ZENSHIN 2011/10/03(No2506 p08)
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週刊『前進』(2506号1面1)(2011/10/03 )
新自由主義と闘う11・6へ
「復興特区」=大民営化攻撃と原発再稼働を絶対に許すな!
被災地連帯・農地死守 10・9三里塚へ
9・19反原発闘争6万人の怒り、感動的な熱気と高揚。そのうねりとエネルギーのすべてを11・6労働者集会に注ぎ込み、1万人を超える大結集をかちとろう。3・11大震災とその後のあらゆる反動をぶち破り、それを怒りと闘いに転化する階級闘争の新時代が、福島を先頭として始まった。6万人のデモの先頭には「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(な全=NAZEN)が立った。3・11以来の激闘で、ついに日本の労働者階級は、国鉄決戦と反原発闘争という革命の戦略陣地を奪取し、階級的力関係を変動させた。次は11・6だ。新自由主義への根底的怒りと決起をここに大結集しよう。
生きるために団結して闘う
9月19日、東京・明治公園一帯を埋め尽くした6万余の人びとは、「こんな社会はおかしい」「これは生きるための闘い」「今度こそ負けられない」と、深く固く決意した。広い会場が超満員となり、周辺にも人があふれJR千駄ケ谷駅から会場までたどり着けない人びとも大勢いた。
原発事故への労働者人民の怒りはこれほどにも激しく深い。決定的なことは、体制内指導部の制動を打ち破って、多くの労働組合から動員割り当ての枠を超えて組合員が大結集し、反原発闘争に労働組合旗が翻ったことだ。9・19闘争で階級情勢はさらに一変した。
福島の心の底からの怒りの声を聞こう。「半年という月日の中で、次第に鮮明になったことがある。真実は隠される。国は国民を守らない。福島県民は核の実験材料にされる。大きな犠牲の上になお、原発を推進しようとする勢力がある。私たちは棄(す)てられたのだ」「私たちは今、静かに怒りを燃やす東北の鬼です」「どうしたら原発と対極にある新しい世界をつくっていけるのか。できることは、誰かが決めたことに従うのではなく、一人ひとりが本当に本気で自分の頭で考え、確かに目を見開き、自分ができることを決断し、行動することです」「私たちは誰でも変わる勇気をもっています。奪われた自信を取り戻しましょう」(9・19集会での武藤類子さんの発言)
まさに、この福島の人びとの根底的な怒り、叫びと固く結びつき、国や東電の棄民政策を絶対に許さず、原発再稼働絶対阻止・全原発廃絶へ、生きるための闘いを貫くことこそ決定的である。
原発は地上に置かれた原爆だ。原発を廃絶しなければ人類は滅びる。9月23日、福島第一原発1号機の格納容器につながる配管に予想以上の水素がたまっていることが判明した。2、3号機も同様の可能性が高い。気体中に水素が4%以上、酸素が5%以上含まれると水素爆発を起こす。格納容器などで再び水素爆発が起きれば、膨大な放射能がまき散らされる。
にもかかわらず、政府・経産省や東電は「冷温停止の前倒し実施」と大うそを振りまいている。メルトダウン、メルトスルーした核燃料がどこにあるかも不明なまま、「温度が下がった」と大宣伝している。すべては反原発闘争に恐怖した、再稼働と原発輸出のための大ペテンである。
原発を推進してきた日帝支配階級、「原子力村」の全構造を打倒し一掃しない限り、何も解決しない。今はまだ「原発の全廃は体制転覆と同じで、そこまでは腹をくくれない」と思っている人も、大恐慌が深まり原発事故が深刻化する中で、必ず生きるための闘いに決起してくる。9・19闘争はそのことを示した。
勝利の一切の鍵は、労働組合が握っている。労働組合が〈賃労働と資本は非和解〉の階級的立場を貫き、反原発の中心に立って決起するならば、あらゆる階級・階層を団結させ、社会を変革することは絶対にできる。職場で反原発闘争を闘い、労働組合を組織し、11・6集会へ突き進もう。
動労千葉に続き闘って勝つ
動労千葉は9月25〜26日に開催された第40回定期大会で、京葉車両センターの構内業務の外注化の10・1実施を阻止したことを、高らかに宣言した。決定的な勝利である。動労千葉の10年間にわたる外注化との闘いは、千葉支社管内のみならずJR東日本全体の検査・修繕部門の外注化を阻止してきた。
この闘いは、平成採労働者の獲得、組織拡大と一体でJR東資本との力関係を変え、現下のJR大再編情勢に食い込み、その主導権を握る闘いである。動労千葉のように闘えば、新自由主義攻撃を打ち破り、闘う労働運動を復権・再生できることを、具体的闘いで示しているのだ。
新自由主義攻撃の先端・基軸をなした国鉄分割・民営化の強行で生まれたJR体制は、今や崩壊の危機を迎え、立て直しをかけた大再編に絶望的に突進している。この中でJR東日本副社長から就任したルミネ社長の自殺(5月)に続き、9月にはJR北海道の社長が遺書を残して失跡、自殺した。分割・民営化体制は今やボロボロだ。
JR東のグリーンスタッフ(GS)制度が示すように、JR資本は5年間働いたベテラン契約社員を雇い止めし、外注会社にあっせんして、ついには駅丸ごと外注化しようともくろんでいる。ひたすら金もうけのために青年の未来を奪い、分断し、奴隷のように扱っている。「こんなあり方は間違っている!」「JRに一矢報いたい」というJR平成採の怒りに肉薄し、青年労働者の反乱を組織してJR体制を打倒しよう。動労千葉、動労水戸、動労総連合とともに闘おう。
さらに郵政非正規ユニオンの闘いが全国に拡大している。9月20日のストライキに続き、29日には多くの非正規職の青年労働者が、正規職労働者とともに本社デモに決起した。彼らの怒りは福島の怒りと完全にひとつであり、新自由主義への心底からの怒りだ。外注化・非正規職化、偽装請負なしには成り立たない社会など根本からひっくり返そう。
11・6労働者集会を新自由主義に対する総反撃の日としよう。
11・6で野田政権の打倒へ
日本経団連の資本家どもと連合ダラ幹に支えられたボナパルティズム権力=野田民主党政権と、9・19の6万人の怒りは非和解だ。
9・19翌日の日本経団連会長・米倉の発言は絶対に許すことができない。「1に復興、2に復興、それに福島原発事故の収束だ」「復興特区は年内に設置してほしい」「特区では規制をゼロから見直すほか、新たに立地する企業には法人実効税率を思い切って15〜20%まで引き下げる」「農業に関しても、特区では企業の参入規制を緩和し、大規模化を推進する」「復興財源に消費税考慮を」等々。
米倉は大震災を資本の延命のチャンスととらえ、被災地の土地を格安で取り上げ、工場を立地し、賃金を「アジア並み」にし、全部を非正規職にして徹底的に搾取・収奪しようとしている。これを日本中に広げようとしている。日帝がやろうとしている道州制とはこういうことなのだ。
野田はこの経団連・米倉と一体であり、「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」という極右的人物である。この野田が全面的な攻撃に出てきた。「来年の春以降、再稼働できるものは再稼働していく」と米紙の会見で宣言し、国連の演説では「原発の安全性を世界最高水準に高める」と公言、「原発輸出の推進」を強調した。28日には日本原子力発電がベトナム公社と調査契約を結んだ。
さらに辺野古への米軍新基地建設をオバマから強く要請され、「沖縄を全力で説得する」と宣言した。
11・6に向けた当面の最大の激突点は、原発再稼働阻止と、JR大再編を先端とする外注化・非正規化、そして「復興特区」攻撃をめぐる攻防だ。これに勝ちぬこう。
第一に、拠点職場・キャンパスから総決起しよう。第二に、国鉄闘争全国運動を広げ、職場に「動労千葉を支援する会」をつくり拡大しよう。動労千葉物販で自治労、日教組を始め国鉄闘争100万人支援陣形に全力で分け入り、闘いを広げよう。第三に、「な全」=NAZENを全国に組織し、福島の怒りと結び反原発のうねりを11・6へ組織しよう。第四に、11月集会へ一度でも来た人にすべて声をかけ、もう一人を組織し、結集してもらおう。第五に、「9・19の次は11・6だ!」の大宣伝・扇動戦に打って出よう。
10・9三里塚現地闘争の爆発から11・6労働者集会へ、嵐の大進撃をかちとろう!
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週刊『前進』(2506号1面2)(2011/10/03 )
動労千葉 “外注化提案を白紙撤回しろ”
検修職場でストライキ貫徹
(写真 “動労千葉に結集し外注化阻止へともに闘おう” ストに入った組合員を先頭に京葉車両センター門前で抗議闘争【9月30日 千葉市美浜区】=関連記事3面)
動労千葉は9月29、30日、京葉車両センターでの構内業務一部外注化提案の白紙撤回を求めてストライキに決起した。
ストに入ったのは検修職場である京葉車両センター、幕張車両センターと、千葉・銚子・木更津・鴨川などの検査派出で働く組合員だ。29日は始業から2時間の時限スト、30日は正午から終業時までのストが打ち抜かれた。
スト初日の29日、焦点の京葉車両センター門前に結集した組合員は、早朝からスト突入集会と京葉車両センター抗議闘争に決起した。
30日昼にはストに入った組合員に加え、運転職場からも勤務以外の組合員が総結集して、再び京葉車両センター門前での抗議闘争が闘い抜かれた。動労水戸の石井真一委員長や、動労千葉を支援する会、全学連からも多数の仲間が駆けつけ、ともに闘い抜いた。
この場で田中康宏委員長は「われわれは10月1日からの構内業務外注化実施を完全に阻止した」と高らかに宣言。「すでに当局の提案は破綻している。白紙撤回しろ!」と門前に居並ぶ管理者たちに突きつけた。田中委員長はさらに「当局は計画を縮小してでも構内業務の外注化を強行しようとしている。検修全面外注化の突破口を開くためだ。水面下では会社と東労組が来年4月をにらんで全面外注化についての交渉を進めている。絶対に許してはならない。今日の闘いは全面外注化阻止への新たな出発点だ」と述べた。
京葉車両センターで構内運転をしている青年組合員は、職場の同僚に向かって「外注化を止める力はここに集まった仲間の中にある。一緒に闘おう」と確信に満ちたアピール。検査派出で働く組合員は「闘えば外注化を止められることは、10年間の闘いで証明されている。動労千葉に結集して闘おう」と熱烈に呼びかけた。また、マイクをとった組合員は口々に、水面下で全面外注化をめぐる裏切り団交を進めている東労組を徹底的に弾劾した。
職場から闘い起こし11・6へ
動労千葉の9・29〜30ストは、10月1日外注化実施阻止の勝利を確認するとともに、検修業務の全面外注化阻止に向けた強固な決意をJR東日本に突きつけた。
6月10日の構内業務一部外注化の提案以来3カ月余り、職場ではまさに息詰まるような組織攻防戦が展開されてきた。そして、「職場を奪い、青年の未来を奪う外注化に協力しないでくれ」との動労千葉の訴えに、他労組も含めてほとんどの労働者が応えた。
外注化要員として手を上げたのは、カクマル分子2人と元助役の計3人だけだ。決定的な勝利だ。
動労千葉の闘いは、敵の矛盾を突き、職場の団結をうち固めて闘えば必ず展望は切り開けることを示している。全国の労働者への檄(げき)だ。郵政・自治体・教労を始め、全国のあらゆる職場から闘いを巻き起こし、11・6全国労働者集会への大結集を実現しよう。
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週刊『前進』(2506号1面3)(2011/10/03 )
前進速報版から
▼11月集会へ動労千葉が国際連帯ニュースを発行▼岡山で反原発・反失業の労働者集会▼中国・広東省で農民5千人と武装警官が激突
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週刊『前進』(2506号1面4)(2011/10/03 )
日程 11・6全国労働者総決起集会
反原発・反失業の国際統一行動を! 国鉄1047名解雇撤回! 非正規職撤廃! 新自由主義とたたかう労働組合の全国ネットワークを!
11・6全国労働者総決起集会
11月6日(日)正午/東京・日比谷野外音楽堂
集会後デモ行進(午後3時30分出発予定。途中、東電前抗議行動を予定)
(呼びかけ)
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部/全国金属機械労働組合港合同/国鉄千葉動力車労働組合/国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動
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週刊『前進』(2506号2面1)(2011/10/03 )
JR体制打倒へ11・6集会に大結集を
動労千葉のストライキに続き全職場で外注化阻止を闘おう
分割・民営化に決着つける決戦
国鉄分割・民営化が強行された1987年から25年目を迎える2012年4月を前に、JR資本は労務支配の大再編を含めた「国鉄分割・民営化の完遂」の攻撃をいよいよ強めている。その軸にあるのが、さらなる外注化・非正規職化の攻撃だ。11・6全国労働者総決起集会に至る過程は、外注化・非正規職化を絶対に阻止する決戦と完全に重なった。JR資本と根底的に対決する闘いを職場から巻き起こし、それと一体のものとして11・6集会への万余の結集をかちとろう。
来年4月までの大攻防へ
9・19反原発6万人集会は、日本階級闘争を根本から塗り替えた。反原発の怒りは根底的だ。福島第一原発の事故はなんら収束せず、福島を始め被災地の十数万人の人びとが住むところや職を奪われ、放射能汚染に苦しんでいる。その中で野田政権は、原発を絶対に手放さない姿勢をむき出しにした。支配階級と労働者人民とは絶対的に非和解だ。9・19に結集した誰しもが、そのことを実感としてつかみ取っている。何よりも、6万人の大結集により、「労働者には社会を変革する力がある」ということが階級の確信として打ち固められたことが決定的だ。
その熱気のただ中で、動労千葉は9月29、30日、検修構内外注化阻止を掲げてストライキに立った。JR東日本が6月に提案した京葉車両センターにおける構内運転業務の外注化は、動労千葉の粘り強い闘いにより阻止されたが、JRはあくまで外注化の強行実施を狙っている。これに対し動労千葉は、提案の白紙撤回を要求してストライキを貫徹した。
国鉄分割・民営化から25年目の来年4月に向かって、外注化阻止決戦はさらに決定的な段階へと煮詰まっていく。
JR東日本は01年以来、鉄道業務の外注化を強行してきたが、これに対して動労千葉が10年にわたり展開してきた闘いは、千葉支社管内における検修部門の外注化を敢然と阻み続けている。
その闘いは、千葉支社管内だけでなく、JR東日本全体で、検修外注化を資本がたくらむ計画の約1割に押しとどめている。しかも、動労千葉の闘いに励まされ、至る所で外注化に反対する青年労働者の闘いが噴出し始めている。もはやそれは東労組カクマルによって抑え込むことなどできない勢いだ。さらに、すでに業務の大半が外注化されている保線や電気、信号通信などの設備部門でも、出向を強いられたJR社員を外注会社に転籍させるというJRの思惑は貫徹できていない。
01年以来の設備部門の外注化は、東労組カクマルの裏切りだけでなく、何よりも4党合意以来の国労本部の屈服と転向によって支えられ強行されてきた。国労の主力をなす保線部門の外注化に国労本部は何ひとつ抵抗せず容認した。その行き着いた先が、4・9政治和解であり、雇用なき1047名闘争の終結だ。
だが、和解を拒否した闘争団員の闘いや国労5・27臨大闘争弾圧被告団の闘いを軸に、闘う国労組合員は国労総体の変質をくい止めるために総力を挙げてきた。4者4団体が雇用のないまま1047名闘争を終結させたことを機に、今や国労の現場組合員の中から、資本との闘いを抑圧する国労本部への批判が公然と表明され始めている。
「共に闘う国労の会」の闘いは、来年4月を前に外注化が再度、全JR職場の問題として浮上してくる中で、動労千葉−動労総連合とともに国労内で外注化阻止の闘いを巻き起こす、大きな展望を切り開いたのだ。
GSの雇い止めと外注化は一体
グリーンスタッフ(GS)の雇い止め解雇をめぐる攻防も、根底にあるのは外注化攻撃との対決だ。JR資本は、GSの雇い止めを外注化推進のテコとして徹底的に使い切ろうとしている。JR東日本は、正社員試験に合格できなかったGSに関連会社を紹介するという。それは、GSに今以上の低賃金と強労働を強いつつ、GSが培ってきたスキルを外注化のために徹底的に利用するということだ。東労組や国労本部も、雇い止めとの闘いをせず、「グループ会社による雇用機会の提供を拡大しろ」と要求してJRの施策を積極的に推進しているありさまだ。
すでに地方においては駅業務の丸ごと外注化が次々と進められている。首都圏においても、窓口が丸ごと外注化されている駅は少なくない。JRはこれを極限まで拡大し、営業部門は全面外注化する一方で、最低限必要な安全要員は「ライフサイクル」、つまり運転士の駅への強制配転で確保しようと策している。
GS雇い止めとの闘いは、まさに外注化阻止決戦の不可欠の一環だ。
外注化推進するJR総連
JR大再編の中で資本に切り捨てられることを恐れる東労組カクマルは、ついに検修部門の外注化推進に公然とかじを切った。
8月12日の東労組と会社との団交で、東労組は「検修業務の7〜8割がグループ会社に出ることになると思うが……現在の休日日数などがあると理解していいのか」「構内の休憩所とかが改善できるのか」などと言っている。出向先での休日数増や休憩所の改善がなされれば、検修業務の大半に及ぶ外注化を認めるということだ。さらに、来年4月の外注化実施を主張するJRに対し、東労組は「われわれも遅らせるのが目的ではない」と応じている。
JRは「検修外注化により1000人が外注会社に出向に出され、出向の解消には10年かかる。しかも戻れる場所は技術管理か総合車両センター(工場)しかない」と明言した。これに対し東労組は、「出向はローテーションにしろ」と要求しているていたらくだ。
いったん出向に出されたら10年後にJRに戻れる保障など何もない。外注会社への転籍が強要されることは明らかだ。そんなことは百も承知で、東労組は検修全面外注化に承認を与えたのだ。
これは、一握りのカクマル分子が資本と結託して生き残るために、平成採の現在と未来を奪い尽くすということだ。
大恐慌と大震災情勢下、JR資本には外注化攻撃を一層激化させる以外に延命の道はない。JR東日本は08年3月に打ち出した「グループ経営ビジョン2020−挑む−」で、「運輸業以外の営業収益を全収益の4割程度にまで引き上げる」と叫び立て、鉄道部門の徹底した切り捨てを進めてきた。大震災によってさらなる危機にたたき込まれたJR東日本は、その「グループ経営ビジョン2020」についてさえ、「数値目標を含めた具体的内容については新たな視点で見直しを図る」「設備の徹底的なスリム化や、コストダウンを可能とするメンテナンス方法の検討を進める」と唱えている。JRが来年4月に導入をたくらむ新人事・賃金制度もその一環だ。
大震災は、ことに三島JR(北海道、四国、九州)とJR貨物に甚大な打撃を与えた。この中でJR貨物は、「ニューストリーム2011」に代わる新たな合理化計画「飛躍」を今年4月に打ち出した。その内容は乗務体系の抜本的改悪を軸とした1000人以上の人員削減だ。「飛躍」の中でJR貨物が強調する「固定費の変動費化」とは、外注化を極限まで強行するということだ。
これがもたらすものは安全の根底的な崩壊だ。今年6月のJR北海道・石勝線における特急列車の脱線・炎上事故は、いくつもの偶然が重なり死者は出なかったものの、まさに第2の尼崎事故と言える事態だった。ディーゼルカーの推進軸が脱落しトンネル内での脱線・炎上に至ったこの事故は、検修外注化と航空会社に対抗するための無謀なスピードアップによって引き起こされた。
外注化を許せば、大事故がさらに頻発することは明らかだ。絶対に阻止しなければならない。
日帝の基本戦略撃つ闘い
JRで進行する攻撃は、日本帝国主義ブルジョアジー総体の戦略とぴたりと重なる。民主党政権は、「原発継続しか活路はない」と叫ぶJR東海会長の葛西敬之を「東京電力経営・財務調査委員会」の委員に任命して原発推進の実行担当者としてきたが、野田政権のもと、葛西を新たに行政刷新会議のメンバーに加えた。つまり、葛西に公務員労働者360万人首切りの陣頭指揮を執らせるということだ。この攻撃の切っ先には、被災地を「特区」とし、労働基本権を停止して「アジア諸国並み」の低賃金で労働者を搾取するという経団連の戦略がある。
新自由主義の突破口になったのは国鉄分割・民営化だ。その国鉄分割・民営化と24年間、対決してきた国鉄戦線こそ、日帝資本の基本戦略を根底から覆す位置にあり、その責務を負っている。
敵の攻撃も破産的だ。JR北海道社長・中島尚俊の自殺は、JR大再編情勢が敵階級の中にすさまじい矛盾とあつれきを生んでいることを示している。JR総連カクマルとの結託体制を清算して資本による単一支配をつくり出そうとする攻撃は、逆にカクマル支配の崩壊のすき間を突いて青年労働者の資本への反乱をつくり出している。
11・6労働者集会と来年4月に至るJRをめぐる大決戦は、この情勢下で闘われる。青年はJR資本とJR総連へのすさまじい怒りを抱えている。それを力ある闘いに転化するためは、青年をマルクス主義で獲得することが必要だ。そのための不屈の実践を貫徹できる細胞と地区党の強固な団結を築き上げよう。
11・6への万余の結集をつくりだし、その力で外注化阻止・JR体制打倒に突き進もう。
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週刊『前進』(2506号2面2)(2011/10/03 )
郵政本社へ怒りのデモ “斎藤・鍋倉社長 出て来い”
非正規ユニオン先頭に250人立つ
クズ扱いは許さないぞ!
