ZENSHIN 2011/09/19(No2504 p06)
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週刊『前進』(2504号1面1)(2011/09/19 )
原発推進・大増税の野田・民主党政権を倒せ
反原発・反失業!怒りを11月へ
JRの偽装請負を徹底弾劾し外注化阻止・非正規職撤廃へ
ストライキ復権し労組再生を
9・11―19反原発全国一斉行動は、全国約百カ所で10万人が立ち上がっている。反原発闘争は、完全に新たな段階に突入した。地の底からわき上がる原発への怒りを職場に持ち込み、闘う労働組合をよみがえらせれば、原発は絶対に止められる。すでに全国の原発54基のうち8割が停止している。青年労働者の闘いが決定的だ。10・9三里塚現地闘争から、すべての力を一つにして、「反原発・反失業11・6日比谷大集会」に集まり、原発を止めよう!
(写真 「原発いらない!」「今必要なのは若者の力だ!」「不当逮捕を許さないぞ!」――1万人の怒りが渦巻いた9・11新宿デモ【前号既報】。NAZENと全学連の奮闘が光った) 反原発デモが全国を席巻
労働者を踏みにじる新自由主義攻撃の原点は、1980年代の国鉄分割・民営化だ。この攻撃と真っ向から闘ってきた動労水戸は16日、JR東日本による不当労働行為を糾弾しストライキに決起した。そして動労千葉は、10月1日実施予定の京葉車両センターの外注化攻撃に対してストライキを構えて闘っている。この闘いと連帯し、今秋闘争を闘おう。
3・11大震災と原発事故から半年後の9月11日、全国で3万人が反原発デモを闘った。東京では1万人を超える大デモが新宿を一周し、新宿を青年・学生の反原発の街に塗り替えた。このデモの先頭に、前日の大会で新執行体制を確立した全学連が立った。
原発は地上に置かれた原爆だ。いや、「福島原発事故で放出された放射性セシウムは広島原爆の168個分」と言われているように、とてつもなく反人民的なものだ。
ところが野田政権は、「放射能は安全。文句があるなら出て行け」「国家の言うことにさからうのは非国民だ」というキャンペーンを張っている。日帝・野田政権はいまや、デマと暴力で人民に対応するしかないところまで追いつめられているのだ。
実際に日帝は10、11日、日本財団(笹川陽平会長)の主催で「放射線と健康リスク」なる「国際会議」を福島医大で行った。世界14カ国・2機関の御用学者を集め、「福島県民の被曝リスクは低い」と大宣伝する攻撃に出たのだ。それを迎え撃って11日には北海道から沖縄まで、デモが日本列島を席巻した。
ロシア革命やエジプト革命がそうであったように、「デモとストライキ」はプロレタリア革命の原則的な闘いだ。9・11−19闘争の大高揚は、60年−70年闘争をも超える、壮大な闘いの始まりだ。
ストライキが世界を変える
かつて日本の労働者は発電所のストライキ(電産スト)で、GHQ(占領軍司令部)や皇居の電気も止めた。原発を止めるのは、まずは法律でも議会でもない。現場の原発(電力)労働者のストライキを軸とした闘いだ。この実現のために、職場から立ち上がろう。
8月29日、福島第一原発の浄化処理施設でのわずか1時間半の作業で23_シーベルトを超える被曝があったと発表された。このように、原発は被曝労働と労働者の使い捨てを前提とすることでしか成り立たない。
外注化・非正規職・偽装請負が原発の実態だ。これは労働組合の御用組合化で可能になった。1985年の労働者派遣法(13業務に限定)以来の労働法制の大改悪は、国鉄の分割・民営化(85年の国鉄改革法)と一体である。その先兵になったのが、JR東日本会社と、連合結成に走った体制内労働組合だ。
さらに今、国労本部が7月全国大会で規約改悪までして「解雇された者は組合員ではない」とした。それは国労闘争団を切り捨て、さらにグリーンスタッフなどの青年労働者の解雇をやりやすくするためだ。労働組合が首切りと闘わないどころか、首切りに率先協力するということだ。
だが、百万人の国鉄闘争支援陣形を構築した日本の労働者階級は、職場での反乱を開始している。郵政非正規ユニオンの決起はその最先頭に立っている。グリーンスタッフや平成採青年労働者の大流動化はJR大再編情勢を揺さぶっている。「京葉車両センター構内入替業務外注化は100%偽装請負だ!」を掲げる9月21日の動労千葉ストライキ突入総決起集会はその号砲となるだろう。
被曝を強制され、8層ものすさまじい搾取に一番怒っているのは原発(電力)労働者だ。この怒りと結び、原発再稼働を阻止しよう。
大恐慌で深まる日帝危機
大恐慌が欧州恐慌に拡大した。ドル暴落、米国債紙くず化と、世界経済の破滅に向かう暴走局面に入った。20日からのFOMC(連邦公開市場委員会)がさらに危機を促進する。
この帝国主義世界体制の最弱の環が日帝であり、福島原発事故が日帝の絶望的危機を一層加速している。13日、国会開会で行われた野田の所信表明演説は、初めから「危機の中で公に尽くす覚悟」を押しつけ、「原発については……再稼働を進めます」とした。
さらに野田は、「新成長戦略の加速」「郵政改革関連法案の早期成立」「国家公務員制度改革関連法案の早期成立」「日米同盟は公共財」「TPP(環太平洋経済連携協定)は早期に結論」と述べた。その強行のために「私が主宰する新たな会議体を創設する」と、菅政権以上に反動的な政権をめざすことを宣言している。だが、これこそ危機にのたうつ日帝・野田政権の悲鳴だ。
原発は資本主義の生き残り=新自由主義の核心をなすものとして推進されてきた。だがそれで、資本主義は発展することができたのか?
日本において新自由主義への転機をなした1995年の日経連のプロジェクト報告「新時代の日本的経営」が出された翌年には、雇用人口4776万人(うち非正規雇用971万人)でGDPは505兆円だった。これ以降、非正規職化と賃下げが拡大し、定年後の就労や夫婦共働きが広がった。2010年、雇用人口は5511万人になったが、GDPは479兆円に縮小した。
しかも、8月29日に出された厚労省の発表では、非正規雇用率は38・7%だ。非正規労働者が2千万人を超える恐るべき事態だ。9月14日には、「有期契約労働者の74%が年収200万円以下」と発表された。もはや年金・医療・教育も崩壊寸前だ。
多くの労働者が定年後も死ぬまで働かされ、そして家族全員が働かなければ生活できない。しかも働く場もないほどに経済規模が縮小している。だから資本家は労働者をこれほど安くこき使っても、なお利益も出せない。まさに「終わりの終わり」の資本主義だ。
職場闘争で団結つくろう
もうこんな社会は終わりにしよう。この5年間で首相が6人代わった。原発事故を起こし収束できない政府、被災地を踏みにじり切り捨てることしかやれない政府・閣僚、労働者をこき使うだけの社長によって社会が動いているわけではない。労働者・学生・農漁民・市民こそが社会を動かしているのだ。
6日、イタリアで欧州ゼネストの先陣が切られた。人口775万人のイスラエルで60万人規模のデモが続き、南米チリでこの3カ月間、ストとデモが続発している。
世界中で「革命をやろう」の声があふれている。野田政権の福島圧殺攻撃をはね返して、福島の闘いと連帯して決起しよう。全国農漁民の怒りとともに、10・9三里塚全国集会に結集しよう。
沖縄の辺野古新基地建設阻止、教科書攻防に勝利しよう。
来春までの半年間は、すべての原発を止める歴史的決戦になろうとしている。ここに勝利する力の源泉は、労農学市民の怒りの自己解放的決起であり、職場における資本との闘いの実践と、職場の仲間の組織化、そのすべてをもってする拠点職場の建設だ。
11月6日、東京・日比谷野外音楽堂で動労千葉と関西地区生コン支部、港合同の3労組と国鉄闘争全国運動が呼びかける全国労働者総決起集会が開かれる。「反原発・反失業の国際統一行動を! 国鉄1047名解雇撤回! 非正規職撤廃!」を掲げたこの集会に結集しよう。世界の労働者の団結した力で世界を変えよう!
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週刊『前進』(2504号1面2)(2011/09/19 )
9・11新宿反原発デモ
5人の仲間を奪い返そう
野田政権の大弾圧を許すな
デモの高揚を恐れ12人逮捕
民主党・野田政権は、労働者人民の反原発闘争の大高揚に危機感を深め、弾圧に打って出た。
9月11日に1万人が結集した東京・新宿の「原発やめろデモ」で警視庁は12人を「公務執行妨害」などをデッチあげて不当逮捕した。多数の警官がデモ参加者に襲いかかり、地面に引き倒し、殴る蹴るの暴行を加えたのだ。絶対に許せない。
逮捕された12人のうち7人は14日までに奪還された。だが、5人は勾留されたままだ(16日現在)。権力の弾圧をうち破る武器は、完全黙秘と労働者人民の団結だ。その力で全員の即時奪還をかちとろう。
警視庁は初めから弾圧体制を敷いていた。デモの出発地点を当初の新宿アルタ前から、直前になって新宿中央公園に変更を強制した。事前にアルタ前の広場にはフェンスを張って、大勢の人が集まれないようにした。また駅東口周辺には多数の機動隊バスや装甲車を並べ、警官を大量に配置して威圧し、デモ参加者の結集を妨害した。
午後3時過ぎに新宿中央公園から出発したデモには多数の警官が張り付き、出発から5分もしないうちに参加者を暴力的に引きずり出して逮捕し始めた。
警察は、デモ隊と沿道の民衆との合流を恐れ、デモへの飛び入り参加を妨害した。また、右翼分子がデモ隊に暴言と挑発を繰り返した。こうした過程で12人のデモ参加者が不当逮捕されたのだ。
しかし、このような権力・右翼の妨害を打ち破り、逆に弾圧への怒りをバネにしてデモは圧倒的に打ち抜かれた。逮捕現場では、多くの人民が不当逮捕に強く抗議した。
全員を奪還し11月総決起へ
このような大弾圧こそ、民主党・野田政権の正体だ。民主党・野田政権は、原発再稼働に延命をかける資本家階級の手先となって、労働者階級人民の反原発闘争を圧殺しようとしている。
警察の弾圧はまた、日帝権力が民衆の怒りの爆発にどれほど恐怖しているかの現れだ。大恐慌と3・11大震災情勢のもとで、原発・大失業に対する青年の怒りは日増しに高まっている。エジプトやギリシャ、イスラエル、イギリス、フランスで暴動的に爆発している青年労働者の怒りは世界共通だ。日本でも若者たちの怒りが巨大な闘いとなって爆発することは時間の問題だ。国家暴力で抑えつけることなど、絶対にできない。
階級的労働運動を一層発展させよう。11・6労働者集会を反原発・反失業の一大総決起の場としよう。5人の仲間を直ちに奪い返そう。
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週刊『前進』(2504号1面3)(2011/09/19 )
動労水戸がストライキ
“最高裁判決を完全履行せよ”
動労水戸は9月16日、運転士不登用事件をめぐる08年12月の最高裁勝利判決の完全履行を求めて新たな裁判を提訴した。
この日、動労水戸は組合要求の貫徹と一切の不当労働行為の根絶を求め、原告の組合員を先頭に地上勤務者17人が指名ストに入った。ストに入った組合員を先頭に、早朝から勝田車両センター前、水戸運輸区前(写真)での抗議行動を連続的に闘い、JR当局の不当労働行為を徹底弾劾するとともに、職場の仲間に「動労水戸に結集し、ともに闘おう」と熱烈に呼びかけた。
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週刊『前進』(2504号1面4)(2011/09/19 )
【集会要項】10・9三里塚全国総決起集会
第3誘導路粉砕・市東さんの農地を守ろう! フクシマ連帯・原発再稼働許すな! TPP(環太平洋経済連携協定)反対! 軍事空港粉砕・改憲阻止!
