ZENSHIN 2011/10/24(No2509 p06)
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週刊『前進』(2509号1面1)(2011/10/24 )
TPP参加粉砕・辺野古新基地阻止
11・6大結集で野田打倒へ
原発再稼働の連合ぶっ飛ばし反失業・非正規職撤廃へ闘おう
青年先頭に新自由主義と対決を
関西生コン支部、港合同、動労千葉の3労組と国鉄闘争全国運動が呼びかける11・6全国労働者集会まであと2週間。11・6集会1万人結集の実現に階級闘争の未来がかかっている。超反動の野田民主党政権は原発再稼働、TPP(環太平洋経済連携協定)参加、辺野古新基地建設を決断した。青年労働者を先頭とする怒りの1万人デモで野田政権を打倒しよう。11・6をウォール街に発した全世界的な反失業・反格差デモに真に連帯する闘いとして大爆発させよう!
TPPは農業破壊・医療破壊と非正規化の大攻撃
世界大恐慌は本格的な爆発過程に突入した。欧州金融恐慌の再爆発で、大恐慌は2番底と世界経済の大収縮化に入った。危機の深さ、激しさは1930年代を上回る。
米帝はドル基軸体制の崩壊で基軸帝国主義から没落帝国主義へと転落し始めた。EU(欧州連合)はユーロ崩壊で解体の危機にある。日帝は帝国主義間争闘戦から脱落寸前だ。中国バブルも崩壊に突入した。この中で2国間・多国間のFTA(自由貿易協定)の締結を軸としたブロック化と争闘戦が強まっている。
米帝オバマは、日帝をTPPに参加させ米帝ブロックに引き込み、EUと中国に対抗し、没落の危機を巻き返そうと躍起である。9月21日の国連本部における日米首脳会談で、オバマは沖縄普天間飛行場移設−辺野古新基地建設について「結論を出す時期に近づいた」と述べ、野田に「日米ロードマップ」(06年5月)の履行を迫った。またオバマは、野田のTPP参加への「取り組みと議論を歓迎する」とし、参加決定を迫った。
これに対し野田は、11月12〜13日のハワイでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議までに、この問題で結論を出そうとしている。
すでに野田政権は辺野古沿岸の環境影響評価(アセスメント)の最終評価書の策定に入った。評価書の提出を受け沖縄県知事が90日以内に防衛省に意見を伝達すれば、防衛省はいつでも、辺野古沿岸部の埋め立てを沖縄県知事に申請できる。17日には一川防衛相が仲井真知事にその旨を伝えている。辺野古新基地建設を宣言したのだ。
また経団連の米倉会長は、「11月のAPEC首脳会議で参加国が枠組みに大筋合意した後で参加するのでは遅い」と野田に決断を迫り、連合会長の古賀も「TPPは11月がヤマだ」と米倉に同調した。労働者にはとうてい許しがたい発言だ。
米帝と日帝の唯一の延命策
大恐慌下で争闘戦と米中対決が激化する中で、TPPは米帝が主導できる決定的なアジア太平洋戦略だ。日帝と野田政権にとっても、日米同盟強化とTPPへの参加は唯一の延命策としてある。
米帝オバマの対日要求は、@貿易ルールの簡素化Aサプライチェーン(供給網)の効率化B規制の統一C知的財産権の保護D公正な競争である。要するに「例外なき自由化」ということだ。
TTP参加で日本の農業や医療は崩壊する。関税障壁撤廃で市場競争にさらされる日本農業は壊滅する。大資本の参入が自由となった医療を支配するのは、米国などの保険・製薬・医療機器会社だ。多くの労働者人民は無保険者となり、医者にもかかれなくなる。
野田はさらに、被災地への復興特区攻撃、大阪・橋下の首切り条例(職員基本条例・教育基本条例)案、道州制、公務員制度改革、憲法審査会始動など、総じて改憲攻撃を激化させている。
これに対しTPP参加反対の全国農民の決起など、大反撃が始まっている。TPP参加で全面化する民営化・外注化・非正規職化攻撃に、青年労働者は必ず怒りの反撃に立つ。TPP問題は労働組合運動の課題でもあり、11・6の重要テーマの一つとなった。国際連帯と労農連帯で闘おう。
動労千葉・動労水戸の勝利性
11・6の1万人結集の条件は満ち満ちている。世界中で労働者人民が新自由主義と対決し、行動に立ち上がっている。
何よりも動労千葉と動労水戸がストライキに立ち、外注化の10月実施を阻止し、放射能汚染車両の検査を止め、階級的労働運動の力を示した。
動労千葉と動労水戸は国鉄分割・民営化に断固反対し、反合理化・運転保安闘争を軸に闘ってきた。今回、青年労働者がストの最先頭に立ち、検修・構内運転業務の外注化と偽装請負・非正規職化、放射能汚染列車の問題を全員に訴え闘った。
労働組合のもとに団結して闘えば勝てる。この闘いは体制内労組幹部の支配下で苦闘する労働者に勇気を与えている。
さらに10月15日には、「世界変革のために連帯する」一斉行動が、全世界で大きく高揚した。
特に再度の金融大恐慌に突入したヨーロッパのデモは、大規模で激しいものとなった。増税、年金削減、賃下げ、首切りの緊縮政策で労働者の生きる権利を奪い、税金で金融資本を救済する政府の新自由主義政策に怒りが大爆発した。
今や大恐慌と大震災下に、9・19―10・15闘争を経て、労働者階級の中に大量の意識変革、大流動・活性化が起こっている。この中に飛び込み、大胆に組織化しよう。
9・19につづく反原発の1万人大デモをかちとれ
11・6労働者集会はまさに歴史的な闘いだ。
第一に、9・19の6万人決起を引き継ぐ反原発の全国大闘争である。1万人の階級的労働運動潮流による反原発の大デモで、野田政権の原発再稼働・新増設・輸出の策動を絶対に打ち砕こう。
福島第一原発の事故はなんら「収束」に向かってはいない。政府と東電は原発再稼働に向け、10月1日に緊急時避難準備区域を解除し、18日には原子炉の「冷温停止状態」の達成時期を来年1月から年内に前倒しすると、工程表に明記した。
炉内の水が沸騰しておらず、圧力容器が密閉されて放射性物質が外部に出ていないのが「冷温停止」だが、「冷温停止状態」はそれに程遠い。
メルトダウン・メルトスルーした核燃料がどうなっているかもまったく分からない。今も放射性物質を出し続けている。放出されている放射性物質の量は、事故当初の400万分の1とはいえ、毎時2億ベクレルだ。
核燃料の再溶融や水素爆発、水蒸気爆発の危険も去っていない。炉心や燃料プールを冷やす水を送る設備は故障続きだ。建屋には1日約450dもの地下水が流入している。また逆に、高濃度汚染水が漏れ出して地下水や海を汚し続けている。
特に3号機の爆発は水素爆発ではなく「核爆発」だったとする見解が有力だ。事故の真相はまだまったく解明されていない。福島原発事故の現状は、本来の意味の「冷温停止」も「廃炉」も不可能な絶望的危機にあるのだ。
だが日帝と野田は原発再稼働を狙い、高速増殖炉開発もあきらめていない。95年にナトリウム漏れ事故を起こした「もんじゅ」の建設には2兆4千億円もかかり、維持費に1日5千万円をかけている。他方、六ケ所再処理工場は06年の試運転開始以来、事故を繰り返し、今日まで未完成だが、2兆2千億円がつぎ込まれ、しかも放射性物質を放出し続けている。
だが日帝は新自由主義のエネルギー源としても、また9・7付読売新聞の社説や10・5付SAPIOの石破・自民党政調会長(当時)発言が、原発は「潜在的な核抑止力」だから止めてはならないと強調しているように核武装のためにも、あくまで原発政策を推進しようとしているのだ。
日帝支配階級は原発による電力供給で労働者人民を「人質」に取りつつ、核武装化の野望も維持してきた。日帝は今や「準核武装国」を自認する。だがこの反人民的国策は「3度目の原爆投下」=福島第一原発事故を引き起こした。被災地とフクシマの怒り、決起と固く結び、11・6反原発大デモを闘いぬこう。
反失業・非正規職撤廃へ国際連帯の日比谷大集会
第二に、11・6は反失業と外注化阻止・非正規職撤廃の新自由主義攻撃と対決する労働者階級の国際的大闘争だ。新自由主義と闘う3労組共闘と日米韓の戦闘的労組が、被災地・フクシマの怒りと結合し万余の規模で一堂に会し、都心への大デモに打って出よう。
外注化も、偽装請負も、非正規職化も、被曝労働強制も、労働組合がそれらと闘わないことによってまかりとおってきた。しかし動労千葉と動労水戸は民営化・外注化と闘って勝利してきた。このことは国際的にも決定的意義をもっている。
第三に、11・6は今や日米安保同盟の深化・強化、原発再稼働、TPP参加、辺野古新基地建設へと決定的に踏み出した超反動の野田を、労働者階級人民の巨万の怒りの決起で打ち倒す大闘争だ。
職場、地域、キャンパス、街頭から、11・6日比谷野音へ嵐のような結集運動を巻き起こそう。
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週刊『前進』(2509号1面2)(2011/10/24 )
11・6集会 米韓独から闘う労組が
3労組と被災地の怒り一つに
11月6日正午、日比谷野外音楽堂において、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組と「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動」が呼びかける全国労働者総決起集会が開催される。
集会は被災地・宮城や福島の労働組合、農漁民、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の親たちを多数迎え、「反原発・反失業」を掲げて行われる。あと2週間、職場・地域で仲間を組織し、11・6日比谷に駆けつけよう!
