ZENSHIN 2012/01/01(No2518 p12)
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週刊『前進』(2518号1面1)(2012/01/01 )
全学連座談会 大学を反原発・革命の砦に
世界の仲間と新自由主義覆す
福島原発事故を引き起こした”原子力ムラ”、その一角である新自由主義大学の腐敗。それと一体の学生自治破壊攻撃に対して、3・11を契機に300万学生の根底的な問いかけと反乱が始まっている。国家ぐるみの弾圧を跳ね返して前進してきた法大闘争を先頭に学生運動の新たな時代を牽引(けんいん)する全学連。執行部の仲間たちに新年の抱負を語ってもらった。(編集局)
(写真左 昨年の3・11東日本大震災以来の闘いの総括から始まり白熱した論議になった)
(写真右 ”政治休戦”をぶち破る号砲を全国に鳴り響かせた3・20渋谷デモの先頭に立った)
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出席者
斎藤郁真 委員長/法政大・法
大森靖之 副委員長/京都大・薬
石田真弓 副委員長/東北大・経
鈴木研也 副委員長/広島大・理
坂野陽平 書記長/上智大・文
洞口朋子 書記次長/法政大・経
松室しをり 国際部/慶応大・文
▽司会=織田陽介 全学連前委員長・東北大
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大震災・政治休戦破ったデモ
司会 3・11東日本大震災直後の被災現地の状況から昨年を振り返りましょう。
石田 地震の直後はそれほど実感はなかったけど、ラジオを聞いて驚いた。よく寮の仲間と行く荒浜海岸に200とか300人の遺体が転がってる、気仙沼は2千人が行方不明、街全体が燃えてるとか。翌々日くらいになんとか東京の全学連の仲間と連絡が取れて、「もう12日に救援部隊が出発したから」と聞きました。あ、スゲーなと思いましたね。
自分の住む日就寮の団結は大きかった。みな冷蔵庫のものを出し合って、安否確認とかどこの店が開いてるとか情報を集めて、寮生で割り振って買い出しをやったり。当時、後期入試で東北大の受験生がホテルに入れなくなって、寮に来て地元に帰れるまで一緒に生きぬいたり。この受験生は帰ってから愛媛新聞に取材されて、「学生の力に驚いた」という見出しの記事が出たんです。学生にはそういう力があると。
――ビラをまくどころではなく、生きるための闘いだった。
石田 とにかく生き抜くところから始めて、4月15日に「原発反対」を掲げて仙台でデモをやるところまでいった。東北電力への抗議も含めてね。たぶん被災地では一番早い行動だったと思う。そうやって口火を切れたのは全国から支援があったからだと思います。
――福島第一原発が爆発した時の状況は?
石田 理系の寮生がラジオを聞いてて「日本も終わったな」と。雨が降ったら水くみに行けなくなるとかの恐怖もあった。寮は吹きさらしだからどっからでも放射能が入ってくるよとか、窓にテープ張って防ごうとか。でも、福島では物資配給の行列に並ばないと生きられない。すごいストレスと放射能に対する無力感。「闘いを始めないと団結も破壊されていく」と思いました。
大森 そんな状況で、新入寮生5人くらいと一緒に大学当局に申し入れしたんでしょ。当局の入寮妨害文書に抗議して、「おれたちと生きたいと思っているのになんで分断するのか」と。「すごいなー」と思いました。
石田 震災後の避難で住宅問題が深刻となっている中で、4月にうちの寮生に出て行けという攻撃がきました。以前に自治会執行部をやっていた研究生ですが、「非正規の学生だから寮に住む資格がない」と。これと一体で、「日就寮は学生運動を強制する寮だ」という入寮妨害文書が新入生全員にまかれました。この震災下で学生自治をつぶすことに全力ですよ。震災と原発事故に対する大学の対応がこれかと。本当に許せない。闘いにしなければと思いました。
自衛隊・警察は救援ではなく治安維持
――そういう中で、首都圏では「被災地と連帯して政治休戦ぶっとばせ」という闘いが進んだわけです。
斎藤 「いま闘争をやるのは間違ってる」みたいな空気が流される中で、3・11の翌日から街宣に出るのかどうかの議論がありました。この時、法大の倉岡雅美さんへの処分も迫っていました。被災地に救援隊を送っておいて、「デモをやらなかったら被災地と連帯できない」と話し合いました。それで3月14日に法大デモを敢行しました。公安警察は必死で妨害してきたけど、本気でやれば結構いけると吹っ切れた。
その時、政府は救援よりも治安維持。自衛隊は高速道路を封鎖して民間の救援物資を止めていた。この中で、法大の処分や東北大の寮生の追い出しをやめろと訴えて闘争をぶち抜けたのはすごかったと思います。
――行政は「集会のたぐいは中止しろ」と宣伝していた。
斎藤 「ふざけんな」っていう気持ちで、3月17日の「すべての原発止めろ!緊急行動」と3月20日の「被災地支援・反原発・イラク反戦8周年」の渋谷デモをぶちぬきました。それからさまざまな団体の原発反対デモも始まり、3・31東電本社デモで私と坂野書記長、織田さんの3人がパクられて、逮捕された時の動画に数万件のアクセスがあった。そして4月10日に高円寺で1万5千人の若者がデモに集まった。未曽有の事態を前に自分たちのあり方が問われた3月でした。
坂野 その後、浜岡原発が停止に追い込まれた5月頃から新たな情勢に入りました。大衆運動に情勢が規定される。行動で社会が変わる。5月7日の渋谷デモは良かった。シュプレヒコールのやり方も変わった。新しいあり方への変革や飛躍が問われました。
――”生き抜くための団結”で人びとの意識が大きく変わり行動を始める過程ですね。7月8日の東北大集会では「原発と大学」というテーマが焦点になった。
石田 3・11以降、大学と教育のあり方が完全に社会の焦点になった。長崎大学教授の山下俊一の言動が社会的な怒りを呼んで「御用学者リスト」が出てきたり。そういう中で、僕らが学生としてどう大学の現実に立ち向かうのかと。それに対する回答として、7・8東北大集会で「反原発×大学奪還」を掲げたわけです。
大森 阿部宗悦さんも来てくださった。
石田 阿部さんは3・11以前から何十年も女川原発反対同盟として闘ってこられた人です。「学生とこれからどういう反原発運動をつくるか、真剣に議論したい」と言ってくださった。もともと東北大の学生自治会は、原発反対運動がひとつの柱だったんです。
福島との連帯から広島で反原発闘争
坂野 福島との連帯が具体的に始まり、8・15集会に来てくだっさった佐藤幸子さん(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク世話人)の訴えに心を揺さぶられました。佐藤さんの発言を聞き、僕も用意していた発言の原稿を変えました。この福島の人たちの思いに応えたいと。それから反戦被爆者の会の下田礼子さんが婦民新聞に「3度目の原爆投下」だというメッセージを出されました。原発と放射能は帝国主義の問題だと、あらためて自覚させられました。
鈴木 8・6ヒロシマは、原爆ドームの前に陣取って若い人を中心に原発反対の世界大会をやろうと訴えました。「核と人類は相いれない」と、存在をかけて訴えてきた被爆者の思いを本当に受け継ごうとの思いです。
斎藤 多くの人が原発に関心が薄かったことを反省しているにもかかわらず、原子力ムラの一角としての大学は変わらない。でも、佐藤幸子さんが僕たちを見て「闘う学生がいたんだ」と言ってくださった。ここで結合した。9月の全学連大会で「フクシマの怒りと連帯する」と宣言し、10月21日に福島大学のキャンパスで集会を実現した。そこに福島大生がたくさん合流した。10月28日には、福島大生とともに文科省に申し入れ行動をやりました。対応した文科省の役人は、福島大学の放射能汚染の現実に責任を取る気すらなかった。あの場で怒った学生の方が責任感が強い。大学を変えるのは学生なのだと証明しました。
――そういう闘いを経て9・19明治公園の6万人決起と11・6労働者集会に進みました。
斎藤 9・19反原発の6万人集会。多数者の労働者が立ち上がった瞬間、なんでもできると感じました。連合指導部の思惑なんかはるかに超える労働組合の底力をかいま見ました。
洞口 「労働組合をよみがえらせよう」という闘いのイメージがわいた。
大森 私たちにはまだまだ底力があるはず。連合だけで650万人も組織している。指導部の問題ですが、「闘いたいがどうすればいいのか」という思いも含めて6万人集まった。一方で課題も見えてきました。それで、みんな11・6労働者集会に挑んだ。「この6万人の結集をどうやって本当の力にするのか」と。
松室 9・19の会場で知り合った学生が「街頭でこんなに盛り上がっているのに、1回大学の門をくぐれば原発のことなんか一言も言えない。大学って何だ」と。8月に訪問したドイツでも「原発を社会のシステムの問題としてとらえ、それを変えていく全学連の闘いが新鮮だ」と言ってくれました。「原発反対のデモに行ったら単位を出さない」なんて平気で言う大学のあり方が、日本に原発を54基も造り出してきた。こういう社会全体を覆す闘いです。
反原発で学生自治会復権を
――11・6労働者集会まで上りつめることで見えてきた課題を突破する闘いもさまざまな現場で始まっている。
(写真 9・19明治公園の6万人の熱気の中で注目された全学連とNAZEN隊列)
何のための大学か 自分で考え行動へ
大森 動労水戸が被曝労働を絶対阻止するとストライキに立ち上がった。自分の業務だけでなくて、所属している職場、地域、仲間の全体に責任を取る立場で闘うと。京大でもそういう闘いを始めたんですよ!
一同 何を何を?
大森 今の京都大学のあり方そのものを問い、行動をぶつけてやろうじゃないかと仲間たちと話し合いました。それで、11月10日に反原発団交をやりました。これすごいんですよ。(拍手)
島田義也(放射線医学総合研究所)という御用学者の原発推進講演会を京大原子炉実験所でやるというので抗議しに行ったら、大学側が警察権力を導入して僕たちを排除したんです。その直後から団交を申し入れて、さんざん抵抗されましたが実現しました。
この団交でわかった大事なことは、大学側が原発と低線量被曝が危ないというデータを知っていたことです。危険を知りながら、大学としてはICRP(国際放射線防護委員会)の「年間100_シーベルトまでなら安全」という説を採るというわけです。
僕らは「科学の名をかたって人を殺すな」と追及しました。「原発問題を主体的に考えて福島とつながろうという学生を排除するとはどういうことなのか」と厳しく追及したんです。大学当局は謝罪する以外になくなった。原子炉実験所所長の謝罪文が、京大の学生新聞に載っています。
――大学闘争、自治会運動の核心にふれるテーマですね。団交勝利の地平から何を考えますか。
大森 大学は講演会に参加した市民や学生のことを「お客さん」としか見ない。社会を変える主体だとは絶対に見ない。僕らはそうじゃない。一緒に運動したい。それで”大学奪還学生行動”という団体を立ち上げて、多くの大学の仲間とやっています。これからの時代は個人主義ではだめ。動労千葉の方も言ってました。「何のための運動か、何のための自治会か、何のための労働組合か、誰のための……と考えなければならない」と。
洞口 京大の反原発団交の勝利は、キャンパスから反原発の闘いを切り開いたパイオニアだと思います。法大では反原発のビラもまかせないとか、ひとたび声をあげればいろんな重圧と抑圧があって。でもこうやって闘えると。学生自治会をつくることが重要だとあらためて感じました。
大森 大学側の攻撃が見えにくい構造もある。ビラをまかせないのが当然という空気を流す。自治会はそういうものを突き破るもんだと思います。「絶対反対」には明確な理由がある。大学が嫌いなのではなく、大学側が無責任だからなんです。世の中が放射能まみれになっている時に「学生は黙って従う存在なんだ」と大学は見る。これは絶対違うだろう。僕たちは自分の頭で考えて行動する存在だ。それが大学奪還学生行動の求心力になっています。
洞口 大学側がつくった組織はいっぱいある。でも、そうじゃなくて学生としての利害を自分の力で組織しているのがすごいと思った。自分たちの力で突き破る。
大森 どんな職業についても、たとえば何のために自分は医療活動しているのか、社会構造を考えないと絶対におかしくなる。抽象的に「国民のため」とかいうのでもなく、社会の”99%”の労働者民衆の側に立って何をやるかと考える”資本主義の墓掘り人”の立場です。
斎藤 京大みたいな闘いが全国の大学で次々と始まれば、原発建設や再稼働なんてとうてい不可能になるし社会は変わる。そういう学生自治会建設の可能性を見せてくれたと思います。
被災地・福島大学からの決起
石田 東北大で2011年度の自治会執行部の選挙(12月9日開票)があり、「原発再稼働絶対反対」を訴える「たかせ統一候補」が勝利しました。投票総数が1124票で信任が732票。65%超の信任率です。732人が「原発再稼働に絶対反対」という意思表示をした。うちは全学自治会があって、サークルにも寮にも自治会があるんですが、京大とも違って全部非公認なんです。2000年代から小泉構造改革と国立大法人化で学生自治破壊が本格化する中で、学生の力に依拠して自治会運動を守り抜いてきました。
――新執行部の仲間たちの感想はどうでしょうか。
石田 「学生自治会に出会って団結と行動の楽しさを知った」と。大学は政治や世の中のことを話し合う場だと期待して入学してきたけど、自治会運動の中にしかそういう場はなかったと。それから「学生自治会は”闘ってくれる人たち”ではなくて、自分たちが闘うきっかけをつくる組織なんだ」と言ってました。それはすごく重要だと思う。
選挙をとおして、自治会運動が学生の主体を取り戻す価値創造的な行為だと感じました。社会の一員としての主体性です。福島大生が選挙の応援に来て、自分の言いたいことを言える状況を東北大が守りぬいてきたことに「ありがとう」と演説していた。そう言われて元気が出ましたね。
坂野 僕も選挙応援で学ばせてもらいました。「非公認」という当局の宣伝を跳ね返して学生たちがどんどん自主的に投票する。授業とかぶされば昼休みの生協前で投票する。投票行動で自分の意思志を表現していた。学生自治会は大学側にとっては非公認だけど、学生の側にとっては公的な自治権力になっている。すごいです。
――反動教官に抗議してわざわざ投票に来る学生もいたとか。
石田 授業だから帰れ、みたいな教官のいる前で、クラスの中から「選管がんばれ」と声があがったり、演説に拍手があがりました。今年の投票総数は去年の約2倍です。法大闘争での激突をはじめ大変な時期もあったけど、2011年から反転攻勢に入ったと言える。学生たちは、僕らの闘いや大学の現実をずって見てくれていた。だから投票してくれた。
(写真 「反原発!大学奪還!」で実現した7・8東北大集会)
科学の名において人を殺す学問とは
鈴木 広大でも京大の闘いに触発され、あの山下俊一とともに福島県立医大の副学長になった神谷研二(広島大学原爆放射線医科学研究所)などの御用学者追放の運動をつくろうと。広大の気概です。HICARE(放射線被曝者医療国際協力推進協議会)という原爆被爆の研究機関を広島市が後援していて、これがIAEA(国際原子力機関)や神谷とシンポジウムを11月23日に開いて、それへの弾劾行動をやりました。放射線医学の「権威」と言われる広大の現実を告発しました。
斎藤 「学問」の名をかたった無責任ですね。「知識と権威とは何か」「何のための学問なのか」が彼らにはないんだ。
鈴木 彼らは福島に放射線医学県民健康管理センターと称するものを建てて、全県民を研究用のモルモットにしようとしている。これから放射能の被害が出ることはわかっていて研究の材料にする。
――避難させないために「安全」って言う。政治的立場から学問の中身がつくられている。
鈴木 いまの浅原学長は、米軍が原爆の影響調査で作ったABCCの後継組織である放射線影響研究所の、広島地元連絡協の会長をやっている。データは全部採って被害状況も知っている。で、「人体への影響はわからない」と言って隠す。まさに「科学」の名において人を殺している。1千億円かけて福島に「健康管理センター」を建てるというけど、なんでそのカネで避難させないの? やってることが理不尽でひどすぎる。
坂野 福島大の副学長の清水修二は、以前は脱原発論者だと社会的には認知されていた。しかし実は、彼は数年前から寮自治破壊の先頭に立った。10・21福島大集会の時も、キャンパス集会を禁止して福島大生を参加させないようにした。腐敗ですね。原発や放射能汚染の現実に非和解で対決すると体制の変革が問題になるから根本的なところで反対できない。
大森 京大の原子炉実験所の教授も、目の前の低線量被曝や被曝労働問題には絶対にふれない。ふれると体制問題になる。原発での労災認定基準もデータも知っているのにICRPの安全説を採る。
松室 ICRPの基準には「経済的観点」とか「合理的に見て」という言葉が含まれている。佐藤幸子さんが言うように、人の命とおカネを天秤(てんびん)にかけておカネを選んだ時点で、福島の人の怒りを押しつぶす、子どもの未来を奪うということが起こる。そういう社会の構造との対決にキャンパスも福島も入っている。
鈴木 京大に触発されて、僕らも大学に申し入れをやりました。神谷教授と三菱重工会長の佃和夫(広島大経営協議会)を辞めさせろと。広大として原発反対の意思を示せ、団交に応じろと。学生課から「言葉遣いが悪いから回答できません」という電話がかかってきた。
大森 絶対に私たちが向こうの恫喝に屈しないことですね。こんな一大事の時に、おまえら何を話してるんだと。こちらの主体的な強い意思表示が必要です。
法大闘争に注目していた福島の学生
――恒常的に放射能汚染の現実の中にある福島大学の状況は?
坂野 キャンパスには、チェルノブイリでの「強制移住地域」基準を超えるホットスポットがいくつもある。その現実の中で「放射能はないものだと考えないと学校に来れない」という人もいます。
大森 本来責任取るべき政府とか国家とか大学などの無責任さへの深い怒りと憤りを、福島大生の話を聞いて感じます。
――放射能問題によって、人間関係が破壊されていく。そういう中で10・21に福島大の学生が立ち上がった。
坂野 決起した彼はネットで法大文化連盟の闘いをずっと見ていたそうです。大学や国家に学生がもの申す。「今の時代にこういう運動があるんだ」「だけどこれは自分の将来にかかわることだ」と考えてきた。6・19福島現地デモ以来、福島大当局はすごい監視と弾圧態勢をしいた。絶対に学生に行動させないと。その中で10・21闘争があり、「これだ!」と思ったと。全学連と結合して人生かけて、ともに闘うんだと。福島大で声をあげることは、そういう次元の決断なんです。
大学内では、私たちの置きビラにびっしり書き込みがしてあった。「原発をなくしたらエネルギーを本当にどうすればいいか」とか。ビラはよく読まれています。新自由主義大学の団結破壊の中でも学生は真剣に考えている。
斎藤 首都圏の大学でシール投票をやったら7割が原発反対だった。みな真剣に考えている。ある芸術大学系の寮は、民営化されて寮費は4倍、完全個室制になった。大学側はここまで団結破壊にこだわる。学内で火も使っちゃいけないとか法政の飲酒規制とか。
――あらためて法大で闘ってきたことが重要だと思います。
斎藤 ”仲間のために”闘ってきた。次々とデモで逮捕されて停学とか退学とか。それでも「一人の仲間も見捨てない。大学のこれ以上の暴挙は許さない」というスローガンで闘った。そのためなら逮捕・起訴されても闘うと。全学連が法大闘争にこだわり、その地平を福島に拡大する中で、キャンパスから原発を止めて大学のあり方を変えようという闘いが各地で生まれている。
洞口 06年の3・14弾圧(構内に入っただけで29人の学生を逮捕)から、1枚のビラや立て看板が出せるかどうかという攻防が始まって、文化連盟と全学連の一蓮托生の団結をつくってきた。「一大学だけの問題ではない」と全国の学生が応援に来てくれた。人生をかけて、逮捕されても血を流しても立ち向かった。大学と国は、法大から闘う学生を出さないために総力をあげた。しかし今年、1年生が立ち上がったんです。この法大闘争の地平を全国で引き継いで闘いが爆発している。
坂野 法大闘争のすごさは、新自由主義大学と闘う路線を明確にしたことです。特に「教育の民営化」との闘い。それを「仲間を守る」というスローガンで大衆的に表現した。それがまたすごい。10・28法大と文科省行動をつなげたのも、新自由主義攻撃の全体を対象化してきたからです。
(写真 6・19フクシマ大行動のデモ。被災地との連帯と福島大での闘いの突破口を開いた)
団結し2012年の決戦へ
――新自由主義との対決。これがすべての闘いを貫く核心です。原発を含めて世界を変えていく闘いとして、国際連帯を全学連運動の重要な柱にすえた。そして8月にドイツにも行きました。
松室 ドイツのゴアレーベンの人たちとの交流は一番印象的でした。”ドイツの三里塚闘争”というべき闘いで37年間も続いています。核廃棄物の最終処分場建設を止めるために闘ってきた。今年は特にフランスの鉄道労働者が「乗客・運転士の完全を守れ」と呼びかけて大闘争になった。感動したのは、「すべての原発いますぐなくそう」のスローガンが、ドイツの一番激しい闘いの現場のスローガンと同じだったことです。彼らは地域にコミューンをつくる闘いもやっていて、今年はついにメルケル政権の原発政策を覆して、「22年までに全原発の廃炉」を約束させるすごい闘いもやった。
石田 国際連帯で、海外の仲間が動労千葉の闘いをすごく評価してくれて、僕たち自身が自分の闘いの地平を再認識した。「教育の民営化反対」の闘いも国際的に共通のスローガンです。
――東西ドイツの分割で、米ソが軍事境界線をはさんで核兵器でにらみ合う歴史があった。この中から生まれた反核闘争は世界を変えようという思想が根底にある。
マルクス主義の真価が問われる年
――2012年をどう闘うかが問われていると思います。
坂野 帝国主義の政治危機が、被災地の「特区」攻撃という形で噴き出している。福島県議選でも中途半端な潮流はすべて通用しなかった。本当にマルクス主義と階級的労働運動の真価が問われてくる。キャンパスでも同じです。
斎藤 革命以外に決着がつかない情勢だからね。一方で、大衆的な怒りと僕たちが結びつききらないところで、大阪市長の橋下みたいなやつが出てくる。これをのりこえるのは、やはり動労千葉のような闘いだし階級的労働運動。学生でいえば法大闘争です。
――大恐慌や世界情勢との関係で、僕らの闘いをどう位置づけるかも重大です。
大森 私たちがどういう世界に生きているのか。時代をめぐる認識は大事だと思いますね。過剰資本・過剰生産力という。物を作りすぎて売れない。全産業が行き詰まって国家もつぶれる。12年は「国家を救うためにみんな命をささげろ」という年になりますよ。帝国主義・資本主義が本当に行き詰まっている。これに真っ向から立ち向かわないと、橋下みたいなファシストもどきが跋扈(ばっこ)するんです。
斎藤 あらゆる問題が噴き出す年になると思う。TPP(環太平洋経済連携協定)や沖縄、増税、改憲……。TPPをめぐる闘いでは、日本には世界に誇る農民の闘いがある。国家の農地強奪と正面から実力で闘って、46年間勝利し続けている三里塚闘争はすごい。この地平がものをいう時代だ。
大森 三里塚に行ってすごいと思ったのは、空港反対同盟の萩原進さんや現地の農家の方たちが時代の問題から語り始めること。これだと思った。原発問題があって「これは国家の危機だ」と。それで「三里塚は国家と対決してきた。原発反対の人たちと結びつく」と。今年は三里塚のような闘いを無数に生みだすと思う。
石田 反転攻勢の年ですね。すごいのは「街頭でデモをやる」ことが普通になったこと。「学生運動イコール過激派」なんて古くさい宣伝はもう通用しない。商業新聞も、アメリカの金融街を占拠したオキュパイ(占拠)運動を取り上げざるをえない。支配階級の側がすごい危機。学生や労働者の力をひとつにできる情勢です。
坂野 3・11福島県民集会(郡山)を軸に、4月下旬の原発全停止が一大焦点になる。再稼働をめぐってのすごい激突ですよ。
次の社会に責任をとる法大闘争を!
――最後に、特に強調したいことはありますか。
大森 政治権力をめざし、学生自治会や労働組合権力をよみがえらせる。ここをめざさなければ、運動自体が空中分解してしまうほどの激動です。連合が、9・19原発反対集会が6万人で盛り上がった直後に再稼働を容認するみたいな。こういう絶望を引き出す裏切りを絶対やらせない闘いが必要です。「再稼働要求声明」を出した関経連には京大も入っている。関西電力の大飯原発再稼働阻止は一大焦点です。「大学奪還行動」の旗を持って登場します。京大で一花咲かせます。
斎藤 法大も負けません。4月は法大で全国集会を行います。
坂野 福島大も負けないです。
斎藤 次の社会に誰が責任を取るのかということが、全社会で問われる時代だ。法大闘争の爆発で本気を示そうと思います。
鈴木 本当に”生きるための闘い”ですね。学生が原子力ムラを解体していく闘い。学生が学問を奪還していく。本当に治療する医学とか、原発を廃炉にする物理科学とか。真に人間的な学問を追求している分野の人たちとも連帯する。広大では12年は、御用学者の追放を突破口に闘いたい。
石田 闘いの中で世界とつながって自分たちの世界観を作り出す。学生運動の醍醐味(だいごみ)ですね。政府も大学も無責任。僕たちが責任を取ろうという気概が大事。大恐慌で今までの価値観は全部崩れている。「いい大学に行けばいい就職」「大学行けば自由な学問ができる」とか。福島で生きてるだけで命が削られようとしている。僕ら若い世代が問われていますよ。「絶対反対」はネガティブな闘いではない。この闘いに次の社会がはらまれている。だから、今の大学や御用教授の存在を否定する。この中に真実があり、学問もある。こういう思想を生み出したことがすごい。
松室 カリフォルニア大バークレー校では、11月に4千人の学生が立ちあがって大学を占拠し奪還する闘いを始めています。全世界で、同じ思いの闘いをやっていることを力にしていきたい。
大森 新自由主義大学に絶望するのではなく、「大学を革命の砦(とりで)に!」。これが法大闘争の地平だし京大でもやろうと。今年は大学奪還学生行動2周年で、7月に原発反対、学生自治会建設、松本総長体制打倒の大闘争をやります。壮大な展望をもって。
石田 9・19の6万人を本当に力のある10万人、100万人にしていくことが僕たちの課題です。それが国際連帯の力にもなる。
洞口 TPPもそうですけど、「国益」イデオロギーとの大激突になると思う。3月11日の福島県民集会に学生1千人を登場させて4月法大、5月沖縄の復帰40周年・辺野古新基地建設阻止の大闘争へ攻め上っていく。特に、4月の法大キャンパス集会を全国の学生の力で爆発させます。
大森 本気で闘うことです。それぞれの職場で、キャンパスで支配をひっくり返していく。権力構造をひっくり返していく。こうやれば闘えるんだと勇気づけあうことだと思う。みなさん京大に勇気づけられましたか?(笑)
斎藤 新自由主義大学を運営するやつらは、「学生という原材料を加工して企業に売る」なんて言ってきた。団結を壊された学生を企業に送り込んで労働運動もつぶすという。しかし限界を超えた。大恐慌、原発事故とTPP。支配階級の危機は極限にきている。
300万学生の怒りはぎりぎりのところにきています。2012年はそれが噴き出す年です。この怒りと、おれたちが積み重ねてきた運動がひとつになればとんでもない闘いが始まる。ブルジョアジーの支配を根底から覆す。わくわくする時代です。アメリカで始まったオキュパイ運動を日本の大学でもやろう。全学連こそが運動の先頭に立ってやっていこう! 頑張ろう!(拍手)
(写真 法大10・28闘争。門前で「福島大の学生と連帯」を訴えた)
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週刊『前進』(2518号1面2)(2012/01/01 )
新年特別号目次
国鉄決戦と反原発・反失業でプロレタリア革命を切り開け 革共同政治局の2012年1・1アピール 9〜12面
高山俊吉弁護士の新年メッセージ 3面
三里塚は市東さんの農地守る決戦の年 4面
東日本大震災現地救援対策本部のアピール、NAZEN織田陽介事務局長の訴え 5面
青年労働者座談会 職場で勝負して労組拠点を作る 6、7面
新自由主義と闘う国際連帯、星野文昭同志の新年メッセージ 8面
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おことわり
本紙は本号を新年特別号(12n)として1月1日付で発行し、1月2日号、9日号は休刊とします。次号は1月16日に発行します。
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週刊『前進』(2518号1面3)(2012/01/01 )
日程 1・15革共同中四国政治集会
労働組合とマルクス主義を復権し人類史わかつ2012年階級決戦へ
1・15革共同中四国政治集会
2012年1月15日(日)正午開会(11時半開場)
広島市東区民文化センター1Fスタジオ1(広島市東区東蟹屋町10-31)
基調報告 秋月丈志
決意表明 マル青労同/マル学同中核派
主催/革命的共産主義者同盟中国四国地方委員会
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週刊『前進』(2518号1面4)(2012/01/01 )
前進速報版から
▼群馬県桐生市で「原発なくてもエエジャナイカ大行進」200人がサウンドデモ▼中国・烏坎(ウーカン)村の闘い、周辺に拡大
◎休刊中の最新ニュースは『前進』速報版に随時掲載します。
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週刊『前進』(2518号3面1)(2012/01/01 )
憲法と人権の日弁連をめざす会代表 高山俊吉弁護士の新年メッセージ
「司法改革」は全面破綻した 新しい年を新しい時代に!