10・9三里塚全国総決起集会
10月9日(日)正午 成田市東峰・反対同盟員所有地
主催 三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『前進』(2504号1面6)(2011/09/19 )
前進速報版から
▼福島で国際専門家会議に抗議行動▼高崎で市東孝雄さん、坂本進一郎さんを迎えて討論会▼9・11反原発新宿1万人デモ@movie
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週刊『前進』(2504号2面1)(2011/09/19 )
動労千葉 “ストで外注化を止める”
10月1日実施阻止へ総力決起
動労千葉は、JR東日本が10月1日実施を狙う京葉車両センターでの構内運転業務一部外注化の阻止に向けて、激しい組織攻防戦を闘い抜き、JR経営陣をギリギリまで追い詰めている。
「JRの偽装請負を告発する8・30大集会」でJR東日本が行っている大規模な偽装請負を暴露したことに続き、9月14日には外注化差し止め訴訟を東京地裁に提訴した(記事別掲)。外注化実施のための教育訓練が開始された場合は、ただちにストライキに立ち上がる万全の闘争態勢を確立している。
職場闘争でJR資本追い詰める
何よりもJR東日本を追い詰めているのは職場での闘いだ。6月の外注化の提案以降、京葉車両センター門前で早朝ビラまき・情宣活動が連続的に闘われてきた。青年組合員の渾身(こんしん)の訴えは、仲間の心をつかんで離さない素晴らしいものだ。この中で組織拡大の展望が力強く切り開かれている。
追い詰められたJR千葉支社は、千葉鉄道サービス(以下、CTS)に出向して働いているエルダー社員に対して、本人が希望した職場への配属を拒否した上で「希望する職場で働きたかったらハンドル業務を希望しろ」、つまり“構内運転業務外注化に協力しろ”と強要する卑劣なやり方で外注化要員を確保しようとした。動労千葉は、他労組の仲間に対しても「外注業務を請けないでくれ。外注化への協力を拒否し職場を守ろう」と訴え、ほとんどの労働者が会社への協力を拒否した。手を上げたのは、ごく少数のカクマル分子らだけだ。
CTSでの車両清掃業務は肉体的には相当きつい仕事だ。CTSで勤務を始めた労働者はみんな5`も6`もやせるほどだという。それでも多くの仲間が、構内運転業務を拒否し外注化への協力を拒んだこと自体がすごい決起だ。動労千葉が闘ってきた10年にわたる身を切るような外注化阻止闘争が、他労組も含めて職場の仲間を圧倒的に獲得しているのだ。
「技術はない」と偽装請負を自認
8月19日に行われた動労千葉とCTSとの団交では、CTS側が「構内入換業務の経験や技術は今の段階では持っていない」という重大な回答を行っている。この一点だけでも業務委託は絶対にできない。しかしCTSは「他支社においても同じような状況で業務委託したから千葉でもできる」と強弁している。本末転倒もはなはだしい。“千葉でもできる”ではなく、JR東日本が全社で行っている違法行為=偽装請負の現実をこそ改め、ただちにJRの直営に戻すべきなのだ。
動労千葉の闘いは外注化を阻み自らの職場を守ると同時に、製造業を始め全社会ではびこる偽装請負の現実を真正面から告発し非正規職の撤廃をめざす闘いだ。会社の攻撃に対して困難を恐れず立ち向かうならば、どんな職場でも必ず展望は開けることを動労千葉の闘いは示している。
ストライキを構えて闘う動労千葉と連帯し、構内運転業務外注化10月1日実施を阻止しよう。あらゆる職場から闘いを巻き起こし、闘う労働運動を復権しよう。
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週刊『前進』(2504号2面2)(2011/09/19 )
外注化と配転やめよ
差し止めの仮処分申し立て
動労千葉は9月14日、JR東日本を相手どり、京葉車両センターでの構内運転業務の一部外注化と、それに伴う動労千葉組合員の強制配転の差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。
申し立ての後、厚生労働省内で記者会見を行った。動労千葉からは田中康宏委員長、川崎昌浩執行委員、関道利執行委員が出席した。
会見の冒頭、代理人弁護士を代表して石田亮弁護士、花澤俊之弁護士が申し立ての趣旨を説明するとともに、今回の業務委託がなぜ偽装請負にあたるのかについて解説した。
さらに田中康宏委員長が、2001年以降のJR東日本における業務外注化の推移を明らかにした上で、「私たちは千葉で10年にわたって外注化を止めてきたが、千葉だけでなく全JR職場の外注化の実態を社会問題化し、本気でこれをひっくり返す決断をしたことから、今回の申し立てに踏み切った」「多くの労働組合がこうした外注化攻撃と闘わないばかりか、これに率先協力してきた。その結果、社会全体で雇用が破壊され、年金や社会保障制度、教育も含めて全面的に破壊されてきた。こうした労働組合のあり方も含めて問題にしていきたい」と裁判に臨む基本姿勢を示した。
また、動労千葉に続いて動労水戸、動労連帯高崎も厚生労働大臣に対して「偽装請負に関する申告」を行ったことも報告した。
出席した記者からは「JR東日本が考えている最終的な業務外注化の規模は?」「子会社の社員と直営のJR社員は同じ職場で仕事をするのか?」などの質問が出された。「過去に労働基準監督署からの是正勧告などが行われたことはあるのか?」という質問には、田中委員長が「おそらくないはずだ。今回、私たちが初めてJRにおける偽装請負を正面から問題にしたからだ」と答えた。
会見終了後も記者から組合員や代理人への質問が続いた。
(写真 差し止め訴訟の提訴後、記者会見を行う動労千葉と代理人【9月14日 厚生労働省記者クラブ】)---------------------------------------------------
週刊『前進』(2504号2面3)(2011/09/19 )
GS(グリーンスタッフ)雇い止め阻もう
青年使い捨てるJRに怒りを
JR東日本は9月10日を前後して、正社員登用試験を受けたグリーンスタッフ(GS)に一次試験の合否を通知し始めた。すでに多くの仲間が不合格の通知を受け、悩み、苦しみ、悔しさをかみしめている。「あんなに勉強したのになぜ不合格なのか」「何で仕事ができるあの人まで不合格にされたのか」という思いを誰もが抱えている。
はっきりさせるべきなのは、GS制度とJR資本こそが悪であり間違っているということだ。自分の能力や頑張り方の問題では断じてなく、そもそもGSという制度そのものが、労働者を5年で使い捨てるためのものだということだ。本来なら、4回も契約更新が繰り返されれば、正社員として扱われるのが当然だ。
GSのとてつもない悔しさと苦悩の底には、JRへの抑えがたい怒りがあるはずだ。その怒りを表に出し、行動に転化しよう。
震災情勢下で大量解雇強行
国労東日本本部との団体交渉で、JR東日本は「当社の有期雇用の人数は極めて低い。GSは6万人の社員のうち2300人にすぎない」「雇い止めの数はきわめて少ない」「入社時点に4回の更新との契約をしている。制度上問題はない」と雇い止めを全面的に居直った。
JR東日本は、GSを雇い止めする一方で、毎年400人規模のGSを新規採用している。正社員になれるという「夢」で人を釣り、「正社員になるために」として過酷な勤務を強制し、その実、ほとんどのGSは雇い止めにする。そして、代わりはいくらでもいるとばかりに、毎年、新たな青年労働者をこの流れに巻き込んでいく。
JRはこのやり方を、「より良い優秀な人材を確保し、新陳代謝を図っていく。そこにグリーンスタッフの良さがある」とうそぶいている。
JRは、GSの人数は6万人の社員のうちごく一部分だから、雇い止めは大した問題ではないかのように言う。しかし、東日本全体で2300人というGSの数は、けっして小さいものではない。東京圏では駅社員の2〜3割がGSだ。GSは駅業務の中心を担うまでになっている。必死で仕事を覚え、人員不足の中で激務をこなし、ひとたび事故や故障でダイヤが乱れれば、客の批判や罵声(ばせい)を一身に受けながら、最前線で業務に当たってきたのはGSだ。そのGSを解雇することなど断じて許せない。
JRで2300人もの非正規職が生み出されたのは、東労組幹部はもとより国労執行部も、GS制度導入と真っ向から闘ったことがないからだ。東労組幹部こそ、JR資本と一体となって外注化・非正規職化を推し進めてきた張本人だ。国労本部は、先の全国大会でJR及び関連会社に雇用されていない者には組合員資格がないという組合規約の改定さえ強行した。GSが雇い止めにされたら組合員資格も奪い、見捨てるということだ。東労組や国労の幹部は、GSの雇い止めという事態に対し、「もう一度GSとして5年間雇え」とか、「グループ会社でもっと雇用機会を提供しろ」と資本に要求しているだけだ。それでは非正規職の現実は何も変わらない。
しかし、現場の組合員は絶対にこんなことを認めていない。同じ職場で日々、労働をともにしてきた仲間の雇い止め解雇など断じて許さない。
JR東日本のGS制度は2007年に本格的に導入された。それから5年目の2011年度末の大量雇い止めは、JR東日本にとって初めての事態だ。数百人の雇い止めとは、1990年の国鉄清算事業団からの1047名解雇に匹敵する大量解雇ということだ。しかもそれを、大恐慌下、大震災情勢下で強行しようというのだ。
実は、このことに恐れおののいているのは、JR資本の側だ。だからJRは、GSを分断し、あきらめを強い、その怒りが形をとって噴出することを何としても抑え込もうとしているのだ。しかし、一人でも勇気を持って立ち上がる青年労働者が現れたら、それは全体の怒りを一挙に引き出す力を持つ。
郵政職場では、ゆうメイトの青年労働者が「郵政非正規ユニオン」を結成し、雇い止めと真っ向から闘いぬいている。こうした闘いが、JR職場でついに火を噴く時を迎えたのだ。
外注化阻止の闘いと一体で
JR東日本は、鉄道業務の外注化・下請け化をとことん推し進めてきた。JRは、さらなる外注化で正社員に外注会社への出向を強い、さらには転籍・非正規職化を強要しようとしている。
JRは、正社員試験に合格できなかったGSに、関連会社を紹介するという。それは、今でさえ低賃金で過酷な労働を強いられているGSに、さらなる低賃金と強労働を強いつつ、GSが培ってきたスキルを外注化のために徹底的に利用するということだ。こんなふざけた話があるか!
動労千葉−動労総連合が闘う外注化阻止・偽装請負摘発の闘いは、非正規職を生み出す根源との闘いだ。動労千葉の闘いは、10年にわたり千葉支社における検修・構内業務の外注化を止めてきた。この地平を覆そうとして、JR東日本はこの10月、京葉車両センターでの構内運転業務の外注化を何としても強行しようと策している。これに対して動労千葉はストライキを構え、外注化絶対阻止の闘いに立っている。これは新自由主義の根幹を撃つ闘いだ。
正規・非正規の労働者が手を携え、非正規職撤廃へ闘おう。GSの雇い止めに対し、勇気を持って怒りの声を上げよう。まず一歩を踏み出すところから、JRの許し難い現実を変える力は生まれてくる。
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週刊『前進』(2504号2面4)(2011/09/19 )
全原発の即時停止・廃炉、反失業掲げ闘おう
連合は最悪の原発推進勢力
闘う労働組合甦らせ対決を
9・11反原発大行動は、東京、福島を始め全国40カ所、3万人の大デモとしてかちとられた。大恐慌の破局と労働者支配崩壊の危機の中で原発再稼働と新成長戦略の加速、公務員攻撃と大増税を所信表明演説で宣言した野田新政権は、新宿デモで12人を不当逮捕し、闘いの圧殺に総力を挙げている。支配階級と一体化した連合幹部こそ、その最悪の先兵である。3・11以来半年、反原発・反失業の闘いは第2幕に突入した。原発再稼働阻止の非和解的激突へ、連合の労働者支配をうち砕いて闘う労働組合の再生へ闘いぬこう。
“原発で安定供給を”叫ぶ
9月6〜7日、電力総連(230組合・組合員数21万5千人)の定期大会が開催された。開会あいさつで種岡成一会長(東京電力労組出身)は「原子力は、現時点では電力の安定供給に必要な財源」とし、「国民的論議を通じた合意形成が重要」と強調し、「産業活動に必要な電力の供給責任を最終的に誰が果たすのかを基本に議論すべき」であり、「電気事業体制をめぐる議論が雇用に与える影響を強く懸念する」と恫喝を込めて言い放った。連合の大単産である電力総連は「電力供給と雇用」を掲げて反原発の議論すら封殺し、労資一体で全原発再稼働と新設・増設、原発輸出に突き進もうとしているのだ。
この電力総連が、民主党本部や野田佳彦首相を含め、川端達夫元文科相、岡田克也前幹事長、平野博文国対委員長、古川元久国家戦略・経済財政担当相など「原子力を含めて電力の安定供給に理解があり応援してくれる」民主党議員33人に、07〜09年の3年間だけでも1億1千万円を超える資金提供を行ってきた。電力資本による自民党への献金とともに、労働組合が原発政策を支えてきた事実が明らかとなっている。
原発早期再稼働を掲げる野田民主党政権の最大の支柱にして、原発推進勢力こそ電力総連であり連合だ。連合・自治労本部の言う「再稼働は慎重に」「新しいエネルギー政策の検討」(8月自治労全国大会)は、電力総連大会の方針とどこが違うというのか。
