ZENSHIN 2011/10/10(No2507 p06)
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週刊『前進』(2507号1面1)(2011/10/10 )
原発絶対反対・非正規職撤廃
職場・地域で11・6大結集運動を
原発再稼働推進する連合打倒し労働組合が新自由主義と闘おう
11・6全国労働者総決起集会まで1カ月を切った。闘う労働組合を先頭に、職場や地域、団体やグループからの丸ごとの結集を全力でかちとろう。集団的・組織的な討議で参加を確認しよう。さらに家族や知人・友人を誘い合って、日比谷野音をあふれる1万人の大結集を実現しよう。9・19の反原発6万人決起は、歴史的な大闘争として爆発した。「原発なくせ!」「社会を変えよう!」という労働者人民の根底的な決起は、野田政権や労働組合のダラ幹どもを震え上がらせている。日本帝国主義との力関係は変わった。11・6集会の大結集で野田政権を打倒し、プロレタリア世界革命に突き進もう!
フクシマの怒りと結び
11・6集会は、第一に何よりも、9・19に続きフクシマの怒りと固く結び、原発再稼働を阻止し、全原発の即時停止・廃炉をかちとるための反原発大集会だ。日比谷野音をあふれる1万人の大結集をかちとり、東京電力本店や経済産業省に怒りの大デモをたたきつけ、原発再稼働を絶対に阻止しよう!
超反動の野田政権は、原発再稼働に日本帝国主義の命運をかけている。労働者人民にとって原発再稼働阻止は命と未来をかけた決戦だ。絶対に負けられない。
日本経団連などの資本家たちは「原発がなければ日本経済が崩壊する」と原発再稼働を絶叫し、野田政権は原発再稼働のために、今や被災地に攻撃を集中してきている。野田は「復興のためには電力の安定供給が必要。そのためにも原発再稼働を」と言って、東北電力の東通(ひがしどおり)原発などを原発再稼働攻撃の突破口にしようとしているのだ。
9月30日には、福島第一原発から半径20〜30`圏の緊急時避難準備区域を一斉に解除した。これは福島の人びとの命と生活を見殺しにし、「原発事故は収束に向かっている」という大ウソの宣伝で原発の再稼働を強行するためだ。絶対に許すことができない。
野田政権は「世界で一番安全な原発を海外に売り込む」と公言。日本原子力発電は9月28日、ベトナム電力公社との間で、原発建設予定地の地質調査や収支予想などの調査を行う契約を結び、ベトナムへの原発輸出を開始した。原発再稼働と一体の攻撃なのだ。
10月4〜5日には連合の定期大会が行われ、連合会長の古賀は、将来的には脱原発をめざすと言いながら、短期的には電力の安定供給のために原発再稼働を認めると発言した。連合のダラ幹どもは9・19の反原発6万人決起に追いつめられながらも、再稼働を容認して政権を支え、反原発の労働運動を圧殺しようとしている。闘う労働運動を職場からよみがえらせ、連合ダラ幹を打倒することが原発廃絶への決定的課題となった。
原発事故「収束」のウソ
福島原発大事故は収束どころか、危機的状態が続いている。地震の揺れで原子炉が破壊され、炉心溶融と水素爆発によって大量の放射性物質が全世界にまき散らされた。福島県内からは、プルトニウム、ストロンチウムという猛毒の放射性物質が検出された。原子炉建屋は放射線量が高くて近づけず、溶けた燃料棒がどこにどれだけあるかも確認できない。溶けた核燃料を冷やすための注水で膨大な高濃度汚染水がたまり続けており、新たな水素爆発の危険も切迫している。事態は改善どころかより危機的な状況に突入している。
しかも国の食品安全基準値の1`グラムあたり500ベクレルという数値は、全面核戦争の時、飢餓を避けるためにやむを得ず口にする食物の汚染上限と言われる。こんな基準で数年間食物を食べれば、膨大な労働者人民が内部被曝で死に至る。ドイツですら食品の規制値は1`あたり子どもで4ベクレル、大人で8ベクレルまでだ。この圧倒的な差は何だ!
野田政権は膨大な労働者人民に内部被曝を強制している。福島原発大事故は「第3の原爆投下」であり、労働者人民は核戦争のような状態の社会で暮らしているのだ。
すべての原発の即時停止と廃絶は労働者はもとより人類自身の存亡にかかわる。労働者人民の命と未来がかかっている。人民の命よりも金もうけを求める資本主義社会。こんな社会はひっくり返そう。原発事故を引き起こした犯罪人どもを権力の座から引きずり降ろし、労働者人民が政治権力を握り社会を動かそう。フクシマの怒りと一つになって原発再稼働阻止、全原発の即時停止・廃炉をかけ11・6労働者集会に大結集しよう!
反失業を掲げた大集会
11・6集会は第二に、外注化・民営化を阻止し非正規職撤廃をかちとるための反失業大集会だ。青年労働者を先頭に、非正規職を大量につくりだしている新自由主義に怒りを爆発させよう。
動労千葉は、車両の検査修繕業務の外注化を10年間阻止した地平の上に、京葉車両センターの構内運転業務の一部外注化の10月1日実施を粉砕した。大きな勝利だ。
動労千葉は、労働組合が職場から団結して原則的に闘えば外注化・非正規職化を阻止できることを示した。すべての職場で外注化・非正規職化と闘い、11・6集会に結集しよう。
外注化阻止・非正規職撤廃の闘いは、「復興特区」攻撃との闘いと一体だ。野田政権は220を超える市町村を「復興特別区域」に指定し、大資本に好き勝手に蹂躙(じゅうりん)させようとしている。自治体業務を丸ごと民営化し、雇用に関する規制をなくし、「アジア並み」の超低賃金や長時間労働、全面的な非正規雇用化で労働者を搾取し、資本家に巨額の利益を保証する計画だ。
また「復興特区」攻撃は、大阪府知事・橋下による職員基本条例・教育基本条例による首切り合法化攻撃と一体だ。野田政権は被災地での「復興特区」と大阪の首切り条例を突破口に、360万人の公務員労働者の首切り・非正規化を強行しようとしているのだ。
さらに「復興特区」攻撃や非正規化との闘いと原発廃絶の闘いは一体だ。原発は非正規労働で成り立っている。原発の定期点検時に、原子炉などの検査・修繕、清掃・除染などを行うのは膨大な下請けの非正規労働者なのだ。偽装請負の非正規労働者を、使い捨ての人海戦術で被曝労働させて初めて原発は動かせる。電力総連はこの非正規化を推進してきた張本人だ。非正規職撤廃の闘いは原発をなくす闘いそのものなのである。
職場で反原発を貫くために、今こそ闘う労働運動をよみがえらせよう。すでに青年労働者が職場でそのための闘いに立ち上がり、「雇い止め」解雇に対し団体交渉を闘い、偽装請負を摘発して職場復帰をかちとる大勝利をかちとっている。また職場に労働組合の分会を結成し、職場で集めたアンケートを武器に団体交渉を行い、3・11東日本大震災の中で賃上げと備品をかちとり、職場に団結をつくりだすために決起している。
ここに労働者と労働組合のもつ可能性が示されている。自分の職場で、外注化阻止・非正規職撤廃・偽装請負粉砕を闘って11・6へ職場からの大結集をつくりだそう!
世界変革する国際連帯
11・6集会はさらに第三に、世界の労働者と団結して世界を根本から変革する国際連帯の大集会だ。アメリカ金融資本の中枢ウォール街で、青年労働者と労組を軸にした「ウォール街を占拠せよ!」という闘いが爆発し、全米に広がっている。青年たちは「われわれ99%は、富裕層である1%の人々の強欲と腐敗をもはや許さない」と訴えている。
これは大恐慌・大失業下で、資本主義の核心を打ち抜く闘いだ。財政破綻のギリシャをはじめヨーロッパでゼネストが再爆発し、エジプトでは再びタハリール広場に青年労働者が結集し、軍政と対決して闘っている。
世界大恐慌が本格的爆発過程に突入し、全世界で労働者人民の生きるための闘いが嵐のように爆発している。資本主義・帝国主義を打倒すれば労働者人民は生きられる。原発も失業もない社会を明日から直ちにつくることができる。今年の11・6全国労働者総決起集会をその闘いの巨大なスタートにしよう!
9・19に続く闘いこそ11・6だ。職場で地域で組織的・集団的に討議し、決定し、丸ごと11・6日比谷野音へ結集しよう。この闘いのただ中で労働運動再生の闘いと結合し、革命に勝利する党をつくろう。
闘うすべての労働者と人民は革共同に結集し、ともにプロレタリア世界革命に勝利しよう!
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週刊『前進』(2507号1面2)(2011/10/10 )
アメリカで反失業デモ
ILWUの闘いに続き大恐慌下で怒り大爆発
(写真 警官隊の激しい弾圧に抗してニューヨークのブルックリン橋を行進するデモ【10月1日】)
(写真 「われわれは【富を独占する1%に対して】99%だ!」と叫びウォール街を占拠する青年労働者【10月1日】)
ウォール街を占拠せよ!
アメリカ政府が大銀行など金融大手資本を救済する一方で、労働者の住宅差し押さえなどが激増していることに青年労働者や労働組合が抗議し、極端な貧富の格差是正を求める闘いが「ウォール街を占拠せよ!」のスローガンで爆発的に拡大している。彼らは資本家の牙城である金融街の中枢・ウォール街を占拠して連日集会やデモを行い、極限的な社会的・経済的不平等を生んだアメリカ社会のあり方を弾劾している。
大恐慌情勢下で欧米各国の新自由主義攻撃はエスカレートしている。アメリカの失業率(25歳以下)は8月に17・7%に達した。ところが、政府は大資本家を救済する膨大な資金を支出する一方で、労働者の悲惨な現状を放置し、さらに悪化させようとしている。しかも巨額の資本家救済支出によっても経済は改善せず、さらに悪化の一途をたどっている。労働者階級はもはや資本主義を打倒する以外に生きる道はなくなったのだ。労働者の怒りは限界に達した。
こうした状況下で、ILWU(国際港湾倉庫労組)が労組破壊と非正規化、外注化と闘う戦闘的で荒々しい歴史的反撃の闘いに決起していることが、全国の労働者を感動させ、勇気づけ、生きるために闘う決意を固めさせているのだ。
この運動を少数の若者たちが始めたのは9月17日。共感する若者はしだいに増え、数百人の青年がウォール街近くの広場にテントを張って野宿。今までデモに参加したこともない青年たちが連日1千人規模の集会やデモを成功させた。
警察はこの運動を暴力的に解体しようと9月24日、催涙ガスを使用してデモを襲撃し80人を逮捕した。しかし運動は沈静化するどころか圧倒的な注目を集め、支援と参加は拡大した。
労働組合が大きな力と役割
労働組合は運動の拡大に大きな役割を果たした。インターネットによる呼びかけだけで運動が拡大したのではない。
24日のデモ弾圧に対し、ニューヨーク市立大学の教員・専門職組合(2万人)の数人の組合員が抗議デモを呼びかけたことを契機に、次々と戦闘的な労働組合がデモに賛同した。まずこの組合全体と全米自動車労組が賛同。続いて全米交通労組ローカル100(TWU。ニューヨークの地下鉄、バス、航空関係の労組。3万8千人)やSEIUローカル32BJ(サービス業従業員労組ニューヨーク地域支部。12万人)などが労働組合として青年たちの運動を全面的に支持すると正式に表明した。彼らは組合旗と横断幕をもって青年のデモに合流した。
さらにニューヨークの大きな労働組合などの連合体が10月5日に青年たちの闘いを支持し、大規模な連帯デモを行うことを呼びかけた。
労働組合は全国的なネットワークを活用し、この運動を全国に広げる重要な役割も果たした。現在、この運動はニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴの3大都市だけでなく、ボストン、マイアミ、ポートランド、デンバーなど全米44州131都市に拡大している。
さらにこの運動は、労働者が同じような新自由主義攻撃に直面しているカナダ、イギリス、日本などに波及しており、10月15日には全世界での統一行動が呼びかけられている。
弾圧はね返し発展する運動
このような状況に追い詰められた国家権力と資本は、この運動を解体するために激しい弾圧に訴えた。10月1日のニューヨークでの大規模デモの際、警察はブルックリン橋の車道上にデモ隊を誘導し、橋の上にいた青年たち700人を大きな網で取り囲んで分断した上で逮捕した。それでも青年たちは逮捕を恐れず、続々と闘いに合流している。
彼らは「われわれは目的を達成するためにアラブの春で使われた方法を使う」という立場を明らかにしている。そして中東での革命=「アラブの春」のように主体的に決起し、「われわれは(富を独占する1%の人間に対する)99%だ。黙っていたり侮辱されたままにはならない」と激しい怒りを表明している。青年労働者たちは、1%に満たない大資本家たちが富を独占するような腐敗した資本主義を打倒しない限り、もはや生きることさえできないと感じて決起しているのだ。
エジプト革命のように、青年労働者の闘いと戦闘的労組のランク&ファイル(現場労働者)の連帯闘争が結合し全国的闘いに発展していることは、アメリカ労働者階級の新自由主義との闘いが新しい次元に突入しつつあることを示している。
この闘いは、全世界で激発している新自由主義との闘いと一体だ。青年労働者と動労千葉を中心とした労働組合が結合して展開されている日本の反原発・反失業闘争とも一体だ。全世界で立ち上がる労働者と連帯し、11・6全国労働者総決起集会への1万人結集をなんとしても実現しよう!