11・6には、大恐慌情勢下で激化する新自由主義と闘う労働者階級の大反撃が本格的に開始される中で、全世界で闘っている労働組合の代表が、日本の階級的労働運動勢力と国際的に団結して闘うために来日する。11・6集会で打ち固められ、高められる国際連帯は、各国の戦闘的労働運動に還流され、その闘いを一層活性化させ、爆発的発展の地平を切り開くであろう。
韓国・民主労総が大挙して参加
韓国からは、民主労総ソウル地域本部のランク&ファイルの労働者が数十人規模で大挙して11・6集会に参加する。
韓国の労働者たちは戦闘精神を燃やして非正規職化や外注化の攻撃と激しく闘っている。彼らは「勤労基準法を守れ」「労働者は機械じゃない」と叫んで1970年11月13日に焼身決起した全泰壱(チョンテイル)氏の母親で今年9月2日に亡くなられた李小仙(イソソン)さんの「生きて闘おう」「「ひとつになれば必ず勝てる」という戦闘的な遺志を受け継いでいる。
「生きるために労働者が団結して闘う」ことは日韓の労働者に共通の唯一の勝利の道だ。11・6集会で国際連帯をさらに打ち固め、ともにこの勝利の道を進もう。
またアメリカで最も戦闘的な港湾倉庫労働組合(ILWU)のローカル21のダン・コフマン委員長とサンフランシスコの地下鉄・都市交通労組(ATU)ローカル1555のジェネ・ペピ元副委員長が来日する。
雇用剥奪に実力反撃のILWU
ILWUローカル21は今、アメリカ西海岸ワシントン州のロングビュー港でEGT(穀物輸出ターミナル)社という日米韓の合弁企業が運営する新たな穀物ターミナルによるTPP導入をにらんだ攻撃と対決している。ILWUからの雇用剥奪(はくだつ)、組合破壊と非正規化攻撃にピケットによる穀物運搬列車阻止闘争やEGTの施設占拠闘争などで実力反撃している。この実力闘争がアメリカの労働者に展望を与え、「ウォール街を占拠せよ」という資本の支配の打倒を目指す運動を引き出したのだ。
EGT社には、伊藤忠商事が積極的に参加している。伊藤忠の小林栄三会長は、原発輸出を推進する原子力政策懇談会に参加しているばかりか、「食と農林漁業の再生実現会議」(TPP推進会議)の委員である。
したがってEGT社は、ILWUの労働者の職を奪って路頭に迷わせるだけでなく、TPPによる日本の農民殺しの先兵でもある。EGTとの闘いはILWUの労働者の課題であると同時に、日本の労働者の課題だ。
ILWUローカル21と日本の労働者・農民は、連帯してこの共通の敵を打倒しなければならない。この点を鮮明にさせてILWUローカル21の労働者との国際連帯を強化しよう。11・6労働者集会と万余の都市デモはその突破口を切り開く。
ATUローカル1555は、動労千葉との長い国際連帯の歴史を持つ組合であり、サンフランシスコでILWUローカル10、34と並ぶ戦闘的な労働組合だ。
アメリカからはさらにILWUやATU1555と連携しながら闘っている運輸労働者連帯委員会のスティーブ・ゼルツァーさんも参加する。
ドイツからは、階級的労働運動の創生を目指す二つのグループの代表2人が参加する。2人は日本の反原発・反失業の闘いを基軸とする階級的労働運動の発展に共感し、ドイツで同様の闘いをつくり出そうとしている。
11・6労働者集会に結集して、大恐慌の時代にふさわしい国際連帯の新たな時代を切り開こう。
(写真 穀物運搬列車を阻止するILWUローカル21の労働者と家族【9月7日 ロングビュー市】) ---------------------------------------------------
週刊『前進』(2509号1面3)(2011/10/24 )
11・6へ! 怒りの新宿街宣
15日午後、合同・一般労組全国協議会、郵政非正規ユニオン、全国労組交流センター青年部などが新宿駅東南口で街頭宣伝を行った。(写真)
3団体の労働者が次つぎとマイクを握り、原発と首切り・組合つぶしへの怒りを語り、「こんな社会はひっくり返そう。労働者が団結すれば勝てる。11・6日比谷からデモを」と呼びかけた。
この日はアメリカの若者が呼びかけた全世界一斉行動の日。道行く人びとの共感を集め、11・6のチケットも数多く売れた。翌16日も渋谷駅前で宣伝戦が行われた。
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週刊『前進』(2509号1面4)(2011/10/24 )
前進速報版から
▼関西生コン弾圧裁判、最終弁論・意見陳述で有罪論告求刑を圧倒!▼秋田で「国鉄1047名解雇撤回!全原発廃止!」の集会・デモ
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週刊『前進』(2509号2面1)(2011/10/24 )
反原発・非正規職撤廃 11・6大集会へ
新自由主義と正面から対決し「雇い止め」粉砕・派遣法撤廃を
全国協1千の隊列を日比谷に
革共同合同・一般労組委員会
11・6労働者集会への1万人結集の最先頭に合同・一般労組委員会が立ち、合同・一般労組全国協議会1千人の隊列を日比谷野音に登場させよう。帝国主義の最末期の姿である新自由主義攻撃と真っ向から激突し、派遣法撤廃、「雇い止め」という雇用形態そのものを粉砕し、非正規雇用労働そのものの廃絶をかちとろう。それは日帝打倒そのものであり、腐りきった帝国主義を根底から転覆する闘いである。11・6集会は、原発廃絶とともに非正規雇用撤廃の闘いだ。
「復興特区」で工場法以前に
過酷な労働条件の下で働く原発労働者の死が、闇から闇へ葬り去られている。反原発闘争は反失業の闘いであり、反失業の闘いは反原発の闘いと一体だ。
復興特区の名のもとに被災地を工場法以前に戻し、それを国内・世界に展開しようとする野田政権を打倒しよう。
日本経団連は“工場法以前に戻せ”と言っている。工場法以前とは労働時間の制限、労働者の権利に関する法律など一切なかった時期のことだ。賃金の上限は国家によって制限されるものの下限は無い時期もあった。児童労働も、女性の深夜労働も無制限に行われていた。イギリスの労働者街の男性の平均寿命は35〜36歳だった。労働者が早死にして、そのままでは絶滅してもおかしくない状況にあった。労働者は団結禁止法という法律によって団結することそのものが禁止されていた。
これに抗して労働者階級は、生きんがために闘いに立ちあがり、労働組合を組織してストライキで闘い、団結禁止法を実力で打ち破ってきた。資本家としても労働者が絶滅してしまえば資本主義社会を継続する事はできない。資本家たちは資本の搾取に一定の制限を付けて資本主義社会を継続しようとしたのである。そのために労働時間の規制や児童労働、女性の労働時間などに条件を付けた。それが工場法、今日の労働基準法である。
新自由主義攻撃、「規制緩和」とは、「資本の搾取に一定の制限を付けた規制」を取り払えと、資本による無制限の搾取の自由を求めるものだ。労働者を無制限に搾取することを阻害する国家の規制を取り払えと要求する一方で、国家は資本を救済するためだけの道具になれということだ。
復興特区攻撃はまさにこれだ。経団連が5月27日に発表した「復興・創生マスタープラン」の核心は、震災復興特区導入による労働基本権解体=憲法停止であり、労組破壊−外注化・民営化にある。この復興特区構想は被災地にとどまるものではない。被災地で実現したことを全国的に展開し、1995年の日経連プロジェクト報告で打ち出された「9割非正規化」を貫徹しようとしているのだ。
9月16日に発表された「経団連成長戦略2011」は「復興特区を活用し、前例にとらわれない思い切った税・財政・金融・規制・行政上の措置を講じていくことが重要となる。……将来的には被災地を持続的に発展させることを可能とするとともに、復興特区で生まれた成功事例を、同様の課題を抱える国内外の他地域・産業にも展開していく」と明記している。国内だけでなく国外にも復興特区を拡大するというのだ。原発については「順次速やかに再稼働させていくことが重要である」とし、さらに原発をアジアに積極的に輸出していく攻撃的姿勢をあらわにしている。
労働者を団結させない契約
厚生労働省労働基準局長の委嘱を受けて2009年から12回にわたり検討してきた「有期労働契約研究会 中間取りまとめ」(2010年3月17日)によれば、「有期契約労働者は1985年の437万人から2009年には751万人(雇用者総数の13・8%)に量的に増加し、また特に2000年から3年ほどその増加のピッチが上昇した後、高止まりしている(「労働力調査」)」。しかし実態調査によれば「7割の事業所は雇い止めを行ったことは無い」(同)と言う。有期労働契約がけっして主流ではないのだ。朝日新聞は9月16日から有期雇用問題で特集を組み、同23日には郵政非正規ユニオン委員長が登場した。雇い止めという雇用形態のあり方が焦点化していることを示す記事だ。
戦前、紡績工場や風俗営業などにおいて年期労働契約(期間5年が典型)が、前借金、損害賠償特約、人身拘束的寄宿舎などとともに身分的拘束関係の創出に利用されてきた。そこで戦後の労働基準法は、身分的拘束関係の防止のために年期契約における期限の長さの制限を図り、「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの以外は」1年を超える期間の労働契約を禁止した。
しかし、ブルジョアジーが労働契約の上限規制撤廃・緩和を主張する中で、1998年の労基法改正は限定的場合において期間3年の労働契約を許容する部分的な規制緩和を行い、さらに2003年の労基法改正は期間の原則的上限を1年から3年とし、一定の専門的労働者および60歳以上の労働者については上限を5年とする大幅な規制緩和を行ったのである。
有期労働契約は、契約期間が満了したから契約更新をしないという形式のもとで労働者の首を切る新自由主義の攻撃として、国鉄分割・民営化を経て全面化してきた。有期労働契約は労働組合をつくらせない、非正規雇用労働者を団結させないための予防反革命と言ってよい。資本の都合で好きな時にいつでも労働者の首を切ることのできる雇用形態なのである。有期労働契約・雇い止めは、死刑執行の日が決まっている死刑囚のようなものだ。JR東日本の契約社員であるグリーンスタッフ(1年契約、最大で4回更新)の雇い止め形態は、1年目で死刑が執行されるところ、4回までは死刑執行を猶予するというものでしかない。しかもあらかじめ4回の執行猶予が保障されているわけでもない。いきなり1年目で死刑執行が行われる場合もあるのが有期労働契約だ。
現在、郵政非正規ユニオンの期間雇用の労働者にかけられているように、労働組合を結成したから雇い止めという不当労働行為を隠ぺいするために「3カ月の雇用期間が満了したから契約更新はしない。したがって解雇ではないし労働組合の結成とは関係ない」という論理で雇い止め解雇を行ってくる。こんな論理がまかり通れば非正規雇用の有期雇用労働者は、憲法28条で保障されている団結権も労働法も適用されないことになる。
当該が闘えなければ「違法」が「合法」になり既成事実となってしまう。しかし闘えば、雇い止め解雇に勝てる。労働者の団結を奪い、ばらばらに分断し、モノのように使い捨てる有期雇用という労働形態そのもの、非正規雇用そのものをこれ以上許してはならない。
東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会は9月27日、雇い止め解雇された仲間の解雇撤回と、一方的な賃下げの撤回を求めて分会員全員が24時間ストライキに立ちあがった。鈴木コンクリート資本はこのストライキを「違法」と言いなし、委員長・副委員長に1週間の出勤停止、さらに追加して執行委員に3日間の出勤停止、そして新たに組合に加盟した仲間の雇い止め解雇を強行してきた。3カ月の雇用契約を一度も更新しないで、組合に加入した事をもって雇い止め解雇にしたのだ。このように労働組合の弾圧に使われるのが有期雇用契約なのだ。
合同・一般労組委員会はこのようなでたらめな弾圧を絶対に許さない。西部ユニオンの仲間と固く連帯して不当な弾圧を粉砕し、組織拡大に転化する闘いをやり抜く。
非正規化を許さない闘いを
動労水戸が、放射能汚染された車両の搬入・検修に反対してストライキで闘い、下請け労働者の清掃業務にも断固として抗議したことで下請け労働者の被曝労働を回避することできた。そうでなければJRは、下請け会社の労働者に平気で被曝労働を強制していた。真っ先に被曝労働を強いられるのは下請け・非正規の労働者なのだ。
「東日本大震災復興事業・福島(原発20`圏内)ガレキ撤去作業員募集/1日4時間労働(交代制勤務)、日給27000円(月80万円以上)/期間・2カ月に限る(休日なし)」というチラシが都内でまかれている。やくざ絡みの手配師が原発での非正規の被曝労働を強いているのだ。月給80万の仕事が、福島第一原発での作業であることは明らかだ。原発事故処理の賃金が日給11万のところもある。そこと比較すると、やくざ会社が1日8万もピンハネをしているのは間違いない。2カ月間休みなしで働かせ、ボロ雑巾のように使い捨てるこのような労働形態を不可避とするのが原発だ。東電労組や電機連合の指導部が原発を推進し、被曝労働を下請け、孫請け、ひ孫請けの非正規雇用労働者に強制することによって原発が成り立ってきたのだ。原発産業こそ新自由主義の極致の労働形態だ。
求められているのは非正規雇用化を許さない闘いである。非正規雇用化の元凶である業務の外注化・民営化と闘うことに労働運動の再生の道がある。動労千葉や動労水戸のように、非正規雇用を生み出す根本である外注化・民営化と闘うことが労働組合の任務である。郵政全体で5割、郵便事業会社で6割強もの非正規化は、JP労組が屈服したことによってまかり通ってきた。
合同・一般労組委員会の任務は、外注化・民営化、非正規化の出発点である国鉄分割・民営化をあいまいにせず、国鉄1047名解雇撤回を求めて闘う国鉄闘争全国運動の最先頭に立つことだ。そして、4大産別の非正規雇用労働者を組織して闘うと同時に、4大産別の正規雇用労働者の闘いの爆発をつくりだすためにも闘う。民営化・非正規化の根本との闘い抜きに非正規雇用撤廃の闘いはない。国鉄闘争全国運動は新自由主義攻撃との正面戦であり、11・6集会への1万人結集はその橋頭保だ。残された期間、全力で闘い抜こう。
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週刊『前進』(2509号2面2)(2011/10/24 )
合同一般全国協大会 「特区」攻撃と闘う
職場闘争と1千人建設へ
合同・一般労働組合全国協議会の第2回大会が10月8日、千葉市で開催された。3・11以来半年間にわたる「復興」という名の労働組合破壊攻撃との攻防を被災地・全国で闘いぬいてきたこと、郵政非正規ユニオンの結集をもって全国協の戦略的位置は決定的に高まったこと、さらには、8・30集会で動労千葉が非正規職撤廃・偽装請負弾劾を掲げた闘争に突入することをもって全国協の路線的位置が決定的に重要になったことをがっちりと確認した。
大会では、議案の提起と全国から結集した代議員からの活発な発言が行われた。その核心は「職場闘争への決起」だ。
「3・11反革命」との闘いは、新自由主義攻撃との死闘であり、問われたのは職場での決起だった。その上で、大会はその1千人建設の展望を次のように明らかにした。
一つは「特区攻撃」と闘うことを鮮明にさせたことだ。日帝・資本は「生きていくこと」を奪われた東北地方を前にして、これを「復興」の名をもって延命のえじきにし、これを東北から全国に広げようとしている。全国協は被災地のユニオンを先頭に、この新自由主義との闘いの先頭に立つことを決定した。
二つは、国鉄を軸とする4大産別決戦に決起することだ。大恐慌が本格化する中で民営化・非正規職化攻撃が一層激しく襲いかかってきている。この時、動労千葉と動労水戸が「偽装請負弾劾」「放射能汚染車両の移送阻止」を非正規労働者との連帯を掲げて立ち上がったことは決定的だ。労働者階級の勝利は正規と非正規との分断を打ち破って団結することにあり、全国協こそはこの決起をしっかりと受けとめて国鉄決戦を始めとする4大産別決戦に立ち上がる。とりわけ郵政非正規ユニオンの闘いとJRグリーンスタッフの闘いは2千万青年労働者の獲得をかけた大決戦になる。