9月29日、非正規労働者への大量雇い止めなどの「郵政大リストラ」攻撃を弾劾する郵政本社デモが行われた。デモは労組交流センター青年部、郵政非正規ユニオン、合同・一般労組全国協議会、労組交流センター全逓部会の4団体共催で行われ首都圏の闘う労働者250人が参加。雇い止め攻撃との攻防の渦中にある非正規ユニオンの組合員を先頭に「おれたちは人間だ!」「クズ扱いは許さない!」と強い怒りの声をたたきつけた。
午後6時30分、東京・新橋駅近くの公園に結集した労働者は次々と怒りの声を上げた。この日、ストライキに突入した動労千葉が駆けつけ、関道利執行委員があいさつ。「本日、京葉車両センター構内業務外注化阻止のストに入った。郵政の雇い止めは許せない。ともに非正規職化粉砕で闘おう」とアピールした。郵政非正規ユニオン委員長の斎藤裕介さんは「今日のデモはすべての非正規職労働者の怒りのデモだ。非正規職(制度)をなくそう。『非正規労働』なんて差別なんだと知らしめよう」と訴え、デモ隊は繁華街に出た。
「非正規職を撤廃しよう!」「雇い止めを撤回しろ!」「労働者はモノじゃないぞ!」「労働者は人間だ!」「クズ扱いは許さないぞ!」
デモ隊は仕事帰りの労働者でごった返す新橋から霞が関の日本郵政本社へ。多くの人が沿道から手を振り声援を送った。
本社前でシュプレヒコール。「日本郵政・斎藤、日本郵便・鍋倉社長出て来い!」「すべての雇い止めを撤回しろ!」「赤字の責任を現場に押しつけるな!」「追い出されるのは斎藤、鍋倉の方だ!」。本社ビルから出てくる多くの労働者がデモ隊に注目する一方、郵政資本はガードマンや管理職を並べて阻止線を張り大打撃を受けている姿をさらした。
(写真 デモ隊は、郵政本社に対して「すべての雇い止めを撤回しろ!」「非正規職を撤廃しよう!」と怒りの声を上げ郵政大リストラを弾劾した【9月29日 東京・新橋】)
組合員の団結と信頼が支え
デモ後の総括集会で斎藤委員長があらためてあいさつ。「若い情熱だけでは世の中を変えられない。青年の心をもった大人たちと僕たち青年が一つになって闘おう」「私も家族の生活を抱えている。闘いの中で絶対負けられないという根性がついた。組合員の団結と信頼が私を支えている」と非正規ユニオン運動の組織化を訴えた。組合員たちも「わいてきた情熱を日本中に広めたい」「実家は福島の原発に近い農家で心配。原発問題も含め闘っていきたい」と思いを語り、支援への感謝を述べた。
また非正規職の青年労働者は「正規と非正規の賃金差は何なのか? 雇い止め撤回という程度の要求でいいのか。底辺から労働者が闘って社会を変えよう」と訴えた。
最後に全逓部会の代表が「非正規職の闘いをJP労組本体に持ち込み、新たな全逓決戦を闘いぬく。11月労働者集会へともに進撃しよう」と訴え、ユニオン委員長の音頭で「団結、勝利しよう」と締めくくった。
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週刊『前進』(2506号2面3)(2011/10/03 )
国労5・27臨大闘争弾圧裁判 控訴審判決公判に結集を
国労6被告の無罪かちとれ
国労5・27臨大闘争弾圧裁判の控訴審判決公判が10月13日、午後1時半から東京高裁第10刑事部(村瀬均裁判長)で開かれる。判決公判と同日夕の国鉄闘争勝利総決起集会に結集しよう。
国労5・27臨大闘争弾圧とは、鉄建公団訴訟を起こした国労闘争団員を統制処分の手続きに付すために02年5月27日に国労本部が強行開催した臨時大会に際し、本部方針を弾劾するため闘う国労組合員らが本部役員らの宿泊するホテル前で繰り広げたビラまき・説得活動が「暴力行為等処罰法違反」にデッチあげられた弾圧だ。国労本部は闘う組合員を平然と警察権力に突き出した。
被告とされた国労組合員6人と国鉄闘争支援者1人は、この弾圧に全力で立ち向かい、7年にわたる裁判闘争を貫いた末、09年11月の一審判決で国鉄闘争支援者は無罪判決をかちとった(確定)。一審判決はまた、暴力行為等処罰法は適用できないとし、被告の間に共謀があったとする検察側の主張も退けた。それならば全員に無罪判決が下されなければならないはずだが、司法権力は国労組合員の6被告に対し「単純暴行」で罰金刑というきわめて政治的な反動判決を出した。
6被告は完全無罪を求めて控訴、控訴審は全被告の証言を終え、今年5月7日に結審した。一審から通算して約9年の裁判闘争の全内容を踏まえれば、判決は全被告の無罪以外にあり得ない。しかし、大恐慌と大震災情勢のもと、反原発を始めとする膨大な労働者人民の決起に追いつめられた司法権力は、階級的労働運動の発展を抑え込むため、あくまで有罪判決を維持しようとたくらんでいる。10月13日の判決公判は、この策動と真っ向から激突する闘いだ。被告団は、どのような判決が出されようと、あくまで国家権力と対決し、国鉄闘争勝利・国労本部打倒、外注化阻止を軸とするJRとの大決戦を闘いぬく決意を固めている。
国労本部打倒 国労の再生へ
6被告は国労を階級的に再生する闘いの先頭に立ってきた。新自由主義に対する労働者の抵抗の拠点としてあった国鉄闘争を解体するために強行された昨年4月9日の「政治和解」を徹底弾劾してきたのも5・27被告団だ。その闘いは和解を拒否して解雇撤回まで闘いぬく国労闘争団員6人の闘いを生み出し、国鉄闘争全国運動の一翼を担う「共に闘う国労の会」の闘いをつくり出した。
JR体制の破産は明白だ。青年を先頭とした現場労働者の力で、国鉄分割・民営化以来の一切に決着をつける時が来た。
しかし国労本部は、今年7月の国労大会で国労闘争団員の解雇撤回闘争の終結を宣言し、国労規約を改定して闘争団員を組合から排除するところにまで転向を深めている。彼らは連合への合流をあけすけに表明し、JR大再編情勢の中でますますJR資本の手先に純化しつつある。JR東日本のグリーンスタッフ雇い止めとも闘わず、新人事・賃金制度を受け入れ、総合労働協約の締結をも策している。国労本部は、組合員が反原発闘争の大高揚と結合することを恐れ、9月19日の反原発6万人集会にまともな動員もしない腐敗した姿をさらした。
だが、こうした本部のあり方に対し、闘う組合員は9・11−9・19反原発・反失業闘争の先頭に立った。JR総連やJR連合傘下の青年労働者、国労の現場組合員の怒りを糾合し、外注化・非正規職化阻止−JR体制打倒の突破口を被告団とともに切り開こう。
10月13日を国鉄闘争勝利に向けた一日行動として闘おう。あくまで国鉄1047名解雇撤回を掲げぬき、11・6全国労働者総決起集会への万余の結集をかちとる一大ステップとして公判闘争と集会を闘いぬこう。
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国鉄闘争勝利!一日行動
10月13日(木)
国労5・27臨大闘争弾圧裁判
控訴審判決公判
午後1時半 東京高裁102号法廷
※傍聴券交付 午後1時〜
判決公判報告・国鉄闘争勝利総決起集会
午後6時半開始
東京・文京区民センター
主催/国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回を共に闘う国労の会
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週刊『前進』(2506号2面4)(2011/10/03 )
反原発・反失業掲げ
被災地で青年労働者集会
9月23日、仙台市で「青年の力で原発なくせ! 非正規なくせ! 首切りなくせ! 東北青年労働者集会」が行われ、40人が参加しました。
基調提起にみやぎ連帯ユニオンの仲間が立ちました。「原発なんて始めから1基も造ってはならなかったし、労働者は労働組合のもとに団結してなんとしても国や資本家たちを止めなければならなかった。ですが過去は過去。未来はこれからです。今、止めることは可能です」「労働者が団結して闘えば、この社会、いくらだっていいように変えることができる」。解雇撤回の闘いを地域、全国の仲間たちと団結を拡大させて闘ってきた実践が、提起の一言ひとことに説得力と魂を吹き込む堂々たるアピールに、会場全体が大高揚。
福島の仲間は「フクシマの怒りは確実に闘いをつくり出している。元に戻させるよう、声を上げていく」と渾身(こんしん)の訴え。
現地救援対策本部の仲間は日本経団連の「復興・創生マスタープラン」を徹底批判し、「反原発の闘いと反失業の闘いが新しい社会を建設する力だ」と提起。
その後の発言では、「自分の職場で一歩踏み出しビラまきをした」「職場の仲間とともに雇い止めに声を上げた」「隣の労働者が原発推進派。闘う労働組合づくりと反原発は一体だ」「繁忙期のみの雇用、安全切り捨てでもうける派遣労働は原発労働と同じ。もっと怒ろう」「営業ノルマの達成度に応じて行われる郵政の正規職登用はおかしい」「暴力を振るう上司に怒りをぶつけるため、労組に入って訴えた」など、闘いの総括、教訓が次々に出されました。最後に「11月6日は日比谷と手帳に書いた」という訴えに共感して、手帳に記す姿が多々見られました。
(宮城・T)
(写真 「青年の力で原発なくせ! 非正規なくせ! 首切りなくせ!」と訴えて団結【9月23日 仙台市】)
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週刊『前進』(2506号3面1)(2011/10/03 )
外注化・基地再編粉砕へ
動労千葉定期大会 “新たな歴史、ここから”
スト貫徹へ万全の意思統一
本格的な組織拡大への挑戦
動労千葉は9月25〜26日、第40回定期大会をDC会館で開催し、激戦激闘に明け暮れた1年間を勝利的に総括するとともに、今秋から来春闘に向けた新たな闘いの方針を確立した。
とりわけ、京葉車両センターでの構内業務外注化提案から3カ月余り、組織の総力をあげた闘いで10月1日実施を阻止する決定的勝利をかちとったことを1年間の闘いの集大成としてがっちり確認した。もちろん千葉支社はあきらめていない。検修全面外注化への突破口を開くために外注化の実績をつくろうと必死なのだ。動労千葉は大会の場で「提案の白紙撤回」を掲げた9月29〜30日のストライキに向けて万全の意思統一を図った。@dan
あいさつに立った田中康宏委員長は冒頭、ライフサイクル強制配転反対闘争、勝浦市長選への挑戦に始まった今年の闘いの経過を振り返りながら、現場での奮闘にあらためて敬意を表した。とりわけ、1047名闘争解体攻撃と対決して国鉄闘争全国運動を軸に闘う労働運動復権への土台を築いたこと、最大の焦点であった外注化阻止闘争の勝利の意義について強調した。
そして「3・11大震災と原発事故は情勢を一変させた。この問題を抜きにこれからの労働運動は語れない。時代は動き出している。何よりもいま必要なのは労働組合の復権と再生だ」と述べた。
田中委員長はさらに内外情勢と国鉄をめぐる動向、大会でかちとるべき課題を全面的に明らかにした上で、「4月までの決戦の渦中で本格的な組織拡大を実現しよう。ここから動労千葉の新たな歴史を築き上げていこう」と呼びかけた。
(写真 満場一致で信任された田中委員長を先頭とする新執行部が前列に並び、今秋決戦から来春闘への決意を表明【9月26日 千葉市・DC会館】)
11・6集会へ万余の結集を
闘いの経過と総括を繁沢敬一副委員長が、情勢を川崎昌浩執行委員が、方針を長田敏之書記長が提起した。
長田書記長はとくに、当面する具体的闘いについて「京葉車両センターでの構内業務一部外注化提案の白紙撤回を求めて9月29〜30日のストを構える。さらに当局は基地統廃合をめぐって、新設される運輸区の要員規模も明らかにしないままに線見訓練の実施を提案してきている。とんでもない話だ。裏に組織破壊の狙いがあるからだ。組合員への訓練指定が強行された場合は指名ストを含む闘いに入る」と提起した。そして「11・6集会に今年こそ万余の結集を実現しよう」と声を大にして訴えた。
討論では、外注化や運転基地統廃合との闘い、組織拡大に向けた各支部からの意見と決意が次々と表明された。車両技術分科会からは、この間の特徴的な故障実態が報告され「検査周期の延伸とコスト削減、作業省略による事故や故障を危惧している」と警鐘が鳴らされた。また「2等級、3等級に置かれたままの組合員がいる現状に正面から取り組むべきだ」との意見が出され、田中委員長は「大会決定として取り組む」と答弁した。
スト権を満場一致で批准、新役員の信任投票が行われ、田中委員長を先頭とする新執行体制を確立した。
大会では多くの来賓が連帯あいさつを行った。
三里塚反対同盟の北原鉱治事務局長は「動労千葉とともに闘ってきた45年間は間違っていなかった」と述べ10・9三里塚現地闘争への結集を呼びかけた。動労水戸の辻川慎一副委員長は「国鉄に入って以来、国鉄闘争の本流は動労千葉でありわれわれだという一念で闘ってきた。それをついに実現すべき情勢が来た。動労千葉に続いて組織拡大を実現する」とアピール。新社会党千葉県本部、動労千葉を支援する会、OB会、家族会からのあいさつが続いた。
動労千葉議員団からは9月御宿町議選で5選を果たした中村俊六郎さんが支援のお礼を述べ、前勝浦市議の水野正美さんは「4期16年の議員活動に区切りをつけ、今後は一OB組合員としてともに闘う」とあいさつ、大きな拍手が送られた。
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週刊『前進』(2506号3面2)(2011/10/03 )
東京西部ユニオン 鈴木コンクリート分会がスト
“遺志継ぎ解雇撤回貫く”
「田口組合員は、会社の組合つぶしのための解雇によって殺された!