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週刊『前進』(2507号1面3)(2011/10/10 )
前進版速報版
▼ギリシャで公務員ゼネスト▼子ども福島ネット・佐藤さん米国でアピール▼札幌で国鉄全国運動集会▼イスラエル鉄道労働者の闘い
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週刊『前進』(2507号1面4)(2011/10/10 )
日程 11・6全国労働者総決起集会、国鉄闘争勝利!一日行動
反原発・反失業の国際統一行動を! 国鉄1047名解雇撤回! 非正規職撤廃! 新自由主義とたたかう労働組合の全国ネットワークを!
11・6全国労働者総決起集会
11月6日(日)正午/東京・日比谷野外音楽堂
集会後デモ行進(午後3時30分出発予定。途中、東電前抗議行動を予定)
(呼びかけ)
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部/全国金属機械労働組合港合同/国鉄千葉動力車労働組合/国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動
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国鉄闘争勝利!一日行動
国労5・27臨大闘争弾圧裁判 控訴審判決公判
10月13日(木) 午後1時半 東京高裁102号法廷
※傍聴券交付 午後1時〜
判決公判報告・国鉄闘争勝利総決起集会
午後6時半開始 東京・文京区民センター
主催/国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回を共に闘う国労の会
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週刊『前進』(2507号2面1)(2011/10/10 )
1047名解雇撤回・動労千葉物販を
外注化阻止・非正規職撤廃と反原発の旗高く掲げ11・6へ
動労千葉は10月中旬から2011年冬季物販を開始する。動労千葉物販で反原発・反失業、フクシマの怒りとつながり、明治公園6万人の怒りを11・6日比谷野音に総結集しよう。あらゆる職場・生産点に動労千葉を支援する会を組織し、国鉄1047名闘争の勝利をかちとろう。
(写真 外注化計画の白紙撤回を求めストに立った動労千葉【9月30日 千葉市・京葉車両センター門前】) 福島の怒りと結び物販を拡大しよう
巨大な二つの地平がかちとられている。
ひとつは、京葉車両センターでの構内業務外注化10月1日実施が動労千葉の闘いによって粉砕されたことだ。千葉支社は、京葉での構内業務2日勤分を外注化することで、全面外注化への道をこじ開けようとしてきた。だが、動労千葉が職場からの怒りを組織したことによって、外注業務を請けたのはカクマル分子2人と元助役の3人だけとなった。
千葉支社は、提案内容を2日勤から1日勤に修正することで、あくまで外注化を実施しようとしている。団交でも、外注先に構内業務の経験や技術がないことについて「訓練が終了した段階で技術がある会社となる」と偽装請負を完全に居直っている。1日勤の外注化を強行し、外注先に構内業務の「技術がある会社」としての実績をつくり、全面外注化の道を開こうと策動している。
わずか1日勤をめぐる攻防が日本の階級闘争を左右する大決戦になっている。動労千葉は9月29日〜30日、京葉構内業務外注化白紙撤回を要求するストライキを闘い抜き、来春4月全面外注化阻止・非正規職撤廃の大国鉄決戦に立ち上がっている。
もうひとつは、9・19反原発集会への6万人を超える労働者・市民の結集だ。3・11で時代は変わった。ブルジョアマスコミや既成の労組指導部がどれだけ制動をかけようと、労働者階級は革命的行動へ向かって巨大な規模で動き始めている。労働者階級の革命的変化に、革命党は本当に食らいつかなければならない。
福島県民の怒りが本格的に燃え上がるのはこれからだ。原発事故の本当に深刻な影響が今後、次々と目に見える形で現れてくる。
この怒りと結びつく道が動労千葉物販闘争だ。夏季物販では福島を始め被災地からこれまでになく多くの新規注文が寄せられた。自分自身が生きるか死ぬかのギリギリの状況にある中で、なぜ物販に新規注文が寄せられるのか?
それは怒っているからだ。そして、その怒りと結びつく力を動労千葉物販が持っているからだ。
戦後労働運動の歴史の中で、労働者が資本と必死で血を流して闘う中から物販は生まれてきた。労働者が流した血と、福島など被災地で流れた血が結びつくのは当然のことだ。理屈ではない。怒りの行動に立ち上がりつつある労働者と物販でつながろう。
“三つの展望”を広く訴えよう
動労千葉冬季物販全国担当者会議において、田中康宏委員長から3・11以降の時代をどう認識するのか、そしてどう闘っていくのかについて核心的な提起がなされた。
日本経団連と野田政権は、被災地復興を「特区計画」として進めようとしている。その「特区」の中身は、労働組合を認めない、労基法の適用を除外する、最低賃金も定めない、団交権も争議権も認めない、そして「アジア並みの賃金」で労働者を働かせるというものだ。「アジア並み賃金」という「夢の労働力」で資本は夢のように大もうけをする。東北地方を丸ごと民営化・外注化する。国内植民地にする。これが経団連と野田政権が掲げる「復興」だ。
そのために野田政権がまずやろうとしていることが、原発の再稼働であり、公務員首切り・道州制攻撃だ。公務員の賃金と労働条件を徹底的に切り下げ、すべての現業部門を民営化・外注化することなくして「アジア並みの賃金」は実現しない。そして「特区」で強行された賃下げと民営化・外注化は、全国の公務員職場でも強行される。「特区」を突破口に労働者の9割を非正規にする攻撃が全面的に開始されるということだ。
このような時代に、労働者はいかに闘うべきなのか? 三つの展望が提起された。
第一の展望は、動労千葉の10年にわたる外注化阻止の地平だ。千葉で外注化を完全に阻止されたことで、JR東日本全体でも検修・構内業務の外注化は1割も実施できていない。外注化・非正規化こそ大失業攻撃の核心だ。不況だから失業するのではない。外注化と非正規化が失業を生み出しているのだ。動労千葉は、外注化・非正規化を阻止することで、大失業攻撃を打ち破る展望を切り開いている。
第二の展望は、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部のストライキが切り開いた地平だ。
外注化と下請けの「倒産攻撃」は一体だ。「倒産」の恫喝によって下請け・外注先の賃金と労働条件がどれほど切り下げられてきたことか。関生支部は「経営が赤字で資本が弱っているときこそ労働者のチャンス」と言って、実際に闘って勝利してきた。これは「倒産攻撃」と闘えなかった戦後労働運動の限界を突破する決定的な地平だ。
第三の展望は福島県民の怒りの決起だ。福島を中心に起こっている事態は本質的・絶対的に非和解だ。野田政権は、子どもや乳幼児を始めとする数万人、数十万人が、がんなどの晩発性障害に陥っても構わないという棄民政策にどんどん踏み込んでいる。福島県民の怒りは、原発で暴利をむさぼる資本主義を打ち倒すまで絶対に止まらない。
これらを一つに結びつけるのが国鉄1047名解雇撤回闘争=物販闘争だ。物販はあらゆる闘いと結合する力を持っている。冬季物販でこの三つの展望を広く訴えよう。
新自由主義と闘う国鉄決戦と反原発
反原発闘争は、労働組合の再生にとって死活的課題だ。総評労働運動のもとで燃え上がった原水禁運動は、「核の平和利用」論によって解体されてきた。「核の平和利用」の実体が原発だ。戦後労働運動は、電力労連を先頭に原子力産業のもとに解体・再編されていった。そして国鉄分割・民営化による総評の解体のもとで、膨大な非正規労働者が生み出され、原子力産業に使い捨て労働力として供給されていった。原発問題も、非正規問題も、労働運動の再生も一つの問題なのだ。
民営化で労働運動を解体し、原発で原水禁運動を解体する。これが新自由主義であり、敵の路線だ。だから、われわれの闘いの路線はここで勝つことにある。ここに敵の弱点が存在している。
民営化・外注化の弱点は偽装請負問題だ。「核の平和利用」の弱点は低線量被曝問題だ。ここを攻めるなら資本主義体制の根幹を揺るがすことができる。敵の弱点、最も具体的で大衆的な矛盾点で敵を攻め、闘いと団結をつくり出していくのが反合・運転保安闘争だ。そしてこれらの闘いを一つに結合するものが1047名闘争であり、国鉄闘争全国運動だ。
物販と支援する会で労組再生へ
その最大の核心は、物販と「動労千葉を支援する会」の建設にある。
労働者階級は最初から革命の側に立っている。労働者は闘う方針を求め、「本当に闘う党はどの党なのか?」と党派選択を開始している。
問題は党が労働者階級の側に立ちきれるかどうか、現場の怒りに依拠しきれるかどうかにある。
物販で労働者の怒りとつながり、あらゆる職場生産点に動労千葉を支援する会を組織しよう。職場「支援する会」の建設こそ、職場闘争に勝利するためのアルキメデスのテコだ。資本との闘いこそ最大の党派闘争であり、労働者は資本と最も闘う勢力を選択する。それが党派闘争だ。動労千葉冬季物販の中で「支援する会」2千人会員拡大を実現し、その力で11・6日比谷を巨万の労働者で埋め尽くそう。
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◇販売品目◇(円)
1 天津甘栗 450
2 焼カシューナッツ 650
3 種ぬきプルーン 900
4 すだちのど飴 650
5 丹波種の黒豆 650
6 にしん昆布巻 700
7 松前漬 750
8 カレンダー 1500
9 われせんべい 700
10 チーズ入りかまぼこ 700
11 丸大ハム 3000
12 ロシアンケーキ 1000
13 落花生 1500
14 アソートチョコレート 1500
15 小魚の佃煮 1100
16 ししゃもの燻製 900
17 どんこ 1000
18 即席みそ汁 1300
19 野菜たまごスープ1300
20 黒ウーロン茶 1200
21 あさりの佃煮 1400
22 もつ煮 750
23 さんま丼 600
24 もずくスープ 550
25 ブレンドコーヒー 900
26 静岡茶 650
27 ひじきのふりかけ 850
28 讃岐うどん(半生)1100
29 長浜ラーメン 1200
30 北信濃手折りそば1800
31 寒干しラーメン 1300
32 スティックチーズ 900
33 梅にんにく 1300
34 日高昆布 1000
35 ひじき 650
36 根昆布しょうゆ 600
37 天然だしパック 1300
38 ナガイの焼のり 1700
39 紀州南高梅 1500
40 ビーフカレー 3000
申込先/動労千葉協販部
TEL043(227)7833 FAX043(227)8125
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週刊『前進』(2507号2面2)(2011/10/10 )
郵政非正規ユニオン 多摩支店に怒りのデモ
斎藤委員長 “勝利まで闘う”
郵政非正規ユニオンは10月1日、斎藤裕介委員長ら18人の雇い止め撤回と、当局者による「バイトのクズども」「バイトの分際で組合なんかつくりやがって」などの暴力的な脅迫行為の謝罪・撤回を求めて日本郵便東京多摩支店への抗議のデモを行った。
午前9時、支店近くの公園に結集したユニオン組合員と支援の労働者38人はデモに向けた意志一致を行った。
前日雇い止めとなった斎藤委員長は「小泉政権の郵政民営化は、公務員を悪者にして非正規職と競わせ、事業を立て直すという触れ込みだったが、結果は真逆(まぎゃく)。郵政職場も世の中も徹底的に悪くなった」と激しい怒りを表明。さらに「非正規ユニオンは、おれたち非正規労働者が怒りでぶち切れていることを世界に示すストをやった。心は青年の大人たちと、僕たち青年がひとつになって世の中を変えよう。“明るく、楽しく、真剣に”闘って勝利しよう!」と訴えた。
組合員は「皆さんの支援に感謝します。非正規職という制度をなくし本当に闘う労働組合の復活をかけてがんばりましょう」とあいさつした。
労組交流センター全逓部会、三多摩労組交流センター、東京北部ユニオン、東京西部ユニオン、地元民間労働者などが連帯のアピール。三多摩交流センターからユニオンに檄布が手渡された。全逓部会の代表は「これからが本当の勝負。非正規ユニオン運動の強化・拡大と産別を越えた団結で11・6集会へ前進しよう」と呼びかけた。
デモは組合員たちを先頭に東京多摩支店に向けて勢いよく出発。「組合つぶして会社を救うな! 雇い止めを撤回しろ!」の声が辺り一帯に鳴り響いた。正門前では警察権力の執拗(しつよう)な妨害を許さず、斎藤委員長を先頭に抗議声明をたたきつけ、怒りの拳を突き上げた。「18名全員の雇い止めを撤回することと課長による『アルバイトのクズども』なる暴言を謝罪し撤回することを強く要求する!」。ユニオン組合員を先頭に怒りをこめた抗議声明が構内に響き渡った。
デモ後、斎藤委員長は「必ず勝利するまで闘う。全国あちこちで労働者の怒りのデモが頻発するような労働運動を再興しよう。全国の仲間との団結をつくりたい」と決意を語り、団結ガンバローで締めくくった。
東京多摩支店の現場は、無謀な雇い止めの乱発で業務そのものが破綻状態だ。組合結成を理由に雇い止めを強行した郵政当局の不当労働行為はあまりに明らかだ。郵政非正規職ユニオンの渾身(こんしん)の決起に連帯し、11・6集会1万人結集に向けてあらゆる職場・地域で闘いを組織しよう。非正規職制度撤廃を! 18人全員の雇い止め撤回まで断固として闘い抜こう!