三つは、労働相談闘争に立ち上がることだ。被災地を始め全国で労働相談が本格化している。全国協は「震災解雇労働相談全国センター」と一体となって労働相談に全力で取り組む。
大会は、全国協の1千人建設が路線的戦略的闘いであると同時に、その大衆的広がりはすでに1千人組織化を射程に入れつつあることを明らかにした。そして、一切の結論は11・6労働者集会への1万人結集であり、全国協1千人建設を通してその先頭に立つことを高らかに宣言した。
(写真 小泉義秀事務局長の大会議案の提起に全国から結集した代議員が聞き入った【10月8日 千葉市】)
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週刊『前進』(2509号2面3)(2011/10/24 )
国労5・27臨大闘争弾圧裁判 有罪宣告した高裁に怒り
動労水戸と連帯し一日行動
国労5・27臨大闘争弾圧裁判で東京高裁第10刑事部(村瀬均裁判長)は10月13日、国労組合員6被告の控訴を基本的に棄却し、被告を有罪とする反動判決を出した。
他方で判決は、富田益行被告に関し、一審判決が認定した3人の本部派組合員への「暴行」のうち1件については、検察官の訴訟提起に手続き的な瑕疵(かし)があったとして公訴を棄却、一審判決の罰金60万円を罰金40万円に改めた。これは、一審判決が暴力行為等処罰法の適用を否定したことに続く、検察側の大破産だ。
だが、判決文の内容は徹頭徹尾、反動的だ。判決は、鉄建公団訴訟を起こした闘争団員を統制処分にかけるために開かれた02年5月27日の臨時大会について、「大会の開催及び統制処分を違法と断ずる根拠は見当たらない」と言い放った。また、この弾圧の口実となったもみ合い状態は、ビラをまこうとしていた被告たちを国労幹部が暴力的に突破することによってつくり出されたことは明らかであるにもかかわらず、「(本部派が)突き進んで強行突破を図るという異常な対応をしたなどとは評しえない」と述べている。
こうして司法は、国家権力とJR資本の手先となった国労本部を擁護し、国労内で階級的労働運動を再生させるために奮闘してきた被告団への憎悪をむき出しにした。まさに労働運動を否定する反動判決だ。
判決を読み上げる裁判長を前に、法廷は強い怒りに包まれ、激しい弾劾の声が上がった。
被告団は、直ちに最高裁への上告の手続きをとった。
(写真 公判闘争に先立ってJR東日本本社前で抗議行動【10月13日 新宿駅南口】)
被曝労働強いるJR本社に抗議
被告団を先頭に「共に闘う国労の会」は、この日を外注化と闘う動労千葉や動労水戸のストライキと連帯する1日行動として闘いぬいた。
早朝から東京高裁前での宣伝行動が行われ、動労水戸のスト決起を伝えるビラや、11・6労働者集会への結集を訴えるチラシがまかれた。
午前10時半からJR東日本本社前で抗議行動が展開された。マイクを握った闘う国労組合員は、動労水戸の闘いと呼応し、被曝労働を強いるJRに激しい怒りをたたきつけた。行動への注目はかつてなく高く、通行する人びとから1047名解雇撤回署名や反原発署名が続々と寄せられた。
判決公判後、被告団を先頭に「共に闘う国労の会」は国労本部への抗議・要請行動に赴いた。反動判決への怒りも収まらない被告団は、組合員を警察に売った本部を徹底的に弾劾、被告の闘いを「中核派による暴力事件」と言いなした「国労本部指示第55号」の撤回を強く迫った。闘う国労組合員はまた、「被解雇者から組合員資格を奪う規約改定を撤回しろ」「被曝労働を強いるJRとストライキで闘え」と怒りの声を上げた。田中博文本部副委員長らは、「話は聞いた。これで終わりだ」と席を立ち、そそくさと逃げ去った。
夕方には、文京区民センターで「判決公判報告・国鉄闘争勝利総決起集会」が120人の結集で闘われた。
被告団と弁護団が反動判決への怒りを表明、上告して闘う決意を述べた。動労千葉の山田繁幸執行委員が連帯のあいさつに駆けつけ、国労郡山工場支部の橋本光一さんや鉄道運輸機構訴訟原告の秋田闘争団・小玉忠憲さんら闘う国労組合員の発言が続いた。基調報告を国労上野支部の吉野元久さんが行い、労組交流センター事務局が動労水戸のストライキについて報告した。
この集会で「共に闘う国労の会」は、国鉄闘争解体攻撃と真っ向から闘ってきた5・27弾圧粉砕闘争の地平を確認した。そして、JR大再編情勢の中での来年4月に至る決戦攻防に勝ちぬくため、動労千葉・動労水戸と固く結合し、外注化阻止の闘いを職場からつくり出して、11・6労働者集会へのJR青年労働者の大結集をかちとることを固く決意しあった。
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週刊『前進』(2509号2面4)(2011/10/24 )
“自主避難にも損害賠償を”
子ども福島 文科省前でアピール
10月20日、原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)の第15回審査会で、福島第一原発事故による自主避難者への賠償を求めて、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(子ども福島)の代表世話人・中手聖一さんと、伊達市から北海道に避難している女性の意見陳述が行われた。
原賠審は現在、福島第一原発事故による賠償の指針策定作業を進めている。避難区域外の住民の自主避難については、9月の原賠審で、4月22日以前の避難者は賠償対象とし、23日以降の避難者は対象としない可能性が示された。
子ども福島などはこの事態に危機感を燃やし、「すべての避難者に賠償を」「勝手に定めた日付で線引きを行うのはやめて」と訴え、また自主避難者の訴えを聞く公聴会を求めてきた。この中で、この日の意見陳述が実現したのだ。
原賠審に先立ち午後2時半から、子ども福島のメンバーらが文科省前アピール行動を行った。北海道、首都圏、福岡など全国各地に避難した人や、家族を避難させ自分は福島にいる人などが集まり、「自主的避難にも賠償を」と訴えた(発言別掲)。
10月27〜29日に経産省前で行われる「原発いらない福島の女たちの座り込み行動」への参集も呼びかけられた。
福島県民の怒りと結びつき、11・6労働者集会の大結集へ闘いぬこう。
(写真 北海道、九州など各地に避難した人が集まり、原賠審に声を上げた【10月20日 文科省前】)
自主避難した人たちの訴え
●関東に避難した女性
子どもと避難し、父親は福島にいる。二重生活は大変だが、子どもの命を守りたくて避難した。この行動を国に「間違ってない」と認めて欲しい。
●福島市在住の男性 子ども2人と妻を岡山に避難させた。ある者は家を捨て、ある者は地域の仲間と離れ、子どももクラスの仲間と離れ離れになった。それでも「放射能から子どもを守りたい」という一心で避難した。この行動を国や東電に「間違っていた」などとは到底言われたくない。
●山形県米沢市へ避難した女性 お金があるから避難したわけじゃない。子どもの命と健康はお金では買えない。経済的に困窮して、生活水準を下げて生活している家庭も多い。これから避難を考えている人のためにも避難の権利を確立したい。
●福島市から福岡へ避難した女性 4歳の娘とともに避難した。経済的にも苦しいし、精神的にも引き裂かれる思いで過ごしている。今も福島にいる人たちは、不安に思っても外に出られない。子どもたちが健康に成長できる環境を保障してください。これはすべての人に保障された人権です。
●伊達市から札幌市に避難した女性 北海道には自主避難者が2千人近くいるが、ほとんどが母子避難者。避難した人はみな、福島のことを考えている。福島では今も多くの人が悩んでいる。自主避難の権利を認めさせ、福島で苦しんでいる人たちの光になりたい。
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週刊『前進』(2509号3面1)(2011/10/24 )
分断される被災地の教育労働者
労働組合の団結よみがえらせ職場と子どもたち守りぬこう
11・6労働者集会は、反原発・非正規職撤廃を軸に、新自由主義に対するあらゆる怒りを一つに束ね、体制変革への突破口を押し開く闘いだ。10・10NAZENフクシマ結成集会は、労働組合を軸にして全人民の怒りを結集し、再稼働絶対反対・全原発廃炉への決定的陣地を築いた。福島と被災地の教育現場がつき出している現実を明らかにする。これへの反撃は労働組合を職場から甦(よみがえ)らせ、労働運動の力で新自由主義を根底から打ち砕く闘いである。
原発事故と兼務発令による団結破壊・労働強化と闘う
3・11大震災―原発大事故以降、福島の教育現場は一変した。福島県では、小中学生だけで2万人近くの児童・生徒が県内外へ転校した。県外に避難・転校した小中学生は8753人、県内での転校は5217人に上る。これとは別に元の学校に籍を置きながら別の学校に通う区域外通学が5006人だ(8月中旬、福島県教委まとめ)。原発から20`圏内の警戒区域である富岡町では、事故前にいた約1400人の児童・生徒が、なんと700校にバラバラにされたのだ。
原発事故は子どもたちだけではなく、教育労働者の労働環境も徹底的に破壊した。4月、県教委は警戒区域や緊急時避難準備区域の学校を休業にし、そこで働いていた教育労働者に兼務発令(下注1)を強行した。これによって何が起きたか?
原発30`圏内に丸ごと入った福島県教組双葉支部の組合員は、150校もの学校にバラバラに配置された。県内各地に1人、あるいは2人だけポツンと配置され、職場の団結は完全に解体された。それだけではない。片道100`という超長距離通勤や、勤務のために家族と離れ離れになった教育労働者も少なくなかった。
さらに県教委は、30`圏内の高校のサテライト方針(下注2)を一方的に強行した。区域内にあった高校の教育労働者は南相馬市から会津へ避難し、そこからサテライト校のある福島市へ通勤している。片道80`だ。それだけではない。週2日の部活指導や会議のために、授業が終わってからサテライト本校が置かれている相馬まで通っている。1カ月の走行距離は5千`にもなるという。
こんな労働環境に教育労働者をたたき込んだのは、県教委の一方的な兼務発令、高校のサテライト方針である。その上、8月にはこれまた一方的な兼務解除と人事異動を強行し、サテライト校の集約化によって、教育現場を混乱させ、労働者へのさらなる労働強化を強制しようとしている。県教委の狙いは一貫している。職場そのものをなくすことで職場の団結、組合の団結を徹底的に解体することだ。
これが「福島県内は戦争状態」(福島県教組臨時中央委員会決議)でなくて何だろうか。起きていることは階級戦争そのものだ。福島県教組の仲間は「非常事態」を逆テコにした組合解体攻撃、極限的な労働強化と闘い、組合の団結、労働者の団結を守るために立ち向かってきた。過酷な勤務形態からの変更を県教委に要求し、職場と子どもたちを守るために「20_シーベルト基準」撤回を文科省に突きつけて闘ってきた。
「安全」奪った新自由主義と対決しない労組幹部を倒せ
宮城県では3・11大震災によって1万人を超える死者・行方不明者が出た。最も被害が甚大だった石巻市(死者・行方不明者が約4千人)では、182人の児童・生徒、12人の教育労働者が死亡・行方不明になった。悲劇の象徴となっている同市の大川小学校では、全児童の約7割にあたる74人が死亡・行方不明となり、教育労働者も1人は辛うじて助かったものの、それ以外の10人が亡くなった。
宮城県沖地震が99%の確率で予測され、県や市町村ごとに防災計画が立てられ、毎月のように避難訓練が行われていた。にもかかわらず大事故が起きた。なぜか。
石巻市内で津波が押し寄せた小中学校は28校だが、同市の防災ハザードマップでは、1校を除いた27校は津波時の避難場所として「利用可」としていた。大川小学校も「利用可」だった。
別の小学校でも、児童を地震直後には校庭に集め、それから体育館に移動し、「大津波警報が出ている」という住民からの通報で大急ぎで子どもたちを4階建ての校舎にに避難させた。津波は校舎1階の天井付近まで迫った。校舎への避難がもう少し遅かったら大惨事になっていた。
つまり、大川小学校のようなことは、どの学校でも起きる可能性があったのだ。マスコミやブルジョア学者たちは、避難マニュアルを作っていなかったり、対応が遅れたりした学校現場の問題について、教育労働者に一切の責任を押しつけようとしている。絶対に許せない。
これらの大惨事を生みだした一切の原因は、国鉄分割・民営化以来、とりわけ小泉構造改革以来、激しく推し進められてきた新自由主義だ。新自由主義のもとで「安全・安心」などと言いながら、その実、自然災害に対する備えは「非効率」として切り捨てられてきた。「津波は想定外」では断じてない。原発と同じように、資本の悪らつな利潤追求のために、あえて危険を想定しなかっただけなのだ。
こんな新自由主義をまかり通らせた責任は労働組合の幹部にある。労働者の命が危険にさらされる現場で、子どもたちの命が守れるはずがない。大川小学校で10人の仲間の命が奪われたにもかかわらず、体制内労組執行部は資本・政府の責任を追及するどころか、何の見解も出していない。唯一生き残った教育労働者は病気休職に追い込まれている。こんな労働組合ではだめだ。資本だけでなく、労働組合によって労働者の命が奪われることなど、あってはならない。
しかし現場には、多くの仲間の犠牲を生み出してしまったことへの悔しさ、やり切れなさと格闘しながら、“もう二度とこんな事故を起こしてはならない”という怒りが広範に渦巻いている。大川小学校事故の責任をあいまいにせず、政府・資本の責任を徹底的に追及し、闘う教育労働運動を甦らせよう。
生き抜く道は資本主義打倒 11・6労働者集会へ大結集を
野田政権は原発事故がまったく収束していないにもかかわらず、原発再稼働のためだけに9月30日をもって緊急時避難準備区域を解除した。原発再稼働のために子どもや労働者に被曝を強制するというのだ。断じて許してはならない。
政府の一方的な解除を口実にして、福島県教委は元「区域」の学校を再開しようとしている。南相馬市では元「区域」にある12の市立小中学校のうち5校を17日に再開したが、全校の児童・生徒の6割が元の学校に戻らないままだ。その一方で、8月には兼務を解除し人事異動を強行した。ある中学校では40人の生徒の転校先に4人の教育労働者が兼務発令されていたが、8月人事で3人の兼務が解除され、元の学校に戻された。残った1人で40人の生徒を担当しなければならなくなった。しかも、その1人は非常勤講師だ。
福島県教委は、児童・生徒が県外への転校によって減ったために、教育労働者が「過員」であるとして、来年度の新卒採用を中止した。同時に、現在1500人ほどいる非常勤講師(ほとんどが青年労働者だ!)に対して、来年度の雇い止めをちらつかせている。非正規の講師を兼務に残し、年度末をもって兼務解除=講師雇い止めを狙っていることは明白だ。絶対に許してはならない。
そもそも教育現場の崩壊は大震災によって始まったわけではない。ずっと以前から、新自由主義による教育の民営化が教育現場を崩壊させてきたのだ。その行き着いた破局的現実が大震災と原発事故にほかならない。にもかかわらず野田政権は「復興」の名でさらに徹底した新自由主義を強行しようとしているのだ。
もはや新自由主義のもとでは、労働者も農民も漁民も生きていくことはできない。破綻した新自由主義を推進する以外に延命できない資本主義を打倒すること、社会体制を変革することがわれわれの生き抜く唯一の道だ。核心は労働組合を甦らせることだ。フクシマを始め被災地の怒りと一つになり、日比谷一帯を占拠する11・6労働者集会大結集を実現しよう!