絶対許さない! ただ今から1日ストに突入します!」。9月27日の朝、東京・北区浮間舟渡の工場街一帯に怒りのアジテーションが響く。東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会がストライキに突入したのだ!
早朝、駅前で第一声をあげ社前に移動。分会員全員が腕章・鉢巻き姿で赤旗を持ち、スト突入を知らせるビラを出勤する労働者、近隣の労働者に手渡す。ほとんどの労働者、元組合員もビラを受け取り、「ご苦労さん」と声をかけていく。この間、不当解雇された田口守さんの逝去に職場で衝撃が走り、「しのぶ会に行きたかった」と非組合員も話しかけてくる。
西部ユニオン組合員を始め支援も十数人がかけつけた。社長の長男も監視の次男と元分会役員もうなだれている。分会員が次々とマイクで訴え、分会声明を読み上げる。2年前の第2回団交で社長を何度も追及した田口組合員の言葉で魂を込めて訴える。「鈴コンで働くすべての労働者は一緒に闘おう。俺たちは田口さんの無念の遺志を引き継いで、解雇撤回、謝罪させるまで闘いをやめない。賃下げを撤回させよう。過積載など違法の強要は拒否しよう」
西部ユニオンと鈴コン分会は3日前に、「逝去に伴い直ちに解雇撤回と遺族への謝罪、この間の組合無視の一方的賃下げの白紙撤回と釈明」を掲げたスト通告書を突きつけた。資本は前日、「解雇と今回の死は関係ない」「精勤・皆勤手当の廃止は撤回できない」などという許し難い回答を出してきた。資本の側に正当性はない。
この日、1年半にわたり闘ってきた東京都労働委員会の調査期日の場に分会先頭で乗り込み、解雇撤回・謝罪の緊急勧告を求める訴えを行った。
ストの決行は地域の労働者に瞬く間に広がり、翌日、握手を求めてくる労働者もいた。ストの威力とは団結力そのものだ。
(写真 不当解雇され逝去した田口組合員の解雇撤回と謝罪を、ストに突入した鈴コン分会員が社前で訴えた【9月27日 東京・北区】)
西部ユニオン大会が大成功
鈴コン分会のストに先立つ25日、東京西部ユニオンは60人の参加で第10回定期大会を開催した。鈴コン分会を先頭に、11・6労働者集会への大結集を通して職場分会を柱に強力な拠点と地域に影響力をもつユニオン建設を推進しよう、という方針を決めた。新たな分会や反原発・反失業闘争の中から次々と加盟した青年が発言した。「非正規という存在自体がおかしい」「一銭の得にもならないのに一緒に闘ってくれる仲間に出会えて感動している」
国鉄闘争全国運動呼びかけ人の花輪不二男さんは「資本主義は末期。自分たちが歩いて開いた道が正しい道だ。組合旗の赤は労働者の血の色。がんばろう」と激励の連帯あいさつ。青年が議事運営の中心に座り、鈴コンストと11・6への決起を誓う場となった。
(西部ユニオン・SY)
(写真 青年が議事の中心に座り東京西部ユニオンが定期大会【9月25日】)
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週刊『前進』(2506号3面3)(2011/10/03 )
埼玉・熊谷 反原発のデモに共感
動労連帯高崎が呼びかけ
9月25日、「すべての原発をとめよう! 9・25反原発・熊谷アクション」が動労連帯高崎の呼びかけ、実行委員会の主催で行われました。3・11以降、熊谷では初めての反原発行動です。
司会は自治体青年労働者。動労連帯高崎が「私たちは国鉄分割・民営化に反対して結成した労働組合。現在の大失業の根本には分割・民営化がある。職場でJRの偽装請負を告発する闘いを始めた。今日をスタートに反原発運動の先頭に立つ」とあいさつしました。
基調報告は自治体労働者から。「9・19反原発闘争でみんながこの社会を変えられると確信した。野田政権は原発再稼働と『特区』で資本主義の延命を図っている。打ち破るカギは労働組合。原発や外注化を支える労働運動を塗り変える闘いも9・19から始まった。示された怒りと力を11・6労働者集会に総結集させよう」と訴えました。
続いて動労水戸の石井真一委員長が「線路を返せ!故郷を返せ!−常磐線勤務労働者の声」と題して特別報告。「私は福島県矢祭町の出身。故郷のすばらしい自然が放射能によって奪われ本当に腹が立っている」と原発事故と放射能汚染への怒りをあらわにした。そして国鉄入社以来の職場での闘いや新自由主義に対する闘いと原発への怒りは一つであることなどを縦横に語り、11・6集会への結集を訴えました。
福島県南相馬市出身の学生からは、原発事故を引き起こしながら「安全」キャンペーンとともに「絆(きずな)」や「団結」を語る野田政権に対する怒りが語られました。会場からは各職場で放射能汚染や被曝労働の現実と闘う報告や意見が活発に出されました。
集会後のデモはものすごい注目と共感! 小学生グループは「原発反対!」とコールしながら合流。解散地点の熊谷駅前では高校生が「反原発のデモだ!」と駅から駆け降りてくる場面もありました。
(埼玉・T)
(写真 3・11以降、市内で初めての反原発デモに小学生も合流【9月25日 熊谷市】)
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週刊『前進』(2506号3面4)(2011/10/03 )
経団連「復興プラン」を許すな
労働基本権の解体狙う「特区」 被災地労働運動先頭に闘おう
革共同宮城県委員会
新自由主義を貫徹する攻撃
「復興需要は企業にとって巨大なビジネスチャンス!」「今後10年で県と市町村がつぎこむ財源は少なくとも13兆円。宮城に進出すれば確実に仕事がある!」。9月6日、宮城県知事の村井嘉浩は、三井住友銀行本店で350社の資本家を前に被災地への投資をこのように呼びかけた。
その4日前に成立した野田新政権は、原発再稼働と大増税、TPP(環太平洋経済連携協定)推進を真正面から打ち出している。
経団連が5月27日に発表した「復興・創生マスタープラン〜再び世界に誇れる日本を目指して〜」(以下「プラン」)こそ日帝ブルジョアジー中枢の行動指針である。被災地を突破口にして新自由主義攻撃を労働者人民総体に全面的に貫徹するぞという憎むべき宣戦布告だ。核心は「震災復興特区」導入による労働基本権解体=憲法停止であり、外注化・民営化による9割の労働者の非正規職化である。
幾万人もの犠牲を強いた上に労働者・農漁民を血の一滴まで搾り取り、絞め殺すのがこの「プラン」だ。絶対に許せない。被災地労働運動を先頭に、断固粉砕しよう。
「プラン」の中核をなすものは「震災復興特区」だ。
「グローバルな競争が激化するなか、復興に手間取れば、即座に国内外の競争に取り残されてしまうおそれがある……被災地域全体を特別立法により震災復興特区に指定する」としている。
「グローバルな競争」を強調している通り、「復興」とは大恐慌下で日帝資本が帝国主義間・大国間の争闘戦の中で延命していく以外の何物でもない。
その上で、特区で実施する「特例措置の例」として、@36協定限度時間の緩和、A特別条項に定める時間外労働時間の延長時間規制の緩和、B1年単位の変形労働時間制の弾力的運用、C期間の定めのある労働者の雇用期間上限緩和、D労働者派遣法における専門26業務に関する弾力的運用−−を挙げている。
労働時間や雇用に関する規制を全面的に取り払い、労働基本権の解体と総非正規化による搾取の自由を要求しているのである。「9割非正規化」と「工場法以前の状態」を要求してきた新自由主義の労務政策を、「被災地=復興特区」を皮切りに労働者階級全体に強制するということだ。
トヨタ自動車はすでに、年間残業時間が360時間を超える場合の労使間の事前合意をなくし、事後承諾制とする方向で労使協議に入った。労働組合の屈服と先兵化による労基法36条の解体である。
被災地丸ごと民営化を狙う
「震災復興特区」と一体で強力に打ち出されているのが、「民間活力の活用」と称する被災地丸ごとの民営化である。
「公的部門のみで被災地の膨大なニーズを満たすことは不可能である」とし、「PFI(民間資金活用)、指定管理者制度、民間委託に加え、従来の発想を超えた新たな制度を含め、PPP(官民共同)を通じて、民間の知恵や活力をこれまで以上に活用すべきである」としている。PPPは「官民共同」の事業形態とは言え、実際は事業の計画立案から実施に至るまでの全面的な民営化のことである。
経団連は、あたかも「民主導による復興」が被災地には必要であるかのように描き出しているが、この間、民営化・外注化によって何が進んだのか? 日帝と行政当局は公共インフラを破壊し、防災のための堤防建設すら行わず、公立病院を統廃合した。何よりも「平成の大合併」で自治体労働者の人員削減を極限的に推し進めてきた。その結果、大地震、大津波に対処する行政機能が崩壊して大災害をもたらし、今日なお被災地人民の生きる糧を奪い続けているではないか!
05年に1市6町が広域合併した石巻市では、役場機能の集約化のために支所(旧役場)地域の被災状況の把握すらままならず、多くの集落で医療も食も暖もなく、たくさんの人が亡くなった。震災から半年たっても復旧の見通しは立たず、雄勝地区(旧雄勝町)では4300人から1200人へと、人口の7割が減少した。不眠不休で復旧業務に当たる自治体労働者に一切の矛盾が押し付けられ、石巻市職労が実施したメンタルテストでは約半数の労働者が「抑うつ状態」を申告し、病気休職者は前年比4割増と報告されている。
仙台市では、過去5年間に約1千人の人員削減を行い、さらに今後5年間で600人削減を目標に掲げている。沿岸地域の生活再建も丘陵宅地被害の対策も放置されたままだ。義援金の支給率は16・9%(8月5日現在)で、被災自治体の中でも極端な低さだ。震災復興本部長は「行財政改革で正職員が減り、いざという時の人員が足りなかった」と吐露している。
このような被災地切り捨て=棄民化の元凶こそ、国鉄分割・民営化以降、経団連が推し進めてきた民営化・外注化・非正規職化の攻撃である。
経団連は4月22日の「震災復興基本法の早期制定を求める」声明の中で、震災復興庁を設置するように提言、「設置期限終了時には震災復興庁及び関連の全ての権限を広域自治体に移管し、道州制につなげていくものとする」としている。復興特区でのPPPを通じた被災地丸ごとの民営化・非正規職化が、道州制と完全に一体であることを明言しているのだ。
アジア並みの低賃金を要求
「プラン」では、「日本経済の創生のため」と称して労働者に対して「アジア並みの賃金に引き下げろ!」と叫んでいる。
「ひとたび被災地域の製造拠点が国内外のサプライチェーンから外されてしまえば、その地位を取り戻すことは困難になる」。だから、「厳しい国際競争にも耐えられる基盤を整備するため、他の国々、とりわけわが国企業の海外生産比率が高まっているアジア諸国との比較において、事業環境のイコール・フッティングを確保することが求められる」としている。
その上で「プラン」は「立地コストの比較」と称する図表を掲載し、日本を100とした場合に、労働コストは「タイ7、中国7」、土地は「タイ5、中国5」、法人実効税率は「タイ74、中国61」であると言っている。「賃金を10分の1に下げろ! 法人税を下げろ! 土地をよこせ! さもなければ海外移転して首切りだ!」というおぞましい恫喝だ。
被災3県では約14万5千人が失業保険の受給申請を行い、気仙沼で39・6%、石巻で25・2%の労働者が失業している。福島原発周辺の南相馬で40・6%、富岡で42・0%だ(いずれも6月現在)。
資本にとって、膨大な失業労働者こそ超低賃金で徹底して搾取する格好の対象だ。震災を口実に大量の労働者の首を切り、新規求人はすべて非正規雇用に置き換えようとしている。福島県や石巻市では派遣会社が「復興資金」に群がり、被災失業者を対象にした自治体業務や復興関連事業の受注を開始している。賃金は時給800円程度であり、どれも短期間の臨時雇用だ。被災地が資本の草刈場と化そうとしているのだ。
原発の再稼働と輸出を狙う
何より許せないのは原発事故に対する記述だ。
「日本に対する風評被害が拡大している。……風評被害の防止に向けて、日本政府による明確な安全宣言の公式発表が不可欠」と述べている。
そこには、原発建設を推進し大事故を引き起こした自らの責任や、故郷も仕事も奪われて長期避難する被災地人民への謝罪などはかけらもない。ブルジョアジーの利益を損なう「風評被害」こそ問題だと言うのだ。
そして、「取り組まなければならない重要な課題」として「安定した電力供給」を主張している。それは、経団連会長・米倉が「原発に依存しないと国内産業がどんどん海外に逃げ、雇用が守られず、経済成長が落ちる。安全基準を見直し新規建設を」と述べている通り、原発の再稼働と新規増設のことだ。
さらに「産業競争力の強化に大きく貢献する」として挙げているのが「新成長戦略において重点的に進めるべき28の施策」だ。真っ先に掲げているのが「パッケージ型インフラ海外展開の推進」で、その中心こそ官民共同での原発輸出である。国会に4カ国(ロシア・ヨルダン・韓国・ベトナム)との原子力協定案が上程されており、昨年10月に国家間で受注合意したベトナムを皮切りに、原発丸ごとの輸出が強行されようとしている。7月には日立―米GE連合がリトアニアの原発入札で優先交渉権を獲得した。経済産業省は「2020年の世界の原発市場は年16兆円」と、官民一体での原発輸出を推進する方針だ。
このほかにも被災農漁民から農地・漁業権を奪う「企業的主体による大規模・先進経営」や、TPPへの参加促進がうたわれている。農漁民の生活基盤を破壊し、徹底的な非正規化・低賃金化で海外市場に殴り込みをかけるブルジョアジーの延命策の満展開である。
8月17日に宮城県が決定した「震災復興計画最終案」では、「民間資本導入の促進に資する宮城県水産業復興特区の創設」を打ち出した。漁民が協同組合的な団結のもとに再建することを認めず、漁港の3分の2を切り捨てて大資本に漁業権を独占させるものだ。
また、7月19日にはトヨタが宮城県大和町に新エンジン工場を建設することを発表した。復興特区による税制優遇と失業被災者を低賃金で搾取し最大の利潤を得ることが狙いだ。
7月29日に政府が発表した「復興基本方針」では、福島に「医療特区」を導入し、「世界をリードする医薬品・医療機器・医療ロボットの研究開発、製造拠点」とするとしている。福島県立医大に集積する福島県民の症例データを、これに活用しようとしている。被曝者医療をも金もうけの対象とする。これが「震災復興特区」の正体だ。
労働運動の力で打ち破ろう
では、この「プラン」に、日本帝国主義の「復興」や「創生」なるものの展望があるのか? 断じて否である。
「プラン」は、資本の延命のために、一切の矛盾を労働者階級人民に押しつける絶望的な攻撃だ。それはただ、労働組合が闘わないことを前提として成り立っているに過ぎない。9・19反原発闘争への6万人の労働者人民の結集は、連合による労働者支配を打ち破る闘いの開始である。
被災地では、すでに「プラン」との闘いに突入している。反原発闘争の発展と、国鉄闘争全国運動を軸とする階級的労働運動こそが、「プラン」を粉砕し、日帝打倒―プロレタリア世界革命を切り開く道だ。被災現地から4大産別を先頭に労働運動を階級的に再生させ、11・6労働者集会に大結集しよう。
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週刊『前進』(2506号4面1)(2011/10/03 )
米帝没落・EU解体・日帝脱落・中国バブル瓦解
大恐慌は本格的爆発過程に突入
国鉄決戦と反原発闘争の一体的推進で階級的な力関係を変革する一大行動へ
革命的共産主義者同盟議長 清水丈夫
T 帝国主義・新自由主義打倒する階級的労働運動創成を