原発推進の手先としての裁判所=司法権力の正体と裁判員制度の破綻が誰の目にも明らかとなりつつある。憲法と人権の日弁連をめざす会代表として、反原発闘争や改憲阻止の闘いの先頭に立つ高山俊吉弁護士から新年メッセージをいただいた。(編集局)
権威の虚飾はぎ取った原発事故
あらゆる社会事象にまとわりついていた「物事を見えにくくする偽装の外皮」が3・11できっぱりと取り払われ、抜き差しならない社会矛盾が私たちの眼前に生身のままでさらされる時代に突入しました。米『タイム』誌の表紙に「アラブの春からアテネまで/ウォール街占拠からモスクワまで」と書かれ、「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に“ザ・プロテスター(抵抗者)”が選ばれたのは、この時代の特徴を端的に示しています。
時代を象徴するのは言うまでもなく東京電力福島第一原発の事故です。権威の虚飾が隅々まではぎ取られ、原発をめぐる虚偽が万人の目に明らかになりました。電力会社を先頭とする巨大資本も、政府・経産省も、原発に群がる学者たちも、連合を先頭とする御用労働組合も、発表情報をたれ流すマスコミも、「みんなウソだった」。今や、どのようにもっともらしい説明を繰り出しても、疑惑のまなざしでしか見られない状況に立ちいたっています。
野田首相が発した「原発安全宣言」(昨年12月16日)は、圧力容器や格納容器の中の状態さえわからず、注水態勢や汚染水処理なども文字どおり応急措置でしかないのに、強引に演じられたペテン三文芝居でした。自身とその家族の生命・健康への不安でいっぱいの被災地住民をはじめとして、この国に住むどういう人びとがこの説明に納得したでしょうか。
私は、法曹のひとりとして、原発に対する司法部とりわけ最高裁のでたらめを糾弾します。
最高裁は、四国電力伊方原発一号機の設置許可の取り消しを求めた住民の請求を棄却し(92年10月)、以来この国の司法は原発を容認する立場に立ちました。最高裁判所を頂点とする司法部もまた原子力村のれっきとした住人です。
司法の原発責任を真剣に問わない日弁連に対し、心ある弁護士はこれを許さない行動に立ち上がっています。再稼働阻止を掲げた反原発臨時総会請求運動(呼びかけ人代表・森川文人弁護士)がそれであり、その森川代表を擁立しての日弁連会長選挙(今年2月10日実施)がそれです。
84%が「裁判員やりたくない」
もう一つの時代の象徴は裁判員制度です。
この国の司法の「正統性」を国民にたたき込む「司法教練」が始まって2年半、「現代の赤紙」が送られるかも知れないと予告された国民の数は累計130万人ほどに達しました。最高裁は80人に1人の有権者に候補者名簿登録を通知したことになります。
制度実施半年後、09年12月の天皇誕生日に、天皇は「期待を込めて裁判員制度を見守る」という感想文を発表しました。政治的発言をしてはならない天皇の異例の超政治的な発言は、不振のどん底でのたうつ制度の起死回生策として天皇を利用した政府・最高裁の危機感を露骨に示すものでした。しかし約1カ月後、最高裁が実施したアンケート調査では、回答者の84%が裁判員裁判をやりたくないと答えたのでした。天皇利用策は制度に対する人びとの根底的な怒りを鮮明に描き出しました。国の制度がここまで国民の反発を受け、立ち往生した例を私はほかに知りません。
3・11の2週間後に、最高裁は、大震災・大津波・原発事故の被災地でもただちに裁判を開始すると宣言し、被災者たちの反発が裁判所内に異論を引き起こすきっかけになったことはご承知のとおりです。11月16日の最高裁の裁判員制度合憲判決は、自分の行動を自分が承認する「究極の八百長」と評され、すでにがたがたになっていた最高裁の信用はこれにより立ち直り不能の状態に追い込まれました。
(写真 「裁判員制度はいらない!」11・11最高裁デモ)
制度廃止を求め5・21決起集会
新自由主義司法政策は、弁護士激増政策とロースクール政策によって技術優位・人権思想希薄の弁護士を育成することと、裁判員制度による国民の司法動員を2本柱にして進められてきました。しかし、今や弁護士を志望する者の2割以上が登録さえできない状態に陥っています。司法改革の全面的破綻です。反司法改革のとりくみは、新自由主義攻撃に立ち向かう労働者を中心としたまさに全国民的な闘いになりました。
国民の一人ひとりに「この国を支えているのは自分だ」という意識を植えつけるのは実質的な改憲策動であり、これに対決する行動は改憲阻止の闘いです。昨秋11・6全国労働者総決起集会の壇上を埋め、11・11最高裁デモを貫徹した「裁判員制度はいらない!大運動」は、今年5月21日には東京・日比谷公会堂で制度廃止要求の決起集会を開催します。この運動の呼びかけ人の一人として、本紙読者のみなさんが各地で反裁判員の取り組みをいっそう強められ、一人でも多くこの集会にご参加下さるよう呼びかけます。
新しい時代は人の決意と営為によってはじめて可能になります。新しい年を新しい時代に!
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週刊『前進』(2518号3面2)(2012/01/01 )
動労千葉 千葉転も指名ストへ
庁舎前で意気高く突入集会
新運輸区開設は5月に延期
動労千葉は、JR東日本による銚子運転区廃止―佐倉・銚子運輸区新設に反対し、強制配転のための線見訓練を拒否する指名ストライキを継続している。12月20日からは千葉運転区支部組合員も指名ストに突入した。
19日には千葉運転区支部が、運転区庁舎前でスト突入集会を開催した。指名ストに突入する8人の支部組合員を先頭に、他支部の仲間も多数結集して新たな闘いへの突入を意気高く宣言した。
あいさつに立った大野茂支部長は「会社は今にいたるも新運輸区の要員数すら示していない。こんな中で、ただただ『訓練をやれ』なんてことが許せますか! 会社は、次のダイヤ改定は3月17日に行うが、新運輸区開設は5月に延期すると提案してきた。まともに会社を運営する能力もないということだ。強制配転なんか絶対に許さない。組織破壊を許さない。千葉運転区支部は徹底抗戦で闘い抜く」と闘争宣言を発した。さらに「この攻撃はローカル線の切り捨てでもある。銚子支部とともに動労千葉の最先頭で闘う」と述べた。支部乗務員分科会の代表も「強制配転に反対し一致団結して闘う」と決意を示した。
本部を代表してあいさつした田中康宏委員長は「明日から新たな闘いが始まる。すでに、この攻撃は破綻を始めている。会社がいったん提案した第一級の施策がまともに実施できないなんて前代未聞だ。理由は『震災で新庁舎建設工事が遅れている』なんて言っているが、こんなものはうそっぱちだ」と述べた。加えて「会社は京葉車両センターでの構内運転業務一部外注化についても『近々、訓練を始めたい』と言って、いよいよ外注化を強行する構えを見せている。来年4月には検修業務の全面外注化を狙っている。こんなことは絶対に許さない。基地再編と外注化に反対し、年末年始を返上して闘う決意だ」と述べた。
庁舎門前に指名ストに突入する8人の組合員が勢ぞろいし「明日、自分が一番手としてストに入る」「本人の希望も聞かず転勤を前提とした訓練をやらせるなんて許せない」と次々と決意表明を行った。
続いて銚子支部の渡辺靖正支部長が「11月に12人、12月に17人が指名ストを貫徹した。われわれは負けるわけにいかない。動労千葉の威信をかけて闘う」と述べ、幕張支部、木更津支部、千葉機関区支部、動労千葉を支援する会の代表が連帯あいさつ。「ライフサイクル」で千葉駅に強制配転されている北嶋琢磨青年部長は「どれだけ人をあっちこっちへと配転するつもりなのか。どんだけ無駄な金を使ってんだよ。そんな金があるなら駅輸送職をきちんと養成して、おれを運転職場に戻せ!」と庁舎前に並ぶ管理者に怒りをたたきつけ「ストに入るみなさん、頑張って下さい!」と元気にエールを送った。最後に全員でシュプレヒコールを行い決起集会を締めくくった。
(写真 「運転基地再編、強制配転を許さないぞ!」。千葉運転区庁舎前でシュプレヒコール【12月19日】)
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週刊『前進』(2518号3面3)(2012/01/01 )
動労水戸定期大会 “さらに青年組織する”
11年の勝利の自信にあふれ
動労水戸は12月17日、水戸市内で第30回定期大会を開いた。野田政権が原発事故の「収束」を宣言し、JR東日本が常磐線の原ノ町−相馬間の営業運転再開を打ち出す緊迫した情勢の中で開かれた大会で、動労水戸はさらなる組織拡大を軸とする2012年の運動方針を確立した。
2011年、動労水戸はJR東日本による被曝労働の強制と闘い、青年労働者の組合加入をかちとる巨大な勝利を切り開いてきた。大会に結集した組合員は皆、この地平への自信に満ちあふれていた。
冒頭、石井真一委員長があいさつに立ち、「23歳の青年が動労水戸に加入したことで汚染車両の検修を止めた。彼の決起を勝田車両センターの組合員が一丸となって支えた。彼に続く青年を組織する闘いを全職場で展開しよう」と訴えた。
さらにJRが常磐線の原ノ町−相馬間の営業運転を12月21日に再開しようとしていることを弾劾し、「野田が原発事故の安全宣言をした。ふざけるな。JRは安全キャンペーンの先頭に立って、毎時0・5マイクロシーベルトの高線量の中での被曝労働をやらせようとしている。車両をメンテナンスする設備も整っていない中での運転再開は、運転保安上も絶対許せない。JRと東電のウソを徹底的に暴いて闘う」と戦闘宣言を発した。また、福島県内のいわき地区での闘いの強化と3・11福島県民集会(郡山)への総決起を訴えた。
また、来年4月に向けて検修外注化と新人事・賃金制度の導入が焦点になっていることを指摘し、「これとの闘いを組織拡大のチャンスに転じよう」と呼びかけた。さらに、運転士登用差別最高裁判決の完全履行と昇進昇格差別粉砕の裁判闘争について、「国鉄分割・民営化にリベンジするだけでなく、新たに加入した青年への昇進差別を許さず、青年の未来を切り開く闘いとして取り組む」と提起した。
常南交通労組や茨城県地域連帯労組を始めとした茨城県内の労働組合、動労総連合の清水匠執行委員、星野さんを取り戻す会が連帯のあいさつ。全学連の斎藤郁真委員長も駆けつけて、動労水戸と連帯し闘いぬく熱い決意を表明した。
経過報告を行った国分勝之副委員長は、1年の闘いを総括して「新生動労水戸としての第一歩を踏み出した」「労働者がどう生きていくかの回答がわれわれの闘いの中にある」と断言した。
高野安雄副委員長が情勢を、木村郁夫書記長が運動方針案を提案し、@国鉄闘争全国運動を軸とする1047名解雇撤回闘争、A検修構内全面外注化阻止−反合・運転保安確立の闘い、B一切の不当労働行為根絶の闘い、C反原発・被曝労働粉砕の闘い、D12春闘、E反戦・政治闘争、F地域における共闘の強化、GJR総連解体−組織強化・拡大の闘い――という2012年の運動方針を鮮明にした。
討論では、いわき地区での闘いの強化や高放射線下での労働の強制との闘い、検修外注化を巡って率直で真剣な議論がかわされた。
運動方針を満場一致で可決、無実の星野文昭さんを奪還する特別決議と大会宣言を採択した。閉会のあいさつに立った辻川慎一副委員長は「青年の組織化に向けて次のステップに進もう」と訴えるとともに、反原発闘争について「労働者・農民は原発事故の現実から逃げられない。いわきの地元に根付き、現場の声を代表する労働組合に飛躍する」と強調した。
こうして動労水戸は、2011年の闘いの勝利の上に、2012年の決戦態勢を築き上げた。
(写真 動労水戸大会であいさつする石井委員長【12月17日 水戸市】)
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週刊『前進』(2518号3面4)(2012/01/01 )
動労西日本 契約社員制度撤廃を
定期大会で運動方針確立
12月18日、動労西日本は岡山市内で第4回定期大会を開催した。国鉄闘争全国運動の呼びかけ人の矢山有作さんと大野義文さん、動労総連合の君塚正治委員長、国労の現場組合員が駆けつけ、岡山からも多くの労働組合の仲間が参加し、非正規職撤廃・組織拡大の方針を満場一致で決定した。
大江照己委員長は、「一番大きな闘いとして山田和広副委員長の解雇撤回闘争がある。中労委でどんな結果が出ようと行政訴訟も辞さず闘う。これは動労西日本だけの闘いではなく全国の非正規雇用の労働者に訴えかける闘いだ。動労西日本が躍り出る時代が到来した」と提起。来賓あいさつで君塚さんは、「われわれは国鉄闘争全国運動で新自由主義・資本主義と闘う。動労千葉の千葉運転区支部長は『非正規職撤廃も外注化阻止も労働者を代表した崇高な闘いだ』と言っている。その位置づけで、きっちり闘ってほしい」と発言。
山田副委員長は運動方針提案で「組合員の総団結で組織強化・拡大を実現しよう!」と提起。具体的方針としてJR西日本の契約社員制度撤廃・雇い止め解雇撤回に取り組むことを確認した。
国鉄全国運動の大野さんが講演
大会終了後、同じ会場で岡山マスカットユニオンの定期大会と大野さんの講演会が行われた。
講演会で大野さんは、「一人の解雇も許さないのが労働組合だ。労働者は仲間との連帯の中でしか生存権と尊厳を守れない。本来、労働契約は期間を定めないのが基本だ。しかし、資本家は短期雇用契約で解雇制限の適用を免れている。有期雇用は違憲だ。恒常的な残業は8時間労働の原則を否定し、団結権を否定する。資本家によるいじめやセクハラ、パワハラ、過労死や過労自殺は企業犯罪だ。労働のあり方そのものを問う視点を」と提起し、活発な質疑応答が行われた。
(写真 動労西日本の大会で壇上に並んだ組合員【12月18日 岡山市】)
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週刊『前進』(2518号3面5)(2012/01/01 )
福島集団疎開裁判 却下決定許すな
子どもらに内部被曝を強制
福島地方裁判所郡山支部(清水響裁判長)は12月16日、「ふくしま集団疎開裁判」で集団疎開の申し立てを却下する決定を出した。この裁判は郡山市の小中学生14人らが郡山市を相手に、被曝から身を守れる環境で教育を実施することを求めたものだ。今回の決定は、子どもたちの被曝と「緩やかな殺人」を公認するものであり絶対に許されない。
決定の最大の問題点は「年100_シーベルト未満の放射線量を受けた場合の癌(がん)などの晩発性障害の発生確率に対する影響については、実証的に確認されていない」として、100_シーベルト以下では子どもたちを避難させる義務は生じない、としたことだ。申立人側は、100_シーベルト以下でも晩発性症状が起きるとして、チェルノブイリ事故の例とも対比しながら証拠をいくつも提出した。ところが裁判所はその証拠調べを一切しなかった。郡山市側は“1_シーベルト以上でも大丈夫”という証拠を自分から出したわけでもない。それなのに“100_シーベルト以下ならOK”という結論だけを強引に押しつけたのだ。
しかも今回の決定は、子どもたちの「生命身体に対する具体的に切迫した危険性があるとは認められない」とまで断定した。数年、あるいは何十年も経て白血病やがんなどが発症した時に初めて「危険性」を認めるというのか。それでは遅いではないか! 晩発性の健康障害、とりわけ内部被曝の危険性を完全に無視抹殺する極悪の決定だ。
この裁判で意見書を提出した医師の松井英介さんは著書『見えない恐怖/放射線内部被曝』の中で、広島・長崎の被爆者の内部被曝問題をとりあげ、原爆症認定訴訟で裁判所が内部被曝を認めざるをえなかった事実を強調している。これまで裁判所ですら公認してきたことを、福島地裁郡山支部は今回、覆したのだ。“子どもたちは内部被曝で死んでもかまわない”と言っているに等しい。八つ裂きにしても足りないやつらだ。
また、申立人側がチェルノブイリ事故と比較をして避難の必要性を論証したのに対し、裁判所は決定で一言も触れていない。郡山市中心部のほとんどで空間線量が年5_シーベルトを上回っている。これはチェルノブイリ事故では強制避難地域に当たる。郡山市と裁判所はこの事実を無視し“避難という申し立ては認められない。代替手段として転校の自由がある”と言いなして逃げた。申立人は裁判の中で転校や避難が多くの労働者市民にとってどれほど困難であるかを具体的に明らかにしてきた。いま緊急に求められているのは個人の転校の自由ではなく強制的な避難なのだ。裁判所は、このすべてを無視した。
チェルノブイリ事故での全真実が今こそ説き起こされなければならない。清水修二・福島大副学長は、チェルノブイリを訪れた上で“福島はチェルノブイリほどひどくないので安堵(あんど)してよい”と言っている(12・15産経)。チェルノブイリをゆがめて福島の現実をもゆがめる策動を絶対に粉砕しよう。
この決定に対し弁護団長は、米国ヴァージニア憲法3条の「革命権を有する」という文章を引用して次のように述べている。「私たちは2世紀以上前のアメリカ独立革命の人権宣言の初心・原点に帰って、『子どもを粗末にするような国は廃炉にするしかない。未来は子どもを大切にする国作りの中にしかない』ことを宣言する」と。福島の子どもたちの被曝をめぐって革命が問われているのである。
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週刊『前進』(2518号3面6)(2012/01/01 )
狭山・西郡の勝利へ
東日本解放共闘総会開く
部落解放東日本共闘会議の第20回総会が12月18日、全水道会館で開かれた。新たな仲間を迎えた部落解放同盟全国連合会杉並支部と品川支部を先頭に75人が参加した。
主催者あいさつに立った解放共闘議長の田中康宏動労千葉委員長は、野田政権による原発事故収束宣言を弾劾した上で、「3・11によって部落差別の根源である資本主義とその支配機構、暴力装置である国家の本質が暴かれた」とし、「階級的なものの一掃と闘うことなしに部落完全解放も狭山闘争の勝利も不可能だ」と断じた。「人間の共同性をとり戻すのは階級闘争の渦中でしかできない。それと部落解放闘争はひとつのものだ」とプロレタリア革命の神髄を語り、その実現へ「一番困難だが職場から労働運動をよみがえらせる、この一点にかけなければならない」と提起。最後に「われわれの力で来年、狭山再審をかちとる決意を」と呼びかけた。
住宅明け渡し攻撃と闘う全国連西郡支部、広島解放共闘のメッセージが紹介された。
続いて、解放共闘事務局次長の大西文夫東京西部ユニオン書記長が40分間にわたる活動報告と方針提起を行った。杉並・品川両支部が「職場の労働者、地域の青年とつながり、ともに11・6労働者集会に参加した。組織を強化・拡大した」と強調。「部落解放同盟(既成解同)は民主党政権のもとで民営化を推進している。一握りのボスに利権を与え圧倒的な部落大衆を激しい競争と搾取にさらすものだ」と断罪し、力を込め「西郡・八尾北闘争の全国化をかちとろう」と呼びかけた。原発の再稼働策動と「特区」攻撃を強める野田政権打倒、狭山第3次再審闘争勝利、非正規職撤廃などの方針が満場の拍手で確認された。
圧巻は決意表明だ。ス労自主の中村和憲さんは「われわれの手で石川さんの無罪を」。動労千葉の後藤俊哉さんは「平成採を6人獲得した。組織破壊に対しストで闘う」。被曝労働拒否のストを打ち抜いた動労水戸の木村郁夫書記長は「福島と連帯し、いわき市での活動を強化する」。全学連の中島敦史君は「階級闘争復権のためには学生運動が必要。御用学者の化けの皮をはがす」
さらに、支部員の解雇撤回闘争を闘う品川支部が登壇し「第4回審問で資本を追いつめた。この闘いの中に未来がある」と誇り高く語った。杉並支部の田中れい子支部長は、新支部員の青年と並んで立ち「石川さんの闘いと私たちの闘いが狭山闘争の幕引き策動を打ち破った」と勝利感に満ちて報告。新支部員は福島と結ぶ日常活動を紹介し熱烈に協力を訴えた。
井上長治さんに替わって新事務局長に就任した東京労組交流センター共同代表の岩本正治さんの音頭で団結ガンバローを行い、2012年への総決起を誓った。
(写真 新事務局長に就任した岩本正治さんの音頭で団結ガンバロー【12月18日 東京都文京区】)
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週刊『前進』(2518号4面1)(2012/01/01 )
三里塚は市東さんの農地守る決戦の年
反対同盟新年の訴え 福島と連帯し国策と闘う
全国農民の力でTPP阻止を
(写真左 真新しいのぼりを手にデモの先頭に立つ反対同盟【10月9日 成田市】)
(写真右 11・6全国労働者総決起集会に登壇した萩原進事務局次長は「TPP推進を絶対に許さない」と戦闘宣言【日比谷野音】)
「農地死守」を貫いて46年、三里塚芝山連合空港反対同盟から2012年決戦のアピールが寄せられた。文書・署名の偽造にまで手を染めた成田空港会社(NAA)の悪らつな農地強奪攻撃に対し、労農連帯の未来をかけて、市東さんの農地をなんとしても守りぬこう!(編集局)
核と共存できない 事務局長 北原鉱治さん
第2次世界大戦において日本は広島・長崎に原爆を投下され、史上類例のない惨害を体験した。放射能の恐るべき影響はその後多くの人びとの健康をむしばみ苦しめた。核と放射能はけっして人間と共存できないことは明らかだ。しかし、核の平和利用の名で原子力発電所はこの日本列島に54基も作られ、恐れていた最悪の事態が福島原発事故という形で現実のものとなった。放射性物質は大気、大地、海洋を汚染し、命を脅かしている。
原発をすべて廃止するために断固として闘わなくてはならない。まさに人類の生存がかかった問題として突きつけられている。
8月6日、日本人民があまねく原爆、核兵器の廃絶を願い、原発と放射能汚染の問題について思いをいたすべきその日に、国家権力とNAAは天神峰現地闘争本部の建物に襲いかかり、破壊・撤去した。われわれの反撃を恐れ、夜陰に乗じて行うまさにコソ泥の所業である。成田空港建設には一片の道理も正義もないことを明らかにしたに等しい。
市東孝雄さんの農地を奪い取ろうと敵は躍起になっている。しかし、その土地特定の根拠は偽造の図面であり、しかも孝雄さんの父・東市さんの署名までも偽造していたことが明らかになった。これが違法でなくて何か。自らつくった法さえ守れぬ国とは何か!
学生・青年労働者はこの現実を自らの力で変えるために立ち上がろう。 このままの日本では沈没を続けるだけだ。反対同盟は正義を体現し、労働者と農民の連帯を深め、市東さんの農地を守る12年の決戦を闘う。
早期結審を阻んだ 事務局次長 萩原進さん
反対同盟は3月11日の大震災と福島原発事故の情勢にさいし、福島の農民・労働者人民との連帯をかけて、2011年を闘ってきた。5・20現闘本部裁判控訴審判決直後の同盟員と支援者50人の不当逮捕、8・6現闘本部破壊・撤去の強制執行という大攻撃に対し全力で反撃してきた。
NAAは今すぐにでも市東さんの農地を取りたいだろうが、12・6農地裁判弁論で早期結審策動を粉砕し、千葉地裁に6人の証人調べを認めさせた。この1年を現地闘争と結合して、法廷でも「農地死守」の闘いを白熱的に展開する覚悟だ。
第3誘導路工事は、成田の欠陥空港としての本質をさらけだすものだが、市東さんに対する営農破壊、追い出し攻撃として進められている。
反原発闘争は再稼働を本当に止めるための正念場だ。沖縄米軍普天間基地の名護移設に対する闘いも、重大な局面を迎えている。野田政権のTPP推進に全国260万農民の怒りは高まっている。さらに増税、年金等あらゆる問題がただならぬ情勢を迎え、労働者人民を突き動かしている。
大阪での橋下のファシスト的な突出は、民衆が現状からの「変化」を求めた表れだが、彼は一握りの支配者の延命のための政治家として、早晩化けの皮がはがれるだろう。沖縄では逆に保守政党まで移設反対決議に加わり、県民の反基地の総意は議会のわくを破ってあふれ出している。
反対同盟は、三里塚の旗を沖縄・福島の民衆のど真ん中に登場させ、労農連帯の真価を発揮して闘いを一つに結びつける。そこに市東さんの農地を守る決戦の勝利もかかっている。全国のみなさんに、ともに闘うことを訴えます。
NAAが署名偽造 中郷 鈴木謙太郎さん
2012年は掛け値なしに市東さんの農地を守る決戦の年だ。そのいかんに日本農民全体の行方もかかっている。
「TPPを進めろ」などと言ってる人たちは農業を本当にわかっていない。「強い農業」に転換しろなどというが、それはとどのつまり、中小農家を全部つぶして農地をはく奪し、農業に営利企業を引き入れてやらせるということだ。TPPは労働者にとっても「貿易自由化」の名で低賃金と失業を強制し、医療を破壊し生活を破壊する道だ。大震災と福島原発事故で多くの人びとが苦しんでいるこの時、むしろそれをチャンスくらいに思ってTPPを進めようとする野田政権に対して、怒りを感じる。
同じ農家として市東さんが、じいさんからの土地を守っていく気持ちはよくわかる。あとからやってきた空港のつごうで「農業やりたいなら別の土地に移れ」みたいなことを言われて、ハイそうですかと応じられるものか。農家がその土地に対してどれだけ苦労し愛着をもって育て、その結果として自信をもって作物をつくれるようになっていくか。そういう気持ちをNAAの連中は少しもわからないだろうな。
市東さんに「農地を明け渡せ」と迫る裁判は棄却されて当然のものだ。今度出された筆跡鑑定では、署名は東市さんの字をなぞるようにして書かれた偽造だったことが判明した。NAAは反論できるならやってみろ!