(注1)兼務発令 警戒区域などにあった48校の小中学校は、臨時休業に追い込まれた。県教委は4月1日、「8月に人事異動をする」こととともに、「自校の子どもが転入している学校に兼務を命ずる。子どものケアを行うため、全県的視野での配置とする」という兼務発令を行った。労働者の生活状況など関係なく一方的に兼任校が決められ、近くに避難している児童・生徒のいる学校ではなく、自宅から遠く離れた学校への兼務を強いられた。
(注2)高校のサテライト方針 原発事故による避難指示により授業ができなくなった10高校を、県教委はサテライト(衛星)方式で再開した。生徒がバラバラに避難しているため、サテライト校も全県にわたって開設されることになり、同時に教育労働者も各地のサテライト校への勤務となった。小高工高は県内5カ所に分散された。受け入れ先となっている相馬高には、合計4校が併設されるという状況となっている。
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週刊『前進』(2509号3面2)(2011/10/24 )
連合・古賀と公務員連絡会 「人勧」超える賃下げ要求
これが労組のすることか!
連合の古賀伸明会長は10月11日、政府と連合のトップ会談で公務員制度改革法案と公務員賃金を年間平均7・8%引き下げる特例法案の同時成立を要求し、「人事院勧告は受け入れるべきではない」と発言した。
人事院は9月30日、今年度の国家公務員給与につき、月給を0・23%引き下げ、期末・勤勉手当の支給月数を3・95カ月に据え置くとする勧告を出した。この勧告自体、公務員労働者に賃下げを強いる許し難いものだ。
ところが連合は、これよりさらに大幅な賃下げとなる7・8%賃金削減を政府に求めたのだ。
連合系の公務員連絡会(国公連合、自治労、日教組など)は5月23日、公務員制度改革と引き換えに7・8%賃下げをのむことで菅政権と合意していた。公務員連絡会はこの合意を尊重し、「人事院勧告に基づく給与改定を実施するな」と政府に求めている。自ら大幅賃下げを願い出るなど、労働組合のすることか!
連合の「要求」に対し川端達夫総務相は「連合の問題提起を受け止め検討したい」と応じた。そもそも民主党は、公務員賃金の2割削減をマニフェストに掲げて政権に就いた。昨年も民主党は人事院勧告を上回る賃金削減をたくらんだが、その思惑は通らなかった。野田政権は、連合の賃下げ「要求」に支えられ、今年こそ人事院勧告を無視した大幅賃下げに踏み込もうとしている。
連合は、大幅賃下げを「公務員の労働基本権回復」のための「譲歩」であるかのように描き出すが、公務員制度改革は公務員に労働基本権を保障するものでは断じてない。何よりも争議権(ストライキ権)を奪ったまま交渉権や協約締結権を付与するということ自体がペテンだ。交渉権や協約締結権は、ストライキを始めとする労働者の団結と実力行使を裏付けにして、初めて意味を持つものだからだ。争議権なしの協約締結権付与は、「労使合意」の名のもとに賃下げ・首切りを公務員労働者に強制することが目的だ。現に、公務員制度改革とセットで賃下げ特例法案を要求する連合の方針そのものが、そのことを示している。
人事院勧告制度も、本質的には労働基本権剥奪(はくだつ)の代償措置となるものではない。労働者は資本や当局と実力で闘うことによって団結を固め、自己解放能力を身につける。そのことへの代償措置など、本来ありえないからだ。
だが、連合が人事院勧告制度さえ公然と否定するに至ったことは、歴史を画する裏切りだ。野田政権は「復興特区」で被災地の労働法の適用除外や「アジア諸国並み」の低賃金を労働者に強制し、これを手始めに全国の労働者に一層の強搾取と非正規職化を強いようとしている。「特区」はまた、道州制導入の突破口に位置づけられている。連合はこの攻撃の最先兵となり、公務員賃金の削減を「復興協力」のためとさえ叫んでいる。
原発再稼働に突き進む野田政権を支える最大の実体は連合だ。連合を覆す階級的労働運動を職場からよみがえらせ、11・6労働者集会への万余の結集をつくり出そう。
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週刊『前進』(2509号3面3)(2011/10/24 )
伊藤忠本社に抗議
動労千葉と交流センター ILWUスト連帯
動労千葉と全国労組交流センターは10月14日、米港湾で労組つぶしを行っている伊藤忠商事の本社(東京・青山)に対して、労組破壊を直ちにやめるように抗議・申し入れ行動を行った。
全学連も合流して約20人が集まり「伊藤忠は組合つぶしをやめろ!」と大書した横断幕を掲げ、アジテーションを始めると、目抜き通りは騒然となった。「組合つぶしでボロもうけしている悪徳商社、伊藤忠を弾劾しよう!」と訴えると、街を歩くビジネスマンたちが次々とチラシを受け取った。ガードマンはあわてて入り口に集まり、不安そうに眺めている。
昼休みで中から出てきた伊藤忠の労働者もびっくりしながら次々とチラシを受け取り、立ち止まってアジテーションに聞き入った。地元の住民は「伊藤忠は悪忠だ!」と極悪企業への積年の怒りをともにした。
伊藤忠商事は、アメリカや韓国の会社とともに米西海岸に巨大な穀物輸出施設を建設し、ハイアリングホールなど1930年代以来ILWU(国際港湾倉庫労働組合)が闘いとってきた既得権をすべて踏みにじって、ILWU組合員の雇用を拒否し、これに反撃する労働者を200人以上も逮捕させている。しかも伊藤忠はこれをアジアに大量の穀物を輸出する「グローバル・バリューチェーンの構築に大きく貢献する事業」だと大宣伝し、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)による農業の破壊と一体であることを隠そうともしていない。
伊藤忠はオーストラリアなどでのウラン鉱の輸出なども行っており、まさに労組破壊と農業破壊、原発推進でボロもうけをしている極悪資本なのだ。
抗議行動の代表団は本社ビルに入り、人事・総務部と食料部門の課長に対し、ILWUと労働協約を結ぶよう4点の申し入れを行った。伊藤忠はアメリカで大闘争になっていることを渋々と認め、10月21日までの回答を検討すると答えた。
(写真 1930年代以来ILWUが闘い取ってきた既得権を踏みにじり労組破壊を行う伊藤忠商事の本社前で、抗議のシュプレヒコールをあげる【10月14日 東京・青山】)
フィリピン大使館にも申し入れ
代表団は伊藤忠ビルへのシュプレヒコールを元気にたたきつけたあと、直ちに六本木に移動して、フィリピン大使館への抗議・申し入れ行動に連続決起した。外注化攻撃・ロックアウトと闘うフィリピン航空の労働者との連帯闘争だ。
突然の訪問に驚きつつ、フィリピン大使館の政治部は申し入れ書を受け取った。大使館の労働者たちは次々とチラシを受け取り、われわれの訴えに笑顔で応えた。大成功だ!
国境を越えた資本の新自由主義攻撃に対して、国境を越えて反撃をたたきつけた今回の国際連帯闘争は、11月労働者集会に向けて国際的団結を具体的につくり上げる決定的な前進をかちとった。
(写真 外注化と闘うフィリピン航空労働者と連帯しフィリピン大使館に申し入れ【14日 六本木】)---------------------------------------------------
週刊『前進』(2509号3面4)(2011/10/24 )
JP労組中央委 現場の怒り思い知れ
雇い止め容認の本部弾劾
10月13日、JP労組の第8回中央委員会が東京品川で行われた。これに対し労組交流センター全逓部会と郵政非正規ユニオンの仲間たちは、参加する委員たちにビラを手渡し、大量の雇い止めなど“郵政大リストラ”攻撃に屈服する中央本部の姿勢を厳しく批判し、11・6労働者集会への参加を訴える情宣活動を行った。(写真)
JP労組本部は、いま目の前で進行する非正規職への大量雇い止め攻撃に完全に沈黙している。それどころか「郵政再生にむけて・バージョン1」なる合理化・リストラ計画を、なんと郵政当局との共同提案という形でJP労組新聞に公表し、これを既成事実とすることに全力をあげている始末である。
現在起きている大量の雇い止め攻撃は、経営陣が引き起こしたJPEX計画(小包の子会社化)失敗のツケを現場労働者に押しつける「郵政大リストラ」の中心をなす攻撃だ。JPEX計画をめぐる職場の大混乱期を含め、いまや郵便事業の現場の6割以上を支える非正規職労働者が、血も涙もない一片の通告で大量に首を切られている。そして東京多摩支店での郵政非正規ユニオンの決起をはじめ、雇い止め撤回を求める生きるか死ぬかの闘いが全国で巻き起こっているのである。
この事態を目の当たりにしてなお、本部は今回の中央委で雇い止め問題に言及もしていない。それどころか、当局と同じ立場で「事業再生」計画に協力する姿勢を打ち出しているのだ。計画には、数年来の当局のもくろみである成果主義賃金の導入(賃金一律3割カット)を始め、班ごとの収益責任制(職場内の分断)や「IT化」の人減らし計画が目白押しだ。
そもそもJPEXの破綻が経営陣の経済犯罪だったことが政府の調査で暴かれているのに、その責任を追及しない本部の姿勢は、労働組合の立場ではなく完全に資本当局の別動隊だ。
本部の労働貴族たちは早晩、非正規職を始め現場労働者の怒りの大きさを思い知るだろう。全国の職場生産点から反撃を開始しよう。
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週刊『前進』(2509号4面1)(2011/10/24 )
なくせ原発 再稼働阻止へ(3)
福島医大「放射線医療特区化」計画
2百万人の福島県民が「被験者」 資本と山下らが被曝を食い物に
被曝者は治療とは無縁のモルモット
史上最悪の3・11福島原発事故とその後の全結果は、すべての原発を今すぐなくす以外ないことを示している。だが、日帝支配階級は原発再稼働と新規建設を狙い、ヨウ素やセシウムに加えストロンチウム、プルトニウムまで検出された被曝の実態をどこまでも小さく見せかけ、フクシマの怒りを圧殺することにやっきとなっている。
さらに、原発被災地の200万人福島県民、特に被曝の影響を受けやすい36万人の子どもたちを、資本の金もうけの手段、被曝の研究・実験のモルモットにする、きわめて凶悪な犯罪計画を打ち出してきた。それは「復興ビジョン」を掲げて、福島県立医科大学を放射線医療特区=「抗がん剤開発の人体実験大拠点」にする攻撃だ。
「200万人の福島県民全員を被験者にする。科学界に記録を打ち立てる大規模な研究になる」(独週刊誌『デア・シュピーゲル』8月15日号)という福島医大副学長・山下俊一の、「治療」とはまったく無縁の発言を見れば、その狙いは一目瞭然である。被験者とは「実験などの対象となる人」(『広辞苑』)のことだ。
彼らは、同大付属病院の敷地内に事業費1千億円をかけて、5年以内に330床の9階建「放射線医学県民健康管理センター」(仮称)や製薬・医療機器の開発施設など5施設から成る大規模な放射線関連総合施設を新設するという(9月20日付福島民報)。すでに11年度第3次補正予算案に、同施設の整備費として142億円が盛り込まれた。
@放射線医学センターは、甲状腺外科、小児科、産科、血液内科、皮膚科、放射線科を置き、福島県の子どもと妊産婦(胎児)を主な対象に検査するものである。被曝による甲状腺がんや白血病、骨がん、皮膚がん、流死産などの多発を予測しているのだ。
A分子イメージング(画像化)施設は、放射線同位元素やX線などを使って、生物が生きたままの状態でタンパク質や遺伝子を始めとした分子の挙動を観察するところ。サイクロトロン(放射性核種製造装置)・PET(ポジトロン断層撮影法)などの機器でがんの発生過程を画像診断するというものだ。
B研究・実験施設は、福島全県民を目標とした「健康管理調査」による被曝データ、さらに来院・入院の県民から採取した血液・尿・組織サンプルを集積・分析し、がんの治療法を研究・開発することが狙い。
C創薬・治験センターは、これに基づいて抗がん剤を開発し、担がん動物への試薬投与実験を行う。最終的成果確認のため、生体材料としての人体が検体とされる。
Dふくしま医療産業振興拠点(仮称)は、放射線の検査・診断・治療用の機器開発を推進するもので、関連企業を誘致し、産学協同で、国外資本とも連携して行う。
これら5施設を利用して、被曝者をモルモットに新たな抗がん剤・がん医療機器を開発し、資本の金儲(もう)けの手段にするばかりか、原発事故で無数の人びとに放射線を浴びせ、健康・生命を破壊し続ける殺戮(さつりく)行為に加え、被曝をも資本増殖の食い物にするということである。「検査するが治療は一切なし」のABCC以上のあくどさである。
(写真 ▲9月20日付福島民報の1面トップに掲載された福島医大復興ビジョンの図。「早期発見・早期治療」を強調し「特区化」の真の意図を隠している)