世界金融大恐慌は今や、これまでの07年パリバ・ショック、08年リーマン・ショック以来の全過程を前史とするような、加速度的に動揺の度を深め暴走をくり返す大恐慌の本格的な爆発過程へと突入した。第2次大戦後の国際帝国主義の基軸国であったアメリカ帝国主義の没落。EU(欧州連合)の解体。3・11情勢にあえぐ日本帝国主義の脱落。そして中国バブルの歴史的瓦解。この四つの側面のすべてにわたって、この数カ月、猛烈な変化が進行している。戦後体制の土台を揺るがし、吹き飛ばすような大恐慌の2番底、いや底なしの泥沼への転落を不可避とする情勢に入っている。
今や各国の国家財政の破綻とインフレの危機の中で、世界のいたるところで階級戦争が爆発することは必至である。エジプト革命が中東全域はもとより、中東を越えてさらに全世界に波及しようとしている。中国のスターリン主義体制打倒のプロレタリア反乱の勃発(ぼっぱつ)も、歴史の日程に完全に上ってくる情勢だ。この情勢は同時に、帝国主義間(大国間)のすさまじい争闘戦、勢力分割戦、さらに侵略と戦争の時代への突入そのものである。
この転換の基軸をなすものは、大恐慌対策の財政・金融政策の歴史的破産であり、ドル体制の崩壊的動揺(ドル暴落への行進の開始)と世界経済の分裂化の深化ということである。今次世界大恐慌は帝国主義の戦後発展が蓄積した矛盾の全面的爆発としてある。
1974〜75年恐慌として決定的に露呈した「過剰資本・過剰生産力」の現実は、新自由主義のもとで金融的バブルをくり返す中でとてつもないレベルに達した。しかもこれは、金本位制から完全に切断された本質的に擬制的で脆弱(ぜいじゃく)なドル本位制とも言うべき国際通貨体制(世界経済体制)のもとで初めて可能だった。すなわち、一国の通貨であるドルが擬制的に万国が認める国際決済手段と位置づけられてきたのが戦後の体制である。そのもとで米帝は、貿易収支・国際収支の膨大な赤字を積み上げながら経済成長を追い求め続けるという、野放図なあり方を続けることができたのだ。
こうした二つのあり方は一体のものであったが、それが今や全体として完全に行き詰まったのだ。それを突き出すものとして、今次世界大恐慌はついに爆発したのである。それは、帝国主義の最末期の絶望的な政策としてあった新自由主義の全面的な破産である。
したがって、この大恐慌は、既存の「過剰資本・過剰生産力」を実体的にも価値体系的にも全面的に破壊し、整理し、ドル本位制的なこれまでの世界経済編成を暴力的に解体・再編する方向にどこまでも突き進むしかない。基軸通貨であるドルが崩壊すれば、世界経済は一気に解体的危機に突入する。さらに重大なことは、世界経済の分裂は同時に収縮の開始であるということだ。この収縮こそ、大恐慌が本当に大爆発していく要因だ。各国の経済はもっと劇的に破壊されていく。そして世界経済の分裂・抗争が収拾つかなくなった瞬間に、国家間対立が一挙に爆発して大変な戦争情勢に入っていく。
現代帝国主義・新自由主義を文字どおり体制的解体のどん底に突き落とし、階級戦争や世界戦争(これも階級戦争の極限的一形態)によって決着をつける以外にないものとして、今次大恐慌は爆発した。またそのように把握して初めて、大恐慌の推移も、これからの方向もつかみとることができる。
世界大恐慌の激化が生み出す大失業、リストラ、インフレ、3・11に始まる原発事故の爆発、戦争、政治反動、治安弾圧の激化は、全世界のいたるところで労働者階級、とりわけ青年労働者の怒りの爆発、プロレタリア革命への前進をつくり出している。この歴史的な革命情勢を真の革命へと発展させるただ一つの道は、新自由主義を打倒する階級的労働組合運動の創成である。労働運動をめぐる大決戦に勝ちぬくことに、ますます一切がかかっている。
この中で、闘う3労組と国鉄闘争全国運動が呼びかけている11・6全国労働者総決起集会の、日本革命−世界革命にとっての意義はとてつもなく大きい。11月決戦に向かって驀進(ばくしん)しよう。
U QE2の大破産とリーマン型危機再来に恐怖する米帝
米帝オバマ政権(および前ブッシュ政権)とバーナンキを議長とするFRB(米連邦準備制度理事会)は、今次大恐慌の発生、とりわけリーマンの大破綻を契機とする爆発的発展に直面し、財政・金融政策を野放図に展開することでなんとかのりこえようとあがいてきた。天文学的な規模の財政出動、公的資金注入と超低金利(事実上のゼロ金利)政策の推進である。
彼らは、いわゆる近代経済学的な景気後退論の立場で、大恐慌がつくり出した巨大な需給ギャップをいったん財政・金融的に埋めれば、その後は資本主義の「生命力」でなんとか自動回復に向かうだろうと想定した。
しかし、これは当然にも、すでに2010年夏には完全に行き詰まってしまった。そこでFRBは、いわゆるQE2(量的緩和策第2弾)政策なるものに打って出た。なんと半年間に9000億j(1兆jになろうとする大きさだ!)の国債・公債をFRB(=中央銀行)が購入し、マネーを内外の市場にばらまくという絶望的な暴挙に出たのである。
しかし、これは結局大破産した。米国内のみならず、中国を始めとする新興諸国においてインフレを生起・激化させ、一方でエジプト革命を頂点とするプロレタリア人民の反乱と革命を引き起こした。他方でインフレを抑止するために金融・経済の引き締めを余儀なくされ、バブル化した経済の崩壊への引き金を引いてしまったのである。しかも、QE2自体の効果は一時的カンフルとしては意味があったが、11年に入るとともに急速に効力を失い、経済は行き詰まり状態へと舞い戻ってしまった。
実際に、QE2の6月打ち切りを契機として、大恐慌情勢は劇的に新しい局面へと突入していった。
第一に、誰の目にも明らかなことは、ニューヨーク(NY)株式市場の大暴落と恐るべき乱高下である。これはこの7月から8月、9月へとますますエスカレートしていった。7月には月間で439・53jも下落した。8月に入るや、米連邦負債上限枠問題の混乱(デフォルト=債務不履行の危機)や、米国債の歴史的な1段階格下げ(最高ランクのAAAからAA+に)、ギリシャ問題のイタリア、スペイン、さらにドイツ、フランスへの波及という事態が連続的に発生した。この中で、リーマン・ショック直後のような株式市場の大暴落が引き起こされた。
8月には1日で634・76jの下落を始め大暴落のラッシュとなり、すごい乱高下の末に月間では518・96jの下落となった。これは9月に入っても収まらず、9月23日までの1週間で実に737j(6・4%)も下落した。NYダウ(ダウ平均株価)のこの大暴落と乱高下は欧州諸国、日本、アジア、世界全体の同時株安として全面的に連動し、相互作用している。
バーナンキ破産告白
第二に、8月26日のFRBバーナンキ議長の講演は世界の注目を浴びたが、その内容は米帝の路線の全面的破産を自ら告白するものでしかなかった。バーナンキはそこで「経済回復の勢いは望んでいたよりはるかに弱い」「経済成長率は失業率を下げるには十分な水準に至っていない」「新築住宅建設数はいまだ危機前の3分の1の水準にとどまっている」などと嘆いた。
米のGDP(国内総生産)成長率は年率換算で11年第1四半期0・4%、第2四半期1・0%。失業率は9・1%と高止まり。住宅着工件数は7月で60・4万戸だ。これらのデータ、とりわけGDPが0・4〜1・0%というゼロ成長に限りなく近い成長率しかないことに、バーナンキは大打撃を受け、うちひしがれている。
バーナンキは、今回の危機を景気後退の大きいものとしてしかとらえていない。そのために、QE2などでいかにのたうちまわっても危機は打開されないことが分からず、途方に暮れている。だから、次のような筋違いの八つ当たりをしているありさまだ。
「米金融市場の状態は全般的に著しく改善しているが、国内外の財政圧迫が回復の足を引っ張っている」
バーナンキにとっては内外の財政問題は、彼の言う金融市場の「改善」なるものとはまるで無関係のようだ。問題は自己の管轄外の財政レベルの問題だとか、外国の問題だと言っているのだ。冗談ではない。巨大金融資本の不良債権問題を国家が抱え込んだものが連邦財政危機であり、ひいては米国債の格下げの原因となっていることは明らかではないか。
結局、QE2の破産を突きつけられたバーナンキは、「2013年の半ばまで現在の低金利を維持する(少なくとも2年間は現在の政策金利は据え置かれる)」「金融からの追加的刺激手段を幅広く持つ」などと言うのみである。さらに、「経済回復はしばらく時間がかかり、幾度かの後退があるかもしれないが、大きな傷跡は残さないだろうと予測する」と。これは、さしあたって打つ手はないということしか意味しない。FRBが完全に行き詰まり、どうしようもなくなっていることを告白する以外の何ものでもない。
その上でバーナンキは、これからは一切は財政政策の問題だとして次のように言う。「明らかな政策転換がなければ、米連邦政府の財政はコントロールを失い、経済・金融に深刻なダメージを与えかねない。財政的不均衡を抱えたままでは経済成長はできない」
これは重大な内容をはらむ。「明らかな政策転換」とは、財政収支の均衡への強力な政策しか意味しない。しかし、QE2破産の現在の内外情勢の中で強力な財政の収縮を実行すれば、それは景気の2番底への劇的な大転落を引き起こす。それを避ければ、もはや「コントロール」のできないキリモミ状態と化すということ。結局、どの道をとっても恐るべき奈落の底が待っている。
大収縮時代への突入
QE2は完全に破産した。それは大恐慌情勢を緩和せず、著しく激化させることを結果した。
特にQE2は、株式のミニバブルや中国などBRICS諸国(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)などのバブルをとことんまで激化させた。それは世界的なインフレを引き起こした。労働者階級にとって、インフレとは生死の問題=革命の問題だ。インフレのこれ以上の進行は、経済的破滅と世界的な規模でのエジプト革命の波及、反乱と暴動と革命の時代への突進をもたらす。
QE2はまた、財政的危機と破綻を米帝においても世界においてもとことんまで激化させた。それはついに米帝の国債格付けの引き下げという歴史的事態を引き起こした。
そして、今やこのインフレと財政破綻の危機は、全世界的レベルで財政・金融政策の引き締めを不可避とするに至っている。しかし、これは実に重大な事態、すなわちリーマン・ショック以来の世界経済の減速、失速、マイナス成長化(一般的に言えば大収縮時代)を引き寄せる。この時代はすでに始まっている。膨大な財政赤字の重圧にうちひしがれながら、経済は減速と収縮に向かう。これはギリシャ・南欧諸国、ドイツ、フランス、そして日本、米国、BRICSなどの弱い環からの崩壊とその波及の時代となる。
9月20〜21日のFOMC(米連邦公開市場委員会)は、FRBが新たに総額4000億jの中長期国債を買い入れる代わりに、同額の短期国債を売却することを追加の「金融緩和策」として決定した。このことは、FRBバーナンキと米帝が絶体絶命のところに追い込まれていることを示している。
米帝がQE3政策を取れない、しないとなれば、この間の世界的なバブル経済、マネー氾濫(はんらん)経済は一挙に崩壊に向かう。具体的にはNY―世界株式市場の大暴落であり、そしてそれは金融資本・巨大金融機関の再度のリーマン的危機への突入を意味する。その前に、ギリシャの事実上のデフォルトが実際にデフォルトとして扱われて、ヨーロッパ恐慌を爆発させるだろう。
米帝はQE3政策を取れないが、しかしQE3に突入するしかない。これはもはや世界的なインフレと為替戦争の爆発、争闘戦の激化、帝国主義間・大国間の激突、戦争の時代の到来への道となるだろう。いずれにしても破局への行進は必至である。
9月8日のオバマの新雇用対策(新景気対策)は総額4470億j(約35兆円)となった。しかしこれは、ブッシュ政策を引き継いだ09年の総額7800億jの財政出動や、10年のオバマ政権による総額8580億jの財政出動と比べて、量的にも半分そこそこである。それだけではない。今や米帝政府・議会は、ねじれ権力化している。オバマは9月19日には10年間で3兆jの財政赤字削減計画を発表したが、共和党とオバマ民主党はますます全面対決状態に入っている。今回の4470億jプラン自身、共和党にのめない内容をあえて突きつける、大統領選のための宣伝政策でしかない。
結局は、大失業と住宅危機の重圧のもとで、減税という名の財政赤字の積み上げがじりじりと進行するだけであろう。要するに、世界金融大恐慌はその歴史的性格から、大失業と住宅不況の問題の壁にぶつかって長期大不況化し、世界全体をとことんまで大恐慌へと引きずり込んでいくしかない。
大失業と住宅不況の永続化ということは、巨大金融機関の不良債権問題があらためて爆発することに直結している。リーマン型の大破綻時代が再び到来する。その最もありうるコースは、たぶんヨーロッパ恐慌の爆発として始まるであろう。次に、この問題について見てみよう。
V 「2番底」への引き金を引くヨーロッパ金融恐慌の爆発
ギリシャの財政危機問題は、ユーロ体制の矛盾の集中的爆発として、この間欧州を揺さぶり続けてきた。ポルトガルやスペインへの波及、さらにはイタリアへの波及、ひいてはフランス、ドイツへの波及問題として、基本的には推移してきた。
しかし、基軸国米帝の連邦債務上限引き上げ問題が混迷し、米国の国家的デフォルトの危機が現実化するにいたって、世界の財政危機国、とりわけ欧州の諸大国をも、いわゆるソブリン危機(政府債務の信認危機、国家財政破産の危機)へとたたき込むことになった。
これは、民主・共和両党の合意成立で米のデフォルトが寸前で回避された後も変わらなかった。そして、8月5日の格付け会社S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)による米国債の格下げ決定は、決定的な衝撃を欧州情勢に与えた。長期にわたって自らを「基軸通貨」として押し通してきたドルに対しても、世界の各国金融機関はドル債を売りまくる対応をした。
これが、イタリアはもとよりフランスのソブリン問題に波及したのは当然であった。深刻な財政赤字を抱える諸国の銀行株は、国際的な巨大ヘッジファンド(巨額資金を投機的に運用する投資基金)による空売り攻撃にさらされた。米帝のNY株式市場の大暴落は、欧州株式市場の暴落と相互作用して激化した。欧州銀行、とりわけフランスなどの銀行は、数日の間に10%、20%の下落に見舞われた。それは今も続いている。
この過程で非常に大きな転機をつくったものは、ECB(欧州中央銀行)によるイタリア・スペインを含むユーロ参加国国債の購入が8月5日より再開されたことである。まず、イタリア・フランスの国債への不信がかきたてられ、イタリア国債の利回りが6%にもなった。さらにフランス国債の「格下げ」のうわさが飛び交い、それが市場に威力を持ってくると、EU金融市場は危機的情勢となった。
8月8日にECBは主としてイタリア・スペインの国債の大量購入に踏み切った。この時点でECBの国債購入残高は総額740億ユーロに達していた。8月8〜12日の5日間でECBのユーロ参加国国債の購入額は、総額220億ユーロとなった。ECBによる国債大量購入はその後も続き、9月2日時点での総額は1290億ユーロに達した。この期間は実際には、NY株式市場が欧州株式市場と連動して大暴落を繰り返した時期である。
こうしたECBの活動は裏返してみれば、欧州の財政危機、金融危機、銀行危機がいかにすさまじいものであるかを示している。そもそも欧州の諸銀行は、リーマン・ショック以来の不良債権を合計3000億jも、今なお保有しているのだ!