反対同盟は「農地死守」を貫き全力で闘う。
労農連帯一層固く 白枡 伊藤信晴さん
11月8日、両国国技館でのTPP反対集会に参加する6千人の人びとに向け、反対同盟は農地強奪阻止を真っ向から訴えるビラをまいた。私のところにも、自ら進んでビラを受け取りに来る人が何人もいた。TPPとそれを進める野田政権に対する全国の農民・農業関係者の怒りの深さを実感した。
労働者と農民の結合がいよいよ待ったなしに問われている。市東さんは天神峰で一軒になっても、空港建設という国策に反対して闘っている。このことは、労働現場において苦闘している労働者の闘いと、形は違っていても相通じるものがあると思う。今労働者・農民とも非常に激しい攻撃にさらされている中で、支配階級・野田政権という同じ敵に対してしっかりと結合し立ち向かうことが肝心だ。労農同盟が持っている社会変革のエネルギーが存分に発揮される時だ。その力で、市東さんの農地取り上げ攻撃を粉砕しよう。
12月10日の市東さんの会のシンポジウムは、そうした一体的結合へ踏み出した手応えを感じた。今年はそれが実現できる年だ。
学生の闘いに期待 東峰 萩原富夫さん
12月6日の千葉地裁での農地法裁判では、なんとか早期結審へ持っていこうとする裁判長に対して反対同盟、顧問弁護団、傍聴者が一体となって闘って、国交省役人とNAAの用地担当者に加えて千葉県農業会議と成田市農業委員会の当事者2人を証人として認めさせた。反対同盟の2人とあわせて6人の証人が決まった。現闘本部裁判の時の千葉地裁・仲戸川裁判長の時は証人調べをやらずに判決に持っていったが、そんなことを再びやらせないという気迫で闘った結果だ。だからこの1年間を、全力で闘わなければならない。
今第3誘導路の工事が市東さんの家のすぐわきでフェンスに囲まれて進められている。原発のせいで、福島の農家はもちろん、日本農民の生活全体が圧迫されている。国策の名でなんでも押し通してきた権力の横暴をもうこれ以上許さない。われわれは市東さんの土地を絶対に守りぬく。
この間、学生がよく援農に来るようになった。これからも全学連の闘いには大いに期待している。ともに闘おう。
弾圧され決意新た 婦人行動隊 鈴木加代子さん
5月20日の現闘本部裁判控訴審判決の日、私も夫、娘とともに「不退去罪」で不当逮捕されました。私は待合室で、北原事務局長や高齢の方と一緒にいただけ。本当に何もしてません。そして直後の所持品検査まで4〜5時間もかかり、その間年寄りにも水一杯さえ飲ませない。またトイレへ行くにもエレベーターを使わせないなど嫌がらせを受けました。留置場に運ばれてからも、逮捕された女性の方々は本当に不当で屈辱的な処遇を受けました。
全員が起訴を粉砕して奪還されましたが、私は今回逮捕されることで、権力は心底三里塚闘争をつぶしたがっていると実感しました。もしつぶされたら沖縄、福島、全国の闘いに大きなダメージになる、だから絶対にここで負けるわけにはいかないんだと決意を新たにしました。
菱田のわが家の周囲はお金をもらって空港に負けて移転した人たちばかりですが、うちは市東さんとともに闘う道を選びました。そして暫定滑走路の騒音直下に住み、農業を続け闘っています。2012年をともに農地を守って闘いぬきます。
福島の農家と共に 婦人行動隊 宮本麻子さん
三里塚は昨年、3・11の大震災と原発事故、5・20現闘本部控訴審での50人不当逮捕、8・6現闘本部破壊という反動と闘いぬいてきました。
私も福島県の出身で、実家は果樹農家です。中学生のころ学校で原発への見学が組まれており、「原発は安全。放射能は自然界にもある」としきりに宣伝されていたことを思い出します。今福島の農家は本当に重い苦闘を強いられています。農民が精魂込めてつくった米も野菜も果樹も、台なしにされました。避難する人と残る人との間に溝がつくられ、多くの家族がばらばらにされています。
原発を本当にすぐ止めるしかない。反対同盟が当初から反戦反核を掲げ、国策の名のもとに進められる暴挙に屈せず闘ってきたことの大きさを、あらためて実感します。安全だとウソをついてきた東電と、原発再稼働と輸出を行う野田政権を許すことはできません。裁判闘争とともに現地攻防はますます激しくなるでしょうが、市東さんの農地を守りぬくために、反原発・反基地の闘いと結びつき、しっかりと闘いたいと思います。
熱い期待寄せられ 婦人行動隊 木内敦子さん
9・19に6万人が明治公園に結集して「原発なくせ」の声を上げたのに、まだ止まらない。「収束」キャンペーンが行われ、輸出までされようとしている。本当に怒りに堪えません。
私は9・19に反対同盟ののぼりを持って参加していましたが、福島から来られた方が駆け寄ってきて「ここで三里塚の旗を見られるとは思わなかった。励まされました」と涙を流して握手を求められました。
経産省前座り込みでもやはり私の反対同盟ののぼりを見て「気分が落ち込んでいたが勇気をもらった」と涙ながらに語ってくれた人がいました。
今立ち上がりつつある人が三里塚闘争に寄せる期待は、非常に大きいということが、行く先々で実感できます。そういう人びとともっと結びつくために、私たち自身が今までの繰り返しではなく、豊富な言葉、新しいやり方を工夫しなければならないと痛感しています。特に若い学生たちの行動と結合したいと思います。
市東さんの農地を守り、原発を止めるためにともに闘いましょう。
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週刊『前進』(2518号4面2)(2012/01/01 )
この地で農業を続ける
農家の喜び奪うな 天神峰 市東孝雄さん
第3誘導路工事はわが家のすぐ目と鼻の先で行われています。起伏の多い地形をさらに掘ったり埋めたりして雨の日も進めているが、非常に難儀な工事です。
航空法39条では「空港の設置によって、他人の利益を著しく害することとならないもの」と書いてあるが、NAAはまったく法律を守る気もないわけですね。しかし結局私を追い出すことが目的ですから、むだな工事です。私はこの土地で農業を続けていきます。
私たちは露地栽培の有機・無農薬農法で野菜をつくっているが、すぐとなりの多古町や香取市では放射能汚染が報告され出荷停止になる事態も起きた。他人ごとではありません。そしてなにより福島の農民の苦しみを思うと、胸が痛みます。
12月10日のシンポジウムで私に「なぜそこまで農業にこだわるの」という質問が出されて、結局「土いじりが好きだから」と答えたわけですが、やはり手塩にかけた作物を届けて消費者においしいと言ってもらえることが、農家にとってかけがえのない喜びなんですよ。その喜びを奪い取った原発事故、そして農民を切り捨てようとする野田政権のTPP推進政策は本当に許しがたい。
国策の名で進められてきた成田、原発に対し、農民・労働者が生きていくために自分の権利を守ることは当然のことです。私の農地をめぐる裁判は、今年いっぱい証人調べが続きます。全国のみなさんの支援を受けつつ、全力で闘いたいと思います。
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週刊『前進』(2518号4面3)(2012/01/01 )
闘いは正当防衛だ 森田恒一さん
市東さんの農地裁判の傍聴に行って、裁判長の不公平な訴訟指揮に本当に毎回腹が立ちます。
現闘本部裁判控訴審では反対同盟の控訴を棄却する不当判決に加え、判決の確定を要しない「仮執行宣言」を付け加えたのです。確かに民事訴訟法に仮執行宣言の決まりはありますが、それは金銭上の訴訟についてのもので、建物撤去に適用するのは違法です。高裁は実に悪質です。
今の裁判所は公正の原則を捨て去り、政府の施策に反対する者に対しては必ず敗訴の判決を言い渡すことになっている。そして政府と癒着し、政府の意を受けて、反対同盟が必ず敗訴するような判決を下します。
市東さんの農地取り上げの裁判でもいずれ遠くない日に判決が出されることでしょうが、法律に背いて変な理屈をつけてでも不当判決を出すに違いありません。このような国家犯罪の執行に対して、それを阻止するわれわれの行動は正当防衛です。
機動隊を動員しての市東さんの農地強奪のさいには、正義われにありの自信をもって私は体を張って阻止する覚悟です。
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週刊『前進』(2518号4面4)(2012/01/01 )
12月13日〜19日
米のグアム移転費削減確定へ/野田が「原発事故収束宣言」
●次期戦闘機F35選定へ 防衛省は航空自衛隊が導入する次期戦闘機について、米ロッキード・マーチン社が製造主体の「F35」を選定する方向で最終調整に入った。20日の安全保障会議(議長・野田佳彦首相)で正式決定する。(13日)
●原発反対が賛成を上回る 朝日新聞社の全国世論調査で原子力発電の利用賛否を尋ねたところ、反対が57%に上り、10月調査の48%から増えた。賛成は30%。これまで賛成が多かった男性でも初めて反対が上回った。(13日)
●グアム移転費削除確定へ オバマ米大統領は、上下両院の軍事委員会が合意した2012会計年度(11年10月〜12年9月)国防権限法案に関し、拒否権を行使しないと発表した。米軍普天間飛行場移設とセットになっている在沖海兵隊グアム移転関連費1億5千万j(約117億円)の同法案からの削除が確定することになる。(14日)
●65歳まで再雇用義務化 厚生労働省は、65歳まで希望者全員を再雇用するよう企業に義務づける方針を固めた。2013年度から実施する考え。一方、不安定な雇用が問題となっている契約社員、期間従業員などの有期雇用については期間に上限を設け、契約満了の時期を決めない無期雇用への転換を促す。(14日)
●20_シーベルト未満居住可能 東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う低線量の放射線被曝の健康影響を検討していた政府の作業部会は、住民が居住可能な年間の積算放射線量は20_シーベルトを目安とするのが妥当との最終報告書をまとめた。(15日)
●原発事故収束を宣言 野田政権は原子力災害対策本部で、福島第一原発の事故収束に向けた工程表ステップ2の終了を確認した。野田首相は記者会見で「冷温停止状態を確認した」として「発電所の事故そのものは収束に至ったと判断される」と事故収束を宣言した。(16日)
●金正日(キムジョンイル)総書記急死 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の最高指導者、金正日総書記が急死した。朝鮮中央テレビが19日正午、特別放送で伝えた。同時に、三男の正恩(ジョンウン)を中心とする体制に移ることを宣言した。(17日)
●米軍、イラク撤退完了 イラクの駐留米軍は、最後の部隊が陸路で国境を越え隣国クウェートに入り、撤退が完了した。在イラク米大使館には、百五十人余の米兵が、イラク側への訓練のためにとどまる。(18日)
●日本軍軍隊慰安婦問題、首相「決着済み」 野田首相は、京都迎賓館(京都市)で韓国の李明博(イミョンバク)大統領と約1時間会談した。李大統領は元日本軍軍隊慰安婦問題について「優先的に解決する」ことを強く求めた。首相は「法的に決着済みだ」と日本政府の立場を伝えた。14日には、日本軍軍隊慰安婦にされた女性たちなどがソウルの日本大使館前で「日本政府の謝罪と賠償」を求める集会が千回目を数えた。支援団体は同日、大使館前に記念像を設置、日本側は撤去を求めた。(18日)
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週刊『前進』(2518号4面5)(2012/01/01 )
日程 三里塚 2012年新年旗開き、裁判
2012年新年旗開き
1月8日(日)
◎敷地内デモ 午前10時30分 東峰十字路北側開拓組合道路
◎団結旗開き午後1時 レストラン「ハナマサ」(成田市並木町大久保台219)主催 三里塚芝山連合空港反対同盟三里塚裁判傍聴を!
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三里塚裁判傍聴を!
◎団結街道裁判1月17日(火)午前10時30分 千葉地裁
◎市東さん耕作権裁判1月23日(月)午前10時30分 千葉地裁
(傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合)
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週刊『前進』(2518号5面1)(2012/01/01 )
再稼働阻止・全原発廃炉へさらに闘う
3・11福島県民集会の大成功へ
被災地の労働者は先頭に立つ
生きぬくために闘う!東日本大震災現地救援対策本部
3・11東日本大震災と福島原発事故の発生以来、被災地で闘いの先頭に立ってきた「生きぬくために闘う!東日本大震災現地救援対策本部」より、新年のメッセージが寄せられた。被災地の労働者人民の怒りを共有し、3・11福島県民集会の大結集へともに闘おう。(編集局)
(写真 11・6全国労働者総決起集会を終えて、街頭に飛び出した被災地・宮城や福島の労働組合・労働者のデモ隊列【日比谷】) 労働組合の大動員を!
全国の『前進』読者のみなさん! 生きぬくために闘う!東日本大震災現地救援対策本部よりアピールを送ります。
一番強く訴えたいことは、東日本大震災から1年を迎える3月11日に郡山市で開催される福島県民集会を大成功させようということです。3月11日までの2カ月余りが勝負です。ここに福島現地―被災地を先頭に巨万の結集をかちとることが2012年の闘いの展望を切り開きます。3カ月決戦にこだわって職場・地域で反原発闘争を徹底的に闘いぬきましょう。
3・11に向けて、原発事故の張本人=国家と資本との激突が極点に達しようとしています。野田首相の「事故収束宣言」は、福島県民棄民化と原発再稼働に突進するという宣戦布告です。事故責任をとらず、賠償を打ち切り、子どもたちに被曝を強制し、福島の怒りの決起をたたきつぶすこと狙うものです。3・11集会の大結集で「事故収束宣言」を完膚なきまでに打ちのめし、原発再稼働の野田政権を打倒しましょう。その力で全国54基すべての原発の停止・廃炉を強制しましょう。
3・11集会の先頭に労働組合を登場させることが救援対策本部の最大の任務です。11・6全国労働者総決起集会にオルグしたすべての仲間に、全国各地で再稼働阻止を闘うすべての仲間に「3・11福島」を今日から全力で呼びかけましょう。9・19明治公園の6万人結集を超える「99%」の結集を実現しましょう。
五つの拠点建設めざし
私たちは労働組合を軸とする五つの拠点を打ち立てる闘いに入りました。五つの拠点とは@4大産別(国鉄、自治体、教労、郵政)を軸とする階級的労働運動の不抜の拠点、A新自由主義大学と対決し福島決戦に責任をとる学生自治会、BNAZEN(すべての原発いますぐなくそう全国会議)福島を先頭とする反原発闘争の全人民的拠点、C新たな農漁民の闘いとの結合、D医療特区攻撃と闘い放射線被曝から子どもたちの命と健康を守る医療拠点です。
これらは3・11直後には想像もできなかった方針です。壮大ではありますが、けっして手の届かないものではないこの方針を具体的に打ち出していることが、2011年の最高の到達点です。
私たちは主体的力量から方針を立てるのではなく、労働者民衆が生き抜くための要求から方針を立て、実践して、闘う団結を拡大することで今日の地平に到達することができました。だから恐れるものは何一つありません。仲間をとことん信頼して壮大なイメージを持って2012年の闘いを切り開きましょう!
なぜ拠点建設にこだわるのか? 大恐慌下の大震災という未曽有の情勢の中で、資本の攻撃が最も集中するところに反撃の拠点を打ち立てようということであり、拠点攻防に死活をかけて勝利することが全民衆の生きぬくための団結を組織する道だからです。
原発事故収束キャンペーンと一体で進む復興特区攻撃の核心は、ライフラインを担う4大産別の労働者を大資本が制圧することをとおして、被災地全体を資本の独裁的支配下に組み敷くということです。だからこそ4大産別の職場における労組攻防は最も激しく火を噴いています。ここから逃げずに労組拠点を守り拡大することに2012年の闘いの成否がかかっているのです。
4大産別で職場闘争を
仙台市役所における人員削減―合理化は、人手不足と震災業務による多忙化の中で仙台市職労のかけがえのない仲間の命を奪いました。仙台市職労の仲間が発した「仲間を失い悔しい。仲間の命を守るのが労働組合だ」という訴えこそ、「労働組合はいったい何のために、誰のためにあるのか?」という根源的な問いへの回答です。現地救援対策本部は仙台市職労の現場組合員と固くスクラムを組んで、大震災下の人員削減、被災地丸ごと民営化と闘います。
JR当局が原発事故収束キャンペーンの最悪の先兵になっています。常磐線・久ノ浜駅―広野駅間の運転再開に続いて、相馬駅―原ノ町駅間の運転再開が強行されました。これに対する動労水戸のストライキこそ、被災地でともに闘う私たちへの最強の援軍です。さらに国労郡山工場の被曝労働を許さない職場闘争、3・11福島県民集会の先頭に立つ福島県教組の闘いが、被災地から闘う労働運動をよみがえらせる展望を明々と照らしています。震災解雇を撤回させ組織拡大をかちとってきたみやぎ連帯ユニオン、福島合同労組を先頭に、震災解雇、9割の労働者の非正規職化と対決する合同労組運動の発展を切り開きましょう。
福島大・東北大を闘う大拠点に
反原発を闘う学生自治会建設が決戦局面に突入しました。全学連の仲間が、福島大学に学生自治会を建設するという決断をもって、福島大学集会と原発担当相・細野豪志弾劾の闘いを敢行しました。福島大生がこの闘いの先頭に立ち、被災地の労働者民衆を限りなく激励しています。この闘いと一体で、東北大学学生自治会の新執行部が反原発を真っ向から訴えて樹立されました。「内部被曝は気にしなくて大丈夫」と宣伝する石井慶造らを放射能対策アドバイザーとして福島市に送り込み、東北電力会長が参画する「総長選考会議」で選出された里見進新学長体制のもと、原発再稼働と復興特区攻撃の先頭に立つ東北大学当局を許さず、福島大―東北大に闘う学生自治会の強固な拠点をつくり出しましょう。
原発事故は大地と海を汚染し、農漁民の生業を破壊しました。これに加えて農地強奪・漁業権剥奪(はくだつ)を通じた農地・漁港の大規模集約、大資本参入が行われようとしています。TPP(環太平洋経済連携協定)による農漁業の破壊が重畳的な攻撃として加えられています。原発事故で生きる糧を奪っておきながら、いったい何という仕打ちか! 新自由主義と非和解的に闘う農漁民の闘いに学び、ともに原発事故・復興特区・TPPと闘う強固な団結をつくり出します。
3・11福島県民集会に向けて、原発事故に怒りを燃やす全民衆を組織するNAZENの存在が決定的です。原発反対を長年担ってきた仲間、子どもを持つ母親・父親、3・11以降闘いに飛び込んだ青年・学生、あらゆる職業・年齢の仲間を結集するNAZENを、反原発運動の全国拠点としてつくり出しましょう。子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの仲間とともに、福島とガッツリつながり、すべての原発を今すぐなくしましょう!
子どもを守れ!診療所を福島に
福島の仲間と全国の闘う医師から子どもたちの命と健康を守るための診療所建設のアピールが発せられました。アピールは「診療所をつくることは、みんなの団結で命を守り、医療を取り戻すたたかいであり、すべての原発をただちに停止、廃炉にし、核も原発もない社会をつくる運動そのものです」と訴えています。「こういうことのためなら人生をかけてもいい」という声が全国から続々寄せられています。
野田政権の「事故収束宣言」により、避難の権利と賠償を拒まれた多くの仲間が、子どもたちの健康を心配し悩みながらも福島にとどまって生活しています。山下俊一・福島医大副学長らの進める医療特区構想は、36万人の子どもたちを「被験者」としてモルモットにし、放射能による健康被害を隠蔽(いんぺい)するものです。子どもたちのよりどころとなる医療施設を一刻も早く建設しようではありませんか。全国から基金運動へのご協力をお願いします!
「労働者の力で被災地を救援しよう! すべての原発を廃炉に! 震災解雇を許さない!」。現地救援対策本部結成以来のこの三つのスローガンで、2012年も生きぬくために団結を求め、自己解放的に闘います。ともに歴史の扉を押し開きましょう!
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週刊『前進』(2518号5面2)(2012/01/01 )
福島と連帯し全国で行動を
NAZEN織田陽介事務局長の訴え
原発・放射能のない古里に
昨年は8月5日のNAZEN結成以降、本当に多くのみなさんに支えられて、ヒロシマ・ナガサキ・ビキニからフクシマへと連なる闘いを歴史的につなげ、全国の怒りと闘いを広くつなげ、大胆な若いエネルギーを原動力に運動を進めてくることができました。この場をお借りして、あらためてお礼を申し上げます。
チュニジア―エジプトから幕を開け、ついに戦後世界体制の中軸であるアメリカにまで火をつけた2011年の世界的な闘いが、本年ますます鮮明に強く広く前進することは、想像に難くありません。3・11以降の緊迫した情勢と、福島のお母さんやお父さん、さらには若者たちが立ち上がる新しい時代の到来を受けて、必死の思いでNAZENを立ち上げたことの意味と責任は本当に大きいと実感しています。
2012年、反原発運動の課題は困難なものばかりです。しかしこれに真正面から立ち向かう中にこそ希望があります。
野田政権の「ステップ2の終了」宣言、20_シーベルト基準と被曝の強制はすべて、原発再稼働・輸出に向かって福島の怒りを抑えつける攻撃です。福島におけるあらゆる攻撃が住民同士の分断としてあり、分断を許さず団結して闘うことが一番大切なことです。どうしてもあきらめられない、子どもたちの未来を守らなければならない、やむにやまれぬ福島の思いと闘いを守りぬきともに闘うこと。避難をはじめ、県民の命と尊厳も放射能の除去も全原発の廃炉もすべて闘い取る、「原発と放射能のないふるさと」を政府・東電の責任で実現させるまで徹底的に闘うこと。これが一つ目の課題です。
具体的には福島と連帯して全国各地で再稼働を阻止する行動を組織し、広範な統一戦線をつくり出すことです。政府・福島県・県立医大・財界・マスコミが一体となった「放射線医療特区」「県民健康管理センター」の構想は、福島県民をモルモットにして資本の食い物とする、新自由主義のグロテスクな延命策です。この攻撃に対して福島の子どもたちの健康と尊厳を守るための診療所建設の実現へ闘うことです。さらに民衆のあらゆる英知を結集して、金もうけを優先する社会における「不可能」を突破して、科学と医療分野における放射能との闘いを具体的に前進させたい。
あらゆる闘いと連帯して
課題の二つ目は、TPPや沖縄、消費増税や改憲、派遣法問題、すべてが画然と矛盾を現す中で、あらゆる闘いとの連帯をつくるために闘うことです。原発反対の闘いを長年続けてこられた方々や、沖縄の反基地闘争などとの関係で、NAZENが運動の若さを理由に不勉強でいては、運動を分断させることになります。福島の人びとが「沖縄の気持ちがわかった」と口々に語っています。子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの佐藤幸子さんは「お金を大事にする人たちと、命を大事にする人たちの闘い」という言葉で沖縄との連帯を表明しました。原発事故が暴露した資本主義社会の真の姿に真正面から立ち向かうことがあらゆる運動との連帯の力だと考えます。
幅広い人びととつながる
三つ目は、ますます広い人びとを運動の中に迎え入れることです。新自由主義の中で団結と誇りを日々破壊されている悔しさ、痛み、怒りが社会を、とりわけ若者を覆っています。この思いにかみ合う言葉や行動方針、アプローチの仕方を追求していくことです。求められているのは「仲間のために闘う」義理・人情です。幅広い人たちの能力や表現力を備え、人間的な温かさと強さを持った広い運動と組織をつくり上げていきたい。
最後に労働者のみなさんに訴えたい。やはり労働組合を現場組合員の手に取り戻すことにかけたい。世界大恐慌という帝国主義の破綻は、賃労働と資本の関係のみならず、国家と全民衆の関係でも矛盾を爆発させ、それゆえ「日本を守れ」という国家主義と紙一重のイデオロギーをも抱えながらダイナミックに闘いが始まっています。これを階級的に牽引(けんいん)できるのは、職場における資本への階級的怒りを組織的に体現した階級的労働組合をおいてほかにありません。
3・11福島県民集会や署名の取り組みを放棄する連合指導を職場から吹き飛ばす闘いが求められています。JR東日本は常磐線の原ノ町駅―相馬駅間の開通で再稼働と避難地域解除攻撃の先頭に立っています。動労千葉や動労水戸、郡山を先頭とした国労のみなさんの闘いを結集して、これと対決する具体的な闘いを組織したい。そして現場の組合員の手に、もしくは労働組合すら知らない未組織の青年労働者たちの手に、労働組合を取り戻す方針をともに考えつくっていきたい。
私たちは昨年、坂井留吉さん、吉田義久さんという世界に誇る反核の闘士を失いました。彼らの遺志を引き継ぎ、私自身未熟ながら、事務局長として精いっぱい責任を取る決意です。激動に生きる苦闘と喜びをともにかみしめ、強く信頼し合い闘いましょう!