産学官共同体制で新薬開発や金儲け
3・11の数年前から福島医大を「ふくしま医療―産業リエゾン(橋わたし)支援拠点」とする地域産学官共同研究拠点整備構想が動き出していた。
「福島県内連携医療機関で集積される臨床材料と臨床情報を最大限有効活用して、製薬・医療機器を含む各種関連産業で利用できる技術と体制を確立する」「抗がん剤や診断薬・検査薬の開発支援と、それらに必要な評価系として新規担がん動物や組織細胞培養系などを開発する。これらに付随する試薬・素材・機器等の開発のため、地域に存在する多種多様な企業が参入する」――この構想は3・11後に「震災からの復興」と称して急速に具体化していく。
薬事法の規制緩和や新開発医療機器検査の政府助成金支給、県民の被曝データ集積センター設置などを骨子とした「福島県医療特区」制度を経て、今度の福島医大放射線医療拠点化計画へ行き着いたのだ。
この福島医大特区化大再編攻撃の最先兵が極悪御用学者・山下俊一だ。3・11以後、長崎大から福島県放射線健康リスク管理アドバイザーとなって福島にのりこみ、「年間100_シーベルト未満であればリスクはゼロ」「子どもを外で遊ばせても大丈夫」と、ウソ八百を言いふらしてきた極悪の人物だ。
他方で「18歳未満の子ども全員36万人について甲状腺の超音波検査を実施する。被曝してから甲状腺がんを発症するまでには約5年かかる。それはチェルノブイリの経験で明らかになった」(前掲独誌)とも発言している。「健康に影響はない」なら、なぜ福島医大に1千億円・330床の「放射線医療施設」をつくる必要があるのか。山下は近い将来の大量のがん発症をはっきり認めている。だから甲状腺がんが出始めると予測される5年以内に新施設をつくり、被曝に関する大規模な人体実験を行おうとしているのだ。
3・11事故直前の2月、米帝オバマ政権は「輸出倍増」方針のもと、「年次改革要望書」で日帝に対し、農業・通信などとともに医療分野における米資本の参入・規制緩和などを突きつけた。日本経団連は政府にTPP参加(=関税障壁撤廃)を催促し、被災地に「復興特区」を設け、医療産業を誘致することを要求した。
これは、医療の規制緩和=独占体制の野放図な強化を目指すものだ。
そのモデルになっているアメリカでは現在、独占資本が意図的につくり出した「医薬品の品薄状態」が重大問題になっている。医療安全研究所が今年8月に全米549病院で行ったアンケートによれば、半数が「薬を闇市場で入手せざるをえない」と答えている。特に抗がん剤、感染症剤、鎮痛剤の品薄は深刻で、価格は平均で650%も上がっている(9月22日のNBCニュース)。
米国では新自由主義のもとで医療が破壊され、資本の金儲けの手段になっている。それが形を変え、被災地フクシマで福島医大放射線医療特区化計画として推し進められようとしている。断じて許せない!
闘って原発を止め命と医療とり戻せ
NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)のフクシマ結成集会で、高陽第一診療所の吉田良順医師は「広島・長崎の被爆者は闘うことで自らの命を守り、医療を取り戻してきた」「自分たちの医療機関が絶対必要」「それは原発絶対反対の闘い、原発を生み出した体制を変革する闘いと一体となることでのみ、真に実現できる」と訴えた。ここにわれわれの進むべき道がある。
大恐慌のもと、フクシマの被曝を金儲けの対象にして生き延びようとたくらむ政府と資本家階級を、労働者階級人民の怒りで打倒しよう。
帝国主義の新自由主義攻撃と闘う労働者の国際連帯をかけ、反原発・反失業、反原発・非正規職撤廃の11・6労働者1万人大結集こそが、労働者人民の勝利の突破口である。
(河東耕二)
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週刊『前進』(2509号4面2)(2011/10/24 )
原発いらない福島の女たち 百人が座り込みへ
10・27〜29経済産業省前
原発は、もう真っ平! 今すぐ止めたい!」と訴える「原発いらない福島の女たち〜100人の座り込み」が、10月27日(木)〜29日(土)、東京・霞が関の経済産業省前で行われる。毎日午前10時から午後3時まで座り込む。東電本店への申し入れや交流会なども予定されている。
野田民主党政権は福島原発大事故の責任を開き直り、原発再稼働と新規建設のために福島県民を切り捨てる攻撃を強めている。
怒りを燃やす福島の女性たちが「事故は収束していないのに、まるでなかったことのようにされそう」「もう黙っちゃいられない」と今回の経産省前座り込みを決断し、「私たちと連帯してください」と全国に呼びかけた。座り込みに駆けつけよう!
続く30日から11月5日までは同省前で全国の女たちの座り込みが呼びかけられている。
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週刊『前進』(2509号4面3)(2011/10/24 )
10・16北富士 日米共同演習を弾劾
反戦共同行動委、基地にデモ
(写真 18年ぶりの日米共同演習に反対する10・16北富士現地闘争が反戦共同行動委の呼びかけで開かれ、地元の山梨・静岡を先頭に60人が結集【10月16日 山梨】)
反戦共同行動委員会は10月16日、「北富士での日米共同演習反対/10・16現地集会」を山梨県忍野村忍草(しぼくさ)で開催した。60人が結集して忍草部落の中心地を経由して北富士演習場ゲート前までの4`をデモした。
今回18年ぶりに北富士演習場で行われている日米共同演習は、陸上自衛隊約300人、米軍215人が参加し、ハイテク機器による戦争シミュレーションができる富士訓練センター(北富士駐屯地内)を使った実戦訓練であり、この間、日本海や黄海で繰り広げられている米韓軍事演習や日米共同演習と一体の、朝鮮有事のための演習だ。
雲一つない快晴のもと、陸上自衛隊北富士駐屯地わきの会場に横断幕が広げられ、集会が始まった。最初に、三里塚芝山連合空港反対同盟・婦人行動隊の鈴木いとさんがマイクを握り、「成田と北富士を戦争の基地にしてはならない」と力強く訴えた。
基調報告は反戦共同行動委員会の北島邦彦さんが行った。「今回の日米共同演習は、朝鮮への侵略戦争を想定した訓練であり、断じて許せない。現在全世界で起こっている労働者の闘いは、社会の99%が1%を打倒する闘いだ。3・11で発動された米軍の『トモダチ作戦』は、帝国主義の体制維持を目的とした戦争だった。被災地に派遣された自衛隊兵士は、被曝を強制され、PTSDなどに苦しめられている。自衛隊兵士との団結を求めて闘おう。北富士忍草母の会の闘いを継承し、北富士闘争を階級的労働運動の一環として闘おう。11・6日比谷に1万人を集めよう」と訴えた。
山梨合同労働組合、婦人民主クラブ全国協議会、全国労働組合交流センター女性部、静岡労働組合交流センター、全学連が次々に発言した。
婦民全国協の丹治孝子代表は、自らの戦争体験を語りつつ「資本主義のひずみは労働者にすべて課せられる。このかたきを討たずにおれない。日帝打倒!」と決意を表した。静岡労組交流センターの労働者が富士演習場の地元として発言し、今回の共同演習で、米軍兵士が東富士に宿泊していることを明らかにした。全学連の倉岡雅美さんは、法政大学市ケ谷キャンパスでの高濃度の放射線検出について、法大当局が何一つ対策を行わず放置していることを弾劾した。
集会後にシュプレヒコールを上げて、デモに出発した。演習反対を訴えて村内をデモするのは、北富士闘争60年の歴史の中で今回が初めてだ。
デモ隊は、演習反対の思いを持ち続ける多くの村民と交歓して村内を進み、多くの観光客からも注目を浴びた。
北富士演習場入り口に到着すると、金網のゲートが重く閉ざされていた。その向こうに無言で立つ自衛隊員、さらに演習場内の全自衛隊員に向けて、デモ隊は、「演習をやめろ」「自衛隊員は労働者とともに闘おう」と力の限り訴えた。
(写真 富士山を背に忍野村をデモ行進)
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週刊『前進』(2509号4面4)(2011/10/24 )
新潟 斎藤さんの解雇撤回を
集会で支える会(準)を結成
10月5日に新潟市で再任用解雇を撤回させる総決起集会に30人が集まり、新潟市職労など地域の自治労や他の産別の仲間が「解雇撤回闘争を支える会」準備会を結成し、大衆的闘いの一歩を踏み出した。(写真)
被解雇者の斎藤実さんは「8月に出た当局の答弁書は不服申し立てを門前払いせよと主張している。私の解雇は非正規職労働者に対する問答無用の攻撃。人事評価を認めて御用組合になったら大変だ。現場の怒りと結びついて闘う」と決意を表明した。自治労の仲間は「組合は人事評価に絶対反対。上越市ではいったん導入されたが廃止になった」と報告。再び斎藤実さんが発言し、解雇撤回闘争を支える会(準)の拡大、人事委員会公開審理の傍聴、11・6労働者集会参加など方針を提起した。斎藤さんの解雇を絶対に撤回させよう。
任期満了はうそ
斎藤実さんは昨年4月から定年退職後の再任用職員として新潟市役所で働いてきたが、新潟市は今年3月末、定年退職後の再任用の任期更新を認めず、雇い止めとした。斎藤さんはこの不当解雇撤回を求め、市人事委員会に不服を申し立てて闘っている。
市当局は「再任用は1年任期だから処分ではない。任期継続は任命権者の判断。斎藤さんには任期更新を要求する権利はない」と答弁書で主張している。労働者の働く権利、生きる権利を否定する暴挙だ。今秋にも始まる人事委員会の定年退職公開審理で追及する。
全国の自治体には膨大な非正規労働者がいる。新潟市でも3割を超える。有期雇用職員を「任期満了」で首を切る攻撃が激化している。新潟や大阪、名古屋などの反動首長は人事評価制度をてこに正規・非正規の首切り自由化、労組解体、道州制導入を狙っている。
そもそも斎藤さんの解雇は「任期満了の退職」ではない。市当局は昨年斎藤さんへの再任用職員採用通知で「3回の任期更新を予定しています」と明記していたのだ。
新潟市では定年退職後の再任用が急増し、昨年は45人、今年は100人余りが再任用に応募した。定年前の約3分の1の低賃金で、定年前の職員と同等の責任を負う。再任用は当局にとって最も都合のよい制度だ。
自己評価を拒否
しかし本当の解雇理由は斎藤さんが人事評価に反対し自己申告表を提出しなかったことだ。当局はこの核心に触れたくないために「任期満了」を理由にしてきたのだ。
斎藤さんは成果主義による人事評価に反対してきた。人事評価制度は、労働者を競争させ、個々に分断し、団結を破壊する攻撃だからだ。斎藤さんはまた人事評価導入を容認する新潟市職労執行部とも対決し、委員長選で人事評価導入反対を掲げて44%の票を得た。当局はこの斎藤さんを屈服させ、人事評価を全面貫徹し、労組を破壊しようとしているのだ。人事評価を使い360万公務員の全員解雇・選別再雇用を行い、道州制を導入することが最大の狙いだ。
市職労執行部は当局側との「約束」として斎藤さんの解雇撤回闘争に敵対し、市職労加入を阻止してきた。だが自治労本部でさえ臨時・非常勤職員の組合加盟を推進している。新潟市職労の御用組合化を許さず、闘う労働組合によみがえらせ、解雇撤回をかちとろう。
(投稿・信濃太郎)
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週刊『前進』(2509号4面5)(2011/10/24 )
10月11日〜17日
米韓同盟を戦略的に格上げ/TPPがAPECの最焦点に
●被災地の法人税免除 政府税制調査会が被災地の新設企業の法人税を5年間免除する特例措置を決定した。沖縄にも適用する方針。(11日)
●米雇用対策法案が否決 オバマ大統領が打ち出した総額4470億jの景気・雇用対策法案が米上院で事実上の廃案に追い込まれた。(11日)
●消費増税で財務相が経団連会長と会談 安住財務相が経団連の米倉会長と会談し、「来年には消費税の(増税)法案を必ず出す」と述べた。経団連側は2015年度までに消費税率10%への引き上げの明記を求めた。(12日)
●米議会が米韓FTA承認 米上下両院本会議が韓国とのFTA(自由貿易協定)法案を可決した。(12日)
●米韓同盟を戦略同盟に格上げ 訪米中の李明博韓国大統領とオバマ米大統領が会談し、米韓FTAの早期批准を確認するとともに、米韓同盟を軍事・安保分野から経済・貿易分野も含めた「多元的戦略同盟」に格上げすることで合意した。(13日)
●暴対法の改正案公表 警察庁が暴力団対策法改正案の概要を公表した。企業に暴力団からの襲撃があった場合、実行犯が特定できなくても事務所の使用禁止などを可能にする。(13日)
●武器輸出緩和を本格検討 野田首相は武器の国際共同開発に日本企業が参加できるようにするため、武器輸出3原則の緩和に向けた検討を本格化する考えを示した。(14日)