ギリシャの国家破産
さらに欧州の金融情勢にパニック的情勢をもたらした転機となったものは、ギリシャ財務相・ベニガロスが9月2日の公式記者会見で、ギリシャが11年において財政赤字をGDP比7・5%にまで圧縮することは不可能になったと発表したことである。
これはギリシャに不可能といえる財政削減計画(労働者人民への極限的なリストラ・賃下げ・大増税の攻撃をかけることを主内容とする)を強制し、その上でギリシャ金融支援体制を一定組むことで時間稼ぎをしてきたEU委、ECB、EU主要国のペテン的構造が事実上崩壊したことを意味する。
大体、恐るべき財政支出削減と大増税・リストラを行っていながら、GDPの大幅な成長を実現し、そこからの税の増収をあてにするなどというプランが成り立つわけはないのである。これは今後、月日がたつとともに全面的に明らかになってくるだろう。
さらにフィンランドは、ギリシャへの支援に参加する条件として、フィンランドの支出分に相当する現金額を保証金として準備することを要求するにいたった。
米国債の格下げ、ドル不信の拡大という世界史的変動が、欧州の巨大財政赤字を抱える諸国(イタリアも、フランスもしかりだ)の国債への不信となり、ギリシャ国債、ポルトガル・スペイン・イタリア国債などを大量に保有する欧州諸国の銀行をガタガタに揺さぶる情勢の中で、ついにギリシャの財政再建の虚構が崩れ去ったのだ。
これは今や欧州金融市場をリーマン・ショック前夜情勢にたたき込むものとなっている。実際、欧州の銀行の株価は下落の一途をたどり、資金繰りは苦しくなり、ECBへの依存がどんどん増大している。
欧州金融市場では今、米国の主要なMMF(マネー・マーケット・ファンド、格付けの高い短期国債などで運用する投資信託)は、欧銀の短期証券の保有を6〜7月の2カ月で20%も削減している。欧銀のドル資金調達は困難の度を増している。LIBOR=ロンドンの銀行間取引金利(国際的な短期金融市場での基準金利となっている)は急上昇している。
ユーロを市場で調達できない銀行が増えており、例えばイタリアの銀行は7月にECBから800億ユーロを借り入れている。ECBからの借り入れは利子が高いにもかかわらず、仕方なく行われている。欧州の諸銀行は、翌日物の預金を他行には貸し出さず、ECBに積み上げている。他行はもはや信用できないからである。パリバ・ショックの時、銀行間の不信から銀行間の資金流通が凍りついたが、あの情勢に接近してきているのだ。
ユーロ体制は崩壊へ
この中で今日、ギリシャ国債の利回りは10年物で実に20%から30%近くにもなっている。2年物国債の利回りは80%、1年物の利回りは100%である。こんな破綻必至の、いやすでに破綻してしまっているギリシャ国債を購入する者はいない。ギリシャは小国といっても、そのすべての財政をECBとユーロ圏諸国が賄うというのか。そんなことは不可能だ。ユーロ体制は今や完全に破綻したと言っていい。
最近、ドイツ出身のECB専務理事が長い任期を残して辞任した。ドイツとフランスの利害の調整も今やほとんど不可能になってきている。欧州金融市場、欧州の銀行システムはもはや今のままでは進めない。EUそのものが分裂と崩壊の危機に瀕(ひん)しているのである。
決定的なことは、今、欧米、BRICSなどの諸国は一斉に財政・金融の引き締めに向かわざるをえなくなり、それがGDP成長を大減速させ、失速さえさせる趨勢(すうせい)になってきているということだ。その中で生ずる欧州金融恐慌の大爆発、あるいはNY株式市場の歴史的大暴落、世界同時株安の徹底的展開が、きわめてリアルなものとなってきている。
この激動は、必ずやドル暴落、ドル体制の根底的解体的危機、帝国主義間(大国間)の対立激化、争闘戦激化を引き起こす。体制的に解決できない過剰資本・過剰生産力のさらなる大々的破壊への衝動と世界市場の分裂化・ブロック化の流れは、もはや止めることはできない。
W 野田政権登場は労働者階級との非和解的激突の始まり
世界金融大恐慌は、今始まったばかりだ。それはドル体制の崩壊、世界経済の分裂に至るまで、どこまでも激化していく。とりわけ中国バブルの歴史的瓦解は大恐慌を決定的に加速する。
大失業攻撃と非正規労働者化の嵐の中で、またインフレによる物価高騰の危機のもとで、世界の労働者はエジプト革命を先頭に、世界革命に向かって立ち上がっている。ヨーロッパ大陸ではストライキとデモが連日、大展開されている。アメリカ国内でも、韓国でも、階級的激突が新たな段階に突入している。さらに中国のスターリニスト政権と闘う労働者階級のストライキ、デモ、暴動、革命的決起が、歴史的爆発に向かって前進している。
日本では、大恐慌情勢と3・11情勢が一体となり、二重となって、大失業と原発放射能禍がプロレタリアート人民に襲いかかっている。まさに階級戦争の開始であり、革命情勢の到来だ。日本の労働者階級、青年労働者も、世界の先頭に立つ勢いで歴史的な決起を開始した。9・19明治公園6万人の反原発の決起はそのことを示している。
野田の反革命的正体
この内外情勢のもとで、破産した菅政権に代わって野田政権が成立した。野田政権ももちろん、09年8・30自民党支配崩壊以来の危機的なボナパルティズム政権の継続であるが、内容は大いに変質している。
野田政権は、軸足を決定的に日帝ブルジョアジーに、経団連的勢力や財務省官僚(日帝ブルジョアジーの官僚的手先)に置いている。しかも野田の政治的・イデオロギー的な核(コア)は極右反動そのものである。野田が首相になって被災地を訪問した時、まず自衛隊を訪問し、感謝を表明したことは偶然ではない。また、A級戦犯の東条英機らを「戦争犯罪人ではない」とする野田の立場は恐るべきものだ。彼の反革命思想を示している。
さらに、民主党政調会長・前原の、PKO(国連平和維持活動)派兵時の自衛隊に武器使用の自由化を求める発言や、一川防衛相の武器輸出3原則の緩和発言も、けっして見過ごせない大問題だ。
野田政権で最も重視すべきことは、輿石の幹事長任命を始め、小沢派を一定抱え込んだことである。これは明らかに野田が、消費税増税や復興特別税などの大増税路線と「特区」攻撃による新自由主義攻撃の極限的展開の路線を突っ走り、かつ原発再稼働・原発輸出にも突き進もうとしていることを示している。そして、その推進のためにも自治労本部や日教組本部を始め連合の帝国主義的労働運動のダラ幹たちをより深々と取り込んでいくことを示している。
この点で重要なのは、JR資本との結合性・一体性である。はっきり言って、まさに野田政権こそは、第2の国鉄分割・民営化である全面外注化と非正規職化の攻撃、4・9反革命(国鉄1047名解雇撤回闘争の政治和解)の延長としての国労の御用組合化、JR大再編攻撃(JR総連の排除と動労千葉の抹殺を狙う)の強力な推進を目指す政権である。
そして、公務員360万人の「いったん全員解雇・選別再雇用」路線、日教組や自治労の破壊・解体、道州制攻撃などを強力に推進しようとしている。その布陣は、総務相人事などからして明白である。
さらに、その原発政策および安保・防衛政策、沖縄政策はかつての自民党以上に自民党的である。しかも連合ダラ幹勢力を反革命的別働隊として取り込んでいることは、きわめて危険だ。野田政権は経団連的な電力の安定供給論の立場に立つとともに、原発は核武装への担保であり、準備であるという立場を核心的に堅持している。これをもって原発推進路線を押し通そうとしているのだ。
今や世界大恐慌の2番底、泥沼化への突入が開始されつつある中で、帝国主義間・大国間の争闘戦はすさまじいものがある。この争闘戦の決定的基軸にあるのが、原発と原発関連技術・機器の輸出である。これは勢力圏の分割戦の武器でもある。ちなみに、いまひとつは新幹線(高速鉄道)の輸出である。これはJR資本の争闘戦的な生き残りをかけた攻撃である。
このように見てくる時、反原発闘争はそれ自身、国鉄闘争と並んで、日帝・帝国主義・新自由主義との階級対決における決定的環をなしていることが分かる。
ここで、3・11の福島原発事故が突き出したように、「原発は地上に設置された原爆そのものである」という規定を断固確認しなければならない。これは単なるレトリックではない。原発は必ずどこかで3・11的な大事故を引き起こすものだ。にもかかわらず日帝ブルジョアジーや野田政権は、原発労働者50万人に被曝を強制し続けるだけでなく、再度の「3・11」が発生することがあっても、日帝のエネルギー政策・核武装政策と争闘戦の勝利のためなら平気で原発稼働を続けるというのである。
また、3・11以後の放射能問題に関する彼らの行動は、被災地の労働者人民の被曝など平気で無視し、勝手に決めたデタラメな「基準」を振り回して放射能下の生活を強制し続け、そこで働かせ続けようとしているのだ。これは原発という名の「地上の原爆」を自国民や周辺国人民の頭上に炸裂(さくれつ)させるのと同じである。
以上から言えることは、原発継続政策、原発輸出続行政策は安保・防衛政策と密接に一体化しているということであり、反戦政治闘争の決定的課題であるということだ。この意味で反原発闘争は、原発の階級的犯罪性に対する怒りの爆発でありその根絶を目指す闘争であるが、同時にそれ自身が安保・沖縄闘争とも一体の、反戦政治闘争の中心軸そのものの一つであると言っていい。
11・6労働者集会を頂点とする今秋決戦のテーマとして野田政権打倒を鮮明にするとともに、国鉄決戦の全面的貫徹と反原発闘争の圧倒的爆発こそ、野田を打倒し、さらに日帝そのもの、帝国主義(とスターリン主義)そのものを打倒する闘いとして、つまり新自由主義の凶暴な延命策を真っ向から粉砕する闘いとして、決定的に革命的な闘争であることを確認しよう。
X 革命の戦略的大準備として11・6大結集をかちとろう
11・6労働者集会は、大恐慌の激化と3・11反革命のもとで労働者人民の階級意識が大きく転換してきている情勢の中で闘われる。
そこでは、支配階級がこれまでどおりにはやっていけなくなり、支配階級が分裂し、旧来の支配体制を自らぶち壊して労働者人民の日常生活をも根底から破壊する攻撃に出てくる。他方で膨大な労働者・人民大衆が政治過程に引きずり込まれ、苦しみと怒りを募らせ、闘いを開始する。一言で言えば、階級的活性化が著しく進み、生きるための闘いが革命への闘いになっていくのだ。まさに、レーニンが言う革命的情勢の特徴が鮮明に出てきている。
われわれの当面する任務は、プロレタリア革命の実現に向けての「戦略的大準備」を全力を挙げてやりぬくことだ。その最大の環は、労働組合と労働運動をよみがえらせることにある。急速に超反動化を深める野田ボナパルティズム政権は、連合ダラ幹を政権内に抱え込んで、プロレタリアートの革命的決起を抑えようとしている。しかし逆にこのことは、労働組合をめぐる攻防が革命の帰趨(きすう)を決することを示している。
国鉄決戦を土台に、国鉄決戦と反原発闘争を一体的に、一個二重の戦略的な闘いとして、徹底的に発展させる中に、プロレタリア革命への最短の道がある。世界大恐慌がどこまでも帝国主義・新自由主義の危機を激化させ、敵階級の反革命化を促進する中で、国鉄攻撃を断じて許さず、原発維持・継続攻撃を絶対に許さない絶対反対派の闘いを、マルクス主義を武器にして闘いぬき、職場生産点に闘う労働組合を建設していくこと。それを不抜の革命党の建設と一体で推進していくこと。これこそ決定的に大切なことだ。
労働者階級・人民大衆の3・11への怒りはけっして消えはしない。しかも支配階級や権力の力は一見大きく見えても、実は大したことはない。闘う労働者が今、結集できる力を一つの団結した力に変え、強力なストライキやデモに訴えていくなら、闘いは必ず次第に大きくなる。労働者階級を職場生産点から組織する力が強まり、闘う労働組合が大きくなればなるほど、また学生自治会が再建されて大きくなり、戦闘的大衆闘争を組織するようになればなるほど、階級情勢は動き出し、労働者階級の底力が解き放たれてくる。その先は、エジプト革命や1917年ロシア革命のような闘いもできるのだ。
11・6労働者集会にいたる過程を、闘う階級の最大の力を結集し、情勢を揺るがし、闘いが闘いを呼ぶ時代を切り開き、階級的力関係を変えるために闘おう。これこそ大恐慌をプロレタリア世界革命へ転化する最大の革命的準備である。
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週刊『前進』(2506号5面1)(2011/10/03 )
新刊紹介 国際労働運動11月号
内部被曝問題の全容
9・11−9・19反原発全国一斉行動は、19日明治公園の6万人大結集を始め全国100カ所で10万人が立ち上がった。反原発闘争は新たな段階に突入した。全原発の停止・廃炉、再稼働阻止の闘いが火を噴いている。原発への怒りを職場に持ち込み、闘う労働組合をよみがえらせれば、原発は絶対止められる。次は、「反原発・反失業11・6日比谷集会」だ。特集はそのための武器である。
第1章は、政府と被災地人民(全人民)との攻防の焦点となっている内部被曝・低線量放射線の問題である。政府は「内部被曝は危険ではない」とウソデタラメを言う。その危険性は歴史的にも、さらにペトカウ効果などによって現在的にも明らかになっている。
第2章は、「核の平和利用」論批判。核を基軸とする戦後世界体制の中から、「核の平和利用」論がいかに成立・展開してきたのか、日本共産党の裏切りを含めて全面的に批判している。
第3章は、核・原発を推進してきた御用学者らを徹底断罪し、大学・教育の腐敗を生み出した新自由主義を弾劾している。
翻訳資料は、「シンディ・シーハンVSミチオ・カク」。シーハンさんとカク博士(著名な米理論物理学者・日系3世)の対談。原発廃止の立場から福島原発事故の問題を的確に批判している。
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週刊『前進』(2506号6面1)(2011/10/03 )
なくせ原発 再稼動阻止へ! @
原発再稼働を阻止し完全廃炉に
冷却装置は地震動で破壊された 「津波原因論」は再稼働狙うウソ
9・19明治公園を埋めた6万人の原発反対の怒りの決起は、日本の階級闘争を根底から一変させた。だが野田はこの決起への敵意をむき出しにして訪米前のインタビューで「来年の春以降、夏に向けて」と再稼働時期を明言し、国連本部では原発輸出を継続する考えを表明した。絶対に許すな。「原発再稼働阻止」は当面する闘いの結集軸だ。その力は9・19集会が示したように闘う労働組合の階級的再生にある。11・6労働者集会1万人結集を実現しよう。今シリーズでは、福島原発事故の現状、御用学者批判、放射能汚染との闘い、連合批判などを取り上げていく。
「冷温停止」の虚構と水素爆発の危険
福島第一原子力発電所の事故は半年以上たってもまったく収束のめどすらたっていない。
原子力発電所の事故では「止める、冷やす、閉じ込める」の三つが重要だと言われるが、福島では後の二つに失敗し、四つの原発が爆発を起こすというチェルノブイリ事故を超える未曽有の深刻な事態になっている。
東京電力と政府は「循環注水冷却システム」なるものが確立し、年内にも「冷温停止」に持ち込めるなどと主張しているが、まったくのでたらめであり、ペテンである。
そもそも「循環」という言葉自体がまやかしだ。本来の原子炉冷却システムの設計は放射性物質を絶対に外に出さないように閉じたループになっている。だが東電は本来の冷却システムの復活を放棄して、溶けた燃料棒に「打ち水」をし、あふれ出た泥水をポンプでくみ上げて浄化した上で再度打ち水をしているにすぎない。まさに「焼け石に水」なのだ。
「打ち水」が一定の効果をもつのは水が水蒸気になる時に気化熱を奪うからだ。そしてその水蒸気が大気中に拡散し続けることが前提だ。ところが溶けた燃料棒にかけて出る水蒸気には大量の放射性物質が含まれている。それをばらまき続けているのだ。
しかも、燃料棒にかけて余った水にも大量の放射性物質が含まれている。それが原子炉建屋のひび割れから漏れ出し、地下水と混じり合って地下でも放射性物質が拡散し続けている。地下にたまった泥水をくみ上げて何重にも濾過(ろか)してまた使うというのが「循環注水冷却システム」の正体なのだ。
つまり東電は、水蒸気と地下水という二重のルートで放射性物質を垂れ流し続けているということだ。「循環」とは聞いてあきれる。
しかも原子炉建屋の配管で予想以上の水素が確認され、水素爆発の危機が語られている。何が事故収束への工程表だ。
黒塗り「手順書」は何を隠しているか
福島第一原発事故の真相に迫る重大な事態が判明した。
東電は原発に反対して闘い続けてきた人たちに追い詰められ、9月2日「1号機事故時運転操作手順書」なるものを国会に提出した。ところがこれはA4判計6枚の内、ほとんどが黒塗りされ、読めるのはわずかに19行だけというとんでもない代物であった(写真)。
提出された「手順書」の内、わずかに読める部分を見ると、それは東電が実際に実施した、ないしは実施したと主張する項目だけである。
では必死になって何を隠そうとしているのか。それは福島第一原発が1時間後に到来した津波ではなく、最初の地震動で基本的に崩壊していたという厳然たる事実だ。
東電も政府も福島事故は津波が原因、津波対策さえやれば原発再稼働は可能だというキャンペーンを必死になって行っている。だが地震動が原因だとなると、地震大国の日本でそもそも原発など成立するのかという話にまで必ず発展する。そのことを東電と政府は死ぬほど恐れているのだ。
福島第一では外部から引き込んでいる交流電源が地震ですべて喪失した。バックアップ用のディーゼル発電機は地震直後にすべて起動したと東電は主張している。だがその発電機も津波で全滅し、全電源喪失(ステーション・ブラック・アウト)に陥った。
地震で停止した福島第二、女川、東海第二での冷温停止にむけての操作の実態が次第に明らかになってきている。それらと比較すると、全電源喪失を考慮に入れたとしても福島第一はあまりに違う。福島第一では、冷却のための多重防護が破られ、最後の手段(1号機では非常時復水器〔IC〕、2〜4号では原子炉隔離時冷却系〔RCIC〕)をとるしかなくなり、それも満足に実施し得ない状況にまで追い込まれたとしか言えない。