電機連合・松下電器出身の連合古賀伸明会長は、4月11日付で海外向け連合声明を発した。英文だけの発表で組合員が読まないことをいいことに、「健康に直接影響する強さの放射線は、発電所の近接地域を除いてまったく検出されていない。東京を含む多くの場所では、安全に生活することができる環境であり、北は遠く北海道から東京の西まで原発事故による影響はない。むしろ、日本の内外のうわさによって引き起こされた損害が人びとの生活と産業を阻害している。正確な情報に基づく冷静な対応が求められる」とうそ八百を並べ立てた。
原発再臨界・爆発の危機が予断を許さず、放射能汚染の拡大が周知のものとなっていたその時点でなおかつ、労働組合のナショナルセンターである連合本部自らがフクシマの怒りを踏みにじって「原発安全宣言」の大うそを世界に発していたのだ。連合古賀会長はこの許すまじき詐欺行為をいまだに撤回も謝罪もしていない。国家、資本と一体となった原発政策の堅持と再稼働、原発輸出の推進こそ、連合の基本路線なのである。
被曝労働の「請負化」要求
懸命の事故収束作業が続く福島第一原発では、高温高湿の過酷極まりない労働環境下での被曝労働・過重労働が継続し、急性白血病や熱中症で下請け労働者が殺されている。
原発稼働とともに不可避・不可欠となる原発被曝労働の大半は、発足当初より下請けの日雇い労働者、出稼ぎ労働者、外国人労働者に押し付けられてきた。さらに連合の前身で当時の電力労連、電機労連など原発産業を主力単産とする全民労協は「原発廃棄物処理は被曝量が多いので請負化して欲しい」との意見をふりまき、1984年6月の政策・制度要求中央討論会において「放射性廃棄物の処理には炭鉱離職者を使う」との提言をまとめた。資本の合理化の犠牲となって炭鉱を解雇された労働者を、原発被曝労働に押しやることまでしたのである。いったいこれが労働組合か。
原発推進と原発被曝労働は、まさに労働組合の問題だ。
国鉄分割・民営化攻撃による20万人首切りと労働組合解体、労働者派遣法制定と相前後して、原発建設が首都圏など巨大都市圏を除く日本全土を覆う形で全面化した。外注化・非正規職化、偽装請負と首切り自由の「雇い止め」雇用の極致として、原発被曝労働が進められていった。
資本の利益のためなら労働者がどうなろうとどうでもいい新自由主義の本質そのものであり、これに資本の手先となった御用組合、連合が率先協力することで初めて可能となった。連合幹部こそ全労働者の憎むべき敵である。
民営化・外注化推進と一体
野田政権下で準備されている「経済財政会議」に日本経団連・米倉会長とともに連合・古賀会長も参加することが報じられている。連合が原発再稼働・原発輸出の「新成長戦略」と「復興特区」・道州制、民営化・公務員首切りの大攻撃の先頭に立とうとしている。09年末、社会保険庁の解体・民営化による全職員解雇・選別採用(社保庁型公務員全員解雇・労組破壊攻撃)を先導した者こそ、当時は連合事務局長として日本年金機構設立委員会に参加していた連合・古賀会長その人であった。
資本主義体制を存立の絶対的基盤とする連合本部は、大恐慌・大震災下の大失業と原発推進の最大の先兵である。反原発・反失業闘争の爆発で、連合もろとも原発再稼働・原発輸出の野田政権を打ち倒そう。
民営化・外注化と真っ向から闘えないで、反原発を闘うことはできない。反原発の闘いは、解雇撤回、外注化阻止・非正規職撤廃、偽装請負粉砕の職場闘争と一体である。資本主義擁護の立場に立つ連合や全労連中央の労働組合支配を打ち破って、職場に闘う労働組合をよみがえらせよう。
被災地を先頭に、JRや郵政、自治体や教育現場、医療職場など全産別で、雇い止め解雇と闘う非正規雇用の青年労働者が立ち上がっている。国鉄闘争全国運動を結集軸に、正規・非正規一体となった反撃が始まった。青年労働者の怒りが野田反動政権を揺るがし、連合・全労連支配を根底から崩壊させる闘いとして発展している。
反原発・反失業! 怒りを力に! 動労千葉の闘いに続いて職場生産点で闘いぬき、新自由主義と闘う11・6全国労働者総決起集会への万余の結集をかちとろう。
(大迫達志)
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【表 2007〜09年に電力総連関係団体から献金などを受けた民主党議員や組織】(単位 万円)
小林正夫 参議院議員(東京電力労組) 4,013
藤原正司 参議院議員(関西電力労組) 4,000
民主党 1,073
川端達夫 元文科相(UIゼンセン同盟) 188
岡田克也 民主党元代表・幹事長 66
平野博文 民主党国会対策委員長(電機連合) 30
古川元久 国家戦略・経済財政担当相 16
野田佳彦 首相 5
高木義明 前文科相(基幹労連) 3
3年間に電力総連や同労組政治団体が献金やパーティー券購入などで民主党に提供した合計額は1億1108万円
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週刊『前進』(2504号2面5)(2011/09/19 )
沖縄・八重山教科書問題
育鵬社版不採択を決定
文科省の不当介入許すな
原発推進・戦争賛美の育鵬社版中学教科書の採択をめぐり、沖縄県八重山地区での激突が続いている。9月8日、八重山地区の石垣、与那国、竹富の3市町の全13教育委員が協議を行い、地区協議会が選定・答申した育鵬社版の公民教科書を多数決で不採択とし、東京書籍版を多数決で採択した。6時間近い激論の末、最後は与那国町の教育長をたたき出して実現した勝利である。
8月23日に八重山採択地区協議会が育鵬社版を選定し、抗議の声が殺到する中で、竹富町教育委員会が育鵬社版採択を拒み東京書籍版を採択するなど、激突が続いてきた。そしてついに育鵬社版を不採択としたのだ。
八重山採択地区協議会会長で石垣市教育長である玉津博克は、自らが主導した採択協議会や石垣市教育委員会では「民主主義」を振りかざして多数決を繰り返しながら、いざ8日の協議で「劣勢」となるや「多数決には屈しない」などと言って協議を途中退席するというデタラメな態度に終始した。与那国町の崎原用能教育長は最後まで退席したまま別室で女子サッカーの観戦に興じていたという。彼らは単なる「保守」というレベルを超えた、3・11情勢下で登場したファシストそのものである。したがって彼らとの「合意」などあり得ない。
彼らのバックに自民党参院議員の義家弘介がいたことも報道されている。07年9月29日の沖縄県民大会12万人決起に憎悪を燃やし、沖縄の教育労働者を先頭とする闘いを根絶やしにすることを狙った攻撃として今回の八重山教科書問題があったことを物語っている。さらに今回の八重山教科書問題は、与那国への自衛隊駐屯地建設方針を始め、宮古・八重山=先島諸島への自衛隊配備攻撃と一体の大攻撃だ。そういう意味で支配階級の強烈な意志が働いていたのである。これをひとまずはたたき返したことは重大な勝利である。
しかし攻防はまだ続いている。「育鵬社不採択」に震え上がった政府・文科省、自民党などが総がかりでひっくり返しにかかってきている。石垣市と与那国町の教育長が採択結果の無効を訴え、これを受けて13日、文科相・中川が8日の採択を無効とする見解を示した。自民党は13日に石垣市教育長を東京に呼び寄せて激励した。
このようなやり方がますます沖縄の労働者人民の怒りをかき立てている。闘いはこれからさらに非和解的に、3・11情勢下で07年9・29県民大会をのりこえる闘いへと発展していくのだ。
正念場迎えた沖縄労働運動
本紙2502号の革共同沖縄県委員会論文でも提起したように、沖縄の労働運動と階級闘争の路線をめぐって、階級的原則を守り発展させていく階級的な労働運動の再生と発展が求められている。特に日本政府が石垣市に所属すると強弁している「尖閣諸島」(中国名・釣魚台)をめぐる領土問題については、祖国防衛主義を粉砕して労働者国際主義をよみがえらせていく中に勝利の展望があることを鮮明にして闘おう。
9・12付琉球新報は1面トップで9・11怒りのフクシマ大行動を報じた。「広がる『命守る闘い』」「原発問題、沖縄と同根」。フクシマの闘いは新自由主義との最先端の攻防だ。沖縄の労働者が福島の労働者・農民・漁民と連帯して闘うことが決定的な意味を持つ。「革命の火薬庫」と「フクシマ」との一体化こそ新自由主義と闘う労働者階級の革命戦略だ。
反原発・反失業の闘いと反基地の闘いは一体だ。「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」を掲げて、福島の労働者とともに11・6労働者集会へ攻め上ろう!
(沖縄 上原)
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週刊『前進』(2504号3面1)(2011/09/19 )
全原発の即時停止・廃炉、反失業掲げ闘おう
老朽化・炉心破裂の危険無視し全原発再稼働公言する野田政権
野田佳彦首相は、13日の所信表明演説で「原発は……定期検査後の再稼働を進める」と明言し、被災地・福島への暴言で打倒された鉢呂吉雄に代わって登場した枝野幸男経済産業相も、就任するやいなや「稼働すべき原発は再稼働する」と、野田と同調した。日帝・野田民主党政権は、財界の意を受けた原発再稼働内閣そのものだ。福島を先頭にした労働者階級人民の怒りの総決起で、原発再稼働阻止・野田政権打倒をかちとろう。
再稼働に全力の野田新政権
福島第一原子力発電所の爆発事故は、四つの原子炉建屋で次々に爆発が起きるという1986年のチェルノブイリ事故をも上回る人類史上最悪の原子力事故となった。
事故はまったく収束のめどすら立っておらず、放射性物質をまき散らし続け、被曝を強制し続けている。それどころか、ドロドロに溶けた核燃料が鉄の容器やコンクリートと混ざり合って再臨界・再溶融を起こし水蒸気爆発する危険すら指摘されている。この現実への怒りが青年労働者・学生を先頭にした6・11、9・11の全国の総行動として爆発しているのだ。
すさまじい怒りの前に日帝は、定期検査のために停止した原発を再稼働できない状態に次々と追い込まれている。その結果、今や稼働しているのは全54基のうち11基だけだ。そしてこの11基も来年の春には8月に営業運転を強行した泊3号機を除いてすべて止まってしまう絶体絶命の危機に追い込まれつつある(表参照)。
だが原発こそ日帝の屋台骨そのものである。ブルジョアジーの意を受けた野田政権は、菅政権の玄海原発2、3号機再稼働の失敗を取り戻そうと必死になっているのだ。 東京電力の柏崎刈羽1、7号機を始め15もの原発で再稼働に向けたストレステスト(耐性評価)がすでに始まっている。だが柏崎刈羽を含め多くの現地では反原発闘争が粘り強く闘われてきており、一つひとつが決戦だ。日帝・野田政権の再稼働策動をすべて粉みじんに粉砕しよう。
玄海原発再稼働粉砕の教訓
再稼働阻止闘争を闘うにあたって、玄海原発の再稼働を阻止した闘いの勝利の教訓から学ぶことが重要だ。
日帝・菅政権は原発体制の絶対的死守をかけて、あえて浜岡原発を停止させてでも、玄海原発の再稼働に一切をかけてきた。
このことは前首相の菅直人自身が朝日新聞のインタビューでその舞台裏を白状している。「経産省が再稼働の既成事実を作ろうとした。保安院がシナリオを全部書いて、保安院だけで再稼働を判断するつもりだった。経産省は、玄海原発を最初の突破口にしようとした」「経産省には、浜岡原発は停止しても仕方ないが他は停止させない、というシナリオがあったんじゃないか」
「やらせメール問題」ですでに完膚無きまでに暴露され尽くしたが、古川康佐賀県知事と岸本英雄玄海町長という「原子力村」そのものの両者がタッグを組んで日帝と電力会社の窮地を救おうとした。かつて一時は暗礁に乗り上げた「プルサーマル計画」の危機を「救済」したのも玄海原発だった。09年12月2日、玄海3号は日本初のMOX燃料の営業運転開始を強行したのだ。
これほど日帝にとって必勝の態勢で臨んできた玄海原発の再稼働だったが、周知のようにものの見事に粉砕された。その力になったのが、県庁にまで押しかけて抗議の声を上げ続けた実力的な闘いと、老朽化原発の問題点を指摘し続けてきた闘いの合流である。
玄海原発1号は1975年10月15日に運転を開始し、35年以上も使い古された老朽化原発だ。その最大の問題は「中性子照射脆化(ぜいか)」である。原発はウランの核分裂によるすさまじい熱エネルギーを電気に変えるが、同時に中性子線を含む膨大な放射能が生じる。原子炉を構成する圧力容器はすさまじい量の中性子線を浴び続けることで脆(もろ)くなってボロボロになっていくのだ。
35年以上も使い続けた結果、玄海1号の圧力容器が脆くなり始める温度(脆性遷移温度)が最初はマイナス20度だったものが93度もの高温になっていることが暴露された。炉心を冷やすために93度以下の水をかけると圧力容器がガラスのコップのようにパリンと割れかねないので、93度以上の熱湯をかける以外にないということだ。
圧力容器が割れるとすさまじい爆発が起こり、「圧力容器は空になり、ほぼすべての放射性物質が放出されてしまいます。被害は玄海原発がある九州だけでなく、東は大阪にまで及ぶでしょう」と言われている。そのような危険性が地元紙で報道されたことが運動を大きく盛り上げ、「やらせメール」の暴露にまでつながったのだ。
再稼働が狙われている原発には35年を超える老朽化原発も多い。福島第一も1機から3号機が35年を超える老朽化原発だった。今回の事故の背後に老朽化の問題があることは間違いない。
ストレステストのインチキ
野田政権は、福島原発事故への怒りを抑え込む一方で、なんとか原発の再稼働に持ち込むために菅政権が打ち出したストレステストなるものにすがりつこうとしている。
ストレステストとは、EU(欧州連合)で福島原発事故の衝撃を受けて全原発の安全性を見直さざるをえなくなる中で出てきたものである。ヨーロッパの反原発団体はこれを批判している。だが、日本の「ストレステスト」は、これ以下の似て非なるものだ。