●米研究所が朝鮮情勢で報告書 米の国防大学研究所が北朝鮮の政権が崩壊した場合を予測し、中国の軍事介入による米中全面対決の可能性を指摘する報告書を作成した。(14日)
●モンゴルが核処分場建設を断念 モンゴル政府が、日米両政府とともに進めていた、原発の使用済み核燃料の保管・処分場をモンゴル国内に建設する計画を断念した。(14日)
●TPPがAPECの主要議題に クリントン米国務長官がニューヨークで演説し、11月にハワイで開かれるAPEC首脳会議でTPP推進を主要議題とする方針を表明した(14日)。
●米財政赤字が3年連続1兆j突破
2011会計年度の米財政赤字が前年度比0・3%増の1兆2986億jと、3年連続で年間1兆jの大台を突破した。(14日)
●欧州金融危機でG20声明 G20財務相・中央銀行総裁会議が開かれ、欧州金融市場の安定化と世界経済の失速回避へ迅速な行動をとるよう求める共同声明を採択した。(15日)
●ウォール街のデモ、全世界へ 米ウォール街の占拠闘争に始まったデモが全世界80カ国に拡大した。(15日)
●観閲式で首相訓示 野田首相が空自の観閲式で訓示し南スーダンPKOへの積極参加を明らかにした。(16日)
●タイで洪水被害拡大 タイの大洪水がバンコク周辺の工業団地に波及、同国を生産拠点としていた日系企業の被災が420社に拡大した。(17日)
●防衛相が訪沖 一川防衛相が沖縄を訪問し、普天間の辺野古移設のための環境影響評価(アセスメント)書を年内に提出する方針を伝えた。(17日)
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週刊『前進』(2509号5面1)(2011/10/24 )
原発再稼働阻止! キャンパスから野音へ
全国でフクシマと結ぶ集会
東京 佐藤さん“止めるまで行動” 学生への熱い期待と激励
「すべての原発が止まったときに、本当の幸せが来る。原発を止めるまで行動する」――佐藤幸子さん(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク)の言葉が学生の心を揺さぶった。
10月18日、首都圏の学生で佐藤さんをお招きし、「福島とつながる学生集会」を開催しました。後期開講以降に知り合った学生、9・19デモで知り合った学生や留学生など、10以上の大学から国籍もさまざまに多くの参加がありました。
佐藤さんは冒頭に、「チェルノブイリ事故が起きた時に、何で原発を止められなかったんだ」という思いから今日に至っていることを語り、大きく3点話されました。
一つは、福島の現実です。震災直後、ガソリンは警察と自衛隊が押さえていたこと、県も政府も放射能汚染レベルを知っていながら子どもたちを避難させなかったこと、福島県には10基もの原発がありながら県当局はガイガーカウンターすら所持していなかったことなど、マスコミの伝えない福島の状況が語られ、怒りが込み上げました。
また、政府と御用学者の「安全」キャンペーンにより、家族や地域で放射能を話題にすることすらできず、原発建設前も稼働中も事故後も住民の分断の上に原発が成り立っていることが伝えられ、佐藤さんの「20_シーベルト基準を撤回させないと殺される」という強い思いが参加者の胸に深く刻まれました。
二つ目は、学生への訴えです。政府と交渉した時の官僚の態度を怒りを込めて弾劾し、「知識とは生きるために必要なもの」という佐藤さんの言葉は、あらためて原発推進の大学のあり方を問うものになりました。さらに「学生は多くのことを吸収でき、教室で学ぶ以上のことができる存在」と、学生への熱烈な期待を表されました。
最後は、反原発運動の展望についてです。「一人ひとりが行動するときだ。違いを認めながら柔軟な心で、再稼働阻止に向けて大きな運動をつくっていこう」と訴えられました。
講演後に「福島原発事故から大学のあり方を問い直す」と題して斎藤郁真全学連委員長がアピール。学内で原発反対の声を圧殺する法大当局と福島大学当局の行っていることは一つであり、大学から野田政権の原発再稼働を推し進めるものだと喝破し、10・21福島大学行動から11・6への大結集を呼びかけました。
質疑応答では、「福島原発『事故』という表現では、東電や政府の態度があいまいになる。東電と政府に責任があることをはっきりさせるべき」と意見が出ました。さらに、悩みながらもフクシマの生の声を聴くために参加を決断した法大生、学内での反原発会議やシール投票など行動を開始している学生、「反原発行動は絶対に勝てる闘いだ」と決意を語る学生など、学生の情熱が会場を埋め尽くしました。
「フクシマの怒り」と連帯することは、原発再稼働を止めることであり、自らのキャンパスから行動を開始することです。全学連は全国大学での福島連帯行動、10・21福島大学行動の勝利を踏まえ、残る2週間を全力で奮闘し、11・6集会総決起の学生のうねりをつくり出します!
(法政大学・倉岡雅美)
(写真 原発への怒りと学生の闘いへの期待を込めた佐藤幸子さんの真剣な訴えを全参加者が受けとめた【10月18日 都内】) 京都大”原子力村を許すな” 等々力さん招いて集会
10月17日、京都大学で「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の等々力隆広さんをお招きして、「反原発×大学奪還10・17京大集会」を開きました。(写真はキャンパスで集会を訴える学生)
等々力さんは現地の状況を通して、放射能への不安、政府・電力資本への憤りを語りました。
続いて、動労千葉争議団の中村仁さんが「福島の怒りを人間として当たり前の怒りにしよう。原発や非正規職が生み出された現実と動労千葉は闘い、外注化を止めてきた。怒りを一つに11・6へ」とアピール。
全学連の大森靖之副委員長が基調報告。「野田政権の原発再稼働と復興特区攻撃を打ち破ろう。原発推進の構造に大学が組み込まれている現実を覆そう。”反対する者は入れない”と開き直った10・1原子炉実験所講演に明らかなように、原子力村は学問と自治の否定で成り立っている。学生が行動に立ち上がれば打ち破れる。動労水戸は被曝労働の強制に反対してストに立ち、実際に阻止した。10・21福島から、11・6日比谷へ!」
質疑応答では、現地の状況に肉薄する質問が相次ぎました。その中で等々力さんは「放射線量はほとんど減っていない。市街地だけ除染をやっても、山林などから放射能は降りてくる。政府は全面的除染をやるとは言わない。ならば避難を、という話だけれども、政府や東電は『まず除染させてください』と言うだけ。結局は避難させないということ」と除染の実態を暴き、「行政は、いったん避難すると戻って来ないと危惧(きぐ)しているが、それは違う。私たちは福島に必ず戻ってくる。それが可能になるよう、個別にではなくコミュニティーを維持できる体制が必要だと訴えています」と応えられました。
(S)
東北大 “命とは両立しない” 中手さんが気迫の訴え
10月18日、東北大学学生自治会が主催する中手聖一さん(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク代表)の講演会が25人の参加で行われました。(写真)
9・19明治公園での6万人の反原発集会のビデオ上映、そして東北大学学生自治会委員長・石田真弓君のあいさつに続いて、中手さんの講演が始まりました。ちょっとしたことでバラバラになりかねない状況の中で、”子どもたちを放射能から守る”という一点で絆をつくり、やれることはすべてやろうと取り組んできたこと。チェルノブイリ事故で、体に異変が起きたウクライナの子どもたちが「ガイガーカウンター」にされていたこと。「原発と子どもの命は両立しない」という中手さんの本気さ、気迫が参加者全員にも伝わり、その後の質疑応答は時間いっぱいまで行われました。
最後に中手さんは、「いま、学生に何ができるのか」という講演会のテーマに対して、「自分が”本来こうあるべきだ”と思って取り組んでいることを、一生懸命やることが一番。組合をやっている方であれば組合活動を、学生さんたちも自分がやるべきことだと思って取り組んできたことを、今まで以上にやっていただきたい。これが一番です」と訴えられました。
講演会後、参加した仲間が11・6全国労働者総決起集会の参加を決めました。原発再稼働を絶対に止めるために、11・6労働者集会への大結集をつくり出そう。
(N)
広島大 御用学者の犯罪性あばく 被爆者も共に怒る
18日、広島大学で子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの等々力隆広さん、8・6広島の被爆者の下田礼子さんをお招きして「フクシマとつながる討論会」を開催しました。(写真)
等々力さんは放射線量の測定、放射線に関する情報収集・学習会、対政府交渉などの取り組みを報告しました。
また、御用学者への怒りを語られました。広島大教授の神谷研二と長崎大教授の山下俊一は、福島県の「健康リスク管理アドバイザー」に就任し、事故後すぐ福島入りして各地で講演会を開き、「20_どころか100_でも大丈夫」と発言。そのせいで「避難が遅れた」と後悔している親御さんがいるそうです(山下に「100_先生」というあだ名がついている)。二人は福島県立医大の副学長に就任し、県民を実験材料にしようとしている。絶対に許せない!
そして「レントゲン室の中で子どもたちが生活している状況」の改善を求め、福島市に交渉に行った際、市当局は「政府の基準値内だから安全」と言い、「安心していただくためにモニタリングをしている」と回答。多くの母親が「私たちを見下しているのか!」と怒りの声を上げたと報告しました。
原爆被爆者の下田礼子さんも、福島に対する政府・東電の無責任な対応を「棄民政策だ。原爆投下後、政府は何も対応をしなかったが、福島でも同じなのか。医療を求めて政府に行動していくべき」と語りました。
質疑応答では、「どうやったら大学から福島とつながる反原発運動が広がるか」をめぐり、終了を1時間延長して議論が交わされました。
(O)
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週刊『前進』(2509号5面2)(2011/10/24 )
法大包囲デモ打ち抜く
“世界の闘いと連帯しよう”
10月18日、「原発反対! 弾圧職員追放! フクシマ連帯!」を掲げ、後期開講第2波の法大包囲デモを打ち抜きました。10月15日の全世界82カ国1千カ所での青年学生の怒りの決起、19日のギリシャの大ゼネストに連帯する闘いです。
デモの出発前にはキャンパス中央広場の多くの法大生が足を止め、私たちの登場に注目しました。弾圧職員はビデオカメラを持ち、法大生がデモに合流しないように必死の形相で監視を開始。
斎藤郁真全学連委員長が力を込めてアピールに立ちました。「目の前のキャンパスの現実を見てほしい! この弾圧職員や公安刑事が今の時代を象徴している。学生の主体性を抑え込んで利潤の対象としか見ない連中が、原発政策を推進してきたのです。先日、富士見坂校舎の生け垣に毎時0・65マイクロシーベルトのホットスポットが発見されました。本来は18歳未満立ち入り禁止の『放射線管理区域』を超える汚染です。しかし、法大当局はこれまでさんざん『安全な教育環境』などと称して学生の自主的活動・ビラまきや集会を弾圧しておきながら、放射能が法大生の体をむしばむ危険を前にしても除染をやらない。結局、政府が決めた基準(20_シーベルト)以下なら、被曝してもかまわないということだ! 福島の地でも、福島大学は福大生を放射能にさらしてまったく同じことをやっている。福島県立医大は福島県民にがんを強制してモルモットにし、『医療特区』の最先端として金もうけをしようとしている。この現実を根底から変えよう! 全世界で青年・学生のデモが巻き起こっている。日本でも変えられる展望が見えています。今日行動することが明日を変える一歩になる! 11・6集会に集まってほしい!」
続いて倉岡雅美さんが、「今、デモに出るときです。学生の命を守るべき大学が、放射能汚染の現実を前に何もしない。これが新自由主義大学の本性だ。野田政権の再稼働を後押しする法政大学の腐った姿だ」と叫び、キャンパスの高揚感はさらに増しました。
門前での迫力あるアピールに、警察権力は一切介入できませんでした。いよいよデモ出発。「御用学者追放!」「キャンパスから原発止めるぞ!」という市谷一帯に響きわたるシュプレヒコールに、沿道から労働者が声援を送ります。
最後に、斎藤委員長が法大門前で方針提起。「次は10・21福島現地での闘いだ」「11・6労働者集会に全力で結集しよう!」。法大生と首都圏学生は、10月28日も第3波の福島連帯・法大包囲デモに立ち上がります。再稼働阻止・野田政権打倒の11・6へ大結集しよう!