黒塗り部分には、他の原発では実施されたさまざまの手順が書かれていたに違いない。それが公になると、なぜ福島第一ではこの手順を実施しなかったのか、それがだめでも次の手順はなぜだめだったのか、と次々と質問を浴びせられることになる。そうなると、「実は、あれもこれも地震でつぶれていました」と地震動での原発崩壊を認めざるを得なくなるのだ。
原子炉建屋の略図を見てほしい。これでもまだたくさんの省略がある。代表的な原発では、熱交換機140基、ポンプ360台、弁3万台、モーター1300台、配管にいたっては重量1万d、総延長170qに及ぶ。同規模の火力発電所の2倍以上だ。われわれは原子炉停止後の「崩壊熱」のすさまじさを身にしみて味わった。これだけの装置や配管が走り回っているのは、ただただ原子炉を冷やし続けるための多重防護のためなのだ。
膨大な「崩壊熱」を除去するための中心の冷却装置が残留熱除去系(RHR、1号炉はSHC)だ。定期検査中の原子炉はこのRHRで冷却し続けている。福島第一以外の原子炉はさまざまな経緯はあるが、最終的にはRHRを復活することで冷温停止に持ち込んでいる。半年たってもRHRが復活できない中に福島第一の事故の深刻さが鋭く現れているのだ。
(写真 東電が9月2日に国会に提出した「事故時運転操作手順書」) 35年以上酷使した老朽化原発の破綻
福島第一は1号機が71年3月26日に営業運転を開始し、あと2週間で40年にもなる老朽化原発の代表格である。2〜4号機も35年以上稼働させ続けている代表的な老朽化原発である。原発は当初は30年程度の寿命で設計されたと言われている。それが反対運動に包囲され新規立地に行き詰まる中で老朽化原発を延命させ続けてきたのだ。
老朽化原発への反対運動が闘われる中で、原発の根本的な問題が種々明らかになってきた。
福島第一に限ってみても、2002年に暴露されたひび割れ隠蔽(いんぺい)問題がある。2003年には東電の全原発17基が運転停止。東電社長が辞任に追い込まれた。その時に発見されたトラブル隠しは29件にも及ぶ。
だが政府は2003年に「維持基準」なるものを導入し、それまではひび割れがあると修理していたものを、ひび割れの進行具合をコンピューターでシミュレーションし、原子炉の寿命とされている時期までに破断しなければいいというとんでもない方法に改めた。つまり、ひびを発見しても修理しないということなのだ。
こんなひび割れだらけの原発だから、今回の大地震でひとたまりもなく崩壊したということだ。
そもそも安全な原発などありえない。「核と人類は共存できない」のだ。それを無理やり推進してきたのは、原爆開発で開発された技術の応用でしかない原発の本質問題に行き着く。戦争のための技術だから、安全など二の次三の次なのだ。
野田政権は原発事故の真の原因を知りながら、それを隠して再稼働させようとしている。事故の真相を全人民に明らかにし、再稼働を絶対に阻止しよう。
(城之崎進)
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週刊『前進』(2506号6面2)(2011/10/03 )
10・6法大デモ-10・21福島大行動へ
法大支部の今秋決戦アピール
御用学者追放し大学取り戻そう 全国の大学で学生自治会建設を
マルクス主義学生同盟中核派・法大支部
5年半を超える法大闘争は、今次全学連大会をもってついに法大から全学連委員長を生み出した。この地平を今こそ全国に拡大し、学生運動の爆発をかちとろう。それが原発事故に対する日本の学生の「未来への回答」であり、フクシマとの根底的な連帯の道だ。大学は、9・19の反原発6万人集会であらためて示されたフクシマの怒りに徹底的に敵対している。学生は自らの生き方をかけてこの現実をひっくり返し、キャンパスを御用学者から取り戻そう。10・6法大デモ―10・21福島大行動へ! マル学同法大支部は今秋法大闘争を必ず爆発させる。
(写真 今年4月22日の法大包囲・反原発デモ) 全学連の新委員長を生んだ法大闘争
9・19反原発集会は6万人という大結集をかちとり大成功した! この6万人の怒りの決起は新自由主義への一大反撃だ。国鉄分割・民営化を出発点とする新自由主義攻撃は労働者の団結を破壊し、労働者の権利を根こそぎ奪うことで労働者に奴隷労働を強制してきた。その象徴が原発だ。9・19は国鉄1047名解雇撤回闘争を軸に脈々と受け継がれてきた日本労働者階級の戦闘性が健在であることを示したのだ。そしてこの闘いを牽引(けんいん)したのは「4・9政治和解」を拒否し、労働者の誇りに徹底的に依拠して闘い抜いてきた動労千葉を先頭とする階級的労働運動だ。
学生の闘いもこれと一体で闘われてきた。04年の国立大学法人化以来、激しく進んだ「教育の民営化」は、学生の団結を破壊し、学生自治を解体して学問を金もうけの道具に変質させ、大学の腐敗を生み出した。御用学者の存在に表されるように、その象徴もまた原発だ。2000年以降の激しい学生運動つぶしの中から学生の必死の苦闘を通して生まれた法大闘争は、学生の誇りに徹底的に依拠して闘い抜かれ、多くの次代を担う指導部を生み出し、国家権力の総力をあげた弾圧をのりこえて勝利してきた。今次全学連大会で選出された新執行部はまさにその象徴だ。ついにわれわれは法政大学から全学連委員長を輩出したのだ。
このような闘いをやり抜いてきたからこそわれわれは、3・11大震災以降、世の中を覆った「自粛」を粉砕する最先頭に立つことができたのだ。国鉄闘争全国運動6・5大集会、6・19怒りのフクシマ大行動を打ち抜き、階級闘争の最先頭にわれわれが立ち続ける中で、体制内労組の枠組みをはるかに超えて労働者が決起し、9・19反原発闘争の大高揚がかちとられたのである。だからわれわれがこの6万人と結合することは可能だ。9・19の高揚を11・6労働者集会の大結集へと発展させよう。
多くの学生が3・11で目覚め闘い開始
08年リーマン・ショック以降、学生の置かれている現実はますますひどくなり、新自由主義への怒りはますます激しくなっている。学費は年々高くなり、それにつけこんで奨学金が利殖事業となっている。400万円、500万円もの借金を背負わされて社会にほうり出される学生は膨大な数に上っている。
卒業後には、大恐慌下で新卒の失業率が10%を超える現実が待っている。大学は、学生から学費と奨学金という形で未来の賃金をむしり取ったうえで、就職についてはすべて自己責任とし、なぜ社会がこんなことになっているのかという問いには答えようとしない。「学費が高くてアルバイト漬け」「奨学金を借りているから大学に抗議はできない」「忙しくて社会のことにはかまっていられない」「内定が取れない。でもやるしかない」……。
2000年、小渕内閣の「21世紀日本の構想」懇談会レポートは「教育とは警察や司法と同様、一つの統治行為である」と定義した。今の大学教育は真実に対して目を向けさせず、学生を個別に分断することで支配を成り立たせる統治行為になっているのだ。
時代は大恐慌である。米経済とドル体制は崩壊に向かい、EUと通貨ユーロはギリシャのデフォルトをきっかけに解体に向かっている。日本はこの影響をもろに受け、さらに3・11大震災で財政破綻へと向かっている。恐慌対策によってあふれた投資マネーは新興諸国へ向かい、バブルとインフレをつくり出している。インフレと大失業は世界中で労働者人民の生きるための闘いを呼び起こし、革命の炎を燃え上がらせた。中東諸国やイスラエルで闘いが爆発し、中国では人民の暴動に次ぐ暴動によって体制がグラグラになっている。
支配階級は、新自由主義を全面化したら何が起こるかを予感していた。だからこそ全国の大学で学生運動をたたきつぶし、今もその「芽」すら生まれてこないようにキャンパスをルールでがんじがらめにしている。学生が団結して行動することを恐れ、クラスを解体し、サークル活動を規制し、飲酒すら禁止することで学生同士の交流と討論を妨害している。法政大の弾圧専門職員(通称「ヤクザ部隊」)はその象徴だ。
しかし、われわれ学生は「モノ」ではなく人間である。3・11を受けて多くの学生が真実に目覚め、必死に闘いに立ち上がっている。なによりも法大闘争は今も日本学生運動にそびえ立っている。世界中で「教育の民営化粉砕!」を掲げた同じ闘いが巻き起こっている。今この瞬間にもチリで50万人の学生デモが巻き起こり、韓国では「ソウル大学法人化法廃棄」を掲げて全学ストライキが呼びかけられている。
フクシマと連帯し原発再稼働阻止へ
特に日本の学生は原発事故によって許しがたい現実にたたき込まれている。そして、そこから生み出される激しい怒りを抑え込む先頭に立っているのもまた大学だ。福島県の放射線健康リスク管理アドバイザー・山下俊一(福島県立医大副学長)を先頭とする御用学者どもは、「原発安全神話」が崩壊するや、今度は「放射能安全神話」をまき散らしている。
はっきりさせたいことは、今福島で起きていることは、本質的に私たちのキャンパスで起きていることと同じだということだ。福島で「活躍」している御用学者の姿は、法政大学では学生を分断し、声を封じる弾圧専門職員の姿なのだ。法大での逮捕・処分は、まさにこの連中によって強行されてきたのだ! 学生の批判の声を封じ込め、行動を抑え込むことに「活躍」している腐った職員や教授が、教育の民営化によって腐敗した全国の大学にいる。こいつらを全員、蹴散らす学生の団結した行動が求められている。これこそが私たち学生の最も根底的な「フクシマの怒り」との連帯だ。
「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」世話人の佐藤幸子さんは、「若い人こそ原発を止めて下さい。福島のような子どもたちを二度とつくってはダメです」と訴えている。全学連は10月を「フクシマ連帯月間」として闘うことを呼びかけている。すでに闘いは始まっている。京大では10月1日、京大原子炉実験所で行われた御用学者講演会弾劾デモが打ち抜かれた。法大では10月6日昼休みに「原発反対! 弾圧職員追放!
フクシマ連帯!」を掲げて法大デモを行う。すべての学生に集まってほしい。
その高揚を引き継ぎ、10月21日の福島大行動に総決起しよう! 学生こそ反原発闘争の先頭に立ち、自分と仲間の未来をかけて生きるために闘おう!
全国で法大のように闘おう
今、全国に法大闘争の地平で闘うことが求められている。9・19反原発6万人集会で福島を代表して登壇した武藤類子さんは「私たちは誰でも変わる勇気を持っています。奪われた自信を取り戻しましょう」と述べた。彼女の発言に触発され、6万人という数の持つ影響力も加わり、労働者階級は自らの力に確信を深めている。ところが今この時に体制内派は、この誇りと確信を低め、議会内の闘争や条件闘争へと反原発の怒りと決起を切り縮め、おとしめようとしている。こんなものはぶっ飛ばして、全国で法大のような闘いを打ち立てよう。それは絶対にできる。9・19大集会への道を切り開いたのはわれわれなのだ。
全国の大学に学生自治会を建設し、すべての大学から御用学者とその同類どもをたたき出そう! 10・6法大デモから10・21福島行動へ! そして11・6労働者集会に総決起し、日比谷公園を埋め尽くそう!
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週刊『前進』(2506号6面3)(2011/10/03 )
日程 10・6法大デモ
10月6日(木)12時半、法大正門前集合午後1時から法大包囲デモ
呼びかけ/法政大学文化連盟、全学連
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週刊『前進』(2506号7面1)(2011/10/03 )
フクシマ連帯・農地死守の旗高く
10・9三里塚に全国から総結集を
市東さんの農地守る決戦勝利へ労農漁民の反乱まき起こそう
松井 剛
10・9三里塚全国集会が目前に迫った。福島県民を先頭にした9・19反原発集会(東京・明治公園)への6万人の大結集は階級闘争を劇的に前進させた。「原発再稼働を許すな!」「すべての原発いますぐなくせ!」の声、福島県民の根底的な怒り――時代は労働者、農民、人民の力が社会をダイナミックに変革する情勢に突入した。なんぴともこの歴史の奔流を押しとどめることはできない。大恐慌、3・11大震災、9・19反原発6万人決起という大激動の中、三里塚闘争は市東孝雄さんの農地を守る決戦に突入した。三里塚も新たな階級決戦、実力攻防の局面を迎えた。9・19の熱気を10・9三里塚へ。そして財界と連合に後押しされた野田民主党政権の原発再稼働策動と「震災復興特区」攻撃、新自由主義との対決、反原発・反失業を掲げる11・6労働者集会1万人結集へ突き進もう。
(写真 三里塚反対同盟は市東孝雄さんを先頭に怒りの千葉地裁包囲デモに立ち上がった【8月30日】)
新自由主義攻撃に根底的な怒り爆発
9・19の6万人の決起が突き出したものは何か。福島原発事故の現実と核・原発への根底的な怒りであり、核廃絶、全原発廃炉、そして革命までやむことのない階級闘争の始まりだ。
「怒、福島行動隊」ののぼりを押し立てた千人を超える被災地福島の人びと、心を揺さぶる武藤類子さんの発言、その最中にも結集する人の波、林立する労働組合の旗、「な全」の解放感あふれる戦闘的デモ……。
9・19の6万人決起は福島県民の怒りと結びついた労働者人民の根底的な怒りの決起だ。福島第一原発事故は資本主義・帝国主義・新自由主義がもたらした究極の人間破壊、自然破壊だ。6万人は怒りの矛先をどこに向けるべきかを示した。9・19は労働者人民の価値観を変えた。
人間は核エネルギーをコントロールできない。その暴走を止めるすべを持たない。人間と核・原発は本質的にも現実的にも共存できない。したがって核・原発を必要とする資本主義・帝国主義を打倒しなければならない。このことが今や人びとの確信となりつつある。
東京電力をはじめ財界は「天災だ」「想定外だ」と原発事故の責任を棚上げし延命を図っている。ペテン的な「ストレステスト」のクリアをもって原発を再稼働させようとしている。利潤の追求・獲得が資本の唯一最大の動機・目的だ。それを貫くために、いかにして核・原発を維持・推進するか、いかにして反核・反原発の声と運動を圧殺するかが資本にとって問題なのである。
すなわち国家と大資本が守ろうとしているものは、被災地人民や原発による避難者の生活や子どもたちの命ではない。東電資本や「原子力村」に連なる利権構造なのだ。
故郷を追われ、農地から切り離されて避難を強制され、明日をも知れない日々を送る福島県民と非正規職化・低賃金・不安定雇用に苦しむ青年労働者の怒りはひとつだ。2千万青年労働者、6千万労働者階級の怒りを新自由主義粉砕の闘いに転化しよう。
米欧日の帝国主義を覆う財政・金融・通貨危機の激化は世界大恐慌をますます深化させている。中国など新興諸国のバブル破綻とインフレ爆発の危機も切迫している。
チュニジア、エジプトから始まった革命の嵐は中東、ヨーロッパ、南北アメリカ、全世界へと広がっている。
そのさなかで3・11大震災と原発事故が日本を襲い、2万人の犠牲者、広大な無人地帯、数百万人の被曝者、数十万人の避難民をつくり出した。
日帝・野田政権はこの戦後最大の危機を突破し延命しようとしている。財界と連合に依拠したボナパルティズム政権として、階級闘争の反革命的な圧殺に踏み込もうとしている。とりわけ被災地に「震災復興特区」を設け、憲法停止的無権利状態に置こうとしている。それは徹底した民営化・規制緩和、外注化・偽装請負、総非正規職化・アジア並み低賃金化、そして「挙国一致」「救国」を振りかざした労働組合運動圧殺、農林漁民殺し、産業報国会化の大攻撃だ。
農業破壊の原発とTPPを許さない
福島第一原発がまき散らす放射能は東北・関東一帯に深刻な打撃を与えている。福島に限っても土壌汚染は1億立方b。除染対象は県全体の7分の1に当たる約2千平方`メートル(東京都の面積に匹敵)。除染対象とされる5千ベクレル以上の農地は福島県内だけで約8300fにのぼる。
これに対する日帝資本家・支配階級の答えが、日本経団連の「復興・創生マスタープラン」と「経団連成長戦略2011」だ。その核心は、原発再稼働とTPP(環太平洋経済連携協定)、震災復興特区である。「電力供給の安定とTPPをはじめとする経済連携の促進、法人実効税率の引き下げはただちに取り組まなければならない」(成長戦略2011)。
農業分野では「経営感覚あふれる担い手」「農地集積」を繰り返し強調している。歴代政権ができなかった農業からの徹底収奪を「震災復興」を口実に一気に促進しようというのである。
そもそも資本主義はその固有の矛盾としての農民・農業問題を解決することができない。それをそのままにして資本主義は発展期=自由主義段階を終え、没落期=帝国主義段階、プロレタリア革命の前夜に突入した。
そうした資本主義・帝国主義の最後の延命策としての新自由主義政策は、弱肉強食の競争原理をむき出しに農業切り捨てとして展開された。中曽根政権下の1986年前川レポート、91年の牛肉・オレンジに始まる農産物市場開放、94年の食糧法成立と食管法廃止、その後のFTA/FPA(自由貿易協定/経済連携協定)、そして関税ゼロのTPP(環太平洋経済連携協定)である。
それは巨大資本(輸出産業)のための輸入農産物の自由化(資本による農業破壊)であり、家族的小規模農家の解体と資本による土地収奪、農業参入である。300万戸農家を40万にまで切り捨てようとする農業つぶしの政策で、昨年日本全国の農家戸数は260万まで減少した。
3・11以前に起きていたことは、労働者に対する首切りと賃下げ、非正規職化、労働法以前のような無権利化であり、農民に対しては農業切り捨てと資本による農業からの徹底収奪だった。これに対して全国の農民はTPPを進める民主党政権と激しく対立してきた。
「震災復興特区」はこの農民反乱を押しつぶし、新自由主義的農業政策を被災地に打ち立て、TPPを強力に推進するものだ。経産大臣の枝野は「TPP早期参加」を対外的に打ち出した。
大恐慌と3・11情勢のもとで日帝資本・国家権力に立ち向かう農民反乱が起きることは必至だ。求められているのは帝国主義(新自由主義)と闘う農民運動だ。体を張った実力闘争だ。震災と原発事故はそのことを根底的に突き出した。
その闘いはいかにしてつくり出されるのか?
