ち込んでくれた。また別の方は自分が署名するだけではなく、知人を連れてきたり、「私の姪よ」と高校生を連れて来てくれた。商店街を通りかかった学生や高校生も手にビラを持って訪れ熱心に絵画を鑑賞し、なぜ星野さんは無実なのに37年も獄中に閉じ込められているのかと質問を浴びせてきた。
「新聞で見た。出勤前に見ていきたい。こういう国家の犯罪は許せない」と息せき切って署名し自転車で走り去った労働者、動労千葉の物販に取り組んでいる労働組合員、徳島大学の学生などの参加もあり、大反響であった。
絵画展の入場者は3日間で426人、署名は150筆を超えた。
徳島の救援会の地道な闘いの継続で、徳島では星野同志の闘いへの共感が大きく広がっている。絵画展の成功を、2・5徳島刑務所包囲デモの爆発へと前進させよう。
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週刊『前進』(2521号6面5)(2012/01/30 )
鈴木謙太郎さんを追悼する
大地と共に闘いの人生貫く
三里塚現地闘争本部
1月半ばの寒風の中、鈴木さんの畑でネギの収穫をする。遠くから聞こえるトラクターのエンジン音。「あっ、謙太郎さんかな」。これまでの日常が頭をよぎり、ついそんな風に思ってしまう。
謙太郎さん。どうしてこんなに早く逝ってしまったのか。今、追悼の言葉を書かねばならないこと自体、悔しくて悔しくてたまらない。
「信念を貫いて生涯を全うしたおやじの遺志を引き継いで闘う」。昨年、そう年頭の決意を語ったばかりだった。闘いにおいては、いつも父・幸司さんの陰で目立たない存在だったかもしれない。でも幸司さん存命の折、例えば韓国・民主労総との交流会の中で「家族ぐるみ」と紹介される闘いを鈴木さん一家が貫いてこられたのは、一家の大黒柱として謙太郎さんが家族を支えてきたからにほかならない。
数年前から、とりわけ幸司さん亡きあとは誰からも認められるほどに存在感を増した。昨年の暮れには「2012年は農地取り上げとの決戦だ」と決意を語っていた。本当にこれからだった。誰よりも彼自身が無念だっただろうと思う。
闘う姿勢不動
鈴木謙太郎さんは1954年11月17日、幸司さん、いとさん夫婦の三男一女の長男として菱田の地に生を受けた。1966年の閣議決定の時は11歳。饒舌(じょうぜつ)な人ではなかったから、幼少期や闘争初期のころの話を詳しく伺ったことはないが、少年時代は地域ぐるみの闘いの渦中にあった。
1984年に父・幸司さんが芝山町議になったこともあり、家業の農業を引き継いで農民としての人生をスタートさせ、1985年3月に加代子さんと結婚。それから27年、文字通り夫婦二人三脚で完全無農薬の有機野菜を作り続けてきた。年間50品目以上、消費者との顔の見える信頼関係を大切にして頑張ってきた。ふだんは近くへの買い物も加代子さんと一緒に出かけていたから、家を訪ねても空振り、なんてことも多かった。
前へ前へと出るタイプではなく、「来るなら来い」と決意を語ることの多かった謙太郎さん。鋭い攻防の闘いの中でも、どっしりとして、なおかつ人をなごませる司会ぶりに彼の人柄を感じていた人も多いことだろう。
その一方で、実は闘いの現場や日常の中では、権力への怒りを爆発させることも人一倍だった。東峰神社林を伐採された時や第3誘導路認可との闘いで萩原富夫さんが不当逮捕された時など、あわや逮捕という場面を何度も見ている。古くは成田用水の攻防の中で、いつも真っ先に機動隊に立ち向かっていった。
日々の生活の中でも、私服刑事の卑劣な嫌がらせに対して、加代子さんがハラハラするほど怒りをたたきつけることもしばしばだった。
また、「信念の人」「頑固一徹」と評された幸司さんと比較され、やさしくて人付き合いも良かった彼を見て、地域の中には「おやじはダメでも謙太郎の代になれば移転させられるんじゃないか」とささやくやからもいた。幸司さんが亡くなった時、様々な甘言や圧力があったことは想像に難くない。だが彼は闘う姿勢を何ら崩さなかった。地域が丸ごと買収に応じて移転する中、たった1軒とどまって反対を貫くこと、日夜騒音にさらされる中で闘い続けることは、はたから思う以上の厳しさがある。しかし「あそこで頑張っている市東さんを裏切るわけにはいかない。孝雄さんと一緒に闘うんだ」と、ことあるごとに語っていた。反対同盟の団結、仲間との絆はみじんもゆるがなかった。
菱田廃村化に抗して闘う鈴木さん宅の周囲には1軒の家もない。菱田地域とひと言で言っても、成田用水に賛成し、あるいは空港反対闘争から離脱していった人々ばかりだ。たった1軒で頑張ることは地域の中で孤立する状況なのに、彼は面倒見の良さとみんなをまとめる力で、消防団長を始め、PTAでも地域でもさまざまな役職を引き受けていた。後輩をはじめ、多くの人から信頼され、慕われていた。通夜には闘う仲間ばかりではなく、小・中・高の同級生など400人もの人々が駆けつけた。本当に器の大きい人だった。
農民として生きていることに誇りと喜びをにじませていた。だからこそ成田用水攻撃、菱田廃村化攻撃に怒りを燃やし、全国集会では、農地法改悪に対して、FTA・TPPに対して、何よりも市東さんの農地取り上げに対して農民としてのアピールを発し続けた。
決戦勝利誓う
譲れないものは絶対に譲らないという芯の強さ、そして大地のような懐の深さ、多くの人をひきつける魅力、彼の人柄や生き様は、三里塚46年の闘いそのものとダブって見えてくる。
子煩悩でいつも親子仲良く暮らす中にも、闘いに真摯(しんし)に向き合う姿勢を背中で示し続けていた。昨年の5・20弾圧では、親子3人初めての不当逮捕を経験した。全国集会にも裁判闘争にも親子で参加するようになった。
病院の中で一時意識を取り戻した時、「こんなところで倒れるわけにはいかない。すぐに帰るぞ」と言っていたという。容態が急変してからは痛みや苦しみと闘い、家族の呼びかけに応えて何度も死のふちからの生還を試みる姿がモニターの数値となって現れた。闘いぬいて、しかし力尽きて息を引き取った時の表情は、今にも目を覚ましそうなくらい穏やかだった。今思い返してみると、「あとは頼んだよ」と優しく語りかけていたのかもしれない。
市東さんの農地決戦勝利へ! 誰よりも熱い思いを抱いていた謙太郎さん。あなたの遺志を引き継いで三里塚現闘は闘う。悲しんでばかりはいられない。2012年は野田政権との激しい闘いの年だ。闘いがせきを切り世界を動かす時だ。反対同盟はその最先頭に立つ決意を新年冒頭明らかにしている。三里塚闘争がまさに全国・全世界の闘いと結びつき真価を発揮する時だ。残された家族とともにこの地で闘い、全国の仲間とともに市東さんの農地を守りぬくこと、そして三里塚闘争に勝利することを彼の墓前に誓いたい。闘いの報告に、きっと「おう、そうか」と言ってニッコリ応えてくれるだろう。
謙太郎さん、どうか空の上からいつものように暖かく檄(げき)を飛ばして下さい。
(写真 昨年10・9三里塚集会で全国の農民と共に登壇した鈴木謙太郎さん)
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