(写真 東京多摩支店前に押しかけ委員長【手前】を先頭に抗議行動【10月1日】)
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週刊『前進』(2507号2面3)(2011/10/10 )
関西青年労働者集会 “この社会奪い返そう”
職場に組合つくり主役に
「この社会を青年の手に奪い返そう!関西青年労働者集会」が10月2日、大阪市のエルおおさかで開催された。関西各地から青年労働者を先頭に190人が結集し熱気あふれる集会となった。
司会の青年労働者が「3・11情勢という革命情勢の到来の中で、声を出さないと殺されるところまで全労働者が追い込まれている。しかしこれは決定的チャンスでもある。職場に労組をつくり私たちが主役となる社会をつくろう」と宣言。
基調報告を大阪市職の赤田由行さんが行った。「この9月、福島の現実や大失業に対する青年の怒りは、勝利するまでやむことのない闘いに変わり始めた。被災地の闘いと私たちの職場闘争はひとつだ。大阪市でも、橋下や平松による道州制=『全員解雇』攻撃との全面激突が始まっている。これに対し大阪市職本部は平松との間で5千人解雇の政策協定を結び、誰を切っていくのかを組合が決めようとしている。闘う労働組合をよみがえらせる力は、青年の『黙って死んでたまるか!』という怒りの中にこそある。自分の職場で闘わない労組幹部と対決し、ストライキにこだわって闘おう。ストで外注化を止めている動労千葉とともに闘おう」と提起し、11・6労働者集会への総決起を呼びかけた。
続いて3本の特別報告が行われた。まず、東京から駆けつけた郵政非正規ユニオンの斎藤裕介委員長が「御用組合の幹部は何千万円ももらって首切りリストを提出することしかしない。自分で組合をつくる、集会をやる、デモをやる、そして団結する。今、勝つためにはどうするのかを自分たちで決める段階に来ている。非正規を無くすため、郵政24万人のすべて、2千万青年労働者のすべてを束ね、全国がひとつになって労働者の怒りをたたきつけよう」とストを打ち抜いた確信をもって報告した。
部落解放同盟全国連・西郡支部青年部からは、「西郡にかけられた更地化攻撃・住宅追い出し攻撃は、全国の公営住宅を全廃し民営化していく攻撃だと分かった。大震災の人災と同じで、金もうけしようとしている追いつめられた資本家や国の姿がここにある。絶対反対の団結があれば阻止できるし、世の中をひっくり返せる」と勝利感に満ちた報告。続いて登壇した全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部青年部は「『座して死を待つのか立って闘うのか』の合言葉で闘ってきた。今日の集会を通じて青年が団結することの大きさを実感している。自分たちの未来は自分たちでつくるという思いで労働組合自体を若返らせよう」とアピールした。
その後、「怒りの会場アピール」として参加者が次々と発言に立った。とりわけ奈良市従の労働者は「ストライキを打てる組合の団結をつくりだしていきたい。裏切らない団結が一番大事だ」と闘いの中でつかんだ確信を語った。
最後に全国金属機械労働組合港合同の木下浩平さんがまとめを行った。「原発や非正規の現実、首切り攻撃などに怒りがあふれ、それがひとつになって動き出していることを今日の集会で実感した。黙っていたら殺されるという危機感を持って行動を始め、行動に触れた労働者が『団結すれば勝てる』と感じ始めている。この確信をもって最高の舞台である11・6労働者集会に向かおう」と結んだ。
(関西・S)
(写真 大阪市職の赤田さんが基調報告【10月2日 大阪市】)
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週刊『前進』(2507号2面4)(2011/10/10 )
千葉県三里塚集会 新たな発展の息吹
労農学が10・9総決起誓う
第5回千葉県三里塚集会が10月2日、千葉市のDC会館で開かれた。労働者、農民、学生、市民ら多数の参加者の熱気の中で、全員が10・9三里塚全国集会への総決起を誓い合った。
三里塚現闘本部攻防のニュースなどのビデオが上映されたあと、ちば合同労組の2人の青年労働者が開会のあいさつ。
さっそく三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長、伊藤信晴さん、宮本麻子さんが紹介され前に並んだ。
北原さんは「結論は原発をなくすことだ!」とこの情勢に対する不動の姿勢を強調した上、市東孝雄さんの農地を強奪しようとする「国策」の反人民性を怒りを込めて断罪した。そして「自分たちが生きるために市東さんの闘いを支えなければならない」と10・9集会参加の意義を語った。伊藤さんは「三里塚は人間の誇りをかけた闘い。労農同盟の発展のために闘おう」と訴えた。宮本さんは「現闘本部破壊で、あんな卑怯なやり方しかできないところに、空港の追いつめられた姿がある」と述べた。反対同盟の熱いアピールに会場は大きな拍手で応えた。
続いて千葉県の農民2人が連帯発言に立ち、福島の農家が置かれている苦境と三里塚の「農地死守」の闘いの意義を語り、市東さんの農地を守る決意を表した。
動労千葉の田中康宏委員長は、構内業務外注化実施を打ち返した勝利を踏まえ、新自由主義と闘う反対同盟と動労千葉による労農同盟の今日的意義を強調した。そして「9・19反原発集会で切り開かれた情勢をさらに進めるために10・9三里塚へ。そして11・6全国労働者総決起集会の1万人大結集を」と熱烈に要請した。次に千葉大の学生が「国策に反対しても無駄だとでも言うような国のやり方は認められない」と三里塚闘争への連帯を表し、10・9―11・6への参加を表明した。
休憩をはさんで自由討論に移り、全学連の斎藤郁真委員長、動労千葉争議団の中村仁さん、全学連現地行動隊、三里塚現闘などが次々と発言。古くからの活動家からフレッシュな青年労働者・学生まで三里塚に寄せる思いを率直に表し合い、会場は大いに沸いた。
ここで北原事務局長が再び発言を求めマイクを握った。「闘いは人の生き方を決める。悩める者があったら三里塚に来たれ! 今、農民と労働者の闘いが一緒になることは絶対に必要だ」と特に青年・学生へ向けて奮起を促した。
10・9集会への結集方法など具体的確認の後、団結ガンバローを三唱。労農学、老壮青が連帯を深め三里塚闘争の新たな発展の息吹に満ちた集会は大成功した。
(写真 原発事故、農地強奪を怒りを込めて断罪する北原鉱治事務局長【10月2日 千葉市・DC会館】)
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●三里塚裁判傍聴を
◎団結街道裁判
10月11日(火)午前10時半◎市東さん行政訴訟
・農地法裁判
10月18日(火)午後2時
※いずれも千葉地裁
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週刊『前進』(2507号3面1)(2011/10/10 )
復興特区、大阪・職員条例、公務員360万人首切り・総非正規化粉砕を
11・6へ自治体労働者は先頭に立とう
革共同自治体労働者委員会
9・19反原発6万人の大決起で情勢は一変した。11・6労働者集会への1万人結集で原発再稼働を阻止し、野田民主党政権を打倒しよう。「復興特区」と大阪・職員条例を突破口とする公務員360万人首切り=道州制攻撃、労働運動破壊攻撃との激突が始まった。動労千葉は民営化・外注化阻止、非正規職撤廃の闘いに勝利している。動労千葉に続き、職場全体の団結を固め、絶対反対を貫いて闘うならば、必ず攻撃を跳ね返すことができる。闘う労働組合をよみがえらせることができる。闘う自治体労働者は11・6労働者集会の歴史的大成功へ先頭で奮闘しよう。
(写真 9月19日、明治公園を出てBコースを行く自治労横浜のデモ隊。原宿駅前の歩道橋上からも注目が集まる)
すべてを変えた9・19集会
9月19日、福島をはじめ全国から6万人の労働者人民が東京・明治公園に結集し、「すべての原発をいますぐなくせ!」と叫び、デモを行った。反原発闘争は一気に全労働者階級の課題に押し上げられた。9・19は日本の階級闘争のすべてを一変させた。
世界大恐慌の深化・激化のもと、大震災と原発事故・放射能汚染――この未曽有の事態に全労働者人民が階級闘争に引き込まれた。このままでは生きることができない、未来もない、という不安と絶望を怒りに変え、声を上げ行動を開始した。
9・19の6万人は70年代以来の大結集であり、主催者の思惑を大きく超えた。結集した人びとは本質的に日帝・大資本、野田民主党政権、連合などの原発推進勢力と「原子力村」による階級支配・抑圧を打破・一掃し、社会を根本から変えることを望んでいる。
1千人余りの福島県民が「怒 福島隊」ののぼりを林立させて登場し、集会の中核をなした。ハイロアクション福島の武藤類子さんの発言は、参加したすべての人びとの心を打つ基調報告ともいうべき内容だった。
「真実は隠される……国は国民を守らない……大きな犠牲の上になお原発を推進する勢力がある……私たちは捨てられた……私たちの命を奪うな……私たちは静かに怒りを燃やす東北の鬼です……一人ひとりが本当に本気で自分の頭で考え、確かに目を見開き、自分ができることを決断し、行動すること……一人ひとりにその力がある……そしてつながること……つながり続けていくことが私たちの力です」
この福島県民の怒りの叫び、団結と行動の訴えをわがものとして、全原発の即時停止・廃炉、そして革命へともに闘おう。
野田政権支える自治労本部
野田首相は9月22日、国連本部で演説、原発再稼働と原発輸出を公約した。9・19反原発6万人決起への反動的挑戦だ。
野田政権と東京電力は事故収束の見通しの立たない現状を隠し、うそを積み重ね、膨大な放射能をまき散らし、御用学者に放射線被曝は安全だと言わせている。人の命より資本の利益と延命が大事なのだ。
また野田政権は被災地全体を「復興特区」とする攻撃に踏み出した。民営化・外注化・偽装請負、首切り・賃下げ自由の公務員制度改革、道州制(地域主権)、公務員360万人全員解雇・選別再雇用・総非正規職化・無権利化、労組破壊の大攻撃を加えようとしている。大資本による農業、水産業の制圧や自治体公共事業へのPFI(民間資金導入)、PPP(官民共同)、指定管理者制度の導入で、労働者をアジア並みの低賃金・無権利労働にたたき込もうとしているのだ。
他方、ファシスト橋下徹・大阪府知事と大阪維新の会は大資本の先兵となり、大阪府・市の職員基本条例案、教育基本条例案、関西広域連合による公務員首切り、労働組合解体の凶暴な攻撃を開始している。
世界金融大恐慌の爆発で歴史的破産を刻印されたにもかかわらず、新自由主義政策を絶望的に強行するしか資本の延命策はないのだ。
ところがこうした野田民主党政権の最大の支柱となっているのが連合・自治労本部だ。連合・自治労本部の掲げる「脱原発」は「再稼働は慎重に」「計画的・段階的廃炉」という原発容認・推進方針だ。だから本部は福島第一原発事故への怒りを一度も表明したことがない。国・東電の責任を追及したこともない。他方で被災地の「復興」に組合員を動員することに全力を挙げてきた。
自治労本部が発行する「自治労通信」9月10日号は「大震災から復興へ」を特集している。「つながりの力で復興へ」「災害の経験から学ぶ」「震災時の公共サービス」という見出しで被災地での復興活動の報告を並べている。だが被災者の怒り、福島県民の怒り、原発事故への怒りがどこにもない。本部は支配階級の「復興」政策の先兵になっているのだ。
大震災と原発事故のために避難・移動する過程で100人近くの高齢者が亡くなった。8万人が失業している。森羅万象、すべてが放射能で汚染された。チェルノブイリ原発事故の後の現象と同様、数年後にも低線量内部被曝の影響が出ると警告されている。自治労本部にはこうした事実が目に入らないのか。これが労働者の組合か!
原発から20`圏内にある双葉地方水道企業団は今も広野火力発電所と福島第二原発に工業用水を供給している。双葉水道の労働者は緊急作業時被曝線量上限250_シーベルトの過酷な労働を強いられている。自治労本部はこの事実を承知し報道していながら、同じ自治体労働者として怒る姿勢がまったくない。これが労働組合の機関誌か!