EUのストレステストにはコンピューターによる机上の計算だけですませるこれまでの原子炉設計のあり方(「確率論的手法」)を根本から見直す表現があるが、日本版では「過度の保守性を考慮することなく現実的な評価を行う」という驚くべき記述があり、肝心の電源喪失、冷却源喪失については今まで通りの確立論で行う方針だ。
配管の溶接部分などにひび割れを見つけても修理せず、コンピューターによる計算でひび割れの進行を予測して稼動期限までに破断に至らなければいいというのが「確率論的手法」だ。こんなでたらめなやり方で老朽化原発を金もうけ優先で稼動させてきた結果が福島原発事故だったのだ。
原発は原爆開発の副産物だ。だから原発によって周辺住民や、そこで働く労働者が死んでもかまわないというのが前提なのだ。こんなものは廃絶以外にない。反原発・反失業を掲げ11月労働者集会に1万人を超える結集をかちとろう。それが原発再稼動阻止・野田政権打倒に突き進む道だ。
(城之崎進)
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週刊『前進』(2504号3面2)(2011/09/19 )
フランス核施設で爆発
労働者死亡 政府は異常な情報統制
フランス南部ガール県マルクールにある核関連施設の中の核廃棄物処理施設「セントラコ」(写真)の溶融炉で9月12日、大きな爆発が発生。作業中の施設職員1人が大やけどで死亡、4人が重軽傷を負う大事故となった。爆発は遺体が完全に炭化するほど高熱の爆発だったという。フランス政府当局は直後に「放射能漏れはない」と強弁し、火消しに躍起となった。しかし核廃棄物が何らかの爆発事故を起こしたことは間違いなく、工場から黒煙がたち上っている写真も一部サイトに流出した。
その後、仏原子力安全局は「低レベルの放射性物質が出た恐れがある」としながらも、政府は「汚染は一切検出されていない」「問題は起きていない」などの矛盾する声明を出している。
今回の爆発事故は「低レベル」の金属製核廃棄物約4d(約6万3千ベクレル相当)を溶融炉で溶かす過程で発生した。溶融炉を覆う建屋内にある遮蔽(しゃへい)壁が吹き飛んだという。
フランス政府当局の対応は異常というほかない。事故に遭った労働者が死亡し、遺体が「炭化する」ほどの爆発事故だというのに、また放射能漏れの可能性がきわめて大きいにもかかわらず、さらに事故発生の原因やメカニズムすら解明されていない段階で、事故当日いちはやく「核事故ではなく産業的事故だ」と断定する声明を発表したのである。
あらためて突き出された問題は、原発を含む核施設が軍事施設そのものであり、異常なまでの情報統制が敷かれていることだ。労働者の安全や環境汚染の真実を伝えることなど二の次なのだ。
事故を起こしたセントラコは1999年に設立され、仏電力公社と仏原子力大手アレバ社(政府の持ち株比率が9割以上)が共同出資した核関連の国策会社だ。この施設があるマルクール原子力地区は、もともと原子爆弾の製造に必要な研究施設として1950年代に設立された。現在も、事故が相次ぎ運転停止に追い込まれたフェニックス高速増殖炉をはじめとする原子炉が複数存在し、ウラン235の酸化物とプルトニウム239の酸化物を混ぜたMOX燃料製造工場=核燃料再処理施設など、多数の核関連施設が集まる軍事施設そのものだ。衛星写真が公開されている「グーグル・アース」でも、同地区の部分だけはモザイクがかけられ地上の様子は隠されている。
「放射性物質は一切検出されていない」という当局の声明は明らかなウソだ。そもそも同地区に存在する核燃料再処理施設自体が、「原発が放出する1年分の放射性物質を1日で放出する」ものだ。これが実用運転されている施設とその周辺で「一切検出されない」ことはありえない。
日本の青森県六ケ所村にある再処理施設は、フランスの再処理技術を導入して進められてきた。しかしアクティブ試験中に事故を起こし、システム自体が深刻な汚染にさらされ、稼働は絶望的となり、しかも使用済み核燃料の貯蔵量が限界に達するという出口のない事態に追い込まれている。
原発の全廃=核の全廃は全人類の差し迫った課題であることが突き出されているのだ。世界の労働者人民とともに原発=核の廃絶へ闘おう。
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週刊『前進』(2504号3面3)(2011/09/19 )
「原子力の平和利用」はありえない
日帝の原発推進を陰で支えた日本共産党の主張を批判する
核と人類は共存できない
世界でも有数の「地震の巣」となっている日本列島の上に、危険な原発がなぜ54基もつくられてしまったか。電力資本のもとに政財官が一体となった「原子力マフィア」をここまで肥大化させ、のさばらせてきた原因は何か。その一つに「原子力の平和利用」という考え方がある。その先頭に立ってきたのは日本共産党だ。この考え方は労働者階級の立場からみて根本的に間違っている。このことをはっきりさせよう。
「平和利用」論の肯定は原発の容認・推進論だ
8月25日付の毎日新聞に日本共産党の志位和夫委員長と社民党の福島瑞穂党首の対談が掲載された。そこで志位は「原発ノー」と言いながら、他方で「私たちは核エネルギーの平和利用の将来にわたる可能性、その基礎研究までは否定しない」と言っている。
共産党が「原発からの撤退」を突然言い出したのは、今年5月1日の全労連メーデーの会場である。そこで志位は、「いますぐ原発を止めろというのは無理、無責任だ」と言い続けてきたそれまでの主張を転換し、「原発からの撤退を政治的に決断した」と発言した。6月13日には党としての記者会見を行って「5〜10年以内に原発ゼロ」とする提言を正式に発表した。そこでも「原子力の平和的利用に向けた基礎的な研究は、継続・発展させるべきです」と明記している。
共産党のこの「政治的決断」「転換」は、前首相の菅直人が浜岡原発を停止して「脱原発」を口にし始めたのとほとんど同時期に行われた。それは実際には菅と同様、原発事故への全人民的な怒りの爆発に追いつめられた、その場限りの対応でしかない。従来の誤りを心から反省して出直すものではまったくない。そのことを明白に示すのが志位の「平和利用」に関する発言だ。
原子力の「平和利用」とは何か? 核分裂がもたらす途方もないエネルギーを利用すること以外にどんな意味があるのか。原子力の平和利用の「継続・発展」とは現実には、まさにエネルギー源としての利用=原子力発電の推進をあくまで追求すること以外の何ものをも意味しない。
実際に日本共産党には原子力発電を率先して提唱してきた歴史がある。彼らは1950年代から一環して「原子力の平和利用賛成」を掲げてきた。73年の第12回党大会で「これからの新しいエネルギー源である原子力」と原発推進を公然と打ち出した。75年には「安全優先、国民本位の原子力開発をめざす日本共産党の提言」を発表、そこでも「原子力の発見は、人類のエネルギー利用の将来に巨大な可能性を開いた」と賛美していた。79年のスリーマイル原発事故や86年のチェルノブイリ事故の後になってもその主張は変わらなかった。志位が「日本共産党は原発に一貫して反対してきた」などと言っているのは大ウソだ。
共産党の主張の核心は”対米従属の歴代政権による原子力政策には反対”であり、逆に”対米従属をやめて自主開発すれば安全性は確保できる”というものであった。すなわち、民主連合政府ができれば原発をエネルギー政策の最大の柱に据えるということである。共産党が今なお「平和利用」を口にし続けていることは、この立場を基本的には捨てていないということだ。
したがって志位の「原発撤退宣言」とは、実は原発反対でも何でもない。「安全性が確保されれば再稼働する」という民主党政権の立場と本質的には何も変わらない。
核の「軍事利用」と「平和利用」は区別できない
「原子力の平和利用」を主張し賛美することは、「核と人類は共存できない」という労働者階級の立場とは根本的に異なる。実際にはとんでもなく反労働者的な立場に立つことである。このことを絶対にはっきりさせなければならない。
日本の労働者階級は、核が人間社会とも自然とも絶対に相いれないという真実を、広島・長崎の原爆やビキニ水爆の悲痛な被曝経験を通してつかみとってきた。そして今また「フクシマ」の現実に直面する中で、あらためて不動の確信をもってつかみとった。「核の平和利用」など断じてありえない。
そもそも核の「軍事利用」と「平和利用」を区別できるとする考え方自身が間違っている。そのこと自身が、核を第2次大戦後の世界支配・労働者支配の最大の武器としてきた帝国主義のイデオロギーへの完全な屈服である。
原子力エネルギーは、第2次大戦の末期に、一瞬にして何万・何十万もの人びとを無差別に殺傷できる究極の大量殺戮(さつりく)兵器として開発された。それは、巨大な物理的な破壊力と同時に、自然界には存在しない放射性物質を大量に生み出すことで自然を根底から破壊し、生命の根源を絶つような力をもっていた。戦後の帝国主義とスターリン主義は米ソを筆頭に、この「核の力」を支配の決定的武器に使うことで、解放を求めて決起した無数の労働者階級や被抑圧民族人民の闘いを圧殺し、延命に延命を重ねてきた。
「原子力の平和利用」も実際にはその一環だ。その口火を切ったのは1953年のアイゼンハワー米大統領の「アトムズ・フォー・ピース」演説だ。これが米帝の核独占維持を最大の目的としていたことは、今日では明白である。原発と核燃料サイクルの開発・建設は各国の核軍拡競争に拍車をかけ、それと一体で推進されてきたのが現実である。
また日帝のように核兵器を持たない国にとっては、原発は核武装の偽装形態としてきわめて重要だった。日本に原発を導入した張本人の中曽根康弘が、その意図を自ら告白しているではないか。このことを無視して、軍事利用とはまったく無関係な「平和利用」がありうるかのような幻想をふりまくことは、帝国主義の美化以外の何ものでもない。
この「平和利用」論はさらに、1974〜75年恐慌後、最末期に突入した帝国主義が最後の延命策としての新自由主義政策を全面展開し始めると、一層犯罪的な役割を果たすものとなった。新自由主義とは、資本の無制限の搾取に歯止めをかけてきた一切の規制を取り払うものだ。そのもとで労働組合が破壊・解体されて変質し、資本の金もうけがすべてという資本主義の本質が極限まで推し進められてきた。その頂点で、日帝にとって最重要の戦略的産業として推進されてきたのが原子力産業だ。
それは日帝の外交政策・軍事大国化政策と一体の国策産業として展開された。そのなかで電力資本がばらまく金のもとに国会議員から地方自治体、大学、裁判所、マスコミ、労組幹部までが群がる腐りきった構造がつくりだされた。他方では原発労働者の過酷な被曝労働が典型的に体現するような、労働者の非正規職化と使い捨て雇用化が一気に進んだ。「安全」など根本から投げ捨てられ、社会全体の腐敗と崩壊がとどまるところなく進行してきたのだ。その先頭で最も犯罪的役割を担ったのは電力総連などの労働貴族だが、共産党の「平和利用」論もまた、これを完全に後押しする役割を担ったのである。
福島第一原発の事故はこの新自由主義の破綻として、まさに起こるべくして起きたのである。その責任の一端は日本共産党にもあると言って過言ではない。
被曝労働で初めて成り立つ社会の転覆こそ課題
原発は絶対反対、即時全面廃止以外にありえない。それは単に、原発が未完成の技術だから安全性が確保できないといった点にとどまらない。もっと根本的で本質的な問題である。
それは一言で言えば、労働者の被曝労働を前提にして成り立つ社会など絶対に認められないということだ。そこに働く労働者の命を奪い、一地域の住民を犠牲にして「繁栄」するような社会が果たして「人間の社会」と言えるのかということだ。
だがこの立場に立つことを一貫して拒否してきたのがスターリン主義=日本共産党だ。共産党が「原発からの撤退」を打ち出した前出の6・13提言には、驚くべきことに、被曝労働への言及がどこにもない。放射能汚染の危険性に一般的に触れているだけで、現に起きている被曝問題の深刻さを真正面から見据えていない。原子力技術の未完成のみを問題にし、”将来はともかく今は撤退するしかない”としているだけである。
これは、スターリン主義の党である日本共産党の根本的な反労働者性を示している。共産党はそもそも米ソの核実験全盛時代にソ連や中国の核保有に賛成してきた。ソ連や中国は米帝に対抗するために自ら核武装し、それを「世界平和のための力」と強弁してきた。労働者階級の国際連帯で帝国主義の戦争政策を打ち破るのではなく、相手国の労働者人民を大量に殺戮する核兵器によって自国の「社会主義」を守るとしたのである。こんなことは「社会主義」でも何でもない。その完全な否定だ。それを支持したのが日本共産党である。
それは、プロレタリア世界革命を放棄し、1917年のロシア革命を変質させ、1930年代の階級闘争と第2次大戦後の戦後革命を裏切って敗北に導いたスターリン主義が、最後に行き着いた姿だった。そこにあるのは、”敵対国の労働者人民数百万・数千万人を殺しても、それで世界の数十億人に平和が訪れるなら問題ない”という考え方である。これは帝国主義ブルジョアジーやファシストとまったく同じ思想だ。労働者階級の思想と立場では断じてない。
日帝の原発政策を貫いてきたのも、まさにこれと同じ考え方だ。国策である原子力推進のためには労働者が死んでも、地域の住民を放射能汚染にさらしてもやむをえないとしてきたのだ。だが今や「誰かを犠牲にしないと生きられない」という、こんな社会そのものを変えなければならない。遠い将来のことではなく、今すぐにだ!