(写真 6万人が参加した9・19反原発デモでは、エネルギッシュなNAZENのデモ隊が全体を牽引した) ---------------------------------------------------
週刊『前進』(2518号5面3)(2012/01/01 )
事故収束宣言で放射能強制 汚染地域への帰還狙う野田
冷却水途絶で再臨界の危険も
野田政権は12月16日、福島第一原発について「冷温停止状態」と言いなし、「事故収束」とまで宣言した。これに対し国内外から猛烈な怒りがたたきつけられている。原発再稼働に踏み込むために、このような大罪に手を染めた野田政権を絶対に打倒しよう。
何より福島第一原発で働く労働者が憤激している。「言っている意味がわからない」「政府はうそばっかり。被害は甚大なのに、たいしたことのないように言って。本当の状況をなぜ言わないのか」「今は大量の汚染水を生みだしながら、核燃料を冷やしているから温度が保たれているだけ。安定状態とは程遠い」「また地震が起きたり、冷やせなくなったら終わり」(17日付東京新聞)
東電も政府も認めるように、 圧力容器の底を抜けて溶け落ちた燃料がどこにどういう状態であるのか今も分からない。東電が発表する“原子炉の状態”とは計算上のものでしかなく、入力条件を変えればどんな結果にだってなる。“圧力容器底部の温度が100度以下となったので冷温停止状態”と言うが、それすら怪しい。炉内の別の場所では今も100度を上回る所があるという。
そもそも「冷温停止」は、放射性物質を密閉できて初めて言えることだ。東京電力の保安規定にすらそう明記されている。しかし放射性物質は今も流出しており、チェルノブイリでもなかった最悪事態が続いている。
しかも、冷却水が途絶するとすぐに再臨界になり、再度の水素爆発や放射性物質の大量流出が起きかねない。「循環注水冷却」と称されているが、燃料があるとみられるところに水をかけ、その汚染水を処理して再び注水しているにすぎない。その配管は急ごしらえの塩化ビニール製で長さ4`、地面にじかに置かれているところもある。11月以降にホースからの水漏れが相次いだ。チガヤというどこにでもあるイネ科の雑草が刺さり、冬になって枯れて穴になったという。
「収束宣言」の翌日、1号機の使用済み燃料プールの冷却水の配管で弁が故障して開いたため約100gが漏れた。再起動するまで3時間以上、燃料プールが冷やせない状態となった。かろうじて温度上昇は防げたが、冷却水がいつどこでストップするかもしれないことが実証された。
さらに、当初の計画では建屋地下からは汚染水がなくなっているはずだが、実際は増えている。処理しても処理しても建屋地下に地下水が入り込んでいるからだ。地下水は毎日500dも流入する。今も8万d近い汚染水がたまったままだ。
汚染水を処理した後の廃棄物を敷地内のタンクにためているが、それが早ければ3月上旬には満杯になる見通しだ。東電はこのあふれた汚染水を3月に海洋に放出しようとしている。12月4日には、汚染水を淡水化するための建屋から放射性ストロンチウムを含む約240gもの水が海に漏れたと判明した。このストロンチウムの濃度は、海水に放出できる基準の約100万倍だ。
まぎれもなく放射性物質の流出だ。ところが政府は「水は冷温停止状態の定義と無関係」と説明を急変させた。汚染水ならいくら放出しても問題ない、というのだ。
18日には地下トンネルで、放射性セシウムを含む230dの汚染水が見つかった。汚染水の移送先である集中廃棄物処理建屋から漏れ出た可能性が高い。今もまちがいなく、さまざまな施設から放射性物質が漏れつづけているのだ。
年20_の被曝もOKと決定
この「収束宣言」と一体で野田政権は、放射線被曝を強制する諸政策を次々に打ち出している。政府の「低線量被ばくのリスク管理に間するワーキンググループ」は15日、“年20_シーベルトの放射線量を避難区域の設定基準とするのは妥当”という報告書を出した。これを受け、16日には、「ふくしま集団疎開裁判」で福島地裁郡山支部が申し立てを却下する決定を出した。そして18日に野田政権は、4月1日をメドに現在の警戒区域を解除して三つの区域に再編し、年間20_シーベルト未満の区域には帰還させる方針を福島県知事など関係自治体に伝えた。これら全体によって福島と全国の放射線被曝に対する怒りを圧殺しつつ、原発再稼働を強行しようと狙っているのだ。
原発再稼働と放射線被曝をめぐって、野田政権と労働者人民との関係は完全に非和解になった。原発と放射能との闘いは、プロレタリア革命を実現する迫力と路線によってしかなしえないことが、いよいよ明らかになっている。2・11全国闘争、3・11福島闘争へますます前進しよう。
(写真 処理水タンクから延びるビニール製のホースは、雑草が突き刺さり、穴が開いている!)
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週刊『前進』(2518号5面4)(2012/01/01 )
11・6集会ビデオが完成
◆DVD26分
◆頒価500円
◆注文先 動労千葉 千葉市中央区要町2-8DC会館
TEL 043-222-7207
FAX 043-224-7197
Eメール doro-chiba@doro-chiba.org
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週刊『前進』(2518号6面1)(2012/01/01 )
青年労働者座談会 職場で勝負して労組拠点を作る
あらゆる職場にマル青労同の旗を
(写真 「福島を返せ!」の叫びを上げた6・19フクシマ大行動)
3・11大震災と原発事故の情勢に必死で立ち向かってきた2011年。年末、その集約としてマルクス主義青年労働者同盟の第8回大会が開かれ大成功した。労働組合運動を全力で実践してきた青年労働者のみなさんに、大会の総括、11年につかんだ教訓、12年に向けた闘いの方針などを大いに語り合ってもらいました。(司会・編集局)
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出席者
月瀬隆哉 被災地
大牧充生 福島・自治体
咲山亜矢 反原発
砂塚宏行 郵政
関 雄一 郵政・非正規
長坂典明 JR・非正規
辻倉研吾 自治体
染井来未 医療
幸村 駿 医療
皆藤さくら 合同一般
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労働組合を運営する力をもつ職場細胞建設しよう
――マル青労同第8回大会がかちとられました。大会はどうでしたか。
砂塚 2012年決戦に向けて階級的労働運動をつくり出す全国の闘う態勢を確立できた。2011年は大恐慌―3・11大震災、福島第一原発事故という未曽有の大激動情勢下で青年労働者は生き抜く闘いをやってきた。マル青労同は、今こそ労働運動の力で革命をやろうと必死に団結を求めて闘って闘って闘い抜いてきた。大会はその実践が土台となった活気あふれるものでした。それぞれの苦闘、葛藤を出し合い議論し、同盟の団結が固まった。
幸村 11年は被災地と福島の闘い、動労千葉の青年部再建と労組青年部の集会、郵政非正規ユニオンの結成、そしてNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)の結成をかちとってきた。これと一体で世界では「われわれこそ99%だ」という青年労働者の反乱が始まった。資本のためなら労働者がどれだけ犠牲になろうがかまわないという新自由主義を打ち砕く闘いです。その中で階級的労働運動の可能性にかけきってきた。
皆藤 大会では労働運動の指導者としてみんなが発言していた。すごく感動した。労働組合がなかったり機能していない職場で一から労働組合をつくり上げる闘いが全国で始まっている。
長坂 職場で「自分たちこそ本当の労働組合だ」と職場の広範な怒りを一つの形にしようと奮闘していた。執行部でもないのに同僚からは「委員長」と呼ばれている仲間もいたよね。
染井 バラバラだった現場の労働者が、雇い止めをやめろ、職場を変えようと一つになって職場で声を上げ始め、当局との力関係を一変させている。労働者が立ち上がる力を実感していることがすごい重要だと思った。
皆藤 合同労組でも新たに分会がつくられた。本当に責任が問われる。
月瀬 被災地では「復興特区」攻撃と闘い、震災解雇に対して解雇撤回・職場復帰をかちとってきた。闘いは第2段階に入っている。職場に分会をつくって仲間を組織することです。
咲山 ある仲間は同僚の家族まで面倒を見ていく気持ちで闘っていたり、現場の信頼を得るために一生懸命、仕事をやってきた。私は、労働組合とは労働者の生活の一部となるぐらい密着したものだとつかんだ。労働者が生きていくための「共同体」なんだと。階級的に闘う労働組合には、私たち青年が奪い尽くされてきた「人間的なもの」のすべてを豊かに奪い返す可能性がつまっている。
幸村 労働運動を原則的に運営する力を身につければ、職場まるごと11月労働者集会に決起する。それができれば11月集会の1万人結集が可能となる。11年は階級的な労働組合を建設していくスタートラインに立てた。
――大会では労働組合運動に責任をとりきる変革と飛躍、労働者階級の団結とマルクス主義、労働組合を原則的に運営するための職場細胞建設について議論が集中しました。
月瀬 一方ではものすごく展望がある。3・11以降、青年労働者にものすごい意識の変化が起こっている。そういう青年たちとマル青労同は結合して11月集会まで駆け抜けてきた。
だけどこの情勢の変化にマル青労同がまだまだ追いついていない。職場でもそう。例えば台風の時、仙台市の下水道で市の職員が亡くなった。ああいう事態が起こることを実は僕は予測していた。行財政改革や民営化でどんどん正規職が首を切られ、非正規に置き換えられ、職場はぎりぎりの人員だったから。そこに大震災が起きた。震災対応業務というのが膨大で、月150時間以上の残業とか、1カ月1日も休みを取れない。過労死、自殺、中途退職、辞職する人が絶対でる。全部予測通りになっている。だけれどもそのことを止められていない現実がある。福島の現実も同じではないですか。
僕らの闘いは、労働組合はいったい何のためにあるのか根本から問い直す闘いだった。やっぱり仲間の命を守るのが労働組合なんだ。僕らは拠点となる階級的労働組合をもたなかったら実際に命を守れない。今の僕らの力量から方針を立てていたら追いつかない。僕らがやろうとしている全部が壮大な挑戦だ。それが階級の要求じゃないですか。福島の命を守ってくれ、非正規職を撤廃して青年が生きられる未来にしてくれって。拠点建設で勝負しようと大会で鮮明にしたことが勝利です。
拠点労組が切り開く労働者の自由な空間
辻倉 やはり11・6集会の総括と課題は、労組権力を握り動労千葉に続く労働組合をつくっていくこと。例えば動労千葉や動労水戸などが切り開いている「労働者が怒っていいんだ」という自由な空間、素直な表現力を職場・地域に生み出すことができる威力です。今この革命情勢の中で僕らが拠点労組を持つことがどれほど決定的か。
幸村 うちの職場では一時金闘争の過程で想像以上のことが起きている。一時金が上がらない状況に対して、組合員全員で闘わないといけないという話をしたら、活動家じゃなくて普通の組合員がゴリゴリ組織拡大をし始めた。拠点をつくったときに労働者が革命に立ち上がる自由な空間が生まれる。逆にもっとこっちが意識的に活動したらこの空間はどこまでも広がる。
染井 3・11以降、あらゆる人びとが闘いに立ち上がり始めた。絶対に負けさせてはいけない。労働組合が階級的労働運動として登場することがすごく大事。労働組合こそ反基地や反原発など社会のすべての課題を取り組むことができる。すべての闘いを一つにまとめ上げることができる。
咲山 沖縄の闘いでも労働組合が決定的。東北の「復興特区」と同じように、沖縄には「経済特区」がある。基地の振興策で雇用が増えるというふれこみだけど、手取りも月10万円そこそこ。大量解雇の職場も多い。労働法も無視。それが「基地による繁栄」の実態です。労働者の団結を破壊して基地建設やろうということ。でもそれに私たちが労働組合を対置して職場で闘い団結をつくり出そうとしている。その力が辺野古の基地建設を止める地域の闘いと結びついていったとき、沖縄の闘いは島ぐるみ闘争になっていく。
マルクス主義武器に闘って路線をつくる
月瀬 そういう拠点労組をどうつくっていくのか。職場で多数派になって労組権力を取るということ。そのために「労働組合を原則的に運営する力」を僕らがつける。職場のすべての労働者の生活状態だとか苦闘だとかを隅々まで知って労働者同士の日常的関係をつくりながら、時代認識をもって資本と闘い、ともに路線を深化させていく。地道だけどそれが革命の原動力。
辻倉 大阪市に橋下市長が誕生した。道州制=公務員全員解雇攻撃が始まる。僕は逆に階級的労働運動をつくり出すチャンスととらえている。問われている飛躍とは資本主義を打倒しようという中身をいかに職場闘争にするかということ。職場では仕事の時間中でも、これからどうなるのかという議論が始まっている。それでも体制内労組幹部は首切りはないとウソを語っている。やっぱり現場が団結するには時代認識と路線が大事。大恐慌の時代、黙っていたら首を切られる、ストライキで闘って活路を開くんだと言っていかないと、現場はボロボロにされる。
幸村 職場の目の前の問題だけ見ていると何と闘っているのかわからなくなる。時代認識は、今、自分たちにかけられている目の前の職場の攻防の攻撃の核心点を明らかにする。そして自分たちは一人ではない、世界の闘いとつながっているんだと気づかせる。9・19明治公園に6万人が集まり、労働組合の底力を示した。3・11後の激しい資本攻勢で「闘っても勝てない」と落ち込んでいた仲間は、9・19で労働者は立ち上がるんだと確信をもって猛然と職場で活動を始めた。
砂塚 労働者が集まるという物質力は人を動かす。そこに感動する。
関 僕たちの一歩一歩は小さい。でも明治公園に6万人集まったら6万歩の前進。非正規職撤廃闘争の援軍だ。
辻倉 時代認識は実践そのもの。当局や体制内指導部の狙いは何か、自分たちはどういう位置に立っているのかをとらえる。そうすると僕たちの現場での構え方が変わる。組合権力を取った職場では非正規の解雇撤回闘争に徹底的にこだわったそうです。道州制=公務員360万人首切りの最先端の攻防としてとらえて現場で議論を重ねた。ひとつの具体的な職場闘争にこだわって闘う中で、大衆自身が路線をつかんで自己運動を開始した。
幸村 時代認識とか路線は一方的に求めるのではなくて、現場の闘いが路線をつくり路線を深化させる。そうやって団結も深まる。
染井 そもそも私たちの世代は組合とか団結がどんなものか最初から触れたことがない。国鉄分割・民営化で日本全国から労働組合が解体されていく歴史の後に生まれた世代だから。この状況をひっくり返すには国鉄決戦を闘うということだし、資本と激突する一つひとつの実践で団結をつくり出していくことだと思う。
皆藤 私の職場には組合がないけど、同僚が有給休暇をとることを上司に言いに行く時に、「あなたがいれば安心だ。そばにいてくれ」と頼まれた。そこで初めて労働組合の話もできた。小さい行動だけど、こうした一つひとつを一緒にやって労働組合の闘う姿を具体的に示していけば団結できるし、分会をつくっていけると思う。
月瀬 団結するためには、相手に変革を求めるだけじゃない。自分も変わる。そうやってお互い飛躍していく。
幸村 それらをやっていく土台にマルクス主義の学習が絶対に必要。自分たちの闘いが何かを階級的につかんでいける。職場実践とマルクス主義で自分も含め活動家をつくる。
関 マルクスは労働者が団結すれば資本家に勝てるし、新しい世の中をつくれることを明らかにした。現実に生きる労働者の武器です。
幸村 労働組合の指導部として責任をとろうとなったら、職場や地域で団結をつくり出すことを日常不断に考え実践していかなければならない。それをやるのが職場細胞と地区党だ。
辻倉 地区党、マル青労同がどこで勝負するかを議論して、方針を定めて勝負してきた。拠点建設と青年獲得、それを党建設・マル青労同建設と一つのものとしてつかんできた。
砂塚 細胞の団結についても、俺たちが細胞で決めたことを職場で一緒にやる、やれなかったとしてもどうしてやれなかったか議論し、この繰り返しで団結をつくるということ。
辻倉 よく「党と労働組合は一体だ」と言うけど、労働組合、現場、職場細胞というのは互いに獲得しあって学びあう関係なんだと思う。現場の闘いによって路線を高める関係にある。個々の職場の闘いを普遍化してとらえることで、全労働者を本当に組織できるプロレタリアート独裁を実現する党をつくることができる。
被災地と連帯し反原発・反失業闘う労組の復権を
――福島は反原発闘争の先頭で闘ってきました。
大牧 3・11で私たち福島県民のすべてがひっくり返された。3・11以降、福島では3月20日の街頭宣伝から立ち上がり、10・10NAZEN福島結成へと連続的に闘い抜いてきた。3・11直後は何の方針も出ない状況。でもみんな怒っていた。僕の職場でも東電の社長が原子炉につっこめばいいという話がでるぐらい。今は声には出さないけれど、ふたを開けるとすごい根底的な怒りが渦巻いている。そんな中、福島では、避難している人・しない人、東電からお金をもらっている人・いない人、仕事をしている人・いない人という形で大きな分断がもちこまれている。私たちは方針を出して修正して……の繰り返しの中で、だいぶみんなの怒りに接近してきた。ともに行動を積み重ねて、政府・東電を揺り動かしていると実感しています。政府・既成政党は何もしないどころか福島を切り捨てる存在。福島を取り戻す闘いができるのは唯一われわれだけです。
皆藤 私の地元でも、若者が自分たちの力で原発を止めるんだと立ち上がっている。11月集会にも多数参加した。今、原発を止めるために全国の闘いとつながりたいとなっている。
月瀬 福島の怒りで一個につながることがすごく大事だ。6・19福島大行動に行って「福島を返せ」というデモコールになぜか涙が出そうになった。俺たち仕事も奪われているし、だいたい田舎じゃ食っていけないから都会に出てきて生活している。未来なんかねえよっていう怒りがある。福島の怒りは俺たちの怒りと同じじゃねえか。職場も未来も希望も全部奪われて、全部を取り戻さなければいけない。僕らは生き抜く闘いを貫くことだとすごく思う。これが僕らの党派性。それが階級の利益をそのまま貫く中身だから。
咲山 私も反原発運動をやり始めて同じことを考えた。4月10日に高円寺で若者たちが1万5千人のデモをやった。そして今、たくさんの魅力ある若者が反原発運動に集まっている。感動する反面、私は危機感を持っている。反原発を自分の人生とちゃんとからみあわせないと雲散霧消してしまわないかと。反原発・反失業のスローガンを掲げたメーデーに参加した。反原発に立ち上がっている若者たちだって家に帰って明日のご飯どうしようと悩んでいたりする。これ自体がおかしいというところから、原発の問題が資本主義社会の矛盾が全部、体現されたものだったというのが勉強していくうちにわかってきた。
反原発デモで反原発・反失業を掲げるかどうか迷ったけど、そこを入れないと何と闘っているのかぼやけてしまう。誰が敵なのかはっきりしてないと継続して闘うことはできない。福島のお母さんたちやシンディ・シーハンさんとつながっていって「反原発・反失業」が響くんだとすごく確信した。
皆藤 反原発で行動してきた青年は大会で職場の闘いを聞いて、労働者階級の一員だと意識するようになった。
長坂 原発事故が起こって、非正規職がどんどん使い捨てにされている現実が明らかになって、原発への怒りと非正規職化への怒りがつながった。原発労働者のほとんどが非正規職で被曝労働を強いられている。非正規職撤廃闘争は被曝労働をなくし原発を廃絶する闘いとなった。
咲山 福島では、仕事があるから逃げられない人が多い。夫婦間で仕事優先のお父さんと子ども優先のお母さんが離婚するという話もある。そんな所でも分断が起きている。じゃあどう解決するのか。そういう生活の中にまで入っていける本物の労働組合というか「共同体」をつくっていくことなんだと答えが見えてきた。人生をかけて反原発を闘っていくためには労働組合が必要だという話につながる。福島の診療所をライフスタイルとしての労働組合的なよりどころとしてつくりたい。
原発再稼働とめよう
幸村 野田政権は「冷温停止状態」宣言で原発も放射能も安全だとキャンペーンし、原発再稼働と輸出に突き進んでいる。12年はこれと対決する。再稼働は福島の怒りと闘いを圧殺して福島を切り捨てる分断攻撃。だから福島との連帯をどこまでも貫き労働運動の力で階級的に一つになる闘いです。
大牧 今、福島の怒り自身がすごい抑え込まれている。瓦礫(がれき)の問題一つとっても、持っていく所がないので放置です。「家の前の道路に土が置いてあるんだけど、どうしたらいいか」という問い合わせが役所にくる。もう八方ふさがり。職場もそうです。当初は避難所の開設とかで忙しかった。代休はたくさんもらえるけど休みもとれず。現場をもっているところはてんてこ舞い。かと言って文句を市長に言ってもしようがないし、東電に言いたいけど出て来ない。組合は何かを取り組んでいるわけでもない。
関 福島に拠点となる労働組合をつくり出せれば、福島の怒りをストレートに響かせることができる。
辻倉 福島だけの問題ではない。今、被曝の全国化が始まっている。汚染瓦礫を焼却する労働者が被曝するわけです。瓦礫をうちに持ってくるなというやりあいだけだったらとんでもない分断になる。それを打ち破るのは労働組合の闘いにすることだと思う。
長坂 JRでいえば、動労水戸が放射能で汚染された列車の検修を阻止するストライキに立ち上がった。
染井 医療産別は「医療特区」攻撃との闘いの最前線。内部被曝と低線量被曝を問題にしていく。医師一人だけの勇気で問題にしていく構図ではなく、職場からの闘いと労働者の団結を背景にしてこそ職場でも社会的にも問題にしていくことができる。医療労働者の誇りをかけた闘いです。
咲山 勢いとセンスで駆け抜けてきた。ここからは本当にそれだけじゃいかない。反原発に立ち上がっている若者一人ひとりが本気だからこそちょっとやそっとの理屈なんかでは通用しない。時代認識と路線、何よりマルクス主義が必要だと確信しています。
国鉄先頭に外注化阻止・非正規職撤廃へ闘おう!