労働者階級と農民の連帯によってだ。三里塚反対同盟の45年にわたる農地死守、不屈・非妥協の闘いと、動労千葉の外注化阻止ストライキを先頭に国鉄決戦を闘い、労働組合をよみがえらせる戦闘的労働運動との連帯を軸とした労農連帯、そして時代を切り開く学生の決起にその答えがある。
「国策」絶対反対の実力闘争を貫こう
日本の労働者人民は広島、長崎、ビキニと3度も核による被爆を経験した。だが日帝はあくまで原発の維持・存続にこだわっている。それは経済的側面からだけではない。原発と核武装化路線の堅持は日帝の帝国主義としての存立にとって不可欠だからだ。
野田政権は原発の来夏再稼働を公約した。来年度予算にも福井県敦賀の高速増殖炉もんじゅの経費を計上する。核燃料サイクルの確立をとおして原爆材料=プルトニウムを生産し保有する「潜在的核保有国」の位置を維持するためだ。9月7日付読売新聞の社説は、「抑止力としての原発推進」を公然と主張している。
第2次世界大戦直後、敗戦国・日帝は戦勝国・米帝によって核開発と航空産業を禁止された。1954年の航空機生産禁止令は、航空機製造はもちろん研究・開発、運航のすべてを禁じ、航空管制は米軍の一元的な支配下に置かれた。航空宇宙産業とそのインフラ=空港建設は、核=原発とともに現代帝国主義にとって不可欠の国策産業である。
三里塚闘争はこの「国策」に対して「絶対反対」を掲げ、非妥協・不屈の実力闘争で45年間、成田空港の完成を阻止している。成田空港会社(NAA)の前社長・黒野匡彦は、その破綻を「失われた24年」と表現した。それは日本の航空政策が三里塚闘争に敗北し続けてきたことの表白だ。また、アジア勢力圏化の面での立ち後れをも意味する。
9・19の6万人大結集は、戦後日本の「国策」「国益」である核と原発に対する労働者人民の根底的な怒りと拒絶の表明であり、非和解的な階級闘争の開始である。
この日帝の政治的体制的危機が三里塚の決戦をたぐり寄せた。5・20現闘本部控訴審仮執行判決と8・6本部建物破壊が強行され、第3誘導路工事が日々進められている。
その中で市東さんの農地裁判(行政訴訟=千葉地裁民事第3部、多見谷寿郎裁判長)が口頭弁論を打ち切り、証人の大半を採用せず、年度内判決に向かう攻撃として突如動き出した。これを許すならば他2件の農地裁判も拙速審理の強行、現闘本部同様の仮執行判決さえありうる。
まさに3・11情勢下での市東さんの農地をめぐる決戦への白熱的突入である。三里塚における「国策」「国益」との対決は階級闘争全体に巨大なインパクトを与える。
10・9三里塚全国集会はドラスティックに動き出した階級闘争の先端に立つ決戦突入集会だ。福島の怒りと連帯し、市東さんの農地を守る決戦に立とう! 動労千葉と反対同盟を先頭に労農林漁民の総反乱で「国策」を打ち破れ!
第3誘導路工事実力阻止! 10・9三里塚から11・6集会1万人結集へ! この力で野田政権を打倒しよう。
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破綻した空港ナリタの現実
暫定滑走路と10・9集会会場、デモコース(破線)を鳥瞰図で表した。農地や開拓組合道路が空港を包囲し、えぐり、あるいは滑走路へ向け“突き刺さっている”ことが見て取れる。暫定滑走路は、誘導路の幅だけで空港本体とかろうじて連結している。まさに成田は破綻した欠陥空港だ。
集会場は東峰の萩原進さんの畑。空港敷地を食い破って厳然と存在している。デモは旧小見川県道に出たのち、東峰地区に入る。家屋、畑、神社、墓地などがあり、暫定滑走路の南への延伸を完全に阻んでいる。再び旧県道に出て誘導路の下をくぐり、天神峰の市東さんの畑と家の横を通り、第3誘導路工事の現場に肉薄する。さらに北へ進んで、誘導路をへの字に曲げている市東さんの畑に到着する。
このコースには、三里塚闘争の不屈性、勝利性が凝縮されている。
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週刊『前進』(2506号7面2)(2011/10/03 )
鈴木さん一坪裁判 一切の審理停止せよ
訴訟継承却下決定に反撃
9月29日、千葉地裁で鈴木さん一坪共有地裁判の口頭弁論が開かれ、三里塚反対同盟、顧問弁護団、支援の労働者・学生が一体で闘いぬいた。裁判長は現闘本部裁判一審で反動判決を出した民事5部・仲戸川隆人だ。
7月28日、仲戸川は不当にもこの裁判での訴訟継承問題で、鈴木加代子さんが権利を受け継ぐことについて突然却下の決定を出した。
この裁判は鈴木幸司さん、いとさん夫妻が共有する駒井野の一坪共有地をめぐって始まったが、幸司さんの逝去に伴い、その持ち分は「三里塚地区周辺に土地をもつ会」に帰属し、長男の謙太郎さんとその妻加代子さんが継承することが理事会で決定された。
ところが仲戸川裁判長は、それを認めると一坪共有地が組合の所有であることを承認したことになり、千葉県による買収の違法性が明らかになるため、単なる民法上の所有として、いとさんおよび4人の子の一般的相続の決定を出し、加代子さんの裁判継承を却下したのである。
開廷早々、弁護団は次々と立って仲戸川を徹底追及し、決定の撤回を求めた。傍聴人も怒りの声をたたきつけた。
仲戸川裁判長は、「被告(鈴木さん側)は決定を不服として抗告しているから抗告審の判断にゆだねる」と繰り返して逃げを図った。これに対して弁護団は「却下の趣旨が意味不明」として説明を求める一方、抗告の決定が出るまでは審理を停止するよう求めた。
追いつめられた仲戸川は「幸司さんの継承問題といとさんの権利関係を分離して裁判を進めることもできる」と唐突にとんでもないことを言い出した。分離していとさんの方だけどんどん進め、早く反動判決を出すということだ。
弁護団は心底怒って裁判長を弾劾し、「絶対に認められない。裁判を受ける権利の侵害だ。抗告審の結果が出るまで一切の手続きを停止せよ」と強く迫った。傍聴席からも強い抗議の声が続出した。裁判長はうろたえながらなお「進行協議を持ちたい。期日だけは決めておきたい」などと繰り返した。弁護団は断固これを拒否し、「停止」の立場を譲らない。市東孝雄さんは傍聴席から「裁判長が考え方を変えろ!」と一喝した。
仲戸川は法廷の怒りに圧倒され、2度の合議の末に「停止」を受け入れ「期日は追って指定」と言って閉廷した。鈴木さんと弁護団、傍聴人が一体となっての勝利だ。
裁判所1階のロビーで総括が行われた。葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団一人ひとりの怒りあふれる法廷解説に続き、鈴木さん親子が発言した。鈴木いとさんは穏やかな口調で「一坪共有地は私ら個人のものではなく反対同盟のものですから、体の続く限り闘います」と決意を表した。続いて謙太郎さんは「弁護団とともに分離策動を粉砕した。10・9全国集会を今日の勢いで成功させよう」と語った。
最後に萩原進事務局次長が「今日のような闘いが、現地での実力闘争につながる。10・9は現在の階級情勢のもとで決定的に重要だ。大結集を実現し、その力でまた裁判所を包囲しよう」と力強く訴えた。
(写真 鈴木いとさんと長男の謙太郎さん。裁判を終えて【9月29日 千葉】)
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週刊『前進』(2506号7面3)(2011/10/03 )
9月20日〜26日
野田首相が国連で「原発推進」公約/南スーダンPKO参加も表明
●経団連会長が野田政権に要望 経団連の米倉会長が野田新政権に対し「一に復興、二に復興」と復興特区の早期設置を要望した。また今秋がTPP(環太平洋経済連携協定)への日本参加の「ラストチャンス」と、経産相に早期参加を求めた。(20日)
●日米安保再改定案を提言 産経新聞社が日米安保条約の再改定案を提言した。条約の対象地域を「アジア太平洋地域」に拡大し、日米間の「相互防衛」条項を新設する。(21日)
●欧州金融危機が深刻化 IMF(国際通貨基金)が、ギリシャ国債などの下落に伴う損失が、EUの銀行全体で2千億ユーロ(約21兆円)に達するとの推計を発表した。損失は最大で総額3千億ユーロ(31兆円)に膨らむ恐れもあるとしている。(21日)
●日米首脳会談開く 野田首相がオバマ米大統領と初の日米首脳会談を行い、日米同盟の深化と世界経済安定への協力で一致した。普天間問題について米は「結果を出すべき時期」と日米合意の早期実現を強く求めた(21日)。野田首相は国連総会後、沖縄説得に全力を挙げると表明。(23日)
●野田首相が原発再稼働・輸出続行を明言 野田首相が米紙のインタビューで定期検査中の原発について「再稼働できるものは再稼働していかないと日本経済の足を引っ張ることになる」と来年夏までの再稼働を明言(21日)。翌日には国連の原子力安全に関する首脳級会合で「日本は原発の安全性を世界最高水準に高める」と演説、新興国などへの原発輸出や技術協力を継続すると表明した。(22日)
●米が台湾に武器売却 米政府が総額58億5千万jに及ぶ台湾への武器売却計画を議会に通告した。台湾側が求める新型F16の売却は見送られた。中国は「強烈な憤慨」を表明。(21日)
●米、QE3発動見送り FRB(米連邦準備制度理事会)が追加の金融緩和策を決定したが、QE3(量的緩和策の第3弾)は見送った。(21日)
●G20が金融危機克服へ緊急声明 G20財務相・中央銀行総裁会議が欧米市場での株価急落を受け、金融市場安定へ緊急声明を出したが、具体策は打ち出せずに終わった。(22日)
●パレスチナが国連加盟申請 パレスチナ自治政府が国連に加盟申請書を提出した。オバマ米大統領は強く反対、申請すれば安保理で拒否権を行使すると通告していた。(23日)
●南スーダンPKO参加を表明 野田首相が国連総会で演説し、国際貢献策強化として南スーダンPKO(国連平和維持活動)への参加を打ち出した。陸上自衛隊の司令部要員2人を派遣する方針(23日)。総会後、直ちに政府調査団が現地に出発した。(24日)
●IMFが世界経済に警告 IMFの委員会が「世界経済は危険な段階に入っている」として、ユーロ圏に対し危機克服へのあらゆる対策をとるよう求める声明を採択した。(24日)
●静岡・牧之原市議会が浜岡原発永久停止決議 中部電力浜岡原発の10`圏内にある静岡県牧之原市議会が、浜岡原発の永久停止を決議した。(26日)
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週刊『前進』(2506号7面4)(2011/10/03 )
三里塚裁判傍聴を!
◎団結街道裁判
10月11日(火)午前10時30分 千葉地裁
◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
10月18日(火)午後2時 千葉地裁
(傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合)
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週刊『前進』(2506号8面1)(2011/10/03 )
団結ひろば 投稿コーナー
非正規職雇い止めで10月大混乱は必至だ 郵便労働者 間宮 創
9月30日、65歳非正規職員の雇い止めと正規社員の勧奨退職が行われようとしている。しかも日本全国で。
郵政も民営化され、はや3年以上たってしまった。この間いろいろ考えてみると、公社化されてきた頃から職場の環境はひどくなり、民営化され、さらにひどい労働環境となってしまった。
本来であれば労働組合が闘う組合として闘わなければならないのに、全然ダメ。昨年のJPEXの赤字を社員に押しつけ、ボーナス1・3カ月カットなどとふざけきっている。
このふざけた情勢を許してはならない。こういう事態をつくった日本郵政の社長や事業会社の社長は即退陣するのが当たり前。だが、役員報酬の一部返還でのうのうとのさばっている。
今、郵政職場では人員不足が日常的だ。現場の配達社員に、毎年自爆営業で問題になる年賀はがきの「営業活動」が9月中旬から始まった。今回は言葉を変え「年賀はがきのおしらせ活動はしてこい」「無駄な残業はするな」と強制する。
「自爆」と問題になって言葉を変えてもやることは同じだ。われわれはスーパーマンではない。だったら管理職自らが年賀はがきのおしらせ活動にでも行ってこいと言いたい。われわれ配達社員や非正規社員をこきつかいやがって。現場には限界がきているのではないかと思う。何も変わらない管理職、そして労働組合中央本部の連中。天下りと使えない管理職の見直しを図るべきだ。
最後に、10月から大混乱が起こるのは目に見えている。でも私たちは労働者が主人公の社会づくりに向けて全国の仲間とともに闘う決意である。
岡山労働者集会前に10年ぶりの街頭宣伝 岡山マスカットユニオン P
9月25日、岡山で大野義文さんを招いての労働者集会を開催しました。その労働者集会に先立ち、街頭宣伝とデモ行進を行いました。
私は10年前にデッチあげ弾圧を受け、獄中生活とその後のうつ病の発症により、物理的に精神的に街頭からは遠ざかっていました。しかし、9月の中旬からうつ病の調子が多少良くなったこともあり、実に10年ぶりの街頭宣伝です。新鮮で楽しく刺激的な街頭宣伝でした。
体調が悪い時は、家に引きこもりがちになってしまうのですが、今回、街頭宣伝に参加したことにより、人と人とのつながりの重要性をあらためて認識しました。
しかも帰りの電車待ちで、デモ行進で使ったドラムに貼ってある「な全」のステッカーを見て、「原発反対でパレードとかやってる人ですか」と声をかけられました。すかさず、「な全」署名を勧めると二つ返事でOK。ほんの数分の出会いでしたが、固い握手を交わしました。これまた10年ぶりの署名ゲット。なんともうれしいおまけ付きでした。
9月25日は、盛りだくさんの一日でしたので、家に帰るとぐったりと疲れましたが、うつ病がひどい時の疲れとは違い、爽快(そうかい)な疲れでした。無理をすることなくマイペースで、できる範囲のことを頑張っていきたいと思います。
原発事故への怒りがない福士教授講演会 東京東部ユニオン 市川知寛
9月16日に江戸川区福祉健康委員会での福士政広教授(首都大・放射線安全管理学)の講演を聴いてきました。同教授は8月1日の船堀講演で大ひんしゅくを買った人物です。区議9人と管理職17人が出席し、7人が傍聴しました。
冒頭に福士教授は「今年は_シーベルト、ベクレルが流行語大賞になるかも」と切り出しました。原発事故や国・東電への怒りがまったくありません!