労働者階級の立場に立っていないという点では、社民党も同じだ。社民党が「核と人類は共存できない」と本気で言うなら、資本主義社会の根底的転覆を目指さなければならない。だが彼らはそんなことは絶対に言わない。逆に、資本主義のもとでも「安全な原発」がありうるかのような幻想をばらまき、共産党と同様に、労働者階級の体制転覆への決起に反対する側に回っている。
今こそスターリン主義や社会民主主義を根本的にのりこえ、人間が人間として生きられる社会を奪い返すために闘おう。フクシマの現実に立ち向かい、フクシマの怒りをわがものとして立ち上がろう。
「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」のもとに総結集し、原発再稼働絶対阻止の闘いをやりぬこう。
〔坂本千秋〕
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週刊『前進』(2504号4面1)(2011/09/19 )
全学連全国大会 斎藤委員長−坂野書記長の新体制を確立
“学生の決起が歴史を変える”
原発廃止と自治会建設へ団結
(写真 大会1日目。「原発再稼働を狙う野田政権を打倒しよう」との鮮明な方針提起を受け、100人を超える学生は闘う決意を固めた【9日 東京・文京区民センター】)
新執行体制(敬称略)
委員長 斎藤郁真(法政大・法)
副委員長 大森靖之(京都大・薬)
副委員長 石田真弓(東北大・経)
副委員長 鈴木研也(広島大・理)
書記長 坂野陽平(上智大・文)
書記次長 洞口朋子(法政大・経)
(写真 選出された新執行部。左から鈴木副委員長、坂野書記長、斎藤委員長、大森副委員長、洞口書記次長、石田副委員長)
9月9日〜10日、全学連第72回定期全国大会が東京都内で行われ、斎藤郁真委員長(法大)−坂野陽平書記長(上智大)を先頭とする新執行体制を確立した。そして、不屈に闘われてきた法大闘争の勝利の地平を総括し、反原発闘争の大衆的高揚の中から学生自治会を建設すること、新自由主義大学−「教育の民営化」と対決して学生の団結を復権すること、11・6労働者集会への大結集を頂点とする今秋決戦の力で野田政権を打倒することを力強く宣言した。
法大闘争の勝利を総括
大会には、被災地の福島大生や東北大生をはじめ全国学生100人が結集し、「フクシマの怒り」と固く連帯し、全原発の停止・廃炉に向けて全国大学キャンパスで闘いぬくことを誓い合った。さらに、国家権力と法大当局によるありとあらゆる弾圧と処分をはね返し、5年半に及ぶ法大闘争に勝利していることを明らかにし、法大文化連盟や東北大学学生自治会の実践と教訓を踏まえ、すべての大学で学生自治会を建設する決意を全体で固めた。
大会は、実行委員長の坂野陽平・委員長代行の開会宣言で幕を開けた。
「総括」「情勢」「方針」の議案をそれぞれ、織田陽介委員長、冨山小太郎書記長、斎藤郁真・法大文化連盟委員長が提起した。
総括では次のような点が出された。「無数の人びとの怒りの深さ、決意の強さ! 3・11をもって社会の真の姿が暴き出され、間違いなく歴史が動こうとしている。求められているのは私たち学生の巨大な行動だ」
「大学の腐敗はとめどなく深い。この腐敗は、学生自治の破壊と一体で進行してきた。この社会のあり方の矛盾の爆発として、原発事故が起きた。原発反対の声を上げることと大学のあり方を問うことは一つだ」
「闘いは指導部によって決まる。決断できる指導部、リーダーをつくり出すことこそ勝利の道だ。法大の闘いがつぶされることなく、新たな指導部を生み出しながら前進していることは、法大闘争の本質的な勝利を示している。新執行部をうち立てて、そうした時代と結合する運動を始めよう」
「学生の怒りをつなげて、すべての闘いを11月労働者集会へ。11・6集会を世界に衝撃を与える歴史的事件にしよう」
そして、「情勢」では以下の点が強調された。
「情勢とは何か。この時代にどう闘ってどう生きていくのか、展望をつかむことだ。2011年、新自由主義に対する学生・青年の大反乱が開始された! 全世界で若者が『革命』を合言葉に立ち上がっている」
「情勢の主導権・決定権を握っているのは、支配階級ではない。私たちの決断と行動に一切がかかっている」「世界大恐慌のもとで資本主義・帝国主義はもはや成り立たなくなっている。連合支配を覆し、青年・学生は自らの手に組織を取り戻し、世界を揺るがす反乱に決起しよう!」
これを受けて、「方針」では次のように提起された。
「あらゆる人が生きるために闘わなければならない時代が来た! 命よりカネを優先する新自由主義と対決し、この社会のあり方を変えよう」
「原発再稼働か停止か、今秋の反原発闘争はここが焦点だ。再稼働への巻き返しの象徴としての野田政権を倒そう」
「大学は歴史的に学生の団結(組合)から生まれた。社会の腐敗に対する根底的な疑問と怒りがわき上がっている。全学連が呼びかければ学生は必ず立ち上がる。『教育の民営化』=『大学の私物化』=『学生の商品化』を徹底弾劾し、真理の大学の復権を! 自治会を全国の大学に建設しよう」
「国際連帯をさらに発展させ、11・6を世界大会に。学生の未来は労働者との連帯の中にある」
初参加者先頭に活発な討論
1日目の討論では多くの初参加者が発言した。「この大会に集まった人数をさらに増やし、どう具体的に運動を発展させていくのか」「もっと多くの学生とつながっていくために、何が必要なのか?」の発言を切り口にして、3・11大震災以後半年間の闘いの経験を基に活発な論議が行われた。関西の学生からは、「経済に規定された社会関係や人間関係をこえることができるのは、学生の団結しかない」「『フクシマの怒り』に私たちが応えることで、初めて運動は広がっていく。京大ではクラス討論を徹底的にやってきた。この地平を踏まえて秋に総長団交をかちとる」と積極的な発言がなされた。
織田委員長が最後に、「いい討論になっている。本気さ、真剣さで勝負しよう。3月11日以降、みんなが自分のキャンパスで具体的実践をやってきている。東北大では生き抜くための闘いから7・8キャンパス集会に上りつめ、奇跡のような闘いをしてきた。明日も白熱的な議論をやろう」とまとめた。
被災地の大学から訴え
夜のブロック討論と交流会を経て、2日目は今秋決戦に向けて全国学生の決意と具体的方針を固める場となった。
討論の口火を切ったのは、福島大学1年生だ。「原発事故は悪化の一途をたどっている。福島の地は除染なんかされていない。とにかく、原発事故を一刻も早く収束させてほしいというのが福島の思いだ」「福島の現実を見てほしい。そこから原発反対を訴えてほしい。原発を再稼働させてはいけないし、もう事故を起こさせない。福島の現実を二度と繰り返してはいけない」
これに続き、東北大の1、2年生が学生自治会の発展に向けた熱烈な決意表明を行い、日就寮生が当局による退寮強要攻撃を阻止した報告と原発廃絶に向けたアピールを行った。3・11以降不屈に闘いぬいてきた福島大生と東北大生の報告に、会場全体が奮い立った。
被災地の学生の思いに応え、次に法大生が全員登場した。倉岡雅美副委員長は「3・11直後、法大が行ったことは私への呼び出しと無期停学処分の強行だ。これが現在の大学の姿だ」と語り、斎藤郁真君は「法大闘争は人間の誇りをかけた闘い。フクシマとどこまでも連帯することが原発絶対反対であり、その内容を法大から全国に拡大する。大学は変革の場所でなければならない」と訴えた。登壇した法大生が口々に5年半に及ぶ法大闘争の勝利の地平を語り、1、2年生を先頭にこの秋の闘いに立ち上がることを宣言した。
これに応え、全国の学生が烈々たる決意を語った。「広大の神谷教授(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー、福島県立医大副学長)が福島で行っていることを絶対に許さない。フクシマとヒロシマがつながろう」(広島大1年生)
「3・11は生き方そのものを問うている。自分の大学で学生自治会をつくり、御用学者をたたき出す」(首都圏A大学)
「既存の学生団体にどんどん乗り込んで行く。自分の地域でも大学を中心に結集軸を打ち立てたい」(首都圏B大学)
2日間で合計53本という活発な討論の最後に、坂野君がまとめを行い、大会宣言を採択した。
(写真 大会2日目。被災地の学生が闘いの報告と原発廃絶へアピール【10日 浜町区民館】) 10・9三里塚、11・6へ
そしてついに、新たな中央執行体制が発表された。そして、05年9月以来、6年間委員長を務めた織田陽介君が万感の思いをこめて、退任のあいさつを行った(別掲)。「法大闘争は支配階級と対等にわたりあい、圧倒する人格を生み出し、勝利した」と勝利の地平をがっちりと確認した。
続いて、新委員長の斎藤郁真君が就任のあいさつに立った(別掲)。「法大闘争は学生の可能性を奪う攻撃をうち破った。この勝利に確信を持つとともに、勝利の地平をさらに発展させよう。法大闘争の地平を全国へ広げるために、私は全学連委員長として立つ!」と決意を表明した。
大会には多くの来賓が参加した。三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長は、三里塚闘争における全学連の決定的位置を明らかにし、10・9三里塚全国集会への大結集を訴えた。「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」事務局次長の富田翔子さんは「全学連が5・7渋谷反原発デモに決起する姿を見て、自分も決意を固めた」と語り、反原発・反失業闘争への決意を述べた。さらに、法大弾圧裁判弁護団の藤田正人弁護士、動労千葉の山口世修執行委員が熱烈な連帯のあいさつを行った。
こうして2日間の全学連大会は歴史的な成功をかちとった。大会は第一に、「フクシマの怒り」と結合し、全原発の廃止へ突き進む決意を固めた。
第二に、5年半の法大闘争の勝利の地平を踏まえ、全国大学で学生自治会の本格的建設に着手することを宣言した。第三に、「再稼働阻止」を焦点とした今秋の反原発闘争の先頭に全学連が立つことを確認した。第四に、11・6労働者集会に総決起することを明らかにした。
大会での熱烈な討論から、ただちに11月1万人の組織戦へ! すべての学生は、全学連の旗のもとに団結し、学生自治会建設の闘いをともに担おう!
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週刊『前進』(2504号4面2)(2011/09/19 )
斎藤新委員長の決意表明
マルクス主義を復権し社会変革の先頭に立つ
法大闘争は指導部人格をつくり出し、学生の団結をつくり出すことで、国家権力の想像のはるか上を行って勝利した。
そうさせないために法大当局は「学生を商品にする」「教育をひとつの統治行為にする」と学生の可能性を奪おうとしてきた。それに負けない団結を私たちはつくり出した。法大闘争5年半の勝利を代表する人格として私が本年度の全学連委員長になります。
重要なことは、法大闘争の地平、獲得したもの――どういう人格をつくり出し、どういう運動を行い国家権力を圧倒したのか――だ。それをすべての大学でつくり出すことだ。
今、学生は行動したいと思っていても抗議することすら頭の中にない。そういうことを考える可能性すら奪われている。こんな状態に学生をおとしめている現実をぶち破らなくちゃいけない。学生の結集軸をつくらなくちゃいけない。これが法大闘争をやりぬいてきた私たちの責任だ。歴史的使命だ。法大闘争を法大闘争だけで終わらせるのではなく、この社会を本当に変革する闘いの最先頭に立ちたい。
その運動の思想は、やはりマルクス主義だ。マルクス主義は世間では経済学の一範疇(はんちゅう)みたいに言われるが、自分自身の人格、運動でマルクス主義を復権する、証明することが重要だ。
この社会では圧倒的多数の人間は自由ではない。自由という言葉がはびこり、自由とは何かを学者が一生懸命論議してる。だが、自由を語らなくちゃいけないということは支配が存在するということだ。本当に自由なら自由という言葉すら必要ないという立場にマルクスは立っている。
人間は団結して、隣の仲間と協力し合うことができる存在だとマルクスは証明した。実際、労働者はそういう運動をやっていたことから、そこに解答を見つけ出した。私たち学生に問われていることは、こういうことを復権しなくちゃいけないということだ。
原発には絶対反対だ。原発をつくり出した社会のあり方が問題だ。労働者を物として扱い、被曝労働させなかったらあり得ない産業。それを進めているやつらは絶対に許せない。
福島原発事故を受けてもなお、原発を輸出することが日本の国際貢献だなんて言われている。福島県民を見殺しにしている。これに対して福島で立ち上がっている人たちがいる。でもこの見殺し政策の中で、その人たちが圧迫され、抑えつけられている。この状況を突破する最大の力は学生の中にある。
私たちの未来がどこにあるのか、自分たちの行動ではっきりさせよう。そのための組織をすべての大学につくり上げよう。それをつぶそうとする御用学者、大学当局、御用学生自治会と徹底的に対決し、闘う自治会を建設しよう。そういう運動を一緒に闘おう。
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週刊『前進』(2504号4面3)(2011/09/19 )
織田前委員長の退任あいさつ
法大の闘いを全国化し世界に広げて勝利した
民衆の行動に規定されて国家権力が動く。政治が動き出す。3・11以降の特徴だ。これが時代の基底にある。「核の平和利用」論で広島の被爆者が声を上げられないできたのを打ち破ったのが全学連の闘いだった。学生が動き出したとき歴史が動く。今がそうだ。
この6年間、全学連委員長としてやってきたことの一つ目は、法大闘争を始めたことだ。
委員長になって半年でいきなり法大での29人逮捕から始まった。当時はまだ法大生の闘いという面があったが、東北大有朋(ゆうほう)寮闘争の中でつくりだした思想、魂を入れて、法大闘争を全国的な闘いにした。法大で学生が団結する、国家権力とわたり合って気持ちを一つにする感動的闘いをやってこれた。
二つ目は、これを世界に広げたことだ。アメリカ、ドイツ、ブラジルに行き、韓国にも行った。国際連帯を始めて自分たちの闘いを世界に広げることができた。
三つ目は、法大闘争の勝利を確定させたことだ。118人の逮捕者が出たが、もう学生が弾圧されて、という状況にはない。時代がひっくり返った。国家権力はこうなる前に学生運動を全部つぶしたかった。しかしその期間は終わった。あとは反撃につぐ反撃だ。
6年間の闘いで法大闘争は国家権力に勝利した。その中から指導部を生みだした。敵は首都東京に学生運動をつくらせないとしてきた。全学連の執行体制もそれに規定されてきた。しかし、弾圧の中でつぶされるどころか、逆に首都圏の学生が闘いに立ち上がって、リーダー、体制を生みだした。
自分の信念、思想を拡大していく、物質化させていくことは泥臭いことだが、それがいちばん強い。仲間が団結するという一点において、正しいか正しくないかが判断される。それが思想だ。
強烈な指導部に僕らがなっていくことだ。権力を持っていようがいまいが、一人ひとりは存在として対等だ。情勢や敵の攻撃の本質を明確に見抜いて、大衆の思いや行動を守り抜く。そういう強烈な指導部が必要だ。
闘いはすべて人格、人間によって決まる。勝つか負けるかは自分の組織に人が集まってくるかどうかだ。膝を突き合わせて一人ひとりと向き合って、団結するために必死になるところから、人格的魅力、人格的求心力が生まれる。そして、敵を人格として圧倒していく。それがわれわれの闘い方だ。
11・6労働者集会に向け、団結することに一切をかけてほしい。学生の団結を組織することに必死になってほしい。どんなに知識が多くてもどんなに言葉がうまくても、それが正しいとは限らない。人間として人格として国家権力を圧倒する強烈な指導部としてわれわれが登場していくことが、この情勢を切り開く最大の核心だ。一緒に11月集会に向かって頑張ろう。
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週刊『前進』(2504号4面4)(2011/09/19 )
法大裁判に集まろう!