しかも双葉水道の自治体労働者の被曝量の調査を行っているのは東京電力であり、自治体ではない。自治労本部は、被曝検査の義務化や労働安全衛生法の整備を要請するだけだ。自治労本部は組合員を大量被曝させ、命を奪おうとしているのだ。双葉水道は存続が危うくなっている。自治体労働者は失業の危機にさらされているのだ。
双葉水道に限らず被災地では多くの自治体労働者が被曝線量さえ計られないまま被曝労働を強いられている。18時間労働、休日なしなど過酷労働のために精神疾患に陥り、休職を余儀なくされる自治体労働者が激増している。自治労本部・自治労連本部はこうした被曝・過酷労働を「労働組合員ならではの質の高い公共サービス」と美化し奨励している。
政府・当局、自治労・自治労連本部と対決しなければ、自治体労働者は被曝・過酷労働で殺されるのだ。自治体労働者の命と安全を守る闘いが今ほど求められているときはない。
職場に闘う労働組合再生を
動労千葉は80年代の国鉄分割・民営化攻撃に唯一ストライキで反撃し団結を守った。その後も国鉄1047名解雇撤回闘争の先頭に立ち、昨年の4・9政治和解攻撃を跳ね返して国鉄闘争全国運動の陣形を生み出した。さらに外注化攻撃を10年間阻止してきた上に、この10月の外注化攻撃もストライキで跳ね返した。この過程で青年労働者を組合に獲得し、その青年労働者が外注化阻止の先頭に立っている。動労千葉は新自由主義と闘うすべての労働者の希望だ。
わが自治体労働者委員会はこの動労千葉の闘いに学び、自治体労働者の先頭で新自由主義攻撃と闘ってきた。8月の自治労長野大会はその物質化の一端を示した。
「すべての原発いますぐなくそう!全国署名」に参加者の1割、400筆の署名が寄せられた。労組交流センター自治体労働者部会が連日のビラで全原発即時停止・廃炉、解雇撤回、非正規職撤廃、現業労働運動切り捨て弾劾を訴えると、それらが大会討論の中心議題となった。
大会会場前で国鉄1047名解雇闘争、社保庁525人分限免職撤回闘争を先頭に、再任用者雇い止め、保育事故による処分、大量人員削減、分会役員不当配転、子ども・子育て新システム=保育労働者首切りとの闘いの当事者のアピールが代議員の心をとらえた。代議員が近寄り、「この問題を言ってくれ。もうあのビラはないのか」と求めた。期待と信頼の証しだ。
絶対反対を貫き、当局と非和解的に対決し、職場に闘う団結をつくり出し、労働組合をよみがえらせる――この階級的労働運動路線を貫く闘いが実体をなしてきたことに全国の自治労組合員が気づき始めたのだ。
わが闘う自治体労働者は9・19反原発闘争の先頭に立った。組合執行部が当局の「放射能は安全」キャンペーンに協力するなか、独自に原発・放射能問題の学習会を開き、当局追及行動を組織している。9・19集会への本部の動員指令を2倍、3倍する結集をかちとった。原発事故時に不可避となる被曝労働問題を突きつけ、当局を追及、再稼働阻止、運転停止・廃炉へ闘っている。
さらに民営化・外注化絶対反対、偽装請負弾劾の闘いが現業・保育職場、公共民間、都市交通で繰り広げられている。このなかから9・19への決起が生まれている。
9・19が示す反原発・反失業闘争への広範な労働者人民の決起、自治労・日教組などの労働組合員の決起は「労働運動で革命を」「大恐慌を革命へ」のスローガンが現実の問題となったことを示している。自治体労働者・自治体労働運動のプロレタリア革命における位置と役割は決定的だ。自治体労働者は4大産別(国鉄、自治体、全逓、教労)の先頭に立とう。
全国の職場で反原発・反失業闘争、新自由主義との対決、民営化・外注化阻止、偽装請負弾劾、非正規職撤廃・雇い止め解雇絶対反対の闘い、反合理化・安全闘争を推進し、闘う労働組合をよみがえらせよう。動労千葉の外注化阻止ストライキ、郵政非正規ユニオンの雇い止め反対のストライキ、福島の教育労働者の決起と共闘・連帯しよう。国鉄闘争全国運動とすべての原発いますぐなくそう!全国会議(な全=NAZEN)の組織を職場や地域につくり、発展させよう。全国―世界の労働者ととともに11・6労働者集会の歴史的な成功をかちとろう。
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週刊『前進』(2507号3面2)(2011/10/10 )
子ども福島対政府交渉 すべての避難に賠償を
“子の命守る権利を認めて”
10月3日、子どもたちを放射能から守る福島ネットワークなどが主催する「区域外避難(自主的避難)に賠償を求める院内集会/『避難の権利』確立へ」が参議院議員会館で行われた。福島から駆けつけた人、そして福島から全国各地に避難している人をはじめ200人が参加した。
院内集会では福島原発事故を受けてやむにやまれず自宅から避難した人たちが次々と現状を訴えた(別掲)。事故後に妻が妊娠し、子どもとともに避難した男性、子どもと妊娠中の妹と避難した女性、妻と子どもは避難させて自分は福島にとどまった男性――一人ひとりが悩み苦しみながら避難を決断し、それでも家族がばらばらになったり、新たな職探しに追われたりして、必死で生き抜いている。
とりわけ危機感が集中したのが、政府が今進めている「福島原発事故による原子力損害の範囲の判定等に関する指針」策定に向けた原子力損害賠償紛争審査会(以下、原賠審)の審議だ。8月の中間指針では、避難区域外の住民への賠償は明示されなかった。9月の会合では、4月22日以前の避難者は賠償対象とし、それ以降の避難者は対象としない可能性が示された。「4月22日で線引きをするなどあり得ない。いつ避難したかにかかわりなく、すべての避難者に賠償すべき」という真剣な訴えが続いた。
院内集会の最後に、原賠審あての「『自主的』避難に正当な賠償を認めて下さい。私たちの声をきいて下さい」という要望書を採択した。
続いて、対政府交渉が行われた。政府側出席者は、原賠審事務局で文科省・原子力損害賠償対策室の田口康次長。参加者は「私たちの訴えをきちんと聞くために公聴会を行ってください」と求めたが、田口次長は「公聴会を開くべきだとは思っていない」と聞く耳も持たない。たった一人で参加しながら、録音もせずメモも取らず、参加者の声にひたすら反論し続ける対応に、「原賠審に私たちの声を届ける気もないのか!」と怒りがたたきつけられた。
対政府交渉の後、記者会見が行われた。原賠審に避難者の声を届けることも約束しない田口次長に怒りがあふれ、「それなら直接私たちが原賠審の会合に押しかけよう」という呼びかけも行われた。自主避難している男性は「田口さんは『いつを基準にするべきか、提案はないのか』と言ったが、賠償についてもし日付を設けるのなら、過去ではなく未来の日付にすべき。2年ぐらい先までの期間で検討を」と訴えた。国に全面賠償を約束させ、福島にとどまっている人が避難するかどうかを考えられるようにすべきという、あまりにも当然の要求である。
(写真 対政府交渉の後の記者会見では、福島から自主避難した人、家族を自主避難させた人が並んで、「避難区域外からの避難にも賠償を」と訴えた【10月3日 参議院議員会館】)
チェルノブイリを超える高線量地に子どもが生活
福島には今も毎時5マイクロシーベルト、3マイクロシーベルトという高線量の地域がいたるところにある。福島市渡利地区の渡利小学校の南側通学路にある雨水枡は、測定高1aメートルで実に毎時22・6マイクロシーベルトだった。
政府は8月26日に除染基本方針を打ち出して以降、「除染すれば安心」と宣伝している。しかし高線量を記録している福島市大波地区で除染作業を行った結果、低下したのは測定高50aで11・8%、測定高1bで6・7%に過ぎなかった。
チェルノブイリ原発事故の後に「移住の義務地域」とされた年間5_シーベルト以上の地域、「移住の権利地域」とされた年間1〜5_シーベルトの地域が、福島ではいずれも避難区域とされず、多くの住民と子どもたちが日々被曝させられ続けているのだ。こんな現実は絶対に放置してはならない。
これほど放射能に汚染されていながら避難しないのは、したくてもできないからだ。アンケート調査によると「避難を妨げている理由」の1位は「経済的に不安」、2位は「仕事上の理由」だった。避難区域以外の住民の賠償を認めない政府と東電の対応が避難を妨げているのである。
福島現地で生き闘い抜く労働者人民、避難先で生き闘い抜く労働者人民と固く連帯し、政府・文科省・原賠審に「すべての避難者に賠償を行え」の声をたたきつけよう。
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自主避難した人の訴え
■静岡県富士宮市に避難した男性 妻の妊娠が6月末にわかり、8月に5歳の子どもと妻を連れて避難した。避難先で就職したが、続けられず1カ月で辞め、今は求職中。40歳過ぎの転職は大変だが、避難を悩んでいる人たちのためにも、避難先でしっかり身を立てている姿を見せたい。
賠償が出れば、生活も助けられてありがたいが、何よりも「自主避難は愛する家族を守るための正当な方法だった」と認めて欲しい。
■札幌市に避難した女性
3月12日に原発が爆発した映像を見て、3歳の娘と妊娠中の妹とともに暗い道をどこにたどり着くのかもわからず逃げた。しかし避難生活も続けられず、4月末に福島に戻った。5月23日、母に娘を託し、20_シーベルト撤回の文科省交渉に行った。目の前に文科省の人がいるところで母から「娘が鼻血を出した」と電話が入った。新幹線で飛んで帰り、「明日、ここを捨てよう」と決め、翌日札幌へ。家族はばらばら、仕事も娘の友人もなくしたが、命だけは守りたかった。被曝せずに当たり前に生きる権利を認めて欲しい。
■妻と子どもを西日本に避難させた男性 福島市渡利に住んでいる。妻に仕事を辞めてもらい、避難させた。私は「先輩や仲間を全員避難させて、自分は最後に行きたい」と思いとどまった。収入は半分になり、お金も必要。しかしそれ以上に「子どもたちのために自分たちがやったことは間違ってなかった」と認めて欲しい。それが避難した人みんなの思い。
■山形県米沢市に避難した女性 4月22日なんて「危ないの? 危なくないの? どっち?」という状況で、避難など考えられなかった。4月22日で線を引くことなど許されない。今も国が「避難した方がいい。金銭的な補償もします」と言えば避難する人はいっぱいいる。そういう人の気持ちを無にしないで欲しい。
■東京に避難した女性
この半年でわかったのは、この国に任せていたらこの子たちは生きていけないということ。だから私は自分の基準でこの子を守るし、この子の兄弟もつくってあげたい。私たちは福島県にも忘れられてしまうかもしれない。私たちのことをどうか忘れないでください。
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週刊『前進』(2507号3面3)(2011/10/10 )
不起立解雇 米山さん裁判 控訴審がスタート
斉唱強制と原発は同じ
9月27日、東京教組の米山良江さんが戒告処分と解雇(非常勤教員合格取り消し)撤回を求めて闘っている裁判の控訴審が東京高裁で始まった。
米山さんは08年3月の卒業式の「日の丸・君が代」斉唱時の不起立を理由に戒告処分を下され、併せて定年退職後の職に確定していた非常勤教員の合格を取り消され、解雇された。以来、処分と解雇の撤回を求めて人事委員会闘争・裁判闘争を闘ってきた。東京地裁は今年4月、戒告処分の取り消しと非常勤教員の地位確認、損害賠償のいずれの請求も棄却するという不当判決を下した。米山さんは不当判決を弾劾してただちに控訴した。その闘いがいよいよ東京高裁で始まったのだ。
27日の公判では、米山さん本人が意見陳述を行った。米山さんはまず、教育労働者として「日の丸・君が代」強制は絶対許せないという思いで不起立を続けてきたこと、とりわけ08年3月の卒業式に向けては、不起立で停職6カ月処分を受けていた根津公子さんの闘いを孤立させてはならないという思いで都教委に抗議の要請書を提出した上で、自らも不起立したことを語った。
そして3月の福島原発事故に触れ、「福島は今も『戦場』です。子どもたちは日々命を脅かされ、未来を奪われています。本当に大人の責任が問われています。原発推進も『日の丸・君が代』強制も『国策』です。『ただちに健康に影響はない』と被曝を強制する政府と、『儀礼的所作にすぎない』と起立・斉唱を強制する都教委は、真実を隠しごまかすという点でまったく同じです。私は原発事故のことを考える中で、『10・23都教委通達』が出されても絶対反対を譲らず、処分されても不起立を続けることがどれだけ大事なことなのかを再確認しました。一人ひとりのやむにやまれない思いからの不起立がつながって、今なお抵抗が継続されていることは、実はすごいことなんだと思います。これこそ、戦争への反省から生み出された教育労働者の誇りにかけた闘いです」と訴えた。
米山さんの力強い訴えに、公判を傍聴していた東京教組組合員や「日の丸・君が代」被処分者から大きな共感が寄せられた。
次回公判は11月22日午後3時30分、東京高裁822法廷にて。不当処分・不当解雇の撤回を求めて、米山さんとともに闘い抜こう!