講演は外部被曝の話が中心で、紫外線や化学物質、ストレスでもガンにはなるので放射性物質を特別扱いすべきではないという論を展開し、子どもを守ろうと行動する人たちを暗に批判。さらには「基準値の1_シーべルト/年は発ガンのしきい値より100倍厳しく、規制値ではないから引き上げても問題はない。安心して」などと露骨に福島との分断を図ります。福島のお母さんたちが政府に要求してきたサテライト疎開と除染には一切触れず、長期的な健康調査の必要性を強調するばかりでした。
チェルノブイリ原発事故の調査では、内部被曝で心筋梗塞などのあらゆる病気を発症しやすくなることがわかっていますし、25年がたった今も30`圏内には人が住めません。ベラルーシで生まれてくる健康な赤ちゃんは15%だそうです。
俳優の山本太郎さんは9月24日に出演した関西テレビの番組で「片っ端から(福島第一原発事故の)賠償・補償をやったら日本経済は破綻する。でもサテライト疎開や全原発の停止・廃止を実現して人びとの健康を守れれば、経済が破綻してもやり直せる」と述べています。私もそう思います。
原発廃絶までやむことのない6万の怒り 千葉 笠井 隆
9月19日、6万人が結集した「さようなら原発」集会に参加しました。明治公園に向かうため千駄ケ谷駅で下車したのですが、ホーム上で身動きがとれなくなり、改札を抜けるまでに10分もかかりました。駅前から会場まで延々と続く参加者の流れに「これが人の波なんだ」と実感しました。
呼びかけ人である大江健三郎さんの「原子力エネルギーは必ず荒廃と犠牲を伴う」「私たちはそれに抵抗する意思を持っている」というアピールを聞きながら、学生の頃に読んだ「ヒロシマ・ノート」から受けた深い感動を思い出しました。
大江さんは、「私は広島、長崎の死者たち、ビキニ環礁での被爆で苦しみ続けている(亡くなられもした)人たちの示す人間的な威厳に学んできた」(世界5月号)と述べ、フクシマについて「3発目の原爆が落とされた」(9月8日・日本青年館)と語っています。 そこには生涯の最期をかけた闘いへの覚悟を強く感じます。
そんな折、80年代の反核闘争をともに担い抜き今はノンフィクション作家となった友人が、「デモ、いったぞ。本日9月19日、(中略)参加者の多いこと。公園の敷地内に入れず周囲をぐるっとまわって日本青年館前の植え込みでようやくスペースを見つけた」とブログに書いていることを知りました。わずか数十b隔てて20年ぶりの再会を果たしていたのです。
この集会の歴史的な高揚は、人生をかけても核エネルギーと対決する覚悟を固めた一人ひとりの決起が生み出したものです。それは原発廃絶までやむことのない壮大なうねりとなることは間違いありません。
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新潟・星野連帯する会の新たな出発点に 新潟 山口敏昭
9月10日、新潟・星野文昭さんに連帯する会が「暁子さんとともに星野再審無罪へ!新潟集会」を持ちました。結成から2年、「あと2、3年で出る」と決意している星野さんに応える集会として大成功しました。
集会は、星野暁子さんの訴えがメインで約1時間。私自身にとっても初めて聞くことが多く、文昭さんと2人の苦闘、想いが良く伝わる訴えでした。特に、暁子さんの「無期と対決する中で2人の絆(きずな)を深めてきた。文昭と一緒に生き、闘う人生は寂しいものではなかった」の言葉に、星野奪還闘争が勝利してきていることを実感しました。また、「文昭の絵は人間の生きる喜びを表現している」との訴えに、一日も早く文昭さんを取り戻したいとの決意を私も強くしました。
会場の日本キリスト教団新潟教会に集まった38人全員が暁子さんの話に引き込まれたと思います。労組交流センターや新潟地域一般ユニオンの労働者だけでなく、キリスト者の方たちも。交流会でも全員が自己紹介しながら質問や意見を出し合い、「”一日も早く冤罪を晴らす”の一点で運動を広げていこう」と確認しました。
集会は、新潟・星野連帯する会の新たな出発点になりました。翌日の反原発デモには星野のぼりを立てて参加。キリスト者と交互にのぼりを持って2時間半のデモを貫徹しました。
文昭さんと暁子さん結婚25周年を祝う会 三多摩 大畠信子
9月18日、獄中37年目を闘う「星野文昭さんと暁子さん結婚25周年の集い」が開催されました。「おめでとう」と50人を超える星野闘争を闘う仲間が駆けつけ「祝う会」は盛大に行われました。
お祝いの言葉と暁子さんのあいさつの後、「星野闘争訪米の記録」DVDが初公開されました。7月の訪米で星野の闘いがアメリカの青年や労働者にそのまま伝わり、労働者階級に国境はないと私たちが実感したことが、参加者全体にも理解されたのではないかと思います。
全学連の新委員長・斎藤郁真さんや国鉄全国運動の山本弘行さん、沖縄民権の会の座覇光子さんなどが発言し、「あと2、3年で出るつもりで闘っている」という星野さんの決意をわがものとして闘う意志を表明しました。遠く山形の仲間も駆けつけてくれました。
街頭署名で星野さんの闘いを知り、音楽なら協力できるからと演奏をしてくれた青年たち。生で聞く弦楽四重奏は素晴らしいものでした。
無実を百も承知で37年も獄中に閉じ込め、結婚記念日の面会も認めず、夫婦の手紙を墨塗りにするなど、これが、階級社会の現実なのだと思います。労働者階級は団結しなければ、資本家によって社会生活まで破壊、分断されてしまう、この現実を絶対に変えてやろうと、「祝う会」に参加しながら怒りと決意がこみ上げました。本来ならば、そこに2人がそろっていていいはずなのに。
9・19反原発の6万人決起の力は必ず星野奪還の力となります。11月6日には、訪米時にお世話になった仲間も来日します。とても楽しみです。
星野訪米報告ビデオぜひご覧ください! 徳島 仙田哲也
11・6日比谷に彼らがやってくる! 今年はすごいことが起きる! その予感が伝わる動画です。これが動労千葉労働運動と星野闘争の現地平といえます。7月のサンフランシスコ闘争が28分の濃縮映像になりました。1部500円、注文は星野再審事務局へ。
内容は、「政治犯と労働組合 星野・ムミア奪還サンフランシスコ集会」の参加者が、各自の母語で「インターナショナル」を歌います。心が一つにつながっていくシーンです。11月には、フクシマと世界の労働者がこのインターナショナルを一緒に歌いましょう。
日比谷の壇上で見る彼らは、こんな日常闘争を担って発言していたのか! その背景が垣間見れます。資本主義・アメリカのど真ん中で「労働者がデカイ顔」してピケットをやっている、この解放感!
一方で直前に黒人労働者が警官に射殺された。それゆえ星野集会での熱弁のシーンでは、「完黙」や「階級戦士の救援運動」には、けっして道徳的なきれいごとや憐れみ、義務感という空気はみじんもない。「救援(defence)」は、労働者軍が敵軍や傀儡(労働貴族)に対して、階級的団結の陣地を守り、匍匐(ほふく)前進をかちとるための現実的で最も根幹的な戦闘領域となっていました。
救援(defence)がすわっている労働組合は強靭(きょうじん)である。ILWUの門前のペイントをみて、文字通り「生きるために戦っている」姿と、その輝くような笑顔と力強さのわけを知りました。学ぶべき戦いぶりでした。
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週刊『前進』(2506号8面2)(2011/10/03 )
指紋鑑定書の誤りは鮮明
福嶋上告審 第2補充書提出で攻勢
9月2日、福嶋昌男同志と弁護団は迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の上告趣意書の第2補充書を提出した。昨年1月の上告趣意書提出、9月30日の上告趣意第1補充書提出に続く上告審闘争の第3弾である。
福嶋同志は無実だ。われわれは無実の福嶋同志に対する懲役12年の長期重刑判決を絶対に許さず、必ず打ち砕く。福嶋裁判上告審闘争は、東京地裁・高裁による不当な有罪デッチあげ判決を根底から打ち砕く前進を次々とかちとり、逆転無罪判決をかちとる道を圧倒的に切り開いている。
第1補充書では、T大学K教授が製作した最新鋭の指紋認証装置を用いた検証実験報告書によって、岩手押収メモに付着していたという指紋と福嶋同志の指紋とは、同一人物の指紋とは判定できないことを実証した。
今回提出の第2補充書では、W大学M教授の論理学と確率論を駆使した意見書によって、検察提出の指紋鑑定書が誤鑑定であることを鮮明に論証した。
M意見書は、原判決の事実認定には「論理構成と判断内容に重大な疑義が認められ……本件の非論理的な判決文が最終決定に相当するとは認めがたい」代物であり、「論理的であるべき判決文としての最低条件を満たしていない。公正な裁判によって司法が行われねばならないと信ずる者にとって、本件の非論理的な判決文が最終決定に相当するとは認めがたい」と強く弾劾し、原判決の破棄を最高裁に突き付けている。
有罪判決破棄を
控訴審判決は検察官提出の筆跡鑑定と指紋鑑定によって、岩手押収メモは福嶋同志が作成したとしている。しかし検察官の提出した筆跡鑑定は、一審以来、被告側の反撃によって基本的に打ち砕かれている。
それゆえ、控訴審判決は「筆跡は、指紋とは異なり、万人不同とまではいうことができず、筆跡鑑定は、その性質上、指紋のように厳密な同一性の判定ができるものではない」などと詭弁(きべん)を弄(ろう)しながら、しかし、本件では指紋が一致しているのだから、「それらのメモを被告が……自ら記載したことは、十分に認定することができる」と筆跡の一致を認定しているのだ。
つまり、日本の司法界を支配している警察指紋鑑定に対するまやかしの「絶対性・無謬(むびゅう)性」に全面的に依拠して、「万人不同」の指紋鑑定で指紋が一致したのだから、「被告人がそれらのメモと密接な関係を有することが強く窺われる…」といって有罪を宣告しているのだ。
しかし、今や警察指紋鑑定が、似ているに過ぎない指紋を福嶋同志の指紋だと誤鑑定していることが、K報告書によって実証され、M意見書によって論証された。筆跡についても上告審でさらに2通の異筆鑑定が提出され、計4通の異筆鑑定による決定的な追撃が加えられている。
上告審闘争は、裁判としての裁判の土俵の上で、無実を立証する地平を決定的に切り開いた。一・二審判決の事実誤認は暴露され、もはや福嶋同志を有罪としうる根拠は皆無だ!
最高裁は有罪判決を直ちに破棄し、無罪判決を出せ!
労働者の闘いで
11・6に向かって、労働組合をよみがえらせる闘いを基軸に、労働者階級人民の総決起を組織し、11月1万人決起を実現しよう。その力で迎賓館・横田裁判で完全無罪判決を戦取するのだ。9・11−9・19を見よ! 大恐慌と3・11情勢は、その情勢を圧倒的に開示している。
われわれは、福嶋裁判上告審闘争でデッチあげ重刑判決を打ち砕き、その勝利の地平から須賀・十亀・板垣差し戻し控訴審で再逆転の無罪判決を必ずかちとる。4同志の完全無罪を必ずやもぎとろう。
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週刊『前進』(2506号8面3)(2011/10/03 )
“難民を人間として扱え!”
東京入管へ抗議デモ
外登法・入管法と民族差別を撃つ全国実が呼びかけて
9月28日、「難民を含むすべての外国人を人間として扱え! 収容するな! 仮放免者に仕事をさせろ!」と訴える東京入管への抗議デモが、60人を超える参加で闘われた。外登法・入管法と民族差別を撃つ全国実行委員会が呼びかけ、難民・仮放免者などの外国人と日本人労働者との共同闘争が実現したのだ。
正午すぎ、品川駅前で街頭宣伝が始まった。マイクを握った牛久入管問題を考える会の田中喜美子さんは、牛久で8月下旬から処遇改善を求めるハンストが闘われたことを報告し、「難民を生み出す新自由主義を労働者の団結で打倒しよう」と呼びかけた。イラン、スリランカなどの外国人が入管への怒りを表明、動労千葉の中村仁さん、なんぶユニオンの代表が入管闘争を闘う決意を語った。青年労働者、全学連も「な全」の横断幕を広げて参加した。
午後1時すぎ、東京入管に向けてデモが出発した。港南大橋を進むと巨大な東京入管の建物が見えてくる。この建物の8階から上が収容所だ。
デモ隊が入管を周回しながら「皆さん! 聞こえますか!」「粘って粘って生きぬこう!」「世界の労働者は団結して勝利するぞ!」とシュプレヒコールを上げた。これに応える被収容者の指笛や歓声がシャワーのように振ってくる。収容者が手を振っているのが見える。デモ隊も力の限り手を振りながら「ガンバロー!」と叫ぶ。熱いエールが交わされた。
デモ終了後、20人余りで東京入管に申し入れを行った。要求事項は、@難民(申請者とその家族)及び移住労働者を人道的配慮に基づいて扱うこと、A仮放免者に労働の自由を保証すること、B長期収容・再収容をやめ、仮放免の保証金を引き下げること、C来年7月に導入が予定されている新たな在留管理制度=「在留カード」を中止すること、4点である。
反原発・反失業の充満する怒りを行動へ、在日・滞日外国人と団結し11・6日比谷に1万人を登場させよう!
(写真 東京入管収容所からの指笛と歓声に応え、「いっしょに闘うぞ!」「がんばれ!」と手を振るデモ参加者たち【9月28日 港区港南】)
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週刊『前進』(2506号8面4)(2011/10/03 )
労働者の母 李小仙さん追悼
全泰壱烈士の遺志引き継ぎ生涯かけて労働解放に献身
韓国の民衆から「労働者の母」と呼ばれ慕われてきた李小仙(イソソン)さんが、9月3日、亡くなられた。享年81歳だった。
今夏の猛暑にもかかわらずあちこちと労働者の闘いの場に駆けつけていた李小仙さんは、7月18日、突然心臓疾患で倒れ、入院していた。
いったん持ち直した李小仙さんは、病床から「やあ、半年以上もキムジンスクが高いところで頑張ってるのに、私が行かないでどこが労働者の母だ」と、韓進(ハンジン)重工業の整理解雇撤回を要求して造船クレーンの上で籠城(ろうじょう)しているキムジンスク民主労総釜山本部指導委員のもとに駆けつけることを切望していたという。
李小仙さんは「勤労基準法を守れ!」「労働者は機械じゃない」と叫んで1970年11月13日に焼身決起した全泰壱(チョンテイル)氏の母親だ。
「まっ暗な闇の中でか弱いシタ(見習い)たちがおなかをすかせているのに、この闇の中で仕事をさせられているのに、この人たちはもう少ししたらみんな結核患者になり、目もかすみ身体もぼろぼろになります。私はこれを見てがまんがならず、何とかしようと思ってもできず死ぬんです。私が死ねばアワほどの穴でもあけられれば、それを見て学生や労働者が一緒に最後まで闘って穴を少しずつ広げ、か弱い労働者たちが、自分がなすべきことを、自分の権利を追い求められるようにする道をお母さんがつくらなければなりません」
息子・チョンテイル氏のこの遺言を胸に、李小仙さんは以後、常に労働者のそばにあり、闘いの先頭に立ち続けた。清渓被服労組や東一紡織闘争、九老同盟ストなど労働者闘争との連帯、朴正煕(パクチョンヒ)軍事独裁政権下での政治犯救援活動、疑問死究明運動、学生の闘いへの支援、2度にわたる投獄……。その時々の韓国民衆の闘いの場に常に李小仙さんの姿はあった。
李小仙さんは特に、労働者が自らの命を犠牲にして闘う韓国労働運動の厳しい現実に対し、行く先々で「生きて動く労働者のみなさん」と呼びかけ、「両の目を見開き、両の手をぎゅっと握って一つになれば必ず勝てる」「生きて闘おう」と声を涸(か)らして訴え続けてきた。
李小仙さんの遺志を受け継ぎ、この11月、日韓労働者の共同闘争で非正規職撤廃、新自由主義攻撃粉砕へ闘おう!
(写真は昨年の11・7民主労総全国労働者大会で参加者を激励する李小仙さん)
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週刊『前進』(2506号8面5)(2011/10/03 )
日程 10・7反原発弁護士市民集会
10月7日(金)午後6時
弁護士会館2階講堂クレオ(霞が関)
★佐藤幸子さん(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク世話人)
「子どもの未来を奪うな!福島を返せ!」
★大石又七さん(ビキニ水爆実験被爆者・第五福龍丸乗組員)
「空に閃光が…そして死の灰が」
★小出五郎さん(科学ジャーナリスト・元NHK解説委員)
「原子力村とジャーナリズムの責任」
★高山俊吉さん(弁護士)
「裁判所の責任を徹底的に追及する」
○すべての原発いますぐなくそう!全国会議
(な全=NAZEN)からのアピールほか
主催/反原発日弁連臨時総会請求運動
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