★4・24集会弾圧裁判(控訴審)
第1回公判 9月22日(木)午後1時30分
★暴処法弾圧裁判
第24回公判 (被告人質問) 9月29日(木)午後1時30分
※いずれも東京地裁429号法廷 12時30分に傍聴券配布所に集合
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週刊『前進』(2504号4面5)(2011/09/19 )
9月6日〜12日
恐慌対策へ米が35兆円投入/前原政調会長「武器使用基準緩和を」
●英研究所が「戦略概観」発表 英国際戦略研究所が世界の軍事・外交関係についてまとめた2011年版「戦略概観」を発表した。中東やアジア地域で関係諸国の力関係が激変。戦争で疲労した米国が政治的エネルギーの大半を国内に傾けねばならず、他方で中国が台頭、アジアでの軍事衝突の可能性が高まっているとした。(6日)
●前原政調会長が安保問題で講演 民主党の前原政調会長が米で講演、自衛隊海外派遣時の武器使用基準緩和や、国際的な兵器開発競争から日本の防衛産業が取り残されないよう武器輸出3原則の見直しなどを訴えた。(7日)
●臨時国会に領土防衛法案 超党派の「国家主権と国益を守るために行動する議員連盟」が記者会見し、国境警備の強化や尖閣諸島の国有化を図る法案を今秋臨時国会に議員立法として提出すると発表した。(7日)
●ロシア軍の演習にスクランブル ロシア軍が日本周辺での軍事演習を開始し、空自の戦闘機が緊急発進(スクランブル)した。(8日)
●沖縄で育鵬社の教科書採択撤回 石垣市と竹富町、与那国町の八重山地区3市町が全教育委員の臨時総会を開き、育鵬社の公民教科書採択を多数決により撤回した。(8日)
●米が新景気・雇用対策発表 オバマ米大統領が今後3年間に総額4470億j(約35兆円)を投じる新たな景気・雇用対策を発表した。議会に対し米国が国家的な危機に直面していると演説、政治的な対立をやめて経済再建に協力するよう訴えた。(8日)
●G7、経済対策打ち出せず フランスで先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が開かれ、世界経済への危機感を表明する合意文書を採択したが、新たな対策を打ち出すことはできなかった。(9日)
●野田政権が普天間早期解決へ動く
玄葉外相と一川防衛相が沖縄県知事とそれぞれ初会談を行い、日米合意に基づく普天間移設問題の早期進展を求めた。(9日)
●エジプトでデモ隊がイスラエル大使館突入 タハリール広場で軍最高評議会を批判する大デモがあり、一部がイスラエル大使館に突入、警官隊や軍と衝突して死傷者を出した。イスラエル大使は国外に脱出。(9日)
●鉢呂経産相が辞任 野田新政権の鉢呂経産相が福島県内視察後の「死のまち」「放射能をつけちゃうぞ」などの暴言により辞任した。(10日)
●枝野新経産相が再稼働を表明 経産相の後任に枝野幸男前官房長官が就任し、定期点検中の原発について「安全性を確認し周辺地域の理解を得た上で再稼働する」と表明した。(12日)
●ユーロが急落 欧州財政危機をめぐる欧州内対立の公然化でユーロが急落し、01年以来10年ぶりの歴史的な安値に。世界同時株安も再燃。(12日)
●仏核施設で爆発事故 フランス南部のマルクールにある低レベル放射性廃棄物処理施設で爆発が起き、1人が死亡、4人が負傷した。仏原子力安全局は、放射能漏れはないとして3時間後には収束を宣言した。(12日)
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週刊『前進』(2504号5面1)(2011/09/19 )
10・9三里塚現地へ大結集を
福島の怒りと固く連帯し市東さん農地決戦に立とう
労・農・漁民の総反乱で“国策”打ち破れ
白川賢治
9月11日、全国各地での反原発の叫びが日本列島を揺るがした。労働者、農民、漁民の積もりに積もった怒りは、日帝の階級支配を根底から揺るがしている。絶望的な危機の中で登場した野田政権は、「挙国一致」を叫び、原発再稼働と反原発闘争の解体に全力をあげている。3・11大震災から半年、革命へ向かう動と反動が激しくぶつかる情勢は、三里塚45年の実力闘争がまさに真価を発揮する時である。きたる10・9三里塚全国集会は、市東さんの農地をめぐって白熱化する決戦に総決起し、野田政権打倒から革命へ突き進む11月1万人決起を切り開く決定的な闘いである。全力で立ち上がろう。
「復興特区」構想は農業破壊そのもの
福島をはじめ、放射能汚染と格闘する東北、関東の農漁民の怒りは、日を追うごとに増している。福島第一原発事故による放射能汚染で、どれほど多くの農民が農地を追われ、農業からひきはがされて、理不尽な苦痛を強いられているか。
爆発直後、飛び散った放射性物質が野菜や原乳から検出され、多くの農家が出荷停止・自粛に追い込まれた。「ほうれん草を踏みつぶすのはつらい」(福島・野菜農家) 「毎日2・7dの原乳を自分の畑に捨てている」(茨城・酪農農家)
計画的避難区域とされた福島県飯舘村でも和牛繁殖農家211戸のうち200戸以上が廃業した。「牛は家族。40年かけようやくここまできた。処分できない」(福島・畜産農家)
さらに7月、牛肉からセシウムが検出されると出荷が制限され、堆肥(たいひ)の流通自粛が求められた。「自粛してくれと言われても、牛のふんをどう処理するのか。矛盾した要請だ」(宮城・畜産農家)「30年間続けてきた耕畜連携の輪を、こんなことで崩されてたまるか」(栃木・畜産農家)
実りの秋は、不安におびえながらの収穫だ。「売れるか売れないか、分からなくても作り続けるしかない」(福島・米農家)「一からやり直せば、梨は採れるようになるまで30年かかる」(福島・果樹農家)
3月には出荷停止を受けた有機農家が自死した。6月には原乳を廃棄していた農家が自死に追い込まれた。これらは、氷山の一角でしかない。
福島原発から半径20`圏内の警戒区域内で飼育されていた家畜は、牛3500頭、豚約3万頭、鶏約68万羽。畜舎から解放した一部の家畜は野生化し、小屋につながれたままの家畜の大半が餓死した。豚が死んだ豚を共食いしている。生き残った家畜は政府が殺処分を進めている。
何という残酷な光景だろうか。これこそ野田民主党政権そのものだ。
「復興」の美名のもとに出された政府の復興基本方針(7月29日に決定)と、日本経団連の「復興・創生マスタープラン」を見よ! そこで打ち出された復興特区の創設は、「東北の再生」の名のもとに、農地の大区画化と利用集積をうたっている。大資本が農地と農業を食い物にするというものだ。
すでに東芝やパナソニックなど20社が福島県西郷村と下郷町に自然エネルギーや農業、福祉などの研究拠点を「復興特区」としてつくる構想が明らかになっている。自然エネルギーによる電力を「スマートグリッド」(次世代送電網)で管理し、人工土壌で野菜を生産し、「福島県産」として海外に売り込むという。
宮城県の村井知事は、地元漁業関係者の反対にもかかわらず、企業の参入を促進する「水産業復興特区構想」を進めようとしている。
いったい誰のための復興なのか。震災と原発を逆手にとった資本による徹底した農業破壊と農業からの収奪ではないか!
3・11情勢の下で農地決戦が白熱化
新自由主義は労働者を非正規職にして工業製品輸出を拡大する一方で、次々と農業市場を明け渡し、農業では食べていけない現実を生み出した。地方を疲弊させて過疎をつくり、そこに多額の交付金で原発誘致を加速させた。
そして原発事故が広大な無人地帯をつくり、東北・関東一帯に放射能の脅威をもたらした。人びとは、今度は「放射能安全」デマで被曝生活を強要されている。これらはまさに「棄民政策」(反対同盟招請状)そのものだ! あげくの「特区」攻撃と農業破壊。資本による漁業権のはく奪と、危機を逆手にとったTPP(環太平洋経済連携協定)の促進だ。
この3・11情勢下において、国家暴力による農地強奪と激突する三里塚に、全国の農民が注目している。
三里塚闘争とは何か。「国策」=空港建設による農地収用に対する農民反乱だ。その闘いは買収を拒否する絶対反対と身体を張った実力闘争を根幹に据えている。この非妥協・不屈の徹底性は、労働者・学生の共感を呼び、全国の反戦闘争・住民運動を糾合して闘い、45年間、今もなお「国策」としての空港の完成を阻止し続けている。
だから、日帝権力は動労千葉や関西生コン支部をはじめとする戦闘的労働運動・労働組合の解体攻撃を激化させるとともに、三里塚に対する解体攻撃を画然と強めているのである。現闘本部破壊はそのことをあからさまに突きだした。5・20の高裁仮執行判決と反対同盟をはじめとする50人の不当逮捕、そして8・6広島反戦・反核行動に合わせた現闘本部建物破壊! 三里塚闘争史上の一大反革命であり、3・11情勢そのものである。
その攻撃の狙いは、市東さんの農地の強奪だ。誘導路を直線化できるわけでもないのに、現闘本部建物撤去(破壊)を、あえて今、強行したことの中に、この攻撃の本質が明らかである。
それは、ただちに農地裁判に表れた。行政訴訟(8月30日)で千葉地裁の多見谷寿郎裁判長は、弁論打ち切りを策し、証人調べを不当に制限することで、年内結審−年度内判決に突然動き出したのだ。
市東さんの農地裁判でも空港会社(NAA)は、現闘本部同様、最高裁の判決確定を待たずに農地を取り上げる「仮執行判決」を請求している。いまや裁判所は収用委員会の代替機関と化した。行政訴訟を皮切りに農地3裁判を次々に終結させ、農地強奪に踏み込もうとしているのだ。
しかし、反原発の怒りと一体で闘いぬく反対同盟とわれわれの渾身(こんしん)の決起は、多見谷裁判長のこの策動を押し返した。農地決戦は白熱的な闘いに突入したのである。
われわれがやるべきことは明白だ。反原発・反失業の嵐のような人民決起の最先頭で、三里塚実力闘争の真価を発揮する闘いを、なにがなんでも推し進めることである。その闘いは、フクシマの怒りと結んで全国農民、労働者の決起を必ずやひきおこすであろう。
原発再稼働許さず11月1万人決起へ
世界は今、革命に向かう巨大なうねりの中にある。
ドル危機・円高として進行する世界大恐慌、過剰資本・過剰生産力の暴力的解消・破壊のための分裂化・ブロック化、戦争への動きが激しく進行している。
他方、チュニジア蜂起・エジプト革命が闘われ、イギリスでも青年の内乱が勃発し、新自由主義と闘う労働者人民の反乱が全世界で始まっている。
この戦後世界の根底的な破局の中で、3・11情勢は日帝の危機を一気に促進した。
ますます迷走する民主党・野田政権は、大失業と非正規労働を生み出す一方で、日本経団連と連合にしがみつき、原発推進を唱え、TPP参加を画策している。13日から開かれた臨時国会で、野田はあらためて増税を明言した。
日帝ブルジョアジーは東電資本を救済し、大恐慌からの脱出も、大震災・原発事故からの復興も、すべて労働者、農民、漁民の犠牲の上に行おうとしているのだ。
こうした情勢の中で、農民、漁民の怒りと結びつき、反原発の闘いを非和解的に推し進め、階級的労働運動の前進をかちとることが革命への道である。
国鉄闘争と反原発闘争で勝利する路線を邁進(まいしん)する中で、構内業務の外注化粉砕を掲げストライキに立ち上がる動労千葉と固く団結し、農漁民の反乱を自らの闘いとして推し進め、労農連帯を豊かにつくり出そう。
10・9全国集会は第一に、反原発を闘う労働者、農民、漁民の最先頭に三里塚が立ち、断固として全原発の再稼働阻止を宣言する決起集会である。
被災地・福島をはじめ、全国で反原発の闘いに決起した農民、漁民の怒りと心をひとつにしよう。各地で労農連帯を広げよう。
福島の農民の怒りと三里塚闘争を結合し、全国にまたがる闘う農民の組織をつくり出そう。10・9三里塚集会で決意を固め、「すべての原発いますぐなくそう!全国会議(な全)」に多くの農漁民の結集をかちとろう。
第二に、これと一体のものとして、白熱的に開始された市東さんの農地をめぐる決戦に何が何でも勝利する陣形をつくり出す決戦突入集会である。反対同盟との血盟にかけ、総力を結集して闘いぬく決意を固めよう。
新自由主義によって切り捨てられてきた労働者、農民、漁民の積年の怒りを、市東さんの農地決戦に集中し、国策を打ち破る人民の総反乱をつくり出すのだ。
「反原発・反失業」を掲げた11・6全国労働者集会を1万人の大結集で闘いとろう。そこへ向かう10月総決起として、10・9三里塚全国集会に大結集しよう。
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週刊『前進』(2504号5面2)(2011/09/19 )
10・9へ! 反対同盟の訴え(上)
時代を変えると確信 事務局長 北原鉱治さん
3月11日の大震災によって本当に多くの尊い人命が失われた。そして福島原発事故によって県民を始め多くの人が塗炭の苦しみを強いられていることに、心から怒りを禁じ得ない。
1945年8月6日広島、9日長崎に原爆が投下され、数十万人の命を一瞬で奪い、今もその苦しみを背負っている人がいる。二度と原爆を許さないと人民が強く誓ったこの日本で、またしても原発の放射能が惨害をもたらした。
三里塚現地においてはその8月6日当日、まだ夜も明けぬ午前3時に、天神峰現闘本部が国とNAAの手によって破壊・撤去された。裁判においても上告中でまだ判決も確定していないまま、この暴挙が強行された。1945年の敗戦後に日本は「民主主義」を標榜(ひょうぼう)して再出発をしたのだが、その実態がいかなるものかがここにすべて明らかだ。
そして、市東孝雄さんの住居、農地を強奪しようと彼らは躍起になっている。祖父の代から三代受け継ぎ耕してきた農地だ。それを第3誘導路を造って空港の中に囲い込もうとしている。またしても国家暴力によって農民の農地を取り上げようとしている。このことを許せば、国家権力は国策や有事の名をもって人びとの持つ土地、農地、山林を有無を言わせず強奪する、その前例をつくるということだ。
このような社会に未来はあるのか。このまま政治を彼らに任せていていいのか。生きる権利を自らの手で守り、戦争に反対して労働者・農民が手をたずさえて闘うときだ。その先頭に三里塚は立つ。国家権力の暴虐に対して実力闘争で立ち向かい、告発してきたのが三里塚闘争の歴史的意義である。
私は今年も全学連大会であいさつをしたが、学生たちの真剣なまなざしが大変印象的だった。学生運動の躍進は本当にうれしい。
私も数え年で90歳になったが、いくつになろうと、世界の人びとと連帯し真実をかけて闘えば、この時代を変えられるという確信に揺るぎはない。10・9三里塚にみなさんが全国から大結集し、特に若い青年労働者、学生が自らの足で北総大地を踏みしめることを願います。