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週刊『前進』(2507号4面1)(2011/10/10 )
なくせ原発 再稼働阻止へ! A
原発御用学者たちを断罪する
「事故で健康リスクはない」と福島県民の怒り圧殺する山下
原発再稼働を策す日帝ブルジョアジーの階級意思を体現して、原発への怒りの決起を抑え込むために登場しているのが山下俊一ら御用学者どもだ。そのペテンを暴き徹底的に断罪する。
(写真 「放射能は安全」デマを宣伝するために9月11日に福島県立医大で開かれた国際専門家会議を弾劾する福島の人びと。参加者に英文のメッセージボードを突きつける)
原発推進の政府の手先と化す「学者」
「野田首相、福島の子どもを守れないで原発の安全を言うなんてひきょうだ!」。9月22日、ニューヨーク国連本部前に駆けつけた佐藤幸子さん(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク世話人)は、国連会合で「原発推進」を宣言しようとする野田の間近に迫って抗議した。福島の怒りはもはや臨界点を超え、命をかけた訴えは日本だけでなく世界にまで響きわたっている。
先日、長野県に避難している福島の子ども130人を対象にNPOや信州大付属病院などが行った調査で、10人の子どもから甲状腺異常が発見された。内部被曝の深刻な影響を考慮に入れたECRR(欧州放射線リスク委員会)の試算では、今後50年以内に福島原発200`圏内でのがんの過剰発生数は41万7千人に達するという。起きている事態は、まさに広島・長崎に続く「3度目の原爆投下」だ。
ところが、このような現実を前にして、野田は国連首脳級会合の場で「福島事故は収束に向かっている」「福島を教訓に、原発の安全性を世界最高水準に高める」と宣言し、停止中原発の再稼働と原発輸出の推進を表明した。これは、実に恐るべき暴挙である。世界に向かってこのように言い切ったからには、野田は何が何でも福島原発事故を「収束」させ、「安全」だと言いくるめ、再稼働を強行していくことになる。どんなにたくさんの健康被害が現れようと、どれだけたくさんの子どもが死のうと、「放射能とは関係ない」「原発事故が原因ではない」と言ってどこまでも抹殺していくということだ。
この日帝・野田政権の手先となり、福島抹殺政策の先頭に立っているのが、山下俊一(長崎大学教授、福島県立医大副学長)を筆頭とする御用学者どもである。いまやこうした御用学者どもの犯罪性は、これまでのように原子力村の利権構造に群がって金と地位にありつこうとするようなレベルをはるかに超えて、福島の命の叫びを抹殺する虐殺者以外の何ものでもないのである。
原子力や放射能と「平和共存」を叫ぶ
そもそも山下俊一は、原子力を「魔法の力」などと絶賛し、長崎大学で「核時代における原子力や放射線・放射能との平和共存の術を修得する」という趣旨で教鞭(きょうべん)をとってきた根っからの原子力推進派である。
山下は福島現地で、「100_シーベルト未満ならリスクはゼロ」「内部被曝の方が10分の1リスクは少ない」などと、低線量内部被曝の脅威を否定し隠蔽(いんぺい)するデマ宣伝をくり返し、「現時点では、そしてこの先も、この原子力発電所の事故による健康リスクというのは、まったく考えられない」などと主張している(当初は「毎時100マイクロシーベルト(=年換算で876_シーベルト!)以下ならまったく健康に影響ありません。どうぞ子どもを遊ばせて下さい」などと発言し、後になって「あれは10マイクロシーベルトの間違いでした」などと撤回した)。
そもそも、内部被曝で問題とされるα線やβ線は、ホールボディカウンターでも計測不能であり、被曝線量そのものが分からないのである。さらに、低線量放射線に長時間被曝することで発がん率が高まる「ペトカウ効果」についても検討するなら、いかなる意味でも「安全」「安心」とは言えないのである。山下のデマ宣伝の犯罪性は万死に値する。
重要なのは、山下が「年間20_シーベルトという国の指針に従うのは国民の義務です」などと主張し、初めから日帝政府の手先として登場していることだ。山下は単なる一学者としてうそをついているのではなく、あくまで福島の怒りの爆発を抑え込もうとする日帝・国家権力の立場から、福島現地に乗り込んでいるのだ。
そして、山下らは福島医科大を拠点とし、福島県民200万人を対象とした「健康調査」を、かつて広島・長崎の被爆者をモルモット扱いしたABCC(原爆傷害調査委員会)の後継組織・放射能影響研究所やIAEA(国際原子力機関)と連携して行うと言っている。調査と称した被害実態の隠蔽であり、福島の声を抹殺する攻撃そのものだ。
福島との連帯というとき、問われているのはこの攻撃との対決にほかならない。
「核の平和利用」論による大学の腐敗
大学・学問の腐敗は、1980年代以降の新自由主義攻撃と教育の民営化のもとで急速に進んだ。だが、実はそれ以前から、科学界は帝国主義の核政策に協力してきた歴史がある。
そもそもアメリカの原爆製造計画=マンハッタン計画は、科学者と大学・研究機関の全面協力によって可能となった。日本では、陸軍の依頼を受けた理化学研究所が原爆研究(暗号名「ニ号研究」)を行っていた。終戦後、GHQ(連合国軍総司令部)は直ちに日本の原子力研究を禁じ、プレスコードによって広島・長崎の被爆実態を調査・公表することを全面的に禁止した。1947年にはABCCが設立され、「調査しても治療はせず」の徹底的な被爆者モルモット化が行われた。戦前、原爆研究に協力した日本の学者たちの多くは、その過去を反省もせず、米軍の被爆調査に率先して協力した。
さらに、「ニ号研究」に参加していた物理学者・武谷三男は、「日本人は、原子爆弾を自らの身にうけた世界唯一の被害者であるから、少なくとも原子力に関する限り、最も強力な発言の資格がある。原爆で殺された人々の霊のためにも、日本人の手で原子力の研究を進め、しかも、人を殺す原子力研究は一切日本人の手では絶対に行わない。そして平和的な原子力の研究は日本人は最もこれを行う権利をもっており、そのためには諸外国はあらゆる援助をなすべき義務がある」(「日本の原子力研究の方向」。52年10月『改造』増刊号)などと「平和的な原子力の研究」を主張した。
これに対し、日本学術会議では広島で被爆した物理学者・三村剛昂(よしたか)が原子力研究反対の熱弁を振るい、議論は紛糾した。
(写真 同日の行動で県立医大副学長の山下【7月就任】を弾劾)
福島の怒りと結び山下ら追放しよう
だが、53年12月に米帝アイゼンハワーが「核の平和利用」を掲げ、日本で中曽根らが学界の態度決定を待たずに原子力予算を成立(54年3月)させると、学術会議は早々とこれに屈服し、「民主・自主・公開の3原則のもとに原子力研究(平和利用)を認める」という立場にまとまった。こうして、科学界と大学は深々と原子力村の一角に組み込まれ、今日の山下のような原子力推進・被爆者抹殺の御用学者どもが生み出されていったのである。
かつてマンハッタン計画に参加したアメリカの医師ジョン・ゴフマンは、核実験や原子力産業による放射能の恐るべき被害を知り、79年の時点で声明を出した。「われわれは、とんでもない過失と無責任さによる人道に反する罪で、ニュールンベルグのような裁判にかけられる候補者である。……われわれの罪は実験レベルではなく、殺人そのものなのである」。この言葉にも示されているように、今日の山下ら御用学者どもの所業が、まさに殺人に相当する大犯罪であることは明らかである。
今こそ、福島の怒りの声と命の叫びに連帯し、御用学者追放の闘いを福島から、そして全国の大学キャンパスから巻き起こそう。10・10福島NAZEN結成から野田政権打倒の11・6労働者集会へ攻め上ろう。
(水樹豊)
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週刊『前進』(2507号4面2)(2011/10/10 )
辺野古新基地絶対阻止を
被災地と連帯し職場で闘い基地と「特区」攻撃うち破れ
3・11東日本大震災をも攻撃のテコとして、米日帝国主義は沖縄闘争=安保・沖縄闘争の全面的圧殺へと乗り出している。9・21日米首脳会談でオバマは普天間基地移設問題について「結果を出す時期だ」と辺野古移設を野田に強く迫った。だが、それは絶対に不可能だ。最大の階級的激突点は職場での闘いだ。そして沖縄の労働運動に
勝ち抜く道は、被災地で闘う労働者との団結にある。 革共同沖縄県委員会
オバマが野田に実行を迫る
世界大恐慌と3・11情勢のもと、日米首脳会談で米帝と日帝は対北朝鮮・中国侵略戦争に突き進み始めた。日米同盟をより深化させるとは「トモダチ作戦」を始め周辺事態法の発動を恒常的な体制として維持することだ。その決定的な環が在沖米軍基地であり、米軍再編=辺野古新基地建設だ。そもそも、米帝の最高責任者が「結果を求める時期が近づいている」とまで言うこと自体が異例だが、そう言わざるをえないほど米帝は末期的危機にある。
これに野田は「沖縄を全力で説得する」と答え、日帝独自で沖縄を侵略戦争の最前線基地にしようと画策している。
防衛省の2012年度概算要求のうち、沖縄関連は7%増の1678億円。与那国島に陸自の沿岸監視部隊や移動警戒隊を配置する用地取得費など15億円を要求し、88式地対艦誘導弾システム2式の新規導入を盛り込み、那覇基地に早期警戒機(E−2C)を配備するための基盤整備費2億円も要求。さらに那覇基地の戦闘機部隊の2個飛行隊化に向けた施設整備のための調査費として7千万円を要求し、PAC2一式の装備システムの改修や基地防空用地対空誘導弾一式の取得も予定しているという。さらに動的防衛力の構築のための事業費662億円が特別枠の「日本再生重点化措置」の要望事業として組み込まれた。動的防衛力=侵略戦争が「日本再生」の道だというのだ!
八重山教科書問題は、この動きと一体であり、けっして「八重山の問題」ではない。与那国島の自衛隊誘致の動きも含め、「地元が了解しているからいい」という問題では断じてない。沖縄と全労働者階級人民の未来にかかわる問題なのだ。
野田の言う”説得”とは、「これらすべてを沖縄の労働者階級人民はのめ!」ということだ。「辺野古新基地建設を受け入れ、21世紀の100年間も”基地の島”であることを甘受しろ! 米軍基地だけでなく自衛隊基地も受け入れろ! 沖縄の子どもたちは『鉄血勤皇隊』『女子学徒隊』としてお国のために戦え!」という”説得”に全力をあげるというのだ。「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」とは自分がこれから戦争をやろうとしているからだ。
世界大恐慌と3・11情勢のもとで安保・沖縄闘争は、侵略戦争・世界戦争と対決する闘いとなった。この攻防の激しさゆえに、八重山の教科書問題は敵も味方も絶対に譲れない力勝負となっている。今日の”泥沼化”は敵のもくろみが外れたことを示している。9・19反原発6万人決起が示しているように、情勢の主導権は労働者階級人民の側にある。その上で、この攻撃を決定的に打ち破り、反転攻勢に打って出る路線と方針が求められている。それは被災地、とりわけフクシマの労働者との連帯した闘いを職場生産点から創造し発展させていくことである。
特区の狙いは非正規化・分断
資本家どもは東日本大震災や福島原発事故すら自らのもうけのために利用し尽くそうとしている。それが「経団連2011成長戦略」「復興・創生マスタープラン」であり、核心は「復興特区」の導入だ。本紙前号の宮城県委員会論文が全面的に批判しているが、「特区」攻撃との闘いは被災地の労働者だけではなくすべての労働者階級の課題である。
沖縄には「特別自由貿易地域」「情報通信産業特別地区」「金融業務特別地区」の三つの経済特区と「情報通信産業振興地域」「産業高度化地域」という地域制度が沖縄振興特別措置法(12年3月まで)のもとに設置されている。沖縄は「基地の島」であると同時に「特区の島」でもある。
ことの始まりは1995年10・21県民大会だ。大高揚したこの基地撤去闘争を圧殺するために、「雇用の確保」の美名のもと沖縄振興政策として96年に設置されたのがNTTの情報案内部門(沖縄104センタ)だった。しかしこれは、東京にあった情報案内部門を廃止し、そこで働いていた正規職の労働者を沖縄の非正規職の労働者に置き換えるものだった。
以来15年、沖縄の労働者階級に襲いかかった現実はどうか? 沖縄のコールセンターで働く労働者は現在2万人に上るが、そのうち非正規雇用が8割を超える。全国の非正規雇用が4割に上るというが、沖縄は43・4%と全国一だ。一方、沖縄での労組への組織率は年々低下し、現在は1割ちょっとと全国最低だ。
その結果、多くの、とりわけ青年労働者が1年・半年・3カ月、あるいは繁忙期のみの限定雇用という状態にたたき込まれている。コールセンターを渡り歩いてどうにか日々の糧を得ている労働者がほとんどだ。これらの職場では違法・脱法行為が公然とまかり通っている。手取り十数万円の青年労働者が一方的に月数万円もの賃金カットを強制される事態も日常茶飯事だ。NTTの104センタもいまだ時給700円台の労働者が多数を占めている。時給制のパート労働者に「基礎賃金」「成果賃金」などという成果給を導入している。これらのコールセンターはすべて外注化された職場であり、偽装請負なのだ。
これが政府や資本家どもの「雇用の確保」の中身だ。青年労働者にすれば、この世は果てしなく続く「無間(むげん)地獄」を意味する。それでも沖縄の高い失業率はまったく変わらない。いや、高失業率を続けることで、このような悪行を押し通しているのだ。
つまり、「特区の島」で進行した事態とは、徹底的な非正規職化であり、団結破壊であり、労働条件の劣悪化=無権利化だったのである。
「無間地獄」にピリオドを!
この激しい攻撃と対決してきたのが沖縄米軍基地撤去の闘いだ。自治労・沖教組・高教組を先頭に、戦後沖縄の闘いを支えてきた労働組合が職場で団結を守り、反戦反基地闘争を闘い、労働運動への大攻撃と闘い抜いてきた。基地労働者は、そもそも基地労働そのものが巨大な「偽装請負」と言ってもいい状況の中で、07年には2波にわたる歴史的な大ストライキを打ち抜いた。
今こそ積もりに積もった怒りを解き放つ秋(とき)だ。外注化・非正規職化・偽装請負と闘う階級的労働運動の創成こそ、「無間地獄」にピリオドを打ち、青年労働者の未来を取り戻す道だ。職場生産点から立ち上がり闘いを発展させることが、辺野古への新基地建設を阻止し、八重山の教科書攻撃を自衛隊の配備攻撃と一体で粉砕する力となるのだ。
11・6集会は、反原発・反失業を掲げて開催される。核心は外注化・非正規職化・偽装請負との闘いだ。『琉球新報』は原発労働での偽装請負を暴露したが、原発労働こそ究極の外注化・非正規職化・偽装請負で成立している。これを粉砕する闘いに新自由主義と「特区」攻撃を打ち破る道がある。それは沖縄の労働運動で問われている課題と同一だ。
被災地、とりわけフクシマの労働者と連帯し、階級的労働運動の大発展で、米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒へ! あらゆる職場に「動労千葉を支援する会」を組織しよう! すべての力を11・6へ! この闘いの中で、沖縄県委員会を沖縄の青年労働者の党として建設しよう!