――大会では「JRを先頭に外注化阻止・非正規職撤廃を闘う労組青年部を4大産別につくり出そう」という方針を確立しました。
幸村 野田政権と経団連は3・11をチャンスだと言わんばかりに「復興特区」構想で都市機能丸ごとの民営化、外注化・非正規職化を狙っています。ここをめぐる激突が被災地と大阪を突破口に4大産別でもう始まっている。その最大の攻防点がJR大再編。ここで闘う労組青年部をつくりだしたら、本当に革命ができる。ここに僕たちは断固として挑戦する。JRの青年労働者とともに4月のJR検修業務外注化を絶対に阻止したい。
長坂 今、JRグループの車両製造所の再編が進んでいて、「東急車輌製造」もJRに買収された。JRは車両製造事業を「経営の第4の柱」に位置づけると言っているけど、そこでもうけようなんて考えていない。もうけは駅ナカやスイカなんかでつくって、本当にやりたいのは2次、3次と外注化を繰り返して労働組合を絶滅させるということです。
砂塚 JRは今年、外注化と同時に放射能汚染地域での運転再開など原発再稼働や「収束」キャンペーンの最先兵にもなってきたけど、これらに対して青年労働者の大反乱が始まった。動労千葉は青年部を再建し、動労水戸に青年が加入した。
長坂 この闘いにものすごい勇気づけられた。全国のJRでも絶対にできる。JRでは組合の所属を別にして20代、30代の労働者が闘いを求めている。JR東日本ではグリーンスタッフの雇い止めが問題になっている。展望を失い自殺に追い込まれたスタッフもいる。JR西日本では03年に契約社員制度が導入されて08年から雇い止めが始まった。僕もその中の一人。青年の未来や尊厳とかすべてを奪う契約社員・非正規職制度を絶対に撤廃するということで解雇撤回を闘ってきた。
関 闘わなければ本当に生きていけない。組合に人生がかかっている。
長坂 そう。動労千葉や動労水戸のように労働組合が現場で闘うことでしか本当に青年労働者が生き残ることはできない。口先だけの東労組、被解雇者の組合員籍を抹消する国労幹部に何かできるとは絶対に思えない。若い労働者を本気で守ると言えない組合にどうして青年が人生を賭けられるか。
幸村 動労千葉や動労水戸が青年を本気で守ろうと言えるのは国鉄分割・民営化と25年間、絶対反対で闘ってきたから。青年を非正規職につきおとしてきたのが国鉄分割・民営化に始まる新自由主義。労働組合が解体され膨大な非正規労働者が生み出されてきた。動労千葉は外注化を阻止して非正規職をこれ以上ふやさない闘いをやっている。動労千葉のような組合がいくつもあれば非正規職を撤廃できる。
長坂 わかったことは鉄道業務を外注化するために契約社員制度を導入したこと。契約社員を教育するだけしておいて雇い止めにして外注先会社に放り出す。そして下請け会社は教育することもなしに技術をもった労働者を安く雇い入れる。駅業務も全面外注化して究極は無人にしていく。列車はワンマン化。車掌も廃止。JR四国では車掌が契約社員にされた。どんどん合理化・外注化するために契約社員という非正規職を蔓延(まんえん)させているから、事故も多発している。
染井 長坂君の決起は決定的。外注化を阻止して非正規職を生み出さないJR本体の闘いと一つになっている。契約社員制度撤廃の闘いが外注化阻止の闘いだとつかんだことがすごく大きいと思う。正規と非正規が団結できる展望が長坂君の闘いの中にある。これが路線をつくっていくことなんだと感じた。
長坂 11年はJRの偽装請負を告発する闘いを始めた。JRはかなりのダメージを受けている。JR構内の電話の回線で外注先の会社の人に、ここを掃除してほしいとかJRが日常的に直接、指示を出す。それを問題化したらJRは言い返すことができなかった。震え上がっている。
皆藤 動労千葉や動労水戸の青年や長坂君たちJR青年労働者と一緒に闘う労組青年部を絶対につくっていきたい。そのためには私自身が自分の職場で必死に現場の労働者との団結をつくっていくことだと思う。同じ苦闘を共有して職場を越えて団結していきたい。
関 国鉄問題、外注化問題、原発問題……、すべての悪の核になっているのが非正規職化だと思います。非正規とは何かはっきりさせないと前に進めない。11年に「4大産別から非正規職を撤廃しよう」という闘いが始まった。雇い止め・解雇撤回を掲げて郵政非正規ユニオンが生まれた。わずか1年でここまできたのは、非正規職問題にみんな気がついたからだ。
皆藤 非正規は一生懸命働いても貧しい。「雇い止め」という名ですぐ首にもなる。これは死刑宣告。すべての権利も奪われている。でも核心は非正規雇用というのは労働者を団結させないこと。立ち上がったら雇い止めにされると思わせ労働者を支配する。新自由主義そのものだよね。
(写真 東京・日比谷公会堂で開催された6・5国鉄闘争全国運動集会。被災地から結集した仲間と怒りを一つにして、国鉄決戦と反原発闘争への総決起を宣言した)
正規・非正規が団結し新自由主義と対決を
幸村 この問題を避けたところで労働運動の再生はないよね。だってさ、新自由主義が労働組合をつぶしてきたんだから。連合幹部は「闘っても勝てない」「雇い止めは仕方ない」と問題にもしない。だけど俺たちはここを正面課題にすえて突破して拠点労組をつくる。逆にいえばここを突破したときに拠点ができる。非正規職撤廃は2千万青年労働者が待ち望んでいる闘い。俺ら青年の闘いそのもの。この闘いで労組青年部をつくっていける。
皆藤 東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会が示していることは、3カ月雇用の労働者でも団結すれば闘えるということ。
関 僕たちも御用組合には任せておけないと、非正規労働者が組合を運営して御用労組幹部をひきずりおろして労働組合をよみがえらせようと叫んできた。非正規は立ち上がれば首になるというのを、労働組合が守ってくれるというふうにしなければいけない。
月瀬 今年は正規と非正規を越えた本当の団結を形成して非正規職撤廃闘争を絶対につくっていきたい。でもそう簡単ではない。僕たちはよく、正規と非正規は労働者階級として一つなんだと綱領的に言いますよね。でも非正規労働者には心情的には同じではないというのがリアルにある。正規の給料は非正規の3倍、4倍でしょ。非正規は雇い止めもあるし、ボーナスも出ない。非正規だけの飲み会では正規労働者に対する悪口が噴き出てくる。「労働者は一つじゃないか」と言うと、「お前どっちの味方なんだ」と言われる。資本・当局は団結させないために分断をもちこんでいるんだけど。
関 僕なんか、闘っている砂塚さんがいるので正社員を敵とはみなせない。まっとうな正社員がいるじゃないかと。砂塚さんがいなかったらJP労組も敵だろう。
月瀬 正規の労働者の側も「非正規労働者というのは正規の本体があってそれに対する補助労働で非正規がいるんだ」「あなたたちたいへんだから待遇改善のために組合がなんかやってあげなきゃね」みたいな接近の仕方をしたらたぶん団結できない。それはその人たち自身の闘いにならないし、本当の団結にならない。「しょせん俺たちは補助労働であって社会の主人公じゃなくて半人前なのか」となる。そうじゃない。「非正規労働者だって、一人前の人間で俺たちは職場を回しているんだ。だから正規も非正規も関係ない、一緒に闘おう」って。『甦る労働組合』(中野洋著)に「マルクスだけが労働者の存在を認めてくれた」とある。非正規労働者の存在をマル青労同も革共同も、あなたは歴史を動かす存在だと真正面から認めたところから団結が始まるんじゃないか。
辻倉 誰が敵で誰が味方かというのは資本と闘う中で解決していく。
砂塚 外注化阻止・非正規職撤廃を郵政に引き寄せてみると、JPEX粉砕の闘いがある。非正規を6割から8割に増やすなと職場に訴えて、正規・非正規が一緒に取り組んだ。JPEXの出向・転籍問題で全員ふるいにかけられた。俺たちの方針は正規も非正規もこれに行かないというもの。ほかにも非正規の仲間が雇い止め・解雇攻撃を食らうといったとき、正規も一緒に闘って信頼関係をつくってきた。確かに正規・非正規のいがみあいはある。だからこそ一緒に闘う。本当に一体感をもってやる中で次に行っている。
マル青労同の1000人建設で革命の勝利を切り開こう
――2012年をどう闘いますか。
砂塚 12年にやることは革命へむけた戦略的大準備です。やっぱり労働組合を現場の労働者の権力として打ち立てる闘いを断固やろうじゃないかということです。僕たちはもっと感動しなくちゃいけない。僕は郵政の職場全体がストライキに決起する瞬間をまだ見たことがない。この壮大な闘いをやる観点で職場闘争に突っ込みたい。
大恐慌−3・11情勢で起きていることは、原発再稼働にしろ復興特区、TPPにしろ、野田政権と資本家階級による外への侵略戦争と内への階級戦争という形で戦争になっている。第1次、第2次世界大戦の教訓は、労働組合が帝国主義の侵略戦争に率先協力する機関に変質することで戦争は可能になったということ。まさに連合が今の戦争の推進役。原発も推進だ。連合の実体としてある4大産別。でも国鉄、4大産別で連合を打倒して僕らが権力を取ったら、日本の労働運動全体を階級的にひっくり返すことができる。
(写真 8・7全国青年労働者集会inヒロシマに闘う労組青年部が結集した)
労組青年部の建設へ直ちに実践に移ろう
幸村 12年は、その闘いを外注化阻止・非正規職撤廃と反原発闘争を労働運動として展開していく。大会の大成功をふまえて、職場から具体的な実践としてただちに始めたい。まず3・11福島県民集会、4月のJR検修業務外注化阻止にのぼりつめる闘いを、労組青年部建設に踏み込んで春闘集会としてつくりだす。そこに「俺たちもそう闘いたいんだ」と新たな労組青年部と青年労働者を大結集させる。各職場細胞と地区党でその闘争方針を早急に確立する。同時にそれはマル青労同1千人建設そのものです。単純に1千人に増えればいいというものではない。労働組合の運営と職場細胞に責任をとるリーダーを生み出す闘いです。
月瀬 被災地では五つの拠点をつくっていきたい。一つは被災地に第2の動労千葉をつくること。二つに学生自治会を福島決戦に勝利するためにつくること。三つに全人民的拠点としてNAZENを打ち立てること。四つにTPP攻撃や放射能汚染と闘う農漁民と労働者の団結をつくること。五つに医療特区攻撃に対して労働者の団結で福島の子どもたちを守るために福島に医療拠点をつくることです。
大牧 自分の足元から闘わなければ生きていけないということを、この1年間ですごい実感した。自治労が声を上げれば変えていくことができる。
咲山 どこまでも福島の怒りと結びついて原発再稼働阻止と福島の診療所建設をやっていきたい。12年に野田政権がTPPや原発再稼働とかやろうとしている。敵の攻撃をつかんだ上で、自分たちは対等なんだと闘っていく。診療所カンパ集めや再稼働阻止の署名集めをベースに徹底的にあらがいつつ豊かに反原発運動を広げていきたい。
長坂 JR西は歴代社長が全員起訴されている。前代未聞。それでも労働者の首切りを平気でやっている。絶対に許さない。非正規雇用をなくせと各地で非正規の仲間が決起している。組合を越えて安全破壊も原発も許さない闘いをしたい。解雇撤回・契約社員制度撤廃、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いで組織拡大して拠点つくりたい。
辻倉 職場の中で革命派をつくっていく。橋下は労働者を解雇の恐怖にさらして労働組合をたたきつぶしてくる。絶対に許せない。でも逆にチャンスだ。なぜなら組合には団結がある。例えば下水管の中で仕事をする職場では有毒ガスがそこにあったら死んでしまう。安全は命にかかわる問題。だからこそすごい団結をしてきた。そこを橋下は別事業団体化して民営化するという。福島と同じ命懸けの決起が始まる。
その時に大事なのは党派闘争のやり方。体制内指導部に腹立つから打倒ということじゃなくて、あんたも含めて首を切られるんだと。組合執行部が首切りの下手人になるか、最先頭で切られるかどっちかなんだということ。同じ労働者として党派闘争をして、即、職場全体の団結にしないといけない。地区党とマル青労同が現場労働者と一体となって大阪決戦に突っ込む。
関 12年は郵政非正規ユニオンを全国区にして、1千名の組合にする。全国ネットワークをつくって郵政16万非常勤と2千万青年労働者の結集軸にしていきたい。今年は新世紀元年と呼ばれる年にバチバチとしていく。
染井 職場の人員問題と合理化問題を反合理化・安全闘争で職場を団結させたい。看護師と医者の人員不足、電子カルテ問題を軸に闘う。これは病院労働者が直面している普遍的課題。あと職場における資本との非和解性を貫いて団結体を登場させることで、新自由主義の根幹である社会保障解体と対決できることを示したい。もう一つ、国鉄労働者がめちゃめちゃ怒っているのを本当のチャンスにしたい。
皆藤 鈴コン解雇撤回を非正規職撤廃を掲げ合同・一般労組全国協議会として闘う。鈴コンでは何十回も3カ月雇用更新を繰り返している。それでも解雇される。非正規職の実態が鈴コンにある。でも闘えば勝てる。ある合同労組の仲間は分会を立ち上げ3カ月更新の雇用から永続雇用をかちとった。前例がない勝利。分会をつくり非正規職を撤廃する。闘いの地平と苦闘を会議の中で出し切って、そこでつかんだものを現場に持ち帰るという生きた交通をやっていくことを、組合の中でもマル青労同の中でもやっていきたい。
砂塚 既成政党は労働者に何ら闘いの展望を示さない。僕たちは自分たちの党をつくらなければならない。マル青労同に結集して、ともに闘う労組青年部をつくり出そう。徹底的に職場で勝負しよう。
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週刊『前進』(2518号7面1)(2012/01/01 )
新刊紹介 国際労働運動 2月号
革命の波が中国にも
大恐慌は、米帝没落・EU解体・日帝脱落・中国バブル崩壊へ向かって深化している。帝国主義間・大国間の争闘戦の激化は、中国スターリン主義から経済成長と政治的軍事的安定の条件を奪い、バブル経済を破綻させつつある。
米帝は対中国対峙・対決に踏み切り、TPP(環太平洋経済連携協定)による中国包囲と中国の軍事戦略である「接近阻止戦略」の破壊に乗り出している。中国は対米対抗的な軍事・外交政策を強めているが、国内の社会建設の矛盾が深まり、労働者階級人民の怒りの決起に直面している。中国にも革命の波が押し寄せているのだ。
第1章は、大恐慌の深まりによる不動産バブルの崩壊で、中国のバブル経済が破綻に突き進んでいることを暴露している。
第2章は、中国スターリン主義の軍事における対米対抗が帝国主義世界戦争への道の促進であり、国際階級闘争に対する反革命であることを明らかにしている。
第3章は、新自由主義攻撃に対する労働者階級のめざましい決起が中国革命を求めて発展していることを生き生きと描いている。
翻訳資料は「死をもたらす医産複合体」。独占資本が生命をも商品化し命を奪う医療現場の実態を調査、著作『死をもたらす独占』を出版し、暴露したハリエット・ワシントンへのインタビュー。
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週刊『前進』(2518号8面1)(2012/01/01 )
新自由主義と闘う国際連帯
金正日の死去で朝鮮半島をめぐる激動と緊張が一気に高まる中、新自由主義と闘う階級的労働運動がいよいよ情勢を決する時代となった。社会に充満する怒りと結びつき、一つに束ねる力が階級的労働運動だ。動労千葉を軸に11月労働者集会で結合した日韓米労働者の国際連帯を推し進めよう! 2012年、反原発・反失業、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いで団結をさらに拡大・強化しよう。
韓国 非正規職撤廃を
整理解雇撤回かちとった韓進労働者と“希望バス”
外注化で殺された非正規職
12月9日午前0時半すぎ、仁川空港とソウル駅を43分で結ぶコレイル空港鉄道で線路の凍結防止作業をしていた労働者6人が列車にひかれ、5人が死亡、1人が重体という大事故が発生した。6人は下請け労働者、2年ごとに契約を更新する非正規雇用だった。40〜50代のベテラン技術者だが賃金は月190万ウォン(約13万円)以下。
空港鉄道は「線路作業に対する現場監督と指示などすべての責任は下請け業者が受け持っている」と居直り、警察は13日、列車運転士(39)と3人の下請け業者職員の拘束令状を請求した。最寄り駅を出発後、時速80`を超える運転席から作業中の労働者を発見したが直ちに警笛を鳴らさなかったことが「機関士安全規則」順守違反(!)だというのだ。
この路線は、97年に民間投資誘致事業として始まり、07年3月に金浦空港−仁川空港間で暫定開通したが収益が上がらず、09年11月に韓国鉄道公社(コレイル)が買収。ホジュニョン社長は就任早々5115人の定員を削減し、施設維持・補修業務の外注化に着手した。その結果、人員不足と安全性低下による事故が頻発していた。
9日、鉄道労組は「空港鉄道事故は無差別外注化など構造的問題が引き起こした」と弾劾声明を発した。動労千葉は72年船橋事故で高石運転士を守り抜いた。今こそ労組の真価が問われている。
(写真 “希望バス”で訪れた人びとでにぎわう85号クレーン【6月12日 釜山】) 85号クレーン籠城309日
97年に韓国がIMF(国際通貨基金)管理下に置かれて以降、民主労総の闘いは整理解雇と非正規職化との闘いだった。イミョンバク政権はこの4年、むき出しの新自由主義攻撃を推し進め、労組破壊と民主労総解体に躍起になっている。
連綿と続く現場労働者の闘いは2011年、歴史的に勝利した。それが釜山の韓進(ハンジン)重工業での整理解雇撤回闘争だ。
1月6日、キムジンスク民主労総釜山本部指導委員が韓進重工業・影島(ヨンド)造船所の85号クレーンに登って高空籠城(ろうじょう)に突入。400人の整理解雇を撤回せよと要求した。キムジンスクさんは82年、21歳で韓国初の女性溶接工として韓進重工業に就職、労働運動に身を投じて26歳で解雇された。この85号クレーンは03年に当時の韓進重工業支会長が整理解雇撤回を掲げた129日間の籠城闘争の末に自ら命を絶った場所だ。
「キムジュイク支会長がしたくてできなかったこと、勝利して自分の足で降りていく」と宣言した彼女は、その宣言通り309日間という驚異的な籠城闘争を貫徹し、クレーン中間部でキムジンスクさんを死守した組合員らとともに11月10日、自らの足で降り立った。この勝利は全労働者を奮い立たせた。
このキムジンスクさんの闘いに感動し、彼女に会いに行こうと「整理解雇のない世の中、非正規職のない世の中のための希望バス」が生まれた。6月11、12日の第1次希望バスから10月まで希望バスは第5次に及んだ。キリュン電子闘争を始め非正規闘争を支援してきた詩人のソンギョンドンさんらが発案し、双龍自動車、バレオ空調コリア、才能教育などの労働者が合流した。労働者、宗教者、芸術家、市民らが全国から駆けつけた。特筆すべきはこれまで労働運動と縁のなかった青年や学生たちがこぞって参加したことだ。新自由主義が生み出したひずみ、その中で積もり積もった怒りがキムジンスクさんの闘いと出合って解き放たれた。
資本に屈した執行部と闘い
309日間の闘いは、闘いを資本に売り渡し生き延びようとする労組執行部との闘いだった。
6月27日の籠城闘争破壊の強制執行も、前日に支会執行部が会社側が提示した「会社正常化後に解雇者優先雇用」案に合意したことに乗じた暴挙だった。さらに9月、チェギリョン支会長は「94人(解雇者)のために1400人(非解雇者)の生存権が脅かされている」という壁新聞を張り出し、会社にすり寄った。組合員らは「94人の解雇者の問題は、工場の中にいる1400人に直結する問題だ。会社は今後、さらに外注化を進め、非解雇者も遠からず雇用問題にぶつかる」と執行部を批判した。
組合破壊攻撃を打ち返し、10月14日、全組合員809人中786人が投票し、433票で闘う執行部=チャヘド支会長を打ち立てた。解雇者と非解雇者の分断を許さず団結した現場組合員の意志が結実した結果だった。
そして労組は11・10暫定合意案をもぎり取った。「完全には満足していない」とキムジンスクさんが言うように解雇者の復職は1年後、資本との闘いはむしろこれからだ。2011年、韓進闘争は新自由主義に苦しむ全人民的な怒りを糾合し、新たな闘いの地平を切り開いた。断固この道を進もう!
(室田順子)
アメリカ 占拠から革命へ
TPP・労組破壊と闘う港湾労組軸に階級が団結
12・12西海岸全港湾を封鎖
昨年、動労千葉を軸とする日本の階級的労働運動は、アメリカ階級闘争の最も大衆的に支持された闘いと固い信頼関係をかちとった。ILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル21(第21支部)のダン・コフマン委員長が11・6労働者集会に参加した。そして同労組を守るために立ち上がった巨万の12・12西海岸港湾封鎖と結合した。
これは、動労千葉が組合員の団結に徹底的に依拠して10年にわたって外注化を阻止し続け、昨年8月30日の集会で「外注化・非正規職化・偽装請負との闘い」の路線を圧倒的に打ち出したことで切り開かれた。外注化・非正規職化・偽装請負との闘いは、それ自体が団結強化であり、国際連帯だ。
また、外注化阻止はTPP(環太平洋経済連携協定)阻止と不可分一体であり、TPP推進者=伊藤忠・EGT(穀物輸出ターミナル)と闘うILWUローカル21との共同闘争だ。
アメリカでも外注化が新自由主義の労組破壊の切っ先だった。80年代以来、UAW(全米自動車労組)など基幹産業の労組破壊のため、外注化を進め、それを突破口に工場閉鎖・移転=全員解雇に突き進んだ。94年に発効したNAFTA(北米自由貿易協定)は外注化、工場国外移転をさらに促進した。
UAW指導部は外注化・FTA(自由貿易協定)に職場の闘いと国際連帯で反撃するのではなく、「雇用を守るため」として組合側から譲歩を提案する路線をとった。国外の労働者との賃下げ競争をあおったのだ。「譲歩」は逆に解雇を促進した。
特に08年リーマンショック後、UAW指導部の裏切りは労働者の怒りの的になった。GM(ゼネラルモーターズ)とクライスラーの倒産・再編でUAW組合員が大量解雇された。指導部が30年間言ってきたことがすべてウソだったのだ。UAWが「倒産回避のための大幅譲歩」の協定に署名した直後、政府と資本はGMを倒産させ、大量解雇と年金・医療剥奪(はくだつ)を強行したのだ。
大証券会社・大銀行はさらに露骨だ。「自己責任」「競争原理」を30年間大宣伝してきたやつらが、サブプライムローンなどの投機・詐欺商法が破綻したとたん、8000億j規模の救済資金を2回も受け、直後に経営者のボーナスを倍増、3倍増している。
こんなやつらが労働者を解雇や住宅差し押さえで路頭に迷わせている。単なる自由競争ではなく、露骨な犯罪と国家財政投入で格差をつくり出しているのだ。
(写真 オークランドのオキュパイ集会の中心に「港湾を封鎖し港湾労働者を支援しよう!」の横断幕。中央左はILWUローカル21のコフマン委員長【11月19日】) ウィスコンシン州議会占拠
エジプト2月革命はアメリカ帝国主義の中東石油支配の戦略的要を突き崩し、全世界の労働者階級を鼓舞激励した。
その直後、ウィスコンシン州の公務員労組破壊立法に反対する州議事堂占拠闘争が始まった。「マディソン(州都)をタハリール広場に!」を合言葉に10万人が議事堂を包囲し、教職員組合は山猫ストを行った。
戦後アメリカでは山猫ストは異例中の異例だ。労働協約期間内の争議行為を禁止することが協約で規定されていることを盾にして労組指導部はランク&ファイル(現場組合員)のストへの動きを圧殺してきた。
ウィスコンシンの闘いはアメリカ戦後労働運動の常識を覆した。全米にインパクトを与え、ILWUローカル10は連帯港湾封鎖を行った。
だが、体制内指導部は闘いの拡大を必死に抑え込んだ。ウィスコンシンの闘いは、既成指導部によって州議会議員のリコール運動=民主党支持運動へとねじ曲げられ、公務員労組破壊立法の発効を許してしまった。
ウォール街のオキュパイへ
ここでアメリカ全体の先頭に立ったのが、西海岸ワシントン州ロングビュー港のILWUローカル21の闘いだった。
TPPを推進する巨大穀物独占資本=EGTのILWU労組破壊攻撃に対し、ローカル21は徹底的に職場の実力闘争を貫き、ウィスコンシンで突き当たった壁を突破した。これに激励されてウォール街占拠(オキュパイ)運動が9月から急速に拡大した。
マスコミは占拠運動を「具体的要求がない」と批判する。
だが、全米の労働者が熱烈に叫ぶ「われわれは99%だ」は、1%に代わり99%が社会の主人公になるべきだということだ。圧倒的多数の労働者大衆が革命を要求している。ウォール街占拠のホームページは「唯一の解決は世界革命」と大書している。オークランドには「コミューン」の旗が翻っている。
未組織労働者、非正規職、失業者も多い占拠運動が「ILWUローカル21を守れ」の一点で団結し、12・12西海岸港湾封鎖に決起した。労働者自身の革命的力によって闘えば、あらゆる怒りを一つにできることが証明されたのだ。
反原発・国鉄闘争で国内的・国際的な労働者階級の団結を拡大・強化しよう。 (村上和幸)
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週刊『前進』(2518号8面2)(2012/01/01 )
星野文昭同志が新年メッセージ
99%の怒りを魂に労働者が主人公の社会を実現しよう
資本主義が音をたてて崩壊に向かっています。世界で一斉に決起する労働者人民が、その一つに団結した力で、資本・権力がどこまでも労働者人民を犠牲にする社会を変え、人間本来の共同社会を実現していくために大きく前進し始めています。
1%の資本家階級が労働者から搾取し富を独占し、大恐慌・戦争を繰り返し、世界大恐慌のりきり策によって財政・国債破綻、世界経済崩壊・大恐慌を深め、資本・国家間の争闘戦の泥沼に突入しています。その中でなお、利潤をむさぼるために、新自由主義による首切り、民営化・外注化・非正規化、賃下げ・強労働、大増税・福祉切り捨て・貧困と戦争・核戦争・原発・基地を強い、まともに生きることもできない現実を強いています。
これに対して、“アラブの春”以降、立ち上がれば世の中を変えられると自らの力を確信した99%、全労働者人民が世界で一斉に決起しています。
労働者の団結で
9・19反原発6万人決起と11・6労働者集会は、労働者が団結を拡大し、それを中心とする全労働者人民の決起によってこそ、真に世の中を変えることができる、そのように闘っていく合図となりました。
そもそも資本・権力の手元にあるもののすべては労働者が生み出しているものであり、その資本・権力が労働者から仕事を奪ったり犠牲を強いたりする正当性などそもそもないのです。労働者が団結して資本・権力を倒し、すべてを奪い返して労働者が主人公の社会を実現し、誰もが人間らしく生きられるように運営していくことこそ世界史的に正当なことなのです。
労働者(人間)は本来、労働を含めた人間としての生命諸活動によって、自らと家族、共同体、その誰もが人間らしく生きられる社会を営み、そうであればこそ、労働者(人間)から搾取し、その独占する富によって支配・隷属を強い、その本来のあり方を奪っている資本家階級とその権力を労働者人民の団結した力で打倒し、すべてを奪い返して自己を解放し、労働者・人間本来のあり方を取り戻していく、労働者はそのような存在、そのような力を持つ存在なのです。
私たちが動労千葉を先頭に取り組む闘いのすべては、そのような世界史的創造性にあふれた限りなく豊かなものであり、闘う労組・自治会、組織はその実体、団結体、共同体としてかちとっていくものです。
分断し孤立させることで、労働者人民が立ち上がることをつぶそうとした星野無期との闘いは、それゆえに苛烈(かれつ)なものでしたが、暁子とともに生き闘い、すべての労働者人民とともに生き闘い、分断を打ち破ってかちとっている地平は、私たちの闘いの力で世の中を変え、星野解放をかちとる、というものです。
11・27星野全国集会600人結集はその大きな前進です。そして2月闘争はさらに大きな飛躍をかちとろうとするものです。
困難を糧にして
今日、野田政権は、経団連の代弁者と化し、新自由主義の権化と化し、原発・非正規職・TPP・「復興特区」・大増税などの推進を鮮明にしています。そして連合はそれと闘わず支えている。
被災・被曝地、失業・非正規職、99%の怒りを魂として、反原発・反失業、非正規撤廃・国鉄闘争、国際連帯を軸に全産別・全職場で仲間を諸攻撃から守る、団結体・拠点をつくり、全労働者人民の決起をかちとり、労働者人民が主人公の社会を実現しよう。
あらゆる困難を糧に、すべての闘いを解放感と創造性に満ち満ちた闘いとして闘い、勝利しよう。
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週刊『前進』(2518号8面3)(2012/01/01 )
2・5徳島刑務所包囲へ
獄中37年、無実の星野文昭同志(65)は71年11・14沖縄返還協定批准阻止・渋谷暴動闘争のデッチあげ殺人罪で無期懲役となり、徳島刑務所で不屈・非転向の獄中闘争を闘っている。09年11月27日に第2次再審請求。10年8月に検察官に開示させた証拠の中から無実の新証拠が発見されるなど、星野同志と家族、再審弁護団、全国24の星野救援会を先頭に全力で奮闘中だ。昨夏、暁子さんを先頭に訪米し、アメリカにも救援運動が広がった。2月5日、全国労組交流センターと星野全国再審連絡会議の共催で闘われる徳島刑務所包囲闘争に全国から集まろう!
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週刊『前進』(2518号9面1)(2012/01/01 )
革共同政治局 2012年1・1アピール
国鉄決戦と反原発・反失業でプロレタリア革命を切り開け
階級的労働運動の復権をかちとり革命に勝利できる党を建設しよう
事故収束宣言弾劾!3・11福島大闘争へ
はじめに
われわれは人類がこれまで経験したことのない巨大な歴史的試練の真っただ中にいる。世界大恐慌の底なしの進展と福島第一原発事故は、資本主義の最末期の姿である新自由主義の完全な破産をさらけだした。プロレタリア世界革命が今や、歴史の日程に完全に上ったのだ。2012年こそ、日々進行する革命的情勢の急速な成熟を本物の革命に転化する、その巨大な扉を全力で押し開く時である。
すでに昨年のエジプト2月革命を始めとして、全世界で労働者階級のゼネストや実力決起が続々とわき起こっている。この中で発生した昨年12・17の金正日総書記の急死と、それを引き金とする北朝鮮スターリン主義体制崩壊の危機の切迫は、超重大情勢への突入をわれわれに突きつけている。
金正日の死は、大恐慌下で没落を深める米帝が「アジア・太平洋最優先」を掲げるオバマの新安保戦略のもとで北朝鮮への戦争的重圧を激しく加える中で起こった。また脱落・日帝は、大震災後の「トモダチ作戦」をも契機にこの米帝とますます一体となって動き、帝国主義としての侵略戦争政策を激化させてきた。他方では、チュニジア・エジプトで開始された革命の波がシリアなど北朝鮮と関係の深い国々にも波及し、労働者階級人民の現体制打倒の根底的決起が始まった。何よりもこのことこそが、経済的危機にあえぎ労働者人民への抑圧を強めていた北朝鮮スターリン主義を決定的に追いつめ、金正日の死を早めたと言える。
世界大恐慌と2011年の国際階級闘争の激烈な進展がついに、第2次大戦後の戦後世界体制を支えた最大の支柱であった朝鮮半島の南北分断支配体制を根底から揺るがし、突き崩す局面を迎えたのである。1989年の「ベルリンの壁」崩壊―91年ソ連スターリン主義崩壊後も、帝国主義と残存スターリン主義による労働者階級への世界支配をその根幹で支え続けてきたのがこの朝鮮半島における南北分断だ。その破綻と崩壊の始まりは、世界大恐慌の本格的激化とともに、戦後体制の最後的崩壊を決定的に促進する。
今や、朝鮮半島情勢の大激動過程への突入が、韓国民主労総の闘いを先頭とする南北朝鮮人民による南北分断打破・革命的統一の闘いを全面的に解き放とうとしている。それは、日本労働者階級による日帝打倒の闘い、戦後帝国主義の総本山=米帝打倒へ向けた全米の労働者階級の闘い、中国スターリン主義の打倒を求める中国の労働者・農民の闘いと一体となって、反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命への突破口を開くものとなる。
これに最も恐怖しているのが米帝と日帝である。米日帝は今や、北朝鮮スターリン主義の崩壊的危機を帝国主義による東アジアの軍事的制圧に転じようと、必死で動き出している。米帝オバマの新安保戦略を全面的に発動し、イラク・中東に続く朝鮮・中国への新たな侵略戦争と、労働者階級に対する全面的な階級戦争=新自由主義攻撃の極限的な激化に自らの延命をかけて突き進もうとしているのだ。この全情勢と対決し、逆に今こそ東アジアを世界革命の巨大な根拠地に転化していくために全力で闘う時である。
その決定的な鍵を握るものこそ、日本における階級的労働運動の全面的な復権と、わが革共同のマルクス主義の党、労働者革命党としての本格的登場である。そして日韓米の闘う労働者を軸とするプロレタリアートの国際的団結の大発展である。3・11東日本大震災と原発大事故に真っ向から立ち向かってきた2011年の闘いを引き継いで、新自由主義のもとで奪われてきた労働者階級の団結と階級的戦闘力を、今こそ根底から甦(よみがえ)らせていく闘いをやりぬこう。
全世界の支配階級、大独占ブルジョアジーは破産した新自由主義にあくまですがりつき、その絶望的強化にやみくもに突き進んでいる。とりわけ日本の資本家階級はその最先頭で必死の延命を図ろうとしている。福島原発事故の「収束宣言」はその突破口であり、大反革命だ。危険は何ひとつ去っておらず、深刻な放射能汚染は今なお拡大し続けている。人民に大量の被曝を強制しながらその現実を覆い隠して原発推進に突き進もうというのだ。「命より金もうけ」――これが彼らの本質だ。一握りの大資本が生き残るためには社会が崩壊しても、労働者や農民が死んでも構わないとしているのだ。
こんな現実をもう一日も許すわけにはいかない。資本の支配を打倒しなければすべての人民が生きられない!