農地強奪を許さない 天神峰 市東孝雄さん
8月6日という日をわざわざ選んで現闘本部を破壊したことは実に許せないことです。でも、向こうもそんなやり方しかできないことは、ぶざまですね。だから反対同盟でこの攻撃にへこたれている人なんか一人もいません。ますます手応えを感じ、闘志を燃やしています。
羽田空港の国際化によって成田が客を奪われ、便数が減っていることは天神峰に住んでいればよく分かりますよ。だから向こうはあせって、危険な二滑走路同時離着陸を10月20日に解禁し、年間離着陸30万回化へ向けてキャンペーンしているわけです。
だが私の畑がある以上、への字誘導路の直線化は不可能だし、反対同盟の闘いがある限り、成田は永遠に完成しません。
国策の名で税金を湯水のように使い、安全を無視して進めてきたという点では、成田も原発建設もまったく同じです。原発を建てるときは建設業者が潤うとか地元にも雇用が生まれるとか、いい話をさんざんふりまいておいて、一つ事故が起きればこんな取り返しのつかない大災害になることは分かっていたはずだ。今どれだけ農家がこの事故でひどく苦しめられていることか。
成田市行政は放射線についてもきちんと調べて対応しようとせず、ごまかしている。成田空港の利用客に影響が出ないように、事態を小さく見せるようにしている。逆に胸を張って安全だ、とも言えない。これではまったく信用できない。
この成田空港も地域振興という触れ込みで造られてきたが、三里塚も芝山も多古も地元の住民には騒音などの被害ばかりでなんのプラスもないですよ。空港の中で働いている人たちも賃下げを強いられているし。
野田政権が出てきたが、TPP参加をあけすけに進めようとしています。今この時にTPPを進めたら日本の農業はどうなってしまうのか。そして国会では被災地の苦しみそっちのけで、問責だのなんだのと言い争ってる。こんな政治に何も期待できません。
私の耕作地をめぐる裁判が非常に重要な局面を迎えています。まともに考えれば、位置の特定も間違っているし、書類は偽造、耕作者の父に黙って底地を買い取り、知らん顔していた。これほどデタラメや違法が明らかになっても、「農地を明け渡せ」なんてよくもそんな裁判を続けるものだと怒りに堪えません。
NAAは法廷では口を閉ざして裁判所の出す反動判決に期待するという腹なのです。
こんな国策の名による農地強奪攻撃と45年闘ってきた三里塚の意気を示したいと思います。それが10・9集会です。福島と連帯し、全国のみなさんとともに農地への攻撃をはね返す決意です。ぜひ大結集をお願いします。
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週刊『前進』(2504号5面3)(2011/09/19 )
農民追い出し工事やめよ
誘導路裁判でNAA追及
9月6日、千葉地裁民事第3部(多見谷寿郎裁判長)で「第3誘導路裁判」の弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟が国とNAAに対し、危険で違法な暫定滑走路の第3誘導路について許可処分取り消し、工事中止などを求める裁判だ。
第3誘導路こそ、成田空港建設の暴力性と破産の象徴である。天神峰の市東孝雄さんという農家一軒を追い出すためだけに、巨額の費用を投じた大工事を進めて新たな誘導路を建設し、騒音と排気ガスを一層まきちらし、市東さんの家と畑を空港の中に囲い込むことを狙っている。
そしてNAAは、誘導路がへの字に曲がった暫定滑走路という致命的欠陥を抱えながら、「航空需要の拡大」を理由に増便を重ね、今や二つの滑走路での同時離着陸という危険まで冒そうとしている。原発と同じで、大事故、大惨事は必至だ。
まさに国策の名による地上げヤクザまがいの暴挙だ! 農地を守って闘っている市東さんと反対同盟に百パーセントの正義がある。
弁護団は成田空港のこうした矛盾、危険、破綻を暴き、NAAに対して環境、騒音、滑走路の使用実態などのデータを一切合切明らかにするよう迫った。また市東さんをはじめ地元農民について「原告適格がない」などと平然と決めつけたことを徹底的に批判し釈明を求めた。傍聴席の労働者学生も、ともに全力で闘った。NAAの代理人弁護士は「検討し書面で……」などとか細くつぶやくばかりだ。次回弁論は11月29日。
場所を弁護士会館に移し、記者会見と報告会が開かれた。最初に萩原進事務局次長が「目の前で見ていると暫定滑走路の離着陸は山手線並みの頻度の時もある」と警鐘を鳴らした。さらに「3・11後に情勢は一変した。もう東電にまかせられない、電力供給は人民が自らの手でやるしかないとみな自覚し始めている。第3誘導路に湯水のように金をつかうNAAも東電と同じだ。三里塚ではどんなデタラメも押し通せるという敵の思い上がりを、大上段からたたっ斬ろう」と訴えた。
続いて葉山岳夫弁護士をはじめ顧問弁護団が、法廷の解説と空港粉砕への決意をそれぞれ表した。さらに質疑応答を通じて、航空需要低迷によって成田空港が危機のふちに追いやられていることが一層明らかになった。
最後に司会の鈴木謙太郎さんが「10・9三里塚全国総決起集会へ大結集を」と呼びかけ、この日の闘いを締めくくった。
(写真 報告会では顧問弁護団が法廷の解説と勝利への決意を語った【9月6日 千葉】)
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週刊『前進』(2504号5面4)(2011/09/19 )
三里塚裁判傍聴を!
◎鈴木さん一坪共有地裁判
9月29日(木)午前10時半 千葉地裁
※傍聴券抽選のため1時間前に集合を
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週刊『前進』(2504号5面5)(2011/09/19 )
“PKOで他国軍防衛を”
前原民主党政調会長が米国で講演 武器輸出解禁も提言
野田政権の安保外交政策の正体
民主党の前原誠司政調会長は9月7日、ワシントンでの日米の安保問題専門家を集めたシンポジウムで「多国間協調の中の日米同盟」と題して講演した。その中で普天間飛行場の沖縄県内移設の推進、自衛隊の武器使用基準の緩和、集団的自衛権行使に関する憲法解釈の変更、武器輸出三原則の見直しなどを表明した。また中国脅威論を唱えて中国を牽制(けんせい)した。
これらは前原の持論であるが、同時に野田政権の安保・外交政策の基本方針だ。野田首相自身も13日の所信表明演説で「日米同盟の深化・発展」、「動的防衛力」への自衛隊の強化、普天間県内移設推進をうたった。前原講演は、日帝の戦後的・憲法的制約を打破したい野田政権の反動的な意欲の公の表現だ。
集団的自衛権の行使と改憲狙う
前原はPKO参加5原則について「自衛隊とともに行動する他国軍隊を急迫不正な侵害から防衛できるようにする」と述べ、見直しを強調した。
しかし他国の軍隊の防衛のための武器使用は明らかに集団的自衛権の行使にあたる。前原は「これは自衛権や武力行使の一体化の問題ではない」と詭弁を弄(ろう)した。PKO5原則見直しを突破口に集団的自衛権行使問題での憲法解釈の変更を狙っているのだ。
前原が政権与党の幹部として国際的な場で発言したことは重大だ。
また前原は武器輸出三原則の見直しに積極的な姿勢を示し、三原則見直しによって日本の防衛産業が武器の国際共同開発や生産に参加することが可能となり、「日米同盟、米国以外の国々との安全保障協力の深化につながる」と語った。
武器輸出解禁は経団連=日帝ブルジョアジーの長年の強い要望だ。野田政権はこれに応えて防衛産業の武器輸出を飛躍的に拡大し、原発輸出と並ぶ新成長戦略の柱にしようとしているのだ。
武器の国際共同開発は当然にも日米同盟強化、日米軍事一体化、日帝自身の軍事力強化・軍事大国化に直結している。
名護新基地建設強行を対米公約
前原は、民主党への政権交代後に沖縄・普天間移設問題でぎくしゃくした日米関係を立て直す姿勢を示し、今年6月の日米安保協(2プラス2)での合意の履行へ努力すると述べた。前原は、普天間飛行場の県内移設すなわち名護・辺野古新基地建設の強行を野田政権の対米公約としたのだ。
前原は中国を既存の国際ルールの変更を求める「ゲームチェンジャー」と規定、「主張するルールの特異さとその価値観の違いも大きな課題。日米が新興のゲームチェンジャーと新たな地域秩序の形成に正面から取り組むのが最優先だ」と語った。中国をおきて破りの異質な存在として描き、中国の「脅威」への日米共同対処を呼びかけた。
日帝の新防衛大綱の「動的防衛力」、南西諸島配備強化はこれに対応した対中国シフトだ。日帝と中国との対立・矛盾の激化は不可避だ。
前原を先兵とする野田民主党政権の安保・外交政策、原発再稼動・原発輸出・武器輸出、大増税を許さず、反原発・反失業闘争の大高揚と11・6労働者集会1万人結集で野田政権を打倒しよう。
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週刊『前進』(2504号6面1)(2011/09/19 )
反戦被爆者の会会長 大槻泰生さんを追悼する
世界の労働者の団結で核と原発を廃絶する
全国被爆者青年同盟前委員長 中島 健
反戦被爆者の会の大槻泰生会長が8月19日、がんとの壮絶な闘いの渦中で逝った。享年84。大槻会長の資本主義を倒さずにはおかないという執念が日の目を見ようとする今年、その死を惜しまずにはいられない。今年の8・6ヒロシマ大行動の意義を霊前に報告し、送別の辞としたい。
核と帝国主義に深い怒りと恨み
大槻さんは1945年8月6日のあの日、法務省の下級雇員として朝鮮人を三菱に引率する仕事に従事していたという。強制連行されてきて、さらに被爆まで強制された人びとに対する抑圧者の役割を担わされたことは、帝国主義への彼の恨みを深く規定している。2009年1月、ガザに対するイスラエルの侵略を弾劾しつつ発せられた年頭アピールはそのことを示している。「かつて私たちは戦争によってしか生きていくことができないと教えられ、そのため街を焼かれ、家を焼かれ、家族を失いました。家も家族も失わなかった資本家が戦争を賛美するのを、許せぬ気持ちでおります」
大槻さんの原爆体験は「白き胸を射抜き、肝臓を放射し、子宮を灼(や)き全裸で街中を歩き続けた人々」の姿だ。その上、大槻さんは原爆によって多くの親戚を失った。遺骨は発見されないままだ。彼にとって8時15分で時間は止まっている。
大槻さん自身が原爆によって受けた被害も尋常ではない。彼は真夏でも長袖を着ていたが、それは原爆によって粉砕された上腕をかばうためであった。つらい青春時代を送ったことは想像にかたくない。
大槻さんは放射能の遺伝的影響を特に恐れていた。そして、自らの身体的困難が子どもたちに遺伝したと憤懣(ふんまん)やるかたなかった。
2008年、放射線影響研究所が全国被爆二世協の屈服を引き出して「被爆2世には親の被爆に起因する優位の遺伝的影響はない」とのキャンペーンを始めるや、大槻さんは「日本の核武装を推し進めるため、放射線の影響はないとする日本政府のごまかしの宣伝」と喝破すると同時に、日々繰り返されるヒロシマとして、アメリカ帝国主義によるイラクに対する劣化ウラン使用を断罪した。イラクでの死産や流産の多さ、形成異常で生まれる子どもたちの存在を知り、核への怒りを新たにしていた。
大槻精神を継ぐ8・6ヒロシマ
大槻さんから私が引き継いだものは、帝国主義への被爆者の怒りだ。彼は大変な肉体的な困難をモルヒネまで使って和らげながら、戦後のストライキ闘争や朝鮮戦争反対に身を投げ出していった。2003年には、被爆後57年にして皮膚がんのため片耳をそぎ落とす危機を迎えた。しかし彼は、身をさらして8・6闘争に決起し、オバマのプラハ演説を弾劾した。鬼気迫るものであった。
「ヒロシマ忌 無理をするなと はげます亡妻(つま)のことばに 我は泪(なみだ)す」
大槻さん、大槻さん。
今あなたを失って、あなたに肉薄することを果たせなかった自分を恥じ入るばかりです。しかし、それでも被爆者青年同盟結成41年、反戦被爆者の会結成34年の闘いが生み出したものは本当に大きかった。3月11日の福島原発事故は、そのあまりの巨大な反革命性ゆえに多くの人びとを一瞬、茫然自失(ぼうぜんじしつ)に陥れました。しかし、ヒロシマは大槻さんの核に対する怒りをバックボーンに、そしてチェルノブイリ原発事故の記念日に中国電力本社抗議闘争を毎年やってきた地平を踏まえ、この事故は新自由主義の破産ととらえ、3月14日、爆発後直ちに中国電力本社に抗議におもむきました。4月からは「すべての原発の即時停止を求める署名」を開始し、全国に呼びかけました。何よりもヒロシマの歴史を福島の労働者民衆に繰り返させてはならないと、被災地の怒りを共有しました。
そうした闘いの上に、福島原発事故以来初めての8・6ヒロシマでヒロシマが世界に向かって何を発信するかが注目されている中で、8・6を全世界の労働者の団結で核と原発をなくす宣言の場にしようと懸命に闘いました。
当日は、原爆ドーム前を立錐(りっすい)の余地なく労働者民衆が埋め尽くし、下田礼子さん、大石又七さん、福島の労働者、アメリカのシンディ・シーハンさん、イラクのフサム医師が「世界の労働者民衆が団結すれば必ず核はなくせる。核を必要とする社会は変えられる」と圧倒的な訴えを行いました。腐敗した原水禁をのりこえる世界大会を実現したのです。
8月5日には「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(な全=NAZEN)が発足し、原発推進が国を挙げてのうそであったことを見抜いた若者たちが「人間を破壊する原発なしでは生き延びることのできない新自由主義、帝国主義の成れの果てであるこの社会では生きることができない」と先頭に立って地殻変動的な情勢を生み出そうとしています。
大槻会長が必死になって闘いとろうとした革命情勢が革命党の成長とともに生み出されたのです。大槻精神が生きています。葬儀に参加できなかった私も、あらためてこの拙文を捧げて、大槻さんへの追悼と誓いにしたいと思います。11月1万人決起に向けて叱咤激励(しったげきれい)を続けてください。
(写真 昨年8月6日の菅来広・祈念式典弾劾デモでドイツの学生とあいさつをかわす大槻さん)
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週刊『前進』(2504号6面2)(2011/09/19 )
星野再審ビデオ国賠 紛失と称し証拠隠滅
責任逃れの高裁を追及