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週刊『前進』(2507号4面3)(2011/10/10 )
基地・原発・失業なくせ
基地労働者の講演を軸に
11・6総結集へ沖縄集会
10月2日、「反原発・反失業、沖縄米軍基地撤去沖縄労働者集会」が那覇市の教育福祉会館で開催された。
この集会は11・6全国労働者集会に向けた総決起集会として行われ、まったく新しい人を含めて30人が参加した。集会のメインは基地労働者の講演だった。
最初に主催者を代表して崎浜秀俊さん(国鉄闘争全国運動・沖縄代表)があいさつした。
次に学生の仲間が熱烈な反原発アピールを発した。東京での9・19反原発行動に6万人が結集した感動を語り、「沖縄とフクシマの怒りで原発再稼働阻止・全原発の廃炉に、を掲げて闘おう」と訴えた。
続いて基地労働者が講演を行った。まず、3・11大震災・福島第一原発事故が新自由主義による国家と資本による犯罪であることを真っ向から弾劾した。そして、「基地や原発に依拠しなければ生きていけない状況」が国策としてつくられたこと、この国策と真正面から対決して米軍基地撤去・反原発を闘うことの意義を鮮明に提起した。そして最後に、「今こそ職場に労働組合をよみがえらせることが必要だ。11・6全国労働者集会へ結集しよう」と呼びかけた。
このあと、NTT労働者、中部・南部・北部の各合同労組が発言に立った。11・6労働者集会に「あと1人」を獲得するために総力を尽くそうという熱気に満ちた決意が次々と述べられた。
残り1カ月の組織戦を全力で闘い、1万人結集を実現しよう!
(沖縄・I)
(写真 基地労働者が講演。「基地や原発に依拠せざるをえなくした国策」との対決と11・6集会への結集を訴えた【10月2日 那覇市】)
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週刊『前進』(2507号4面4)(2011/10/10 )
9月27日〜10月3日
原発事故、再溶融の危険続く/ウォール街で反失業のデモ
●臨時増税9・2兆円を決定 政府・民主党は東日本大震災の復興財源を賄うための臨時増税額を9・2兆円とする案を決定した。(27日)
●上海で地下鉄の追突事故 中国・上海で7月の高速鉄道事故に続き、同様の列車追突事故が発生した。(27日)
●シリアで軍の一部が反体制側に 反政府デモが続くシリア西部で、市民への発砲命令に抗議し1千人以上の兵士が軍から離脱、反乱部隊を結成して正規軍との戦闘に入った。(27日)
●原発輸出へベトナムと調査契約 日本原子力発電がベトナムで原発導入を進めるための調査契約をベトナム原子力公社と結んだ。(28日)
●沖縄密約訴訟で逆転判決 1972年沖縄返還時の日米間の密約を示す文書の開示を求めた裁判の控訴審判決で、東京高裁は文書の開示を命じた一審判決を取り消した。(29日)
●パキスタン政府が対米抗議 アフガニスタンの武装勢力をパキスタン軍が支援していると米が非難したことに、パキスタン政府が緊急会合を開き「米の圧力は受け入れない」と米への抗議を決議した。(29日)
●リビア暫定政権樹立見送り リビア国民評議会の暫定首相が、反カダフィ派のリビア全土制圧まで暫定政権の樹立は見送ると表明した。(29日)
●緊急時避難準備区域を解除 政府は福島第一原発から半径20〜30`圏内に設定した緊急時避難準備区域の解除を決定した。(30日)
●プルトニウム拡散が判明 福島第一原発事故で放出されたプルトニウムが45`離れた福島県飯舘村まで飛散していたことが文科省の調査で判明した。ストロンチウムも80`地点まで拡散していた。(30日)
●株価暴落、半年で10兆j 世界の株式時価総額が9月末で約47兆6685億jと、3月末からの半年間で約10兆j減少した。(1日)
●再溶融の危険去らず 福島第一原発1〜3号機で続けている原子炉冷却のための注水が中断すると、18時間後には原子炉の温度が1200度に達して放射性物質の大量放出が始まり、38時間後には燃料が再溶融するとの試算を東京電力が発表した。(1日)
●ウォール街で反失業デモ ニューヨークのウォール街で失業と経済格差、富裕層優遇の政策に抗議する若者の大デモがあり、参加者700人が逮捕された。(1日)
●米軍への給油にゴーサイン 自衛隊と米太平洋空軍が昨年10月、共同訓練や有事の際に空自の給油機から米軍戦闘機への空中給油を実施する覚書を締結していたことが判明した。(2日)
●米の財政危機が軍事力に影響 米の歳出削減案が11月下旬までにまとまらなければ来年度の国防費が1千億j以上削減され、朝鮮半島や台湾海峡、イラン・中東などの有事に対応する能力が危険にさらされるとした米下院の調査結果が判明した。(2日)
●東電に2兆5千億円削減求める 政府の調査委員会が、今後10年間で2兆5千億円のコスト削減を東電に求める報告書を提出した。(3日)
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週刊『前進』(2507号5面1)(2011/10/10 )
10・21福島大学闘争へ
9・19の息吹を大学に
原発廃絶へ福島の怒り共有を
9・19明治公園での歴史的な6万人集会から3週間。あの空前の高揚と息吹を今度は自らのキャンパスでつくり出そう。10月21日に福島大学から闘いを巻き起こそう。一方で青年・学生から仕事と未来を奪い、他方で「日本経済の再生のため」と称して原発再稼働と放射能禍を強制する資本主義社会の腐敗。世界大恐慌は底なしの泥沼に転落し、突破の方途を失っている。その最大の矛盾点である大学で、学生が立ち上がれば、原発を止めることができる。10月1日の京大原子炉実験所への抗議闘争、6日の法大包囲デモはその突破口を切り開いた。全国学生は、10・9三里塚闘争と10・10福島NAZEN結成集会の成功を引き継ぎ、福島大に総決起しよう。歴史的決起を開始した労働者階級と連帯し、「反原発・反失業」の11・6集会へ攻めのぼろう。
「人命より利潤」の新自由主義に反乱
「ウォール街を占拠せよ!」「富裕層に課税を! 貧困層に食べ物を!」。10月1日、米ニューヨーク・ブルックリン橋は青年・学生が中心の1000人のデモ隊に占拠された。デモ隊は警察権力による700人の大量逮捕もはね返し、5日には隊列を2万人へと増やしている。この闘いは、サンフランシスコ、ロサンゼルス、フランス、スペイン、東京などでの連帯デモへ発展している。ギリシャ全土でも5日、官民労組をあげた24時間の大ゼネスト闘争がうち抜かれた。
ついに、帝国主義・資本主義の総本山アメリカの中心部から、新自由主義への青年・学生の怒りが爆発し、実力的な反乱が始まった。QE2(量的金融緩和第2弾、今年6月末に終了)の大破産とヨーロッパ金融危機の進展は、米欧における労働者階級の決起の引き金となった。
今年2月のエジプト革命のうねりは、ギリシャ−8月イギリスの内乱−9・19反原発6万人決起へと引き継がれ、さらにアメリカを起点に全世界を覆い尽くそうとしている。闘いの目標は鮮明だ。労働者・学生の生きる権利を防衛すること、人民の生き血を吸うことで生き延びる強欲なブルジョアジーどもを打倒し尽くすことだ。資本主義の歴史的破産が突き出される中で、ウォール街の決起は起こるべくして起こった。これこそ「世界大恐慌をプロレタリア革命に転化する闘い」だ。
反原発闘争は、野田政権の再稼働策動を焦点にさらに爆発しようとしている。政府は9月30日に福島第一原発から半径20〜30`圏内の「緊急時避難準備区域」を解除し、同時に追加被曝線量が5_シーベルト以下の地域は除染の財政支援の対象外とすることを宣言した(地元からの弾劾で後に撤回)。これこそ、福島県民を意識的に放射線にさらし殺していく「棄民政策」だ!
「国家」「国益」のために原発を再稼働、「経済」「利潤」のために福島県民を犠牲にする、これがむき出しの資本主義のイデオロギーだ。被災地、そしてすべての労働者・学生・農民の屍(しかばね)の上に築かれる「繁栄」など、怒りを込めてぶち壊そう。「真実は隠される。国は国民を守らない。私たちは棄てられた」(9・19集会の福島からの発言)、この糾弾は戦後革命期の怒りとまったく同じであり、現在のアメリカの青年決起とつながっている。大恐慌の本格的爆発を前に、今や全世界に革命のエネルギーが充填(じゅうてん)されている。
「放射能安全」PRと学生弾圧の大学
9・19の6万人決起を発展させる道は、新自由主義大学から反原発闘争を爆発させる中にある。キャンパスからこそ、真に力ある団結と運動が生み出される。
新自由主義はこれまで大学において、「教育」の名をもって徹底的に学生の未来と可能性を奪ってきた。ウォール街のデモでも、「高い学費をやめよ」「学資ローンで生きていけない」という怒りが掲げられた。その元凶は教育の民営化と国立大学法人化であり、大学がその蓄積された知識で原発政策を推進し、労働者人民を殺していくというおぞましい姿に示されている。
原発事故は、「大学・学生はいかにあるべきか」をわれわれに問いかける。焦点は、福島大学と法政大学だ。新自由主義は福島大学において「放射能安全キャンペーン」として表れ、福島県立医大において御用教授として表れ、法政大学において反原発のビラ一枚まけない学生弾圧体制として表れる。福島大と法大に、学生が人間らしく生きることや仲間と自由に討論することさえできない新自由主義大学の実態がある。だからこそ、福島大と法大から学生が立ち上がったとき、それは新自由主義大学を根底的に覆す300万学生総決起の起爆剤となる。
新自由主義への怒りを「フクシマ連帯」として貫こう。かつて敗戦直後に、反共学者イールズをキャンパスからたたき出す全国学生の闘いが全学連運動の礎になったように、われわれはキャンパスから御用教授を一掃する「21世紀の反イールズ闘争」を実現し学生自治会を再建する。
福島大生と団結し抑圧体制うち破れ
10月21日、福島大で全国学生が声を上げることが決定的だ。
福島大における「放射能安全キャンペーン」は許しがたい。その絶叫で学生の討論の機会そのものを奪っているのだ。
入戸野(にっとの)福島大学長は今年4月21日の開講メッセージで「キャンパス屋外での年間被曝予想量は6・8_シーベルト、文科省の20_シーベルト基準以下だから健康被害は発症しない」というデマを吹聴し福島大生を放射能にさらした。6月8日の学内説明会でも、「学内被曝線量は大丈夫、心配な人は保健管理センターに行くように」と「自己責任」を強調した。福島県立医大副学長の悪名高き山下俊一とまったく同じだ。
学内除染もまともに行わない中で、7月13日に「1000人プロジェクト 福島大学から世界へ元気を伝える笑顔のメッセージ」なるものを行った。「震災避難訓練」と称してキャンパスの一角に福島大生を集め、その集合写真を撮影して「世界へ笑顔を届けよう」というものだ。福島と全世界の人びとが原発事故の現実に怒っている中で、これほどふざけた話があるか。しかもその集合場所(S棟前広場)は、いまだ放射線量が1・27マイクロシーベルト/時という学内でも有数の「ホットスポット」なのだ。この暴挙に怒った一人の女子学生は撮影を拒否し、9月11日の仙台・東北大での反原発デモに合流した。
さらに福島大当局は7月20日、学長のトップダウンで日本原子力研究開発機構(JAEA)との連携協定を締結した。原子力研究開発機構とは、かつての動燃もしくは核燃料サイクル開発機構であり、現在も高速増殖炉もんじゅを保有する日帝の核・原発政策の中枢組織だ。機構理事長は、札付きの原発推進学者であり福島原発事故の当事者である鈴木篤之(元東大教授、元原子力安全委員会委員長)だ。
しかし、原発推進の福島大当局への反乱は開始されている。6・19福島デモ−8・6ヒロシマ−全学連大会−9・11新宿デモには福島大生が合流し、6月6日には福島大の12人の准教授が被曝線量低減に向けての県知事宛要望書を提出した。福島大生の怒りを一つに束ね爆発させる10・21闘争としよう。福島大生の決起は全国学生に巨大な衝撃を与え、反原発闘争の爆発の号砲となる。その闘いが福島県教組、保護者・農民・漁民の闘いと結合したとき、福島をめぐる情勢と階級情勢は一変する。全国学生は10月21日、福島大生と団結しよう。福島大生のみなさん、あなたの怒りと決起が歴史を動かす。ともに闘おう。
10・21闘争の爆発をかちとり、11・6労働者集会への大結集へ。
〔マルクス主義学生同盟中核派〕
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10・21フクシマから大学を問う全国学生集会
10月21日(金)
福島大学キャンパス
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週刊『前進』(2507号5面2)(2011/10/10 )
“御用学者は出ていけ”
京大原子炉実験所に抗議
大阪府熊取町 京大生先頭にデモ
10月1日、京大原子炉実験所が開催した年1回の一般公開「アトムサイエンスフェア」で、放射線医学総合研究所(千葉)の研究者・島田義也の講演会が行われた。島田は「年間被曝量は10万マイクロシーベルト=100_シーベルトまでなら問題ない」「放射能は安全だ」というデマを流布する札つきの原発御用学者だ。これに対して京大の学生を中心とする「10・1行動実行委員会」の呼びかけで大阪府熊取町の原子炉実験所に100人が結集し、「アトムサイエンスフェア粉砕」の一日行動を闘い抜いた。
当日、学生たちは10時からの開始に合わせて原子炉実験所正門前で情宣活動を開始した。そこにはすでに大学敷地内にもかかわらず警察車両が待機している。京大の職員は「敷地に入るな。逮捕させるぞ」の恫喝を加えてきた。さらに実験所の副所長・高橋千太郎は「講演会には参加させない」と言い放つ。どこが「一般公開」だ! 腐りきった原子炉実験所に学生の怒りが冒頭から炸裂(さくれつ)した。
11時からは近くの長池公園グラウンドに移って集会が行われた。最初に実行委員会の学生から基調提起が行われた。「島田義也は『日本人全員が10万マイクロシーベルトを被曝しても、がん死亡率が現在の30%から30・5%に増加するだけだと言っています。原発安全神話はまさに大学という権威によって裏付けられてきたのです」「学内で奪われてきた自治権力を奪い返す闘いです。本当に原発を止めるためにも、私たちは京大の勝手な振る舞いを許さない!」
続いて熊野寮生が「本日のフェアで配られているパンフレットには、福島原発事故のことが1行も書かれていない!」と弾劾した。大学奪還学生行動を代表した学生からは火の出るような怒りのアピール。京都大学の大森靖之全学連副委員長は「島田はこの時代に自分が発信する学問がどのように使われて、どのように福島の人たちに影響するのか、それを考えもしない。福島の人たちと連帯し、連帯し、連帯し抜こう」と訴えた。最後に泉佐野市議の国賀祥司さんがアピールした。
集会後、原子炉実験所へ向けて怒りのデモを行った。「御用学者は京大から出て行け」「学問語って金儲(もう)けするな」「教育を取り戻そう、学生の手で取り戻そう」のコールが響き渡り、熊取町住民も原発への怒りを鮮明に示した。
デモ終了後、再び原子炉実験所正門に結集。事前に受け付けていた仲間が講演会に入ろうとすると職員が制止してくる。全参加者の怒りが爆発し、講演会場を取り囲み、2時間以上にわたって弾劾した。
総括集会では、島田が今回の講演会でも「放射線の被害はたばこよりも大したことはない」などと発言していたことが報告された。10月福島連帯行動に決起し、全国キャンパスで反原発・大学奪還を闘い11・6労働者集会に大結集しよう!