(首都圏・HM)
(写真 学生弾圧に明け暮れる大学職員と公安警察を吹き飛ばす勢いでデモは快進撃【18日 九段北】)
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原発反対!弾圧職員追放!フクシマ連帯!
第3波法大包囲デモ
10月28日(金)12時40分 法大正門前集合
呼びかけ/全学連。法大文化連盟
法大裁判日程
★法大暴処法弾圧裁判(論告)
10月26日(水)午後1時30分 東京地裁
★法大4・24裁判(控訴審判決)
10月31日(月)午後1時30分 東京高裁
※いずれも429号法廷
12時30分に傍聴券配布所に集合
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週刊『前進』(2509号5面3)(2011/10/24 )
市東さん農地裁判 “解約許可は無効”
NAAと県の違法を追及
10月18日、千葉地裁で市東孝雄さんの行政訴訟・農地法裁判(2裁判が併合)の口頭弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟、顧問弁護団、傍聴の労働者・学生・市民が成田空港会社(NAA)の農地強奪攻撃と民事第3部・多見谷寿郎裁判長の早期結審策動に対する怒りを共有して闘いぬいた。
弁護団は市東さんの南台の農地について、新たな主張をすでに8月に提出した。
NAAが「明け渡し」を求めている市東さんの農地のうち、「南台41―8」は空港予定地の敷地の内と外にまたがって存在している。ところがNAAはその区別なく賃貸契約の解約手続きを申し立てた。農業委員会はまともに調べることなく、「空港への転用は相当」の判断を出して千葉県に送った。これは決定的に重大な問題だ。空港敷地でない部分は、そもそも「転用相当」とすべきところの対象外だ。この誤りを含む知事の賃貸借の解約許可決定は、全体として無効になる。
この指摘に対してNAAはまったく反論も出せず、千葉県も自分たちの作成した準備書面の内容すらまったく説明できず立ち往生し、法廷で失笑を買う有様だ。
また旧地主の藤崎政吉が「自分は関与していない」と言明した地籍測量図が添付された「同意書」「境界確認書」は、偽造文書そのものである。この指摘もNAAを根底から震え上がらせている。
どれをとっても、市東さんが祖父の代から耕作し続けてきた農地を奪い取るための違法、脱法、ペテンだ。そんなやり口を続けてボロボロのNAAと県側をかばって裁判を維持し続ける裁判長にも、市東さんをはじめ反対同盟と傍聴者の怒りが高まった。
次回法廷の12月6日には、市東さん側が申請している証人のうち誰を採用するかを決める。証人切り捨て・早期結審など、絶対に許さない。
しかも市東さんの証人調べについて裁判長は「農作業が忙しくなるだろうから」と1〜2月に期日を入れたいと提案してきた。弁護団はこの卑劣な提案を拒否した。
閉廷後、千葉市文化センターに移動して報告集会が開かれた。
市東さんが冒頭に立ち「むこうが隠している事実がまだまだある。みなさんの力で追及すればもっと悪事が露見するだろう。がんばりましょう」と決意を表し、大きな拍手を受けた。
葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が、NAAと県の動揺と隠ぺい体質、それをかばい立てする裁判長のなれ合いを厳しく批判して法廷でのやりとりを解説した。そして次回12月6日が、申請した24人の証人を認めさせるための重要な闘いになることを確認した。
北原鉱治事務局長は、「この市東さんの裁判は日本農民の将来を決める闘いだ。土地取り上げの前例を作らせては絶対にならない。とりわけ、旧地主の藤崎政吉を証人として必ず認めさせよう」と強く訴えた。
最後に司会の鈴木謙太郎さんが「来週の24日の市東さん耕作権裁判もしっかり闘いましょう」と締めくくった。
市東さんの農地をめぐる決戦はいよいよ正念場を迎えている。一つひとつの裁判が白熱の攻防点だ。福島の農漁民・労働者の怒りと結合し、10・9三里塚全国集会をかちとった労農連帯の力で絶対に農地を守りぬこう。
(写真 裁判への意気込みを語る市東さんに大きな拍手。右は葉山弁護士【18日 千葉市】)
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三里塚裁判傍聴を!
◎市東さん耕作権裁判
10月24日(月)午前10時半 千葉地裁
(傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合)
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週刊『前進』(2509号6面1)(2011/10/24 )
団結ひろば 投稿コーナー
秋田で「共に闘う会」が国鉄・反原発行動 秋田 TK
10月16日、秋田市ジョイナスで「国鉄分割・民営化による1047名の解雇撤回!非正規職撤廃!すべての原発を廃止しよう!」を掲げて60人が結集する集会とデモ行進がかちとられた。主催は「国労秋田闘争団と共に闘う会」。
特別報告@として、和解を拒否して不屈に闘う国労秋田闘争団の小玉忠憲さんが「和解拒否の原告団は自らの闘いで必ずや国労を闘う組合によみがえらせる」と国鉄闘争の現状と11月集会への総結集を熱烈に提起した。
特別報告Aとして、福島現地からJA労働者のAさんが怒りに堪えない現地の状況を報告。ついにNAZENフクシマを結成したこと、11月集会は福島から大挙結集するとの力強い決意に満場の拍手が寄せられた。
続いて、地元会員を代表してBさんが「あの政治和解はどうみてもおかしい。勝利するまで小玉さんを断固支援しよう」と発言。全金本山労組を始め東北各地から結集した闘う労働組合と現場労働者代表の連帯のあいさつが次々と行われた。
集会終了後、宣伝カーから小玉さんがマイクで訴えながら駅前一周のデモ行進。青年労働者のリズムコールとシュプレヒコールの圧倒的な迫力で、道行く人びとをくぎ付けにした。大成功だ。この日の闘いは、東北から11月集会に向かう総決起の号砲となった。
“自分が労組率いる” JR青年先頭に集会 新潟 吉田幸太
10月15日、新潟市内で「自分たちの力で労働組合を甦らせよう 10・15集会」が38人の参加で行われた。動労千葉を支援する会・新潟の坂場信雄代表から青年たちへの激励あいさつで開会した。
最初に、代議員選挙を闘った国労新潟の青年が基調を提起、「労働組合を労働者自身が取り戻す時。飼いならされた幹部をたたき出し自分たちが労働組合を率いていく。JR職場と地域で闘う」と力強く決意を語った。
ゲストとして参加した東京の国労の仲間が「運動している姿を見せる中でしか青年労働者の獲得はできない」と国労再生の展望を訴えた。
後半は、新潟市再任用職員で解雇された斎藤実さんの闘いの報告から始まり、JR関連やJRなどの職場で闘う青年労働者が発言に立った。ニイガタマシンテクノと闘う青年は、自身の闘いが「非正規労働の拡大を推し進める新自由主義に対する闘いだ」と訴えた。またNAZENフクシマ結成集会に参加した女性労働者が「新潟でも組織を立ち上げたい」と語った。一緒に参加した非正規職の青年は「国は原発事故の責任を取らない。子どもたちが犠牲になっていいのか」と弾劾し、参加者の心を動かした。
最後に、国労新潟の星野文男さんがまとめを提起、参加者は11・6労働者集会に向かって団結を固めた。集会の予定時間を20分以上延ばしたほど、熱のこもった集会になった。10・15集会は青年が準備し、主催する集会として大成功した。
大野義文さんを迎え11・6へ東海で集会 東海 T
10月15日、11・6集会に向かって東海労働者集会(呼びかけ/愛知労組交流センター、三重労組交流センター、東海合同労組、ス労自主中京分会連、動労千葉を支援する会・東海)が力強くかちとられました。名古屋市内の会場には労働者が満席近く詰めかけました。
元安芸労働基準監督署長で国鉄闘争全国運動呼びかけ人の大野義文さんの豊かな経験とユーモアを交えた「団結の中で、労働者は〈自由>と〈尊厳>を獲得する」と題した講演と討論に引き込まれ3時間があっという間にたってしまいました。
「『民主主義は工場の門前でたちすくむ』。個々に分断された中では『おかしい』ことを『おかしい』ということはしんどい。しかし、労働組合という団結を背景にすれば少しはしんどさも軽減できる」「『人の人生、勝手に決めるな!』の叫びを思い起こし、労働組合の力は職場の団結にあり、勝利の展望は闘いの渦中でこそ生まれる。全国的な抵抗と反撃の拠点としての国鉄闘争全国運動の意義もここにある」「組織者になって全国に打って出よう」というまとめをレジュメの中に見つけました。
やはり労働者は、怒りを力に変えなくてはなりません! 11・6へともに闘いましょう!
解雇で職場は大混乱 “闘う全逓”の復権を 東京F局 森内一郎
65歳以上の非常勤職員の雇い止めが強行され、私の職場でも26人が解雇された。彼らは、多額の赤字を出した経営陣の放漫経営下で、安い賃金で一生懸命働いて会社を支えてきた。その彼らを非情にも解雇した。
職場を去った男性は「年金が少ないから働いてきた。本当に生活に困る」と言っていた。解雇は犯罪だと思った。
人が減った10月1日、現場は大混乱していた。入金管理表などを作っていた人もいない。他のパートの人が研修もなしで慣れない仕事に振り回された。集配課では減員・減区(1人の配達範囲を広げる)で毎日残業。夜9時45分に仕事に入った深夜勤の人は、朝7時までに5分しか休んでいないと言った。これ法律違反でしょ!