8月30日午後2時から東京地裁第525号法廷で星野再審ビデオ国賠訴訟第2回口頭弁論(民事第45部・石井浩裁判長)が開かれた。星野文昭同志の無実を立証する上で重要な証拠であるビデオテープ2巻を、警視庁公安部が「紛失」したことに対する国家賠償請求訴訟である。
このテープは、1971年11月14日の沖縄返還協定批准阻止闘争を伝えるテレビニュースを警視庁公安部が録画したものである。一審で証拠採用されており、東京高裁が警視庁公安部に保管させていた。これを「紛失」したというのである。
だが、これは断じて「紛失」ではない。ビデオテープには、阻止線を張る機動隊と激突した神山交番前を通過するデモ隊や、いわゆる殴打現場で倒れている機動隊員の横を走り抜けるデモ隊の様子が写されていた。撮影されたままの現場写真(ニュース映像)には、必ず真実が反映されている。星野同志の無実を立証する上できわめて重要な映像である。再審弁護団が証拠開示を請求しようとしていた矢先に「紛失した」との「通知」(!)が届けられたのである。
星野同志(原告)の代理人が提出した訴状に対して、被告の東京高裁から答弁書が出されていたが、今回は、これへの反論の準備書面をたたきつけた。
傍聴席が埋め尽くされる中、裁判が始まった。準備書面を受け取るや次回期日を決定し、そそくさと終わろうとする裁判長を藤田城治弁護士が鋭く制し、10分間の陳述をかちとった。
東京高裁(被告)は、星野同志はビデオテープの所有者ではなく、何の権利もないから国賠訴訟を起こす権利はないと言う。こんな言いぐさがどうして許せるだろうか。
藤田弁護士は「再審請求は、新証拠とともにこれまでの証拠を総合的に評価して行われるものであるから、被告はすべての証拠を保管する義務がある」と指摘し、東京高裁を弾劾した。
さらに「病気で裁判が停止中の奥深山幸男さんの裁判は、今も東京高裁に係属中である。その証拠を『紛失』するなどありえない」と追及した。
国の卑劣な責任逃れをきっぱりと断罪する力強い反論の意見陳述に、傍聴者全員はあらためて証拠隠滅への怒りをかき立て、星野同志の一日も早い奪還を決意した。
裁判開始前には、星野暁子さんを始め「救う会」のメンバーなど7人で裁判所前街宣を行い、証拠隠滅を弾劾し再審開始を訴えた。
裁判終了後には、弁護士会館ロビーで総括集会を行い、藤田弁護士、鈴木達夫弁護士、岩井信弁護士からの説明と参加者からの質問や意見が出されて活発な討論が行われた。事務局は、傍聴に参加した男女学生7人に星野同志の闘いを説明した。
次回期日は11月1日(火)午後1時20分から。全力で傍聴闘争に決起し、11・6労働者集会と一体で警視庁公安部、東京高裁を徹底的に弾劾しよう。
(写真 裁判開始前に星野暁子さんらが東京地裁前で街宣【8月30日】)
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週刊『前進』(2504号6面3)(2011/09/19 )
西郡住宅闘争 “入居解約は許さぬ”
福島と結び八尾市を弾劾
応能応益家賃絶対反対を貫く供託者を入居契約解除の脅しで分断し切り崩しを図る八尾市に、9月14日、怒りの抗議闘争がたたきつけられた。
「原発推進・大増税の野田政権打倒! 住宅追い出し、西郡更地化・廃村攻撃許すな! 八尾北医療センター明け渡し絶対反対!」を掲げて、部落解放同盟全国連西郡支部と八尾北医療センター労組、八尾北命と健康を守る会、道州制・民営化と闘う共闘会議、全国連杉並支部、関西の労働者・学生150人が、9・11反原発デモの熱気そのままに闘いぬいた。
午後3時、八尾北医療センターで決起集会がかちとられ、4時半から市役所前行動が始まった。
西郡支部の岡邨洋支部長は、8月25日に供託者との話し合いを拒否した八尾市を徹底弾劾、「闘いはどんどん広がっている。解同本部派・地区協の支配は打ち破られた。階級的に団結し新自由主義と対決する部落解放運動で勝利できる」と確信を語り、「フクシマの怒り、地域住民の怒り、自治体労働者の怒りと結びつき、支部1千名建設をかちとり、腐りきった社会を根底からひっくり返そう」と呼びかけた。
末光道正八尾市議は「巨大プロジェクトでゼネコンをもうけさせ財政破綻に陥った八尾市は、市有地売却と人件費削減(首切りと非正規職化)でのりきると9月議会で言った」と弾劾。支部の佃文弘青年部長は、国や八尾市がうそと脅しで部落民労働者を食い物にして生き延びようとしていると暴き、「絶対反対で団結すれば住宅追い出しを阻止できる。9・24西郡青年交流会に集まろう」とアピールした。
八尾北労組の藤木好枝委員長は「市職員への首切り・非正規職化は、西郡更地化、八尾北明け渡し攻撃と一体だ。団結しよう」と訴え、重松信子医師、守る会が9・28八尾北明け渡し裁判への決起を呼びかけた。そして供託者が次々と戦闘性あふれる決意を述べた。
関西労組交流センターの富田益行代表は「住宅追い出しに手をかけたら全国から結集して阻止する」と宣言した。杉並支部、各産別の労働者、全学連がアピール。最後に09年2・26住宅明け渡し強制執行阻止闘争当該の森本政二さんが「団結こそ勝利」、供託者Aさんが「絶対に負けない。勝利する」と戦闘宣言を発し、アリオまでデモを打ちぬいた。
7・24西郡支部大会の大成功と大阪高裁の7・26住宅明け渡し反動判決。7・27供託者への市の催告状送付と8・16供託者連名の話し合い申し入れ。八尾市は本当に追いつめられている。新たなムラの決起を生み出し、新自由主義・道州制攻撃の住宅追い出しを粉砕する。(投稿/全国連西郡支部・植村清)
(写真 八尾市役所への大抗議行動を闘いデモに立つ【9月14日 八尾市】)
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週刊『前進』(2504号6面4)(2011/09/19 )
団結ひろば 投稿コーナー
社会を変えられると実感した全学連大会 首都圏A大学 O
全学連大会には初めて参加しました。たくさんの学生の参加の中、私のような初参加者が何人もいて盛り上がりました。
まず福島の学生からの発言を聞き、あらためて福島の現実を知りました。キャンパスも放射能汚染されているにもかかわらず、それを放置し、学生に被曝を強制する大学。そして安全だと言い張り、原発を推進してきた教授。これらはすべて教育の民営化とともに生まれてきたものだと思います。
私の大学には自治会や闘いの軸となるような組織がありません。それぞれ自分のキャンパスで闘っている同じ世代の仲間たちの話を聞いて勇気をもらいました。こうした闘いはどの大学でもできると思いました。
今回の大会で一番感じたことは、今僕たちは歴史の転換点にいるということです。自分たち学生一人ひとりが立ち上がれば社会を変えられる、そういった時代が目の前に来たと実感しました。
そうした思いを皆と共有できたこの大会は大成功だったと思います。翌日のデモでは異常な弾圧をはねのけ、逆に利権まみれの警察の矛盾が明らかになりました。やつらは市民の味方なんかではなかった。
普通の人びとの反撃が始まっています。僕たち学生こそ、こうした闘いの先頭に立っていく力があると思います。
原発再稼働狙う野田政権への怒りが炸裂 東京 伊田里桜
東京・新宿での9・11反原発デモには、1万人が参加しました!
新宿の街は、原発再稼働を狙う野田政権への怒りに満ちあふれていました。デモコースの変更という弾圧に対して、「敵の狙いは俺たちをバラバラにすることだ!」「新宿一帯をデモで埋め尽くそう!」と、弾圧をぶっ飛ばして参加者が続々と新宿中央公園に集まってきました。
太鼓やドラムのリズムに「原発とめよう!」のコールが乗り、いよいよデモの出発です。「一緒に声を上げよう!」という声に応え、沿道から飛び入りの参加者が加わりました。初参加の青年たちもコールを担い、ともにデモを成功させる仲間としてがっちりと手を結びました。
12人の不当逮捕、右翼の妨害を絶対に許すことができません。右翼は「逮捕なんて生ぬるい。射殺しろ!」とマイクで怒鳴っていたのです。しかし、これこそ民衆の怒りに包囲された野田政権・東電資本のグラグラの姿です。労働者を死に追いやる被曝労働、解雇、非正規職化、外注化を強制する新自由主義に未来はありません!
「ストライキで原発とめよう!」「働いたって生きていけない!」。このコールに表されているように、9・11は反原発と反失業を掲げてぶち抜いた闘争でした。職場を軸に、もっともっと多くの青年とともに怒りの先頭に立ち、闘いの輪を広げていきたいと思います。反原発署名と動労千葉物販を武器に、11月労働者集会へ! 闘う労働組合を、闘いの中で今こそよみがえらせよう!
青年の街・高円寺で大野義文さん講演会 東京西部 I
9月2日、青年の街・高円寺で原発と非正規職化に怒れる青年集まれ!のイベントが行われた。タイトルは「ケンカの仕方教えます」。国鉄闘争全国運動の呼びかけ人の大野義文さん(元安芸労働基準監督署長)の講演と高円寺の青年たちでつくるバンドのライブ、「ただいまケンカ中」の東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会という最高のコラボだ。
青年を中心にした実行委員会を重ね、中央線沿線の店にチラシを置いてもらい呼びかけたイベントだ。用意した70のいすはすぐ埋まり、青年たちが演壇前に座り込んだ。
主催者の青年は「資本家は責任を取らなくてもよい社会。この国のシステムを変えるために呼びかけた」とあいさつ。
大野義文さんは労働基準監督署での経験から「不払い労働、首切りなど労働者がのたれ死にしても企業は罰せられない。こういう社会を許さないために団結して、労働組合をつくって企業と対等に闘うこと。労働者は、群れ、学び、闘う」と参加者を鼓舞した。
バンドのライブでさらに盛り上がり、続いて登場したのは鈴木コンクリート工業分会。「雇用契約は3カ月だが、それは会社が決めたこと。労働組合を結成して団結すればひっくり返せる」と語った。参加者からは「団交ではどのくらい熱くなったらよいのか」とケンカやる気満々の質問が出され、8月に労働組合を立ち上げた女性労働者が「西部ユニオンに入って楽しくケンカしよう」と分会員を紹介した。参加者は148人。この秋、もっと青年にアプローチして本気で社会を変える闘いをやろう!
暗闇での仕事を強制 節電の夏に怒り心頭 郵政・東京F局 森内一郎
今年の夏の郵政の節電は、はっきり言って異常である。原発を推進したい資本家が15%削減というのに便乗して、節電プロジェクトを強行したのだ。
郵便課の職場内は大きな区分機や小型郵便を差立てする機械があり、ものすごい熱量を発生している。また代金引換小包の入金管理表を作る所は昔は物置きで、近くにあるエアコンの設定温度を下げなければとうてい仕事が出来る場所ではないのに、28度設定を強行している。抗議をしたら、業務企画室の若い生意気な男が「電源を切る」と脅した。
ナンセンス。人の命と節電、どっちが大切なのか、考えてほしい。
さらに私が仕事をしている時でも、平気で電気を消すという無神経さに私は本当に怒ってしまった。夏季短期アルバイトが到着小包を区分する場所でも、電気が切られてうす暗い場所で仕事をしている。私は電気をつけて、「仕事している時は電気をつけないと体調を悪くするからつけるように」と言った。
本当に信じられない。その一言につきる。
さらに泊まりの時は廊下や休憩室の電気が切られ、暗黒の世界で仕事をさせられている。そのような状況で夜、2階の廊下で女性のパートさんとぶつかりそうになった。私は視力がいいのに気付かなかったし、相手もわからなかったという。そしてもう一人の女性のパートさんが危ないからと言って電気をつけた。当然の行為と思う。
職場内であらゆる電気が消されているのに玄関の「ノルマ目標達成 営業推進」の文字には明かりがこうこうと照らされている。ナンセンス!!
労働者がミスなく仕事するために電気を使ってほしい。
星野同志と心一つに徳島で請願と集会 徳島 仙田哲也
昨年の労組交流センター自治体労働者部会の差し入れ行動に続き、9月6日、徳島刑務所長に対して星野さんとの「友人面会の禁止」の白紙撤回を求める請願行動を行いました。
反動・野田新政権に対する獄中同志防衛の第1波闘争です。岡山、大阪、徳島の救援会の仲間と全国再審事務局の団結で白熱的にかちとりました。刑務所の灰色の壁を目の当たりにした初参加者も多く、監獄の実態と自分と志を同じくする人がここで37年闘っている息吹を実感しました。
3・11震災・原発事故で日本資本家階級の支配体制は崩壊状況です。国鉄闘争の火を消そうとする攻撃、原発の攻撃、これと連動して刑務所側の星野再審への集中的破壊攻撃も激しくなっています。懲罰の連続、面会禁止、暁子さんとの結婚記念日の面会妨害、夫婦の手紙をべったりと墨塗りするなど。階級戦争の局面がそのままダイレクトに繰り広げられています。まさに1971年沖縄暴動・渋谷暴動は、40年目の今日も激戦が続いています。
夜には、布川事件の桜井昌司さんを招いて「星野再審と布川再審を語る」という集会を持ちました。でっち上げを打ち破って無実をかちとった経験のお話、救援運動による人間の絆(きずな)の奪還について熱く語ってくださいました。9・11―19から11月労働者集会と星野全国集会へ、路線的に一体性をもって成功させる第一歩が始まりました。
徳島初訪問で闘いの自己解放性を感じた 学生 N
徳島に行ったのは初めてでした。街宣は短い時間でしたが、ビラも受け取りがよく、署名もよく集まったのがとても印象に残っています。星野の闘いが徳島で根付いていることを感じました。
差し入れ行動では、1人に対する差し入れについて門内に3人までしか入れないという制限を新たに追加したり、今では禁止されているはずの軍隊式行進の声が聞こえてきたりといった徳島刑務所の態度、やり方が許せませんでした。
集会では、星野暁子さんから「生きることの輝き」と「絆」を感じながら星野さんが獄中で闘っているという面会報告がありました。それは被災地・東北の「生きさせろ」という闘いで求められているものと同じだと思いました。星野さんの絵にも「生きることの輝き」や「絆」が表れていたように思います。
また、桜井さんの講演で印象に残ったのは、獄中で無罪をかちとる闘いをやってよかったという旨の発言でした。それは単に無罪になったからよかったというのではなくて、桜井さんを支えてくれる存在と出会えたことと、桜井さん自身が検察の体制のような間違っているものはおかしいんだと言える闘う存在になれたからだということです。闘いの中にある自己解放性を感じました。
星野さん激励行動に参加でき、とてもよかったです。
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