プロレタリア世界革命の一環としての日本帝国主義打倒・日本革命に勝利しよう! その戦略的大準備として、ブルジョア国家権力を打倒してプロレタリア独裁権力樹立をやりぬくことのできる労働者階級の階級的な底力を、今こそ圧倒的に築き上げ、鍛え上げていく時だ。ここに2012年決戦の核心がある。
その道は、国鉄決戦と反原発・反失業闘争の大爆発を2大基軸とした、新自由主義攻撃と全面対決する闘いの前進の中にある。そして資本・権力・体制内勢力との日々しのぎを削るぶつかり合いの中から、動労千葉に続く階級的労働運動の拠点を全国に建設していくことだ。この闘いを、闘う労働組合と党の一体的建設としてかちとっていくことである。この道をとことん突き進み、革命への前進を切り開こう。
(写真上 世界の労働者と団結して新自由主義粉砕を誓った11・6労働者集会【東京・日比谷】)
(写真下 「怒・福島隊」を先頭に6万人の怒りが結集した9・19反原発集会【東京・明治公園】)
T 新自由主義粉砕へ総決起した2011年闘争の偉大な地平
(1) 革命勝利切り開く路線と陣地を闘いとった11月集会
2011年の闘いは、大恐慌下で起きた3・11東日本大震災と福島第一原発の事故という超重大事態と真っ向から対決し、これへの全階級的・全人民的な怒りを体制変革への熱烈な希求に転化していく巨大な闘いとして爆発した。
体制崩壊のがけっぷちに立たされた日帝支配階級は、「挙国一致」の総翼賛体制のもとに労働者人民の怒りの噴出を力ずくで抑え込み、「復興」の名による新自由主義の絶望的延命策動へと突き進んだ。だが動労千葉を始めとする階級的労働運動の前進は、被災地の決起を先頭にこれを文字通り実力で突き破った。逆に国家と資本の犯罪に対する徹底弾劾を契機に、新自由主義への積もりに積もった怒りを底の底から解き放ち、組織していく闘いが始まった。その最先頭に立ったのは、青年労働者と学生であった。
日本階級闘争はここに、絶対非和解の階級的大激突過程に突入した。それは、その根源的な深さと大きさ、質において、1960年や70年闘争時をもはるかに超える。本質的には第2次大戦後の戦後革命期以来の闘いへの突入である。「生きぬくこと」が革命のスローガンそのものとなったのだ。そして「誰がこの社会の支配権を握るのか」を巡って、戦後革命期と同様に、労働者階級と日帝ブルジョアジーが互いに存亡をかけて真正面からぶつかり合う過程に入ったのだ。
昨年の11月労働者集会は、この壮大な激突の開始の中で、闘う労働者階級が勝利に向かって進むための出撃拠点と路線を圧倒的に確立するものとなった。その核心は、3・11後のとてつもない大反動をのりこえて、国鉄決戦と反原発決戦の一個二重的な爆発をかちとり、プロレタリア世界革命を切り開くという路線・方針を高々と掲げきったことにある。
11月集会とそこへ向けての格闘につぐ格闘を通して、国鉄闘争と反原発闘争を基軸に階級的労働運動の復権を職場生産点において全力で闘いとっていくことが、革命への最重要・最短の戦略的路線として創造的に確立された。そしてその決定的な柱は、新自由主義攻撃の核心中の核心である大失業と非正規職化の攻撃を根底から打ち破ることにあることが明確になった。
大恐慌を世界革命に転化する具体的な道筋が、労働者階級の闘いの絶滅に一切をかけて襲いかかってくる資本との各職場での必死の悪戦苦闘、そこでのじりじりとした前進を通してついに実践的に切り開かれたのだ。ここに11月労働者集会の大勝利があり、打ち立てた金字塔がある。
11月集会の今ひとつの決定的な地平は、青年の団結を組織する新たなリーダーの創出である。資本の搾取に最も苦しむ青年が、奪われてきた人間としての共同性を奪い返して立ち上がることこそ革命の最大の力だ。11月集会はまた、革命的行動へと向かう世界の労働者との間に国際的団結のこれまでにない強化と深化を生み出した。さらに、被災地の闘いとの結合を通して、農民を始めとする諸階級・諸階層の人民が労働者階級と固く結合し、プロレタリア革命の勝利に自らの未来をかけてともに総決起していく出発点を築いた。
11月労働者集会5950人の結集はこのように、大恐慌と3・11情勢下での一大激突に死力を尽くしてかちぬき、革命へ向けての出撃の陣地を闘いとる歴史的な地平を実現した。目標とした1万人には届かなかったが、その壁をのりこえる道はすでに11月集会そのものの中で、この道を進めば必ず革命に勝利できるという不動の確信としてつかみとられている。
(2) 国鉄と被災現地を先頭に階級的労働運動が一大前進
11月労働者集会を頂点とする2011年の偉大な勝利を切り開いた力は何か。その最大の原動力は何よりも、国鉄と被災地を軸とする階級的労働運動の大前進にある。
4・9反革命の打破
第一に、国鉄1047名解雇撤回闘争に対して加えられた一昨年4・9「政治和解」の攻撃と徹底対決し、これを打ち破ってきた闘いが、3・11情勢との根底的対決を可能にした。
3・11直後の被災地を戒厳令下においたすさまじい階級圧殺攻撃、「政治休戦」「挙国一致」の攻撃は、4・9反革命を土台とすることなしにはありえなかった。連合中央など帝国主義労働運動の率先協力だけではない。1980年代以来の労働運動解体攻撃の中で唯一残った全国的な闘いの拠点であった国鉄1047名闘争の解体攻撃、これへの体制内労働運動指導部の総屈服は、もはや資本の攻撃に対して立ち上がることすらできない状況にすべての労働組合をたたき込もうとするものだった。
この4・9反革命を真っ向から打ち破ってかちとられた国鉄闘争全国運動の結成と発展は、3・11情勢下の一大反革命に対しても真正面から立ち向かう力をすでにつくりだしていたのである。これが2011年決戦の勝利をその根幹で支えたのである。
被災地と国鉄が結合
第二に、被災地の労働者人民との階級的結合を必死に求め、実現して闘ったことである。
被災地の労働者や農民・漁民が日々強いられている現実こそ、日帝によってすべての労働者人民に加えられようとしている攻撃の最先端である。これに対して救援対策本部を即座に立ち上げ、「生きぬくために闘う!」をスローガンに被災地の怒り、フクシマの怒りを自らの怒りとして職場から反撃を組織していく闘いが猛然と始まった。5・1メーデー、5・15沖縄闘争、国鉄闘争全国運動の6・5集会はその出発点となった。さらに6・19福島現地闘争、7・17いわき闘争、8・6広島―8・9長崎闘争が飛躍点となり、9〜11月の決戦へと上りつめた。
ここにおいて、特筆すべきは動労水戸の闘いである。動労水戸は、JR東日本による被曝労働強制に2波のストライキで決起し、汚染車両の検修業務と清掃作業を中止に追い込む決定的勝利を切り開いた。「闘いなくして安全なし!」「安全なくして労働なし!」の階級的立場を貫き、「古里をかえせ」のフクシマの叫びをわがものとして、反原発を職場の課題として正面から闘ったのである。
それは職場の全労働者が生きるための決起であり、被曝労働から青年を守り、地域住民の命をも守るための決起であった。だからこそ組合の枠を越えて職場の全労働者の魂をとらえ、地域住民の中に労働組合への大きな信頼を呼び起こした。“労働組合の活動は狭く利己的なものではなく、踏みにじられている幾百万の人民の解放を目指すものである”というマルクスの言葉がそこに甦ったのだ。
動労水戸が動労千葉と固く結合し、JR資本の長期にわたる労組破壊攻撃と徹底的に闘い、打ち破る中で築いた階級的団結の力こそがこの闘いを可能にした。国鉄決戦と反原発決戦はここに完全に一体化した。それは同時に、国鉄決戦それ自身の戦略的前進を大きく切り開くものとして発展した。
非正規職撤廃の路線
第三に、最も重要なことは、とりわけ国鉄決戦を通して、民営化・外注化阻止=非正規職撤廃の闘いが一個の路線として形成・確立されていったことである。これは、反合・運転保安闘争路線と並ぶ今ひとつの決定的な路線の確立である。新自由主義の民営化・外注化・非正規職化攻撃との闘いは世界の労働者が今日直面する最大の決戦課題だが、動労千葉・動労水戸を先頭とする闘う国鉄労働者は、これを核心的に打ち破る闘いの方向を、2011年の闘いを通してついにつかみとったのだ。
その転機となったのは、JRの偽装請負を告発した動労千葉の8・30集会であった。民営化の核心は外注化にあり、外注化とは非正規職化であり、しかもそこにはほとんどすべて偽装請負構造が存在することが、ここで明らかにされた。外注化とは、正規職を排除し無権利で超低賃金の非正規職に追い込むことで、資本が最小の賃金コストで最大の利潤を獲得するところにその目的がある。だがこれは資本にとって同時に最大の弱点だ。労働組合がこれと真っ向から対決し、外注先の労働者とも組合的に団結して決起するなら、偽装請負の違法性は明白となり、外注化自身が困難化、不可能化する。
実際に動労千葉は、検修全面外注化を2年連続で阻止した地平に立って、昨秋の京葉車両センターにおける一部業務の外注化攻撃を、動労千葉組合員のみならず国労や東労組の組合員をも巻き込んだ階級的団結の力によって、実力で阻止しぬいたのである。そして動労千葉が切り開いてきた外注化攻撃粉砕の闘いは、非正規職化をその根幹で阻止し打ち砕く闘いとして、非正規職撤廃闘争の大爆発への巨大な突破口を開いたのである。それは合理化攻撃と根底的に対決できずにきた戦後労働運動の限界を、反合・運転保安闘争路線の確立に続き、最も決定的なところで突破するものとなった。
こうした動労千葉や動労水戸の闘いに続き、国労郡山工場の闘いや米子での偽装請負告発の闘いを先頭とする国労共闘の決起、動労西日本の契約社員制度撤廃の闘いなど、国鉄労働者の全国的な決起が続々とかちとられた。さらに、国労5・27臨大闘争弾圧裁判に続いて、4・9反革命粉砕へ、和解を拒否して不屈に闘う国労闘争団員による、国労の組合員資格確認を求める訴訟が開始された。腐敗し変質した国労本部を打倒して労働組合の本来の姿を取り戻す闘いが、ついに国労の中から本格的に開始されたのだ。
青年の決起が始まる
第四に、この国鉄決戦の爆発に呼応して、膨大な非正規労働者と青年労働者の一大決起の火ぶたがついに切られたことである。これは、全産別でのまったく新たな闘いの始まりだ。
その歴史的な火の手を上げたのは、郵政非正規ユニオンの闘いと、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の闘いである。非正規職労働者を人間として扱わず「クズ」と罵倒(ばとう)する郵政当局、3カ月ごとの細切れ契約を何十回と繰り返したあげくに問答無用の雇い止め解雇を強行する資本に対し、根源的な怒りの決起がたたきつけられた。新自由主義のもとで踏みにじられてきた労働者の尊厳を団結の力で奪い返す闘いがここに始まった。
そしてこの職場での闘いと、原発への怒りの街頭行動の中から、2千万青年労働者の巨大な層が地響きを立てて動き出した! かつその中から、労働運動の未来を背負って立つ青年労働者自身の若々しい指導部が次々と生み出されてきた。動労千葉青年部の結成と平成採の国鉄労働者の決起はその最先端だ。昨年末のマルクス主義青年労働者同盟第8回大会はその一切を集約し、熱烈な討議と交流を通して、労働組合と労働運動を今こそ青年の手で階級的に甦らせていくと誓ったのである。
国鉄全国運動の発展
第五に、これら2011年の決戦において最も決定的な役割を演じたのが、国鉄闘争全国運動の存在であった。動労千葉と全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同の3労組共闘を柱に、「国鉄闘争の火を消すな」と決起したすべての人びとを結集したこの運動が、強固な組織体となって新自由主義との対決の最前線にすわり続けてきたことが、あらゆる闘いの勝利を導いた。
とりわけ、一昨年の産業ゼネストに対する卑劣な報復弾圧をも打ち破って進んだ関生支部の闘いは、動労千葉・動労水戸の闘いとともに、2011年の階級的労働運動の大前進を切り開いた今ひとつの機関車であった。この3労組共闘と国鉄闘争全国運動に体現された革命的共闘関係、革命的統一戦線の戦略的意義の大きさを明確にして闘おう。
(3) フクシマの怒りと結合し全原発廃絶への闘いに突入
階級的労働運動の前進と並んで2011年決戦の勝利を切り開いたいま一つの決定的な原動力は、反原発闘争の大高揚である。
原発とは、いわば地上に設置された原爆である。それは帝国主義とスターリン主義の核による戦後世界支配と不可分一体であり、資本主義・新自由主義の腐敗の極致であるとともに、その最も凶暴な延命策として推進されてきた。とりわけ日帝は、核武装の偽装形態として、「原発大国」への路線を日帝の存亡をかけ、ウソとペテンと国家暴力を総動員して推進してきた。福島第一原発の大事故はその正体を白日のもとに暴いた。核と人類は絶対に共存できないこと、事故は資本と国家による犯罪であり、二度と繰り返させないためには全原発の即時廃止以外ないことが全人民の前に提起されたのだ。
絶対非和解の大激突
原発事故弾劾の闘いはすぐさま、絶対非和解の大激突となった。日帝にとって「全原発の即時停止・廃止」とは日帝打倒の要求そのものである。だが労働者人民にとっては、子どもたちの命を守り生きぬくための断じて譲れない、最も切実で大衆的な要求である。両者の間に妥協の余地は一切ない。
福島現地はこの激突の最大の戦場となった。日帝はフクシマの怒りを暴力的に圧殺することに国家の全体重をかけてきた。御用学者を総動員して「放射能は怖くない」「除染すれば安全」のデマを大々的に組織して福島県民の内部に分断を持ち込み、怒りの声を封殺しようとした。子どもたちの避難もさせず深刻な放射能汚染のもとに放置し、むきだしの棄民政策によって絶望に追いやろうとした。
だがこの攻撃は、福島の母親たちを先頭とする渾身(こんしん)の決起によって、またその怒りをわがものとして決起を開始した全国の闘いによって打ち破られた。6・19福島集会がその転換点となった。福島現地と全国の闘う労働組合が、ここで反原発闘争の中心に立ったことが決定的だった。
6・19に始まり、7・17いわき、8・6広島―8・9長崎の大高揚へと継続・発展した闘いは、青年労働者や学生を先頭とする全国各地での無数の行動と結びつき、ついには9・19明治公園6万人の大決起を生み出す原動力となっていった。
9・19の爆発は、日本の労働者階級が連合幹部の思惑や制動を突き破ってついに歴史的な決起を開始したものとして、今後の階級闘争全体を決定するほどの意味をもっている。労働者階級は連合的な組合支配に押さえつけられたままの存在ではけっしてない。どれほど困難であってもその中でマルクス主義の復権と本来の労働組合の再生をかちとるために粘り強く闘いぬくならば、必ず革命に向かっての進撃を開始するのだ。9・19はこのことを鮮明に突きつけ、日帝を震え上がらせた。
NAZENの旗掲げ
ここにおいて、8月5日のNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)の結成は決定的意義をもつものであった。それは反原発闘争を被爆者解放闘争と結合させ、全労働者階級の闘いとして、また全人民の大統一行動として闘い取っていく決定的な運動体、組織体の創出であった。「核の平和利用」論に屈服してきた戦後原水禁運動の限界をのりこえ、ヒロシマ・ナガサキ・ビキニの闘いを真に継承し、革命的に発展させていく闘いがここに始まった。
さらに、NAZENフクシマが結成され、11月労働者集会に向かって感動的な「福島アピール」が発せられ、その隊列が11月集会の壇上に主催者と並ぶ位置をもって登場した意義は計り知れない。11月集会はまさに、国鉄決戦と反原発決戦によって日本革命・世界革命を切り開くという歴史的な戦闘宣言の場となったのである。
これと並んで、福島の女性を先頭に独自に強力に展開されてきた経産省前座り込みなどの「女たちの闘い」が、NAZENとの共闘を深めつつ新たな前進を開始した。日帝との激突はいよいよ、第2段階に突入した。
全国学生運動の復権
学生戦線は3・11直後から反原発闘争の先陣を切り、終始一貫その先頭に立ち続けた。青年労働者とともに街頭行動の中心を担っただけではない。何よりも、新自由主義のもとで大学が丸ごと原発推進の機関となり、大量のウソとデマゴギーを垂れ流してきた現実と徹底的に対決して闘った。そしてこの現実への怒りの中から、学生の原初的な団結と共同性を甦らせる学生自治会再建の歴史的な闘いに突入した。
最大の勝利は、福島大学への全学連の登場であり、福島大生の革命的決起である。札付きの原発御用学者・山下俊一の福島医大副学長就任と「放射線医療特区」攻撃の開始が示すように、大学を福島現地における反革命の最大拠点としていく攻撃に対して、その中心部からこれを粉砕する闘いが始まった。京都大学では、御用学者弾劾の闘いが当局を追いつめる決定的な勝利をかちとった。
06年以来の6年に及ぶ法大解放闘争の不屈の発展を通して培われた力が、反原発闘争の中でついに、戦闘的学生運動の大衆的復権を生み出す力へと転化し始めたのである。9月全学連大会での新執行部の確立がその突破口となった。
(4) 国際連帯の発展かちとり全戦線で新自由主義と対決
2011年の闘いはこのように、革命勝利への第一歩を踏み出したと言える巨大な前進を切り開いた。すでに述べた以外にも全戦線で、それまでとは次元を画するきわめて大きな飛躍と勝利を闘いとった。そのすべてを詳論することはできないが、最も重要な点を結論的に確認しておきたい。
一つは、国際連帯の画期的な深化・発展である。
2011年の国際連帯闘争は、世界が革命情勢に突入した中で11月集会を頂点にかつてない濃密な交流を伴うものとしてかちとられた。7月には星野闘争が海を渡り、8月には米の「反戦の母」シンディ・シーハンさんが来日してともに闘い、全学連がドイツを訪問した。そして11月にはILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル21のダン・コフマン委員長や韓国民主労総のタンビョンホ元委員長が来日。新自由主義、特にその核心である民営化・非正規職化攻撃を打ち破るために、世界の労働者がどう闘うべきかについて熱い実践的討論が交わされた。国際的交流と国際的統一行動の重要性が、革命の現実性の中で圧倒的に確認された。
三里塚と沖縄の前進
二つ目は、三里塚闘争と沖縄闘争が反原発闘争やTPP(環太平洋経済連携協定)反対闘争との結合の中で、新たな発展と勝利への展望を押し開いたことである。
福島を始め拡大する放射能汚染への農民・漁民の怒りが爆発する中で、三里塚反対同盟農民はその怒りの最先頭で、46年にわたる日帝権力との非和解の死闘を貫いてきた誇りに燃えて立ち上がった。また大資本のための農民殺しであるTPPに対し、全国の農民と労働者にTPP粉砕・野田政権打倒への総決起を訴えて闘った。
5・20大弾圧や天神峰現闘本部破壊など日帝が三里塚圧殺のために仕掛けてきた全攻撃は、全国の反原発・反TPPのうねりと三里塚闘争が結びつくことを何がなんでも阻止しようとするものであったが、ものの見事に粉砕された。その中で市東孝雄さんの農地強奪攻撃への反撃が組織され、敵権力と空港会社を徹底的に追いつめた。
沖縄では、辺野古への新基地建設攻撃が大破綻する中で、その行き詰まりをTPPと一体で暴力的に突破しようとする攻撃が仕掛けられた。沖縄の中に分断を持ち込み、基地容認・誘致派を必死につくりだそうとする攻撃だ。八重山での育鵬社版教科書採択攻撃もこれと一体だ。だがそれは沖縄人民の怒りの火に油を注ぎ、日米帝をさらに絶体絶命の窮地にたたき込んでいる。
この中で、闘う労働組合を沖縄階級闘争の最前線に登場させることこそ勝利への道であることがますます明らかになっている。2011年の闘いはこの点で、青年労働者を先頭に決定的な前進を切り開いた。
星野闘争が新段階に
三つ目は、獄中37年の星野文昭同志奪還の闘いが全労働者階級の闘いとなり、世界の闘いに発展したことだ。
星野闘争は2011年、飛躍的な前進を遂げた。星野同志の無実を明らかにする再審請求補充書が提出され、7月には星野暁子さんを始めとする訪米団が「星野奪還」を一挙に世界的闘いに押し上げた。全国労組交流センターは徳島刑務所包囲闘争に総決起する宣言を発し、11・27集会では労働者階級の決起で星野同志を奪還することが全参加者の熱烈な確認となった。
四つには、すべての戦線において新自由主義との全面的対決が路線的に形成・確立され、階級的労働運動の前進と一体となった闘いの飛躍的前進がかちとられていったことである。
とくに西郡住宅闘争の不屈の展開は八尾北医療センター労組の闘いと固く結合し、八尾市による民営化・西郡廃村化攻撃と全面対決する中から、新自由主義と対決する部落解放闘争の路線の革命的確立を切り開いた。また外登法・入管法と民族差別を撃つ全国実行委員会の闘いは、在日外国人労働者と日本人労働者の共同闘争を積み重ね、世界数十カ国の労働者が一つの階級に団結して11月集会を闘いとる地平を実現した。障害者解放闘争、女性解放闘争、被爆者解放闘争、反軍闘争など、全戦線で豊かな前進がかちとられた。
弁護士戦線では、裁判員制度の破産を必死に巻き返そうとする日帝の総力を挙げた日弁連つぶし攻撃と格闘し、一歩も退かぬ闘いが展開された。その中から青年弁護士の新たな決起が続々と始まり、青年労働者の決起と結合して巨大な力を発揮していく土台がつくりあげられた。
最後に、こうした2011年の前進を受けて昨秋、新自由主義と対決する総合雑誌『序局』が創刊されたことは大きな意味をもっている。この発刊を、労働者階級自身の闘いが生み出したものとして歓迎し、今後の武器としていこう。
U 大恐慌の本格的爆発過程への突入を世界革命に転化しよう
(1) 「国債暴落時代」の始まり
2007年8・9パリバ・ショック、08年9・15リーマン・ショックをそれぞれの結節点として爆発・激化してきた現在の世界大恐慌は、11年3・11の大震災・原発事故情勢と完全に重なり、相互促進的にいよいよ本格的全面的な爆発・深化・発展の過程へ突き進んでいる。とりわけ大恐慌下でのヨーロッパ金融恐慌の爆発が、国債暴落と国家破産の時代の到来を告げ、それが当面の世界経済の「最大リスク」として世界を揺るがしている。
今回の大恐慌は1929年恐慌以来のもはや後のない歴史的な世界大恐慌であり、@基軸国・米帝の没落、AユーロとEU(欧州連合)の解体、B日帝の脱落、C中国バブルの崩壊を主要な契機としつつ、それが相互に作用し促進し合いながら、歴史的に未曽有の大恐慌、長期大不況となって発展し、今や戦後世界体制の崩壊を激しく促進している。
この大恐慌はまさに、最末期帝国主義の絶望的延命政策である新自由主義の大破産として爆発したものであった。そしてそれが引き起こす最も重大な事態は、一方での1930年代をも上回る大失業と非正規化の攻撃であり、他方での帝国主義間・大国間の際限のない争闘戦の激化と戦争政策である。大恐慌下での争闘戦激化は、帝国主義の分裂・ブロック化と一体のものであり、それは帝国主義間・大国間の相互絶滅戦的なものとなり、大恐慌と世界経済の減速・大収縮をいよいよ促進し、大失業と戦争の攻撃を激化させる。
こうして現在、リーマン・ショック後の大量解雇に続き、それ以上の解雇・リストラの大攻撃がいよいよ激化してきている。しかもこれは全世界的な大民営化と外注化・非正規化の全面展開の攻撃と一体のものであり、破綻した新自由主義が絶望的に凶暴化し、労組破壊と労働者への階級絶滅的な攻撃に打って出てきている点に重大な特徴がある。だからこそ、動労千葉を先頭に11月集会で大きく打ち出された反原発・反失業と、民営化・外注化・非正規化阻止の闘いが、国際的普遍性と革命的な決定的意義を持っているのだ。
いま一つ、大恐慌と3・11情勢のもと、破綻した新自由主義の絶望的凶暴化を示すものこそ最末期帝国主義の原発依存路線である。福島原発事故の収束不能というこの期に及んで、帝国主義や残存スターリン主義・中国は「安定した低価格エネルギー」などという反革命的イデオロギーを振りまき、あくまで新自由主義のエネルギー源として原発推進、新規原発建設に突き進もうとしている。
とりわけ日帝は福島を始め膨大な労働者人民に被曝労働と放射能汚染を強制し、高線量地域からの子どもたちの避難を拒否し、国際争闘戦での絶望的な生き残りをかけ、原発再稼働と海外輸出政策という原発依存路線をごう然と維持・推進しようとしている。
階級的労働運動の復権、国際連帯の発展、革命的な労働者党建設のもとで、国鉄決戦と反原発・反失業闘争をもって大恐慌をプロレタリア世界革命へ転化していく闘いこそ、労働者階級の未来を開く唯一の道である。
(2) ヨーロッパ金融恐慌爆発は世界経済の「最大リスク」
世界大恐慌の現段階を規定する最大の特徴は、日米欧帝国主義やユーロ圏の債務危機、国家財政破綻が持続不能のレベルに突入し、ギリシャやイタリアを先頭に、大恐慌下の国債暴落時代がついに到来したことである。そもそも今回の世界大恐慌の根底にあるのは戦後帝国主義が蓄積してきた巨大な過剰資本・過剰生産力の問題であり、いくら未曽有の財政投入や金融緩和を繰り返し、「財政改革」論議を重ねても、解決不能のものである。そして行き着いたのが、債務危機・財政危機の国債暴落情勢への転化ということだ。
基軸国・米帝の没落
まず何よりも、サブプライムローン危機の爆発と住宅バブルの崩壊で大恐慌の震源となった米帝自身が、依然として大恐慌から何ら脱出できていない。第一に、雇用情勢がFRB(連邦準備制度理事会)議長のバーナンキが「気の遠くなるほど」遅いと嘆くようにまったく改善せず、完全失業率は09年以来、基本的に9%台に高止まりしたままだ。11年11月は10月の9%から8・6%に「改善」と発表されたが、就職をあきらめた人が増え、労働力人口自体が減少した結果に過ぎない。