(関西学生・K)
(写真上 「ウソをついて福島の人を被曝させるな」。原発推進の御用学者による講演会開催を弾劾、京都大生を先頭に100人がデモに立った【10月1日 大阪府熊取町】)
(写真下 講演会への入場を制止する京大に怒り爆発。会場を取り囲んで弾劾した)
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週刊『前進』(2507号5面3)(2011/10/10 )
10・6法大 “弾圧職員 追放しよう”
福島との連帯デモうち抜く
10月6日、法政大学包囲デモは大高揚の中で打ち抜かれました。
まず、デモ前に「隠れ動労千葉ファン」を名乗る労働者が現れ、千円のカンパと反原発署名に協力してくれるなどの感動的なエピソードがあり、デモ隊の意気が上がります。
そして法大正門前でデモ出発前のアピールへ移ると、今期から新しく全学連委員長に就任した斎藤郁真君(法大・法2年、文化連盟委員長)が発言しました。「福島の現実を見て欲しい。厳しい現実の中から、生きるために多くの人が立ち上がっているが、その福島の怒りに敵対する最先頭に大学が立っている。福島の御用学者の姿は、キャンパスの弾圧職員の姿と一体だ。こいつらを大学から追放することが福島の怒りとの連帯だ。9・19には6万人が原発反対で立ち上がり、再稼働を阻止した。アメリカでも社会を変える若者の闘いが始まった。私たちが団結して立ち上がれば社会は変えられる」
多くの学生が注目し、聞き入っています。学生がキャンパスから合流することを恐れた警察権力は、斎藤君のアピールが始まって数分も経たないうちに「違法な集会」として弾圧に出てくる有様です。やつらはビビリまくっています!
いよいよデモです。「原発反対! 弾圧職員追放! フクシマ連帯!」のスローガンで市ケ谷の街を席巻しました。沿道からは圧倒的な注目を集め、「大学から原発とめよう! 御用学者を追放しよう!」のシュプレヒコールに多くの労働者人民がうなずき、声援を送っていました。
デモ後には、法大の1年生が弾圧職員と公安警察に向かって「お前らこそ監獄にぶちこんでやる」と強烈なアピールを発し、最後に倉岡雅美さん(法大・人環3年)が「次は10・21福島大学闘争だ。3万法大生はともに闘おう」と訴え、法大生の圧倒的注目の中、団結ガンバローで行動を終えました。
10・21福島大学闘争から11・6全国労働者総決起集会へ! ともに闘おう!
(法大生・T)
(写真 法大正門前から出発したデモ隊は靖国通りに面した九段校舎・総長室前に陣取り、キャンパスの弾圧態勢を続ける増田総長を徹底的に弾劾した【10月6日】)
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週刊『前進』(2507号6面1)(2011/10/10 )
団結ひろば 投稿コーナー
伊藤晃さんを講師に北海道集会が大成功 北海道 J・S
10月2日、札幌で国鉄闘争全国運動・北海道の「反原発・反失業!北海道労働者集会」が2月の結成集会を上回る結集で開催されました。
国鉄全国運動の呼びかけ人で日本近代史研究者の伊藤晃さんが「3・11以後の運動に感じられる新たな運動の可能性」と題して講演しました。
「3・11で新自由主義が破産し、支配体制の安全装置が揺らぎ、従来の運動の限界をのりこえる好機が到来している。問題は、労働運動が資本主義の力になるか、資本主義批判の力になるかだ」「動労千葉は『労働者はこの程度のものだ』という蔑視(べっし)を超えたところで団結をつくっている」と強調しました。
最後に、震災「復興」攻撃に対して「人びとの生きる権利、働く権利に運動を集中させる」、そのために国鉄闘争全国運動は「無数の小さな運動を社会的な力の形成に向けてつなげていこう」「情況に影響を与える運動にしよう」と提起しました。
基調報告に立ったタクシー労働者は、「非正規労働者がモノのように投げ捨てられ、被曝労働を強いられるような社会を許さない」「変えるために道筋をみんなで考えよう」と怒りを込めて、「11・6日比谷にみんなで行こう」と訴えました。
現場からの発言、「すべての原発いますぐなくそう!全国会議・北海道(準)」の仲間などから連帯のあいさつを受け、活発な質疑応答の後、呼びかけ人のタクシー労働者が「いろいろな人の協力・参加で集会は成功した。労働者は資本主義に対抗する力になろう」と訴え、閉会しました。
フクシマの怒りと結んで北陸集会開く 北陸労組交流センター K
10月2日富山市内で「フクシマの怒りとひとつに北陸労働者集会」が行われた。集会は、北陸労組交流センターと北陸ユニオンの共催。福島県労組交流センター代表の渡辺馨さんから福島現地のホットな報告を受けた。
北陸労組交流センターの代表が「資本主義は破綻している。福島で渦巻く怒りを職場、大学、街頭で訴えて全国に広げよう」とあいさつした後、渡辺さんが発言した。
渡辺さんは、「労働組合が軸になった反原発闘争にしないといけないと思い、6・19怒りのフクシマ大行動をやることに決めた」と語り、教組の分会にオルグに行き、現場の教師たちの怒りと結びついたことが決定的だったと報告した。そして、9・11福島での反原発の取り組みから、9・19明治公園6万人集会に「怒」ののぼりを持って福島から結集する過程のエピソードを生き生きと語った。
最後に、「労働者の怒りを組織して、今の資本主義体制をひっくり返していく。それができるのは労組交流センターだ。10・10NAZEN福島結成集会と11・6労働者集会を全人民的闘いにしていきたい。フクシマはとことん怒り続けて全国の仲間とつながっていきたい」と訴えた。
リレーアピールでは、JP労組の青年労働者、富山大学の学生、NAZEN北陸準備会の仲間がアピール。集会のまとめで北陸ユニオン委員長が11・6労働者集会への結集を呼びかけ、団結がんばろうで締めくくった。
拝啓、中核派の皆様へ 法大解放・反原発支持 京都 早川 修 21歳
拝啓、中核派の皆様へ。
法大解放・反原発運動を誠に支持しております。私は中核派のメンバーと一度も接点を持ったことはありません。
しかし、幾度もホームページを拝見しております。私も日々、飲食店で働くかたわら、ネットにて革命のために情報を拡散しています。
右傾化メディアに洗脳されて、多くの日本人が、対中国、対朝鮮の戦争へと向かっております。米帝政府は東亜をメディアを使い分離させて、ドル安による没落を先のばししているというのが、私の見解です。
右傾化メディア・右翼本を書く評論家・東京電力・反動政府、どれも日本にいらないです。
ヘイト・セオリーを説く評論家たちと戦えるのは中核派のみです。
日本国内の、民族対立をあおる勢力と中核派はこれからも戦ってください。
先師カール・マルクスが予言した「共産主義世界」は今、目の前で産まれています。ドル中心世界・グローバル主義はガラガラと崩れています。
NYウォール街の資本主義勢力も息を止めようとしています。1970年代から減退し、眠っていた左派の夢がようやく実現するのです。
これは、千年に一度と言って良いくらいの歴史上の大変革です。
横須賀闘争で11・6集会結集を呼びかけ 神奈川 N・S
9月25日、横須賀ヴェルニー公園で原子力空母の配備撤回を求める集会・デモが闘われた。
3・11大震災に対する米軍と自衛隊の「トモダチ作戦」は、空母と艦艇・戦闘機の12万人体制で、被災地の道路と空港を軍事制圧し、核戦争訓練を想定し、周辺事態法を発動した。これは沖縄の辺野古新基地建設とオスプレイ配備と一体の一大戦争攻撃であり、原発を廃炉にする闘いと安保粉砕・米軍基地撤去は一体の課題となったと強く感じています。
この日、神奈川の労組交流センターと百万人署名運動の仲間は、午前の平和センター集会、午後の全労連集会に結集した労働者に、「次は11・6日比谷へ結集しよう」と2千枚のビラをまき、大宣伝を実現しました。
「明治公園に参加し、高揚した」「職場で救援対策ニュースをもらっている」「原発を止めるために行動する」「駅も道路もいっぱいで明治公園までたどり着けず残念。次の方針は何ですか」など、かつてない熱い反応を得られた。
連合と全労連の既成の枠組みを突き破る現場労働者の11・6の大結集へ、職場と地域から画然と決起する確信とエネルギーを得ました。
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週刊『前進』(2507号6面2)(2011/10/10 )
10・16北富士闘争に立とう
3・11情勢下で18年ぶり! 日米共同演習阻止を
10月16日、反戦共同行動委員会の呼びかけで、北富士演習場(山梨県)を使用した日米共同演習に反対する現地闘争が、北富士の忍草(しぼくさ)で行われる。
北富士演習場を使用した共同演習は18年ぶりだ。日米帝は東日本大震災で「トモダチ作戦」(戦争をも超える大規模な事態に対応した実戦的な日米共同作戦)を強行し、外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で共通戦略目標を策定した。この中で防衛白書に見られるように日米安保同盟と「共同作戦計画」のあり方は一変した。今回の日米演習は重大な攻撃だ。
北富士から11・6全世界1千万人の大統一行動に向けて渾身(こんしん)のアピールを発する闘いにしよう。
防衛省南関東防衛局の発表では、日米共同演習は10月11日から20日までの10日間実施され、陸自第1師団第1普通科連隊基幹300人と米国テキサス州第3−141歩兵大隊基幹215人が参加する戦略的連携訓練だ。
(写真 1985年5月の北富士・桧丸尾砦死守戦を闘う母の会。左から渡辺喜美江会長、天野美恵事務局長、天野くま子さん) 11月も米軍訓練
さらに11月には米軍が「沖縄県道104号線越え155_りゅう弾砲実弾射撃訓練の分散地域訓練」(104演習)を実施する。その際、訓練部隊の宿泊地としてキャンプ富士(静岡県御殿場市)を使用する。104演習は11月11〜24日のうち10日間実施し、第12海兵連隊第3大隊で人員430人、車両100両、砲数12門という規模だ。
キャンプ富士から北富士演習場への移動には演習場内の連絡路を使用する。10−11月を通じ、部隊の宿泊と移動も含めて北富士・東富士全体を使って行う侵略戦争の大規模な実戦訓練だ。
今回の共同演習では小銃や機関銃などを用い、北富士演習場や北富士駐屯地、梨ケ原廠舎(しょうしゃ)を使用する。駐屯地と廠舎は、演習場使用協定や日米地位協定で米軍が使用できるという規定がない。しかし、駐屯地内で光線銃などのハイテク兵器を使った戦闘シミュレーションを実施し、さらに日米共同演習では初めて陸自北富士駐屯地内のFTC(富士トレーニングセンター)を使用する。使用協定や地位協定にも違反する重大なエスカレーションが狙われている。
北富士の歴史
北富士闘争は、農民が生きていくための入会地を奪い返す闘いであり、同時に帝国主義の戦争政策と対決する反戦・反基地闘争だ。砂川・日本原・三里塚とともに、日本の反戦・反基地闘争の歴史をつくってきた偉大な闘いである。
富士山麓(さんろく)の高冷地、しかも火山灰のやせた土地で生きていくために忍草農民は、入会(いりあい)地である梨ケ原に生活の8割を依存してきた。しかし第2次大戦後、米軍が入会地・梨ケ原を接収、生活の道を断たれた農民は、1947年忍草入会組合を結成し、「村中一心梨ケ原を守る」の旗のもと騎馬隊47戦士の演習場への突入など米軍から入会地を奪い返す闘いに総決起した。60年安保闘争のデモに参加し、樺美智子さんの闘いと死に触れたことを契機に、入会組合の婦人行動隊として忍草母の会が生まれた。
1965年、地対空ミサイル・リトルジョンの射撃に対し、母の会は着弾地に座り込んで実力阻止。67年7月には、”富士をベトナムにつなぐな”と演習場のど真ん中に入会小屋を建てて座り込みを開始した。以来3年3カ月にわたって北富士での米軍の実弾演習を阻止した!