こんな状況でもミスすれば「処分」される。赤字は私たちのせいじゃない。はっきり言っておかしい! 会社の資産を懐に入れた前社長らは何のおとがめもないのに。
腹が立つのは、雇い止めに協力したJP労組本部だ。組合の新聞は「長い間ありがとうございました」と臆面もなく書いた。国会議員になったJP労組の幹部は何をやっているのか。組合費で議員になったくせに。
ちなみに大手企業が出す小包。1個千円のゆうパックを600円で受けている。こうして資本家は優遇される。これでは現場労働者の労働条件が良くならないのは当たり前ではないか。
先日、初めて霞が関本社デモに参加した。「日本郵政! 犯罪企業!」とコール。本当にそうである。必要なことは闘う全逓を取り戻すことだ。
星野パンフを読んであらためて無実確信 岡山マスカットユニオン P
9月に発行された「星野文昭さんを取り戻そう」パンフレットを読み、星野同志の無実をあらためて確信しました。
確定判決は、一切の物証がない中で複数の供述証言によるものです。しかし、それぞれの供述証言の信用度は低く、判決は寄せ木細工的なものでしかありません。そもそも、人間の記憶がいかに当てにならないかは、『超常現象をなぜ信じるのか』『人はなぜだまされるのか』(どちらも講談社ブルーバックス)などでも検討され、いまや常識となりつつあります。ましてや密室での長時間に及ぶ取り調べ、供述証言どうしの整合性がとれていないなど、確定判決は杜撰(ずさん)きわまるものです。
加えて、星野同志が持っていた鉄パイプに巻かれた紙が破損していないことを写した「一郎丸写真」と「耳撃」の厳島鑑定は決定的です。「一郎丸写真」は現在争われているビデオ国賠と併せ、星野同志の直接的無実を示す、検察側が隠し続けた新証拠です。重要な証拠を検察が隠し続けていたことにあらためて、怒りを覚えました。
また、「耳撃」の厳島鑑定は一般的な心理学の範疇(はんちゅう)を超えて「音、声」に対する人間の記憶に特化させ、そこから確定判決を批判する画期的なものです。
星野同志への無期攻撃に対する私たちの回答は、階級闘争の爆発によって星野同志を取り戻すことです。11・6集会1万人結集は最低のボーダーラインです。私も1万人結集へ頑張ります。
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週刊『前進』(2509号6面2)(2011/10/24 )
「総合福祉法」絶対反対 11・6集会に大結集を
革共同障害者解放闘争組織委員会
9・19明治公園の反原発6万人決起は、原発再稼働を許さず、体制内ダラ幹の制動を突破して根底的な反原発闘争の発展を切り開いた。「原発の平和利用論」をのりこえ福島との団結を強く求めた。「人間を返せ!」「会社に殺されるな!」という叫びの中で、外注化粉砕・非正規職撤廃を掲げる国鉄決戦を先頭に、新自由主義打倒に向けた大決戦が開始されたのだ。次は11・6労働者集会の1万人決起だ。この数年間、障害者自立支援法と闘ってきた障害者、ともに闘うヘルパーなどの介護・福祉労働者の決起も不可避だ。彼らは11・6労働者集会への決起を待ち望んでいる。日比谷野音で開催される10・28集会(日本障害フォーラム主催)に「障害者総合福祉法絶対反対」を掲げて大登場し、11・6労働者集会への結集を全力で呼びかけよう。
(写真 昨年の10・29集会。日比谷野外音楽堂の正門前は終日署名ビラまきでにぎわった)
「復興特区」攻撃で資本家救済の野田
農漁民を始めあらゆる諸階層人民が9・19の巨万の決起に感動し、「闘えば勝てる」という展望の中に身を置いている。労働者・労働組合とともに立ち上がり自らの解放をかちとる確かな手応えを感じている。階級的労働運動は、3・11情勢を突き破り、革命への進撃を開始しているのだ。
大恐慌は、新自由主義の破綻と階級闘争の激化の中で加速度的に深化している。しかしそれは怒りをばねに壮大な労働者革命の扉を押し開く。9・19の6万人決起を数十万数百万人の反原発・反失業、非正規職撤廃の決起として発展させよう。それはひとえに11・6労働者集会の1万人結集にかかっている。
訴えたいことの第一は、障害者総合福祉法を制定しようとしている野田民主党政権を徹底断罪しようということだ。
野田は、「国難」を叫び原発再稼働と復興特区新設を宣言し、資本家救済に全力を挙げている。公務員360万人首切りの先頭に立つ大阪府知事のファシスト橋下をかつぎ上げ、連合ダラ幹どもに支えられたボナパルティズム政権として登場している。経団連の意を百パーセント受け、「単なる新成長戦略ではなく」と称して、医療も福祉も教育も大民営化する憲法停止・労基法破壊の特区攻撃に突進している。それはまさに被災地の労働組合・労働運動への絶滅解体攻撃を本性とするものに他ならない。
政府はすでに復興特区法案と復興庁設置法案の大枠を決めた。道州制への移行を見越し、ブルドーザーをかけるように予算と権力を一挙に注ぎ込もうとしている。
経団連の「成長戦略2011」こそ野田政権の本音だ。「被災地は成長阻害要因に直面」などと涼しい顔で言っている。彼らにとって震災対策は「単に震災前に戻すのではなく、過去の政府債務、少子高齢化、円高も解決しなければならない」と、まさに「焼け太り」を狙っているのだ。「これまでの公共投資型ではダメで民間活力による産業集積がすべて」と、“民が官を食う”大民営化の号令を発している。「過度の労働規制強化に反対」「社会保障の企業負担反対」「女性、若年者、高齢者の全員参加型社会」をうたい、非正規労働力の大幅動員を狙っている。
社会保障を応益負担化して一掃する「社会保障と税の一体改革」も、消費増税も、農民殺しのTPPも、すべては経団連の戦略と一体だ。野田打倒こそが障害者も労働者も生きられる道なのだ。
福祉の切り捨てと大民営化が狙いだ
第二は、障害者総合福祉法そのものが震災特区とまったく同様の大民営化攻撃であることだ。
8月30日に障害者総合福祉法案の骨子が提案された。「応益負担を応能負担に切り替える」「介護保険並みの障害程度区分を廃止して、給付は新たな相談支援専門員の聞き取り調査で本人のニーズに応じる」などと報じられている。
しかし、こうした施策の財源を全部保証しているかと言えばまったく逆で、「国民への給付・負担の透明性、納得性、優先順位を明らかにする」という形で増税やリストラ、地方分権という地方切り捨てへの協力をこそ求めていく法案なのだ。
要は「障害者の自己決定」「差別禁止」などと一見もっともらしい装いをとってはいるが、実は障害者自立支援法以上の福祉の大民営化が進められる。“障害者は手助けなしには生きられない”という現実を資本は逆手にとって、学校も病院も介護事業所も作業所も大量の非正規ヘルパーや支援補助員に置き換え、公的機能をすべて民営化し、公務員一掃と9割の非正規職化に道を開こうというのだ。
「程度区分」の真の廃止は、「必要な人に必要な介護を」の大原則を労働運動とともに闘いとる以外にはあり得ない。
階級支配をなくし共同性奪還へ闘う
第三は、日帝支配階級は、まさにこの障害者総合福祉法制定を使って野田政権にくみする新たな大政翼賛会を狙っているということだ。原発再稼働容認と障害者抹殺攻撃のためなら障害者御用幹部も登用する攻撃だ。
法案は“障害者(障がい者制度改革推進会議)と政府の共同提案”であるが、これは自立支援法撤廃闘争の解体のための策略であり、国鉄闘争の4・9政治和解の反革命と同様の攻撃だ。日比谷野音で開催される「10・28JDF大フォーラム」の主催者であるJDF(日本障害フォーラム)は、連合や共産党に支えられながら「自分たち障害者幹部の利害だけ守られればいい」という魂胆で、労働者階級を原発再稼働容認、大失業・震災特区追認、首切り、総非正規職化の大民営化攻撃に導こうとしている。
何たることか! 障害者の「生きさせろ!」の叫びこそ10・28フォーラムで掲げられなければならないのだ。
もとより障害者解放=全人間解放は一片の障害者総合福祉法制定や差別禁止法などで解決できるわけがない。差別を生み出す根元は人間を分裂させている階級支配だ。今日的には資本家階級があらゆる生産手段を奪う一方、労働者には「契約の自由」だけを与えて賃金で縛りつけ、剰余労働のすべてを利潤としてむしり取っていることに最大の人間的差別がある。労働者も障害者もともにこの階級支配をなくし、人間の共同性を奪還することが差別との闘いだ。
「医療、介護福祉分野での雇用創出」を呼号し新成長戦略を進めるインフラ整備としての障害者総合福祉法には絶対反対だ。「社会的雇用」「福祉的雇用」という名で労働者に新たな分断を持ち込み、障害者を超低賃金労働力として固定化する攻撃を打ち破ろう。障害者総合福祉法=新自由主義のもとでの新たな大政翼賛運動に対して、「生きさせろ!障害者総合福祉法絶対反対!全国運動」を掲げて断固たちはだかり、11・6労働者集会への大結集を全力で呼びかけよう。
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週刊『前進』(2509号6面3)(2011/10/24 )
大阪・西郡 “実力で住み続ける”
住宅追い出しに戦闘宣言
10月16日、大阪・八尾市西郡のムラのど真ん中、幸第2公園に150人が結集し多くの住民が見守る中で、反原発・住宅・狭山全関西集会がかちとられた。
特別報告に立った福島県労組交流センターの市川正樹さんは、「この公園には子どもたちの歓声があふれていますが、福島では子どもたちは屋内に退避し、外で遊ぶことができません」と話を始め、被災地の現実を怒りを込めて弾劾した。「国や東電に必ず責任を取らせる。『復興特区』による労働者切り捨てや農地と海の取り上げと闘う被災地の闘いは、西郡の更地化・廃村攻撃とまったく同じ新自由主義攻撃との闘いです。ともに11・6労働者集会の大成功をかちとろう」と訴えた。
基調報告を部落解放同盟全国連西郡支部の岡邨洋支部長が行った。「9・19反原発6万人決起は労働者階級の根源的怒りと力を解き放ち、階級闘争の新時代を切り開いた」とし、「大恐慌、大震災で国や資本家は生き残るために人としての絆(きずな)までズタズタにして命をも奪っている。今こそ新自由主義と闘う部落解放運動で西郡支部の1千名建設をかちとろう! 西郡住民のみなさん、団結して私たちの隊列に並ぼう」と呼びかけた。そして「ストに決起した動労千葉、動労水戸に続こう。11・6日比谷野音を1万人の団結で埋めつくし、原発促進と大増税の野田政権を打ち倒そう」と提起した。続いて、狭山闘争支援者にあてた石川一雄さんのメッセージが読み上げられ、狭山第3次再審闘争勝利への総決起を参加者全体の決意とした。
八尾市による住宅追い出しと闘う住民は断固たる戦闘宣言を次々と発した。「団地から赤ちゃんの泣き声が聞こえなくなった。応能応益家賃制度で若い人が外に出てしまったからだ」「闘ってかちとった住宅だ。鍵を持ってこいといわれる筋合いはない」「被災地の人たちや動労千葉、非正規の労働者と団結して政府と闘う」「団結すれば必ず勝利できる」「八尾市は『10月17日までに鍵を持ってこい』というが実力で住み続けるぞ」
決意表明で関西労組交流センター、八尾北命と健康を守る会に続いて八尾北医療センター労組の藤木好枝委員長が、「重要なのは労働組合をめぐる闘いだ。ムラを売り渡す地区協=解放同盟本部派や共産党、自治労本部、連合との闘いに勝利しよう」と提起した。
佃文弘支部青年部長は「私たちは物ではない、誇り高き労働者だ。反原発・反失業。この社会を青年の手に奪い返そう。すべての労働者の団結で石川さんの再審をかちとろう」と訴えた。そして西郡の真ん中を抜け、高砂府営住宅までデモを戦闘的に闘った。
全世界で青年労働者を中心に時代を変える怒りの決起が始まった。西郡住宅闘争は新自由主義による「復興特区」、道州制と闘う6千万労働者の闘いの最前線に躍り出た。10・16集会は11・6集会へ決定的な突撃路を切り開いた。
(投稿/全国連西郡支部 植村清)
(写真 全関西集会で八尾市の入居契約解除通告に怒りをたたきつける供託者【10月16日 大阪・八尾市】)
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週刊『前進』(2509号6面4)(2011/10/24 )
狭山集会の成功を
第3次再審闘争勝利へ
無実の部落民・石川一雄さんと連帯して寺尾差別判決37カ年を糾弾し、狭山第3次再審闘争の勝利をかちとるために狭山集会が開催される(29日・東京、30日・広島)。全力で結集しよう。
◇
大恐慌の爆発と3・11情勢のもとで「生きぬくため」の闘いが、アメリカでヨーロッパでアラブでそして日本で本格的に開始された。膨大な青年を失業状態に追い込み、原発なしに生きることのできない資本主義・新自由主義を打倒するまでやむことのない闘いだ。
新自由主義と闘う部落解放闘争の攻防の最先端は、大阪・西郡の住宅闘争である。八尾市は9月、応能応益家賃制度に反対して供託を続ける11家族に住宅明け渡しを通告してきた。これに対して、最高裁で闘う3家族を含め14家族が団結して実力で住み続ける闘いに突入している。
住宅追い出しは被災地への「特区」攻撃と同じ新自由主義攻撃だ。西郡住宅闘争は「国や八尾市に殺されてたまるか。絶対反対の団結で社会を変えよう」という闘いであり、福島と連帯しプロレタリア革命へ向かう根底的決起だ。民営化と闘う八尾北医療センター労組と団結し、住宅民営化―廃村化と闘う西郡住宅闘争を全国的闘いに押し上げよう。
階級的労働運動の推進を通して職場と地域で階級的団結を拡大し、西郡住宅闘争と狭山闘争を両輪に新自由主義と対決する部落解放運動の道を示そう。
検察意見書弾劾 石川さんは無実
狭山闘争は重大な局面に突入している。7月に検察は、「弁護側の要求する証拠を開示しない」という意見書を出してきた。断じて許さない。
1963年、女子高校生誘拐殺人事件(狭山事件)の犯人にデッチあげられ、不当逮捕され一審で死刑判決を受けた石川さんは、64年の二審冒頭、決死で無実を訴えた。そして、長期獄中闘争を経て74歳の今日まで、国家権力の差別犯罪を糾弾し不屈に闘いぬいている。
この石川さんの存在と闘いが石川さんの無実を証明している。すでに200に及ぶ無実の証拠が明らかになっているが、47年間も隠され昨年5月に開示された「5・23上申書」は決定的だ。これは逮捕当日に石川さんが書いたものだ。文字、筆記能力、文章の構成のどこをとっても真犯人が残した脅迫状とはまったく異なる。なにより「(事件は)私がやったことではない」と言い切っている。「5・23上申書」は再審を開始するに足る決定的証拠だ。
首都を揺るがした狭山闘争の頂点が1974年9月の日本裁判史上最大とされる11万人が日比谷公園を埋めた公判闘争だった。この差別分断を越えた階級的団結に対する反動が、同年の10・31東京高裁・寺尾裁判長による無期懲役判決だ。徹底糾弾し狭山再審―石川さんの無罪をかちとろう。
9・19反原発6万人決起の場に「部落解放」の旗、荊冠旗が翻った。部落解放同盟全国連の西郡、杉並、品川支部を先頭に、既成の部落解放運動の中から反原発闘争への大衆的決起が開始された。11・6労働者集会はこれをさらに発展させる闘いだ。10・16全関西集会の成功を引き継ぎ、10・29〜30狭山集会から11・6労働者集会1万人結集へ決起しよう。
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寺尾差別判決37カ年糾弾! 狭山第3次再審闘争勝利! 西郡住宅闘争勝利! 反原発・反失業11・6全国労働者集会へ
10・31狭山闘争
東京 東京高裁要請行動
10月28日(金)午前11時(10時30分に日比谷公園霞門集合)
狭山集会
10月29日(土)午後6時30分 南部労政会館(JR大崎駅前)
主催 部落解放東日本共闘会議
広島 狭山集会
10月30日(日)午後2時 広島市西区地域交流センター(旧西隣保館)
主催 部落解放広島共闘会議
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