第二に、天文学的規模の景気対策、公的資金注入、事実上のゼロ金利やQE2(量的緩和第2弾)などの超金融緩和政策にもかかわらず、個人消費や設備投資は低迷し、巨大企業や金融機関が過酷なリストラを含めて「ボロもうけ」しただけで、過剰資本・過剰生産力の問題は何も打開されていない。
第三に、住宅バブルを主導した金融機関は依然として膨大な不良債権を抱えているばかりか、多額の欧州国債を保有していて大規模な損失発生は不可避である。またそもそも住宅不況に底が見えず、市場は凍りついたままだ。
第四に、3年連続で1兆jの大台を突破した巨大な財政赤字と米国債の格下げという米帝没落の歴史的事態である。11年11・21には米議会で超党派の赤字削減協議が決裂した。1・2兆jの赤字削減で合意できなければ「トリガー(引き金)条項」が発動され、今後10年間、国防費とインフラなど裁量的経費がそれぞれ0・6兆jずつ機械的にカットされる。12年は米大統領選があり、民主党・共和党の妥協は困難で、支配階級の分裂、政治の機能不全と結合して、巨額の財政削減が大恐慌と米景気後退をいよいよ促進していく。
ユーロ崩壊・EU解体
現在、欧州では大恐慌下で、いま一つの金融大恐慌とも言うべき情勢が火を噴いている。ギリシャ、アイルランド、ポルトガルは、すでにEUとIMF(国際通貨基金)から資金供給を受けて延命しているが、この中で特にギリシャはEU、ECB(欧州中銀)、IMFのもと、最終的には50%の元本削減(借金の棒引き)で危機をのりきる事実上のデフォルト(債務不履行)に追い込まれた。
もともとギリシャを始めとしたEU・ユーロ圏の債務危機、国債暴落の危機は、通貨と為替は統一しているが財政は別々というユーロに構造的にはらまれていた矛盾の爆発であり、ユーロの信用力が自国通貨の信用力であるかのごとく錯覚的に作用する中で、政府債務=借金と放漫財政が進行し、そのもとですさまじい投資ブーム、バブル的経済が激成されてきた。その矛盾が大恐慌の爆発で一気に噴出し、財政は大破綻するに至った。
ギリシャなどの債務危機の爆発、国債暴落と金利上昇は、パニックとなってEU・ユーロ圏諸国から世界にも波及している。何よりもイタリア国債の金利が6%台から7%を超え、EUやIMFの救済が必要なレベルに突入、スペイン、ベルギーがそれに続き、さらにフランス国債も格下げが現実化し、「最後の砦(とりで)」であるドイツ国債さえも、大量の「札(ふだ)割れ」が出る事態となっている。
ここで重大なことは、この欧州金融恐慌への対応能力がEUにも、独仏にも、米帝・IMFにも、G20にも、どこにもないということだ。米帝オバマは「欧州信用不安をどうにかしろ」と警告はするが、結局は「欧州は自力で解決を」などと叫ぶのみ。ユーロ圏の中軸である独仏も、ECBによる国債購入の拡大や「ユーロ共通債」創設問題などで対立し、またその独仏もEUの財政規律強化策をめぐってイギリスと分裂、EUはユーロ圏と非ユーロ圏への解体状況を深めている。さらにギリシャのユーロ離脱も現実化し、ユーロ崩壊、EU解体が不可避な情勢にある。
こうした欧州金融恐慌は、ギリシャ、イタリア、スペインなどの政治危機の爆発とも結合し、大恐慌を激化させ、ついには米国債や日本国債の暴落、ドル暴落からドル体制の崩壊へと波及し、連動していくのである。
3・11情勢と日帝脱落
日帝はもともと国際帝国主義の「最弱の環」だった。それが大恐慌下の3・11大震災−原発事故の爆発により、帝国主義の争闘戦と戦列からの脱落状態へと突入した。日本経済は3・11以後、一種の「震災恐慌」に直撃されたが、以後もなす術のない円高の重圧と欧州恐慌の波及をも受けて、鉱工業生産も輸出も、設備投資も個人消費も低迷が続き、11年度の実質成長率はリーマン・ショック以来のマイナスへの転落は不可避な状況にある。
しかも地震動と津波で4基の原子炉が爆発し制御不能となり、チェルノブイリを超える重大事態に発展した福島原発事故は、今後、何十年にもわたり日帝を縛り続け、日帝脱落を決定的に規定づけるものとなっている。
さらに何よりも日帝の財政赤字は、11年度末で国の借金が1024兆円を超え、対GDP比でも世界最悪で、国家破産状態にある。経常収支が大幅黒字の上に国債の95%を国内勢が買っていることから、まだギリシャやイタリアのようにはなっていないが、大恐慌激化と世界的な国債暴落情勢への突入は、日米独でも国債暴落の危機を切迫させている。
その上で日帝政治危機の深刻さだ。民主党政権は09年8・30での自民党政権の崩壊を受け、一種のボナパルティズム体制として成立した。だが支配階級は分裂し、議会は衆参「ねじれ国会」が続き、日米関係は冷却化と争闘戦激化のもとまったくの機能不全に陥り、日帝政治支配の危機は極点に達している。
中国バブルが崩壊へ
大恐慌下で日米欧帝国主義が「景気回復」の救世主のように位置づけてきた新興国経済、とりわけ中国で、昨年9月以来、不動産バブルの崩壊が始まっている。それは上海、北京から全国の地方都市にも拡大し、国営新華社通信は10月3日、「全国の不動産価格は年内に大暴落の可能性がある」と予測記事を配信、中国の不動産価格は今後「40%以上も暴落する」ということが公然と言われ始めた。
この不動産バブル崩壊の引き金を引いたのは、中国政府が最優先課題とするインフレ抑制のために実施してきた金融引き締め政策で、そのために不動産への投機マネーが急速に枯渇し、昨秋以来バブル崩壊に火が付いた。中国スターリン主義は、新自由主義のもとで膨大な超低賃金労働者の搾取の上に「世界の工場」のようになり、経済全体がバブル化してきた。その崩壊はまさに「世界経済史上最大の崩壊劇」として、大恐慌をさらに奈落に突き落とす大衝撃となっていく。
しかも中国経済は、鉄鋼、石油化学、自動車、電機などの製造業ですでに完全な過剰設備・過剰生産にあえいでおり、最大の貿易相手であるEUへの輸出の減速がそれに拍車をかけている。内需を牽引(けんいん)してきた新車販売台数は11年10〜11月と2カ月連続でマイナス化し、工業生産も2年ぶりの低水準に沈んでいる。この中国を始め、アジア経済、新興国経済が総体としてバブル崩壊と急減速状態に陥っている。これは世界大恐慌激化・深化のもう一つの大火点なのだ。
(3) 「後のない」歴史的大恐慌
英語でザ・グレート・ディプレッションと呼ばれる大恐慌あるいは大不況は、今回が歴史上3度目だ。1873年の恐慌以降、30年近くも継続した19世紀末の大不況は、資本主義が自由主義段階から帝国主義段階へ転化する歴史的節目を画する大不況だった。1929年の大恐慌と1930年代の大不況は、帝国主義の過剰資本・過剰生産力の矛盾が爆発し、それと基軸通貨ポンドの没落(ドルへの移行)、金本位制の崩壊、さらには世界経済の分裂化・ブロック化が相互に促進し合って爆発・激化した大恐慌、大不況である。
そして今次大恐慌は、帝国主義の戦後発展で蓄積され1974〜75年恐慌で突き出された過剰資本・過剰生産力の基本矛盾を、新自由主義とグローバリズムの凶暴な世界的展開でのりきってきた最末期帝国主義の、そのバブル的延命形態の大破産として爆発したものである。これはもはや後のない大恐慌だ。この「後のない」という意味は、最末期帝国主義としてこんなことをもはや繰り返す生命力は残っていないということと、労働者階級人民にとって大恐慌と大失業・戦争の惨禍をもう絶対に繰り返すことはできないということの、二重の意味でそうだということだ。
帝国主義は1917年のロシア革命、1930年代の世界革命の炎が白熱的に燃え上がった革命的情勢、そして第2次世界大戦後の戦後革命の嵐という形で、すでに何度も国際プロレタリアートから歴史的引導を突きつけられてきた。大恐慌の爆発を含めてその歴史的生命力はとっくに尽きている存在だ。しかし帝国主義は、スターリン主義の歴史的登場と世界革命の裏切り、社会民主主義など体制内勢力の革命への敵対に助けられ、他方ではナチスなどのファシズムを動員し、第2次世界大戦を強行し、最後は広島・長崎に原爆を投下することまでして延命してきた。
そもそも資本主義・帝国主義は、これまで世界中でどれだけたくさんの労働者階級人民に抑圧、搾取、失業、貧困、飢餓をもたらし、侵略、戦争、略奪、虐殺などの悪逆な惨禍を強制してきたことか。帝国主義はまさに絶対に許すことのできない、一刻も早く打倒されなければならない憎むべき存在なのだ。
しかし大恐慌は、大失業と戦争をもたらすだけではない。それは革命情勢を生み出し、プロレタリア世界革命勝利の歴史的好機を到来させる。「大恐慌を世界革命へ!」は国際プロレタリアートの心からの叫びであり、大恐慌情勢に立ち向かい勝利する路線だ。国鉄決戦と反原発・反失業闘争を一個二重の決戦として闘い、階級的労働運動を復権させ、それと一体のものとして世界革命へ闘う労働者党を建設し、歴史的勝利へと突き進もう。
(4) 大失業・非正規化と戦争
すでに確認したように労働者階級にとって大恐慌が引き起こす重大事態の一つは大失業であり、いま一つは争闘戦激化と戦争だ。
1930年代に接近
まず大失業という点では、29年大恐慌の場合、アメリカの労働者の失業率は1932年に25%で、4人に1人が職を失っていた。これと比較して、今次大恐慌のこれまでの米完全失業率のピークである10年11月の9・8%はまだ低いように見える。しかしこの数字は、就職をあきらめたりパートで我慢しているような人を加えた潜在的失業率で見ると、約2倍にはね上がる。つまり米失業率は実質的にはもう30年代のレベルに近づいている。しかも当時は解雇やレイオフ(一時帰休)が軸で、新自由主義下で激増する非正規化という「半失業」の形態はまだ現実化していなかった。
全世界的には大失業問題はさらに深刻だ。EU統計局の調査では11年8月のヨーロッパの完全失業率は、スペイン21・2%、ギリシャ16・7%、フランス9・9%、イギリス9・1%、イタリア7・9%、ドイツ6・0%だ。しかしこれを25歳未満の失業率で見るとスペイン46・2%、ギリシャ42・9%、フランス23・5%、イギリス20・9%、イタリア27・6%、ドイツ8・9%と、一気にはね上がる。青年層の失業率はすでに30年代のレベルかそれをはるかに超えているのである。
しかもこの間ヨーロッパでも激増している非正規化の問題を考えれば、実質的失業率はもっとすさまじいものとなる。新自由主義攻撃として1980年代以降急速に増加した非正規化は実質的に「半失業」であり、すさまじい賃下げ、無権利化の攻撃だ。それは労働者の人間的尊厳を根本から踏みにじる労働形態でもある。このもとでは労働者はまともに食うことも、生きていくこともできない。
日本の場合、統計上のトリックで失業率は欧米に比べかなり低い数字となっている。しかし総務省の調査でも11年7〜9月期の完全失業者数は、東北被災3県を除いても277万人、潜在的失業者数は469万人である。合計746万人で、実質的な失業率は11〜12%のレベルに達している。しかもこれに11年夏時点の日本の労働者の非正規化率38・7%を考え合わせると、大恐慌下の失業・半失業の攻撃はすさまじいレベルなのである。
まさに外注化阻止・非正規職撤廃の闘い、反原発・反失業の闘いの意義は決定的だ。
(写真 解雇撤回! 鈴コン闘争勝利へ総決起集会
全国の合同労組組合員ら340人が結集【12月22日 東京都北区】=詳報次号)
オバマ「新安保戦略」
大恐慌は他方で、世界経済の大収縮、分裂・ブロック化を引き起こし、保護主義や通商戦争・為替戦争、市場再分割戦などの争闘戦を激化させる。例えば、この間の欧州債務危機の爆発も、その根底では米帝とドルの対独仏、対ユーロの争闘戦が危機を誘発し促進していることは明白だ。争闘戦は結局は帝国主義および大国の一つや二つがつぶれる以外ないような相互絶滅戦的な激しさを帯び、帝国主義が世界革命で打ち倒されない限り、侵略戦争・世界戦争へとつながっていく。
米帝は2001年9・11反米ゲリラ戦の爆発以降、10年間にわたりアフガニスタン・イラクを軸に「テロ絶滅戦争」と称する残虐極まる帝国主義的侵略戦争を継続してきた。しかしアラブ人民の頑強な抵抗・反撃と、米帝自身の財政赤字の激増など国力消耗で没落を深め、この戦争で基本的に敗北し、後の展望のないまま撤退へと追い込まれている。
こうした中で米帝オバマは、11年11・17にオーストラリアのキャンベラで演説し、「米国は太平洋国家であり、ここにとどまる」と宣言、今後の米帝の安全保障政策でアジア太平洋地域を「最優先」に位置づけると表明した。これは没落米帝が安保政策・世界政策の軸足をいよいよアジア太平洋地域に移し、今後の国際情勢を規定する最大の原動力である米中矛盾の爆発をにらんで、対中対峙・対決政策に大きく転換するということだ。しかもこれはTPP推進と完全に対応している。
大恐慌の本格的激化のもとで今や没落米帝は、東アジアと太平洋地域の勢力圏化、市場分割戦で決定的に巻き返すとともに、自らの安保=戦争政策の軸をあらためて対中国・対北朝鮮の侵略戦争・世界戦争政策に据え切ろうとしている。その核心は対中対峙・対決だが、同時にこれは日帝への帝国主義的争闘戦そのもので、TPP推進を含めて、日帝の東アジア勢力圏化は許さないという日帝解体的政策としても展開されているのである。
このオバマの新安保戦略のもとで、この間の米帝の軍事動向は実に激しい。米国防総省は「エア・シーバトル」(空・海戦闘)なる対中軍事戦略の構築を決定し、米陸軍は全世界を1時間以内に攻撃できる極超音速兵器(AHW)の飛行実験に成功したと発表した。米豪間では対中国でダーウィンに米海兵隊2500人を配置することが合意され、改良型のF16戦闘機24機のインドネシアへの売却方針も表明された。さらに米帝はミャンマーの軍事政権との「関係修復」に踏み出し、中国南西部の脇腹を突く政策も強めている。
大恐慌と争闘戦激化、大失業・戦争の攻撃を世界革命に転化するために闘うことは、国際プロレタリアートの歴史的任務である。
(5) 世界は完全に革命的情勢
大恐慌は大失業と戦争をもたらすだけではない。他方でそれは主客にわたり革命的情勢を生み出す。今や労働者階級人民のストライキ(ゼネスト)、集会、デモ、暴動決起が、まさに1930年代を彷彿(ほうふつ)させる規模と激しさで巻き起こっている。
金融大恐慌の再爆発にあえぐヨーロッパでは、EUやIMFの要求に対応して各国政府が進める財政緊縮策による民営化、規制緩和、解雇、賃下げ、増税、社会保障制度解体、学費値上げなどに反対し、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリア、イギリス、フランス、ドイツなどで、繰り返しゼネストや集会・デモが爆発している。特にギリシャでは過酷な緊縮財政に抗議し、官民2大労組によるゼネストが昨年は7度にわたって闘われ、真に革命的指導部が存在すれば、ソビエト結成からプロレタリア革命の実現へと発展する革命的情勢が完全に生まれているのだ。
アメリカから始まった「ウォール街を占拠せよ!」の戦闘的大衆行動は、わずか1%の強欲な金融独占ブルジョアジーに対する99%の労働者人民、青年・学生による、格差拡大、失業、貧困に対する大恐慌下に典型的な怒りの爆発だった。これは全米から全世界へと拡大し、さらに発展しようとしている。
さらに昨年の決起で決定的だったのは、ムバラクの抑圧と軍事独裁下でのインフレ、失業、貧困に、青年を先頭とする労働者、労働組合の怒りが爆発し、ストライキとタハリール広場を連日埋めつくす集会・デモで、ついにムバラクを打倒したエジプト2月革命だ。これは大恐慌と新自由主義攻撃に立ち向かった典型的なプロレタリア的決起であり、今またエジプトの青年と労働者階級は、プロレタリア革命への前進に立ちはだかる軍とその政権に対決し、新たな激闘を開始している。
新自由主義の最大の生産基地となってきた中国では、この数年、労働者の階級的覚醒(かくせい)が急速に進み、日米欧など外国資本と中国スターリン主義体制の抑圧を突き破って、労働者と農民のストとデモ、暴動的決起が続発してきている。昨年12月に広東省陸豊市の烏坎(ウーカン)村で起こったデモと自主選挙、「自治組織」の結成は、中国スターリン主義の支配を下から突き崩す、1930年代型の労働者農民ソビエトの様相すら示している。
何よりも決定的なのは、動労千葉(3労組陣形)と固い国際連帯を結ぶ韓国・民主労総とアメリカ・ILWUの闘いだ。とりわけ韓進(ハンジン)重工業での不屈の整理解雇撤回闘争、穀物メジャーと米政府による労組破壊と非正規化攻撃に対決し、輸送列車阻止とオークランド・ゼネストを闘うILWUローカル21の闘いは、階級的労働運動の国際的復権にとって特筆すべき意義を持つ。
大恐慌下で生み出された全世界的な革命的情勢をプロレタリア世界革命に転化するために、階級的労働運動と国際連帯の発展、革命的労働者党の建設へ一心不乱に闘おう。
(6) 経団連と連合に立脚した野田政権の超反動的な正体
米帝オバマ政権の当局者は、「われわれは鳩山政権を突き放し、菅政権を無視した。対日同盟をこれ以上不健康なまま放置する余裕はなく、野田政権とは真剣に関係を成功させたい」と言明している。自民党政権崩壊以降のボナパルティズム体制としてある野田政権は、連合ダラ幹指導部に支えられる一方で、日本経団連=日帝ブルジョアジーに一層接近し、米帝との関係修復=同盟強化に全力を挙げている。ここにこそ野田政権の、鳩山や菅以上の超反動的で危機的な本質がある。
日帝・野田政権が大恐慌と国債暴落情勢、3・11情勢、帝国主義間・大国間の争闘戦激化への恐怖にかられ、全力で強行しようとしているものがTPP参加であり、消費大増税であり、原発推進・再稼働であり、とりわけ公務員労働者、非正規労働者への階級戦争の激化だ。それは破綻した新自由主義攻撃の絶望的凶暴化としてある。野田政権がこの2012年にやろうとしている攻撃の方向は次のようなものだ。
第一に、「4・9政治和解」の反革命のもとでの労働組合・労働運動の全面的な破壊、国鉄決戦と階級的労働運動の圧殺攻撃だ。そのためにJR大再編を強行し、徹底的に民営化・外注化・非正規職化を推進し、それを全産別にも拡大しようとしている。自治体など公務員労働者360万人の大量解雇と選別再採用の攻撃はその最先端である。この新自由主義の絶望的凶暴化の突撃隊、ファシスト的先兵こそ大阪の橋下反革命だ。だがこれは労働者、労働組合の団結でこそ粉砕できる。
第二に、あくまで原発政策を推進し、再稼働と原発輸出を強行し、原発労働者と膨大な労働者人民大衆に放射線被曝を強制し続ける攻撃だ。これは大恐慌と3・11情勢で日帝脱落の危機にあえぐブルジョアジーと野田の、体制の延命をかけたウルトラ反動である。
第三に、「復興特区」攻撃だ。これは国や行政が瓦礫(がれき)撤去や放射能対策もまともに進めないまま、被災地を「国内植民地」のように位置づけ、大企業が農地や漁業権を買収し、地域丸ごと民営化・非正規化し、労働法制も徹底的に解体する攻撃である。
第四に、TPP参加の強行だ。米帝にとってTPPは対中対峙・対決政策のもとで、アジア勢力圏化における巻き返しを狙い、オバマの「輸出倍増」計画の貫徹をかけて、日帝をブロックに取り込み、関税撤廃と非関税障壁解体=「米国基準」の押しつけを武器に日本市場になぐり込むものであり、日帝解体的政策である。だが野田と日本経団連は、国際争闘戦での脱落日帝の生き残りと日米同盟の修復、日米安保強化=戦争政策貫徹をかけて、これに全力で参加しようとしている。
しかしこれは労働者階級にとって、未曽有の大失業と戦争の攻撃そのものであり、「国際競争力強化」の名のもとに対外競争の「戦士」となることを強制されて、徹底的な賃下げ、民営化・外注化・非正規化を推進する攻撃となる。さらに農業や漁業は壊滅的事態に追い込まれ、医療や国民皆保険制度は崩壊し、「食の安全」なども徹底的に蹂躙(じゅうりん)される。まさに労働者、農民、漁民の総力を挙げて日帝・野田を打倒し、日米韓国際連帯でTPP参加を絶対阻止しよう。
第五に、消費大増税の攻撃だ。消費税は労働者にとっては賃金闘争と表裏の関係にあり、賃金を一律に大幅に引き下げるのと同じ意味を持つ。また消費税はすべての人民に等しく襲いかかる、究極の大衆収奪だ。中小零細の商工業者にとっては消費税を価格に転嫁できるか、まさに倒産の危機の到来だ。
野田は日帝の政府債務残高が対GDP比220%(11年度)と世界最悪になる中で、国債格付け急落や国債暴落の恐怖にかられ、日本経団連と財務省の意をも体現して、消費大増税を早々と国際公約し、復興増税を突破口に消費税率アップに突き進もうとしている。消費税をめぐる攻防こそ最大級の階級決戦だ。
第六に、安保・沖縄攻撃だ。野田の日米安保の深化・強化の策動は、TPP参加と一体の帝国主義的侵略戦争攻撃であり、「環境影響評価書」の提出が迫る辺野古新基地建設、自衛隊の南スーダン派兵、次期戦闘機へのステルス性のF35(42機)の選定、武器輸出3原則撤廃策動などと同時進行で激化している。農地を死守し、軍事空港化と闘う三里塚とともに沖縄闘争の位置はいよいよ決定的だ。
第七に、改憲攻撃の強まりだ。これは安保・沖縄攻撃と完全に一体であり、民主党政権のもとで「憲法審査会」もついに動き出した。裁判員制度や共謀罪の全面的な復活策動などとの闘いと結合し、改憲攻撃と闘おう。
日本経団連と連合に立脚したボナパルティズム体制としての野田超反動政権を、労働者階級の力と責任において打ち倒す時である。
V 労働組合の拠点建設と党組織の建設を一体的に闘い取ろう
2011年の闘いの地平を受けてさらに前進するためには何が必要か。11月集会1万人結集を実現するために突破すべき壁とは何なのか。それは一言で言えば、プロレタリア革命に向かって労働運動を組織できる党になること、労働組合と党の一体的建設を本当にやりぬくことだ。2011年に開始したこの実践を全産別・全職場で徹底的に貫き、動労千葉に続く階級的労働運動の拠点建設、それを支える工場細胞の建設に勝利しぬくことである。そのための党自身の変革と飛躍である。
労働組合に責任とる
労働者階級は、自らの解放をかちとるためには労働組合に団結して闘うことを絶対に必要とする。だが今日の日本の現実は、労働者階級の基礎的団結形態である労働組合が、資本と結託した連合幹部やスターリン主義的・体制内的指導部の裏切りによって徹底的に解体され、無残なまでに変質させられている。80年代の国鉄分割・民営化に始まる新自由主義攻撃の最大の狙いはそこにあり、その上に今日に至る大失業と非正規職化の攻撃が吹き荒れてきたのだ。この現実を根底から覆し、闘う労働組合を甦らせること。これなしに革命への前進はない。
そのためには、連合の労働貴族や体制内の労働運動幹部を弾劾し批判しているだけでは何も進まない。党自身が闘う労働者の先頭に立って職場で資本との闘いを実際に組織し、自らの手で職場に団結をつくりあげ、労働組合と労働運動に全責任をとっていく闘いが必要である。資本のやりたい放題を断じて許さず、クビを切られた仲間や資本に殺された仲間の無念を晴らし、家族をも含めた労働者階級の尊厳と命を守るために仁王立ちして闘うのが労働組合だ。そうした労働組合をつくりだし、日常的に運営していくことに全力で習熟していかなければならない。
階級的団結とは何か
新自由主義の本質は、労働者階級に対する階級性の全面的な解体攻撃である。それは無制限の搾取によって労働者から衣食住のすべてを奪い尽くし、究極の人間疎外にたたき込む攻撃である。その典型が非正規職化だ。だが新自由主義の絶望的凶暴化は同時に労働者の中に、この社会に対する根源的な怒りを生み出す。全世界の労働者階級にとって憎悪の対象であり、打倒の対象であるこの新自由主義攻撃と闘うことは、プロレタリア革命爆発への出発点である。
労働者階級を苦しめる資本主義の蛇、吸血鬼は、「まだ搾取される一片の肉、一筋の腱(けん)、一滴の血があるあいだは」労働者を手放しはしない(マルクス『資本論』)第1部第3篇第8章「労働日」)。――この苦しみと怒りの中から、労働者は団結して闘い、階級として行動することを覚えるのだ。そして「自由の国」への入り口に立つのである。
新自由主義による非正規化攻撃の核心は、すさまじい競争と分断による労働者の団結の極限的な破壊・解体にある。今日の青年労働者は最初から一人ひとりバラバラにされ、互いに蹴落とし合う以外に自己の生存を確保することもできないような恐るべき環境の中に突き落とされて生きてきた。そこでの団結の形成は、一筋縄ではけっしていかない。徹底した目的意識的な闘いなしにはかちとれない。
マル青労同8回大会の議案は次のように提起している。「団結とは第一に、闘いの中ではじめて作られるものだということだ。資本との闘いとは楽しいことだけではない。つらいときもある。むしろつらい方がほとんどだ。しかし、ここから目を背けたときに団結はないということだ。そして団結とは、相手と自分が変革するということだ。……相手に団結を求めるということは、自分自身の変革も求められるということだ。互いの変革を闘いとる中で初めて、団結は勝ち取られる」
これこそ、闘う青年労働者が自らの実践の中で血と汗を通してつかみとった実践的教訓である。この教訓を全労働者、全党のものにして闘おう。
マルクス主義が武器
そして、こうした団結の形成、労働組合の再生にとって何より必要なことはマルクス主義の獲得である。マルクス主義は労働者階級の思想だ。労働者階級が階級としての怒りを解き放ち、自分たちこそ社会の主人公であるという人間的尊厳を取り戻し、資本主義の墓掘り人となって、実際にこの社会を転覆し新社会を建設する力を身につけていく。その武器がマルクス主義である。スターリン主義や社会民主主義によるマルクス主義の歪曲と徹底的に闘い、本物のマルクス主義を労働者階級の手に取り戻そう。