70年10月の入会小屋撤去後も、取られても取られても新しい入会小屋を次々に建てて闘いを継続。激化する入会組合切り崩しに対しても忍草農民は団結を守り、演習のたびにゲリラとなって着弾地に潜入して座り込み、のろしを上げて演習を阻んだ。ゲリラに入った回数が年間260回に及んだこともあった。
1985年5月の桧(ひのき)丸尾砦死守戦では、母の会の渡辺喜美江会長、天野美恵事務局長、渡辺節子(さだこ)さん、天野くま子さん、入会組合の大森光定さんとともに中核派3戦士が砦に立てこもり決死の闘いに決起した。北富士農民との血盟は、三里塚とともに革命的共産主義運動にとってきわめて貴重な宝である。
労働組合の力で
3・11大震災と福島原発事故のもとで被災地に派遣された10万人の自衛隊兵士が直面した現実は、「トモダチ作戦」などという美名で語れない。自衛隊員は大量に被曝しながら、がれきの山からの遺体収容作業などに従事した。被災地から帰還した兵士たちの多くが精神疾患で苦しんでいる。この事態に日帝・防衛省は責任を取るどころか、大失業下で食べていけない若者たちを入隊させて、原発事故と大恐慌・世界戦争に構えようとしている。
北富士での日米共同演習は、「トモダチ作戦」や沖縄基地強化・辺野古新基地建設と一体の大攻撃であり、大恐慌と3・11情勢下の階級戦争そのものだ。9・19反原発6万人決起は組織された労働組合が中軸となって実現された。新たな北富士闘争は、巨大な反原発闘争のうねりと労働運動の前進の中で闘われる。10・16北富士・忍草に総結集し、断固闘おう!
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日米共同演習粉砕
10・16北富士現地闘争
10月16日(日)正午
陸上自衛隊北富士駐屯地横(山梨・忍野村忍草/国道138号線「自衛隊入口」交差点から入り直進)
*集会後デモ
主催 反戦共同行動委員会
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週刊『前進』(2507号6面3)(2011/10/10 )
西郡住宅追い出し許すな
10・16関西総決起集会へ
9月15日、八尾市は応能応益家賃制度に反対して供託を続ける西郡の11家族に対し、「10月17日までに家財道具を持ち出し、鍵を持ってこい」という「住宅明け渡し通知書」を送りつけてきた。断じて許せない!
すでに最高裁で明け渡しと闘っている3家族に続いて、11家族が「国や八尾市に殺されてたまるか! 実力で住み続けるぞ!」と怒りを燃やし敢然と立ち上がった。この攻撃は被災地への「特区」攻撃と同じ新自由主義攻撃だ。14家族の決起は、これとの闘いの最先端だ。
部落解放同盟全国連西郡支部と八尾北医療センター労働組合は、9・19反原発6万人行動を闘い、その地平の上で、支部1千名建設と11・6労働者集会1万人結集へと激しく前進している。10・16全関西総決起集会が決定的環だ。
9月八尾市議会で田中誠太市長は、4年もたたずに市財政が破綻するとし、「市有地売却、人件費削減」で突破すると言い放った。市の800事業を丸ごと民営化し、職員の分限免職規程を見直して、大量の首を切り9割の非正規職化を推し進めようとしている。そして、西郡では桂小中学校を統廃合し、老人センターと保育所を民営化し、八尾北医療センターを売却しようとしている。西郡市営住宅から住民を追い出そうとしている。さらに西郡廃村攻撃であり、民営化と闘う八尾北労組と西郡支部への解体攻撃だ。
だが国や八尾市に勝算などない。9・19反原発闘争は新しい闘いの扉を押し開けた。帝国主義の心臓部アメリカでも「ウォール街を占拠せよ」と青年労働者の決起が始まり全米に広がっている。
八尾北・西郡でも同じだ。9月24日の西郡青年交流会では、参加者が「住み替えたら家賃は3倍になった」「原発のテレビ報道を見て、何かやらなくてはと思った」と口々に語った。そして、10・2全関西青年労働者集会に合流した。その場で西郡支部の佃文弘青年部長は、「西郡更地化・住宅追い出し攻撃は、全国の公営住宅を全部廃止し民営化していく攻撃だとわかった。大震災と同じで、追いつめられた資本家や国の姿がここにある。絶対反対の団結があれば阻止できるし、世の中をひっくり返すことができる」と勝利感に満ちて闘いの報告をした。
西郡住宅闘争は公営住宅廃止・民営化、住宅追い出しに対する全国の労働者住民の怒りの決起を必ず巻き起こしていく。
八尾北労組が定期大会開催
9月26日には八尾北労組が第11回定期大会をかちとった。青年組合員を先頭に結集した労組員は、「この1〜2年が決戦だ。必死で闘って切り開いてきた地平に自信と確信を持ち前進しよう」「すべてを奪い返す闘いの中心に八尾北労組が立つときが来た。労組の団結をさらに強固につくりだそう」「11・6労働者集会で社会を変えよう」と真剣で活発な討論を行い、議案を採択。藤木好枝委員長を始め決戦を闘う新執行部を選出した。
10・16全関西総決起集会は新自由主義と闘う総決起集会だ。フクシマの怒りと結び、すべての原発の廃炉をかちとり野田政権を打倒する。この力で石川一雄さんの狭山第3次再審闘争に勝利する。すべての労働者、部落のきょうだいに全国から総結集することを訴えます。
フクシマの怒りとつながろう! すべての原発いますぐとめよう! 原発推進・大増税=道州制の野田政権打倒! 西郡14家族への新たな住宅の追い出し許すな! 西郡更地化・廃村攻撃うち破ろう! 八尾北医療センターの明け渡し絶対反対! 寺尾判決37カ年糾弾! 狭山第3次再審闘争勝利! 11・6全国労働者集会で社会を変えよう!
(部落解放同盟全国連西郡支部・植村清)
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10・16全関西総決起集会
10月16日(日)午後2時
幸第2公園 集会後デモ(雨天時は西郡第3集会所)
主催 八尾北医療センター労働組合/部落解放
同盟全国連西郡支部/八尾北命と健康を守る会/関西労働組合交流センター
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寺尾判決37カ年糾弾! 狭山第3次再審闘争勝利! 西郡住宅闘争勝利!
10・31狭山闘争
東京 10月29日(土)午後6時30分
南部労政会館(JR大崎駅下車)
主催 部落解放東日本共闘会議
広島 10月30日(日)午後2時
広島市西区地域交流センター(旧西隣保館)
主催 部落解放広島共闘会議
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週刊『前進』(2507号6面4)(2011/10/10 )
核燃から漁場を守る会 坂井留吉さんを追悼する
六ヶ所村泊で闘い組織し反核燃闘争にかけた人生
革共同青森県委員会
9月6日、六ケ所村「核燃から漁場を守る会」の坂井留吉さんが行年87歳で逝去された。1カ月半の入院治療のかいなく心筋梗塞による心不全で永眠された。
私たちはここに坂井留吉さんの遺志を引き継ぎ、六ケ所村核燃サイクル基地とすべての原発・核の廃絶を成し遂げることを誓う。
六ケ所村には「むつ小川原開発」に反対同盟を結成して闘った歴史がある。本州最北端下北半島に「世界一のコンビナート」をつくるという開発計画のもと、企業誘致で必ず仕事に就けると宣伝し、農民に移転を強要した。
青年・学生は「三里塚闘争のように闘おう」と六ケ所村に三里塚闘争を持ち込んだ。六ケ所村農民も闘いの勝利を求めて「三里塚闘争の記録映画」上映会を組織した。
この国家権力、独占資本との闘いを、六ケ所村農民、漁民は、核燃サイクル基地建設に反対する闘いを戦闘的に引き継いで闘い抜いた。
1985年4月9日、青森県知事・北村は県民の反対の声を踏みにじり、六ケ所村への核燃料サイクル基地受け入れを強行した。これに対し、六ケ所村泊では「核燃から漁場を守る会」を結成。農民、漁民、学生、そして県下の労働組合が総力を結集して県民ぐるみの反対闘争に立ち上がった。
その先頭には、いつも坂井留吉さんの姿があった。青森県内の街道にはいたるところに「核燃反対」看板が立てられた。受け入れ強行1周年の1986年4月9日には、県労と地元六ケ所村漁民、農民を先頭に「核燃白紙撤回」を掲げて泊地区のデモを打ち抜いた。
とりわけ1986年6月の海域調査阻止闘争は核燃サイクル阻止闘争の最大の攻防だった。県と原燃会社はチェルノブイリ原発事故の直後にもかかわらず、核燃サイクル施設建設の強行に向けて86年6月、六ケ所村沿岸部の海域調査を強行しようとした。
機動隊の泊漁港封鎖に対し、坂井留吉さんを先頭に六ケ所村漁民は自らの船を出し、体を張って阻止闘争に決起した。原燃会社は海域に調査機材のついていないブイを投げ入れて逃走した。泊漁港の岸壁には、前夜から労働者、学生、市民が泊まり込み、夜が明ける前から「核燃阻止」のゼッケンと横断幕を掲げ、不屈に闘う漁民と連帯して闘った。
7月、2度目の海域調査阻止闘争では、坂井さんは自らの船から調査船に果敢に飛び乗り阻止闘争を貫いた。権力は坂井さんの戦闘性に恐怖し不当逮捕したが、坂井さんの戦闘精神はいよいよ燃え上がった。この闘いは「泊沖海戦」と呼ばれ、今でも語り継がれている。坂井さん逮捕の報に、農民、漁民、労働者、市民の怒りは爆発した。反核燃闘争は幾波もの現地闘争、県庁包囲集会、全県での集会デモ、全国総決起集会を経て、1989年4・9反核燃1万2千人現地集会にまで上りつめていった。
この中で坂井留吉さんが果たした役割は決定的だった。地元六ケ所村での闘いと組織化、青森県内の闘う陣形の組織化のみならず、坂井さんは国家権力と非妥協・不屈に闘う全国の労働者、農民、漁民、市民、学生の闘う団結を組織するために全力を投じた。三里塚全国集会、8・6ヒロシマ全国集会、被爆者青年同盟との交流、杉並選挙における長谷川英憲さんへの応援演説など、ワゴン車で数万`の団結オルグに全国を奔走した。
坂井さんは核燃サイクル施設が着工された後も、低レベル廃棄物搬入阻止闘争、高レベル廃棄物搬入阻止闘争を戦闘的に闘った。村の反骨の同志たちと核燃絶対反対を示すため村長選挙を闘った。彼を知る同志は、「(近年)票がたとえ少なくても、彼に負けたという意識はなかったと思う。これだけ反対がいるじゃないか、と。核燃は村民、国民を不幸にするんだという強烈な意識に頑固さもあいまって(闘いを貫いたのだろう)」と言う。
今年3・11大震災後に伺った時、坂井さんは「部落の人たちは表に出さないが、私がやってきたことは分かってくれている」「まだまだ休めない」と闘志健在だった。彼は核燃に対して先頭で闘い、かつ村で仕事や生活面の改善に尽力した指導的存在だった。
国鉄分割・民営化攻撃とともに、核燃料サイクル基地建設は日帝の新自由主義政策の柱であった。坂井さんの30年におよぶ反核燃の闘いは、国鉄闘争とともにこの新自由主義と真っ向から対決し闘ってきた30年だった。そして、新自由主義と対決する労働組合、農民、漁民、学生、市民の全国的団結をつくり出すために人生をかけて奔走した30年だった。
私たちは坂井さんのこの闘いを引き継ぎ、国鉄闘争全国運動とNAZEN(な全)の発展に全力をあげ、労働組合をよみがえらせて闘います。
すべての原発・核と核燃料サイクル基地の廃絶をかちとることをここに誓います。
(写真 2010年4月11日、六ケ所村の再処理工場前で反核燃闘争に立つ坂井さん)
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