したがって、階級的労働組合の復権と労働者階級の本物の党の建設は、本質的にも現実的にも二つにして一つの闘いである。階級的労働運動と体制内労働運動との最大の違いは、後者が労働者階級の闘いをもっぱら個々の狭い職業的利益の追求に流し込むことに対して、労働者階級の全体の利害を守りぬく立場を貫き、資本の支配の根底的転覆を求めて闘うことにある。そのためにこそ日々の労働運動を資本との絶え間ないゲリラ戦として闘い、その中で団結を強化し、資本家階級の国家を最終的に打倒して労働者階級の権力を打ち立てる力を培うのだ。
この闘いは、党が労働組合の闘いと日常的に呼吸し、資本との対決を通して労働組合と党がそれぞれ労働組合として、党としての団結を相互に強め合っていく中でこそ、真に闘いとっていくことができる。その鍵はマルクス主義と、それにもとづく時代認識と路線だ。労働運動に責任をとれる党になるために、マルクス主義での武装を2012年の第一級のテーマとしよう。
産別指導部の建設を
この闘いの中心環を握るのが、中央委員会と細胞の一体的建設のもとで、全産別に産別委員会を建設すること、産別委員会のボルシェビキ的建設と強化・発展をかちとることである。産別委員会を地区党建設と一体のものとして、真の「階級の指導部」=産別指導部として打ち立てることによってこそ、そのもとに全産別の労働者が結集して巨大なプロレタリア革命へのうねりをつくりだすことが可能となるのである。
産別委員会を、中央委員会と工場細胞の建設と一体で、階級闘争の最先端の切り羽にあくまでも身を置き、党中央の立場に立ちきって闘う産別委員会として建設しよう。そのもとで、体制内指導部から労働組合権力を奪還する闘いをやりぬき、労働組合を地域におけるあらゆる闘いの拠点として打ち立て、労働戦線の全的統一をかちとる闘いに突入しよう。そして全国に無数の工場細胞建設と階級的労働運動の拠点建設をかちとり、その中から新たな階級のリーダーを輩出させる闘いに、全面的に挑戦していこう。
W 民営化・外注化・非正規化とJR大再編に全面対決しよう
(1) 国鉄・4大産別を先頭に全職場で資本攻勢うち破れ
2012年の決戦は11年以上の大決戦となる。日帝ブルジョアジーは日本経団連を先頭に、昨年貫徹しきれなかった攻撃を今度こそ全面貫徹しようと文字通り総力を挙げてくる。原発再稼働、復興特区とTPP推進、辺野古新基地建設、公務員労働者360万人首切り、道州制導入、大増税、社会保障制度解体などの攻撃だ。そのために野田政権とそれを支える連合の体制内指導部をフルに使い、「大阪維新の会」の橋下らを反革命突撃隊として、あらゆる闘いの圧殺に暴力的に突き進もうとしている。
これらの攻撃は、労働者階級をこれまで以上の大失業と非正規職化、極限的な搾取の地獄に突き落とす。農民・漁民や中小零細の自営業者を含め、すべての人民の生活基盤を根こそぎ破壊するものだ。だがこの攻撃は、2011年の闘いが示すように、労働組合がこれと正面から対決し、全人民の怒りの中心に立って闘うならば、逆に日帝を追いつめ、打ち倒すことを可能にする決定的要因に転化する。
その核心は第一に、4大産別を先頭に全産別で民営化・外注化・非正規化攻撃粉砕の大決戦に突入することだ。最大の戦場は国鉄決戦である。ここでの闘いの成否が他の一切を決める。新自由主義攻撃粉砕のすべてをかけて2012年の国鉄決戦に決起し、歴史的な勝利をこじあけよう。
JR体制転覆の好機
国鉄分割・民営化から25年、闘う国鉄労働者は、今やJR大再編情勢との全面対決を迎えた。安全の崩壊、JR総連カクマルとの癒着体制の破産、現場とりわけ平成採の青年労働者の中に鬱積(うっせき)する不満と怒りは、分割・民営化以来の全矛盾がついに臨界点に達したことを示している。
JR資本はこの危機を第2の分割・民営化ともいうべき大攻撃で突破しようとしている。鉄道業務の全面的な民営化・外注化を柱とする、雇用破壊と大量の非正規職化、賃金制度の全面改悪、労組破壊の大攻撃だ。その根底にあるのは、平成採の反乱に対する恐怖である。
外注化・非正規職化は労働者を徹底した競争と分断にたたき込む攻撃である。職場の人間関係をもずたずたに破壊し、労働者としての誇りをも奪うこの攻撃に、青年労働者は危機感を肌で感じ、怒りをつのらせ、組合の枠を越えてともに闘う団結を必死に求め始めている。
動労千葉はこのJR資本と対決し、すでに10年以上にわたって外注化を阻止し続けてきた。その上に立って2012年、今こそ平成採の、青年の、非正規労働者の怒りと結合し、動労水戸・動労総連合、国労共闘の仲間とともにJR大再編を職場からの総反乱に転化する闘いを決断し、その挑戦を開始した。JR資本こそ80年代以来の新自由主義攻撃を最先頭で推進してきた張本人だ。このJR資本に対し、今や労働者の側から分割・民営化以来の攻防の革命的決着をつける時がついに訪れたのである。
JR東資本はこれに激甚に反応し、自らの存亡をかけた攻撃に出てきた。JR東労組や国労本部との裏取引をテコに検修・構内業務の全面外注化をあくまで狙い、基地統廃合による動労千葉破壊攻撃、反合・運転保安闘争圧殺の攻撃を強めている。闘う全労働者の団結の力で動労千葉破壊攻撃を跳ね返し、JR資本粉砕へ平成採の一大決起をつくりだそう。
動労水戸が切り開いた反原発労働運動を、国鉄労働者全体の闘いに押し上げよう。1047名解雇撤回闘争の不屈の発展をかちとり、国労共闘の総力を挙げて国労本部打倒・国労再生へ突き進もう。国鉄闘争全国運動の発展はこれらすべての闘いを前進させる原動力だ。全国運動への加入・賛同を大胆に呼びかけて闘おう。
4大産別での決戦へ
この国鉄決戦を最先頭に、全産別で「復興特区」攻撃を先端とする大民営化=非正規職化攻撃、公務員労働者への大攻撃との一大決戦に突入しよう。とりわけ4大産別がこれと真っ向から対決して闘うことが死活的に求められている。
野田政権は昨年12月、復興特区法と復興庁設置法を成立させ、いよいよ攻撃の全面展開にのりだした。その核心は、東北の被災地一帯を一種の憲法停止状態におき、労働法の治外法権地帯として資本のほしいままの無制限の搾取を可能にするものだ。日帝ブルジョアジーが一貫して要求しながら貫徹できずにきた公務員労働者360万人首切り、9割の労働者の非正規職化、労働運動絶滅の攻撃を、これを機に一挙に具体化しようとするものである。そして大阪における橋下反革命とも連動し、この攻撃をさらに全国に押し広げようと狙っている。
これとの対決は、労働組合の生き死にをかけた決戦であると同時に、闘う労働組合再生への決定的チャンスだ。被災地・仙台の自治体職場の現実にみるように、今職場では労働者は、黙っていたら殺されるという極限的状況におかれている。この中で、誰が闘いの火ぶたを切るかを多くの労働者がかたずをのんで見つめているのだ。被災地で起きているこの状況は、本質的には全国・全産別で起きており、公務員労働者への大攻撃を突破口にさらに公然と吹き荒れようとしている。
国鉄職場はもとより、郵政で、教労で、自治体で、4大産別のすべての職場で退路を断った決戦に突入しよう。職場に渦巻く怒りと要求に形を与え、資本・当局との対決を開始する中から本物の階級的団結をつくりだし、拡大発展させていこう。非正規職撤廃を4大産別自身の正面課題に掲げて闘おう。郵政非正規ユニオンの闘いはその突破口を開くものとなっている。この闘いの全国闘争化をかちとろう。
とりわけ教労戦線は、福島県教組の闘いに真に連帯し、日教組運動の戦闘的再生をともに闘いとっていくための路線的深化と飛躍が待ったなしに求められている。「子どもたちの命を守る」という労働者階級全体の最も切実な要求を、教育労働者こそが最先頭で体現して闘わなくてはならない。
医療・福祉産別、合同・一般労組の闘いもきわめて重大な段階を迎えている。医療・福祉職場の大々的な民営化・非正規職化と医療の営利化攻撃に対し、全面的な反撃に立ち上がろう。合同・一般労組は非正規職撤廃闘争の先頭に立とう。その突破口として鈴コン闘争の絶対勝利をかちとろう。さらに全国・全産別で資本攻勢と闘う労働者の大隊列をつくりだそう。
青年指導部の建設を
そして最も重要なことは、こうした各職場での格闘に次ぐ格闘の中から、青年労働者による、青年労働者自身の新たな「階級の指導部」を続々と生み出していくことである。とりわけ国鉄を先頭とする4大産別の中から大量の青年活動家と、その先頭に立つ青年指導部をつくりだして闘うことが絶対に求められている。このことが、2012年の階級的労働運動の前進にとっての最大課題である。
青年労働者の自己解放的な決起、その怒りと情熱こそが労働運動を変える。その武器となるのはマルクス主義の復権だ。マル青労同をこの闘いの中心的担い手として2千万青年労働者の中に深々と建設しよう。さらに全国労組交流センター運動の全面的な飛躍をかちとり、階級的労働運動の新たな時代を切り開こう。
(2) 「収束宣言」を粉砕し原発再稼働を絶対に阻止しよう
国鉄決戦と並ぶ2012年決戦のいま一つの柱は、原発再稼働をめぐる日帝との一大階級決戦に勝ちぬくことである。
何よりも再稼働を絶対に阻止することである。この闘いをやりぬくならば今年、国内の原発54基をすべて停止に追い込むことが可能になる。日帝は今や焦りと危機感を極限までつのらせ、何がなんでも再稼働への道をこじあけようと必死になっている。野田政権による昨年末のとんでもない「原発事故収束」宣言はまさに、そのための一大反革命に日帝が出てきたことを示すものだ。
全原発の停止・廃止は、労働者人民にとっては生きる希望と未来を取り戻すことを意味するが、資本家階級にとっては日帝の帝国主義としての没落が決定的となることを意味するのだ。だからこそ彼らは、どんな卑劣な手段を動員してでも原発推進路線を押し通そうとあがいている。反原発闘争の最大の決戦局面への突入だ。
大震災から1年目の3・11に郡山市で開かれる福島県民集会は、この野田政権と真っ向から激突する大闘争となる。3・11を、福島県内はもとより全国の闘う人民の総結集で大爆発させることに一切がかかっている。3・11郡山を9・19明治公園に続く巨万の大決起で埋め尽くし、再稼働阻止・全原発停止を実力でもぎとり、野田政権打倒へ攻め上ろう。
現地に闘いの拠点を
3・11の決戦に勝ちぬくことは、原発推進派による福島現地の制圧攻撃、激しい闘争圧殺攻撃と全力で闘い、勝ちぬくことなしにありえない。この攻撃は今、「事故は収束した」「除染すれば安全」などの大デマによる、汚染地域への帰還強制の攻撃となって吹き荒れている。この犯罪性を徹底的に暴き、福島県民を孤立と分断と絶望に追い込もうとするあらゆる攻撃を、全国の人民の団結の力で打ち破って進まなければならない。
「事故は収束した」だと! 事実はまったく逆だ。溶融した核燃料は圧力容器を突き破って、格納容器の底をも浸食していたことがすでに明らかになっているではないか。汚染水などの垂れ流しはむしろさらに拡大し、水素爆発の危険も去っていない。にもかかわらず政府と東電は「冷温停止状態」を強弁し、チェルノブイリの強制避難地域よりも高濃度の汚染地域を「もう安全だ」と言いなして、子どもたちの避難すら拒否している。放射能が感覚でとらえられないのをいいことに、5年後・10年後に大変な被害が明るみに出るのを百も承知で、大量被曝を住民に強制し続けようとしているのだ。これが国家による「ゆるやかな殺人」でなくて何か!
しかも日帝は、福島医大を中心とする「放射線医療特区」計画をもって、福島県民の被曝データを「商品」として製薬会社などに売り飛ばし、新たな金もうけの手段にしようとたくらんでいる。福島県民を総モルモット化し、治療はせず人体実験の材料にしようというのだ。どこまで恥知らずか。
福島の労働者・農民・学生・母親たちはこれと必死に対決して闘っている。全国の労働者人民がこの闘いを支え、ともに全力で決起する時だ。とりわけ労働組合の闘いが決定的に重要だ。労働者階級が生産点からの組合的団結をもって反原発闘争に圧倒的に総決起することによってこそ、日帝の体制をぐらぐらに揺さぶり、原発政策を根幹から粉砕していくことが可能になる。労働組合を中心に、反原発に立ち上がったすべての人民の闘いの砦となりうる闘争拠点を、現地に圧倒的に打ち立てるために闘おう。
医療施設建設の意義
その拠点建設の当面する最大の柱として、福島に医療施設を建設する闘いをやりぬこう。すでにNAZENによって「ふくしまの子どもたちに病院を!」の基金運動が呼びかけられている。政府が避難を拒む中、福島の36万人の子どもたちの命と健康を守るために、そのよりどころとなる医療施設が切実に求められている。この建設を労働者階級とともに最先頭で担う、闘う医師団をつくりだそう。
これらすべての闘いをやりぬいて、再稼働を絶対阻止し、3・11からNAZEN結成1周年の8・6広島―8・9長崎闘争へ向かって攻め上ろう。2012年の決戦で原発推進勢力を打ち倒し、日帝打倒と全原発廃炉への道を切り開こう。
(3) TPP・大増税・改憲の野田政権打倒へ総決起を
TPPや復興特区、道州制、大増税などの攻撃は、労働者階級への大攻撃であると同時に農民・漁民、全人民への攻撃である。これらの攻撃はまた原発推進と一体であり、日米安保強化、侵略戦争への攻撃と完全に一体だ。戦後憲法体制を右側から反革命的に転覆する事実上の改憲攻撃である。今や、すべての人民が生きるためには労働者階級と固く団結し、プロレタリア革命の実現のために総決起することが問われている。
沖縄・三里塚が決戦
2012年の沖縄闘争、三里塚闘争は、この意味で最大の決戦期を迎えている。沖縄は日米安保体制の矛盾の集中点であり、日帝の政治支配の最大の破綻点である。三里塚は国家の総力を挙げた農地強奪攻撃と46年にわたり闘いぬいてきた最強の砦だ。この沖縄と三里塚が今日の階級的激突情勢の真っただ中で新たな闘いの火を噴くことに、日帝は心底恐怖している。ここでの勝負に断固として勝ちぬこう。
沖縄は今年、1972年の本土復帰から40年の節目を迎える。日米帝は沖縄を「基地の島」として、朝鮮半島や中国への侵略戦争の最前線出撃拠点として、どこまでも維持し強化しようと必死になっている。金正日の死と朝鮮半島情勢の大激動への突入は日米帝の戦争への衝動を一気に強め、だからこそ破産した辺野古新基地建設をあくまで強行しようと全力を挙げている。
この攻撃を打ち破る鍵を握るのは、沖縄における階級的労働運動の新たな登場だ。基地をその内側から実力解体する闘いに立ち上がった70年闘争時の全軍労労働者のような闘いが、今こそ求められる時代に入っている。連合による制動や体制内労働運動指導部の無力化を突き破って、沖縄労働者階級の中に戦闘的・階級的な労働組合を甦らせる闘いをやりぬこう。5・15闘争をその決定的な跳躍点として闘おう。
2012年の三里塚は、市東孝雄さんの農地強奪をめぐる裁判闘争と現地攻防の大勝負の年となる。農地裁判の早期結審策動、第3誘導路工事など、市東さんへの露骨な追い出し攻撃を絶対に許さず実力で粉砕しよう。三里塚農民に対して46年前から加えられてきた攻撃は、福島の農民に今加えられている攻撃と本質的に同じだ。「農業をやめ、土地を捨てて出ていけ」「大資本の犠牲になれ」ということだ。フクシマの怒りをも体現し、2012年の三里塚決戦に勝利しよう。3・25三里塚現地集会に全国から大結集しよう。
この三里塚闘争の前進と一体のものとして、闘う農民戦線の建設に着手しよう。全国の農民が労働者階級と団結して階級闘争の最前線に登場することは、プロレタリア革命の勝利にとって欠くことのできない決定的意義をもっている。労農同盟の新たな発展をかちとろう。
改憲攻撃うち破ろう
日帝・野田政権の全攻撃との闘いは同時に、改憲攻撃を先制的に打ち破る闘いだ。国会の憲法審査会が始動し、「緊急事態」における憲法停止や、北朝鮮・中国に対する日米共同の侵略戦争と集団的自衛権行使が策動されている。とめよう戦争への道!百万人署名運動を戦争・改憲阻止の全人民的な運動体としてあらためて位置づけ、その前進をともにかちとろう。
弁護士戦線は、改憲阻止の最先端に立つ闘いとしてきわめて重要な位置をもっている。日弁連つぶし・翼賛化の攻撃を絶対に許さず、裁判員制度を始め、すでに破産しボロボロになった「司法改革」攻撃の完全粉砕へ突き進もう。5・21「裁判員制度はいらない!大運動」集会の成功を闘いとろう。
プロ独樹立へ向けて全戦線での大飛躍を
入管闘争、部落解放闘争、障害者解放闘争、女性解放闘争、被爆者解放闘争などを始めとする全戦線の闘いは、革命情勢の成熟に伴い一層の大飛躍が問われている。プロレタリア独裁権力の基礎となるソビエト建設に向かっての戦略的前進を闘いとるために、地区党建設と一体化して、全戦線での綱領的・路線的深化と組織的な大前進をかちとることが必須の課題だ。2012年、ここでの画然としたブレイクスルーを絶対にかちとろう。
反軍闘争は、3・11大震災と昨年末の朝鮮半島情勢の激変を受けて、重大な飛躍が求められる段階に突入した。自衛隊兵士を被曝労働と侵略戦争に駆り立てようとする帝国主義に、軍隊内からの反乱を呼びかけて闘おう。
(4) 学生自治会復権かちとり「新自由主義大学」粉砕へ
2012年、学生戦線は原発再稼働阻止、民主党・野田政権打倒の闘いを最先頭で切り開く。何よりも、3月11日に郡山市で開かれる福島県民集会に全国学生は総決起し、野田政権の原発再稼働策動を粉砕しよう。その中心を担うのは、福島大学であり東北大学の学生だ。原発再稼働および「復興特区」攻撃と対決する被災地からの学生運動の高揚が、3・11情勢下における戦闘的学生運動の復権(全学連運動の復権)の鍵になる。
原発と放射能汚染に対する非和解の怒りと決起の高まりの中から、学生自治会を建設する闘いに本格的に挑戦しよう。福島原発事故は、新自由主義大学が原発政策の旗振り役であるという実態とともに、キャンパス内においては原発反対の闘いを徹底的に抑圧・弾圧し、学生の団結や共同性を破壊しているという本質を突き出した。それはまた、青年・学生に対する大失業・非正規職の強制と一体のものだ。この現実を打ち破る道は、「フクシマの怒り」と連帯し、学生がキャンパスを自らの手に奪い返して原発の廃絶、社会変革のための組織=学生自治会をつくりだすことにある。
この闘いにおいて、6年におよぶ法大解放闘争の地平を全国に拡大していくことが決定的だ。法大闘争は、ビラまき禁止と処分・弾圧に対して「一人の仲間も見捨てない」を掲げて闘い、「営業権」を掲げる大学資本と新自由主義こそが真の敵であり、団結の力でこそ勝利できることを示してきた。4月法大全国闘争に結集しよう。
さらに沖縄闘争を、フクシマと並ぶ日本階級闘争のいま一つの「革命の根拠地」として大爆発させよう。5月現地闘争に全力で集まろう。
学生戦線は、300万学生の自己解放的決起を押しとどめ、資本主義の枠内に縛りつけようとするあらゆるブルジョア・イデオロギーをのりこえ、反原発闘争と新自由主義大学粉砕の闘いの中からマルクス主義を復権させる。国際連帯闘争をさらに発展させ、全国拠点大学を中心に強大なマル学同中核派を建設する。全国学生は21世紀革命を実現する中心部隊として歴史の最前面に躍り出よう。
(5) 徳島刑務所包囲に決起し星野再審への扉押し開こう
2012年決戦の柱の一つは星野再審闘争である。昨年切り開いた地平の上に立って、今年こそその扉を大きく押し開く時が来た。この間の闘いの前進は、検察の証拠開示を実力でもぎとることによって、星野同志への殺人罪デッチあげを崩壊させる決定的な現場写真の存在を明らかにした。さらに全証拠の開示を徹底的に要求して闘い、再審開始を絶対にかちとろう。
全国労組交流センターと星野全国再審連絡会議が呼びかける2月徳島刑務所包囲闘争に総決起しよう。星野同志は獄中から「自らを信じ、仲間を信じ、人間を信じ、ともに力を合わせ、誰もが人間らしく生きられる未来を開くため闘い生きることで私たちはどんな困難ものりこえ未来を開いていく力を解き放っていくことができます」と、確信をもって訴えている。韓進重工業のキムジンスクさんの闘いを支えた「希望バス」のように、全国から徳島に結集し、星野同志奪還に向け獄壁を打ち破る闘いを積み上げよう。
迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判、富山再審、法大裁判などすべての裁判闘争に勝利し、日帝権力のあらゆる弾圧を粉砕して闘おう。
(6) 国際連帯の一層の発展を
革共同の綱領草案は、その第13項で「日本革命の勝利は、朝鮮半島の南北分断打破・革命的統一をめざす朝鮮プロレタリアートの闘いと連帯し、また中国スターリン主義打倒をめざす中国プロレタリアートの闘いと連帯してかちとられる。そしてこの勝利は、帝国主義の総本山であるアメリカ帝国主義の打倒へ向けたアメリカ労働者階級の歴史的決起と結合して、今日の大恐慌をプロレタリア世界革命の勝利に転化する突破口となる」と規定している。この綱領草案をいよいよ、現実の実践に転化する時代が始まった。
プロレタリア革命情勢の成熟は21世紀の共産主義インターナショナル建設の闘いを強く求めている。まずは韓国およびアメリカの闘う労働者との団結をさらに打ち固めていく中から、この壮絶な闘いに挑戦していこう。
その核心は、日本の革命運動が、マルクス主義と階級的労働運動の豊かな実践をもって、トロツキー主義や、スターリン主義の一種である毛沢東主義を思想的・路線的にのりこえて意気高く闘っている姿を登場させることにある。2012年、ここでの飛躍的前進をかちとろう。
X マルクス主義で武装した党を青年・学生を軸に建設しよう
革命的共産主義者同盟は2010年に党の綱領草案を闘いとり、21世紀のプロレタリア世界革命に踏み出す宣言を発した。その上に立ってこの2012年、革命への新たな決起を開始した青年労働者・学生の同志とともに、マルクス主義で全面的に武装した革命的労働者党の強大な建設を闘いとろう。
労働者自己解放の党
プロレタリア革命とは労働者階級自身の事業である。労働者階級の革命党は、労働者階級の自己解放闘争の中からつくりだされる。党は労働者階級の一部であり、その最も先進的な部分を代表し、階級と一体となって革命の勝利を闘いとる。そのために党自身の組織的団結を強め、労働者階級の階級的団結を労働組合運動を通して階級全体の中に拡大するために闘う。党は階級の大地に根を張り、その全活動を階級によって検証され、かつ階級の内部に物質化しつつ前進する。
こうした党の指導部は、労働者出身であろうと学生運動出身であろうと、労働者階級自己解放の思想(マルクス主義)で徹底的に一致した指導部集団としてつくりだされる。革命的共産主義運動は、労働者自己解放の思想を否定するスターリン主義反革命と激しく闘って決別し、日帝権力と結託したファシスト反革命・カクマルとの内戦的死闘を貫いて自己を形成してきた。さらに労働者階級の革命性を否定した塩川一派の綱領的敵対と闘い、粉砕して今日の地平を闘いとってきた。これらの教訓を党建設の中に生かし切って前進しよう。
青年が党の最先頭で
青年労働者・学生が革命的共産主義運動の最先頭で決起する時代が訪れている。03年のイラク反戦闘争、06年の法大闘争への決起に始まり、日帝資本や国家権力の圧殺攻撃と闘い、険しい道を自らの力でこじあけ、勝利してきた青年・学生の闘いが、いよいよ歴史的に大爆発する時を迎えている。
青年労働者の闘いは、その最先端性と自立性、資本との激突性において最も鋭い闘いとなっている。青年労働者の同志は、大恐慌下の革命的共産主義運動のすべてを自らの内側に体現して闘い、とりわけ資本との必死の職場闘争を闘うことで、膨大な青年労働者の獲得にのりだそう。そして拠点職場に青年部の旗を打ち立てよう。非正規職撤廃こそその実践だ。
学生戦線の同志は、新自由主義大学解体・学生自治会再建の先頭に立ち、自らの闘いと生き方を通して300万学生に未来への道をさし示そう。
マルクス主義青年労働者同盟、マルクス主義学生同盟中核派の各1千人建設を強力に推進し、革共同を青年・学生を最大の中心勢力とする党として打ち立てよう。
非合法・非公然の党
革共同は、1969年の破防法適用で日帝権力による組織絶滅攻撃との死闘に突入して以来、40年を超える歳月を非合法・非公然体制の確立とその勝利によって前進してきた。この非合法・非公然体制こそ、プロレタリア世界革命を先取りしてきた闘いである。それはこの活動をその最先端で、現に権力と日々対峙しつつ、一時の休みもなく貫いている同志たちの献身的決起によって勝利してきたのである。
プロレタリア独裁権力樹立への道を切り開く最も死活のかかった闘いとして、階級的労働運動の本格的全面的発展をかちとる最深の根拠地として、非合法・非公然体制の本格的建設へ前進しよう。星野同志奪還の闘いと一体のものとして、超長期の指名手配攻撃と不屈に闘う同志と連帯し、ともに闘い、デッチあげ弾圧粉砕のために総決起しよう。
機関紙誌を最基軸に
革共同は、機関紙で党をつくるという闘いを一貫して貫いてきた。中央委員会×地方委員会(地区委員会)×細胞を軸として産別委員会建設の新たな発展をかちとり、全戦線で労働者階級解放闘争の闘う統一を実現していく道は機関紙である。
機関紙誌は、階級的団結の形成、資本との闘い、産別拠点化の武器である。その鍵はレーニンが強調しているようにマルクス主義による全面的政治暴露にある。機関紙誌を通した全面的政治暴露の闘いは、あらゆる人びとを闘争主体へと育て上げていく力をもつ。労働者階級はこの政治暴露によって問題の所在をつかむならば、自ら闘いに総決起していく階級である。このことに確信をもち、機関紙誌を軸にした党建設に勝利しよう。
2012年を、革共同の一大飛躍の年として闘いとろう。
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